研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

全国国公私立大学における有期雇用者雇い止め規定撤廃,無期転換権の確立状況一覧
 (2018年3月11日現在)
情報をお寄せ下さい。

北海道・東北地方

北海道大(全て×)
北海道教育大(全て×)
室蘭工業大(全て無期転換権○)
小樽商科大(非常勤講師○)
帯広畜産大(全て無期転換権○)
旭川医大(全て無期転換権○)
北見工業大(△)
札幌医科大(×)
北海学園大(全て無期転換権○)
酪農学園大(全て無期転換権○)
札幌学院大(一部を除き無期転換権○)
天使大(無期転換権○)
東北大(×)
山形大(×)
弘前大(×)
宮城大学(×)

宮城教育大(無期転換権○)
秋田大(無期転換権○)

東海・北陸地区

名古屋大(全て無期転換権○)
金沢大(事務補佐員の無期転換○)
三重大
(全て無期転換権○)
愛知教育大(全て無期転換権○)
浜松医科大(全て無期転換権○)
名城大(非常勤講師○,職員×)
愛知大(非常勤講師○,職員×)
日本福祉大
(全て無期転換権○
大同大
(全て無期転換権○
愛知学院大(嘱託,臨時職員○)
桜花学園(非常勤講師○)

関西・九州地方

神戸大(非常勤講師△)
大阪大(非常勤講師10年無期転換)
大阪教育大(非常勤講師無期転換○)
奈良女子大(非常勤講師無期転換○)
京都教育大(全て無期転換権○
奈良教育大学 (無期転換権○
広島大(×)

徳島大(全て無期転換権○
神戸市外国語大(非常勤講師で10年無期転換)
立命館大(×)

龍谷大(非常勤講師無期転換○)
京都産業大(非常勤講師10年で無期転換)
神戸女子大(×)
大阪工業大(5年で無期転換○)
関西学院大(非常勤講師10年で無期転換)
京都精華大 (5年で無期転換○)
高知大(△)
長崎県立大(雇い止め撤廃)

【資料】
「無期転換ルールへの対応状況に関する調査 結果概要(平成28年度)」

第192回国会・参議院厚生労働委員会第6号(福島みずほの質問)→これは参考になる

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

常葉大短大部不当解雇事件

静岡地裁決文(2015年7月3日)  原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、声明(2015年7月4日)
仮処分異議申立裁判、静岡地裁決定(2016年1月25日) 完全勝訴 祝! 
静岡県内3大学教職員組合声明(2016年2月16日)
本訴裁判・静岡地裁判決(2017年1月20日) 原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
東京高裁判決(2017年7月13日)学園の控訴棄却,原告・完全勝訴 祝! 声明1

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

酪農学園大学長解任無効確認訴訟 

原告・前学長が札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状  学長解任に関する新聞報道

・酪農学園大学退職教授団HP 「酪農大はやっぱり素 晴らしい」

New! 酪農学園元評議員名誉毀損裁判、最高裁が上告棄却 教員側の全面勝訴!詳しくはこちら

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2018年04月18日

日大が英語講師15人を集団解雇する事情、外部の語学学校に「丸投げ」か

President Online(2018.4.18)

 日本大学は今年3月、英語の非常勤講師15人全員を解雇した。解雇されたのは、2016年に新しく設置された危機管理学部とスポーツ科学部の教員で、雇用された際には2020年までの継続雇用も打診されていた。さらに授業は外部の語学学校に「丸投げ」している恐れがあり、解雇の違法性が疑われている。解雇された非常勤講師の1人が、プレジデントオンラインの取材に答えた――。

何の根拠もなく突然の雇い止め

 「大学に雇い止めを通告された時はうちのめされました。経済的に苦しくなりますし、地位も失います。しかし、何よりも腹立たしいのは、何の理由もなく辞めさせられたことです。これまでの自分の仕事を否定されたと感じました」

 今年3月まで、日本大学・危機管理学部で英語の非常勤講師を務めていた井上悦男さんはそう語る。井上さんは危機管理学部で週4コマの授業を担当していた。1コマの報酬は月額で約3万円。4コマで月12万円の収入減となる。

 井上さんは1965年生まれの53歳。東京都生まれで、日本大学文学部から日本大学大学院に進み、1997年に文学研究科英文学専攻博士後期課程を満期退学。その直後から4年間、日本大学文理学部で助手を務め、2001年から日本大学の非常勤講師となった。以降、非常勤講師の仕事で生計を立ててきた。

 昨年度は1週間に日本大学の5学部で19コマ、東京理科大学で2コマの合計21コマを受け持っていた。1コマとは90分間の授業を指す。21コマであれば合計で31時間30分。週5日とすれば、毎日6時間以上教壇に立つことになる。講師の仕事は教壇に立つだけではない。授業には準備が必要になるうえ、試験の作成や採点も仕事だ。

午前9時から午後7時半までずっと授業

 井上さんの場合、平日は毎日朝6時半から7時の間に家を出て、朝8時には大学に着き、授業で配布するプリントを印刷する。最もハードだったのは月曜日で、法学部の二部の授業を担当したため、1限から6限まで、つまり午前9時から午後7時半まで、ずっと授業が続いた。授業が終わっても、帰宅後は翌日の授業の準備。ゆっくり食事をする余裕はない。試験の時期には問題の作成や採点のため、睡眠時間を削って対応する必要があった。

 年収は約760万円。少ない金額ではないが、専任教員と比べると、その労働環境の厳しさがわかる。日本大学の専任教員の場合、担当コマ数は平均6.5コマで、井上さんと同じ年齢であれば年収は約1200万円。授業の数だけをみれば、井上さんは3倍以上も担当しているのに、報酬は6割程度におさえられている。

1コマ分の報酬は、専任教員の5分の1

 これは1コマあたりに置き換えるとわかりやすい。非常勤講師は1コマ月3万円だが、専任教員は1コマ月15万円という計算になる。もちろん専任教員には授業以外の業務もあるが、その差はあまりに大きい。

 井上さんが多くの授業を担当する理由のひとつは4人の子どもの教育費だ。長女は私立理系の大学を卒業したが、下の3人はそれぞれ大学、高校、中学に在学中で、下の2人も大学進学を考えている。

 「授業を多く担当しているのは、子どもに大学で学ぶ機会を与えたいと思っているからです。多い年には、週23コマ担当していたこともありました」

他大学の授業を断って引き受けたのに

 教育費だけではない。井上さんは大学院時代に借りた奨学金をいまでも月3万円ずつ返済している。また助手時代に購入した東京都立川市の自宅のローンもまだ10年残っている。介護関係で働く妻の給与とあわせると、世帯年収は950万円。非常勤講師という不安定な身分でありながら、これだけの収入が確保してきたというのは驚くべきことだ。それだけ井上さんの授業の質には高い評価があったのだろう。

 実際に日本大学は、2016年に危機管理学部を新設した際、井上さんに新たに4コマの担当を要請している。井上さんは新学部の立ち上げに関われることを光栄に思い、日本大学の商学部の授業や、東京電気大学で担当していた授業を断って、新学部の授業を引き受けた。

 ところが、授業を担当して2年目の2017年11月、井上さんは危機管理学部から「雇い止め」の通告を受けた。雇い止めにあったのは井上さんだけではない。日本大学は三軒茶屋キャンパスに新設した危機管理学部とスポーツ科学部という2つの学部について、英語の非常勤講師15人全員を2018年3月31日で解雇すると通告したのだ。

 大学は解雇の理由について「教育課程の再構築」と説明したが、それ以上の詳しい説明はなかった。

大学の目的は「語学学校への丸投げ」

「雇い止め」の目的はなにか。その後、しばらくしてその狙いがわかった。井上さんは話す。

 「大学は私たちの代わりに誰が授業を担当するのか、説明会では明らかにしませんでした。しかし3月に入って、語学学校の講師と専任講師による『ペア授業』を実施すると発表しました。ペア授業の内容について、大学は『語学学校の外国人講師が授業を行い、専任教員は授業を観察する形式』と説明しています。これは授業の『丸投げ』で、許されるものではありません」

 この「ペア授業」では、語学学校から講師が派遣される形になる。だが厚生労働省は、「労働者派遣、請負のいずれに該当するかは、契約形式ではなく、実態に即して判断される」としている。つまり外部講師に、大学側が「授業の内容についての打ち合わせ」といった指揮命令行為をすれば、それは労働者派遣事業とはみなされず、法令違反の「偽装請負」となる。

語学学校に授業を委託することは認められない

 一方で、語学学校が授業内容を決めることがあれば、文部科学省が禁止している「授業の丸投げ」になる。どちらにしても、語学学校に授業を委託することは認められないのだ。

 問題はそれだけではない。日本大学は、今回解雇を告知した非常勤講師全員に、2014年の時点で、2016年から最低4年間の継続雇用を伝えていた。実際、井上さんが危機管理学部の非常勤講師に採用された時、大学から受け取った文書には「完成年度の平成32年3月までは、継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」とある。

日本大学が井上さんに通知した文書(略)

 完成年度とは、学部などが新設されて、最初に入学した学生が卒業する年度のことを指す。つまり、学部ができて4年間は、継続雇用を大学が約束していたといえる。労働契約上の「期待権」が、この文書によって生じている可能性がある。

 さらに、学部の設置から完成年度までの4年間について、文科省は、授業の内容や担当する教員について、原則として変更を禁じている。学部を新設する際、大学は文科省に「学部設置計画」を提出する。この内容は、合理的な理由がない限り、完成年度まで変更できない。たとえば教員が自己都合で退職した場合にも、代わりの教員を採用する際には大学設置・学校法人審査会による教員資格審査を受けなければならないのだ。

見過ごせば大学教育の低下に直結

 日本大学の「雇い止め」を批判し、日本大学と団体交渉を行なっている首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、「もし日本大学の行為が認められると、全国の大学に影響が及ぶ」と話す。

 「日本大学の手法が許されたら、授業を外部業者に委託してコストカットを図る大学が続出するでしょう。そうなれば、多くの教員が職を失うとともに、大学教育の質が著しく低下する恐れがあります」

 このままでは、特に経営が苦しい中堅私立大学を中心に、非常勤講師の「雇い止め」と授業の外部委託が広がる可能性があるのだ。

 井上さんは日本大学で長く教えているため、キャンパスでは知り合いの生徒もたくさんいる。だが先日、大学から「キャンパス内の秩序を乱さないように」と警告を受けた。問題が大きくなることを大学が恐れたのかもしれない。井上さんは一部の授業を失うだけでなく、学生と自由に話す機会も奪われてしまったのだ。

真っ当な大学であってほしい

 そうした状況に追い込まれても、なぜ自らの顔と名前を出して現状を訴えるのか。井上さんは「自分の母校でもあり、教員もしている大学が、おかしな方向に進むことを止めたい」と話す。

 「日本大学には法学部がありますが、危機管理学部を卒業しても『法学士』の学位が授与されます。そのような学部が法律を破る行為をするのは教育的ではありません。まだ新しい学部ですが、危機管理学部の学生はみんないきいきとしています。英語の授業は毎週クラスの生徒たちと接するので、まるで中高の担任のような関係でした。ここで定年まで働けるものと思っていました。できることなら戻りたいですね」

 筆者の取材に対して、日本大学広報課は「特にお答えできることはない」と話すのみ。一方で、文科省大学設置室は、「設置計画の変更について日本大学から報告書があがってきていないので、現時点ではコメントできない状態」と話している。

 大学教育のために汗を流してきた人たちが、報われないままでいいのだろうか。いま良識が問われている。

田中圭太郎(たなか・けいたろう)
ジャーナリスト
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。


2018年04月12日

岡山短大不当解雇事件、短大側…最高裁へ上告へ

山口雪子さんを支える会

短大側…最高裁へ上告へ。

ご支援くださる皆様、お世話になっています。山口雪子です。

今日(4月10日)20時45分から始まるNHK岡山局の地方ニュースを聴いていましたところ、「岡山短期大学が第2審判決を不服として最高裁に昨日付で上告」との報道がありました。3月29日の勝訴報告で皆様へのご心配を少しでも軽くできたかも…と嬉しく思っていましたが、残念な状況にまたなってしまいました。

再び皆様にご心配をおかけしてしまうことを、申し訳なく思いますし、何より教育現場として岡山短期大学の現状が残念で嘆かわしくて仕方ありません。

教壇復帰の道のりは上告を受けて、ますます長く遠くなるのかもしれませんが、あきらめずへこたれずに取り組んで参りますので、今後ともご支援お力添え賜りたく、どうかよろしくお願いいたします。

本当に残念なご連絡でごめんなさい。
いつもありがとうございます。皆様のご支援に心から感謝しています! 山口 雪子

2018年04月09日

明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

『紙の爆弾』(2018年4月号)

授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り
いま大学で何が起きているのか?

タケナカ・シゲル(著述業・編集者)

「これはセクハラなのではありませんか?」と、法廷に女性弁護士の声がひびいた。問題にされた発言とは、こんなものだ。
「そこの色白の彼女、先生は色白が好きです。あとで一緒に帰りますね」
 この発言を女性弁護士に質されたのは、一昨年に明治学院大学(東京都港区)を懲戒解雇された、寄川条路元教授である。ここに紹介する公判は、寄川元教授の地位確認裁判の証人調べのシーンだ。証言に立った山下篤教務課長によれば、寄川元教授は新学期の最初の授業で「先生は7月に病気になりますから」「海外にいます」などと、7月の最終講義を休講にすることを学生たちに告げたというのだ。セクハラまがいの発言に仮病による休講の予告……。どうやら問題のありそうな元教授だが、取材をしてみると、真相はまったく別のところにあった。
 冒頭のセクハラまがいの発言は、じつは講義への集中をうながすための注意喚起で、不特定多数の学生に向けたものだった。色白の女子学生に語りかけたものではなかったのだ。7月に病気になるという休講宣言も、じつは課題未提出者にたいする救済措置だ。課題提出者にとってのみ、休講となるものだったのである。第1回の授業で元教授は、就活などで出欠が悪くても救済措置を講じると伝えたにすぎない。
 それではなぜ冒頭のような誤解を、被告側弁護人に生じさせたのか。いや、そもそもなぜ、授業で元教授がしゃべったことが問題にされ、懲戒解雇という私立大学では極めて珍しい事態に至ったのだろう。講義内容が教室外に漏れたのは、録音による以外にないはずだ。事実そうであった。
 おどろいたことに、大学の教職員の手で寄川元教授の授業の盗聴が行なわれたのだ。その真相を究明しようとして学生に情報提供を呼びかけたところ、懲戒処分の理由にされたのである。
 大学側が問題視しているのは些細なことばかりだが、講義の根幹にかかわのものもある。明治学院大学(横浜の教養教育センター)では大教室授業の問題点が指摘されていた。学生の私語で講義に集中できないというものだ。そこで大教室の授業を300人に制限しようとしたところ、寄川元教授がこれに反対したのである。寄川元教授の担当課目は、共通科目の倫理学である。受講生はトータル1,200人ほどで、元教授は学内外で人気教授として知られている。明学の卒業生が非公式サイトとして運営している「明学LIFE」から紹介記事を引用してみよう。
「明治学院大学でもっとも知名度が高い、倫理学を担当している寄川条路先生をご紹介します」「寄川先生は学内でもっとも人気のある先生です」「倫理学とは捉え方によってはどんな見方もできる学問です。寄川先生の授業では、日々の生活に潜む事象を俯瞰的に見てみる授業だった気がします」
 この記事は救済措置のレポート提出にもふれて、就活で出席できない学生への配慮に感謝が述べられている。
「話し方も優しさに溢れていて、授業の内容がすんなり耳に入ってくる」
 ややバイアスがかかっているとはいえ、寄川元教授が人気講師であることに間違いはないだろう。単に人気講師というだけではなく、彼は和辻賞(日本倫理学会)を受けるなど、ヘーゲル研究の第一人者のひとりである。著書や論文の業績も多い。「紀川しのろ」という筆名で日本随筆家協会賞を受賞している随筆家でもある。

 受講生300人限定をめぐる攻防

 500人をこえる大人数でも授業を切りまわせる人気教授にとって、300人限定は、来る者は拒まずという信念を侵されたに等しい。しかし、その反対意見は封殺された。受講生制限に例外は許されないとセンター長から通告された寄川元教授は、思いきった対抗措置に出る。学生向けのプリントに「抽選に漏れた人たちは、私にではなく教務課に抗議してください」と書き添え、教務課との軋轢が生まれた。
 そして極めつけは、教科書の内容が解雇理由になっていることだ。およそ焚書と呼ばれる行為でなくて、これが何であろうか。処分は懲戒解雇とはべつに一般解雇というかたちで補強されているが、その理由が教科書採用していた『教養部しのろ教授の大学入門』(ナカニシヤ出版)なのである。同書では架空の平成学院大学を舞台にユーモラスに大学が語られ、読者が大学を知るには格好の書だ。掛け値なしにおもしろい本だが、ミッション・スクールを「人間動物園」に例えたくだりが問題にされた。
 公判では「先生はこの大学にきて5年になりますが、その前は13年間、愛知の幼稚園の園長をしていました」と授業で話したことも問題にされた。事実は愛知大学の法学部教授である。公判で「原告は、(幼稚園の先生だと)学生にウソをついたのですか?」と被告側弁護人に問われた寄川元教授は「(弁護士)先生、講義は事実を述べる場ではないんです」と答えて、傍聴席を笑わせた。おそらくここに、この懲戒処分事件の本質の一端が顕われている。というのも、冒頭の弁護人の「誤解」がじつは、ためにする「曲解」であるからだ。人気講師の講義をこころよく思わない、派閥的な組織の意志がそこに働いているのではないだろうか。自身も停年延長を恣意的に拒否され、地位保全の裁判闘争を行なっている浅野健一・同志社大学教授は公判を傍聴して「嫉妬ですよ、研究者特有の。人気のある研究者を陥れようとする陰謀です」と感想を述べていた。
 組織の一員でありながら、個人事業主としての側面をもつ研究者たちの競争意識は、しばしば醜い嫉妬として顕れる。派閥をつくっては保身し、ライバルを追い落とそうとする。それは明治学院大学に限ったことではない。
 それにしても、講義内容の盗聴と教科書の検閲である。思想・表現の自由を、大学がみずから掘り崩したのだ。そして明らかに意識的な「誤解(曲解)」をもって、懲戒解雇という処分が行なわれたのだ。これまで大学の教員はハレンチ犯罪で逮捕されない限り、処分は受けない存在だと考えられてきた。それがリベラルアーツの教養主義がほんらい持っている、学問の自由・独立という精神の礎であるからだ。
 ところが調べてみると、大学を舞台にした解雇事件やパワハラ、ガバナンスをめぐる紛争は少なくない。札幌学院大学の片山一義教授が主宰する情報サイト「全国国公私立大学の事件情報」には、おびただしい数の不当解雇や権利侵害事件が掲載されている。その根っこにあるのは大学経営の危機であろう。18歳人口がいく度目かの減少に転じる2018年、2020年問題(入試改革)に備えて、各大学が人員削減につとめてきた。その基調は、人文科目の削減と理系科目の統合・新設である。
 明治学院大学においては2016年に教員の20%削減が発表され、非常勤講師の雇い止めが行なわれきた。人文系のカリキュラムを削る代わりに、人間環境学部という新学部の準備が進んでいるのだ。これで解雇の背景がわかった。この解雇は最初から計画されたものだったのだ。寄川元教授の解雇に積極的だった黒川貞生センター長が、まさに体育の教員として、副学長とともに新学部設置の先頭に立っているのだから。スポーツ学科を擁する新学部設置のためにこそ、寄川元教授が狙い撃ちにされたのだ。事実、現代思想系の教員が二人雇い止めになっている。
 かように、リベラルアーツと学問の独立が危機に瀕する事態が頻発している。そして文部科学省官僚の天下りがそれに拍車をかける。

 豪腕文科官僚の天下り

 城西大学(兄弟校に城西国際大学・城西短期大学を併設)は、大蔵大臣を歴任した水田三喜男元代議士が創設した学校法人である。年輩の方なら憶えておられるかもしれない、おでこに大きなコブがあった政治家だ。埼玉県坂戸市と千葉県東金市にキャンパスを持ち、薬学部を擁する総合大学として、グループ全体で14,000人の学生が学ぶ。
 その城西大学グループの理事に元文科省事務次官・小野元之氏が就任したのは、2012年のことだった。大学側にも天下り官僚をふところに抱えることで、監督省庁である文部科学省との関係を良好に保つ思惑はあったのだろう。ところが、小野理事は経歴にたがわない辣腕ぶりを発揮するのだ。
 まず文部科学省の学校運営調査を「査察」と言いなし、理事たちに「このままでは補助金が出なくなる」「解散もありうる」と吹聴することで危機感を煽る。そして2016年11月30日の理事会において緊急動議を出し、水田宗子理事長(三喜男氏の次女)が辞任を強いられたのである。その動議の中身がすごい。理事会の席で、小野理事は水田理事長を口をきわめて批判したという。すなわち、水田理事長が連日のように学長や副学長、教職員を怒鳴り上げ、叫び、暴れているというのだ。彼女は真っ向からこれを否定している。いずれ公判廷で事実関係が明らかになるはずだ。
 さらに小野理事は「大変失礼でございますが、いわゆる認知症にかかっておられるのではないか」と理事会で発言したという。この発言は名誉毀損事件として訴訟になっている。まだある。夏のアメリカ出張は私的な「カラ出張」であり、業務上横領にあたるというのだ。事実はふたりの息子が、それぞれ城西大学の姉妹校であるUCLAと南カリフォルニア大の要職にあり、業務上の会合だったと元理事長は主張している。けっきょく、名誉ある辞任をすれば理事職と教授職および大学院長の地位は継続されるという約束で、水田理事長はやむなく辞任した。
 ところが、この約束は反故にされる。小野理事は文科省の後輩である北村幸久秘書室長を事務局長に抜擢するいっぽう、会計調査委員会を設置した。そして調査結果が出る前に、北村事務局長のマスコミ向け記者会見が行なわれ、水田元理事長による「不正経理事件」は衆目の知るところとなった。水田元理事長はすべての役職を解かれ、研究室も封鎖された。計画的なクーデターらしく、打つ手は徹底している。
 だが会計調査委員会は理事会で決議されたわけではなく、人選も小野理事の人脈である。秘書室長でありながら、水田理事長を追放する立場になった北村事務局長は、二重の意味で裏切ったことになる。水田理事長の解任に反対した理事は追放され、追放劇に与した教職員には論功行賞が行なわれた。たとえば水田元理事長のスケジュールを管理していた女性秘書は、メールアカウント等のデータを持ったまま連絡を断ち、のちに生涯教育センター所長に抜擢された。27年間も信頼で結ばれていた元理事長を裏切ったのだ。ほかにも元理事長を支えてきた多くの人材が異動や退職を強いられた。
 寄附行為(学校法人の定款)に理事会での解任動議が馴染まないとはいえ、クーデターそのものが悪いわけではないだろう。問題はその中身であり、解任理由が正当かどうかである。解任理由のひとつに、水田清子名誉理事(宗子氏の母親)への退職金1億6,800万円が高すぎるというものがある。たしかに大企業の役員なみに高額だが、理事会で決裁した過程があるので、学園を私物化したとの批判は当たらないだろう。前理事長には三喜男氏が亡くなったあと、学園の混乱をおさめて短期大学と城西国際大学の創建に寄与した功績がある。学園に私財をつぎ込んできたことを考えればと、理事会が決裁したのだろう。裁判の争点と経過は『奪われた学園』(水田宗子・幻冬舎)に詳しい。
 現在、名誉毀損事件のほかに教授職としての地位保全仮処分申し立て、理事長代理(小野元之氏)に対する地位の不存在確認請求など、「水田事件」では四つの裁判が行なわれている。解任させられた武富紘人元事務局長も、退職強要の損害賠償で訴訟中だ。ゼミ生や卒業生を中心に「水田先生を支える会」がつくられ、水田宗子元理事長が比較ジェンダー論などフェミニズムの研究者でもあることから、上野千鶴子(ウィメンズアクションネットワーク理事長)らも支援の輪をひろげている。

 文科官僚による私学の乗っ取り

 城西大学の事例は文部科学省が組織として謀った事実はなくとも、官僚組織の持っている自己増殖の本能と理解するべきだろう。たとえば警察庁においては、暴力団犯罪や左翼運動が全盛期だった昭和40年代の28万人体制の規模を、平成の今におよぶまで維持しようとしている。
 悪い意味で城西大学が文科省官僚にとっての成功例なら、失敗の例もある。山口県下関市にある梅光学院大学では、改革のために天下りした文科官僚が独走のすえに、組織を崩壊させているのだ。
 かつてはお嬢さま学校として知られていた梅光学院は、2001年に男女共学となり、2012年から改革に取り組んできた。270人の定員にたいして、入学者が170人台まで落ちた時期もある。その背景には下関市と海峡を隔てた北九州市の人口減、それに加えて北九州市西部に学術研究都市(早大・九州工業大・北九州大・福岡大など)が充実したこともあげられる。そこで、学部の統合による合理化と学費値下げという相反する経営努力を、経費の削減や教職員のボーナスのカットなどで実現した。さらに地元の高校をまわる地道な営業努力、就職率のアップなどで定員を確保してきた。そして改革の切り札として、元文科省官僚の本間政雄氏を理事長に迎え、ガバナンスの強化をはかったのだ。本間氏は京都大学の副学長、立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)で財務担当を務めた経歴を持つ。関東学院大学(横浜市)では常務理事から理事長になろうとして、このときは逆に排斥されている。
 ところが「定員割れを解消した改革の成功が仇になった」と、一昨年に雇い止めになった菅孝行元特任教授(劇作家)は語る。菅氏自身、改革派に誘われての就任であったが、教授会への出馬も「守旧派」「抵抗勢力」と対抗させられるためだったという。
 本間理事長・樋口紀子学長・只木徹統括本部長を中心とする執行部は、反対意見をのべる教職員に退職を強要し、多くの教職員が学園を去っていった。その結果、教職課程設置に不可欠の資格をもった教員が不足し、文科省から教職課程を1年間凍結される羽目に。残業代の未払い、あるいは中学高校における無資格教員の発覚、授業が成立しないなど醜聞が相次ぎ、国会の文教委員会でも問題にされた。大学院の指導教員を退職させたために、大学院の存続も危ぶまれる状態だという。
 このような事態に、教員や同窓生を中心に「梅光の未来を考える会」が地域ごとに結成され、現役の学生たちも声を挙げはじめている。雇い止めとなった矢本浩司特任准教授の裁判(地裁で地位保全の決定)をはじめ、給与減額をめぐり10人の教職員が提訴した裁判では、赤字を言い訳にしている執行部が役職を兼務することで手当を受け取っていることが明らかになった。裁判で膿が出されるのを期待したい。
 今回ふれた3校以外にも、問題を抱えている大学は少なくない。文科官僚ではなく、共産党員が独裁的に行政を仕切り、経営の危機を招いてしまった立命館大学。なんと、キャンパス内に交番をつくってしまった同志社大学。
 元大学職員の田所敏夫氏の著書『暗黒時代の大学』(鹿砦社)には、今の大学が抱える危機が現場の視点で解き明かされている。人づくりを使命とする最高学府には、教育・研究の原点に立ち返ってもらいたいものだ。


2018年03月30日

岡山短大、視覚障害理由の配転無効 山口さん高裁も勝訴

■しんぶん赤旗(2018年3月30日)

 岡山短期大学(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(53)が視覚障害を理由にした事務職への配転命令の無効確認などを求めた控訴審で、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)は29日、山口さんの訴えを認める勝利判決を出しました。昨年3月の岡山地裁判決に続く勝訴です。

 判決は、同短大が山口さんに出した職務変更と研究室退室の命令は権利乱用で無効としました。合理性を欠く不法行為で精神的苦痛を与えたことへの慰謝料として短大側に100万円の支払いを命じました。また、山口さんの授業遂行能力が他の教員と比べても劣っていないと認定し視覚障害害で生じる問題は補佐員の補助で解決すべきだと断じています。

 報告集会で山口さんは「当初は自分のわがままかと悩み、提訴は考えていなかった。支えてくれる人を見て『私だけの問題ではない』と気付いて強くなった。多様な人が学び合うところが高等教育。これからも復帰をあきらめないので支えてください」と話しました。

 視覚障害者の大胡田(おおごだ)誠弁護士は「中途視覚障害者を排除してはならないことを示した判決だ。誰でも、いつ病気になるかわからない。すべての労働者にとって良い判決だ」と評価しました。


2018年03月29日

梅光学院大学・矢本准教授の雇止めは無効 無期雇用・賠償は棄却 地裁下関支部が判決

長周新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大学の特任准教授で、2015年度末に雇い止めを受けた矢本浩司氏が同学院に対し、雇い止めの無効などを訴えた裁判の判決が27日、山口地方裁判所下関支部(泉薫裁判長)であった。この日も教員や学生、同窓生や保護者など多数が傍聴に押しかけ判決を見守った。判決では、矢本氏の梅光学院特任准教授としての地位を今年度まで認め、賃金の支払いを命じたが、その他の訴えについては棄却した。

 矢本氏はこの裁判で、梅光学院特任教授としての地位の確認と賃金の支払いに加え、研究室や図書館を利用すること、准教授として論文を発表すること、また大学で講義をすることなどを求めていたほか、中野新治元学院長がその地位を利用して、矢本氏が執行部に反対する行動を主導したかのように扱い、雇い止めしたことによって研究や研究成果の発表、教授の自由を奪われたとして、中野元学院長と梅光学院大学に対し損害賠償を請求していた。

 判決では、仮処分申請時と同じく、矢本氏が梅光学院大学に勤務していた平成27年度中、授業については学生アンケートで高い評価を得ており、複数の論文を執筆したうえに査読を受けて掲載されたこと、また学内でもFD委員会副委員長や中高校長特別補佐職に就任するなど、豊富な業務量をこなし、かつ高い評価を受けていたことを認定。契約期間満了が近づいた平成28年2月中旬まで、矢本氏もかかわって翌年度の準備を進めており、契約更新を期待する合理的理由があったとし、雇い止めの無効を認めた。また2度目の契約更新についても、その合理的期待が消滅したといえる特段の事情もないとして、矢本氏の地位を認めるものとなった。

 ただ、矢本氏は採用時に中野新治学院長から「よほどのことがない限り、3年間勤めた後に無期雇用になる」と説明を受けたこと、また平成27年度中にも「雇い止めにすることはない」とたびたびいわれていたことについて、証拠も提出したうえで無期雇用を主張していたが、その点については退けられ、平成30年3月31日までに限り矢本氏の地位を認め、賃金の支払いを命じる内容となっている。

報告会で運動の継続を確認

 同日午後4時から、同窓生や学生、保護者ら関係者が集まって報告会を持ち、弁護士からも判決の概要について説明があった。無期雇用や損害賠償などの訴えは棄却されたものの、矢本氏の契約期間が1年となっているにもかかわらず、3年まで認められたことは、前例の少ない画期的な判断であることを確認し、今後もたたかい続けることを誓い合った。

 矢本氏は支援に対する謝辞をのべたうえで、「3年の契約まで認めてくれたというのは画期的だと思う。やはり梅光学院に問題があるから、こうした判断が出たのだろうと思う」とのべた。ただ、「中野新治元学院長が“君を雇い止めにすることはない”とくり返しいっていたことについて証拠を提出しているが、判決文では触れられておらず、納得がいかないところがある。非常に画期的な判断が出て喜んでいる反面、なぜこの証拠が認められないのかという思いがある」とのべ、今後の対応を検討することを明らかにした。

 参加者からは、「研究室や図書館を使用できない理由は何なのか」「一般市民に開放しているのに使えないのか」「大学というのはユニバーシティ・仲間たちという意味だ。研究に図書館を使うのは当たり前のことだ。“契約にないから”というのはどういうことなのか」「賃金は労働や働きに対して支払うものではないのか? ただ払えばいいのか?」など、市民感覚と法律上の判断の違いについて、質問や疑問、意見があいついだ。

 報告会では、大学教員が近況の報告もおこなった。報告に立った教員は、「学内で自由にものがいえず、異論を唱えると排除、左遷、辞めさせられるなど非民主的な運営が続いており、学生たちが被害をこうむっている」とのべた。今年度末にも多くの教職員が学院を去るが、後任を決めず雇い止め等をするため、来年度には哲学の授業を社会学の教員が、現代詩の授業を中野新治氏が担当するなど、看板と違う授業がおこなわれる状況にあり、教育の質がますます低下していることを明らかにした。

 またテスト期間をもうけず、新教務システムを導入し、間違ったデータが流れるなど、事務的な部分でもトラブルが多発しており、「無事、入学式が迎えられるかどうか」という状況にあることを報告。この27日にゼミが規定の回数開かれなかったことについて学生らが申し入れ、話しあいをおこなっていることも明らかにした。

 学生たちが受けられるはずの授業が受けられなくなったという状況から、日本文学部の教員ら有志で私塾を開く準備をしていることも報告した。

 最後に、矢本氏が挨拶に立ち、「社会正義に訴え、おかしいことはおかしいというために裁判をやっているので、ひき続きたたかっていく」とのべ、拍手が送られた。

 なお、今回の判決について梅光学院側は、「当方の主張についても、一部理解をして頂けた判決であると考えている。今後の対応については判断を精査して決めることとしたい」とのべている。

中高校の校長が1年で解任

 梅光学院をめぐっては、中高校でも23日、昨年4月に現経営陣の依頼で就任したばかりの校長がわずか1年で解任されたことが明らかになり、関係者のなかに衝撃が走っている。新年度を目前に控えるなかで、理科など後任の教員確保ができていない状況もあり、来年度さらなる混乱が発生することが懸念されている。


2018年03月28日

准教授雇い止め訴訟、梅光学院大側に賃金支払い命令 地裁下関支部判決

毎日新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大(下関市)を2016年3月に雇い止めとなった男性准教授(45)が、同大を運営する学校法人・梅光学院に対し、雇用関係の確認と未払い賃金の支払いなどを求めた地位確認請求訴訟の判決が27日、山口地裁下関支部であった。泉薫裁判長は「雇い止めは社会通念上不合理だ」として准教授側の訴えを一部認め、学院側に16年6月~今年3月の月額賃金43万3300円の支払いを命じた。

 判決によると、准教授は16年4月、同大専任教員として任期1年、最長3年の有期雇用契約で採用された。豊富な業務量をこなし、学生アンケートなどでも高い評価を受けていたが、17年2月24日、同3月末での契約終了を通知された。判決は大学側が直前まで次年度の授業やゼミ、学外講演の講師などの業務も割り振っていたことなどから「契約更新に期待を抱くことは当然だ」として、雇い止めが客観的合理的理由を欠くと認定した。

 一方、3年間の有期雇用契約後は無期契約に移行する約束だったなどとする准教授側の主張は退けた。准教授は控訴する方針。


上智大、だまし討ち雇い止め 非常勤講師組合 撤回求め刑事刑事告発


■しんぶん赤旗(20018年3月27日)

 首都圏大学非常勤講師組合は、上智大学にだまし討ち的な手法で非常勤講師を5年雇い止めしようとしているとして撤回を求めています。23日には、松村比奈子委員長、大野英士副委員長が労働基準法違反にあたるとして神奈川・平塚労働基準監督署に刑事告発しました。
 上智が2013年4月に制定した就業規則には契約上限の規定はなく、非常勤講師組合の質問にも「従前の更新手続きを変更するものではない」と答え、契約上限を定める場合には「個別に対応する」としていました。
 ところが、13年から上智短大(秦野キャンパス)で教える組合員は、学科長から「13年4月以降に雇用きれた非常勤講師には、一律5年上限が課されている。法人の決定であり、学科ではいかんともしようがない」と言われ、3回の団体交渉でも雇い止めが撤回されていません。
 組合の入手した英文資料には「13年の労働法制定に対応して、上智大学では非常勤講師に対し、5年の更新上限を定めることを〝公式に″決定した」と記載。労働基準法89条では、退職に関する事項は就業規則に書き入れなければならない「絶対的必要記載事項」とされています。
 組合は上智大が無期転換逃れのために一律に5年で雇い止めする制度をひそかに制定しており、就業規則の適正な制定にも反すると批判。組合員は、神奈川労働局平塚総合労働相談コーナーに対しても、「助言指導」を求めています。
 この問題で本紙問い合わせに対して上智大は「交渉中のため回答は差し控えたい」としています。

2018年03月23日

東北18国公立大の無期雇用転換ルール、東北大のみ実施せず

河北新報(2018年03月22日)

 通算5年を超えて働く有期雇用者が4月以降、労働契約法に基づき無期雇用に転換を申し込めるルールについて、東北の18国公立大のうち、実質的に実施しないのは東北大だけであることが21日、河北新報社の調べで分かった。東北大は有期職員を対象とした新人事制度を新年度に導入するが、国は「無期転換とは別問題」との見解を示しており、東北大の突出ぶりが浮き彫りになった。
 18国公立大の回答は表の通り。3月末で通算5年を超えて働く有期職員がいる大学は12あり、このうち東北大を除く全11大学が無期転換の権利を認めている。現在、5年超の有期職員がいない山形大と福島大も「要件を満たせば5年を超えられ、無期転換を申し込める」などとしている。
 回答からは、各大学が雇用年数の上限を厳格に認識している姿勢もうかがえる。秋田公立美術大は上限の5年を超えて有期職員を雇用しない。弘前大や岩手大は上限5年を超えた場合は無期転換とする。岩手県立大は2014年度、上限3年を超えていた有期職員の希望者全員を無期転換した。
 東北大は雇用上限を5年と定めているが、実際には5年超の有期職員が約1000人いる。雇用継続の期待を持たせる一方、無期転換ルールは実質的に実施しない。職務などを制限する「限定正職員制度」を4月に始める予定で、勤続3年以上の有期職員669人を採用試験で合格とした。
 同制度に関し、国は昨年11月の衆院厚生労働委員会で「無期転換ルールとは別途のもの」との認識を示した。その上で「有期労働契約の乱用的な利用を抑制する」という労働契約法の趣旨を踏まえるよう求めた。
 調査は2~3月に実施。東北の全18国公立大のうち17大学から回答を得た。無回答の東北大については、これまでの取材からデータを算出した。

2018年03月12日

大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会、「人権擁護委員会による本調査の開始にあたって」

人権擁護委員会による本調査の開始にあたって

人権擁護委員会による本調査の開始にあたって

2018年3月12日 大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会

 わたしどもの会(以下、会)は2017年10月30日、京都弁護士会人権擁護委員会宛に、「龍谷大学経営学部在籍中の学生である未ゼミ生がゼミを履修する学習権を持つことを確認し、その迅速な実現のために適切な措置をとるよう、被申立人(龍谷大学)に勧告されたい」という趣旨の申立を行いました。
 その後、同年11月6日付けで追加の書面を提出しました。そして、2018年1月12日には委員会の担当弁護士による、会を対象にした予備調査が行われました。この予備調査を踏まえ、会は1月18日に追加の証拠書面を提出しました。
 以上のような経緯を経て、人権擁護委員会によって本調査が行われることを会として確認いたしました(2月に開催された委員会において、本調査の開始が決定されました)。
 間もなく新年度が始まる時期を迎えており、新2年生を対象とした演習(ゼミ)の募集も行われようとしており、一日も早く会の申立に沿った勧告が行われることを願っています。
 すでに2017年11月10日の時点で、会は申立の写しを龍谷大学当局に届けるとともに、学生と学長との面談を申し入れましたが、学長面談が叶うことはありませんでした。大学当局の不誠実な対応は学生たちを失望させました。
 また、人権擁護委員会への申立自体が不当であるかの如き言説によって学生たちは二重(未ゼミ生問題=学習権侵害に加え、不当な非難)に苦しめられてきたことも指摘せざるを得ません。学生たちの権利回復は緊急を要するものです。
 会が提起した問題は、学内外の多くの方々から個別大学の個別学部における問題にとどまらないとの指摘もいただいています。引き続き学生と教員がともに、この問題に取り組んでいく決意でいます。多くのみなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

【付記】二人の学生からのメッセージを以下に掲載します。
 「同じ授業料を払っているのだから、同等の教育を提供してほしい」。これが出発点であり、今でも変わりありません。ゼミの選択肢が少ないなど、大学の広報と実態が全く違います。誰が責任を取ってくれるのでしょうか。人権擁護委員会によって一日も早く勧告がなされ、改善されることを強く願っています。

学生は当事者であり、重要な構成員であるはずですが、ガラパゴス化した教授会、対応力のない大学によって失望させられ続けています。学生の声に真摯に向き合い、学生の限りある4年間を大切にしてもらいたいです。

【連絡先】                       
大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会  
連絡担当  細川 孝                  
〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67 龍谷大学経営学部
e-mail:hosokawa@biz.ryukoku.ac.jp


2018年03月11日

北大職組、「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

北大職組
 ∟●「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解(2018年3月9日)

「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

2018年3月9日 北海道大学教職員組合執行委員会

 北海道大学教職員組合は、2018 年 1 月 30 日の団体交渉において、いわゆる「5 年雇い止め」ルールの撤廃を求めた。これに対し徳久事務局長からの回答は、現状の取り扱いを変更するつもりはないということであった。組合から最長雇用期間が「5 年」であることの説明を求めたところ、事務局長からは①財政的理由、②プロジェクトは 5 年が多い、③他大学の状況を勘案、という 3 点が理由として挙げられた。この件について改めて文書で質問をする旨を伝えたところ、事務局長はこれを了とし事務で回答を行うと述べた。この経過を踏まえて、組合は 2 月 13 日付けで「有期雇用契約職員の最長雇用期間が 5 年であることに関する質問書」を提出、文書による回答を 2 月 20 日までに求め、2 月 27 日に回答を得た。回答に対する執行委員会の全体的な見解は以下である。

①回答によれば、「財政的理由」は追加的負担でも余剰人員の危惧でもなく、現状の雇用財源を確保することの負担である。多くの有期雇用職員によって大学の教育・研究体制が支えられている現状を考えれば、この雇用財源を確保することはむしろ大学運営の優先的課題であり、「5 年雇い止め」の合理的理由にならない。

②「プロジェクトは 5 年が多い」「他大学の状況を勘案」の 2 点について、これらが現時点での雇用上限が 5 年であることの合理的な理由になることを示しえていない。

③「雇い止め」と「新規採用」の繰り返しはむしろ大学運営のコストになる、という指摘について、反論しえていない。

④「雇用上限が 5 年」であることは「無期転換権の発生を阻止するための措置」であり、したがって改正労働契約法の趣旨に反し望ましいものではないという指摘について、反論しえていない。

⑤近年の雇用の不安定化が大きな社会問題となっており、その対応として雇用の安定をはかるために労働契約法が改正されたという経過を踏まえて、法の趣旨を実現するために大学運営ルールを変更するという観点がない。また無期転換権の発生を阻止するために雇い止めをすることは法の趣旨に反して望ましくないことは、厚労省の見解、文科省から国立大学に出された事務通知、首相の国会答弁で明確に述べられているが、これを考慮する姿勢がない。すなわち大学が持つべき良識、社会に示すべき姿勢、大学の社会的責任という観点が欠如している。

 すでに道内の国立大学のほとんどは「5 年雇い止め」の撤廃を決定、あるいは撤廃を検討しており、北大が「5 年雇い止め」を継続することは、むしろ特異な例として注目されつつある。法の趣旨にそう形で大学運営ルールを変更するというごく当たり前の措置を取らないことが、いかに大学の社会的信用を低下させるか、北大は自覚的になるべきである。そして何より「5 年雇い止め」ルールが、北大の運営に尽力した職員の就労機会を奪っていること、「仕事があるのに雇い止め」という理不尽な気持ちを無期雇用、有期雇用職員を問わず抱かせていることの深刻さを自覚すべきである。

 そもそも合理的な理由なしで、人の仕事を奪ってはならない。合理的な理由なしで人を雇い止めにしてもよい、ということを学生に示すことは、研究・教育機関としての大学にとって致命的である。北大の基本理念に「人権を尊重し社会的要請に的確に対応できる基盤的能力の育成」とあることを、忘れてはならない。有期雇用職員の雇用と生活を守るために、大学の円滑な運営のために、そして大学としての矜持を持ち社会的責任を果たすために、「5 年雇い止め」ルールを撤廃すべきである。このルールを維持すべき合理的、社会的理由はない。組合は改めて、5 年雇い止めルールの撤廃を求める。

 以下に質問状の各質問とそれに対応する大学からの回答、それに対する執行委員会の見解を示す。大学からの回答は青字、執行委員会の見解は赤字で示している。


全国国公私立大学における有期雇用者雇い止め規定撤廃,無期転換権の確立状況一覧 

全国国公私立大学における有期雇用者雇い止め規定撤廃,無期転換権の確立状況一覧 (2018年3月11日現在)
情報をお寄せ下さい。

北海道・東北地方

北海道大(全て×)
北海道教育大(全て×)
室蘭工業大(全て無期転換権○)
小樽商科大(非常勤講師○)
帯広畜産大(全て無期転換権○)
旭川医大(全て無期転換権○)
北見工業大(△)
札幌医科大(×)
北海学園大(全て無期転換権○)
酪農学園大(全て無期転換権○)
札幌学院大(一部を除き無期転換権○)
天使大(無期転換権○)
東北大(×)
山形大(×)
弘前大(×)
宮城大学(×)

宮城教育大(無期転換権○)
秋田大(無期転換権○)

東海・北陸地区

名古屋大(全て無期転換権○)
金沢大(事務補佐員の無期転換○)
三重大(全て無期転換権○)
愛知教育大(全て無期転換権○)
浜松医科大(全て無期転換権○)
名城大(非常勤講師○,職員×)
愛知大(非常勤講師○,職員×)
日本福祉大
(全て無期転換権○
大同大
(全て無期転換権○
愛知学院大(嘱託,臨時職員○)
桜花学園(非常勤講師○)

関西・九州地方

神戸大(非常勤講師△)
大阪大(非常勤講師10年無期転換)
大阪教育大(非常勤講師無期転換○)
奈良女子大(非常勤講師無期転換○)
京都教育大(全て無期転換権○
奈良教育大学 (無期転換権○
広島大(×)

徳島大(全て無期転換権○
神戸市外国語大(非常勤講師で10年無期転換)
立命館大(×)
龍谷大(非常勤講師無期転換○)
京都産業大(非常勤講師10年で無期転換)
神戸女子大(×)
大阪工業大(5年で無期転換○)
関西学院大(非常勤講師10年で無期転換)
京都精華大学 (5年で無期転換○)
高知大(△)
長崎県立大(雇い止め撤廃)

弘前大、雇い止め 57人 団交は平行線

毎日新聞(2018年3月11日)

雇い止め 弘前大、57人 「無期転換」来月運用 団交は平行線

 非正規労働者が5年を超えて勤務した場合、希望すれば無期契約ができる「無期転換ルール」の運用が4月から始まるのを前に、弘前大で働く非正規職員57人が今月末で雇い止めとなる。職員組合は「法の趣旨に反する」として9日、大学側と団体交渉を行ったが、話し合いは平行線に終わった。

 団交後に記者会見した組合の宮永崇史執行委員長は、「雇用期間の無期転換を求め、就業規則の見直しなどを引き続き交渉していく」と決意を語り、「雇い止めとなる職員の支援も行う」と述べた。

 一方、同大人事課のの庄司聡課長は取材に対し、「青森労働局から法的問題はないと言われた。指導があった場合は対応を検討する」と説明。「限られた予算では(雇用継続は)困難」と話した。

 弘前大の職員就業規則は、非正規職員の雇用期間を最大5年と定めている。しかし昨年10月の「学長裁定」で資格や高度な技術を持つ職員の無期雇用契約が認められた。

 同課によると、勤務期間が5年となる非正規職員は現在92人。大学側はこのうち、看護助手や臨床工学技士など35人は「学長裁定」の対象として雇用を続ける一方、残る57人は今月末で契約を終了する方針。

2018年03月10日

長崎労働局、長崎県立大の無期転換逃れ、認めず

毎日新聞(2018年3月8日)

 繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。2人は、契約が更新されれば、契約期間が通算5年を超えた非正規労働者が期間の定めのない無期契約に替われる「無期転換ルール」の適用対象だった。

 今年4月から無期転換の申し込みが本格化するのを前に、大学に限らず多くの職場で転換目前の労働者を雇い止めする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。

 長崎県立大や全国一般長崎地方労働組合などによると、2人は学内のサーバー管理などをする、いずれもシステムエンジニア(SE)の男性。うち1人は2004年4月から1~3年ごと、もう1人も13年4月から1年ごとの契約更新などで働いてきた。ともに今年4月に契約が更新されれば、無期契約への転換を大学に申し込めるはずだった。

 しかし大学側は昨年10月、2人に雇い止めの方針を伝える一方「県立大での通算雇用期間が5年を超えない」との条件で新たなSEを募集。2人は「無期転換逃れだ」として大学に雇い止めの撤回を求め、労働局に大学への指導を求めた。

 労働局が昨年12月に大学に示した文書によると、労働局は2人が繰り返し契約更新されてきた上、大学が新規募集で「通算雇用期間が5年を超えない」との条件を付けた点などを踏まえ「雇い止めは客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と判断。「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘した。

 大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対応する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。

 非正規労働者の問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の中川拓弁護士(長崎県弁護士会)は「これまでは雇い止めにされた非正規労働者を法的に救済するのは難しかった。労働局が何度も契約が更新されている実態を重視し、強い姿勢を示した意義は大きい」と指摘する。【樋口岳大】

無期転換ルール

 有期労働契約を繰り返す非正規労働者の雇用安定のため、2013年4月施行の改正労働契約法で定められた。13年4月以降に結んだ有期契約が通算5年を超え、労働者が使用者に申し込めば期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。今年4月から無期転換の申し込みが本格化する。

5年雇い止め続発

 2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年」とした。このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいる。

 早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回。東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。

 非正規労働者の雇用問題に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「長崎労働局は合理的な理由がない雇い止めは許されないという当然の判断を示した。模範的な雇用者であるべき大学が無期転換逃れをすることは許されず、長崎労働局の指摘は他大学にも影響するだろう」と話した。

 同様の問題は大学に限ったことではなく、日本労働弁護団が今月3日に実施した無期転換問題に関する全国一斉ホットラインには約100件の相談が寄せられた。弁護団には医師や航空関連社員、研究機関など幅広い職種から相談があり、厚生労働省も無期転換に関する緊急相談ダイヤル(0570・069276)を開設するなどしている。

長崎県立大、労働局指摘で「雇い止め」を撤回

産経(2018.3.10)

 有期雇用契約を繰り返して働く非正規職員のシステムエンジニア(SE)の男性2人を「雇い止め」とした長崎県立大(同県佐世保市)が、長崎労働局から「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘され、撤回していたことが、大学への取材で分かった。

 改正労働契約法で4月以降、通算5年を超えて働けば無期契約への転換を申請できる「無期転換ルール」が始まる。2人は契約が更新されれば適用対象だった。

 2人は平成16年と25年から契約更新を繰り返しながら働いていたが、大学は昨年11月、「通算雇用期間が5年を超えない」との条件で後任を想定したSEを募集。2人は契約の継続を希望していたが、更新できずに事実上の雇い止めとなる見込みだった。同労働局は「雇い止めは合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と文書で大学側に指摘した。

 大学は「無期転換ルールを逃れる意図はなく、人材の流動性を保つための目安として5年とした」としている。既に2人に謝罪し、4月以降も雇用するという。


2018年03月08日

高知県立大雇い止め訴訟、元契約職員の請求棄却 地裁判決

毎日新聞(2018年3月7日)

 県立大(高知市)で勤務していた元契約職員2人が、雇い止めは不当として大学を運営する県公立大学法人と、県立大学後援会をそれぞれ相手取り、雇用継続と給与支払いを求めた訴訟の判決が6日、高知地裁であった。西村修裁判長は「更新の上限が3年以内と明確にされており、原告の採用後に一方的に就業規則が変更されたという事情もない」などとして2人の請求を棄却した。【松原由佳】

 判決などによると、原告の女性2人は2013年からそれぞれ県公立大学法人と大学後援会に勤務。年度ごとに契約を更新していたが、就業規則に規定された3年の雇用期間を理由に、15年度末で雇い止めになった。

 原告側は、3年の雇用期間が満了しても、従来は公募を通じて事実上優先的に再雇用されてきたと指摘。そのうえで、16年度から急に雇い止めされるようになったとし、解雇権の乱用に当たると主張した。また13年に施行された労働契約法の改正で、今年4月以降、同じ職場で通算5年以上働く有期雇用者は、無期労働契約に転換できるようになる。このため、その対象になる原告2人について大学側が雇い止めにしたと訴えた。一方、大学側は、契約職員就業規則で通算雇用期間の上限を3年と明記しているなどと反論していた。

 西村裁判長は、大学側が団体交渉の場で、改正法の存在を強調するような答弁をしていたことに言及した。しかし、大学側が契約期間の上限を明記していたことや、契約職員から準職員になる制度を当時設けるなど、正規雇用主体の職員構成に転換を進めていた点を重視。「16年度に公募をしなかった判断が直ちに(無期労働契約への転換について定めた)労働契約法18条に反するものであったとは言い難い」として、原告の訴えを退けた。

   ◇ ◇

 閉廷後、原告女性2人と支援者らが高知市の高知弁護士会館で報告会を開いた。

 原告女性の1人は「誰かが声を上げないと何も変わらない。私たちの裁判を通じて同じように苦しむ全国のみなさんの心の支えになることを切に願う」と話した。また今回の争点の背景になった労働契約法の改正について「働き手を守るための法律が、逆に私たちを追い詰めることになっている」と訴えた。2人を支援してきた県立大教職員組合の田中きよむ委員長は、「無期雇用への転換を阻む脱法行為。労働契約法を改正した意味があるのか」と語気を強めた。


私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額をもとめる国会請願

私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額をもとめる国会請願

【請願趣旨】
 現在、日本の私立大学・短期大学(以下「私立大学」)には、大学生全体の約73%(2017年度・約225万人)が学んでいます。数多くの卒業生が日本社会のさまざまな分野で活躍するなど、私立大学はたいへん大きな役割を果たしています。

 しかし、私立大学の学生・父母等は、非常に重い教育費負担を強いられています。私立大学学部の初年度納付金の平均額は131万6816円です。高校入学から私立大学卒業までにかかる入在学費用は1人当たり1000万円近くにも上ります 注。
教育は人類にとって必要不可欠な営みです。誰もが教育を受ける権利を有し、教育を受ける機会は均等に与えられなければなりません。諸外国では、高等教育を無償としている国も数多くあります。ところが日本では学費が非常に高額なうえ、奨学金のほとんどが貸与=ローンであり、卒業後の返済額は多額で「奨学金破産」が社会問題となっています。昨年から「給付型奨学金制度」が開始されましたが、対象者も給付額もごくわずかで、極めて不十分なものです。こうした中で、多くの私立大学生が学業に専念できない状況に置かれています。

 2012年に日本政府が国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項の受け入れを決定したことを踏まえれば、高等教育を含む全ての教育費の無償化をすすめていくべきです。
あわせて、私立大学と国公立大学との間には、国の財政支援に大きな格差があります。国から私立大学への補助(私大助成)を学生1人当たりに換算すると約14万円ですが、国立大学への交付額は学生1人当たり約180万円です。国立大学も私立大学も法律上、同等の高等教育機関であり、このような格差を放置すべきではありません。
1975年に私学振興助成法が制定された際、参議院は附帯決議で経常的経費の2分の1補助を速やかに実現することをもとめました。その後、補助率は29.5%(1980年度)にまで達したものの後退し、現在では9.9%(2015年度)にまで低下しています。そのため、私立大学は学費収入に依存せざるをえない財政状況にあります。

 以上のことから、次の各事項の施策の実現を請願します。

【請願事項】
1.私立大学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施してください。
  ①「給付型奨学金」の給付額と対象人数を増やしてください。
②高校で実施されている「就学支援金制度」を大学生にも拡大してください。
③無利子奨学金の貸与基準を見直し、希望者全員が受給できるようにしてください。
2.奨学金の返済は、卒業後の本人所得に応じて負担が緩和されるよう改善してください。
3.大学の学費無償化に向けた計画を立案してください。
4.私立大学の経常的経費の2分の1を補助するよう私大助成を増額してください。

日大授業 外部委託が再浮上、団交で示す 偽装請負の疑い

しんぶん赤旗(2018年3月8日)

 日本大学が危機管理学部とスポーツ科学部で、英語担当の非常勤講師15人全員に雇い止めを通告した問題で、授業を外部業者に委託する計画が再浮上していることが分かりました。首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉(2月28日)で日大側が明らかにしました。

 文部科学省の見解では、大学が授業に責任をもつために「実際に教育にあたる教員」は直接雇用すべきだという原則を示し、外部委託や業務請負に歯止めをかけています。

 日大の授業外部委託計画は、学部当局が昨年11月、非常勤講師に雇い止めの理由として説明していました。

 非常勤講師組合は、新設学部の文科省認可に反する計画だと批判。日大は昨年12月13日に文科省から聞き取り調査を受け、その後の団体交渉では、授業は専任教員が担当するかのように回答しました。

 ところが、今回の団体交渉で日大側が明らかにしたのは、「ウエストゲイト」という外部業者の講師が実際の授業、採点を行い、専任教員はその場にいるだけという脱法計画でした。

 専任教員を教室に配置しても、外部委託講師と連携するために指示を出せば「偽装請負」という違法行為になります。「実際に教育にあたる教員」を直接雇用する原則に反し、専任教員は自分で指導できない授業の単位認定の責任だけ取らされる恐れがあります。

 また、専任教員は外部委託講師の授業に出席するだけだから負担が軽いものと扱われ、週10~12コマ程度に出席させられます。もともとの自分の担当授業と合わせて、90分授業を毎日3~4コマ出席し、満足に研究時間を取れない恐れがあります。

 日大は、専任教員が専門研究の成果を教育に還元していることを魅力としてアピールしています。学生にとっても、研究を反映させた授業を受けられなくなります。

 日大側は、非常勤講師組合との団体交渉では、まだ外部業者との契約を結んでおらず、3月中旬に再回答するとしています。本紙は、偽装請負の疑いなどについて日大に問い合わせましたが、7日までに回答はありませんでした。


2018年03月06日

大学VS教授 解雇巡る法廷バトル次々 学長権限強まり

朝日新聞(2018年3月2日)

 私立大学の教授らが解雇を巡り、大学側と訴訟などで対立するケースが相次いでいる。教職員組合によると、2014年に学長権限を強めた改正学校教育法が成立した後に目立つようになったという。

 名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)を懲戒解雇された元教授2人は17年12月、解雇無効などを求めて提訴した。元教授は大学を運営する学校法人名古屋自由学院の教職員組合の正副委員長だ。

 訴状によると、元教授は17年10月、教職員用メールボックスに組合ニュースを投函(とうかん)したところ、就業時間内に組合活動をしたなどとして処分されたと主張している。元教授は「組合活動などを理由に解雇されたのは不当。大学内での自由な言論、表現活動、妥当な協議が非常に困難になっていることの象徴だ」と訴える。2月19日に第1回口頭弁論があり、学院側は請求棄却を求めた。取材に対しては、「訴訟継続中のためコメントできない」と文書で回答した。

 全国162の私立大の教職員組合が加盟する日本私立大学教職員組合連合によると、17年は少なくとも北海道や千葉県など計15大学で教職員の解雇をめぐる訴訟や不当労働行為の救済申し立てなどがあった。私大教連の担当者は「改正学校教育法が成立してから増えた」と話す。

 法改正は、グローバル競争力の強化など大学改革を進めやすくすることを目的に学長の権限を強めるのが狙い。14年8月には、文部科学省が「学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することが重要」と全国の大学に通知した。

 私立大では、私立学校法で最終的な意思決定機関とされる理事会の権限が強まった。学長選の廃止や、教授会の審議なしでカリキュラムや学部を再編する動きが広がっている。

 こうした中、運営をめぐって、大学側と教員側の対立が目立つようになった。

 追手門学院大(大阪府茨木市)は、改正学校教育法の成立前から改革を進めてきた。13年に教授会規程を改定し、審議事項から教員人事や重要事項を除外。学長は理事会選任とし、教職員による投票を廃止した。

 こうした動きに対し、「大学の民主的な運営を阻害する」と、教授会などで批判してきた元教授2人が、15年10月に懲戒解雇された。卒業生が在学中に所属した部の顧問からセクハラを受けたとして11年に起こした訴訟を、元教授が企てたというのが処分理由だという。懲戒処分説明書には「学院を被告とする訴訟の提起を教唆し、あえて記者会見を画策し、学院の名誉及び信用を毀損(きそん)した」と記されている。

 元教授は追手門学院大を運営する学校法人に、解雇無効などを求めて係争中だ。元教授は「解雇の真の理由は、大学の自主性、自立性を守り、大学の民主的運営に力を尽くそうとする原告らが目障りで排除しようとした」と主張する。

 大学側は取材に対し、「ガバナンス改革の目的は教育力の向上にある。すべては学生のため」と反論。処分については、「係争中の案件で主張は裁判で明らかにしていく」とした。

 中京大(名古屋市)を解雇された元教授も解雇無効などを求めて16年12月に提訴した。訴状によると、元教授は15年ごろ、理事会から内密に学部改組への協力と学部長辞退を求められたという。「拒否したら過失をさかのぼって処分された」と主張。15年に学生の個人情報が入った私物のパソコンを紛失したことなどをとがめられたとした。

 取材に対し、中京大広報部は「係争中なので回答を控えさせていただきたい」とコメントした。(小若理恵)

 ◇

 姉崎洋一・北海道大名誉教授(教育法・高等継続教育論)の話 こうした問題は、国の大学改革と連動した新しい事態といえる。国立大は学長、私立大は学校法人の理事会の権限がそれぞれ強まった。コーポレートガバナンス(企業統治)の考え方が持ち込まれ、教授会の権限を縮小し、トップの判断を最優先する法改正の弊害が直接的に表れた事例だ。企業と同じ経営手法の適用には無理があり、学問の自由を保障された大学が死んでしまう。労働組合の活動を制限し、組合ニュースのポスティングなど微々たることで懲戒解雇するのは、不当労働行為に当たる。


2018年02月28日

日大の「雇い止め」、労基法違反で申告

しんぶん赤旗(2018年2月27日)

日大の「雇い止め」 労基法違反で申告
労組が会見 非常勤講師の2人

 日本大学(本部・東京都千代田区)が非常勤講師を契約上限5年で雇い止めとする就業規則などをつくる際、正当な労働者過半数代表の意見聴取を行わなかったとして、日大に勤める非常勤講師2人は26日、渋谷労働基準監督署に労働基準法違反を申告しました。同日、厚生労働省内で会見しました。

 申告した井上悦男、眞砂(まなご)久晃両氏=首都圏大学非常勤講師組合組合員=は、日大三軒茶屋キャンパス(世田谷区)などで英語を教えています。

 日大では、労働者代表を選出するにあたって、複数人の立候補者がいる場合は、あらかじめ1人にしぼったうえで、通常の信任投票ではなく、不信任投票を行っています。組合側は、民主的な手続きではないと批判しています。

 首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長は、「日大は労働契約法の無期転換ルールを逃れるため、大量の雇い止め通告を行っており、認めるわけにはいかない」と強調しました。

 井上氏は、「日大は、三軒茶屋キャンパスの新設学部で最低4年は授業を担当するよう義務づけながら、2年で英語担当の非常勤講師全員に雇い止めを通告している。契約違反だ」と訴えました。

 日大の労働者代表不正については、松村委員長ら非常勤講師組合有志3人が14日に刑事告発も行っています。


2018年02月25日

日本大学を労働基準法 90 条違反により刑事告発・申告

厚生労働省記者会(2018 年2月26日)

日本大学を労働基準法 90 条違反により刑事告発・申告

~非民主的な過半数代表選挙
に基づく非常勤講師の就業規則制定は無効~

内容 2 月14 日(水)、東京大学教職員組合委員長佐々木弾、首都圏大学非常勤講師組合委員長松村比奈子、同首都圏大学非常勤講師組合副委員長大野英士の三名は、連名で、日本大学を労働基準法 90条違反(労働基準法第120 条第1 号、同法第90 条第1 項及び同法第121 条第1 項に該当)として、東京中央労働基準監督署に刑事告発しました。また 26 日までに、当事者が同労働基準監督署に出向き、申告をします。その内容を 26 日の記者会見で公表し、これまでに入手した情報と概要を説明いたします。


山形大学を労基法違反で告発

NHK山形News Web(2018年2月23日)

 山形大学が就業規則を変更する際に一部の非正規職員を参加させずに職員の代表者と手続きを進めたのは労働基準法に違反しているとして労働組合の関係者が23日、山形労働基準監督署に告発しました。

 告発したのは東北地方の大学などの非正規の教職員でつくる労働組合の関係者です。

 労働基準法では就業規則を変更する際に労働者の過半数の代表者から意見を聴くよう定めていますが、告発状によりますと、山形大学では一部の非正規職員を参加させずに代表者が選ばれ、就業規則を変更したとして、労働基準法に違反していると主張しています。
 このため組合では、一部の非正規職員が5年を超えて契約することはできないと定められている就業規則も無効だとして、大学に対してこれらの非正規職員の雇い止めをやめるよう求めています。
 今回の告発について、山形大学の矢作清総務部長は、「内容を承知していないのでコメントすることはない」とした上で、「就業規則の変更について、労働者の代表を選ぶ際に、非常勤講師などが含まれていなかったのは事実で、今後、選び方の見直しも含めて検討したい」としています。


雇い止めで立命館トップを刑事告発へ 大学非常勤講師ら

京都新聞(2018年02月15日)

 学校法人立命館が非常勤講師と5年を超えて契約の更新を行わないとした就業規則は、労働者過半数の代表の意見を聴かずに定められ違法だとして、立命館大の非常勤講師らは15日、吉田美喜夫総長と森島朋三理事長を16日にも京都上労働基準監督署に刑事告発する、と発表した。

 告発するのは、労働組合「ユニオンぼちぼち」の執行委員を務める立命大非常勤講師の藤田悟さん(39)ら3人。

 労働基準法は、就業規則を変更する場合、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めている。同組合は、非常勤講師の最長5年での雇い止めを記した就業規則に変更した2015年当時の代表者は、選挙の投票率が低く過半数の代表者とは見なせない、としている。

 13年の労働契約法改正によって今年4月以降は、5年を超えて契約を更新している有期雇用労働者は無期雇用への転換を求めることができる。各大学で5年の更新上限を設ける動きがあったが、反対の声を受けて早稲田大や東京大は5年ルールを撤回した。藤田さんは「全国の大学が次々と5年雇い止めを撤回する中、立命館は就業規則を変更してそれを維持している。規則そのものを撤回すべきだ」と訴えている。

 京都上労基署は過半数の代表の選出などについて立命館に対し是正勧告を行っているが、立命館は「就業規則がただちに無効になるとは考えていない」としている。


2018年02月24日

山形大を刑事告発、雇い止め就業規則は違法 組合の有志2人

■しんぶん赤旗(2018年2月24日)

 山形大学が労働組合との合意をほごにして非常勤教職員を5年で雇い止めにしようとしている問題で、東北非正規教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合の有志2人は23日、同大学が労働者過半数代表選挙から非常勤を排除するという労働基準法違反の状態で、5年雇い止めの就業規則を作成したと山形労働基準監督署に刑事告発しました。

 文部科学省に対しては、山形大の労基法違反で残業を取り決めた三六協定も無効となり、25日の2次試験前期日程が適正に執行できないことを指摘。文科省の責任で受験生の権利・利益を守るよう要請しました。

 山形大は4月から始まる有期雇用労働者の無期雇用転換の対象を、国立大学運営費交付金で雇用している非常勤教職員に限定し、外部資金(プロジェクト型予算)で雇用されている人たちは一律で5年雇い止めにしようとしていました。

 昨年11月10日の両組合との団体交渉で、大学当局は「違法な雇い止めは行わない」「阻合を通じて申し入れた場合、誠実に協議し、解決をめざす」と、雇い止め撤回を含めた協議をすると合意したため、組合側は刑事告発を留保していました。

 告発状などによると、その後、大学側は「就業頬則に反する対応はできない」と合意を無視する態度をとり、5年を超える雇用更新を求める非常勤教職員の申し出を拒否しています。

2018年02月21日

明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた

『アクセスジャーナル』(2018年2月20日)

「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた「明治学院」

山岡俊介

 「明治学院」(東京都港区)といえば、ヘボン式ローマ字で知られるアメリカ人宣教師ヘボン博士夫妻が開いた私塾が源流。150年以上の歴史を誇り、わが国最古のミッションスクール。

 そんな博愛精神を説く由緒正しい学校法人傘下の「明治学院東村山高等学校」(東京都東村山市)の女生徒(当時)が、いじめに会っていると訴えたにも拘わらずキチンと対策をしてくれなかったとして校長を相手取り、提訴したことは以前、本紙でお伝えしたが、同じく傘下の「明治学院大学」(東京都港区)でも、懲戒解雇された教授が、地位確認と約1372万円の慰謝料を求めて提訴していたことはわかったので報じる。

 この訴訟、大学側が教授の授業中に無断で教室に立ち入り"秘密録音"した内容を根拠に懲戒解雇しており、「大学自治」「学問の自由」「信教の自由」にも関わる重大な点が問われているのだが、なぜか大手マスコミではまったくというほど報じられていない。

 もっとも、すでに16年12月に提訴され、今年1月25日には証人尋問が行われ、いよいよ一審判決が迫っている。

 原告は愛知大学法学部教授を経て、10年4月から明治学院大学へ移籍、教養教育センターの教授として16年9月まで、教養科目の「倫理学」を教えていた寄川条路氏(56)。

 訴状などによれば、被告が懲戒の最大の理由にあげたのは、授業の無断録音の事実を知った原告が誰が録音したか、またその録音を聞かせて欲しいと要求したが拒否されたことから、止む無く授業で配るレポート用紙の欄外に情報提供を求める書き込みをした点。

 また、原告の授業は生徒に大人気だったところ、学校側が一方的に300名に履修制限したことから、その是非と理由を問う質問を、生徒向けの授業評価アンケートの質問内容に加えたこと。それから、授業で用いた原告の著書のなかに、キリスト教主義に批判的な内容が一部含まれていたことも懲戒理由としてあげられている。

 読者のなかには、原告が政治的発言を行う者だったからではないかと推測する方もいるかも知れないが、原告はそんなことはなく、上記のような行為をしたに過ぎない。

 ところが、被告側は授業の盗聴は今回に限らず、以前から大学組織を守るために「慣例」として認められていると、「違法行為」と抗議する原告に言い放っていたという。

 そして、盗聴に限らず、以前から大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使う教科書を検閲したり、教材を事前に検閲し配布禁止にしたりしていた。また、原告に限らず、以前にも些細と思われる理由で懲戒解雇された事例があるそうだ。

 横に、会員制情報誌『ベルダ』に寄稿した慶應大名誉教授で弁護士の小林節氏の記事(17年10月号)を転載しておいたが、同氏もいうように、教授は大学と契約した授業に関して自由に研究や発言する「学問の自由」(憲法23条)が保障されている。そして、教授の使う教科書を「検閲」するのも、まして「盗聴」など論外というか「違法行為」のはずだ。

 実際、16年10月、寄川氏が労働審判の申し立てを東京地裁に行なったところ、同年12月、解雇は無効として地裁は寄川氏を復職させるように明治学院を説得。ところが拒否したことから本訴訟に移行している。

 かつては東大ポポロ事件のように、大学構内に警官を入れることさえ大学の「学問の自由」と「自治」を犯すとして大問題になったのに、いつしか警官導入は当たり前に。本来、大学側の「盗聴」行為と聞けば大学内外から大きな批判の声が起きて当然とも思うのだがそれもなく、報道もなく、原告がほとんど孤立している状況は世も末というべき。

 遅ればせながら、今後の判決など注視したい。

常葉大学不当解雇事件、最高裁「懲戒解雇処分の不当性」を認める

■静岡大学の職組ニュース,第5号(2018年新年号)

「懲戒解雇処分の不当性」
最高裁判所の判断にて勝ち取りました

 例えば、ある役職で補助金の不正取得の書類作成を強いられた時、皆さんはどうしますか?そして協力を拒否した後に、陰湿な脅し等のパワハラを受けるようになったらどうしますか?決して他人ごとではない誰もが経験するかもしれないケ スですが、教育研究にかかわるものとしてそういう現実と折り合って行くのは簡単なことでしょうか? 常葉学園のM先生は、補助金の不正行為に目をつぶることができず、そしてパワハラ等が内部告発阻止のために組織的に行われていると認識し大学側を訴えました。それは異常な行動でしょうか?常葉学園は大学を訴えたことをもってM先生が「学園の秩序を乱し、学園の名誉又は信用を害したとき」として懲戒解雇処分を行いましたが、それは大学の組織運営における当然の権利なのでしょうか?

 本年1月19日に最高裁判所は 、M先生に対する常葉学園の懲戒解雇処分が「解雇権の濫用であり無効である」との静岡地裁から東京高裁へと引き継がれた判決を維持する決定を下しましだ。2015年3月末の懲戒解雇処分以来、2016年1月の静岡地裁での地位保全を認める勝訴、2017年7月での静岡地裁判決を維持する東京高裁決定に続き、最高裁においても懲戒解雇は不当であるとの判断が下されたことでM先生の労働契約上の地位は最終的に確定することになりました。2015年12月にM先生から支援の訴えが私たち静岡大学教職員組合に寄せられたことをきっかけに、静岡県立大学と静岡英和学院大学の各教職員組合が国立 ・公立・私立の枠を超えて共同での支援が行われて来ましたが、ここに勝訴が最終的に確定したことに安堵し喜ぶとともに、皆様方の支援協力により感謝申し上げる次第です。

 今回の裁判の発舗は、常葉学園の補朗金不正取得に対するM先生の良心に基づく行動でした。公益通報に至るM先生の行動に対して様々な脅迫まがいの言動やパワハラが行われました。その行為に対して常葉学園を強要罪で訴えた訳ですが、脅迫・パワハラ行為が公益通報阻止を目的として行われたという証拠が不十分として不起訴となりました。これ が根拠の乏しい訴えで学園の名誉を傷つけたとして懲戒解雇事由とされたわけですが、裁判では 「本件懲戒解雇は、懲戒権の濫用であり、本件刑事告訴をその理由とするも、実質的には公益通報に対する報復措置である可能性がT否定できない」 と認めています。なぜならM先生の懲戒処分の検討は、刑事告訴の後ではなく、公益通報の直後に始まり、そのために必要な懲戒規定も事後的に作成されたからです。

 もちろん裁判においてそれぞれの主張があり、その主張が認められる揚合もあればそうでない場合もあります。そういう経緯はともかく最高裁という司法の最終的判断が下された揚合は、それを真摯に実行するのは最低限の責務と言えます。しかし今回の最高裁決定が下された後ち、常葉学園側はM先生の職場復帰に向けた行動を伺ら起こしていません。教育研究者として不正行為への協力を拒否し゛、良心に基づいて訴えたことを持って,組織への裏切り者の熔印を押して罰し続ける学園側の行動は異常であり、最高裁の決定も無視し続ける姿勢は教育機関の資格がないと言わざるを得ませ ん。
 

 1月29日に県庁記者クラブで弁護団西ヶ谷弁護士と支援教職員組合で共同記者会見を開催し、M先生の教育研究者としての職場復帰の速やかな実行を訴えました。地位保全は当然M先生の教育条件の回復を伴ったものでなければなりません。折しも、常葉大学も草薙キャンパスオープンで新たなスタートを切ろうとしていますが,常葉大学も本年4月以降M先生の教育研究者としての権利保証の具体的措置を取ることで過去の負の遺産を清算することが求められていると思います。良心と信念を貫いたM先生こそ教育者として大学の財産となるのではないでしょうか。最終的な解決まで皆様のご協力支援を引き続き心から訴えさせて頂きます。

(過半数代表者:前教職員組合委員長 鳥畑与一)


2018年02月13日

富大・学経済学部長選考問題 教授会が学長に質問状

■富山新聞(2018年2月11日)
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20180211_toyamashinbun.pdf

2018年02月10日

富山大学経済学部教授会、学長宛「質問状」

 同記事においては,富山大学危機管理室からの依頼により,一部の掲載資料と個人の名前について,削除しました。


学長宛「質問状」
当該問題の新聞記事1
当該問題の新聞記事2

平成30年2月8日

富山大学長
遠 藤 俊 郎 殿
経 済 学 部 教 授 会

質問状(平成30年2月8日)

 平成30年1月25日付で経済学部長宛に依頼がありました「経済学部長候補者の推薦について(依頼)」に関して,1月31日に開催された経済学部臨時教授会にて数多くの疑問点が出されました.つきましては下記の疑問点についてご回答いただきたく,お願い申し上げます.
 なお,疑問点の内容については詳細を別紙(2枚目以降)に記載しましたので,別紙の記載内容に対応する形で個々具体的にご回答ください.


1 依頼文書の趣旨 
 富山大学学部長候補者選考規則第2条第5項に基づき,再度学部長候補者2人の推薦を依頼する旨,記載がありましたが,その趣旨について.
2 根拠規定
 今回,依頼があった再推薦は,「富山大学学部長選考規則」や「学部長等の選考プロセスについて」に沿ったものであるかどうかについて.
3 判断の具体的理由(1) 
 経済学部教授会より推薦した2名の候補者のうち,1名が「適任でない」とされた具体的な理由と根拠について.
4 判断の具体的理由(2) 
 経済学部教授会が推薦した候補者2名のうち,「適任であるとまでは判断できない」とされた1名につき,「適任であるとまでは判断できない」という表現の意味およびそこに至った具体的な理由と根拠について.

 経済学部教授会は,学部長候補者推薦にあたって,選出方法や選挙の実施手順等について検討を重ね,構成員の意思を適切に反映するとともに,公正かつ厳正な過程を経た候補者の選出に取り組んできました.それだけに,「富山大学学部長選考規則」や「学部長等の選考プロセスについて」とは相容れないように思われる今回の再推薦依頼は極めて遺憾であります.丁寧かつ誠実な説明と回答を求めます.
以上

別紙

1 1月25日付け経済学部長宛て文書(以下、「通知書」という。)の文意について

(1)通知書には、候補につき、「学部長として適任であるとまでは判断できませんでした」と記されている。この記述を文面どおりに読むなら、■■候補について、少なくとも「適任でない」(学部長選考規則2条5項)とは判断していないことになり、判断保留(最終決定に至っていない)の意と解することもできる。いずれにせよ、通知書のこの部分の記述からは、経済学部教授会が推薦した候補者2人のうち、1人は依然として学部長候補者たる地位を失っていないと解するほかないが、他方で通知書は、「2人」の再推薦を求めるとしている。通知書のかような記述の趣旨を説明されたい。

(2)上記(1)の点に関して、学長は、1月19日及び同25日に経済学部長を訪ね、同学部長に対して、「堂谷候補が不適任(不適格?)であるため、複数の候補者の中から選考することができない状態になった。ついては、3人目の推薦を求める。」旨、述べている。また、25日には、「■■候補については候補者として残してよい」旨の発言も行なっている。学長からかかる発言ないしは要求があったことについては、31日に開催された臨時教授会において学部長から報告・説明がなされたところである。この発言の趣旨と、上記(1)の通知書の文意との関係、整合性(同じかどうか)を説明されたい。

 付言すると、教授会が推薦した複数の候補者の中から選ぶという現行制度の前提が満たされなくなった云々との上記発言は、2人のうちの1人を「学部長候補者」として不適格(失格、選考対象外)と判断したため、という趣旨のようにも聞こえる。しかし、学部長選考規則(以下、「選考規則」という。)上、教授会が推薦した学部長候補者について、学長が「学部長候補者として」「適格か、不適格か」という判断をする権限や手続きは存在しない。選考規則上学長に認められているのは、教授会が推薦した候補者について、「学部長として」「適任か、適任でないか」を判断する権限のみである。学長の上記発言が、通知書の文言どおり、堂谷候補は「学部長として」「適任でない」という趣旨であるならば、候補者が1人になったのは、正に■■・■■という複数の候補者について選考し、適任かどうかを判断した結果にほかならず、■■候補が外れたことを以て「複数の候補者から選考することができなくなった」とする学長の上記発言は矛盾しているというほかない。

2 選考規則の解釈・適用について

 通知書は、「2人」の再推薦を求める学内規則上の根拠として、選考規則2条5項を挙げている。しかし、文面上明らかなように、同項は、学部教授会が推薦した候補者(2人又は3人)が「学部長として適任でないと判断した場合」に関する規定である。選考の結果、「候補者が1人だけになった」とか、「候補者が適任かどうか判断しがたい」といった理由で学長が教授会に候補者の追加ないしは再推薦を求めることは認められていない。すなわち同項は、選考の結果、学部教授会が推薦した候補者が全員不適任(適任者が誰もいない)と判断した場合に再推薦を求めることを定めたものであり、ある候補者について適任でないと判断したとしても、不適任ではない候補者がほかにいるのであれば、学長には、その候補者を学部長に選ぶ以外の選択肢は認められていない。この趣旨は、現行の学部長選考手続きへの選考規則の改正を審議し了承した平成27年3月19日の教育研究評議会においても確認されている。

 選考規則2条5項に関する如上の文理解釈および立法趣旨からすると、通知書記載の事由が、同項を適用することができる場合に該当しないことは明白である。上述のとおり、通知書には、■■候補を「学部長として適任でないと判断した」とは記されていない。そうとすれば、2条5項が定める再推薦要求を行なうための要件は満たされておらず、■■候補を学部長に指名する以外の選択肢はないということになる。

 また、選考規則以外の学内規則にも、学長にそのような権限を認める規定は見当たらず、学長の要求には学内規則上の根拠が存在しない。

 以上のとおりであるから、学長の再推薦要求には根拠規定が無く、再推薦要求は無効であると判断せざるを得ない。
 この点について、見解を明らかにされたい。

3「判断」の理由、根拠等について

(1) 選考規則2条5項が定める学長の「判断」は、<学部長候補者たる地位(換言すれば、学部長に任命されうる地位)>という個人の法的利益に関わる判断(決定)であり、裁判上の地位確認訴訟の対象となりうるものである。この学長の「判断」は、学部長として「適任でない」という不利益決定であるから、明文規定の有無にかかわらず、法理上、理由や根拠を具体的に明らかにすることが必要である。そしてもし理由や根拠が合理性を欠いていたり、判断に至る手続きに重大な瑕疵があったりすると、その判断は誤りだということになる。

 しかるに「判断」の理由に関する通知書の記述は、以下のとおり極めて簡略、曖昧であり、判断の理由や根拠が明確に示されているとは到底言えない。また判断の理由や根拠には、明らかに不合理と考えざるを得ない点がある。

 以上のことを踏まえた上で、以下に指摘したひとつひとつの点に対して回答を求める。

①■■候補については、「不適任」と判断した理由として、「所信を確認する限り、経済学部長の選考の基準を満たしておらず適任ではないと判断」したと記されているのみであり、所信がいかなる点・いかなる意味において「選考の基準を満たしていない」(ママ)のか、3つの選考基準(以下、「基準」という。)それぞれの観点から所信をどのように評価したのかについての具体的な説明がない。「基準を満たしていない」とは、所信の形式・体裁のことなのか、実質・内容のことなのかも不分明である。

 仮に、形式・体裁、すなわち所信の文章の記述の仕方が選考基準に沿っていないことを指しているのだとすると、そうした形式的な理由だけで直ちに「不適任」と判断するのは、上述の候補者の法的利益に関する権限行使の在り方として不適切であり、当該判断は、重大な手続き的瑕疵につき違法・無効と言わざるを得ない。適正手続きの観点からは、まずは所信の書き直し・再提出を求めるのが適切な対応である。また、所信のみを判断材料とせず、面接を実施したうえで判断することも検討すべきであり、面接不要とするならば、相応の理由を示すべきである。以上の手順で選考を行った上で、学長は、判断の理由・根拠を具体的に明らかにする義務を負う。

 他方、「基準を満たしていない」のが所信の内容面のことであるのならば、所信記述内容のどのような点を以て基準を満たしていないというのか(逆に言えば、どのような記述内容であれば満たしていることになるのか)を、3つの基準に即して具体的に示さなければならない。

② ■■候補については、「適任であるとまでは判断でき」なかった理由として、「在職期間内に学部改革及び大学院改革を進めるという点に関して、経済学部長の選考の基準第3項を満たしていることが確認でき」なかったとだけ書かれている。他の2つの基準に関して■■候補がどのような評価であったのかについては全く説明が無い。そして、「基準第3項を満たしていると確認でき」なかったとする理由は、専ら「在職期間」、すなわち、学部長として在職可能な期間が定年までの2年間であることに求められており、この点が、結果として「適任であるとまでは判断できなかった」唯一かつ決定的な理由とされている(学長も、同趣旨の発言を学部長および■■候補に対して行っている)。
 しかし、以下の理由から、かかる説明は到底是認できるものではない。
 第1に、適任とまでは判断できないという「判断」は、選考規則上認められておらず、同規則2条5項の定める、学長が再推薦を要求するための要件にも該当しない。(上述)。
 第2に、在職可能な期間が2年間であることを以て、改革を「進める」(完成する、ではなく)ことができないかのような捉え方になぜなるのか、その点の説明が無い。在職期間が2年間であるからといって、改革を「進める」ことができないとは常識的に考えられない。学部長に関してそのような理屈が通るのであれば、在職期間が残り1年だけとなった学長に関してはなおのこと同じことが言えるということになるはずである。
 第3に、定年までの期間という動かしようのない形式的条件を持ち出して、基準第3項を満たしているかいないかの決定的な判断材料とするということは、最低2期4年以上の在職が可能であることが、初めから教授会が学部長候補者を選出・推薦する際の要件(正しく、選考する以前の、候補者としての適格性、資格要件)、あるいは少なくとも考慮すべき重要事項だと言っているに等しい。これはすなわち、選考規則や、学部長の推薦に関する各学部の規則に存在しないルールを、学長の一存によって事後的に、新たに付け加えたのと同じである。このような越権行為、権限の濫用が許されないことは当然の理である。
 第4に、実際的な観点からも、定年までの期間という形式的な事柄を、「基準」の充足如何や、学部長として適任かどうかを判断する決定的な材料とすることに合理性があるとは言い難い。各学部におけるこれまでの候補者推薦の結果をみても、学識、見識、経験、人望といった要素の方が、学部長の職責(改革を「進める」ことも含まれる)を担う上で重要だというのが多くの教員の認識であることは明らかである。

(2)選考の「基準」およびそれに基づく「判断」という制度にも問題がある。
 学長が示した選考基準自体が抽象的かつ曖昧であり、それゆえ基準に対する所信の記述も、基準の充足如何の評価も、多分に主観的なものにならざるをえない。そうした抽象的で曖昧な選考基準とそれに対する「所信」によって判断しようとすれば、恣意的な判断、権限行使を許すことになりかねない。
 このような恣意的判断、恣意的な権限行使がなされることのないようにするには、選考基準に対する「所信」の評価は参考程度の扱いとして、それに依拠した「判断」は極力避けることとし、教授会の客観的な意志、すなわち教授会が推薦した候補者の順位や得票数を尊重する(再優先の判断基準とする)ことを大原則とする以外にない。かかる恣意的判断や権限濫用防止の観点からの選考規則の解釈・運用の在り方について、前出平成27年3月評議会において学長が行なった発言をも踏まえつつ、見解を示されたい。

4 再推薦要求による学部業務への影響

 実際上の問題として、如上の曖昧かつ根拠不明の再推薦要求が、学部の業務に対して深刻な影響を発生させていることも看過できない。学長が候補者の再推薦を要求したことによって、既に経済学部では、次年度からの各種役職者の決定に大きな遅れが生じている。仮に再推薦をするとした場合、経済学部は厳格な候補者推薦手続きを定めており、手続きに時間を要するから、なおのこと他の人事の決定に大きな遅れが出ることになる。また、年度末のこの時期は、入試業務、卒論指導、卒業判定等のために、教員も事務職員も1年のうちで最も重要かつ多忙な時期であることは周知のとおりであり、再推薦の手続きを実施することは、ただでさえ多忙な教員及び事務職員に対して過大な負担を強いることになることは明らかである。

 そのような時期に曖昧かつ根拠不明の再推薦要求を安易に出したことの適否、そこから生じる影響に対する責任をどのようにお考えか、説明を求める。

以上

2018年02月09日

静岡大学教職員組合、非常勤無期雇用化啓発指導を申し入れ

■静岡新聞(2018年2月3日)

非常勤無期雇用化啓発指導を申し入れ 

 静岡大学教職員組合と、静岡県労働組合評議会は2日、同大が非常勤職員の無期雇用化について定めた条件が、有期契約労働者の雇用安定化を図った改正労働契約法の趣旨にそぐわないとして、静岡労働局に啓発指導を申し入れた。

 同大教職員組合によると、2013年4月に同法が施行され、有期契約労働者が同じ職場で通算5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば無期雇用に転換できることが定められた。一方同大は17年3月に非常勤職員の労働条件に関する基準を改正し、無期雇用化の条件に「専門的資格等が必要」との規定を加えた。資格の例として調理師免許や秘書検定などをあげている。同組合は、「非常勤職員は事務職員や教員が中心。大学側から合理的な基準だという納得できる説明がない」としている。


2018年02月05日

富山大・経済学部長選考 異例の事態

富山新聞(2018年2月2日)
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20180202toyama.pdf

富山新聞(2018年2月3日)
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20180203toyama.pdf

2018年02月04日

常葉大学短大部元准教授「解雇無効」確定

■読売新聞(2018年1月30日)

祝 勝訴!

常葉大学短大部元准教授「解雇無効」確定
上告棄却 常葉 未払い給与等支払いも

常葉大学短大部の准教授だった男性(44)が、運営する常葉学園の理事長や職員らを刑事告訴したのち、懲戒処分を受けたのは不当だとして学園側に地位の確認と損害賠償を求めた訴訟で、最高裁判所は双方の上告を棄却した。解雇の無効を認め、未払い賃金約1400万円の支払いを命じた東京高裁の判決が確定した。決定は19日付。

判決などによると、男性は2012年8月、常葉学園が補助金を不正受給していると告発するのをやめるよう強要されたとして、理事長ら3名を静岡地検に告訴した。地検は13年1月に3人を不起訴処分とし、男性はその後15年2月常葉学園から懲戒解雇処分された。

 男性は29日「判決は確定したが、学園側から連絡はなく、未払い給与もまだ支払われていない。早く短大に復職し研究を続けたい」と話した。

 常葉大学側は、読売新聞の取材に対し「解雇処分が認められなかったのは「極めて残念」。判決に従って適切に対処していく」とコメントした。

常葉学園の教員 解雇無効が確定 
最高裁上告不受理

■朝日新聞(2018年1月30日)

 補助金の不正受給を内部告発し学校法人常葉学園に解雇されたとして、同学園の男性教員が職員としての地位保全を求めた訴訟で、最高裁判所は双方の上告を不受理とする決定を出した。19日付。29日に会見した男性の弁護士らが明らかにした。

 懲戒解雇は無効とする高裁判決が確定した。男性は2012年、学園の補助金不正受給について内部調査していた際、学園から通報しないように強要被害を受けたとして理事長らを静岡地検に刑事告訴、理事長らは不起訴処分になった。その後男性は、不正受給を内部告発。問題が報道されるなどした直後の15年、懲戒解雇が通知され、男性は無効を求めて提訴した。昨年7月、東京高裁は解雇は無効とする静岡地裁の1審判決を維持。原告と被告の双方が上告したが最高裁は不受理を決定した。

 学校法人常葉大学は「判決を前提に今後適切に対応していく」と述べた。


2018年01月23日

授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪

■紙の爆弾(2017年2月7日)

授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪

浅野健一

 東京都港区白金台にある明治学院大学(明学大、松原康雄学長)といえば、日本最古のミッションスクールで、いまでは「SEALDs」が誕生したリベラルな学風で知られるが、この大学で教職員がある教授の講義を無断録音して、教授が教室で大学批判をしたとして懲戒解雇し、教授側が東京地裁に地位確認の裁判を起こすという紛争が起きている。
 筆者も3年前、理解不能の理由で定年延長を拒否されて同志社大学から完全追放され、京都地裁で地位確認訴訟を起こしており、今年3月1日に判決が言い渡される。一方、文部科学省の元高等教育局長が早稲田大学教授に天下りした問題も発覚した。明学大事案をきっかけとして、「大学教授」のあり方を考えたい。

 大学ぐるみで隠し録り、盗聴
 1月7日付の東京新聞に〈無断録音「学問の自由侵害」解雇の元教授、明治学院を提訴〉という記事が載った。このニュースは他紙には出ていない。同記事によると、授業を秘密録音(盗聴)されたことを告発して解雇されたのは倫理学を担当する寄川条路・明学大教養教育センター教授(55歳)だ。
 寄川氏は昨年12月28日、明学大を運営する学校法人明治学院に教授としての地位確認と、慰謝料など約1,370万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状などによると、寄川氏は2015年4月の講義で、大学の運営方針を批判したことなどを理由に、同12月に大学側から厳重注意を受けた。大学側は、授業の録音を聞いて寄川氏の批判を知ったと認めたため、寄川氏は学生が何らかの情報を知っているかもしれないと推測。テスト用紙の余白に大学側の教授の名前を挙げ「録音テープを渡した人を探している」と印刷し、呼び掛けた。これに対し大学側は、その教授が録音に関わった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして昨年10月17日付で懲戒解雇した。
 寄川氏は文学博士で、『ヘーゲル哲学入門』や『初期ヘーゲル哲学の軌跡』などの著書があり、「紀川しのろ」の筆名で随筆家としても知られ、和辻賞(日本倫理学会)、日本随筆家協会賞などを受賞している。14年10月には、東京都内の古書店でドイツの哲学者ヘーゲルの自筆書き込み本を発見し話題になった。
 寄川氏は同年10月28日、東京地裁に労働審判の申立を行なった。12月8日に地裁は「解雇は無効だから復職を勧める」とし、復職させるよう大学側を説得したが、大学側は「復職ではなく金銭解決を望む」と表明、寄川氏は「金銭解決ではなく復職」と要望したため、地位確認訴訟に移行することになった。
 大学側は労働審判で秘密録音の事実を認めた。寄川氏の授業を盗聴したのは教養教育センター長の黒川貞生教授で、実際に授業を録音したのは、大学によれば「教職員」とのことで特定されていない。
 授業を録音していたのは大学の方針を批判している教員を処分するためで、録音テープを使用していたのは、調査委員長の嶋田彩司教授(元センター長)。解雇理由は「懲戒解雇と普通解雇」の二つがある。懲戒解雇の理由は「授業の秘密録音が行われていたことを、関与した教員の名前を挙げて告発した行為。授業で学生に公表し、学内の人権委員会、教授会、教員組合に、学外の裁判所、マスコミ、文部科学省などに、通知したこと」など。普通解雇の理由は、「授業の内容と教科書の内容が大学の権威とキリスト教主義を批判しているから」だとされた。
 東京新聞の記事によると、大学側は労働審判で職員による録音を認めたうえで「録音したのは実質的には授業でなく、(年度初めの)ガイダンス。授業内容を根拠としての解雇ではない」と説明した。

 授業の盗聴は教育の自由の侵害
 これに対し、寄川氏は「授業の盗聴や秘密録音、録音テープの無断使用は不法行為である」「授業や教科書の検閲は、表現の自由、学問の自由、教育の自由の侵害である」と主張している。
 寄川教授はこう訴えている。
〈副学長によれば、明治学院大学では、授業の盗聴が「慣例」として行なわれており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのことだ。同大学では、大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使われる教科書や配付される資料を事前に検閲したり、提出された学生の答案用紙を無断で抜き取って検閲したりしていた。今回の事件については、授業を秘密録音して教員を解雇した「目黒高校事件」と同様、表現の自由、学問の自由、教育の自由をめぐって、これから本裁判で争われることになる。
 なお、明治学院大学は今年(15年)、教養教育センターの教員と科目の20パーセント削減を決めていた。〉
 寄川氏はメディア関係者へ送ったメールに、次のような〈小論「盗聴される大学の授業」〉を付けた(要約・抜粋)。
〈相手に知られることなく無断で会話や電話を録音する「秘密録音」が社会に急速に広がっている。(中略)大学の授業も例外ではない。熱心な学生が復習のために授業を録音するのではない。休んだ学生のために録音するのでもない。そうではなく、教授が何を話しているのかをチェックするために、大学が授業を録音するのだ。
 大学では、教室にこっそり忍び込んで、学生に気づかれないように授業を録音して、教員を処分するための証拠に仕立て上げる。録音資料は本人のいないところで使用し、だれが録音したのかはわからないように隠しとおす。
 先生たちは、自分の授業が録音され、ほかの先生たちに聞かれているのではないかと、おびえながら授業を進めていく。教員同士の信頼関係はくずれ、そこに学生たちも巻き込まれていく。(中略)
 大学の講義を盗聴しても、秘密録音しても、録音テープをかってに使用しても、何とも思わない大学教授の集団が、体制に順応し、組織を守り、規則に従い、国家に奉仕する、そうした模範的な青年を作り上げていく。標的とされるのはまずは思想系の教員で、哲学や倫理学を担当する教員が大学から排除される。空いたポストに実務経験者が学長推薦で採用され、就職のための教育を施す。実務教育に馴らされた学生たちは、飼育されて去勢され、りっぱな大人となって社会へ送り出されていく。異様な光景を見た若い先生は別の大学に移っていき、ベテランの先生はうつ病で辞めていく。こころの病で休んでいる先生は大学にも多い。
 かつて、授業の盗聴をめぐって裁判があった。録音資料をもとに教員を解雇した学校は違法ではないと主張し、解雇された教員は違法だと主張した。裁判所の判決は、教員の同意なく授業を録音することは適切な手段ではなく、そのようなことをすれば、「教育の自由の空気」が失われ、「教員の授業における自由および自主性」も損なわれるから、不当な支配に当たるというものだった。
 まっとうな判決だが、ことは法律の問題だけではないだろう。(中略)
 いつだれがどこで自分の声を録音しているのかわからない。大学のキャンパスからは、雑談や世間話をする声が消えてしまった。教室とは盗聴とか秘密録音とかをするところではなく、安心して教員と学生が自由に議論のできる場でなければならない。〉
 寄川氏の解雇理由には、彼が教科書にしていた紀川のしろ著『教養部しのろ教授の大学入門』(ナカニシヤ出版、2014年)も挙げられ、大学側は、「大学一般、明治学院大学、キリスト教主義への愚弄」などを問題にしている。
 この本では、平成学院大学(仮名)での教養科目を教える教授の1年がユーモラスに描かれている。無意味な教授会、大学の教員採用人事のいい加減さ、大学紀要の実態がリアルに描かれている。本の帯には「大学で教えるためには国家資格も教員免許もいらない。大学の先生になるための採用試験もなければ、教育実習もない」などとある。あとがきには、「世間の常識は大学では通用せず、大学の常識は世間では非常識となる」とあった。受験生や保護者が、日本の大学がどういうところかを知るには最適の本だ。

 名前も名乗らない明学大広報課長
 東京新聞の記事では、明学大広報課は「懲戒処分は手続きに沿って適正に判断した。個別案件についてはコメントできない」としている。私は1月16日、同広報課に電話したところ、「ソメカワ」という職員が対応した。彼女は、「(寄川氏の件は)係争中の案件なのでお答えできない。個別の案件の取材には応じられないということだ」と取材を拒否した。
 彼女は電話の最初に名前を名乗ったが、「大学の見解を広報課が伝えているので、私の名前、役職は言えない」と言い張った。「いまどき、広報課スタッフが氏名を言わないのは官庁にもない。課長などの管理職に代わってほしい」と私が言うと、「私が広報課長だ」と言った。そこで、広報課長の姓名を確認するため総務課に電話した。アオヤマと名のった課長は「取材なら、広報課にすべて任せる。広報課が判断したことについて何も言えない。私の氏名も言えない」と述べた。大学の総務課によると、私に対応したのは染川真由美・広報課長と青山尚史総務課長(元教務課長)だ。
 寄川氏は1月24日、私の取材に次のように述べた。
「大学側がいう『その教授が録音に関わった印象を与え、名誉毀損に当たる』とする教授は、調査委員会委員長の嶋田彩司教授です。録音者は教務課職員か黒川センター長と思われるが、特定されていません。録音が確認できているのは、全15回のうちの第1回目の授業。大学側は、1回目の授業を『通常の授業』ではなく『授業ガイダンス』と呼んでいます。1回目の授業で行なわれたのは、大学の授業の運営方針(=履修者制限)への批判です。556人収容の大教室なので教職員がいても気付かず、実際、教室の中に職員らしき人がいたことがあります。教室のドアの向こう側で教務課職員がスマホを操作していたことや、教授会を教務課職員が盗聴していたこともあります」
 寄川氏がこの事案を知らせた団体、組織の反応については、こう話した。
「学内の人権委員会、教授会、教員組合は取り上げない。朝日新聞と読売新聞は電話取材。東京新聞は面談取材。文科省は反応なしでした。メディアで報道したのは、私が知るかぎり、東京新聞・中日新聞だけです」
 寄川氏は「言いたいことは多々あるが、代理人の弁護士と相談したところ、裁判が終わるまでは、情報は大学側にも伝わるため、できるだけ公開しないほうがよいということなので、しばらくがまんしている。裁判が終わってから、存分に表現したい」と言っている。確かに、裁判になると、どんな組織も自己防衛のために何でもやってくる。裁判に勝つことが何より大事なので、賢明な判断だと思う。
 東京新聞以外の報道機関がこの事案を報道しないのはおかしい。新聞社にとって大学は重要な広告収入源などで、記事にしないのではないかと疑ってしまう。

 「日本最古のミッションスクール」で盗聴
 明治学院はヘボン式ローマ字で知られるジェームス・カーティス・ヘボンが1863年横浜に開いた「ヘボン塾」を起源として「キリスト教主義教育」を掲げ、教育の理念を「Do for Others」(他者への貢献)としている。
 明学大の寄川氏に対する解雇攻撃と被告・明治学院の言動は常軌を逸している。弾圧された側が授業で学生に無断録音の事実を公表し、大学内外に事案を伝えるのは当然だ。解雇理由が「大学の権威とキリスト教主義を批判しているから」というのは、大学とキリスト教主義の自殺行為だろう。教員の授業を盗聴した者が処分を受けるのならわかるが、「授業を盗聴され秘密録音されたことを大学に告発した」教授が懲戒解雇されるというのは理不尽だ。
 中山弘正・明学大名誉教授(元明治学院学院院長、経済学)は「大学が教員の教室で話したことを録音するなどということは、あってはならない。退職して13年もたつので、この件については何も知らないが、私がいた時には、そういうことは一度もなかった」と話している。
 中山氏は1995年6月に、明治学院の戦争責任を告白した。学校法人明治学院はこの告白文を入れた『心に刻む 敗戦50年・明治学院の自己検証』を発行、その冒頭にこう書いている。
〈日本国の敗戦50周年に当たり、明治学院が先の戦争に加担したことの罪を、主よ、何よりもあなたの前に告白し、同時に、朝鮮・中国をはじめ諸外国の人々のまえに謝罪します。また、そのことを、戦後公にしてこなかったことの責任をもあわせて告白し、謝罪します。〉
 また、この告白文には、戦時中に国策に協力した「日本基督教団」の〈「統理」冨田満牧師は自らも伊勢神宮を参拝したり、朝鮮のキリスト者を平壌神社に参拝させたりしました(1938年)〉という指摘や、〈1939年、明治学院学院長に就任した矢野貫城氏は、宮城遥拝、靖国神社参拝、御真影の奉戴等々に大変積極的に取り組みました〉という記述があった。最後に告白は、海外に軍隊を派遣し始め、「殉国」の思想が現代的装いをもって、じわじわと日本社会のなかに浸透していると指摘し、この邪悪なる時代に対処する力を備えるよう訴えている。
 明学大がいまやるべきは、教員の「監視」ではなく、戦前を取り戻そうとする邪悪な安倍政治への批判ではないか。

 「御用組合」は不適切用語と非難した同志社大学
 寄川氏の事案と、同志社大学(水谷誠理事長)が私を不当解雇した手口には共通点が多い。同大も「キリスト教主義教育」を掲げている。
 私は22年間、共同通信に勤めたあと、1994年から同大の大学院と学部でジャーナリズム論を教えた。14年3月末の「定年不延長」(同大では65歳が定年だが、大学院教授は70歳まで定年が1年ごと自動的に延長される)をめぐり、京都地裁において裁判中だ。
 私の場合は大学執行部との紛争ではなく、大学院社会学研究科メディア学専攻・社会学部メディア学科の同僚教員6人(渡辺武達名誉教授、小黒純・竹内長武・佐伯順子・池田謙一各大学院教授、河崎吉紀・学部准教授)と冨田安信社会学研究科長・社会学部長(当時。産業関係学教授)が共謀した闇討ちだった。この7人を背後で支えたのが、対米隷従で安倍首相に近い村田晃嗣学長(15年11月の学長選挙で敗北、現在法学部教授)らだ。
 小黒氏らは13年8月から地位裁判の代理人弁護士らと相談しながら私の追放作戦を進めた。小黒・竹内・佐伯・池田各氏は13年10月30日の社会学研究科委員会で私が退席したあと、私を"不良教授"と非難した「浅野教授 定年延長 審議資料」と題した怪文書を配布した。怪文書は、私が学生向けの講義要項に、〈大学院教授としての品位にかける表現 例「ペンとカメラを持った米国工作員」「労務屋」「企業メディア"用心棒"学者」「デマ」など〉の〈不適切用語〉を使ったと非難した。
 私は地位確認裁判とは別に、この4人と黒幕の渡辺氏を相手取って、京都地裁に名誉毀損・損害賠償訴訟を提起した。この「怪文書」5人裁判の証人尋問が1月12日に京都地裁で開かれ、原告の私と渡辺・小黒両氏が証言した。渡辺氏は「(浅野の定年延長について)全く関心がなく、何も関与していない」と証言した。
 小黒教授は主尋問では、私に対するヘイトスピーチをなめらかに述べたが、原告側弁護士による反対尋問では、人が変わったように言葉を見つけるのに必死だった。「博士後期課程の教授でないあなたに、浅野教授の業績を云々する資格があるのか」という質問には、「謙虚に答えなければなりませんが、……あると思う、ということにしておきましょう」と答えた。学生に労務を強制したという陳述書(16年12月20日=地位裁判結審の日に提出)の記載について、「何人の学生から聞いたのか」という問いには、「覚えていない」などと答えた。
 小黒氏は「(原告の支援者で)タドコロと名乗る人物が、私に対し『あなたは人の首を切って平気なんですね』と脅迫した。何らかの危害が加わられるのではないかと、恐怖にさらされ怖かった」「原告は、多数の学生を引き連れて佐伯教授を取り囲んだ」などと証言をしたが、ウソである。また「原告が職場にいることで教員は常時強いストレスにさらされ、長く続く恐怖感によって突発性難聴などを発症した。私は帯状疱疹に罹った」とも証言した。私が「菌」だというのだ。裁判は4月13日の次回期日で結審する。
 大学教授の地位は国会議員、法曹人、ジャーナリストなどと同様、簡単に剥奪されてはならない。私の恩師である白井厚・慶應義塾大学経済学部名誉教授(社会思想史)は14年1月の同大での「ドイツ古典哲学の教えるところによると、大学の教授というのは全面的な自由を持ってなければならないということだ。それは自由な発言をすることによって、優れた教授の優れた研究が生まれるからである」と話している。


明治学院大学解雇事件、新聞報道集

無断録音「学問の自由侵害」 解雇の元教授、明治学院を提訴

■「東京新聞」(2017年1月7日)

 授業を無断録音された上、懲戒解雇されたのは不当などとして、明治学院大(東京都港区)の元教授寄川条路さん(55)が、同大を運営する学校法人「明治学院」に教授としての地位確認と、慰謝料など約1,370万円を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが、関係者への取材で分かった。
 訴えなどによると、寄川さんは一般教養で倫理学を担当。2015年4月の授業で、大学の運営方針を批判したことなどを理由に、同12月に大学側から厳重注意を受けた。大学側は、授業の録音を聞いて寄川さんの批判を知ったと認めたため、寄川さんは学生が何らかの情報を知っているかもしれないと推測。テスト用紙の余白に、大学側の教授の名前を挙げ「録音テープを渡した人を探している」と印刷し、呼び掛けた。これに対し大学側は、その教授が録音に関わった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして昨年10月に懲戒解雇した。
 寄川さんは「大学側が授業を録音したのは、表現の自由や学問の自由の侵害だ」と主張。労働審判を申し立てたが解決に至らず、訴訟に移行した。大学側は審判で職員による録音を認めた上で「録音したのは実質的には授業でなく、(年度初めに授業方針を説明する)ガイダンス。授業内容を根拠としての解雇ではない」と説明していた。
 同大広報課は、本紙の取材に「懲戒処分は手続きに沿って適正に判断した。個別案件についてはコメントできない」としている。

揺らぐ学問の自由、「盗聴」告発の明治学院教授

■「上智新聞」(2017年2月1日)

 2016年の学長選任規則改正による学長選挙の廃止を受け、本紙1月号は「問われる『大学の自治』」と題した記事を掲載した。
 機を同じくして、東京新聞1月7日朝刊に「『無断録音 学問の自由侵害』」という記事が掲載された。明治学院大学の寄川条路教授が、講義の無断録音及び懲戒解雇は不当だとして学校法人「明治学院」に対し、地位確認や慰謝料などを求める訴訟を起こしたという内容だ。「学問の自由の侵害だ」とコメントを出している寄川教授に対し、本紙が独自に取材した。
 寄川教授は以前から、講義の受講上限人数などをめぐり大学側と対立していた。大学側は学期初め講義を無断で録音し、教員の処分を検討する会議で使用していたという。寄川教授が秘密録音を「組織的な盗聴」だと関係者の名前とともに告発し、学生に情報提供を呼びかけると、大学側は名誉毀損だとして同教授を懲戒解雇。また教科書や講義内容が大学の理念にそぐわず教員不適格だとして、普通解雇を重ねて行ってきたという。寄川教授は「懲戒解雇だけでは、判例などから不当と判断されやすいため、より確実に解雇したいのだろう」と推測する。
 大学側は労働審判で録音の事実を認めながらも、録音したのは学期初回のガイダンスであり、解雇理由に講義内容は関係ないと主張。復職を求める寄川教授と金銭解決を目指す大学側とで決着がつかず、訴訟へと至った。現在も係争中で、寄川教授は今後訴訟の経過に応じて順次情報を公開する予定だという。
 寄川教授は「言論と表現の自由が保障されるべきなのは大学に限った話ではない」としながらも「講義の盗聴は教員のみならず学生たちの間にも不信感を招く。信頼関係を確立すべき教育の場では最も不適切な行為だ」と語る。また、学生に向けて「大学は何を言いたいか、何を聞きたいかを自分で考えることができる場。それを大事にしてほしいが、今行われているのはそうした場の破壊にほかならない」と大学の価値とその危機に目を向ける重要さを訴えた。(矢部新・成田一貴)
※寄川条路氏は学校法人明治学院と地位確認係争中であるため「明治学院大学教授」と表記しました。

 記者の目
 事態の詳細は司法の場で問われるべき問題であり、本紙が口を出せることではない。ツイッターを見れば、明治学院大学の学生から「教授の言い分や新聞の論調は一面的だ」等の批判もあるようだ。
 だが学問の自由という観点から言えば、大学側が無断で講義を録音していたという一点のみでも、紙幅を割いて追うべき理由としては十分だ。


学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学

■VERDAD, Oct. 2017

学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学

慶應義塾大学名誉教授
弁護士
小林 節

 明治学院大学の寄川条路教授(倫理学担当)が懲戒解雇された。理由は、同教授が、大学の教育方針と大学の設立母体であるキリスト教派の教義に批判的だからだそうである。その決定のために、大学は、同教授の教科書の内容を確認し、さらに、同教授の年度初回のオリエンテイション講義を無断で録音してその内容を確認したのことである。

 私は、かつて日本とアメリカの大学で学んで憲法学者になり、その後、日本とアメリカ等の大学で教授として働いた大学人として、この話に接した時、その信じ難い内容を、俄(にわか)には理解できなかった。

 人間は、文明を持つ特異な存在として、この地球上に君臨して来た。この世には、天変地異から人間関係や病気に至るまで、あらゆる出来事に因果関係がある。そして、人々を幸福にする因果関係を発見・増進し、逆に人々を不幸にする因果関係を発見・減殺しようと努力して来たのが、人類文明の歴史である。

 この、あらゆる事象の因果関係を追究する自由を「学問の自由」と言い、これは全ての人間に保障された人権である。しかし、高度の文明を生きる近代以降の人類は、職業としての学問に人生を懸けた人々が権力による弾圧と誘惑を逃れて学問の自由を享受する場としての「学問の自治」を確立した。

 だから、大学において、教授は、担当科目として大学と契約した科目に関する限り、その研究・教育の対象・方法・発展に関する自由を憲法23条により保障されており、教授の自由は、法に触れない限り、歴史の中で学問的評価以外により裁かれることはない。

 だから、大学当局が、教授の教科書を「検閲」したのも論外であるが、されに、教室に不法侵入して講義を録音するという違法行為まで犯して、それが「大学の方針に反する」など評価して、その地位を奪うことは論外である。

 教授という地位で採用された学者には、大学の方針に合わせて学説を曲げて講義をする義務などない。寄川博士の学説に反対な者には、それを批判する学問表現の自由が許されているだけで、そういう討論を経て発展して行くのが学問である。

 さらに。宗教団体が設立したいわゆるミッション系大学における学問の自由について、この際、言及しておきたい。

 まず、ある教団がその博愛主義と経済力の故に大学を設立した例は多い。そこでは、教団の人々が国家に対して大学設立の認可を申請し、その認可が下りた瞬間に、教団とは別人格の大学(学校法人)が生まれたのである。つまり、それは大学であり宗教団体ではないということである。

 大学において「宗教」が語られる場合、それは哲学、歴史学、民族学、社会学等の科学の対象として語られるもので、信仰・布教の一環として語られてはいけないのである。そこでは、学者として教授が、様々な宗教・宗派を科学の対象として批判的に論評する学問の自由が保障されている。

 だから、宗派内の日曜学校の説教師ではあるまいし、大学の一教授が学説として特定の宗派の教義に批判的であるからといってその地位を奪うなどという発想自体が大学人として論外である。これも、学説には学説批判で対応するのが大学人としてのマナーである。

 まるで、単なる人間的な好き嫌いに起因するパワハラを見ているようで、情け無い。

2018年01月21日

福岡教育大、学長選巡り不当労働行為 組合活動を妨害 東京地裁判決

毎日新聞(2018年1月16日)

 福岡教育大(福岡県宗像市)が投票結果を覆す学長選びをしたため労働組合が批判するビラを配ったところ、当時の学長が組合活動を妨害する発言をしたとして、東京地裁(佐々木宗啓裁判長)が学長発言を労働組合法が禁じる不当労働行為と認定した。ビラを配るなどした教授2人への人事上不利益な取り扱いも不当労働行為と認めた。中央労働委員会による救済命令を取り消すよう求めた大学側の請求は棄却した。

 判決は昨年12月13日付。佐々木裁判長は、学長発言について「労働関係上の制裁を示唆して組合活動を弱体化させる恐れを生じさせた。言論の自由を踏まえても配慮を欠き、労使の秩序を乱した」と批判。人事上の取り扱いについても「大学自治を侵害しかねない不相当な手続きを強行した」などと指摘した。

 判決によると、学長選は2013年11月に実施され、当時の現職学長が88票、組合が推す候補が123票を獲得。しかし選考会議で当時の学長が選ばれたため組合は同年12月、「大学自治や民主主義に照らして問題だ」とするビラを配った。これに対し学長は「本学への信用失墜行為だ」と非難する文章を大学ホームページに掲載したうえで、配布した教授の研究科長への任命を拒否するなどした。

 労働組合の救済申し立てを受けた福岡県労働委員会は16年、学長発言などを不当労働行為と認め、再発防止を誓う文章の学内向けホームページ掲載などを求める救済命令を出した。中央労働委員会も17年に同大の再審査申し立てを棄却したため、同大が命令取り消しを求め東京地裁に提訴していた。福岡教育大は「判決は不服で控訴した。それ以上はコメントできない」としている。【平川昌範】


2018年01月18日

注目される地裁下関支部の判断 雇い止め問題めぐり梅光学院学長、前学院長ら証人尋問

長周新聞(2018年1月18日)

注目される地裁下関支部の判断 雇い止め問題めぐり梅光学院学長、前学院長ら証人尋問
学生や同窓生らが傍聴につめかける

 梅光学院大学(下関市)の矢本浩司特任准教授が、平成27年度末での雇い止めの無効と地位の確認を求めた裁判をめぐって16日、証人尋問がおこなわれた。矢本浩司氏と、学院側から樋口紀子学院長・学長、中野新治前学院長の3人が証人として出廷した。山口地方裁判所下関支部には梅光学院の同窓生や教職員、学生などが傍聴に詰めかけた。38の傍聴席に対し、傍聴希望者は50人をこえ、多くの関係者がこの裁判の成り行きを見守っていることを示した。梅光学院側からも只木統轄本部長など3人が傍聴していた。

 裁判では、矢本氏を採用したさいの無期雇用への転換を期待させる発言の有無や、「1年更新の最長3年」とした契約書をめぐる理解なり認識、就任後の業績についてなど、さまざまな面から雇い止めの是非が争われている。ここ最近、学院側は「財政難」を強調するようにもなっている。

 証人尋問では改めて、矢本氏の雇い止めに至るまでの経緯が双方の証言から浮き彫りになった。同窓生や教職員が現経営陣の方針に疑問を抱き、運動を開始するきっかけとなった教員の大量解雇(自主退職、希望退職)による「経営改革」と大きくかかわっていたこと、初志を覆し矢本氏を雇い止めするに至った中野前学院長の態度も傍聴席の人人のなかで関心を呼んでいた。

 矢本氏は大阪の八洲学園高校の前職を辞して2015年4月に梅光学院に赴任した。在職中、学生からの授業評価が高かったことなどは周知の事実だ。

 しかし同年7月頃、本間政雄理事長、樋口学長、只木統轄本部長など執行部に弁護士や社労士をまじえ、人件費削減による収支の黒字化を進める話しあいが持たれた。この会議への参加を要請された矢本氏は、その場で中野学院長(当時)が最後まで首を縦に振らず、首切りをしない財政黒字化を主張していたことに共感し、「気骨のある人だと思い、協力したいと思った」とのべた。

 その後、中野氏の求めに応じて「首切りをしない財政黒字化」の方向を検討し、前職の学校での経験から、梅光に通信制課程を導入することなどを提案、その場合の試算をおこなうなどしていた。その過程では中野氏から理事1人の紹介も受け、副学長をまじえた4人で何度か話しあいを持っていたという。矢本氏は、執行部方針に逆行する行動のため、何度も中野学院長(当時)に「雇い止めになることはないか」と質問したが、当時人事権を持っていた中野学院長は「雇い止めすることはない」との趣旨の発言をおこなっていたとのべた。話しあいを重ねた結果、9月の理事会で中野氏が執行部の改変をおこなう「学院長声明」を読み上げることが決まったが、当日中野氏は声明を読み上げず、後日矢本氏のもとに謝罪に訪れた。矢本氏は、その後中野学院長から「しばらく待ってくれ」との連絡があり、待機していたところ、2月24日に突然、雇い止めの通告がおこなわれたと証言した。

 この点について中野氏は、希望退職を募る以外の方法について矢本氏に相談していたことを認めたうえで、「もし本当にやったら相当な混乱が起こる」と考えて学院長声明を読み上げなかったこと、その後、学院長声明を破棄するよう矢本氏に伝えたにもかかわらず、矢本氏が活動を続けたと主張した。

 中野氏の証言については、否定した内容について録音テープが提出されるなど、事実と証言の食い違いも見られた。

 樋口氏の証言は、梅光学院の経営がいかに厳しいかを強調する内容で、学院が人件費を抑えるために任期制を導入しており、雇い止めになった教員が多数いることをあげて矢本氏が特別でないことを強調した。ただ、具体的な経営状況を質問されると答えられないことが多く、最近、梅光が起こした借入についても言葉を濁す状況だった。

 教員が多数雇い止めになる一方で、「只木先生の働きが著しい」という理由から、只木氏については任期なしの雇用に転換したことも明らかになり、傍聴していた同窓生らは驚いていた。

 最終的な判断は裁判所が下すことになる。矢本氏の裁判は終盤を迎えているが、今後教員ら10人が起こした集団訴訟も始まっていく予定で、集まった人人は「まだこれからだ」と思いを新たにしていた。


2018年01月09日

札幌医大の5年雇い止め規則、組合が救済申し立て

朝日新聞(2018年1月6日)

 「北海道自治体ユニオン」(札幌市)は5日、札幌医科大が非常勤職員の雇い止めに関する団体交渉に応じないのは不当労働行為にあたるとして、道労働委員会に救済を申し立てたと発表した。組合は同大が雇用上限を5年とする就業規則を撤廃し、雇い止めをしないよう求めている。

 2013年4月に施行された改正労働契約法では、パート従業員や派遣社員といった有期雇用の労働者が同じ職場で5年を超えて働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できると定めている。施行から5年後の今年4月から無期転換の権利が生じる。

 組合によると、昨年8月、同大の非常勤職員3人が雇い止めのおそれがあるとして相談に訪れ、同9月から団体交渉を開始。組合側は雇用期間の上限を撤廃し無期雇用への転換を求めたが、同大は同12月の役員会で上限を5年とすることを決め、今後交渉に応じない姿勢を示したという。

 今年3月には非常勤職員7人が在職5年を迎え、今後さらに258人が雇い止めにあう可能性があるといい、東原勉執行委員長は「無期転換から逃れるための雇い止めはあってはならない」と指摘している。


2018年01月08日

雇い止めは無効、梅光学院大 地裁支部

■朝日新聞(2018年1月6日)

 学校法人梅光学院(下関市向洋町1丁目)による雇い止めは無効だとして,梅光学院大学の矢本浩司特任准教授(45)が地域保全などを求めた2度目の仮処分申し立てについて,山口地裁下関支部(池内継史裁判官)は雇い止めの無効を認める仮処分決定を出した。決定は昨年12月27日付。

 決定などによると,矢本さんは2015年4月に同大文学部の特任准教授として採用され,16年3月末までで雇い止めとされた。矢本さんは地位保全と賃金の仮払いを求めて仮処分を申し立て,地裁下関支部は9月,矢本さんの地位と同年6月以降の賃金の仮払いを認める決定を出した。だが仮払いされないため,17年1月に地位確認などを求める訴訟を起こし,再び仮処分も申し立てた。

 今回の決定は改めて矢本さんの地位を認めた,賃金の仮払いについては今年1月以降の分のみ認めた。

 矢本さんは取材に対し,「地位保全の主張が通り喜んでいる。訴訟では本人尋問が控えており,さらに自分の主張をしていきたい」と述べた。梅光学院は「係争中につきコメントは控えるが,今回の決定についてはこちらの主張もある程度認められたと考えている」とコメントした。(山田菜の花)

2017年12月21日

大学オンブズマン声明、学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ

■大学オンブズマン
 ∟●学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ(2017年12月20日)

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ

2017年12月20日 大学オンブズマン

 報道によれば、学校法人四国大学(徳島市、佐藤一郎理事長)に対して、うつ病を発症したのは長時間労働(使用者の安全配慮義務違反)が原因であるとして損害賠償を求めた女性准教授の訴えが認められ、休職中の賃金や慰謝料など1395万円の支払いが命じられた。
 判決文では、以下のような趣旨のことが述べられている。

1.安全配慮義務違反の有無について
 被告(学校法人四国大学)が、原告(女性准教授)の業務の遂行により、過度の疲労や心理的負荷を蓄積し、心身の健康を損なう状況にあることを具体的に予見することができるものと認められる。しかるに、被告は、原告の業務量等を適切に調整するための措置を何ら講じず、また被告において適切な措置を講じなかったのであるから、被告には原告に対する安全配慮義務違反があると認められる。

2.本件疾病の悪化について
 被告代表者は、2012年年3月15日、面談において、原告に対し、現状では原告が准教授としての職務を遂行できないことから、一定期間休職し治療に専念するため、休職願を提出するか、准教授としての職務が全うできるという診断書が提出されなければ、退職してもらうという判断をせざるをえない旨告げた。
 当時、原告は、本件疾病に罹患して治療中であったのであり、かかる原告に対し、休職か退職かの選択を求める上記発言は原告に対し、強い精神的負荷を与えるものであったといえる。
 被告代表者において、本件疾病が原告の長時間労働等の被告における業務に起因するものである蓋然性は予測可能であったと言わざるをえないことも考慮すれば、被告代表者の上記行為は、原告に対する安全配慮義務に反する行為があったと認められる。

3.安全配慮義務違反と本件疾病との因果関係
 2009年度における過重な業務量に起因する原告の早朝から深夜までに及ぶ常態化した長時間労働は、原告に相当程度の疲労の蓄積を生じさせるものであったといえる。また、原告がほぼ1人で担当していた本件実習のカリキュラムは、四国大学で初めての看護学実習であり、当該カリキュラムが成功しなければ、下級生の実習に影響が出るものであり、その重要性から、その準備には相当程度の精神的負荷を伴うものであり、また、原告は様々な委員会に所属し、委員として活動を行っていた他、一定の責任を伴う看護学科の副主任としての業務にも従事していたのであり、原告の業務は質的にも過重であったというべきである。
 以上のように、原告の業務は、量的にも質的に、過重なものであり、原告の心身の健康を損なうおそれが十分になったものといえるところ、原告の心身の健康を損なわないようにするための措置がとられない中で、原告は本件疾病を発症したものであるから、本件疾病は、原告の業務に対する被告の安全配慮義務違反により生じたものと認めるのが相当である。

 当オンブズマンは学校法人の対応は極めて悪質であると考え、学校法人四国大学のありようを早急に是正することを求めて、①当該准教授の職場復帰に向けて、法令にのっとり適切に使用者責任を果たすことと、②当該准教授が起こした裁判をいたずらに長引かせず、訴えの内容を受け入れた和解を含め誠実に対応することを要望した(別項、2016年6月20日付の「声明」を参照)。
 このようなことからわれわれは、徳島地裁の判決を歓迎するとともに、学校法人が判決に従うことと、当該の女性准教授に謝罪することを強く求める。
 残念ながら学校法人四国大学は、判決を不服として控訴した。女性准教授ならびにご家族は当局の不誠実な対応によって、心身を大きく傷つけられている。われわれは、改めて学校法人の倫理的な対応、社会的な責任が改めて問われていることを厳しく指摘する。今後も当オンブズマンは学校法人四国大学に対する社会的な監視を強めていく所存である。

以上

【資料】
学校法人四国大学における重大な法令違反・人権侵害の是正を求める声明
2016年6月20日 大学オンブズマン

 報道によれば、学校法人四国大学(徳島市、佐藤一郎理事長)が設置する四国大学は、徳島労働基準監督署によって労働安全衛生法の疑いで徳島地方検察庁に書類送検された。内容は、労災認定された、同大学に勤務する准教授に関する労働者死傷病報告書の提出を怠っていたというものである。
 当該准教授は2013年6月に徳島労働基準監督署から、うつ病を発症したのは長時間労働(直前の1か月の時間外労働は160時間を超える)による強いストレスが原因として労災認定されている。自らの責任によって被雇用者にうつ病を発症させながら、適切な対応を取っていなかったことは重大な法令違反であり、きわめて深刻な人権侵害である。
 『徳島新聞』2016年5月27日によれば、大学は「指摘を受けるまで義務づけられていることを知らなかった。労災保険の申請手続きには対応しており、労災を隠す意図はなかった」述べているとのことであるが、大学を含め組織の社会的責任が強調されるもとで、信じがたい対応である。
 労災認定後の四国大学の対応を見ていれば、この言をそのまま受け取ることはできない。学校法人四国大学は、健康状態が回復した当該准教授の復職の求めに対して、あれやこれやの理由をつけて拒否するという人権侵害を行っている。また、労働基準監督署の指導にしたがって、ハラスメントを生じさせない職場環境づくりに取り組むことも進んでいない。さらには、当該准教授が労災認定され給付を受けていることを知りながら社会保険(私学共済)の資格喪失手続きを行うという非人道的なことを行った。
 大学は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」(学校教育法、第83条)場である。同じく大学は「その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」(同、第83条の2)とされている。ブラック企業が社会的な問題となっているもとで、大学はよりいっそう社会の範となることが要請される。
 学校法人四国大学のありようは早急に是正される必要がある。当オンブズマンは、学校法人四国大学に以下の2点の対応を早急に行うことを強く求める。
① 当該准教授の職場復帰に向けて、法令にのっとり適切に使用者責任を果たすこと。
② 当該准教授が起こした裁判をいたずらに長引かせず、訴えの内容を受け入れた和解を含め誠実に対応すること。
以上

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