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岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行
 ∟●貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

実況中継「明治学院大学事件」(『情況』2019年冬号)
非常勤講師をクビにする方法(首都圏大学非常勤講師組合『控室』第95号(2019年4月1日))
本で取り上げられる
。小川仁志『公共性主義とは何か――〈である〉哲学から〈する〉哲学へ』(教育評論社、2019年6月)

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

宮崎大学不当解雇事件、最高裁で勝訴 

宮崎大 パワハラまで捏造 最高裁が異例の対応

『現代ビジネス』(2017年3月28日号)「パワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白 」
『週刊金曜日』(2017年3月31日号)「宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず」

早野慎吾氏「宮崎大学パワハラ捏造事件について」
大学が裸体と主張した卒論写真一覧

都留文科大の解雇事件、解雇無効
宮崎大の解雇事件 最高裁決定・大学側敗訴確定

宮崎大学学長宛公開質問状(2017年6月15日) 

都留文科大は、直ちに原職復帰させよ!

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2019年08月18日

山梨学院大学で異常事態、「非常勤講師切り捨て」とモラルの崩壊

現代ビジネス
 ∟●山梨学院大学で異常事態…「非常勤講師切り捨て」とモラルの崩壊(2019年8月18日)

山梨学院大学で異常事態…「非常勤講師切り捨て」とモラルの崩壊

田中 圭太郎

山梨県庁で記者会見の「異常事態」

山梨県甲府市に広大なキャンパスを構え、法学部、経営学部、健康栄養学部、国際リベラルアーツ学部、スポーツ科学部の5学部6学科と、2つの研究科をもつ山梨学院大学。運営する学校法人山梨学院は、3800人以上の学生が通う大学のほか、幼稚園、小・中学校、高校、短大も有している。

この山梨県を代表する総合大学で、異常な事態が起きているという。大学の非常勤講師2人と首都圏大学非常勤講師組合は6月24日、山梨県庁で記者会見し、次のように述べた。

「山梨学院大学ではいま、非常勤講師の違法な定年切り下げや雇い止めが起きていて、多くの教員が追い詰められています。このまま放置するわけにはいきません」

会見した講師らは、学校法人山梨学院が今年1月に甲府労働基準監督署から立ち入り調査を受けて、指導と是正勧告を受けたことを明かした。その理由は、労働基準法に定められた手続きをとらずに、非常勤講師の定年の切り下げや、65歳以上の講師を退職させることなどを定めた就業規則を作成していたからだ。

しかし、是正勧告を受けても、山梨学院は就業規則を改めていない。そればかりか、5年以上勤務して無期雇用転換権を有している非常勤講師を雇い止めしていることもわかっている。山梨学院大学に何が起きているのか、取材した。

労基署が立ち入り調査、是正勧告

甲府労働基準監督署は今年1月28日、学校法人山梨学院に対して立ち入り調査を実施し、ただちに是正勧告を行った。

問題となったのは、2018年4月に山梨学院が作成した非常勤講師の就業規則。慣例で70歳だった定年を65歳に引き下げ、65歳以上の講師は今年度末に退職してもらう、というものだ。しかし、在籍する約150人の非常勤講師たちは、このような就業規則が新たに作られていたことを知らなかった。

山梨学院には、労働者の過半数が所属する組合がなく、就業規則を作成もしくは変更する場合には、すべての労働者の中から過半数代表者を選んで意見を求めることが労働基準法で定められている。違反すれば、30万円以下の罰金が課される。

ところが山梨学院は、労働基準法で定められた手続きをとらずに、勝手に就業規則を作成していた。その上で非常勤講師の雇い止めを始めたのだ。

労働基準監督署は、就業規則に盛り込まれた、非常勤講師にとって不利益な変更内容の取り扱いを検討するとともに、法律に沿った手続きをやり直すことを求めた。労基署がこれだけ明確に指導し、是正を勧告するケースは、全国的にも珍しい。それほど悪質だったといえる。

にもかかわらず、山梨学院の就業規則の内容は、半年以上が経った現在も変わっていないのだ。

きっかけは非常勤講師の「雇い止め」

山梨学院が指導と是正勧告を受けたことを明らかにしたのは、非常勤講師として約15年勤務する高橋明弘さんと、同じく10年以上勤務している柴崎暁さん。2人が労基署に山梨学院の違法行為を申告した。

高橋さんと柴崎さんが異変に気づいたのは去年10月。同僚だった40代の非常勤講師の女性が、大学から突然雇い止めを告げられた。

2013年に改正された労働契約法では、非正規労働者が5年以上勤務した場合、無期雇用への転換権を得られるようになった。この講師は山梨学院に5年以上勤務していたことから、すでにこの権利を得ていた。

ところが、講師が無期雇用への転換を申し込もうと思っていた矢先、大学の人事課から突然「あなたは今期限りです」と告げられた。学科を改編するためという理由だったが、実際は学部と学科の名前が変わっただけで、中身は変わっていなかったことがのちに判明している。

つまりは無期雇用転換を逃れることが目的の、脱法行為が疑われる雇い止めだったのだ。

この講師は大きなショックを受けて、告げられた通りに大学を辞めてしまった。しかし、この他にも雇い止めされそうになっている講師がいることが判明。高橋さんらは調査を進め、職員も知らないうちに学院の就業規則が作成されていたことを突き止めた。

つまり、山梨学院は、無期転換権がある非常勤講師を雇い止めすると同時に、就業規則を作って65歳以上の非常勤講師を切り捨てる計画を立てていたのだ。

高橋さんと柴崎さんは今年1月24日に労基署に申告。労基署がわずか4日後に大学に対して指導し、是正勧告したことから、2人は山梨学院に就業規則の撤回と手続きのやり直しを求めた。

就業規則変更を巡るゴタゴタ

指導と是正勧告を受けて山梨学院は今年3月、就業規則変更のための過半数代表者選挙を実施した。しかし、このとき学院側が提出してきた就業規則の改定案は、前年に作られたものと同じ内容だった。非常勤講師にとって不利益な変更は再度検討するように、という労基署からの指導を無視した形だ。

選挙を実施した時期も問題だった。大学が春休み中の3月末に突然選挙を行うことを明らかにしたのである。立候補期間は土日を除くと3日間しかなく、投票期間に至っては2日間だけ。これでは多くの人が選挙を知らないまま終わってしまう。

さらに投票の方法を、直接匿名秘密投票ではなく、記名投票とした。言うまでもないことだが、記名投票では、山梨学院側が事実上擁立した候補者に投票しなかった人物がわかってしまい、教職員が萎縮するおそれがあった。

過半数代表者の選挙には、山梨学院側が擁立した候補と、柴崎さん、さらに「このままではまずい」と立ち上がった別の専任教員の3人が立候補。教職員の間に労働条件や労働環境に対する危機感が広がり、結局、山梨学院の思惑に反して専任教員が当選した。

すると山梨学院はこの専任教員に、18年度・19年度と2年分の就業規則変更について意見書を作成させた。2年分の意見書を1度に書かせる行為は、適正とは言えない。

しかも、専任教員がパソコンで作成した意見書を提出すると、山梨学院は所定のモデル形式を手渡し、A4用紙1枚に収めるようにと、手書きによる書き直しを強く指示した。書き直して提出すると、今度は「定年の引き下げなどの不利益変更をしないように」と意見を書いた部分を削除させたのだ。この書き直し要求は、労働基準法施行規則に抵触する。

しかし山梨学院は「(過半数代表者の)意見が(就業規則に)反映されるものではないから」と、問題ないという姿勢だった。そのまま就業規則を労基署に届け出て「法的に有効」と主張。高橋さんと柴崎さんは「労基署の指導と是正勧告を無視している」と抗議している。これが現在の状況だ。

「研究者とはマッチングしない」

高橋さんと柴崎さん、それに首都圏大学非常勤講師組合が調査を進めるうちに、山梨学院が教員の雇用を非常に軽く見ていることがわかってきた。

山梨学院の2016年の事業報告書を見ると、改正労働契約法によって非常勤講師を無期雇用に転換しなければならないことに対して、否定的な見解が明記されている。

〝非常勤職員への対応について、当初の「雇い止め」から「無期転換」への方針転換を軸に検討を進める動きもあったが、結果的には「雇い止め」を実施することで最終的な経営判断が下された。今後は、「雇い止め」をめぐる具体的な対応と適正な実務を検討していく〟

これは改正労働契約法を無視することを堂々と宣言したものだ。全国の大学などで無期転換を嫌がって非常勤の教職員を雇い止めするケースが問題になったが、公式な文書で脱法行為をおこなう意思を明確にしているのは珍しい。

しかも、専任教員や職員の待遇も改悪していた。今年4月以降、専任教員や職員の期末手当の乗率は、これまでの年間5・1ヵ月分から、評価によって3ヵ月分から4・6ヵ月分に変更されていた。平均的なB評価の場合は3・8ヵ月分の支給なので、ダウン幅は決して小さくない。評価の基準も明らかにされていない。

さらに、山梨学院の考え方が明確にわかる資料もある。山梨学院の古屋光司理事長兼学長は、先代の理事長兼学長である父親の跡を継ぐ形で去年4月、39歳の若さで着任した。司法試験に合格して弁護士登録をしたのち、2006年4月から法人本部で勤務。副学長などを歴任した。この古屋理事長兼学長が教授会で示したとされるのが、次の文書だ。


1枚目の冒頭には、〝本学は、あくまで教育に特化する〟〝高度な研究機関として評価される大学は目指さない〟と掲げている。

その上で、2枚目には〝本学が求める大学教員像〟が示され、一番下には〝従来の日本の大学に見られる典型的な「研究者教員」を望む人は、今後、本学とのマッチングはない〟と明記されている。

言うまでもなく、大学の両輪は「研究」と「教育」であるはずだ。しかし「研究者は今後雇用しない」と受け止められる文言が、ここには堂々と書かれているのだ。

大学では、上層部のモラル崩壊も起きているという。昨年度、特定の運動部に所属する学生10数人が、本来は単位を落としていたのに、大学が担当教員に知らせずに補講を実施して、学生に単位を与えたことがわかった。

山梨学院大学がスポーツに力を入れていることは理解できる。だからといって、特定の部に所属する学生だけに、落としたはずの単位を秘密裏に与えていては、「何でもありの大学」だと思われても仕方がないのではないだろうか。

退職した教員の数は「答えられない」
労基署による指導と勧告の後も、就業規則作成の手続きが適法と言えないことと、非常勤講師の就業規則の内容が変わっていないことについて、山梨学院に質問した。広報からの回答は、次の通りだった。

「今回の過半数代表者の選任については、労働基準監督署の是正勧告・指導に基づき、適切な対応・手続きを経て行っております。現在の山梨学院非常勤講師就業規則は法的にも有効であると考えております」

定年を65歳に引き下げることついても「顧問弁護士に確認し、現行規則が法的に有効」という認識を示した。

また、今後「研究者教員」を望む人とはマッチングしない、という教授会で示された内容について確認を求めると、事実と認めた上で次のように釈明した。

「『研究者教員を望む人は、本学とのマッチングはない』という表現については、『今後、学生の成長につながるように更に教育に力を入れていく』という趣旨の現れです。各教員には、学部教育の充実(学生指導)とともに、学部教育やリベラルアーツ教育の向上につながる研究、これまでも本学が行ってきた地元山梨の経済・政治・行政の活性化に具体的に貢献できる研究、全学的国際化の実現を目指し、海外大学との共同研究や学術交流などを積極的に推進していただきたいと考えております」

山梨学院は非常勤講師の無期転換について、現状では申し込みがあった場合は応じていると説明した。しかし、去年4月以降、何人の非常勤教員が退職したのかを訪ねると、「答えられない」と明らかにしなかった。

おかしな方向に進んでいる

労基署への申告者の1人である柴崎さんは、教員の雇用の問題が噴出してきたのは、現在の理事長が就任してからだと感じている。

「理事長は就任の際、山梨に必要とされる、愛される学園にしたいと話していました。それが本当なら全面的に賛同します。しかし、おかしな方向に進んでいるのは明らかです。以前の山梨学院は普通に学問ができる場所でした。軌道修正してほしいと思っています」

もう1人の申告者の高橋さんは、非常勤講師だけではなく、常勤の教員や職員も追い詰められていると指摘している。

「私たちのところには、教員からかなりの数の相談が来ています。闇は深いと思っています。辞めざるを得なかった人も少なくないはずで、いまも多くの人が追い詰められていると感じています」

首都圏大学非常勤講師組合では、7月と8月に甲府市内で説明会を開催した。今後は山梨県内の教職員を対象にしたユニオンを結成するために支援していくという。

また組合は、労基署から是正勧告を受けた後も適正な手続きがとられていないなどとして、現在も山梨学院に就業規則の撤回を求めて交渉を申し入れている。松村比奈子委員長は「山梨学院大学の行為はこのまま放置しておくわけにはいかないレベルだと考えています。このような不正がまかり通る環境は改善しないと、大変なことになるのではないでしょうか」と危惧している。

しかし、山梨学院が態度を変える気配はなく、現状では解決の道は見えていない。


2019年08月08日

サイト紹介、「原朗氏を支援する会」ウェブサイト 小林英夫氏盗作行為の起源

「原朗氏を支援する会」ウェブサイト

堀和生「小林英夫氏盗作行為の起源」

構成
はじめに
(1)引用注
(2)二重の背信行為
(3)剽窃の重み
おわりに
参考資料
剽窃箇所対照表(一部)
・参考資料B:尹亨彬「1929年元山労働者のゼネスト」(堀監訳訂正版)
・参考資料C:小林英夫「元山ゼネスト─一九二九年朝鮮人民のたたかい」(一部)
小林氏自身による改題(小林英夫・ 福井紳一著『論戦「満洲国」・満鉄調査部事件 ―― 学問的論争の深まりを期して』彩流社 2011年より一部引用)

2019年5月17日

堀 和生

はじめに

本件の訴訟の冒頭において、小林英夫氏(以下、「小林」と呼ぶ)は、自分は「学会上の常識や倫理上批判を受けうる、いかなる行為も行っていない」(原告「第2準備書面」2014年1月21日 4頁)、と述べている。はたしてそうであろうか。本稿の目的は、小林の主張とは異なり、彼が研究活動の当初から、甚だしく研究倫理を欠いた行為を行っていたことを、わかりやすく示すことである。

取りあげる論文は、小林英夫「元山ゼネスト-1929年朝鮮人民のたたかい」(労働運動史研究会『労働運動史研究』44号 1966年7月。小林英夫・ 福井紳一著『論戦「満洲国」・満鉄調査部事件 ―― 学問的論争の深まりを期して』彩流社 2011年 再録)である。これは小林が、裁判所に提出した自己の「発表論文目録」(甲第5号証)でその第一番目に掲げたもので、上記の「第二準備書面」(2頁)では次のように述べている。「原告は、その著作の主要部分を既に学会誌等への12本の論文を通じて発表し(甲5)、本件学会発表の前に、原告著書の主要な章節は既に完成していた。原告著書の内容・編別構成は、被告の学会発表前に、上記12本の論文の中でほとんど発表しているものであり、当然の帰結として、被告の学会発表に依拠したものではない」。このように、小林の本論文(以後、「小林論文」と呼ぶ)は、本件訴訟の資料の一部を構成するものであり、当然にこの論文中における剽窃問題は、自らこれを組み込んだと主張する本件小林著書に対する学術的な信頼性に直結するものである。

小林論文との関係を検討するのは、北朝鮮の学術雑誌に発表された論文、尹亨彬「1929年元山労働者の総罷業とその教訓」(『歴史科学』1964年2号。以後、「尹亨彬論文」と呼ぶ)である。小林論文の2年半前に発表されており、同じく1929年朝鮮の元山府で勃発した著名な総罷業(ゼネラル・ストライキ)を対象としている。この論文を取りあげるのは、表題に掲げた問題を第三者が簡単明瞭に理解することができる素材であるからである。

本論に入る前に、2つの論文の対象となった事件の概略を紹介したうえで、当時までの研究史について説明しておこう。1928年英蘭系石油会社ロイヤル・ダッチシェルの子会社ライジングサンの朝鮮元山の油槽所でおこった労働争議が、警察署長や商工会議所の調停では解決できず、やがて運送労働者・埠頭労働者までを巻き込み、最終的に1929年1月から商店の同情ストまでよびおこす全市的な総罷業にまで拡大した。この3ヶ月に及ぶ総罷業は、朝鮮の労働・民族運動としても、近代日本帝国における社会運動としても規模が大きく、当時から注目を集めた大事件であった。ただし、その事件は日本の植民地統治に関わるものであったために、注目度の高さに比して公開された報道・情報資料は多くはなかった。最もまとまったものは、同時代資料である×(ふ)×(せ)×(字)「元山に於ける総同盟罷業」(『新興科学の旗のもとに』1929年7月号)であり、その他は断片的な報道、伝聞資料のみであった。戦後の研究においてもそれら戦前の報道、伝聞資料を再引用する状態に留まっていたなかで、事実発掘の密度を格段に引き上げた時代を画する研究として登場したのが、ここで紹介する尹亨彬論文である。そして、日本における新しい水準の研究が、それから若干遅れて公刊された小林論文であった。

尹亨彬論文の全文を掲げたのが資料Aで、朝鮮語文で17頁である。尹亨彬論文を筆者の責任で日本語翻訳したものが資料Bで、A4で17枚である。小林論文の全文が資料Cで、4段組10頁のものである(以下,単に「A」「B」「C」という。)。この3つの文献を比較することによって論を進める。小林論文の文章を基準として重複する箇所に赤線引いて明示した。接続詞の違いやわずかな表現の変更相違、AからCに至る過程で少しの省略や加筆があっても、それらがおおむね文章の10%以内のものであれ、重複と判断した。表現の変更とは、日帝?日本あるいは日本資本主義のような言い換えや、文章の圧縮のことである。当該箇所の重複の実相については、読者が直接に照合して読み合わせていただきたい。

筆者がA・BとCを比較検討した結論は、次の3点に要約される。

……以下,略……


2019年08月07日

早稲田大学教員公募事件、大学教員の真の公募制のために

■労働組合東京ユニオン早稲田大学支部
 ∟●大学教員の真の公募制のために

大学教員の真の公募制のために

2019年8月6日

大学教員の公募はいかなる専門領域(ディシプリン)にあっても、その分野が学問として自律しているか否かを知るためのよい機会となる。それが政治学であるなら、政治学という学問の自律性が問われることになる。

中国政治の研究者は、いまの中国の体制を肯定するのでも否定するのでもなく、中国の歴史の全体を把握しようと努めながら中国政治のいまについて語らねばならない。公募とはそうした者を公に募ることだから、もとより公正かつ透明なものでなければならない。

しかしそれはなかなか難しい。早稲田大学は学内に多くの反対意見があったにもかかわらず、江沢民や胡錦涛が日本を訪れたときには大講堂で講演をさせた。いまでも孔子学院の事務所が学内にあり、構内には中国からたくさんの留学生がいる。たしかにそれは日中両国の交流を深めるのに貢献するかもしれない。しかし天安門事件以降の中国の政治体制に批判的な研究者は、中国にはいまだに子供を大学にやれない貧しい家庭も多いし、日本に留学できるのは都市に暮らすゆたかな家庭の子に限られるという現実も見ている。早稲田大学で働く者ならだれでも、政治学を研究する者はなおさら、大学の政治的選択(総長がそれを代表する)を批判してもよい。なぜならそこに学問の自律がかかっており、大学とは学問の自律を保障すべきところだからである(「建学の精神」)。

わたしたちは2019年6月11日に早稲田大学を東京地裁に提訴した。2016年度に早稲田大学アジア太平洋研究科で行なわれた中国政治の専任教員の公募において不当な差別があったと訴えている。選考の結果に不満があるのではなく、そのプロセスにおいて生じた疑念について大学側に何度も説明を求めたけれども、拒否されたためである(団交の拒否)。

公募に関して、大学は外に向かって公明正大であるばかりでなく、その内部においても公募による選考のプロセスが学則や内規に抵触していないかどうかの検証をおこなわれねばならない。早稲田大学の田中総長は自ら積極的に公募での教員採用をおし進めており、しかも政治学の研究者である。われわれの疑問に法廷で答えるべきだろう。

開かれた公募制のために

大学がすべて国立であり、教員がすべて国家公務員であるフランスには、CNU(全国大学評議会)という組織がある。CNUは専門分野ごとの分科会をもち、それぞれの分野で各大学の教員の採用や昇進を全国レベルでチェックしている。私立大学が75%を超える日本では、フランスのCNUのような組織をつくるのは難しいかもしれない。しかし国公私立のすべての大学を文科省が管理している日本のシステムは、フランスの中央集権的なシステムとよく似たところがある。ゆたかな自己資本をもつアングロサクソン諸国の有名私立大学とは異なり、日本の私立大学は一九一八年の大学令以来、文科省(文部省)の管理のもとでしか機能しえない貧しい状況にいる(「私学助成」)。

フランスの大学は数のうえでは70ほどだが、すべて博士課程までそなえている。そのため地方の大学でも大学教員を養成できる。しかし地方とパリとでは提出される博士論文の数も違うし、審査のきびしさも異なる。またいずれの大学においても自分のところで育てた学生を教員にしたいという閥族主義(ネポティスム)がはびこりやすい。そのためパリで大量に生産される博士たちは、いかに優秀であってもなかなか就職できないというジレンマにおちいる。しかしCNUは「大学自治」とぶつかることも多く、必ずしもうまく機能していないのが実情である(アレゼール日本編『大学界改造要綱』参照)。

日本には800近い大学があるが、博士課程までそなえている大学は東京などの都市圏に偏っている。それゆえ博士課程を修了した者は、たやすく地方の大学にポストを得られそうにみえる。しかし事実はそうではない。すべての大学が公募をおこなうわけではないし、たとえ公募が行われていても、その公正をチェックできるCNUのような組織がない。

そこでは「採用の自由」がものをいう。公募が中教審と文科省によって推奨されるなか、私立大学においても公募による採用は増えたけれども、公募における選考のプロセスは不透明なままである。こうして日本にもフランスと同じように、大学教員の採用における「不公正と怨恨の連鎖」が生じてしまう。

バランスを欠いた国と文科省の大学政策

若年人口も減少するなか、日本の大学はアジアから留学生をあつめて経営を支えようしている。しかしその留学生はたいてい裕福な家庭のこどもたちである。日本の大学は、日本の社会の階層間に「流動性」をもたらさないばかりか、アジアの国々のエリートと大衆の二極化に貢献するものとなってしまっている。

文科省は公募の公正については何の対策も取ってこなかったにもかかわらず、「任期制」を導入して大学教員の「流動性」を高めようとしている。まるで大学から「自治」をうばうことによって、その「ガバナンス」(トップダウンの「統治」)を完成させようとしているかのようだ。財政基盤の弱い日本の大学の学内政治は国や文科省の影響をもろに受ける。たとえ総長(学長)が選挙で選ばれる大学でも、選ばれた総長(学長)が競争型資金の獲得競争に参入できる大学をめざせば、文科省のいう「ガバナンス」に組み込まれざるをえない。早稲田大学はむしろ積極的にそこに組みこまれようとしている大学なのである(「ヴィジョン150」)。

今回の訴訟の原告は早稲田大学では非常勤講師をしているが、他大学にすでに専任教員の職を持っている。非常勤の職しか持たない教員やポスドクは、応募における選考の公正に疑問を感じても声をあげることは難しい。大学側の採用の自由ばかりがまかりとおり、応募者の人権がおろそかにされている。私たちは日本の大学のこのような実情を広く社会に訴えるためにこの訴訟を起こした。

石井知章(早稲田大学非常勤講師)
岡山茂(早稲田大学教授)

早稲田大学教員公募事件

■労働組合東京ユニオン早稲田大学支部
 ∟●早稲田大学教員公募事件

早稲田大学教員公募事件

 明治大学教員の石井知章氏と労働組合東京ユニオンは、早稲田大学における教員の公募の問題をめぐってこの6月に東京地裁に提訴しました。

 国立大学ばかりでなく私立大学でも、教員採用のさいに公募がよく行われるようになりました。より公正で透明な採用をおこなうという趣旨から、文科省がそれを推奨しているという背景があります。しかし2016年に早稲田大学アジア太平洋研究科で行われた公募では、その選考の経過に疑念をいだいた応募者(原告となった石井氏自身)が、研究科の科長に事実確認を求めるという事態が発生しました。研究科の科長が回答することを拒否したため、応募者は大学当局にも訴えましたが、それも拒否されました。

 もとより大学教員の採用にあっては、採用する側が選考の経過を明らかにすることはありません。しかしこの件にかんしては、内規違反の可能性があるという情報を落選した本人がつかんでいました。大学教員の採用はそれぞれの大学の学部や研究科が独自に行いますが、そのさいには定められたプロセスに従います。そこに問題がなければ何も言えません。しかしそこに疑念がある場合、それを晴らそうとすることは応募した者の権利であると思います。公募とはいってもあまりにも恣意的な選考が行われており、しかも応募者は採用してもらうという弱い立場にあるため、声も上げられずにいるのが日本の大学の実情です。

 今回原告となった本人は明治大学の専任教員であり、早稲田大学政治経済学部で非常勤講師をしているということもあって、あえてこの問題を追及することにしました。そしてそのために東京ユニオンに加盟し、早稲田大学支部を立ち上げました。大学側とは2回団体交渉をおこないましたが、大学側は非常勤講師の労働条件などについては議論に応じたものの、公募の問題については団交事項ではないとして交渉を拒否しました。裁判に訴えることになったのはそのためです。

 私たちの主張は公募をやりなおせというのではありません。すでに選ばれた候補者が優秀であることを疑うものでもありません。ただし、①大学は公募をやるからには公正と透明性を保障すべきである、②大学はこの問題にかんして団交に応じるべきである、ということを裁判でも主張していきたいと思います。

 この問題には二つの背景があります。一つは、日本の私立大学が大学としての自律性を失ってしまっているということ、もう一つは、文科省自体も政策を誤っているということです。

 国立大学法人ばかりでなく学校法人(私立大学)においても、文科省への「忖度」は働きます。文科省は「大学自治」を理由に公募を推奨するだけにとどめていますが、国の私学助成費を少しでも多くもらうためには、その意向に沿うのが一番です。それゆえ形だけの公募をおこなう私立大学が増えています。また文科省は90年代中頃から任期制もおし進めていますが、任期切れであらたな職を探さないといけない教員・研究者も増えています。

 全国の「教員市場」を真の意味で「流動化」させるためには、私立大学を含めたすべての大学に公募を義務づけるとともに、公募の公正と透明性を確保するための全国的な仕組みが必要です。バランスを欠いた文科省の「ガバナンス」によって苦しめられているのは、テニュア(終身)職のないすべてのポスドク、非常勤講師、教員、研究者です。応募のたびに膨大な資料を作成する時間と労力を要求され、論文のコピーや面接の移動に多額の出費を強いられ、ふつうは落選してしまいます。多くの研究者の時間、労力、意欲を無駄にし、疲弊させているのがいまの公募の実態なのです。

8月22日の東京地裁での第一回裁判期日への傍聴をよろしくお願いします。
2019年8月22日(木)13時15分 東京地裁709号法廷
連絡先:労働組合東京ユニオン 電話03-5354-6251 FAX03-5354-6252

2019年07月30日

下関市立大 新専攻科設置巡り対立 経営陣に撤回求め署名提出 教員側「実績ないのに学生集まるか」

■毎日新聞(2019年7月27日)

下関市立大の理事長らが強引に新たな専攻科などを設置しようとしているとして、撤回を求める署名を同大の教授会の9割を超える教員51人が25日、大学側に提出した。大学の理事を務める飯塚靖経済学部長を含む教授4人が26日、記者会見して明らかにした。

 教授らによると、大学側が設置を計画しているのは「特別支援教育特別専攻科」。発達障害児などの教育を支援するため、専門的な知識を持つ人材を育てるのが目的としている。1学年10人が1年間学び、特別支援教員免許1種を取得できるほか、学内外向けの講座なども開く予定。2021年春の開設を目指しているという。

 教職員は5月31日に突然大学事務局からメールで計画を知らされ、6月6日に山村重彰理事長から説明があ…


下関市大、専攻科の新設「白紙撤回を」教授会の9割が反対署名

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下関市大、経営側と教授ら専攻科新設巡り対立

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下関市大、専攻科の新設「白紙撤回を」教授会の9割が反対署名

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2019年07月13日

「特に女性が無給にさせられた」 - 無給医の現場の声

m3.com

無給医に関する緊急アンケート:「現場の若手医師を助けて」との悲痛な声
2019年7月13日 高橋直純(m3.com編集部)


Q 「無給医」の調査結果に対する意見、「無給医」をめぐる課題、解決策について、ご意見をお書きください。


【体験談】

・現在、大学院生として大学病院で診療に従事しつつ、学生としての身分を有している。一応大学病院から給与が支払われているため、無給医ではないものとされているがその実態は、悪質極まりない。その理由を以下に挙げる。非常勤職員として働いているが、その内容が現実的ではない。契約内容は、時給1580円で月に8時間しか労働していないことになっている。

 しかし、その実態はフルタイム勤務である。実態とかけ離れた契約書にサインさせられており不条理である。そのため健康保険や公的年金に加入することができない。まずは無給医以外の、不条理な雇用状態の医師の数を把握しないことには真の改革は不可能であると考える。【勤務医】

・特に女性は、いろいろな理由で無給にさせられました。医局長には、ご主人が稼いでいるから良いでしょうとか、その他、色々と理由を付けられては無給で働いていました。子供が生まれた時は子供を預かってもらうのに数十万円かかることもありました。やむを得ずバイトに出たら、それも本業に専念していないと叱られました。説明をしても、聞いてもらえなかった記憶があります。

 感情的にならず日本社会の見学と称して当時のことは自分なりに考えてみました。親戚が支援してくれていたので何とか乗り切りましたが、本人の意思の確認、個人の考えを基に話し合うことすらしない当時の日本は決して先進国ではないと結論。今後の若い方の改革に期待します。ただ、このような社会でも学べることは多く、じっと我慢してでも本分を忘れずに仕事をしていると仕事をした分、それなりに実力は付いたと思います。圧力や困難に屈せずと言う意味での訓練、鍛錬を兼ねていたようにも思います。ただし。やるなら、公平にやっていただきたいですが。【勤務医】

・私は嘱託医、自己研鑽目的として無給、交通費なし、週1日の外来を医局を辞めるその日まで強要されています。大学にポストを得ない医局員全員が同様です。医局の中では奴隷外来と呼ばれています。これをしないと、専門医を認定しないと脅されてもいます。助けてください。無給で苦しんでいるのは大学常勤医だけではありません。他の病院に常勤医として籍のある、非常勤嘱託医も苦しんでいます。助けてください。早く、自己申告できる問い合わせ窓口、被害相談窓口を設置してください。

 クローズドな調査で、クローズドな救済は、変革する本気度を疑ってしまいます。無給で外来をしないと、専門医の指導をしない、博士号の指導をしないとさえ言われて、実名で声を上げることができない現場の若手医師を助けてください。希望をください。きちんとした待遇なしに、きちんとした治療はできません。皆さま助けてください。お願いします。無給嘱託医にも希望を。文科省による救済窓口の設置を。【勤務医】

・私も大学院生時代、無給医師でしたが、研修指導医、また当直業務は月2回はあり、外来、検査なども常勤医師以上に義務化されていました。医局会で、このことに対して、反論をしたところ、慣習だとのことで、学位研究は、その合間をぬって行っていました。大きな疑問はあり、大学院生であれば、研究のみに没頭できる体制を作るべきとは考えています。以前と比べて、労働環境は改善されているように思われますが、大学院生を戦力として、常勤医同様に働かせる体制は見直すべきと思います。【勤務医】

・かつて、自分も自分の同期も無給でした。ICU勤務は無給、正式採用のstaff の給料をみんなで分けて、1カ月1万円の給料、その後、大学正式採用も日雇い扱いであり、手取り11万円(勤務は9時―17時になっており、当然土日も出てきていない形)。そこから年金、保険諸々捻出、緊急呼び出しあるのに、タクシー代無し、駐車場は有料でした。優遇無し。家族5人、どうやって暮らせばいいか?バイトですよね。もう戻りたくないですね。大学には、本気で改善しようとしたら、大学経営破綻ですよね。低給医、無給医いなくなると。【勤務医】

・私も30年前は無給でした。大学院生は学費を払って週1日の研究日をもらい講義を受けるでもなく、残りの6日間は給料をもらっているほかの医員と同じように働き、大変な生活苦でした。今さら何を初めて聞いた風に言うのかと。やっと公に騒がれるようになったかと思います。30年前の賃金を払ってほしいと思います。【勤務医】

・夫が大学病院に勤務していますが、無給医に該当します。平日は日付が変わる頃まで働いていますが、労働の対価として博士号があるのみで、給与を得るため土日に休みなくバイトをしている姿を見ると辛いものがあります。自分の所属する科では大学院進学が一般的コースとされますが、夫の現状を見ると、とても自分は進学する気にはなれません。

 また、入院・外来ともに医師の説明にかける時間が長い割に労働対価の実感がなく、医師説明に対してもっとお金を払ってもらうシステムにするなどしていった方がよいのではないでしょうか。そうすることで大学の診療報酬につながるように思います。【勤務医】

・妊娠、出産の時に、当然のように大学病院医員を解雇され、復帰の時は時短勤務の選択肢もなく、どうせ短時間しか働けないのだからという当然な感じで無休医になりました(週5回8時半から15時くらいまでの勤務)。その代わり、週に2回、半日のバイトをあてがわれ、月収は20万程度。そこから健康保険と国民年金、保育園代、確定申告で税金払いを入れると、収入ゼロの状態。本来なら、研修として、大学病院に月5000円支払って働かせてもらう必要があるが、それは医局費から出すので免除してやると言われました。当時は、そんなものだろう、働かせてもらえるだけましかな、と思っていましたが、今考えると滅私奉公もいいところです。

 夫はもっとひどく、大学院生時代に、8時半から22時くらいまでフルタイムで病棟外来勤務をさせられ、無給。代わりに割のいい週1回のバイトと月1回2泊三日の週末のバイトをもらいましたが、それでも収入は40万程度。大学病院で患者さんの急変などがあると、泊まり込みになったりするのでバイトに行けず、その分収入が下がる始末。大学院の学費に、健康保険、国民年金、所得税の全部自己負担で、私自身の無給医の時代と丸かぶりだったので、貯金など全くできませんでした。

 大学病院のポストがないこと、ポストがない割りに仕事量が膨大で、正職員だけではとうてい仕事が回らないこと、大学での給与が少なくてもバイトでなんとかなるからまあいいや、という昔からの考え方が当たり前にあることなどなど、問題は山積で、解決する方法も思い浮かばないくらいです。【勤務医】
・私の大学は無給医を昨年指摘された後に、時給1000円を払うようになりました。しかし、労働時間は実情より極めて短いため(タイムカードはなく、大学が労働時間を事前に決めています)、支給される額は一切労働に見合っていません。時給が払われるようになったものの、年金や健康保険は大学の負担はなく、経済的負担は極めて大きいです。【勤務医】

・医学部生のうちから先輩に「大学院生は奉公人みたいなもの」と言われ、諦めていた。実際に配偶者が今その状態だが、仕事が忙しすぎて給与のことに無頓着になっており、また「給与は学費として回収されている」というような趣旨を大学病院側から言われ続けており、もはやマインドコントロールだと思っている。【勤務医】


明治学院大学事件、本で取り上げられる

「明治学院大学事件」が取り上げられました。

■小川仁志『公共性主義とは何か――〈である〉哲学から〈する〉哲学へ』(教育評論社、2019年6月)
http://www.kyohyo.co.jp/publication/publication_105.htm

「大学教授は偉そうにしているように思われがちだが、ただの被用者にすぎない。だから解雇をちらつかせられれば、もう何もできなくなってしまうのだ。それこそ終身身分を保障するなどよほどの保障がない限り、ただのサラリーマンにすぎない。上司の恫喝の前では何もいえなくなってしまうか弱い立場なのである。

さすがに国立大学ではそこまで露骨なことはないが、私立大学では建学の精神を批判したことが遠因で、最終的に大学教授が解雇されるに至ったケースもある。最近の例でいうと明治学院大学事件がそうである(注1)。

所属するキリスト教系大学の見学の精神を批判したことで、授業を無断録音されたY教授は、そのことを大学に抗議した。すると、こともあろうに大学側は、Y教授に解雇をいい渡したのである。地裁ではY教授が勝訴したが、そもそもこんなことがまかり通ること自体に問題がある。

国立私立の別を問わず、大学という存在はすべからく公共空間であるべきである。皆が自由に発言し、批判し合える場であるべきだということである。そうでないと、学問の発展は見込めない。忖度や遠慮があってはいけないのである。真理の探究は政治とは異なる。現実に合わせるための妥協は議会や取締役会でやればいいのであって、学問の場でやることではない。まさに大学の危機である(注2)。

(注1)事件の概要については、寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)に詳しい。
(注2)この問題については、近く刊行予定の寄川条路編『大学の危機』に掲載される拙稿「大学教授とは何か?」を参照。」


2019年07月10日

追手門学院、理事を厳重注意 「腐ったミカン」問題

朝日新聞(大阪本社版)

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2019年07月09日

北海道大学長がパワハラ報道否定 叱責したが「相手の人格を否定した事実ない」

毎日新聞社(2019年7月8日)

記事まとめ
●北海道大・名和豊春学長は自身のパワハラ報道を受けて、「パワハラ行為に及んだ事実はない」と否定するコメントを発表した。
●現在は休職中だが、2月に申し出た復職が拒絶されたといい「手続きが強引」とも訴えている。
●名和氏はコメントで「業務上必要な注意や叱責をしたことはある」が、パワハラには当たらないと説明している。

北大学長、叱責したが「パワハラの事実ない」

 北海道大(札幌市)の名和豊春学長(65)は8日、学長選考会議が名和氏の職員へのパワハラを認定し、近く文部科学相に学長解任を申し出る方針を決めたとの報道を受けて「相手の人格を否定するパワハラ行為に及んだ事実はない」と否定するコメントを発表した。現在は休職中だが、2月に申し出た復職が拒絶されたといい「手続きが強引」とも訴えている。

 学長選考会議は名和氏の大声での叱責や机を何度もたたく行為をパワハラと認定したという。名和氏はコメントで「大学のプレゼンス向上にまい進し、職員に負担をかけ、意思疎通を欠いた。業務上必要な注意や叱責をしたことはある」としてパワハラには当たらないと説明している。


北大学長の解任を申し出へ 選考会議、パワハラ認定

道新(2019/07/05)

 北大の名和豊春学長(65)が北大職員にパワーハラスメント(パワハラ)をした疑いがあるとして調査していた学長選考会議(議長=石山喬・日本軽金属ホールディングス元会長)がパワハラを認定し、文部科学相に学長の解任を申し出る方針を決めたことが4日、分かった。文科相は申し出を受け次第、精査し、解任するかどうかを決める。

 文科省によると、2004年度の国立大学の法人化後、全国で学長が解任された例はない。

 名和学長は「大学から何も聞いておらず、コメントできない」としている。

 国立大学の学長の任命、解任は国立大学法人法に基づき、学内外のメンバーで構成する選考会議の申し出を受け、文科相が決定する。

 北大の選考会議は10人の委員で構成。「名和学長がパワハラを行った」との訴えを受け、昨年11月に調査委員会を設置した。関係者によると、選考会議は名和学長らのヒアリングを経て、パワハラがあったと認定し、学長を続けるのは適当ではないと判断した。

 北大は「現時点でコメントは差し控える」(広報課)としている。

 名和学長は三笠市出身で、北大大学院工学研究科修士課程修了。同大大学院工学研究院長などを経て、16年12月の学長選で現職を破り、17年4月に学長に就任した。

 体調不良を理由に昨年12月から休職しており、笠原正典副学長が職務代理を務めている。任期は23年3月末まで。


2019年07月06日

北大学長「パワハラの事実ない」 選考会議の認定に反論

道新(2019/07/08)

 北大の名和豊春学長(65)は8日、名和学長が同大職員にパワーハラスメント(パワハラ)をしたと同大の学長選考会議(議長=石山喬・日本軽金属ホールディングス元会長)が認定し、文部科学相に学長の解任を申し出る方針を決めたとの報道を受け、「パワハラと評価される行為に及んだ事実はない」とするコメントを代理人の弁護士を通じ発表した。

 名和学長は「業務上必要な注意や叱責(しっせき)をしたことはあるが、大声で叱責する、机を何度も叩(たた)くなど(選考会議が設置した)調査委員会が認定したような事実は覚えがない」と反論した。

 調査の手法についても、「調査委員会は私からの弁解の聴取を書面でも口頭でも一切行うことなく調査を終えた」と指摘。選考会議がパワハラの根拠とする証拠についても「事実上全ての閲覧を拒否し、強引に手続きを進めた」と批判した。

 体調不良を理由にした昨年12月からの休職に関しては「今年2月12日からの復職を申し出たが、大学役員会は拒絶した」と訴えた。

 北大は「談話の内容を確認できていないのでコメントできない」としている。

 選考会議は昨年11月、「名和学長がパワハラを行った」との職員の訴えを受け、調査委員会を設置。関係者への聞き取りを経てパワハラを認定し、学長を続けるのは適当ではないと判断した。文科相は同会議の申し出を受け次第、内容を精査し解任するかどうかを決める。(水野富仁)


2019年07月02日

梅光学院大、賃金を慰謝料を払わず口座異例の差押え、矢本特任准教授の裁判を巡り

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2019年07月01日

梅光学院大、賃金仮払い命令に応じず 雇止め特任准教授が報告会

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梅光学院大雇止め訴訟、1050万円差し押さえ 下関地裁

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2019年06月23日

追手門学院、外部講師が発言 「腐ったミカン」「よどんでいる」「負のオーラ」「要らない」

朝日新聞(2019年6月23日)

 大阪府内で大学などを運営する学校法人追手門学院が2016年に開いた職員研修で、外部の講師が「腐ったミカンは置いておけない」などの厳しい言葉を各受講者にかけていたことがわかった。学院側は、研修中やその後、受講者に退職を勧めており、翌年度にかけて少なくとも数人が退職したり休職したりした。

 複数の受講者の証言などによると、学院は16年8月22~26日、追手門学院大学(大阪府茨木市)などの事務職員18人を大阪市内のビルに集め、「自律的キャリア形成研修」を開催。講師は東京都内のコンサルタント会社が担い、学院幹部らが入れ替わり立ち会った。

 研修の中で学院側は、内容を講師と事前に精査し、「全権委任している」と説明。講師は「自己改革」などをテーマに1人ずつ、受講者全員の前で発表させ、その場で講評した。

 その際、受講者の一人に「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」と発言。ほかの受講者にもそれぞれ「あなたが一番、参加する意欲、姿勢が曇っている。よどんでいる」「負のオーラばっかりだ」「あなたは要らない」などと言った。

 研修で講師は、受講者を選んだ理由について「28歳以上59歳未満」「前年度評価で降格」など5条件のどれかか複数に該当すると説明。(1)退職(2)年俸制など(3)関連会社への出向転籍(4)関連会社への転籍後に退職(5)再生・現状維持、の選択肢から選ぶよう求めた。

 受講者の一人は取材に「全員の前で人格否定されるのを聞かされ、心を閉ざさないと精神をやられると思った。辞めさせるための研修だと感じた」。別の受講者は「要らないと繰り返し言われ、ショックで寝られなくなって通院した」と話した。

 研修後も講師や学院幹部に数回呼ばれ、「現状維持」を訴えても「退職勧告書」を渡された人もいた。

 学院は取材に、「腐ったミカン」などの発言を認めた上で、「消極的な受講姿勢を指導した発言。改善後、講師は称賛のフォローをしている」と回答。研修後のリポートで「多くの学びが得られ、参加してよかった」との感想が述べられたとしている。今回の研修について「違法性はない」との見解を示し、「教職員本位から学生・生徒等学習者本位へといち早く転換し、教職員挙げて教育の質の向上、質保証にまい進している。本研修はその一環で実施した」と回答した。コンサルタント会社は取材に「クライアントの情報は一切開示しない」としている。

 同僚の前での叱責(しっせき)や侮辱は厚生労働省の有識者会議がまとめたパワーハラスメント類型の一つに含まれるとされる。過去の裁判ではパワハラを伴った執拗(しつよう)な退職勧奨の違法性が問われ、不法行為と認められたケースもある。(小若理恵、石川智也)

 ■外部の人使った、学院のパワハラ

 労働問題に詳しい萬井隆令(よろいたかよし)・龍谷大名誉教授の話 「腐ったミカン」などの発言は人格否定で侮辱、パワハラにあたる。それを伴った退職勧奨ならば民法上の不法行為だ。学院が内容を講師と精査したと断っている点から、外部の人を使った学院のパワハラだと言えるのではないか。


2019年06月19日

サイト紹介、明治学院大学事件

明治学院大学事件
https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/

「明治学院大学事件」の特設サイトができました。

大学における「学問・教育・表現の自由」を守るため、大学関係者に広くご支援をお願いしています。

■ホームページ(https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/
■支援者ページ(https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/%E5%8E%9F%E5%91%8A

支援者ページに名前を載せてもよいという方は、寄川条路(yorikawa@gmail.com)までご一報ください。

2019年06月15日

労働組合東京ユニオン早稲田大学支部、公募制度への問題提起にご理解をお願いします

公募制度への問題提起にご理解をお願いします

公募制度への問題提起にご理解をお願いします

このたび私たちは、大学の専任教員の公募という問題をめぐって訴訟を起こすことになりました。公募による選考は、公正に、しかも透明性に配慮してなされねばなりなせんが、現状では、公正への疑問を感じても泣き寝入りするしかないため、とりわけ非常勤の人たちは絶望しています。今回は、すでに他大学に専任の職があり、公募をおこなった大学で非常勤講師をしている候補者が、選考のプロセスで内規違反があったとの通報をもとに、訴訟に踏み切りました。当該研究科に訴え、大学当局に訴え、さらに組合を介して団交しようとしても断られたため、訴訟を起こすことになったものです。

本件は、東京地方裁判所民事部に対して行なう訴訟であり、本来は司法記者クラブにおいて会見を行うのが、あるいは本筋なのかもしれません。しかし、私たちの考えでは、本件はこれまで文科省が1990年代後半から現在に至るまで、日本の高等教育分野で進めてきたいわゆる「任期制」の導入という、全国の国公立・私立大学労働・人事政策の改変という流れのなかで発生した事案であると思われ、そのことの背景と問題点を提起したく、文科省記者クラブでの記者会見に臨むこととなりました。

これまで中央教育審議会では、「大学教育の改善について」、「大学院・大学の自己点検・評価システムの導入」、「高等教育の質的向上」など、さまざまなかたちで議論がなされています。とりわけ、こうした一連の流れで審議された「教員採用の改善について」(答申:平成6年6月28日)では、「各大学が、それぞれの理念・目的に基づき、多様で個性ある教育研究を推進していくためには、大学の教育研究の中心を担う教員に優れた人材を確保し、その能力を最大限に発揮できるよう、教員の人事の在り方について改善を図っていくことが必要」であり、そのために、①他大学出身者・社会人・女性等多様な経験・経歴を持つ者を積極的に採用するよう配慮する、②公募制を積極的に活用し、採用に関する情報を収集・提供する機関を整備し,公募制を実施しやすくする仕組みをつくる、③選考基準については、教育能力を積極的に評価するとともに、研究能力についても論文の質を重視する、などと建議されています。

そうした答申を受け、国と文科省の政策のもと、「任期制」が全国の国公立・私立大学に広く行き渡ることになりましたが、「公募制」については、公正と透明性を確保するための全国的な取り組みがなされているわけではありません。こうした政策上のアンバランスが一端となって、今回の事案も生じているということを広く社会に問うべく、私たちは文科省で記者会見を行うことにいたしました。各社の報道につき、どうかご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2019年6月11日
労働組合東京ユニオン早稲田大学支部 支部長 岡山 茂
書記長 石井知章


労働組合東京ユニオン早稲田大学支部、大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う

大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う

大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う
前例のない提訴です

原告 石井知章
        労働組合東京ユニオン 
  原告代理人 中野麻美(りべるて・えがりて法律事務所)
        宮里邦雄(東京共同法律事務所)
  被告 早稲田大学及び大学院アジア太平洋研究科・アジア太平洋研究センター

(経過)
石井組合員は、2016年4月に早稲田大学アジア太平洋研究科専任教員の公募に応募した。公募の要件を十分に満たしているにも関わらず、一次選考で落とされ、二次面接に進むことができなかった。二次面接に進んだ3名の経歴と比較して、石井組合員が落ちる理由は見つからず、落選理由の説明を求めたことが発端である。
石井組合員は選考のやり直しを求めているのではなく、公正であるべき公募が適切に運用されず、不採用となった者に理由の開示をしないことを問題視している。また、理由のわからない不名誉な落選は研究者としての名誉を傷つけるものである。
また、大学は、義務的団交事項ではないとして話し合いすら拒否しているが、組合は労働者となろうとする者の権利も団体交渉の議題となりうると考える。

(文科省が勧める公募制度の問題点)
公募とは文字のとおり、公に募るもので、公正性が問われるものである。しかし、実際行われている大学教員採用における公募は、今でも出来レースが少なからず横行し、はじめから採用する人物を決めていて、形式的に公募制度をとっているにすぎないというケースが多々見られる。採用したい人物が決まっているのであれば、俗に言う「一本釣り」をすればよい話である。大学が公募制度を使いたがるのは、文部科学省の方向性に合わせようとする大学の忖度が働いているのである。応募する者は、膨大な資料を作成する時間と労力を要するが、応募するだけ無駄で落選する。多くの研究者の時間、労力、意欲を無駄にし、疲弊させていくのが、現在の公募制度である。昨年問題となった「東京医大の女子学生の入学人数抑制」と同様に、応募する前から結果が決まっているのである。

(団体交渉権は無形の財産権)
 早稲田大学は、現在非常勤である者に常勤採用の説明は必要なく、採用の自由があるから公募における採用過程は説明しないとし、団体交渉の議題としないとした。しかし、今回の採用は公募であり、非常に高い要件を課し、それを満たしたにも関わらず一次選考すら通過しなかったことに関しては、疑義をもたないほうが不思議な状況であった。非常勤が常勤となり、研究活動を行うことは研究者としての将来をかけてのことで、今までの実績を評価されるのであるから、理由の説明を求めることは当然である。現在非常勤である者が、常勤となろうとする際の過程、評価内容を議題とする団体交渉は開催されるべきであり、それを可能としない事は無形の財産権を侵害しているものとなる。

上記、経過と問題点を記載しました。
大学教員となるべく公募に応募する研究者、ポスドクの大多数が同様のことを問題視してきました。大学の教員採用の現場で表に出なかった公募制度にスポットを当てることと、労働者となる者についての団体交渉応諾の問題を社会的にお知らせし、問題提起を行いたいと考えております。

お忙しいことと存じますが、会見への出席と取材をよろしくお願い致します。

日 時:2019年6月17日(月)14時30分~
会 場:文部科学省記者会(千代田区霞が関3-2-2 12階)
連絡先:〒151-0053渋谷区代々木4-29-4 西新宿ミノシマビル2F
    労働組合東京ユニオン(執行委員長 渡辺秀雄 担当:書記長 志賀千秋)
    電話/03-5354-6251 fax/03-5354-6252 メール/shiga@t-union.or.jp

当日出席者
 中野麻美 弁護士(りべるて・えがりて法律事務所)
 岡山 茂 早稲田大学教授 東京ユニオン早稲田大学支部支部長
 石井知章 早稲田大学非常勤講師 東京ユニオン早稲田大学支部書記長
 渡辺秀雄 東京ユニオン執行委員長
 志賀千秋 東京ユニオン書記長

2019年06月09日

一橋大学の教員を退職 教員の分断に翻弄された大学教授の告白

■現代ビジネス(2019年6月9日)

国立大の教員が私立に移るケースが増えている

私事で恐縮なのだが、私河野はこの新年度に、昨年度まで勤めた一橋大学大学院経営管理研究科(旧商学研究科)を退職し、専修大学法学部に着任した。

大学教員がキャリアの間に何度か大学を移ることは珍しいことではない。だが、私の今回の移籍のニュースを聞いた知人の中には「なんで?」という反応をする人もいた。

そう反応した人の言いたいことはなんとなく分かる。つまり、言いにくいことをはっきり言えば、一橋大学といえば研究者が望みうる最高の所属先のひとつであり、なぜわざわざ中堅どころの私学に移籍するのか、と考えたのだろう。これから私が勤める専修大学に対してとても失礼な話だが。

一橋大学の兼松講堂〔PHOTO〕Wikimedia Commons・wiiii氏撮影

しかし、そのように考えるのも無理はないかもしれない。というのも、私の今回のような移籍は、確かに一昔前であればあまりないことだった。

かつて、国立大学から私立大学に移るケースと言えば、国立を退職した教員、もしくは退職直前の高齢の教員が、国立よりも定年が遅い私学に移って、キャリアの最後を過ごす、というのが大勢だったし、今でもある程度はそうしたケースがある。一方で、40代半ばの働き盛りとも言うべき年齢の人間(私は今44歳だ)が同じ異動をするのは、かつてであれば珍しいことだっただろう。

しかし現在においては、私の例はかなり典型的で一般的な現象の一部なのだ。私の直接知る範囲でも、一橋だけではなく東大や東京外国語大学といった国立大から都内の中堅私大(中堅、という言葉が何を意味するにせよ)への異動が多く起きている。今年度、一橋から私大へと「流出」した若手~中堅の教員は私だけではない。そしてそれは、国立大学と、さらに広く大学一般や学問が直面している危機をよく表している。

本稿では、国立大学から私立大学へと移籍した私の体験から出発しつつ、その私個人の体験がここ30年ほどの大学の変化の表現となっていることを示したい。私の異動など非常にローカルな話に聞こえるかもしれない。しかし、これは大学と学問研究一般の危機の問題に、ひいてはこの国の高等教育がどこに向かうのかという由々しき問題につながっている。

この後、具体的に一橋大学の状況を述べ、批判的な視点を提示する。だが、私は一橋とそこで今も働いている人たちを断罪したいわけではない。問題は歴史的かつ構造的であり、一橋大学だけに当てはまるものではないのだ。
「辞めてやる」

さて、まずはとても個人的な告白から。

私は一橋大学に2009年に着任したので、足かけ10年間勤めたことになる。しかし私はその特に後半の数年間、そしてひょっとすると最初からずっと、キャンパスに足を踏み入れると気分は落ち、動悸が高鳴り、最後のころは「辞めてやる」と心の中で唱えることで平静を保つような、危険な精神状態に陥っていた。

ちなみに私は一橋大学法学部の出身であり、この大学の自由な校風、学問的な懐の深さ、私と同様、地方出身者も多い学生たちの雰囲気、そういったものを、人並みには愛しており、2009年に着任した時には、母校に凱旋することに意気揚々としていた。

それが、なぜそんなことになってしまったのか?(私は、国立大学全体の状況を訴えたいのであって、一橋大学やその中の個々人の名誉を傷つけたいわけではない。そのため、以下では個人ができるだけ特定できないような曖昧な形で書く。)

私が着任してそれほどの年月が経っていなかったころのことである。

当時、商学部は新たな英語教育のプログラムを作ろうとしていた。それに関する会議で、座長をしていた先生からの発言に、私は耳を疑った。発言は、その英語プログラムを統括する教員を新たに雇うため、現在すべて埋まっているポストに空きが必要になる、それをどう工面するか、という文脈でなされた。

〔PHOTO〕iStock

座長は、私を含む旧教養課程系(この言葉については後述)の英語教員に対して、「今いる人に辞めろとは言えないので」、「○○さん(上記英語教員の一人)はおいくつでしたか、みなさんの前で年齢を聞くのも何ですが、あと○○年くらいですか」云々と発言した。会議に出ていた数十名の教員の面前での発言である。

つまり座長が言おうとしたのはこういうことだ。国立大学のポストは決められており、大学や学部の恣意で増やすことはできない。しかし、新たなプログラムのためにはポストが足りない。誰か辞めてくれることが最善の策である。ただ、クビにはできないので、定年で辞めるのを待とう、と。

その発言の趣旨は、旧教養課程系の英語教員が座っている椅子を、できれば商学部で自由に使いたいということであり、私は、希望にあふれて着任して早々に、「できればあなたには辞めてもらった方がいいのだが」というメッセージを浴びせられたのである。私の一橋ライフは、これによって決定的に呪われたものになった。

その後私は、自分なりに状況を改善させる努力をしたつもりだが、後述する2015年を経て大学の内外の状況は悪化の一途を辿り、「お前(たち)はいらない」というあのメッセージは、結局私の頭からぬぐい去られることはなく、現在にいたる。それが、私の背中を押したのである。

では、なぜ座長は「お前(たち)はいらない」というメッセージを発したのか。その背景には、この30年間で起きた大学の大きな変化がある。話の鍵は、「旧教養課程」という一語である。経緯を振り返ろう。

大綱化=規制緩和?

「旧教養」というワードは、奇しくも「平成」とほぼ一致するここ30年間の大学改革の歴史にとって中心的な重要性を持っていると、私は考えている。以下は、ここ30年間の国立大学にとって重要な項目のみをピックアップした年表である。

1991年 大学設置基準の大綱化
1996年 東京大学教養学部再編・大学院重点化
一橋大学大学院言語社会研究科発足(学部化はされず)
2004年 国立大学の法人化(国立大学法人法)
2015年 国立大学法人法改正(「ガバナンス」の強調、教授会の議決権剥奪)
2015年6月 文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(文系取り潰し?)

当面の出発点となったのは1991年の「大綱化」である。大綱化とは聞き慣れない言葉であろう。私も、どう説明すべきかと思い、英語にはどう訳せるのか調べたことがある。すると、大学評価・学位授与機構の英文資料では、なんのことはない、deregulationと訳されているのである。つまり、規制緩和である。

この時に緩和された規制とはなんだったか。それは一般教育(教養教育)と専門教育との区分だった。それまで大学では、2年間の「教養教育」、その後の「専門教育」の区分が義務化されていた。大学設置基準の大綱化は、その区分を、かならずしもしなくてもよいとしたのである。

これは決して、教養と専門の区別を「禁止」するものではなかった。だが、親方(文部省/文科省)にへつらう日本の大学らしく、各大学は雪崩をうって教養部を解体していったのだ(東大の教養学部は例外だろう)。

一橋大学はそのひとつの典型だった。かつて教養部に所属していた教員は、あらためて学部、というより正確には大学院所属に振り分けられた。一橋は商・経・法・社の四学部だが、形の上ではそれらの学部・大学院に所属しつつ、実質上はたとえば一年生に英語を教えるといった従来の教養教育を受け持つという、奇妙な形の教員ポストが生まれたのである。

私のような教員は、この大綱化から生まれたと言ってもよい。私の専門はイギリス文学・文化であるが、商学部に所属しつつ、大学で基本的に教えることが期待されたのは教養の英語だった。

とはいえ、大綱化によって、それまで存在しなかった教養対専門の分断・対立が生まれたという話ではない。その対立はずっとあった。大綱化のポイントは、教養部が解体され、人事権をはじめとする力を失っていき、さらに法人化を経て、現在教養教員のポストが奪い去られつつあるということだ。

ここで強調したいのは、教養教育が消え去ろうとしていることだけではない。問題はその消え去り方だ。現在にそのような影を落としている大綱化が、英語ではderegulation(規制緩和)であること、つまり同時代に日本全体で進んでおり、今も終わっていない新自由主義改革の一部だったことである。それが前述した座長の発言の背後に隠れている事情の一部だ。だが、物語はまだ続く。

大学の二つの市場化

私が言いたいのは、90年代の大綱化が、2000年代の国立大学法人化、そして2015年の国立大学法人法改正と文部科学大臣通知へとまっすぐにつながっているということだ。そしてそれらをつなぐキーワードが新自由主義である。

私が「できれば辞めて欲しい」というメッセージを受け取ることになった事情は、ここまで述べた大綱化に、2000年代以降の大学の新自由主義化、もしくはそこに「緊縮」が加えられた合わせ技によるところが大きい。

大学の新自由主義化とは、平たく言ってしまえば、これまで国が丸抱えで運営していた国立大学の業務を市場化することである。市場化するとは大きく二つのことを意味する。それは大学の世界を「市場のように」運営すること。つまり競争原理や成果主義を持ちこみ、運営や意志決定プロセスに一般企業的な原理を持ちこむこと。

そしてもう一つの意味は、大学に「民間」の参入を促すこと、もしくは言い方を変えると大学業務を民間に切り売りすることである(例えば大学入学共通試験の英語に民間検定試験が参入することや、「実務家教員」の雇用の強制を考えればよい)。

〔PHOTO〕iStock

ここで問題にしたいのは、一つ目の意味での市場化である。国は、大学に定常的に交付していた運営費交付金を原則として年1%ずつ削減し、それに代えて「競争的資金」を獲得することを推奨したり、中期計画を策定してその達成度を査定したりといったことによって、それを推し進めようとしてきた。

後者は要するに、「改革」をより多く達成した大学に高い評価と資金を与えようということである。その「改革」の中にはいわゆる「ガバナンス改革」がある。2015年の国立大学法人法の改正は、教授会の議決権を大幅に削減するなどして、学長の権限を拡大するという「ガバナンス改革」(その内実は、上意下達以外の何物でもない)を進めたという意味で、決定的に重要だった。

このような意味での市場化は大いに結構、と思われる方も多いだろう。非効率であった大学をより効率的に運営し、研究や教育成果を世の中により多く、より良く還元する方法として。

だがそれは、二つの意味で幻想である。大学は効率化などしていない。

「効率化」の大失敗

一つには、現代の新自由主義、つまり「より少ない官僚制度」を原理とする社会は、逆説的にも、「より多くの官僚制度」を必要としてしまうのだ。大学であれなんであれ、これまで競争原理のなかったところに競争原理を持ちこむためには、巨大な評価・査定の制度とプロセスを必要とする。

デヴィッド・グレーバーが『官僚制のユートピア』で述べているように、新自由主義時代はより多くのペーパーワークの時代になってしまった。官僚制度を減らすための原理が巨大な官僚制度を生み出している。

実際、現在の大学教員は外部資金や認証を得たり自己点検評価をしたりするためのペーパーワークに溺れて、研究どころではなくなっている。さながら大学は、その組織自体を維持するためのペーパーワークや会議をすることを目的とした組織、という、「シジフォスの労働(労働をさせられた後に、その成果も過程も否定される苦役)」を地で行くような笑えない様相を呈している。大学は、それ自体を維持するための官僚組織になってしまった。

二つ目は、雇用の崩壊である。定常的な経費が削減される中、大学は、教員であれ事務職員であれ、正規雇用を維持する余裕を失っている。それはとりわけ、一橋大学のような文系の大学では顕著になる。文系大学は人が資本である。たとえば一橋は予算の65%を人件費が占めている。予算削減は雇用を直撃するのだ。

とはいえ、今働いている人間が解雇されるわけではない。人が辞めた際にポストがなくなったり、臨時雇用で補充したり、ということが行われる。教員の雇用が流動化し不安定になると、じっくりと腰を据えた研究がしにくくなる。

その結果は例えば、2015年の、国立大学協会政策研究所所長の豊田長康氏による研究レポート「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」が衝撃的な形で示している。それによれば2002年あたり以降、日本の論文数は停滞・減少し、先進国中でも最も低水準に落ち込んでいる。

例えば、2013年の生産人口あたりの論文数は、日本は31位で「東欧諸国グループに属する」という刺激的な言葉が見える。豊田氏がその要因として挙げるのは、フルタイム研究者の数、公的研究資金の額の減少であり、日本はそこで比較された先進国中で、いずれについても最低水準となっている。これは、明白に、ここまで述べたような改革のみごとな「成果」である。

この二つの問題の両方に関連して、最も深い問題は、大学が、そこで働く人間にとって、所属し貢献すべきコミュニティではなくなりつつある、ということだと思う。自分たちの参加によって、自分たちの意志と意図で大学をよりよいものにしていこう、といった感情は、「ガバナンス改革」という非民主主義化と官僚組織化、そして雇用の不安定化によってどんどん抱きにくくなっている。

そこに属する者が所属の意識を抱かず、自己利益のみを追求するような組織は、実のところ非効率な組織である。国立大学はそのような組織になりつつある。

その結果、大学を利用する側、つまり学生にとって、国立大学は従来の役割を失いつつある。現在、国立大学は我先に学費の増額に打って出ている。これもまた、大学の市場化の結果である。学費だけを見ると、国立大学と私大の差異がどんどんなくなっていくことが予想される。地域や経済事情に縛られた学生にも教育機会を与えるという公教育の役割を、国立大学は捨て去ろうとしているのだ。

分断統治

さて、そのような大きな情勢は、個々の大学ではどのように表れるだろうか。

その表れの一つが、私の経験であった。上記のような緊縮財政に大学が直面する中、旧来からの専門教員と教養教員とのあいだの分断が先鋭化したのである。だがその分断は、対等な分断などではない。実質的に人事権を持たない教養教員は、私が遭遇したような圧力にさらされることになる。

それを後押ししたのが、先の年表に挙げた、2015年6月の文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」であった。これについては『大学出版』No. 106に文章を寄せたが、この通知は「教員養成系や人文社会科学系学部・大学院〔を〕、組織の廃止や社会的要請の高い分野に転換する」ことを求めて大きな衝撃をもたらした。

私はこの通知がその後どれくらいの実効力をもったのかについては確かなことを知らない。しかし、「文系お取り潰し」とも取れるこの通知が、一橋大学のようなまさに「人文社会科学系学部」のみで構成された大学にすでに存在していた上記の分断をさらに悪化させたのは確実である。

それは一種の分断統治だった。現在一橋では英語教育の外注化や第二外国語の必修廃止が進められている。これらは、何らかの教育理念に従ったカリキュラム改革の結果というよりは、ここまで語ったような外的な事情の結果なのだ。

その結果、人文学研究(それは文学部だけではなく、教養系の教員や組織によっても担われてきた)の継承は、危機的なものになりつつある。例えば、上記の記事で述べた通り、英語やフランス語などをまともに翻訳できる人間が──また、まともに翻訳するとはどういうことかを理解している人間が──日本からいなくなるような事態は、誇張ではなく想定される。
「お前は使い捨ての駒だ」

だが、私は人文学の危機だけを言いつのりたいのではない。これが分断統治であるということの意味は、「教養対専門」の対立は、「大学改革」を押し進めるための人為的な対立だ、ということである。確かに私は個人的な恨みを持っている。だがその一方で、私に石を投げた人間たちが、私と同じ苦しみの中にあることは分かっている。

ここまでの文章で伝わっていることを祈るが、教養系・人文系の苦境は、国立大学全体が過去30年間の新自由主義改革で疲弊してやせ細っていることの、ひとつの表現なのだ。それは、新自由主義というウイルスが引き起こした熱の症状なのだ。この熱にうかされているのは、大学全体である。

これが教養・人文教員の問題だけではないことは、私の経験が、私と同時に前年度末で一橋を退職された一橋のある事務職員さんの経験と強く響き合ったことにも示されていると思う。その職員さんは非正規雇用ではあるが、私と同じく10年ほど一橋に勤めていた。

私は私の著書(それがまた、女性が非正規労働者としてかり出されることを問題にした本だったのだが)に興味を持ってくださったのをきっかけにこの方と親しくさせていただいた。だが、彼女が大学を辞める直前につぶやいた言葉は、私に深く刺さった。自分がいかに、「お前は使い捨ての駒だ」という大学上層部からのメッセージにさらされ続け、思っていた以上に心を蝕まれていたのかが分かった、という言葉だ。

私はそれを読んで落涙を止めることができなかった。あなたは、私だ、と思った。

彼女のエピソードについて重要なのは、彼女が一橋をとてもいい職場だと思い、同僚にも恵まれていると感じながら働いていたという点である。それにもかかわらず、彼女は自分が「蝕まれている」ことを発見した。それは、ここに述べたような経緯で大学職員の非正規化が進み、その非正規職員の扱いも捨て駒的になっていった大状況を原因としたのである。

国立大学が、より豊かな探究や学びの場として生まれ変わることはあるだろうか。少なくとも、改革のための改革に奔走させられ、転がる岩を山の上にかつぎ上げ続けるような労働を強いられている間は無理だろう。私は一橋大学を、国立大学を愛していた。愛が深いがゆえに裏切られた時の苦しみも深かった。

転職した事情を、このような感情とともにこの場に晒すことはあまり褒められたことではないだろうし、この文章を書くことで私は学会や大学における立場を確実に狭めてしまうだろう。私の元同僚の一部は、私のことを許さないだろう。

でも、それくらいの犠牲で国立大学の現状を世に少しでも知らしめることができ、その生まれ変わりの可能性を針の先ほどでも開くことができるならと、筆を執った。私は国立大学を去った。そして今願うのは、去ったことを私に後悔させるような場に、国立大学がもう一度なってくれることである。


2019年06月07日

稚内北星大が経営危機 存廃問題に発展の可能性も

北海道新聞(2019/06/07)

 【稚内】宗谷管内唯一の四年制大学、稚内北星学園大(稚内市)は6日、同大が経営危機に陥っていることを明らかにした。少子化などによる学生数の伸び悩みに加え、国からの補助金削減で「財政が逼迫(ひっぱく)している」とし、今後、大学の存廃問題に発展する可能性がある。

 同大を経営する学校法人稚内北星学園が同日、稚内市議会全員協議会で報告した。同大によると、大学改組時の約20年前から赤字傾向で、人件費などの経費削減に取り組んできた。2016年度からは市が年5千万円を補助して一時黒字を確保したが、今後の経営改善は見込めないという。

 同学園の金森勝常務理事は「(大学の)存続をどうするか、理事会で方向性を定めたい」とした。稚内市の表純一教育長は「市も大きく関わっていかなければならない」と述べた。

 同大は市が誘致し、1987年に短大として開学。00年に情報メディア学部1学部の四年制大学(入学定員180人)に改組した。だが学生が十分に集まらず、14年度から定員を50人に減らしたが、昨年度の4学年の在籍は計115人だった。また国庫補助金が「国の私学補助の方針転換」(同大)によって、16年度の1億2千万円強から、18年度は7500万円に減少し、収支が悪化した。(三浦祐大、岩崎志帆)


2019年06月02日

梅光学院、雇止めの不当性明確に

■長周新聞(2019.5.31)

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2019年05月30日

梅光学院雇止め二審も無効

■朝日新聞(2019年5月29日)

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2019年05月25日

元教授3人の解雇は「無効」 淑徳大に賃金支払い命令

朝日新聞(2019年5月23日)

 学部の廃止にともなう解雇は不当だとして、淑徳大(千葉)の元教授3人が地位確認などを求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。春名茂裁判長は3人の主張を認めて解雇は無効だとし、大学側に未払いの賃金や手当など計5382万6094円を支払うよう命じた。

 判決によると、淑徳大は2017年3月に国際コミュニケーション学部を廃止した際、希望退職募集に応じなかった3人を解雇した。3人は翌月に雇用継続などを求め、提訴した。

 春名裁判長は、大学の経営状態から人員削減の必要性は高くなく、同じ時期に新設した学部に異動させることも可能だったと認定。新設学部の教員を決めてから3人を解雇した経緯などから「原告らを大学から排除しようとした疑いが払拭(ふっしょく)できない」と指摘し、「解雇権を乱用したものであり、無効」とした。

 原告の一人であるジグラー・ポール氏は判決後の記者会見で「職場復帰し、教育や研究に積極的に献身していきたい」と話した。大学を運営する大乗淑徳学園は「承服できない理由がある結果のため、控訴を検討している」としている。

 淑徳大は、この3人が労働組合を結成して団体交渉を求めたのを拒否し、中央労働委員会から17年10月に不当労働行為を認定された。さらに中労委の認定取り消しを東京地裁に訴えたが今年2月に敗訴し、現在控訴している。(吉田貴司)


2019年05月16日

地方私大の閉校相次ぐ 自治体が誘致、計画の甘さ浮き彫りに…進む淘汰

西日本新聞(2019/5/15)

 少子化の影響もあり学生数が確保できず、閉校に追い込まれる私立大学が全国的に後を絶たない。1980年代から2000年代にかけ、多くの自治体が地域活性化を目的に盛んに大学を誘致したが、計画の甘さが浮き彫りとなり淘汰(とうた)が進みつつある。

 来年度の学生募集停止を決めた保健医療経営大(福岡県みやま市)は当初、合併前の旧瀬高町が用地を無償譲渡し、開校する予定だった。当時の町長は660人の学生が集まると想定、学生アパート建設などで約16億円の経済効果を見込んでいたが、07年3月の合併に伴う市長選で無償譲渡に反対した候補が当選、貸与に変更した経緯がある。市議の一人は「開校前から学生が集まるか疑問だったが、その通りの結果になった」と話した。

 13年に閉校した三重中京大(三重県松阪市)でも、誘致した松阪市が開校にあたって約6億円を助成、その後も学科の新設に伴い約5億円を追加助成した。しかし計画通りに学生が集まらず、定員割れが続いて閉校を余儀なくされている。

 全国の大学数は1990年の507校から、2017年には780校に増加。一方で、10~18年度に文部科学省が廃止を認可した私立大学は21校に上る。福岡県内では07年度に東和大、11年度に福岡医療福祉大、15年度に福岡国際大がいずれも学生募集を停止し、後に閉校した。

 文科省によると、全国の私立大582校のうち4割に当たる210校が定員割れとなっており、事業活動収支が赤字の私立大も17年度で全体の約4割を占める。同省は本年度から新たな財務指標を設け、経営難の大学を運営する学校法人の指導に当たる方針。経営状況が改善しなければ、学生募集の停止や法人解散を含めた対策を促すという。

 東京学芸大の田中敬文准教授(公共経済学)は「(大学側の)楽観的な予想が当たらないという事態が起きている。地域と共存し、学生を引きつける魅力的なカリキュラムを提供できなければ、地方の大学が生き残っていくのは難しい」と話している。

   ◇    ◇

保健医療経営大募集停止へ みやま市、来年度以降

 学校法人ありあけ国際学園が運営する保健医療経営大(福岡県みやま市)が、2020年度の新入生募集を停止することが14日、関係者への取材で分かった。同大は08年4月の開校以来、定員割れが続いており、今後も学生の確保が難しいと判断したとみられる。西日本新聞の取材に、同大事務局は「近く正式に発表する」と答えた。

 関係者によると、11日に理事会を開き、来年度の学生募集の取りやめを決定。今年4月に入学した学生が卒業する23年に閉校し、学校法人も解散する方針で、既に教職員や学生にも伝えているという。

 大学のホームページなどによると、08年度は定員150人に対し、入学者は27人。その後も定員割れが続き、11年度32人▽12年度18人と推移。13年度からは定員を80人に減らしたが状況は変わらず、今年5月現在の学生数は130人にとどまっている。

 同大は病院経営者や医療コンサルタントを育成する単科大学で、聖マリア病院(同県久留米市)を運営する社会医療法人「雪の聖母会」が中心になって設立した。


2019年05月11日

大学オンブズマン・学術シンポジウム、大学自治のあり方を考える―龍谷大学・李裁判の問いかけるもの

大学オンブズマン・学術シンポジウム、大学自治のあり方を考える

大学自治のあり方を考える
―龍谷大学・李裁判の問いかけるもの―

〔基調講演〕「大学自治のあり方を考える」
丹羽 徹氏(龍谷大学法学部教授)
報告1 「大学自治の合理的・民主的運営―李裁判の争点―」(仮題)
弁護団から
報告2
「大学自治は学問の自由を守るために機能しなければならない」
重本 直利氏(市民科学研究所専任研究員)
◆コメンテーター;「学生の発達保障の観点から」
西垣 順子氏(大学評価学会副代表理事) 司会;細川孝(大学オンブズマン代表理事)

2019年6月16日(日)13:30開始,16:45修了予定
京都アスニー第3研修室
京都市生涯学習総合センター

2019年04月25日

苫小牧駒沢大学、雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人

雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人

 苫小牧駒沢大学の教授らでつくる教職員組合と苫小牧地区労連などは23日、3月末で退職した教員2人が「雇い止めされた」とし、雇用継続を求めて大学側と団体交渉を行ったと発表した。2人は「合意なく退職を迫られた」と訴えており、専任教員としての雇用を求めて団交を続ける構え。大学側は「契約満了によるもの」と主張している。
 苫駒大の経営は、2018年4月に経営法人が駒沢大学から京都育英館に移管。在籍する教員21人は19年3月末までの雇用契約となり、うち7人が契約更新されなかった。現在、在籍する教員は全員、1年間の有期契約を結び直し勤務している。
 2人は、ゼミ生の指導や研究継続の意志があることなどから雇用継続を要求。同組合は23日、大学側と団体交渉後、苫小牧市政記者クラブ内で横山傑議長ら地区労連メンバーと共に記者会見した。約1時間半の団交で具体的な進展はなかったとし、2人は「教員の退職でゼミの変更を余儀なくされた学生もいる。学生のためにも専任教員として働かせてほしい」と口をそろえた。
 大学側は「各教員の専門性などを踏まえた上で、大学の構想と合致する人材かを判断したかった」と強調。7人の雇用契約を3月未で終了したことについては「契約満了であり雇い止めではない」としている。


苫小牧駒沢大学、教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交

■北海道新聞(2019年4月24日)

元教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交

 苫小牧駒沢大学教職員組合や苫小牧地区労連などは23日、苫駒大を3月で退職した教員2人が「雇い止めにあった」として雇用継続などを求めて大学側と団体交渉した。教員側は「不当解雇」と主張する一方、大学側は「契約満了に伴うもの」と説明している。
 苫駒大は昨年4月、学校法人駒沢大学から京都育英館に経営が移管された。関係者によると、経営移管に伴い、京都育英館は「人物を見極めるため」として専任教員21人全員と1年間の有期契約を結び直し、2019年3月末で契約が終了。このうち多くは客員教授などへの衣替えも含め新たに契約したが、専任教員として雇用継続を求めた4人について、大学側は「専門分野が大学の方向性と合致しない」などとして契約を更新しなかったという。
 交渉後、苫小牧地区労連の横山傑議長は「労働者の権利を軽視する大学側の対応は納得できない」と主張。苫駒大幹部と約1時間半協議したものの平行線に終わったといい、今後も話し合いを続ける考えを示した。


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