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都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

常葉大短大部不当解雇事件

静岡地裁決文(2015年7月3日)  原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、声明(2015年7月4日)
仮処分異議申立裁判、静岡地裁決定(2016年1月25日) 完全勝訴 祝! 
静岡県内3大学教職員組合声明(2016年2月16日)
本訴裁判・静岡地裁判決(2017年1月20日) 原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
東京高裁判決(2017年7月13日)学園の控訴棄却,原告・完全勝訴 祝! 声明1

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

酪農学園大学長解任無効確認訴訟 

原告・前学長が札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状  学長解任に関する新聞報道

・酪農学園大学退職教授団HP 「酪農大はやっぱり素 晴らしい」

New! 酪農学園元評議員名誉毀損裁判、最高裁が上告棄却 教員側の全面勝訴!詳しくはこちら

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2018年07月14日

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『アクセスジャーナル』(2018年7月12日)

明治学院大学―授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

山岡俊介

 本紙で今年2月20日に取り上げた、明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」につき、6月28日に一審判決が出ていた。
 もっとも、大手マスコミで報じたのは唯一、「東京新聞」のみのようだ。
 7月3日、原告の教授側が司法記者クラブで記者会見まで開いたにも拘わらずだ。
 この訴訟、いくら教授も雇われとはいえ、授業に関して自由に研究や発言する「学問の自由」(憲法23条)が保障されないようではとんでもないということで本紙は注目していた。
 何しろ、明治学院大学(東京都港区。経営は「明治学院」)では、授業の盗聴が慣例として行われているという。大学の権威、キリスト教主義を批判していないかなど授業を担う教授らをチェックするためで、授業で使う教科書や教材の検閲も同様だという。
 そんななか、授業中に無断録音されたことに倫理学担当の寄川条路教授(横写真。56)が抗議したところ、15年12月、大学から「厳重注意」に。それを告発したところ、16年10月、今度は懲戒解雇されたという。
 そこで寄川氏は東京地裁に地位確認の労働審判を申し立て。
 16年12月、地裁は解雇は無効として寄川氏の復職を提案したが、大学側が拒否したことから提訴して争われていた。
 東京地裁は6月28日、解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。
 もっとも、この一審判決、(1)無断録音に関与したと思われる教員の氏名を公開したこと、(2)教授会の要請に応じなかったことに寄川氏も落ち度があると認定。しかしながら、教授会の要請が原告の認識に反するような見解を表明させるものであるなど、原告にも酌むべき事情があるとして、解雇は相当でないと判断した。
 また、寄川氏は無断録音は学問の自由を侵害する違法なものなどとして、損害賠償請求も行っていたが、これに対し一審判決は、録音対象の大半は授業ではなくガイダンス部分だったとして、これを認めなかった。
 一方、大学側は「解雇は録音を告発したことが理由ではない」「(東京地裁判決は)録音の対象は、初回授業におけるガイダンスの部分で講義ではなく、大学の管理運営のための権限の範囲内において適法に行われた、と判示された」としている。
 こうした見解の相違から、大学側も原告側も控訴する方針。
 なお、寄川氏、代理人の太期宗平弁護士と共に記者会見に同席した小林節慶應大学名誉教授は、「学者は個性的で、それをお互いに許容し合って、歴史のなかで評価が定まって来るもの。個性を尊重しない多数決で押さえ込もうということが日本中で起きている」と懸念を表明した。
 学問の自由がどこまで守られるか、控訴審の行方にも要注目だ。


2018年07月09日

都留文科大学、ブラック大学(人権侵害大学)の先端をいく

都留文科大学事件一覧

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,少なくとも2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

2018年07月08日

盗聴告発教授の解雇は「無効」、改めて問われる明学の体質

『日刊ゲンダイ』(2018年7月4日)

盗聴告発教授の解雇は「無効」 改めて問われる明学の体質

 明治学院大学が揺れている。大学当局が教授に無断で授業を録音し、それを告発した教授が解雇され、その無効を争った裁判の判決が先月28日に下された。東京地裁は「教授の解雇は無効である」と判断した。
 3日、原告の寄川条路教授と太期宗平弁護士、法学者の小林節慶大名誉教授が司法記者クラブで会見を行った。
 寄川教授の担当は倫理学。盗聴が行われたのは、2015年4月の授業で、300人の学生を相手に行われたものだった。
 寄川教授によると明治学院大学では大学組織を守るために、授業の盗聴が慣例として行われており、今回とは別の教員も授業を盗聴されて解雇されたという。
 大学に批判的な教員を選別して盗聴している可能性が高い。小林氏はこう言う。
「学者は個性的で、それをお互いに許容し合って、歴史のなかで評価が定まってくるもの。個性を尊重しない多数決で押さえ込もうということが日本中で起きている」
 大学側は判決について同日付の文書で、解雇理由は録音を告発したことではなく、原告の「不適切な言動」と説明。具体的な内容については、係争中の事柄につきコメントを控えるとし、控訴を予定している。
 学問の自由がどこまで守られるのか注目が集まる。


明治学院大、元教授の解雇「無効」 東京地裁判決 授業無断録音訴訟

■東京新聞(2018年7月4日)

明治学院大 元教授の解雇「無効」 東京地裁判決 授業無断録音訴訟

 授業を無断録音され、懲戒解雇されたのは不当として、明治学院大学(東京都港区)の元教授寄川条路(よりかわじょうじ)さん(56)が、教授としての地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁(江原健志裁判長)は、同大を運営する学校法人明治学院に解雇無効を命じる判決を言い渡した。授業の録音については違法性を認めなかった。3日、記者会見した寄川さんは「無断録音は客観的事実なのに違法性を認めないのは筋が通らない」と述べた。判決言い渡しは6月28日。
 訴えなどによると、寄川さんは同大の教授だった2015年、授業で大学の運営方針を批判したことなどを理由に大学側から厳重注意を受けた。大学側が授業の録音を聞いて寄川さんの批判を知ったと認めたため、寄川さんは教授名を挙げて「録音テープを渡した人を探している」とテスト用紙の余白に印刷し、学生に情報提供を呼び掛けた。
 大学側は、その教授が録音にかかわった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして、16年に寄川さんを懲戒解雇。寄川さんは「授業の無断録音は表現の自由や学問の自由の侵害だ」と訴えていた。
 江原裁判長は判決理由で、授業での寄川さんの態度が不適切だったと認定したが、解雇は「客観的に合理的な理由を欠く」として無効と結論付けた。一方、録音した授業は年度初めのガイダンスで、講義ではなかったなどと判断、「大学の管理運営のための権限の範囲内」と指摘した。双方が控訴する方針。


2018年07月07日

地位確認求め都留文大提訴、男性教授

■山梨日日新聞(2018年7月5日)

 研究室などへの立ち入りを妨害されて研究や授業が行えないなどとして、都留文科大文学部の男性教授(53)が4日、同大と理事7人を相手取り、地位確認などを求める訴訟を東京地裁立川支部に起こした。

 訴状や原告代理人によると、都留文科大は2012年7月、教授が以前勤めていた大学の処分を躇まえ、教授を解雇。その後、教授は地位確認を求めて提訴し、14年11月に復職することなどで同大と和解した。しかし、和解後も「教授会に出席できず、研究や授業ができない状態が続いているとし、実際には復職が認められていないと主張している。

 訴訟では、①教授が国語学の指導を担当する地位にあることの確認②教授が同大の研究室などへの立ち入りや教授会への出席などを妨害しないこと③慰謝料などとして約665万円を支払うこと-などを求めている。

 提訴後、会見した教授は「嫌がらせもあり、大学の対応は異常だ。研究や学生指導など教員として仕事を全うさせてほしい」と訴えた。

 同大総務課は取材に「訴状の内容義認し、対応を検討していく」とした。教授の現状については「教授として在籍しているが担当する業務はない」と説明している。
(小池直輝、岡達也)(共同〉

都留文大教授、復職を求めて提訴

NHK News(2018年07月04日)

山梨県の都留文科大学の教授が、セクハラ行為があったとする疑いで解雇されたあと、裁判で、教授としての地位を認めることで和解したにも関わらず、業務が出来ない状態が続いているなどとして、大学側に業務が出来るよう復職などを求める訴えを東京地方裁判所立川支部に起こしました。

訴えを起こしたのは、山梨県都留市にある都留文科大学の53歳の男性教授です。
訴えによりますと、男性教授は以前務めていた大学でセクハラ行為があったとする疑いで6年前に解雇されましたが、その後、解雇をめぐる裁判で大学側が教授の地位や賃金の支払いを認めることなどで和解したということです。
しかし、賃金の支払いは行われているものの、復職が認められず、大学への立ち入りや教授会への出席なども出来ない状態が続いているということです。
これをうけて男性教授は、大学と大学の理事らに対し、教授として復職し業務を出来るようにすることや、慰謝料などとして900万円あまりの支払いを求める訴えを4日、東京地方裁判所立川支部に起こしました。
訴えについて都留文科大学は「訴状が届いていないので詳しい内容はコメントできません」としています。


都留文科大学に異を唱えた専任教員3名が所属学科から不当に排除された問題で大学を提訴

三多摩法律事務所
 ∟●都留文科大学に異を唱えた専任教員3名が所属学科から不当に排除された問題で大学を提訴(2018-06-20)

 公立大学法人都留文科大学は、2012年3月から違法に退職手当の一部を不払いにしており、2度にわたる訴訟では、いずれも教員の完全勝訴判決が確定しました。

 この問題や不合理な人事その他の不当労働行為等に対して、都留文科大学教職員組合(労働組合)は大学教職員の権利を守るために、法令に基づく健全な大学運営を求めて、裁判支援や労働委員会への救済手続きの申し立てなど、活発に活動しました。

 これに対し大学当局は、本年4月より「社会学科」を「地域社会学科」へ変更することに乗じて、他の教員は全員を引き続き「地域社会学科」へ配属したにもかかわらず、組合の書記長を経験し、学長の専断的な大学運営に対する意見を述べてきた3名の専任教員に対しては、意向確認すらせず、理由なく「地域社会学科」から排除しました。公的性格を有する公立大学で、このような露骨な不当労働行為が許されるはずもありません。

 この問題について、上記3名の専任教員が原告となり、「地域社会学科」に所属していることの地位確認を求めるとともに、学科から排除されるためにゼミ(演習)の担当を外される等によって被る精神的苦痛について慰謝料500万円の支払いを求める裁判を3月に提起しました。原告となった3名の権利を守るために尽力する所存です。ご支援をお願いいたします。


組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴

日本共産党山梨県委員会(04/03/2018)

組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴

 都留文科大学の教授2人と准教授1人の3氏が3月26日、教職員組合活動などを理由に改編される新学科に配属されないのは不当だとして専任教員としての地位確認と慰謝料など2130万円を大学に求めて東京地裁に提訴しました。

 訴状によれば、大学は4月から社会学科が地域社会学科に改編されるにあたり、社会学科の原告3人には意向を確認しないで新学科配属を認めず専任教員としてゼミを担当させないなどの決定をしたとしています。

 原告は、3人が労働組合の中心的役割を担うとともに、大学の自治や民主的運営、教員の権利実現のために積極的意見を述べてきたことによる報復的で不当労働行為だと主張しています。

 都留文科大学では学校教育法の改正により、学長の権限が強まり、2013年には退職手当規程の不利益変更が強行され、退職者6名による訴訟(2016年最高裁で大学側敗訴確定)などの労働争議が起こっています。

 記者会見で原告の教授は「教員や公務員を多く養成している大学で学長によるトップダウンが進められ、異論を指摘する人を排除する。日本の大学のあり方が問われている。日本社会にとって見過ごせない問題だという思いで提訴した」と語りました。


2018年07月06日

大学の方針を批判、明治学院大教授の「解雇」は無効…東京地裁

弁護士ドットコム
 ∟●大学の方針を批判、明治学院大教授の「解雇」は無効…東京地裁

明治学院大で、倫理学を担当していた寄川条路教授が、不当な解雇をされたとして、大学を運営する学校法人「明治学院」(東京都・港区)を相手取り、教授としての地位確認や賃金の支払いなどを求めていた訴訟で、東京地裁(江原健志裁判長)は、解雇は無効とする判決を下した。判決は6月28日付。

寄川さんと代理人弁護士らが7月3日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いて、明らかにした。寄川さんは「地位確認が認められて、ホッとしている」と心境を打ち明けた。一方で、大学側は、判決を不服として、控訴する方針を示している。

●解雇権濫用で「無効」に
判決によると、大学側は2015年4月、寄川さんに断りを入れず、授業のガイダンスなどを録音。さらに同年12月、寄川さんが、大学の方針を批判していたとして、厳重注意とした。寄川さんは授業の中で、特定の教員の名前をあげて、無断録音に関する情報提供を学生たちに呼びかけた。大学側は2016年10月、寄川さんを懲戒解雇とした。

東京地裁の江原裁判長は、原告に、教職員や学生に対する不適切な言動や、大学の方針に反する言動があったことは認めながらも、「職務上の義務に反したとまでいえない」「酌むべき事情があった」と判断。大学による解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。

寄川さんは、大学側による授業の録音行為を「教授の人格権」(学問の自由)を侵害するものとして、慰謝料をもとめていた。こちらについては、江原裁判長は「録音対象は、講義そのものではなく、ガイダンス部分だった」「録音は不当な目的や動機によるものではない」として棄却した。

明治学院大は、弁護士ドットコムニュースの取材に「解雇は録音を告発したことを理由にされたものではない」「(東京地裁で)録音の対象は、初回授業におけるガイダンスの部分であって講義そのものではなく、大学の管理運営のための権限の範囲内において適法におこなわれた、と判示された」などと回答した。今後、控訴する予定としている。


明治学院大学不当解雇事件、東京地裁・勝訴判決(2018年6月28日)主文

東京地裁・判決(2018年6月28日)主文

「明治学院大学事件」の判決(主文)

 大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした事件の判決が出ました。以下は判決の主文です。

1 原告が被告に対して労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は、原告に対し、33万2714円及びこれに対する平成28年10月23日から支払い済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告に対し、平成28年11月22日からこの判決の確定の日まで、毎月22日限り、69万8700円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済まで年5%の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は、これを14分し、その5を原告の負担とし、その余は、被告の負担とする。


2018年06月29日

明治学院大学解雇事件、勝訴判決を受け7月3日記者会見

記者会見のお知らせ

大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした大事件の判決が出ましたので、本件に詳しい憲法学者・小林節慶應義塾大学名誉教授をお招きして、記者会見を開催いたします。

日 時:2018年7月3日(火)15時30分~16時10分
場 所:東京地裁・司法記者クラブ

登壇者:
1.原 告・寄川条路(明治学院大学教授)「明治学院大学事件の概要」
2.弁護士・太期宗平(ベリーベスト法律事務所)「裁判と判決の概要」
3.法学者・小林 節(慶應義塾大学名誉教授)「明治学院大学事件の意義」

概 要:2018年6月28日、東京地方裁判所は、大学当局による教授の解雇は無効である、との判決を下した。


2018年06月28日

明治学院大学解雇事件、東京地裁判決(2018年6月28日)勝訴!

祝 勝訴!

速報 2018年6月28日,東京地裁にて,明治学院大学解雇事件について判決がありました。

原告の勝訴とのことです!

詳細は後ほど。

2018年06月26日

日大教員たちが訴える「大学本部の腐敗」 非常勤を解雇し、専任教員で穴埋め

プレジデント・オンライン(2018年6月26日)

日大教員たちが訴える「大学本部の腐敗」
非常勤を解雇し、専任教員で穴埋め

ジャーナリスト 田中 圭太郎

 日本大学のガバナンスはどうなっているのか。問題はアメフト部の危険タックルだけではない。日大は今年3月、英語の非常勤講師15人を解雇。プレジデントオンラインではその1人の声を報じたが、日大の態度は変わらず、講師8人は6月22日、日大に地位確認を求める訴えを東京地方裁判所に起こした。提訴を避けるため、講師たちは日大と団体交渉を重ねてきたが、大学本部のトップである田中英壽・理事長と人事の責任者だった内田正人・元アメフト部監督の2人は、一度も姿をみせなかったという。これでいいのか――。

非常勤講師8人が日大を提訴

 6月22日午後2時過ぎ、日本大学を解雇された非常勤講師と弁護団が東京地方裁判所を訪れた。持ってきたのは書き上げられたばかりの訴状だった。

 前夜、首都圏大学非常勤講師組合と日大との間で3カ月ぶりの団体交渉が行われた。しかし、違法な解雇だと訴える講師らの主張を、大学側はまったく聞き入れなかった。

 その結果、解雇された講師のうち6人と、一方的に担当授業を削減された講師2人が法廷闘争を決意。日大を相手取り、解雇や授業の削減は違法かつ無効であるとして、地位確認を求めて東京地方裁判所に提訴した。

 同日、原告団は記者会見を開き、危機管理学部とスポーツ科学部から雇い止めされた原告団長の真砂久晃さんが「声明」を読み上げた。以下はその抜粋だ。

「学びと研究の共同体を破壊する大学本部」

 「日本大学を提訴することは、私たちにとって、苦渋の選択でした。原告団の中には、今でも日大の学生を教えているものが何人もいます。それでなくても、アメフト問題で傷ついた学生たちが、私たちの行動で、また心を痛めるのではないかと思うと、いたたまれません」

 「日本大学には、愚かな人間はほとんどいません。大部分の教職員は思いやりのある、愛すべき人々です。私たちは日本大学を愛しています。ですから、私たちが今回、異議を申し立て、是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対してなのです」

 「私たちが糾弾したいのは、この学びと研究の共同体を破壊する大学本部です。彼らは、学生を守ると述べていますが、非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがありません」

 真砂さんが糾弾する大学本部のトップは田中英壽理事長、講師を解雇した当時の人事の責任者は、危険タックル問題で職を追われたアメフト部前監督の内田正人氏だ。2人とも講師たちとの団体交渉に出席したことは一度もなく、責任者として解雇の理由を語ったこともない。外部からの指摘に対してしかるべき人物が明確な説明をしない点は、アメフト部の問題と同じだ。

なぜ日大は非常勤講師を解雇したかったのか

 今年4月の記事で声を報じた井上悦男さんも会見の席にいた。井上さんは17年間、日大で非常勤講師を務めたが、今年3月、突然解雇された。提訴についてはこう話す。

 「大学は、学生中心で、教員とともに学問と研究をするためにあるはずです。それが、一部の方の利益追求になりつつある。そのことを危惧している」

 なぜ自分たちは解雇されなければならなかったのか。大学側は何も語っていないが、提訴に至るまでの間に、少しずつその理由が明らかになってきた。

非常勤講師をゼロにして、すべて専任教員に担当させる

 日大の危機管理学部とスポーツ科学部で、英語の非常勤講師15人が集団解雇されることが明らかになったのは去年11月。今年3月末に解雇が強行されたが、その後、非常勤講師の解雇は他の学部にも及んでいることがわかった。首都圏大学非常勤講師組合が現時点で把握しているところでは、危機管理学部とスポーツ科学部に加え、経済学部、理工学部、文理学部、工学部(福島県郡山市)と、少なくとも6つの学部で数十人に及ぶとみられている。

 非常勤講師の多くは、2013年4月に施行された改正労働契約法によって、今年4月以降に無期雇用への転換を申し込めば、来年の契約から切り替わるはずだった。改正労働契約法では、非正規の労働者が同じ職場で5年以上働いた場合、無期雇用に転換する権利が得られる。本人が申し込めば、認められるのだ。

 それにもかかわらず、このタイミングで非常勤講師の大量解雇が行われた背景には、大学本部が無期雇用への転換阻止を狙っているのではないかと受け止められてきた。

 その事実を裏付ける内部文書の存在が明らかになった。その文書は「非常勤講師に係る対応について」というタイトルがつけられており、2015年11月に理事会で決定されたものだ。

 文書の冒頭には「1 非常勤講師に対しての基本的な考え方」とあり、そこには次のように記されている。

 「専任教員の授業持ちコマ数の適正化など教員人事配置計画の見直しを図る過渡期において非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」

 つまり「今後の大学運営」を考えると、非常勤講師の無期雇用は認められない、という意味だ。これは明らかに法律の趣旨と矛楯している。

非常勤講師を全員解雇して、専任教員に穴埋めさせる

 さらに、2015年7月に学内に通達された文書「教学に関する全学的な基本方針」では、各学部に授業科目数の2割削減を目指すことと、専任教員の担当講義数を1人週5コマから8コマに見直すことが盛り込まれていた。この通達が実施されると、のべ3600人以上の非常勤講師の授業がなくなることになる。

 具体的には、2017年現在、総授業コマ数は1万9828コマ(医学部と歯学部を除く)で、そのうち2714人の専任教員が1万2418コマ(ひとり平均4.6コマ)、のべ3643人の非常勤講師が7410コマ(ひとり平均2.0コマ)を担当している。大学本部が掲げる授業科目数の2割削減が実現されると、3965コマが削減されるため、それらがすべて非常勤講師の担当科目に集中すると、のべ1950人分、実数では1000人近い非常勤講師が雇い止めされることになる。

 さらに、専任のコマ数が5コマから8コマに増えた場合、計算上は専任だけですべての授業を担当できるようになる。このため講師たちは、大学の目的は、のべ3600人以上の非常勤講師を全員解雇することだと疑うようになった。

3カ月ぶりの団交でみせた大学の態度

 講師たちの疑念は、提訴の前夜、6月21日に、3カ月ぶりに開かれた首都圏大学非常勤講師組合と日大の団体交渉で確信に変わった。

 日大で非常勤講師15人が担当していた英語の授業は、現在、語学学校に委託されている。前回の記事でも詳報したが、大学の授業を語学学校に委託という形で「丸投げ」することは、学校教育法に違反する。大学側は3月の団体交渉で、「専任教員が授業を観察しているので丸投げではない」と主張した。だが、観察という名目で専任教員が授業に介入すれば、今度は労働者派遣法違反の「偽装請負」となる恐れがある。

 組合側は、専任教員が病気などで不在の場合の対応について聞いた。すると日大は「休講にはしない」という。これでは一時的に「丸投げ」の状態になる。また専任講師が語学学校の講師と一緒に授業をすることもあるという。これでは「偽装請負」だ。

 これでは違法な状態を黙認することになるはずだが、大学側はこう言い放った。

 「それはあなたたちには関係ない」

 大学側は現在の英語の授業について聞かれるのは「筋違いだ」と主張。その理由を次のように述べた。

 「まず先に、非常勤講師を辞めさせたのです。授業をどうするかは、その後の話です」

 つまり、危機管理学部とスポーツ科学部の英語の非常勤講師を全員辞めさせることが前提であり、その先の対応について説明するつもりはない、ということだ。

 この2つの学部は2016年4月に新設された。解雇の方針を打ち出した時、2つの学部を統括する三軒茶屋キャンパスの事務局長兼事務取扱は田中理事長だった。非常勤講師に解雇を言い渡した説明会の通知文書に、田中理事長の名前が載っている。15人の解雇と「丸投げ」や「偽装請負」という違法行為について、田中理事長は認識しているはずだ。

 田中理事長と人事の責任者だった内田氏は、団体交渉に一度も出席していない。提訴前日となる6月21日の団体交渉にも姿はなく、内田氏の後任となる人事責任者も出席しなかった。大量解雇を実施するうえで、責任者は一切の説明を放棄しているのだ。

日大は本当に変われるのか
 
 団体交渉を終えた夜9時過ぎ、会場から出てきた井上悦男さんは、あきれた様子でこう話した。

 「正直なところ、アメフト部の問題で大学が批判され、内田さんが人事担当常務理事や人事部長をやめたことで、対応が少し変わるのではないかと期待していました。しかし、まったくそんなことはありませんでした。これまでの団体交渉ともつじつまがあわない、その場しのぎの説明が繰り返されました。誠実さを欠いています」

 アメフト部の危険タックル問題でも、日大は内田氏と学生の証言の食い違いについて十分に説明していない。非常勤講師の大量解雇でも、解雇を行う理由や違法性の疑いについて説明していない。団体交渉が平行線で終わった後、井上さんは大学側に「人事の担当の方が変わって、これから皆さんとわれわれの関係は変わるんですか」と尋ねた。その回答はこうだった。

 「信頼関係がないとそちらが言うのであればわかりませんが、われわれは変わらないです」

 責任のとれない立場では、これが精いっぱいなのかもしれない。しかし、この団体交渉で、「信頼関係が作れる」と思えた講師はいなかった。

 井上さんは、翌日の会見で、こう述べた。

 「大学は、学生に本来法律を守らないといけないと身をもって示さないといけないのに、一部の方々が法律を破っているのは、学生に示しがつかないと思っています。教育機関として、正しい判断をしていただければと思います」

 どれだけ批判を集めても、トップが顔を見せないまま突き進む。これが日大のいまの姿だ。講師たちは残念ながら、交渉の余地を見いだせず、法廷に判断を委ねるしかなかったのだ。

田中圭太郎(たなか・けいたろう)
ジャーナリスト
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。


2018年06月25日

是正勧告 四国大に 違法な時間外労働で 労基署

毎日新聞(2018年6月21日地方版)

 職員に違法な時間外労働をさせていたとして、徳島労働基準監督署が5月7日付で、四国大(徳島市)に是正勧告を行っていたことがわかった。同大学は2013年にも違法な時間外労働で同監督署の是正勧告を受けている。

 四国大によると、同監督署は17年に労使協定で定めた1日4時間の時間外労働の上限を超えた自己申告の勤務記録が見つかったことや、労働日数や勤務時間を賃金台帳に記入していなかったことを指摘した。

 また、同大学は1カ月間の時間外労働を最も長い教員で労使協定の上限である60時間としていた。3月には60時間に近い申告をしている職員が複数おり、同監督署は「適正な自己申告が阻害され、過少申告の恐れがある」と指導した。

 同大学は「勧告を受け、勤務の実態に合わせた改善やシステムの更新などの対応をしている」と説明した。

 同大学では13年、女性准教授が時間外労働によるうつ病を発症したとして、同監督署に労災認定されている。【大坂和也】


2018年06月23日

「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴

弁護士ドットコムNews(2018年06月22日)

「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴

日本大学から不当に雇い止めをされたり講義のコマ数を減らされたりしたとして、日大で英語などを教えていた8人の非常勤講師が6月22日、日大を相手取り、東京地裁に雇い止めが無効であることの確認を求める訴えを起こした。あわせて、1人あたり20万円の慰謝料なども求めた。原告や原告を支援する首都圏大学非常勤講師組合が同日会見し、明らかにした。

●原告「契約更新への合理的期待がある」

訴状などによると、日大は原告ら非常勤講師を採用するにあたって、新学部である危機管理学部とスポーツ科学部の設立を見据え、「平成28(2016)年4月からご担当願います」「平成32(2020)年3月までは継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と記したペーパーを渡していた(ペーパーの日付は、2014年11月25日付)。

ところが2018年3月をもって雇い止めにされたり、コマ数を減らされたりした。原告側は「4年間の雇用期間まで更新される旨の合意が存在しており、仮に合意の存在が認められなくても、4年間の契約更新への高い合理的期待がある」と主張している。会見で代理人の中川勝之弁護士は「4年間という合意は明確にあったと思う。鋭意、戦っていきたい」と話した。

また、日大が講義を外部の民間組織に委託したため、そのぶん講義のコマ数を減らされた非常勤講師もいる。それにより、多い人で月額20万円前後の賃下げになったという。原告側は、委託した講義で、日大の専任教員が出す指示のとおりに委託先の講師が動いているとして、「偽装請負となっている疑いが強い」とも指摘している。

●日大による非常勤講師ゼロ化計画か

原告団の真砂久晃団長は会見で、「今回私たちが是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対して」だとし、「非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがない」と語った。

別の非常勤講師の男性は「ルールを無視して、働く者の権利をないがしろにして、色々な事柄を隠蔽して対処しようとする姿勢に疑問を持っている。教育機関として、正しい判断をしてほしい」と求めた。

原告側が入手した日大人事部の内部文書「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」と記されていたという。このため、原告側は、「日大による非常勤講師ゼロ化計画だ」と批判している。

無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのこと。賃上げの保証はないが、予期せぬ契約打ち切りに怯える必要がなくなる。


日大・解雇された非常勤講師がついに大学を提訴へ

現代ビジネス(2018.06.22)

日大・解雇された非常勤講師がついに大学を提訴へ

田中 圭太郎

アメフト部の危険タックル問題への対応で、ガバナンスの欠如が指摘されている日本大学。その日大で、今年3月末に数十人の非常勤講師を一方的に解雇した問題がくすぶっている。

合理的な理由も示さないまま解雇を強行したとして、首都圏大学非常勤講師組合は大学側に団交を要求。大学側はついにこれに応じ、6月21日の夜、同組合との団体交渉に応じた。

だが、この団交の場に、人事担当の常務理事は出席せず。さらに、復職を求めた講師らの声を聞くこともなく、解雇について納得のいく説明を行われないまま、交渉は決裂してしまったという。

結局、解雇された非常勤講師らは、22日午後に地位確認を求めて日本大学を提訴することに。両者の争いは泥沼の様相を呈してきた。

アメフト問題に揺れる日大だが、「非常勤講師の雇用問題」という火種にどう対応するのだろうか。

何も変わらなかった

「団体交渉に責任ある人物は出てきませんでした。大学側の説明はこれまでの交渉ともつじつまが合いません。誠実さを欠いているとしか言いようがありません」

6月21日午後9時過ぎ。団体交渉の会場から出てきた非常勤講師の男性が、呆れた顔で漏らした。

今年3月末、日本大学は危機管理学部とスポーツ科学部の英語の非常勤講師15人を解雇。非常勤講師らによれば、雇用当初は「最低でも4年間の雇用」を約束していたにもかかわらず、「教育課程の再構築を行う」という不明瞭な理由で、大学側は非常勤講師の解雇に踏み切ったという。

その後、解雇されたのはこの2つの学部の非常勤講師だけではなかったことが判明。複数の学部で、非常勤講師の雇い止めをしていたようだ。少なくとも複数の学部で、3月末時点で数十人が解雇されたとみられ、このままいけば、日大で働く3000人超の非常勤講師全員が解雇されるのではないか――そんな危機感が高まっていたという。

冒頭で嘆いた非常勤講師も、大学に突然の解雇を告げられた一人だ。それから3ヵ月。アメフト部の問題で世間の批判を浴びたこともあり、大学側も態度を改め、少しは耳を傾けてくれるだろう......と、今回の団交に少なからぬ期待を持っていたという。

特に焦点となっていたのが、大学側の人事の責任者である常務理事が団交の場に出て来るかどうか、だった。

今年3月時点での大学側の人事責任者は、アメフト部の前監督で、選手に危険なタックルを指示したかどうかが焦点となっている内田正人氏(肩書は人事担当常務理事兼人事部長)。過去、内田氏は非常勤講師組合との団体交渉には一度も出席したことはなく、結局責任者が何の説明もしないまま、大学は多くの非常勤講師を解雇したのだった。

その内田氏は、危険タックル問題の責任をとるような形で、5月30日付で常務理事を辞任。6月11日付で人事部長の職も解かれた。

これによって、大学側の対応の変化を期待していたというが、21日の団交でも、結局人事担当の常務理事は出席せず。非常勤講師への姿勢も、ほとんど何の変化もなかったという。その失意の大きさたるや、計り知れないものがあっただろう。

午後6時半から始まった団体交渉は2時間半に及んだ。非常勤講師側は、「なぜ突然解雇したのか」「そのようなことが許されるのか」といったことを問うたが、大学はほとんどすべてを「筋違いな主張」と一蹴。結局両者に歩み寄りは見られず、決裂してしまった。

もはや大学との交渉の余地はなくなった、と非常勤講師らは判断。解雇された非常勤講師6人と、担当している授業を減らされた2人が、本日6月22日午後、早期に復職させるよう地位確認を求める訴えを、東京地方裁判所に起こすことを決めたという。

理事長の説明を求める声

アメフト部の危険タックル問題も、非常勤講師の大量解雇問題も、大学側の説明が不十分であることに共通点が見られる。タックル問題について、内田氏も大学も世間の納得いく説明をほとんどしていない。同様に解雇問題でも、やはり十分な説明が尽くされぬまま「幕引き」を図ろうとしてるように見える。危険タックルを命じられた学生も、非常勤講師も「組織の中では使い捨ての駒のようなもの」と捉えているように見受けられる。

アメフト部の問題について、多くのメディアが日大のトップである田中英壽理事長自ら説明すべきだと求めたが、解雇問題でも、クビを切られた職員たちは、やはり日大のトップである田中理事長直々の説明が欲しいと求めているという。「クビきり」が経営上の理由から行われるのであれば、理事長の言葉を聞きたいという気持ちは当然だろう。

しかし、大学側からは、田中理事長の言葉はもちろん、他の理事からも納得のいく説明はなかったという。

これ以上何を話しても仕方がないと分かったうえで、組合側は少しでも今回の「クビきり」の背景にあるものをさぐろうと、団体交渉の最後にこう質問した。

「もしも理事長が別の人に変わったら、大学と組合の間で平行線になっている問題は、解決するのでしょうか」

大学側の答えはこうだった。

「仮定のことには答えられません」

非常勤講師の解雇をめぐる問題は、法廷の場に舞台を移すことになりそうだ。両者の歩み寄りが見られる日は来るのだろうか。


奈良学園大学、学部再編失敗で教員一斉強制解雇…学部新設で虚偽申請も

Business Journal(2018.06.11)

奈良学園大学、学部再編失敗で教員一斉強制解雇…学部新設で虚偽申請も

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

 大学に入学する年齢である18歳の人口が、今年から減少する「2018年問題」。私立大学の約4割がすでに定員割れの状態にあり、これから本格的な淘汰の時代がやってくる。大学が再編や統合を迫られた時、大学で働く教職員はどうなるのか――。

 この点で注目されているのが、奈良学園大学をめぐる裁判だ。この大学では約40人の教員がリストラにあい、最終的に解雇された8人が大学を運営する法人を訴えている。筆者は奈良学園大学を訪れ、解雇された元教員を取材した。

教員約40人をリストラ

「私たちは、大学による学部の再編失敗のしわ寄せによって解雇されました。こんな解雇が許されたら、大学改革や再編の名の下で理不尽な解雇が可能になります。絶対に許すわけにはいきません」

 こう憤るのは、2017年3月末に奈良学園大学を解雇された川本正知さん(64)。京都大学大学院文学研究科博士後期課程を単位取得退学し、複数の大学・短大で非常勤講師を勤めたあと、1989年に奈良学園大学の前身、奈良産業大学に講師として勤務。1999年からは教授の立場にあった。

 実は、同じ時期に職を失った教員は川本さんだけではない。13年11月、約40人の教員が17年3月までに転退職するよう迫られた。多くの教員は他大学に移るなどして若干の優遇措置とひきかえに大学を去ったが、その他の教員は雇い止めされたほか、教職員組合を結成して最後まで交渉を試みた川本さんら8人が解雇された。

 8人は大学を運営する学校法人奈良学園を相手取り、地位の確認などを求めて17年4月に奈良地方裁判所に提訴。16年11月には、奈良県労働委員会に不当労働行為の救済の申し立てもしている。しかし、両者の主張は対立したままで、いまだ解決の糸口を見いだせていない。

 明確なのは、川本さんをはじめ、リストラされた約40人に非がないことだ。リストラの直接的な原因は、学部の再編の失敗にあった。

学部再編を申請するも文部科学省から「警告」

 奈良学園大学は1984年、奈良県生駒郡三郷町に奈良産業大学として開学。硬式野球部は過去に多くのプロ野球選手を輩出している強豪チームで、今年6月に開催される全日本大学野球選手権大会にも出場する。筆者が訪れた日は3月の春休み中だったが、練習があるのか、ユニフォーム姿の部員がキャンパス内を歩いていた。

 名称が奈良学園大学になったのは14年4月。名称が変わる直前はビジネス学部と情報学部を有していたが、法人は名称変更に合わせてこの2つの学部を「現代社会学部」に改編することと、「人間教育学部」と「保健医療学部」の新設を13年に文部科学省に申請した。

 しかし、新設する2学部は設置が認可されたが、「現代社会学部」は要件を満たしていないとして文部科学省から同年8月に「警告」を受けた。すると、法人は申請をやり直すのではなく、すぐさま申請を取り下げてしまった。

「現代社会学部」を申請する時点では、再編が成立しない時にはビジネス学部と情報学部に戻して募集を継続することを、教授会だけでなく、理事会も大学評議会も決議していた。申請を取り下げても、既存の2学部は存続するはずだった。

 ところがこの年の11月、法人は突然、教員向けの説明会を開催。ビジネス学部と情報学部の廃止を告げるとともに、教員約40人に対し転退職を迫ったのだ。

法人側は「警備員なら雇う

 川本さんは、法人側の説明に唖然とした。2学部を廃止することも、自分たちがリストラされることも、まったく想像していなかったからだ。

 法人側が説明した解雇の理由は「過員」。新設の2学部のために、すでに約40人の教員を新規に採用していたので、教員が多すぎるというのだ。しかし既存の2学部を廃止するのは法人側の一方的な決定であり、教員にとって「過員」という理由は納得できるものではなかった。さらに、この説明会で法人側が言い放った言葉に川本さんは驚いた。

「法人側は私たちに、警備員なら雇用継続が可能だと言いました。この発言には耳を疑いました。既存の学部を残すという決定があったにもかかわらずリストラをするのは、道義的にも許されることではありませんし、教育機関とは思えない行為です」

 大学を運営する学校法人奈良学園は、幼稚園から大学まで10の学校を運営し、約200億円を超える流動資産を保有。ここ10年間で300億円以上の設備投資もしている。経営難を理由としない大量リストラは異例だ。

 このリストラを止めようと、川本さんらは教職員組合を結成して、奈良県労働委員会にあっせんを申請。16年7月には、奈良県労働委員会から「互いの主張を真摯に受け止め、早期に問題解決が図られるよう努力する」ことと、「労使双方は組合員の雇用継続・転退職等の具体的な処遇について、誠実に協議する」とのあっせん案が示された。労使双方がこのあっせんに合意し、団体交渉を進めるはずだった。

 ところが法人はこの合意に反して、8月には「事務職員への配置転換の募集のお知らせ」を一方的に配布。さらに11月には組合員に退職勧奨をすることを理事会で決定した。

 組合は退職勧奨を受けてすぐに、奈良県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。すると法人は、翌17年2月に解雇予告通知書を出して、3月末に組合員全員の解雇を強行。翌月、川本さんら組合員が提訴して、裁判と労働委員会の審判は現在も続いている。

大学や学部新設で2度にわたる虚偽申請

 学部の新設などをめぐる法人の不手際は、今回に限ったことではない。法人は06年に奈良文化女子短期大学を改組して「関西科学大学」を設立する申請をしたが、申請書類に虚偽の記載があったことが文部科学省から指摘され、取り下げざるを得なくなった。すでに亡くなっていた初代理事長を理事会の構成員として申請していたのだ。

 申請を取り下げた時には、すでに200人以上の入学者の内定を出していて、大きな問題となった。内定者には1人あたり30万円の補償金を支払ったほか、文部科学省から処分を受けて、新たな学部の申請は3年間禁じられた。

 さらに07年にビジネス学部の開設を申請した際にも、またも書類に虚偽記載があったほか、虚偽の教員名簿を提出したことが判明した。そして今回の「現代社会学部」では、設置計画に多くの欠陥が指摘された。

 これだけ大学設立や学部の再編に失敗しても、法人や大学の幹部はなんの総括もしていないし、責任も取っていないと川本さんは指摘する。

「自分たちは失敗の責任を取らずに、教員にリストラを押し付けたのが今回の問題の構図です。こんなことが許されたら、大学の経営陣が赤字学部の教員を一方的に解雇することが可能になってしまいます」

 川本さんら解雇された多くの教員は、収入がゼロになり、貯金を崩しながらなんとか生活している。なかには他の大学で非常勤講師をしている教員もいるが、収入は以前の半分にも満たない。それでも裁判は続けると川本さんは話す。

「私たちが泣き寝入りしたら悪しき前例になり、日本の私立大学全体に影響してしまうでしょう。大学教員の労働者としての権利が蹂躙されているのは明らかです。大学教育を守るためにも、諦めずに訴えていきます」

 筆者の取材に対し、学校法人奈良学園は「係争中にあるのでお答えできません」と話すのみだった。裁判の結果は、これからの私立大学教員の雇用を左右する。

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)


2018年06月22日

日本大学・田中理事長宛の「 要求書」への賛同署名のお願い

 大学のあり方が問われる社会問題となった日大アメフト事件および日大問題について、以下のリンク先で、日本大学教職員組合が学校法人 日本大学理事長宛に対する「要求書」のweb賛同署名を開始しています(締切予定日:6月27日(木)17:00)。

 日大関係者だけでなく、この問題に社会的関心を寄せている一般の人も署名できます。
 お忙しいところ恐縮ですが、SNS等でご家族・ご友人などに賛同の輪を拡散していただければ幸いです。

http://union-nihon-u.o.oo7.jp/wp/signature20180612/

 以下のスマホ用のサイトからも署名ができます。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf1FgDVgh5L4qI1LlYdzNpkB-OnDU0kdUoQoqlxxM39tUUKXw/viewform?embedded=true

 なお、署名では、氏名等の情報の公開・非公開が選択できます。

田中理事長宛の「 要求書」への賛同署名のお願い

署名サイト
http://union-nihon-u.o.oo7.jp/wp/signature20180612/

 私たちは、5月31日(木)、「『日大アメフト部事件』関連の一連の騒動を踏まえての教職員組合の要求書」を田中英壽理事長に提出すると同時に、広く社会に向けて公表しました。
 「要求書」で詳しく述べている通り、「学生を守ることができない/自分たちの保身や組織防衛のためには学生を平気で切り捨ててしまう大学なんだ!」という世間から押されてしまった「負の烙印」を払拭して、地に落ちた社会的信用を回復し、在学生と保護者、卒業生が被る社会的不利益を最少化するためには、もはや日本大学が「抜本的な改革と再生」を図るより他に道はないと考え、6月30日までに実行すべきことを田中理事長に要求しました。
 私たち日本大学の教職員は、何よりも第一に一人一人の在学生や卒業生を守り抜き、この危機的な状況を脱し、社会からの信用を回復するために精励刻苦して、全教職員が一丸となって「抜本的な改革と再生」を図り、「新しい」日本大学となって「甦る」ようにしていかなければならないと思っています。詳しくは「要求書」をご覧ください。賛同していただける方は、ぜひ署名をお願いします。

ご記入いただいた情報は教職員組合で厳重に管理いたします。


「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴

弁護士ドットコム(2018年6月22日 18時30分)

日本大学から不当に雇い止めをされたり講義のコマ数を減らされたりしたとして、日大で英語などを教えていた8人の非常勤講師が6月22日、日大を相手取り、東京地裁に雇い止めが無効であることの確認を求める訴えを起こした。あわせて、1人あたり20万円の慰謝料なども求めた。原告や原告を支援する首都圏大学非常勤講師組合が同日会見し、明らかにした。

●原告「契約更新への合理的期待がある」
訴状などによると、日大は原告ら非常勤講師を採用するにあたって、新学部である危機管理学部とスポーツ科学部の設立を見据え、「平成28(2016)年4月からご担当願います」「平成32(2020)年3月までは継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と記したペーパーを渡していた(ペーパーの日付は、2014年11月25日付)。

ところが2018年3月をもって雇い止めにされたり、コマ数を減らされたりした。原告側は「4年間の雇用期間まで更新される旨の合意が存在しており、仮に合意の存在が認められなくても、4年間の契約更新への高い合理的期待がある」と主張している。会見で代理人の中川勝之弁護士は「4年間という合意は明確にあったと思う。鋭意、戦っていきたい」と話した。

また、日大が講義を外部の民間組織に委託したため、そのぶん講義のコマ数を減らされた非常勤講師もいる。それにより、多い人で月額20万円前後の賃下げになったという。原告側は、委託した講義で、日大の専任教員が出す指示のとおりに委託先の講師が動いているとして、「偽装請負となっている疑いが強い」とも指摘している。

●日大による非常勤講師ゼロ化計画か
原告団の真砂久晃団長は会見で、「今回私たちが是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対して」だとし、「非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがない」と語った。

別の非常勤講師の男性は「ルールを無視して、働く者の権利をないがしろにして、色々な事柄を隠蔽して対処しようとする姿勢に疑問を持っている。教育機関として、正しい判断をしてほしい」と求めた。

原告側が入手した日大人事部の内部文書「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」と記されていたという。このため、原告側は、「日大による非常勤講師ゼロ化計画だ」と批判している。

無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのこと。賃上げの保証はないが、予期せぬ契約打ち切りに怯える必要がなくなる。

(弁護士ドットコムニュース)


2018年06月20日

永田和宏さんの講演会のお知らせ

永田和宏さん講演会

劣悪することば
-ことばへの信頼を取りもどすために-

 フェイクニュース、ポスト真実、ヘイトスピーチ、公文書改ざんなど、「ことば」が歪められ、「真実」が覆い隠される状況が広がっています。特に政治の「ことば」の劣化が著しく、「ことば」の本来の機能を失いつつあります。このことは、わたしたちの社会にとって忽(ゆるがせ)にできない問題です。
 本講演会では、専門の細胞生物学だけでなく、歌人としてもご活躍の永田和宏先生に、「ことば」の大切さを通じて、社会や政治や私たちの生活の本質に迫る話をしていただきます。

永田和宏(ながた かずひろ)さん 
  1947年、滋賀県生まれ。京都産業大学総合生命科学部教授、 タンパク質動態研究所所長。京都大学名誉教授。紫綬褒章 (2009年)、"Hans Neurath Award (ハンス・ノイラート科 学賞)"(2017年)。近著に『知の体力』(新潮新書、2018年)、 『生命の内と外』(新潮選書、2017年)、『現代秀歌』(岩波新 書、2014年)などがある。

日時 6月23日(土)14時~(13時30分開場)
場所 龍谷大大学(深草校舎)22号館101号教室
その他 参加料無料,事前申し込み不要

チラシをご覧下さい。

2018年06月18日

「国立大の数を適正に」経団連が提言

産経(2018年6月13日)

 経団連は13日、国立大学の数と規模を適正化し、大学の質の向上や国際競争力を高めるべきとする大学改革に向けた提言をまとめた。中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)などに提出し、検討中の大学改革に反映させたい考え。

 少子化の中で国立大86校、公立大89校、私立大604校が共存し、私大の4割が定員割れする現状を憂慮。省庁横断の組織を設置し、大学関係者や経済界なども参画し、地方のニーズを考慮した形の大学再編を含めた全体像を策定すべきと提言した。

 一つの法人が複数の国立大を傘下にして運営できるよう法改正の必要性を強調。また、経営が悪化する私大の早期合併や撤退を促す対策として、学部、学科単位での事業譲渡を可能にし経営の自由度を高めることも提言した。経済同友会も今月、経営上の問題を抱える私大の再生・再編を促す第三者機関「私立大学再生機構」(仮称)の設立を文部科学省などに求める提言を発表している。


2018年06月05日

日大教職組、「日大アメフト部事件」関連の一連の騒動を踏まえての教職員組合の要求書

■東京私大教連ニュース

2018年5月31日

学校法人日本大学理事長 田中英壽殿

「日大アメフト部事件」関連の一連の騒動を踏まえての教職員組合の要求書

日 本 大 学 教 職 員 組 合
執行委員会委員長 菊地 香

 2018年5月6日(日)の日本大学アメリカンフットボール部「フェニックス」(以下、日大アメフト部)による悪質反則「事件」が発生して以来、様々なことが連鎖的に引き起こされ、依然としてTV・新聞・ネットなどで毎日のように大きく報じられています。時間の経過と共に、一運動部の一監督や一選手のあり方の問題から、大学としての事後対応の遅さや不適切さや不誠実さ、ハラスメントの温床にもなる上意下達の権威主義的な体質、権限・権力が一点に集中するピラミッド型の組織構造のあり方といった日本大学自体が抱える問題(「日本大学の構造的問題」)に、焦点/論点がシフトしてきております。

 そうした中で、日本大学教職員組合は、5月21日(月)に田中英壽理事長と大塚??兵衛学長宛の声明文を発表しました。そして、「監督の辞任だけでは済まされない状況を自ら作ってしまった」として、「専断的でなく民主的な大学を創るために、学内の多様な声を大学運営に反映させること」、「パワーハラスメントになりやすい権力行使を抑制する仕組みを構築すること」、「本学のあり方(姿勢・体質・構造)に対する厳しい批判を真正面から受け止め真摯に反省し、人事及び人心を一新すること」などを求めました。

 5月22日(火)、悪質な反則行為を行って相手選手を負傷させた当該学生が、多数の報道陣を前に会見を行いました。20歳になったばかりの学生を追い詰めあのような場に立たせてしまったことに心を痛める一方で、正々堂々と、かつ勇気をもって正直に「真実」を語り、謝罪の言葉を何度も口にした学生の姿に、私たちは深い感銘を覚え、励まされもし、また日本大学の構成員として誇らしくも思いました。記者団との一問一答の際に語った、「少し考えれば、自分がやったことは間違ってるというのを前もって判断できたと思うので、そういうふうに自分の意識を強く持つことが、今後重要だと思いました」という彼の言は、私たち日本大学教職員へのメッセージでもあると重く受けとめました。

 ところが、同日夜に出された大学広報部のコメントは、当該学生と日本大学の関西学院大学への回答書の間に根本的な見解の相違があることを無視して、一方の当事者=前監督側の見解のみを正しいとするものであり、日本大学の構成員である当該学生の尊厳を大いに傷つけるものになりました。そして翌5月23日(水)、日本大学が主催して内田正人前監督と井上奨コーチが会見を行いました。ことの重大性に対する認識や責任感が欠落し、司会者の横柄で不誠実な態度を含め、結果的に日大批判を増幅させるものとなりました。これによって、多くの学生や卒業生が社会から非常に厳しい「批判的なまなざし」を浴び続けなければならない状況が、ますます深まってしまいました。何よりも辛いことは、こうした大学側の不適切な対応によって、私たちの日本大学に対して、「学生を守ることができない/自分たちの保身や組織防衛のためには学生を平気で切り捨ててしまう大学なんだ!」という「負の烙印」が、世間から押されてしまったことです。ひとたびこうした否定的評価がくだされてしまうと、並大抵のことではそれを払拭することはできませんし、とりわけ学生や卒業生が不利益を被ることになりかねません。

 こうした深刻な事態を受けて、5月24日(木)、日本大学教職員組合文理学部支部長名で声明文が発表されました。そして、「大学法人本部の危機管理能力欠如をいよいよもって露呈させた」として、「理事長が被害者はもとより関西学院大学アメフトチームやアメフト界、社会全般、さらに本学学生・教職員に謝罪し、危険タックル事件及び大学の不適切な事後措置に対して再発防止、抜本的改革を明言すること」、「責任ある立場の理事会及び法人本部の人事刷新を図るとともに、法人本部組織改革の工程表を公表すること」、「公正な第三者独立委員会を立ち上げて、どこに問題があったかの徹底究明を開始させること」、マスコミに対しては「学生たちにマイクを突きつけるよりも日本大学の構造的問題を徹底的に追及すること」などを求めました。

 5月25日(金)、日本大学が主催して、大塚??兵衛学長が会見を行い、初めて大学として謝罪しましたが、遅きに失した感が否めないばかりか、歯切れの悪い説明に終始しました。学長は学生の運動部を統轄する責任者ですが、保健体育審議会事務局の人事等の職員組織上の権限を持つ立場にはありません。そのため、事実上この会見は学生の運動部の問題としてのみとらえ、監督やコーチのスタッフの問題を含めた謝罪とはなりませんでした。また、内田前監督が理事長に次ぐ地位である常務理事であり、一運動部の枠を超えて日大全体のガバナンスの機能不全にまで問題が波及しているのですから、保体審事務局長と常務理事の人事権を握る理事長が法人の責任者として社会に向けて謝罪と説明を行うべきでした。

 5月26日(土)、関学アメフト部が会見を行い、日大アメフト部が5月24日(水)に関学アメフト部に渡した加藤直人日大アメフト部長名の「再回答書」に対して、「多くの矛盾が存在し、真実とは到底認識できず」、「日大の見解には強い疑念を抱かざるを得ない」、と結論づけました。

 5月27日(日)、日大アメフト部の加藤部長、森琢ヘッドコーチが、父母会への説明会を開催し、初めて直に謝罪し経緯の説明を行いましたが、指導陣と選手の理解に乖離があった(選手側の思い込みが原因だった)という従来の説明を繰り返したということです。

 5月29日(火)、日大アメフト部選手一同が、声明文を発表しました。その中で、「私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまいました」、「部の指導体制も含め生まれ変わったと皆様に認めていただいた時には、私たちが心から愛するアメリカンフットボールを他のチームの仲間たちとともにプレーできる(略)」、「今回の件の深い反省のもと、真剣に、謙虚に、一丸となってチーム改革を実行していく」などと述べました。

 5月29日(火)、関東学生アメリカンフットボール連盟が、内田前監督と井上前コーチが当該選手に悪質タックルを指示したと認定しました。そして、前監督と前コーチを事実上の永久追放にあたる「除名」、森ヘッドコーチを「資格剥奪」とする極めて重い処分を課しました。

 以上のような経緯と現在の状況を踏まえると、私たちは、各方面から指弾を受けるようになっている「日本大学の構造的問題」を作り出してしまっている「当事者」として重大な責任を負うことを自覚し内省して、高校を含めた日本大学の各部科校に籍を置く現役の教職員として、まずは広く社会の皆様や日本大学の在学生・保護者・卒業生の皆様に心よりお詫び申し上げなければなりません。その上で、私たちは、地に落ちた社会的信用を回復し、大学の不適切で不誠実な対応によってもたらされた在学生と保護者、卒業生が被る社会的不利益を最少化するためには、もはや日本大学が「抜本的な改革と再生」を図るより他に道はない、と考えるに至りました。

 それを果たすために、私たちは、以下の4項目を1ヶ月後の6月30日までに実行することを日本大学の最高責任者である田中英壽理事長に強く求めるものです。

(1)日本大学の社会的信用・信頼を失墜させ、名誉を著しく毀損した根源である内田正人前監督の、日本大学常務理事や保健体育審議会事務局長をはじめとする全ての職【(株)日本大学事業部を含む】を直ちに解任して、日本大学の「抜本的な改革と再生」へ向けての明確な第一歩とすべきです。

(2)日本大学アメリカンフットボール部が引き起こした「事件」の重大性・悪質性及び社会的な影響を踏まえ、責任ある立場にある同部の部長・副部長並びにコーチ陣を全員解任して、アメフト部の「抜本的な改革と再生」を図るべきです。

(3)日本大学は、全組織を挙げて上意下達の体質を改め、各部科校で日本大学の建学の精神であり教育理念でもある「自主創造」が十分に発揮される大学に生まれ変わっていかなければなりません。そのためには、1)職員採用人事における保健体育審議会出身者の優遇措置に代表される、不公平・不公正で不透明な仕組みを全面的に改めること、2)保健体育審議会傘下の運動部の監督や部長の常務理事・理事への登用もしくは常務理事・理事の監督・部長の兼任を禁止するなどして、権限・権力の集中を抑制し、理事会に対するガバナンスが有効に働くようにすること、3)教職員による無記名直接選挙によって学長が選出され、学長を名実ともに大学の最高責任者とする統治機構を構築すること、が不可欠です。それらの実効性を担保するために、学校法人の定款/根本をなす規則である「寄附行為」を全面的に見直し改定して、日本大学の組織のあり方の「抜本的な改革と再生」を図るべきです。

(4)日本大学は、事件への適切な初動対応に失敗し、大学自体に「当事者性」とともに「他者性」が欠落している(社会/世間からどのように見られ評価されるかを認識できていない)ことを露わにし、社会や学生・教職員に対する説明責任も果たせず、自浄作用を働かせることもできませんでした。このことで、日本大学の社会的評価を著しく低下させてしまった極めて重い責任をとって、内田常務理事だけでなく(迅速かつ的確な広報を行わず、真相究明に資するところのない不誠実な記者会見を連発して、危機管理能力の欠如を曝け出した)企画広報担当常務理事を含む5人の常務理事全員を解任した上で、法人組織の最高責任者たる田中理事長と教学の最高責任者である大塚学長が潔く職を辞して、大学上層部の「解体的な出直しと再生」を図るべきです。

 私たち日本大学の教職員は、何よりも第一に一人一人の在学生や卒業生を守り抜き、この危機的な状況を脱し、社会からの信用を回復するために精励刻苦して、全教職員が一丸となっての「抜本的な改革と再生」を図っていかなければならないのです。

 田中理事長が、この声明文には、部科校横断的で全学的な多数の教職員の声と思いが反映しているものと真摯に受け止めて、「日本大学の抜本的な改革/解体的な出直しと再生」への端緒を率先して開くべきであると考え、本要求書を提出・公表するものです。また同時に、「フェニックス」が引き起こした事件をきっかけとする一連の騒動を奇貨として、私たち教職員自身が当事者意識と統治能力を高めて、「新しい」日本大学となって「甦る」ように歩んでいくことを、広く社会に向けて宣言するものです。

以上

日大教職組、「日本大学アメリカンフットボール部による重大な反則事件に関する声明文」

■東京私大教連ニュース

2018年5月21日

学校法人日本大学理事長 田中英壽殿
学校法人日本大学学長 大塚吉兵衛殿

日本大学アメリカンフットボール部による重大な反則事件に関する声明文

日本大学教職員組合執行委員会委員長 菊地香
文理学部支部長 初見基
経済学部支部長 木暮雅夫
商学部支部長 竹内真人
船橋支部長 吉田洋明
湘南支部長 清水みゆき

 2018年5月6日に行われたアメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦において、本学アメリカンフットボール部選手が関西学院大学チームのQB(司令塔)に対してきわめて危険な反則プレーを行い負傷退場させる「事件」が起こってしまった。このことをめぐって、連日、新聞・TV・ネットなどで大きく報じられ、その行為のみならず、本学の示した事後対応が不透明・不誠実であるとの批判・非難の声が強まったのは周知の事実である。
 
 本学が教育機関であることを踏まえれば、上述した外部からの批判・非難の有無にかかわらず、本学の選手がなぜあのような悪質極まりない言語道断な暴力的行為におよんでしまったのかに関しては、第三者機関による調査活動とは別に、大学当局が自浄作用を働かせて公正かつ厳正な調査を実施して、真相を徹底的に究明しなければならない。また、被害者や関学アメフト部をはじめとする関係者の方々に納得していただくことができる説明と謝罪、ならびに補償と再発防止に向けた具体的な取り組みが示されなければならないことも当然である。
 5月19日(土)の報道によれば、アメフト部の内田正人監督がすべての責任を認めて謝罪し、監督を辞する旨を表明した。だが、その対応は遅きに失し、もっとも肝心な点が一切言及されなかったため、監督の辞任だけでは済まされない状況を自ら作ってしまったと言えよう。さらに、今回の事件に関して、内田監督が本学の人事担当の常務理事という要職に就き、学内で絶大な権力を行使する立場にあることから、一スポーツ部の一監督や一選手のあり方ばかりか、本学の大学としてのあり方、なかんずく外部の関係者に対する「姿勢」(不誠実と呼ばざるを得ない対応)や「体質」(有無を言わせずに従わせる上意下達の体育会的気風)や「社会構造」(学内の意思決定のあり方、権力構造や人的資源の配分構造)にまで関連させて問題視する指摘が各方面から相次いでなされるようにもなってしまった。今回の事件は、こうした本学の抱える看過できない問題性が、図らずも衆目にさらされることとなったのである。

 私たちは、スポーツマンシップ以前に人間としての基本姿勢に反する事件が起きたことに対して、高等教育機関であり、知の共同体であるべき本学の教職員一人一人が、この大学を創っているのだということを反省的に捉え返し、今後の歩みに生かしていく必要があるだろう。その上で、理事長、理事会と大学学長に対して、以下の諸事項の履行を強く求めるものである。

(1)付属学校も含めた本学における健全なスポーツのあり方を再検討し、すべての競技選手に対してあらためてフェアプレイ精神の重要性を再教育すると同時に、ラフプレーを行った当該選手が個人的な攻撃に見舞われないよう大学として最大限に配慮すること。
(2)第三者機関の徹底した真相究明に全面的に協力し、協力した者への如何なる圧力も禁じること。
(3)専断的でなく民主的な大学を創るために、一人一人の学生及び教職員を、それぞれ独自の意思を持つ人格的な存在として尊重し、権力を行使し得る立場にある自分たちと同等に位置づけ、多様な声に絶えず耳を傾けて、それを最大限に大学運営に反映させる制度を確立すること。
(4)運動部だけでなく、日本大学の全組織を挙げて、上意下達の体質を改め、パワーハラスメントになりやすい権力行使を抑制する仕組みを構築して、風通しの良い学内環境を醸成しつつ、自主創造の精神が十分に発揮される生き生きとした大学に再生させる行動計画を策定すること。
(5)本学のあり方(姿勢・体質・構造)に対する厳しい批判を真正面から受け止め真摯に反省し、人事及び人心を一新すること。

 連日メディアでセンセーショナルに報道されているこの問題によって、本学に対するイメージと社会的信用は深く傷つけられてしまった。学生の勉学意欲や様々な対外活動、学部生・大学院生等の就職活動、教職員の士気、さらには受験生の本学に対する見方や教職員の採用に至るまで深刻な悪影響が懸念される。ひいては、このことが本学の教育を誠実に支えてきた教職員の労働環境悪化にもつながりかねないことを危惧するものである。

 早急に本学の社会的信用を回復すべく、理事長、理事会と大学学長は直ちにことの真相をあますところなく明らかにして、関西学院大学の関係者に対してはもちろんのこと、上述した本学のイメージと社会的信用の低下に直面せざるをえない本学学生と教職員にも説明責任を果たすことが不可欠である。そして、この状況を踏まえた大学改革の道筋を、教職員からの声を充分に聞き届けたうえで社会に提示し、それを滞りなく推進していくべきである。

 以上、問題の深刻さと社会的広がりをふまえて、現時での私たちの見解を表明しておくものである。


2018年05月22日

大学教員、半数は非常勤 常勤も4分の1が任期付き 朝日新聞社・河合塾調査

朝日新聞(2018年5月20日)

 全国の大学の教員のうち約半数は非常勤で、常勤の専任教員も約4分の1が「特任」「特命」などの形で任期付き雇用となっていることが、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」で分かった。一般企業と同様、非正規や有期雇用が増えている形で、教育や研究の安定とともに、こうした教員の処遇が今後の課題となりログイン前の続きそうだ。▼34面=非常勤頼みの授業

 調査は昨年、国公私立大751校を対象に実施した。この質問に回答した659校の教員をみると、本務者(専任教員)は16万9458人、兼務者(非常勤教員)は延べ16万9164人でほぼ同数。ただ、非常勤教員は複数の大学をかけ持ちしている例もあり、延べ人数となる。また、専任教員のうち、任期付きは4万4401人だった。任期なしの専任教員は12万5057人で、全体に占める割合は約36・9%だった。

 非常勤教員の割合を国公私立別にみると、国立が34・1%、公立50・7%、私立56・8%で、私立大で特に高い。地域別にも東北36・7%、北海道40・4%、中国・四国40・9%に対し、関東甲信越56・1%と差がある。一方、任期付き専任教員は国立30・4%、公立27・4%、私立23・3%で、逆に国立が高い。競争的研究資金の支給期間に合わせ、任期を定めて雇用されるケースが国立大で特に多いためとみられる。

 文部科学省も学校基本調査で専任教員と非常勤教員の人数を調べている。その結果によると、非常勤(延べ人数)が全体に占める割合は1987年には41・2%だったが、2005年に初めて専任教員を上回り、昨年は51・5%だった。

 文科省の担当者は「少人数授業の導入や実務家教員の登用が進んだほか、専任からの差し替えなど様々な理由がある」とみる。任期付き教員の数は学校基本調査の項目に含まれていない。


2018年05月07日

学校法人関西大学はいつから「ブラック私学」になったのか

Yahooニュース(2018年5月7日)

関大付属校は「ブラック私学」なのか 労基署に通報した教員を解雇

是正勧告から1ヶ月で、労基署に通報した教員を解雇

 関西大学付属の中学校教員が4月下旬に解雇されたことが報道された。それも、ただの解雇ではない。今年3月下旬、関大付属の小学校・中学校・高校が、2年連続となる労働基準監督署の是正勧告を受けていたが、その労基署に申告した張本人である教員を解雇したのである。

 朝日新聞の報道によれば、学校側は「解雇は本人の問題によるもので、学内の公正な手続きの結果だ」と回答しているという。しかし後述するように、この解雇の「手続き」は何重にも「不公正」なものに見える。「責任逃れ」「報復」「見せしめ」などを目的とした不当解雇であると考えるのが自然だろう。

 関大付属校における今回の解雇はどのように不当だったのか。そして、私立学校の教員は経営側の理不尽な処分に対して、どのように立ち向かっていくことができるのか。関大付属校の労働組合関係者への聞き取りをもとに、解説したい。

労基署の指導を無視して、残業代を値切ってくる
 
 まず、同校の労働問題について簡単に振り返っておこう。筆者は先月に解説を書いているので、詳しく知りたい人はこちらを読んでもらいたい。

関大付属は氷山の一角! 私立学校に蔓延する労働基準法違反

 この関大付属校は、今年3月に残業代未払いや違法な長時間労働で労働基準監督署の是正勧告を受けている。中には、年間2042時間もの長時間労働をさせられている教員もいた。一般的な労働者の労働時間に換算すると、1年でほぼ2年間分も働いている計算となってしまう。

 同校は今年、違法な長時間残業をさせていたことで労働基準監督署から是正勧告を受けたのだが、全く同じ理由で昨年も是正勧告を受けていた。労基署の行政指導を無視して、1年間異常な長時間労働を継続させ、2度目の勧告を受けているのである。

 残念ながら、私立学校の違法な長時間労働や未払い残業じたいは、珍しいことではない。その多くが、公立学校では残業代を払わなくてよいと定めた「給特法」を、私立学校に違法に「準用」したことによるものだ。関大付属校の事例は極端ではあるが、その典型例である。

 ここまでは前回の記事で説明した通りだが、2度目の是正勧告が報道された今年4月以降の対応が、さらにひどいのである。

労基署に公然と「反抗」

 まず、同校は、労基署に逆らい、あらかじめ残業代を一部支払っていたという理屈を展開している。「教育職員調整手当」として「その勤務の多寡にかかわらず、本俸の8%相当額を一律に支給する」と定められているから、という主張だ。

 このような定額の手当を残業代代わりにしている私立学校は多いが、何時間働いても定額なのであれば、その手当は法的に残業代としては認められない。労基署からもそのように指導を受けているにもかかわらず、同校はこれを残業代だと言い張っている。

 これには担当の監督官も驚いているとのことだ。

 加えて、一部の業務を労働時間として認めていない。部活動や教材研究、給食中・昼休み中の生徒指導について、同校は労働でないと否定している。特に教員の部活動については、同校では選択制ではなく「強制」であり、本人が拒否することはできないという。法律上、労働時間であることは明白である。あまりに無理な主張だと言わざるを得ない。

生徒や保護者まで動員した「粗探し」 懲戒委員会の「否決」を押し切った不当解雇

 労基署の指導内容に、無理な理屈で反抗しているだけではない。冒頭に述べた通り、同校は労基署に通報した教員のAさんの解雇に踏み切っている。

 実はこの解雇は、半年以上前から学校側が執拗に追求していたものであった。Aさんは、過去の指導内容に問題があったとして、実に6ヶ月間のあいだ自宅待機命令を受けており、その末の解雇だったのだ。この解雇に至るまでの手続きには膨大な数の問題があり、本記事でもその全ては紹介できないが、比較的わかりやすい問題に絞って、経緯ごとに列挙していこう。

・昨年10月下旬、過去の指導内容に対する調査を理由としてAさんに無期限の自宅待機命令が出された。このとき、どの指導が問題になったのかは告げられなかった。
・自宅待機命令から1週間後、保護者会が急遽開かれ、Aさんの指導内容が議題となった。保護者間には事前に「明日の集会では大げさに言ってください」と依頼するLINEのメッセージが出回っていた。
・11月下旬、Aさんが教科を教えていた中学3年の生徒に対して、Aさんの指導に問題がなかったかを回答させるアンケートが一斉に実施された。
・12月下旬と1月上旬、Aさんに過去の指導内容に関する学校側の調査が2回行われた。ただし学校側は、問題となった指導内容の詳細な説明や、証拠の開示を、この調査時から現在に至るまで拒否している。
・調査後も「生徒への被害防止」という理由で、同校はAさんの自宅待機命令を解除しなかった。3月中旬の担当学年の生徒の卒業後も「整理の期間がいる」「教育現場に混乱を来たす」など理由を曖昧にさせながら、自宅待機を続けさせた。
・当初、Aさんの「問題行為」は、試験の範囲・採点を間違えるなど11件あるとされたが、うち7件は懲戒委員会で事実じたいが確認されなかった。残り4件についても、組合側によれば、生徒に大きな声で注意するなどの行為があったぐらいで、体罰に当たるような行為をしたわけではないという。
・そもそも、同校では今回まで懲戒委員会が開かれたことはほとんどなかった。部活動顧問が生徒を平手打ちする等、過去に明らかに体罰や体罰に類する問題が複数発生しており、事実が確認されているが、口頭注意にとどまるなど、誰もAさんのような懲戒手続きをとられたことはなかった。
・2月下旬、懲戒委員会が開かれ、Aさんに対する懲戒解雇が否決された。
・3月、規定にない理事会小委員会という組織が新たに発足し、Aさんの解雇を議論。
・4月下旬、解雇が通知された。解雇理由は、就業規則の「その職に必要な適格性を欠くと認められるとき」「やむを得ない事由のあるとき」という曖昧な規定を根拠にしており、もはや懲戒解雇ですらない。規定に該当する具体的な理由も挙げられていない。
   経緯からすれば、労基署に申告したAさんを「狙い撃ち」で解雇しようとして、無理やり体裁を整えたようにしか見えないだろう。ほかにも、手続きの矛盾点を指摘したらきりがない。

 自宅待機命令を出してから「粗探し」を始めているのも、最初からAさんの懲戒処分という目的ありきの行動だったことを傍証している。しかも、その「粗探し」には、生徒や保護者まで、動員されているのである。

 極めつけは、学校の意を受けた懲戒委員会すらAさんの懲戒解雇という結論を下せなかったにもかかわらず、同校はその決議を覆して根拠不明な学内機関をわざわざ立ち上げ、解雇を強行した点であろう。もはや、法律はもちろん、最低限の建前や子どもや保護者への配慮すらかなぐり捨てた、不当解雇といえよう。

 現在のところ検証することはできていないが、先生の不当解雇のためのアンケート協力を要求された子供たちが、心の傷を負っていないかどうか、きがかりである。

生徒や保護者たちもAさんを応援するビラまきに参加

 私立学校の労働相談を受けていると、労働問題に疑問をもつ教員を、パワハラによって押さえつけている学校が少なくない。その点では、関西大学付属校のケースは典型例だろう。残業代の支払いや長時間労働を逃げ切るために、ブラック企業さながらに、教師を圧迫する。これでは教育機関として本末転倒である。

 しかし残念なことに、労基署の権限では、労基署に通報した労働者を不当な処分から救済するためにできることはほとんどない。今回も労基署は、Aさんの解雇に対して何ら手助けはできてない。では、私学教員は「弾圧」をちらつかせる学校において、労働問題についてはなすすべがないのだろうか。

 その答えは、労働組合で闘うことである。労働組合の活動を理由とした不利益処分は、労働組合法に反する違法行為となる。Aさんも同校の教員の労働組合に加盟して団体交渉に積極的に参加しており、その活動の一環として労基署を利用している。このため、Aさんに対する一連の対応は、労働組合法違反であることは明らかであり、あきらめずに争いさえすれば、学校側が敗北する可能性が極めて高い。

 ただし、そのためには、労働組合や弁護士がAさんを支えることが不可欠である。学校に労働組合がなかったり、労働組合が頼りないという教員は、外部の個人加盟のユニオンに加盟すれば、同様の闘い方ができる。

 今年4月には、長時間労働や残業代未払いなど、私立学校で働く教員の労働問題の実態を受けて、総合サポートユニオンの支部として私学教員ユニオンが発足した。私学教員ユニオンでは私学の教員たちが活動しており、私立学校で働く教員を対象とした労働相談ホットラインを実施するという(末尾参照)。

おわりに

 最後に一つ付け加えたい。Aさんの行動を支えるのは、法律的な「正しさ」だけでない。今年3月の卒業式の直前、自宅待機命令のために卒業式にも出席を禁じられたAさんの家に、卒業式に出てほしいと生徒数名が訪れたという。

 また、解雇直後の4月末、校門前でAさんや支援者が解雇に抗議するビラを配布した際には、半年ぶりに遭遇した在校生や卒業生たち10名ほどが一緒になって参加し、保護者数名もAさんの教育に感謝し、激励したという。このように、理不尽な経営者と闘う姿を、生徒たちや保護者が応援してくれることもあるのだ。

 私立学校で労働基準法違反が平然とまかり通っていることは、子どもたちの教育によって非常に不健全だろう。もっとも身近にいる大人たちが、労働法違反に対して沈黙を保つのではなく、違法状態を正して、いち労働者としてあるべき姿を見せることも、生徒たちにとって重要な教育なのではないだろうか。


2018年04月30日

労基署に申告の教諭解雇 関大の違法残業是正勧告で

日本経済新聞(2018/4/27)

 学校法人「関西大学」(大阪府吹田市)が付属校の教諭約50人に違法残業をさせたなどとして茨木労働基準監督署から是正勧告を受けた問題で、違法残業について労基署に申告した50代の男性教諭を同法人が解雇したことが27日、分かった。解雇は26日付。同法人の担当者は「個別の案件が理由で、申告とは無関係」と説明している。

 男性は高等部・中等部・初等部の教員組合で中心的な役割を担っていた。組合によると、昨年3月に茨木労基署に申告し、同10月に法人から「生徒指導の際に声が大きい」などの理由で自宅待機を命じられたという。

 組合は「正当な理由がなく、不当解雇だ」と訴えている。

 茨木労基署は、労使協定(三六協定)を結ばずに1日8時間の法定労働時間を超えて残業をさせたなどとして、昨年4月と今年3月に是正勧告をした。

「長時間労働」申告した教諭を解雇 関西大学

毎日新聞(2018年4月27日)

 長時間労働の実態を申告した教諭が解雇されていたことがわかりました。

 関西大学初等部・中等部・高等部の50代の男性教諭は、去年3月に時間外労働の実態を労基署に申告。その後、労基署は学校側が52人の教員に長時間残業をさせたとして先月、是正勧告を行いました。

 労働組合によりますと、教諭は26日付けで解雇され、理由については「必要な適格性を欠く」とだけ説明されたということです。教諭らは、「労働実態の申告を理由とした不利益な取り扱いだ」と反発しています。一方、学校側は取材に対し「解雇と労基署への申告は無関係」としています。


2018年04月18日

日大が英語講師15人を集団解雇する事情、外部の語学学校に「丸投げ」か

President Online(2018.4.18)

 日本大学は今年3月、英語の非常勤講師15人全員を解雇した。解雇されたのは、2016年に新しく設置された危機管理学部とスポーツ科学部の教員で、雇用された際には2020年までの継続雇用も打診されていた。さらに授業は外部の語学学校に「丸投げ」している恐れがあり、解雇の違法性が疑われている。解雇された非常勤講師の1人が、プレジデントオンラインの取材に答えた――。

何の根拠もなく突然の雇い止め

 「大学に雇い止めを通告された時はうちのめされました。経済的に苦しくなりますし、地位も失います。しかし、何よりも腹立たしいのは、何の理由もなく辞めさせられたことです。これまでの自分の仕事を否定されたと感じました」

 今年3月まで、日本大学・危機管理学部で英語の非常勤講師を務めていた井上悦男さんはそう語る。井上さんは危機管理学部で週4コマの授業を担当していた。1コマの報酬は月額で約3万円。4コマで月12万円の収入減となる。

 井上さんは1965年生まれの53歳。東京都生まれで、日本大学文学部から日本大学大学院に進み、1997年に文学研究科英文学専攻博士後期課程を満期退学。その直後から4年間、日本大学文理学部で助手を務め、2001年から日本大学の非常勤講師となった。以降、非常勤講師の仕事で生計を立ててきた。

 昨年度は1週間に日本大学の5学部で19コマ、東京理科大学で2コマの合計21コマを受け持っていた。1コマとは90分間の授業を指す。21コマであれば合計で31時間30分。週5日とすれば、毎日6時間以上教壇に立つことになる。講師の仕事は教壇に立つだけではない。授業には準備が必要になるうえ、試験の作成や採点も仕事だ。

午前9時から午後7時半までずっと授業

 井上さんの場合、平日は毎日朝6時半から7時の間に家を出て、朝8時には大学に着き、授業で配布するプリントを印刷する。最もハードだったのは月曜日で、法学部の二部の授業を担当したため、1限から6限まで、つまり午前9時から午後7時半まで、ずっと授業が続いた。授業が終わっても、帰宅後は翌日の授業の準備。ゆっくり食事をする余裕はない。試験の時期には問題の作成や採点のため、睡眠時間を削って対応する必要があった。

 年収は約760万円。少ない金額ではないが、専任教員と比べると、その労働環境の厳しさがわかる。日本大学の専任教員の場合、担当コマ数は平均6.5コマで、井上さんと同じ年齢であれば年収は約1200万円。授業の数だけをみれば、井上さんは3倍以上も担当しているのに、報酬は6割程度におさえられている。

1コマ分の報酬は、専任教員の5分の1

 これは1コマあたりに置き換えるとわかりやすい。非常勤講師は1コマ月3万円だが、専任教員は1コマ月15万円という計算になる。もちろん専任教員には授業以外の業務もあるが、その差はあまりに大きい。

 井上さんが多くの授業を担当する理由のひとつは4人の子どもの教育費だ。長女は私立理系の大学を卒業したが、下の3人はそれぞれ大学、高校、中学に在学中で、下の2人も大学進学を考えている。

 「授業を多く担当しているのは、子どもに大学で学ぶ機会を与えたいと思っているからです。多い年には、週23コマ担当していたこともありました」

他大学の授業を断って引き受けたのに

 教育費だけではない。井上さんは大学院時代に借りた奨学金をいまでも月3万円ずつ返済している。また助手時代に購入した東京都立川市の自宅のローンもまだ10年残っている。介護関係で働く妻の給与とあわせると、世帯年収は950万円。非常勤講師という不安定な身分でありながら、これだけの収入が確保してきたというのは驚くべきことだ。それだけ井上さんの授業の質には高い評価があったのだろう。

 実際に日本大学は、2016年に危機管理学部を新設した際、井上さんに新たに4コマの担当を要請している。井上さんは新学部の立ち上げに関われることを光栄に思い、日本大学の商学部の授業や、東京電気大学で担当していた授業を断って、新学部の授業を引き受けた。

 ところが、授業を担当して2年目の2017年11月、井上さんは危機管理学部から「雇い止め」の通告を受けた。雇い止めにあったのは井上さんだけではない。日本大学は三軒茶屋キャンパスに新設した危機管理学部とスポーツ科学部という2つの学部について、英語の非常勤講師15人全員を2018年3月31日で解雇すると通告したのだ。

 大学は解雇の理由について「教育課程の再構築」と説明したが、それ以上の詳しい説明はなかった。

大学の目的は「語学学校への丸投げ」

「雇い止め」の目的はなにか。その後、しばらくしてその狙いがわかった。井上さんは話す。

 「大学は私たちの代わりに誰が授業を担当するのか、説明会では明らかにしませんでした。しかし3月に入って、語学学校の講師と専任講師による『ペア授業』を実施すると発表しました。ペア授業の内容について、大学は『語学学校の外国人講師が授業を行い、専任教員は授業を観察する形式』と説明しています。これは授業の『丸投げ』で、許されるものではありません」

 この「ペア授業」では、語学学校から講師が派遣される形になる。だが厚生労働省は、「労働者派遣、請負のいずれに該当するかは、契約形式ではなく、実態に即して判断される」としている。つまり外部講師に、大学側が「授業の内容についての打ち合わせ」といった指揮命令行為をすれば、それは労働者派遣事業とはみなされず、法令違反の「偽装請負」となる。

語学学校に授業を委託することは認められない

 一方で、語学学校が授業内容を決めることがあれば、文部科学省が禁止している「授業の丸投げ」になる。どちらにしても、語学学校に授業を委託することは認められないのだ。

 問題はそれだけではない。日本大学は、今回解雇を告知した非常勤講師全員に、2014年の時点で、2016年から最低4年間の継続雇用を伝えていた。実際、井上さんが危機管理学部の非常勤講師に採用された時、大学から受け取った文書には「完成年度の平成32年3月までは、継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」とある。

日本大学が井上さんに通知した文書(略)

 完成年度とは、学部などが新設されて、最初に入学した学生が卒業する年度のことを指す。つまり、学部ができて4年間は、継続雇用を大学が約束していたといえる。労働契約上の「期待権」が、この文書によって生じている可能性がある。

 さらに、学部の設置から完成年度までの4年間について、文科省は、授業の内容や担当する教員について、原則として変更を禁じている。学部を新設する際、大学は文科省に「学部設置計画」を提出する。この内容は、合理的な理由がない限り、完成年度まで変更できない。たとえば教員が自己都合で退職した場合にも、代わりの教員を採用する際には大学設置・学校法人審査会による教員資格審査を受けなければならないのだ。

見過ごせば大学教育の低下に直結

 日本大学の「雇い止め」を批判し、日本大学と団体交渉を行なっている首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、「もし日本大学の行為が認められると、全国の大学に影響が及ぶ」と話す。

 「日本大学の手法が許されたら、授業を外部業者に委託してコストカットを図る大学が続出するでしょう。そうなれば、多くの教員が職を失うとともに、大学教育の質が著しく低下する恐れがあります」

 このままでは、特に経営が苦しい中堅私立大学を中心に、非常勤講師の「雇い止め」と授業の外部委託が広がる可能性があるのだ。

 井上さんは日本大学で長く教えているため、キャンパスでは知り合いの生徒もたくさんいる。だが先日、大学から「キャンパス内の秩序を乱さないように」と警告を受けた。問題が大きくなることを大学が恐れたのかもしれない。井上さんは一部の授業を失うだけでなく、学生と自由に話す機会も奪われてしまったのだ。

真っ当な大学であってほしい

 そうした状況に追い込まれても、なぜ自らの顔と名前を出して現状を訴えるのか。井上さんは「自分の母校でもあり、教員もしている大学が、おかしな方向に進むことを止めたい」と話す。

 「日本大学には法学部がありますが、危機管理学部を卒業しても『法学士』の学位が授与されます。そのような学部が法律を破る行為をするのは教育的ではありません。まだ新しい学部ですが、危機管理学部の学生はみんないきいきとしています。英語の授業は毎週クラスの生徒たちと接するので、まるで中高の担任のような関係でした。ここで定年まで働けるものと思っていました。できることなら戻りたいですね」

 筆者の取材に対して、日本大学広報課は「特にお答えできることはない」と話すのみ。一方で、文科省大学設置室は、「設置計画の変更について日本大学から報告書があがってきていないので、現時点ではコメントできない状態」と話している。

 大学教育のために汗を流してきた人たちが、報われないままでいいのだろうか。いま良識が問われている。

田中圭太郎(たなか・けいたろう)
ジャーナリスト
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。


2018年04月12日

岡山短大不当解雇事件、短大側…最高裁へ上告へ

山口雪子さんを支える会

短大側…最高裁へ上告へ。

ご支援くださる皆様、お世話になっています。山口雪子です。

今日(4月10日)20時45分から始まるNHK岡山局の地方ニュースを聴いていましたところ、「岡山短期大学が第2審判決を不服として最高裁に昨日付で上告」との報道がありました。3月29日の勝訴報告で皆様へのご心配を少しでも軽くできたかも…と嬉しく思っていましたが、残念な状況にまたなってしまいました。

再び皆様にご心配をおかけしてしまうことを、申し訳なく思いますし、何より教育現場として岡山短期大学の現状が残念で嘆かわしくて仕方ありません。

教壇復帰の道のりは上告を受けて、ますます長く遠くなるのかもしれませんが、あきらめずへこたれずに取り組んで参りますので、今後ともご支援お力添え賜りたく、どうかよろしくお願いいたします。

本当に残念なご連絡でごめんなさい。
いつもありがとうございます。皆様のご支援に心から感謝しています! 山口 雪子

2018年04月09日

明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

『紙の爆弾』(2018年4月号)

授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り
いま大学で何が起きているのか?

タケナカ・シゲル(著述業・編集者)

「これはセクハラなのではありませんか?」と、法廷に女性弁護士の声がひびいた。問題にされた発言とは、こんなものだ。
「そこの色白の彼女、先生は色白が好きです。あとで一緒に帰りますね」
 この発言を女性弁護士に質されたのは、一昨年に明治学院大学(東京都港区)を懲戒解雇された、寄川条路元教授である。ここに紹介する公判は、寄川元教授の地位確認裁判の証人調べのシーンだ。証言に立った山下篤教務課長によれば、寄川元教授は新学期の最初の授業で「先生は7月に病気になりますから」「海外にいます」などと、7月の最終講義を休講にすることを学生たちに告げたというのだ。セクハラまがいの発言に仮病による休講の予告……。どうやら問題のありそうな元教授だが、取材をしてみると、真相はまったく別のところにあった。
 冒頭のセクハラまがいの発言は、じつは講義への集中をうながすための注意喚起で、不特定多数の学生に向けたものだった。色白の女子学生に語りかけたものではなかったのだ。7月に病気になるという休講宣言も、じつは課題未提出者にたいする救済措置だ。課題提出者にとってのみ、休講となるものだったのである。第1回の授業で元教授は、就活などで出欠が悪くても救済措置を講じると伝えたにすぎない。
 それではなぜ冒頭のような誤解を、被告側弁護人に生じさせたのか。いや、そもそもなぜ、授業で元教授がしゃべったことが問題にされ、懲戒解雇という私立大学では極めて珍しい事態に至ったのだろう。講義内容が教室外に漏れたのは、録音による以外にないはずだ。事実そうであった。
 おどろいたことに、大学の教職員の手で寄川元教授の授業の盗聴が行なわれたのだ。その真相を究明しようとして学生に情報提供を呼びかけたところ、懲戒処分の理由にされたのである。
 大学側が問題視しているのは些細なことばかりだが、講義の根幹にかかわのものもある。明治学院大学(横浜の教養教育センター)では大教室授業の問題点が指摘されていた。学生の私語で講義に集中できないというものだ。そこで大教室の授業を300人に制限しようとしたところ、寄川元教授がこれに反対したのである。寄川元教授の担当課目は、共通科目の倫理学である。受講生はトータル1,200人ほどで、元教授は学内外で人気教授として知られている。明学の卒業生が非公式サイトとして運営している「明学LIFE」から紹介記事を引用してみよう。
「明治学院大学でもっとも知名度が高い、倫理学を担当している寄川条路先生をご紹介します」「寄川先生は学内でもっとも人気のある先生です」「倫理学とは捉え方によってはどんな見方もできる学問です。寄川先生の授業では、日々の生活に潜む事象を俯瞰的に見てみる授業だった気がします」
 この記事は救済措置のレポート提出にもふれて、就活で出席できない学生への配慮に感謝が述べられている。
「話し方も優しさに溢れていて、授業の内容がすんなり耳に入ってくる」
 ややバイアスがかかっているとはいえ、寄川元教授が人気講師であることに間違いはないだろう。単に人気講師というだけではなく、彼は和辻賞(日本倫理学会)を受けるなど、ヘーゲル研究の第一人者のひとりである。著書や論文の業績も多い。「紀川しのろ」という筆名で日本随筆家協会賞を受賞している随筆家でもある。

 受講生300人限定をめぐる攻防

 500人をこえる大人数でも授業を切りまわせる人気教授にとって、300人限定は、来る者は拒まずという信念を侵されたに等しい。しかし、その反対意見は封殺された。受講生制限に例外は許されないとセンター長から通告された寄川元教授は、思いきった対抗措置に出る。学生向けのプリントに「抽選に漏れた人たちは、私にではなく教務課に抗議してください」と書き添え、教務課との軋轢が生まれた。
 そして極めつけは、教科書の内容が解雇理由になっていることだ。およそ焚書と呼ばれる行為でなくて、これが何であろうか。処分は懲戒解雇とはべつに一般解雇というかたちで補強されているが、その理由が教科書採用していた『教養部しのろ教授の大学入門』(ナカニシヤ出版)なのである。同書では架空の平成学院大学を舞台にユーモラスに大学が語られ、読者が大学を知るには格好の書だ。掛け値なしにおもしろい本だが、ミッション・スクールを「人間動物園」に例えたくだりが問題にされた。
 公判では「先生はこの大学にきて5年になりますが、その前は13年間、愛知の幼稚園の園長をしていました」と授業で話したことも問題にされた。事実は愛知大学の法学部教授である。公判で「原告は、(幼稚園の先生だと)学生にウソをついたのですか?」と被告側弁護人に問われた寄川元教授は「(弁護士)先生、講義は事実を述べる場ではないんです」と答えて、傍聴席を笑わせた。おそらくここに、この懲戒処分事件の本質の一端が顕われている。というのも、冒頭の弁護人の「誤解」がじつは、ためにする「曲解」であるからだ。人気講師の講義をこころよく思わない、派閥的な組織の意志がそこに働いているのではないだろうか。自身も停年延長を恣意的に拒否され、地位保全の裁判闘争を行なっている浅野健一・同志社大学教授は公判を傍聴して「嫉妬ですよ、研究者特有の。人気のある研究者を陥れようとする陰謀です」と感想を述べていた。
 組織の一員でありながら、個人事業主としての側面をもつ研究者たちの競争意識は、しばしば醜い嫉妬として顕れる。派閥をつくっては保身し、ライバルを追い落とそうとする。それは明治学院大学に限ったことではない。
 それにしても、講義内容の盗聴と教科書の検閲である。思想・表現の自由を、大学がみずから掘り崩したのだ。そして明らかに意識的な「誤解(曲解)」をもって、懲戒解雇という処分が行なわれたのだ。これまで大学の教員はハレンチ犯罪で逮捕されない限り、処分は受けない存在だと考えられてきた。それがリベラルアーツの教養主義がほんらい持っている、学問の自由・独立という精神の礎であるからだ。
 ところが調べてみると、大学を舞台にした解雇事件やパワハラ、ガバナンスをめぐる紛争は少なくない。札幌学院大学の片山一義教授が主宰する情報サイト「全国国公私立大学の事件情報」には、おびただしい数の不当解雇や権利侵害事件が掲載されている。その根っこにあるのは大学経営の危機であろう。18歳人口がいく度目かの減少に転じる2018年、2020年問題(入試改革)に備えて、各大学が人員削減につとめてきた。その基調は、人文科目の削減と理系科目の統合・新設である。
 明治学院大学においては2016年に教員の20%削減が発表され、非常勤講師の雇い止めが行なわれきた。人文系のカリキュラムを削る代わりに、人間環境学部という新学部の準備が進んでいるのだ。これで解雇の背景がわかった。この解雇は最初から計画されたものだったのだ。寄川元教授の解雇に積極的だった黒川貞生センター長が、まさに体育の教員として、副学長とともに新学部設置の先頭に立っているのだから。スポーツ学科を擁する新学部設置のためにこそ、寄川元教授が狙い撃ちにされたのだ。事実、現代思想系の教員が二人雇い止めになっている。
 かように、リベラルアーツと学問の独立が危機に瀕する事態が頻発している。そして文部科学省官僚の天下りがそれに拍車をかける。

 豪腕文科官僚の天下り

 城西大学(兄弟校に城西国際大学・城西短期大学を併設)は、大蔵大臣を歴任した水田三喜男元代議士が創設した学校法人である。年輩の方なら憶えておられるかもしれない、おでこに大きなコブがあった政治家だ。埼玉県坂戸市と千葉県東金市にキャンパスを持ち、薬学部を擁する総合大学として、グループ全体で14,000人の学生が学ぶ。
 その城西大学グループの理事に元文科省事務次官・小野元之氏が就任したのは、2012年のことだった。大学側にも天下り官僚をふところに抱えることで、監督省庁である文部科学省との関係を良好に保つ思惑はあったのだろう。ところが、小野理事は経歴にたがわない辣腕ぶりを発揮するのだ。
 まず文部科学省の学校運営調査を「査察」と言いなし、理事たちに「このままでは補助金が出なくなる」「解散もありうる」と吹聴することで危機感を煽る。そして2016年11月30日の理事会において緊急動議を出し、水田宗子理事長(三喜男氏の次女)が辞任を強いられたのである。その動議の中身がすごい。理事会の席で、小野理事は水田理事長を口をきわめて批判したという。すなわち、水田理事長が連日のように学長や副学長、教職員を怒鳴り上げ、叫び、暴れているというのだ。彼女は真っ向からこれを否定している。いずれ公判廷で事実関係が明らかになるはずだ。
 さらに小野理事は「大変失礼でございますが、いわゆる認知症にかかっておられるのではないか」と理事会で発言したという。この発言は名誉毀損事件として訴訟になっている。まだある。夏のアメリカ出張は私的な「カラ出張」であり、業務上横領にあたるというのだ。事実はふたりの息子が、それぞれ城西大学の姉妹校であるUCLAと南カリフォルニア大の要職にあり、業務上の会合だったと元理事長は主張している。けっきょく、名誉ある辞任をすれば理事職と教授職および大学院長の地位は継続されるという約束で、水田理事長はやむなく辞任した。
 ところが、この約束は反故にされる。小野理事は文科省の後輩である北村幸久秘書室長を事務局長に抜擢するいっぽう、会計調査委員会を設置した。そして調査結果が出る前に、北村事務局長のマスコミ向け記者会見が行なわれ、水田元理事長による「不正経理事件」は衆目の知るところとなった。水田元理事長はすべての役職を解かれ、研究室も封鎖された。計画的なクーデターらしく、打つ手は徹底している。
 だが会計調査委員会は理事会で決議されたわけではなく、人選も小野理事の人脈である。秘書室長でありながら、水田理事長を追放する立場になった北村事務局長は、二重の意味で裏切ったことになる。水田理事長の解任に反対した理事は追放され、追放劇に与した教職員には論功行賞が行なわれた。たとえば水田元理事長のスケジュールを管理していた女性秘書は、メールアカウント等のデータを持ったまま連絡を断ち、のちに生涯教育センター所長に抜擢された。27年間も信頼で結ばれていた元理事長を裏切ったのだ。ほかにも元理事長を支えてきた多くの人材が異動や退職を強いられた。
 寄附行為(学校法人の定款)に理事会での解任動議が馴染まないとはいえ、クーデターそのものが悪いわけではないだろう。問題はその中身であり、解任理由が正当かどうかである。解任理由のひとつに、水田清子名誉理事(宗子氏の母親)への退職金1億6,800万円が高すぎるというものがある。たしかに大企業の役員なみに高額だが、理事会で決裁した過程があるので、学園を私物化したとの批判は当たらないだろう。前理事長には三喜男氏が亡くなったあと、学園の混乱をおさめて短期大学と城西国際大学の創建に寄与した功績がある。学園に私財をつぎ込んできたことを考えればと、理事会が決裁したのだろう。裁判の争点と経過は『奪われた学園』(水田宗子・幻冬舎)に詳しい。
 現在、名誉毀損事件のほかに教授職としての地位保全仮処分申し立て、理事長代理(小野元之氏)に対する地位の不存在確認請求など、「水田事件」では四つの裁判が行なわれている。解任させられた武富紘人元事務局長も、退職強要の損害賠償で訴訟中だ。ゼミ生や卒業生を中心に「水田先生を支える会」がつくられ、水田宗子元理事長が比較ジェンダー論などフェミニズムの研究者でもあることから、上野千鶴子(ウィメンズアクションネットワーク理事長)らも支援の輪をひろげている。

 文科官僚による私学の乗っ取り

 城西大学の事例は文部科学省が組織として謀った事実はなくとも、官僚組織の持っている自己増殖の本能と理解するべきだろう。たとえば警察庁においては、暴力団犯罪や左翼運動が全盛期だった昭和40年代の28万人体制の規模を、平成の今におよぶまで維持しようとしている。
 悪い意味で城西大学が文科省官僚にとっての成功例なら、失敗の例もある。山口県下関市にある梅光学院大学では、改革のために天下りした文科官僚が独走のすえに、組織を崩壊させているのだ。
 かつてはお嬢さま学校として知られていた梅光学院は、2001年に男女共学となり、2012年から改革に取り組んできた。270人の定員にたいして、入学者が170人台まで落ちた時期もある。その背景には下関市と海峡を隔てた北九州市の人口減、それに加えて北九州市西部に学術研究都市(早大・九州工業大・北九州大・福岡大など)が充実したこともあげられる。そこで、学部の統合による合理化と学費値下げという相反する経営努力を、経費の削減や教職員のボーナスのカットなどで実現した。さらに地元の高校をまわる地道な営業努力、就職率のアップなどで定員を確保してきた。そして改革の切り札として、元文科省官僚の本間政雄氏を理事長に迎え、ガバナンスの強化をはかったのだ。本間氏は京都大学の副学長、立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)で財務担当を務めた経歴を持つ。関東学院大学(横浜市)では常務理事から理事長になろうとして、このときは逆に排斥されている。
 ところが「定員割れを解消した改革の成功が仇になった」と、一昨年に雇い止めになった菅孝行元特任教授(劇作家)は語る。菅氏自身、改革派に誘われての就任であったが、教授会への出馬も「守旧派」「抵抗勢力」と対抗させられるためだったという。
 本間理事長・樋口紀子学長・只木徹統括本部長を中心とする執行部は、反対意見をのべる教職員に退職を強要し、多くの教職員が学園を去っていった。その結果、教職課程設置に不可欠の資格をもった教員が不足し、文科省から教職課程を1年間凍結される羽目に。残業代の未払い、あるいは中学高校における無資格教員の発覚、授業が成立しないなど醜聞が相次ぎ、国会の文教委員会でも問題にされた。大学院の指導教員を退職させたために、大学院の存続も危ぶまれる状態だという。
 このような事態に、教員や同窓生を中心に「梅光の未来を考える会」が地域ごとに結成され、現役の学生たちも声を挙げはじめている。雇い止めとなった矢本浩司特任准教授の裁判(地裁で地位保全の決定)をはじめ、給与減額をめぐり10人の教職員が提訴した裁判では、赤字を言い訳にしている執行部が役職を兼務することで手当を受け取っていることが明らかになった。裁判で膿が出されるのを期待したい。
 今回ふれた3校以外にも、問題を抱えている大学は少なくない。文科官僚ではなく、共産党員が独裁的に行政を仕切り、経営の危機を招いてしまった立命館大学。なんと、キャンパス内に交番をつくってしまった同志社大学。
 元大学職員の田所敏夫氏の著書『暗黒時代の大学』(鹿砦社)には、今の大学が抱える危機が現場の視点で解き明かされている。人づくりを使命とする最高学府には、教育・研究の原点に立ち返ってもらいたいものだ。


2018年03月30日

岡山短大、視覚障害理由の配転無効 山口さん高裁も勝訴

■しんぶん赤旗(2018年3月30日)

 岡山短期大学(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(53)が視覚障害を理由にした事務職への配転命令の無効確認などを求めた控訴審で、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)は29日、山口さんの訴えを認める勝利判決を出しました。昨年3月の岡山地裁判決に続く勝訴です。

 判決は、同短大が山口さんに出した職務変更と研究室退室の命令は権利乱用で無効としました。合理性を欠く不法行為で精神的苦痛を与えたことへの慰謝料として短大側に100万円の支払いを命じました。また、山口さんの授業遂行能力が他の教員と比べても劣っていないと認定し視覚障害害で生じる問題は補佐員の補助で解決すべきだと断じています。

 報告集会で山口さんは「当初は自分のわがままかと悩み、提訴は考えていなかった。支えてくれる人を見て『私だけの問題ではない』と気付いて強くなった。多様な人が学び合うところが高等教育。これからも復帰をあきらめないので支えてください」と話しました。

 視覚障害者の大胡田(おおごだ)誠弁護士は「中途視覚障害者を排除してはならないことを示した判決だ。誰でも、いつ病気になるかわからない。すべての労働者にとって良い判決だ」と評価しました。


2018年03月29日

梅光学院大学・矢本准教授の雇止めは無効 無期雇用・賠償は棄却 地裁下関支部が判決

長周新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大学の特任准教授で、2015年度末に雇い止めを受けた矢本浩司氏が同学院に対し、雇い止めの無効などを訴えた裁判の判決が27日、山口地方裁判所下関支部(泉薫裁判長)であった。この日も教員や学生、同窓生や保護者など多数が傍聴に押しかけ判決を見守った。判決では、矢本氏の梅光学院特任准教授としての地位を今年度まで認め、賃金の支払いを命じたが、その他の訴えについては棄却した。

 矢本氏はこの裁判で、梅光学院特任教授としての地位の確認と賃金の支払いに加え、研究室や図書館を利用すること、准教授として論文を発表すること、また大学で講義をすることなどを求めていたほか、中野新治元学院長がその地位を利用して、矢本氏が執行部に反対する行動を主導したかのように扱い、雇い止めしたことによって研究や研究成果の発表、教授の自由を奪われたとして、中野元学院長と梅光学院大学に対し損害賠償を請求していた。

 判決では、仮処分申請時と同じく、矢本氏が梅光学院大学に勤務していた平成27年度中、授業については学生アンケートで高い評価を得ており、複数の論文を執筆したうえに査読を受けて掲載されたこと、また学内でもFD委員会副委員長や中高校長特別補佐職に就任するなど、豊富な業務量をこなし、かつ高い評価を受けていたことを認定。契約期間満了が近づいた平成28年2月中旬まで、矢本氏もかかわって翌年度の準備を進めており、契約更新を期待する合理的理由があったとし、雇い止めの無効を認めた。また2度目の契約更新についても、その合理的期待が消滅したといえる特段の事情もないとして、矢本氏の地位を認めるものとなった。

 ただ、矢本氏は採用時に中野新治学院長から「よほどのことがない限り、3年間勤めた後に無期雇用になる」と説明を受けたこと、また平成27年度中にも「雇い止めにすることはない」とたびたびいわれていたことについて、証拠も提出したうえで無期雇用を主張していたが、その点については退けられ、平成30年3月31日までに限り矢本氏の地位を認め、賃金の支払いを命じる内容となっている。

報告会で運動の継続を確認

 同日午後4時から、同窓生や学生、保護者ら関係者が集まって報告会を持ち、弁護士からも判決の概要について説明があった。無期雇用や損害賠償などの訴えは棄却されたものの、矢本氏の契約期間が1年となっているにもかかわらず、3年まで認められたことは、前例の少ない画期的な判断であることを確認し、今後もたたかい続けることを誓い合った。

 矢本氏は支援に対する謝辞をのべたうえで、「3年の契約まで認めてくれたというのは画期的だと思う。やはり梅光学院に問題があるから、こうした判断が出たのだろうと思う」とのべた。ただ、「中野新治元学院長が“君を雇い止めにすることはない”とくり返しいっていたことについて証拠を提出しているが、判決文では触れられておらず、納得がいかないところがある。非常に画期的な判断が出て喜んでいる反面、なぜこの証拠が認められないのかという思いがある」とのべ、今後の対応を検討することを明らかにした。

 参加者からは、「研究室や図書館を使用できない理由は何なのか」「一般市民に開放しているのに使えないのか」「大学というのはユニバーシティ・仲間たちという意味だ。研究に図書館を使うのは当たり前のことだ。“契約にないから”というのはどういうことなのか」「賃金は労働や働きに対して支払うものではないのか? ただ払えばいいのか?」など、市民感覚と法律上の判断の違いについて、質問や疑問、意見があいついだ。

 報告会では、大学教員が近況の報告もおこなった。報告に立った教員は、「学内で自由にものがいえず、異論を唱えると排除、左遷、辞めさせられるなど非民主的な運営が続いており、学生たちが被害をこうむっている」とのべた。今年度末にも多くの教職員が学院を去るが、後任を決めず雇い止め等をするため、来年度には哲学の授業を社会学の教員が、現代詩の授業を中野新治氏が担当するなど、看板と違う授業がおこなわれる状況にあり、教育の質がますます低下していることを明らかにした。

 またテスト期間をもうけず、新教務システムを導入し、間違ったデータが流れるなど、事務的な部分でもトラブルが多発しており、「無事、入学式が迎えられるかどうか」という状況にあることを報告。この27日にゼミが規定の回数開かれなかったことについて学生らが申し入れ、話しあいをおこなっていることも明らかにした。

 学生たちが受けられるはずの授業が受けられなくなったという状況から、日本文学部の教員ら有志で私塾を開く準備をしていることも報告した。

 最後に、矢本氏が挨拶に立ち、「社会正義に訴え、おかしいことはおかしいというために裁判をやっているので、ひき続きたたかっていく」とのべ、拍手が送られた。

 なお、今回の判決について梅光学院側は、「当方の主張についても、一部理解をして頂けた判決であると考えている。今後の対応については判断を精査して決めることとしたい」とのべている。

中高校の校長が1年で解任

 梅光学院をめぐっては、中高校でも23日、昨年4月に現経営陣の依頼で就任したばかりの校長がわずか1年で解任されたことが明らかになり、関係者のなかに衝撃が走っている。新年度を目前に控えるなかで、理科など後任の教員確保ができていない状況もあり、来年度さらなる混乱が発生することが懸念されている。


2018年03月28日

准教授雇い止め訴訟、梅光学院大側に賃金支払い命令 地裁下関支部判決

毎日新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大(下関市)を2016年3月に雇い止めとなった男性准教授(45)が、同大を運営する学校法人・梅光学院に対し、雇用関係の確認と未払い賃金の支払いなどを求めた地位確認請求訴訟の判決が27日、山口地裁下関支部であった。泉薫裁判長は「雇い止めは社会通念上不合理だ」として准教授側の訴えを一部認め、学院側に16年6月~今年3月の月額賃金43万3300円の支払いを命じた。

 判決によると、准教授は16年4月、同大専任教員として任期1年、最長3年の有期雇用契約で採用された。豊富な業務量をこなし、学生アンケートなどでも高い評価を受けていたが、17年2月24日、同3月末での契約終了を通知された。判決は大学側が直前まで次年度の授業やゼミ、学外講演の講師などの業務も割り振っていたことなどから「契約更新に期待を抱くことは当然だ」として、雇い止めが客観的合理的理由を欠くと認定した。

 一方、3年間の有期雇用契約後は無期契約に移行する約束だったなどとする准教授側の主張は退けた。准教授は控訴する方針。


上智大、だまし討ち雇い止め 非常勤講師組合 撤回求め刑事刑事告発


■しんぶん赤旗(20018年3月27日)

 首都圏大学非常勤講師組合は、上智大学にだまし討ち的な手法で非常勤講師を5年雇い止めしようとしているとして撤回を求めています。23日には、松村比奈子委員長、大野英士副委員長が労働基準法違反にあたるとして神奈川・平塚労働基準監督署に刑事告発しました。
 上智が2013年4月に制定した就業規則には契約上限の規定はなく、非常勤講師組合の質問にも「従前の更新手続きを変更するものではない」と答え、契約上限を定める場合には「個別に対応する」としていました。
 ところが、13年から上智短大(秦野キャンパス)で教える組合員は、学科長から「13年4月以降に雇用きれた非常勤講師には、一律5年上限が課されている。法人の決定であり、学科ではいかんともしようがない」と言われ、3回の団体交渉でも雇い止めが撤回されていません。
 組合の入手した英文資料には「13年の労働法制定に対応して、上智大学では非常勤講師に対し、5年の更新上限を定めることを〝公式に″決定した」と記載。労働基準法89条では、退職に関する事項は就業規則に書き入れなければならない「絶対的必要記載事項」とされています。
 組合は上智大が無期転換逃れのために一律に5年で雇い止めする制度をひそかに制定しており、就業規則の適正な制定にも反すると批判。組合員は、神奈川労働局平塚総合労働相談コーナーに対しても、「助言指導」を求めています。
 この問題で本紙問い合わせに対して上智大は「交渉中のため回答は差し控えたい」としています。

2018年03月23日

東北18国公立大の無期雇用転換ルール、東北大のみ実施せず

河北新報(2018年03月22日)

 通算5年を超えて働く有期雇用者が4月以降、労働契約法に基づき無期雇用に転換を申し込めるルールについて、東北の18国公立大のうち、実質的に実施しないのは東北大だけであることが21日、河北新報社の調べで分かった。東北大は有期職員を対象とした新人事制度を新年度に導入するが、国は「無期転換とは別問題」との見解を示しており、東北大の突出ぶりが浮き彫りになった。
 18国公立大の回答は表の通り。3月末で通算5年を超えて働く有期職員がいる大学は12あり、このうち東北大を除く全11大学が無期転換の権利を認めている。現在、5年超の有期職員がいない山形大と福島大も「要件を満たせば5年を超えられ、無期転換を申し込める」などとしている。
 回答からは、各大学が雇用年数の上限を厳格に認識している姿勢もうかがえる。秋田公立美術大は上限の5年を超えて有期職員を雇用しない。弘前大や岩手大は上限5年を超えた場合は無期転換とする。岩手県立大は2014年度、上限3年を超えていた有期職員の希望者全員を無期転換した。
 東北大は雇用上限を5年と定めているが、実際には5年超の有期職員が約1000人いる。雇用継続の期待を持たせる一方、無期転換ルールは実質的に実施しない。職務などを制限する「限定正職員制度」を4月に始める予定で、勤続3年以上の有期職員669人を採用試験で合格とした。
 同制度に関し、国は昨年11月の衆院厚生労働委員会で「無期転換ルールとは別途のもの」との認識を示した。その上で「有期労働契約の乱用的な利用を抑制する」という労働契約法の趣旨を踏まえるよう求めた。
 調査は2~3月に実施。東北の全18国公立大のうち17大学から回答を得た。無回答の東北大については、これまでの取材からデータを算出した。

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