研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

常葉大短大部不当解雇事件

静岡地裁決文(2015年7月3日)  原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、声明(2015年7月4日)
仮処分異議申立裁判、静岡地裁決定(2016年1月25日) 完全勝訴 祝! 
静岡県内3大学教職員組合声明(2016年2月16日)
本訴裁判・静岡地裁判決(2017年1月20日) 原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
東京高裁判決(2017年7月13日)学園の控訴棄却,原告・完全勝訴 祝! 声明1

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

酪農学園大学長解任無効確認訴訟 

原告・前学長が札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状  学長解任に関する新聞報道

・酪農学園大学退職教授団HP 「酪農大はやっぱり素 晴らしい」

New! 酪農学園元評議員名誉毀損裁判、最高裁が上告棄却 教員側の全面勝訴!詳しくはこちら

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2018年11月08日

明治学院大学解雇事件、無効判決にいたるまでの事件の全貌を明らかにする図書が刊行

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著
『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

大学当局が教授に無断で講義を録音し、告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の全貌を明らかにする。事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文の解説を収録。本来「学問・教育・表現の自由」が保障されるはずの大学界への教訓として公刊。

目 次
序 章 盗聴される授業、解雇される教員 寄川条路(明治学院大学教授)
第1章 学問の自由、大学の自治、信教の自由 小林節(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)
第2章 私立大学における教育の自由 丹羽徹(龍谷大学法学部教授)
第3章 懲戒における適正手続の観点から見た解雇の有効性 志田陽子(武蔵野美術大学造形学部教授)
第4章 「明治学院大学事件」判決の主文 東京地方裁判所
第5章 「明治学院大学事件」判決の解説 太期宗平(ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士)
終 章 「明治学院大学事件」についてのよくある質問Q&A 寄川条路

2018年11月02日

教授会で人格侵害発言 英国籍の元准教授女性が立命館提訴

京都新聞(2018年11月01日)

 立命館大の教授会内で人格を侵害する発言を受け、学内でパワーハラスメントと認定されたにも関わらず大学の救済措置が取られなかったとして、英国籍で同大学の元准教授ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に対して、慰謝料など7千万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、ヘイズさんは2009年から国際関係学部の准教授に就き、労働経済学の研究に取り組んできた。学部長から教授への立候補を打診され、15年に学部教授会で昇任審査を受けた。その際、研究科長の男性教授らから、博士号取得に詐称の疑いがあるなど虚偽の発言をされ、投票の結果、昇任が認められなかったという。

 学内のハラスメント防止委員会は17年、教授らの発言が、職務上の地位や人間関係の優位性を利用していたと指摘。「精神的・身体的苦痛を与え、就労上の権利、人格、尊厳を侵害する言動」だったとし、昇任投票に「否定的な影響を与えた」と判断した。

 しかし大学側は、決定内容を公表せず、学部も教授会の決定を変更しないなど救済措置を取らなかったと訴えている。

 原告は同年3月末に定年退職し、教授昇任の再投票などを求めて京都簡裁に調停を申し立てたが不成立で終わった。

 1日に会見したヘイズさんは、女性研究者が日本で地位を得る際に「見えない天井」があるとした上で「大学は互いの違いを乗り越える寛容性を大切にしなければいけないのに、誤った情報で職場を追いやられて非常に残念。同じような被害を受ける人たちの力になりたい」と話した。

 学校法人立命館は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。


立命館大教授会でパワハラと提訴 元准教授の英国女性

徳島新聞(2018/11/1)

 立命館大の教授会での男性教授らによるパワハラ発言で昇任が否決されたのに、大学は救済措置を怠り退職に追い込まれたとして、准教授だった60代の英国人女性ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に7千万円の損害賠償を求め、京都地裁に提訴した。

 訴状によると、ヘイズさんは2008年から立命館大の嘱託職員として勤務。翌09年に国際関係学部の准教授、15年には教授昇任候補に選ばれた。しかし、教授会での審議の際、男性教授ら2人が「強引な性格で、考えを押し付ける人物」などと人格を非難した上、ヘイズさんが博士号取得を詐称していたような内容の発言をした。


サイト紹介「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」

「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」
http://mushou.jinken-net.org/

学費を苦に中退、奨学金で破産…教育無償化しないのは「人権侵害」 日弁連に申し立て

弁護士ドットコム11/1(木)

高校や大学などに通う意思と能力があるのに、国が「教育無償化」のための取り組みを十分にせず、経済的理由から学生生活を送ることができない人が出ることは人権侵害だとして、有識者団体は11月1日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。教育無償化のための法整備も含め適切な措置を取ることを、日弁連として国に勧告するよう、求めている。

●学費稼ぐため長時間アルバイト、学業そっちのけ

団体は「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」で、千葉大名誉教授の三輪定宣氏(教育行政学)と元龍谷大教授の重本直利氏(社会経営学)がそれぞれ代表世話人を務める。世話人には西川治弁護士らが就任している。

日弁連に提出した申立書ではまず、日本の学生が納める授業料がOECD諸国のなかでみても有数の高さで、しかも奨学金は返済が必要な貸与制である場合がほとんどであり、返済できないまま自己破産に追い込まれる例が少なくないことを指摘した。

そして、経済的理由から中退する学生が多く、低所得層の学生が学費や生活費を稼ぐために長時間のアルバイトをし、充実した学生生活を送ることが難しいことも問題だとした。中学校や高校でも制服代などの負担が重い問題は解消されていないと訴えた。

●東工大など授業料値上げの動き、波及を懸念

もともと日本政府は、国連の社会権規約がいう「無償教育の漸進的な導入」に拘束されない権利を持っていた(留保していた)が、外務省の発表によると2012年9月にその留保を撤回することを国連事務総長に通告した。つまり留保撤回により、日本政府は法整備や財政的措置などを講じ、教育の無償化を進める責任を負うことになったと求める会は主張している。

国立大の授業料(年額)は、文科省令が規定する「標準額」をもとに各大学が定める仕組み。授業料の標準額は53万5800円で2005年4月以降は据え置かれてきたが、2018年9月以降、東京工業大と東京芸術大が相次いで授業料改定を表明した。東工大は53万5800円を63万5400円に、東京芸大は53万5800円から64万2960円に、それぞれ引き上げるとしている。

求める会では、こうした引き上げが他の大学などにも波及し、学生や入学を志す人たちの負担がさらに増すことを強く懸念している。求める会は申立書の結びで、「具体的な行動をとる義務が国にあることを明確に意識するよう、求める必要があることは明らか」とした。


2018年09月26日

明治学院大学解雇事件、学園側控訴状の公開

控訴状(2018年7月10日)
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20180710hikokukoso.pdf

2018年09月24日

彼らは何を隠しているのか?(3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

長周新聞
 ∟●彼らは何を隠しているのか? (3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

彼らは何を隠しているのか? (3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

山口県2018年9月19日

1、市民からの主要な意見等

・この件は市大での出来事なのに、どうして市大が議会に出て説明しないのか。その方が話が早い。
・市大は法律的には市とは別団体かも知れないが、市民から見たら市役所内の一組織である。
・荻野理事長と砂原事務局長の発言には腹が立った。無責任のうえに人を小馬鹿にしている。市大への愛情を感じない。10月に市大の議会審議があるというので、どのようなことが聞けるのか楽しみだ。
・U事務局長、Sグループ長のみに責任を負わせ、それで済ませようとするのはおかしい。M元理事長、荻野元副理事長にも責任がある。UとSに責任を押しつけたのか。
・市大はどうなっているのか。高い報酬をもらっているというが、M元理事長も荻野現理事長も組織管理が出来ていないし責任もとっていない。会社で不祥事があればトップが謝罪し、トップがそれなりの責任をとっている。
・調査報告書を読むと、市大にとっては公金を失い、その回収の処理がまずく、その後の市大幹部の対応も最悪。市大にとってはお金の損失であり、名誉の大損失である。こんな時に理事長や事務局長が積極的に表に出てこないでどうする。事態収拾や名誉回復に向けて、誤解が生じているのなら誤解の解消に向けて、汗をかくのが常識的対応ではないか。その為の地位であり、高額報酬ではないか。このような時に役に立たない理事長や事務局長なら不要だ。一生懸命頑張っている市大の教職員のためにもトップが早く積極的に出てきて事態収拾を図ってほしい。
・和解をした当人の答弁が和解内容を知らない人の「知らない」という答弁と同じだということはあり得ません。ウソです。荻野理事長は学長から理事長になったということですから教育者です。教育者のトップを勤められた人が礼儀を失したことをする、ウソを云うでは困ったものです。
・今回の調査報告書では荻野理事長の責任論を厳しく指摘しているが、これまでこの問題の一番の責任者である荻野理事長に対する責任論が余り言われてこなかったのはおかしかった。万一、全額(1610万5000円)の返済が終わっていなかったら、荻野理事長の背任的行為が原因であり、荻野理事長が賠償責任を負うべきである。

2、市民の疑問、意見等をお聞きして

 責任を負うべきは市大なのに、市大はなぜ議会に出てこないのか。U事務局長、Sグループ長のみに責任を負わせてそれで済むのか。責任を負うべき者がいるのになぜ責任を負わせないのか。なぜ表に出てこないのか、というご意見をいただいたが、その通りだと思う。

 市大の市議会への出席であるが、市大も以前は市の一組織として議会審議に出ていたが、独立行政法人化してからは議会には出なくなった。このため市大に関する議会対応は市総務部、総務課が行うこととなっている。しかし、市が全額出資している団体、法人が市議会のチェックを何も受けないのはおかしいということで、毎年特別委員会を設置し、年1回審査していた。この時は市大が議会に出席した。

 しかし、今年はどのような理由からか分からないが、特別委員会の設置はやめて、総務委員会で審査することにしたとのことである。当初は9月議会の後、10月に開催するといわれていたが、先日の総務委員会のなかで「市大の要望により」急遽9月19日、つまり9月定例会の会期中に開催することが決まったようである。日程からすると一般質問よりも先になる。ここに市大の理事長、事務局長が出席する予定のようである。

 本事件は、その損害の発生から和解まで全て市大での事件である。この点では、新旧総務部長と元総務課長は市大が起こした事件のとばっちりを受けたともいえよう。そのとばっちりを上手に処理できなかった、議会での答弁がまずかったという責任はあるが、本件の責任論からいえば2次的立場である。

 これまでは議会対応がまずかったのは市の責任であると考えていた。多くの市民もそのように思っていたが、実際には市よりまだ重い責任を負うべきなのは市大であるということが明確になった。

 先の調査報告書にあるように、砂原事務局長は本池市議が荻野理事長への面会を要請した際、質問内容まで聞いたうえ「荻野理事長も総務部長答弁と同じだから面会しない」と明言した。砂原事務局長自身も質問事項を知ったうえで、「総務部長答弁と同じ」と明言した。調べればすぐ分かることを「知らない」と。荻野理事長は和解した当事者である。和解内容は当然知っているはずである。その人が「和解内容は知らない、市大から聞いていない」という答弁をした市総務部長と同じと考えられないようなことを明言した。荻野、砂原答弁で本件についての議会対応は総務部の責任と考えていたが、市大と総務部に共同責任があることが分かった。

 荻野理事長はこれまで議会にも出ず発言しなくて済んだし、大学という高い壁に守られて表に出ることが少ないため、議員や市民の批判を直接受けることもなくて済んだ。責任を問う声を受けたこともなかったと思う。しかし、ここにきてやっと本人の自覚はともかく、重い責任を負っているということがはっきりしてきた。市大が出席する市議会総務委員会に期待したい。

 次にM元理事長の責任については、調査報告書でも述べたように990万円の損害については、前払金支払いの書類を見ていなくても、組織のトップとしての責任がある。620万5000円の損害については、業者決定の書類を決裁しているのだから、直接的責任があった。賠償責任金額については別途精査する必要があるだろう。本人がなぜ賠償しようとしなかったのか、市大がなぜ損害賠償の請求をしなかったのか不思議である。

 M元理事長の責任問題については、平成24年7月17日の市議会総務委員会に市は「損害賠償にかかる訴えの提起について(下関市立大学A講義棟トイレ改修工事)」を報告したが、その際、議員(当時)C氏が「理事長がすべての責任があるにもかかわらず、3人ではなく、なぜ2人を提訴するのか」と発言している。損害賠償請求の相手方(被告)としてU事務局長、Sグループ長だけではなくM理事長も入れるべきだと主張している。市民からもそのような声は寄せられている。M元理事長がどのように考えているのか、一度聞いてみたいものである。

 市民からの意見にもあった損害賠償金が全額回収できなかった場合の荻野理事長の責任についてであるが、まず回収状況、遅延損害金の状況などを明確にすることが第一である。明確にすることは荻野理事長の責務である。そして、万一損害賠償金が全額完納されていない場合の荻野理事長の賠償責任であるが、990万円については裁判上の和解であり、強制執行ができるので完納はされるはずである。ただ、当然もらうべき遅延損害金がどうなっているかは問題である。

 620万5000円については、どのような賠償条件になっているのかが解らないが(先の報告書でも触れているが、620万5000円については議会での質問に答える義務があるのに答えていない。下関市議会では極めて不適正な議会・議員無視のようなことが何年にもわたって行われている)、強制徴収はできないと思われる。平成25年7月16日の和解からすでに5年が経過している。この間、何回も回収状況を問われ、賠償金の確実な回収を言われながら回収状況は答えず、賠償金の確実な回収策も取らなかった。従って、もしも全額完納されていないなら、荻野理事長に賠償責任が生じるのは当然である。職務を果たさなかったために損害金の回収ができなかったのだから。

 民間会社では、似たようなケースで民法644条で規定された善管注意義務違反にあたるとして賠償するよう命じた判決もある。本件のケースは賠償されない可能性があることが十分に予見され、指摘されながら放置したため、損害が発生し、市大の名誉も傷つけられたというケースなので、賠償はもちろんのこと、引責辞任も求められるものであろう。そうでなければ下関市民の理解は得られない。下関市民は納得しない。それほど責任の重いものだと考える。9月19日の開かれる市議会総務委員会でどのような進展を見せるのか注視したい。

 なお、先の報告書の「市立大学の不誠実かつ不可解な対応」の中でも書いているが、本池市議が砂原事務局長に荻野理事長への面会を要請したが、結局、拒否された。そのため本池市議が7月下旬頃「面会拒否の理由をちゃんと書いてもらいたい」と頼んだら、砂原事務局長は「わかった」と答えた。ここまでが先の調査報告書に書いたやりとりである。あれから相当時間が経つし、どうなったか本池市議に聞いたところ、9月11日現在、未だにもらっていないということだった。どうしてこのようなことができるのかよく分からない。一般社会の感覚では理解し難いが、公務員の世界、あるいは下関市役所ではこのようなことは普通のことなのだろうか。

「秘密条項付の和解」は本当に秘密が保たれていたのか

 市と市大の論理は破たんしている。いや、最初から論理などなかったと思われる。市と市大は次のように考えたのではないか。

 裁判上(訴訟上)の和解であり、裁判所で和解内容は非公表ということが決まったと裁判所の名前を出せば、市議会も市民も権威ある決定と思い、何も言わないだろう。たとえ質問があっても「裁判所で非公表が決まったので公表できない」と言えばしのげるだろう。そのように安易に考えたとしか思えない。

 そして、和解内容を少しでも答えると、矛盾が次々に生じ、次々に答えないといけないようになり、結局隠すことが難しくなってしまう。もし、和解内容がバレると「公益(市大の利益)より私益(被告の利益)を優先した和解だ」と市議会や市民から批判、追及される恐れがある。また、和解条項の中に「和解内容は非公表とする。ただし、原告が議会に報告する場合はこの限りではないが(以下略)」という条項もある。これも隠す必要がある。

 このようなことから「裁判上の和解で非公表に決まった」と裁判(所)を強調し、これを盾にすれば完全黙秘で議会をすり抜けることが出来るはずだ。このように考えたのではないか。

 裁判上の和解とは、訴訟中であっても、裁判所の関与のもとで、両当事者が譲り合い、和解して訴訟が終了する。そして、和解の条件を裁判所の調書に記載すると、その記載は「和解調書」となり、確定判決と同じ効力を有する、というものである。

 あくまでも和解は両当事者が納得しないと成立しないものである。本件は、裁判所が非公表にせよと言ったのではない。市大が被告との話し合いの中で非公表を支持したのである。それを裁判所が認め、いわばそれにお墨付きを与えたというものである。

 議会も、和解内容を議会にも一切言わないというのは納得がいかないという議員もいたが、大勢にはならず、結局抑えられてしまった。議会もなめられてしまったものである。法律専門家を自負する議員や論客を自負する議員もいるのに。

 市も市大もこれで完全黙秘が成功したと思ったに違いない。しかし、市民はそう簡単には騙されない。市民の中には本当の法律専門家もいるし、理屈、理論に鋭い人もいる。あるいは真実は何か、本来どうあるべきなのかを冷静に判断できる人もいる。

 このたび調査チームを結成してみて、改めてそのように実感した。調査チームに多くの情報が寄せられるが、その中で分かったことは、市や市大が隠し通していると思っていた和解内容は、すでに一部市民にはもれていたようである。

 市も市大も、真実を話さないと大変なことになるということを自覚した方が良い。もう無責任答弁が許される状況ではないことを自覚した方が良い。今井総務部長も従来の答弁に縛られるのではなく、自分がその答弁に責任を負えると確信できる答弁をするようにした方が良い。本件について、その犠牲者を少なくし、市民の理解を得るためには、まず関係職員が真実を隠さず話すことが第一。事実関係を明確にすることが第一。それに向けて議長が尽力すべきである。市長がリーダーシップを発揮するべきである。

 和解(秘密条項付の和解)は、平成25年7月16日に成立した。

 この和解内容の一部を、平成25年8月29日にY新聞が報道した。

 原告、被告ともに裁判上の秘密条項付の和解なので、新聞報道があるまでは和解内容が外部に漏れることはないと考えていたようである。しかし、民事訴訟法ではだれでも訴訟記録の閲覧ができると規定されており、たとえ秘密条項付の和解であっても訴訟記録は原則公開である。閲覧等の制限は別途、裁判所の決定を必要としている。

 Y新聞は閲覧制限のかかっていない訴訟記録を見て和解内容を報道したものと思われる。ここで早くも和解内容は漏れているのである。このため原告、被告ともにあわてて閲覧等の制限の決定を得るための諸手続きを行い、その後、ようやく閲覧等の制限の決定がなされた。

 しかし、和解成立から訴訟記録等の閲覧制限の決定までおよそ2カ月の期間を要し、この間は訴訟記録の閲覧は自由であった。この間は和解の内容を見ることは自由であった。とても完全に秘密を保てる状況ではなかったということである。

 訴訟記録等の閲覧制限については、民事訴訟法92条に規定されている。本件は92条第1項を適用したと思われるが、92条第1項は次のようになっている。

 「訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記載されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること」。このように訴訟記録の閲覧制限にはかなり厳しい要件が必要になっている。本件は何度も述べているように職員の違法かつ不適正な行為、事務処理による公金の損害賠償請求事件である。その違法行為や不適正な事務処理は議会にも報告されている。新聞にも報じられている。その和解についての訴訟記録が閲覧されるとどうして、どのような「当事者が社会生活を営むのに著しい支障が生じる恐れがある」というのか疑問である。

 本件は再三主張しているように、一定の被告のプライバシーに配慮することは必要だろうが、本来、議会(市民)に和解内容を言って、議会にその和解内容を理解してもらうようにすべきであって、こっそりと都合よく内緒に処理すべき事案ではない。事態は本来のあるべき方向に進みつつあるように感じる。また、進めなければならない。

 国政においては、虚偽答弁で結局辞職に追い込まれた官僚もいたが、私たちはそのようなことが目的ではない。また、本件は議会答弁にあたった市職員の責任が最も重いとは考えていない。たしかに実質的な答弁拒否の連続で議会審議の停滞を招いたことには大きな責任があるが、市大から答弁できる資料の提示がなかったということで、積極的に隠そうとしたのではないような印象も受ける。ただ、資料の提出を求めたのに市大に拒否されたのか、それとも最初から資料の提出を求めなかったのか如何によって責任は大きく変わってくるが。

 本件で最も重い責任を負っているのは市大である。もう他人事のような対応は許されないことを自覚してほしい。市大の責任者は、市大がどれほど市民から高く評価されているか。市民からの高い評価を得られる今日の市大を築くまでに、どれほどの先輩教職員が努力し頑張ってきたかに思いを巡らせてほしい。本件については、損害の発生からその処理に至るまで大学の対応は最低で、大学に対する市民の評価を著しく傷つけるものになっている。

 市大のために一生懸命頑張っている現職の教職員をがっかりさせているという声が多く聞こえてくる。本件以外のことについても「責任の自覚」という声が多く聞こえてくる。いずれにしろ、市民のための市政である。関係者は真実を述べ、反省すべきは反省していただきたい。

 これ以上真実が隠されると、市民感情がますます厳しくなって、責任追及論になってきそうである。そのようなことにならないことを願っている。


彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

長周新聞
 ∟●彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

山口県2018年8月23日

調査チームより皆様へ

 この問題に市民の関心は深いようで、いろいろなご意見、情報、疑問などをお寄せいただきました。今後、皆様から寄せられたご意見や情報、疑問点などを参考にさせていただき、調査チームで調査のうえ、お知らせする予定です。

 なお、ご意見等は要約させていただくことと、全ての方のご意見をお知らせすることは難しいと思いますので、予めご了承下さい。ご意見等をお寄せ頂いた方々、ありがとうございました。皆様の率直なご意見をお待ちしています。

1 市民からの主要な意見等

・公金の損害賠償の和解内容を議会でも言わないのはおかしい。それが解っているから、「和解内容は公表しないこととするが議会には報告する」となっていると思う。それなのに、市は議会で「和解内容は非公表なので知らない」と答弁した。それで良しとしている議会も市執行部と同様におかしい。

・和解を市議会にどのように報告したのか? 市議会は報告にどう対処したのか?

・市は市大に交付金などを渡している。市大が公金を失ったのに、市は和解について市大からの相談を受けていない。和解内容も知らないと言っている。市大が相談もなく和解したことを市は何故怒らなかったのか。調査権があるのに何故調査しなかったのか。理解できないことばかりだ。市がやっていることは、市民、市議会なり市をないがしろにしたやり方ばかりしている市大の方を大事にしている。市は大学に弱みでもあるのか。

・市は和解については「知らない」で押し通そうとしているが、市と市大は当初から意思を通じ合わせているのではないか。そう考えた方が理解しやすい。

・総務部長、総務課長といえば、組織の中心の部長、課長であるはず。下関市役所も窓口や現場の職員など市民と接することが多い職員は親切で丁寧な人が多いと評判が良い。また、中堅クラスまでは評判は悪くない。市民と接する機会の少ない部門の人たちや幹部職員も市民第一で仕事をしてもらいたい。

・失くした市民のお金がいつ返されたかなどを市民に説明しないのは言語道断。やましいことがあるから言えないのではないか。そんな市を信用して税金を払う気になれないのは私一人だけではないはず。

・市長が部下に「市民が納得できるような答弁をしなさい」と一言いえば解決が早い。トップの姿勢一つ。9月議会で市の態度に軌道修正があるのか注視したい。

2 市民の疑問、意見等をお聞きして

 本件については、先の報告書でも再三指摘したように、市民のお金を職員の不祥事や組織としてのガバナンスの欠如により失ったものであり、本来、失ったお金をどのように回収するかは市民に公表し、市民の納得した形で回収すべきものである。

 この公金の損害賠償請求の和解を非公表という条件をつけて和解(秘密条項付きの和解)したことが、本件損害賠償を不透明にし、市民の信頼を失うこととなった発端である。

 ただ、この秘密条項付きの和解には、「公表しない。ただし…」とあって、非公表の例外規定の文言が付されている。にもかかわらず、市は議会での質問に対して、非公表という原則的文言だけを利用し、これを盾にほとんど実質的な答弁をしてこなかったことが、この問題を大きくした。損害にあった「何円のお金」が「いつまでに回収されるのか」「遅延損害金の扱いはどうなるのか」「現時点で何円回収できているのか」等、聞かれたら秘密条項付き和解には関係なく、市民に当然答えなければならない。そのような事項まで「知らない」で押し通し、ほとんど答えなかった。これで市民に納得してくれ、信頼してくれというのは無理である。

 それでは、和解条項中の「公表しない。ただし…」という条項はどのような条項なのか。本当に議会で非公表条項を盾に答弁拒否することは可能なのか。その条項は正しく守られてきたのかを検証してみよう。

 この条項は先の報告書でもお知らせしたが、次のようになっている。

「原告及び被告らは、本件和解内容を公表しないこととする。ただし、原告が市議会に報告する場合は、この限りではないが、原告は本和解条項の趣旨を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求めるものとする」
 この条文から、市が市議会で「非公表という和解だから」といってゼロ回答に近い回答を続けてきたことが大きく間違っていたということがわかる。

 次に、これと関連して問題なのは、この条項では原告すなわち市大が議会に報告するとなっている。市はこの和解は裁判上の和解であり、必ず守らなければならない強制力があると力説した。しかし、「市大が議会に報告する」となっているのに「市が議会に報告」した。和解条項に違反している。

 市と市大との間で市議会出席について、どのようなやりとりがあったのかは分からないが、原告であり和解当事者であり、本件損害賠償請求事件とその和解に最も精通している市大が議会で報告するのが、和解条項からも市議会報告を実あるものにするという点からも正当であった。

 また、市は和解条項に制約される立場にはないのに、何故「非公表」だけは守ったのか。それも非公表の条項には例外があることを議会に隠して。

 市民からの疑問としてあげられた市議会への報告であるが、平成25年9月3日、市は市議会総務委員会に本件和解について報告している。これが本件和解についての最初の議会答弁であるが、この議会答弁がその後の答弁のベースになっている。市議会総務委員会での本件和解報告に関する部分の議事録は次のようになっている。

 総務課長 市立大学の和解の件であるが、損害賠償請求は民事裁判になっており、その件について和解しましたと新聞各社に報道があった。市立大学のほうからは、和解はしているという口頭の報告はいただいている。金額はいずれ大学のほうにいただける予定だということで、そのほか詳しい内容については、その和解は、任意の和解ではなく「裁判上の和解」というものであり、裁判の中で裁判官からどうでしょうかと。刑事ではなく民事であるので、そういう中で和解の提案があって、白黒を全部つけずに双方譲歩して納得できるところでおさまったというところで、大学は損しないという報告を受けて、ただその中の条件に「和解の内容については公表しない」ということであるので、私共のほうはそれ以上詳しいことは聞いていない。

 F市議 和解であるのに、民間同士、いわゆる民事上のことであるから、公開をしないということでいいんですね。もう一度確認すると。「しない」ということですね。市側も。

 総務課長 そうである。

 F市議 なんか納得いかないね。

 M市議 先の市大のことであるが、白黒つけずに和解をして、金は損をしないと。金額的には損をしないということは、九九〇万円でしたか、そのままということなのか。よくわからないが。そして、もう一度聞くが、公表しないというのは、大学側の判断ということか。

 総務課長 裁判上の和解の条件である。

 M市議 裁判上の和解の条件…ということは、どこがつけた条件か。

 総務課長 裁判上の和解をするにあたって、両者どちらが提案されたかはわからないが、その上で決まったことである。

 K市議 和解の仕方について、裁判官が和解を指導する場合であれば、原告なり被告が出す場合があるが、ただ、私は新聞報道を見て、要するにこれが和解ではなく、市の職員が間違っていたんだから払えという判決になったらどうなるのか。退職金その他の問題も出てくるのではないか。その在職中に起こした過ちでしょう。民事とはいえどうなるのか。

 総務課長 刑事事件ではないので。刑事は刑事で片がついている話だろうと思うので、民事の話だというふうになろうかと思う。それで、大学のほうがご判断されたことであると理解している。

 総務委員長 いいですね。打ち切ります。それでは、以上をもって総務部の審査はこれで終わる。

 林総務課長(現こども未来部長)が報告しているが、名目的には報告といえても、とても和解条項に記されている「市議会への報告」といえるものではない。報告になっていない。また、市議会としても、これまで「市議会への報告事項」として認めてきたものは、このような全く内容のない報告ではなかったはずである。本件について、市と市大との間でどのようなやりとりがあったか分からないし、市が本当に和解内容を知らなかったのかは疑問だが、実態として市は何ら答えられない立場、当事者能力がない状態で市議会へ出席し、報告している。市は当事者能力を欠く状態で市議会へ出るべきではない。これでは市議会に対しても礼を失している。

 また、和解条項では「市議会に報告し、市議会にも本和解条項の尊重を求めるものとする」となっているが、この議事録を見ると議会に尊重を求めるということは全くなされていない。議員の質問に対し「知らない」が答弁では、どのように考えても議会に尊重を求めたとはいえない。このようなことから和解条項に定められた「議会への報告」はされていない。従って、和解条項は守られていない。

 この条項を最大限拡大解釈しても(あるいは解釈の限界を超えているかも知れないが)、原告(市大)ではなく市が出席するのなら、市は和解内容を承知したうえで和解したことを議会に報告し、「和解内容は公表しないという和解になっているので、議会もその趣旨を尊重していただきたい」旨説明し、議会に「非公表」の尊重を求めるべきである。それでも議員が「市大の損害賠償請求の和解なので、本来、議会に和解内容を説明すべきだ。非公表に決めたからといって、全く内容のない報告をすることは納得できない」として和解内容について質問があった場合は、氏名を出さない等の配慮をしたうえで、できる限り答えるべきである。これがこの条項に沿ったものとして、議会にも市民にも納得してもらえる対応であろう。

 それでは、市の報告に対して市議会はどのような対応をしたのか。これも問題である。本件について発言したのは、総務委員会所属議員8人中3人であった。3人ともこの和解についての市議会報告に疑問を呈しているが、3人以外の議員は和解報告に対して発言なしである。市の説明に納得できなくても、市が「知らない」と答弁したので、あきらめて質問しなかったのかも知れない。しかし、この総務委員会で本件和解を報告したことになっている。当事者能力を欠くような市議会への報告は、保留にするなりしてもう1回改めて報告を求めるなり、何らかの方法はなかったのだろうか。

 なお、市の報告に対してF議員が「納得できない」と明言した(議員が居た)ことは、市民にとっても議会の名誉にかけても良かった。F議員は平成24年7月17日、本件訴えの報告があった時もスジを通している。

 原告と被告間で、市にも市議会にも相談なく和解内容は秘密にしようと決め、今度は秘密にしようと決めたから市にも議会にも言わない。そんな理屈が議会制民主主義の国で通るはずがない。そんな理屈が通るなら議会は要らない。

 市は和解条項中の非公表部分は全てに優先するかのように強調してきた。その一方で、和解条項中の「市議会に報告する」という市が市大にとって都合の悪い部分は勝手に無視し、守らないできた。市議会にも知らせないできた。

 公正公平な行政をおこなうべき市が、不公正不公平な対応をしてきたといっても過言ではないほどダブルスタンダードで、都合良く和解を利用している。また、市と市大は、ある時は一体化した動きをし、ある時は別法人を強調し、都合の良いように使い分けている。市と市大との間で意思の疎通があったのではないか、市は和解について聞いているのではないか、という市民の意見があったが、これまでの市議会答弁などで矛盾が露呈してきている。今後、ますます矛盾が拡大するにつれ責任逃れの答弁などで真相が明らかになるのではなかろうか。

 本件に対する市の対応にはおかしなことが多かった。そして、本件に関する議会審議を実りないものとしてしまった。この点は大いに反省してもらいたい。市の部長も課長もあのような答弁をせざるを得なかったのかも知れない。ただ、一連の答弁をみると、どのような理由があったにせよ、ダメなものはダメと指摘せざるを得ない。

 本件に対する前田市長のリーダーシップを期待する市民の声は多いが、前田市長は組織トップとしての責任の在り方、リーダーシップの必要性は分かっていると思うので、9月議会では担当部局や市大に対し、市民が納得できる議論を進めるようリーダーシップを発揮するものと思う。市民と共に期待したい。

 市大に対する意見も多く寄せられていますので、後刻お知らせする予定です。

◆寄せられた感想から

◇『下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書』の連載は大変興味深く読ませて頂きました。率直な感想として、「どうしてそこまで頑なに真相を隠蔽するのだろうか?」「市役所、議会、市立大学の3者が守っているのは誰なのだろうか?」という疑問を抱きました。報告書のなかでも多少ふれられていましたが、日頃から市民に対して市役所は税金滞納への差押えを問答無用でおこなうのに、特別な誰かさんが損害を与えた場合は、返済されたか否かすら誤魔化して素通りしてしまうのでしょうか? 税の公平性を語る以上、厳密に対処すべきであり、決して曖昧にしてはならない問題だと思いました。

 私は仕事柄、下関市立大学にも知りあいが幾人かおります。従って、この問題が他人事には思えません。単刀直入に申し上げると、トイレ工事を受注したS社のMさんは大学評議委員でもあり、江島市長の選挙を熱心にとりくんでおられた仲間だったということは、業界では広く知られている周知の事実だと思います。そして、副議長をされていたCさんは、確かS社の関連会社の社員でもあったと記憶しております。U事務局長(元市部長)とCさんが大変懇意だったことは、彼らの地元では有名な話でもありますし、Cさんは当時大学父母後援会の会長もされていました。登場人物たちの人間関係や役職について理解を深めると、より報告書の背景が読みとれるのではないかと思った次第です。

 さて、S社の経営が傾いているさいに、海峡沿いの立体駐車場の運営権を市に無断で売却し、そのおかげで豊北道の駅の工事請負議案を議会に否決されてしまいました。すると、そんな市の入札参加資格すらないS社に対して、市立大学を経由して仕事があてがわれました。しかも、業者選定をしたのもS社で、保証もなしに6割もの工事代金の前払いがおこなわれていたのです。通常であればあり得ない事です。まるで資金繰りを援助するかのようにタイミングよく工事が発注されていたともいえます。そして案の定、S社は事業停止に追い込まれ、市立大学が損害を被りました。これは一般的に市立大学と距離のある企業がひき起こした事件ではなく、前述したように人脈や人間関係が濃密な人人のあいだで起きた事件であるという点について、着目すべきであると考えます。偶然ではあり得ない事だからです。

 問題は、報告書のなかでも書かれていたように、市立大学なり市が賠償請求してしっかりと回収状況を明らかにしていたなら、本来これほどの問題にはならなかったということです。公明正大でなかったことが逆に「何を隠蔽しているのか?」「誰を守っているのか?」という疑問につながっていきました。市立大学も下関市も、和解条項を盾にのらりくらりと追及をかわし続け、市議会議員や市民に対して誠実に対応しませんでした。そのやりとりを読んでみて、改めて総務部長答弁のいい加減さには絶句してしまいますし、まるで国会の財務省答弁を見せられているような気すらしました。市議会の権威などあったものではありません。本池市議には、あのようないい加減な答弁の上をゆく追及をお願いしたいと思った次第です。

 ただ同時に、そのやりとりのなかから「620万円は返済されていないのではないか?」「実はチャラにされているのではないか?」という疑問も浮かび上がってきました。なぜ「620万円も返済された」とはっきり答弁できないのか、しないのか? です。あと、市議会はなぜ「和解条項について報告せよ」と求めないのだろうか? という点も不思議でなりません。ひょっとしてC元副議長やその周囲に遠慮されているのでしょうか? 市立大学の不誠実な対応についても同じです。副理事長だった当事者が和解し、真相を有耶無耶にしてしまうなど、あってはならないことです。それで損害金が返済されていないのだとしたら、背任になってしまいます。一連の経過を通じて、守られるべきが公金ではなく、損害を与えた側が一貫して守られていることに特徴があるように思えてなりません。

 丁寧に事実を積み上げた報告書であり、真相解明のために尽力されたチームの皆さんには感謝致します。願わくば今回に限らず、今後とも下関の街で起こる不正不当な事案については、同じように真相究明チームを結成して、広く市民に問題提起して頂けることを願っています。緊張感がない「一強」では街が腐るとでもいいましょうか、政治や行政が壊れてしまうと危惧するからです。「守る」べき特定の何者かにおもねっているような行政であってはならないし、行政が本来守るべきは等しく市民であるべきです。

 市立大学のトイレ改修事件は、モリカケに比べれば金額的には微々たるものかもしれません。しかし、公金を巡っていい加減な行政対応がやられているという問題に金額の大小は関係ありません。いまや国も地方も乱れに乱れ、モリカケとて真相解明は何もないまま有耶無耶にされたままです。締まりもなければケジメもないような状況にありながら、一方では立憲政治や議会制民主主義の建前だけはあり、それらは飾り物のようにおとしめられています。踏みつけられています。私には、このちぐはぐさが今の時代をあらわしているように思えてなりません。

 報告書のタイトルにあるように、「彼らは何を隠しているのか?」を今後とも注目したいと思っています。だって、彼らはひき続き誰かさんを守り、真相を隠しているのですから--。(匿名希望)

◇ 下関市立大学の連載を読んでみて、驚くことばかりでした。公金が失われているのに、どうして総務部長をはじめとした役所の方方まで言葉を濁されるのか不思議でなりません。監督官庁としては必死になって損害回収のために力を尽くすのが本来の姿だと思います。損害を与えた方方というのは、それほどまでに市職員から見て「怖い」人人なのでしょうか? なぜ損害を与えた側を下関市、市立大学が一緒になって守っているのか意味がわかりません。損害を与えられた側(市、市立大学)は条件反射で怒るのが普通ではないでしょうか。
 この連載を読みながら頭に浮かんできたのは、日頃からの税金滞納者への差押えのひどさです。990万円とか620万円とか、1人1人の市民の滞納額に比べたらはるかに巨額の損害なはずですが、そちらには目を伏せ、数万のお金に行き詰まっている市民からは遠慮なく剥ぎとっていく。これはどう見てもダブルスタンダードです。和解において、損害を与えた側の就職や社会生活のことを心配して秘密条項にしたとありましたが、私の周囲ではいきなり会社にやってきて、給料を差し押さえられた知人もいました。「世の中甘くない」というのであれば、990万円や620万円をきっちり回収することにも本気でとりくまなければ、公正公平ではありません。

 常識的に考えてみて、公金の扱いについてはオープンでなければならないはずです。最低でも返済されているのか、いないのかくらいは白黒はっきりさせなければ、市民は納得しないのではないでしょうか。今後とも例の和解条項を盾に不問に付す対応をするのであれば、法的手段に訴えて広く社会にも問題を投げかけ、是非を問うやり方も考えてはいかがでしょうか。情けない話ではありますが、下関以外の都市でも果たして通用するのか、公金のあり方をはっきりさせるという点で意義は大きいはずです。

 でなければ、第2、第3のトイレ事件が起こり得るでしょうし、和解条項を盾にすれば逃げ切れるという悪しき前例を認めてしまうことになります。このようなやり方が裏技として正当化された場合、役所あるいは市出資法人と相手方が結託してしまえば、全てを闇に葬ってしまうことも可能になるのかなと想像しています。下関発の有耶無耶テクニックとして、悪知恵が働く人が悪用することすら危惧するものです。

 議会でも執行部は「知らない」ととぼけ続ければ良いというふざけた態度です。下関市役所の歴代の総務部長とは、あの程度なのかと愕然としました。現在の今井総務部長さんは若い頃から真面目な職員の方だと知人より評判を聞いていただけに、個人的には残念でなりません。執行部答弁は、なにをおっしゃっているのか意味不明だった三木副市長の答弁も含めて、議会を冒涜しているとも思えるのですが、議員さんたちには冒涜されている自覚がないのかもしれません。これまた情けないものです。

 若き前田市政において、「私たちはきっちり解決するのだ」という姿勢を示すのか、それともひき続き江島、中尾時代の未解決事件をそのまま闇に葬るというのか、9月議会を注目したいと思います。ふざけた答弁をするのであれば、そのまま新聞紙面にて全文をご紹介下さい。私たちの会社でも、社員一同が新聞を広げながら話題にしています。

 ところで、調査チームに本池市議が加わっていることはわかったのですが、現役の市職員の方も加わっておられるのでしょうか? 行政的な対処については素人にはわかりにくいのですが、「本来こうすべき」という点がわかりやすく、かつ鋭く執拗で、専門的知識に裏付けられた説得力を感じました。勝手な想像なのですが、仮にそのような市職員の方がいらっしゃるのであれば、是非とも実力を発揮していただき、将来の総務部長を目指してほしいものです。やはり公職ですから、公正公平な行政運営への熱意がなければ、どうしても歪んだ私物化行政に侵食されてしまいます。なかなか綺麗事ばかりでは済まない世の中ですが、役所の良識がねじ曲げられるのか、守られるのか、その辺りの問題を教えられているような気がしています。(60代男性 会社経営)


彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

長周新聞(2018年8月14日)
 ∟●彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

山口県2018年8月14日

 本紙でも事あるごとにとりあげてきた下関市立大学のトイレ改修工事を巡る損害賠償請求事件について、その真相があまりにも隠蔽され、消えた公金の行方があいまいなまま済まされようとしていることを問題視した有志が、このほど調査グループを結成して広く市民にもわかるよう調査報告書を作成した。下関市、下関市議会、下関市立大学の三者がかたくなに隠蔽し、守っているものは何なのか? だれなのか? さらに、その対応は地方公共団体としてまっとうなものといえるのか等等、下関市役所や市議会の在り方ともかかわってさまざまな問題を投げかけている。事実を丹念に追っていることから長編となっているが、紙面上で連載したものを紹介したい。

Ⅰ はじめに

 市民の皆さん、森友・加計の問題が大きく報道されていましたが、モリカケ問題についてどのようにお考えでしょうか。学校、学園を舞台に明らかに不正、不適正な行政が行われていたのに、国会の場でも文書隠蔽、改ざん、虚偽答弁などをくり返し、疑惑を必死に隠そうとする政府。そして、それに手を貸すかのように真相究明に消極的な与党の対応。この現状に腹立たしい思いをしている人は多いはずです。そこには「政治、行政は国民のためにある」という当たり前のことが全く無視されています。モリカケ問題は、権力の私物化、権力者のおごりが象徴的にあらわれた事件だと思います。

 下関市立大学トイレ工事の記事を読んだり、議会での傍聴の度に、どこかモリカケ問題に通ずる事件だと感じ、激しい憤りを覚えます。市大トイレ工事事件は、下関市民のためにあるはずの下関市政が下関市民無視市政になっている典型的な事件です。市民のお金(公金)約1610万円が市大職員の不正、不適正行為によって失われたという事件です。

 市民のお金がいつまでに、どのように回収されるのか、そして実際にどのように回収されているのかということを市民に知らせるのは当然のことです。それなのに、どのように回収されるかについては、市民には内緒にするという条件で和解(秘密条項付きの和解)した大学、市大を指導する責任と権限があるのに、全く無責任な対応に終始している市、市民代表として市政をチェックし、市大や市の無責任を正すべき責任があるのに、この事件を積極的に解明しようとしない市議会。常識では考えられない状況です。これ程おかしなことが平気でまかり通るのは、この事件の背後に何かあるに違いないと思ってしまいます。

 当時、市大トイレ工事を請け負った業者と深いつながりがあり、大学にも市にも、市議会にも、いわゆる“顔が効く”市会議員(当時)C氏の存在が噂されましたが、本当にそのことが影響したのでしょうか。

 本件は、色々な問題を含んでいますが、本来、それほど複雑な事件ではなかったはずです。市または大学が「このような和解をしました。いつまでに全額回収できる見込みです」と議会へ報告し、その後質問された都度、回収状況を誠実に答弁すれば済む問題でした。しかし結局、この事件は多くの問題を抱えてしまい、決して看過できない事件になりました。これを許すと、こんなやり方が今後の前例になってしまい、モリカケ問題以上に違法、不適正な下関市民不在の下関市政がまかり通ってしまう恐れがあります。

 このようなことから、本事件の真相や問題点を多くの市民の皆さんに知っていただきたいと考え、有志で調査グループを結成し、市議会でのやりとり、マスコミ報道等も参考にまとめたものです。これがその第一弾ですが、これからも調査を続行していきます。なお、この問題に関係した職員の氏名はマスコミで報じられており、公表しても問題ないと思いますが、一応、現職以外は氏名を出さない扱いにしました。

Ⅱ 事件の概要

1 指名業者の選定、落札、契約の締結について

 平成22年12月、市大はトイレ改修工事を行うため、市内業者6社を指名することとし、市大事務局のS総務グループ長を中心に6社を選定した。入札の結果、この6社のなかからS社が落札した(落札率99・7%)。S社は平成22年8月、市の入札で「豊北道の駅」工事を落札したが、市営駐車場の管理権の無断譲渡問題に関連した問題業者だということで、9月市議会でも工事議案が認められず、継続審議になっていた。このようなことはマスコミでも報じられており、S社が問題企業だということは市大も当然知っていたはずだが、市大はS社を指名した。そしてS社が落札したものである。

 12月初旬、市議会は「道の駅工事議案」を否決した。S社は市から市の工事を請け負う資格なしとされた。経営不振も噂されていた。このような状況にあるなか、市大は12月中旬にトイレ改修工事請負契約をS社と締結した。この指名業者の選定、及び契約の締結については、いずれもM理事長まで書類が上げられ、M理事長がそれで良しと決定している。荻野現理事長も副理事長としてこの書類に押印している。

2 工事前払金の支払い

 工事請負契約の締結後、すぐにS社から工事前払金の請求があった。前払金はS社が保証会社との間で前払金保証契約を締結していないので支払うことはできない。にもかかわらず、平成22年12月末、翌年1月と2回にわたり工事代金の6割にあたる2260万円を契約等に違反してS社に支払った。この契約等に違反した前払金の支払いについては、U事務局長まで書類がまわり、U事務局長が支払いを決定した。

3 請負業者S社の工事中断とこれに伴う損害の発生

 ①990万円の損害の発生
 噂通りS社は経営悪化で事業停止に追い込まれ、平成23年3月初めにはトイレ工事が行われなくなった。このため大学は3月31日に記者会見を開き、工事の中断と契約書に違反した不適正な支払い(工事代金の前払い)があったことを発表した。S社の工事中断までの工事出来高は約32%、金額にして1270万円と認定され、前払金2260万円と工事出来高1270万円との差額990万円がS社への過払額、すなわち市大の損害金と決定した。

 ②620万5000円の損害の発生
 違法な手続きでS社に仕事をさせ、結局、S社が仕事を途中で止めたため、再度別の業者に頼まざるを得なくなった。工期を短縮せざるを得なくなった等の理由から、工事費が620万5000円余計にかかることになった。市は議会で、この620万5000円もトイレ改修工事に伴う市大の損害金であると答弁している。本件トイレ改修工事に伴う市大の損害金は上記①と②の合計額1610万5000円である。

4 損害賠償請求

 違法な業者指名を決裁したM理事長と、不適正な前払金の支払いを決裁したU事務局長は共に平成23年3月末任期満了によって退任した。4月から新たにH理事長と新事務局長が就任。市大幹部は荻野副理事長(当時学長)を除き新体制となった。

①990万円の損害賠償請求
 市大はS社に工事執行能力がないと判断し、同社との契約を解除するとともに、損害賠償を求めたが、S社には支払う意思がなかった。このため損害発生の原因のうち、過払金(前払金)による損害990万円について、法的に損害賠償責任があると考えられるS元グループ長とU元事務局長に支払いを求めた。

 しかし2人とも誠意ある対応を示さないため、平成24年7月12日、2人に対して990万円の支払いと平成24年6月1日から完納まで年5%の支払いを求める損害賠償請求の訴えを山口地裁下関支部に起こした。市が訴えを起こす場合は法律上、市議会の議決を必要とするが、市大は独立行政法人化しており、市とは別団体ということで議会の議決は必要としない。

 しかし、設置者は市であり、市から交付金を受けているということ等から、市大は訴えの提起に関して平成24年7月12日に記者会見を行った。また市は7月17日、市議会総務委員会に本件を報告している。公金の損害賠償事件を市民に説明するというこの考え方は妥当であろう。

②620万5000円の損害賠償請求
 違法な業者選定に伴って発生した損害金620万5000円については、市大は法律上の措置は講じていない。市大はS社に請求していると答えているが、支払能力が疑わしいS社に何故請求したのか。回収方法やその回収がどのように担保されているか、又、いくら回収されているか等については答えていない。

5 裁判上の和解

 本件損害賠償事件は訴えてから約1年後の平成25年7月16日付で大学側と被告側(U元事務局長とS元グループ長)が次のような内容で和解したとY新聞で報じられた。
 主たる和解条項は
ア U元事務局長は大学側に200万円支払う
イ S元グループ長はS社の大学側に対する債務のうち990万円までを連帯保証する。
ウ この和解条項は公表しないこととする。市が議会に報告する場合も非公表の趣旨を体して報告すること。議会も非公表の趣旨を尊重するよう求めること
等であった。
 なお、Y新聞の報じた和解条項では、完納時期や遅延損害金の扱いなどは不明である。

 大学側の要求どおりの和解であれば判決までいかなくても市民は納得するだろう。しかし、大学側の要求(訴訟内容)とは異なるのに、どのような理由で和解したのか。和解内容をなぜ非公表としたのか。大学側はどのような手続きで和解したのか。和解について市と協議したのか。市民には真相がよくわからないし、理解し難いことばかりである。

 裁判上の和解は990万円であり、620万5000円については回収が確実なのかはっきりしていない。

6 損害金の回収状況

①990万円について
 平成25年7月の和解以降、市議会で本池市議が何回か質問しているが、市側からは明確な答弁はなかった。

 平成30年6月議会で、市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている。利息等の有無や内容については、市としても知らない」と答弁した。

②620万5000円について
 これについても990万円の損害金と同様、これまで市側から明確な答弁はなかった。
 平成30年6月議会で市は「和解の内容による損害金の回収は全て完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。ここでも回収金額、遅延損害金等については知らないという。

Ⅲ 本事件の問題点

1 指名業者の選定、契約の締結について

 事件の概要で述べたように、当時の状況下、普通では考えられないS社選定であった。

 指名(入札)業者6社は、実際にはS社が選定したもので、それを大学案としていたことが判明した。違法かつ不公正な指名業者の選定であった。

 Sグループ長は、入札等妨害罪及び官制談合防止法違反容疑で送検され、その後容疑は確定している。指名業者の選定と契約の締結は当時のM理事長が決裁している。従って、M理事長、荻野副理事長(当時)まで責任が及ぶ。M、荻野両氏が全く知らないで行われたとしても組織上の管理監督責任がある。ましてや決裁文書に押印しているのだから、損害発生とその損害の賠償には直接的責任がある。しかしながらM理事長は1円の損害賠償金を払うことなく、満額の報酬と退職金を得て退職し、何らの責任もとっていない。荻野副理事長(現理事長)も何らの責任をとっていない。当時の最高幹部で損害の発生と組織管理に責任ある両氏が何ら責任をとっていない。多くの市民は納得できるだろうか。

2 工事前払金の支払いについて

 工事代金は後払いが原則だが、資材の購入等、工事着手前にお金が必要なことがあるので、例外的に前払いを認めている。

 しかし、前払金は支払ったのに工事に着手しないとか、工事を途中で投げ出すということがあってはいけないので、前払金を支払うことができるのは請負業者が保証会社との間で前払金保証契約をしている場合に限られる。この保証契約を担保として前払金を支払うことができるという決まりになっている。この場合でも4割しか支払うことができない。

 本件前払金の支払いで問題なのは、
 ・請負契約書上支払わないことになっているのに契約に違反して支払ったこと
 ・前払金を支払う契約になっていても、前払金保証契約を締結していないと支払うことはできないのに支払ったこと
 ・契約書上支払うことが出来、前払金保証契約を締結していても4割しか支払ってはいけないのに6割も支払ったこと
 このように三重に違反した、不正な前払金の支払いであり、常識では考えられない職員の背任行為である。

3 損害賠償請求事件の和解と損害金620万5000円の処理について

①損害金990万円について
 市大職員による工事請負業者の違法な選定と規定に違反した不正な前払金の支払いによって生じた公金の損害であり、本来裁判で訴える前に損害発生に関係したM理事長以下の職員が早期に損害賠償を行うべきものである。それがなされなかったために訴訟になったものだが、関係職員の自覚と責任感のないことにはあきれてしまう。

 今回の損害発生の原因、経緯等から考えると訴えたとおりの判決を求めるべきである。ただ、訴えたとおりになるのであれば和解することに市民も納得するだろう。従って、市民が納得できる和解になっているのかどうか、和解の内容が問題となる。その重大な和解の内容を市民に非公表としたことは、まさに市民無視の大問題である。市民の納得を得るという和解の大原則を無視したのである。

 それでは、なぜ非公表とする条件で和解したのだろうか。

 Y新聞が報じた和解内容だと、違法行為によって市大に損害を与えたSグループ長は、本来なら損害賠償の最も重い責任者であるはずなのに請負業者Sの連帯保証人という立場になっている。連帯保証人なのでSとS社は同等の損害賠償責任者となるが、そもそもS社には支払能力も支払う意思もなかったから、SとUに支払いを求めたものである。S社は本件訴訟の被告ではない。従って、和解の当事者でもない。そのS社をなぜ主たる和解条項のなかに入れたのだろうか。疑問である。

 この和解条項だと市大の利益(公益)より損害賠償責任のある職員(UとS)の利益の方を優先している。市民から公益より利益優先の和解ではないかという批判が出ることを恐れて非公表としたのではないか。

 先日も「父親の入院、介護等で苦労した後、アルバイトで働き始めたが、そこで働いた給料9万円から固定資産税の滞納の一部として7万円が差し押さえで天引きされた。これからの生活が大変だ」という市税滞納者に対する厳しい徴収が記事に出ていた。方々で市税徴収が厳しいという声を聞く。市税徴収の現状とこの損害金回収の和解内容は格差があり過ぎる。

 和解は荻野理事長と損害賠償責任のある被告側とで行われているが、まず荻野理事長の立場である。荻野理事長は違法な業者選定をした伺書に市大ナンバー2の副理事長として押印している。市大に損害を与えた側の責任者の一人である。加害者側として責任のある者が被害者側代表として和解している。しかも、その和解内容は公表せず、秘密にしようという和解をである。そして今度は自分たちが勝手に結んだその秘密条項をタテに市議会でも事実上の答弁拒否をしている。(市議会で答弁するのは市総務部長であるが、総務部長は「和解内容は市大が公表しないということなので知らない」と答弁している)。

 次に和解に至る手続きである。

 訴えの提起のときは当時のH理事長は記者会見を開いて市民に公表したし、市は市議会総務委員会にも訴えの内容について報告した。しかし和解については、荻野理事長は記者会見を開いていない。市大には理事会もないようである。荻野理事長が独断でこのようにおかしな和解をしたのではないかと批判されても当然である。

 市は平成25年9月3日の市議会総務委員会に和解したことを報告したが、質問に対して「和解内容については公表しないことを条件にしている」ことを理由に和解内容について答えていない。賠償金額、完納時期、分割支払いなら遅延損害金の扱い等は議会に対する最低限の報告事項である。それらも報告しないのなら議会への報告にはならない。

 市執行部は議会を無視しているのに、議会はそれを甘受している。議員は市民を代表して行政をチェックするのが主要な職務である。「職員の不祥事により公金が失われた損害賠償なのに、どうして金額や完納時期が明らかにできないのか。議会に報告するのは当然ではないか。

 これらのことも明らかにしないという和解なら、和解そのものが問題だ」と主張する議員が居なかったのは不思議であり、残念である。市大も市執行部も市議会も、市民に対して無責任ではないか。

 以上見てきたように、本件和解はまず和解内容が市大の利益より職員の利益を優先している。被害者より加害者を優先している。このことが大問題である。次に和解内容を非公表としたことは市民無視の行為であり、これも大問題である。市立大学が「公益軽視の和解内容」で「秘密条項付きの和解」を行うことは違法性があると言わざるを得ない。

 市が訴訟で和解する場合は、訴えを起こすときと同じように法律上、市議会の議決を要することとなっている。市大は現在、独立行政法人として法律上、市とは別団体になっているが、市が設置し、市から交付金が出ている大学である。和解する場合、市に準じてできる限り市議会、市民に和解の事実と和解の内容を報告、公表すべきである。理屈上はそうなる。

 このようなことから「和解内容を市議会にも報告しないということは難しいだろう。秘密条項付きの和解とするが、市議会には和解内容を報告することができるようにしておこう」と考えて、「議会に対しては和解内容を報告する。ただ、その場合も非公表の趣旨を尊重するよう議会にも求める」という条件をつけたものと思われる。

 市大も市も「和解条項の非公表」ばかりを主張し、この「和解内容を議会に報告できる」という条項を無視した対応(「和解内容は非公表ということなので知らない」との市答弁等)をし続けたことが、市行政の信頼を失墜させ、事態を悪化させた。議会での本池議員の質問に対して、嘘を言わず誠実に答えていればここまでおかしなことにならなかったかも知れない。

②損害金620万5000円について
 これについてはS社と和解し、S社に請求していると市は答えている。支払能力が疑わしいS社に請求しているのか、それで良しというのは無責任である。大学職員の違法、不適正な行為による公金の損害賠償事件であり、大学当局は速やかに、確実に全額回収できる措置を講ずべき責任がある。

 その点から考えると、決裁した当時のM理事長以下、荻野副理事長、U事務局長、Sグループ長に損害賠償の連帯責任があるのだから、支払能力の疑わしいS社に請求するより、まずM理事長以下の連帯責任者が責任をとって速やかに賠償すべきである。そのような方策をとるよう荻野現理事長がリーダーシップを発揮すべきであった。それこそが高額報酬を得ている荻野現理事長の最低限の職務である。

4 損害金の回収状況について

①裁判上の和解をした損害金990万円について
 損害金を現在までにいくら回収できたのかは、秘密条項付きの和解条項には含まれないことであり、当然市民に公表すべきである。しかし、市は市議会での本池市議の質問に対して、和解条項を理由に明確に答えてこなかった。これは本件和解条項に対する違法な拡大解釈である。

 その後、平成30年6月議会で市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている」と答弁したが、回収完了年月日、遅延損害金の有無等については知らぬ存ぜぬで押し通している。無責任であるし、「知らない」で済ませられる問題ではない。子どもだましのような答弁で押し通すことが許されているのが下関市議会の現状である。

②損害金620万5000円について
 この損害金は裁判とは無関係であり、従って秘密条項付きの和解とは全く無関係である。これまで市議会での質問に明確に答えなかったのは答弁拒否であり、市民を無視した市の対応であった。平成30年6月議会で本池市議が「返済完了と答えたが620万円についてもか」と質問したのに対して、市は「双方の和解による損害金はすべて完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。相変わらず子どもだましのような誤魔化し答弁、無責任答弁をくり返している。①の損害金と同じく、今後も追及が必要である。

 公金の損害賠償事件の和解を秘密条項付きとしたことは大問題だが、この秘密条項も完全な秘密とすることにはなっていない。先述のように議会への報告については一定の条件が付されてはいるが、報告できるようになっている。また訴訟記録の閲覧制限申立書では、非公表の理由として、公表すると

・被告に背任行為があったように思われること
・社会的評価を落とすこと
・就職にも支障が出ること
としている。秘密条項付きの和解にしたのも上記理由からだと思われる。

 市大トイレ工事に関して違法行為があったこと、大学職員が逮捕されたこと、損害が発生し損害賠償請求の訴えを起こしたこと等はすでにマスコミで報じられており、公知の事実である。これについての和解であり、和解内容が公表されると被告の就職等にどのような影響を及ぼすというのか、全く理解できない。せいぜい氏名を隠せば良いだけのことである。むしろ、和解内容を公表した方がこの問題に一定の責任を果たしたということを市民に知ってもらう良い機会だと思う。

 以上のことから市(大学)が議会での質問に対し、秘密を主張できるのは、
 ①和解調書に記載された事項であり、かつ
 ②その事実を公表すると被告の就職等に支障が出ると客観的に考えられる事項に限られる。
 和解調書に記載されていない事項や、和解調書に記載されていてもそれを公表すると就職等に支障を及ぼすとは客観的に考えられない事項は誠実に答弁しなければならない。なお、就職等に支障をきたすような事項でも議会が秘密会等、秘密を保てるよう配慮すれば市(大学)は答弁を拒否することはできない。

 以上が本件に関する市の議会答弁の基本的ルールである。しかし、市議会では本池市議の質問に対し、秘密条項付きの和解を理由に答弁拒否できない事項まで、ほとんど全て答弁拒否している。

 質問事項は予め通知している。市は市大に対する調査権、指導権を持っている。市は調査権限を行使して調査し、議会で明確に答える義務がある。それでも松崎総務部長(現水道局長)は他人事のような答弁をくり返した。議会もそれを許してきた。

 本池市議は本件に対する市民や大学関係者の疑問をふまえて的確な質問をしている。松崎部長が本池市議の質問に誠実に答弁していれば、ここまでこじれることはなかったと思う。以下、虚偽的答弁、誤魔化し答弁の一部を別示する。

1 平成25年9月議会

 本池市議 訴訟していたのに、なぜ和解したのか。回収の見込みがたったから和解したというが、990万円とは別に620万5000円の損害がある。これは誰が負担するのか?
 松崎総務部長 990万円+620万5000円の合計額1610万5000円の和解が成立した。
※訴訟について和解したのは990万円についてのみであって、1610万5000円を裁判上の和解額としたのなら虚偽答弁。本当に知らなかったのなら、職責を果たしていない。

2 平成26年6月議会

 本池市議 裁判上の和解金額、遅延損害金の扱い、完納時期は?
 松崎総務部長 損害金の回収は順調に進んでいる。和解内容は公表しないことになっているので。
※答弁拒否の理由にならないのに答弁を拒否

 本池市議 和解内容を市は把握しているのか?
 松崎総務部長 和解内容は公表しないということなので具体的な話は市は承知していない。
※市には法的に市大を調査する権限がある。その権限を行使せず、議会での質問に「知らない」は職責を果たしていない。無責任である。和解には和解内容を議会に報告できるという条項が付されている。それを「知らない」は議会軽視ではないか。

 本池市議 和解条項中に議会への報告ができる旨の条項があるが?
 松崎総務部長 市としては訴訟記録も見ていないし、言われたのは伝聞の話しだから確認できない。
※平成25年9月議会で本池市議が和解について質問しているし、今回も質問通告している。それなのに、まだ訴訟記録を見ていないというのは常識では考えにくい。本当に見ていないのなら無責任。

3 平成26年12月議会

 本池市議 現時点の回収額、利息延滞金、完納時期は?
 松崎総務部長 市大の財務諸表から平成25年度中に420万円の回収があったものと推測される。完納時期、利息等については和解内容は公表しないということで知らない。
※回収額等については秘密条項付き和解を理由に秘密にすることは出来ない。当然答えるべきことなのに答弁拒否している。

 本池市議 和解条項の中に議会には報告できるようになっているのに、どうして議会に報告することがはばかられるのか?
 松崎総務部長 ア 和解の内容については公表しないということなので知らない(「議会に報告する」は知らない)。
 イ 市とは別人格をもった市大の話なので内容については話すことができない。
※アについては、6月議会で本池市議が同じ質問をしている。従って、「議会に報告する」ことは市も知っているはず。「知らない」は虚偽答弁ではないか。イについては無責任な答弁。市大は別人格団体なので、市議会で話せないという法令的制約は何もないので話すことはできる。市立病院についても、市はノータッチか、議会審議なしか。

4 平成30年6月議会

 本池市議 損害金の回収状況は?
 今井総務部長 和解内容非公表のため具体的な金額はわからないが、平成30年4月、大学との協議のなかで和解内容による損害金の回収は完了したと聞いた。利息等の有無や内容については市は知らない。
※回収金額等について議会で「知らない」と答えることは市議会軽視、市民無視に等しい。秘密条項付き和解で制約される問題ではない。回収金額等を答えることが被告の就職等に悪影響があるとは思わない。

 本池市議 620万円についても企業が620万円をすべて支払ったのか?
 今井総務部長 これについても承知していない。
※無責任答弁。職務怠慢

 本池市議 和解条項のなかに「原告は和解条項を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求めるものとする」という記載があり、公表しないでよいというものではない。
 今井総務部長 「議会に対しても和解条項の尊重を求める」ということだが、市としてはそのへんのことは承知していない。
※議会に報告するという和解条項を知らないということなら虚偽答弁ではないか。これを知らないはずがない。和解条項の内容を知らないということなら無責任。

 三木副市長 市大の担当の副市長としてお答えする。議会に報告をして尊重を求めるということについては、和解の内容について議会に報告して尊重を求めるということなので、これを公表しないという和解の内容についても議会にご報告申し上げ、その尊重することを求めるということなので内容についてすべて公表する。そこを議会に報告しなさいということをいっているのではないということ、そういうふうなわれわれは理解をしている。

※この三木副市長答弁は、市は「議会に報告する…の条項を知っていた」「知っていただけではなく、実質的にこの条項を理解したうえで、この条項を基に、極論すればこの条項に支配されて議会対応してきた」ということを示した。発言の意味が、市は和解内容を議会に「報告する」と理解していたのか、「報告しない」と理解していたのか、肝心な点が不明確だが、どちらにしろ今後に大きな問題を提起した発言である。

 これまで再々述べてきたように、双方代理のような立場の荻野理事長が本来、市民に公表すべき事項まで秘密とする和解をした。そのうえ、実質的に市を制約する条項または和解通りの実行ができない条項を入れたという非常に問題のある和解である。特にこの条項が「報告しない」という趣旨で入れた条項なら、まさに議会制民主主義の否定を強いた和解であり、荻野理事長の責任は極めて重い。また、市大を監督指導する立場にある市が、この条項に何一つの問題も感じず、それどころかこの条項を金科玉条のように信じ、この条項に縛られた議会対応をしてきたというのは驚きであり、市の責任も重い。

 長年にわたりこの問題の真相究明に取り組まれている本池市議に、これまでの問題点、取組への反省点、今後の見通しなどを聞き意見交換した。そのなかで、次のような市大の不誠実かつ不可解な対応が明らかになった。以下、本池市議の語ったところを要約すると「6月議会の一般質問は新総務部長の答弁なので少しは前進するかと期待したが、相変わらず他人事のような要領を得ない答弁だった。何人もの方たちから“あのような答弁で済ませていたら疑問点は何一つ解消されない”“何のための議会かわからない”などと怒りの声が多く寄せられ、私も叱責を受けた。市民代表の市会議員として市民の疑問に応えるためには、市大理事長と市大事務局長に直接会って話を聞くしかないと考え、砂原事務局長に会って、荻野理事長に面会したい旨要請した。しかし、いろいろなやりとりがあった後、結局面会は拒否された」ということであった。

 荻野理事長が面会要請を受けて実際に面会したのなら面会までのやりとりはどうでも良いことで、市民にも関心はないことであろう。しかし、荻野理事長は面会を拒否した。その面会拒否は、市民目線で見て妥当なのか、市民が納得できるものなのか、市民の判断を仰ぐためにはどのような経過、やりとりを経たうえでの面会拒否なのかを市民に知ってもらう必要がある。このように考えて、本池市議に市大とのやりとりを詳しく聞いた。以下がそのやりとりの抜粋である。

6月28日 荻野理事長出張。砂原市大事務局長に荻野理事長と面会したいと要請。

 本池 「6月議会の一般質問でも取り上げたが、要領を得ない答弁なので、大学としての考え方を確認したい。場合によっては9月議会において、再度取り上げることも考えている。荻野理事長に面会をお願いしたい。荻野理事長は当初からの当事者であり、現在の最高責任者だ」
 砂原 「先日の総務部長の答弁と同じことしかないと思う」
 本池 「あれではわからないからじかに聞きたい」
 砂原「たしかに、今いるもののなかでは一番かかわってはいるが、部長がいったことと同じだというと思う」

 本池「理事長本人に聞きたいことがある。事務局長さんには損害賠償金返済状況を答えてほしい。990万、620万5000円はどうか、利息と延滞金はどうかを」
 砂原 「それも、総務部長がいったでしょう。私も詳しいことはよくわかりませんよ。もちろん議事録は読みましたよ」「聞くのは議員としてか、長周新聞としてか。違ってくるので」
 本池 「議員としてだ」
 砂原 「一応、理事長には話してみる。今日は出張なので、数日かかる。連絡先を教えてくれ」

7月3日 砂原事務局長から電話。

 砂原 「総務部長が答弁しているので話すことはないので(理事長は)会う必要はないといっている。私も総務部長と同じだ。もう一度聞くが、取材なのか、議員としてなのか」。
 本池 「答弁ではわからないからだ。議員としての立場で面会をお願いしている」
 砂原 「また連絡させてもらう」

 その後1週間近く経っても返事がないので電話した。

 本池 「返事がないがどうなったのか」

 砂原 「理事長は総務部長の答弁と同じだから会う必要はないといっている。何が聞きたいのか」

 本池 「最終的に損害金がどうなったのかを聞きたい。あなたには990万と620万はどうなったのか聞きたい。理事長には一つは、和解条項を市に報告したのか、議会に報告したのかは聞きたい。そのほかも聞く」

 砂原 「市出資法人の委員会が、今年は総務委員会でおこなわれるからそこで話になるのではないか。理事長も出席すると思う」

 本池 「9月議会に取り上げるかもしれない。市大問題の総務委員会は10月だ」

 砂原 「会わないといっているから」

 本池 「その理由をちゃんと書いてもらいたい」

 砂原 「わかった」

 その後今日(7月25日時点)まで市大からの連絡はない。

 このやりとりを見て、市民の皆さんはどのように思われたでしょうか。市会議員が多くの市民の声(市民が損害を被っているのではないか、市民の知る権利が阻害されているのではないか)を受けて、市政に対する市民の疑問を解消するために面会を要請した。特定の一個人や一団体の利害のために会いたいと言っているのではない。これに対して、砂原事務局長は市会議員としての立場での面会かと2度も確認した。また、面会での質問項目までも聞いた。そのうえでの面会拒否である。

 しかも、次に述べるように全く理由にならない理由をつけてである。一般常識からすれば最低でも会って話をし、話を聞くのが普通ではなかろうか。また、面会要請に対して返事をしていない、再度本池市議から電話したあげくの面会拒否である。不誠実というより、むしろ失礼な対応だと思う。市大理事長や事務局長という立場から見ると、市会議員はその程度というように思っているのかなと思ってしまう。

 本件に関して最も重要な点は、「総務部長答弁と同じだから」という、面会拒否の理由である。松崎・今井新旧総務部長はこれまで「和解内容、和解金額、回収額、完納時期などは市大は公表しないということなので知らない」と他人事のような答弁に終始してきている。これらの事項はこれまで再々述べてきたように、非公表とすることはできない事項があるにもかかわらずである。

 荻野理事長は、損害発生の責任者の1人であり、この損害賠償請求事件を不透明にし、市民の疑惑解明の妨げになる秘密条項付きの和解をした当事者である。その当事者が、和解金額、回収額、完納時期などは知らないと言っているのである。損害発生責任者の一人であり、市大の最高責任者がこのような無責任な発言をすることに怒りさえ覚える。市民に対して申し訳ないという気持ちは微塵も無いようである。下関市民をバカにしていませんかと問いただしたくなる。

 また、砂原事務局長の対応も問題である。面会要請に対して返事をしないというのも問題だが、最も問題なのは損害金の回収状況についてきちんと答えないことである。「総務部長回答と同じ」という考えられないような回答が平然とできるのも驚きである。しかも総務部長答弁の議事録を読んだうえでの回答というから二重の驚きである。

 市大のナンバー1、ナンバー2がこのような状況である。

 市民の皆さん、市大の対応に納得できたでしょうか。市大の対応を見ると、何かおかしい、全額回収できたというのは本当だろうか、何かを隠しているに違いないという思いを強くするばかりである。真実ほど強いものはない。何事にしろ、隠してだましてやり過ごそうとしても、結局、嘘はバレるものである。

まとめ

 これまで述べたように本件は市大職員の不祥事と組織ぐるみとさえいえる不適正な事務処理が原因で発生した公金の損害賠償事件である。

 損害発生に対しては厳しく問われて然るべきだが、回収については市及び市大が議会で誠実に答弁し、市民への説明責任を果たして「市民が納得できる形」で回収できれば、本来、それほど問題は生じない事件であった。

 しかし、損害の発生から一連の議会審議を通じてわかったことは、市民に知らせるべきことが秘密にされ、そこに無理が生じたために、市は無責任な対応に終始し、責任ある行政、市民に信頼される行政とはとても言えない状況を呈してきた。和解以来、市大が一切表に出てこず、市のみが議会対応してきたことも、市、市大両者の無責任に拍車をかけたようである。

 平成30年6月議会で一応、損害金は全額回収できたようだという答弁はあったが、回収金額は知らないという無責任答弁であった。今後に残された問題は多い。お金が回収できたというのだからと、この問題を終わりにしてはならない。今後、市議会での虚偽、誤魔化し無責任答弁を防ぐためにも、また市政の信頼回復のためにも次の事項の真相究明を図り、その責任の所在を明らかにしなければならない。

 1 損害賠償金の回収について(990万円と620万5000円)
 ①損害金の回収状況(年毎の回収額)と完納時期
 ②遅延損害金額
 ③上記①②について市は知らないと言ってきたが、本当に知らなかったのか。知らなかったとしたらその理由は?

 2 和解について
 「原告及び被告らは、本件和解内容を公表しないこととする。ただし、原告が市議会に報告する場合はこの限りではないが、原告は本和解条項の趣旨を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求める」(和解条項)
 ①市大はなぜ秘密条項付きの和解をしたのか?
 ②市大は和解することについて市と協議あるいは報告をしたのか、したのならいつしたのか?
 ③市大は市に和解内容を報告しなかったのか?なぜか?(市は和解内容は知らないと答弁しているが)
 ④市大は上記1の①②③(損害金の回収状況等)は秘密条項付きの和解で秘密にしなければならない事項と考えているのか? その理由は?
 ⑤市は和解内容を市大に聞かなかったのか?聞いたが市大に拒否されたのか? 市は権限に基づいて市大に和解内容を聞かなかったのか?
 ⑥市は訴訟記録を閲覧していないのか。閲覧したのなら、いつ閲覧したのか?

 3 行政の信頼と議会審議の信頼を失墜させた市執行部発言の確認と責任の所在の明確化。市議会での虚偽答弁は許されない。

 4 秘密条項付きの和解にも市議会に報告するという条項がある。
 ・市大は如何なる理由でこの条項を入れたのか?
 ・市はこの条項であることをいつ知ったのか?
 ・市はこの条項をどのように解釈(理解)したのか?

 以上の点については今後も究明し、行政の信頼の確保を図らなければならない。

 本問題の真相究明と解決のためには、今後、荻野市大理事長が市民への説明責任を果たすことが最重要である。この問題の根源を知り、キーマンである荻野理事長が真実を話さないと、市民が納得する真相究明は難しい。もう逃げやいい加減な答弁、説明を許してはならない。

 本件は江島元市長時代に損害が発生し、中尾前市長時代に損害賠償請求訴訟を起こし、和解した問題であるが、現在、前田市長がこの問題をどう解決に導くかが問われている。従前と変わらない対応を続けていると、結局、前田市長の責任となってしまう。前田市長にはリーダーシップを発揮して市民が納得できる解決を図ってほしい。また、市議会はチェック機能を働かせ、下関市議会の権威と各議員の名誉のためにも市民が納得する形での解決を図って欲しい。

報告書作成にあたって

 報告書作成のため、各メンバーが資料を持ち寄ったが、その中で本池市議の一般質問(記事)が大変参考になった。本池市議は、この問題が発生した当初から市民の声を受けて真相究明に努力してこられた。おかしいことはおかしいと終始一貫ブレることなく、市民代表としての責任を全うしようと努力されてこられた。その信念と行動には共感するし、敬意を表したいと思う。今期で退かれるようですが、まだ時間があります。この問題を追及し続けて下さい。私どもも多くの市民の方たちと共にバックアップします。そして、失礼な言い方を許してもらえるなら、下関市政、下関市議会にはあなたのような「愚直」な議員が絶対に必要ですので、今後もあなたと同じように市民を第一に考える議員の育成に努められるよう期待しています。

 なお、連載中から大きな反響があり、いろいろな意見が寄せられた。市大トイレ工事の損害賠償について、あるいはこの調査報告に関して、ご意見、ご感想、疑問点などがあったら是非お寄せ下さい。(おわり)


2018年08月10日

防大 いじめ・暴行、月平均 規律違反10人・処分5人 背景に「命令と服従」

しんぶん赤旗(2018年7月25日)

 自衛隊幹部の養成機関である防衛大学校(学生数2010人、神奈川県横須賀市)で上級生らによる下級生への暴行、いじめ、セクシュアルハラスメントなど反社会的な「服務規律違反」が横行しています。過去10年間で平均して毎月10人が服務規律違反に問われ、うち5人が懲戒処分となるなど異常な事態が、防大の内部資料から明らかになりました。(山本眞直)

内部資料で判明

 内部資料は、2016年5月に国と加害学生を相手に損害賠償請求訴訟を起こした元防大生の弁護団が裁判手続きや情報開示請求で入手したもの。元防大生は、上級生らから暴行やいじめをうけ、2学年だった14年8月に休学に追い込まれ、15年3月に退学しました。

 防大が開示した07年から16年までの10年分(16年は4月から7月)の「学生などの懲戒処分者」によると、服務規律違反は合計1136件に上ります。うち懲戒処分をうけたのは約半数の550件です。平均すると規律違反は月10件程度、懲戒処分が月5件程度になります。

 提訴した元防大生の被害実例にそって防大がまとめた「防衛大学校における不適切な学生間指導などに関する調査報告書」(16年2月)には、こんな実例が記述されています。

 「13年秋頃、部屋のポットのお湯を交換していなかった罰として、被害学生らに対し、ズボンと下着を脱ぐように指示し、掃除機で陰茎を吸引した」「複数回、同様の行為を行った」

 防大の懲戒処分台帳には、4学年が「ポットのお湯を(下級生に)掛けさせた」「私的制裁 鼓膜破れる」など暴力行為も多く記載されています。

 これらのケースは氷山の一角です。防大生は全寮制です。学生寮での日常生活について上級生が下級生を指導します。その指示は自衛隊の「命令と服従」と同様で“絶対服従”です。「命令と服従」を基本にした訓練と「生活指導」を教育の根幹にすえる防大の姿勢が、反社会的行為に拍車をかけているのではないか―。“防大の闇”の実態に迫ります。


2018年07月17日

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景

法と民主主義 2017/6 No.519

地方独法法+学校教育法改悪=大学ではないもの
-都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景-

都留文科大学文学部教員有志

 国公立大学の法人化(二〇〇四年度~)後、日本の大学の劣化がさまざまに報じられている。石原都政下での東京都立大学への攻撃や、福岡教育大学の例がある(福岡教育大学教員有志FUEの会「大学ガバナンス強化の最悪の帰結」、『日本の科学者』一七年七月号)。都留文科大学で近年行われている「改革」も常軌を逸したものであって、本学は「大学ではないもの」に変質しつつあると言わざるをえない。このことは、JSA・全大数など主催「大学間題シンポジウム」第三回(一七年三月二〇日)の討論でも告発された。それをもとにここに論考を発表し、全国の大学人、法律専門家諸氏への訴えとしたい。本学を転落の淵から救い出す運動を強化するべく、みなさんからのご支援をぜひとも賜りたい。
 都留文科大学(以下、都留文大と略記。)は、山梨県都留市(人口釣三万二千人)という地方小都市に立地し、一九六〇年に文学部のみの市立四年制単科大学となった。二〇〇九年度からは地方独立行政法人法(以下、地方独法法と略記。)に基づき公立大学法人に転換した。約八五人の常勤教員と約九〇人の職員は「非公務員」となった。常勤教員にはいわゆる専任教員(任期なし、学部ゼミを担当、教授会メンバーとなる)と一〇人程度の各種の任期付き教員がおり、たいして非常勤教員が約三〇〇人と異様に多い。職員は、都留市からの出向等職員約三五名(幹部層)、法人固有職員、各種非正規職員の三階層からなる。大学の歳入は、地方交付税大学分を源とする市からの運営費交付金が約三分の一、入学金・授業料収入が約六割で、国立大学と私立大学の中間型である。

一 法人化による大学運営の改悪

 都留文大では、太田堯学長(一九七七~八三年)のもとで大学運営が民主化され、①学長の事実上の教授会直接選出、②役員を多く置かず、あらゆる議題を教授会で討議し、その下に各種委員会を置いて教員と職員の熟議と協働による全員参加型大学運営を行う、④教授会、教職員組合、学生・院生自治会との四者協議などの慣行が確立していた。
 しかし、地方独法法により公立大学の法人化が可能となった。都留市では〇五年の市長選挙で小林義光氏(右派系)が大学法人化を公約して四選され、〇七年度をとおして議論が行われた。大学側と市側の決裂答申となったが、市長=市議会多数派が学内の「穏健な法人化」論を押し切った。市側は全員参加型大学運営を嫌悪し、(ア)市の言うことを聞く大学に作り替えるとともに、(イ)地方交付税大学分と大学の積立金等への介入権を強化するべく、地方独法法を利用したのである。
 この際、全員参加型大学運営を快く思っていなかった教授会少数派が市長・市役所と組み、アカい大学だというイメージを払拭しないとこれからの時代には生き残れないなどの宣伝を陰で拡散させるなどし、〇七年秋の学長選挙で「強硬な法人化」派を当選させた。その陰の中心人物が福田誠治氏(ソビエト型集団主義教育の研究者であったが、ソ連崩壊後転向し、現在はグローバル化時代のPISA型学力等の論考を発表している)、新保祐司氏(フジサンケイグループ主催「正論大賞」新風賞を受賞した右派系文芸評論家でもある)などであった。法人化を利用して自派の権力を奪取することが彼らの目的だったように思われる。
 法人化された二〇〇九年四月、激変が起こつた。第一に、都留市議会が議決した法人の定款に基づき、役員体制は、理事長・学長別置型の理事会方式となった。学長は、(a)教授会メンバーに新たに市出向職員等を加えた意向投票を行う→(b)その結果も一つの参考として、法人に置かれる学長選考会議が選考し理事長が任命する、という新方式で選ばれることとなった。その後三回の学長選挙が行われ、教授会レベルでは福田・新保両氏らに付き従う人びとと全員参加型大学運営をできるだけ残そうとする人びととは括抗していたが、職員票に支えられた福田民らが多数派を握れる様相となっている。
 第二に、専任教員の採用・昇任等人事は、従来は①文学部内の五学科間の協議により年度人事計画を立てる→②各学科の人事要望も尊重しながら候補の選考を行う→③教授会で熟議のすえ投票で決する→④大学当局・労組双方で構成する人事委員会での合意により格付けをするという方式であったが、法人化後は人事案件がすべて教授会の審議事項からはずされ、①法人組織である教育研究者議会(以下、教研審と略記。)で執行部主導による年度人事計画の決定→②教研審の下に置かれる選考委員会での選考→③教研審での採決→理事会での承認→④大学当局による一方的な各付け決定という方式に変更された。このことの影響は甚大で、福田・新保両氏らの意に沿わない採用人事の否決や、昇任を気にして教授会で発言しない若手教員の増大、新任教員の低賃金化などが起こっている。
 第三に、大学の中期計画策定、予算編成、学部・学科再編、キャンパス再編や校舎増改築などの研究教育上の重要案件もまた、教授会の単なる報告事項とされ、実質的には執行部、理事会、経営協議会(もう一つの法人組織)の間で決められることとなった。
 ここまでを法人化の第一段階ということができる。第二段階は第二代学長下で、上記の法人化の枠内にとどまるもののそれなりに均衡のとれた大学運営が行われ、教授会では全員参加型大学運営を主張する人びとの理にかなった発言に多数の支持が集まることもしばしばであった。それが福田・新保両氏らには耐えがたかったのであろう。

二 学校教育法改悪後の大学運営の野蛮化

 二〇一三年秋の学長選挙で職員票を固めた福田氏が当選し、一四年四月から学長に就任した。副学長には新保民らが任命された。また一四年通常国会で学校教育法九三条が改悪され、本学の法人化は第三段階を迎えた。
 学校教育法九三条の改悪とは、同第二項で「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」とし、教授会=意見具申機関に格下げし、学長=単独の決定権者としたことをさす。しかしそうであっても、教育研究に関する重要事項で学長が定めたもの(文科省があげる例は専任教員採用人事、教育課程、学部学科再編、キャンパス移転など)について教授会は意見を述べる(同第二項3)。ここで「意見を述べる」とは文科省見解によれば、従来の「議決する」に準じる行為であって、自由聞達に審議したうえで教授会の見解(賛否など)をまとめることをさしている。
 ところが福田学長は、「意見を述べる」とは教授会の場で各教員が個別発言を行うことであり、「教授会は意見を述べるのみで審議してはいけないのだ」との独自解釈を大声で延々とまくしたて、審議を封じにかかる。これに異論を唱えると二人の副学長が「発言中止!」「黙れ!」と叫ぶ-本学の教授会はこうした異様な状況になっている。この結果、教授会は次第に単なる事務連絡会議に堕しつつある。
 教研審の変質も著しい。従来、学部の下にある五つの学科の長は、学科の互選であったが、福田執行部は一方的に学科長任命制を導入し、意に沿わない人物の学科長就任を拒否した。このため教研審の大半が学長任命の「イエスマン」となった。
 こうした変化がもたらしたものを、以下、都留文大ホームページ、都留文大数職員組合ニュース、地元紙「山梨日日新聞」記事によりつつ、具体的に紹介したい(注記は省略)。

三 大学を「大学ではないもの」にする異常人事

 福田学長下での第一の特徴は、野蛮な人事の連発である。三例だけ指摘しよう。二〇一四年の地方自治論専任教員採用では、学長によって専断的に任命された選考委員会が、T氏を最終候補とした。選考委員の一人は副学長と密約を結び、一度も委員会に出席せず、業績も読まず、T氏を推した(定年後、この人物は学長から任期付き教員として再雇用された)。しかしT氏には地方自治にかんする研究論文が一本も存在しないことが判明し、所属学科から抗議声明が繰り返しだされた。だが学長はT氏の着任を強行した。その後丁氏が地方自治論ゼミを指導できないとわかると、学長は担当変更を求めてきた。地元密着の公立大学をうたう本学で地方自治を学習できる唯一のゼミが、こうして廃止されたのだった。
 本学は教員養成系大学とされており、中学社会・高校地歴教員免許課程をもつが、そこでは地理学の専任教員は必須である。二〇一三年度で同数員が定年退職したが、福田副学長(当時)らが後任の採用を拒否したため、一四年度当初、同教員はゼロとなった。彼は、地理学の専任教員がいなくとも、文科省が査察に来たりはしない。来ても夏休み明けだから、その時には来年に向けてこれから採用人事を始めますと言えば、許される」とニヤニヤしながら言ったそうである。一四年度の社会科教育法の専任教員採用についても、選考委員会で満場一致で決まった候補に対して、新保副学長らが「日韓共同教科書づくり」にかかわる者だから認められないとの根回しをして、教研審で否決する策動を行った。これらの結果、この学科では一四年度には一六ゼミのうち七を非常勤教員に任せる異常事態に陥った。その果てに、一六年秋、文科省から中学社会教免課程等で大量の学生が長年履修漏れしていたので改善せよとの行政指導を本学が受けることになった。しかし学長らはこの事実を学生に告げずに繕おうとした。これは同年末、新聞・TVで大きく告発されたところである。
 とくに重大なのが、本学で唯一の日本国憲法専任教員採用問題である(二〇一七年)。副学長・学長補佐など学長の意に沿う教員で固められた選考委員会はH氏を候補に推薦したが、H氏は法学の学位を持たず、日本国憲法にかんする研究論文が一本もなく、民族主義改憲派の集団「憲法学会」に所属していた。教授会で再三にわたって抗議声明が出されたが、学長らは採用を強行した。そして着任直後、H氏が学長補佐に任命されたのである。
 
四 退職金裁判

 大学当局と市側が大学を私物化している例として、退職金裁判をとりあげたい。二〇一二年度の国家公務員給与削減政策に影響されて、都留市でも市職員の退職金削減を決定した。本学当局は、市側に右へ倣えして本学教職員の退職金削減を画策した。二二年三月、大学労組との団体交渉もなく、また教職員への周知もなく、本学退職手当規程を、旧来から市側の規程を準用することになっていたかのように書き換え、同月退職教職員の退職金を一方的に削減したのである。
 これに対し、当該教員六名が東京地裁に提訴した(第一次訴訟、一五年四月地裁判決)。大学労組は原告団を支援することを決定した。一五年、最高裁は大学当局の労働契約法・労働基準法違反を認め、原告に削減分を還付する決定を行った。ところが大学当局は何ら反省しなかった。そこで新たに五名が甲府地裁に一七年六月、第二次訴訟を提訴したところである。
 この事件の意義は二つある。第一に、東京地裁判決は、法人化し「非公務員型」の大学は設置者たる市側から経営上独立しているとの判断を示したことである。第二に、大学当局=市側は逆に、大学を市役所の従属物とみていることが明らかになったことである。

五 学部・学科再編と不当労働行為

 福田学長は当選後、「選挙公約」でほぼ触れなかった学部学科再編を開始する。
 第一は、文科省路線に沿った、国際バカロレア課程と連携した全科目英語授業の「国際教育学科」新設である(二〇一七年度開設)。その持続可能性は学内では大いに疑問視されている。
 第二は、現「社会学科」廃止、「地域社会学科」新設と「教養学部」新設である二八年度予定)。その新学科準備室は副学長・学長補佐・学長側近でかため、現学科の中心メンバーを一切排除し、また新学科の重要方針案は現学科メンバーから意見を聴くことなく、三菱総研に委託して作成させた。新学科の教育課程案も準備室が専断的に作成した。
 第三は新校舎建設で、落札業者には前・現市長系土建会社が含まれ、落札率は九九・七%となっている。
 特に深刻なのは、二〇一六年軟、学長らが社会学科の三教員について新学科への移籍拒否を強行してきたことである。この三教員は、第一次退職金訴訟の東京地裁提訴時、大学労組による原告団支援決定時、最高裁決定時それぞれで大学労組書記長だった者で、異常人事について教授会で「モノ言う」教員でもあった。本学では他学科等への移籍については本人同意を得るという雇用慣行が確立していたにもかかわらず、学長らは三教員の意思確認を一切拒否し、団体交渉では配置転換先も提示しない不誠実な態度を繰り返した。これは大学労組への弾圧(不当労働行為)であり、本年三月、山梨労働委員会に救済申し立てが行われたところである。学長・副学長によるパワーハラスメントでもあるため、三教員は学内の人権委員会、山梨県弁護士会人権擁護委員会にも救済を申し立て、公立大学職員組合連合会からの支援も得ている。

 おわりに

 二〇一五年、文科省通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」が教員養成系・人文社会科学系学部の「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換」を打ち出し、大学人にショックを与えた。前述のように、都留文大での異常人事、学部・学科再編はその都留文大バージョンと言ってよい。ここでの最大の被害者は学習主体=学生たちである。
 国立大学では、安倍政権の教育再生実行会議「これからの大学教育等の在り方について」および文部科学省「国立大学改革プラン」(二〇一三年)などをとおして、大学の安倍政権の経済政策(アベノミクス)への従属と新自由主義的グローバル化が進んでいる。公立大学では、ローカルな諸事情に媒介されながら、輪をかけて野蛮な「改革」が進んでいる。「軍学共同」、新自由主義的グローバル化に対応した一七年度小中学校学習指導要領改訂(アクティヴエフーニングと道徳教科化など)の影響も及んできている。
 「改革」が強行された英国には、大学の「資格付与工場」化に反対し、人類・社会・自然への深い洞察に貢献する「博物館」的な大学をと訴える大学人の運動がある(S.Collini, What are Universities for ?, Penguin Books, 2012)。そして今年の総選挙では大学授業料無料化などの野党の公約に共鳴して学生・若者たちが政治変革の波を作り出した。
 私たち都留文大数員有志はローカルな野蛮さと闘い、本学が「大学ではないもの」に転落することへの抵抗運動を粘り強く広汎に展開したい。安倍政権下で大学が「大学ではないもの」に転落することに粘り強く立ち向かっている全国の大学人や本誌読者と連帯しながら。


2018年07月14日

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『アクセスジャーナル』(2018年7月12日)

明治学院大学―授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

山岡俊介

 本紙で今年2月20日に取り上げた、明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」につき、6月28日に一審判決が出ていた。
 もっとも、大手マスコミで報じたのは唯一、「東京新聞」のみのようだ。
 7月3日、原告の教授側が司法記者クラブで記者会見まで開いたにも拘わらずだ。
 この訴訟、いくら教授も雇われとはいえ、授業に関して自由に研究や発言する「学問の自由」(憲法23条)が保障されないようではとんでもないということで本紙は注目していた。
 何しろ、明治学院大学(東京都港区。経営は「明治学院」)では、授業の盗聴が慣例として行われているという。大学の権威、キリスト教主義を批判していないかなど授業を担う教授らをチェックするためで、授業で使う教科書や教材の検閲も同様だという。
 そんななか、授業中に無断録音されたことに倫理学担当の寄川条路教授(横写真。56)が抗議したところ、15年12月、大学から「厳重注意」に。それを告発したところ、16年10月、今度は懲戒解雇されたという。
 そこで寄川氏は東京地裁に地位確認の労働審判を申し立て。
 16年12月、地裁は解雇は無効として寄川氏の復職を提案したが、大学側が拒否したことから提訴して争われていた。
 東京地裁は6月28日、解雇権の濫用だとして、教授としての地位確認と賃金の支払いを命じた。
 もっとも、この一審判決、(1)無断録音に関与したと思われる教員の氏名を公開したこと、(2)教授会の要請に応じなかったことに寄川氏も落ち度があると認定。しかしながら、教授会の要請が原告の認識に反するような見解を表明させるものであるなど、原告にも酌むべき事情があるとして、解雇は相当でないと判断した。
 また、寄川氏は無断録音は学問の自由を侵害する違法なものなどとして、損害賠償請求も行っていたが、これに対し一審判決は、録音対象の大半は授業ではなくガイダンス部分だったとして、これを認めなかった。
 一方、大学側は「解雇は録音を告発したことが理由ではない」「(東京地裁判決は)録音の対象は、初回授業におけるガイダンスの部分で講義ではなく、大学の管理運営のための権限の範囲内において適法に行われた、と判示された」としている。
 こうした見解の相違から、大学側も原告側も控訴する方針。
 なお、寄川氏、代理人の太期宗平弁護士と共に記者会見に同席した小林節慶應大学名誉教授は、「学者は個性的で、それをお互いに許容し合って、歴史のなかで評価が定まって来るもの。個性を尊重しない多数決で押さえ込もうということが日本中で起きている」と懸念を表明した。
 学問の自由がどこまで守られるか、控訴審の行方にも要注目だ。


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