研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

札幌国際大学解雇事件 

大学の健全化を求めた言動を理由に懲戒解雇(2020年6月29日)

九州看護福祉大学懲戒事件

九州看護福祉大学を正常化する会HP
豊田保教授に対する懲戒処分について(2019年7月31日)

「高木義紀(常務理事)、不正在職疑惑に対する説明責任果たさず」
(1)高木氏本人からは、不正在職疑惑に対する明確な回答はなされなかった
(2)むしろ、不正在職に関する質問を封じるように求めてきた
(3)さらに、そのような問いをする行為それ自体が、屈辱行為だと反論してきた

「審査期日の通知及び意見陳述の催告書」に対する意見書(2019年6月5日)

学園理事長宛「申込書」(2019年8月1日)

裁判での和解について

早稲田大学教員公募事件

早稲田大学教員公募事件
大学教員の真の公募制のために(2019年8月6日)

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行
 ∟●貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

実況中継「明治学院大学事件」(『情況』2019年冬号)
非常勤講師をクビにする方法(首都圏大学非常勤講師組合『控室』第95号(2019年4月1日))
本で取り上げられる。小川仁志『公共性主義とは何か――〈である〉哲学から〈する〉哲学へ』(教育評論社、2019年6月)

■「学問の自由」シリーズの第2弾が発行
寄川条路編『大学の危機と学問の自由』法律文化社、2019年

「明治学院大学事件」が小説になった!「日本の大学の病弊を象徴する大事件」が文庫で登場!
明治学院大学事件、大学が盗聴を謝罪し和解案を提出
明治学院大学事件、文庫になって登場(2019年11月1日)

明治学院大学事件、2019年11月 東京高裁において、和解が成立!
【明治学院大学事件】が「科学者の権利と学問・思想の自由を守る闘い」として紹介されました。
大学当局が授業を盗聴していた【明治学院大学事件】が「判例集」に収録される。
もう一つの明治学院大学事件
ブックレット「学問の自由」シリーズ第3弾が出ました

ウィキペディアに「明治学院大学事件」が掲載(2020/8/23)
明治学院大学事件、日本倫理学会で取りあげられる!(2020年09月20日)

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

宮崎大学不当解雇事件、最高裁で勝訴 

宮崎大 パワハラまで捏造 最高裁が異例の対応

『現代ビジネス』(2017年3月28日号)「パワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白 」
『週刊金曜日』(2017年3月31日号)「宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず」

早野慎吾氏「宮崎大学パワハラ捏造事件について」
大学が裸体と主張した卒論写真一覧

都留文科大の解雇事件、解雇無効
宮崎大の解雇事件 最高裁決定・大学側敗訴確定

宮崎大学学長宛公開質問状(2017年6月15日) 

都留文科大は、直ちに原職復帰させよ!

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2020年09月25日

追手門学院の職員研修が裁判に-「無能な社員はいらないから」…企業の「ブラック研修」がヤバすぎる

2020/9/24(木)
現代ビジネス

「無能な社員はいらないから」…企業の「ブラック研修」がヤバすぎる

追手門学院の職員研修が裁判に

 学校法人追手門学院で行われていた「ブラック研修」が話題となっている。

 報道によれば、学校法人追手門学院は、2016年8月22日~26日、追手門学院大学の事務職員など18人を大阪市内のビルに集め、「自律的キャリア形成研修」を開催した。その研修の場で、外部の講師が「腐ったミカンは(職場に)置いておけない」といった人格否定の言葉を、受講者に向けて繰り返し発したという。

 被害者の証言によれば、「5日間40時間にわたる研修で『パワハラ言葉』のシャワーを浴びせられ、精神が削り取られるようだった」(朝日新聞2020年8月20日)という。結局、この男性はその後出勤できなくなり、うつ病と診断され休職した。

 このような「ブラック研修」は、職員たちのスキルアップを目的とするものではなく、精神的に追い詰めて退職させるためのものであると考えられる。実際に、講師は受講者の退職を前提にしていて、「(今から頑張ろうと思っても)時すでに遅し」と繰り返したという。

 被害者たちは今年8月、損害賠償や職員の地位確認などを求めて大学側を提訴した。

 私は労働問題を扱うNPO法人POSSEの代表として、年間1500件以上の労働相談に関わり、これまでに「ブラック研修」に関する相談も多数受けてきた。そうした実務経験から、今回の追手門学院の事件は「氷山の一角」にすぎないと断言できる。

 さらに、世の中に存在する「ブラック研修」は「辞めさせるための研修」だけではないということも指摘したい。社員を従わせて、違法・過酷な労働に従事させるための「洗脳研修」も多くの企業で行われているからだ。

 なぜ企業は、不合理で血も涙もない「ブラック研修」を繰り返しているのだろうか? 「ブラック研修」の実態や企業側の論理について紹介し、対処法についても解説していきたい。

「ブラック研修」の悲惨な実例

 追手門学院の事例のような「辞めさせるため」のブラック研修は、以前から「ブラック企業」の手口として問題になってきた。ブラック企業では若い社員を大量に採用し、選別のため競争を強いる。その中で脱落した者に対しては、容赦なく圧迫が加えられ、「自己都合退職」へと追いやられるのである。

 例えば、私が相談を受けた増田順一さん(仮名・当時24歳)が勤めていた大手IT企業は毎年200人以上の社員を採用するが、半数以上が自己都合退職していった。会社が一度採用した社員を競わせて「選別」することで、有能な人材や、サービス残業をいとわない社員だけを残すと同時に、社員同士が生き残りを賭けて激しく競争する企業風土を維持するためだった。

 この「選別」の結果、使えないと判断された社員を追い出すために、会社はまず「社員の仕事を干す」ところから始める。都内の支社に配属された増田さんはある日、顧客の元へ出向こうとした。ところが上司から「おまえはもう顧客のところへ行かなくて良いよ。本社に出社しろ」と命じられた。

 言われた通り本社に出社すると、人事部の人間から「おまえはなぜ働いていない? 何のためにこの会社にいるのか?」と詰問された。この段階で、社内に居づらく感じた多くの社員が自己都合退職するのだが、増田さんのようにそれでも残る社員に対しては、「研修」が課されることになる。

 これも「辞めさせるための研修」であるため、何をどれだけ頑張っても評価されない。出席した増田さんは、追手門学院の事例のように発言も態度もすべてを「否定」された。そのような「研修」を受けていくうちに、受講者たちは精神疾患に陥り、「自己都合退職」していく。

 さらに、この「研修」をも耐え抜いた増田さんは「カウンセリング」を受けることになった。「カウンセリング」の前には、「おまえはどこに行っても通用しない」「まともな会社員になるためには、生まれ変わるためのカウンセリングを受けるしかない」と通告されたという。

 しかしそれでも、会社に残りたいと思う増田さんたち社員は、「藁にもすがる」思いで「カウンセリング」に望みを託す。しかしこの「カウンセリング」も、治療ではなく「辞めさせる」ことが目的だ。受診した増田さんは、ひたすら「生まれてからこれまでの人生」を振り返り、「いかに自分が使えない人間であるのか」を考えて、それを文章に書くよう強要されたという。

 「私は子供の頃から親に甘えてばかりいて、今でもまったく使えない人間です」

 「私は昔から怠け癖のある人間で、大学受験に失敗しています。だから今でも全く会社に貢献できません…」

 自分の人生を思い返し、このような文章を書くよう指示されたという。

 この作業を繰り返す中で、精神疾患を患い、結局増田さんは自己都合退職に追い込まれてしまった。

プロが関与しているケースも

 精神的に追い詰めて自ら退職させるというこうした「労務管理の技術」は、今や若者を対象としたものだけにとどまらず、どの年齢の社員も対象になりうる。いわゆる「追い出し部屋」に求められていた機能だ。

 中には弁護士や社会保険労務士など専門家が関与していたり、外部の人材会社が研修を請け負い、計画的に圧迫していくケースも珍しくはない。数年前には、社会保険労務士の「モンスター社員を解雇せよ!  すご腕社労士の首切りブログ」というブログが社会問題になった。

 そこでは、「社員をうつ病に罹患させる方法」として、「適切にして強烈な合法パワハラ与え」るために、「失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること、不快に感じたこと、悲しかったことなどを思い出せるだけ・・・自分に非があるように関連付けて考えて書いていくことを繰り返」えさせることで、うつ病に追い込むよう指南している。

 さらに、「万が一本人が自殺した場合に備えて、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」までアドバイスしている(ブログはすでに削除されており、厚生労働省はこの社会保険労務士を処分した)。

 この社労士のブログの内容は、私が紹介した増田さんの事例や、今回の追手門大学の方法とまったく同じだ。社員に「自己否定」を繰り返させ、自分から辞めさせる。このような「辞めさせる技術」については、弁護士や社会保険労務士による「指南書」も多数出版されている。

 今や「ブラック研修」は、「使えないと判断された社員に退職を強要する」手段となっているのだ。今回の増田さんのような無慈悲な「追い出し」は、多くの企業で行われている。もしご自身、あるいは身近な人や同僚がこのような仕打ちで苦しんでいたら、迷わず私が代表を務める「POSSE」や、個人加盟の労働組合、あるいは労働側の弁護士団体(日本労働弁護団、ブラック企業被害対策弁護団)に相談してほしい。

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参考文献
今野晴貴『ブラック企業2 「虐待型管理」の真相』文春新書
『POSSE』vo24 「特集:ブラック研修」
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今野 晴貴(NPO法人「POSSE」代表理事)


2020年09月20日

明治学院大学事件、日本倫理学会で取りあげられる!

https://sites.google.com/edogawa-u.ac.jp/jse

■日本倫理学会第71回大会
・日時:2020年10月4日(日)10時20分~11時00分
・会場:オンライン(ZOOM)https://sites.google.com/edogawa-u.ac.jp/jse
・テーマ:明治学院大学「授業盗聴」事件を倫理学的に考える
・発表者:寄川条路(yorikawa@gmail.com)

■発表要旨:
法律上の問題はクリアしていても倫理上の問題が残る場合がある。一例として大学当局が教員に無断で授業を盗聴し録音していた事件を検討する。

1.「明治学院大学事件」の概要
・授業の盗聴:授業を調査するため大学が教員に無断で授業を録音したところ、教員が大学の録音行為を不法行為として告発したため大学は同教員を懲戒解雇した。
・教科書の検閲:倫理学の教科書が大学の教育方針(キリスト教)に反し、倫理学の教員が私立大学の教員倫理に反するとして大学は同教員を普通解雇した。

2.裁判の結果
・地裁の判決:大学による解雇は客観的合理性と社会的相当性を欠き違法である。教員の地位と賃金を認める。ただし大学による録音は1回目の授業のガイダンス部分であるから授業の録音とはいえない。教員が使用していた教科書はキリスト教を批判していて倫理学の教科書として不適切とはいえない。
・高裁で和解:授業の無断録音について大学が教員に謝罪し5000万円を支払うことで和解が成立した。

3.法律上の問題
法律上の問題として本件を見ると、
・憲法学では「学問の自由の侵害」(小林節)となり、
・教育法では「教育の自由の侵害」「不当な支配」(丹羽徹)となり、
・表現法では「表現の自由の侵害」(志田陽子)となり、
・労働法では「労働者のプライバシーの侵害」(山田省三)となり、
・刑事法では「監督のための点検行為」(清野惇)となる。

4.思想上の問題
思想上の問題として本件を見ると、
・教育上は「教育者の人権侵害」(細井克彦、島崎隆)となり、
・哲学上は「理性の公共性の侵害」(福吉勝男、小川仁志)となり、
・宗教上は「宗教による学問の自由の否定」(幸津國生)となり、
・思想上は「集団思考による多様性の排除」(宇波彰)となり、
・学問上は「学問の自由以前と以後の問題」(末木文美士)となる。

5.倫理上の問題
倫理上の問題として発表者は本件を見ている。裁判所は、無断録音を「当・不当の問題」として法律判断の枠外においた。無断録音それ自体は違法行為ではないが、「良くないこと」であり、「褒められたものではない」から、「申し訳なかった」と大学側が謝罪するように提案した。発表者はこの提案を、法律上の問題(適法か違法かの判断)ではなく、倫理上の問題(善し悪しの判断)としてとらえ、事件の結末を倫理学的に考えるものである。

6.参考文献
・寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)。
・寄川条路編『大学の危機と学問の自由』(法律文化社、2019年)。
・紀川しのろ『シノロ教授の大学事件』(世界書院、2019年)。
・寄川条路編『大学の自治と学問の自由』(晃洋書房、2020年)。
・寄川条路編『表現の自由と学問の自由』(近刊)。
・寄川条路編『実録「明治学院大学事件」』(近刊)。

2020年09月05日

悪徳研修(ブラック研修)会社・ブレインアカデミー,追手門学院大学と梅光学院大学で暗躍。

悪徳研修(ブラック研修)会社・ブレインアカデミー,追手門学院大学と梅光学院大学で暗躍。
university.main.jp/blog/bunsyo/20200902.pdf

2020年08月30日

北海道大学長解任・学長選挙,教職員組合「声明」、候補者への「公開質問状」と「回答」

1.北海道大学教職員組合声明「学内民主主義を尊重する新しい総長を」
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/seimei/20200811seimei.pdf

2.教職員組合「候補への公開質問状」(8/11提出)
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/kousyou/20200811situmon.pdf

3.公開質問への次期総長候補3人からの回答
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/20/20200821souchoukouho-kaitou.pdf

4.意見等
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/souchousen2020iken.html

北大総長選の教職員意向投票、トップ宝金清博氏の得票率過半数届かず

Real Economy(2020/08/29)

 北海道大学の名和豊春総長の解任に伴い実施される総長選の教職員による意向投票が28日行われ、即日開票された。総投票数1177票のうち473票で1位だったのが宝金清博氏(65、北大保健科学研究院特任教授)、369票で2位だったのが横田篤氏(63、北大農学研究員教授)、335票で3位だったのが笠原正典氏(64、総長代行・副学長)だった。

 投票は、講師以上の教員、課長補佐以上の職員、合わせて約1500人が対象で1177人が投票した。得票率は宝金氏40%、横田氏38%、笠原氏28%。宝金氏の票が伸びたのは、医学部、歯学部、保健科学研究院のほか理学部票も多かったためとみられる。前回までは過半数の得票を得るまで意向投票を行ったが、今回からは過半数に届かなくても投票は1回だけになっている。

 投票率は約78%で、名和前総長が726票を獲得した2016年12月の意向投票より、4ポイント上昇した。 今後のスケジュールは、9月1日に総長選考会議(議長・石山喬日本軽金属ホールディングス元会長、他委員は末尾に記載)が総長候補者へのヒアリングを行い、2日に同会議が総長予定者を決定、文部科学省が任命する。
 
 総長選考会議は、意向投票権を持つ教職員を対象にした8月18日の公開質疑と28日の意向投票結果、さらに9月1日の同会議による候補者ヒアリングによって総長予定者を決定する。これまでは、意向投票で最も得票数が多かった候補者が同会議で総長に選ばれなかったことはないが、今回について石橋議長は、組織運営の能力を重視するとして、2位以下の候補者を選ぶ可能性にも言及している。

 18日に行われた公開質疑の中で、文科省の運営交付金や学費等以外の財務基盤強化について、各発言者の要旨を掲載する。

 宝金氏
「大学が生産したものの販売や大学のブランドやネーミングライツ、不動産運用収入、知財収入、ベンチャーキャピタル収入(成功報酬など)が必要です。そのためには透明性の高い審査、監査など規定を順守する実務専門家が必要になります。最近、北大は非常に素晴らしい案で留学生宿舎を作ることになったようです。一部不透明ではないかという意見が出て残念に思っていますが、いずれにしてもこうしたことが今後の大学経営には重要です」

 横田氏
「北大自身の投資会社、北大ベンチャーキャピタルの設立によって新たな収益創出を考えています。既存の機能強化促進事業を活用、分野横断型、文理融合型の提案を積極的に採用します。そのことによって部局間の垣根が下がり一体感が醸成され、外部資金の獲得も促進されてきます。ロバスト農工連携のような産学官プラットフォームを形成して学内外の共同研究を獲得していく」

 笠原氏
「すでに民間出身の財務担当者や経営改革担当理事を配置したほか、東京オフィスにはファンドレイザー(社会貢献と発展のため活動資金を集める専門資格者)を配置しています。共同研究の契約額を年間30億円以上とするほか、ベンチャー起業、アントレプレナー(起業家)教育を強化・支援、株式収益を確保するとともに本学が保有する不動産を積極的に活用することを考えています」

 2020年度の総長選考会議の委員は次の通り
議長 石山喬氏
委員 横山清氏(アークス社長)/浅香正博氏(北海道医療大学学長)/長澤秀行氏(帯広畜産大学顧問)/松谷有希雄氏(国際医療福祉大学副学長)/山本文彦氏(北大文学研究院長)/堀口健雄氏(北大理学研究院長)/吉岡充弘氏(北大医学研究員長)/西邑隆徳氏(北大農学研究員長)/中垣俊之氏(北大電科研所長)


名和豊春・北大前総長が沈黙を破った!「私が解任された本当の理由」

Real Economy(2020/08/23)

 6月末に萩生田光一文部科学大臣によって北海道大学総長を解任された名和豊春氏(66)が22日、『私が解任された本当の理由』と題して講演した。名和氏は解任騒動の前後から1年半以上にわたって沈黙を守っていたが、初めてこの事件について口を開いた。「北大総長解任の真相を究明する市民の会」の主催によるもので、会場となった札幌エルプラザ3階ホールには約100人が集まった。以下、名和氏の講演要旨を抜粋して掲載する。(写真は、『私が解任された本当の理由』と題して講演する名和豊春氏)

「この講演の目的は北海道大学の教職員、数十万人の本学OB、OG、140年にわたって北大を愛し続けてくれている市民の方々に真相を知ってもらい、皆さんに将来どうしていくかを考えてもらうために行うものです」

「調査委員会の調査報告書を読んだが、私ひとりの判断ではいけないと思い、信頼のおける知り合いにも読んでもらいました。調査には、誘導尋問や誤導尋問が多く、聞かれている人が『そんなことはありません、私は知りません』と言っても、調査した人が執拗に『何かあるでしょう、本当にあるでしょう』と聞き、創作されて私は犯罪者のように扱われました」

「私は、総長の就任前から工学系の教育の在り方について、文科省の考え方を十分考慮して新しい政策を進めてきました。文科省も大学改革の推進に寄与する人材として期待したのではないかと思っています。荻生田文科相も解任会見の際には『大学改革に頑張っていることは認める』と発言していますから、期待されていたのかもしれません。しかし、私は様々な政策が出てくることに対し、必ずしも『正しい』とは言いませんでした」

「私は総長として、予算ありきではなく教職員をどうやって大切にするかということを前提に考えました。人件費を削らず物件費を削ってでも人は守ろうとしました。このことは文科省からすると、とんでもない発想だったのでしょう。北大が、これから考えなければならないことは『食料』だと思い、フードバレー構想を掲げたことがあります。同様の構想を進めていたオランダの大学と提携して、文科省に頼らず独自に財団を作って独自予算を持って動こうとしたこともあります。

 自立した大学をつくるという本来の独立法人化の精神に戻って大学改革を進めようとしました。それは逆に言うと、大学の自治が強まり、文科省主導の大学ではないものをつくろうということに繋がるわけです。文科省から北大の事務方にはたくさんの人が来ていますが、予算を取るために採用することはしたくないとはっきり言いました。また、官製談合や不正経理はしてはいけないということもかなり厳しく言いました。そういったことが引き金になって、何らかの口実を設けて解任に繋がったのではないかと思っています」

「もう一つ、なぜあの時期に騒動が持ち上がったのかがわかりませんでした。よくよく考えてみると、あの頃はいわゆる『加計・森友事件』が大きな問題になっていました。本学の獣医学部長が国会まで行って加計の準備不足を陳述しようとしていました。政府は本当に危なかったのです。財務省も文科省も省庁改変が必要じゃないかという声も出ていました。そんな時、マスコミを使って『パワハラ』というピンポイントで、私に流れを持ってきた。調査委員会では『パワハラ』と報告されていた事柄は、総長選考会議では認定せず、同会議が文科省に解任を申し出した時にも『パワハラ』という言葉はなく、『総長として適切とは言えない行動』とし、『パワハラ』を取り消していたのです。最初の『パワハラ』という言葉がなかったらどうだったのでしょうか」

「大学の教育や研究が商業化され、さらには(文科省の)天下りと両立させるようなシステムがつくられたら、大学の自治はどこに行くのでしょうか。それを阻止しようとした私の態度は、確かに文科省から見れば敵対勢力だったでしょう。今後、大学の自治、学部の解体が起きてくる可能性が高い。大学の自治を守って知の創成を守らなければいけない。そのためには、現場を大切にしなければならないと今も考えています」

「騒動の当時、事務方にいて文科省に戻ったスタッフが、こう言ってくれました。『厳しいことは言ったけど、名和さんは私利私欲を持っていない』と。私のモットーは、私利私欲を持たず国の大計となる高等教育を司る学長としてなすべきことをなすことです。これに殉じても仕方がない」

 名和氏は、モットーを貫徹しようとしたことで文科省と後戻りできない段階まで行ってしまったようだ。最後に発した「これに殉じても仕方がない」という言葉には無念さがにじみ出ていた。この言葉を語る時は、声に詰まり嗚咽を押し殺している風だった。今回の講演会は第1弾として行われたもので、主催した「北大総長解任の真相を究明する市民の会」では、引き続き真相究明の講演会を続けていく。


2020年08月29日

札幌国際大学の「懲戒解雇」処分に対する提訴について

2020年8月28日 北海道司法記者クラブにて,原告の提訴の報告と,訴状の概要
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20200828.pdf

札幌国際大学、“不当解雇”元大学教授提訴

NHK 北海道NewsWeb(8月28日)

留学生の受け入れをめぐり学内で対立が起きた札幌国際大学で、元教授の男性が不当に解雇されたとして地位の確認などを求める訴えを札幌地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、札幌国際大学人文学部の大月隆寛元教授(61)で、28日、札幌地裁に訴状を提出しました。
札幌国際大学では、受け入れている留学生の日本語能力をめぐって、▽「基準を満たしている」とする理事長と、▽「助成金目的で、能力が不十分な留学生を入学させている」と指摘した当時の学長との間で対立が起き、大月元教授はことし3月の学長の記者会見に同席したあと懲戒解雇されていました。
訴状などによりますと、▽大学の名誉を損なう内容の記者会見に同席したことや、▽SNSに内部情報を漏洩する書き込みをしたことが解雇の理由とされたということですが、元教授はいずれの行為も懲戒処分の理由にはあたらず不当な解雇だとして、大学に教授としての地位の確認と慰謝料などの支払いを求めています。
大月元教授は提訴後の会見で、「『大学に逆らうとこうなるぞ』という明らかな見せしめと報復だ。元の職場に戻りたいのももちろんだが、大学の健全化につなげたい」と話しました。
一方、札幌国際大学は「コメントはできない」としています。
また、発端となった学内の対立については、文部科学省がすでに双方の意見を聞き取ったほか、札幌出入国在留管理局や大学が設けた第三者委員会も事実関係の調査を進めています。


2020年08月28日

追手門学院大学退職強要事件、「拷問だった」大学を訴えた職員らが明かす「人格否定研修」の中身

Friday Digital(2020年8月27日)

「拷問だった」大学を訴えた職員らが明かす「人格否定研修」の中身

「4年前のきょうは、退職強要研修の真っ最中でした。私は『あなたは腐ったミカンです』『戦力外です』と言われ続けたことで、パニックになりました。長時間にわたって、参加者全員に人格否定の言葉が浴びせられるのを聞くのはつらかった。はっきり言って、あれは拷問です」

学院を訴えた3人

こう話すのは大阪府の学校法人「追手門学院」に勤務していた40代の元職員。8月24日、この元職員と休職中の職員2人が、違法な退職強要を受けたなどとして、追手門学院と学院の川原俊明理事長、コンサル会社のブレインアカデミーなどを相手取り、慰謝料など約2200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こした。

問題の経緯はこうだ。2016年6月、学院の総務室長から専任事務職員に対し、「面談と指名研修を行う」という通知があった。そこには「学校経営は極めて厳しい時代となっています。(中略)『求められる職員像』に達していない方には、今後の職のあり方もご検討頂かなければなりません」と書かれていた。

翌月、18人を対象に学院が面談を実施。「2017年3月末までにやめていただきたい」と、退職勧奨が始まったのだ。

「2019年春に新キャンパスをオープンすることもあり、大学側は人件費を削減し、財政の安定化を進めたかったのでしょう。18人のなかには複数の管理職経験者や、昇進したばかりの人も含まれていました」(大学関係者)

面談が行われた後、この18人に対して追手門学院は「研修」を実施する。その際、自分たちの手で進めるのではなく、この研修を外部に委託。請け負ったのが、「ブレインアカデミー」という教育系のコンサル会社だ。

今回、追手門学院とブレインアカデミーを提訴した3人は「この研修によって体調を壊し、休職を余儀なくされた、と主張する。3人は提訴後、匿名を条件にメディアの取材に応じた。裁判所に提出された訴状に記されたのは、追手門学院とブレインアカデミーによる執拗な「退職強要」と彼らが受けたという、耳を疑うような「研修内容」についてだった。

訴状によると、始まりは4年前の2016年8月22日のこと。対象となった18人が「研修」を受けるために大阪市内のビルの一室に集められた。「研修」とは名ばかりで、その内容は「5日間計40時間にわたって退職を繰り返し強要する」ものだった、とのことだ。

学院から委託を受けたブレインアカデミー所属の講師は、参加した職員に対して業務とは関係ない人格否定を繰り返した、という。

「あなたのような腐ったミカンを追手門の中に置いておくわけにはいかない」
「戦力外なんだよ」「老兵として去ってほしい」「虫唾が走る」
「賞味期限切れちゃったかな」

暗幕で外の光を遮断した部屋では、このような講師の怒鳴り声が響き、水を飲むことも、トイレに行くこともはばかられる雰囲気。参加者の多くは頭痛や吐き気を起こすなど、体調に異常をきたした。なかには泣き出す職員もいたが、同席していた学院執行部は止めるわけでもなく、「ただ監視していただけ」(関係者)だったという。

その研修の末に原告の1人が受け取った「退職勧告書」には、「物事の本質を理解する能力が欠落している」「思考が浅く幼い」など、誹謗中傷ともいえる言葉が並んでいる。

退職を強要された18人のうち9人が心療内科などにかかり、うつ病などと診断された。その後、2017年3月末で10人が退職することに。冒頭の元職員も休職に追い込まれ、今月、追手門学院から休職期間が満了したとして解雇された。

「あの研修がきっかけでうつ病になりました。いまでも当時のことを思い出すと、体が動かなくなります。何とか職場に戻ろうと思っていましたが、バッサリ切られて、悔しいし、悲しいです」

裁判は、退職強要が社会常識的に逸脱したものであるかどうか、また違法性が認められるかどうかが争点となるだろう。原告の弁護団は「悪質で違法性が高い」とその問題点を指摘している。原告3人は現在労基署に労災を申請中だ。

一方、追手門学院は筆者の取材に対して「本件につきましては訴状が届き次第、内容を確認して、対応してまいります。多くの皆様方にご心配とご不快な思いをさせましたことをお詫び申し上げます」と述べるに留まった。これまでの経緯から、全面的に争うことが予想される。

しかし、そもそも学校法人が外部講師を雇って退職を強要すること自体、問題があるのではないだろうか。関係者の証言によると、この時の研修費用は最大で約3000万円になることが、学院内で承認されていたという。「受講者に自律的キャリア形成への変化が認められた場合」、1名につき税込みで108万円支払う契約が結ばれていた…とのことだ。

言葉は選んでいるが、簡潔に言えば「一人退職させれば、約100万円が報酬として支払われる」契約だった可能性が高い、ということだ。筆者が入手した資料などから判断すると、2016年の年末までにブレインアカデミーに少なくとも700万円が支払らわれた可能性がある。

どのような理由があったにせよ、このような「研修」が行われていたのなら、問題アリといわざるを得ない。同大学は理念の一つに「自他の人格を尊重」すると記しているが、こうした訴訟が起こされるということは、その理念を忘れたのではないか、と疑われても仕方がないだろう。

取材・文:田中圭太郎

追手門学院退職強要職員研修等事件にあたっての声明

2020年8月24日

追手門学院退職強要職員研修等事件にあたっての声明

追手門学院退職強要職員研修等事件原告一同

 本日,私たちは,学校法人追手門学院,同学院川原俊明理事長及び株式会社ブレインアカデミー並びに同社が受託し実施した研修の講師であった西條浩氏に対し,損害賠償及び退職強要等の差し止めを求めて大阪地方裁判所に提訴いたしました。

 提訴の理由は,追手門学院が2016年8月に実施した研修において,私たちに退職ないし退職した上での特定事務職員への変更を強要または勧奨する言動や名誉を毀損する言動により精神的圧迫を受けたことに対してです。

 私たちは,5日間40時間にわたる研修を業務命令として拒否できない形式で受講させられました。研修は「自律的キャリア形成研修」と名付けられ、暗幕が引かれた部屋で「腐ったみかん」「あんたはいらない」「虫唾が走る」などの人格否定の言葉のシャワーを浴びさせらました。研修終了後も追手門学院の執行部による退職強要とも言える面談を繰り返し行われたことによって精神疾患を発症し,休職せざるを得ない状況となっています。
 このため,私たちはそれぞれ茨木労働基準監督署に対し労災申請を行っています。

 研修を受講した18名のうち10名が退職しました。現在,2名が休職,1名が休職期間満了による解雇となっています。

 受講した職員のなかには,未だ殺された心を取り戻せずに苦しみ,研修が行われた新大阪や追手門学院の大学や各学校がある茨木周辺には近づけない者もいます。大きな声での会話でさえ動悸がして身体がこわばり,当時の恐怖感がぬぐえず,動けなくなる人もいます。

 追手門学院は,研修は大学設置基準第42条の3に基づきSD(スタッフ・ディベロップメント)として実施したと言っています。しかし,その内容は,退職強要そのものであり,同基準が求める,職員に必要な知識及び技能を習得させ、その能力及び資質を向上させるための研修ではありませんでした。言い換えれば,追手門学院がブレインアカデミーと手を組み,退職を強要するハラスメント研修を企画し実行したのです。

 私たちが,この裁判でめざすところは,退職強要によって失われた心と時間を取り戻し,職場に復帰するきっかけをつかむことにあるとともに,追手門学院が教育基本法の前文である「個人の尊厳を重んじ,真理と正義を希求し,公共の精神を尊び,豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに,伝統を継承し,新しい文化の創造を目指す教育を推進する」を踏まえた正常な教育機関に戻ること,追手門学院で学ぶ園児,児童,生徒,学生の育成に全力で取り組むことを望んでいます。


2020年08月26日

梅光学院騒動の真相に迫る なぜ14人の教師は辞めたか

長周新聞(2016年3月18日)

 今年に入ってから、下関市にある開学100周年を迎えた梅光学院で中・高校の教師14人、大学の教員8人が辞めることが明らかになって以後、生徒たちが「先生を辞めさせないでほしい」と署名活動を始め、3月5日には保護者、教職員有志、卒業生らが300人の集会を持って「梅光の未来を考える会」を設立。現経営方針の転換と理事長の解任を求める署名運動を展開してきた。署名は卒業生を通じて全国区で広がり締切の14日までに1万5361筆が集まった。16日には代表者らがそれを携えて梅光学院を訪れた。ただ、関係者以外の市民の耳に届いてくるのは「とにかく梅光が大変なことになっている」ということ以外には具体性が乏しく、さまざまな噂や憶測ばかりが飛び交い、いったいなにが起こっているのかわからない状態が続いてきた。本紙はこの間の経過について関係者に取材し、流言飛語ではなく何が真実なのかを問うてみた。
 
 下関で100年の歴史誇る私立 「改革」で学校崩壊の本末転倒

 「梅光の未来を考える会」がおこなっている署名は、「梅光学院は、伝統あるミッション・スクールとして、下関を拠点に、質の高い教育を行い、地元の文化の一翼を担ってきた。しかし“改革”の名のもとでの専横的な学校運営により、教育環境は破壊されつつあり、資金の使途に数々の疑念があるばかりでなく、コンプライアンス違反の疑いも浮かび上がっている…梅光学院の未来のために、私たちは、本間理事長の退任と、現行運営方針の転換を強く要求する」としている。
 生徒たちのなかでは「共学化に反対した先生が辞めさせられるのだ」と話題になっているものの、どの教師が解雇されるのかわからない状況が続いている。そのなかでアンケートをとって校長に提出して説明を求めたり、署名活動をしてきたが、学校が子どもたちに真摯に向き合った形跡は乏しい。先日開かれた高校の生徒総会で「10億円を株に運用している」ことが話題に上るなど、学校に対する子どもたちの不信感も強いものがあるようだ。
 梅光学院でいったい何が起きているのか? どうしてそれほどの教員が大量に辞めていくのか? 何と何が矛盾して、その結果、学校の宝であるべき子どもたちの教育環境はどうなるのか? である。

 希望退職募集が発端 異常な人格否定研修会

 問題の発端は、昨年10月下旬、「財政難」を理由に40歳以上の中・高校の教師11人を対象に希望退職の募集がおこなわれたことだった。
 第1回目の募集で、すでに嫌気がさしていた英語教師らの多くが辞表を提出したとされる。その要因として関係する人人が指摘しているのが、2014年度から只木徹氏(統轄本部長、大学事務長、中高校副校長)が主導する英語教育改革と矛盾が生じていたことだ。その英語教育改革とは、文科省が進める「授業をすべて英語で」を徹底するものだったという。基礎になる文法を教えないので、学力の低い生徒になるとついていけず置き去りになる状況も出ていたようだ。公立高校の受験を希望する中学3年、大学受験を控えた高校3年生には対応できない状況も生まれた。子どもたちが喜ばないことを、いいなりになってやらなければならないことに嫌気がさしたのだという。
 だが辞表を提出した教師は11人に及ばず、数年前から中・高校にかかわってきたブレインアカデミーというコンサルタント会社が前面に登場した。全国で50以上の私学の人事制度の構築・導入などにかかわった実績を売りにするコンサルだが、その実態は、最近問題になっているリストラビジネスを手がける人材派遣会社の私学バージョンのようにも見える。
 まずブレインアカデミーによる「再就職斡旋の説明会」が開かれた。当初は希望者のみだったが、直前になって「全員参加」となり退職を希望していない教師も含めて参加することになった。そして11月14、15日の2日間、まだ辞表を提出していない教師を集め、1日5時間、計10時間にわたって「キャリア再開発」と銘打った研修会が開かれた。学院によると「この研修を受けたのは十数人」。講師はブレインアカデミー特別専任講師の肩書きを持つ西條浩氏だった。
 1日目、「人の目を見て話聞けよ!」と罵倒し、顔を上げると「その目はなんだ!」という場面があったり、「こういう発言をすることからして、あなたはこういう人だ」と嫌みな人格評価をするなど、特定の教師に狙いを定めた個人攻撃と人格否定がやられたことに教師たちは戸惑った。普通の人なら腹が立つ内容だが、事前に「会の趣旨に反することをいったり、講師に反対意見をいう人は退出してもらう」「どうしても辛くなったら退場してよいが、なんらかの処分がある」と釘を刺され、教師たちは我慢するほかない状態に置かれていた。
 続く2日目は、参加者の能力を全面的に否定することに力が注がれたという。年末までの「必達5項目」が掲げられ、「今から頑張って90点、100点になる人がこのなかにいるか? せいぜい60点か65点にしかならない」「このなかで努力して学院が希望する点数になる人はいない」「これがあなたたちの中途半端な成果だ」といった調子で教師の能力を否定。そのうえで、「当事者意識」「自責」といった言葉を強調し、「学校の経営状態がこうなったのはあなたたちの責任」「当事者意識を持って学校改革をしていかないといけない。でも能力がないからよそに行ったらどうか」と、「人生の棚卸し」などの言葉を使ってくり返し巻き返し精神的に追い詰めていった状況を、当事者である教師は明かしている。経営陣の「経営責任」をいつの間にか教師たちにすり替えていく手法だったようだ。
 そして最後に研修の成果を発表するプレゼンがおこなわれ、一人ずつ「今後どれだけ貢献できるか」を発表させられたが、西條氏はそれを聞いて「あなたたちのなかで、私がこの人と一緒に働きたい、この人の力を借りたいという人は一人もいない」といい、続いて中野学院長が、「(この研修は)先生を辞めるまで終わらない。あまり無理をなさらず、他の道も探した方がいい」といった内容をのべたという。初めから「辞表を出すように」と囲い込んでいく研修会だったのか、参加した教師たちにとっては脳みそ破壊をやるブレインバスターがいきなりあらわれ、耐えがたい研修会となった。
 その後、2度目の希望退職の募集がおこなわれた。1回目の条件では退職金について「本俸8カ月加算」だったが、2度目は「6カ月加算」に削減されていた。それでも辞表を提出しなかった教師には、第2段階のブレインアカデミーによる「個別カウンセリング」(1人90分)が待ち受けていた。密室でのカウンセリングの後、第3段階は「面接」で中野学院長、只木統轄本部長、樋口学長、只木氏の秘書・辻野氏の4人に囲まれて、「あなたは来年度はいらない」「来年度の学院の構想には入っていない」と戦力外通告がされていったという。3度にわたる圧力で11人の教師が辞表を提出。今年度末で退職する予定の教師は中・高校全体で14~15人に上っている。
 梅光の教師たちの年収は300万~400万円、長く勤めた人で500万円台と、教師としては決して高給ではない。それに対してブレインアカデミーはたった1人を2日間・10時間の研修に派遣しただけで300万円を得た。時給にして30万円である。さらに驚かせたのは学院の顧問弁護士が渦中で口を滑らせ「1人辞めさせるごとに成功報酬100万円を手にしていた」という話が広まったことだった。11人分の成功報酬を得たとすると1100万円、計1400万円になる計算だ。ただ、この真偽について只木氏に問うたところ「まったくのデマだ」とのべていた。

 教員の大量解雇 来年の授業体制組めず

 これほどの大量解雇でもっとも心配されるのは、来年度からの子どもたちの教育がどうなるかだ。
 中・高校では正規の教師の半数が退職し、大学でも来年度の授業予定も組んでいた准教授が、2月24日になって「総合的な判断」という理由で突然雇い止めの通告を受けており、中・高・大学すべてで来年度の授業体制がいまだに組めていないと指摘されている。ある教員はこうした状況について「入学者が増えたというが、レストランで客が増えたのに料理を出さないようなもの。反教育だ」と語っていた。「改革」した末に教師が逃散するように辞めていき、おかげで学校が崩壊するというのでは本末転倒というほかないが、職安に梅光学院の教師募集の求人が幾つも出ていたのを見て、学外でも懸念する声は高まっていた。

 4年前からの改革 「文学は儲からない」

 今回の問題は突然起こったものではなく、4年ほど前から大学を手始めにやられてきた「学校改革」の一環で、それが表面化したものだと関係者は指摘する。背景には、政府・文科省が進める人文系廃止や、少子化のなかで財政難に陥っている地方の私立大学が、生き残りをかけて熾烈な競争をくり広げていることなど、根深い問題が横たわっている。梅光学院も十数年前から定員割れに頭を悩ませてきた。
 梅光学院の「学校改革」は、2011年10月、現・統轄本部長である只木徹氏(名城大学で非常勤講師をしていた)が梅光学院にやって来て、その翌年の2012年春から始まった。非常勤講師として着任した同氏は、まず事務局を廃止して統轄本部を新設。本部長に就任して人事と金を動かす権限を掌握した。1年たった2013年、ガバナンス(統治・支配)強化のために、只木氏が本間政雄氏(元文科省官僚、大学マネジメント研究会会長)を呼び寄せ、現在の本間理事長、只木統轄本部長(大学事務長)、樋口紀子学長、中野新治学院長(中・高校長)の体制ができあがった。
 「学生数を確保する」こと、「人件費比率の削減」が改革の内容で、真っ先に事務職員の給与切り下げがおこなわれた。意見をいう職員には降格人事や左遷など、容赦のない仕打ちがおこなわれたという。このなかで心を病んだり、学院のやり方に納得できず、半数ともいわれる事務職員が学院を去り、半分が非正規職員になっているようだ。
 2014年からは大学教員の給与切り下げと人員削減が始まった。執行部が「金にならない」とターゲットにしたのは文学だといわれる。梅光学院大学は歴史的に日本文学の研究で知られてきたが、2012年に13人いた日本文学科の専任教員を四人まで削減。残りは非常勤講師でまかなう状態になった。1人1人呼び出して「今年辞めたら退職金を○○円出すが、来年になったら半額になる」という手法だった。
 ある教員は、「梅光は文学や語学に力を入れていたのに、文学はもうからないという。かろうじて日本文学は守っているが、英文学や英語学などはなくし、薄っぺらな学問にしようとしている」と危惧していた。辞めた教員を非常勤で補うなど有期雇用に変え、いつ辞めさせても法律上問題のない手法で削減は進んでいる。
 大学教育にかかわった経験のある人物は、「子ども未来学科を設置したとき、子どもの未来を考えられる人材や研究をどのようにしていくか、喧々諤々(がくがく)論議しながら建設してきた過程がある。それが保育士の資格をとれればいいというものに変わってしまった」という。もともと「保育士を育てる教師の育成」を追求していたはずが、保育士資格をとらせるだけに変わった。教授会の発言権を奪って学長に権限を集中させ、理事会で反対意見をいう理事をやめさせるなど、「守旧派」と見なした人人を学外に追いやるなかで「改革」は次から次へと進んでいったという。
 その結果、高校への生徒募集や宣伝広告の強化、給付型奨学金(1億円ほど)の強化、2013年度からは学費を20%減額するなどして学生数は増加した。「地方小規模大学のV字回復」と、教育情報サイトでとりあげられるほどだ。ベトナムなど東南アジアからの留学生の確保にも力を入れたようだ。学生数を基準にする文科省にとっては、今回のような騒動が起ころうと「優秀な大学」である。しかし、「4年前は赤字が1億2000万円といっていたが、この4年で2億ずつ増え、今累積が8億円といわれている」とも指摘されている。そうしたなかで、学院のなかでも「赤字部門」、すなわち経営者の視点から見たときに不採算部門に映るであろう中・高校にも改革の手が伸び始めていった。

 生徒や同窓生の疑問 不透明なカネの使い道

 地方の私立大学が生き残りをかけて懸命になるのは無理もない。大学として存立するために何を為すべきかはどこの大学でも抱えている重要課題だ。しかし関係者の多くが怒っているのは、これらの「改革」が進むと同時に、不透明な金の使い道、執行部にまつわる黒い噂ばかりが拡大し、説明を求めても明らかにされないことだ。
 例えば生徒たちが問題にしているのは2015年度から導入されたタブレットだ。中・高校の全校生徒と教師全員に、およそ300台ものタブレットが一人ずつ配られた。ある生徒は「学習の記録や授業に使えといわれるが、重たすぎて家に放置している生徒もいる」と話す。学校で充電してはいけないので、毎日持ち帰らなければいけないからだ。「礼拝のときに先生がタブレットを活用しなさいというが、先生さえ使えていないのに意味がないと話になる」という。男子を増やすため、サッカー部をつくってレノファと提携を結んだことも話題になっており、「そんなお金があるなら、なぜ先生たちを首にするのか」と子どもたちは疑問にしている。
 さらにこの間、昨年7月から学院が所有している現金資産のうち10億円の運用を始め、昨今の株価下落で目減りしていることも心配されている。また、「4人の執行部が法人カードを持って好きなように使っており、学内の人間はその支出先を知ることができない」「毎月100万円を使い切っているというのは本当か?」「統轄本部長が報酬を1000万円から1300万円に上げてくれといっているのは本当か」等等、金銭にまつわる疑問も多い。さらに宗教上懸念されている問題として、戦後日本キリスト教団とつながりをもってきた梅光学院のなかに、オンヌリ教会(韓国)のチャペルをつくるという噂など、さまざまなものが飛び交っている。
 あと、教員たちや学院に関係する人人に取材するなかで共通して出されていた懸念は、一連の改革や解雇が中・高校をなくすための布石ではないかというものだった。2013、14年頃に、中・高校の生徒数が減っているにもかかわらず、1年契約の常勤講師を退職者数以上に採用しており、「教師が多すぎるのではないか」と疑問視されてきたが、それらが「正規の教師をリストラするための準備、もっといえば中・高校をいつでもつぶせる体制に向かっている」と真顔で心配しているのである。曲がりなりにも中心市街地の丘の上の一等地に位置するのが中・高校で、広大な用地は高値で取引されることは疑いない。「校舎を新しくしたばかりで、まさかそれはないだろう…」という意見と同時に、そうした将来を本気で心配している人人も少なくない。

 統轄本部長に聞く 中学・高校の存続は?

 これらの疑問や噂が目下、同窓生やその周囲を巻き込んで流言飛語のように拡大している。放置することは学院にとっても不名誉で、真相を明らかにすることによってしか打ち消すことなどできない。学院に取材を申し入れたところ、只木氏と小谷財務部長が対応した。まず第一に、教員不足でカリキュラムが組めないのではないかという疑問については、「雇い直しは(教科によっては)ぎりぎりのものもあるが、授業はきちんとできるようにしていく」という説明だった。
 株式運用については、担当の小谷財務部長が回答し「投資信託、株、債権、リートなど組み合わせたファンドラップでやっている。当然ながら規定があるし、理事会でも承認を得て長期の運用でやっている。決して投機的なことをしているとか、ギャンブル的な話はない」と強い口調でのべていた。昨年七月の運用開始からの目減り分について質問したところ、「株式が下がったパーセンテージの半分くらい」とのべていた。
 毎月100万円の限度額ともいわれている法人カードについて只木氏は「会社だったら当然持つ物だ。監事や公認会計士がみんな見る。絶対に証拠が残るから、むしろ明朗会計だと評議員の企業主もいっている」とのべていた。
 そしてもっとも心配されている中・高校の廃止については「過去10年を見て、普通の会計士が見ればつぶすのが正しい選択だという。今は再建しようという意志でやっている」とのべていた。「今」は再建するつもりであるが、今ではないいつかにその意志がどうなるのかはわからなかった。「今は」を強調していたのが印象的だった。
 また、オンヌリ教会について尋ねると、「奇想天外な発想ですね! そういう話があるんですか!」と驚いた表情をして、「キリスト教の学校だから個人的にはチャペルを建てたいが、今は計画はない」とのべた。

 子供たちの未来の為 真相示し教育的解決を

 この間の梅光学院を巡る騒動は、単なる労使問題で片付けることのできない問題を含んでいる。それは同じように財政難にあえぐ地方大学、とくに私学の姿を映し出すものでもある。しかし聞こえてくるのは、大人たちのどろどろした金の話だったり、支配と被支配のそれこそ専横的といわれる学院運営の実態だったりで、文科省官僚出身だった理事長のもとでくり広げられてきた改革の結末は、何ともしれない印象を放っている。それでいったい、学院に通っている子どもたちはどうなるのかがもっとも心配されている。
 少なくとも、梅光学院は誰かがカネを稼ぐための道具ではなく、子どもたちを教育するために理念を掲げ、100年の歴史を紡いできたはずだ。その梅光学院が乗っ取られる、別物のオンヌリ学院か本間学院にされてしまうという懸念が、同窓生を行動に駆り立てている最大の要因のようだ。
 現在、署名運動は広がりを見せており、学校の行く末を巡る論議が活発化している。お金にまつわる疑問にせよ、正面から真相を明らかにすることによってしか解決の道はない。教師の解雇についても、そのように学校を支えてきた人材を次から次へと追い込んでいく運営にどのような未来が待ち受けているのかである。
 「改革」して大学なり学校が崩壊したというのでは、あまりにも惨い結末といわなければならない。現経営方針を転換させたのちにどのような学校にして、子どもたちをどう育てていくのか、大学であればどのような理念によって人材育成の分野で社会的な役割を果たしていくのか論議を深めていくことが待たれている。建設的な力をつなげていくことしか梅光学院の未来はなく、阻害物があるならば取り除き、どう進んでいくのかが問われている。


追手門学院理事長が「腐ったミカンは置いておけない」と発言 職員らが約2200万円の賠償を求め提訴

読売テレビ(8月24日)

  職員研修で「腐ったミカンは置いておけない」などと暴言を吐き、執拗に退職を迫ったのは違法だとして、学校法人「追手門学院」の職員ら3人が24日、学院理事長らに損害賠償を求める訴えを起こした。

「あなたのように腐ったミカンを追手門(学院)の中に置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」「老兵として去ってほしいんです」

 職員に浴びせられた暴言の数々。訴えによると、学校法人「追手門学院」が、4年前に行った職員研修の音声データだ。研修を請け負った東京のコンサルタント会社の男性講師が、20代~50代の事務職員18人に対し、退職を迫ったとされている。

 訴えによると、職員研修は貸会議室の一室で行われたという。黒い幕が張られた日の光が入らない部屋で、人事課の職員が見守る中、一日8時間の5日間連続で行われたという。

 研修の冒頭、男性講師は…。

「原則として今回の18名全員が今年度末、来年(2017年)の3月末の段階で残念ながら学院を退いていただきたい。例外なくです。18人全員がね」

 研修は、受講者全員が「私の自己改革テーマ」というタイトルで発表を行い、講師がコメントする形で進められたという。

「もう必要ないよ、戦力外通告されたわけでしょ、この度」「30前で、もう要らんと言われたんだよ、あなた。ノーサンキューと言われたんですよ」「あなたのように腐ったミカンを追手門の中においとくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」

 さらに研修終了後、退職に応じなかった職員らは学院幹部との面談で何度も退職を迫られ、中には理事長から退職勧告書を読み上げられた職員もいたという。

理事長とみられる男性「学院からの退職勧告をします。思考が浅く幼いと見え、向上心が見受けられない。外部による研修を受講させ、気づきの機会を与えたが、研修講師からの評価も芳しくなく…」

 研修や面談の結果、うつ病を発症するなどして、受講した職員18人のうち10人が退職。現在も2人が休職しているという。

 そして、きょう。大阪地裁。男性職員ら3人は、人格を否定する言葉で執拗に退職を迫ったのは違法だとして、理事長や研修を請け負ったコンサルタント会社に対し、合わせて約2200万円の損害賠償を求める訴えを起こした。

 会見で、原告は…。

「パワハラ言葉のシャワー」「本当にこれは現実なのかなと」「泣き出す方もいらっしゃいましたし」「自分以外の人が攻め立てられているのを見させられているのが非常につらかった」「(研修の)5日間通して(大学の)人事課員はいたんですけど、一回もこうした発言に対して止めに入ったことはなかった」

 原告の代理人の谷真介弁護士「我々も退職勧奨・強要などの事案をよく取り扱っていますが、ここまでの事例は本当に聞いたことがない」「これが本当に教育機関の中で行われているのかと、初めて聞いたときは信じられなかった」

 追手門学院は「訴状が届き次第、内容を確認し、対応してまいります。多くの皆様にご不快な思いをさせましたことをお詫び申しげます」とコメントしている。


2020年08月25日

研修で「腐ったミカン置いておけない」、解雇の職員ら追手門学院などを提訴

読売新聞(8月25日)

 職員研修で「腐ったミカン」などと言われて退職を迫られ、精神的苦痛を受けたとして、学校法人「追手門(おうてもん)学院」(大阪市)の男性職員ら3人(いずれも40歳代)が24日、学院や研修を行ったコンサルタント会社「ブレインアカデミー」(東京都千代田区)などに計約2200万円の損害賠償などを求め、大阪地裁に提訴した。

 訴状によると、3人は2016年8月にあった研修で、同社から派遣された講師に「あなたのように腐ったミカンを置いておけない。頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」などと罵倒され、退職を求められたという。3人は学院幹部からも退職を迫られ、うつ病などを発症して休職。うち1人は解雇された。

 原告側によると、研修内容は学院と同社が話し合って決め、研修を受けた18人のうち約10人が退職したといい、「人格否定を伴う退職強要だ」と主張している。

 学院は昨年7月、研修の責任者だった理事を厳重注意にしている。

 学院と同社は「訴状が届き次第、対応していく」としている。

追手門学院 “退職強要”で提訴

NHK関西News(08月24日)

大阪の学校法人、追手門学院の事務職員3人が事実上、退職を迫る研修で外部の講師から「腐ったミカンをおいておくわけにはいかない」などと人格を否定される発言を繰り返されたとして、学院側に賠償などを求める訴えを起こしました。

大阪地方裁判所に訴えを起こしたのは、追手門学院の大学などで事務職員として働いていた40代の男性3人です。
訴えなどによりますと、原告は4年前、キャリア形成を名目に学院が行った研修で、外部講師から「あなたのような腐ったミカンをおいておくわけにはいかない」「老兵として去ってほしい」などと参加者全員の前で人格を否定する発言を繰り返され退職を迫られたということです。
研修は暗幕が張られた部屋で5日間連続で行われ、受講した18人のうち10人が退職したほか、原告の3人は休職を余儀なくされ、このうち1人は休職期間が満了したとして解雇されたということです。
原告は違法な退職の強要だと主張して、学院と理事長、講師らにあわせて2200万円の賠償などを求めています。
提訴後に会見を開いた男性らは、「教育機関として許されないことで、早く正常な学院に戻ってほしい」と話していました。
一方、追手門学院は、「訴状が届きしだい、内容を確認し対応します。多くの皆さまにご心配、ご不快な思いをさせたことをおわび申し上げます」とコメントしています。


2020年08月23日

ウィキペディアに「明治学院大学事件」が掲載

ウィキペディアに「明治学院大学事件」が掲載されました。

「明治学院大学事件」

■職員不当解雇事件(東京地裁平成21年(ワ)第9644号)

元職員が、不適切な窓口対応などを理由に解雇されたのは不当として、大学側に地位確認や賃金支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は2010年7月12日、「問題行為」を認めた上で「態様や業務への支障の程度は、大学から排除しなければならないほど重大とは言い難い」と請求を全面的
に認めた。裁判所は、解雇に関して「担当業務の変更、縮小に準じるやむを得ない事情がある場合」などと定めた大学側の就業規則にはいずれも該当しないと判断した[20]。

高度な英語能力とマネジメント能力を有するものとして、大学の国際交流業務を行う管理職(次長)として中途採用した職員に対して、就任後、期待されたマネジメント能力を有しておらず、組織運営に極めて重大な支障をきたしたとして解雇がなされた事案である。裁判所は、大学職員として望ましくない、あるいは不適正なものであることは明らかとしつつも、業務支障の状況や程度からすれば、当該職員を大学から排除しなければならないほど重大なものであるとはいい難いとして解雇を無効としている[21]。詳細は「全国国公私立大学の事件情報」(
http://university.main.jp/blog8/archives/cat120/)を参照。

■教員不当解雇事件(東京地裁平成28年(ワ)第41597号)

授業を無断録音され、解雇されたのは不当として、元教授が、大学側に教授としての地位確認などを求めた訴訟で、東京地裁は2018年6月28日、解雇無効を命じる判決を言い渡した。授業の録音については違法性を認めなかった。解雇は「客観的に合理的な理由を欠く」として無効と結論づけた一方、大学が録音した授業は年度初めのガイダンスで、講義ではなかったと判断、「大学の管理運営のための権限の範囲内」と指摘した[22]。

元教授が、解雇は無効である旨を主張して、地位の確認と賃金の支払いを求めるとともに、解雇に至る過程において大学が同教授の授業の内容を無断で録音し、これを同教授に開示しなかったことにより、人格権を侵害され、多大な精神的苦痛を被った旨を主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払いを求めた事案である。裁判所は、懲戒解雇は懲戒権を濫用したものであり、普通解雇は解雇権を濫用したものであるとして、解雇無効地位確認請求と賃金支払い請求を認容したが、損害賠償請求は棄却した[23]。詳細は「明治学院大学事件」(
https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/)を参照。

■脚注
[20]「明治学院大職員の解雇無効――問題行為重大性なし」『共同通信』2010年7月12日。
[21]「明治学院大学事件」『大学教職員のための判例・命令集2』日本私大教連、2018年。
[22]「明治学院大教授の解雇無効――授業無断録音訴訟」『東京新聞』2018年7月4日。
[23]「明治学院大学事件」『労働判例ジャーナル』第82号、2019年1月15日。

■参考文献
・浅野健一「授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪」『紙の爆弾』2017年3月号。
・小林節「学問の自由と信教の自由を弁えない大学」『月刊ベルダ』2017年10月号。
・寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』法律文化社、2018年。
・寄川条路編『大学の危機と学問の自由』法律文化社、2019年。
・寄川条路編『大学の自治と学問の自由』晃洋書房、2020年。

2020年08月21日

「腐ったミカン」発言 追手門学院の職員ら、提訴へ

朝日新聞(8月20日)

 職員研修で「腐ったミカンは置いておけない」などと人格を否定する言葉で執拗(しつよう)に退職を迫ったのは違法だとして、学校法人追手門学院(大阪)の男性職員ら3人が近く、学院理事長や研修を請け負ったコンサルタント会社などに総額約2200万円の損害賠償などを求める訴えを起こす。

「腐ったミカン置けない」 追手門学院、外部講師が発言

 原告代理人の谷真介弁護士によると、3人が求めるのは、それぞれ慰謝料500万円を含む1人564万~998万円の損害賠償など。うち1人は「休職期間満了で解雇されたのは不当」として、職員の地位確認も求める。

 原告側の訴えによると、学院は2016年8月、「求められる職員像に達していない」として、3人を含む18人に「自律的キャリア形成研修」(5日間、計40時間)を受講させた。

 研修はコンサル会社・ブレインアカデミー(東京)が請け負ったが、学院側は研修の冒頭、「ブレインアカデミーとの間で研修内容を精査した」と説明。そのうえで、ブレインアカデミーの講師が「17年3月末で学院から退いていただきたい」と述べたとされる。

 講師はさらに、「あなたのように腐ったミカンを追手門の中に置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」「あなたにはもうチャンスがない」などと人間性を否定する言動で繰り返し退職を迫った、という。

追手門学院、「不適切」の認識 「腐ったミカン」発言

 その後も3人は学院幹部との面談で退職を迫られ、うつ病などを発症、悪化させ、休職を余儀なくされたと主張。うち1人は川原俊明理事長同席の面談で「退職勧奨をやめていただきたい」と言うと、川原理事長から「とことん変わってくれへんかったらいらんよ」「もう今後、退職勧奨をやめてください? あほなこと言わんといてくれ」と告げられたという。

 男性はその後の面談で、「視野が狭い」「思考が浅く幼い」などと書かれた「退職勧告書」を読み上げられた。

 19年6月、研修がパワーハラスメントにあたる可能性があると朝日新聞が報じた後、学院はホームページに「外部講師の発言とはいえ、報道された不適切な発言は決してあってはならないと認識し、研修を委託した本学院の責任を強く感じております」と掲載した。

「腐ったミカン」発言、監督者を厳重注意 追手門学院

 学院は今回の取材に、「厳粛に受け止め、二度とこのような事態が起こらぬよう努め、学校運営全般についても問題点がないか厳しく点検して進んでまいります」と文書で回答。後日、川原理事長の発言に関する取材には、「個別の案件については、係争の可能性があることから回答は差し控えさせていただきます」と文書で回答を寄せた。

 ブレインアカデミーは文書で「コメントを差し控えさせていただきます」と答えた。
「パワハラ言葉」のシャワー浴びせられた

 「人を育てる教育機関のあり方として許せない」。原告となる3人は学院の研修後に体調を崩し、4年たった今も、不眠や抑うつ状態などで苦しんでいる。


2020年08月16日

北大学長解任事件、真相究明講演会

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2020年07月31日

【特集】私立大学における労働問題

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■雑誌『労働法律旬報』(2020年7月下旬号)特集「私立大学における労働問題」が発行されました。

■『労働法律旬報』第1964号(2020年7月下旬号)
特集「私立大学における労働問題」
(http://www.junposha.com/book/b524101.html)
発行所:旬報社
発行日:2020年7月25日
ISBN:4910209640708
定価:2,000円+税

■目次:
【特集】私立大学における労働問題
・大学に科学者の新たなコミュニティの形成を(豊川義明)
・大学教員の配転―追手門学院大学(配転)事件・大阪地判平27.11.18(河村学)
・大学教員による育児休業の取得―学校法人近畿大学(講師・昇給等)事件・大阪地判平31.4.24(吉岡孝太郎)
・学部廃止を理由とする整理解雇―大乗淑徳学園事件・東京地判令元.5.23(佐々木亮)
・大学教員の懲戒解雇―追手門学院大学(懲戒解雇)事件・大阪地判令2.3.25(城塚健之)
・私立大学教授の定年後の再雇用―学校法人南山学園(南山大学)事件・名古屋地判令元.7.30(横井優太)
【労働判例】追手門学院大学(懲戒解雇)事件・大阪地裁判決(令2.3.25)
など


2020年07月22日

奈良学園大学解雇事件地裁判決、勝利「声明」

奈良学園大学教職員組合

本日奈良地裁において、奈良学園大学の学部廃止に伴う解雇が無効である等の判決が下されました。提訴以来3年にもわたる長らくのご支援を各方面よりいただくことができました。お礼を申し上げます。以下に奈良地裁判決を受けての声明を公表させていただきます。

2020年7月21日

声 明

1 判決の趣旨

 奈良地方裁判所(裁判長島岡大雄、裁判官千葉沙織、裁判官佐々木健詞)は、本日、奈良学園大学の教授ら7名が平成29年3月末で解雇・雇止めされた事件について、教授ら7名のうち5名に対する解雇が違法・無効であったとして、学校法人奈良学園に対して、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認するとともに、平成29年4月以降の未払賃金・賞与として総額1億1000万円以上を支払うよう命ずる判決を下した。なお、定年後再雇用であった2名については雇止めを有効とした。

2 本件整理解雇・雇止めに至る経緯

 原告らは、学校法人奈良学園が運営する奈良学園大学(旧・奈良産業大学)の教授、准教授、講師であった。

学校法人奈良学園は、平成23年頃、学部の再編を計画し、人間教育学部、保健医療学部及び従来のビジネス学部・情報学部の後継学部としての現代社会学部を新たに設置することを計画した。しかし、平成25年8月時点で現代社会学部の設置申請が取り下げられると、学校法人奈良学園は、ビジネス学部・情報学部教授会への事前の説明に反して、両学部について学生募集を停止し、平成29年3月末までに両学部所属の教員ら全員を転職又は退職させようとした。

この方針に反対した原告らは、平成26年2月に労働組合を結成した後、奈労連一般労組にも加盟し、奈良学園大学において大学教員として雇用を継続することを求めてきた。

しかし、学校法人奈良学園は、現代社会学部に代わる社会科学系の学部(第3の学部)の設置を一旦は検討したものの、その後、不合理な理由でその設置を凍結・延期し、組合が求めた「教育・研究センター(仮称)」の設置を真摯に検討せずに、大学教員として原告らの雇用を継続するための努力をしないまま、最終的には、平成29年3月末、労働組合員を含む教員らを解雇・雇止めにした。

3 判決の意義及び内容

本判決は、学部再編を理由とする解雇について、整理解雇法理を適用し、人員削減の必要性は高かったとはいえず、解雇回避努力を尽くしたものといえないとして、解雇を無効としたものである。少子化等による経営悪化を口実に全国の大学で安易な統廃合が行われる中、学校法人に対して教員らの雇用継続について責任ある対応を迫るものとして、大きな意義がある。

すなわち、本判決は、①人員削減の必要性については、ビジネス学部・情報学部の募集停止により学生らがほとんどいなくなったため教員が過員状態になったとはいえ、被告は資産超過の状態にあって、解雇しなければ経営破綻するといったひっ迫した財政状態ではなかったと判示した。また、②解雇回避努力については、原告らを人間教育学部や保健医療学部に異動させる努力を尽くしていないことや、総人件費の削減に向けた努力をしていないと判示した。さらに、③人選の合理性については、一応は選考基準が制定されてはいるものの、これを公正に適用したものとは言えないと判示した。また、④手続の相当性についても、組合と協議を十分に尽くしたものとは言えないと判示した。

学校法人奈良学園は、本判決を重く受け止め、原告らを直ちに大学教員として復職させ、本件解雇・雇止めをめぐる紛争を全面的に解決するべきである。

なお、本判決は、教授らのうち定年後再雇用であった2名については、有期雇用が更新される合理的期待があったものと認めつつも、人員削減の必要性があるなか有期雇用の労働者を優先的に雇止めすることも合理性があるとしたが、この点は遺憾である。

4 原告らの要求と決意

 学校法人奈良学園は、本判決を真摯に受け止め、控訴をすることなく、原告らを大学教員として奈良学園大学に復職させ、解雇・雇止めをめぐる紛争を全面的に解決し、奈良学園大学が本来の大学としての役割を果たすことができるようにすべきである。私たちは、本件の全面的な解決に向けて、引き続き奮闘する決意を表明する。

2020年7月21日    

原告団 弁護団 奈労連一般労組 関西私大教連
 

奈良学園大学不当解雇事件地裁判決、教員多すぎる」と大学解雇 判決「1億2000万円支払え」

ABCニュース(2020/07/21)

 奈良学園大の解雇事案は,学部の改組転換によって解雇されたのではなく、学部を完全につぶして全く違う新学部つくり、原告たちは職種限定で雇用されていたので新学部に移さないという理由で解雇するという事案でした。

「教員が多すぎる」という理由で解雇されたのは不当だと、奈良学園大学の教授らが訴えた裁判で、奈良地裁が一部を認める判決を言い渡しました。

訴えを起こしていたのは、奈良学園大学を解雇されたビジネス学部と情報学部の教授ら7人です。大学は2014年に2つの学部を統合し、新しい学部を設置する計画を立てましたが、計画が頓挫し、学生の募集を停止。その結果、「教員が過剰になった」として7人を解雇しました。21日の判決で「大学の経営破綻のおそれはなく、整理解雇を回避する努力義務があった」として、5人の解雇を無効とし、未払いの給与など約1億2000万円を支払うよう大学側に命じました。一方で、定年退職後に再雇用されていた2人については、訴えが認められませんでした。


2020年07月17日

札幌国際大学解雇事件、「かくて私は教授を『クビ』になった」 地方大学の窮状を語る

Newsweek(2020年7月9日)

札幌国際大学を「懲戒解雇」された経緯と、経営難が続く地方大学が抱える問題とは>

勤めていた大学から「懲戒解雇」を申し渡された。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大だ。地元の人たちには前身の静修短期大学という名前のほうが今でも通りがいいかもしれない。

こういう地方の私大のご多分に漏れず近年は定員割れが続き、わらにもすがる起死回生の策ということだったのだろうか、2019年度から外国人留学生を大量に入れるようになった。

ところが、その入れ方がずさんで、大学で学べるだけの日本語の能力の目安として留学生受け入れの条件になっている「N2」という日本語能力試験の基準をクリアしていない学生をたくさん入れてしまった。しかも、留学生を抱えた大学に課されている在学中の在籍管理──勉学面のみならず、一定時間以上のバイトをしていないか、など生活面含め──の義務の履行もいろいろ怪しげなまま、といった難儀な実態が昨年春の新学期早々から発覚。

これを何とか是正しようとあれこれ学内で当時の城後豊学長以下、同僚有志たちと対策を講じて頑張ったのだが、経営側がそれを察知して学長を解任しようと画策、暮れには議事録も明らかにしないまま新しい学長の選任を強行してしまった。

もうこれ以上内部での事態改善が求められないと判断した城後学長が、今年に入ってから入国管理局や文部科学省など外部の関係諸機関に実情を知らせ、同時に報道機関などにも協力を求めた結果、3月末に事態がいよいよ表沙汰になったという経緯が背景の舞台装置。経緯は3月31日付の毎日新聞や北海道新聞などに詳しい。

事実上解任された城後学長が3月31日に北海道庁で行った記者会見の場に同席していた、というのが私の「懲戒解雇」の理由の1つだ。その他、都合4点の理由がもっともらしく挙げられ「本学の関係者全体の名誉、組織運営の健全性を損なう行為」だから、と理由付けされていたが、要は「おまえ、前学長と一緒になって留学生を入れようとする経営側のやり方に盾突いて邪魔していただろう、けしからん」というだけのことだった。

「懲戒解雇」に当たるまっとうな理由も理屈も何も見当たらない代物でした、というお粗末さだ。とはいえ、売られたけんかは買わなきゃ損、という性格ゆえ、即刻けんか支度に掛かり、地位保全の仮処分などできる限りの法的措置を講じて全力で交戦中、というのが現時点での状況である。

どうしてこういうワヤなことになったのか。それは今後の法廷で明らかにされてゆくだろうし、その都度、できる限り世間の皆さまの目に触れるような機会をつくってゆくつもりだが、「グローバル化」の掛け声に流され留学生を考えなしに導き入れた結果、こういう地方の零細私大が抱える現状に関する個別具体の「リアル」は言葉にされず、大文字の言葉だけが飛び交う空中戦で「大学」問題は「処理」されてゆく。

「自己責任」の正義任せに大学の淘汰が叫ばれ、大都市圏の大規模大学だけが生き残り、地元に根差した小さな教育の場は国公立・私立を問わず枯れてゆくばかり。事は単に、北海道の片隅の小さな私大のやらかしたワヤ、というだけではない。最後に、その「どうして」を解く際の大事なカギになるだろう事実を少しだけ。

・今年からこの大学の理事会に「嶋●和●」という名前が新たに加わっていること。
・この御仁は以前から経営戦略会議で留学生受け入れの「アドバイス」をしており、天下り斡旋事件で有名な元文科省事務次官の前川喜平氏の片腕とされた人物であること。

現場からは、ひとまず以上です。北海道、今年の夏は肌寒いです。

2020年07月08日

大分大学、学長“独裁化”で教授会と内紛…学長の任期上限を撤廃、ルール無視し人事強行

Business Journal(2020年7月6日)

大分大学、学長“独裁化”で教授会と内紛…学長の任期上限を撤廃、ルール無視し人事強行

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

 国立大学法人大分大学では、学部長人事や教授採用などをめぐり、北野正剛学長と教授会が対立。教員OBも異議を唱えるなど、混乱が起きている。

 昨年8月には経済学部長の選考をめぐり、学長に意見として上げる候補者を学部の要項にもとづいて教授会が選んだにもかかわらず、学長が無視して学部長を決めた。批判の声が上がると「第三者委員会」が「要項は大学規程に抵触する」と教授会を悪者にして、要項自体が撤廃された。

 また昨年9月の医学部の教授採用では、教授会が選んだ候補者を学長が覆し、必要な手続きも経ずに別の人物を採用した。教授会によって選ばれていた候補者は、大分県弁護士会に人権救済の申し立てをしている。

 これらの問題の背景には、北野学長を中心とした執行部の専制にある――。そう指摘するのは、大学の混乱を受けて、教員OBらが昨年12月に立ち上げた「大分大学のガバナンスを考える市民の会」の関係者だ。関係者が「学問の自由と大学の自治が危機的な状況にある」と危惧する大分大学で、何が起きているのかを取材した。

学長がルールを無視して教授選考

 大分大学医学部の准教授だった50代の男性が今年1月、大学を退職した。男性は前任の教授が退官した約1年9カ月前から、准教授兼大学附属病院の放射線科部長として、研究や学生の教育、医局や病院の放射線部の運営に関わっていた人物。医学部の教授候補者選定委員会の選考、教授審査委員会の投票を経て、昨年9月の人事会議で次期教授候補者に決定していた。

 ところが、いつの間にか北野学長が別の人物を候補者に選んだために、教授になれなくなってしまったのだ。

 大分大学の教員選考規程では、教員の任用は「人事会議の審議に基づく部門長の申出により、教育研究評議会の審議を経て、学長が行う」となっており、最終的な任用権限は学長にある。しかし、教員の選考過程に学長が関与することは想定されていないし、認められてもいない。

 にもかかわらず、北野学長は昨年11月の医学部教授会に、別の人物を教授に任命することを通知。10月に就任したばかりの医学部長は、同月にメールによる人事会議を開いて、学長が選んだ人物を教授候補者として教育研究評議会に推薦する方針と、期日までに回答がなければ異議なしとして取り扱うことを通知。メールで会議を開いたことにして、9月の医学部人事会議の決定を覆したのだ。

 元准教授は今年1月、医学部人事会議による教授候補者の決定を学長が覆したのはアカデミック・ハラスメントであり、人権を不当に侵害する行為に該当するとして、大分県弁護士会に人権救済を申し立てた。

 北野学長は九州大学医学部出身で、大分大学医学部の教授や副学部長などを務め、2011年に学長に就任。元准教授は大分大学に合併する前の大分医科大学出身で、最終的に教授に選ばれた人物は九州大学出身だった。教員OBの一人は教授選考の問題は「学閥争いが影響したのではないか」と指摘しており、医療関係者からも「やりすぎではないか」との声が聞こえてくる。

経済学部長の選考をめぐる混乱

 ところが、北野学長が介入したのは医学部の人事だけではなかった昨年8月、経済学部では学部長を選考するため、教授会で選挙を実施して、候補者を選んだ。しかし、北野学長は候補者の名前を聞くことを拒否したのだ。

 大学の規程では学長が新しい学部長を任命することになっている。その規程のもとで経済学部では要項を定めて、学長に意見として上げる推薦候補を、教授会が選ぶことになっていた。教授会が選挙の結果選んだ候補者の名前を聞くように要請したが、北野学長は聞き入れず、候補者ではなかった高見博之氏を学部長に決定した。

 すると大学執行部は、経済学部の一連の行為が「大学の規程に触れるおそれがある」などとして、一方的に「第三者委員会」を設置。委員会は昨年12月、「学部の要項とその運用は大学規程に抵触する」と答申した。教授会が選んだ候補者の名前を聞くことを北野学長が拒否した理由は明らかにされない一方で、教授会だけが悪者扱いされた。

 答申を受けて、経済学部は今年1月、学部長の高見氏のもとで、教授会の選挙で学部長候補者を選ぶことを定めた要項を廃止する。今後は学長が教授会の意見に関わらず、学部長を決められるようになってしまったのだ。

 この状況に、大分大学の教員OBらが異を唱えた。昨年12月に「大分大学のガバナンスを考える市民の会」を結成。経済学部長選考をめぐる経緯については「ルールを無視した学長が、ルールを守るよう要請した学部長及び学部を非難した」と批判した。医学部の教授選考についても問題視し、「学長による権限の行き過ぎた行使を監視する」として、記者会見などで学長の独裁に警鐘を鳴らしている。

学長の任期上限と意向投票がないのは国立では2大学だけ

 北野学長の任期は、昨年10月から3期目に入った。国立大学法人でありながら、これほど強い権限を手にしている背景には、2015年の学校教育法の改正がある。改正前の第93条は、「重要な事項を審議するため、教授会をおかなければならない」とされていた。それが改正法では、教授会は学長が決定を行うに当たり「意見を述べる組織」に格下げされた。

 とはいえ、法改正後も教授会の意見が尊重されている大学は当然ながらある。しかし大分大学ではこの年、学長の再任については、任期の上限と教職員による意向投票を撤廃した。つまり、学長は自分の息がかかった執行部体制が続く限り、いつまでも続けられることになった。全国の国立大学法人で学長の再任上限と意向投票をともに撤廃しているのは、大分大学と弘前大学だけだ。

 その頃から北野学長は、他の学部でも学部長を自ら指名するようになった。2016年に新たに設置した福祉健康科学部では、設置準備をリードしていた教授がいたにもかかわらず、北野学長が別の教授を学部長に指名した。ところが、この学部長に「研究費を不正使用している」との疑惑が持ち上がる。2018年12月に内部告発があり、調査の結果、出張費を5年余りにわたって約110万円不正に受給していたことが判明。この元学部長は、去年3月に停職10カ月の懲戒処分を受けている。

 経済学部では学部長の任期は1期2年で2期までとされていたが、経済学部の学部長選考に関する要項を撤廃した際、学部長の任期の上限も撤廃された。教授会は、学部長の選考に一切関われなくなってしまったのだ。撤廃された学部長選考に関する要項は「北野学長が従来の慣行を変えようとする中で、一定の歯止めをかけるためのものだった」と経済学部の教員OBは振り返る。

「学部長を選考する際に、教授会の意見を聞くという要項があれば、学部の発言が一定程度は確保されるだろうと思っていました。しかし、学部長選考をきっかけに、経済学部は完全に学長に屈服させられた状態になってしまいました」

「第三者委員会」の公平性に疑問

 経済学部長選考の問題は、大学としては幕引きをした形だが、先述したように北野学長が教授会の意見を聞かなかったことなど、疑問点は残っている。加えて、教員OBらが疑問視するのは、調査をした「第三者委員会」の公平性だ。

 第三者委員会のメンバーには、経済学部同窓会の会長代行が任命されていた。ところが、経済学部の同窓会会長は、理事の一人である石川公一氏が務めている。しかも石川氏は法務・コンプライアンス担当の理事でもある。

 石川氏は元大分県職員で、大分県教育委員会教育長や大分県副知事などの要職を歴任した。大分大学では2010年から2016年3月まで監事を務めた後、顧問を経て、2016年10月に非常勤理事に就任。翌年1月から常勤の理事となった。企業でいえば監査役にあたる監事から理事に就任するのは、国立大学法人では極めて珍しいケースだろう。

 市民の会が設立される前に存在した退職教員の会は、「同窓会は大学と無関係ではなく、しかも、同窓会会長は法務担当の理事であり、この委員の中立性には疑問がある」として、同窓会会長代行の委員を変えるように大学に要請した。しかし、大学側は「人選に問題はない」として応じなかった。教員OBは、次のように憤る。

「同窓会長であり理事である人物の意向が、同窓会長代行に反映される可能性があれば、第三者委員会とは言えないのではないでしょうか。大学執行部は教授会が悪者にして、教授会の選挙で学部長を選ぶ要項を廃止することで幕引きしたつもりでしょうが、到底納得ができません」

混乱の影響は学生にも

 さらに、経済学部長選考の影響は、学生にも及んだ。昨年11月、学生有志を名乗る匿名の人物が、学部長選考を批判する文書を高見氏に送った。すると高見氏は、大学の一斉送信システムを使って学部生1200人全員に「手続きに則り適正に学部長に就任した」「自主的、主体的に実名で主張を展開していただくよう『学者』『教育者』として付言させていただく」という趣旨のメールを送信したのだ。

 学生に対して高圧的ともいえる高見氏の行為は教授会で問題視され、結局、高見氏は学生向け説明会を開いて謝罪した。しかし、北野学長は高見氏のメールを問題視しない考えを示している。

 また大分大学は6月30日、医学部にメディカル・イノベーション学科を新たに開設する構想を発表した。3年後の開設を目指している。しかし、大学広報によると「学内での合意形成はこれから」だという。大学関係者からは「大学内での検討をほとんど経ずに新学科の構想が発表された」と戸惑う声も出ている。

 大分大学の混乱は、学校教育法改正など、国が進めてきた大学のガバナンス改革の延長線上にある。その弊害として、独裁化が進んだケースともいえる。教員OBの一人は「強い危機感を持っている」として、次のように話している。

「大分大学はいま急速に変化しています。学長が自由にすべてを決められるようになってしまいましたが、本当にこのままでいいのでしょうか。学問の自由と大学の自治を守るためには、いま声を上げていかなければならないと思っています」

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)


2020年07月06日

梅光学院大特任教授、不当な雇い止め 損害賠償求め提訴

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2020年07月04日

札幌国際大学懲戒解雇事件 大学の健全化を求めた言動を理由に懲戒解雇

毎日新聞(2020年6月30日)


2020年07月03日

北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

道新(2020/07/03)

 萩生田光一文部科学相が、北大の名和豊春学長を解任した。

 大学職員らを過度に叱責(しっせき)するなどの不適切な行為を重ねたのが理由とされる。国立大が2004年度に法人化されて以降、学長の解任は初のケースだ。

 名和氏は問題が表面化した直後から休職し、1年半にわたって学長不在という異常事態が続いている。にもかかわらず、北大側が対外的な説明を十分にしてこなかったのは納得できない。

 解任を受けた記者会見を経ても「内部で何があったのか」という疑問は残されたままだ。

 北大は問題が長期化した経緯を含め混乱の原因を明らかにし、再発防止に努めてもらいたい。

 北大によると、名和氏は学長に就任した2017年以降、職員らに過度な叱責や威圧的な言動を重ね、特定業者のために再入札を求めるなど不適切な行為を重ねた。

 これを受け北大の学長選考会議が文科相に名和氏の解任を申し立てた。文科相は調査の上、「(国立大学の)役員たるに適しない」との理由で解任を決めた。

 ただ、名和氏の行為が解任に十分相当するかの具体的根拠は示されず、処分が適正かは判断が難しい。名和氏と大学側との間でどんないきさつがあったのかも、詳しく知りたいところだ。

 名和氏は不適切な行為を否定し、「処分は不当だ」として、文科相に対する審査請求や国を相手取った処分取り消しの訴訟を起こす構えだ。

 だが、処分理由に対する反論は明確さを欠き、疑問は残る。名和氏にも説明責任はあるだろう。

 一連の混乱が学内外に及ぼした影響は小さくはない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が、大学の授業や入試日程に影響を及ぼしている。在籍する学生や受験生らに、大学の現状や今後を不安視する向きは多かろう。

 そうした中で、大学の役員らが内部の混乱を長引かせるのでは、信頼を得ることは難しい。まずは学生らの不安を解消し、学問に落ち着いて打ち込める環境を整えるべきだ。

 北大の学内規定は、学長欠員の場合は速やかに次期学長選挙を行うと定めている。大学側は年内に行う意向を示したが、不在の長期化を考えれば、早期の決着が望ましい。

 今回のような問題の再発防止を徹底し、地域の拠点的研究・教育機関としての責任を果たしてもらいたい。


2020年07月02日

京大iPS研の元非常勤職員、懲戒解雇の無効求め提訴へ

朝日新聞(2020/07/02)

 京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)を懲戒解雇された50代の元非常勤職員が、解雇処分の取り消しを求める訴えを3日にも京都地裁に起こすことがわかった。代理人弁護士は「理由のない懲戒解雇を受けた」と主張している。

 京大は、元職員が勤務していた研究室の教授のメールを無断で見たり、機密書類を持ち出したりしたことなどが、大学の秩序・風紀を乱す行為を禁じた規則に違反したとして、3月31日付で懲戒解雇処分にした。

 一方、元職員の代理人弁護士によると、処分理由の記載が抽象的だったため、京大に詳細な日時や内容を求めたが、回答が得られなかった。訴訟では、京大側に処分理由に該当した行為を具体的に特定させた上で、事実の有無や、懲戒処分にあたりうるかを争う方針。

 元職員は、2007年度から1年間の雇用契約更新を繰り返し、19年4月に雇用期間の定めのない契約に変わった。17年から執拗(しつよう)な退職勧奨の嫌がらせを受けていたとしている。訴訟では100万円の慰謝料も求める。

 元職員は「労働者が提訴するのは費用や転職の面でハードルが高いが、このような問題は京大だけではないと思う。iPS細胞は人類の希望を大きく担うもので、辞めさせられた人間が申し上げるのはおかしいが、iPS細胞の研究については応援してほしい」と話している。


懲戒解雇の京大iPS研元職員、パワハラで大学提訴へ 慰謝料など求め

毎日新聞(2020年7月2日)

 懲戒解雇された京都大iPS細胞研究所(京都市左京区)元職員の50代女性が、男性教授からパワハラを受け続けた末に理由なく解雇されたとして、京大に地位確認や慰謝料など約530万円の支払いを求め、3日にも京都地裁に提訴する。

 代理人の弁護士によると、女性は2007年4月から同研究所に勤務し、男性教授の研究室に勤めていた。17年2月以降、教授から「何で辞めへんの」「居座ってどうするん」などと繰り返し退職を迫られた。女性は20年3月、「教授の機密情報が記載されたメールを無断で閲覧した」などとして懲戒解雇された。

 女性は処分歴はなく、解雇の理由も「どのメールの件を問題にしているのか全く分からない」と主張。5月には処分の理由を説明するよう京大に文書で求めたが、明確な回答はなかったという。代理人の弁護士は「大学側が圧力をかけたが辞めなかったので処分を利用した。不当な解雇だ」と主張。一方、京大は「訴えの内容が分からないので、コメントすることはない」としている。


2020年06月02日

大学に巣食う「ワルい奴ら」

ZAITEN(2020年7月号)

フリージャーナリスト,田中圭太郎氏が「大学に巣食う「ワルい奴ら」」と題する特集記事を執筆されました。
是非,購入・購読ください。

大学に巣食う「ワルい奴ら」

特集
当初は今年としていた「大学入試共通テスト」における、民間の英語検定試験の利用と記述式設問の導入だが、昨年11 月、萩生田光一文部科学大臣は急遽見送りを決定、「混乱を招いた」と謝罪したことは記憶に新しい。そんな折、新型コロナウイルスの影響で教育も「リモート」にシフトし、9月入学・始業も議論されるなど、現場の混乱は止まらない。しかし、そんな喧騒の陰で放置されているのが、昨今増殖する、経営トップの腐敗による大学崩壊の危機的な現状である。背景にあるのは、2015年に施行された学校教育法の「改悪」に他ならない。「ガバナンス改革」の名の下に、教育と研究が破壊されている全国の大学をレポートする―。

独裁体制で進む"野蛮な大学改革" 地方大学を破壊する「よそ者トップ」たち 弁護士、天下り官僚、地方自治体幹部......。全国の中・小規模大学では、理事長や学長に 教育者ではない人物が就くことで、野蛮な改革によるトラブルが相次いでいる―。
ジャーナリスト 田中圭太郎

■【弁護士トップが専横する大学】追手門学院大学、山梨学院大学
■【天下り幹部たちの私利私欲】目白大学、梅光学院大学
■【公立大学でも吹き荒れる独裁の嵐】下関市立大学、都留文科大学
■【国立大学「学長任期撤廃」の弊害】大分大学、弘前大学
■【利権確保に走る官僚OBと地元財界】札幌国際大学

2020年05月29日

立教大学の要職教員がセクハラ、初期対応の誤りで総長が引責退任へ

Christian Today(2020年5月15日)

立教大学は15日、ハラスメントを行ったとして学内の要職者であった教員を懲戒解雇処分とし、初期対応を誤ったとして、郭洋春(カク・ヤンチュン)総長が来年3月末に任期を1年残して退任すると発表した。毎日新聞が関係者の話として伝えたところによると、ハラスメントの内容は学生らに対するセクシャルハラスメント。

立教大学の発表によると、教員によるハラスメントは2018年6月に発覚。副総長2人と教員が所属する学部が対応に当たり、教員は19年3月に要職を解任された。しかしその後、ハラスメントに関する調査があり、同年6月、初期対応を行った副総長2人が退任。当時の報道によると、2人は初期対応で誤りがあったとして、責任を重く受け止め辞意を申し出たという(関連記事:立教大学の副総長2人が退任、ハラスメントの初期対応で誤り)。

同年7月、教員による新たなハラスメントが発覚。同年10月から今年3月にかけ、教員のハラスメントに関する人事委員会や学外の第三者を交えてのハラスメント対応の検証を行い、3月23日に教員の懲戒解雇を決定した。第三者を交えての検証では、教員が学内の要職者であったことや、初期対応における判断の誤りが解決の遅れにつながったとする指摘があったという。

郭総長はこれを受け今月8日、大学を運営する学校法人立教学院の理事会で、ハラスメントを行った教員の任命責任と監督責任、また初期対応の責任を重く受け止め、任期途中での辞意を表明。理事会が同日、申し出を受理した。退任日が来年3月31日となるのは、新型コロナウイルスへの対応や次期総長選定のための手続きなどを考慮しての対応。

次期総長選は、7月に公示を行い年内に実施。12月の理事会で次期総長が決定する見込み。

毎日新聞や共同通信によると、ハラスメントが18年6月に発覚した際、郭総長が副総長2人に対応を指示。2人は学内の「人権・ハラスメント対策センター」に相談しないまま、教員が所属する学部内で調査を行い、同年12月に学部長による厳重注意処分とするのみにとどめた。郭総長はこれらの報告を受けた上で、教員を解任せずに要職にとどめたが、対策センターが19年3月、処分が軽過ぎると指摘。これにより、教員が要職から解任されることになったという。


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