研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

龍谷大学事件

京都地裁に提訴(2019年1月11日)

大学オンブズマンが支援
龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文(2019年2月10日)

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行
 ∟●貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

実況中継「明治学院大学事件」(『情況』2019年冬号)

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

宮崎大学不当解雇事件、最高裁で勝訴 

宮崎大 パワハラまで捏造 最高裁が異例の対応

『現代ビジネス』(2017年3月28日号)「パワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白 」
『週刊金曜日』(2017年3月31日号)「宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず」

早野慎吾氏「宮崎大学パワハラ捏造事件について」
大学が裸体と主張した卒論写真一覧

都留文科大の解雇事件、解雇無効
宮崎大の解雇事件 最高裁決定・大学側敗訴確定

宮崎大学学長宛公開質問状(2017年6月15日) 

都留文科大は、直ちに原職復帰させよ!

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2019年03月16日

四国大と准教授が和解、高松高裁 うつ病発症で解決金

■徳島新聞(2019/3/14)

この事件は,大学オンブズマンが原告を支援しておりました。和解を受けて,以下のコメントを出しました。

【大学オンブズマンのコメント】
 大学オンブズマンは、四国大学看護学部の女性准教授の支援に取り組み、「学校法人四国大学における重大な法令違反・人権侵害の是正を求める声明」(2016年6月20日)、「学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ」(2017年12月20日)を公表するなどしてきた。
 今回の「和解」は女性准教授の主張を基本的に認めたものと理解できる。今後、法人が「和解」の内容を着実に実行するとともに、健全な大学運営に努めることを強く求めたい。女性准教授の一日も早い教壇復帰と研究活動の再開を念じている。
 最後になるが、女性准教授ならびにご家族、そして支援された方々の長年にわたるご奮闘に敬意を表したい。

四国大と准教授が和解
高松高裁 うつ病発症で解決金

 長時間労働が原因でうつ病になったとして、四国大看護学部の女性准教授(48)=休職中=が同大に損害賠償を求めた控訴審の和解協議が13日、高松高裁であり、和解が成立した。大学側は准教授に解決金1420万円を支払う。准教授の復職や退職を前提としない和解条件も盛り込まれた。
 2017年12月の一審徳島地裁判決では、大学側の安全配慮義務違反を認め、未払い給与など1395万円の支払いを命令。大学、准教授の双方が判決を不服として控訴していた。
 高裁は今年1月、「10年2月の教員オリエンテーションでのやりとりがうつ病発症の原因」と認める内容の和解勧告を示していた。発症原因は一審では認定されていなかった。
 准教授は、裁判を支援した連合徳島を通じ「オリエンテーションのパワハラが原因であると認められ、早期に解決することが急務と考えた」とのコメントを発表。四国大総務課は「和解勧告を真摯に受け止め、受け入れるに至った。今後は適切に処理したい」とコメントした。
 女性准教授は08年に同大に採用された。長時間労働で10年2月にうつ病を発症し、13年6月に徳島労働基準監督署に労災認定されていた。


2019年03月09日

九州保健福祉大 雇止め無効決定「セクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置」 原告の元助教らが会見

MRT宮崎放送(3/6)

 九州保健福祉大学の元助教ら4人が不当な雇い止めを受けたとして地位保全の仮処分を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部は雇い止めを無効とする決定をしました。

 4人のうち一部は、雇い止めがセクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置だったとして大学に謝罪を求めています。元助教らによりますと、4人は、おととし12月から去年1月にかけて大学から相次いで契約を更新しないとする通告を受け、地位保全の仮処分を裁判所に申し立てていました。

 これに対し、宮崎地裁延岡支部は、2月22日付けで、「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として雇い止めを無効とする決定をしたということです。また、4人のうち1人の女性は、おととし8月、男性教授からセクハラ行為を受けたとして大学に被害を申し立てていて、裁判所は、雇い止めがセクハラを訴えた人間を排除する意図があった可能性を否定できないとしています。

(仮処分の申し立てをした元助手)「仮に私の雇止めがハラスメントの被害申告の報復人事でないというのであればなんの後ろめたさもなく最初から私個人に直接雇い止めを正当な理由をもって説明できたはずです(大学から)誠意ない対応によって深く傷つけられたことに対して心から謝罪していただきたく思います」

 大学側は「セクハラ問題と雇い止めは全く関係ない」と話していて、今後、裁判で争う姿勢を見せています。


九州保健福祉大不当雇止め事件、助教夫妻 同時に無職に 第2子出産…大学と争った1年

朝日新聞(2019年3月6日)

 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)薬学部で不当な「雇い止め」を受けたとして、宮崎地裁延岡支部が雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。雇い止めを受けた元助教ら4人のうち2人は助教夫妻だった。夫妻は突然、同時に職を失うことになった。

 7年目の任期更新を目前に控えた2018年1月5日。助教夫妻(いずれも修士号)は大学側から雇い止めを通告された。

 30代の夫は福岡県内の大学院を卒業後、一度は薬剤師として働いたが、誘いを受けて09年に母校の九州保健福祉大に助手として勤め、12年に助教に昇格した。同大で職場結婚をした40代の妻とともに、博士号の取得に向け、研究に没頭していた。

 雇い止め通告後、夫妻は大学を追われ、同時に収入がなくなった。長男が通っていた保育園も、就労証明がなくなったことで一時保育に切り替えることになった。昨年10月には第2子が誕生。お金が必要な中、大学との争いを優位に進めるために、ほかの仕事に就くこともできず、生活が立ち行かなくなっていった。

 ログイン前の続き夫妻が無職になってから4月で1年になる。この間、預金も底をつきかけた。夫の留学や子供の将来のために始めた貯蓄も切り崩した。「解雇を認めるようで使いたくなかった」という退職金にも手をつけざるを得なくなった。

 助教の任期は2年更新だが、夫妻は採用時、大学幹部から「助教には10年間の任期がある」と口頭で説明を受けていた。しかし、解雇通告後、大学側は「独自の見解を述べただけ。明文化された規定は存在せず、10年間の雇用が保証されるものではない」と説明した。

 夫妻は大学との争いで、「助教の任期10年間は大多数の教員が持っていたごく当然の共通認識」と主張。代理人弁護士は「特別な事情もない中、任期中ならいつでも解雇できると考えるのは解雇権の濫用」と訴えた。

 これに対し、大学側は仮処分を巡る争いの中で、17年4月の薬学部入学者が定員を大きく割り込んだことから、「経営難による人員削減」と雇い止めの理由を説明していた。夫妻に対しては「早期に博士号取得を奨励していたのに、取得できていなかった」と主張した。

 延岡支部は2月、「10年間は契約が更新されるものと期待することは合理的」として夫妻らの訴えを認め、雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。

 さらに「(夫妻に)雇い止めが伝えられた18年1月時点から4月以降の仕事を探すのは困難」として賃金の仮払いも認めた。夫妻が同時に職を失う事態に対し「雇い止めの影響は極めて大きかった」と指摘した。

 元助教や代理人弁護士は6日、延岡市で記者会見を開いた。

 仮処分決定で助教の地位保全は認められたものの、夫妻は「私たちが復帰できたとしても、大学が変わらない限り同じようなことはまた続く」と危惧する。「未来の学生たちのためにも経営陣には、これを機に大学の体質を見直してほしい」と話している。

 大学側は取材に対し、地位保全と賃金仮払いを命じる決定を不服として異議申し立ての手続きをとったことを明らかにしている。

 「研究者として復帰できるのか」。夫妻の不安はいまもぬぐえないままだ。(大山稜)


九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」

朝日新聞(2019/03/06)

雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」

 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)の雇い止めをめぐる問題で、宮崎地裁延岡支部が元助教ら4人の地位保全を認める仮処分決定を出したことを受け、4人が6日、延岡市で記者会見を開いた。元助教らは「大学の対応に違和感と憤りを覚える」と涙ながらに訴えた。

 仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、元助手の30代女性。2月22日付の決定は元助教3人への雇い止め後の賃金仮払いも認めた。

 記者会見には4人と代理人弁護士が出席。延岡支部の決定に異議を申し立てるという大学側の方針に対し、「残念で、到底理解できない」と訴えた。

 4人のうち元助手は大学院生だった2016年9月~17年2月、薬学部の50代男性教授から無理やりキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。「研究室の教授に反発すれば自分の研究人生に関わるのでは」と被害を打ち明けられず、うつ病と診断されるまでに疲弊した。

 その後、セクハラは強く拒むようになるが、この教授の下で助手として働き始めた17年4月以降、教授からは「何もしなくていい」と冷遇され、予定していた実験計画がストップ。8月、大学にセクハラ被害を申し立てた。被害を耳にした元助教の女性も学長あての投書で告発し、大学は18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。

 女性2人に対する雇い止め通告は、教授の懲戒処分前の17年12月だった。このため、2人は「急な雇い止めはセクハラ被害を訴えたことに対する報復」と主張。延岡支部の決定も「助手を排除する意図で(雇い止めが)行われた可能性は否定できない」とした。

 女性2人は薬学部が新設された03年入学の1期生だった。「まさか母校からこんな扱いを受けるとは」「泥を塗るかたちになっても、胸を張って卒業生だと言える大学に生まれ変わってほしい」と話す。

 雇い止めの理由について、大学は「経営難による人員整理」「18年4月からは教育の質を保つため薬学部では助手と助教にも博士号を求める」と元助教らに説明。セクハラの告発は雇い止めとは無関係と主張している。

 セクハラ被害に遭った元助手は、18年3月に教授と大学を相手取り計550万円の損害賠償を求めて提訴している。(大山稜)


九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら

朝日新聞(2019/03/03)

雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら

 九州保健福祉大(宮崎県延岡市)薬学部の元助教ら4人が大学から不当な「雇い止め」を受けたとして地位保全を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部が4人の雇い止めを無効とする仮処分決定をしたことがわかった。

 仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、30代女性の元助手。申立書によると、元助教3人は3年目と7年目、元助手は2年目の契約更新を控えていたが、2017年12月から18年1月にかけて大学側から4月以降は契約を更新しないと通告された。

 延岡支部の決定は、教員の間では契約期間の上限は助教10年、助手6年と認識されていたと指摘。「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として、今回の雇い止めが労働契約法に反すると判断した。元助教3人には雇い止め以降の賃金仮払いも認めた。決定は今年2月22日付。

 争いの中で、4人は「雇い止めは、薬学部の男性教授によるセクハラ被害を訴えたことに対する報復だった」と主張した。

 元助手は大学院生だった16年9月~17年2月、研究室の50代教授に強引にキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。元助手と、被害を知った元助教の女性はセクハラ被害を大学に告発。大学はセクハラがあったと認め、18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。


2019年03月08日

岡山短大不当解雇事件、教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

NHKハートネット(2019年03月06日)
 ∟●教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

2018年11月、ある重要な裁判の判決が下されました。視覚障害のある岡山短期大学の准教授、山口雪子さんが、「障害を理由に授業の担当から外されたのは障害者差別だ」として、学校法人を訴えていた裁判で、山口さんの勝訴が確定したのです。しかし、まだ山口さんの教壇復帰のめどはたっていません。そこにはどのような問題があるのでしょうか。山口さんの裁判を通し、障害者への差別をなくすために必要なことを考えます。

学生にとって大きな学びだった山口さんの授業

岡山短期大学准教授の山口雪子さんは、網膜色素変性症で、今は明暗がわかる程度の視力です。大学院で博士号を取り、1999年に岡山短期大学の教員となりました。採用の際には履歴書に網膜色素変性症という病名を書き、面接でも聞かれましたが、問題なく採用となりました。

保育士や幼稚園教諭をめざす学生の通う幼児教育学科で、山口さんは、専門科目である「保育(環境)」の授業を受け持っていました。

「子どもたちが不思議に思ったり、もっとやりたいと思うような活動をしていくのに、どんな計画をしたらいいんだろう、どんな準備をしたらいいんだろうと、そういう力を伸ばす授業でした」(山口さん)

一方で、就職した当初に比べ、視力は低下していきましたが、「学生たちが支えてくれたので、あまり不自由は感じていなかった」と山口さんはいいます。

授業において山口さんが大切にしてきたのが、「学生たち自身でやってもらう」ということでした。授業を通じ、学生がさまざまなことを学んでくれたことを山口さんは感じていました。

「卒業して保育園に勤めた卒業生が『障害がある子どもに対して、この子のできることは何だろう、この子の頑張れることは何だろうと、可能性に目を向けられるようになった』と話してくれました」(山口さん)

以前は、視力がなくなったときが人生の終わり、と考えていた山口さん。短大に勤めたことで、その考え方は変わっていきました。

「学生たちと出会って、学生たちと一緒に学び合うなかで、私の視覚障害はこの学び合うという空間をつくるために与えられたものなんだと感じられるようになったんですね。そこから私は、視覚障害が進行しても大丈夫だと、前向きに思えるようになりました」(山口さん)

全盲の弁護士で日本盲人会連合評議員でもある大胡田(おおごだ)誠さんによると、今、地域の幼稚園や保育園で、障害を持った子どもたちが受け入れを断られるケースが少なくないといいます。原因は、保育園や幼稚園の側が障害について知らないことにあると、大胡田さんは考えています。

「山口先生の授業は、学生たちにとって、ほかでは体験できない、ほかでは学べないことを学ぶ、かけがえのない機会だったはずです。それでやめさせようというのは、本当に信じがたい行いだと思います」(大胡田さん)

配置転換命令は違法

山口さんの証言を元に、提訴までの経緯を振り返ってみましょう。

2014年1月、学長から呼ばれた山口さんは、事務員が退職するため視覚支援をできる人員がいなくなることを理由に、退職を考えるよう言われました。

「レポートや試験の採点の代読を、学外の知人に依頼していたのですが、それが個人情報漏洩だというような叱責をもらいました」(山口さん)

そのときは、答案用紙などを学外に持ち出したことについては始末書を提出し、視覚支援は自費で雇った補佐員に学内で行ってもらうことで問題はクリアされたと考えていた山口さん。しかし2016年2月、今後は授業を担当させず、学科事務に専念するよう通告を受けます。理由は、「授業中の飲食、教室から抜け出すなど、学生の不適切な態度を見つけて注意することができない」というものでした。

短大側は、教員ではない「補佐員」が学生を注意することを禁じていました。視覚障害があることをわかっていながら、その責任を負わせようとする姿勢に、山口さんは絶望的な気分になったといいます。

それでも最初は、話し合いでの解決を求めましたが、糸口すらつかめません。やむを得ず、裁判に訴えることを決断したのです。

「裁判になると学生たちが心を痛めるかもしれないとは思いましたが、私は学生たちに、より良い社会をめざす者として、問題があったときに目を背けず取り組むこと、解決をめざすことが大切だと伝えてきました。自分がそれを破ることはできない、学生たちに嘘をつくことはしたくないと思って、障害者を排除するというこの問題に向き合おう、そのためには裁判しかないと決意しました」(山口さん)

裁判で山口さんは「視覚障害を理由として配置転換をした、これは違法であり、無効」と主張しました。

一方、短大側の主張は、弁護団の団長を務めた弁護士、水谷賢さんの説明によると2つです。

「1つは、授業中に飲食などを発見して、山口先生が学生を指導する、監督することができなかったというもの。もう1つは、視覚障害を理由にした差別ではない。もともと山口先生は教員としての資質、能力を欠いているから授業を外しただけだと。この2つが短大の主張でした」(水谷さん)

この主張に対して、水谷さんは次のように指摘します。

「指導・監督できなかったという主張に対しては、目の見えない人に見えることを要求しているわけですから、仮にそういうことがあれば、補佐員を配置して、補佐員から注意するとか、あるいは指導してもらうということで十分可能です。2つ目に対しては、むしろ逆に他の教員より優れている面がたくさんあるではないかと主張しました。学生が教員に対する評価を出している資料があるのですが、そこでは山口先生ははるかに高得点の教員でした」(水谷さん)

そうした資料に加え、裁判のことを知った山口さんのかつての教え子たちも、陳述書を裁判所に提出。番組にも次のようなメールを寄せてくださいました。

「授業中の飲食については、他の先生の講義でもあったことで、目の前で食べていても注意をしない先生や、注意をしてほしいくらい私語があるときでも何も言わない先生もいました。そのなかで、山口先生は、私語などはすぐ注意していたので、先生の講義は落ち着いて受けられました。先生の視覚障害については、学生に迷惑をかけていると感じたことはありませんでした。何でも話しやすい人柄で相談にも親身にのってくれる尊敬できる先生でした。

「山口先生の授業では、実際に屋外に出てみたり、保育で使えそうな玩具を作ってみたりなど、具体的に学ぶことができてとても役に立ちました。短大では、障害児についても、皆が一緒に楽しく保育生活を送れるための支援について学びましたが、今の短大では、それとは逆の行動を、先生方がとっていることに残念な気持ちを抱いています。幼児教育を学ぶ場として、学長や先生方には、山口先生を職員の一員として受け入れるよう願っています。」

裁判の結果、2018年11月には最高裁で短大側の上告が棄却され、山口さんの勝訴が確定しました。判決では、短大の業務命令に山口さんが従う義務はないとし、慰謝料として110万円を支払うことも命じました。

「この判決のポイントとしては、もし働いてる障害者が障害のために何かできないことがあったとするならば、雇い主はまずはそれをできるための方法を考えなさい、そんな支援を何も講じないで、まるで厄介払いをするように窓際に配置転換することは、それは権利濫用で違法、無効なんだということをはっきり言った。そういう意味があると思っています」(大胡田さん)

勝訴しても実現しない教壇復帰 背景にある「司法の限界」

2年半にわたる裁判の末、勝訴が確定した山口さん。しかし、まだ教壇に復帰するめどがたっていません。

「最高裁判所の決定ですから、短大側は真摯に受け止めてくれると思っていました。しかし、教壇に復帰したいという申し出をしたところ、合理的配慮どころか、これは教授会で決めることなので、大学としては回答ができないという対応にでました」(水谷さん)

そして2019年1月下旬。短大側からは来年度、山口さんが担当する授業の開講はないと通知がありました。

こうした状況の背景には司法の限界があると、大胡田さんは指摘します。

「日本の裁判所はこれまで、ある労働者がこういう仕事をさせてほしいというふうな裁判を起こした際に、この仕事をさせなさいという判決は下せない、そういう前例があるんですね。今回の裁判でもそこが1つ問題になりました。裁判所としては、授業外しの命令は無効だということは言えますけど、この授業を山口さんにやらせなさいというところまでは言えない、それが司法の限界なんだなということをね、改めて思いました。短大側としては、「大学の自治」ということを持ち出して、授業を持たせないと言っています。ですが、これも本当におかしい話で、障害者を差別する自由だとか、マイノリティを排除する自由というのはないんですね」(大胡田さん)

最高裁で判決が確定していることから、再び裁判を起こすことは考えていないという水谷さん。今後について次のように語りました。

「日本は法治国家で、この最高裁の決定の趣旨を守らなければなりません。短大もそのとおりです。だから短大が授業外しをまだ続けているということを世論に訴えていきたいと思います。同時に、2018年から厚生労働省にも文部科学省にも要請をしてまいりました。この最高裁決定を事実上無視する短大の学校法人の運営の仕方、この点についても可能な限り行政指導を要請していきたいと考えています」(水谷さん)

山口さんは今、授業がないにもかかわらず、短大に出勤をしています。教壇への復帰を見据えているからです。

「大学は、教育と研究が2本柱だと、私は思っています。今、教育からは外されましたけれども、研究は続けよう。そして、教育にいつでも戻れるように準備しようと思っています。だから、研究に専念することによって、負けないって思っています」(山口さん)

※この記事は2019(平成31)年2月10日(日)放送の視覚障害ナビ・ラジオ「教壇復帰をめざして」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

※山口雪子さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づく調停を岡山労働局に申し立て、短大側に協議に応じるよう求めています。


2019年03月05日

九州保健福祉大の雇い止めは無効

NHK宮崎(2019年03月05日)

宮崎県延岡市の九州保健福祉大学から雇い止めを受けた元助手ら4人が地位保全を求めた仮処分の申し立てについて、宮崎地方裁判所延岡支部は雇い止めを無効とする決定を出しました。

このうちの1人は男性教授からセクハラ被害を受けたと申し立てていて、裁判所は「被害者を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。

延岡市の九州保健福祉大学で助教や助手として働いていた男女4人はおととし12月から翌月にかけて大学から相次いで雇い止めを通告され、大学を運営する学校法人を相手取って地位保全を求める仮処分を申し立てていました。

これについて宮崎地方裁判所延岡支部の宮島文邦裁判官は先月22日づけで、「教員の間では助教や助手はそれぞれ一定の年数を雇用されるものと認識されており、契約の更新を期待する合理的な理由が認められる」として、雇い止めは無効だとする決定をしました。

この問題をめぐっては、4人のうちの1人で、元助手の女性が大学の50代の教授からセクハラを受けたとして大学に被害を申し立てていて、これについて宮島裁判官は「助手を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。

大学は被害の申し立てを受けて教授のセクハラを認定し、去年1月、停職1か月の懲戒処分にしています。

今回の決定について九州保健福祉大学は「4人の契約を更新しなかったこととセクハラ問題は関係がなく、裁判所に異議申し立てを行いたい」とコメントしています。


2019年03月04日

明治学院大学事件、日本の大学界の病弊を象徴する大事件

日本の大学界の病弊を象徴する大事件

日本の大学界の病弊を象徴する大事件
――「明治学院大学事件」の裁判記録――

寄川条路

寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著
『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』A5判・96頁・926円、法律文化社、978-4-589-03977-4

 大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文およびその解説を収めた全実録が刊行された。「日本の大学界の病弊を象徴する大事件」(小林節氏談)とも呼ばれ、学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした裁判の記録である。
 裁判の結果が報じられたとき、本件は、「リベラルな大学」での特異な出来事と受け止められたが、実際のところは、現在の日本の大学界に広く蔓延している病状の一例にすぎない。明治学院大学のように授業の盗聴や録音を無断で行っている大学もあれば、授業の撮影や録画を行っている大学もある。このような日本の大学の現状を知ってもらうために、裁判記録を公刊することにした。
 本書には、裁判所に提出された法学者の意見書と、それを受けて裁判所が下した判決書が収められている。
 まず、憲法学の大御所である小林節は、「学問の自由」という観点からその理念を歴史的に概観し、つぎに、教育法の権威である丹羽徹は、「教育の自由」という観点から強固な法理論を構築し、そして、表現法について第一線で活躍している志田陽子は、「表現の自由」という観点から事件を緻密に検証している。さらに、判決文は、裁判所の承諾を得たうえで公表し、担当弁護士の太期宗平が的確な解説を加えている。
 本書は、「明治学院大学事件」の裁判記録であるが、日本の大学界全体の教訓として必要不可欠なものであるとの指摘を受けて公刊された。編者としては、この本によって日本の大学の現状を知ってもらい、「学問・教育・表見の自由」を考えるきっかけにしてもらえればと思っている。
 なお、本書は、シリーズ「学問の自由」の第1号である。「明治学院大学事件」の裁判記録である本号に続いて、第2号として、法学者・教育学者・倫理学者など、大学関係者による論説集が予定されている。(よりかわ・じょうじ=明治学院大学教授、哲学・倫理学専攻)
★こばやし・せつ=慶應義塾大学名誉教授・弁護士、憲法学専攻。
★にわ・とおる=龍谷大学法学部教授、憲法学・教育法専攻。
★しだ・ようこ=武蔵野美術大学造形学部教授、憲法学・言論法専攻。
★だいご・そうへい=ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士。


2019年02月27日

岡山短大解雇事件、「授業担当なし」調停申し立て

NHK岡山(2019年02月25日)

「授業担当なし」調停申し立て

倉敷市にある短期大学の視覚障害のある准教授をめぐり、授業の担当から外した措置は無効だとする判決が確定したあとに、短大側が新年度も授業を担当させない決定をしていたことが分かりました。
准教授は労働局に調停を申し立て、「話し合いのテーブルについてほしい」と述べました。

倉敷市の岡山短期大学に勤務する山口雪子准教授(54)は、病気が理由でほとんど目が見えません。
3年前、授業中に飲食をしていた学生を注意できなかったことなどを理由に授業の担当から外され、「障害を理由にした差別だ」として運営法人を相手取って裁判を起こし、去年11月、最高裁判所が短大側の上告を退けて担当を外した措置は無効だとする判決が確定しました。
ところが山口准教授の弁護士によりますと、判決の確定後、教壇への復帰を申し入れたものの短大側は協議に応じず、先月、「新年度の担当授業はない」と連絡があったということです。
このため山口准教授は25日、短大側に協議に応じるよう求める調停を岡山労働局に申し立てました。
申し立てのあと、山口准教授は記者会見を開き「短大側は問題から目を背け続けている。話し合いのテーブルについてほしい」と話していました。
一方、短大の弁護士はNHKの取材に対し「授業を割り当てなかったのは准教授の研究実績に基づいた決定だ。調停については労働局から連絡を受けていないのでコメントできない」と話していました。


2019年02月26日

岡山短大解雇事件、大学は最高裁の解雇無効判決にもかかわらず職場復帰を拒否

現在ビジネス
 ∟●突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き(田中圭太郎)

突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き
最高裁判所の判決にもかかわらず…

岡山短期大学幼児教育学科の准教授が、2016年3月、視覚障害を理由に「指導能力がない」と教職を外された。准教授は教職への復帰を訴えたが、岡山短大はこれを認めず法廷闘争に発展。18年11月、職務変更を無効とする判決が最高裁で確定し、准教授が勝訴した。

ところが19年1月、岡山短大は准教授の教職復帰を引き続き認めず、事務職として働かせる決定をした。表向きの理由は「授業の担当教員の変更」と説明し、障害が理由ではないという。しかし、その背景に浮かび上がるのは、准教授への差別だ。問題の経緯と、現状を取材した。

岡山短大による職務変更命令は「不法行為」

「教員能力が欠如しているとして授業を外されましたが、裁判所は職務変更が無効だと判断してくれました。にもかかわらず、今年4月以降も私は授業を担当できないのです。私は大学に謝ってほしいわけではありません。以前のように教壇に戻してほしい、ただそれだけです」

教職への復帰を訴えているのは、岡山短大幼児教育学科の山口雪子准教授(54)。遺伝性の網膜色素変性症を患いながら、博士号を取得後、1999年に講師として採用され、2007に准教授になった。自然の中での遊びや科学遊びなどを通して、幼児の好奇心を引き出しながら教育を実践する「環境(保育内容)」の科目を専門にしている。

山口さんが岡山短大で講師をするようになったのは、博士課程を学んだ岡山大学資源生物科学研究所(現在は資源植物科学研究所)の教授からの紹介がきっかけだった。「短大なら視覚障害があっても安心して勤められるだろう」と紹介されたのだ。

山口さんの視力は0.2ほどあるものの、網膜色素変性症は視野が徐々に狭くなる病気だ。「映画館のスクリーンが徐々になくなっていく感じ」と山口さんは説明する。暗いところで物が見えなくなる夜盲も起きる。

罹患していることがわかったのは、小学校の入学前検診の時。兄も同じ病気だったことから気がついたという。小学校の頃は0.5ほどの視力があり、症状はいまと同じでゆっくり進行していた。山口さんは小学校から高校までずっと普通の学級で過ごしている。

病気の進行には個人差があり、20歳くらいで目が見えなくなる人もいれば、高齢でも視力が残る場合がある。自分の病気を理解した山口さんは、自分のしたいことを仕事にしようと研究者の道に進むことを決意。日本大学の農獣医学部(現在の生物資源科学部)で農芸化学を専攻。大学院で修士課程を卒業後、一旦就職して、岡山大学の研究所で再び学んだ。

岡山短大では当初、生物学を教えていたが、「環境」という新たなテーマに取り組むようになって、大きなやりがいを感じるようになったという。

「ふだん、土いじりや虫を嫌う文系の学生が、幼い子どもたちと一緒だと自然の中で興味を持って活動してくれます。野外での活動や、シャボン玉などの科学遊びを、幼児教育にどのように取り入れていくかを考えてきました。面白い研究テーマをいただいたと思っています」

研究や授業を進めるうえで、視覚障害はほとんど支障がなかった。現在の視力は、目の前で手を上下左右に振ると、その様子は見えるものの、指の数まではわからないという状態だが、長年の経験もあり、今後も授業を続けることについて問題はないと思っている。

しかし、山口さんは16年3月以降、「指導能力が欠如している」として大学から突然授業を外されたのだ。大学はその年の1月、教職から事務職への職務変更と、研究室からの退室を通告。山口さんが弁護士を通じて教職への復帰を求めたが、大学は応じない。非公開で地位保全の仮処分を申し立てて和解の道も探ったが、これにも大学は応じなかった。

他に方法を失った山口さんは、16年3月に大学を提訴。一審と控訴審は、山口さんの職務変更と研究室からの退去を無効とし、大学に110万円の支払いを命じた。18年11月、最高裁で判決が確定した。

判決では、職務変更が必要だと大学が主張する理由は、補佐員による視覚補助で解決が可能だとして、職務変更は不法行為と指摘。山口さんが授業をする権利までは認められないものの、専門分野について学生を指導する利益はあり、山口さんに著しい不利益を与える行為だと結論づけた。

ところが大学は今年1月7日の教授会で、今年4月以降も山口さんの担当授業はないと決定。やはり事務職への職務変更を曲げなかったのだ。その理由は、山口さんが担当していた専門分野の授業は「別の教員が担当者として適任」であり、その他の一般教育科目は「履修者が少ないために開講しない」というもの。つまり、大学はあくまで教員の交代と科目の消滅で「担当教員から外す旨の決定ではない」と主張している。

視覚障害を理由に「指導能力がない」

では元々「他に適任者がいる」という理由で、山口さんが授業から外されたのかと言えば、そうではなかった。最初に動きがあったのは14年1月。

当時、幼児教育学科に在籍していた事務担当の派遣職員が、山口さんの業務の補助をしていた。以前よりも病気が進行していた山口さんは、派遣職員が自ら「手伝えることはありませんか」と声をかけてくれたことから、書類のレイアウトの調整や、印刷物や手書き文書の読み上げなど、視覚障害のためにできない作業の補助をお願いしたという。

にもかかわらず大学は、派遣職員の契約が14年2月に満期を迎えることを理由に、山口さんに「今年度で辞めたらどうですか」と言ってきたという。次に着任する職員には、視覚障害をカバーするための補助作業はさせられないからと、山口さんに退職勧奨した、というのだ。

この時は山口さんが自費で補佐員を雇うことで、退職を回避した。補佐員は週に2、3日、1日5時間ほど出勤し、研究室での補助や、授業での出欠の確認などを手伝っていた。

ところが16年1月、大学が今度は「山口さんには指導能力が欠如している」と言い始め、教職をやめるよう迫ってきた。山口さんによると、その理由は次の2点だったという。

ひとつは、山口さんがゼミで教えていたある学生が、同じゼミの学生と仲が悪くなり、ゼミが楽しくないと他の教員に伝えたことを、大学が山口さんへのクレームとして大きく扱ったこと。もうひとつは、山口さんの授業中に抜け出している学生がいるが、山口さんが視覚障害のために注意できない、というものだった。

山口さんは16年2月、代理人弁護士を通じて、話し合いで解決するよう求めた。しかし大学の態度は頑なで、さらにいくつもの理由をつけてきた。視覚障害のために授業中にスマホをいじっている学生を注意できない、無断で教室を退去する学生を注意できない、など。

大学は特に、授業中にカップラーメンを教室で食べていた学生がいたにもかかわらず、山口さんの視力が弱いために気づかず、注意できなかったことを大きな問題にした。しかし、それなりの分別があるはずの短大の学生による問題行動を、目が見えなくて気づかず注意できないのが悪いと、全て山口さんに責任を押し付けるのはいかがなものだろうか。

山口さんはこれまで20年近くにわたって授業を担当してきた。講師から准教授にもなった。それなのに大学は、視覚障害があるために学生の問題行動を注意できないから指導能力がないと突然言い始めたのだ。

本来は、視覚障害がある山口さんの補佐は、大学が合理的配慮によって考えるべきことだ。しかし大学は、配慮はせず、教員から外してしまった、ということだ。

教育者を育てる大学なのに

山口さんの裁判や教職への復帰については、「支える会」が結成されて、多くの人が支援している。16年5月には視覚障害がある全国の大学教授が文部科学省で会見し、「視覚障害がある大学教員は不適格などと、私たちは言われたことがない」「ナンセンスだ」と声を上げた。この時点で視覚障害の大学教員は少なくとも全国で25人いた。

勝訴確定後の18年12月15日には岡山市で、16日には東京・新宿区で「支える会」の集会が開かれ、山口さんが教壇に戻れるように活動を続けていくことを確認した。

16年4月に施行された障害者差別解消法は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を目的としている。岡山短大の行為は、法の趣旨に反していると言える。

厚生労働省は、障害者雇用促進法の観点からも、問題があると捉えている。最高裁での判決確定を受けて、18年12月末には岡山労働局が岡山短大を訪れ、「障害者であることを理由とする差別を禁止」し、「合理的な配慮を当事者と事業主との間で話し合い、必要な措置を講じること」を定めている法の趣旨を説明した。

その後、19年1月に岡山短大が山口さんに授業をさせないと決定したことについて、厚生労働省障害者雇用対策課の担当者は「問題が多い状況だと考えている」と話している。しかし一方で、岡山短大に対する指導については、「裁判になった時点で指導、監督などの行政行為は行うことができない」と及び腰で、「岡山短大には判決内容に基づいて、自主的に解決を図るように務めていただきたい」と述べるに留まっている。

岡山短大は自主的に解決を図る考えがあるのだろうか。今年4月以降も山口さんを授業から外す決定をしたことについて、改めて岡山短大に聞くと、「代理人弁護士からお答えします」とノーコメントだった。

代理人弁護士は「授業の担当者は毎年教授会にかけて決定しています。この度の決定は、専ら研究教育実績に基づいて判断したものであり、視覚障害は理由ではありません」と話した。岡山短大としてはこの問題は「解決した」という態度だ。

しかし、岡山短大は「16年4月以降山口さんの職務を変更したことは無効」とする判決を無視していると言えるのではないか。山口さんは今、大学の態度に、怒りよりも残念な気持ちを抱いているという。

「かつては、私が廊下を歩いていて障害物に当たりそうになったら、教職員も学生も声をかけて教えてくれました。しかし現在は、廊下でドアにぶつかっても見て見ぬ振りをする人が多くなっています。教育者を養成する大学で、言葉では思いやりが大切といいながら、視覚障害のある私を差別し、村八分にして、学生は何を学ぶのでしょうか。

人間ですから間違うこともあります。その間違いを認めて、乗り越えていけば、大学もよりよく発展できると思うのです。しかし、裁判所に間違いを指摘されながらも、変えることができない大学の態度には悲しいものがあります。

私は障害があっても、自分の好きなこと、得意なことを見つけて頑張れば、社会の中で輝けるということを知りました。もう一度教壇に戻って、支え合い、認め合うことで、豊かな社会になるのだということを、学生に伝えたいと思っています」

復職したいという思いの一方で、教育者を要請する大学で起きている障害者差別をこのまま見過ごすわけにはいかない。そう考える山口さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づいて、岡山短大と協議をするための調停を岡山労働局に申請した。今後も大学に協議の場を持つように求めていく考えだ。


2019年02月23日

東京私大教連、淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明

■東京私大教連

淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明

 2019年2月21日、東京地方裁判所は 学校法人大乗淑徳学園(以下、学園)が国を被告として提訴していた不当労働行為救済命令取消請求訴訟(平成 29 年 (行ウ) 第 505 号)について、中央労働委員会(以下、中労委)が出した不当労働行為救済命令の正当性を全面的に認める判決を出しました。この行政訴訟で争われた学園の不当労働行為は、以下の内容です。

 淑徳大学教職員組合(以下、組合)は、淑徳大学国際コミュニケーション学部の募集停止 (2017年3月学部廃止)を理由に、同学部教員に対して解雇が予告された事態を受けて 2015年3月に結成され、東京地区私立大学教職員組合連合(以下、東京私大教連)に加盟しました。しかし組合に対し、学園は以下のような異常な不当労働行為を繰り返しました。
 (1)学園は、大学構内での組合活動は就業規則違反であるとして一律に禁止する通知を組合に発し 、違反した場合の懲戒処分を示唆しました。また、東京私大教連が組合に送付した郵便物の取次ぎを拒否し、これを返送あるいは組合委員長の自宅に着払いで転送するなど、組合と東京私大教連との円滑な連絡を妨害する行為を繰り返しました。さらに 団交申し入れ等の日常の連絡も、文書郵送以外は認めないとするなど、異常な組合否認 にもとづく支配介入を続けました。
 (2)学園は、組合の団交申し入れに対し、当初 「場所は学外、時間は1時間、出席者は 3 名程度 、録音は禁止」 等とする一方的な開催条件に固執し、組合がこれに従わない限り交渉を行わないとする団交拒否を行いました。その後、場所は学内とするものの出席者は学内の者に限るなどの、組合が受け入れられない条件に固執しました。その結果、組合結成以来一度も団交が開催されていません。

 東京都労働委員会(以下、都労委)は 2016年11月に学園に対して、不当労働行為を直ちに止め、団体交渉に応じるよう命令を交付しました。学園はこの命令を不服として、再審査申立を行いましたが、中労委も2017年10月に、学園に対して都労委命令を履行せよとの命令を交付しました。そして学園がこの中労委命令を不服として訴訟を起こした今回の取消請求訴訟において、東京地方裁判所は中労委命令の正当性を認定したのです 。

 また、今回の行政訴訟判決とならんで、東京地方裁判所は学園に対し、2017年3月に淑徳大学を解雇された三教員の経済生活上・社会生活上の窮状を鑑みて 、直ちに都労委命令を履行し 、組合に対する支配介入を止めて団体交渉に応じるよう、緊急命令を交付しました。三教員の解雇から、すでに二年以上が経過しています。三教員の速やかな救済のために、私た ちは学園に対し控訴することなく、また東京地方裁判所の緊急命令に従うことを要求します。また、解雇された組合員の解雇撤回と、大学教員としての雇用継続を強く求めるものです。

2019 年 2 月 21 日
東京地区私立大学教職員組合連合
淑徳、大学教職員組合

団交拒否を巡り、淑徳大の請求棄却 東京地裁

朝日新聞(2019年2月22日)

 淑徳大(千葉)が、解雇対象の元教授らがつくった労働組合との団体交渉拒否を不当労働行為だと認定した中央労働委員会の命令の取り消しを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。春名茂裁判長は「(教授らの労組は)労働組合法に適合する」として請求を棄却した。元教授らは今後、解雇撤回を求める団体交渉を申し入ログイン前の続きれるという。

 淑徳大は2017年3月に国際コミュニケーション学部を廃止。この際、希望退職募集に応じなかった教授3人が労組をつくって雇用の維持などを求めたが、大学側は拒否。東京都労働委員会が16年11月に団体交渉の拒否などの不当労働行為を認定して交渉に応じるよう命令し、中労委も17年10月に都労委の命令の履行を促す決定をしたが、大学側は「法に適合する組合ではない」として提訴していた。

 淑徳大は「控訴も含めて検討していく」としている。


2019年02月15日

札大元准教授の請求棄却、雇い止め訴訟で札幌地裁

北海道新聞(2019/02/14)

 札幌大に雇い止めされたとして、元特任准教授の女性(45)が同大を相手取り、解雇の無効などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(武部知子裁判長)は13日、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 判決によると、女性は2010年度にロシア語担当の特任教員となり、1年ごとに契約を更新。大学側は15年度の契約更新時に「17年度以降の雇用を保証しない」との条項を契約書に加え、17年2月、3月末で契約を打ち切ると通知した。

 労働契約法は、有期労働者が契約更新を期待することに合理的理由がある場合、使用者は更新を拒めないと定める。原告側は、同大が14年2月に特任教員の雇用期間の上限を5年から9年に延長したことなどから「合理的理由があった」と主張していた。


2019年02月14日

札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟、札幌地裁不当判決(2019年2月13日)

札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

「札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟」
札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

2019年2月13日

1.札幌大学教職員組合が本裁判を支援し続けてきた理由

 札幌大学教職員組合は、訴訟準備の段階から、本裁判を支援し続けてきました。その理由として、以下の3点が挙げられます。

 第一に、学校法人札幌大学(以下「法人」と略称)は、労働契約法等の改正に伴い、一定期間(10年)継続して勤めれば無期雇用へと転換を望めるとする規定を逆手にとって、その一定期間(9年)内でしか有期雇用契約は継続できないとの内規まで設けました。一定期間間近になれば直前で雇い止めされることが考えられるため、労働契約法は、継続雇用の期待があってしかるべき場合には、その期待権を保障するという形にまでなっています。にもかかわらず、こうした点を全く無視するということは、有期雇用契約の教職員を好き勝手に雇い止めできることになります。その根底には彼ら有期雇用の教職員に対する軽視があり、労働者の団体である教職員組合としては、本裁判の支援を通じて、そうした法人の有期雇用職員への態度の是正を求めたいという考えがありました。

 第二に、現在の日本の大学では、無期雇用の専任教員だけでなく、特任教員、助教や非常勤講師のような様々な有期雇用の教員も大学教育を支える重要な担い手となっています。にもかかわらず、法人が有期雇用の教員を単なる目先の「調整弁」としてのみ考え、彼らの待遇を変化させるような近視眼的な大学経営は、中長期的な継続性が求められる大学教育の維持・向上を難しくし、本学の存続すらあやうくなり、この大学で働く全ての教職員の労働環境の悪化を招くことになります。この点からも、職場の労働環境の維持・向上を守ることを使命とする教職員組合が、本訴訟を支援するのは当然といえるでしょう。

 第三に、大学の人事は、カリキュラムを通して学生に良質な教育を供給するという、大学の本質に関わることです。それが研究や教育の業績ではなく、単に縁故があるとか、友人関係であるからで左右されてはならないはずです。だからこそ、大学には教員採用のための詳細な規則が定められています。そうした規則に照らしてみても、原告には何の問題も無く、むしろ積極的に招聘すべき人材です。こうした状況を無視して雇い止めすることは、本学全体の評価を下げることになり、本学のこれからの発展にも大きく影響するでしょう。こうした法人の恣意的かつ独裁的な経営姿勢は、教職員や学生、卒業生など札幌大学に関わる全ての人々に対する背信行為です。教職員組合として到底容認することはできません。
 
2.法人に対する組合見解

 本裁判で明らかになったのは、自分たち内部の都合でしか考えない、法人執行部による大学の私物化でした。しかし、50年以上も続く札幌大学を支えてきたのは、現場で働き、大学教育を支えてきた全ての教職員一人一人です。裁判を契機に、法人は大学で働く教職員の労働環境を悪化・破壊してきたという根本的な問題を直視し、労使が協力してこの問題と誠実に向き合い、全教職員が働きやすい労働環境を作っていくことこそが、本学再生の道です。

 また、本裁判を通じて明らかとなった理事らによる一連の行為は、大学を私物化する無責任なものであり、到底学校法人の経営責任を負う者とは言えません。理事長をはじめとする理事会には猛省を求めます。

以上

大学オンブズマン、龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1

大学オンブズマン
 ∟●龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1

 京都では梅の季節を迎え、春がすぐそこに来ているのが感じられます。「全国連通信NO.1」をお届けいたします。先月16日以降の短期間ではありましたが、84名の方が呼びかけ人としてご参加いただきました。大学の自治(ガバナンス)のあり方を争点・論点とした今回の李先生の提訴が投げかける意味を受けとめていただいたものと思います。このことは、本「通信」で掲載しました「寄せられたメッセージ」にも表れています。今後、支援の輪を一層広げ、大学運営の合理性・民主性に資する活動を進めていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
2019年2月13日 大学オンブズマン理事会

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「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

2019年2月10日

 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。
 いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。
 「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。
 このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。

1.この間の経緯

1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。
この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。
2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。
それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。
3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。
1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。
そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。
紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。
4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。
5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。
6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。
以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。

2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性―

4 被告の行為の違法性
(1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反
ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。
             ・・・・・・略・・・・・・
イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。
このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。
また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。
そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。
したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。
・・・・・・略・・・・・・
5 被告大学の不法行為・債務不履行責任
(1)使用者責任(民法715条1項)
被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。
したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。
12(2)就業環境配慮義務違反
、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。
しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。
したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。

3.会の取り組み内容

1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。
2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。
3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。

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呼びかけ人名簿(50音順) <2019年2月10日現在、一次分84名>
青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚司(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。
以上84名

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全国連事務局に寄せられたメッセージ(その1)  (2019年2月12日現在)

お送りいただいたメール、添付文書拝見しました。一読後、「龍谷大学経営学部たるものが!」ということが、率直な感想です。大学の在り方を社会的に問う、という意味ではたいへん重要な取り組みだと思います。呼びかけ人に加わるのは異議ありません。

寒中お見舞い申し上げます。また、お返事が遅くなったこと、申し訳ありません。書類を読ませていただきました。未ゼミ問題に端を発している問題で学生の学習権保障のために必要な取り組みであろうと思います。龍谷大に限らず他大学でも同様の問題が生じていることは聞いていますので、重要な問題提起になるものと思います。はなはだ力不足であるとは思いますが、呼びかけ人の一人として参加できればと思います。よろしくお願いいたします。

ご連絡ありがとうございました。また、有益な資料もありがたいです。李洙任先生が京都地方裁判所に提訴された件での「呼びかけ人」を喜んで引き受けます。大変光栄です。

ご苦労さまです。送っていただいた資料ざっと拝読しました。呼びかけ人の件、承知いたしました。自治原則にもとづく職務の適正配置にたいする学部長らの妨害と受けとりました。実質はパワハラですね。

返信遅くなり失礼いたしました。丁寧なご依頼とご説明ありがとうございます。「大学および教授会の自治」のあり方を問う極めて重要な訴えと思います。「呼びかけ人」に是非参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

先生方のお働きが社会にも大きなインパクトを与えることを・与えることができることを願っております。2月2日にもできるだけ都合をつけて参加したいと思います。

委細、了解しました。私でよければ呼びかけ人になります。K大学でも、懲戒処分がこの2年で7件、うち1件が懲戒解雇、3件が降格処分です。すべてが裁判に入っています。K大学教員組合の執行委員として、微力ながらこの問題に取り組んでいますが、中々、困難です。

李先生の訴訟については私も京都新聞の報道その他で知りました。訴訟の趣旨については添付していただいた呼びかけ文によってさらによく理解できました。陰ながら応援をと思っておりましたところ、このような呼びかけ人に加わるという形で少しでもお役にたてるならば光栄に思います。

龍谷大学でも起こりましたか。それも教育課程そのものに係る事例であり、残念です。これからも全国的にこのような裁判が起こるかもしれませんね。大学(理事、教員)の劣化が進んでいるようです。私でよければ、「呼びかけ人」に連ねてもらって結構です。

李洙任先生は存じておりますが、このような状況になっているとは知りませんでした。私も呼びかけ人に加えてください。

今回の件、私もネットニュースを介して知りました。学部執行部はなにが嫌なんだろう?と不思議に思っておりました。今回の裁判は、手続き論的なところが論点になりがちですが、そういったところも明らかになるといいなと思っております。

お声かけありがとうございます。「自治」を争点とした裁判闘争は容易なものではないと思いますが、ご尽力をされる方々に頭が下がります。李先生のお訴えが実現するとともに、学校教育法改正後の法解釈に希望が持てる判決が出されることを強く願っております。ぜひ私も呼びかけ人に名前をあげてください。なかなかお手伝いできることは多くないかと思いますが、呼びかけの体制が整いましたら、積極的にカクサンいたします。チラシデータお送りください。

昨夜のご連絡をおどろきつつ拝掌いたしました。龍谷大学経営学部の李洙任教授の一件にかんして、私ごときでよろしいのでしたら「呼びかけ人」に名前をお入れくださってけっこうです。

今回の事件は、経営学部の教授会だけでなく理事会の経営責任も大きく問われるので、全学の共通の関心事項に引き上げるべきではありませんか。組合の果たす役割は大きいと思います。

この裁判、わたしも注目しておりました。呼びかけ人に加わりたいと思います。

「未ゼミ問題」とかあったんですね。知りませんでした。呼びかけ人にしてください。

龍谷大学の経営学部で未ゼミが深刻であるというニュースは、以前から知っていましたが、なぜそのような問題が起こるのか、原因は詳しく存じませんでした。

 資料から、教授会の私物化を狙う者が、職務権限を悪用して、教員人事採用を凍結し、彼らの抵抗勢力が退職などでいなくなってから自分達に都合の良い恣意的な人事を進めようとしている、そのあたりが真相でしょうか。

 当方は、現在、K大学の賃金不払い事件の3人の原告の一人で、K大学教職員組合の顧問です。そういう立場でよろしければ、呼びかけ人のご依頼をお受けします。

メールを頂戴いたしまして、有り難うございます。活動ご苦労様です。微力ですが、私も加わらせてください。どうぞよろしくお願いいたします。名前を出していただいてかまいません。私がすべきことをおっしゃっていただけましたら、させていただきたいと思います。ご指導お願いいたします。

ご連絡いただきました、李教授を支援する件、喜んで呼びかけ人に名前を連ねさせていただきたく存じます。この度の李先生を支援する「呼びかけ文」精読しました。経営学部のみならず、龍谷大学全体に多くの課題が山積していることはご指摘の通りで、李先生はそうした諸問題に風穴をこじ開けるべく、果敢に立ち上がられたことに敬意を表しますとともに、老いぼれの小生ではありますが、お役にたてるのであれば、是非支援したいと思います。

「呼びかけ人」の件、承知いたしました(力にはならないと思いますが・・・)。こうした問題の場合、とりわけ当事者は、膨大な時間を費やすとともに、大変なストレスとも戦わなければならないでしょうから、勇気と忍耐とを要することと推察しております。

何故、学部教授会が専門ゼミを持たせないのか、やはり、その理由が見えてきません。だれかが持ってもらえればいいと言えば、済むような問題だと思えてならないのですが…。

最近は大学の経営者が文科省に忖度する姿勢が強まっているようで気になります。学生の方も大学を就職のための手段と割り切っている者が大半で、ゼミの単位が卒業に必修でなくなっていることにも問題があると思います。その背景には大学本来の真理の探究、教養ある専門家の育成と言った目標が失われつつあり、日本の高等教育の将来像が描けないことが本質的な問題であろうと感じます。
先生の行動はそれに対する問題提起として賞賛に値しますが、先生が活動するだけでなく学生自身にこの問題を考えさせ、彼らの行動とさせることが必要ではないかと思います。安田講堂事件からちょうど半世紀になりますが、学生運動では行かないレベルで学生自らが学習し行動するようにし向けることが社会の現状を考えさせる教育になるのではないかと思います。
外部からですが若干コメントさせて頂きます。私が大学に在籍したのは半世紀前で、将に安田講堂事件があった時でしたが、大学のあり方を教官を含めて真剣に議論したことが有意義な思い出と同時に現在に至る研究活動のモチベーションになっています。昨年の11月にシンポジウム参加のために東洋大学を訪問したのですが、「文部科学省 スーパーグローバル大学創生支援採択」の宣伝を見て考えさせられました。戦前の文部省が大学自治に介入したことで有名な事例として挙げられる「哲学館事件」の当事者の大学が、文部省の後継官庁である文科省の支援を宣伝文句に使っていたからです。大学が学生の就職に有利なことを通じてビジネス的に成功することを目指すのであれば、資格教育を行う専門学校や業界団体が行う各種講習会と同じような役割で、学問の自由、研究の自由、大学の自治などはおそらく不要です。大学教員であることは、日本の高等教育に関わっている関係者・責任者として最低限そのような問題を自ら考えると共に学生に考えさせることが任務であろうと思います。その点に関して李先生は立派に任務を果たされていると思い、私も署名に加えさせて頂きましたが、このような活動を通じて多くの人が大学を中心とする高等教育の任務を考えることが必要と思います。以上、ご参考になれば幸いです。

私はゼミを通して人格的な陶冶があったと思っています。講義と違いゼミは教員と学生との距離が近いことが重要です。また、私自身が龍谷大学で学んだ時期に大きな意味があったと感じています。それは、自治が機能していたからこその学風だったと思います。ぜひ応援しなければと思います。


第1回公判
3月11日(月)13:00から、京都地方裁判所208号法廷です。
多くの方の傍聴をお願いいたします。12:50に裁判所1階玄関
内ロビー集合。裁判所は丸太町通り柳馬場東入る(御所南隣)


2019年02月11日

福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴

福岡教育大学が国を相手に提訴した「福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件」の最高裁の判決言い渡しがあったようです。
教職員組合の掲示板に「速報」が出てありました。最高裁判所の判断は、「上告棄却」だそうです。
これで、寺尾愼一前学長と櫻井孝俊現学長が犯した「不当労働行為」が、司法の場でも改めて認定されたことになります。
もはや、櫻井氏が寺尾氏を解任の上、自らも潔く辞職する以外に道はないと思います。
両名に対し、「犯罪的行の重大性を」諭した上で、訴訟費用を負担の上、退職金も辞退するべきではないでしょうか。

福岡教育大学の経営協議会・学長選考会議は、即刻しかるべき対策を講じる義務があります!

なお、福岡教育大学経営協議会学外委員・学長選考会議委員は、以下の皆さんです。

 学校法人目白学園理事長(元文科官僚)  尾﨑春樹 氏
 宗像市長(前福岡県議会議員・文教常任委員長)伊豆美沙子 氏
 福岡県教育委員会教育長          城戸秀明 氏
 福岡ECO動物海洋専門学校長       黒見義正 氏
 株式会社ビスネット代表取締役     久留百合子 氏
 学校法人博多学園理事長         八尋太郎 氏

教育関係者が多いことに驚かされます。
このうち、福岡県の城戸教育長は、福岡県労働委員会から「不当労働行為の救済命令」が出されてあったのを知ってあって、敢えて櫻井氏を学長に選んだ人です!!!
福桶県民に対して、寺尾氏・櫻井氏と。自身との関係の「透明性」をちゃんと説明する義務があります!!!

宗像市長の伊豆さんも、いったいどう思ってあるのでしょうか?この程度のこと問題ない???

福岡県民の皆さん、はどう思ってあるのでしょうか?!
もうわれわれは、うんざりです。

こんなことで日本の教育、福岡県の教育は大丈夫でしょうか?

この件、さらに緊急取材を続けて続報をお届けする予定です。


「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

■大学オンブズマン
 ∟●「龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

更なる呼びかけ人を募ります。連絡先は、uniomb@yahoo.co.jpまでお願いします。

「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

2019年2月10日

 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。
 いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。
 「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。
 このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。

1.この間の経緯

1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。
 この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。

2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。
 それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。

3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。
 1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。
 そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。
 紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。

4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。

5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。

6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。

 以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。

2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性―

4 被告の行為の違法性
(1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反
ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。
             ・・・・・・略・・・・・・
イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。
このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。
また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。
そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。
したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。
・・・・・・略・・・・・・
5 被告大学の不法行為・債務不履行責任
(1)使用者責任(民法715条1項)
被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。
したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。
  (2)就業環境配慮義務違反
また、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。
しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。
したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。

3.会の取り組み内容

1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。
2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。
3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。

4.呼びかけ人名簿(50音順)
 
2019年2月10日現在

<呼びかけ人>
青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚志(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。

以上84名


2019年02月06日

京都弁護士会人権救済委員会宛「上申書」、龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関する投稿

京都弁護士会人権救済委員会宛「上申書」

 細川孝(龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)から2月4日の投稿(「学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-」)に関連して以下の投稿がありました。ここに掲載します。

2018年5月15日

京都弁護士会人権擁護委員会御中

大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会
龍谷大学 経営学部 教授  細川 孝

上申書

 わたしは「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」の一員として、貴委員会に人権救済の申し立てを行っております。本件に関しましては、貴委員会におかれまして本調査を進めていただいておりますことを承知しております。このようなことを踏まえ、龍谷大学経営学部(以下、本学部)における状況について、わたしの認識をお示しすることはそれなりに意味のあることと考えて、本書面を提出させていただく次第です
 わたしは、労働組合(龍谷大学教職員組合、京滋地区私立大学教職員組合連合、労働組合法人全国大学人ユニオン)やNPO(大学オンブズマンなど)の活動を通じて、教職員や学生の権利擁護に取り組んでまいりました(鹿児島国際大学や常葉大学短期大学部などの解雇事件や、平安女学院大学を相手取った就学権確認訴訟など)。同時に、学協会の活動を通じて学術の発展ならびに学問の自由・大学の自治の発展に力を尽くしています。
 そのような者にとって、一見して教学事項に関する問題を「学外に持ち出すこと」に対しては、慎重であるべきということも十分認識しています。しかし、本事案は極めて特異な性格を有していると考え、権利侵害の被害者である学生とともに申し立てを行った次第です。
 権利侵害の背景にある本学部の状況について、以下に記させていただきます。

1.求められているのは「多様な意見を尊重」し、教育・研究条件を改善すること
 この間、本学部では教員採用(補充)が滞っており、演習のみならず学部の運営に関しても問題を生じさせています。研究出張に関する制約や諸委員の負担の増大などです。「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」ということを錦の御旗にして、教員採用を求める声を押さえてきましたが、その被害の矛先が学生(の学習権)に向かったということです。
 現在の龍谷大学においては、財政的な事情から教員採用を抑制せざるを得ない事情はありません。そして、「学術の中心として」(学校教育法)の大学においては、多様な意見を尊重することは、その存立基盤に係わることであり、多様な意見を排除することは自殺行為でしかありません。

2.特定のメンバーによって「多様な意見を排除する」仕組み
 学部における審議決定機関は教授会であり、龍谷大学においては教授会の自治が尊重されています。この教授会(における教学事項)の審議に際しては、事前に教務委員会という会議体において提案(審議)事項の調整が行われます。この教務委員会は、審議決定機関ということではなく、学部執行部の一員である教務主任と、その他数名の教務委員から構成するスタッフ的な機関です。
 しかし、この教務委員会のメンバーを数年にわたって、(実質的に)固定化したうえで、教務委員会で検討された事項(=教授会に審議事項として提案される事項)を絶対化することが続いています。「教務委員会での審議結果を尊重せよ」ということで、教授会の審議を骨抜きにすることが強行されているのです。

3.すみやかな(積極的)教員採用の実施を求める声は根強く出されてきた
 2013年度初めに学部長に就任された野間圭介教授(現学部長)がすみやかな教員採用の実施を提案したにも拘らず、数名の教員が反対を表明し、この意見を学部長が受け入れたことが本事案の発端であります。その後、ことあるごとに(毎年度ごとに)積極的に教員採用を進めることが教授会構成員から求められましたが、1.に示したような「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」という強引な主張によって、構成員の声は葬り去られ続けてきたということです。

4.「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」は虚偽だった
 2017年度内に教授会に報告されるはずであった「カリキュラム改革」の答申は、2018年度に入ってから教授会で報告されました。日付こそは(年度内の)2018年3月31日付でありましたが、教授会に対する責任としては、少なくとも2017年度内最後の教授会において報告されるのが、龍谷大学ならびに本学部の暗黙のルールであります。
 しかも答申の内容からは、採用人事をすみやかに進めることを拒むものではなかったことが明らかになりました。「講義系科目の改革は2008年度からのカリキュラム改革で終えている」ということが口頭で説明されました。今回の答申は、カリキュラム改革が主要なテーマではなかったとしたら、採用人事は何ら妨げられるものではなかったはずです。
 なぜ、このようなことになったのでしょうか。それは、1.に示したように「多様な意見を尊重」することとは真逆の、積極的に教授会で発言する(定年退職前の)教員の意見を排除するためのものでありました。実際、この教員の退職(2017年度末)をまって、答申が提出されました。

5.学問の自由・大学の自治の担い手の責任が問われている
 以上1.~4.のように述べつつも、当事者としてわたし自身の責任を深く自覚せざるを得ません。わたしを含め学問の自由や大学の自治の担い手である教授会構成員が社会的な負託に応えていないということです。
 このような深い反省から、「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」の一員として、貴委員会に人権救済の申し立てを行った次第です。

以上

2019年02月04日

学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-

『ねっとわーく京都』2019年3月号

 本稿は 『ねっとわーく京都』2019年3月号に掲載されたものを編集部の了解を得て転載するものです。なお、雑誌掲載にあたってはタイトルが変更されています(副題を主題にしています)が、ここでは投稿時のまま転載(ウェブにアップ)しています(投稿者・細川孝,龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)。

学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて
-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-

細川孝(龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)

 2019年1月11日の午後、わたしは京都地方裁判所の司法記者クラブにいた。同僚の龍谷大学経営学部教授・李洙任(りー・すーいむ)さんが起こした裁判の支援者としてである。 李さんの裁判は、名誉・信用の毀損、教員活動の成長の機会の剥奪、精神的苦痛の損害賠償を求めて、学校法人龍谷大学と経営学部の3人の教授を訴えたものである。
 李さんは後述の通り経営学部における「未ゼミ生問題」を少しでも改善することを意図して、演習の担当を要望した。しかし、経営学部執行部の不合理な態度により、演習を担当することができなくなったために、裁判を起こしたものである。3人の教授に対しては、教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反とハラスメント行為を問うている。学校法人(龍谷大学)に対しては、使用者責任と就業環境配慮義務違反を問うている。

背景にある「未ゼミ生問題」
 李さんの裁判の背景にあるのは、龍谷大学経営学部における「未ゼミ生問題」である。経営学部においては、ゼミ(演習)は必修とはされていないが、4年間を通じた(フレッシャーズ・ゼミ、基礎演習、演習という一環とした)少人数教育の到達点として重要な位置づけを与えられている。この点は、入試広報でも強調されている。
 経営学部では2013年度頃から定年退職者が相次ぐ一方で、「カリキュラム改革」を口実として採用人事が抑制されてきた。これは「新しいカリキュラムができあがるまでは、人事を行わない」というものである。これに対しては当然、教授会での異論も大きく積極的な採用を進めるべきとの声は根強く出されてきた。
採用人事が進まないもとで、2年後期から始まる演習の開講数が目に見えて減少することになった。かつては25ゼミが開講されるのが通例であったが、2016年度においては17の演習しか募集されなかった。
深刻化する「未ゼミ生問題」に対して、経営学部の学生有志は、2017年6月16日付で、327名の学生署名を添えて、要望書を龍谷大学学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に提出した。要望は、①経営学部所属教員による可能な限り多くのゼミの設定、②多様性確保の一環として女性教員が担当するゼミの増加、③演習開始後のミスマッチ等の問題へのフォロー、及び対応システムの構築、④演習の辞退者数や未ゼミ生に関する実態調査、及びその情報の公開、の4点であった。

要望書に対する教授会の対応と人権救済の申立
学生からの要望書に対する教授会の対応はどうであったか。早急な対応を求める教授会の構成員も多かった。しかし、経営学部執行部は、学生有志の要望に対し真摯な対応を行ったとは言えず、ゼミ数を増やすなどの対策もとられなかった。
これに対して、先の署名運動を行った経営学部の学生有志は教員有志とともに、「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」として、2017年10月30日付で京都弁護士会人権擁護委員会に対し、人権救済の申立を行った。その内容は、「龍谷大学経営学部在籍中の学生である未ゼミ生がゼミを履修する学習権を持つことを確認し、その迅速な実現のために適切な措置をとるよう、被申立人(龍谷大学)に勧告されたい」というものであった。
その後、同年11月6日付けで追加の書面を提出し、年が明けた1月12日には委員会の担当弁護士による、会を対象にした予備調査が行われた。1月18日に追加の証拠書面を提出し、これを受けて、人権擁護委員会によって本調査が行われることを会として確認したところである。
 この間、2017年11月10日の時点で、会は申立の写しを龍谷大学当局に届けるとともに、学生と学長との面談を申し入れたが、学長面談は叶わなかった。大学当局の不誠実な対応は学生たちを失望させた。また、人権擁護委員会への申立自体が不当であるかの如き言説によって学生たちは二重(未ゼミ生問題=学習権侵害に加え、不当な非難)に苦しめられてきたのである。

一貫して学生たちに寄り添ってきた李洙任教授
 「未ゼミ問題」が深刻化するもとで、学生たちの思いを受け止めた教員の一人が李さんである。先に述べた「有志の会」に加わるだけでなく、自らの研究の蓄積も踏まえ演習の担当を申し出たのである。
 龍谷大学では主たる担当科目が専攻科目(いわゆる専門科目)であるか、教養教育科目であるかという違いはあるにしても、演習(ゼミ)の担当は、学部等の教学単位ごとで決められている。主たる担当科目が教養教育科目とされている李さんが、「未ゼミ問題」に心を痛めて、演習の担当を申し出たことは評価されるべきであった。なお、経営学では主たる担当科目が教養教育科目とされている2名の教員も演習を担当している。
 経営学部では、専攻科目として位置づけられる、1年次前期のフレッシャーズ・ゼミ、1年次後期・2年次前期の基礎演習については、主たる担当科目が教養教育科目とされている教員も学生の教育を担っている。李さんも毎年、これらの科目を担当され、学生から好評を博している。
 李さんの研究は、担当している教養教育科目である英語だけでなく、ダイバーシティや移民政策など幅広い領域にわたっている。その内容は積極的に(大学院を含む担当科目の)教育に反映されているのである。李さんの研究と教育は、狭い枠に閉じこもったものではなく、今日の時代の要請に合ったものであることも感じている。
 このようなことから、2年次後期から始まる演習でも李さんと一緒に学ぶことを期待する学生も多いのである。

裁判を通じてわたし(たち)も問われている
 李さんの裁判は、名誉・信用の毀損、教員活動の成長の機会の剥奪、精神的苦痛の損害賠償を求めたものである。しかし、それは同時に、「大学の自治」のあり方を問うものと受け止めなければならない。
 龍谷大学ではいわゆる「学部の自治」が尊重されている。これは、政府や産業界によって学問の自由や大学の自治が破壊されようとしており、今日の時代にあっては貴重なことと言えるのかもしれない。この点で、わたしたちには、自治の担い手としての深い自覚と社会的な責任の発揮が求められている。
 しかし、学生たちからの要望に対する経営学部教授会の対応を振り返れば、学部の自治は(矮小化された)「教授会の自治」にとどまっている。それは、「未ゼミ生問題」での対応において、教育(学習)の当事者である学生がどう位置づけられていたかを見れば明らかであろう。「自治」が何か特権的なものとしてとらえられているとさえ思えるのである。
 「大学の自治」は、市民から負託された「学問の自由」に由来している。李さんの裁判を通じて問われているのは、わたしたち自身でもあることを深く受け止めたい。

付記:大学オンブズマンによる支援へのご協力のお願い
 大学オンブズマンは、2013年2月2日に設立されました。①大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性を実現する、②大学関係者(学生、教職員など)の諸権利を擁護する、③関連する国内外の諸団体・機関との協力関係を促進する、の3点を目的としています。
 大学オンブズマンは「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」を結成し、李洙任教授の裁判への支援を呼びかけています。その内容は、①裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する、②より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう、③主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む、というものです。
 大学内外から多くのみなさまがご支援いただきますようお願いいたします。連絡先は、uniomb@yahoo.co.jpです。


2019年01月31日

実況中継「明治学院大学事件」

実況中継「明治学院大学事件」『情況』2019年冬号)

実況中継「明治学院大学事件」

寄川条路

「先生がどのような発言を学生にしているのかを調査する必要がありました。そこで、教職員が直接聞くこととなり、聞き逃す可能性があったので録音したのです。」(大学当局)

 1 「明治学院大学事件」とは何か

 明治学院大学事件とは、大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した事件のことである。この事件はその後、大学における学問・教育・表現の自由の根幹を揺るがす大事件となり、裁判所によって大学当局による教授の解雇は無効であるとの判決が下されるに至った。このたび、判決までの事件の概要を伝えるブックレット『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)が刊行されたので、その後の状況について報告しておきたい。

 2 組織を守るための授業録音と教科書検閲

 まず、事件の概要を説明しておく。
 2016年12月、大学の違法行為を告発したために解雇された教授が、地位確認を求めて東京地方裁判所に提訴した。訴えによると、明治学院大学は、授業を盗聴され秘密録音されたことを告発した教授を懲戒解雇していた。大学の組織的な違法行為を告発して解雇されたのは、教養科目の倫理学を担当する教授で、大学当局が教授の授業を盗聴して秘密録音し、授業の録音テープを本人に無断で使用していた。
 大学当局によれば、明治学院大学では授業の盗聴が「慣例」として行われており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのこと。この点について副学長はつぎのように語っている。「組織を守るための一つの手段として録音が必要だったわけですから、何も問題ないです」。
 教養科目を担当する別の教員もまた、授業を盗聴されたうえ「職務態度に問題がある」との理由で解雇されていた。
 明治学院大学では、授業を調査するための盗聴ばかりか、大学の教育理念であるキリスト教主義を批判しないように、授業で使う教科書を検閲したり、学生の答案用紙を抜き取って検閲したり、プリント教材を事前に検閲して配付を禁止したりしていた。
 「大学の慣例では、授業もテストも公開されていますので」というのが、当局の主張だ。
 ところが、教授が大学当局による授業の無断録音を公表すると、大学側は「名誉を毀損された」との理由で教授を解雇してきた。そこで、解雇された教授が裁判所に地位確認の訴えを起こしたので、授業を秘密録音して教員を解雇した「目黒高校事件」(1965年)と同様、学問・教育・表現の自由をめぐって争われることになったのである。
 では、事件の詳細を見ていこう。

 3 明治学院大学「授業盗聴」事件の詳細

 2015年4月、春学期1回目の授業を聞くため横浜キャンパスでもっとも大きな720教室に200人の学生が集まっていた。そこに、授業を調査するように指示された職員がこっそりと忍び込んでいく。教授が話し始めると、職員はあらかじめ用意していたスマホを使って教授の発言を録音する。授業が終わると、職員はスマホの録音データをICレコーダーにダビングして、これを調査委員会に手渡すのである。
 調査委員は録音を聞き、テープ起こしされた反訳を読んだうえで、調査対象の教授を呼び出して尋問する。授業の録音があることは隠したまま、教授に対し、「授業の中で、大学の方針に反対すると語っていたのか」と、詰問していく。その後、調査委員長が尋問の結果を教授会に報告して、その教授を処分するのである。これが明治学院大学の伝統的なやり方である。
 大学当局は、法に触れないぎりぎりのところで盗聴行為を繰り返して秘密録音をする。日本の法律では、民事では、盗聴も秘密録音も違法行為とはならないので禁止されてはいないし罰せられることもない。このあたりは顧問弁護士がしっかりしていて、大学執行部や調査委員会に事前に指示を出しておく。
 慣例的に授業の盗聴を行っている明治学院大学では、法的な対応にはぬかりがない。たとえ盗聴行為や秘密録音がばれたとしても、裁判にでもならなければけっして事実を認めることはないし、ましてや録音者や録音資料を開示することもしない。「録音について説明する必要も開示する義務もない」というのが、大学当局の見解だ。
 2015年12月、明治学院大学は、授業の中で大学の運営方針を批判していたとして教授を厳重注意する。本当は懲戒処分にしたかったのだが、大学を批判した程度で懲戒処分にすると裁判で負けるという顧問弁護士のアドバイスに従って、とりあえずは注意したことにして、つぎの機会に確実に解雇できるように注意を重ねていく。明治学院大学ではこれを「がれき集め」と呼んでいる。
 ところが、ここから予期せぬ方向へと話は展開していく。厳重注意がなされたので、授業を無断録音された教授は、録音テープを使用した調査委員長の名前を公表して大学当局を告発する。教室に忍び込んで録音していた者を特定して訴えようとしたのである。
 大学の不正行為を知った学生は、手分けをして情報収集に出かけていく。調査委員長のところに行った学生によると、「大学の方針に反対する教員が複数いて、教授もその一人だったから、授業を録音した」のだという。学生は調査委員長のことばを録音していた。
 大学当局による授業の盗聴と秘密録音が学生たちのあいだにも知れ渡ると、大学は開き直って、授業の録音は正当なものであると言い逃れをしてきた。にもかかわらず、調査委員長があたかも不正行為にかかわったかのごとき告発をしたので、大学側は当該の教授に訂正と謝罪をさせようとしてきたが、あわてて火消しに走ったため、逆に、学生たちが教授を支援したり、大学を非難したりするに至り、事態は炎上した。
 教授が行ったアンケート調査によると、多くの学生が大学の盗聴行為を「犯罪」だと非難していた。この調査結果を教授が公表しようとすると、ついには理事会が出てきて、2016年10月になって録音行為を告発した教授を懲戒解雇したのである。
 ところが、懲戒解雇はハードルが高いので裁判では認められないという顧問弁護士からの助言もあり、ハードルの低い普通解雇を抱き合わせにして、教授を解雇することした。普通解雇の理由は何もなかったから、いつのまにか、明治学院大学のキリスト教主義を批判する不適切な教員ということになっていた。
 理事会は、まずは解雇しておけばよいだろうと考えて、たとえ裁判になっても、どうせ民事だから金さえ払えば済むものと予想していた。ここが、明治学院大学の浅はかなところだ。
 顧問弁護士と相談した副学長は、「定年までの賃金の半分を支払えばよいから、8000万円から9000万円くらい、解雇が無効だとしても、1億円から1億数千万円の和解金を支払えば済む」と豪語していた。こんな生々しい話もしっかり録音されていて、資産が1000億円を超える明治学院らしい話になってきた。
 弁護士にはよく知られた話だが、明治学院には「前科」があって、2010年にも不当解雇裁判で敗訴しており、解雇した職員に数千万円の解決金を支払っていた。
 さて、2016年10月、解雇された教授が東京地裁に地位確認の労働審判を申し立てたところ、労使双方からなる労働審判委員会は、すぐさま解雇を無効として教授の復職を提案したが、大学側が拒否したため和解は不成立となった。そこで、2016年12月、教授が東京地裁に地位確認を求めて提訴したのである。
 原告と被告の双方から数回にわたって書面が提出されたのち、原告1名と事件にかかわった被告3名の証人尋問があり、その後、和解協議に入った。2018年4月、東京地裁は、解雇の撤回と無断録音の謝罪を和解案として提示するものの、大学側が謝罪を拒否したので和解は不成立となる。そしてついに、2018年6月28日、解雇は違法であるとの判決が下ったのである。

 4 明治学院大学「教員解雇」事件の判決

 「明治学院大学事件」の判決文は、つぎのとおりである。
 1 原告が被告に対して労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
 2 被告は、原告に対し、33万2714円及びこれに対する平成28年10月23日から支払い済みまで年5%の割合による金員を支払え。
 3 被告は、原告に対し、平成28年11月22日からこの判決の確定の日まで、毎月22日限り、69万8700円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済まで年5%の割合による金員を支払え。
 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  訴訟費用は、これを14分し、その5を原告の負担とし、その余は、被告の負担とする。
 判決内容を簡単に解説すると、1は解雇無効なので教授の地位を認め、2と3で賃金を認めたが、4の慰謝料は認めないというもので、5の裁判費用の負担割合からわかるように、原告の7割勝訴である。
 結論としては、大学による解雇は労働契約法の解雇権を濫用したものだから無効であり、教授の地位と賃金は認めたものの、授業の無断録音は教授の人格権を侵害するものとまではいえないから慰謝料は認めない、というものだった。
 まず、懲戒解雇について見ると、大学は教授の四つの行為(①録音に関与した教員の氏名を公表したこと、②教授会の謝罪要請に応じなかったこと、③無断録音について学生にアンケート調査をしたこと、④調査結果を公表しようとしたこと)について、就業規則の懲戒事由に該当すると主張していた。裁判所は、①と②について、教授にも落ち度があるとして就業規則への該当性は認めたものの、大学が録音行為について何ら説明していないこと、教授会の要請が教授の認識に反する見解を表明させるものであることから、懲戒解雇には該当しないと判断した。
 つぎに、普通解雇について見ると、大学は教授の授業における言動やキリスト教を批判する教科書を解雇理由として主張したが、裁判所は、教授の言動もそれほど重大なものではなく意見聴取もされていないし、教科書のキリスト教批判も風刺と理解できるから普通解雇には該当しないと判断した。
 そして、慰謝料請求について見ると、教授は無断で授業を録音されたから人格権が侵害されたと主張したが、大学が録音したのは1回目の授業で行われたガイダンス部分であったから、研究や教育の具体的な内容を把握するためのものではないし、録音は大学の管理運営のための権限の範囲内において行われたから適法だという。以上の理由から、裁判所は、授業の無断録音は、教育基本法の不当な支配には当たらず、教授の研究活動を侵害し自由な教育の機会を奪うものではないと判断した。
 判決の意義としては、大学当局に反対の意見を表明した教授の解雇について、裁判所が大学教授に憲法23条の教授の自由が保障されていることを重視して、解雇を無効と判断した点は評価できる。大学の組織運営に対する反対意見を表明したり、大学が標榜する教育理念を批判したりしただけで解雇するといった不寛容を許さないという意味がある。しかしながら、裁判所が一般論として教授に断ることなく授業を録音することは不法行為を構成すると認めながらも、本件では録音がおもに初回授業のガイダンスであった点を重視するあまり慰謝料請求を否定した点に不満が残った。

 5 「明治学院大学事件」の現在

 2018年7月、被告の明治学院大学は、東京地裁の判決を不服として東京高裁に控訴した。ついで、原告の教授も慰謝料の支払いを求めて東京高裁に控訴した。こうして、双方が控訴した結果、本件はひきつづき高裁にて審理されることになった。2018年12月現在も係争中であり、近々、裁判所から和解案の提示があり、場合によっては和解協議に入り、場合によっては判決が下されることになっている。
 これまでのところ、労働審判では復職の提案がなされ、地方裁判所では解雇無効の判決が下されたので、教授の2連勝なのだが、高等裁判所ではどうなるのか、そして最高裁判所ではどうなるのか、まだまだ予断を許さないので、これからも裁判を注視していきたい。
 裁判記録は裁判所で閲覧することができるが、それとは別に、裁判記録の出版も始まった。第1弾『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を読むと、事件の全貌がわかるので、ぜひ参照されたい。東京地裁による解雇無効判決に至るまでの事件の概要、法学者による意見書、判決文およびその解説を収めた全実録である。つづいて、法学者の論文集や大学側の証言集などの刊行が予定されている。

 最後に、明治学院大学の最新情報をお届けしたい。
 理事会は、学生定員を15パーセントも増加する決定をしたにもかかわらず、教養科目の担当教員は20パーセントも削減する方針を打ち出してきた。大学当局は、これに合わせて、授業態度が悪いといって言語文化論の講師を解雇し、大学を批判したといって倫理学の教授を解雇した。解雇されたのは、学生による「人気授業ランキング」で1位と2位の教員であった。
 人件費の削減に貢献したセンター長と主任教授は、その功績によって副学長と学部長に昇格し、いつのまにかキリスト信者にもなって理事会のメンバーに抜擢された。その後、大学内で日常的に横行している「非公式の懲罰や私刑や制裁」を告発した、哲学の教授も解雇された。
 明治学院大学のニュースメディア「明学プレス」によると、「大学を追われた教授は多数いる」とのこと。つぎに首を切られるのはだれだろうか。教授たちはひたすら自らの保身だけを考え、首を縮めて声を押し殺している。
 理事会のほうは、浮いたお金でキャンパスを移転し、新学部にスポーツ学科まで作ってキリスト教を宣伝するのだそうだ。だが、キャンパス移転の説明会も、一部の人間の利得だけで動いていて、しかも内容が幼稚で杜撰すぎ、この大学は何から何まで人間の思惑だけで動いているのが露見しただけだったという。学内には憤慨している教員もたくさんいるようだから、その声もしだいに大きくなってくるのだろう。
(よりかわ じょうじ・明治学院大学教授)

プロフィール
寄川条路(よりかわ・じょうじ)
1961年、福岡県生まれ。ボーフム大学大学院修了、文学博士。現在、明治学院大学教養教育センター教授。専攻は哲学・倫理学。著書に『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)、『ヘーゲル――人と思想』(晃洋書房、2018年)、筆名(紀川しのろ)で『教養部しのろ教授の大学入門』(ナカニシヤ出版、2014年)など。


東工大・芸大の学費値上げ、高学費は国による人権侵害 無償化を進める立法が必要

「しんぶん赤旗」(2019年1月15日)

東工大・芸大の学費値上げ
高学費は国による人権侵害 無償化を進める立法が必要

渡部 昭男

 国立大学の授業料等は、2004年の法人化以降、国の定める標準額(53万5800円)を据え置くとともに、各法人がそれを超えない形で節度を保ってきました。ところが昨秋、東京工業大学、東京芸術大学が2019年度からの約10万円もの値上げを通告しました。これに対して国は、容認ないし推奨する姿勢です。ここには、次のような人権侵害が認められます。

 負担軽減こそが国際法上の義務

 2012年9月、日本政府は国際人権A規約13条2項(b)(C)の「特に、無償教育の漸進的な導入」にかかる留保を撤回しました。以降、日本国憲法98条2項が「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する」と求めているように、中等教育及び高等教育の漸進的無償化を進める義務を負うことになりました。国が負うべき義務には、学費負担の軽減を速やかに進めるという作為義務(すべきこと)と、これ以上の学費負担の加重を行わないという不作為義務(してはならないこと)の2種類があります。
 国立大学の授業料に関して言えば、12年以降、①標準額自体を次第に下げる②減額収入分を大学法人宛ての基盤的経費においてしっかり補填する③標準額を上限とするとともに、それを下回る授業料設定をしたり学内奨学金を拡充した法人に対してインセンティブ(報奨)を与える仕阻みを整備する、などに踏み込むべきでした。しかし、実際には運営費交付金を減額し続けて、競争の名の下に各法人や学生たちを追い詰めたのです。
 日本弁護士連合会は、子どもの貧困、学習権の保障などに関して、これまで複数の意見書・会長声明を出しています。直近の「若者が未来に希望を抱くことができる社会の実現を求める決議」(18年10月5日)においては、「『生まれた家庭』の経済力によって受けられる教育が左右されており、高等教育における学費の高騰等により進学できない若者も少なくない」と指摘した上で、「全ての教育の無償化」を提言しています。

 各地域・学園で連帯を広げよう

 昨年11月1日、私ども「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」(代表世話人・重本直利、三輪定宣)は、日弁連の人権擁護委員会に対して「人権救済申立て」を行いました。
 加害者は国であり、被害者は中等教育・高等教育段階で修学する意思及び能力があるにもかかわらず、主に経済的な負担のために、①進学を断念した②中途退学を余儀なくされた③修学のための費用を得るための労働等により修学のための時間を奪われるなど充実した学生生活を送ることができない、または④修学のための負債の返済に困難を抱える人々です。
 最終的には、人権侵害救済のために、立法措置その他のすべての適当な方法により、A規約の「中等教育及び高等教育への権利及び漸進的無償化実施義務」の完全な実現を達成するため、国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、行動する義務があることを確認し、その迅速な実現のために中等教育及び高等教育の漸進的無償化を促進する法案(仮称)の立法を含め、その他適切な措置をとるよう、国に勧告することを求めています。
 日本では障害者権利条約の批准に伴って、障害者基本法を改正し、障害者差別解消法を実現するなど、当事者参画による権利保障運動の経験があります。子育てや教育を共同的に営む豊かな社会を展望しっつ、漸進的無償化が市民と野党の共闘テーマになり、各地域」学園で連帯の輪が広がることを期待しています。
    ◆
 日弁連への申立書や関連情報は同会のHPで公開中

 わたなべこ・あきお
 神戸大学教授(教育行政学)。中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会事務局長。『格差問題と「教育の機会均等」』ほか


2019年01月07日

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

合澤 清(ちきゅう座会員)

「ちきゅう座」(2019年1月7日)http://chikyuza.net/archives/90363

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』寄川条路編(法律文化社)
 年末に読んだこの本に強いショックを受けた。
 この事件のことは、「東京新聞」(2017年1月7日付)の記事で一応知ってはいた。しかし、詳しい経緯までは全く知らなかったのは不明の至りである。
 以下、ネットで調べた「東京新聞」の記事を引用・紹介する。

 「授業を無断録音された上、懲戒解雇されたのは不当などとして、明治学院大(東京都港区)の元教授寄川条路さん(55)が、同大を運営する学校法人「明治学院」に教授としての地位確認と、慰謝料など約1,370万円を求める訴訟を東京地裁に起こした……。
 訴えなどによると、寄川さんは一般教養で倫理学を担当。2015年4月の授業で、大学の運営方針を批判したことなどを理由に、同12月に大学側から厳重注意を受けた。大学側は、授業の録音を聞いて寄川さんの批判を知ったと認めたため、寄川さんは学生が何らかの情報を知っているかもしれないと推測。テスト用紙の余白に、大学側の教授の名前を挙げ「録音テープを渡した人を探している」と印刷し、呼び掛けた。これに対し大学側は、その教授が録音に関わった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして昨年10月に懲戒解雇した。
 寄川さんは「大学側が授業を録音したのは、表現の自由や学問の自由の侵害だ」と主張。労働審判を申し立てたが解決に至らず、訴訟に移行した。大学側は審判で職員による録音を認めた上で「録音したのは実質的には授業でなく、(年度初めに授業方針を説明する)ガイダンス。授業内容を根拠としての解雇ではない」と説明していた。
 同大広報課は、本紙の取材に「懲戒処分は手続きに沿って適正に判断した。個別案件についてはコメントできない」としている。」

 ネット上で調べた限り、この「学問の自由」にかかわる「重大な事件」を取り上げたのが、この「東京新聞」と「上智新聞」だけだった(?)ようなのは、なんとも情けない。大学の授業に「検閲」が入ったといっても過言ではない大変な事件である。
 そうでなくとも今日の大学では、学生の自由な自治活動は認めず、全てが大学当局による認可制度のうえにのみ行われるように仕向けられている。完全な管理・監視体制である。
 これで「自由な学問」「自由な教育」「大学の自治」などありうるはずがない。
 教員採用も、その人の学問の実績や教養の高さなどで諮るのではなく、その人物が如何に現体制(引いては大学当局)に協力的であるかによって決められるのが実情である。
 こういう輩から教わる学生は哀れなものだ。詰まるところ「大政翼賛教育」が施されるのは必定であろう。
 昨今の学生気質が、学問などどうでもよくて、ただ就職のためだけに学校に通っている(大学の専門学校化)といわれるのも、無理からぬことである。
 文科省、その管轄下の大学、そしてそこで教える者も教わる者も、腐りきっている。かくて日本という国は、凋落の一途をたどることになる。
 今年は、「東大闘争」から節目の50年を迎える。1月19日に多くの犠牲者を出しつつ、残念ながら陥落した「安田砦」の攻防戦を改めて思い起こす。
 あの深刻な闘いは何だったのか、われわれはその後に何を残しえたのだろうか? 大学への管理強化という負の遺産だけだったのか……。

<この事件のあらましと現状>

 明治学院大学という名前のキリスト教系大学からそれまで受けていた印象は、リベラルなものであった。確か、詩人の島崎藤村が本学の出身者であることは有名である。
 そして「建学の精神」として次のことが謳われている。

 「建学の精神として「キリスト教主義教育」を掲げ、キリスト教による人格教育を実践している。
 また、教育の理念として "Do for Others"(他者への貢献)を掲げている。これは、新約聖書の "Do for others what you want them to do for you." という部分から引用されたもので、創設者であるヘボンの信念をよく表す言葉とされている。」

 つまり「汝が欲するところを人に施せ」というのがその基本精神であるという。
 ところが、このイメージが今回の事件で一変した。
 裁判で明らかになったことでは、「明治学院大学では、慣例として授業の盗聴が行われており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのこと」だ。「また、同大学では、大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使用する教科書を検閲したり、教材プリントを事前にチェックしたりしていた。さらに、学生の答案用紙を抜き取って検閲したり、インターネット上の書き込みを調査したりしていた」(本書「まえがき」)
 なんだか「うすら寒く」ならないだろうか。これではまるっきりナチの体制下、スターリン体制下、あるいは戦前・戦中の軍部の支配下に置かれているのと同様ではないか。
 まさか寄川教授が「盗聴」を欲し、「自由な学問と教育の放棄」を欲していたわけではあるまい。ということは、人が欲しないことを人に強要するということに「建学の精神」を変えたのであろうか?
 どうもこの「建学の精神」と、これら「授業盗聴」などの常態化とは相反しているとしか言いようがない。
 本書の「まえがき」から事件の概要を時系列に述べる。詳細は、直接本書に当たって頂きたい。

 2015. 4:大学当局が教授に無断で授業を盗聴し録音
 2015.12:授業で大学を批判したとして教授を厳重注意/授業を無断録音された教授が大学当局を告発
 2016.10:大学当局は告発した教授を懲戒解雇/解雇された教授が地位確認の労働審判を申立
 2016.12:裁判所は解雇を無効として教授の復職を提案。和解不成立。/解雇された教授が地位確認の訴えを提起
 2018. 4:裁判所は解雇の撤回と無断録音の謝罪を提案。和解不成立。
 2018. 6:裁判所は解雇について無効であると判決

 ここに明らかなように、これは大学当局の「解雇権の濫用であり、無効である」ことは明白である。にもかかわらず、寄川教授は、今日に至るも復職は認められていない。
 「上智新聞」(2017年2月1日)は、係争中の寄川条路氏の身分を「教授」として、「元」を付けていない。賢明である。
 「上智新聞」の記者が公平を期すためにつけたあとがき(記者の目)を引用する。

 「事態の詳細は司法の場で問われるべき問題であり、本紙が口を出せることではない。ツイッターを見れば、明治学院大学の学生から「教授の言い分や新聞の論調は一面的だ」等の批判もあるようだ。
 だが学問の自由という観点から言えば、大学側が無断で講義を録音していたという一点のみでも、紙幅を割いて追うべき理由としては十分だ。」

 これもまことに賢明な判断である。われわれとしても、「学問の自由」「教育の自由」「大学の自治」を守るために、是非この闘いを支援していかなければならないのではないだろうか。


2019年01月06日

私学ガバナンス強化…違法行為、監事へ報告義務

読売新聞(2019/1/5)

 私立学校のガバナンス(組織統治)強化を目指して文部科学省は、学校法人で違法行為などを把握した理事に監事への報告を義務付けるなど、監事の権限を拡充する方針を固めた。今月召集される通常国会に私立学校法の改正案を提出し、2020年度に施行する見通し。私学のガバナンスを巡っては昨年、汚職事件や入試不正のあった東京医科大(東京)でその欠如が問題視されていた。

 文科省によると、現行法では学校法人の理事が法人内で横領や乱脈経営などの違法行為や、入試不正や不当な人事といった将来、法人に大きな損害を与える恐れのある行為を確認しても、法人を監査する役割を持つ監事に報告する義務はなかった。改正法案では、こうした行為を把握した理事に対し、監事への報告義務を盛り込んだ。


2019年01月04日

慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

Business Journal
 ∟●慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

 非正規労働者が同じ職場で5年以上働いた場合、無期雇用への転換を申し込む権利を得られることになった改正労働契約法が2013年4月に施行され、5年以上が経過した。

 多くの非正規教職員が働く大学では、無期雇用への転換を妨げようと雇い止めが起きていることは、以前の記事でも触れた(『日大、不当な講師一斉雇い止めで労基法違反の疑い』)。

 その後、無期転換を認める大学は増えてきたが、一方で法律を誤解しているのか、無期転換権は10年以上働かないと生じないと主張する大学が一定数ある。なかでも慶應義塾大学など一部の名門・有名大学が、強硬に主張している。何が食い違っているのか、検証してみたい。

大学関係者から届いた「無期転換は10年」のメール

 筆者が改正労働契約法の無期転換請求権について、本格的に取材を始めたのは2017年の春。多くの非常勤教職員が18年以降無期転換の権利を得る前に、雇い止めをしようとする動きが、多くの大学に見られたからだ。

 この頃、最も大きな影響が出ると懸念されたのが、8000人の非常勤教職員が働く東京大学だった。東大は、改正労働契約法に関係なく、非常勤教職員を5年で解雇できるとする独自の「東大ルール」を盾に、無期転換を回避しようとしていた。しかし教職員組合に反対され、17年12月に「東大ルール」を撤回。大量の雇い止めは回避された。

 東大の判断によって、改正労働契約法の趣旨も正しく伝わるようになり、全国の大学にも雇い止めを撤回する動きが広まった。ところが、筆者が東大を取材し、原稿を発表している頃、ある大学関係者からメールが入った。筆者の改正労働契約法に関する原稿が「誤った情報」と指摘する内容だった。

「非常勤職員の常勤職転換の権利が生じるのは5年ですが、これはあくまで一般の事務職や技術系職員に対して適用される規則です。一方、大学の研究職の職員に対しては10年とすることに変更されています。(中略)

 研究職とは大学の教員であり、研究に携わっている博士研究員などの職員のことなので、2018年にただちに雇用問題が生じるわけではありません」

 このメールには、2点の誤りがあった。1つは「常勤職転換」の部分。改正労働契約法で定めたのは無期転換を申し込む権利であり、無期転換になっても、常勤職員になるわけではない。同じ非常勤の立場と待遇のまま、無期雇用に転換できるにすぎない。

 もう1つは大学の研究職、すなわち教員に権利が生じるのは10年という部分。実際は、いわゆる非常勤講師は5年で無期転換を申し込める。しかし、10年と誤解する人がいるのは、改正労働契約法施行後につくられた特例のためだった。

「10年以上で無期転換」の誤解

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。その年の12月には、大学などで科学技術に関する研究やその関連業務を行う人に限定して、無期転換請求権が発生する期間を5年以上から10年以上に延長する特例措置を設けた法律が成立した。

 これが「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」。いわゆる「研究開発力強化法」と「任期法」だ。

 前者の「研究開発力強化法」が成立した背景には、改正労働契約法施行の2カ月前、ノーベル賞受賞者に対する衆参議院の奉祝行事で講話をした、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長の発言がある。

 山中所長は改正労働契約法によって研究者を非常勤で5年間雇用した後、無期で雇用しなければならなくなると、大学としては5年を超えて雇用することが難しくなる、という主旨の発言をした。その結果、優秀な人材が集まらなくなるという。そうした大学側の要望を受けて法律は成立した。

 ただし、無期転換請求権の発生が10年以上に延長されるケースは限られる。専門的な知識や能力を必要とする研究開発業務に携わる職員にしか適用されない。つまり、一般の非常勤講師は対象にならないのだ。

 後者の「任期法」は、私立大学の経営者団体の要請を受けて改正された。もともとは専任教員が対象だったものを、特例として非常勤講師にまで広げたかたちだ。しかし、この法律でも、対象となる人は、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織に属する人、助教、プロジェクトに参加する人のいずれかに限られている。さらに、本人の明確な同意が必要になる。本来なら5年以上働けば無期転換請求権が得られる権利を剥奪することになり、契約の不利益変更になることから、大学はあらかじめ規則を定め、本人に説明して、同意書をとらなければならないのだ。

 前述のメールを送ってきた大学関係者だけでなく、多くの大学関係者がこの2つの法律を理解していない現状が続いてきたのだ。

慶応義塾大、中央大、東海大は「10年ルール」撤回拒否

 改正労働契約法施行から、すでに5年以上が経過した。ところが現在になっても、「研究開発力強化法」と「任期法」をよく理解しないまま適用し、「非常勤講師の無期転換請求権は10年以上働いてから」と主張している大学が数多くあることがわかった。

 非常勤講師の無期転換について多くの大学と交渉している首都圏大学非常勤講師組合によると、無期転換請求権は10年以上働いてからとする「10年ルール」を適用した首都圏の大学は、18年春の時点で約40大学あったという。そのうち半数近くの大学は交渉などによって「10年ルール」を撤回。5年以上の勤務で無期転換することを認めた。

 しかし、20以上の大学がいまも「10年ルール」を適用している。そのなかでも特に「10年ルール」は撤回しないと強硬に主張しているのが、慶應義塾大学、中央大学、東海大学の3大学。いずれも名門・有名大学だ。これらの大学は、法律を誤解し、必要な手続きもとっていないと非常勤講師組合の志田昇書記長は指摘する。有名大学が強硬な姿勢に出ることで、さらに誤解が広がる恐れもあるとして、組合では現在も交渉を続けている。

 「10年ルールを非常勤講師に適用している大学は、研究開発力強化法と任期法を正しく認識していません。なぜ5年での無期転換ができないのか、根拠となる見解も持っていないまま適用しています。また任期法によって10年ルールを主張している大学のほとんどが、労働基準法に則った就業規則の変更を行っていないとみられています。任期法の適用のためには就業規則の改正が必要ですが、そのために必要な過半数代表選挙に非常勤講師がほとんど参加していません。また、10年ルールによる不利益変更も充分に説明されておらず、合意書もとっていないのに、非常勤講師に任期法を適用することは違法性がありますので、すみやかに改めるべきです」(首都圏大学非常勤講師組合・志田昇書記長)

 非正規で働く人の権利を守るために改正された法律が、非常勤講師が多く働く大学では歪められ、誤って運用されている。特例措置などの法律が問題をさらに複雑にしているとはいえるが、原因は大学の人事担当者の誤解によるところが多い。過ちはすぐに正すべきではないだろうか。

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)


2018年12月21日

[社説]非常勤講師の切実な叫び、大学は無視するな

ハンキョレ(2018年12月20日)

「講師法」(改正高等教育法)の国会可決による大学の大量解雇の動きに対抗して、非常勤講師たちがストライキに入った。現在、韓国非正規教授労働組合の釜山大分会だけがストライキを宣言した状態だが、大々的な「構造調整」を準備する大学が多く、ストが複数の大学に広がる可能性も少なくない。すぐにも期末試験や成績処理など学事行政に支障が生じ、学生たちが被害を受けはしないか心配する声が出ている。しかし、身分保障と処遇の改善を期待したのに、逆に生存権の危機に追い込まれた非常勤講師らを責めることではない。

 講師法の主要な内容は、1年以上の任用、休み中の賃金と退職金の支給、職場の健康保険への加入などだ。国立と私立の大学は、来年8月に法が施行されれば年間3500億ウォン(約350億円)の追加費用が発生し、深刻な財政難に直面するとし、講師の大量解雇の不可避性を主張している。しかし、大学は国会、講師代表とともに6カ月にわたって講師法の具体的な内容を調整した「大学講師制度改善協議会」の当事者であった。無理に法案に同意させられたのではないため、最初から大量解雇を念頭に置いていたのではないかという疑念を抱かせる内容だ。

 講師法の施行による大学の追加費用と財政状態も綿密に追及する必要がある。国会と大学、非常勤講師側が推定する追加費用はまちまちだ。非正規教授労組は、大学の推計がすでに支給されている雇用保険料、労災保険料を重複計算するなど、2倍前後に水増しされていると主張する。大学の積立金総額が7兆ウォン(約7千億円)を超え、翌年に繰り越される未使用予算も6600億ウォン(約660億円)にものぼるなど、財政状態も悪くないと指摘する。にもかかわらず、国立大学や主な私立大学など財政的に余裕のある大学ほど、講師解雇の動きが活発なのは大きな問題だ。

 講師の大量解雇が大学教育の質を下げるだろうという懸念も持ち上がっている。各大学は、非常勤講師の数を減らすため、講義科目を統廃合したり教養科目を大幅に減らす代わりに、専任教授の講義時限数やサイバー講義を大幅に増やす案を推進しているという。学生の教育権を深刻に侵害することだ。非常勤講師らは大学の講義の70%を担当しながらも、学者や生活者として最低限の待遇も受けられなかった。大学は講師法の合意の精神を尊重し、教育機関として本来の使命に立ち返ることを望む。


2018年12月20日

「大学における<学問・教育・表現の自由>を問う」

「明治学院大学事件」が「法律学の活きた教材」として紹介されました。
http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=8803

<書評>『大学における<学問・教育・表現の自由>を問う』(法律文化社)

明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」。その経緯と、本年6月28日の一審判決の詳細については、本紙で報じたことがある。

本書の編著者は、まさにこの裁判の原告であった寄川条路・教養教育センター教授(56。右写真)。事件の概要、判決文およびその解説に加え、憲法学者3人が寄稿している。憲法学の小林節・慶應義塾大学名誉教授が「学問の自由」の観点から、教育法の権威である丹羽徹・龍谷大学教授が「教育の自由」の観点から、そして志田陽子・武蔵野美術大学教授が「表現の自由」の観点から、それぞれ事件を検証している。

事件が起きたのは、特定秘密保護法が成立(2014年)した数ヵ月後だ。学問と表現の自由が最大限、保障されるべき大学内で起きた盗聴事件と、その結末について、本書はコンパクトにまとまっている。法律学の活きた教材にも使えそうだ。


2018年12月15日

山口准教授の岡山短大4月復帰を 弁護団が運営法人に協議申し入れ

山陽新聞(2018年12月15日)

 視覚障害を理由とする事務職への配置転換の無効などを求める訴訟で勝訴が確定した岡山短大(倉敷市有城)の山口雪子准教授(53)の弁護団が15日、岡山市内で報告会を開き、来年4月からの教壇復帰に向けて、短大を運営する学校法人原田学園に協議を申し入れていることを明らかにした。

 弁護団によると、11月下旬の最高裁判決確定後、学園からは来年度からの教壇復帰について、判決で触れられていないため直ちに受け入れられず、授業編成を決める教授会の判断に委ねると文書で回答があったという。

 水谷賢弁護士は「授業復帰は学園側の合理的配慮などで実現できると判決は認定しており、復帰を認めないのは新たな差別だ」と強調。山口准教授は「障害があってもみんなで支え合い、すてきな社会になることを教壇で伝えたい」と支援者ら約40人に語った。

 支援者らは17日に厚生労働省と文部科学省を訪れ、教壇復帰の実現に向けて尽力するよう各大臣宛ての要請文を渡す予定。


2018年12月09日

琉球遺骨返還、京大を提訴 「盗掘し権限なく占有」

京都新聞(2018年12月8日)

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で遺骨を持ち去ったとされる問題で、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが4日、遺骨を保管している京都大に対して返還や慰謝料を求める訴えを京都地裁に起こした。研究目的で持ち出された遺骨の返還訴訟は、北海道のアイヌ民族の訴訟に続き全国で2例目。

 訴状によると、返還を求める遺骨は、京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏(1897~1983年)が、1928~29(昭和3~4)年に百按司墓から持ち出した26体(男性15体、女性11体)の骨。金関氏が墓を管理する親族らの許可を得ずに、盗掘したとしている。遺骨は、現在も京大が人骨標本の研究材料として、何ら権限なく占有していると訴えている。

 原告は、15世紀に琉球王朝を開き、同墓に埋葬されたとされる王族「第一尚氏」の子孫2人と、沖縄県出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら計5人。沖縄では、先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているとし、遺骨が本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと主張する。

 持ち出された遺骨が誰なのかが判明していないため、訴訟では、原告に遺骨の返還を求める権利があるのか(原告適格)が争点となるとみられる。

 京都大広報課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。


2018年11月30日

岡山短期大学、不当な授業外し等に対する最高裁 上告棄却 山口雪子さんの勝訴確定

山口雪子さんを支える会

岡山短期大学,山口雪子さんに対する授業外し,研究室退去事件について,最高裁は大学側の上告申立を棄却し,山口さんの勝訴が確定したさ。本当によかったです。長い間,大学の不当な扱いと闘ってこられたこと,心から敬意を表すると同時に,勝訴を喜びたいと思います。

山口雪子さんからの速報です?↓

今日(11月29日)、代理人弁護士の先生より「最高裁から、11月27日付けで上告棄却との通知が届いた」との連絡をいただきました。今年4月に短大が上告してから、どんな状況になっているのか…皆目わからず、不安でなかったと言えば嘘になりますが、みんなからの励ましで何とかくじけることなく今日の報せを受け取ることができました。ひとえに励まし支えてくれたみんなの力のおかげです。良い報告ができたことに安堵するとともに、みんなへの言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます!裁判は終わったとはいえ、教壇復帰までにはまだまだ時間がかかるかと思います。でも、これからも諦めずへこたれずに頑張ります!まだまだ心配をかけてしまいますが、これからもどうかよろしくお願いいたします!ありがとうございます!!


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