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岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

新しいサイト「明治学院大学事件」
https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行
 ∟●貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

実況中継「明治学院大学事件」(『情況』2019年冬号)

非常勤講師をクビにする方法(首都圏大学非常勤講師組合『控室』第95号(2019年4月1日))

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

宮崎大学不当解雇事件、最高裁で勝訴 

宮崎大 パワハラまで捏造 最高裁が異例の対応

『現代ビジネス』(2017年3月28日号)「パワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白 」
『週刊金曜日』(2017年3月31日号)「宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず」

早野慎吾氏「宮崎大学パワハラ捏造事件について」
大学が裸体と主張した卒論写真一覧

都留文科大の解雇事件、解雇無効
宮崎大の解雇事件 最高裁決定・大学側敗訴確定

宮崎大学学長宛公開質問状(2017年6月15日) 

都留文科大は、直ちに原職復帰させよ!

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2019年06月23日

追手門学院、外部講師が発言 「腐ったミカン」「よどんでいる」「負のオーラ」「要らない」

朝日新聞(2019年6月23日)

 大阪府内で大学などを運営する学校法人追手門学院が2016年に開いた職員研修で、外部の講師が「腐ったミカンは置いておけない」などの厳しい言葉を各受講者にかけていたことがわかった。学院側は、研修中やその後、受講者に退職を勧めており、翌年度にかけて少なくとも数人が退職したり休職したりした。

 複数の受講者の証言などによると、学院は16年8月22~26日、追手門学院大学(大阪府茨木市)などの事務職員18人を大阪市内のビルに集め、「自律的キャリア形成研修」を開催。講師は東京都内のコンサルタント会社が担い、学院幹部らが入れ替わり立ち会った。

 研修の中で学院側は、内容を講師と事前に精査し、「全権委任している」と説明。講師は「自己改革」などをテーマに1人ずつ、受講者全員の前で発表させ、その場で講評した。

 その際、受講者の一人に「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」と発言。ほかの受講者にもそれぞれ「あなたが一番、参加する意欲、姿勢が曇っている。よどんでいる」「負のオーラばっかりだ」「あなたは要らない」などと言った。

 研修で講師は、受講者を選んだ理由について「28歳以上59歳未満」「前年度評価で降格」など5条件のどれかか複数に該当すると説明。(1)退職(2)年俸制など(3)関連会社への出向転籍(4)関連会社への転籍後に退職(5)再生・現状維持、の選択肢から選ぶよう求めた。

 受講者の一人は取材に「全員の前で人格否定されるのを聞かされ、心を閉ざさないと精神をやられると思った。辞めさせるための研修だと感じた」。別の受講者は「要らないと繰り返し言われ、ショックで寝られなくなって通院した」と話した。

 研修後も講師や学院幹部に数回呼ばれ、「現状維持」を訴えても「退職勧告書」を渡された人もいた。

 学院は取材に、「腐ったミカン」などの発言を認めた上で、「消極的な受講姿勢を指導した発言。改善後、講師は称賛のフォローをしている」と回答。研修後のリポートで「多くの学びが得られ、参加してよかった」との感想が述べられたとしている。今回の研修について「違法性はない」との見解を示し、「教職員本位から学生・生徒等学習者本位へといち早く転換し、教職員挙げて教育の質の向上、質保証にまい進している。本研修はその一環で実施した」と回答した。コンサルタント会社は取材に「クライアントの情報は一切開示しない」としている。

 同僚の前での叱責(しっせき)や侮辱は厚生労働省の有識者会議がまとめたパワーハラスメント類型の一つに含まれるとされる。過去の裁判ではパワハラを伴った執拗(しつよう)な退職勧奨の違法性が問われ、不法行為と認められたケースもある。(小若理恵、石川智也)

 ■外部の人使った、学院のパワハラ

 労働問題に詳しい萬井隆令(よろいたかよし)・龍谷大名誉教授の話 「腐ったミカン」などの発言は人格否定で侮辱、パワハラにあたる。それを伴った退職勧奨ならば民法上の不法行為だ。学院が内容を講師と精査したと断っている点から、外部の人を使った学院のパワハラだと言えるのではないか。


2019年06月19日

サイト紹介、明治学院大学事件

明治学院大学事件
https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/

「明治学院大学事件」の特設サイトができました。

大学における「学問・教育・表現の自由」を守るため、大学関係者に広くご支援をお願いしています。

■ホームページ(https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/
■支援者ページ(https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/%E5%8E%9F%E5%91%8A

支援者ページに名前を載せてもよいという方は、寄川条路(yorikawa@gmail.com)までご一報ください。

2019年06月15日

労働組合東京ユニオン早稲田大学支部、公募制度への問題提起にご理解をお願いします

公募制度への問題提起にご理解をお願いします

公募制度への問題提起にご理解をお願いします

このたび私たちは、大学の専任教員の公募という問題をめぐって訴訟を起こすことになりました。公募による選考は、公正に、しかも透明性に配慮してなされねばなりなせんが、現状では、公正への疑問を感じても泣き寝入りするしかないため、とりわけ非常勤の人たちは絶望しています。今回は、すでに他大学に専任の職があり、公募をおこなった大学で非常勤講師をしている候補者が、選考のプロセスで内規違反があったとの通報をもとに、訴訟に踏み切りました。当該研究科に訴え、大学当局に訴え、さらに組合を介して団交しようとしても断られたため、訴訟を起こすことになったものです。

本件は、東京地方裁判所民事部に対して行なう訴訟であり、本来は司法記者クラブにおいて会見を行うのが、あるいは本筋なのかもしれません。しかし、私たちの考えでは、本件はこれまで文科省が1990年代後半から現在に至るまで、日本の高等教育分野で進めてきたいわゆる「任期制」の導入という、全国の国公立・私立大学労働・人事政策の改変という流れのなかで発生した事案であると思われ、そのことの背景と問題点を提起したく、文科省記者クラブでの記者会見に臨むこととなりました。

これまで中央教育審議会では、「大学教育の改善について」、「大学院・大学の自己点検・評価システムの導入」、「高等教育の質的向上」など、さまざまなかたちで議論がなされています。とりわけ、こうした一連の流れで審議された「教員採用の改善について」(答申:平成6年6月28日)では、「各大学が、それぞれの理念・目的に基づき、多様で個性ある教育研究を推進していくためには、大学の教育研究の中心を担う教員に優れた人材を確保し、その能力を最大限に発揮できるよう、教員の人事の在り方について改善を図っていくことが必要」であり、そのために、①他大学出身者・社会人・女性等多様な経験・経歴を持つ者を積極的に採用するよう配慮する、②公募制を積極的に活用し、採用に関する情報を収集・提供する機関を整備し,公募制を実施しやすくする仕組みをつくる、③選考基準については、教育能力を積極的に評価するとともに、研究能力についても論文の質を重視する、などと建議されています。

そうした答申を受け、国と文科省の政策のもと、「任期制」が全国の国公立・私立大学に広く行き渡ることになりましたが、「公募制」については、公正と透明性を確保するための全国的な取り組みがなされているわけではありません。こうした政策上のアンバランスが一端となって、今回の事案も生じているということを広く社会に問うべく、私たちは文科省で記者会見を行うことにいたしました。各社の報道につき、どうかご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2019年6月11日
労働組合東京ユニオン早稲田大学支部 支部長 岡山 茂
書記長 石井知章


労働組合東京ユニオン早稲田大学支部、大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う

大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う

大学教員採用における「公募制度の問題」と「採用問題の団体交渉拒否」を問う
前例のない提訴です

原告 石井知章
        労働組合東京ユニオン 
  原告代理人 中野麻美(りべるて・えがりて法律事務所)
        宮里邦雄(東京共同法律事務所)
  被告 早稲田大学及び大学院アジア太平洋研究科・アジア太平洋研究センター

(経過)
石井組合員は、2016年4月に早稲田大学アジア太平洋研究科専任教員の公募に応募した。公募の要件を十分に満たしているにも関わらず、一次選考で落とされ、二次面接に進むことができなかった。二次面接に進んだ3名の経歴と比較して、石井組合員が落ちる理由は見つからず、落選理由の説明を求めたことが発端である。
石井組合員は選考のやり直しを求めているのではなく、公正であるべき公募が適切に運用されず、不採用となった者に理由の開示をしないことを問題視している。また、理由のわからない不名誉な落選は研究者としての名誉を傷つけるものである。
また、大学は、義務的団交事項ではないとして話し合いすら拒否しているが、組合は労働者となろうとする者の権利も団体交渉の議題となりうると考える。

(文科省が勧める公募制度の問題点)
公募とは文字のとおり、公に募るもので、公正性が問われるものである。しかし、実際行われている大学教員採用における公募は、今でも出来レースが少なからず横行し、はじめから採用する人物を決めていて、形式的に公募制度をとっているにすぎないというケースが多々見られる。採用したい人物が決まっているのであれば、俗に言う「一本釣り」をすればよい話である。大学が公募制度を使いたがるのは、文部科学省の方向性に合わせようとする大学の忖度が働いているのである。応募する者は、膨大な資料を作成する時間と労力を要するが、応募するだけ無駄で落選する。多くの研究者の時間、労力、意欲を無駄にし、疲弊させていくのが、現在の公募制度である。昨年問題となった「東京医大の女子学生の入学人数抑制」と同様に、応募する前から結果が決まっているのである。

(団体交渉権は無形の財産権)
 早稲田大学は、現在非常勤である者に常勤採用の説明は必要なく、採用の自由があるから公募における採用過程は説明しないとし、団体交渉の議題としないとした。しかし、今回の採用は公募であり、非常に高い要件を課し、それを満たしたにも関わらず一次選考すら通過しなかったことに関しては、疑義をもたないほうが不思議な状況であった。非常勤が常勤となり、研究活動を行うことは研究者としての将来をかけてのことで、今までの実績を評価されるのであるから、理由の説明を求めることは当然である。現在非常勤である者が、常勤となろうとする際の過程、評価内容を議題とする団体交渉は開催されるべきであり、それを可能としない事は無形の財産権を侵害しているものとなる。

上記、経過と問題点を記載しました。
大学教員となるべく公募に応募する研究者、ポスドクの大多数が同様のことを問題視してきました。大学の教員採用の現場で表に出なかった公募制度にスポットを当てることと、労働者となる者についての団体交渉応諾の問題を社会的にお知らせし、問題提起を行いたいと考えております。

お忙しいことと存じますが、会見への出席と取材をよろしくお願い致します。

日 時:2019年6月17日(月)14時30分~
会 場:文部科学省記者会(千代田区霞が関3-2-2 12階)
連絡先:〒151-0053渋谷区代々木4-29-4 西新宿ミノシマビル2F
    労働組合東京ユニオン(執行委員長 渡辺秀雄 担当:書記長 志賀千秋)
    電話/03-5354-6251 fax/03-5354-6252 メール/shiga@t-union.or.jp

当日出席者
 中野麻美 弁護士(りべるて・えがりて法律事務所)
 岡山 茂 早稲田大学教授 東京ユニオン早稲田大学支部支部長
 石井知章 早稲田大学非常勤講師 東京ユニオン早稲田大学支部書記長
 渡辺秀雄 東京ユニオン執行委員長
 志賀千秋 東京ユニオン書記長

2019年06月09日

一橋大学の教員を退職 教員の分断に翻弄された大学教授の告白

■現代ビジネス(2019年6月9日)

国立大の教員が私立に移るケースが増えている

私事で恐縮なのだが、私河野はこの新年度に、昨年度まで勤めた一橋大学大学院経営管理研究科(旧商学研究科)を退職し、専修大学法学部に着任した。

大学教員がキャリアの間に何度か大学を移ることは珍しいことではない。だが、私の今回の移籍のニュースを聞いた知人の中には「なんで?」という反応をする人もいた。

そう反応した人の言いたいことはなんとなく分かる。つまり、言いにくいことをはっきり言えば、一橋大学といえば研究者が望みうる最高の所属先のひとつであり、なぜわざわざ中堅どころの私学に移籍するのか、と考えたのだろう。これから私が勤める専修大学に対してとても失礼な話だが。

一橋大学の兼松講堂〔PHOTO〕Wikimedia Commons・wiiii氏撮影

しかし、そのように考えるのも無理はないかもしれない。というのも、私の今回のような移籍は、確かに一昔前であればあまりないことだった。

かつて、国立大学から私立大学に移るケースと言えば、国立を退職した教員、もしくは退職直前の高齢の教員が、国立よりも定年が遅い私学に移って、キャリアの最後を過ごす、というのが大勢だったし、今でもある程度はそうしたケースがある。一方で、40代半ばの働き盛りとも言うべき年齢の人間(私は今44歳だ)が同じ異動をするのは、かつてであれば珍しいことだっただろう。

しかし現在においては、私の例はかなり典型的で一般的な現象の一部なのだ。私の直接知る範囲でも、一橋だけではなく東大や東京外国語大学といった国立大から都内の中堅私大(中堅、という言葉が何を意味するにせよ)への異動が多く起きている。今年度、一橋から私大へと「流出」した若手~中堅の教員は私だけではない。そしてそれは、国立大学と、さらに広く大学一般や学問が直面している危機をよく表している。

本稿では、国立大学から私立大学へと移籍した私の体験から出発しつつ、その私個人の体験がここ30年ほどの大学の変化の表現となっていることを示したい。私の異動など非常にローカルな話に聞こえるかもしれない。しかし、これは大学と学問研究一般の危機の問題に、ひいてはこの国の高等教育がどこに向かうのかという由々しき問題につながっている。

この後、具体的に一橋大学の状況を述べ、批判的な視点を提示する。だが、私は一橋とそこで今も働いている人たちを断罪したいわけではない。問題は歴史的かつ構造的であり、一橋大学だけに当てはまるものではないのだ。
「辞めてやる」

さて、まずはとても個人的な告白から。

私は一橋大学に2009年に着任したので、足かけ10年間勤めたことになる。しかし私はその特に後半の数年間、そしてひょっとすると最初からずっと、キャンパスに足を踏み入れると気分は落ち、動悸が高鳴り、最後のころは「辞めてやる」と心の中で唱えることで平静を保つような、危険な精神状態に陥っていた。

ちなみに私は一橋大学法学部の出身であり、この大学の自由な校風、学問的な懐の深さ、私と同様、地方出身者も多い学生たちの雰囲気、そういったものを、人並みには愛しており、2009年に着任した時には、母校に凱旋することに意気揚々としていた。

それが、なぜそんなことになってしまったのか?(私は、国立大学全体の状況を訴えたいのであって、一橋大学やその中の個々人の名誉を傷つけたいわけではない。そのため、以下では個人ができるだけ特定できないような曖昧な形で書く。)

私が着任してそれほどの年月が経っていなかったころのことである。

当時、商学部は新たな英語教育のプログラムを作ろうとしていた。それに関する会議で、座長をしていた先生からの発言に、私は耳を疑った。発言は、その英語プログラムを統括する教員を新たに雇うため、現在すべて埋まっているポストに空きが必要になる、それをどう工面するか、という文脈でなされた。

〔PHOTO〕iStock

座長は、私を含む旧教養課程系(この言葉については後述)の英語教員に対して、「今いる人に辞めろとは言えないので」、「○○さん(上記英語教員の一人)はおいくつでしたか、みなさんの前で年齢を聞くのも何ですが、あと○○年くらいですか」云々と発言した。会議に出ていた数十名の教員の面前での発言である。

つまり座長が言おうとしたのはこういうことだ。国立大学のポストは決められており、大学や学部の恣意で増やすことはできない。しかし、新たなプログラムのためにはポストが足りない。誰か辞めてくれることが最善の策である。ただ、クビにはできないので、定年で辞めるのを待とう、と。

その発言の趣旨は、旧教養課程系の英語教員が座っている椅子を、できれば商学部で自由に使いたいということであり、私は、希望にあふれて着任して早々に、「できればあなたには辞めてもらった方がいいのだが」というメッセージを浴びせられたのである。私の一橋ライフは、これによって決定的に呪われたものになった。

その後私は、自分なりに状況を改善させる努力をしたつもりだが、後述する2015年を経て大学の内外の状況は悪化の一途を辿り、「お前(たち)はいらない」というあのメッセージは、結局私の頭からぬぐい去られることはなく、現在にいたる。それが、私の背中を押したのである。

では、なぜ座長は「お前(たち)はいらない」というメッセージを発したのか。その背景には、この30年間で起きた大学の大きな変化がある。話の鍵は、「旧教養課程」という一語である。経緯を振り返ろう。

大綱化=規制緩和?

「旧教養」というワードは、奇しくも「平成」とほぼ一致するここ30年間の大学改革の歴史にとって中心的な重要性を持っていると、私は考えている。以下は、ここ30年間の国立大学にとって重要な項目のみをピックアップした年表である。

1991年 大学設置基準の大綱化
1996年 東京大学教養学部再編・大学院重点化
一橋大学大学院言語社会研究科発足(学部化はされず)
2004年 国立大学の法人化(国立大学法人法)
2015年 国立大学法人法改正(「ガバナンス」の強調、教授会の議決権剥奪)
2015年6月 文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(文系取り潰し?)

当面の出発点となったのは1991年の「大綱化」である。大綱化とは聞き慣れない言葉であろう。私も、どう説明すべきかと思い、英語にはどう訳せるのか調べたことがある。すると、大学評価・学位授与機構の英文資料では、なんのことはない、deregulationと訳されているのである。つまり、規制緩和である。

この時に緩和された規制とはなんだったか。それは一般教育(教養教育)と専門教育との区分だった。それまで大学では、2年間の「教養教育」、その後の「専門教育」の区分が義務化されていた。大学設置基準の大綱化は、その区分を、かならずしもしなくてもよいとしたのである。

これは決して、教養と専門の区別を「禁止」するものではなかった。だが、親方(文部省/文科省)にへつらう日本の大学らしく、各大学は雪崩をうって教養部を解体していったのだ(東大の教養学部は例外だろう)。

一橋大学はそのひとつの典型だった。かつて教養部に所属していた教員は、あらためて学部、というより正確には大学院所属に振り分けられた。一橋は商・経・法・社の四学部だが、形の上ではそれらの学部・大学院に所属しつつ、実質上はたとえば一年生に英語を教えるといった従来の教養教育を受け持つという、奇妙な形の教員ポストが生まれたのである。

私のような教員は、この大綱化から生まれたと言ってもよい。私の専門はイギリス文学・文化であるが、商学部に所属しつつ、大学で基本的に教えることが期待されたのは教養の英語だった。

とはいえ、大綱化によって、それまで存在しなかった教養対専門の分断・対立が生まれたという話ではない。その対立はずっとあった。大綱化のポイントは、教養部が解体され、人事権をはじめとする力を失っていき、さらに法人化を経て、現在教養教員のポストが奪い去られつつあるということだ。

ここで強調したいのは、教養教育が消え去ろうとしていることだけではない。問題はその消え去り方だ。現在にそのような影を落としている大綱化が、英語ではderegulation(規制緩和)であること、つまり同時代に日本全体で進んでおり、今も終わっていない新自由主義改革の一部だったことである。それが前述した座長の発言の背後に隠れている事情の一部だ。だが、物語はまだ続く。

大学の二つの市場化

私が言いたいのは、90年代の大綱化が、2000年代の国立大学法人化、そして2015年の国立大学法人法改正と文部科学大臣通知へとまっすぐにつながっているということだ。そしてそれらをつなぐキーワードが新自由主義である。

私が「できれば辞めて欲しい」というメッセージを受け取ることになった事情は、ここまで述べた大綱化に、2000年代以降の大学の新自由主義化、もしくはそこに「緊縮」が加えられた合わせ技によるところが大きい。

大学の新自由主義化とは、平たく言ってしまえば、これまで国が丸抱えで運営していた国立大学の業務を市場化することである。市場化するとは大きく二つのことを意味する。それは大学の世界を「市場のように」運営すること。つまり競争原理や成果主義を持ちこみ、運営や意志決定プロセスに一般企業的な原理を持ちこむこと。

そしてもう一つの意味は、大学に「民間」の参入を促すこと、もしくは言い方を変えると大学業務を民間に切り売りすることである(例えば大学入学共通試験の英語に民間検定試験が参入することや、「実務家教員」の雇用の強制を考えればよい)。

〔PHOTO〕iStock

ここで問題にしたいのは、一つ目の意味での市場化である。国は、大学に定常的に交付していた運営費交付金を原則として年1%ずつ削減し、それに代えて「競争的資金」を獲得することを推奨したり、中期計画を策定してその達成度を査定したりといったことによって、それを推し進めようとしてきた。

後者は要するに、「改革」をより多く達成した大学に高い評価と資金を与えようということである。その「改革」の中にはいわゆる「ガバナンス改革」がある。2015年の国立大学法人法の改正は、教授会の議決権を大幅に削減するなどして、学長の権限を拡大するという「ガバナンス改革」(その内実は、上意下達以外の何物でもない)を進めたという意味で、決定的に重要だった。

このような意味での市場化は大いに結構、と思われる方も多いだろう。非効率であった大学をより効率的に運営し、研究や教育成果を世の中により多く、より良く還元する方法として。

だがそれは、二つの意味で幻想である。大学は効率化などしていない。

「効率化」の大失敗

一つには、現代の新自由主義、つまり「より少ない官僚制度」を原理とする社会は、逆説的にも、「より多くの官僚制度」を必要としてしまうのだ。大学であれなんであれ、これまで競争原理のなかったところに競争原理を持ちこむためには、巨大な評価・査定の制度とプロセスを必要とする。

デヴィッド・グレーバーが『官僚制のユートピア』で述べているように、新自由主義時代はより多くのペーパーワークの時代になってしまった。官僚制度を減らすための原理が巨大な官僚制度を生み出している。

実際、現在の大学教員は外部資金や認証を得たり自己点検評価をしたりするためのペーパーワークに溺れて、研究どころではなくなっている。さながら大学は、その組織自体を維持するためのペーパーワークや会議をすることを目的とした組織、という、「シジフォスの労働(労働をさせられた後に、その成果も過程も否定される苦役)」を地で行くような笑えない様相を呈している。大学は、それ自体を維持するための官僚組織になってしまった。

二つ目は、雇用の崩壊である。定常的な経費が削減される中、大学は、教員であれ事務職員であれ、正規雇用を維持する余裕を失っている。それはとりわけ、一橋大学のような文系の大学では顕著になる。文系大学は人が資本である。たとえば一橋は予算の65%を人件費が占めている。予算削減は雇用を直撃するのだ。

とはいえ、今働いている人間が解雇されるわけではない。人が辞めた際にポストがなくなったり、臨時雇用で補充したり、ということが行われる。教員の雇用が流動化し不安定になると、じっくりと腰を据えた研究がしにくくなる。

その結果は例えば、2015年の、国立大学協会政策研究所所長の豊田長康氏による研究レポート「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」が衝撃的な形で示している。それによれば2002年あたり以降、日本の論文数は停滞・減少し、先進国中でも最も低水準に落ち込んでいる。

例えば、2013年の生産人口あたりの論文数は、日本は31位で「東欧諸国グループに属する」という刺激的な言葉が見える。豊田氏がその要因として挙げるのは、フルタイム研究者の数、公的研究資金の額の減少であり、日本はそこで比較された先進国中で、いずれについても最低水準となっている。これは、明白に、ここまで述べたような改革のみごとな「成果」である。

この二つの問題の両方に関連して、最も深い問題は、大学が、そこで働く人間にとって、所属し貢献すべきコミュニティではなくなりつつある、ということだと思う。自分たちの参加によって、自分たちの意志と意図で大学をよりよいものにしていこう、といった感情は、「ガバナンス改革」という非民主主義化と官僚組織化、そして雇用の不安定化によってどんどん抱きにくくなっている。

そこに属する者が所属の意識を抱かず、自己利益のみを追求するような組織は、実のところ非効率な組織である。国立大学はそのような組織になりつつある。

その結果、大学を利用する側、つまり学生にとって、国立大学は従来の役割を失いつつある。現在、国立大学は我先に学費の増額に打って出ている。これもまた、大学の市場化の結果である。学費だけを見ると、国立大学と私大の差異がどんどんなくなっていくことが予想される。地域や経済事情に縛られた学生にも教育機会を与えるという公教育の役割を、国立大学は捨て去ろうとしているのだ。

分断統治

さて、そのような大きな情勢は、個々の大学ではどのように表れるだろうか。

その表れの一つが、私の経験であった。上記のような緊縮財政に大学が直面する中、旧来からの専門教員と教養教員とのあいだの分断が先鋭化したのである。だがその分断は、対等な分断などではない。実質的に人事権を持たない教養教員は、私が遭遇したような圧力にさらされることになる。

それを後押ししたのが、先の年表に挙げた、2015年6月の文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」であった。これについては『大学出版』No. 106に文章を寄せたが、この通知は「教員養成系や人文社会科学系学部・大学院〔を〕、組織の廃止や社会的要請の高い分野に転換する」ことを求めて大きな衝撃をもたらした。

私はこの通知がその後どれくらいの実効力をもったのかについては確かなことを知らない。しかし、「文系お取り潰し」とも取れるこの通知が、一橋大学のようなまさに「人文社会科学系学部」のみで構成された大学にすでに存在していた上記の分断をさらに悪化させたのは確実である。

それは一種の分断統治だった。現在一橋では英語教育の外注化や第二外国語の必修廃止が進められている。これらは、何らかの教育理念に従ったカリキュラム改革の結果というよりは、ここまで語ったような外的な事情の結果なのだ。

その結果、人文学研究(それは文学部だけではなく、教養系の教員や組織によっても担われてきた)の継承は、危機的なものになりつつある。例えば、上記の記事で述べた通り、英語やフランス語などをまともに翻訳できる人間が──また、まともに翻訳するとはどういうことかを理解している人間が──日本からいなくなるような事態は、誇張ではなく想定される。
「お前は使い捨ての駒だ」

だが、私は人文学の危機だけを言いつのりたいのではない。これが分断統治であるということの意味は、「教養対専門」の対立は、「大学改革」を押し進めるための人為的な対立だ、ということである。確かに私は個人的な恨みを持っている。だがその一方で、私に石を投げた人間たちが、私と同じ苦しみの中にあることは分かっている。

ここまでの文章で伝わっていることを祈るが、教養系・人文系の苦境は、国立大学全体が過去30年間の新自由主義改革で疲弊してやせ細っていることの、ひとつの表現なのだ。それは、新自由主義というウイルスが引き起こした熱の症状なのだ。この熱にうかされているのは、大学全体である。

これが教養・人文教員の問題だけではないことは、私の経験が、私と同時に前年度末で一橋を退職された一橋のある事務職員さんの経験と強く響き合ったことにも示されていると思う。その職員さんは非正規雇用ではあるが、私と同じく10年ほど一橋に勤めていた。

私は私の著書(それがまた、女性が非正規労働者としてかり出されることを問題にした本だったのだが)に興味を持ってくださったのをきっかけにこの方と親しくさせていただいた。だが、彼女が大学を辞める直前につぶやいた言葉は、私に深く刺さった。自分がいかに、「お前は使い捨ての駒だ」という大学上層部からのメッセージにさらされ続け、思っていた以上に心を蝕まれていたのかが分かった、という言葉だ。

私はそれを読んで落涙を止めることができなかった。あなたは、私だ、と思った。

彼女のエピソードについて重要なのは、彼女が一橋をとてもいい職場だと思い、同僚にも恵まれていると感じながら働いていたという点である。それにもかかわらず、彼女は自分が「蝕まれている」ことを発見した。それは、ここに述べたような経緯で大学職員の非正規化が進み、その非正規職員の扱いも捨て駒的になっていった大状況を原因としたのである。

国立大学が、より豊かな探究や学びの場として生まれ変わることはあるだろうか。少なくとも、改革のための改革に奔走させられ、転がる岩を山の上にかつぎ上げ続けるような労働を強いられている間は無理だろう。私は一橋大学を、国立大学を愛していた。愛が深いがゆえに裏切られた時の苦しみも深かった。

転職した事情を、このような感情とともにこの場に晒すことはあまり褒められたことではないだろうし、この文章を書くことで私は学会や大学における立場を確実に狭めてしまうだろう。私の元同僚の一部は、私のことを許さないだろう。

でも、それくらいの犠牲で国立大学の現状を世に少しでも知らしめることができ、その生まれ変わりの可能性を針の先ほどでも開くことができるならと、筆を執った。私は国立大学を去った。そして今願うのは、去ったことを私に後悔させるような場に、国立大学がもう一度なってくれることである。


2019年06月02日

梅光学院、雇止めの不当性明確に

■長周新聞(2019.5.31)

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2019年05月30日

梅光学院雇止め二審も無効

■朝日新聞(2019年5月29日)

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2019年05月25日

元教授3人の解雇は「無効」 淑徳大に賃金支払い命令

朝日新聞(2019年5月23日)

 学部の廃止にともなう解雇は不当だとして、淑徳大(千葉)の元教授3人が地位確認などを求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。春名茂裁判長は3人の主張を認めて解雇は無効だとし、大学側に未払いの賃金や手当など計5382万6094円を支払うよう命じた。

 判決によると、淑徳大は2017年3月に国際コミュニケーション学部を廃止した際、希望退職募集に応じなかった3人を解雇した。3人は翌月に雇用継続などを求め、提訴した。

 春名裁判長は、大学の経営状態から人員削減の必要性は高くなく、同じ時期に新設した学部に異動させることも可能だったと認定。新設学部の教員を決めてから3人を解雇した経緯などから「原告らを大学から排除しようとした疑いが払拭(ふっしょく)できない」と指摘し、「解雇権を乱用したものであり、無効」とした。

 原告の一人であるジグラー・ポール氏は判決後の記者会見で「職場復帰し、教育や研究に積極的に献身していきたい」と話した。大学を運営する大乗淑徳学園は「承服できない理由がある結果のため、控訴を検討している」としている。

 淑徳大は、この3人が労働組合を結成して団体交渉を求めたのを拒否し、中央労働委員会から17年10月に不当労働行為を認定された。さらに中労委の認定取り消しを東京地裁に訴えたが今年2月に敗訴し、現在控訴している。(吉田貴司)


2019年05月16日

地方私大の閉校相次ぐ 自治体が誘致、計画の甘さ浮き彫りに…進む淘汰

西日本新聞(2019/5/15)

 少子化の影響もあり学生数が確保できず、閉校に追い込まれる私立大学が全国的に後を絶たない。1980年代から2000年代にかけ、多くの自治体が地域活性化を目的に盛んに大学を誘致したが、計画の甘さが浮き彫りとなり淘汰(とうた)が進みつつある。

 来年度の学生募集停止を決めた保健医療経営大(福岡県みやま市)は当初、合併前の旧瀬高町が用地を無償譲渡し、開校する予定だった。当時の町長は660人の学生が集まると想定、学生アパート建設などで約16億円の経済効果を見込んでいたが、07年3月の合併に伴う市長選で無償譲渡に反対した候補が当選、貸与に変更した経緯がある。市議の一人は「開校前から学生が集まるか疑問だったが、その通りの結果になった」と話した。

 13年に閉校した三重中京大(三重県松阪市)でも、誘致した松阪市が開校にあたって約6億円を助成、その後も学科の新設に伴い約5億円を追加助成した。しかし計画通りに学生が集まらず、定員割れが続いて閉校を余儀なくされている。

 全国の大学数は1990年の507校から、2017年には780校に増加。一方で、10~18年度に文部科学省が廃止を認可した私立大学は21校に上る。福岡県内では07年度に東和大、11年度に福岡医療福祉大、15年度に福岡国際大がいずれも学生募集を停止し、後に閉校した。

 文科省によると、全国の私立大582校のうち4割に当たる210校が定員割れとなっており、事業活動収支が赤字の私立大も17年度で全体の約4割を占める。同省は本年度から新たな財務指標を設け、経営難の大学を運営する学校法人の指導に当たる方針。経営状況が改善しなければ、学生募集の停止や法人解散を含めた対策を促すという。

 東京学芸大の田中敬文准教授(公共経済学)は「(大学側の)楽観的な予想が当たらないという事態が起きている。地域と共存し、学生を引きつける魅力的なカリキュラムを提供できなければ、地方の大学が生き残っていくのは難しい」と話している。

   ◇    ◇

保健医療経営大募集停止へ みやま市、来年度以降

 学校法人ありあけ国際学園が運営する保健医療経営大(福岡県みやま市)が、2020年度の新入生募集を停止することが14日、関係者への取材で分かった。同大は08年4月の開校以来、定員割れが続いており、今後も学生の確保が難しいと判断したとみられる。西日本新聞の取材に、同大事務局は「近く正式に発表する」と答えた。

 関係者によると、11日に理事会を開き、来年度の学生募集の取りやめを決定。今年4月に入学した学生が卒業する23年に閉校し、学校法人も解散する方針で、既に教職員や学生にも伝えているという。

 大学のホームページなどによると、08年度は定員150人に対し、入学者は27人。その後も定員割れが続き、11年度32人▽12年度18人と推移。13年度からは定員を80人に減らしたが状況は変わらず、今年5月現在の学生数は130人にとどまっている。

 同大は病院経営者や医療コンサルタントを育成する単科大学で、聖マリア病院(同県久留米市)を運営する社会医療法人「雪の聖母会」が中心になって設立した。


2019年05月11日

大学オンブズマン・学術シンポジウム、大学自治のあり方を考える―龍谷大学・李裁判の問いかけるもの

大学オンブズマン・学術シンポジウム、大学自治のあり方を考える

大学自治のあり方を考える
―龍谷大学・李裁判の問いかけるもの―

〔基調講演〕「大学自治のあり方を考える」
丹羽 徹氏(龍谷大学法学部教授)
報告1 「大学自治の合理的・民主的運営―李裁判の争点―」(仮題)
弁護団から
報告2
「大学自治は学問の自由を守るために機能しなければならない」
重本 直利氏(市民科学研究所専任研究員)
◆コメンテーター;「学生の発達保障の観点から」
西垣 順子氏(大学評価学会副代表理事) 司会;細川孝(大学オンブズマン代表理事)

2019年6月16日(日)13:30開始,16:45修了予定
京都アスニー第3研修室
京都市生涯学習総合センター

2019年04月25日

苫小牧駒沢大学、雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人

雇用をめぐり大学側と団交 苫駒大の元教員2人

 苫小牧駒沢大学の教授らでつくる教職員組合と苫小牧地区労連などは23日、3月末で退職した教員2人が「雇い止めされた」とし、雇用継続を求めて大学側と団体交渉を行ったと発表した。2人は「合意なく退職を迫られた」と訴えており、専任教員としての雇用を求めて団交を続ける構え。大学側は「契約満了によるもの」と主張している。
 苫駒大の経営は、2018年4月に経営法人が駒沢大学から京都育英館に移管。在籍する教員21人は19年3月末までの雇用契約となり、うち7人が契約更新されなかった。現在、在籍する教員は全員、1年間の有期契約を結び直し勤務している。
 2人は、ゼミ生の指導や研究継続の意志があることなどから雇用継続を要求。同組合は23日、大学側と団体交渉後、苫小牧市政記者クラブ内で横山傑議長ら地区労連メンバーと共に記者会見した。約1時間半の団交で具体的な進展はなかったとし、2人は「教員の退職でゼミの変更を余儀なくされた学生もいる。学生のためにも専任教員として働かせてほしい」と口をそろえた。
 大学側は「各教員の専門性などを踏まえた上で、大学の構想と合致する人材かを判断したかった」と強調。7人の雇用契約を3月未で終了したことについては「契約満了であり雇い止めではない」としている。


苫小牧駒沢大学、教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交

■北海道新聞(2019年4月24日)

元教員2人「不当解雇」 雇用巡り大学側と団交

 苫小牧駒沢大学教職員組合や苫小牧地区労連などは23日、苫駒大を3月で退職した教員2人が「雇い止めにあった」として雇用継続などを求めて大学側と団体交渉した。教員側は「不当解雇」と主張する一方、大学側は「契約満了に伴うもの」と説明している。
 苫駒大は昨年4月、学校法人駒沢大学から京都育英館に経営が移管された。関係者によると、経営移管に伴い、京都育英館は「人物を見極めるため」として専任教員21人全員と1年間の有期契約を結び直し、2019年3月末で契約が終了。このうち多くは客員教授などへの衣替えも含め新たに契約したが、専任教員として雇用継続を求めた4人について、大学側は「専門分野が大学の方向性と合致しない」などとして契約を更新しなかったという。
 交渉後、苫小牧地区労連の横山傑議長は「労働者の権利を軽視する大学側の対応は納得できない」と主張。苫駒大幹部と約1時間半協議したものの平行線に終わったといい、今後も話し合いを続ける考えを示した。


2019年04月13日

非常勤講師をクビにする方法

首都圏大学非常勤講師組合『控室』第95号(2019年4月1日)http://hijokin.web.fc2.com/

非常勤講師をクビにする方法

明治学院大学教養教育センター教授 寄川条路
(よりかわ じょうじ・yorikawa@gmail.com)

1 非常勤講師の解雇
「ヘボン先生(仮名)は、授業態度に問題があるのでクビにします。」
 主任の提案は、非常勤講師の雇止めだったので、教授会ですんなりと承認されてしまった。どんな問題があったのかはわからないが、主任に逆らう者はいない。反対意見でも述べようものなら、つぎの標的にされてしまうので、みんな押し黙っている。
 非常勤講師には、「おまえはクビだ」とは言わないで、「来年度は、先生の科目は開講されないので、お願いできなくなりました」と、上手に伝える。
 勤続10年でクビを切られたヘボン先生は、労働基準監督署に相談はしたものの、それ以上のことはしなかった。後日、「事件」が公になってはじめて、雇止めのいきさつを知ったという。

2 明治学院大学事件
 大学当局が教授に無断で授業を録音し、告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁での解雇無効判決にいたるまでの、事件の全貌を明らかにする本が公刊された。他人事ではないので、寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社)を手にとって読んでほしい。
 裁判で明らかになったのは、明治学院大学では、慣例的に授業が盗聴され、録音されていたことだった。大学を告発して解雇された教授のほかに、非常勤講師も授業を盗聴され雇止めにされていた。この件は、まだ知られていないので、ここではじめて公にする。

3 科目の削減と教員の削減
 クビになったのは、いずれも教養科目の担当者で、「明学★人気授業ランキング」で1位のシノロ先生(仮名)と2位のヘボン先生だった。二人とも、授業を休んで海外の学会に行くほど研究熱心だったが、学生のあいだでは、楽に単位が取れる先生で有名だった。
 そんな折、2018年問題をまえにして、大学執行部は、学生定員を15パーセントも増やしながら、開講科目を20パーセントも減らす方針を決定した。
 大学の方針は、専門科目はそのままにして、教養科目だけを減らすものだった。そのときは、非常勤講師を削減する話だろうと思って、教養部にさえ反対する者はいなかった。

4 大学による授業の盗聴
 教養科目は自由に選択できるので、「楽単科目」に学生が集中する。学期のはじめ、職員が教室を回って出席者を数えているが、教務担当の教員も加わって、教室の中を見て回るようになった。授業について、学生からクレームが寄せられたそうだ。
 明治学院大学では、学生のために「クレーム用紙」まで作って、積極的に、苦情や要望を書いてもらっている。あるとき、ヘボン先生の授業について、「学生の私語で先生の声が聞こえません」という、匿名の投書があった。
 そこで、教務担当の教員と職員が、ヘボン先生に事情を説明し、同意を得たうえで何度か授業を聴講させてもらったが、その後も授業に改善が見られなかったので、やむなく雇止めにいたったのだという。
 ところが、当のヘボン先生によれば、学生からクレームを受けたことはなく、教務担当の教員にも職員にも一度も会ったことはないという。「私は授業には自信がありました」というのが、研究熱心なヘボン先生のことばで、それまで授業が盗聴され調査されていたことなど何一つ知らなかった。

5 大学による教員の管理
 学期末には、学生による「授業評価」が行われる。あくまでも授業の評価なのであって、教員の評価ではないはずだが、実際には、人事評価の資料として使われている。
 明治学院大学では、「みんなのキャンパス」という授業評価のウェブサイトも監視しているが、たまたま見つけたという「学生と思われる者」の書き込みは、職員の自作自演だった。
 手書きのはずのクレーム用紙が、パソコンで書かれていたこともあった。ファイルのデータを調べたところ、「作成者」は職員だった。「宮崎大学セクハラ教員解雇事件」のように、学生のクレームは職員がねつ造したものだった。
 「リベラルな大学」に見えても、大学の方針を批判することは許されない。教科書の検閲はもちろん、プリント教材の事前確認から配布禁止まで、大学当局による管理運営は徹底している。
 採点済みのテストは、学生の個人情報を保護するためシュレッダー用の箱に入れるのだが、回収された用紙は、授業内容の調査のため倉庫に保管され、しっかりチェックされていた。
 大学では、これらをすべて「校務」と呼んでいる。いずれも組織的で計画的な犯行なのだが、不法行為に関与しているのは、執行部の指示や命令に従うまじめな教職員だ。理事の学部長は、裁判では、「授業の無断録音は許されるべきではない」と証言していたが、同じ人物が「のぞき」の常習者でもあった。

6 クビになったら非常勤講師組合へ
 さて、「事件」が大学界に広く知れ渡ったので、件のヘボン先生も、雇止めのいきさつを知るにいたった。「訴えることはできるかもしれないけれど、私は研究に専念したいので」。こう言ってくれる先生は、クビを切りやすい。
 クビになったら黙ってないで、すぐに非常勤講師組合に相談しよう。

2019年03月16日

四国大と准教授が和解、高松高裁 うつ病発症で解決金

■徳島新聞(2019/3/14)

この事件は,大学オンブズマンが原告を支援しておりました。和解を受けて,以下のコメントを出しました。

【大学オンブズマンのコメント】
 大学オンブズマンは、四国大学看護学部の女性准教授の支援に取り組み、「学校法人四国大学における重大な法令違反・人権侵害の是正を求める声明」(2016年6月20日)、「学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ」(2017年12月20日)を公表するなどしてきた。
 今回の「和解」は女性准教授の主張を基本的に認めたものと理解できる。今後、法人が「和解」の内容を着実に実行するとともに、健全な大学運営に努めることを強く求めたい。女性准教授の一日も早い教壇復帰と研究活動の再開を念じている。
 最後になるが、女性准教授ならびにご家族、そして支援された方々の長年にわたるご奮闘に敬意を表したい。

四国大と准教授が和解
高松高裁 うつ病発症で解決金

 長時間労働が原因でうつ病になったとして、四国大看護学部の女性准教授(48)=休職中=が同大に損害賠償を求めた控訴審の和解協議が13日、高松高裁であり、和解が成立した。大学側は准教授に解決金1420万円を支払う。准教授の復職や退職を前提としない和解条件も盛り込まれた。
 2017年12月の一審徳島地裁判決では、大学側の安全配慮義務違反を認め、未払い給与など1395万円の支払いを命令。大学、准教授の双方が判決を不服として控訴していた。
 高裁は今年1月、「10年2月の教員オリエンテーションでのやりとりがうつ病発症の原因」と認める内容の和解勧告を示していた。発症原因は一審では認定されていなかった。
 准教授は、裁判を支援した連合徳島を通じ「オリエンテーションのパワハラが原因であると認められ、早期に解決することが急務と考えた」とのコメントを発表。四国大総務課は「和解勧告を真摯に受け止め、受け入れるに至った。今後は適切に処理したい」とコメントした。
 女性准教授は08年に同大に採用された。長時間労働で10年2月にうつ病を発症し、13年6月に徳島労働基準監督署に労災認定されていた。


2019年03月09日

九州保健福祉大 雇止め無効決定「セクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置」 原告の元助教らが会見

MRT宮崎放送(3/6)

 九州保健福祉大学の元助教ら4人が不当な雇い止めを受けたとして地位保全の仮処分を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部は雇い止めを無効とする決定をしました。

 4人のうち一部は、雇い止めがセクハラ被害を訴えた人間に対する報復措置だったとして大学に謝罪を求めています。元助教らによりますと、4人は、おととし12月から去年1月にかけて大学から相次いで契約を更新しないとする通告を受け、地位保全の仮処分を裁判所に申し立てていました。

 これに対し、宮崎地裁延岡支部は、2月22日付けで、「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として雇い止めを無効とする決定をしたということです。また、4人のうち1人の女性は、おととし8月、男性教授からセクハラ行為を受けたとして大学に被害を申し立てていて、裁判所は、雇い止めがセクハラを訴えた人間を排除する意図があった可能性を否定できないとしています。

(仮処分の申し立てをした元助手)「仮に私の雇止めがハラスメントの被害申告の報復人事でないというのであればなんの後ろめたさもなく最初から私個人に直接雇い止めを正当な理由をもって説明できたはずです(大学から)誠意ない対応によって深く傷つけられたことに対して心から謝罪していただきたく思います」

 大学側は「セクハラ問題と雇い止めは全く関係ない」と話していて、今後、裁判で争う姿勢を見せています。


九州保健福祉大不当雇止め事件、助教夫妻 同時に無職に 第2子出産…大学と争った1年

朝日新聞(2019年3月6日)

 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)薬学部で不当な「雇い止め」を受けたとして、宮崎地裁延岡支部が雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。雇い止めを受けた元助教ら4人のうち2人は助教夫妻だった。夫妻は突然、同時に職を失うことになった。

 7年目の任期更新を目前に控えた2018年1月5日。助教夫妻(いずれも修士号)は大学側から雇い止めを通告された。

 30代の夫は福岡県内の大学院を卒業後、一度は薬剤師として働いたが、誘いを受けて09年に母校の九州保健福祉大に助手として勤め、12年に助教に昇格した。同大で職場結婚をした40代の妻とともに、博士号の取得に向け、研究に没頭していた。

 雇い止め通告後、夫妻は大学を追われ、同時に収入がなくなった。長男が通っていた保育園も、就労証明がなくなったことで一時保育に切り替えることになった。昨年10月には第2子が誕生。お金が必要な中、大学との争いを優位に進めるために、ほかの仕事に就くこともできず、生活が立ち行かなくなっていった。

 ログイン前の続き夫妻が無職になってから4月で1年になる。この間、預金も底をつきかけた。夫の留学や子供の将来のために始めた貯蓄も切り崩した。「解雇を認めるようで使いたくなかった」という退職金にも手をつけざるを得なくなった。

 助教の任期は2年更新だが、夫妻は採用時、大学幹部から「助教には10年間の任期がある」と口頭で説明を受けていた。しかし、解雇通告後、大学側は「独自の見解を述べただけ。明文化された規定は存在せず、10年間の雇用が保証されるものではない」と説明した。

 夫妻は大学との争いで、「助教の任期10年間は大多数の教員が持っていたごく当然の共通認識」と主張。代理人弁護士は「特別な事情もない中、任期中ならいつでも解雇できると考えるのは解雇権の濫用」と訴えた。

 これに対し、大学側は仮処分を巡る争いの中で、17年4月の薬学部入学者が定員を大きく割り込んだことから、「経営難による人員削減」と雇い止めの理由を説明していた。夫妻に対しては「早期に博士号取得を奨励していたのに、取得できていなかった」と主張した。

 延岡支部は2月、「10年間は契約が更新されるものと期待することは合理的」として夫妻らの訴えを認め、雇い止めを無効とする仮処分決定を出した。

 さらに「(夫妻に)雇い止めが伝えられた18年1月時点から4月以降の仕事を探すのは困難」として賃金の仮払いも認めた。夫妻が同時に職を失う事態に対し「雇い止めの影響は極めて大きかった」と指摘した。

 元助教や代理人弁護士は6日、延岡市で記者会見を開いた。

 仮処分決定で助教の地位保全は認められたものの、夫妻は「私たちが復帰できたとしても、大学が変わらない限り同じようなことはまた続く」と危惧する。「未来の学生たちのためにも経営陣には、これを機に大学の体質を見直してほしい」と話している。

 大学側は取材に対し、地位保全と賃金仮払いを命じる決定を不服として異議申し立ての手続きをとったことを明らかにしている。

 「研究者として復帰できるのか」。夫妻の不安はいまもぬぐえないままだ。(大山稜)


九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」

朝日新聞(2019/03/06)

雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」

 九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)の雇い止めをめぐる問題で、宮崎地裁延岡支部が元助教ら4人の地位保全を認める仮処分決定を出したことを受け、4人が6日、延岡市で記者会見を開いた。元助教らは「大学の対応に違和感と憤りを覚える」と涙ながらに訴えた。

 仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、元助手の30代女性。2月22日付の決定は元助教3人への雇い止め後の賃金仮払いも認めた。

 記者会見には4人と代理人弁護士が出席。延岡支部の決定に異議を申し立てるという大学側の方針に対し、「残念で、到底理解できない」と訴えた。

 4人のうち元助手は大学院生だった2016年9月~17年2月、薬学部の50代男性教授から無理やりキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。「研究室の教授に反発すれば自分の研究人生に関わるのでは」と被害を打ち明けられず、うつ病と診断されるまでに疲弊した。

 その後、セクハラは強く拒むようになるが、この教授の下で助手として働き始めた17年4月以降、教授からは「何もしなくていい」と冷遇され、予定していた実験計画がストップ。8月、大学にセクハラ被害を申し立てた。被害を耳にした元助教の女性も学長あての投書で告発し、大学は18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。

 女性2人に対する雇い止め通告は、教授の懲戒処分前の17年12月だった。このため、2人は「急な雇い止めはセクハラ被害を訴えたことに対する報復」と主張。延岡支部の決定も「助手を排除する意図で(雇い止めが)行われた可能性は否定できない」とした。

 女性2人は薬学部が新設された03年入学の1期生だった。「まさか母校からこんな扱いを受けるとは」「泥を塗るかたちになっても、胸を張って卒業生だと言える大学に生まれ変わってほしい」と話す。

 雇い止めの理由について、大学は「経営難による人員整理」「18年4月からは教育の質を保つため薬学部では助手と助教にも博士号を求める」と元助教らに説明。セクハラの告発は雇い止めとは無関係と主張している。

 セクハラ被害に遭った元助手は、18年3月に教授と大学を相手取り計550万円の損害賠償を求めて提訴している。(大山稜)


九州保健福祉大、雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら

朝日新聞(2019/03/03)

雇い止め無効の仮処分 セクハラ告発した大学元助教ら

 九州保健福祉大(宮崎県延岡市)薬学部の元助教ら4人が大学から不当な「雇い止め」を受けたとして地位保全を求めたことに対し、宮崎地裁延岡支部が4人の雇い止めを無効とする仮処分決定をしたことがわかった。

 仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、30代女性の元助手。申立書によると、元助教3人は3年目と7年目、元助手は2年目の契約更新を控えていたが、2017年12月から18年1月にかけて大学側から4月以降は契約を更新しないと通告された。

 延岡支部の決定は、教員の間では契約期間の上限は助教10年、助手6年と認識されていたと指摘。「契約更新を期待する合理的な理由が認められる」として、今回の雇い止めが労働契約法に反すると判断した。元助教3人には雇い止め以降の賃金仮払いも認めた。決定は今年2月22日付。

 争いの中で、4人は「雇い止めは、薬学部の男性教授によるセクハラ被害を訴えたことに対する報復だった」と主張した。

 元助手は大学院生だった16年9月~17年2月、研究室の50代教授に強引にキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。元助手と、被害を知った元助教の女性はセクハラ被害を大学に告発。大学はセクハラがあったと認め、18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。


2019年03月08日

岡山短大不当解雇事件、教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

NHKハートネット(2019年03月06日)
 ∟●教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

教壇復帰をめざした山口雪子さんの裁判のその後

2018年11月、ある重要な裁判の判決が下されました。視覚障害のある岡山短期大学の准教授、山口雪子さんが、「障害を理由に授業の担当から外されたのは障害者差別だ」として、学校法人を訴えていた裁判で、山口さんの勝訴が確定したのです。しかし、まだ山口さんの教壇復帰のめどはたっていません。そこにはどのような問題があるのでしょうか。山口さんの裁判を通し、障害者への差別をなくすために必要なことを考えます。

学生にとって大きな学びだった山口さんの授業

岡山短期大学准教授の山口雪子さんは、網膜色素変性症で、今は明暗がわかる程度の視力です。大学院で博士号を取り、1999年に岡山短期大学の教員となりました。採用の際には履歴書に網膜色素変性症という病名を書き、面接でも聞かれましたが、問題なく採用となりました。

保育士や幼稚園教諭をめざす学生の通う幼児教育学科で、山口さんは、専門科目である「保育(環境)」の授業を受け持っていました。

「子どもたちが不思議に思ったり、もっとやりたいと思うような活動をしていくのに、どんな計画をしたらいいんだろう、どんな準備をしたらいいんだろうと、そういう力を伸ばす授業でした」(山口さん)

一方で、就職した当初に比べ、視力は低下していきましたが、「学生たちが支えてくれたので、あまり不自由は感じていなかった」と山口さんはいいます。

授業において山口さんが大切にしてきたのが、「学生たち自身でやってもらう」ということでした。授業を通じ、学生がさまざまなことを学んでくれたことを山口さんは感じていました。

「卒業して保育園に勤めた卒業生が『障害がある子どもに対して、この子のできることは何だろう、この子の頑張れることは何だろうと、可能性に目を向けられるようになった』と話してくれました」(山口さん)

以前は、視力がなくなったときが人生の終わり、と考えていた山口さん。短大に勤めたことで、その考え方は変わっていきました。

「学生たちと出会って、学生たちと一緒に学び合うなかで、私の視覚障害はこの学び合うという空間をつくるために与えられたものなんだと感じられるようになったんですね。そこから私は、視覚障害が進行しても大丈夫だと、前向きに思えるようになりました」(山口さん)

全盲の弁護士で日本盲人会連合評議員でもある大胡田(おおごだ)誠さんによると、今、地域の幼稚園や保育園で、障害を持った子どもたちが受け入れを断られるケースが少なくないといいます。原因は、保育園や幼稚園の側が障害について知らないことにあると、大胡田さんは考えています。

「山口先生の授業は、学生たちにとって、ほかでは体験できない、ほかでは学べないことを学ぶ、かけがえのない機会だったはずです。それでやめさせようというのは、本当に信じがたい行いだと思います」(大胡田さん)

配置転換命令は違法

山口さんの証言を元に、提訴までの経緯を振り返ってみましょう。

2014年1月、学長から呼ばれた山口さんは、事務員が退職するため視覚支援をできる人員がいなくなることを理由に、退職を考えるよう言われました。

「レポートや試験の採点の代読を、学外の知人に依頼していたのですが、それが個人情報漏洩だというような叱責をもらいました」(山口さん)

そのときは、答案用紙などを学外に持ち出したことについては始末書を提出し、視覚支援は自費で雇った補佐員に学内で行ってもらうことで問題はクリアされたと考えていた山口さん。しかし2016年2月、今後は授業を担当させず、学科事務に専念するよう通告を受けます。理由は、「授業中の飲食、教室から抜け出すなど、学生の不適切な態度を見つけて注意することができない」というものでした。

短大側は、教員ではない「補佐員」が学生を注意することを禁じていました。視覚障害があることをわかっていながら、その責任を負わせようとする姿勢に、山口さんは絶望的な気分になったといいます。

それでも最初は、話し合いでの解決を求めましたが、糸口すらつかめません。やむを得ず、裁判に訴えることを決断したのです。

「裁判になると学生たちが心を痛めるかもしれないとは思いましたが、私は学生たちに、より良い社会をめざす者として、問題があったときに目を背けず取り組むこと、解決をめざすことが大切だと伝えてきました。自分がそれを破ることはできない、学生たちに嘘をつくことはしたくないと思って、障害者を排除するというこの問題に向き合おう、そのためには裁判しかないと決意しました」(山口さん)

裁判で山口さんは「視覚障害を理由として配置転換をした、これは違法であり、無効」と主張しました。

一方、短大側の主張は、弁護団の団長を務めた弁護士、水谷賢さんの説明によると2つです。

「1つは、授業中に飲食などを発見して、山口先生が学生を指導する、監督することができなかったというもの。もう1つは、視覚障害を理由にした差別ではない。もともと山口先生は教員としての資質、能力を欠いているから授業を外しただけだと。この2つが短大の主張でした」(水谷さん)

この主張に対して、水谷さんは次のように指摘します。

「指導・監督できなかったという主張に対しては、目の見えない人に見えることを要求しているわけですから、仮にそういうことがあれば、補佐員を配置して、補佐員から注意するとか、あるいは指導してもらうということで十分可能です。2つ目に対しては、むしろ逆に他の教員より優れている面がたくさんあるではないかと主張しました。学生が教員に対する評価を出している資料があるのですが、そこでは山口先生ははるかに高得点の教員でした」(水谷さん)

そうした資料に加え、裁判のことを知った山口さんのかつての教え子たちも、陳述書を裁判所に提出。番組にも次のようなメールを寄せてくださいました。

「授業中の飲食については、他の先生の講義でもあったことで、目の前で食べていても注意をしない先生や、注意をしてほしいくらい私語があるときでも何も言わない先生もいました。そのなかで、山口先生は、私語などはすぐ注意していたので、先生の講義は落ち着いて受けられました。先生の視覚障害については、学生に迷惑をかけていると感じたことはありませんでした。何でも話しやすい人柄で相談にも親身にのってくれる尊敬できる先生でした。

「山口先生の授業では、実際に屋外に出てみたり、保育で使えそうな玩具を作ってみたりなど、具体的に学ぶことができてとても役に立ちました。短大では、障害児についても、皆が一緒に楽しく保育生活を送れるための支援について学びましたが、今の短大では、それとは逆の行動を、先生方がとっていることに残念な気持ちを抱いています。幼児教育を学ぶ場として、学長や先生方には、山口先生を職員の一員として受け入れるよう願っています。」

裁判の結果、2018年11月には最高裁で短大側の上告が棄却され、山口さんの勝訴が確定しました。判決では、短大の業務命令に山口さんが従う義務はないとし、慰謝料として110万円を支払うことも命じました。

「この判決のポイントとしては、もし働いてる障害者が障害のために何かできないことがあったとするならば、雇い主はまずはそれをできるための方法を考えなさい、そんな支援を何も講じないで、まるで厄介払いをするように窓際に配置転換することは、それは権利濫用で違法、無効なんだということをはっきり言った。そういう意味があると思っています」(大胡田さん)

勝訴しても実現しない教壇復帰 背景にある「司法の限界」

2年半にわたる裁判の末、勝訴が確定した山口さん。しかし、まだ教壇に復帰するめどがたっていません。

「最高裁判所の決定ですから、短大側は真摯に受け止めてくれると思っていました。しかし、教壇に復帰したいという申し出をしたところ、合理的配慮どころか、これは教授会で決めることなので、大学としては回答ができないという対応にでました」(水谷さん)

そして2019年1月下旬。短大側からは来年度、山口さんが担当する授業の開講はないと通知がありました。

こうした状況の背景には司法の限界があると、大胡田さんは指摘します。

「日本の裁判所はこれまで、ある労働者がこういう仕事をさせてほしいというふうな裁判を起こした際に、この仕事をさせなさいという判決は下せない、そういう前例があるんですね。今回の裁判でもそこが1つ問題になりました。裁判所としては、授業外しの命令は無効だということは言えますけど、この授業を山口さんにやらせなさいというところまでは言えない、それが司法の限界なんだなということをね、改めて思いました。短大側としては、「大学の自治」ということを持ち出して、授業を持たせないと言っています。ですが、これも本当におかしい話で、障害者を差別する自由だとか、マイノリティを排除する自由というのはないんですね」(大胡田さん)

最高裁で判決が確定していることから、再び裁判を起こすことは考えていないという水谷さん。今後について次のように語りました。

「日本は法治国家で、この最高裁の決定の趣旨を守らなければなりません。短大もそのとおりです。だから短大が授業外しをまだ続けているということを世論に訴えていきたいと思います。同時に、2018年から厚生労働省にも文部科学省にも要請をしてまいりました。この最高裁決定を事実上無視する短大の学校法人の運営の仕方、この点についても可能な限り行政指導を要請していきたいと考えています」(水谷さん)

山口さんは今、授業がないにもかかわらず、短大に出勤をしています。教壇への復帰を見据えているからです。

「大学は、教育と研究が2本柱だと、私は思っています。今、教育からは外されましたけれども、研究は続けよう。そして、教育にいつでも戻れるように準備しようと思っています。だから、研究に専念することによって、負けないって思っています」(山口さん)

※この記事は2019(平成31)年2月10日(日)放送の視覚障害ナビ・ラジオ「教壇復帰をめざして」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

※山口雪子さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づく調停を岡山労働局に申し立て、短大側に協議に応じるよう求めています。


2019年03月05日

九州保健福祉大の雇い止めは無効

NHK宮崎(2019年03月05日)

宮崎県延岡市の九州保健福祉大学から雇い止めを受けた元助手ら4人が地位保全を求めた仮処分の申し立てについて、宮崎地方裁判所延岡支部は雇い止めを無効とする決定を出しました。

このうちの1人は男性教授からセクハラ被害を受けたと申し立てていて、裁判所は「被害者を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。

延岡市の九州保健福祉大学で助教や助手として働いていた男女4人はおととし12月から翌月にかけて大学から相次いで雇い止めを通告され、大学を運営する学校法人を相手取って地位保全を求める仮処分を申し立てていました。

これについて宮崎地方裁判所延岡支部の宮島文邦裁判官は先月22日づけで、「教員の間では助教や助手はそれぞれ一定の年数を雇用されるものと認識されており、契約の更新を期待する合理的な理由が認められる」として、雇い止めは無効だとする決定をしました。

この問題をめぐっては、4人のうちの1人で、元助手の女性が大学の50代の教授からセクハラを受けたとして大学に被害を申し立てていて、これについて宮島裁判官は「助手を排除する意図で雇い止めが行われた可能性も否定できない」と指摘しました。

大学は被害の申し立てを受けて教授のセクハラを認定し、去年1月、停職1か月の懲戒処分にしています。

今回の決定について九州保健福祉大学は「4人の契約を更新しなかったこととセクハラ問題は関係がなく、裁判所に異議申し立てを行いたい」とコメントしています。


2019年03月04日

明治学院大学事件、日本の大学界の病弊を象徴する大事件

日本の大学界の病弊を象徴する大事件

日本の大学界の病弊を象徴する大事件
――「明治学院大学事件」の裁判記録――

寄川条路

寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著
『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』A5判・96頁・926円、法律文化社、978-4-589-03977-4

 大学当局が教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文およびその解説を収めた全実録が刊行された。「日本の大学界の病弊を象徴する大事件」(小林節氏談)とも呼ばれ、学問の自由、教育の自由、表現の自由の根幹を揺るがした裁判の記録である。
 裁判の結果が報じられたとき、本件は、「リベラルな大学」での特異な出来事と受け止められたが、実際のところは、現在の日本の大学界に広く蔓延している病状の一例にすぎない。明治学院大学のように授業の盗聴や録音を無断で行っている大学もあれば、授業の撮影や録画を行っている大学もある。このような日本の大学の現状を知ってもらうために、裁判記録を公刊することにした。
 本書には、裁判所に提出された法学者の意見書と、それを受けて裁判所が下した判決書が収められている。
 まず、憲法学の大御所である小林節は、「学問の自由」という観点からその理念を歴史的に概観し、つぎに、教育法の権威である丹羽徹は、「教育の自由」という観点から強固な法理論を構築し、そして、表現法について第一線で活躍している志田陽子は、「表現の自由」という観点から事件を緻密に検証している。さらに、判決文は、裁判所の承諾を得たうえで公表し、担当弁護士の太期宗平が的確な解説を加えている。
 本書は、「明治学院大学事件」の裁判記録であるが、日本の大学界全体の教訓として必要不可欠なものであるとの指摘を受けて公刊された。編者としては、この本によって日本の大学の現状を知ってもらい、「学問・教育・表見の自由」を考えるきっかけにしてもらえればと思っている。
 なお、本書は、シリーズ「学問の自由」の第1号である。「明治学院大学事件」の裁判記録である本号に続いて、第2号として、法学者・教育学者・倫理学者など、大学関係者による論説集が予定されている。(よりかわ・じょうじ=明治学院大学教授、哲学・倫理学専攻)
★こばやし・せつ=慶應義塾大学名誉教授・弁護士、憲法学専攻。
★にわ・とおる=龍谷大学法学部教授、憲法学・教育法専攻。
★しだ・ようこ=武蔵野美術大学造形学部教授、憲法学・言論法専攻。
★だいご・そうへい=ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士。


2019年02月27日

岡山短大解雇事件、「授業担当なし」調停申し立て

NHK岡山(2019年02月25日)

「授業担当なし」調停申し立て

倉敷市にある短期大学の視覚障害のある准教授をめぐり、授業の担当から外した措置は無効だとする判決が確定したあとに、短大側が新年度も授業を担当させない決定をしていたことが分かりました。
准教授は労働局に調停を申し立て、「話し合いのテーブルについてほしい」と述べました。

倉敷市の岡山短期大学に勤務する山口雪子准教授(54)は、病気が理由でほとんど目が見えません。
3年前、授業中に飲食をしていた学生を注意できなかったことなどを理由に授業の担当から外され、「障害を理由にした差別だ」として運営法人を相手取って裁判を起こし、去年11月、最高裁判所が短大側の上告を退けて担当を外した措置は無効だとする判決が確定しました。
ところが山口准教授の弁護士によりますと、判決の確定後、教壇への復帰を申し入れたものの短大側は協議に応じず、先月、「新年度の担当授業はない」と連絡があったということです。
このため山口准教授は25日、短大側に協議に応じるよう求める調停を岡山労働局に申し立てました。
申し立てのあと、山口准教授は記者会見を開き「短大側は問題から目を背け続けている。話し合いのテーブルについてほしい」と話していました。
一方、短大の弁護士はNHKの取材に対し「授業を割り当てなかったのは准教授の研究実績に基づいた決定だ。調停については労働局から連絡を受けていないのでコメントできない」と話していました。


2019年02月26日

岡山短大解雇事件、大学は最高裁の解雇無効判決にもかかわらず職場復帰を拒否

現在ビジネス
 ∟●突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き(田中圭太郎)

突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き
最高裁判所の判決にもかかわらず…

岡山短期大学幼児教育学科の准教授が、2016年3月、視覚障害を理由に「指導能力がない」と教職を外された。准教授は教職への復帰を訴えたが、岡山短大はこれを認めず法廷闘争に発展。18年11月、職務変更を無効とする判決が最高裁で確定し、准教授が勝訴した。

ところが19年1月、岡山短大は准教授の教職復帰を引き続き認めず、事務職として働かせる決定をした。表向きの理由は「授業の担当教員の変更」と説明し、障害が理由ではないという。しかし、その背景に浮かび上がるのは、准教授への差別だ。問題の経緯と、現状を取材した。

岡山短大による職務変更命令は「不法行為」

「教員能力が欠如しているとして授業を外されましたが、裁判所は職務変更が無効だと判断してくれました。にもかかわらず、今年4月以降も私は授業を担当できないのです。私は大学に謝ってほしいわけではありません。以前のように教壇に戻してほしい、ただそれだけです」

教職への復帰を訴えているのは、岡山短大幼児教育学科の山口雪子准教授(54)。遺伝性の網膜色素変性症を患いながら、博士号を取得後、1999年に講師として採用され、2007に准教授になった。自然の中での遊びや科学遊びなどを通して、幼児の好奇心を引き出しながら教育を実践する「環境(保育内容)」の科目を専門にしている。

山口さんが岡山短大で講師をするようになったのは、博士課程を学んだ岡山大学資源生物科学研究所(現在は資源植物科学研究所)の教授からの紹介がきっかけだった。「短大なら視覚障害があっても安心して勤められるだろう」と紹介されたのだ。

山口さんの視力は0.2ほどあるものの、網膜色素変性症は視野が徐々に狭くなる病気だ。「映画館のスクリーンが徐々になくなっていく感じ」と山口さんは説明する。暗いところで物が見えなくなる夜盲も起きる。

罹患していることがわかったのは、小学校の入学前検診の時。兄も同じ病気だったことから気がついたという。小学校の頃は0.5ほどの視力があり、症状はいまと同じでゆっくり進行していた。山口さんは小学校から高校までずっと普通の学級で過ごしている。

病気の進行には個人差があり、20歳くらいで目が見えなくなる人もいれば、高齢でも視力が残る場合がある。自分の病気を理解した山口さんは、自分のしたいことを仕事にしようと研究者の道に進むことを決意。日本大学の農獣医学部(現在の生物資源科学部)で農芸化学を専攻。大学院で修士課程を卒業後、一旦就職して、岡山大学の研究所で再び学んだ。

岡山短大では当初、生物学を教えていたが、「環境」という新たなテーマに取り組むようになって、大きなやりがいを感じるようになったという。

「ふだん、土いじりや虫を嫌う文系の学生が、幼い子どもたちと一緒だと自然の中で興味を持って活動してくれます。野外での活動や、シャボン玉などの科学遊びを、幼児教育にどのように取り入れていくかを考えてきました。面白い研究テーマをいただいたと思っています」

研究や授業を進めるうえで、視覚障害はほとんど支障がなかった。現在の視力は、目の前で手を上下左右に振ると、その様子は見えるものの、指の数まではわからないという状態だが、長年の経験もあり、今後も授業を続けることについて問題はないと思っている。

しかし、山口さんは16年3月以降、「指導能力が欠如している」として大学から突然授業を外されたのだ。大学はその年の1月、教職から事務職への職務変更と、研究室からの退室を通告。山口さんが弁護士を通じて教職への復帰を求めたが、大学は応じない。非公開で地位保全の仮処分を申し立てて和解の道も探ったが、これにも大学は応じなかった。

他に方法を失った山口さんは、16年3月に大学を提訴。一審と控訴審は、山口さんの職務変更と研究室からの退去を無効とし、大学に110万円の支払いを命じた。18年11月、最高裁で判決が確定した。

判決では、職務変更が必要だと大学が主張する理由は、補佐員による視覚補助で解決が可能だとして、職務変更は不法行為と指摘。山口さんが授業をする権利までは認められないものの、専門分野について学生を指導する利益はあり、山口さんに著しい不利益を与える行為だと結論づけた。

ところが大学は今年1月7日の教授会で、今年4月以降も山口さんの担当授業はないと決定。やはり事務職への職務変更を曲げなかったのだ。その理由は、山口さんが担当していた専門分野の授業は「別の教員が担当者として適任」であり、その他の一般教育科目は「履修者が少ないために開講しない」というもの。つまり、大学はあくまで教員の交代と科目の消滅で「担当教員から外す旨の決定ではない」と主張している。

視覚障害を理由に「指導能力がない」

では元々「他に適任者がいる」という理由で、山口さんが授業から外されたのかと言えば、そうではなかった。最初に動きがあったのは14年1月。

当時、幼児教育学科に在籍していた事務担当の派遣職員が、山口さんの業務の補助をしていた。以前よりも病気が進行していた山口さんは、派遣職員が自ら「手伝えることはありませんか」と声をかけてくれたことから、書類のレイアウトの調整や、印刷物や手書き文書の読み上げなど、視覚障害のためにできない作業の補助をお願いしたという。

にもかかわらず大学は、派遣職員の契約が14年2月に満期を迎えることを理由に、山口さんに「今年度で辞めたらどうですか」と言ってきたという。次に着任する職員には、視覚障害をカバーするための補助作業はさせられないからと、山口さんに退職勧奨した、というのだ。

この時は山口さんが自費で補佐員を雇うことで、退職を回避した。補佐員は週に2、3日、1日5時間ほど出勤し、研究室での補助や、授業での出欠の確認などを手伝っていた。

ところが16年1月、大学が今度は「山口さんには指導能力が欠如している」と言い始め、教職をやめるよう迫ってきた。山口さんによると、その理由は次の2点だったという。

ひとつは、山口さんがゼミで教えていたある学生が、同じゼミの学生と仲が悪くなり、ゼミが楽しくないと他の教員に伝えたことを、大学が山口さんへのクレームとして大きく扱ったこと。もうひとつは、山口さんの授業中に抜け出している学生がいるが、山口さんが視覚障害のために注意できない、というものだった。

山口さんは16年2月、代理人弁護士を通じて、話し合いで解決するよう求めた。しかし大学の態度は頑なで、さらにいくつもの理由をつけてきた。視覚障害のために授業中にスマホをいじっている学生を注意できない、無断で教室を退去する学生を注意できない、など。

大学は特に、授業中にカップラーメンを教室で食べていた学生がいたにもかかわらず、山口さんの視力が弱いために気づかず、注意できなかったことを大きな問題にした。しかし、それなりの分別があるはずの短大の学生による問題行動を、目が見えなくて気づかず注意できないのが悪いと、全て山口さんに責任を押し付けるのはいかがなものだろうか。

山口さんはこれまで20年近くにわたって授業を担当してきた。講師から准教授にもなった。それなのに大学は、視覚障害があるために学生の問題行動を注意できないから指導能力がないと突然言い始めたのだ。

本来は、視覚障害がある山口さんの補佐は、大学が合理的配慮によって考えるべきことだ。しかし大学は、配慮はせず、教員から外してしまった、ということだ。

教育者を育てる大学なのに

山口さんの裁判や教職への復帰については、「支える会」が結成されて、多くの人が支援している。16年5月には視覚障害がある全国の大学教授が文部科学省で会見し、「視覚障害がある大学教員は不適格などと、私たちは言われたことがない」「ナンセンスだ」と声を上げた。この時点で視覚障害の大学教員は少なくとも全国で25人いた。

勝訴確定後の18年12月15日には岡山市で、16日には東京・新宿区で「支える会」の集会が開かれ、山口さんが教壇に戻れるように活動を続けていくことを確認した。

16年4月に施行された障害者差別解消法は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を目的としている。岡山短大の行為は、法の趣旨に反していると言える。

厚生労働省は、障害者雇用促進法の観点からも、問題があると捉えている。最高裁での判決確定を受けて、18年12月末には岡山労働局が岡山短大を訪れ、「障害者であることを理由とする差別を禁止」し、「合理的な配慮を当事者と事業主との間で話し合い、必要な措置を講じること」を定めている法の趣旨を説明した。

その後、19年1月に岡山短大が山口さんに授業をさせないと決定したことについて、厚生労働省障害者雇用対策課の担当者は「問題が多い状況だと考えている」と話している。しかし一方で、岡山短大に対する指導については、「裁判になった時点で指導、監督などの行政行為は行うことができない」と及び腰で、「岡山短大には判決内容に基づいて、自主的に解決を図るように務めていただきたい」と述べるに留まっている。

岡山短大は自主的に解決を図る考えがあるのだろうか。今年4月以降も山口さんを授業から外す決定をしたことについて、改めて岡山短大に聞くと、「代理人弁護士からお答えします」とノーコメントだった。

代理人弁護士は「授業の担当者は毎年教授会にかけて決定しています。この度の決定は、専ら研究教育実績に基づいて判断したものであり、視覚障害は理由ではありません」と話した。岡山短大としてはこの問題は「解決した」という態度だ。

しかし、岡山短大は「16年4月以降山口さんの職務を変更したことは無効」とする判決を無視していると言えるのではないか。山口さんは今、大学の態度に、怒りよりも残念な気持ちを抱いているという。

「かつては、私が廊下を歩いていて障害物に当たりそうになったら、教職員も学生も声をかけて教えてくれました。しかし現在は、廊下でドアにぶつかっても見て見ぬ振りをする人が多くなっています。教育者を養成する大学で、言葉では思いやりが大切といいながら、視覚障害のある私を差別し、村八分にして、学生は何を学ぶのでしょうか。

人間ですから間違うこともあります。その間違いを認めて、乗り越えていけば、大学もよりよく発展できると思うのです。しかし、裁判所に間違いを指摘されながらも、変えることができない大学の態度には悲しいものがあります。

私は障害があっても、自分の好きなこと、得意なことを見つけて頑張れば、社会の中で輝けるということを知りました。もう一度教壇に戻って、支え合い、認め合うことで、豊かな社会になるのだということを、学生に伝えたいと思っています」

復職したいという思いの一方で、教育者を要請する大学で起きている障害者差別をこのまま見過ごすわけにはいかない。そう考える山口さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づいて、岡山短大と協議をするための調停を岡山労働局に申請した。今後も大学に協議の場を持つように求めていく考えだ。


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