研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

都留文科大学事件 

■労働組合役職者に対する所属学科からの不当な排除事件
  2018年3月26日東京地裁に提訴(3人)
1.異を唱えた専任教員3名を所属学科から不当に排除 (三多摩法律事務所)
2.組合理由に排除は不当 都留文科大学教授ら提訴 (日本共産党山梨県委員会)

■根拠のないパワハラを理由とした授業・ゼミ担当外し事件
  2018年2月1日東京地裁に提訴 (1名)

■東京地裁無実確定後も授業を外し研究室などへの立ち入りを妨害する事件
 2018年7月4日東京地裁に提訴(1名)

■ 労働組合に所属の教員6名に対して違法な退職金減額事件
 東京地裁(2015年6月13日)二審高裁高裁判決(2015年10月28日),最高裁で大学側敗訴(2016年6月)

■上と同様の事件で,別の6人による提訴(不当に退職金を減額した事件)
  甲府地裁判決(2018年1月18日)約1250万円の支払い命令

この大学、かなり異常! 
80人が所属するこの大学で,2年間に11名が不法な扱いで大学を提訴。

都留文科大学における執行部による大学私物化とその背景(法と民主主義 2017/6 No.519)

明治学院大学解雇事件

速報 東京地裁・判決(2018年6月28日)勝訴!

■学問の自由と信教の自由を弁(わきま)えない大学
■授業を無断録音し教授を解雇した明治学院大学の犯罪
■明治学院、「いじめ対策せず」元高校女生徒に続き―大学でも「盗聴」に抗議する教授を懲戒解雇し提訴されていた
明治学院大学、授業盗聴・教科書検閲・理事会乗っ取り いま大学で何が起きているのか?

「東京新聞」(2017.1.7), (2018.1.4), 日刊ゲンダイ』(2018.1.4), 弁護士ドットコム

明治学院大学、授業無断録音に抗議した教授の解雇は「無効」判決(東京地裁)

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)を刊行
 ∟●貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

名古屋芸術大学解雇事件 

2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇
中河・小西両教授を支援する会HP

新聞記事

大学オンブズマン

学校法人四国大学は徳島地裁の判決に従うとともに、女性准教授に謝罪せよ (2017年12月20日)

過去記事 (労災・損害賠償訴訟 新聞記事1 記事2 記事3  大学オンブズマン声明

広島大学原爆放射線医科学研究所 

パワハラ訴訟 新聞記事1 新聞記事2 新聞記事3
これはひどい!
不当なパワハラを受けた原告教員に対して,提訴の報復として再任を拒否(3月末で解雇) 

[週刊金曜日に連載]
広島大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ
広島大学で“大人のいじめ”2──対応しない大学当局

岡山短期大学不当配転事件 

岡山地裁・判決(3月28日)・勝訴
訴状  判決文

山口雪子さんを支える会
障害者差別を訴える山口雪子(IPNET-J顧問)准教授を応援するWeb

常葉大短大部不当解雇事件

静岡地裁決文(2015年7月3日)  原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、声明(2015年7月4日)
仮処分異議申立裁判、静岡地裁決定(2016年1月25日) 完全勝訴 祝! 
静岡県内3大学教職員組合声明(2016年2月16日)
本訴裁判・静岡地裁判決(2017年1月20日) 原告・完全勝訴 祝! 新聞報道
東京高裁判決(2017年7月13日)学園の控訴棄却,原告・完全勝訴 祝! 声明1

追手門学院大学不当配転事件 控訴審 
学園側が控訴取下 大阪地裁判決(2015年年11月18日)が確定!
祝! 落合正行前学長の勝訴確定

大阪地裁判決(抄)  原告声明 左2つの文書提供は「支援する会」より

弘前学院大学 不当解雇事件

原告教員、青森地裁弘前支部に提訴(2015年12月28日)

 

追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分

懲戒解雇に対する声明 (文書提供は「支援する会」より) 訴状(2015年12月28日)

追手門学院大学で何が起こっているのか(「私大教連かんさい」No.115,2015年11月26日)

酪農学園大学長解任無効確認訴訟 

原告・前学長が札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状  学長解任に関する新聞報道

・酪農学園大学退職教授団HP 「酪農大はやっぱり素 晴らしい」

New! 酪農学園元評議員名誉毀損裁判、最高裁が上告棄却 教員側の全面勝訴!詳しくはこちら

(2017年12月18日現在)

名古屋芸術大学不当解雇事件  2017年10月25日に教職員組合の委員長・副委員長の教授を不当懲戒解雇 中河・小西両教授を支援する会HP 
常葉大短大部不当解雇事件・控訴裁判  2017年7月13日東京高裁判決 祝 勝訴! 声明 
岡山短期大学不当配転事件・本訴裁判  2017年3月28日岡山地裁判決 祝 勝訴! 記事 訴状 
宮崎大学不当処分事件  2016年10月28日最高裁判決 祝 勝訴! 記事 
京都産業大学昇任拒否雇止め事件  2016年9月27日京都地裁不当判決! 記事
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
四国大学労災損害賠償請求事件  原告教員が徳島地裁に提訴中
弘前学院大学不当解雇事件  原告教員が青森地裁に提訴(2015年12月28日)  
追手門学院大学不当配転事件  2016年3月1日学園側控訴取下 落合正行前学長の勝訴確定! 祝! 記事 
常葉大短大部不当解雇事件   2016年1月25日静岡地裁仮処分意義申立決定 祝! 勝訴!  地裁決定全文 
追手門学院大学不当解雇事件  2015年10月25日懲戒解雇処分 懲戒解雇に対する声明 原告・訴状(2015年12月28日)
吉備国際大学不当労働行為事件 2015年7月23日岡山地労委命令! 祝!勝訴 地労委命令書  
聖トマス大学解雇事件 2015年7月21日 神戸地裁で和解  
常葉大短大部不当解雇事件   2015年7月3日静岡地裁仮処分決定 祝! 勝訴!  報道 
九州産業大学教授降格処分事件   2015年3月18日福岡地裁に提訴   
野中教授「名誉毀損」不当提訴事件   2014年11月12日東京高裁   祝! 勝訴!   報道 判決文
名古屋女子大組合委員長不当解雇事件 名古屋地裁   祝! 勝訴!  新聞報道 
愛媛大学アカハラ等人権侵害事件 教官の違法行為と大学の責任を問う! 支援する会 訴状
専修大学職員解雇事件 東京地裁判決 新聞記事 
鈴鹿医療大学不当配転事件 理事会・名古屋高裁に控訴 鶴舞総合法律事務所 
岡山商科大不当労働行為事件 岡山県労委命令 2013年4月11日中労委再審申立
日本社会事業大学未払賃金請求訴訟 東京地裁2012年6月28日提訴  
東京女学館大学不当労働行為事件 東京地裁2012年12月14日提訴 募集停止問題  
東京国際大学不当労働行為事件 2012年2月27日都労委に救済申立  
大阪産業大学不当労働行為事件 2012年7月9日大阪府労委に救済申立  

北海道関係の訴訟一覧(2017年4月09日現在)

千歳科学技術大学不当解雇事件 最高裁・不当判決(2017年3月30日) 記事 
札幌大学未払い賃金請求訴訟 札幌地裁判決(2017年3月30日)祝 勝訴! 新聞記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 最高裁上告棄却(2016年9月11日)祝 勝訴!  記事 
酪農学園大学前常務理事の損害賠償等請求事件 札幌高裁判決(2016年3月11日)祝 逆転勝訴!  記事 
酪農学園大学長解任無効確認訴訟 札幌地裁に提訴(2016年1月8日) 訴状
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 札幌地裁不当判決(2015年12月18日 新聞記事 
専修大学道短大副学長不当解雇事件 札幌地裁不当判決(2015年9月18日) 声明文 組合HP 
札幌医科大学退職強要・バワハラ訴訟 札幌高裁・不当判決(2015年6月2日) 
千歳科学技術大学不当解雇事件 札幌地裁・不当判決(2015年5月28日) 記事 
酪農学園大学前常務理事の現学長を含む6教員に対する訴訟 札幌地裁・不当判決(2015年5月11日)  財界さっぽろ2015年5月号記事
北海道文教大学雇止無効訴訟 札幌地裁判決(2015年5月8日)元2教授の請求棄却 新聞記事 
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌高裁・不当判決(2015年4月24日) 組合HP  声明 
天使大学懲戒処分無効確認訴訟 札幌地裁(2014年12月12日)   祝! 勝訴!  
札幌大学不当労働行為事件 2014年10月28日道労委命令!   祝! 勝訴!   道労委命令(全文)  
天使大学不当労働行為事件 2014年9月3日中労委命令!  祝! 勝訴!   中労委命令道労委命令 
室蘭工業大学不当労働行為事件 道労委へ提訴(2014年7月)
北海道教育大学旭川校不当解雇事件 最高裁(2014年2月20日)  祝! 勝訴! 新聞記事  
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月21日) 原告団・弁護団、抗議声明 
北海道大学非正規職員雇止無効訴訟 札幌高裁・不当判決(2014年2月20日) 上告!
専修大道短大不当整理解雇事件 札幌地裁・不当判決(2013年12月2日) 組合HP  声明文
専修大学道短大前学長諭旨免職事件 2013年5月24日札幌地裁へ提訴! 新聞記事 
東京理科大長万部キャンパス・職員懲戒処分事件 

[決着済訴訟一覧]
名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件  2016年6月17日最高裁、上告を棄却 祝!原告勝訴   
 記事 鶴舞総合法律事務所  「AERA」2013年7月8日号  TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」2013年7月23日
富山大学懲戒解雇事件 富山地裁で和解(2016年11月29日)  原告・支援する会のコメント  「シュレッダーから甦った書類ー富山大学懲戒解雇事件を考える」
北陸大学不当解雇事件 全面勝訴で和解  記事 
長崎県立大学懲戒処分事件 最高裁 勝訴確定 New 事件を考える会HP 
関西外語大昇給差別訴訟控訴審 最高裁判所が不当判決 組合ニュース 
金沢大出勤停止処分無効確認等請求事件 勝訴確定!大学側控訴断念 原告ブログ 
■東和大解雇事件 解雇撤回で和解 福岡地裁 記事 過去経緯1過去経緯2
■名古屋女子大組合員不当解雇事件 2009年6月に決着 自由法曹団通信1306号
■大阪工大解雇事件 解雇撤回 逆転勝訴 記事 過去経緯
■大阪芸術大不当労働行為事件 大阪地裁 勝利判決 記事  学園側が大阪高裁に控訴
■鹿国大不当解雇事件 最高裁・上告を棄却 三教授勝訴 記事 
■湘南工科大不当解雇事件 最高裁が上告棄却 勝訴確定! 譴責処分も撤回 記事
■APU常勤講師解雇事件 最高裁「特別抗告棄却」 記事 
■APU専任講師解雇事件 京都地裁が解雇権濫用を断定
■京都大学任期制再任拒否事件 最高裁が上告棄却  記事
全国大学の非正規雇止無効訴訟一覧
(2013年11月29日現在)

名城大学・金城学院大学非常勤講師裁判 原告の訴え
京都精華大学ユニオン
■京都産業大学 昇任拒否による雇止め,2013年3月28日京都地裁へ提訴 新聞記事
■九州共立大学 教授雇止め 2012年7月10日 福岡地裁へ提訴
■九州女子短期大学 講師雇止め 2012年11月6日 福岡地裁へ本訴提訴 新聞記事

首都圏大学非常勤講師組合、早稲田大学に対する告発状

 

2019年01月07日

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

貴方は「明治学院大学事件」をご存じだろうか?――学問の自由のために!

合澤 清(ちきゅう座会員)

「ちきゅう座」(2019年1月7日)http://chikyuza.net/archives/90363

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』寄川条路編(法律文化社)
 年末に読んだこの本に強いショックを受けた。
 この事件のことは、「東京新聞」(2017年1月7日付)の記事で一応知ってはいた。しかし、詳しい経緯までは全く知らなかったのは不明の至りである。
 以下、ネットで調べた「東京新聞」の記事を引用・紹介する。

 「授業を無断録音された上、懲戒解雇されたのは不当などとして、明治学院大(東京都港区)の元教授寄川条路さん(55)が、同大を運営する学校法人「明治学院」に教授としての地位確認と、慰謝料など約1,370万円を求める訴訟を東京地裁に起こした……。
 訴えなどによると、寄川さんは一般教養で倫理学を担当。2015年4月の授業で、大学の運営方針を批判したことなどを理由に、同12月に大学側から厳重注意を受けた。大学側は、授業の録音を聞いて寄川さんの批判を知ったと認めたため、寄川さんは学生が何らかの情報を知っているかもしれないと推測。テスト用紙の余白に、大学側の教授の名前を挙げ「録音テープを渡した人を探している」と印刷し、呼び掛けた。これに対し大学側は、その教授が録音に関わった印象を与え、名誉毀損に当たるなどとして昨年10月に懲戒解雇した。
 寄川さんは「大学側が授業を録音したのは、表現の自由や学問の自由の侵害だ」と主張。労働審判を申し立てたが解決に至らず、訴訟に移行した。大学側は審判で職員による録音を認めた上で「録音したのは実質的には授業でなく、(年度初めに授業方針を説明する)ガイダンス。授業内容を根拠としての解雇ではない」と説明していた。
 同大広報課は、本紙の取材に「懲戒処分は手続きに沿って適正に判断した。個別案件についてはコメントできない」としている。」

 ネット上で調べた限り、この「学問の自由」にかかわる「重大な事件」を取り上げたのが、この「東京新聞」と「上智新聞」だけだった(?)ようなのは、なんとも情けない。大学の授業に「検閲」が入ったといっても過言ではない大変な事件である。
 そうでなくとも今日の大学では、学生の自由な自治活動は認めず、全てが大学当局による認可制度のうえにのみ行われるように仕向けられている。完全な管理・監視体制である。
 これで「自由な学問」「自由な教育」「大学の自治」などありうるはずがない。
 教員採用も、その人の学問の実績や教養の高さなどで諮るのではなく、その人物が如何に現体制(引いては大学当局)に協力的であるかによって決められるのが実情である。
 こういう輩から教わる学生は哀れなものだ。詰まるところ「大政翼賛教育」が施されるのは必定であろう。
 昨今の学生気質が、学問などどうでもよくて、ただ就職のためだけに学校に通っている(大学の専門学校化)といわれるのも、無理からぬことである。
 文科省、その管轄下の大学、そしてそこで教える者も教わる者も、腐りきっている。かくて日本という国は、凋落の一途をたどることになる。
 今年は、「東大闘争」から節目の50年を迎える。1月19日に多くの犠牲者を出しつつ、残念ながら陥落した「安田砦」の攻防戦を改めて思い起こす。
 あの深刻な闘いは何だったのか、われわれはその後に何を残しえたのだろうか? 大学への管理強化という負の遺産だけだったのか……。

<この事件のあらましと現状>

 明治学院大学という名前のキリスト教系大学からそれまで受けていた印象は、リベラルなものであった。確か、詩人の島崎藤村が本学の出身者であることは有名である。
 そして「建学の精神」として次のことが謳われている。

 「建学の精神として「キリスト教主義教育」を掲げ、キリスト教による人格教育を実践している。
 また、教育の理念として "Do for Others"(他者への貢献)を掲げている。これは、新約聖書の "Do for others what you want them to do for you." という部分から引用されたもので、創設者であるヘボンの信念をよく表す言葉とされている。」

 つまり「汝が欲するところを人に施せ」というのがその基本精神であるという。
 ところが、このイメージが今回の事件で一変した。
 裁判で明らかになったことでは、「明治学院大学では、慣例として授業の盗聴が行われており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのこと」だ。「また、同大学では、大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使用する教科書を検閲したり、教材プリントを事前にチェックしたりしていた。さらに、学生の答案用紙を抜き取って検閲したり、インターネット上の書き込みを調査したりしていた」(本書「まえがき」)
 なんだか「うすら寒く」ならないだろうか。これではまるっきりナチの体制下、スターリン体制下、あるいは戦前・戦中の軍部の支配下に置かれているのと同様ではないか。
 まさか寄川教授が「盗聴」を欲し、「自由な学問と教育の放棄」を欲していたわけではあるまい。ということは、人が欲しないことを人に強要するということに「建学の精神」を変えたのであろうか?
 どうもこの「建学の精神」と、これら「授業盗聴」などの常態化とは相反しているとしか言いようがない。
 本書の「まえがき」から事件の概要を時系列に述べる。詳細は、直接本書に当たって頂きたい。

 2015. 4:大学当局が教授に無断で授業を盗聴し録音
 2015.12:授業で大学を批判したとして教授を厳重注意/授業を無断録音された教授が大学当局を告発
 2016.10:大学当局は告発した教授を懲戒解雇/解雇された教授が地位確認の労働審判を申立
 2016.12:裁判所は解雇を無効として教授の復職を提案。和解不成立。/解雇された教授が地位確認の訴えを提起
 2018. 4:裁判所は解雇の撤回と無断録音の謝罪を提案。和解不成立。
 2018. 6:裁判所は解雇について無効であると判決

 ここに明らかなように、これは大学当局の「解雇権の濫用であり、無効である」ことは明白である。にもかかわらず、寄川教授は、今日に至るも復職は認められていない。
 「上智新聞」(2017年2月1日)は、係争中の寄川条路氏の身分を「教授」として、「元」を付けていない。賢明である。
 「上智新聞」の記者が公平を期すためにつけたあとがき(記者の目)を引用する。

 「事態の詳細は司法の場で問われるべき問題であり、本紙が口を出せることではない。ツイッターを見れば、明治学院大学の学生から「教授の言い分や新聞の論調は一面的だ」等の批判もあるようだ。
 だが学問の自由という観点から言えば、大学側が無断で講義を録音していたという一点のみでも、紙幅を割いて追うべき理由としては十分だ。」

 これもまことに賢明な判断である。われわれとしても、「学問の自由」「教育の自由」「大学の自治」を守るために、是非この闘いを支援していかなければならないのではないだろうか。


2019年01月06日

私学ガバナンス強化…違法行為、監事へ報告義務

読売新聞(2019/1/5)

 私立学校のガバナンス(組織統治)強化を目指して文部科学省は、学校法人で違法行為などを把握した理事に監事への報告を義務付けるなど、監事の権限を拡充する方針を固めた。今月召集される通常国会に私立学校法の改正案を提出し、2020年度に施行する見通し。私学のガバナンスを巡っては昨年、汚職事件や入試不正のあった東京医科大(東京)でその欠如が問題視されていた。

 文科省によると、現行法では学校法人の理事が法人内で横領や乱脈経営などの違法行為や、入試不正や不当な人事といった将来、法人に大きな損害を与える恐れのある行為を確認しても、法人を監査する役割を持つ監事に報告する義務はなかった。改正法案では、こうした行為を把握した理事に対し、監事への報告義務を盛り込んだ。


2019年01月04日

慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

Business Journal
 ∟●慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

慶應大学と中央大学、非常勤講師の労働契約で違法行為…5年での無期雇用転換を拒否

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

 非正規労働者が同じ職場で5年以上働いた場合、無期雇用への転換を申し込む権利を得られることになった改正労働契約法が2013年4月に施行され、5年以上が経過した。

 多くの非正規教職員が働く大学では、無期雇用への転換を妨げようと雇い止めが起きていることは、以前の記事でも触れた(『日大、不当な講師一斉雇い止めで労基法違反の疑い』)。

 その後、無期転換を認める大学は増えてきたが、一方で法律を誤解しているのか、無期転換権は10年以上働かないと生じないと主張する大学が一定数ある。なかでも慶應義塾大学など一部の名門・有名大学が、強硬に主張している。何が食い違っているのか、検証してみたい。

大学関係者から届いた「無期転換は10年」のメール

 筆者が改正労働契約法の無期転換請求権について、本格的に取材を始めたのは2017年の春。多くの非常勤教職員が18年以降無期転換の権利を得る前に、雇い止めをしようとする動きが、多くの大学に見られたからだ。

 この頃、最も大きな影響が出ると懸念されたのが、8000人の非常勤教職員が働く東京大学だった。東大は、改正労働契約法に関係なく、非常勤教職員を5年で解雇できるとする独自の「東大ルール」を盾に、無期転換を回避しようとしていた。しかし教職員組合に反対され、17年12月に「東大ルール」を撤回。大量の雇い止めは回避された。

 東大の判断によって、改正労働契約法の趣旨も正しく伝わるようになり、全国の大学にも雇い止めを撤回する動きが広まった。ところが、筆者が東大を取材し、原稿を発表している頃、ある大学関係者からメールが入った。筆者の改正労働契約法に関する原稿が「誤った情報」と指摘する内容だった。

「非常勤職員の常勤職転換の権利が生じるのは5年ですが、これはあくまで一般の事務職や技術系職員に対して適用される規則です。一方、大学の研究職の職員に対しては10年とすることに変更されています。(中略)

 研究職とは大学の教員であり、研究に携わっている博士研究員などの職員のことなので、2018年にただちに雇用問題が生じるわけではありません」

 このメールには、2点の誤りがあった。1つは「常勤職転換」の部分。改正労働契約法で定めたのは無期転換を申し込む権利であり、無期転換になっても、常勤職員になるわけではない。同じ非常勤の立場と待遇のまま、無期雇用に転換できるにすぎない。

 もう1つは大学の研究職、すなわち教員に権利が生じるのは10年という部分。実際は、いわゆる非常勤講師は5年で無期転換を申し込める。しかし、10年と誤解する人がいるのは、改正労働契約法施行後につくられた特例のためだった。

「10年以上で無期転換」の誤解

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。その年の12月には、大学などで科学技術に関する研究やその関連業務を行う人に限定して、無期転換請求権が発生する期間を5年以上から10年以上に延長する特例措置を設けた法律が成立した。

 これが「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」。いわゆる「研究開発力強化法」と「任期法」だ。

 前者の「研究開発力強化法」が成立した背景には、改正労働契約法施行の2カ月前、ノーベル賞受賞者に対する衆参議院の奉祝行事で講話をした、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長の発言がある。

 山中所長は改正労働契約法によって研究者を非常勤で5年間雇用した後、無期で雇用しなければならなくなると、大学としては5年を超えて雇用することが難しくなる、という主旨の発言をした。その結果、優秀な人材が集まらなくなるという。そうした大学側の要望を受けて法律は成立した。

 ただし、無期転換請求権の発生が10年以上に延長されるケースは限られる。専門的な知識や能力を必要とする研究開発業務に携わる職員にしか適用されない。つまり、一般の非常勤講師は対象にならないのだ。

 後者の「任期法」は、私立大学の経営者団体の要請を受けて改正された。もともとは専任教員が対象だったものを、特例として非常勤講師にまで広げたかたちだ。しかし、この法律でも、対象となる人は、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織に属する人、助教、プロジェクトに参加する人のいずれかに限られている。さらに、本人の明確な同意が必要になる。本来なら5年以上働けば無期転換請求権が得られる権利を剥奪することになり、契約の不利益変更になることから、大学はあらかじめ規則を定め、本人に説明して、同意書をとらなければならないのだ。

 前述のメールを送ってきた大学関係者だけでなく、多くの大学関係者がこの2つの法律を理解していない現状が続いてきたのだ。

慶応義塾大、中央大、東海大は「10年ルール」撤回拒否

 改正労働契約法施行から、すでに5年以上が経過した。ところが現在になっても、「研究開発力強化法」と「任期法」をよく理解しないまま適用し、「非常勤講師の無期転換請求権は10年以上働いてから」と主張している大学が数多くあることがわかった。

 非常勤講師の無期転換について多くの大学と交渉している首都圏大学非常勤講師組合によると、無期転換請求権は10年以上働いてからとする「10年ルール」を適用した首都圏の大学は、18年春の時点で約40大学あったという。そのうち半数近くの大学は交渉などによって「10年ルール」を撤回。5年以上の勤務で無期転換することを認めた。

 しかし、20以上の大学がいまも「10年ルール」を適用している。そのなかでも特に「10年ルール」は撤回しないと強硬に主張しているのが、慶應義塾大学、中央大学、東海大学の3大学。いずれも名門・有名大学だ。これらの大学は、法律を誤解し、必要な手続きもとっていないと非常勤講師組合の志田昇書記長は指摘する。有名大学が強硬な姿勢に出ることで、さらに誤解が広がる恐れもあるとして、組合では現在も交渉を続けている。

 「10年ルールを非常勤講師に適用している大学は、研究開発力強化法と任期法を正しく認識していません。なぜ5年での無期転換ができないのか、根拠となる見解も持っていないまま適用しています。また任期法によって10年ルールを主張している大学のほとんどが、労働基準法に則った就業規則の変更を行っていないとみられています。任期法の適用のためには就業規則の改正が必要ですが、そのために必要な過半数代表選挙に非常勤講師がほとんど参加していません。また、10年ルールによる不利益変更も充分に説明されておらず、合意書もとっていないのに、非常勤講師に任期法を適用することは違法性がありますので、すみやかに改めるべきです」(首都圏大学非常勤講師組合・志田昇書記長)

 非正規で働く人の権利を守るために改正された法律が、非常勤講師が多く働く大学では歪められ、誤って運用されている。特例措置などの法律が問題をさらに複雑にしているとはいえるが、原因は大学の人事担当者の誤解によるところが多い。過ちはすぐに正すべきではないだろうか。

(文=田中圭太郎/ジャーナリスト)


2018年12月21日

[社説]非常勤講師の切実な叫び、大学は無視するな

ハンキョレ(2018年12月20日)

「講師法」(改正高等教育法)の国会可決による大学の大量解雇の動きに対抗して、非常勤講師たちがストライキに入った。現在、韓国非正規教授労働組合の釜山大分会だけがストライキを宣言した状態だが、大々的な「構造調整」を準備する大学が多く、ストが複数の大学に広がる可能性も少なくない。すぐにも期末試験や成績処理など学事行政に支障が生じ、学生たちが被害を受けはしないか心配する声が出ている。しかし、身分保障と処遇の改善を期待したのに、逆に生存権の危機に追い込まれた非常勤講師らを責めることではない。

 講師法の主要な内容は、1年以上の任用、休み中の賃金と退職金の支給、職場の健康保険への加入などだ。国立と私立の大学は、来年8月に法が施行されれば年間3500億ウォン(約350億円)の追加費用が発生し、深刻な財政難に直面するとし、講師の大量解雇の不可避性を主張している。しかし、大学は国会、講師代表とともに6カ月にわたって講師法の具体的な内容を調整した「大学講師制度改善協議会」の当事者であった。無理に法案に同意させられたのではないため、最初から大量解雇を念頭に置いていたのではないかという疑念を抱かせる内容だ。

 講師法の施行による大学の追加費用と財政状態も綿密に追及する必要がある。国会と大学、非常勤講師側が推定する追加費用はまちまちだ。非正規教授労組は、大学の推計がすでに支給されている雇用保険料、労災保険料を重複計算するなど、2倍前後に水増しされていると主張する。大学の積立金総額が7兆ウォン(約7千億円)を超え、翌年に繰り越される未使用予算も6600億ウォン(約660億円)にものぼるなど、財政状態も悪くないと指摘する。にもかかわらず、国立大学や主な私立大学など財政的に余裕のある大学ほど、講師解雇の動きが活発なのは大きな問題だ。

 講師の大量解雇が大学教育の質を下げるだろうという懸念も持ち上がっている。各大学は、非常勤講師の数を減らすため、講義科目を統廃合したり教養科目を大幅に減らす代わりに、専任教授の講義時限数やサイバー講義を大幅に増やす案を推進しているという。学生の教育権を深刻に侵害することだ。非常勤講師らは大学の講義の70%を担当しながらも、学者や生活者として最低限の待遇も受けられなかった。大学は講師法の合意の精神を尊重し、教育機関として本来の使命に立ち返ることを望む。


2018年12月20日

「大学における<学問・教育・表現の自由>を問う」

「明治学院大学事件」が「法律学の活きた教材」として紹介されました。
http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=8803

<書評>『大学における<学問・教育・表現の自由>を問う』(法律文化社)

明治学院大学教授が大学側に授業中に無断録音されていたことを知り抗議したところ、目を付けられ、その後、授業で使用していた教科書や授業内容がキリスト教を批判しているなどとして解雇されたことに端を発する「授業無断録音訴訟」。その経緯と、本年6月28日の一審判決の詳細については、本紙で報じたことがある。

本書の編著者は、まさにこの裁判の原告であった寄川条路・教養教育センター教授(56。右写真)。事件の概要、判決文およびその解説に加え、憲法学者3人が寄稿している。憲法学の小林節・慶應義塾大学名誉教授が「学問の自由」の観点から、教育法の権威である丹羽徹・龍谷大学教授が「教育の自由」の観点から、そして志田陽子・武蔵野美術大学教授が「表現の自由」の観点から、それぞれ事件を検証している。

事件が起きたのは、特定秘密保護法が成立(2014年)した数ヵ月後だ。学問と表現の自由が最大限、保障されるべき大学内で起きた盗聴事件と、その結末について、本書はコンパクトにまとまっている。法律学の活きた教材にも使えそうだ。


2018年12月15日

山口准教授の岡山短大4月復帰を 弁護団が運営法人に協議申し入れ

山陽新聞(2018年12月15日)

 視覚障害を理由とする事務職への配置転換の無効などを求める訴訟で勝訴が確定した岡山短大(倉敷市有城)の山口雪子准教授(53)の弁護団が15日、岡山市内で報告会を開き、来年4月からの教壇復帰に向けて、短大を運営する学校法人原田学園に協議を申し入れていることを明らかにした。

 弁護団によると、11月下旬の最高裁判決確定後、学園からは来年度からの教壇復帰について、判決で触れられていないため直ちに受け入れられず、授業編成を決める教授会の判断に委ねると文書で回答があったという。

 水谷賢弁護士は「授業復帰は学園側の合理的配慮などで実現できると判決は認定しており、復帰を認めないのは新たな差別だ」と強調。山口准教授は「障害があってもみんなで支え合い、すてきな社会になることを教壇で伝えたい」と支援者ら約40人に語った。

 支援者らは17日に厚生労働省と文部科学省を訪れ、教壇復帰の実現に向けて尽力するよう各大臣宛ての要請文を渡す予定。


2018年12月09日

琉球遺骨返還、京大を提訴 「盗掘し権限なく占有」

京都新聞(2018年12月8日)

 昭和初期に京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある地元の首長を葬った「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で遺骨を持ち去ったとされる問題で、首長の子孫や沖縄県出身の大学教授らが4日、遺骨を保管している京都大に対して返還や慰謝料を求める訴えを京都地裁に起こした。研究目的で持ち出された遺骨の返還訴訟は、北海道のアイヌ民族の訴訟に続き全国で2例目。

 訴状によると、返還を求める遺骨は、京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏(1897~1983年)が、1928~29(昭和3~4)年に百按司墓から持ち出した26体(男性15体、女性11体)の骨。金関氏が墓を管理する親族らの許可を得ずに、盗掘したとしている。遺骨は、現在も京大が人骨標本の研究材料として、何ら権限なく占有していると訴えている。

 原告は、15世紀に琉球王朝を開き、同墓に埋葬されたとされる王族「第一尚氏」の子孫2人と、沖縄県出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら計5人。沖縄では、先祖の霊魂は骨に宿るとして遺骨そのものが崇拝の対象となっているとし、遺骨が本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的自己決定権が侵害されたと主張する。

 持ち出された遺骨が誰なのかが判明していないため、訴訟では、原告に遺骨の返還を求める権利があるのか(原告適格)が争点となるとみられる。

 京都大広報課は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。


2018年11月30日

岡山短期大学、不当な授業外し等に対する最高裁 上告棄却 山口雪子さんの勝訴確定

山口雪子さんを支える会

岡山短期大学,山口雪子さんに対する授業外し,研究室退去事件について,最高裁は大学側の上告申立を棄却し,山口さんの勝訴が確定したさ。本当によかったです。長い間,大学の不当な扱いと闘ってこられたこと,心から敬意を表すると同時に,勝訴を喜びたいと思います。

山口雪子さんからの速報です?↓

今日(11月29日)、代理人弁護士の先生より「最高裁から、11月27日付けで上告棄却との通知が届いた」との連絡をいただきました。今年4月に短大が上告してから、どんな状況になっているのか…皆目わからず、不安でなかったと言えば嘘になりますが、みんなからの励ましで何とかくじけることなく今日の報せを受け取ることができました。ひとえに励まし支えてくれたみんなの力のおかげです。良い報告ができたことに安堵するとともに、みんなへの言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます!裁判は終わったとはいえ、教壇復帰までにはまだまだ時間がかかるかと思います。でも、これからも諦めずへこたれずに頑張ります!まだまだ心配をかけてしまいますが、これからもどうかよろしくお願いいたします!ありがとうございます!!


2018年11月08日

明治学院大学解雇事件、無効判決にいたるまでの事件の全貌を明らかにする図書が刊行

『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

寄川条路編、小林節・丹羽徹・志田陽子・太期宗平著
『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(法律文化社、2018年)

大学当局が教授に無断で講義を録音し、告発した教授を解雇した「明治学院大学事件」。東京地裁による解雇無効判決にいたるまでの、事件の全貌を明らかにする。事件の概要、裁判所への法学者による意見書、判決文の解説を収録。本来「学問・教育・表現の自由」が保障されるはずの大学界への教訓として公刊。

目 次
序 章 盗聴される授業、解雇される教員 寄川条路(明治学院大学教授)
第1章 学問の自由、大学の自治、信教の自由 小林節(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)
第2章 私立大学における教育の自由 丹羽徹(龍谷大学法学部教授)
第3章 懲戒における適正手続の観点から見た解雇の有効性 志田陽子(武蔵野美術大学造形学部教授)
第4章 「明治学院大学事件」判決の主文 東京地方裁判所
第5章 「明治学院大学事件」判決の解説 太期宗平(ベリーベスト法律事務所パートナー弁護士)
終 章 「明治学院大学事件」についてのよくある質問Q&A 寄川条路

2018年11月02日

教授会で人格侵害発言 英国籍の元准教授女性が立命館提訴

京都新聞(2018年11月01日)

 立命館大の教授会内で人格を侵害する発言を受け、学内でパワーハラスメントと認定されたにも関わらず大学の救済措置が取られなかったとして、英国籍で同大学の元准教授ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に対して、慰謝料など7千万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、ヘイズさんは2009年から国際関係学部の准教授に就き、労働経済学の研究に取り組んできた。学部長から教授への立候補を打診され、15年に学部教授会で昇任審査を受けた。その際、研究科長の男性教授らから、博士号取得に詐称の疑いがあるなど虚偽の発言をされ、投票の結果、昇任が認められなかったという。

 学内のハラスメント防止委員会は17年、教授らの発言が、職務上の地位や人間関係の優位性を利用していたと指摘。「精神的・身体的苦痛を与え、就労上の権利、人格、尊厳を侵害する言動」だったとし、昇任投票に「否定的な影響を与えた」と判断した。

 しかし大学側は、決定内容を公表せず、学部も教授会の決定を変更しないなど救済措置を取らなかったと訴えている。

 原告は同年3月末に定年退職し、教授昇任の再投票などを求めて京都簡裁に調停を申し立てたが不成立で終わった。

 1日に会見したヘイズさんは、女性研究者が日本で地位を得る際に「見えない天井」があるとした上で「大学は互いの違いを乗り越える寛容性を大切にしなければいけないのに、誤った情報で職場を追いやられて非常に残念。同じような被害を受ける人たちの力になりたい」と話した。

 学校法人立命館は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。


立命館大教授会でパワハラと提訴 元准教授の英国女性

徳島新聞(2018/11/1)

 立命館大の教授会での男性教授らによるパワハラ発言で昇任が否決されたのに、大学は救済措置を怠り退職に追い込まれたとして、准教授だった60代の英国人女性ブレーク・ヘイズさんが1日、学校法人立命館(京都市中京区)に7千万円の損害賠償を求め、京都地裁に提訴した。

 訴状によると、ヘイズさんは2008年から立命館大の嘱託職員として勤務。翌09年に国際関係学部の准教授、15年には教授昇任候補に選ばれた。しかし、教授会での審議の際、男性教授ら2人が「強引な性格で、考えを押し付ける人物」などと人格を非難した上、ヘイズさんが博士号取得を詐称していたような内容の発言をした。


サイト紹介「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」

「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」
http://mushou.jinken-net.org/

学費を苦に中退、奨学金で破産…教育無償化しないのは「人権侵害」 日弁連に申し立て

弁護士ドットコム11/1(木)

高校や大学などに通う意思と能力があるのに、国が「教育無償化」のための取り組みを十分にせず、経済的理由から学生生活を送ることができない人が出ることは人権侵害だとして、有識者団体は11月1日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。教育無償化のための法整備も含め適切な措置を取ることを、日弁連として国に勧告するよう、求めている。

●学費稼ぐため長時間アルバイト、学業そっちのけ

団体は「中等教育及び高等教育の漸進的無償化立法を求める会」で、千葉大名誉教授の三輪定宣氏(教育行政学)と元龍谷大教授の重本直利氏(社会経営学)がそれぞれ代表世話人を務める。世話人には西川治弁護士らが就任している。

日弁連に提出した申立書ではまず、日本の学生が納める授業料がOECD諸国のなかでみても有数の高さで、しかも奨学金は返済が必要な貸与制である場合がほとんどであり、返済できないまま自己破産に追い込まれる例が少なくないことを指摘した。

そして、経済的理由から中退する学生が多く、低所得層の学生が学費や生活費を稼ぐために長時間のアルバイトをし、充実した学生生活を送ることが難しいことも問題だとした。中学校や高校でも制服代などの負担が重い問題は解消されていないと訴えた。

●東工大など授業料値上げの動き、波及を懸念

もともと日本政府は、国連の社会権規約がいう「無償教育の漸進的な導入」に拘束されない権利を持っていた(留保していた)が、外務省の発表によると2012年9月にその留保を撤回することを国連事務総長に通告した。つまり留保撤回により、日本政府は法整備や財政的措置などを講じ、教育の無償化を進める責任を負うことになったと求める会は主張している。

国立大の授業料(年額)は、文科省令が規定する「標準額」をもとに各大学が定める仕組み。授業料の標準額は53万5800円で2005年4月以降は据え置かれてきたが、2018年9月以降、東京工業大と東京芸術大が相次いで授業料改定を表明した。東工大は53万5800円を63万5400円に、東京芸大は53万5800円から64万2960円に、それぞれ引き上げるとしている。

求める会では、こうした引き上げが他の大学などにも波及し、学生や入学を志す人たちの負担がさらに増すことを強く懸念している。求める会は申立書の結びで、「具体的な行動をとる義務が国にあることを明確に意識するよう、求める必要があることは明らか」とした。


2018年09月26日

明治学院大学解雇事件、学園側控訴状の公開

控訴状(2018年7月10日)
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20180710hikokukoso.pdf

2018年09月24日

彼らは何を隠しているのか?(3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

長周新聞
 ∟●彼らは何を隠しているのか? (3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

彼らは何を隠しているのか? (3) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償事件の調査報告書より

山口県2018年9月19日

1、市民からの主要な意見等

・この件は市大での出来事なのに、どうして市大が議会に出て説明しないのか。その方が話が早い。
・市大は法律的には市とは別団体かも知れないが、市民から見たら市役所内の一組織である。
・荻野理事長と砂原事務局長の発言には腹が立った。無責任のうえに人を小馬鹿にしている。市大への愛情を感じない。10月に市大の議会審議があるというので、どのようなことが聞けるのか楽しみだ。
・U事務局長、Sグループ長のみに責任を負わせ、それで済ませようとするのはおかしい。M元理事長、荻野元副理事長にも責任がある。UとSに責任を押しつけたのか。
・市大はどうなっているのか。高い報酬をもらっているというが、M元理事長も荻野現理事長も組織管理が出来ていないし責任もとっていない。会社で不祥事があればトップが謝罪し、トップがそれなりの責任をとっている。
・調査報告書を読むと、市大にとっては公金を失い、その回収の処理がまずく、その後の市大幹部の対応も最悪。市大にとってはお金の損失であり、名誉の大損失である。こんな時に理事長や事務局長が積極的に表に出てこないでどうする。事態収拾や名誉回復に向けて、誤解が生じているのなら誤解の解消に向けて、汗をかくのが常識的対応ではないか。その為の地位であり、高額報酬ではないか。このような時に役に立たない理事長や事務局長なら不要だ。一生懸命頑張っている市大の教職員のためにもトップが早く積極的に出てきて事態収拾を図ってほしい。
・和解をした当人の答弁が和解内容を知らない人の「知らない」という答弁と同じだということはあり得ません。ウソです。荻野理事長は学長から理事長になったということですから教育者です。教育者のトップを勤められた人が礼儀を失したことをする、ウソを云うでは困ったものです。
・今回の調査報告書では荻野理事長の責任論を厳しく指摘しているが、これまでこの問題の一番の責任者である荻野理事長に対する責任論が余り言われてこなかったのはおかしかった。万一、全額(1610万5000円)の返済が終わっていなかったら、荻野理事長の背任的行為が原因であり、荻野理事長が賠償責任を負うべきである。

2、市民の疑問、意見等をお聞きして

 責任を負うべきは市大なのに、市大はなぜ議会に出てこないのか。U事務局長、Sグループ長のみに責任を負わせてそれで済むのか。責任を負うべき者がいるのになぜ責任を負わせないのか。なぜ表に出てこないのか、というご意見をいただいたが、その通りだと思う。

 市大の市議会への出席であるが、市大も以前は市の一組織として議会審議に出ていたが、独立行政法人化してからは議会には出なくなった。このため市大に関する議会対応は市総務部、総務課が行うこととなっている。しかし、市が全額出資している団体、法人が市議会のチェックを何も受けないのはおかしいということで、毎年特別委員会を設置し、年1回審査していた。この時は市大が議会に出席した。

 しかし、今年はどのような理由からか分からないが、特別委員会の設置はやめて、総務委員会で審査することにしたとのことである。当初は9月議会の後、10月に開催するといわれていたが、先日の総務委員会のなかで「市大の要望により」急遽9月19日、つまり9月定例会の会期中に開催することが決まったようである。日程からすると一般質問よりも先になる。ここに市大の理事長、事務局長が出席する予定のようである。

 本事件は、その損害の発生から和解まで全て市大での事件である。この点では、新旧総務部長と元総務課長は市大が起こした事件のとばっちりを受けたともいえよう。そのとばっちりを上手に処理できなかった、議会での答弁がまずかったという責任はあるが、本件の責任論からいえば2次的立場である。

 これまでは議会対応がまずかったのは市の責任であると考えていた。多くの市民もそのように思っていたが、実際には市よりまだ重い責任を負うべきなのは市大であるということが明確になった。

 先の調査報告書にあるように、砂原事務局長は本池市議が荻野理事長への面会を要請した際、質問内容まで聞いたうえ「荻野理事長も総務部長答弁と同じだから面会しない」と明言した。砂原事務局長自身も質問事項を知ったうえで、「総務部長答弁と同じ」と明言した。調べればすぐ分かることを「知らない」と。荻野理事長は和解した当事者である。和解内容は当然知っているはずである。その人が「和解内容は知らない、市大から聞いていない」という答弁をした市総務部長と同じと考えられないようなことを明言した。荻野、砂原答弁で本件についての議会対応は総務部の責任と考えていたが、市大と総務部に共同責任があることが分かった。

 荻野理事長はこれまで議会にも出ず発言しなくて済んだし、大学という高い壁に守られて表に出ることが少ないため、議員や市民の批判を直接受けることもなくて済んだ。責任を問う声を受けたこともなかったと思う。しかし、ここにきてやっと本人の自覚はともかく、重い責任を負っているということがはっきりしてきた。市大が出席する市議会総務委員会に期待したい。

 次にM元理事長の責任については、調査報告書でも述べたように990万円の損害については、前払金支払いの書類を見ていなくても、組織のトップとしての責任がある。620万5000円の損害については、業者決定の書類を決裁しているのだから、直接的責任があった。賠償責任金額については別途精査する必要があるだろう。本人がなぜ賠償しようとしなかったのか、市大がなぜ損害賠償の請求をしなかったのか不思議である。

 M元理事長の責任問題については、平成24年7月17日の市議会総務委員会に市は「損害賠償にかかる訴えの提起について(下関市立大学A講義棟トイレ改修工事)」を報告したが、その際、議員(当時)C氏が「理事長がすべての責任があるにもかかわらず、3人ではなく、なぜ2人を提訴するのか」と発言している。損害賠償請求の相手方(被告)としてU事務局長、Sグループ長だけではなくM理事長も入れるべきだと主張している。市民からもそのような声は寄せられている。M元理事長がどのように考えているのか、一度聞いてみたいものである。

 市民からの意見にもあった損害賠償金が全額回収できなかった場合の荻野理事長の責任についてであるが、まず回収状況、遅延損害金の状況などを明確にすることが第一である。明確にすることは荻野理事長の責務である。そして、万一損害賠償金が全額完納されていない場合の荻野理事長の賠償責任であるが、990万円については裁判上の和解であり、強制執行ができるので完納はされるはずである。ただ、当然もらうべき遅延損害金がどうなっているかは問題である。

 620万5000円については、どのような賠償条件になっているのかが解らないが(先の報告書でも触れているが、620万5000円については議会での質問に答える義務があるのに答えていない。下関市議会では極めて不適正な議会・議員無視のようなことが何年にもわたって行われている)、強制徴収はできないと思われる。平成25年7月16日の和解からすでに5年が経過している。この間、何回も回収状況を問われ、賠償金の確実な回収を言われながら回収状況は答えず、賠償金の確実な回収策も取らなかった。従って、もしも全額完納されていないなら、荻野理事長に賠償責任が生じるのは当然である。職務を果たさなかったために損害金の回収ができなかったのだから。

 民間会社では、似たようなケースで民法644条で規定された善管注意義務違反にあたるとして賠償するよう命じた判決もある。本件のケースは賠償されない可能性があることが十分に予見され、指摘されながら放置したため、損害が発生し、市大の名誉も傷つけられたというケースなので、賠償はもちろんのこと、引責辞任も求められるものであろう。そうでなければ下関市民の理解は得られない。下関市民は納得しない。それほど責任の重いものだと考える。9月19日の開かれる市議会総務委員会でどのような進展を見せるのか注視したい。

 なお、先の報告書の「市立大学の不誠実かつ不可解な対応」の中でも書いているが、本池市議が砂原事務局長に荻野理事長への面会を要請したが、結局、拒否された。そのため本池市議が7月下旬頃「面会拒否の理由をちゃんと書いてもらいたい」と頼んだら、砂原事務局長は「わかった」と答えた。ここまでが先の調査報告書に書いたやりとりである。あれから相当時間が経つし、どうなったか本池市議に聞いたところ、9月11日現在、未だにもらっていないということだった。どうしてこのようなことができるのかよく分からない。一般社会の感覚では理解し難いが、公務員の世界、あるいは下関市役所ではこのようなことは普通のことなのだろうか。

「秘密条項付の和解」は本当に秘密が保たれていたのか

 市と市大の論理は破たんしている。いや、最初から論理などなかったと思われる。市と市大は次のように考えたのではないか。

 裁判上(訴訟上)の和解であり、裁判所で和解内容は非公表ということが決まったと裁判所の名前を出せば、市議会も市民も権威ある決定と思い、何も言わないだろう。たとえ質問があっても「裁判所で非公表が決まったので公表できない」と言えばしのげるだろう。そのように安易に考えたとしか思えない。

 そして、和解内容を少しでも答えると、矛盾が次々に生じ、次々に答えないといけないようになり、結局隠すことが難しくなってしまう。もし、和解内容がバレると「公益(市大の利益)より私益(被告の利益)を優先した和解だ」と市議会や市民から批判、追及される恐れがある。また、和解条項の中に「和解内容は非公表とする。ただし、原告が議会に報告する場合はこの限りではないが(以下略)」という条項もある。これも隠す必要がある。

 このようなことから「裁判上の和解で非公表に決まった」と裁判(所)を強調し、これを盾にすれば完全黙秘で議会をすり抜けることが出来るはずだ。このように考えたのではないか。

 裁判上の和解とは、訴訟中であっても、裁判所の関与のもとで、両当事者が譲り合い、和解して訴訟が終了する。そして、和解の条件を裁判所の調書に記載すると、その記載は「和解調書」となり、確定判決と同じ効力を有する、というものである。

 あくまでも和解は両当事者が納得しないと成立しないものである。本件は、裁判所が非公表にせよと言ったのではない。市大が被告との話し合いの中で非公表を支持したのである。それを裁判所が認め、いわばそれにお墨付きを与えたというものである。

 議会も、和解内容を議会にも一切言わないというのは納得がいかないという議員もいたが、大勢にはならず、結局抑えられてしまった。議会もなめられてしまったものである。法律専門家を自負する議員や論客を自負する議員もいるのに。

 市も市大もこれで完全黙秘が成功したと思ったに違いない。しかし、市民はそう簡単には騙されない。市民の中には本当の法律専門家もいるし、理屈、理論に鋭い人もいる。あるいは真実は何か、本来どうあるべきなのかを冷静に判断できる人もいる。

 このたび調査チームを結成してみて、改めてそのように実感した。調査チームに多くの情報が寄せられるが、その中で分かったことは、市や市大が隠し通していると思っていた和解内容は、すでに一部市民にはもれていたようである。

 市も市大も、真実を話さないと大変なことになるということを自覚した方が良い。もう無責任答弁が許される状況ではないことを自覚した方が良い。今井総務部長も従来の答弁に縛られるのではなく、自分がその答弁に責任を負えると確信できる答弁をするようにした方が良い。本件について、その犠牲者を少なくし、市民の理解を得るためには、まず関係職員が真実を隠さず話すことが第一。事実関係を明確にすることが第一。それに向けて議長が尽力すべきである。市長がリーダーシップを発揮するべきである。

 和解(秘密条項付の和解)は、平成25年7月16日に成立した。

 この和解内容の一部を、平成25年8月29日にY新聞が報道した。

 原告、被告ともに裁判上の秘密条項付の和解なので、新聞報道があるまでは和解内容が外部に漏れることはないと考えていたようである。しかし、民事訴訟法ではだれでも訴訟記録の閲覧ができると規定されており、たとえ秘密条項付の和解であっても訴訟記録は原則公開である。閲覧等の制限は別途、裁判所の決定を必要としている。

 Y新聞は閲覧制限のかかっていない訴訟記録を見て和解内容を報道したものと思われる。ここで早くも和解内容は漏れているのである。このため原告、被告ともにあわてて閲覧等の制限の決定を得るための諸手続きを行い、その後、ようやく閲覧等の制限の決定がなされた。

 しかし、和解成立から訴訟記録等の閲覧制限の決定までおよそ2カ月の期間を要し、この間は訴訟記録の閲覧は自由であった。この間は和解の内容を見ることは自由であった。とても完全に秘密を保てる状況ではなかったということである。

 訴訟記録等の閲覧制限については、民事訴訟法92条に規定されている。本件は92条第1項を適用したと思われるが、92条第1項は次のようになっている。

 「訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記載されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること」。このように訴訟記録の閲覧制限にはかなり厳しい要件が必要になっている。本件は何度も述べているように職員の違法かつ不適正な行為、事務処理による公金の損害賠償請求事件である。その違法行為や不適正な事務処理は議会にも報告されている。新聞にも報じられている。その和解についての訴訟記録が閲覧されるとどうして、どのような「当事者が社会生活を営むのに著しい支障が生じる恐れがある」というのか疑問である。

 本件は再三主張しているように、一定の被告のプライバシーに配慮することは必要だろうが、本来、議会(市民)に和解内容を言って、議会にその和解内容を理解してもらうようにすべきであって、こっそりと都合よく内緒に処理すべき事案ではない。事態は本来のあるべき方向に進みつつあるように感じる。また、進めなければならない。

 国政においては、虚偽答弁で結局辞職に追い込まれた官僚もいたが、私たちはそのようなことが目的ではない。また、本件は議会答弁にあたった市職員の責任が最も重いとは考えていない。たしかに実質的な答弁拒否の連続で議会審議の停滞を招いたことには大きな責任があるが、市大から答弁できる資料の提示がなかったということで、積極的に隠そうとしたのではないような印象も受ける。ただ、資料の提出を求めたのに市大に拒否されたのか、それとも最初から資料の提出を求めなかったのか如何によって責任は大きく変わってくるが。

 本件で最も重い責任を負っているのは市大である。もう他人事のような対応は許されないことを自覚してほしい。市大の責任者は、市大がどれほど市民から高く評価されているか。市民からの高い評価を得られる今日の市大を築くまでに、どれほどの先輩教職員が努力し頑張ってきたかに思いを巡らせてほしい。本件については、損害の発生からその処理に至るまで大学の対応は最低で、大学に対する市民の評価を著しく傷つけるものになっている。

 市大のために一生懸命頑張っている現職の教職員をがっかりさせているという声が多く聞こえてくる。本件以外のことについても「責任の自覚」という声が多く聞こえてくる。いずれにしろ、市民のための市政である。関係者は真実を述べ、反省すべきは反省していただきたい。

 これ以上真実が隠されると、市民感情がますます厳しくなって、責任追及論になってきそうである。そのようなことにならないことを願っている。


彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

長周新聞
 ∟●彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

彼らは何を隠しているのか?(2) 下関市立大学トイレ改修問題調査チームより

山口県2018年8月23日

調査チームより皆様へ

 この問題に市民の関心は深いようで、いろいろなご意見、情報、疑問などをお寄せいただきました。今後、皆様から寄せられたご意見や情報、疑問点などを参考にさせていただき、調査チームで調査のうえ、お知らせする予定です。

 なお、ご意見等は要約させていただくことと、全ての方のご意見をお知らせすることは難しいと思いますので、予めご了承下さい。ご意見等をお寄せ頂いた方々、ありがとうございました。皆様の率直なご意見をお待ちしています。

1 市民からの主要な意見等

・公金の損害賠償の和解内容を議会でも言わないのはおかしい。それが解っているから、「和解内容は公表しないこととするが議会には報告する」となっていると思う。それなのに、市は議会で「和解内容は非公表なので知らない」と答弁した。それで良しとしている議会も市執行部と同様におかしい。

・和解を市議会にどのように報告したのか? 市議会は報告にどう対処したのか?

・市は市大に交付金などを渡している。市大が公金を失ったのに、市は和解について市大からの相談を受けていない。和解内容も知らないと言っている。市大が相談もなく和解したことを市は何故怒らなかったのか。調査権があるのに何故調査しなかったのか。理解できないことばかりだ。市がやっていることは、市民、市議会なり市をないがしろにしたやり方ばかりしている市大の方を大事にしている。市は大学に弱みでもあるのか。

・市は和解については「知らない」で押し通そうとしているが、市と市大は当初から意思を通じ合わせているのではないか。そう考えた方が理解しやすい。

・総務部長、総務課長といえば、組織の中心の部長、課長であるはず。下関市役所も窓口や現場の職員など市民と接することが多い職員は親切で丁寧な人が多いと評判が良い。また、中堅クラスまでは評判は悪くない。市民と接する機会の少ない部門の人たちや幹部職員も市民第一で仕事をしてもらいたい。

・失くした市民のお金がいつ返されたかなどを市民に説明しないのは言語道断。やましいことがあるから言えないのではないか。そんな市を信用して税金を払う気になれないのは私一人だけではないはず。

・市長が部下に「市民が納得できるような答弁をしなさい」と一言いえば解決が早い。トップの姿勢一つ。9月議会で市の態度に軌道修正があるのか注視したい。

2 市民の疑問、意見等をお聞きして

 本件については、先の報告書でも再三指摘したように、市民のお金を職員の不祥事や組織としてのガバナンスの欠如により失ったものであり、本来、失ったお金をどのように回収するかは市民に公表し、市民の納得した形で回収すべきものである。

 この公金の損害賠償請求の和解を非公表という条件をつけて和解(秘密条項付きの和解)したことが、本件損害賠償を不透明にし、市民の信頼を失うこととなった発端である。

 ただ、この秘密条項付きの和解には、「公表しない。ただし…」とあって、非公表の例外規定の文言が付されている。にもかかわらず、市は議会での質問に対して、非公表という原則的文言だけを利用し、これを盾にほとんど実質的な答弁をしてこなかったことが、この問題を大きくした。損害にあった「何円のお金」が「いつまでに回収されるのか」「遅延損害金の扱いはどうなるのか」「現時点で何円回収できているのか」等、聞かれたら秘密条項付き和解には関係なく、市民に当然答えなければならない。そのような事項まで「知らない」で押し通し、ほとんど答えなかった。これで市民に納得してくれ、信頼してくれというのは無理である。

 それでは、和解条項中の「公表しない。ただし…」という条項はどのような条項なのか。本当に議会で非公表条項を盾に答弁拒否することは可能なのか。その条項は正しく守られてきたのかを検証してみよう。

 この条項は先の報告書でもお知らせしたが、次のようになっている。

「原告及び被告らは、本件和解内容を公表しないこととする。ただし、原告が市議会に報告する場合は、この限りではないが、原告は本和解条項の趣旨を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求めるものとする」
 この条文から、市が市議会で「非公表という和解だから」といってゼロ回答に近い回答を続けてきたことが大きく間違っていたということがわかる。

 次に、これと関連して問題なのは、この条項では原告すなわち市大が議会に報告するとなっている。市はこの和解は裁判上の和解であり、必ず守らなければならない強制力があると力説した。しかし、「市大が議会に報告する」となっているのに「市が議会に報告」した。和解条項に違反している。

 市と市大との間で市議会出席について、どのようなやりとりがあったのかは分からないが、原告であり和解当事者であり、本件損害賠償請求事件とその和解に最も精通している市大が議会で報告するのが、和解条項からも市議会報告を実あるものにするという点からも正当であった。

 また、市は和解条項に制約される立場にはないのに、何故「非公表」だけは守ったのか。それも非公表の条項には例外があることを議会に隠して。

 市民からの疑問としてあげられた市議会への報告であるが、平成25年9月3日、市は市議会総務委員会に本件和解について報告している。これが本件和解についての最初の議会答弁であるが、この議会答弁がその後の答弁のベースになっている。市議会総務委員会での本件和解報告に関する部分の議事録は次のようになっている。

 総務課長 市立大学の和解の件であるが、損害賠償請求は民事裁判になっており、その件について和解しましたと新聞各社に報道があった。市立大学のほうからは、和解はしているという口頭の報告はいただいている。金額はいずれ大学のほうにいただける予定だということで、そのほか詳しい内容については、その和解は、任意の和解ではなく「裁判上の和解」というものであり、裁判の中で裁判官からどうでしょうかと。刑事ではなく民事であるので、そういう中で和解の提案があって、白黒を全部つけずに双方譲歩して納得できるところでおさまったというところで、大学は損しないという報告を受けて、ただその中の条件に「和解の内容については公表しない」ということであるので、私共のほうはそれ以上詳しいことは聞いていない。

 F市議 和解であるのに、民間同士、いわゆる民事上のことであるから、公開をしないということでいいんですね。もう一度確認すると。「しない」ということですね。市側も。

 総務課長 そうである。

 F市議 なんか納得いかないね。

 M市議 先の市大のことであるが、白黒つけずに和解をして、金は損をしないと。金額的には損をしないということは、九九〇万円でしたか、そのままということなのか。よくわからないが。そして、もう一度聞くが、公表しないというのは、大学側の判断ということか。

 総務課長 裁判上の和解の条件である。

 M市議 裁判上の和解の条件…ということは、どこがつけた条件か。

 総務課長 裁判上の和解をするにあたって、両者どちらが提案されたかはわからないが、その上で決まったことである。

 K市議 和解の仕方について、裁判官が和解を指導する場合であれば、原告なり被告が出す場合があるが、ただ、私は新聞報道を見て、要するにこれが和解ではなく、市の職員が間違っていたんだから払えという判決になったらどうなるのか。退職金その他の問題も出てくるのではないか。その在職中に起こした過ちでしょう。民事とはいえどうなるのか。

 総務課長 刑事事件ではないので。刑事は刑事で片がついている話だろうと思うので、民事の話だというふうになろうかと思う。それで、大学のほうがご判断されたことであると理解している。

 総務委員長 いいですね。打ち切ります。それでは、以上をもって総務部の審査はこれで終わる。

 林総務課長(現こども未来部長)が報告しているが、名目的には報告といえても、とても和解条項に記されている「市議会への報告」といえるものではない。報告になっていない。また、市議会としても、これまで「市議会への報告事項」として認めてきたものは、このような全く内容のない報告ではなかったはずである。本件について、市と市大との間でどのようなやりとりがあったか分からないし、市が本当に和解内容を知らなかったのかは疑問だが、実態として市は何ら答えられない立場、当事者能力がない状態で市議会へ出席し、報告している。市は当事者能力を欠く状態で市議会へ出るべきではない。これでは市議会に対しても礼を失している。

 また、和解条項では「市議会に報告し、市議会にも本和解条項の尊重を求めるものとする」となっているが、この議事録を見ると議会に尊重を求めるということは全くなされていない。議員の質問に対し「知らない」が答弁では、どのように考えても議会に尊重を求めたとはいえない。このようなことから和解条項に定められた「議会への報告」はされていない。従って、和解条項は守られていない。

 この条項を最大限拡大解釈しても(あるいは解釈の限界を超えているかも知れないが)、原告(市大)ではなく市が出席するのなら、市は和解内容を承知したうえで和解したことを議会に報告し、「和解内容は公表しないという和解になっているので、議会もその趣旨を尊重していただきたい」旨説明し、議会に「非公表」の尊重を求めるべきである。それでも議員が「市大の損害賠償請求の和解なので、本来、議会に和解内容を説明すべきだ。非公表に決めたからといって、全く内容のない報告をすることは納得できない」として和解内容について質問があった場合は、氏名を出さない等の配慮をしたうえで、できる限り答えるべきである。これがこの条項に沿ったものとして、議会にも市民にも納得してもらえる対応であろう。

 それでは、市の報告に対して市議会はどのような対応をしたのか。これも問題である。本件について発言したのは、総務委員会所属議員8人中3人であった。3人ともこの和解についての市議会報告に疑問を呈しているが、3人以外の議員は和解報告に対して発言なしである。市の説明に納得できなくても、市が「知らない」と答弁したので、あきらめて質問しなかったのかも知れない。しかし、この総務委員会で本件和解を報告したことになっている。当事者能力を欠くような市議会への報告は、保留にするなりしてもう1回改めて報告を求めるなり、何らかの方法はなかったのだろうか。

 なお、市の報告に対してF議員が「納得できない」と明言した(議員が居た)ことは、市民にとっても議会の名誉にかけても良かった。F議員は平成24年7月17日、本件訴えの報告があった時もスジを通している。

 原告と被告間で、市にも市議会にも相談なく和解内容は秘密にしようと決め、今度は秘密にしようと決めたから市にも議会にも言わない。そんな理屈が議会制民主主義の国で通るはずがない。そんな理屈が通るなら議会は要らない。

 市は和解条項中の非公表部分は全てに優先するかのように強調してきた。その一方で、和解条項中の「市議会に報告する」という市が市大にとって都合の悪い部分は勝手に無視し、守らないできた。市議会にも知らせないできた。

 公正公平な行政をおこなうべき市が、不公正不公平な対応をしてきたといっても過言ではないほどダブルスタンダードで、都合良く和解を利用している。また、市と市大は、ある時は一体化した動きをし、ある時は別法人を強調し、都合の良いように使い分けている。市と市大との間で意思の疎通があったのではないか、市は和解について聞いているのではないか、という市民の意見があったが、これまでの市議会答弁などで矛盾が露呈してきている。今後、ますます矛盾が拡大するにつれ責任逃れの答弁などで真相が明らかになるのではなかろうか。

 本件に対する市の対応にはおかしなことが多かった。そして、本件に関する議会審議を実りないものとしてしまった。この点は大いに反省してもらいたい。市の部長も課長もあのような答弁をせざるを得なかったのかも知れない。ただ、一連の答弁をみると、どのような理由があったにせよ、ダメなものはダメと指摘せざるを得ない。

 本件に対する前田市長のリーダーシップを期待する市民の声は多いが、前田市長は組織トップとしての責任の在り方、リーダーシップの必要性は分かっていると思うので、9月議会では担当部局や市大に対し、市民が納得できる議論を進めるようリーダーシップを発揮するものと思う。市民と共に期待したい。

 市大に対する意見も多く寄せられていますので、後刻お知らせする予定です。

◆寄せられた感想から

◇『下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書』の連載は大変興味深く読ませて頂きました。率直な感想として、「どうしてそこまで頑なに真相を隠蔽するのだろうか?」「市役所、議会、市立大学の3者が守っているのは誰なのだろうか?」という疑問を抱きました。報告書のなかでも多少ふれられていましたが、日頃から市民に対して市役所は税金滞納への差押えを問答無用でおこなうのに、特別な誰かさんが損害を与えた場合は、返済されたか否かすら誤魔化して素通りしてしまうのでしょうか? 税の公平性を語る以上、厳密に対処すべきであり、決して曖昧にしてはならない問題だと思いました。

 私は仕事柄、下関市立大学にも知りあいが幾人かおります。従って、この問題が他人事には思えません。単刀直入に申し上げると、トイレ工事を受注したS社のMさんは大学評議委員でもあり、江島市長の選挙を熱心にとりくんでおられた仲間だったということは、業界では広く知られている周知の事実だと思います。そして、副議長をされていたCさんは、確かS社の関連会社の社員でもあったと記憶しております。U事務局長(元市部長)とCさんが大変懇意だったことは、彼らの地元では有名な話でもありますし、Cさんは当時大学父母後援会の会長もされていました。登場人物たちの人間関係や役職について理解を深めると、より報告書の背景が読みとれるのではないかと思った次第です。

 さて、S社の経営が傾いているさいに、海峡沿いの立体駐車場の運営権を市に無断で売却し、そのおかげで豊北道の駅の工事請負議案を議会に否決されてしまいました。すると、そんな市の入札参加資格すらないS社に対して、市立大学を経由して仕事があてがわれました。しかも、業者選定をしたのもS社で、保証もなしに6割もの工事代金の前払いがおこなわれていたのです。通常であればあり得ない事です。まるで資金繰りを援助するかのようにタイミングよく工事が発注されていたともいえます。そして案の定、S社は事業停止に追い込まれ、市立大学が損害を被りました。これは一般的に市立大学と距離のある企業がひき起こした事件ではなく、前述したように人脈や人間関係が濃密な人人のあいだで起きた事件であるという点について、着目すべきであると考えます。偶然ではあり得ない事だからです。

 問題は、報告書のなかでも書かれていたように、市立大学なり市が賠償請求してしっかりと回収状況を明らかにしていたなら、本来これほどの問題にはならなかったということです。公明正大でなかったことが逆に「何を隠蔽しているのか?」「誰を守っているのか?」という疑問につながっていきました。市立大学も下関市も、和解条項を盾にのらりくらりと追及をかわし続け、市議会議員や市民に対して誠実に対応しませんでした。そのやりとりを読んでみて、改めて総務部長答弁のいい加減さには絶句してしまいますし、まるで国会の財務省答弁を見せられているような気すらしました。市議会の権威などあったものではありません。本池市議には、あのようないい加減な答弁の上をゆく追及をお願いしたいと思った次第です。

 ただ同時に、そのやりとりのなかから「620万円は返済されていないのではないか?」「実はチャラにされているのではないか?」という疑問も浮かび上がってきました。なぜ「620万円も返済された」とはっきり答弁できないのか、しないのか? です。あと、市議会はなぜ「和解条項について報告せよ」と求めないのだろうか? という点も不思議でなりません。ひょっとしてC元副議長やその周囲に遠慮されているのでしょうか? 市立大学の不誠実な対応についても同じです。副理事長だった当事者が和解し、真相を有耶無耶にしてしまうなど、あってはならないことです。それで損害金が返済されていないのだとしたら、背任になってしまいます。一連の経過を通じて、守られるべきが公金ではなく、損害を与えた側が一貫して守られていることに特徴があるように思えてなりません。

 丁寧に事実を積み上げた報告書であり、真相解明のために尽力されたチームの皆さんには感謝致します。願わくば今回に限らず、今後とも下関の街で起こる不正不当な事案については、同じように真相究明チームを結成して、広く市民に問題提起して頂けることを願っています。緊張感がない「一強」では街が腐るとでもいいましょうか、政治や行政が壊れてしまうと危惧するからです。「守る」べき特定の何者かにおもねっているような行政であってはならないし、行政が本来守るべきは等しく市民であるべきです。

 市立大学のトイレ改修事件は、モリカケに比べれば金額的には微々たるものかもしれません。しかし、公金を巡っていい加減な行政対応がやられているという問題に金額の大小は関係ありません。いまや国も地方も乱れに乱れ、モリカケとて真相解明は何もないまま有耶無耶にされたままです。締まりもなければケジメもないような状況にありながら、一方では立憲政治や議会制民主主義の建前だけはあり、それらは飾り物のようにおとしめられています。踏みつけられています。私には、このちぐはぐさが今の時代をあらわしているように思えてなりません。

 報告書のタイトルにあるように、「彼らは何を隠しているのか?」を今後とも注目したいと思っています。だって、彼らはひき続き誰かさんを守り、真相を隠しているのですから--。(匿名希望)

◇ 下関市立大学の連載を読んでみて、驚くことばかりでした。公金が失われているのに、どうして総務部長をはじめとした役所の方方まで言葉を濁されるのか不思議でなりません。監督官庁としては必死になって損害回収のために力を尽くすのが本来の姿だと思います。損害を与えた方方というのは、それほどまでに市職員から見て「怖い」人人なのでしょうか? なぜ損害を与えた側を下関市、市立大学が一緒になって守っているのか意味がわかりません。損害を与えられた側(市、市立大学)は条件反射で怒るのが普通ではないでしょうか。
 この連載を読みながら頭に浮かんできたのは、日頃からの税金滞納者への差押えのひどさです。990万円とか620万円とか、1人1人の市民の滞納額に比べたらはるかに巨額の損害なはずですが、そちらには目を伏せ、数万のお金に行き詰まっている市民からは遠慮なく剥ぎとっていく。これはどう見てもダブルスタンダードです。和解において、損害を与えた側の就職や社会生活のことを心配して秘密条項にしたとありましたが、私の周囲ではいきなり会社にやってきて、給料を差し押さえられた知人もいました。「世の中甘くない」というのであれば、990万円や620万円をきっちり回収することにも本気でとりくまなければ、公正公平ではありません。

 常識的に考えてみて、公金の扱いについてはオープンでなければならないはずです。最低でも返済されているのか、いないのかくらいは白黒はっきりさせなければ、市民は納得しないのではないでしょうか。今後とも例の和解条項を盾に不問に付す対応をするのであれば、法的手段に訴えて広く社会にも問題を投げかけ、是非を問うやり方も考えてはいかがでしょうか。情けない話ではありますが、下関以外の都市でも果たして通用するのか、公金のあり方をはっきりさせるという点で意義は大きいはずです。

 でなければ、第2、第3のトイレ事件が起こり得るでしょうし、和解条項を盾にすれば逃げ切れるという悪しき前例を認めてしまうことになります。このようなやり方が裏技として正当化された場合、役所あるいは市出資法人と相手方が結託してしまえば、全てを闇に葬ってしまうことも可能になるのかなと想像しています。下関発の有耶無耶テクニックとして、悪知恵が働く人が悪用することすら危惧するものです。

 議会でも執行部は「知らない」ととぼけ続ければ良いというふざけた態度です。下関市役所の歴代の総務部長とは、あの程度なのかと愕然としました。現在の今井総務部長さんは若い頃から真面目な職員の方だと知人より評判を聞いていただけに、個人的には残念でなりません。執行部答弁は、なにをおっしゃっているのか意味不明だった三木副市長の答弁も含めて、議会を冒涜しているとも思えるのですが、議員さんたちには冒涜されている自覚がないのかもしれません。これまた情けないものです。

 若き前田市政において、「私たちはきっちり解決するのだ」という姿勢を示すのか、それともひき続き江島、中尾時代の未解決事件をそのまま闇に葬るというのか、9月議会を注目したいと思います。ふざけた答弁をするのであれば、そのまま新聞紙面にて全文をご紹介下さい。私たちの会社でも、社員一同が新聞を広げながら話題にしています。

 ところで、調査チームに本池市議が加わっていることはわかったのですが、現役の市職員の方も加わっておられるのでしょうか? 行政的な対処については素人にはわかりにくいのですが、「本来こうすべき」という点がわかりやすく、かつ鋭く執拗で、専門的知識に裏付けられた説得力を感じました。勝手な想像なのですが、仮にそのような市職員の方がいらっしゃるのであれば、是非とも実力を発揮していただき、将来の総務部長を目指してほしいものです。やはり公職ですから、公正公平な行政運営への熱意がなければ、どうしても歪んだ私物化行政に侵食されてしまいます。なかなか綺麗事ばかりでは済まない世の中ですが、役所の良識がねじ曲げられるのか、守られるのか、その辺りの問題を教えられているような気がしています。(60代男性 会社経営)


彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

長周新聞(2018年8月14日)
 ∟●彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

彼らは何を隠しているのか?(1) 下関市立大学トイレ改修工事損害賠償請求事件についての調査報告書

山口県2018年8月14日

 本紙でも事あるごとにとりあげてきた下関市立大学のトイレ改修工事を巡る損害賠償請求事件について、その真相があまりにも隠蔽され、消えた公金の行方があいまいなまま済まされようとしていることを問題視した有志が、このほど調査グループを結成して広く市民にもわかるよう調査報告書を作成した。下関市、下関市議会、下関市立大学の三者がかたくなに隠蔽し、守っているものは何なのか? だれなのか? さらに、その対応は地方公共団体としてまっとうなものといえるのか等等、下関市役所や市議会の在り方ともかかわってさまざまな問題を投げかけている。事実を丹念に追っていることから長編となっているが、紙面上で連載したものを紹介したい。

Ⅰ はじめに

 市民の皆さん、森友・加計の問題が大きく報道されていましたが、モリカケ問題についてどのようにお考えでしょうか。学校、学園を舞台に明らかに不正、不適正な行政が行われていたのに、国会の場でも文書隠蔽、改ざん、虚偽答弁などをくり返し、疑惑を必死に隠そうとする政府。そして、それに手を貸すかのように真相究明に消極的な与党の対応。この現状に腹立たしい思いをしている人は多いはずです。そこには「政治、行政は国民のためにある」という当たり前のことが全く無視されています。モリカケ問題は、権力の私物化、権力者のおごりが象徴的にあらわれた事件だと思います。

 下関市立大学トイレ工事の記事を読んだり、議会での傍聴の度に、どこかモリカケ問題に通ずる事件だと感じ、激しい憤りを覚えます。市大トイレ工事事件は、下関市民のためにあるはずの下関市政が下関市民無視市政になっている典型的な事件です。市民のお金(公金)約1610万円が市大職員の不正、不適正行為によって失われたという事件です。

 市民のお金がいつまでに、どのように回収されるのか、そして実際にどのように回収されているのかということを市民に知らせるのは当然のことです。それなのに、どのように回収されるかについては、市民には内緒にするという条件で和解(秘密条項付きの和解)した大学、市大を指導する責任と権限があるのに、全く無責任な対応に終始している市、市民代表として市政をチェックし、市大や市の無責任を正すべき責任があるのに、この事件を積極的に解明しようとしない市議会。常識では考えられない状況です。これ程おかしなことが平気でまかり通るのは、この事件の背後に何かあるに違いないと思ってしまいます。

 当時、市大トイレ工事を請け負った業者と深いつながりがあり、大学にも市にも、市議会にも、いわゆる“顔が効く”市会議員(当時)C氏の存在が噂されましたが、本当にそのことが影響したのでしょうか。

 本件は、色々な問題を含んでいますが、本来、それほど複雑な事件ではなかったはずです。市または大学が「このような和解をしました。いつまでに全額回収できる見込みです」と議会へ報告し、その後質問された都度、回収状況を誠実に答弁すれば済む問題でした。しかし結局、この事件は多くの問題を抱えてしまい、決して看過できない事件になりました。これを許すと、こんなやり方が今後の前例になってしまい、モリカケ問題以上に違法、不適正な下関市民不在の下関市政がまかり通ってしまう恐れがあります。

 このようなことから、本事件の真相や問題点を多くの市民の皆さんに知っていただきたいと考え、有志で調査グループを結成し、市議会でのやりとり、マスコミ報道等も参考にまとめたものです。これがその第一弾ですが、これからも調査を続行していきます。なお、この問題に関係した職員の氏名はマスコミで報じられており、公表しても問題ないと思いますが、一応、現職以外は氏名を出さない扱いにしました。

Ⅱ 事件の概要

1 指名業者の選定、落札、契約の締結について

 平成22年12月、市大はトイレ改修工事を行うため、市内業者6社を指名することとし、市大事務局のS総務グループ長を中心に6社を選定した。入札の結果、この6社のなかからS社が落札した(落札率99・7%)。S社は平成22年8月、市の入札で「豊北道の駅」工事を落札したが、市営駐車場の管理権の無断譲渡問題に関連した問題業者だということで、9月市議会でも工事議案が認められず、継続審議になっていた。このようなことはマスコミでも報じられており、S社が問題企業だということは市大も当然知っていたはずだが、市大はS社を指名した。そしてS社が落札したものである。

 12月初旬、市議会は「道の駅工事議案」を否決した。S社は市から市の工事を請け負う資格なしとされた。経営不振も噂されていた。このような状況にあるなか、市大は12月中旬にトイレ改修工事請負契約をS社と締結した。この指名業者の選定、及び契約の締結については、いずれもM理事長まで書類が上げられ、M理事長がそれで良しと決定している。荻野現理事長も副理事長としてこの書類に押印している。

2 工事前払金の支払い

 工事請負契約の締結後、すぐにS社から工事前払金の請求があった。前払金はS社が保証会社との間で前払金保証契約を締結していないので支払うことはできない。にもかかわらず、平成22年12月末、翌年1月と2回にわたり工事代金の6割にあたる2260万円を契約等に違反してS社に支払った。この契約等に違反した前払金の支払いについては、U事務局長まで書類がまわり、U事務局長が支払いを決定した。

3 請負業者S社の工事中断とこれに伴う損害の発生

 ①990万円の損害の発生
 噂通りS社は経営悪化で事業停止に追い込まれ、平成23年3月初めにはトイレ工事が行われなくなった。このため大学は3月31日に記者会見を開き、工事の中断と契約書に違反した不適正な支払い(工事代金の前払い)があったことを発表した。S社の工事中断までの工事出来高は約32%、金額にして1270万円と認定され、前払金2260万円と工事出来高1270万円との差額990万円がS社への過払額、すなわち市大の損害金と決定した。

 ②620万5000円の損害の発生
 違法な手続きでS社に仕事をさせ、結局、S社が仕事を途中で止めたため、再度別の業者に頼まざるを得なくなった。工期を短縮せざるを得なくなった等の理由から、工事費が620万5000円余計にかかることになった。市は議会で、この620万5000円もトイレ改修工事に伴う市大の損害金であると答弁している。本件トイレ改修工事に伴う市大の損害金は上記①と②の合計額1610万5000円である。

4 損害賠償請求

 違法な業者指名を決裁したM理事長と、不適正な前払金の支払いを決裁したU事務局長は共に平成23年3月末任期満了によって退任した。4月から新たにH理事長と新事務局長が就任。市大幹部は荻野副理事長(当時学長)を除き新体制となった。

①990万円の損害賠償請求
 市大はS社に工事執行能力がないと判断し、同社との契約を解除するとともに、損害賠償を求めたが、S社には支払う意思がなかった。このため損害発生の原因のうち、過払金(前払金)による損害990万円について、法的に損害賠償責任があると考えられるS元グループ長とU元事務局長に支払いを求めた。

 しかし2人とも誠意ある対応を示さないため、平成24年7月12日、2人に対して990万円の支払いと平成24年6月1日から完納まで年5%の支払いを求める損害賠償請求の訴えを山口地裁下関支部に起こした。市が訴えを起こす場合は法律上、市議会の議決を必要とするが、市大は独立行政法人化しており、市とは別団体ということで議会の議決は必要としない。

 しかし、設置者は市であり、市から交付金を受けているということ等から、市大は訴えの提起に関して平成24年7月12日に記者会見を行った。また市は7月17日、市議会総務委員会に本件を報告している。公金の損害賠償事件を市民に説明するというこの考え方は妥当であろう。

②620万5000円の損害賠償請求
 違法な業者選定に伴って発生した損害金620万5000円については、市大は法律上の措置は講じていない。市大はS社に請求していると答えているが、支払能力が疑わしいS社に何故請求したのか。回収方法やその回収がどのように担保されているか、又、いくら回収されているか等については答えていない。

5 裁判上の和解

 本件損害賠償事件は訴えてから約1年後の平成25年7月16日付で大学側と被告側(U元事務局長とS元グループ長)が次のような内容で和解したとY新聞で報じられた。
 主たる和解条項は
ア U元事務局長は大学側に200万円支払う
イ S元グループ長はS社の大学側に対する債務のうち990万円までを連帯保証する。
ウ この和解条項は公表しないこととする。市が議会に報告する場合も非公表の趣旨を体して報告すること。議会も非公表の趣旨を尊重するよう求めること
等であった。
 なお、Y新聞の報じた和解条項では、完納時期や遅延損害金の扱いなどは不明である。

 大学側の要求どおりの和解であれば判決までいかなくても市民は納得するだろう。しかし、大学側の要求(訴訟内容)とは異なるのに、どのような理由で和解したのか。和解内容をなぜ非公表としたのか。大学側はどのような手続きで和解したのか。和解について市と協議したのか。市民には真相がよくわからないし、理解し難いことばかりである。

 裁判上の和解は990万円であり、620万5000円については回収が確実なのかはっきりしていない。

6 損害金の回収状況

①990万円について
 平成25年7月の和解以降、市議会で本池市議が何回か質問しているが、市側からは明確な答弁はなかった。

 平成30年6月議会で、市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている。利息等の有無や内容については、市としても知らない」と答弁した。

②620万5000円について
 これについても990万円の損害金と同様、これまで市側から明確な答弁はなかった。
 平成30年6月議会で市は「和解の内容による損害金の回収は全て完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。ここでも回収金額、遅延損害金等については知らないという。

Ⅲ 本事件の問題点

1 指名業者の選定、契約の締結について

 事件の概要で述べたように、当時の状況下、普通では考えられないS社選定であった。

 指名(入札)業者6社は、実際にはS社が選定したもので、それを大学案としていたことが判明した。違法かつ不公正な指名業者の選定であった。

 Sグループ長は、入札等妨害罪及び官制談合防止法違反容疑で送検され、その後容疑は確定している。指名業者の選定と契約の締結は当時のM理事長が決裁している。従って、M理事長、荻野副理事長(当時)まで責任が及ぶ。M、荻野両氏が全く知らないで行われたとしても組織上の管理監督責任がある。ましてや決裁文書に押印しているのだから、損害発生とその損害の賠償には直接的責任がある。しかしながらM理事長は1円の損害賠償金を払うことなく、満額の報酬と退職金を得て退職し、何らの責任もとっていない。荻野副理事長(現理事長)も何らの責任をとっていない。当時の最高幹部で損害の発生と組織管理に責任ある両氏が何ら責任をとっていない。多くの市民は納得できるだろうか。

2 工事前払金の支払いについて

 工事代金は後払いが原則だが、資材の購入等、工事着手前にお金が必要なことがあるので、例外的に前払いを認めている。

 しかし、前払金は支払ったのに工事に着手しないとか、工事を途中で投げ出すということがあってはいけないので、前払金を支払うことができるのは請負業者が保証会社との間で前払金保証契約をしている場合に限られる。この保証契約を担保として前払金を支払うことができるという決まりになっている。この場合でも4割しか支払うことができない。

 本件前払金の支払いで問題なのは、
 ・請負契約書上支払わないことになっているのに契約に違反して支払ったこと
 ・前払金を支払う契約になっていても、前払金保証契約を締結していないと支払うことはできないのに支払ったこと
 ・契約書上支払うことが出来、前払金保証契約を締結していても4割しか支払ってはいけないのに6割も支払ったこと
 このように三重に違反した、不正な前払金の支払いであり、常識では考えられない職員の背任行為である。

3 損害賠償請求事件の和解と損害金620万5000円の処理について

①損害金990万円について
 市大職員による工事請負業者の違法な選定と規定に違反した不正な前払金の支払いによって生じた公金の損害であり、本来裁判で訴える前に損害発生に関係したM理事長以下の職員が早期に損害賠償を行うべきものである。それがなされなかったために訴訟になったものだが、関係職員の自覚と責任感のないことにはあきれてしまう。

 今回の損害発生の原因、経緯等から考えると訴えたとおりの判決を求めるべきである。ただ、訴えたとおりになるのであれば和解することに市民も納得するだろう。従って、市民が納得できる和解になっているのかどうか、和解の内容が問題となる。その重大な和解の内容を市民に非公表としたことは、まさに市民無視の大問題である。市民の納得を得るという和解の大原則を無視したのである。

 それでは、なぜ非公表とする条件で和解したのだろうか。

 Y新聞が報じた和解内容だと、違法行為によって市大に損害を与えたSグループ長は、本来なら損害賠償の最も重い責任者であるはずなのに請負業者Sの連帯保証人という立場になっている。連帯保証人なのでSとS社は同等の損害賠償責任者となるが、そもそもS社には支払能力も支払う意思もなかったから、SとUに支払いを求めたものである。S社は本件訴訟の被告ではない。従って、和解の当事者でもない。そのS社をなぜ主たる和解条項のなかに入れたのだろうか。疑問である。

 この和解条項だと市大の利益(公益)より損害賠償責任のある職員(UとS)の利益の方を優先している。市民から公益より利益優先の和解ではないかという批判が出ることを恐れて非公表としたのではないか。

 先日も「父親の入院、介護等で苦労した後、アルバイトで働き始めたが、そこで働いた給料9万円から固定資産税の滞納の一部として7万円が差し押さえで天引きされた。これからの生活が大変だ」という市税滞納者に対する厳しい徴収が記事に出ていた。方々で市税徴収が厳しいという声を聞く。市税徴収の現状とこの損害金回収の和解内容は格差があり過ぎる。

 和解は荻野理事長と損害賠償責任のある被告側とで行われているが、まず荻野理事長の立場である。荻野理事長は違法な業者選定をした伺書に市大ナンバー2の副理事長として押印している。市大に損害を与えた側の責任者の一人である。加害者側として責任のある者が被害者側代表として和解している。しかも、その和解内容は公表せず、秘密にしようという和解をである。そして今度は自分たちが勝手に結んだその秘密条項をタテに市議会でも事実上の答弁拒否をしている。(市議会で答弁するのは市総務部長であるが、総務部長は「和解内容は市大が公表しないということなので知らない」と答弁している)。

 次に和解に至る手続きである。

 訴えの提起のときは当時のH理事長は記者会見を開いて市民に公表したし、市は市議会総務委員会にも訴えの内容について報告した。しかし和解については、荻野理事長は記者会見を開いていない。市大には理事会もないようである。荻野理事長が独断でこのようにおかしな和解をしたのではないかと批判されても当然である。

 市は平成25年9月3日の市議会総務委員会に和解したことを報告したが、質問に対して「和解内容については公表しないことを条件にしている」ことを理由に和解内容について答えていない。賠償金額、完納時期、分割支払いなら遅延損害金の扱い等は議会に対する最低限の報告事項である。それらも報告しないのなら議会への報告にはならない。

 市執行部は議会を無視しているのに、議会はそれを甘受している。議員は市民を代表して行政をチェックするのが主要な職務である。「職員の不祥事により公金が失われた損害賠償なのに、どうして金額や完納時期が明らかにできないのか。議会に報告するのは当然ではないか。

 これらのことも明らかにしないという和解なら、和解そのものが問題だ」と主張する議員が居なかったのは不思議であり、残念である。市大も市執行部も市議会も、市民に対して無責任ではないか。

 以上見てきたように、本件和解はまず和解内容が市大の利益より職員の利益を優先している。被害者より加害者を優先している。このことが大問題である。次に和解内容を非公表としたことは市民無視の行為であり、これも大問題である。市立大学が「公益軽視の和解内容」で「秘密条項付きの和解」を行うことは違法性があると言わざるを得ない。

 市が訴訟で和解する場合は、訴えを起こすときと同じように法律上、市議会の議決を要することとなっている。市大は現在、独立行政法人として法律上、市とは別団体になっているが、市が設置し、市から交付金が出ている大学である。和解する場合、市に準じてできる限り市議会、市民に和解の事実と和解の内容を報告、公表すべきである。理屈上はそうなる。

 このようなことから「和解内容を市議会にも報告しないということは難しいだろう。秘密条項付きの和解とするが、市議会には和解内容を報告することができるようにしておこう」と考えて、「議会に対しては和解内容を報告する。ただ、その場合も非公表の趣旨を尊重するよう議会にも求める」という条件をつけたものと思われる。

 市大も市も「和解条項の非公表」ばかりを主張し、この「和解内容を議会に報告できる」という条項を無視した対応(「和解内容は非公表ということなので知らない」との市答弁等)をし続けたことが、市行政の信頼を失墜させ、事態を悪化させた。議会での本池議員の質問に対して、嘘を言わず誠実に答えていればここまでおかしなことにならなかったかも知れない。

②損害金620万5000円について
 これについてはS社と和解し、S社に請求していると市は答えている。支払能力が疑わしいS社に請求しているのか、それで良しというのは無責任である。大学職員の違法、不適正な行為による公金の損害賠償事件であり、大学当局は速やかに、確実に全額回収できる措置を講ずべき責任がある。

 その点から考えると、決裁した当時のM理事長以下、荻野副理事長、U事務局長、Sグループ長に損害賠償の連帯責任があるのだから、支払能力の疑わしいS社に請求するより、まずM理事長以下の連帯責任者が責任をとって速やかに賠償すべきである。そのような方策をとるよう荻野現理事長がリーダーシップを発揮すべきであった。それこそが高額報酬を得ている荻野現理事長の最低限の職務である。

4 損害金の回収状況について

①裁判上の和解をした損害金990万円について
 損害金を現在までにいくら回収できたのかは、秘密条項付きの和解条項には含まれないことであり、当然市民に公表すべきである。しかし、市は市議会での本池市議の質問に対して、和解条項を理由に明確に答えてこなかった。これは本件和解条項に対する違法な拡大解釈である。

 その後、平成30年6月議会で市は「和解内容による損害金の回収は完了したと聞いている」と答弁したが、回収完了年月日、遅延損害金の有無等については知らぬ存ぜぬで押し通している。無責任であるし、「知らない」で済ませられる問題ではない。子どもだましのような答弁で押し通すことが許されているのが下関市議会の現状である。

②損害金620万5000円について
 この損害金は裁判とは無関係であり、従って秘密条項付きの和解とは全く無関係である。これまで市議会での質問に明確に答えなかったのは答弁拒否であり、市民を無視した市の対応であった。平成30年6月議会で本池市議が「返済完了と答えたが620万円についてもか」と質問したのに対して、市は「双方の和解による損害金はすべて完了したということだ。金額については承知していない」と答弁。相変わらず子どもだましのような誤魔化し答弁、無責任答弁をくり返している。①の損害金と同じく、今後も追及が必要である。

 公金の損害賠償事件の和解を秘密条項付きとしたことは大問題だが、この秘密条項も完全な秘密とすることにはなっていない。先述のように議会への報告については一定の条件が付されてはいるが、報告できるようになっている。また訴訟記録の閲覧制限申立書では、非公表の理由として、公表すると

・被告に背任行為があったように思われること
・社会的評価を落とすこと
・就職にも支障が出ること
としている。秘密条項付きの和解にしたのも上記理由からだと思われる。

 市大トイレ工事に関して違法行為があったこと、大学職員が逮捕されたこと、損害が発生し損害賠償請求の訴えを起こしたこと等はすでにマスコミで報じられており、公知の事実である。これについての和解であり、和解内容が公表されると被告の就職等にどのような影響を及ぼすというのか、全く理解できない。せいぜい氏名を隠せば良いだけのことである。むしろ、和解内容を公表した方がこの問題に一定の責任を果たしたということを市民に知ってもらう良い機会だと思う。

 以上のことから市(大学)が議会での質問に対し、秘密を主張できるのは、
 ①和解調書に記載された事項であり、かつ
 ②その事実を公表すると被告の就職等に支障が出ると客観的に考えられる事項に限られる。
 和解調書に記載されていない事項や、和解調書に記載されていてもそれを公表すると就職等に支障を及ぼすとは客観的に考えられない事項は誠実に答弁しなければならない。なお、就職等に支障をきたすような事項でも議会が秘密会等、秘密を保てるよう配慮すれば市(大学)は答弁を拒否することはできない。

 以上が本件に関する市の議会答弁の基本的ルールである。しかし、市議会では本池市議の質問に対し、秘密条項付きの和解を理由に答弁拒否できない事項まで、ほとんど全て答弁拒否している。

 質問事項は予め通知している。市は市大に対する調査権、指導権を持っている。市は調査権限を行使して調査し、議会で明確に答える義務がある。それでも松崎総務部長(現水道局長)は他人事のような答弁をくり返した。議会もそれを許してきた。

 本池市議は本件に対する市民や大学関係者の疑問をふまえて的確な質問をしている。松崎部長が本池市議の質問に誠実に答弁していれば、ここまでこじれることはなかったと思う。以下、虚偽的答弁、誤魔化し答弁の一部を別示する。

1 平成25年9月議会

 本池市議 訴訟していたのに、なぜ和解したのか。回収の見込みがたったから和解したというが、990万円とは別に620万5000円の損害がある。これは誰が負担するのか?
 松崎総務部長 990万円+620万5000円の合計額1610万5000円の和解が成立した。
※訴訟について和解したのは990万円についてのみであって、1610万5000円を裁判上の和解額としたのなら虚偽答弁。本当に知らなかったのなら、職責を果たしていない。

2 平成26年6月議会

 本池市議 裁判上の和解金額、遅延損害金の扱い、完納時期は?
 松崎総務部長 損害金の回収は順調に進んでいる。和解内容は公表しないことになっているので。
※答弁拒否の理由にならないのに答弁を拒否

 本池市議 和解内容を市は把握しているのか?
 松崎総務部長 和解内容は公表しないということなので具体的な話は市は承知していない。
※市には法的に市大を調査する権限がある。その権限を行使せず、議会での質問に「知らない」は職責を果たしていない。無責任である。和解には和解内容を議会に報告できるという条項が付されている。それを「知らない」は議会軽視ではないか。

 本池市議 和解条項中に議会への報告ができる旨の条項があるが?
 松崎総務部長 市としては訴訟記録も見ていないし、言われたのは伝聞の話しだから確認できない。
※平成25年9月議会で本池市議が和解について質問しているし、今回も質問通告している。それなのに、まだ訴訟記録を見ていないというのは常識では考えにくい。本当に見ていないのなら無責任。

3 平成26年12月議会

 本池市議 現時点の回収額、利息延滞金、完納時期は?
 松崎総務部長 市大の財務諸表から平成25年度中に420万円の回収があったものと推測される。完納時期、利息等については和解内容は公表しないということで知らない。
※回収額等については秘密条項付き和解を理由に秘密にすることは出来ない。当然答えるべきことなのに答弁拒否している。

 本池市議 和解条項の中に議会には報告できるようになっているのに、どうして議会に報告することがはばかられるのか?
 松崎総務部長 ア 和解の内容については公表しないということなので知らない(「議会に報告する」は知らない)。
 イ 市とは別人格をもった市大の話なので内容については話すことができない。
※アについては、6月議会で本池市議が同じ質問をしている。従って、「議会に報告する」ことは市も知っているはず。「知らない」は虚偽答弁ではないか。イについては無責任な答弁。市大は別人格団体なので、市議会で話せないという法令的制約は何もないので話すことはできる。市立病院についても、市はノータッチか、議会審議なしか。

4 平成30年6月議会

 本池市議 損害金の回収状況は?
 今井総務部長 和解内容非公表のため具体的な金額はわからないが、平成30年4月、大学との協議のなかで和解内容による損害金の回収は完了したと聞いた。利息等の有無や内容については市は知らない。
※回収金額等について議会で「知らない」と答えることは市議会軽視、市民無視に等しい。秘密条項付き和解で制約される問題ではない。回収金額等を答えることが被告の就職等に悪影響があるとは思わない。

 本池市議 620万円についても企業が620万円をすべて支払ったのか?
 今井総務部長 これについても承知していない。
※無責任答弁。職務怠慢

 本池市議 和解条項のなかに「原告は和解条項を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求めるものとする」という記載があり、公表しないでよいというものではない。
 今井総務部長 「議会に対しても和解条項の尊重を求める」ということだが、市としてはそのへんのことは承知していない。
※議会に報告するという和解条項を知らないということなら虚偽答弁ではないか。これを知らないはずがない。和解条項の内容を知らないということなら無責任。

 三木副市長 市大の担当の副市長としてお答えする。議会に報告をして尊重を求めるということについては、和解の内容について議会に報告して尊重を求めるということなので、これを公表しないという和解の内容についても議会にご報告申し上げ、その尊重することを求めるということなので内容についてすべて公表する。そこを議会に報告しなさいということをいっているのではないということ、そういうふうなわれわれは理解をしている。

※この三木副市長答弁は、市は「議会に報告する…の条項を知っていた」「知っていただけではなく、実質的にこの条項を理解したうえで、この条項を基に、極論すればこの条項に支配されて議会対応してきた」ということを示した。発言の意味が、市は和解内容を議会に「報告する」と理解していたのか、「報告しない」と理解していたのか、肝心な点が不明確だが、どちらにしろ今後に大きな問題を提起した発言である。

 これまで再々述べてきたように、双方代理のような立場の荻野理事長が本来、市民に公表すべき事項まで秘密とする和解をした。そのうえ、実質的に市を制約する条項または和解通りの実行ができない条項を入れたという非常に問題のある和解である。特にこの条項が「報告しない」という趣旨で入れた条項なら、まさに議会制民主主義の否定を強いた和解であり、荻野理事長の責任は極めて重い。また、市大を監督指導する立場にある市が、この条項に何一つの問題も感じず、それどころかこの条項を金科玉条のように信じ、この条項に縛られた議会対応をしてきたというのは驚きであり、市の責任も重い。

 長年にわたりこの問題の真相究明に取り組まれている本池市議に、これまでの問題点、取組への反省点、今後の見通しなどを聞き意見交換した。そのなかで、次のような市大の不誠実かつ不可解な対応が明らかになった。以下、本池市議の語ったところを要約すると「6月議会の一般質問は新総務部長の答弁なので少しは前進するかと期待したが、相変わらず他人事のような要領を得ない答弁だった。何人もの方たちから“あのような答弁で済ませていたら疑問点は何一つ解消されない”“何のための議会かわからない”などと怒りの声が多く寄せられ、私も叱責を受けた。市民代表の市会議員として市民の疑問に応えるためには、市大理事長と市大事務局長に直接会って話を聞くしかないと考え、砂原事務局長に会って、荻野理事長に面会したい旨要請した。しかし、いろいろなやりとりがあった後、結局面会は拒否された」ということであった。

 荻野理事長が面会要請を受けて実際に面会したのなら面会までのやりとりはどうでも良いことで、市民にも関心はないことであろう。しかし、荻野理事長は面会を拒否した。その面会拒否は、市民目線で見て妥当なのか、市民が納得できるものなのか、市民の判断を仰ぐためにはどのような経過、やりとりを経たうえでの面会拒否なのかを市民に知ってもらう必要がある。このように考えて、本池市議に市大とのやりとりを詳しく聞いた。以下がそのやりとりの抜粋である。

6月28日 荻野理事長出張。砂原市大事務局長に荻野理事長と面会したいと要請。

 本池 「6月議会の一般質問でも取り上げたが、要領を得ない答弁なので、大学としての考え方を確認したい。場合によっては9月議会において、再度取り上げることも考えている。荻野理事長に面会をお願いしたい。荻野理事長は当初からの当事者であり、現在の最高責任者だ」
 砂原 「先日の総務部長の答弁と同じことしかないと思う」
 本池 「あれではわからないからじかに聞きたい」
 砂原「たしかに、今いるもののなかでは一番かかわってはいるが、部長がいったことと同じだというと思う」

 本池「理事長本人に聞きたいことがある。事務局長さんには損害賠償金返済状況を答えてほしい。990万、620万5000円はどうか、利息と延滞金はどうかを」
 砂原 「それも、総務部長がいったでしょう。私も詳しいことはよくわかりませんよ。もちろん議事録は読みましたよ」「聞くのは議員としてか、長周新聞としてか。違ってくるので」
 本池 「議員としてだ」
 砂原 「一応、理事長には話してみる。今日は出張なので、数日かかる。連絡先を教えてくれ」

7月3日 砂原事務局長から電話。

 砂原 「総務部長が答弁しているので話すことはないので(理事長は)会う必要はないといっている。私も総務部長と同じだ。もう一度聞くが、取材なのか、議員としてなのか」。
 本池 「答弁ではわからないからだ。議員としての立場で面会をお願いしている」
 砂原 「また連絡させてもらう」

 その後1週間近く経っても返事がないので電話した。

 本池 「返事がないがどうなったのか」

 砂原 「理事長は総務部長の答弁と同じだから会う必要はないといっている。何が聞きたいのか」

 本池 「最終的に損害金がどうなったのかを聞きたい。あなたには990万と620万はどうなったのか聞きたい。理事長には一つは、和解条項を市に報告したのか、議会に報告したのかは聞きたい。そのほかも聞く」

 砂原 「市出資法人の委員会が、今年は総務委員会でおこなわれるからそこで話になるのではないか。理事長も出席すると思う」

 本池 「9月議会に取り上げるかもしれない。市大問題の総務委員会は10月だ」

 砂原 「会わないといっているから」

 本池 「その理由をちゃんと書いてもらいたい」

 砂原 「わかった」

 その後今日(7月25日時点)まで市大からの連絡はない。

 このやりとりを見て、市民の皆さんはどのように思われたでしょうか。市会議員が多くの市民の声(市民が損害を被っているのではないか、市民の知る権利が阻害されているのではないか)を受けて、市政に対する市民の疑問を解消するために面会を要請した。特定の一個人や一団体の利害のために会いたいと言っているのではない。これに対して、砂原事務局長は市会議員としての立場での面会かと2度も確認した。また、面会での質問項目までも聞いた。そのうえでの面会拒否である。

 しかも、次に述べるように全く理由にならない理由をつけてである。一般常識からすれば最低でも会って話をし、話を聞くのが普通ではなかろうか。また、面会要請に対して返事をしていない、再度本池市議から電話したあげくの面会拒否である。不誠実というより、むしろ失礼な対応だと思う。市大理事長や事務局長という立場から見ると、市会議員はその程度というように思っているのかなと思ってしまう。

 本件に関して最も重要な点は、「総務部長答弁と同じだから」という、面会拒否の理由である。松崎・今井新旧総務部長はこれまで「和解内容、和解金額、回収額、完納時期などは市大は公表しないということなので知らない」と他人事のような答弁に終始してきている。これらの事項はこれまで再々述べてきたように、非公表とすることはできない事項があるにもかかわらずである。

 荻野理事長は、損害発生の責任者の1人であり、この損害賠償請求事件を不透明にし、市民の疑惑解明の妨げになる秘密条項付きの和解をした当事者である。その当事者が、和解金額、回収額、完納時期などは知らないと言っているのである。損害発生責任者の一人であり、市大の最高責任者がこのような無責任な発言をすることに怒りさえ覚える。市民に対して申し訳ないという気持ちは微塵も無いようである。下関市民をバカにしていませんかと問いただしたくなる。

 また、砂原事務局長の対応も問題である。面会要請に対して返事をしないというのも問題だが、最も問題なのは損害金の回収状況についてきちんと答えないことである。「総務部長回答と同じ」という考えられないような回答が平然とできるのも驚きである。しかも総務部長答弁の議事録を読んだうえでの回答というから二重の驚きである。

 市大のナンバー1、ナンバー2がこのような状況である。

 市民の皆さん、市大の対応に納得できたでしょうか。市大の対応を見ると、何かおかしい、全額回収できたというのは本当だろうか、何かを隠しているに違いないという思いを強くするばかりである。真実ほど強いものはない。何事にしろ、隠してだましてやり過ごそうとしても、結局、嘘はバレるものである。

まとめ

 これまで述べたように本件は市大職員の不祥事と組織ぐるみとさえいえる不適正な事務処理が原因で発生した公金の損害賠償事件である。

 損害発生に対しては厳しく問われて然るべきだが、回収については市及び市大が議会で誠実に答弁し、市民への説明責任を果たして「市民が納得できる形」で回収できれば、本来、それほど問題は生じない事件であった。

 しかし、損害の発生から一連の議会審議を通じてわかったことは、市民に知らせるべきことが秘密にされ、そこに無理が生じたために、市は無責任な対応に終始し、責任ある行政、市民に信頼される行政とはとても言えない状況を呈してきた。和解以来、市大が一切表に出てこず、市のみが議会対応してきたことも、市、市大両者の無責任に拍車をかけたようである。

 平成30年6月議会で一応、損害金は全額回収できたようだという答弁はあったが、回収金額は知らないという無責任答弁であった。今後に残された問題は多い。お金が回収できたというのだからと、この問題を終わりにしてはならない。今後、市議会での虚偽、誤魔化し無責任答弁を防ぐためにも、また市政の信頼回復のためにも次の事項の真相究明を図り、その責任の所在を明らかにしなければならない。

 1 損害賠償金の回収について(990万円と620万5000円)
 ①損害金の回収状況(年毎の回収額)と完納時期
 ②遅延損害金額
 ③上記①②について市は知らないと言ってきたが、本当に知らなかったのか。知らなかったとしたらその理由は?

 2 和解について
 「原告及び被告らは、本件和解内容を公表しないこととする。ただし、原告が市議会に報告する場合はこの限りではないが、原告は本和解条項の趣旨を尊重して市議会に報告し、市議会に対しても本和解条項の尊重を求める」(和解条項)
 ①市大はなぜ秘密条項付きの和解をしたのか?
 ②市大は和解することについて市と協議あるいは報告をしたのか、したのならいつしたのか?
 ③市大は市に和解内容を報告しなかったのか?なぜか?(市は和解内容は知らないと答弁しているが)
 ④市大は上記1の①②③(損害金の回収状況等)は秘密条項付きの和解で秘密にしなければならない事項と考えているのか? その理由は?
 ⑤市は和解内容を市大に聞かなかったのか?聞いたが市大に拒否されたのか? 市は権限に基づいて市大に和解内容を聞かなかったのか?
 ⑥市は訴訟記録を閲覧していないのか。閲覧したのなら、いつ閲覧したのか?

 3 行政の信頼と議会審議の信頼を失墜させた市執行部発言の確認と責任の所在の明確化。市議会での虚偽答弁は許されない。

 4 秘密条項付きの和解にも市議会に報告するという条項がある。
 ・市大は如何なる理由でこの条項を入れたのか?
 ・市はこの条項であることをいつ知ったのか?
 ・市はこの条項をどのように解釈(理解)したのか?

 以上の点については今後も究明し、行政の信頼の確保を図らなければならない。

 本問題の真相究明と解決のためには、今後、荻野市大理事長が市民への説明責任を果たすことが最重要である。この問題の根源を知り、キーマンである荻野理事長が真実を話さないと、市民が納得する真相究明は難しい。もう逃げやいい加減な答弁、説明を許してはならない。

 本件は江島元市長時代に損害が発生し、中尾前市長時代に損害賠償請求訴訟を起こし、和解した問題であるが、現在、前田市長がこの問題をどう解決に導くかが問われている。従前と変わらない対応を続けていると、結局、前田市長の責任となってしまう。前田市長にはリーダーシップを発揮して市民が納得できる解決を図ってほしい。また、市議会はチェック機能を働かせ、下関市議会の権威と各議員の名誉のためにも市民が納得する形での解決を図って欲しい。

報告書作成にあたって

 報告書作成のため、各メンバーが資料を持ち寄ったが、その中で本池市議の一般質問(記事)が大変参考になった。本池市議は、この問題が発生した当初から市民の声を受けて真相究明に努力してこられた。おかしいことはおかしいと終始一貫ブレることなく、市民代表としての責任を全うしようと努力されてこられた。その信念と行動には共感するし、敬意を表したいと思う。今期で退かれるようですが、まだ時間があります。この問題を追及し続けて下さい。私どもも多くの市民の方たちと共にバックアップします。そして、失礼な言い方を許してもらえるなら、下関市政、下関市議会にはあなたのような「愚直」な議員が絶対に必要ですので、今後もあなたと同じように市民を第一に考える議員の育成に努められるよう期待しています。

 なお、連載中から大きな反響があり、いろいろな意見が寄せられた。市大トイレ工事の損害賠償について、あるいはこの調査報告に関して、ご意見、ご感想、疑問点などがあったら是非お寄せ下さい。(おわり)


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