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2008年4月14日

北陸大学教職員組合、「研究業績を待つまでもなく」授業担当させよ

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第270号(2008/4/11)

「研究業績を待つまでもなく」、授業担当させよ

2008年3月19日(水)、第5回団交が行われました。
 労務担当の松村理事は、2月19日の河島元学長に続いて、中労委の和解に反する発言をしました。
 松村理事:薬学部でも、大学が、全員一致協力してやらなければならない。
 教職組 :ならば、3人の先生を科目担当から外すのではなく、県労働委員会、中央労働委員会の判断に従って、担当させて、全学協力体制を造るべきだ。
 松村理事:それは、中労委の説明のように、論文を一本しあげるという条件でのことだ
教職組 :違う。論文は条件になっていない。中労委からの文章にきちんと書いてある。
松村理事:どこにある文章か。
 教職組 :(3月3日付けで、北陸大学の労使双方に宛てた中労委からの最新の文章を読みあげる)
「大学としては、荒川、田端両氏の研究業績を待つまでもなく・・・6年制薬学部の授業担当とする」(『教職員組合ニュース』269号)
第三者機関である、石川県労働委員会と中央労働委員会は、いずれの判断においても3人に科目を担当させることを大前提にしています。時系列に沿って、その判断を列挙してみます。石川県労働委員会「命令」は、歴史的文書として私たちの運動に刻まれています。

(1)07.4.23: 石川県労働委員会「命令」は以下の文面です。
①3人の担当外しは「不当労働行為」であり、「今後このような行為を行わないようにします」という文書を学内3箇所に張り出すよう命じました。
②「法人が組合の結成以来、組合に対して敵対意識や嫌悪感を抱き続けていた」
③法人が「組合活動を嫌悪し」、3人を「6年制薬学部設置に乗じて排除しようとの意欲をもってなされた」
④科目外しは、「他の組合員に対する見せしめ的な行為」であり、「組合に対する団結権を侵害するものと認めるのが妥当である」

(2)07.8.9:中央労働委員会で審議が始まり、最終日の1月11日まで続きました。この第1回目の8月9日に、中労委は、早くも3人に科目担当させよ、と大枠と方向性を示しています。科目外しが如何に不当であるかが一目瞭然です。
「本件事案の終局的解決の基本的方向に関し、佐倉直樹、田端淑矩および荒川靖を6年制薬学部の担当教員として取り扱うことを前提に・・・」(同252号)

(3)08.2.12:中労委『和解勧告書』 
佐倉、荒川、田端は、「実現可能な段階で、所定の手続きを経た上で、平成21年4月ま  での可及的速やかな時期に6年制薬学部の授業担当とする」(同268号)

(4)08.2.19:この日河島元学長は、明快に授業担当とする、という決定にもかかわらず、「論文提出が条件」と虚偽発言を繰り返しました。そこで教職員組合は、翌20日に直ちに中労委に「上申書」を提出し、経営側の和解書の意図的な曲解を訴えました。

(5)これに対して、3月3日付け中労委の回答が、冒頭の「研究業績を待つまでもなく」、授業を担当させよ、という文言です。・・・・


2008年3月10日

北陸大学教職員組合、和解勧告書の誠実な履行を!

北陸大学教職員組合
 ∟●職員組合ニュース、第269号(2008.3.7発行)

和解勧告書の誠実な履行を!

河島前学長の事実を歪曲した説明
 2月19日9時、薬学部全教員と教育能力開発センターの薬学部兼担教員が招集され,教員会が開催された。事前に議題は公開されていなかったが,大屋敷学長の挨拶に続いて,河島前学長が中労委における和解に関する報告をした。この報告は和解条項に沿って行われるべきものであったが,教員に誤解を植え付けかねない内容であった。
 前学長は,和解内容について「田端,荒川の6年制薬学部授業を担当させるには各々の論文の提出が必要な条件であり,和解条項がそうなっている」と発言した。この点に関し,事件当事者である教員が「和解条項では授業担当と論文提出は独立した条項である」旨の指摘をした。この指摘に対し、前学長は「まず論文を作成し、それをもって授業担当を考える」と言った趣旨の発言を何度も繰り返した。
 しかし、前学長の発言が誤りであることは、和解条項文、条項の順序から言っても自明である。和解勧告書原文は、すでに「組合ニュース」268号で提示したが、それぞれの条項は、条項1に示された和解の精神に基づき双方が遵守しなければならない義務が列記されており、双方がその条項を遵守すれば何も問題にならないはずである。当然、組合は、薬学部関係全教員を招集した公式報告の場での事実に反する説明を看過することはできず、理事会による和解内容の歪曲を正すことを求めて、中央労働委員会に上申書を提出した。
 
大屋敷学長の事実を歪曲した説明
 2月28日、朝から薬学部教授会が開催された。その会議で、報告事項として平成20年度「基礎演習」科目の授業方法と、その中で実施される「読書指導」の実施方法が示された。その際に、担当教員は「6年制授業担当(基礎演習)薬学部教授21名」とされ、佐倉教授(組合員)のみ名前はなかった。
 これに対して佐倉教授が,和解で6年制に復帰することになっている自分の名前がないのはどうしてかという趣旨の質問をしたところ,大屋敷学長は河島前学長の説明よりもさらに誤った説明を行った。
 大屋敷学長の説明はおよそ以下のようであった。
① 6年制担当教員と6年制「授業」担当教員は分けて考えている。
② 6年制復帰には21年3月までに1報という条件があった。この条件をクリアーしなければ復帰はない。(仮に条件としても、佐倉には論文作成の条件は付されていない、という意見に対しても)条件になっている。よく読んでいただきたい、と答えた。
③(「可及的速やかに」…という質問に対して)前学長と話をしてくれ、と答えた。
(さらに質疑が核心に触れそうになると)この問題はここで話すべきことではない、と話を打ち切った。
 この会議終了後、その日の午後になって、学長は佐倉組合員に対し、佐倉教授の授業復帰には条件がついてなかった、と個人的に訂正を伝えてきた。しかし、これは個人的に訂正すればすむ話ではない。学長は、公式の場で、和解の核心に関してまったく間違った情報を流布したのだ。「条件」云々と「6年制担当教員と6年制授業担当教員は分けて考えている」については、依然として撤回がなかった。しかし、「条件」云々はもとより、「6年制薬学部担当教員」と「6年制薬学部授業担当教員」という区別が差別を意味するとしたら、大屋敷学長の説明が和解条項を誤解ないしは歪曲していることは改めて言及するまでもない。これら和解条項に関わる誤った言動及び差別的扱いをそのままにするならば、教学の代表である学長としてきわめて無責任である。

中労委の明解な説明
 教職員組合からの上申に対して、中労委は明解に反応した。問題の「条件」について、3月4日付で双方の代理人宛に以下のように文書回答があった。
「和解は、各条項が一つのまとまりを持った全体として理解されるもので、各条項はそれぞれ和解成立にとり欠かすことのできない基本的な要素として、相互にその趣旨に沿って責務を果たさなければならないものです。本和解では、第3項と第4項は大学に先履行の責務がある一方、第5項は組合の責務で、荒川、田端の両氏は平成21年3月末日までに1報の研究業績を挙げることとされています。したがって、授業担当について言えば、大学としては、荒川、田端両氏の研究業績を待つまでもなく、両氏を平成21年4月までの可及的速やかな時期に6年制薬学部の授業担当とすることが求められますが、仮に両氏が平成21年3月末日までに1報の研究業績を挙げることがなければ、大学として相応の措置を採ることもやむを得ないものと理解されるところです。」(下線は編集部)
 これは、教職員組合の理解と基本的に同じである。組合は、条項5を「特別扱い」にもかかわらず、忍びがたきを忍び、苦渋の選択として受け入れた。しかし、組合側の果たさなければならない遵守義務ではあるが、授業担当決定の前提「条件」ではない。

 今回の二つの誤った説明から露呈するのは、端的に、和解に対する理事会の消極的ないしは否定的姿勢である。組合員3名の復帰を認めるよりは、何かと理由をつけて覆したいという党派的意図が見え隠れしている。我々は、和解調印した以上それが本心とは思いたくないが、県労委では基本的争点の一つであった組合敵視が、依然として色濃く残っていると判断せざるを得ない。しかし、理事会による組合敵視は、教職員は組合員ならずとも誰一人望んでいないはずだ。厳しい入学志願者状況の中で、今回の和解がもたらすものを期待して見守っているに違いない。加えて、組合敵視は和解の精神(「組合ニュース」265号及び268号)にも反する。我々は、絶大な権力を持つ理事会が、和解勧告書の内容を歪めることなく、まさに他者の「心の痛み」に対する共感を呼び起こし、個々の条項に盛られた義務を誠実に履行することを求める。


2008年2月29日

北陸大学不当労働行為問題、薬学部3教員授業復帰 中労委で和解成立

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース268号(2008.2.22発行)

薬学部3教員授業復帰 中労委で和解成立

 2月12日、教職員組合は1月11日に交わされた確認書に従って6年制薬学部授業担当外しの件で理事会と和解調印した。当日は、審査委員長の下で「将来のためのステップ」(審査委員長)として約30分間新旧学長と当事者3教員の5者面談が行われ、その約10分後に、中労委審査委員会室で、教職員組合と大学理事会それぞれの代理人が用意されていた中労委「和解勧告書」(後掲)を受諾する旨の押印をし、最後に審査委員長が和解を認定した。

 和解の内容は、1月11日に合意した5項目である(和解勧告書)。和解の核心は、「大学は、佐倉及び荒川の両名について、6年制薬学部担当とし、田端を同学部兼担とする」ことである。そこに至るまでに教務上の手続きなど(「所定の手続き」)を経ることになるが、「平成21年4月までの可及的速やかな時期に6年制薬学部の授業担当とする」とされた。佐倉、荒川両組合員の大学院担当については、「平成20年度において4年制薬学部大学院担当とする」ことが取り決められた。これによって、大学院については今春から、6年制薬学部については遅くとも来春までに授業担当が実現することとなった。

 組合側は、この勝利内容を得るために、石川県労働委員会で認定された「不当労働行為」に関して直接的な言及がないことに異議を唱えなかった。これは、中労委審査委員(3名で構成)の強い勧めもあり、当事者の将来を考え、実質勝利にとどめることにしたからである。この和解により、石川県労働委員会の救済命令は法律上失効する。とは言え、理事会が同委員会より不当労働行為を厳しく認定され、救済命令が発令された、という事実は消えることはない。

 和解が成立した以上、当事者双方は、約束の期日までにそれぞれの履行義務を果たさなければならない。

和解の内容

 和解勧告書は、全体の構成を見ると、第1項は精神的に和解を包括する「前文」で、真の和解はここに盛られている精神の理解如何にかかっている。ここには社会の期待も込められていると考えるべきである。第2項以下は、一つ一つの独立した条項である。条項毎に当事者双方が履行しなければならないことが記載されている。

 第1項は、既に「組合ニュース」第265号で、その意味の概略を示したので、参照されたい。

 第2項は、アンケートに対する「回答」に関するものである。アンケートとは平成16年6月の「国試対策と留年生対策」、平成17年3月の6年制薬学部配置希望調査にともなう「6年制薬学部教育への抱負」である。これらアンケートへの記載内容を理事会は問題視したが、文字通りアンケートであり、これを持って個人評価の根拠とすることは字義からの作為的逸脱であり、アンフェアである。そのことは石川県労委も認定したところであった。同県労委は、6年制教員配置基準を明示していなかったと認定した上で、「恣意的裁量を許す基準に基づき、6年制担当教員の適否を適正に判断することはできない」、したがって、事前に利用目的を明示しなかったアンケートの回答により、不適任とすることは正当な理由にならない、と判断していた(「命令書」25~27ページ)。今回和解の条件として、理事会はそれを再度尋ねたいということであった。組合はアンケートの回答内容が6年制薬学部復帰の条件でないことを確認し、事後に問題を生じないように中労委の仲介という条件付きで、和解のために再回答した。回答の内容自体は、正当かつ良識的な見解以外特別なことはありえない。

 第3項は、既述の通り和解の核心である。この条項は、和解のために大学(理事会)が約束した義務である。理事会は3名を6年制薬学部担当または兼担としなければならない。また2名の組合員を平成20年度において4年制薬学部大学院の担当としなければならない。

 第4項は、学部授業担当の義務履行時期の明示である。大学(理事会)は、可及的速やかに3名の組合員を6年制薬学部の授業担当としなければならないことが明記された。ここで重要なことは、最終期限を平成21年4月までとしつつ、できるだけ早く授業に復帰させることを約束している点である。なお、「実現可能な段階」は担当できる授業枠が生じた段階を意味し、「所定の手続」は大学において一般的常識的に行なわれている教務上の手続を示すものであることが、和解勧告案の作成段階において明確にされている。この条項により、授業復帰は遅くとも平成21年度までと明示されたのである。

 このように、第3項及び第4項は、今回の救済申立の核心である。組合は、不当労働行為意思によってなされた3名の6年制薬学部授業担当外しの撤回を求めてきた。中労委では和解によって不当労働行為の認定には至らなかったが、3教員の担当回復は約束された。組合がこの和解を実質勝利と判断した理由である。

 第5項は、組合側の譲歩であり、組合側が履行しなければならない義務である。しかし、和解条項の第4項と第5項は関連づけられていない。したがって、第5項は義務ではあるが、授業復帰の前提条件ではない(論文提出後に授業担当を決めるものではない)。

 この条項のポイントは、研究業績に関する、他の教員の場合と違う特別扱いとなっていることである。当該2教員にのみに特別な義務を課すことは、それ自体差別であり、組合が県労委へ救済を申し立てた趣旨からも、本来、到底容認し難いことである。しかし、中労委で再度救済命令を勝ち取ったとしても、さらに行政訴訟などで紛争が長引きそうなこと、このことによって3人の当事者本人と大学(理事会ではない!)が回復できないダメージを被るのは容易に予見できることなどを深慮して、大局的な見地から耐え忍ぶことを選択した。組合にとっては、ましてや本人らにとっては、苦渋の選択であった。審査委員長自身、前回1月11日の審問で、「このような形の論文作成は本意ではない」と遺憾の意を表明しつつも、その上であえて「忍ぶこと」の意義を説いたところであり、耐え難きを耐えてこの第5項目を受け入れる決断をした。

 しかし、和解成立に至ったことにより、石川県労委の判断が覆ったということではない、大学理事会はその判断と命令の重みを決して忘れてならない。教職員の努力もさることながら、理事会の反省なくして北陸大学の未来はない。・・・・


2008年2月20日

2教授解雇訴訟 北陸大、棄却要求 金沢地裁

■読売新聞(2008/02/19)

 学校法人北陸大学(金沢市)の田村光彰(61)、ルート・ライヒェルト(52)両教授らが、地位保全と未払い賃金など計約3430万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、金沢地裁で開かれ、同大側は請求棄却を求めた。訴状によると、同大は学部再編でドイツ語科目を廃止したため、2007年3月31日付で、ドイツ語などを担当していた両教授を解雇した。両教授は「再編後も担当可能な科目がある」として解雇不当を主張。同地裁は昨年8月、地位保全と賃金支払いの仮処分申し立てを認める決定をし、2人は復職した。

2008年2月19日

北陸大学不当解雇事件、地位確認訴訟初弁論

http://www.hab.co.jp/headline/news0000000743.html

金沢市の北陸大学教授の地位確認訴訟初弁論

北陸大学の教授2人が、担当する講義がなくなったのを理由に不当に解雇されたとして、大学側に処分の無効を訴えた裁判の第1回口頭弁論が金沢地方裁判所で開かれました。訴えているのは、北陸大学薬学部の田村光彰教授ら2人です。田村教授らは去年3月、科目の再編で担当講義の「ドイツ語」がなくなったのを理由に大学側から解雇されました。その後、裁判所が2人の地位保全を認めたにも関わらず、大学が解雇を撤回しないとして、解雇処分の無効確認を求めています。金沢地裁で開かれた第1回口頭弁論で原告の教授側は、「担当の講義をドイツ語に限定する旨の勤務条件はなく、担当科目の変更措置も十分可能だった」として解雇の無効を改めて主張しました。これに対し大学側は、「人員整理を目的とした合理的な解雇で、雇用契約はすでに終了している」として請求の棄却を求めています。


2008年2月12日

北陸大学不当解雇事件、田村・ライヒェルト教授解雇撤回要求書と賛同署名を提出

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース(第267号、2008.2.9 発行)

田村・ライヒェルト教授解雇撤回要求書と賛同署名を提出
賛同署名は943筆

 1月29日、「田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」と北陸大学教職員組合の代表者は北陸大学太陽が丘キャンパスを訪れ、北陸大学理事長及び各理事宛に両教授の解雇撤回要求書と賛同署名を提出しました。同会及び組合は昨年9月半ばから、各方面に両教授の解雇撤回要求賛同を呼びかけていましたが、多くの人の理解と協力により、提出日までに943筆の署名が寄せられました。提出後も2月7日現在で35筆寄せられています。寄せられた978筆の署名の大部分は、全国の私大教連加盟教職員組合、金沢大学教職員組合、市民運動関係者、友人(大学関係)、北陸大学教員OB、教え子等の協力を通じて寄せられました。
 提出側からは「支援する会」共同代表4名(内1名は組合執行委員長)が出席、当事者の両教授も同席しました。受け取り側は高倉理事、担当課長2名でした。提出団体は事前に北陸大学理事長またはそれに代わる解雇を言い渡した専務理事に直接手渡すことを要望しましたが、出張を理由に断られました。提出者側は、解雇撤回要求書を読み上げ、243筆の署名を手渡しました(内、14筆は数字のみの通告)。その後、各代表が発言し、それぞれの立場から思いを述べ、943筆の署名の重みを十分考えて早期解決に努力することを要請しました。高倉理事は、ぱらぱらと最初の数枚に目を通し、感想も意見も特に述べることなく、「代表して受け取ります」とだけ表明して受け取りました。
 署名提出には北陸朝日テレビ及び北國新聞が取材に訪れました。受け取り側は、事前に聞いていないとして、提出側に対し、取材クルーが同席なら(要求書及び署名を)受け取らない、と受け取りを拒否する姿勢を見せました。提出側は、取材はメディアの判断で提出者とは無関係と主張しましたが、理事会側は受け取り会場へ入ろうとしないので、メディアは場所を変えて取材することになりました。この提出については、テレビ朝日が当日夕方のニュースで、北國新聞が翌日(1月30日)の朝刊で報道しました。テレビ朝日は、当事者教授の談話をかなり詳しく取り上げていました。北國新聞の記事は「支援する会」ホームページ(http://www.tars.jpn.org/)に転載されています。
 組合員2教授解雇撤回訴訟の第1回裁判期日は2月18日(月)です。教職員組合は、裁判を支援しながら、「支援する会」と連携し、今回の解雇撤回要求に対する回答を求めていきます。教職員組合は、皆さんとともに、理事会が多数の解雇撤回要求署名を重く受け止め、謙虚に解決に向け努力することを希望したいと思います。

 ご協力ありがとうございました。今後も引き続きご支援をお願いいたします。
 次ページに「解雇撤回要求書」を掲載します。賛同署名用紙記載のものと同じ内容です。なお、実際に提出された要求書は、これに共同代表4名が署名捺印しました。

北陸大学理事長 北元喜朗 殿 北陸大学理事 各位

解雇撤回要求書

 私たちは、学校法人北陸大学理事長並びに理事各位に対し、田村光彰教授及びライヒェルト・ルート教授に対する不当解雇を直ちに撤回することを要求します。

 平成19年2月21日付貴理事会からの一方的な解雇通知に対し、田村教授とライヒェルト教授は3月15日付で地位保全及び賃金仮払いを求める仮処分を金沢地方裁判所に申し立てました。これに対し同裁判所は8月10日付で両教授の主張をほぼ全面的に認め、本件解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と是認することはできず、無効」との明確な判断を下しました。貴理事会はこの判断を真摯に受け止め、両教授に対する不当解雇を直ちに撤回すべきです。
 もともと両教授は長年にわたり、北陸大学の教育に責任と誇りを持って献身してきました。それ以外にも、田村教授は、大学人の立場から社会正義を求める活動に情熱を傾け、ライヒェルト教授は、日本のドイツ語教育の向上に尽くしただけでなく、日本文化愛好家として幅広く日独文化交流の活動をしてきました。公平に見れば、両教授とも北陸大学の貴重な人材であるはずです。
 言うまでもなく、大学は、私立大学といえども、教育的使命と責任の下に社会に貢献する公的存在です。それゆえ、理事会は教育の担い手である教員の活用こそ図るべきで、金沢地裁が認めるように、長年教鞭を執ってきた教員を十分な話し合いもなく解雇するようなことは許されません。
 昨春には、石川県労働委員会より、薬学部3教員に対する貴理事会の不当労働行為が認定されました。したがって、貴理事会は立て続けに公的機関から不法・不当行為を指摘されたのです。貴理事会はこの重みを深刻に受け止めるべきです。
 大学は社会の理解と支持の中でのみ存在し得ます。公的機関による一連の不法・不当行為の指摘は不名誉以外の何ものでもありません。私たちは、貴理事会が大学の社会的責任を心に刻み、また、自らの非なく追われようとしている者の内なる思いと、これまで北陸大学で学んできた多くの学生・卒業生たちにも思いを馳せ、謙虚に自らの錯誤を正すことを求めます。

平成20年1月29日

北陸大学教職員組合
北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会


北陸大学教職員組合、業績評価は組織沈滞の大きな要因

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース266号(2008.2.7発行)

・・・・

業績評価は組織沈滞の大きな要因

 給与実態調査と同時に行われた、業績評価に関する意識調査では、業績評価は、導入目的であった働く意欲増進や組織活性化には大きなマイナス要因である実態が改めて明らかになった。

 調査結果によると、業績評価を消極的に受け入れる「あきらめ」の傾向が見られるが、賞与への反映には、なお賛成を2倍以上上回る反対が見られ、給与への反映には70%を超える大きな抵抗が見られる。導入の目的として主張された「意欲の高まり」や「組織の活性化」に関しては、前回調査(「組合ニュース」216号参照)よりもさらに否定的になった。業績評価の信頼性に対する疑念が大きな要因となっていると見られる。このようなことから、現行業績評価(人事考課)は、教職員組合が当初予想した通り、「教育改革」、「意識改革」、「教育成果」等のプロパガンダの下で、人件費抑制と不満表明の封殺に一定の役割を果たしているに過ぎないと考えられる。

 現在、理事会は3月期賞与に向け教員の業績申告を求めている。しかし、理事会がこれらのプロパガンダを、賃金抑制の隠れ蓑としてではなく、教員から支持されるスローガンとしてその実現を真剣に考えるなら、現行のような業績評価は即時中止すべきである。・・・・


2008年2月 4日

撤回求め署名提出 北陸大教授解雇問題

■北國新聞(1/30)

 北陸大(金沢市)の学部再編に伴うドイツ語廃止で解雇されたドイツ人女性教授(52)と日本人男性教授(61)、二人の訴訟を支援する会は二十九日、大学に対し、解雇撤回を求める九百二十九人分の署名を提出した。
 両教授と同会の共同代表を務める林敬同大教職員組合執行委員長、島崎利夫同大元教授、半沢英一金大准教授、森一敏金沢市議が大学を訪れ、県内外から寄せられた署名を高倉健理事に手渡した。

2008年1月30日

北陸大学不当解雇事件、教授2名の解雇の無効求め署名

http://www.hab.co.jp/headline/news0000000647.html

北陸大学の教授2人が去年3月、大学側から一方的に解雇された問題で支援する会のメンバーが大学の経営陣に対し解雇撤回を求める署名を提出しました。署名を提出したのはドイツ語の田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の2人、それに支援する会のメンバーを合わせた6人です。田村教授らは背景には教職員組合に対する敵視があり解雇は不当だと訴えていました。金沢地裁は去年8月「解雇は合理的理由を欠き、社会通念上、是認することはできず無効」との決定を出しています。しかし大学側は依然、解雇を撤回しないことから田村教授らと支援する会は29日、高倉健理事に929人分の署名を提出し解雇撤回を求めました。これに対し経営側からの返答はなかったということです。来月18日からは解雇無効確認訴訟が始まりますが、田村教授らは学生のためにも大学内を早く正常化して欲しいと話しています。

2008年1月22日

北陸大学不当労働行為事件、中労委で6年制薬学部及び大学院担当を認める和解合意

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース265号(2008.1.17発行)

中労委で6年制薬学部及び大学院担当を認める和解合意
石川県労委救済命令の方向に沿う勝利

 年明けの1月11日、中労委で3回目の調査・審問が行われた。調査は、午前10時に開始され、昼食を挟んで午後2時までに当事者双方が中労委の和解勧告案に原則合意した。和解勧告案は5項目からなるが、佐倉、荒川の2教員を6年制薬学部及び大学院担当とし、田端教員を6年制薬学部兼担とする、また大学院については今春4月から担当とする、という組合の要求の大原則が認められた。教職員組合が譲歩した部分もあるが、このことは、実質大きな勝利に値する。和解条件の細部については、問題が残らないように1月末日までに中労委が責任を持って仲介・調整することを確認し、双方は2月12日にこの和解勧告案に調印することで合意した。和解合意については公式の確認書が作成され、双方の代理人が署名押印した。

 この日の審問は、冒頭に審査委員長から、午前中に和解協議を内容とする調査を行い、午後に審問(証人尋問)に入りたい、との予定が示された。組合側はこれ以上の引き延ばしを避けるため、同日中に予定通り審問(証人尋問)を終えることを強く要望した上で、調査予定に同意した。調査は組合側に対する意見聴取から始まった。既報(「組合ニュース」前号)のように、昨年末近くに審査委員長から和解案の提示があり、それに対し、組合は譲歩できる線を明確にして回答していた。中労委はそれを踏まえて理事会に打診していたが、委員長から、審問前日に理事会の回答が提出された、との報告があり、それらに基づいて急遽作成したという「和解骨子案」が組合に提示された。骨子案の段階では4項目であったが、内容は概ね10月4日に提示された中労委和解案に沿ったものであった。組合側はいくつかの点で明確な表現を要望し、理事会側の回答を待った。これまでの経緯から、この「和解案骨子」を理事会が受け入れることは予想しにくいところであったが、理事会側はこの案をほぼ全面的に受け入れた。その結果、午後早い段階で中労委和解案が合意に至った。合意された和解勧告案は、正式な和解調印前なので、まだ詳細は報告できないが、第1条項のみ概略を示したい。

 この条項は、これまでの「長期にわたる労使紛争の経緯」を踏まえ、中労委において和解したことを確認し、今後「大学の健全な発展及び労働基本権の尊重を旨とし、信頼と理解を深め」、労使間の諸問題について「平和裡に解決を図る」ことに努める、というものであり、一見形式的前置きのようにも見えるが、いわゆる「前文」に相当し、和解文全体の基本精神と枠組みを示している。この「前文」の重要な意味は、中労委が石川県労委の判断どおり、「長期にわたる労使紛争」の存在を認定し、「労働基本権の尊重」という原則を要請したところにある。「信頼と理解」、「大学の健全な発展」、労使問題の「平和裡の解決」が説かれているが、それらは教職員組合が常に望んできたことであり、それらが無視されてきたからこそ、労働委員会への提訴となったのであった。我々は和解事項の履行にあたって、ここに盛られた基本精神が十分に生かされることを願いたい。

真の和解への期待

 今回の3教員担当外し事件では、理事会は石川県労委段階からさまざまな担当外しの理由を後付けして不当労働行為を否定した。今回の和解勧告案は、石川県労委が認定した不当労働行為には直接的表現では触れていないが、「長期にわたる労使紛争」の存在の認定や、「労働基本権の尊重」 の揚言など、主要な点で石川県労委の命令・判断が前提されたものであった。組合としては、中労委においても不当労働行為に関して明快な命令・判断を求めたい気持ちは強い。 しかし、当事者本人の将来、及び大学の将来を考えることも、また 組合結成の原点に帰結する。正面きって不当労働行為の言及こそ無いにしても、組合の立場としては、不合理な組合員外しという間違いを正すことが最重要事項であり、今回はその意味で実質大きな勝利であった。 組合は、このような是正の事実の積み重ねによって、この種の事件の再発は防止されると確信する。私立大学を取り巻く状況を考えると、理事会の態度によっては、さらに大規模な事件も生じかねないが、 組合は、もう一つの訴訟事件、2組合員の不当解雇事件に勝利することで理事会の理不尽な暴走を阻止したい。 幸い金沢地裁の仮処分決定は2教員の主張を全面的に認めるものであった。今回の勝利の和解は、この裁判にも大きな影響を与えると思われるが、我々は 「大学の健全な発展」 のために今後とも社会の良識に希望を持ちたい。

 ところで、10月2日からの経過を振り返ると、その日にいったん和解が合意しかけたものの、理事会はそれに基づいて10月4日に出された中労委の和解案を11月から12月にかけて後退させ、頑なな態度に戻った。ところが、今回の和解協議では、再びほぼ10月2日の線に転じた。なぜ、この変化が生じたかは定かでない。ともかく、今回の和解が本当の解決になるかどうかはひとえに理事会の態度にかかっている。今年の新年祝賀会における理事長挨拶のキーワードの一つは「変わる」であったが、教職員に変わることを強制するだけでなく、理事会自身が変わることが求められる。私大を取り巻く厳しい状況の下で、理事会が今回の和解の精神に立ち返り、明日の北陸大のために、虚心に他者に耳を傾けることを期待したい。

 薬学部担当外し事件が中労委に移ってから、中労委審査委員長の和解に対する熱意は目覚しかった。今回の和解は審査委員長の信念に基づく粘り強い努力の賜物と言える。とりわけ、今春4月からの大学院担当に関しては、かねがね審査委員長が、あと1年を残すだけになった佐倉教授の最後の1年を、教授らしく学生を指導することで全うさせたいと、最も気を配った節があった。いろいろな思いはあるが、我々は謙虚に感謝したい。 また、今回 「勝利和解」に至ったのは、弁護団と私大教連の県労委段階以来の適切な弁護方針と労苦を厭わない取り組みのおかげであった。言葉では言い尽くせない感謝の意を表したい。

 今回の審問には約20名の私大教連役員及び東京都私大教連加盟の教職員組合役員が応援参加してくれた。力強い限りであった。同様に感謝したい。


2007年12月28日

北陸大学不当労働行為 授業担当外し問題、理事会は本気で解決する気があるのか?

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第264号

<中労委報告:6年制薬学部担当外し問題>
理事会は本気で解決する気があるのか?

 
 前回報告したように(「組合ニュース」255号)、10月2日の中労委の調査において、和解交渉はかなり進展した。これを踏まえて10月4日に中労委から「最終解決の基本的方向」が提示され、双方に対して中労委和解案を検討するように求められた。この時点では、11月上旬には一定の結論が出るものと予想された。しかし、その後10月中旬に、双方に開催打診があった11月上旬の調査・審問は、理事会側の都合がつかないとの理由で延期され、年内の期日設定が不可能となった。
 11月に入り、中労委から、「最終解決の基本的方向」に対する理事会側の考えが伝えられた。それは、受け入れがたい内容であった。石川県労働委員会の「不当労働行為」という認定をまったく無視したものだったからである。つまり、理事会は、田端、荒川両氏の研究業績について、具体的な数値目標を提示することを和解の最低条件として要求してきたのである。これは県労働委で否認されたダブルスタンダードを正当化するに等しく、10月2日の話し合いの線から相当後退するものであった。しかし、組合は、3人の将来を考え、大学の将来を考え、中労委の努力を考え、この受け入れがたい条件を、「忍びがたきを忍ぶ」思いで受け入れることにした。和解のための、組合側の譲歩である。ところが、理事会は頑なな姿勢を崩さず、11月中旬、中労委は和解を断念し、12月3日、明年1月11日に証人尋問を行うことが決定した。
 以上の経過から、組合は、和解は最終的に不成立と判断し、あとは審問において組合の主張をするだけと覚悟した。組合からは、佐倉、田端、荒川の当事者3人が証人として立つ。理事会からは、河島学長(任期12月31日まで)である。
 しかし、12月20日、突如として中労委からの新たな和解提案が提示された。中労委は何とか和解に漕ぎつけようと、理事会に対して説得を継続し、理事会にも一定の軟化の兆しがあったようだ。とはいえ、新和解案の詳細は報告できないが、まだ相当な隔たりがある。
 今年4月に石川県労働委員会の救済命令が出て以来、8ヶ月余が過ぎた。8月に中労委の第1回調査が開催されてからは4ヶ月である。この間、中労委による和解努力が実を結ぶと思われることもあった。しかし、結局のところ、理事会が救済命令を受けたことを反省し、譲歩するのでなければ和解はあり得ない。これまでの経過からすると、理事会は、和解を真剣に考えているとは考えられない。組合は中労委の努力を辛抱強く見守り、来年4月からの6年制薬学部担当を目指して早期解決を望みたいが、「組合ニュース」255号でも強調したように、「新たな紛争が発生し得るような、曖昧な部分の残る和解」は絶対に受け入れることはできない。
 闘いはまだまだ続きます。引き続き皆さまのご支援をお願いいたします。

北陸大学不当解雇事件、金沢地裁第1回裁判期日は2月18日

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第264号

<金沢地裁報告:2教授解雇問題>

金沢地裁第1回裁判期日は2月18日

 担当弁護士によると、提訴後、第1回裁判期日までは通常1ヶ月、その後半年程度、相互の主張や証拠調べ(尋問)が続いて、1年ほどで判決であるが、北陸大学事件のような大型事件の場合は1.5倍から2倍はかかるだろうということだった。このほど、第1回裁判期日は見通しよりもさらに遅れて、2月18日10時であることがわかった。早くも長期戦模様である。
 皆さまのご支援を改めてお願い申し上げます。
 なお、皆さまからいただいた解雇撤回要求賛同署名は、おかげさまで12月27日現在250筆を上回る勢いです。ご支援ありがとうございました。署名は1月下旬に理事会に提出する予定です。引き続きご支援・ご協力をお願い致します。


2007年12月 3日

北陸大学、理事会 私大教連加盟教組からの不当労働行為中止要請に応えず

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第259号

 私大教連加盟の約70の教職組は、9月27日に北陸大学理事会に対し、石川県労働委員会命令の遵守を要請していた(「組合ニュース」255号)。11月15日の団交で、組合はその対応について質問した。理事会側は、中労委に再審査申し立てをしたことを理由にあげながらまったく対応していないことを明らかにした。組合は、中労委の当事者は組合と理事会であるから、他からの要請に対して応えない理由にはならないことを指摘した。理事会側は「聞いておく」との反応にとどまった。不当労働行為に関しては、組合は、入試志願者への影響に配慮して話し合いによる早期自主解決を提案したが、理事会側は「今ここで話して支障があるといけない」とするのみで、自主解決への意欲は皆無であった。しかし、理事会は何故3名の教員排除にこだわるのだろうか?不当労働行為事件も解雇事件も、理事会側は入試への影響はないと発言したが,公的判断が出された以上、志願状況に影響なしとは考えられない。私たちは、大学のためには理事会が再審査申し立てを取り下げ、早期解決に向け組合と柔軟に話し合うことを求める。・・・・

2007年11月27日

北陸大学、成果型賃金制度を示唆

・・・・・・・・

成果型賃金制度を示唆

 ところで、給与に関して、理事会はここ数年新しい給与体系を構築するとして交渉を先延ばししてきた。約1年前、10月20日の第5回団交で、理事会側は「給与制度改革の概要」というA4判一枚の紙片を出してきた。そこでは本俸と諸手当を合体させた「職位責任給与」という考え方が提示されたが、その後、具体案が出てくることはなかった。今回の団交で理事会は「責任等級制度(案)」という、やはりA4判一枚の紙片を提出した。「『年功型』から『成果と仕事型』を評価した責任等級制度」と銘打たれた案では、賃金制度は、事務職員をⅠ(局長・本部長)~Ⅵ(一般職)等級、教員をⅠ(助手)~Ⅴ(教授)等級に区分し、「等級別に賃金の上限を設け、ある一定賃金水準で昇給スピードが徐々に減速し、一定レベル以上の評価が得られない教職員は、昇給がストップ体系」と示されている。その運用は「職員の昇給は半期ごとの人事考課に基づいた昇給とし、教員の昇給については別途検討」というものである。

 時間の関係で、この案の説明を聞くことはできなかったが、この案が実施されれば、給与に関して大きな格差が生じることは必至と予想される。それも、上述のように公正さに不審がもたれている状況においてである。教育・研究のような目に見えない部分の大きな仕事は、本来、計量的な評価にはなじまない。組合は、今年度については現行規程による昇給を要求する方針であるが、今後、組合員並びに非組合員の皆さんに、自らの賃金体系の本質的且つ重大な変更について真剣に考え、団結して組合とともにあるべき賃金制度を要求するように要請したい。


2007年11月19日

ドイツ語必要と教授ら提訴 解雇通知の北陸大を

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007111601000850.html

 学部再編に伴うドイツ語教育の廃止をめぐり、北陸大学(金沢市)から解雇を通知されたドイツ人女性教授(52)らが「ドイツ語はまだ必要」として、大学に対し地位確認と慰謝料など計約3300万円の支払いを求め、金沢地裁に提訴したことが16日、分かった。

 提訴したのは、女性教授と日本人の男性教授(61)のほか、所属する大学教職員組合。

 訴状などによると、北陸大は入学者の定員割れなどのため、2004年4月に両教授の所属する法学部と外国語学部を未来創造学部に統合し、薬学部との2学部に再編。大学は語学教育の科目を英語と中国語と朝鮮語に絞り、ドイツ語を廃止、担当の両教授に今年3月限りでの解雇を通知した。

 教授側は「医療現場などでは、現時点でもドイツ語の必要性が認識されている」とし、解雇は「長年の組合敵視の一環」と主張している。


2007年10月15日

北陸大学、不当解雇事件 チャングムファンも聞いてびっくり

北陸大学教職員組合
 ∟●ニュース、第256号

チャングムファンも聞いてびっくり

①論ずるまでもない「不当解雇」

 2007年8月10日に金沢地裁で出された『決定』は、2教授に対する解雇に関して、明快に「権利の濫用として無効」である、と結論付けています。

「不当労働行為に該当するか否かを判断するまでもなく」(16頁)、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することはでき」(同)ないと断じ、法人に対して「解雇回避努力を尽くすべきであった」(同)と述べています。

②選択科目で残せる

 経営側は、2教授が「専らドイツ語を教える『ドイツ語教員』として雇用されたことは否定のしようがない」(学長『陳述書』平19.6.4)と主張してきました。そして「ドイツ語科目廃止によって・・・雇用契約の目的を終了するに至った」(同)と、解雇の原因を「ドイツ語科目の廃止」に求めています。
 
 これに対して、金沢地裁は、まず、「直ちにドイツ語科目を廃止しなければならない事情」が「認められない」(『決定』13頁)と判断し、例えば「選択科目として残すなどの措置は可能であった」(同14頁)と述べています。

③「職種限定」論(ドイツ語のみの教員として雇用)の破綻・・・・


北陸大学、6年制薬学部担当外し問題 中労委の和解協議持ち越し

北陸大学教職員組合
 ∟●ニュース、第255号

中労委の和解協議持ち越し

 10月2日、第2回中央労働委員会審査が10時に開始された。この日の予定は午前中に当該3名の教員を6年制薬学部に復帰させることを前提とした和解協議、これが不調の場合は、午後には双方から申請された証人に対する審問を行うことになっていた(組合ニュース第252号)。審問は、法人側河島学長、組合側荒川講師、田端講師、佐倉教授に対して双方各1時間ずつの主尋問と反対尋問、合計4時間の予定であった。しかし、中労委審査委員長は、この日和解に強い意欲を示された。法人側への説明は知る由もないが、組合側に対しては、争いがこのまま続けば、決着を見るまでに相当な時間を費やされ、仮に組合側が最終的に勝ったとしても研究者として致命的な損失を蒙りかねないことを危惧されての和解勧告であった。

 中労委の方々は、ほとんど昼食をとる間もないほどに交互に双方の意見を聴取し、午後の審問予定を変更して斡旋に努力された。もともと、法人理事会が石川県労働委員会の命令を不服として再審査を申し立てた事件なので、双方の主張は石川県労委での主張がそのまま持ち越され、根本的な違いがあった。しかし、中労委各委員は、当事者の帰路の便の都合により18時までに限られた時間で、原則主張よりも和解を重視し、ある時は委員がそれぞれの控え室に出向き、ある時は片方ずつ当事者を委員会室に呼び、精力的に現実的な理を説かれた。少ずつ形ができあがっていく和解案から、薬学部3教員を6年制薬学部教員として取り扱うことを基調とする和解合意に向けての苦心の跡が窺えた。しかし、当初の主張の根本的隔たりを考えれば、約8時間の斡旋作業時間はまだまだ不足であり、結論は次回審査日まで持ち越されることになった。具体的な内容は和解斡旋作業の途中なので公開が憚れるが、いずれにしても組合側としては、石川県労委における成果、および県労委各位の努力に対する感謝の念からも、新たな紛争が発生し得るような、曖昧な部分の残る和解は避けなければならないと考えている。

 中労委は、10月2日の調査日以後も引き続き早期解決に努力を傾注してくれているが、和解が成立するかどうか予断は許されない。次回審査(和解協議)は目下調整中で早ければ11月上旬に開かれる。

私大教連加盟教職組、法人理事会に
石川県労働委員会命令履行を要請

 去る9月27日、日本私大教連の書記局次長三宅氏が金沢市を訪れ、市内のホテルロビーで私大教連加盟、地区私大教連および教職員組合からの北陸大学理事会宛て要請書を大学法人役員へ手渡した。数日前、三宅氏は理事長または労務担当役員との面会を申し入れたが、他に予定があるとのことで、面会はかなわなかった。ところで、それだけでなく、理事会は同氏の大学訪問も断った。組合の問い合わせに対し、法人担当者は理由を明らかにしなかった。要請書を手渡す際に、三宅氏は、「私立大学をめぐる厳しい環境の下、教職員の英知を結集し、経営と教学、労使が共に大学づくり・大学改革に向かえるよう心を砕くべきところ、徒に争いを長引かせ、さらに不当労働行為を積み重ねることは、大学の存続さえも危うくする愚行に他なりません」と強調した。

 石川県労働委員会の履行命令を要請して下さった地区私大教連および教職員組合と要請書の文面は以下の通りです(順不同)。

 北陸大学の不当労働行為事件に対し、関心と友情を持って石川県労働委員会命令履行の要請を行って下さったことに、北陸大学教職員組合は心からお礼を申し上げます。

 東京地区私大教連、茨城キリスト教大学教職組、明海大学教職組、杏林学園教職組、城西大学教職組、大東文化大学教職組、拓殖大学教職組、東京家政学院中高教組、東京家政学院教職組連合、東京家政学院短大教組、東京経済大学教職組、獨協大学教職組、上智学院教職組、中央大学教組、早稲田大学教組、早稲田大学職組、山脇学園教職組短大部、明海大学職組坂戸支部、法政大学教職組市ヶ谷支部、法政大学教職組多摩支部、法政大学教職組小金井支部、法政大学職組女子高支部、法政大学教職組小金井支部教員部、法政大学教職組教員支部、法政大学教職組、明治薬科大学教職組、桜美林学園教職組、日本大学教職組鶴ヶ丘支部、日本大学教職組経済学部支部、日本大学教職組豊山支部、日本大学明誠高校教職組、湘南工科大学教職組、相模女子大教職組、山村学園短大教職組、東邦大学教職組、東京女子大教職組執行委員会、東京立正短大教職組、東海地区私大教連、愛知大教職組、桜花学園教職組、名城大学教職組、中京女子大学教職組、同朋学園大学教職組、中日本自動車短大教職組、鈴鹿医療大学教職組、名古屋自由学院教職組、京滋地区私大教連、立命館大学教職組、同志社教職組連合、龍谷大学教職組、京都学園大学教職組、京都産業大学教職組、関西外国語大学教組、大阪経済法科大学教職組、明浄熊取教職組、関西学園大学非常勤講師組合、高梁学園教職組、徳島文理大教職組、山口県私立学校教職組連合、久留米大学教職組、福岡工業大学教職組、長崎総合科学大学教職組、全福原学園教職組、久留米工業大学教職組、九州産業大学教職組

学校法人北陸大 学 理事長 北元 喜朗 殿

不当労働行為に抗議し、石川県労働委員会命令の遵守を求める要請書

 貴理事会が、6年制薬学部移行に際して、北陸大学教職員組合の組合員である薬学部の佐倉直樹教授、田端淑矩講師、荒川靖講師の3氏を6年制薬学部に移行にさせず授業担当から除外し、また、佐倉、荒川の両氏を大学院の担当から除外した不当労働行為事件について、石川県労働委員会(以下「県労委」)は、平成19年4月24日、組合側の主張を全面的に認める救済命令を交付しました。

 石川県労働委員会は命令において、貴理事会が提出した膨大な書面と河島学長の証言を通じてなされた貴理事会の主張をことごとく斥け、上記の3氏に対する理事会の行為が、組合結成以来、組合を嫌悪し、組合員たる3名を差別しようとの不当労働行為意思を持ってなされたものであり、これらが教職員に対する見せしめ的な行為として組合の団結権を侵害する不当労働行為であったと認定し、2006(平成18)年4月に遡って3氏を6年制薬学部の教員であったものとして取り扱い、大学院担当から外した2氏についても大学院担当であったものとして取り扱うよう命じました。

 命令で明らかなとおり、組合に対する敵視・嫌悪の情から、このような不当労働行為を行うことは到底許されることではありません。しかし、貴理事会は県労委命令に服さず中央労働委員会(以下「中労委」)に再審査を申し立てました。いたずらに本件を長引かせ、また解雇を含む不当労働行為を重ねることは、大学を荒廃させる愚行以外のなにものでもありません。

 私たちは、貴理事会の不当労働行為に対し強く抗議するとともに、私立大学をえぐる厳しい状況下、貴理事会が一刻も早く正常な労使関係を構築するよう姿勢を改め、以下の3点について速やかに実施することを強く要請します。

1. 県労委命令を遵守し、中労委への再審査申立を取り下げること。
2. 佐倉教授、田端講師、荒川講師を6年制薬学部担当教員として取り扱い、6年制薬学部の授業を担当させること。
3. 佐倉教授、荒川講師を大学院担当教員として取り扱い、大学院の教育と研究を担当せること。

  2007年  月  日
      団体名                        
                印
      代表者 

                       

2007年9月25日

北陸大教授2人解雇問題、地方で経営環境悪化

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2007/09/20070924ddlk17100329000c.html

 ◇大学全入時代、私大教職員に警戒感
 定員割れによる学部再編で「担当科目がなくなる」として今年2月、北陸大(金沢市)の教授2人が大学側から06年度末での解雇を通知された。2人の仮処分申請を受けた金沢地裁は8月、大学側に地位保全と1審判決まで月35万円の支払いの命令を出した。大学志願者数が入学定員と同数以下になる「大学全入時代」は、今春から始まり、全国で定員割れが続出している。地方の私立大が抱える経営環境は厳しさを増している。日本私立大学教職員組合連合(東京都新宿区)は「今後、地方の私立大で収入が減るのは間違いない」として、同様の解雇に警戒感を持つ。【栗原伸夫】
 解雇通知を受けたのは田村光彰さん(61)とドイツ人のルート・ライヒェルトさん(51)。2人は担当授業の再開などを求めているが、大学側は解雇の姿勢を崩さず、10月には同大を相手取り本訴訟を起こす方針だ。
 決定書によると、田村さんは法学部で、ライヒェルトさんは外国語学部でドイツ語などを担当していた。大学側は00~03年に両学部の4学科で入学者の定員割れが生じたため、04年度から両学部を再編成。未来創造学部を新設し、ドイツ語科目を廃止した上で「担当科目が存在しない」として2人に解雇を通知した。
 しかし、仮処分決定で中垣内健治裁判官は、大学の経営状況について「教員を削減する経営上の差し迫った必要性はない。ドイツ語科目の履修を希望する学生もいる」と指摘。また「担当科目がないとする点について2人と協議がなく、解雇の手続きも相当ではない」とした。その上で「解雇は合理的な理由を欠く」として2人の主張を認め、大学側に地位保全と賃金支払いを命じた。
 文部科学省調査企画課によると、この10年で18歳人口は約32万人減少し、07年度は約130万人。日本私立学校振興・共済事業団の調査では07年度、全国の私立大559校のうち約4割に当たる221校が定員割れとなった。短大では6割以上で入学者が定員を下回った。北陸3県では私立大10校のうち5校、短大10校のうち4校が定員割れを起こしている。

 また、北陸大が定員割れを起こした00年からは、全国でも100以上の大学が定員割れとなる状況が続いている。定員割れ問題は地方でより深刻な状況。原因は少子化のほか、団塊ジュニア世代が大学生となった90年代の各大学の入学定員増、地方から東京や大阪など大都市圏の大学への進学傾向が強まったことなどが考えられるという。
 大学で定員割れが起きれば、大学財政へも影響が及ぶ。同事業団は「地方の私立大の存続のため、規模の適正化などを支援していく。教員削減の問題も必然的に生じてくるだろう」とする。私立大学教職員組合連合の三宅祥隆書記次長は「まだ深刻な状況ではない」としつつ、「今後の学生数減少で、生き残りに危機感を抱く地方の私立大が乱暴に教員を解雇する可能性はある」と話す。
 同連合の調査によると、学部廃止などを理由とする解雇が訴訟に発展したケースはこの1年で全国で5件。今年5月には、09年度末にも廃校となる見通しの東和大(福岡市)を解雇された教授ら12人が、運営する学校法人を相手に解雇無効を求めて訴訟を起こした。教授らは「財務状況は切迫しておらず、事業縮小には理由がない」と訴えている。
 増加する大学の定員割れ。大学の世界でも勝ち組と負け組みの格差がはっきりと生じてきた。今回の北陸大の解雇問題が、全国の地方の私立大に及ぶ可能性は否定できない。仮処分決定は、大学側が主張した解雇手続きなどを認めず、学校側の説明や手続きの不十分さが感じられた。
 田村さんらの弁護を担当する菅野昭夫弁護士は「本来は当事者間で解決されるべき問題」とする。北陸大教職員組合執行委員長の林敬教授は、「長年頑張ってきた2人を簡単に解雇できるのかというモラルの問題」と憤る。争いは10月にも本訴訟の場に持ち込まれるが、同大の中川幸一専務理事は「争うことはやむをえない」としている。法廷では大学側の解雇に至った経営判断などが再度、争点になりそうだ。


2007年9月21日

北陸大学教職員組合・解雇撤回訴訟を支援する会、解雇撤回要求署名および第2期会員募集活動開始

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース(第254号、2007.9.21 発行)

解雇撤回要求署名および第2期会員募集活動開始

 教職員組合は、これまで解雇撤回を団交等により要求してきましたが、仮処分申立によって、公的な力を背景として初めて、一歩前進を勝ち取ることができました。田村、ライヒェルト両教授は引き続き本訴の手続きに入りますが、それに呼応して、執行委員会は8月30日の会議で「田村・ライヒェルトを支援する会」と協力し合い、解雇撤回要求、第2期会員募集・募金活動、公正な裁判を求める署名活動を大衆運動的に展開していくことを決定しました。この裁判は、本人のためだけでなく、公正で活力ある大学運営を再構築するために大きな意味を持つと認識されるからです。6年制薬学部組合員外し問題については、残念ながら後期からの6年制授業担当は実現せず、現在中労委で係争中ですが、両事件の全面解決に向け、皆さまのご支援・ご協力をお願い致します。
 上記二つの活動の呼びかけ文は右ページおよび裏面に掲載します。

北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルートの 解雇撤回要求賛同呼びかけ

 北陸大学は、平成19年3月31日に田村光彰教授とライヒェルト・ルートを解雇しました。しかし、解雇には、正当な理由がありません。これは大学民主化を目指す教職員組合に対する攻撃の一環とも見られます。これより先、大学法人は薬学部の活動的組合員に対しても6年制薬学部からの排除を画策し実行したからです。
 法人理事会は、カリキュラムに介入し、始めに両教授の担当科目を奪い、次に担当科目がないことを理由に一方的に解雇を強行しました。両教授は、解雇無効確認訴訟のために金沢地裁に地位保全と賃金仮払いの仮処分を申し立てました。
 金沢地裁はこの解雇に対し、8月10日付で、「本件解雇は不当労働行為に該当するか否かを判断するまでもなく、合理的理由を欠き、社会通念上相当として是認することはできず、無効」と判断し、両教授の主張をほぼ全面的に認め、地位保全と賃金仮払いを命ずる、と決定しました。判断理由は、両氏が終身雇用制の下で外国語学部・法学部のドイツ語及びその他の専門科目を担当していたことなどから、
 ①両氏はドイツ語限定で雇われたのではない
 ②そもそもドイツ語廃止の差し迫った必然性がない
 ③ドイツ語をなくすなら他の担当科目を検討すべき
 ④終身雇用で雇っておきながら、経営上差し迫った事情もないのに、代償措置の協議もしなかった、というものです。
 地裁の判断は、解雇無効確認訴訟において覆るとは思えない明確なものです。この春石川県労働委員会が決定した薬学部教員に対する救済命令も、組合に対する嫌悪感と不当労働行為を明確に認定するものでした。
 私たちは、大学法人の措置を、ほとんど反論の余地がないほどに、明確に不当とする公的な判断が二つも立て続けに出された以上、理事会に対し、その重みを謙虚に受け止め、即刻両教授の解雇撤回を決断するように、別紙の通り要求したいと思います。ご賢察の上、是非ご賛同下さいますようお願い致します。

なお、要求書の提出は、氏名公表をご承知下さった賛同者分のみとし、公表不可の方の分は人数を記載して提出します。

平成19年9月18日

北陸大学教職員組合
北陸大学田村教授とライヒェルト・ルート教授の
解雇撤回訴訟を支援する会



第2期支援会員募集

不当解雇撤回を訴える

 北陸大学は、平成19年3月31日に田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授を解雇しました。解雇理由は「担当する科目がない」から、と称しています。
 事実は違います。両教授はドイツ語を担当していました。ドイツ語には多くの受講生がいました。しかし、法人理事会は勝手な理由をつけて全学からドイツ語をなくしました。解雇するために作為的に担当科目をなくしたのです。そんなことは社会通念上許されるものではありません。そうでないと主張するなら、他科目の担当を配慮するのが当然です。北陸大学では、多くの教員が専門に近接するいろいろな科目を担当しています。実際、両教授も外・法学部でドイツ語以外に多くの専門科目を担当していました。つまり、どちらにしても北陸大学には両教授が担当し得る科目は存在するのです。
 それゆえ、両氏は金沢地裁に地位保全の仮処分を申し立てました。

金沢地裁が解雇無効と判断、仮処分決定!

 8月11日、金沢地方裁判所はこの解雇に対し、「本件解雇は合理的な理由を欠き、無効」と判断し、両教授の地位保全及び賃金仮払い等を決定しました。判断の根拠は、①両氏はドイツ語限定で雇われたのではない、②ドイツ語廃止の必然性がない、③ドイツ語をなくすなら、他の科目の担当を検討すべき、④終身雇用で雇っていながら、経営上差し迫った事情もないのに、代償措置の協議もしなかった、という4点でした。
 この決定により、教員側の主張を認め、法人理事会の措置を不当とする公的判断が立て続けに二つ示されました。この春、薬学部教員の差別・排除事件に対して、石川県労働委員会は、教職員組合嫌悪とそれに基づく不当労働行為と認定し、全面救済を命令したからです。高等教育という社会的責任を有する最高学府で、このような経営権を濫用する不当労働行為、不当解雇は、法的にも道義的にも絶対に許されないということです!
 田村、ライヒェルト両教授は、引き続き解雇無効確認訴訟を起こします。

「支援する会」会員募集:支援の輪を拡げよう!

 私たちは5月31日に「北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」を立ち上げました。両氏の解雇撤回を勝ち取り、法人理事会の専横から教育・研究を守るために、多くの支援会員と訴訟維持のためのご寄付を募ります。今回は第2期募集です。頑なな大学法人相手に、訴訟終結までにはまだまだ時間と労力を要します。皆さまのご理解と暖かいご支援をお願い致します。

<参加呼びかけ人>
相沢一正(元村議)潮昭太(元大学教員・翻訳家)大瀧敏夫(金大名誉教授)岡田豊(僧侶)岡野浩史(大学教員)川井孝幸(卒業生)桐山典城(元大学教員)佐倉直樹(大学教員)櫻田芳樹(大学教員)島崎利夫(元大学教員)鶴園裕(大学教員)中崎温子(大学教員)林敬(大学教員)林秀樹(市民運動)半沢英一(大学教員)松井潔(市民運動)三宅祥隆(私大教連書記局)森一敏(市議)山口隆(市民運動)吉本武士(元父母の会)


北陸大学不当解雇事件、田村教授、ライヒェルト教授 研究室使用復活

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース(第254号、2007.9.21 発行)

研究室使用復活

 組合ニュース253号でお知らせしたように、田村教授、ライヒェルト教授の地位保全仮処分申立は、8月10日に金沢地裁から、両氏の主張をほぼ全面的に認める決定が下されました。その後、決定の主文にある、地位保全と35万円の賃金仮払いは、仮払いについては35万円が決定通り8月24日に本人の口座に振り込まれ、地位保全については、8月31日に研究室の使用、Eメールアドレスの復活、駐車許可証交付が法人担当理事より確認されました。ただし、メールボックスについては、郵便物を手渡しする旨回答があっただけで、まだ開設されていません。研究室のネームプレートについても同様です。このようにまだ研究活動・教育活動における差別と障害が解消したわけでなく、両氏にとって厳しい状況が続くことになります。しかし、この組合員解雇問題に係わる裁判第1審判決言い渡しまで、とりあえず従前通り研究環境を利用できる状態になったことを両教授とともに喜び、さらなる前進を目指したいと思います。


2007年8月20日

北陸大学不当解雇事件、田村教授「大学側は10月からの後期授業で科目を担当させるべきだ」

2教授解雇仮処分申請:金沢地裁、北陸大に支払い命令 地位保全認め月35万

毎日新聞(2007/08/15)

 「担当科目がなくなる」などとして北陸大(金沢市)に解雇を言い渡された教授2人が、同大を相手取り地位保全と賃金支払いを求めた仮処分申請に対し、金沢地裁(中垣内健治裁判官)は今月10日、地位の保全と1審判決言い渡しまで月35万円の支払いを命じた。13日に教授らが記者会見し明らかにした。
 決定書などによると田村光彰教授(61)は法学部で、ドイツ人のルート・ライヒェルト教授(51)は外国語学部でそれぞれドイツ語を担当。両教授は04年4月の学部再編により教育能力開発センター所属となったが、大学側はドイツ語科目が廃止されたことなどを理由に今年2月、解雇を通知した。
 両教授は3月16日、金沢地裁に仮処分を申請。同地裁は今月10日、「解雇は合理的な理由を欠いている」として2人の訴えを全面的に認めた。
 両教授は「大学側は10月からの後期授業で科目を担当させるべきだ」。大学側は「我々の主張が認められなかったことは遺憾。弁護士と今後の対応について検討する」としている。
 北陸大を巡っては石川県労働委員会が今年4月、同大が組合活動を理由に薬学部の教員3人を担当科目から外したのは不当労働行為にあたると認定している。

2教授解雇は無効 北陸大に地裁仮処分

朝日新聞(2007/08/14)

 北陸大(金沢市太陽が丘1丁目)による解雇は無効だとして教授2人が同大学を相手取り、地位保全と賃金支払いを求めた仮処分申請で、金沢地裁の中垣内健治裁判官は10日付で「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上是認できない」として、解雇を無効とする仮処分命令を決定した。
 13日、教授らが会見を開いて明らかにした。決定によると、同大は2月21日付で、大学の学部改組に伴いドイツ語などの科目がなくなるため、ドイツ語の専任講師だった田村光彰教授(61)と、ルート・ライヒェルト教授(52)を3月末で解雇すると通知した。
 中垣内裁判長は決定で、直ちにドイツ語教員を解雇してでもドイツ語科目を廃止しなければならない必要性があったかどうか疑問が残るとしたうえで、解雇を回避する努力も尽くされていないと指摘した。
 会見で田村教授は「格調高い決定で評価できる内容。全国の多くの同様の立場の人に勇気を与えるものだ」と話した。
 同大学は「私どもの主張が認められなかったのは遺憾だ」としている。

北陸大教授の解雇無効 賃金支払いなど仮処分認定 金沢地裁

■東京読売新聞(2007/08/14)

 金沢地裁は、学校法人北陸大学(金沢市)を解雇された田村光彰(61)、ルート・ライヒェルト(51)両教授が求めていた地位保全と賃金支払いの仮処分申し立てを認める決定をした。決定は10日付。両教授と支援者の会が13日、記者会見で明らかにした。
 同大は2006年4月、学部再編ですべてのドイツ語科目を廃止。これに伴い、「担当する授業科目がなくなった」などとして、ドイツ語などを担当していた両教授を3月31日付で解雇していた。
 金沢地裁は、大学側が解雇回避のための努力を尽くしていないと指摘したうえで「合理的な理由を欠き、無効」とした。
 金沢市の金沢法曹会館で記者会見した田村教授は、「大学側は再び科目を担当できるようにするべき。後期の授業は10月からで、まだ間に合う」などと話した。一方、同法人の中川幸一専務理事は「当方の主張が受け入れられず、誠に遺憾。文面をよく読んで今後の対応を決定したい」としている。

北陸大の2教授、解雇不当と決定 金沢地裁

■北國新聞(2007/08/14)

 北陸大に勤務していた法学部と外国語学部の教授二人が、担当科目を廃止された上に解雇されたのは不当とした地位保全の仮処分申請で、金沢地裁の中垣内健治裁判官は十三日までに、二人の解雇は無効であるとの決定を下し、地位の保全と今月からの賃金仮払いを命じた。
 決定によると、北陸大は二〇〇四年四月、教職員組合員らに事前通知なく法学部と外国語学部を廃止し、教員を別の学部などに配置転換した。これを受け今年三月、教授二人は「担当する科目がなくなった」として一方的に解雇された。教授らは十三日、金沢市内で会見し、十月までに同大に対して解雇の撤回を求めて提訴するとした。


2007年8月14日

北陸大学不当解雇事件、金沢地裁仮処分決定 解雇無効 解雇権の濫用と判断

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース253号(2007.8.13発行)
 ∟●田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会

 祝!

 北陸大学不当解雇事件で,8月10日,金沢地裁は仮処分の決定を下した。同地裁は本件事件は解雇無効,解雇権の濫用と判断した。以下は,それを報じる組合ニュース。

解雇無効、解雇権の濫用と判断
-金沢地裁仮処分命令決定-

 平成19年8月10日、田村教授、ライヒェルト教授が申し立てていた仮処分命令が以下のように決定された。

1債権者らが、債務者に対しいずれも雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。
2債務者は、債権者らに対し、それぞれ平成19年8月から本案の第1審判決言渡まで毎月25日に限り35万円を仮に支払え。
3債権者らのその余の申立をいずれも却下する。
4申立費用は、債務者の負担とする。

 この決定は、両教授の申立をほとんど全面的に認めるものである。後述するように、解雇に理由がなく、解雇権の濫用であるから、解雇は無効という判断を示すものであった。北陸大学教授としての地位保全も認められ、石川県労働委員会の不当労働行為認定と救済命令に続き、俗に言う「全面勝利」である。

 金沢地裁は、まず、「事案の概要」において双方の主張から事実を認定し、そこから二つの争点を定めた。即ち、地裁が認定した争点は
(1)被保全権利の有無(争点1)
(2)保全の必要性(争点2)
であった。

 争点(1)に関し、地裁は以下のように項目ごとの判断を示した。

① 職種限定合意:就職時に職種をドイツ語に限定する合意はなかった。事実、両教授が担当していたのはドイツ語だけではないから、ドイツ語科目がなくなったことは解雇理由にならない。

② 学部再編の必要性:大学は大学の自治の享有主体であるが、教員も教授の自由を享有する。したがって、担当科目の喪失等により解雇が余儀なくされるときには、その必要性と合理性が認められなければならないが、ドイツ語廃止の必然性は認められない。

③ 解雇回避努力:期間の定めなく雇用している以上、解雇に際しては解雇努力を尽くさなければならない。それゆえ、大学法人はドイツ語を選択科目として残すこともできるし、また、これまでの本人たちの実績からすれば、解雇回避のために他科目の担当を検討すべきであった。大学法人は、他の科目担当はできないと主張しているが、疎明資料からは両教授が他の科目の適格性を欠くとは認められない。

④ 手続きの正当性:解雇にあたっては、学部再編に際し、ドイツ語存続の可否やドイツ語以外の担当可能性について十分協議した上で、雇用確保措置を講じるべきであったが、十分な説明も本人たちとの協議もしていない。

 以上のことから、金沢地裁は「本件解雇は、不当労働行為に該当するか否かを判断するまでもなく、客観的な合理性を欠き、社会通念上相当として是認することはできず、無効であるといわなければならず、本件申立における被保全権利は一応認めることができる」と判断した。

地位保全も認める

 さらに、金沢地裁は、争点(2)について、両教授の講義/授業担当や研究活動は大学法人が保障すべき雇用契約上の権利または利益に該当する、と判断し、結論として保全の必要性が認められるとした。これによって研究室等の利用も事実上強制する効果が認められ、また、北陸大学の教授の地位にあることを前提にした研究発表活動も可能になるとした。

 賃金仮払いに関しては、大学法人が、退職金を支払ったから仮払いの必要はないと主張したことに対し、両教授の「退職金」供託に配慮し、生活に必要な限度分が認められた。

法人理事会は猛省を!
社会の認定および判断を受け入れ、早急に大学運営の正常化を!

 組合側の見解では、薬学部における不当労働行為事件と共に、本件の解雇も、法人理事会にとってだけ都合のよい、不当な理由による一方的な解雇であった。公的な判断は、一方的な都合や方針だけでは、客観的合理性が認められず、解雇はできない、ということを示すものであった。石川県労働委員会の命令に続き、金沢地裁においても組合の見解は全面的に認められたのである。法人理事会はこの事実を真剣に受け止め、このような社会の通念に反する事態を生み出した経営体質を早急に改革すべきである。それなくしては、学生募集のために教育重視を如何にアピールしても、地域社会の理解と信用を得ることはできない。

北陸大学(金沢市)の教授の解雇無効の決定 (13日)

北陸朝日放送(8月13日)

北陸大学(金沢市)の教授2人が、担当科目がなくなったことを理由に解雇された問題で、金沢地方裁判所は、解雇理由は認められないとして解雇無効の決定を下しました。解雇されたのは、北陸大学薬学部の田村光彰教授ら2人です。田村教授らは主にドイツ語を教えていましたが、大学側は、科目の再編で「ドイツ語」をなくしたのを理由に、今年3月で2人を解雇しました。しかし、2人の教授は不当解雇だとして金沢地裁に地位保全の仮処分を申請していました。これに対して金沢地裁は、今月10日、2人はドイツ語だけを担当していたわけではなく大学側が主張する解雇理由は認められないとして、教授の地位保全を認める決定を下しました。また、2人に月35万円を支払うよう大学に命じました。2人の教授は来月にも、解雇の無効確認訴訟を起こす考えです。

2007年8月13日

北陸大学不当解雇事件、日本私大教連が全面的に支援

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第252号、2007.8.9

私大教連、北陸大学事件に関し全面的に支援

 日本私立大学教職員組合連合(私大教連)は、加盟169単組、組合員数約2万人の全国組織です。北陸大学教職員組合も、ほぼ結成と同時に加盟しています。早稲田、慶應等の有名大学の教職組のみならず、中部地区では名城大、愛知大、中京大など、25私大の教職員組合が加盟しています。私大教連は、21世紀に入り、少子化と大学の規制緩和等により私立大学の経営環境が混迷状態に陥る中、その役割と存在感をますます増しています。

 北陸大学事件(不当労働行為)に関しては、当初から私大教連書記局の懇切な支援をいただいていました。不当労働行為事件代理人弁護士との打ち合わせ、「田村・ライヒェルトを支援する会」の立ち上げ等、ほとんど毎回のように東京から書記局員が派遣され、各種調査への協力や適切なアドバイスをしてくれています。

 今回は、右ページに貼り付けた「私大教連NEWS LETTER」の記事のように、北陸大学理事会宛て不当労働行為中止要請を全国の加盟校に呼びかけてくれました。私たちは、全国の加盟校および会員に見守られながら、北陸大学法人の不当労働行為に対してねばり強く闘っていきたいと思います。……


北陸大学不当労働行為事件、中労委 6年制薬学部担当を前提に和解を勧告

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース、第252号、2007.8.9

中労委、6年制薬学部担当を前提に和解を勧告

 8月7日、大学法人からの再審査申立を受けて、第1回の中労委調査が開催されました。公益委員、労働者側、使用者側各参与委員、及び申立人、被申立人双方から代理人、補佐人が出席しました。芝増上寺近く、共立薬科大に隣接する労働委員会会館6階において、午後2時から5時過ぎまで、途中、片方ずつに対する審問を挟みながら約3時間の調査でした。
 この日の調査に先立ち、大学法人からは県労委命令に対する「不服理由補充書」1通が、教職員組合からは準備書面1通及び陳述書6通が提出されました。石川県労働委員会の認定は明確な「不当労働行為」でしたが、今回主張された大学法人の不服理由は、新たな証拠の提出もなく、概ね、県労委の段階で組合側により確実な証拠をもって反論された主張の繰り返しでしかありませんでした。しかし、如何にレトリックを駆使して、県労委が判断した組合員外しと「組合嫌悪」の関連を否定し、本人の業績や資質の問題にすり替えようとしても、判定基準とその運用の公正さを、証拠をもって論証できない以上、県労委の認定を覆すことはできないのは自明です。
 出席者の確認のあと、始めに法人側に対する審問があり、ついで組合側に対する審問がありました。組合側に対する審問では、いきなり3人の当事者それぞれに質問がありました。その内容からは、中労委の各委員が、書類提出から調査日まで極めて短期間でしたが、大量の提出書類を実に丹念に読み込んでくれたことが窺えました。組合としては心強い限りです。組合側代理人は、当事者の教員生命上の損失及び出張経費の関係から再審査の短期終結と県労委命令の履行勧告を求めました。
 双方の審問を終えた後、この日の結論が申し渡されました。次回の調査日には、3名の6年制薬学部担当を前提に協議する、それが不調の場合は、双方から申請された証人に対する尋問を行う、というものでした。これは、組合が主張する佐倉教授、荒川、田端講師の6年制薬学部担当と佐倉教授、荒川講師の大学院担当を前提とした和解の勧告です。組合は、大学法人がこの勧告を誠実に受け止め、石労委の認定と命令を尊重する結論に至ることを望むものです。


2007年7月 5日

北陸大学不当労働行為問題 中労委報告、解雇撤回「支援する会」報告

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース251号(2007.7.3発行)

……

(不当労働行為、及び解雇撤回)

 不当労働行為、及び解雇問題については、学生や志願者募集への影響を考え、組合は、公的機関の訴えとは別に、団体交渉においても解決の糸口を見出そうとした。法人側は、方針に「変化がない」と言うだけで、交渉による学内解決に対する意欲は見られなかった。

中労委報告1

 薬学部における不当労働行為は、法人側の再審査申立により、舞台を中央労働委員会に移されたが、その第1回の調査日が、8月7日に決まった。それに先立ち、中労委は大学法人に対し、法律に従って、中労委の決定が出るまでは、県労委の命令は有効だから、命令を履行しなければならない、従って、履行状況を報告するように、と法人、組合双方に指示が出された。法人からどのような報告がされたのか、組合は情報を入手していないが、法人は未だに命令を履行していない。また、法人の再審査申立の理由書は、中労委の指定期日よりも遅れて提出された。

「支援する会」報告1

 3月に申し立てた地位保全の仮処分は、これまで3回の審尋を経て、7月20日に最終審尋が行われる予定です。決定は、それから1~2ヶ月は要するというのが代理人の予測です。当事者二人は、様々な不安にもめげず、元気にこれまでの仕事を継続する傍ら、自らの陳述書を書き、代理人が執筆する準備書面の作成に協力しています。

 「田村・ライヒェルトを支援する会」は、6月に入ってから募金活動を始めましたが、6月末現在で、多くの方から、ご寄付がありました。最近の状況により送金等の取り扱いが厳格になり、ご不自由をおかけしています。さしあたり、名案もありませんが、できるだけ多くの方のご支援をお願いしたいと思います。特に、組合員の方のご支援を期待しています。ご面倒でも下記の方法、または、ご都合の良い方法でご寄付をお願い致します。

応募方法:  下の郵便振替口座にお振込み下さい。

  口座番号: 00740-8-57417  加入者名: 田村・ライヒェルトを支援する会

  その際,振替用紙の通信欄に次の事項をお書き下さい。

  (1)氏名,(2)氏名公開の可否,(3)住所, (4)メールアドレス

  (5)支払い項目の分類(年会費[1,000円],寄付,年会費と寄付)

  寄付は1口を5,000円とします。

 ○本会のメールアドレスにご連絡いただければ郵便振替用紙をお送りします。


2007年6月25日

北陸大学教職員組合、緊急抗議声明 「私たちはくり返される不当労働行為に断固抗議をします」

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース250号(2007.6.22発行)

誠実交渉を経ない 団交前の賞与支給に断固抗議する
県労委認定の「不当労働行為」をまた犯す法人

……(中略)……

石川県労働委員会認定:「法人の組合嫌悪と差別・排除の意思」

 これらは、石川県労働委員会が認定した「法人の組合嫌悪に基づく組合員差別・排除の不当労働行為意思」(石川県労働委員会『命令書』29頁)の一端です。法人は、石川県労働委員会により、「不当労働行為」を認定され、「今後このような行為を行わないようにします。」との文書を大学の三箇所にはりだすよう命じられました(『組合ニュース』号外、2007.4.24)。『命令書』は、薬学部教員3人への不当労働行為を、それぞれ個別に、詳細にわたり言及しています。……


2007年6月 8日

北陸大学「田村教授とライヒェルト教授の解雇撤回訴訟を支援する会」発足集会

北陸大学教職員組合
 ∟●教職員組合ニュース第249号

支援する会発足集会開催

 「北陸大学田村教授とライヒェルト教授の解雇撤回訴訟を支援する会」が正式に発足しました。平成19年5月27日(日)に石川県金沢勤労者プラザで同会の発足集会が開催され、参加者により、趣意書、会則(目的と活動内容を含む)、13名の世話人が決定されました。集会には、教職員組合員、OB、外・法学部卒業生、当事者の友人、市民の方々など、約30名が参加しました。氷山の一角という言葉がありますが、私たちは、水面下にはさらに無数の支援者が存在していると確信しています。会場では、解雇までの経過報告や当事者挨拶、諸決定の後、多数の方々から、両氏の業績、教師としての人柄への賛辞と、言葉に尽くせない無念さに対する熱いメッセージが披露されました。当日ご参加の金沢市会議員森一敏氏は、ご自分のブログに次のようにお書き下さいました。

 北陸大学の田村光彰さん、ドイツ語のルート・ライヒェルトさんの二人が、3月をもって、大学から解雇通告を受けました。私が20年来おつきあい頂き、市民運動の仲間として、ドイツの戦後補償の研究者として、ご著書の献呈など多くのご教示も受けてきた田村さん。彼は、家族経営に等しい北陸大学理事会の専横に対し、1995年に大学の自治、教授の自由、教職員の権利擁護のために教職員組合を先頭に立って組織しました。以来、大学運営のおかしさを告発し、闘い続けてこられました。お二人への解雇通告は、法的にも何ら説明できるものはなく、一連の不当労働行為の総決算として、組合つぶしを意図した不当解雇と言うより他はありません。
 今日(昨日)、裁判闘争に立ち上がるお二人を「支援する会」が結成されました。私は、共同代表世話人の一人をお引き受けしました。教育が自由化され、教育産業の利潤追求の手段へと変質が進んでいます。その最も典型のような北陸大学の暴挙は、大学教育の正常化の立場からも許されてはなりません。私も、共に闘う思いで応援します。

支援参加呼びかけ人は次の人たちです。
相沢一正 潮 昭太 大瀧敏夫 岡田 豊 岡野浩史 川井孝幸 桐山典城 佐倉直樹 櫻田芳樹 島崎利夫 鶴園 裕 中崎温子 林  敬 林 秀樹 半沢英一 松井 潔 三宅祥隆 森 一敏 山口 隆 吉本武士
趣意書と会則を後掲します。

北陸大学の現状に、誰が責任を負うべきか?
 私たちはもう一度訴えたいと思います。外国語学部及び法学部廃止決定後4年間に、先ず法科大学院の設立に失敗し、次いで理事会・河島学長主導で設置された未来創造学部では、年々、地元社会からの入学生を減らしている現状があります。その惨状たるや外国語学部・法学部の2学部時代の比ではありません。同時に経営最優先の方針から薬学部の入学定員の大増員を行いました。これも、3年計画で実施された薬剤師国家試験合格率100%達成計画の失敗から判断すると、その帰趨は将来的に予断を許しません。場合によっては取り返しのつかない大失敗になりかねません。大学をこのような危機に陥れたことは運営方針の誤りです。このような大失敗、大失策は教学の努力の問題ではなく、経営方針の問題であり、それには必ず責任者がいるはずです。この大学経営の大失敗の責任の所在を曖昧にしたまま、経営方針決定に無関係な一部教員が、何故、犠牲を強いられなければならないのか!これは、外国語の「特化」や、「担当科目がない」以前の根本的な問題です。
 解雇が正当か否かの争い以前に、問われなければならないことは、すべてのことを独断的に決定した経営者の責任です。法人理事会は自らが招いた大失敗の経営責任を組合員教員の解雇問題にすり替えようとしています。薬学部での担当外し問題も含めて、法人理事会は、教員個々人へのハラスメントと組合攻撃により組合との対立の図式を際立たせることによって、自らの責任問題を隠蔽し、本学の抱えている根源的な責任問題から目を逸らせようとしています。今年3月,外国語学部,法学部最後の卒業式の告式辞で,最後の卒業生を前に,理事長,学長は共に,両学部が廃止されることについて一言の言及もありませんでした。しかし、学部消滅と後身学部の不振により、多くの卒業生の心も深く傷ついています。理事会は、本学すべての教職員だけでなく、本学を母校とする彼らに対しても責任を免れません。

「支援する会」会員募集:支援の輪を拡げよう!
 教職員組合は、二教授支援を最重要課題の一つと位置づけています。組合員、非組合員を問わず、どうぞ「支援する会」に入会またはご寄付をお願いします。なお、入会者氏名(非公開扱いなど)は、担当者が厳密に管理いたしますので、ご安心下さい。
入会及びご寄付の手続きについては添付の郵便振替口座用紙をご利用下さい。年会費は1,000円です。できればその他にご寄付をお願い致します。郵便振替用紙に必要事項(入会・ご寄付のみ、氏名公開可・非公開など)をご記入の上、お振込みください。
また、会員募集及び募金方法と活動内容などは、下記の「田村・ライヒェルトを支援する会」ホームページにも掲載されています(組合ホームページからもアクセスできます)。
ホームページURL: http://www.tars.jpn.org/
窓口メールアドレス  pm@tars.jpn.org
HPが検索エンジンでヒットするようになるまでにはもうしばらく時間がかかります。

 みなさまのご理解と熱い支援をお願いいたします。

(趣意書と会則)
北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会
発足趣意書

 平成19年3月30日、学校法人北陸大学は田村光彰、ライヒェルト・ルート二教授の3月31日付「退職」を発令しました。この退職は本人の同意のない「解雇」です。
 二教授はそれぞれ法学部と外国語学部でドイツ語とドイツ/EU事情等の授業を担当してきた教授です。法人理事会は二人をドイツ語教員として一括りし、新学部(未来創造学部)では外国語教育を英語と中国語に「特化」したから担当する科目がない、という理由で解雇を強行しました。
 しかし、このことは、田村教授の場合は正当な理由になりえないのは明らかです。彼はドイツ語の他に法学部教授として「地域研究Ⅱ(欧州)」やゼミを担当してきました。また、社会的にも人権教育者として、活動的な市民運動家として高く評価されています。学問的労作には、10冊の著書(翻訳書を含む)、及び『論座』、『エコノミスト』、『軍縮問題資料』等の全国誌掲載論文があります。したがって、EU研究者として、人権・平和教育者として、未来創造学部でも彼が担当し得る科目は複数存在します。
 ライヒェルト教授の場合は、彼女は、法学部開設時の登載教員として招聘され、以来、働き盛りの14年間を全学のドイツ語及びドイツ文化の教育に献身してきました。さらに、彼女は日本独文学会教育部会での活動等を通じ、日本人ドイツ語教員と日本のドイツ語教育のレベルアップにも貢献してきました。法人理事会はあらかじめ薬学部でも開学以来開講されていたドイツ語を消滅させましたが、彼女には何の責任もない理由による使い捨て同様の解雇は、国際的にも信義に反する行為です。
 北陸大学は財政的には極めて良好で、解雇の必要はまったくありません。それゆえ、このようにしてまで二教授を「解雇」した真の理由として唯一考えられることは、民主的な大学運営を求める教職員組合に対する積年の敵視と憎悪です。田村教授は常に教職員ないしは教職員組合の先頭に立ち、法人理事会の独断強権的運営を批判し、明朗且つ民主的な大学運営と自律的な教育を求めてきました。独断強権的運営は教員と教育を萎縮させるばかりか、過去においても二度に渡って文部省(当時)の行政指導を受ける等の不祥事や不明朗な経営を招来してきたからです。
 田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授は、平成19年3月16日に金沢地方裁判所へ地位保全の仮処分を申し立てました。さらに二教授は、この申立の後に解雇無効確認訴訟を予定しています。私たちは、二教授解雇を不当解雇と認定し、広く社会の理解と支持の下に物心両面から二人を支えていくために、二教授の申立並びに解雇撤回訴訟を支援する会を発足させたいと思います。私たちは、この支援が本人だけでなく、社会の中に生きる大学の未来を切り拓くことに繋がるものと確信しています。
     平成19年5月27日
     発足準備委員
     大瀧敏夫 桐山典城 川井孝行 佐倉直樹 櫻田芳樹
     島崎利夫 鶴園 裕 林  敬 林 秀樹 半沢英一
     松井 潔 三宅祥隆 森 一敏 山口 隆

会則
1 名称 本会は「北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」(略称:「田村・ライヒェルトを支援する会」)と称する。
2 目的 本会は、北陸大学が解雇を発令した田村光彰教授とライヒェルト・ルート(Ruth Reichert)教授の解雇無効確認訴訟を支援することを目的とする。
3 活動 本会は目的を達成するために次の活動を行う。
(1)仮処分申立を含めた訴訟費用支援のために募金活動を行い、支援金はすべて訴訟費用支援と会運営に充てる。
(2)社会の理解と支持を求めるために、北陸大学の卒業生を始め、広く社会に向け広報活動を行う。
(3)公正な裁判を求める署名活動を行う。
(4)裁判を傍聴する。
(5)随時報告・支援集会を開催する。
(6)会報を発行する。
(7)その他、本会の目的達成に必要なこと。
4 会員 会員は、本会の目的に賛同する個人及び団体とし、会員名は公開または非公開とする。会費は年額1000円とし、訴訟費用支援と会運営に充てる。
5 世話人会 本会の運営のために共同代表世話人及び世話人を選出し、世話人会を構成する。
6 運営 本会の活動方法及び支援金の使途、その他会の運営に必要なことは世話人会の協議で決定する。
7 事務局 本会に事務局をおく。事務局は会の庶務を担当する。
8 会計
(1)会員の中から会計責任者1名を選ぶ。
(2)会計年度は4月1日から翌年3月31日までとし、年1回会計報告をする。
(3)会員の中から会計監査1名を選ぶ。
9 附則1 本会は2007年5月27日に発足する。
  附則2 本会の事務局を金沢市末町9?24におく。

支援会員募集「田村・ライヒェルトを支援する会」にご協力を!

2007年6月 4日

北陸大学、「田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」 不当解雇差し止めを訴える

「北陸大学 田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」

「北陸大学 田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」が発足しました。

支援会員募集

不当解雇差し止めを訴える

 北陸大学は、平成19年3月31日に田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授を解雇しました。解雇理由は「担当する科目がない」から、と称しています。しかし、実態は、解雇するために、作為して担当科目をなくしたのです。

何のために解雇?

 経済的理由ではありません。北陸大学の経営状態は安定しています。

本当に科目がないから?

 両教授はドイツ語を担当していました。ドイツ語には多くの受講生がいました。しかし、法人理事会は独断的な理由をつけてドイツ語をなくしました。

それじゃ、やはり担当科目がないのでは?

 そんなことはありません。北陸大学では、多くの教員がいろいろな科目を担当しています。その中には両教授の担当できる科目も含まれています。実際、両教授はドイツ語以外も担当していました。北陸大学だけではありません。現在では、専門は「越境」し、多くの大学で教員の専門領域が拡がっています。

 したがって、「担当科目がない」ことを理由とする解雇は不当解雇以外の何ものでもありません。この春、薬学部教員に対する不当労働行為に関して、石川県労働委員会から全面救済命令が出ました。若者を教育する大学で、このような不当労働行為、不当解雇は、法的にも道義的にも絶対に許されません!

「支援する会」会員募集:支援の輪を拡げよう!

 私たちは「北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会」を立ち上げました。法人理事会の横暴を圧倒する多くの支援会員(氏名公開または非公開)と訴訟維持のためのご寄付を募っています。皆さんのご理解と暖かい支援をお願いします。

―――

多くの方のご支援をお願いします。

入会・カンパ,その他,本会への連絡は下記にお願いします。

pm@tars.sakura.ne.jp(pm@の部分は半角文字で手入力して下さい。)

2007年5月22日

北陸大、田村教授とライヒェルト教授の解雇撤回訴訟を支援する会が発足

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース247号外(2007.5.19発行)

田村教授とライヒェルト教授の訴訟を「支援する会」が発足
組合は全面的に協力します

 田村さんの友人や卒業生等の学外者の協力を得て、田村氏とライヒェルト氏を支援する会が発足します。是非ご参加下さい。
-発足集会参加呼びかけ-

北陸大学田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の解雇撤回訴訟を支援する会

私たちは理由のない「解雇」を許すことはできません

時:5月27日(日)午後2時
ところ:金沢勤労者プラザ(金沢駅西口近)
TEL076-221-7771

 学校法人北陸大学は平成19年3月31日をもって田村光彰教授とライヒェルト・ルート教授の「解雇」を発令しました。「解雇」理由は、平成19年度以降「科目がないことが確定」しているから、とされています。

 しかし、この因果関係は逆です。正しくは、「解雇」するために担当させないように作為したのです。この「解雇」は、始めに強固な解雇の意志があったと言えます。しかし、このような意志に基づく「解雇」は働く者の権利を根底から否定するものであり、決して許されることではありません。

 両教授は、解雇無効確認訴訟のために、金沢地裁へ地位保全の仮処分を申し立てました。すでに、地裁を舞台に審尋が始まっています。私たちは、両教授の訴訟を物心両面から支援したいと思います。

「支援する会」の発足集会に、是非ご参加下さい。


北陸大学薬学部授業外し(不当労働行為)問題、法人理事会 命令履行を拒否、中労委へ再審査申立

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース247号外(2007.5.19発行)

薬学部授業外し(不当労働行為)問題
法人理事会、命令履行を拒否、中労委へ再審査申立
組合はこれに抗議、即時命令履行を要求

 平成18年度の6年制薬学部の開設に伴い、法人理事会は、教員3名を6年制薬学部教育現場から排除しました。石川県労働委員会(石労委)は、約1年間の審理を経て、この担当外しには正当な理由がないと裁定し、不当労働行為であると認定して、法人に対して改善の命令を下しました(全面救済。4月24日発行組合ニュース号外)。

 法人理事会は、石労委の命令を不服として、平成19年4月27日に中央労働委員会(中労委)に再審査の申立をしました。教職員組合は、緊急に団交を申し入れた結果、5月7日に団交が開催されました。組合側は、厳しい社会情勢を踏まえ、志願者獲得競争のさなかに、全国的な注視の下で係争を継続することの愚を訴えました。しかし、理事会側は、事実認定に不服があるので、「何故不服かということを(再審査)申立でしっかり白日の下に示す」と主張するばかりで、学内解決の話し合いにはまったく応じようとしませんでした。既に、双方膨大な資料を提出して主張した後、公的機関の明快な判断が示された今、法人理事会は謙虚に命令に従うべきです。もともと、薬学部3教員を他の教員と同じ扱いにしても何の問題もありません。何故それができなかったのか?公正且つ明快な審判が下ったあとでも、何故それをしようとしないのか?

 教職員組合は、団交を終えて即刻、右ページのような「要求と抗議書」を理事長宛に提出しました。これから、大学と当の教員達の教育・研究にとってはまったく無意味な、気の重くなる葛藤が継続されることになります。各方面に迷惑をおかけしなければならないことは大変心苦しいのですが、組合は大学の明るい明日のために全力を尽くします。皆さまのご理解と温かいご支援をお願い致します。

北陸大学教職組発178号 平成19年5月15日

学校法人 北陸大学
理事長 北元 喜朗殿

北陸大学教職員組合
執行委員長 林 敬  組合印

石川県労働委員会命令履行要求

 北陸大学教職員組合が平成18年5月26日に、本組合員佐倉直樹、同田端淑矩、同荒川靖の3名に対する不当労働行為について石川県労働委員会に救済を申し立てたところ、平成19年4月10日付で同委員会より全面救済の命令が発令されました。よって、本組合は、法人理事会が公的機関により不当労働行為と認定された事実を謙虚に受け止め、同命令を即時履行することを要求します。

中央労働委員会への再審査申立に対する抗議及び取り下げ要求

 本組合は、中央労働委員会より、平成19年5月11日付け「再審査申立て及び調査開始通知書」を受け取りました。本組合は、この再審査申立に抗議します。また、本学を取り巻く厳しい状況を踏まえて、再審査申立を直ちに取り下げることを要求します。

(理由)

一 平成19年5月7日の団体交渉における法人理事の回答によると、法人理事会は、本件は教育問題であるとの認識を持っており、石川県労働委員会の事実認定に不服であることをもって、上級審の場で不服の理由を開陳し、判断をいただくために、労働審判制度に基づき再審査を申し出た、とのことでした。

 しかし、3教員不採用の根拠として労働委員会の場で初めて主張された6年制薬学部教員配置基準に対し、県労働委員会はその運用について適正とは認めませんでした。さらに言えば、労働委員会の判断を待つまでもなく、3教員は教育・研究において他の教員に比して劣らないことは明白であり、薬学教育に対する意欲においても人後に落ちないこと、それゆえ、6年制薬学教育、大学院教育を担当しても何の支障もあり得ないことは、本人のみならず同僚教員諸氏の等しく知るところです。

二 3教員を教育現場から排除している現状は、特に教育現場にあってはならない差別、ハラスメントであり、人権侵害行為です。何故なら、教員が授業担当から外されることは、生涯を捧げてきた仕事を奪われることを意味します。本人にとっては、たとえ一時期であろうとも、計り知れない研究・教育上の損失であり、精神的苦痛です。公的に救済が命令されたにもかかわらず、長年本学の教育と研究に献身してきた教員に対し差別と不利益扱いを続けることは、道義的にも決して許されることではありません。

三 本組合と法人理事会の積年の対立も、県労働委員会の事実認定を受けるまでもなく、紛れもない事実です。したがって、組合活動の主要な担い手である組合員教員に対する理由のない不利益扱いは、本人を窮状に追い込むだけでなく、一般組合員を萎縮させる見せしめ効果もあり、労働委員会の認定通り、組合活動に対する介入の誹りを免れません。

四 法人理事会が再審査申立により本件の解決を長引かせ、それに伴いこれまでの数々のスキャンダルが再度人口に膾炙することになれば、本学の志願者募集において全国的に悪影響を及ぼすことは必至です。それだけではありません。教職員、卒業生、在学生は、ともに肩身の狭い思いに追い込まれます。また、本件に係わる教職員の貴重な時間が失われます。団交の席上、法人理事は、不服の理由を明らかにするのが理事会の責務、と発言されました。しかし、本件は組合対策としては意味があっても、教育上の正当な意味を見いだすことはできません。したがって、法人理事会が負うべき責務は、本件を争い続けることではなく、日々教育・研究や志願者募集に勤しむ教職員、本学を母校とする卒業生、現実に大学の評判を肌で感じる在学生に思いを致し、大学に対する誇りと希望を失わせないことです。彼らの内面の声に真剣に耳を傾ければ、今回の再審査申立は、彼らの思いに逆行していることが明らかになるでしょう。


2007年4月27日

石川県労委、北陸大に命令書 「教員3人を授業担当に」

■朝日新聞(2007/04/25)

 県労働委員会は、北陸大(金沢市太陽が丘1丁目)が教職員組合に加入している教授・講師3人を授業担当から外したのは不当労働行為と認定し、いずれも授業担当とするよう命令書を出した。同組合は昨年5月に県労委に救済を申し立てていた。
 命令書によると、同大は薬学部が06年度から6年制に移行した際、3人が組合員であることを理由に6年制カリキュラムの授業を担当させなかったうえ、うち2人は大学院の授業の担当からも外した。
 24日に記者会見した同組合の林敬委員長は「申し立てが全面的に認められた。担当授業がないことは解雇につながる可能性もある。今後は組合活動を通して問題解決を働きかけていく」と話した。
 これに対し、北陸大の中川幸一専務理事は「命令はこちらの主張を顧みず、組合の申し立てを一方的に認めている。はなはだ心外だ。到底承知できず、再審査を求めていく」としている。

不当労働行為と認定 教員外し問題 県労働委員会、北陸大に命令

■北國新聞(2007/04/24)

 石川県労働委員会は二十四日までに、北陸大が同大教職員組合の教授ら三人を担当教員から外したのを不当労働行為と認め、三人を担当教員として扱うよう大学側に命じる決定を出した。組合側が昨年五月に同委員会に救済を申し立てていた。
 命令書によると、担当教員から外されたのは教授一人と講師二人。三人は昨年四月に設置された六年制薬学部の担当教員を外された。さらに、三人のうち、教授と講師一人は昨年度の大学院担当教員にもなれなかった。
 同委員会は、大学側が教員配置の評価方法を明らかにしておらず、研究業績などからも三人の教員外しには正当な理由がないと指摘。その上で「大学側が組合活動を嫌悪し、差別しようと教員から外した」と判断した。
 北陸大をめぐっては、別の組合員の教授二人が不当に解雇されたとして、同大に対し、地位保全を求める仮処分を金沢地裁に申請している。


2007年4月26日

石川県労働委、北陸大の不当労働行為を認定 組合活動理由に担当教員外す

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070425-00000204-mailo-l17

 北陸大(金沢市)が組合活動を理由に薬学部の教員3人を担当科目から外したことは不当労働行為にあたるとして、石川県労働委員会は10日付で同大に対し、3人を担当教員として扱うよう命令した。
 北陸大教職員組合は、所属する薬学部の教授(64)ら3人が大学院担当の教員などから外されたのは組合活動が原因だとして、昨年5月に同委員会に救済の申し立てを行っていた。
 大学側は「研究業績などから判断した」などと説明していたが、同委員会は教員側の主張をほぼ全面的に認め、「組合嫌悪に基づく組合員差別の意思が推認される」として不当労働行為と認定した。
 命令に強制力はないが、同組合の林敬執行委員長は「大学側は公的な命令を尊重し、理性的に解決する道を選んで欲しい」と話している。

2007年4月25日

北陸大学6年制薬学部担当外し問題、労働委員会が不当労働行為を全面的に認定

北陸大学教職員組合
 ∟●組合ニュース号外(2007.4.24発行)

石川県労働委員会、不当労働行為を全面的に認定
-6年制薬学部担当外し問題-

 4月24日、石川県労働委員会(石労委)から、6年制薬学部担当外し事件に関し、教職員組合へ命令書(写し)が送付されました。内容は組合側の主張を全面的に受け入れたものです。

 石労委での審理は2月16日に結審し、命令は当初3月中に出る予定でしたが、申立人、被申立人双方から提出された資料は大量であったため、精査に時間がかかり、4月に入ってからの命令になった模様です。

 石労委が認定した争点は、授業担当外しは「組合員であるが故に行われた不利益取り扱いであるかどうか」ということでした。それを判断するポイントは、①法人は組合を嫌悪していたか、②担当外しは正当な理由によるものか、ということ等でしたが、①、②とも組合側の主張を認め、①については、これまでの数々の事件から深刻な対立があったことを事実として認定し、②については、県労委の審理において初めて出された「基準」の運用は適正でなく、恣意的であったとの認定でした。

 命令書はさらに踏み込んで、担当外しが、他の組合員に対する見せしめ的な行為であること、したがって、これは「団結権」を侵害するものと認められ、組合に対する「支配介入」として、労働組合法違反に該当する、と判断しています。

 組合は、法人理事会が、公的機関の判定と命令を受け入れ、速やかに薬学部3教員の担当外しを改め、大学にこれ以上の混乱をもたらさないことを求めます。

 これまで、ご支援頂いたすべての皆さまに厚くお礼申し上げます。とともに、組合はもう一つの、担当外しと同根の解雇問題を抱えていますので、今後とも皆さまの変わらないご支援をお願い致します。

主文

1 被申立人は、申立人組合員である佐倉直樹、田端淑矩及び荒川靖に対し、平成18年4月から6年制薬学部担当教員であったものとして取り扱わなければならない。

2 被申立人は、佐倉直樹及び荒川靖に対し、平成18年4月から大学院担当教員であったものとして取り扱わなければならない。

3 被申立人は、本命令書(写し)受領後速やかに、下記文書を申立人に手交するとともに、縦1.5メートル・横1メートルの大きさの白紙に、楷書で明瞭に記載し、太陽が丘キャンパス第1号棟正面玄関横、第2号棟正面玄関横及び薬学キャンパス本部棟の正面玄関横に10日間棄損することなく掲示しなければならない(文書に記載する日付は、被申立人が申立人に対して、本文書を手交・掲示した日とすること)。

平成19年  月  日

北陸大学教職員組合
 執行委員長 林   敬 様

学校法人 北陸大学
理事長 北 元 喜 朗

 当法人が貴組合に対して行った下記の行為は、石川県労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。

 今後、このような行為を行わないようにします。

1貴組合員である佐倉直樹、田端淑矩及び荒川靖に対し、6年制薬学部担当教員から外したこと。

2 佐倉直樹及び荒川靖に対し、大学院教員から外したこと。