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 カテゴリー (公)横浜市立大学

2008年4月25日

「横浜市大の再建のために」 皆さんの決起を!!

太田正孝の掲示板
大学改革日誌
 ∟●最新日誌、4月24日(2)
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●《まるで牢獄に繋がれた囚人の群れ!! 大学は自治と自由こそが生命です》

「横浜市大の再建のために」皆さんの決起を!!

投稿者:横浜市大(いちひろ) 投稿日:2008年 4月24日(木)13時11分0秒

真理子様の投書に勇気を奮い起こされる思いをしています。
 横浜市大の身売り話については存じません。中田市長が6年前に初登場した直後に、市大を売ろうとしていくつかの大学に打診があったことについては聞きおよんでいますが(そのときは商談が成立しなかったもよう)、最近の身売り話についてははたしてどうでしょうか。しかし、まんざら、ありえない話でないことだけは確かです。商談成立へのネックは、金のかかる医学部と病院でしょう。
 最近の市大は医学部謝金徴収問題で手一杯、ほとんどの管理業務が停止している状態です。このため、来年春に立ちあげる予定だった大学院再建の課題(現在の1研究科体制を3研究科体制に戻すこと)も次年度送りになりそうです。
 教員が萎縮している根因は、当年度における業務評価を次年度の給与査定に反映させる当局案が実施に移されようとしているところにあります。つまり、各年度の教員の教育、研究、社会貢献、学内行政面での査定によって、翌年度の年俸が決まる仕組みがこれです。この評価はとうぜん、任期をもつ教員には任期更新の可否にひびくことになります。これにはいろいろ問題があります。①だれがどのように査定をするのか、②公平な査定は担保されているのか、③教育や研究について長期的視点での評価はどうするのか――といった面です。市長が選任した大学管理当局――そのほとんどが教育・研究の素人――は、自分たちが評価をした形をとろうとせず、これを教員管理職(学部長、コース長ら)がやった形にしようとしています。最終決定権限は大学管理当局が握っているのですから、これはいかにも役所らしい、きわめて卑怯なやりくちといえましょう。
 市大管理当局が頭をかかえているもうひとつの厄介な問題は、トッフルなる進級条件がネックとなって、学内に大量の留年者をかかえていることです。つまり、入学後2年間のうちにトッフルという英語外部試験で500点以上を取れなかった学生は3年生の専門課程に進むことができません。この留年者がごく少数にとどまるならまだしも、毎年100人以上(cf.学生定員650人)も出るのですから、現在時点でも大学総定員枠(650人×4学年=2800人)を大幅に上まわっており、文部科学省から目をつけられています。この究極的な解決には、留年者に退学を迫るか、入学定員を減らすかのどちらかを選ばなくてはなりません。しかし、強制退学策を採ろうにも、入学前に「中途退学もありうる」ことを通知しておりませんでした。入学定員を減らす策はいかにも恰好が悪いでしょう。念のために申しておきますが、このトッフル試験を課したのは大学教員ではなく、中田市長が5年前に市大改革と称して大学に送り込んだ前田副市長らです。いずれこの問題も火を噴くでしょう。

 今の横浜市大に必要なことはつぎの3項目です。
 第一に、教授会を復活させ、教学権や人事権を与えることです。これがなければ大学とはいえません。同時に、医学部のような不祥事を招来しないようにするため、教授会に教授・准教授・助教など全職種の教員の出席を認め、運営・決定の民主化を図ることです。
 第二に、教員任期制を止めることです。任期制が続くかぎり、優れた若手人材が市大教員として応募することないでしょうし、すでに在籍している教員も身を落ち着けて研究・教育に勤しむことはできず、「市大離れ」の動きは止まないでしょう。大学に人材派遣のようなやり方はなじみません。
 第三に、単年度の評価を翌年度の給与に反映させるというのはあまりに性急であり、研究分野、教育貢献、社会貢献の多様性を鑑みると、単一の尺度で業績評価を行なうのはとうてい無理です。徒な競争を煽ることは大学としての一体感を損い、それは教育にとって最も有害な結果を招くでしょう。学生アンケートや業務評価はあってもよいのですが、それらは教員の研鑽のためにこそ、役立てるべきであります。

 大学人としての自覚と誇りを取り戻すために、市大構成員のだれもが自由闊達に発言できることを保障することです。今は、何か発言・提案しても、実らない、すぐに当局の忌避にふれる惧れを感じ、だれも何も喋らない、喋りたくない雰囲気が充満しています。今の市大を譬えると、まるで牢獄に繋がれた囚人の群れです。大学は自治と自由こそが生命です。これが与えられれば、市大はかつてそうであったように、ふたたび活気を取り戻すでしょう。

 現中田市長に、以上のような提言を受け容れる度量はないでしょう。彼にできるのは市大を壊すことか、さもなくば、やけを起こして市大を売り払うことだけです。市大関係者は勇気を奮い起こし行動を起こし、市民とともに中田体制を崩すことです。


2008年4月24日

横浜市立大学問題、新しい市大を考える会をつくったらどうか

太田正孝のホームページ
 ∟●新しい市民の会をつくりましょう
 ∟●真理子様、新しい市民の会をつくってください

 ∟●(無題)
 ∟●全貌を一層明らかにするために、情報をお願い致します。

新しい市民の会をつくりましょう

以前に匿名市大教員の力のこもった投稿があり、頼もしく感じている。内部にいる人間が声を出さなくては、市民に届かない。市大教員、教員OB、学生、市民からなる新しい市大を考える会をつくったらどうか。そろそろ中長期的な観点から提言をする時期だろう。外部のものには市大教員は何をしているのかわからないことが多い。市大教員のいっそうの努力を促したい。


2008年4月10日

横浜市大金銭授受 証言あっても『未確認』 調査担当委 仲人料や『縁故派遣』

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008040802002091.html

 横浜市立大医学部の嶋田紘・前学部長(64)の学位取得をめぐる金銭授受問題を調査した同大コンプライアンス推進委員会が、前学部長による結婚式の仲人料授受や病院への医師の"縁故派遣"の疑惑を指摘した内部通報について、事実を裏付ける証言を得ているのに調査を打ち切り、「事実と確認できなかった」と結論づけていたことが八日、分かった。推進委員会のこうした姿勢に、学内からも「事実の隠ぺいだ」との批判が出ている。・・・・

2008年4月 7日

横浜市大、学位取得謝金礼問題で対策委設置

http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/080405/kng0804050248002-n1.htm

 横浜市立大学の医学部長らが、医学博士の学位を取った学生から謝礼金を受け取っていた問題で、同大は4日、学位審査に伴う金銭の授受などを調べる対策委員会を設置した。・・・・

[同ニュース]
横浜市大:医学部長謝礼問題 学位審査の対策委設置 /神奈川

2008年4月 2日

横浜市大謝礼金問題、前医学部長の医局員たちが「通報者の責任追及を」と申入書 

http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY200804010055.html

 横浜市立大学医学部の医学博士号をめぐる謝礼金問題で、金銭授受をしていた前医学部長が主任を務める教室の医局員たちが、問題が発覚する端緒となった内部通報者の責任追及を大学側に求める申入書を出していたことが分かった。・・・・

[関連ニュース]
横浜市大、院生派遣「事実認定できず」と調査中止
横浜市大医学部長、親族経営の認定外病院に医師派遣
横浜市大「院生派遣」の調査中止 委員会聴取 前医学部長、事実認める

2008年3月31日

横浜市大の学位審査謝礼金徴収問題、「小悪を懲らしめ、巨悪を逃す」ことにならないか

横浜市議会議員 大田正孝氏ホームページ
 ∟●横浜市大の学位審査謝礼金徴収について
学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市大の学位審査謝礼金徴収について 

横浜市大の学位審査謝礼金徴収について


 最高学府の頂上部博士課程でこのような前時代的陋習が未だに残っていることに驚かざるをえない。横浜市大の評判はいよいよ地に堕ちたというべきか。思うに、市大の不祥事は医学部の専売特許である。こうしたことが起きるたびにわれわれは肩身の狭い思いをさせられるのだ。そうした者のひとりとして、今回はもはや怒りを飛び越しえ悲しみさえ感じる。もともと別大学のような扱いを受けてきたが、非難を受けるときだけは、世間から見ると横浜市大という同じ看板の下で平等となる。
 ここでは、なぜこうした非常識が起きたか、そして、どうしてそれが今の時点で暴露されたか、さらに、これは何をもたらすかの3点に限って私見を述べてみたい。

 横浜市大では数年来、「大学改革」が進行中であることは周知のとおりである。予め断っておくが、筆者はこの改革に賛成しているわけではない。その逆だ。この改革がまやかしで、事実上の市大潰しであると思っている。これについては後で述べることにしたい。
 医学部だけは、6年前に大学改革論議が始まった早い段階で外部(おそらく横浜医師会)からの圧力が加わったらしく、この改革から外れた。瀬戸キャンパスの商学部、国際文化学部、理学部の3学部10学科が国際総合科学部として1学部1学科に統合されてしまったのとは対照的に、福浦キャンパスの医学部は独立性を維持し、医学科と看護学科の2学科体制になった。ここではふれないが、看護は医学部に併合されるのに強く抵抗していた。
 しかも、医学部では講座制に基づく教授会が機能しつづけているのである。教授会が機能しているのはあたりまえのことのように思われるかもしれない。しかし、瀬戸では後述するように、これは機能していない。講座制に基づく医学部教授会というのはどのようなものか。ひと言でいえば、徒弟制度だといえようか。講座というのは生化学、細菌学、公衆衛生、法医学など基礎講座を指し、研究と教育を主務とする。医局というのは内科、外科、小児科など診療科を指し、研究・教育と同時に診療を主務とする。教授会は、各講座と各医局を代表する教授から構成され、それ以外の者(助教授、講師、助手など)はコミットできない。講座または医局を統轄する教授は当該の講座ないし医局のなかのあらゆる業務に関し絶対的な支配権を有する。テーマ設定(診療方針)、計画、準備、業務の割当など、万事が共同研究(診療)を前提にして教授の指揮下に行なわれる。個人的な研究(診療)というのはありえない話だ。そのほか教授会は人事権を一手掌握しており、各講座ないし医局のメンバーの採用・昇任・異動の権限をもつ。つまり、教授を頂点とするヒエラルキーが、医学部のすべての業務を支える基盤である。
 以前、市大病院の外科手術で患者を取り違えて手術してしまうというとんでもない事件が発生したことがある。この事件の裏に学閥間の対立と同時に医局の家父長的体質が絡んでいた。民主主義がなく意志疎通がうまくいかなかったのだ。エライ教授を前にしては医局の構成員、医療技術者、看護士にいたるまで、診療・手術について何もいえない緊張萎縮した態度で臨まねばならない。
 教授が定年などで医局(講座)を去って空きポストができると、「跡目相続」めぐる醜い争いとなるのが相場で、かつては学閥間(東大系、市大系、その他大系の3学閥)での争いだったが、市大閥が多数を占めた今では市大内の争いとなっている。教授が代わると、全員とまではいかないまでも、医局員の多数がごっそり入れ代わっていく。居残っていては甚だ居心地が悪いのだ。出入りの製薬会社までもが入れ代わる。こうした利権と嫉視反目の土壌があるゆえに、ライバル蹴落しのための暴露合戦にも力が籠もる。医学部内に最低限の民主主義が機能していれば、あるいは、外部の眼が行きとどいていれば、今度の学位審査の謝礼金問題は内部の力で解決された可能性は大であった。
 今度の問題は、全国の医学部がかかえる構造的体質がはしなくも露呈した事件である。医学の研究・教育に金がかかるのは周知のとおりだ。そこから宿命的な金権体質が育まれる。医学部と製薬資本とのつながりは公知の事実である。今から15年以上も前のことだが、市大医学部の放射線科の教授が機器購入に際し賄賂を受け取った事件が起きた。当時、類似事件が他大学でも頻発しており、厚生省が本格的調査に乗り出した。しかし、この調査は中途で放棄されてしまった。薬剤資本と医学部の癒着は摘発したら切りがなく、全国の大学が染まっていることが判明したからだ。結局、こうした不祥事を極力起こさないような精神や形ばかりのシステムだけを提案して、それで幕引きとなってしまった。
 いまの医学部が一つだけ今回の市大改革に同調した事柄がある。それは教員の全員任期制に同意したことである。この任期制は医学部内でも論議があったのは事実。それゆえに改革に反対するという動きも当初はたしかにあった。しかし、最終的に受け入れを認めたのは、教授会が機能しているかぎり、任期制の導入が直ちに教員の身分保全に影響を与えるものではないとの判断が働いたからだ。
 教授を除く医局員の人事異動は、前述したように日常茶飯事だった。ほとんどの医局員はもともと市大一箇所に留まっているのではなく、数年単位で系列病院を転々と渡り歩くのが慣わしだ。資金を貯めて開業医として独立するのがゴールである。かくて、任期制の導入により「身の危険」を感じたのは医局教授と基礎講座の教授のほうである。しかし、教授会が外部力によって侵されないかぎり、だれか同僚教授に5年毎の任期更新の時機がめぐってきたとき、相互に地位を保全しあう暗黙の合意さえできていれば、教授の身分を失うことはない。現に、そうした暗黙の合意はあるようだ。


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横浜市大問題、通報者に不利益処遇 市議会委員会で指摘

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080328-OYT8T00757.htm

 横浜市立大の学位取得を巡る現金授受問題で、同大コンプライアンス(法令順守)推進委員会への内部通報者について「処分を求める嘆願書が出されている」など不利益な処遇がなされているとの指摘が28日、市議会委員会で出された。・・・・

2008年3月28日

横浜市立大学、学位審査謝礼等問題は何を物語るか-市大の真の改革を望む-

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(3月26日(4))

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第56号 転送歓迎
2008年3月26日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.56, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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学位審査謝礼等問題は何を物語るか
―市大の真の改革を望む―

国際総合科学部
一楽重雄

 現在、マスコミをにぎわしている医学部長の学位謝礼金問題を見ていて、学内者として実にもどかしく悲しい想いがする。謝礼金問題自身もさることながら、その処理の不手際さは目に余るものがある。最近には、副学長の長女の学位審査についても疑問が出てきた。長女の学位審査の主査を自分がするというのは世の中ではまったく「非常識」だが、恐らく医学部では「常識」だったのだろう。なぜなら、自分が主査になると言ってなれるわけではないからである。私の知る限りでは、主査副査の決定は研究科委員会(大学院の教授会)においての審議事項だからである。

 これらの問題の元を質せば市大の「似非改革」にある。このところ「改革」という名目さえあれば中味を議論することなく進められ、反対する人たちは「抵抗勢力」とレッテルが貼られてしまう。市大の「改革」は、矢吹先生が早い段階で喝破されたように現実には改革どころか「市大潰し」であった。実際、私の所属する数理科学科はまったく専攻を廃止され、文字通り「潰されて」しまった。それも「前年の志願者倍率はもっとも高かった学科が」である。合理性のない結論であったが、「改革」が、新聞報道を期待し「日本初」を狙うだけの市長の野望によってなされたものでしかなかったのである。

 今回の問題を考える視点はいくつかある。

 まず、第一に、このような時代遅れの問題が「改革」以後も持ち越されていたのはなぜか。世間の「常識」は市大医学部の「非常識」のままにされたのはなぜであったか。それは繰り返しになるが、そもそも大学の問題点をきちんと検討して、その解決策として市大が「改革」されたものではなく、単に市長のパフォーマンスで「改革」されたからである。ある程度政治的な力を持っていた医学部は、「改革」の計画段階で実質的に改革の対象からはずされていた。他の3学部はひとつに統合されてしまい、教授会がまったく機能しなくなった。医学部ではそれと違って、4年制になった看護学科をも併合するような形で大きくなり、医学部の教授会は力を残した。大学改革では「講座制廃止」のはずだったが、実際には何も変わってはいない。教授が絶対的権威になってしまう講座制の問題点が何ひとつ解決されていないということが、今回の事件では明白になった。横浜市は、「改革」の題目として医学部については他に「医学部附属病院」を「大学付属病院」にすることを挙げた。これは始めからどちらでもよいことであって、実際上大きな違いは出るはずもない。

 戦後60年以上経過した今になっても市大医学部は「民主化」の必要性があるのである。

 この問題が示す第2の点は、これまでにも何回か指摘してきたが「教授会の自治」をまったく排除してしまっては、大学の運営自身がうまく立ち行かないということである。今回の事件によって、それが学外の人々にも分かる形で顕在化したと思う。

 大学当局のこの問題に対する不手際さは相当である。嫌疑をかけられている教授自身が、学長候補所信表明という場違いのところで、コンプライアンス委員会に対する不満、大学の自治の崩壊に対する告発を行い、それでやっと大学当局が動き始めた。しかも、動き始めてもコンプライアンス委員会の「人選を間違えた」とか決定的な不手際を続けている。新聞にも「歯切れの悪い説明に終始した」などと書かれ、文部科学省には連日呼び出されて、きちんとした再発防止策を出せなどと言われる始末である。これまでも日常業務については、小さなトラブルや予定の遅れは日常茶飯事であったが、学生に迷惑をかけないようにということで現場の教職員が一生懸命努力するから、それらが大きな問題にならなかっただけなのである。

 一般の会社や役所のように日常的な業務自身が、上下関係の中で処理されるような責任体制のところと独立した教員が各人の責任で授業をするのが基本である大学の体制とでは、運営が同じようにできないのは自明である。このことが「大学改革」を進めた横浜市にはまったく分っていなかった。

 これをよく示すのが、今回のコンプライアンス推進委員会の改組である。当初、7人の管理職プラス弁護士の委員会ではことが処理できず、急遽、それも問題が当事者自身の告発で明るみに出てから、4人の外部委員を主とする体制に変えたということによってよくわかる。大学の教員管理職と一般の職場の管理職では意味がまったく違う。つまり、教員管理職の場合には、通常の意味での部下が一人もいないのである。しかも、本来業務である研究教育は続けている。だから、このような委員会を管理職で構成しても、教員管理職は忙しくて何もできない。事務職員の管理職の場合には、長が委員であればその部下が実際の仕事をする。だから、会社や役所では、管理職ばかりの委員会も意味があるが、大学ではそうではないのである。

 この違いも分からないで管理職に権限を集中させているのが現在の市大である。人事委員会も当初のコンプライアンス委員会も管理職ばかりで構成している。いわば、理事長・学長独裁体制とでも言うべきなのが市大の組織である。しかも、そのトップの理事長は非常勤ときているのだから、ちょっと大変な問題になると文部科学省に怒られてばかりという無様を見せることになる。さらに教員管理職は学長の任命である。その学長が公立大学初の外国人学長で「雇われ学長」であるから、市大にどんな人がいるかもよく分かっていない。しかも、任期制に同意しない人は管理職にしないなどとしているから、人材が払底する。もともと管理職に向いていない人が、かなりの大学幹部になっていたりする。

 今必要なことは、教授会自治の一定の回復とその欠点を補う制度の創設である。学部ごとの教授会自治だけでは、今回のような問題は解決が難しいのは確かであろう。したがって、各学部の独立した教授会の上に何らかの組織を作るとか学長権限を以前より強化して学長室を作るというようなことは考えられる。その一方、今回のような問題では教授会自身が主体性を持って解決を図るのでなければ、調査さえ満足にできないだろう。

 外部委員を中心とした4人の委員会、それも他大学の学長、市役所の局長、そして弁護士が委員の委員会で果たして十分な調査ができるとも思えなかったが、ちょうど、今日結果が新聞に掲載された。案の状、「一部に現金の授受があった」ことだけを認めただけの結論である。通り一遍な結論であることは想像以上であった。外部委員を含む別な委員会を立ち上げてそこで十分な調査をするようにも求めているとのことだが、これではコンプライアンス委員会の役割はいったい何なのか疑問である。

 この調子では、これから設置される委員会でも、実態が究明され、問題の解決に向けて医学部の改革へ進むという道筋にはなりそうにない。「ともかく、形をつけて市会から追求されたりしないようにすること、それさえできればそれでいい」という横浜市のご都合主義でことが進むのではないだろうか。

 独立行政法人になって、教員だけでなく事務職員も法人固有職員の採用を始めた。横浜市からの出向者ばかりではなく、大学のことを自分のことと考えて働く人は必要であるから、それは当然であろう。ところが固有職員の採用は、教務や入試関係ばかりであり、大学の予算や計画に関わる部門は依然として横浜市の出向者が占めている。しかも、先日の学長選考を見れば分かるように、実は市が大学をリモートコントロールしている。

 大学の自治を持ち出すまでもなく大学の運営をスムーズにするためだけにも、大学は独立行政法人らしく独立し、責任体制をきちんとすることが必要である。今回の問題の処理がきちんとできなければ、理事長を初めとして大学幹部は責任を明確にすべきである。そして、本当に大学の経営ができるひとが固有職員として大学を切り盛りしてくれなくては困る。間違っても、役人の天下り先にしてはいけない。これについては、市会がしっかりと監視する必要がある。

 現在の市大は「大学ではない」として市大を去った人、あるいはこれから去る人もいる。まったくそのとおりだと思う。

 市大の「改革」を根本から見直すべき時期だと思う。本当の「改革」とは何か、この機会に元に戻って考える必要がある。それをしなければ、「市大が市民にとって存在価値があるもの」になるという改革の目的は決して実現されないだろう。

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編集発行人: 矢吹晋(元教員) 配信ご希望の方は、
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横浜市大の新理事長、前横浜市副市長の本多氏に

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimar0803681/

 横浜市の中田宏市長は二十六日会見し、横浜市大の宝田良一理事長(60)が任期を一年残して今月末で辞任することを正式発表した。後任には前横浜市副市長の本多常高氏(65)=市信用保証協会会長=を四月一日付で任命する。・・・・

[同ニュース]
横浜市大理事長が退任へ
横浜市立大:宝田理事長、任期残し辞任 後任に前副市長 /神奈川
横浜市立大理事長が辞任へ 後任に元副市長

2008年3月27日

横浜市大の宝田理事長辞任へ 任期途中、今月末で

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimar0803652/

 横浜市大の宝田良一理事長(60)が任期を一年残して今月中に辞任する意向を固めたことが、二十五日分かった。二十六日にも宝田氏の辞任と新理事長について正式発表される見通し。

 市大では、ブルース・ストロナク学長が任期を二年残して三十一日付で辞任することが決まっている。嶋田紘医学部長(64)が医学博士の学位を取得した大学院生らから謝礼金を受け取っていた問題で揺れる市大だが、学長、理事長がそろって任期途中で大学を去る異例の事態となった。

 関係者の話を総合すると、宝田理事長はストロナク学長と二人三脚で市大の改革に取り組み、一定の成果を上げたことを強調。ストロナク学長の辞任表明を受け「学長と理事長は一体」とし、新学長選考を見届けた後の今月上旬、市側に理事長から退く意向を示したという。新学長に就任する市代表監査委員の布施勉氏と新理事長に今後の改革を委ねる考えとみられる。

 宝田理事長は二〇〇五年四月、公立大学法人化された市大の初代理事長に就任。横浜・元町の老舗洋食器店経営者としての豊富な実務手腕、市教育委員の経験などを期待し、中田宏市長が任命した。「市民が誇れる実践的な国際教養大学を目指す」などとし、市大の改革を進めてきた。


[同ニュース]
謝礼金問題で揺れる横浜市大 理事長が辞任 

横浜市大、医学部長謝礼問題 調査結果、不透明さ際立つ 額や件数公表せず

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20080326ddlk14040544000c.html

 ◇10人程度しか聞き取らず...市長意向と正反対

 横浜市立大(横浜市金沢区)の嶋田紘(ひろし)医学部長(64)が学位を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていた問題で、同大は25日、事実関係の調査結果を明らかにした。10人程度に聞き取りをしただけで、謝礼の額や件数も明らかにされないなど不透明さばかりが際立ち、「包み隠さず公表してもらいたい」という中田宏市長の意向とは正反対の内容となった。・・・・


[関連ニュース]
横浜市立大・副学長、長女の博士号学位審査で主査
学位審査謝礼で横市大が対策委
「謝礼、学位に影響なし」横浜市大調査委が報告書

2008年3月26日

医学部長の現金授受を認定、調査報告書を公表-横浜市大

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008032501071

 横浜市立大学(金沢区)の医学部長(64)が、医学博士の学位を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていたとされる問題で、調査に当たった同大コンプライアンス(法令順守)推進委員会は25日、医学部長が教授を務める医局内で現金授受があったとする報告書を公表した。市大教職員はみなし公務員で、報告書は「学位取得後でも現金授受は明らかに倫理違反だ」と結論付けた。・・・・

副学長、長女の学位審査 横浜市大 博士号取得、筆頭委員

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008032502098261.html

 博士号学位審査をめぐる医学部長の謝礼授受問題で揺れる横浜市立大学(横浜市金沢区)で、同学部教授の同大副学長(62)が、同大大学院医学研究科に在籍していた長女の博士号学位論文審査で自ら筆頭委員を務めていたことが二十五日、分かった。大学側は、親子間の学位審査を不適切と認めており、学位審査をめぐる不透明な一面がまた一つ浮き彫りになった。・・・・

2008年3月24日

博士号謝礼、学内調査委員の2教授にも 横浜市大医学部

http://www.asahi.com/national/update/0322/TKY200803210398.html

 横浜市立大学の嶋田紘医学部長(64)の医学博士号をめぐる謝礼金授受問題に絡み、医学部と大学院医学研究科の全体を調査するために設置された「学内現状検討委員会」の委員のうち少なくとも2人の医学部教授について、学位取得者が「現金を渡した」と話していることが21日、複数の関係者の話で分かった。うち1人は嶋田学部長の後任に決まった教授とされる。一方、2人はいずれも授受を否定している。・・・・

横浜市大医局、学位謝礼金を強要か

http://mainichi.jp/select/science/news/20080321k0000e040071000c.html?inb=rs

 横浜市立大の嶋田紘医学部長(64)が博士号を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていた問題で、謝礼金を払わずにいた複数の医局員が医局側から「先生が激怒している」と電話を受けたり、冷遇をほのめかされていたことが、関係者の話で分かった。元医局員は毎日新聞の取材に「謝礼金30万円は『不文律』で、払わないと何が起こるか分からない怖さがあった」と証言しており、医局内で謝礼金が半ば強要されていた疑惑が浮上した。・・・・

2008年3月21日

横浜市立大、謝礼疑惑調査で委員の教授1人を解任

http://www.asahi.com/national/update/0319/TKY200803190219.html

 横浜市立大学の嶋田紘医学部長(64)が医学博士の学位を取った医局員から謝礼金を受け取った疑いが出ている問題で、同大は19日、疑惑を調べている同大コンプライアンス推進委員会メンバーの東京大学大学院教授(53)を18日付で解任したと発表した。・・・・

[同ニュース]
横浜市大:医学部長謝礼問題 東大教授の調査委員解任
調査委の男性教授解任=市大医学部長の金銭授受問題-横浜
横浜市大謝礼問題、調査担当の委員が学位審査に関与
横浜市立大学金銭授受問題 コンプライアンス推進委員も金銭授受か
横浜市大医学部の学位問題、調査委員に謝礼授受者
元教授も謝礼授受か 疑惑調査の委員 横浜市大
横浜市大の学位取謝礼金問題/コンプライアンス推進委員の1人解任

学位審査に透明性を、横浜市大の問題受け文科省が通知

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080319-OYT1T00870.htm

 横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る現金授受問題で、文部科学省は19日、すべての国公私立大学に、外部の審査委員を積極的に登用するなど、学位審査の透明性確保を求める通知を出した。・・・・

[同ニュース]
厳正な学位審査、文科省が求める・国公私大学長に

2008年3月19日

横浜市立大学、学長の要件「高潔な人格」―市大顧問とは―

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●『カメリア通信』第55号(2008.3.17)

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第55号
2008年3月15日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.55, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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学長の要件「高潔な人格」――市大顧問とは――

国際総合科学部 一楽重雄

4月からの学長に布施勉氏が選考された。大学の学長とは、呼んで字の如く大学のトップである。市大の場合には別に理事長がいて学長は副理事長に過ぎない。したがって、大学経営という意味では学長はトップではなくナンバー2である。一般に理事長は経営面に責任を持ち、学長は"教学"に責任を持つと言われる。そのとおりであろう。教育・研究面についての責任者は学長であり、学長は「学問の何たるか」が分かっていることが第一の条件であろう。研究・教育を主体的に担うのは教員であり、事務局はそれを支えるのが基本であろう。この観点からは、学長は教員全体をまとめて、そのトップとして大学運営を行わなければならない。
学長選考等規程第3条には、
 「人格が高潔で、学識が優れ、かつ本学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者」と書かれている。「人格が高潔」とは具体的にどういうことか。それは一言で説明できるものではないだろうが、少なくとも地位やお金にしがみつくようなことは高潔とは言いがたい。
 学長選考の際の履歴書には記載されていないが、布施氏は「市大顧問」という肩書を一時使用していた。大学の顧問というのはこれまで聞いたことがない。そこで、実際にはどういうことであったのか、大学当局に問い合わせてみた。その結果これまでにも指摘されていたことではあるが、いくつかの疑問が浮かんできた。
判断は読者にまかせるとして事実関係を中心に報告しよう。
 そもそも、大学顧問というものが制度としてあるものなのか聞いてみたが、予想どおり制度として顧問というものがあるわけではなく、その場の必要に応じて顧問契約をしたもの、ということであった。無給か有給かは重大な点だと思う。もちろん、無給であれば人格高潔に抵触することはまったくない。有給であっても、ただちに「高潔」でないとは言い切れないとは思う。しかし、有給であるとすれば、大学にとって本当に必要性があったのか、また、それに値する相談内容、勤務実態があったのかは問題となるであろう。
大学当局からは、さらに次のような説明を受けた。
1.大学の顧問は、平成18年4月1日から5月30日まで委嘱していた。当初は1年間を予定していた。
2.相談内容は、以下のとおり。
 イ.大学院の再編
ロ.ハラスメントなどの懲戒処分等に関する法的アドバイス
ハ.外部資金獲得に向けてのアドバイス
ニ.その他
3.勤務と給与
 イ.勤務は週3日、火木金、1日3時間程度
 ロ.給与額は法律の専門家としての世間相場をもとにした単価によって計算した額を月額として支払った。

なお、布施氏は5月31日から横浜市の監査委員となっている。布施氏のあとには、大学として顧問を委嘱したことはないとのことであった。給与の正確な額はプライバシーに触れるからということで教えてはもらえなかった。しかし、法律の専門家としての世間相場ということであれば、弁護士に30分相談すると5000円である。したがって、その単価で計算すると月額36万円ということになる。これは正確ではないかもしれないが、そう大きな狂いはないはずである。結構な額である。
大学当局の説明では、上のような問題を相談するのに「法律の専門家であること」、「学内の事情が分かっていること」により、お願いしたとのことであった。そして、出勤簿管理もきちんとしていた、とのことであった。
 法律的、あるいは、外形的には何も問題はないのかも知れない。しかし、教員仲間の目で見るといくつか疑問が沸く。
まず、前例のなかった大学顧問というものを置く必要性がどの程度あったのか。本当に週3回、1日3時間も相談する内容があったのか。もちろん、相談には複数の職員が関係していたかも知れないが、そう何人もが入れ替わり立ち代りというのも考えにくい。とすると、そんなに長時間かかわっているほど市大の職員はひまだったのだろうか。皮肉でなくて、本当に疑問に思う。
法律の専門家と言っても、ご存知のように布施氏の専門は国際法である。それも海洋法が専門である。確かに学内事情は分かっているかもしれないが、処分に関する法律相談に適任であろうか。市大に法学部はない。しかし、国際法でいいなら他にも現役の先生がいらっしゃる。それも海洋法ではなく人権法の専門家である。その他に国内法では、民法、会社法などを専門とする先生もいらっしゃる。これが第2の疑問である。
相談内容から見て、当初予定した一年間も必要であるのだろうか。これが第3の疑問である。
 
大学の非常勤講師の給与は大体1こま3万円くらいである。したがって、この顧問料でおよそ10コマ分は頼むことができる。ひとりの顧問より10人の非常勤講師のほうが大学のためになるように思うのだが、どうだろうか。
 学長に限らず、大学幹部は本当に「人格高潔な人」がなって欲しいと思う。私はこれまで抽象的な学長選考規程などあまり意味のないもののように思っていたが、そうではない。ただ、その規程を生きたものにするか、単なるお題目にしてしまうかが問題なのだと思う。
果たして、今回の選考会議はこの規程を生きたものにできたのだろうか、私は疑問に思う。

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編集発行人: 矢吹晋(元教員) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp
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2008年3月18日

博士号に謝礼 贈収賄事件にもつながる

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080317/crm0803170343002-n1.htm

 横浜市立大の医学部長が、医学博士の学位を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていた不祥事が発覚した。医学部の10人以上の教授が現金をもらっていたという情報まである。

 医師不足や医療事故など医療崩壊が深刻な社会問題となるなか、いまだにこのような不正がまかり通っているとは言語道断である。・・・・


2008年3月17日

横浜市立大学、「当初の制度設計のままではもはや立ち行かない」

横浜市立大学教員組合
 ∟● 組合ウィークリー、2008.3.14

「一年を振り返って」

前書記長 河野 純一

 団交や折衝の場で、繰り返し私が発言したことに、次のようなことがあります。「現在、当初の制度設計の通りにはいっていない。当初の制度設計に無理があった」ということです。

 なぜそのような言葉を何度も言ったのかということを少し説明しようと思います。私が書記長になったときは、ちょうど新給与制度交渉の大詰めの時でした。前執行部から受け継いだ交渉の中で、はっきりしてきたことがいくつかありました。基本給と職務業績給の区分の仕方が、当初の年俸制の設計では、基本給は一定にしておいて職務給業績給を変動させていくというものでした。・・・・


横浜市大学位謝礼問題、市の把握は3月12日

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimar08031211/

 横浜市大医学部(同市金沢区)の学位謝礼問題をめぐり、横浜市は十四日、この問題を市のコンプライアンス推進室が把握したのが今月十二日であることを明らかにした。市大のコンプライアンス委員会では昨年十一月から調査が行われており、事態把握に数カ月のタイムラグが生じていた形。市議からは「市大との連携が不十分。こうした態勢は問題ではないか」と批判の声が上がった。・・・・

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2008年3月14日

横浜市大、謝礼授受問題 「無かったことにしてくれ」「家族にも口外しないように」

http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY200803120430.html

 横浜市立大学医学部長が、医学博士の学位を取った医局員らから謝礼金を受け取っていた疑いのある問題で、嶋田紘学部長(64)は12日、大学を通じてコメントを発表し、金銭の授受を認めた。謝礼は研究報告会や懇親会用などとして医局で積み立てたが、すでに返還したとした。複数の関係者によると、返金は、昨年12月に名古屋市立大の博士号取得をめぐる汚職事件が発覚した直後に始まったという。 ・・・・

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2008年3月13日

横浜市立大、医学部長 院生から博士号の謝礼授受

http://www.asahi.com/national/update/0312/TKY200803120120.html

 横浜市立大学医学部(横浜市金沢区)の嶋田紘医学部長(64)が、医学博士の学位を取得した大学院生らの医局員から謝礼として現金を受け取っていた疑いがあることが12日、関係者の話でわかった。・・・・

[同ニュース]
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横浜市立大:医学部長が謝礼受領か 博士学位取得院生から
博士号取得で院生から謝礼 横浜市大医学部長の研究室
横浜市大で博士号取得巡る謝礼授受、医学部長側に340万
横浜市立大医学部長、学位取得で謝礼
「研究のため預かった」=現金授受問題で医学部長-横浜市大
学位取得で謝礼受け取りか/横浜市大医学部長
横浜市立大医学部長、学位取得で謝礼
やはり最後の解決策は「お金」? 院生から現金授受。横浜市立大学

2008年3月 3日

横浜市立大学、学長選考の意味するもの―悪い制度から悪い結果―

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(3月1日(2))

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第54号
2008年2月29日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.54, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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学長選考の意味するもの――悪い制度から悪い結果――

国際総合科学部 一楽重雄

 2月25日に横浜市立大学の新学長の選考結果が発表された。24日に候補者の面接審査があった翌日という超スピードであったが、驚くにはあたらない。すなわち、選考が始まる前から決まっていたというのである。この噂には、今のところ証拠はない。しかし、大学内部のものにとってはいかにも腑に落ちる話なのである。所信表明を聞いたものにとっては、とてもあり得ないと思った布施候補に決まったからである。この所信表明も実に中途半端である。教職員しか入場できない。そして、教職員に投票権が与えられているわけでもない。普通に考えて、いったいどういう意味があるのだろうか。なぜ一般公開しないのか、そのわけが今回の結果でよくわかった。教職員に限っておけば、マスコミは直接取材が出来ないからである。

 教員組合も指摘しているように、市大の学長選考の制度は、まったく非民主的であり「悪い制度」である。一般論で言えば、悪い制度にもかかわらず、関係する人々の努力によって、悪くない結果をもたらすこともある。今回の結果は、まったく逆であって、制度の欠点がそのまま結果として出てきたと言えよう。学長選考という大学にとってとても重要なことについては、「公正らしさ」が求められる。しかし、市大の制度には、最初からそれが欠けている。実際に「公正」であるかどうかは、委員個人の胸に聞くしかないが「公正らしさ」は検証可能である。今回の学長選考委員会の構成を見ると、まったく「公正らしさ」は担保されていない。

 選考委員会のメンバーが、市に直接関係している、あるいは、過去に関係していた人が2名、大学幹部が2名、その他に外部委員が2名という人選である。外部委員なら、常に公正であるということも元々あり得ない話であって、むしろ、お金の出所に忠誠を尽くすのは一般的にありうることである。よほどの人でないとその地位をかけてまでも信念に沿った行動をするということはなかなかできない。

 こんな構成では、横浜市が圧力をかけることは容易である。しかし、市の幹部に良識があれば、憲法の保障する学問の自由の意味を分かっていれば、選考委員に圧力をかけるなんてことはありえない。また、見識を持った選考委員であれば、権力の圧力に屈することもない。そのような場合は、悪い制度であっても必ずしも悪い結果は生じない。

 どうやら、今回は違うようだ。直接証拠はまだ入手していないが、状況から見れば大学の自治への干渉という大きな問題が発生したことは確かなことだと思う。

 大学の公式ホームページには以下のような選考理由が掲げられている。

 学長選考会議では、「大学運営に関して、どのような問題があると考えているのか」「問題解決のために、どのようなことが必要と考えているのか」「どのような大学にしていきたいのかという抱負について」の3点を評価基準とし、所信表明・面接等をもとに慎重かつ公平な審議を行いました。最終的には投票の結果、布施 勉 氏が過半数の票を獲得し選考されました。

 上の評価基準に照らして、どうして布施氏に決定したのか、摩訶不思議としか言いようがない。このような少数で選考するのであるから、もともと、多数決で決めさえすればよいというものではない。投票結果ではなく選考理由が明快で納得のいくものでなければならないはずである。

 選考基準を公表しても、いわば試験問題を公表しただけであって、各人の答えがそれにふさわしかったかどうか、そこが示されなければまったくもって「選考理由」にはなっていない。

 なぜ私が、布施候補がもっともふさわしくない候補であると考えたのか、その根拠を述べよう。

 第1に、布施候補ほど大学内で人望のない人はめったにいない。前回の学長選考の際に、支持者が推薦人15人を集められなかったという話は、大学内部ではよく知られた話である。また、そのことには理由がある。すなわち、市大の「改革」前夜に、多くの教授会の決議がなされ、教員の多くが横浜市という権力の横暴と戦っていたその時期に「大学改革を推進する会」を発足させたと神奈川新聞に報じられたのである。もちろん、思想信条の自由から言って、そのことだけで不見識だというつもりはない。しかし、その発表内容が真実を伴わないとすれば、それは非難に値しよう。当時の「小島、馬来、布施」の3教授が会を作ったという新聞報道はあったが、その会がまったく実態を持たないものだった。会合を開いたこともなければ、会員の勧誘もなかったし、会主催の行事も聞いたことがない。念のため、前回の学長選考の折に、私は布施候補にこの会の活動内容を教えてくれるよう質問状を出したが、回答はまったくなかった。

 教職員の信頼を集めることができない人が学長として十分な責務を果たせるとは思えない。

 第2に、その後の大学改革では、教員と対立して強権的にことを進めた。現在のPractical English問題の一番の責任者は布施氏なのである。教員サイドの強い反対を押し切って、3年への進級条件としてTOEFL 500点を課すことを制度化したのである。この問題がいよいよ大詰めを迎える今、布施氏の登板は事態を一層の混迷に陥らせるだけであろう。

 今回、布施氏を学長にしたのが本当のところ誰なのかは分からないが、その人は市大の現実をまったく見誤っているとしか思えない。外部にいてまったく市大の状況が分かっていないと思われる矢部候補と布施候補を除いて、他の4候補はみんな現状に問題を感じ、このまま改革路線を続けさえすればよいと言った人はいなかった。また、

 ストロナク現学長も「プロジェクトRは外部だった、今度は内部で学部のあり方を考えなければならない」と我々教員に呼びかけていたのである。誰の目にも、今回の改革が大きな問題をかかえていることが明らかになっているのである。そんな時期に改革当初の責任者が大学に戻って何ができるというのであろうか。今後、布施氏は教員を押さえつけ、改革路線を突っ走るばかりであろうが、そこには非暴力不服従やサボタージュといった抗議行動が発生するだろう。あるいは、短期的には改革が進むようにも見えることもあるかも知れないが、本質的には矛盾を増大させるばかりであり、そう遠くない将来に自壊の道をたどるに違いない。 


2008年2月28日

横浜市立大学教員組合、前執行委員長「この1年を振り返って」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー

横浜市大の今日的問題は教員の大量流出と学生の大量留年

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●市大の今日的問題は教員の大量流出と、学生の大量留年です。学生は力なく、職員はバラバラ、教員間にも無気力感が漂っている状況

2008年2月26日

横浜市立大学、新学長に布施氏

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiifeb0802715/

 横浜市大の新学長に、市代表監査委員で市大名誉教授の布施勉氏(67)が二十五日までに選ばれた。任期は四月一日から四年。

 六人の推薦候補の中から新学長に決まった布施氏は「二〇〇九年の横浜開港百五十周年を契機に『第二の開港』を成し遂げようとする横浜市とともに、市大も新たな世界に『船出』したい」と意欲。・・・・


[同ニュース]
横浜市立大学長に布施明の兄
横浜市大新学長に布施勉氏
横浜市立大学、新学長に布施明の兄・勉氏

記録、横浜市立大学「改革」とは何であったか? 

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●学問の自由と大学の自治の危機問題(横浜市立大学問題) 2002年~2005年3月

一言でいえば、「横浜市大“改革”」とはなにか?

 非常に単純化して言えば、「横浜市大“改革”」とは、独立行政法人化と国民に“痛み”を強いる小泉構造改革の潮流に便乗して、「杜撰なグランドデザイン」と「不純な動機」、すなわち、“プラクティカルなリベラルアーツ”という意味不明な目標設定と“3学部統合”という名の大学解体、および、思い通りにならない大学教員に対する横浜市官僚の“積年の怨念”に基づいて強権的に行われた、「学問の自由と大学の自治」に対する徹底した破壊行為です。・・・・


[過去の記録]
小川恵一学長とサイレント・マジョリティー3教授
横浜市大改革参画を 教授3人推進へ「有志の会」
横浜市立大、TOEFL500点による進級制度 制度設計者(伊藤公一氏,布施勉氏)の責任性

横浜市立大学教員組合、学長選考・任命に当たっての教員組合の見解

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」2008.02.22

学長選考・任命に当たっての教員組合の見解

 ストロナク学長の任期途中の辞任により、次期学長の選考が行われています。

 周知のように、法人化以降、学長は、従来のような大学構成員の選挙ではなく、教育研究審議会および経営審議会を構成する者から選出される6名の選考会議によって選考され、理事長が任命することになっています。

 前回に続き今回の学長選考方式によれば、経営審議会および教育研究審議会は各2名以内の候補者を推薦することができるとした上に、本学の専任教員が15名以上の推薦人を集めることによって候補者を推薦することが出来ることになっています。

 われわれは、このような教員推薦方式を導入したとしても、選考方式の「権力集中性」や「不透明性」が払拭されるものとは考えません。

 私たちは、横浜市立大学が従来採用してきた学長選挙方式に問題点がなかったと言うつもりはありません。しかし、私たちは、現在の学長選考・任命方式に対して、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえにこのような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけにはいきません。

 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。

 その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、現在の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、法人化以前の選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映しやすい方式に改める努力を始めるよう当局に要求するものです。

2008年2月21日

以上

横浜市立大学、TOEFL500点問題 2割の学生は2年生に戻る これが本当に大学教育なのでしょうか

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2月25日(1))

-----父母・保護者からの切々たるしかも合理的な訴え---

17年入学の学生を持つ親です。TOEFL500点に満たないために仮進級そしてもらっていた奨学金もストップ。挙句の果て2割の留年組に入って2年生に戻ることになります。・・・・


2008年2月18日

横浜市立大学、学長選挙の公示

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2月15日(1)(2))
 ∟●候補者の公示

2008年2月14日

横浜市立大学、数々の重大なコンプライアンス(倫理法令順守)違反

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2月13日(1))

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第53号
2008年2月11日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.53, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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【解説】

横浜市立大学では、2005年4月の独立行政法人化以降、学内が混乱し、数々の重大なコンプライアンス(倫理法令順守)違反が生じている。

以下に、【 】付のタイトルをつけて掲載する3つの文章は、横浜市立大学の教員が、内部通報制度を利用して、学長と国際総合科学部長によるコンプライアンス違反を横浜市と大学当局に告発したメールを掲載したものである。

3つの文章のうち、【1.横浜市への提訴文】の枠外の文章および枠で囲まれた文章は、メールの本文であるが、わかりやすく区分けしたものである。【2.大学当局への提訴文】【3.大学当局への提訴文への追伸】の枠外の文章はメールの本文、枠内の文章は添付された「訴状」である。

 このコンプライアンス違反の背景には、市が、大学教育に関する本質的議論を回避し、世間の注目を集めるためだけに「教員のクビ切りを可能にする大学にする」ことを、大学に強要したことがある。すなわち、クビ切りのためには、任期制と評価制度が必要であるが、大学教育の解体を阻止しようとする教員たちはそれを飲んでいない。そのため、学長が任期制と評価制度を強要しようとして、コンプライアンス違反に至った。

 また、学部長の嫌がらせは、嫌がらせを受けている特定のコースの教員をリストラすることによって、①自分に近しい教員たちの生き残りを図る、②自らの行政能力をアピールする、③浮いた人件費やコース運営予算をもって自らが所属するコースを充実させる、などのためと考えられる。これに対して、嫌がらせを受けているコースの教員やコース長は、極力友好的に対応し、筋のとおった議論や要請によって、学部長に良識ある対応を求めてきているが、一向に嫌がらせがやむ気配はない。

 なお、内部通報制度を用いた場合、大学への訴状は、匿名で届くことになっていること、市への提訴の結論が出ていないことなどを考慮し、告発者名は削除し、告発された学長名と学部長名はそれぞれ「A」「B」、被害を受けているコースのコース長名「C」、学部長と共犯の可能性がある課長名「S」、被害を受けているコースのコース名は「Y」、と表記した。それ以外は、オリジナルのままとなっている。・・・・


2008年2月12日

横浜市立大学、学長辞任の意味するもの

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2月9日)

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第52号

2008年2月8日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.52, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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学長辞任の意味するもの

国際総合科学部
一楽重雄

 去る1月17日に私は大学で学長辞任のニュースを耳にした。まったく予想外のことではあったが、正直なところ、この閉塞した市大の現状が少しでも変わるならこれは歓迎すべき事態だと思った。

 しかしながら、まさに任期半ばであり、「これからの学部の内容を今度は外部ではなく、教員自身が考えてほしい、この大学のメジャーをどうするか、そのメジャーに合わせて教員を集める、その逆ではないのだ」と、ついこのあいだまで熱を込めて言っていたのは誰だったのか。このように想いをめぐらしていると、つい先日の安倍元首相の辞任劇が思い出された。そういえば似ている。

 両者ともに決断が遅い。学長は、昨年の秋になって「教養の理念(プラクティカル・リベラル・アーツ)」についてペーパーを書いた。そして、教員との懇談会をコースごとに開いた。どちらも確かによいことではある。しかし、教養の理念は3年前に言うべきことだったし、教員との懇談も最初の任期の一年間にすべきことであった。いくら遅くてもしないよりはいいと私は建設的に考え、学長と数学グループとも懇談の機会も持った。そこでは、「プロジェクトRは外部であった。それではだめで、教員が学部の内容を考えてほしい、内部で考えなければいけない」と言われたのであった。しかしながら、そういわれて真剣に学部のことを考えようとなるはずもない。なぜなら、今の市大では「真剣に考えれば、それだけ考え損」になるだけだからである。つまり、大学の自治をすべて取り上げた大学改革のどこも変えずに、「単位認定の権限のほかには何も決定権は渡さない、もちろん人事権も渡さない、カリキュラムの編成権も渡さない。でも教員が考えて欲しい」とは、いくらなんでも虫がよすぎる。

 実際、誰一人として懇談会に参加しなかったコースもあったと聞く。学長がテンプル大学に移る理由は明確ではない。いずれにしろ、4年の任期の2年終わった段階での辞任とは、「無責任」以外の何物でもなかろう。体を壊したとか、4年かけて行う改革があまりにうまく行って2年でめどがついてしまった、とでも言うのなら別であるが、実際は、さきほど述べたような状態である。そして何よりも大学案内や、京浜急行の吊り広告に、学長の顔写真が大きく大きく出ているのである。

 本来、市大では教員管理職の任命権はすべて学長にある。学長は、強大な権限を持っている。にもかかわらず、我々から見て学長の意向によると思われる人事は、昨年4月の比較的若い教員を副学長に抜擢したもののみであった。すべて遅すぎた。そのあげくに、学長職そのものを投げ出したのである。

 本来、「大学の自治」は憲法に規定された「学問の自由」を担保するための具体策であり、学校教育法第59条には、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定され、教授会自治が謳われている。しかし、法文には「教授会自治」とか「大学の自治」という文言が見られないため、横浜市の一部の政治家や官僚は、まったくこれを無視しているのである。

 憲法上の学問の自由の観点とは別に、「教授会の自治」なくしては大学の運営自体が困難である、ということが今回の学長辞任劇で明白になった、と私は思う。オールマイティのはずの学長自身が、尻尾をまいて逃げ出したのはなぜか。それは、「大学の自治をまったく否定したところでは、大学運営さえままならない」ということなのである。

 教授会の自治や教員による学長選挙にもいくらかの問題点はあっただろう。しかし、現在の市大の方式のどこにそれより優れた点があるのだろうか。伝統ある私立大学と違い、「にわか経営者」や「雇われ学長」が自分のことだけを考えてことを運ぶとするならば、もはや市大に未来はない。

 たとえ、少しずつではあっても本来の大学の姿を取り戻すことが、どの立場の人にとっても、今必要なことなのではないか。「公立大学初の・・・」は、もうたくさんである。何も代わり映えしなくてもいい、通常の責任感と常識を持ち合わせた学長が選ばれることを切に期待する。

 当局は、教員に対して辞職にあたっては6ヶ月前に申し出るようにと就業規則を定めた。「それを守らない場合には、契約違反として損害賠償の請求も考えられます。しかし、そういうことはしません。」と説明してきた。教員には6ヶ月前にと言っておきながら、任期2年も残しての突然の辞職、これこそ損害賠償の対象ではないだろうか。本人の希望だからやむをえないで済むものなのだろうか。いったい、契約はどうなっていたのか、疑問の残るところである。

 もう一点見落とせないことがある。それは、学長が学生に対して辞任についての説明をまったくしていないことである。学生に対して、きちんと説明をしないと「学長は市大のことより、自分のキャリア形成を重視した」と思われても仕方ないのではないか。


2008年2月 8日

横浜市立大学教員組合、学長の辞任と学長選考のありかたについて

横浜市立大学教員組合週報
大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2月7日(2))

学長の辞任と学長選考のありかたについて

 学長は、任期をまだ2年残したまま、3月31日に退職することが明らかになっています。任期途中で学長が他大学に移るというなどということ自体、前代未聞のことです。
 団交でも問題としたように、学長は昨年11月、「任期制同意状況を加味し」して人事委員会に諮ると、教学の長が経営判断、教員の処遇そのものにかかわる文書を、その職として出しています。そこで今回の団交でも、学長の出席を求めたにもかかわらず出席しなかったことは、無責任という他はありません。
 学長は、「プラクティカルなリベラルアーツ」を述べ、「Toefl500点」といった進級要件を推し進めてきていたわけですが、それらが大学において、うまく機能していないことも明らかになっているこの時点で辞任し、他大学に移るということは、これも無責任という以外の何物でもありません。
 また、横浜市立大学の標語のひとつに「学生中心」ということが掲げられているにもかかわらず、学長の辞任に関して、学生全体に向けての説明が現在に至るまで何らなされないということは、きわめて大きな問題であると考えます。
 そもそも学長は、学長選考委員会が選び理事長が任命するということになっています。教員は15名の推薦をもって学長候補者を推薦できるということにはなっていますが、選考は、わずか6名の選考委員会(学外委員、事務局長、副学長等)において行われるわけです。選考委員会には、教員としては副学長が入っていますが、それらの副学長は教員によって選ばれたわけではなく学長が任命した者です。
 横浜市立大学における学長の選び方は、一般の教員の意思が反映される制度になっていません。このような選考方法をとる限り、誰が学長になっても、それが広く教員によって支持されることにはなりません。端的に言えば、非民主的な選び方しかされていないからです。これは横浜市立大学の大学全体としての発展にとっての大きな障害となることは明らかです。学長の選考にあたっては、大学全体の教員の意向が曖昧なかたちではなく明確に反映されるものでなければならないと考えます。・・・・


2008年1月21日

「申し訳ない」横浜市立大学ブルース学長辞任

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080118-00000021-san-l14

 横浜市立大学は17日、同大のブルース・ストロナク学長が3月末日で辞任すると発表した。平成17年に就任し、任期は22年3月31日までだった。・・・・

2008年1月18日

横浜市大、ストロナク学長辞任へ 「自分にとってもあなたがたにとってもtoughな3年間だった」

ブルース・ストロナク学長 辞任表明コメント
大学改革日誌-最新日誌(1月17日)「自分にとってもあなたがたにとってもtoughな3年間だった」

カナロコより

ストロナク学長辞任へ/横浜市大

 横浜市大は十七日、ブルース・ストロナク学長が任期途中の三月三十一日で学長を辞任することを発表した。同氏は四月一日、テンプル大日本校(東京都港区)の学長に就任する。横浜市大の新学長は二月中に決まる見通し。

 国際関係学の権威として知られるストロナク氏は二〇〇五年四月、公立大初の外国人学長として横浜市大学長に就任。任期は一〇年三月末までだった。

 任期の途中の辞任について同氏は「任期を終える前に市大を去ることを大変申し訳なく思う。共通教養カリキュラムの実践、国際人を育成する教育環境を整えたことなど私なりに一つの成果を上げることはできた」とする談話を発表した。

 新学長は二月中に、学長選考会議の選考を経て決まる見通し。二月八日から二月十四日までに候補者の推薦を受け付け、二月二十日(予定)に候補者の所信表明が行われ、その後、最終選考で決定するという。

 横浜市大の経営審議会と教育研究審議会が外部を含め、それぞれ二人以内の学長候補者を推薦できる。また、市大の教授、准教授の十五人以上の連名により、候補者を推薦することもできる。


2008年1月17日

横浜市立大学、学長 任期2年残して他大学に転出? ついでに管理職を任命 大学自治破壊も極限状態

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(1月16日(3))

1月16日(3) 他大学に転出することを決めた学長(Dr. Bruce Stronach has agreed to join the Temple family)が、任命した管理職人事(ほとんどが留任)が、発表されたようだ(「Pdf版、学内周知版」・・われわれ一般教員はそれを受け取らず、知らない)。

こんなことは許されるだろうか?
現在のシステムでは、新学長が学部長・研究科長等を選任するというシステムのようであるが・・・、

任命された人々は、学長がテンプル大学に移ることは知っていたのか?(知っていて任命を受け入れたのか?)
知っていて任命を受け入れたとすれば、なんということか?
大学の人事における自治・自立は、いったいどうなるのか?

彼らは、知らなかったのか?
もし学長が転出を知らせないで、したがって学部長等の管理職に転出を知らせないで、次期管理職に任命したとすれば、いったいどういう神経か?
無責任の極限といえないか?

「元学長」、外国の大学の学長に任命されることは、筋違いではないか?
大学自治破壊も極限状態ではないか?

市長に任命された法人経営者の人びとは、それで良しとしたのか?
独立行政法人としての独立性は?

大学の自治をいったいどのように考えているのか?
大学の構成員、教職員や学生が、どのように考えようとも、いいということか。

「大学の自主的判断」は、大学自治の根幹を成すものとして、重要だと思われるが、そうではないのか?

市長の責任は?

今後の展開によれば、まさにそこが問題となるであろう。・・・・

[ニュース]
The blog of the Temple News
Temple University
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2007年12月28日

横浜市立大学教員組合、昇任人事等における任期制の強要は違法行為である

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.12.25
大学改革日誌
 ∟●最新日誌(12月25日(2))

団交要求書を出しました

 この間、大きな問題となっている、昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、団体交渉を求める文書を、本日当局に提出しました。
 その要求書の全文を次に紹介いたします。
-----------------------------------

理事長 宝田良一殿
学長 ブルース・ストロナク 殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年12月25日
横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝                           

団体交渉要求書

 教員組合は、教員の教育・研究条件の向上を図るとともに、教育現場から本学の真の改革を目指すべく引き続き取り組んできているが、この間重大な問題となっている昇任人事と任期制、職務業績給の平均的アップ、教員評価のあり方に関して、問題の重要性および緊急性に鑑み、2008年1月中旬までに以下の事項について団体交渉を開催することを要求する。

Ⅰ.昇任人事等における任期制の強要について。

1.学長名による昇任に関する文書(「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」(平成19年11月14日付))では、昇任候補対象者について、教員中間管理職に「候補者の推薦にあたっては、任期制への同意状況等を確認」させ、また「学長から人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で、審査を依頼」すると記しているが、昇任審査の際に、任期制同意が前提条件ではなかった法人化以前の大学から身分を継承している教員に対して、このような変更が不利益変更でないというなら、それを立証できる法令あるいは文部科学省通達などの法的論拠を示せ。

2.その上で、学長はなぜ、このような平成19年11月14日付文書を出したのか、また2007年4月の昇任人事についても、6月4日付の教員組合からの昇任人事に関する14項目の質問状に真摯に回答することなく、さらには何ら詳細な審査報告書を提示しえず、かつその総頁数、総文字数すらも示すことなく、学則(第63条3項)をも無視した手続きによって新たな人事を行うことが、いかなる根拠によって正当化できるのかを、団体交渉の場で明確に説明せよ。学長の団体交渉への出席を要求する。

3.任期制への同意を昇任の前提条件とすることは不当なものであると、すでに教員組合は意見書(11月19日付)で指摘しているところであるが、法人化以前からの身分を継承している教員に対して、昇任審査にあたって任期制同意を前提条件とすることは、不利益変更措置であり、違法行為である。学長は平成19年11月14日付文書を撤回せよ。

4.教員管理職人事にあっても、任期制への同意を強制することは許されない。当局が仮に任期同意を求めるとすれば、それは不利益変更措置に他ならない。大学における教員中間管理職は、一般的に定年まで管理職を続けるわけでなく、管理職の職務終了にともなって通常の教員に戻るものである。教員管理職人事にあたっても任期制への同意を条件とすることがないことを明確に確約せよ。

Ⅱ.職務業績給の平均的・恒常的アップの要求について。

  2007年3月16日の新給与制度導入に際して労使間で締結した「合意書」において、当局はすみやかに職務業績給の適用に関して提案を行うとしているが、その後の事務折衝で組合が提示した要求、さらに文書による組合から提出した要求(「職務業績給に関する要求」(2007年11月29日))を無視し、当局は年末にいたるまで職務業績給アップにかんして、何らの具体的な提案をしようとしない。当局のこのような態度は誠実な労使関係の構築を著しく妨げるものである。そもそも法人化以降、法人化前の大学において行われていた定期的昇給に相当する額の昇給、約束した職務業績給の平均的・恒常的アップを果たさないことは、労使関係上、許されざる背信的行為に当たることを充分認識し、具体案を早急に提示せよ。

Ⅲ.教員評価制度に関して。

 当局は、現在のSDシートによる、いわゆる「教員評価」を、教員の納得が得られるまで処遇に反映させないと2006年11月30日の団体交渉で約束した(「処遇への反映は、教員の理解が得られてからになる。」(当局側回答)、「処遇への反映は教員組合との協議事項だ。教員組合との協議を経てという意味だ。」(当局側発言))。しかるに現在のSDシートは、さまざまの重大な問題をはらんでおり、いまだ処遇に反映することが可能なシステムとはなっていない。

 よりよい教員評価制度を構築し、横浜市立大学を社会が必要とする大学、また透明性が高い、社会に認められる大学にしていくのであれば、組合の質問に対する学長の不誠実な文書対応(「19年度組織目標提示ついての質問状に対する回答」(5月10日付)、表題なしの回答書(5月22日付)、表題なしの回答書(6月7日付))を充分自省し、18年度教員評価試行における問題点を洗い出し総括するとともに、それがいかに19年度評価シートに反映されたのか、また今年度の新たな問題点は何かを明確に示すことが必要である。労使間で積み上げてきたこれまでの合意を無視して独善的かつ欺瞞的な案を提示し、評価制度を一方的に処遇に反映させるなどということは、これまで築き上げてきた健全な労使関係、信頼関係を著しく損なうものである。今後の、教員の処遇そのものにつながりうる教員評価制度のあり方に関して、教員組合と真摯に協議を行っていくことを改めて確約せよ。

以上


2007年12月20日

横浜市立大学教員組合、教員評価に関するアンケートの集約

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.12.18

SDシートのアンケートの結果

今年度初夏に行いました教員評価のSDシートに関するアンケートの集計結果をお届けします。多くの方々からご意見を頂きまして有難うございました。そのアンケートに寄せられたご意見は、いずれも本制度の運用を行う以前に解決しておかなければならない問題等が山積していることを示していると思います。記述していただいたご意見は、重複するものも多かったので、各項それぞれ約10ほどにまとめさせていただきました。

現教員評価制度については、昨年度の試行の結果どのような問題点があり、それをどのように改善したのかが、未だまったく我々教員側に示されていません。この点にも当局の不誠実さが如実に現れています。その上、教員が納得するまでは評価の結果を給与に反映しないという約束にもかかわらず、平成20年度からの教員評価の結果を職務業績給の号数決定に活用する旨の提案をしてきています。信義にもとる態度と言わざるを得ません。

今、今年度の教員評価もいきなり大詰めの段階を迎えようとしています。まだ、年度が終わっていない、この12月の段階に3月までの一年間の自己評価を要求しています。まさに拙速な行為と言うべきです。教員組合としては、年間の自己評価の総括として行われることになっている一次評価者との面談の後にも、再度、組合員の皆様にアンケートをお願いする予定です。SDシートによる現教員評価制度の不備・根本的問題を正して行きたいと思っておりますので、ご協力の程をお願い致します。・・・・


2007年11月28日

横浜市立大学教員組合、「組合員・教員の皆様へのメッセージ」 学長による「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦」に関する文書は、極めて許しがたいものである

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報、2007.11.27

執行委員会からの組合員・教員の皆様へのメッセージ

昨日、「組合員・教員の皆様へのメッセージ」をメールで組合員の皆様に配信いたしました。週報として、次に再掲させていただきます。なお、このメッセージは、学部長、研究科長等にも、プリントアウトしたものを、教員組合委員長名で届けましたことを、あわせてお知らせいたします。

組合員・教員の皆様へのメッセージ

2007年11月26日
横浜市立大学教員組合執行委員会

 すでに11月19日付組合週報でお知らせしましたように、学長は、11月14日「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書を学部長、研究科長等に宛て出しています。

しかし、昇任問題に関しては多くの問題点が明らかになっていない上、さらに加えて、教員管理職にも被害が及びかねない新たな問題も出てきましたので、組合員・教員の皆様に、執行委員会としてメッセージをお届けいたします。

1.この「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書に記載された手続きは、下記学則に反しています。

学則第63条3項には

「コース長はコース会議の議を経て、以下の事項について決定する」

とあり、その(2)および(3)には、はっきりと

(2) コースに係わる教員人事の学部長への発議に関すること
(3) コースに係わる教員配置に関して学部長への発議に関すること

と書かれていますが、未だ当局からは納得のいく説明がありません。どのように読んでも、この(2)に記載の教員人事は新任人事と限定されているわけではありません。

コース所属が明らかな教員の人事にかんしては、その発議者は「コース会議の議を経」たコース長であるべきです。

学長は自ら、大学の学則を破る行為を行なうつもりなのでしょうか。法は法、規則は規則です。学長から出された学則無視の文書は、やはり重大問題です。

「昇任候補者の推薦」にあたっては、まずこの問題を明確にしなければならないと考えます。

2.また同文書には、

「学長からの人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で審査を依頼します」と書かれています。

 これは、許しがたい言葉です。

すでに組合は6月4日、本年4月昇任人事について質問書を出し、「教授等の条件を文部科学省は大学設置基準第14条等で厳格に規定している」と書きました。大学設置基準は「一大学の一時期の経営方針」などより明確に上位に位置するものです。ここでも文部科学省の示した基準を遵守するどころか、恣意的「判断を加味」しようとするものです。

文部科学省と異なる条件を恣意的に加えることは問題である、と組合はすでに質問書で指摘しましたが、この質問事項に関して、当局は何らの回答もしていません。

また組合は、本年4月の昇任人事に関して、詳細な審査報告書を示すよう、また少なくとも詳細な審査報告書の総頁数ならびに総文字数が何字であるのか示すよう、質問を繰り返しているにもかかわらず、当局は総頁数や総文字数といったものすら示そうとしないことは、奇怪きわまりないことです。

このような状態のままでは、公正・公平・透明な人事が行なわれるとは、とても思えません。

3.さらに、学長の11月14日のこの文書には、

「候補者の推薦にあたっては、任期制への同意状況等を確認して下さい」
とあります。

任期制への同意・不同意の確認を、学部長、研究科長等の中間管理職に求めているわけです。つまり、任期制への同意・不同意の選別を、あらかじめ中間管理職にさせようという意図であるのは明らかです。しかし、これはこの先大きな問題をはらむことになると考えます。

もし仮に、自己申告希望者が推薦されなかったことを不服として、労働委員会等に提訴するといった行為に及んだ場合は、この段階では学長の関与ではなく、学部長、研究科長等の中間管理職が選別に関与したとして、係争問題の当事者となる危険があるのは明らかです。

つまり、当局はその責任・危険を中間管理職に押し付けようとしていると考えられます。同じ職場の教員が、係争問題の当事者とされる危険すら予見されうることでもあるので、同じ教員という立場の者として、きわめて問題であると考えます。

以 上


2007年11月26日

横浜市立大学の任期制強制システム、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月23日)

11月23日 最近よく耳にするようになったのは、医学部においては教授会自治が復活し、機能しているということである。その実態をつまびらかにしないが、おいおいに情報が入ってくることになろう。

 ともあれ、国際総合科学部の人事においては、最近の「学長文書」でも明らかになったように、学長・学部長・研究科長が任期制を強制するシステムの担い手(意思確認の圧力行使主体)になり、昇任対象教員(自己申告する教員)の任期制同意の確認状況を踏まえる役目を負わされているということである。その学長文書がそのまま行使されれば、学長は副理事長として経営サイドの人間でもあるが、教学サイドの管理職を、昇任審査に入るかどうかの前提として任期制への同意状況を確認する仕事に組み込んでいるのである。

 学長文書が示すように、任期制に同意した(することを約束した)教員しか、昇任審査の人事委員会にかけないということは、今までにない事前の公然たる任期制強制システムであり、身分継承教員・定年までの身分保障を継承した教員への不当差別・不当労働行為を学長・学部長・研究科長が分担して行使することになる。教員組合が、ただちに、意見書で、重大問題だとして批判し、撤回を求めたのは当然である。

 昇任審査は、その教員の教育・研究・社会貢献等の実績の総合評価で行うべきであり、労働契約の条件である任期の有無とは関係なく行うべきである。それが、法人化以前のやり方であり、今なお全国ほとんどの大学で行われていることである。

 任期制の内容、任期制を適用する法人サイドへの信頼感がないとき(信頼できない人々にとって)、その任期制への同意不同意を昇任の判断基準とするのは、教育・研究・社会貢献の業績を正当に評価しないことに繋がる。

 任期制に同意する教員は、あまりにも法人サイドを信頼しているか、法人サイドに信頼されているか、いずれにしろ「当局寄り」の人々、ということになり、そうした経営サイドに協力する教員だけが、教育・研究・社会貢献等のしかるべき業績なしか相対的低水準であっても、当局に対して従順(「任期制同意」、任期制に危険性を感じない、etc.)だから昇任できるということになる。これは、処遇条件の中でも最も重要な問題、すなわち、人事(昇任)問題を武器とする思想・信条・精神活動の抑圧行為ないし、それに繋がる。重大問題であることは明らかであり、撤回させなければならない。

 任期制不同意教員は、教員組合に結集し、有期契約に反対してきたのであり、大学自治破壊の改革過程の諸問題、これまでの当局のやり方、さらに、つい最近もみられた不当労働行為(労使対等の粘り強い交渉結果としての合意書が出たそのすぐ後で、合意書内容を否定するような評価システムを平気で提案するような法人サイドの態度)を批判する人々であり、大学自治の重要性を認識し、守ろうとする人々であり、その教育・研究・社会貢献等の業績は、ピアレビューできちんと評価するべきものだと考えているような人々である。

 もし学長文書がいうように「任期制への同意状況等も判断に加味」して、学長が「人事委員会に審査を依頼」すれば、事実上、文科系の圧倒的教員(任期制に同意していない教員が多数を占めるから)は、昇任審査において業績審査に入る前,すなわち、事前に、差別される、排除されるということになる。

 学長文書を書いたのは誰か?・・・学長責任であるのはもちろんだが、かなり問題のある日本語公文書を書いたのは学長ではないのではないか、とうわさされている。検証が必要!

 このシステムを推進するのは、誰か?・・・誰がこのシステムを推進しようとしているか注意深く観察せよ!
 このシステムによって利益を得るのは誰か?・・・・誰が、任期制に同意したことによって昇任したか、注意深く検証せよ!
 任期制同意によって昇任を勝ち得た人はどのような人か?
 今回のような学長文書を作成したひと、同意する人、推進する人は、どのような人か?・・・誰が推進しているか、注意深く観察せよ!

 推進者は、任期制に同意することによって、きびしい業績審査をクリアしないでも、昇任できた人々ではないか?
 厳しい業績審査をクリアし得ない人々が、任期制への同意によって、昇任しようとするのではないか?
 任期制への同意がハードルとしてあれば、競争相手が少なくなり(場合によっては、分野により、同意者一人なら競争相手がいなくなり)、それだけ、教育・研究・社会貢献の業績のハードルは、低くなる。それだけ、自分の昇任が早くなる?

 その結果、任期制への同意・不同意のハードルが業績審査の前にあることによって、相対的に低い業績のものが優先的に昇任審査を受けられることになれば、本学の教育・研究・社会貢献の諸力は、確実に、長期的に低下していくのではないか?

 自然科学系では任期制への同意者の割合が多い。しかし、それは、実は、日本の科学技術研究に深刻な破壊的な影響をもたらしかねない。信頼できる知人から頂戴した下記情報を引用しておこう。…


2007年11月21日

横浜市立大学教員組合、抗議の「意見書」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月20日)

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2007.11.19)

●「意見書」を出しました

学長は11月14日「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書を出しました。その文書および昇任審査フロー図によれば、手続きは「自己申告書」を作成し、学部長等が受理(提出先は経営企画室人事課)し、学長に提出することになっています。

しかし、これは学則無視のやり方です。

学則の第63条の3項には

「コース長はコース会議の議を経て、以下の事項について決定する」

とあり、具体的に6つの事項が並べられています。

(1) コースに関するカリキュラムの編成について学部長への発議に関すること
(2) コースに係わる教員人事の学部長への発議に関すること
(3) コースに係わる教員配置に関して学部長への発議に関すること
(4) 学生の成績及び進級の管理について学部長への発議に関すること
(5) 学生教育費のうちコースに係る予算に関して学部長への発議に関すること
(6) その他コースの運営に関すること
 この学則にしたがえば、コース長はコースに関わる教員人事に関して「コース会議の議」をへなければなりません。ところが、この(2)の議が必要であることは、学長文書のどこにもありません。今回の手続きは、コース会議の議を無視した、学則違反のやり方です。そのことを組合として強く抗議しました。

 また、同文書には、「学長からの人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で審査を依頼します」、とあり、これは看過し得ない大きな問題であると削除を要求しました。

11月14日、「教員評価結果の教員の処遇への活用について」という提案文書が当局から教員組合宛に提案されましたが、そこには「各評定の分布割合については、19年度の評価結果や経営状況に応じて、法人の経営判断により決定」するという文言があり、相対評価を示唆し、評価に関しても再び「経営判断」という恣意的要素を入れようとているとして、抗議しました。また、今回提案された評価基準は、どのように見ても、当局・組合間の団交での合意文に反する提案で容認できないとして抗議しました。

さらにこの問題については、22日の執行委員会、拡大執行委員会の議論を経て、再度当局に文書を出す予定ですが、以下に、まず11月19日に当局に出した「意見書」全文をご紹介いたします。

-------------------------------------

公立大学法人横浜市立大学

理事長 宝田良一 殿
学長 ブルース・ストロナク 殿
副理事長 松浦 敬紀 殿

2007年11月19日
横浜市立大学教員組合執行委員長 永岑 三千輝

意見書

1.昇任問題

(1)平成19年11月14日、学長名で、「教授・准教授及び助教昇任候補者の推薦について」という文書が出されたが、ここにある「自己申告書」の提出に関する手続きは、明らかに現行の横浜市立大学学則の第63条3項の2に違反している。これは、学長の重大な手続き上の瑕疵である。

(2)また同文書には、「学長からの人事委員会への諮問にあたり、任期制への同意状況等も判断に加味した上で審査を依頼します」とあるが、これは極めて不当な文言である。

したがって、同文書の該当箇所(項目)の削除を要求する。

(3)当局は、今年4月昇任者の審査に関する詳細な報告書を教授会構成員に示すことなく、また、最低限の要求としてきた総頁数、総文字数すら未だ明らかにすることなく、いかようにして新たな人事をなしうると考えるのか、その根本的姿勢に問題がある。

2.教員評価制度と処遇への反映の現時点における根本問題

 (1)「教員評価結果の教員の処遇への活用について」という提案文書が11月14日当局から教員組合宛に提案された。そもそも、現在のSDシートは、文字通り、各教員の成長・発展のためのものであり、当局は、教員の納得が得られるまで処遇への反映を行わないものと説明してきた。当局はその立場から労使交渉の対象外と主張し、学長および法人はその旨を教員に説明し、臨んできたはずである。ところが、今回、今年のSDシートを既成事実として、それを前提にした処遇への反映を打ち出している。当局のこれまでの説明と約束に反する。現在のSDシートについても大小多くの問題点があり、その改善も必要不可欠であるが、上記の点をはじめとして、今回の提案文書自体も多くの問題をはらんでいると考える。

すでに組合は、昨年の試行の結果・総括・反省点を示すよう、また数々の学長宛質問に誠実に答えるよう、一度ならず要求しているのであり、それを経ることなしには、処遇への活用問題に入ることは出来ないと考える。まず、昨年試行の総括反省点を明確に示すよう、また学長から誠意ある回答をするよう求める。

(2)さらに今回の提案では「再任の基準としては、任期期間中を通しての教員評価結果が“B”相当以上であり、教員評価以外の項目について期待する水準に達している場合を再任可とします。ただし、仮に任期期間中の評価結果に”C”相当以下の評価が含まれている場合でも、その後の改善状況や改善への取組姿勢も審査において考慮し、再任を可とする場合があります」と書かれているが、これは団体交渉とその結果である下記合意事項違反といわざるを得ない。8月から10月末までの長期にわたる何回もの長時間の事務折衝と2回の団体交渉における誠実交渉の結果である下記合意事項を無視することは、信義誠実に基づく労使関係を破壊するものであるだけでなく、労働関係諸法の違反として重大問題となる。

また「各評定の分布割合については、19年度の評価結果や経営状況に応じて、法人の経営判断により決定」するというのは、評価に関しても、またもや「経営判断」という恣意的判断と相対評価を方針に掲げていることに他ならず、容認できるものではない。

念のため、以下に10月31日付の合意書文を示しておく

【合意事項】

1 再任に関しての基本的な考え方

教員の任期更新に関しては、次の考え方による。

(1)大学教員としてその能力及び意欲が欠如しており、教育・研究内容やそれらに対する取組みがきわめて不十分で、大学が果たすべき社会貢献について取り組む姿勢が見られず、また大学運営にもほとんど協力が得られないなど、本学の教員として、再任が適当でないと客観的に判断される場合以外は、再任する。

 (2)これらの問題がある場合にも、改善のための働きかけを行い、本人の姿勢や行動から改善が期待される場合は再任も可とする。

2 任期更新手続きの時期

任期が3年の教員の更新手続きの時期については、3年ごとに行うこととする。

なお、准教授並びに助教について、任期中に労働基準法14条1項1号の規定に基づく厚生労働大臣が定める基準に該当した場合には、次期任期期間を5年とする。その場合も、当該職位の任期の上限年数は変わらないものとする。

【付帯条件】

1 【合意事項】1にある「客観的判断」の基準と判断方法、「改善のための働きかけ」方法、並びに想定しうる不服申立・審査制度のあり方に関して、当局と組合との間で、協議を行っていく。

2 任期更新に係る再任審査の実施にあたり、3年任期の教員あてに配付した文書「任期更新に伴う自己申告書の提出について」(平成19年7月24日付)にある、「今回の取り扱いは」「当面の間の運用とします」という文言の扱いに関しては、評価制度の任期更新への反映、並びにいわゆるテニュア制度の実現に向けた取り組み等を、当局・組合間で協議していく中で、今回の再任のあり方も含め、整合性のあるものとして整理・協議していくこととする。


2007年11月19日

横浜市立大学任期制、再任に関する合意書

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(11月15日)
横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2007.11.15

 週報が発行された。法人経営者から大学管理職のすべてが、「外から」、「上から」任命されている全国でもまれな大学において、ぎりぎりのところで、任期制に同意した教員の自由・民主主義的権利を守っていくために、努力したが、この結果を、大学の自治、自由と民主主義の発展に活かすためには、全教員の不断の注意・努力が必要となろう。

 改革過程から今日までの当局のやり方を信頼できない多くの人々は、教員組合の一貫したスタンスに共鳴し、その基本的立場を現在なお支持し、「任期制への同意強制に反対」している。この同意強制は、労働基準法違反との見地である。昇任の可否という重大な処遇条件をハードルにして、任期制への同意を迫るものであり、差別条件の強制は、友好的で良好な関係に基づく真の合意にもとづくでないことを証明するものだからである。

 この間の昇任に関わる問題を見ても、当局に対する不信感には強いものがある。当局が示した新しい「説明」には、信義違反、団体交渉の結果の誠実な実行という点での違反もみられ、不信感と怒りを増幅している。

-------横浜市立大学教員組合週報------

「合意書」が取り交わされました

 すでに11月1日付の速報でお知らせしましたように、10月31日の団交を受け、再任に関しての基本的な考え方等に関して、付帯条件を付した「合意書」が作成され取り交わされました。

 付帯条件においては、再任に関して、当局が一方的に再任についての判断を行なわないよう判断基準や方法に関して、また不服申立やその審査制度に関しても、当局と組合間で協議を行なっていくという文言が入れられました。

 また、任期の開始時期に関しては、当局と組合間での見解は相違したままでしたので、「今回の取り扱いは」「当面の運用」とするということについて、評価制度やテニュア制度等を当局と組合間で協議をしていく中で、どのようにとらえるかを考えていくといった趣旨の文言を付することとで合意し、これらの問題においても当局と組合と協議が行なわれることが必要という条件を付することになりましたので、以下に、その全文を掲げ、お知らせいたします。

合 意 書

平成19年10月31日

公立大学法人 横浜市立大学  署名
 副理事長  松浦 敬紀

横浜市立大学 教員組合    署名
 執行委員長 永岑 三千輝

 公立大学法人横浜市立大学(以下、「当局」と言う。)と横浜市立大学教員組合(以下、「組合」と言う。)とは、平成19月10月31日までの交渉の結果、以下の条件を付して合意した。

 なお、この交渉結果について変更が必要となる場合は、改めて、当局と組合の間で協議を行う。

【合意事項】
1 再任に関しての基本的な考え方

教員の任期更新に関しては、次の考え方による。
(1)大学教員としてその能力及び意欲が欠如しており、教育・研究内容やそれらに対する取組みがきわめて不十分で、大学が果たすべき社会貢献について取り組む姿勢が見られず、また大学運営にもほとんど協力が得られないなど、本学の教員として、再任が適当でないと客観的に判断される場合以外は、再任する。
(2)これらの問題がある場合にも、改善のための働きかけを行い、本人の姿勢や行動から改善が期待される場合は再任も可とする。

2 任期更新手続きの時期

 任期が3年の教員の更新手続きの時期については、3年ごとに行うこととする。
 なお、准教授並びに助教について、任期中に労働基準法14条1項1号の規定に基づく厚生労働大臣が定める基準に該当した場合には、次期任期期間を5年とする。その場合も、当該職位の任期の上限年数は変わらないものとする。

【付帯条件】
1 【合意事項】1にある「客観的判断」の基準と判断方法、「改善のための働きかけ」方法、並びに想定しうる不服申立・審査制度のあり方に関して、当局と組合との間で、協議を行っていく。
2 任期更新に係る再任審査の実施にあたり、3年任期の教員あてに配付した文書「任期更新に伴う自己申告書の提出について」(平成19年7月24日付)にある、「今回の取り扱いは」「当面の間の運用とします」という文言の扱いに関しては、評価制度の任期更新への反映、並びにいわゆるテニュア制度の実現に向けた取り組み等を、当局・組合間で協議していく中で、今回の再任のあり方も含め、整合性のあるものとして整理・協議していくこととする。
【その他情報提供】
・「雇用契約書 兼 労働条件通知書」の様式について情報提供を行い、当局と組合で内容を確認した。

以上


2007年11月 5日

横浜市立大学教員組合、透明で公正・公平な昇任人事を保障するため教授会に詳細な審査報告書全文の提示を

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2007.11.01

昨日、団交をおこないました

8月22日の「再任」に関する団交が継続となっていたため、昨日、2回目の団交をおこないました。一定の前進が見られましたので、速報でお知らせいたします。

当局から、再任に関しての基本的な考え方として、

(1)大学教員としてその能力及び意欲が欠如しており、教育・研究内容やそれらに対する取り組みがきわめて不十分で、大学が果たすべき社会貢献について取り組む姿勢が見られず、また大学運営にもほとんど協力が得られないなど、本学の教員として、再任が適当でないと客観的に判断される場合以外は、再任する。

(2)これらの問題がある場合にも、改善のための働きかけを行い、本人の姿勢や行動から改善が期待される場合は再任も可とする。

というものが示されました。

そこで、組合としては、「客観的な判断」の基準と判断方法、「改善のための働きかけ」方法、また不服審査制度のあり方に関して、当局と教員組合との間で協議をしていくという確認の合意文書を取り交わすことで合意しました。

また、再任にあたっての任期開始時期に関しては、当局と組合との間で見解の相違がありますが、「自己申告書の提出について」という当局が再任対象教員に配布した文書の「今回の取り扱いは」「当面の運用」とするということについて、どのように考えていくか、協議をしていくことで合意しました。

昇任人事について、要求書を出しました

 本年4月の昇任人事に関して、教員組合は6月4日に質問状を出しましたが、その回答は、質問に真摯に答えていないものでした。
 わずかに回答があったことについても、看過し得ない問題があり、さしあたって次の「要求書」を昨日出しました。

公立大学法人横浜市立大学
理事長 宝田良一 殿
学長 ブルース・ストロナク 殿
副理事長 松浦 敬紀 殿

2007年10月31日

横浜市立大学教員組合執行委員長
永岑 三千輝

要求書

 教員組合は6月4日に14項目にわたる「2007年4月の昇任人事に関する質問書」を出したが、回答は、ほとんどの部分において質問に真摯に答えていない、誠意さを欠くものであった。質問を受けながら、誠実に回答しないというのは、大学という研究・教育機関の責任者として、また研究者・教育者としてあるまじき態度である。

 質問に回答しなかった項目に関しては、あらためて問題としていく。しかし、わずかに回答のあった部分にかんしても問題がきわめて大きいので、まず次の点に関して要求をする。

 回答には、「審査報告書についてですが、審査に関する資料には特定の個人に関する情報も含まれているという御意見や御指摘もあり、公開しておりません」とある。

 法人化以前の教授会では、教授会構成員全員に詳細綿密な報告がなされていた。それと比して、法人化された大学では、透明性は明らかに後退している。透明・公平な人事を謳う現法人の大学当局として、上記のような言葉は、述べるべき言葉であろうはずがないものである。

 法人化以前の教授会では、詳細な報告が教授会構成員に対してなされなかったことはないし、ましてや「特定の個人に関する情報」があるからなどという理由で、詳細な報告書が提示されなかったことなど、一度としてない。

 公平性・透明性が保障されない人事をおこなうことによって、大学は、その質を落とすことこそあれ、評価されることはない。

 不透明・不公正・不公平な人事をおこなわなかったというなら、その証拠として、教授会構成員に対して詳細な審査報告書の提示をすべきである。教授会構成員のみに示す以上、個人情報が外部に出るおそれをいだく必要などないはずである。教授会構成員への詳細な審査報告書の提示を拒む理由はない。

(1)まず、公開していないという審査報告書について、総頁数何頁であり、総行数何行であり、総文字数何字のものであるのか。各審査対象者毎に、明示することを求める。

(2)さらに、透明性を守るというのなら、まず、詳細な審査報告書全文の提示を、教授会構成員全員に対しておこなうことを要求する。

(3)しかしそれでも、審査報告書に「特定の個人に関する情報」が含まれているので教授会構成員に示せないというなら、透明性・公平性・公正性についての疑念の、わずかな部分を除去するために、詳細な審査報告書の当該の一部分のみに限って伏せたものであったとしても、まず、それを提示すことを求める。

上記のことを要求する。11月7日を期限として早急に示すことを求める。

以上


2007年10月24日

横浜市立大、法人固有職員 「三年での契約更新」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(10月23日)

●職員組合と話し合いをもちました

 同じ大学で仕事をしている職員の組合とも連携を深めるために、18日に四役で話し合いを持ちました。その話の中で、職員組合も、さまざまな問題を抱えていることが明らかになりました。職員組合は、今月9日に理事長宛に「職場諸要求に関する要望書」を出しています。

 職員は、職員区分としては、職員、市派遣職員、非常勤職員、契約業者からの派遣社員、業務委託職員など、さまざまな雇用形態の職員から成る混成の職場で、適切なコミュニケーション維持にも困難な状況を抱え、また働く意欲の維持にも支障が出るという危惧も抱かれています。そのことは、直接・間接に教員・学生にも大いに影響を及ぼすことになります。

 法人化に伴って任期に同意した教員の更新問題が、現在、教員組合としての大きな問題ですが、法人固有職員は、三年ごとに評価をおこない雇用契約を更新することになっています。この雇用契約の継続に関連した問題が発生していることも明らかになってきています。

 同じ大学に働き、よりよい大学を目指すものとして、看過し得ない、きわめて重大な問題でもあります。

 大学での教育・研究など、さまざまな活動には、教員・職員の相互の理解と協力が欠かせません。教員としても、職員組合の抱える問題を認識することが必要だと思います。そこで、職員組合が10月9日付けで理事長宛に出した「職場諸要求に関する要望書」を次に紹介いたします。

2007年10月9日

公立大学法人 横浜市立大学
理事長 宝田 良一 様

横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 伊藤 博 

職場諸要求に関する要望書

 市民に期待される大学運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。
 横浜市立大学職員労働組合における職場諸要求について、以下の通り改善を要望します。

要求事項

1.職員配置基準の明確化について
 現在の横浜市立大学は、雇用形態の異なる様々な人たちにより業務が日々遂行されています。職員区分では、職員、市派遣職員、非常勤職員、契約業者からの派遣社員、業務委託職員など、さまざまな雇用形態の職員による混成職場となっています。また、人の入れ替わりも多く、職場内の意思疎通と適切なコミュニケーション維持にも困難な状況を抱えています。このような職場状況では、無用な誤解や働く意欲の維持にも支障がでてくるものと思われます。職員組合としては、職場運営の改善の立場から、職場状況の改善と職員の配置基準を明確にするよう要望します。

2.法人固有職員の継続雇用に取り組みについて
 法人固有職員は、「三年での契約更新」となっており、三年ごとに評価をおこない雇用契約を更新する、となっていますが、雇用契約の継続を基本とした対応を図るよう強く要望します。また、評価に当たっても、不利益・不平等な扱いが生ずることのないよう必要な体制を整備することを要望します。

3.配転基準の明示について
 今後の法人職員の配転基準の検討と明示を図るとともに、職員の配転希望がある場合については必要な配慮を要望します。

4.市派遣職員の対応について
 市派遣職員の配置などの処遇については、これまでの交渉経過を踏まえた対応を要望します。また、異動にあたっては、本人の意向を尊重するとともに、組合の了解を経ずに一方的な説得などはおこなわないよう要望します。

5.「不服申し立て機関」の設置について
 現状では、労働条件や不利益な扱いなどでの不服対応の方法としては、直接「労働基準監督署」に訴えることになりかねない状況もありえます。事前になんらかの解決点が見いだされる場合も想定されることから、双方にとっても不本意な状況に至らないよう適切な対応と「不服申し立て機関」などの設置の検討を要望します。

6.育児休業措置の検討について
 非常勤職員や契約職員には、若い人たちが採用されていることから、継続して働き続ける環境の配慮が求められています。育児休業措置などの環境整備を要望します。

7.人事評価の本人開示について
 人事評価における評価結果については、疑義が生じやすいことが想定されます。本人からの開示請求がある場合には、情報の開示と十分な説明をおこなうよう要望します。また、人事考課など個人情報に関わる取り扱いには、充分な配慮と管理がなされるよう要望します。

8.60歳停年以降の継続雇用について
 60歳停年後の対応については、横浜市でも再任用などの継続雇用の措置を講じています。法人においても、市派遣職員など、市立大学で定年を迎える職員については、継続雇用について何らかの制度化を図るよう要望します。


2007年10月 4日

横浜市立大学、仮進級者 6割が3年次へ進級できず 

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●横浜市立大学、仮進級者 6割が3年次へ進級できず 『横浜市大新聞』(2007.10.1)

http://ycu-press.jpn.org/modules/news/article.php?storyid=17 

資料
横浜市立大TOEFL500点問題、現2年生 仮進級へ 『全国国公私立大学の事件情報』(2007.2.26)
「TOEFL500点問題」で、破滅に向かってひた走る横浜市立大学 永岑三千輝氏『大学改革日誌』2007年1月12日付(2007.1.14)
横浜市立大、進級基準TOEFL500点問題で臨時教授会を開催すべき 『全国国公私立大学の事件情報』(2007.1.16)
横浜市立大、2年生半数 留年危機 英語力検定が壁 「全国国公私立大学の事件情報」(2006.12.11)
横浜市大 厳しすぎた?進級要件 2年生半数超 留年の危機 国際総合科学部「TOEFL 500点」届かず 『東京新聞』夕刊第一面(2006.11.8)
《ずるずる放置しておいていい問題ではない》 “TOEFLとTOEICの区別もついていない役人がつくった制度”が破綻寸前 永岑三千輝氏大学改革日誌2006年10月30日付 (2006.10.31)

 本学広報によると、平成19年度前期期間中3年次へ仮進級していた国際総合科学部1期生のうち、TOEFL500点の進級条件のため58%が2年次に戻る事となった。仮進級が取り消された学生は、引き続き必修の英語授業Practical Englishを履修する他、3年次以上配当科目を履修することが出来ず、仮進級時(平成19年度前期)に習得した3年次以上配当科目の単位を取り消される。

 本紙が独自に本学掲示板に貼り出されたPractical English履修者数を数えた結果、国際総合科学部1期生の履修者数は141名。また仮進級者のうち69名が平成19年度前期中に合格している事が掲示板にて公開されている。

【論評】英語だけの問題ではない

 本学広報から得た数字と本紙調査からの数字の相違から、仮進級者の内何名かの退学者・休学者が出ていることが予測される。

 「英語が出来ないなら大学を辞めてしまえば良い」そんな声が聞こえてきそうな程の大学側の学生に対する冷淡さと無責任さには、憤りを感じる。

 2年次ないし仮進級時、英語の勉強に時間と労力を割かれ他の科目の単位が取れないままの学生も多いのではないか。周りを見渡すと、3年次へ進級した学生の中に4年次までの卒業単位数が危うい者が多くいる様に思える。

 専門教養のゼミ運営にも支障が出る。3年次へ進級できなかった学生はそれまでのゼミでの研究を中断させられる事になるのか。

 今後、大学には学生生活全体を通したケアを求めたい。今回進級出来なかった学生は自身の専攻の研究・留年による経済的な理由のため、当然プレッシャーが大きくなるはず。依然として大学が学生に英語の課題のみを押し付けるとしたら、ただ学生を圧迫するだけだ。


2007年10月 3日

横浜市立大学教員組合、就業規則に関する意見書

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(10月01日)

2007年9月20日
公立大学法人横浜市立大学
 理事長 宝田良一 殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝

就業規則に関する意見書

今般の就業規則の一部変更にあたって、公立大学法人横浜市立大学金沢八景キャンパス事業場における過半数組合としての横浜市立大学教員組合を代表して、次の意見書を提出する。

1.まず、就業規則一部変更の提示に関してであるが、今回の提示は、給与交渉の折衝の中で、提示することをあらかじめ告知されないまま当局から示されたものであり、明確に「就業規則の一部変更について」として提示することを告知した上で組合に示すべきである。

2.すでに、横浜市立大学教員組合は法人化にあたっての就業規則に関する意見書(平成17年4月27日)において、多岐にわたる問題点を指摘した。

 しかし、それにもかかわらず、給与交渉の中で当局と組合との間で合意をみた点を除き、組合が意見書において記した諸項目に関して、当局は何ら改善のための努力を行ってきていないばかりか、組合との誠実な交渉すら行ってきていないのは、きわめて問題である。

 その事実を確認するために、あらためてここに、平成17年4月27日日付の就業規則に対する組合の意見書を添付する。

 すなわち、Ⅱ「個別条項にたいする意見」の(3)などの数点以外を除いて、当局は組合の意見書に関して何ら誠実な交渉態度を示していない。

 さらに、給与関連の合意書締結以後も、平成17年4月1日施行の「年俸制規定」の改定文書をも提示することがない。これは給与関連の合意書の締結にもとづいて直ちに改正されるべきものである。当局はそのための義務的作業を怠っているものである。

 また第13条に評価に関してであるが、平成19年度の教員評価制度との関連が、まったく不明確である。この条項についての協議開始を要求する。

3. 当局は、平成17年4月27日付の組合の意見書において教員組合が指摘した諸問題を、給与関連を除き、2年間にわたり放置してきたわけであり、ただちにこれらの諸問題に関して、組合との誠実交渉をおこなうべきである。


2007年9月25日

横浜市立大、「全員任期制」 任期更新をめぐる労使の対立点

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(9月24日)

9月24日 任期更新をめぐる労使の対立点は、つぎのようなものである。

 第一の根本的対立点は、法人サイドは、「全員」任期制を掲げていることであり、他方、教員組合は、公務員時代の身分継承の法理からしても、また、大学の自治(学問の自由の制度的保障)の見地からも、全員の有期契約はありえない、大学教員任期法に基づく限定的な任期付ポストの設定がありうるだけだ、との立場である。

 その立場からすれば、法人化後に採用され、募集時点で「任期制」を承諾していた教員についても、一定の条件を積めば、テニュア(定年までの雇用保障)を与えることを制度化すべきだということになる。法人サイドは、任期制が、大学の活性化に繋がるものとして、「全員」任期制を主張しているが、その合理的説明はない。法人サイドが任期付教員の解雇を行う自由のカードを一枚もったというところであり、任期をつけた教員の教育研究の活性化が、公務員時代の身分を継承している教員の活性度とどのようにちがうかの実証も検証も、今のところ示されていない。

 第二の対立点は、法人化に際して、「任期制に同意」した元公務員身分の教員と、法人化後に採用されて「任期制」を承知の上で職についた教員に関して、任期に関する契約(雇用契約)が結ばれているとする法人サイドと、それは明文化された形では存在せず、明文化された雇用契約でもって初めて任期に関する雇用が成立するとの立場(弱い立場・不利な立場)を擁護する教員組合のスタンスである。事実において、法人とそれぞれの任期付教員との間に、現在示されているような雇用契約文書は存在しない。(現在示されている雇用契約書なるものが、いつの時点で、誰に対して出されているのか、明確な説明はない。)今回初めて、その文書が教員組合に提示され、周知のものとなった。

 これまで、2005年4月の法人化発足時点では任期に同意した教員に関して、明文化された雇用契約のない任期であった、ということは事実である。そのことの重みをどのように考えるか、これが、法人サイドと教員組合とが対立するところである。

 この対立点が深刻な問題となるのは、助手、助教、准教授などであり、それぞれの最長任期延長期間が限定されているからである。

 (教授は、「考え方」に示された最低限の条件をクリアすれば、再任の回数制限がないので定年までの身分・雇用は確保できる。しかし、任期制とは、その期間内に「最低限の条件をクリアすればいい」ということを意味するのか?それは大学の教育研究の活性化と整合するのか、という根本問題はある。無限定の、「全員」任期制などというものが、いかに、教育研究の活性化とは矛盾するかを典型的に示す事例といえよう。)

 今回、当局が示した理事長見解(昨年末に新給与体系の提案に際して、その一部に付随的に盛り込まれていた副理事長見解を補足した3月時点での理事長見解)は、再任基準をめぐって不安を抱える教員に対して、再任における最低限クリアすべき条件を示そうとするものであり、ある意味では、再任審査の許容度を広く設定したものである。

 しかし、そのことは、今回、雇用契約に署名すれば、その署名の事実を持って、任期雇用の開始が2005年4月時点であったことを認めることとされ、この2年半の雇用契約書なしの宙ぶらりんの状態が、更新限度の年数(最長任期期間)関しては、一方的に法人サイドに有利に解釈されることになるのではないか、という問題がある。助手、助教、准教授にとって、3年間、雇用保障が延びるか短縮するかは、巨大な処遇の利益不利益、安定・不安定に関わる。

 法人サイドは、あきらかに、2005年4月の法人化開始とともに任期が開始したと解釈して、今回の再任手続きに入っているが、この間の、雇用契約書を個々人の教員と結ばなかったという問題点に関しては、その責任を逃れようとしている。(再任教員に対して提示しようとしている雇用契約書が今回初めて示されていることからしても、2005年時点にそのような契約書が存在しなかったことは厳然たる事実である)。

 助手、助教・准教授という身分的に不利な教員に対する配慮がないかぎり、若手教員のやる気、本学への帰属意識は希薄なままにとどまり、それは教育の活性化や充実には結びつかないだろう。とくに、学部の構成からして、教授数、准教授数等において厳しい制約がある医学部の場合、その問題が深刻となろう。

 第三の対立点は、4月の昇任が「経営的観点」から、拒否されたことにみられる人事評価のあり方の問題が、任期更新の審査でも、制度的に内在しているということである。昇任においては客観的基準が提示されているが、その運用が、一般教員の信頼を得ていない。何はともあれ「任期制に同意」し、教育研究の実績は積まなくても法人の意向に沿った学内事務的なこと(管理職業務)をやれば教授になれる、といった風評が流れるのは、そのあたりに問題があるからであろう。

 昇任問題と同じように、いくら「最低限の条件」を、法人が再任の条件として示していても、いざ審査の段階となると、「経営的観点」を理由に、再任を拒否することができる状態となっている。まさに、人事こそは、大学自治(学問の自由)の根幹に関わるものであり、そこでの教員の安全(自治)が確保されていない問題である。

 法人サイドの今回の再任手続きに関する文書では、今回のやり方が「教員評価制度の未確立」な段階での過渡的・臨時的な措置であることが文章化されて、示されている。教員評価制度が確立すれば、別の再任基準・別の再任手続き・別の再任審査機関等が適用されることになる。したがって、教員評価制度が未確立な段階(「考え方」の審査に当たっての基準や運用、その組織など)での「再任審査」が、業績の形式面だけを審査するものとならざるを得ないことを認めているといえよう。ただ、当局がそのことを、該当教員に分かるように説明しているわけではない。当該教員が不安に駆られているとしても、当然である。

 第四の対立点は、一見すれば、再任とは関係がないような問題、しかし、再任問題と深く関わる問題としての、昇任審査基準、その適用、判断主体(機関)の問題である。当面の再任は、「最低限の条件」でクリアさせておいて、昇任基準に関しては厳しく適用すれば(基準自体が厳しくなっている、あるいは、経営的観点を持ち出せば)、昇任不可能で、任期切れ、解雇に追い込まれる。この問題である。

 今回の「再任審査」の形式性やハードルの「低さ」にだけ注意を向けようとする態度が、法人サイドの発言に見られるが、それは、根本的に重要な問題を隠している、見ようとしない、態度といわなければならない。


2007年8月27日

横浜市立大学、「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員の主張

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月24日)

横浜市立大学教員組合週報(2007.8.24)

目次 ●「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員の主張の紹介

 一昨日の団体交渉で、任期更新問題は、今後の組合と当局との継続審議事項ということになりました。

 また、24日までに、自己申告書を出さない場合にも、不利益措置はない、という確認を当局からとりました。

 しかし、教員組合の8月5日付の「任期更新手続きに関する団体交渉の要求」文書にある「制度への同意の条件となった約束の具体化・制度化が見られない」という理由により、今回、自己申告書提出が求められたことに対して抗議をし、「任期同意書」の撤回・返却を要求した教員もいますので、その主張の要点を紹介します。

1.「同意書」には、「任期制を適用(任期のある雇用契約を締結)することに同意します」とあるにもかかわらず、「同意書」提出後、いかなる「任期のある雇用契約」も締結されていない。雇用契約とは、大学側と被雇用者との間に交わされるものであり、被雇用者の関知しないところで、一方的に大学側が「契約」を結ぶなどということは、ありえない。したがって、「任期のある雇用契約」は締結されていないとみなさざるをえず、任期制は現時点においてまだ適用されていないと考えるのが当然である。

 しかるに、このたび大学側は「今年度末で任期満了となります」とする文書を送りつけてきたのは、明確な違反である。

 一言でいえば、「雇用契約(任期、年俸などに関して)」を締結していないのに、「同意書」を提出した者を「任期つき」教員とみなす今回の大学側のやり方には、大学側と教員の信頼関係を損なう、重大なあやまりがある。

2.平成17年3月15日付の松浦最高経営責任者名による、任期制への同意を求めるための文書「任期の定めのある雇用契約への同意について」には、明確に「今回は、あくまでも任期制の適用に同意をいただけるかどうかを確認するものです」とあるにもかかわらず、「同意書」の提出を任期制の適用とみなすような、「任期更新に伴う自己申告書」の提出を求めることは、違反行為である。

3.昨年10月2日、大学側が開催した公式の「説明会」において、「任期制はすでに発足しているのか」との質問に、座長の馬来副学長が「まだ発足していない」と返答した。にもかかわらず、大学側は平成17年度において任期制がスタートしていることを前提とした、「任期満了」の通知を送りつけてきた。これは許容しえない違反行為である。

4.大学側が「同意書」をとりつけるに際して付した「任期制運用の基本的な考え方について」に示されている、「同意書」を提出した者に対する優遇措置が何一つ実行されていない。ここにも重要な約束違反があるが、それ以上に、このことは、「同意書」提出後、「任期のある雇用契約」がなんら締結されておらず、したがって任期制もまだ適用されていない、と考えることの正当性を証明するものである。

 任期にかかわるような労働契約は、文書をもって示し、それにもとづいて契約を締結しなければならないのは、明らかなことです。また、任期制への同意を求めるにあたって、当局が示し教員に期待を抱かせた諸条件は、法人化後、2年以上経過したにもかかわらず、何ら実行されていません。このことは、任期同意者の期待を裏切るものあり、信頼関係を踏みにじるものに他なりません。当局は、欺瞞的な言葉によって任期への同意を求めたことの責任を明らかにしなければならないと考えます。また組合は上記のような立場をとる組合員の権利をも守るよう努めます。


2007年8月24日

横浜市立大学教員組合、任期制問題に関する団体交渉 そもそも「全員任期制」はありえない

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月23日)

8月23日(1) 当局との「任期更新手続き」に関する第一回団体交渉を行った。

 組合側は、原則的原理的に「全員任期制」はありえないし[1]、従ってそのような制度には反対である旨、年来の主張を繰り返した。

 なお、今回の交渉は、3学部解体・法人化移行への二つの重大な変更が行われようとしている混乱期、評議会・教授会の機能停止のなかで、制度設計の主導権を市当局(改革本部)が握った異常な事態における「任期制への同意」であって、その当時には任期制の内容は不明確であったが(当時の就業規則に関する組合意見書参照)、当局を信頼し、あるいはさまざまの不利益を恐れ、あるいは当局の約束を信用した人々に関するものであり、そうした人々が不利益措置に陥らないためのものであることを一貫して主張した。

 また、平成17年3月時点の「任期制への同意書」は、あくまでも「制度への同意」である。それに基づいて、次に行われるべき任期の明確な提示を含む再任条件等が明記された雇用契約書が結ばれていないので、雇用契約書を持ってはじめて任期の開始となる、というのが組合側の一貫した主張であり、明示的に意見表明された多くの組合員の考えでもあって、当局のスタンス(平成17年4月1日から任期に関する雇用契約も開始したとの主張)とは平行線をたどった。

 結論的にいえば、更新手続きに関しては、「交渉継続」となった。
 したがって、当局との交渉継続中であることから、任期更新諸条件の不確定な段階で当局提示の更新手続きについて何の危惧・懸念も抱かない人々は少ないであろうから(団体交渉要求書はその不安・懸念の意見を集約しているので参照されたい)、そのことへの配慮を求め、それについては了承された(本日発行予定の組合ニュース参照)。

 今回、「3年任期」該当者と当局が考えて任期更新手続き書類を送付された関係者は、当局提示の条件に危惧を抱き、重大な不利益があると懸念する場合(それは大学や社会の情勢変化で十分想定される懸念であるが)には、「任期雇用の契約書を見ていない」、「任期雇用の契約書に署名していない」など、現在も法人化までの身分が継続している、といった自らの考え・主張を文書で提出しておくことが必要であろう。

 組合の見地では、当局への団体交渉要求書が示すように、それがなくても、現在の更新手続きに瑕疵があるので、任期制への同意自体を撤回し、法人化までの身分保障(65歳定年までの期限の定めのない雇用契約)に復帰することができるものだと考えているが、その意思表明は各人・該当者が行っておく必要があろうということである。すでに明確に「任期を明確に規定した雇用契約がなく、それに署名していないのに、今回、更新手続きを送りつけてくるとは失礼千万、今回の手続きを撤回せよ」と求める文書を、経営最高責任者に書留で送った教員もいる。その教員はさらに、かつて提出した同意書を、上記のような諸理由を挙げて「同意撤回の条件があり」として、返還するよう求める文書を副理事長(経営最高責任者)宛に送付している。これは、どうしたらいいか困っている若手には参考になろう。

 当局を信じ、何も疑念を抱かない人は(その多くは多分、当局サイドべったりの人、また多分当局と一体化した人、定年が近く更新手続きをしても自分には何の不利益も不安もない人、いや更新手続きで当局の覚えがめでたい人、などであろうが、それが何人いるのか? 少数者としては絶対の自信を持って再任されると思う人、また、ごく少数としては、不利益措置があれば闘うことを覚悟し、労の多いその闘いに勝利する自信を持っている人もいるだろう)、何も意見も述べずに(意見書提出なしに)更新手続き書類を提出することになろう。

 しかし、任期更新回数が限定されている以上、それによって一番重大な不利益をこうむる恐れのある助手を初めとして、少なくとも准教授までの人々は、任期回数制限が来た場合のことを考えると、また、それまでにどのような事情変更があるかもしれないことを考えると、組合の見地に従った予防措置を講じておいた方がいいのではないかと思われる。

 法人化後採用され、最初から、法人採用であるために、任期制で公募された人々の場合は、任期雇用の契約書にサインしているはずである。(少なくとも組合の入手した昨年度までの雇用契約書では、サインする書式となっている)

 しかし、その場合にも、再任条件、再任審査体制等に関する意見があれば、それを明確に述べておくことが必要であろう。公正な、大学らしい客観的な審査を求めるであろうから。

 たとえば、「普通にやっていれば更新」という基準を客観的に規定せよ、ピアレヴュー体制が確立していない現在の状況では審査基準の適用について安心できない、早急なピアレヴュー制度の制定を求める、大学の自治の制度の下でピュアレヴューがおこなわれるべきであり、憲法的要請からして、そうした大学にふさわしい再任審査を求める、とかいろいろと各人の考え方に応じて意見の表明の仕方はあろう。

 4月昇任で、「経営的観点から」拒否された教員の業績はどう評価されたか?
 4月で昇任した人の業績は、どのようだったか?
 評価・審査の体制は、公正・透明と思うか?
 そもそもかつての教授会のような審査報告書を読んだか?
 審査報告書はあるのかないのか?

 われわれが知る限りは、「任期制に同意していない」人が、昇任を拒否された。つまり、任期制は、同意しない少数者をいじめる(差別する)道具、寒々しい手段になってはいないか?

 任期制は、業績を評価して、それに対するポジティヴな処遇を提示して、人々を奮起させるものとなっているか?

 組合の検討でも問題になったが、任期審査に関する規定を該当者は見てほしい。学長がかなりの権限を持っている。いや場合によっては決定的な(生殺与奪の)権限を持っているとも解釈できる。(組合の議論でも解釈は対極的なものがあった。)
 その学長は、皆さんが選んだ、あるいは選出に参加した学長であるか、信頼できるか、学内構成員によるチック機能は働くか。

 現在の学長には場合によっては問題を感じないかもしれない(だがSDシート記入に際して「脅かし」のメールを送りつけたことをどう見るか?)。しかし、任期更新の継続中に,学長は次々と変わりうる。その場合、つぎに「外部から」「権力的な」学長が投げ込まれた場合(一般の全体的な大学教職員による学長選挙制度がない現在の制度では、それが十分可能である)、審査の公平性がどうなるかわからない。その不安はないか?
 つまりは、憲法の保障する大学自治に関する重大な欠陥がある現状を、そのまま信用していいか、そのような制度を作った行政当局を単純に信頼していていいのか、といったことが問題となろう。

 代表的な意見に関しては、組合の団体交渉の要求書に、すでに明記してある。すなわち、組合員の意見を集約する形で、教員団体としての見解を表明しているので、それを検討してほしい。それが不十分だと考える場合、各人が独自の意見書・見解を明確に追加的に述べておく必要があろう。そのような意見表明の数が多い方がいいと考える。黙っていれば、すべて納得とみなされる。「同意書」を提出しただけで、任期をつけた契約書とみなされる。だまっていればそうなる。
 「反対しないもの、黙っているもの」は、60年安保条約締結時、岸信介政府によって、どのように解釈されたか?

 組合の表明したスタンスと同じであれば、組合員としての自らの見解が代表的集約的に表明されていると考えてもいいであろう。当局との交渉は、組合執行部がやっていくことになる。交渉は継続中である。


2007年8月21日

横浜市立大学、学長選挙は外部支配が貫徹するシステム

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月20日)

 山形大学の学長選挙の問題点は、新聞報道を通じて確認していたが、今回の声明は、大学自治・学問の自由について今一度、基本から考えるための素材を、豊富に提供している。

 しかし、この声明を読むと、実は、本学の本質的根本的問題性がより鮮明になる。

 学長選挙などは本学では存在しないのである。その意味では、学内教員・職員の意向などはじめから無視するシステムとなっている。学長は、行政的に「外から」「上から」決めてやるから、学内の教員は、すべてそれに従え、学部長その他も、経営陣・学長が決めてやるから、下のものは文句言わずに従え、というのが官僚主義的な現行システムである。

 現在の本学のシステムでは、学内教員の推薦による候補は誰もいなかった。初めから結論の出ているシステムで、ただ「選挙」、「選考」の外面を取り繕うだけのシステムに、圧倒的多数の教員はそっぽを向いたということであろう。かろうじて10人程度(?)に満たない人々が、「学内候補」の推薦なるものに、「協力」しただけである。しかし、推薦人の数が当局制定の規準からしても少なすぎて、経営サイドで「候補者」に「推薦」したというのが実態である。

 どちらになるにしろ、外部支配が貫徹するシステムとなっており、一切、内部の教職員の意向は問われることのないシステム(学内教職員の意向は、経営・管理に都合のいいものだけが「つまみ食い」されるシステム)である。学長の決定(大学管理職の選任)における大学の自治破壊の程度は、完璧、ということであろう。

 それが、「改革」過程で、大学院のあり方や学部コースのあり方を決めた(現状では、今後も)。そこで、大学院担当のあり方に関しても、大きな問題を残し、大学院手当て問題で噴出した、というところであろう。

 そうした制度の中であれ、下からの教職員の合理的で民主的な意見がまったくくみ上げられない、その可能性がまったくない、というわけではない。(当局は運営の円滑化のためにも、さまざまの権限を持っていることからも、「協力者」を通じて、下からの意見をくみ上げる姿勢は持っているであろう。)下からのぎりぎりの、正当な合理的意見、現場の意見をくみ上げない組織など、崩壊するであろう。

 代議員会などにも、一定の自治的機能は残っている。しかし、現行システムの中では、きわめて限界のあるものとなっている。

 その意味で、現在の状況下で、教員組合は、自治的自主的な現場の意見を結集し、公然と表明し、一部なりとも実現していく学内構成員の組織として、かつての教授会機能をも担うべき組織として、重要性を増している、といえるであろう。

 現行の官僚主義的システムの必然的帰結として、大学院手当て問題などもまったく事務的に処理して、教員管理職さえ知らない(・・・とされる)うちに、7月以降の削減、といった事態が発生した。それについても、教員組合は抗議しており、今後交渉を行うが、22日には、「任期制更新問題」での第一回団交が開かれる。

 教員組合は、そもそも、全員任期制などということに原則的原理的に反対している。大学教員任期制法に合致した限定的なものを適切な形で、大学自治原則のうえで、導入することに反対した教員はいない。全国の国公私立大学でも、「全員任期制」を強行している(あくまでも掲げている)のは、本学と首都大、国際教養大くらいのものであろう。今回の問題は、法人化への移行期に、さまざまの不利益を恐れ、あるいは一部は約束された有利さに惹かれ、制度の不明確なままに「任期制同意書」にサインしてしまった教員に関する問題である。

 制度が不明確なため、合意が成立していないたくさんの問題があるので、そこをきっちりしていかなければ、教員は奴隷化されてしまう。表面上の言葉の甘さ(実際の意味からすれば、愚弄ともとれるが)でやり過ごすと、更新回数制限との関係で重大な不利益が発生する可能性があるからである。

 大学自治回復(憲法的保障の実現、憲法の活性化・実質化)の見地から、当局の態度を質し、大学の自由で民主的な活性化の一歩としたい。


2007年8月 7日

横浜市立大教員組合、任期更新手続きに関する要求「本来の教員評価制度が未確立の段階で、経営側の一方的な審査制度を適用することは、大学自治破壊である」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月06日)

8月6日 先日(2日)の執行委員会・拡大執行委員会の審議を経て、いわゆる「3年任期」の教員に対する更新手続きに関して、何重もの重大問題がある、ということで団体交渉を求め、経営トップと直接組合執行部と協議する場を設定するよう求めた。また、大学院手当て問題に関して、抗議と要求を出した。それを知らせるウィークリーにもリンクを張っておこう。夏休みで(われわれも、講義等の学期中の仕事は「休み」、普段できない研究関連の仕事にもっと時間を割きたいのだが・・・)、組合HPへのアップは遅れるかもしれないので。

 専攻長・研究科長等に数理科学の教員が確認したところ、当然のことながら、総合理学研究科は存続しており、この総合理学研究科に今回手当てを削除された教員全員が現在も所属している。そうした大学院研究科組織の構成メンバーに当然支払われるべき手当てを支払わなかった、シラバスだけを見て事務的に処理をした、ということになる。大学院のあり方に関して、またこれまでの経緯に関してなんら調査しない、実に乱暴なやり方である。

 これは、大学院研究科委員会が機能していない(人事課当局・法人当局との連絡欠如の)現状の反映でもある。手当て問題の取り扱いに関しては、研究科長・専攻長と事前にきちんと調整を行い、問題点がないかどうか確認しておくべきものなのである。

 もう一点の問題は、「改革」過程で強行的に廃止した数理科学科等の教員の新しい研究科での任務をきちんと整理し確認してこなかったということである。大学院の理科系の諸コース、とりわけ物理等の基礎的な諸学問において数理科学は絶対必要な科目のはずであり、そうした科目を講義課目として、あるいは、演習科目として設定しないでいいのかという問題がある。これは法人と大学の現在の執行部全体に問いかけられている問題であろう。また、これは、研究院の組織に対しても問いかけられていることである。

 教員組織としての研究院には、数理科学等の教員が全員所属しているのであり、その研究院から、各専攻科や各コースに教員を派遣するというシステムのはずであり、その見地からすれば、数理科学等の教員をしかるべき大学院の専攻の諸科目に派遣するのが筋である。現在の経営と大学・研究院の責任者たちが、その調整を行ったという話を聞かない。

 研究院に所属していて大学院に派遣されないのは、変則であり、適切な科目(しかも当然に必要な数理科学の科目)を新しい大学院の科目に設定することこそ、学問的な必要性からしても総合的な発展を目指すやり方からしても、また「生首を切らない」(あの数年前の激動の「改革」期に語られた言葉)温和な改革の手法としても、基本的な筋道のはずである。

 いったい、研究院はどうなったのか?

 国際総合科学における理科系専攻(修士・博士)は、数学の科目は必要ないのか?

 一昨日だったか、小柴昌俊氏の刺激的で面白いインタビュー番組をNHK・BS2で見たが、物理研究において数理科学は非常に重要だというのははっきりしめされていたが、それはある意味では初歩的な知識ではないのか?その数理科学の科目が大学院になくていいのか?不思議だ。貴重な人材を大学院が活用しないなどとは。

理事長 宝田良一殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年8月6日
横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑三千輝 
                          

任期更新手続きに関する団体交渉の要求

 以下のような諸理由・諸要求により、「3年任期」の対象とされる教員の今回の更新手続きを停止し、改めて「3年任期」の教員に対し、「5年任期と同様の制度」を提案すること、また、任期制度の前提となる教員評価制度を大学の自治の原則に合致する制度として構築すること、そのために教員組合との協議を積み重ねることを要求する。

 当局が示す自己申告書の提出期限が8月24日であり、事態の緊急性に鑑み、8月24日以前に、第一回の当問題での団体交渉の場を設定するように要求する。

―今回の手続きの問題点と要求事項―

 処遇の中でも最も重要だと思われる雇用身分に関して、とりわけ、任期の適用に関して、教員組合になんら原案を提示せず、一方的に経営サイドで決めることは許されない。このまま強行することは、労使対等原則での雇用関係構築に反するものであり、信頼関係に基づく労使関係を構築する姿勢ではなく、不当であり、大学の発展を阻害するものとなる。

 任期制適用に関して、以下の問題点と要求事項に答え、団体交渉を踏まえて、労使の合意に基づいた協定書を作成することを求める。

1.任期開始時期に関する要求

 任期がいつから始まるかは、雇用保障の期間に関係し、とりわけ、助手・助教・准教授の場合、更新回数が限定されていることから、また、分野によっては教授への昇任が教授数との関係で絶対に不可能なことから、重大な問題となる。そうした重要な問題について納得のいく制度を明確に教員側に提示していない。さらに、当局は、雇用契約書が存在しないにもかかわらず2007年4月を開始時点としている。何重もの問題点をもつ開始の時点に関して、経営サイドが一方的に決めていることは問題である。

 当局が根拠としている同意書は任期の開始時期を明確に規定していない。しかも、同意書の文面からすれば同意書とは別に法人化後に雇用契約が行われると読みとれる。期間を明確に定めた雇用契約の締結をもって任期が始まると思っていた教員に、不利益措置となるような任期開始(2007年4月)を一方的に法人が定めることは重大な問題をはらむ。同意書に任期不記載の当局責任を認め、任期を明記した個別契約書の締結を持って任期開始とすべきである。

 「教員評価制度」の結果を任期更新の判定に用いるとすると位置付けているにもかかわらず、当局の都合で「教員評価制度」が2年遅れてスタートし、しかも本年度の評価結果は処遇に反映しないとしている。このような当局の怠慢を自ら反省せず、「教員評価制度」の結果を待つことなく、任期更新の審査を別途行うことは重大な違反と言える。

 任期制度と評価制度の相互関係から当然の帰結として、処遇に反映される「教員評価制度」が実施されると同時に実質的な任期開始となるべきであると考えていた教員も多い。

 以上の問題指摘に対して、教員の納得出来る説明を行うことを求めると同時に、同意書を提出した教員に対して即刻雇用契約書の締結を行い、それをもって任期開始時期を明確にすることを求める。

2.「3年任期」・「5年任期」の同等扱いに関する要求

 当局は法人化前の教員説明会での配布資料(添付資料参照)において、「任期が3年となる者については、任期年数の上限を5年任期のものと同様の扱いとなるようにする。したがって準教授の場合、最長15年まで認める」としている。また、職員任期規程の第2条の別表1にも、教員説明会の資料にあると同様、「任期が3年となる者については、任期年数の上限を5年年期の者と同様の扱いとなるようにする。したがって、助教の倍は最長10年まで、准教授の場合は最長15年まで認める」としている。

 こうしたことから、該当する教員は、5年任期の教員と同様に運用されるものと考えていた。この「同様の扱い」を反映させた具体的運用方法を示すことを求める。組合に提示された「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式を見ると、「任期更新回数」が明記されることになっているが、この運用を実質的に否定するような「任期更新回数」の明記を許すことはできない。「任期更新回数」の項の削除を求める。

3.「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式によれば、労使協議の場に持ち出すことなく、任期に関して重大な不利益変更を行っている。すなわち、「任期は年度単位とし、年度途中採用者は採用年度を任期の初年度とする」ということを追加挿入している。対外的に「3年任期」、「5年任期」で募集をかけながら、すべての審査を終えて、いざ採用する段階になると、雇用契約書でそれ以下の任期に削減することを「その他」の条項で示し押し付けるなどというのは、公序良俗に反する。この事項を撤回すべきである。

4.今回、突如「3年任期」該当者であることを知って、不当だと異議を申し立てる教員が、すでに教員組合にも直接訴えてきている。こうした個別の教員の異議申し立てに対して、謙虚・慎重・誠実に対応せよ。任期制に同意したのは、当局が法人化後の任期更新について「普通にやっていれば再任する」システムにすると説明していたからである。制度への同意の条件となった約束(副理事長の教員説明会文書参照)の具体化・制度化が見られないこともあり、「そのようなシステムが作られていないので任期制への同意は撤回する」との教員の意思も、合理的な態度である。

 この二年間の経験を総合的に踏まえて、任期制への同意を撤回するとの教員の意思表明を認めよ。教員によって理解と態度が異なるのは、まさに、当初の同意書調達を踏まえて、当局が各教員に明確な契約の提示をしなかったことが、そもそもの原因だからである。

―本質的な問題の指摘と要求―

 上述と重なる部分もあるが、以下、時間をかけてつめていくべき本質的な問題に関わる指摘と要求を提示しておきたい。

1.本来の教員評価制度が未確立の段階で、経営側の一方的な審査制度を適用することは、大学自治破壊である。教員評価制度が出来上がっていない段階で、法人当局が、任命権を持っている管理職で構成した「人事委員会」において、教員に不利益となるような判定を出すことは、すでに述べたこととあわせ何重にも不合理であり、不法である。

 また、当局がその任命権限にもとづいて組織している現行の教員評価委員会も、一般教員の自由な意思表明によって編成されたものではなく、あくまでも便宜的試行的なものと見るべきであり、これをもって教員の不利益となるような審査を行うとすれば、大学自治の原則から逸脱し、憲法的にも根本的に問題をはらむものである。

 ところが、現行のものとして教員組合に提示された「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」なる書式によれば、「更新の有無」の項目に、「更新する場合があり得る」となっている。この文言は「原則は更新しない」ことであることを明確に示している。このように重大極まりない決定を、経営審議会は承認したのか。この文言を撤回せよ。そして、従来繰り返し明言してきたとおり、すくなくとも「普通にやっていれば更新される」、「普通にやっていれば再任する」と明文で記載せよ。
 同時に、その項目において、「任期更新回数」が明記されることになっている。その更新回数はいかなる原則で明記されるのか。労働契約通知書の段階で一方的に雇用者側に示されるのは不当である。教員組合の基本要求からすれば、何回かの更新後は、「定年までの期限の定めなき雇用」に移行すべきであり、その意味でのテニュアを制度化すべきである。したがって、この観点からも「任期更新回数」の項目を削除せよ。

2.このことと関連し、「普通にやっていれば再任」と説明してきたことと、今回の「雇用契約書 兼 労働条件通知書 平成19年 年 月」における原則非更新の規定とは身分保障の上で根本的に重大な不利益変更である。同意書を取り付けるまでの説明と今回の更新時の契約書の文言との齟齬は、当局に対する不信感を決定的なものとする。これにより、教員が、同意書を提出した時点での態度と今回の更新手続きにおける態度とを変更することは合理的な根拠を持つことになる。そのことを認めよ。

3.経営側の一方的で恣意的な審査を許容する文言は、今回示された「再任基準」の文言からも明らかである。その基準は、きわめて主観的なものであり、曖昧なものである。なんら客観的な基準がない。その判定を行うとされる人事委員会のあり方とも関連して、この再任基準は、いかようにでも適用できる危険性をはらむ。再任基準を提示するに際して、客観的基準を明記せよ。さらにその基準を判断適用するため、大学自治に基づく審査体制を構築することが、公正妥当な本来の任期更新手続きの前提として必要である。ピアレヴューの原則にもとづく審査体制を早急に構築せよ。また、公正で透明な異議申し立て制度を構築せよ。

4.この間の団体交渉の記録確定においても確認したように、処遇に反映させる教員評価制度に関しては教員組合との交渉事項であり、それはいまだ確立していない。他方、今回のように杓子定規に3年任期を適用するとすれば、まさに適用された准教授以下の教員は何年か後には更新回数制限で失職という重大な身分変更を受けることになる。

 労使協定に基づく教員評価制度の存在しない現在の任期は、その意味で、本来の任期(制限された更新回数に含まれる任期)ではないことを確認せよ。また、法人化後に採用の教員に関しても、早急に定年までの身分保障を確立していく制度(移行条件、その審査基準、審査体制など)を構築せよ。

5.大学の教育研究の発展のためには、安定的な強力な教授陣が必要であり、そのための雇用の安定が必要である。法人化後は任期制を掲げて公募しているとしても、採用された教員の定年までの任期の定めなき雇用保障があってこそ、教育研究に専心できる。将来が保障されない不安定な任期制度では、定年までの雇用保障のある安定した大学を目指して多くの教員が去っていくのは必然となる。大学の教育研究体制の発展の見地から、本来のテニュア制度の構築を行うべきである。その方針に関して、経営サイドの責任ある表明を文書で求める。

以上

--------大学院手当て問題での抗議と要求--------- 

理事長 宝田良一殿
副理事長 松浦敬紀殿

2007年8月6日
教員組合執行委員長
永岑三千輝

大学院手当て問題に関する抗議と要求

 この間、数理科学科の教員等に対する大学院手当ての突然の廃止が問題になっています。手当ては、当然にも、教員組合との協議事項でありますが、この7月の唐突な削減問題に関して、組合には何の通知も連絡もありませんでした。この点、第一に抗議します。しかるべき釈明を求めます。

 第二に、法人化以前は,研究科委員会のメンバーであるかどうかで支給されました。海外出張期間でも、研究科委員会のメンバーとして出張期間中における教育研究のための仕事をしているものとして支給されました。大学院での教育だけでなく,運営,研究業務に従事している人には支給する,という原則からです。要するに,研究科委員会のメンバーには支給してきたのが原則です。

 この制度を変えたのかどうか、変えたとすれば,何の交渉もなく,行ったのは不当であります。変えていないとすれば,当然,・・・先生と数理科学の教員にも支給すべきです。

 以上、教員と教員組合を無視し、唐突な変更を執り行っている法人に対して、厳重に抗議し、説明と協議を行うことを求めます。

以上

2007年8月 1日

横浜市立大、任期制 明確な契約書なしに、一方的に「任期更新」手続きに入る

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月31日)

7月31日 この間、任期制同意書を出した教員のうち、当局が3年任期とみなし、しかも、当局がその任期の開始を任期制度への同意書と同時とする見地から、一定数の教員を選び出し、再任の意思確認の書式、再任のための業績等の記載書式が送りつけられた。

しかしこれには、任期制に同意することで当局に協力する姿勢を示そうとした教員のなかにも、強い反発、怒り、不安が巻き起こっている。「任期制に同意することで協力の姿勢を示したのに、任期制不同意の教員に対しては行われない再任確認・再任審査を行い、不利益措置を行うなら、到底、法の基本原則、法の前の平等の見地からしても許容できない」、

あるいは、「任期制度には同意したが、それに基づく雇用契約はまだ結んでいない、その点では他の身分承継教員と同じ法的状態にある」、

あるいは、「任期制についてです。人事から届いた書類を添付いたしました。この書類を見ると何年かごにはクビになるのかととても恐ろしく感じて参りました。・・・任期制等については,契約書のような書面でのやりとりは一切やっておりませんし,ハンコすら押す手続きはありませんでした(調べてもらえればすぐ分かると思いますが...)このことは事実です。やはり,以前から在職している先生方が契約に判を押さないのと同じように,任期制は契約が成立して始めてなすものだと思います。ただHPでの案内には,任期制のことはのっておりましたが...。このように,契約が成立していない事実で更新というのが納得できない・・・」といった声が、教員組合に続々と届けられている。

教員組合としては、顧問弁護士とも相談し、2日の拡大執行委員会で議論して、しかるべきスタンスを組合内外に知らせるつもりである。各人に対して、いかなる任期なのかを明確に示さないで、その明確な契約書なしに、一方的に「任期更新」手続きに入ることができるかどうかなど、法律問題をしっかり検討して行きたい。

身分・雇用継続に関わることは、少しばかりの大学院手当てなどとは決定的に違う重みを持つ処遇条件であり、軽々しい処理は許されない。その重みをどの程度法人当局が認識しているかも、今後の折衝、団体交渉で明らかになろう。


2007年7月13日

横浜市立大学、教員有志の質問状に対する学長回答 「教授会で人事を審議しないのは学校教育法の規定からして合法」

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月12日)
 ∟●学長回答(2007年7月11日)

7月12日 6月27日提出の質問状への学長の回答(7月11日付)が、今朝、ボックスに入っていた。予想よりも速やかな回答時期に関しては、喜びたい。しかし、実質的内容はまったくないに等しい。

 教授会で人事を審議しないのは、学校教育法の規定からして、合法だという。
 それでは、かつての学則や教授会規定はなんだったのか? 大学自治の基本に、人事があるというのは、憲法のスタンダードな規範的理解である。(芦部『憲法』
 学校教育法に「人事」がないからといって、教授会・大学(評議会)に人事の自治的決定権がなくていいというのか?その憲法的保障は無視していいのか?

 「オンリーワン」の本学は別として、日本全国、そして今回確認したドイツでも、教授会が人事案件の審議において決定的に重要な役割を担っている(責任と権限)。それこそが大学自治において、学問の自由において決定的な意味を持つからである。そうした根本問題には何も答えようとしない。今回の学長回答が適正なものであれば、日本全国のほとんどの大学は、必要もない審議を教授会でやっていることになる。全国の教授会・大学(評議会)を愚弄するものではないか?

 言葉だけは、「大学の自治に配慮する」としている。それ子をわれわれ教員有志も、教員組合も求めている。
 回答は、「公平性・透明性・客観性を保つため学長の下に人事委員会を置き審議している」という。
 しかし、まさに、その人事委員会の審議が、透明でなく、客観的でなく(客観的説明責任を果たして折らず、その客観的説明のための各種資料が公開されていない)ということ,その疑念について具体的にいろいろと問題点を指摘し,質問している。
 かつてなら教授会で公開されていた資料さえ、まったく出されていないのではないか、作成されてさえいないのではないか、審査の手順が大学の自治の原則に反している、教授会(少なくとも代議員会)の意向をたずねることすらしていないではないか、といった点が、この間の教員有志や教育組合の質問の要点である。

 審査の公正性というが、教育研究審議会のメンバーはどのようにして選ばれたのか? 誰が選んだのか?
 そのメンバーに関して、どこに自治的な選出の手順、選出規則、その他があったのか?

 質問の要点をそらし、制度の表面的な文言だけを並べているに過ぎない、と感じる。
 多くの教員は、とりわけ、若手教員は、今回の回答に納得するだろうか?明確な説明なしに、4月昇任を拒否されている教員たちは、この回答をどうみるか?
 諦観か?

 10年以上にわたる旧学部での昇任審査を見ながら、業績をつんできて、突然、理科系基準の画一的適用で厳しくなるのは不当である。(文科系、特に文学系で博士号を持たないのは今なお圧倒的多数だが、理科系は逆に博士郷を持たない教員のほうが例外であろう、専攻による違いはどのように判定されたのか?)
 その点は、今回の回答でも「経過措置」をとることに関連して言及がある。不昇任の場合、この「経過措置」はどのように判断基準に組み込まれたのか?

 次の質問状を考えていかなければならないだろう。


2007年7月 6日

横浜市立大学教員有志、学長宛公開質問状

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月3日)

質 問 状

ストロナク横浜市立大学学長殿

平成19年6月27日
横浜市立大学教員有志
一楽重雄 吉岡直人
永岑三千輝
    

 平成18年11月10日に施行された教員昇任規程、及び教員昇任内規についてお尋ねします。

 教員の昇任の規程は、大学にとって重要事項であると思います。この規程の改正は学校教育法59条により教授会審議が必要であったのではないでしょうか。当初規程が制定された際には、コース長等が案を作成したと聞いていますし、教授会代議員会においても報告がなされました。この改訂については、そのような手続きもとられず直接人事委員会で審議され、教授会代議員会への報告もなされていません。

 4月に発令された昇任人事と照らし合わせると、大学の管理職人事を円滑に行うために特定の人物を昇任させることを意図してこの改訂がされたのではないかという疑惑が生じます。もし、そのようなことがあったとすれば、大学の根本を揺るがす重大な問題です。仮に昇任審査をいくら公平に行ったとしても、審査基準自体を変えてしまったのでは、人事の公平性が保たれるわけがありません。

 私たちは、4月の昇任人事において以前の規程では昇任の資格のなかった人が昇任を発令され、十分な資格を持った人が昇任されなかったという事実があったのではないかとの疑念を持っています。このようなことがあったとすれば、この規程の改訂が今回昇任されなかった人については重大な不利益を生じさせたことになったと思われます。

 このような改訂が、教員全体に一言も説明されないまま、いつのまにか実施されたことは大学運営の基本に関わる重大な問題です。

 現在、教員評価制度が実施されようとしていますが、評価の最重要事項のひとつである昇任の問題がこのように不透明で公平性を疑われるようなことでは、とても教員評価などができる状態ではないのではないでしょうか。

 人事の透明性と公平性を確保することを改めて要求すると同時に、以下の質問にお答えくださるよう求めます。文書による速やかな回答をお願い致します。

1.これらの規程・内規と以前の規程・内規との違いをお知らせください。
2.それぞれの改訂の理由をお知らせください。
3.教授会代議員会で審議しないことは、学校教育法59条に違反していると思います。この点について、学長の見解をお知らせください。
4.教授会代議員会で報告すらされなかったのはなぜなのか説明してください。
5.「経過措置」なるものが,規程制定後一年近く経過してから設けられたのは不自然です。このことの理由を説明してください。
以上

参考:学校教育法
第五十九条  大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。
○2  教授会の組織には、准教授その他の職員を加えることができる。


2007年6月19日

横浜市立大教員組合、今年度の教員評価に対する組合の見解

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2007.06.18)

今年度の教員評価に対する組合の見解

 今年度、教員評価を実施するとして、5月1日学長からの文書が出されましたが、組合は多くの問題点を指摘し学長宛てに複数回質問状を出しました。しかし、毎回、不誠実な回答しか得られなかったことから、学長に、私たちの質問に誠実に答えようとする姿勢がないことが明白となりました。
 昨年度の当局が言っている「試行」は、試行と言うには余りにもお粗末なものでした。即ち、期間は半年間にすぎず、参加者もごく僅かで、結果の評価もどのようにして行ったか、どのような反省点があり、どのような改善を行ったかが説明されないものでした。従って、今年度の教員評価が実質的な試行に相当すると考えるのが自然です。
 今年度を実施と言うには余りにもお粗末なことは、SDシート記入開始時期が1ヶ月近く遅れたこと、また、その時点で、組織の目標を記入していない評価者が多くいたこと、システムに多くの不備があったこと、評価者のうち多くの者が自身のSDシートへの記入登録が遅れ期限を超えていたこと、また、未だに記入登録を行っていない評価者もいることなどから明らかであり、今年度がまさに試行として位置付けるべきものと考えます。
 教員組合としての方針を示して欲しいという組合員の意見が寄せられていますが、教員組合は「平成19年度の評価結果を平成20年度に反映させることはない。また、5年あるいは3年単位の評価として処遇に反映させることもない。」および「評価制度が教員の理解が得られるまで処遇へ反映させることはしない。」ということを松浦副理事長と人事課課長に明言させています。
 このことから、今年度は実質的には試行に相当するのでそれほど気にすることはないので参加するという組合員の立場、種々の教員評価制度の問題点を洗い出し将来教員に不利益とならない評価制度にするために参加するという組合員の立場、教員評価制度自体に根本的問題があり応じることはできないという組合員の立場、いずれも理解し尊重したいと思います。教員組合は、いずれの立場をとる組合員にも、その権利を擁護すべく努めます。
 教員組合として、現時点ではこのような見解を提示しますが、今後も継続して、教員評価制度における諸問題、学長の対応と発言に関する問題等については厳しく追及していく方針であることには変わりはありません。

以上

教員組合に皆様の声をお寄せください

発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

2007年6月 6日

横浜市立大学、不可解な人事ルール改訂

YABUKI's China Watch Room
 ∟●横浜市立大学つぶしに抗して2002-2006
  ∟●カメリア通信、第49号

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第49号
2007年6月5日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No. 49, by the Committee for Concerned YCU Scholars

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不可解な人事ルール改訂

国際総合科学部
一 楽 重 雄

人事の透明性が謳われた大学改革であった.その特徴のひとつは,権力の集中にあった.
学校教育法にも違反して教授会から人事権を奪い,学長・理事長が人事権を独占した.
以前にも,この通信で人事の透明性が増すどころか専門の違う人による昇任審査など問題が多いことを指摘してきた.
学長・理事長に権限が集中していても,実際には学長の諮問機関である人事委員会を通して行うのであるから,そんなにおかしなことは起きないと思う人も多いと思う.私も,ある程度そう思っていた.
実際には違った.人事委員会委員の任命権も学長・理事長にあるから,イエスマンの集まりとなってしまうようである.
4月に発令された教授への昇任人事のうち,資格に疑問があるケースがあったので,いったい,ルールはどうなっているのか友人と調べてみた.とんでもないことが起きていた.
この大学の現状に悲しさを感じるよりあまりのことに笑ってしまうのは私だけではないだろう.
以下は,友人がまとめてくれたレポートである.……


2007年6月 5日

横浜市立大、昇任人事問題 大学のシステムとその運用は憲法違反

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(6月4日)

6月4日 教員評価制度問題で多忙を極めたため、先延ばしになっていた重大問題、すなわち、昇任人事に関する対当局交渉を開始した。人事は、給与や評価と並んで、大学自治にとって決定的に重要な問題である。

本学(本法人)においては、昇任規程なども、教授会や評議会で審議決定するのではなく、「上から」任命された管理職ばかりで決めている(したがって、そこには、行政優位の規定がいくつもあり、全国的に比較してみれば、その行政優位の規程は一目瞭然となろう)。本学のシステムとその運用は、徹頭徹尾、大学自治の憲法原則とは相容れないというべきだろう。

------(芦部『憲法』第3版より)------

「大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自治の二つである。ほかに、近時、予算管理の自治(財政自治権)をも自治の内容として重視する説が有力である。
 (1)人事の自治  学長・教授その他の研究者の人事は、大学の自主的判断に基づいてなされなければならない。

以下略・・・・・・・・・・・・・・・」

------
 この憲法学の標準テキスト(最近4版が出た)が示す基準に照らすとき、本学が、憲法違反状態にあることは、誰が見ても明らかであろう。
 法令順守と法人・大学当局は看板を掲げる。法令の精神を倫理的にも追求するという。
 わが国の最高法規である憲法に違反するような人事制度を採用していて、はたして、法令順守といえるのか?
 どこに自治があるか?
 理事長、副理事長(最高経営責任者)、学長のすべてが「上から」「外から」の任命であることは明確である。どこに、大学の自主的判断があるか?
 「学生管理の自治」が、憲法的要請であるが、学長以下の管理職がすべて任命制の教育研究審議会で、TOEFL500点基準を設定し、教授会審議を経ていないで、仮進級などの措置をとっている。このどこに大学の自治があるか? 
 まさに、そのこと(自治の欠如、そこから来る不透明性)を明らかにするのが、この間の人事問題、とくに、今回の昇任人事をめぐる不透明さである。
 任期制評価問題WGの議論、組合執行部での議論を重ね、下記のような質問状・要求書を本日、当局に提出した。この問題は、つぎの団体交渉マターとなるべきものであり、その準備書面、とでも言うべきものである。
 昇任に当たって、任期制同意を条件とするなどというのは、すくなくとも、公務員時代からの身分継承の法理からしても、不当労働行為である。
 新任人事のように、さしあたり、外部からの採用時においては、法人が掲げている任期制に同意せざるを得ないとしても、その間にしかるべき業績を上げて、安定したテニュアの地位を得るのが、全教員の希望であろう。またそれが、大学の安定的発展の基盤となろう。
 任期制同意への事実上の強制に苦しめられている教員、任期制に同意して新規採用されたが将来の安定が見えてこない教員、公務員身分の継承にもかかわらず「任期制」に同意して不安・不安定な状態におかれている教員、これらすべての人のために、下記のような当局への質問状は意味があるであろうし、透明性のある制度、安心して働ける制度を構築することが、今後の団体交渉の課題であろう。

昇任人事に関する質問書
2007年6月4日

公立大学法人横浜市立大学
理事長 宝田 良一 殿

副理事長 松浦 敬紀 殿
学長 ブルース・ストロナク 殿

横浜市立大学教員組合
執行委員長 永岑 三千輝

2007年4月の昇任人事に関する質問書

 前年度、各コースの審議を経て2007年4月に昇任させるにふさわしいと判断された教員を、各コース長を通じ、昇任適格者として人事委員会に対して発議したが、4月以降に教員組合が調査したところ、各コース・人事委員会の発議の対象となった教員のうち数名が、「経営上の判断」から4月には昇任できないとされたことが明らかになった。

 教員の昇任は、対象となる教員の研究・教育業績の内容を理解し、それを公正に判断できる教員組織がこれまでおこなってきたが、このたび数名の昇任が発令されなかったことは、教員が営々と積み重ねてきた研究教育業績に対して、それを否定するばかりでなく、「経営上の」理由を大義名分のごとく掲げ、研究教育業績審査をも意味のないものに貶める、忌々しき出来事であると考える。

 この件ついて当局に対して以下の質問を提出する。各事項について、昇任の判定・判断に関与した当局側のそれぞれ該当する各責任者に対して、誠意ある文書での回答を、下記6月12日の期日までに求める。

― 記 ―

1.サイボウズに掲載された「第11回人事委員会議事録」(2007年2月9日開催)には、国際総合科学系部会から国際総合科学系の「昇任候補者の部会審査結果」が審議事項として発議され、「藤野国際総合科学部長より[国際総合科学部昇任]推薦者の内容が説明され、質疑の後、昇任候補者について承認した。なお、任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見が出された。」とある。「昇任候補者について」の何を「承認」したのか。「承認」された内容を詳らかにせよ。

2.さらに、この「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見」は、近視眼的な経営的視点による、学問業績への冒?的かつ不当な介入である。このことにより被評価者の評価が低く位置づけられ昇任自体がおこなわれないようなことがあれば、それは学問・教育・研究を真摯におこなう者への侮蔑的発言である。議事録に記載された経緯を問うとともに、この発言者および座長・議事録作成責任者にその謝罪を要求する。

3.同じくサイボウズに掲載された「第12回経営会議報告」(2007年3月8日開催)には、上記の第11回人事委員会での決定事項は、その後、この第12回経営会議の議事として取り上げられ、この事項について「2月9日(金)、2月23日(金)に行われた第11回及び第12回人事委員会結果について、報告」されたと記されている。第12回経営会議では、第11回人事委員会の決定事項について報告のみがおこなわれたのか、あるいは審議もされたのか、明らかにせよ。

4.さらに、「第11回人事委員会議事録」に記された「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でないという意見」は、この第12回経営会議ではどのように取り扱われたのか、明らかにせよ。また任期制に合意することが、経営会議において昇任の条件とされたのか否か、回答せよ。

5.昨年7月の昇任人事においては、昇任対象者に事前に労働契約書(含任期制合意確認)を提出させ、提出した者のみを昇任させ、非提出者には今年3月に至るまで昇任発令が出されないという忌々しいことがおこなわれた経緯があるが、今回は、事前に労働契約書の提出を求めることがなかったのはなぜか、説明せよ。

6.昨年7月人事における昇任対象者と異なり、今回の候補者に対しては、任期制への同意確認がおこなわれないまま、昇任に関しての順位付けがなされたのか否か、回答せよ。また前回とは異なり、同意確認もすることなく、昇任候補者間で差別的扱いをした明確な理由を示せ。

7.教員組合の調査により、数名の教員の昇任を発令しない根拠は「経営上の判断」であることが明らかになった。この「経営上の判断」はいかなる会議でなされたものか、明らかにせよ。

8.数名の教員の昇任を発令しない根拠とされている「経営上の判断」とはいかなることか。その裏付けとなる論拠を示した上で、「経営上の判断」に含まれる事項を列挙し、具体的かつ明確に説明せよ。

9.この「経営上の判断」が、研究・教育業績によって判断されるべき教員の昇任の事柄と具体的にどのように結びつくのか、説明せよ。

10.人事委員会が発議した際に、各コースが昇任適格者と判断して発議された教員は、文系・理系の別にその研究・教育業績が点数化され、順位付けがおこなわれたとされるが、教員の研究・教育業績を点数化するにあたり、それを学術的・教育的に客観的に判断できる資格・能力を持つどのような審査者が参加し、その点数化がどのようなプロセスに従ってなされたのか、また具体的な配点項目と配点基準は何か、明らかにせよ。

11.人事の透明性を謳う新法人当局からすれば、審査基準・配点基準の公開のみならず審査結果の公開は当然のことであり、もし仮にそれを公開しないのであれば、透明な人事という原則を踏みにじるものである。従来法人化以前の教授会においては候補者の専門を判断できる教員によって構成される人事選考委員会が作成した詳細な報告書が教授会構成員全員に配布され、昇任についての判断理由の詳細な説明がなされていた。本年度4月昇任の人事に関しても同様に、最終決定の段階において、候補者が教授等に昇任するのに適任あるいは不適任であるとする人事委員会あるいは経営会議の正式かつ詳細な文書が存在しなければならないはずである。その文書の有無を問う。

ここでいう文書とはサイボウズ上に出された簡単な報告・文書を意味しない。最終決定の根拠となる、法人化以前に教授会報告で作成されていた審査報告書と同等ないしはそれ以上の、詳細な審査報告書の存在の有無を問うているのであり、もし存在するのであれば、その詳細な審査報告書を全教員・教授会全構成員に公開せよ。

上述したようにサイボウズ上に、きわめて簡単な審査報告はあり、各候補者と昇任者・非昇任者との同定は可能であることからしても、個人情報保護等による文書開示拒絶はできない。法人化前の教授会における人事選考以上の透明性・公平性を謳う新法人であるなら、少なくとも全教員・教授会全構成員に詳細な審査報告書を示すことがなくてはならない。それなくしては、公平・透明・厳密な審査がおこなわれなかったことの証左に他ならない、ということを申し添えておく。

12.様々な学問分野・教育科目が存在する各系において、その個別性・多様性を否定することにも繋がる恐れが明らかに存在する点数化・順位付けのシステムが、教員の昇任の審査において適切であると判断した論拠は何か、明らかにせよ。

13.文系・理系別に順位付けされた昇任適格者を、さらにどのように順位付けして昇任人事がおこなわれたのか。その際、きわめて多様な専門分野にわたる候補者を、客観的に序列化できる能力を持つ審査者が最終段階で選考をおこなったというなら、そのことは審査者の業績・能力から客観的に判断できねばならないはずである。それを明確に示せ。

14.教授等の条件を、文部科学省は大学設置基準第14条等で明確に規定している。それ以外の基準を設け昇任人事をおこなうことは、法令遵守の精神に反する行為をあえておこなうことになる。人事の透明性・公平性を踏みにじり、人事に恣意性・非公平性を持ち込むことに他ならない。そのようなことが起こらぬように、大学設置基準は厳格に規定している。「任期制に同意していない教員が昇任することは適当でない」という意見は、まさしく法令遵守の精神に悖る。いやしくも公立大学法人に身を置くものであれば、まず、日本国の法令を遵守せねばならない。それが一大学の一時期の「経営上の判断」などより上位に位置するのは当然のことである。発言者に法令遵守の精神が欠如していることをいかに考えるか、また、法令を遵守せずに人事がおこなわれたことをいかに考えるか、回答せよ。

以上すべての質問事項は、いずれも昇任審査をおこなうにあたり、審査権限をもつ部局において明確に確認されているべき事柄である。これらの事柄が明確かつ迅速に明らかにできないというのであれば、本年度4月昇任の昇任審査が必要な手続きに従っておこなわれたものでもなく、また客観的かつ公正におこなわれたものでもないと疑わざるを得ない。

6月12日を期限として遅滞なく、各項目(計14項目)について、該当する各責任者からの文書による回答を求める。

以 上

2007年5月21日

横浜市立大学教員組合、学長宛「抗議文」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2007.5.18)

横浜市立大学学長
ブルース・ストロナク 様

教員組合執行委員長
永岑三千輝
2007年5月18日

抗議文

 今回のSDシート記入にあたって、当局のシステムにおいて前提とされている学長そのほかの管理職の組織目標の提示さえ、まだ一部のコースでは整っていないという状況です。いかに、当局が準備不足で、一般教員に対しては高圧的な態度を示しているか、その不当さは歴然としています。
 トップとして率先垂範すべき学長は、教員組合の要求にもかかわらず、5月18日朝の時点でも、まだ組織目標を英文で公示しています。わが大学は日本の大学であり、アメリカ占領軍下の大学でも、アメリカ植民地の大学でもありません。日本の大学における公文書は、日本語で書かれなければなりません。その最低限のルールすら守らないことは、倫理までを含めた法令順守の精神を掲げる大学においてはとりわけ、許されることではありません。学長の態度は、傲慢であり、学長職にあるまじき態度だと考えます。日本国憲法の保障する大学の自治が破壊されている現実を端的に物語るものといえましょう。
 大学教員が自らの教育・研究・社会貢献・学内業務に関して目標を立て、その目標を公開することによって学内の人々に相互に情報を提供しあうことは否定すべきことではなく、大学の発展の一契機ともなることだと思われます。
 しかし、学長メッセージに対する前回の抗議でも申しましたが、模範はトップに立つものが率先して示すべきです。SDシート記入に当たって、一般教員が疑念・不安等を抱くことなく、目標を立て計画を実行できるようにするためには、学長みずから目標の立て方や実行に関して範を示し、ついで管理職全員がSDシート記入をし、一般教員の信頼を得るようにすることが最低限の条件でしょう。
 本日朝の時点では,学長のSDシートは、公開どころか、登録さえされていません。みずから、範を示さないで、これまでの各方面からの質問・要求にも関わらず、記入期限に関する訂正も行わず、一般教員を不安にさらすことに怒りを覚えます。
 あらめて、5月11日付の、再質問・要求書に誠意をもって回答することを要求するとともに、上述の諸点に関し厳しく抗議します。


2007年5月16日

横浜市立大教員組合、学長メッセージへの抗議

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、5月15日

5月15日 組合員の各方面から、「脅かし」の文書について学長に抗議すべきだ、との声が寄せられた。組合としては、5月11日の昼に提出した第二回質問状への回答を待っている段階での「学長メッセージ」であり、その配布の仕方・時間に対しては憤りを持っているが、今日まで、学長からの回答を待っていた。しかし、学長からの回答はなく、したがって、下記のような抗議文を学長室に提出した。

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公立大学法人横浜市立大学学長
ブルース・ストロナク様

横浜市立大学教員組合執行委員長
永岑三千輝
2007年5月15日

学長メッセージへの抗議

 学長職にある公文書は、日本では、日本語でなされるべきであります。したがって、学長の目標提示文書(教員評価システムに記載された文書)等も、はじめから公文書として日本語でなければなりません。

 公文書としての要件さえ満たさない文書類を掲げながら、SDシートへの記入期限に関しては、脅かしとも思われる文言で全教員に記入を求めています。しかも、英語原文と日本語文書(公文書)とには齟齬があり、教員の神経を逆なでしています。

 こうした高圧的な不当な態度は、大学にあっては決して許されるものではありえません。

 公文書としての要件を整えてから、期限を再設定すべきであります。

 5月18日の期限に関しては、公文書としての要件を欠如する学長文書からして、無効といわなければなりません。また、公文書であれば、パソコンを使用しない教員を含めた全教員への周知徹底が必須の前提要件です。この要件も満たしていません。

 パソコンで情報にアクセスできる教員だけに、特定の文書(評価にかかわる利益不利益に関わる文書)を送りつけることは、教員集団への差別措置であり、これまた断じて容認できません。今回のような学長文書は、確実に全教員に渡るよう、また、十分な時間的余裕をもって配布すべきものです。

 教員に求める公文書として必要な根本的前提条件を満たしていないにもかかわらず、SDシートに記入しないことをもって「最低の評価となる可能性がある」などというのは、到底許されることではありません。

 すでに提出している質問状に対する誠実なご回答もないままの、学長メッセージ(5月9日付となっていますが、われわれには5月11日夜21時半に配布されたことも不可解です)は、私ども教員組合に対しても失礼千万と考えています。

 教員組合の第二回質問状・要求書に速やかにご回答いただき、公開されることを求めます。

 以上、ここに厳重に抗議します。

添付資料「一次評価者・二次評価者への教員組合委員長の要望書」


2007年5月15日

横浜市立大、教員評価システムSDシート問題

大学改革日誌
 ∟●最新日誌、5月14日
(参考文献)
組合ウィークリー(2007.5.11)
組合ウィークリー(2007.5.10)

5月14日 教員組合が学長に対して第二回目の質問状・要求書を出したその直後に、学長・事務局が相談したのであろうが、11日夜(9時半ごろ)になって、「提出期限をまもれ、提出しなければ悪い評価となることもありうるぞ」との脅かし[1]のような文書をメールで全教員に送っていることを知った。私のところにも届いていた。すでに、そうしたやり方に対する激怒の意見表明が週末に組合に、そして今日になって、各方面から(一例)届けられている。

 われわれ教員組合の態度は、学長に対し自らのリーダーシップ(率先垂範)を求め、昨年の総括、今年度のみずからの目標の提示、自らのシートの提示を求めたのだが、それに対する回答はなされないまま、期限遵守を求める文書を送りつける事務的手法をとることは、学長としての資質に疑念を抱かせるものである。(学長の英語原文とその翻訳との間にも齟齬がある。)

 このやり方をみると、TOEFL500点問題で学長が学生諸君に示している態度が、学生諸君にどのように受け止められているか、そのひそかな怒りが理解できるように思われる。

 教員組合としては、すなわち、組合に結集する組合員の圧倒的多数(投票者総数114名のうち112名から114名)の信任を得ている組合執行部としては、学長が組合の質問・要求に誠実に回答するまでは、組合員の多くはとうていSDシート(システムのシートへ)を安心して書くことができず、したがって、学長の態度によって余儀なくされて、「一次評価者への期限の延期」を申し出ることなろう。(申し出原案・・・・4役会議を経て了承されたので、一次評価者・二次評価者宛てに、また教員にも情報として、発送した。)……


2007年5月 7日

横浜市立大学学生・教職員有志アピール、国民投票法案に反対する

■「意見広告の会」ニュース411より

国民投票法案に反対する ~不公正な改憲手続法案は廃案に!~

横浜市立大学学生・教職員有志アピール

 与党は、国民投票法案の今国会での成立をめざして強引な議事運営を行なっており、4月13日には衆議院本会で法案を可決させ、さらに、参議院で早期の 可決、法案成立を狙っています。
 わたしたちは以下に述べるように、この法案にはいくつもの重大な問題があると考えています。世論調査でも、法案ついて、最低投票率規定が必要と考える 人が8割にのぼっており(朝日新聞社4月14日、15日調査)、法案への危惧の念は広まりつつあります。
 このような法案を、十分な審議も行なわず、強引に与党側が議席数の力で成立させようとすることは許されないと思います。

今、急いで改憲手続き法を作ることが必要か?

 政府・与党は、数年以内の憲法改変をめざしており、国民投票法案がそのためのお膳立てとして考えられていることは明らかです。
 日本社会全体でも、憲法をすぐに変更する必要があると考える人は多くはありません。数多くの異論を無視して、今、急いで強引に、改憲手続法を作る必要 はありません。

法案にはかず多くの問題点

 しかも、与党の法案には数多くの重大な問題があります。このうちの一つでも問題が残るかぎり、法案成立は許されません。

問題点1 最低投票率が定められていない

 法案には、改憲のために必要な最低投票率が定められていません。このことは、ごくわずかの賛成票で改憲が可能となることを意味します。仮に投票率が4 割であれば、有権者の2割の人が賛成票を投じただけで、憲法を変えることができることになります。
 憲法は、基本的人権や平和原則のありかたを左右する重要なものであり、有権者の過半数が賛成の意思を表明していない状況で変更することは許されません。
 最低投票率の定めがないような国民投票法案には決して賛成できません。

問題点2 公務員・教員の発言と行動が禁止される

 法案は、公務員・教員の「地位利用」による運動を禁止しています。このような禁止条項があると、公務員・教員の正当な言論活動や意思表示の権利が圧殺 されてしまい、公務員・教員以外の者にとっても憲法をめぐる開かれた議論の機会が不当に狭められてしまいます。これは、言論の自由、学問の自由等の基本 的人権を侵すものであり、明らかに憲法違反です。
 特に、わたしたちは、大学で働き、あるいは学ぶ者として、また、大学における学問活動に関心を持つ者として、学問の自由を破壊するようなこの法案を容 認することはできません。

問題点3 一括投票の危険性

 法案は、関連のある複数条項について一括投票が可能になっています。複数条項についての一括投票が行なわれてしまうと、ある条項には賛成だが、ある条 項については反対、もしくは判断保留の場合などに、一人一人の意思が正確には反映されなくなってしまいます。

問題点4 おカネのあるところが有利な広告 不公平な広報

 他方で法案は、有料広告については規制を設けておらず、いくらでもテレビなどで有料CMを流せるようになっています。そうなれば、おカネのある側は好 きなだけ大量にCMを流すことができるようになってしまい、他方、資金力のない側はそうではないということになり、きわめて不公平です。
 また、広報を管理する「広報協議会」は、改憲派議員が多数を占める仕組みになっており、不公平な広報が行なわれる危険があります。

問題点5 周知期間が短かすぎる

 法案では、国会発議があってから2か月で国民投票が行なわれ得ることになっています。これはあまりにも短かすぎます。大半の人には、何が問題になって いるのかも浸透しないまま、投票が行なわれるおそれがあります。憲法改正案の各条項について一人一人が是非を議論し、判断できるようにするために、少な くとも1年以上の期間を置くべきです。

国民投票法案は廃案へ! 反対の声をあげましょう

 以上のほかにも、法案には数多くの問題点があります。
 このようにこの法案は、単に欠陥法案というだけではなく、開かれた言論によるひとりひとりの意思決定を妨げ、むりやり議会内多数派の望む改憲を実現し てしまおうとする危険なものです。
 わたしたちは、国民投票法案に反対し、国会には法案を廃案にすることを求めます。
 また、わたしたちは、横浜市立大学内外の学生・教職員・市民に、国民投票法案のこのような問題点を意識し、反対の意思表示をするよう、呼びかけます。

2007年4月27日

 横浜市立大学学生・教職員有志
学生15名
教員12名(石川文也、上杉忍、岡眞人、乙坂智子、金子文夫、倉持和雄、永岑三千輝、本宮一男、中谷祟、中西新太郎、吉岡直人、山根徹也)
職員1
上記アピールを支持します。
2007年4月27日
  学生3名
  大学教員1名(北川善英・横浜国立大学)
  市民3名