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 カテゴリー (公)横浜市立大学

2009年03月31日

横浜市大でまた寄付金の不正処理 別の教員らで1300万円

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/156038.html

 横浜市立大付属市民総合医療センターの杉山貢前病院長(67)が企業などからの奨学寄付金を不適切に処理していた問題で同大は30日、ほかの教員や事務部門も計約1300万円を業者への預け金として処理していたと発表した。私的流用はないが、同大は関与した教職員らを近く処分する。

 同大によると、奨学金は年度末までの使用が課せられている。このため、少なくとも教授3人、准教授3人の計6人と、大学の事務部門が、余った奨学金の返還を免れようと、大半を業者に架空発注する形で会計処理し、実際は事務用品の購入などに使っていた。

 また、杉山前病院長の預け金の総額が約3900万円に上ることも新たに判明。うち約2000万円が既に使われていた。杉山前病院長は私的流用を否定しているが、購入したとされる事務用品などが確認できないことから、同大は返還を求め、告訴も検討している。


[同ニュース]
横浜市大医療センター、「預け金」新たに1270万円発覚

2009年03月30日

自費出版、吉岡直人著『さらば、公立大学法人横浜市立大学-「改革」という名の大学破壊-』

大学改革日誌
 ∟●最新日誌
 ∟●『カメリア通信』第57号

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横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第57号 転送歓迎
2009年3月10日(不定期刊メールマガジン)
Camellia News No.57, by the Committee for Concerned YCU Scholars
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『さらば、公立大学法人横浜市立大学--「改革」という名の大学破壊--』吉岡直人著 発行される!

横浜市立大学
国際総合科学部
一楽重雄

 横浜市立大学は、横浜市という大都市の割には小さい中規模総合大学という形の地味な大学でした。公立大学法人になる前(平成16年以前)までは、外から見ても中にいる人にとっても、「小さな大学だがよい大学」という感じであったと思います。
 それが、2001年くらいから、ひどく高圧的な事務官僚が総務部長として市大に着任して、「学会出張は、出張でなくて職免」とか「教員も出勤簿に判を押せ」だのと、教員を敵視するようになって来ました。その後、中田市長によって「あり方懇談会」が設けられました。その座長は東工大教授で自称社会学者、橋爪大三郎氏でした。そこから大学への「脅し」としか言えないような、乱暴な答申が出されたのでした。
 その後、たまたま車の運転中に聞いたラジオで、彼は「日本では、会議の前に結論が決まっているのですよね」と言っていたのです。これは社会学者としての発言のつもりでしょうが、彼の実感でもあったと思います。彼が座長とは名ばかりであったことを、はからずもラジオで天下に告白していました。
 そして「大学改革の嵐」と続くのですが、吉岡氏の著書は、このあたりから書き始め、大学の改革案、市の改革案が作成されていく過程、そしてついには法人化以後のでたらめな「昇格人事」が最後の引き金となって辞職するまでを書いたものです。この書物は、吉岡氏から見た「大学改革」をいわば手記という形にまとめたものですが、ほぼ、全体にわたって事態の推移を書いているので、市大の改革がどのようなものであったか、大体つかめるのではないかと思います。
 吉岡先生は、いわば「改革」に抗して一緒に戦った仲間ですので、私の名前も随所に出てきます。それでも本書は私にとって新鮮でした。現在の大学の姿は、まったく横暴不遜としか言いようのない一官僚が、市長に気にいられて作った改革案、その基本的な考え方が法人化以後も生きているということがよく分かりました。
 中田市長は、ハレンチな合コンとか、お友達に市の保有する土地を安く貸したりしているとか、スキャンダルというような話がいっぱい言われるようになっています。しかし、一般の人は週刊誌のあまりに下品な見出しを見て「まさか、市長ともあろう人が」と思っているでしょう。私は大学改革のやり方、そこでのウソ、品の無さから見て、中田市長の話に限っては、週刊誌の報道が正しいと直感しています。市大内部の人間としては、「市長の交代までなんとか生き延びるしかないのか」というのが、現在のいつわらざる心境です。
 本書は、市大の方々にとっては、嵐の後に改めて「大学改革」を見直す機会となるでしょう。他大学の方々にとっては、市大改革を「他山の石」として考えて頂くために、一読の価値があると思います。

 なお、本書は自費出版ですので、カンパの意味も込めてご購入をご検討くださるようお願いいたします。
 ご注文は、下記アドレスへメールでお願いします。代金は2000円、送料はこちらで負担します。
 注文先:ichiraku@yokohama-cu.ac.jp
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2009年03月25日

横浜市大、「自治破壊がどのようにして行われたかを知って欲しい」

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験

更新雑記
09/3/12 1年前に横浜市立大学を抗議退職された吉岡直人先生が自費出版された『さらば、公立大学法人横浜市立大学:改革という名の大学破壊』(下田出版 ISBN978-4-902811-82-7)を入手し、早速読んでみた。この本の前半に書かれていることは自分も体験してきたことであるが、5年という月日のなかで忘れていた事件や人達を、その時感じた忌々しさをも含めて思い出させてくれた。また、本書の後半は、私が転出してからの出来事だが、陰鬱な気分にさせられるのに十分なものだった。
 本書を読むかぎり、市大は行政に乗っ取られることによって、とんでもないキメラになってしまったようだ。行政が狙ったはずの効率的管理が実現されているわけでもなく、自由闊達であるはず学者・教育者は後景に退き、上ばかりを向き「権力に阿る人間」が教員の仮面を被って闊歩している行政マンもどきの世界のようだ。廃校もありと脅した市長直轄の「あり方懇」で言われた人事における「公正な選考」とは、たとえ業績がなくとも権力に気にいられさえすれば、教授になれたり、学長や副学長になれたりすることだったらしい。教授会における人事の方がいかに「公正」であることか。
 是非、多くの大学人にこの本を読んでもらいたいと思う。自治破壊がどのようにして行われたかを知って欲しいし、また自治破壊に来るおぞましい世界を知っておいてもらいたいからだ。……

吉岡直人著『さらば、公立大学法人 横浜市立大学―「改革」という名の大学破壊―』下田出版,2009年3月発行,定価2100円
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8Bg%89%AA%92%BC%90l/list.html

2009年03月11日

横浜市大付の前病院長が寄付金不正処理か

http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/090310/kng0903102215006-n1.htm

 横浜市立大学は10日、付属市民総合医療センター(南区浦舟町)の前病院長(67)が、平成14年から18年の病院長在任中に奨学寄付金を不適切に処理していた疑いがあるとして調査を進めていることを明らかにした。……

[同ニュース]
前院長が業者口座に「預け金」3500万…横浜市大医療センター
架空発注で前病院長が最大3500万円プール/横浜市大調査
横浜市大で3500万不正処理か 前病院長が奨学寄付金を

2009年03月03日

新刊紹介、吉岡直人著『さらば、公立大学法人 横浜市立大学-「改革」という名の大学破壊』

学問の自由と大学の自治の危機問題

吉岡直人著『さらば、公立大学法人 横浜市立大学-「改革」という名の大学破壊』 2009年3月発行 定価2100円 ISBN978-4-902811-82-7(2009.2.28)

国立大学は04年に独立行政法人化し、国立大学法人となった。公立大学も地方独立行政法人法で規定された公立大学法人へと移行した。横浜市立大学も05年に法人化された。だが、横浜市立大学に起こった変化は単にそれに留まらなかったのである。東京都立大学とともに、行政権力のあからさまな介入によって、大学内の民主主義は完膚無きまでに破壊し尽くされたのである。大学の自治などというものは全く考慮されることがなかっただけでなく、徹底的に蹂躙された。もちろん大学内部に、これに手を貸し、権力に阿る人間がいたことがこれを可能とせしめたのである。本書はそのことへの告発の書である。
(「まえがき」より抜粋)


2009年01月15日

横浜市立大学、法人専門職員の任期更新問題について

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2008年1月14日)

……

法人専門職員の任期更新問題について

 昨年夏、3年任期の更新時期を迎える専門職の法人固有職員に対して、当局が「あなたの仕事はない」という理由で任期の更新をしない旨を示唆しました。この職員はその後職員組合の支援もあり、当局も正面から強硬姿勢を取ることはしなくなったものの、更新の有無もはっきりしない状態が続き、秋になって「3年ではなく、1年の更新ではどうか」という打診を受けました。ちなみに大学専門職の任期は3年と規定上明確に定められており、この専門職も市大に招聘の打診を受けた際、3年契約での更新が続くと説明を受けていたそうです。「更新する」と聞けば、従来と同じ条件を繰り返すと考えるのが普通です。唖然とする恐ろしい話です。

 固有職員の中でもとくに専門職は教員との類似性が高いため、教員の任期更新への影響を懸念せざるを得ません。教員組合はこの問題について、事実関係を文書で回答することを求める質問書を2回にわたって提出、折衝でも問題として追及しました。

 更新を希望しているにもかかわらず雇い止めにすれば、それは大学事務職員の業界はもちろん世間一般にも広まりますから、本学の教職員への応募者数はますます減り、質も低下してしまいます。雇用の問題に止まらず、本学の将来にとっても重大なマイナスです。

 結局、この職員については、任期の切れる12月に入ってから当局側が契約を更新する姿勢を示し、任期の切れる最終日にようやく当局より3年による契約書の提示があり、更新を果たしました。「教員組合が取り上げてくれたことが大きな力になった」と話してくれました。横浜市から派遣される公務員は別ですが、本学の法人固有職員は3年任期です(ほかに、派遣会社からの派遣社員、嘱託などの事務職員も少なくありません)。まともな大学にするためにも、安心して働ける安定的な雇用条件の確保を教職員間の協力によって実現したいものです。


2009年01月08日

新自由主義と大学教員の任期制、横浜市立大学は全教員任期制を廃止すべきである

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(2008年1月5日)

 横浜市立大学の全教員任期制は,2003年改正労基法第14条を根拠に導入されたものであった。その意味で同大学の任期制は新自由主義原理に基づく「大学改革」の典型事例とみなしてよい。この新自由主義がいま全般的に破綻しつつある中で,大学の教育現場を荒廃させている職員の非正規化(有期雇用,派遣労働の大規模化)を含め,教員の任期制について,その撤廃に向けた全国的な運動として取り組む必要がある。
 現状では,一部の大学労組のみが個別的に対応しているに過ぎない。大学界の単産である全大教,あるいは日本私大教連はそうした運動を正面から掲げて取り組まない現状をどのように認識すべきであろうか。

1月5日 謹賀新年

 グローバル化と新自由主義の結果、働くものの職場の不安定性がこの10年ほどで一挙に拡大した。非正規労働者が3分の一に上るとか。その問題性が明確化するなか、かつての新自由主義の主唱者・先導者の一人・中谷巌氏も、今日の朝日新聞記事によれば、「転向」を表明しているとか。アメリカのオバマ大統領の登場も、この線上にあるだろう。

 グローバル化・新自由主義・「成果主義」の跋扈による雇用の不安定化の波にのって強行されたのが、大学における全員任期制なるものの導入であった。この間、教員組合の必死の努力で不安定化を阻止するための交渉が続けられている。

 しかし、それにもかかわらず、当局の態度は変わらない。根本から問題を見直そうとはしていない。

 現在、社会で問題になっているのは、不安定雇用が3分の1にまで増えた、そのひどさということであるが、本法人では「全員任期制」を基本方針とする態度を変えていないからである。その基本方針の元で、微修正に応じる、というのがこの間の態度であろう。そうでないなら、全員任期制の方針を廃止し、大学教員に関する任期制の法律に基づいた適正な制度(限定的な制度)に変更すべきである。

 任期制による採用(あるいは昇進における差別・・・昇任審査の前に管理職を通して、任期制への同意不同意の状況が確認されるというやり方・・・これまでの実績では不同意者は昇任が先延ばしになった)が行われており、任期制教員が増えれば、大学との結びつきの弱体化が進むであろう。当局が好む統計によれば、本学最大の組織である医学部における任期制教員の圧倒的多さからして、本学の任期制=不安定雇用化は全国最先端、ということになろう。(なぜ、本学では医学部が、また全国的にも医学部が文科系などの学部よりも、「任期制」を受け入れやすいのかは身分保障・生活保障のあり方をみなければならない。)唯一首都大学だけが、同じような「最先端性」を誇示している、ということになろうか。

 任期制への同意不同意などという基準は教育研究の実力・貢献とは関係がない。むしろ、不正常な関係・ゆがんだ状態さえ生み出す[1]。昇進においてはそのようなハードルは廃止して、教育研究の実績(ピアレヴュー=学界等の教育研究上の同僚・学問的同僚による外部評価による実績)に基づく制度に、根本から改めることが可及的速やかに求められるであろう。

 大学経営において、教育研究に従事するものの仕事へのインセンティヴが決定的に重要だと思われるが、その点からみて、この「改革」の中間決算はどうなるのであろうか?

 ともあれ、現在この場にいるものには、その持ち場で大学の再活性化のために、微々たるもの、牛のように遅々たるものであっても、可能な限りで尽力するほかないであろう。

 基礎からChangeを実現していくためには、昨年行われた4年次生へのアンケート結果の集約と速やかな全面的公表が待たれる。

2008年12月24日

もはや政権の末期か、中田宏横浜市長の醜聞

http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/081222/kng0812222337007-n1.htm

よこはま市民オンブズマン、中田宏市長を提訴 公金支出問題

 横浜市が消防団に「活動奨励費」名目で公金を支出したのは地方自治法に違反するとして、横浜市戸塚区の「よこはま市民オンブズマン」代表幹事、間瀬辰男さん(68)が22日、中田宏市長を相手に、副市長ら3人に計約7700万円の返還を命じるよう求める訴えを横浜地裁に起こした。……


[同ニュース]
消防団員活動奨励費賠償求め提訴/よこはま市民オンブズマン
消防団への支出は違法と提訴 オンブズマンが横浜市長に
[関連ニュース]
市長公用車運転手の超過勤務命令簿/市会要求の資料を誤廃棄
無所属クラブが中田市長に公開質問状/横浜市会

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●「中田 宏横浜市長との不倫」顔出し告発 第1弾~第2弾 『週刊現代』

「私は中田宏横浜市長を訴えます」

……

 以前から、中田氏の不倫相手として横浜では有名な存在だった奈々さんの告白は、"市民派"市長の信じがたい「職権濫用」「公私混同」「違法行為」を次々と明らかにした。

 「運転手付きの公用車を何十回もデートに使用した。公用車に私が一人で乗り、中田さんの待つホテルヘ向かったこともある」

 「"市長の家族"と身分を偽って、横浜市の持つ横浜スタジアムのVIP席で何度も野球観戦をした」

 「中田さんはデートの際、ビールを飲み、何度も飲酒運転をしていた。都内で友人を交え4人でワインを3本も空けたあとに、高速道路を時速100㎞以上で飛ばしたこともある」

……


[関連ニュース]
醜聞噴出 横浜中田市長
「市政を私物化」 横浜市議会無所属クラブが中田宏市長に公開質問状
中田横浜市長が定例会見で疑惑を全面否定

横浜市立大学大学院再編、平成21年度より新たな3研究科がスタート

http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=590

 横浜市立大学では、現在の大学院国際総合科学研究科を、「都市社会文化研究科」「生命ナノシステム科学研究科」「国際マネジメント研究科」の3つの研究科へ再編する。

 近年の自然科学の飛躍的な発展や、グローバル化による社会・経済活動の変化は社会制度の変革を促し、新たな学問領域の創設を必要としている。
 横浜市立大学では、より実践的な教育・新たな学問領域の創設、大都市が抱える政策課題への対応、外部資金獲得の競争面から、大学院の再編を平成21年度より実施する。この再編により各分野における次世代を担う人材育成と研究成果や知的財産の社会還元などを通じて、積極的な地域貢献を果たしていく。……


2008年12月02日

横浜市大、留学生進級英語試験の替え玉問題 制度設計が問題ではないか

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(12月1日(2))
(ニュース)横浜市大の留学生2人、進級英語試験で替え玉

 なぜ3月に発生した事件がこの時期になって、ニュースとなったのかわからないが、下記の読売新聞ニュースが巷間、話題となっていた。不正を働くものを適正に処罰するのは当然として、なぜそのようなことが発生するのか、問題の根源に関しても、よく吟味する必要がある。

 そのひとつの原因に、学生の専門分野・将来の進路・希望の有り様を無視した画一的な進級基準の問題性があろう。「PE重視」が、PEの「画一基準の強制」になってしまっている。

 PEの一科目だけのために、2年間も留年し、さらにまだ何年も留年しなければならないとしたら、その経済的負担たるや恐るべきものではなかろうか?あるいは、あきらめるとすれば、これまでとってきたすべての科目が無駄になるとしたら、4年(2年次に2年間留年したものは4年間在籍したことになる)におよぶ全投入はどうなるのか?

 なぜ、中国から日本にやってきた留学生に実用英語資格と称してTOEFL500点(TOEIC600点)等を一律に課す必要があるのか?そのカリキュラム上の必要性・必然性はどこにあるのか?

 制度発足当時の官僚的なやり方が、その後の諸問題の発生にもかかわらず放置されてきたことと関係していることは否定できないであろう。処罰の厳格化で問題を処理しようとしても、根底にある問題性が解決されない場合には、同様のことが再発するであろう。

 制度設計を行ったもの、その制度設計を今日まで頑強に(代議員会等でのたくさんの意見にもかかわらず)堅持してきた責任ある人々・組織に対して、問題は投げかけられているであろう。

 ときあたかも、4年次生に対するアンケート調査の実施中である。4年間の経験から、学生諸君がしっかりとアンケートに経験・その問題性・解決すべき課題・改善の方向性に関しても、意義ある回答を書いてほしいものである。

 また、昨日だったかのニュース(神奈川新聞)では、医学部の「名医」の教授(52歳)の辞職についても、報じられている。「辞職させないように」と求める多くの患者の署名活動もあったことが報じられている。公式には関係ないとされるが、医学部長、副学長の辞職問題と関連しているであろう、とは、これまた巷間の噂である。


2008年10月22日

横浜市立大学教員組合、昇任人事に関する声明

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(10月21日)
 ∟●教員組合週報(2008.10.21)

昇任人事に関する教員組合の声明

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

 現在、本学では昇任人事に関する手続きが進められています。教員組合は、これに関して大きな問題があると考えますので、以下の点を要求して緊急に声明を発します。

任期制への同意を昇任の要件としないこと
 教授、准教授等の資格要件は、大学設置基準(文部科学省令)に基づかなければならない。同基準では、要件は研究業績と教育能力となっている。この点からも、任期制への同意を要件とすることはまったく不当である。付言すれば、コース長などの管理職経験を要件に含めることも不当である。

 期間の定めのない労働者に有期雇用契約への転換を強制することは許されない。任期制に同意しなければ昇進させないとして、有期雇用契約の締結を強制することは不当である。

 任期制は大学のために有害である。任期制は,本学の教職員の帰属意識を強めず、むしろ他の大学への転出願望を育てる。そのために優秀な教職員が本学から去っていく状況が続いている。また、すでに期間の定めのない職を得ている他大学の教職員に対しては、本学への応募を躊躇させる。

 任期制への同意を昇任の要件とすること、そして任期制そのものについて、これまで、教員組合は繰り返し反対の主張を行ってきた。すでに述べてきたが,その問題点・不当性は上記に止まらない。

昇任の人数を制限しないこと
 当局は、法人化に際して教授・助教授の人数枠を廃して、資格要件を満たす教員は人数に制限なく昇任させると説明した。そのうえで、法人化以前からの本学教員に対し、任期制への同意を呼びかけた。昇任に関し人数制限を行うのであれば、任期制に同意した教員に任期制の応諾の撤回を認めること。 

 また、助手、助教、准教授は任期更新の回数に制限がある。その回数に達した教員にとっては,昇任がみとめられなければ自動的に雇い止めとなる。したがって、要件を満たす教員については全員昇任を認めること。昇任を認めないのであれば、更新回数の制限を撤廃せよ。

昇任人事の申告締切を遅らせること
 昇任人事に関する書式が人事課から示されたのは10月中旬であるのに、書類の提出期限がその約10日後である。3種類の書類を整えて自薦または他薦の推薦を行うには,10日間という期間はあまりに短すぎる。

昇任審査を教授会の権限に戻すこと
 研究内容やそれに基づく教育について理解するのは、それらのことがらについて深い知識と豊富な経験を有する者でなければ到底不可能である。そこで、ほとんどの大学では、教授会(あるいはそれに近い教員の自治的集団)により教員の採用・昇任審査が行われている。伝統的な大学、著名な大学ほど教授会による人事が確立している。本学のように教授会に人事権,カリキュラム編成権のない大学は、重大な欠陥を抱えていると言え,その結果としても衰退していく危険性が大きい。

 以上


2008年10月20日

横浜市立大学教員組合、「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の撤回の再要求

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2008.10.18)

「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回の再要求および団交要求書」を提出しました

 すでに教員組合週報でお知らせしましたように、教員評価結果の処遇への反映は法的に教員組合との協議事項であり、そのことを当局も認めているにもかかわらず、当局案=「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を経営審議会で審議してしまいました。この内容は、これまでの教員組合との折衝の内容をふまえたものとはなっておらず、また、折衝で話題にしていない内容が含まれており、教員組合として到底容認できるものではありません。一例をあげるならば、B評価の場合、職務業績給は1号しか上がりません。これは、基本給(年齢給)とあわせて、これまでの半額しか昇給しないことになります。言い換えれば、従来5年後に得られた給料の額に、10年たたないと到達しないのです。

 教員組合は、この文書を経営審議会で審議したことを撤回する要求書を提出したところ、8日にこれに対する回答がありましたが、撤回要求には応じていません。

 教員組合は10月16日に拡大執行委員会を開いてこの問題を検討した結果、撤回を再度要求し、教員組合との労使交渉を労働法にそくして行うことを確認するための団体交渉を要求することとなりました。以下のような要求書をまとめ、翌17日に当局に手渡しました。

2008年10月16日

公立大学法人 横浜市立大学
事務局長 田中 克子 様

横浜市立大学 教員組合
委員長 榊原 徹

9月18日に経営審議会に提出した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の撤回の再要求および団交要求書

 教員組合は、10月3日に、「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回要求」を田中事務局長に手渡しました。8日午前、これに対して、人事当局から教員組合に回答書が示されました

 この回答書は、「教員評価結果の処遇への活用は、労働条件に関することであり、組合との協議事項であると認識しています」と述べています。しかし、他方で、「法人の経営に関する重要事項として、教員組合へ提案する基本的な考え方を9月18日の経営審議会に諮りました」と記しており、矛盾しています。

 また、経営審議会に「基本的な考え方」を諮ったと書いていますが、諮ったのは「(案)教員評価結果の処遇への活用について」であり、これは細部にわたり、具体的な運用をも規定していて、とうてい「基本的な考え方」とは言えないものです。また、前回の撤回要求書で指摘したとおり、それ以前の折衝において話し合われてこなかったもの、教員組合として明確に反対してきた重大事項を数多く含んでいます。

 教員組合が合意していない事項を経営審議会にかけること自体が、「組合との協議事項であると認識」していることに反するものです。これは、誠実交渉義務に反し不当労働行為にあたると言わざるを得ません。

 教員組合は、経営審議会に提出した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を、当局が撤回することを再度要求します。

 また、労使交渉をめぐる手続きに関して、団体交渉で確認・協議することを求めます。

 ところが、上記の要求書を渡したその日の夕方、教員評価委員会事務局(担当者は人事課の企画係)からメールで各教員に、「教員評価結果を平成21年度から処遇へ活用することに伴い、理事長・学長メッセージと本法人の処遇活用に対する具体的な考え方を、別添のとおりお送りいたします。」とのメールが送信されてきました。添付ファイルの「(案)教員評価結果の処遇への活用について」は、まさに経営審議会に提出された「(案)教員評価結果の処遇への活用について」と同一文書です。教員組合が撤回を要求している文書を、各教員に送信するというのは、教員組合を無視する行為といわざるをえません。

 教員組合が撤回要求をしているのは、教員評価結果の処遇への反映自体を阻止しようという意図ではありません。問題はもっと根本的なものです。すなわち、労働法上、組合との団体交渉の対象となっている事項について、合意形成に向けて協議中に、当局の案を経営審議会にかけて、「基本は決まったからこれに従え」ということは認められないということです。今回の当局の措置を認めてしまうと、これが前例になり、今後、他の事項についても当局がこのように勝手に「経営審議会で決めた」と主張するようになるでしょう。これは労働者の団体交渉の権利をないがしろにするものです。


横浜市立大学、法人固有職員全員が3年任期の有期雇用 組合「任期更新に関する再質問書」

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー (2008.10.18)

「法人固有職員の任期更新に関する再質問書」を提出しました

 本学の職員のうち、横浜市の公務員の身分をもたない職員を法人固有職員といいます。法人固有職員はすべて有期雇用です。つまり期間の定めのない職員はいません。今年の夏以降、ある3年任期の固有職員が、3年の任期を更新しないかのような対応を受けています。

 法人化に際して、大学当局は教職員に任期制を導入する際に、繰り返し「普通にやっていれば再任される」と説明してきました。とくにこの職員は一般の職員とは異なる専門職という職員ですから、教員との類似性が高く、今回、任期更新がされないという事態が生じれば、教員の任期更新にも大きな悪影響を及ぼすおそれがあります。

 この固有職員に対して、人事当局は3年任期の雇用を更新することについてはっきりした話をしていないそうです。教員組合はこの件について以前質問書を当局に提出しましたが、16日の拡大執行委員会で、再び以下のような質問書を作成し、翌17日に当局に手渡しました。

2008年10月16日

公立大学法人横浜市立大学
理事長 本多 常高 様

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

法人固有職員の任期更新に関する再質問書

 教員組合は、任期制・有期雇用が様々な点で大学の発展を阻害することを指摘してきました。ところが、本年夏、12月末に任期更新の時期を迎える専門職の法人固有職員について、当局が更新の可能性がないかのごとき対応をしていると聞き、教員組合は7月23日付で「法人固有職員の任期更新に関する質問書」を作成し、人事当局に提出しました。8月22日の折衝で、口頭での回答があり、9月末までに決定するとの返答を得ました。しかし、未だに教員組合への返答はありません。

 すでに他大学で有期雇用でない雇用条件にある場合、本学に転職する上で任期制が大きな支障となっています。もしも職員が更新を希望しているにもかかわらず雇い止めとし、そのことが世に広まれば、ますます本学の職への応募者の数は減り、質も低下してしまいます。

 法人化に際し、また法人化以降も、当局は教職員に対して、「普通にやっていれば再任される」と説明してきました。固有職員の中でもとくに専門職は教員との類似性が高く、教員の任期更新への影響を懸念せざるを得ません。

 当該固有職員の任期更新について、上記のような教員組合の懸念に関して、当局の文書による回答を求めます。                               

以上

 
 

2008年10月10日

横浜市立大教員組合、「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の撤回要求

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー(2008.10.6)

……

●「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回要求」を事務局長に提出しました。

 9月18日に、人事課から「(案)教員評価結果の処遇への活用について」と題する文書が教員組合に示されました。人事当局は、この文書は当日午前の経営審議会に提出したものであると述べ、基本的にこれにしたがって処遇への反映を行うと説明しました。組合側はこれに対し、組合との協議事項について未だ合意に至っていないものを、組合の了承も相談すらもなく経営審議会にかけて、基本が決まりましたというのは、手続き的におかしいことを主張しました。内容を見ても、これまでの教員組合との折衝の内容をふまえたものとはなっておらず、また、折衝で話題にしていない内容が含まれており、教員組合としてとうてい容認できるものではありません。

 この問題について、前述のように9月24日の学習会で話し合い、10月2日の拡大執行委員会で検討した結果、以下のような「9月18日に経営審議会に提出した『(案)教員評価結果の処遇への活用について』の撤回要求」を事務局長宛に提出し、経営審議会からの同文書の撤回を要求することを決定しました。そして、翌10月3日に事務局長に手交しました。

2008年10月3日

横浜市立大学 
事務局長 副理事長代理
田中 克子 様

横浜市立大学 教員組合
委員長 榊原 徹

9月18日に経営審議会に提出した「(案)教員
評価結果の処遇への活用について」の撤回要求

 9月18日に人事当局は教員組合との折衝において、「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を教員組合に示し、当日午前の経営審議会に提出したと述べた。

 そして「(案)教員評価結果の処遇への活用について」の内容について、多少の修正は可能であるが、当局の基本方針であると述べた。

 しかし、教員組合との間で折衝中の事項について、教員組合への相談なしに、しかも教員組合が明確に反対を表明しているものを経営審議会に提出することは、誠実交渉義務に反し不当労働行為にあたる。

 人事考課制度は、そもそも労働組合との義務的団交事項である。当局はこれを認め、評価結果の処遇への反映は教員組合との合意なしには行わないとこれまで再三にわたり明言してきた。2006年11月30日の団体交渉(「団交の記録」(2007年6月4日確定))、さらに2007年3月16日の教員組合と当局の合意書でも、教員評価結果の職務業績給への反映は、今後における教員組合都当局の協議事項であることが確認されている。

 以上のことから、教員組合は、経営審議会に提出した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を、本年10月10日までに人事当局が撤回することを要求する。
 

以上

 なお、上記要求について、組合員の皆さんは各種の文言・用語について以下を参考にしてください。

 「労働者の労働条件その他の待遇」は、労働組合と使用者が団体交渉を行って決めることが労働組合法によって義務づけられています。これを義務的団交事項といいます。また、誠実交渉義務とは、使用者が単に労働組合の要求や主張を聞くだけでなく、組合の要求や主張に対して、誠実に回答を行ったり論拠を示したり、必要資料を提示することなどを通じて、合意達成を模索する義務です。また、労働者の団結権・団体交渉権・争議権および組合の自主性などを侵害する使用者側の一定の行為を不当労働行為といいます。

 今回の当局の措置は、義務的団交事項に関する誠実交渉義務違反ですから、不当労働行為であり、労働組合法に反するものです。


2008年09月24日

横浜市立大、教員評価結果の処遇への活用について

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(9月22日)
 ∟●教員組合週報(2008.9.22)

……

9月18日に組合に示された 「教員評価結果の処遇への活用について」と題する当局案

 9月18日に、人事課から、「(案)教員評価結果の処遇への活用について」と題する文書が教員組合に示されました。これまでの教員組合との折衝の内容をふまえたものとはなっておらず、また、折衝で話題にしていない内容が含まれており、教員組合として到底容認できるものではありません。

 例えば、B評価の場合、職務業績給は1号しか上がりません。これは、基本給(年齢給)とあわせて、これまでのおよそ半額しか昇給しないことになります。言い換えれば、従来5年後に得られた給料の額に、10年たたないと到達しないのです。

 また、「4 再任審査への活用」9行目に「19年度の実績については、19年度のSDシートを自己申告書に添付することも可とします」と書いてありますが、平成19年度の評価結果を処遇に反映しないことはすでに昨年度団体交渉で合意した事項ですから、教員組合の承諾なしにこのようなことを書くのは、許されるものではありません。

 人事当局は、「この文書を18日の経営審議会に提出して了承された」と述べています。組合の合意なしに教員評価結果を処遇に反映することはできないと認めつつも、この文書が基本方針であると述べました。

 前年度の執行委員会の時代から行ってきた折衝の多くが徒労であったと思われるほどの不当な内容です。教員組合としては到底受け入れられないので、この案を変更しない限り次の折衝に入ることは困難だと返答しました。

 この件について詳しくは、24日(水)の教員組合学習会で報告します。

 ご意見を教員組合にお寄せ下さいkumiai@yokohama-cu.ac.jp。

 以下、当局が示した「(案)教員評価結果の処遇への活用について」を掲載します。

(案)

教員評価結果の処遇への活用について

■平成20年度実施分の教員評価結果から21年度以降の教員の処遇へ活用していきます。

1 教員評価結果の活用対象

 処遇反映にあたっては教員評価委員会で決定した評価結果を踏まえ、それを職務業績給、再任審査、昇任審査(推薦)に活用していきます。

(1)年俸(職務業績給部分)
(2)再任審査
(3)昇任における推薦並びに審査

2 教員評価結果割合の考え方

 教員評価結果割合の考え方について以下のとおり説明します。

 本学の教員評価制度は教員の能力向上と各種活動の活性化を図ることを目的として、年度当初に組織目標を踏まえた個人目標を設定し、年度末に達成状況を評価する制度です。目標とは「成し遂げようとして設けた目当て」のことを指し、現状よりも上を目指すことを意味します。評価制度を運用している組織において、目標に向かって努力し成し遂げている人が大半で、目標よりも業績が大幅に上回っている人は割合として少ないことが一般的です。また、教員評価制度を導入している他の大学においても処遇反映に関する上位割合を30%程度としています。本学の教員評価制度においては、目標を大きく超える水準の職務をこなした場合がA評価であり、法人としては評価結果の割合をAが30%程度、Bが70%弱、Cを若干名と想定します。

3 職務業績給への活用

 教員評価委員会で確定した教員評価結果(A~C)を職務業績給に活用します。

 A評価の中から特に優秀な教員を職務業績給(S~C)のSに位置づけ、昇給幅はS=+3号、A=+2号、B=+1号、C=±0号とし、SDシートの提出がない教員は-1号とします。また、実施要綱により評価対象から除外となる教員は±0号とします。

 ただし、A評価の割合が想定する評価割合を大幅に上回る場合(20年度は40%を上限)には、評価結果を職務業績給の反映にそのまま用いることはせず、AとB全員を+1号とするなど、部会別に経営的な判断を加えることとします。

 なお、上記のようにA評価の割合が想定する評価割合を大幅に上回る場合でも、特に優秀な教員はS(+3号)に位置づけることを可能とします。

……


2008年09月08日

横浜市立大学の業務の実績に関する評価結果(法人評価委員会)

平成19年度公立大学法人横浜市立大学の業務の実績に関する評価結果

 横浜市立大学法人評価委員会による2007年度業務実績に関する評価結果を掲載。同大学では学長が任期を2年残したまま辞任したり,理事長も任期を1年残して辞任した。法人の管理運営に関するこれらの問題は,一切触れられていない。もちろん,謝礼問題に関しても根源的な評価を行ったとは言えない内容だ。
 因みに,大学法人自らが作成した実績報告書は以下。
平成19年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績報告書(平成20年6月)

平成19年度
公立大学法人横浜市立大学の業務の実績に関する評価結果

……
 さらに,このたび明らかになった大学院医学研究科における学位審査等に係る一連の事態については、後ほど改めて触れるとおり、市民の信頼を大きく損なう極めて遺憾なことである。19年度においては、法人独自のコンプライアンス推進体制を制度として発足するなどの新たな取組も見られたが、結果としては、かなり以前から継続していることでもあり、健全な法人運営の基盤そのものを揺るがしかねない大きな課題が内包されていたと言わざるを得ない。
 法人は、自ら設置した「横浜市立大学学位審査等に係る対策委員会」の最終報告を厳粛に受け止め、職員倫理規程の制定、医局運営の透明性の確保、コンプライアンス推進体制の見直しなど、法人全体としての内部統制・管理体制の確立に今後総力を挙げて取り組まれたい。…


[関連ニュース]
横浜市大法人評価委 謝礼問題で「運営基盤に大きな課題」

横浜市大、医学部長謝礼問題 脳血管医療センター長人事、横浜市長に抗議書

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20080903ddlk14040240000c.html

 ◇患者ら

 横浜市立大の謝礼金問題で現金を受け取っていた山本勇夫元教授が、市立脳血管医療センター(磯子区)のセンター長に就任した問題で、患者や家族らでつくる「脳卒中から助かる会」(上野正代表)が2日、この人事に対する中田宏市長あての抗議書を提出した。

 抗議書では、センターでは医療事故などで医師不足が続いていることを指摘し「後ろ暗い所のある人物が、センター長として規律とモラルを正し、向上させることができるのか」と抗議。中田市長にセンター長人事に対する考え方を回答するよう求めている。…

以下は,「脳卒中から助かる会」の「抗議書」の内容(同会のホームページより)。

平成20年9月2日

汚職判明後の脳血管医療センター長任命に対する抗議と質問
汚職 職を汚す事、職務に関して不正に金銭を取得すること等

「脳卒中から助かる会」
代表 上野 正(東京大学名誉教授)

Ⅰ 抗議 私達は、横浜市長が横浜市立大学元教授山本勇夫氏を橫浜市立脳血管医療センター長に任命したことに対し、以下の理由により抗議します。
 市長は、この抗議を正面から受け止め、善処して頂きたい。

1.山本勇夫氏の、橫浜市大医学部在職中の学位審査に関する汚職は、定年退職した後、センター長に就任する前に判明していた。
 一方、脳血管医療センターは医師不足が続き、看護部の規律が緩んで昨年のような死亡事故も起こった。このような時期に後ろ暗い所のある人物が、センター長として医師、看護師等職員の信頼を得て、規律とモラルを正し、向上させることが出来るものであろうか?
 私達はこの点を最も不安に感じている。

2.山本勇夫氏のセンター長任命には、市大からの医師導入への期待があったと言われるが、その市大自身が大量の汚職者処分で揺れている。
 横浜市大以外の大学や、全国の病院の医師から見て、汚職判明後のセンター長就任はどう映るであろうか? 汚職直後の人物が学長に天下った大学や、頭取に天下った銀行の社会的評価を考えれば明らかである。
 今回の人事は、センターの信用を大きく傷つけ、優れた医師を広く集める上でも障害となる。

3.横浜市では、バス料金の多額横領事件、幹部職員の不法な選挙運動、今回の学位審査汚職事件など、数々の規律違反、不法事件が続いて居る。
 横浜市は、コンプライアンスの重視を一応は強調しているが、今回のセンター長人事は、市の重要ポストへの職員採用にあたって、汚職などは事実上何の障害にもならない事を示しており、不法行為、汚職などは増々広がるであろう。…


[関連ニュース]
脳血管医療センター長人事/患者らの団体、横浜市に抗議文

2008年09月04日

横浜市大法人評価委、謝礼問題で「運営基盤に大きな課題」

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080903-OYT8T00150.htm

 横浜市立大医学部の学位取得を巡る謝礼授受問題について、外部の専門家でつくる同大法人評価委員会は2日公表した昨年度の業務実績に対する評価結果で、「法人運営の基盤そのものに大きな課題を内包していた」と指摘した。…

2008年08月29日

横浜市立大学、法人職員の任期更新「拒否?」問題

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(8月28日)
 ∟●横浜市立大学教員組合週報(2008.8.28)

8月28日 教員組合週報(本日付)が届いた。教職員倫理規定および法人職員の任期更新「拒否」(?)にかかわる重要な内容をもっている。ニュースが指摘するように、更新「拒否」の問題は、職員の問題だからといって、教員と関係のないことではない。

 精密な議論なしの「拒否」(?)あるいは、拒否の「示唆」(ニュースによれば「人事当局あるいは上司から更新の可能性がないかのような対応」)は、当該職員だけでなく全固有職員を萎縮させ、精神的隷属状況を作り出すであろう。「普通にやっていれば」任期更新するというが、法人固有職員の場合、「普通」とは、いかなる基準で、どのように各人の仕事を評価するのか。その客観性・透明性こそが大切だが、それがない状態では(不服審査委員会がそもそもあるか?)、一方的に職員側が不利になる。大学の自治的な創造的な発展とは逆のことになろう。

 そうした「示唆」、「脅かし」(?)を行うのは人事関係当局であり、理事長以下、法人当局の主要管理職は、市当局からの派遣(任命)なのである。市当局への大学の隷属をさらにいっそう決定的に進めていくものとなろう。

 弱い立場のものは組合に結集して、正当な権利を守るしかない。職員組合と連携した教員組合の毅然とした対応を期待したい。今回のウィークリーが示す申し入れも、その毅然とした対応のひとつであろう。

 倫理規定の箇所も、本学の本質的問題に関して指摘するものとなっている。入学に関して、教授会審議はない。「不正入試に対して脆弱」な現在の本学のシステムは非常に問題だという指摘は、まさにそのとおりであろう。ここでこの重要な問題の所在を重ねて指摘しておくことは、大変重要なことだろう。

 教員評価問題では、当局は、「消極的」になっているという。どのような意味か?

 何も具体的な検討を進めないで(あるいはひそかに検討を進めておいて)、「時間切れ」で、当局の提案を押し付けてくる可能性はある。「95%も参加しているから」と、マイノリティに煮え湯を飲ませることも辞さない可能性はある。そうした「時間切れ」という手段に直面した苦い経験は、組合執行部経験者なら何回か味わっているはず。新給与体系の提案は、12月26日だったかと記憶するが、仕事納めの前日だったはず。教員組合が仕事納めから正月まで慌てふためこうが苦しもうがそんなことはお構いなし、当局に有利なやり方で提案すればいい、とでも言うかのようであった。その苦い記憶はよみがえる。金を出すほうは、交渉がまとまらなければ旧の体系のままですよ、給料は上がりませんよ、と落ち着いていればいいことになる。われわれとしてはそうしたひどいやり方に対しても、誠実に(「弱さ」から?)対応したのではあるが。そして、それなりの体系にすることになったとは思うが。

 「処遇に反映させる」とする教員評価のシステムについても、ぎりぎりまで何も提案しない、折衝しないということか?

 法人の管理職・人事当局は、すべての時間をその仕事に当てればいいのだろうが、教員組合の執行部は、教育・研究・社会貢献の仕事もやっている。時間的にきびしいなかでの対応なのだから、きちんと時間的余裕を持って提案をしてくるべきではないか?

 この間、当局が提案するとしてきた新給与体系にもとづく給与アップ(業績給部分)について、何も前進していないのではないか?

 合意が出来上がるまでの中間的な妥当な引き上げを実施すべきだというのが組合の度重なる要求なのだが、このままでは、本学とほかの公立大学、国立大学や私立大学との給与の差はどんどん広がっていくのではないか?

 いずれにしろ、教育・研究・社会貢献とうにまい進できる状態をこそ作り出すべきだが、その諸条件はどこにあるか?

●法人職員の任期更新「拒否?」問題

 任期更新の時期を迎える法人職員が、本人が更新を希望しているにもかかわらず、人事当局あるいは上司から更新の可能性がないかのような対応を受けているという情報がありました。

 本人が更新を希望するにもかかわらず更新を拒否されて雇い止めとなる前例ができることは、教員にとっても大きな脅威であり、教員組合として重大な関心を持たざるを得ません。

 そこで、任期更新について具体的にいかなる対応をしたのか、以下のような質問書を7月23日付けで作成、30日の折衝で人事当局に提出し回答を求めました。また、後日、榊原委員長が本多理事長に会見して手渡しました。

2008年7月23日

公立大学法人横浜市立大学 
理事長 本多 常高 様

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

法人固有職員の任期更新に関する質問書

 日ごろ教員組合の活動にご理解頂き、ありがとうございます。

 教員組合は、任期制すなわち有期雇用が、大学の自治・学問の自由を破壊するばかりでなく、優れた教員を本学に迎え、長期的視点に立って大学のために貢献してもらうことを阻害するなどの点で、きわめて有害であることを繰り返し主張してきました。

 本年12月末に任期更新の時期を迎える法人固有職員について、更新の可能性がないかのごとき対応をしていると聞いていますが、本当でしょうか。法人化に際し、また法人化以降も、当局は教員に対しても法人固有職員に対しても、「普通にやっていれば再任される」と説明してきました。法人固有職員の任期更新についても、教員組合として大きな関心と懸念を抱かずにはいられません。

 上記のような対応が本当であるのか、もしもそうであるならばいかなる理由でそのようなことを行うのか、説明を求めます。回答は文書でお願い致します。  


 8月22日(金)の折衝では、文書による回答はありませんでした。人事当局は、具体的な人名をあげたので、このような状況に置かれている法人職員がいることが明らかになりました。教員組合側が「更新の可能性がない」と言ったのかと質問したのに対し、「これまでの3年間の業務について話し合う場で、仕事を見直した方がよいというサジェスチョンをした。雇用の打ち切りは明言してはいない。『やめろ』という発言があったとは聞いていない」という返事がありました。

 「本人が更新を希望しているのに更新を拒否することをしようとしているのか」との質問に対しては、「まだ『結論』を出していない状況で、9月中に結論を出す、結論を出したら回答する」との答えでした。「結論」というだけで、それが何の結論かは不明です。

 いずれにせよ、本人が更新を希望しているにも拘わらず更新を拒否するならば、それ自体が深刻な問題です。その上、この法人職員がもしも一般の職員ではなく専門職で、「あなたの仕事はなくなったから」という理由で更新を拒否されるのであれば、教員にとってさらに重大な問題となります。なぜなら、大学教員はそれぞれ専門を持っており、「あなたの科目はもう開設しないから」などの理由で更新を拒否されることにつながるからです。

 また、本学では、今後市からの職員を減らして法人固有の職員を増やそうとしています。法人職員も「全員任期制」です。本学の法人職員が実際に更新拒否されたとなれば、本学の法人職員への応募に二の足を踏む人が出て、優秀な人材がとりにくくなるでしょう。

 教員組合は本年度、教員評価制度の評価結果を処遇に反映することについて、人事当局との間で交渉し、合意点を探っています。「処遇への反映」の中で最も重大な問題は任期更新の問題です。したがって、法人職員の任期更新を拒否するというような事態が生じれば、今後における合意形成の上で大きな障害になる可能性があります。


2008年08月28日

横浜市大、医学部長謝礼問題 脳血管医療センター長 横浜市議会で謝罪

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20080827ddlk14040169000c.html

 ◇「迷惑かけ深く反省」--市議から批判相次ぐ
 横浜市立脳血管医療センター(磯子区)に15日就任した山本勇夫センター長は26日の市議会委員会で、市立大在任中に謝礼金を受け取っていたことを認め「ご迷惑をおかけしました。深く反省している」と謝罪した。渡辺古志郎・市民病院長も船舶安全法違反容疑などで書類送検されており、市議からは「トップ2人が新聞をにぎわしている。コンプライアンスはどうなっているのか」と厳しい批判が相次いだ。…

2008年08月04日

横浜市大副学長に五嶋氏、医学部長に梅村氏/医学系管理職人事

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiiaug080823/

 横浜市立大学は四日付で、同大医学部の学位謝礼金授受問題を受けて凍結していた二〇〇八年度の医学系の教員管理職二十六人の人事を発令する。この問題で辞職した奥田研爾前副学長の後任には五嶋良郎医科学専攻長(51)を起用。同じく辞職した嶋田紘前医学部長の後任には梅村敏医学部長代理(58)を充てる。…

[同ニュース]
副学長など市大新体制決まる
横浜市大:管理職人事、4カ月ぶり凍結解除 謝礼金問題処分受け、4日発令 /神奈川

2008年08月01日

「浮き沈み 大学の責任」、横浜市大謝礼金問題処分で中田市長

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807878/

 中田宏横浜市長は三十一日の定例会見で、横浜市立大学医学部の学位謝礼金問題で関係者計二十人の処分が出たことについて、「大学が浮くも沈むも自分たちの運命は自分たちの責任であることを再確認し、しっかりと再建に取り組んでほしい」と述べた。

横浜市立大学医学部医学科・大学院医学研究科教授会、信頼回復に向けて

横浜市立大学
 ∟●横浜市立大学医学部医学科・大学院医学研究科の信頼回復に向けて

横浜市立大学医学部医学科・大学院医学研究科の信頼回復に向けて
―「学位審査等に係る対策委員会の最終報告書」と「関係職員の処分」をふまえてー

 横浜市立大学医学部医学科・大学院医学研究科教授会は、この度の学位審査に係る問題が学位審査及び学位に対する信頼を大きく損なう行為であり、社会的責任が非常に大きいことを厳粛に受け止め、学生及び市民に深く謝罪いたします。また、今回の処分については関係する教員だけでなく、私たちひとりひとりの責任として重く受け止めています。…


横浜市立大学学位審査等に係る教員の処分及び再発防止策の取組状況について

横浜市立大学
 ∟●横浜市立大学学位審査等に係る教員の処分及び再発防止策の取組状況について

横浜市立大学学位審査等に係る
教員の処分及び再発防止策の取組状況について

 平成16年度から19年度に行われた医学研究科学位審査において、教員が金銭等の要求・授受や親族の学位審査に携わった問題について、公立大学法人横浜市立大学職員就業規則第49条及び51条の規定により、20名に対し、本日付で次のとおり処分しましたので、お知らせします。
 また、今回の問題を踏まえた再発防止策の取組状況について、お知らせします。

1 処分の考え方
 「横浜市立大学学位審査等に係る対策委員会」の最終報告書により、医学研究科において、多数の教員が学位取得者から金銭等を受領したこと、及び親族の学位審査に関与したことが判明しました。このことは、教育や研究に携わる者としてあってはならない悪しき慣習が長年にわたり医学研究科に存在していたことを証明するものです。
 そこで、この問題の解決に取り組むにあたり、個々の教員の行為の責任を問うことは当然ですが、それ以上に組織全体の問題として捉え、この間の不適切な状況を見過ごしてきた管理監督者、とりわけ要職にあった者の責任を重視し、厳正に処分することとしました。
 また、慣行とはいえ、金銭を受領した者や、親族の学位審査に関与した者については、倫理面において大きな問題があり、文書をもって強く戒めることとしました。
 なお、既に退職している者については処分対象外となりますが、かかる行為について反省を求める旨を、本日、文書で通知しました。

2 懲戒処分の対象者と処分内容
 対象者は、平成16年度から19年度に、副学長(福浦キャンパスにおける教育研究、及び両病院の教育研究とそれに伴う診療に関することについて学長を補佐)・医学部長・医学研究科長の要職にあった者5名です。
 これらの者は、管理監督の立場にある者として十分な対策を講じず、不適切な行為を見過ごし、またうち3名については、自ら不適切な行為に携わっていました。
 これらのことは、学位審査及び学位に対する信頼を大きく損なう行為であり、社会的責任は非常に大きく、本学及び本法人の信用を著しく傷つけるに至ったことから、懲戒処分としました。

……(中略)……

3 懲戒以外の処分(人事的措置)
 学位審査に係り金銭を受領した教員13 名、金銭の受領及び親族の学位審査に携わった教員2名に対し、文書により厳しく訓戒いたしました。

4 再発防止策の取組状況について
(1)学位審査プロセスの見直し
 「一切の謝礼の授受を行わないこと」の学位申請書への明記や、「学位審査委員から学位申請者の親族等の関係者を排除すること」等について関係内規の改正を6月に実施しました。
(2)職員倫理規程の策定
 8月末までに規程及び懲戒処分の標準例を策定する予定です。その後、教職員への周知・研修を実施するとともに、職員行動基準の策定に着手します。
(3)内部通報制度の見直し
 学内のメンバーで構成されるコンプライアンス(倫理法令遵守)推進委員会で取り扱っていました内部通報については、新たに外部有識者(弁護士)からなる内部通報制度委員会を5月に設置し、取り扱うよう見直しました。
(4)医局運営のあり方
 医局経費の銀行口座管理や、領収書等に基づく内部チェックの実施、医局人事についての不服申立窓口の設置などに係る組織規約の制定・改正を各医局で今年度中に進めます。また、医局運営についても、大学側が関与できるような方向で検討してまいります。


2008年07月31日

金銭要求 処分重く 前医学部長ら2教授は退職 再建への道のり険しく

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20080730/CK2008073002000127.html

 学位審査をめぐる金銭授受問題で二十九日、前医学部長の嶋田紘教授(64)と前副学長の奥田研爾教授(62)の停職を含む計二十人の処分者を出した横浜市立大学。キャンパスを揺るがせた一連の問題にひとまず区切りがついた形だが、大学の信頼性は大きく傷ついた上、停職の二教授も退職しており、大学の再建への道のりは険しい。…

2008年07月30日

横浜市立大の謝礼問題、前副学長ら20人を処分

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080729-OYT1T00642.htm

 横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る謝礼授受問題で、同大は29日、大学院生に謝礼を要求したとされる前副学長の奥田研爾教授(62)を停職4か月、12人から計300万円を受け取った前医学部長の嶋田紘教授(64)を停職2か月とするなど20人の処分を発表した。

 両教授は同日付で退職願を提出、受理された。…


[同ニュース]
横浜市大金銭授受問題で前医学部長ら20人処分 前副学長ら辞職
前副学長ら20人、停職など処分=学位謝礼金で横浜市大
前医学部長と前副学長退職 横浜市大の謝礼問題で処分
市大学位謝礼金問題できょう関係者処分/2教授は懲戒処分へ
前副学長と前医学部長が退職=学位謝礼金で停職-横浜市大
横浜市大:博士号謝礼で前副学長らに停職処分
学位謝礼で横浜市大、奥田教授を停職6か月の方針

2008年07月29日

謝礼金問題で揺れる横浜市大、特定医師の“排除”も

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807764/

 医学博士の学位取得をめぐる謝礼金授受問題が、横浜市立大学(同市金沢区)の足元を揺さぶっている。大学院への看護学専攻の設置申請は、この問題の余波で一年間先送りを余儀なくされ、“渦中”の前副学長は定年を前に大学を去る決意を固めた。学内の人間関係も険悪化する一方で、不協和音は市大病院の診療現場にも影を落としている。

 「看護学専攻」は、医療の高度化や専門化に伴って求められている「専門看護師」の育成などを目的に同大が医学研究科への新設を計画。来年四月の設置を目指し、申請が締め切られる五月末、文部科学省に手続きする予定となっていた。

 ところが、学位謝礼金授受問題が表面化した三月中旬以降、同大はこの対応に忙殺されて準備が停滞。さらに、五月中旬に同問題が国会で取り上げられたことで、市大への逆風は一層強まった。

 結局、市大は「この問題が解決していないこの時期に申請するのはタイミング的にも好ましない」と判断。文科省への申請手続きを一年先の来年五月へ、新設の目標も二〇一〇年四月といずれも一年間先延ばしせざるを得なかった。

 一方、内部告発が発端の同問題は、学内の人間関係もきしませている。

 七月二十六日には、前副学長の奥田研爾教授が布施勉学長に「退職」の意向を電話で伝えた。「専門のエイズ研究に専念したい」というのが表向きの理由だが、親しい関係者には「金品の要求も受領もないのにあったと疑われ、疲れ切った」と漏らしているという。

 診療の現場も例外ではない。学位取得者から総額三百万円の現金を受け取ったことが判明している前医学部長の嶋田紘教授。同教授は消化器病態外科を率いているが、内部告発に絡んで特定の医師が二月下旬以降、手術から外される事態に発展。自分の紹介患者ですら手術を担当できない例があり、患者から病院にクレームが寄せられたという。

 同問題は横浜市会でも話題となり、七月上旬の委員会で市当局は「(ギクシャクした人間関係によって)患者に迷惑をかけることのないよう指導したい」と答弁。医師の“排除”は「憂慮すべき事態」との認識を示している。

横浜市大教授が辞職届、「謝礼受領ない」と抗議

http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008072801000573.html

 横浜市立大医学部の教授らが博士号取得をめぐり謝礼金を受領した問題で、同大対策委員会の調査で「学位取得者に金銭を要求して受け取った」と認定された前副学長の奥田研爾教授(62)が28日、同大に教授としての辞職届を提出した。同大は近く奥田教授らを懲戒処分する方針で、辞職届の扱いを検討している。

 大学関係者によると、奥田教授は「金銭を要求したことはない」と主張。「調査への抗議を込めて辞職する」と話しているという。

 対策委員会が今月まとめた最終報告などによると、奥田教授は学位取得者2人に対し「学位を出さないこともできる」などと金銭を要求、計60万円を受領した。奥田教授が金銭の要求や受領を否定している点について「良識を疑わざるを得ない」として同大に厳しい処分を求めていた。

 謝礼金問題では、前医学部長の嶋田紘教授(64)が300万円を受け取るなど、奥田前副学長も含め教授ら計22人が現金を受け取ったことが判明している。


[同ニュース]
奥田教授辞職へ/横浜市大謝礼金授受問題

2008年07月25日

奥田教授辞職へ、横浜市大謝礼金授受問題

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807745/

 横浜市大医学部の学位取得をめぐる謝礼金授受問題に関連し、大学の対策委員会から「現金授受があった」と認定されていた同大前副学長の奥田研爾教授(62)が二十六日、辞意を固め、布施勉学長に伝えた。二十八日、大学側に辞職届を正式に提出する。…

2008年07月11日

横浜市立大学の学位審査等に係る調査について、最終報告書

横浜市立大学
 ∟●横浜市立大学の学位審査等に係る調査について最終報告書 (7/9)
 ∟●「横浜市立大学学位審査等に係る対策委員会」の最終報告について(7/9)

横浜市立大学の学位審査等に係る調査について

最 終 報 告 書


平成20年7月9日
横浜市立大学学位審査等に係る対策委員会

[関連ニュース]
横浜市大:医学部長謝礼問題 博士号現金受け取り新たに6教授--最終報告 /神奈川
教授ら「22人」が謝礼金受け取る 横浜市立大問題最終報告発表
博士号謝礼、22人が計578万円受領 横浜市大委報告
教授ら22人現金授受=計578万円、3人否定-学位謝礼金で最終報告・横浜市大
「謝礼」横行浮き彫り 横浜市大最終報告
22人が現金授受=学位謝礼金・横浜市大

横浜市会、謝礼金問題の最終報告めぐり論議

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807259/

 横浜市大医学部の学位取得に関する謝礼金授受問題で、同大の対策委員会が九日まとめた最終報告書の内容が、十日の市会都市経営・行政運営調整委員会(佐藤祐文委員長)に報告された。市会の関心は信頼回復に向けた市大の取り組みに集中。市側の説明に対し、実効性のある改革を求める意見が相次いだ。

 高梨晃嘉氏(民主)は、対策委が再発防止策として打ち出した医局改革について「人事の透明化などが本当にできるのか」などと市側の見解をただした。太田正孝氏(無所属クラブ)は「(謝礼金問題でぎすぎすした)医局内の人間関係の融和を図るべきだ」と注文した。

 これに対して市側は、「徐々にだが、民主的な運営が行われていると認識している」と、大学側の自発的な改革努力を見守る考えを表明。金田孝之副市長は、医局内融和について「信頼関係、チームワークが重要」と答弁し、市が取り組むべき課題との認識を示した。

 この日の委員会では、二〇〇五年度に独立行政法人化され、市と一線を画す存在となった市大に対する市の支援の在り方や、学位取得をめぐる金銭の授受が立件される可能性も取り上げられた。

 鈴木太郎氏(自民)は、市大の自律的な改革努力を促すためにも、「市の関与は最小限にどとめるべきだ」と主張。石井睦美氏(公明)は、学位取得にからむ金品要求が最終報告書の中で法に触れる恐れがあるとされたことを念頭に、「(立件という)最悪の事態も想定するべきだ」と指摘した。


2008年07月10日

横浜市大、前医学部長を停職3カ月に 学位謝礼金問題

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200807080395.html

 医学博士号をめぐり謝礼金を受け取ったとされる問題で、横浜市立大学は8日、300万円を受領したとされる前医学部長の嶋田紘教授を停職3カ月とする処分を本人に通告する方針を固めた。また、市立大が設置した「学位審査等に係る対策委員会」(委員長・宗像紀夫弁護士)の調査に対し、学位取得者2人が「金銭を要求された」と指摘した別の教授についても懲戒処分を通告する方針だ。 …

[同ニュース]
横浜市大の学位謝礼、現金授受19人に…24人処分へ

2008年07月09日

横浜市大謝礼金問題、二段構えで金品授受禁止へ

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807168/

 横浜市大医学部(同市金沢区)の学位取得に関する謝礼金授受問題で、学位審査の規程に「謝礼の禁止」「審査委員からの利害関係者の排除」の二項目が追加される見通しとなったことが七日、分かった。…

2008年07月08日

横浜市立大学、教員評価制度に関する組合の質問への当局の態度は官僚的形式主義

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(7月7日)

 以下の組合質問事項に対する法人側回答内容について,不勉強で法的な構造と論理がよくわからない。つまり,「地方独立行政法人法第七十七条第3項」と「学校教育法第九十三条(大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない)」との関係である。

 卒業の認定は,教授会以外の組織では行い得ないのであるから,当然ながら卒業を認定する内容,すなわち学位を授与するに値する科目編成とその認定水準等々(教育課程の編成に関わる事項)は教授会の重要な審議事項にならねばならない。これは大学にとっての普遍的な事柄である。法人の組織である「教育研究審議会」と大学の組織である「教授会」の関係について,かつての都立大労組が書いた「法人と大学との一体化は、学校教育法の否定ではないのか?」が参考になるのかもしれない。

教員評価制度に関する組合の要求声明(2008.6.9)と当局回答(7.1)

…(中略)…

9. 学校教育法に基づいて本来教授会が審議事項として決めるべきことが教育実績の評価を行う前提となる。カリキュラムの編成を全面的に教授会・コース会議の権限とせよ。

A 地方独立行政法人法第七十七条第3項では、公立大学法人は定款で定めるところにより教育研究に関する重要事項を審議する機関を置くものとされており、公立大学法人横浜市立大学定款では「教育研究審議会」を置いております。定款第21条(5)では、「教育課程の編成に関する事項」は教育研究審議会で審議することとなっているため、本学ではカリキュラムの編成を全面的に教授会・コース会議の権限とすることはできません。……

7月7日 教員評価制度に関する組合の質問に対する当局の態度は、「定款」その他の事項をそのまま前提として、「規程にそっており」、「何も問題ない」とする官僚的形式主義の回答である。およそ内容を具体的に検討するものとなっていない。その結果、たとえば、教育研究の現場においてどんな問題が発生しているか、これはあずかり知らない、ということである。役人とはこのようなものなのだろう。それはしかし、大学の自治を担う主体としての態度ではないであろう。
 教員組合が問題にしているのは「規程」の内容、その妥当性、その制定過程の問題性なのだが、それらについては、自分たちは知らない、関係ない。自分たちは、「規程にしたがっているだけ」と。大学における自由な教育研究はこうして圧殺され、息苦しくされるのであろう。SDシートの問題性など、何もないかのようである。
 規程の制定・改変は誰が行うのか?
 「規程」の自治的自立的制定こそは、大学自治の根本に属する。その規程の改正、規程の妥当なあり方の検討、これがまったく無視されている。つまりは、「決められたこと」をただそのまま繰り返すだけであり、回答は、当局が「規程」の新たな創造の主体ではないことを示している。当局は自治の主体ではないのである。単に、どこかで「決められたこと」を執行するだけの役割しかもっていないことを示す[1]。教員組合が求めていることは、内容的には、まさにその規程の改正である。

 全国の大学の中で、「学長」、「学部長」など管理職の任命を実質的に行政的な意味での「上から」、「外から」自由に行えるようなシステムは、いまのところ例外でしかないし、基本的には憲法に違反するであろう。回答が示す「定款」「規程」は、「大学の自治」がない現状を肯定している。「定款」、「規程」の運用における問題も見ようとしない。現在の大学で唯一自治的自立的である教員組合の質問に真正面から取り組もうという姿勢でないことだけは、今回の紋切り型の回答が示す。

 「大学自治」における問題の一番具体的な事例は、PE問題であろう。

 2年次にPEだけを理由とする留年生をかなり大量に生み出すことが、どのようにして正当化できるのか?
 しかも、2年次に4年間もとどめておくことは、どのようにして合理化できるのか?
 PE一科目のために、3年間、4年間留年させるのか?
 むしろ、3年目の留年は認めず、退学させるのか?(しかし、2年以上の留年は退学と前もって示してはいない。)

 PEだけの画一基準で2年次から3年次に進級させないことに、どのような教育上の合理的な根拠があるのか?
 PE一科目だけのために、2年間も留年させるだけの意義が、PEにあることの説明は十分になされているのか?
 PE・TOEFL500)TOEIC600) を2年次までにクリアしないと、なぜ3年次の科目、たとえば文科系では3年ゼミを取ることが許されない(ゼミ履修登録不可)のか?
 3年次のゼミは、PE・TOEFL500点(TOEIC600点)を前提としたカリキュラム体系・実際の内容となっているのか?

 学問分野を問わず、2年次から3年次への進級の必須の条件とすることの合理的説明は?
 なぜ、医学部は、国際総合科学部とちがって、PEが卒業要件やその他の基準となっているのか?
 なぜ、どのようなカリキュラムの合理性によって、国際総合科学部はPEの進級基準を2年次から3年次の段階に設けるのか?
 なぜ卒業要件であってはいけないのか?
 なぜ、普通の科目と同じように、各学生の到達度により、各人の専門・進路に対応して、「秀、優、良、可、不可」の段階的能力判定ではいけないのか?

 これらに関して、多くの教員、そして多くの学生は問題にしてきたが、今だ、合理的な説明は一切ないと考える。
 逆に、医学部との違いひとつとっても、実際に行われていることが、この専門・進路・学生諸個人による段階的能力判定というごく普通の成績認定の妥当性を示している。
 制度導入・決定段階の異常さが、そしてこの間の審議否定の異常さが、きちんと検証されていないのである[2]。

 現在のシステムでは、この制度を決めた過程の検討を含め教育研究審議会(その長としての学長)から、明確な説明が必要だと思われるが、・・・
 3月で本学を去った前学長はなんら十分な説明をしなかった。今回の当局回答と同じように、「決められたこと」、「決まっていること」だからと、仮進級制度も初年度入学者に対してだけ認めるという態度を貫徹した。その結果が、累積する留年生ということになる。

 コース会議・代議委員会などでこれらに関する議論がでても、審議対象となってこなかった。
 こうした事態は、「定款」「規程」を根拠とすれば、許されることか?
 学校教育法上許されることか?

 「定款」、「規程」は、国家の定める法律に優先するか?国家の諸法律を規制する憲法に優先するか?
 企業内の私的制裁を、企業の「規程」だからといって行うことは許されるか?
 企業の「規程」は、法律の範囲内でなければならないのでは?
 そうした問題には一切応えようとしない態度が、今回の当局回答にも示されているといえよう。
 すなわち、根本問題は、回答の背後、当局の意思決定とその過程の根幹、にある。

 PEに関するアンケートを行うという。アンケートを入念に行うことは重要。しかし、アンケートへの回答において、いくらいい結果が出ていても、それを制度改正に結びつける柔軟な意思決定システム・意思決定過程がないならば、何も問題は解決しないであろう。「アンケート」なるものが、適当につまみ食いされた苦い経験も、想起される。
 その点、教員評価問題と同じであろう。


2008年07月07日

横浜市立大学、教員評価制度に関する組合の要求声明(2008.6.9)と当局回答(7.1)

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」(2008.07.07)

教員評価制度に関する組合の要求声明(2008.6.9)と当局回答(7.1)

…(中略)…

9. 学校教育法に基づいて本来教授会が審議事項として決めるべきことが教育実績の評価を行う前提となる。カリキュラムの編成を全面的に教授会・コース会議の権限とせよ。

A 地方独立行政法人法第七十七条第3項では、公立大学法人は定款で定めるところにより教育研究に関する重要事項を審議する機関を置くものとされており、公立大学法人横浜市立大学定款では「教育研究審議会」を置いております。定款第21条(5)では、「教育課程の編成に関する事項」は教育研究審議会で審議することとなっているため、本学ではカリキュラムの編成を全面的に教授会・コース会議の権限とすることはできません。……


2008年06月27日

横浜市大嶋田教授の嫌がらせ、女性医師が市大に再調査申し入れ

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijun0806557/

 博士号取得に絡む謝礼金受領が問題になっている横浜市大前医学部長の嶋田紘教授(64)から嫌がらせを受けたとして、松本千鶴医師(33)が同大ハラスメント防止委員会に申し立てた問題で、同医師は二十五日、調査結果を不服として再調査を申し入れた。代理人が会見で明らかにした。

 代理人によると、松本医師は防止委に七件の調査を申し立てたが、研究用データ入りのパソコンを取り上げられた件が認められなかったことを不服としている。本多常高同大理事長と防止委、中田宏市長あてに申し入れ書を提出。文部科学省には郵送で徹底調査を促す内容の依頼書を出したという。

 松本医師は文書で「正確な調査が行われていない」「処分が軽すぎる」などと主張している。再調査について同大は「防止委で対応を検討することになると考えている」とコメントを出した。

 防止委は先月末、セクハラ(性的嫌がらせ)など二件の嫌がらせ行為を認定。これを受け同大は今月六日、同教授を学長文書厳重注意処分にした。


2008年06月19日

横浜市立大学の特別入学枠、「いったいどこで決定したのか」 

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(6月18日)
横浜市立大学「横浜サイエンスフロンティア高校から横浜市立大学への特別入学枠を設定 ~「横浜市立大学チャレンジプログラム」~」
記者発表資料

[学校教育法施行規則]
第百四十四条  学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める。

 昨日と今日の新聞に私立の新しい高校の創設にかかわり、市大への入学者10名の特別枠が決まった、との報道がある。

 巷では、いったいどこで決定したのか、入学や卒業は、PEにおける進級基準問題・その適用問題・その変更問題などと同じく、教授会マターであるはずだ、教授会が審議すべき重要事項のはずだ、学校教育法はそうなっている、かつて何十年も教授会マターとして、学則に定められていたのだが、との疑念が出されている。現行の学則が、そうしたことをしないでもいいとしているとすれば、現行学則こそ、違法ではないか、と。

 仮に百歩譲って、現行学則が直ちには違法ではないとしても、その運用の仕方が違法であり、しかるべき機関での審議決定におり入学者枠を決定するということになっていないのではないか、と。

 立命館大学では、教授会審議をやらないで転籍措置したことも重要な原因となって、学部転籍が大問題となり、文部科学省から厳しい処分を受けた。Cf.立命館大学、学園トップの退任を求めるアピール

 さて、本学のこの間の諸措置には、問題はないか? 大学の教員たちは、上記のような事に関して、新聞報道を通じてはじめて知る。「改革」過程で出現した事態と同じ構造である。すくなくとも、過去数十年の大学教授会の審議を知るものにとっては、異常事態である。学校教育法順守の点で、コンプライアンス委員会は機能しているのか?

横浜市大に特別入学枠/横浜サイエンスフロンティア高校

神奈川新聞

 横浜市大と横浜市教育委員会は十六日、二〇〇九年四月に開校する横浜サイエンスフロンティア高校(鶴見区小野町)の第一期生から十人程度、市大国際総合科学部に進学できる特別入学枠を設けることを発表した。昨年一月に市大と市教委が結んだ教育連携に関する協定に基づき、実施される。

 同校で市大進学を志望する生徒を校内から募集し、学習成績や英語力などにより四十人を選考。リポートの提出や市大の教員による指導など七カ月間のプログラムを実施して、総合評価の高かった生徒が進学できるという。……


2008年06月16日

横浜市大に職員倫理規定

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080613-OYT8T00092.htm

 横浜市立大医学部の学位取得を巡る謝礼問題で、職員倫理規程を策定するなどの同大の再発防止策の骨子が、12日の市議会常任委員会で公表された。同大では、問題の最終的な調査結果とともに今月末までに再発防止策をまとめる。

 防止策の骨子は、〈1〉職員倫理規程を策定〈2〉病院に対する医師派遣の受け付け窓口の一本化〈3〉学位審査委員の利害関係者の排除――など。…


2008年06月10日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度に関する組合の要求声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー 2008.6.9

教員評価制度に関する組合の要求声明

 5月29日(木)教員組合では拡大執行委員会を開いて、教員評価制度に関して検討しました。教員組合は、教員組合として納得できる教員評価制度が作られ、かつ妥当な運営がなされるのであれば、平成20年度の評価結果を翌年度の処遇に反映することに反対しません。そこで、教員組合は、当局と折衝を重ねています。しかし、現段階では教員評価制度には大きな問題があり、このままではとうてい処遇への反映に合意できません。

2008年6月9日

教員評価制度に関する組合の要求声明

横浜市立大学教員組合

1.平成19年度の教員評価結果について、領域ごとに1次評価者の評価結果および2次評価者の評価結果を各教員に文書で示せ。

2.平成19年度の評価基準を示せ。教育評価者研修においてA~Cそれぞれの評価基準について、いかなる方針が示されたのか、説明を求める。

3.評価者の修正意見は助言にとどまり、指揮・命令は許されるべきでない。ウエイト変更も指示は許されない。教員間には、管理職の選任方法、その教育研究能力および評価能力について大きな疑問がある。多くの教員が、管理職から修正要求を受けることに、大きな疑問・不満を抱いている。現行の管理職(評価者)の選任方法、それによって選任された管理職(評価者)の教育研究能力および評価能力が、教員評価を客観的かつ公平におこなうに十分なものであるということは何によって保証されるのか、その根拠を説明せよ。

4.コース長・共通教養長の選出方法をコース所属教員・担当教員の互選に改めよ。管理職に各教員の研究内容等に関して判断できる能力があるのか疑問の声が強い。上からの管理職任命というシステムのもとでは、パワーハラスメントの温床を一つ増やすこととになり危険である。

5.「平成19年度教員評価不服申立の手続きに関する取扱」は不適当な内容を多く含む。平成19年度教員評価結果に対する不服申立制度について事前に教員組合に協議しなかったことに強く抗議する。平成19年度の教員評価不服申立の手続きおよび平成20年度以降の教員評価不服申立の手続きについて組合と直ちに協議せよ。

6.「平成20年度教員評価の実施について」(平成20年5月21日付)において、「法人としては、諸課題を整理したうえで、20年度の評価結果については21年度の給与等の処遇に反映していく予定です」等と記しているが、2006年11月30日の団交時に当局が回答しているように、「処遇への反映は教員組合との協議事項」であり、「処遇への反映は、教員の理解が得られてから」(以上、「団交の記録」(平成18年11月30日))であったはずである。当局は団交において回答した自らの発言内容を堅守せよ。

7.「平成20年度教員評価の実施について」において、「SDシート未提出者は、今後設定する評価の中で最低の評価となります」旨記しているが、本学の評価制度が様々の重大問題を抱えていて修正の必要性があるにもかかわらず、このようにSDシート提出を強制するのは不当である。本学の評価制度についてこれまで教員から出された意見が具体的にどのように反映されたのか、明らかにせよ。

8. 昨年度秋、SDシートに記載するほかに、別の事項についても記載するよう求める文書が送られてきた。平成20年度に教員評価に関してSDシートの他に教員が記載するものがあるのか回答を求める。

9.学校教育法に基づいて本来教授会が審議事項として決めるべきことが教育実績の評価を行う前提となる。カリキュラムの編成を全面的に教授会・コース会議の権限とせよ。

10.上記に掲げた事項が明らかにならなければ、本年度のSDシートを適切に記載できない。SDシート提出期限を延期せよ。


2008年06月09日

前医学部長を厳重注意処分 横浜市大、セクハラ発言で

http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008060601000853.html

 横浜市立大の前医学部長嶋田紘教授(64)が女性医師(33)にセクハラ(性的嫌がらせ)やパワーハラスメントをしていたと認定された問題で、同大は6日、女性医師を傷つけ、大学の信用を失墜させたとして、嶋田教授を同日付で学長による文書厳重注意処分にしたと発表した。…

[同ニュース]
横浜市立大前医学部長のパワハラ:嶋田教授を学長文書厳重注意
横浜市立大、前医学部長をセクハラなどで注意処分

2008年06月02日

横浜市大医学部「女医」、怒りの内部告発

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ∟●謝金事件 「銭ゲバ教授と“イメルダ夫人”」 横浜市大医学部「女医」 怒りの内部告発

 「白い巨塔」は健在だった。博士号で三十万円、仲人で五十万円――"お礼"と称する理不尽なお金を集めてきた問題教授は内部告発を受けたが、結果は告発者のほうが医局からトバされた……。もはや自浄能力を失った大学病院の暗部を怒りを込めて再び告発する!…

2008年05月30日

横浜市大、謝礼金問題の前医学部長セクハラ認定

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805291154012-n1.htm

 横浜市立大の医局所属の女性医師(33)が、博士号取得に絡み謝礼金300万円の受領が発覚した前同大医学部長、嶋田紘教授(64)からパワーハラスメントなどを受けたとして調査を求めていた問題で、同大ハラスメント防止委員会が、セクハラ(性的嫌がらせ)を含め訴えの一部を認める調査結果を医師に伝えていたことが29日分かった。…

[同ニュース]
前医学部長のセクハラ認定 女性医師の訴えに横浜市大
横浜市大前医学部長の女医への嫌がらせ、学内防止委が認定

2008年05月29日

横浜市立大学、教員評価制度に対する組合員の声

横浜市立大学教員組合
 ∟●教員組合週報

教員評価制度に対する組合員の声

 ある組合員から、教員評価制度の問題点について次のような意見が寄せられましたので、ご紹介します。

 そもそも教員評価制度を行うにあたり、根本的な問題として、教員組合が幾度となく指摘しているように、学問の自由を侵害する危険な内容であるということが、最も大きな問題であると思われるが、評価結果を処遇に反映させることの是非について、組合の声明で指摘されなかったある視点について述べたい。
 大学が法人化し、雇用関係が民間企業と同様となったが、民間企業と異なり、法人化前と変わらないこととして、人件費が横浜市の予算内で決められていることがある。
 民間企業であれば、社員一人一人が皆それぞれ、頑張って業績をあげれば、その企業の業績も上がり収入も増え、従って個々の社員の賃金も、それぞれ上がることはあっても下がることはない。
 ところが、市大の場合、毎年横浜市から降りてくる予算は、今年度の教育研究費の唐突な大幅減額にみられるように、いくら教員ががんばって仕事をしても減ることすらあっても増えることはない。
 当局は、教員評価制度を処遇に反映させることを、努力した人が報われる制度 といっていたが、市大の場合、どんなに教員が一生懸命努力して、その年度の目標以上のことを達成したとしても、市大教員の人件費の総額が、横浜市の予算で既に決められている以上、その努力や成果に対する賃金のアップ等はないであろう。
 例えば、もし仮に、市大の教員全員が、一生懸命努力して、個人個人がその年度の目標以上のことを達成したとしても、教員の人件費の総額が、横浜市の予算で既に決められている以上、その努力や成果でたかい評価となり、賃金がアップした人が出るとすれば、必ず、同じように努力し成果をあげた教員の中からも賃金がダウンする人が出てくるということである。
 民間企業であれば、社員全員が努力すれば、それに応じて全員の賃金がアップということが考えられるが、市大ではそういうことがない。そこが民間企業と異なる点である。
 つまり、教員評価制度を給料等の処遇に反映させられとなると、最高評価Sがつく人がいれば、どんなに頑張ってもかならず最低評価Dがつく人がでてくるということである。
 当局は、いやそんなことはない と反論するかもしれないが、現実に、その人が頑張って成果をあげたにも関わらず、経営上の理由 ということで昇進をストップさせられた人がいるではないか。つまり、当局は、がんばっても自分達のいう事をきかないと給料はあげないといっているのである。当局のいう、努力した人が報われる制度 といった安易な言葉に絶対にだまされてはいけない。
 結果的に、最終的な評価者が大学の執行部の数人であるかぎり、当局や市の言いなりなり、大学当局に媚へつらう人だけが高評価、高処遇を得る仕組みになっている。(以上)


2008年05月27日

横浜市立大の女性医師、パワハラ訴え 謝礼金問題の前部長に

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080526/crm0805262157033-n1.htm

 横浜市立大の医局に所属する女性医師(33)が26日、記者会見し、博士号取得に絡み謝礼金300万円の受領が問題になっている前同大医学部長の嶋田紘教授(64)からパワーハラスメントなどを受けたとして、大学に調査を求めていることを明らかにした。…

[同ニュース]
女性医師がパワハラ訴え 謝礼金問題の前医学部長に

2008年05月26日

横浜市立大学教員組合、教育研究費付加交付分限度額の大幅かつ唐突な減額に関する質問状

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー、2008.5.22

平成20年5月15日

横浜市立大学
学長  布施 勉 様
公立大学法人横浜市立大学
理事長 本多 常高 様

横浜市立大学教員組合
委員長 榊原 徹

教育研究費付加交付分限度額の大幅かつ唐突な減額に関する質問状

 5月7日付の研究推進課からの通知によると,今年度の教育研究費付加交付分限度額が大幅に減らされました.
 市からの交付金の減少によって大学の財政が豊かでないことは想像できます.
 しかし、大幅な減額にもかかわらず,一方的に事務局から通知されただけで、何の説明もありません。私たちは,この処置が財政上あるいは大学運営上妥当なものであるかどうかを判断する手立てさえありません.
 このような突然で一方的な措置は,教員の教育研究活動に大きな支障をきたすばかりでなく、我々の働く意欲を失わせるものです.
 また、付加交付分の上限は、個々の教員によって異なっており、同一ではありません。

 教員組合は、今回の限度額の削減の見直しを要求します。
 もしも減額が不可避であるというならば、その具体的根拠、減額幅が教員によって異なる理由、付加分の限度額をいかにして算定したのか、その算定方法の説明を求めます。
 付加分申請の期限以前に文書で回答することを要求します。
 教員組合拡大執行委員会では、教員評価制度に対するこれまでの教員組合の主張と組合員から寄せられた声を「教員評価制度に関する声明」にまとめました。学長、理事長に提出し、現在当局が進めようとしている教員評価制度の問題点を指摘し、改善を求めます。


2008年05月23日

横浜市立大学、専門家不在の「教員評価不服審査委員会」では公平な審査など望めない

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(5月22日)

5月22日(2) 今回の教員評価システムの通知の中には、「教員評価の結果について」(通知)および、「平成19年度教員評価に係わる不服申立ての取り扱いについて」なる文書が入っている。「20年度に検討予定の苦情処理制度が整備されるまでの暫定的な取り扱い」だという。

 そして、「平成19年度教員評価不服申し立ての手続きに関する取扱」なる文書も入っている。

 直ちに気付く問題は、「教員評価不服審査委員会」の組織構成である。

 委員長が理事長(市長によって任命されたもの)、委員は、(1)事務局長の職にあるもの(・・・事実上、市長・市当局により任命されたもの)、(2)副学長の職にある者(・・・理事長および副理事長としての学長による任命なので、これまた市当局の意向下にあると考えられるもの)、(3)外部理事または学識経験者等(・・・これまた、誰が任命するかが明確に示されていないが、法人がどこかからつれてきた人物、その意味で、市当局の意向の下にある者)となっている。

教育研究の専門家はどこにいるのか?
教育研究の現場を知っているものがどこにいるのか?
どこに最先端の教育や研究で現場で苦闘している人がいるのか?
本学の学生と接触している人がどこにいるのか?
本学の院生と接触している人がどこにいるのか?
教育研究で日々精力をつぎ込んでいる人がどこにいるのか?
評価も不服審査も、素人・門外漢がやっては正当なもの・公平なものとならないのでは?
評価におけるピア・レヴュー原則を不服審査においても実現すべきではないか?
評価や不服審査において、大学の自治が大切にされなければならないのではないか?
裁判においてさえ、市民参加が求められる時勢ではないか? 大学教員集団における「市民」とは?

 教員組合は、管理職がはいる不服審査委員会では、そもそも公平な審査など望めない、ということで、不服審査委員会の構成を問題にしてきた。まさに、今回の委員会構成は、不服審査の必要条件・前提条件を満たしていない、一方的なものというべきであろう。

 これを見て、配布されたSDシートのあり方・記述項目とあわせるとき、教員の閉塞感・窒息感・意気粗相の思い(「これでは何を言ってもどうしようもない」との思い)が、つのるのではないか? 恐るべきシステムだと感じる。観念的か? 2007年度は、処遇への反映がない、ということで、不服も少ない(表面化しない)はず。

 さて、来年度は?
 若い人はやりきれない思いでいっぱいになるのでは? 定年まで残り3年未満となった私は、どうとでもなるとして、若い人が気の毒。思い過ごしか?
 過敏すぎるか? 今年度の評価にほとんどの人が満足して、不服申し立てをしないですむのなら、そんなに過敏になる必要はないか?

 95%の人が参加し、そこで「重圧感」のもとにあるのならば、われわれのようなものも同じ苦痛を味って、連帯して不服申し立ても積極的に行うべきか?

 昨年参加した人の実感、観念的でない意見を、どしどし組合に伝えておくべきでは?[1]

 そうした意見をバックにして、教員組合による不服審査委員会のあるべき姿の提案とその実現が、必要となろう。

 すでに寄せられた怒りの声によれば、たとえば、「対象は全教員」としながら、その除外者の第④のグループとして「年度末退職者等」とある。これはいったいどうしたことか?と。

 年度末退職者は、来年度処遇に関係ないので、その処遇との関係だけで「除外」する、参加しなくていい、ということかと。評価システムは、一方では大学の活性化といっているではないか、活性化が目的ならば、年度末退職者が目標を立て、それを関心ある人々が参考にし、刺激となって、「活性化」に資することもあるのではないか、と。

 また、管理職の権限が絶大な部局では、SDシート作成段階から評価の段階まで、相当恣意的なことが行われているようで、目標100%達成=B、目標110%達成=Aであるなら、自分はAのはずだと交渉したが、内容も読まないままでBとしてしまっている、と。他方、その管理職の覚えめでたい若手教員は、「沢山仕事をしている」との理由で、Aの評価を与えられていると。

 「上から」の覚えめでたく、A評価をもらった人が「不満」を漏らすはずがない。したがって、管理職(一次評価者、二次評価者など)との関係が良好な教員は、「寛大」(おお甘)な評価をされている可能性があり、実際に、ある関係者からは、そのデータを見たとの情報が寄せられた。A評価をした評価者のコメント部分が、不当な理由付けとなっていると怒っている。しかし、そうしたA評価のコメント・理由付けが公平かどうか、本人と評価者しか知らないとすれば、暗闇の中でのお手盛りが横行することになりはしないか?

 権力=権限と恣意的評価とが結びつくことが危惧されたが、すでにそれが発生しているようである。少なくともその教員は不服審査の申立てを行ったという。今後の成り行きを見たい。処遇と関係させるとき、深刻な問題と化するのではないか?
 
 不服審査の制度が機能するかどうか、一人では弱い立場であろうから、教員組合執行部(とくに委員長や書記長)にどしどし意見を寄せられることが望まれる。


2008年05月21日

横浜市大、現金授受で調査打ち切り表明

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080520-OYT8T00092.htm

証言食い違ったまま

 横浜市立大医学部の学位取得を巡り謝礼を受け取っていた嶋田紘教授(64)は19日、患者の家族から現金100万円を受け取ったとされる問題について、同大の事情聴取に「記憶にない」と答え、家族の証言との食い違いを見せた。…


2008年05月20日

横浜市立大学教員組合、教員評価制度に関する声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●組合ウィークリー 、2008.5.19

教員評価制度に関する声明

●平成20年度教員評価について

 平成20年度の教員評価制度について、その評価結果を翌年度の処遇に反映させるか否かは、教員組合と大学当局との協議事項であり、当局も認めているところです。したがって、教員組合との協議が成立しない限り、評価結果が処遇に反映されることはありません。
 法人化後の大学教員は、公務員の勤務関係とは異なって、民間企業と同様の雇用関係となりました。法令上、人事考課のあり方は労働条件の一部として労使交渉の対象ですから、労働者側の合意なしに教員評価結果を処遇に反映することはできません。
 教員組合では、当局とこの問題について折衝を重ねてきており、現在も折衝中です。
 なお、教員評価制度についてご意見を教員組合にお寄せください。

●教員評価制度に関する声明

 教員組合拡大執行委員会では、教員評価制度に対するこれまでの教員組合の主張と組合員から寄せられた声を「教員評価制度に関する声明」にまとめました。学長、理事長に提出し、現在当局が進めようとしている教員評価制度の問題点を指摘し、改善を求めます。

2008年5月15日

教員評価制度に関する声明

横浜市立大学教員組合

1 評価制度の根本的問題について
・教員評価制度は「学問の自由」を侵害する危険な内容である。知的ユニバースの一員としての社会的責務を果たすべき教員の研究について学長、学部長の立てた目標にもとづくこととなっており、さらに、具体的手続きにおいても、コース長等の評価者との面談における確認を要求し、目標変更に関しても同様の手続きを想定している。研究についての目標は、教員個々人が設定し、コース長等はアドバイスを行うにとどまるように改められなければならない。
・近年、大学内でのパワーハラスメントの問題が注目されるようになった。学長、学部長、コース長などの選挙制度をとっていない本学においては、教員評価制度がパワーハラスメントの道具として悪用される危険性が極めて高い。

2 評価制度の内容について
・評価対象となる事項については、被評価者としての各教員が自ら責任を負うことが可能な事項に限定される必要がある。しかしながら、それに反するものが存在する。例えば担当科目の受講者数はカリキュラム編成の如何に影響されるし、入試委員等の学内業務は各教員が主体的に決められるものではない。こうした個々の教員の権限の及ばない事項については評価の対象から除外すべきである。
・教員が学長、学部長等の指示をふまえて教育・研究・診療・地域(社会)貢献・学内業務に関する目標を設定し、期末に自己評価することとされている。各教員はこれまで自主的に、大学人として目指すべき理想と現実的な計画実現性とを勘案して目標設定を実施してきており、その具体的なあり様は個性に富んでいて多様である。したがって、評価目標設定における各項目のウエイトの設定について、教員が評価者等から修正を強制されるべきではない。当局はすでにこの点を基本的に認めているが、ここで再度確認する。
・評価者である学部長、コース長が、教員に先立って自分たちの「目標シート」を作成して例示すべきである。

3. 人事処遇との関係について
・評価制度の目的は、「大学全体の教育・研究を活性化し、教員一人ひとりが常に能力向上を図る」とされている。したがって、教員評価制度による評価結果をそのまま処遇に反映させることはできない。
・仮に、評価を賃金水準や再任の可否などの処遇と連動させるというのであれば、教員の職務内容について評価の対象となる事柄が、適切かつ公正に設定されねばならない。

4. 教員評価制度の修正・改善について

・教員評価制度においては、教育に関する事項が評価対象の一つとされている。教育に関する事項は教授会の管掌事項である。したがって、教育に関する評価項目・評価基準については、教授会または代議員会あるいはコース会議での審議事項でなければならない。
・当局は、教員組合の質問に対して繰り返し「実際の運用において生じる問題点は、引き続き検証し、見直しを行っていく」旨の回答をしてきた。平成19年度の教員評価に関していかなる検証を行い、平成20年度にどのような改善・修正をすることになったのか、十分な説明が必要である。


2008年05月19日

横浜市大、週明け聴取へ 患者側から教授に現金

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080517-OYT8T00083.htm

 横浜市立大医学部の学位取得を巡り謝礼を受け取っていた嶋田紘教授(64)(3月末で医学部長退任)が患者の家族から現金100万円を受け取っていたとされる問題で、同大は16日、週明けに嶋田教授から事実関係について事情を聞くことを決めた。この問題は16日の市議会委員会でも取り上げられ、横浜市は「(事実なら)倫理的な問題がある」との認識を示した。…

2008年05月14日

横浜市立大学の学位審査等に係る調査について 中間取りまとめ報告書

横浜市立大学
 ∟●横浜市立大学の学位審査等に係る調査について 中間取りまとめ報告
 ∟●「横浜市立大学学位審査等に係る対策委員会」の中間とりまとめ報告について

横浜市立大学の学位審査等に係る調査について
中間取りまとめ報告書

1 中間報告にあたって

 当委員会は、横浜市立大学大学院における学位審査の問題等について、事実関係の調査並びに再発防止策の策定などを早期に行い、大学の信頼回復を図ることを目的に設置された。
 これまで委員会を4月11日、17日、25日の3回開催し、医学研究科の学位審査における金銭等の授受に関する調査結果について、委員会における議論を踏まえ、中間報告としてまとめた。

 調査にあたっては、委員会に調査部会を設置し、調査部会による調査結果をもとに委員会において事実関係の解明に取り組んだ。
 調査部会による調査は、平成16年度から平成19年度までの間、学位審査に関係した教員に対する聞き取り調査と平成16年度から平成18年度までの間に学位を取得した者に対する記名式アンケート調査により実施した。
 調査は、学位審査に係る金品の授受及びその理由を中心に実施し、調査対象である61名の全教員への調査を行うとともに、学位取得者についても、226名のうち102名から回答を得ることができた。
 この102名は宛先不在で返送された51名を除く調査対象者の約58%を占めており、半数を超える対象者から回答の協力を得た。
 調査部会の調査は、任意の調査であるため、学位取得者の中に多くの未回答者がいることや教員調査と学位取得者アンケート調査との間に不一致があるなど、一定の限界はあったものの、医学研究科にお2ける学位審査に係る状況については、概ね実態を把握することができたものと考えている。

 金銭の授受に関しては、調査対象となった教員のうち、16名から「金銭を受け取ったことがある」という回答があるとともに、「金銭を受け取ったことがない」と回答した教員においても、20名から「金銭をもってきたが、受け取りを断ったことがある」という回答があった。
 今回、金銭の授受が確認された事例は、以下のようなものであった。…

2008年05月12日

横浜市大の学位謝礼問題、告発医師が専門外の診療科に異動

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080510-OYT1T00823.htm

 横浜市立大医学部の学位取得を巡る謝礼授受問題で、同大コンプライアンス(法令順守)推進委員会に内部通報した医師が、神奈川県内にある病院の専門外の診療科に4月1日付で異動していたことがわかった。…

横浜市大謝礼教授 パワハラ・セクハラ疑惑

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008050902009910.html

 学位審査をめぐる金銭授受が判明した横浜市立大学の嶋田紘前医学部長(64)からパワーハラスメントやセクハラ(性的嫌がらせ)を受けたとする申し立てを、部下だった女性医師が同大ハラスメント防止委員会(防止委)に提出していたことが九日、分かった。申し立てから四カ月近く経過したが、調査結果は女性医師に届いておらず、大学側の調査姿勢を疑問視する声も出ている。…

2008年05月08日

横浜市立大学教員評価問題、審査の信頼性を失わせる点で謝礼授受問題と同じ

大学改革日誌
 ∟●最新日誌(5月7日)

 学位審査(学位論文の評価)問題を一般的な業績審査(業績評価)問題と関連させてみれば、全教員にかかわる問題として浮上しているのが、教員評価の問題である。

 教員の業績をどのように評価・審査するのか、誰が評価・審査するのか、これが問題となる。

 お手盛り評価・お手盛り審査はだめ、内部の権力者による評価・審査(恣意的・非客観的な評価・審査)はだめ。「お手盛り」や「恣意的評価」は、「便宜供与」と本質的な意味合いにおいて違うものか?

 今問題になっている医学部関連で言えば、親子関係、親類関係で学位審査を行ってはならない、それは学位審査の信頼性を崩壊させる、とすれは、管理職による非公開評価はどうなるか?

 SDシートなるものが昨年、当局の非常な圧力の下で強行されたが、Self Developmentの諸項目の妥当性・問題性、それを管理職の第一次評価者、第二次評価者が評価することの問題性・妥当性、業績評価の客観性と恣意性などが、論点となる。業績を評価しているのか、管理職の第一次評価者・第二次評価者との相性のよさ、彼らへの従順さの度合いを評価しているのか?

 昨年度は、「処遇には反映させない」という当局の説明の下に、したがって、その限りで、各教員の「Self Development」に資するため、という正当化理由で、多くの教員が参加した。しかし、当局は、その参加率の高さを背景に、マイノリティとしての不参加者をいけにえにして、問題の多いSDシートを処遇にまで反映させる素材にしようとしている。SDシート提出者には昇給を行うが、不提出者にはペナルティとして昇給を行わない、というのである。

 この当局提案は、昨年度に関しては、団体交渉における当局の言明・約束をすら否定するもの、労使交渉の信頼関係を根底から破壊するものとして、団体交渉の場での強い抗議を受けて、撤回した。しかし、SDシート提出と昇給とを結び付けようという方針はまだ撤回されていないようである。

 その取り扱いは組合の団体交渉に任せるとして、問題なのは、SDシートを素材に、教員評価を行っていいのかということである。

 教員評価と処遇とを結びつけるのは原理原則としてありうることである。しかし、SDシートはまさにその教員評価という主目的からはは不適切きわまる。客観性、公開性の点で、SDシートはまったく必要条件を満たしていない。SDシートを見ることができるのは書いた本人と第一次評価者、第二次評価者など管理職だけである。管理職のSDシートは全員公開すべきだと思うが、それは行われていない。

 教員の仕事の客観的データとしては、法人化後、全教員の所属する研究院によって作成れている研究業績目録がある。これは公開であり、誰がどのような仕事をしたか、誰でも検証できる。しかも、この研究業績目録は、狭い研究だけではなく、社会貢献や外部資金獲得に関するデータも掲載されている。各教員が自らの研究に基づいて行っている活動とその成果が、この公刊された目録ではっきりわかるのである。このデータをこそ、処遇と結び付けるべきであり、その仕方を検討すべきである。

 大学教員のように非常に専門分野が違い、研究の評価が難しく、だからこそ学問の自由、研究教育の自由の原則からしても、ピアレビューこそが確立されなければならないところで、「処遇差別」を手段に、管理職のコース長や学部長といった内部者が第一次評価者、第二次評価者として、評価(審査)を行うことは根本的に問題である。「賄賂」と「謝礼」の区別以上に重大な問題を、大学の研究教育に及ぼすというべきだろう。
 
 「大学教員の評価の基本は、まず研究です。良い研究ができない教員は、良い教育はできません。そこで、研究評価を、より厳密化させていくという方向を目指す」べきで、「多岐にわたる、きわめて専門性の高いそれぞれの研究分野を、一次評価者、二次評価者が十全に評価できるはずなどありません」と言うのは、正論である。SDシートを処遇にまで反映させる評価シートとしてしまおうとするのは、時代錯誤であり、「外部評価こそが重要だ」とする時代の認識に反するものである。大学人の見識が問われている。

 SDシートは、主観的なものであり、その形式を埋めるだけならば、一時間もあれば、形だけは整えることができる。「作文がうまいものが得をする」と。

 それに反して、研究業績目録に掲載される業績の場合は、どれひとつとっても何時間も、何十時間も、いや何ヶ月、何年もの研究蓄積が必要なものである。この大学教員の本来的な仕事を客観的なデータに基づいて評価するシステムをこそ構築すべきである。

 処遇差別(当面、1号差別)を強引に押し付けようとすれば、仕事時間1時間なにがしかの作業量として、多くの人は割り切って、形式を整えるだけである。こんなことがまかり通っていいはずがない。いや、当局にとっては、形式だけが必要なのか?


2008年05月07日

横浜市大、別の教員にも謝礼授受広がる…中間報告を公表

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080502-OYT1T00702.htm

 横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る謝礼授受問題で、同大の学位審査対策委員会は2日、教授と准教授ら16人が少なくとも大学院生らから総額約570万円を受け取ったとする調査結果(中間報告)を公表した。…

[同ニュース]
横浜市大:医学部長謝礼問題 嶋田教授が5割 対策委、教授らの公表拒否 /神奈川
横浜市大…謝礼授受中間報告
教授ら16人、570万円受領 横浜市大学位問題 前医学部長は300万円
横浜市大:医学部長謝礼問題 教授が金銭要求 調査に院生回答
教授名 大半明かさず
教授側から金銭要求も 横浜市立大謝礼金・中間報告
中間報告に金銭授受の氏名公表なく/横浜市大学位謝礼問題
嶋田教授1人で300万円/横浜市大謝礼金
横浜市立大:教授から「金銭要求」 学位謝礼金で院生証言
横浜市立大の学位謝礼金問題 教授ら16人が計573万円受領
前医学部長以外も現金受領=教授ら15人、院生から270万円-報告書・横浜市大
教授ら16人が計573万円受領 横浜市大医学部
横浜市大教授ら16人、学位取得謝礼で500万受領認める
教授ら十数人が数百万受領、学位取得で横浜市大医学部
横浜市大博士号問題、教授ら16人が計500万円受領
横浜市立大:学位取得で謝礼500万円 教授ら15人も
16人の教授ら、学位謝礼で金銭受領
横浜市大学位取得謝礼金問題/嶋田教授ら計16人計500万円受け取り
横浜市大、学位取得謝礼として16人が500万円受領

2008年04月30日

横浜市立大学教員組合、大学の問題点に関する教員組合声明

横浜市立大学教員組合
 ∟●「教員組合週報」2008.04.28

●学長と会見し、「大学の問題点に関する教員組合声明」を手渡しました

 4月23日(水)午前10時からおよそ1時間30分、榊原執行委員長と高橋書記長が、4月から新しく就任した布施勉新学長と学長室で会見しました。
 学長からは、地方自治体の監査制度の改革により、外郭団体も含め、監査の際に会計だけでなく業務の意義も問われるようになったこと、また、地方分権の推進に伴って公立大学に自治体のシンクタンク的役割が求められるようになることなどの話がありました。本学に関しては、次期中期計画作成のための検討をはじめること、経営からの教学の分離が一定程度必要であること、テニュア制の検討の必要性について話がありました。
 ところで、「経営からの教学の分離」については、国立大学法人法においても教学と経営がそれぞれ教育研究評議会と経営協議会によって担われており、伝統ある有力私立大学では教学と経営の分離が確立していることからすればあまりにも当然のことです。しかし、法人化後の本学では、これまで一般教員の意見や思いが「経営」に蹂躙されてきました。昇任人事については、まさに「経営判断」という文言で希望が拒絶されました。
 もっとも、本学の場合、市職員は行政は知っていても経営の知識や経験はないので、「教学と経営の分離」ではなく、「教学と行政の分離」と言うべきでしょう。独立行政法人化は本来、組織特有の目的を効率的に実現するために、行政から組織上切り離すものです。したがって、大学の「経営」者には、教育や研究についての専門的知識と、それをふまえた経営マインドが必要なはずです。国立大学や有力私学の経営陣はふつうそれにふさわしい識見を有していますが、そのような経営陣に対しても、教育研究面では教学が独立しているのです。大学の教育・研究も経営も知らない「行政」が本学の組織運営の実権を握って、教学側の主張に聞く耳を持たないのであれば、法人化の趣旨に逆行するものです。
 なお、教員組合からは、主に任期制の問題、TOEFL(PE)の弊害を強く指摘し、下記のような「大学の問題点に関する教員組合声明」を手渡しました。
 

大学の問題点に関する教員組合声明

横浜市立大学教員組合

 横浜市立大学は、2005年4月の法人化の際に、教育組織、管理運営組織とも大幅に変革されました。法人化の際の変革に対して、旧各学部教授会や教員組合から様々の反対声明が出されましたが、教員の反対を押し切って「改革」が強行されました。
 法人化から3年を経て、強引な「改革」による様々な弊害が明らかになっています。教員組合の主な目的は労働条件の維持向上ですが、大学教員の組合である以上、学生の教育に大きな問題が生じ、時がたつにつれて深刻化していることに、大きな憂慮を抱かざるを得ません。
 カリキュラムや非常勤講師を含む教員人事に関する権限が教授会から剥奪されたため、大学教育の改善のために、教員ができることがらがきわめて乏しくなりました。そればかりでなく、教員同士で大学のカリキュラム等の改善策を話し合って決める場も、公的には失われました。
 教員の中から代表者を選んで組織する教員組合が、今や教員の意見を集約してアピールできる希少な組織になってしまいました。
 そこでこのたび、教員組合は、現在の学内における問題のうち、多くの教員が共通して憂慮していることがらをまとめました。問題は様々ですが、学生教育と教員人事に関するもので特に深刻なものを以下に列挙します。
当局に対して、これらの問題の改善を強く要望するとともに、問題の解決のために、一般の国立大学や伝統ある有力私立大学と同様の権限を教授会に復活させることを要求します。

1)TOEFL、PE 
 この問題は、学生の精神状態に悪影響を及ぼしている。留年、仮進級した学生の中に、徐々に大学に来なくなるケースが少なからず見られる。
 留年した場合、奨学金の支給を止められるので、自宅外学生の場合は、勉学を続けていくことが経済的に困難となる。
 PEに合格した学生の場合でも、英語の勉強に時間的・精神的に追われて、充実した生活を送れなかったという者も少なくない。
 学生中心と言いながら、学生に不安を与え、学生の大学生活に過度の負担を強いている。
 TOEFLなどPEの合格者が8割にしか至らなかった。3年生段階で2割の学生が留年となることは異常であり、早急に改善を必要とする。 

2)カリキュラム
 新学部のカリキュラムでは、専任教員の減少、非常勤講師の削減、演習の増加等々の事情により、学生が履修できる講義科目が減少している。
 「副専攻」制度を標榜しているが、副専攻の演習をとることができないのでは「副専攻」とはいえない。
 同一コースで20単位以上修得しなければ副専攻コースの科目の単位が卒業単位にならないために、学生が学びたい授業をとれるようになっていない。
法人化以前はカリキュラムの編成を教員間の話し合いによって決めていたが、法人化以降、カリキュラムの決定に教員の意見が反映されなくなったため、学生の要望に応じて科目を新設・変更することがほとんどできなくなっている。
 各コースのカリキュラムは、ゼミなどで学生と日々接触して、学生の意見やニーズを日常的に把握している教員の意見に基づいて編成されなければならない。共通教養会議も含めて、カリキュラムは、授業担当者が参加するコース会議で決めるべきである。

3)人事
 任期制教員は雇い止めになる不安が大きく、安心して教育研究ができない。
 任期制に同意しないと昇任させないという方針をとっているため、優秀な教員の他大学への流失が続出している。
いつまでも任期雇用をくり返すシステムのため、教員が定着しにくく、優秀な教員が他大学に転出していく。
 新採用教員を任期制で募集するため、すでに任期のないポストに就いている他大学・研究所等の優秀な教員が応募するケースが極めて乏しくなっている。
 定年退職教員、転出教員の後任の補充が少ない。
 文科省に届出た科目すら担当者がいないまま何年も放置されているケースが少なくない。
 大学教員の教育研究業績は、当該学問分野に関する専門的な学識を持つ人間でなければ評価できないにもかかわらず、本学における採用、昇任人事の決定には、そのような力量をもたない者が関与している。

4)教員評価制度
 大学教員に対する評価制度は、一部の大学で試行・導入が始まっているが、本学の場合は、任期の更新とかかわるため、他大学の制度を安易にまねたものを導入することは許されない。
 教員の職能成長のための評価制度と、給与・処遇のための評価制度とは別物である。
 法人化以前から大学に勤務していた教員に対して、法人化の際、「普通にやっていれば再任される」といって任期制に同意を求めたのであるから、本学人事当局は「普通にやっていれば再任される」人事システムを構築しなければならない。
 他大学の場合、一次評価者である学部長は学部教授会が選出し、2次評価者も教授会から選ばれた代表者によって選出される。しかし、本学の場合、学部長、研究科長、コース長とも、教員の意向を反映することなく任命される。したがって、本学において教員評価制度を実施した場合、本来の目的からかけ離れ、長のパワー・ハラスメントの装置として機能する危険性、自由闊達の雰囲気を抑圧する恐れが大きい。

5)大学運営
 学部長、コース長に、同じ人物を上から選任し続けることは問題である。
学部長、コース長は、教員の選挙によって選出すべきである。学長の選考も教員全体の意見をふまえて行うべきである。
 あらゆる組織には、チェック・アンド・バランスのシステムが必要であるが、本学ではそれが存在あるいは機能しているとは言えない。
教員人事、カリキュラムなど教育研究に関するものは、教員間で協議し、情報を共有して、教員主体で決めるべきである。
 法人化後、大学における意思決定が少数の関係者だけで行われるようになるとともに、教職員が関連の情報にふれる機会が乏しくなった。意思決定手続きの公開性・透明性を徹底し、だれがどのような権限と責任にもとづいていかなる決定を行ったかが教職員に明確にわかるようにせよ。