全国
 カテゴリー 2012年02月

2012年02月22日

専修道短大不当解雇事件、教授ら即時抗告

■北海道新聞(2012年2月22日)

専修道短大 系列大へ異動要求
教授ら 留年学生対応も訴え

 専修大学北海道短期大学(美唄市、寺本千名夫学長)が本年度末で閉校し、教員24人全員を解雇する問題で、同短大教授らが21日、札幌市で記者会見した。教授らは系列の他大学への異動を認めるよう求めるとともに、留年が決まった学生の4月以降の対応が学校法人専修大学(東京)から示されていないと主張した。

 会見した山田正範教授によると、学生4人んの留年が決まり、うち2人は新年度以降も学ぶ意思があるという。「学校側は学ぶ機会を用意する責任がある。大学法人からは何の説明もない」と批判した。

 教員24人のうち専修大への再採用は5人で、8人が専修大学移ることを希望したが拒否された。このため昨年12月に札幌地裁に地位保全を求める仮処分を申請したが、札幌地裁は今月20日付で、学校法人側が解雇方針を伝えただけで法的な解雇手続きに入っていないことを理由に却下。8人は即時抗告した。
 
 専修大広報課は「留年する学生が出ると短大側から正式な報告を受けていないため、コメントできない」と話している。


高知県議会:知事、高知短期大廃止表明 「県立と工科大で機能担う」

県議会:知事、短大廃止表明 「県立と工科大で機能担う」--定例会開会

 2月県議会が21日開会し、尾崎正直知事は高知短期大(高知市永国寺町)について、「組織を維持するのでなく、その機能を発展させながら、県立大と高知工科大に引き継いでいきたい」と初めて廃止の方針を表明した。県私学・大学支援課によると、県議会が廃止を承認した場合、15年度から学生募集を停止することになるという。【小坂剛志】

 高知短大は夜間大学の役割が高まっていた1953年に開学。短大と県立大を運営する県公立大学法人(南裕子理事長)は昨年12月、県立大の文化学部を拡充して、短大を「発展的解消」させるという考えを県に示した。

 15年度には高知工科大の社会科学系新学部が、短大のある永国寺キャンパスに開設される予定で、県は今年1~2月、短大の「発展的解消」について県民から意見を募るパブリックコメントを実施。113人から173件の意見が集まり、「短大は重要な学び場」(50件)▽「短大は働きながら学ぶことができる」(32件)▽「4年制は学費の負担が大きい」(34件)--など廃止に反対する声が相次いだ。

 尾崎知事はこの日の県議会で「短大の機能については県立大と高知工科大で十分担うことができる」と強調。

 その理由としては、県立大と高知工科大の2大学とも、経済的に就学が困難な人のための授業料減免制度があり、日本学生支援機構の奨学金制度も拡充してきている▽2大学に大学入試センター試験を必要としない社会人特別入試制度を設ける▽夜間や土日に受講し、4年間で学士の資格を取得する仕組みを県立大につくる--などを挙げた。また、「4年制大学であることによって幅広い分野で専門性の高い教育ができる」と述べた。

    ◇
 提出議案は、総額4340億8800万円となる来年度(12年度)一般会計当初予算案など86件。永国寺キャンパス整備費として、1億1800万円を計上している。会期は3月16日までの25日間で、一般質問は2月28日~3月2日。

 ◇学生ら存続へ署名活動

 高知短大を「発展的解消」するという県の方針に、短大に通う学生からは不安の声が漏れた。

 短大廃止への動きを受けて、卒業生らでつくる「高知短期大学存続を求める会」は昨年12月から署名活動を開始。同会によると、1月27日に署名1万5500人分を県に提出した。さらに今月14日には、短大の学生11人が尾崎知事と面談。新たに集めた8845人の署名を手渡し、廃止決定の延期を求めたという。

 昼は森林総合研究所四国支所に勤めながら同短大に通う杉本育己さん(53)=高知市=は、「夜間の4年制大学になると授業料は支払えない。また履修に時間もかかるため、仕事に支障が出る。将来の若者たちの学ぶ機会を奪わないでほしい」と訴えた。同会は今後も短大の存続活動を続けていく予定。

東北大総長が研究論文で不正行為か JSTが指摘

テレ朝

東北大総長が研究論文で不正行為か JSTが指摘

 東北大学の井上明久総長の研究論文に不正疑惑が浮上している問題で、研究費を提供したJST=科学技術振興機構は、「研究に不正があったかどうかの調査が必要」とする異例の報告を公表しました。

 JSTは、井上総長の「金属ガラス」という新素材の研究に対し、17億円の研究費を提供してきました。しかし、研究内容に疑問を抱く東北大教授らからの告発を受け、去年から調査を始めました。今回の報告書では、金属ガラスの作り方や特徴を明らかにした成果はあったとする一方、実験データの使い回しや論文に二重投稿があり、「不適切な研究行為」としています。そのうえで、JSTは、この研究が不正行為にあたるかどうか、東北大などによる公平な調査が難しい場合は、第三者による調査が必要だとしています。二重投稿については、東北大が外部に委託した調査でも先月、「不適切で遺憾である」とする判断が出ています。


2012年02月18日

驚くべき学校法人専修大学の無責任ー留年生・在学生がいても教員全員を解雇

北海道私大教連
 ∟●専修短大解雇撤回闘争特集(1)2012年2月13日(月)

驚くべき学校法人専修大学の無責任~留年生・在学生がいても教員全員を解雇
専修大学法人が強行しようとしている募集停止・廃校、もう一つの大きな問題点

 学生募集の「停止」は、基本的には理事会が決めてしまえば文科省に対する届出(報告事項)で事済まされる仕組みです。必ずしも教授会等での決議が義務付けられているものではありませんが、文科省は「社会的な影響が大きいことに鑑み、…学生、教職員等関係者の理解を十分得るよう努めてください。」(「私立大学等の学長決定及び公私立大学等の学則変更等の届出について(通知)」)と指導しています。その一方で、募集停止後の「廃止」(廃校)については許認可事項となっており制度上のちぐはぐ感を否めませんが、在学生が全ていなくなった後で文科省へ提出すべき「廃止認可申請書」には、理事会の決議録等のみならず、教授会の決議録(議事録)添付も必須とされています。
 専修道短大の募集停止手続きで、学長に無断で学長名にて専修大学が文科省へ提出した報告書によれば、学生等の今後の取り扱いについて「専修大学北海道短期大学は、在学生が卒業するのを待って廃止する予定である。なお、廃止するまでの間の在学生への教育条件の維持には万全を尽くすこととしたい。」と明記しています。大学・短大の廃止認可に当たっては在学生が全ていなくなることが絶対条件ですから当然の記述といえます。
 しかし、年度末を控えた現段階において留年者が生じることがほぼ確定的となり、かつ、当該学生が次年度履修の意向をもっていることが明らかになってきているにもかかわらず、法人側は四月以降の対応について「まだ白紙である」「これから具体的に検討する」(教員「仮処分審尋」等での主張)などと、募集停止報告書の記載と全く矛盾する姿勢をあらわにしています。
 留年生を「卒業」させるまで短大を廃止しない、というのは先述のとおり法人側が明言したことであり、学生にとっても大切な権利です。そのためには大学・短大設置基準通りの教員(学科単位で最低七名、うち三割以上は専任教授)配置が必要ですが、法人側は目下、教員全員の解雇(解職)手続きを「粛々と進める」と表明しています。そもそも教員を全員解雇して四月以降の在学生への「廃止するまでの間の在学生への教育条件の維持に」どう万全を期するのでしょうか。何より、四月以降在学の可能性がある学生に対してこの期に及んでも「募集停止、閉校」という情報以外、何ら責任ある説明が行われていません。次年度以降、短大を存続する気があるのかないのか明らかにせず不安に陥れていること自体が「在学生への教育条件維持に万全を期す」と言い放った法人側の姿勢としていかがなものなのか。
 どの角度から見ても理事会側主張の矛盾点が際立ってきました。学校法人、それも大手法人のやり方とは思えない、極めて重い社会的責任・資質が問われるのが学校法人専修大学でのきわめて乱暴な短大廃止であり、全員解雇路線です。
 この経過を見ただけでも、募集停止・廃校・解雇を主導し、「理事長からの全権委任」を豪語し続けている学校法人専修大学の実質トップ、富山尚徳専務理事(専修大学松戸中高校理事長)が学校法人経営の資格を欠いていることは明白です。
 次回、法人側との団体交渉では雇用・解雇問題はもとより、これら一連の問題を中心に「短大の存続」を強く要求します。  (書記長記)

  

専修道短大不当解雇事件、仮処分裁判が本格的に開始

北海道私大教連
 ∟●専修短大解雇撤回闘争特集(1)2012年2月13日(月)

学校法人専修大学は雇用と社会に対する責任を果たすべき。人間の使い捨てをやめよ!

 私たちの加盟組合であり今年度末閉校と「全員解雇」が迫られている専修道短大(学校法人専修大学・日高義博理事長)での解雇禁止等を求める八名の教員の仮処分裁判が本格的に開始しました。

 二月七日に札幌地裁で行われた第一回審尋では、理事会側代理人が団交等で繰り返し今年度末の「(雇用関係の)合意解約に応じなければ解職」を明言してきたにも関わらず「法的手続き論においては、まだ解雇をするともしないとも明言していないので債務者(教員側)が主張する被保全権利は存在せず」しかし「(解職)手続きは粛々と進めていく」などと法規をもてあそび、自ら雇用する教員の生活権に対する責任を全く顧みようとしない学園側の極めて不誠実な姿勢が目立ちました。
 本裁判へ向けて全面対決の様相です。(因みに、相手方代理人弁護士の筆頭は専修大学内に事務所を置く「今村記念法律事務所」所長。学校法人専修大学の理事・評議員で法科大学院の教員も務める人物といいますから呆れます。)
 長期化が予想されるこの訴訟対策に関連して、書記局では文科省へ直近の大学短大の廃止事例に関する資料を情報開示請求していました(大学・短大の廃校時には文科省へ「廃止認可申請書」を提出します。「教職員の処遇」記載欄があります)。
 この資料(次号で掲載します)によれば、経営困難法人ではない限りは教職員の整理解雇が行われていないこと。系列校がある場合は配置換えにより雇用が継続されるケースが圧倒的であることが明らかになっています。専修大学のような大手法人で部門閉鎖による整理解雇が行われた、という事例はなく、専修道短大での法人側の暴走が全国の私学教職員の雇用・権利を死守するための「堰」を切るか、切らせないかのたたかいであることが浮き彫りとなってきました。
 道私大教連として以後の対策・支援(団交支援や激励集会、学習会等)については次回、道私大教連執行委員会(二月二九日18:30~)で一気に具体化します。
 今後ともご注目いただき、多くの皆様のご指導ご支援をよろしくお願いいたします。


「嶋田ミカさんの雇用継続を求める会」、和解報告会について報告

 大変遅くなりましたが、2012年1月16日の和解報告会について報告します。

 平日のお忙しい時間帯にもかかわらず、会場には60名を超える方々が来てくださいました。
 弁護団から和解の内容、和解の持つ意味の説明がありました。特に使用者が初回更新時の更新を拒否したことを撤回し、事実上の「職場復帰」を実現する和解内容であったことは、最近の非正規労働者に対して厳しい司法判断が続き、また、勝訴しても金銭解決にとどまり、職場復帰を果たせない事例が多い中では、画期的であったとのことです。続いて、支援してくださった龍谷大学教職員組合員長、京滋地区私立大学教職員組合書記長、大学非正規労働者の雇い止めを許さない関西緊急集会実行委員会、裁判での証言実現には至りませんでしたが、原告側証人予定のお二人からの話、質疑応答に続いて、最後に当会代表田中宏が、当事者が声を上げることの重要性を話し、報告会は終わりました。引き続きの懇親会では参加者が一言ずつそれぞれの想いを語りました。支援者の皆さんの祝福の気持ちにあふれた温かな会でした。

 報告会の様子は、京都民報で詳しく報道されましたのでご覧ください。(http://www.kyoto-minpo.net/archives/2012/01/17/post_8479.php
 また、会のHP(http://skoyokeizoku.jimdo.com/)にもUPしています。
 嶋田さんは1月25日から龍谷大学アフラシア多文化社会研究センターのリサーチアシスタントとして、職場復帰を果たしました。温かく迎えていただき楽しく働いています。

 次に第3回「なんで有期雇用なん!?」集会のお知らせです。今年の集会では嶋田さんが勝利和解の報告を行います。関西の大学には今年度末もまた、雇い止めに瀕している仲間がたくさんいます。彼らを支えるためにも、皆さんのお越しをお待ちしています。

■日時 2012年2月25日(土) 13:00~16:30(12:30開場)
■会場:京都精華大学 明窓館M-104 参加費:1000円+カンパ
■集会内容:◇現場報告 ◇模擬団交 ◇ゲスト発言 ◇ビデオ上映 ◇有期雇用法制について

◆集会終了後、出町柳駅前から京都大学正門までデモ行進(17:30頃スタート)。
◆18:30頃から、京都大学構内の「文学部学生控室」にて軽食と飲み物で交流会。
 詳しいことは、なんなんブログhttp://nandenan0227.blogspot.com/をご覧ください。
★嶋田さんが呼び掛け文を書いたチラシは[こちら]からダウンロードできます
https://docs.google.com/open?id=0B3Lu3ytZOfEQZDU0ZWFhYjctY2EyZi00MDU4LWE5NWMtNDk5MzE0ZGRhMTFi


図書紹介、『立命館の再生を願って』

 総長理事長室長だった鈴木元氏が「立命館の再生を願って」を出版し、立命の現状をかなり詳細に公表しました。
amazon: http://amzn.to/xY4ajF

立命館の再生を願って

目次

はじめに 3
第一章 立命館の歩んできた道 23
(1) 立命館の創立、立命館禁衛隊、「京大事件」(瀧川事件) 23
(2) 末川博総長の誕生と全構成員自治の確立 29
(3) 「同和問題」、大学紛争に直面しての新しい問題 37

第二章 大学紛争を克服して 47
(1) 私立大学問題と私学助成 47
(2) 立命館における改革の開始 54
(3)成果を生んだ教訓と問題点 62

第三章 新たな前進を目指しての模索 72
(1)次の前進に向けて、解決を迫られていた課題 72
(2) 新しい学園運営の改革を求めての模索 90
(3) 到達点がつくり出している新しい問題 107

第四章 混乱のはじまり 128
(1) 一時金問題 128
(2) 「人事問題」と「2006 年総長選挙」 138
(3) 「退任慰労金」問題 146
(4) 「特別転籍」問題と「裏切り」 157
(5) 「一時金問題」の解決を巡って 174
(6) 「迎合」ポーズ 168
(7) 総長理事長室の廃止 172
(8) 「学園憲章」「中期計画」を巡って 174
(9) 2008 年、評議員選挙における違反行為 181
(10) 「慰労金問題」の解決を巡って、長田理事長に辞職を勧告 184
(11)「足羽問題」 187
(12) 岐阜市立商業高校合併問題 199

第五章 茨木キャンパス問題 205
(1) 衣笠キャンパス狭隘克服なのか、立命郎大学3分割なのか 207
(2) キャンパス問題の原則 211
(3) 浮上した疑惑 216
(4) 全学合意と理事会構成について 227

第六章 引き続く異状事態 233
(1) 川口総長、見上副理事長が長田理事長に退任を求める 233
(2) 「「権力にしがみつく人間」」を公言し、学外理事に担がれた長田理事長 235
(3) 政策科学部と経営学部の2015年茨木移転決定 239
(4) 大分国際交流会館購入の提起 243
(5) 茨木市との「基本協定書」ならびに「覚書」の締結 247
(6) 「「山之内』は購入しない」ことを決定 249

第七章正常化と再生をめざして 263
(1) 事態の正常化が第一の課題 264
(2) 理事会構成と選挙基盤の改革 268
(3) 総長選挙規程の改定 280
(4) 学部長理事の責任と教職員組合などの役割 283
(5) 教学改革の方向 298
(6) 教学(教育・研究)を支える財政 320

最後に 306
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
p14 出版にあたって

私は、かつて学生時代、大学紛争において「命をかけて学園の正常化に努めた」校友の一人として立命館を愛し、その発展を心から願う点で人後に落ちないと思っている。そうして総長理事長室主長として学園の中枢にいた一人として、今円の異常事態について、本文で記載するが少なからずの責任を感じている。そうした二つの見地から本書は「もう一度、立命館に元気になってもらいたい。再生してほしい」との願いから記した。

その際の私の立場は、大学紛争後、専務理事そして理事長であった川本氏等の立命館の指導部が明快な理念を掲げて教職員と団結して改革を進め、大きな前進を実現したことを正確に評価する。その上で、成功の陰にあって進行していた弱点が2005 年以来一気に吹き出し混迷・混乱に至ったことの教訓を引きだし、今後の立命館の再生のカにしていただきたいとの思いである。

また今回、立命館で起こったことは、予てから全国の多くの私立学校法人において教戦員、学生がぶつかっていた問題でもある。そこで私は、「改革の立命館」と言われていた立命館が、なぜ「あっと」言う間に混乱におちいり、全国の私立大学でよくある、”一部の理事が学外理事に依拠して専制的な大学運営を行うような事態になったのか”、ということを解明する。そのため日本の私立大学の歴史的経緯、私立学校法の問題点、克服の方向について私の意見を記し、立命館をはじめとする全国の私学関係者の生きた教材にしてもらいたいと思っている。

ところで本書を出版する前に、私は上記のように一年間、「理事ならびに関係者の皆さんへ」の文書を発表してきた。それに対していくつかの意見が寄せられてきた。それは本書に対しても予測されることなので、あらかじめ解明しておきたい。

一つは「立命館の恥を世間さらすのは許せない」とするものである。

前述したように、私は2009 年度は長田理事長への進言を口頭で済ませてきたが、残念ながら是正されなかった。そこで2010 年度は「理事ならびに関係各位へ」と題した文書で情報の提供と提言を行ってきた。そして今や長田理事長は立命館大学の教学機関では全く支持されない、就任してはならない理事長になっているにもかかわらず、学外理事と任命制の役職理事に依拠して居座っている。彼に退陣を迫るには、もはや社会的批判によるしかないと判断したのである。

二つ目は、「鈴木氏は総長理事長室室長として川本氏を支えてきた中心人物であり、その人が、今になって何を言おうが信用できない。まず川本氏を支えてきた事を自己批判すべきである」とする意見である。

(1)この論の前提には、川本前理事長時代を「全否定する傾向」がある。私はそうは思わない。彼には功罪がある。大学紛争の正常化にあたって大きな役割を果たし、大学紛争を正常化した全学の力と団結に依拠して改革を進め、ようやく多くの点で10私大に追い着き、立命館の社会的位置を今日あるところまで到達させた点で、彼の功績はきちんと評価しなければならないと思っている。しかし本文で詳しく叙述するように、次第に改革を全て自分の成果とみなすような態度をとるようになり、一時金カットのような反労働者的行為、自ずからの慰労金倍化にみられるような学園を私物化する傾向を示し、学園に混乱をもたらした。

人間はある瞬間に変わるのではない、徐々に変わっていく。今から見れば、川本氏は滋賀県と草津市から琵琶湖草津キャンパス(BKC) の提供を受け、理工学部の拡充を図るために産学連携を開始したころ、つまり専務理事から理事長に就任するころから、単なる「そういう傾向もあった」という段階から、大学経営を民間経営のように考え、教授会や労働組合などを敵視する考えに基づく行動へと質的に変わっていったのだと考えられる。

当時、川本氏と共に仕事をした人々の中に、彼の批判されておかしくない側面に気付いた人もいたし、時には論争した人もいた。しかし「功績第一」で根本的批判を行ったり解任を求める行為までには至らなかった。そのため川本氏の徐々の変化を止められなかった。これは急速に大きくなった組織に現れがちな弱点である。これを止める組織的保障は、選挙と任期制であるが、立命館はそうした近代的組織改革が遅れていた。

(2) 「しかし鈴木氏は川本氏の決定的な変質である一時金カット、慰労金倍額を決行した時の総長理事長室室長ではないか、その責任は免れない」とする意見である。

私は、自己弁護するつもりはない。しかし物事は事実に基づいて正確に把握する必要がある。後にも述べるが、私は総長理事長室室長であったが、学園に混乱をもたらす入り口となったこの三つの重要案件の事前の相談にも、議決にも、執行にも関わっていない。そして私は、長田理事長に一時金について和解することを進言していたし、慰労金について長田理事長の辞任と森島常務の解任を文書で求めている。私が反省しているのは、もっと早く、決断し行動すべきであったし、私の意見を公表してでも断固として止めさせる行動を取るべきであったということである。

この種の問題は、大きな組織の中にいる幹部として、長に異論を持った時の身の処し方の問題でもある。私は理事長に進言したり、文書で申し入れたが、当時公表しなかった。公表しておれば、違うことになっていたかもしれない。

この問題の難しいところは、一時金一カ月カットも慰労金支給基準の倍化も、理事会において特段の反対意見も出されず「可決」されたことである。つまり当時の常務理事を含め学部長理事の誰一人として、明確な「反対の意思」を表明されなかった。私は当時の事情を配慮して、慰労金問題について提案者である長田理事長、森島常務、そして川本前理事長、推進の議長を進めた川口総長の責任、とりわけ寄付行為細則に定められている常任理事会に諮らず直接理事会に諮った手続き上の瑕疵、一方で一時金をカットしておいて自分たちの慰労金は引き上げた社会的公正さに欠ける点などだけを追及し、学部長理事などの責任についてあえて追及してこなかった。今もその配慮は正しいと思っている。

しかし私が総長理事長室室長であったから川本氏などにアドバイスして実行されたなどという憶測は事実に基づかないし、正しくない。また、全ての常務理事ならびに学部長理事が反対の意思表明をしていない議題を理事でもない私が止めなかったことが問題であるとの批判は、組織の中に居る人間に対する批判としては適切でないと考えている。

そのような意見を述べるのなら、当時私に「川本氏をいさめてほしい」と忠告をしてほしかった。それもなく私に責任があるかのように言うのは、NHKスペシャルで放映された番組「日本海軍400 時間の証言」でも明らかにされたように、御前会議をはじめとする会議において発言権と議決権を持ち執行に責任を負っていた海軍の、幕僚・高級将校が、心中、日米開戦に疑問・反対を持ちながらも陸軍の責任にしたり、誰一人として反対の意思を表明しなかった事を「やましき沈黙」と報道されていたことと同じではないか。これらについては本文中でさらに詳細に検討している。

いずれにしても重要なことは、一刻も早く、立命館が正常化され、新しく前に進むようになってほしいことである。本書はそのために書いた。また全国の私学で学園の発展・改革のために奮闘している教職員、学生の皆さんの参考にしていただきたいと思っている。

もとより一個人が記す本であり、それが完全なものであるなどとは思っていない。しかし立命館と私学の歴史と実状を比較的良く知っている人間として、立命館の「再生の礎石」となる本、そして全国の私学改革の参考になる本を執筆する義務があると思って叙述した。

忌憚のないご批判は甘んじて受ける。同時にあくまでも現在の事態を打開するためにはどうすればよいのかという、建設的批判を期待したい。

なお本著では、立命館の創立以来の簡単な歴史、ならびに改革の経緯について述べることによって、この間の混乱の下地と、「改革の立命館」がいとも簡単に「混迷の立命館」に自壊していった要素を記述している。時間の無い人は、第一章、第二章は飛ばし、「第三章新たな前進を目指しての模索」から読んでいただき、必要を感ずれば第一章ならびに第二章を読むというやり方をされたら良いと思います。

2012 年1 月3 日 鈴木 元

続きを読む >>

2012年02月08日

北海道私大教連調べ、文部科学省へ廃止認可申請された全国大学・短大(40校)「経営困難に該当しない学園では解雇・解職の事例が見当らない」

北海道私大教連

 北海道私大教連書記局(書記長:小松直人氏)は,専修大学北海道短期大学教員の不当解雇事件の訴訟対策に関わり,2010年度~2011年1月までの間に廃止認可申請を提出した全国大学・短大の実態について文科省に資料開示請求を行い,特に「廃止認可申請」に伴って「教職員の処遇」がどうなったかを調べた。このほどその結果が一覧表の形で纏められた。

「H22年度~23年度(1月迄)に文部科学省へ廃止認可申請が提出された全国大学・短大の一覧」(htm版)
「H22年度~23年度(1月迄)に文部科学省へ廃止認可申請が提出された全国大学・短大の一覧」(PDF版)

 道私大教連は,40大学の調査結果から,重要な事実が明らかにできたと指摘している。すなわち,「経営困難法人ではない限りは教職員の整理解雇が行われていないこと」,「系列学校がある場合は配置換えにより雇用が継続されるケースが圧倒的であること」,また「専修大学のような大手法人で部門閉鎖による解雇が行われたという事例はない」という事実である。道私大教連は,「専修道短大の問題が全国の私学教職員の雇用・権利を死守するための「堰」を切るか、切らぬかのたたかいであることが浮き彫りになった」としている。

 上記に掲載した「文部科学省へ廃止認可申請が提出された全国大学・短大の一覧」は,今後増えるであろう大学の募集停止や廃校の際,労働組合の取り組みにおける貴重な資料となりうると考えるので,ここに掲載した。

文責:HP管理人

許されない専修大学法人、前代未聞の全員解雇

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●【専修大学道短大】新聞道私教組記事

【「新聞道私教組」12月号より記事】
許されない専修大学法人、前代未聞の全員解雇

 2010年4月、専修大学北海道短大の学生募集停止が発表された時点における教員数は26名。学校法人「専修大学」は全員を解雇する方針です。形式は「合意解約」や希望退職を装うものの、いずれにせよ言うとおりにしなければ解雇であると意思を表明しました。
 定年退職予定者と退職意思表明者(高齢の教員)は4名だけです。それ以外の22名の教員は2012年3月に職=生活のあてもなく路頭へ放り出されることになりました。この時になって教員組合は過半数を大きく超えました。将来への不安と法人の処置に対する怒りのあらわれでしょう。
 教員組合は専修大学および石巻専修大学への配置転換を要求し、雇用を継続するよう求めて団体交渉に入りました。だが、法人は私たちの切実な要求である教員職の保障を拒否し、代わりに専修大学の退職教員の補充人事を短大教員にのみ先行募集するというものでした。それは短大教員の採用を優先的に取り扱うものでなく、公募と同じ審査を先に実施するだけの話でした。しかも、短大教員が応募できない不適合科目も多く、実際に採用されたのは3名だけ。
 教員組合は専修大学の教員枠を拡大し、短大教員を吸収するよう働きかけてきました。
 法人のこうした対応のため他大学で職を求めざるを得ないと考えることは当然の成り行きです。そうした努力の結果、3名の教員が自力で他大学に職を得ました。
 今も「就活」を続けている多くの教員がいます。
 最近の動きとしては、東京の専修大学教員有志による尽力の甲斐もあって3名の教員を道短大向けで募集。2名が専修大学に採用されることになりました。しかしまだ14名の教員が行く先も決まらないまま年を越こそうとしています。そのうち9名が教員組合の組合員です。小さな子供を何人も抱えた教員、一人だけの収入で生活をしている教員がほとんどなのです。
 12月には、裁判所に地位確認の仮処分申請を行います。本格的な法廷闘争に入らざるを得ません。
 私大法人における前代未聞の整理解雇、その乱脈を許すことは出来ません。北海道の皆様の引続くご支援を心からお願いします。
(山本 記)2011年12月

【関連ニュース】専修大道短大教員組合 http://island.geocities.jp/hokutan_union/index.html


専修道短大教員が仮処分申請、校舎・学生どうなる 地元困惑

■北海道新聞空知版(2012年2月4日朝刊)

専修道短大教員が仮処分申請 校舎、学生どうなる 地元困惑「問題整理早く」

 本年度末で閉校予定の専修大学北海道短期大学で教員処遇をめぐる学内対立の解決は司法の場に委ねられた。「解雇方針は不当」として4月以降の雇用を求める教授らに学校法人専修大学(東京)が歩み寄る気配は今のところない。閉校に伴う校舎の活用策も決まらず、地元は困惑している。

 専修大学道短大の教員8人は昨年12月、法人を相手取り、地位保全を求める仮処分を札幌地裁に申請、今月7日に1回審尋の後、地位保全を認めるかを裁判所が決定する。これまで法人は希望退職に応じない教員に3月末で解雇する考えを示しており、配置転換を求める教員側に歩み寄る姿勢を見せていない。教員側代理弁護士は「最終的には訴訟になるだろう」と説明する。

 こうした中、3月末に予定通り閉校できるかという問題も浮上している。短大側によると、2年生141人が在学しているが、現時点で本年度のすべての単位を取得しても卒業できない学生が数人いるという。2月上旬に判明する期末試験の結果次第では留年者が増える可能性がある。

 同校は文部科学省に提出した学生募集停止の報告書に「(学校は)在学生が卒業するのを待って廃止する」と明記しており、同省高等教育企画課も「学生がいる限り閉校できない」と話す。法人側は仮処分申請や閉校時期について、事実関係は裁判の中で明らかにする」と述べるにとどめている。

 大学側の事情で閉校後の校舎の活用方法の検討も進んでいない。市によると、昨年12月22日に高橋幹夫市長らが東京の法人本部を訪問。市議会など4者連名による短大施設の継続活用を求める要望書を提出した。法人の回答は「学生を卒業させることと、教員の処遇の問題を先にクリアしたい。跡地の検討は全く進んでいない」というものだったという。

 市は私有地を無償提供している同校校舎の活用方法を早期に決め、閉校による地域への影響を最小限にする考え。市幹部は「大学の考えが出てこないと何もできない。市民への説明責任もある」と困惑。藤井英昭副市長は「学内の問題を整理して、今後の活用策を早く前進させてほしい」と話している。

2012年02月03日

専修大学は、教員の使い捨てをやめ教育と雇用に対する社会的責任を果たせ!

北海道私立学校教職員組合(道私教組)
 ∟●組合ニュース(2012年2月3日)
 ∟●新聞記事(北海道新聞2012年2月3日付)

学校法人「専修大学」は人間を大切に!教員の使い捨てをやめ、教育と雇用に対する社会的責任を果たすべき!

 学校法人専修大学理事会(日高義博理事長、兼大学長)による一方的な募集停止・廃校の画策によって3月末に整理解雇を迫られている専修大学道短大(学校法人専修大学)の教職員8名(同短大教員組合の組合員)が12月末、解雇の禁止と四月以降の賃金保障を求める仮処分を札幌地裁に申し立てました。
 同法人は、専修大をはじめ全国展開の大規模私学です。経営困難等の問題はありません。しかし、短大の募集停止にあたっては「北海道短大の教員は現地採用である」との一方的主張に固執し、ごく一部の教員を一旦退職させた上で系列校に「雇い直す」形式の「優先公募」の実施以外、雇用確保策を何ら講じていません。基本的には全員が整理解雇です。一方で職員についてはほぼすべての希望者を同様の手法で学内で雇用先を確保しており差別しています。学校法人、教育機関にあるまじき事態が進行しているのです。
 この間の団体交渉は実質的に理事会の全権を掌握していると思われる富山尚徳専務理事(系列高校の理事長も務める)ら職員出身理事が総出で参列してきました。教員組合は一貫して教員職の確保、専修大学等への配置転換を要求。しかし、実質のない団交ばかり繰り返す理事側の姿勢はいっこうに変わらず時間ばかり経過してきました。そうこうする間に年度末が迫り、今回の提訴に踏み切ったものです。
 教員組合側の代理人である道合同法律事務所(道私大教連法律顧問)に対し、このほど法人側代理人(専修大学法科大学院直系の法律事務所など労務対策専門)から「答弁書」が届きました。法人側は昨年秋までの団交では「まだ解雇とは言っていない」(富山氏)などと解雇の明言を引き伸ばしていましたが、最近の交渉では繰り返し「契約解除」「解職手続きに入る」と言及。解職へ向けた手続きが開始されています。にもかかわらず答弁書では「少なくとも解雇の意思表示を行ったことはない」などと不可解な主張を行っています。呆れるより他ない内容ですが、法人側が全面対決する姿勢の証左です。教員組合は先に行われた臨時総会で年度末のスト権を全員一致で確立。万全の構えで2月中の団交開催要求を出し、次年度以降の留年生対応など最低限の社会的責任を果たす姿勢すら見せていない理事会の無責任をただし、当面の短大存続と教員の雇用継続を緊急かつ重要課題として粘り強く求めています。
 道内を含む全国各地の地方小規模大学・短大で撤退が相次いでいます。多くのケースでは閉校時、経営破綻でない限りは教職員の雇用を同一法人内で継続しています。それは労働組合の有無と無関係の、学校法人として極めて常識的かつ最低限の社会的責任です。大手私学の専修大学が強行しようとしている今回の全員解雇は前代未聞の事案であり、ここで歯止めをかけなければ他の私学法人での模倣・暴走を招きかねないものとして重大です。道私大教連として団体交渉の支援等を継続していますが、この事件は当該組合員の生活・権利擁護にとどまらず全ての私学教職員の権利をまもるたたかいであることを共通認識とし、長期化が見込まれる裁判闘争の支援体制構築などさらに強化する必要があります。
 仮処分訴訟の審尋は2月7日から札幌地裁で始まります。年度末までの決定をめざして争いが本格化します。
(書記長記)