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 カテゴリー 2013年06月

2013年06月29日

准教授の降任は無効 公立大セクハラ問題、宮崎地裁

■朝日新聞(2013年06月29日)

 女子学生へのセクハラ行為で、宮崎公立大から停職の懲戒処分と教授から准教授への降任処分を受けたのは不当だとして、この准教授が、処分の無効と損害賠償約996万円などを求めた訴訟の判決が28日、宮崎地裁であった。内藤裕之裁判長はセクハラを認定したうえで、降任処分は無効とし、大学に減給分の給与など約236万円を支払うよう命じた。

2013年06月28日

学生へのセクハラで准教授降任は「無効」 宮崎地裁判決

■朝日新聞デジタル(2013年6月28日(金)23時37分配信)

 女子学生へのセクハラ行為で、宮崎公立大から停職の懲戒処分と教授から准教授への降任処分を受けたのは不当だとして、この准教授が、処分の無効と損害賠償約996万円などを求めた訴訟の判決が28日、宮崎地裁であった。内藤裕之裁判長はセクハラを認定したうえで、降任処分は無効とし、大学に減給分の給与など約236万円を支払うよう命じた。

 判決は、准教授が研究室で2人きりになった学生の両手を握ったり、太ももを触ったりしたなど複数の事実を認定。懲戒処分も相当性があるとしたが、降任については「就業規則上の懲戒として降任の処分はない」と指摘。「(セクハラ)行為と結果との均衡を欠いており、人事権を乱用したと認めるのが相当」と述べた。

 大学側は「判決を精査して対応を考えたい」と話している。

 同大は、セクハラやパワハラ行為をしたとして2010年12月、男性教授(当時)を停職4カ月の懲戒処分とし、准教授に降任。准教授は「事実はない」などと反論していた。

ブラック企業大賞2013、東北大学が8位にノミネート

ブラック企業大賞
 ∟●第2回 ブラック企業大賞2013 ノミネート企業 発表!(2013年6月27日)

8.国立大学法人東北大学

 2007年12月、東北大学薬学部助手の男性(当時24歳)が「新しい駒を探して下さい」との遺書を遺し、研究室から投身自殺した。
 同大大学院薬学研究科博士課程に在籍していた男性は07年6月、「人手不足」との理由で指導教授から請われ退学し、助手に就任。当初の話では学位取得のための研究を優先できるはずが、実験機材の修理や実習指導に忙殺され、自殺直前2ヶ月の時間外労働は104時間、97時間だった。また07年10月からは指導教授の指示により、生殖機能異常などの副作用がある抗がん剤の実験に従事。排気も十分にできない環境で、ほぼ一人だけでの実験を強いられ、友人達に「もう子どもはできない」と漏らしていたという。このような環境にもかかわらず指導教授は、「仕事が遅い。他の子を採用すれば良かった」などと男性を叱責。自殺前にはうつ病を発症していたと見られている。12年3月に宮城県労働局が「業務上の心理的負荷が強い」として過労自殺と認定。12年12月には、遺族が大学側に安全配慮義務違反があったとして、仙台地裁に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。
 さらに東北大学では12年1月にも、工学部准教授の別の男性(当時48歳)が自殺している。この准教授は、室温でリチウム高速イオン伝導を示す水素化物の開発に世界で初めて成功するなど、学会で注目を集めていたが、11年3月の東日本大震災で研究室が全壊。再開を目指し、授業と並行して国内外に93日出張するなど奔走したものの、ようやくメドがついた12年1月、大学側から「2年以内の研究室閉鎖」を一方的に告げられた。心のバランスを崩した彼は、そのわずか半月後に自ら命を絶った。
 男性の死後、遺族は労災を申請し、2012年10月に「過重労働の恣意的強制があった」と認定された。


鹿児島大アカハラ処分検討、教え子らが嘆願書

スポニチ(2013年6月27日)

 鹿児島大(鹿児島市)は27日、農学部の50代の男性教授が学生らに暴言などのハラスメントをしたとして諭旨解雇処分を検討している問題で、教え子の大学院生や卒業生ら計67人が、処分の再検討を求める嘆願書を出したことを明らかにした。

 嘆願書は「一部の卒業生の意見だけを反映し、調査は不十分」「指導を受ける在学生の立場を軽視している」との内容。5月下旬に提出された。

 大学によると、教授は約13年間にわたり、指導していた学生ら9人に暴言を浴びせるなどして一部を休学や退学に追い込んだ。教授はハラスメントを否定し、処分に対する異議を申し立てている。

鹿大アカハラ:諭旨解雇通知の農学部教授、意見陳述求め書面提出 /鹿児島

毎日新聞(2013年06月04日)

 鹿児島大の50代の農学部教授が、学生9人にアカデミックハラスメント(学内での地位を利用した嫌がらせ)をしたとして大学側から諭旨解雇の懲戒処分とする通知を受けている問題で、教授が意見陳述を求める書面を大学側に提出していたことが分かった。提出は5月31日付。

 大学側は当初、3日の役員会で処分を決める方針だった。しかし、処分に異議を唱える教授側の書面の提出を受け、再度学長や学部長ら33人で構成する教育研究評議会を開き、教授側の陳述を聞く予定。その後、役員会で処分を決定する。

 この問題は、2010年7月に学生が学内のハラスメント相談窓口に相談して発覚。大学の調査で98?10年度に、研究室の大学院生や学部生計9人を退学や休学に追い込んだり、学位を取らせないなどのいやがらせ行為をしたとして、処分を通知していた。


岡山県立大、告発教員 処分禁止を求め地裁倉敷支部に仮処分申請

山陽新聞(2013/6/26)

告発教員、県立大の処分禁止訴え 地裁倉敷支部に仮処分申請

 岡山県立大(総社市窪木)の入試不正疑惑問題で、不正があったと内部告発した教員が26日、大学側が事実でない憶測に基づき進めている懲戒処分手続きは違法として、処分禁止を求める仮処分を岡山地裁倉敷支部に申請した。

 申請書では、大学側は「教員が報道関係者に告発内容を提供したと考えられ、事実でない情報を流布させようとしたとみるべき」との推測によって、大学の信用を失墜させたとして懲戒処分を検討。教員の代理人は「情報提供した事実は無い。そもそも提供していても、公益に基づく告発者は法的に守られる」としている。

 同大調査委員会は2011年度入試で受験生1人が不正に不合格にされたとする教員の告発を検証し、5月27日に「不正はなかった」とする報告書を発表した。教員は理事長(学長)から講義などを禁じられ、講義や会議参加を妨げないよう求める仮処分を同支部に申請している。


2013年06月25日

大阪市立大学・大阪府立大学の統合問題に関する見解

大阪市立大学教職員労働組合
 ∟●2013年6月18日 大阪市立大学・大阪府立大学の統合問題に関する見解

大阪市立大学・大阪府立大学の統合問題に関する見解

 大阪市立大学は今、消滅の危機にある。
 本年4月、大阪市立大学は、大阪府市新大学構想会議より出された「新大学構想<提言>」を受け、「新大学検討本部」を設置した。同本部は8月を目途に、統合後のより詳細な大学像を示す予定となっている。
 こうした動向は、2016年4月に新大学を発足させるというスケジュールに基づくものと考えられるが、今日の本学および府市をめぐる状況を鑑みれば、非常にリスクの大きい計画を拙速に進めるものであると言わざるを得ない。
 大阪市議会では、府市の水道事業統合条例案が否決され、自民・民主・共産の3会派からは市長に対する問責決議案が提出されるなど、大阪都構想の先行きは不透明さを増しているが、その一方で大阪市は、「都構想とは切り離して大学の統合を目指す」と明言している。
 府市が存続した状態での法人統合には、地方独立行政法人法の改正が必要だが、現在の国会情勢を見るに、2016年度の統合に間に合うかは疑問を呈さざるをえない。この場合、「いずれかの法人を解散させ、もう一方に吸収させる」という手法が最終的な手段として想定できるが、都構想の趣旨を踏まえれば、「大阪市立大学が消滅、大阪府立大学が存続」というシナリオが有力視される。
 これまで大阪市立大学が果たしてきた役割を背景として、長年にわたり培ってきた「市民の誇りとなり、市民に親しまれる大学」としてのアイデンティティーが失われるということを、大学法人は理解しているのだろうか。卒業生、在校生、教職員、そして大学の発展に協力してこられた方々は納得できるのだろうか。
 我々は拙速な統合のもたらす未来を憂慮する。
 新大学構想会議で示されたように、法人化後の運営費交付金の大幅な削減をはじめとする「改革」により、大学は疲弊した状態にある。教員人数の減少で、教員1人当たりの学生数は増加。市派遣職員の急激な引き揚げおよび同時に進められた職員の非正規化により、大学運営の継続性・安定性はゆらいでいる。学生サポートセンターへの移行等の再編により発生した問題も解消されていない。
 急激に予算を削減し、大学を二重行政と切り捨てた自治体が、統合後の大学に大学二つ分の予算措置を行うことがあるだろうか。財源については未だにその方針が明らかにされていないが、大学の統合により従前の予算規模が維持されないような事態になれば、大学に対する社会の期待の高まりに反して「教育」「研究」「診療」の質を低下させ、府市の描く「強い大学を実現する知的インフラ拠点」「研究で世界と戦う大学」といったビジョンとは全く逆の結果をもたらすだろう。
 我々は、こうしたリスクの存在を含めた、メリット・デメリットの十分な検討と議論を行わず、時期だけを優先した拙速な統合に反対する。

2013年6月18日
大阪市立大学教職員労働組合
執行委員会

2013年06月24日

京都大学職員組合、未払い賃金請求訴訟を提起

全大教HP
記者会見の模様(YouTube)

 6/11(火)15:30、京大職組が組織する組合員ら96人による原告団は、京都大学による就業規則の一方的不利益変更(賃下げ)が違法・無効であるとして、未払い賃金請求訴訟を京都地裁に提起しました。
 提訴後に、同地裁内にある記者クラブにおいて記者会見を実施しました。会見には数社の新聞記者(朝日、読売、毎日、産経、共同、時事、京都、赤旗など)と在阪TV局(読売テレビ、朝日放送、毎日放送)が取材に入りました。
 記者会見の冒頭に、森田全大教副委員長が国立大学における臨時賃金減額の概況および問題点の解説と全大教の紹介をしました。続いて、髙山京大職組委員長(写真左)が原告団を代表して発言し、「合理的な根拠のない賃下げは許せない」「ノーベル賞学者も月数万円の賃下げとなっている」「教職員は公務員ではなく、多くの私大と比べても給与水準が低い」「法人は『引き下げた賃金は復興財源に充てられる』としているが、実際どのように使われているかわからない」などの問題点を指摘しました。その後、担当弁護士の岩橋多恵氏(写真中央)が法律上の争点について解説を行い、記者からの質問に移りました。多数の記者から様々な質問が寄せられ、会見終了後も個別取材が熱心に続けられました。(京大職組HPより転載)

大学、5年でクビ? 非常勤講師、雇い止めの動き

朝日新聞(2013年6月15日)

大学非常勤講師に「雇い止め」の動き

 【吉田拓史、牧内昇平】有力大学の間で、1年契約などを更新しながら働いてきた非常勤講師を、原則5年で雇い止めにする動きがあることがわかった。4月に労働契約法(労契法)が改正され、5年を超えて雇うと無期契約にする必要が出てきたからだ。

■無期契約 避ける狙い

 法改正は、有期契約から無期契約への切り替えを進め、雇用を安定させるためだ。だが講師たちは生活の危機にある。朝日新聞の取材で、国立の大阪大や神戸大、私立の早稲田大が規則を改めるなどして非常勤講師が働ける期間を最長で5年にしている。

 大阪大と神戸大は、その理由を「法改正への対応」と明言。無期への転換を避ける狙いだ。有期の雇用契約の更新を繰り返し、通算5年を超えた場合、働き手が希望すれば無期契約に切り替えなければならなくなったからだ。

 早大は、3千人以上の非常勤講師を徐々に減らす方針で、「長期雇用の期待をもたせられない」(清水敏副総長)。もともと非常勤講師以外の有期職員は上限が5年。これに合わせることも考えていたという。

 一方、国立の徳島大などは、労働組合や指導現場と協議して上限を設けなかった。「地方大学は、5年で一律に辞めさせたら講師が確保できない」(徳島大)という事情もある。首都圏大学非常勤講師組合(松村比奈子委員長)によると、多くの大学が当初、契約期間の上限設定を検討したが、講師らとの協議で、撤回する例が相次いだ。

 松村委員長は「解雇しにくいという理由で大学は無期転換をいやがる。だが、非常勤講師は特定の授業をするために雇われ、その授業がなくなれば解雇される。無期転換を拒む理由はない」と主張する。一方、大学側は「担当の授業がなくなっても雇用継続を主張する人も出てくる」(大阪大)と警戒する。

 こうした問題を受け、政府は成長戦略で、研究者などへの労契法適用に関する課題を検討することを決めた。労契法に特例を設けるのか、別の制度で対応するのか、文部科学省と厚生労働省で検討していく。


島根大が法科大学院募集停止へ 国立大初

産経(2013.6.17)

 島根大(松江市)は17日、法科大学院の学生募集を平成27年度から停止すると発表した。文部科学省によると、法科大学院の募集停止は国立大では初めて。学生数の減少や新司法試験合格者数の伸び悩みなどが理由で、今後は他大学との広域連合法科大学院の立ち上げを目指す。

 島根大の山陰法科大学院は16年度に設置されたが、志願者は初年度の304人から年々減少し、24年度16人、25年度11人と定員割れが続いていた。25年度の入学者は2人だった。

 記者会見した小林祥(しょう)泰(たい)学長は「法科大学院を取り巻く環境が大きく変わり、地方の大学院すは極めて不利。維持していくのは難しい」と説明。今後、他の複数の大学とともに、広域連合方式での法科大学院設置を急ぐ考えを示した。

大阪学院大、法科大学院の募集停止へ 全国で7例目

産経(2013.6.3)

 大阪学院大(大阪府吹田市)は、法科大学院の2014年度以降の入学者を募集しないことを決めた。文部科学省によると、届け出を経て正式に決定すれば、法科大学院の募集停止では全国で7例目となる。

 同大学の法科大学院は今春、定員に占める入学者の割合(充足率)が、全国で最も低い7%となるなど低迷していた。

 弁護士や検事、判事を養成する法科大学院は、司法試験の合格率の低下や志願者の減少が課題となっている。一時は全国に74校あったが、11年度から募集を停止していた姫路独協大(兵庫県姫路市)で、今年3月に廃止された。


2013年06月07日

道教大 本間学長を再々任 反発の声も

朝日新聞(2013年6月7日)

道教大 本間学長を再々任 反発の声も

■係争中 反発の声も

 【芳垣文子】9月末に任期満了となる北海道教育大(札幌市北区)の学長の選考会議(議長=松岡和久・日本国際協力センター名誉顧問)が6日にあり、現職の本間謙二学長(67)の再々任が決まった。本間学長は再任された2年前の学長選をめぐり、任命取り消しを求める訴訟が係争中で、学内には反発の声もある。…


2013年06月04日

北海道教育大学・学長任命処分取消請求訴訟原告団・弁護団、文部科学大臣宛て「緊急要請書」

平成25年6月3日

文部科学大臣 下村博文 殿

緊 急 要 請 書

北海道教育大学・学長任命処分取消請求訴訟
原告団団長  神田房行
弁護団団長  佐藤博文

要請の趣旨

 北海道教育大学(以下「大学」と言います)より本年5月31日に書類提出された新学科設置認可申請について、以下の点に留意を払い、拙速な審査を行わないよう強く要請します。
 ①大学において教職員の意向を十分に尊重し、大学構成員の意向に基づくものであることが確認されること
 ②北海道の自治体や経済団体、学校、教育・文化関係団体などに情報を提供し、意見を聴取し、地域に根ざし支えられるよう努力しており、これに反するような性急かつ強権的なやり方が行われていないこと

要請の理由

1.弁護団が本要請を行った理由

 私ども原告団及び弁護団は、北海道教育大学において平成23年5月に行われた学長選挙において、現職学長だった本間謙二氏が、教職員による意向投票で208票対250票と敗北したにもかかわらず、同学長任命に係る委員が過半数を占める学長選考会議で"敗者復活"の「選考決定」を下し、学長選考会議がその理由すら明らかにしないことに対して、違法無効であるとして裁判に訴えております。現在、札幌高等裁判所に係属中です。(裁判の内容については、同封の新聞記事を参照)
 この裁判で実質的に問われていることは、4年間の在任中、専断的な大学運営を行ってきた現職学長に対して教職員の明確なノーの意思が示されたにもかかわらず再任されたのは何故かということです。例えて言えば、学級委員長選挙で子ども達の投票で1位になった子を、担任教諭が理由も明らかにせず2位の子を委員長に指名したようなものです。大学の命である「自由」「真実」「自治」はどこに行ったのでしょう。
 この専断的な大学運営の1つに、平成18年から始まる「函館校新学部構想」問題があります。私たちは、訴訟の中で、重要かつ象徴的な問題として主張してきました。
 これが、今年3月末から本間学長が強行した「函館校の再編計画」により、さらに新たな問題に直面しており、他キャンパスにおいても同種の問題を抱えております。
 そこで、私たちは、重大かつ緊急を要すると考え、貴省にかかる事実を知らせ、認可の判断及び大学に対する指導に誤りのないよう要請するものです。

2.北海道教育大学の改革に関わる問題点

  大学の改革に伴い、次のような問題が挙がっています。
(1)大学は、一体改革を求められながら、函館校と岩見沢校の新課程の学部化構想を先行させました。そのため、「学部」が「学科」になった現在、教員養成と新学科の構想に整合性がなくなっています。その調整を、現在の大学執行部は怠っています。

(2)教員養成改革の検討は暫くの間進んでいませんでした。大学が当初めざしていた平成27年度改革実施も危うい状態です。ところが、最近、大学執行部より、「平成26年度から」という提案がありました(5月14日、教員養成課程改革部会)。教員養成課程の複数キャンパスは反対していますが、今後も同様の提案が繰り返されるおそれがあり、大学執行部の計画性のなさが露呈されています。

(3)上記の教員養成改革に関して、全学の関連部会で話し合っていることと異なる学長案が提案されました。たとえば、釧路校では、現在、3専攻で教育を行っていますが、学長案では、3専攻のうち、釧路校の目玉として地域に最も密着した「地域教育開発専攻」を外した2専攻にされていました。それは、釧路校の教授会の意見を無視した提案であり、釧路校からは強い反対意見が出され、その案を引っ込めざるを得ませんでした。しかし学長が完全に断念したわけではないことは、その後の対応から明らかです。

(4)札幌校は、以前より改革の理念と方向性を提案しているにもかかわらず、大学執行部はそれを検討してきませんでした。改革を実施するためには、新たなカリキュラム、入試、課程認定のための人事計画の策定が不可欠ですが、学長側は、それらのすべてにおいて成案を示さず、この5月14日に性急な改革を要求してきており、札幌校教授会では多くの反対意見が出ています。

3.喫緊の課題である、函館校の改革に関して

(1)大学は、平成18年4月から、大きな改組により教員養成課程を札幌校、旭川校、釧路校に集約し、新課程(教養系で教員免許取得を卒業要件としない課程)のうち、芸術・スポーツ系を岩見沢校に、残りを「人間地域科学課程(1学年の学生定員330名)」として函館校に集約しました。
 この改組は、函館校から、長い伝統と実績を誇り、地域の二-ズも極めて大きい教員養成課程をなくして、教員需要に対する「緩衝装置」としての役割のみとし、いつ廃止の方針が出るか分からない新課程を函館校に集約するものでした。
 強い反対がありましたが、将来の「学部化」と小学校・特別支援学校・幼稚園教員(以下「小学校等教員」とします)養成機能の維持、学生定員比で学生4名に1名の教員を保証することなどを条件として、函館校は渋々計画を飲まされました。

(2)このように、函館校の「学部化」は北海道教育大学の既定方針であり、新課程の集約を引き受けざるを得なくなった時の約束でした。そのために、改組後すぐに学部化について文科省と協議を始めましたが、「改組したばかりで時期尚早」と実質的に門前払いにあい、学部化の方針は凍結され、全学的に議論さえされませんでした。
 その後、平成21年10月に至り、当時の文科省の高官らが函館校を視察したのを機に学長の言葉を借りるならば「時機到来」とばかり学部化検討が始まり、準備運動なしに学部化に向けた全力疾走が始まりました。
 計画は二転三転し、本間学長は、函館校の意向を無視し、地元に情報を提供したり意見聴取をしたりすることなく、平成24年5月31日、小学校等教員養成の教育課程を外し、「国際地域学部(1学科3コース。1学年の学生定員230名)」のみで設置認可申請をするという暴挙を行いました。

(3)しかし、上記申請は通らず、平成25年度における函館校(と岩見沢校)の学部化は文科省段階で保留とされ、本間学長は1年の先送りを表明しました。これは、性急で拙速な本間学長の行為が招いたものであり、結果的に函館校教職員のみならず、学外、とくに受験生や高校に大きな混乱を与えるものでした。
 当然ながら本間学長の方針には、函館校教職員の反発だけでなく、特に小学校教員養成機能を無くすることに対する道南地域の反対が強く、反対署名は3万6千人分も集まりました。

(4)学内外のこれらの声を受けて、函館校教授会は、平成24年9月14日本間学長の方針に反対して、「小学校等教員養成の維持など、函館校に相応しい学部化と、必要に応じて現課程の改組を検討する等、必要な時間を掛けて事にあたる」ことを決定し、その後一貫してこの方針を貫いてきました。
 具体的には、函館校教授会は、学生定員を現在の330名から320名とし、うち小学校等教員養成を含む教育課程の定員を60名から70名にするという案を出しています。実績のある教員養成(特に小学校教員養成)にこそ函館校のアドバンテージがあるという考えです。そして、平成27年度からの改組を目指し、それまで、正規の、透明性ある新採用人事選考を行うなど、議論と準備を尽くすという考え方です。

(5)こうした函館校の意向に再度反して、今年3月下旬、本間学長は、全学将来計画会議で函館校新学科構想を提示しました。それは、教員養成機能を残すことにしましたが、定員数を330名から280名にし、教員養成課程は60名から40名に、いずれも大幅に減員するというもので、しかも平成26年度から実施するというものです。そのために、昨年の学部化構想と同様に、前述した、正規の、透明性ある新採用人事選考を行わないまま、「今回改組しなければ、<ミッションの再定義>で函館校に関して何も書けない」「函館校は更地になる」等の発言を繰り返し、本年5月末までに文科省に設置認可申請をするとして、平成27年度改組を強く要望した函館校教授会の意向を無脱して本部の指示を強行してきています。

4.結論

(1)以上で明らかなように学長の性急かつ強権的なやり方により、大学全体で多くの問題が起こっています。特に函館校に関して、もともと本間学長は、同校の小学校等教員養成機能を維持するという姿勢がなく、むしろ廃止してもよいという行動を取ってきました。今回の「再編案」は、大学内外の世論に押されて小学校等教員養成機能を残したものの、教員養成課程を持つ他のキャンパスとの調整及び函館キャンパス内の議論が絶対的に足りず、合意形成が不十分であるのは明らかです。平成27年度改組を目指すキャンパスの意向を尊重し、大学全体の合意形成を丁寧に行わなければ、同大学が「沈没」する危険性もあります。

(2)そもそも本間学長は、今年9月30日に2期目の任期満了を迎えており、本来ならば新しい学長に交替する立場です。ところが、先日5月31日に行われた学長選考会議は、学長選考規則の例外規定を適用して、教職員の意向投票なしての本間学長の再々任を、強い反対意見を押し切って強行採決で決めました。当然、大学内外から強い抗議の声が上がっています。
 2年前の意向投票で大敗した学長が、教職員が反対している政策を、頭越しに強行するやり方で、あるべき「大学改革」が実現できるとは考えられません。学長は、新学科設置認可申請の経過について、全教職員に「学長メッセージ」を発信していますが、拙速で頭ごなしに進めてきたことについて、改善の意志や反省は一切見受けられず、今後も同様な強権的押しつけが行われるのは明らかです。

(3)以上より、要請の趣旨記載のとおりの要請を行うものです。

同 封 資 料

1。毎日新聞
2.函館新聞
3.北海道新聞
平成25年1月6日付朝刊
平成25年4月13日付
平成25年4月14日付朝刊

北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟原告団・弁護団、抗議声明

学長選考会議による本間学長の再々選の決定手続開始に強く抗議する。学長選考会議は直ちに撤回し、教職員の意向を問う公正な選挙を行うことを求める。

2013年6月3日
北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟
原告団団長  神 田 房 行
弁護団団長  佐 藤 博 文

1 先週末の5月31日(金)、北海道教育大学(以下「大学」という)の学長選考会議は、本間謙二現学長の任期を2年間延長する方針を決め、同大学の教育研究評議会の意見聴取を行うことを決定した。しかも、6月7日(金)開催の教育研究評議会を急きよ5日(水)に早め、翌6日(木)に次の学長選考会議の開催を決めた。
 本間学長の下で教育研究評議会は形骸化されているので、「意見聴取」は手続要件クリアの形式的なものとされ、6日の会議で決定される可能性が極めて高い。

2 そもそも、北海道教育大学学長の任期は4年であり、再任は1回限り、任期は2年とされている(学長選考規則5条1項)。そして、その都度、教職員による意向投票がなされなければならない。ところが、同条3項で「第1項ただし書の規定にかかわらず、学長選考会議は、特に必要と認める場合、教育研究評議会の意見を聴取の上、さらに2年に限り再任させることができる」とする規定があり(平成19年4月創設)、今回、学長選考会議は同条項を適用するというのである。

3 このような学長選考会議のやり方は、以下に述べるとおり、大学運営の自主性・自律性、大学の自治を壊滅させる暴挙というほかなく、断じて許すことができない。
 第1に本間学長は、再選された平成23年5月の学長選挙において、教職員による意向投票で208票対250票と敗北したにもかかわらず、学長選考会議による「敗者復活」で就任した人物であり、もともと教職員の支持も信頼もないのである。
 第2に、学長選考会議は、教育研究評議会委員7名の他、経営協議会委員7名と理事2名の合計16名の構成からなり、後者の9名は学長の任命による委員である。特に、理事は学長とともに役員会を構成し大学の業務執行を行う者である。選挙に付さずこのメンバーの多数決で決することは、お手盛り人事以外の何物でもない。
 第3に、学長選考規則5条3項は、例外のさらに例外規定であり、「特に必要と認める場合」とする厳しい要件があるにもかかわらず、31 日の学長選考会議では何ら具体的に示されず議論もされていない。
 第4に2年前の選挙の「敗者復活」選考の適法性について、現在札幌高等裁判所で係争中であるにもかかわらず、問題となった意向投票の実施を回避するやり方を強行しようとしている。これは、学長選挙を前回以上にブラックボックスに放り込むもので、学長選考会議は大学の自治と民主主義の"墓堀り人"と言わざるをえない。

4 このような本間学長と学長選考会議の大学運営のやり方は、同じ5月31日に、本間学長が、函館校「新学科」について、函館校教授会の平成27年度改組の意向を無視して頭越しに、地域の要望が強かった小学校等教員養成機能を持つ教育課程を減員し、平成26年度から実施する設置認可申請を強行したことに象徴されている。しかもこの申請に関しては、学内の正規の新採用人事選考も行われていない。このような各校教授会の意向や学内規則を無視したやり方は、釧路校や札幌校をはじめ、全学で顕在化している。

5 以上より、私たち原告団・弁護団は、大学の自治と民主主義を無視した学長選考会議の強引な決定に強く抗議するとともに、延長手続開始の撤回を求める。そして、本間学長と学長選考会議に対して、速やかに公正な学長選挙を実施するよう求めるものである。

以上

    (参考)国立大学法人方制定の際の衆参両院の附帯決議
一 国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること。(参議院附帯決議/衆議院附帯決議にもほぼ同様の項目有り)
二 国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全学的な検討事項については、各組織での議論を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会の役割の重要性に十分配慮すること。(参議院附帯決議/衆議院附帯決議にもほぼ同様の項目有り)
三 役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するとともに、選任理由等を公表すること。(参議院附帯決議/衆議院附帯決議にもほぼ同様の項目有り)


岡山県立大、不正疑惑告発教員が仮処分申請

山陽新聞(2013/6/4)

不正疑惑告発教員が仮処分申請 「県立大の授業禁止は不当」

 岡山県立大(総社市窪木)の入試不正疑惑問題で、不正があったと内部告発した教員が4日、大学側から講義や教授会への出席を禁じられたのは違法として、講義や会議参加を妨げないよう求める仮処分を岡山地裁倉敷支部に申請した。また、不正の証拠としている録音の内容を記した書類を同日までに大学へ郵送。第三者で構成する新たな調査委員会による再検証を求めている。

 申請書によると、大学の調査委員会は5月27日、「不正はなかった」とする報告書を公表。その後、教員は理事長(学長)から授業や教授会への出席禁止を命じられた。弁明の機会は無く、代理人は「命令に法的根拠はない」としている。

 録音は2月の学内委員会で教授2人が「ビジュアルデザイン学科(06年度再編)の時は(不正が)あった」などと述べているという。

 県立大の阿部淳二事務局長は「懲戒の可能性がある人物が講義や重要会議に出席するのは不適切と判断した。06年度以前の入試判定への指摘は重く受け止め、事実関係を調査している」としている。


大阪学院大が法科大学院を2014年度から募集停止、全国7例目

リセマム(2013年6月4日)

 大阪学院大学は6月3日、法科大学院の学生募集を2014年度から停止すると発表した。司法試験の合格率低迷などを背景に志願者や入学者が減少、今後の回復も見込めないと判断した。文部科学省によると、法科大学院の募集停止は7例目。

 同大の法科大学院は、制度が発足した2004年度に開設。昼夜開講制を採用し、授業を平日夜と土日に行い、専用図書室や自習室を24時間開放するなど、「働きながら学べる法科大学院」として有職社会人らに支持されてきた。

 だが、司法制度改革の中で位置づけられていた司法試験の年間合格者3,000人という目標達成が困難になり、合格者数も伸び悩む中、法科大学院の人気が全国的に低迷。同大法科大学院でも2012年度の志願者数は、2004年度の4分の1にまで激減。入学者の大半を占めていた社会人の割合も落ち込み、2012年度の入学者に占める社会人の割合は、2004年度の半分以下になったという。

 入学定員の削減、有職社会人のための長期履修制度の新設、学習効果を高めるためのカリキュラム改訂などの努力を続けたが、志願者数や入学者数の回復にはつながらず、2013年度入試では志願者7人、入学者2人にまで悪化。文科省が補助金削減の指標として「入学定員の充足率」を追加したことも影響し、今後の回復は見込めないと判断、新たな入学者の受け入れを断念した。

 文科省によると、法科大学院は全国に74大学あったが、姫路独協大学が募集停止を経て廃止となり、現在73大学。司法試験の合格率低迷、卒業後の就職難などを背景に法科大学院への志願者は全国的に減少傾向にある。


2013年06月01日

道教大釧路校、1専攻廃止の可能性

釧路新聞(2013年06月01日)

1専攻廃止の可能性/道教大釧路校

 北海道教育大学の学長選考会議が5月31日、同大札幌校で開かれ、今年9月末で満了する本間謙二学長の任期について、教員の意向投票を経ず2年間延長する公算が高くなった。本間学長は釧路校3専攻のうち、地域特性を生かした教員を養成する地域教育開発専攻の廃止を打ち出しており、早ければ来年度にも廃止が現実となる。今泉博釧路校担当副学長は「学生の募集人数、教員削減など釧路校の規模縮小につながる可能性があり、釧根地域の教育に大きな打撃となる」と危機感を示している。 


声明、「立命館学園一時金裁判の和解成立に当たって」

■立命館学園一時金訴訟をすすめる会

≪声明≫
2013年5月31日

立命館学園一時金裁判の和解成立に当たって

「立命館学園一時金訴訟をすすめる会」世話人会

〔一〕
 私たちが2007年11月に提訴した「立命館学園一時金訴訟」は、京都地裁における一審勝利判決の後、立命館法人側が控訴し、2012年9月以降、大阪高裁において和解協議が行われてきたが、5月31日、8回目の協議において以下の解決金に基づく和解が成立した。これまでの協議で確認された事項を含め、和解金の総額は概ね以下のような内容である。
(1)和解金額は1億2540万円である。これは当初訴額の約39%、一審判決の約55%に当たる。また現職教職員の一時金上乗せ分(710万円)を加えた額、1億3250万円は訴額の約43%、一審判決の約58%になる。

(2)法人側は、今回の和解に当たって、学園のすべての現職教職員に対し13年度一時金に一律一定額を上乗せするとしている。この現職教職員全員への一時金増額を含めると、法人が今次和解のために支払う金額は、京都地裁判決の水準を超えると推計される。

〔二〕 ・
 この和解成立によって、一審の京都地裁判決が金額を除いて確定する。社会的には、法人側は金額を除く一審判決を是認し、それゆえ和解金として1億3250万円を支払うと理解される。これは私たちにとって勝利和解である。誠実交渉義務違反や「一時金は賃金の一部である」ことなどを認定した一審判決は学園における今後の労使交渉の規範とされなければならない。また私たちの勝利和解は賃金。一時金問題で係争中の全国の大学などに一定の影響を及ぼすことにもなろう。

〔三〕
 そもそも私たちの訴えの趣旨は、05年乃至07年の一時金1か月カットが不当であり、数々の不当労働行為、誠実交渉義務違反が存在したことを認めさせるとともに、業務協議会を中心とした正常な労使交渉と労使の信頼回復、ならびに理事長・総長による専断的な大学運営を改め、立命館の民主的な制度、運営を回復することであった。
 このうち、私たちは裁判闘争においては勝利和解を勝ち取ることができた。また教職員組合の奮闘や関係者の努力によって、業務協議会を中心とした労使交渉も一定の前進を見せている。しかし労使の信頼回復は未だ道半ばであり、理事長・総長による専断的な運営の改革や民主主義の回復に至っては前途遼遠と言わぎるを得ず、現状を憂慮する人々との厳しいつばぜり合いが展開されている。
 とりわけ学園は今、茨木校地への移転と展開に関して財政破たんの危機を手んだまま重大な決定を行おうとしている。多くの教職員が不安や疑間を感じており、全学の教授会からも批判的な意見書が多数表明されている。私たちはこれまで確かに「訴訟」という単一の課題で結束して運動を進めてきたが、和解が成立すれば「後のことは我関せず」という態度で済ますわけにいかないことは明らかである。訴訟のたたかいを担ってきた者として、運動の成果を学園における民主的なガバナンスの構築にどう結び付けるのか、そのことを考え、行動する必要があると思われる。

〔四〕
 私たちの5年6カ月に及ぶ裁判闘争を終始支えてくれた弁護団、立命館教職員組合連合、京滋及び日本私大教連、立命館の民主主義を考える会、地裁の証人調べに立たれた佐々木嬉代三氏、松宮孝明氏、これまで応援していただいたすべての人たちに感謝したい。また、原告として一致団結してたたかってきた205名の皆さんに敬意と誇りを覚える。最後までともに歩んでいただいた「立命館学園一時金訴訟をすすめる会」の皆さんの努力と世話人会に対する信頼に感謝したい。

以下,ニュース(共同通信2013年5月31日)

立命館と教職員ら和解 ボーナス減額めぐる訴訟

 立命館大などを運営する学校法人立命館(京都市中京区)が減収見通しなどを理由にボーナスを減額したのは不当として、教職員ら計205人が減額分の約3億1千万円の支払いを求めた訴訟は31日、立命館が解決金1億2540万円を支払う内容で、大阪高裁(八木良一裁判長)で和解した。

 教職員側は同日、大阪市内で記者会見し「請求通りではないが、裁判外で労使間の歩み寄りが期待できたので和解を受け入れた」と話した。

 立命館は「和解の成立は意義あるものと考えている。今後も教育・研究活動に邁進したい」とコメントした。

「緊急!大学問題シンポジウム in 北海道」、集会アピール

■「緊急!大学問題シンポジウム in 北海道」

【集会アピール】

 私たちは、今日の集会を通じて、北海道内の大学が抱える教職員の解雇問題、経営権による教学権の課謁、国立大学における国の統制強化、少子化に伴う私立大学の経営問題、これら諸問題の根底に流れる教育分野における新自由主義の台頭などについて報告し合い、また、その現状を確認し合いました。
 今、「大学の自治」が大き<揺らいでいます。
 日本国憲法第23条は、国民の基本的人権として、「学問の自由は、これを保障する。」と高らかに宣言しています。その保障する具体的内容は、①研究の自由、②研究発表の自由、③教授の自由であり、この自由の制度的保障として「大学の自治」が認められています。大学は、真実発見・学問研究の場として、たとえ時の権力に抗ってでも、その真理の追究を行う場所だからです。自主的な教員人事、施設管理に関する自治は、その根幹をなすものです。そして、「学問の自由」の保障は、大学ぽかりでな<、初等・中等教育においても、「教育の自由」「学ぶ権利」として具体化され、あてはまるものであることから教育基本法も、教育の自主・独立を宣言しています。
 しかし、2004年4月の国立大学法人法施行、私学法改正によって、「大学の自治」は大き<変容しました。
 これら国立大学の法人化と私学法の改正にあたっては、国立大学においては①各国立大学がそれぞれの教育理念に基づいて自主的・自律的な教育研究活動を発展させ、これを国際的水準に高めまた社会的要請に応える、②膨大な国家財政赤字を背景として行財政改革を行う、私立大学においては、私立学校の公共性を高めるため、より一層の私学経営責任の明確化・透明化を進めるとともに、経営規律(ガバナンス)の強化により、助成金等に対する不正・不適切な経理を防止する、という一見もっともらしい目的が掲げられました。
 しかし、これらが、実際に目指したものは、経営体制の確立、責任の明確化の名のもとでの大学の統制でした。今日、報告のあった諸問題は、これらの法律の抱える矛盾が、耐え切れずに噴き出したものといえるでしょう。
 国立大学法人法施行、私学法改正から10年が経過した今、国立大学と私立大学は、その設立経過や目的が異なっているにもかかわらず、運営体制は、類似したものとなってきています。それは、理事者の権限強化です。
 理事者は、迅速な意思決定とリーダーシップ発揮の名のもとに、強力な権限が与えられてきました。しかし、大学構成員による民主的なチェックのシステムが存在しないために、その暴走を止めることができない状況にあります。その結果、大学で教育、研究を進める教員や、それを支える職員の権利が侵害され、学問の自由が脅かされる事態が、多<の大学で生じているのです。今日の報告で、その問題点が確認されました。
 学問研究は、一朝一タで進むものではありません。研究者の身分はもちろん、それを支える職員の身分が、しっかりと保障されていなければ、学問研究は一歩も先には進みません。先に掲げられた目的は、自由で創造的、かつ地に足のついた研究・教育に基づいて達成されます。
 集会参加の皆さん。
 私たちは、今日、道内の多<の大学で、「大学の自治」が労働問題という形で侵されている現状を目の当たりにしました。新自由主義による競争と規制緩和は、「大学の自治」や「学問の自由」ひいては大学人の生存権をも脅かしています。
 学問研究の成果は、新たな文化や技術革新の基底となり、私たちの生活に様々な形で還元されています。決して大学固有の問題ではありません。
 私たちは、大学の自治を実現するためのとりくみを、大学の中だけにとどめることな<、さまざまな分野で貧困、不平等、抑圧とたたかっている人びとと連帯し、ともに学び、社会に自由を実現することとつなげていきたいと願っています。
 大学に働き学ぶ皆さん、市民の皆さん、ともに力を合わせましょう。

2013年5月18日

緊急!大学問題シンポジウム in 北道海