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 カテゴリー 2014年09月

2014年09月29日

弁護士は食えない? 元司法修習生が損害賠償請求

EconomicNews(2014年09月28日)

 元司法修習生が国を相手取り、損害賠償を求める裁判を起こした。2011年までは司法修習の期間、国から毎月20万円のお金が支給されていたが制度は廃止された。元司法修習生たち110人は、国に1人あたり1万円の損害賠償を求めている。

 元司法修習生が国を相手取り、損害賠償を求める裁判を起こした。新司法試験を合格した人は弁護士、検察官、裁判官になるために1年間司法修習を受ける。2011年までは司法修習の期間、国から毎月20万円が支給されていた。しかし11年以降は、制度の廃止により無給状態で1年間の司法修習を過ごす必要が生まれたのだ。元司法修習生たち110人は、国に1人あたり1万円の損害賠償を求めている。

 新司法試験を受験するためには法科大学院を卒業することが必要である。しかし、法科大学院卒業までには多額の費用が必要となり、多くの学生が奨学金などを借りて通学。卒業までに多くの、返済しなければいけない負債を抱えることになる。現に日本弁護士連合会(日弁連)が13年度の司法修習生を対象に実施した調査結果によると、70%の司法修習生が経済的な不安を抱えたまま修習に取り組んでいるという。

 一方で弁護士は稼げる職業のイメージが強くあったが、今その神話は崩れている。国税庁の12年の統計によれば、所得が1,000万円以上だった弁護士は5年前から15%減少。しかし逆に200万~600万円の人が20%ほど増加している。原因は弁護士数の急激な増加だ。

 日弁連によると、00年の会員数は17,130人だったが、13年には33,682人となり、約2倍に増加。その結果、新司法試験合格後も事務所に入れなかったり、仕事がなかったりする弁護士が増えている。従来は司法試験合格後、「イソ弁」と呼ばれる居候弁護士になる人が多くいた。試験合格後、経験も人脈もない新人が個人で事務所を構える弁護士のもとに居候し、5年ほどの時間をかけて経験を積んで独立していく。

 しかし弁護士数の増加で、近年は「ノキ弁」や「即独」という形態が増えているという。「ノキ弁」とは個人事務所の軒下だけを借りて開業する形態で、「イソ弁」とは違って給与はなく、顧客も自分で開拓する必要がある。「即独」に至っては、司法試験合格後いきなり独立開業をし、経験や人脈がないまま弁護士としての仕事を始める。こうした現象により、弁護士の質の低下を懸念する声も上がっている。

 14日発表された14年の司法試験合格率は過去最低の22.6%となった。合格者数も13年より239人減少し1,810人となり、ついに2,000人台を割り込んだ。しかし法科大学院を経由しない予備試験の合格者は全法科大学院の合格者中一番多い合格者数となった。こうした傾向を反映し、法科大学院の志願者数の志願者や法学部の学生数も減少中だ。金銭的な不安や負担が多いことから、それをカバーできる環境の人しか法曹界に入れないという声も上がっている。公平な判断を下す司法の場で、不公平がまかり通ろうとしている。


2014年09月27日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、一審 全面勝利判決!

■谷口教授を支援する会ニュース,第24号(2014年9月26日)

一審 全面勝利判決!

 9月18日午後1時10分より名古屋地方裁判所にて谷口教授裁判の判決言い渡しがありました。解雇無効はもとより、3回の懲戒処分の無効、助手への降格の無効、学園と理事長個人の慰謝料支払い命令、学園からの名誉毀損損害賠償請求の棄却と、谷口教授側の主張を全て認める全面勝利判決でした(谷口教授の手記は2面に)。判決の詳細は、次号以降のニュースにて報告いたします。
 判決の言い渡しには、愛知工業大、中京大、中日本自動車短大、名古屋大、名古屋外国語大、名古屋女子大、日本福祉大、東海私大教連の関係者13名が応援傍聴に来られました。ありがとうございます。

名古屋地方裁判所での全面勝訴を勝ち取って

谷口 富士夫

 2012 年 7 月 31 日の解雇を受け、同年 9 月 21 日に越原学園ならびに理事長を相手取って解雇無効等の提訴をしてから満 2 年、本年 2014年9月18日に名古屋地裁において判決の言い渡しがありました。すでに皆様ご存知でしょうが、全面勝利の判決でした。
 当日の 1003 法廷で判決主文を聞いている段階では、これは勝訴の意味であろうというこ とだけは理解できたものの、どの程度の勝訴であるのかまでは理解できませんでした。最初 に、名古屋女子大学教授としての地位確認が言い渡され、12 番目に賠償金 330 万円の言い 渡しがありましたが、その間に読まれた複数の、給与に関する細かい数字に関する主文の意 味が即座には把握できなかったからです。後から判決文を読んだところ、当方の請求が 12項目挙げられていて、そのうち第 11 項までは「主文●項と同旨」とありました。つまり 11 項までは全て私側の主張がそのまま認められたわけです。1100 万円の賠償請求を行った第 12 項のみが主文とは異なるものと して、具体的な請求内容が書か れていました。ただし当方が請 求した慰謝料がそのままの額で 認められることはないと初めか ら思っていましたし、300 万円(および弁護士費用 30 万円)は この手の事件の相場としてはか なり高額であるそうです。
 また今回の裁判は、途中から、 学園と私の間のもう一つの事件、すなわち私のブログによって学園の名誉が毀損されたとして学園が私に 1060 万円の賠償請 求を行った訴訟も併合されていました。そちらに関しては学園の請求が棄却されました。
 こうして全面勝訴と知って安堵の喜びを感じるとともに、弁護団の小島先生と石塚先生を はじめ、長いあいだご支援くださった皆様への感謝の念に堪えません。
 今回の判決は東海地方のNHKニュースでも放送され、中日、朝日、毎日、読売の各紙で も記事にされました。しかし、それらの報道各社からの取材に対して越原学園理事会は、判 決文も読まないうちから即座に控訴を決めているようなコメントを寄せました。したがって 裁判そのものは高等裁判所でまだ続くことになるでしょう。
 名古屋女子大学のブラック体質が広く知られるようになったからなのか、今年度の越原学 園の各学校の入学者数は昨年度までと比べてかなり減少しました。
 私の最終目標は職場復帰ですが、創立者をはじめ先人(教職員並びに卒業生)たちが築き 上げてきた学園の信用の余塵を、それまでに現理事会は使い果たしている可能性があります。 教壇復帰したあかつきには、今度は職場の建て直しが為すべき仕事となるかもしれませんが、 その覚悟はできているつもりです。
 そのために今しばらく支援者の皆様には、ご支援の継続をお願い申し上げる次第です。

2014年09月26日

大学・高専中退:7万9311人…「経済的な理由」最多

毎日新聞(2014年09月25日)

 文部科学省は25日、2012年度に全国の国公私立大と高等専門学校(高専)で中途退学した学生が、全学生の2.7%の7万9311人に上ったとする調査結果を発表した。前回の07年度の数に比べ約1.6万人増え、中退率も0.24ポイント上昇した。経済的な理由を挙げた学生が前回調査より約6ポイント多い20.4%で最も多かった。中退者は非正規雇用の増加要因にもなっていることから、同省は来年度以降、無利子の奨学金拡充など対策を強化する。

 調査は今年2?3月、全国の大学・短大と高専の全1191校を対象に実施。1163校(97.6%)から回答があった。学生中退調査は、リーマン・ショック(08年)の影響を調べるため、07年度の実数と08年度途中の人数を調べた09年実施の調査以来、今回で2回目。

 中退者と中退率は、国立1万467人(中退率1.8%)▽公立2373人(同1.6%)▽私立6万5066人(同3.0%)▽高専1405人(同2.5%)??の計7万9311人(同2.7%)。私立は国公立に比べ中退率が高かった。07年度は6万3421人、08年度は約6万9000人(08年度は年度途中のため推計値)だった。

 中退理由の内訳は、経済的理由に次いで、転学(15.4%)▽学業不振(14.5%)▽就職(13.4%)??と続いた。07年度は、転学(14.9%)▽就職(14.4%)▽経済的理由(14.0%)の順で、12年度は経済的理由の増加が目立った。国公私立別で、最も多かったのは国立が就職(20.5%)、公立が転学(15.8%)、私立が経済的理由(22.6%)と分かれた。私立は学費が国公立に比べて高く、さらに値上げされる傾向にあることが要因とみられる。【三木陽介】


学内で暴言や暴力、中傷メール 弘前大、教授を戒告処分

産経(2014.9.25)

 弘前大(青森県弘前市)は25日、学内での暴言や暴力が相次いだとして、大学院理工学研究科に所属する50代の男性教授を戒告の懲戒処分にしたと発表した。教授は「指導上のことだ」と釈明したが、既に辞職願を提出している。

 弘前大によると、教授は平成24年、理工学研究科の准教授に「今後一緒に仕事をすることは難しい」との趣旨の発言をし、「指導能力がない」と准教授を中傷するメールを学外の研究者3人に送信した。准教授は精神的に不安定となり、学内の施設でカウンセリングを受けた。

 同年2月には、指導していた大学院生の尻を傘でたたいたほか、別の教員が指導していた学生に関し、卒業判定会議で具体的な理由を示さず不合格にするよう主張したという。研究科の教員12人から審査の申し立てがあり、事実関係を調べていた。


2014年09月24日

「産休後解雇は不当」元研究員、東京医大を提訴

河北新報(2014年09月23日)

 東京医科大(東京都新宿区)に勤務していた盛岡市の元研究員女性が、産前産後休暇を取得後に解雇されたのは不当だとして22日までに、同大に対し研究員としての地位確認と判決確定までの給与・賞与の支払いなどを求める訴えを盛岡地裁に起こした。
 訴えによると、女性は2007年1月、同大の神経生理学講座の研究員として勤務を始めた。13年2月ごろに妊娠し、同年11月から産前産後休暇を取得していた。
 大学側はことし3月、「教室運営に協力せず、講座の授業に支障が生じた」などとして、女性に解雇を通知した。
 女性側は、大学側が講座で研究を進める上で、女性が戦力にならないと判断し故意に失職させたと指摘。妊娠や出産を理由に解雇や雇い止めをする「マタニティーハラスメント」があったと主張している。
 大学側は「内容については裁判の中で明らかにするので、コメントは差し控える」と話した。

カラ出張38回 香川大、助教を解雇

四国新聞(2014/09/23)

 6年間にわたりカラ出張を38回繰り返し、旅費計約126万円を不正に得ていたとして、香川大は22日、総合情報センターの男性助教(37)を諭旨解雇の懲戒処分にした。既に全額を弁済していることなどから、刑事告訴はしない方針。

 同大によると助教は、1月23~24日に学会出席のため和歌山県に出張すると申請していたが、事務職員が23日に大学構内で助教の車を発見。大学に出入りした記録も残っていた。

 大学が助教の過去の出張を調査したところ、2008年11月~14年1月に計38回、カラ出張を行っていたことが判明。領収書の提出が不要な鉄道を利用したように装い、運賃や宿泊費、日当を不当に得ていた。

 助教は全ての不正受給を認め「学生の交通費など研究支援に使った。私的には使用していない」と話しているという。

 高木健一郎理事・副学長は「再発防止に向け、出張報告に切符などを添付するよう規定を見直した。教職員へのコンプライアンス教育も徹底したい」と述べた。


2014年09月19日

兵庫県立大が不正会計、補助事業完了偽り全額支払い

神戸新聞(2014/9/19)

 兵庫県立大(神戸市西区)は19日、学内の高度産業科学技術研究所が運営する中型放射光施設「ニュースバル」(上郡町光都)で、設備改修が終わっていないのに担当教授が完了したと偽ったため、業者に契約した全額約1億3500万円を支払っていた、と発表した。

 県立大によると、国の全額補助事業でニュースバルのビームラインを改修。期限は14年3月末だったが、一部の物品納入が遅れ、完了しなかった。担当の50代男性教授は、このままでは補助金が下りないと判断し、完了したと偽ったという。検査を担当した事務職員も気付かなかった。

 男性教授は、業者にも完了を偽ったことを伝えていたという。

 今年5月、大学側に情報提供があり発覚。男性教授は「高度化が必要不可欠な事業で、完遂させる必要があると考えた」と話しているという。

 遅れた改修は12月末までに完了する見通し。県立大は補助金の返還について文部科学省と協議中で「検査態勢に落ち度があり、県民におわびしたい」としている。(紺野大樹)


法科大学院を5分類 「最低」7校は補助金半減

日経新聞(2014/9/19)

 文部科学省は19日、各大学の法科大学院に2015年度に交付する補助金を算出するため、司法試験の合格率などを指標にして5段階に分類した一覧を公表した。国立・私立の52校のうち、東京大や京都大など13校が最高ランクに分類された一方、7校が最低の評価を受けた。

 文科省は一部の法科大学院の司法試験合格率が低迷していることを受け、15年度から各校への補助金を傾斜配分する方針を決めていた。今回の5段階の分類に沿って、現行制度の補助金の90~50%を「基礎額」として交付する。

 有識者会議で授業内容などを審査し、先進的な取り組みを進めている大学院には一定額を加算する。ただし最低ランクの評価の7校は、他大学との連合大学院として再編しない限り加算しないという。

 多くの大学院で補助金が減るとみられ、統廃合が進む可能性がある。有識者会議の審査は年内にまとまる見通し。

 司法試験の合格率のほか、入学定員の充足率、法学部出身者以外の学生・社会人の入学状況などを指標とした。国の補助金を受けていない公立大の大阪市立大と首都大学東京は今回の分類の対象外となっている。

法科大学院7校は補助金の大幅減も

NHK(9月19日)

文部科学省は、来年度から司法試験の合格率などに応じて法科大学院に補助金などを配分する新たな仕組みを導入するのを前に、来年度、生徒を募集する52校の評価をまとめ、7校は、組織の在り方を抜本的に見直さなければ補助金を大幅に減額するとしています。

文部科学省は、司法試験の合格率が低迷している法科大学院もあることを受けて、来年度から司法試験の合格率や定員の充足率などで、各大学院を5段階で評価し、それに応じて補助金などを配分する新たな仕組みを導入します。
これに関連して文部科学省は、来年度、学生を募集する国立と私立の52校の評価をまとめ、19日、法科大学院の充実策などを検討している中教審=中央教育審議会の特別委員会に報告しました。
それによりますと、一橋大学、東京大学、京都大学などの13校の法科大学院は、ほぼこれまでどおりの額が支給される最も高い評価でした。
一方、愛知学院大学、京都産業大学、國學院大学、桐蔭横浜大学、駒澤大学、北海学園大学、専修大学の7校の法科大学院は、補助金の基礎額がこれまでの50%に減額される最も低い評価でした。
このため、7校は、ほかの大学院と連合で新たな大学院を作るなど組織の抜本的な見直しを行わなければ、補助金が大幅に減額されることになります。


名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、名古屋地裁判決 原告谷口氏の完全勝訴

NHK(2014年9月19日)

祝!

大学に解雇無効と慰謝料命じる

名古屋女子大学の元教授が、退職に追い込むため、大学側が降格人事や解雇の処分を行ったのは違法だと訴えていた裁判で、名古屋地方裁判所は「処分は理由を欠く」として、大学側に対し解雇の無効に加え、慰謝料など合わせて2200万円の支払いを命じました。
名古屋市瑞穂区にある名古屋女子大学の谷口富士夫元教授(56)は、退職に追い込むため助手に降格するなどした上、解雇の処分としたのは違法だとして、大学を運営する越原学園と理事長に対し、解雇の無効と、慰謝料1000万円を求めていました。
18日の判決で、名古屋地方裁判所の田邊浩典裁判官は「処分は、理由を欠き違法で、元教授に多大な苦痛を与えた」として、解雇の無効に加え慰謝料や支払われるべきだった給与など、合わせて約2200万円の支払いを命じました。
判決のあと、谷口元教授は記者会見を開き「大学側には、現場の意見を聞きながら運営を進めてもらいたい」と話しました。
一方、越原学園は、判決について「不当で遺憾だ。内容を確認したうえで直ちに控訴する予定だ」というコメントを出しました。


2014年09月17日

聖トマス大教授ら、解雇無効など求め提訴 地裁尼崎支部

神戸新聞(2014/9/16)

 在学生がゼロの状態が続いている聖トマス大学(兵庫県尼崎市)の教授と准教授の4人が、大学側から一方的に解雇を命じられたとして、16日までに大学を運営する学校法人「英知学院」に対し、解雇無効などを求める訴えを神戸地裁尼崎支部に起こした。

 訴状などによると、大学側は4人に4月末での合意退職を提案。応じなかったため、5~10月末までの休業と10月末での解雇を命じたという。

 同大学は1963年に英知大学として開学したが、定員割れが続き、2010年度から新入生の募集を停止。新学部設立を目指したものの、今春断念していた。

 16日に尼崎市役所で会見を開いた4人は「これまでの経緯や大学の今後について説明もなく、一方的な解雇」と訴え、解雇無効と、休業期間中に支払われるべき給与との差額など計約2180万円の支払いを求めている。

 同大学は「内容は訴訟の場で明らかにしていく」としている。

提訴:処分の無効訴え、前橋工科大をて--遅刻の准教授

毎日新聞(2014/09/11)

 入試業務の際に遅刻を繰り返したとして懲戒処分を受けた前橋工科大生命情報学科の男性准教授(56)が11日、大学を相手取り、処分無効や慰謝料50万円の支払いを求める訴訟を前橋地裁に起こした。

 准教授は2013年1月の大学入試センター試験で集合時間に遅刻し、無断で早退しようとしたため学長から口頭注意を受け、さらに昨年2月と今年2月の前期入試でも集合時間に遅刻した...


2014年09月13日

大学の自治をまもる福岡教育大学未払い賃金請求訴訟、傍聴報告

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●【「大学の自治をまもる福岡教育大学未払い賃金請求訴訟」傍聴報告】

【「大学の自治をまもる福岡教育大学未払い賃金請求訴訟」傍聴報告】

 一昨日、「大学の自治をまもる福岡教育大学未払い賃金請求訴訟」の傍聴に行ってきました。素人なので細かいことはよくわかりませんが、一言で言えば、原告である教授の皆さんの主張が至極もっともであるのに対して、大学側の弁護士の態度が大変高圧的で傲慢なものと感じられました。

 原告の教授のうちのお一人に対する証人尋問もありましたが、①学問の道を究めるために、大学を卒業しても無給のうえに大学院で授業料を払って研鑽を積まれたこと、②せっかく大学院で学んでも、その専門性を生かして大学に職を得るにはとても狭き門で、得られたとしても、そのときには30~40代になっていること、③大学に職を得ても、研究のために必要な図書収集や現地調査、ゼミ生のお世話などには、大学から支給される経費では足らず、かなり自腹を切っておられること、などが語られました。このように学問や教育のために自己犠牲的な献身をされている教授の皆さんに対して、寺尾氏は、安心して働ける環境を提供するどころか、「国からの要請」だけを頼りに給与減額を強行しました。しかも、それに追い打ちをかけるように、今年度には教育予算を半減させたわけで、教授の皆さんは、さらに自腹を強いられることになります。こんなことが学問の府で許されてよいのでしょうか。

 これに対して、大学側の春山九州男弁護士は、この原告の教授のへの尋問において、まるで「大学は、国の方針に従ったまでのこと。国の方針に楯突くなどもってのほかで、文句を言わずにおとなしく働いていればよい」といわんばかりの傲慢さ。当然、尋問内容も不適切で、裁判長から何度も注意をされていました。この春山弁護士、私たちの取材によると、大学の経営委員を務めているばかりか、去年の学長選で教職員の投票結果をひっくり返して寺尾氏を学長に指名した学長選考会議の一人なのです。高圧的で傲慢な態度で原告に尋問をする春山弁護士の姿は、まさに寺尾氏と二重写しでした。

 この裁判の傍聴の余韻が冷めやらぬ中、なにか裁判に関する情報はないかと思い、散歩がてら福岡教育大学のキャンパス内を歩いてきました。すると、教職員組合の掲示板の裁判速報が目にとまり、読んでみると、裁判への理解がさらに深まりました。皆さんもぜひご一読ください。


寺尾愼一学長による大学運営とその問題点

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●く8月22日 【寺尾氏が生み出した「苦しみと悲しみ」のリスト】

寺尾愼一学長による大学運営とその問題点

福岡教育大学教職員組合
作成 2014年8月21日
改訂 2014年9月 4日

 福岡教育大学では、寺尾愼一学長の就任(2010年2月20日)以降、強権的な大学運営が常態化している。本文書は、福岡教育大学教職員組合の今後の活動に資するため、寺尾学長の4年半にわたる強権的な大学運営の諸事実を整理のうえ記録に留めたものである。今後、福岡教育大学教職員組合は、公器である国立大学の職員団体として、寺尾学長の大学運営の問題点について、文部科学省、国立大学法人評価委員会、報道機関、卒業生・在校生、保護者、地域住民等、広く社会に訴える活動を通して、早急に大学運営の正常化に取り組む必要がある。

 寺尾学長の就任は2010年2月であるが、最初のうちは無理な提案を強行しようとしても反対意見が強い場合は、ある程度抑止力が効いていた。これは国立大学法人法によって設置が義務づけられている「教育研究評議会」の委員のうち学長任命の委員の数が、理事・副学長3人、副理事4人、であり、各講座の教員代表16人が評議会全体の33人に対して半数近くを占めていたからである。しかし、その後、理事・副学長の数こそ変わっていないが、数の制限がない副学長は7人、副理事は8人にまで増員された。この理事を兼任しない副学長が評議員に入り、センター長・図書館長もそれぞれの担当副学長で置き換えられた結果、評議会の総人数は37人にまで膨れ上がり、講座代表の評議会に占める割合が相対的に低下し、教育研究評議会は学長が牛耳ることが可能になってしまった。さらに評議会に列席する監事からの発言や記名投票の強要など、評議員に圧力をかける運営手法が導入され、その結果重要事項の強行決定が続くようになったのである。

 その状況を時系列に整理する。
 以下では、太字は、特に大きな問題があると考えられる事項を示す。さらに、その太字部分に下線が引いてあるのは、「平成25事業年度に係る業務の実績に関する報告書」にて<実績>として上げられているものであり、<実績>と称する多くのものに問題があったことを表している。


【2011年】
・2011年4月 教員の「現員=定員」方針を発表。それまで講座間のポストのやりくりで均衡を保っていた教員の昇任人事が停止し教員人事の不均衡が固定化。

・2011年8月 人事院勧告に係る団体交渉の引き延ばし。団交申し入れが8月10日で9月30日には人事院勧告が出たにもかかわらず、団体交渉に応じず、応じたのは年明けになってからで、5ヶ月もの時間がかかった。これは閣議決定された国家公務員の臨時給与減額法案の国会審議を待ったためであり、その後も実質的な交渉には応じなかった。

・2011年9月 「大学教員人事制度の改革(案)について」発表。ポスト不足のため、資格を満たす教員が定年まで准教授に留まらざるをえない可能性が生じる。教授会での多くの反対意見にもかかわらず一方的通告で終わり、教育研究評議会で強行決定。

・2011年12月 教育組織改編案の強行。情報教育コース・スポーツ科学コース全廃、学部学生の総数減という学長提案が当初示され、その後に総学生数は維持するという内容に修正されたが、教授会では問題視する意見が出て採決の結果、○55、×53、白14、無効1、であり賛成が過半数に達しなかったため否決された。しかし、その後の教育研究評議会での採決では賛成多数で承認。両コースの2013年度廃止が強行実施された。

・2011年12月 教育学部長辞任とその後の混乱。上記の教授会での組織改編案否決に絡み、学部長が教育研究評議会席上において学長らから攻撃を受け、後日辞任した。しかしこの事実は構成員に通知もなく16日間にわたって学部長不在という事態を招いたあげく、学長自ら学部長事務取扱をし、さらにはすでに教授会で実施済みの次期学部長選考の結果についても無効であると主張。教授会は再度選考し直さざるをえず、結果は予定されていた次期候補者が再度選ばれたが、「残任期間」の規程により学部長任期が大幅に短縮されることとなった。

【2012年】
・2012年2月 再雇用特命教授の申請拒否。3講座から申請された特命教授が人事委員会による事前審査を通過したにもかかわらず、学長によって全て却下された。2011年9月の教授会では総務財務担当理事から「本人と講座が同意すれば(再雇用を)適用する」との説明があったにもかかわらず、である。

・2012年2月 追加予算配分のばらまき。教育・研究予算の追加配分を、本来その任をすべき予算配分委員会での審議・承認を経ないまま、100万円を複数の講座・センターにばらまいた。コンプライアンス(法令順守)やアカウンタビリティー(説明責任)も無視。

・2012年7月 給与臨時削減措置の強行。5月に突如イントラネットに「本法人職員の給与減額支給措置の検討について」という文書を掲載し、まともな労使交渉も経ないまま給与減額措置を実施すると表明した学長は、7月からその表明どおりに給与減額措置を強行した。この強行姿勢によって、国立大学法人としては全国で最初に、臨時減額分の未払い賃金請求訴訟を提起される事態を生じさせた。

・2012年7月 センターの統合と専任教員の配置換え強行。情報処理センター・図書館から学術情報センター、保健管理センター・体育研究センターから健康科学センター、教育総合実践センター・特別支援センターから教育総合研究所、という統合・再編が、歴代センター長の反対の意見書をも無視して強行された。さらにセンターの専任教員を一時、学長付という不明確・不安定な立場に置き、センター教員としての研究にも支障を及ぼした上に、強引に講座へ配置変えをしてしまう。

・2012年12月 勤勉手当成績優秀者対象者の講座推薦を拒否。多様な専門を評価するために、手当や昇給の推薦は講座から行ってきた経緯があるにもかかわらず、講座推薦を「学長の総合的判断」の名の下に拒否。拒否された中には、法人を相手取っての未払い賃金請求訴訟の原告や、学長への反対意見書を出した過半数代表者、講座主任などが含まれており、多くの疑義があるにもかかわらず「総合的判断」の説明は一切なし。2013年6月期においても原告1名がやはり推薦拒否され、学部長と学長の面談まで行われたが、学部長に迷惑がかかることを恐れた本人が辞退する結果になった。


【2013年】
・2013年1月 大幅な退職金削減の強行。国家公務員の退職手当の支給水準引き下げに伴い、またもや対等な立場での労使交渉もなく、また国家公務員ではないにもかかわらず、公務員準拠の削減を強行。退職金から最大で500万円を超える減額が実施されることとなる。

・2013年4月 労働委員会のあっせんを拒否。一向に正常化しない団体交渉について、教職員組合が福岡県地方労働委員会に申請した「あっせん」に対し、法人は自分に都合のよい「学長の出席がなくても交渉を進めては」というアドバイスを逆手にとり、以降は団交に学長は全く出てこなくなった。挙げ句には、法人は、「交渉のための資料を作る気もない」と断言してあっせんのテーブルを自ら蹴り、労働委員もその姿勢にあきれ果てる中、あっせん不調という結果に。

・2013年4月 改正労働契約法の悪用。労働契約法改正の趣旨は「5年を超える長期雇用の非常勤職員は正規雇用へ転換」というもののはずが、逆に、 5年で雇い止めになるような就業規則の改悪を、労使交渉も経ず、また過半数代表の反対意見も無視して、平然と行う。

・2013年4月 講座推薦の評議員の拒否。講座推薦の2013年度評議員のうち、未払い賃金請求訴訟の原告の教員について、原告であることを理由に指名拒否。該当者が組合の書記長でもあったことから組合活動の妨害であり「不当労働行為」であるとして中止要求するも受け入れず。この拒否は2014年度評議員選出の際も繰り返された。

・2013年5月 必要性に疑問のあるアカデミックホール竣工。図書館改修で教室が足りなくなるとの理由で、部活動などで活用されていた多目的グラウンドの一部をつぶしてまで250人収容のホールを1億円もかけて建設。しかし一部のシンポや研修会を除いて授業での活用はほとんどなし。既存教室とのアクセスが悪いせいだが、そのアクセスの悪さに対応するため授業間の休み時間の変更を教員や学生の反対を押し切って実施。この変更が年度終盤に強行されたため非常勤への連絡や学生への連絡が行き届かず混乱を引き起こす。

・2013年9月 教育実習の疑義ある変更の強行。2013年度の附属学校での教育実習は9月第2週からのAグループ3週間に引き続きBグループ3週間となったが、冒頭の2日間AB両グループの<参観>に当てられ、台風などの影響もあり実習に必要な3週間が確保できたのか疑義の声があがった。2014年度はさらにエスカレートし夏休み明けで児童への指導などで忙しい9月1日に<参観>を実施。附属側の強い反対も押し切って大混乱が懸念されることを「学長命令」として強行する。

・2013年11月 学長ヒアリングにおいて原告との対面を拒否。各講座主任を招集して行った、学生就職に関する学長ヒアリングにおいて、学長自らが招集したにもかかわらず、未払い賃金請求訴訟の原告である2名の教員が参加したヒアリングは学長が出席を拒んで実現しなかったり、わざと席をはずしたりした。同様の露骨な対面拒否は、年度当初に行われる人事要望のヒアリングの2013、2014年度でも繰り返され、その結果講座に迷惑をかけないため原告がそうしたヒアリングへの出席を遠慮せざるをえなくなった。

・2013年11月26日 学長選考、意向投票結果を覆す。意向投票結果は、長山芳子候補(現教育学部長)123票、寺尾愼一候補(現学長)88票。投票率は9割近くとなり、長山候補が過半数の票を獲得。しかし学長選考会議は候補者の適格性について十分な審議もせず、寺尾学長の再任を決定。

・2013年11月28日 教授会にて意向投票結果尊重の緊急動議。学部・大学院合同教授会において、「学長選考会議に対して意向投票の結果を尊重した再審議を求める。併せてその内容の公表を求める」緊急動議。投票総数150、賛成113、反対25、白票11、無効1の圧倒的多数で可決。

・2013年12月12日 次期研究科長の選出
大学院教授会において、2014年4月からの大学院研究科長候補者を学内規程に基づき選出。しかし、学長は、教職員組合が学長選考を疑問視して行ったビラ配布に同候補者が参加していた点をとらえ、以下にみるように後日に研究科長への任命を拒否。

・2013年12月20日「福岡教育大学のミッションの公表にあたって」説明会における暴言。この説明会の席において、学長は、教職員組合が学長選考を疑問視して行ったビラ配布について、関係者の処分をちらつかせる発言。当該学長発言は、大学ホームページにおいて公表され、自らの強権的姿勢を社会に知らしめることとなった。
(https://www.fukuoka-edu.ac.jp/view.rbz?pnp=100&pnp=112&pnp=226&nd=226&ik=1&cd=1130)


【2014年】
・2014年2月20日 役職者の大幅増員。文部科学大臣が寺尾愼一氏に福岡教育大学長の辞令を交付。理事・副学長3名、副学長5名(教育組織・カリキュラム改革担当、学生指導・学生支援担当、学術情報・ICT担当、入試改革・就職担当、研究開発・外部資金獲得担当)、副理事8名。それまでは副学長3名、副理事5名であった。(前学長の時は副学長は理事兼任のみで、学長特別補佐が4人置かれていた)

・2014年1月~3月 次期研究科長の任命拒否。
既に選出されていた研究科長候補者が、上記ビラ配布に関与したことを理由に、学長は研究科長任命を拒否。当時の研究科長や教授会議長団が数度説得を試みるが、学長は頑なに拒否。

・2014年3月19日 教授会を経ずに教員採用できる教員選考特例法強行。「学長は,本学の大学改革を迅速且つ確実に実施するために特に必要と認める場合には,国立大学法人福岡教育大学教員選考規程及び国立大学法人福岡教育大学教員選考基準に関する規程によることなく,大学教員の採用のための選考を行うことができるものとする」という特例法を評議会での投票もせずに決定(3月24日規程制定)。役員の下に置く資格審査委員会(理事・副学長・副理事)で教員資格を審査できる体制。それまでは教員採用は全て教授会を経ていたが、これにより教授会を無視することが可能な仕組みができあがる。

・2014年3月~4月 大学院3次募集を強行するも定員満たせず。
3月の第2次の大学院入試の結果、定員割れが生じたため、学長は、学内の反対を押し切り、急遽新年度4月に第3次募集を強行。結果、数名の入学者を確保したものの、定員は充足できないばかりか、新年度の繁忙期に業務過多が生じ、4月からの授業進行にも影響が生ずる。

・2014年3月27日 基盤的研究費のいきなりの半減。
学長が、4月以降の教育研究費をほぼ半減することを、突如予算編成方針として発表。4月以降既に予定されていた教育研究業務に多大な支障を生ずる。削減した額については、全学経費としてミッションの達成に資する目的に使用するとされたが、現時点で十分有効に活用されているとは言い難く、本来必要な業務に資金が回っていない状況。

・2014年3月31日 研究科長選出の規程改正案を強行。
学長の命令によって急遽教授会が召集され、研究科長を学長が任命する規程改正案が提出される。出席122、投票総数122、賛成15、反対96、白票10、無効1の圧倒的多数で否決。しかし直後に開かれた教育研究評議会では学長が投票による採決を認めず、規程改正を強行決定。

・2014年4月1日 規程違反のまま新たな研究科長の選出を強行。
規程を改正したところで既に選出された研究科長候補者の資格に影響はないはずだが、学長が相部保美氏(前附属学校部長)を研究科長に任命。規程違反・違法状態のまま大学運営が進行することに。

・2014年4月1日 役職者のさらなる増員。
副学長を1名増員(教職大学院改革・現職研修担当)。計6名に。

・2014年4月 戦略室の運用停止の強行。
改革の加速を理由に、重要事項を審議していた複数の戦略室を運用休止に。法人規程にはない「部局長会議」による独断専決型の大学運営体制に。

・2014年4月 正門前に突如看板が。正門前に突如、大学名を記した巨大な看板が立つ。残念ながら主要国道の3号線側から門に近づくと街路樹で隠されてほとんど見えないのに効果があるのか。立てるのだけで260万円ほどかかっているのに夜間ライトアップまで。

・2014年4月 プール改修で50mが25mに。プールの改修工事が行われたが、せっかく大学生が公式記録をとることのできる50mプールだったのが、25mプールになって残りの25mはコンクリートで埋められる。理由は学長の「小学校のプールは25mだ。小学校の先生になる学生には25mプールを与えるべきだ」とのこと。

・2014年6月26日 教育学部改組案も強行姿勢。
部局長会議において、教育学部改組案(初等選修制廃止、共生社会教育課程廃止、環境教育課程廃止、芸術学科の新設)を提示。以後、教授会では学部長からの報告は行われたが、本件に関する審議も意見聴取もなし。

・2014年7月 「教員養成の質向上に関する諮問会議」をめぐる問題。当初の会議規程では委員20名だったが、第1回会議で女性の委員が一人もいないことの指摘があり、急遽規程から人数を削除して委員を29人に増員して女性に委員を依頼。最初の委員依頼時点での見識が疑われる。

・2014年7月17日 臨時教授会で学部改組案の教授会審議を求める決議。
部局長会議において、教育学部改組案の改訂版を提示。
臨時教授会において、次の動議を全会一致で可決。

「次のことを学長に求めます。
(1)教育学部改組においては、教授会での審議を経るとともに、生涯教育3課程の意向を十分尊重して検討すること。
(2)教育学部改組にあたっては、初等教育教員養成課程選修制廃止以外の可能性も含めて検討すること。」

今回の教授会は、教授会構成員80名の署名によって開催された。署名は教育学部長に提出されたが、学長は、教育学部長に対して業務命令により署名者名簿の提出を強要した。

・2014年7月18日
定例教育研究評議会において教育学部改組案を審議。共生社会教育課程廃止、環境教育課程廃止について、反対意見を押し切り決定。初等選修制廃止については継続審議に。

・2014年7月25日
副理事を新たに任命して申請した「地(知)の拠点整備事業」に2年連続落選。九州において国立大学が採択されていないのは福岡・大分のみ。福岡は西日本工業大学が採択された。

・2014年7月31日
学長が本年度に学外者を招聘し設置した「教員養成の質向上に関する諮問会議」からの中間報告。初等選修制に関しては、入試やカリキュラムとも関係し、これまでの歴史や成果もあるため、今後検討を継続すべきという内容。

・2014年8月6日
臨時教育研究評議会において教育学部改組案を審議。初等選修制廃止について、学長は投票による採決を拒否し、承認されたこととする。諮問会議中間報告も無視。

・2014年8月10日 度重なる役職者の増殖。
副学長を1名増員(博士課程設置構想)。計7名に。

・2014年8月 改組についての学生の嘆願にも威圧的対応。まだ改組もきまっていない春の段階で副学長(教職大学院改革・現職研修担当)から、いくつかの学科を名指しして「廃止することになっている」との学外の会合での発言があった。危惧した共生社会教育課程の学生が約250名もの嘆願署名を携え学長に学科廃止反対の直訴を行った。しかし直訴を受けた学長の対応は不誠実そのものであった。「なんとも言えない」とぼかしておきながら「勝手な解釈をしないように」と釘を刺したり、「学部長や講座の先生に聞くように」と責任転嫁しつつ「学長が言ったとか、そういうことがまた二次波及するからしゃべらないように」と口止めまでする始末。最後には「みなさんが就職した会社で何かあったら、社長や管理職に直訴などするのか? 経営判断が示されたら、それを受け入れるべき。あなたは学生で、私は、大学を経営している」といった威圧的発言まで。発言の中に「外部の雑音」ということがあったのを聞いて、該当課程の卒業生でやはり廃止を危惧して署名を集めた代表者が学長への面談を求めた際も、たらいまわしして何日も放置したあげく、事務次長にまる投げし、学長本人は会おうともしなかった。

・2014年8月 図書館の長期サービス低減と時期を失する閉館。
2013年夏からの図書館の改修工事のため、ただでさえ長期にわたる臨時図書館での限定サービスが続いた上に、改修が2014年4月には終わっているにもかかわらず、教員採用試験等で需要の大きい8月~9月を完全閉館に。学生への教育サービスの要となる大学図書館の役割を完全無視。


2014年09月08日

奨学金、借りすぎご注意

読売新聞(2014年09月01日)

滞納957億円・「借金」認識を

 学費の負担増などで奨学金を借りる学生が増える一方で、卒業後に返済が滞るケースが問題化している。

 奨学金は多くが貸し付け型で、有利子のものもあるなど、あくまで「借金」だ。返済のリスクを把握し、必要以上の借り入れは避けたい。

■多くは貸し付け型

 高校、短大、大学などに進学したくても、親の収入や貯蓄だけでは学費を賄えない場合、多くは国や大学の奨学金、民間の教育ローンなどに頼ることになる。奨学金では、各大学が支給する返済不要の「給付型」もあるが、多くの学生は貸し付け型を利用している。

 公的な奨学金は、高校生には各都道府県が、短大生や大学生などには国の奨学金貸与事業を行う日本学生支援機構(旧日本育英会)が貸与している。無担保で借りられ、民間ローンに比べ利息も低めだ。このため、「経済的に厳しい家庭にとって借りやすい面がある」(同機構の谷江徹司奨学総務課長)という。

 同機構の奨学金には、無利子の「第1種」と、有利子の「第2種」がある。それぞれ選考があり、第1種の方が成績面や親の年収に関する基準が厳しい。貸与月額は第1種(私立大学の場合)で3万円、5万4000円、6万4000円。第2種(公立と私立とも)で3万、5万、8万、10万、12万円となっており、この中から選ぶ。このほか、入学時の一時金として貸す「入学時特別増額貸与奨学金」(最大50万円、有利子)もある。

 返済の際に上乗せされる利子は卒業月(貸与終了月)に決まり、今年3月卒業の場合、金利は年0・82%(固定方式の場合)だ。

■大学生2.6人に1人

 学費が上昇傾向にある一方、世帯収入は長期的に低迷していることなどから、奨学金を借りる学生の数は右肩上がりだ。2013年度の同機構の利用者(大学、短大、大学院、高等専門学校などの合計)は第1種で約43万人、第2種で約91万人。大学生に限ると、2・6人に1人が借りている計算だ。

 一方、卒業しても就職先が見つからないなどの理由で、返済を滞納する人が後を絶たない。今年3月末時点の滞納者は約1割にあたる約33万人、滞納額は957億円に上っている。

 仮に第2種奨学金を月5万円、4年間借りると総額は240万円。本人は卒業と同時に、これを負債として抱えることになる。年利を0・82%とし、平均的な15年返済で試算すると、毎月約1万4200円を180回払っていかねばならない。決して軽くない負担だ。

 奨学金アドバイザーの久米忠史さんは「他の借り入れに比べ金利などの条件が良いだけで、奨学金も借金に変わりはない。返済に十分留意して借りる必要がある」と話す。

 もし返済が滞ればどうなるか。3か月以上滞納が続いた場合、個人信用情報機関に登録され、クレジットカードの利用が制限されたり、住宅ローンが組めなくなったりする恐れもある。同機構の谷江さんは「借りる前に本当に必要な額かどうか、将来設計も見据えながらきちんと考えて」と話す。

■減額・猶予も

 同機構で奨学金を借り、今春に大学などを卒業(貸与終了)した人の多くは、10月から返済が始まる。「定職に就けなかった」「低収入で生活が苦しい」といった人には、返済の減額・猶予の制度がある。基準年収が目安(給与所得者で300万円)を下回るなど一定の条件を満たすことが必要だ。

 減額は、例えば月1万円の返済が難しくても5000円なら払えるという場合、月の返済額を半分にして期間を延長する。猶予は、返済期限を最長で通算10年先延ばしする。ただし、いずれも返済総額は変わらない。(武田泰介)

大学独自の制度も 早慶、首都圏以外の学生向け

 多くの大学は、独自の奨学金制度を持っている。

 例えば、早稲田大学は学内奨学金が約100種類ある。その中の一つ、2009年に新設した「めざせ!都の西北奨学金」は、首都圏以外の高校出身者が入学前に申し込む「給付型」の奨学金だ。年40万円、4年で総額160万円を支給し、卒業後も返済不要だ。高校の成績や父母の収入などを基に選考し、来春入学者は約1200人の枠を予定。10~11月と1月の2回にわたって申請を受け付ける。

 早大同様、各大学は返済不要の給付型をはじめ、様々な奨学金を用意している。学生支援機構のサイトでは、こうした大学独自の奨学金をまとめて紹介するページを設けている。全国の国公私立大・短大合わせて約650校の制度が一覧表になっており、それぞれ貸与額や条件、募集人数などが確認できる。

 ファイナンシャルプランナーの藤川太さんは「あまり知られていないが、受験生や父母にとっては貴重な情報。活用しない手はない」と話す。志望する大学に経済面のサポートがどれだけあるか、受験前に調べておくのに役立ちそうだ。


2014年09月04日

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に反対する意見

東京私大教連
 ∟●学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に反対する意見

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に反対する意見

2014 年 8 月 24 日
東京私大教連中央執行委員会

1.学校教育法施行規則第 144 条の削除について
同条を削除することに断固反対である。

<理由>
①学校教育法施行規則第 144 条「学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める。」を、全文削除する合理的理由は一切無い。文科省は、パブリックコメント募集文書において、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律(平成 26 年法律第88 号)の成立に伴い」同条を削除するとしているが、まったく理由にならない。改正学校教育法は、第 93 条において、「学生の入学、卒業及び課程の修了」、「学位の授与」について、教授会は学長が決定を行うに当たり意見を述べるものとすると定めたが、退学、転学、留学、休学については教授会の議を経る必要がないなどと定めたわけではなく、学校教育法施行規則第 144 条を全文削除することは不当かつ違法である。

②同条を削除することは、学生の退学、転学、留学、休学について、教育を直接担い、学生に対する教育上の責任を負う教員集団たる教授会の審議を一切行うことなく、学長が一存でこれらの重要事項を決定できるようにすることを意味する。実際に、「大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議」で配布された施行通知案によれば、「第 93 条第 2 項第 1 号で規定された以外の、学生の退学、転学、留学、休学については、本人の希望を尊重すべき場合など様々な事情があり得ることから、教授会が意見を述べることを義務付けておら」ないとされている。
 しかし、これは断じて容認できるものではない。実態としても、学生の退学、転学、留学、休学について教授会が審議しないなどということは、あり得ない。それらの事項は、学生の終了年限や取得単位数の認定、留学においては留学先大学等の選択の妥当性や留学先での取得単位の読み替えをどうするのか、退学を希望する学生に対しての教育的な援助のあり方などは大学教育そのものであり、それらを教授会が専門的見地、教育的見地から審議することは、学生の学習権を障するためにも必要不可欠である。
 学長が教授会の一切関知していないところで、学生の退学、転学、留学、休学について独断で決定するなどという事態を法令で容認もしくは推奨することは、大学教育の破壊であり、暴挙というほかない。

③学校教育法改正の衆議院文部科学委員会における 5 月 23 日の審議で、宮本岳志議員(日本共産党)は、「現行学校教育法施行規則第 144 条では、『入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める』とされております。(これと法案を)比べたときに、退学、転学、留学、休学というものが抜けているわけですけれども、これは一体どこに行ったんですか」と問題性を指摘し、「学長が教授会の意見を聞くことが必要でないと判断すれば、教授会の議を経ずに学生を退学させることができることになりますね」と質したに対して、吉田大輔文部科学省高等教育局長は、「まさにその法律と省令との関係を再検討する際の一つの論点として考えております」と述べている。それに対し宮本議員は、「そうしたらあれですか、省令を変えずに、退学についても議を経るということを残すということを今おっしゃっているんですか」と重ねて質したのに対して、吉田高等教育局長は、「その点は、そういうものも選択肢としてあって、検討したいと思っています」と回答している。
 しかし、「大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議」では、はじめから削除ありきで施行通知案が作成されており、「選択肢」としてさえ一切検討されていない。これは国会審議の無視であり、学校教育法施行規則 144 条の削除を白紙撤回したうえで、大学関係者の議論を広く丁寧に行うべきである。

④改正学校教育法は、第 93 条 1 項において、教授会が「学長が決定を行うにあたり、意見を述べる」事項を「学生の入学、卒業及び課程の修了」「学位の授与」「教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」とした。そもそも、これらは教授会が実質的に審議・決定すべき事項であるが、国会審議においても、「大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議」の配布資料でも、「学長に対しても、教授会に意見を述べさせる義務を課しているものと解される」とされている。「義務」と述べるからには、学長においても、教授会の意見を尊重すべきことは当然である。
 現行学校教育法施行規則 144 条においても、「教授会の議を経て、学長が定める」とされており、教授会の審議決定に関して公正を欠く疑いが強いなどの理由がある場合には、学長が執行に対して責任を負う立場から、教授会に対して差し戻すなどの対応を取ることは現行法でも認められることであり、学長は教授会のいかなる決定に対しても無条件に従わなければならないとされているわけではない。
 学生の身分に関して教授会が審議し意見を述べること、学長はその意見を尊重することは、今般の学校教育法改正に基づいても、学校教育法施行規則 144 条において盛り込まれていなければならない。したがって、144 条を全文削除することは、改正法の趣旨にも反するとものと言わざるを得ない。

⑤学校教育法改正の衆議院文部科学委員会における 5 月 23 日の審議では、吉田泉委員(民主党)が「例えば、学位の授与というものは、世界的に、教授会の審議が基本的に尊重されている。学位の証書にも、教授会の審議に基づきというような文言が書かれる国が多いそうなんですけれども、今後は、学位の授与、確かに法定事項ではあるんだけれども、単に意見を聞くだけにすぎないことになってしまうのではないか、果たしてこういう書き方でいいのかという危惧が出されているところでございます」と指摘し、6月 19 日の参議院文教科学委員会における審議で田村智子委員(日本共産党)も、問題性を厳しく指摘している。下村博文文部科学大臣からはそれらの危惧を払拭する答弁はなかったが、学校教育法施行規則 144 条を削除するならば、こうした危惧が杞憂ではなくなることは明らかである。

2.当パブリックコメントの募集期間を短縮したことについて
 当パブリックコメントの募集期間を短縮したことは、行政手続き上、重大な瑕疵がある。学校教育法施行規則の検討そのものも含めて、やり直すべきである。

<理由>
①学校教育法改正の衆議院文部科学委員会における 5 月 23 日の審議で、宮本岳志議員(日本共産党)は、「現行学校教育法施行規則第 144 条では、『入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める』とされております。(これと法案を)比べたときに、退学、転学、留学、休学というものが抜けているわけですけれども、これは一体どこに行ったんですか」と問題性を指摘し、「学長が教授会の意見を聞くことが必要でないと判断すれば、教授会の議を経ずに学生を退学させることができることになりますね」と質したに対して、吉田大輔文部科学省高等教育局長は、「まさにその法律と省令との関係を再検討する際の一つの論点として考えております」と述べている。それに対し宮本議員は、「そうしたらあれですか、省令を変えずに、退学についても議を経るということを残すということを今おっしゃっているんですか」と重ねて質したのに対して、吉田高等教育局長は、「その点は、そういうものも選択肢としてあって、検討したいと思っています」と回答している。
 しかし、「大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議」では、はじめから削除ありきで施行通知案が作成されており、「選択肢」としてさえ一切検討されていない。これは国会審議の無視であり、学校教育法施行規則 144 条の削除を白紙撤回したうえで、大学関係者の議論を広く丁寧に行うべきである。

②意見公募期間は 30 日以上でなければならないが(行政手続法第 39 条第 3 項)、文科省は当パブリックコメントの意見提出期間を 23 日間に短縮した。これには合理的理由がない。文科省は、「意見提出が 30 日未満の場合その理由」について、「平成 27 年 4 月 1 日の改正法及び本省令の施行に向けて、各大学において関係する学内規則の総点検及び見直しを行う必要があり、そのための検討期間や準備・作業期間を適切に確保するため、これらの根拠となる省令・通知の内容を早期に確定させる必要がある」と説明しているが、30 日以上での意見募集を行ったからといって、「検討期間や準備・作業期間を適切に確保する」ことに支障が生じるというのは詭弁である。文科省は、あらかじめ 8 月中の施行通知発出、9 月 2 日の説明会開催というスケジュールを決め、そのスケジュールありきで、拙速に手続きをすすめているとみなすほかない。
 学校教育法施行規則第 144 条を削除する理由も明示せず、関連資料の提示もせずに、パブリックコメントを募集していることも、重大な問題である。大学のあり方を大きく変質させる今般の改正を、このように拙速にすすめることは言語同断であり、すべての大学に大きな混乱をもたらすことにつながることは明らかである。

以 上

中央大学、50代教授を懲戒解雇 女子学生へのセクハラ

毎日新聞(2014年09月03日)

 中央大学は3日、50代の男性教授が教え子の女子学生にセクハラしたとして、懲戒解雇したと発表した。処分は7月29日付。被害を受けた学生の保護を理由に教授の所属や名前を公表していない。

 同大によると、今年1月、学内のハラスメント防止啓発支援室に女子学生本人から相談があった。調査の結果、2012年9月下旬から13年7月末ごろまでの約1年間、男性教授が女子学生に対し、性的な言動を繰り返していたと認定した。

 教授は調査に対し、性的な言動をしたことを認めたが、処分に対して異議を申し立てた。教授が所属する学部の教授会が8月に審査し、処分を変更しないことを決めた。

 同大の福原紀彦学長は「被害を受けた学生におわびします。学内啓発を徹底し、再発防止に取り組みます」とのコメントを発表した。


2014年09月02日

国立大9割に、文科省「天下り」 理事ら幹部77人出向

東京新聞(2014年9月1日)

 全国の国立大学法人八十六校のうち約九割にあたる七十六校で、計七十七人の文部科学省出身者が理事や副学長、事務局長などの幹部として在籍していることが分かった。事実上の「天下り」を通じ、国立大の運営に文科省の意向が反映されている恐れがある。 
 文科省が自民党の無駄撲滅プロジェクトチーム(PT)に提出した資料で明らかになった。PTでは、文科省と国立大との人事交流を若手職員に限るなどの改善を提起する方針だ。
 資料は四月一日現在で、文科省から国立大への出向者をまとめた。課長級以上の管理職は国立大ほぼ全ての八十三大学で、計二百三十九人が在籍している。
 二〇一三年の同省幹部の出向者は、七十五大学で七十五人。管理職は八十三大学で二百四十七人いた。一二年は幹部が七十大学で七十人、管理職は八十大学で二百三十九人だった。
 六月に国会で成立し、来年四月から施行される改正学校教育法は教授会の権限を限定し、学長主導の大学改革を促す。同法の改正では、学長を補佐する副学長の職務範囲を拡大した。副学長への出向を通じ、国立大への文科省の影響力が一層強まる可能性がある。
 文科省は「各学長から要望があった際、該当する人がいれば協力をする」(人事課)と要請に応じた人事交流と説明している。
 文科省出身の理事二人がいる東京大は「文部科学行政全般に幅広い知識や経験を有した人材は、本学の発展に貢献いただけると期待し、総長(学長)が任命した。出向終了後は文科省に戻るので天下りではない」(広報課)としている。