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 カテゴリー 2014年10月

2014年10月31日

マケルナ会の緊急シンポジウムのおしらせ 「いま、民主主義が危ない!-守ろう!北星学園-」

「負けるな北星!の会」

マケルナ会 緊急シンポ
「いま、民主主義が危ない!~守ろう!北星学園~」

北星学園大学非常勤講師(植村隆さん)の解雇を要求する大学への一連の脅迫は、大学の自治、学問の自由、言論の自由を脅かす言論テロであり、私たちが大切にしている民主主義への攻撃にほかなりません。
この緊急シンポジウムでは、これまでの経緯、現状、問題点を確認し、卑劣な攻撃から北星学園を守るために私たちに今何ができるのか、会場との意見交換も交えて考えます。

★日時
2014年10月31日(金)18:45(開場18:15)~20:45
★会場
かでる2・7(4F)大会議室(札幌市中央区北2条西7丁目)

★発言者
荻野 富士夫さん(呼びかけ人・小樽商科大学教授)
鈴木 賢さん(呼びかけ人・北海道大学教授)
佐藤 博文さん(賛同人・弁護士) ほか

★主な論点
①ネット攻撃などの犯罪性について
②大学の自治と学問の自由、報道の自由について
③歴史的、社会的な位置づけについて
④私たちに何ができるか

2014年10月30日

「勝手は許さない」、聖トマス大来年3月廃校で同窓生らが公開フォーラム

クリスチャントゥデイ(2014年10月28日)

在学生ゼロの状態が続き、廃校の危機に瀕している聖トマス大学(兵庫県尼崎市)の同窓生らが中心となり、同大学学生会館で11月3日正午から、公開フォーラム「もう今しかないぞ 聖トマス大!!」の開催を企画している。主催者側は、「出席する大学当局者に説明を求め、今起こっていることを地域住民、全国の大学、マスコミ関係者の方々に知っていただき、公教育の一環を担う大学にふさわしいまっとうな解決策を導くべく話し合いたい」としている。

同大学は1963年に英知大学として開学したが、定員割れによる赤字で10年度から新入生の募集を停止していた。米国の営利型大学運営企業大手のローリエットが経営に参入し、新学部設立を計画していたが断念。今年春に大学廃止の検討をしていることが伝えられた。

地元紙の報道などによると、新学部設置や赤字解消の財源として、11年には敷地の4分の1にあたる約1万平方メートルを、13年には約6千平方メートルを売却。今年9月には、同大学の教授と准教授の4人が、大学側から一方的に解雇を命じられたとして、大学を運営する学校法人「英知学院」に対し、解雇無効などを求める訴えを神戸地裁尼崎支部に起こしている。

同窓会の藤本滝三会長は最新の会報で、「ローリエットは本学で『何をしたかったのか?』全く脈略が見えて来ません」と経営側の問題点を厳しく指摘。「同窓会、教職員、地域住民、尼崎市、ひいては日本の文科省も日本丸のプライドをかけてでも勝手は許さないという態度を表明する時はもう今しかありません」と参加を呼び掛けている。

公開フォーラムは参加無料。

給与規定改定で札大に救済命令 道労働委

■道新(10/29)

 北海道労働委員会 は28日、札幌大学(札幌市豊平区)に対し、労組と十分な交渉を行わずに給与規定や教員の定年延長に関する規定を一方的に改定したのは不当労働行為に当たるとして、団体交渉で誠実に対応することなどを求める救済命令を出した。

 命令書などによると札大は、期末手当や通勤手当の削減、 定期昇給 の制限など7項目の給与規定改定を札大教職員組合(小山修委員長)に2012年9月に提示した後、団体交渉で十分な説明を行わないまま同11月に実施。定年延長時に給与を引き下げるとした規定改定も、理由を十分に説明せずに13年4月に実施したとされる。

 命令書は「規約改定の適正さを十分説明し、組合員の理解を得るように努めたとは言えない」と指摘した。

 教職員組合の小山委員長は「主張がほぼ認められた。今後の団体交渉で不利益変更の回復を求めていく」とした。札大は「弁護士と協議中でコメントは差し控える」としている。


金城学院大学雇止め裁判、控訴審と和解調停の報告

名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判 HP
 ∟●金城学院大学雇止め裁判(2014年(ネ)第255号地位確認等請求事件)  控訴審と和解調停の報告

2014年10月29日

札幌大学不当労働行為事件、10月28日道労委命令 労組側の全面的勝利

北海道労働委員会
 ∟●札幌大学事件(平成25年道委不第3号)命令書(概要)
 ∟●札幌大学事件(平成25年道委不第3号)命令書(全文)

祝! 地労委勝利

平成25年道委不第3号 札幌大学事件 命令書(概要)

1 当事者
(1) 申立人 札幌大学教職員組合(以下「組合」という。)
(2) 被申立人 学校法人札幌大学(以下「法人」という。)

2 事案の概要
 本件は、法人が、組合に対し、平成24年9月4日(以下、平成の元号は省略する。) 提示の給与規程の改正(以下「本件給与規程改正」という。)について、改正理由を資 料を示して説明することなく団体交渉継続中に上記改正を一方的に施行するなどしたこ と、また、教員の定年後の勤務延長任用に関して、教員勤務延長任用規程の改正(以下
「本件延長規程改正」という。)の協議を組合に申し入れずに一方的に実施するなどし たことが労働組合法(以下「法」という。)第7条第2号及び第3号の不当労働行為に 当たるとして、北海道労働委員会に救済申立てがあった事案である。

3 主文要旨
(1)法人は、法人の給与規程の改正及び教員の勤務延長任用規程の改正に係る団体交渉 につき、平成23年3月に申入れをしていた労働条件の不利益変更の内容を更に不利 益なものに変更する理由のみならず変更内容が適正なものであることを説明するとと もに、必要に応じて資料を提供するなどして誠実に対応しなければならない。
(2)法人は、前記(1)に係る団体交渉において不誠実な対応をすることにより組合の運 営に支配介入してはならない。
(3)法人は、前記(1)及び(2)の内容の文書を、縦1メートル、横1.5メートルの白紙
にかい書で明瞭に記載し、法人の中央棟の正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し 交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。
(4) 組合のその余の申立てを棄却する。

4 判断要旨
(1) 不誠実団体交渉について
 法人は、23年9月以降、全教職員を対象とする説明会を実施するなどして、大幅な定員割れと人件費の高水準、それによる高い人件費率により財政が厳しい状況にあること、そして、財政の健全化のため人件費の削減が必要であると説明し、24年5 月以降も、財政状況が更に悪化している旨説明をしていることが認められる。
 しかしながら、24年5月以降に行われた説明は、24年度の財政状況が更に悪化し、本件給与規程改正及び本件延長規程改正による労働条件の更なる不利益変更が必 要であることを説明するものであるが、上記規程改正によって労働者の被る労働条件 の不利益が適正なものであることを十分説明を尽くしたものとはいえない。
 すなわち、法人は、上記規程改正につき、財政状況の健全化のため人件費の削減が 必要であることを説明するだけではなく、上記規程改正が財政状況の健全化にどの程 度寄与し、今後どの様に財政状況を健全化していくのか、財政状況の見通しや中長期 的な経営方針などを明らかにするなどして、上記規程改正によって労働者の被る不利 益の程度が必要以上に過大なものではなく、また、特定の労働者だけが不利益を被る ものではないなど、経過措置や代替措置などの他の施策も含めて上記規程改正が財政 状況を健全化する施策として適正なものであることを説明しなければならない。
 しかし、組合が上記規程改正に係る団体交渉で財政状況の見通しを示すよう再三求 めたことが認められるところ、法人は、上記規程改正の内容を折り込んだ資料などを 提示しておらず、23年3月申入れを超える労働条件の更なる不利益変更をするに至 った理由を説明するための上記規程改正に関する財政状況の見通しを示したとはいえ ない。また、法人は、第四次基本計画の進捗状況が当初の想定とは乖離していること を認識していながら、その代替となるような計画の策定や新たな中長期的な経営方針 を明らかにしていない。
 さらに、法人は、上記規程改正によって労働者の被る不利益、特に勤務延長任用教 員に対する年俸額の削減につき、これまで申入れをしていた段階的な削減から一律に 年俸額を480万円に削減すること、さらには校務の負担及び休職の廃止などの不利 益につき、組合の要求や主張に対し、単に財政難である旨を繰り返すのではなく、段 階的な削減から一律に削減することにした理由や必要性の論拠、さらには激変緩和措 置の有無などに関する情報を提供したり、校務の理解に対する溝を埋めるような提案 や説得をしておらず、十分な説明をしたとはいえない。
 したがって、法人は、専ら事業団資料によって財政状況の健全化のため人件費の削 減が必要であることを説明するにとどまり、労働条件の更なる不利益変更につき、改 正の具体的な実施・施行日を決定した旨通知していることも併せて考えれば、本件給 与規程改正及び本件延長規程改正を早急に実施することが必要であり、かつ適正なも のであることを十分説明するなどして組合の理解を得るように努めたとはいえない。
 よって、法人は、上記規程改正に係る団体交渉において、労働条件の更なる不利益変更につき、誠実に対応したと認めることはできない。 以上のとおりであるから、本件給与規程改正及び本件延長規程改正に係る団体交渉における法人の対応は、法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

(2)支配介入について
 法人は、前記(1)のとおり本件給与規程改正及び本件延長規程改正に係る団体交渉につき不誠実な対応をした上、上記規程改正を実施したものであるから、このような法人の対応は組合の運営に介入したものと認めるのが相当である。 よって、上記団体交渉における法人の対応は、法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

5 審査の経過(調査8回、審問2回)
(1) 申立年月日 25年2月21日
(2) 公益委員会議の合議年月日 26年9月12日、同年9月26日、同年10月10日
(3) 命令書(写)交付年月日 26年10月28日

岡山大学、薬学部長を懲戒処分にするとともに解任 後任に檜垣氏

読売新聞(2014年10月28日)

薬学部長解任 後任に檜垣氏 岡大

 岡山大は27日、薬学部長に檜垣和孝・創薬科学科長(54)(生物薬剤学)を充てる人事を発表した。発令は28日付で、任期は2016年3月末まで。

 同大学は9月26日、教員へのハラスメントがあったとして前薬学部長を懲戒処分にするとともに解任。一方、前学部長らは「ハラスメントの事実はない」として、地裁に処分停止の仮処分を申請している。


2014年10月28日

聖トマス大、来年3月に廃校にされようとしています

■英知大学・聖トマス大学同窓会
 ∟●来年3月 地域の大学が廃校にされようとしています

もう今しかないぞ 聖トマス大!!

来年3月 地域の大学が廃校にされようとしています

 「日本の教育界に"黒船"来襲 世界最大の私立大学グループが日本で新たな学部を新設する/少子化と過当競争に悩む既存の国内私立大学に新風を吹き込むか」
 この見出しは『日経ビジネス』2011年6月20日号に躍ったものです。記事は聖トマス大の経営を引き継ぎ日本上陸したローリエット社を好意的に紹介する内容でした。我々1万人の同窓生はこれを見て心より喜びました。
 英知大学が聖トマス大学に学名変更して2年後、2009年に学生募集停止を発表したショックに見舞われていたさなかに登場したリン新理事長は「経営はグローバルだが文化はローカルをスタンスに」「大学に対する経営支援がローリエイトの大きな役割になる」「日本の学生や社会のために最善を尽くす」と声高らかに宣言しました。
 募集停止後すぐさまシンポジウム「ほっとけん! 地域の大学・聖トマス大」を開いて励ましてくださった市長はじめ地域の方々にもご恩返しできると胸膨らみました。
 それが2014年4月2日には今後、新学部の申請は行わない、大学の廃止を検討するとの発表です!
 この4年ほどの間にローリエットは一体何をしたのか?
 失敗に失敗を重ね、文科省や教職員の意見にも耳を貸さず自己流を押し通してここまで来ました。その結果がたびかさなる不明瞭な校庭の切り売りと、挙句の果ての撤退です。ローリエットは最初に7億円を出資したといわれていますが、計1万6千㎡の校庭を格安で売り払い得た額は3倍の21億円以上であることが分かりました。
 この間、同窓会に事前の話し合いがあったのは良いことづくめの最初の時だけで、雲行きが怪しくなってくると、その口は貝のように閉ざされ、おまけに箝口令まで敷く始末。地域住民の方々にもまともな説明をすることなくここまで来ました。戦時中お国のためと軍隊に土地を提供された地元の方々は、その跡地の校庭に住宅が立ち並ぶ光景をどのような思いで見ておられるのか。ただ裏切られたというお気持ちしかないと思われます。同窓会役員にも彼らは「リップサービスのお化け」にしか映りません。
 公益のために教育を行うべき日本の私立大学は税金を免除され補助金をもらい、法的にも保護されています。教育関連法は今年もまた改定され理事会・学長の権限が強化されました。アメリカの投資会社ローリエットは、この公益追求者への保護制度の上にあぐらをかいて勝手放題をしてきました。
 大学理事会は今後の方針は何も決まっていないと言いながら、10月末に教職員をほとんど退職させ、誰もいなくなった状態で売れるものを売り払い、来年3月に大学を廃校させようとしています。これを許しては日本の大学・学生数の7割以上を占める私立大は「ハゲタカ」と恐れられてきた海外ファンドに次々狙われ、日本の教育資産が各地で食いつぶされてゆく先例になりかねません。
 ただただ手をこまねいているだけで良いのでしょうか!?
 すでに尼崎市議会でも本学の行方が議論され、副市長からも懸念が表明されました。同窓会、(元)教職員、地域住民、尼崎市、ひいては日本の文科省も日本丸のプライドをかけてでも勝手は許さないという態度を表明する時はもう今しかありません!!
 このような状況のもと、11月3日の同窓会総会では、第2部として公開フォーラム「もう今しかないぞ 聖トマス大!!」を開催することにいたしました。出席する大学当局者に説明を求め、今起こっていることを地域住民、全国の大学・マスコミ関係者の方々に知っていただき、公教育の一環を担う大学にふさわしい「まっとうな」解決策を導くべく話し合いたいと思います。
 皆さまのご来校を、こころよりお願い申し上げます。

サピエンチア会(英知大学・聖トマス大学同窓会)
会長  藤本 滝三

日時:11月3日(祝・月曜) 昼12時頃~14時
場所:聖トマス大学 学生会館2階
*参加自由・無料  *駐車場なし 駐輪場あり
*閉会後の懇親会(軽食つき)にもご参加ください

国立大学交付金、成果で配分 財務省案、統廃合も

共同通信(2014/10/27)

 財務省は27日、財政制度等審議会の分科会を開き、国立大学に配る運営費交付金の改革案を示した。交付金の3割程度を「改革経費」とし、論文数や若手登用といった指標で成果を評価し配分する仕組みに見直す。文部科学省と協議し、2015年度の導入を目指す。

 成果を上げている大学に重点配分する一方、不十分な大学は減額されるため、競争原理が働いて大学の統廃合につながる可能性がある。

 運営費交付金は14年度予算で1兆1123億円を計上しているが、大部分が教員や学生数に応じて配分されるため、各大学の取り組みや改革姿勢が反映されにくい。


2014年10月27日

北海道教育大学教授51名、学長選考委員に対し「学長選挙における意向投票制度の存続」を要請

2014年10月6日

学長選考会議委員 各位

学長選考において、構成員の意志を直接・明確に知ることのできる
意向投票制度の存続を望みます。

 国立大学法人法の成立時の議論及び二回に渡る国会両院の附帯決議においても,憲法の保障する「学問の自由」と「大学の自治」を踏まえることが要請されています。また同法の条文においても高等教育機関の特性を尊重した大学運営を求めています。
 「大学の自治」の本質は,構成員の十分な議論の上に大学の運営をすすめることです。憲法・国立大学法人法によりふさわしい運営をするためにも,学長選考における意向投票の存続を望みます。

教授51名(名前は省略)


以上 (北海道教育大学 教授)

北海道教育大、学長選考密室の決定 大学自治を破壊する

北海道新聞(2014/10/26)

密室の決定「自治脅かす」、道教大・学長選の教職員投票廃止 強まる学長色、根強い反発

 北海道教育大の学長選考会議が決めた、学長を選ぶ際の教職員による「意向投票」の廃止をめぐり、同大教職員の間には「大学の自治を脅かすものだ」との反発が根強い。同会議は非公開で開かれ、教職員の傍聴も認められていない。27日に開く同会議で関連規約の変更が行われる予定だが、大学の重大事を決める議論が「密室」で行われることへの不満が強い。

 関係者によると、道教大の意向投票は教員や係長以上の職員ら約500人が投票権を持つ。廃止を決めた6日の学長選考会議では開会に先立ち、教授51人が連名で制度の存続を求める要請文を提出。「大学を構成する教職員の論議の上で運営するのが『大学の自治』の本質」と、廃止反対を訴えた。しかし会議では学外委員を中心に「選考会議が主体的に選ぶべきだ」との議論が行われ、投票存続の主張は多数決で退けられた。 

■学問の自由は

 国立大学の学長選考は、国家権力など学外の干渉を受けずに教育・研究を行う「学問の自由」を保障するため、学内の教職員による投票で選ぶ形が続けられてきた。2004年の国立大学法人化で、学外有識者も含めた学長選考会議が選ぶ形に改められたが、多くの国立大学法人は「意向投票」という形で教職員による投票を続けてきた。

 ある教員は「投票という民主主義のプロセスを踏んでこそ、学長は、学内で支持され信頼される存在になる」と主張する。

■次点でも再任

 ただ、道教大はこれまでも意向投票結果と異なる学長が選ばれた経緯がある。11年の学長選で選考会議は、意向投票で2位にとどまった本間謙二学長を「意向投票の結果や、立候補者との面接などを踏まえた」として再任。05年と13年には投票そのものを行わずに学長を再々任した。複数の教員が「就任に至った経緯や選考の理由の説明を受けていない」と憤りを語る。

 選考会議に本間学長は入っていないが、投票廃止には学長サイドの考えが大きく働いたもようだ。会議の構成メンバーは弁護士など学外7人、教員7人、理事2人の計16人で、教員を除く9人は事実上、学長が指名できる。関係者は「投票結果と違う学長を選んで混乱するくらいなら、投票そのものを廃止した方が、しこりが残らない」と解説する。

 学長選考の過程は非公開で進められ、議論の中身は教職員すら知らされていない。取材に対しても同大は「一切答えられない」と繰り返す。

 北大大学院教育学研究院の姉崎洋一特任教授(高等継続教育)は「意向投票の廃止方針を非公開で議論することがそもそも問題。開かれた大学づくりや対話型民主主義を実現させるため、意向投票は存続させるべきだ」と指摘している。


2014年10月26日

京都大学職員組合、大学自治を基本とした学内規則の改正を

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年10月22日)

大学自治を基本とした学内規則の改正を

 学長リーダーシップ強化を名目に、大学自治を担う教授会から重要事項の審議権(実質上の決定権)を奪い、学長の諮問機関にするとの学校教育法等改正は、私たちの反対にも関わらず、6月20日に参院本会議で可決、 27日公布され、来年4月1日施行です。現在、法改正により、それに則った学内規則の変更について、政府の意図する学長専権体制の方向か、それとも大学自治を基本とする改正かが問われる状況となっています。

「京大の組織に関する規程」は教授会権限を保障

 改正前の学校教育法は、第93条1項で、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」として、教授会設置を義務づけ、重要事項審議の権限を明確にしていました。京都大学でもこのことに基づき、「京都大学の組織に関する規程」において、次のように重要事項を具体化した規程を作っています。
 「第17条 研究科に、学校教育法第93条第1項に定める教授会を置く。/第18条 教授会は、研究科に係る次の各号に掲げる事項について審議する。/ (1)教育課程の編成に関する事項/ (2) 学生の入学、課程の修了その他学生の在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項/ (3)研究科長の選考及び解任に関する事項/ (4)教授、 准教授、講師及び助教並びに助手 (以下「教員」という。) の採用、昇任及び懲戒処分に関する事項その他国立大学法人京都大学教員就業特例規則の規定によりその権限に属するものとされた事項/ (5)その他教育又は研究に関する重要事項/ 2 教授会は、特定の事項を審議するため、研究科会議を 置くことができる。」

改正学校教育法の記述は学生の 入学卒業等と学位授与だけ

 しかし、改正学校教育法は、「大学に、教授会を置く」だけとし(93 条)、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」として 諮問機関的位置付けにし(同条第②項)、具体的事項は、「一学生の入学、卒業及び課 程の修了/二 学位の授与」の2つしか記 載していません。カリキュラム編成、研究科長選考、教員人事等々、部局の教育研究と一体である最も重要な教授会権限は不要であると言わんばかりです。

改正学校教育法でも存在する 教授会での重要事項の審議

 一方で、同条第②項の三では、要旨「前2 号のほか、教育研究の重要な事項で学長が教授会意見を聞くことが必要なもの」には意見を述べることができるとし、第③項でも、要旨「教授会は前項規程のほか、学長等がつかさどる教育研究事項を審議し、意見を述べることができる」とし、私たちの運動の反映と大学自治の基本のもと、教授会は重要事項を審議するとの条文は消されず明確に存在しています。
 学内規則の重要事項を何とするかは大学の権限です。政府・文部科学省は、「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」等々を提示するなど教授会権限縮小を迫って細かな指示を乱発しています。

総長選結果を反映した学内規則 改正が教職員の意志

 京都大学は10月14日の部局長会議で、 学内諸規定の総点検・見直しワーキンググループ要綱案とスケジュールを確認しました。部局長会議に2回報告、12月に文科省へ進捗状況報告、1月部局長会議に最終報告、決定というものです(下表)。
 7月の総長選挙結果は、教職員が、大学自治のもと、学内の意見を聞く、教授会審議尊重の運営を求めていることを、はっきりと示しました。その立場を明確にして選出された新総長のもと、新たな学内規則についても京大の民主的運営を保障する内容となることが強く求められています。


京都大学職員組合、賃金訴訟請求 山場を迎える

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年10月22日)

賃金訴訟請求 山場を迎える

京都地裁101号法廷
証人尋問
10月2日 (水)13:10~16:30
11月5日 (水)13:10~16:30

 国家公務員に横並びでの賃下げによって、京都大学では 2012年8月から2014 年3月まで、常勤教職員のほと んどが一方的な賃下げの対象とされました。教授職で約70万円、准教授や一般職掛長クラスで約30万円の減収でした。職員組合はこの賃下げに対して、昨年6月11日に高山佳奈子・京都大学職員組合委員長(当時)を原告団長に未払い賃金請求訴訟を京都地裁に提起しました。当初、96人だった原告団も、その後参加が相次ぎ、115人に達しています。これまで6回の口頭弁論が行われ、最大の山場である証人尋問が目前に迫っています。

 この間の裁判闘争において、賃下げの不当性は明瞭になりました。まず東日本大震災の「復興財源」という国家公務員賃下げの大義名分が破綻していることは、会計検査院の2013年の報告書が示す通りです(2012年度の「復興財源」のうち 1 兆3000万円が被災地と直接関係のない予算!)。さらに、わたしたち国立大教職員は国立 大の法人化以降、公務員ではなく、民間の労働法制の適用対象となっており、国には賃下げを強制する権限がありません。国の事実上の強制という京大法人の主張はまったく根拠がありません。しかも、京大の収入のうち国の交付金が占める割合は3割にすぎず、この間にも京大全体の収入は増加しています。賃下げの財政的な必要性はまったくないのです。実際、団体交渉で、京大法人側は「財源がないから賃金を下げる」という主張を一度もしておりません。

 賃下げの不当性はあらゆる観点から疑いないところですが、勝訴を勝ち取るためには、10月29日(水)と 11 月5日(水)の証人尋問に勝利することが必要です。組合は弁護団とも打合せを重ねて入念な準備を進めていますが、廷内を包む雰囲気が裁判官の判断に与える影響も決して小さくありません。証人尋問が行われる京都地裁101号法廷(傍聴席91席)を傍聴人で埋め尽くすことによって、裁判勝利に向けたわたしたちの意志をはっきりと示したいと思います。賃金訴訟の正念場です。すべての力を裁判に結集しようではありませんか。


11大、人材育成へ連携 大学コンソーシアム設立

琉球新報(2014年10月25日)

 県内全ての国公立・私立の大学・短大と国立沖縄工業高等専門学校、沖縄科学技術大学院大学の計11高等教育機関が連合組織の一般社団法人「大学コンソーシアム沖縄」を設立し、24日、学長らがそろって恩納村の沖縄科学技術大学院大学で記者会見した。共同研究や単位互換、社会人向け公開講座開設を実施し、グローバル人材育成と産学官連携を進めることで地域活性、沖縄振興への貢献を目指す。12月23日に設立記念シンポジウムを開く。
 代表理事に就任した瀬名波栄喜・名桜大学前学長は会見で「コンソーシアム設立により、1大学ではできなかったことが可能になる。設立は歴史的な意味を持つ。大学が連携し県民のために何ができるか、県民には期待してほしい」と抱負を述べた。大学間の研究施設の相互利用も可能とする予定だ。
 初年度は、2015年1月に社会人向け講座を開設し、年度中に学生サミットも開催する計画だ。社会人向け講座は、連続講座形式で、修了証を発行する仕組みを検討している。他大学で受講した授業の単位を認める単位互換は早ければ15年度に始めたい考えだ。
 県立芸術大学、県立看護大学は事務手続きが間に合わなかったため本年度はオブザーバーとして参加する。経済界には賛助会員としての参加を呼び掛ける。

特定秘密保護法、「廃案あきらめない」学生ら区切りのデモ

毎日新聞(2014年10月25日)

 特定秘密保護法の施行(12月10日)を前に、法律に反対してきた大学生ら約1000人が25日、東京・渋谷の繁華街をデモ行進し、同法廃止を訴えた。ツイッターなどを通じて呼び掛けて始まった活動で、法施行決定で「ファイナル(最終)デモ」と名付けたが、今後も活動は続けていくという。

 昨年秋、授業や講演会で国会審議中だったこの法律を学んだ学生らが、ネットで呼びかけてツイッターなどで拡散。「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」を結成した。今年2月と5月に都内でデモを行った。3回目の今回は、地方の学生や賛同者も加わり、前回の2倍以上の長い列を作った。

 約3キロを練り歩きながら、軽快なラップ音楽に乗って「民主主義って何だ」と声を上げた。さらに一人一人が先頭のトラックの荷台に上がって意見を語り、和光大3年の福田和香子さん(20)は「自分を主張する自由が保障されなければならない」と力説。明治学院大4年の大野至さん(22)は「秘密指定の範囲があいまいなのが問題。秘密が拡大し、知る権利が侵害される恐れがある。歴史に逆行する法律だ」と話した。

 最後の男子学生は「ぼくたちは決して終わらない。あきらめない」と声を上げた。

 参加した作家の雨宮処凛(かりん)さんは「10代で東日本大震災を経験した彼らは(社会への)危機感が強く、自分の言葉で語っていた。沿道の反応も良かった」と感想を述べた。

 秘密保護法は防衛、外交、テロ防止など安全保障上の機密情報を漏らした人に最長懲役10年を科す。秘密を手に入れようとそそのかしても処罰される。昨年12月の国会で与党の強行採決の末、成立した。


特定秘密保護法 大学生ら渋谷でデモ行進

NHK(10月25日)

ことし12月に施行される特定秘密保護法を巡る今後の課題について考えるきっかけにしてもらおうと、インターネットなどを通じて集まった大学生らが、東京・渋谷の繁華街をデモ行進しました。

このデモ行進は、特定秘密保護法をテーマにした討論会を企画するなどしてきた大学生たちが、法律の施行をことし12月に控え、今後の課題について考えるきっかけにしてもらおうと行いました。
呼びかけはインターネットの交流サイトなどを通じて行われ、週末で混み合う東京・渋谷の繁華街には、主催者の発表で、大学生を中心におよそ2000人が集まりました。
若者たちは軽快な音楽のテンポに合わせ、「民主主義って何だ」とか「憲法を守れ」などと声を上げながら、渋谷の街を3キロにわたって歩きました。
参加した女子学生の1人は「大学にはこうした話題を話せる友人が少なく、これだけの人が集まるインターネットの力を感じます」と話していました。
デモ行進を呼びかけた明治学院大学3年の奥田愛基さん(21)は、「若い世代が政治に意見を言うことは、おかしなことじゃないと感じてくれたらうれしい」と話していました。
特定秘密保護法について、政府は今月、報道や取材の自由に十分配慮すると明記し、5年後に見直しを検討する規定を盛り込むなどした運用基準を閣議決定しています。


2014年10月25日

大学入試、32年度から新テスト導入案

NHK(2014年10月24日)

大学入試の在り方を検討してきた文部科学省の中教審=中央教育審議会の部会は、現在の大学入試センター試験に代えて、「大学入学希望者学力評価テスト」という新たなテストを平成32年度から実施する案をまとめました。

これは24日開かれた中教審の部会で示されました。
現在の大学入試センター試験に代えて、「大学入学希望者学力評価テスト」という新たなテストを導入し、知識の活用力をみるために複数の教科にまたがる問題を出題するほか、英語については『聞く・話す・読む・書く』の4つの技能をはかるため外部試験を活用するとしています。
結果は1点刻みではなく段階別に示すとしています。
また、各大学に対しては、筆記試験だけでなく小論文や面接などで評価し多様な学生を確保するよう求めています。
さらに、高校在学中に学習の到達度をはかるため「高等学校基礎学力テスト」という新たなテストを設け、希望者が高校2年生と3年生で年に2回、受験する案が示されました。
「国語総合」や「物理基礎」など6教科から選択することができ、進学や就職の際の学力証明として活用できるなどとしています。
大学入試センター試験に代わる新たなテストは平成32年度から、高校在学中のテストは平成31年度から実施するとしていて、中教審はこの案を年内にも答申する方針です。


2014年10月24日

北星学園大脅迫、逮捕の上村容疑者「自分で電話」認める

毎日新聞(2014年10月23日)

 ◇北海道警札幌厚別署、逮捕容疑は威力業務妨害容疑

 従軍慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞記者、植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話をかけたとして、北海道警札幌厚別署は23日、新潟県燕市新生町2、施設管理人、上村(かみむら)勉容疑者(64)を威力業務妨害容疑で逮捕した。道警によると、「自分で電話したことに間違いありません」と容疑を認めているという。

 同様の趣旨の脅迫文が北星学園大と、別の元朝日新聞記者(67)が教授を務めていた帝塚山学院大(大阪狭山市)にも届いており、道警は関連を調べる。

 容疑は9月12日午後5時48分ごろ、自宅の固定電話から北星学園大の代表番号に電話し、対応した男性警備員に「(元記者は)まだ勤務しているのか。爆弾を仕掛けてやるからな」などと脅し、大学に不審物の捜索をさせるなど業務を妨害したとしている。大学と道警が不審物を捜したが見つからなかった。

 電話の履歴などから上村容疑者が浮上した。道警は23日朝から上村容疑者の自宅を家宅捜索して資料を押収した。動機や背景について詳しく調べる。

 北星学園大などによると、3月中旬から「非常勤講師を辞めさせろ」などとのメールやファクスが多数寄せられた。5月29日と7月28日には学長や教授会などに宛てて複数の脅迫文が届いた。文書はパソコンで打ったとみられる文字で「非常勤講師を辞めさせなければ、天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける。釘(くぎ)を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと書かれ、茶封筒に虫ピン数十本が同封されていた。

 帝塚山学院大にも9月13日、「(別の元記者を)辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。くぎを入れたガス爆弾を爆発させる」との脅迫文が届いた。この元記者は文書が届いた当日に教授を退職した。

 一連の脅迫について、道警と大阪府警が威力業務妨害の疑いで捜査していた。【酒井祥宏、三股智子、日下部元美】

 朝日新聞社広報部の話 記事に関して元記者の勤務先の業務を妨害することは許し難い行為と考えており、真相解明を願っています。また弊社の過去の報道をめぐって北星学園大ならびに関係者の方々にご心痛をおかけし、大変申し訳なく思っております。

北星学園大脅迫:元朝日記者の植村氏「今後の捜査見守る」

毎日新聞(2014年10月23日)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞記者、植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話がかかってきた事件。23日、新潟県燕市新生町2、施設管理人、上村(かみむら)勉容疑者(64)が北海道警札幌厚別署に威力業務妨害容疑で逮捕された。北星学園大の非常勤講師を務める元朝日新聞記者の植村氏は23日、「容疑者逮捕の報にホッとしている。しかし、脅迫文との関連はわからず、今後の捜査を見守りたい。いずれにしても、このような卑劣な行為は許されない」と話した。

 一連の脅迫事件を受け、作家の池澤夏樹さんらが呼びかけ人となり、北星学園大を励ますための「負けるな北星!の会」が結成された。呼びかけ人の一人で元高校教諭の新西(しんざい)孝司さん(85)=札幌市厚別区=は「脅迫電話や脅迫文は氷山の一角。容疑者一人の問題ではなく、背後には、社会全体として意に沿わない意見への攻撃やヘイトスピーチなどが横行している問題がある。そうした流れに対抗できるよう活動を続けていきたい」と話した。

 同じく呼びかけ人の内海愛子・恵泉女学園大名誉教授は「学生が集まる大学への脅迫は深刻な問題になる。言論や表現の自由に対する脅威だ。名前を出して批判するならよいが、匿名という陰に隠れて脅迫することは許されない」と語った。


岡山大医学部と製薬会社の癒着を告発した2教授が停職処分に

Newsポストセブン(2014.10.21)

 9月25日に岡山大学が学長名で2名の教授に対して9か月の停職処分を発令した。処分を受けたのは、薬学部教授の森山芳則氏と榎本秀一氏。両氏の役職である薬学部長、副部長職も26日付の「人事異動通知書」で解任された。この処分の内幕について、ジャーナリストの伊藤博敏氏が10月20日発売の週刊ポスト(10月31日号)でレポートしている。

 両教授への処分理由は「複数の職員に対するハラスメント」と発表されたが、記者会見に詰めかけた記者の質問は、「論文不正問題を内部告発した両氏に対する報復ではないのか」という点に集中した。

 大学側と両教授は「論文不正問題」をきっかけに対立関係にあった。複数の大学院生の博士論文に剽窃やデータ改ざんなどの不正があることを発見した両教授は、やがてその背後に潜む利権構造に気付いた。

 有力教授が製薬会社から多額の奨学寄付金を受け取る一方で、その製薬会社の薬の構造の効能を謳う研究論文を書く、といった不適切な関係が浮き彫りになった。両教授は、そうした癒着構造を今春、同誌上で実名証言していたのだ。

 伊藤氏は、両教授や大学側に取材し、問題の真相に迫っている。


2014年10月23日

北海道教育大、学長選の教職員投票廃止 国立大で道内初

道新(2014/10/22)

 北海道教育大(本間謙二学長)が、学長選考の際に行ってきた教職員による「意向投票」について、次期選考から廃止を決めたことが21日、分かった。文部科学省によると、投票などによる教職員の意向聴取を取りやめたのは、全国の86国立大学法人のうち東北大など5法人あるが、道内では初めて。 

 道教大は、意向投票を行ってきた学長選考会議が6日に存廃について審議。関係者によると、教員から「廃止は大学の自治を脅かす」との意見が出たが、「学長選考会議の責任と権限の下で主体的に選考することが重要」との意見が大勢で、多数決により廃止を決めたという。近く開く同会議で、関連規約を改める。

  学長の選考 は、2004年の国立大学法人化で、学外有識者も含めた学長選考会議が選んだ候補者を文部科学相が任命するようになった。多くの国立大学法人は、国立大学当時から行われていた教職員による投票を引き継ぐ形で意向投票を実施。学長選考会議は、その結果を尊重し、学長候補者とするケースが多い。

 道教大の学長選考会議は、11年の学長選で、再任を目指した本間氏は意向投票で次点だったが、候補者に選んだ。1位だった教授がこれを不服として、本間氏の学長任命取り消しなどを求めて提訴したが、札幌地裁に続き同高裁でも今年2月に訴えを退けられ、敗訴が確定した。13年は、再々任の場合は意向投票を実施せずに続投できるという同大の規約に基づき、本間氏が選ばれた。

 道教大の学長は3期まで務めることができ、任期は1期目が4年で、2、3期目は各2年。本間氏の任期は、来年9月末まで。

   ◇

 学長の選考 国立大学の学長は教職員による投票で決められていたが、2004年の国立大学法人化に伴い、学内に設置した学長選考会議が候補者を選考し、文部科学相が任命すると国立大学法人法で規定された。学長選考会議のメンバーは、副学長ら「教育研究評議会」委員、経営課題を審議する学外からの「経営協議会」委員で構成され、独自に事務局長らの理事などを加えることもできる。大半の国立大学法人は、候補者選考の参考にするため、学長選考会議が教職員を対象に意向投票などを実施している。


2014年10月20日

天使大学不当労働行為事件、ついに法人側が命令内容の「ポストノーティス」を掲げた

北海道私大教連
 ∟●【速報】天使大学(札幌)法人がポストノーティスを履行

(天使大学不当労働行為事件) 

 昨年夏の北海道労働委員会救済命令に続き、この9月に法人側が一方的に申立てていた中央労働委員会での再審査命令(棄却)を経て、学校法人天使学園(近藤潤子理事長)は命令内容の「ポストノーティス」を10月15日に実行しました。
 ポストノーティスは通常、不当労働行為という非行を組合と公衆に対して陳謝する社会的目的をもつものですが、敷地が狭い同大学での場合、正門前ではなく「公用掲示板」への貼りだしです。10日間の継続した掲示が求められています。
 本来、一方的に再審査を申立てたとて免れ得ない初審命令を履行しないまま約1年3か月の間も棚上げしてきた法人側は猛省すべきですが、ようやくの履行は前進です。

【北海道労働委員会】http://www.pref.hokkaido.lg.jp/rd/sms/contents/sinsa/meirei.htm
【中央労働委員会】http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/dl/shiryou-26-0926-1.pdf


「京都大学による一方的賃下げ無効・未払い賃金請求裁判」第6回口頭弁論 傍聴報告

神戸大学職員組合
 ∟●月刊しょききょく,10月号

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「京都大学による一方的賃下げ無効・未払い賃金請求裁判」第6回口頭弁論 傍聴報告

書記次長 大倉直起

 9 月 3 日 10 時から、京都地方裁判所 208 号法廷で行われた賃金請求訴訟の第 6 回口頭弁論の傍聴行動に参加してきました。傍聴席は各地からの応援で48 名の定員が満席となりました。
 この日は本来、次回からの事務的な手続きのみで終わる予定でしたが、急遽被告側から予定に無かった現財務部長からの意見書が提出されたことから、これに対して「明らかに陳述書であるのに、これでは反対尋問が出来ないではないか。」と原告側から異議申し立てを行いました。裁判長は「それなりに扱う」との素人には良く分からない回答で、次回予定通り証人調べが行われることになりました。
 口頭弁論後の報告集会では、今後この「それなりに扱う」ことについて引き続き注視していくこと、京都大学では財政的に余裕があったことは明らかだが、賃下げ期間中に不適切な支出がなかったか確認していくことも報告されました。
 裁判も次回からは証人調べが始まります。証人は原告側から高山原告団長、西牟田委員長、石田書記次長(当時、書記長)の3名、法人側から当時の人事課長、人事課長補佐の2名)です。京都地裁で一番大きい101 号法廷(91 名定員)で行われます。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


2014年10月18日

巨額損失の学校法人が証券会社提訴

NHK(10月16日)

デリバティブと呼ばれる金融商品の取り引きで巨額の損失を出したのは、リスクについて十分な説明がなかったためだとして、名古屋市の学校法人、南山学園が、資産運用を担当した証券会社2社に対して、合わせておよそ88億円の賠償を求める訴えを起こしました。

名古屋市で南山大学などを運営する学校法人南山学園によりますと、学園はおととしまで、野村証券やUBS証券など証券会社6社と、デリバティブと呼ばれる金融商品の取り引きによる資産運用の契約を結んでいましたが、その際、合わせておよそ229億円の損失が出たということです。
これについて学園は、取り引きのリスクについて十分な説明がなかったとして、このうち、UBS証券に対しておよそ67億円、野村証券に対しておよそ21億円の損害賠償を求める訴えを、16日までに東京地方裁判所に起こしたということです。
学園は、ほかの4社に対しても訴えを起こすかどうか検討しているとしています。
UBS証券は「今後の裁判手続きで当社の主張を行っていきます」とコメントしています。
野村証券は「個別の案件についてはコメントを差し控えます」としています。


南山学園がUBS証券と野村証券提訴 88億円賠償求め

朝日新聞(2014年10月16日)

 南山大学や高校、中学などを運営する学校法人南山学園(名古屋市昭和区)が資産運用で約229億円の損失を出した問題で、同学園はUBS証券と野村証券を相手取り、約88億4千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと16日、発表した。提訴はUBSが9月12日付、野村証券が10月9日付。

 同学園は2006~12年、両社とデリバティブ(金融派生商品)取引の契約をし、UBS証券との取引で約60億9千万円、野村証券との取引で約19億5千万円の損失を出した。請求額は、損失額に弁護士費用を加えた。取引した他の証券会社に対する同種の訴訟も検討しているという。

 学園側は「リスク性が高い商品なのに、説明が不十分だった」などとしている。UBS証券は「原告の請求を否定する。今後裁判手続きにおいて当社の主張を行う」。野村証券は「個別案件についてはコメントを控える」としている。

南山学園、野村証券など提訴=デリバティブ損失で88億円請求-東京地裁

時事通信(2014/10/16-12:12)

 南山大学などを運営する学校法人南山学園(名古屋市)がデリバティブ(金融派生商品)取引で約229億円の損失を出した問題で、南山学園は16日、UBS証券(東京都千代田区)と野村証券(東京都中央区)を相手取り、計約88億4500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。
 南山学園によると、UBSには約67億円、野村には約21億円を求め、それぞれ先月と今月に提訴した。学園は「公的性格の強い私立学校を設置する学校法人に対し、説明不十分なまま、活動に支障を生じさせるようなリスクの高い取引を勧めており、説明義務違反」と主張している。
 南山学園は両社を含め証券会社6社と取引していた。別の1社とは訴訟外で和解が成立している。学園は、他3社についても、訴訟が可能で適切と判断した場合は提訴する方針としている。


自治・学問の自由と講師の雇用を守って 北星大OB、大学に要望

道新(10/16)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった朝日新聞元記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に講師の解雇を要求する脅迫文が届いた事件で、同大の卒業生有志でつくる会が15日、大学に対し自治を守るよう求める要請書と卒業生102人分の署名を提出した。

 要請書は同大の大山綱夫理事長と田村信一学長宛てで、脅迫文について「卑劣な脅かし」と批判。「大学の自治と学問の自由、講師の雇用を守ることを願う」としている。

 要請書を提出した「北星学園大学の自治と学問の自由を守ることを求める同窓生有志の会」は、札幌地区労連の木村俊二事務局長ら卒業生4人が中心となり、今月1日に設立した。木村さんは「母校として特別な思いがある」と話す。今後も同窓会などで署名活動を行うとしている。


2014年10月16日

家計に負担、遠い大学 地方の生徒「本当は行きたい…」

朝日新聞(2014年10月15日)

 地域によって広がる大学進学率の差は、能力があるのに進学できないという状況を生んでいる。大学の少ない地域から、大都市圏の大学をめざす高校生を持つ家庭には下宿代などの経済負担がのしかかる。

大学進学率の地域差、20年で2倍

 「本当は大学に行きたいんだけど、親から言われたんだよね」。青森県立の高校で進路指導を担当する50代の男性教諭は今春、3年生の女子生徒が冗談めかした言葉に、切なくなった。提出された進路調査の第1志望欄には「公務員」。国立大も狙える学力だが、重い費用負担が理由だ。大学生の兄がおり、「妹の学費まで賄えないのだろう」と推し量った。

 例年、約300人の3年生全員が進学を志望するが、今年は就職希望者が約20人。同僚と「経済的な理由だろう」と話した。かつて成績上位の生徒に東北大(仙台市)を勧めたら、生徒の親から「金がかかる。余計なこと言わないで」と怒られたこともあった。

 隣の秋田県。小中学生の全国学力調査で上位の常連だが、高校生の大学進学率は42%で全国平均(54%)を下回る。「経済状況もあり、単純に『学力調査=進学率』とはいかない」と県教育委員会の担当者は言う。

 「進学の機運を高めて、頑張る高校生を応援しよう」と県教委は2010年、東大など難関大学の現役合格者数を数値目標に掲げた県高校総合整備計画を策定。希望する高校生向けに予備校講師による「ハイレベル講座」を開くなどの支援に取り組んでいる。


<琉球新報社説>大学へ脅迫文 卑劣な「言論テロ」許すな

琉球新報(2014年10月15日 )

 これは言論や学問の自由を暴力で押しつぶす卑劣な犯罪だ。
 元朝日新聞記者が教授を務める帝塚山学院大学と、別の元朝日記者が非常勤講師を務める北星学園大学などが相次いで脅迫された。
 「辞めさせないと爆破する」「学生を痛めつける」と大学を脅し、教授は大学を辞職した。攻撃の対象は非常勤講師の子どもにまで及び、実名入り写真がインターネット上にさらされた。「自殺するまで追い込むしかない」などと書き込まれた。
 言論の自由を暴力で屈服させる行為はテロリズムと同じであり、断じて許されない。
 2人の元記者は「慰安婦」報道に関わっていた。1月末「“捏造(ねつぞう)”記者が大学教授に」と週刊誌が報じたことが発端となった。その後「反日」「捏造記者」という言葉で元記者を中傷するネット上の書き込みが相次いだ。
 朝日新聞社は8月5日、自社の「慰安婦」報道を検証した特集を掲載した。非常勤講師の書いた記事中、表現の誤用を認めた上で、意図的なねじ曲げはなかったと結論付けた。強制連行したとする故吉田清治氏の証言は「虚偽」と判断し取り消した。
 しかし、吉田証言が事実に反したからといって、「慰安婦」問題がなかったことにはならない。日本軍の組織的関与を示す資料は存在する。オランダなど当事国の調査結果や公文書でも明らかにされている。国連人権委員会は7月の対日審査後、意思に反した性行為を強いるのは強制的に慰安婦にするのと変わらないとの声明を出した。
 しかし朝日新聞の誤報記事撤回後、「慰安婦」問題をめぐる河野談話に関し自民党の萩生田光一総裁特別補佐は「骨抜きになっていけば良い」と発言した。歴史に真摯(しんし)に向き合わない国は国際社会から受け入れられないだろう。
 現在の状況は日中戦争開戦前夜に似ている。言論を封じ込めるために使われた「国賊」「売国奴」という言葉があふれている現状を危惧する。
 かつて沖縄の新聞は国により1紙に統合され、戦争遂行の宣伝紙と化した。沖縄戦後に内相が「敵の砲弾下にありながら1日も休刊せず友軍の士気を鼓舞」したと語り、国の言論統制の成果を示唆した。日本中の新聞が疑心暗鬼に陥り相手を監視し、自壊したことを忘れてはならない。自由な言論の保障は戦後民主主義の原点だ。

2014年10月15日

東京大学職員組合、第30代総長選における声明 「ふさわしい新総長像」

東京大学職員組合
 ∟●東京大学 第30代総長選における声明

東京大学 第30代総長選における声明
「ふさわしい新総長像」


 学校教育法の「改正」をはじめとする、政府・財界による大学のガバナンス強化策によって、本学をめぐる環境は短期間のうちに大きく変化しようとしている。戦後、南原繁によって礎が築かれた、「学問の自由」「大学の自治」を理念とした本学のあり方は、大きな危機を迎えている。現在選考中である次期第 30 代総長は、このような難局においても、学知の府として誇れる東京大学を発展させる人物であることが求められる。東京大学職員組合執行委員会は、こうした状況に鑑みて、次の3項目を理念とする人物が新総長に選ばれるべきと考える。

1 すべての教員・職員が誇りと安心をもって働ける環境の構築
 「構成員の幅広い支持を受け、円滑かつ総合的な合意形成」(今次選考委員会作成「求められる総長像」より)は、使い捨ての労働力、競争原理による管理という地点からは生まれない。学生・院生の模範となるような人間らしい「働きの場」を実現する。

2 東大憲章の自治理念を尊重・遵守
 日本国憲法の定める「学問の自由」は、短期的な経済的利益や国益に左右されず、長期的視点から世界の学術を発展させ協調的人類社会を実現する上で守られるべきものであり、これに基づき、東大憲章の「基本理念としての大学の自治」「基本組織の自治と責務」「人事の自律性」は定められている。この憲章の規定に基づき、構成員の自律性を尊重した運営を行う。

3 国際平和の観点から軍事研究禁止を堅持
 本学の研究は、「人類の平和と福祉の発展に資する」(東大憲章)ためのものである。これは国際紛争の解決手段として武力は使用しないという憲法の理念にもとづく。本学の軍事研究禁止の方針はこうした強い理念に支えられている。武器輸出原則緩和のもとにおける軍事研究は、この理念に抵触する。のみならず特定秘密保護法の対象として機密扱いとなる軍事研究は、「学術情報の公開」(東大憲章)の原則にも違反する。種々の外圧に屈することなく、軍事研究禁止の方針は堅持する。

2014年10月8日

東京大学職員組合

2014年10月10日

「法科大学院に進級試験を」 中教審委が提言案

日経(2014/10/9)

 中央教育審議会の法科大学院特別委員会は9日、法科大学院で学生を進級させるかどうかを判定するための新テストの導入を求める提言案をまとめた。法科大学院の入学定員を計3千人以下に削減することも要請した。

 法科大学院修了者の司法試験合格率の低迷や、入学者数の定員割れを踏まえた。

 文部科学省は提言案を受け、テストを今年度中に数校で試行する方針。

 テストは「共通到達度確認試験(仮称)」。各法科大学院が試験成績を基に学生の進級を判断する。同大学院修了者の今年の司法試験の合格率は21.2%にとどまっており、特別委は「教育の質の向上を図るべきだ」と指摘した。

 今春の全国の法科大学院の入学者は計2272人で、9割が定員割れに陥った。来春に学生を募集する54校は計3175人の入学定員を予定しているが、特別委は3千人以下とするよう求めた。

 提言案は、成績優秀な学生が法学部3年生を修了後に法科大学院へ飛び入学できる仕組みの創設や、国際化に対応するための留学促進策なども、検討課題として盛り込んだ。


2014年10月08日

大学中退調査、経済的な負担を軽くしたい

讀賣新聞(2014年10月07日)

 学費を払えずに、学ぶのをあきらめる大学生が増えている。意欲ある学生が勉学に励める支援策の充実が求められる。

 文部科学省の調査によると、2012年度に全国の大学や短大などを中途退学した学生は7万9000人に上った。

 このうち、経済的理由での中退が20%を占める。前回の07年度調査より6ポイント増加した。文科省は「不況の影響が続き、家庭の経済的な格差が広がったことが背景にある」と分析する。

 授業料の支払い猶予など、大学側の柔軟な対応が欠かせない。

 政府の奨学金を利用しやすくすることも大切だ。文科省は、大学卒業後の年収に応じ、毎月の返済額を変えられる「所得連動返還型奨学金」の導入を目指している。弾力的な仕組みは、返済の負担を軽くする効果が期待できよう。

 奨学金は、無利子に比べて有利子の方が多い。経済状況の厳しい学生が安心して利用できるようにするには、無利子の貸出枠を増やしてもいいのではないか。

 気がかりなのは、学業不振での中退も目立つことだ。経済的理由、転学に次いで多い。

 近年、大学生の学力低下が指摘される。少子化の中で生き残りを図る大学が、定員確保を優先した結果、授業についていけない学生が増えている可能性がある。

 大学全入時代を迎え、取りあえず入学したものの、意欲がわかず、学業不振に陥る学生もいる。

 各大学は、補習などの支援に加え、教職員が学生の相談に乗り、きめ細かくアドバイスする体制を整えてもらいたい。

 大学と学生のミスマッチを防ぐためには、大学が情報発信を充実させ、求める学生像や教育内容を明確に示す必要もある。

 受験生は将来の進路を見据えた上で、志望する大学や学部を決めることが望ましい。高校側にも適切な進路指導が求められる。

 12年度に休学した学生は、6万7000人だった。そのうち、海外留学を理由にした休学は1万人にとどまる。

 海外で異文化に接し、様々な経験を重ねる留学は、学生が成長する上で貴重な機会だ。

 ところが、「卒業が遅れ、就職で不利になる」といった懸念が、学生には根強い。企業の間に、留学体験を積極的に評価する意識が広がってほしい。

 学生が留学時に取得した単位を、日本の大学が卒業単位に認定するなど、留学しやすい環境を整えることも重要だ。


2014年10月07日

元朝日記者脅迫で学者らが励ます会「言論、学問の自由守れ」

産経新聞(2014/10/06)

 従軍慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫文が届いた問題で、大学と元記者を励ます市民団体「負けるな北星学園!の会」が6日、発足した。呼び掛け人らが東京都内と札幌市内で記者会見し、「言論、学問の自由を守らないといけない」と訴えた。

 呼び掛け人は、法政大の山口二郎教授ら43人。賛同者は5日現在で401人となった。山口氏は「朝日新聞の慰安婦問題報道や、これに対する批判にはそれぞれ意見があるだろうが、元記者を首にせよといった不当な脅迫、圧力から大学の自治を守れるよう支援するのが狙いだ」と述べた。

 元記者は平成24年4月に北星学園大非常勤講師に就任。大学には今年3月中旬から元記者に関する抗議メールやファクスが多数届いたほか、5月と7月には「辞めさせないと学生を痛めつける」などと書かれた脅迫文と虫ピンが送りつけられた。

[関連ニュース]
「負けるな北星!の会」、記者会見-共同通信(2014/10/06)

大体大前学長、教授に不適切発言…任期残し辞任

読売新聞(2014年10月06日)

 大阪体育大学(大阪府熊取町)の永吉宏英・前学長(68)が、労働組合に所属していた女性教授に活動をやめるよう働きかけるなど不適切な言動があったとして、任期途中で辞任していたことがわかった。

 同大学によると、永吉前学長は2012年末、酒席で女性教授に「組合活動を続けるのを考え直した方がいい」と勧めたほか、別の女性准教授について「信用できない」と中傷する発言をしたという。労組側の指摘を受け、永吉前学長は昨年11月、「不適切な発言で、不当労働行為に当たる」と認めて謝罪。任期を1年残し、今年3月に辞任した。

 永吉前学長は同大学健康福祉学部長を経て07年4月に学長に就任し、2期目だった。学長を退任後は体育学部の教授を務めている。後任には、岩上安孝・前副学長(65)が就任している。


〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請

全私学新聞(9月13日)

〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請
チェックリストを作成、提示
12月中旬、進捗状況調査実施

 文部科学省は8月29日、全ての大学の学長および理事長等の設置者の代表に対して、学校教育法および国立大学法人法一部改正の施行通知を発出した。合わせて各大学の学長に対しては、内部規則等の総点検・見直しの実施を求める事務連絡も出した。これには具体的な確認事項や留意事項を示すチェックリストが添えられた。

 改正法は今年6月27日に公布、来年4月1日に施行予定。学長がリーダーシップを取るガバナンス体制の構築を主な目的として、副学長の職務権限の拡大、教授会の役割の明確化、国立大の学長等の選考の透明化等を趣旨としている。施行通知は、法改正の趣旨と概要を伝えるだけでなく、「改正の基本的な考え方」も示す。大学の社会的責任は学生や教職員だけでなく、地域社会や企業・団体、国民一般にまで及ぶとの考え方や、学長の権限と責任の一致を図ること等についての考え方が整理されている。

 私立大における学長選考等の人事は今回の法改正の対象ではないが、施行通知はこれも取り上げ、「取り扱いに変更はない」とした上で、「学校法人自らが学長選考方針を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと」を改めて求めている。

 文科省はさらに「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」を作成、全ての大学に対して内部規則等の総点検・見直しを求めた。改正法施行までに実施することを求めており、12月中旬には進捗状況の調査が、施行後の来年4月末には実施結果の調査が行われる予定。

 チェックリストは「教授会の必置」「学長の最終的な決定権の担保」「重要事項に関する意思決定手続」等9つのチェックポイント(私大にも関係するものは5つ)を挙げ、それぞれについて具体的な確認事項と、確認に当たって留意すべき事項とを詳しく書いている。

 なお、9月2日には全ての大学を対象に、改正法と総点検についての説明会が同省内で開催された。今後も随時、個別相談に応じるほか、研修会等でも説明を行うとしている。


2014年10月05日

大学オンブズマン、「内部告発者に対して懲戒処分するな!」 常葉学園理事長・木宮健二に対する申入れ

大学オンブズマン
巻口勇一郎氏に対する懲戒処分に関して(申し入れ)

2014年10月3日

学校法人 常葉学園
理事長 木宮 健二 殿
大学オンブズマン 理事会

巻口勇一郎氏に対する懲戒処分に関して(申し入れ)

 当オンブズマンはこの間、繰り返し貴法人が設置する学校における不正について問題を指摘してきた。あわせて、巻口勇一郎氏(常葉大学短期大学部)に対する不当な懲戒処分を行わないよう求めてきた。しかし、常葉学園懲戒委員会「審査説明書」7月28日交付の書面によれば「懲戒解雇」が相当とされている。
 繰り返すまでもないが、巻口氏の内部告発(告訴)は公益通報者保護制度によって保護されるべきものである。したがって、貴法人がこのまま巻口氏に対して懲戒処分を行ったならば、それは教育・研究機関としての大学の自殺行為であり、「大学の社会的責任」(USR)の放棄と言わざるをえない。
 貴法人の常軌を逸した行動は既に全国の大学関係者に広く知られている。当オンブズマンは、10月17日に予定されている巻口氏の弁明の正当性を認め、貴法人が巻口氏に対する懲戒処分を行わないよう強く求める。
 仮に懲戒処分が強行されるならば、当オンブズマンは引き続きこうした事態を広く社会および世論に訴えていく活動を一層進めていく。あわせて、関係省庁ならびに国会において本件の問題を取り上げていただくよう要請する所存である。

以上


<連絡先>
大学オンブズマン 事務所
〒600-8458 京都市下京区油小路通り松原下る樋口町308 京都社会文化センター内
電話:075(741)6051
e-mail:uniomb@yahoo.co.jp


全国大学人ユニオン、常葉学園理事長に対する抗議の申入れ

巻口勇一郎組合員に対する不当な懲戒処分について(抗議)

2014年10月3日

学校法人 常葉学園
理事長 木宮 健二 殿
労働組合法人全国大学人ユニオン


巻口勇一郎組合員に対する不当な懲戒処分について(抗議)

 貴法人に設置された学園懲戒審査委員会は、7月28日付で巻口勇一郎氏(常葉大学短期大学部)に対し「審査説明書」を交付した。それによれば、巻口氏が行った「告訴」という正当な市民的権利の行使に対し、「懲戒解雇」が相当としている。
 当ユニオンは、組合員である巻口氏に対し行われようとしている不当な懲戒処分を撤回することを強く求める。仮に貴法人が懲戒処分を強行するならば、当ユニオンは巻口氏の権利回復に向けてあらゆる法的な手段を行使するとともに、貴法人の社会正義に反し、教育・研究機関にふさわしくない行為を徹底して追及していく。

以上

[付記]当ユニオンは労働委員会の資格審査を得た法人格をもった労働組合である。

<連絡先>
労働組合法人全国大学人ユニオン 事務所
〒600-8458 京都市下京区油小路通り松原下る樋口町308 京都社会文化センター内
電話:075(741)6051
e-mail:uu2ion@yahoo.co.jp

世界の貧富の格差が拡大、1820年代の水準にまで悪化 OECD

APF(2014年10月04日)

【10月4日 AFP】経済協力開発機構(OECD)は2日、世界の富裕層と貧困層の格差の拡大は1820年代と同じ水準にまで悪化しているとの報告書を公表し、こうした変化は過去200年で「最も憂慮すべき」事柄の1つだと警告した。

 過去2世紀の世界の生活状態を調べた報告書の中でOECDは、所得の不均衡が急速に拡大したのはグローバル化が進み始めた1980年代以降だと指摘している。

 調査では25か国の1820年以降の所得水準を調べ、世界が一つの国であるとみなしてデータを突き合せて比較したところ、世界の所得格差は東欧各国における共産主義の台頭などに代表される20世紀半ばの「平等主義革命」によって急速に縮小した後、拡大に転じ、2000年までに1820年と同じ水準にまで広がったことが分かったという。

 調査に協力したイタリア・ボッコーニ大学(Bocconi University)のグイド・アルファーニ(Guido Alfani)氏は、「非常に驚くべき」結果だとして、「過去200年の世界経済の特徴の中で最も重大、かつ憂慮すべき点だ」と警告している。

 世界の所得格差についてはフランスの経済学者、トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が著書「Capital in the Twenty-First Century(21世紀の資本論)」の中で厳しい警告を発して議論を呼び、同書はベストセラーになっている。

 オランダの経済学者、ヤン・ライテン・ファン・ザンデン(Jan Luiten van Zanden)氏は今回のOECDの報告書について、「ピケティ氏と同じ問題点を指摘し、世界の格差拡大に対して同じ懸念を持っている」と述べ、 ピケティ氏の著書は主に欧米諸国を扱っているが、世界規模で同じ分析を行うべきだとの見解を示した。


2014年10月04日

「天使大学理事会は中労委命令を速やかに履行せよ!」、中央労働委員会命令に関する組合声明

■北海道私大教連書記局ニュース、Vol.19より
 ∟●「天使学園不当労働行為事件」中央労働委員会命令に関する組合声明
 ∟●(中労委)天使学園不当労働行為再審査事件(平成25年(不再)第52号)命令書交付について

「天使学園不当労働行為事件」中央労働委員会命令に関する組合声明

 「天使学園不当労働行為事件」(初審道労委平成23年道委(不)第31号事件)は、法人側が救済命令を不服として2013年8月7日に再審申立てを行いましたが、2014年9月19日に中央労働委員会は、再審査申立てを棄却しました。(中労委平成25年(不再)第52号)

1.本件の経過
 天使大学教職員組合(以下、組合)は、2011年12月末、北海道労働委員会(以下、道労委)に救済を申立て、「天使学園不当労働行為事件」として1年7?月余の審査を経て、2013年7月24日に救済命令が出されるに至りました。初審では、①ハラスメント事案に関わる配置転換等の労働環境調整の団交拒否 ②就業規則に関わる懲戒委員会規程及びハラスメント規程改定に関する団交拒否について救済を認め、法人に対してポストノーティスによる謝罪を命じました。
 初審の結果は、組合にとっても上記以外の争点では一部不満の残るものではありましたが、本命令を甘受し、学内状況や労使関係を改善すべく対応を協議していたところ、法人は命令を不服として「中央労働委員会への再審査申立て」を行いました。再審査申立て中であっても、命令の履行を免れるものではありませんが、法人は命令の真意をくみ取ることなく命令を履行することはありませんでした。

2.再審査申立ての経過
 再審査では2度の調査が中央労働委員会(東京)で行われ、法人は初審命令内容には事実誤認があり、団交には誠実に応じてきたと主張し、団交に不慣れな面もあり不当労働行為と断罪するほどの悪質性はないとして、ポストノーティスも不当であると述べました。しかしその後、法人は自らの主張を裏付ける具体的な事実誤認の証拠を提出することはありませんでした。また、中央労働委員会の和解提案においては、組合側が初審命令のハラスメント及び懲戒の規程を前規程に戻し検討することが絶対条件としながらも、謝罪方法はポストノーティスに拘らない和解案を提示しましたが、法人は何一つ譲る姿勢を示さず和解は成立しませんでした。
 また、初審命令後に3回団交が行われましたが、ハラスメントや懲戒問題規程については団交事項であることを認めつつも、「これまでも誠実に対応している」と繰り返し2年前と全く同じ主張を述べるのみでした。

3.中労委の命令
 中労委の命令は、ハラスメント問題にかかわる労働環境調整やハラスメント及び懲戒規程は義務的団交事項であるにもかかわらず、法人の対応は実質的に団交拒否であり、誠実に対応したとはいえないとして、その不当労働行為性を認めました。
 また、ポストノーティスについては、法人は公用掲示板への掲示は多くの人の目に触れるため、法人の信用が著しく毀損されるとし掲示は不要と主張しました。
 しかし、命令では、義務的団交事項でも法人は実質団交を拒否した行為は「憲法28条労働者の団結権等」を著しく軽視した態度であり、また救済申立てから2年を経過した団交でも資料を持参しなかったことを理由に実質的議論に臨まない態度を問題とし、「よって本件は、法人と組合の集団的労使関係秩序を回復する必要性の高い事案であり、法人に同種行為の再発を防ぐためにも公用掲示板への文書掲示を命じることは妥当」であるとし、中労委は法人の申立てを棄却しました。

4.不当労働行為を繰り返した理事に対する組合見解
 第1には中央労働委員会の再審査棄却の結果を真摯に受け止め、速やかな命令の履行を求めます。
 この度の道労委の初審から中労委再審査申立てへと理事たちがとった一連の行為は、学校法人の経営責任を負う者の行いとは言いがたく、教職員に不信と威圧を与えるものであります。労働委員会のポストノーティスを大学への信用を毀損するものだと言い張る理事会ですが、自らの行為を顧みることなく、不必要な係争に時間と費用をかけ続けることこそが、大学を私物化し、学生や教職員などのステークホルダーへの裏切り行為といえるのではないでしょうか。
 教育の質を担保する教職員の欠員状態解消より、次々と法人側の労務対策役員を補充してきたことがその証であると言えます。内省することなく自らの考えに固執し、組合敵視対策を取り、恣意的人事を繰り返し、大学運営の独裁化と私物化する現体制は速やかに刷新されなければならず、理事長をはじめとする理事の総退陣が必要といわざるを得ません。

 組合としては、今こそ教職員が一致協力して大学の健全化と事態の改善に取り組む決意であります。また、この3年間に組合に寄せられた同窓生、旧教職員、学生のご父母や他大学教職員、医療関係者、さらには「天使大学の教育を守る会」の皆様のご支援に感謝し、天使大の再生に向けて力を尽くすことを表明いたします。

2014年10月3日

天使大学教職員組合
北海道私立大学教職員組合連合執行委員会

北星学園大脅迫、許すな 山口二郎氏ら、市民団体を6日発足

北海道新聞(10/03)

 札幌市厚別区の北星学園大に、従軍慰安婦問題の報道に携わった朝日新聞元記者の非常勤講師を辞めさせなければ「爆弾を仕掛ける」「学生を傷めつける」などと脅迫する匿名の手紙が届いた問題で、脅しに屈しないよう大学を励ます市民団体が6日発足する。山口二郎北大名誉教授、作家の池澤夏樹氏(道立文学館長)らが「大学の自治、学問・言論の自由を守ろう」と呼び掛け人に名を連ねた。

 発足するのは「負けるな北星!の会」。呼び掛け人は他に中島岳志北大大学院准教授、小林節慶応大名誉教授、桂敬一元東大教授ら全国にわたる。

 賛同した人は既に100人以上に達し、元自民党幹事長の野中広務氏も含まれる。大学を孤立させないよう、署名運動や集会などを検討する。

 北星学園大や呼び掛け人によると、解雇を求められている非常勤講師は朝日新聞在職中の1991年、韓国人元従軍慰安婦が初めて体験を告白した記事を書いた。今春、神戸の大学に就職が決まっていたが、反対の電話が殺到し解消。2012年から非常勤講師を務める北星学園大にも脅迫状のほか、嫌がらせの電話やメールが続いている。<どうしん電子版に全文掲載>


2014年10月03日

早大総長の不起訴は「不当」 労基法違反容疑で検察審査会

共同通信(2014/10/02)

 早稲田大の非常勤講師の就業規則を作成する手続きに不正があったとして、労働基準法違反容疑で刑事告発された鎌田薫総長と人事担当理事を不起訴(嫌疑なし)とした東京地検の処分について、東京第4検察審査会は2日までに「不起訴不当」と議決した。地検は再捜査する。

 議決書では、労基法が就業規則作成の際に従業員過半数の代表者から意見を聴くよう規定している点を挙げ、早大側が代表者の選出方法を非常勤講師に十分に周知しなかったのは「違法性の疑いがある」と指摘した。

 「首都圏大学非常勤講師組合」委員長らが総長、理事ら計18人を刑事告発し、地検は昨年、全員を不起訴にした。


2014年10月02日

国民全体の刺益に奉仕する大学-学問の自由・大学自治の意義を聞い直す-

全大教
 ∟●全大教時報 (Vol.38No.4 2014.10)

国民全体の刺益に奉仕する大学
-学問の自由・大学自治の意義を聞い直す-

全国大学高専教職員組合 中央執行委員長
名古屋大学大学院教育發達科学研究科 教授
中嶋 哲彦

はじめに一本稿の課題一

 今年6月、学校教育法と国立大学法人法が改正された。これは政府及び設置者による大学・高等教育に対する支配介入をこれまで以上に強化し、あるいは「学問の自由」と「大学自治」を徹底的に換骨奪胎しようとするものだ。政府がこの法律改正に込めた政治的意図を実現させないことが、これからの課題だ。その意図が実現するようなことになれば、大学・高等教 育の劣化と国策遂行手段化は言うまでもなく、大学・高等教育に従事する者 の労働条件の劣悪化を防ぐことはさらに難しくなるし、教育者・研究者・医療従事者及びこれらの支援者としての良心に反する職務に従事させられかねない。
 政府はこれを「大学のガパナンス改革jの一環と位置づけており、今後は 中期目標・計画、運営費交付金、法人評価などの既存の制度や、「ミッションの再定義」に基づく組織改編の誘導と組み合わせることで、いわば国立大学の国策大学化を推し進めようとしている。その狙いが、(1)「イノベーティブjな産業創出のための研究開発と、(2)グローパル人材・競争力人材育成に、 大学・高等教育を動員することにあることはすでに指摘してきた。しかし、 今日的状況を踏まえれば、(3)「戦争する国」と「軍事技術・武器輸出で稼ぐ 経済」を支える軍事研究の促進を加えなければならず、(4)後期中等教育改革 に連動する大学再編(具体的には、大学の種別化、とりわけ非「研究大学j の職業訓練重点化=非高等教育機関化)も遠くない将来の課題とされていると見るべきだろう。
 このような高等教育をめぐる情勢分析や課題提起に対して、全大教は組合員の労働条件の改善に専念すべきであり、政治的問題を取りあげることは組合員拡大を阻害するものだとの批判もある。しかし、大学職員の労働条件の維持改善やその前提となる職場としての国公立大学の現状は、上記の大学政策と不可分の関係にある。また、民間労働者の労働条件が総体として劣悪化している現状にあって、国公立大学の職員の労働条件が相対的には高水準にあることを踏まえれば、全大教運動は全勤労者の労働条件改善の取り組みと連帯するとともに、それぞれの職場で国民全体に奉仕する研究教育医療の発展に努め、それを阻害する政策にははっきりと反対していかなければならないだろう。そうすることではじめて、単組・全大教の要求に対する国民的支持を獲得し、相対的に高水準な労働条件に対する同意を得ることができるのではないだろうか。
 小論では、学問の自由・大学自治を出発点にして、全大教運動の在り方をやや原理的な視点に立って考察する。

……以下,略……

大学教員への年俸制適用

全大教
 ∟●全大教時報 (Vol.38No.4 2014.10)

大学教員への年俸制適用

岡山大学法学部 教授
藤内 和公

はじめに

 文部科学省による「国立大学改革プランj発表(2013年 1 月)以来、各大学でこの問題が活発に議論されている。年俸制を導入するか否か、 導入する場合にどのように制度設計するかは、各大学で自主的に決定すべき ことであり、団体交渉で議題として取り上げられることになる。そこで労使 合意が成立すれば法的紛争は少ない。以下では、法的問題が生じうるであろ う、大学側から一方的に就業規則改定を通じて導入される場合を主に念頭に おきつつ、教員に適用されている現状および将来につき、論点を整理し法的 課題を検討する。

……以下,略……

慰安婦報道めぐり脅迫文 2大学に元朝日記者の退職要求

朝日新聞(2014年10月1日)

 北星学園大(札幌市厚別区)に今年5月と7月、慰安婦問題に関する記事を書いた非常勤講師の元朝日新聞記者(56)の退職を求め、応じなければ学生に危害を加えると脅す文書が届いていたことが捜査関係者への取材で分かった。大学側から相談を受けて、北海道警札幌厚別署が威力業務妨害の疑いで調べている。

 捜査関係者によると、文書は学長ら宛てで、5月29日と7月28日に郵送で届いた。印刷された字で「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける」「釘を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと書かれ、元記者や朝日新聞の報道を批判する内容。それぞれ数本の虫ピンが同封されていたという。大学関係者によると、9月中旬に「爆弾を仕掛ける」との内容の電話もあったという。

 元記者は91年8月、元慰安婦の証言を韓国紙などに先駆けて報じていた。

 また、帝塚山学院大(大阪府大阪狭山市)にも9月13日、慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者の人間科学部教授(67)の退職を要求する脅迫文が届いていたことがわかった。大学は被害届を提出、府警が威力業務妨害容疑で調べている。元記者は同日付で退職した。

 府警や大学によると、同大狭山キャンパスに法人理事長や学長らに宛てた封書が計4通届き、それぞれA4判2枚の文書に「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。釘を入れたガス爆弾を爆発させる」などと記され、釘1本が同封されていたという。

 元記者は韓国・済州島で女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を数本書いていた。朝日新聞社が8月、吉田氏に関する記事を取り消した際、吉田氏の証言を最初に取り上げた記事の筆者を匿名でこの元記者と記したが、その後、元記者でなかったことが確認された。


2014年10月01日

天使大学不当労働行為事件、中労委命令

中央労働委員会
 ∟●平成25年(不再)第52号、天使学園不当労働行為再審査事件

天使学園不当労働行為再審査事件
(平成25年(不再)第52号)命令書交付について

 中央労働委員会第一部会(部会長 諏訪康雄)は、平成26年9月25日、標記事件に関する 命令書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
命令の概要は、次のとおりです。

【命令のポイント】 ~組合員の労働環境の調整等に関わる議題について、経営権の問題であり団体交渉事項 にはならないとした法人の対応は、不誠実な団体交渉に当たるとした事案~

1 組合員のハラスメント事案に関して、配置転換等の労働環境の調整を求めた議題は組合員の 労働条件に関わるものであるにもかかわらず、配置転換は経営権に関わる問題であること、ハ ラスメント事案はプライバシーに係る問題があるとして団体交渉事項に当たらないとする法人 の対応は、不誠実な団体交渉(労組法第7条第2号)に当たる。
2 法人のハラスメント規程及び懲戒委員会規程の改正を議題とする団体交渉において、ハラス メント規程の改正について具体的に説明した状況はうかがわれず、さらに、両規程の改正に関 する問題は経営権の問題であり団体交渉事項にはならないとの認識を殊更明らかにしていた法 人の対応は、不誠実な団体交渉(労組法第7条第2号)に当たる。

Ⅰ 当事者
再審査申立人 学校法人天使学園(「法人」)(札幌市)
教職員約110名(平成25年4月現在) 再審査被申立人 天使大学教職員組合(「組合」)(札幌市)
組合員55名(平成25年4月現在)

Ⅱ 事案の概要
1 本件は、法人が、①組合員2名(X1及びX2)のハラスメント事案に関して、配置転換を含 む労働環境調整を求めた団体交渉に誠実に対応しなかったこと、②法人のハラスメント規程及び 懲戒委員会規程(「両規程」)の改正を議題とする団体交渉に誠実に対応しなかったこと、③法人 施設の空き室利用について、組合に他団体より重い要件を課したこと、④法人が設置する大学の 教務部長の選考に当たり、Aが組合の代表であることを理由として、同人を教務部長に任命する ことを拒否したことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審の北海道労委は、上記①及び②が、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号 の不当労働行為に該当するとし、団体交渉応諾及び文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した ところ、法人は、これを不服として再審査を申し立てた。

Ⅲ 命令の概要
1 主文 本件再審査申立てを棄却する。
2 判断の要旨

(1)組合員のハラスメント事案に関する労働環境調整義務の履行要求につき、これを団体交渉事 項でないなどとした法人の対応が、団体交渉拒否に該当するか。
ア 組合員2名に係るハラスメント事案の発生に伴い、配置転換等の労働環境の調整を求めた議題は組合員の労働条件に関わるものであり、団体交渉事項に当たると認めるのが相当である。
イ 法人は、X1についてハラスメントの事実がないこと、配置転換は経営権に関わる問題であること、ハラスメント事案はプライバシーに係る問題があることを根拠事項として、同議 題は団体交渉事項に当たらないと主張していたものである。しかしながら、組合が、ハラス メントの事実があったか否かそれ自体を問題とし、X1のハラスメント事案の詳細について 説明を求めているわけではなく、X1について、配置転換等の措置を講じて労働環境を改善 してほしい事態が発生していることから、これを早急に実施してほしいと要望するものであ ったことは明らかである。また、X2の事案については、法人自身が、X2に、配置転換等 の労働環境の調整を行うと伝えていたのに、これがなかなか実施されなかったことから、組 合が、組合員であるX2の労働環境の早期改善を求めて、法人に団体交渉を申し入れたこと も明らかである。
 このように、組合は、組合員の労働条件に係る労働環境を改善するための話合いをするた め、X1及びX2の事案を団体交渉の対象事項としていたのであるから、話の内容が個人の プライバシーにわたるものであるか否かが、法人から組合に、どの程度詳しく説明すること ができるかという点に影響することがあったとしても、そもそも団体交渉事項に当たらない として、法人が、全く説明しないことを正当化することはできない。

(2)両規程の改定要求の議題につき、経営事項であることなどを理由に、団体交渉事項でないと した法人の対応が、団体交渉の拒否に該当するか。
ア 両規程は、懲戒に関する取扱いや、ハラスメント等の問題が起きた場合の適切な労働環境 について定めるもので、いずれも労働条件に関わるものである上、法人に雇用される労働者のすべてに適用される労働者の待遇に関わる定めであると認められることからすれば、上記 議題は、団体交渉事項に当たる。
イ 法人は、団体交渉において、「懲戒委員会規程は、私学法の改正に伴って改正した寄附行 為の趣旨に沿って改正したものであり、理事会が意思決定の最終責任を取ることができるように理事の割合を増やしたものである。」という程度の説明はしているが、私学法改正の趣 旨からすれば、その説明が理解し難いと組合が考えたのもやむを得ないところであり、また、 ハラスメント規程の改正について具体的に説明した状況はうかがわれない。さらに、法人は、 団体交渉において、組合に対し、両規程の改正に関する問題は経営権の問題であり団体交渉 事項にはならないとの認識を殊更明らかにしていた。
 組合は、両規程がいかなる意味で改正の必要性があったのかということや両規程の適切な 内容とはどのようなものであるかを団体交渉における話合いの中心としたかったと考えられ るが、そのような事項について法人は、当初から説明を拒否していたのであるから、たとえ 団体交渉の開催が数時間にわたっていたとしても、実質的にみて、法人が誠実に団体交渉に応じていたものであると評価することはできない。

(3)救済方法
 本件において、法人は、義務的団体交渉事項であることが明らかな議題について、そもそも 団体交渉事項に当たらないとして、組合からの団体交渉申入れを拒否していたのであるから、 憲法第28条において認められている労働者の団結権等を著しく軽視する態度を取り続けてい たといわざるを得ない。
 さらに、法人は、本件救済申立てから約2年が経過した後の団体交渉において、資料を持参 していないこと等を理由に実質的な議論に入らないなど、依然として、誠実に団体交渉に臨ん でいるのか疑問があるといわざるを得ない対応をとり続けている。
 以上からすれば、本件は、法人と組合間の正常な集団的労使関係秩序を回復する必要性の高 い事案であり、法人による同種行為の再発を防ぐためには、誠実に団体交渉に応じるよう命じ るとともに、法人施設内に出入りする関係者が視認し得る公用掲示板への文書掲示を命じるこ とには理由があるということができる。

【参考】
初審救済申立日 平成23年12月16日 初審命令交付日 平成25年7月24日 再審査申立日 平成25年8月7日


朝日元記者を「辞めさせろ」 札幌の大学に脅迫文

スポニチ(2014年9月30日)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった朝日新聞元記者が非常勤講師を務めている北星学園大(札幌市厚別区)に「辞めさせないと学生を痛めつける」という内容の脅迫文が2回にわたり届いていたことが30日、札幌・厚別署への取材で分かった。同署が威力業務妨害容疑で調べている。

 厚別署によると、脅迫文は5月29日と7月28日に、学長宛てに郵送された。中には複数の虫ピンが同封されており、従軍慰安婦問題への意見や元記者への批判とともに「元記者を辞めさせなかったら、天誅として学生を痛めつける。くぎを混ぜたガスボンベを爆発させる」と書かれていた。

 北星学園大によると、元記者は朝日新聞に在職中の2012年4月から、非常勤講師として留学生向けの講義を担当している。3月中旬から抗議のメールやファクスが多数寄せられ「大学を爆破する」との脅迫電話もあった。

 北星学園大は「従軍慰安婦問題や記事について本学は判断する立場になく、批判の矛先が向かうことは著しく不合理。大学の自治を侵害する卑劣な行為には、毅然として対処する」との文書を出した。

北星学園大:「元朝日記者を辞めさせろ」脅迫文2通届く

毎日新聞(2014年09月30日)

 北星学園大(札幌市厚別区)に5月と7月、元朝日新聞記者の非常勤講師を辞めさせなければ学生に危害を加える内容の脅迫文が2通届いていたことが、北海道警への取材で分かった。元記者は従軍慰安婦報道に携わっていたという。大学から相談を受けた道警札幌厚別署は、威力業務妨害容疑を視野に詳しい経緯などを調べている。

 同署などによると、5月29日と7月28日、学長や学園理事長宛てに「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける。釘(くぎ)を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと印字された脅迫文が届いた。いずれも虫ピン数本が封筒に同封されていた。

 同大学生支援課によると、30日現在、学生が危害を加えられたとの情報はない。一方で「元朝日新聞記者の非常勤講師を辞めさせろ」などという電話やファクス、封書も複数届いているという。


帝塚山学院大学に脅迫状 元朝日新聞の教授を辞めさせるよう要求

MBS(2014年09月30日)

 慰安婦報道をめぐり大阪の帝塚山学院大学に対し元朝日新聞記者の男性教授を辞めさせるよう求める脅迫状が届きました。

 警察によりますと脅迫状は9月13日、大学の理事長らに届き、「元朝日新聞記者の教授を辞めさせなければ、くぎをいれた爆弾を大学で爆発させる」と書かれていたということです。

 脅迫状では慰安婦問題をめぐる虚偽証言の記事を元記者が初めに書いたとして批判していましたが、朝日新聞は29日、別の記者が執筆したとの訂正記事を掲載していました。

 元記者の教授は、脅迫状が届いた日に自ら申し出て退職したということで、警察は威力業務妨害の疑いで捜査しています。

慰安婦記事の元朝日記者教授の退職求め脅迫

NHK(9月30日)

いわゆる従軍慰安婦の問題の取材に関わった朝日新聞の元記者が教授をしていた大阪の大学に、今月、「教授を辞めさせなければ、学生に痛い目に遭ってもらう」などと書かれた脅迫文が届いていたことが分かり、警察は威力業務妨害の疑いで捜査しています。

警察や大学によりますと、今月13日、大阪・大阪狭山市にある帝塚山学院大学に、「元朝日新聞記者の教授を辞めさせろ。辞めさせなければ、学生に痛い目に遭ってもらう」などと書かれた脅迫文が届いたということで、教授はこの日、大学に退職を申し出て受理されました。
この教授は朝日新聞の元記者で、いわゆる従軍慰安婦の問題の取材に関わり先月、朝日新聞が「証言は虚偽」だとして記事を取り消した男性について記事を書いていたということです。
また警察によりますと、朝日新聞の別の元記者が非常勤講師をしている札幌市厚別区にある北星学園大学に「講師を辞めさせないと学生に危害を加える」などと書かれた脅迫文がことし5月と7月に届いたということです。
この講師も記者のときにいわゆる従軍慰安婦の問題の取材に関わっていました。
警察では、いずれの事件も大学の運営を妨げた威力業務妨害の疑いで捜査しています。


常葉学園、補助金過大受給 172万円返還

■静岡新聞(平成26年9月4日)

 常葉大短期大学部(静岡市葵区瀬名)で,教授が実際には行っていない授業を担当したと申請し,国の補助金を過大受給した問題で,同大を運営する常葉学園は3日,172万円5千円を支給団体の日本私立学校振興・共済事業団(東京都)に返還した,と発表した。
 返還したのは,2004年度文の一部で,同事業団から届いた「私立大経常費補助金返還命令書」などに基いて対応した。
 常葉学園は01~04年度にかけて計480万円を過大受給した,と文部科学省に報告している。担当者は「他年度分も返還命令があれば從う」としている。