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 カテゴリー 2015年01月

2015年01月31日

福岡教育大学教職員組合、声明「福岡教育大学未払賃金請求事件判決について」

■福岡教育大学教職員組合
∟●教職員組合ニュース(2015年1月30日)

2015年1月28日福岡地裁判決文

声明

福岡教育大学未払賃金請求事件判決について

2015年1月28日 福岡教育大学未払賃金請求事件弁護団・原告団

 本日,福岡地方裁判所第5民事部は,福岡教育大学教職員組合の新旧役員4名(いずれも同大 学の教授)が組合の支持決議を受け,国立大学法人福岡教育大学に対して提訴した未払賃金請求 事件において,原告敗訴の判決を言い渡した。

 本件は,平成 24 年 2 月 29 日成立の「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(国家公務員給与臨時特例法)により,国家公務員の給与が平成 24 年 4 月から平成 26 年 3 月までの 2 年間にわたり減額(平均 7.8%,最高 9.77%)されたことを踏まえ,国が全国の国立大学法人 に対して行った同様の措置を講じるようにとの要請を無批判に受け入れ,国立大学法人福岡教育 大学が就業規則を職員の合意を得ることなく一方的に不利益変更し,平成 24 年 7 月から平成 26年 3 月まで途中 2 ヶ月分を除き 19 ヶ月にわたって同率の給与減額を行ったことに対し,減額分 の賃金を未払賃金として請求したものである。

 大学当局が行ったように,大学の自主性・自律性をかなぐり捨てて国の要請に唯々諾々と従い, 大学の個別事情や大学職員の労働法制上の権利を無視した身勝手な労働条件の不利益変更がま かりとおるなら,国家権力の介入を排除して学問の自由・大学の自治を守るという憲法上の基本 原理は有名無実となり,大学職員は安定した公務員の地位を奪われたうえ,民間労働者を下回る 権利しか付与されていないという劣悪で不安定な地位に置かれることになる。
 とりわけ福岡教育大学においては,大学当局が国の方針に無批判に従う一方で,学長が組合攻 撃をし,さらに本件原告ら批判的職員を不当に扱う事件が発生している。
 このような状況下では,「学術の中心として,高い教養と専門的能力を培うとともに,深く真 理を探究して新たな知見を創造し,これらの成果を広く社会に提供することにより,社会の発展 に寄与する」(教育基本法7条1項)という大学に課せられた崇高な目的は達成しようがない。

 このような本件訴訟の意義に照らすとき,大学当局の言い分を認めた本日の判決は極めて不当 であると言わざるをえない。

 われわれは本日の不当判決に対して直ちに控訴するとともに,学問の自由,大学の自治を守る 国立大学法人としての自主性・自律性,および,学内民主主義の確立に向けて断固として戦いを 継続する所存である。


2015年01月28日

京大、研究費流用の元教授ら処分 430万円を私的な遊興に

共同通信(2015/01/27)

 京都大は27日、研究費など約430万円を飲食代など私的な遊興費に流用したとして、大学院情報学研究科の元教授(68)=2010年に定年退職=を懲戒解雇相当として名誉教授の称号を取り消し、同研究科の准教授(62)を停職6カ月の懲戒処分にした。

 京大によると、元教授らは04~06年度、学会に出席する名目で研究室の学生に実態のないカラ出張を指示。大学側から支給された旅費を現金で返納させ、プールしていた。プールした金額の一部を研究室のコンパなど飲食費や慶弔費、元教授の個人パソコンの購入代金に使っていた。

 元教授は全額を返金した。


群馬大の元教授「諭旨解雇相当」 採用時に不正論文提出

産経(2015.1.23)

 群馬大学は22日、採用時に不正な論文を研究業績として提出したとして、同大生体調節研究所に勤務していた40代男性の元教授=昨年8月末退職=を15日付で諭旨解雇の懲戒処分が相当とする決定をしたと発表した。

 同大学によると、元教授は以前、論文に不適切な画像を使ったとして問題となった東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授の研究室で特任講師を務め、筆頭著者として発表した3本の論文について東大から昨年末、「自ら捏造(ねつぞう)・改竄(かいざん)を行った」と不正を認定された。

 元教授はこの3本を含む計37本の論文を教授応募時の平成21年8月に群馬大に提出。同大の調査委員会は昨年8月、本人に聞き取りを申し入れたが応じず、書面で「不正の認識はなかった」と弁明したという。

 同大は「すでに辞めた教職員に懲戒処分はできないため、懲戒処分相当の措置とした。退職金は昨年8月に支払った」と説明した。


2015年01月21日

全大教、未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明

全大教
 ∟●独立行政法人国立高等専門学校機構を被告とする未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明

独立行政法人国立高等専門学校機構を被告とする未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明


2015年1月21日
全国大学高専教職員組合(全大教)中央執行委員会
同      弁護団


 本日、東京地裁民事11部(佐々木宗啓裁判長)は、国立高専機構が2012年7月1日に教職員賃金を平均8.2%引き下げたことに対し、全大教高専協議会の原告282人が2012年11月27日、労働契約法10条に違反する就業規則の一方的不利益変更であるとして未払い賃金請求と損害賠償を求めた裁判において、原告らの請求を全て棄却する不当判決を言い渡した。
 国立高専機構が設置する国立高等専門学校は全国に51校あり、日本の未来を担う若者に技術分野を中心とした教育と、研究を行っている。国立高専は2004年4月に独立行政法人化され、非公務員とされた教職員6,000人には民間労働者と同様に労働法・労働契約法が適用されている。
 国立高専機構の賃金引下げは、国家公務員の臨時給与特例法(平均7.8%、一時金は9.77%)に準じて、組合の合意を得ず一方的に就業規則を変更し実施したものである。
 同様の賃下げに対する未払い賃金請求訴訟は、本件以外に福岡教育大学、高エネルギー加速器研究機構、山形大学、富山大学、福井大学、京都大学、新潟大学、高知大学、電気通信大学を相手におこなわれており、これらは、国立大学法人制度、独立行政法人制度のもとでの賃金決定及び労使関係のあり方を問う初めての全国的な裁判として歴史的な意義をもつものである。
 判決は、賃金減額により原告個人らが被る不利益は相当に大きいとし、原告らの生活やその子の教育及び高専教育に影響を与えたことは認めた。しかし、判決は、高専機構に営利企業と異なる責務や中期計画達成の必要性を過度に重視し、安易に高度な必要性を認定した。また、高専機構が行った予備費の増額や一学科300万円の物件費の留保などを口実にして安易に相当性も認めてしまった。さらに、団体交渉に関しても、高専機構の主張をうのみにし、高専機構が交渉を中途で打ち切ったことに関して一方的に組合に責任を転嫁している。以上によって、就業規則の不利益変更の合理性があると決めつけた。
 労働法・労働契約法の解釈と事実認定のいずれにおいても誤った判断に基づく判決であり、原告らの主張を退けたことは極めて不当である。
 全大教は、労働基本権が保障された独立行政法人制度・国立大学法人制度のもとで労使交渉による労働条件決定の原則を確立し、教職員の生活と権利を守り、教育・研究条件を充実させるためいっそう奮闘する決意を表明するものである。

2015年01月13日

北洋銀頭取が学長選に口出し疑惑の道教大

My News Japan(2015.01.13)

 国立大学(独立大学法人)の学長選びに大企業の幹部が介入している――という話を耳にし、遅まきながら驚いたのは昨年暮れ、札幌を訪ねたときのことであった。北海道教育大の学長選挙をめぐる騒動である。
 ことの経緯は、およそ次のとおりである。

 2011年春、当時北海道教育大の学長だった本間謙二氏は、4年の任期をまもなく終えようとしていた。だれもが本間氏の退任を信じて疑わなかったところ、次期学長にも立候補すると言い出し、職員らを驚かせた。

 北海道教育大の規則によれば、4年の任期がすぎた学長の再任は1回限り、任期は2年だ。そして再任の場合は、教職員による意向を確認する投票をしなければならない。むろん、学長の権力乱用を防ぐための仕組みである。

 本間学長は再任を希望して立候補し、対抗馬として神田房行教授も立候補した。やがて意向投票が行われ、開票された。結果は、本間候補208票、神田候補250票。神田氏の圧勝だった。投票結果にしたがって神田教授が新学長になったのであれば、なんら問題はなかった。

 ところが、次に起きた事態に、学内は大騒ぎとなる。投票の結果を無視して「学長選考会議」に事実上一任するとの決断を本間学長がしたのだ。自ら選んだ委員で大方を占める「会議」に誰が次期学長になるべきかを決めさせる、というわけだ。「やらせ」といわれてもおかしくないだろう。

 そもそも学内の規則によれば、再任の場合は意向投票をやらなければならない、とある。それなのに、どうして投票結果を無視して「学長選考会議」に一任できるのか。奇妙な話だが、そのからくりが、2007年の規則変更にあった。

 「学長選考会議は、特に必要と認める場合、教育研究評議会の意見を聴取の上、さらに2年に限り再任させることができる」

 そういう内容の規定が増設されていたのだ。本間氏はこれを使い、次期学長の選考を学長選考会議にさせた。なぜ意向投票を無視する必要があるのか、理由の説明はなかった。

◇ 学長お好みの「学長選考会議」という茶番

 学長選考会議の結論は、火を見るより明らかだった。選挙結果を一顧だにせずに本間氏を学長に選んだ。選考理由も説明しないという密室ぶりだった。

 さらに2年後の2013年、本間学長は3度目の学長選に立候補した。やはり同様に「学長選考会議」の密室で再々任を決めた。現在8年目になる長期政権を手にした本間氏は、現在、意向投票そのものの廃止を画策しているという。

 権力への執着、そして民意を平気で無視するやり方は、まるでいまの安倍政権のミニチュアを見るようである。だが問題の本質は、本間氏個人というよりも、本間氏を支える者たちにあるだろう。

 北海道教育大の学長選考委員は16人。民間人は7人。問題の学長選挙があった2011年当時、この7委員のなかで特に力を持っているとみられるのが、高向厳氏だ。北洋銀行の代表取締役会長である。北洋銀行の大株主は北海道電力で4・47%の株を保有。いうまでもなく、北海道電力は、泊原発を抱える原発企業だ。

 学長選考会議だけではない。その後、北洋銀行は北海道教育大の役員にも食い込んだ。最新の役員名簿をたしかめたところ、中尾進・元常務取締役(現交洋不動産相談役)が同大学の監事になっていた。

 北海道電力を大株主に持つ銀行が北海道教育大の運営を担う。学長選びにも介入する。こんなことでは、原発政策に批判的な研究など、できっこないではないか。そのような危惧を筆者は持った。