全国
 カテゴリー 2015年04月

2015年04月30日

北大職員組合、国立大学法人大阪大学の長期非常勤職員解雇(雇い止め)に対する抗議書

北大職員組合
 ∟●国立大学法人大阪大学の長期非常勤職員解雇(雇い止め)に対する抗議書

2015年3月18日
国立大学法人大阪大学
学長 平野 俊夫 殿

北海道大学教職員組合
執行委員会委員長 羽部 朝男

国立大学法人大阪大学の長期非常勤職員解雇(雇い止め)に対する抗議書

 大阪大学教職員組合からの説明によると、貴職は、2015 年 3 月末をもって、大学法人化前から引き続き雇用されている 160 名余りの非常勤職員の解雇(雇い止め)を強行しようとしているとのことです。
 しかしながら、大学法人化以前に雇用された非常勤職員の解雇(雇い止め)が問題になっているのは、全国でも大阪大学だけです。
 長年、貴学の教育研究環境の整備のために一所懸命に働いてきた非常勤職員を大量に解雇(雇い止め)しようとする貴職の行為は、まさに貴重な働き手の使い捨てにほかならず、公的な教育研究機関として取られるべき対応ではないと考えます。
 このため、当該非常勤職員に対する貴職の今回の措置に対して、および大阪大学教職員組合をはじめ事業場の過半数代表者等の学内関係者の声を真摯に受け止めようとしない貴職の不誠実な態度について、ここに厳重に抗議します。
 更に、法人化前からの非常勤職員の解雇(雇い止め)を直ちに撤回し、大阪大学教職員組合と誠実に団体交渉を行い、当該非常勤職員の処遇改善のために真摯な姿勢で話し合いをされることを望むものです。

以 上


2015年04月26日

専修大道短大不当整理解雇事件、札幌高裁の不当判決に対する声明

専修大学北海道短期大学教員組合
 ∟●札幌高裁の不当判決に対する声明

札幌高裁の不当判決に対する声明

2015年4月24日

(1)札幌高等裁判所第2民事部は、本日、専修大学北海道短期大学8教員の解雇無 効確認等請求控訴事件(平成26年(ネ)第12号)に対し、第1審の札幌地方裁判 所民事第1部の学校法人専修大学の行った解雇を容認する不当判決を維持し、8名の教員の控訴を棄却する不当判決を下した。

(2) 学校法人専修大学は、平成2010年4月、専修大学北海道短大の学生募集停止を一方的に決定し、教員の配置転換等の措置を講ずることなく、希望退職に応じなかった8名の教員を、2012年3月に整理解雇した。

そのため、解雇された8名の北海道短大教員は、不当な解雇の無効確認を求めて札幌地方裁判所に訴訟を提起したが、同地裁民事第1部は、平成25年12月2日、原告 らの提出した、学生募集停止の不当性、解雇の不合理性を示す数々の証拠はほとんど無視し、法人の財務状況からして解雇はやむをえない、教員の採用は教授会の権限で あるなどの学校法人専修大学の主張をそっくり鵜呑みにして、8教員の解雇を容認する判決をした。

(3) これに対して、8名の教員は札幌高裁に控訴して、学校法人専修大学の財務状況は極めて健全であり、学校法人の財務評価の観点からも8教員を解雇しなければならない必要は全くないことを明かにするとともに、経営者がなすべき解雇回避努力と教授会の権限は無関係であり、法人は学部教授会に、8教員の採用を働きかけるこ とすらしておらず、学校法人専修大学が経営者として当然なすべき解雇回避努力をほ とんど何もしていないことをあらためて明かにした。

(4) しかし、本日の札幌高裁判決は、上記のような、控訴審で明かになった事実 についてほとんどまともな検討も加えることなく、北海道短大の開鎖の必要性が認められる以上教員の人員削減の必要性は認められるとし、さらに学校法人専修大学の財 務状況についての専門家の意見書を無視して財政状況が悪化している等と根拠のない認定をした上、教学事項が問題となるから一般企業の従業員と同一視できないなどとして、配置転換の措置も全くをとらなかった法人の対応を是認する判断をした。

このような判断は、これまで整理解雇の有効性の判断の拠りどころとしてきた判例法理を実質的に覆し、大学等を経営する学校法人が、一方的な経営判断のみで、教職員を整理解雇すること許すもので、極めて不当な判断であり、我々は到底是認できない。

(5)学校法人専修大学の経営状態は極めて良好であり、8教員の解雇には何等の正当性もない。法人は直ちに8教員に謝罪し、解雇後の未払い賃金を支払い、配置転換を実施すべきである。

(6)われわれは、本日の不当判決に屈せず、今後も学校法人専修大学の理不尽な「解雇」を撤回させるために全力で奮闘する決意である。

専修大学北海道短期大学8教員不当解雇事件原告団
専修大学北海道短期大学8教員不当解雇事件弁護団
専修大学北海道短期大学教員組合
北海道私立大学教職員組合連合

パワハラで停職1カ月 岡山大の教授、受けた4人は全員退職

産経(2015.4.24)

 岡山大は24日、同僚の助教らにパワーハラスメント行為をしたとして、大学院医歯薬学総合研究科の教授を停職1カ月の懲戒処分とした。

 岡山大によると、教授は平成23年4月~25年3月、助教3人と講師1人に対し、授業担当や担当業務から外し精神的苦痛を与えたり、退職勧奨と感じさせる言動を継続的に行ったりしたという。

 25年2~3月に助教らが大学に相談して発覚。教授は「あくまで教室をよくするためにしたこと」と話しているという。パワハラを受けた助教ら4人は昨年6月までに大学を退職した。

 森田潔学長は「極めて遺憾。今回の事態を重く受け止め、環境の整備を図る」とコメントした。


2015年04月25日

専修大道短大不当整理解雇事件、札幌高裁 不当判決

専修大学北海道短期大学教員組合

またしても不等判決!!

4月24日、札幌高裁は8教員の解雇無効確認訴訟に対し、原告敗訴の判決を言い渡 しました。


名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、和解不成立 二審判決は4月30日に

■谷口教授支援する会ニュース(2015年4月24日)
谷口教授支援する会ブログ

和解不成立、二審判決は4月30日に

 昨年9月18日、名古屋地方裁判所は谷口教授の主張を全面的に認めて、勝訴判決を下しましたが、越原学園理事会は控訴しました。
 名古屋高等裁判所での控訴審は本年1月22日(木)の弁論期日1 回だけで結審しましたが、裁判所の勧告にしたがって2月26日と3月23日の2回にわたって和解協議が行われました。しかし協議は決裂に終わりました。
 その結果、控訴審判決は名古屋高等裁判所において4月30日13時10分に言い渡されます。

名古屋地裁での一審判決文 ネット公開

裁判所サイトで、谷口教授に関する裁判の一審判決文が公開されました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/996/084996_hanrei.pdf

自由法曹団、生涯派遣を強要し、正社員をゼロにする労働者派遣法「改正」案の廃案を要求する意見書

生涯派遣を強要し、正社員をゼロにする労働者派遣法「改正」案の廃案を要求する意見書
過労死を激増させ、残業代をゼロにする労働基準法等「改正」案の廃案を要求する意見書

2015年04月24日

都留文大学生労組、大学側が不承認

朝日新聞(2015年4月23日)

 過重な働き方を強いられる「ブラックバイト」の改善に向け、都留文科大の学生が労働組合「都留文科大学学生ユニオン」を結成し、大学に「団体結成承認願」を提出したところ、大学側は不承認とした。理由は「学生の本分は勉学」。ユニオン側は「説明が一方的」として、22日までに大学側に公開質問状を出し、詳しい説明を求めた。

 同ユニオンは、ブラックバイトに悩む同大の学生が、会社側と団体交渉して適切な対応を求めたり、学生の相談に応じたりするために、先月設立した。大学単位の学生労組は全国初だという。

 大学に拠点を置いて活動するために先月10日、サークルを結成するときなどに使う「団体結成承認願」を同大に提出したところ、大学側は「学生の本分は勉学に励むことであり、労働組合を組織することなどは学内における団体結成として好ましくない」などとして不承認にした。団体名に同大の名前を使うことを「好ましくない」とした。


2015年04月23日

全大教、声明「政府の国旗・国歌「要請」方針に抗議するとともに長・国立大学協会は自律的判断にもとづく行動をすることを求める」

全大教
 ∟●声明「政府の国旗・国歌「要請」方針に抗議するとともに長・国立大学協会は自律的判断にもとづく行動をすることを求める」

(声明) 政府の国旗・国歌「要請」方針に抗議するとともに
学長・国立大学協会は自律的判断にもとづく行動をすることを求める

2015年4月22日

 2015年4月9日の参議院予算委員会で、松沢成文委員(次世代の党)が行った国立大学の入学式・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱の実施率が低いとして政府の対応を求める質問に対し、安倍晋三総理大臣は「(国立大学が)税金によって賄われているということに鑑みれば新教育基本法の方針にのっとって正しく実施されるべき」、下村博文文部科学大臣は「国旗掲揚・国歌の斉唱が長年の慣行により広く国民の間に定着していること、平成11年8月国旗国歌法が施行されたことを踏まえ、各大学で適切な対応が取られるよう要請していきたい」とそれぞれ答弁した。さらに、4月10日閣議後の記者会見で下村文部科学大臣は「各国立大学において適切な対応がとられるよう、これから国立大学の学長が参加する会議等において要請することを検討している。各大学に対して、国会における議論の内容や国旗・国歌の意義を踏まえ今後の入学式等における国旗・国歌の取り扱いについて検討していただくよう要請していきたい」と述べた。
 4月9日の安倍総理大臣の答弁には非常に重大な問題がある。
 第一に、国立大学に対する税金投入を理由に政府の方針に従うことを求めている点である。これでは、国立大学は常に時の政府の方針に忠実に従わねばならないことになり、大学としての自主性や、大学の構成員の議論にもとづいた民主的運営が一切保障されない。
 第二に、教育基本法の規定を根拠としている点である。国旗・国歌に対する態度は個人の内心の自由に関わる問題である。だからこそ、国旗国歌法はその審議過程で個々人への強制はしないという答弁が繰り返され、そのことを前提に制定された経緯がある。安倍総理の答弁は、2006年に改正された教育基本法の第2条第5項「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」を根拠にしたものと思われるが、日本国憲法を踏まえれば、この条文を政府が特定の行為を強制・奨励・禁止することを求めているものと解釈することは許されない。しかも安倍総理の答弁は、同じ教育基本法の第7条第2項で大学について「自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」とあることを無視している。
 下村文部科学大臣の4月10日の発言は、文部科学省が国立大学の学長に対しこの問題で直接に対応を要請するとしている点できわめて重大である。2004年の国立大学法人化以降、文部科学省は、運営費交付金の配分を決定する権限と、文部科学省内に置かれた国立大学法人評価委員会による評価の権限をてこに、国立大学の運営に関して歴然とした圧力をかけ続けてきた。今回、文部科学省は各国立大学の入学式・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱状況の調査を行っており、こうしたことは各国立大学にとってはさらなる圧力として機能しうる。文部科学省からの「要請」とこれに基づく「調査」が行われた2012年からの最大9.8%の「給与臨時減額」にあたって、多くの国立大学法人の執行部は教職員に対して、文部科学省の要請は実質上の強制であると主張し、賃金切り下げを強行したのであった。
 学術は時の政府や国家権力から自由であるべきとして「学問の自由」が保障されるとされ、そのために国立大学にかぎらずすべての大学に「大学の自治」が保障されてきた。大学内で学生と教員の自由な活動が保障されるからこそ、最高学府として社会に貢献する成果をあげることができる。
 大学は、多様なバックグラウンドにもとづく、思想信条や国籍など多様なアイデンティティをもつ個人がそこに集い、談論風発の中で切磋琢磨しあう場である。もしも個人の尊重よりも組織や国家の論理が尊重されるようであれば、そのような場で先端的な学問が切り拓かれ、あるいはグローバルな人材が育つはずはない。
 政府はあらためて、国民の思想信条、内心の自由を尊重すること、大学の運営については大学内の議論にもとづく民主的運営、「大学自治」を守ることに立ち返るべきである。
 大学は、たとえ政府のこうした言動があったとしても、大学内での議論を重ね、あくまで自主的な判断によって今後の行動を決定していかねばならない。そうした態度こそが大学本来の力を発揮し、社会に貢献していくことにつながることを改めて確認するべきである。国立大学の執行部と、国立大学の学長の団体である国立大学協会には、政府のこうした不当な要請に屈することなく毅然とした態度で政府に抗議するとともに、学内の民主的議論にもとづく行動を取ることを求める。
 全大教は、そうした大学の構成員、大学自治の担い手の集団として、学内の民主的議論の中で、政府の不当な要請に屈することのない責任ある国立大学の一翼を担っていく覚悟であることを表明する。


東北大学職員組合、声明「大学当局による本給引下げ強行に抗議する」

東北大学職員組合
 ∟●声明「大学当局による本給引下げ強行に抗議する」

声明

大学当局による本給引下げ強行に抗議する

 東北大学当局は、組合が求めた「法人としての努力を裏付ける説明」や「改定の必要性を示す資料」に基づく団体交渉を行わずに「公的セクターだから人勧同様に改定する」という理由のみで、1月に昇給1号俸抑制を強行したことに続き、4月にも本給表水準の平均2%引下げ(3級以上の高位号俸は最大4%程度引下げ)を強行した。
 我々は、給与の重大な不利益変更に対し強く抗議する。

2015 年 4 月 22 日
東 北 大 学 職 員 組 合

学生の知識不足を悪用 ブラックバイト、対策は

朝日新聞(2015年4月22日)

 幅広い業種に広がっているとされる「ブラックバイト」。正社員と同じように労働基準法などで保護されているが、学生らの知識不足に企業側がつけ込んでいる面もある。貧しくてバイト収入に頼らざるを得ず、厳しい状況を黙って受け入れる学生すらいる。

それブラックバイトじゃない? 長時間労働・自爆営業…

 飲食チェーンで調理担当だった神奈川県の女子大学生(19)は、休憩がないまま1日10時間以上働かされたこともあったという。スケジュール帳は「正午から午後10時まで」といった勤務予定で埋まる。社員の店長は不在がちで、店はバイト任せ。「人手不足で無理やり勤務が入り、年末年始も働かされた」

 疲れて授業に集中できない時もある。バイト仲間に迷惑をかけたくなくて我慢してきたが、今年2月に「労働環境が改善しない限り出勤しない」と店長に伝え、別のバイトに移った。飲食チェーン側は「バイトに長時間労働などの問題が起きないよう、社員には指導している」という。

 ブラックバイトを最初に問題視したとされる中京大学の大内裕和教授(教育社会学)は、こうした例は珍しくないと指摘。バイト優先でゼミ合宿に参加できなかったり、授業や試験を休んだりする学生が多いのに気づき、2013年に調べ始めた。長時間労働、ノルマを課す「自爆営業」が横行していたという。

 労働組合やNPO法人には、学生に対策を伝授する動きもある。

 「(契約や面接時に)コピーやメモ、録音など記録をしっかり取ることが、身を守ることになる」

 首都圏青年ユニオンなどは3月末、明治大学での説明会で呼びかけた。給料が働いた時間より少ない事例などを紹介。ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士が、労基法などに違反する可能性もあることを解説していた。

 高校生に労働のルールを教えるNPOもある。「『自爆』したことがある人は?」。昨年12月、横浜市の神奈川県立田奈高校で、若者の労働相談に取り組む「POSSE(ポッセ)」(東京)が2年生に出張授業をした。講師役の大学生がたずねると、男子は「友達がコンビニでおでんを無理やり買わされた」。女子は「私がやった証拠がないのに、レジ打ちを間違えたからと給料から1万円引かれた」と答えた。

 講師は、飲食チェーンのバイトで制服代5500円を給与から引かれたが、会社負担を求め、認められた経験を話した。「強要されても簡単に応じない。録音やメモがあれば後からでも請求できる」

 同高では親の経済的な事情などから、生徒の7~8割がバイトをしている。授業を依頼した吉田美穂教諭は「生徒は弱い立場につけ込まれないよう、働く際の基本的なルールを学んで欲しい」と話す。(平井恵美、末崎毅)

■家計苦しくバイト頼み

 ブラックバイトが広がる背景には、学生の経済状況の厳しさがある。

 宮城県の私立大3年の女性は、衣料品チェーン店で働いていた際、試験前でも休みがとりにくく、熱が出ても上司に「インフルエンザじゃないなら出て」と言われたという。シングルマザーで保育士の母親の月収は13万円ほどで、奨学金とバイトが頼りだ。いまは別のバイトに変えた女性は「あと2年は歯を食いしばるしかない」。

 大学の授業料が高くなる一方、親の収入は減り、学生が自由に使えるお金は減っている。東京地区私立大学教職員組合連合が昨年、首都圏の私立大学の新入生を調べたところ、親元を離れた下宿生の生活費は1日あたり897円。2千円超だった1990年代の半分以下だ。

 このため、奨学金の利用は90年代末から増えている。2012年の日本学生支援機構(旧日本育英会)の調べでは、大学生(昼間)の52・5%に達する。

 ところが、その奨学金も十分ではない。最も代表的な支援機構の奨学金は、返済なしの「給付型」ではなく、「貸与型」。しかも有利子が中心だ。毎月10万円を4年間借りたら、卒業時の返還総額が600万円を超えることもある。

 大内教授は「いまの奨学金は学生向けの金融事業であり、『貧困ビジネス』。制度に不備があり、学生はバイトせざるを得ない。もっと給付型を増やすべきだ」という。


[関連ニュース]
長時間労働、数万円の自腹買取り、元ヤン店長の暴力支配...ブラックバイトに気をつけろ
それブラックバイトじゃない? 長時間労働・自爆営業…

2015年04月22日

京都大学職組賃金請求訴訟、5月7日判決

京都大学職組
 ∟●職員組合ニュース(2015年4月21日)

 2013 年 6 月 11 日に、京大教職員ら 96 名は、2012 年 8 月から減額された賃金の支払いを大学法人(被告)に対して求める訴訟を京都地裁に提起しました。その後、賃下げは2014 年 3 月まで続き、原告は 115 名にまで増加しました。裁判は 2015 年 3 月 2 日に結審し、5 月 7 日 14 時に京都地裁 101 号法廷において判決が言い渡される予定です。
 労働契約法は一方的な賃下げを禁止しており、その例外を定める 10 条は、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況等、を考慮要素とした合理性が必要だとしています。民事訴訟法では、この合理性を被告側が立証できない限り、原告が勝訴するルールになっています。
 ところがこれに対し、被告京大法人は、証明責任を果たすどころか、遂に裁判の結審に至るまで、真?な応答を拒み続けました。そればかりではなく、法令の内容や事実に明らかに反する主張までをも数多く行っています。また、裁判を通じて、驚愕すべき事実も明らになりました。このことを教職員・学生を始めとする多くの方々に知っていただくため、本裁判へのこれまでの大学側の対応を紹介します。………

2015年04月21日

低い高等教育の公支出、OECD加盟国で最下位

Viewpoint(2015/4/20)

 統一地方選挙で、多くの政党が教育分野の公約として掲げるのが「教育の予算増」。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本の公財政教育支出(国や地方自治体等の支出)の対GDP比率が低いことは、かねてから問題とされてきた。各党の政権公約もこれを意識したものだ。

 2011年の統計ではOECD平均5.6%に対して、日本は3.8%。総人口に占める子供の割合が少ないことや、中高等教育で私立学校の比率が欧米より比較的高いなどの理由がある。

 特に、就学前教育と高等教育の割合は加盟国で最下位。高等教育ではOECD平均1.4%に対して、日本は0.8%。公私負担の割合では公財政負担が平均69.2%に対して、日本は34.5%にとどまる。

 もちろん、高齢者福祉、医療、雇用対策などとの兼ね合いで、教育の公的予算を大幅に増やすことは簡単ではない。各国個別の教育事情があり、公財政支出とGDPの比較には意味がないとの指摘もある。

 ただ、地方創生が重要政策となる中、人材育成や地域活性化プロジェクトなど地域で大学が果たす役割に期待が高まるが、その一方で大学生の学力や意欲が低下するのは深刻な問題だ。


2015年04月20日

和歌山大教授ら「給与削減は不当」地裁に提訴

産経(2015.4.18)

 国の要請を受けて教職員の給与を引き下げたのは不当として、和歌山大学職員組合に所属する教授や職員ら53人が同大に対し計約3300万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、和歌山地裁(橋本眞一裁判長)で開かれた。原告団長の山名仁教育学部教授は「法人化以降、仕事量の増加とともに、就業規則の不利益変更を恒常的に要求されてきた」などと意見陳述した。

 訴状によると、同大は国家公務員の給与引き下げに伴った国からの要請を受け、組合との合意のないまま平成24年7月から大学や付属学校職員らの給与を4・77~9・77%削減したという。

 原告側によると、同様の訴訟は福岡教育大など全国で起きており、近畿では京大に続き2例目。


2015年04月18日

日本私大教連、北星学園大学と同大学非常勤講師への脅迫事件に関する声明

日本私大教連

北星学園大学と同大学非常勤講師への脅迫事件に関する声明

2015年4月10日 日本私大教連中央執行委員会

 従軍慰安婦に関する朝日新聞社の「誤報問題」に端を発した、北星学園大学非常勤講師(元朝日新聞記者)への匿名勢力による執拗な攻撃と人権侵害は今も続いています。昨年10月に容疑者が逮捕された後も、今年 2 月には入試で受験生に危害を加えるとの新たな脅迫が行われました。こうした状況のなか、卑劣な脅迫には屈しないという大学関係者の決意と努力により、同大学が無事入試日程を終え、新年度を迎えたことに、私たちはひとまずの安堵を覚えるものです。
 しかし事態は深刻です。昨年、関西の2大学では同様の脅迫行為により、元朝日新聞記者が採用を取り消され、また「自主退職」に追い込まれました。広島大学では従軍慰安婦に関する映像を用いた講義に対し、国会でのバッシングを含め陰に陽に執拗な攻撃が加えられました。これらは一部マスメ ディアも加担した「言論テロ」というべきものであり、到底看過できるものではありません。とりわけ先の侵略戦争に関わる歴史認識や憲法改正、辺野古の新基地建設や原発再稼働などをめぐり政治と市民が鋭く衝突する場面において、意にそぐわない言論・表現への暴力的な攻撃がネット空間から実社会に浸潤し、学問の自由や言論・表現の自由を脅かしつつあります。また、政権政党による報道機関への圧力や、過激テロ集団 ISIL による邦人惨殺事件に際し「非常時に政権批判すべきでない」と の高圧的キャンペーンの影響により、マスメディアに自粛や忖度の「空気」が広がりつつあります。
 こうした社会状況は、現政権の政治姿勢と深く関わって出現しています。安倍政権は発足以来、近隣諸国との緊張緩和の努力を怠たる一方、卑劣な言論攻撃や社会的弱者や外国籍の人々を標的とした ヘイトスピーチを放置し、言論の萎縮を利用して日本の軍事国家化などの政策を推進しています。特定秘密保護法制定の強行(2013年12月)、「武器輸出三原則」の廃棄(2014年4月)、集団的自衛権の行使を認める閣議決定(2014年7月)、「文民統制」を撤廃する防衛省設置法改正案の国会提出(2015年3月)などを矢継ぎ早に強行し、いままさに集団的自衛権行使を具体化する関連法令改正を強行すべく準備を進めています。
 しかし、言論・表現の自由への圧力を跳ねのけようという人々の声も大きく広がりつつあります。北星学園大学への脅迫事件をめぐっては、作家の池澤夏樹さんらが呼びかけ人となった「負けるな北星!の会」の活動等に励まされ、大学は同講師の雇用継続を決定し、脅迫に屈せず大学の自治を守る姿勢を貫きました。このことは、私たち大学関係者が団結と連帯を深め、卑劣な攻撃を跳ね返してい くことの大切さを示しています。
 私たちは、学問と教育の多様性と自由を担う私立大学に働く教職員として、現在の日本社会を覆っ ている憎悪と排除の連鎖と拡大を傍観することはできません。物言えぬ大学では、この国の将来を担う創造的な人間は育ちません。日本私大教連は、私立大学に自治と学問の自由を確立するために、不当な社会的圧力とたたかう決意をここに表明します。


2015年04月16日

国立大学を3分類 首相が改革具体化指示

NHK(4月15日 19時22分)

政府の産業競争力会議の大学改革などをテーマにした会合が開かれ、安倍総理大臣は関係閣僚に対して、全国の国立大学を、卓越した教育や研究を推進する大学や地域のニーズに応える人材育成などを推進する大学など、3つに分類する改革の具体化を指示しました。
政府は15日、総理大臣官邸で大学改革などをテーマにした会合を開きました。
この中で下村文部科学大臣は、日本を世界で最もイノベーション=技術革新に適した国にするには国立大学の改革を進める必要があるという考えを示しました。
そのうえで下村大臣は国立大学を、▽世界トップの大学と肩を並べて卓越した教育や研究を推進する大学、▽分野ごとの優れた教育や研究の拠点となる大学、それに▽地域のニーズに応える人材育成や研究を推進する大学の3つに分類する方針を示しました。
また、規模などに応じて全国の国立大学に毎年度合わせておよそ1兆1000億円配分している運営費交付金に、来年度からメリハリをつける考えを示しました。
これを受けて、安倍総理大臣は「日本を世界一技術革新に適した国にするには、大学の役割が不可欠だ。この夏までに『国立大学経営戦略』を策定し、3類型の選択に基づく自己改革を進めていく」と述べ、国立大学を3つに分類する改革の具体化を指示しました。
政府は今後、産業競争力会議などで国立大学の改革の検討を進め、ことし夏に取りまとめる成長戦略にも反映させることにしています。

国立大、新評価制度導入へ 政府「成長戦略の柱」

朝日新聞(2015年4月15日)

 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が15日開かれ、国立大学の改革に向けた新たな評価制度の導入を決めた。全国86ある国立大の役割をはっきりさせ、運営費交付金の配分にもメリハリをつける。6月にもまとめる成長戦略の柱にする。

 今夏までに文部科学省が「経営力戦略(仮称)」をつくる。「地域に貢献する教育研究」「特色ある分野で世界的な教育研究」「世界で卓越した教育研究」のいずれかから、各大学がめざす大学の特徴を選び、その大学像に沿った評価に応じて交付金を配分するようにする。

 安倍首相はこの日の会議で「これまでは各大学の特徴に応じたミッション(役割)設定が不明確なままで、自律的な経営に欠けていた面があったことは否めない」と指摘。企業などからの資金獲得や資産の運用など、大学独自の取り組みを促す考えを示した。


2015年04月15日

専門職大学、実践的職業教育に特化…制度化を中教審に諮問

毎日新聞(2015年04月14日)

 下村博文文部科学相は14日、実践的な職業教育に特化した高等教育機関「専門職大学」(仮称)の制度化を中央教育審議会(中教審)に諮問した。幅広い知識と高度な技術を持った「質の高い職業人」を育成するのが狙い。文科省が設置基準を設け、認可することで教育内容の質を保証する。中教審は今年度内をめどに答申をまとめる方針。

 現在、職業に特化した教育は主に専門学校が担っているが、技術習得が中心。専門職大学ではそれに加え、経営のノウハウや高度な技能の習得に重点を置くことを想定している。

 昨年7月の政府の教育再生実行会議の提言を受け、文科省の有識者会議が今年3月に制度に関する審議結果をまとめた。それによると、入学者は高校新卒者や社会人が対象。修業年限は2?4年とし、4年なら「学士」、それ以外は「短期大学士」に相当する学位を授与する。教育課程(カリキュラム)づくりには産業界が参画し、実習や実験を重視した内容にする。

 分野はICT(情報通信技術)、観光、美容などが想定される。学校教育法上の「大学」に位置づけるか、「専門職大学」という学校種を新設するかなど具体的な制度設計を中教審で議論する。現行の大学・短期大学同様に国が補助金を出すことから、専門学校が「専門職大学」に移行することが想定されるほか、大学が学内に併設することも考えられる。文科省によると、ドイツや韓国では同様の教育機関がある。


2015年04月14日

自由法曹団、高度プロフェッショナル制度を創設し、裁量労働制を拡大する労働基準法「改正」案等の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

自由法曹団
 ∟●高度プロフェッショナル制度を創設し、裁量労働制を拡大する労働基準法「改正」案等の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

高度プロフェッショナル制度を創設し、裁量労働制を拡大する労働基準法「改正」案等の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

1 安倍内閣は、2015年4月3日、労働時間規制の適用を除外する「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」の創設や企画業務型裁量労働制の拡大等を定める労働基準法の「改正」案等を閣議決定し、同日、同「改正」案等を国会に提出した。

2 「改正」案の高度プロフェッショナル制度は、「この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。」と定め(41条の2の1項本文)、残業代や深夜割増賃金の不払いを合法化する制度であり、2007年に第1次安倍内閣が国会提出断念に追い込まれたホワイトカラー・エグゼンプションそのものである。

 「改正」案は、高度プロフェッショナル制度の対象業務を、「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定められる業務」と定めている(41条の2の1項1号)。しかし、上記の「高度の専門的知識等」や「従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない」との概念はあいまいであり、これでは対象業務の範囲は際限なく拡がりかねない。

 「改正」案は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間あたりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上」の賃金の労働者と定めている(41条の2の1項2号)。この点について、建議は、「具体的な年収額については、労働基準法第14条に基づく告示の内容(1075万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当である。」としている。しかし、日本経団連は、2005年6月21日発表の「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」の中で、対象労働者を「年収400万円以上」の労働者にすることを提言しており、早くも、日本経団連の榊原定征会長は、4月6日の記者会見で、「最終的にこの制度を実効性あるものにするには、年収要件の緩和や職種を広げる形にしないといけ
ない」などと言い出している。

 労働基準法は、企画業務型裁量労働制については、「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」(38条の4の1項1号)と定めている。ところが、「改正」案は、高度プロフェッショナル制度について、上記のような定めをまったくしていない。この制度の下では、使用者は、対象労働者に対して、始業時刻や終業時刻を定めたり、指揮命令や具体的な業務指示をすることを禁止されていない。これでは、高度プロフェッショナル制度下の対象労働者は、際限のない長時間労働や深夜労働を強要されかねない。

以上のとおり、新たに創設される高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制を全面的に解体するものであり、とうてい許されない。

3 「改正」案は、企画業務型裁量労働制について、対象業務を①「事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用し、当該事項の実施を管理するとともにその実施状況の評価を行う業務」、②「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用した商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は
締結を行う業務」に拡大するとしている(38条の4の1項1号ロ、ハ)。しかし、上記「実施の管理」、「実施状況の評価」及び「契約の締結の勧誘又は締結」の業務は、「その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある」業務とはいえず、このような業務を企画業務型裁量労働制の対象にすることは許されない。

 現行の労働基準法施行規則は、事業場の労使委員会の企画業務型裁量労働制についての決議の届出は、所轄の労働基準監督署にしなければならないと定めている(24条の2の3の1項)。ところが、建議は、現行の所轄の労働基準監督署への届出に代えて、「事業場の労使委員会決議の本社一括届出を認める」等と、手続を簡素化するとしている。しかし、事業場に対応する地元の労働基準監督署でなければ、裁量労働制についての適切な監督、指導は期待できない。労使委員会決議の本社一括届出は、労働基準監督署の監督、指導を弱める措置であり、とうてい認めることはできない。

4 「改正」案は、フレックスタイム制について、清算期間の上限を現行の「1箇月以内」から「3箇月以内」に延長している(32条の3の1項2号)。
 しかし、フレックスタイム制では、清算期間が長くなればなるほど、長時間働く労働日が生じがちになる。実質的には、それだけ、長時間労働と残業代不払いが増えることになる。清算期間の上限の延長も、とうてい認めることはできない。

5 以上のとおり、「改正」案の高度プロフェッショナル労働制度の創設や企画業務型裁量労働制とフレックスタイム制の拡大は、「1日8時間・1週40時間」の労働時間法制の大原則を破壊し、過労死を激増させ、残業代をゼロにするものであり、とうてい容認できない。
 自由法曹団は、高度プロフェショナル労働制度を創設し、企画業務型裁量労働制とフレックスタイム制を拡大し、労働時間法制の大原則を破壊する労働基準法「改正」案等の国会提出に抗議し、その廃案を強く要求する。そして、「労働時間(時間外労働)の上限を法律で規制すること」、「24時間について継続した一定の時間以上の休息時間(インターバル時間)を法律で定めること」等の長時間労働を抑制し、人間らしく働くルールを確立することを要求するものである。

2015年4月13日

自由法曹団
団長 荒井 新二

大都市部の私大入学者抑制へ 文科省、16年度から補助金交付基準を厳格化

現代ビジネス(2015年04月13日)

文部科学省は早ければ2016年度の大学入学者から、首都圏など大都市部にある私立大学の入学者数を抑制する方針だ。「私立大学等経常費補助金」の不交付対象となる入学定員超過率のラインを厳しくするもので、現在、定員8000人以上の大規模大学の場合、定員の120%以上なら不交付になるが、これを110~107%まで減らす方針で調整している。定員8000人未満の私立大も、現行の130%から120%へ引き下げる。

「私立大学等経常費補助金」は私立大や高等専門学校を対象に、教育・研究環境の向上や学生の負担軽減のため補助する制度で、教職員数や学生数に応じて交付する。私立大収入の約1割を占め、13年度は880校に計3204億円を交付した。

同補助金の不交付ルールを厳格化する狙いは主に2点ある。一つは、大都市への学生集中を抑制し、地方からの学生流出に歯止めをかけること。安倍晋三政権が推進する地方創生策の一環だ。

対象となるのは、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)▽関西圏(京都、大阪、兵庫)▽中部圏(愛知)の私立大。

なぜこの3大都市圏が対象なのか。文科省や日本私立学校振興・共済事業団によると、14年度は私立大全体では46%が定員割れを起こしている。この割合は前年度より5・5ポイント上昇している。しかし、その多くは地方大学で、3大都市圏では逆の現象が起きているのだ。

3大都市圏に偏る入学者

3大都市圏の私立大入学者は、▽首都圏20万4287人▽関西圏7万6677人▽中部圏2万9206人。この3大都市圏だけで計約31万人に上り、全私立大の入学者の65%、国公私立合わせた入学者のおよそ半数を占める。

このうち入学定員を超過した人数は計約3万3000人(首都圏2万2007人▽関西圏7541人▽中部圏3386人)。中でも定員の110%以上の学生数は計約2万6000人で8割を占める。定員超過率の基準を110%近くまで引き下げる狙いはここにある。新基準が適用されると、超過人数の多くが不交付対象になるとみられる。

定員超過率の厳格化のもう一つ狙いは、「地方創生」よりも以前から指摘されていたもので、教育環境の改善だ。

教員当たりの学生数(ST比)は、日本は欧米の有名大学と比べると高い傾向にある。国内の国立、私立のトップ大学である東京大、京都大、慶応大、早稲田大の4大学の平均は15・2。一方、ハーバード大(米)は4・36、ケンブリッジ大(英)は4・66、カリフォルニア工科大(米)は5・56、などと教員数が充実している。

大学では、教授が一方的に講義する従来の授業方式から、学生自身で課題を見つけ討論しながら解決策を探る「アクティブラーニング(課題解決型学習)」の必要性が高まっており、多くの大学で取り入れる動きが進んでいる。ST比の引き上げは不可欠だ。

そうした中で、「定員超過」は逆行する動きといえる。大学の入学定員は、国が教育環境上「適正」とする標準規模だ。それでも一定の幅で認めているのは、受験生が他大学にどの程度流れるかを見極めるのが難しいことや、入学後に中退する学生が出ることなどから、大学は多めに合格者を出さざるを得ないことに配慮しているのだ。

今回、不交付対象となる定員超過率を引き下げるのは、大都市圏の大規模大学の中には、推薦入試などで「入学者数を調整することができる」(大学関係者)ことを利用し、基準ぎりぎりまで学生を受け入れているところも少なくないからだ。授業料など学費収入を増やすための経営戦略でもある。

このため、文科省の方針について、反発も予想される。関西圏の大規模私大の担当者は「財政を直撃するだけに深刻だ」と打ち明ける。大学財政の根幹は学費収入だ。さらに「合格しても入学しない受験生の歩留まりを読むのは難しい。今よりも超過率の基準が厳しくなれば、どうなるのか」と悩む。これに対し、「定員超過というルール違反をしているわけだから表だっては反対はできないだろう」(文科省幹部)という見方もある。

地方の大学はどうか。東北地方の私立大幹部は「定員割れしている地方大には一定の効果はある」と期待する。四国の私立大関係者も「ありがたい話」と歓迎するが、「それで受験生が地方大を向くかというと、そう単純な話でもないと思う」とも指摘する。

定員超過率を厳格化すれば、定員自体を増やす大学や、補助金不交付を覚悟で多めに入学者を取る大学が出る可能性もある。定員の基準や助成金の交付条件を地方大学に有利になるよう見直したり、大学の地方移転を財政支援する仕組みも必要になる。

一方、私立大だけを厳しくして国公立大学に学生が流れては効果が薄れるため、国立大でも運営費交付金の不交付対象になる定員超過率を現行の110%から引き下げる方針だ。

政府の地方創生総合戦略は今後、大都市圏への集中を解消し、地方の学生が自分の住む県の大学に進学する割合を20年までに36%(13年度は33%)に引き上げる目標を掲げる。

地方大学支援を強化

地域格差を解消するには入学者抑制と同時に、地方大学の機能強化と、地方の雇用創出も必要だとして、文科省は地方大学への支援策を15年度から強化する。

その一つが文科省の補助事業「地(知)の拠点大学による地方創生推進整備事業」。雇用創出などの取り組みは一大学では限界があるため、都道府県単位で、複数の地方大学が地元の自治体や企業と連携して雇用創出など地元定着率を上げる計画だ。補助期間は5年間。同省は「これまで自治体にとって教育行政と言えば義務教育が中心だったが、政策の実現ツールとしての大学に注目して連携を強化してほしい」と話している。


2015年04月13日

国旗国歌要請、大学の自主性に委ねよ

高知新聞社説(2015年04月12日)

 下村博文文部科学相が、国立大学に対し入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱を「要請する」考えがあることを示した。
 参院予算委員会で安倍晋三首相が、「税金によって(運営が)賄われていることに鑑みれば、教育基本法の方針にのっとって、正しく実施されるべきではないか」と答弁したことに関連し記者会見で明らかにした。政治が、大学の式典の中身にまで口を挟むのは問題があると言わざるを得ない。
 小中高校では学習指導要領に国旗掲揚、国歌斉唱の規定があるが、大学にはそうしたものがない。下村文科相も認め、会見で「お願いであり、する、しないは各大学の判断」と明言している。当然の考え方である。
 政治権力などの干渉を受けず、全構成員の意思に基づいて教育研究や管理に当たる「大学の自治」は、憲法が保障する「学問の自由」に不可欠な制度とされている。2006年改正の教育基本法でも、それまでなかった大学の条文が設けられ、「自主性、自律性その他の大学における教育?及(およ)び研究の特性が尊重されなければならない」としている。
 現に文科省によると、全国86の国立大学のうち、今春の卒業式で74大学が国旗を掲揚し、14大学が国歌を斉唱した。高知大は掲揚し、斉唱はしていない。いずれも各大学の判断であり、今後も自主性に委ねるべきである。
 国が「お願い」だと主張しても、いまの国立大学は「圧力」と受け止めかねない状況にある。
 04年の法人化以降、国は教育研究の基盤である運営費交付金を年々縮小し、競争原理を導入してきた。国立大学協会の集計によると、運営費交付金(予算額)は11年間で10・4%削減され、競争的資金を含めても4・7%減った。兵糧攻めへの恐怖は大きい。
 影響は国立大学にとどまらないだろう。公立・私立大学もほとんどが、交付税や助成金の形で実質的に国から支援を受けている。「税金によって賄われ」、少子化に伴い経営が厳しい状況に違いはない。圧力として拡大する懸念がある。
 下村文科相は会見で圧力を否定し、「強要ではない」と強調した。しかし、集団的自衛権行使容認をはじめ、安倍政権に見られる強引な政策展開からは不安は募る。注視し続ける必要がある。

2015年04月09日

青山学院大、「地球社会共生学部」設置は無効提訴

毎日新聞(2015年04月08日)

 ◇政治経済学部教授「学内の合意得ていない」と東京地裁に

 青山学院大が今年度新設した地球社会共生学部(相模原市)を巡り、青学大国際政治経済学部の小島敏郎教授が8日、「設置手続きで学内の合意を得ていない」として、大学や仙波憲一学長を相手に新学部設置の無効確認などを求めて東京地裁に提訴した。

 訴状によると、青学大は昨年8月に同学部の設置認可を国から得て、新学部設置に必要な大学の学則改正について、各学部の教授会に諮った。これに対し複数の教授会が「教育課程が他学部と重なっている」「義務化されている留学の受け入れ先がタイに集中し、その理由も明確でない」などと見直しを求め、3学部は提案を認めなかった。しかし、青学大は今年3月末に学則を改正した。

 青学大ではこれまで、新学部設置の際は全教授会の了承を得てきたといい、提訴後に記者会見した小島教授は「ルール違反は許されない。新学部で良い教育がなされるようにすることが訴訟の目的だ」と訴えた。一方、青学大は「学則改正は全教授会の賛成を要件とするものでない。解釈に重大な誤りがある」と反論している。

 地球社会共生学部は定員190人。今春は225人が入学した。

 青学大を巡っては、教授らが減額された一時金の差額支払いを運営する学校法人に求めて提訴し、東京地裁で係争中。


2015年04月08日

組合活動した大学の外国人講師7人雇い止め、「ユニオンの排除が目的か」弁護士が批判

弁護士ドットコム4月7日

東京・豊洲などにキャンパスがある「芝浦工業大学」で英語を教えていたが、3月末に雇い止めになった外国人の元非常勤講師7人が4月7日、厚労省記者クラブで会見を開いた。元講師たちは、カリキュラムの変更を理由に雇用契約が更新されなかったのは無効だとして、雇用の継続を訴えた。

7人は労働組合を結成して、大学側と労働環境の改善に向けた交渉をしていた。7人を支援する弁護士は「ユニオンを排除するためにカリキュラムを変えたのではないか」と語っている。

記者会見を開いたのは、雇い止めになった外国人の元講師7人と、7人が所属する全国一般東京ゼネラルユニオンの顧問弁護士をつとめる指宿昭一弁護士ら。元講師のアムジッド・アラムさんは「私には妻と娘がいるが、この仕事がなくなるのは大きな打撃だ」と訴えた。

●「もう一度エントリーしても書類選考で落とされた」

会見での説明によると、7人は、1年ごとに契約を更新する非常勤講師として、同大学に勤務していた。彼らは、最近のニュースや、それぞれの講師が関心を持っている話題を英語で教える授業を週3コマほど受け持っていた。


授業を教える一方で、2013年に労働組合(ユニオン)を結成し、期間の定めのない雇用への切り替えや、授業のコマ数の増加といった要求を、ストライキやビラ配りなどによって大学側に訴えていた。

ところが、2014年の春、「あと1年で授業のカリキュラムが変わる。今後は、英語の文法を日本語で教える授業を増やす」と言い渡され、2015年3月31日付けで雇い止めをされたという。

雇い止めの理由について、指宿弁護士は「大学の主張としては、カリキュラムが変わったので辞めてもらうということだったが、外国人の非常勤講師で、組合員でない人の中には雇用を継続されている人もいる。ユニオンを排除するためにカリキュラムを変えたのではないか。もう一度大学で働きたいとエントリーしても、書類選考で落とされて、面接すらしてもらえなかった」と語り、大学の対応を批判した。

元講師のコーネリア・クルツさんは「私の授業が役に立ったと言ってくれる生徒もいた。芝浦工業大学で教えることが大好きだったので、ぜひまた働きたい」と語った。

大学教員の研究時間減少続く 13年、勤務全体の35% 文科省調べ、授業など負担増

日経新聞(2015/4/7)

 大学教員が研究に充てる時間が減り続けていることが7日、文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査で分かった。2013年の勤務時間に占める研究活動の割合は35.0%で、08年の前回調査から1.5ポイント低下し、02年の初回調査に比べると10ポイント以上減った。学生の教育に充てる時間の増加が背景で、同省は「研究時間を確保できるよう、各大学に工夫してほしい」としている。

 調査は3回目で、全国の国公私立大の教授や准教授ら教員計5652人が対象。02年調査では、論文作成や情報収集などを行う研究活動の時間は、勤務時間の46.5%を占めていた。

 講義やゼミ、その準備といった教育活動は、13年で28.4%。08年調査より1.1ポイント上昇した。学生が議論などを通じて課題を解決するアクティブ・ラーニングや、高校までの学習内容を復習させる初年次教育が広がり、そのための準備時間が増えたことなどが要因とみられる。

 専門分野別にみると、医学や歯学など「保健」の教員の研究活動は31.9%と特に低く、08年より6.9ポイント減った。診療など「社会サービス活動」が同8.6ポイント増の24.2%となったことが影響した。私立大の教員の研究時間は29.9%で、42.5%の国立大との開きが目立った。

 「研究時間増加に有効だと考える手段は」との問いに、全体の6割以上が「大学運営業務や学内事務手続きの効率化」と答えた。

 都内の私立大に勤務する50代の文系の男性教授は「初年次教育や、留年した学生との面接などの負担が年々重くなり、研究時間が十分に確保できない」と話す。特に新入生向けの論文の書き方指導では、自前のテキスト作成などに時間を割かれるという。

 国内では、引用数が世界の上位10%に入る影響力の高い論文の世界シェアが00年ごろから低下し続けており、研究不正も後を絶たない。同研究所の担当者は「研究時間を確保する工夫を各大学が行い、質の高い論文を多く生み出せる環境を整えてほしい」と話している。


2015年04月07日

日弁連、労働時間規制を緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明

日弁連
 ∟●労働時間規制を緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明

労働時間規制を緩和する労働基準法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明


本年4月3日、政府は、「労働基準法等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)を閣議決定した。

まず、本法案は、「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」を創設し、高度専門的知識を要する業務において、年収が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る等の要件を満たす労働者については、労働基準法で定める労働時間並びに時間外、休日及び深夜の割増賃金等に関する規定を適用しないものとしている。この制度について、当連合会は、2014年11月21日付け「労働時間法制の規制緩和に反対する意見書」において、長時間労働の蔓延、過労死及び過労自殺が後を絶たない深刻な現状において、更なる長時間労働を助長しかねない危険性を有することから、これに反対する意見を述べたところである。本法案においても、事業主は時間外労働に対する割増賃金を支払う必要がなくなり、長時間労働に対する歯止めが一層かかりにくくなることや、対象業務の範囲や年収要件の詳細が省令に委ねられ、対象範囲が容易に拡大される恐れがあることなど、依然として重大な問題が残されたままである。

また、本法案は、企画業務型裁量労働制について、対象業務を拡大するとしている。当連合会が、2013年7月18日付け「『日本再興戦略』に基づく労働法制の規制緩和に反対する意見書」においても述べたとおり、裁量労働制によれば、労働の量や期限は使用者によって決定されるため、命じられた労働が過大である場合、労働者は事実上長時間労働を強いられ、しかも労働時間に見合った賃金は請求し得ないという問題が生じる。よって、長時間労働が生じる恐れのある裁量労働制の範囲の拡大は慎重に検討されるべきである。

なお、政府は、上記制度の創設や見直しと同時に、働き過ぎ防止のための法制度の整備を本法案の目的として掲げている。しかし、本法案には、労働時間の量的上限規制や休息時間(勤務間インターバル)規制のように、直接的に長時間労働を抑止するための実効的な法制度は定められていない。我が国では、一般労働者(フルタイム労働者)の年間総実労働時間が2013年時点で2000時間を超え(第103回厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会資料及び厚生労働省「毎月勤労統計調査」から)、他の先進国と比較して異常に長く、労働者の生命や健康、ワークライフバランス保持、過労自殺及び過労死防止の観点から、長時間労働の抑止策は喫緊の課題であるが、これに対する実効的な制度が定められていないことは大きな問題である。

よって、当連合会は、本法案が、長時間労働の実効的な抑止策のないままに労働時間規制を緩和しようとすることに反対する。

2015年(平成27年)4月6日
日本弁護士連合会      
会長 村 越   進 

2015年04月04日

首都圏下宿私大生の仕送り、過去最低に 1日の生活費が初めて900円割る

Jcastニュース(2015/4/ 4)

 首都圏を中心とする私立大学に2014年春入学した下宿生の仕送り額は前年度より500円少ない8万8500円で、1986年の集計開始以降、過去最低を更新した。東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が2015年4月3日、調査結果を発表した。

 ピークだった1994年の12万4900円から3万6400円減った。一方、家賃の平均は前年度より700円増の6万1600円で、仕送り額に占める家賃の割合は過去最高の69.6%となった。仕送り額から家賃を引いた生活費は1日当たり897円で、初めて900円を割った。

調査は2014年5~7月に実施。茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川の5都県にある14大学の新入生保護者4273人から回答を得た。

首都圏私立大生への仕送り、10年連続最低更新

読売新聞(2015年04月04日)

 首都圏の私立大学に昨春入学し、アパートなどを借りて暮らす学生への仕送り額が月平均8万8500円だったことが3日、東京地区私立大学教職員組合連合の調査でわかった。


 調査が始まった1986年度以降では、2005年度から10年連続で最低を更新し、この間に1万2900円減った。

 調査は、早稲田大や明治大など14大学に14年春入学した学生の保護者を対象に実施。約4300人が回答し、うち自宅外通学は1671人だった。

 月平均の仕送り額は05年度、10万1400円だったが、減少が続き、14年度調査では前年度(8万9000円)から500円減った。

 銀

2015年04月01日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、控訴審の判決は4月30日

谷口教授を支援する会ブログ

「谷口教授を支援する会」会員およびアピール賛同者の皆様

いつもご支援ありがとうございます。

3月23日(月)に名古屋高裁で行われた和解協議についてご報告いたします。
結論から言うと、和解は不成立のまま打ち切りとなりました。
その結果、控訴審の判決は4月30日(木)午後1時10分に言い渡されることに決まりました。

どの法廷で判決言い渡しがあるのか、まだ決まっておりませんが、午後1時までに1階エレベーター付近に集合いただければ、皆でそろって傍聴に行くことが可能です。
あるいは、1階の北側入り口の受付に当日の裁判予定一覧が置いてあります。

「高等裁判所、民事裁判」のファイルで場所をご確認のうえ各自で傍聴に来ていただくことも可能です。


秋田県立大、手当2898万円未払い 教員206人の休日出勤分

さきがけ(2015/03/31)

県立大、手当2898万円未払い 教員206人の休日出勤分

 秋田県立大は30日、大学入試センター試験の監督業務などで休日出勤した教員計206人への手当が未払いだったとして、2013年4月?14年12月の計2898万円を追加支給すると発表した。同大は業務の時間配分などを教員個々に委ねる「専門業務型裁量労働制」を導入しているが、制度に対する大学側の理解が不十分だった。1人当たりの未払い額は平均14万1千円。最大で56万5千円だった。

 事務局によると、教員が大学の命令で休日に出勤し、所定の期間内に振り替え休日を取らなかった場合、大学は休日勤務手当や時間外勤務手当を支払わなければならない。しかし、手当の必要がある場合も「裁量の範囲内」とみなして支払っていなかった。今年1月、教職員組合が「事務処理が不適切で未払いが生じている」と大学側に調査を求めた。

 事務局が休日の出勤状況を調べ、個々の聞き取りも実施。その結果、出勤が確認された教員に対し、労働基準法に準じて過去2年分の未払い分を支給することにした。昨年末までの未払い分2898万円は今年4月分の給与とともに支給、今年1?3月分は5月以降に支払う予定。