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 カテゴリー 2015年07月

2015年07月31日

神戸学院大講師にハラスメント 東大大学院の男性講師に1126万円支払い命令

産経新聞(2015.7.30)

 神戸学院大の30代の女性講師が、論文の指導を受けていた東大大学院医学系研究科の40代の男性講師から性的行為を強要されるなど嫌がらせを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、男性に約1230万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。寺西和史裁判官は「性的行為の強要や威圧的な言動など多数のハラスメントがあった」として、約1126万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は、論文作成のため男性から指導を受けていた平成22年7月~24年8月、出張先のホテルで性的行為を強要されたり、海外出張の際、金銭を取り上げられたりするなどの嫌がらせを受け、PTSDを発症した。

 寺西裁判官は判決理由で「女性は研究のために論文を作成しなければならず、共同研究者であり学会の理事などにも就任している男性の意向に逆らいにくい関係にあった」とした。

東大大学院講師に賠償命令 セクハラなどで1100万円

神戸新聞(2015/7/31)

 兵庫県内の大学に勤務する女性講師が、指導役だった東京大学大学院講師の40代男性からセクハラやパワハラを受けたとして、慰謝料など約1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、神戸地裁であった。寺西和史裁判官は「公私を問わず女性の存在を否定し人格を踏みにじった」などとハラスメントを認定し、約1100万円の賠償を命じた。

 判決によると2012年まで約2年にわたり、首を絞めるなどの暴力やセクハラ行為を度々繰り返し、女性に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた。また、出張先で宿泊代や食事代を女性に支払わせ、気に入らないことがあれば未明まで女性を罵倒し続けるなどした。

 提訴前、女性の代理人弁護士がハラスメントを指摘すると、自身が理事を務める学会から女性を一方的に解任したこともあったという。

 寺西裁判官は「女性は学位取得のため論文完成が必要で、実績があり共同研究者の男性には逆らいにくい関係にあった」とした。


国立大学法人などへの寄付金税制拡充、文科省要望

SankeiBiz(2015.7.31)

 文部科学省は30日、平成28年度税制改正要望で国立大学法人などへの寄付金税制の拡充を要望する方針を固めた。国立大学法人に対する個人寄付には税額控除の導入、私立大学などの学校法人に対する寄付には所得控除の上限額引き上げを求める。寄付金を支出する人の裾野を広げて、大学などの経営基盤を強化し、教育や研究の振興につなげる。

 個人が国立大学法人に寄付する際、現在は所得控除が適用される。寄付金額から2千円を引いた額を所得控除額とし、稼いだ所得から差し引くことで所得金額を減らし、税負担を軽くする仕組みだ。寄付金の上限は総所得金額の40%。所得控除を行った後に税率をかけるため、所得税率が高い人の方が減税効果が大きい。

 これに対し、文科省が要求する税額控除は、寄付金額から2千円を引いた額の40%を控除額として、税額から直接差し引ける。税率に関係なく、税額から直接控除できるため、小口で寄付する人も減税効果を実感しやすく、新たに寄付金を支出する人の増加が期待できる。

 学校法人には23年度税制改正で税額控除が導入されており、寄付する人が税額控除と所得控除のどちらかを選択できる仕組みだ。文科省は学校法人の寄付に対する所得控除には、控除できる寄付金額を総所得額の40%から50%に引き上げるよう求める。

 学校法人に先行して税額控除が導入されているのは、国立大学法人の方が集金力が高く、国からの運営費交付金などを受けていることなどを勘案したからだ。このため、国立大学法人への寄付に税額控除が入るのに合わせて、学校法人の寄付税制も拡充し、国立大学法人に寄付が集中しないようにする。


2015年07月29日

全大教,公大協,私大教連、安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール

全大教
 ∟●安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール

安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール


 安倍政権と与党は7月15日衆議院特別委員会、翌16日の本会議で、11本に及ぶ安全保障関連法案を強行採決し、衆議院を通過させました。私たちはこの暴挙に対し怒りをもって抗議します。
 日本国憲法は、その前文で「全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生きる権利を有することを確認する」と謳うとともに、それを具体的に実現するため、第九条において戦争の放棄と戦力の不保持を定めています。この規定にもとづいて、日本は第二次世界大戦後70年にわたり、自ら武力行使や武力による威嚇に加わらない態度を堅持してきました。
 しかし、安全保障関連法案は、米国が世界で行なう戦争に際して、いつでも・どこでも・どんな戦争でも、自衛隊が支援・参加することを可能とし、日本を戦争に巻き込むものです。もし、この法案にもとづいて米国の艦船への攻撃に対処して自衛隊が反撃すれば、それは日本が先に攻撃したことになり、相手に日本を攻撃する正当性を与えます。戦闘地域での「後方支援」活動への参加も、国際法上、武力行使と一体化した「兵站」であり、戦争当事国となるのは周知のことです。海外に派遣される自衛隊員を含め、日本国民の生命・財産を危険にさらす「戦争法案」であると言わざるをえません。
 この安全保障関連法案に対し、200名を超える憲法学者が違憲であると指摘し、その廃案を求める声明を発表しています。「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピールに賛同する学者・研究者は1万2千人を超えています。学生・若者たち、広範な市民が国会周辺はもとより全国各地で反対の声を上げています。報道各社の世論調査では、大多数の国民がこの法案に関する国会での審議は不十分であるとの認識を示し、今国会での成立に反対し、あるいは法案そのものに反対しています。
 しかし安倍政権は、こうした反対世論を無視し、「世界情勢の変化にあわせて憲法解釈を変えるのは当然」などと強弁を重ねています。立憲主義を公然と否定し、学問研究を愚弄する安倍政権の姿勢は、体制を批判する学問や言論を弾圧して破滅への途をひた走った戦前の軍国主義国家を彷彿とさせるものです。
 第二次世界大戦中、学徒動員により多くの学生が戦場に送り出されてきました。いま再び、若者・学生を戦場に駆り出し、世界の市民と日本の国民の生命と安全を危険に晒すことへとつながるこの法案を断じて認めることはできません。私たちは、国公私立大学及び高専を含むすべての高等教育機関の教育・研究と学生たちを守るために、この安全保障関連法案の廃案をめざすたたかいに総力を尽くす決意を示すとともに、高等教育機関で働くすべての教職員のみなさんに、このたたかいに参加されることを心より呼びかけます。

2015年7月28日

全国大学高専教職員組合(全大教)
全国公立大学教職員組合連合会(公大連)
日本私立大学教職員組合連合(日本私大教連)


憲法研究者204人、安保法案廃案求め声明

2015年7月28日19時57分

 大学の憲法研究者が28日、参院議員会館で記者会見し、「安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」を204人の連名で発表した。与党による衆議院での法案審議と強行採決は「議会制民主主義に反する」と強く抗議。法案が憲法9条などの憲法規範に違反し、危険性が明らかになったとして、すみやかな廃案を求めた。

 礒崎陽輔・首相補佐官が安保法案に絡んで「法的安定性は関係ない」と発言したことについて、永山茂樹・東海大学教授は「法的安定性の軽視とは、憲法だけでなく法秩序自体や法に基づく統治のあり方を軽視することだ。立憲主義の否定や憲法への無理解といった姿勢が象徴的に表れた発言だ」と批判した。

 賛同したのは青井未帆・学習院大教授、浦田一郎・明治大教授、浦部法穂・神戸大名誉教授、杉原泰雄・一橋大名誉教授、渡辺治・一橋大名誉教授ら204人。

     ◇

■「憲法研究者の声明」全文

 28日に発表された「安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」の全文は以下の通り。

 安倍晋三内閣が国会に提出した安保関連法案について、私たち憲法研究者は、さきに発表した6月3日の声明文において、そのすみやかな廃案を求めた。この声明は230名を越える多くの憲法研究者の支持を得て、前例のない広がりをみせている。

 私たちが法案に反対したおもな理由は、第一に、法案策定までの手続が立憲主義、国民主権、議会制民主主義に反することであった。第二に、法案の内容が憲法9条その他の憲法規範に反することであった。

 しかし安倍晋三内閣、および自民・公明両党はこのような私たちの、そしてそれと歩調をともにする国民多数からの批判と要求に耳をかそうとせず、7月16日、衆議院本会議で強行採決を行い、法案を通過させるにいたった。

 この間の法案審議において、この安保関連法案が憲法9条その他の憲法規範に反することがますます明らかになった。それはたとえば、①「存立危機事態」における「我が国と密接な関係にある他国」や「存立危機武力攻撃」などの概念がきわめて不明確であり、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないこと、②砂川事件最高裁判決を集団的自衛権行使容認の根拠とすることはまったくの失当であること、③1972年の政府見解の「読み替え」による集団的自衛権容認には道理がないこと、④自衛隊による「支援活動」は外国の武力行使との一体化は否定できず、憲法9条1項に違反するものであること、⑤自衛隊による米軍等の武器等防護は、武力の行使すなわち集団的自衛権行使へと発展しかねないこと、などの点である。

 また議会制民主主義に必要な審議の時間をとらず(そのことはPKO法案と廃案になった国連平和協力法案の審議の際には衆議院で158時間の審議時間をとったことと比較しても明らかである)、さらに内閣が野党から出された質問に対して真摯な答弁を行おうとしなかったため、多くの重要な論点は、事実上手つかずのまま放置されている。それはたとえば、①「存立危機事態」、「重要影響事態」、「武力攻撃予測事態」などの概念の関係が不明確であること、②「存立危機事態」のさいの地方公共団体、指定公共機関の協力の内容と義務付けの度合いが不明確であること、③支援活動に当たる自衛隊員が戦闘員として扱われず、他方武器を携帯している以上文民とも扱われず、その法的身分が著しく不安定なこと、といった点である。

 私たちは、こういった状況を憂い、以下表明する。

 1、衆議院における安保関連法案の審議と強行採決は、議会制民主主義に反するものである。これについて強く抗議する。

 2、安保関連法案は、憲法9条その他の憲法規範に反しており、その危険性がますます明らかになった。このことにかんがみて、法案のすみやかな廃案をかさねて強く求める。

 2015年7月28日


安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の声明

安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の会

安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の声明

 日本の敗戦から70年目にあたる今年は、あらためて、民主主義の重要性を確認するとともに、侵略戦争と植民地主義の歴史を省察し、アジア平和外交と人権が尊重される社会を築く責任を深く自覚し、それを果たすために尽力すべき大切な年だといえます。しかし、現実の政治は、おなじ「平和」という言葉を用いながらも、本来あるべきその姿とは逆行しています。その最たるものが、安倍内閣が閣議決定し、今国会に提出した「国際平和支援法」「平和安全法制整備法」の安全保障関連法案です。
 安全保障関連法案は、従来の政府解釈においても、日本国憲法第9条に照らして違憲とされてきた、集団的自衛権の行使を認め、自衛隊による海外での武力行使へと途をひらくものです。武力は、これまでも多く「平和」を旗標に行使されてきましたが、絶えざる紛争や報復の連鎖は、武力行使が真の平和をもたらす手段たり得ないことを物語っています。武力行使は、それがたとえ「平和」を掲げるものであっても、決して容認されるべきではありません。
 かかる陥穽は、それを見抜いた専門家や地方議会や市民などによって指摘され、警鐘が鳴らされてきました。そして、多くの人びとのあいだに法案に対する不信や反対の声が高まり、安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」と認めざるを得ない情況となりました。しかしながら、国会で与党が多数を占めていることを背景に、強引に審議が進められ、衆議院において強行採決がおこなわれたのです。こうした手法は、民主主義の根幹を揺るがすものとして、断じて看過できません。
 また、昨今国立大学法人をはじめとした日本の大学で進みつつある、人文・社会科学の整理・縮小や、日の丸・君が代の取り扱いをめぐる「適切」な判断の要請といった、大学における学問研究の自由や、自治を脅かす施策は、民主主義の危機という意味で、安全保障関連法案とも通底します。顧みれば、アジア太平洋戦争下に東京商科大学として存在していた一橋大学は、文科系学生の徴兵猶予の撤廃にともなって多くの学生を戦地に送りだしたのみならず、文科系大学を整理する施策のもと、工業経営専門部の設置や東京産業大学への改称といったかたちで、戦時体制に組みこまれていった歴史をもっています。一橋大学のみならず、戦時下に多かれ少なかれ戦争遂行に加担した大学や学問研究は、戦後、それに対する反省を踏まえて再出発しました。こうした大学や学問研究の歩みを、今こそ想起すべきです。
 以上のように、安倍政権が目指す方向性は、立憲主義・平和主義・民主主義、そしてそれらと密接に関わる大学や学問研究の歩みを根底から覆すものに他なりません。私たち一橋大学関係の有志一同は、ここに、安全保障関連法案に強く反対する意思を表明します。

2015年7月26日

呼びかけ人(各研究科50音順)
商学研究科:越智博美、河野真太郎、米倉誠一郎 

経済学研究科:石倉雅男、高柳友彦、寺西俊一、福田泰雄、山下英俊 

法学研究科:阪口正二郎、只野雅人、長塚真琴、森千香子 

社会学研究科:秋山晋吾、石居人也、伊藤るり、大河内泰樹、加藤圭木、貴堂嘉之、木村元、木本喜美子、坂元ひろ子、佐藤仁史、平子友長、高須裕彦、中野聡、中野知律、阪西紀子、森村敏己、山田哲也、吉田裕、若尾政希、渡辺尚志 

言語社会研究科:井上間従文、鵜飼哲、小岩信治、中井亜佐子、中山徹 

院生:院生自治会有志

2015年07月28日

大阪市立大学教職員有志、声明「私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます」

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志の会

私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます。

 多数のひとが反対する安全保障関連法案が衆議院で採決されました。参考人として国会で意見を述べた憲法学者が相次いで違憲と判断したこの法案に対して、多くの人々が反対の声を挙げています。私たちは、立憲主義を擁護する立場から、そして国際平和と民主主義を守る立場から、この法案に反対します。

 ある時点の選挙で多数となった党派が、すべての民意を汲みとったことになるわけではありません。私たちは、私たちの過去の世代の過ちと犠牲を直視し、まだ見ぬ未来の世代にたいして責任をもった判断を行うべきであると考えます。今回の安全保障関連法案の審議と採決は、私たちの過去と未来を見据えて十分に議論した結果であるとは到底いえない経過をたどってきました。

 日本は、侵略戦争と植民地支配により甚大な被害と耐えがたい惨状を引き起こした歴史を有しています。未だ日本は、自らの加害について十分な反省と償いをなし得ているとはいえません。安倍晋三政権は、過去に目を閉ざしつつ、今まさに戦争を可能とする法制度の確立に突き進もうとしています。

 現在、教育の場では、多様なルーツを持つ学生たちが席を隣にして学んでいます。集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案の成立は、まさにこの学びの場を敵対の場へと変えてしまうものです。私たちは、学生たちが多様な他者とともに生きる場を生み出す教育に携わるものであり、日本と世界の将来を担う若者を戦争の場へ送り出すことを許す法案に賛同することはできません。

 過去に侵略戦争と植民地支配を引き起こした各国のなかで、不戦を誓う憲法九条を掲げているのは、日本だけです。集団的自衛権の行使容認を核に据えた安全保障関連法案は、70年近くにわたり日本の平和を守ってきた憲法を空洞化させるものです。

 日本国憲法の精神はけっして古びてはいません。人権宣言の理念は200年以上ものあいだ、私たちの道標として参照されつづけています。私たちは、二度と戦争を起こさないと先達が誓った日本国憲法とその理念を、後世に伝えていく責任を負っています。

 私たちは、日本国憲法の理念に反する安全保障関連法案を断固拒否します。

2015年7月

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志

発起人(五十音順)

青山 和司(経営学研究科)
伊地知 紀子(文学研究科)
植松 千代美(理学研究科)
柏木 宏(創造都市研究科)
金信 泰造(理学研究科)
川野 英二(文学研究科)
小伊藤 亜希子(生活科学研究科)
佐賀 朝(文学研究科)
新ヶ江 章友(創造都市研究科)
土屋 貴志(文学研究科)
中瀬 哲史(経営学研究科)
西垣 順子(大学教育研究センター)
稗田 健志(法学研究科)
野田 昌吾(法学研究科)
福島 祥行(文学研究科)
古久保 さくら(創造都市研究科)
増田 聡(文学研究科)
三島 聡(法学研究科)
村田 正博(文学研究科)
安竹 貴彦(法学研究科)

東北大学職員組合、特別決議「『安全保障関連法案』の衆院通過に抗議し、同法の廃案を求めます」

東北大学職員組合
 ∟●特別決議(2015/7/27)

特別決議

『安全保障関連法案」の衆院通過に抗議し、同法の廃案を求めます

 7 月 16 日、いわゆる「安全保障関連法案」(「安保法案」)が衆議院本会議を通過 しました。政府与党は、この法案について、「日本人の命と平和な暮らしを守るため」 に集団的自衛権を限定的に行使できるようにするものだと主張しています。
 しかし、国会審議を通じて、自衛隊とアメリカ軍等との共同作戦を世界中どこでも行 えるようにするものであるという法案の本質が、いよいよ明らかとなりました。また、 内容が極めて暖昧で、いくらでも拡大解釈が可能であるということも浮き彫りになりま した。まさに戦争を行えるようにするための法案であり、戦後 70 年間平和国家として 歩んできた日本のかたちを大きく変えようというものです。
 そして、そもそも法案自体が憲法に違反していることが明らかになったことは重大で す。
 これまで政府は、日本国憲法の下では、集団的自衛権は行使できないとの見解を一貫 して維持してきました。それにもかかわらず憲法解釈の変更によって行使できると強弁 し、自民・公明両党の合意によって作られたのが今回の法案です。
 しかし、大多数の憲法学者、弁護士、元裁判官といった憲法や法律の専門家にとどま らず、歴代の内閣法制局長官までもが法案の違憲性を指摘するところとなりました。
 一内閣が自分に都合よく憲法解釈を変えられるということになれば、あるいは国会の 多数勢力であれば明らかに違憲の法案も通せるということになれば、立憲主義の原則が 崩れ、法治国家の根幹が揺らぐことになります。すでに施行されている特定秘密保護法 と合わせると、それは独裁政治への道です。
 こうした法案に反対し、政府与党のやり方を批判する声が国民の間で大きくなって いったのは当然のことです。各種世論調査では、日がたつにつれて法案反対の割合が高 まりました。法案に対する国民の理解が進んでいないのではなく、法案の危険性に対す る国民の理解が確実に深まっているのです。
 ところが政府与党は、95 日という異例の国会会期延長を行った末、7 月 15 日、数を たのんで衆院特別委員会において強行採決を行い、翌日の本会議で法案を通過させてし まいました。この暴挙に対し、私たちは強く抗議します。
 一方、7 月 17 日、安倍首相は新国立競技場建設計画の見直しを言明しました。この ことは、国民の世論が高まれば政府が一度決定したものも覆せるということを、さらに は政府が外国に向けて公言したことであろうとも白紙に戻せるということを示していま す。「安保法案」の衆院通過後も、国会周辺で、全国で、仙台で、反対の運動は衰えて いません。直近の世論調査では、内閣支持率も 30%台に急落しています。すでに法案 の成立は確実になったかのような報道もありますが、参議院にもハードルはいくつもあ り、廃案に追い込める可能性はまだまだあります。
 東北大学職員組合は、「安保法案」の廃案を求めるとともに、多くの国民と連帯しな がら、廃案へ向けた運動を進めることをここに決議します。

2015 年 7 月 25 日
東北大学職員組合 2015 年度定期大会

2015年07月27日

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会アピール

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会アピール(案)

2015年7月15日、国会に提出されていた「国際平和支援法」及び安全保障関連10法を一括して改正する「平和安全法制整備法」が衆議院安全保障法制特別委員会にて、また16日には、本会議にて自民・公明両党などによる強行採決が行われました。

これらの法案の強行採決は、国の安全保障にかかわる重要な事項であるにもかかわらず2014年7月に閣議決定のみで歴代政府が否定してきた集団的自衛権の行使を容認するために十分な審議を尽くさず、いとも簡単に憲法解釈を変えてしまい、その具体化として遂行されてきたものです。一方で、どのような事態になると集団的自衛権の行使が可能になるのかということについては十分な説明はなされておらず、事実上、政府の判断で行えるというきわめて曖昧かつ歯止めが存在しないことが明らかになっています。

集団的自衛権の行使を行うということは、他国の戦争に加担、あるいは巻き込まれる危険性が確実にリスクを高めるものです。わが国が、戦後70年、第2次世界大戦における侵略と甚大な被害の歴史の深い反省に基づいて、「殺し、殺されない」国づくりを進め国際社会に築いてきた信頼を真っ向から否定し「殺し、殺される」国へ向かわせる重大な懸念を抱かせる暴挙といわざるを得ません。

また、こうしたリスクの拡大の一方で、自衛隊員が減少する事態が引き起こされており、文部科学省の大学生の経済支援に関わる有識者の中には、「奨学金の返済ができない者は自衛隊での就業体験を」といった声も上がってきています。

私たちは、それぞれの立場でこれらの法案と向きあうことになります。教職員や親の立場から「教え子や子どもたちを戦場に送りたくない」、そして、学生や若者たちも、「戦争で死にたくない」あるいは「戦争で恋人や愛する人を殺されたくない」という思いを持っていることでしょう。戦争で犠牲になるのは、若者、子どもたち、高齢者、障害者といった社会的に弱い立場にある人々や罪のない一般市民であることをあらためて認識しなければなりません。

ここに「安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会」を結成し、法案審議における民主主義を否定する手法と立憲主義を踏みにじる安全保障関連法案に強く反対していくことを表明します。

2015年7月21日
安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会

<呼びかけ人>(順不同)
髙木 博史(経済学部准教授) 
宇佐見 正史(経済学部教授)
樋下田 邦子(経済学部教授)
木村 隆之(名誉教授)
藤井 えりの(経済学部講師)


安保法案に反対する金沢大学の会、声明「安全保障関連法案の強行採決に抗議し、その廃案を求めます」

安保法案に反対する金沢大学の会

安全保障関連法案の強行採決に抗議し、その廃案を求めます

 2015年7月16日に、安全保障法制に関わる11もの法案が衆議院本会議で可決されました。私たち「安保法案に反対する金沢大学の会」は、本法案の強行採決に強く抗議し、その廃案を求めます。

 「戦争をする国」への転換を意図する本法案は、これまで日本社会に生きる人々が継承してきた平和への意思を根こそぎ否定するものです。明治以降の一連の戦争に対する痛苦の反省を胸に、戦後日本社会は「戦争をしない国」へと生まれ変わることをめざし、保守から革新までの間で一定の合意を積み重ねてきました。戦時期、高等教育機関は、多くの若者を戦場に送り出し、軍国体制に寄与する研究を推進しました。金沢大学を含む戦後の大学は、そうした戦前の高等教育に対する強い反省の下に、学問の自由と大学の自治のもとで、平和で民主的な社会の創造に寄与する真理を探求することを目指してきました。もちろん、戦後日本社会の平和への取り組みをそのまま肯定できるかといえば、そこは議論になるでしょう。しかし、だからこそ、私たちは、戦後70年を迎えてもなお、これまで培ってきた文化を継承しながらも、暴力の連鎖を止め、多くの国の人々を犠牲にした惨禍を二度と起こさないという強い決意とともに、人間の尊厳、自由および正義をめぐる認識を深化させるべく努力を続けていかなければならないのです。本法案は、そうした私たちの意思とは真逆の方向へと舵を切るものであり、反対せざるを得ません。

 そもそもこの法案は、この国の根本体制である日本国憲法と、歴史的に築き上げられてきた立憲主義をないがしろにするものです。既にメディアなどで報道されているとおり、圧倒的多数の憲法学者、内閣法制局長官経験者を含む多数の法律の実務家は、この法案が日本国憲法第9条に違反していると主張しています。いわゆる「砂川判決」の部分的な文言だけで正当化しようとする与党の説明は、憲法違反への疑問を解消するものとはとうてい言えません。かつての自民党の重鎮までもが、安倍政権を批判し始めているのはそのためです。安保法制への反対を表明する学者(「安全保障関連法案に反対する学者の会」)は、既に10000人を超え、日々増えつつあります。これは、知性と学問的真理を軽視する権力者に対して、学問にたずさわる者たちが理性的な怒りを表明したものです。真理が権力者の恣意によってねじ曲げられることがあってはなりません。

 そして、何より、専門家だけでなく、日本社会に生きる多数の人々が、この法案の成立に強く反対しています。国会前では連日のように、安保法案に反対する多くの人々が集っており、地方議会でも法案の反対や慎重な審議を求める声明が次々と決議されるなど、安保法制反対の声は全国各地で日ごと高まっています。各種メディアの世論調査でも、安保法制を疑問視する人々が多数を占め、国会論戦が行われる中で、安倍政権に対する支持率も急降下しています。にもかかわらず、与党は、大多数の国民の声を無視し、法案を衆議院で強行採決しました。これは、民主主義の根幹をゆるがす暴挙にほかなりません。私たちは、この国の民主主義を守るためにも、声を上げたいと思います。

 金沢大学は、世界の平和と人類の持続的な発展に資することを理念とし、「地域と世界に開かれた」大学として、常に社会を生きる人々の営みから学びながら、学問真理を探求すると同時に、その真理を人々と分かちあうために、不断の努力を重ねてきました。現在の安全保障関連法案はこの金沢大学の理念に著しく反するものと判断せざるを得ません。私たちは、安全保障関連法案の強行採決に強く抗議すると同時に、同法案を廃案にすることを強く求めます。

2015年7月24日

安保法案に反対する金沢大学の会

呼びかけ人(50音順)
碇山 洋 石黒盛久 市原あかね 入江浩司 岩本健良 岡田 努 小澤裕香 數見由紀子 河合隆平 北岡和代 城戸照彦
喜成年泰 木綿隆弘 小林信介 澤田茂保 澤田 幹 少作隆子 末松大二郎 杉田真衣 杉山欣也 瀬尾 崇 都野展子 鶴園 裕 土井妙子 中島健二 中谷壽男 名古道功 能川泰治 早川文人 細見博志 弁納才一 松田洋介 宮崎悦子
柳原清子 山崎友也 山本英輔 結城正美 横山壽一 吉田国光 米山 猛

安全保障関連法案に反対する立教人の会、声明「もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、 私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます」

安全保障関連法案に反対する立教人の会

もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、
私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます

 現在、国会では、安倍晋三政権が提出した「国際平和支援法」と 10 本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」が審議されており、衆議院平和安全法制特別委員会および衆議院本会議で採決・可決されました。これら安全保障関連法案は、日本国憲法第 9 条 に違反するものであり、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変えようとするものです。安倍政権がこれを、十分に説明を果たさないまま審議を打ち切り、強行採決によって可決したことは、日本の立憲主義と民主主義を破壊する行為です。
 私たちの立教大学は、太平洋戦争中の 1942 年 9 月に、創立以来のキリスト教主義による教育から皇国の道による教育に教育理念を変更して戦争に協力し、多くの学生を戦地に送り出したという歴史を持っています。その罪責の自覚のもと、戦後 70 年間、立教大学・立教学院はキリストの伝える平和に根ざした教育と研究を探求してきました。
 「戦争」とは決して抽象的なものではありません。具体的な名前をもった若者たちが戦場で向かい合い、殺し殺されることを意味します。そして、子どもたちを含む多くの戦争犠牲者を生み出し、いのちの尊厳を踏みにじるものです。1945 年までの戦争への反省の上に立って戦後日本が国是としてきた平和主義に逆行し、日本に戦争への道を開く安全保障 関連法案の可決に、私たちは強く抗議し、法案の即時廃案を要求します。
 古代キリスト教神学者であり、哲学者であるアウグスティヌスに帰せられる言葉に「希望には二人の娘がいる。一人は怒りであり、もう一人は勇気である」とあります。私たちは、人間としてのまっとうな怒りを持ち続け、それぞれの持ち場でできることをやっていく勇気をもって行動し、発信し、希望を創り出していくために、連帯していきます。もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

2015年7月24日
安全保障関連法案に反対する立教人の会

呼びかけ人一覧


浅井春夫(コミュニティ福祉学部) 阿部治(社会学部) 阿部珠理(社会学部) 飯島寛之(経済学部) 李?珍(社会学部) 家城和夫(理学部) 五十嵐暁郎(名誉教授)五十嵐正司(チャプレン) 生井英考(社会学部) 池田毅(経済学部) 石井正子(異文化コミュニケーション学部) 石黒広昭(文学部) 市川珠美(職員) 稲葉剛(21世紀社会デザイン研究科)  内田利一(職員) 大嶽宏介(職員) 大竹秀和(職員) 沖森卓也(文学部) 奥村隆(社会学部) 小野沢あかね(文学部) 恩田和英(職員) 郭洋春(経済学部) 加藤磨珠枝(文学部) 香山リカ(現代心理学部) 河東仁(コミュニティ福祉学部) 北本俊二(理学部) 北山晴一(名誉教授) 金大原(チャプレン) 栗原彬(名誉教授) 毛谷村英治(観光学部) 小泉徹(職員) 小林悦雄(異文化コミュニケーション学部) 近藤泰樹(職員) 坂田周一(コミュニティ福祉学部) 佐々木淳(職員) 佐々木一也(文学部) 佐藤一宏(職員) 佐藤百恵(職員) 芝田英昭(コミュニティ福祉学部) 庄司洋子(名誉教授) 須永徳武(経済学部) 砂川浩慶(社会学部) 関正勝(名誉教授) 高木恒一(社会学部) 高瀬良介(職員) 鶴見祐介(職員) 寺﨑昌男(名誉教授) 東條吉純(法学部) 内藤武(元職員) 中川英樹(チャプレン) 中村陽一(21世紀社会デザイン研究科) 西澤朋泰(職員) 西谷修(文学研究科) 西原廉太(文学部) 新田啓子(文学部) 萩原なつ子(21世紀社会デザイン研究科) 橋本正明(元コミュニテイ福祉学部) 長谷川修一(文学部) 服部 孝章(名誉教授) 林みどり(文学部) 疋田康行(名誉教授) 平川克美(ビジネスデザイン研究科) 廣石望(文学部) 深野毅(職員) 福山清蔵(名誉教授) 藤井敦史(コミュニティ福祉学部) 藤野裕介(職員) 藤原新(経済学部) 逸見敏郎(文学部) 細川哲士(名誉教授) 堀耕治(現代心理学部) マーク・シュタール(チャプレン) 前田一男(文学部) 前畑憲子(名誉教授) 松尾哲矢(コミュニティ福祉学部) 松野雅治(職員) 松原宏之(文学部) 松本康(社会学部) 宮﨑光(チャプレン) 宮島喬(元社会学部) 村田次郎(理学部)和田悠(文学部) 渡辺 憲司(名誉教授) 渡辺信二(名誉教授)
SPAR 平和のために行動する立教大生の会
以上84名+1団体

愛知教育大学教員有志、「安保法案」の廃案を求める大学人アピール

愛知教育大学 大学人アピール

「安保法案」の廃案を求める愛知教育大学

大学人アピール
2015年7月20日 呼びかけ開始
 

 私たちは、教育や研究の発展と、子どもたちを豊かに、幸せにする教員の養成を目指しています。これらの教育研究活動の土台は、平和です。本学は、「愛知教育大学憲章」において、大学の理念として「教育研究活動を通して世界の平和と人類の福祉及び文化と学術の発展に努めることが,普遍的使命であることを自覚」すること、教育目標として「平和で豊かな世界の実現に寄与しうる人間の教育をめざす」ことを掲げています。

 安倍政権は、地球の裏側まで出かけていって他国による軍事行動に協力することを可能にする憲法9条違反の「安保法案」を、7月15日の衆議院特別委員会、16日の本会議で強行採決しました。
 マスコミの各種世論調査では、国民から多くの疑問の声があがっており、安倍首相自身も、衆議院特別委員会で「国民の理解は進んでいる状況ではない」と述べています。こうした状況にもかかわらず採決を強行するという常識ではありえないことが起きました。私たちは、愛知教育大学の大学人として、衆議院から参議院に送られた「安保法案」の廃案を訴えます。

 この法案は、憲法学者の圧倒的多数が憲法違反であるとの判断をし、衆議院憲法審査会では、与党が選定した憲法学者を含めて憲法違反であると述べ、法案反対の声をあげている内容の法案にもかかわらず、採決を強行するという事態は、日本の民主主義・立憲主義の危機を意味しています。この延長線上に、戦争のための教育が始まることも危惧されます。戦争国家のために子どもが犠牲にされたり、教師が動員されたりすることに断固反対するものです。

 私たちは、かつて日本が行った侵略戦争において、多くの学徒を戦場に送り出した歴史に鑑み、二度と戦争に協力しないことを誓っています。真の平和は、民主主義と話合いにもとづく外交によってこそ実現するものです。日本の平和憲法、9条の意義はそこにあります。

 私たちは、これから行われる参議院での審議において、武力による平和や秩序の維持であり、私たちの教育研究活動を脅かす危険性のある「安保法案」を廃案にすることを強く求めます。

愛知教育大学教員有志 

賛同者氏名(五十音順)
稲毛正彦  太田弘一  清田雄治  子安 潤
榊原洋子  竹川慎哉  道木一弘  富山祥瑞  
中妻雅彦  中山弘之  納谷昌宏  松原信継  
山根真理  萬屋育子

岐阜大学有志、「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、同法案の撤回・廃案を要求します

2015年7月23日
「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志

 「国際平和支援法」と10本の現行法をまとめた「平和安全法制整備法案」、いわゆる「安全保障関連法案」が、十分な審議がなされず、また、多くの国民の理解もないまま、衆議院にて強行採決されました。
 これらの法案は、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊が協力し加担していくことを許すものです。まさに、日本を「戦争しない(できない)国」から「戦争する(できる)国」にするものです。また、歴代の内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使を許すという、憲法違反の法案です。一内閣の勝手な解釈で憲法による権力の制約をないがしろにしようという行為は、立憲主義の否定以外のなにものでもありません。
 日本の大学はかつて、多くの学徒を戦地へ送り、また軍事研究に協力してきたという、歴史をもっています。再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできません。
 戦後、決して加害者となることないように非戦を誓い、今日まで戦争に加担することなく70年を過ごしてきたことは、胸を張って世界に発信できるメッセージです。それを簡単に反故することは許されることではありません。
 岐阜大学で働き、また学ぶ私たちは、若者の教育と未来、そして地域医療などに責任を負う立場から、この「安全保障関連法案」に反対します。政府に対して、同法案の強行採決に強く抗議するとともに、撤回・廃案を強く要求します。

事務局:椎名貴彦(応用生物科学部・准教授)
連絡先:taka417hiko@yahoo.co.jp

【呼びかけ人】(2015年7月25日現在) 11名
別府 哲(教育・教授?)
仲澤 和馬(教育/工学研究科・教授?)
吉田 千秋(地域・元教授?)
竹森 正孝(地域・名誉教授?)
近藤 真(地域・教授)
荒井聡(応生・教授)
新村 昌治(工・教授?)
山口利哉(工・事務職員)
加藤 拓真(教育・卒業生)
河上 俊一(地域・学生)
藤吉登美(附属病院看護師)

安保関連法案 緊急シンポに250人 千葉大研究者が語る問題点

東京新聞(2015年7月25日)

 集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案の問題点や大学の果たす役割について議論する動きが県内でも活発化してきた。千葉大の研究者有志は23日、学生や市民らと意見を交わす緊急シンポジウムを千葉市稲毛区の同大キャンパスで開催。講義室には約250人(主催者発表)が集まった。 (柚木まり)
 シンポジウムでは、同大の三宅晶子教授(ドイツ文化論)ら六人の研究者が登壇。「安保法案に反対する学者の会」の呼び掛け人でもある酒井啓子教授(中東政治)は「国際的に武力が必要な危機的状況はあるが、まだ外交が十分に尽くされていない」と指摘した。
 石田憲教授(政治学)は、「大学の中でこういう議論をすると政治の色が付くとか、中立的でありたいと思う人もいる。しかし、自分の価値判断を相対化し、他者を認め伝えていくことが大学で議論する上で重要な点だ」と主張した。
 研究者らの講演後、大学院生の佐藤峻さん(26)は「多様な意見を持つ人たちと気楽に対話できる場が大学。それぞれに自分の意見を持って、つながりを持っていけたらいい」と発言。
 法政経学部四年の女子学生(21)は、「私自身も法案の理解が進んでいないが、家族は話題にしても『別に』と返ってくる。いろんな人が興味を持つにはどうしたら良いのか、注目して見ていきたい」と話した。

「人文系見直し」広がる波紋 文科省通達に国立大から異論

京都新聞( 2015年07月26日)

 国立大学に教員養成系や人文社会系の学部・大学院の組織見直しを求めた文部科学省の通達が、波紋を広げている。京都や滋賀では、京都大の山極寿一総長が人文社会系の廃止や縮小に否定的な考えを表明し、滋賀大の佐和隆光学長も国の方針に批判的な立場を取る。一方、地方の国立大学では既に、学部の再編や新設に乗り出す動きがある。

■学長ら批判

 「特に教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院については、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めること」。6月8日、2016年度から始まる国立大学の第3期中期目標を作る際の留意点を伝える通達の中で、文科省は各大学にこう求めた。

 教員養成系を挙げたのは、18歳人口の減少に伴う教員需要の縮小を見越した対応といえる。一方、人文社会系が標的になった背景には経済界の意向が強く働いたとみられている。企業の競争力強化には、理系や実践的な知識を身に付けた人材が必要という考え方だ。

 通達には国立大学の学長から強い異論が出ている。

 京大の山極総長は6月17日の記者との懇談で「大学は今すぐ役立つ人材でなく、未来に役立つ人材を育てるのが使命。人文社会系は教養として重要だ」と力説。多様な知識を身に付けた学生を送り出すためにも、人文社会系は不可欠とする持論を展開した。

 滋賀大の佐和学長は「政府の産業競争力会議に入っている財界人や学者は、人文社会系の教育が産業振興に貢献していないと考えている」と指摘する。世界の大学ランキングで上位に入る英米の大学で人文社会系の教育研究が活発なことを挙げ、「欧州では人文社会系の学問は存在感がある。批判精神のある人間を育てるためだ。国が大学のランキングを上げたいなら、人文社会系にこそ力を入れるべきだ」と訴える。

■交付金への影響懸念

 文科省はこれまでも、国立大学に教育研究の特色や社会的役割を見直すよう求めてきた。その流れを受け、地方の大学では、教員養成系や人文社会系の定員を減らし、国際教育や文理融合などの新学部を開設する構想が相次いでいる。

 福井大は2016年度に「国際地域学部」の開設を予定。既存の教育地域科学部の1課程を廃止して、60人分の定員に回す。宮崎大も教育文化学部の定員をほぼ半分に減らし、定員90人の「地域資源創成学部」の設置を計画する。

 滋賀大も例外ではない。大規模データの解析にたけた学生を育成する文理融合系の「データサイエンス学部」の開設を17年度に目指している。100人の定員は経済、教育の両学部からそれぞれ90人と10人を削減して充てる。

 背景には国立大学の懐事情がある。収益の4割近くは国が支出する大学運営費交付金。しかも国は今後、機能強化や組織改革の取り組み次第で配分額に差をつける方針だ。佐和学長は「何もせずに交付金を削られるのは耐え難い。時代を先取りした新学部開設で前向きに対応する」と話す。

 一方、京大は今のところ、学部や大学院の再編は打ち出していない。教育担当の北野正雄理事は「人文社会系だけを取り出して議論するものではないというのが学内の意見だ。学内全体で教員を柔軟に動かせる仕組みを取り入れ、新たな教育や学問分野をつくる」と説明する。


2015年07月25日

北海道私大教連、声明「学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する」

■北海道私大教連
 ∟●学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する

学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する

北海道私立大学教職員組合連合執行委員会
(道私大教連)

先般報じられた学校法人酪農学園(北海道江別市。以下「同法人」)の麻田信二理事長らによる、酪農学園大学(以下「同大学」)の学長解任は、昨年秋に改定されたばかりの「学校教育法」を悪用した全国的にも類を見ない異常な事件である。同大学における理事会の独裁的な行為は、大学の健全な運営と民主的な発展を期待する学生や父母、教職員、国民・道民の立場と決して相容れないものであり、私たちとしても看過できない。厳にこれを糾弾し、同法人と大学を早期に正常化、民主化するよう強く求めるものである。

1「改正学校教育法」への悪乗り

 2014年秋に学校教育法が「改正」され2015年4月施行が決まるや否や、同法人理事会は同法の改正趣旨と全く無関係の学内規則改悪に乗り出し、教授会の異議を潰して強行した。これまで公選されてきた学長等の教学役員は事実上の理事会指名とし、従前の教授会相当組織を廃して骨抜きにした。このたび同法人理事会が解任することとした学長は、教学組織が民主的に選んだ最後の学長となるが、任期の途中でちぐはぐな解任理由を並び立てて強権を以って解任した。
 (そもそも、先の学校教育法「改正」側の本来の意図は、学長の権限強化、明確化を促すことにあった。)

2.「解任理由」会見の異常性

 7月14日、理事長は札幌市内のホテルを会場に取って学長解任を記者発表している。解任理由の多くは同学長の個人攻撃に等しいものであった。報道等によれば解任の主たる事由として、①同学長が教員出身の学園評議員であった際に他の評議員らとともに評議員会で配布した文書の内容に端を発する民事訴訟判決(5月11日に一審判決されるも現在、高裁係争中である)で「不法性」が認められたこと。②研究・実験設備の一部を大学へ届け出ずに処分したこと。(同学長は既に個人弁済している)。③2015年度の入学生について理事会の指示に従わず、追加合格を認めなかったことで学納金に損害を与えた。
など数点が列挙された。しかし、これらを任期途中の公選学長の解任理由とするには甚だしい無理がある。社会規範によらない独断専行であると評価せざるを得ない。

3.同法人・大学と道内大学の改革のために

 昨今、特に北海道内においても高等教育の将来的な在りようをめぐって様々な問題が噴出する中、大学や私立学校の改革が重要となっているのは事実である。その過程では見直されるべき従前の運営システムや慣行が大いに改革されるべきだが、法改正に悪乗りし、構成員(教職員・学生・卒業生)の意見を封じて力任せで「改革」を叫ぶ同法人のやり方は時代錯誤も甚だしく、むしろ改革を「後退」させる暴挙である。
 特に、大学の改革では学問、言論の府として自律的姿勢の堅持が求められる。そのような自治・自律を削ぎ落とす一連の行為は大学としての自殺行為に他ならない。

 私たちは道内の大学人で構成する教職員組合として、酪農学園大学での今回の事件に深い憂慮を表明する。同時に、この問題が全ての大学・私学にとって決して対岸の火ではない地域の重要な教育問題にあたることを自覚しながら、改めて同法人理事会・理事長に対し、学長解任をただちに撤回し、事態を収拾させるよう強く求める。
 私たちは道内すべての高等教育機関を民主的で地域のニーズに相応しい公器として発展させるために努力を惜しまない決意であることを重ねて表明するものである。

以 上

静岡大学有志の会、「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

静岡大学教職員組合
 ∟●「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会の声明

「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会

1、「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求めます。

7月15日に開かれた衆議院特別委員会、翌16日に開かれた衆議院本会議において、安全保障関連法案が、廃案や審議継続を求める声をおしきって強行採決されました。私たちは、この法案の強行採決に抗議し、廃案を求めます。


2、「安全保障関連法案」は憲法違反、強行採決は立憲主義の破壊につながるものです。

この法案は、他国への攻撃を日本への攻撃と見なし、日本が戦争に参加する集団的自衛権の行使を容認するもので、憲法9条に違反します。法案について衆議院憲法調査会に出席した3人の憲法学者がそろって「違憲」とし、歴代の内閣法制局長官やほとんどの憲法研究者だけでなく、最高裁判所の元判事までが「違憲」と指摘しています。

さらに、この法案については、多くの地方議会から慎重な審議や反対を求める表明がなされ、世論調査では今国会での成立は不必要とする声が8割を超えました。強行採決は、主権者である国民の声を無視し、民主主義に反するものです。また、憲法で国家をつくり国家権力の濫用を防ぐという立憲主義を破壊するものです。私たちは、民主主義と立憲主義の破壊を放置できません。

3、この立法で国民の命や安全の危険性は高まります。

 安倍首相は、法案の閣議決定後の会見で、この法案を「国民の命と安全を守る」ためのものであると言い、アメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」と言い切りました。しかし、何ら根拠を示すことのないこのような強弁を、私たちは信頼することはできません。この法案は、自衛隊がアメリカを含めた他国の軍に対して弾薬を提供したり、他国軍の武器や兵士を輸送したりすることを可能とするものです。国内で「後方支援」と呼んでみても、自衛隊の活動は軍の武力行使と一体と見なされます。相手国・軍からみれば、当然、自衛隊は攻撃の対象となり、日本国民がテロの対象となる危険性は高まることでしょう。

4、静大名誉教授・鈴木安蔵による「憲法草案要綱」と日本国憲法、そして私たちの決意。

およそ70年前、日本国憲法の制定を前に、のちに静岡大学で教鞭をとることになる鈴木安蔵は、民間の立場から「憲法草案要綱」を起草・公表しました。この要綱は、日本国憲法における基本的人権の尊重、主権在民(国民主権)、前文にかかげられた平和への決意や誓いに継承される内容をもつものでした。これを一つの土台として制定された日本国憲法は、その前文において「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記しました。

私たち有志は、静岡大学で学び、働き、教育・研究をする者として、こうした日本国憲法に込められた願いや努力から真摯に学ぶとともに、安全保障関連法案とその強行採決が、日本国憲法の規範や原理とあいいれないものであることを踏まえ、断固として反対するものです。

5、あきらめず廃案を求めていきます。

安全保障関連法案は、参議院で否決されれば、いわゆる「60日ルール」の適用によって衆議院でふたたび採決にかけられます。そこでは3分の2以上の賛成による議決が求められ、議決へのハードルは高くなります。それだけに法案に反対する国民世論が高まれば選挙への影響を考え、法案への賛成を踏みとどまる議員がでてくることも考えられます。あきらめることはありません。私たちは、それぞれができる行動や意見表明を通して、安全保障関連法案の廃案を強く求めていきます。

2015年7月24日

〔呼びかけ人〕石井潔(理事・副学長)、石原剛志(教育学部教員)、伊東暁人(人文社会科学部教員)、岡田安功(情報学部教員)、笹沼弘志(教育学部教員)、佐藤博明(元学長)、寺村泰(人文社会科学部教員)、鳥畑与一(人文社会科学部教員)、根本猛(法科大学院教員)、橋本誠一(人文社会科学部教員)、林弘文(教育学部元教員)、藤井道彦(教育学部教員)、本多隆成(人文学部元教員)、松田智(工学部教員)、村上健司(工学部教員)、森本隆子(人文社会科学部教員)。


広島大学人有志、安保法案に反対する声明

安保法案に反対する広島大学人有志の会

安保法案に反対する広島大学人有志の声明

  戦後70年目を迎えた今、安倍晋三政権は「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法」を国会に提し、7月15日に衆院平和安全法制特別委員会での強行採決を経て、16日に衆院本会議で審議継続を求める声を無視して、ふたたび強行採決をしました。首相自身が「国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めた本法案に対して、多くの人々から反対の声があがり、連日、安倍政権の強引な議会運営を批判し、廃案を求める運動が国会周辺はもとより、全国各地で大きく広がっています。
 本法案の本質が、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊を協力・加担させていくものであり、ほとんどの憲法学者が指摘しているように、戦争を放棄した日本国憲法第9条に明白に違反していることをいわざるをえません。わたしたちは日本国憲法に基づき、国会が徹底審議をつくして、本法案を廃案とすることを強く求めるものです。
 わたしたちは、かつて日本が行った侵略戦争に、無限の可能性を抱いていた多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っています。そして広島大学は世界で最初に原爆を投下された都市の大学として、世界中のどの大学以上に戦争のない平和な地球をめざして教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないように努力してきました。
 いま戦争の危機が迫ってきました。わたしたちは歴史への深い反省から、二度と未来の世界をになう若者たちを戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを絶対認めません。
 わたしたち広島大学人は、学問と良識の名において、日本国憲法に違反する本法案に強く抗議し、断固として反対するものです。

2015年7月23日
安保法案に反対する広島大学人有志


呼びかけ人(50音順)
青木利夫(総合科学研究科教員)
有元伸子(文学研究科教員)
市川浩(総合科学研究科教員)
上野聡(生物圏科学研究科教員)
隠岐さや香(総合科学研究科教員)
川口隆行(教育学研究科教員)
河西英通(文学研究科教員)
木原成一郎(教育学研究科教員)
佐藤清隆(広島大学名誉教授)
佐中忠司(広島大学名誉教授)
崔真碩(総合科学研究科教員)
辻学(総合科学研究科教員)
西村雄郎(総合科学研究科教員)
布川弘(総合科学研究科教員)
平手友彦(総合科学研究科教員)
細野賢治(生物圏科学研究科教員)

日本学術会議、声明「国立大の文系学部見直し通知は『大きな疑問』」

ITmediaニュース(2015年07月24日)

 日本学術会議は、国立大学に文系学部の廃止やほかの分野への転換を求めた文科省の通知について、「大きな疑問がある」と批判する声明を発表した。

 日本学術会議(会長:大西隆 豊橋技術科学大学学長)幹事会は7月23日、文部科学省が6月に各国立大学に通知した、文系学部の廃止やほかの分野への転換を求めた通知について、「大きな疑問がある」と批判する声明を発表した。

 文科省は6月、各国立大学に通知した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(PDF)で、18歳人口の減少を見すえ、教員養成系や人文社会科学系の学部について、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努める」などとした。

 これに対して日本学術会議は声明で、「人文社会科学には独自の役割に加え、自然科学との連携によって世界の課題解決に向かうという役割が託されている」と指摘。人文社会科学のみを取り出して「組織の廃止や社会的要請への高い分野への転換」を求めることには「大きな疑問」があると批判する。

 「社会的要請の高い分野」の定義については、「具体的な目標を設けて成果を測定することになじみやすい要請もあれば、長期的な視野に立って知を継承し、創造性の基盤を養う役割を果たすという社会的要請もある」と指摘。「前者のみに偏り後者を見落せば、社会の知的豊かさを支え、より広く社会を担う人材を送り出すという大学の基本的な役割を失いかねない」とする。

 教員養成学部の見直しについては「18歳人口の減少という見通しと関連するものと思われる」としつつ、「18歳選挙権の実現ひとつ考えても、高校までの教育の質に対する期待と要請が高まっており、それを支える教員の質と量については多面的な検討が求められる」と指摘する。

 一方で、人文社会科学の大学教員は「現代社会でどのような人材を養成し、どのような役割を果たしうるかについて、これまで社会に十分説明してこなかった面があることも否定できない」とし、「これらの点の考究を深め、教育と研究の質的向上に反映するために一層の努力が求められる」としている。

 同会議は現在、学術振興の観点から国立大学の在り方を検討する委員会を設置して審議を進めており、審議を通じ、大学のあり方に関する考えを提示するとしている。

関連リンク
日本学術会議幹事会の声明(PDF)

参議院戦争法案(安保法制)特別委員会メンバーの要請先一覧

レイバーネット
 ∟●参議院戦争法案(安保法制)特別委員会メンバーの要請先一覧

東京の杉原浩司です。参議院の特別委員会メンバーの要請先をまとめました。

7月27日(月)に参議院本会議で趣旨説明と質疑、28日(火)、29日(水)
に特別委員会で首相出席、NHK中継入りの質疑が行われます。ファック
ス、電話で声を届けましょう![転送・転載歓迎/重複失礼]

どんどん拡散してください。

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<参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧>

※自公に◆、自公改選組、岸田派、「リベラル」とされる自民「分厚い
保守政治を目指す若手議員の会」に★

【委員長】
◆鴻池祥肇(自民/兵庫・非改選)
(FAX)03-3502-7009 (TEL)03-6550-1001

【理事】
◆石井準一(自民/千葉・非改選)
(FAX)03-5512-2606 (TEL)03-6550-0506

◆佐藤正久(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0705 (TEL)03-6550-0705

◆塚田一郎(自民/新潟・非改選)
(FAX)03-6551-1117 (TEL)03-6550-1117

◆馬場成志(自民/熊本・非改選 ★岸田派)
(FAX)03-6551-1016 (TEL)03-6550-1016

◆堀井巌(自民/奈良・非改選)
(FAX)03-6551-0417 (TEL)03-6550-0417

北澤俊美(民主/長野・改選)
(FAX)03-6551-0424 (TEL)03-6550-0424

福山哲郎(民主/京都・改選)
(FAX)03-6551-0808 (TEL)03-6550-0808

◆荒木清寛(公明/比例 ★改選)
(FAX)03-6551-1115 (TEL)03-6550-1115

小野次郎(維新/比例・改選)
(FAX)03-6551-0620 (TEL)03-6550-0620

【委員】
◆愛知治郎(自民/宮城・非改選)
(FAX)03-6551-0623 (TEL)03-6550-0623

◆石田昌宏(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1101 (TEL)03-6550-1101

◆猪口邦子(自民/千葉 ★改選)
(FAX)03-6551-1105 (TEL)03-6550-1105

◆大沼みずほ(自民/山形・非改選)★「分厚い保守政治を目指す若手議員の会」
(FAX)03-6551-0312 (TEL)03-6550-0312

◆北村経夫(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1109 (TEL)03-6550-1109

◆上月良祐(自民/茨城・非改選)
(FAX)03-6551-0704 (TEL)03-6550-0704

◆高橋克法(自民/栃木・非改選)
(FAX)03-6551-0324 (TEL)03-6550-0324

◆豊田俊郎(自民/千葉・非改選)
(FAX)03-6551-1213 (TEL)03-6550-1213

◆三木享(自民/徳島・非改選)
(FAX)03-6551-0505 (TEL)03-6550-0505

◆三宅伸吾(自民/香川・非改選)★「分厚い保守政治を目指す若手議員の会」
(FAX)03-6551-0604 (TEL)03-6550-0604

◆森まさこ(自民/福島・非改選)
(FAX)03-6551-0924 (TEL)03-6550-0924

◆山下雄平(自民/佐賀・非改選)
(FAX)03-6551-0916 (TEL)03-6550-0916

◆山本一太(自民/群馬・非改選)
(FAX)03-3508-2281 (TEL)03-6550-0609

◆山本順三(自民/愛媛 ★改選)
(FAX)03-6551-1019 (TEL)03-6550-1019

小川勝也(民主/北海道・非改選)
(FAX)03-6551-1217 (TEL)03-6550-1217

小川敏夫(民主/東京・改選)
(FAX)03-6551-0605 (TEL)03-6550-0605

大塚耕平(民主/愛知・非改選)
(FAX)03-6551-1121 (TEL)03-6550-1121

大野元裕(民主/埼玉・改選)
(FAX)03-6551-0618 (TEL)03-6550-0618

小西洋之(民主/千葉・改選)
(FAX)03-6551-0915 (TEL)03-6550-0915

那谷屋正義(民主/比例・改選)
(FAX)03-6551-0409 (TEL)03-6550-0409

白眞勲(民主/比例・改選)
(FAX)03-6551-1116 (TEL)03-6550-1116

広田一(民主/高知・改選)
(FAX)03-6551-0507 (TEL)03-6550-0507

蓮舫(民主/東京・改選)
(FAX)03-6551-0411 (TEL)03-6550-0411

◆谷合正明(公明/比例 ★改選)
(FAX)03-6551-0922 (TEL)03-6550-0922

◆平木大作(公明/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0422 (TEL)03-6550-0422

◆矢倉克夫(公明/埼玉・非改選)
(FAX)03-6551-0401 (TEL)03-6550-0401

片山虎之助(維新/比例・改選)
(FAX)03-6551-0418 (TEL)03-6550-0418

井上哲士(共産/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0321 (TEL)03-6550-0321

仁比聡平(共産/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0815 (TEL)03-6550-0815

山口和之(元気/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1113 (TEL)03-6550-1113

和田政宗(次世代/宮城・非改選)
(FAX)03-6551-1220 (TEL)03-6550-1220

水野賢一(無ク/千葉・改選)
(FAX)03-6551-0519 (TEL)03-6550-0519

福島みずほ(社民/比例・改選)
(FAX)03-6551-1111 (TEL)03-6550-1111

山本太郎(生活/東京・非改選)
(FAX)03-6551-0302 (TEL)03-6550-0302

荒井広幸(改革/比例・改選)
(FAX)03-3508-9677 (TEL)03-6550-0721


自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取

全私学新聞
 ∟●自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取

自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取
中高連や私大団体連等を対象に
改革趣旨に賛同も 慎重な審議等の要請

 自由民主党の文部科学部会「高大接続改革に関する小委員会」(委員長=小坂憲次・参議院議員)は3月19日に初会合を開いて以降、4月15日に第2回会合を開き文部科学省の前中央教育審議会長で高大接続システム改革会議座長の安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長から「高大接続システム改革とその意義」について意見聴取を行い、5月20日の第3回会合では日本私立中学高等学校連合会、一般社団法人全国高等学校PTA連合会、ベネッセ教育総合研究所の3団体からヒアリングを行った。

 5月27日の第4回会合では、一般社団法人国立大学協会、日本私立大学団体連合会、一般社団法人公立大学協会の大学3団体から高大接続改革に関して意見聴取を行っており、6月3日には有識者からヒアリングを行い、それ以降、意見の集約を図っていく予定。

 このうち第3回会合では、中高連の吉田晋会長(富士見丘中学高校理事長・校長)が改革の方向性に賛同しながらも、「大学入試改革は子供たちの将来を大きく左右する。子供たちの立場で検証と慎重な審議を」と要請、学習指導要領改訂に先立ち新テスト論議が行われていることについて慎重な手順での改革を要望した。また、中高連の長塚篤夫常任理事(順天中学高校長)も教育の実態に合わせたスケジュール等を要請した。

 高P連の佐野元彦会長も、「具体的なものが見えてこない。今、霧の中。保護者に不安感がある」とし、新設予定の二つの新テストの関係性の整理、見込まれる教育の私費負担拡大への手当ての必要性を指摘。ベネッセ教育総研は平成25年末に全国の高校長や大学学科長を対象に実施したアンケート結果を報告したが、テストに振り回されることへの不安が反映していることなどを報告した。

 また、第4回会合では、国大協の里見進会長(東北大学長)は、国立大学の個別試験では既に論理的思考力・判断力・表現力を問う記述式・論述式の学力検査に加え、面接、小論文等も課し、中教審の知識だけ、1点刻みのとの批判は必ずしも当たらないことなどを指摘、高校生や教育関係者に過度な負担を与えないよう、改革に当たっては慎重な対応、試行期間の必要性を強調した。

 私大団体連の清家篤会長(慶應義塾長)は、中教審の高大接続改革等に関する答申の基本理念については同感とした上で、個々の私大の「多様な入試制度は、多様な学生選抜という高大接続の理念からも最大限維持されるべきであり、新テストを一律に活用するということになれば、理念と実態とが大きく矛盾することとなる」と指摘、入試制度改革のプラス・マイナスを考慮しつつ慎重な対応、十分なリードタイムの確保を要請した。

 公立大学協の清原正義会長(兵庫県立大学長)は、高大接続システム改革会議で検討中の「高大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)を複数回実施した場合、大学の実施業務負担が更に過大となるため、慎重な制度設計を求めたほか、アドミッション・オフィスの整備充実なくして入試改革は前進しないとして、必要な手当ての先行実施を要請した。大学団体に対しては小委員会出席の議員から社会のニーズへの対応の遅れを指摘する意見も聞かれたが、里見会長は「言われる程(国立大学は)悪い教育をしてきた訳ではない」と、清家会長は短期的な対応ではなく、学問を通じて学生に自分の頭で考える力を育てていく重要性を指摘、清原会長は大学、高校、社会が連携して人間力の育成をしていく必要性を強調した。


2015年07月24日

龍谷大学学内集会声明「安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)」

■「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」龍谷大学関係者の学内集会 参加者一同
 ∟●安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)

安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)

 70年前の1945年8月15日、戦争が終わりました。翌年11月3日に日本国憲法は公布され、その6か月後(1947年5月3日)に施行されました。以来70年近くにわたって日本国憲法は、わたしたちの暮らしや教育、労働にとってかけがえのない役割を果たしてきました。本来憲法を尊重すべき人々によって軽んじられてきたかもしれませんが、わたしたちの日々の生活の中に憲法は存在し続けてきたと言えるでしょう。
 その大切な日本国憲法の大きな柱の一つである第9条がいま大きく蹂躙されようとしています。「戦争の放棄」と「戦力を保持しない」ことが定められているにも拘らず、従来の憲法解釈が一内閣の判断によって変更され「集団的自衛権」を認め、他国のために戦争する道が開かれようとしているのです。
 2015年7月15日、衆議院の平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案が可決されました。そして、その翌日には、衆議院の本会議でも強行採決されました。わたしたちは、この暴挙を決して容認することができません。それは、立憲主義(本来憲法は権力を縛るものであること)と民主主義(国のあり方は国民自身が決定すること)を真っ向から否定するものであるからです。
安全保障関連法案の廃案を求める運動は強行採決後、全国各地でいっそう強まっています。さまざまな階層の人々が法案に対して反対の声をあげており、なかでも大学生や高校生などの若者の取り組みが注目されています。このような動きを強めていくことによって、安全保障関連法案を参議院で廃案にすることが可能となります。
わたしたち「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」龍谷大学関係者の学内集会に参加者した教職員・学生一同は、安全保障関連法案の強行採決に抗議するとともにその廃案を求めます。そして、戦後70年の節目の年を「戦前」に逆戻りさせないために、わたしたちも全国の取り組みと連帯して力を尽くしていく決意を表明します。

2015年7月23日 

「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」
龍谷大学関係者の学内集会 参加者一同 
 

主 催:「安全保障関連法案の撤回を求める声明」事務局
龍大9条の会
All Ryukoku Anti War(7月15日に結成された龍谷大学生の会)

2015年07月23日

東京私大教連、戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

東京私大教連
 ∟●戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

2015年7月21日
東京私大教連中央執行委員会

 自民・公明両党は 7 月 15 日、前日の衆議院安保法制特別委員会に続き、戦争法案(国際平和支援法案および自衛隊法・周辺事態法・武力攻撃事態法等の 10 本の現行法を改定する一括法案)を衆議院本会議において強行採決した。
 ほとんどの憲法学者が、集団的自衛権行使を容認する閣議決定と、その憲法解釈にもとづく戦争法案は憲法違反であると明確に指摘し、多くの学者・研究者が法案の危険性、問題性を批判している。これらを一顧だにしないことは、立憲主義の否定であり、学問・研究に対する許し難い愚弄である。
 世論調査では大多数が反対ないしは今国会での成立は不必要とし、連日のように多くの市民が国会を反対の声で取り囲むなか、主権者たる国民の意思を踏みにじった強行採決は、民主主義を否定する暴挙である。

 衆議院における審議で、安倍首相は集団的自衛権について判断していない最高裁の砂川事件判決を持ち出し「合憲であると確信している」と非合理な主張を繰り返した。政府は、海外での武力行使について「総合的に判断する」と述べるのみで基準も明確にせず、「日本攻撃の意思が認定できなくても存立危機事態に認定できる」などとして「自衛の措置としての集団的自衛権」という従来の説明さえも覆し、対「イスラム国」(IS)や南シナ海での他国軍支援も「法的にあり得る」と述べた。法案の問題性は、国会審議を通じてますます明らかになっている。
 これと軌を一にして、政府・文科省は、深く真理を探究するという人類的営為である学問・研究に介入し、国立大学に国旗掲揚・国歌斉唱を求めるなど、学問の自由、大学の自治に対する攻撃を加えている。憲法と民主主義を蹂躙する政権のねらいは、学問と大学を戦争に動員することにある。
 国際協調にもとづく平和の追求を放擲して日本を武力行使する国に変え、国民を危険に晒し、学生・若者を戦場に送り出す戦争法案は、廃案しかあり得ない。

 多くの学生・若者が戦争法案反対の運動に参加し、今やその先頭に立っている。私たちは、戦争法案を廃案にするために、私立大学教職員の総力を結集し、若者や市民とともに全力を尽くす決意をここに表明する。

以 上

2015年07月22日

名古屋学院大学平和学研究会、安全保障関連法案に反対する声明

名古屋学院大学平和学研究会

安全保障関連法案に反対する声明

 現在国会で審議されている安全保障関連法案は、主として集団的自衛権を具体化したものであり、日本と世界の将来に暗い影を投げかけています。
 これまで集団的自衛権の名の下に行われた戦争の多くは、2003年のイラク戦争を始め、侵略戦争でした。イラク人医師オマール・ムハンマド・ファルク・アフマドさんは、昨年本学で行われた講演の中で、「戦争に参加するという考えから距離をとって下さい。戦争に参加、協力するということは、多くの子どもを殺すことです。彼らの住居を奪い、路頭に迷わせ、障がいを負わせることです。子どもたちから父母を奪い、飢えや病に苦しませ、教育の機会と幸福を奪うことです。戦争を許さないということが、飢えや貧困を減らすことにつながり、大きな国際協力となります。」と学生に語りかけました。
 名古屋学院大学は、建学の精神として「敬神愛人」を掲げています。「敬神」とは、人間存在を最後まで肯定し、私たち一人ひとりを見守り導く神を敬うこと。「愛人」とは、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を探し出し、自分の隣人として愛することです。私たちは、イラク戦争のような、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を生み出すことに加担したくはありません。また、日々接している教え子達を戦場に送りたくはありません。
 私たちは、オマールさんの言うように、戦争から距離をとり、構造的暴力の除去を志向する言葉の本当の意味での積極的平和主義を選びます。
 加えて、憲法学者の大半がこの法案を違憲であると考えています。この法案を強行に成立させることは、立憲主義の崩壊を意味すると言っても過言ではありません。近代立憲主義は、かけがえのない一人一人の人権を保障するために生み出されたものであり、政府の統治は憲法に基づかなければならないという普遍的な原理です。これを捨て去ることは人類の歴史における重大な退歩です。
 このような声明に対して、大学における「政治的中立」を盾に反対する意見があるかもしれません。しかし、「政治的中立」の意味について、立憲主義、民主主義という普遍的な原理に基づいて今一度考えてみるべきではないでしょうか。
 日本国憲法第12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と定めています。真理探究の場たる大学はこの自由及び権利を基に成り立っており、その土台が崩されようとしているときに沈黙すべきでしょうか。私たちは、この法案に反対する多くの市民とともに、この自由及び権利を保持する努力を続けたいと思います。それが、本学初代学長福田敬太郎先生が表現された「幽玄啓明」の精神、すなわち、「奥深くて計り知れない真理を開き示す」という信念に沿うものと考えます。
 私たちは、学生や教職員を含む本学構成員はもとより、社会に対して本学や大学一般が負うべき責任を果たすために、ここにこの法案に反対します。

2015年7月17日
名古屋学院大学平和学研究会
阿部太郎(経済学部)
飯島滋明(経済学部)
大宮有博(商学部)
菅野光公(外国語学部)
佐伯奈津子(国際文化学部)
佐竹眞明(国際文化学部)
西寺雅也(経済学部)

憲法9条なし崩しと廃案訴える学者ら1万人超え

Economic News(2015年07月21日)

 「学問と良識の名において、違憲性のある安全保障関連法案が国会で審議されていることに強く抗議し法案に断固反対」と集団的自衛権行使を含む政府の安保法案に反対しなければならないと輪を広げている憲法学者や社会学者、政治学者、物理学者、歴史学者らジャンルを超えて学者らが危機感を訴え、20日、都内で記者会見を開き、改めて安保法案に反対すると発信した。

 ノーベル物理学賞を受けた益川敏英狭隘名誉教授は「憲法9条(戦争の放棄)をなし崩しにしようとしている。政権が有事と思ったら戦争ができるというのはとんでもない話。立憲主義から真っ向から敵対する」と戦後最大の危機的状況にあることを強くアピールした。学者の会の主張への賛同者は学者・研究者らですでに1万1200人を超えている。また、賛同する市民も2万2000人を超えた(20日午後9時)。

 会は今月末、安保法案に反対する学者と学生の共同行動を展開することにしており、砂防会館を起点に都内をデモ。国会議事堂前でも廃案を訴える。

 会は「法案は(1)日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使を可能にし(2)米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、戦闘現場近くで「協力支援活動」をする(3)米軍等の「武器等防護」という理由で、平時から同盟軍として自衛隊が活動し、任務遂行のための武器使用を認めるもの」と指摘。

 「60年以上にわたって積み重ねられてきた『集団的自衛権の行使は憲法違反』という政府解釈を安倍政権が覆したことで、米国の侵略戦争に日本の自衛隊が参戦する可能性さえ生じる。日本が戦争当事国となり、自衛隊が国際法違反の『侵略軍』となる危険性が現実のものとなる」とし安保法案の廃案を訴えている。

 また「私たちは、かつて日本が行った侵略戦争に多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っている。その歴史への深い反省から、憲法9条とともに歩み、世界平和の礎たらんと教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないようにしてきた。二度と再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできない」と、自戒を込めたメッセージも発信しているだけに、重みや危機感も伝わってくる。


2015年07月21日

安全保障関連法案に反対する学者の会、「安全保障関連法案の衆議院特別委員会と本会議での強行採決に対する抗議声明」

■安全保障関連法案に反対する学者の会

 7月15日衆議院特別委員会、翌16日本会議で、集団的自衛権の行使を容認することを中心とした違憲性のある安全保障関連法案が強行採決されたことに、私たちは強い怒りをこめて抗議します。

 各種世論調査では、戦争法制としての本質をもつ安全保障関連法案に反対が多数となり、8割を超える大多数が今国会での成立は不必要としていた状況の中での強行採決は、主権者としての国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊です。

 首相自身が、法案に対する「国民の理解が進んでいない」ことを認めた直後の委員会採決強行は、現政権が国民世論を無視した独裁政治であることを明確に示しています。

 衆議院憲法審査会で3人の憲法学者全員が安全保障関連法案は「違憲」だとし、全国のほとんどの憲法学者が同じ見解を表明しているにもかかわらず、今回の強行採決が行われたことは、現政権が学問と理性、そして知的な思考そのものを無視していることのあらわれです。

 戦後の日本は憲法9条の下で、対外侵略に対して直接的な関与はしてきませんでした。政府は「安全保障環境の変化」を口実に、武力行使ができる立法を強行しようとしていますが、戦後日本が一貫してきた隣国との対話による外交に基づく信頼関係こそが、脅威を取り除いてきたという事実を見失ってならないと思います。

 私たちが6月15日に表明した見解は、多くの学者、大学人に共有され、いくつもの大学で、学生と教職員が一体となった取り組みが行われました。私たちは参議院での審議を注意深く見定めながら、立憲主義と民主主義を守り、この法案を廃案にするために、国民とともに可能なあらゆる行動を実行します。

 2015年7月20日

 安全保障関連法案に反対する学者の会

安保法案に反対 学者など150人が訴え

NHK(7月20日 19時05分)

安全保障関連法案に反対する学者およそ150人が、20日、都内で会見を開き、「法案は憲法9条に違反し、衆議院で採決を強行したことは国民世論を無視するものだ」などと訴えました。
会見を開いたのは、安全保障関連法案に反対するさまざまな分野の学者や研究者、およそ150人です。
会見ではまず、日本学術会議の前の会長で専修大学の廣渡清吾教授が、「総理自身が、法案に対する国民の理解が進んでいないことを認めた直後に、衆議院で採決を強行したことは、国民世論を無視するものだ」などとする抗議声明を読み上げました。
続いて、ノーベル物理学賞を受賞した京都大学の益川敏英名誉教授が、「憲法9条は歴然と生き続けているのに、それをなし崩しにしようとしている。政権が有事だと思ったら戦争ができるというのはとんでもない話で、立憲主義に真っ向から敵対する」と批判しました。
さらに、東京大学の上野千鶴子名誉教授も、「ふだん政治的な行動をしない研究者が、やむにやまれぬ思いで集まったのは画期的なことだ。手遅れにならないうちに行動を起こさなければならない」と述べました。
この学者たちのグループに賛意を表明した学者や研究者は1万人以上に上っているということで、グループは、今月31日には国会前で抗議活動を行うことにしています。


岩手県の大学関係者・研究者・弁護士有志、「私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます」

STOP! 違憲の「安保法制」
 ∟●私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます

私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます

岩手県の大学関係者・研究者・弁護士有志 363名

岩手大学教職員191名,盛岡大学教員17名,岩手県立大学教員24名,その他研究者18名,弁護士13名,大学退職教職員等100名 (代表:高塚龍之・岩手大学名誉教授)

市民の皆さん。安倍内閣は5月15日に,武力攻撃事態法・周辺事態法・自衛隊法・PKO協力法など既存の10法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」からなる安全保障関連法案を国会に提出し,会期を大幅延長してまで,今の国会で成立させようとしています。

解釈改憲を行った昨年の閣議決定は立憲主義破壊・憲法違反です

昨年7月1日,安倍内閣は集団的自衛権行使を容認し,海外での武力行使を含む自衛隊の任務を拡大する閣議決定を行いました。この閣議決定は,約60年に亘る立法・行政・司法・学界などにおける議論を踏まえた従来の憲法9条の解釈=「専守防衛(相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する)」を,国会審議や国民的議論に一切かけることなしに,一内閣の勝手な判断で変更しました。既に確立していた憲法解釈を政府自身が勝手に変更することは,憲法の法的安定性を壊すもので,立憲主義破壊・憲法違反です。このたびの安全保障関連法案は,この閣議決定の具体化に他なりません。

安全保障関連法案は憲法9条に違反しています

安全保障関連法案では,「我が国の平和及び安全に重大な影響を与える事態」=「重要影響事態」や「国際社会の平和及び安全を脅かす事態」=「国際平和共同対処事態」が発生した際に,自衛隊は「現に戦闘行為が行われている現場」以外のどこででも,アメリカなど他国の軍隊に対して「武器や弾薬の提供」などの「後方支援活動」や「協力支援活動」を行うことができるとされています。これは,戦闘現場のまさにすぐ側で,自衛隊に他国の軍隊の戦闘行為と一体化した「兵站」活動を行わせるもので,「兵站」活動を行う自衛官は当然ながら攻撃の対象となり,生命の危険にさらされます。「重要影響事態」の概念が極めて曖昧なため,政府の判断次第で自衛隊の兵站活動が限りなく拡大していくことになります。

国連平和維持活動(PKO)では,自衛隊の任務として、国連が直接関与しない活動において「駆けつけ警護」や「治安維持活動」などを新たに追加し,武器使用の拡大を認めました。「兵站活動」も「駆けつけ警護」や「治安維持活動」も自衛官の生命を危険にさらすものであり、自衛隊の武器使用・武力行使につながります。

「海外での武力の行使」は憲法9条違反です。

安全保障関連法案では,アメリカ軍などの武器等の防護を行うために自衛隊に武器使用を認めることを規定しています。これは自衛隊が平時から軍事演習や警戒監視活動などアメリカ軍の「同盟軍」としての役割を果たすことを意味し、「専守防衛」の域を超えて,アメリカの軍事体制に日本をいっそう巻き込むことになります。

安全保障関連法案は際限のない自衛隊の海外での武力行使に道を開きます

安全保障関連法案では,日本が直接攻撃を受けていなくても,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」=「存立危機事態」が発生した際には集団的自衛権が行使できることになっています。

ところが,この間の国会審議で「存立危機事態」に関する政府の答弁が二転三転していることからも明らかなように,その定義は極めて曖昧であり,「存立危機事態」を認定する客観的基準はありません。「存立危機事態」かどうかは時の政府の判断に委ねられ,政府が恣意的な判断を行えば,集団的自衛権行使の範囲は際限なく広がることになります。安倍内閣は「集団的自衛権行使は限定的」と説明していますが,「限定」するための歯止めは何もありません。

アメリカ追従の会期大幅延長は国民を無視したものです

6月22日,政府は会期を過去最長の95日間とする,大幅延長を決めました。

安倍首相は会期延長の理由を「『丁寧に議論せよ』という声に耳を傾け,戦後最長となる審議時間を取り,じっくり議論する意思を国民に示して理解を得たい」としています。しかし,最新の世論調査(共同通信)では,同法案をめぐり「違憲」が56.7%,「反対」が58.7%,「今国会の成立反対」が63.1%にも上り,会期の大幅延長は国民の大半が反対する同法案を何が何でも通そうとする暴挙です。

会期延長にはまだ理由があります。

安倍首相は,安全保障関連法案を国会に提出する前の4月30日に,アメリカ議会における演説で,「安全保障関連法案をこの夏までに成立させる」と約束しました。これ自体,国民主権を無視し国会を軽視したもので,許されませんが、今回の大幅延長は,この“約束”を実行するためのものであり,アメリカ優先で,国民の意思を無視する暴走です。

専守防衛を逸脱し,憲法に違反している安全保障関連法案は廃案に

憲法学者を参考人として招いた6月4日の衆議院憲法審査会において,与党推薦を含めて3名の参考人全員が「安全保障関連法案は憲法違反」との見解を示し,「安保関連法案に反対し,そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」に現在230名を超える憲法研究者が賛同者として名を連ね, 6月18日に日本弁護士連合会が安全保障関連法案について「日本国憲法の立憲主義の基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義と平和的生存権の保障及び国民主権の基本原理に違反して違憲であるから,これらの法律の制定に強く反対する」という意見書を発表しました。6月22日には2人の元内閣法制局長官も「違憲」を言明しています。これらのことは,安全保障関連法案が憲法・法律の専門家から見て,明確な憲法違反であることを示しています。

「専守防衛」を逸脱し,日本が他国から武力攻撃されてもいないのに自衛隊の海外での武力行使に道を開く安全保障関連法案は,日本を他国の戦争に巻き込むものであり,日本の平和と安全をかえって危うくします。また,海外での武力行使を実際に行い,生命の危機にさらされるのは,安全保障関連法案を押し通そうとしている政治家ではなく,自衛官,とくに活動の前面に立たされる若い自衛官です。私たちは若者が「殺し,殺される」ことになる事態を黙って見ていることはできません。

私たちは,国会に対して,専守防衛を逸脱し,憲法に違反する安全保障関連法案を廃案にするよう強く求めます。

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール

STOP! 違憲の「安保法制」
 ∟●「安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール」の紹介

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール

本年5月、安倍晋三政権は新法である「国際平和支援法案」と10本の既存法を改正する「平和安全法制整備法案」からなる安全保障関連法案を国会に提出し、現在審議が行われています。私たちは、主に以下の理由から、自衛隊をはじめとする多くの日本人を戦争に巻き込むだけでなく、日本人の手によって他国の人々の命を危険にさらす可能性が極めて高いこれらの法案を廃案にすることを強く求めます。

これらの法案は、武力行使と戦力の保持を禁じた憲法9条に明確に違反しており、憲法改正の手続を経ずに立法することが許されない法案であること。
時々の政権が、同盟国への攻撃を日本にとっての「存立危機事態」と認めれば、自衛隊が他国で武力行使を行うことが可能となり、歯止めとなる明確な基準もないこと。
国際法では武力行使と一体とみなされる武器・弾薬の補給や戦闘機・艦船への給油などの「後方支援」を、同盟国のためなら地球上どこでも行えるようにするものであること。
いま集団的自衛権の解釈変更をしなければならない理由(「安全保障環境の変化」)を、政府自身が具体的に説明できないこと。

そもそも紛争解決の手段としての武力行使は、真に地域の平和と安定をもたらすでしょうか? 2000年代に行われたアメリカなど多国籍軍のアフガニスタンやイラクに対する攻撃では、戦闘員だけでなく子どもを含む多くの市民の命が奪われ、混乱は現在に至るまで続いています。そこで生まれた「暴力の連鎖」「憎しみの連鎖」は、世界中にテロの恐怖となって広がりつつあります。しかし日本政府は、これらの武力介入に後方支援を行い協力したことへの反省や総括を全く行っていません。この「憎しみの連鎖」を生み出す側に日本がたつことを許すのか、そのことがいま私たち自身に問われています。

長野大学がたつ信州・塩田平の一角には、第二次世界大戦で亡くなった画学生の遺作を展示した「無言館」があります。ここに展示されている絵の一枚一枚からは、戦争によって未来を奪われた若者たちの無言の叫び、愛する者を戦争で奪われた家族や友人や恋人たちの叫びが聞こえてきます。70年前にこの叫びを生み出した社会状況の再来を許すのか、そのことがいま私たち自身に問われています。

私たちは大学人として、大学での教育や研究、学びを通じ、日本国憲法が要請する基本的人権の尊重、国民主権、そして平和主義を日本社会で実現することに寄与したいと願っています。私たちは長野大学で学んだ若者が、他国の人々を傷つけることも、戦争によって人生を狂わされることも望んでいません。私たちは、このような立場から、立憲主義を破壊し、憲法が求める戦争放棄と武力行使の禁止に違反し、日本および世界の人々の平和的生存権を脅かす安全保障関連法案に反対し、これを廃案にすることを強く求めます。

2015年7月14日

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志一同

<呼びかけ人>
久保木匡介(環境ツーリズム学部) 長島伸一(企業情報学部) 鈴木忠義(社会福祉学部) 早坂淳(社会福祉学部) 安井幸次(環境ツーリズム学部) 相川陽一(環境ツーリズム学部)


安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明

安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明

2015年7月15日

安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明


 2015年7月13日に開かれた衆議院平和安全法制特別委員会の中央公聴会において、同志社大学の現学長・村田晃嗣教授は与党推薦の公述人として出席し、現在審議されている集団的自衛権の容認を含む安保法案に対し、国際政治学者として肯定的立場からの発言をおこないました。わたしたちは同志社大学教職員として、村田教授のこの発言を看過できません。
 現在審議中の安保法案は、自国が直接攻撃されなくとも「自衛」の名のもとに、「同盟国」とともに武力を行使することを、限定的であれ、容認しようというものです。これは現行憲法の枠組を明白に踏み越えた法案であり、これが成立するかどうかは国際社会における今後の日本のあり方を大きく左右するような分かれ目となっています。そうした状況において、村田教授は、憲法違反かどうかの判断を差し置いて、「国際情勢」の変化という観点から、法案に対して明確な賛意を議会の場で表明したのです。村田教授は、問題を憲法学者と安全保障の専門家との見解の相違として整理していますが、国際情勢に対応しなければならないからといって憲法違反の法律を制定したとすれば、立憲主義の原則をないがしろにすることになります。それに村田教授の公述は、中国を仮想敵国とした日米同盟の強化を積極評価する立場からこの法案に賛成するという、学術的というよりはむしろきわめて政治的な観点からの演説でした。
 これが「国際政治学者としての個人の見解」であると前置きしてからの発言であるとはいえ、本件をマスメディアは、同志社大学学長による安保法案への支持表明として報じました。実際、憲法学者の多くが反対するなかで、賛成の旗幟を鮮明にした学者を学長とする大学として、本学の名前が日本社会のなかで広く知られることになりました。わたしたちは、今回の学長の発言が、良心教育を基軸とした同志社大学のイメージを大きく損なう結果をもたらしたと考えています。
 わたしたち平和を希求する同志社大学教職員有志は、現行憲法に違反する安保法案の成立に反対します。また、その法案に対し、本学の学長職にある教授が公的な場で支持を表明したことについて、心から恥ずかしく思います。同志社大学が教育理念の一つの柱に掲げてきた国際主義と、今回の村田教授の個人的見解とが一致するものではないことを、ここに表明するものです。

安保関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する西南学院大学教員有志の声明

市民社会フォーラム
 ∟●安保法制に対する西南学院大学教員有志の声明

安保関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する西南学院大学教員有志の声明
 
 本日、政府与党は、衆議院本会議において、「平和安全法制整備法案」および新法の「国際平和支援法案」(以下、安保関連法案と記す)を強行採決しました。私たち西南学院大学の教員有志は、明らかに憲法に違反しており「戦争ができる国」へと道を開く安保関連法案に反対します。私たちはこの強行採決に強く抗議し、法案を直ちに廃案とすることを求めます。
 
 かつて戦前、戦中に西南学院は、「西南よ、キリストに忠実なれ」という建学の精神を貫くことができませんでした。戦争に突き進む政府の政策を批判することができず、教え子たちを「皇風宣揚に勇戦奮闘せられよ」(『西南学院新聞』、第62号、1943年1月25日)と言って戦場に送り出し、多くの若い命を失わせてしまいました。また、それによって近隣アジアの人々に筆舌に尽くし難い惨禍を与えてしまいました。出陣学徒の死、戦争犠牲者の死は、本来あってはならない死であり、二度と起こしてはなりません。憲法の前文に刻まれた平和主義と第9条の戦争放棄は、このような反省と決意に基づくものです。
 
 安保関連法案は、大多数の憲法学者によって違憲性が指摘されている集団的自衛権の行使を容認し、時の政権の判断によって際限なく自衛隊の武力行使を可能とするものです。今回のように審議を尽くすことなく、時の政権が解釈のみで憲法を空洞化してしまうことは、立憲主義への明確な挑戦であり、法治主義と民主的な合意形成を尊重してきた戦後日本のあり方を根底から破壊するものです。
 
 私たち西南学院大学の教員有志は、各人の研究の専門領域における学知と個人の良識にもとづき、歴史や社会から付託された使命を全うすべく、民意と乖離し、戦後日本の基本理念に背馳する安倍政権の政治手法を強く非難し、断固として抗議します。

「剣を取る者は皆、剣で滅びる。」(聖書) 

2015年07月20日

人文社会科学系学部がある国立大 8割が再編検討

NHK(7月19日 18時40分)

文学部や経済学部など人文社会科学系の学部や大学院がある国立大学のうち8割が、学部の再編や定員の削減などを検討していることがNHKの調査で分かりました。

国立大学を巡っては文部科学省が先月、教員養成系や人文社会科学系の学部や大学院について、廃止や社会的要請が高い分野への転換に努めるなど、組織と業務全般を見直すよう通知を出しました。
この方針について、NHKは対象となる学部がある国立大学64校にアンケートを行い、89%に当たる57校から回答を得ました。
人文社会科学系の見直しを求める通知については、関連の学部がある大学42校のうち、25校が「趣旨は理解できる」と答えて6割を占め、「不本意だが受け入れざるをえない」が2校、「全く受け入れられない」が2校でした。「趣旨は理解できる」と答えた大学からは、人文社会科学系は大学教育の根幹だとしたうえで、少子化や社会のニーズに対応するには教育内容や組織の改革は必要だなどという意見が自由記述で寄せられました。
また、先月いっぱいで文部科学省に提出することになっていた来年度から6年間の中期目標の素案に、人文社会科学系の見直しをどのように盛り込んだか尋ねたところ、学部などの「廃止」を検討している大学はありませんでしたが、「再編して新たな学部などを設ける」が11校、「具体的な内容は未定だが、再編を検討する」が8校、「定員を減らす学部などがある」が6校、「教育目標を明確にした」が3校、それに「国の方針を踏まえたものではないが、再編を盛り込んだ」が7校と、何らかの見直しを予定している大学が83%に上ることが分かりました。
このほか、すでに検討を終え来年度から新たな学部を設けるという大学もあり、国立大学の人文社会科学系が大きく変わろうとしていることが浮き彫りとなりました。

人文社会科学系の学部とは
人文社会科学系には、文学部や教養学部、それに法学部や経済学部なども含まれます。文部科学省によりますと、86の国立大学のうち48校に人文社会科学系の学部があり、ことしの入学定員は合わせて2万5000人余りと、全定員の26%となっています。

人文社会科学系学部の再編の背景は
人文社会科学系の見直しを求める文部科学省の通知について、「趣旨は理解できる」と回答した和歌山大学では、19日高校生を対象にしたオープンキャンパスが行われました。
和歌山大学では、来年度から経済学部の3つの学科を統合したうえで、定員を現在の330人から30人減らす方針です。カリキュラムも変更し、金融機関に就職するためのコースや税理士を目指すコースなど6つのコースを設け、卒業後の進路を見据えて選択できるようにするということで、オープンキャンパスでは高校生たちがコースの内容について説明を受けていました。
こうした再編の目的の一つは就職率の向上です。7年前に設置した観光学部の昨年度の就職率は99%。これに対して経済学部は87%で、10ポイント以上低くなっています。和歌山大学経済学部の足立基浩学部長は「人文社会科学系の教育は地方の人材を育成するのになくてはならないが、就職を意識して大学を選ぶ若者が増え、大学ごとの特色が求められるようになるなか、学生のニーズや社会の要請に応えるために変わっていかざるをえない」と話しています。オープンキャンパスに訪れていた経済学部志望の高校生からは、「進路を意識した取り組みはいいと思うが、定員が減って自分が入学できるか心配です」といった声が聞かれました。

岩手大学も、昭和24年の開学以来初めて大幅な再編に乗り出しています。来年度、人文社会学部と教育学部の定員を合わせて100人余り減らしたうえで、理系の学部の定員を増やすことにしています。農学部には「水産システム学コース」を新たに設けて、東日本大震災で大きな被害を受けた水産業の復興を支える人材を育成する方針です。岩手大学の岩渕明学長は「大学がみんな似たような教育をするのではなく、それぞれの地域が抱える課題に取り組んでいくことが、地方の国立大学の存在価値になっていく」と指摘しています。
この再編について、釜石市で水産加工業を営む男性は「大学と一緒に研究開発をしたり、若い視点を取り入れて販路の拡大につなげたりできるのを期待しています」と話していました。

文部科学省の通知を「不本意だが受け入れざるをえない」と答えた大学もあります。経済学部と教育学部の二つの学部から成る滋賀大学はアンケートの自由記述で「大学教育の目的は実学的な職業人の養成ではなく、思考力、判断力、表現力を持つ人材の養成であることを強調したい」と書き、通知を批判しました。ただ、文部科学省の方針を受けて、文系と理系を融合させた「データサイエンス学部」を2年後に開設する方向で検討しています。ビッグデータの集計や分析、活用方法を学ぶ学部で、経済学部と教育学部の学生定員や教員の人件費を削減し、再配分する予定です。
滋賀大学の佐和隆光学長によりますと、背景には大学の運営費がひっ迫している実情があるといいます。滋賀大学は収入のおよそ半分に当たる31億円を国からの運営費交付金に頼っていますが、交付金は年々減少傾向にあり、この10年で1割ほど減りました。来年度からは、取り組みや実績が高く評価された大学に交付金が重点的に配分されることになっています。
佐和学長は「人文社会科学系の存在意義を認めないような通知は受け入れられないが、大学が貧乏所帯にならないためには新しいことをやらなければならない。これまでの人文社会科学系の教育や研究に課題があったことは事実で、通知をきっかけに改革の意欲が高まった」と話しています。


2015年07月19日

常葉大学短大部解雇事件、准教授の地位保全で大学側に命令

■NHK静岡放送局(2015年07月17日)

准教授の地位保全で大学側に命令

常葉大学短期大学部の准教授だった男性が大学側から「学園の秩序を乱し名誉を害した」などとして解雇されたことは不当だとして地位の保全を求めた仮処分を申し立てましたが,静岡地方裁判所は大学側の懲戒解雇は無効と認め,地位を保全するよう命じました。
仮処分を申し立てていたのは,静岡市にある常葉大学短期大学部の准教授だった40代の男性です。
男性は,大学が補助金を不正受給した問題について,大学の職員から不正を表沙汰にしないよう暴力団との関係をほのめかされて脅迫されたとして,理事長やこの職員を強要の罪で刑事告訴しました。
しかし,理事長と職員は不起訴となりました。
これを受けて大学は「学園の秩序と信用を害した」として男性を懲戒解雇しました。これに対して,男性は大学の処分は不当だとして,静岡地方裁判所に地位の保全を求める仮処分を申し立てていました。
静岡地方裁判所は,大学職員の発言は男性が脅迫と受け取ったとしても無理はなかったと認めた上,懲戒解雇は処分として重すぎるとして,男性の申し立てを認め,解雇処分の無効と准教授の地位を保全するよう命じました。会見のなかで,男性は「大学に戻って自由な対話ができるように雰囲気をただしたい」と話していました。

当初,この記事を掲載した際,准教授だった男性が「暴力団との関係をほのめかして脅迫し,学園の秩序を乱して解雇された」とお伝えしましたが,准教授が暴力団と交際しこれを用いて脅迫を行った事実は存在せず,事実関係に誤りがありました。准教授だった男性が「暴力団との関係をほのめかされて脅迫されたとして」が正しい表現でした。関係者のみなさまに深くお詫びします。

NHK静岡放送局
2015年07月17日 17時04分

2015年07月18日

学者ら74人の「戦後70年総理談話について」声明全文

朝日新聞(2015年7月17日)

 学者ら74人が署名し「戦後70年総理談話について」の題で17日に発表した共同声明は以下の通り。

 この夏、安倍晋三総理大臣が戦後70年に際して発表すると報道されている談話について、日本国内でも海外でも強い関心が寄せられております。

 下記に名を連ねる私共国際法学、歴史学、国際政治学の学徒は、日本国の一員として、また世界に共通する法と歴史と政治の問題を学問の対象とする者として、この談話にかかわる諸問題について多年研究に携わってまいりました。

 私共の間には、学問的立場と政治的信条において、相違があります。しかしながら、そのような相違を超えて、私共は下記の点において考えを同じくするものであり、それを日本国民の皆様と国政を司る方々に伝え、また関係する諸外国の方々にも知って頂くことは、専門家の社会的責任であると考えるに至りました。ここに以下の所見を明らかにする次第です。

(1)戦後70年という節目に表明される総理談話は、なによりもまず、大多数の国民が飢餓に苦しみ、多くの都市が灰燼に帰していた1945年の日本から、今日の平和で豊かな日本を築き上げた先人達の努力に対して深甚な感謝の意を捧げ、そうした日本を誤りなく次の世代に引き渡して行くという国政の最高責任者の意志を日本国民に示すものであるべきであります。このことは、戦後50年、60年たると70年たるとを問わない、先世代と将来世代の国民に対する現世代の国民の責任であり、この点広く社会の合意があるものと考えます。

(2)また、こうした戦後日本の復興と繁栄は日本国民の努力のみによるものでなく、講和と国交正常化に際して賠償を放棄するなど、戦後日本の再出発のために寛大な態度を示し、その後も日本の安全と経済的繁栄をさまざまな形で支え、助けてくれた諸外国の日本への理解と期待、そして支援によるものでもありました。このことは、さまざまな研究を通して今日よく知られております。こうした海外の諸国民への深い感謝の気持ちもまた示されるべきものと考えます。

(3)さらに、戦後の復興と繁栄をもたらした日本国民の一貫した努力は、台湾、朝鮮の植民地化に加えて、1931-45年の戦争が大きな誤りであり、この戦争によって三百万人以上の日本国民とそれに数倍する中国その他の諸外国民の犠牲を出したことへの痛切な反省に基づき、そうした過ちを二度と犯さないという決意に基づくものでありました。戦争で犠牲となった人々への強い贖罪感と悔恨の念が、戦後日本の平和と経済発展を支えた原動力だったのです。戦後70年、80年、90年と時が経てば、こうした思いが薄れていくことはやむを得ないことかもしれません。しかしながら、実にこの思いこそ、戦後の日本の平和と繁栄を支えた原点、文字どおりの初心であり、決して忘れ去られてはならないものでありましょう。

(4)このことは、戦後50年の村山談話に含まれ、戦後60年の小泉談話でも継承された「侵略」や「植民地支配」への「痛切な反省」、「心からのお詫び」などの言葉を継承すべきか否かという、世上論じられている点にかかわります。ある特定の言葉を用いるか否かで総理の談話の善し悪しを論ずべきものでなく、ましてや「村山談話」という特定の総理談話の個々の言葉を継承するか否かがその後の総理談話の質を決する基準でない、というのは多くの専門家、そしてなによりも多くの国民が同意するところかもしれません。しかし、いかなる言葉で語られるかは、それが国際的にも大きな影響をもつ責任ある文書を評価する上で、どの国でもどの時代でもきわめて重要な基準です。政治を司る者は、こうした言葉の枢要性を誰よりも深く考える責務を負っているはずです。このことは、歴史と法と政治を研究してきた私共が、日本の為政者に対して特に強く申し上げたいところです。

(5)言葉の問題を含めて、「村山談話」や「小泉談話」を「安倍談話」がいかに継承するかは、これまでの総理自身の言動も原因となって、内外で広く論ぜられ、政治争点化しております。このことは、国内もさることながら、中国、韓国、米国などを含む、日本と密接な関係をもつ国々で広く観察される現象です。こうした状況の下では「安倍談話」において「村山談話」や「小泉談話」を構成する重要な言葉が採用されなかった場合、その点にもっぱら国際的な注目が集まり、総理の談話それ自体が否定的な評価を受ける可能性が高いだけでなく、これまで首相や官房長官が談話を通じて強調してきた過去への反省についてまで関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危惧いたします。安倍総理がしばしば強調される「村山談話」や「小泉談話」を「全体として継承する」ということの意味を、具体的な言語表現によって明らかにされるよう、強く要望するものです。

(6)以上に述べたことは、戦後70年談話が閣議決定を経ない「総理大臣の談話」であっても変わりはありません。日本の内外において総理大臣は国政の最高責任者として日本を代表する立場にあり、閣議決定の有無といった問題は、一般国民にとって、ましてや海外の諸国民にとって、ほとんど意識されることはありません。肝心なのは談話の中身です。70年談話がその「言葉」ゆえに国際社会で否定的に受け取られ、その結果、過去と現在と将来の日本国民全体が不名誉な立場に置かれ、現在と将来の日本国民が大きな不利益を被ることのないよう、安倍総理が「談話」で用いられる「言葉」について考え抜かれた賢明な途をとられることを切に望むものです。

(7)日本が1931年から45年までに遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったと認めることは、日本国民にとって辛いことであります。その時代、先人達は、現世代を含む他のどの時代の日本国民よりも厳しい試練に直面し、甚大な犠牲を被りました。そうした先人の行為が誤っていたということは、後生のわたしたちが軽々しく断ずべきことではないかもしれません。しかしながら、日本が侵略されたわけではなく、日本が中国や東南アジア、真珠湾を攻撃し、三百万余の国民を犠牲とし、その数倍に及ぶ諸国の国民を死に至らしめた戦争がこの上ない過誤であったことは、残念ながら否定しようがありません。そしてまた、日本が台湾や朝鮮を植民地として統治したことは、紛れもない事実です。歴史においてどの国も過ちを犯すものであり、日本もまたこの時期過ちを犯したことは潔く認めるべきであります。そうした潔さこそ、国際社会において日本が道義的に評価され、わたしたち日本国民がむしろ誇りとすべき態度であると考えます。

(8)この点に関連して、安倍総理を含む歴代の総理は、侵略の定義は定まっていないという趣旨の国会答弁などを行っておりますが、これは学問的には必ずしも正しい解釈とは思われません。なによりもそうした発言は、日本が1931年から遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったという、国際社会で確立した評価を否定しようとしているのではないかとの疑念を生じさせるものであり、日本に大きな不利益をもたらすものと考えます。

 20世紀前半の国際社会は、第一次大戦の甚大な惨禍を経験して、戦争を違法化する努力を重ねて来ました。1928年の不戦条約はその代表であり、日本も締約国であった同条約は自衛以外の戦争を明確に禁止しておりました。1931年に始まる満州事変が1928円の張作霖爆殺事件以来の関東軍の陰謀によって引き起こされたものであったことは、歴史学上明らかにされております。当時の日本政府はこれを自衛権の行使と主張しましたが、国際連盟はその主張を受け入れませんでした。その後の日中戦争、太平洋戦争を含めた1931-45年の戦争が名目の如何と関係なく、その実質において日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着しております。

 戦後国際社会は一貫してこうした認識を維持してきたのであり、これを否定することは、中国・韓国のみならず、米国を含む圧倒的多数の国々に共通する認識を否定することになります。戦後70年にわたって日本国民が営々と築き上げた日本の高い国際的評価を、日本が遂行したかつての戦争の不正かつ違法な性格をあいまいにすることによって無にすることがあってはならない。これが専門研究者としての私共の考えであり、同時に多くの日本国民が共有する考えでもあると確信しております。

 1924年、神戸で行われた有名な大アジア主義演説において、孫文は日本が西洋覇道の鷹犬となるか東洋王道の干城となるか、と日本の国民に問いかけました。私共は西洋を覇道と結び付け、東洋を王道と結び付ける孫文の見解を必ずしもそのまま受け入れるものではありませんが、中国が欧米列強と日本によって半ば植民地の状態にされていた当時の状況下において、この問いかけはまことに正鵠を得たものであったと考えます。残念ながら日本は覇道の道を歩み、その結果ほとんど国を滅ぼすに至りました。

 戦後日本はこのことを深い教訓として胸に刻み、世界に誇りうる平和と繁栄の道を歩んで参りました。日本が将来にわたってこの王道を歩み続け、戦後築き上げた平和で経済的に繁栄し安全な社会をさらに磨きあげ、他の国への経済・技術・文化協力を通してそれを分かち合い、国民が誇り得る世界の範たる国であり続けて欲しいと願わずにはいられません。私共は、歴史、国際法、国際政治の研究に携わる学徒として、いやなによりも日本国の一員として、そう考えます。

 総理が、戦前と戦後の日本の歴史に対する世界の評価に深く思いを致し、現在と将来の日本国民が世界のどこでもそして誰に対しても胸を張って「これが日本の総理大臣の談話である」と引用することができる、そうした談話を発して下さることを願ってやみません。

2015年7月17日

     ◇

共同声明文による賛同人一覧は以下の通り。(敬称略)

代表

大沼保昭 (明治大特任教授 国際法)三谷太一郎(東京大名誉教授 日本政治外交史)

吾郷真一 (立命館大特別招聘教授 国際法)

浅田正彦 (京都大教授 国際法)

浅野豊美 (早稲田大教授 日本政治外交史)

阿部浩己 (神奈川大教授 国際法)

天児慧  (早稲田大教授 現代中国論)

粟屋憲太郎(立教大名誉教授 日本近現代史)

石井寛治 (東京大名誉教授 日本経済史)

石田淳  (東京大教授 国際政治)

石田憲  (千葉大教授 国際政治史)

位田隆一 (同志社大特別客員教授 国際法)

入江昭  (ハーバード大名誉教授 アメリカ外交史)

内海愛子 (恵泉女学園大名誉教授 日本・アジア関係論)

遠藤誠治 (成蹊大教授 国際政治)

緒方貞子 (元国連難民高等弁務官 国際関係史)

小此木政夫(慶応大名誉教授 韓国・朝鮮政治)

小畑郁  (名古屋大教授 国際法)

加藤陽子 (東京大教授 日本近代史)

吉川元  (広島平和研究所教授 国際政治)

木畑洋一 (成城大教授 国際関係史)

木宮正史 (東京大教授 国際政治)

倉沢愛子 (慶応大名誉教授 東南アジア史)

黒沢文貴 (東京女子大教授 日本近代史)

黒沢満  (大阪女学院大教授 国際法)

香西茂  (京都大名誉教授 国際法)

小菅信子 (山梨学院大教授 近現代史)

後藤乾一 (早稲田大名誉教授 東南アジア近現代史)

斎藤民徒 (金城学院大教授 国際法)佐藤哲夫 (一橋大教授 国際法)

篠原初枝 (早稲田大教授 国際関係史)

申惠?  (青山学院大教授 国際法)杉原高嶺 (京都大名誉教授 国際法)

杉山伸也 (慶応大名誉教授 日本経済史)

添谷芳秀 (慶応大教授 国際政治)

高原明生 (東京大教授 国際政治)

田中孝彦 (早稲田大教授 国際関係史)

田中宏  (一橋大名誉教授 日本社会論)

外村大  (東京大教授 日本近現代史)

豊田哲也 (国際教養大准教授 国際法)

中北浩爾 (一橋大教授 日本政治外交史)

中島岳志 (北海道大准教授 政治学)

中谷和弘 (東京大教授 国際法)

中見立夫 (東京外語大教授 東アジア国際関係史)

中見真理 (清泉女子大教授 国際関係思想史)

納家政嗣 (上智大特任教授 国際政治)

西海真樹 (中央大教授 国際法)

西崎文子 (東京大教授 アメリカ政治外交史)

野村浩一 (立教大名誉教授 中国近現代史)

波多野澄雄(筑波大名誉教授 日本政治外交史)

初瀬龍平 (京都女子大客員教授 国際政治)

原朗   (東京大名誉教授 日本経済史)

原彬久  (東京国際大名誉教授 国際政治)

半藤一利 (現代史家)

平野健一郎(早稲田大名誉教授 東アジア国際関係史)

広瀬和子 (上智大名誉教授 国際法)

藤原帰一 (東京大教授 国際政治)

保坂正康 (現代史家)

松井芳郎 (名古屋大名誉教授 国際法)

松浦正孝 (立教大教授 日本政治外交史)

松尾文夫 (現代史家)

松本三之介(東京大名誉教授 日本政治思想史)

真山全  (大阪大教授 国際法)

三谷博  (東京大名誉教授 日本近代史)

宮野洋一 (中央大教授 国際法)

毛里和子 (早稲田大名誉教授 中国政治)

最上敏樹 (早稲田大教授 国際法)

森山茂徳 (首都大学東京名誉教授 近代日韓関係史)

山影進  (青山学院大教授 国際関係論)

山形英郎 (名古屋大教授 国際法)

山室信一 (京都大教授 近代法政思想史)

油井大三郎(東京女子大特任教授 日米関係史)

吉田裕  (一橋大教授 日本近現代史)

和田春樹 (東京大名誉教授 歴史学)

東京学芸大学教員有志 緊急アピール、「安倍政権が推進する安保法制に反対します」

安保法制に反対する東京学芸大学教員有志の会ブログ

安倍政権が推進する安保法制に反対します

東京学芸大学教員有志 緊急アピール

 私たちは、現在の「安保法制」をめぐる動向に危惧を抱きます。安倍政権が推し進めている「安保法制」は、戦後70年培われてきた平和憲法に基づく平和国家の根幹を揺るがし、市民を戦争へと巻き込む体制づくりに他なりません。
 憲法学者や歴代の内閣法制局長官による「違憲」の指摘と、地方議会や世論の反対表明にもかかわらず、国会で与党が多数を占めることを背景にして政権が聴く耳を持たない姿勢は、「反立憲主義」、「反民主主義」的なだけでなく「反知性的」ですらあります。そして安倍政権は、集団的自衛権や排外的な歴史認識によって、東アジア圏の対立を煽り、市民をむしろ率先して危険にさらしているのではないでしょうか。
 教員養成を使命とする本学の教員として、私たちは、私たちの教え子だけでなく、将来的に彼らの教え子たちが戦争に巻き込まれる危険を拡大する法案に強く反対し、法案の撤回を求めます。

2015年7月14日

東北大学職員組合、声明「安保法案」の採決強行を許さず、安倍政権の退陣を求める

東北大学職員組合
 ∟●声明

声明

「安保法案」の採決強行を許さず、安倍政権の退陣を求める

 7 月 15 日、衆議院において、安倍政権は、今後の我が国のあり方を左右するきわめ
て重要な法案である、いわゆる「安保法案」の委員会採決を与党単独で強行し、また、
このことに対する世論の強い批判をものともせず翌 16 日には本会議採決までをも強行
した。
 1年前の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定がすでに憲法違反だったが、今国会で
は、委員会審議において、また国会内外での様々な場での討論もふくめ、議論すればす
るほど法案の数々の欠陥が明らかになり、大多数の憲法学者が「違憲」と批判し、ほと
んどの国民が安倍政権はまともに説明していないと考えているもとで、あまりに乱暴な
採決強行である。
 安倍政権は、すでに会期の極端な延長も強行しており、今後の参議院では 60 日を徒
過し「みなし否決」とした上で、再度衆議院で採決強行し成立させるという、文字通り
の「多数の横暴」を予定していることが明らかであり、日本国憲法の定める立憲的民主
主義の手続きを二重三重に踏みにじるものである。
 これは、まさに、憲法において国民が「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこる
ことのないようにすることを決意」していることに対する、最悪の挑戦である。
われわれは、「安保法案」の廃案と安倍政権の退陣を求める。

2015 年 7 月 17 日

東北大学職員組合

日本科学者会議宮城支部、「私たちは「戦争法案」の廃案を求めます」

日本科学者会議
 ∟●日本科学者会議宮城支部、「私たちは「戦争法案」の廃案を求めます」

私たちは「戦争法案」の廃案を求めます。

日本科学者会議宮城支部

 第 2 次安倍内閣は、多くの人々の反対の声を押しきって、憲法違反の「集団的自衛権行
使」を容認する閣議決定を行い、今 189 国会に「平和安全法制整備法案」と「国際平和支
援法案」(以下、「戦争法案」)を提出しました。
この 2 つの法案は、これまでの政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使を可能とし、
憲法 9 条を根底からくつがえすものです。

 日本国憲法第 9 条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段とし
ては、永久にこれを放棄する。 二.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と書かれています。
 自衛隊の創設も、軍事予算の拡大も、インド洋やイラクへの派兵も、憲法の制約の下、
様々な言い訳を弄して、強行してきましたが、今度は自衛隊が、他国軍のために武器の輸
送まで行い、「戦闘地域」であっても活動することになる、まさに「武力によって国際紛争
を解決する」目的を持った、憲法違反の法案です。
 「集団的自衛権の行使は憲法違反」という 60 年以上にわたって積み重ねられてきた政府
解釈を、一内閣の判断で覆してしまう暴挙としか言いようがありません。

 科学を人類の真の幸福に役立たせるために、市民と連帯し、関係団体と協力・共同し
て、学問と社会のあるべき姿を探究し、科学の成果を社会へ還元することを課題として活
動することを目標としている私たち科学者会議は、「殺し、殺される法体系」は社会のある
べき姿ではないと確信しています。よって、この「戦争法案」を速やかに廃案にすること
を求めます。

2015年7月11日

連絡先:宮城支部事務局長 山崎 誠
宮城県仙台市宮城野区幸町3-3-1-504
TEL:080-6962-4601

2015年07月17日

自民公明両党などによる戦争法案の衆議院強行採決に強く抗議し、同法案の廃案を求める法律家6団体共同声明

自由法曹団
 ∟●自民公明両党などによる戦争法案の衆議院強行採決に強く抗議し、同法案の廃案を求める法律家6団体共同声明

自民公明両党などによる戦争法案の衆議院強行採決に
強く抗議し、同法案の廃案を求める法律家6団体共同声明

自民・公明両党は、武力攻撃事態法、自衛隊法など既存10法を一括して改正する「平和安 全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」(以下併せて「戦争法案」という。)を昨日 の衆議院特別委員会に引き続き、本日、衆議院本会議において強行採決により可決した。私た ち法律家6団体は、自民・公明両党などによるこの度の強行採決に強く抗議するとともに、憲 法違反の戦争法案の廃案を断固として求めるものである。

1.戦争法案は違憲であること
戦争法案は、我が国が直接武力攻撃を受けていない場合に、米国ほか他国のために武力行 使を行う集団的自衛権を認めるものであり、その行使を限定する歯止めは存在しないに等し い。のみならず、戦争法案は、自衛隊が海外の戦闘地域あるいはその直近まで赴き、米国軍 他の多国軍隊の後方支援活動(兵站活動)を行い、また、任務遂行のための武器使用や米艦 等防護を口実とする武力行使を可能とするものである。日本の安全を守る、あるいは、国際 平和への貢献という名のもとに、自衛隊の海外派兵と武力行使を解禁するものであり、憲法 第9条の定める戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認に違反することは明らかである。衆議院 での審議により、こうした法案の問題点は払拭するどころか、ますます明らかになる中での 強行採決であった。
2.立憲主義・民主主義に反する強行採決

そもそも昨年7月1日の閣議決定は、「集団的自衛権の行使は憲法違反」という60年以 上にわたって積み重ねられてきた憲法解釈を一内閣の判断で根本的に変更するものであり、 憲法解釈の枠を逸脱するものである。さらに、本年4月27日、日米両政府は、「日米防衛 協力のための指針」(ガイドライン)を、現行安保条約の枠組みさえも超える「グローバル な日米同盟」に改定し、同29日、安倍首相は米国上下両院において、法案の「この夏まで の成立」に言及するなど、国民主権軽視の姿勢は一貫していた。そして、多数の憲法研究者 や元内閣法制局長官らが憲法違反を指摘し、各種の世論調査において国民の過半数が反対 し、8割が政府の説明に納得していない現状の中で、自民、公明両党が行った衆議院強行採 決は、立憲主義と国民主権・民主主義を踏みにじる戦後憲政史上最悪ともいうべき暴挙であ り、断じて許されてはならない。
3.結語

私たち法律家6団体(構成員延べ7000名)は、安倍政権による反民主主義、反立憲主 義手法による戦争法案の強行採決に強く抗議し、今後とも、広範な国民とともに、憲法9条 を否定し、日本を戦争する国に変え、日本国民並びに他国民の命を危険にさらす本戦争法案 を廃案とするために、全力を尽くす決意であることをここに表明する。

以上

改憲問題対策法律家6団体連絡会

2015年7月16日

社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
自由法曹団団長     荒井新二
青年法律家協会弁護士学者合同部会議長 原 和良
日本国際法律家協会会長 大熊政一
日本反核法律家協会会長 佐々木猛也
日本民主法律家協会理事長 森 英樹

立命館大学、非常勤講師の定年引き下げ、5年上限で雇い止めの授業担当講師制度導入の暴挙!!

関西圏大学非常勤講師組合
 ∟●非常勤の声(2015年7月12日)

立命館大学、非常勤講師の定年引き下げ、5 年上限で雇い止めの授業担当講師制度導入の暴挙!!

5月20日、立命館大学の常任理事会は非常勤講師に対する雇用契約を変更する決定をしました。当組合は、この変更における定年引き下げは労働条件の不利益変更であり、5 年雇い止めの授業担当講師制度の新設は脱法行為(改正労働契約法 18 条違反)であ る、と考えます。 以下、理事会文書からの抜粋です。

1 現行の非常勤講師にかかる対応

① 2016 年 4 月以降、非常勤講師としての 新たな雇用は行わない。
② 前記①にかかわらず、2015 年度に非常 勤講師として雇用契約があるものにつ いては、経過措置として、科目の適合性 および専門性を勘案し、現行の非常勤講 師制度による契約更新を行うことがある。雇用年齢上限は 70 歳(組合注:現行 75 歳)。ただし、経過措置あり。
③ 2015 年度に非常勤講師として雇用契約 にあったもので、2018 年 4 月以降、改正 労働法に定める無期転換の要件を満た した場合(組合注:2013 年 4 月以降連続 して非常勤講師の職にあったもの)は、 本人の申し出により無期労働に転換す る。無期労働契約になることにともない、 以下の 4 点を設ける。これ以外は直前の 非常勤講師契約の労働条件と同じ。
1)定年を満 70 歳とする。ただし、2016年3月31日時点の年齢が満61歳から満74歳のものにあっては経過措置を定める。
2)本学の授業編成方針にしたがうこと。
3)カリキュラム改革等により担当する授 業時間数に変動があること。
4) カリキュラム改革等により、他の学部で 開講する類似の授業科目等をふくめ授 業科目がすべてなくなる場合解雇とな ること。

2 授業担当講師の新設
①現行の非常勤講師制度に替わる新制度と して、2016年4月から授業担当講師制度 を設ける。
② 雇用期間は、1学期、1年または集中期間 とし、双方合意の場合、契約を更新することがある。ただし、5 年目を超える契 約の更新は行わない。
③ 雇用年齢上限は 70 歳とする。

理事会側の説明によると、この方針 は私立大学連盟で決めたのではなく、 立命館大学独自の決定であるとのこと です。7月中旬にはこれらの内容を非 常勤講師規程にし、過半数代表の意見 を聞くそうです。当組合は定年を 75 歳から 70 歳に引き下げることは不利益 変更であること、また、授業担当講師 の新設は非常勤講師から更新の期待権 を奪うことと無期転換権の行使をさせ ないことが目的であると考えています。 今後、この規程の改正を求めて団交を 要求する予定です。(文責 長澤)


安保法案 「国民の力で廃案、撤回に」 茨城大有志の会 22日討論会

東京新聞(2015年7月16日)

 名誉教授など茨城大関係者二十一人が六月十五日に結成した「安全保障法制に反対する茨城大学有志の会」は、発足後一カ月で呼び掛け人五十三人、賛同者五十六人(氏名非公表の二十人含む)の計百九人に拡大した。幹事の田中重博名誉教授(地方自治論)ら中心メンバーが十五日に県庁で会見して発表し、さらなる賛同を呼び掛けた。
 有志の会は、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が、今国会で成立することに反対している。結成当初は退職者ばかりだったが、十五日現在で各学部の現役教員のうち十四人が呼び掛け人に名を連ね、十六人が賛同者として氏名を公表するなど、輪を広げてきた。
 この日も「多くの学者がこの法案に強い危惧を抱いている。茨城大から法案反対の力強い声を上げていこう」と大学関係者らに訴えた。
 田中氏は「憲法学者の九割以上、歴代内閣法制局長官のほとんどが違憲だと言明し、どんな世論調査も反対が賛成を上回り、全国各地で抗議活動が繰り広げられている。国民世論を無視する戦後最悪の法案だ」と主張。
 その上で「法案が衆議院を通過したとしても、国民の力で廃案、撤回にするしかない。そのために微力ながら力を尽くしていきたい」と述べた。
 有志の会は二十二日午後三時から、安保関連法案について学生たちが意見を交わす「茨城大学共同討論カフェ」を、理学部インタビュースタジオ(水戸市文京)で開催する。学部生のほか大学院生や教職員、一般市民も参加可。元県弁護士会長の安江祐氏らが話題を提起する形で進行し、発言の場をつくる。
 有志の会は学生の加入を求めていないが、呼び掛け人の一人の田村武夫名誉教授(憲法)は「こういう勉強会を通じて学生自身に立ち上がってほしい」と促した。 

同志社大教職員有志が安保法案反対声明 村田学長を非難印刷用画面を開く

京都新聞(2015年07月16日)

 同志社大の教職員有志が15日、安全保障関連法案の成立に反対する声明を発表した。同大学の村田晃嗣学長が衆議院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で同法案に肯定的な意見を述べたことも批判している。

 声明には約50人が賛同。安保関連法案について「現行憲法の枠組を明白に踏み越えた」とその違憲性を指摘し、村田学長の発言についても「良心教育を基軸とした同志社大のイメージを大きく損なう結果をもたらした」と非難している。

 声明を取りまとめた社会学部の板垣竜太教授は「法案は衆院特別委で可決されたが、今後も成立を阻止するために行動する。声明は近日中に村田学長にも提出する」と話している。

 龍谷大の教職員有志も安保関連法案の撤回を求める声明を出している。


北海道教育大、時間外の過少申告指示か 付属小中学校が教員にメール

道新(07/16)

 北海道教育大(札幌市北区)が同大付属札幌小中学校(同)の教員に時間外労働の割増賃金を払っていなかった問題で、同大による労働時間調査の際、小中学校の管理職が教員に対し、実際の労働時間より少なく申告するよう指示していたことが15日、学校関係者への取材で分かった。学校側は「過少申告させる意図はなかった」としている。

 同大は5月28日付で札幌中央労働基準監督署の是正勧告を受け、教員45人の過去半年間の労働時間を調べ、割増賃金の未払い分を払うよう指導された。

 学校関係者によると、同大は5月29日、教員に労働時間の記録票を提出するよう指示。教員は職場のパソコンを使った時間などを基に記録票を作ったが、その際に小中学校の管理職から時間外労働を少なく記入するよう口頭や電子メールで指示があったという。

 北海道新聞が入手した管理職から教員に宛てたメールには、「申告した時間だと残業手当が多額になる。もう一度検討してほしい」という趣旨の文章が書かれていた。ある教員は「大学の予算が圧迫されることを理由に、『ほかの先生はこのくらいに調整している』と過少申告を促された教員もいる。不誠実な対応だ」と非難する。


北海道教育大、労使協定結ばず 労基署が是正勧告

日経(2015/7/16)

 札幌市北区の北海道教育大が、付属札幌小中学校の教員と労使協定を結ばず、札幌中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが16日、分かった。労基署は過去半年の時間外労働を調べ、未払いの割増賃金を支払うよう指導しており、大学が調査している。

 大学によると、是正勧告は5月。2004年度に国立大学法人化した際、労使協定を結ぶことが義務付けられたのに締結せず、時間外労働の割増賃金が払われていなかった。法人化後も、国公立校の教職員の残業代に相当する「教職調整額」が支払われていた。

 北海道教育大は幼稚園や特別支援学校を含めて11ある付属校全てで労使協定を結んでおらず、「認識不足だった」と説明。今月7日に協定を締結したという。〔共同〕


2015年07月16日

反安保 大学にも拡大、「憲法を無力化」「今声上げねば」

2015年7月15日

 安全保障関連法案に反対する動きが各地の大学に広がっている。「民意や立憲主義に反し、戦争につながる」と教員有志が危機感を募らせ、緊急声明や集会を重ねている。十四日は市民団体や学者グループによる声明も相次いだほか、実戦となる恐れもあったイラクへの自衛隊派遣の検証を求める声も上がった。 (安藤恭子、竹島勇、小松田健一)
 十四日昼、東京都港区の明治学院大の教室で「声明を語る会」が開かれ、教職員と学生ら計二十人が集まった。教員有志十五人は六日、「憲法の平和主義が無力化される」と法案への反対声明を発表。学内に掲示し、百七十人超の賛同人を集めている。
 「語る会」はこの日を含め四回開催。昼休みにランチを食べながら、日本の戦後責任や九条、言論への圧力といった問題をテーマに挙げた。今後も続ける予定で、呼び掛け人の猪瀬浩平准教授(文化人類学)は「法案は多様な問題を含む。開かれた対話の場としての大学の役割を果たせれば」と語る。
 国会審議が本格化した六月から、法案に反対する大学有志の声明が出始め、東京大でも今月十日、学生や教職員、OBらによる抗議集会に三百人が集まった。
 国際基督教大の稲(いな)正樹客員教授(憲法)は十三日、政治学、国際関係学の異分野の三人で声明を発表。「法の支配の根本が覆される事態。今声を上げなくては、研究を続けてきた意味がない」と危機感を募らせる。
 立命館大の法学部と法科大学院の教員有志六十四人も同日、「戦争準備法の性格を持つ」と法案に反対する声明を発表。他学部の教員が入り、全学で賛同を募る活動もインターネットで始まった。憲法学者の多くが「違憲」とする法案を強行しようとする政権の動きに、小松浩教授(憲法)は「専門知を軽視し、学問を侮辱する政権への憤りが広がっている」と厳しく批判した。
 東京学芸大の教員有志七十八人は十四日、法案の撤回を求めて緊急アピールを発表。とりまとめた教育学部の及川英二郎准教授(近現代史)は「強行採決を何としても阻止したいと賛同を募った」。十六日に学内集会を開く。

◆学者9000人「廃案を」「採決反対」市民団体 

 ■「安全保障関連法案に反対する学者の会」は14日、緊急要請行動として会の呼び掛け人14人が衆院特別委員会の自民、公明、民主、維新、共産各党の理事や委員の議員室を衆院議員会館に訪ね、強行採決せず廃案とするよう訴えた。

 参加したのは佐藤学・学習院大教授(教育学)ら。思想家の内田樹氏ら4人は与党側筆頭理事を務める江渡聡徳前防衛相(自民)の議員室を訪れ「9000人以上の学者が法案に我慢しきれず反対の意思表示をしている事実を重く受け止めてほしい」と秘書に伝えた。

 社会学者の上野千鶴子氏は江渡氏の議員室を訪ねた後に「憲法に違反する法律をつくったら、立法府まるごと、議員全員が憲法違反を犯すことになりますよ」と強調した。会には6月の発足からこの日までに、呼び掛け人61人、賛同者9766人の計9827人の学者が名を連ねている。

 ■海外で人道支援や協力活動をする団体の有志がつくった「NGO非戦ネット」は14日、自衛隊が海外で武力を行使すれば、非政府組織(NGO)の活動環境は著しく危険になるなどとして、安全保障関連法案の採決に反対する声明を発表した。声明では、安保法案は日本を戦争ができる国にしようとするもので、憲法の平和主義に反すると指摘。非軍事の国際貢献が必要だとしている。

 ■市民団体のピースボート(東京)と韓国の環境NGO「環境財団」は14日、安全保障関連法案の採決に反対する共同声明を出した。声明は「憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認することは相互不信を増幅し、アジアの緊張を高める」と政府を批判。近隣諸国の市民の声に耳を傾け、立憲主義を尊重するよう求めている。


酪農学園大、学長を解任 理事会決定

毎日新聞(2015年07月15日)

 学校法人酪農学園(江別市、麻田信二理事長)は14日、札幌市内で理事会を開き、干場信司・酪農学園大学長(65)について同日付の解任を決めた。麻田理事長は決定後の記者会見で、退職教員の補充遅れなど「職務の怠慢が目立った」と解任の理由を説明した。一方、2017年3月まで任期を残す干場学長は「納得できない」と、法的措置も含めて対応を検討する。

 麻田理事長によると、干場学長にはこのほか▽新入生を800人、確保するよう申し入れたのに従わなかった▽元常務理事への名誉毀損(きそん)の裁判を起こした▽学内設備のバイオガスプラントの無断廃棄??などの行為があったという。5月には学内監査で「円滑な大学改革が進められるよう、新学長の選定を理事会で検討してほしい」と指摘され、解任はこれを踏まえた、としている。

 一方、干場学長は解任決定後に取材に応じ、「理事長のやり方は上意下達で専制的だ」と批判した。干場学長はこれまでも「理事長は教育の現場に介入し、建学の精神であるキリスト教に基づく教育を後退させた」と主張していた。同学園は新学長の選考委員会を設置し、早ければ9月中にも選出する。それまでは麻田理事長が学長職務代理者を務める。【千々部一好】
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 ■解説

 ◇理事会と教育現場に摩擦

 酪農学園大の学長解任問題の背景には、大学のガバナンス改革を掲げて4月に施行された改正学校教育法がある。同法は、従来「時間がかかる」と言われていた大学の意思決定のスピードを上げることなどを目的に改正された。一方で、教授会の役割を弱め、最終的な意思決定機関として理事会の役割を強くしたことから「大学の自治が十分に守られない」などと反発は強い。今回のような「理事会と教育現場」の摩擦が今後、多発する懸念もある。

 同大は同法施行を前に、学長選定手続きを改正。教職員の投票による選出から、理事長を委員長とする選考委員会が決める形に変更した。さらに理事会が学長を解任できる条項も新設し、権限を強めていた。


酪農学園大学長を解任

■読売新聞(2015年7月15日)

酪農学園大学長を解任
干場氏、理事会側と対立

 酪農学園大(江別市)を運営する学校法人酪農学園は14日、札幌市内のホテルで理事会を開き、全会一致で干場信司学長の任期途中での14日何の解任を決めた。後任が決まるまで、麻田信二理事長が学長代行を務める。記者会見した麻田理事長は干場氏の解任理由について「業務怠慢などがあった」とした。干場氏は「納得がいかず、法的措置も考えたい」と反論している。
 麻田理事長は、業務怠慢と指摘した具体的内容について「教員が退職したにもかかわらず、面接などの補充手続きを速やかに行わず、新年度に間に合わなかった。また、財政健全化のため、定員の1.2倍の入学生を確保するよう要請したのに、2年にわたり検討しなかった」と述べた。学校の資産であるバイオマス施設の装置の一部を処分した点、元常務理事に対する言動が名誉毀損に当たる点も解任理由とした。
 2013年4月に学長に就任し、任期を約1年8か月残して解任された干場氏は報道陣の取材に応じ、麻田理事長の指摘について「まったく納得がいかない。理事会は現場のことを理解していない」と述べ、強く反発。法的措置も含めて対応していく構えを示した。
 麻田理事長と干場氏は共に、理事会と干場氏を含む一部の教授との間に対立があったことに言及した。干場氏は「6年ほど前から校名変更などを巡り、ぶつかることが多くなった」と述べた。


酪農学園大学長、解任 本人は不服表明

朝日新聞(2015年7月15日)

■14日の理事会で

 酪農学園大(江別市)は14日、札幌市内で理事会を開き、干場信司学長の解任を決めた。職務上の義務違反や法令の規定違反などが解任理由としている。後任の学長を選出するまでの間、麻田信二理事長が職務代理者に就く。一方、干場氏は同日、解任を不服として法的措置を含めて検討する考えを示した。

 理事会メンバー10人のうち、理事でもある干場氏を除く9人の全会一致で決めた。理事会終了後、麻田理事長が記者会見し、「2年間の大学運営で、解任要件にあたる複数の行為があった」などと説明した。

 麻田理事長の説明によると、干場氏は3人の外部監事から「大学運営に疑問がある」などと指摘されたうえ、退職した教員の補充や入学者の確保努力を怠るなど職務怠慢があったとしている。また、必要な手続きを取らずに大学の財産(バイオガス発電装置)を勝手に処分したという。

 干場氏は2013年4月に学長に就任。同日、札幌市内で報道陣の取材に応じ、「教育現場の現状を理解しておらず、解任理由は納得できない。今後、法的措置を含めて対応を検討したい」と話した。


北海道教育大、割増賃金未払い 付属校教員と協定なく

道新(07/15)

 北海道教育大(札幌市北区)が、運営する付属札幌小中学校(同)の教員と時間外勤務などを定めた労使協定を結ばず、割増賃金を払っていなかったとして、札幌中央労働基準監督署から 是正勧告 を受けていたことが14日、同大や付属学校への取材で分かった。大学の2004年度の国立大学法人化に伴い、労使協定を結ぶなどの措置が義務づけられたが、認識不足で行っていなかった。

 同大などによると、労基署が5月20日に両校に立ち入り調査を行い、同28日付で是正勧告した。労基署は過去半年間の教員45人の時間外労働を調べ、割増賃金の未払い分を支払うよう指導。同大は調査した上で、応じる方針だ。

 付属札幌小中学校の教員は同大の法人化に伴い、公務員から団体職員に身分が変わった。公務員時代は、労働基準法における時間外労働の割増賃金の規定が適用されず、代わりに給与の4%が「教職調整額」として支給されていた。

 団体職員では労基法が適用される。労使協定を結び、割増賃金を払うことが義務づけられたが、同大は勤務内容にほとんど変更がないことから協定を結ばず、教職調整額しか支払っていなかったという。

 勧告を受け、今月7日に同大と教員側が時間外勤務などに関する協定を締結した。

 同大の石川博美総務部長は「人事交流で公立学校から赴任する教員が多く、公務員時代の給与の仕組みをそのままにしていた」と認識不足を認めた上で、「今後は労働時間を適正に管理したい」としている。

北海道道教育大に労基署が是正勧告

■NHK(07月15日)

北海道教育大学が、札幌市にある付属の小中学校の教員の残業代などを適切に支払っていないとして労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかりました。
大学は勧告を受け入れるとともに、ほかの9つの付属校についても勤務状況などを調査することにしています。
北海道教育大学によりますと、ことし5月、札幌中央労働基準監督署の立ち入り調査を受けた際、札幌市にある付属の小学校と中学校の教員45人について時間外勤務などを定めた労使協定を結んでいないと指摘されたということです。
そのうえで労働基準監督署は、大学に対し、ことし5月までの半年間の教員の残業代などを調査し、未払い分を支払うよう是正勧告を出しました。
この労使協定は国立大学の法人化に伴って義務づけられたものですが、北海道教育大学では、「付属校の場合、ほとんどの教員が公立の学校から来ているため、誤って協定を結んでいなかった」としています。
大学は、今月になって労使協定を結んだほか、今後、未払い分を調査して支払う方針です。
また、ほかに9つある付属の小学校や中学校などの教員およそ140人についても勤務状況などを調べることにしています。


安保関連法案、公聴会で肯定発言の同志社大学長に批判声明

毎日新聞(2015年07月15日)

 同志社大(京都市上京区)の教授や准教授ら教員の有志51人が15日、衆院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で安保関連法案に肯定的な発言をした村田晃嗣学長(政治学)に対し、「良心教育を基軸とした大学のイメージを大きく損なった。心から恥ずかしく思う」などと批判する声明を出した。

 呼びかけ人の板垣竜太教授(文化人類学)は「私たちには村田学長を選出した責任がある。学内にも法案反対の声があることを伝えたい」としている。同大には約800人の教員がいる。

 13日の中央公聴会で村田学長は、安保関連法案に対して憲法学者から違憲の指摘が相次いでいる点について、「安全保障の学会では多くの専門家が肯定的な回答をするのではないか」などと主張した。【川瀬慎一朗】


立命館大学、非常勤講師の定年引き下げ、5 年上限で雇い止めの授業担当講師制度導入の暴挙!!

関西圏大学非常勤講師組合
 ∟●非常勤の声(2015年7月12日)

立命館大学、非常勤講師の定年引き下げ、5 年上限で雇い止めの授業担当講師制度導入の暴挙!!

5月20日、立命館大学の常任理事会は非常勤講師に対する雇用契約を変更する決定をしました。当組合は、この変更における定年引き下げは労働条件の不利益変更であり、5 年雇い止めの授業担当講師制度の新設は脱法行為(改正労働契約法 18 条違反)であ る、と考えます。 以下、理事会文書からの抜粋です。

1 現行の非常勤講師にかかる対応

① 2016 年 4 月以降、非常勤講師としての 新たな雇用は行わない。
② 前記①にかかわらず、2015 年度に非常 勤講師として雇用契約があるものにつ いては、経過措置として、科目の適合性 および専門性を勘案し、現行の非常勤講 師制度による契約更新を行うことがある。雇用年齢上限は 70 歳(組合注:現行 75 歳)。ただし、経過措置あり。
③ 2015 年度に非常勤講師として雇用契約 にあったもので、2018 年 4 月以降、改正 労働法に定める無期転換の要件を満た した場合(組合注:2013 年 4 月以降連続 して非常勤講師の職にあったもの)は、 本人の申し出により無期労働に転換す る。無期労働契約になることにともない、 以下の 4 点を設ける。これ以外は直前の 非常勤講師契約の労働条件と同じ。
1)定年を満 70 歳とする。ただし、2016年3月31日時点の年齢が満61歳から満74歳のものにあっては経過措置を定める。
2)本学の授業編成方針にしたがうこと。
3)カリキュラム改革等により担当する授 業時間数に変動があること。
4) カリキュラム改革等により、他の学部で 開講する類似の授業科目等をふくめ授 業科目がすべてなくなる場合解雇とな ること。

2 授業担当講師の新設
①現行の非常勤講師制度に替わる新制度と して、2016年4月から授業担当講師制度 を設ける。
② 雇用期間は、1学期、1年または集中期間 とし、双方合意の場合、契約を更新することがある。ただし、5 年目を超える契 約の更新は行わない。
③ 雇用年齢上限は 70 歳とする。

理事会側の説明によると、この方針 は私立大学連盟で決めたのではなく、 立命館大学独自の決定であるとのこと です。7月中旬にはこれらの内容を非 常勤講師規程にし、過半数代表の意見 を聞くそうです。当組合は定年を 75 歳から 70 歳に引き下げることは不利益 変更であること、また、授業担当講師 の新設は非常勤講師から更新の期待権 を奪うことと無期転換権の行使をさせ ないことが目的であると考えています。 今後、この規程の改正を求めて団交を 要求する予定です。(文責 長澤)


2015年07月15日

酪農大学長を解任 干場氏「納得いかない」

道新(2015/07/15)

 酪農学園大(江別市)を運営する学校法人酪農学園(同)は14日、札幌市内で記者会見を開き、同日付で干場信司学長を解任したと発表した。

 解任は同日開かれた理事会で決定した。麻田信二理事長は、解任の理由について、同法人監事が新たな学長の選任を検討するよう理事会に求めたことや、干場学長が昨年度、退職した教職員を補填(ほてん)する採用を円滑に進めなかった―などとし、「今後の大学運営を考えた上で、学長を交代するしかないと判断した」と述べた。当面は麻田理事長が学長代行を務める。

 一方、干場学長は同日、取材陣に対し「麻田理事長は現場の意見を全く聞かず、理解しようともしなかった。このような決定は納得いかない」と理事会側を批判。「法的措置を含めて検討したい」と述べた。


酪農学園大、学長「解任理由ない」 理事会主導を批判

毎日新聞(7月14日)

 酪農学園大(江別市、麻田信二理事長)が14日の理事会で学長解任について審議するのを前に、干場信司学長(65)が13日、札幌市中央区で記者会見し、解任に反対する姿勢を示した。干場学長は「建学の精神に基づく教育ができなくなったことこそが問題」などと述べ、理事会主導の大学運営を批判した。

 干場学長によると、麻田理事長はキリスト教に基づく教育を後退させたほか、学長選考を教職員による投票から理事会主導で決めるように変更し、理事長の再任制限(3期9年)を廃止した。今春の入試業務にも介入し、追加合格者5人を出さなかった学長を叱責したとしている。

 干場学長は、学内のバイオガスプラントを独断で処分したことを理由の一つに解任を審議されるが、「学内手続きにミスがあった」と非は認めつつ、役割を終えたプラントで、解任理由に当たらないとした。【千々部一好】


立命大教員有志「違憲論尊重を」 安保法案撤回求め声明

京都新聞(2015年07月13日)

 立命館大法学部や同大学法科大学院の教員有志が13日、国会で審議中の安全保障関連法案について、専門家の違憲論を尊重し、法案を撤回するよう求める声明を発表した。「研究者であると同時に、平和と民主主義を教学理念に掲げる教育者として黙っているわけにはいかない」としている。

 市川正人立命館副総長や小松浩法学研究科長ら8人が呼び掛け人となり、法学部と法科大学院の教員約100人のうち、呼び掛け人を含む64人が賛同した。

 声明は、安保関連法案について、憲法が禁じる集団的自衛権の行使を認め、歯止めのない軍事行動をもたらすと指摘。解釈変更で法案整備を進めようとする政府に対し、立憲政治のルールを壊すと批判している。また、多くの憲法学者や弁護士が反対の声を上げていることに言及し、「専門家の知見を軽視して違憲の法案を推進する政府・与党に強く抗議する」としている。


2015年07月14日

酪農学園大学・干場信司学長、理事会の退任要求に反論 「納得できる理由ない」 

北海道新聞(07/14)

「納得できる理由ない」 酪農大学長、理事会の退任要求に反論

 酪農学園大(江別市)を運営する学校法人酪農学園(同・麻田信二理事長)の理事会が同大の干場(ほしば)信司学長に「学長として不適格」として退任を求めている問題で、干場学長が13日、道庁で記者会見し「納得できる理由がない」と反論した。

 干場学長によると、理事会は昨年10月に同大の運営規則を変更し、3期9年までだった理事長の再任制限を撤廃。今年2月には教職員による学長選考選挙も廃止した。これに 教授会 や干場学長が反対するなど、運営をめぐる対立があったという。

 干場学長は、理事会の方針に異を唱えたことから不適格と判断され、6月末に退任要求を受けたと指摘。「理事会の行為は専制的な運営につながり、反対は当然。退任の理由には当たらない」と述べた。

 同法人は14日に理事会を開き、干場学長の処遇を決める。これに対し、干場学長は会見で「結果と理由を聞いた上で、必要なら法的措置も含め検討する」と話した。干場学長は2013年4月から現職で、現在1期目。


札幌学院大学教職員有志、「安全保障関連法案の撤回を求める声明」

安全保障関連法案の撤回を求める声明

安全保障関連法案の撤回を求める声明

札幌学院大学教職員有志

 政府は,今年5月14日,新法である「国際平和支援法」案,及び自衛隊法,武力攻撃事態法,周辺事態法など関連10法を改正する「平和安全法制整備法」案を閣議決定し,15日に国会に提出した。
 本法案は,2014年7月1日の集団的自衛権の行使を容認した閣議決定,その後改定された「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)を受けて提案されたものである。自衛隊が平時から緊急事態に至るまで切れ目なく自ら武力行使すること,他国への軍事的支援を可能にする法案となっている。
 今回の安全保障関連法制で唯一の新法となる国際平和支援法は,多国籍軍などへの後方支援を随時可能にする恒久法である。その狙いは,米国などの要請に応じ,自衛隊を速やかに海外派遣することにある。また,「平和安全法制整備法」案では,武力攻撃事態法,自衛隊法を改正して「存立危機事態」という概念を設け,日本と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生し,我が国の存立が脅かされる事態となった場合には,自衛隊が他国軍隊とともに武力を行使すること,すなわち集団的自衛権の行使を容認している。
 これらの法案は,平和国家としての日本の在り方を根本から変えるものであり,平和的生存権を保障した日本国憲法前文及び第9条に明確に違反するものである。したがって,現在,憲法学者のみならず多くの学者・研究者がこの法案に反対を表明し,撤回を求めている。また各種世論調査でも,法案は「憲法に違反している」と考える国民がかなりの多数を占め,学生や若者を中心に廃案を求める運動が全国各地で大きく展開されている。
 私たち札幌学院大学の教職員は,これら学者・研究者の反対表明や若者の平和運動に共鳴するとともに,大学の教育・研究,そして学生たちとその未来を守るために,本法案の廃案を強く求めるものである。

2015年7月11日

呼びかけ人,および共同代表 (19名)

法学部教授 西尾敬義, 法学部教授 神谷章生, 法学部教授 伊藤雅康, 法学部教授 家田愛子, 経済学部教授 片山一義, 経済学部准教授 湯川郁子, 経済学部准教授 浅川雅己, 経済学部准教授 白石英才, 社会情報学部教授 小内純子, 社会情報学部教授 石井和平, 社会情報学部教授 佐藤和洋, 人文学部教授 岡崎 清, 人文学部教授  小林好和 人文学部教授 湯本 誠, 人文学部教授 新國三千代,人文学部教授 川合増太郎, 経営学部教授 山本 純, 経営学部教授 杉本 修, 職員 井上寿枝


安保関連法案 自民党役員会、15日に特別委で採決する方針確認

FNN(07/13)

自民党は13日、役員会を開き、衆議院の特別委員会で審議中の安全保障関連法案について、15日に採決する方針を確認した。
自民党の谷垣幹事長は、記者会見で「そろそろ、締め総(締めくくり総括質疑)というような日程を考えていかなければならないことになるであろうと。15日には、そういうようなことも考えなければならないのではないか」と述べ、13日の役員会で、安全保障関連法案について、15日の特別委員会で、締めくくりの総括質疑を行い、採決する方針を確認したことを明らかにした。
政府与党は、翌16日にも本会議で採決し、衆議院通過を図りたい考え。
谷垣氏は、「国会の議論を見ていると、同じ議論が何度も行われている」と指摘し、論点が出尽くしたとの認識を示した。
これに先立ち、衆議院の特別委員会では、法案採決の前提となる中央公聴会が開かれた。
有識者5人が、法案の合憲性や安全保障環境などの観点から意見を表明し、法案に関して、賛成と反対で立場が分かれた。
外交評論家の岡本行夫氏は「この法制は、日本の安全を守るうえで、最も重要な仕組みである日米安保体制を強くするものでもあります」と述べた。
公聴会で、自民党推薦で外交評論家の岡本行夫氏は、国際的な安全保障環境の変化を指摘したうえで、「集団的自衛権の限定的容認は、海外での日本人の人命と財産を保護するケースにあたる」として、政府案に理解を示した。
また、公明党推薦の同志社大学学長・村田晃嗣教授は、「安全保障の専門家からなる学会で意見を問われれば、多くの専門家が肯定的な回答をするだろう。学者は、憲法学者だけではない」と指摘した。
一方、野党推薦の有識者3人は、政府案は違憲であるとの認識を示した。
法政大学の山口二郎教授は「専守防衛を逸脱するものであり、憲法違反である」と述べた。法政大学の山口二郎教授は、政府案が示す、存立危機事態、重要影響事態という事態に関し、「意味が明確に定義されていない。政府は、集団的自衛権の行使について、大きな裁量を手にする。日本が他国の戦争に巻き込まれる危険性が高まる」と述べ、政府案を批判した。
また、東京慈恵会医科大学の小沢隆一教授は、政府案が、集団的自衛権の行使を認めるとする存立危機事態について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない。憲法9条に反する」と指摘した。
さらに、首都大学東京の木村草太准教授も、存立危機事態について「日本への武力攻撃の着手がない中の武力行使を根拠づけるもので、明確に憲法違反だ」と指摘した。


安保法案 与党は15日にも委員会採決目指す構えも民主党は反発

FNN(07/13)

戦後日本の安全保障の大転換となる安保法案。説明不足という声も上がっているが、13日、有識者を呼んでの中央公聴会が行われた。このピースが埋まったことで、安倍首相肝いりの安保法案の採決環境が整いつつある。
13日に開かれた記者会見で、安全保障関連法案に関して、安倍首相に辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせた映画監督・宮崎 駿さん。
宮崎監督は「軍事力で中国の膨張を止めようとするのは、不可能だと思う。もっと違う方法を考えなければいけない」、「安倍首相は、自分が憲法の解釈を変えた偉大な男として、歴史に残りたいと思っているでしょうが、愚劣なことだと僕は思っている」と述べた。
今週、安保関連法案の審議が、最大のヤマ場を迎えた。
与党推薦の外交評論家・岡本行夫氏は「世界が助け合っている時に、日本がわれ関せずという態度をとり続けることは、日本人の命と財産を守るリスクと負担は、ほかの国に押しつけるということを意味する」と述べた。
与党推薦の識者が、法案の必要性を訴えたのに対し、野党推薦の識者は、憲法違反だと指摘し、13日も意見が分かれた安保法案。
野党推薦の法政大学・山口二郎教授は「専守防衛を逸脱するもので、憲法違反であると考えます。他国の武力行使に一体化することは、戦争への参加を意味します」と述べた。
13日に行われた中央公聴会で、5人の有識者が、法案に対する意見を述べた。
中央公聴会とは、予算や重要法案などの際、国民の意見を聞くために開かれるもので、採決の前提となるもの。
菅官房長官は「審議時間が100時間を超えており、(採決の)時期については、国会で決めていただく」と述べた。
与党側は、これで採決の環境が整いつつあるとして、15日にも委員会で採決を行うことを目指しているが、強引な採決は認められないと、民主党が反発している。
民主党の枝野幹事長は「到底、採決なんてできる状況じゃない。国会の外側から、暴走ストップのために、それぞれのできる範囲で、最大限のご協力をいただきたい」と述べた。
国会の外では、市民団体らが、プラカードを掲げ、安保関連法案反対を訴えていた。
一方、安倍首相は、国民に理解を広めるため、立て続けに自民党のインターネット番組に出演し、法案の必要性を訴えている。
安倍首相は10日、「国民の命を守り、国を守る責任は、まさに私たちにある」と述べた。
議論が不十分との指摘もある中、安保関連法案の採決は、15日にも行われる見通し。

安保法制、公聴会で賛否 与党、週内に委員会採決目指す

朝日新聞(2015年7月13日)

 新たな安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で13日午前、専門家から法案への意見を聴く中央公聴会が開かれた。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ法案は「憲法違反」という指摘や、安全保障環境の変化を理由に必要だとする意見が示された。中央公聴会は採決の前提となるもので、与党は週内の委員会採決をめざしている。

 野党推薦の木村草太・首都大学東京准教授(憲法学)は「日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使は違憲だ」と明言。法案の違憲性を問う訴訟があれば「裁判所が同様の見解をとる可能性も高い」とし、「集団的自衛権の行使容認が政策的に必要なら憲法改正の手続きを踏み、国民の支持を得ればいいだけだ」と述べた。

 さらに、維新の党が提出した対案にある、個別的自衛権を拡大した「武力攻撃危機事態」について「外国軍への攻撃が同時に日本への武力攻撃の着手になる事態を意味すると解釈するなら合憲だ」との考えを示した。

 野党推薦の小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)は、集団的自衛権を使う際の前提条件「存立危機事態」の定義があいまいで、行使の歯止めがなくなりかねないと批判した。その上で、「(海外派遣された)自衛隊員が相手方に拘束された場合、戦闘員でも文民でもないという不安定な地位に追いやられる」とも指摘した。

 野党推薦の山口二郎・法政大教授(政治学)は、集団的自衛権の行使容認で日米同盟が緊密になって抑止力が高まるとの政府の主張に対し「中国との対話や相互理解はそっちのけで、自国が武力行使する可能性を拡大すれば、より安全になるとの主張は政治的に稚拙だ」と批判した。

 一方、与党推薦で外交評論家の岡本行夫氏は「宗教や民族、国家間の対立が先鋭化し、過激派組織『イスラム国』のような暴力的な準国家組織が勢力を伸ばしている。一国で生命と財産を守り抜くことは不可能だ」と述べ、法整備に賛意を示した。

 与党推薦の村田晃嗣・同志社大学長(国際関係論)は「中国が経済的に急速に力を付け、軍事力や外交的な影響力に転化しようとしている」とし、「こうした中で日米同盟の強化は理にかなったことだ」と述べた。(小野甲太郎)

■菅官房長官「論点、整理された」

 菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、安全保障関連法案について「審議時間が100時間を超え、維新の党から対案が出されたこともあり、論点はだいぶ整理されている」と述べ、衆院採決に向けた環境が整いつつあるとの認識を示した。


全大教、声明「賃金臨時減額訴訟に対する三地裁の不当判決に抗議し、教職員の労働者としての権利保障と労使自治の確立を改めて訴える」

全大教
 ∟●賃金臨時減額訴訟に対する三地裁の不当判決に抗議し、教職員の労働者としての権利保障と労使自治の確立を改めて訴える

賃金臨時減額訴訟に対する三地裁の不当判決に抗議し、
教職員の労働者としての権利保障と労使自治の確立を改めて訴える

2015年7月11日

 2012年度から約2年にわたって行われた国立大学、高専、大学共同利用機関で働く教職員への不当な賃金臨時減額措置に対し、全大教は第44回定期大会で未払い賃金請求訴訟の全国闘争を宣言した。これまでに加盟組合が組織した11の原告団、600人を超える原告が各地の裁判所に提訴し、すべての加盟組合、共闘団体、市民等の支援を受けて裁判闘争がたたかわれている。この裁判闘争は、不当に減額された賃金を取り戻し組合員の不利益を回復するにとどまらず、法人化によって非公務員となった教職員の労働者としての権利がどのように保障されるのかを問う権利闘争として、歴史的意義を有するものである。

 全国11の訴訟のいずれでも、原告団、弁護団の取り組みによって、教職員の労働条件や教育・研究条件が劣悪なもとでさらにその上にのしかかった賃下げの不利益の苛烈さ、法人側の主張する経営上の必要性が法人の財政運営上の問題としても、法人の国との関係の問題としてもまやかしであること、法人側が早期の臨時減額実施に固執し労働組合との誠実交渉義務を果たさなかったことなど、今回の賃金臨時減額措置に労働契約法第10条による労働条件不利益変更の合理性がいかなる点でも認められないことが公開の法廷で明らかにされてきたし、現在進行形でまさに明らかにされつつある。自ら強行した不利益変更についてその合理性を立証する法的責任を負う法人側は、その責任を法廷の場でも果たそうとしていない。

 しかるに、今年の前半に相次いで出された三つの地方裁判所の判決では、次に示すように、主に賃金の重大な不利益変更に足る根拠として要求される「経営上の高度の必要性」を甚だしく安易に、また原告・被告の主張・立証内容を離れた裁判所の独自の論理によって認定することを通じて、原告の請求を棄却する不当な判断を下した。

・(国立高専機構事件・東京地裁2015年1月21日判決)機構にとって中期目標の達成、中期計画の実施と、それらに対する文部科学大臣の評価は存立に関わる問題だと認定。中期計画に「教育環境の整備・活用」として定められた施設、設備の整備の実施のため機構戦略経費が計上されており、中期計画を達成する観点から人件費削減を考慮せざるを得ない状況にあったとした。また、赤字決算に陥った場合の手立ては翌年度の概算要求での運営費交付金の増額要求しかなく、政府が要請した給与臨時減額を実施しないことで生じた赤字の補填要求が認められるとは考えにくいとした。

・(福岡教育大学事件・福岡地裁2015年1月28日判決)運営費交付金は前年度の算定額や毎年度の所要額をベースに定められ、物件費を支出抑制すれば次年度以降の交付額が削減される方向に作用し法人にとって財務状態の長期的悪化を招くと想定されるとして、財務上の健全性を保つため人件費を一時的に減額する必要性があったと認定した。また、国の交付金を主たる財源としながら国の要請に従わず、役職員給与の減額をしなければ、国や一般国民からの非難を受け、事業活動に悪影響を及ぼす可能性があるとした。

・(京都大学事件・京都地裁2015年5月7日判決)独立行政法人通則法63条3項及び職員給与規程附則の「当分の間、俸給表の月額及び手当の額は国家公務員の例に準拠」との規定を公的性格を有する法人としての国民に対する責任として教職員賃金を国家公務員給与に準拠すべきことを定めたものだと認定した上で、このような規定がある以上国家公務員の給与臨時減額が行われたことのみによっても賃金減額の一定の必要性が生じていたとした。加えて、国から国家公務員の給与減額に沿う対応が明確に要請されており、減額を実施すべきでない特段の事情は見出せない以上、賃金減額を実施すべき高度の必要性が存在したとした。

 これらの地方裁判所の判断は、これまで判例法理によって形成され、労働契約法に結実してきた労働条件の不利益変更に関する判断の枠組みを歪めた不当なものである。また、国立大学法人、大学共同利用機関法人、独立行政法人(以下「国立大学法人等」という。)の自主的・自律的な事業運営や、非公務員化された国立大学法人等教職員の労使自治による労働条件決定のために設けられている諸制度の理解をも誤ったという点で重大な過誤を含んだものである。

 もし、これらの判決の判決理由中での認定に従うならば、国立大学法人等はそれぞれの中期目標期間中、渡し切りの運営費交付金とその他自己収入を自らの経営判断で効果的に使用してその設置目的を最大限に果たすべく適切に運営することができないし、国立大学法人等の使用者は労働者との対等な交渉を通じた自治によって教職員の労働条件を適切に決定することができないことになろう。また、国立大学法人等で働く教職員は、政府の一片の要請や法人の収入の減少の見込み、はては国家公務員の給与改定が行われたことのみを理由に、労使の十分な交渉も合意も経ることなく労働条件の切り下げを甘受させられることになろう。このような不当な判決を容認することは断じてできない。

 国立大学法人等は、高等教育を行い学術研究を推進するというその設置の目的を果たすべく、国の中期目標・中期計画を通じた関与や事業実施に必要な財政措置を受けながらもみずから自律的な経営判断を行う当事者能力をそなえた、独立した経営体である。そこで働く労働者の権利は、労働基準法、労働契約法等の一般労働法制のもとで適切な保護を受けるものであり、その中での労働条件の決定は労使間の自治によって行われなければならない。国立大学法人等のこうした自主性・自律性、そのもとでの労使自治、また高等教育機関に保障されるべき自治の精神に基づいて、独立行政法人通則法など関係法令の規定が解釈され、そのもとでの政府の措置が規律されなければならない。

 全大教は、国公立大学、高専、大学共同利用機関の自主性・自律性と自治を守り、そこで働く教職員の権利を守るために、三地裁の不当な判決への批判を広げ、控訴審でこれを覆す取り組みを強めるとともに、あとに続くすべての訴訟で公正な判決を求め、たたかいを継続する決意を表明する。


2015年07月13日

立命館有志、「安保関連法案に反対する立命館有志の声明文」

安保関連法案に反対する立命館学園有志のウェブサイト

安保関連法案に反対する立命館有志の声明文

民主主義と立憲主義を基礎とする日本は現在、その存立の危機にあります。私たち立命館学園の有志は、違憲立法である「平和安全法制整備法案」および「国際平和支援法案」(以下、あわせて安保関連法案)が国会で審議されていることに強く抗議し、法案の即時撤回を求めます。

かつて立命館大学は、国家主義的な風潮に同調し、立命館禁衛隊の創設、立命館大学国防学研究所の開設、さらには非志願学生の除名処分まで行い、積極的に約3,000人の学生を戦地へ送り出しました。私たちの立命館学園は、戦後、その苦い過去に対する深い反省に立ち、日本国憲法と教育基本法に基づく「平和と民主主義」を教学理念として掲げています。

安保関連法案は日本国憲法の禁ずる集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の武力行使を際限なく可能にするものです。しかし「集団的自衛とは自国防衛ではなく他国に対する軍事的支援であり、だからこそ憲法上認められない」というのが憲法学の支配的学説です。日本国憲法は60年以上にわたって日本の安寧を支えてきた理論的基盤です。時の政権が解釈のみで憲法を空洞化し、民主的な合意形成のプロセスを蔑ろにするならば、それは立憲主義の破壊であり、法治国家の終焉を意味します。いま、日本は成熟した民主主義を自ら放棄し、権力者の意思が支配する人治国家へと変容しようとしています。政府閣僚・与党幹部は大多数の憲法学者の違憲論を「学者は法律の字面に拘泥しすぎ」という言葉とともに退けました。我々立命館学園の有志は、各々の専門分野における学知と個人の良識にもとづき、教育・研究の場に社会から負託された使命を全うすべく、独裁的かつ反知性的な政府の政治手法を強く非難し、断固として抗議します。立命館学園に所属する私たちは、「教育・研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献する」と規定する立命館憲章の精神に基づき、その理念に根底から背馳する安保関連法案に反対します。


2015年7月11日

安保関連法案に反対する立命館有志

立命館大学法学部・法務研究科教員有志、安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める声明

STOP! 違憲の「安保法制
 ∟●「安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める立命館大学法学部・法務研究科教員有志の意見」

安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める立命館大学法学部・法務研究科教員有志の意見

現在、国会で審議されている「平和安全法整備法案」と「国際平和共同対処事態支援法案」(以下、あわせて安保関連法案)は、米国など他国の防衛および他国の軍事行動と一体化した後方支援=兵站を目指す点で、戦争準備法の性格を持つと指摘されています。また、憲法学者をはじめとする研究者・有識者や弁護士会、さらに歴代の内閣法制局長官経験者の多くが、日本国憲法9条に違反する内容であるとして、法案への反対を表明しています。立命館大学法学部・法務研究科に所属する私たちは、「教育・研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献する」と規定する立命館憲章の精神に基づき、戦争準備法として安保関連法案に反対します。また、政府・与党が法律専門家の違憲論に真摯に耳を傾け、安保関連法案を撤回することを求めます。

1 安保関連法案は、日本国憲法の禁ずる集団的自衛権の行使を認め、歯止めのない自衛隊の軍事行動をもたらすものです。
安保関連法案が成立すると、いかなる影響が出てくるのか、ここでは重大な問題3点にしぼって指摘します。

(a)「我が国と密接な関係にある他国」への武力攻撃を日本の「存立危機事態」だとして、自衛隊の武力行使が可能となります。これは日本国憲法が禁止する集団的自衛権の行使に該当します。「存立危機」の要件は曖昧なため、歯止めのない軍事行動に日本が踏み込むおそれがあります。

(b)「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)や、「国際社会の平和と安全を脅かす」事態(国際平和共同対処事態)という曖昧な概念の下、現に戦闘行為が行われている現場でなければ、世界のどこにおいてでも米国軍などの他国軍隊に対する「弾薬の提供」を含む後方支援=兵站が可能になります。兵站も武力行使と一体の活動として、やはり憲法の禁止する集団的自衛権の行使に該当します。自衛隊が兵站業務を行う「現に戦闘の行われていない現場」は、いつ戦闘が発生するかもわからない場所ですから、自衛官が攻撃を受ける危険は戦闘現場そのものと大差ありません。

(c)国連平和活動(PKO)のみならず、軍事的性格の強い集団的措置(多国籍軍)や国連が統括しない「有志連合軍」等による活動(「国際連携平和安全活動」)への自衛隊の参加の道が開かれます。武器使用を伴う「駆け付け警護」などの戦闘性の高い業務も拡大します。

(a)~(c)いずれの場面でも、自衛官の戦闘死や精神的健康被害の危険性が高まることは明らかです。同時に、自衛官が他国の民間人を誤射してしまうケースも増えるでしょう。また、日本が米国の軍事行動に参加することで、海外で暮らす日本人が「テロ」の標的となる危険も増えます。「国際社会に開かれた学園」をめざす立命館では様ざまな国からの留学生が学んでおり、また日本人学生の多くも海外留学を経験しています。留学生の母国が戦争の惨禍を被る事態や、留学中の日本人学生が「テロ」事件に巻き込まれる事態は絶対にあってはなりません。教学理念「平和と民主主義」に基づき、学生の学びを応援してきた立命館大学の教員として、将来のある学生たちが戦争に巻き込まれるような未来にしてはいけないと強く感じます。
安保関連法案提出の理由として、政府は、「我が国をとりまく安全環境は根本的に変容」した(2014年7月1日閣議決定、以下「7・1閣議決定」)と説明しています。しかし、冷戦期や2000年代前半と比べてアジアにおける緊張感が著しく高まったとする客観的な根拠を示せていません。米国の後方支援の強化が「抑止力」を持つという主張も観念的な域を出ず、むしろ東アジアの緊張関係を高めることにならないのか、中東地域で培ってきた日本の「平和ブランド」を損ねることにならないか、上述のような「テロ」の標的となるリスクが高まるのではないかといった多くの国民が抱いている懸念を払拭するような説明は、首相の会見の中でも国会答弁の中でもなされていません。

2 集団的自衛権の行使は憲法上認められないというのが憲法学の通説であり、従来の政府の立場です。これを政権の都合で変更するのは、立憲政治という貴重なルールと、それへの信頼を破壊します。
いずれにしても、日本が立憲主義国である以上、憲法が禁止する政策を推進できないことが大前提です。「集団的自衛権は憲法上認められない」というのが確立した憲法解釈であり、それゆえ憲法学者の多くが「安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」(6月16日時点の賛同者230名)に賛同しました。日本弁護士連合会(日弁連)も法案に反対の意見書を出しています(6月18日)。
また、衆議院憲法審査会(6月4日)で参考人となった与党推薦も含む3名の憲法学者全員が「安保関連法案は違憲である」という見解を述べました。なによりも、「7・1閣議決定」以前の政府自身が「集団的自衛権は憲法上行使できない」という立場を公言していたはずです。
たしかに、憲法の文言は一義的ではなく、複数の解釈を許す場合もあります。しかし、そうした解釈の余地は、条文の文言や他の憲法規定との論理的な関連によって、あるいは過去の裁判例や慣行によって「枠」をはめられており、これを越える「解釈」はもはや解釈たりえないというのが法律学の「基本了解」です。こうした「基本了解」を政府や国会議員が守らなければ、憲法を頂点とする法への信頼は崩れます。政権の都合で憲法解釈を変更できる国は、もはや法治国家ではなく、ときの権力者の独善的な意思が支配する「人治国家」です。長年積み上げてきた政府の憲法解釈を国会での審議もないまま都合よく変更するような政権が、「徴兵制を導入することは憲法上あり得ない」(2014年7月15日参議院予算委員会・安倍内閣総理大臣)などと力説しても、まったく説得力がありません。
政府が「7・1閣議決定」の根拠とする、1972年の閣議決定は個別的自衛権を前提にしたものであることは、それ以降の政府答弁が一貫して「集団的自衛権は憲法上認められない」と述べてきたことからも明らかです。「7・1閣議決定」作成の中心となった高村正彦・自民党副総裁自身が、過去においては集団的自衛権の行使は憲法の限界を超えるという答弁を国会でしてきました(1999年2月9日衆議院安全保障委員会)。中谷元防衛大臣も、かつては、「憲法の解釈変更はすべきでない」という見解を著書で述べてきました(中谷元『右でも左でもない政治』幻冬舎2007年)。このような、過去の認識を都合よく変更するというのは、国会議員・大臣としての資質と誠実さが疑われるところです。
違憲論の声に危機感を覚えた、政府・与党は最高裁砂川判決を根拠として、「最高裁は集団的自衛権を排除していない」と強弁するに至りました。しかし、砂川判決では集団的自衛権行使などに言及しておらず、判例法理の明らかな歪曲です。与党公明党の幹部も、「7・1閣議決定」の際の与党協議においては、砂川判決では集団的自衛権は正当化できないという認識でした。ここにも政府・与党の「ご都合主義」の態度がみられます。安倍総理の「過去の憲法解釈に固執するのは政治家としての責任放棄」(2015年6月18日衆議院安保特別委員会)という発言に至っては、公務員の憲法尊重擁護義務をそれこそ放棄したものであり、総理大臣としての資質が問われる発言です。憲法学者や日弁連が批判しているのは、安保関連法案の内容自体の違憲性のみならず、こうした立憲主義の精神を無視した政治手法なのです。

3 法の専門家たちの意見を無視・軽視した法案の進め方に抗議します。
憲法学者の反対声明や日弁連意見書の他にも、「安全保障関連法案に反対する学者の会」(6月18日時点で賛同者約4600人)などが、それぞれの分野の学知を基盤として安保関連法案反対の声をあげています。法案を推進する政治家・官僚たちは、こうした専門家の意見にまずは耳を傾け、反論があるなら真摯に応答すべきです。ところが、政府・与党は、自分たちに都合の悪い専門家の意見を徹底的に無視・軽視しています。憲法学者たちの違憲論に対しても、政府閣僚や与党幹部たちは、「学者は法律の字面に拘泥しすぎ」、「憲法学者の言を聞いていたら平和は守れなかった」などと露骨に嫌悪感を示しています。前者は法令や判例の論理的な読解を核心とする法律学という知的営為の否定に等しい暴言であり、後者は実証的な論拠をもたない妄言です。このような非理性的な言葉を国政の担当者たちが簡単に口にする現状を、私たちは研究者として深く危惧します。
私たちの中にも、日本の安全保障・外交の方向性について様々な立場がありますし、日本国憲法の下での自衛権のあり方に関する理解にも一定の幅はあります。それは自由な研究の場として、むしろ自然なことです。しかしながら、憲法学者の圧倒的多数が採用し、60年間にわたり歴代政府も維持してきた、「集団的自衛権の行使は憲法違反である」という解釈は法理として確定しているという認識では一致しています。それゆえ、私たちは専門知を軽視して違憲法案を推進する政府・与党の姿勢に強く抗議し、ここに安保関連法案に専門家の立場から反対を表明し、法案撤回を要求します。
2015年7月1日

呼びかけ人(50音順): 市川正人 植松健一 大久保史郎(名誉教授) 倉田玲 倉田原志 小松浩 多田一路 中島茂樹

賛同人(7月10日第1次集約現在):赤澤史朗(名誉教授) 浅田和茂 吾郷眞一(特別招聘教授) 安達光治 安保寛尚 生田勝義(名誉教授) 生熊長幸 石原浩澄 石橋秀起 上田寛(名誉教授) 大平祐一 加波眞一 嘉門優 小堀眞裕 坂田隆介 佐藤敬二 佐藤渉 島津幸子 須藤陽子 徐勝 高橋直人 竹濵修 谷本圭子 遠山千佳 德川信治 平野哲郎 平野仁彦 渕野貴生 堀雅晴 本田稔 中谷義和(名誉教授) 二宮周平 野口雅弘 松尾剛 松宮孝明 松本克美 宮井雅明 宮脇正晴 村上弘 望月爾 森久智江 湯山智之 山口直也 山田希 山田泰弘 山本忠 吉岡公美子 吉村良一 渡辺千原 和田真一  他匿名賛同5名
(以上、呼びかけ人・賛同人計64名)

明治学院大学有志、「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

明治学院大学国際平和研究所
 ∟●「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

私たちの明治学院は、1945年夏に至るまでの戦争において国家体制に追従し、戦争に協力して多くの学生を死地に送り出した過去をもっています。その歴史を深く反省し、敗戦50周年の1995年、学院長は「明治学院の戦争責任・戦後責任告白」を行い、真の平和をつくりだすために努力することを誓いました。

私たち明治学院有志は、20年前に先達が行ったこの告白を引き継ぎ、侵略戦争と植民地支配への償いを充分におこなわなかった戦後日本の責任を自覚しながら、現在国会で審議されている安全保障関連法案(以下、この法案)に対して、反対の意志をここに表明します。

この法案の基本は、従来憲法違反とされてきた「集団的自衛権」を合憲だと強弁することによって、世界各地で米軍の「後方支援」すなわち戦争の兵站任務を、自衛隊に担わせることにあります。この政策転換は近隣諸国の警戒心を強め、諸国の軍拡勢力に口実を与えて、逆に戦争を招き寄せてしまうおそれがつよい、と私たちは考えます。

政府・与党は、議席数をたのみにして、憲法違反であることが明白なこの法案の強行採決をもくろんでいます。日本は、開かれた対話を通じて、合意形成を目指す国であるべきです。これまでもないがしろにされ続けてきた憲法の平和主義がさらに無力化され、日本が再びアジア、世界の平和を脅かす存在となる道を開くことを、見過ごすわけに行きません。

日本国憲法の平和主義を私たちの手に取り返し、真の平和を実現するために、私たちはこの法案に反対します。

呼びかけ人(国際平和研究所、キリスト教研究所所員有志)
秋月望(国際学部)、猪瀬浩平(教養教育センター)、徐正敏(教養教育センター)、齋藤百合子(国際学部)、高原孝生(国際学部)、田中桂子(国際学部)、鄭栄桓(教養教育センター)、永野茂洋(教養教育センター)、浪岡新太郎(国際学部)、服部圭郎(経済学部)、東澤靖(法科大学院)、平山恵(国際学部)、藤川賢(社会学部)、宮地基(法学部)、渡辺祐子(教養教育センター)<15名>

賛同人(順不同)
石原俊、勝俣誠、ナギサデ・モハメド、丸山直起、桜井均、吉原功、武者小路公秀、森まゆみ、宋立水、大村真樹子、古市剛史、中野佳裕、鎌田陽司、寺田俊郎、佐藤アヤ子、勅使川原香世子、小沼通二、原田麻以、箱山富美子、伊藤武彦、松島泰勝、梅林宏道、片野淳彦、丸浜江里子、森本泉、伊藤るり、岡本雅享、西川潤、橋本敏雄、小田原琳、戸谷浩、中山弘正、浅川達人、高木久夫、露木隆子、石田隆至、木村真希子、竹内啓、福田夏美、内藤翔太、小口広太、石田泊瀬、青柳寛、大橋映子、五郎丸聖子、竹中佳生子、川又若菜、鈴木大悟、高橋敏明、林香、塚田奈帆、浅利有紀、仁藤夢乃、岡本行人、藤田佳奈、狩野暁洋、渡邉悟史、佐藤壮広、下村優、山口裕二、土屋大輔、千葉立也、生原美典、平野幸子、杉山綾香、竹尾茂樹、小松光一、稲垣久和、嶋田彩司、高井ヘラー由紀、原 みずほ、柳島かなた、永山聡子、水落健治、大西晴樹、田中祐介、緒方義広、賴俊輔、野口明子、真崎隆治、植木献、豊川慎、大西喜瑛子、鳥飼奈央子、池上康夫、佐藤飛文、西谷修、吉岡靖、清水広美、小柳里織、磯崎公臣、青木桃花、齋藤龍一郎、二神亮介、石隈優里花、眞鍋直子、川村静、浅田英里、中村桃子、知久祥子、中村充孝、崔正憲、飯田浩司、辻丸篤、門間貴志、岡部一興、鍛冶智也、加山久夫、小林孝吉、清水有子、田丸修、中島耕二、村上志保、新名知子、内山汐里、菅沼彰宏、三角明子、塩見歩、大内俊介、氣仙尚子、石井泉、大崎明子、新井哲夫、高橋文彦、神志那ゆり、井上慶子、池山友幸、中村裕之、森井真、今村正夫、武藤義行、大岩圭之助、小坂友理恵、福田杏里、佐久間雄大、渡邊奈美子、久保田萌、松下圭一、吉羽弘明、渥美たお、籔田悦子、金泰崇<142名><ほか賛同者 17名>

2015年7月10日15時20分現在

#明治学院関係者(学生・教職員・卒業生など)に、この声明の賛同者を募ります。賛同いただける方は、国際平和研究所までE-mailもしくはFaxで連絡をお願いします。その際、名前(公表可・不可を明記)、明治学院における所属(在学時のものでも可)をご記入お願いします。
連絡先 明治学院大学国際平和研究所
prime@prime.meijigakuin.ac.jp
Fax: 03-5421-5653

国立大学から文系がなくなる? 文科省の揺さぶりに地方大学が浮足立っている

Jcast(2015/7/12)

文部科学省が全国86の国立大学に対し、人文社会科学系の学部と大学院について廃止や他分野への転換など大規模な組織改編を行うよう求めていることが波紋を広げている。

将来的には国立大から文系学部が消えてしまう可能性さえ指摘され、国立大側の文科省方針への反発は強い。ただ、一部の大学は既に文科省の意向に沿う形で文系学部の定員を減らす計画を打ち出すなどの動きもあり、国立大の文系学部の行方は混とんとしている。

■文科省が交付金配分権を握る

文科省は2015年6月初旬、国立大に対し、「社会が必要としている人材の育成や地域への貢献を進めてほしい」として、文学部や法学部などの文系学部のほか、教員養成系学部などについて徹底的に見直すよう通知した。少子化が急速に進み、国際競争が激しくなる中、文系学部は理系学部のように「技術革新」に直結せず、将来に向けた目に見える成果がすぐには期待しにくい。さらに、国の財政難から税金を効率的に使いたいという政府側の狙いがあるとみられている。

これに対し、国立大側から反発の声が沸き起こった。国立大学協会の里見進会長(東北大学長)は6月中旬に東京都内で開いた記者会見で、「非常に短期の成果を上げる方向に性急になりすぎていないか。大学は今すぐ役に立たなくても、将来大きく展開できる人材をつくることも必要」と述べ、文系学部の必要性を訴えた。実際のところ、大企業の経営者や官僚の多くは法学部や経済学部の出身者だし、ネット業界では文系の起業家も少なくない。

京都大の山極寿一総長も、「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てるためには人文社会系を失ってはならない。(下村博文文科相が要請した)国旗掲揚と国歌斉唱なども含め、大学の自治と学問の自由を守ることを前提に考える」(6月16日の会見)と、強く批判している。

ただし、「大学の自治」と言っても、文科省は国立大向けの交付金について、取り組みや実績で評価が高い大学に対して重点的に配分する方針を示している。交付金配分をいう「制裁与奪の権」を握る文科省に、真っ向から対抗するには容易ではない。特に、ブランド力に乏しい地方の大学は厳しいところだ。

■「学際」に光を当てて生き残り図る

実際、既に文科省の求めに応じる形で具体的な対応に乗り出すところも出始めている。弘前大は2016年4月から、理系学部で定員を90人増やす一方、文系の人文学部と教育学部で計150人減らすことを決めた。同大はこうした再編に踏み切る理由として、「国際化」と「地域政策課題の対応」を強調している。宇都宮大や徳島大なども2016年4月に向け、再編を始める計画を明らかにしている。「交付金をもらえないと困るから、文系学部の定員は今後、減らさざるを得ない」と話す国立大は複数に上る。

文科省の顔色を見つつも、したたかな対応を模索する大学もある。滋賀大は、文科省通知にある「社会的要請の高い分野」として、「ビッグデータ時代の人材養成」を目指すデータサイエンス学部の創設(2017年度予定)を打ち出しているが、これは「未来志向と文理融合」という理念に沿って、大半は広義の社会データであるビッグデータの分析のため、人文社会系の学識とデータ解析能力を融合した人材を養成するというもの。「学際」に光を当てることで、文系、理系という枠組みを超越しようという試みといえようか。

こうした対応がどこまでできるか、国立大も総合力を試されるところだが、交付金ほしさに文科省の方針通りに対応すれば、いずれ全国の国立大から文系学部が一切なくなってしまいかねないとの懸念は残る。特に、金儲けと縁遠い文学部や社会学部は狙い撃ちにされる可能性も指摘される。

旗振り役の下村文科相は安倍晋三首相に近いということもあり、大学関係者からは「文系学部をなくしてしまえば、批判する力も社会から奪われてしまう。現政権の深い狙いがそこに隠れているようにさえうかがえる」との恨み節も漏れてくる。

東大学生、教授ら安保法の今国会成立反対へ集会

Economic News(2015年07月12日)

 安保法案の今国会の成立に反対する東京大学の学生、大学院生、教授らが10日、緊急集会を東大駒場キャンパスで開き「集団的自衛権を導入しなければ国際貢献できないわけではない」「自衛隊が復興支援活動を行うときにも戦争を放棄した日本だからこそ、現地の人々からも歓迎された」などの集会アピールを採択。アピールは1人1人行動する責任があると運動の輪をひろげていこうと呼びかけている。

 東大関係者らの集会の背景には「戦前の東京帝大時代、東大が戦争遂行協力者になり、学問の自由を手放し、多くの学徒を戦場に送る破局的な過ちを犯した。この惨禍を再び繰り返さないことが先人への誓いであり、未来への世代への責任」との思いがある。

 アピールは憲法9条のもとで集団的自衛権が許されないというのは学説上も、政府解釈でも、司法の場でも、半世紀以上とられてきた解釈であり、政府は立憲主義を蹂躙していると問題視した。

 また国民に対する誠実な説明責任すら果たしていない。この法案は未来に禍根を残す。日本がテロの対象国になる危険性が格段に高まるなど警鐘を鳴らしている。

 参加した教授らは「明らかに憲法9条に抵触している。憲法改正手続きで行うべきものを解釈変更で強行しようとしている。法治国家が成り立たなくなる」「本来憲法改正をしなければできないことを憲法違反の法律を作ってやっていこうという、危険な状況にある。立憲主義にも反する、閣議決定そのものが憲法違反」と強い危機感を示した。


2015年07月12日

安保法案「違憲」104人、「合憲」2人 憲法学者ら

朝日新聞(2015年7月11日)

 安全保障関連法案の合憲性をめぐり、朝日新聞は憲法学者ら209人にアンケートをした。回答した122人のうち「憲法違反」と答えた人は104人、「憲法違反の可能性がある」は15人。「憲法違反にはあたらない」は2人だった。

 調査は先月下旬、判例集「憲法判例百選」(有斐閣、2013年発行)を執筆した210人のうち故人1人を除いてメールなどで実施。一部無回答を含め122人(実名85人、匿名希望37人)が回答した。法案と憲法との整合性を問う質問は四つの回答から選ぶ選択式で、「憲法違反にはあたらない可能性がある」は0人、回答なしが1人だった。

 違憲か違憲の可能性があると答えた計119人は「集団的自衛権の容認は、解釈の限界を超える」「憲法は武力行使を政策的に判断する権限を政府に与えていない」などを理由に挙げた。一方、合憲と答えた2人は「国家を守るために必要な範囲に限定されている」「従来解釈と論理的整合性が欠如しているだけでは憲法違反の理由にならない」とした。

 法案に先立ち、安倍内閣は昨年7月、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定をした。この妥当性について尋ねたところ、回答した116人が「妥当でない」とした。「都合のよい憲法解釈は法的安定性を失う」といった批判があった。法案が合憲と答えた2人を含む6人は無回答だった。

 政府は集団的自衛権行使容認の根拠として1959年の砂川事件の最高裁判決を挙げている。この判決が集団的自衛権行使を「認めていない」と答えた人は95人で、「認めている」は1人。「判決は判断していない」などとして「その他」を選んだ人が24人、無回答が2人だった。

 自衛隊については「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人の一方で、「憲法違反にはあたらない」は28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」は13人だった。憲法9条改正が「必要ない」は99人、「必要がある」は6人だった。

 憲法判例百選は重要判例の概要を紹介し、意義を解説する専門書。13年発行の第6版はⅠ、Ⅱ巻合わせて210人が執筆した。衆院特別委員会で法案の合憲派として菅義偉官房長官が名前を挙げた3人は執筆していない。

 法案をめぐっては、衆院憲法審査会に参考人招致された憲法学者3人が憲法違反と発言するなど法的正当性に疑問の声が出ている。

憲法学者らから見た安保法案 「曲解」「政策論に期待」

朝日新聞(2015年7月11日)

 解釈の限界を超えている――。朝日新聞が実施した憲法学者らへのアンケートでは、安全保障関連法案を大多数が「違憲」と判断した。成立を目指す安倍政権は、法の専門家からは立憲主義を脅かす存在と映る。

■法案の合憲性

 法案について、違憲や違憲の可能性があると答えた119人のうち40人以上が自由記述で現行憲法下での集団的自衛権行使は違憲と強調した。野坂泰司・学習院大法科大学院教授は「『他衛』を本質とする集団的自衛権行使の容認は、解釈の限界を超える」。市川正人・立命館大法科大学院教授は「集団的自衛権の一部を個別的自衛権の延長線上のものと位置づける政府解釈は論理的に破綻(はたん)している」と指摘した。

 一方、法案を合憲とする2人のうち、井上武史・九州大院准教授は、集団的自衛権について「憲法の文言からは明らかに違憲とする根拠は見いだせない」「違憲かどうかではなく、日本や国際社会の平和と安定に真に貢献するかという政策論議を国民は期待している」と述べた。

 法案は集団的自衛権行使のための「武力行使の新3要件」を定め、政府は「厳格な歯止め」とするが、20人以上が定義があいまいだとした。若尾典子・佛教大教授は「漠然としており、制限規定となっていない」。大津浩・成城大教授は存立危機事態について「政治的多数派の主観的な『危機』の判断で拡大する基準」とする。

 これに対し、法案を合憲とした元衆議院法制局法制主幹の浅野善治・大東文化大院教授は3要件を「厳格」と評価し、「国家を守るために必要な範囲に限定されている」とした。

 政府の憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を可能にした手法についても約40人が疑問視した。井上典之・神戸大院教授は「憲法の最高法規としての性格を無視した行為」とした。


安保関連法案に反対の憲法学者らがシンポジウム

NHK(7月11日)

安全保障関連法案に反対する立場の憲法学者が東京都内でシンポジウムを開き、「長年の憲法解釈を変えるのは、実質的な憲法改正だ」と法案の撤回を求めました。

シンポジウムは、憲法を守る立場の研究者で作る「全国憲法研究会」が開いたもので、都内の会場には学生などおよそ250人が集まりました。

このなかで、学習院大学大学院の青井未帆教授が「従来の憲法解釈を尊重しない政権の姿勢に対して、憲法学者の危機感は強い。法案を成立させてはならず、この機会に多くの人が憲法を勉強してほしい」と訴えました。

その後、3人の憲法学者によるパネルディスカッションが行われ、「長年の憲法解釈を変えるのは実質的な憲法の改正であり、国民が持つ憲法改正の権限を奪うものだ」という批判や、「市民が声をあげて、政治に世論の声を反映させる必要がある」といった意見が出され、出席者から法案の撤回を求める声が相次ぎました。


大学自治への政治介入「多様な価値観 尊重を」

河北新報(2015年07月11日)

◎国立大学協会長 里見進・東北大総長に聞く

 国立大学運営交付金の増減をちらつかせて安倍政権が、大学自治への政治介入を強めようとしている。この事態を最高学府のトップに立つ里見進国立大学協会長(東北大総長)はどう受け止めているのか、聞いた。(聞き手は報道部・野内貴史)
 -政府内で議論されている運営交付金の重点配分などの国立大改革を、どう受け止めますか。

予算減に疑問

 「大学は今、少子化の進展、教育にかける国家予算の減少という問題に直面している。国立大の数や規模は現状のままでいいのかどうか、厳しく問われる時代だ」
 「だが、財政難を理由に教育予算を減らせば国の力は弱くなる。高等教育にかかる予算を減らしていいのだろうか」
 -成果主義に傾く文部科学省は、人材育成につながらない人文社会系の学部廃止や転換を求める通知を出しました。

人が育つ要素

 「人文社会系の素養がなければ国際的なリーダーにはなれない。非常に大事な学問だ。ただ、古い学問体系を縦割りで教えてきた手法の見直しを求めるというメッセージなら十分納得できる」
 -先日の国立大学長会議で下村博文文部科学相が入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱を要請し、波紋が広がっています。
 「それは各大学が決めること。多様な価値観を持った人たちがたくさんいるというところに人の育つ要素がある。ときには権威に対して批判的なことを言うのも大学の役割だ。各大学の判断を尊重してほしい」
 「東北大では国旗の掲揚はしているが、国歌の斉唱はない。そのまま続けようと思っている」
 -本土復帰前の沖縄から国費留学生として東北大に入学した自身の思いは?

方法いろいろ

 「父が事業に失敗し、大学進学など望めなかった私にとって、国費留学制度は本当にうれしかった。国にすごく感謝しているし、国を愛している。ただ、それは国歌や国旗に向ける姿勢で象徴されるものではない。国を愛する気持ちを表明する仕方はいろいろあっていい」
 「私も留学生だった。お金の心配なく日本で学ばせてもらったという留学生をたくさんつくりたい。親日国を世界中につくる安上がりの戦略と言えるのではないか」

<さとみ・すすむ>東北大医学部卒。95年医学部教授。04年東北大病院長。12年から東北大総長。14年11月国立大学協会長に就き、ことし6月に再任。67歳。那覇市出身。


安保法案「今国会成立に反対」東大生、抗議集会でアピール採択

時事通信((2015/07/10)

 国会で審議中の安全保障関連法案に反対する集会が10日夜、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)で開かれた。300人以上の東大生やOBが参加し、「今国会での成立に反対する」とのアピールを拍手で採択した。
 憲法改正に反対する「九条の会」事務局長の小森陽一東大教授(日本近代小説)を呼び掛け人に加え、学生中心で発足した「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会」が主催した。会場となった教室は満員となり、学生らが廊下まであふれた。
 集会では「安全保障関連法案に反対する学者の会」発起人で元教育学部長の佐藤学名誉教授(教育学)らが講演。「安倍首相は戦争をする国にしようとしている」と政府を批判、学徒出陣を引き合いに「戦争でいつも犠牲となるのは子どもと若者で、痛いほど歴史で味わったはずだ」と訴えた。
 スピーチに立った理科1類1年の男子学生は「これまで関心がなかったが、このままではよく分からないまま強行採決されてしまう。一緒に考えて意見表明していこう」と呼び掛けた。
 司会を務めた法学部3年の佐藤大介さん(21)は「強行採決は許されることではない。私たち世代の責任で止めなければならない。東大から発信することで、全国に運動を広げたい」と話した。

2015年07月11日

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学 大学人アピール

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学 大学人アピール

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学
大学人アピール

2015年6月21日 学内呼びかけ開始

 今国会で審議されている安保関連法案は、地球の裏側にまで出向いて他国による軍事行動に協力・加担していくことを可能にするものであり、武力行使を認めていない憲法9条に明確に違反するものです。私たちは、島根大学の大学人として、今国会に上程されている安保関連法案の反対・廃案を訴えます。

 私たちは、広く学術発展を目指し、また教育・研究・地域貢献を追求して日々活動しています。こうした活動の基盤こそが平和です。法案名に「平和」を冠しているとはいえ、武力によって平和や秩序を維持することなどできるはずもありません。私たちが追求する学術発展、教育・研究・地域貢献の活動を根本から掘崩す安保関連法案の廃案を求めます。

 戦争はこれまでもたびたび、「学問の自由」や「大学の自治」を脅かし、踏みにじってきました。軍事研究の解禁をはじめとして、近年の大学をめぐる状況への危機感を共有しながら、私たちは「学問の自由」と「大学の自治」を擁護するためにも、安保関連法案に反対します。

 また、中国をはじめとした近隣諸国とのあいだで教育・学術交流を展開している私たちは、これらの国々の行為の一部を固定的にみなし、これを安保関連法制整備の根拠としていることに大きな危惧を抱きます。ユネスコ憲章は「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と謳っています。微力ながらも「平和のとりで」を築くべく努めてきた私たちは、安保関連法案に反対します。

 私たち大学人は、かつて日本が行った侵略戦争において多くの有為な学徒を戦場に送り出さなければならなかったという痛恨の歴史に鑑み、二度と戦争に協力しないことを誓っています。また、現在においても自衛隊に就職していった少なくない卒業生たちを思い、自衛隊の活動範囲や武器使用を大幅に緩和し、戦争に巻き込まれ、彼らが実際に傷つく危険を著しく高める安保関連法案に強く反対します。

 6月4日の衆議院憲法審査会における全ての憲法学者証人の違憲答弁に示されるように、この法案は日本が第二次大戦の惨禍のなかから築き上げ、堅持してきた国際紛争の武力による解決の放棄という恒久平和主義の根幹を、解釈改憲と違憲立法によって一挙に否定し、再び私たちが「加害側」に立ってしまう危険性を高めるものです。私たちは日本や世界の歴史を大きく後戻りさせようとするこうした企てに強く抗議し、法案の廃棄を求めます。


「憲法9条に明確違反」 安保法案廃案求め声明

日本海新聞(2015年7月10日)

 島根大(松江市)の現役教員とOBの有志が9日、安倍政権が国会に提出し審議が進む安全保障関連法案について、「憲法9条に明確に違反する」として廃案を求める声明を発表した。大学単位で教員やOBの有志が、同法案の反対声明を発表するのは全国で初めてという。

 6月に松江市内で開かれた同大学OB会世話人会で、法案に危機感を募らせたOB4人を含む19人が声明文を作成し、賛同者を募った。9日現在、現役教員の約4割に当たる162人、OB53人の計215人が賛同している。

 声明では、大学教育や研究、地域貢献活動は平和が基盤▽学問の自由と大学の自治を擁護する必要性▽中国など近隣諸国の行為を安保法制整備の根拠とすることへの危惧▽学生の将来に対する責任-の4点から反意を表明している。

 呼び掛け人のうち9人が同日、島根県庁で記者会見し、井上寛司名誉教授は「政府の都合で憲法解釈を変えることは民主主義の根幹にかかわる問題だ」と指摘。元学長の北川泉・島根総研所長は「自由に意見を言えない雰囲気は1940年代と似ている」と危機感をにじませた。

 今後は県知事や県内市町村長、議会宛てに声明を送付するほか、学内でさらに賛同者を増やしていく考え。事務局の関耕平・法文学部准教授は「声明文を全国に広げていきたい」としている。


慶大教授が研究費不正、懲戒解雇

日経(2015/7/10)

 慶応大は10日、薬学部の40代の男性教授が研究費約500万円を不正取得したなどとして、懲戒解雇処分にしたと発表した。処分は2日付。

 大学によると、元教授は2011~14年度、セミナーなどの旅費を大学と主催した企業に二重に請求したり、虚偽の日程や場所を記した出張費を申請したりしていた。学生に支払われる日当を取り上げた例もあった。

 さらに、自分が役員を務める企業に絡む研究であることを伏せて公的資金の助成を受けようとしていた。

 大学は「元教授は調査に非協力的だったが、結果をおおよそ認めている」としている。捜査機関に告訴するかどうかは検討中という。〔共同〕


2015年07月10日

佐賀大学教職員組合、学長選考で質問状提出

佐賀新聞(2015年07月09日)

 佐賀大学教職員組合(委員長・宮崎卓郎経済学部教授)は9日、先月行われた次期学長選考の過程が不透明として、学長選考委員会(井田出海議長)宛てに公開質問状を提出した。選考会議の議事録公開や選考理由の詳細な説明などを求めている。回答期日は23日までとしている。

 学長選考は副学長の宮崎耕治氏(66)と医学部長の藤本一眞氏(62)が立候補。教職員の意向調査では宮崎氏304票、藤本氏546票と藤本氏が上回ったが、決定権を持つ選考会議が面接などを経て行った投票は9対4で、宮崎氏が選出された。

 この日は宮崎委員長ら組合幹部が選考事務局の北出猛夫総務部長に手渡した。宮崎委員長は「選考結果が必ずしも意向投票を反映しないのは理解できるが、決して無視をしていいわけではない」と批判。「選考会議の議論内容が明かされず、密室で決まった印象。納得できる理由を求める」と話した。


安保法案 憲法学者9割「違憲」、本紙調査に204人回答

東京新聞(2015年7月9日)

 本紙は、他国を武力で守る集団的自衛権行使を柱とする安全保障関連法案に関し、全国の大学で憲法を教える教授ら三百二十八人を対象に、法案の合憲性などを尋ねるアンケートを実施した。回答した二百四人(回答率62%)のうち、法案を「憲法違反」(違憲)としたのは、六月四日の衆院憲法審査会に自民党推薦で出席した長谷部恭男・早稲田大教授をはじめ、青井未帆・学習院大教授、愛敬(あいきょう)浩二・名古屋大教授ら百八十四人。回答者の90%に上り、憲法学者の圧倒的多数が違憲と考えている現状が鮮明になった。
 「合憲」は百地(ももち)章・日本大教授ら七人(3%)にとどまった。「合憲・違憲を議論できない」などとして、「その他」と回答した人も十三人(6%)いた。違憲と答えた人は、回答しなかった人も含めた総数三百二十八人でみても過半数を占めた。
 違憲と回答した人の自由記述による理由では、集団的自衛権の行使容認が憲法を逸脱していることに言及した人が最も多く、六割を超えた。政府は安保法案で認めた集団的自衛権は「限定的にとどまる」と合憲性を主張する。だが「たとえ限定的なものであれ、改憲しない限り不可能」(阪口正二郎・一橋大教授)と、限定容認を含め否定する意見も多かった。
 手続き上の問題や、集団的自衛権行使の判断基準となる「武力行使の新三要件」が明確でないことを理由に挙げた人も、それぞれ二十人程度いた。
 手続きに関しては、安倍政権が昨年七月、閣議決定だけで憲法解釈を変更したことに関し「一内閣の閣議決定で変更した手法に問題がある」(高橋利安・広島修道大教授)との批判が目立った。
 新三要件には「要件が不明確で、限定は事実上ないに等しい」(木下昌彦・神戸大准教授)といった疑念が示された。
 一方、安保法案を「合憲」とした人は「個別的か、集団的かを憲法判断の基準とすることは自衛権保持という観点からは意味がない」(木原淳・富山大教授)などを理由に挙げた。
 ただ違憲・合憲双方の回答者から「法制の合憲性が学者の意見の多寡で決まるわけではない」とする意見が複数あった。
 九条改憲の是非については、75%の百五十三人が「改正すべきではない」と回答。「改正すべきだ」は十七人だった。「その他」や無回答が三十四人いた。
 安保法案に対する違憲批判は、衆院憲法審で長谷部氏ら三人の憲法学者全員が違憲と表明して以降、全国的に広がっている。政府は当初「違憲でないという憲法学者もたくさんいる」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)などと反論していた。

◆「立憲主義の危機」強い懸念

 「今回の論議は単なる安全保障政策の憲法適合性の問題ではない。現政権の立憲主義への挑戦、憲法の否定ととらえねばならない」
 アンケートの自由記述では、桐蔭横浜大の森保憲教授がこう記したように、安倍政権が憲法解釈を変更し、安全保障関連法案の成立を目指していることに「立憲主義の危機だ」と懸念の声が相次いだ。
 立憲主義は国民の権利や自由を守るため、憲法によって国家権力の暴走を縛るという考え方で、民主的な憲法を持つ世界各国で共有する。森氏は「『縛られている者』が自らを縛る鎖を緩和することは、明らかに立憲主義に反する」と政権による解釈変更を批判。富山大の宮井清暢(きよのぶ)教授は「安倍政権の憲法無視(敵視)は、過去のどの政権にも比しえない異常なレベル」と断じた。
 安倍政権の姿勢に対しても、独協大の右崎正博教授は「安倍政権や自民党が数の力を背景に、自分の意見だけを一方的にまくしたて、他の言い分は聞かずに無視する態度は大いに疑問」と指摘。名古屋大の本秀紀教授は「立憲主義や民主主義と実質的に敵対する国政運営は、国論を一色に染め上げて侵略戦争に突入した戦前を想起させる」と危機感を強める。
 龍谷大の丹羽徹教授は「安倍内閣は、対外的には『法の支配』の重要さを言うが、国内では憲法を頂点とする法に対する蔑視が甚だしい」とした上、「労働法制、社会保障法制、教育法制の多くは憲法が保障する権利を侵害する方向で改正が行われている」と警鐘を鳴らす。
 山形大の今野健一教授はこう呼び掛けた。「国民の人権を守るための憲法を語る言葉を、権力担当者に独占させてはならない。主権者たる国民が憲法を積極的に語ることこそが、『憲法を国民の手に取り戻す』ことにつながる」 (鷲野史彦)

◆アンケートの方法

 「平成26年度全国大学一覧」(文教協会)が掲載している大学、大学院の法学系の学部、学科、研究科で、憲法を専門にしているか、憲法の講義をしていると確認できた教授、准教授、特任教授、客員教授、名誉教授の計328人を対象にした。
 アンケートは6月19日に郵送し、204人から回答を得た。回答率は62%。
 設問は3つ。問1は「安全保障関連法案は憲法に照らして合憲か違憲か」。(ア)合憲である(イ)違憲である(ウ)その他-の選択肢から選び、理由を記述してもらった。
 問2は「憲法9条は改正すべきかどうか」。選択肢は(ア)改正するべきだ(イ)改正するべきではない(ウ)その他-で、その理由も尋ねた。
 問3は、憲法をめぐる状況について、意見を自由に記述してもらった。


2015年07月09日

龍谷大学教職員有志、「国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明」

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

2015年6月24日 龍谷大学教職員有志

 国会では現在、安全保障法制に関する審議が行われています。これは、昨年7月1日の日本国憲法 9 条の解釈変更に関する閣議決定(集団的自衛権の容認)を踏まえ検討されてきたものがまとめられ、先月(5 月)15 日に「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」の 2 本立てで国会に提出されたものです。

 法案は、従来の憲法解釈を一内閣の判断によって変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとするものです。法案が成立すれば、日本に対する武力攻撃がなくても、海外にて武力を行使することが可能となります。また自衛隊が派遣され、他国の軍隊に対して行う「後方支援」を拡大することも盛り込まれていますので、自衛隊員はこれまでのイラク派遣等よりもはるかに危険な状況におかれます。

 憲法 9 条の改正をめざす安倍晋三内閣は当初、憲法改正について定めた 96 条の発議要件を引き下げ、憲法を変えやすくすることを目論みました。これに対しては国民からの厳しい批判が寄せられ、この企てはとん挫しました。そこで、考え出されたのが、政府によって憲法解釈を変更して、実質的に憲法を変えてしまうというやり方です。

 憲法は本来、国の権力者からわたしたちの人権を守るためにあります。また、国の権力者は簡単に憲法を変えることはできないことになっています。このような点で、いま安倍内閣が進めようとしているのは、立憲主義の破壊に他なりません。

 先の憲法審査会では、参考人として意見を述べた 3 人の憲法学者いずれもが、法案は違憲であることを指摘しました。国民の世論も多くが「反対」であり、国民に対する説明が不十分だとして、今国会中での法案成立には慎重な立場が大多数を占めています。しかし政府は国会会期の延長を強行し、強引に法案を成立させようとしています。

 わたしたちは龍谷大学に働き、若者(学生)の教育と未来に責任を負う立場から、法案の撤回と立憲主義にもとづいた政治の実行を求めます。それは、以下の 4 つの理由からであります。

 まず、法案は日本国憲法の立憲主義と平和主義を破壊するものであるからです。そして、この法案が成立すれば、学問の自由が制約され、大学における教育や研究が軍事目的のもとにおかれるからです。さらに、第 2 次世界大戦に対する痛苦の反省から日本がめざしてきた平和国家の道を閉ざし、「戦争する国」のもとで若者たちを戦争に参加させることとなるからです。最後に、龍谷大学は「建学の精神」に基づく育成すべき人間像の一つとして、「人類の対話と共存を願う『平和』の心」を謳い、それを実践する大学であるからです。

 今年は「戦後 70 年」にあたります。戦争の経験をもつ方々が少なくなっていくもとで、大学に働くものとして平和のための教育、国際理解のための教育の推進を誓って、わたしたちは、国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求めます。


教育再生実行会議、10%超消費増税…使途は教育拡大に

毎日新聞(2015年07月08日)

 政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫早稲田大総長)は8日、将来的に10%を超える消費増税をした場合、その使途を教育に拡大することを求めるなど教育財源の確保に関する提言を安倍晋三首相に提出した。ただ、安倍政権は10%を超える引き上げには否定的で、財源確保の実現は不透明だ。

 教員の資質向上策などを盛り込んだ5月に続く第8次提言。提言は今後優先すべき教育投資先として、幼児無償化と大学などの高等教育段階の教育費負担の軽減を挙げた。その理由を「少子化の克服や世代を超えた貧困の連鎖に大きく貢献する」と説明。必要な費用の試算例を▽3?5歳児の幼児無償化約1兆円▽大学生の奨学金の充実など高等教育の教育費負担軽減約7000億円と示した。

 財源策として、税制の見直しや民間資金の活用策を挙げた。10%超の消費増税が導入されれば税収の使途を教育にも広げることを提案した。

 このほか、国立大への個人寄付について寄付控除を拡大することや、国立大学の資産運用について規制緩和を検討するよう求めた。

 同会議が設定していたテーマに関する提言は今回で終了した。下村博文文部科学相は8日の記者会見で今後について「これまでの提言のフォローアップを図るとともに、新たなメンバーで別のテーマにも取り組みたい」と意欲を示した。【三木陽介】


「学長にどなられPTSD」浜松医大教授が提訴

読売新聞(2015年07月08日)

 浜松医科大学(浜松市東区半田山)の50歳代の男性教授が7日、中村達学長と大学を相手取り、慰謝料など計550万円を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。

 訴状などによると、男性教授は昨年4月、男性教授に割り当てられていた部下の研究者のポストや男性教授が担当する授業などを中村学長から男性教授の意に反して減らすように求められたという。また男性教授は中村学長から頻繁にどなりつけられるなどの被害を受け、昨年4月に心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたとしている。

 浜松医科大学は読売新聞の取材に対し、「訴状が送達されていないのでコメントは控えたい」としている。


安保法制「国民にリスク」 県内反対学者ら声明

愛媛新聞(2015年07月08日)

 愛媛県内の大学の元・現教員らでつくる「えひめ安保法制反対学者・文化人の会」が7日、県庁で会見し、集団的自衛権行使を可能にする安保関連法案は憲法違反として廃案を求める声明を発表した。
 同会は、全国の「安全保障関連法案に反対する学者の会」に賛同して2日に発足。7日現在、医師や作家らを含む55人が名を連ねる。
 7日は県内外の大学の学長経験者3人を含む呼び掛け人9人が会見。小松正幸・愛媛大元学長が「強引な解釈によって法案を合憲とし、十分な説明もないまま国民の生命を危険にさらす政策を推し進める内閣に強い憤りを感じている」と声明文を読み上げた。
 会は、20日に愛媛大(松山市文京町)で、愛媛大と松山大の研究者による講演やリレートークなどの講演討論会を開き、終了後に市内中心部で街頭宣伝行動をする予定。

2015年07月08日

大学オンブズマン、「研究者の権利問題を考える集い」のご案内

■大学オンブズマン
 ∟●「研究者の権利問題を考える集い」のご案内

大学オンブズマン「研究者の権利問題を考える集い」のご案内

 大学オンブズマンは2013年2月、以下の目的を掲げて結成されました。
1 大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性を実現する。
2 大学関係者(学生、教職員など)の諸権利を擁護する。
3 関連する国内外の諸団体・機関との協力関係を促進する。

 この間、いくつかの大学における権利問題、大学経営問題について取り組みを進めてきたところです。その一環として、この度、「研究者の権利問題を考える集い」を開催することとなりました。

 今回の「集い」では、研究妨害のハラスメントに対する損害賠償等請求と、雇用契約上の地位確認請求を求めて裁判をたたかわれた女性研究者をお招きし、懇談を行います。最高裁までたたかいましたが、上告受理申し立て不受理ということとなりました。残念な結果となりましたが、労をねぎら機会になればと思います。

 この女性研究者が大学評価学会第44回研究会(2014年8月31日)で報告された「医科大学・医学部における不正」が大学評価学会年報『現代社会と大学評価』(2015年7月刊行予定)に収録されます。ぜひご一読願いたいと思います。

 なお、今回の「集い」は、大学オンブズマンが事務所を置いている、NPO京都社会文化センターの「祇園祭協賛 京都社会文化センター・フェア」の一環として開催されます。センターから歩いて3分程度のところに、祇園祭の山鉾の一つ太子山(「知恵のお守り」)があります。
「集い」の概要は、下記の通りです。準備の都合がありますので、参加いただける方は、事務局(龍谷大学 細川孝 hosokawa(at)biz.ryukoku.ac.jp 075(645)8634)までお知らせいただけると幸いです。

日 時:2015年7月16日(木)18時~20時
場 所:京都社会文化センター(町家)
京都市下京区油小路通り松原下ル(醒泉小学校東門前)
. 075-741-6051(常駐はしていません)
会 費:1,000円

以上

日本私大教連・全国代表者会議、「学問と大学を戦争に動員する戦争法案に反対するアピール」

■日本私大教連
 ∟●「学問と大学を戦争に動員する戦争法案に反対するアピール」

学問と大学を戦争に動員する戦争法案に反対するアピール

2015年7月5日
日本私大教連・全国代表者会議

 安倍政権が 5月 15日に国会に提出した「国際平和支援法」と 10本の戦争関連法案に対し、国民各層の怒りの声が高まっています。安倍首相は「平和安全法制」を標榜していますが、その内容は米国が世界で行なう戦争に際して、いつでも・どこでも・どんな戦争でも、自衛隊が支援・参加するための「戦争法案」にほかなりません。たとえそれが「後方支援」であっても、国際法上の観点からは戦争当事国になるのは周知のことです。戦闘地域に派遣される自衛隊員等の身に危険が及ぶだけでなく、国民がテロの標的となる危険性を増幅させるものです。

 6月 4日の衆議院憲法審査会では、自民党推薦も含む 3名の憲法学者が全員、法案を「違憲」とする意見を述べました。200名を超える憲法学者が廃案を求める声明を上げ、「安全保障関連法案に反対する学者の会」のネット署名に賛同する学者・研究者は 1万人に迫ろうとしています。連日の国会前行動への参加者は日増しに増え、学生・若者たちの反対運動も全国各地で展開されています。

 しかし安倍政権は、こうした反対世論を無視し、法案成立を強行する構えを崩そうとしません。95日間という会期大幅延長を強行決定し、7月半ばにも衆院を通過させようとしています。戦争法案を違憲と批判する世論の高まりに対し、安倍首相は「世界情勢の変化にあわせて憲法解釈を変えるのは当然」などと強弁を重ねています。立憲主義を公然と否定し、学問研究を愚弄する安倍政権の姿勢は、体制を批判する学問や言論を弾圧して破滅への途をひた走った戦前の軍国主義国家を彷彿とさせるものです。

 戦争法案は、若者・学生を再び戦場に駆り出し、国民の生命と安全を危険に晒すとともに、学問と大学を戦争に動員する亡国の法案にほかなりません。私たちは、大学の教育・研究と学生たちを守るために、安倍政権が狙う 7月中旬の衆院採決を阻止し、廃案をめざすたたかいに総力を尽くす決意を示すとともに、私立大学で働くすべての教職員のみなさんに、このたたかいに参加されることを心より呼びかけます。


専修大学北海道短大不当解雇事件、8教員の訴訟 札幌高裁の判決について

■「不当解雇された専修大学北海道短大教員をさえる会」
 ∟●支える会ニュース第15号

8教員の訴訟 札幌高裁の判決について

弁護士 池田賢太

はじめに

 振り返ってみると、8教員訴訟は平成24年4月13日に札幌地裁に提訴、平成25年12月2日に判決言渡し。約1年半の審理を経て、48ページの判決文でした。
 不当判決を受け、平成25年12月13日に札幌高裁へ控訴、平成27年4月24日に判決言渡し。財政論や解雇回避努力について更なる主張立証を積み重ね、やっぱり約1年半の審理を経て、何ページの判決だつたと思いますか?わずかに6ページです。そのうち、札幌高裁の判断部分は2ページしかありませんでした。
 札幌高裁の判断は、次のように始まります。
 「当裁判所も、控訴人らの請求をいずれも棄却するのが相当であると判断するが、その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決書『事実及び理由』 の欄の『第3 当裁判所の判断』に記載のとおりであるから、これを引用する。」
 つまり、不当な地裁判決をそのまま鵜呑みにしてしまったのです。

2 財政論に踏み込まない

 私たちは、高裁での審理に当たり、雇用契約の当事者である学校法人専修大学の極めて健全な財政状態について、会計学の専門家に鑑定を依頼し、明らかにしてきました。私立学校法、学校法人会計基準等に照らし、しかも過去10年にわたつて、学校法人専修大学が盤石の財政状態を保ち続けている事を明らかにしました。しかし、札幌高裁はこの専門家の鑑定意見書を見向きもしませんでした。
 札幌高裁は、次のように述べて、意見書を無視したのです。
 「意見書は、北海道短大は被控訴人の一事業部門であるにすぎないとして、学校法人としての被控訴人の財政を分析の対象とし、資金ショートが生じない限り整理解雇が認められないとの前提に立って作成され、このような前提のもとに被控訴人の支払能力を重視しないとしているが、そもそも、上記の資金ショートが生じない限り整理解雇が認められないとの前提に立つことはできない (から) …その意見を採用することはできない。」
 つまり、札幌高裁は、 「鑑定意見書が偏頗な考え方に立つものであり、そんな偏頗な考え方で作られた鑑定書に書かれている意見など採用できません」と言ってのけているのです。確かに、鑑定意見書には、鑑定人の意見が記載されています。しかし、そこに記載された意見と採用されている分析手法との間に何の関係もありません。現に、判決は、分析手法の妥当性に一言も触れることができていません。鑑定人の分析手法は、極めて合理的で、学校法人会計基準に (しかも改正後の基準にも) 適合した分析手法だからです。札幌高裁判決は、まさに証拠に対する評価を誤り、事実を正確にみることができなかったということを露呈しています。高裁判決もまた、極めて不当な判決だつたということができるでしょう。

3 8人全員上告!最高裁へ!

 原告団・弁護団は、この不当判決を受けて、議論を重ねました。そして、この不当な判決を許すことはできず、また、今後の大学教員の雇用問題に悪しき前例を作ることはできないと、上告を決意しました。皆さまのこれまで以上の物心両面でのご支援を、重ねてお願いいたします。

(原告団代理人弁護士)

文科省、競争的研究費改革議論の中間取りまとめ-間接経費30%を設定、研究基盤強化

日刊工業新聞(2015年07月07日)

 文部科学省は競争的研究費改革の議論の中間取りまとめを行い、「文科省の全ての競争的研究費で30%の間接経費を付ける」と明記した。間接費の増額に伴って研究インフラが充実し、研究が効果的に行われることが見込まれる。また、研究代表者の人件費を直接経費から出す仕組みも打ち出した。2016年度からの第5期科学技術基本計画と併せ、年内に最終結論を出す。(編集委員・山本佳世子)

 「競争的研究費」は公募によって競争的に獲得する事業の研究費を指す。このうち研究そのものや任期付き研究員の雇用といった研究用途に使うのが「直接経費」。一方、光熱費や特許戦略などで研究を支える大学の業務に手当てするのが「間接経費」。今回、直接経費の30%分を手当てすることが固まった。文科省が新規採択する大学の事業について、16年度から実施する見通しだ。
 間接経費は、民主党政権時代の「事業仕分け」で多くが廃止となり、一部事業に限定された。研究型の国立大学は国の補助金である運営費交付金の削減に対応し、競争的資金を増やすことで補ってきた。ただ、直接経費は使途が決まっており、これが増えたとしても研究インフラの充実などに使える分はなく、大学側は「本部の負担が重い」と訴えていた。それだけに大学全体の研究基盤強化につながる間接経費の増加は朗報だ。
 もっとも文科省では科学研究費助成事業、戦略的創造研究推進事業での30%をはじめ、めぼしい事業には間接経費を措置済みだ。「間接経費としてすでに1000億円を拠出しており、『全事業が対象』となって増えるのは100億円ほど」(研究振興局・基礎研究振興課)にすぎない。
 むしろポイントとなるのは、他省庁の研究開発支援事業に浸透できるかどうか。間接経費が民主党政権時代の事業仕分けで300億円から数億円に減額されたままの機関もあるからだ。今回の動きを呼び水に、どれだけ広がるかと大学関係者は注視する。


2015年07月06日

大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会、声明

■大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会
 ∟●声明「学校法人常葉学園は静岡地方裁判所の決定を受け、巻口勇一郎先生をただちに職場に復帰させ、教育・研究活動に従事させることを求める」

学校法人常葉学園は静岡地方裁判所の決定を受け、巻口勇一郎先生を
ただちに職場に復帰させ、教育・研究活動に従事させることを求める

2015年7月4日 大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会

 静岡地方裁判所は2015年7月3日、常葉大学短期大学部准教授・巻口勇一郎先生が起こした地位保全仮処分命令申立に関し、債権者(巻口勇一郎)が、債務者(学校法人常葉学園)に対し、「労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める」「申立費用は債務者の負担とする」との決定を行った。

 大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会は、不当な懲戒解雇処分を行い、巻口先生の名誉を傷つけるとともに、教育・研究者としての地位を奪った学校法人常葉学園に対し、ただちに巻口先生を職場に復帰させ、教育・研究活動に従事させることを求める。あわせて巻口先生に謝罪することを求める。

 仮処分決定では、「債務者には、補助金の過大受給を積極的に解明する意向は存せず、むしろ、その事実が債務者の組織の外に表れないようにすることが債務者の幹部職員の言動の動機となり得る状況であったことがうかがえる」としたうえで、法人事務職員が巻口先生に対して行った「不正受給について捜査機関へ刑事告発もしくは、監督官庁へ情報提供するなど同学園の不正を表ざたにすることを断念させた」強要行為について、次のように述べる。法人事務職員の「発言が、暴力団員を介して債権者に対して何らかの危害を加えることができる旨を告知する脅迫であると信じたとしても、無理からぬものであったと一応認められ、これを真実と信じるに足りる理由があったと認められる」。

 また、法人事務職員と法人理事長らとの共謀について、法人事務職員は「債権者と職務として面談したと認めるのが相当であり、理事長らとの何らの調整なく、債権者と面談したとは考えがたいものの……」と述べたうえで、「強要にかかる理事者らの共謀を告訴事実の内容としたことは、慎重さに欠けていたものとみられるが、……、強要については、課長補佐(当時)の強要を信じたとしても、無理からぬものであり、債権者の本件告訴は、その全てが信じるに足りる根拠なくなされたものということはできない」とする。

 そして、「債務者において、本件告訴による学園の秩序紊乱、名誉・信用失墜についての具体的事実を明らかにしていないから、本件告訴について就業規則58条1項2号の該当性を認めるに足りない」と述べる。「懲戒委員会では懲戒事由として本件告訴のみが審査の対象とされており、……本件懲戒解雇は処分として、重きに過ぎるものと言わざるを得ない」としたうえで、「本件懲戒解雇は無効である」とした。

 以上を踏まえ、保全の必要性が明らかにされる。そこでは、「債権者は、准教授であり、その教育・研究活動は、単なる労働契約上の労働の提供に止まらない。准教授の地位に基づくがゆえになし得る研究や学会活動などがあり、これらは債務者が保障するべき労働契約上の利益に該当するから、仮の地位の保全を認めなければ、債権者に回復しがたい著しい損害が生じるというべきである」と述べている。

 以上の通り、静岡地裁の仮処分決定は、巻口先生の訴えの正当性と学校法人常葉学園の行った懲戒解雇処分の不当性を明らかにしている。大学オンブズマン・巻口勇一郎先生を支援する全国連絡会は、学校法人常葉学園に対し下記の3点を要求する。

1.ただちに懲戒解雇処分を撤回し、巻口先生が職場に復帰し教育・研究活動に従事できるようにすること。
2.不当な懲戒解雇処分を行ったうえ、事実無根の虚偽告訴が理由で懲戒解雇したと学内に公表し、巻口先生の名誉を著しく傷つけたことについて本人に謝罪するとともに、学校法人内の全ての学校に謝罪文を掲示し、関係者に事実を明らかにすること。
3.あってはならない重大な人権侵害を長期にわたって学校法人内で生じさせ続けた道義的法的責任を理事長は直ちに辞任することで明確に内外に示すとともに、学校法人常葉学園はそうした理事長の行為を防止できなかった理事・監事の全面的刷新をはかること。

以上

2015年07月05日

地位保全仮処分を決定、静岡地裁 常葉大解雇の准教授

■中日新聞(2015年7月4日)

地位保全仮処分を決定
静岡地裁 常葉大解雇の准教授

 常葉大短期大学部(静岡市葵区)の補助金不正受給を内部告発した問題に絡み、大学を運営する常葉学園から受けた懲戒解雇処分は無効だとして、男性准教授(四二)が地位保全を求めて仮処分を申し立てた問題で静岡地裁ほ三日、申し立てを認める決定を出した。

 推教授は不正受給をもみ消すよう脅されたとして、二〇一二年八月に理事長や面談に当たっ職員らを強要罪で静岡地検に刑事告訴したが、不起訴となった。学園は名誉を害されたとして、一五年二月に懲戒解雇した。

 槐智子裁判官は、職員が暴力団との関係をほのめかして不正受給のもみ消しを求めたと認定。懲戒解雇は重すぎ、地位保全を認めなければ研究や学会活動に差し障りがあると指摘した。

 准教授は復職などを求める訴えを静岡地裁に起こし係争中。西ケ谷知成弁護士は「判決も良い結果になることを期待している」とした。


2015年07月04日

酪農学園大理事長・麻田信二、なんと学長に退任要求

道新(2015年7月4日)

酪農大学長に退任要求 理事会

 酪農学園大(江別市)を運営する学校法人酪農学園(同)の理事会が、同大の干場信司学長に退任を求めていることが3日、分かった。

 関係者によると、同大では教授会と理事会が大学の運営方針をめぐり対立。理事会は6月30日に干場学長を「学長として不適格だ」として退任を要求する方針を決め、干場学長に通告した。干場学長は「理にかなっていない」と拒否したという。

 これを受けて同法人は14日にもあらためて理事会を開き、干場学長の処遇を協議する。麻田信二理事長は3日、同大内で同法人の教職員を対象にした説明会を開き経緯を報告。出席者によると、麻田理事長は退任を求める理由について「勝手に大学の財産を処分したほか、理事会の方針に沿った運営もしていない」などと説明したという。

 北海道新聞の取材に対し、麻田理事長は「退任を求めるには、それ相当の理由があるが、今は話せない」とコメント。干場学長は「退任を求める理由が適正ではない」と話している。


常葉大短大部不当解雇事件、静岡地裁仮処分決定 原告の勝訴

■静岡新聞(2015年7月4日)

祝 勝訴!

常葉学園懲戒解雇への仮処分申請
男性の地位保全命じる 静岡地裁

 常葉大短期大学部(静岡市葵区)を運営する常葉学園から3月末付で懲戒解雇処分を受けた当時准教授の40代男性が,処分の無効と地位保全を求めた仮処分申請で,静岡地裁は3日,処分の無効と地位保全を命じる決定をした。

 決定書などによると男性は同学部の補助金過大受給を調査していた2010年,学園の危機管理担当者から脅迫されたとして担当者ら3人を強要罪で静岡地検に刑事告訴,いずれも不起訴になり,男性は「秩序を乱した」などと処分を受けた。槐智子裁判官は決定で告訴に一定の相当性を認め,学園は「秩序を乱した」などとする「具体的事実を明らかにしていない」と指摘した。原告側代理人の西ケ谷知成弁護士は「学園には体質の改善を求めたい」と話した。

 男性が学園に処分の無効確認と未払い賃金,慰謝料の支払いを求めた訴訟が現在,同地裁で係争中。学園法人本部は「あくまでも仮処分であり,今後(本訴の)法廷で争っていく」と話した。


2015年07月02日

「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール」実行委員会、「安倍政権による安全保障関連法案成立の動きに際して」

東京大学職員組合
 ∟●「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会

安倍政権による安全保障関連法案成立の動きに際して
「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会
呼びかけ趣意書

 戦後70年が経とうといういま、政府によって日本の国のかたちがおおきく変えられようとしている。日本はどのような道へ進むのか、われわれはその決定的な岐路に立っている。

 政府が今国会中にも成立させようとしている「平和安全法制整備法」および「国際平和支援法」は「切れ目のない」対応という名目のもと、戦争に対して日本がいかなる姿勢をとるのか、その致命的な変更をもたらすものである。われわれはこの法案に対し「安全保障関連法案の今国会での成立に反対する」という一点のもとに共同し行動することを、東京大学のあらゆる構成員 に呼びかける。

 本法案の争点は多岐に及び、われわれは多くの疑問や危機感をいだいている。憲法改正の手続きを経ぬまま、従来確立されていた自衛隊の最も基礎的なあり方さえ一時の政府の憲法解釈変更と法案の強行採決によって変更する、これは明らかに立憲主義に反するのではないのか? 法案にあるような後方支援を拡大すれば、自衛隊が本格的な戦闘をおこなうことになるのではないか? すでに武力行使ではないなどとは言えないのではないか? この法案が通れば本当に日本はより安全に近づき国際的な平和にも貢献できるのか? 疑問は尽きない。国会の審議における政府答弁は 政治的責任に応えたものではなく、様々な識者の意見によっても問題は積み重なるばかりである。われわれはこの法案に対して、抗議の声を上げずにはいられない。

 東京大学には、戦前、軍国主義の波に飲まれ、学問の自由を失い、多くの学徒を戦争に動員された痛苦の歴史がある。ふたたびその歴史を繰り返さぬために力を合わせ、平和と民主主義の破壊を止めることは、われらが先人への誓いであり、未来の世代への責任である。今こそ、自らの教育・研究を通じて「世界の平和と人類の福祉」に貢献するという決意(東京大学憲章・前文)を発揮し、全東大人の平和への意思を示すときではないだろうか。

 われわれは具体的な実施計画として次のことを提起する。一)「安全保障法制の今国会での成立に反対する」の一点で結集する集会に向け、集会への参加の呼びかけとともに、その主張にたいする賛同・メッセージを、東京大学の学生、職員、教員、OBOGの各方面に募る。二)集会において、各登壇者がスピーチをおこない、また募集したメッセージをもとに作成した集会アピールを 採択に付す。三)以上の結果を政府、国会議員、メディアに訴え、広範かつ有効な波及をねらう。 四)この度のたたかいは、今国会が9月下旬まで延長されることを考慮し、学生・研究者はその本分たる学業学問の両立も鑑みつつ、集会後も持続した行動をとることを確認する。

 いまこそ、われわれはどこから来て、どこへ向かうのか、その問いに向き合わなければならない。法案阻止を確信し、即座に行動を開始してゆきたい。

2015年6月29日
安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会

◇呼びかけ人(6月29日現在)

(理科Ⅰ類2年)
(法学部3年)
(理科Ⅰ類1年)
(法学部4年)
市野川容孝(総合文化研究科教授 社会学)
小森陽一(総合文化研究科教授 日本近代文学)
外3名

学長、ほぼ全大学で決定権 法改正後に内部規則で担保

日経(2015/7/1)

 学長主導の大学改革やガバナンス(組織統治)強化を目的に4月に施行された改正学校教育法に関し、学長が校務の最終的な決定権を持つことを「法改正後に内部規則で担保した」大学が全体の過半数にのぼったことが1日、文部科学省の調査(速報値)で分かった。「法改正前から担保されている」を含めると、ほぼ全ての大学が内部規則で学長の権限について明確化したことになる。

 同省の担当者は「学長の校務への責任と権限を一致させるという法改正の趣旨が、おおむね取り入れられている」と評価。一部の未実施校には助言や指導を行う方針。

 調査は国公私立の大学・短大計1132校に今年4月1日時点の状況を聞き、99.4%に当たる1125校が回答した。

 学長の最終的な決定権について、「法改正後に担保した」と答えたのは615校(54.7%)。「法改正前から担保されている」が503校(44.7%)、「担保されていない」は7校(0.6%)だった。

 法改正の趣旨や内容を全学的に周知した大学は全体の99.5%を占め、学内説明会や文書で通知するなどしていた。


大学生の都市圏集中を是正、定員超えは私大助成を減額 文科省

産経(2015.7.1)

 文部科学省は30日、大都市圏への大学生の集中を解消するため、大規模な私立大学を中心に超過定員に応じて助成金を減額する計画を発表した。平成31年度までに段階的に実施する。この計画により、東京都と愛知県、大阪府を中心とした三大都市圏で、約1万4000人の学生の流入を抑制する効果があるとしている。

 文科省によると、26年度には、全国で約4万5000人の入学定員の超過が発生。うち8割に当たる約3万6000人が三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県)に集中している。

 助成金の交付額は学生数などを基準に算出され、文科省は定員に対する学生数の割合を1・0倍とするよう求めている。現行制度では、大規模大学(8000人以上)で1・2倍以上、中規模大学(4000人以上8000人未満)で1・3倍以上となった場合、助成金を全額不交付としている。

 今回の計画では、それぞれ1・1倍以上、1・2倍以上となった場合に全額不交付とするが、地方に多い小規模大(4千人未満)では、これまで通り1・3倍以上の基準を維持する。

 現在は1・0倍を上回っても定員分の助成金が交付されているが、今後は1・0倍を超えた場合は学生超過分に応じて減額することにした。逆に大学側が1・0倍以下に抑えた場合には、私学助成金を上乗せする優遇措置も導入する。

 国立大でも厳格化し、定員超過分の金額を国庫へ返納させる計画を示した。


給付型奨学金を来年募集 県外進学者を支援 県議会一般質問 

琉球新報WEBニュース(2015年7月1日)

 県議会6月定例会は1日午前、一般質問3日目の質疑が始まった。県外大学へ進学する県出身学生を対象に生活費などを支援する「給付型奨学金」について、翁長雄志知事は「来年から給付型も入れようと思う。現状に合わせてやっていきたい」と述べ、来年度から新たに導入する考えを示した。県教育庁教育支援課は2016年度に募集を開始し、17年度の大学入学者から支給できるよう調整を進めている。 米軍キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区跡地で進む国際医療拠点構想で、沖縄自動車道の北中城インターチェンジ(IC)から西普天間に直結するアクセス道路を導入する提案に関し、謝花喜一郎企画部長は「想定していなかった絵だが、関係部局と意見を重ねる必要があると思う」と県の担当部局で議論する考えを示した。
 さらに、末吉幸満土木建築部長は「県道宜野湾北中城線と北中城ICを直結させることでアクセス向上が図れる。しかし、密集市街地を通り、普天間高校も通る。普天間地区のまちづくりを勘案しながら対応していきたい」と述べ、利点と課題を踏まえて検討する方針を説明した。以上、呉屋宏氏(無所属)への答弁。

2015年07月01日

大学生の都市部集中抑制=定員超過で補助金削減-文科省

時事通信(2015/06/30)

 都市部への大学生の集中を改めるため、文部科学省は30日、定員を超えている私立大に超過人数に応じて補助金を減らすなどの抑制策を導入すると発表した。私学助成金を全額カットする基準もより厳しくし、国立大にも同様の基準を設定。いずれも2016年度から段階的に実施する。
 文科省によると、14年度は全国の私大で約4万5000人の定員超過が生じ、うち8割が3大都市圏に集中。地方には定員割れの大学も多く、同省は学生の偏在解消が地方創生につながると判断した。