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2015年09月29日

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

青山貞一 Teiichi Aoyama

September 19, 2015
独立系メディア E-wave Tokyo

 2015年9月19日午前2時過ぎ、11本に及ぶ安保法案が参議院本会議で可決された。

 何と、それより前、自公議員は、一人当たりの発言時間を制限する動議を出していた。最低でも30分間の意見を述べるべく原稿を用意してきた野党議員は、突如一人当たりわずか10分しか発言できないという言論統制、封鎖により発言を制限されたのである。まさに、これおが立法府の現場で行われていたのである。しかも、NHKはそれすら中継していなかった。

 周知のように安倍政権は、民主党政権が執拗な自民党政権による激しい攻撃に耐えきれず、自滅した後、、全有権者のわずか17から最大でも20%以下の得票で政権を奪取しているに過ぎない。しかも、その間の衆参選挙で、自民党は今回提出し強行採決した安保法案について明確に有権者に示すことはなかった。直近の衆院選挙は、アベノミクスと抄税問題がメインとなっていたことは誰の目、耳にもあきらかである。

 にもかかわらず、安倍政権は「憲法の解釈改憲問題で総選挙」をするでもなく、この間、わずか半年ばかりの国会審議で11本もの安保法案を強行裁決したのである。しかも、この間の国会審議で判明したことは、立法事実がない事例の数々、それを延々と説明、首相と大臣によるちぐはぐな答弁の繰り返し、明らかに存在するであろう資料を不知と繰り返すことなどであった。また官邸の幹部自身が法の安定性なんて関係ないと言う始末である。さらに、安倍首相は春に米国連邦議会で安保法制の制定化を約束、自衛隊最高幹部も同様のことをそれ以前に米国側に伝えていたのである。

 全部で11本に及ぶ安保法案をわずか半年足らず、衆参合計200数十時間しか審議することなく、民主、維新、共産などの国会議員と、国会周辺を中心に全国各地における反対デモを蹴散らかすように、2015年9月19日午前2時過ぎ、安保法案が参議院本会議で可決されたのである。この種の重要な法案は、一本でも一国会一本が通例であるはずである。これはイラク特措法などを見れば明らかである。

 もとより、安倍安保法制は、永年、自民党の総裁、大臣、幹部らが歴代の法制局長官の認識のもと、憲法九条の解釈改憲は違法と認識してきた集団的自衛権、同行使を安倍首相のご都合主義的改憲解釈により可能としたものであり、違憲である。これは高村副総裁が繰り返す詭弁でも明々白々である。

 ところで、9月18日深夜のTBSニュース23のなかで、ある東大教授は安倍首相が行ってきた一連の集団的自衛権議論と安保法制は「法学的クーデターである」と語った。まさに至言である。

 もともと、安倍首相が現行憲法下で集団的自衛権を容認するという解釈改憲は、およそまともな憲法学者、専門家でありうるものではない。安倍氏と考えを同じくする国際政治家、防衛政策論者らによってなされてきただけのことでる。事実、日本の公法学会に集まる1000人近くの憲法、行政法の専門家のうち、現行憲法下で明確に集団的自衛権を容認と考える学者、専門家は数名にすぎない。テレビなどに安倍政権を擁護するために出ている学者、専門家の多くは法律家、憲法学者ではなく、政策(価値判断)分野の学者にすぎない。

 一言で言えば、安倍首相やその周りにいるお仲間は、立法事実や事実認識を無視し、自分たちの勝手で恣意的な価値判断により現行憲法下で明確に集団的自衛権を容認と政策判断しているに過ぎない。いうまでもなく立憲民主主義下にあっては、憲法を最上位とし、憲法の条文のもとでの立法が可能であり、行政はあくまでそのもとで抑制的に存在する。

 にもかかわらず、安倍政権は、日本の名だたる憲法学者、専門家、歴代内閣法制局長官、さらには最高裁長官、判事らの助言を聞くことなく、お仲間で昭和47年」の砂川判決を自分たちに都合の良いように、つまみ食い的に援用し、集団的自衛権の解釈改憲を可能と自画自賛したのである。

 多くの識者が指摘するように、砂川判決のなかにはそのような解釈改憲を可能とする記述はない。しかも、安倍首相は、お仲間の御用学者らで私的懇談会を構成するだけでなく、内閣法制局長官まで更迭し、自分の言いなりとなる正当性も正統性もない役人を内閣法制局長官に据えて国会審議に対応したのである。

 これは日本全国に存在する憲法学者、公法学者にとっては、青天の霹靂、寝耳に水であったに違いない。まさに彼らにとっては「法学的クーデターで」あったに違いない。多くの学者、研究者、弁護士、元判事らが一堂に会し、安保法制に反対したのは当然である。

 このような稀代の「法学的クーデター」がなぜ可能となったのか、については、NHKを中心に大メディアが最低限の事実をまともに国民に伝えなかったことがある。安倍首相は、特定秘密法案の制定につづき、主要メディアの幹部を呼び寄せ,食事に誘い、さらに官邸はことある度にマスメディアに報道内容に介入していたのである。

 NHKは何と、中央公聴会(国会)、地方公聴会(横浜市)すら中継せず、その後の委員会審議、裁決、本会議審議、裁決すらまともに中継しなかった。その間NHKは、チリ地震による津波のニュースを延々と繰り返していたのである。

 かなり前から日本の大メディアには「社会の木鐸」という言葉が妥当しなくなっていたが、ここまで権力の広報機関化、それも憲法違反の独裁政権の広報機関に成り下がったことが「法学的クーデター」の背景にあることは否めない。


憲法解釈変更:法制局、経緯公文書残さず

毎日新聞 2015年09月28日

 政府が昨年7月1日に閣議決定した集団的自衛権の行使容認に必要な憲法9条の解釈変更について、内閣法制局が内部での検討過程を公文書として残していないことが分かった。法制局によると、同6月30日に閣議決定案文の審査を依頼され、翌日「意見なし」と回答した。意思決定過程の記録を行政機関に義務づける公文書管理法の趣旨に反するとの指摘が専門家から出ている。

 ◇審査依頼の翌日回答

 他国を攻撃した敵への武力行使を認める集団的自衛権の行使容認は、今月成立した安全保障関連法の土台だが、法制局はこれまで40年以上もこれを違憲と判断し、政府の憲法解釈として定着してきた。

 法制局によると、解釈変更を巡り閣議前日の昨年6月30日、内閣官房の国家安全保障局から審査のために閣議決定案文を受領。閣議当日の翌7月1日には憲法解釈を担当する第1部の担当参事官が「意見はない」と国家安全保障局の担当者に電話で伝えた。

 横畠裕介長官は今年6月の参院外交防衛委員会で、解釈変更を「法制局内で議論した」と答弁。衆院平和安全法制特別委では「局内に反対意見はなかったか」と問われ「ありません」と答弁した。法制局によると今回の件で文書として保存しているのは、安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の資料▽安保法制に関する与党協議会の資料▽閣議決定の案文??の3種類のみで、横畠氏の答弁を裏付ける記録はない。

 「集団的自衛権行使は憲法上許されない」とする1972年の政府見解では、少なくとも長官以下幹部の決裁を経て決定されたことを示す文書が局内に残る。法制局が審査を行う場合、原則としてまず法制局参事官が内閣や省庁の担当者と直接協議し、文書を残すという。しかし、今回の場合、72年政府見解のケースのように参事官レベルから時間をかけて審査したことを示す文書はない。

 公文書管理法(2011年4月施行)は「(行政機関は)意思決定に至る過程や実績を検証できるよう、文書を作成しなければならない」(第4条)とする。

 解釈変更を巡る経緯について、富岡秀男総務課長は取材に「必要に応じて記録を残す場合もあれば、ない場合もある。今回は必要なかったということ。意図的に記録しなかったわけではない」と説明。公文書管理法の趣旨に反するとの指摘には「法にのっとって文書は適正に作成・管理し、不十分との指摘は当たらない」と答えた。横畠氏にも取材を申し込んだが、総務課を通じて「その内容の取材には応じない」と回答した。【日下部聡、樋岡徹也】

 ◇「民主主義の原点」…記録なし、識者批判

 内閣法制局に関する本や論文を多数執筆している明治大の西川伸一教授(政治学)は「戦後の安全保障政策の大転換であるにもかかわらず、たった一晩で通すなど、あまりにも早すぎる。白紙委任に近い。従来の法制局ならあり得ないことだ」と指摘する。さらに、検討の過程を公文書として残していないことについても、「記録を残さないのは疑問。国民によるチェックや後世の人々の参考のため、記録を残すのは民主主義の原点だ。政府は閣議の議事録を公開するようになり、公文書管理法も制定された。その趣旨にのっとって、きちんと記録を残すべきだ」と話す。

 ◇内閣法制局◇

 内閣直属の機関で、審査事務(政府が作る法令案の審査)と意見事務(内閣に対する法的な助言)を主な役割とし、今回のような憲法解釈は後者に当たる。積み重ねられてきた法解釈との整合性を重視した厳格な審査をすることから、「法の番人」と呼ばれてきた。職員数(定員)は77人。


戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

自由法曹団
 ∟●戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

 自民・公明両党と次世代の党など3野党は、本年9月17日夕刻の参議院特別委員会における抜き打ち的かつ暴力的強行「採決」に続き、同月19日未明、参議院本会議における強行採決によって、戦争法案(「平和安全法制整備法案」「国際平和支援法案」)を可決・成立させた。

 戦争法制は、米国などの他国防衛を目的とする集団的自衛権の行使を認めるほか、日本の安全や国際社会の平和を口実に、切れ目なく自衛隊の海外派兵と武力行使を解禁していくものであり、憲法第9条の平和主義を蹂躙する違憲立法であることは明白である。

 この間、与党推薦の研究者を含めて圧倒的多数の憲法研究者、元内閣法制局長官、元最高裁判所長官をはじめとする元裁判官たち、日本弁護士連合会のすべての単位会ほか弁護士グループらが、法案の違憲性を繰り返し訴えてきたが、政府与党は、これらの専門家の意見も無視し続けた。

 また、法案審議が進む中で、合憲性の根拠(砂川事件最高裁判決・政府72年見解の読み替え)が早々に破綻し、法案の必要性(立法事実)のでたらめさ加減が露呈し、限定的だと称していた集団的自衛権の行使をはじめとする自衛隊の武力の行使に何らの歯止めもないことが明らかとなっていったにもかかわらず、政府は、野党側の質問には最後までまともに答えようとはせず、そのため、各種世論調査では、国民の約8割が政府は説明不足であると回答した。

 国会の外では、今年5月の法案の国会上程以降、戦争法案に反対する国民の声が燎原の火のごとく広がっていった。各界・各分野から反対声明が続出し、若者、学生、若い母親たちが自ら声をあげ行動を起こし、数多くの地方議会や首長らが法案反対・慎重審議の決議や意見書を提出した。かつてない規模での広範な国民的共同行動の土俵を作り出した「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼びかけた8月30日の行動には、12万人もの人々が大河のように国会周辺を埋め尽くした。各種世論調査においても、法案に反対の国民は、5割から6割以上にのぼった。政府与党は、こうした広範な反対の声を無視して、あえて採決を強行した。

 こうした審議経過から明らかなことは、安倍政権が、憲法だけでなく安保条約さえも踏み越えて「日米防衛協力のための指針」(いわゆる日米ガイドライン)を優先し、主権者たる日本国民の意思よりも、米国連邦議会におけるアメリカに対する約束を重視したということである。先の参院選、衆院選では、安保法制を争点としなかったにもかかわらず、安倍政権は、あたかもナチスの授権法(全権委任法)の手口をまねるかのように、数の力にものを言わせて国民主権と議会制民主主義、権力分立を形骸化し、政府自身が60年以上にわたって維持してきた憲法解釈を覆して、憲法違反が明白な法律を制定した。戦後例をみない反立憲主義・反民主主義・反知性的な政権の暴走であり、到底許されない。

 私たち法律家6団体(構成員延べ7000名)は、これまでも憲法研究者団体、日本弁護士連合会、日本労働弁護団をはじめとする広範な法律家・法律家団体と協力して、安倍政権による戦争法案の推進に対し強く反対してきたが、本法案の可決が、立憲主義・民主主義、平和主義を踏みにじる戦後憲政史上最悪の暴挙であることに対して、改めて満身の怒りをもって抗議するとともに、今後も、広範な国民とともに、憲法9条を否定し、日本を戦争する国に変え、自衛隊員をはじめとする日本国民並びに他国民の命を奪うこの戦争法制を発動させずに廃止に追い込むため、全力を尽くす決意であることをここに表明する。

2015年9月24日

改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 代表理事 宮 里 邦 雄
自 由 法 曹 団 団 長 荒 井 新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議 長 原 和 良
日本国際法律家協会 会 長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会 会 長 佐 々 木 猛 也
日本民主法律家協会 理 事 長 森 英 樹


2015年09月28日

安保法廃止へ一丸 県内3大学有志が集会

岐阜新聞(2015年09月27日)

「若い力を支え、安保法の廃止と執行阻止を目指そう」と訴える岐阜大の近藤真教授=26日午後、岐阜市美江寺町、市民会館
 岐阜大、岐阜経済大、情報科学芸術大学院大(IAMAS)の有志が26日、3大学合同の安全保障関連法反対の集会を岐阜市美江寺町の市民会館で開き、法の廃止、執行阻止を訴えていく方針を確認した。

 各大学では8月に有志の会が発足しており、集会は法の成立後初めて開いた。関係者や市民団体のメンバーら36人が参加した。

 参加者のリレートークで、岐阜大の椎名貴彦准教授は「憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を限定的に認めるのは無理があり、違憲だ」と指摘。「可決されたが、反対の活動を終わらせてはいけない」と訴えた。

 同大の近藤真教授は「県内でも(これまで声を上げてこなかった)学生らが立ち上がっている。若い力を支え、活動の輪を広げていきたい」と話した。

 会ではこのほか、参加者を中心とした違憲訴訟の提訴が可能かどうかについても話し合った。


2015年09月27日

大阪府大・市大「統合」の計画 議会も住民も否決済み 議案提出は許されない

しんぶん赤旗(2015年9月25日付)

 橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事は、25日開会の市議会と29日開会の府議会にそれぞれ、府大・市大「統合」関連議案を提出しようとしています。

 同趣旨の「統合」関連議案は2013年11月末、日本共産党、自民党、公明党、民主系会派の反対多数で否決されたものです。また、府大・市大「統合」方針は、今年5月の住民投票で否決された「大阪都」構想に含まれており、大阪市民の民意が示された問題です。

 すでに二重に決着した問題を持ち出し、「統合」関連議案を提出することは許されません。

 府大・市大「統合」の問題点は第一に、全国と大阪の子どもの公立大学受験の機会を減らし、憲法が保障する学ぶ権利を奪うものです。第二に、「統合」は両大学が内発的に要求しているものではなく、橋下・「維新」が、学問の自由・大学の自治を蹂躙(じゅうりん)し、強権的に大学に押し付けているものです。第三に、府大と市大はそれぞれ、独自の建学の精神と伝統をもち、専門分野も独自に発展を遂げ、教育研究に重要な役割を果たしており、ムダな「二重行政」ではありません。

 こうした重大な問題点をもつ府大・市大「統合」計画は撤回すべきです。いま、府と市がやるべきは、運営費交付金を増やすことなど両大学の教育研究条件を拡充することです。

 これまでに、府大・市大名誉教授ら21氏が「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表。学内では「市民が大阪市解体を否定したいま、私たち大学人が自ら、大学のあり方を根本から問い直し、議論する必要がある」として教員有志が呼びかけた懇談会が開かれました。両大学の学生は、学生と合意のない統合の撤回を求め、卒業生らは拙速な統合に反対する運動を進めています。

 私たちは、広範な府民・市民、大学関係者と共同し、大学自治に介入し「統合」を押し付ける「維新政治」に終止符を打つため奮闘します。府大・市大の大学改革は、府民・市民の意見を十分踏まえて、大学自治を尊重して大学関係者の議論と合意で進めることが求められます。

(日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者 小林裕和)


2015年09月26日

龍谷大学有志、(声明)「平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意」

(声明)「平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意」

(声明)平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、
安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意

2015年9月21日 龍谷大学「国会で審議されている安全保障関連
法案の撤回を求める声明」呼びかけ人 
   

 9月19日の未明、参議院において「国際平和支援法案」と10本の安全保障関連法(自衛隊法等)を「改正」する「平和安全法制整備法案」が可決、成立しました。安倍晋三政権が5月14日に閣議決定し国会に提出して以降、多くの国民が法案に対して反対してきましたが、衆議院に続いて参議院でも特別委員会と本会議で強行可決されました。わたしたちはこの暴挙に対して強く抗議します。
 わたしたちは6月24日に発表した「声明」において、「法案の撤回と立憲主義にもとづいた政治の実行を求め」ました。それは、①法案は日本国憲法の立憲主義と平和主義を破壊するものであること、そして②この法案が成立すれば、学問の自由が制約され、大学における教育や研究が軍事目的のもとにおかれること、③第2次世界大戦に対する痛苦の反省から日本がめざしてきた平和国家の道を閉ざし、「戦争する国」のもとで若者たちを戦争に参加させることとなること、④龍谷大学は「建学の精神」に基づく育成すべき人間像の一つとして、「人類の対話と共存を願う『平和』の心」を謳い、それを実践する大学であること、という4つの理由からです。
 国会の審議を通じて、わたしたちの疑問や不安は決して払拭されることはありませんでした。政府の答弁は二転三転し、到底国民の理解を得られるものではありませんでした。審議が進めば進むほど法案の持つ問題点が明らかになり、国民の理解と支持は得られることはなかったのです。にもかわらず、政府・与党はごり押しともいうべき形で、数の力で(国民の反対運動の盛り上がりを恐れて)「予定通り」連休前に成立させたのです。
 わたしたちはこの事態を前にして、諦めや敗北感を感じることはありません。むしろ、この間全国で広がった広範な層が参加する運動に励まされ、今後も運動を継続していく決意を強めています。とりわけ大学生や高校生などの若者が自らの言葉で語り、創意工夫した運動を繰り広げたことは、わたしたちに希望を与えてくれました。学生たちの勇気に応えて、ともに学び、たたかっていきたいと思います。
 日本国憲法に定める平和主義と立憲主義を破壊し、民主主義を否定する政権の横暴に対して、わたしたちは平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻すために取り組んでいきます。国会で成立した安全保障関連法を「実施させない」とともに「廃止」させなければなりません。そのためには、民意を反映しない国会の構成を改めていく必要があります。わたしたちは、国民各層と連帯し戦後70年の年である2015年を「日本の平和主義・立憲主義・民主主義を再生させる」出発点としていく決意を表明します。


防衛省 研究費助成の大学公表

NHK(09月25日)

防衛装備品への活用を視野に、大学や研究機関などに、国が研究費を提供する初めての制度で、防衛省は、100件を超える応募の中から9件の採用を決めました。
採用された提案には、最大で年間3000万円が提供されます。
防衛省は、民間の先進的な技術を防衛装備品の開発に積極的に取り入れるため、大学や研究機関などに研究費を提供する初めての制度を導入し、この夏、28のテーマについて、提案を募集しました。
その結果、国内の大学や研究機関などから合わせて109件の応募があり、防衛省は初めてのケースとして9件の採用を決めました。
このうち、東京工業大学は野外での発電システムの開発、東京電機大学は無人機に搭載する高性能レーダーの開発を提案しています。
また、理化学研究所やJAXA=宇宙航空研究開発機構のほか、大手電機メーカーのパナソニックや富士通の提案などが採用されました。
採用された提案には、最大で年間3000万円が提供されます。
今回の制度について、大学の中には、基礎研究の資金が十分確保できない実情があり、歓迎するという意見がある一方、戦前の反省から軍事研究を行わないという方針があり、提案を見送った大学もあり、対応が分かれています。
防衛省は、資金を提供しても、研究成果は公開を原則とし、民間での活用を阻むことはないとしています。

安保法の廃止求める集会とデモ 札幌

NHK(9月25日)

北海道では、安全保障関連法に抗議するデモなどが法律の成立後も続いていて、25日は札幌市内で法律の廃止を求める集会とデモが行われました。
札幌市の中心部で25日夜、行われた集会は、道内ゆかりの文化人や学者の呼びかけで発足した団体が開き、主催者の発表でおよそ900人が集まりました。
集会では小樽商科大学の名誉教授で、憲法学者の結城洋一郎さんが、「憲法と民主主義を冒とくする安倍政権に対し、多くの国民が新たな闘いに立ち上がっている。絶対に戦争を許さないよう行動していきましょう」と訴えました。
安全保障関連法の成立を受けて、防衛省は南スーダンで国連のPKO活動に参加する陸上自衛隊の部隊に対し、武器を使って他国の部隊を救援するいわゆる「駆け付け警護」などの任務を新たに追加する方向で検討に入ることにしていて、今後、道内からも部隊の派遣が想定されています。
集会のあと参加者たちは、「憲法違反の法律は無効だ」、「自衛隊を戦地に送らない」などと声を上げながらデモ行進し、法律の廃止を呼びかけました。
参加した20代の女性は、「今回の強行採決は許されない。もっと国民の声を聞いてほしい」と話していました。

2015年09月25日

[大学の軍事研究] 加担の過ち繰り返すな

沖縄タイムス(2015年9月24日)

 戦争に協力した反省から、軍事研究とは一線を画してきた大学の研究者のあり方が変わるのではないか。そんな懸念が消えない。

 防衛省は軍事技術として応用可能な基礎研究に研究費を支給する公募をしていたが、少なくとも16大学が応募していたことが共同通信のアンケートで分かった。

 公募は最初から軍事技術への応用が可能な基礎研究とうたっている点が特徴だ。「安全保障技術研究推進制度」というのが正式名称で、防衛省が本年度から導入した。7月に募集を開始。28項目の研究課題について公募していた。

 「昆虫あるいは小鳥サイズの小型飛行体の実現」「微生物や化学物質を数十メートルの距離から検知識別」などが研究テーマである。

 軍事研究に大学を取り込む方針は、2013年12月に閣議決定された防衛計画大綱がすでに示している。「大学や研究機関との連携の充実等により、防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努めるとともに、民生分野への防衛技術の展開を図る」

 デュアルユースとは、生活を豊かにする民生と軍事のどちらにも利用できるという意味だ。主な研究テーマからも想定できるように、「もろ刃の剣」である。

 国立大学は法人化に伴い交付金が減少している。そこに防衛省からの公募である。本年度、約3億円が計上されており、1件当たり年間最大3千万円支給され、文部科学省の科学研究費補助金などと比べると破格である。研究者の気持ちは揺らぐに違いない。

    ■    ■

 軍事技術に応用可能な研究をうたった公募に安易に乗るのは、学問の自由を捨てるのに等しいのではないか。

 各分野の最高水準の専門家が集う日本学術会議は戦後の1949年の発足総会で、科学者が戦争に協力してきたことを強く反省し、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献する趣旨の決意表明をした。

 50年には「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」、67年には「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を繰り返し出している。

 先の大戦に深く関わった反省を踏まえ、科学者の「社会的な責務」を表明したものであろう。

 安倍政権は昨年4月、武器輸出三原則を撤廃し、防衛装備移転三原則を定めた。武器輸出の条件を緩和し、共同開発に道を開くものである。

 10月には研究開発を所管する防衛省の外局として防衛装備庁が新設される。

 今回の公募はこれらの動きに連なるものである。

    ■    ■

 英国の科学誌が「日本の学術界、軍事の侵入を懸念」と題して報じている。

 防衛省は研究成果の公開を原則としているという。だが、特定秘密保護法が施行されている。十分に情報公開されるかどうか、額面通りに受け取るわけにはいかない。

 研究は「学問の自由」の下でなされ「国策」に取り込まれることではあるまい。研究者のモラルも問われている。


東京私大教連、憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

東京私大教連
 ∟●憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

2015 年 9 月 24 日
東京私大教連中央執行委員会

 9 月 19 日未明、安倍内閣と自民・公明両党は、「集団的自衛権」を行使して日本を海外で戦争できる国に変える憲法違反の戦争法案(安全保障関連法案)を参議院本会議において強行採決し、可決・成立させました。東京私大教連中央執行委員会は、満身の怒りをもって、安倍政権に強く抗議します。

 戦争法案が明白に憲法9条に違反することは、圧倒的多数の憲法学者や学者・研究者、日弁連、最高裁元長官や歴代の内閣法制局長官などの専門家が、繰り返し指摘し、証明し、批判してきました。さらに国会審議では主要野党の徹底した追及により、立法事実の欺瞞性、集団的自衛権行使の無限定性など法案の危険性が誰の目にも明らかになりました。にもかかわらず安倍政権は、違法な手続きにより審議を一方的に打ち切り、異常きわまる強引な国会運営で採決を強行しました。これは、憲法と民主主義を破壊するクーデタに他なりません。この戦争法制は違憲・無効であり、私たちは断じて容認できません。

 大学は、憲法に立脚して、世界の平和と人類の福祉の向上のために普遍的真理を探究し、その成果を教育し普及する場です。その意味で、戦争法案の強行成立は、大学と社会全体で築き上げてきた学問研究上の蓄積、「知の到達点」を破壊し、学問と大学の基盤を堀り崩そうとする暴挙でもあります。立憲主義、平和主義、民主主義を否定する権力のもとでは、学問や言論が抑圧され、教育や研究が軍事目的に動員されることは歴史をふりかえれば明らかであり、現に安倍政権は大学と学問への攻撃を強めています。多くの学生が戦地に送り出された過去を繰り返すことは許さないという決意から、私たちも戦争法案に反対してきました。

 戦争法案と安倍政権に対して、ふつうの市民や若者たちが、自らの意思で続々と国会前や全国各地に集結し、廃案・反対の声を上げました。これに連帯して、「安全保障関連法案に反対する学者の会」を中心にして、学生、教職員はもとより卒業生や退職者も含めた私立大学「有志の会」が次々と組織され、多様な声明が発せられました。こうした広がりは、これからのたたかいに大きな展望を切り拓くものです。

 私たち東京私大教連は、社会と共同してつくりあげてきた学問の成果の破壊を許さず、憲法違反の戦争法制を一刻も早く廃止させる運動に、これからも一層強い決意をもって奮闘することをここに表明します。

以 上

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)、名誉毀損裁判で提出された秦誠一氏(名古屋大教授)の陳述書を公表します

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)

名誉毀損裁判で提出された秦誠一氏(名古屋大教授)の陳述書を公表します

2015年09月24日

大阪の公立大学のこれからを考える会、「大阪市立大学と大阪府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」提出の記者会見

特集 大阪都構想

 2015年9月17日(木)、大阪の公立大学のこれからを考える会が、「大阪市立大学と大阪府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」を市議会へ提出した。その後、大阪市北区の大阪市役所で、学生有志による記者会見が開かれた。


安保法 若者が反対集会

9月19日に成立した安全保障関連法に反対する若者たちが北九州市で集会を開き、「あきらめずに 反対の声をあげ続けよう」などと訴えました。
小倉北区の公園で開かれた集会は、安全保障関連法に反対する若者グループ「FYMkita9」の
呼びかけで開かれ、主催者の発表でおよそ1500人が参加しました。
集会では、九州大学3年の崔春海さんが「多くの反対の声の中で立憲主義が破壊され民主主義が踏みにじられた。憲法に違反した安保法制の廃止を目指して声をあげ続けよう」と呼びかけました。
また、関西学院大学4年生の寺田ともかさんは、アメリカの公民権運動が人種差別の法律を撤廃させた例をあげて、「自分にできること、言うべきことがあるなら何度でも声を上げ続けようと思う」と決意を述べました。
会場では、幅広い世代の人たちが「憲法守れ」などと書いたプラカードを手に、「採決撤回」「集団的自衛権は憲法違反」などと声を合わせていました。
みやこ町の30代の女性は「採決で終わりだとは思っていません。
主権者としてどんなことができるか身近な人と思いを共有していきたい」と話していました。

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安保関連法への抗議継続 市民団体ら声明

2015年09月23日

国立大、「文系改革」に揺れる 文科省通知「廃止」言及

朝日新聞(2015年9月22日14時58分)

 全86校の国立大に対し文部科学省が6月に出した通知が波紋を呼んでいる。「廃止」という言葉を使って人文社会系学部の見直しを迫り、それに対応する大学も出始めた。一方で強い批判もあり、文科省は火消しに追われている。

 「とうとうきたか……。戦時中の文系学生の学徒動員や高度成長期の理系偏重をほうふつとさせる」。文科省の通知に、滋賀大の佐和隆光学長はそう思った。

 通知は「特に教員養成系、人文社会科学系学部・大学院については、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組む」と統廃合にも言及していた。経済と教育の2学部体制の滋賀大への影響は大きいという。

 佐和学長は、産業競争力会議や文科省の有識者会議で「社会の要請に応えていない」「職業訓練大学に変えろ」と指摘されるたびに危機感を抱いてきた。「このままでは運営費交付金を削減され、極貧大学になる」。対策として滋賀大は2017年度、文理融合のデータサイエンス学部を新設。統計学と情報工学などを使ってビッグデータを解析し、新たな価値を創造する人材を育てる。経済・教育両学部の定員を減らして新学部に回すという。

 人文社会系学部の見直しを検討する国立大は多い。

 弘前大は16年度、教育学部の定員を70人減とし、人文学部を人文社会科学部に変えて80人減らす。一方で理工学部は学科の新設などで60人増やす。「大学の役割の再定義を踏まえた結果」(広報)という。

 千葉大が16年度に新設する「国際教養学部」は人文社会科学、自然科学、生命科学の学問分野にまたがる。定員の90人は、教育学、文学、理学、工学、園芸学部を減らして捻出する。小沢弘明副学長は「ここ十数年、すぐ役立つ人材を育てるとか、企業がそれを要望するとかの流れがある。正しく大学の自治があれば、通知にどう対応するかは大学の考え方、見識しだいだ」と話す。

 国立で唯一「芸術大学」を名乗る東京芸術大学も、文系学部の危機を前に「明治時代の開学以来」という改革に取り組む。「このままでは生き残れない。不退転の覚悟で世界最高峰を目指す」と宮田亮平学長。この7、8年で芸術系離れが進み、同大の受験者数は美術学部で約33%、音楽学部で約25%減ったという。

 改革の中心はグローバル化だ。昨年、芸術系大学で唯一、国のスーパーグローバル大学に認定された。最大3億円の支援を受け、美術学部は海外の4校と連携を進める。同学部の学生たちは7月から、パリの国立高等美術学校の学生と2人1組で「私と自然」がテーマのパフォーマンスを制作。英語で話し合い、竹や布などの素材を集め、所作を考えた。

 フランスの学生からは「原発事故」から「軽トラック」まで社会問題や文化と結びつけたキーワードが飛び出した。

 作品は8月に国内外の芸術家が参加して新潟県で開かれた「大地の芸術祭」で発表された。「危険なものとの歩み寄り」を表現した彫刻専攻の大学院生角田里紗さん(23)は「今までは1人で黙々と素材を触っていた。フランスの学生のアイデアは刺激的で、社会への発信力が身についた」。

 保科豊巳美術学部長は「学生には国際的な芸術祭で公開できるレベルを求めた。グローバルに考えた問題意識を社会に出せないと、世界で活躍する芸術家になれない」と考える。沢和樹音楽学部長は「今は例えば、芸術家を世界平和にどう役立たせるのか、自分の存在感をどう打ち出すのかが問われている」と話す。(石山英明、河原田慎一)

■文科省、批判対策に苦慮

 大学が自主的に再編を続ける一方、通知を出した文科省は文系軽視との批判を受け、火消しに追われる。

 18日、2千人以上の科学者でつくる日本学術会議の幹事会。文科省の常盤豊・高等教育局長は、文系を廃止して自然科学系に転換すべきだという意味ではない、と明確に否定した。7月に学術会議から「人文社会科学の軽視は大学教育を底の浅いものにしかねない」と批判されたためだ。

 経団連も9日、安易な文系見直しに反対する声明を出した。下村博文文科相は11日の記者会見で「非常に誤解を与える文章だった」と通知の不備を認め、「廃止」の対象は少子化で需要が減る教員養成系で、人文社会系には改善を求めるというのが真意だったと説明。「経済界が即戦力を求めているからこうしたなんて一言も書いてないし、思っていない」と話した。

 文科省によると、専門分野が細分化されて人文社会系の教育が「たこつぼ化」していることや、どんな人材を社会に送りたいかの説明が足りないことなどの課題があるという。幹部は「人文社会系はむしろ重要で、積極的に対応してほしいとのメッセージ」と説明する。

 国立大の収入の4割を占める運営費交付金は年間約1・1兆円。なるべく特長のある分野に投資しようと、文科省は12~14年、各大学に強みとなる教育や研究の洗い出しを求めた。その結果、人文社会系の課題が大きかったという。

 文科省の通知案を了承した「国立大学法人評価委員会」委員の河田悌一・日本私立学校振興・共済事業団理事長は、国立大人文社会系には、ほとんど勉強しなくても単位が得られる科目があるなどの課題を指摘する。「多額の交付金に守られ、社会でどんな役割を果たすのか説明してこなかった」。少子化の中、改革しなければつぶれる。そんな私立大なら当然の意識も乏しかったという。(高浜行人)

■研究・教育のバランスを

 〈本田由紀・東京大大学院教授(教育社会学)〉国立大の人文社会系学部は、学生や社会の側に立って授業の魅力を十分説明できていない面もある。また、分野によって専門知識の習得や社会問題への関心の喚起が乏しいなどそれぞれ課題があり、カリキュラムの偏りを正す工夫の余地がある。財政事情が苦しい中、投資に見合った人材育成を求める国の考えにもそれなりの背景はある。ただ、教員が減るなどして結果的に人文社会系分野の研究が衰退するとすれば問題だ。これ以上国に改革の口実を与えないよう、大学院などで研究機能を維持しつつ、教育では組織や内容を工夫するなどバランスの取れた改革が必要だ。


国立大学協会、AO・推薦の入学定員拡大 改革プランまとめる

SankeiBiz(2015.9.22)

 国立大学協会は書類や面接などで選考するアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試、海外の大学の入学資格「国際バカロレア」取得者対象の入試の合格者を、入学定員の30%に拡大することなどを盛り込んだ改革プランをまとめた。

 来春の平成28年度入試では東大が推薦入試を導入、京大もセンター試験や面接による「特色入試」をするなど、AO・推薦入試を実施する国立大は増加しているが、募集定員は全体の約15%にとどまっている。

 文部科学省も大学入試改革を議論しているが、国立大の規模や環境はさまざまで、全ての大学が改革を推進するためには体制整備など課題は多そうだ。

 国立大学協会は、各国が高等教育への投資に力を入れている海外の状況、少子化や厳しい財政状況といった国内の事情を挙げ、抜本的な改革の必要があると指摘。改革プランへの取り組みを28~33年度に開始し、実行するとした。


山形大、女性研究者のすそ野拡大へ支援 育児と研究、両立可能な環境整備

山形新聞(2015年09月22日)

 山形大は、女性研究者のすそ野拡大と研究力向上を図るため、県立米沢栄養大、大日本印刷(東京)研究開発センターと連携した活躍支援事業を展開する。文部科学省の科学技術人材育成費補助事業に採択され、2020年までの6年間、育児と仕事が両立可能な環境整備に努める計画。10月23日に米沢市内で一般向けセミナーを開き、取り組みを紹介する。

 山形大が研究を進める有機エレクトロニクスに関し、事業の一つ「フロンティア有機システムイノベーション拠点」が今春、文科省と科学技術振興機構の支援プログラムに採択された。同大の関連施設を統括し、有機材料の研究拠点化を推進する試み。県立米沢栄養大、大日本印刷研究開発センターと共に取り組んでいる。有機エレクトロニクスに携わる女性研究者が少ないことを背景に、2機関と連携して活躍支援事業を手掛ける。

 文科省からは年間6千万円を上限に3年間の支援を受け、その後の3年間は独自に継続、7年目に実績報告書をまとめる予定。具体的には、育休から復帰した際の研究費支援や相談員の派遣をはじめ、女性研究者を増やすため大学・企業間の人事交流などを挙げている。

 日本の女性研究者の割合は諸外国に比べて低く、総務省などの調査によると13年度は14・4%なのに対し、欧州と米国は25~35%となっている。山形大の女性教員、研究者の割合は約14%で、6年後には20%を目指している。小山清人学長は「数値目標を高く事業を進めたい。女性研究者が活躍できる環境を企業と共に整えたい」としている。

 3機関によるダイバーシティ連携推進会議を10月1日、米沢市の山形大工学部キャンパスに設置して事業展開する。第1弾の取り組みとして10月23日午後1時から、工学部内で今後の方向性や研究内容を紹介するセミナーを開く。


2015年09月22日

安保関連法案に反対する立命館学園有志の会、「緊急声明

安保関連法案に反対する立命館有志の会「緊急声明」

安保関連法案に反対する立命館学園有志の会「緊急声明

 2015年9月19日、参議院本会議で安保関連法案が可決されました。立命館学園に所属する私たちは、2006年に制定した「教育・研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献する」と規定する立命館憲章の精神に基づき、その理念に根底から背馳する安保関連法案に反対する声明を発しましたが、今日までに多くの立命館関係者から支持・賛同の声が寄せられました。こうした声を無視して、「一見極めて明白に違憲」の法律が強引に採決されたことに、強く抗議します。

 独裁的で反知性的な手法によって、《平和主義》を葬ろうとしている安倍内閣に恐怖を覚えます。

 国民多数の反対の声を無視して、みずからの手で《立憲主義》を葬った与党および賛成各党に怒りと失望を覚えます。

 しかし、世代・立場・信条を越えて「安保法制反対」の一点で結びついてきた全国の力強い動きを前にして、私たちは《民主主義》への新たな希望を実感しています。

 私たち立命館学園有志の会は、この《民主主義》の力を確信し、日本の《平和主義》と《立憲主義》を回復させるために、粘り強く声を上げ続けます。

 安保関連法は「一見極めて明白に違憲」である以上、国会を「通過」しても、違憲であることには変わりありません。

 この法律に基づく措置や命令は、すべて違憲にして無効です。私たちは、政府が安保関連法を実際に適用しないよう、反対の声を発し続けます。

 安保関連法の成立により、新たな軍事化への動きが加速され、私たちの意思に反して日本国民が敵対視されるような事態の発生も懸念されます。私たちは、教育・研究の場に負託された社会的使命を全うすべく、さらに批判を続けます。

 私たちは、各々の専門分野における学知と個人の良識、また教育の場にある者としての責任感にもとづき、あらゆる機会と手段を通じて安保関連法を廃止に追い込む覚悟です。そのことこそが、将来の世界と日本の平和と安全にとって不可欠であると確信するからです。

2015年9月19日
安保関連法案に反対する立命館学園有志の会

立憲デモクラシーの会、安保法案強行採決に対する抗議声明

立憲デモクラシーの会
 ∟●安保法案強行採決に対する抗議声明

安保法案強行採決に対する抗議声明

2015年9月19日

立憲デモクラシーの会

 安倍内閣および自民・公明両党が、違憲であることが明白な安全保障関連法案を強行採決により成立させたことに、強く抗議する。

 集団的自衛権を行使できるようにすることを眼目とするこの安保法案が憲法9条に違反していることは、最高裁判所長官、最高裁判所判事、内閣法制局長官の経験者、日本弁護士連合会さらに大半の憲法学者をはじめとして、多くの法律の専門家が繰り返し指摘してきた。これらの批判、疑問は、日本が法治国家であるためにこれだけは譲れないという、法律家としての職業倫理に基づく警告であった。

 一般国民の多くも、安保法案の内容を理解するにつれて疑問を持ち、法案の成立に反対するための運動に参加した。各種世論調査でも、この通常国会における安保法案の成立に対しては反対意見が圧倒的多数に上った。

 国会内では、野党が法案の矛盾や曖昧さを徹底的に追及し、審議は頻繁に中断した。そして、政府側の答弁は参議院平和安全法制特別委員会の最終段階においても二転、三転し、安倍晋三首相と中谷元防衛大臣こそ、この法案の内容を的確に理解していないことが露呈した。説明責任が果たされないことによる国会審議の空洞化は、日本の議会政治の歴史に残る大きな汚点である。

 立法事実や論理的整合性に多くの疑問が残るなか、強引に法案を成立させた政府・与党の行為は、多年に亘る政府見解や法実践によって確立した憲法秩序を破壊し、法的安定性を覆すクーデターとも言いうる。政治権力は憲法の制約のもとに運用されなければならないという立憲主義を否定するなら、日本はもはや法治国家ではなくなり、人がほしいままに権力を動かす人治国家に転落する。

 他方、立憲主義の危機に際して、今まで政治的な表現を積極的にはしてこなかった人々が政治に対して声を上げた。この経験は、日本に新たな民主主義の文化が生まれていることを告げている。我々は、こうした人々の「主権者でありたい」という意志と関心に応えて、憲法と民主政治について問い、語りかけることを続けたい。そして、引き続き安保法制の違憲性を指摘し、この法律の運用を監視していく。また、この違憲の法律を廃止し、日本に立憲デモクラシーを回復するためにあらゆる努力を行う決意である。


2015年09月21日

安全保障関連法に反対する学者の会、「抗議声明」

安全保障関連法に反対する学者の会
 ∟●抗議声明

抗議声明

 二〇一五年九月一九日未明、与党自由民主党と公明党およびそれに迎合する野党三党は、前々日の参議院特別委員会の抜き打ち強行採決を受け、戦争法案以外の何ものでもない安全保障関連法案を参議院本会議で可決し成立させた。私たちは満身の怒りと憤りを込めて、この採決に断固として抗議する。

 国民の六割以上が反対し、大多数が今国会で成立させるべきではないと表明しているなかでの強行採決は、「国権の最高機関」であるはずの国会を、「最高責任者」を自称する首相の単なる追認機関におとしめる、議会制民主主義の蹂躙である。

 また圧倒的多数の憲法学者と学識経験者はもとより、歴代の内閣法制局長官が、衆参両委員会で安保法案は「違憲」だと表明し、参院での審議過程においては最高裁判所元長官が、明確に憲法違反の法案であると公表したなかでの強行採決は、立憲主義に対する冒涜にほかならない。

 歴代の政権が憲法違反と言明してきた集団的自衛権の行使を、解釈改憲にもとづいて法案化したこと自体が立憲主義と民主主義を侵犯するものであり、戦争を可能にする違憲法案の強行採決は、憲法九条のもとで六八年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙である。

 こうした第三次安倍政権による、立憲主義と民主主義と平和主義を破壊する暴走に対し、多くの国民が自らの意思で立ち上がり抗議の声をあげ続けてきた。戦争法案の閣議決定直前の五月一二日、二八〇〇人だった東京の反対集会の参加者は、衆院強行採決前後の七月一四日から一七日にかけて、四日連続で、国会周辺を二万人以上で包囲するにいたった。そして八月三〇日の行動においては十二万人の人々が、国会周辺を埋めつくした。

 これらの運動は「戦争をさせない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会」が、政治党派はもとより、思想や信条もこえた共同を実現するためにあらゆる努力をしてきたことによって形成された。「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生たちの「SEALDs」、そして日本弁護士連合会との共同行動も、こうした新しい運動の繋がりのなかで実現した。

 「安全保障関連法案に反対する学者の会」は学問と良識の名において組織され、発起人と呼びかけ人が発表した声明に、賛同署名を呼びかける活動によって一気に全国に拡がった。六月一五日と七月二〇日の記者会見後、各大学において有志の会が組織され、学生、教職員はもとより、卒業生や退職者も含めた、それぞれに独自で多様な声明が発せられて、集会が開かれ、パレードが行われた。「学者の会」に寄せられた署名者の数は現在、学者・研究者一万四一二〇人、市民三万九五七人に達し、声明等の行動に立ち上がった大学は一四〇大学以上に及んでいる。私たち「学者の会」は、知性と理性に反する現政権の政策を認めることはできないし、学問の軍事利用も容認することはできない。

 戦後七〇年の節目の年に、日本を戦争国家に転換させようとする現政権に対し、一人ひとりの個人が、日本国憲法が「保障する自由及び権利」を「保持」するための「不断の努力」(憲法第十二条)を決意した主権者として立ち上がり、行動に移したのである。私たち「学者の会」も、この一翼を担っている。

 この闘いをとおして、日本社会のあらゆる世代と階層の間で、新しい対等な連帯にもとづく立憲主義と民主主義と平和主義を希求する運動が生まれ続けている。この運動の思想は、路上から国会にもたらされ、地殻変動のごとく市民社会を揺るがし、生活の日常に根を下ろしつつある。ここに私たちの闘いの成果と希望がある。

 私たちはここに、安倍政権の独裁的な暴挙に憤りをもって抗議し、あらためて日本国憲法を高く掲げて、この違憲立法の適用を許さず廃止へと追い込む運動へと歩みを進めることを、主権者としての自覚と決意をこめて表明する。

二〇一五年九月二〇日
安全保障関連法に反対する学者の会

安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の続行を求める申し入れ

「安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れ」への賛同のお願い(至急)

2015年9月25日

参議院議長 山崎正昭 様

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」委員長 鴻池祥肇 様

安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の続行を求める申し入れ

市民有志

 参議院に設置された「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「特別委」)は、2015年9月17日、同特別委に審議を付託された安保関連法案等計5件の採決を行い、いずれも賛成多数で可決されたと言われています。
 しかし、採決が行われたとされる同日16時30分頃の委員会室の模様を参議院のインターネット中継やテレビの中継・録画で視る限り、鴻池委員長席の周囲は与野党議員によって何重にも取り囲まれ、委員長の議事進行の声を委員が聴き取れる状況になかったことは一目瞭然です。また、委員長も動議提出の声を聴き取り、各委員の起立を確認できる状況になかったことは明らかです。

 こうした状況の中で、採決というに足る手続きが踏まれたとは到底言えません。また、委員会室にいた特別委の委員自身も、「可決はされていません。・・・・委員長が何を言ったかわからない。いつ動議を出したのか、採決されたのかわからない」(福山哲郎委員)、「いったい何がおきたのか、そもそも動議が出たのかどうかも、委員長が何を発言したのかも誰もわからない。そして、私は自民党席の前にいたが、彼らも何もわからないまま立っていただけですよ」(井上哲士委員)と語っています。実際、速記録(未定稿)でも「議場騒然、聴取不能」と記されるのみで、議事の進行を記す委員長の発言も質疑打ち切り動議の提案も記されていません。

 こうした一連の事実と状況に照らせば、上記5件の「採決」なるものは、参議院規則が定めた「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する」(第136条)、「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する」(第137条)という表決の要件を充たしていないことは明らかです。
 国会での審議が進めば進むほど違憲の疑いが深まった安保関連法案を参議院規則まで踏みにじり、締め括りの質疑も省いて、「採決」なるものを強行したことは憲政史上、稀にみる暴挙です。
 以上から、私たちは貴職に対し、次のことを申し入れます。

1. 私たちは5件の「採決」と称されるものは、すべて採決の要件を充たさず、採決は不存在であると考えます。貴職がこうした私たちの見解を受け入れないのであれば、参議院規則にもとづいて反証されるよう、求めます。
2. 「採決」が存在しない以上、安保関連法案の審議は未了です。よって、改めて所定の手続きを取り、法案の審議を再開されるよう求めます。


安保法案に集団違憲訴訟へ 弁護団長の小林節氏、安倍首相を厳しく批判

The Huffington Post(2015年09月20日)

9月19日未明に成立した安全保障関連法案に対し、反対するグループは年内にも集団違憲訴訟を起こそうと準備を進めている。

山中光茂・三重県松阪市長が結成した市民団体は、法律が憲法9条に違反し、平和に暮らす権利が損なわれるとして、国に賠償を求める違憲訴訟に踏み切る方針だ。時事ドットコムによると、賛同する地方議員らと1万人規模の原告団を目指し、参加者を募っている。弁護団長には国会などで法案を厳しく批判してきた弁護士の小林節・慶応大名誉教授が就任する予定。

■改憲派ながら安倍首相を批判「天下国家を司る器ではない」

小林氏はもともと、改憲派の学者として、改憲を党是とする自民党の議論を主導してきた。

北朝鮮の核開発を契機に朝鮮半島に軍事的緊張が高まった1994年6月には、読売新聞のインタビューに「米国と国連を中心とした北朝鮮に対する圧力に、積極的に協力すべきだ」と述べ「国内的には、長期的に見ると有事法制の整備と、その前提になる憲法九条の改正をすべきだし、短期的には集団的自衛権の行使と海外派兵を認めない九条に対する政府の有権解釈(注・国家機関の行う、拘束力を持つ法の解釈)を変更すべきだ」と主張している(1994年6月10日付朝刊)。

しかし、2012年末に2度目の首相に就任した安倍晋三氏が、衆参3分の2以上の賛成を定めた憲法96条の規定を改正し「2分の1以上」に緩和することに意欲を見せると、これを強く批判した。

「権力者も人間、神様じゃない。堕落し、時のムードに乗っかって勝手なことをやり始める恐れは常にある。その歯止めになるのが憲法。つまり国民が権力者を縛るための道具なんだよ。それが立憲主義、近代国家の原則。だからこそモノの弾みのような多数決で変えられないよう、96条であえてがっちり固めているんだ。それなのに……」。静かな大学研究室で、小林さんの頭から今にも湯気が噴き出る音が聞こえそうだ。

「縛られた当事者が『やりたいことができないから』と改正ルールの緩和を言い出すなんて本末転倒、憲法の本質を無視した暴挙だよ。近代国家の否定だ。9条でも何でも自民党が思い通りに改憲したいなら、国民が納得する改正案を示して選挙に勝ちゃいいんだ。それが正道というものでしょう」

(毎日新聞2013年4月9日付夕刊)

改憲派の小林氏らの批判がきっかけとなり「96条先行改正論」、つまり先に憲法改正のハードルを下げて9条改正を目指すという議論は急速にしぼんだ。

安倍首相は「解釈改憲」に方針転換し、2014年7月、閣議決定で集団的自衛権を容認し、安保法案を提出したが、小林氏は、根拠とした1959年の「砂川事件」最高裁判決の解釈を「問われたのは在日米軍基地の合憲性。日本の集団的自衛権なんかどこも問われていない」と指摘。さらに安倍首相を「『丁寧に説明する』という言葉だけは出たけど、丁寧に説明されたという実感は一度もありません。説明を求めると、全然関係ないことをとうとうとしゃべる。本当に卑怯な手だと思います。天下国家を司る人の器ではない」と厳しく批判している。

安保法案を巡っては、2015年6月4日の衆院憲法審査会で、有識者として呼ばれた憲法学者が、与党推薦を含め3人とも「安保法案は憲法違反」との見解を示し、話題となった。小林氏はこのとき、民主党推薦で出席し、反対意見を述べた。

6月15日の日本記者クラブの会見では、「専守防衛」の概念を以下のように説明し、法案に反対意思を示している。


軍隊というのは戦争に勝つことが最優先ですから、大量破壊、大量殺人など、普通に考えたら犯罪です。例外的に戦場でどさくさ紛れに強盗、強姦すると軍法で裁かれる。だから軍法会議という、大量殺人と大量破壊を問題にしない法廷が特別につくられる。だけど日本国憲法は76条2項で軍法会議も禁止している。つまり軍隊を持つことは許されていないんですよ。(中略)

海上自衛隊を外に出したら、交戦権はないし軍法会議はない。国際法的にはただの海賊です。捕まったら刑事処分を受けてしまう。当然の帰結として、我が国は海外へ兵隊を出せない。(中略)だから専守防衛というがんじがらめの中で、我が国は他国防衛のために海外派兵を本質とする集団的自衛権はそもそも行使できない。

(安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判(会見詳報)より 2015/06/15 21:58)


安保関連法で学者170人が会見 「暴挙」の声明

NHK(9月20日 20時21分)

19日に国会で成立した安全保障関連法について、およそ170人の学者が東京都内で会見を開き、「憲法9条の下で持続してきた平和主義を捨て去る暴挙だ」とする声明を発表しました。
会見を開いたのは、安全保障関連法に反対する、さまざまな分野の学者や研究者、およそ170人です。
会見ではまず、教育学が専門の学習院大学の佐藤学教授が、「戦争を可能にする違憲法案の強行採決は、憲法9条の下で68年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙だ」などとする声明を発表しました。
続いて、憲法学を専門とする、早稲田大学の水島朝穂教授が、「法律が憲法違反であることを国民が忘れないように、直ちに議員立法で廃止法案を提出するべきだ」と訴えました。
さらに、経済学が専門の青山学院大学の間宮陽介特任教授は、「われわれの運動は、新しい民主主義という動きを作り出した。これからが本当の闘いだ」と述べました。
法律に反対する学者や研究者の有志のグループは、全国の140を超える大学に広がっていて、今後、各地で学生などと連帯して運動を広げていきたいとしています。
会見のあと、日本学術会議の前の会長で専修大学の廣渡清吾教授は、「今後は、それぞれの大学単位で、学者と学生が連携する運動に対して、1つの行動目標を示したい。さらに、司法で、法律の違憲性を追及していくことが重要だと、法律家に問題提起したい」と述べ、法律の違憲性を引き続き訴えていく考えを示しました。

市大・府大学生有志の会「大阪市立大学と大阪府立大学について,学生との合意のない統合はやめてください」

大阪 開業支援室

学生との合意のない統合はやめてください―陳情書を提出

「大阪市立大学と大阪府立大学について,学生との合意のない統合はやめてください」


2015年09月20日

自由法曹団、戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

自由法曹団
 ∟●戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

 本日未明、政府・与党は、9月17日の特別委員会での暴力的な強行採決に続き、参議院本会議で戦争法制(安保一括法案・国際平和支援法案)の採決を強行した。自由法曹団と全国2100名余の団員弁護士は、政府・与党の暴挙に満腔の憤りをもって抗議する。

 戦争法制は、集団的自衛権を行使して米国の戦争に参戦するとともに、米軍等の兵站支援(重要影響事態法・国際平和支援法)、治安維持活動と任務遂行のための武器使用(PKO法)、米軍等の武器防護のための武器使用(自衛隊法)などを認め、いつでもどこででも切れ目なく戦争に突入できるようにするものである。

 自由法曹団は6次にわたる意見書を発表し、本質や問題点を明らかにしてきた。戦争法制はまごうことなき違憲立法であり、そのことは圧倒的多数の憲法研究者や歴代内閣法制局長官、最高裁判所元長官らが、憲法違反と断定していることからも明らかである。

 国会審議を通じて、「大量破壊兵器の輸送・補給すら可能」「米軍の武器防護が戦争に直結」など無限定性や危険性がますます明らかになり、安倍晋三首相が言い続けた「邦人母子の乗った米艦防護」「ホルムズ海峡の機雷敷設」の「立法事実」が「絵空事」であることも明白になった。統合幕僚長の訪米協議録などによって、制服幹部の先取り検討や米日軍事一体化の進行も白日のもとにさらされた。

 こうしたなか、日を追うごとに法案反対の声が強まり、「成立の必要なし」が68%に対し、「必要」は20%にすぎなかった(9月12、13日 朝日・世論調査)。弁護士が全員加入する日本弁護士連合会や弁護士会が強く反対したのをはじめ、各界・各分野から反対の声がまき起こり、青年・学生は「SEALDs」などに結集して行動に立ち、「ママの会」などに集まる女性の活動も全国に広がった。8月30日には12万人が国会周辺を埋め尽くし、1千か所以上で数十万人が行動した。かつてない規模で広がった地方・地域の運動の地響きが国会を揺るがし続け、採決を強行した国会は怒りの声に包囲された。

 戦争法制は強行されたが、国民の力は政府・与党を圧倒した。 圧倒的な反対の声に逆らった強行は、平和主義・立憲主義を蹂躙するばかりか、国民主権と民主主義をも踏みにじるものであり、違憲立法にはいかなる効力もない。

 違憲立法・戦争法制は速やかに廃止されねばならず、仮にも発動されることがあってはならない。国民は、平和憲法を守った平和的な国際貢献を求め、憲法を破壊する安倍政権の退陣を要求している。

 戦争法制阻止に結集した力は、違憲立法の廃止と戦争阻止・発動阻止のたたかいに前進し、明文改憲を阻止し安倍政権を退陣させるたたかいに発展しなければならない。

 自由法曹団は、ともにたたかった皆さんにさらなるたたかいを呼びかけるとともに、自由法曹団みずからも全力でたたかう決意を表明する。

2015年 9月19日
自 由 法 曹 団
団 長 荒 井 新 二

日弁連、安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

日弁連
 ∟●安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

本日、参議院本会議において、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)が採決された。

当連合会はこれまで、昨年7月1日の閣議決定及び本法案について、政府が憲法第9条の解釈を変更し、これを踏まえて法律によって集団的自衛権の行使を容認することは、憲法の立憲主義の基本理念、恒久平和主義及び国民主権の基本原理に違反することを、繰り返し指摘してきた。また、後方支援の拡大や武器使用の拡大等の立法も、自衛隊が海外において武力の行使に至る危険性を高めるものとして、同様に憲法に違反することを指摘し続けてきた。

本法案の国会審議が始まってからは、衆議院憲法審査会における3名の参考人をはじめとする多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が、本法案の違憲性を指摘するに至った。

これに対し、国会における政府の説明は極めて不十分であり、本法案に対する国民の理解は深まることなく、今国会での本法案の成立に反対する意見が世論調査の多数を占めていた。こうした民意を無視して十分な審議を尽くさないまま、参議院特別委員会が採決を強行し、参議院本会議において本法案が採決されたことは、立憲民主主義国家としての我が国の歴史に大きな汚点を残したものであり、強く抗議する。

これまで、学生や子を持つ母親などを含む様々な人々が、デモや集会に参加するなど、本法案に反対する動きが全国各地に広がったが、このことは、我が国の民主主義の健全性をあらためて示したものといえる。当連合会は、今後も国民・市民とともに、戦後70年間継続した我が国の平和国家としての有り様を堅持すべく、改正された各法律及び国際平和支援法の適用・運用に反対し、さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。

2015年(平成27年)9月19日
日本弁護士連合会      
 会長 村 越   進
 

「悲壮感はない、怒りと憤りだ」~議事堂を揺るがす「採決撤回!」のコール

レイバーネット

 「戦争法案」の参院本会議採決は野党の抵抗と4万人をこえる国会包囲の力で、9月18日中の採決を許さなかった。日にちをまたぎ終電がなくなっても、国会周辺には千人を超える人々がいた。そして「野党ガンバレ」の声を上げ続けた。午前2時18分、本会議可決をスマホの中継画面で確認したシールズの奥田愛基さんは、間髪入れずに「採決撤回!」と叫んだ。怒りの大コールが深夜の議事堂を揺るがした。「ここには悲壮感はない。怒りと憤りだ」と語る奥田さん。続けて「賛成議員を落選させよう」のコールが上がった。もう次の運動が始まっているのだ。野党議員も議場から次々に報告に来た。「一人牛歩」をやった山本太郎さんは「首相はわが国の一番大切なものをアメリカに差し上げてしまった。大切なものなので返してもらうしかない。それができる政権をつくっていこう。いまからですよ」と呼びかけた。違憲立法のごり押し、そして本会議でも発言時間を制限するなど、最後まで安倍暴走は際立っていた。(M)

安保関連法成立に各地で抗議 新聞報道

安保関連法成立に各地で抗議 西宮でも250人
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201509/0008411054.shtml

安保関連法成立に列島各地で抗議 「この日を忘れない」
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20150919000120

安保法案の強行採決、新潟県弁護士会の会長コメントに法曹界どよめく
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/19/security-bills-niigata_n_8162424.html

抗議の訴え、これからも 市民ら国会前で傍聴席で
http://www.asahi.com/articles/ASH9M0NV5H9LUTIL0BP.html

安保法成立 自衛隊は半年以内に準備必要
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010242161000.html

安保法成立 専門家の受け止め
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010242151000.html

安保関連法成立で県内は
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4065060361.html

“安保政策 大転換へ” さまざまな声
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241931000.html

安保法案 学生はどう考える
http://www.asahi.com/articles/CMTW1509190300002.html

安保法制 それでも「ノー」 県内各地で抗議続く
http://www.shinmai.co.jp/news/20150919/KT150918FTI090044000.php

「立憲主義」を軽視 9条従来解釈と矛盾
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015091902000114.html

安保法制「成立後も厳しくチェック」 聖学院大・石川教授「自衛官にもリスキー」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150919/CK2015091902000148.html

安保法案、上げ続ける反対の声 「戦争への道」再来懸念
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201509/0008408955.shtml

<安保法案>仙台「被災地忘れるな」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150919_13014.html

安倍政権に絶望 県庁前、安保法案反対に1500人怒りの声
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-249123-storytopic-3.html

社説[安保法成立]路上の意思に見る希望
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133566

【安保関連法案】「可決しても反対終わらない」 国会前、栃木県内からもうねり
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20150919/2087744

安全保障関連法 合憲性巡り裁判へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241581000.html

安保法案が成立 SEALDs 奥田愛基さん「民主主義は終わらない、絶対あきらめねーぞ!」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/18/security-bills_n_8158068.html

2015年09月19日

専修大学北海道短期大学副学長解雇事件、札幌地裁の不当判決に対する声明(2015年9月18日)

原告団・弁護団・教職員組合・北海道私大教連「声明」

札幌地裁の不当判決に対する声明

(1) 札幌地方裁判所民事第五部合議係は、本日、専修大学北海道短期大学副学長の解雇無効等請求事件(平成25年(ワ)第2232号)において、8教員の地裁・高裁判決と同じく学校法人専修大学の行った解雇を容認する不当判決をした。

(2) 学校法人専修大学は、教員の配置転換等検討も全く行うことなく専修大学北海道短大を突然募集停止し、希望退職に応じなかった8教員を平成25年3月をもって解雇し、さらに翌3月には、副学長であった原告も解雇した。

(3) 本日の札幌地裁判決は、解雇の必要性がないことおよび解雇が不合理であることを示す数々の証拠を無視し、被告学校法人専修大学の主張をほぼ鵜呑みにして「原告らは北海道短大を勤務場所として採用されたもので、北海道短大の廃止により原告らは余剰人員になる。「北海道短大の帰属収支差額が赤字であり、法人全体としても財務状況が悪かった」などとして、解雇の必要性を認めた。このような判断は、不当な解雇や雇い止め派遣切りなどが多発する現状を容認し、さらに助長・促進するものだと言える。

(4) また、判決は、被告学校法人専修大学が学部の教学事項であることを口実として経営者として当然なすべき解雇回避努力をほとんど何もしていないにもかかわらず、解雇回避努力をしたとして整理解雇を有効と認めた。このことは、長年裁判所が整理解雇の有効性の判断の拠りどころとしてきた判例法理を実質的に覆すものであり、極めて不当な判断であると言わざるをえない。

(5) 学校法人専修大学の経営状態は他の学校法人と比較しても良好であり、東京の大学本部がある神田校舎周辺の土地を買収し続け、巨額の財政支出を行うほどの余裕もある状況である。したがって、仮に専修大学北海道短大を閉学するとしても、その教員を解雇する理由はない。被告は、原告を含む解雇した教員に謝罪し、解雇後の未払い賃金を支払い、配置転換を実施すべきである。

(6) われわれは、これまで、長期間にわたって支援をしていただいた多くの団体、個人の方々に心から感謝するとともに、控訴審での勝利と、8教員の解雇訴訟についての最高裁での勝利のために、そして、一刻も早く学校法人専修大学の理不尽な「解雇」を撤回させ、全教員の専修大学等への配置転換の実施による全面解決を実現するために全力で奮闘することを決意する次第である。

専修大学北海道短期大学不当解雇事件原告団
専修大学北海道短期大学不当解雇事件弁護団
専修大学北海道短期大学教員組合
北海道私立大学教職員組合連合

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決の不存在確認および審議の再開を求める弁護士有志声明

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決の不存在確認および審議の再開を求める弁護士有志声明

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「委員会」)は、平成27年9月17日午後4時30分頃、野党が出した鴻池祥肇(よしただ)委員長の不信任動議を賛成少数で否決し,その後、鴻池氏が委員長席に戻ったあとで、これまでの審議を締めくくる総括質疑を行わないまま、採決を強行したと報道されている。

しかし、傍聴していた者及びインターネット等で国会中継を見ていた者からはおよそ外形的に見て採決が存在したとは到底言い難い状況であった。また、速記録(未定稿)では、鴻池委員長が席に戻った後は「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と書かれている。

我々は、法的な見地から、次の2点を指摘したい。

1.まず,参議院規則及び会議体の議決の一般原則への違反である。
 参議院規則136条1項は「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する。」と定めている。

 参議院規則137条1項は、「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する。」

 そして,議決(表決)が,議員による議題に対する賛否の意思表明である以上、同136条1項の「議長」による表決に付する問題の「宣告」は,議決権を有する議員が明瞭に聞き取れるものでなければならない。これを欠いた「議決」は,なんらかの議員の意思表示がなされていたとしても,そもそも意思表明の対象を特定することができないのであるから,議決は外形的に不存在というほかない。

 上記は参議院規則のみならず、会議体の議決の一般原則である。例えば、株主総会において、議長が議題を宣告しないのに、株主が挙手や起立をしても、それは議決とは認められない。

 昨日(9月17日)の委員会についてみれば、委員会の映像記録を見ても、議長による議題の宣告がなされたことは確認できない。また、速記録でも、「聴取不能」とされており、議題の宣告がなされたことは一切確認できない。さらに、議決は、参議院規則137条1項にあるように、議題に賛成する者の起立で行われるが、映像記録を見ても速記録を見ても、「議場騒然」の状況であり、議題に対する賛成者が多数であるか否かを確認することが不可能な状況であった。これでは法的に見て議決が存在したとは到底評価することができない。

2.次に、委員会の参議院議員の多数派は、憲法99条に違反している点である。

 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員は,この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と定めている。したがって,憲法に適合する法律を制定するのが国会議員の職責である。また,仮に提出された法案が憲法に適合しないのであれば,憲法に適合する内容に修正するのが国会議員の職責である。現在国会にて審議中の安保法案の内容については、憲法違反であることが元・最高裁判所長官の山口繁氏,最高裁判所元判事,70名を超える元裁判官,歴代の内閣法制局長官を初めとする多くの法律家や学者によって指摘されており、憲法違反であることは明白である。また9月15日に中央公聴会、9月16日に地方公聴会を開催したばかりであるところ、それらの公聴会でも多くの公述人が安保法案を違憲と述べた。その中には、元最高裁裁判官の濱田邦夫氏も含まれている。憲法尊重擁護義務を国会議員に課す憲法99条に基づき、委員会の参議院議員は、公聴会での公述人の意見も踏まえて、安保法案を憲法に適合するものに修正するための審議を充分な時間をかけて行なうか、あるいは、改めて立法事実の存在から問い直し、安保法案を廃案にすべきではないかを検討すべき義務があった。採決を強行しようとした多数派は、かかる義務に違反している。

 上記2点の指摘事項を総括すれば、委員会での安保法案の採決は、そもそも不存在であり、かつ憲法に違反する強行的な手段であったと言わざるを得ない。

 念の為にいえば、議決の不存在とは、①議決の実施の事実がない場合のみならず、②一応議決と目すべきものは事実上存在するが、その成立過程の瑕疵が著しく、法的に議決があったと評価できない場合を含むものである。したがって、議決が存在するというためには、一応議決と目すべきものが事実上存在するだけでは足りないのである。

 我々は、主権者として、かつ日本国の弁護士資格を有する者として、憲法尊重擁護義務を負う参議院議員に対して、「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決は存在しなかったことを主張するものである。同時に、参議院自身が、委員会での議決の不存在を認めるとともに、早急に審議を再開し、公述人等の意見を踏まえ、憲法に適合する法案を作成するための充実した審議を慎重に進めるべきことを求める。

弁護士有志一同(225名)
平成27年9月18日

辺野古新基地を止めるには? 在沖海兵隊が尖閣を守らない事実を国民に理解してもらうことだ

沖縄タイムス(2015年9月15日 10:40)

佐藤学(さとうまなぶ)
沖縄国際大学教授

 辺野古への新基地建設をめぐる国と沖縄県の集中協議終了を受け、翌9月8日の沖縄タイムス朝刊に「識者評論 政権、危機回避に成功」の見出しで私の論考が掲載された。


 1カ月の集中協議が終わった。結果は予想された通り「決裂」である。安倍晋三政権にとっては、辺野古で反対する県民を蹂躙(じゅうりん)しての工事強行の「絵」が、安保法制反対デモの「絵」に重なる危機を回避したことで、予定通りの成功である。


 県には、政府を協議の場に引き出したということ以上の成果はなかった。この1カ月の協議で安倍政権を説得できる訳はなく、この期間は、知事の発信力で、広く日本の世論に辺野古の無意味さ、つまり在沖海兵隊が、日本が期待するような機能を持たない事実を知らしめる機会として使うべきであり、安保法制の国民的争点化は、願ってもない状況だった。


 しかし、全国メディアの報道を見る限り、集中協議は安保法制報道とは別個の問題として扱われていた。また、「沖縄のガス抜き」程度の小さな枠で処理された。辺野古が、日本の安全保障や政府財政にとって切実な問題であるとの論点は見られず、安倍政権の「沖縄の言い分を聞いた」という体裁づくりだけが残った。


 国会での安保法制審議が終われば、安倍政権を止めるものはない。安保法制反対を掲げている最大野党民主党は、辺野古建設を決めた政権政党であったのだ。


 辺野古反対が、沖縄内の問題と見られている限り、埋め立て承認取り消し後の建設阻止はより厳しい局面に入る。知事は、歴史に加えて、現在、沖縄が普天間以外にどれだけ大きな米軍基地を負担しているかを、具体的に見える形で明示する必要があった。


 加えて今後、県民に対しても、在沖海兵隊は、尖閣で軍事衝突があっても戦闘には行かない、行けない「事実」を周知させていかねばならない。この一点を官房長官や防衛大臣に認めさせられていたら、今後の展開を大きく変えられた。それをしなかったことが悔やまれる。(2015年9月8日付2面)


 それから6日後の9月14日、知事が辺野古埋め立て承認取り消しを宣言し、実際の手続きに入った。国は12日にボーリング調査への作業を再開しており、次の焦点は、本体工事をいかにして阻止できるかになる。


 安保法案の参院強行採決が17日に予測される中、その後にこれまでの安保法制反対運動の高まりを維持するのは困難になろう。先の8日の記事で指摘した、集中協議期間中に「メディア・ブリッツ(大宣伝戦)」を展開できなかったことが、沖縄県としては取り返しのつかない機会の損失になるかもしれない。


 一方、取り消しは、沖縄県の政策が明瞭に変わったことを米政府に突き付ける動きであり、知事選後10カ月が過ぎて今更ではあるが、米政府に対して辺野古反対の民主的正当性を迫ることにはなる。2010年県知事選挙での公約に反したとはいえ、民主的に選出された仲井真前知事が下した決定が生きてきた以上、米政府は翁長知事の主張を無視できた。


 しかし、安倍政権の姿勢が変わらず、統合幕僚長が米軍に国会審議の結果を約束する、という、これ以上ない文民統制違反が、「相手国があるから、記録を出せない」という言い逃れでうやむやに済まされる政治環境の中、今、埋め立て承認を取り消しても米政府が対応を変える可能性はない。


 法廷闘争になる場合の見通しについて、行政法学の門外漢である筆者には、残念ながら、14日の沖縄タイムス分析記事以上の専門的知見はない。ただ、素人にも分かることは、安全保障絡みの裁判で日本の司法が国を負かせる可能性は限りなく低いことと、最終的な判決が出るまでの間に工事を止められずに、本体埋め立て工事が進んでしまえば、裁判に意味はなくなるということである。そして国は「あらゆる手段」を使って工事を強行してくるだろう。


 今月21日に予定されている翁長知事の国連演説は、人権侵害問題として国際的な関心を向けさせる上で大きな意味がある。一方、演説が沖縄県の民族独立運動化の証拠として政治的攻撃に使われる可能性も非常に高いことを、十分に考慮しておかねばならない。それが「オール沖縄」の崩壊につながるおそれが強いことに配慮した上での主張を展開する必要がある。


 集中協議後に、菅官房長官は、翁長知事が「戦後の土地収用が普天間問題の原点」と発言したことに対して、「賛同できない。戦後は日本全国、悲惨な中で皆が大変苦労して平和な国を築いた」と反論したと報じられた。読売新聞9月8日社説は「翁長氏が集中協議で、普天間問題の『原点』を、『普天間飛行場の危険性除去』でなく、『戦後の米軍による強制収用』と言い放ったことへの反発もその(翁長氏の硬直的な姿勢への批判の=注・筆者挿入)一つだ」と書いた。


 これは、「沖縄の感情論」に対する「日本政府の現実対応」という図式に、沖縄が引き込まれてしまったことの証である。「魂の飢餓感」といった発言は、県民の共感を得たが、むしろ東京の思うつぼにはまってしまったと考えた方が良い。


 翁長知事は「日本全国の大変な苦労」と、沖縄県の苦労は次元が異なるという事実を突き付けるべきであった。非戦闘員の市民ほぼ全員が強制収容所に入れられ、その間に家屋や土地を強制接収された県が、日本のどこにあるのか。1946年に大日本帝国憲法が改正されて日本国憲法とされた時の国会に、まだ施政権が切り離される前の沖縄県を代表する議員は選出されず、1952年サンフランシスコ講和条約の承認・批准時にも、沖縄は埒外に置かれて、沖縄県民の存在は一顧だにされなかったことは「事実」である。普天間基地問題は、言うまでもなく、そこから始まっているではないか。沖縄県民の「大変な苦労」は、沖縄戦の犠牲だけではないのだ。政府首脳の歴史認識の欠如には、もはや呆れてものも言えない。


 「沖縄の感情論」というくくりを壊すためには、筆者が繰り返し書いてきたことで申し訳ないが、日本政府が宣伝し、日本国民が信じ込まされているような機能を在沖海兵隊は果たせないことを明らかにする必要がある。


 在沖海兵隊が直接尖閣に戦闘に行かないことは、日米安保条約の提供施設(1972年日米合同委員会議事録参照)が黄尾嶼(久場島)、赤尾嶼(大正島)だけであり、また今年4月に策定された新ガイドラインで、島嶼防衛は自衛隊が一義的な責任を負うと決められた(日米防衛協力のための指針の10ページ「陸上攻撃に対処するための作戦」)ことからも、また、オスプレイが戦場での作戦行動に向かうには、佐世保所属の強襲揚陸艦が必要であることからも、明々白々な「事実」である。


 例えば、朝日新聞7月31日オピニオン欄「耕論」で、元海上自衛隊航空隊司令で東京財団研究員の小原凡司氏が東アジアの安全保障に安保法制が必要との持論を展開したインタビューの中で、「日米が一緒に尖閣を守るという議論がありますが、ナンセンスだと思います。そんなことを米国はしないし、防衛は日本の責任です。そもそも日米同盟は、日本が攻撃を受けた場合、日本が防衛し日本がもたない攻撃部分を米国が担保するというのが基本です」と断言している。


 更に付け加えるならば、沖縄は嘉手納飛行場・弾薬庫だけで、県外の全ての主要米軍基地合計面積よりも大きい、応分どころではない負担を引き受けていること、そして、今、沖縄が要求しているのは、普天間飛行場の閉鎖・返還と辺野古新基地の断念だけだという「事実」も分かってもらわねばならない。


 沖縄の辺野古阻止の主張は感情論ではなく、むしろ、日本の防衛のために「辺野古=在沖海兵隊=オスプレイ」の実態(※)を知らずに拝んでいる日本国民こそが感情論に立っていること、それをはっきり主張して、辺野古新基地建設が無駄であることを日本国民に説明し、理解してもらわねば、建設は止められない。※在沖海兵隊とオスプレイについては佐藤氏の「オスプレイと在沖海兵隊は『御守り』にすぎない」に詳しい。


国立大文系見直し 文科省が学術会議に説明

NHK(9月18日 21時09分)

国立大学の人文社会科学系学部の見直しを求める通知を巡り、文部科学省の担当者は、18日、通知に対する批判声明を出した日本学術会議を訪れ、「通知は大学の変革を促すのが目的で、人文社会科学系の学問を軽視しているわけではない」などと説明しました。
この通知は文部科学省が、ことし6月、全国の国立大学に出したもので、人文社会科学系や教員養成系の学部や大学院について「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする」と書かれています。
この通知に対し、日本の科学者の代表などでつくる日本学術会議は、大学教育全体を底の浅いものにしかねないとして批判する声明を発表していました。
18日、日本学術会議の幹事会を訪れた文部科学省の常盤豊高等教育局長は、誤解が生じているとして通知の趣旨を説明し、「社会の変化に合わせた大学の自己変革を促すのが目的で、人文社会科学系の学問を軽視しているわけではない」と述べました。
出席者からは理解を示す声とともに、「組織を見直すことだけが変革ではない」とか「社会的要請に合わせるだけでなく、その先のニーズを生み出す人材を育てることが教育だと思う」といった意見が出ていました。
日本学術会議の大西隆会長は、「きょうの説明は理解したが、通知の文面はそのような趣旨には読み取れないので、今後も丁寧に説明し続けたほうがいいのではないか」と話していました。

2015年09月18日

「法案可決しても運動はさらに続く」、憲法学者らが国会前でリレートーク

「法案可決しても運動はさらに続く」、憲法学者らが国会前でリレートーク

 9月16日、安保法制は地方公聴会が行われ、与党は特別委員会で締めくくりの質疑を行おうとする中、参議院議員会館前で、法学や政治学などの研究者で作る「立憲デモクラシーの会」がリレートークを行った。13人の学者が、法案や政府の進め方を批判しつつ、一連の運動は可決後も終わらず、賛成議員の落選運動や違憲訴訟、さらには選挙以外にも市民が政治に参加する文化を創っていくなど、これからに向けての思いや考えを口々に語った。多くの人々が、時折小雨が降る中、話に聞き入った。

 それぞれの発言要旨は次の通り。

樋口陽一(東京大学名誉教授・憲法学)

 二つ話をします。

 第一に、議員諸公への呼びかけです。日本の命運を左右するような法案、それも日本の国会に提出する前に、外国の議会で約束してきた法案を、こんな状態で通してよろしいのか。みなさん一人ひとりが歴史に対する責任を持っている。一人ひとりの考えに忠実に、組織も政党も派閥も離れて、自分たちの1票を投じて下さい。若者も自分たちの意見を公にし、行動しているではありませんか。

 みなさん、憲法43条というのがあるんですよ。議員は、全国民を代表する、と書いてあるんです。政党の代表でも派閥の代表でもないんです。国民の立場にたって、自分の良心に照らして投票しましょう。

 第二に、私がこのギリギリの段階で言うまでもなく、日本国の命運を左右するような法案が、なんとも軽い、不真面目な仕方で扱われてきている。しかし。だからこそ、と言った方がいいのかもしれない。今回のように一人ひとりの国民が、若者も年金生活者も、男も女も、毎日、こんな雨の中を集まってきてるじゃないですか。現政権は、憲法という意味でのConstitutionだけじゃなくて、日本社会が作り上げてきた社会の構造そのもの、社会のconstitutionを壊しにかかっている。しかし、絶対に壊れないものを、もう私たちは作ってきました。これが、今日ここにいる皆さんとの絆です。何が起ころうと、これだけはもう壊れない。壊させない。そのことを確認して、次に譲る。

千葉真(国際基督教大学特任教授・政治学)

 このいい加減な審議で今日、明日にも決議しようとしている。暴挙である。国民の8割が政府の説明が十分でない、納得していないと言っている。安倍首相も国民に納得してもらっていない、と認めている。6割が、この国会で決議に反対している。常識からして、廃案しかない。

 国会周辺でのデモは、もしこれが可決しても、これからも継続していくことになる。次期の参院選、さらには衆院選で与党の議員を落選させる運動につなげていく必要がある。

 違憲訴訟をやっていく必要もある。誤った政治、誤った統治を止めていかないと、将来に禍根を残す。安倍政権は、戦後最悪の政権だ。

阪口正二郎(一橋大教授・憲法学)
 
 一つは、安倍総理がいう「法案に対する理解」の問題。安倍総理は、法案に対する国民の理解が「進んでいない」と認めている。じゃあ、自民党は理解が進んでいるんですか? 法案の審議で、いろんなことを言うが、二転三転している。自民党の議員自身、防衛大臣、安倍さん自身が法案の中身を理解してないから。他方、この法案が憲法違反である、という国民の理解は、確実に進んでいる。

 こういう憲法違反の法案が、おそらく採択されるのでしょう。だからといって、私たちの運動が終わるわけではない。我々がやってきたのは、憲法9条というだけではありません。むしろ憲法9条を支える我々の思いがある。戦後、9条の下でも自衛隊は作られた。しかし、作られた時には警察予備隊としか言えなかった。それはどうしてなのか。警察予備隊は、戦車を持っていたのに、「戦車」と呼ぶことは禁止されていた。それは、日本人が二度と戦争はしたくない、戦争はいやだ、という思いがあって、それに対して、政府も配慮をせざるを得なかったから。

 60年の安保改定の際に、岸総理が自衛隊の治安出動をさせようと考えた。ところが、当時の防衛庁の赤城長官は「絶対に出してはいけない。どうしても出すなら自分をクビにしてからにして下さい」と反対した。もし自衛隊が国民に銃を向けたら、自衛隊は二度と信頼されない、と言った。それくらい、戦争に対する国民の思いが政府を拘束してきた。それは9条ではなく、私たちの思いが拘束をしてきた。

 戦争をしない、他の国を攻めない、他の国にも攻めさせないという私たちの思いをこれからも保っていけば、法律ができても、次の国会で構成員を変えて、法律を変えることもできる。法律ができても、私たちの思いが強ければ、簡単に執行はできない。破防法の時がそうだった。だから、私たちがしっかりした思いを持って、今後の運動を続けていく。

青井美帆(学習院大教授・憲法)
 
 第一に、この法案は一見極めて明白に違憲無効である、と言わざるをえない。政府は砂川判決を正当化の理由にしている。でも、砂川判決は政治にフリーハンドを与えているわけではない。一見極めて明白に違憲無効な場合は、司法が判断する、と言っている。

 公聴会でも、裁判所は「違憲」とは判断しないだろう、という意見があった。これに対して、浜田邦夫元最高裁判事は、「大変楽観的な見通しである。司法をなめたらいかんぜよ」と述べられた。このような憲法破壊、立憲主義破壊、暴挙暴走は許されることではない。これは法律家共同体の責任の問題だと考えている。私たちには表現の自由がある、選挙権がある、そして裁判所には違憲審査権が与えられている。万が一通ってしまっても、いろんな方法で追い詰めていきましょう。

 2つ目、これほどの反対があるのに、政権はなぜ立ち止まらないんだろうか。もしかしたら、立ち止まれないんじゃないか。自衛隊と米軍は、かなり深いところまで一体化が進んでいて、もはや政治には、その流れを止める力がないのかもしれない。それが、一番恐ろしい。だとしたら、私たち自身が、この流れを止めなきゃいけない。私たちは選挙の時だけでなく、ずっと政治に参加していかなきゃいけない。立憲主義をまともな方向に戻していきましょう。

石田 英敬(東京大学教授・哲学)

 今、国際政治学者の一部が、違憲な現実に憲法を合わせようという議論をしている。違憲状態を既成事実として通そうとしているが、その先を考えることが重要。違憲状態を作り出して、なし崩しで憲法を現実に合わせるという議論を立てくるだろう。憲法違反なのだから、憲法の方を現実に合わせようというオピニオンを作り出していくと思う。それにどう闘っていくのかが、重要な課題だ。

中島徹(早稲田大学・憲法学)

 アベノミクスと憲法9条問題は密接に関わっている。アベノミクスによって、是正困難なほどに格差が開く。その格差が、経済的な徴兵制度へと向かうことは、アメリカ合衆国の例を見ればよく分かる。集団的自衛権の容認だけでなく、他のことも連動している。

 何があっても諦めてはいけない。来年の参議院選挙では、私たちが安倍政治を忘れていない、とはっきり示す必要がある。安倍政治とだけは和解できない。

石田憲(千葉大学・政治学)

 国際政治史、特にイタリアとドイツの歩みを研究している。イタリアの中道左派政権時代のプローディ元首相が日本に来て、「日本の平和憲法を我々も参考にしている」と言った。イタリアの憲法は侵略戦争は否定しているが、日本のように派兵自体を禁じるような状況ではない。イタリアは、戦争が終わった後に派兵する、世界第三位の派兵国になってしまい、国民からは厳しい批判が出ている。憲法での歯止めというのが、いかに大事か、イタリアを見ていれば分かる。

 最近、メルケル首相は、「シリア難民を受け入れなければならない」と述べたが、その根拠として、憲法(基本法)第一条の「人間の尊厳を尊重しなければならない」という条項が前提になっている。受け入れについては、いろいろもめているが、憲法という基準を政治に適応させていかなければならないという点は、戦後ドイツは一貫している。

 日本では、憲法を基準にして、様々な政策の根拠になる、と言えなくなってしまっている。そこを非常に危惧している。他の国がすべていいとは言わないが、憲法を基準にした政治というものを、もう一度考えなければいけないのではないか。

齋藤純一(早稲田大学・政治学)

 福沢諭吉の『学問のすすめ』に第七編「国民の職分を論ず」というのがある。政府がその分限を超えて、暴政を行う時、市民はどうするか。一つは膝を屈して政府に従う、二番目は力で抵抗する、三番目は理をもって政府に迫っていく。この三番目が上策である、と福沢は語っています。

 理を唱えて異論を提起すれば、それに対し応答しなければならない。しかし、今の政府は異論には耳を貸しません。理に対して、理をもって答える政治を、これから作っていく必要があります。私たちは、異論、反論がもっている、民主主義にとっての力を大事にしていく。多数議席さえもっていれば、何でも決めることができるという政治を、理をもって迫っていく必要がある。政治文化のあり方を変えていくべきだと思う。そのための活動を続けていきたい。

長谷部恭男(早稲田大学・憲法学)

 「諦めてはいけない」と熱弁をふるう長谷部恭男・早大教授「諦めてはいけない」と熱弁をふるう長谷部恭男・早大教授

 今回の安保法案は、憲法違反というだけではありません。必要性も合理性もまったくない。(安倍総理は)何のために必要だと言っていたでしょうか?日本人の親子を、米戦艦が乗せるということはあるんでしょうか?そんなことはありえません。それから、ホルムズ海峡に行って機雷の掃海をする。そんな必要性は現実にはないと、安倍首相自身が認めたではありませんか。

 この法案が成立すると、北朝鮮はミサイルを作るのをやめますか?中国は南シナ海に進出するのを諦めるんですか?何の意味もないではないですか。

 この法案が成立したとしても、諦めてはいけない。この集会自体が、明日への希望の礎になっている。一般市民の方々が、ご自身の判断で、いかなる組織に動員されているのではなく、ここに集まって抗議の声を挙げているではありませんか。これこそ、日本国憲法の精神が社会に根付いたことを示しています。ですから、たとえ成立することがあっても諦めず、明日に向かって運動を続けていきましょう。

石川健治(東京大学・憲法学)

 「私のような者でも」と静かに語る石川健治・東大教授「私のような者でも」と静かに語る石川健治・東大教授

 こうやって街頭に出るのは、生まれて初めてで、私のような者まで出てこなきゃならないというのは、それだけ危機が深い、ということ。今回の法案が通ることで、何が失われるのかを、考えていただきたい。我々は、何に敗北しようとしているのか。それは、現在国会で多数を握っている勢力だけではない。それを言葉で言い表すのは難しいが、しつこく考えていかなきゃならない。

 その一つ、我々が今、大きな壁として感じているものの一つに、こういった出来事に対して、距離を置いて冷笑的に見ていくシニシズムがある。私自身も研究者であり、健康なシニシズムは持っている。(当初は)こういう所に出てくるのは抵抗があった。しかし、私のような(非政治的で学問至上主義でやってきた)者であっても、やはり立ち向かわなければならない時があるんじゃないか、と思う。

 「私のような者でも」という言い方として、"malgre moi"(マルグレ・モア)というフランス語がある。「私のような者であるにもかかわらず」とか「意に反して」とかいう意味だが、60年安保の時に、丸山真男という政治学者が自ら立ち上がろうとされたわけですが、その丸山先生がロマン・ロランとマックス・ウェーバーについて語っている文脈で、この"malgre moi"という表現に言及しています。「私のような者であっても」という気持ちが、非常に大事だと思い、私はここに立っている。立憲の旗を高く掲げて立っているわけです。

 我々は、これからも歩みを進めていくわけですが、皆さんも、今ここで、何と立ち向かっているのかをよくよくお考えになって、"malgre moi"の精神で、それぞれの仕方で、政治参加をしていっていただければ、と思います。

広渡清吾(元学術会議会長、専修大学教授・ドイツ法、比較法社会論)

 参議院は二院制の下で、どう独自性を発揮するか、長年の懸案だった。衆議院が数で決める場所なら、参議院は良識で決める場所にして下さい。違憲の法案で国民の過半数が反対している法案を成立させる道理はどこにもないではないですか、と強調した。議員のみなさんは、真摯に聞いて下さったと思う。

 しかし、もしかして、この法案が成立するようなことがあっても、これだけ国民の運動が広がり、盛り上がり、憲法についての理解が深まった。これから先、どんなことがあっても、憲法9条の意義を日本国民が実現していく。不戦の約束と希望、戦争をしない・戦争に行かないという約束と希望を実現する戦いは、法案が成立しても、国民の盛り上がりを基礎にして、この成果を踏まえて、今後も国民の運動が続いていくと固く信じている。

西谷修(立教大学・哲学)

 どんな議論も関係ない、とにかく通せばいいんだということで、議会が空洞化されてしまっている。そういう議会でいいのか。

 今日はここに何万人も集まっているはず。こういうことを、我々はずっとやっていかなきゃならないかもしれない。学生が「民主主義ってなんだ」というが、空洞化している国会を前に、「民主主義はコレだ」と言って、我々がここに来る、これによって推し進めていかなきゃならない。

山口二郎(法政大学・政治学)

 デモをやって何になるんだと、いろんな人がイチャモンをつけていますが、憲法12条には、自由・人権は「国民の不断の努力によって保持しなければならない」と書いてある。国会議員を選んだ後も、任せきりにしない。我々が国会の前に集まり、こうやって声を出す。これこそが「不断の努力」だ。若い人たちが先頭に立って、国民が選挙以外の時も努力をするという、新しい政治文化を創ろうとしている。我々教師たちも、その若者の動きに教えられ、一生懸命走っている。

 さて、国会における安保法制の審議、これほど無様な、これほど無内容なものは、今までなかった。あらゆる質問に対して、無視、はぐらかし、国会討論の体をなしていない。

 (賛成している)国会議員は、自分で考えることを放棄した思考停止の状態。ハンナ・アーレントが言った「凡庸な悪」に国会議員が加担している。我々は、そのような国会議員には、「目を覚ませ。考えろ。さもなくば、お前達の来年はない」と告げなければならない。

 仮に、この法案が決着を見ても、我々の運動は終わることはありません。立憲デモクラシーの会として、これからの日本の立憲民主主義を守るために、あらゆる行動をとることを約束する。


安保関連法案 参議院特別委員会で”可決” の瞬間 2015年9月17日


国会前で“抗議の声” 夜中もデモ続く

日本テレビ系(NNN) 9月18日(金)0時5分配信

 安全保障関連法案が特別委員会で可決されたことで、与野党の攻防の場は参議院本会議に移っている。一方、17日午後11時を過ぎた今でも国会議事堂前では抗議集会が行われている。国会正門前から天野記者が伝える。

 17日も夜遅く、午後11時を過ぎたこの時間になっても、まだまだ大勢の人が残り、声を張り上げて、安保法案の廃案を訴え続けている。

 すでに、法案は参議院の特別委員会で可決されたが、参加者は、「強行採決、絶対反対」「法案は絶対に成立させない」などと叫びながら、安保法案の成立阻止を訴え続けている。

 また、きょう印象的なのは、「野党はがんばれ」という声が、時折あがることだ。市民との連帯を掲げる民主党などの野党幹部も、17日は続々と応援に入った。野党議員の1人は、「この人たちが声をあげ続けている限り、自分たちもやり続けないといけない」と述べるなど、徹底抗戦の構えを崩していない。

 17日は、雨が強く降った中でも、ほとんど休むことなく集会は続けられた。それでもきょうも明け方近くまで、国会正門前では安保法案の廃案を求める声があがり続けるものを思われる。


安保法案、参院委で可決 与党が採決強行―きょう成立めぐり緊迫化

時事通信 9月18日(金)0時18分配信

 今国会最大の焦点である安全保障関連法案は17日夕、参院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党と元気、次世代、改革の野党3党の賛成多数で可決された。
 与党は安倍晋三首相出席の下で予定した締めくくり質疑を行わずに採決を強行。同日の参院本会議に緊急上程した。これに対し、民主党は中谷元防衛相の問責決議案を提出、野党5党による内閣不信任決議案の共同提出も確認した。与野党の攻防は緊迫の度を増し、成立は18日以降にずれ込んだ。
 特別委は法案採決に先立ち、民主党が提出した鴻池祥肇委員長(自民)の不信任動議を与党などの反対多数で否決。この後、与党が提出した質疑打ち切り動議を可決した上で法案の採決に踏み切った。委員長席周辺では与野党議員が激しくぶつかり合い、採決は騒然とした中で行われた。
 与党と元気など野党3党が合意した、自衛隊海外派遣への国会関与強化を盛り込んだ付帯決議も可決された。
 委員会での法案可決を受け、参院議院運営委員会の中川雅治委員長(自民)は17日夜の理事会で、参院本会議の開会と法案の緊急上程を職権で決定。民主党はこれに反発、中川委員長の解任決議案を提出したが、この後、開会した本会議で、与党などの反対多数で否決された。
 民主党は同決議案に続いて防衛相の問責決議案を提出。さらに内閣不信任案を提出するなど「あらゆる手段」で成立阻止を図る。参院本会議は18日未明、防衛相問責案の処理に入った。野党5党は同日午前9時に党首会談を開き、内閣不信任案提出を正式決定する方針で、法案の本会議採決はこれより後になる見通しだ。
 一方、与党は衆院で再可決する「60日ルール」適用も視野に入れていたが、参院で委員会可決までこぎ着けたことを受け、当初方針通り参院本会議で成立させたい考えだ。 

法科大学院、補助金基礎額ゼロ4校 文科省が5段階評価

日経新聞(2015/9/17 21:23)

 文部科学省は17日、法科大学院への2016年度の補助金算定に向けた5段階評価を公表した。司法試験合格率などから国立・私立大計43校のうち13校を最高評価とする一方、私立大4校は補助金基礎額がゼロになる最低ランクとなった。

 文科省は一部の法科大学院で司法試験合格率が低迷していることを受け、15年度から補助金の傾斜配分を始めた。合格率や入学定員充足率などを点数化し、教員給与として支給する基礎額を90~0%の5段階に分類。先進的な教育プログラムなどを導入した法科大学院には一定額を加算する。

 最低評価だったのは北海学園大、駒沢大、近畿大、西南学院大の4校。最高ランクは東京大や京都大など13校だった。国の補助金を受けていない公立の首都大学東京と大阪市立大、来年度の募集をしない法科大学院は対象外。

 17日に省内で開かれた有識者会議で示された。会議冒頭、明治大法科大学院教授による司法試験問題漏洩について法務省担当者らが報告。井上正仁座長(早稲田大教授)は「学生や大多数の教職員の取り組みを踏みにじり、愚弄するもので強い憤りを禁じ得ない。法科大学院として見直すべき点があれば速やかに対応する」と述べた。


2015年09月17日

安保法案 国会周辺で憲法学者などが反対訴え

9月16日 20時44分

国会の周辺では16日夜、安全保障関連法案に反対する憲法学者などのグループも集まり、「法案は憲法違反だ」と訴えました。
これは、憲法学者や政治学者などで作る「立憲デモクラシーの会」が開いたもので、参議院議員会館の前で、1人ずつマイクを持って反対を訴えました。
憲法学者で東京大学の樋口陽一名誉教授は「日本の運命を左右する法案をこんな審議で通していいのか。国会議員一人一人が歴史に対する責任を負っている」と訴えました。
また、政治学が専門で法政大学の山口二郎教授は「国会の審議は法案へのあらゆる質問や批判に対して、無視したりはぐらかしたりしていて、討論の体をなしていない。国会議員は思考停止の状態になっている」と述べました。
国会の周辺には集会に参加するため多くの人が集まっていますが、「法案は憲法違反だ」という学者らの声に、大きな拍手を送っていました。

安保法案反対、署名146筆集まる 福井大教員らの会

中日新聞(2015年9月16日)

 福井大の教員らでつくる安全保障関連法案の廃案を求める「有志の会」は十五日、教育地域科学部の教員の四割が活動に賛同し、署名したと発表した。職員や大学院生らの分も含め、百四十六筆を十六日に首相官邸と県選出国会議員の事務所に郵送する。

 署名集めは二~十四日にインターネットで実施。教育地域科学部を中心に広がり、同学部では教員百人のうち学部長を含む三十九人が賛同した。工学部や医学部のほか、活動を知った県内外の市民からも署名が集まった。

 呼び掛け人代表の大学院教育学研究科の森透教授(65)は「夏休みで学生や院生になかなか広げられなかったが、限られた期間で多くの先生が反対を表明してくれた」と評価。教育地域科学部の山根清志特命教授(67)は「強行採決で押し切られれば、日本の法治主義が崩れる」と訴えた。


自由法曹団、「安倍政権による労働者 安倍政権による労働者派遣法の改悪に強く抗議し、派遣労働者の処遇改善と派遣 派遣労働者の処遇改善と派遣法の抜本改正を要求する声明」

自由法曹団
 ∟●「安倍政権による労働者 安倍政権による労働者派遣法の改悪に強く抗議し、派遣労働者の処遇改善と派遣 派遣労働者の処遇改善と派遣法の抜本改正を要求する声明

安倍政権による労働者 安倍政権による労働者派遣法の改悪に強く抗議し、
派遣労働者の処遇改善と派遣 派遣労働者の処遇改善と派遣法の抜本改正を要求する声明 を要求する声明

1 労働者派遣法「改正」案は、「派遣元管理台帳の記載事項に、派遣元が講じた雇用安定措置を追加する」等の修正を行った上、2015年9月8日に参議院厚生労働委員会で、翌9日に参議院本会議で、自民党、公明党等の賛成多数で可決された。その後、「改正」案は、9月11日、衆議院本会議で、自民党、公明党等の賛成多数で可決、成立させられた。「改正」法の施行日は、修正されて、2015年9月30日とされている。

2「改正」法は、「派遣就労への固定化を防ぎ、正社員を希望する派遣労働者についてその道が開けるようにする」等の政府答弁に反し、派遣労働者の優先雇用権と結びついている「1~3年の業務単位の期間制限」をなくし、派遣労働者の直接雇用や正社員への道を奪っている。また、「改正」法の「3年の事業所単位の期間制限」は過半数労働組合等から意見聴取しさえすれば何回でも延長でき、「3年の個人単位の期間制限」は派遣労働者を入れ替えるか、「課」等の所属組織を変えさえすれば労働者派遣を永続利用することができ、派遣労働者に「生涯派遣」を強要する仕組みとなっている。これに加えて、「改正」法は、3年間待たせた上、施行日の2015年10月1日の1日前に「業務単位の期間制限違反の場合の労働契約申込みみなし制度」を廃止し、派遣労働者の直接雇用と正社員への道を奪っている。

 「改正」法は、派遣先の正社員と派遣労働者との間の均等待遇を保障せず、派遣労働者の劣悪な労働条件を容認している。これでは、派遣先は正社員を派遣労働者に置き換える動きを加速し、派遣労働者が激増するであろう。

 政府は、雇用安定措置やキャリアアップ措置を設けたことを強調するが、審議の中で、これらの措置が強制力がなく、実効性に乏しいことが明らかになっている。逆に、「3年の個人単位の期間制限」は、直接雇用と結びついておらず、派遣先に派遣切り自由の権限を与え、派遣労働者の雇用を不安定極まりないものにしている。

 以上のとおり、「改正」法は、「生涯派遣・正社員ゼロ」法、「派遣切り自由化」法そのものであり、最後の修正も「改正」法の性格をまったく変えていない。

 自由法曹団は、安倍内閣と自民党・公明党による労働者派遣法の改悪強行に強く抗議する。

3 この間、労働者派遣法「改正」案の正体が明らかになるにつれ、「改正」案反対の世論と運動は大きく拡がっている。日本経済新聞社等が今年8月4~10日に行った共同調査では、派遣社員・契約社員の68%が「改正」案に反対している。自由法曹団等が今年7月2日に行った「派遣労働者の声を国会へ!!『7・2派遣労働110番』」でも、「改正」案について、25名の派遣労働者が反対を表明したのに対し、賛成する派遣労働者は1人もいなかった。

 労働者派遣法改悪反対の世論と運動に押されて、「改正」法には39項目にのぼる附帯決議が付けられている。その中には、「直接雇用が労働政策上の原則であることに鑑み、正社員として働くことを希望している派遣労働者に正社員化の機会が与えられるよう、派遣元事業主と派遣先のそれぞれに派遣労働者の正社員化に向けた取組を講じさせること」や「新たに期間制限が掛かることとなる26業務に現に従事する派遣労働者について、不当な更新拒絶を行わないための関係団体への要請等、当該派遣労働者の雇用の安定化のための措置を早急に講ずること」等のように、「生涯派遣」や「派遣切り自由」と矛盾し、派遣労働者の権利を守ることに役立つ規定もある。

 自由法曹団は、この間つくられた派遣労働者との共同を大切にし、派遣労働者の雇用と労働条件を守り、向上させるために全力を尽くす決意である。

4 今、労働者派遣法の改悪に抗して、①労働者派遣における常用代替防止原則と臨時的・一時的業務に限定する原則の徹底、②登録型派遣・製造業派遣の全面禁止、③直接雇用につながる業務単位の派遣受入期間制限の復活と短期化、④違法派遣の場合の労働契約申込みみなし制度を派遣先の正社員と同一の労働条件での直接雇用を実現する制度へ改善すること、⑤派遣先の正社員と派遣労働者との均等待遇等の労働者派遣法の抜本改正を実現することが重要である。

自由法曹団は、安倍内閣と自民党・公明党による労働者派遣法の改悪に強く抗議し、派遣労働者の処遇改善と労働者派遣法の抜本改正のため、全力をあげて奮闘する決意である。

2015年9月16日
自 由 法 曹 団
団 長 荒 井 新 二

京滋私大教連、緊急声明「労働者派遣法「改正」法案の強行採決に強く抗議するとともに、人間らしく働くことのできるルールづくりを要求する!」

京滋私大教連
 ∟●労働者派遣法「改正」法案の強行採決に強く抗議するとともに、 人間らしく働くことのできるルールづくりを要求する!

労働者派遣法「改正」法案の強行採決に強く抗議するとともに、
人間らしく働くことのできるルールづくりを要求する!

 労働者派遣法「改正」法案は、9 月 9 日に参議院本会議で可決され、9 月 11日には衆議院本会議で与党などの賛成により可決・成立しました。本「改正」法案は、採決直前に法案の主要部分が修正され、39 項目にわたる付帯決議とともに採決されるなど、法案の大きな矛盾点が露呈する中で、法案の強行採決が行なわれたことに強く抗議します。

 今回の法「改正」は、これまで「常用雇用代替の禁止」「臨時的・一時的業務に限定する」とされてきた雇用の大原則を破って、いつでも、どこでも、いつまでも、派遣労働者を使い続けることを可能にするとともに、正規労働者の仕事を派遣労働者に置き換え、労働者全体の処遇を切り下げることに繋がりかねません。

 また、2009 年のリーマンショックの際、仕事と生活を奪われた派遣労働者が路頭に迷うことになった経験を踏まえ、今年 10 月 1 日から派遣先企業への直接雇用を定めた法律が施行される直前に、このような措置が取られたことは、極めて重大な問題です。

 今回の法案に対して、7 割近くの派遣労働者が「派遣社員の根本的な地位向上にならない」(9 月 1 日付・日経新聞調査)との意見を表明しているにも関わらず、今回の法「改正」によって、劣悪な賃金・労働条件が常態化することが危惧されます。

 今後も、残業代ゼロや解雇の自由化など、安倍政権の下で労働法制のいっそうの改悪を進めようとする動きが強まることが予想される中、引き続き多くの労働者と力を合わせ、厳しい労働環境に置かれた労働者とともに、雇用と権利を守るたたかいを広げていくことを呼びかけるものです。

2015 年 9 月 15 日
京滋地区私立大学教職員組合連合四役

高大接続システム改革会議、高大接続システム改革会議「中間まとめ」

高大接続システム改革会議「中間まとめ」 (PDF:1337KB) PDF

2015年09月16日

安保関連法案、中央公聴会 反対の声4人、賛成の声2人

毎日新聞 2015年09月15日

 参院平和安全法制特別委員会の15日の中央公聴会では、6人の公述人のうち野党推薦の4人が「新しい法律は国民の納得があって初めてできるべきものだ」などと述べ、与党に今国会での採決を見送るよう求める意見が相次いだ。与党推薦の2人は安全保障環境の変化などから抑止力を強化する必要性を主張した。

 野党推薦は、浜田邦夫元最高裁判事▽小林節慶応大名誉教授▽松井芳郎名古屋大名誉教授▽SEALDsメンバーの奥田愛基(あき)明治学院大学生??の4人。

 松井氏は「国際法の議論が詰まっていない。現段階での採決には国民の大部分が納得しない」と述べ、小林氏と奥田氏も「国民的合意は成立していない」などとして、今国会での採決に反対を表明した。

 法案に盛り込まれた集団的自衛権については、松井氏が「(日本の米国防衛義務がない)日米安保条約の事実上の改定だ」と指摘。小林氏は「(解釈変更ではなく)憲法改正を提案してほしい」と強調した。

 与党推薦は、坂元一哉大阪大大学院教授と白石隆政策研究大学院大学長の2人。坂元氏は「日本の安全のための抑止力を格段に強化し、世界平和に貢献する能力を増やす」などと法整備に前向きな考えを示した。白石氏は「安全保障環境は急速に変わっており、法整備をしないと日本として対応できない」と述べ早期成立を求めた。

 坂元氏はまた、集団的自衛権に関し「最高裁が、一見極めて明白に違憲・無効と判断するとは考えにくい」と主張。これに対し、最高裁判事経験者の浜田氏は「違憲判決は絶対に出ないという楽観論は根拠がない」と述べ、違憲だと主張した。

 一部の野党が自衛隊の海外派遣に国会の事前承認の義務付けを求めていることについては、白石氏が「たとえ数時間でも、承認のための時間は重大な結果を招きかねない」と慎重論を展開。松井氏は「一般論としては、文民統制を強めるための議論は必要だ」として肯定した。【青木純】


2015年09月15日

戦争法案、本日(9/14)国会包囲大行動へ&中央公聴会の中継を!

レイバーネット
 ∟●戦争法案:本日(9/14)国会包囲大行動へ&中央公聴会の中継を!

東京の杉原浩司です。[転送・転載歓迎/重複失礼]

いよいよ、戦争法案の廃案か、強行採決による成立か、天下分け目の週に突入しました。

本日14日(月)は午前9時から17時頃(予定)まで、首相出席でNHK中継も入る集中質疑が行われます。
(タイムテーブルはこちらを参照 → http://www.sjmk.org/?page_id=420

15日(火)13時からは国会内で中央公聴会が行われます。公述人は野党推薦で、元最高裁判事の濱田邦夫さん、慶応大学名誉教授の小林節さん、名古屋大学名誉教授の松井芳郎さん、そして公募人からSEALDsの奥田愛基さんの4人。与党推薦で大阪大学大学院教授の坂元一哉さん、政策研究大学院学長の白石隆さんです。そして、16日(水)13時~15時30分には新横浜プリンスホテルで地方公聴会が行われます。

この3日間が法案の行方を左右することは間違いありません。今や政府与党はデモに対する警戒を公然と口にしており、市民の行動次第では、廃案に向けて舵を切ることは決して不可能ではありません。ぜひ、万難を排して行動しましょう。以下、行動案内と要請提案です。

【本日!】
◆強行採決反対!戦争法案廃案!安倍政権退陣!9・14国会包囲大行動9月14日(月)18時30分~、国会周辺。
※光の渦で国会を包囲。光物持参大歓迎!
主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

◆15日の中央公聴会の中継を!~委員長と野党理事、NHKに要請を!

※NHKによる中継は委員会としてNHKに要請するという形になっています。
参議院本会議での戦争法案の趣旨説明と討論の中継も、野党委員の提案から実現しました。これほど重要かつ注目されている中央公聴会をぜひとも中継させましょう!(「中央公聴会のNHK中継を実現させてください」と)

◇鴻池祥肇委員長
(FAX)03-3502-7009 (TEL)03-6550-1001 
(ご意見フォーム) https://s360.jp/form/31244-1010/

◇北澤俊美・筆頭理事
(FAX)03-6551-0424(TEL)03-6550-0424
(ご意見フォーム) http://kitazawa.tsukaeru.info/page/iken.htm

◇福山哲郎・理事
(FAX)03-6551-0808 (TEL)03-6550-0808
(メール) kokkai@fukuyama.gr.jp

◇小野次郎・理事
(FAX)03-6551-0620 (TEL)03-6550-0620
(ご意見フォーム) http://onojiro.jp/oj/?page_id=66

◇NHK
(TEL)0570-066-066
メールフォーム https://cgi2.nhk.or.jp/css/mailform/mail_form.cgi

◆9.15中央公聴会開催抗議緊急行動
9月15日(火)12時半~、国会正門前(13時~は座り込み行動)
主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
http://sogakari.com/?p=903

※「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」当面の行動予定
http://sogakari.com/?page_id=67 ※連日、座り込みと大集会です。

◆戦争法案廃案!9.16横浜・地方公聴会抗議行動(仮称)
9月16日(水)12時15分、JR新横浜駅・駅前広場に集合
※新横浜プリンスホテル(アクセス)
http://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/access/
呼びかけ:戦争をさせないかながわの会
http://www.anti-war.info/schedule/1509121/


名古屋市立大学教職員有志、安全保障関連法案に反対する声明

名古屋市立大学教職員組合書記局ブログ
 ∟●名市大有志が戦争法案に反対する声明を発表

安全保障関連法案に反対する名古屋市立大学教職員有志の声明

2015年9月13日

政府が国会に提出した「平和安全法制整備法案」(総称:安全保障関連法案)と「国際平和支援法案」はすでに衆議院で強行採決され、7月から参議院(特別委員会)において審議されています。これまでの審議を通してこれら法案は、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊が協力し加担していくものであり、憲法9条に違反していることが一層明らかになっています。
政府が強調する「武力行使は限定的」であるどころか、この法案は自衛隊の武力行使を際限なく広げ、「専守防衛」を大きく踏み越えていくことになります。そして、60年以上にわたって積み重ねられてきた「集団的自衛権の行使は憲法違反」という歴代の政府解釈を覆し、自衛隊がアメリカの侵略戦争に参戦する状況を生み出します。
私たちは、かつて日本が行った侵略戦争の際に、多くの学徒を戦地へ送ってしまいました。名古屋市立大学4キャンパスの一つである滝子キャンパスは、旧制第八高等学校の出陣学徒壮行会場になったところです。他方で、太平洋戦争末期には、軍需産業の集中する名古屋とその近郊は、空襲により極めて大きな被害を被り、多くの一般市民が犠牲になりました。
私たちは、こうした歴史を深く反省し、戦後は憲法9条とともに歩み、人間の尊厳が保障される社会の建設にむけて、世界平和の礎たらんと、教育研究活動に携わってきました。
私たちは、再び若者を戦地へ送り出すような状況を作り出すことを、絶対に認めることはできません。憲法9条に反する安全保障関連法案の廃案を強く求めます。
以上

呼びかけ人
安藤金男(経済学研究科元教員)、石川達也(医学研究科元教員)、伊藤仁一(医学研究科教員)、井上泰夫(経済学研究科教員)、大羽利治(医学研究科元教員)、清水昭信(システム自然科学研究科元教員)、白井直洋(薬学研究科元教員)、寺田元一(人間文化研究科教員)、福吉勝男(人間文化研究科元教員)、別所良美(人間文化研究科教員)、本多信彦(医学研究科職員)、水上元(薬学研究科元教員)、宮田直樹(薬学研究科元教員)、森正(人間文化研究科元教員)、森山昭彦(システム自然科学研究科教員)、山田明(人間文化研究科元教員)、横山信治(医学研究科元教員、元副学長・理事)、吉田一彦(人間文化研究科教員)


2015年09月14日

安全保障関連法案に反対する日本平和学会理事会有志による声明

日本平和学会
 ∟●安全保障関連法案に反対する日本平和学会理事会有志による声明

私たちは、平和(peace)と安全(security)について、思想、制度、実態、社会運動等の側面から学際的な検討と研究を行ってきました。その目的は、戦争やテロなどの直接的暴力、飢餓・貧困・差別・搾取などの構造的暴力、それらを容認・肯定する文化的暴力の克服であり、現実を見据えながら武力行使によらない問題解決の条件や方策を探ることです。
しかし、現在の日本は「新しい戦前」ともいうべき戦後最大の危機に直面しています。現在参議院で審議中の安全保障関連法案の本質は、定義もあいまいな「存立危機事態」の下、時の政権の意向によって自衛隊に国内外で武力行使させることを可能にする「戦争法案」です。これまで多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁判事などが指摘しているように、内容的にも手続き的にも違憲であることは明らかです。

この安保法案には次のような問題があります。
1.これまでの専守防衛を放棄して海外での武力行使を行うことを可能にする。
2.日米軍事一体化を世界的規模で拡大・強化し、米国主導の戦闘行為に自衛隊が補完部隊として加担する道を開こうとする。
3.自衛隊の財政・権限拡大と秘密保護を特徴とする日本社会の軍事化を一層進める。
4.武器輸出の解禁やODAの軍事活用などを通じて日本を世界の軍事化に貢献する国に変貌させる。
このような内容の法案が成立すれば、自衛隊が米軍等の「武器等防護」や「駆けつけ警護」などを理由として世界中で戦争・戦闘に参加し、殺し殺され、その報復として日本国内におけるテロを誘発する事態も予想されます。

また、この法案の成立を目指す動きは、これまでも内外の識者が指摘していたような、日米軍事協力の実態もあらためて露呈させました。そもそも法案の内容自体が2012年夏、日本に集団的自衛権行使を可能とする解釈改憲を要請した「第3次アーミテージレポート」を下敷きにしたものです。安倍政権は最高裁「砂川判決」を集団的自衛権の根拠としていますが、そもそも同裁判は米軍駐留の違憲性が争点になったものであり、それ以前に米軍駐留を「違憲」とした伊達判決が米国との秘密裏の協議によって覆されていたという指摘もあります。また、この法案の成立を前提に新ガイドライン(日米軍事協力の指針)を実施するための詳細な計画を自衛隊統合幕僚監部が進めていることや、それを先取りした米軍と自衛隊との本格的な訓練が既成事実として行われていること、さらには強引な議事運営や沖縄での民意を無視して辺野古新基地建設が強行されようとしていることなども、この文脈から理解することができます。
しかしこの法案が成立すれば、国際的な緊張関係を高め、とりわけ東アジアの安全保障環境を根幹から揺るがす重大な事態を引き起こしかねません。さらに、「脱暴力」を一貫して求めてきた国際社会の基本的な潮流への根源的な挑戦ともなり、近隣諸国において民主化と軍事力によらない問題の解決を切望してきた市民にとっての障害となります。それゆえ、この法案への懸念はひとり日本の中だけでなく、国境を越えて、グローバルな次元で表明されるものでもあります。現政権が掲げる「積極的平和主義」は、何よりも「平和主義」概念を誤用しており、イラク戦争への加担などこれまでの政策を総括せず、日本の戦争責任を顧みず、人類が多年にわたり営んできた平和の思想・運動を冒涜するものです。私たちが学問的に定義する本来の「積極的平和(positive peace)」とは、これとは逆に、暴力手段によらず、戦争の原因となる構造的な暴力を漸減する事に他なりません。

さらに、この法案の推進がしばしば「壊憲クーデター」とも呼ばれるように、憲法や国会の存在、主権者である国民の意思を無視し、何よりもデモクラシーそのものの危機を招いている事についても、私たちは深く憂慮します。すでに日本の警察国家化・監視社会化は急速に進んでおり、ヘイトスピーチや排外主義的ナショナリズムや集団同調圧力も高まっています。大学やメディアにおける「統制」も進行しています。国際的な戦争への準備は、必ずや国内社会の包括的な軍事化をももたらします。

このように立憲デモクラシーを破壊し、日本を平和国家から戦争国家へとトータルにつくり変えようとする安全保障関連法案に、私たちは断固として反対します。

2015年9月4日
日本平和学会理事会有志一同
理事賛同者:秋林こずえ、ロニー・アレキサンダー、阿部浩己、内海愛子、大橋正明、大平 剛、奥本京子、小田博志、勝俣 誠、木戸衛一 、君島東彦、木村 朗、清末愛 砂、佐々木寛、佐伯奈津子、鴫原敦子、高橋博子、高原孝生、高良鉄美、竹峰誠一郎、土佐弘之、蓮井誠一郎、平井 朗、古沢希代子、堀 芳枝、峯 陽一、毛利聡子、山根和代、横山 正樹
会員賛同者:藍原寛子、饗場和彦、朝井志歩、阿知良洋平、阿部太郎、新垣修、安斎育郎、安渓遊地、池上大祐、石井和也、石井正子、石井摩耶子、石川捷治、市川ひろみ、稲垣聖子、稲木哲郎、上村雄彦、内田みどり、浦田賢治、近江美保、大串和雄、大島美穂、大津留(北川)智恵子、岡野内正、岡安茂祐、小川玲子、奥田孝晴、小谷一明、片野淳彦、河上暁弘、川久保文紀、川口悠子、木下直子、金城美幸、久保正彦、黒岩晴子、甲賀聖士、小沼通二、小松寛、小峯久希、齋藤百合子、笹岡正俊、佐々木和之、佐竹純子、澤佳成、沢田昭二、澤野義一、清水竹人、清水奈名子、進藤兵、進藤令子、末續万里枝、妹尾裕彦、多賀秀敏、高林敏之、高良沙哉、竹内久顕、田嶋信雄、谷整二、勅使河原香世子、戸田真紀子、土橋喜人、内藤酬、直野章子、名嘉憲夫、中嶋大輔、中野彩子、中野佳裕、中村尚司、新津厚子、西川潤、野世英水、野島大輔、能登原由美、萩原能久、箱山富美子、林加奈子、林公則、原田太津男、樋野芳雄、平川硬一、福本圭介、藤岡美恵子、藤田昭彦、藤田明史、古沢広祐、星野智、本田順子、本多善、前田輪音、松野明久、水本和実、宮城晴美、宮田春夫、森玲子、藪井和夫、矢野修一、山田裕史、湯浅正恵、吉川成美、吉田信、吉野太郎、吉井美知子、米川正子


「憲法違反は明らか」 三重短大の教員有志 安保法案に反対声明

伊勢新聞(2015/9/12)

 三重短期大学(津市一身田中野)の教員有志が十一日、参院で審議中の安全保障関連法案に反対する声明を発表した。同短大に在席する教員三十人のうち、二十五人の連名。法案を「憲法違反であることは明らか」などと批判し、撤回や廃案を求めている。

 声明は法案に盛り込まれた集団的自衛権の行使について「圧倒的多数の憲法学者が違憲と判断している」と指摘。「目的がアメリカが始めた戦争に日本の若者を差し出すことにあるのは明白」「再び戦争の時代が始まろうとしている」などと訴えている。

 教授と准教授の八人が呼び掛け人となり、今月七日から学内の教員に賛同を求めていた。二十五人のほかに二人の非常勤講師も賛同している。教員らは今後、インターネットなどを通じて声明を紹介し、卒業生などにも賛同を求めていくという。

 県庁で記者会見した同短大の茂木陽一教授(歴史学)は「若者を戦場に駆り立てた歴史を繰り返させないよう声明をアピールしたい」と強調。三宅裕一郎教授(憲法学)は「法案が成立すれば、反対の勢いがついえてしまうのではないかとの危機感を抱いている。今後の状況も見据えて行動したい」と語った。


安保関連法案に反対し行進

NHK(09月13日 19時37分)

国会で審議されている安全保障関連法案について、福岡市中心部の繁華街で、学生たちで作る若者のグループが法案に反対するデモ行進を行い、「違憲の法案は今すぐ廃案にすべきだ」などと訴えました。
デモ行進は、県内の大学生で作る若者のグループが企画し、インターネットを通じた呼びかけなどにより、中央区天神の警固公園には主催者の発表で500人余りが集まりました。
デモ行進に先だって、大学生がスピーチし、「戦争に加担する限り、そこに正義はありません。平和の最後のとりでを守るために今、何か行動しなければなりません」などと呼びかけました。
そして参加者たちは「戦争反対」などと書かれたプラカードを掲げて、「集団的自衛権は違憲」、「違憲の法案、今すぐ廃案」とラップ調のリズムで叫びながら、多くの人が行きかう天神周辺の通りをおよそ2キロ、デモ行進しました。
主催した若者グループの大学4年生の熊川果穂さんは、「安保法案に関しては私たち若者が一番、当事者になりうる立場なので、危機感があります。若い人がこの法案について考えるきっかけになってほしい」と話していました。

人文字:7000人で「NO WAR」安保法案反対 広島

毎日新聞 2015年09月13日

 参院で審議が続く安全保障関連法案に反対する市民団体が13日、広島市中区の公園で集会を開き、主催者発表で約7000人が「NO WAR NO ABE」の人文字をつくり、抗議の声を上げた。

 市民団体は「ストップ!戦争法ヒロシマ集会実行委員会」。被爆者や大学生、小さな子どもの家族連れなども参加し、「9条守れ」「戦争NO」などのプラカードを掲げて「私たちの思い国会に届け」と叫んだ。

 2児の母である広島市の内野知恵さん(29)は「子どもたちを戦地に行かせるわけにはいかない。過去から武力で平和はつくれないと学んだはずだ」と訴えた。(共同)


<安保法案>学生とママ、一緒に反対の声を 浦和でデモ行進

埼玉新聞(2015年9月13日)

「安保法案反対」を訴えながらデモ行進する学生や主婦ら=12日午後5時15分ごろ、さいたま市浦和
  参院で採決が迫る安全保障関連法案に反対の声を上げようと、県内の高校生・大学生の会「VIP埼玉」と「安保関連法案に反対するママの会・埼玉」が12日、さいたま市浦和区でデモ行進をした。参加者数は約360人(主催者発表)に上った。

 参加者は午後5時、JR浦和駅西口を出発。「戦争NO!」「9条守れ」などと書いたポスターを掲げ、「戦争法案今すぐやめろ」「日本の若者を犠牲にするな」と訴えながら県庁通りや旧中山道を約1時間にわたり練り歩いた。

 デモに参加した高校1年生の紀田真求さん(15)は「願っているだけでは何も変わらない。皆で一緒に声を上げて行動したかった」。新座市在住の大学2年生、芦野大地さん(20)は「デモをするうちに、無関心だった友達も共感してくれるようになった。声を上げることは無意味じゃない」と充実感をにじませた。

 さいたま市浦和区の主婦、田村里織さん(39)は長女果歩ちゃん(8)と共に参加。「安保法案に強く反対する気持ちがあり、一人でずっと考え続けていた。私たち親の世代で戦争を許したくない。デモに参加してやっと自分の気持ちを吐き出せて、すっきりした」という。果歩ちゃんも「戦争という言葉は怖い。戦争は絶対に駄目」と表情を引き締めた。


安保法案「絶対止める」 高崎で若者らデモ

東京新聞(2015年9月13日)

 安全保障関連法案が参議院で審議される中、法案の廃案を訴えるデモが十二日、高崎市のJR高崎駅周辺であり、学生ら若者を中心に約百人(主催者発表)が参加した。与党は今週半ばにも参院特別委員会で採決する構えだが、デモ参加者らは「絶対に止める」などと気勢を上げた。 (原田晋也)
 高崎駅前で集会があり、大学教授や女性団体の代表者らが演説。経済学が専門の山田博文・群馬大名誉教授は「戦争ほどの金食い虫はない。経済学の視点からも、この法案は通してはいけない」などと訴えた。
 学生も声を上げた。群馬大医学部五年の桑原蓮(れん)さん(23)は「法案が成立したら、医師として国民の健康を守って行くという目標が実現できるか不安に思い、参加した」と話す。県内では学生らが法案について議論する場が少なく、個人で参加したという。壇上でマイクを持ち、参加者の前で「一人の学生として反対の声を上げていきたい」と語った。
 集会に続き、参加者はプラカードを手に、駅前から群馬音楽センターまで行進。「戦争反対」「だって戦争行きたくないじゃん」などとシュプレヒコールを上げた。「飛び込み参加、自由です」と呼び掛けると、沿道から列に加わる人もいた。
 五歳の長男と行進した前橋市の看護師、高徳晴香さん(37)は「子どもたちのことを考えると、平和な世の中を残すのが親の仕事だと思い参加した」と語った。高崎市の家事手伝い、糸井澪(みお)さん(20)は「若者を含め、こんなに反対している人がいるぞってアピールできたと思う」と声を弾ませた。
 デモは若者を中心に県内有志で結成した「ピースアクションフロムグンマ(PAG)」が主催。実行委員の早水孝元さん(38)は「法案の危険性への認識が広まっていると手応えを感じているが、採決されようとしている。国民の声を聞いて議論すべきだ」と批判した。


2015年09月13日

「安保法案は違憲」、宇都宮大の教員らが反対声明

朝日新聞(2015年9月12日)

 宇都宮大の教員らの有志が10日、参院で審議中の安全保障関連法案は憲法違反だとして、安倍政権とすべての国会議員に廃案を求める声明を発表した。宇大の元教員、職員も含めて賛同者は101人。県関係の国会議員に声明と質問状を送り、回答をホームページに掲載するという。

 16人の呼びかけ人の一人、国際学部の清水奈名子准教授(39)=国際関係論=らが県庁で会見。「いま声を上げなければ政策に加担してしまうことになる。粘り強く反対を続けていきたい」と語った。

 賛同者は専門分野も年代も違う宇大の全4学部に広がり、元教員、職員も名を連ねた。「8月31日から呼びかけを始め、実質10日でこれだけの人数が集まるとは予想していなかった。粘り強く反対を続けたい」と清水准教授。「宇都宮大学教員有志の会」のホームページで、声明や賛同者、質問状などを公開している。

 学内で様々な議論を重ねてきたという呼びかけ人の一人、国際学部の田口卓臣准教授(41)=フランス文学・思想=は「法案に強い不安感、違和感を口にする学生が多い。その声に背中を押された」と動機を語った。(堀井正明)


2015年09月12日

参議院の強行採決は「良識の府」の自殺行為

web ronza(2015年09月11日)

参議院の強行採決は「良識の府」の自殺行為

 参議院の安保法制審議は、「良識の府」らしく、衆議院で明らかになっていなかった様々な問題点を浮き彫りにした。

 たとえば、自衛隊の内部資料(統合幕僚監部作成の法案成立後のスケジュール、河野克俊統合幕僚長のアメリカ軍との会談議事録)を共産党が次々と明らかにし、文民統制が犯されていて戦前のような軍の暴走を招きかねない、と批判されている。

 そもそも、もともとこの法案の必要性を首相が説明した邦人輸送中の米艦防護の例でも、中谷元防衛大臣は邦人が乗っていることは絶対的な条件ではないと述べ(8月26日)、立法の根拠すら崩れている。

安保法案で中谷元・防衛相(中央)の答弁を巡って審議が中断した参院特別委員会=2015年8月25日

 これらは、いずれも巨大な問題であり、本来ならばそれらの1つだけでも安保法制の成立は不可能になってしまうほどの深刻な意味を持つ。

 しかも、政府の答弁が行き詰まって、なんと95回以上も審議が中断し、審議時間は9月1日の時点でまだ63時間に過ぎないから、審議時間が不十分と批判された衆議院よりもさらに少ない。

 審議は十分に尽くされたどころか、次々と問題点が浮上している。

 これに対応して、国民の間でも今回の成立に反対する人は6割以上に及んでいる(JNN調査、賛成30%、反対61%、9月7日)。

 さらに、山口繁・元最高裁長官までもこの法案を違憲と明言し(朝日新聞、9月3日)、大森政輔・元内閣法制局長官も参議院特別委員会の参考人として違憲と述べた(9月8日)。

 それにもかかわらず、9月27日の国会会期末を念頭に、与党は地方公聴会の開催すらしないで安保法案を14日の週に採決する方針を明らかにした。

 このため特別委員会では、9月8日に鴻池祥肇委員長が野党の同意なしに理事会を再開し、野党が委員長席に詰め寄って抗議する中で、中央公聴会を15日に開催することを強引に議決した。

 与党は16日の特別委員会採決、17日の本会議採決を目指していると伝えられているので、このまま強行採決に進むのだとしたら、参議院は「良識の府」たる役割を自ら放棄すると言わざるを得ないだろう(「安保法案で『良識』が問われる参議院――主権者は『クーデター』を失敗させられるか?」WEBRONZA)。

 このような動きに対して、民主、維新、共産、生活、元気などの野党6党は、強引な採決に反対して、野党間で連携して対応することを確認した(9月4日)。野党は、どのようにこの採決に臨むべきだろうか?

法を遵守するための正義の戦い

 参議院でこの法案が「成立」すれば、いよいよ「憲法クーデター」が達成されたことになる。 日本という国家は、正義に反して自らの憲法に反した「法律」を制定することになり、立憲主義や法治主義が形骸化する「不法国家」となってしまう。このような強行採決を行う政府は、「専制政府」「暴政政府」そのものということになる。

 そこで、このような国家に反対して法を遵守する政党は、あらゆる合法的な手段を尽くして抵抗すべきである。

 現在、野党間では内閣不信任決議案の提出が検討されている。それはもちろん提出されるのが正義に適う。それだけではなく、国会の中で問題になった様々な閣僚や議員の不信任決議案や問責決議案が次々に提出されるべきだろう。

 たとえば、防衛大臣や外務大臣、さらには武藤貴也議員、礒崎陽輔首相補佐官などについてであり、強行採決をしようとする委員長や参議院議長についてである。河野統合幕僚長の国会招致なども要求すべきだろう。

 これらは、本来、国会で問題になった時点で野党から辞任が要求されて当然であり、今ほど与野党の議席数が開いていなければ辞職に追い込まれていただろう。ところが、政権は、武藤議員の離党を認めるなどの対応を取っただけで、基本的には彼らを守り通してきた。

 もちろん、現在の国会の与野党の議席を考えれば、これらの決議案が可決されることはないだろう。それでも、野党の立場から正義を問うためにこれらを提出することは大事なのである。

 さらに、野党は、久しく使われなくなっている牛歩戦術や国会内座り込みなどの方策も、封印を解いて積極的に用いるべきである。これらは、かつての左翼的な革新政党が用いていた抵抗手法である。

 民主党をはじめ近年の多くの野党は、かつての革新政党と距離を置き、責任政党としての対案の提示を重視したため、これらの強い抵抗手法を用いなくなった。これには相応の理由がある。

 しかし、今の局面では、その紳士的な姿勢を捨てて、激しい抵抗を全力で行うべきである。なぜなら、憲法が決定的に犯され、国家が不法国家になってしまうという危機は、民主政治や立憲主義にとって最大級の危機であり、文字通りこれに全力で反対しない限り、野党の存在意義すら疑わしくなるからである。

 そうすることのみが、「憲政」の危機における行動について、野党政治家が歴史の審判に耐える道だろう。

専制に対する非暴力抵抗――「ピース牛歩戦術」の勧め

 国会の外では、老若男女の人々が連日のように全国各地でデモを行い、抗議行動を繰り返している。炎天下でも雨の中でも、仕事が終わり次第デモに駆けつけたり、休日の休養や趣味の時間をなげうったりして、その思いを伝えようとしている。強行採決の時にも、多くの人びとが抗議デモに行って採決に反対するだろう。

 だから、国会の中でも、法を遵守する国会議員は、これらの人々の声を代弁する活動を、文字通り力を尽くして、最大限、行わなければならない。

 今は、法を守ろうとする野党の本気度も問われている。牛歩戦術をはじめとする抵抗手法は、通常の政治では熟議の採決では行うべきではないが、憲法そのものの危機における政治(憲法政治)において強行採決が行われる時には、むしろ法を守るための尊い最大限の抵抗行為と考えられる。

 もともと、専制政府に対する抵抗がどのような形で行われるべきかということは、民主主義における最大のテーマの1つである。

 その歴史の中で、インドのガンジーやアメリカのキング牧師の非暴力抵抗運動は、極めて重要な方法である。牛歩戦術はまさに平和的な方法である。かつてイラク反戦運動の時に若い人たちは「ピース・ウォーク」という、平和的に歩く新しい抗議方法を実行した。それに似たものとして、いわば平和のための「ピース牛歩戦術」を取ったらどうだろうか。

 過去において牛歩戦術は、1回の投票で最長で13時間を費やしたことがあるから、最大限の抵抗を行えば、参議院採決にせよ、衆議院での再可決にせよ、17日と18日の強行採決ができなくなるのはありえないことではない。

 そうなれば、週末の大型連休に突入することになり、政府は大規模な全国市民安保デモに直面することになるだろう。

 安保法制に反対する市民デモは、まさに非暴力的・平和的な形態で行われている。それに対応して、国会議員の抵抗も、もちろん非暴力的に行われるべきである。

 しかし、逆に言えば、専制政府による憲法の危機という非常時においては、非暴力的・合法的な範囲内で最大限の抵抗を試みて初めて、議員は「選良」の名に値すると思われるのである。

政党における立憲主義的な「平和への結集」

 そして、会期中に法案が成立するにせよ、しないにせよ、力を尽くした抵抗を共にすることによって、野党の間で連帯が実現すれば、これは政党における「平和への結集」の礎になるだろう。

 全国市民安保デモが人々の間での「平和への結集」を実現しつつあるにもかかわらず、強行採決が行われるならば、次の大きな課題は、政治家や政党の間における「平和への結集」をいかに実現するか、ということである。

 もし強行採決が行われれば、この法案の廃止が2016年の参議院選挙の最大のテーマになるべきだろう。その時に、野党間で強力な連携や結集が成立していれば、与党は敗北する可能性が高い。逆に連携や結集が成立しなければ、野党が勝つことは難しくなる。

 維新の党が実質的に分裂状態になり、執行部は民主党との連携を目指しているから、立憲主義的な野党の結集は可能性が高まっている。

 そこで、人々の声に基づく「平成の憲政擁護運動」が選挙に大きな影響を与え、野党の間で法と民主主義の回復を目指す立憲主義的な政党連合か、あるいは強力な新党が実現すれば、安保法案に反対する人々は、そのような政党に投票するだろう。それは、まさに「平成の政変」につながるかもしれない(「『全国市民安保デモ』で『平成政変』は起こるか?――憲政擁護運動と市民革命の可能性」WEBRONZA)。

 専制政府の強行採決に対する野党の抵抗の中から、そのような道が生まれてくるか否か。それは、野党政治家たちの勇気と知恵にかかっているのである。


「戦争への動きに反対」 安保法案、沖国大教員有志が声明

琉球新報(2015年9月11日)

 沖縄国際大学の教員有志61人(10日現在)が10日、安保法案の廃案を求める声明を出した。声明は「先の戦争で『軍隊は住民を守らない』ことを知り、戦争につながるいかなる動きにも反対しなければならない」とし、11年前の同大への米軍ヘリ墜落で「軍隊の本質を厳然と見せつけられた」と沖縄の現実を踏まえて、法案の廃案を強く求めた。呼び掛けた法学部の稲福日出夫教授らが10日、同大で発表した。
 声明は、沖縄の森の上を米海兵隊MV22オスプレイが飛ぶ写真を配し、語り掛けるような文体で300字ほどにまとめた。
 国会審議も大詰めを迎える中での発表について照屋寛之教授(法学部)は「思いはあっても呼び掛けの声を出すのが難しかった。遅くはなったが研究者の責務、良心として黙認できない」と話した。

安保法案、北星学園が批判する声明 広報に掲載

毎日新聞(2015年09月11日)

 北星学園大などを運営する学校法人北星学園(札幌市厚別区)が、安全保障関連法案について「日本国憲法の平和主義を理念上も実践上もないがしろにするもの」などと批判する声明を理事会で決定し、10日から配布した学園広報に掲載した。大学運営法人によるこのような声明は異例。

 声明は「戦後70年にあたって」と題し、本文で「立法手続きにおいては立憲主義を毀(こぼ)つもの」と法案の審議過程に疑問を呈した。さらに「戦後日本が立脚してきた憲法と民主主義が、大きな危機にさらされている」と懸念している。

 北星学園は戦後50年の1995年、「戦争で、アジアの人々に与えた多くの被害・苦しみを痛感し、その責めにこたえていく」とした平和宣言を発表。今回の声明では当時の「平和宣言にこめられた精神をあらためて確認する」とした。


国立大・文系廃止通知:下村文科相「見直し求めた」と釈明

毎日新聞 2015年09月11日

 ◇「誤解を与える表現だった」とも

 国立大学に文系学部の改組や廃止を求めた文部科学省の通知で、下村博文文科相は11日、閣議後の記者会見で、人文社会科学系については廃止ではなく見直しを求めたものだったとして「誤解を与える表現だった」と釈明した。通知に対し学術界から「文系軽視か」と批判が出るなど波紋が広がる中、文科省は火消しに躍起だが、通知の見直しや撤回は予定していない。

 通知は文科相名で6月に出された。各大学が作成する2016年度から6年間の業務運営計画の基になるもので「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については(中略)組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組む」ことを求めた。

 これに対し、日本学術会議は7月、「人文・社会科学の軽視は大学教育全体を底の浅いものにしかねない」と批判する声明を出した。大学改革が政府の成長戦略に位置づけられたこともあり、有識者らから「実学重視」の流れを警戒する声が強まると、経団連は今月9日、文科省の通知について「即戦力を求める産業界の意向を受けたものであるとの見方があるが、産業界の求める人材像はその対極にある」との文書を出した。

 下村文科相は11日の会見で「人文社会科学系は廃止ではなく、見直しが必要ではないかというのが通知の本来の趣旨だった」と述べ、「廃止」対象は教員養成系だと説明。特に教員免許取得を卒業条件としない「新課程」(いわゆるゼロ免課程)について、少子化に伴い教員数が減っているため「廃止は当然のこと」と強調した。

 通知の文章について下村文科相は「一字一句私が全部チェックしているわけではない」と弁明した。【三木陽介】


富山大 文系定員100人規模削減も

2015年09月11日

 富山大は、文系学部の定員を100人規模で削減する方向で検討に入った。文系学部で削減した定員を、新設する理系学部に充てることで、地域創生を担える人材の育成を目指す狙いがある。文部科学省は今年6月、文系学部の廃止・転換を求める通知を出しており、同大幹部は「文系の定員削減規模がさらに拡大する可能性もある」と話している。


 同大などによると、定員の削減が検討されているのは、富山市の五福キャンパスにある人文、人間発達科学、経済の3学部と、高岡市の高岡キャンパスにある芸術文化の計4学部。定員の削減数は、人文が15人、人間発達科学が10人、経済が昼間と夜間で計60~70人、芸術文化が5人。現在、最多の定員(405)を抱える経済学部の削減数が特に多くなっている。

 同大は、文系学部で削減した定員を、2017年度の新設を目指している理工系の「システムデザイン学部(仮称)」(定員150)に充てる方針だ。当初は16年度に理工系学部を再編して新設する計画だったが、文科省との調整が難航したため、文系学部の定員削減と連動する形で、新学部の17年度開設を目指す。

 現在、同大の理系学部は、理(定員230)、医(同185)、薬(同105)、工(同405)の4学部。現状でも、理系4学部の定員合計925人は、文系4学部の同875人を上回っているが、文系学部の定員削減が実行されると、その差は最大250人に広がり、より「理系色」が強い大学となる。

 文科省は今年6月、全国の国立大学法人に対し、「人文社会科学系学部については、18歳人口の減少や人材需要などをふまえて、廃止や社会的要請の高い分野への転換に取り組む」ことを求める通知を出した。富山大が文系学部の定員削減を検討しているのも、この方針に沿った動きだ。

 ただ、定員の削減対象とされている文系学部の教員からは「目先のことだけを考えて、文科省が理系を重視するのは拙速だ。文系学部が輩出してきた人材も社会を支えてきたではないか」と憤る声も出ている。

 同大は今夏、文科省に国立大学法人運営費交付金を要求した際、「人材育成や地域課題を解決する取り組みなどを通じて地域に貢献すると同時に、強みや特色のある分野で世界ないし全国的な教育研究を推進する」という枠組みを選択。「富山の知の拠点」として、これまで以上に最先端の研究や地域創生に重点を置く方針を掲げている。


2015年09月11日

九州の大学人190人が安保法案反対!「一人一人が考え行動する主体だ」

Net IBNews(2015年09月09日)

 安保法案に反対して、九州の教職員、学生らが9月7日、福岡市で緊急集会を開いた。九州大学、西南学院大学、福岡大学の教員有志が九州・山口の大学の教職員・学生によびかけたもので、学外の市民を含む約190人が参加した。

 国会前でのSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の行動に影響をうけて、福岡の若者で結成された「FYM」(フクオカ・ユース・ムーブメント)や、北九州市の「FYM kita9」、長崎の「N-DOVE」の若者がスピーチした。

 「FYM kita9」の谷口咲太郎氏(25)は、8月30日にのべ30万人(主催者発表、複数カ所でののべ人数とする)が集まった国会前包囲行動に参加したことを報告し、SEALDsの中心メンバーの奥田愛基氏らに触れて、「こんな若者に何をやらせているんだ。僕は何をやっているんだ。恥ずかしくて、悔しい。だから、何ができるわけではないけど、僕は国会前に行きました。30万分の1になるなんてゴメンだ。自分で考えて行動する1人として、主体として、声にしていこうと決意して行った。そう考えることができた一人ひとりがいた(から30万人が集まった)」と述べた。

 FYMの熊川果穂氏(21)は「デモに対してイメージが良くなく、(安保法案の衆院)強行採決後もデモのきっかけがなかった。政党・団体ではなく、一人ひとりが参加できる、福岡なりのムーブメントをしている」「戦争がちらつく法案には反対です。犠牲の上の平和ではなく、誰も犠牲にならない社会をつくることが大切だ」と語った。「FYM kita9」の崔春海氏(20)は「若者の行動を東京だけのものにしたくない。それぞれの地域に根差した反対の声をあげていきたい。平和のために抑止力を持つのではなく、対話、下からの平和が重要」と訴えた。

 集会では、福岡県弁護士会元会長の永尾廣久弁護士や木村公一牧師も挨拶し、「本当に(安保法案の)息の根を止めたい」(永尾氏)、「この戦いは9月で終わるわけではない。集団的自衛権で平和をつくることと、非武装で平和をつくることと、どちらが現実的で効果的かという戦いをこれからしていこう」(木村氏)と呼びかけた。

 3大学の教授らが、安保法案に反対し各大学有志の声明をあげた経過を説明。北九州大学、福岡県立大学、産業医科大学の教員や名誉教授らが次々とスピーチし、「この法案は限度を越していると切迫感を感じている。社会をつくるうえで大事な信頼を確実に壊すという危機感を持っている」などと述べた。大学有志の声明には、ネットを活用した賛同署名が元教員や卒業生を含め、九州大学で約500人、福岡大学で約150人、西南学院大学で約180人に広がっていることが紹介された。

 集団的自衛権の是非や憲法解釈など意見の違いを考慮した最大公約数の声明を、満場の拍手で採択。声明は、「われわれの社会の根本のルールである民主主義や立憲主義を破壊してしまう安全保障関連法案がもつ内容的・手続き的な問題点」などをあげて、「平和のあり方はわれわれ自身が定義するものであり、権力によって押しつけられるものではありません」と指摘。「アジアの玄関口」としての交流、加害と被害の双方の歴史を持っている九州の地から、「安保法案の即時廃案」を求めている。


国立大、卓越研究型に16校 地域型55校、3類型確定

共同通信(2015/09/10)

 文部科学省は10日までに、国立大の改革推進策として、重点的に取り組む教育や研究の内容によって全86校を三つのグループに分ける枠組みをまとめた。卓越した教育研究で外国大学と競うグループに東大、京大など16校、地域ニーズに応える人材育成・研究を行うグループに横浜国立大など55校、特色ある教育研究を進めるグループに東京芸術大など15校が入った。
 文科省は2016年度から運営費交付金の一部を、各グループに分かれた国立大の取り組み内容に応じて傾斜配分するが、現場からは「枠組みに縛られ、多面性を失いかねない」との懸念も出ている。

2015年09月10日

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会、「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)

日本科学者会議機関誌『日本の科学者』に「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」が掲載されます。以下のリンクからPDFファイルをご覧下さい。
 本年2月17日、仙台高等裁判所民事第1民事部(中西茂裁判長)は、日野秀逸本フォーラム代表ら4名と井上明久東北大学前総長との名誉毀損裁判で日野氏ら敗訴の判決を下しました。この判決を不当として日野氏らは本年6月22日に最高裁判所に上告手続きをとりました。この直後に、当事者4名を代表してフォーラム世話人の大村泉氏が、仙台地裁、高裁で争われた第一、二審の概要と、高裁判決を不服として上告を決断するに至った理由を、日本科学者会議の機関誌『日本の科学者』に寄稿したところ、同誌第50巻第10号(2015年9月10日発売)に掲載されることになりました。ところで、日野氏らは、上告に際し、「上告理由書」(10ページ)、および「上告受理申立理由書」(137ページ)を提出しました。前者では高裁判決が如何に憲法21条(表現の自由)に違反し、理由不備・審理不尽(民訴法312条、1項、6号)に陥っているかが解明されています。後者では高裁判決の不当性が、判決理由に逐一立ち入り論評されていますが、大村世話人の『日本の科学者』への寄稿は内容的にその核心部分を要約したものです。

この最新情報では、上記日野氏らの「上告理由書」と、大村世話人の寄稿を公表します。『日本の科学者』当該号の発売前にこの寄稿のPDFを公表するにあたっては、同誌編集委員会から特別のご配慮を頂戴しました。記して感謝の意を表します。

いずれも次の文書名をクリックして頂けるとダウンロードが可能です。

上告理由書.pdf

* 大村泉氏寄稿「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」(日本科学者会議編『日本の科学者』第50巻第10号、42~45ページ、2015年9月10日発行)日本の科学者寄稿Vol50_No10.pdf


宇都宮大教員ら90人、安保反対 廃案求め、10日声明発表

下野新聞(9月9日 朝刊)

 参院で審議中の安全保障関連法案をめぐり全国の大学で反対する動きが相次ぐ中、宇都宮大の教員有志らが廃案を求める声明を10日に発表する。

 8月末から募り始めた賛同者は文系、理系にまたがり90人を超えたという。国際学部の清水奈名子(しみずななこ)准教授(国際関係論)と田口卓臣(たぐちたくみ)准教授(フランス思想・文学)は法案が違憲であり、「学生には法案に対する危機感が募っている」として、学問や学生に与える悪影響などを訴えている。

 呼び掛け人は清水准教授ら10人。声明は(1)集団的自衛権の一部行使を容認する法案が違憲であること(2)11本にまたがる法律を2本にまとめて審議するといった政治手法(3)多くの国民が各種世論調査で異論を示す中で与党が衆院で強行採決したこと-など6項目にわたり、法案に反対する理由を列挙している。

 中でも「学生と学問の影響」では、「経済的に不利な立場の若者を対象とした経済的徴兵制の導入される可能性」の指摘や、「学者と学問による軍事協力が行われた歴史を踏まえ、再び軍事利用される流れを強める本法案に強い懸念を表明する」としている。

 教員有志らは10日に記者会見を開き、法案に反対する声明を発表するとともに、本県関係の国会議員に質問状を送付する予定。


安保法案に反対、大学教員ら声明

朝日新聞(2015年9月9日)

◇有志の会立ち上げ

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する県内の大学教員らが8日、「安全保障関連法案の廃案を求める埼玉・大学人の会」の結成と声明文について県庁で記者会見を開いた。8日時点で、県内にゆかりのある大学関係者113人が賛同している。

 「埼玉・大学人の会」は8月に発足した。声明文は、「憲法9条の政府解釈の変更は、到底正当化できるものではなく、説得力を欠く。現政権の態度は学問と良識を無視し、近代立憲民主主義という基本的な政治のあり方を破壊するもの」とし、安保関連法案の廃案を求めている。

 呼びかけ人の一人、埼玉大学・七木田文彦准教授は会見で、「埼玉のコミュニティーに根ざす形で会が立ち上がった。これほど広範に大学教員が集まったのは初めて」と話した。今後、市民向けの学習会も企画するという。

 安保関連法案の廃案を求める獨協大学(草加市)教職員有志の声明には213人が、鳩山町にキャンパスを持つ東京電機大学関係者有志の会の声明には56人が、それぞれ賛同しているという。


経団連、国立大学改革で提言 人材育成に向け機能分化を

産経(2015.9.9)

 経団連は9日、人材育成に向け、それぞれの強みや特色を生かし、機能を分化する形での国立大学改革を求める提言を発表した。

 大学教育が画一的で知識詰め込み型の教育が多く、産業界の求めるグローバルな視点でのさまざまな課題を、分野横断型の発想で解決できる人材が育っていない中で、大学側への改革加速を求めた。

 提言では、理系、文系を問わず、幅広い教養、課題発見・解決力、外国語でのコミュニケーション能力などを身につけた上で、専門分野の知識を習得し、留学などのさまざまな体験を通じ、文化や社会の多様性を理解できる人材育成が必要としている。

 理系でも人文社会科学を、文系でも先端技術に関心を持った上で理数系の基礎的知識を身につけることが不可欠という。

 そのためには学長がリーダーシップを発揮し、各大学が画一的でない魅力ある大学づくりや、ガバナンス改革による経営刷新を図るべきとしている。

 また、経団連としては企業人講師の派遣や海外留学のための奨学金制度などで協力し、産学連携を強化する方針だ。

 国立大学改革では、今年6月に出された文部科学大臣通達で「教員養成系、人文社会科学系の学部や大学院についての組織見直し」を盛り込み、再編を強く求めた。一部では「文系切り捨て」といった声も出ている。そのなかで、企業が即戦力を求め過ぎることが背景にあるという経済界への批判もあり、経団連としてはそういった懸念を払拭する狙いもあり、今回の提言をまとめた。


明大教授、懲戒免職に…司法試験漏えい

読売新聞(2015年09月09日)

 今年の司法試験で問題を作成する考査委員を務めていた明治大法科大学院(東京都千代田区)の青柳幸一教授(67)による試験問題の漏えい事件で、同大の福宮賢一学長が9日夜、記者会見し、青柳教授を懲戒免職にする方針を明らかにした。

 今後、理事会などを経て正式決定する。福宮学長は「司法試験制度の根幹を揺るがしかねない事態だと重く受け止めており、おわび申し上げます」と陳謝した。

 東京地検特捜部は同日、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で告発された青柳教授の研究室を捜索した。既に自宅などの捜索を終えており、裏付けを進める。

 会見には、福宮学長や、法科大学院の河内隆史院長ら3人が出席。説明によると、事件の発覚を受けて河内院長が、青柳教授に電話で事実関係を確認したところ、教授は漏えいを認めた上で、「ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。特捜部の捜査を理由に詳細な説明は拒んだという。


2015年09月09日

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件、控訴審 第1回口頭弁論

京都大学職員組合
 ∟●10/13(火) 控訴審第1回口頭弁論 傍聴のご参加を...

京都大学一方的賃下げ無効・未払い賃金請求事件

                  
控訴審 第1回口頭弁論

日 時:2015年10月13日(火) 11:00?

場 所:大阪高等裁判所 本館 第202号法廷(傍聴席91席)

控訴審第1回口頭弁論報告会

同日11:30 大阪弁護士会館 にて

傍聴にご参加ください

 5月7日、京都地方裁判所第6民事部は、京都大学職員組合の組合員ら115名が組合の支援を受けて国立大学法人京都大学を提訴した未払い賃金請求事件において、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

 判決では、私たち原告が主張した賃下げの不当性の数々の論点が認定されました。

1.原告らは賃下げに同意をしていない(被告の「黙示の同意論」を否定)。
2.運営費交付金が減額されても、賃下げを回避できる財源が京大にはあった。
3.国は国立大学法人に賃下げを強制していない。
4.京大の賃下げ率計算式は不合理(運営費交付金削減額が小さくなると賃下げ率が大きくなる)。
5.賃下げの損害額は小さくない。
6.国家公務員や国立大学法人などの賃下げを原資とした震災復興予算は、関係のない事業に投じられた。

 これだけの原告の主張を認定しながら京都地裁の裁判官は、「国の再三の要請があった」「全ての国立大学が賃下げに応じるという社会一般情勢があった」「賃下げの計算式が不合理であったとしても、大学財政が賃下げの理由ではない」として、原告の請求を棄却する判決を言い渡したのです。これでは法律も判例もあったものではありません。この論理なら「万引きも多数で行えば適法」となってしまうでしょう。また、政府の要請に無条件に従うことが国立大学の社会的責任であるという結論であり、裁判官が司法の存在意義を自ら掘り崩す愚行と言わざるをえません。こうしたことから当判決は、あらゆる面において、私たち労働者の権利だけでなく国家としての日本の国際的信頼をも著しく傷つけるものであります。私たちは、こうした法治主義に反し基本的人権を侵害するこの事態を到底是認することはできず、司法の正当な判をまた、法廷だけにとどまらず、国内外にも問題提起をしていく所存です。

 これまでご支援頂いたみな様方には、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。舞台は大阪高裁に移り、これまでより、さらにご足労をおかけすることになりますが、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。


私立大学国立大との格差是正を、全私学連合 予算、税制で要望書まとめる

私立大学国立大との格差是正を
全私学連合 予算、税制で要望書まとめる
私立中学生へ公的支援制度創設
寄附促進のための措置拡充を

 全私学連合(清家篤代表=慶應義塾長)は、7月29日、「平成28年度私立学校関係政府予算に関する要望」と「平成28年度私立学校関係税制改正に関する要望」を決定、同日、文部科学省や文教関係議員等に提出した。今後、文部科学省内で平成28年度予算概算要求づくりや税制改正要望づくりが本格化し、8月末日までに財務省に提出される予定。

 「平成28年度私立学校関係政府予算に関する要望」は、①私立大学関係予算要望②私立高等学校等関係予算要望③私立幼稚園関係予算要望④日本私立学校振興・共済事業団要望⑤一般財団法人私学研修福祉会研修事業要望からなっている。

 このうち私立大学関係は七つの最重点要望と八つの重点要望項目を掲げている。最重点項目は、①私立大学の経営基盤強化に向けた支援の拡充・強化(国私間における格差是正、消費税引き上げに伴う負担軽減をはじめとする公財政支出の見直し・拡充)②学生の修学上の経済的負担の軽減に係る支援の拡充・強化(私立大学生の修学上の経済的負担軽減のための就学支援金制度の創設など)③学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換に対する支援の拡充(少人数授業や双方向授業を実施する学習施設や図書館機能を強化する教育施設整備に係る支援など)④地方創生に係る私立大学の取り組みへの支援の拡充(地方活性化に貢献する人材の育成のための支援の拡充など)⑤大学改革の推進に係る支援の拡充・強化(生涯教育、グローバル化、教員養成、課外活動〈スポーツ活動等〉等に係る支援の拡充⑥学生の生命を守る安全・安心な教育研究環境の実現に係る支援の拡充(私立大学の耐震改築、耐震改修、防災に係る支援の拡充など)⑦東日本大震災の復興等に係る支援の継続・拡充等(被災学生に対する授業料等減免措置の継続・拡充及び給付型奨学金制度の創設)。この要望の中では、学生1人当たりの公財政支出額が国立大学180万円に対して私立大学は14万円(平成25年度)にすぎないこと、学生に対する授業料減免でも国私間に大きくな開きがあり、耐震化でも国立大学は全額補助、私立大学は2分の1補助と違いは大きく、国立大学の耐震化が平成27年度にも完了予定なのに対して、私立大学の耐震化完了にはなお約1200億円の予算措置が必要だと訴えている。

 私立高等学校等関係予算要望では、①私立高等学校等の経常費助成費等に対する補助の拡充強化②私立高等学校等施設設備の整備等に対する補助の拡充強化(私立高等学校等施設の耐震化支援の拡充強化など)③私立学校生徒への修学支援の拡充強化(私立高等学校就学支援金の拡充強化、私立中学校生徒への公的支援制度の創設)④私立学校教員の資質能力向上等のための補助の拡充強化を掲げている。ポイントは国の進める「新しい教育」に必要な経費については全額公費で支援するような制度の導入と、現在、支援の届いていない私立中学校生徒への公的支援制度の創設。高校就学支援金に関しては基準金額の増額と加算措置限度額の引き上げを強く要望している。

 幼稚園関係要望では、私立高等学校等経常費助成費等補助制度(幼稚園分)の拡充(教員の処遇改善への考慮、特別支援教育の一層の充実)、幼稚園就園奨励費補助制度の拡充、私立幼稚園施設整備費補助制度の充実(耐震化補助率の嵩(かさ)上げなど)の実現を求めている。

 私学事業団は、私立学校に対する貸付事業に必要な財政融資資金等の確保等を要望、私学研修福祉会は研修事業の充実・継続のための安定的な財源基盤の強化・支援(財源確保)を要望している。

 一方、税制では寄附促進のための措置の拡充(寄附金所得控除限度額の拡大等)、教育費に係る経済的負担軽減のための措置の創設(教育費の所得控除制度の創設など)、東日本大震災により被災した学校法人の復興のための特例措置の拡充(被災した学校法人に対する寄附の特例措置の拡充など)、学校法人の健全な財政基盤の確立に向けた優遇措置の創設・拡充(消費税率の引き上げに伴う私立学校の負担軽減のための特例措置、受託研究に対する非課税措置の拡充など)を要望している。私立大学における受託研究については平成14年度の税制改正で非課税措置が創設されたが、研究成果の公表という知的財産権に絡む条件が課されており、民間企業との契約でこの条件を満たすのは非常に難しい状況で、非課税措置を活用できない。国立大学は無条件に非課税となっている。


全労連、労働者派遣法大改悪法案の採決強行に強く抗議する

全労連
 ∟●労働者派遣法大改悪法案の採決強行に強く抗議する

労働者派遣法大改悪法案の採決強行に強く抗議する(談話)

 本日、参院厚生労働委員会は、労働者派遣法大改悪法案の採決を強行した。派遣労働者の多くも反対する雇用破壊の大改悪であり、全労連は強く抗議する。

 第一に指摘すべきは、参院段階の審議を通じて、同法案が直接雇用の大原則を侵し、低賃金・使い捨ての労働者派遣を一般的な働き方に変え、派遣労働者を急増させる雇用破壊法案だということがいっそう鮮明になったことである。

 生涯ハケン・正社員ゼロの大改悪にほかならず、これでは、雇用はますます不安定化し、働く人々の賃金水準はいっそう下がってしまう。暮らし破壊、内需縮小による経済破壊の大改悪として厳しく批判されねばならない。

 第二に指摘すべきは、運動のなかで実現した「労働契約申込みみなし制度」の10月1日発動を阻止し、違法企業を免罪しようという与党の黒いねらいもまた鮮明になったことである。

 与党は採決直前に施行日を9月1日から9月30日に修正したが、それでも施行日まで残された期間はわずかしかなく、異常といわざるを得ない。

 これでは、派遣労働者の急増が強く危惧されるだけでなく、違法のやり得として、法の支配の大原則すら揺るがしかねない。

 同時に指摘すべきは、派遣労働者自らが反対に立ちあがり、労働組合や雇用の安定を願う広範な世論が与党を追い詰めてきた結果が、会期末が目前に迫るなかでの委員会採決強行という事態となったことである。

 与党は、採決直前に施行日を9月30日に修正しただけでなく、労働組合や野党各党が厳しく批判してきた点について、形ばかりだが三点の修正をおこない、質疑なしで採決を強行した。事実上、与党自ら法案の欠陥を認めるものである。この点でも運動が追い詰めてきたことを確認すると同時に、形ばかりの修正ではとうてい許されず、廃案しかないことを明らかにするものだということを強く指摘しておく。

 委員会での採決は強行されたが、まだ本会議が残っている。法案修正の結果、再度、衆院に回付する必要もある。会期末が目前に迫るなか、この間の運動を確信に、戦争法案の国民的なたたかいと結んで、雇用破壊の労働者派遣法大改悪法案を廃案に追いこむために全力を尽くすことが求められている。全労連は断固たたかいをひろげる決意である。

2015年9月8日
全国労働組合総連合
  事務局長 井上 久

2015年09月08日

安全保障関連法案に反対する学生と学者による街宣行動(2015年9月6日)

新潟大学の話題、ブラック化する新潟大学(1)(2)(3)(4)(5)

隗より始めよ・三浦淳のブログ

ブラック化する新潟大学(1)

ブラック化する新潟大学(2)

ブラック化する新潟大学(3)

ブラック化する新潟大学(4)

ブラック化する新潟大学(5)

2015年09月07日

安保法案、抗議集会 早大で吉永小百合さんがメッセージ

毎日新聞(2015年09月06日)

 ◇「SEALDs」は新宿三丁目駅近くの歩行者天国で

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する抗議集会が6日、東京都内であった。

 早稲田大学(新宿区)では法案の廃案を求める教職員や学生ら有志約500人(主催者発表)が学内で「全学集会」を開き、卒業生の吉永小百合さんらがメッセージを寄せた。

 集会では水島朝穂教授(憲法学)が講演し「国の根幹を規定する立憲主義の本質的な危機がある。この点の理解が進んでいない」と問題を指摘。「集団的自衛権の行使という憲法を改正して国民投票を経なければできないことを閣議決定でやってしまった」と批判した。

 「集会の開催は素晴らしいことであり、大切なことと思っております。どうか継続して運動を続けていただきとう存じます」との吉永さんからのメッセージが読み上げられると、会場から拍手がわき起こった。

 また、研究者で作る「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生団体「SEALDs(シールズ)」の共同の抗議集会が同区の東京メトロ新宿三丁目駅近くの歩行者天国であり、断続的に雨が降る中、約1万2000人(主催者発表)が「憲法守れ」などと声を合わせた。

 参加した都内の女子高校生(16)は「安倍晋三首相は国民の安全や平和のためだと言うが、中学校で習った憲法9条や立憲主義が守られていないのに、国民が守れるのかと問いたい」と話した。【山田麻未】

早大で安保関連法案反対集会、OBもメッセージ

日刊スポーツ(2015年9月6日)

 参院で審議中の安全保障関連法案の廃案を訴える集会「早稲田から止める!戦争法案 安保関連法案に反対する早稲田大学全学集会」が6日、東京・新宿区の早大で行われた。

 教員や職員、学生、卒業生ら約350人が参加。法学学術院教授らが登壇し、「政治家の暴走」「立憲主義の本質的な危機」「国会の暴挙」などと声を上げた。

 各界卒業生からのメッセージが紹介され、漫画家で商学部卒業のやくみつる氏は「五輪エンブレムに感(かま)けている場合ではない。2015年を括(くく)る言葉に『白紙撤回』があるが、まだ肝心な、そしてもっとも撤回させるべきものが残っている」などとコメントを寄せた。

 第二文学部卒業の女優吉永小百合もメッセージを届け、「全学集会の開催は素晴らしいことであり、大切なことと思っております。(中略)どうか継続して運動を続けていただきとう存じます」と希望した。区部部


安全保案の廃案求め松江で集会 島大と県立大有志の会

山陰中央新報('15/09/06)

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対し、廃案を求める島根大と島根県立大の有志で組織する2団体が5日、松江市西津田6丁目の市総合文化センタープラバホールで集会を開き、約700人が参加した。終了後は市内をデモ行進し、民意を喚起した。

 いずれも教職員らでつくる「島根大学人の会」と「島根県立大学有志の会」が主催し、島根県内の61団体と144人が賛同者に名を連ねた。


2015年09月04日

学校法人と元教授らが和解 聖トマス大学 解雇通知の無効確認訴訟 

産経weet(2015年9月3日)

 今年3月で廃止された聖トマス大(兵庫軒尼崎市若王子)の元教授ら4人が、同大学を運営していた学校法人「英知学院」に、解雇通知の無効確認などを求めた訴訟が神戸地裁尼崎支部(西川知一郎裁判長)で和解したことが2日、原告の岡崎臣博元教授(58)への取材で分かった。和解内容について、岡崎元教授は明らかにしていないが、「一定の成果はあった」としている。和解は7月21日付。

 岡崎元教授らは、4月17日に英知学院が解散したことを受け、学院側からの和解提案を受け入れたという。

 訴状などによると、岡崎元教授ら4人は、昨年4月に学院側が大学廃止を検討する方針を表明した際、同月末での合意退職を提案され、合意しない場合は同年10月31日付での解雇や、同年5~10月の休業を命じられるなどしたという。岡崎元教授らは、十分な協議がないまま、解雇通告や休業手当のみの支払いは不当として、未払い賃金など計約2千万円の支払いを求め、同年7月末に同支部に提訴していた。


「集団的自衛権行使は違憲」 山口繁・元最高裁長官

朝日新聞(2015年9月3日)

 安全保障関連法案について、山口繁・元最高裁長官(82)が1日、朝日新聞の取材に応じ、「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べた。安倍内閣が従来の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定について、「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と語った。

■解釈変更「立憲主義わきまえず」

 「憲法の番人」である最高裁の元トップが安保法案を「違憲」とする見解を示したのは初めて。歴代の元内閣法制局長官や憲法学者の多くが「違憲」と指摘するなか、法案の正当性に改めて疑問が突きつけられた。

 山口氏は、安保法案を「違憲」と考える理由について「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許されないとする政府見解の下で、予算編成や立法がなされ、国民の大多数がそれを支持してきた」と指摘。「従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ」とも述べた。

 安倍晋三首相らは、米軍駐留の合憲性を争った1959年の砂川事件最高裁判決が、法案の合憲性の根拠になると主張する。これに対し山口氏は「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」と否定的な見方を示した。

 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は昨年5月、安保環境の変化などを理由に憲法解釈の変更で「限定的な集団的自衛権行使」の容認を求める報告書をまとめた。内閣はこれを踏まえ、同7月1日に解釈変更を閣議決定。山口氏は、こうした考え方について「法治主義とは何か、立憲主義とは何かをわきまえていない。憲法9条の抑制機能をどう考えているのか」と批判する。(論説委員・高橋純子、編集委員・豊秀一)

     ◇

 やまぐち・しげる 1932年11月、神戸市生まれ。京大卒。55年に司法修習生になり、東京高裁部総括判事、司法研修所長、福岡高裁長官などを歴任。第2次橋本内閣の97年10月から、第1次小泉内閣の2002年11月まで最高裁長官を務めた。長官在任中は、裁判員制度や法科大学院の導入などを柱とする司法制度改革に対応した。著書に「新井白石と裁判」。


国立大、増える推薦AO入試 東大京大など計1万4千人

朝日新聞(2015年9月3日)

 文部科学省は2日、来春までに行われる国立大学入試の概要を発表した。東京大と京都大が新たに導入する推薦入試は、国立大86校のうち77校(前年度比2校増)が実施し、募集人員は計1万1951人(同81人増)だった。AO入試は、50校(同3校増)で計2952人(同130人増)。AOを始める3校は宇都宮大、京都大、宮崎大。

 全体では、国立大86校中、大学院大学を除く82校が入試を実施。前年度から376人減の9万5760人を募集した。各大学の学部が独自に行う2次試験は2教科が最も多く、59大学174学部。次いで多かったのは1教科で64大学166学部だった。

 一方、公立大84校では、募集人員は計2万8993人で、前年度から104人増えた。うち推薦入試を実施したのは82校の計7175人、AO入試は25校の計577人だった。(高浜行人)


浜松医大教授が学長をパワハラで提訴

日経メディカル(2015/9/3)

 今年7月、浜松医科大学を舞台に、教授が学長を訴えるというパワハラ訴訟が勃発した。訴えた教授は、11年前に国立大学が独立法人化され、学長の権限が強化されたことが遠因だと主張。似たようなことは、どこの大学でも起きているという指摘もある。

2015年09月03日

SEALDs、戦後70年宣言文

SEALDs
 ∟●SEALDs  戦後70年宣言文

自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs) 戦後70年宣言文

2015年9月2日

 アジア・太平洋戦争が終わりを告げてから、70年の歳月が流れました。私たちは、そのうちの20年程度しか生きていません。戦争の時代を生きていない私たちには、知らないこと、知りえないことが数多くあります。しかしだからといって、過去と向き合うことを諦めません。私たちは、過去を真摯に引き受け、平和な未来をつくります。

 満州事変に端を発する先の戦争において、日本は近隣諸国をはじめとする多くの国や地域を侵略し、その一部を植民地として支配しました。多くの人々に被害を及ぼし、尊厳を損い、命を奪いました。私たちは、この国が二度と同じ過ちを繰り返さないために、その過去と真剣に向き合い、自らの責任を果たしていきます。

 先の戦争においては、民間人を含む多くの日本人も犠牲になりました。地上戦の舞台となった沖縄では、旧日本軍の強制による集団自決が行われました。広島・長崎には、原子爆弾が投下されました。数多くの兵士が、望まない戦闘に加担させられ、命を落としました。他にも多くの人々が、空襲や飢え、病気などで命を失いました。私たちは、決してこの悲劇を忘れるわけにはいきません。

 過去の戦争や植民地支配が生み出した不幸は、今日まで続いています。被爆の後遺症に苦しむ人々や、尊厳を傷つけられたままの元従軍慰安婦の方々をはじめ、多くの人々の身体的・精神的な傷は、そう簡単に癒えるものではありません。さらに、被爆者の子孫や在日朝鮮・韓国人に対する差別や偏見などはいまなお残っています。また沖縄の過度な基地負担も、先の戦争が生み出した問題です。私たちは、戦争によって生じた数々の苦痛と無関係ではありません。

 日本は戦後70年間、直接的には戦闘行為に参加せず、曲がりなりにも平和国家としての歩みを続けてきました。その歩みは、多くの先人たちが、先の戦争をふまえてつくられた日本国憲法の精神、とりわけ平和主義の理念を持ちつづけ、幾多の努力を重ねてきた結果です。だからこそ私たちは、平和国家であることのありがたみを噛みしめ、次の世代に受け継いでいこうと思います。

 しかしながら、平和主義の理念は、イラク戦争への実質的な協力などによって危機に瀕してきました。そしていま、日本国憲法に違反する安全保障関連法案が、強行採決されようとしています。政府は国会での議論も十分にせず、最低限の説明責任も果たしていません。自衛隊が提供した弾薬が、誰かの命を奪うこと、そして、自衛隊員やこの国に生きる人々、海外に暮らす日本人の命が、危険にさらされることを許すわけにはいきません。

 私たちは、尊い命を軽んじる態度を、歴史から学ぼうとしない不誠実な姿勢を、目先の利益に捉われる偏狭な考えを、立憲主義や民主主義の軽視を、権力による情報統制を、「積極的平和主義」という偽りの平和を、決して認めません。私たちは、二度と同じ過ちを繰り返さないために、自由と民主主義を守っていきます。

 私たちは、戦後70年という節目にあたって、平和の尊さをあらためて強く胸に刻みます。私たちは、戦争の記憶と多くの犠牲のうえにあるこの国に生きるものとして、武力による問題解決に反対します。核の恐ろしさを目の当たりにした被爆国に生きるものとして、核兵器の廃絶を求めます。私たちは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」、ナショナリズムにとらわれず、世界中の仲間たちと協力し、「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを」目指します。

 私たちは、自分の頭で思考し、判断し、行動していきます。それを不断に続けていきます。偏見や差別を許さず、思想・信条・宗教・文化・人種・民族・国籍・性別や性的指向性・世代・障害の有無などの様々な違いを超えて、他者を尊重し、共に手をとりあって生きる道を切り開いていきます。

 平和な未来をつくるために、過去と真摯に向き合い、努力していくことをここに誓って、戦後70年にあたっての宣言とします。

自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)


「安全保障関連法案に反対する学者の会」から9月前半の行動提起

■以下,「安全保障関連法案に反対する学者の会」から各大学有志に送られたメールより

「学者の会」アピール賛同者の皆様へ緊急のお願い

緊迫した国会情勢のもと、「学生と学者の共同行動」を大成功させましょう。

佐藤学(「安全保障関連法案に反対する学者の会」発起人・事務局代表)

(1)9月6日(日)は午後3時から午後5時半、新宿伊勢丹前の歩行者天国で、「学生と学者の共同街宣行動」を行います。歩行者天国を埋め尽くしましょう。
この街宣行動では、学生と学者のスピーチの他、蓮舫民主党代表代行、志位和夫日本共産党委員長、吉田忠智社会民主党党首、二見伸明公明党元副委員長が、スピーチを行います。(他の野党は返答まち)
重要な時期の重要な街宣になるので、ぜひ、ご参加ください。当日のフライヤーを添付します。なお、雨天の場合は、歩行者天国は行われないので、新宿駅東口で街宣行動を行います。

(2)9月11日(金)は学生と学者の共同行動第3弾として、午後7時半から国会前の抗議行動を行います。こちらも、こぞって参加してください。

(3)以下のように各地方でSEALDsの行動が展開されます。地方ごとにSEALDsを支援し共に闘いましょう。

【SEALDs
9/4(金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/6(日) 15:00~17:30 安全保障関連法案に反対する学者と学生による街宣@新宿
9/10(木) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/11(金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/12(土) S4LON vol.3[この国で生きる―経済 憲法 安保法制―]第1部 15:00~ 第2部 19:00~
9/14(月)~9/18(金) 戦争法案強行採決に反対する国会前緊急抗議行動

【TOHOKU】
9/4から 毎週金曜街宣
9/5(土) SALON(詳細未定)
(9/6(日) 弁護士大集会)
9/10 緊急アピール(詳細未定)

【KANSAI】
9/4 (金) 18:30~20:00 戦争法案に反対する金曜街宣アピール@大阪梅田ヨドバシカメラ前
9/11 (金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/13 (日) 16:00~18:30 戦争法案に反対する関西大行動@大阪 靭公園

【RYUKYU】
9/12(土) 10:00~12:00 サロンvol.2トポセシア(沖縄県宜野湾市我如古2-12-6)
9/19(土) 「沖縄のことは沖縄で決める緊急アピール」(場所未定)

鳥取大学有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する鳥取大学有志の会

声明

私たち鳥取大学有志は、安倍政権が今国会に提出し審議されている安全保障関連法案に強く反対し廃案を求めます。この法案が憲法違反であることはほとんどの憲法学者が認めるところであり、これまでの審議を通しても国民に対し十分な説明が行われたとは言えません。本年7月16日、安倍政権は十分な審議を尽くさないまま衆議院で強行採決を行いましたが、このまま、国民の理解・納得を得ないまま法案が成立することは日本国憲法の国民主権の原則に反します。
また、この法案は、歴代内閣が認めてこなかった集団的自衛権の行使を、解釈変更によって行使可能としようとするものであり、戦後の日本で積み重ねられてきた憲法9条をめぐる議論を軽視しています。安倍政権は、政府だけでも「存立危機事態」を判断することができるようにし、自衛隊の任務と活動範囲をこれまでとは比較にならないほど拡大しようとしていますが、アメリカ軍の「後方支援」をすることが戦争参加でないという政府の説明には説得力がありません。この安保関連法案が成立し施行されれば、日本国民の安全を保障するどころか、かえって自衛隊員や国民の危険を増大させるのではないかという不安を払拭することはできません。安倍政権には、アメリカ政府との約束を重視するあまり、日本の法体系における「法的安定性」や立憲主義を軽視する姿勢さえみられます。
今、日本各地では、さまざまな人びとから、安保関連法案に反対する声が湧き上がっており、私たち鳥取大学有志も、そうした人びとと手をつなぎ、連帯し、この法案を廃案にすることを求めます。

2015年8月29日
安全保障関連法案に反対する鳥取大学有志

岡山大学有志の会、安全保障関連法案に反対する声明

岡山大学有志の会

安全保障関連法案に反対する岡山大学有志の会 声明文


 安全保障関連法案が衆院本会議で強行採決されました。集団的自衛権の行使を認める本法案は他国の戦争への荷担につながり、平和国家としての日本のあり方を大きく変えるものです。私たちはこれに強く抗議し、法案の撤回を求めます。


1 民主主義とは、議会での多数者の支配を無条件に認めることではありません。私たちは、多様な意見に耳を傾ける政治を求め、立憲主義に基づく民主主義を要求する全国的な抗議の声に連帯を表明します。

2 私たちは「高度な知の創成(研究)と的確な知の継承(教育と社会還元)を通じて人類社会の発展に貢献する」という岡山大学の理念にもとづき、大学人として社会的責任を全うするために行動します。

3 学問は人類が長きにわたって継承・発展させてきた人類共通の財産です。私たちはこれを世界の平和と人々の共存のために用いるべきだと考え、二度と戦争に利用することを認めません。

4 岡山大学は戦前、歩兵第十連隊などの駐屯地でした。多くの若い兵士がこの地から出征し、命を失いました。アジアの戦地でも、住民に多大な損害を与えました。私たちはこの負の歴史を見つめ、被害と加害の悲劇を二度と繰り返さないと誓います。

5 岡山大学で学ぶ私たちは、いま戦争への道が開かれるのではないかという不安を抱いています。戦後70年をへて、あたりまえの日常だったこの平和をいかに未来へとつなげていくのか、ともに集い、自らの問題として考え、声をあげ続けていきます。

私たち岡山大学の教職員・学生有志は、ここに安全保障関連法案への反対を表明します。

2015.8.21
安全保障関連法案に反対する岡山大学有志の会

 安保法案、岡山大有志が反対声明 賛同者募る

朝日新聞(2015年9月2日03時00分)

 参議院で審議中の安全保障関連法案をめぐり、法案に反対する岡山大学の教職員、学生らでつくる「有志の会」が、法案の撤回を求める声明を出した。フェイスブックなどを通じ、声明への賛同者を募っている。

 声明は、法案について「平和国家としての日本のあり方を大きく変える」と批判。「戦争への道が開かれるのではないかという不安を抱いている」とし、「あたりまえの日常だったこの平和をいかに未来へとつなげていくのか、自らの問題として考え、声をあげ続けていく」と訴えている。

 発起人には、農芸化学、歴史、憲法、生物、文化人類学など様々な分野の教職員、学生らが名を連ねている。発起人の一人、文学部の大貫俊夫准教授は「特に若者が政治や平和について考える機会を作っていきたい」と話す。「有志の会」のホームページ(http://anpookadai.wix.com/anpookadai別ウインドウで開きます)から賛同の署名ができる。


安保法案に反対声明 熊本県内学者有志、廃案求める

くまにち(2015年09月02日)

 安全保障関連法案に反対する熊本大、熊本学園大、県立大の教授ら8人が1日、県庁で会見し「自衛隊が海外で殺し殺される状況をつくってはいけない」と廃案を求める声明をそれぞれ発表した。賛同者は計80人に上り、今後も各大学で募るという。

 熊本大の鈴木桂樹教授は「集団的自衛権は他国防衛でしかない。安倍晋三首相が言う抑止力も武力衝突を誘発する恐れがある」と指摘。声明では「最前線に武器や弾薬を供給する兵たんを担う自衛隊員が攻撃目標になる。隊員、市民に犠牲が出てからでは遅い」と危機感を強調した。

 県立大の難波美和子准教授は「他国軍の後方支援に参加すれば、日本が果たしている平和貢献が機能しなくなる。暴力的行動は避けるべきだ」と訴え、声明で「憲法9条に違反し、戦争する国へと導く法案。衆院憲法審査会で学者3人が違憲としたにもかかわらず、安倍内閣は学問的成果を軽視している」と訴えている。

 熊本学園大の坂本正教授は「教育者として若者に社会経験を伝えることは、学者として私たちの存在意義でもある」として、声明は「解釈改憲で戦争をする国に変えるのは重大な憲法違反。民主主義に挑戦する独裁者の暴挙だ」と安倍首相を批判した。

 全国では115大学で「有志の会」が発足、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏らがつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が賛同署名を集めている。


安保法案「平和揺るがす」 道内5大学の教職員が集会

北海道新聞(09/02 05:00)

  安全保障関連法案 に反対する声明を発表した道内大学の教職員有志が1日、札幌市北区の北大で、各大学の取り組みや今後の活動について話し合う集会を開いた。約70人が出席。北大など5大学の8人がマイクを握り「平和を揺るがす法案は憲法違反」「廃案しかない」と訴えた。

 道内の大学関係者による反対声明は、7月の札幌学院大を皮切りに北大、道教大、室工大、北海学園大、北星学園大、酪農学園大の計7大学に広がる。

 集会では、北大大学院の宮内泰介教授が「法案は戦後日本が積み重ねてきた平和の歩みを無にする」と批判。室工大大学院の清末愛砂(きよすえあいさ)准教授は「米国主導の戦争への加担を強いる内容。大学の知性を結集して対抗していく」、北海学園大の本田宏教授は「与党が多数を占める国会の審議だけでなく、反対を叫ぶ市民の声にも耳を傾けるのが民主政治だ」などと語った。

 参院採決が見込まれる今月中旬に向けた連携を確認したほか、集会前には、北大の学生ら有志約30人が大学周辺をデモ行進した。


2015年09月02日

酪農学園大学、元学長・干場信司氏 寄稿文「大学の役割」

酪農大はやっぱりすばらしい!
 ∟●寄稿(第1回)大学の役割 干場信司(2015.08.31)

寄稿(第1回) 大学の役割
干場信司

 最初に、本ブログを立ち上げて下さった新名正勝先生と加藤博美さんに、心からお礼を申し上げたいと思います。大言壮語を好まない新名先生が、矢面に立って下さったのは、卒業生としてまた8年間にわたり酪農大の嘱託教授として、現場教育(実践教育)を担ってこられたご経験から、今回の出来事は「母校にとって良くない!」と判断されてのことと感じています。加藤博美さんも愛する母校の教育に強い危機感を感じたからこそ、「酪農大はやっぱり素晴らしい!」と言えるようになることを願って、忙しい最中にもかかわらず、ブログの立ち上げを買って出て下さったのだと思っています。改めて、感謝いたします。

 教育の問題について語ることのできる場を作って下さったので、私自身がこれまで四十数年に亘り教育・研究に携わらせていただいた経験を基に、考えてきたことを私論(あるいは試論)として、何回かに分けて述べさせていただきます。
 
 今回は「大学の役割」についてです。
 私は、大学の役割を次の4つに分けて考えています。
①学生が、これまでの知識や技術とその背景にある考え方・哲学を修得する場を提供すること
②教職員と学生が共同して、新しい知識や技術を生み出すこと
③上記2つを通して、学生ひとり一人が自分の考え方を創る力を身に着け、社会に出てゆく準備ができるようにすること
④以上の積み重ねを通して、現在および未来の社会を律する考え方・哲学を創り出し、世に問うこと
 大学の役割が、高校までの教育の役割と異なるのは、高校までは①を主体にしているのに対し、大学は②から④が加わっていることです。私は、大学入学式の挨拶の中で、「皆さんはこれまで、正解のある問題を対象に学んできたと思いますが、大学に入ってから学ぶ最も大切なことは、正解のない問題をどのように考えるかです。」とよく言ってきましたが、これはそのことを意味しています。
 上述の大学の役割は、大学の専門性にかかわらない一般的な役割と私が考えているものですが、指導内容の重点の置き方、その取り組み方や学生指導の方法は、それぞれの大学によって大きく異なると思います。酪農学園大学では、建学の理念である「三愛精神とそれに基づく健土健民」に基づき、循環型農業・社会を目指した実学教育を行っています。したがって、①から④までをそれぞれの分野の現場から学ぶというところが、酪農大の特徴になると考えています。このことについては、また別の機会に詳しく述べたいと思います。

 ところで、大学独自の役割である②から④は、どのような条件・環境の下で可能となるのでしょうか? ②から④の役割は、いずれも自由で創造的な環境の下で、はじめて生まれるものです。「学問の自由」やそれを保障する制度として「大学の自治」が大学の必須条件と言われているのは、そのためです。
 ②の新しい知識や技術は、単一ではない多様な考え方のぶつかり合いの中から生まれてくるものです。③の学生の成長は、多様な考え方を持った学生同士や教職員との意見交換・議論の中で見られてくるものです。④の時代に即応しまた将来を見通す哲学の創造は、異なった世界を体験せずに可能とはならないでしょう。
 つまり、大学がその役割を果たすためには、換言すれば、大学が大学であるためには、いろいろな意見を持った人間同士がお互いに多様性を認め合うことが原点なのです。日本の科学技術の発展も、このこと無しにはあり得ないでしょう。
 今回、酪農大で起きた出来事は、この大学が大学である条件を自ら否定し、単一に染めようとしたことから生じているように思えます。酪農大がこれまで同様に、素晴らしい学生が集まり、学生と教職員が一生懸命に向き合い、素晴らしい卒業生が生まれ続けるためには、大学が大学である条件を認める必要があると考えます。

この私論(試論)が、大学教育の今・未来を考える際の議論の材料になれば幸いと思っています。

以上

全大教6・21シンポジウム、特別講演「『国の要請』と大学自治」

全大教
 ∟●全大教時報 Vol.39 臨時増刊号

特別講演「『国の要請』と大学自治」

2015年09月01日

8.30大行動 国会正門前オープニング・コール 菱山南帆子さん


戦争法案反対沖縄大行動

2015年8月31日

 安保法案に反対する「戦争法案廃案! 辺野古新基地建設断念! 安倍政権退陣!8・30沖縄大行動」が30日夕、那覇市の与儀公園多目的広場で開かれた。約2500人(主催者発表)が参加した。同日に国会周辺など全国で開かれた集会と連動した全国一斉行動の一環で、安保法案廃案と安倍晋三内閣の退陣に加え、沖縄では米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設にも反対した。
 市民のほか県選出の国会議員や弁護士、政治学者、沖縄戦体験者ら多数が参加した。参加者は「私たちが、戦争しない未来をつくる」と題したアピールを採択した。
 集会後は若者たちの団体「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」によるラップのコールで声を合わせ、国際通りを県庁までデモ行進した。
 実行委員長の高良鉄美琉球大学教授は、沖縄戦や日本復帰などを振り返り「憲法からは考えられない、戦争ができる法律が通ろうとしている。沖縄だからこそ今こそ戦争法案を絶対に許さない」と訴えた。


学問の側から安保法案を問う 高知市でシンポ

朝日新聞(2015年8月31日)

 公開シンポジウム「いま、安保法案を問う」が30日、高知市本町4丁目の県人権啓発センターで開かれた。「安保法案に反対する高知の大学人声明」主催。憲法学、政治学などの専門家4人が安全保障関連法案について意見を述べ、約230人が耳を傾けた。

 岡田健一郎・高知大准教授(憲法学)は「憲法9条から集団的自衛権を導き出すのは無理がある」。根小田渡・高知大名誉教授(政治学)は「集団的自衛権が日本の自立につながるという考えは幻想だ」と指摘。高知近代史研究会の公文豪会長は「中江兆民や植木枝盛など高知出身の思想家は優れた平和論を発表している。私たちはそれを継承していかなければ」。田中きよむ・県立大教授(社会福祉学)は「9条を守り、25条(生存権)も守らなければいけない」と話した。

 参加者からの「法案を最高裁で違憲審査できないのか」との質問に、岡田准教授は「真正面からの違憲判決は難しい。だが最高裁は世論に敏感。世論が違憲だと一致していれば最高裁も違憲判決を出しやすい」と答えた。(広江俊輔)


文科省、国立大学3分類で「世界で卓越した教育研究」を16大学が選択

日刊工業新聞(2015年08月31日)

 文部科学省は2016年度から国立大学を3分類する仕組み「三つの重点支援枠」で、各大学の選択枠を公表した。全86大学のうち、旧7帝大に地域の有力総合大学を加えた16大学が「世界で卓越した教育研究」を選択。このほか、55大学が「地域貢献の教育研究」と約6割を占め、15大学が「特色分野の教育研究」だった。
 「世界で卓越した教育研究」を旧帝大以外で選択したのは、東京農工大学と東京工業大学、一橋大学の在京3大学のほか、筑波大学、千葉大学、金沢大学、神戸大学、岡山大学、広島大学など。
 地域との関連性が深い「地域貢献の教育研究」に関しては、長岡技術科学大学のほか、室蘭工業大学、北見工業大学、名古屋工業大学、京都工芸繊維大学が選択。特定分野に強みを持つ東京海洋大学、電気通信大学、北陸と奈良の2先端科学技術大学院大学は「特色分野の教育研究」を選んだ。

文科省、ICTを活用した学びの推進に9億円

RBBToday(2015年8月31日)

 文部科学省は8月28日、平成28(2016)年度の概算要求を発表した。要求額は前年度比9.8%増の総額5兆8,552億円。このうち、ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成に9億円(前年度比2億円増)を盛り込んだ。

 文部科学関係予算5兆8,552億円のうち、文教関係予算が4兆3,704億円(前年度比7.6%増)、スポーツ関係予算が367億円(同26.6%増)、文化芸術関係予算が1,192億円(同14.8%増)、科学技術予算が1兆1,445億円(18.2%増)。教育再生実行会議の提言などを踏まえ、学ぶ意欲と能力のあるすべての子ども・若者、社会人が質の高い教育を受け、ひとりひとりがその能力を最大限伸長できる社会の実現を目指す。

 ICT教育関連では、ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成に前年比2億200万円増の9億1,400万円を計上した。児童生徒の情報活用能力の実現状況の把握や教員のICT活用指導力の向上、ICT支援員の育成・確保を進める。

 このうち、情報通信技術を活用した教育振興事業に前年比6,600万円増の1億7,300万円、ICTを活用した教育推進自治体応援事業に前年度比4,900万円増の2億9,400万円、人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業に1億4,200万円、先進的な教育体制の構築事業に1,900万円増の1億2,600万円、青少年を取り巻く有害環境対策の推進に8,300万円増の1億2,400万円などを盛り込んでいる。

 そのほか、文教関係の新規事業として、「幼稚園教育要領の改訂」に1,500万円、「ロング・アクティビティ・ラーニング推進事業」に1,000万円、「大学等におけるキャリア教育推進のための委託事業」1億円、「専修学校版デュアル教育推進事業」に3億200万円、「学校給食・食育総合推進事業」に2億4,000万円などを計上した。