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2015年10月31日

日本学術会議幹事会声明、「人文・社会科学系のあり方に関する声明への賛同・支援への謝意と 大学改革のための国民的合意形成に向けての提案」

日本学術会議幹事会声明(2015年10月15日)

日本学術会議幹事会声明

「人文・社会科学系のあり方に関する声明への賛同・支援への謝意と 大学改革のための国民的合意形成に向けての提案」

1.人文・社会科学問題に関するその後の経過と要望
日本学術会議幹事会が、去る6月8日の文部科学大臣通知1 (以下「通知」という。)を受け て 7 月 23 日に公表した幹事会声明「これからの大学のあり方-特に教員養成・人文社会科学 系のあり方-に関する議論に寄せて」2に対して、ISSC(国際社会科学評議会)からのメッセー ジをはじめとして、国内外諸団体から多くの御意見を頂戴した。それらの多くは、「総合的な学 術の一翼を成す人文・社会科学には、独自の役割に加えて、自然科学との連携によって我が国と 世界が抱える今日的課題解決に向かうという役割が託されている。このような観点からみると、 人文・社会科学のみをことさらに取り出して『組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換』を 求めることには大きな疑問がある」という幹事会声明に賛意を示したものであり、ここで改め て感謝したい。
一方で、文部科学大臣や文部科学省は、その後、通知に対する大学等の関係機関の捉え方と 大臣や同省の本意との間に乖離があることを様々な機会に表明してきた。9 月 18 日には、同省 高等教育局長が日本学術会議幹事会に出席し、「新時代を見据えた国立大学改革」3と題する文 書を配布した上で、この件について説明した。この文書は、文部科学省は人文・社会科学系学 部・大学院を廃止し、社会的需要の高い自然科学系分野に転換すべきだと考えているのではな いか、あるいは人文・社会科学系の学問は重要ではなく、すぐに役立つ実学のみを重視しよう としているのではないかという通知の受け止め方を否定した上で、「廃止」については教員養成 系のいわゆる「新課程」を対象としたものと例示する一方、各国立大学に「社会的要請の高い 分野への転換」に取り組むよう求めている。これらの説明を通じて、日本学術会議幹事会とし ては、通知の背後にある文部科学省の考えを理解したところである。ただ、通知の文言そのも のからこのような趣旨を読み取ることは困難である。このため、通知を読んで我が国の高等教 育行政における人文・社会科学系の位置付けに不安や疑問の念を抱いた国内外の方々は多く、 そのことは諸メディアの報道にも表れている。したがって、文部科学省においては、上記のような同省の真意を述べた文書等を国内外に示しつつ、引き続き丁寧に説明されるように要望し たい。

2.高等教育機関が抱える問題の認識
その上で、日本学術会議は、今回の通知やそれに関連して行われた議論を通じて、現在の我 が国の高等教育の抱えるいくつかの重要な問題が浮かび上がってきたことに着目し、これを高 等教育の改善と強化を図る契機とすることが重要と考える。
機を同じくして、本年も我が国の研究者がノーベル生理学・医学賞、同物理学賞を受賞した。 平成 12 年以降、米国に次いで多くのノーベル賞受賞者を輩出していることは、我が国の科学 研究の高い水準と研究者の層の厚さを示すものであり、学術研究と人材育成に関する産学官の 努力と国民の支援が結実したものである。他方、近年、世界の学術研究が急速に発展する中で、 我が国の研究教育環境が劣化し、それが、我が国の高等教育に対する国際的な評価の低下を招 くことになるのではないかという懸念が各方面から表明されている。言うまでもなく、高い研 究力と優れた人材育成環境を維持していくことが、我が国の発展にとって極めて重要である。
日本学術会議は、我が国の高等教育が抱える重要な問題を以下のように認識する。
第 1 に、先の幹事会声明の「6.」で言及した人文・社会科学における質的向上の必要は、 同分野に止まるものではない。すなわち、人文・社会科学、生命科学や自然科学・工学の分野 を含む、我が国の人材育成には、グローバル化への対応、リベラルアーツと専門科目によって 的確に構成された学部・大学院のカリキュラムと学習の達成目標の設定や評価方法の採用等に おいて課題がある。さらに研究においても、基礎と応用や実用との間の区別と連関に関する社 会的共通理解の不足等の課題をなお抱えている。我が国の大学において、今後速いテンポでこ うした課題に対処するための改革を進めて、国内外の学生が自分の学修の目標と達成度を認識 することができ、真の意味で社会に有用な人材が育ち、さらに研究成果が社会に還元されるよ うに、高等教育機関を研究と教育の国際的な拠点として強化していくことが求められている。
第 2 に、この通知は、第 3 期中期目標・中期計画の内容に関する文部科学省の要求という位 置付けであったことから、国立大学に対する運営費交付金の配分を方向付ける文書として関心 を集めた。第 1 で述べた改革を実行していく過程で、国立大学への運営費交付金、私立大学へ の助成金、その他の高等教育への国の資金、大学に所属する研究者を含む科学・技術の研究者 への研究資金等を、少なくとも今後一定の期間においては安定的に確保することが、各大学による自主的な改革を進める上で不可欠である。特に、国立大学運営費交付金のこれまでの経過 を振り返れば、毎年 1%ずつ削減されることによって、大学における教育・研究そのものに支 障を来している。その結果、肝心な改革が停滞したり、若い有為な人材を登用することが次第 に困難になってきたりしている。これを防ぐためには、厳しい国家財政の中でも国民の合意を 得ながら、改革を可能とする財源の確保が必要である。
第 3 に、大学改革にあたっては、目先の実用性に目を奪われるのではなく、幅広い教養と優 れた専門性を備えグローバルな視野を持った人材を育成することが必要である。このことは、 例えば、国立大学協会が発表した「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン」4(9 月 14 日)に示されているばかりではなく、経済界においても、例えば日本経団連が先述の通 知に関連して出した文書において「学生がそれぞれ志す専門分野の知識を修得するとともに、 留学をはじめとする様々な体験活動を通じて、文化や社会の多様性を理解することが重要」(日 本経済団体連合会「国立大学改革に関する考え方」59 月 9 日)としている。したがって、学術 界のみならず、大学卒業生の多くが職を得る産業界との対話を含んだ幅広い場において、大学 のあり方について議論し、合意を形成することが必要である。

3.大学改革に向けた提案
このような認識から、日本学術会議は、既に設置している「学術振興の観点から国立大学の 教育研究と国による支援のあり方を考える検討委員会」において、大学のあり方に関する提言 を行うために審議を継続する所存である。同時に、その途中の段階でも主要な論点を公表し、 国民的な議論を起こし、グローバル時代に必要な人材を送り出し、優れた研究成果を生み出す 高等教育機関のあり方を模索することが必要と考える。日本学術会議は自らこのような活動を 行うとともに、関係機関(1)、(3)及び政府(2)、(4)に対して以下のことを提案す る。
(1) 高等学校・高等専門学校卒業生はもとより、社会人にとってもより魅力的な大学となるた めの学修内容や学部・学科構成のあり方、及び大学の研究成果が基礎、応用、実用のそれ ぞれの段階でより社会の発展に資するものとなるためのあり方、さらにグローバル時代に 世界の学生や研究者が魅力を感じる教育研究組織となるための我が国の大学のあり方等 について、大学・学術界、産業界、一般の方々が自由に意見を交わして合意を形成するための議論の場を設置すること。
(2) 政府は、上記議論の場から得られる提言を可能な限り尊重し、実施していくこと。その際 に、厳しい国家財政の下で、年金・医療等の高齢社会に対応した財政支出と高等教育を含 む次世代の育成に対応した財政支出にどのように資源配分を行うかを含めて、国民的議 論を促すこと。
(3) 国公私立を問わず、各大学は、積極的にこうした議論に参加して、得られた成果をもとに 自ら改革を実現していくこと。
(4)こうした改革が行われる間(概ね第3期中期目標・中期計画の6年間)、政府は、大学への 国の財政的支援を充実し、自主的な大学改革の実施が可能となるような環境を整えること。
日本学術会議は、以上の提案の実現を通じて、我が国における人材育成と科学研究の改善 と持続的発展を目指すものである。

2015年10日15日 日本学術会議幹事会
大西 隆 向井 千秋 井野瀬 久美惠 花木 啓祐 小森田 秋夫 杉田 敦 小松 久男 恒吉 僚子 長野 哲雄 大政 謙次 石川 冬木 福田 裕穂 相原 博昭 土井 美和子 大野 英男
川合 眞紀
会長 副会長

同 第一部長
同 副部長 同 幹事 同 幹事
第二部長
同 副部長 同 幹事 同 幹事
第三部長
同 副部長 同 幹事 同 幹事


新規採用の非常勤講師の更新回数制限をめぐる関西圏の大学の動向

関西圏大学非常勤講師組合
 ∟●非常勤の声

 2012 年に成立した労働契約法改正によって、労働契約法 18 条で有期雇用労働者が 5 年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申し込みにより無期雇用への転換権が発生することになりました。これは 2013 年 4 月から施行されましたので 18 年 4月から無期転換権が発生することになります。

 これら 18 条の無期転換権の発生を阻止するために、大学としてもっとも早く動いたのは早稲田大学や大阪大学、神戸大学などです。これらの大学は 2013 年 4 月の施行前に 5 年で雇い止めの就業規則を作成しました。しかし、早稲田大学では首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉で現在勤務している非常勤講師の 5 年雇い止めを撤回せざるをえなくなりました。また、大阪大学は関西圏組合と交渉後に、「研究開発能力強化法」の労働契約法の「特例」を使って、5 年を 10 年に延ばしました。

 関西圏の他の多くの私立大学は昨年までは「検討中」として態度を明確にしませんでした。しかし、今年に入って立命館大学が、現在勤務している非常勤講師は 5 年で無期転換権が認められるが、新規の非常勤講師(「授業担当講師」)は 5 年上限を決定しました。また、同志社大学も現在勤務している非常勤講師を除いて 10 年上限を導入しようとしています。

 立命館大学や同志社大学の動きは今後、他の私立大学にも大きな影響を与えることになりそうです。労働契約法18条は雇用の安定のためのものであり、新規採用の非常勤講師にたいして最初から上限をつけることは明らかに労働契約法18条違反です。(文責・江尻)


学者グループが安保法反対のシンポジウム

NHK(10月30日)

先月成立した、安全保障関連法に反対する憲法学者や政治学者のグループが30日夜、今後の活動について考えるシンポジウムを開き、「専門家が国民と連携していくことが重要だ」といった意見が出されました。
60人余りの憲法学者や政治学者が呼びかけ人となっている「立憲デモクラシーの会」が、30日夜、東京・千代田区で開いたシンポジウムには、およそ500人が集まりました。
この中で、憲法学が専門でグループの共同代表を務める、樋口陽一東京大学名誉教授が、「法律に反対する活動を通じて、専門家の『知』と市民の『知』が結びついた、近代の日本になかったものをつくりあげてきた。これからも一緒にやっていきたい」と呼びかけました。
このあと4人の学者がパネルディスカッションを行い、「憲法に違反する法律が成立したのは、市民にも法律家にも責任がある。『違憲訴訟』を起こすなど、どのように対抗していくのかともに知恵を絞っていきたい」といった意見が出されました。
グループでは呼びかけ人の学者が講師となって、来月以降、月に2回程度、憲法や立憲主義について学ぶ勉強会を開くことにしていて、安全保障関連法を巡って高まった、人々の憲法などへの関心に応えていきたいとしています。

2015年10月29日

医学部定員増の答申、2校の負債率を問題視- 学科設置で海外研修に注文も

CBnews(2015/10/28)

 大学設置・学校法人審議会は27日、私立大7校の医学部定員の増員などを認めるよう馳浩文部科学相に答申した。ただ、このうち2校については、負債率が高いことを問題視。理事が欠員となっている1校に対しても「速やかに補充すること」と注文を付けた。学科設置でも理学療法の海外研修の実行可能性に懸念を示した。【新井哉】

■負債総額900億円超の日本医科大、「適切に負債償還を」

 「申請前年度の負債率が高いことから、負債の減少に努めること」。今回の答申では、日本医科大(東京都文教区)と愛知医科大(愛知県長久手市)の負債率を、「留意事項」として取り上げた。

 日本医科大は2014年度の財産目録に、約1285億円の資産総額に対し、負債総額が約917億円となっていることを記載。答申では、19年度以降の負債償還率が高いことも挙げ、留意事項に「適切に負債の償還を行うこと」と書き込んだ。

 一方、愛知医科大には、負債の減少に努めることに加え、欠員となっている理事の早期補充を要望。このほか、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)に対しても、医療科学部のリハビリテーション学科と臨床工学科、医療経営情報学科の定員超過を是正するよう求めた。

■教員4人で学生80人対応の海外研修、実行可能性に懸念

 答申では、学部の学科を設置する城西国際大(千葉県東金市)と帝京科学大(東京都足立区)に対しても、それぞれ複数の留意事項を挙げ、改善に取り組むことを促した。

 城西国際大福祉総合学部に開設する理学療法学科については、海外研修などに関する5項目の留意事項を提示。必修科目として1年後期に開設する「理学療法海外研修」を取り上げ、学生が十分に「理学療法学」を学んだ後に履修することを要望した。

 また、授業担当教員2人と補助の引率教員2人で80人の学生に対応する計画についても「確実に実施できるかどうか、その実行可能性に懸念がある」と指摘。「何らかの理由で海外研修に参加できない学生がいた場合の措置が不明」とした上で、教員の配置と履修できない学生への措置を十分に検討することも求めた。

■「各教員の担当科目が多い」、教員の研究時間確保を

 帝京科学大医療科学部の医療福祉学科については、留意事項で「全体的に各教員の担当科目が多く、精神保健福祉士関係の科目も特定の教員に過度に偏っている」と指摘。「実習指導教員の非常勤採用を計画的に行っていく」との大学側の説明に対しても、実習指導以外の教員の計画的配置を行い、教員の研究時間の確保を図るよう要望した。

 答申内容は次の通り。【私立大医学部の収容定員増加】帝京大2人▽日本医科大2人▽愛知医科大2人▽藤田保健衛生大5人▽埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)1人▽順天堂大(東京都文京区)3人▽東海大(神奈川県平塚市・伊勢原市)3人【私立大の学科新設】城西国際大(福祉総合学部理学療法学科=80人▽帝京科学大(医療科学部医療福祉学科=80人、3年次編入10人)


二審も元都留文大教員勝訴 「退職金減額は不当」 450万円支払い命令

産経新聞(2015.10.28)

 山梨県都留市の条例に合わせて退職金を減額されたのは不当だとして、都留文科大(同市)の元教員6人が、大学に減額分などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、一審東京地裁立川支部に続き、減額分計約450万円の支払いを命じた。

 大学側は「退職金の算出方法は市の条例に準じるという労使慣行が成立していた」と主張したが、浜秀樹裁判長は「そのような労使慣行は認められず、減額は無効」と退けた。一審が認めた慰謝料の請求は棄却した。

 判決によると、都留市が職員の退職金を減額したのに合わせ、大学は平成25年3月、教職員に減額を通知。同月末付で退職した6人の支給額は1人当たり最大約184万円減った。市立大だった都留文科大は21年、公立大学法人となり、教職員は公務員ではなくなっていた。


新大学入試「イメージわかぬ」戸惑い・批判の声

■読売新聞(2015年10月28日)

 大学入試センター試験に代わる新テストについて議論する文部科学省の有識者会議は28日、学校関係団体からのヒアリングを行った。

 多くの団体から「イメージがわかない」などと戸惑いや批判の声が相次いだ。

 会議では、国立大学協会の担当者が「新テストの問題や難易度など、具体的なイメージがつかめない」と指摘。また、全国高校長協会の代表は「年複数回の実施が検討されているが、現行の大学入試センター試験より前倒しされると学校教育に大きな影響が生じる」と懸念を示した。

 有識者会議が8月にまとめた中間報告では、新テスト(仮称・大学入学希望者学力評価テスト)を2020年度から実施。知識や暗記中心の入試から脱却し、思考力や判断力、表現力を測る問題を重視するとした。有識者会議は今年度内に最終報告をまとめる。


スポーツ選抜3人、別学部「復活」合格…立命大

読売新聞(2015年10月28日)

 立命館大(京都市)が、9~10月に実施したスポーツ特別選抜入試で、受験した学部で不合格と判定された9人のうち3人を、別の学部で合格させていたことがわかった。

 別の学部で合格させることは入試要項に規定がなく、同大学は取材に「受験生間で不公平が生じたことは否めない」としている。文部科学省は「学生の選抜は大学に裁量が認められているが、要項にない手続きは好ましくない」としている。

 大学の説明によると、スポーツ入試では、受験生は学部を第2希望まで選んで出願。1次選考で書類審査を行い、2次選考では学部ごとに試験を行う。

 試験は、論文と面接のほか、一部の学部では面接形式で学力などをみる口頭試問も独自に行っており、口頭試問のある学部を受けた9人が不合格と判定された。そこで、口頭試問がない学部を第2希望としていた3人については、論文などの結果をもとに再審査のうえ合格とし、残り6人はそのまま不合格とした。


2015年10月14日

公立大学協会、会長声明「公立大学は地域の未来を創造します」を決議

公大協
 ∟●会長声明「公立大学は地域の未来を創造します

公立大学は地域の未来を創造します

1 公立大学は、時代の変化に対応できる多様な人材を育成します
 公立大学が取り組む教育研究内容は多様です。豊かな人間性と的確な時代感覚を養う人文・社会・芸術系の大学、産業界の求める技術者や最先端の理工系研究者を養成する大学、すべての授業を英語で実施するグローバル指向の大学、地域を学びのコモンズと位置付けて学生を育てる大学等、個性あふれる大学がそれぞれの地域で存在感を示しています。
 公立大学は、あらゆる分野の教育研究を大切にし、時代の変化に対応しながら社会を牽引する多様な人材育成に取り組みます。

2 公立大学は、地域の健康福祉を守る拠点としてリーダーシップを発揮します
 公立大学には 8 つの医学部、1 つの歯学部、48 の看護保健医療系学部、15の社会福祉系学部等が、地域の医療福祉人材の育成を担っています。とりわけ附属病院は、国立・私立大学の医学部が存在しない県をはじめとして、地域医療の重要な拠点としての責任を果たしています。
 公立大学は、少子高齢社会の中で、地域の安全安心を守る大学として、その存在感を示しています。

3 公立大学は、地域創生を担い、地域の未来を考え続けます
 公立大学は、地域社会からの強い要請を踏まえ、地方自治体(設置団体)が、それぞれの大学の基本理念を定めて設置した大学です。
 地域創生学、地域政策学、地域未来学など、地域を直接研究対象とした学部・学科が、人口減少に直面する各地域の創生を担っています。

 公立大学は、世界に通用する研究成果を活用し、地域社会の発展・維持と、地球的諸課題解決に貢献します。
 公立大学は、深い学術的蓄積と地域との距離の近さを生かし、地域の未来を創造します。

平成 27 年 10 月

一般社団法人 公立大学協会
会 長 清原 正義

2015年10月10日

秋田大、不適切な会計処理 赤字15億円を8億円に圧縮

朝日新聞(2015年10月8日)

 秋田大学(澤田賢一学長)は7日、2014年度決算で約7億2千万円の不適切な会計処理をし、赤字額を圧縮していたと発表した。主導した財務担当の理事(59)は「赤字を減らさないと、将来の大学運営に支障をきたすと考えた」と説明しているという。

 秋田大や文部科学省によると、不適切に処理されたのは個人や団体からの寄付金。約7億2千万円分を、すでに購入した付属病院の備品購入費に充てたようにみせかけたという。

 理事らは寄付金を使うと収益に振り替えられる国立大学法人の会計の仕組みを悪用し、帳簿上で赤字の一部を帳消ししたように見せかけた。この不適切処理により、14年度決算では過去最多の15億円超になるはずだった赤字が、約8億円に圧縮されていた。

 ログイン前の続き不適切処理を主導した理事は澤田学長らに対し、「処理しないと今後、職員給与の支払いが滞る可能性がある」などと説明していたという。監査法人による外部監査も不正を見抜けず、文科省も承認した。秋田大は帳簿を修正するという。

 文科省の指摘を受け、秋田大の調査委員会が調べていた。調査委によると、利益を追求しない国立大学法人が損失を圧縮する意味はなく、給与の遅配などが起きる可能性もなかったという。

 澤田学長は「大学の信用を失墜させた」と謝罪。男性理事を学長付理事に異動させる処分をしたほか、自身の役員報酬(10分の1)を3カ月間、返納するとした。

【秋田大不適切会計】財務担当理事が指示

読売新聞(2015年10月08日)

◆計10人を処分

 秋田大学の2014年度決算で、損失額を約7億2243万円圧縮し、実際の半分近い約8億1058万円と計上した不適切な会計処理があり、沢田賢一学長(63)が7日、秋田市手形学園町の同大で記者会見し、「財政基盤への信用を失墜させ、大学に対する期待を裏切ったことをおわびします」と陳謝した。

 同大は会計処理を指示した財務担当理事(59)を学長付理事に更迭し、財務部門の部課長4人を戒告の懲戒処分とするなど計10人を処分。沢田学長ら役員3人が役員報酬の一部を自主返納する。常勤監事が辞意を表明している。

 発表によると、理事は14年度決算の会計処理で、使途が研究開発費などに決まっている医学部への寄付金約7億2243万円を、収益に繰り入れるよう部下に指示。本来、使途の変更には、研究者が寄付者に同意を得る必要があるが、この手続きを踏まず、財務のやり繰りを示す財務諸表に、実際は約15億3301万円だった損失を約8億1058万円に圧縮して記載し、文部科学省に提出した。

 提出後の文科省とのやり取りで寄付金の会計処理に疑問点が見つかり、大学側が調査して不適切な処理が発覚した。大学側の聴取に、理事は「寄付者の同意が必要とは知らなかった」と釈明したという。

 国立大学法人会計基準では、寄付金はいったん債務として扱い、研究開発などの出費に応じて収益に繰り入れて費用を工面する。利潤の追求を目的としない国立大学の会計は「(初めに)出費ありき」で処理されるため、一般企業の会計とは異なる。

 発覚後、秋田大は専門家を交えた調査委員会を設置し、原因を究明。理事は聴取に「赤字(損失)額が大きく、大学運営に支障を来すと思った」と指示した理由を説明したという。14年度決算は医学部付属病院の改修工事費がかさみ、実際の損失は前年度(約3億2936万円)の4・6倍を超える約15億3301万円に膨らんでいた。

 一方で、調査に加わった外部委員は「資本金と資本剰余金だけでも秋田大には約250億円の資産があり、無理する必要はなかった。民間企業なら粉飾とも取られかねないことをなぜしたのか、理解できない」と首をかしげた。


憲法学者200人余 安保法廃止求める声明

NHK(10月9日 15時00分)

先月成立した安全保障関連法に反対する憲法学者200人余りが「法律は憲法9条に抵触し正当性を持たない」などとして廃止を求める声明を発表し、今後も市民とともに全国で活動を続けていくことを明らかにしました。
この声明は憲法学者が東京都内で会見して発表したもので、全国の憲法学者200人余りが賛同しています。
声明は、「安全保障関連法は憲法9条に明らかに抵触する憲法解釈に基づいたもので、まったく正当性をもたない」と指摘しています。
そのうえで、「反対する多くの市民の声が全国各地で広がった。新しい民主主義の芽吹きを研究者の立場から今後も支持したい」として、今後も全国で市民と連携して法律の廃止を目指すとしています。
賛同している憲法学者たちは、今後、憲法の講座を各地で開くほか、シンポジウムなどを通して市民とともに全国で活動を続けていくということです。
会見で石川裕一郎聖学院大学教授は「今回、学生や母親たちなど幅広い人たちが日常生活の中で憲法を考え、集会に参加し、SNSで意見交換することが同時並行的に起きた。この動きを今後につなげていきたい」と述べました。

安保法「速やかに廃止を」 研究者が声明

共同通信(2015/10/09)

 安全保障関連法に反対する憲法研究者が9日、東京都内で記者会見し、「安保法の強行採決は常軌を逸している。満身の怒りをもって抗議する」として、同法の発動を許さず、速やかな廃止を目指すとの決意を示した声明を発表した。
 声明では、安保法に高校生や大学生ら若者を含む多くの市民が反対の声を上げていることを「新しい民主主義の萌芽」と位置付け、「この芽吹きを研究者の立場から支持し、連帯する」と表明した。
 8日現在で、声明には208人の憲法学者が賛同したという。


福井大大学院教授を懲戒解雇 パソコン部品の売却金を不正取得

福井新聞(2015年10月9日午後5時20分)

 福井大は8日、研究費(公費)で購入したパソコンの部品を売り、約25万円を不正に得ていた大学院工学研究科の男性教授(54)を懲戒解雇処分にした。業務上横領の疑いで福井県警への告訴を検討している。

 福井市の同大文京キャンパスで記者会見した岩井善郎副学長は「大学の職員たるにふさわしくない非行があった。大学として深くおわび申し上げる」と陳謝。今年、教職員の不祥事が相次いでいる点には「関係者、各界の皆さまにご心配、ご迷惑をかけており、さらに綱紀粛正に努めたい。個人の問題に矮小(わいしょう)化するつもりは全くない」と述べた。

 大学によると、男性教授は今年1月、研究費で購入していたCPU(中央演算処理装置)2点とグラフィックカード(ビデオカード)4点の計6点を都内の中古品買い取り業者に売却。教授の銀行口座に代金25万4537円が入金された。教授は事実を認め、9月初めに全額弁済した。

 4月下旬に匿名の内部通報があり、大学が調査。男性教授は当初、売った理由について虚偽の説明をした後、11月の海外での国際会議に研究員らが参加する渡航費を捻出するためだったとした。ただ、会議名称などの不明な点が多く、私的流用があったかどうかも大学側は「確認できていない」としている。

 7日の教育研究評議会で本人の弁明を聞き、研究費の不正使用に当たるとして処分を決めた。大学の規定に基づき氏名は公表していない。

 再発防止策として、取得価格が10万円未満の物品は消耗品扱いとしてきたが、CPUなど換金性の高いものは備品と同様に帳簿管理し、必要に応じて物品調査を行うとした。

 男性教授は福井新聞の取材に対し「大変申し訳なく思っている。ただ、常習性はなく、ほかの研究費不正の事例と比較しても処分が重すぎる。処分の軽減を求めて労働審判の手続きを取ることも考えたい」とコメントした。


2015年10月09日

福井大、大学院教授を懲戒解雇処分 不正利益得る

毎日新聞(2015年10月08日)

 福井大は8日、大学の研究費で購入したパソコン部品を中古業者に売って約25万5000円を得たとして、大学院工学研究科の50代の男性教授を懲戒解雇処分にしたと発表した。売却代金は全額、大学へ返納されたが、大学は業務上横領容疑での刑事告訴を検討している。

 記者会見した岩井善郎副学長らによると、教授は今年1月、研究費で購入したパソコンの主要部品であるCPU(中央演算処理装置)など6点を東京都内の業者に売却し、代金を自分の私的な銀行口座に振り込ませた。

 今年4月、「教授が物品を不正に売った可能性がある」として大学職員が大学側に業者発行の買い取り金額見積書(コピー)を持ち込み発覚。大学が調査委員会を設置して調べていた。教授は売却を認め「申し訳ないことをした」と謝罪したというが、詳しい動機は確認できていないという。


奨学寄付金7億円を収益に計上、秋田大の赤字圧縮

さきがけ(2015/10/08)

 秋田大(澤田賢一学長)は7日、2014年度決算で、教育研究助成などに充てられる「奨学寄付金」を、赤字額を少なくする目的から収益に計上する不適切な会計処理が行われていたことを明らかにした。実際は15億3千万円だった赤字額は、7億2千万円少ない8億1千万円に圧縮されていた。同大は、この会計処理を指示した財務担当理事(59)を学長付理事に降格したのをはじめ、計7人を処分した。

 14年度は同大の9年に及ぶ病院再開発整備事業の最終年度で支出が膨らみ、赤字が拡大した。財務担当理事はこれを圧縮するため、奨学寄付金(19億5千万円)のうち7億2千万円を収益に計上するよう指示した。

 奨学寄付金は、個人や一般企業が大学の特定の教員らに、教育研究助成などの目的で提供する資金。国立大学法人会計基準では、受領時点で負債計上され、教育研究に充てられ費用が発生した段階で収益に振り替えられる。だが今回は、赤字額を圧縮するという全く別の目的から収益に計上された。同大奨学金取扱規程では、教員らが寄付者から同意を得れば使途変更が可能になるが、その手続きも行われていなかった。


2015年10月08日

秋田大で不正会計 26年度決算、赤字額を大幅圧縮

産経(2015.10.7 20:58)

 秋田大(沢田賢一学長)の平成26年度決算で、赤字額を大幅に圧縮する不正な会計処理が行われたことが分かり、大学は7日、この処理を主導した財務担当の渡部良和理事(59)を学長付理事に更迭した。

 秋田大は9月に調査委員会(委員長・田中伸一弁護士)を設置していた。記者会見した沢田学長や調査委メンバーによると、渡部理事は国立大学法人会計基準に反し、医学部に対する寄付金7億2243万円を収益に振り替えて赤字を少なく見せかけるよう提案し、沢田学長らが承認。2人の監事や外部監査法人も見逃していた。金銭的な実害はなかった。

 渡部理事は大阪教育大財務部長や上越教育大理事などを歴任した大学事務のベテランで、沢田学長らに「このままでは職員給与の遅配などが起こる」と不正確な説明をしたという。

 沢田学長は「赤字が多いからといって、直ちに大学の評価低下や財務担当理事の責任につながるわけではなく、動機は分からない」と語った。

 秋田大は同日、沢田学長の報酬の10分の1、3カ月返上や関係部長、課長の懲戒戒告処分などを決めた。


2015年10月07日

貸与型奨学金を利用予定の高校生9割が「返済に不安」

フォルサ [2015/10/06]

神奈川大学は、高校生・既卒生・大学生500名および高校生・既卒生・大学生の子を持つ親500名を対象に、「奨学金と給費生制度に関する意識調査2015」を実施した。調査は7月31日~8月6日にかけて行い、1,000名の有効サンプルを集計した。

親の8割が「大学進学・大学関連の費用が家計を圧迫」

高校生・大学生の子を持つ親に、大学進学とお金に関する状況や考えを尋ねたところ、「大学進学または大学関連の費用が家計を圧迫している」に、「あてはまる(計)」と回答した割合は78.0%だった。

「大学進学で親元を離れたときの経済的負担は重い」は80.0%、「金銭的事情での大学進学断念は社会にとって損失」は88.0%がそれぞれ「あてはまる(計)」と回答している。

次に、高校生・大学生に対し、大学進学とお金に関する状況や考えについて聞いた。「自分が大学に進学する(した)ことで、家族への経済的負担が大きくないか心配」に「あてはまる(計)」と回答した割合は82.2%だった。高校生は38.5%が「金銭的事情を考えると"大学進学を断念すべきなのでは"と思う」と答えている。

大学生に対し、大学進学後、学費や生活費を稼ぐためのアルバイトで、学業が疎かになったことがあるか尋ねると、58.0%が「あてはまる(計)」と回答した。また「金銭的事情を考えると"将来的に大学中退を選択することもあり得る"と思う」に21.5%が「あてはまる(計)」と回答している。

高校生・大学生の7割が「奨学金制度」に関心がある

高校生・大学生を対象に「奨学金制度」に関心があるか尋ねたところ、70.6%が「はい」と回答した。高校生に対し、「大学進学時、奨学金制度を利用する予定か」と聞くと43.4%が「はい」と答えており、これから奨学金を利用する予定である子どもは少なくないことがわかった。

貸与型奨学金について「貸与型奨学金を利用したら、卒業後に返済していけるかどうか不安か」と聞くと、「はい」と回答した割合は78.4%だった。奨学金制度を利用する予定と回答した高校生では89.6%が「はい」と回答している。貸与型奨学金をきちんと返済できるか、懸念する子どもは多いようだ。

7割が「給付型奨学金を利用できるチャンスの拡大を望む」

一方、貸与型奨学金とは異なる給付型奨学金(大学卒業後、返済の必要がない奨学金)という制度もある。貸与型ではなく、給付型の奨学金を利用できるチャンスが拡大することを望むか尋ねると、72.4%が「はい」と答えた。

給付型の奨学金制度のひとつに、入学試験の成績が優秀だった者などに、一定額の学費を給付するなどの対応を行う「給費生制度」がある。高校生・大学生にこの制度について知っているか聞くと、「知っている」は24.8%にとどまった。給費生を採用する試験を実施している大学に関心があるか尋ねると、52.6%が「はい」と回答した。

高校生・大学生に、給費生制度は、経済格差による教育格差を縮めるか聞くと、「そう思う(計)」は70.0%だった。「給費生制度は、志の高い学生の未来を創る」「給費生制度は、優秀な学生の可能性を広げる」の同意率も80.0%、「給費生制度は、もっと普及させていくべきだ」の同意率も84.2%と高くなっている。


就学援助 市区町村によって大きな差

NHK(10月6日 18時20分)

経済的に困窮し、学校に通うのが難しい子どもに支給される、「就学援助」について、文部科学省が初めて市区町村別のデータを公表し、援助を受けている小中学生が50%近くに上る自治体がある一方、5%に満たないところもあり、市区町村によって大きな差があることが分かりました。文部科学省は、地域の経済状況や自治体によって異なる支給基準などが影響しているとみています。

就学援助は、経済的に困窮し小中学校に通うのが難しい子どもに、市区町村がそれぞれの基準に沿って学用品や給食などの費用を支給するものです。その平成25年度の支給状況に関する調査結果が、6日公表され、支給を受けたのは全国で151万4515人で、公立の小中学校に通う子どもの15.4%を占めていることが明らかになりました。

また、これまで公表されていたのは都道府県ごとのデータだけでしたが、今回は自治体などによる「子どもの貧困対策」に生かしてもらうため、初めて1700余りの市区町村別のデータが公表されました。それによりますと、福岡県の3つの市と町、北海道の1つの町で、就学援助を受けている子どもの割合が40%を超え、最も高いところでは48%と2人に1人に上っていることが分かりました。また、大阪府や東京都、高知県などの合わせて42の市区と町で30%台となっていたほか、158の市区町村で20%台となっています。一方で、支給を受けている子どもの割合が5%に満たない自治体も232あり、市区町村によって大きな差があります。
これについて文部科学省は、それぞれの地域の経済状況が大きく影響しているほか、自治体によって異なる就学援助の支給基準や制度がどれだけ知られているかも関係しているとみています。
文部科学省は、6日、ホームページに就学援助に関する特設サイトを立ち上げて、調査結果を掲載するとともに、全国の自治体に制度の周知の徹底を通知することにしています。

貧困の連鎖絶つ 足立区の取り組み

就学援助を受けている子どもの割合が38%と、東京都内で最も高い足立区は、「子どもの貧困対策担当部」を新たに設けるなど、区を挙げて対策を進めています。

大きな課題となっているのが、子どもの基礎学力の定着です。足立区が調査したところ、経済的に厳しい子どもが多い学校ほど、区の学力テストの結果が低い傾向にありました。基礎的な学力が身につかないと、将来の職業選択の幅が狭まり、貧困の連鎖につながりかねないとして、足立区は、区内69の小学校を対象に、さまざまな取り組みを行っています。

5年生の算数で1年生のレベルから問題を解き直させる「さかのぼり学習」を行って、どこでつまずいたかを正確に把握するとともに、子どもを個別指導する担当者をすべての小学校に配置しています。区立弘道第一小学校の小池康之校長は、「つまずきを解消し、子どもの力を押し上げることが、貧困の連鎖を断つことにつながる」と話しています。

また、貧困が子どもたちの健康に与える影響を食い止めようという取り組みも行われています。足立区では、虫歯のある小学生の人数が23区で最も多く、今年度から就学前の4歳から6歳のすべての子どもを対象に歯科健診を実施しています。親が仕事に追われ、治療に連れて行けないといった事情があるとみられ、担当する歯科医は「子どもたちの口の中を見れば、家庭の状況がかいま見える」と話しています。区では、早期の健診の結果を虫歯の治療とともに健康面での支援につなげたいとしています。
さらに、子どもが生まれる前の段階から貧困に陥るリスクがないか把握しようと、妊婦に母子手帳を渡す際のアンケート項目を見直しました。健康保険への加入状況や職業の有無、経済的な状況などを確認し、早い段階での支援につなげることにしています。
「子どもの貧困対策担当部」の秋生修一郎部長は、「子どもの貧困は、周囲が気付きにくいうえに、健康状態や学力などさまざまな面に影響が出てくるので、教育と福祉の分野が連携して取り組む必要がある。今回公表された実態を踏まえ、国やほかの自治体とも連携しながら役割を果たしたい」と話しています。

就学援助率 県庁所在地で最も高い高知市

今回の調査で、就学援助を受けている子どもの割合がおよそ35%と、県庁所在地のなかで最も高かったのは高知市です。この結果について高知市は、県内の最低賃金が全国で最も低いほか、1人親家庭が多いことなどが背景にあるのではないかとみています。5年前の総務省の国勢調査によりますと、高知県内の1人親家庭の割合は、18歳未満のこどもがいる世帯のおよそ21.5%を占め、全国で4番目に高いということです。
就学援助を受けている高知市の小学6年生の男の子は、生まれてまもなく両親が離婚し、祖母(55)と2人で暮らしてきました。介護の仕事をしていた祖母の月々の収入は十数万円で、小学校に入学する際、学校の勧めで就学援助を受けるようになりました。その後、親族の看護が重なったこともあって、祖母は仕事を辞めざるをえなくなり、今は生活保護を受けています。男の子は学校の成績がよく、医師になりたいという夢があります。教員からも私立の進学校の中学受験を勧められました。しかし男の子は「地元の公立中学校でも勉強はできるので、頑張って大学まで行って、夢をかなえたい」と話しています。祖母は、塾にも習い事にも通わせる経済的余裕はなく、男の子が家計を気にして、やりたいことを我慢しているのではないかと感じています。例えば先月、修学旅行があり、祖母は生活費を切り詰めて新しい服を着せ、6000円の小遣いを持たせました。男の子は、自分のものは1つだけしか買わずに、祖母や親戚などへのお土産を買って、1500円を残して帰って来たということです。祖母は「孫の将来のためにできるだけのことをしてやりたいが、経済的に厳しく、後押しできないことが申し訳ない」と話していました。

就学援助率に大差 その背景は

就学援助を受けている子どもの割合が市区町村によって大きく異なっている背景について、文部科学省は、それぞれの地域の経済状況が大きく影響しているほか、自治体によって異なる就学援助の支給基準や制度がどれだけ知られているかも関係していると見ています。

就学援助は、▽生活保護を受けている世帯のほか、▽「それに準ずる」とされる経済状況の家庭の子どもにも支給されますが、どのような場合に“生活保護に準ずる経済状況”と認定するかの基準は、市区町村によって異なっています。今回の調査によりますと、就学援助を支給する基準を、年収や課税所得が「生活保護の基準額の1.3倍までの家庭」としている自治体が最も多く、32%でした。これを「1.5倍」まで広げている自治体は8%、逆に「1.1倍」までしか認めていないところが10%でした。

一方、制度をどれだけ知らせているかについて、今回の調査では、▽入学時に就学援助の制度についての書類を全員に配付している市区町村は66.6%でした。3分の1は全員に周知していないことになります。また、▽教育委員会のホームページに制度について掲載している市区町村は58.8%でした。半数近くは掲載していません。

文部科学省によりますと、制度について知らせることに力を入れている自治体の中には、▽入学前に行う健康診断の際に子どもたちに情報を提供したり、▽申請書類の記入を手伝ったりするところもあるということで、こうした自治体では、援助を受ける子どもの割合が高くなっている可能性があるということです。

専門家「支援の充実や検証を」

就学援助の制度に詳しい日本大学文理学部の末冨芳准教授は、「子どもの貧困対策をきめ細かく行っていくうえで、実態の把握は非常に重要で、今回の市区町村別データの公表は意義がある。これを手がかりに、母親の妊娠期から成長して就労につながるまで、長い目でトータルの支援を考えていくべきだ」と話しています。
また、「市区町村によって就学援助を受けている子どもの割合に大きな差がある背景には、貧困状態の違いに加え、制度の周知方法や支給基準、それに自治体の財政状況にも違いがあると考えられる。援助率が低ければいいのではなく、必要な支援が子どもたちに届いているのかという視点で検証していくことが大切だ」と指摘しています。


2015年10月06日

滋賀県立大の不正経理で懲戒処分

NHK(10月05日 19時39分)

彦根市にある滋賀県立大学の教授が、学生のアルバイト代についてうその書類を作成し、研究費を水増ししていた問題で、大学は5日不正が過去5年間にわたっていたとする調査結果を公表するとともに、停職3か月の懲戒処分としました。
滋賀県立大学環境科学部の49歳の教授は、国の補助金を受けて進めていた研究で、学生や卒業生を実際よりも長時間、アルバイトで雇ったように装ううその書類を作成し、研究費を水増していたことが明らかになり大学が詳しい調査を進めていました。
その結果、不正は平成26年度までの5年間にわたり、水増しの総額はあわせて265万円にのぼることがわかったということで、大学は5日教授を停職3か月の懲戒処分としました。
教授は大学に対して、「研究や地域での活動にお金が必要だった」と説明しているということです。
これとは別に大学が教授や准教授など205人の教員すべての経理処理について調べたところ、4人に1人に当たる54人が、117件の469万円分の経理処理について物品を購入する際に必要な事前の承認を受けていなかったこともわかったということです。
記者会見した滋賀県立大学の川口逸司副理事長は、「職員全員が意識を改めて再発防止に取り組み、県民の信頼回復に努めたい」と述べました。

2015年10月04日

「市立大学と府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」、「継続」扱いに―大阪市議会都市経済委員会

大阪開業支援室
 ∟●「陳情書」は「継続」扱いに―市会委

「陳情書」は「継続」扱いに―市会委

 10月2日、大阪市議会の都市経済委員会で、「大阪の公立大学のこれからを考える会」が提出した「市立大学と府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」が審議された。審議のあと、自民党(3)と共産党(1)は「採択賛成」を表明したが、維新の会(6)と公明党(4)が「継続審議」を主張したため、「陳情書」は採択されず「継続」扱いとなった。《( )内は委員数。市会の会派数は、維新36、自民20、公明19、共産9、osakaみらい2 》
「陳情書」に対する各党の審議内容の要点について(メモ)
①維新・田辺 2013年に「大学統合関連議案」が否決されときの理由は何だったのか、その後の進展はどうか。
大学担当課長・森山 平成25年当時は、大学の施設、統合スケジュール、学生への説明などの問題で、「統合議案」が否決された。そして、文部科学省の審査が厳しくなり、当初スケジュールどおりの統合は困難と判断、延期となった(平成26年4月)。その後、両大学の主体的検討を経て、平成27年2月「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)がまとめられた。市は、これをうけて大学統合をすすめたいと考えている。
田辺 陳情で「両大学の個性が喪失」と述べているが、両大学の特性・個性はどうなるか。
森山 大学の個性は「独自性」と「強み」。市大は日本初の市立大学。両大学とも130年の歴史と伝統がある。個性は失われないものと考える。
 田辺 「個性は失われない」ことを確認。統合によって学生に不利益があるのか。また、「学生に説明されていない」といわれているがどうか。
 森山 学生に不利益ないようにしたい。両大学のリソースを生かし、教育力もアップする。学生には、大学問題見解発表ごとに「ホームページ」で説明している。
 田辺 ホームページでの説明だけでは不十分ではないか。「基本構想」には、中期目標を決めてから4・5年かかると書かれている。4・5年かかると現役学生には関係ないとも考えられるが、学生に不安を感じさせないようにするべきだ。     市大の運営費交付金はいくらか。
 森山 平成27年度、医学部付属病院を除いて106億円である。
 田辺 106億円は市民の税金だ。これが妥当な額か。大学統合は、市の財政負担からみて意義あることだ。統合でいくらコスト削減できるのか。府が10億円、市が数億円ともいわれるが。統合でマネジメント部門の経費削減、統合のシナジー効果を発揮してほしい。コスト削減(効果)を是非検証してほしい。100億円も投入している大学の市民への還元を考えるべき。「100億円も」「小中学校に回してほしい」という声もある。学生を小中学校教育にもかかわるよう検討するべき。
②自民・前田 陳情書を提出した学生の「会」から直接意見を聞く機会があった。学生たちは、この間、学生には何の説明もない。5月の住民投票で大学統合が問題になった時も、説明がない。大学の伝統、教育内容、キャンパス、学費など、不安がいっぱいと話していた。学生への説明をやってきたのか。陳情で「合意のない統合」と言っているが「合意」は必要なのか。
 森山 市大・府大が検討し「基本構想」を発表、ホームページで公表・説明してきた。手続き上「合意」の必要はないが、情報提供、説明はやっていきたい。
 前田 統合で、学生を混乱させないようにするべき。ホームページだけでなく、説明会なども必要ではないか。
 森山 市大は、「新大学」の具体化がすすんだ段階で説明することにしている。
 前田 決まった後での説明でなく、よく意見を聞いて検討するべきだ。
③共産・小川 大学統合には、何度も反対の民意が示された。学生、教員、卒業生などの意見を聞くべき。「二重行政」のムダ解消といわれた「統合」、住民投票でも否決されたではないか。「陳情趣旨」の2)で述べているとおりだ。統合に大義はない。いまこそ、大学問題も熟議が必要。統合などするべきではないと考える。
 森山 大学は「智」の拠点。両大学を統合して、リソースを発揮、シナジー効果を期待する。大阪発展の牽引力になる。
 小川 今回、大学が自ら「基本構想」を作成したかのように、「大学統合」を押し付けている。両大学は、公立大学としてその役割を立派に果たしている。なのに、交付金を7割に削減しているのは問題だ。交付金を削減しておいて、「より良い大学」になりうるのか。「一度も意見を聞かれていない」と言われているが、学生からの意見徴集はどのようにしたのか。
 森山 ホームページでやった。
 小川 HPでなく、直接、意見を聞くべきだ。ステークホルダーというなら、定期的に意見を聞くようにするべきではないか。
●維新、自民、共産が質疑したが、前回「統合に反対」だった公明は、発言せず、「継続」を表明した。


自由法曹団、「沖縄県知事による辺野古新基地建設に係る埋立承認の取消を強く支持するとともに、国に法的対抗措置をとらないことを求める意見書」

自由法曹団
 ∟●「沖縄県知事による辺野古新基地建設に係る埋立承認の取消を強く支持するとともに、国に法的対抗措置をとらないことを求める意見書」

2015年10月03日

安全保障関連法に反対する学者の会、SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

安全保障関連法に反対する学者の会
 ∟●SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

 安全保障関連法案に反対してきた SEALDs の奥田愛基さんに対し、本人と家族の殺害を予告する脅迫状が送付される事件が発生したと報じられている。
 言論・表現の自由を脅迫と暴力で封じ込めようとすることは、民主主義社会に対する重大な挑戦であり、断じて許されない。加えて、本人とは別個の人格である家族に対して加えられるいかなる迫害も、個人の尊厳に対する威嚇であり犯罪行為である。さらに大学に脅迫状が送られたことは、大学の自治、学問の自由、言論の自由に対する攻撃として看過することはできない。
 法案への反対運動は、平和と民主主義に希望を託そうとする主権者の政治的見解の発露である。にもかかわらず、これを圧殺しようとする言動が繰り返されてきた。こうした言動が犯罪行為に該当する場合、警察には、放置せず適切かつ迅速に対処することを要請する。
 私たちは、学者、大学人、教育者として、この犯罪行為に強く抗議するとともに、市民社会に対し、このような脅迫に委縮することなく、闊達な議論によって私たちの民主主義を守り育むことを呼びかけるものである。

2015年10月2日
安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人有志

青井未帆(学習院大学教授)
浅倉むつ子(早稲田大学教授)
池内 了(名古屋大学名誉教授)
石田英敬(東京大学教授)
上野千鶴子(東京大学名誉教授)
鵜飼 哲(一橋大学教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)
内海愛子(恵泉女子学園大学名誉教授)
宇野重規(東京大学教授)
大沢真理(東京大学教授)
岡野八代(同志社大学教授)
小熊英二(慶応義塾大学教授)
戒能通厚(早稲田大学名誉教授)
海部宣男(国立天文台名誉教授)
加藤 節(成蹊大学名誉教授)
川本隆史(国際基督教大学教授)
久保 亨(信州大学教授)
栗原 彬(立教大学名誉教授)
小林 節(慶応義塾大学名誉教授)
齋藤純一(早稲田大学教授)
酒井啓子(千葉大学教授)
佐藤 学(学習院大学教授)
杉田 敦(法政大学教授)
高橋哲哉(東京大学教授)
千葉 眞(国際基督教大学特任教授)
中塚 明(奈良女子大学名誉教授)
中野晃一(上智大学教授)
永田和宏(京都大学名誉教授)
西川 潤(早稲田大学名誉教授)
西崎文子(東京大学教授)
西谷 修(立教大学特任教授)
広田照幸(日本大学教授)
広渡清吾(専修大学教授)
堀尾輝久(東京大学名誉教授)
間宮陽介(青山学院大学特任教授)
三島憲一(大阪大学名誉教授)
水島朝穂(早稲田大学教授)
水野和夫(日本大学教授)
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授・滋賀大学名誉教授)
山口二郎(法政大学教授)
山室信一(京都大学教授)
横湯園子(元中央大学教授・元北海道大学教授)
吉岡 斉(九州大学教授)
吉田 裕(一橋大学教授)
鷲谷いづみ(中央大学教授)
渡辺 治(一橋大学名誉教授)
和田春樹(東京大学名誉教授)

安保法反対の大学生に脅迫状 大学教授らが抗議声明

NHK(10月2日 20時49分)

安全保障関連法に反対する学生グループの中心メンバーに対して脅迫状が送られたことについて、大学教授の有志らが「民主主義社会に対する重大な挑戦で、断じて許されない」とする抗議の声明を出しました。
この問題は、安全保障関連法に反対する学生グループ「SEALDs」の中心メンバーで、明治学院大学に通う奥田愛基さんに、先月24日、「奥田さんとその家族を殺害する」という内容の脅迫状が送られたものです。
これについて、「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人の有志が、2日、「言論・表現の自由を脅迫と暴力で封じ込めようとすることは、民主主義社会に対する重大な挑戦であり、断じて許されない」などとする抗議の声明を出しました。
奥田さんはすでに警察に被害届を出し、警察は脅迫の疑いで捜査を進めています。

奨学金返還にマイナンバー 年収に連動、文科省検討

日経新聞(2015/10/2)

 日本学生支援機構による奨学金制度をめぐり、文部科学省は2日までに、マイナンバーを使って年収を把握し、返還額を柔軟に変える「所得連動返還型奨学金」の導入に向けた検討を始めた。有識者会議で年度内に報告を取りまとめ、2017年度の大学進学者から導入を目指すが、プライバシー確保などが課題だ。

 12年度に始まった現行制度では、年収300万円以下だと返還を猶予。総務省の07年度調査で、大学などを卒業した30~50代の約3割が300万円を下回っていたことから、返還が進まず、債権管理コストがかさむ懸念が指摘されている。

 また、300万円を超えると、急に一定額の返還が求められるため、借りた側からも負担が大きいとの声が出ていた。

 文科省は、マイナンバーを使い、被貸与者の年収を把握。一定の年収を上回った段階で返還が始まり、年収の増加に応じて返還額も増える制度を想定している。

 現在は被貸与者から毎年、納税証明書を郵送してもらい、年収を把握しているが、マイナンバーの活用で事務作業の軽減が図れるという。〔共同〕


関学大で安保法反対の緊急集会「立憲主義と平和主義取り戻そう」

神戸新聞(2015/10/1)

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法に反対する「オール関学緊急集会」が1日、西宮市の関西学院大で開かれた。法成立後、兵庫県内の大学で大規模な反対集会が開かれるのは初めて。学生や教員、地域住民らが「立憲主義と平和主義を取り戻そう」と声を上げた。

 同法は30日に公布された。政府は南スーダンで実施中の国連平和維持活動(PKO)の任務に「駆け付け警護」の追加を検討するなど、来年3月末の施行に向け、動きを活発化させている。

 集会は関学大の有志が主催。参院審議中の8月に法案反対の声明を発表し、571人が賛同した。この日は120人の教室に立ち見も出た。

 集会では同大法学部の柳井健一教授(憲法学)が講演。安保法の成立過程を批判した上で、「法成立後もこれだけの人が集まり、何かしようと行動するのは新しい状況だ。立憲主義と民主主義を取り戻す行動を持続させよう」と呼び掛けた。

 大阪や神戸で街頭行動を続けた学生グループ「シールズ関西」メンバーで同大4年の寺田ともかさん(21)もマイクを握り、「教室に入れないほどの人を見て希望を感じた。本当の積極的平和主義とは何か、これからも考えていく」と話した。

 リレートークでは、学生から「安保法は民主主義のプロセスを経て成立したと考えるべきだ」との主張も出て、活発な議論が交わされた。

 同大法学部の長岡徹教授は「学生や若い母親が自分の言葉で語る姿に日本の将来がある。今後も活動を続けたい」とした。(木村信行)


2015年10月01日

福岡教育大学の学長をやめますか、それとも、福岡教育大学をつぶしますか パート19

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●福岡教育大学の学長をやめますか、それとも、福岡教育大学をつぶしますか パート19

【福岡教育大学の学長をやめますか、それとも、福岡教育大学をつぶしますか パート19】
 
 先週は、安保関連法案をめぐる国会の醜悪な光景を目にして、法案に対する賛否の立場を超えて、この国の将来を悲観した方が多かったのではないでしょうか。しかしながら、ここ数十年来全く政治に関心がないと言われ続けてきた若者が大勢自分たちの意見を様々なかたちで表明し、色々な手段で積極的に活動している姿を見て、この国の将来も捨てたものではない、と希望を感じることができたのは嬉しかったです。
 
〔学生さんの学ぶ権利を守れ!!!〕
 
 先に報告しました福岡教育大学の教授会の続報です。
  
 寺尾氏の暴挙によって開講中止に追い込まれた授業は、「開講時期を変更してでも、学生さんの学ぶ権利を保障して欲しい」という至極常識的な要望は認められたのでしょうか? また、編入学試験をめぐって、「編入学してきた学生の、入学後の学ぶ権利を保障して欲しい」という、これまた普通の感覚では当たり前の要望に対し、寺尾氏と忠臣の学部長さんは、責任ある回答をしたのでしょうか?
 
 まだ予断を許さない状況ですが、10月になっても中止に追い込まれた授業に対する補償措置がなされなかったり、編入学試験が当日になって中止になった場合には、すぐにこのページで報告し、厳しく糾弾したいと思います。
 
〔就職率と図書費の配分〕
 
 今年度、福岡教育大学の教授の皆さん1人あたりの教育研究費が10万円にまで激減し、その上、科研費未申請者には何の予告も無しにマイナス5万円の懲罰が科されたことは、何度もこのページで報告しました。なお、この科研費未申請者に対するペナルティーは、役職者には適用されなかったので、個人では「生涯一度も科研費をもらったことがない」という研究担当の理事さん!!!も、恐らくは、無罪放免だったのでしょう。職員の皆さん、役職者の過去の科研費の申請状況について詳細な情報をお寄せ下さい。
 
 我々も最近は、寺尾氏の大学経営のあまりものひどさに慣れてしまって、少々のことでは驚かなくなりましたが、先の教授会では、またまた呆れかえるようなことを学部長さんが報告したそうです。取材によりますと、寺尾氏の方針により、来年度は、学生さんの就職率を講座ごとに比較して、担当学生の就職率の高い講座に図書費を重点的に配分することにし、すでにこの方式を今年度から試験的に導入するそうです。取材によりますと、この学部長さんの発言を聞いた教授の皆さんは、もう呆れるのを通り越して、会議室の至るとことから笑いが漏れたそうです。ある教授の方が、「要するに、我々は、全学的な見地から他の講座の学生の就職支援などする必要はなく、自分の講座が直接受け入れるコースの学生だけに指導責任を果たせばいいということですね! 学部長、あなたの言っていることは、そういう理屈になってしまいますよ!」と言ったら、学部長さんは、例のごとく「???」と無反応、馬耳東風だったそうです。
 
 取材によりますと、福岡教育大学では、例えば、「数学教育講座」なら「初等数学」「中等数学」というふうに、それぞれの講座に入試や卒論指導等を主に担当するコースの学生さんがいるそうです。しかしながら、実は、自分の講座に直接関わる学生さんだけを指導している教授の方は、基本的におられないそうで、入学してきた学生さん全てに対して、教授の皆さん全員が何らかのかたちで指導責任を負うのが当たり前なのだそうです。また、福岡教育大学の図書は、それを直接買った講座だけではなく、全学の教授と学生さんが自由に使えるのだそうです(まあ、これは世界中の大学がみな同じでしょう)。取材に答えてくださった教授の方は、呆れた様子で、「寺尾さんが教員時代に、どういう考えで学生を指導していたかがよくわかったが、こんなことやって大学全体の就職率があがるはずがないでしょう。福岡教育大学の学生の指導は、教職員全員が協力してやっていくのが当然です!」と言ってありました。
 
 因みに、教員養成の素人(教育学部の学生さんの指導経験ゼロ)である就職担当の副理事さんは、寺尾氏に非常に気にいられているようで、いくら就職率が低迷しても全くおとがめ無しだそうですが、取材によりますと、この方に与えられている非常勤講師の予算(役職者として授業負担が減免されたコマ数について、特別に学外から非常勤講師を雇う予算)と10月から新たに支給される役職手当の額を合わせたお金があれば、開講中止に追い込まれた授業くらい簡単に開講できるのだそうです。
 
 何か間違っていませんか、寺尾先生!!!
 
 健全な感覚をお持ちの市民の皆さん、学生の皆さん、卒業生の皆さん、保護者の皆さん、福岡教育大学の教育環境を守るために、寺尾氏に速やかで潔い辞職を勧めましょう!!!!!!
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「福岡教育大学学長への提案」
https://www.fukuoka-edu.ac.jp/president_form/index
 
 文科省の無責任さは、オリンピックの問題だけではありません。福岡教育大学の役職者などには、3名もの天下り官僚がいますが、寺尾氏の蛮行を見て見ぬ振りです。こんな役所に日本の高等教育を任せていいのでしょうか。文科省にも多数の抗議の声を届けましょう!!!
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「国立大学法人に関すること - 御意見・お問合せ 入力フォーム:文部科学省」
https://www.inquiry.mext.go.jp/inquiry21/