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 カテゴリー 2015年11月

2015年11月30日

岩手大、授業料値上げも 交付金削減案受け試算

岩手日報(2015/11/28)

 岩手大(岩渕明学長)は27日、運営費交付金を毎年度1%削減する財務省案が導入された場合、授業料の28%値上げや教職員削減を迫られるとの試算を明らかにした。外部資金の獲得で減収を補うのは困難な状況で、教育格差の拡大や研究の質の低下を招く恐れがあるとして、同大など全国の国立大は削減に強く反発している。県内の国立以外の大学の授業料にも影響する可能性もあり、国の動向が注目される。

 岩手大が同日公表した資料によると、本年度の運営費交付金(一般分)は56億7300万円。これに対し15年間1%ずつ削減する財務省案が導入されれば、2031年度には8億4300万円減の48億3千万円となる。

 削減分を授業料(年間53万5800円)で補うためには単純試算で15万1700円(28%)増の68万7500円への値上げが必要。人件費のみの試算では、現在の教職員750人は90人(12%)減の660人としなければならない。

 財務省案では31年度に交付金と自己収入を同じ割合にすることが目標だが、同大の14年度の自己収入は34億3200万円で、交付金に頼る割合が大きい。既に過去10年間で10%削減されており、産学間連携の推進などこれ以上の自己収入を確保するのも困難という。


辺野古新基地建設、中止求め平和学会有志が声明 琉大で研究集会

琉球新報(2015年11月29日)

 日本平和学会(佐々木寛会長)の秋季研究集会が28日、西原町の琉球大学で始まった。同学会理事会の有志(佐々木会長ら24人)が、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について、即時中止を求める声明を発表したと総会で報告があった。「沖縄戦後70年-沖縄戦と米軍統治、復帰、現在そして未来」をテーマに、29日まで基地問題や原発、植民地、平和教育などをテーマに5部会11分科会を開く。

 分科会「東アジア共同体と日米安保体制見直し」には、鳩山由紀夫元首相らが登壇した。鳩山氏は「東アジア共同体は構成国を固定すべきでない。東南アジア諸国連合(ASEAN)に日、中、韓を加えた13カ国で東アジア共同体議会をつくるべきだ。その設置場所を沖縄に誘致し、沖縄を軍事ではなく平和の要石とすべきだ」と述べた。

 前泊博盛沖縄国際大教授は「本土から見れば米軍は正義のウルトラマンなのかもしれないが、そのウルトラマンは殺人を含む犯罪をたびたび起こし、戦後70年間で怪獣は一度も現れていない」と述べた。親川志奈子琉球民族独立総合研究学会共同代表は「対米従属で辺野古に税金で基地を造ろうとしている日本こそが独立し、平和な社会を築いてほしい」と強調した。


2015年11月28日

准教授、講義中にデモ参加呼びかけ…停職3か月

読売新聞(2015年11月27日)

 福岡教育大(福岡県宗像市)は26日、教員として不適切な行為があったとして、教育学部の40歳代准教授を停職3か月、30歳代准教授を同2か月の懲戒処分にしたと発表した。

 処分はいずれも25日付。

 同大によると、40歳代准教授は7月21、22日、学生数十人が受講した講義中、福岡県内で開催される安全保障関連法案(安保法案)の抗議デモへの参加を呼びかけた。21日には「法案絶対反対」「安倍は辞めろ」などの発言を復唱するよう求めるなどした。講義での発言がインターネット上に掲載されて発覚した。

 30歳代准教授は2013~14年度、学生1人に「君がいたら空気が悪くなるのでこれからは来るな」と発言したほか、別の1人に対して卒業論文の添削指導を一切しなかった。学生2人が3月、そろって大学側に訴えた。いずれも卒業している。


国立大交付金削減は「無謀」、神戸大が反対声明

神戸新聞(2015年11月27日)

 神戸大学の武田廣学長は27日、定例会見を開き、10月に財務省が示した国立大学運営費交付金の削減案について、「大胆で無謀な案」と批判した。外部有識者でつくり、大学に助言する組織「神戸大学アドバイザリーボード」に呼び掛け、削減案に反対する声明を出した。

 財務省は10月26日、財政制度等審議会の分科会で、国立大に配る交付金を2016年度から毎年度1%ずつ削減する改革案を示し、大学の自助努力を促した。

 武田学長は会見で声明文を紹介。「法人化以降、既に交付金は削減されている。教育投資をおろそかにすることは国の将来に大きな悔恨を残す」などと反対の姿勢を強調した。

 声明は近く、国立大学協会に送り、財務省と文部科学省に提出される予定。


阪大の国際交流課係長を懲戒解雇 2000万円着服

日刊スポーツ[2015年11月27日]

 大阪大は27日、海外から訪れた研究者ら向けの宿泊施設の使用料約2200万円を着服したとして、国際交流課の金井克典国際連携係長(50=大阪府松原市)を懲戒解雇処分にした。近く刑事告訴する方針。

 大学によると、施設の管理部署にいた2013年11月~今年9月、使用料の徴収業務などを委託していた業者に「大学が関与するNPO法人の運用資金にする」などと虚偽の説明をし、現金で保管するよう指示した使用料を着服していた。

 「住宅ローンの支払いや親族の借金返済に充てた」と説明し、弁済の意思を示している。10年6月から施設の管理を担当しており、着服額は増えるとみて調査する。

 保管金額を記録した書類の破棄を指示された業者が不審に思い、今年10月に大学に連絡して発覚した。

 大学の関係者は記者会見で「深くおわび申し上げる。再発防止策を講じたい」と謝罪した。(共同)

不適正支出は5617万円…西武文理・元学園長

読売新聞(2015年11月26日)

 埼玉県狭山市の西武文理大学などを運営する学校法人「文理佐藤学園」(佐藤英樹理事長)の不適切支出問題で、同学園は26日、小学校長だった佐藤仁美・元学園長(44)の不適切支出は計5617万円だったと発表した。

 2009年の学園長就任以降に関わった経費のうち約半分が不適切とされ、父親の英樹理事長らが陳謝した。文部科学省の指示を受けた追加調査で判明した。

 発表によると、同学園は元学園長を今月12日付で懲戒解雇とし、不適切な支出を承認していたなどとして母親の富美子常務理事(72)も諭旨解雇、英樹理事長の報酬を2年間50%削減などとした。また、不祥事の背景に同族経営があったとして、同一親族の理事は1人までとすると決めた。


国立大の中期目標・計画-改革は抽象的、肉付け急ぎ発信を

日刊工業新聞(2015年11月26日)

 国立大学86校が2016年度から取り組む「第3期国立大学中期目標・中期計画」素案が公表された。すべての大学が何らかの組織見直しを挙げており、改革の意欲は感じられる。しかし個々の特色強化は抽象的な表現もみられる。財政支援の理解を社会から得るためにも、具体的な計画を急ぎ肉付けして発信してほしい。

 この素案は、各大学が6月に文部科学省に提出した計画をまとめたもの。文科省が同じ時期に問題提起した人文社会科学系の再編・見直しについては33大学が計画に盛り込んでいる。これは「人文社会系の教育研究は浮世離れしたものでなく、社会で活躍する人材育成につながるべきだ」という意識を、多くの大学が早い段階から持っていたことを意味する。

 一方、理工系の取り組みをみると、東北大学はスピントロニクスやデータ科学などで、海外有力大学と連携した七つの国際共同大学院プログラムの実施を挙げた。豊橋技術科学大学は、社会実装と社会提言につながる研究の両面で、それぞれ3件以上の成果を目標に掲げた。九州大学は二酸化炭素を増やさないカーボンニュートラル、エネルギー関連という強みに力を入れ、米国イリノイ大学などとの連携を計画している。

 改革意識を明確に示す数値指標は限定的だ。目立つのは留学の派遣・受け入れや女性教員の数字で、8割近くの大学が挙げた。ただ、この切り口は横並びでしかなく、各大学の特色強化に結びつけるのは難しかろう。各大学は個性を明確にした取り組み策を具体化し、広く理解を得る努力をしてほしい。

 財務省の財政制度等審議会は16年度予算の編成方針で、大学等の運営費交付金の年1%削減を継続する一方、自己収入 の年1・6%増を求めた。共同研究費や寄付金の増加を目標とするのは結構だが、現実にはこれほど高い伸び率で大学が資金を集めるのは難題だ。行き詰まった大学が学費値上げに動くようでは公益にも反しかねない。各大学は国の交付金削減をはね返す意味でも、個性の発揮に努めるべきだ。


2015年11月26日

追手門学院大学不当配転訴訟、原告「一審判決についての声明」

「不当配転訴訟」一審判決についての声明

以下の声明は「支援する会」から資料提供されました。

2015年11月18日

「不当配転訴訟」一審判決についての声明

原告 落合正行

 本日の大阪地裁における判決は、今回の私への配置転換が法的な根拠がないことを認めるきわめて合理的判断であり、大学に関わる裁判の今後のよき判例となると考えます。

 顧みますと、私は、2 0 1 2 年7 月2 8 日に合理的な理由もなく、私の意に反して心理学部教授から教育研究所教授に配置転換をされました。その後も今日に至るまで、毎年、次々と新たな部署に配置転換をされ、教育・研究上理不尽な扱いを受けました。

 もとより、私学といえども大学は教育・研究機関であり、社会の公器です。大学の教員は研究の専門によりカリキュラム上必要な科目を学部学科に所属して担当しますので、一般の企業の従業員とは雇用のあり方が異なります。これは、大学の研究と教育という社会的機能を保証するために必要なあり方です。従って、理事長が教員の専門性を無視して自由に配置転換出来ないことが認められたことは、大学の独自性を考慮した大変重要な判断だと考えます。理事長が、その後も大学を自分の意のままに運営するために大学の自由と自治を踏みにじり続けることは、大学の社会的存在を無にする行為です。

 配置転換の結果、私は心理学部教授として担当していた業務を遂行できなくなりました。ゼミの募集が突然中止されて学生が登録出来なくなり、また私の担当の数科目が数年にわたり開講されず、心理学部の開講科目として学生との約束事を履行せず、学生に対する心理学教育に重大な不利益を与える結果となっております。

 最後に、本判決が得られましたのも、提訴から2 年7 ヶ月余にも及び私を支えてくださいました弁護士の先生方のおかげであります。また、自らのことを顧みず、はじめから一貫して私の裁判を支援してくださいました大学の同僚の教員をはじめ、大学関係者、卒業生の皆様を含む多くの方々の支援の賜であり、皆様方に、感謝いたします。


早大非常勤講師:雇用上限5年の規則を撤回 組合と和解

毎日新聞(2015年11月25日)

 非常勤講師の雇用期間の上限を5年とした早稲田大の就業規則を巡る団体交渉で不当労働行為があったとして、東京都労働委員会に救済を申し立てていた首都圏大学非常勤講師組合は、規則適用を撤回する内容で早大と和解した。組合が25日、都内で記者会見して明らかにした。早大同様、非常勤講師の雇用期間の上限を5年とする他大学の交渉にも影響しそうだ。

 有期雇用が繰り返し更新されて通算5年を超えると労働者側の申し込みで無期雇用に転換できる改正労働契約法が2013年4月に施行されたが、早大はこの直前の13年3月、非常勤講師の雇用期間上限を5年とする内容に就業規則を変えた。組合側は「改正法適用を逃れるための変更だ」と反発。大学との団体交渉で組合差別があったなどとして都労委に救済を申し立てていた。

 和解協定書などによると、就業規則変更1年後の14年3月31日以前に勤務した非常勤講師については(1)上限5年を撤回し、上限を設定しない(2)5年勤務すれば無期契約への転換を申し込む権利がある??とし、14年4月1日以降勤務の非常勤講師については有期雇用の上限を10年とする内容。

 同労組によると、早大には約3000人の非常勤講師がいる。同労組早稲田ユニオンの大野英士代表は「5年での雇い止めを阻止し無期雇用への展望を開いた。改正法の趣旨に沿うもので意義は大きい」と話した。早大は「まだ協議中の案件もあるが、包括的に合意できる事項で和解した。引き続き真摯(しんし)に対応したい」と話している。


奨学金返還支援へ基金 徳島県、12月補正17億円

徳島新聞(2015/11/25)

 徳島県は25日、2015年度一般会計補正予算案を発表した。補正額は16億9522万円で、12月補正としては最近10年間で2番目に少ない。県内企業に就職する大学生らの奨学金返還を肩代わりし地元定着を促す奨学金返還支援基金の創設や、9月の関東・東北豪雨を受けた災害予防対策の強化が柱となっている。補正後の一般会計は累計4914億7781万円(前年同期4946億9733万円)。県議会12月定例会に提案する。

 奨学金返還の助成対象は、県の成長産業分野として雇用創出や経済波及効果が期待される<1>製造業<2>情報サービス業<3>農林漁業-の県内事業所への就職を希望する理工、情報、農学分野などの学生。

 正規職員として3年以上就業した場合、日本学生支援機構などから借り入れた奨学金返還総額の2分の1(上限100万円)か3分の1(同70万円)を、就業4年目から5年間にわたり分割で肩代わりする。

 初年度は助成候補200人を募る。このうち100人は17年春卒業予定の大学生・大学院生と高専生。残る100人は16年度大学進学予定の県内の高校生・特別支援学校生ら。高校生のうちから助成候補に位置付け、大学卒業後の県外流出を防ぐのが狙い。

 支援基金に2億円を積み立て、このうち2千万円は企業などの寄付金を充てる。県は、地方創生の県版総合戦略期間中(19年度末まで)に最大10億円まで基金を積み増し、計千人を支援対象とする計画。

 災害予防対策を含む台風・豪雨に備える県土強靱(きょうじん)化事業には総額6億6480万円を盛り込んだ。河川浸水予防緊急対策として、勝浦川や鮎喰川など16河川の40キロを対象に流水を阻害する樹木や堆積物の調査、撤去を行う。海部川などの堆積砂利の撤去も進める。

 このほか、徳島赤十字病院日帰り手術センター(仮称)などの整備支援費1億1426万円を計上。マイナンバー制度に関する中小企業向けの支援に200万円を盛り込んだ。

 歳入は国庫支出金(3億6666万円)や基金からの繰入金(5億9426万円)、県債(1億6900万円)などで賄う。


奨学金、借入総額は平均301.8万円 - 保護者調査

マイナビニュース(2015/11/25)

日本労働組合総連合会は20日、「大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」の結果を発表した。期間は10月6日~10月8日。対象は大学生または大学院生の父母1,000名。

大学の年間授業料、平均103.6万円

大学在学中の費用を聞いたところ、「年間の授業料(施設維持費・実習費など含む)」は「100万円~125万円未満」(29.0%)が最多だった。以降、「50万円~75万円未満」(28.2%)、「75万円~100万円未満」(12.2%)が上位にあがった。「0円」・「不明」を除いた平均額は103.6万円だった。

学校種別の平均額は、「国公立」は67.5万円、「私立文系」が103.8万円、「私立理系(医歯薬除く)」が133.0万円、「私立 医・歯・薬学」が204.6万円となった。

「奨学金を利用しているか」を聞くと、31.7%が「利用している」、68.3%が「利用していない」と回答した。世帯年収別に利用割合をみると、世帯年収が下がるにつれ利用率は高くなり、「200万円~400万円未満」の層が61.5%で最多となった。


奨学金を利用している人に対して、「卒業までの借入総額(予定額)」を聞いたところ、最多は200万円~250万円未満」(30.5%)。平均額(不明を除いて算出)は301.8万円となった。

「奨学金のタイプを提示し、どの程度望ましいか」を聞くと、76.3%で「無利子の奨学金」が最多に。次いで、「給付型(返済義務がない)の奨学金」(73.6%)、「地元に就職した場合、 返済(全部または一部)が免除される奨学金」(61.2%)と続いた。

「家庭の所得と教育・大学進学の関係について」の内容を提示し、自身の気持ち・考えにあてはまるものを選択してもらった。「そう思う」(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合計) の割合が最多となった項目は「高所得世帯の子どものほうが、大学までの教育環境に恵まれていると思う」(91.4%)だった。次いで、「子どもを大学で学ばせるための費用は高いと思う」(90.3%)、「所得の高低にかかわらず同水準の教育を受けられるようにするべきだと思う」(81.0%)となった。


千葉大元教職員らが安保法反対の会 あす設立、討論集会開催

東京新聞(2015年11月25日)

 千葉大の元教職員らが、「安全保障関連法制に反対する千葉大学教職員OG/OBの会」を、26日に設立する。同日午後5時から千葉市稲毛区の千葉大西千葉キャンパスで、現職の教職員らと共催で「安保法制を考える討論集会in千葉大学」を開催。同会世話人の一人、元教育学部長の水内宏さん(76)は「安保法では戦争に巻き込まれる危険がある。最高法規の憲法に基づいて政治をすべきだ」と話している。 (村上一樹)

 OG/OBの会は、水内さんら九人の千葉大元教授らが呼び掛け人となり、安保法の採決直前の九月十八日に設立を呼び掛けた。百人ほどの千葉大教職員OG・OBに連絡を取り、約四十五人が賛同者として名を連ねた。

 集会では、中東現代史が専門の千葉大文学部の栗田禎子(よしこ)教授が、フランス・パリで起きた同時多発テロとも絡めて安保法について報告。同会の呼び掛け人から、元文学部長の下村由一さん(84)らも発言する。

 同会では今後も、学習会や講演会、シンポジウムなどを現職教職員や学生、院生、市民らを交えて続けていく予定。世話人の一人、千葉大名誉教授の木村忠彦さん(72)は「臨時国会を召集しないのも、憲法五三条違反。憲法をないがしろにする政策が進んでいくことを危惧する」と指摘し、集会への広く市民の参加を呼び掛けている。

 二十六日は、午後五時~七時。会場は文学部二〇三講義室(文学部・法政経学部一号棟二階)。参加無料で、事前申し込み不要。


2015年11月25日

北陸地区国立大学連合、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

国大協
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成27年11月20日
北陸地区国立大学連合
富山大学学長 遠 藤 俊 郎
金沢大学学長 山 崎 光 悦
北陸先端科学技術
大学院大学学長 浅 野 哲 夫
福井大学学長 眞 弓 光 文

 我々北陸地区の国立四大学は,地域の中核的高等教育機関として,教育の機会均等等を担う公共的性格の下,優れた教育を提供し,医師や教員など地域になくてはならない有為な人材を育成している。また,北陸地域は,産業・建設等の一般機械,アルミサッシ等の金属製品,電子部品,繊維等の最先端技術開発を必要とする様々な基幹産業のみならず,農業,水産,製薬等の地場産業に及ぶ幅広い産業分野で日本の発展を支えており,我々四大学は,地元産業界との共同研究等により,優秀な人材の育成や再教育を行うとともに,研究成果の還元により様々な機能を支え,地域の発展・活性化に貢献している。一方で,近年の日本の急速な少子高齢化と財政難から,我々四大学を含む国立大学は更なる機能強化を強く求められており,知の拠点として世界的な研究成果やイノベーションの創出等に向けた大学改革を主体的に進めてきている。

 そのような状況で,先般の財政制度等審議会財政制度分科会において,財務省から,国立大学法人の基盤的経費である運営費交付金を平成 28 年度から毎年1%減額し,その減額分に見合う自己収入を毎年 1.6%増やすことが提案された。すでに国立大学は平成 16 年の法人化以降,12 年間で運営費交付金が 1,470 億円(約 12%)減額されている。さらに,医療人材の養成,高度医療の提供,地域医療の拠点としての機能を担う附属病院に関しても,消費税増税等の影響により非常に厳しい経営環境にさらされており,特に附属病院を持つ富山,金沢及び福井の三大学は危機的な財務状況に陥っている。我々四大学は,これまでも業務の効率化や経費節減などの諸施策を講じてきたが限界に達してきており,さらに継続的に運営費交付金を削減されれば,大学の運営基盤とともに教育研究機能は急激に脆弱化し,壊滅的な機能不全に陥る恐れがある。このことは,地域の教育,研究,医療の拠点としての機能を衰退させ,ひいては地域の発展・活性化を停滞させることが懸念され,地域における中核人材の育成拠点であり,強み・特色のある分野で世界的な研究を行っている我々四大学にとっては大きな問題ナある。

 また,運営費交付金の削減分を自己収入の増加により補うという提案は,授業料の大幅な引き上げに繋がりかねず,現下の国民の経済状況からみても教育格差が更に拡大されることが懸念され,各地域における教育,文化,産業の基盤を支え,学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するという国立大学の使命が十分に果たせなくなることを強く危惧している。

  我々四大学は,この様な急激に悪化した財政状況の下にも関わらず,学長のガバナンス改革を実行し社会を変革するエンジンとしての大学へと改革を着実に進めている一方で,「北陸地区国立大学連合」を設置して,教育,学術研究,医療,社会貢献等の各分野における連携を推進し,大学の機能強化に取り組んでいるところである。そのような時に,今回のこのような提案が表明されたことは,あまりにも配慮を欠いたものであり,大学の自主的な改革や機能強化の実現を危うくするものと懸念するところである。

 昨今の国の財政状況を鑑みれば,国立大学が厳しい環境におかれていることは十分に認識している。しかしながら,地域における中核人材の育成を担う我々四大学が,教育研究の質を担保しながら高等教育の機会を提供し,イノベーションの創出を目指していくことは,日本の持続的発展を支えるために必須であると考える。そのため,運営費交付金の充実は必要不可欠なものであり,その継続的な削減方針への反対について,関係者のご理解とご支援をお願い申し上げるものである。


日本の公的教育支出、また最下位 12年のOECD調査

朝日新聞(2015年11月24日)

 安倍内閣は、最低賃金を年3%ほど引き上げることを目指す方針を固めた。引き上げの目安額は国の審議会が決めてきたが、政府が目標を示して引き上げを促す。ここ4年は10円超だった上げ幅はさらに拡大するが、負担が増える中小企業などの反発は避けられない。

 24日の政府の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が表明する方向だ。政府は名目GDP(国内総生産)を2020年ごろまでに600兆円に伸ばす目標を掲げている。達成には名目で年率3%超の成長が必要で、あわせて最低賃金も年率3%程度の引き上げを目指す。

 最低賃金(時給)は今年度、全国平均は798円。引き上げ額は18円で、単純比較できる02年度以降で最大の上げ幅だった。今後、仮に年3%ずつ最低賃金が上がるなら、単純計算でも年20円をこえる引き上げが続き、20年代には「全国平均1千円」に届く計算だ。

 最低賃金の引き上げ額の目安は年1回、労使の代表や大学教授による厚生労働省の審議会で決定する。政権としての目標が示されれば、引き上げに向けて議論が進むことになりそうだ。ただ、中小企業からは「さらに賃金が上がるのは痛い」との声も出ており、上げ幅が拡大すれば経営が圧迫される企業が増えそうだ。


法科大学院の定員、2500人に 補助金見直しで「退場」加速へ

時事通信(2015/11/24)

 法科大学院改革を議論する中央教育審議会の法科大学院特別委員会は24日、当面の定員を今春より約670人少ない2500人程度に減らす改革案を取りまとめた。達成に向け、合格実績などで差を設ける補助金制度を促進する方向で見直すことも求めた。これを受け、文部科学省は年内にも具体的な要綱をまとめる。実績が伸びない法科大学院の「退場」が加速するとみられる。
 最大74校あった法科大学院は募集停止が相次ぎ、来春の定員は45校計2724人とさらに減る見込み。今年度も定員割れし、入学者は2201人と既に2500人を割り込んでいる。
 特別委は司法試験の年間合格者1500人という新たな政府目標を基に、合格率7割を目標にすれば2350人が必要と試算。試験を受けない人も考慮して定員を当面2500人程度とした。

法科大学院の定員を大幅減へ 文科省、2500人程度に

朝日新聞(2015年11月24日)

 文部科学省は24日、法科大学院の入学定員を今春募集があった54校の計3169人から2500人程度に減らすことを決めた。法律家になるための司法試験の合格者数の目標が毎年3千人から1500人以上に引き下げられたため、受験資格を持つ卒業生を絞ることにした。

 文科相の諮問機関「中央教育審議会」に案を示し、了承された。2017年度の入学定員から適用し、数年間での達成を目指す。

 弁護士が増えても、仕事が増えずに供給過剰になっていることなどから政府は6月、目標とする司法試験の合格者数を引き下げた。現在ほぼ5割の合格率を7割に上げることも考慮し、入学定員を2500人程度とした。

 文科省は司法試験合格率の低い大学院に「退場」を促してきた。募集停止が相次ぎ、来年度の入学定員は2724人に減る見通しだが、さらに削減を進める方針だ。

 さらに、法科大学院の補助金を算定する指標の一つに、各大学院の入試の競争倍率を加える。倍率が低いと補助金の減額につながるという。


2015年11月24日

元ラグビー日本代表の大八木・芦屋学園理事長に説明求め質問状 大学・短大の同窓会

産経(2015.11.19)

 芦屋大(芦屋市)などを運営する芦屋学園の理事長で元ラグビー日本代表、大八木淳史氏と同学園中・高校の元教頭の男性が告訴し合い、県警がそれぞれを脅迫容疑、名誉毀(き)損(そん)容疑で書類送検した問題をめぐり、同大と同学園短大の同窓会が大八木氏に宛てて質問状を提出したことが18日、関係者への取材でわかった。大八木淳史氏に面会の上、事実関係などを説明するよう求めている。

 質問状では、大八木氏が書類送検されたことを受け、「犯罪の成立は別として、教育機関の理事長としてあるまじき事柄」として、事実関係や対策について説明を要求した。

 また、元教頭が大学図書館館長に異動させられたとして大八木氏を相手取り地位確認などを求めて神戸地裁尼崎支部に提訴したことや、懲戒解雇された元事務局次長の男性が同学園を相手取って解雇の取り消しなどを求めて同支部に提訴したことにも触れ、「極端な左遷や懲戒解雇を行ったか」などと事実関係などを確認。同学園の財務状況についても質問している。

 質問状は17日に開かれた理事会で大八木氏に直接手渡されたという。面会での回答を求めており、24日までに同窓会事務局に連絡するよう求めている。


2015年11月22日

奨学金の改善求める、返済に苦しむ若者が全道集会

道新(2015/11/20)

 奨学金の返済に苦しむ若者を救おうと、奨学金制度の改善を求める全道集会が19日、札幌市中央区の「TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前」で開かれた。

 連合北海道と北海道労働者福祉協議会が主催した。大学生が利用する奨学金は返済が必要な貸与型が多く、雇用情勢の悪化で卒業後の返済が滞り、訴訟を起こされるケースが増えている。

 パネルディスカッションでは、弁護士らが学費の高騰や家計の苦しさから学生が奨学金を利用せざるを得ない現状を報告した。北星学園大3年の大野慶(けい)さん(21)は「貧困を生み出す社会の仕組みを変えなければならない」と訴えた。会場では返済が不要な給付型奨学金の創設を国に求める署名集めも行われた。(久保田昌子)


2015年11月19日

追手門学院大学地位確認訴訟、11月18日大阪地裁 原告落合前学長の完全勝訴

【裁判速報】

祝 勝訴!

追手門学院大学落合前学長の地位保全確認訴訟の判決が、11月18日大阪地裁であった。
結果はほぼ完全勝訴であった。

判決内容は以下の通り。
①落合前学長の心理学部教授としての地位を確認する(学長辞職後における本人の合意のない研究所への配転命令は無効である)。
②被告理事会は賠償金50万円を支払わねばならない。


東京福祉大学、虚偽のセクハラ・パワハラを理由とした嫌がらせを許さない!~名誉毀損で提訴

レイバーネット
 ∟●東京福祉大学、虚偽のセクハラ・パワハラを理由とした嫌がらせを許さない!~名誉毀損で提訴

東京福祉大学、虚偽のセクハラ・パワハラを理由とした嫌がらせを許さない!~田嶋清一さん(交通ユニオン)が11月12日に提訴

■事案の概要

2011年10月6日、東京福祉大学を設置する被告学校法人茶屋四郎次郎記念学園は、同年9月24日付けで原告を雇い止めする通知を行う。2012年1月25日、原告は、地位確認等請求訴訟を提起。被告は、同年3月16日付通知書で、原告がセクハラ、パワハラを行ったことを理由に懲戒解雇を行う。東京地裁及び東京高裁の各判決で、セクハラ、パワハラの主張は排斥され、雇止めも懲戒解雇も無効と判断され、判決は確定した。

被告は、懲戒解雇後に、原告が評議員を務めている財団、勤務先である健康管理センター、大学、コミュニティカレッジ等に対して、職員による訪問などの方法で、原告がセクハラ、パワハラなどにより大学を懲戒解雇されたと触れて廻り、原告に対する信用毀損、業務妨害行為をした。

本件訴訟は、これらの行為を行った被告に対して、慰謝料の支払、謝罪文の掲示、送付を求めるものである。

なお、原告は、2015年3月24日、地位確認及び就業環境整備などを求める労働審判を提起し、申立の主要部分が認められたが、被告が異議を出したので、訴訟に移行している。

東京福祉大学では、元総長中島恒雄が強制わいせつ罪で懲役2年の実刑判決を受けている。原告は、元総長による大学の「裏支配」、「恐怖政治」が続いていると主張し、交通ユニオンに加入して、大学の民主化を求めて闘っている。

●詳しい背景事情は→田嶋心理相談室・東京福祉大学事件
http://www.yoisoudan.xyz/tusw/

●東京福祉大学名誉毀損ビラ(pdf)
http://www.labornetjp.org/files/1113fukusi

2015年11月18日

国大協、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

国大協
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明(平成27年11月13日)

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成27年11月13日
国立六大学連携コンソーシアム
千葉大学 学長 徳 久 剛 史
新潟大学 学長 髙 橋 姿
金沢大学 学長 山 崎 光 悦
岡山大学 学長 森 田 潔
長崎大学 学長 片 峰 茂
熊本大学 学長 原 田 信 志

 我々国立六大学は、旧制医科大学を引き継いだ新制大学として戦後の昭和 24 年に設置され、現在ではそれぞれの大学が学生数 1 万人以上の総合大学となり、各地域の高等教育の中核として有為な人材を育成してきている。また、近年の日本の急速な少子高齢化と財政難の中でも、国立大学は更なる機能強化を強く進めており、知の拠点として世界的な研究成果やイノベーションの創出、グローバルに活躍できる人材の育成などに向け、大学改革を主体的に進めてきている。このような状況で、先般の財政制度等審議会財政制度分科会において財務省から、国立大学は平成 28 年度から運営費交付金を毎年 1%減額し、その減額分に見合う自己収入を毎年 1.6%増やすことが提案された。

 すでに国立大学は平成16年の法人化以降、12 年間で運営費交付金が 1,470 億円(約 12%)減額されている。このような急激な運営費交付金の減額は、人件費の減額として若手教員の新規採用の減少と非常勤教員の増加に繋がり、結果として優秀な人材の確保や教員の研究時間の確保に支障が生じており、大学全体の運営基盤とともに教育研究機能は急激に脆弱化している。さらに、医師の養成とともに特定機能病院として最先端の医療を提供している附属病院に関しても、消費税増税等の影響により非常に厳しい経営環境にさらされており、附属病院を持つ国立大学は危機的な財務状況に陥っている。

 このような状況の下において、継続的に運営費交付金を削減することは、日本の高等教育の中核を担う国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、結果として我が国に将来にわたり計り知れないほど大きな損失を与えかねない。

 また、運営費交付金の削減分を自己収入の増加により補うという提案は、授業料の大幅な引上げに繋がりかねず、現下の国民の経済状況からみても教育格差の更なる拡大に繋がり、各地域における教育、文化、産業の基盤を支え、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するという国立大学の使命が十分に果たせなくなることを強く危惧している。

 国立大学は、このような急激に悪化した財政状況の下にも関わらず、学長のガバナンス改革を実行し社会を変革するエンジンとしての大学へと改革を着実に進めている最中である。そのような時に、今回のこのような提案が表明されたことについては、あまりにも配慮を欠いたものであり、教職員の改革に対する熱意や将来への希望を奪うものと懸念するところである。

 現在、国の財政状況が極めて厳しい状況におかれていることは十分に認識している。しかしながら、新興国の台頭によりあらゆる分野で国際競争が激化していく中、我が国の知識基盤社会を支える国立大学が、教育研究の質を担保しながら各地域において高等教育の機会を提供し、有為の人材を育成し、かつ、イノベーションの創出を目指していくことは、日本の持続的発展を支えるために必須であると考える。そのため、国立大学への基盤的経費である運営費交付金の投資は必要不可欠なものであり、その継続的な削減方針への反対について、関係者のご理解とご協力をお願い申し上げるものである。


2015年11月17日

追手門学院大学不当解雇事件、「懲戒解雇に対する声明」

懲戒解雇に対する声明

懲戒解雇に対する声明

 2015 年10 月25 日(日)、私たちに川原俊明理事長名で「懲戒解雇に処す」という通知書が配達証明で郵送されてきました。本学院の現在の「教職員懲戒手続規程」は、懲戒委員会の決定に対して不服申し立ての機会が一切認められていないため、これにより、即日、私たちは懲戒解雇され、以後、許可なく学内に立ち入ることをはじめ、担当授業の遂行、研究室の使用、公費で購入した物品等の使用、図書館や情報システムの利用など、専任教員としてのすべての行動が禁止、もしくは著しく制限されることになりました。

 今回の懲戒は、昨年9 月に川原理事長が懲戒委員会に付議してから1年以上の期間があったにもかかわらず、年度途中において、担当授業が遂行できなくなり、受講学生に多大の迷惑をかけることを承知で遂行されたものであり、まずもってこのことに強い怒りを覚えます。おそらく、来る11 月18 日に予定されている、落合の不当配転取消訴訟の一審判決に備えて、法人側が敗訴しても、落合を解雇することによって心理学部教授に復帰させなくしようという悪質な狙いがあるものと思われます。

 あわせて、懲戒解雇は永年にわたる勤務に伴う退職金の給付や、私学共済の医療費給付などの権利を剥奪するものであり、経済的にも計り知れない損失となります。個人的なことになりますが、現在、田中の妻は、重大疾病で療養中であり、多額の医療費を必要としています。自らの余命に対する不安に加えて、経済的不安を新たに抱えなければならなくなった妻が可哀想であるとともに、言いようのない申し訳なさを感じています。

 そもそも、今回の懲戒解雇の理由は、「学院等を被告とする損害賠償請求訴訟等の提起を教唆し、その遂行に深く関わり、マスコミを通じてその事実を公表すれば学院の評価が低下することを認識しながら、学内を混乱させて理事者に対する責任を追及できると考えてあえて記者会見を画策し、もって学院の名誉及び信用を毀損する行為を行った、また、学院等を被告とする前記訴訟の遂行にあたり、本来の原告の意思を超えて荷担し、職務上知り得た秘密を他に漏らした、または、それに準ずる行為を行った」というもので、これらが「追手門学院大学就業規則」第30条第1項第1号、第3号、第4号、及び第7号(いずれも事案発生当時の就業規則、現在は条数が第34条に変更されている。)に該当するというものです。

 ここで言う「学院等を被告とする損害賠償請求訴訟等」とは、具体的には、本学の卒業生が2010年7月に申し立てたセクハラ事案について、キャンパス・ハラスメント防止委員会(当時)では申し立てのほとんどが事実として認定されたにもかかわらず、処分について当時の懲戒委員会では結論を出すことができず、最終的に大木理事長(当時)の判断により、学院の幹部職員による複数学生に対する極めて重大な出来事であったにもかかわらず、一片の謝罪文の提出を求めたのみで、それ以上の処分を行わなかったことから、これを不服として、卒業生が2011年6月に大阪地裁に提訴し、併せて大阪弁護士会に人権救済の申し立てを行ったことを指します。この提訴と申し立ては、結局、翌2012年8月に取り下げられましたが、その後、川原理事長は事実を捻じ曲げ、虚偽のストーリーを描いて、2014年9月に私たちを懲戒委員会に付議したものです。

 また、その間、川原理事長は、当該訴訟等の原告代理人を引き受けた弁護士を、訴訟を煽動した、訴訟を学内抗争の助長に利用したなどの理由を挙げて、大阪弁護士会に懲戒請求を申し立てましたが、大阪弁護士会は、これらの懲戒理由は認められないとして、この請求を却下しました。しかし、これに納得しない川原理事長は、日本弁護士連合会に対して異議申し立てまで行ったのですが、日本弁護士連合会も大阪弁護士会の判断に誤りはないとして、川原理事長の異議申し立てを却下したのです。このように、川原理事長の描いたストーリーは、法律の専門家団体ではまったく認められなかったものであり、それにもかかわらず、私たちを懲戒すべく、学院の懲戒委員会に付議したのです。

 そもそも、本学院の現在の「教職員懲戒手続規程」は、2013年7月に従来の「懲戒委員会規程」を大幅に改悪したものであり、①懲戒の付議が理事長の専決とされたこと、また「部局による調査」を経ることなく、直接、理事長が付議することもできるようにしたこと、②懲戒委員会の構成人数が削減され、理事長の意思が反映されやすい者によって事実上構成されるようになったこと、③第三者の役割が期待される弁護士についても、「理事長によって指名された」委員長が指名するとされ、第三者としての客観性・公平性が必ずしも担保されないこと、④懲戒委員会の開催定足数や決議定足数が引き下げられ、決議しやすくなったこと、⑤不服申し立てを認めず、懲戒委員会の決議をもって、理事長が即時に懲戒を発令することが可能となったこと、⑥「改定後の規程は、当該改定以前に発生した懲戒事由についても適用する」として、手続規定であるとはいえ、立法の「不遡及の原則」を無視し、遡って容易に懲戒できるようにしたこと、など多くの重大な問題を含んだものであり、労働契約法第10条の要件を充たさない無効の規程です。

 実際、今回の懲戒において、唯一第三者であることが期待されて懲戒委員会に加わった弁護士も、かつて川原理事長の弁護士事務所に所属していた経歴があり、結局、懲戒委員会の客観性・公平性は何ら保障されていなかったのです。また、川原理事長が描いたストーリーは、2010年7月から2012年8月までの間の出来事であり、これをその後の2013年7月に「迅速な決定が必要になったから」という理由を挙げて改悪した懲戒委員会に付議し、およそ「迅速」とは言えない1年以上もの時間をかけて、今回の懲戒解雇を強行したわけです。

 私たちは、内容的には事実を捻じ曲げたものであり、手続的にも、正当性のかけらが一片もないこのような懲戒処分を受け入れることは断じてできません。不服申し立ての機会が認められていない以上、本学院で起こった事実を外部に提示することになり不本意ですが、司法の判断を求めて断固闘うつもりです。心ある皆さま方のご支援をよろしくお願い致します。

2015年10月27日
落合正行/田中耕二郎

安倍政権“横暴改革”で大学崩壊 人件費削減、研究者は非正規雇用に

dot(更新 2015/11/ 6)

 政府は、産業力強化に向けた大学改革を進め、昨年12月、産業競争力会議(議長・安倍首相)は、国立大学を3分類し、「稼ぐ大学」にするための改革案を発表。同会議には経済再生相などの閣僚のほか、産業界の重鎮がずらりと並んだ。

 こうした、産業力を重視する安倍政権の大学改革には、批判も多い。

 今年6月、当時の下村博文・文科相から各大学に対して出された「教員養成系や人文社会科学系の学部の廃止、転換を含めた組織見直し」の通知が物議をかもし、日本学術会議、大学の学部長などが反対声明を発表した。

 「文系を軽視する背景には、一つは財務省からのプレッシャーもある。厳しい国家財政の下でより社会の需要に応える教育が求められている。もう一つは、保守的政治勢力からのプレッシャーがあるのではないか。政権批判をするのはいつも、人文社会科学系の人間ですから……」(科学技術政策に詳しい大阪大学の平川秀幸教授)

 十数年前から「選択と集中」という方針で大学などでの研究を進めてきたが、元凶はここにあるという。

 元三重大学学長で鈴鹿医療科学大学の豊田長康学長は指摘する。

 「『選択と集中』はもともと産業界の経営手法で、大学でもうまくいくと多くの人が信じきっていて、これまで検証もせずに進められてきました。だが、その結果として、日本の大学の国際競争力は低下しているのではないでしょうか」

 豊田学長は、研究の競争力の指標である論文数の推移を調べ、ここ10年で日本の大学の国際競争力が低下していることをいちはやく指摘してきた。

 「特に工学、物理、化学、物質科学など日本のお家芸と言われていた分野で論文数が減っています。大きな原因は、大学の研究者の研究時間が減っていることです」

 論文数が減少した時期は、2004年の国立大学法人化と重なる。国は、法人化によって大学に民間の経営理念を導入することを促す一方で、大学運営の基盤となる収入で主に教員の人件費として大きな役割を持つ運営費交付金を、毎年1%ずつ削減したのだ。

 04年から三重大学学長を務めた豊田学長は、当時をこう振り返る。

 「運営費交付金が削減されたので、三重大でも計画的に教員数を減らしました。例えば医学部では1講座4人の教員がいたのが3人になった。教員が減り、研究時間が減っていくので、先生たちの疲弊感はますます高まっています」

 運営費交付金が減ることで教員が減り、ひとり当たりの負荷が高まり、研究時間が確保しづらくなった。その結果、論文数の減少につながったというわけだ。

 運営費交付金が減る一方で、研究テーマを選別して研究予算を配分する競争的資金は倍以上増加。ここ10年で国立大学の運営費交付金は約1695億円減り、競争的資金は約2465億円も増加している。競争的資金はテーマや成果によって配分が決まるため、競争が促され、効率化が進み、結果が出せるというのが国のもくろみだった。

 だが、研究者を大学で安定して雇用できる運営費交付金と異なり、競争的資金では3~5年のプロジェクトごとの雇用になる上、プロジェクトのテーマの研究しかできないなど自由度が低い。12年にノーベル賞を受賞した山中伸弥氏が率いる京都大学iPS細胞研究所でも、運営資金の多くは競争的資金が占め、職員の約9割が任期付きの雇用だという。iPS細胞研究でさえ、この状況なのだ。

 かつて国の大学院重点化施策で増え続けていた博士研究員(ポスドク)や博士課程大学院生も、近年は減少傾向だ。豊田学長はこう懸念する。

 「法人化で大学の裁量が増すということだったが、実際には(国の予算配分によって)研究機能が縮小しました。現在国が進めている大学改革では、機能どころか組織の縮小段階に入っています」

 法人化以降、国立大学は6年ごとに中期計画を策定し国の評価を受ける。現在策定中の計画では、目標の設定によって国からの予算配分が左右される仕組みだ。

 今年4月には改正学校教育法などが施行され、大学学長の権限が強化されたと言われるが、逆に大学の自治は奪われつつあるのが現実だという。前出の平川教授はこう懸念する。

 「国からの評価と予算に、大学、学長はより縛られるようになってきています。これまで大学の自治は教授会を中心として行われてきたが、学長が国に予算で首根っこを押さえられ、国の方針に振り回されてしまう危険性がある」


2015年11月16日

サイト紹介、北海道高等教育研究所

北海道高等教育研究所
http://jinken-net.org/heri/

2015年11月14日

千歳リハビリテーション、大学移行へ手続き

苫小牧民法(2015年 11/13)

 北海道千歳リハビリテーション学院(千歳市里美2、伊藤俊一学院長)は、2017年度からの私立大学「北海道千歳リハビリテーション大学」への移行を目指し、文部科学省に大学設置の認可を申請している。大学設置・学校法人審議会が設置要件の適合性を判断し、来年8月ごろまでに認可の可否が決定される。

 千歳リハビリテーション学院は1995年に開校した理学療法士、作業療法士を育成する3年制の専門学校。現在の学生数は360人。昨年度までに1553人の国家試験合格者を輩出し、卒業生の多くは道内の医療機関でリハビリ医療の専門家として活躍している。

 3年間の短期集中教育で即戦力の人材を育成するのが同学院の特色だが、少子高齢化が進む社会情勢の変化に対応し、さらに高度で幅広い教養を備えた人材を送り出すために大学への移行を目指す。昨年7月に大学設置準備室を設置。認可申請の準備を進め、今年10月に申請した。

 新大学は健康科学部、リハビリテーション学科の1学部1学科で、学科内に理学療法学専攻(定員80人)と作業療法学専攻(定員30人)を設ける。認可されれば、千歳市では1998年開学の千歳科学技術大以来2校目の大学開設で、リハビリ専門の学科を持つ大学は道内で7校目(私大では5校目)となる。

 大学設置準備室を統括する南俊夫参与は「少子高齢化でリハビリ医療の人材需要が増す中、特に北海道では人材が都市部に集中している。病院の中だけではなく、地域に出て働く人材が求められている」と語り、新大学の特色を「教育、研究の両面から障がい予防のためのリハビリに取り組み、道民、千歳市民の健康づくりに貢献する」と説明する。

 大学移行に当たり教養科目を充実させ、地域医療の実態を学ぶ教科やコミュニケーションの理論を学ぶ教科など、地域社会に貢献するための豊かな人間性を養う教育を盛り込んだ。

 設備は現在の校舎を改修、増設し、図書館や学生サロン、教員研究室などを増設部分に配する。大学設置の要件となる運動場は昨年度、千歳臨空工業団地(泉沢)内に体育館を購入。現在も学生が利用している。

 伊藤学院長は「何より人間性を重視して、充実した研究により高度な専門知識と技術を培い、地域に貢献できる人を育成する」と目指す大学の姿を表し、新大学開設の意義を強調する。


早大准教授 教え子の論文データを無断使用

日テレ(2015年11月13日)

 早稲田大学商学学術院の50代の男性准教授が、教え子の論文のデータを無断使用する著作権侵害があったとして、停職4か月の処分を受けた。

 著作権の侵害を行い、大学の名誉を傷つけたとして停職4か月の処分を受けたのは早稲田大学商学学術院の准教授(51)。

 早稲田大学によると、准教授は2013年から2014年にわたって、自らが指導する学生3人の修士論文から本人の承諾を得ずに企業研究のデータなどを4つの論文に引用したという。

 大学の調べに田村准教授は「出典を明示する必要があったが、投稿上での制約があったり、査読段階で不採択になったりしたので自らの単独論文として公開してしまった」と無断使用を認めているという。

 早稲田大学は「再発防止に徹底した取り組みを行います」とコメントしている。

2015年11月13日

「セクハラ、パワハラしたと広められた」懲戒解雇無効判決の教授が大学を訴える

弁護士ドットコム(2015年11月12日)

東京福祉大学心理学部の教授が、セクハラ、パワハラをしたとして懲戒解雇され、さらに懲戒解雇の理由を他の勤務先に告知されたことは名誉毀損などにあたるとして、11月12日、同大学を相手に慰謝料などを求めて、東京地裁に提訴した。

訴状などによると、原告の田嶋清一さん(67)は、2004年から同大学の心理学部で、1年ごとに契約を更新する専任教授として勤務してきた。しかし2011年10月、雇い止めを通告されたため、翌年1月、雇い止めは無効だとして訴訟を起こした。ところが提訴から2か月後、田嶋さんは同大学から、学生に対してパワハラ、セクハラをおこなったとして、懲戒解雇する旨を通知された。

さらに同大学は、田嶋さんを懲戒解雇した後、田嶋さんが評議員をつとめる財団や勤務先の健康管理センターなどに対して、セクハラ、パワハラがあったために懲戒解雇した旨を触れ回ったという。

しかし、東京地裁、高裁の各判決で、ハラスメント行為は根拠がないとして排斥され、懲戒解雇は無効とされた。田嶋さんと代理人弁護士らは、同大学が田嶋さんの関係先にハラスメント行為について触れ回ったことは、田嶋さんに対する名誉・信用毀損および業務妨害にあたるとして、今回の提訴で、慰謝料の支払いと、ウェブサイトへの謝罪文掲示などを求めている。

同大学は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「訴状が届いていないので、コメントすることができない」と話した。

2015年11月12日

日本科学者会議、声明「危機的状況にある大学と学問・研究の現状打破のために」

日本科学者会議
 ∟●危機的状況にある大学と学問・研究の現状打破のために

危機的状況にある大学と学問・研究の現状打破のために

 わが国の大学と高等教育が大きな曲がり角に直面している。日本科学者会議は、これまでにも繰り返し、政府・文科省の大学政策に批判的な立場を表明してきた。しかし、事態は改善されないばかりか、ますます危機の度合いを深めてさえいる。

(1) 現時点で、われわれがもっとも危惧するのは、以下の3点である。まず第1に、本来それぞれの大学構成員が自主的かつ民主的な討議や手続きを経て確認し、実行に移していくべき大学のあり方、使命、運営方針などが、トップダウン式の管理運営という学長をはじめとする役員会などの執行部の専権事項とされる傾向が強まっていること、そして、本年4月の改定学校教育法・国立大学法人法の施行によってその方向が決定的となったことをあげなければならない。大学の自治、学問の自由の担い手が教職員、学生を含めた構成員であることなど、一顧だにされない、そんな大学が確実に増えているのである。

 第2には、こうした方向性が、政府・文科省の政治介入や財政誘導によって誘導されており、個々の大学等の執行部においてすら、自主的な判断で独自の展望をもって当該大学のあるべき方向性を打ち立てることができないという深刻な事態に至っていることである。去る6月に文部科学大臣の名で出された「国立大学法人等 の組織及び業務全般の見直しについて」の通知は、事態の重大さから、人文・社会系学部等の廃止や他の分野への転換を強制するものだとして社会的にも強い批判が寄せられ、そうしたなか、文科省も「誤解を招く文章だった」とトーンダウンの説明に転じ、経団連も文系軽視すべきでないとする談話を公表するなど、事態の収拾に努めざるをえないなど一定の変化を作り出してはいる。しかしとはいえ、文科省自体は先の文書の撤回にはいっさいふれていないし、財界にあっても正規・非正規の雇用、正社員相互間の分断などの労働政策、人材養成を見れば、額面どおりに理解するわけにはとうていいかない。第3期中期目標・中期計画素案では、文系学部の見直しを計画している大学が26大学に及んだことも報道されている。各大学の自主的な改革こそが基本におかれ、それと同時に大学の社会的役割や21世紀における大学・高等教育のあり方を、政府や財界から独立した広く国民的レベルで検討する機会も保障されなければならない。この点で、今月15日の日本学術会議幹事会声明の提言を支持するものである。

 第3は、安保法制(戦争法)の強行「採決」による「戦争のできる国」への急激な転換が、これまた法の施行前であるにもかかわらず、強権をもって推し進められていることと連動するかのように、大学における軍事研究が現実の問題として懸念されるに至っていることである。防衛省が募集した研究費交付事業には、残念ながら大学等から58件の応募があったとされる。「デュアル・ユース」とか「研究者の研究の自由」の名であいまいにされていい問題ではない。大学における軍事研究の拒否は、とりわけアジア太平洋戦争時における痛苦の経験から学んだわが国における大学と学問研究がようやくにしてわが物とした、ないがしろにされてはけっしてならない財産でもある。同時に、各大学と個々の教員は、予算削減により、研究費は本意ならずとも大変な苦労をして獲得する外部資金に頼らざるを得なくなっている実情も看過できない。国公私立を問わず、大学の予算は極めて厳しい環境を強いられており、学費値上げということになれば、学生の学ぶ権利さえ危ぶまれることになる。この苦境から逃れるためには、文科省や財務省の圧力を跳ね返し、国の高等教育予算のあり方を根本から見直されネければならない。

 日本科学者会議は、現在、大学の直面している現状や課題について広くアンケートを実施し、平和と真理の砦としての大学を取り戻し、学生が人として市民として豊かな教養と専門的素養を身につけ、そして大学が、総体として「知の拠点」たるべく、社会が解明や対応を求める諸課題に持続的に、かつ勇躍して挑んでいく、そのような使命と理念をもって、今日と明日の大学と学問研究を構築することを目指している。この課題は、すべての大学関係者、教育や学術研究にかかわる諸団体・機関や広範な国民各層の共同の取組によってこそ成し遂げうるものであることはいうまでもない。

 安保法(戦争法)案反対の国民的運動が大きく盛り上がるなか、大学においても学生と教員の新たな共同の輪と信頼の絆が形成され、今も確実に拡がり、強まっている。こうした新しい条件を生かすことによって、国民の付託に応え得るような真の大学改革が進むことが求められている。日本科学者会議は、その一翼として、現在の状況に真摯に向き合い、大学と学問研究の自主的民主的な発展のために力を尽くすものである。

2015 年 10 月 25 日
日本科学者会議常任幹事会

2015年11月11日

日本私大教連、文部科学省 2016 年度概算要求・私立大学関係予算に関する声明

■日本私大教連
 ∟●文部科学省 2016 年度概算要求・私立大学関係予算に関する声明

文部科学省 2016 年度概算要求・私立大学関係予算に関する声明

2015 年 10 月 21 日
日本私大教連中央執行委員会

 文部科学省(以下、文科省)は「平成 28 年度概算要求」を 8 月に公表しました。うち、私立大学・短期大学関係予算にみられる主要な問題点を指摘するとともに、今後の予算編成においてその問題点を修正し、最大限の予算を確保するよう求めるものです。

1.私立大学等経常費補助(以下、私大助成)について

(1)文科省は 2016 年度概算要求で、私大助成予算額を、前年度予算比で 122 億円(3.9%)増の3,274 億 5 千万円要求しました。しかし、この要求額には、政府の成長戦略に合致する施策へ予算を重点化する「新しい日本のための優先課題推進枠」(以下、推進枠)での要望額 161 億 5 千万円が含まれており、これを除く実質的な私大助成の計上額は前年度比 39 億 5 千万円(1.3%)減の 3,113 億円となります。

 文科省は昨年度の概算要求でもまったく同様の方法で、私大助成を前年度より 41 億円(1.3%)減額し「推進枠」160 億円を上乗せして要求しました。その結果、2015 年度の政府予算では私大助成は前年度比 31 億円(1.0%)の減額となりました。しかもその内訳は一般補助が 51 億円の減、特別補助が 19 億円の増となっており、すべての私立大学等に共通の基準で配分される基盤的経費である一般補助が大幅に減額されるという重大な結果を招いています。

 そもそも政府は、私立大学等の経常費総額の 50%を補助することを目標として私大助成を開始したにもかかわらず、1980 年に補助率 29.5%に達して以降、30 年以上にわたり予算の抑制・削減を続けたため、今日ではわずか 10%程度にまで落ち込んでいます。この事実を踏まえれば、私大助成の本体部分をさらに削減し、「推進枠」に紐付けた予算で上乗せを図ろうとする文科省の手法は極めて問題です。

(2)加えて重大な問題は、「私立大学等改革総合支援事業」予算を 192 億円(前年度比 48 億円・33.3%増)と大幅に増額する要求をしていることです。この支援事業は文科省が指定した特定の「改革」に取り組む大学を選定し「経常費・設備費・施設費」を一体的に重点支援するというもので、選定大学に一般補助・特別補助を増額配分する枠組みです。前述したとおり一般補助は本来、教員数や学生数等の定量的基準により算定・配分される基盤的経費への補助であり、これに競争的な重点配分を持ち込むことは私立学校振興助成法に明示された私大助成の理念・制度を歪めるものにほかなりません。

 政府は一般補助の減額、重点配分化を即刻中止し、私立大学の教育研究基盤を強化すべく予算の増額を図るべきです。

(3)さらに、特別補助のうち各私立大学が実施している「経済的に就学困難な学生に対する授業料減免事業」への支援予算を、前年度比わずか 1 億円増の 86 億円を要求するにとどまっていることも極めて重大です。国立大学生に対する当該予算要求額が前年度比 13 億円増の 320 億円であることに比べれば、私立大学生が合理性のない不平等な状態に置かれていることは明らかです。私立大学で授業料減免を実施すれば多額の原資が必要となりますが、予算額があまりに少ないために各大学の財政余力によって減免対象者数や減免基準が左右され、大学間の格差が生じています。学生に何ら責任がないのに不公平を被っている事態は一刻も早く解消されなければなりません。

 そのためには、現行の「経済的に修学困難な学生に対する授業料減免事業」を増額するとともに、経常費補助という補助事業とは別枠で私立大学生授業料減免事業予算を計上し、私立大学の学生が国立大学の学生と同等の水準の授業料減免が受けられるようにすべきです。

2.大学等奨学金事業について

(1)文科省が今回の概算要求でも、給付奨学金の創設要求を見送ったことは重大な問題です。OECD加盟 34 カ国のうち大学学部生を対象とした給付奨学金制度がない国は日本とアイスランドのみで、大学授業料が有償でかつ給付奨学金を有しない国は日本ただ一国です。高額な授業料と過重な私費負担によって就学困難となっている若者が、私立、国公立の区別なく等しく受給できる給付奨学金制度を創設することを求めます。

(2)日本学生支援機構の奨学金事業に関しては、「有利子から無利子への流れを加速」するとして、無利子奨学金貸与人員を 49 万 8 千人(3 万 8 千人増)、有利子奨学金貸与人員を 85 万 7 千人(2 万人減)とする方針が打ち出されました。この方針は評価できるものの、給付奨学金制度が存在しない現状にあっては、教育の機会均等を保障する最低限の手段として、無利子奨学金を希望するすべての学生が貸与できるように貸与人員を抜本的に拡充し、貸与基準を緩和すべきです。

 また、無利子奨学金貸与人員が不十分であるために、私立大学は国立大学に比して無利子奨学金採用者数が少なく、残存適格者が多く存在しています。貸与人員の拡大と合わせて、予約採用制度を拡大することを求めます。

(3)所得額に応じて奨学金返済額を決定する「所得連動返還型奨学金制度」の導入を文科省が掲げて 3 年以上が経過するものの、来年度概算要求でも「導入に向けた対応の加速」にとどまっており、制度設計は遅々として進んでいません。日本学生支援機構の奨学金がローンであることにより奨学金申請を躊躇させ教育の機会均等の上で十分な役割を果たせていない現状をいくらかでも改善する上で、速やかに「所得連動返還型奨学金制度」を導入すべく必要な予算措置を行うべきです。


東京芸大教授、セクハラで停職5か月の処分

NHK(11月10日)

東京芸術大学の50代の教授が、酔って寝ている女子学生の体を触ってセクハラ行為をしたとして、大学は9日付けでこの教授を停職5か月の懲戒処分にしました。

懲戒処分を受けたのは、東京・台東区にある東京芸術大学美術学部の50代の教授です。大学によりますと、この教授はことし4月下旬、大学の研究室で新入生の歓迎会が開かれた際、酒に酔ってソファーで寝ていた20代の女子学生の胸など体を触ったということです。
大学は、7月下旬に女子学生から相談を受けて調査を行った結果、教授の行為はセクハラに当たると判断し、9日付けで停職5か月の懲戒処分にしました。
調査に対し教授は「記憶がないので分からない」と話しているということです。
東京芸術大学の宮田亮平学長は、「大学の信頼を損ないかねない大変深刻な問題だと受け止めています。再び繰り返すことのないようセクハラの防止に取り組みます」とコメントしています。


2015年11月10日

新潟大学、事研究を禁止することを研究委員会で決議

全大教

大学研究委員会での審議の結果、新潟大学の科学者行動規範・科学者の行動指針に、軍事への寄与を目的とする研究を行わない旨を明記しました。(2015年10月16日)

※詳しくは新潟大学ホームページに掲載しています
http://www.niigata-u.ac.jp/research/10_research_130.html


旭川医大の財務状況悪化、短期借入でしのぐ- 診療経費増、抵当権設定も

CBニュース(2015年11月09日)

 旭川医科大(北海道旭川市)が医療経費や人件費などの増加で資金不足に陥り、昨年12月から今年3月にかけて、民間の金融機関から3回にわたり、計17億円の短期借入を行っていたことが9日までに分かった。同大は「資金が著しく減少し、病院収入の増収策を講じたが、預金残高の回復までには至らなかった」と説明。学校用地に抵当権を設定した長期借入も行っており、財務状況の早急な改善が求められそうだ。【新井哉】

■予定額を下回った病院収入、看護師採用などで人件費増加

 同大によると、昨年度の収支状況は、診療経費のうち人件費が、看護師などの採用が増えたことなどから当初予算比4億9000万円増の77億5000万円。人件費と物件費を合わせた診療経費全体では、同15億円増の198億5000万円となった。

 大学全体では同17億2000万円増の290億円の支出となり、収入から支出を差し引いた決算報告書上の収支状況は12億7000万円の損失となった。

 短期借入を行った理由について同大は、▽上半期の病院収入が当初予定額を下回った▽年度途中の医療従事者の採用増や超過勤務手当などの増加により人件費支出が増えた▽医療経費の削減活動が遅れた▽修理不能で更新せざるを得ない医療機器が増えた-ことなどから、資金が著しく減少したとしている。

 このため、「運営資金が一時的に不足した」(同大)ことから、昨年12月15日に7億円、同月24日に4億円、今年3月13日に6億円の短期借入を実施。短期借入金はそれぞれ期日までに返済した。長期借入についても同大の学校用地に抵当権を設定し、今年2月から3月にかけて、独立行政法人国立大学財務・経営センターから約6億9000万円を借りたという。

 同大は「2期連続の赤字決算を踏まえ、あらゆる収支を詳細に検討し、見直すことにより収支のチェック機能を強化する」と説明。具体的な収支改善策として、後発医薬品への切り替えや、DPCデータや納入価格実績、削減活動の方策などの情報収集に「より一層努める」としている。

 同大の財務状況の悪化については、国立大学法人を評価する文部科学省の委員会も問題視している。委員会が今月6日に公表した同大の業務実績の評価結果では、2021年度までの中期計画の達成のためには「重大な改善事項がある」と指摘。「現金の恒常的な不足による支払い能力の低下により、短期借入を合計3回にわたり実施するという深刻な事態を招いた」としている。

 また、上半期の収入が当初予定額を下回る状況だったにもかかわらず、下半期の支出の見直しが十分に行われなかったことにも触れ、「財務構造などにおける課題のみならず、財務マネジメントに深刻な課題があると認められる」として、外部有識者の参画も含めた財務マネジメント体制の早急な確立や、それを実現するためのガバナンス体制の強化を求めている。


中央大法学部、多摩から都心に再び移転へ

読売新聞(2015年11月09)

 中央大学は9日、多摩キャンパス(東京都八王子市)にある法学部を、2022年をめどに後楽園キャンパス(文京区)に移転させる計画を発表した。

 同大法学部は、1978年に多摩キャンパスが開校した際に都心から移転。現在は同大の全6学部中で最大の約6000人が通う。同大は今後、検討委員会を設置して計画を具体化させる方針。


慶大元准教授に有罪判決 徳島大病院汚職で大阪地裁

日経(2015/11/9 22:16)

 徳島大病院発注の医療情報システムを巡る汚職事件で、収賄罪に問われた同病院の元病院情報センター部長で元慶応大准教授(45)の判決公判が9日、大阪地裁であった。西野吾一裁判長は懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金約304万円(求刑懲役2年6月、追徴金約304万円)を言い渡した。

 判決理由で西野裁判長は、贈賄側企業との関係について「癒着の期間は長期にわたり、収受した金額も少なくない」と指摘。「国立大学法人職員としての自覚を著しく欠き、強い非難を免れない」とした。

 受けとった金は犯行当時在籍していた大学院の授業料の滞納分の支払いや飲食代、遊興費として使ったとして「刑事責任は到底軽視できない」と非難した。

 判決によると、同被告は同病院の病院情報センター部長だった2010年1月~12年1月、受注に絡んだ便宜への謝礼と知りながら、兵庫県内のコンピューターシステム開発会社の元代表取締役から計8回にわたり、現金計約304万円を受領した。


2015年11月03日

大阪の公立大学のこれからを考える会、「現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名」

大阪 開業支援室
現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

大阪市立大学学長 西澤 良記 様

現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

【要望趣旨】
 市大と府大の統合計画は、もともと大阪府・市が「二重行政」の解消として持ち出してきたものです。大阪府・市が市大・府大関係者を抜きに発足させた新大学構想会議が、2013(平成25)年1月に「新大学構想<提言>」を、続いて同年4月に大阪府・市が「新大学ビジョン(案)」を発表しました。大阪府・市から公表されたこれらの案やビジョンを両大学は唯々諾々と受け入れ、ついには今年2015(平成27)年2月、市大・府大の連名で「『新・公立大学』大阪モデル(基本構想)」を発表するに至りました。果たしてこれが在学生、卒業生、教職員が誇りを持てる大学の姿でしょうか?

 一方で、2013(平成25)年10月、市大・府大の名誉教授ら21氏が「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表し、「学問の自由と大学の自治の伝統が根底から脅かされている」と懸念を表明されました。同年11月の市議会では、統合メリットやキャンパス配置、財源などの基本問題が具体化されないまま”統合ありき”で進められる強引なプロセスに批判が集中し、市長が提案した「統合関連議案」は否決されました。2014(平成26)年春から夏、市大・府大の卒業生らが「拙速な統合はやめてください」署名に取り組み、同年9月、知事・市長宛てにそれぞれ約11,000筆の署名を提出しました。2015(平成27)年5月、大学統合計画を含む「大阪市廃止・5分割」(いわゆる「都構想」)の賛否を問う住民投票は反対多数で否決され、橋下市長も「私が間違っていた」と認めました。このように、大学内外からも多くの批判があり、市議会でも住民投票でも否決された大学統合計画を、大阪府・市および市大・府大はいまなお進めようとしています。

 私たちには、大学関係者の民主的な議論や客観的な検証を十分に経ないまま強引に設立されようとしている新大学が、大阪市民・府民、広くは社会全体の要求に応えて行く大学になれるとは思えません。また、異なる二つの大学を統合して新大学に生まれ変わらせることは、どちらの大学の個性も喪失させることになり、両大学の在学生、卒業生、教職員が選んだ大学ではなくなってしまいます。受験生にとっても、比較的安い授業料で学べる二つの公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われます。家族にとっても子や孫の学ぶ場が奪われることになります。

 両大学は「市井の精神に発した、自主独立・自由進取の気風あふれる建学の伝統」(市大・大学憲章)、「地域に信頼される知の拠点」(府大・基本理念)の精神をいまこそ思い起こしてください。私たちは、両大学が市民・府民の願いを尊重して大学統合計画を撤回し、これまで通り互いに独立した公立大学として、それぞれの伝統と特色を生かして発展することを望みます。そして、先人の努力と奮闘の上に築かれ、現在まで続く輝かしい歴史と伝統、学風、学問研究水準のいっそうの発展を心から願うものです。


財務省の予算提案、国立大学交付金削減を許すな

しんぶん赤旗(2015年11月2日)

 財務省が大学予算削減のために、国立大学の授業料引き上げと運営費交付金の大幅削減の方針をまとめ、文部科学省に提案しました。国立大学協会(国大協)や中央教育審議会(文科相の諮問機関)が抗議声明を出すなど、危ぐの声が広がっています。

授業料40万円増の危険が

 財務省提案は10月26日の財政制度等審議会に示され、了承されました。同提案は、国立大学に対して運営費交付金に頼るなと脅し、今後15年間、交付金を毎年1%削減することで、授業料引き上げや産学連携などによる毎年1・6%の自己収入増と、少子化に対応した大学の「規模の適正化」を迫るものです。高等教育にたいする国の責任放棄といわざるをえません。

 第一の問題は、産学連携による収入増には限界があり、交付金削減は授業料の大幅引き上げを招きかねないことです。仮に、授業料引き上げだけで自己収入を増やすとなれば、毎年2万5千円程度値上げし、16年後の授業料は40万円増の93万円になります。経営難の私立大学も値上げに踏み切り、1970年代から2005年まで続いた大学全体の「値上げの連鎖」が復活します。

 現在、大学4年間で必要な費用は約670万円です(日本政策金融公庫調査)。アルバイト漬けの学生や、経済的不安を抱えながら進学にむけて勉学に励む高校生に、さらなる経済的負担を強いることはあってはなりません。財務省提案は、憲法26条が求める「教育を受ける権利」の保障を投げ捨てる暴挙です。

 第二の問題は、運営費交付金の削減により、少子化に対応した「規模の適正化」を図るとする提案は、大学の再編・縮小を招くことです。運営費交付金は04年に国立大学法人化された後、1470億円(11・8%)も削減されました。経常収支における交付金の割合は、48%から34%に低下し、教育研究費が枯渇する大学もあります。

 国大協は声明で「運営基盤は急激に脆弱(ぜいじゃく)化しており、諸経費の高騰も相まって危機的な状況にある」と訴えています。財務省提案どおり毎年1%削減を続ければ、交付金は16年後に1948億円の削減です。中小規模の国立大学約40校分に匹敵します。大学が授業料を据え置くなら、教育研究組織の大幅縮小しかありません。ノーベル賞の連続受賞に象徴される国際的に高い水準にある基礎研究の基盤を失いかねません。

 18歳人口が減少するから規模を縮小するという議論は、あまりにも短絡的です。他の先進諸国と比べて日本は、大学進学率が低く、社会人学生も留学生も極めて少ないのが現状です。年齢や出身を問わず、誰もが大学で学ぶことができる環境の整備こそが求められています。社会の知的基盤である大学が「学問の府」にふさわしいやり方で改革することは、日本社会の発展のためにも欠かせません。

財政支援の充実こそ必要

 いま必要なことは、政府主導の再編・縮小ではなく、大学の自主的な改革の努力であり、そのためには、国公私立をこえて、大学自らが大学のあり方を議論する場をつくることと、私立大学も含めた財政支援の充実です。

 国立大学交付金の「毎年1%削減」は亡国の道であり、財務省提案は撤回すべきです。