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 カテゴリー 2015年12月

2015年12月28日

下関市立大学、敗北した者が学長に 民主主義のない大学

長周新聞
 ∟●敗北した者が学長に(2015年12月28日付)

敗北した者が学長に
下関市立大学学長選
民主主義のない大学

2015年12月28日付

 あの下関市立大学で、またもや大学の民主的な運営を破壊するような出来事が起きて物議を醸している。この間、吉津直樹学長の任期満了に伴う学長選がおこなわれてきたが、11月末の意向投票で圧倒していたはずの候補者が、その後の学長選考会議で振るい落とされ、敗北した側が学長に選ばれるという珍事に発展している。70人近い大学関係者の意向を覆して山口銀行幹部などの外部委員2人、さらに大学事務局長(市役所OB)を加えた3人の意志によって新学長を「決定」するというもので、民主的な意志決定ができない大学の姿を暴露している。

 意向投票では38対29だったはずが…… 選考会議で覆す

 学長選には京都大学名誉教授の橘木俊昭氏(専攻・労働経済学)と九州大学付属図書館付設記録資料館長の川波洋一氏の2人が立候補していた。市立大学の教員たちの多数が橘木氏の側に結集し、対する川波氏は前回の学長選で吉津学長に敗れた後、中尾市長から理事長に任命されていた荻野理事長(九州大学出身)が引っぱってきた人物といわれていた。
 11月26日の意向投票では67人が投票し、橘木氏が38票を獲得したのに対して川波氏は29票にとどまった。川波氏の29票のなかから投票権を持っている幹部職員たちの組織票12票を除くと、教員たちの判断としては38対17、つまりダブルスコアの差で橘木氏が次期学長にふさわしいと見なされた。
 ところがその後、「意向投票を参考にする」として開かれた学長選考会議で、投票結果を覆す決定がやられた。学長選考会議は同大学の経営審議会メンバーである佐々木幸則事務局長のほかに、外部委員である財満寛・山口銀行専務と冨成信太郎・武久病院事務部長の2人、教育研究審議会から選出された3人の教員たちの6人で構成していた。協議では決まらず、最終的に多数決をした結果3対3で判断は真っ二つに割れ、最後は議長役の佐々木事務局長の采配で川波洋一氏が次期学長に「決定」した。
 複数の大学関係者たちに取材したところ、選考会議のなかでどのような論議がくり広げられたのか真相がわからず、6人以外には知りようがないと語られている。ただ、メンバーである教員3人が「学長選考結果報告書」の署名捺印に応じておらず、「川波洋一氏に決まりました」の文書には外部委員2人と事務局長の3人の署名捺印しかないことが語られている。議長役が多数決で議決権を行使して3対3の一員として加わった上に、最終的には自分判断で押し切っていくことへの疑問も語られている。
 その後、師走の喧騒に紛れて事務局側は山口新聞その他に出向いて新学長体制を発表し、既成事実にしてしまう動きを見せた。それをメディアが取材もせずに掲載した。ただ、学内では誰も納得しておらず、「佐々木幸則の独断」及び「荻野理事長のお友達人事」で新学長が決まることへの不快感が強烈に渦巻いている。一部では提訴を検討する動きに発展している。
 選考会議の議事録を公表するのはもちろんのこと、いかなる理由で意向投票に敗北した者を学長に抜擢したのか、みなが説明を求めている。学長という大学を代表する人物の選考を巡って、みなの総意に反して選考会議の六人が決める、いわんや3人で決めることができるというのなら、それは民主主義的な意志決定の方法などこの大学は知らないことをあらわしている。
 それにしても、荻野理事長はじめ九州大学の関係者が揃いも揃って下関市立大学を「上がり」の天下りポストのように私物化していく様は、見ている者を困惑させている。いくら九州大学の総長ポストその他に手が届かないからといって、今回のようなずるい手口で地方大学の学長や理事長の肩書きを得て、彼らは恥ずかしくないのだろうか? これは九州大学をあぶれた者の体質なのだろうか? 九州大学の名前を汚す行為ではないのか? という世論が広がっている。天下の旧帝大といっているのに、そこからやってくる関係者が大学において貫かれるべき基本原則であるはずの民主主義を知らないというのである。学内で否定されているのに就任する本人も本人で、一般人には理解し難い思考回路の持ち主というほかない。

 市長の修士論文騒ぎに続き

 下関市立大学では、以前にも学内の意向投票を覆して選考会議が学長を決めたことがあった。前回選挙では学内の意向投票の結果が尊重されたものの、学長選で敗北したはずの荻野元学長がその後、中尾市長によって理事長に引き上げられるという前代未聞の事態に発展していた。それは中尾市長の修士論文を荻野氏が指導していたからであった。そして市長の500ページにも及ぶ修士論文は「ただの自慢話」だったことが露呈して、教員たちの投票により修士号は与えないことが決まり、憤慨した市長・理事長側と大学教員たちの紛争が全国に知れ渡って騒動になった。
 さすが安倍晋三のお膝元で、政治、経済、教育にいたるまで、上に立つ者が民主主義を知らず、万事がこの調子である。「安倍先生! 安倍先生!」といっておべんちゃらをしてさえいれば市長ポストはじめ市政上層の地位は安泰と見なし、自分まで安倍晋三になりきったつもりで思い上がるのである。市役所OBというだけなのに、歴代の大学事務局長までが独裁者然として威張り始めるのも下関市立大学の重要な特徴で、大学や教育について知らない者が知性を排斥して大学を利権の具にしたり、天下りOBたちが年収1200万円を稼いでいく場所にしたり真理真実の探求とは縁もゆかりもないことをやり始めるのである。
 学長選考会議の「決定」は、意向投票で敗北した者が学長になるという極めて不透明なものとなった。さては修士論文を否定された中尾市長が、修士号欲しさに川波学長体制をつくったのではないのか? という新たな疑惑を生んでいる。

2015年12月25日

大学合併、大阪医大と大阪薬大が「大阪医科薬科大学」に

毎日新聞(2015年12月24日)

 大阪医科大学(大阪府高槻市)と大阪薬科大学(同)は24日、それぞれの学校法人を合併する認可を文部科学省から受けたと発表した。来年4月に学校法人「大阪医科薬科大学」が誕生する。大学は当面そのままだが、統合を目指すという。

 少子化が進む中、経営基盤の強化が目的。医科大は、医学部と看護学部の2学部と大学院で今年5月現在、学生数1227人。薬科大は薬学部と大学院で1980人。



2015年12月23日

岡山大が「内部告発」教授への「報復」? 「論文不正」指摘後の「停職」「解雇」裁判騒動

Jcastニュース(2015/12/10 20:02)

参考サイト
今、岡山大学で何が起きているのか?
岡山大学による報告「研究活動に係る不正行為に関する調査結果について」に関する意見

岡山大学で「論文不正問題」を内部告発した教授が、大学側から解雇されようとしている。教授側は裁判所に解雇停止の仮処分を申し立てているが、大学は「現時点で裁判所から通知がないので分かりません」としている。

内部告発者への「報復」「制裁」ではないか、とする見方がネットで出ている。

別のパワハラ騒ぎで停職処分も

薬学部の森山芳則教授と榎本秀一教授は、2012年12月と13年3月に医学部の論文に不正があると告発した。計31本の論文に、流用やねつ造の不正行為があったとする内容だった。

同大は15年3月、調査結果をサイト上で発表。対象となった1本の論文について「実験結果の画像と異なる画像を誤って掲載した」と認めつつも、「誤って掲載したものであり、故意によるものではないことから、不正行為は認定しない」とした。

一方、調査結果が出るまでの期間、大学と2教授の間には別の騒動もあった。14年9月、大学はこの両教授に別の所属教員に対するパワーハラスメントがあったとして、教授らに停職9か月の懲戒処分を下していた。2教授はこれを不当としていた。

大学側は明らかにしていないが、教授側の訴状によると、その後、大学の教育研究評議会は15年10月26日付で2教授を解雇する審査結果を出した。

2教授は12月7日、岡山地裁に「解雇権の乱用で無効であることは明らか」などとして、解雇停止の仮処分を申し立てた。大学側はJ-CASTニュースの取材に対し、「現時点で裁判所から通知がないので分かりません」と回答し、くわしい事実関係の説明はなかった。


大学入試改革、国立大学協会が提言まとめる

NHK(12月22日 4時03分)

今の大学入試センター試験を廃止して、記述式の問題を加えた新たなテストを実施するという入試改革の方針について、「国立大学協会」は課題が山積しており十分な検討と準備が必要だとする提言をまとめました。

この提言は全国86の国立大学でつくる「国立大学協会」が21日、文書で発表しました。
大学入試を巡っては、今の大学入試センター試験を廃止して、マークシート方式に記述式の問題を加えた新たなテストを実施するなど、文部科学省が抜本的な改革を進めています。
これに対して提言では、入試改革が必要だという問題意識は同じだとしたうえで、センター試験は良問が出題されて評価も高く、広く受け入れられていることや、記述式の導入にはばく大な人的、時間的、財政的コストを伴うことなどを指摘しています。
そして、課題が山積しており十分な検討と準備が必要だとして、国立大学が制度設計に参加できる体制を作るよう求めています。
国立大学協会の山本健慈専務理事は、「記述式は各大学が個別試験で取り入れているので、どれくらいの労力がかかるかは実感している。われわれの経験と情報を今後の議論に反映していきたい」と話していました。
国立大学協会はこの提言を、22日に開かれる文部科学省の有識者会議に提出することにしています。


府立・市立大学の統合議案可決 大阪府議会

YTV(12/22 18:37)

大阪府立大学と大阪市立大学の統合に向けた議案が22日、大阪府議会で可決された。府立大学と市立大学の統合に向けた議案は、府議会で維新・自民・公明などの賛成多数で可決した。自民はこれまで、統合に慎重だったが、先月の大阪ダブル選での維新の圧勝を受け、方針を転換した。一方で、2つの大学をひとつにする知事らの案に対し、自民は運営母体をひとつにするものの、大学は2つとも残す案を主張しており、今後、対立が予想される。松井知事は「(大学を)機能強化するには学部再編です。これからの時代に見合った学部をつくれるのが(大学統合の)メリット。このあたりは、これからの議論になると思います」などと語った。一方、大阪市議会では、自民・公明が依然統合に慎重な態度で、来年の採決に向けて議論を続けるという。

2015年12月22日

山梨大、女性教授を減給 助教にパワハラ 

毎日新聞(2015年12月22日)

 山梨大(島田真路学長)は21日、部下の女性助教に叱責を繰り返すなどのハラスメント(いやがらせ行為)をしたとして、大学院総合研究部医学域の50代の女性教授に減給(半日分)の懲戒処分を行ったと発表した。

 同大によると、教授は、同じ学域に所属する助教に2010年10月ごろから、学生への実習指導や学会の運営について、何度も指導の範囲を超えた叱責などをしたという。

 助教は今年1月に大学に相談。2月17日に調査委員会が設置されていた。大学の調査に対して教授は「悪意はなく指導の一環だったが、ハラスメントと受け取られたなら仕方ない」と話したという。

 島田学長は「誠に遺憾。教職員に規範意識の自覚と人権擁護意識の徹底を図る」とのコメントを出した。


室蘭工大、借金返済で備品売却 助教を懲戒解雇

毎日新聞(2015年12月22日北海道朝刊)

 室蘭工業大学(北海道室蘭市)は21日、借金返済に充てるため備品のパソコンを売却した大学院工学研究科の40代男性助教を懲戒解雇処分にしたと発表した。同大学によると、助教は今年8?11月、知人への借金返済のため、2014、15年度に購入したパソコン3台(計29万9500円)を札幌市内の中古パソコン買い取り業者に計18万3000円で売却したという。助教は昨年10月ごろから先物取引をしており、知人らから資金を借りていたが、「返済が難しくなった」と話しているという。

 大学の備品確認の過程で判明した。助教は既に購入代金分を返済したが、大学側は業務上横領容疑で道警への告訴を検討している。

 記者会見で空閑(くが)良寿(よしかず)学長は「物品管理の徹底を図り、再発防止に努めたい」と陳謝した。


北海道教育大にオンブズマン 弁護士ら運営を監視

道新(12/20)

 道内の弁護士や大学教員有志ら6人が21日、北海道教育大の大学運営を監視し、改善の勧告や提言を行う市民団体「大学オンブズマン・北教大」を立ち上げる。全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋)によると、一つの大学を対象にしたオンブズマン組織は全国的に珍しいという。

 メンバーは札幌弁護士会所属の佐藤博文弁護士や北大大学院の姉崎洋一特任教授、公認会計士、元道教大教員ら。21日に記者会見し、正式発表する。

 道教大では011年の学長選で学外委員や理事らによる選考会議が、教職員投票(意向投票)で次点だった現職学長(当時)の続投を決め、落選した教授らが取り消しを求めて提訴。裁判は敗訴が確定し、昨年10月に教職員投票が廃止された。今年5月に同大付属札幌小中学校教員の賃金未払いが発覚し、労働基準監督署から是正勧告を受けた。


2015年12月17日

「女子学生の証言は虚偽の可能性高い」准教授の処分無効確定 宮崎公立大セクハラ訴訟

■産経新聞(2015年12月17日)

 宮崎公立大(宮崎市)の准教授の男性が、女子学生へのセクハラを理由に受けた停職と降格処分の無効と損害賠償を求めた訴訟は、
いずれの処分も無効とし、減給分の給与などの支払いを大学に命じた二審福岡高裁宮崎支部判決が17日までに確定した。最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が15日付で大学の上告を退ける決定をした。

 二審判決によると、男性は平成22年12月、女子学生の太ももに触れるなどのセクハラ行為を理由に、停職処分のほか教授から准教授への降格処分を受けた。

 一審宮崎地裁は、セクハラを認めて停職は妥当としたが、降格処分は人事権の乱用で無効とした。二審は「女子学生の証言は虚偽の可能性が高い」とセクハラを認めず、一審判決を変更していずれの処分も無効とした。

2015年12月16日

大学評価学会、「無償教育の漸進的導入」原則違反の国立大学授業料値上げをもたらす財務省方針に抗議する声明

大学評価学会
 ∟●「無償教育の漸進的(ぜんしんてき)導入」原則違反の国立大学授業料値上げをもたらす財務省方針に抗議する声明

「無償教育の漸進的(ぜんしんてき)導入」原則違反の国立大学授業料値上げをもたらす財務省方針に抗議する声明

2015年12月13日 大学評価学会理事会

 新聞等の報道によれば、2015年12月1日、文部科学省は現在約54万円(年間)の国立大学授業料(全国86校)について、2031年度には93万円程度に上がるという試算を公表した(衆議院文部科学委員会の閉会中審査)。これは、財務省の「国立大学への国の支出を大幅に削減する/減収分は大学が自己収入で賄う」という方針を財政制度等審議会(分科会)が了承した(10月26日)ことによる。減額分をすべて授業料で賄うとすれば2016年度から毎年「2万5千円」、15年間で「約40万円」の値上げが必要という。現在でも入学金や学費が支払えず大学進学を断念する者や、入学しても授業料の支払いのために長時間のアルバイトを余儀なくされたり、卒業後も多額な奨学金の借金を抱えて不安を抱えている者が少なくない。この値上げ案は、現実的に国民の高等教育を受ける権利を奪うものとなる。

 最高法規である日本国憲法第26条は「教育を受ける権利」の保障を規定し、教育基本法は「経済的地位による教育上の差別禁止」および「教育の機会均等」を明記している。くわえて、日本政府は、2012年9月11日、国際人権A(社会権)規約の第13条第2項(b)(c)に係る留保を撤回した。それ以降、外務省ウェブサイトにもあるように、日本国はこの条約の定めに拘束される立場にある(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html)。すなわち、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」(第2項(c))についても、これを「誠実に遵守する」義務を有している(日本国憲法第98条第2項)。

 大学評価学会(2004年設立)の初代共同代表であった田中昌人(故人・京都大学名誉教授)は、『日本の高学費をどうするか』という書を2005年に世に問うた。多くの関係団体が留保撤回を強く主張し、国連からも促されて、日本政府はようやく留保の撤回を行った。「無償教育の漸進的導入」(無償教育に少しずつ近づけていく)原則にかかわって、特に「授業料無償化」に関しては、立法的・行政的措置がとられるとともに、司法的にも問われるべきであるとされている(田中秀佳「国際人権法における教育の漸進的無償化 : 日本政府による社会権規約13条2項への留保撤回の意義」『日本教育法学会年報』43号、2014)。留保撤回後に、条約締約国として日本政府に求められているのは、まずもって「授業料無償化のためのアクションプランの策定」である。にもかかわらず、日本政府は「無償教育の漸進的導入」原則に基づく立法的・行政的措置を放棄し、授業料の減額化に取り組んでいない。そればかりか、「授業料値上げ」に帰結する今回の財務省方針は、同原則に背く内容である。公私立大学の学費値上げや学ぶ権利・進学機会を奪う事態のさらなる拡大にも繋がり、日本国憲法および教育基本法にも反する。仮に、このまま国立大学の授業料値上げ(国による授業料標準額の値上げ、各国立大学法人による値上げ)が強行されるとしたならば、留保撤回時に行われた過去の授業料等値上げとは異なって、明確な条約違反である。

 今回の財務省方針に反対する声明や基盤的経費拡充の要望書が国立大学協会(2015年10月27日)、国公私立大学代表連名(同年11月18日)、各国立大学からも相次いでいる(学長にとどまらず、地方財界人や首長、著名人を含む)。高学費に依存する文教政策や大学法人経営のありようは、留保撤回とともに見直され、計画的に「無償教育の漸進的導入」(学費減免措置の拡大、給付型奨学金の創設、教育ローンにおける所得連動返還制の拡充などを含む)、とりわけ「授業料減額化」「授業料無償化」が国公私立を問わずに進められねばならない。留保撤回を契機として、大学関係者は学生・地域関係者・国民などとともに、政府に対して「無償教育の漸進的導入」原則にふさわしい予算の増額や政策の転換を求めていくべきである。若者の学ぶ権利・発達の権利を侵害すれば、日本社会の未来を危うくすることになろう。

 大学評価学会理事会は、「無償教育の漸進的導入」原則違反の国立大学授業料値上げをもたらす財務省方針に強く抗議する。

【これまでに公表した声明】大学評価学会HPにて入手可能 http://www.unive.jp/
○2012年3月2日/大学評価学会 国際人権A規約第13 条問題特別委員会:「韓国-米国-日本」が連帯した大学学費問題に関する3月2日公表の声明 (日本語、英語)
○2014年1月22日/大学評価学会 国際人権A規約第13 条問題特別委員会:「無償教育の漸進的導入」原則に反する私立大学授業料の値上げ方針に抗議する声明」(日本語)
【これまでに公刊した書籍】インターネットにて学会事務局または書店から購入可能
○大学評価学会編『高等教育における「無償教育の漸進的導入」:授業料半額化への日韓の動向と連帯』(シリーズ本第6巻)晃洋書房、2013年。
○細川孝編『「無償教育の漸進的導入」と大学界改革』晃洋書房、2014年。
【これまでに発表したポスター】
○日永龍彦ほか:「無償教育の漸進的導入」原則にそくした大学等の在り方(2014.9.12-14.)http://www.unive.jp/
○WATANABE Akio, et al.: Impact of an international legal norm of "the progressive introduction of free education" on secondary/higher education policy in Japan(2015.10.15.)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/90002882.pdf 


国立大交付金、17年度から減額 16年度は据え置き-政府方針

時事通信(2015/12/15)

 政府は15日、国立大学法人への運営費交付金について、2017年度から新制度を導入する方針を固めた。毎年、総額をいったん1%減額した上で、その半分の50億円程度を自主的な収益確保など経営改革に取り組む大学に再配分する。16年度予算では、経営改革に向けた準備期間として、15年度(1兆945億円)並みを維持する。
 運営費交付金は、04年度に法人化した国立大学に交付され、国立大学全体(付属病院を除く)の収入の5割超を占める。
 新制度では、減額する1%のうち、交付金として再配分して残った一部も大学への補助金の財源に充てることで、財務、文部科学両省が合意した。従来は財務省の査定の結果として平均1%程度減額し、一部を再配分してきたが、これを制度化する。

大阪府・市立大統合の関連議案、今府議会で可決の見通し

朝日新聞(2015年12月14日)

 大阪府立大と大阪市立大の統合の議論を進める議案について、自民党大阪府議団は14日の総会で賛成する方針を決めた。継続審議を求めていた公明党府議団も賛成する方向で、22日に可決される見通しとなった。

 この議案については、11月の大阪ダブル選での大敗を受けて、自民党市議団が賛成に転じる方針を確認していた。杉本太平・府議団幹事長は記者団に「賛成の方向で公明党と話をしたい」と語った。松井一郎知事はそれぞれの運営法人と大学を統合する「1法人1大学」を目指すが、府議団は「1法人2大学」を念頭に議論したい考えという。

大阪府立大・市立大、統合準備案可決へ 大阪府議会自民が賛成

産経(2015.12.14)

 自民党大阪府議団は14日、府立大と大阪市立大の統合に向け準備を進める議案に賛成する方針を決めた。推進派の大阪維新の会と合わせれば可決に必要な過半数となり、今月22日の本会議最終日に可決される見込み。

 議案は府立大の運営目標に市立大との統合推進を加える内容。先に自民市議団が賛成の方針を固め、市議会でも可決する見通しとなっていた。

 両大学はいずれも約8千人の学生を抱える。府立大は理系、市立大は文系や医学系に定評がある。自民府議団は議案に反対する姿勢を示していたが、11月の知事・市長のダブル選で大阪維新が勝利した結果を受けて賛成に転じた。


2015年12月12日

大学パワハラで逆転勝訴 岐阜市に賠償命令 名古屋高裁

産経(2015.12.11)

 岐阜薬科大の男性准教授が元学長からどう喝され精神的苦痛を受けたとして、大学を運営する岐阜市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は11日までに、請求を棄却した1審岐阜地裁判決を変更し、市に100万円の支払いを命じた。10日付。

 藤山雅行裁判長は、元学長の行為について「業務の範囲を超えて准教授を精神的に苦しめ、職場環境を悪化させた。パワハラや名誉毀損に該当する」との判断を示した。

 判決によると、元学長は平成23年3月、十分な根拠がないまま、准教授が「元学長は新聞社に情報を売った」と吹聴していると決め付け、大声を上げて疑いを認めるよう責め立てるなどした。


2015年12月10日

広島大学が職員制度変更へ

NHK(2月09日)

広島大学は大学全体で高い成果をあげるため、各研究科に所属していた教員を来年度から新たに創設する「学術院」という一つの組織に所属させ、大学の戦略に基づいて教員の配置ができるよう制度の変更を行う方針を決めました。
広島大学では、約1800人いる教員は11の研究科に分かれて所属し、各研究科ごとに授業の割り当てや研究を担う教員を決めています。
広島大学では8日、学長や研究科長などで作る評議会が開かれ、来年度からは新たに創設する「学術院」という一つの組織にすべての教員が所属するよう制度を変更する方針を決めました。
どの授業を誰が行うかなど、教育や研究を担う教員は大学の戦略に沿って決めるとしています。
広島大学は10年後に世界の大学の上位100校に入ることを目標に掲げていて、大学では目標を達成するための制度改革の一つだとしています。
広島大学の越智光夫学長は「限られた人材を最適に配置し、変革が迫られている大学の教育や研究の向上につなげていきたい」としています。

統合準備議案、可決見通し 大阪府・市立大で市議会

大阪日々新聞(2015年12月9日)

 大阪府立大と大阪市立大の統合に向け準備を進める議案が市議会で可決される見通しであることが8日、分かった。反対していた自民党市議団が賛成に転じたためで、推進派の大阪維新の会と合わせれば可決に必要な過半数となる。来年1月15日に閉会する今議会中にも可決される見込み。

 議案は府立大の運営目標に市立大との統合推進を加える内容。11月の知事・市長のダブル選で大阪維新が勝利した結果を受け、自民市議団幹部は「民意を尊重して議論の場につくべきだと判断した」と理由を話している。

 同様の議案は橋下徹市長が2013年に市議会に提案したが、大阪維新以外の会派が反対に回り否決された。しかし松井一郎知事と橋下氏はダブル選前の10月上旬に「二重行政を解消すべきだ」として、それぞれ両議会に提案した。

 橋下市長は「選挙の民意を踏まえて公選職として判断されたのだと思う。すぐさま統合に賛成というわけにはいかないだろうが、一歩前進だ」と評価。18日で退任することから「今後は吉村洋文新市長が議会と議論していくこと」とした上で、「ポテンシャルは高い。大阪にものすごい強い公立大学をつくってもらいたい」と期待を示した。

 自民府議団も統合に前向きな姿勢を示しているが、具体的な形態については「大阪維新とは考え方に隔たりがある」(府議団幹部)との意見もあり、市議団や公明党の対応をみて、最終的に判断する方針。


2015年12月09日

国立大学振興議員連盟、国立大学法人運営費交付金の拡充に関する決議

国大協
 ∟●国立大学法人運営費交付金の拡充に関する決議

国立大学法人運営費交付金の拡充に関する決議

 経済社会の重大な転換期において、我が国社会の活力や持続的な成 長を確かなものにするためには、国家戦略としての大学政策が不可欠 である。しかし、国立大学においては、法人化以降続いてきた運営費 交付金の削減により、若手の育成や研究力の低下などに深刻な影響が 生じている。
 このような状況において、十一月二十四日の財政制度等審議会の
 「平成二十八年度予算の編成等に関する建議」では、運営費交付金の 削減を前提とした提案がなされた。このような提案は、国民からの期 待に応えるべく、自ら改革を進める方針を打ち出している国立大学の 改革意欲を損なうものであり、全く容認できない。
 急速な少子高齢化やグローバル化の進展を乗り越え、我が国が持続 的に成長していくため、全都道府県に設置された「知」の拠点である 国立大学は、人材育成、幅広い研究、社会や地域への貢献、グローバ ル化への対応などにおいて中核的役割を果たしていかなければなら ない。第三期中期目標期間がスタートする平成二十八年度の取組は、 国立大学の改革の決意と着実な実行を示すためにも決定的に重要で ある。
 このような方針を示すため、平成二十八年度予算において、左記事 項の実現に万全を期すべきである。

一、国立大学の機能を強化し、着実に改革を加速するため、基盤 的経費である国立大学法人運営費交付金の拡充を図ること。

右決議する。

平成二十七年十二月七日

国立大学振興議員連盟


大阪府大・市大統合 自民党が賛成の方針

ytb(12/08 18:23)

大阪市の橋下市長が提案した、大阪府立大学と大阪市立大学の統合に向けた議案に自民党が賛成する方針を示した。大阪ダブル選挙での維新の圧勝を受け、対立が続いた議会に変化の兆しが見えている。大阪府立大学と大阪市立大学を統合する議案について8日、大阪市議会の自民党と公明党の幹事長が対応を協議した。議案は、松井知事と橋下市長がそれぞれ、議会に提案し、おととしの市議会では同じ様な議案が維新以外の反対で否決された。自民党は大阪ダブル選挙で維新が圧勝した結果を受け、すでに具体的な議論に入る方針を確認。きょう公明党に意向を伝え、吉村次期市長が就任した後、所信表明を聞いた上で態度を決めることで合意した。自民党市議団・黒田當士幹事長は「統合するつもりで議論に入ります。我々はあくまで大阪市を残す前提のもとで、我々議論していますので、吉村新市長が都構想のことをがんがんいってこられたらなかなか話進めにくいかなと思っております」と述べた。議案は、早ければ来月15日の会期末にも採決され、可決されれば、2つの大学の統合の時期や形態などの議論が進められる。

大阪府大・市大統合協議へ、医療・理工系…国際競争勝ち抜きランク上昇目指す

産経新聞(2015.12.8)

▼橋下維新の進める統合構想、自民市議団も検討へ

 互いの強みを持ち寄れば、世界的な大学間競争を勝ち抜くことができる-。統合議論が続いている大阪府立大と同市立大。若者人口の減少など、大学を取り巻く環境が厳しさを増す中、統合の相乗効果による大学ランキング上昇を目指している。

■学生数は首都大学東京を抜く1.6万人

 府立大は明治16年に設置された獣医学講習所が前身で、航空宇宙工学やロボットなど理工系分野に強い。一方、市立大は、同13年創立の大阪商業講習所を前身とし、都市研究などの特色がある文系に加え、医学系の評価が高い。

 両大学が今年2月にまとめた基本構想では、新大学は文系から理系、医学・獣医学分野まで幅広い教育・研究領域とする。工学や看護学など重複する分野で再編を進め、理工系や医療系など強みのある研究に重点的に投資する方針だ。

 統合すれば、学生数は計約1万6千人となり、公立大トップの首都大学東京を抜く。

 両大学は「新たな公立大のモデルとして大阪の発展を牽引(けんいん)できる」とメリットを強調する。

 だが、府内に点在する5カ所のキャンパスの活用方法や、学部・学域の再編方針は固まっておらず、学生にとってデメリットになりかねない現状もある。学生からは「統合で各大学の良さや教授との身近さなどが失われるのでは」と危惧する声が上がる。

 専門家は「これまでの蓄積を生かした特色のある大学づくりのビジョンを明確に打ち出せなければ、統合は意味のないものになる」と指摘している。


2015年12月07日

米軍、日本の研究者に資金 00年以降、2億円超提供

共同通信(2015年12月6日)

 米軍が2000年以降、少なくとも日本国内の12の大学と機関の研究者に2億円を超える研究資金を提供していたことが6日、分かった。米国政府が公表している情報を基に共同通信が取材した。政府の集団的自衛権の行使容認で、今後は一層増加する可能性もあり、軍事と研究の在り方をめぐる議論に影響を与えそうだ。

 米政府は、12を含む日本国内26の大学などの研究者に計150万ドル(現在のレートで約1億8千万円)超を提供したとしている。

 このうち12の大学、機関が、公表されていなかった資金を含めて受け入れを認め、総額は2億2646万円となった。


安保法廃止で共闘を呼び掛け シールズや学者ら集会

共同通信(2015年12月6日)

 安全保障関連法に反対する集会で発言する、タレントの石田純一さん=6日午後、東京・日比谷野外音楽堂

 安全保障関連法に反対する若者団体「SEALDs(シールズ)」と「学者の会」は6日、東京・日比谷野外音楽堂で集会を開き、関連法を廃止するために来年の参院選に向けて共闘しようと呼び掛けた。

 タレントの石田純一さんは「デモに参加していろいろなところでお叱りを受ける」と笑いを誘いつつ、「平和で安全な国をなぜ変えなければいけないか理解に苦しむ」と強調。大学1年の女子学生は「立憲主義が侮辱されたこの年を忘れない。私の尊い1票を安倍さんにはあげられない」と訴えた。

 共産党の志位和夫委員長ら野党議員らも参加し、集会後は銀座周辺をデモ行進した。


2015年12月05日

大阪大学、財政制度等審議会の審議内容に関する声明

大阪大学
 ∟●財政制度等審議会の審議内容に関する声明

財政制度等審議会の審議内容に関する声明

平成 27 年 12 月 4 日

国立大学法人大阪大学経営協議会学外委員(50 音順)
国立研究開発法人科学技術振興機構顧問 相 澤 益 男
政策研究大学院大学副学長、教授 上 山 隆 大
大阪ガス株式会社代表取締役会長 尾 崎 裕
国立研究開発法人国立循環器病研究センター名誉総長 川 島 康 生
公益財団法人日本国際問題研究所副会長 佐 藤 行 雄
関西大学システム理工学部教授 鈴 木 直
塩野義製薬株式会社代表取締役社長 手代木 功
新日鐵住金株式会社相談役 友 野 宏
株式会社神戸クルーザー会長 南 部 真知子
株式会社小松製作所代表取締役会長 野 路 國 夫
朝日放送株式会社特別顧問 渡 辺 克 信

 私たちは、国立大学法人法に基づき設置される経営協議会の学外委員として、各々の専門性や社会的立場を活かして、国立大学法人大阪大学の経営に関する重要事項の審議に参画し、大阪大学が社会からの信頼と支援を得られるようにするための役割を果たしてきました。

 このような立場から見ても、平成 27 年 10 月 26 日に開催された財政制度等審議会における「国立大学法人運営費交付金」の今後の在り方に関する審議内容については、大きな疑念や危惧を持たざるを得ません。

 財政制度等審議会の資料によれば、国立大学が自律的、持続的な経営を続けていくため、国費に頼らず自らの収益で経営していく力を強化していくことが必要であるとされ、具体的には、運営費交付金を今後 15 年間に亘って毎年 1%減少させる一方で、自己収入を毎年1.6%増加させることが必要とされています。これらの指摘は、グローバル化対応やイノベーション創出など、我が国の発展のため国立大学に期待されている数々の役割が踏まえられておらず、国立大学の存立を危うくするものと断じざるを得ません。

 たしかに、我が国の財政状況が極めて厳しい折、国立大学が高い質を保ちながら自律的な経営を続けていくためには、多様な自己収入の確保に向けた努力が必要と考えますが、教育研究を主たる業務とする国立大学にとっては自己収入の増加にも限界があります。

 すでに、基盤的経費である運営費交付金は平成 16 年度の法人化以降大幅に削減されており、これまでの大阪大学における削減額は 104 億円(マイナス 19%)にのぼります。そもそも、我が国における高等教育への公財政支出の対GDP比は 0.5%ですが、これはOECD加盟国平均の半分にすぎず、加盟国の中で最低水準です。

 大阪大学は、これまで人文・社会科学から自然科学まで幅広い分野で世界をリードする教育研究を推進し、世界トップ級の優れた研究業績を産み出すとともに、国民の負託に応える有為な人材を育成し社会に輩出してきました。しかし、このまま運営費交付金が機械的に削減されることとなれば、これまで大阪大学が行ってきた、将来を担う若手人材の育成、多様な知の創出を担う学術研究の推進、それらを通じた社会への貢献の継続に重大な支障を来たすばかりでなく、国立大学全体の将来、ひいては我が国を支える高等教育及び科学技術の未来に大きな禍根を残すことになります。

 国立大学が教育・研究・社会貢献の諸機能を強化し、将来の我が国の持続的発展に貢献していくためには、運営費交付金の充実が不可欠であることを重ねて強調し、各方面のご理解をお願いするものです。


岩手大学、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

岩手大学
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成27年12月3日

国立大学法人岩手大学 経営協議会学外委員(50 音順)
雨宮 忠(元中央大学文学部特任教授)
大井 誠治(岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長)
鎌田 英樹((株)IBC 岩手放送代表取締役社長)
新宮由紀子((株)長島製作所代表取締役社長)
高橋 真裕((株)岩手銀行代表取締役会長)

 我々は、国立大学法人法にもとづく経営協議会の学外委員として、岩手大学の将来計画や大学経営の審議に参画する立場から、国立大学の充実発展への取組、第 3 期中期目標期間を迎える国立大学への予算の拡充及び地方国立大学への財政支援の強化について、その必要性を強く認識している。

 しかしながら、先般、財政制度等審議会財政制度分科会において、財務省から「国立大学の運営費交付金を今後 15 年にわたり毎年度 1%減少させるとともに自己収入を 1.6%増加させる」という提案がなされた。すでに国立大学は平成 16 年の法人化以降、12 年間で運営費交付金が 1,470 億円(約 12%)減額され、大学全体の運営基盤とともに教育研究機能は急激に脆弱化している。また、運営費交付金の削減分を自己収入の増加により補うという提案は、授業料の大幅な引き上げにつながりかねず、現下の国民の経済状況からみても教育格差の更なる拡大につながることを強く危惧する。今後、我が国の将来を切り拓く人材の育成や技術革新のための研究開発、さらには、東日本大震災からの復興をはじめ地方創生への貢献など、国立大学が果たしていくべき責務は多大なものであるにも関わらず、このような提案がなされたことに、我が国の将来への危機感を強く覚えるものである。

 今般、このような事態を受けて、我々、岩手大学の経営協議会の学外委員としても、岩手大学をはじめ、我が国の国立大学が、今後とも教育研究の充実及び地域の発展への貢献という責務を確実に果たしていけるよう、運営費交付金の拡充を強く要望するものである。


兵庫県立大教授、セクハラやアカハラメールで停職

神戸新聞(2015/12/4)

 兵庫県立大は4日、女子学生に対するセクハラ発言や、アカデミック・ハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)をしたとして、環境人間学部(姫路市)の60代の男性教授を同日付で停職3カ月の懲戒処分にした、と発表した。

 県立大によると、教授は2013年12月、女子学生と2人で夕食後、車中で「キスして」と言ったという。

 また、今年1月、別の女子学生が居酒屋のアルバイトで客の呼び込みをしているのを見かけ、2月までに37通のメールを学生の携帯電話に送信。アルバイト自体に問題はないのに「大学で処分を検討している」「退学になる可能性もある」と記したという。

 友人の女子学生にも、辞めさせるよう求める内容のメールを5通ほど送信。3人はいずれも同学部に所属する。

 3人の申し立てにより、理事会が調査。教授は「キスして」との発言を認めた上で、「テレビドラマの主題歌をつぶやいただけ」と釈明。メールについては「夜に客を呼び込むのは危ないと思った」などと話し、セクハラやアカハラの認識を否定しているという。


2015年12月04日

福岡教育大学未払賃金請求事件弁護団・ 原告団、声明「控訴審判決について」

全大教
 ∟●福岡教育大学未払賃金請求事件控訴審判決について

福岡教育大学未払賃金請求事件控訴審判決について

2015年11月30日

福岡教育大学未払賃金請求事件弁護団・ 原告団

 本日,福岡高等裁判所第3民事部は,福岡教育大学教職員組合の新旧役員4名(いずれも同大学の教授)が組合の支持決議を受け ,国立大学法人福岡教育大学に対して提訴 した未払賃金請求事件において ,原告らの請求を棄却した一審判決を維持して、控訴を棄却した。

 本件は,平成24年2月29日成立の「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律J (国家公務員給与臨時特例法)により,国家公務員の給与が平成24年4月から平成26年3月までの2年間にわたり減額(平均7.8% ,最高 9.77%) されたことを踏まえ,国が全国の国立大学法人に対して行った同様の措置を講じるようにとの要請を無批判に受け入れ ,国立大学法人福岡教育大学が就業規則を職員の合意を得ることなく一方的に不利益変更し平成24年7月から平成26年3月まで途中2ヶ月分を除き 19ヶ月 にわたって同率の給与減額を行ったことに対し,減額分の賃金を未払賃金として請求したものである。

 大学当局が行ったように,大学の自主性・自律性をかなぐり捨てて国の要請に唯々諾々と従い,大学の個別事情や大学職員の労働法制上の権利を無視した身勝手な労働条件の不利益変更がまかりとおるなら,国家権力の介入を排除して学問の自由・大学の自治を守るとしづ 憲法上の基本原理は有名無実となり,大学職員は安定した公務員の地位を奪われたうえ,民間労働者を下回る権利しか付与されていないという劣悪で不安定な地位に置かれることになる。
 とりわけ福岡教育大学においては,大学当局が国の方針に無批判に従う一方で,学長が組合攻撃をし,さらに本件原告ら批判的職員を不当に扱う事件が発生している。

 このような状況下では,「学術の中心として,高い教養と専門的能力を培うとともに,深く真理を探究して新たな知見を創造し,これらの成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与する」(教育基本法7条1項)という大学に課せられた崇高な目的は達成しょうがない。

 このような本件訴訟の意義に照らすとき,大学当局の言い分を認めた本日の判決は極めて不当であると言わざるをえない。

 われわれは本日の不当判決に対して直ちに上告するとともに,学問の自由,大学の自治を守る国立大学法人としての自主性・自律性,および,学内民主主義の確立に向けて断固として戦いを継続する所存である 。


福岡教育大学賃金訴訟控訴審不当判決に対する抗議声明

全大教
 ∟●京大職組:〈声明〉福教大控訴審判決への抗議

福岡教育大学賃金訴訟控訴審不当判決に対する抗議声明


京都大学賃金訴訟原告団長 髙山佳奈子


 福岡教育大学における教職員に対する一方的賃下げについて、2015年11月30日に福岡高等裁判所が下した判決は、虚構の事実を根拠にしており、断じて許されるものではない。
 同判決は9頁で、「被控訴人が……給与の減額をしないという選択肢を採用すれば」、
(1)「被控訴人の財務内容が悪化する」、
(2)「国や一般国民からの非難を受け」る、
(3)「今後の被控訴人の事業活動に悪影響を及ぼす」、
という、ありもしない「可能性」を根拠としている。
 しかし、賃下げを実施しなかった場合に、
(1)それを理由として国が運営費交付金削減などの制裁を加えることはおよそ法的に不可能である。
(2)国が被控訴人に非難を加えることもおよそ法的に不可能である。一般国民からの被控訴人に対する非難が生じるという推測には事実的根拠が存在しない。仮に非難が起こったとしても、それが事業活動に影響を与えるという推測には事実的根拠が存在しない。
(3)いかなる意味でも、今後の被控訴人の事業活動に悪影響の及ぶことを推測させる事実的根拠は存在しない。
 また、仮にこれらの事実的根拠があったとしても、挙証責任を負う被控訴人はそれを全く立証できていない。
 本判決は実体法的にも訴訟法的にも明らかに違法である。存在しない事実を根拠とする賃下げも、また判決も、法治国における措置ではない。被控訴人はそのことを認め、未払い賃金を即刻教職員に支払うべきである。

以上

福岡教育大学、次期学長候補

以下,「福岡教育大学の学長選を考える会」よりそのまま転載
https://www.facebook.com/gakuchousen/?fref=nf

【〔悲報〕櫻井氏が福岡教育大学の次期学長候補者が決まったようです】

このページの読者の皆さんの「予想を裏切って」、櫻井理事が学長候補者に選ばれたようです。福岡教育大学の学長選考会議は、選考の理由を一応公開していますが、それは「公示」に書かれていた、「学長に求められる資質、能力等」という文章を加工しただけのものです。選に漏れた鷲山氏に対して、不誠実極まりない内容です。

次期学長候補者の決定は、非公開で行われた「面接」のあと、密室で決められました。前回の学長選考で懲りて、教職員による「意向投票」を廃止した結果、福岡教育大学の教職員の皆さんの声は、全く学長選考会議に届くことがなく、寺尾氏が選んだ委員が寺尾氏の後継を選ぶという、極めて醜悪な構図で学長選考が行われました。寺尾氏により荒廃を極めた福岡教育大学は、再生の機会を逃してしまいました。

我々がこのページでこの2年近く呼びかけてきた、「公正」で「透明性」の高い学長選考は、今回も行われませんでした。読者の皆さん、学長選考会議のメンバーに、社会に向けてより説得力のある説明を行うよう、意見を送りましょう。
  ↓  ↓  ↓
 国立大学法人福岡教育大学 学長選考会議 事務担当
 jinj1cho@fukuoka-edu.ac.jp
(@を半角にし、件名を「学長選考会議への意見」と明記してください。くれぐれも迷惑メールはおやめください)

また、このページでも報告しましたように、学長選考会議の副議長は、文科省から天下りの田中正幸事務局長です。そのうえ、すでにお伝えしたように、櫻井氏が学長候補者に出馬した際の5人の推薦人には、同じく文科省から天下りの嶋倉剛理事・副学長と宮内健二副学長が名を連ねています。「文科省天下り重役三人衆」の見事なトロイカ方式により、「官製学長」が出来上がってしまいました。文科省に、これはいったいどういうことであるのか、質問状を沢山送りましょう。
  ↓  ↓  ↓
 https://www.inquiry.mext.go.jp/inquiry21/

「授業料の値上げ危惧」と福大学長 運営費交付金削減継続で

福島民友(2015年12月03日)

 福島大の中井勝己学長は2日の定例記者会見で、国立大学運営の基盤となる「運営費交付金」について、国が毎年1%削減の方針を継続する考えを示したことを明かし、「大学はすでに自己努力で経費削減に取り組んでいる。今後も運営費交付金の削減が続くのであれば、授業料を値上げせざるを得ないと危惧している」と懸念を口にした。

 中井学長は「授業料が上がれば受験生、保護者への教育負担が増える。東北地区では今でも授業料免除の申請が多く、値上げとなれば教育の機会均等が果たせなくなるという声が、東北の学長たちから上がっている」と語った。国の来年度の予算編成が大詰めを迎える中で、大学予算の充実をあらためて訴えた形だ。

子供の貧困2.9兆円の経済損失 15歳だけで、日本財団推計

日経新聞(2015/12/3)

 日本財団は3日、貧困家庭の子供を支援せずに格差を放置すると、現在15歳の子供の1学年だけでも、社会が被る経済的損失が約2兆9千億円に達するとの推計を公表した。政府には、約1兆1千億円の財政負担が生じるとしている。

 日本財団は「子供の貧困を放置して生じる経済的な損失は大きい。教育格差の解消に向けて対策を進めるべきだ」としている。

 推計は、貧困対策を必要としている対象を、15歳の子供約120万人のうち生活保護受給世帯とひとり親家庭、児童養護施設にいる約18万人とした。国などが高校進学率と中退率を全国平均並みに改善させて大学進学率も上げる支援をした場合と、支援しなかった場合を比較し、子供が64歳までに得られる所得額の差を算定した。

 支援をした場合、64歳までの所得が約25兆5千億円になるのに対し、支援がないと約22兆6千億円にとどまる。進学を促して収入のよい仕事に就くチャンスを広げないと、社会は差額の約2兆9千億円を失う形になる。

 64歳までに納める税金などから社会保障給付を差し引いた額は、支援すれば約6兆8千億円となるが、しないと約5兆7千億円に減ってしまう。その差額の約1兆1千億円分が、政府の財政負担となる計算だ。〔共同〕


2015年12月03日

佐賀大学、地方国立大学に対する予算の充実を求める声明

佐賀大学
 ∟●地方国立大学に対する予算の充実を求める声明

地方国立大学に対する予算の充実を求める声明
―第3期中期目標期間に向けて―

平成27年11月30日

国立大学法人佐賀大学経営協議会学外委員(50音順)
井 田 出 海(株式会社ミゾタ取締役会長・佐賀商工会議所会頭)
大 平 明(大正製薬ホールディングス株式会社取締役相談役)
潮 谷 義 子(学校法人日本社会事業大学理事長)
陣 内 芳 博(株式会社佐賀銀行取締役頭取)
戸 上 信 一(株式会社戸上電機製作所代表取締役社長)
中 尾 清一郎(株式会社佐賀新聞社代表取締役社長)
古 川 貞二郎(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会会長)
山 口 祥 義(佐賀県知事)

 私たちは、国立大学の法人化以降、国立大学法人法(平成15年7月16日法律第112号)第20条第2項第3号に基づく経営協議会の学外委員として、佐賀大学の基本理念を基にした将来構想の策定をはじめ、大学経営の審議に参画し、佐賀大学に対して「社会の声」を反映させるべく役割を果たしてきました。

 先般の第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方の審議まとめにおいては、機能強化に応じた重点配分を行うこととされており、この議論を踏まえて、佐賀大学では特色・強みにおいて世界・全国的な教育・研究を行うことを目指しつつも、地域のニーズに応えて自治体や企業に貢献する人材育成や課題を解決するCOC大学として、第3期中期目標期間における計画目標が達成できるよう期待しております。

 国立大学の運営費交付金は、法人化以降これまで1,470億円という膨大な額(佐賀大学は平成16年度と比較して10億円以上)の削減が行われました。たしかに我が国の財政状況は極めて厳しく、国立大学が自律的・持続的な経営を続けていくためには、国費による支援に専ら頼るばかりではなく、自ら少子化に伴う学生定員等のダウンサイジングを含めた組織改組の検討、業務の効率化や経費節減を図るとともに、附属病院収入の増、地域や産業界との相互協力を踏まえた競争的資金や寄附金などの外部資金獲得に努め、教育研究の質的な劣化を招かないよう、これまで以上の経営努力が必要であることは言うまでもありません。

 教育は国の礎であり、今後も我が国の持続的な成長発展の実現のために期待される国立大学の役割を全力で果たす必要があります。佐賀大学は、佐賀の地域から必要とされる「佐賀のための佐賀大学」いわゆる Center of Community として、地(知)の拠点大学を目指すこととしており、佐賀県における人材養成の基盤となり、まさに地方創生へ寄与する中核的機関としてその役割を担っています。

 先般の国立大学法人法の一部改正により、経営協議会において学外委員を過半数とすることとなったことは、私たちのこれまでの「社会の目」としての役割が認められたと同時に、国立大学法人の経営に対する責任がこれまで以上に求められているものだと認識しています。

 第3期中期目標期間を迎え、国立大学がミッションの再定義にそった機能強化を着実に実行していくためには、政府内だけにとどまらず、地方自治体や地方経済界はもとより、私たち経営協議会の学外委員も参加した議論が重要であり、さらに地方創生を担う国立大学がその責務を充分に果たすための財政支援が不可欠であることをご理解いただき、ここに要請いたします。


和歌山大学、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

和歌山大学
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成27年12月1日

国立大学法人和歌山大学 経営協議会外部委員(50 音順)
赤木 攻(元大阪外国語大学長)
大島 道隆(元三菱電機メカトロニクスソフトウェア株式会社代表取締役社長)
帯野 久美子(株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役)
樫畑 直尚(株式会社南北代表取締役)
柏原 康文(株式会社テレビ和歌山代表取締役社長)
松原 敏美(弁護士)

 私たちは、国立大学の法人化以降、国立大学法人法(平成 15 年 7 月 16 日法律第 112号)第 20 条第 2 項第 3 号にもとづく経営協議会の学外委員として、和歌山大学の将来計画をはじめ、大学経営の審議に参画する立場から、平成 27年1月6 日に「地方国立大学に対する予算の充実を求める声明-第 3 期中期目標期間に向けて-」を表明し、第 3 期中期目標期間を迎える国立大学への予算の拡充及び地方国立大学への財政支援の強化を求めてきた。

 しかしながら、政府における議論において私たちの意見は汲みしてもらえず、先般、財政制度等審議会財政制度分科会において、財務省から「国立大学の運営費交付金を今後 15 年にわたり毎年度 1%減少させる」という提案がなされたわけである。激化する国際環境の中で、我が国の将来を切り拓く人材の育成や技術革新のための研究開発、さらには、地方創生への貢献など、今後において国立大学が果たしていくべき責務は多大なものであるにも関わらず、このような提案がなされたことに我が国の将来への危機感を覚える。

 このたび、このような事態を受けて、一般社団法人国立大学協会において、財務省案に対する声明や決議がなされたと承知しているが、私たち和歌山大学の経営協議会の外部委員としても、和歌山大学をはじめ、我が国の国立大学が、今後とも教育研究の充実及び地域の発展への貢献という責務を確実に果たしていけるよう、運営費交付金の拡充をあらためて強く要望するものである。


滋賀大学、国立大学に対する予算の充実を求める声明

滋賀大学
 ∟●国立大学に対する予算の充実を求める声明

国立大学に対する予算の充実を求める声明-第3期中期目標期間に向けて

平成27年11月30日
国立大学法人滋賀大学 経営協議会学外委員(50 音順)
井 上 理砂子(元京都新聞論説委員)
大久保 貴(彦根市長)
大 田 啓 一(公立大学法人滋賀県立大学理事長)
柏 原 康 夫(京都銀行取締役相談役)
塩 田 浩 平(国立大学法人滋賀医科大学長)
戸 田 一 雄(陵水会(経済学部同窓会)理事長)

 私たちは、国立大学法人法(平成15年7月16日法律第112号)に基づき設置されている経営協議会の学外委員として、滋賀大学の経営に関する重要事項の審議に参画し、国民や社会の視点から様々な意見を述べてきました。

 国においては、閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015や「経済財政運営と改革の基本方針2015」の中で、大学改革を重要な柱と位置付け、様々な施策を講じていくとの方針を打ち出しています。特に、国立大学としての人材育成機能を抜本的に強化するため、産業構造の変化や雇用のニーズを的確に把握し、実社会のニーズに即した人材育成を行っていく仕組みを作っていくことの重要性が指摘されています。滋賀大学においても、ビッグデータ時代の到来を受け、諸外国と比べわが国で著しく不足しているデータサイエンティストを養成する学部の新設準備を進めています。また、教育学部では義務教育諸学校に関する地域の教員養成機能の中心的役割を担う人材、経済学部では国際的視野を持ち地域社会に貢献する高度な専門職業人を輩出する等、地域社会の発展に貢献してきました。

 そうした中、国立大学に対する基盤的な経費である運営費交付金は、平成 16 年度の法人化以降、11 年間で1,470 億円(約 12%)の削減(滋賀大学は 5.5 億円の削減)が行われています。また、消費税率の引き上げ、電気料金をはじめとした諸経費の値上がりが、人件費や基盤的教育研究費を更に圧迫し、その結果、若手教員の新規採用が減少し、優秀な人材の確保等に支障が生じており、大学全体の運営基盤とともに教育研究機能は急激に脆弱化しています。

 滋賀大学のみならず各大学では、これまでも業務の効率化や経費の節減を進め、競争的資金や寄附金等の外部資金獲得を全力で行いながら、質の高い教育研究活動の維持向上に努めてきました。しかし、このような経営努力も限界に達しており、こうした状況下で、運営費交付金を今後 15 年間にわたっても年1%の割合で削減すべきとの議論が財政制度等審議会財政制度分科会でなされていることに強い懸念を抱きます。仮にこのような国立大学予算の削減が続けば、教育研究の質の劣化を招くのみならず、日本の高等教育の中核を担う国立大学が壊滅的な機能不全に陥り、結果としてわが国に将来にわたり計り知れないほど大きな損失を与えかねません。

 現在、社会保障費の負担増等により、国の財政状況は極めて厳しい状況にありますが、わが国の知識基盤社会を支える国立大学が、教育研究の質を担保しながら各地域において高等教育の機会を提供し、有為の人材を育成し、かつ、イノベーションの創出を目指していくことは、日本の持続的発展を支えるために必須であると考えます。そのため、運営費交付金の継続的な削減方針へ反対するとともに、運営費交付金など国立大学の基盤的経費の充実について、関係者のご理解とご協力をお願い申し上げます。


運営交付金削減方針に山形大学長が異議、財政制度等審議会の意見書受け

山形新聞(2015年12月02日)

 財政制度等審議会が示した来年度の予算編成に関する建議(意見書)について、国立大学運営費交付金を今後削減するべきとの提案が盛り込まれたことを受け、山形大の小山清人学長は1日の定例会見で「授業料の負担増につながり是認できない」と述べた。

 建議は11月24日に公表された。これに先立つ10月の同審議会分科会では、国の財政難を背景に大学に自助努力を求める狙いから、運営費交付金を毎年度1%ずつ減少し、自己収入を1.6%ずつ増加させる案が議論されている。

 自己収入の大半を授業料が占めているため、実施されれば引き上げとなる可能性がある。小山学長はこれら経緯に触れ、山形大の将来的な財政試算では、年間授業料を現行の53万5800円から30万円ほど上げなくてはならないとした。授業料ではなく人件費を削減した場合、約220人の教員を減らす必要があるという。

 小山学長は「人口減少問題が大きい中、人材育成は地方の大学にとって重要なポイント。既に教育と研究で不断の改革を進めており、生産性の高い人材の輩出に努力していることに理解を求めたい」と語った。


国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算

朝日新聞(2015年12月2日)

 文部科学省は1日、年間約54万円の国立大学授業料について、2031年度には93万円程度に上がるという試算を示した。大学の収入の核となる国の運営費交付金が大幅に減らされる可能性があり、大学が減らなければ、授業料で減収分を賄う必要性があるという。

 財務省は、全86国立大学の収入の3~4割を占める運営費交付金約1兆1千億円を31年度までに約9800億円にする方針だ。この日の衆議院文部科学委員会の閉会中審査で、畑野君枝委員(共産)が、減収となった際の対応を尋ねた。

 文科省の常盤豊・高等教育局長は「授業料で賄うとして試算すると(31年度には)約93万円。年間2万5千円の値上げが必要」と答えた。馳浩文科相は「学生になるべく教育費負担をかけないようにする必要がある」として、来年度予算で交付金の額を充実する考えを示した。


国立大学の「運営費交付金」削減で授業料が高騰!? 渡辺敦司

産経新聞(2015.12.2)

年末に向けた政府の来年度予算編成で、公立小・中学校の先生の数を算定する「教職員定数」の在り方が一つの焦点となっていることは、以前の記事でお伝えしました。教育分野では、もう一つ焦点があります。国から国立大学に毎年渡される「運営費交付金」です。財務省が年1%の削減方針を提案したのに対して、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は総会で「高等教育予算の充実・確保に係る緊急提言」を、「教職員定数に係る緊急提言」と一緒にまとめています。そこでは、財務省の提案どおりにしたら授業料の大幅な引き上げにつながりかねないと反論しているのです。

財務省が、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会に提出した資料によると、国立大学法人の収入の内訳(付属病院収入を除く)は現在、「運営費交付金」が51.9%と半数を超え、補助金等収入(15.6%)を合わせれば67.5%と、3分の2が国からの支出に依存しています。独自財源である授業料等収入は14.7%と、7分の1程度にすぎません。「国立なんだから、当たり前だろう」と思うかもしれませんが、国立大学は2004(平成16)年に各大学が「国立大学法人」となったことを契機に、これまでの国直轄の予算という形を改め、基盤的経費として運営費交付金を交付する一方、「経営努力」で経費を削減したり、自己資金を調達したりすることも可能となっています。

以前の記事で、国立大学86校のうち55校が「地域貢献」大学に分類されたことなどをお伝えしました。これは、2016(平成28)年度から始まる6年間の「第3期中期目標期間」の中で、3タイプ別に運営費交付金の配分の仕方を変えることで、間接的に学部再編などを促していこうというものです。

私立大学の場合、収入のうち学生納付金の割合が76.9%と4分の3を占めており、国からの補助金(私学助成など)は10.9%にすぎません。国立大学も法人化されたのだから、4分の3とまでは言わないまでも、せめて運営費交付金と自己収入を同じ割合(約42%)にしよう。そのためには運営費交付金を毎年1%ずつ減額すると同時に、自己収入を毎年1.6%増加させよう……というのが財務省の提案で、それには「授業料の引上げなど交付金以外の自己収入を確保する努力」が必要だというのです。

今でも国立大学法人は、その授業料を、国が定める標準額(現在は53万5,800円)に上限120%の範囲で増額したり、減額(下限なし)したりできるのですが、実際に学部段階で標準額を増減している大学はありません。もし財務省どおりになったら、自己資金を得にくい大学を中心に、増額せざるを得ない大学が続出することでしょう。

授業料の公私間格差も縮めるべきだというのも、財務省のかねてからの主張です。しかし文科省によると、大学生の家庭の年収は近年、500~900万円の中間所得層が減少する一方、500万円未満の層が4人に1人にまで増加しています。教育費負担の在り方も含めて、運営費交付金の問題を考える必要があるでしょう。


2015年12月02日

横浜国立大学、国立大学の財政基盤の強化を求める声明

横浜国立大学
 ∟●国立大学の財政基盤の強化を求める声明

国立大学の財政基盤の強化を求める声明

平成27年11月25日

国立大学法人横浜国立大学 経営協議会外部委員(50 音順)
相澤 益男(科学技術振興機構顧問)
伊藤 文保(前神奈川大学理事長)
亀崎 英敏(三菱商事(株)常勤顧問)
佐藤 禎一(国際医療福祉大学学事顧問)
羽入佐和子(理化学研究所理事)
蛭田 史郎(旭化成(株)常任相談役)
松本洋一郎(理化学研究所理事)

1.予算の充実
 国立大学が教育・研究・社会貢献の諸機能を強化し、将来の我が国の持続的発展に貢献する改革を着実に実行していくため「国立大学法人運営費交付金」等の基盤的経費の充実を図ること

2.税制改正
 財政基盤の確立に資するため、国立大学法人に対する寄附の税額控除制度を導入し、私立大学と同様に個人寄附にかかる所得控除と税額控除の選択ができるようにすること

 私たちは、国立大学法人法に基づく経営協議会の学外委員として、国立大学法人横浜国立大学の将来計画をはじめとする大学経営の審議に参画し、大学コミュニティとは違う経営の視点でその役割を果たしてきた。

 その立場から、これまでの国立大学に対する運営費交付金などの予算の削減などを見るにつけ、平成28年度から始まる第3期中期目標期間における国立大学の存立に危惧を抱かざるを得ず、声明を発出することとしたものである。横浜国立大学は、国際都市横浜、神奈川地域発のグローバルな貢献を成し得る国立大学として、伝統的な強みと特色を保持し、その責務を一層果たすべく、教育研究機能の充実・強化に努めてきた。

 さらに、第3期中期目標期間においては、理工学分野、教員養成分野及び人文社会科学分野の強みや特色を活かし、21世紀のグローバル新時代に求められる、イノベーティブかつ広い専門性を持った実践的人材を育成する教育プログラムを実施するため、都市科学部(仮称)の新設を始めとする本学一体による教育組織の改編を構想しているところである。

 これまで運営費交付金が年々削減される中、横浜国立大学においては、業務の効率化や外部資金の獲得に取り組み、また、教育研究費を圧縮したうえに正規の教員を減らして特任の教員を雇用する等により、教育研究の質を維持してきた。

 このような大学の経営努力も限界に近づいた今、これ以上の運営費交付金の削減がなされれば、教育研究にかける基盤的経費は第3期中期目標期間中に大幅に減少し、教育研究に携わる教員の更なる削減等の断行を避けられず、社会の要請に応じた改革の取組は失速せざるを得ない。むしろ大学現場はますます疲弊し、教育研究の質の低下を招くことはおろか地域への貢献も十分果たせなくなることは必至である。

 平成27年10月26日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会では、今後の「国立大学法人運営費交付金」に関する提案として、運営費交付金を今後15年間毎年1%機械的に削減すべきなどの考え方が財務省より示されたが、これは国立大学の責務として社会的必要性に応えていくための数々の役割や自己変革の実現を不可能とするものであり、大学経営に関与してきた立場として、日本社会の成長と発展に寄与する国立大学の行く末に大きな不安を覚える。

 国立大学が教育・研究・社会貢献の諸機能を強化し、将来の我が国の持続的発展に貢献する改革を着実に実行していくためには学生に負担を強いるのではなく「国立大学法人運営費交付金」等の基盤的経費の充実が不可欠であることを重ねて強調したい。

 また、個人からの寄附金収入の増加は財政基盤の確立に資することになるが、その促進には国立大学法人に対する寄附の税額控除制度を導入し、私立大学と同様に個人寄附にかかる所得控除と税額控除の選択ができるよう強く要望する。


北大、国立大学法人の機能強化に向ける国による財政支援の充実を求める声明

北大
 ∟●国立大学法人の機能強化に向ける国による財政支援の充実を求める声明

国立大学法人の機能強化に向ける国による財政支援の充実を求める声明

平成27年11月24日

国立大学法人北海道大学経営協議会学外委員
秋 庭 英 人 北海道経済産業局長
五十幡 玲 子 株式会社インテグラル代表取締役
石 山 喬 日本軽金属ホールディングス株式会社代表取締役会長
大 内 全 北海道経済連合会会長
一般財団法人北海道電気保安協会理事長
Christina Ahmadjian 国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授
富 田 敏 明 北海道高等学校長協会会長
北海道札幌南高等学校長
辻 泰 弘 北海道副知事
林 菜つみ 弁護士(林菜つみ法律事務所)
樋 口 達 夫 大塚ホールディングス株式会社代表取締役社長兼 CEO
平 山 健 一 国立大学法人福島大学監事
元国立大学法人岩手大学長
古 川 周 三 北海道新聞社論説主幹
松 谷 有希雄 国立保健医療科学院名誉院長
横 山 清 株式会社アークス代表取締役社長
株式会社ラルズ代表取締役会長兼 CEO
(五十音順)

 私たちは、国立大学法人法に基づき設置されている経営協議会の学外委員として、北海道大学の経営に関する重要事項の審議に参画し、社会からの視点で、経済、行政、地域等多方面から様々な意見を述べており、大学も私たちの意見を真摯に受け、懸命に取り組んできました。

 北海道大学に限らず、各大学では、これまでも業務の効率化や経費の節減を進めるだけでなく、国立大学法人の経営の観点から、競争的資金や寄附金等の外部資金獲得の増、附属病院収入の増など様々な取り組みを行いながら教育研究活動の維持向上に努めています。しかしながら、国立大学法人の基盤的経費である運営費交付金が大きく削減される中、国立大学法人として求められる機能を維持し、さらに機能強化を進めることは困難な状況にあると、私たちは強い危機感をもっています。

 国立大学法人の基盤的な経費である運営費交付金は、平成 16 年度の法人化以降 10 年間で大きく削減され、交付金額は北海道大学では 85 億円(▲19.0%)の減少となっており、国立大学法人全体でみると 1,292 億円の減少(▲10.4%)に及んでいます。

 現在、「日本再興戦略」改訂 2014 や「経済財政運営と改革の基本方針 2014」の中で大学改革が重要な柱として位置づけられ、国立大学法人の運営費交付金の重点的・戦略的な配分強化を行う一方で、実際には基盤的経費の削減が一層強化されようとしています。

 運営費交付金と各種の競争的資金を組み合わせたシステムにより国立大学法人の一層の機能強化を図ることは重要ですが、このままの形で基盤的経費の削減が続いていくならば、「科学技術イノベーションの推進/世界最高の知財立国」、「世界最高水準のIT社会の実現」、「今後 10 年間で世界大学ランキングトップ 100 に日本の大学を 10 校以上」などの政策目標が達成できなくなるものと大変危惧しております。

 政策目標の達成と国立大学法人の将来、ひいては日本社会を支える学術研究の発展と高等教育の未来への投資として、今、国立大学法人の機能強化を支える基盤的サポート体制の構築が必要です。

 国立大学法人法が改正され、経営協議会において学外委員を過半数とすることとなったことは、私たちのこれまでの「社会の目」としての役割が認められたと同時に、私たちに国立大学法人の経営に対する責任をこれまで以上に求めているものだと認識しています。

 これから、第3期中期目標期間を迎え、国立大学法人が一層の機能強化を実行するにあたり、世界トップレベルの研究・人材育成と地方創生を担う基幹国立大学としてその責務を果たせる基盤的財政支援を、国として実施されるよう要請いたします。


お茶の水女子大学、財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

お茶の水女子大学
 ∟●財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

平成 27 年 11 月 20 日

財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

国立大学法人お茶の水女子大学 経営協議会学外委員(50 音順)
相澤 益男(独立行政法人科学技術振興機構顧問、国立大学法人東京工業大学名誉教授・元学長)
上田 良一(日本放送協会経営委員会委員、前三菱商事株式会社代表取締役副社長執行役員)
大橋 節子(学校法人創志学園学園長、社会福祉法人元気の泉理事長)
小野 元之(学校法人城西大学理事・大学院センター所長)
北原 和夫(東京理科大学大学院科学教育研究科教授、国立大学法人東京工業大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授)
坂本喜久子(株式会社冨山房インターナショナル代表取締役、公益財団法人坂本報效会評議員)
野間口 有(三菱電機株式会社相談役、国立研究開発法人産業技術総合研究所最高顧問)
村松 泰子(公益財団法人日本女性学習財団理事長、国立大学法人東京学芸大学名誉教授・前学長)
毛利 衛(日本科学未来館館長)

 国立大学法人お茶の水女子大学は、本年で 140 周年を迎える歴史と実績ある女子大学である。日本における近代女性教育の始祖であり、社会に貢献する優れた女性人材を輩出してきた。

 現在、同大学は、文教育学部、理学部、生活科学部の 3 学部と人間文化創成科学研究科から構成され、学生数約 3,000 名、事業規模約 80 億円と、大学としては比較的小規模ながらも、グローバルに活躍する女性リーダーを育成し、豊かで自由、公正な社会を実現することを目標に、高い志、強い意志と行動力を発揮して、特に女性教育、幼児教育の分野において日本のみならず、世界をもリードしてきた。

 さらに、同大学では、息長く社会貢献活動に取り組んでいる。例えば、10 年先を見据えつつ、大学を挙げて東日本大震災の被災地支援の実践活動を継続している。また、アフガニスタンの女性教育支援を 10 年来継続しているなど、外からの視点で見ても、社会への献身的関与には特筆すべきものが多い。

 私たち経営協議会学外委員は、平成 16 年の国立大学法人化以来、国民を代表して、同大学の経営面における監視役としての役割を果たしてきた。本年 4 月より学外委員を過半数とするよう国立大学法人法が改正されたが、これは、国からの財源措置が徐々に削減されるなかで、我々学外委員に対し、より積極的に経営に関与することを期待されたものと理解している。

 さて、同大学では、国立大学法人化以降、国からの安定的な財源措置が毎年度 1%ずつ削減されてきたため、自助努力として、競争的補助金、科学研究費補助金や寄附金を獲得しつつ、組織体制の抜本的見直しや、正規教員の削減などにより対処してきた。

 その過程で、教職員の非正規化が進み、研究と教育文化の承継が困難となり、正規教員への管理業務集中化に伴う教育研究活動へのしわ寄せ、正規職員への負荷集中などの課題が顕在化しつつある。昨今では、財源確保が伸び悩む一方で、経費削減については、組織体制を抜本的に見直しても対応が困難となり、大学の基盤である基礎的研究費を削減せざるを得ない状況にある。努力の余地も限界が見えつつあるといえる。

 そうした中で、財政制度等審議会財政制度分科会において、国からの安定的な財源措置である運営費交付金を今後も 1%ずつ削減し、削減分は自助努力で賄うとする案が公表された。

 たしかに、国の負債は未曽有の水準にあり、財政状況も極めて厳しいことを勘案すると、国立大学も自ら財源確保に努力すべきことは自明である。

 しかしながら、家計の実質所得が伸び悩む中での学生納付金の値上げは、奨学金制度の充実等がなければ、高等教育の機会均等が担保されず、日本の将来を担う若者の可能性の芽を摘むことになりかねない。また、競争的資金や寄附金の追加獲得など自助努力の余地はあるものの、景気に左右され、大学の財務基盤が益々不安定化することから、大学として必要となる教育・研究機能を維持できなくなる懸念がある。

 これまで、私たち日本国民は、同大学をはじめとする国立大学の所産の恩恵を大いに享受してきた。これからも、これら大学の活躍なくして豊かで自由、公正な未来は展望できないのではないか。

 同大学をはじめとする国立大学が、機能強化を加速させて、それぞれ掲げる目標を達成し、引き続き日本と世界に貢献していくためには、国立大学法人運営費交付金の安定的措置が必須の前提である。

 引き続き、各方面のご理解とご支援を強くお願いする。

国立大学法人が持てる力を存分に発揮し、日本と世界に益々貢献していくため、基盤的経費である国立大学法人運営費交付金の一層の充実を!

以上

2015年12月01日

神戸大学、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

神戸大学
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

2015年11月30日

神戸大学は、平成27年11月27日に開催された第16回神戸大学長定例記者会見において、以下のとおり声明を発表しましたのでお知らせします。

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

 平成27年10月26日に開催された財政制度等審議会において財務省が示した今後の国立大学運営費交付金に関する提案について、神戸大学アドバイザリーボードとして危惧の念を抱くものである。

 国立大学運営費交付金は、平成16年の法人化から12年間で1,470億円(12%)削減されており、そのしわ寄せが若手教員の採用減少や新たな設備投資の先送りにつながり、大学全体の教育研究機能の低下を招いている。

 国立大学は、法人化以降、各種資金の充実に努めるとともに、教育再生実行会議や社会からの要請を真摯に受け止め、国立大学改革プランに基づく大学改革の途上にある。神戸大学においては、本年4月に新たな大学ビジョン「先端研究・文理融合研究で輝く卓越研究大学へ」を打ち出し、「学理と実際の調和」の理念のもと、世界最高水準の教育研究拠点を構築し、世界ランキングトップ100位以内、国内ランキングトップ5位以内を目標に大学改革を強力に推し進めようとしており、これらの改革に資金が必要なことは言を俟たない。

 国の方針においても、経済成長の源流は「人」にあり、人材育成は重要な先行投資であると位置付けられているように、教育はまさしく国家百年の計であって、長期的な視点での制度設計が必要であり、その中でも重要な教育投資をおろそかにすることは、国の将来に大きな悔恨を残すことになることを深く憂慮する。

 神戸大学アドバイザリーボードは、神戸大学の教育研究に関する助言を行う組織として、本年4月に設置され、我々委員は外部有識者として積極的に意見を述べ、外部から神戸大学、延いては大学を変える力になりたいと考えるため、この声明を行うものである。

以上

平成27年11月27日

神戸大学アドバイザリーボード委員
パナソニック株式会社 フェロー 先端研究本部担当 上野山 雄
国際会計基準審議会(IASB) 理事 鶯地 隆継
川崎重工業株式会社 常務執行役員 技術開発本部長(兼)技術研究所長 門田 浩次
フューチャーアーキテクト株式会社 代表取締役会長CEO 金丸 恭文
大阪大学大学院医学系研究科 分子病態生化学 教授 菊池 章
株式会社カネカ 執行役員 R&D企画部長 鷲見 泰弘
神戸新聞社 代表取締役社長 髙士 薫
三菱電機株式会社 開発本部役員技監 田中 健一
大日本印刷株式会社 常務取締役 塚田 正樹
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 常勤監査役 塚本 雅信
株式会社日本総合研究所 理事 西口 健二
バンドー化学株式会社 執行役員 R&Dセンター長 畑 克彦
国立研究開発法人理化学研究所 理事 松本 洋一郎

京都大学、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

京都大学
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成27年11月26日

国立大学法人京都大学 経営協議会学外委員(50 音順)
岩永 勝(国立研究開発法人国際農林水産業研究センター理事長)
嘉田 由紀子(びわこ成蹊スポーツ大学 学長)
加藤 秀樹(構想日本代表)
門川 大作(京都市長)
黒田 清喜(株式会社京都新聞社代表取締役社長 主筆)
小島 啓二(株式会社日立製作所 執行役常務)
小長谷 有紀(大学共同利用機関法人人間文化研究機構 理事)
榊 裕之(豊田工業大学 学長)
佐藤 勝彦(大学共同利用機関法人自然科学研究機構長)
竹中 登一(公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団会長)
増田 寿幸(京都信用金庫理事長)
山田 啓二(京都府知事)
鷲田 清一(京都市立芸術大学 学長)

 私たちは、国立大学法人法(平成15年7月16日法律第112号)第20条第2項に基づく経営協議会の学外委員として、国立大学法人京都大学の経営に関する重要事項を審議し、経済、産業、行政、地域等多様な立場で社会からの視点として意見を述べ、大学運営に反映させる役割を果たしてきました。

 その立場から見ても、平成27年10月26日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において財務省が示した今後の「国立大学法人運営費交付金」に関する提案については、大きな疑念や危惧を持つものであります。

 今回の提案で財務省は、今後15年間に運営費交付金に依存する割合と自己収入割合を同じ割合とすることを目標とし、運営費交付金を毎年1%減少させ、自己収入を毎年1.6%増加させることが必要としていますが、国立大学の現状や自律的な取組に対してあまりにも配慮を欠いたものであり、国立大学の存立を危うくすると言わざるを得ません。

 たしかに我が国の財政状況は極めて厳しく、国立大学が高い質を確保しながら自律的・持続的な経営を続けていくためには、国費による支援に安住することなく、自ら多様な自己収入を確保していく努力は必要なことと考えますが、教育・研究が本務である国立大学では自己収入を増やすにもおのずから限界があります。

 すでに国立大学法人の基盤的経費である運営費交付金は平成16年度の法人化以降大幅に削減されており、国立大学全体ではこの12年間で1,470億円(約12%)、京都大学においても99億円(約15.4%)削減されております。

 そもそも我が国における高等教育への公財政教育支出の対GDP比は0.7%ですが、これはOECD加盟国平均の半分にすぎず加盟国の中で最下位レベルです。

 京都大学はこれまで人文社会科学から自然科学まで幅広い分野で世界をリードする教育・研究を推進し、ノーベル賞をはじめとする世界に冠たる賞の受賞者を多数輩出してきました。

 しかし、このまま運営費交付金を機械的に削減していけば、京都大学が行ってきた将来を担う若手人材の育成や多様な分野にまたがる世界トップレベルの基礎研究の推進及びそれらを通じた社会貢献に重大な支障をきたすだけでなく、国立大学の将来、ひいては我が国を支える科学技術と高等教育の未来に大きな禍根を残すことになります。

 また、家庭や学生の経済状況が厳しくなっている中で、授業料の引上げと併せて運営費交付金の減額を行うことは、経済条件や地域にかかわらず意欲と能力のある若者を受け入れて優れた人材を社会に送り出すという国立大学の役割を十分に果たすことができなくなり、教育格差の拡大につながることを危惧します。

 国立大学が教育・研究・社会貢献の諸機能を強化し、将来の我が国の持続的発展に貢献していくためには、「国立大学法人運営費交付金」等の基盤的経費の充実が不可欠であることを重ねて強調し、各方面のご理解をお願いするものです。


秋田大学、財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

秋田大学
 ∟●財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

財政制度等審議会における財務省提案に関する声明

平成 27 年 11 月 26 日

国立大学法人秋田大学 経営協議会学外委員
小笠原 直 樹 (秋田魁新報代表取締役社長)
小山田 雍 (秋田県医師会会長)
杉 山 文 利 (DOWA ホールディングス株式会社代表取締役)
銭 谷 眞 美 (東京国立博物館館長)
高 島 幹 子 (秋田県看護協会会長)
藤 原 清 悦 (秋田銀行相談役)
吉 本 高 志 (東北大学名誉教授)
米 田 進 (秋田県教育委員会教育長)

 平成 27 年 10 月 26 日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において財務省が示した「国立大学法人運営費交付金を今後15年間、毎年1%削減する」という提案について、国立大学法人秋田大学の経営協議会学外委員として、地方の国立大学の存立に極めて深刻な危惧を抱かざるを得ません。地方の国立大学が置かれた現状と地域社会に果たすべき役割に対して、更なる理解を求めるとともに、国立大学法人運営費交付金による基盤的経費の確保充実を強く求めます。

 国立大学法人化以降の国立大学運営費交付金の削減は、特に地方の国立大学に対しては重大な事態を招いています。人口減少が最も早く進むといわれる秋田県においては、2040年には人口が 70 万人まで減少するといわれ、県内のあらゆる機関がこの超少子高齢化社会に向き合う中、秋田大学が果たす人口ダム機能は、地域社会存立に対し極めて大きな役割を果たしています。

 こうした秋田大学の経営に対する民間企業からの支援は、特定目的の研究開発等極めて限定的であり、東京一極集中が進みかつ企業の基礎体力が縮減している日本社会、特に地方においては、新たに設立した大学の基金に対する多額の寄附・支援は極めて厳しいのが現状です。

 また、授業料免除を求める学生や優秀でありながら経済的理由で学業を断念せざるを得ない学生は近年ますます増加しており、授業料を増額することは、こうした学生たちが大学で学び、未来を切り拓いていく機会を国の政策によって奪うことを意味し、特に地方の国立大学法人にとっては全く現実的な選択肢ではありません。

 私たちは、「社会の目」として秋田大学の経営に関わる中で、国立大学法人の行く末を極めて憂慮しています。秋田大学においては、全国で唯一の国際資源学部への学部改組や、学外者を入れた学部運営を行うカウンシル制度の先駆的な導入など、国家戦略に即した大学改革に真摯に取り組んでいます。安倍政権は「大学は国力」を掲げています。我が国の将来の国力を支える国立大学法人に対する予算措置を優先的に配慮されるよう、強く求めるものです。


論文不正相次ぐ早稲田大 今度は准教授が教え子の論文を無断使用!? そのトンデモない言い分とは

産経新聞(2015年11月30日)

 教員の立場を利用したズルを許していては“私学の雄”は名乗れまい。早稲田大学で商学学術院の50代男性准教授が、教え子の修士論文を無断使用し、自分の単独論文として学会誌に発表していた問題が明らかになった。早大は今月13日、准教授に対する停職4カ月の懲戒処分を決定。早大と言えば、小保方晴子氏のSTAP細胞問題が記憶に新しいが、商学学術院は論文不正問題での教員の懲戒処分は2年連続になる。産経新聞の直撃取材に准教授が語った“トンデモ”言い分とは、どんなものだったのか。

著作権侵害と断罪

 大学関係者によると、問題の論文は、男性准教授が平成25、26年に発表した企業の経営戦略などに関する論文計4本。2本は「日本経営学会」の会誌に掲載され、残り2本は大学内での紀要「早稲田国際経営研究」に掲載された。

 これらの論文で使用された企業の事例研究データ部分が、当時専門職課程だった教え子3人の専門職論文で使用されたものとほぼ同一だった。さらに複数箇所で似たような表現が多用されていたという。一方で、男性准教授が発表した論文4本には、元論文からの引用や教え子の学生に対する謝辞などの表記がなかったという。

 早大は昨年夏ごろに内部からの指摘で問題を把握し、学内に調査委員会を設置。関係者への聞き取り調査から、男性准教授が論文を単独名で学会誌などで発表することを、著者である教え子たちに知らせていなかったことが判明した。

 調査委は4本の論文について「出典を明示せずに他人が発表した資料を盗用する著作権侵害があった」などとして研究不正を認定したという。

 男性准教授に対する処分は、商学学術院内での追加調査を経て今年10月、教授会で停職4カ月の原案が決定。大学の理事会で11月13日に処分を最終決定した。

「共著で出すつもり」

 なぜ准教授は教え子の論文を無断使用するような暴挙に出たのか。

 そもそもこの問題は当初、「二重投稿ではないか」との疑念から始まったという。二重投稿とは論文を複数の学術誌などに投稿することで、研究不正ではなく「不適切行為」とされている。投稿論文の著作権は掲載誌にあるため、同一論文の著作権が複数存在することになるからだ。

 ここで、論文を無断使用された教え子の学生を、平成20年修了のX氏、21年修了のY氏、23年修了のZ氏とする。調査の結果、判明したのは以下の事実だ。

 准教授は、X、Y、Z3氏がそれぞれ書いた専門職論文を基に、共著の形で論文をそれぞれリライトし、各方面に投稿。X氏との共著論文だけが学内の「早稲田国際経営研究」に掲載された。

 その後、准教授はそれぞれの共著論文を基にして単独名で論文4本を執筆した。Z氏との共著論文を基にしたZ論文、X論文が25、26年に日本経営学会誌に掲載された。さらに26年にはY論文、加筆修正されたZ論文が早稲田国際経営研究に掲載されたのだった。ここでよく似たZ論文が学会誌と学内誌の両方に二重投稿されたため、問題発覚の端緒となった。

 産経新聞の取材に自宅で応じた男性准教授とのやり取りは以下の通り。

――教え子の論文を盗用したか

 准教授「それは事実と違う。学生と一緒に書いていた(共著の)論文案があって、いろいろな雑誌に投稿したが、(審査を)通らないものが何回もたまっていた。(理由を)聞いたら、このままでは絶対通らない。先生が相当書き直さないと載りませんよということだった」

――いわゆる共著論文のことか

 准教授「そう。それで私が相当書き直して何とか学会誌に載った。誤解のないように詳しく言うと、(日本経営)学会が学生登録が難しかった。(中略)投稿論文自体はクオリティに達しているという連絡があった。それで悩んだ。別に修士論文を要約したわけではないが、修士論文のテーマと関連あるのは間違いないし、修士論文は非公開だったので、表記上どう書いていいのか手慣れていないので分からなかった」

 准教授はこう釈明した上で、不正行為について「不適切な点があり、注意怠慢だった」と自らの非を認めたのだった。

甘すぎる処分

 「数年前に学外の学会誌に掲載された論文が停職4カ月では甘すぎる」

 停職4カ月の処分で幕切れを図ろうとする大学側に対し、こうした不満の声も上がっている。声の主は、早大から論文不正疑惑を問われ、昨年11月に懲戒解雇処分を受けた商学学術院の元准教授の弁護人だ。

 元男性准教授は平成13、15年に商学部発行の紀要「早稲田商学」で発表した2本の論文で、アメリカの研究論文を盗用したとされた。今回の処分について、元准教授の弁護士は「学会誌への投稿と学内紀要での投稿では社会への影響力がまったく異なる」と話す。

 一般的に審査の厳しい学会誌での掲載は業績として評価されるが、審査の緩い学内誌での掲載は評価点が低い。結果、学外の学会誌に掲載した方が執筆者の社会的評価も高まるため、著作権を侵害された原作者の被害感情も大きいのだという。

 この元准教授は今年4月、早大を相手取り、東京地裁に不当解雇を訴えている。弁護士は「処分の公平性がまったく守られていない。基準がなく、場の雰囲気で決まってしまう傾向もありそう。STAP問題のあった昨年は厳罰姿勢で、今年は逆にストップがかかったのではないか」と疑問を呈する。

 実は大学関係者によると、准教授の処分案を決定した商学学術院の教授会は大荒れだったそうだ。

 不正を認定した内部調査委員会の報告書や論文そのものは配布されず、学術院での聞き取り調査に基づく「故意に流用したとは言い切れない」などとする准教授側の言い分が書かれた資料が配られたという。

 この点について大学側は「准教授本人が(流用を)認めているので資料は必要ない」と説明したという。処分案に反対する一部の教授から異論が続出し、決議直前には退出する教授も出たが、定足数を満たすために事務方が欠席していた教授を呼び出すなどの対応が取られ、停職4カ月の処分案が決議された。「まるで国会の強硬採決を見ているようだった」(ある関係者)という。

 こうした処分の決定過程について、早大広報は「過程のことはお話できないし、学術院内のことには関与していないので分からない」と話す。

 ある大学関係者は「2年連続で懲戒免職者を出したくないという意識が働いたのではないか。外聞を気にして問題を矮小化している」と大学側を批判した。 


浜岡原発住民アンケート、大学教授に抗議文

中日新聞(2015年11月28日)

◆市民団体「再稼働賛成の立場に偏重」

 常葉大経営学部の山本隆三教授(環境経済学)が中部電力浜岡原発(御前崎市)の周辺四市で実施している住民アンケートの内容が浜岡原発の再稼働賛成の立場に偏重しているとして、市民団体「浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会」は二十七日、山本教授に抗議文を郵送した。

 山本教授によると、「日本のエネルギー・原子力政策」と題したアンケート。御前崎、牧之原、菊川、掛川の四市の全三万世帯に今月郵送した。福島第一原発の事故を受けて完全停止した浜岡原発の再稼働の是非を問う内容で、十二月十日までに匿名で回答を返送するよう求めている。

 市民の会は、このアンケートが「原発停止で火力発電の稼働が増加し、電気料金が上昇」や「再生可能エネルギーは高価」という趣旨の主張を掲げた上で「あなたは、この事実についてご存知(ぞんじ)でしたか」という質問が続くことを問題視。事務局の落合明夫さん(67)は「原発事故の多額の処理費などにふれておらず、住民を再稼働賛成に誘導する内容」と憤っている。

 山本教授は「エネルギー問題に関心がある人の意識を調べている。私は原発推進の立場だが、アンケートは中立的に聞いた」と反論している。