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2017年01月26日

札幌大学の「未払賃金支払等請求事件」訴訟の結審における意見陳述

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 ∟●札幌大学の「未払賃金支払等請求事件」訴訟の結審における意見陳述

札幌大学の「未払賃金支払等請求事件」訴訟の結審における意見陳述

 札幌大学の教授13人が「賃金引き下げは無効」を訴えて、2013年9月に札幌大学を提訴した裁判が、2017年1月12日に札幌地方裁判所で結審(すべての審理を終了すること)となりました。この日、原告側を代表して、八鍬幸信先生が意見陳述を行いました。その内容は、格調が高く心を打つものでした。そこで、本ブログにも掲載し、真摯に教育を行なおうとして闘っている仲間の想い・姿勢を共有したいと思います。

 意見陳述書の掲載を許可して下さった札幌大学の八鍬先生はじめ原告団の皆様に感謝申し上げます。裁判の概要は以下の通りです。なお、この裁判は、3月30日(木)11:00から札幌地裁で判決が下されます。傍聴しましょう!

【裁判の概要】

 定年の引き下げ(70歳から65歳に)に伴う賃金引き下げが、労使協定で合意していた額(800万円)からさらに大幅に低い額(480万円)に、一方的に引き下げられた事に対する裁判です。(提訴は2013年7月18日付)

 訴えたのは、札幌大学の教授(66~69歳の男女13人、後に1名追加)で、詳しい提訴理由は以下の通りです。

 「われわれ原告は、本学の勤務延長制度に係り2013年4月から突然一方的に実施された任用対象年齢及び校務分担の区分廃止、休職規程廃止、定年年齢経過措置に伴う暫定措置廃止、大幅な賃金切り下げ(年俸額800万円から480万円への減額)などが、すべて違法無効であることの公正な判断を求めて、同年7月、札幌地方裁判所に訴えを起こしました。本訴訟は、労働協約違反ならびに労働条件の一方的不利益変更を糾すものであることはもちろん、本学が創設以来これまで蓄積してきた知的資産を将来に向けて継承し、有為な人材の育成を図るための健全な職場環境の構築を目指し、勤務延長教員有志の義憤の発露としてまったく自然発生的に惹起されたものでありました。」(「原告の会」代表から発信された証人尋問への傍聴要請文(2016年9月25日付)より)

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2017年(平成29年)1月12日

原告「意見陳述書」

八鍬幸信

 私たち原告は、2013年4月から突然一方的に改定施行された、本学の勤務延長制度に係る「勤務延長任用規程」、「任用基準内規」、「給与支給内規」がすべて違法無効であることの公正な判断を求めて、同年7月札幌地方裁判所に訴えを起こしました。とりわけ、800万円から480万円への減額という大幅な年俸額切り下げは、勤務延長制度の導入に伴う1千数百万円から800万円への不利益変更に続く更なる不利益変更として、到底容認できるものではありませんでした。

 この裁判は、直接的には逸失した労働条件を回復するための闘いでありますが、合わせて,本裁判の究極の目標は、有為な人材の育成・輩出に資する健全な職場環境の構築を目指して日夜奮闘している本学教職員の尊厳を断固守りつつ、社会にかけがえのない高等教育機関としての札幌大学の維持発展を目指すところにありました。

 この裁判が始まって以来、この1月でほぼ3年半を迎えようとしております.この間、我々原告は、30数回に及ぶ会合を重ね、真剣に意見交換を行って参りました。原告14名が一体となって闘いを継続できた背景には、本学の知的財産を後世に残したいという共通の意志・思いはもとより、被告に対する原告の根強い不信感が通奏低音として流れていたのではないかと推量されます。この点について、「和解協議の過程」と「札幌大学の統治組織」という2つの観点から言及しておきます。

 第1に、われわれ原告は、和解協議の過程に関し被告に対して大いなる不信感を抱かざるを得ませんでした。

 2016年2月に、札幌地方裁判所から,原告と被告双方に対して和解協議に係る打診がありました.私たち原告は、本学の将来を憂いまた係争の早期決着を願い譲り合えるところがあれば譲り合おうとの考えの下、勤務延長教員の権利が私たち原告だけでなく、すべての勤務延長教員さらには今後勤務延長に入る教員にも同様に保障されるべきことを第一義と考え、原告全員一致の下に被告との和解協議に臨みました.そして「このことが明確に保障されるのであれば、賃金の減額については一定の譲歩も止むなし」と判断しました.私たち原告は、担当裁判官が示した枠組みに沿いつつ、12項目からなる和解協議案を作成し、合意形成に向けて真摯に努力を重ねました.しかしながら被告の対応は到底納得できるものではありませんでした.すなわち、第1に2013年4月の「勤務延長任用規定」,「任用基準内規」及び「給与支給内規」の規程改定手続きの瑕疵について謝罪はしない、第2に和解により成立するであろう新しい「給与支給内規」については、原告以外の勤務延長教員に対しては原告らと同じ取り扱いをしないと主張して、この和解協議の核心部分の受け入れを全面的に拒絶したのでした.そして不払い賃金については、原告のみを対象に、しかも減額して支給するという驚愕すべき内容でした.

 被告のこのような頑なな態度はまったく受け入れ難く、私たち原告は、和解による解決は望めないと確信し、やむなく和解協議を諦め、判決を仰ぐことを決意しました。

 その約半年後、裁判所から2度目の和解協議の提案がありました。本提案に対しましても最初のときと同様の趣旨に則って協議に応じました。

 まず、この2度目の和解協議の最初の局面で、われわれ原告は和解条項9項を削除した和解案の受け入れを迫られました。この9項は、次のことを求めるものでした。

 一、和解により改正されることになるであろう教員勤務延長任用に関する給与内規について、和解成立後5年間、教員に不利益に賃金額を変更しないこと。

 一、就業規則、賃金規程、教員勤務延長任用規程等いかなる名目でも、賃金額において前記給与支給内規と抵触する別規定を制定しないことを相互に確認すること。

 われわれ原告としては、この条項を削除した和解案は到底受け入れられるものではなく、和解を諦め、判決を求めることとしました。

 次いで、われわれ原告が和解条項9項の削除を拒否すると、被告は、その場で、もともとの和解協議案の条項すべての受け入れを申し出て参りました。

 ここで丸呑みするなら、どうして最初の和解協議において受容できなかったのか。われわれ原告には、被告の態度は原告を愚弄するものであり、ひたすら原告の分裂を待つべく時間稼ぎをしているかのごとくに見えたものでした。

 第2に、われわれ原告は、教育・研究機関としての札幌大学における統治の在り様に対して大いなる不信の念を抱かざるを得ませんでした。

 教育・研究環境の改善のためには、われわれ教職員の労働条件や職場環境の改善が重要な課題の一つと考えます。しかし、われわれ原告は、教授会に直接参加することによって意思表明を行う機会が封じられているという、今日の本学における教学組織のガバナンスの在り様に深い失望の念を禁じ得ないところでした。具体的には次のようなことです。

 一つ、この裁判の重要なポイントでもありましたが、勤務延長制度の周知に関し、教学組織の最高責任者としての学長から納得のいく説明を受けたことはありませんでした。

 一つ、私たち勤務延長者は勤務延長期における担当科目について、教授会を含む然るべき教学組織を通じて意見表明する術を持つことが今日に至るもできないでおります。

 一つ、勤務延長期における校務分担について異議を然るべき教学組織を通じて表明する術を持つことができませんでした。

 一つ、本学の教員は、改正寄付行為の下で、「教育職員」と括られ、教育・研究に携わる専門教授職としての社会的立場をないがしろにされております。

 こうした教学組織の統治体制の下でわれわれ勤務延長者が教育研究職としての社会的立場を守り抜くためには、裁判に訴えるしか途はなかったのです。

 私は、この3月で札幌大学を退職いたします。昭和58年4月に本学に職を得てこの30数年間、経営学ならびに情報学分野の教育・研究に携わって参りました。この退職の年度に原告として、判決を待つ境遇に立ち至るとは、入職当時には想像だにしませんでした。こうした思いを残した勤務延長者が、来年度以降も生まれてくる状況というのは慙愧に堪えません。

 札幌大学創設以来,約半世紀が経とうとしています.私たち原告は,本裁判が一刻も早く終結し、本学がこれまで営々と蓄積してきた知的財産を将来に向けて継承していくために、本学関係者が一丸となって闘いのスタートラインに立てる日が訪れることを切に望んでいるところであります。この点を最後に申し述べ、意見陳述に代えさせていただきます。

以上

2017年01月25日

宮崎大学不当処分事件ならびに都留文科大学不当解雇事件について

 2012年,宮崎大学が事実無根の「セクハラ」を理由に,退職した教員の退職金を支給しなかった事件について,最高裁は2016年10月18日宮崎大学の上告を棄却した。これにより40代教員の完全勝訴が確定した。

 なお,宮崎大学は,一審判決を変更した福岡高裁宮崎支部の控訴審判決(2015年10月21日)を不服とし,上告していた。

 また,この事件では,同じ事案を理由に,都留文科大学が2012年に同教員を不当解雇している。この不当解雇事件についても,すでに,東京地裁立川支部は,2014年4月21日解雇無効の判決を下している。

 宮崎大学及び都留文科大学の両大学から不当な処分を受けた事件について,当事者の教員から簡単ではあるが,正確な経過と事実についてのコメントが寄せられた。以下,それを紹介する。(2017年1月24日,ホームページ管理人)

 宮崎大学がセクハラ等を行ったとして40代元教員を懲戒解雇相当とした事件について、平成28年10月18日最高裁の判決が出た。大橋正春裁判長は宮崎大学の上告(宮崎大学は福岡高裁で敗訴したため上告)を棄却し、40代男性の完全勝訴が確定した。福岡高裁では、宮崎大学の主張がすべて否定され、40代男性に対し、退職金に加え慰謝料も認められる判決を出している。

 なお、この裁判に関しては、宮崎大学に証拠保全(立ち入り調査)が裁判所職員立ち会いのもと行われ、会議録や職員のパソコンなどが調べられた。学生ではなく事務員のパソコンで懲戒解雇相当を決定する会議の直前に作成された(学生の署名もない)ハラスメント申立書や、争点となった卒論の本人調査が懲戒解雇相当を決定する前には行われていない(卒論作成者本人から聞く前にその卒論を名目に懲戒解雇相当を決定している)資料等が見つかっている。また、問題になった卒論を書いた学生は、40代男性のゼミとは全く関係ない他学科の学生で指導教員(T教員)が別にいた。さらにハラスメント申立者として記載されていた学生(実際申し立てたかも不明)は、問題になった卒論とは全く無関係な人物ばかりで、40代男性と全く面識のない学生も含まれている。ハラスメント調査を中心的に行った女性教員が数回にわたり行った上への虚偽報告がすべてのもとになっていることが伺えた。

 都留文科大学は、無実の人をハラスメントがあったと報道されただけで解雇したのである。


2017年01月23日

常葉大学教員の解雇は無効 「報道後に懲戒規定を制定。地裁判決」

朝日新聞(2017年1月21日)

常葉大学教員の解雇は無効 「報道後に懲戒規定を制定」 地裁判決

 補助金の不正受給を内部告発し、学校法人常葉学園に解雇されたとして、同学園の男性教員(43歳)が職員としての地位保全を求めた訴訟で、静岡地裁(関口剛弘裁判長)は20日、「補助金の需給が課題であったことが報道された後に学園は懲戒規定を制定し、懲戒解雇をした」などと認定し、男性教員の懲戒解雇は無効とする判決を言い渡した。
 判決などによると、男性は2012年、同学園の補助金過大受給の内容を捜査機関などに通報しないように強要されたなどとして、当時の短大学長らを強要罪で静岡地検に刑事告訴。同年12月学長らは不起訴処分となった。一方で、常葉学園は01~04年度に常葉大学短期大学部(旧常葉学園短大)の授業を教授の身代わりに助手が担当し、補助金を過大に受給していたことを認めた。学園は、男性の刑事告訴が「学園の名誉または信用を害した」という就業規則の懲戒解雇条件に当たるとして15年2月に男性の懲戒解雇を決定。男性は懲戒解雇の無効と未払い賃金の支払いなどを求めて学園を提訴していた。
 関口裁判長は男性は告訴を外部に公表したわけではなく、「学園の名誉や信用が害されたと認めるには至らない」と指摘。「(*補助金不正受給公益通報の)問題が大きくなるのを防ぐために(懲戒解雇を)性急に行った」と認定した。一方で虚偽の事実に基づいて懲戒解雇の判断がされたなどとする原告側の主張は退けた。
 常葉学園は判決を受けて「原告の地位確認が認められたことは極めて残念」とするコメントを発表した。(宮廻潤子)


2017年01月21日

常葉学園告訴で懲戒解雇、准教授の地位認める 地裁判決

毎日新聞(2017年1月21日地方版)

 補助金の不正受給を内部告発した常葉大短期大学部の男性准教授(43)が、別の理由で懲戒解雇されたのは不当だとして、運営する学校法人常葉学園(静岡市葵区)を相手取り、地位確認と慰謝料300万円などを求めた訴訟で、静岡地裁(関口剛弘裁判長)は20日、准教授の地位を認め、同学園に未払い賃金約900万円の支払いを命じた。ただ慰謝料の請求は退けた。

 准教授は2012年12月、短大部が補助金を過大受給していると内部通報した。一方で准教授は、実態を調べていた同学園側から脅迫を受けたとして、学園理事らを静岡地検に刑事告訴したが、13年に不起訴処分になった。同学園は15年2月、告訴により名誉を傷つけられたとして、准教授を懲戒解雇した。不正受給については、同学園は14年2月、480万円を過大受給していたと発表している。

 関口裁判長は判決理由で「解雇処分は内部通報の報復とまではいえないが、刑事告訴はマスコミなど外部に公表しておらず、就業規則に定める懲戒解雇理由には該当せず無効」と指摘。一方「違法な解雇」として慰謝料を求めた点は「不法行為は成立しない」として認めなかった。

 判決後に記者会見した准教授は「主張の7割が認められた」と話した。常葉学園の木宮岳志常務理事は「原告の地位が認められたことは残念。弁護士と相談し今後の対応を決める」とコメントした。


福岡教育大学の「天下り問題」にもメスを入れよ!

福岡教育大学の学長選を考える会

【福岡教育大学の「天下り問題」にもメスを入れよ!】
 
 「やはりそうか」。このような気持ちの皆さんも多いと思いますが、いやー…それにしても、文科省幹部の組織的天下りには驚きました。報道によれば、早稲田大学に天下りをしたのは、元高等教育局長の吉田大輔氏のようですが、この方、先に「学校教育法」の改悪を行って教授会の力を殺いで、学長に権力を集中させるシステムを作った責任者の一人のようです。
 
 寺尾氏は、このようにして文科省が作り上げた学長への権力集中のシステムを利用して、福岡教育大学の学長として強大な権力を手にし、学内の教職員の皆さんの言論を封殺し、ほしいままに大学を動かしてきました。このことから文科省に「恩」を感じた寺尾氏は、多くの文科省幹部の天下り(理事1名、副学長1名、局長1名、教授1名)を受け入れ、一方、寺尾氏の「忠義」を意気に感じた文科省は、寺尾氏が学長任期満了後もそのまま「副学長」として大学に居坐り続けるという「異常な人事」を認めました。
 
 文科省の「天下り問題」をめぐっては、私立大学だけではなく、国立大学法人や文科省所管の独立行政法人などへも調査のメスを入れるべきではないでしょうか。「国立大学運営費交付金」「補助金」「助成金」の配分に係る権限をちらつかせて、資金獲得で優位に立ちたい大学側に便宜供与をさせるというやり方は、極めて悪質です。これでは日本の高等教育が官僚の利権争奪戦により歪められてしまいます。 
 
 今回の事件により、「福岡教育大学問題」の背後にある、文科行政の「深すぎる闇」を見た気がします。健全な感覚をお持ちの市民の皆さん、まずは、我々にできることとして、福岡教育大学の問題解決のために頑張りましょう。

常葉大の懲戒解雇は無効の判決

静岡放送(2017年1月20日)

静岡市にある常葉大学短期大学部の補助金不正受給問題を内部告発し、大学側から懲戒解雇処分を受けた男性准教授が、処分は不当だとして大学側を訴えていた裁判で、静岡地方裁判所は「懲戒解雇の事由に該当しない」として大学側に対し、解雇処分の無効と未払い賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。
常葉大学短期大学部の43歳の男性准教授は学内の補助金不正受給問題を調査していた平成24年、「大学関係者から脅迫された」などとして3人を刑事告訴しましたがいずれも不起訴となりました。
その後、男性は不正受給問題を内部告発しましたが、おとしし、「大学の秩序を乱し、名誉を害した」などとして大学側から懲戒解雇処分を受けたため、解雇は不当だとして処分の取り消しなどを求める訴えを起こしていました。
20日の裁判で静岡地方裁判所の関口剛弘裁判長は、「准教授の行為が大学の名誉を害したとは認められず、懲戒解雇の事由に該当しない」などとして大学側に対し、解雇処分の無効と未払い賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決のあと、男性准教授は会見を開き、「解雇の無効が認められるたことは評価している。内部告発した人間をいきなり解雇して、生活の基盤が奪われたことに憤りを感じている」などと話していました。
一方、大学を運営する常葉学園は「原告の地位確認が認められたことは極めて残念に思います。判決文を熟読して弁護士と相談した上で今後の対応を検討します」とするコメントを出しました。

2017年01月18日

明治学院大学事件、盗聴される授業 検閲される教科書

■寄川条路「盗聴される大学の授業」

相手に知られることなく無断で会話や電話を録音する「秘密録音」が社会に急速に広がっている。「クローズアップ現代」で特集された「広がる〈秘密録音〉社会」が、いまでは、会社や家庭を超えて学校にまで入ってきた。

大学の授業も例外ではない。熱心な学生が復習のために授業を録音するのではない。休んだ学生のために録音するのでもない。そうではなく、教授が何を話しているのかをチェックするために、大学が授業を録音するのだ。

大学では、教室にこっそり忍び込んで、学生に気づかれないように授業を録音して、教員を処分するための証拠に仕立て上げる。録音資料は本人のいないところで使用し、だれが録音したのかはわからないように隠しとおす。

先生たちは、自分の授業が録音され、ほかの先生たちに聞かれているのではないかと、おびえながら授業を進めていく。教員同士の信頼関係はくずれ、そこに学生たちも巻き込まれていく。

特定秘密保護法に反対して声を上げた学生たちがいた。安全保障法案に反対して国会を包囲した学生たちがいた。「シールズ」が誕生した、まさに同じ大学で、授業が盗聴され、録音資料が使い回されている。

大学の講義を盗聴しても、秘密録音しても、録音テープをかってに使用しても、何とも思わない大学教授の集団が、体制に順応し、組織を守り、規則に従い、国家に奉仕する、そうした模範的な青年を作り上げていく。

標的とされるのはまずは思想系の教員で、哲学や倫理学を担当する教員が大学から排除される。空いたポストに実務経験者が学長推薦で採用され、就職のための教育を施す。

実務教育に馴らされた学生たちは、飼育されて去勢され、りっぱな大人となって社会へ送り出されていく。異様な光景を見た若い先生は別の大学に移っていき、ベテランの先生はうつ病で辞めていく。こころの病で休んでいる先生は大学にも多い。

かつて、授業の盗聴をめぐって裁判があった。録音資料をもとに教員を解雇した学校は違法ではないと主張し、解雇された教員は違法だと主張した。裁判所の判決は、教員の同意なく授業を録音することは適切な手段ではなく、そのようなことをすれば、「教育の自由の空気」が失われ、「教員の授業における自由および自主性」も損なわれるから、不当な支配に当たるというものだった。

まっとうな判決だが、ことは法律の問題だけではないだろう。

授業を盗聴しても秘密録音しても、録音資料を無断で使用しても、まったくかまわないと開き直る大学人もいる。だが、信頼関係を確立すべき教育の場では、授業を隠れて録音するようなことはやめるべきだ。

いつだれがどこで自分の声を録音しているのかわからない。大学のキャンパスからは、雑談や世間話をする声が消えてしまった。教室とは盗聴とか秘密録音とかをするところではなく、安心して教員と学生が自由に議論のできる場でなければならない。

寄川条路

NY州が公立大無償化へ 全米初、最大100万世帯に恩恵

AFP(2017年01月04日)

【1月4日 AFP】米ニューヨーク(New York)州のアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は3日、全米で初めて中低所得世帯の学生を対象に公立大学の授業料を無償化する計画を発表した。大学無償化は昨年の大統領選に向けた民主党の候補指名争いでバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員が公約として掲げていた。

 民主党のクオモ知事は記者会見で「今日、成功するためには大学教育が欠かせなくなっている」と述べ、米国の大学生が平均で3万ドル(約350万円)の負債を抱えている現状に言及した。

 その上で「エクセルシオール(Excelsior)」という大学奨学金制度を始めると発表し、2017年度から世帯年収10万ドル(約1200万円)以下の学生を対象に授業料無償化を目指すと明らかにした。2018年度からは対象を同12万5000ドル(約1500万円)以下に広げたい意向も示した。

 クオモ知事は「このような制度は米国初であり、この国の目を覚ますものになるはずだ」と強調した。

 対象は最大で100万世帯に上る見通し。年間の経費は1億6300万ドル(約190億円)と見積もられているが、クオモ知事は財源の詳細は明らかにしなかった。計画はまだ州議会で承認されていない。

 ニューヨーク州立大学(State University of New York)やニューヨーク市立大学(City University of New York)といった高い評価を得ている州内の大学の場合、年間授業料は6500ドル(約77万円)を超えることもある。

 コーネル大学(Cornell University)やコロンビア大学(Columbia University)、ニューヨーク大学(New York University)といったニューヨークで最も名高い大学は私立であるため、今回の無償化計画の対象外になるとみられる。

 将来の大統領選出馬を視野に入れているとされるクオモ知事の会見にはサンダース議員も同席し、計画に祝意を示した。

2017年01月07日

サイト紹介、「東薬大をよりよくする会」東京薬科大学今西理事会がもくろむ「大学オーナー化」を阻止し、民主的伝統を守ります。

「東薬大をよりよくする会」

東京薬科大学今西理事会がもくろむ「大学オーナー化」を阻止し、民主的伝統を守ります。

卒業生評議員選挙の投票後に突然理事選任法を変更することは、投票した有権者に対する裏切り行為です。大学理念に基づき、「公正さ」と「信頼」を基調とする大学運営に戻します。

私たちが目指すもの

私たちが目指すもの

平成27年12月18日

学内の教職員の皆様へ

大学法人22期評議員有志
大学法人22期理事有志

1. 民主的伝統を守ります

 本学は長い間、卒業生と教職員の代表者で大学を運営するという、オーナー大学にはない、誇れる伝統を守ってきました。卒業生と教職員の声を反映するため、両者から半分ずつ評議員を投票で選び、評議員の投票によって理事、そして理事長を選んで学校運営を進めてきました。私たちは、一部の人たちによる独善的な大学運営は好ましくないと思っています。

2. 大学の理念を念頭に大学運営を行います

 大学の理念は「ヒューマニズムの精神に基づいて、視野の広い、心豊かな人材を育成し、薬学並びに生命科学の領域にて、人類の福祉と世界の平和に貢献します」です。人と人の関係において最も大切なことは信頼関係です。人を育てる教育機関である本学においては、その重要性は強調され過ぎることはありません。今西理事会は卒業生評議員選挙が終了して、自らが不利になることが判明した9月15日に突如「絶対に負けない」と自ら豪語する理事選出法を決定しました。その後の臨時理事会においても、学部長任用規程や学部独立採算といった大学運営の根幹にかかわる重要案件を評議員会への諮問もなしに次々と強行決定しています。私たちはこのような姿勢に反対し、「公正さ」と「信頼」を重んじた大学運営が必要と考えています。

3. 安心して教育と研究に専念できる大学を目指します

 今西理事会では過去に例がないほどの懲戒委員会が開催されてきました。また始末書の提出も多数求められたと聞いています。教職員の採用、異動ならびに昇任・昇格等の人事の正当性に多くの疑問があります。多くの教職員が不安をかかえ、そして萎縮していることを私たちは教職員等の訴えから知りました。私たちは安心して教育と研究に専念できる大学、仕事に充実感をもてる職場環境作りを目指します。

4. 台東区(旧坂本小学校跡地)への大学の一部移転に反対します

 台東区(旧坂本小学校跡地)への移転問題は、自治体の借地公募に応募しているものの、その内容については一部の人しか知らず、理事会の中ですら公開されていないことです。予算的裏付け、教育内容、教員の配備計画などがまったく議論されていません。大学の将来に関わる計画は、広くその情報を公開し議論しなくてはなりません。今西理事会は、大学の一部都心移転や附属薬局設立を目論み、教育研究支出を大幅に削ってきました。「平成28年度予算編成の基本方針について」では、「平成27年度は、教育研究支出を大幅に削減した」と今西氏自ら認めています。私達は、まず現在の学生・教職員にできるだけ充実した教育・研究環境作りを推進すべきと考えています。八王子移転後の本学施設は様々な修繕が必要となっており、その対処は最優先課題です。適切な教育研究経費の運用を図り、充実した教育・研究環境作りに努力します。

以上

第22期学校法人東京薬科大学評議員選任選挙の経緯ならびに理事選任結果、
理事の地位確認等の裁判結審までの経緯について

平成28年9月吉日

東京薬科大学卒業生ならびに教職員各位

東京薬科大学卒業生有志一同

仲秋の候、卒業生ならびに教職員の皆様におかれましては、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。また、卒業生の皆様におかれましては、第22期卒業生評議員選挙(平成27年9月1日開票)の際には多大なご協力とご支援を賜り、心より厚くお礼申し上げます。

ここでは、東京薬科大学の卒業生ならびに教職員の皆様に、第22期学校法人東京薬科大学評議員選任選挙の経緯ならびに理事選任結果、理事の地位確認等の裁判結審までの経緯について、公平で正しい情報をご提供申し上げる所存です。

なお、第22期評議員33名は、平成27年10月1日より東京薬科大学ホームページに掲載されています(https://www.toyaku.ac.jp/about/foundation/officer) 。

経緯の概要

昨年、第22期卒業生評議員10名の選挙が行われ、第21期理事長である今西信幸氏及び同氏と意を同一にする理事ら(以下、併せて「今西氏ら」といいます。)の経営方針に疑問を呈する候補者10名全員が当選する結果となりました。これに対し今西氏らは、引き続き経営権を掌握するため、選挙結果が出た後に自らに有利な評議員理事の選任方法に変更するという強硬手段に出ました。しかし、評議員会では今西氏らの選任方法は否決され、評議員会の議決に基づいて7名の評議員理事が選任され、同7名を中心とする理事会の発足をみました。もっとも、今西氏らは評議員会の決議は無効と主張し、理事長の職から退くことを拒否し続けたため、監督省庁である文部科学省とも相談し、話し合いによる解決を試みましたが、今西氏らが全く応じないことから、やむなく、楠文代氏ほか7名が事態を解決するべく、平成27年12月、東京地方裁判所立川支部に対して訴訟を提起いたしました。裁判では、裁判官が行う審議(期日)が5回開催され、判決は平成28年11月21日に下されます。

以下、詳細な経緯をお知らせ申し上げます。

第22期評議員選挙と評議員会決議について

平成27年9月1日の第22期卒業生評議員選挙開票後の平成27年9月15日の第21期理事会において、今西氏らは、本学の第22期評議員理事(定数7名)の選任方法を急遽提案し、新たなルールを定めました(寄付行為施行細則の変更)。

新たなルールの内容は、概ね次のとおりです。

 ① 評議員の中から評議員理事立候補者を募る。

 ② 立候補には他の評議員3名以上の推薦人を必要とする。

 ③ 立候補者は他の立候補者の推薦人となることはできない。

 ④ 推薦人となった者は立候補することはできない。

 ⑤ 推薦人は複数の立候補者の推薦人となることはできない。

この新たなルールは要するに、評議員4人を1組にして1名の評議員理事を選任するもの(4人1組制)ですが、従来の評議員理事選任方法とはまったく異なるものです。

従来行われてきた評議員理事選任方法は、概ね次のとおりです。

 ① 評議員会にて、評議員理事候補者を推薦する(複数名を推薦できる)。

 ② 評議員1人が7票の投票権を持ち(7名連記方式)、評議員理事候補者に投票する。得票数の多い者から順に評議員理事とする。

この従来行われてきた評議員理事選任方法は、評議員会全体の中で多数の支持を得た者が評議員理事に選任される方法であり、本学が、歴史的に評議員(特に卒業生評議員)を中心にして民主的な経営が行われてきたことと整合するものです。

これに対して、今西氏らが平成27年9月15日の理事会で突如定めた新ルールでは、1人の評議員理事候補者は3名の評議員の推薦が得られれば評議員理事になることができます。この新たなルールは、「東京薬科大学卒業生有志一同」としては次のような多くの問題を含んでいると考えています。

① 9月1日に卒業生評議員選挙の結果(総数10議席:今西氏ら派0議席に対し、反今西氏ら派10議席)が出た後に突如新たに定められたものであり、5月11日に学校法人東京薬科大学評議員選任選挙管理委員会より公告された規定にはなく、卒業生等に何ら周知手続がとられていなかったこと。

② 今西氏らは、卒業生評議員選挙において、第21期の現職常務理事も含めて、自派の候補者が全員落選する結果となった。評議員会において少数派となることが確実視された今西氏らが、理事会においては多数派となり本学の経営権を掌握するため、自派から評議員理事数名を確保することを目的として、新たなルール(4人1組制)を採用したものと考えられること。今西氏は平成27年9月15日の理事会においてそのことに言及している(録音データあり)。

③ 本学の寄附行為注)第6条(理事の選任)の第1項第3号において、評議員理事は「評議員のうちから評議員会において選任」すると定められているところ、新たなルールは評議員会が関与することなく、一部の評議員のみによって評議員理事を選任するものであり、寄附行為に抵触すると考えられること。

④  今西氏らは、新ルールは評議員理事を「評議員会において選任」することと変わりないと主張しているが、立候補や選挙の方法を理事会で恣意的に定め、評議員会に強制することができるのであれば、それは寄附行為第6条(理事の選任)の第1項第3号を死文化することと同義であり、寄附行為上許されるものではないと考えられること。

  注)寄附行為:法人の根本規則のこと。企業でいう定款に相当する。

この内容は後述する裁判(東京地方裁判所立川支部平成27年(ワ)第2775号理事長及び理事の地位確認等請求事件)の争点であり、同裁判において反今西氏ら側が提出した訴状、第1~3準備書面の各書面をご覧頂ければ、争点と反今西氏ら側の主張の正当性をご理解頂けるものと思います。

他にも種々の問題はありますが、主として上記の点から、東京薬科大学卒業生有志一同とそれに賛同する第22期評議員21名は、新たな評議員理事選任ルールは寄附行為等に反する違法無効なものであると考えています。

実際、平成27年10月20日に開催された第22期第1回の評議員会(議長 多賀谷光男氏、副議長 小畑美和子氏)においては、新たなルールは否決され、評議員会の総意として、従来の方法で評議員理事を選任することが決議されました。

この決議は、全評議員33名のうち21名の賛成の下に行われたものであり、寄附行為上要求される評議員会の定足数(17名以上)を満たしており、その有効性に疑義はありません。

同評議員会決議の結果、次の7名が評議員理事として選任されました。

敬称略

楠    文 代
西 川    隆
安 田  一 郎
小野田  順 子
平 塚    明
肥 田  義 光
山 田  純 一

しかし、今西氏らは、同評議員会の決議を認めず、評議員理事は未選出であるとし、第21期の任期付きの理事の任期が満了した平成27年10月29日以降も、依然として自身らが理事である旨の主張をしました。

第22期理事会の開催と決議事項について

他方、平成27年11月17日、上記第22期評議員理事7名に深見希代子生命科学部長を加えた8名の招集及び出席により、第22期理事会が開催され、概ね、次の内容の決議が行われました。

1. 今西信幸氏の理事長職からの解任。
2. 楠文代氏の理事長選任。
3. 今西信幸氏が理事の地位を失うこと。
4. 内野克喜氏が理事の地位を失うこと。
5. 伊東晃氏が理事の地位を失うこと。
6. 太田伸氏が理事の地位を失うこと。
7. 評議員理事選任方法を定める新たなルールが無効であること。
8. 今西氏らが定めた学識理事選出の取り決めを撤廃すること。
9. 松本有右氏を学識理事に選任すること。
10.原博氏を学識理事に選任すること。
11.石射正英氏を監事に選出すること。
12.鈴木芳美氏を監事に選出すること。
13.矢島毅彦氏を監事に選出すること。

その後、楠文代氏が第22期評議員会を招集し、平成27年11月28日、同評議員会が開催され、第22期監事3名の選出の同意を得た後、楠文代氏により、同3名が監事に選任されました。

第22期役員として真に認められるべき方々は、次のとおりです。なお、平成27年12月14日に開催された第22期第2回理事会において、常務理事2名の選任も行われています。

理事(敬称略): 
笹 津  備 規 (学長理事)
大 野  尚 仁 (薬学部長理事)
深 見  希代子 注)(生命科学部長理事)
楠    文 代 (評議員理事・理事長)
西 川    隆 (評議員理事)
安 田  一 郎 (評議員理事・常務理事)
小野田  順 子 (評議員理事)
平 塚    明 (評議員理事)
肥 田  義 光 (評議員理事)
山 田  純 一 (評議員理事)
松 本  有 右 (学識理事・常務理事)
原      博 (学識理事)
監事(敬称略): 
石 射  正 英
鈴 木  芳 美
矢 島  毅 彦

注)生命科学部長は職権理事であるため、現在は都筑幹夫生命科学部長が理事の地位にあります。

訴訟の提起等について

もっとも、今西氏らは、未だ理事長・理事の地位にある旨主張し続けています。

楠文代氏から今西氏らに対しては、理事長室の明渡し、大学印や理事長印の引渡し、本学職員への引継指示等、第22期への引継を求め、さらに文部科学省からの指導も受け、話合いにより解決を図ることも申し入れましたが、今西氏らにはこれらも拒否されました。

東京薬科大学卒業生有志一同とそれに賛同する第22期評議員21名としても、それまで大学内外に生じる混乱を最小限にすべく努力してきましたが、今西氏らが話合いによる解決を拒否し、最早当事者間のみでは解決することが困難な状況となったことから、やむなく、楠文代氏ほか7名が事態を解決するべく原告となり、平成27年12月11日、東京地方裁判所立川支部に対して正式に訴訟を提起いたしました(平成27年(ワ)第2775号理事長及び理事の地位確認等請求事件)。

 その提訴の内容は以下のとおりです。

1. 楠 文代氏が、理事長の地位にあることを確認する。
2. 楠 文代氏、安田一郎氏、小野田順子氏、西川隆氏、肥田義光氏、山田純一氏、平塚明氏及び松本有右氏が、理事の地位にあることを確認する。
3. 今西信幸氏が、理事長の地位にないことを確認する。
4. 今西信幸氏、内野克喜氏、伊東晃氏、太田伸氏、木村正人氏、須藤尚義氏及び山村喜一氏が理事の地位にないことを確認する。

その後、裁判官が行う審議(期日)が4回開催され、平成28年9月7日の第5回期日にて結審となりました。

この結審に至るまでには、第22期評議員理事7名らの地位を巡り、数件の保全事件が裁判所に係属してきました(東京地方裁判所立川支部平成27年(ヨ)第210号役員の地位を仮に定める仮処分命令申立事件、東京高等裁判所平成27年(ラ)第2105号役員の地位を仮に定める仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件、東京地方裁判所平成27年(ヨ)第20172号役員の地位を仮に定める仮処分命令申立事件、東京地方裁判所平成28年(モ)第40015号保全異議申立事件)が、既にその全てが終了し、現在は東京地方裁判所立川支部の判断を待つのみとなっています。判決は、平成28年11月21日13時10分に、東京地方裁判所立川支部404号法廷にて下されることとなっています。

なお、東京薬科大学卒業生有志一同において、平成27年10月20日評議員会議事録、平成27年11月17日理事会議事録等の資料、裁判に関わる一連の資料(訴状、第1~3準備書面等裁判において提出された書類)を保管していますので、ご希望の方は、いつでも閲覧して頂くことができます。

関係者各位におかれましては資料の閲覧等も含め、本件に関するお問合せは、下記のメールアドレスまでお願いいたします。

〒193-0944
東京都八王子市館町1097番地
担当事務局   : 松本有右
メールアドレス : y-matsu@pharma802.com

結  語

以上が第22期学校法人東京薬科大学評議員選任選挙の経緯ならびに理事選任結果、理事の地位確認等の裁判結審までの経緯となりますが、第22期理事会が適切に発足したことは疑う余地がないものと考えています。

ただ、東京薬科大学卒業生有志一同としては、今回の一連の紛争は、法的な主張に対する判断を得るのみで議論を終えて良い問題ではないとも考えています。

そもそも、東京薬科大学卒業生有志一同は、今西氏らの経営方針、特に全学的な議論もなく、不透明な検討過程のままに都心回帰を掲げてキャンパスの移転を断行しようとする姿勢や更なる附属薬局の開設に疑問を持ち、第22期評議員選挙に向けて立ち上がりました。様々な困難はありましたが、皆様の多くのご賛同を得て、評議員選挙には大勝したと断言することができます。

問題は、卒業生ならびに教職員の皆様からの支持を多く集めているとは断じて言えない今西氏らが、選挙に大敗し、政策的にも敗北しているにもかかわらず、恣意的に寄附行為施行細則を変更し、支持基盤のないまま長期政権を築こうとしているように思われる点です。

潔く退陣し、次回選挙に向けて再起を図るというのであれば理解はできますが、今西氏らの手法を認めれば、今後も、選挙の結果にかかわらず一部の者が本学の経営権を掌握し続ける結果となるであろうことは想像に難くありません。

本学は、伝統的に卒業生・教職員により、民主的な運営が行われてきた大学です。しかし、今、それが崩されようとしており、本学に対する強い危惧を感じざるを得ませんし、そのような事態を傍観することなど到底できません。

東京薬科大学卒業生有志一同としては、本学のあるべき姿を今一度見直し、卒業生ならびに教職員の皆様のご心配を解消するとともに、本学を一日も早く正常化し、東薬大のさらなる発展を図るためにも、第22期評議員会有志と一体となり、本件の解決に全力を注いで参る所存です。

また、第22期理事会も、本学が正常化された暁には、卒業生が誇れる伝統校としての地位を維持し、在校生とその指導と支援にあたる教職員のために、滅私奉公の精神でその経営にあたることを固く約束するものであります。

今後とも、卒業生ならびに教職員の皆様の変わらぬご理解とご協力、そしてご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
以 上