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 カテゴリー 2018年03月

2018年03月30日

岡山短大、視覚障害理由の配転無効 山口さん高裁も勝訴

■しんぶん赤旗(2018年3月30日)

 岡山短期大学(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(53)が視覚障害を理由にした事務職への配転命令の無効確認などを求めた控訴審で、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)は29日、山口さんの訴えを認める勝利判決を出しました。昨年3月の岡山地裁判決に続く勝訴です。

 判決は、同短大が山口さんに出した職務変更と研究室退室の命令は権利乱用で無効としました。合理性を欠く不法行為で精神的苦痛を与えたことへの慰謝料として短大側に100万円の支払いを命じました。また、山口さんの授業遂行能力が他の教員と比べても劣っていないと認定し視覚障害害で生じる問題は補佐員の補助で解決すべきだと断じています。

 報告集会で山口さんは「当初は自分のわがままかと悩み、提訴は考えていなかった。支えてくれる人を見て『私だけの問題ではない』と気付いて強くなった。多様な人が学び合うところが高等教育。これからも復帰をあきらめないので支えてください」と話しました。

 視覚障害者の大胡田(おおごだ)誠弁護士は「中途視覚障害者を排除してはならないことを示した判決だ。誰でも、いつ病気になるかわからない。すべての労働者にとって良い判決だ」と評価しました。


2018年03月29日

梅光学院大学・矢本准教授の雇止めは無効 無期雇用・賠償は棄却 地裁下関支部が判決

長周新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大学の特任准教授で、2015年度末に雇い止めを受けた矢本浩司氏が同学院に対し、雇い止めの無効などを訴えた裁判の判決が27日、山口地方裁判所下関支部(泉薫裁判長)であった。この日も教員や学生、同窓生や保護者など多数が傍聴に押しかけ判決を見守った。判決では、矢本氏の梅光学院特任准教授としての地位を今年度まで認め、賃金の支払いを命じたが、その他の訴えについては棄却した。

 矢本氏はこの裁判で、梅光学院特任教授としての地位の確認と賃金の支払いに加え、研究室や図書館を利用すること、准教授として論文を発表すること、また大学で講義をすることなどを求めていたほか、中野新治元学院長がその地位を利用して、矢本氏が執行部に反対する行動を主導したかのように扱い、雇い止めしたことによって研究や研究成果の発表、教授の自由を奪われたとして、中野元学院長と梅光学院大学に対し損害賠償を請求していた。

 判決では、仮処分申請時と同じく、矢本氏が梅光学院大学に勤務していた平成27年度中、授業については学生アンケートで高い評価を得ており、複数の論文を執筆したうえに査読を受けて掲載されたこと、また学内でもFD委員会副委員長や中高校長特別補佐職に就任するなど、豊富な業務量をこなし、かつ高い評価を受けていたことを認定。契約期間満了が近づいた平成28年2月中旬まで、矢本氏もかかわって翌年度の準備を進めており、契約更新を期待する合理的理由があったとし、雇い止めの無効を認めた。また2度目の契約更新についても、その合理的期待が消滅したといえる特段の事情もないとして、矢本氏の地位を認めるものとなった。

 ただ、矢本氏は採用時に中野新治学院長から「よほどのことがない限り、3年間勤めた後に無期雇用になる」と説明を受けたこと、また平成27年度中にも「雇い止めにすることはない」とたびたびいわれていたことについて、証拠も提出したうえで無期雇用を主張していたが、その点については退けられ、平成30年3月31日までに限り矢本氏の地位を認め、賃金の支払いを命じる内容となっている。

報告会で運動の継続を確認

 同日午後4時から、同窓生や学生、保護者ら関係者が集まって報告会を持ち、弁護士からも判決の概要について説明があった。無期雇用や損害賠償などの訴えは棄却されたものの、矢本氏の契約期間が1年となっているにもかかわらず、3年まで認められたことは、前例の少ない画期的な判断であることを確認し、今後もたたかい続けることを誓い合った。

 矢本氏は支援に対する謝辞をのべたうえで、「3年の契約まで認めてくれたというのは画期的だと思う。やはり梅光学院に問題があるから、こうした判断が出たのだろうと思う」とのべた。ただ、「中野新治元学院長が“君を雇い止めにすることはない”とくり返しいっていたことについて証拠を提出しているが、判決文では触れられておらず、納得がいかないところがある。非常に画期的な判断が出て喜んでいる反面、なぜこの証拠が認められないのかという思いがある」とのべ、今後の対応を検討することを明らかにした。

 参加者からは、「研究室や図書館を使用できない理由は何なのか」「一般市民に開放しているのに使えないのか」「大学というのはユニバーシティ・仲間たちという意味だ。研究に図書館を使うのは当たり前のことだ。“契約にないから”というのはどういうことなのか」「賃金は労働や働きに対して支払うものではないのか? ただ払えばいいのか?」など、市民感覚と法律上の判断の違いについて、質問や疑問、意見があいついだ。

 報告会では、大学教員が近況の報告もおこなった。報告に立った教員は、「学内で自由にものがいえず、異論を唱えると排除、左遷、辞めさせられるなど非民主的な運営が続いており、学生たちが被害をこうむっている」とのべた。今年度末にも多くの教職員が学院を去るが、後任を決めず雇い止め等をするため、来年度には哲学の授業を社会学の教員が、現代詩の授業を中野新治氏が担当するなど、看板と違う授業がおこなわれる状況にあり、教育の質がますます低下していることを明らかにした。

 またテスト期間をもうけず、新教務システムを導入し、間違ったデータが流れるなど、事務的な部分でもトラブルが多発しており、「無事、入学式が迎えられるかどうか」という状況にあることを報告。この27日にゼミが規定の回数開かれなかったことについて学生らが申し入れ、話しあいをおこなっていることも明らかにした。

 学生たちが受けられるはずの授業が受けられなくなったという状況から、日本文学部の教員ら有志で私塾を開く準備をしていることも報告した。

 最後に、矢本氏が挨拶に立ち、「社会正義に訴え、おかしいことはおかしいというために裁判をやっているので、ひき続きたたかっていく」とのべ、拍手が送られた。

 なお、今回の判決について梅光学院側は、「当方の主張についても、一部理解をして頂けた判決であると考えている。今後の対応については判断を精査して決めることとしたい」とのべている。

中高校の校長が1年で解任

 梅光学院をめぐっては、中高校でも23日、昨年4月に現経営陣の依頼で就任したばかりの校長がわずか1年で解任されたことが明らかになり、関係者のなかに衝撃が走っている。新年度を目前に控えるなかで、理科など後任の教員確保ができていない状況もあり、来年度さらなる混乱が発生することが懸念されている。


2018年03月28日

准教授雇い止め訴訟、梅光学院大側に賃金支払い命令 地裁下関支部判決

毎日新聞(2018年3月28日)

 梅光学院大(下関市)を2016年3月に雇い止めとなった男性准教授(45)が、同大を運営する学校法人・梅光学院に対し、雇用関係の確認と未払い賃金の支払いなどを求めた地位確認請求訴訟の判決が27日、山口地裁下関支部であった。泉薫裁判長は「雇い止めは社会通念上不合理だ」として准教授側の訴えを一部認め、学院側に16年6月~今年3月の月額賃金43万3300円の支払いを命じた。

 判決によると、准教授は16年4月、同大専任教員として任期1年、最長3年の有期雇用契約で採用された。豊富な業務量をこなし、学生アンケートなどでも高い評価を受けていたが、17年2月24日、同3月末での契約終了を通知された。判決は大学側が直前まで次年度の授業やゼミ、学外講演の講師などの業務も割り振っていたことなどから「契約更新に期待を抱くことは当然だ」として、雇い止めが客観的合理的理由を欠くと認定した。

 一方、3年間の有期雇用契約後は無期契約に移行する約束だったなどとする准教授側の主張は退けた。准教授は控訴する方針。


上智大、だまし討ち雇い止め 非常勤講師組合 撤回求め刑事刑事告発


■しんぶん赤旗(20018年3月27日)

 首都圏大学非常勤講師組合は、上智大学にだまし討ち的な手法で非常勤講師を5年雇い止めしようとしているとして撤回を求めています。23日には、松村比奈子委員長、大野英士副委員長が労働基準法違反にあたるとして神奈川・平塚労働基準監督署に刑事告発しました。
 上智が2013年4月に制定した就業規則には契約上限の規定はなく、非常勤講師組合の質問にも「従前の更新手続きを変更するものではない」と答え、契約上限を定める場合には「個別に対応する」としていました。
 ところが、13年から上智短大(秦野キャンパス)で教える組合員は、学科長から「13年4月以降に雇用きれた非常勤講師には、一律5年上限が課されている。法人の決定であり、学科ではいかんともしようがない」と言われ、3回の団体交渉でも雇い止めが撤回されていません。
 組合の入手した英文資料には「13年の労働法制定に対応して、上智大学では非常勤講師に対し、5年の更新上限を定めることを〝公式に″決定した」と記載。労働基準法89条では、退職に関する事項は就業規則に書き入れなければならない「絶対的必要記載事項」とされています。
 組合は上智大が無期転換逃れのために一律に5年で雇い止めする制度をひそかに制定しており、就業規則の適正な制定にも反すると批判。組合員は、神奈川労働局平塚総合労働相談コーナーに対しても、「助言指導」を求めています。
 この問題で本紙問い合わせに対して上智大は「交渉中のため回答は差し控えたい」としています。

2018年03月23日

東北18国公立大の無期雇用転換ルール、東北大のみ実施せず

河北新報(2018年03月22日)

 通算5年を超えて働く有期雇用者が4月以降、労働契約法に基づき無期雇用に転換を申し込めるルールについて、東北の18国公立大のうち、実質的に実施しないのは東北大だけであることが21日、河北新報社の調べで分かった。東北大は有期職員を対象とした新人事制度を新年度に導入するが、国は「無期転換とは別問題」との見解を示しており、東北大の突出ぶりが浮き彫りになった。
 18国公立大の回答は表の通り。3月末で通算5年を超えて働く有期職員がいる大学は12あり、このうち東北大を除く全11大学が無期転換の権利を認めている。現在、5年超の有期職員がいない山形大と福島大も「要件を満たせば5年を超えられ、無期転換を申し込める」などとしている。
 回答からは、各大学が雇用年数の上限を厳格に認識している姿勢もうかがえる。秋田公立美術大は上限の5年を超えて有期職員を雇用しない。弘前大や岩手大は上限5年を超えた場合は無期転換とする。岩手県立大は2014年度、上限3年を超えていた有期職員の希望者全員を無期転換した。
 東北大は雇用上限を5年と定めているが、実際には5年超の有期職員が約1000人いる。雇用継続の期待を持たせる一方、無期転換ルールは実質的に実施しない。職務などを制限する「限定正職員制度」を4月に始める予定で、勤続3年以上の有期職員669人を採用試験で合格とした。
 同制度に関し、国は昨年11月の衆院厚生労働委員会で「無期転換ルールとは別途のもの」との認識を示した。その上で「有期労働契約の乱用的な利用を抑制する」という労働契約法の趣旨を踏まえるよう求めた。
 調査は2~3月に実施。東北の全18国公立大のうち17大学から回答を得た。無回答の東北大については、これまでの取材からデータを算出した。

2018年03月12日

大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会、「人権擁護委員会による本調査の開始にあたって」

人権擁護委員会による本調査の開始にあたって

人権擁護委員会による本調査の開始にあたって

2018年3月12日 大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会

 わたしどもの会(以下、会)は2017年10月30日、京都弁護士会人権擁護委員会宛に、「龍谷大学経営学部在籍中の学生である未ゼミ生がゼミを履修する学習権を持つことを確認し、その迅速な実現のために適切な措置をとるよう、被申立人(龍谷大学)に勧告されたい」という趣旨の申立を行いました。
 その後、同年11月6日付けで追加の書面を提出しました。そして、2018年1月12日には委員会の担当弁護士による、会を対象にした予備調査が行われました。この予備調査を踏まえ、会は1月18日に追加の証拠書面を提出しました。
 以上のような経緯を経て、人権擁護委員会によって本調査が行われることを会として確認いたしました(2月に開催された委員会において、本調査の開始が決定されました)。
 間もなく新年度が始まる時期を迎えており、新2年生を対象とした演習(ゼミ)の募集も行われようとしており、一日も早く会の申立に沿った勧告が行われることを願っています。
 すでに2017年11月10日の時点で、会は申立の写しを龍谷大学当局に届けるとともに、学生と学長との面談を申し入れましたが、学長面談が叶うことはありませんでした。大学当局の不誠実な対応は学生たちを失望させました。
 また、人権擁護委員会への申立自体が不当であるかの如き言説によって学生たちは二重(未ゼミ生問題=学習権侵害に加え、不当な非難)に苦しめられてきたことも指摘せざるを得ません。学生たちの権利回復は緊急を要するものです。
 会が提起した問題は、学内外の多くの方々から個別大学の個別学部における問題にとどまらないとの指摘もいただいています。引き続き学生と教員がともに、この問題に取り組んでいく決意でいます。多くのみなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

【付記】二人の学生からのメッセージを以下に掲載します。
 「同じ授業料を払っているのだから、同等の教育を提供してほしい」。これが出発点であり、今でも変わりありません。ゼミの選択肢が少ないなど、大学の広報と実態が全く違います。誰が責任を取ってくれるのでしょうか。人権擁護委員会によって一日も早く勧告がなされ、改善されることを強く願っています。

学生は当事者であり、重要な構成員であるはずですが、ガラパゴス化した教授会、対応力のない大学によって失望させられ続けています。学生の声に真摯に向き合い、学生の限りある4年間を大切にしてもらいたいです。

【連絡先】                       
大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会  
連絡担当  細川 孝                  
〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67 龍谷大学経営学部
e-mail:hosokawa@biz.ryukoku.ac.jp


2018年03月11日

北大職組、「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

北大職組
 ∟●「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解(2018年3月9日)

「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

2018年3月9日 北海道大学教職員組合執行委員会

 北海道大学教職員組合は、2018 年 1 月 30 日の団体交渉において、いわゆる「5 年雇い止め」ルールの撤廃を求めた。これに対し徳久事務局長からの回答は、現状の取り扱いを変更するつもりはないということであった。組合から最長雇用期間が「5 年」であることの説明を求めたところ、事務局長からは①財政的理由、②プロジェクトは 5 年が多い、③他大学の状況を勘案、という 3 点が理由として挙げられた。この件について改めて文書で質問をする旨を伝えたところ、事務局長はこれを了とし事務で回答を行うと述べた。この経過を踏まえて、組合は 2 月 13 日付けで「有期雇用契約職員の最長雇用期間が 5 年であることに関する質問書」を提出、文書による回答を 2 月 20 日までに求め、2 月 27 日に回答を得た。回答に対する執行委員会の全体的な見解は以下である。

①回答によれば、「財政的理由」は追加的負担でも余剰人員の危惧でもなく、現状の雇用財源を確保することの負担である。多くの有期雇用職員によって大学の教育・研究体制が支えられている現状を考えれば、この雇用財源を確保することはむしろ大学運営の優先的課題であり、「5 年雇い止め」の合理的理由にならない。

②「プロジェクトは 5 年が多い」「他大学の状況を勘案」の 2 点について、これらが現時点での雇用上限が 5 年であることの合理的な理由になることを示しえていない。

③「雇い止め」と「新規採用」の繰り返しはむしろ大学運営のコストになる、という指摘について、反論しえていない。

④「雇用上限が 5 年」であることは「無期転換権の発生を阻止するための措置」であり、したがって改正労働契約法の趣旨に反し望ましいものではないという指摘について、反論しえていない。

⑤近年の雇用の不安定化が大きな社会問題となっており、その対応として雇用の安定をはかるために労働契約法が改正されたという経過を踏まえて、法の趣旨を実現するために大学運営ルールを変更するという観点がない。また無期転換権の発生を阻止するために雇い止めをすることは法の趣旨に反して望ましくないことは、厚労省の見解、文科省から国立大学に出された事務通知、首相の国会答弁で明確に述べられているが、これを考慮する姿勢がない。すなわち大学が持つべき良識、社会に示すべき姿勢、大学の社会的責任という観点が欠如している。

 すでに道内の国立大学のほとんどは「5 年雇い止め」の撤廃を決定、あるいは撤廃を検討しており、北大が「5 年雇い止め」を継続することは、むしろ特異な例として注目されつつある。法の趣旨にそう形で大学運営ルールを変更するというごく当たり前の措置を取らないことが、いかに大学の社会的信用を低下させるか、北大は自覚的になるべきである。そして何より「5 年雇い止め」ルールが、北大の運営に尽力した職員の就労機会を奪っていること、「仕事があるのに雇い止め」という理不尽な気持ちを無期雇用、有期雇用職員を問わず抱かせていることの深刻さを自覚すべきである。

 そもそも合理的な理由なしで、人の仕事を奪ってはならない。合理的な理由なしで人を雇い止めにしてもよい、ということを学生に示すことは、研究・教育機関としての大学にとって致命的である。北大の基本理念に「人権を尊重し社会的要請に的確に対応できる基盤的能力の育成」とあることを、忘れてはならない。有期雇用職員の雇用と生活を守るために、大学の円滑な運営のために、そして大学としての矜持を持ち社会的責任を果たすために、「5 年雇い止め」ルールを撤廃すべきである。このルールを維持すべき合理的、社会的理由はない。組合は改めて、5 年雇い止めルールの撤廃を求める。

 以下に質問状の各質問とそれに対応する大学からの回答、それに対する執行委員会の見解を示す。大学からの回答は青字、執行委員会の見解は赤字で示している。


全国国公私立大学における有期雇用者雇い止め規定撤廃,無期転換権の確立状況一覧 

全国国公私立大学における有期雇用者雇い止め規定撤廃,無期転換権の確立状況一覧 (2018年3月11日現在)
情報をお寄せ下さい。

北海道・東北地方

北海道大(全て×)
北海道教育大(全て×)
室蘭工業大(全て無期転換権○)
小樽商科大(非常勤講師○)
帯広畜産大(全て無期転換権○)
旭川医大(全て無期転換権○)
北見工業大(△)
札幌医科大(×)
北海学園大(全て無期転換権○)
酪農学園大(全て無期転換権○)
札幌学院大(一部を除き無期転換権○)
天使大(無期転換権○)
東北大(×)
山形大(×)
弘前大(×)
宮城大学(×)

宮城教育大(無期転換権○)
秋田大(無期転換権○)

東海・北陸地区

名古屋大(×)
金沢大(事務補佐員の無期転換○)
三重大(全て無期転換権○)
愛知教育大(全て無期転換権○)
浜松医科大(全て無期転換権○)
名城大(非常勤講師○,職員×)
愛知大(非常勤講師○,職員×)
日本福祉大
(全て無期転換権○
大同大
(全て無期転換権○
愛知学院大(嘱託,臨時職員○)
桜花学園(非常勤講師○)

関西・九州地方

神戸大(非常勤講師△)
大阪大(非常勤講師10年無期転換)
大阪教育大(非常勤講師無期転換○)
奈良女子大(非常勤講師無期転換○)
京都教育大(全て無期転換権○
奈良教育大学 (無期転換権○
広島大(×)

徳島大(全て無期転換権○
神戸市外国語大(非常勤講師で10年無期転換)
立命館大(×)
龍谷大(非常勤講師無期転換○)
京都産業大(非常勤講師10年で無期転換)
神戸女子大(×)
大阪工業大(5年で無期転換○)
関西学院大(非常勤講師10年で無期転換)
京都精華大学 (5年で無期転換○)
高知大(△)
長崎県立大(雇い止め撤廃)

弘前大、雇い止め 57人 団交は平行線

毎日新聞(2018年3月11日)

雇い止め 弘前大、57人 「無期転換」来月運用 団交は平行線

 非正規労働者が5年を超えて勤務した場合、希望すれば無期契約ができる「無期転換ルール」の運用が4月から始まるのを前に、弘前大で働く非正規職員57人が今月末で雇い止めとなる。職員組合は「法の趣旨に反する」として9日、大学側と団体交渉を行ったが、話し合いは平行線に終わった。

 団交後に記者会見した組合の宮永崇史執行委員長は、「雇用期間の無期転換を求め、就業規則の見直しなどを引き続き交渉していく」と決意を語り、「雇い止めとなる職員の支援も行う」と述べた。

 一方、同大人事課のの庄司聡課長は取材に対し、「青森労働局から法的問題はないと言われた。指導があった場合は対応を検討する」と説明。「限られた予算では(雇用継続は)困難」と話した。

 弘前大の職員就業規則は、非正規職員の雇用期間を最大5年と定めている。しかし昨年10月の「学長裁定」で資格や高度な技術を持つ職員の無期雇用契約が認められた。

 同課によると、勤務期間が5年となる非正規職員は現在92人。大学側はこのうち、看護助手や臨床工学技士など35人は「学長裁定」の対象として雇用を続ける一方、残る57人は今月末で契約を終了する方針。

2018年03月10日

長崎労働局、長崎県立大の無期転換逃れ、認めず

毎日新聞(2018年3月8日)

 繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。2人は、契約が更新されれば、契約期間が通算5年を超えた非正規労働者が期間の定めのない無期契約に替われる「無期転換ルール」の適用対象だった。

 今年4月から無期転換の申し込みが本格化するのを前に、大学に限らず多くの職場で転換目前の労働者を雇い止めする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。

 長崎県立大や全国一般長崎地方労働組合などによると、2人は学内のサーバー管理などをする、いずれもシステムエンジニア(SE)の男性。うち1人は2004年4月から1~3年ごと、もう1人も13年4月から1年ごとの契約更新などで働いてきた。ともに今年4月に契約が更新されれば、無期契約への転換を大学に申し込めるはずだった。

 しかし大学側は昨年10月、2人に雇い止めの方針を伝える一方「県立大での通算雇用期間が5年を超えない」との条件で新たなSEを募集。2人は「無期転換逃れだ」として大学に雇い止めの撤回を求め、労働局に大学への指導を求めた。

 労働局が昨年12月に大学に示した文書によると、労働局は2人が繰り返し契約更新されてきた上、大学が新規募集で「通算雇用期間が5年を超えない」との条件を付けた点などを踏まえ「雇い止めは客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と判断。「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘した。

 大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対応する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。

 非正規労働者の問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の中川拓弁護士(長崎県弁護士会)は「これまでは雇い止めにされた非正規労働者を法的に救済するのは難しかった。労働局が何度も契約が更新されている実態を重視し、強い姿勢を示した意義は大きい」と指摘する。【樋口岳大】

無期転換ルール

 有期労働契約を繰り返す非正規労働者の雇用安定のため、2013年4月施行の改正労働契約法で定められた。13年4月以降に結んだ有期契約が通算5年を超え、労働者が使用者に申し込めば期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。今年4月から無期転換の申し込みが本格化する。

5年雇い止め続発

 2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年」とした。このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいる。

 早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回。東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。

 非正規労働者の雇用問題に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「長崎労働局は合理的な理由がない雇い止めは許されないという当然の判断を示した。模範的な雇用者であるべき大学が無期転換逃れをすることは許されず、長崎労働局の指摘は他大学にも影響するだろう」と話した。

 同様の問題は大学に限ったことではなく、日本労働弁護団が今月3日に実施した無期転換問題に関する全国一斉ホットラインには約100件の相談が寄せられた。弁護団には医師や航空関連社員、研究機関など幅広い職種から相談があり、厚生労働省も無期転換に関する緊急相談ダイヤル(0570・069276)を開設するなどしている。

長崎県立大、労働局指摘で「雇い止め」を撤回

産経(2018.3.10)

 有期雇用契約を繰り返して働く非正規職員のシステムエンジニア(SE)の男性2人を「雇い止め」とした長崎県立大(同県佐世保市)が、長崎労働局から「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘され、撤回していたことが、大学への取材で分かった。

 改正労働契約法で4月以降、通算5年を超えて働けば無期契約への転換を申請できる「無期転換ルール」が始まる。2人は契約が更新されれば適用対象だった。

 2人は平成16年と25年から契約更新を繰り返しながら働いていたが、大学は昨年11月、「通算雇用期間が5年を超えない」との条件で後任を想定したSEを募集。2人は契約の継続を希望していたが、更新できずに事実上の雇い止めとなる見込みだった。同労働局は「雇い止めは合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と文書で大学側に指摘した。

 大学は「無期転換ルールを逃れる意図はなく、人材の流動性を保つための目安として5年とした」としている。既に2人に謝罪し、4月以降も雇用するという。


2018年03月08日

高知県立大雇い止め訴訟、元契約職員の請求棄却 地裁判決

毎日新聞(2018年3月7日)

 県立大(高知市)で勤務していた元契約職員2人が、雇い止めは不当として大学を運営する県公立大学法人と、県立大学後援会をそれぞれ相手取り、雇用継続と給与支払いを求めた訴訟の判決が6日、高知地裁であった。西村修裁判長は「更新の上限が3年以内と明確にされており、原告の採用後に一方的に就業規則が変更されたという事情もない」などとして2人の請求を棄却した。【松原由佳】

 判決などによると、原告の女性2人は2013年からそれぞれ県公立大学法人と大学後援会に勤務。年度ごとに契約を更新していたが、就業規則に規定された3年の雇用期間を理由に、15年度末で雇い止めになった。

 原告側は、3年の雇用期間が満了しても、従来は公募を通じて事実上優先的に再雇用されてきたと指摘。そのうえで、16年度から急に雇い止めされるようになったとし、解雇権の乱用に当たると主張した。また13年に施行された労働契約法の改正で、今年4月以降、同じ職場で通算5年以上働く有期雇用者は、無期労働契約に転換できるようになる。このため、その対象になる原告2人について大学側が雇い止めにしたと訴えた。一方、大学側は、契約職員就業規則で通算雇用期間の上限を3年と明記しているなどと反論していた。

 西村裁判長は、大学側が団体交渉の場で、改正法の存在を強調するような答弁をしていたことに言及した。しかし、大学側が契約期間の上限を明記していたことや、契約職員から準職員になる制度を当時設けるなど、正規雇用主体の職員構成に転換を進めていた点を重視。「16年度に公募をしなかった判断が直ちに(無期労働契約への転換について定めた)労働契約法18条に反するものであったとは言い難い」として、原告の訴えを退けた。

   ◇ ◇

 閉廷後、原告女性2人と支援者らが高知市の高知弁護士会館で報告会を開いた。

 原告女性の1人は「誰かが声を上げないと何も変わらない。私たちの裁判を通じて同じように苦しむ全国のみなさんの心の支えになることを切に願う」と話した。また今回の争点の背景になった労働契約法の改正について「働き手を守るための法律が、逆に私たちを追い詰めることになっている」と訴えた。2人を支援してきた県立大教職員組合の田中きよむ委員長は、「無期雇用への転換を阻む脱法行為。労働契約法を改正した意味があるのか」と語気を強めた。


私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額をもとめる国会請願

私立大学生の学費負担の大幅軽減と私大助成の増額をもとめる国会請願

【請願趣旨】
 現在、日本の私立大学・短期大学(以下「私立大学」)には、大学生全体の約73%(2017年度・約225万人)が学んでいます。数多くの卒業生が日本社会のさまざまな分野で活躍するなど、私立大学はたいへん大きな役割を果たしています。

 しかし、私立大学の学生・父母等は、非常に重い教育費負担を強いられています。私立大学学部の初年度納付金の平均額は131万6816円です。高校入学から私立大学卒業までにかかる入在学費用は1人当たり1000万円近くにも上ります 注。
教育は人類にとって必要不可欠な営みです。誰もが教育を受ける権利を有し、教育を受ける機会は均等に与えられなければなりません。諸外国では、高等教育を無償としている国も数多くあります。ところが日本では学費が非常に高額なうえ、奨学金のほとんどが貸与=ローンであり、卒業後の返済額は多額で「奨学金破産」が社会問題となっています。昨年から「給付型奨学金制度」が開始されましたが、対象者も給付額もごくわずかで、極めて不十分なものです。こうした中で、多くの私立大学生が学業に専念できない状況に置かれています。

 2012年に日本政府が国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項の受け入れを決定したことを踏まえれば、高等教育を含む全ての教育費の無償化をすすめていくべきです。
あわせて、私立大学と国公立大学との間には、国の財政支援に大きな格差があります。国から私立大学への補助(私大助成)を学生1人当たりに換算すると約14万円ですが、国立大学への交付額は学生1人当たり約180万円です。国立大学も私立大学も法律上、同等の高等教育機関であり、このような格差を放置すべきではありません。
1975年に私学振興助成法が制定された際、参議院は附帯決議で経常的経費の2分の1補助を速やかに実現することをもとめました。その後、補助率は29.5%(1980年度)にまで達したものの後退し、現在では9.9%(2015年度)にまで低下しています。そのため、私立大学は学費収入に依存せざるをえない財政状況にあります。

 以上のことから、次の各事項の施策の実現を請願します。

【請願事項】
1.私立大学生の学費負担を軽減するため、以下の施策を速やかに実施してください。
  ①「給付型奨学金」の給付額と対象人数を増やしてください。
②高校で実施されている「就学支援金制度」を大学生にも拡大してください。
③無利子奨学金の貸与基準を見直し、希望者全員が受給できるようにしてください。
2.奨学金の返済は、卒業後の本人所得に応じて負担が緩和されるよう改善してください。
3.大学の学費無償化に向けた計画を立案してください。
4.私立大学の経常的経費の2分の1を補助するよう私大助成を増額してください。

日大授業 外部委託が再浮上、団交で示す 偽装請負の疑い

しんぶん赤旗(2018年3月8日)

 日本大学が危機管理学部とスポーツ科学部で、英語担当の非常勤講師15人全員に雇い止めを通告した問題で、授業を外部業者に委託する計画が再浮上していることが分かりました。首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉(2月28日)で日大側が明らかにしました。

 文部科学省の見解では、大学が授業に責任をもつために「実際に教育にあたる教員」は直接雇用すべきだという原則を示し、外部委託や業務請負に歯止めをかけています。

 日大の授業外部委託計画は、学部当局が昨年11月、非常勤講師に雇い止めの理由として説明していました。

 非常勤講師組合は、新設学部の文科省認可に反する計画だと批判。日大は昨年12月13日に文科省から聞き取り調査を受け、その後の団体交渉では、授業は専任教員が担当するかのように回答しました。

 ところが、今回の団体交渉で日大側が明らかにしたのは、「ウエストゲイト」という外部業者の講師が実際の授業、採点を行い、専任教員はその場にいるだけという脱法計画でした。

 専任教員を教室に配置しても、外部委託講師と連携するために指示を出せば「偽装請負」という違法行為になります。「実際に教育にあたる教員」を直接雇用する原則に反し、専任教員は自分で指導できない授業の単位認定の責任だけ取らされる恐れがあります。

 また、専任教員は外部委託講師の授業に出席するだけだから負担が軽いものと扱われ、週10~12コマ程度に出席させられます。もともとの自分の担当授業と合わせて、90分授業を毎日3~4コマ出席し、満足に研究時間を取れない恐れがあります。

 日大は、専任教員が専門研究の成果を教育に還元していることを魅力としてアピールしています。学生にとっても、研究を反映させた授業を受けられなくなります。

 日大側は、非常勤講師組合との団体交渉では、まだ外部業者との契約を結んでおらず、3月中旬に再回答するとしています。本紙は、偽装請負の疑いなどについて日大に問い合わせましたが、7日までに回答はありませんでした。


2018年03月06日

大学VS教授 解雇巡る法廷バトル次々 学長権限強まり

朝日新聞(2018年3月2日)

 私立大学の教授らが解雇を巡り、大学側と訴訟などで対立するケースが相次いでいる。教職員組合によると、2014年に学長権限を強めた改正学校教育法が成立した後に目立つようになったという。

 名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)を懲戒解雇された元教授2人は17年12月、解雇無効などを求めて提訴した。元教授は大学を運営する学校法人名古屋自由学院の教職員組合の正副委員長だ。

 訴状によると、元教授は17年10月、教職員用メールボックスに組合ニュースを投函(とうかん)したところ、就業時間内に組合活動をしたなどとして処分されたと主張している。元教授は「組合活動などを理由に解雇されたのは不当。大学内での自由な言論、表現活動、妥当な協議が非常に困難になっていることの象徴だ」と訴える。2月19日に第1回口頭弁論があり、学院側は請求棄却を求めた。取材に対しては、「訴訟継続中のためコメントできない」と文書で回答した。

 全国162の私立大の教職員組合が加盟する日本私立大学教職員組合連合によると、17年は少なくとも北海道や千葉県など計15大学で教職員の解雇をめぐる訴訟や不当労働行為の救済申し立てなどがあった。私大教連の担当者は「改正学校教育法が成立してから増えた」と話す。

 法改正は、グローバル競争力の強化など大学改革を進めやすくすることを目的に学長の権限を強めるのが狙い。14年8月には、文部科学省が「学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することが重要」と全国の大学に通知した。

 私立大では、私立学校法で最終的な意思決定機関とされる理事会の権限が強まった。学長選の廃止や、教授会の審議なしでカリキュラムや学部を再編する動きが広がっている。

 こうした中、運営をめぐって、大学側と教員側の対立が目立つようになった。

 追手門学院大(大阪府茨木市)は、改正学校教育法の成立前から改革を進めてきた。13年に教授会規程を改定し、審議事項から教員人事や重要事項を除外。学長は理事会選任とし、教職員による投票を廃止した。

 こうした動きに対し、「大学の民主的な運営を阻害する」と、教授会などで批判してきた元教授2人が、15年10月に懲戒解雇された。卒業生が在学中に所属した部の顧問からセクハラを受けたとして11年に起こした訴訟を、元教授が企てたというのが処分理由だという。懲戒処分説明書には「学院を被告とする訴訟の提起を教唆し、あえて記者会見を画策し、学院の名誉及び信用を毀損(きそん)した」と記されている。

 元教授は追手門学院大を運営する学校法人に、解雇無効などを求めて係争中だ。元教授は「解雇の真の理由は、大学の自主性、自立性を守り、大学の民主的運営に力を尽くそうとする原告らが目障りで排除しようとした」と主張する。

 大学側は取材に対し、「ガバナンス改革の目的は教育力の向上にある。すべては学生のため」と反論。処分については、「係争中の案件で主張は裁判で明らかにしていく」とした。

 中京大(名古屋市)を解雇された元教授も解雇無効などを求めて16年12月に提訴した。訴状によると、元教授は15年ごろ、理事会から内密に学部改組への協力と学部長辞退を求められたという。「拒否したら過失をさかのぼって処分された」と主張。15年に学生の個人情報が入った私物のパソコンを紛失したことなどをとがめられたとした。

 取材に対し、中京大広報部は「係争中なので回答を控えさせていただきたい」とコメントした。(小若理恵)

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 姉崎洋一・北海道大名誉教授(教育法・高等継続教育論)の話 こうした問題は、国の大学改革と連動した新しい事態といえる。国立大は学長、私立大は学校法人の理事会の権限がそれぞれ強まった。コーポレートガバナンス(企業統治)の考え方が持ち込まれ、教授会の権限を縮小し、トップの判断を最優先する法改正の弊害が直接的に表れた事例だ。企業と同じ経営手法の適用には無理があり、学問の自由を保障された大学が死んでしまう。労働組合の活動を制限し、組合ニュースのポスティングなど微々たることで懲戒解雇するのは、不当労働行為に当たる。