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 カテゴリー 2019年02月

2019年02月27日

岡山短大解雇事件、「授業担当なし」調停申し立て

NHK岡山(2019年02月25日)

「授業担当なし」調停申し立て

倉敷市にある短期大学の視覚障害のある准教授をめぐり、授業の担当から外した措置は無効だとする判決が確定したあとに、短大側が新年度も授業を担当させない決定をしていたことが分かりました。
准教授は労働局に調停を申し立て、「話し合いのテーブルについてほしい」と述べました。

倉敷市の岡山短期大学に勤務する山口雪子准教授(54)は、病気が理由でほとんど目が見えません。
3年前、授業中に飲食をしていた学生を注意できなかったことなどを理由に授業の担当から外され、「障害を理由にした差別だ」として運営法人を相手取って裁判を起こし、去年11月、最高裁判所が短大側の上告を退けて担当を外した措置は無効だとする判決が確定しました。
ところが山口准教授の弁護士によりますと、判決の確定後、教壇への復帰を申し入れたものの短大側は協議に応じず、先月、「新年度の担当授業はない」と連絡があったということです。
このため山口准教授は25日、短大側に協議に応じるよう求める調停を岡山労働局に申し立てました。
申し立てのあと、山口准教授は記者会見を開き「短大側は問題から目を背け続けている。話し合いのテーブルについてほしい」と話していました。
一方、短大の弁護士はNHKの取材に対し「授業を割り当てなかったのは准教授の研究実績に基づいた決定だ。調停については労働局から連絡を受けていないのでコメントできない」と話していました。


2019年02月26日

岡山短大解雇事件、大学は最高裁の解雇無効判決にもかかわらず職場復帰を拒否

現在ビジネス
 ∟●突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き(田中圭太郎)

突然教員を辞めさせられた、視覚障害をもつ准教授の嘆き
最高裁判所の判決にもかかわらず…

岡山短期大学幼児教育学科の准教授が、2016年3月、視覚障害を理由に「指導能力がない」と教職を外された。准教授は教職への復帰を訴えたが、岡山短大はこれを認めず法廷闘争に発展。18年11月、職務変更を無効とする判決が最高裁で確定し、准教授が勝訴した。

ところが19年1月、岡山短大は准教授の教職復帰を引き続き認めず、事務職として働かせる決定をした。表向きの理由は「授業の担当教員の変更」と説明し、障害が理由ではないという。しかし、その背景に浮かび上がるのは、准教授への差別だ。問題の経緯と、現状を取材した。

岡山短大による職務変更命令は「不法行為」

「教員能力が欠如しているとして授業を外されましたが、裁判所は職務変更が無効だと判断してくれました。にもかかわらず、今年4月以降も私は授業を担当できないのです。私は大学に謝ってほしいわけではありません。以前のように教壇に戻してほしい、ただそれだけです」

教職への復帰を訴えているのは、岡山短大幼児教育学科の山口雪子准教授(54)。遺伝性の網膜色素変性症を患いながら、博士号を取得後、1999年に講師として採用され、2007に准教授になった。自然の中での遊びや科学遊びなどを通して、幼児の好奇心を引き出しながら教育を実践する「環境(保育内容)」の科目を専門にしている。

山口さんが岡山短大で講師をするようになったのは、博士課程を学んだ岡山大学資源生物科学研究所(現在は資源植物科学研究所)の教授からの紹介がきっかけだった。「短大なら視覚障害があっても安心して勤められるだろう」と紹介されたのだ。

山口さんの視力は0.2ほどあるものの、網膜色素変性症は視野が徐々に狭くなる病気だ。「映画館のスクリーンが徐々になくなっていく感じ」と山口さんは説明する。暗いところで物が見えなくなる夜盲も起きる。

罹患していることがわかったのは、小学校の入学前検診の時。兄も同じ病気だったことから気がついたという。小学校の頃は0.5ほどの視力があり、症状はいまと同じでゆっくり進行していた。山口さんは小学校から高校までずっと普通の学級で過ごしている。

病気の進行には個人差があり、20歳くらいで目が見えなくなる人もいれば、高齢でも視力が残る場合がある。自分の病気を理解した山口さんは、自分のしたいことを仕事にしようと研究者の道に進むことを決意。日本大学の農獣医学部(現在の生物資源科学部)で農芸化学を専攻。大学院で修士課程を卒業後、一旦就職して、岡山大学の研究所で再び学んだ。

岡山短大では当初、生物学を教えていたが、「環境」という新たなテーマに取り組むようになって、大きなやりがいを感じるようになったという。

「ふだん、土いじりや虫を嫌う文系の学生が、幼い子どもたちと一緒だと自然の中で興味を持って活動してくれます。野外での活動や、シャボン玉などの科学遊びを、幼児教育にどのように取り入れていくかを考えてきました。面白い研究テーマをいただいたと思っています」

研究や授業を進めるうえで、視覚障害はほとんど支障がなかった。現在の視力は、目の前で手を上下左右に振ると、その様子は見えるものの、指の数まではわからないという状態だが、長年の経験もあり、今後も授業を続けることについて問題はないと思っている。

しかし、山口さんは16年3月以降、「指導能力が欠如している」として大学から突然授業を外されたのだ。大学はその年の1月、教職から事務職への職務変更と、研究室からの退室を通告。山口さんが弁護士を通じて教職への復帰を求めたが、大学は応じない。非公開で地位保全の仮処分を申し立てて和解の道も探ったが、これにも大学は応じなかった。

他に方法を失った山口さんは、16年3月に大学を提訴。一審と控訴審は、山口さんの職務変更と研究室からの退去を無効とし、大学に110万円の支払いを命じた。18年11月、最高裁で判決が確定した。

判決では、職務変更が必要だと大学が主張する理由は、補佐員による視覚補助で解決が可能だとして、職務変更は不法行為と指摘。山口さんが授業をする権利までは認められないものの、専門分野について学生を指導する利益はあり、山口さんに著しい不利益を与える行為だと結論づけた。

ところが大学は今年1月7日の教授会で、今年4月以降も山口さんの担当授業はないと決定。やはり事務職への職務変更を曲げなかったのだ。その理由は、山口さんが担当していた専門分野の授業は「別の教員が担当者として適任」であり、その他の一般教育科目は「履修者が少ないために開講しない」というもの。つまり、大学はあくまで教員の交代と科目の消滅で「担当教員から外す旨の決定ではない」と主張している。

視覚障害を理由に「指導能力がない」

では元々「他に適任者がいる」という理由で、山口さんが授業から外されたのかと言えば、そうではなかった。最初に動きがあったのは14年1月。

当時、幼児教育学科に在籍していた事務担当の派遣職員が、山口さんの業務の補助をしていた。以前よりも病気が進行していた山口さんは、派遣職員が自ら「手伝えることはありませんか」と声をかけてくれたことから、書類のレイアウトの調整や、印刷物や手書き文書の読み上げなど、視覚障害のためにできない作業の補助をお願いしたという。

にもかかわらず大学は、派遣職員の契約が14年2月に満期を迎えることを理由に、山口さんに「今年度で辞めたらどうですか」と言ってきたという。次に着任する職員には、視覚障害をカバーするための補助作業はさせられないからと、山口さんに退職勧奨した、というのだ。

この時は山口さんが自費で補佐員を雇うことで、退職を回避した。補佐員は週に2、3日、1日5時間ほど出勤し、研究室での補助や、授業での出欠の確認などを手伝っていた。

ところが16年1月、大学が今度は「山口さんには指導能力が欠如している」と言い始め、教職をやめるよう迫ってきた。山口さんによると、その理由は次の2点だったという。

ひとつは、山口さんがゼミで教えていたある学生が、同じゼミの学生と仲が悪くなり、ゼミが楽しくないと他の教員に伝えたことを、大学が山口さんへのクレームとして大きく扱ったこと。もうひとつは、山口さんの授業中に抜け出している学生がいるが、山口さんが視覚障害のために注意できない、というものだった。

山口さんは16年2月、代理人弁護士を通じて、話し合いで解決するよう求めた。しかし大学の態度は頑なで、さらにいくつもの理由をつけてきた。視覚障害のために授業中にスマホをいじっている学生を注意できない、無断で教室を退去する学生を注意できない、など。

大学は特に、授業中にカップラーメンを教室で食べていた学生がいたにもかかわらず、山口さんの視力が弱いために気づかず、注意できなかったことを大きな問題にした。しかし、それなりの分別があるはずの短大の学生による問題行動を、目が見えなくて気づかず注意できないのが悪いと、全て山口さんに責任を押し付けるのはいかがなものだろうか。

山口さんはこれまで20年近くにわたって授業を担当してきた。講師から准教授にもなった。それなのに大学は、視覚障害があるために学生の問題行動を注意できないから指導能力がないと突然言い始めたのだ。

本来は、視覚障害がある山口さんの補佐は、大学が合理的配慮によって考えるべきことだ。しかし大学は、配慮はせず、教員から外してしまった、ということだ。

教育者を育てる大学なのに

山口さんの裁判や教職への復帰については、「支える会」が結成されて、多くの人が支援している。16年5月には視覚障害がある全国の大学教授が文部科学省で会見し、「視覚障害がある大学教員は不適格などと、私たちは言われたことがない」「ナンセンスだ」と声を上げた。この時点で視覚障害の大学教員は少なくとも全国で25人いた。

勝訴確定後の18年12月15日には岡山市で、16日には東京・新宿区で「支える会」の集会が開かれ、山口さんが教壇に戻れるように活動を続けていくことを確認した。

16年4月に施行された障害者差別解消法は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を目的としている。岡山短大の行為は、法の趣旨に反していると言える。

厚生労働省は、障害者雇用促進法の観点からも、問題があると捉えている。最高裁での判決確定を受けて、18年12月末には岡山労働局が岡山短大を訪れ、「障害者であることを理由とする差別を禁止」し、「合理的な配慮を当事者と事業主との間で話し合い、必要な措置を講じること」を定めている法の趣旨を説明した。

その後、19年1月に岡山短大が山口さんに授業をさせないと決定したことについて、厚生労働省障害者雇用対策課の担当者は「問題が多い状況だと考えている」と話している。しかし一方で、岡山短大に対する指導については、「裁判になった時点で指導、監督などの行政行為は行うことができない」と及び腰で、「岡山短大には判決内容に基づいて、自主的に解決を図るように務めていただきたい」と述べるに留まっている。

岡山短大は自主的に解決を図る考えがあるのだろうか。今年4月以降も山口さんを授業から外す決定をしたことについて、改めて岡山短大に聞くと、「代理人弁護士からお答えします」とノーコメントだった。

代理人弁護士は「授業の担当者は毎年教授会にかけて決定しています。この度の決定は、専ら研究教育実績に基づいて判断したものであり、視覚障害は理由ではありません」と話した。岡山短大としてはこの問題は「解決した」という態度だ。

しかし、岡山短大は「16年4月以降山口さんの職務を変更したことは無効」とする判決を無視していると言えるのではないか。山口さんは今、大学の態度に、怒りよりも残念な気持ちを抱いているという。

「かつては、私が廊下を歩いていて障害物に当たりそうになったら、教職員も学生も声をかけて教えてくれました。しかし現在は、廊下でドアにぶつかっても見て見ぬ振りをする人が多くなっています。教育者を養成する大学で、言葉では思いやりが大切といいながら、視覚障害のある私を差別し、村八分にして、学生は何を学ぶのでしょうか。

人間ですから間違うこともあります。その間違いを認めて、乗り越えていけば、大学もよりよく発展できると思うのです。しかし、裁判所に間違いを指摘されながらも、変えることができない大学の態度には悲しいものがあります。

私は障害があっても、自分の好きなこと、得意なことを見つけて頑張れば、社会の中で輝けるということを知りました。もう一度教壇に戻って、支え合い、認め合うことで、豊かな社会になるのだということを、学生に伝えたいと思っています」

復職したいという思いの一方で、教育者を要請する大学で起きている障害者差別をこのまま見過ごすわけにはいかない。そう考える山口さんは2月25日、障害者雇用促進法に基づいて、岡山短大と協議をするための調停を岡山労働局に申請した。今後も大学に協議の場を持つように求めていく考えだ。


2019年02月23日

東京私大教連、淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明

■東京私大教連

淑徳大学不当労働行為救済命令取消訴訟の東京地裁判決に関する声明

 2019年2月21日、東京地方裁判所は 学校法人大乗淑徳学園(以下、学園)が国を被告として提訴していた不当労働行為救済命令取消請求訴訟(平成 29 年 (行ウ) 第 505 号)について、中央労働委員会(以下、中労委)が出した不当労働行為救済命令の正当性を全面的に認める判決を出しました。この行政訴訟で争われた学園の不当労働行為は、以下の内容です。

 淑徳大学教職員組合(以下、組合)は、淑徳大学国際コミュニケーション学部の募集停止 (2017年3月学部廃止)を理由に、同学部教員に対して解雇が予告された事態を受けて 2015年3月に結成され、東京地区私立大学教職員組合連合(以下、東京私大教連)に加盟しました。しかし組合に対し、学園は以下のような異常な不当労働行為を繰り返しました。
 (1)学園は、大学構内での組合活動は就業規則違反であるとして一律に禁止する通知を組合に発し 、違反した場合の懲戒処分を示唆しました。また、東京私大教連が組合に送付した郵便物の取次ぎを拒否し、これを返送あるいは組合委員長の自宅に着払いで転送するなど、組合と東京私大教連との円滑な連絡を妨害する行為を繰り返しました。さらに 団交申し入れ等の日常の連絡も、文書郵送以外は認めないとするなど、異常な組合否認 にもとづく支配介入を続けました。
 (2)学園は、組合の団交申し入れに対し、当初 「場所は学外、時間は1時間、出席者は 3 名程度 、録音は禁止」 等とする一方的な開催条件に固執し、組合がこれに従わない限り交渉を行わないとする団交拒否を行いました。その後、場所は学内とするものの出席者は学内の者に限るなどの、組合が受け入れられない条件に固執しました。その結果、組合結成以来一度も団交が開催されていません。

 東京都労働委員会(以下、都労委)は 2016年11月に学園に対して、不当労働行為を直ちに止め、団体交渉に応じるよう命令を交付しました。学園はこの命令を不服として、再審査申立を行いましたが、中労委も2017年10月に、学園に対して都労委命令を履行せよとの命令を交付しました。そして学園がこの中労委命令を不服として訴訟を起こした今回の取消請求訴訟において、東京地方裁判所は中労委命令の正当性を認定したのです 。

 また、今回の行政訴訟判決とならんで、東京地方裁判所は学園に対し、2017年3月に淑徳大学を解雇された三教員の経済生活上・社会生活上の窮状を鑑みて 、直ちに都労委命令を履行し 、組合に対する支配介入を止めて団体交渉に応じるよう、緊急命令を交付しました。三教員の解雇から、すでに二年以上が経過しています。三教員の速やかな救済のために、私た ちは学園に対し控訴することなく、また東京地方裁判所の緊急命令に従うことを要求します。また、解雇された組合員の解雇撤回と、大学教員としての雇用継続を強く求めるものです。

2019 年 2 月 21 日
東京地区私立大学教職員組合連合
淑徳、大学教職員組合

団交拒否を巡り、淑徳大の請求棄却 東京地裁

朝日新聞(2019年2月22日)

 淑徳大(千葉)が、解雇対象の元教授らがつくった労働組合との団体交渉拒否を不当労働行為だと認定した中央労働委員会の命令の取り消しを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。春名茂裁判長は「(教授らの労組は)労働組合法に適合する」として請求を棄却した。元教授らは今後、解雇撤回を求める団体交渉を申し入ログイン前の続きれるという。

 淑徳大は2017年3月に国際コミュニケーション学部を廃止。この際、希望退職募集に応じなかった教授3人が労組をつくって雇用の維持などを求めたが、大学側は拒否。東京都労働委員会が16年11月に団体交渉の拒否などの不当労働行為を認定して交渉に応じるよう命令し、中労委も17年10月に都労委の命令の履行を促す決定をしたが、大学側は「法に適合する組合ではない」として提訴していた。

 淑徳大は「控訴も含めて検討していく」としている。


2019年02月15日

札大元准教授の請求棄却、雇い止め訴訟で札幌地裁

北海道新聞(2019/02/14)

 札幌大に雇い止めされたとして、元特任准教授の女性(45)が同大を相手取り、解雇の無効などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(武部知子裁判長)は13日、原告側の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 判決によると、女性は2010年度にロシア語担当の特任教員となり、1年ごとに契約を更新。大学側は15年度の契約更新時に「17年度以降の雇用を保証しない」との条項を契約書に加え、17年2月、3月末で契約を打ち切ると通知した。

 労働契約法は、有期労働者が契約更新を期待することに合理的理由がある場合、使用者は更新を拒めないと定める。原告側は、同大が14年2月に特任教員の雇用期間の上限を5年から9年に延長したことなどから「合理的理由があった」と主張していた。


2019年02月14日

札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟、札幌地裁不当判決(2019年2月13日)

札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

「札幌大学特任准教授による地位確認および未払い賃金請求訴訟」
札幌地裁判決に対する教職員組合の声明

2019年2月13日

1.札幌大学教職員組合が本裁判を支援し続けてきた理由

 札幌大学教職員組合は、訴訟準備の段階から、本裁判を支援し続けてきました。その理由として、以下の3点が挙げられます。

 第一に、学校法人札幌大学(以下「法人」と略称)は、労働契約法等の改正に伴い、一定期間(10年)継続して勤めれば無期雇用へと転換を望めるとする規定を逆手にとって、その一定期間(9年)内でしか有期雇用契約は継続できないとの内規まで設けました。一定期間間近になれば直前で雇い止めされることが考えられるため、労働契約法は、継続雇用の期待があってしかるべき場合には、その期待権を保障するという形にまでなっています。にもかかわらず、こうした点を全く無視するということは、有期雇用契約の教職員を好き勝手に雇い止めできることになります。その根底には彼ら有期雇用の教職員に対する軽視があり、労働者の団体である教職員組合としては、本裁判の支援を通じて、そうした法人の有期雇用職員への態度の是正を求めたいという考えがありました。

 第二に、現在の日本の大学では、無期雇用の専任教員だけでなく、特任教員、助教や非常勤講師のような様々な有期雇用の教員も大学教育を支える重要な担い手となっています。にもかかわらず、法人が有期雇用の教員を単なる目先の「調整弁」としてのみ考え、彼らの待遇を変化させるような近視眼的な大学経営は、中長期的な継続性が求められる大学教育の維持・向上を難しくし、本学の存続すらあやうくなり、この大学で働く全ての教職員の労働環境の悪化を招くことになります。この点からも、職場の労働環境の維持・向上を守ることを使命とする教職員組合が、本訴訟を支援するのは当然といえるでしょう。

 第三に、大学の人事は、カリキュラムを通して学生に良質な教育を供給するという、大学の本質に関わることです。それが研究や教育の業績ではなく、単に縁故があるとか、友人関係であるからで左右されてはならないはずです。だからこそ、大学には教員採用のための詳細な規則が定められています。そうした規則に照らしてみても、原告には何の問題も無く、むしろ積極的に招聘すべき人材です。こうした状況を無視して雇い止めすることは、本学全体の評価を下げることになり、本学のこれからの発展にも大きく影響するでしょう。こうした法人の恣意的かつ独裁的な経営姿勢は、教職員や学生、卒業生など札幌大学に関わる全ての人々に対する背信行為です。教職員組合として到底容認することはできません。
 
2.法人に対する組合見解

 本裁判で明らかになったのは、自分たち内部の都合でしか考えない、法人執行部による大学の私物化でした。しかし、50年以上も続く札幌大学を支えてきたのは、現場で働き、大学教育を支えてきた全ての教職員一人一人です。裁判を契機に、法人は大学で働く教職員の労働環境を悪化・破壊してきたという根本的な問題を直視し、労使が協力してこの問題と誠実に向き合い、全教職員が働きやすい労働環境を作っていくことこそが、本学再生の道です。

 また、本裁判を通じて明らかとなった理事らによる一連の行為は、大学を私物化する無責任なものであり、到底学校法人の経営責任を負う者とは言えません。理事長をはじめとする理事会には猛省を求めます。

以上

大学オンブズマン、龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1

大学オンブズマン
 ∟●龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会通信NO.1

 京都では梅の季節を迎え、春がすぐそこに来ているのが感じられます。「全国連通信NO.1」をお届けいたします。先月16日以降の短期間ではありましたが、84名の方が呼びかけ人としてご参加いただきました。大学の自治(ガバナンス)のあり方を争点・論点とした今回の李先生の提訴が投げかける意味を受けとめていただいたものと思います。このことは、本「通信」で掲載しました「寄せられたメッセージ」にも表れています。今後、支援の輪を一層広げ、大学運営の合理性・民主性に資する活動を進めていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
2019年2月13日 大学オンブズマン理事会

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「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

2019年2月10日

 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。
 いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。
 「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。
 このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。

1.この間の経緯

1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。
この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。
2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。
それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。
3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。
1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。
そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。
紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。
4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。
5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。
6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。
以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。

2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性―

4 被告の行為の違法性
(1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反
ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。
             ・・・・・・略・・・・・・
イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。
このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。
また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。
そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。
したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。
・・・・・・略・・・・・・
5 被告大学の不法行為・債務不履行責任
(1)使用者責任(民法715条1項)
被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。
したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。
12(2)就業環境配慮義務違反
、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。
しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。
したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。

3.会の取り組み内容

1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。
2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。
3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。

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呼びかけ人名簿(50音順) <2019年2月10日現在、一次分84名>
青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚司(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。
以上84名

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全国連事務局に寄せられたメッセージ(その1)  (2019年2月12日現在)

お送りいただいたメール、添付文書拝見しました。一読後、「龍谷大学経営学部たるものが!」ということが、率直な感想です。大学の在り方を社会的に問う、という意味ではたいへん重要な取り組みだと思います。呼びかけ人に加わるのは異議ありません。

寒中お見舞い申し上げます。また、お返事が遅くなったこと、申し訳ありません。書類を読ませていただきました。未ゼミ問題に端を発している問題で学生の学習権保障のために必要な取り組みであろうと思います。龍谷大に限らず他大学でも同様の問題が生じていることは聞いていますので、重要な問題提起になるものと思います。はなはだ力不足であるとは思いますが、呼びかけ人の一人として参加できればと思います。よろしくお願いいたします。

ご連絡ありがとうございました。また、有益な資料もありがたいです。李洙任先生が京都地方裁判所に提訴された件での「呼びかけ人」を喜んで引き受けます。大変光栄です。

ご苦労さまです。送っていただいた資料ざっと拝読しました。呼びかけ人の件、承知いたしました。自治原則にもとづく職務の適正配置にたいする学部長らの妨害と受けとりました。実質はパワハラですね。

返信遅くなり失礼いたしました。丁寧なご依頼とご説明ありがとうございます。「大学および教授会の自治」のあり方を問う極めて重要な訴えと思います。「呼びかけ人」に是非参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

先生方のお働きが社会にも大きなインパクトを与えることを・与えることができることを願っております。2月2日にもできるだけ都合をつけて参加したいと思います。

委細、了解しました。私でよければ呼びかけ人になります。K大学でも、懲戒処分がこの2年で7件、うち1件が懲戒解雇、3件が降格処分です。すべてが裁判に入っています。K大学教員組合の執行委員として、微力ながらこの問題に取り組んでいますが、中々、困難です。

李先生の訴訟については私も京都新聞の報道その他で知りました。訴訟の趣旨については添付していただいた呼びかけ文によってさらによく理解できました。陰ながら応援をと思っておりましたところ、このような呼びかけ人に加わるという形で少しでもお役にたてるならば光栄に思います。

龍谷大学でも起こりましたか。それも教育課程そのものに係る事例であり、残念です。これからも全国的にこのような裁判が起こるかもしれませんね。大学(理事、教員)の劣化が進んでいるようです。私でよければ、「呼びかけ人」に連ねてもらって結構です。

李洙任先生は存じておりますが、このような状況になっているとは知りませんでした。私も呼びかけ人に加えてください。

今回の件、私もネットニュースを介して知りました。学部執行部はなにが嫌なんだろう?と不思議に思っておりました。今回の裁判は、手続き論的なところが論点になりがちですが、そういったところも明らかになるといいなと思っております。

お声かけありがとうございます。「自治」を争点とした裁判闘争は容易なものではないと思いますが、ご尽力をされる方々に頭が下がります。李先生のお訴えが実現するとともに、学校教育法改正後の法解釈に希望が持てる判決が出されることを強く願っております。ぜひ私も呼びかけ人に名前をあげてください。なかなかお手伝いできることは多くないかと思いますが、呼びかけの体制が整いましたら、積極的にカクサンいたします。チラシデータお送りください。

昨夜のご連絡をおどろきつつ拝掌いたしました。龍谷大学経営学部の李洙任教授の一件にかんして、私ごときでよろしいのでしたら「呼びかけ人」に名前をお入れくださってけっこうです。

今回の事件は、経営学部の教授会だけでなく理事会の経営責任も大きく問われるので、全学の共通の関心事項に引き上げるべきではありませんか。組合の果たす役割は大きいと思います。

この裁判、わたしも注目しておりました。呼びかけ人に加わりたいと思います。

「未ゼミ問題」とかあったんですね。知りませんでした。呼びかけ人にしてください。

龍谷大学の経営学部で未ゼミが深刻であるというニュースは、以前から知っていましたが、なぜそのような問題が起こるのか、原因は詳しく存じませんでした。

 資料から、教授会の私物化を狙う者が、職務権限を悪用して、教員人事採用を凍結し、彼らの抵抗勢力が退職などでいなくなってから自分達に都合の良い恣意的な人事を進めようとしている、そのあたりが真相でしょうか。

 当方は、現在、K大学の賃金不払い事件の3人の原告の一人で、K大学教職員組合の顧問です。そういう立場でよろしければ、呼びかけ人のご依頼をお受けします。

メールを頂戴いたしまして、有り難うございます。活動ご苦労様です。微力ですが、私も加わらせてください。どうぞよろしくお願いいたします。名前を出していただいてかまいません。私がすべきことをおっしゃっていただけましたら、させていただきたいと思います。ご指導お願いいたします。

ご連絡いただきました、李教授を支援する件、喜んで呼びかけ人に名前を連ねさせていただきたく存じます。この度の李先生を支援する「呼びかけ文」精読しました。経営学部のみならず、龍谷大学全体に多くの課題が山積していることはご指摘の通りで、李先生はそうした諸問題に風穴をこじ開けるべく、果敢に立ち上がられたことに敬意を表しますとともに、老いぼれの小生ではありますが、お役にたてるのであれば、是非支援したいと思います。

「呼びかけ人」の件、承知いたしました(力にはならないと思いますが・・・)。こうした問題の場合、とりわけ当事者は、膨大な時間を費やすとともに、大変なストレスとも戦わなければならないでしょうから、勇気と忍耐とを要することと推察しております。

何故、学部教授会が専門ゼミを持たせないのか、やはり、その理由が見えてきません。だれかが持ってもらえればいいと言えば、済むような問題だと思えてならないのですが…。

最近は大学の経営者が文科省に忖度する姿勢が強まっているようで気になります。学生の方も大学を就職のための手段と割り切っている者が大半で、ゼミの単位が卒業に必修でなくなっていることにも問題があると思います。その背景には大学本来の真理の探究、教養ある専門家の育成と言った目標が失われつつあり、日本の高等教育の将来像が描けないことが本質的な問題であろうと感じます。
先生の行動はそれに対する問題提起として賞賛に値しますが、先生が活動するだけでなく学生自身にこの問題を考えさせ、彼らの行動とさせることが必要ではないかと思います。安田講堂事件からちょうど半世紀になりますが、学生運動では行かないレベルで学生自らが学習し行動するようにし向けることが社会の現状を考えさせる教育になるのではないかと思います。
外部からですが若干コメントさせて頂きます。私が大学に在籍したのは半世紀前で、将に安田講堂事件があった時でしたが、大学のあり方を教官を含めて真剣に議論したことが有意義な思い出と同時に現在に至る研究活動のモチベーションになっています。昨年の11月にシンポジウム参加のために東洋大学を訪問したのですが、「文部科学省 スーパーグローバル大学創生支援採択」の宣伝を見て考えさせられました。戦前の文部省が大学自治に介入したことで有名な事例として挙げられる「哲学館事件」の当事者の大学が、文部省の後継官庁である文科省の支援を宣伝文句に使っていたからです。大学が学生の就職に有利なことを通じてビジネス的に成功することを目指すのであれば、資格教育を行う専門学校や業界団体が行う各種講習会と同じような役割で、学問の自由、研究の自由、大学の自治などはおそらく不要です。大学教員であることは、日本の高等教育に関わっている関係者・責任者として最低限そのような問題を自ら考えると共に学生に考えさせることが任務であろうと思います。その点に関して李先生は立派に任務を果たされていると思い、私も署名に加えさせて頂きましたが、このような活動を通じて多くの人が大学を中心とする高等教育の任務を考えることが必要と思います。以上、ご参考になれば幸いです。

私はゼミを通して人格的な陶冶があったと思っています。講義と違いゼミは教員と学生との距離が近いことが重要です。また、私自身が龍谷大学で学んだ時期に大きな意味があったと感じています。それは、自治が機能していたからこその学風だったと思います。ぜひ応援しなければと思います。


第1回公判
3月11日(月)13:00から、京都地方裁判所208号法廷です。
多くの方の傍聴をお願いいたします。12:50に裁判所1階玄関
内ロビー集合。裁判所は丸太町通り柳馬場東入る(御所南隣)


2019年02月11日

福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴

福岡教育大学の学長選を考える会
 ∟●福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件、大学側が全面敗訴

福岡教育大学が国を相手に提訴した「福岡教育大学不当労働行為救済命令取消請求事件」の最高裁の判決言い渡しがあったようです。
教職員組合の掲示板に「速報」が出てありました。最高裁判所の判断は、「上告棄却」だそうです。
これで、寺尾愼一前学長と櫻井孝俊現学長が犯した「不当労働行為」が、司法の場でも改めて認定されたことになります。
もはや、櫻井氏が寺尾氏を解任の上、自らも潔く辞職する以外に道はないと思います。
両名に対し、「犯罪的行の重大性を」諭した上で、訴訟費用を負担の上、退職金も辞退するべきではないでしょうか。

福岡教育大学の経営協議会・学長選考会議は、即刻しかるべき対策を講じる義務があります!

なお、福岡教育大学経営協議会学外委員・学長選考会議委員は、以下の皆さんです。

 学校法人目白学園理事長(元文科官僚)  尾﨑春樹 氏
 宗像市長(前福岡県議会議員・文教常任委員長)伊豆美沙子 氏
 福岡県教育委員会教育長          城戸秀明 氏
 福岡ECO動物海洋専門学校長       黒見義正 氏
 株式会社ビスネット代表取締役     久留百合子 氏
 学校法人博多学園理事長         八尋太郎 氏

教育関係者が多いことに驚かされます。
このうち、福岡県の城戸教育長は、福岡県労働委員会から「不当労働行為の救済命令」が出されてあったのを知ってあって、敢えて櫻井氏を学長に選んだ人です!!!
福桶県民に対して、寺尾氏・櫻井氏と。自身との関係の「透明性」をちゃんと説明する義務があります!!!

宗像市長の伊豆さんも、いったいどう思ってあるのでしょうか?この程度のこと問題ない???

福岡県民の皆さん、はどう思ってあるのでしょうか?!
もうわれわれは、うんざりです。

こんなことで日本の教育、福岡県の教育は大丈夫でしょうか?

この件、さらに緊急取材を続けて続報をお届けする予定です。


「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

■大学オンブズマン
 ∟●「龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

更なる呼びかけ人を募ります。連絡先は、uniomb@yahoo.co.jpまでお願いします。

「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」の呼びかけ文

2019年2月10日

 2019年1月11日、龍谷大学経営学部教授・李洙任先生は、京都地方裁判所に提訴されました。訴えの要点は後述の通りですが、この提訴は、大学運営の根幹である教授会運営のあり方、特にその民主的・合理的な審議、手続のあり方を問うものです。
 いま日本の国公私立大学全般のガバナンスのあり方が問われています。李先生の裁判は、この「大学ガバナンス」を問うものであります。
 「大学の自治」は「学問の自由」を制度化したものとされます。それは、市民から負託されたものであります。したがって、「大学の自治」は、大学人自らが大学の民主的・合理的運営を行なうことによってはじめて保障されるものです。
 このようなことから、わたしたちは李先生の裁判を通じて、大学の民主的・合理的運営について問うていきたいと考え、ここに李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけます。多くの方々に呼びかけ人としてご参加をお願いする次第です。

1.この間の経緯

1)2017年6月16日、経営学部の学生たちは、「専門演習」の数の少なさ・多様性のなさ等を理由に、要望書(訴え)を、多くの学生署名(327名)を添えて、学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に対して提出しました。この事態は少人数教育を教学理念とする龍谷大学および経営学部の現在のあり方の問題を顕在化させました。
 この事態は多くのテレビ、新聞等のマスコミによって報道され、一大学・一学部の問題を越えて社会問題化しました。大学関係者のみならず社会的な関心が高まりました。しかし、事態の改善は進まず、学生たちは教員有志とともに2017年10月30日、京都弁護士会の人権擁護委員会に人権救済申立を行いました。現在、予備調査を終え本調査が行われているところです。

2)こうした状況(「未ゼミ問題」)のもとで、李教授は数年にわたって、そして繰り返し「専門演習」の担当を教授会に対して正式に申し入れてきました。これに対し、前任および現在の経営学部長は、これを取り上げる(実質的審議に入る)ことなく、一貫して「門前払い」(排除)するための審議のみを続け、結果として李先生の「専門演習」担当の道を閉ざしました。
 それは、終始一貫、「最初に結論ありき」の対応であり、次々と「拒否する」理由を作り出していくという、教務主任が主導する学部執行部の対応が問題の根幹にあると言えます。したがって、李先生お一人の教学権問題にとどまらず大学運営および大学教育のあり方を厳しく問う問題です。

3)この「門前払い」(排除)とはいったい何か。教員自らが教学上で積極的な提案や取り組みを行おうとしたのに対し、主たる担当科目が(龍谷大学における)「専門教育科目」であるか「教養教育科目」であるかの区別によってのみ、その実質的審議に入ることなく排除されることは許されることではありません。また、職務的優位(学部執行部)にあるものの行為としては明らかにパワーハラスメントにあたります。それは、審議決定過程において看過することのできない手続き的瑕疵が多く存在することによって明らかであります。
 1991年のいわゆる「設置基準の大綱化」以降、各大学は「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別を廃止する方向で取り組んできました。「一般教育科目」と「専門教育科目」の区別は「教育の質」を確保する上での「壁」あるいは「障害」であり、この「障害」を打ち破り積極的に全ての教員がトータルに学部教育にあたることが大学教育の大きな課題であると考えます。
 そのようなもとで、李先生は1996年、経営学部への貢献と教養科目との融合に尽力する人材として採用されたと言えます。先生は、大学在学中は商学部で学士を取得し、アメリカの大学院で教育学博士を取得されました。異文化ビジネスコミュニケーション研究の経歴も考慮されての採用でした。
 紹介すれば、日本学術会議の2012年に出された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(経営学分野)」では、「社会洞察の一部としての経営学は単に専門科目としてのみならず一般教養科目としても位置づけられる」とし、また「経営学は教養科目の一つでもある」とさえ述べています。ここでは、「専門教育科目」と「一般教育科目」の区別を超克し、その統合を提案しているのです。

4)こうした「教育の質」の確保が喫緊の課題であるにもかかわらず、1)で述べたような実質的審議にも入らないで恣意的な「門前払い」(排除)の事態が生じたのです。このことは当該の経営学部長、教務主任および学部執行部による「権限の逸脱あるいは乱用」であると言わざるを得ません。

5)また、この事態を李先生は大学内のハラスメント委員会に訴えましたが、「各学部の教育課程の編成に関わる重要事項であり、各学部教授会において審議決定がなされる事項である」として申し立ては却下されました。李先生は、この結果に異議申し立てを行いましたが、監査委員会においても同様な結論になり、学長名での通知が李先生に対して行われました。「教授会の自治」の名によって、こうした「門前払い」(排除)の事態が容認されることは、大学の運営責任者としての学長のあり方も問わざるをえません。

6)李先生は学内での解決の道は閉ざされ、今回、やむなく提訴に踏み切られました。この事案は、旧態依然とした上記の「壁」を固定化するにとどまらず、より強固にしようとするものであります。そして、このことは学生の学習権の保障にとっても重大な「障害」となっています。冒頭で述べた学生の要望に応える意味でも、現行の学部教学のあり方(「壁」と「障害」)およびこの件についての大学執行部の関わり方は見直していかなければならないと李先生は考えられ、今回、提訴に踏み切られたのです。

 以上のことは李先生お一人の問題にとどまらず、高等教育の「教育の質」の確保にもつながる課題であると同時に、現在の日本の大学をめぐる諸問題に危惧をいだいている市民の関心事でもあると考えます。わたしたちが、李洙任先生支援の全国連絡会の結成を呼びかけるのは、このような理由からであります。多くの方々にご参加をお願いする次第です。

2.訴状より(一部抜粋)―被告行為の違法性―

4 被告の行為の違法性
(1)教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反
ア 教授会の運営においては、民主的・合理的な審議、手続が行われなければならないことは当然の条理である。したがって、教授会執行部が、教授会の構成員に対し、民主的・合理的な審議、手続を確保せず、一方的な決定を行うに至った場合は、教授会執行部の教授会運営、決定自体が、適正な審理・手続をとるべき義務に違反したものとして、違法であると評価される。
             ・・・・・・略・・・・・・
イ 本件においては、先に述べたとおり、被告教務主任による原告に専攻演習を開講させないことの理由説明は、内容を変遷させており、最初から原告に専攻演習を開講させないという結論ありきにて不合理な説明に終始したものといえる。
このように、理由の説明内容が変遷していること自体が、ありきの結論を導くために、本来考慮すべきでない点を後付にて考慮して結論を出そうとした他事考慮や、教授会審理における前提事実の重大な事実誤認を裏付けているといえる。
また、被告教務主任がこのような不合理な説明に終始してまで原告の要望をまともに審議しようとしなかったことからは、原告を学部内コースの専攻演習から排除し、かつ重大問題であるはずの未ゼミ問題を放置しようとする、不当目的があったことを推認することができる。
そして、被告前学部長・現学部長は、教授会の運営を取り仕切る学部長の立場にあったにもかかわらず、被告教務主任の不合理な説明内容を糺すことなく、むしろ被告教務主任の態度に同調し、未ゼミ問題解決のための原告からの提案・要望を教授会内でまともに審議しようとしなかった。
したがって、このような被告大学経営学部の教授会執行部の立場にあった被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の行為は、教授会の運営において適正な審理・手続をとるべき義務に違反しており、違法である。
・・・・・・略・・・・・・
5 被告大学の不法行為・債務不履行責任
(1)使用者責任(民法715条1項)
被告大学は、被告教務主任及び被告前学部長・現学部長との間で労働契約を締結している使用者である。
したがって、被告大学は、上記述べた被告教務主任及び被告前学部長・現学部長の教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務違反及びハラスメントによる違法行為に関し、使用者責任を負う。
  (2)就業環境配慮義務違反
また、被告大学は、労働契約に付随する使用者の義務として、雇用する労働者に対し就業環境配慮義務を負う。その具体的内容として、被告大学の職場内にて違法行為やハラスメントが起きないように配慮すること、違法行為、ハラスメントが起きてしまった場合にそれが再発しないよう対策をとることの責任がある。
しかし、被告大学においては、現に被告教務主任及び被告前学部長・現学部長による原告に対する違法行為、ハラスメントが発生している。原告は、その点について被告大学に対し異議申立を行っているが、被告大学は未だ適切な対処を行っていない。
したがって、被告大学は、原告に対する就業環境配慮義務違反による債務不履行責任も生じている。

3.会の取り組み内容

1)裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する。
2)より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう。
3)主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む。

4.呼びかけ人名簿(50音順)
 
2019年2月10日現在

<呼びかけ人>
青木雅生(三重大学人文学部准教授)、青水司(原発ゼロの会・摂津、千里丘<吹田>事務局長、元大阪経済大学教授)、浅野健一(同志社大学大学院教授<地位確認訴訟中>)、足立辰雄(元近畿大学教授)、姉崎洋一(北海道大学名誉教授)、石川康宏(神戸女学院大学教授)、伊地知紀子(大阪市立大学教授)、井手啓二(長崎大学名誉教授)、伊藤大一(大阪経済大学経済学部准教授)、井上千一(大阪人間科学大学教授)、井原聰(東北大学名誉教授)、上中良子(元京都橘大学教授)、碓井敏正(京都橘大学名誉教授)、岡崎昭彦(高西霊園管理委員会委員、NPO法人京都社会文化センター監事)、岡田直紀(京都大学准教授)、岡野八代(同志社大学教授)、岡山茂(早稲田大学政治経済学術院教授、大学評価学会代表理事)、片山一義(札幌学院大学教授)、角岡賢一(龍谷大学経営学部教授)、川口洋誉(愛知工業大学准教授)、桔川純子(明治大学兼任講師)、木戸衛一(大阪大学教員)、絹川浩敏(立命館大学経営学部教授)、清眞人(元近畿大学文芸学部教授)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)、國島弘行(創価大学経営学部教授)、黒田兼一(明治大学経営学部教授)、小林清治(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)、駒込武(京都大学教授)、小山昌宏(筑紫女学園大学教授)、近藤宏一(立命館大学経営学部教授)、Sarah Kashani (京都大学助教)、齋藤敦(徳島文理大学教授)、桜井徹(国士舘大学経営学部教授)、重本直利(市民科学研究所事務局長、大学評価学会顧問)、篠原三郎(元日本福祉大学教授)、高木博史(岐阜経済大学教授)、高橋勉(岐阜経済大学教授)、竹内章郎(岐阜大学地域科学部教授)、田島朋子(大阪府立大学准教授)、田中仁(京都府立大学非常勤講師、京都歴史教育者協議会)、谷野隆(アジェンダ・プロジェクト)、津田道明(日本福祉大学教職員組合書記)、鄭雅英(立命館大学経営学部教授)、照井日出喜(奈良県立医科大学非常勤講師)、戸塚悦朗(弁護士)、殿平善彦(一乗寺住職)、富田道男(元京都府立大学教授)、永井康代(元大阪薫英女子短期大学講師)、中川秀一(明治大学教授)、中川慎二(関西学院大学教授)、中屋信彦(名古屋大学准教授)、中田光信(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、中西新太郎(関東学院大学経営学部教授、横浜市立大学名誉教授)、中村共一(岐阜経済大学教授)、中村尚志(NPO法人JIPPO専務理事)、浪本勝年(立正大学名誉教授)、西垣順子(大学評価学会副代表理事)、馬頭忠治(鹿児島国際大学教授)、日永龍彦(山梨大学教授)、百田義治(駒澤大学教授)、平田厚志(龍谷大学名誉教授)、藤井幸之助(猪飼野セッパラム文庫主宰)、藤原隆信(筑紫女学園大学教授)、細井克彦(大阪市立大学名誉教授)、細川孝(龍谷大学教授)、堀雅晴(立命館大学教授)、眞島正臣(新分野マーケティング戦略研究所所長)、松尾匡(立命館大学経済学部教授)、三島倫八(龍谷大学名誉教授)、水野邦彦(北海学園大学教授)、三宅正伸(大阪経済法科大学客員教授)、光本滋(北海道大学准教授<教育学>)、宮崎昭(元九州国際大学教授)、村越雅雄(北海商科大学名誉教授)、村上了太(沖縄国際大学教授)、望月太郎(大阪大学大学院文学研究科教授)、守屋貴司(立命館大学教授)、由井浩(元龍谷大学経営学部教授)、米津直希(稚内北星学園大学准教授)、寄川条路(明治学院大学教授)、李順連(NPO法人丹波マンガン記念館事務局長)、渡部昭男(神戸大学教授)、渡辺峻(立命館大学名誉教授)。

以上84名


2019年02月06日

京都弁護士会人権救済委員会宛「上申書」、龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関する投稿

京都弁護士会人権救済委員会宛「上申書」

 細川孝(龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)から2月4日の投稿(「学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-」)に関連して以下の投稿がありました。ここに掲載します。

2018年5月15日

京都弁護士会人権擁護委員会御中

大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会
龍谷大学 経営学部 教授  細川 孝

上申書

 わたしは「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」の一員として、貴委員会に人権救済の申し立てを行っております。本件に関しましては、貴委員会におかれまして本調査を進めていただいておりますことを承知しております。このようなことを踏まえ、龍谷大学経営学部(以下、本学部)における状況について、わたしの認識をお示しすることはそれなりに意味のあることと考えて、本書面を提出させていただく次第です
 わたしは、労働組合(龍谷大学教職員組合、京滋地区私立大学教職員組合連合、労働組合法人全国大学人ユニオン)やNPO(大学オンブズマンなど)の活動を通じて、教職員や学生の権利擁護に取り組んでまいりました(鹿児島国際大学や常葉大学短期大学部などの解雇事件や、平安女学院大学を相手取った就学権確認訴訟など)。同時に、学協会の活動を通じて学術の発展ならびに学問の自由・大学の自治の発展に力を尽くしています。
 そのような者にとって、一見して教学事項に関する問題を「学外に持ち出すこと」に対しては、慎重であるべきということも十分認識しています。しかし、本事案は極めて特異な性格を有していると考え、権利侵害の被害者である学生とともに申し立てを行った次第です。
 権利侵害の背景にある本学部の状況について、以下に記させていただきます。

1.求められているのは「多様な意見を尊重」し、教育・研究条件を改善すること
 この間、本学部では教員採用(補充)が滞っており、演習のみならず学部の運営に関しても問題を生じさせています。研究出張に関する制約や諸委員の負担の増大などです。「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」ということを錦の御旗にして、教員採用を求める声を押さえてきましたが、その被害の矛先が学生(の学習権)に向かったということです。
 現在の龍谷大学においては、財政的な事情から教員採用を抑制せざるを得ない事情はありません。そして、「学術の中心として」(学校教育法)の大学においては、多様な意見を尊重することは、その存立基盤に係わることであり、多様な意見を排除することは自殺行為でしかありません。

2.特定のメンバーによって「多様な意見を排除する」仕組み
 学部における審議決定機関は教授会であり、龍谷大学においては教授会の自治が尊重されています。この教授会(における教学事項)の審議に際しては、事前に教務委員会という会議体において提案(審議)事項の調整が行われます。この教務委員会は、審議決定機関ということではなく、学部執行部の一員である教務主任と、その他数名の教務委員から構成するスタッフ的な機関です。
 しかし、この教務委員会のメンバーを数年にわたって、(実質的に)固定化したうえで、教務委員会で検討された事項(=教授会に審議事項として提案される事項)を絶対化することが続いています。「教務委員会での審議結果を尊重せよ」ということで、教授会の審議を骨抜きにすることが強行されているのです。

3.すみやかな(積極的)教員採用の実施を求める声は根強く出されてきた
 2013年度初めに学部長に就任された野間圭介教授(現学部長)がすみやかな教員採用の実施を提案したにも拘らず、数名の教員が反対を表明し、この意見を学部長が受け入れたことが本事案の発端であります。その後、ことあるごとに(毎年度ごとに)積極的に教員採用を進めることが教授会構成員から求められましたが、1.に示したような「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」という強引な主張によって、構成員の声は葬り去られ続けてきたということです。

4.「『カリキュラム改革』が終わってから採用人事を進める」は虚偽だった
 2017年度内に教授会に報告されるはずであった「カリキュラム改革」の答申は、2018年度に入ってから教授会で報告されました。日付こそは(年度内の)2018年3月31日付でありましたが、教授会に対する責任としては、少なくとも2017年度内最後の教授会において報告されるのが、龍谷大学ならびに本学部の暗黙のルールであります。
 しかも答申の内容からは、採用人事をすみやかに進めることを拒むものではなかったことが明らかになりました。「講義系科目の改革は2008年度からのカリキュラム改革で終えている」ということが口頭で説明されました。今回の答申は、カリキュラム改革が主要なテーマではなかったとしたら、採用人事は何ら妨げられるものではなかったはずです。
 なぜ、このようなことになったのでしょうか。それは、1.に示したように「多様な意見を尊重」することとは真逆の、積極的に教授会で発言する(定年退職前の)教員の意見を排除するためのものでありました。実際、この教員の退職(2017年度末)をまって、答申が提出されました。

5.学問の自由・大学の自治の担い手の責任が問われている
 以上1.~4.のように述べつつも、当事者としてわたし自身の責任を深く自覚せざるを得ません。わたしを含め学問の自由や大学の自治の担い手である教授会構成員が社会的な負託に応えていないということです。
 このような深い反省から、「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」の一員として、貴委員会に人権救済の申し立てを行った次第です。

以上

2019年02月04日

学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-

『ねっとわーく京都』2019年3月号

 本稿は 『ねっとわーく京都』2019年3月号に掲載されたものを編集部の了解を得て転載するものです。なお、雑誌掲載にあたってはタイトルが変更されています(副題を主題にしています)が、ここでは投稿時のまま転載(ウェブにアップ)しています(投稿者・細川孝,龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)。

学生たちと李洙任教授の思いを受け止めて
-龍谷大学経営学部「未ゼミ生問題」に関わる裁判に寄せて-

細川孝(龍谷大学経営学部教員、大学オンブズマン代表理事)

 2019年1月11日の午後、わたしは京都地方裁判所の司法記者クラブにいた。同僚の龍谷大学経営学部教授・李洙任(りー・すーいむ)さんが起こした裁判の支援者としてである。 李さんの裁判は、名誉・信用の毀損、教員活動の成長の機会の剥奪、精神的苦痛の損害賠償を求めて、学校法人龍谷大学と経営学部の3人の教授を訴えたものである。
 李さんは後述の通り経営学部における「未ゼミ生問題」を少しでも改善することを意図して、演習の担当を要望した。しかし、経営学部執行部の不合理な態度により、演習を担当することができなくなったために、裁判を起こしたものである。3人の教授に対しては、教授会執行部として適正な審理・手続をとるべき義務の違反とハラスメント行為を問うている。学校法人(龍谷大学)に対しては、使用者責任と就業環境配慮義務違反を問うている。

背景にある「未ゼミ生問題」
 李さんの裁判の背景にあるのは、龍谷大学経営学部における「未ゼミ生問題」である。経営学部においては、ゼミ(演習)は必修とはされていないが、4年間を通じた(フレッシャーズ・ゼミ、基礎演習、演習という一環とした)少人数教育の到達点として重要な位置づけを与えられている。この点は、入試広報でも強調されている。
 経営学部では2013年度頃から定年退職者が相次ぐ一方で、「カリキュラム改革」を口実として採用人事が抑制されてきた。これは「新しいカリキュラムができあがるまでは、人事を行わない」というものである。これに対しては当然、教授会での異論も大きく積極的な採用を進めるべきとの声は根強く出されてきた。
採用人事が進まないもとで、2年後期から始まる演習の開講数が目に見えて減少することになった。かつては25ゼミが開講されるのが通例であったが、2016年度においては17の演習しか募集されなかった。
深刻化する「未ゼミ生問題」に対して、経営学部の学生有志は、2017年6月16日付で、327名の学生署名を添えて、要望書を龍谷大学学長、経営学部長、経営学部教授会構成員に提出した。要望は、①経営学部所属教員による可能な限り多くのゼミの設定、②多様性確保の一環として女性教員が担当するゼミの増加、③演習開始後のミスマッチ等の問題へのフォロー、及び対応システムの構築、④演習の辞退者数や未ゼミ生に関する実態調査、及びその情報の公開、の4点であった。

要望書に対する教授会の対応と人権救済の申立
学生からの要望書に対する教授会の対応はどうであったか。早急な対応を求める教授会の構成員も多かった。しかし、経営学部執行部は、学生有志の要望に対し真摯な対応を行ったとは言えず、ゼミ数を増やすなどの対策もとられなかった。
これに対して、先の署名運動を行った経営学部の学生有志は教員有志とともに、「大学生の学ぶ権利(学習権)を考える龍谷大学有志の会」として、2017年10月30日付で京都弁護士会人権擁護委員会に対し、人権救済の申立を行った。その内容は、「龍谷大学経営学部在籍中の学生である未ゼミ生がゼミを履修する学習権を持つことを確認し、その迅速な実現のために適切な措置をとるよう、被申立人(龍谷大学)に勧告されたい」というものであった。
その後、同年11月6日付けで追加の書面を提出し、年が明けた1月12日には委員会の担当弁護士による、会を対象にした予備調査が行われた。1月18日に追加の証拠書面を提出し、これを受けて、人権擁護委員会によって本調査が行われることを会として確認したところである。
 この間、2017年11月10日の時点で、会は申立の写しを龍谷大学当局に届けるとともに、学生と学長との面談を申し入れたが、学長面談は叶わなかった。大学当局の不誠実な対応は学生たちを失望させた。また、人権擁護委員会への申立自体が不当であるかの如き言説によって学生たちは二重(未ゼミ生問題=学習権侵害に加え、不当な非難)に苦しめられてきたのである。

一貫して学生たちに寄り添ってきた李洙任教授
 「未ゼミ問題」が深刻化するもとで、学生たちの思いを受け止めた教員の一人が李さんである。先に述べた「有志の会」に加わるだけでなく、自らの研究の蓄積も踏まえ演習の担当を申し出たのである。
 龍谷大学では主たる担当科目が専攻科目(いわゆる専門科目)であるか、教養教育科目であるかという違いはあるにしても、演習(ゼミ)の担当は、学部等の教学単位ごとで決められている。主たる担当科目が教養教育科目とされている李さんが、「未ゼミ問題」に心を痛めて、演習の担当を申し出たことは評価されるべきであった。なお、経営学では主たる担当科目が教養教育科目とされている2名の教員も演習を担当している。
 経営学部では、専攻科目として位置づけられる、1年次前期のフレッシャーズ・ゼミ、1年次後期・2年次前期の基礎演習については、主たる担当科目が教養教育科目とされている教員も学生の教育を担っている。李さんも毎年、これらの科目を担当され、学生から好評を博している。
 李さんの研究は、担当している教養教育科目である英語だけでなく、ダイバーシティや移民政策など幅広い領域にわたっている。その内容は積極的に(大学院を含む担当科目の)教育に反映されているのである。李さんの研究と教育は、狭い枠に閉じこもったものではなく、今日の時代の要請に合ったものであることも感じている。
 このようなことから、2年次後期から始まる演習でも李さんと一緒に学ぶことを期待する学生も多いのである。

裁判を通じてわたし(たち)も問われている
 李さんの裁判は、名誉・信用の毀損、教員活動の成長の機会の剥奪、精神的苦痛の損害賠償を求めたものである。しかし、それは同時に、「大学の自治」のあり方を問うものと受け止めなければならない。
 龍谷大学ではいわゆる「学部の自治」が尊重されている。これは、政府や産業界によって学問の自由や大学の自治が破壊されようとしており、今日の時代にあっては貴重なことと言えるのかもしれない。この点で、わたしたちには、自治の担い手としての深い自覚と社会的な責任の発揮が求められている。
 しかし、学生たちからの要望に対する経営学部教授会の対応を振り返れば、学部の自治は(矮小化された)「教授会の自治」にとどまっている。それは、「未ゼミ生問題」での対応において、教育(学習)の当事者である学生がどう位置づけられていたかを見れば明らかであろう。「自治」が何か特権的なものとしてとらえられているとさえ思えるのである。
 「大学の自治」は、市民から負託された「学問の自由」に由来している。李さんの裁判を通じて問われているのは、わたしたち自身でもあることを深く受け止めたい。

付記:大学オンブズマンによる支援へのご協力のお願い
 大学オンブズマンは、2013年2月2日に設立されました。①大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性を実現する、②大学関係者(学生、教職員など)の諸権利を擁護する、③関連する国内外の諸団体・機関との協力関係を促進する、の3点を目的としています。
 大学オンブズマンは「大学オンブズマン・龍谷大学経営学部李洙任先生を支援する全国連絡会」を結成し、李洙任教授の裁判への支援を呼びかけています。その内容は、①裁判の内容を注視し、李先生の裁判を物心両面から支援する、②より多くの方々と問題の共有を行なうとともに問題解決に資する取り組みを行なう、③主な活動として、会合の適宜開催、裁判の傍聴、「会報」発行等の広報活動に取り組む、というものです。
 大学内外から多くのみなさまがご支援いただきますようお願いいたします。連絡先は、uniomb@yahoo.co.jpです。


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