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 カテゴリー 2019年12月

2019年12月28日

緊急アピール、「袁克勤・北海道教育大学教授の中国での安否について憂慮しています」

緊急アピール
■緊急アピールの署名サイトは,以下です。
アピール賛同署名サイト

緊急アピール

私たち研究仲間と友人一同は、袁克勤・北海道教育大学教授の中国での安否について憂慮しています

 わが国の人文・社会系の学界において戦後東アジア国際政治史研究の著名な学者の一人である袁克勤・北海道教育大学教授の安否について心配しています。袁教授は、2019年6月に親族のご不幸という事情により中国に一時帰国されましたが、それ以後、現地にて音信不通となっています。袁教授は、現在、高血圧による体調不良で中国にて療養中であるとの伝聞情報がありますが、すでに半年以上も連絡がとれない状態が続いております。

 在札幌中国総領事館、北海道教育大学など関係諸機関も袁教授の安否について調査などをされていると確信しますが、袁教授が現在、中国でどのような状況で暮らしておられるのか、教授の安否について確認できる情報をお持ちの方がおられましたら、なにとぞお知らせいただきたくお願い申し上げます。また研究仲間・友人一同、袁教授が一日も早く、日本に無事にお戻りになり、教壇に復帰されることを切に願っています。

2019年12月24日

袁克勤教授の研究仲間・友人を代表して
岩下明裕(北海道大学教授)
佐々木卓也(立教大学教授)
武田泉(北海道教育大学准教授)
池直美(北海道大学講師)

*このアピールはすべて個人的なものであり、いかなる組織や機関を代表するものではありません。また本件に関わる問い合わせ・照会につきましては、すべて岩下の方で対応しますので、よろしくお願いします。

問い合わせ先:岩下明裕 090-2873-3618 akotaro@msi.biglobe.ne.jp

*電話が通じない場合にはどうぞ留守番メッセージをお残しください。後ほどこちらから折り返します。

マスコミ報道
北海道教育大の中国人教授が音信不通に 5月に帰国後(朝日)
中国人教授、音信不通で声明 北海道教育大の同僚(共同通信)

2019年12月26日

稚内北星学園大学に救いの手?

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2019年12月25日

北海道の稚内北星学園大存続へ 京都の学校法人が支援

日経新聞(2019/12/25)

経営危機にある稚内北星学園大学(北海道稚内市)は、専門学校を運営する学校法人育英館(京都市)の支援を受け存続することになった。稚内市の工藤広市長が25日、市議会の全員協議会で表明した。情報メディア学部の単科大であることは変更せず現在、育英館理事長の松尾英孝氏が2020年度から大学理事長になり経営を一新する。

工藤市長によると、体制移行に向け市、大学、育英館で19年度中に協定を結ぶ。20年8月をメドに大学、法人の名称変更を検討している。

日本経済新聞の取材に松尾氏は「ビジネスの世界でロボットなどの情報技術の識見が求められ、情報メディア学部は有望な分野。地方で優秀な人材を育成する」と強調。「地元で広報をくまなく行い志願者増につなげたい」と語った。

育英館は京都府や高知県で看護専門学校や日本語学校などを運営。同じく松尾氏が理事長を務める別法人の京都育英館は苫小牧駒沢大学(苫小牧市)、北海道栄高校(白老町)を運営している。

稚内北星学園大は1987年に短大として開学し、2000年に4年制へ改組した。ここ10年は定員割れが続き充足率が50%台にとどまっていた。経営不振の大学に対する私学助成金を削減する国の方針で国庫補助金が減少。市は16年度から補助金5000万円を支援する一方、存廃を巡り大学と協議していた。


稚内北星大、名称変更を検討へ 市議会に育英館の参画報告

道新(2019/12/25)

 【稚内】稚内北星学園大の経営危機問題で、稚内市の工藤広市長は25日の市議会全員協議会で2020年度から京都市の学校法人「育英館」の経営参画を受けて存続を図ることを報告した。

 同大を運営する学校法人稚内北星学園は、20年度までに過半数の理事を受け入れ、育英館の松尾英孝理事長が理事長に就任する。現在の情報メディア学部情報メディア学科は変えないが、来夏までに大学名の変更を検討する。今後は協議を進め、年度内に市と稚内北星学園、育英館の3者で協定書を締結する。


2019年12月22日

大学当局が授業を盗聴していた【明治学院大学事件】が「判例集」に収録される。

・「学校法人明治学院事件」(『労働判例ジャーナル』第82号、日本評論社、2019年01月15日)

[image: 明治学院大学事件(労働判例ジャーナル).jpg]
・参考資料:
https://sites.google.com/view/meiji-gakuin-university-jiken/%E8%B3%87%E6%96%99

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2019年12月18日

下関市立大、安倍首相の「お膝元」で進む元秘書市長主導の“大学破壊”

下関市立大、安倍首相の「お膝元」で進む元秘書市長主導の“大学破壊”

「詰んだ盤面のまま『説明』から逃げ続ける安倍首相」

 総理大臣主催の「桜を見る会」前夜祭に関する問題、安倍首相は「説明不能」の状態に陥り、将棋に例えれば、完全に「詰んだ」状況になったことは、【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で詳述した。

 安倍首相が、いくら「詰んで」いても、潔く「投了」するような人物ではないことは、これまでの森友・加計問題などへの対応からも予測はしていたが(【“安倍王将”は「詰み」まで指し続けるのか】)、その後の展開は、まさにその予測どおりとなっている。

 私が「詰み」を指摘して以降、この問題への安倍首相の発言は、12月2日の参議院本会議の代表質問で、従来と同様の(詰んでいる)説明を「棒読み」しただけ、委員会での質疑も回避し続け、当初は、異例に時間をかけて行っていた官邸での「ぶら下がり会見」も一切行っていない。臨時国会閉会時の官邸での記者会見も、日頃から手懐けている「御用記者」に質問させ、従来どおりの説明を繰り返しただけだった。

 「一問一答」形式の対応、つまり「盤面に向かう」ということを行えば、「指せる手がない」ことが露見し、「投了」せざるを得なくなるので、それが、一切できないのだ。

 一方で、ニューオータニ側への「口封じ」の効果は続いているようで、内閣府から総理大臣夫妻主催晩餐会などの受注をしている受注業者が、内閣府のトップの首相側への利益供与が疑われるという、深刻な事態に至っているのに、前夜祭の主催者に対して当然発行されているはずの明細書の提示も説明も拒否している。日本の一流ホテル企業としてのブランドや信用が毀損しかねない状況に至っている。

 このように、「詰んだ盤面」のまま、一国の首相が説明責任から逃げ続けるという醜態を晒していても、その指揮下にある政府の各部門では業務が日々処理され、年の瀬が近づきつつある。

下関市大で起きている「大学版『桜を見る会』問題」

 こうした中、私は、先週末、安倍首相のお膝元の下関市に乗り込み、大学学会主催の、あるシンポジウムに参加し、基調講演者・パネラーとして登壇した。

 テーマは「大学改革の潮流と下関市立大学の将来」、それ自体は、近年、文科省が進めてきた「国公立大学改革」の中で、下関市立大学において、従来、教授会での慎重な審議を経て行われていた教員人事を外部者中心の理事会の権限だけで行えるようにする定款変更が、市議会の議決で行われようとしていることなどについて、大学のガバナンス・大学の自治・学問の自由という観点から議論する「学術シンポジウム」であった。

 しかし、今、下関市大で起きていることは、単に学術的な議論を行うことだけで済むような問題ではない。60年を超える歴史と伝統のある公立大学の下関市大に対して、安倍首相の元秘書の前田晋太郎市長を中心とする安倍首相直系の政治勢力が、大学を丸ごとその支配下に収めようとする露骨な画策をしている。それに対して、本来、歯止めになるべき山口県も、文科省も、安倍首相の政治権力に「忖度」しているためか、何も口を出さず、凄まじい勢いで「大学破壊」が行われようとしているのだ。

 「桜を見る会」問題の本質は、公費によって功労・功績者を慰労する目的で行われる会が、「安倍首相による地元有権者の歓待行事」と化し、後援会関係の招待者が膨れ上がって開催経費が予算を超えて膨張しても、安倍後援会関係者が傍若無人に大型バスで会場に乗り込んできても、何も物を言えず、黙認するしかないという、政府職員の「忖度」と「無力化」の構図である。

 前田市長は、その「桜を見る会」に毎年参加し、安倍首相の地元後援者の公費による歓待が問題化したことに対しても「何十年も応援した代議士がトップを取り、招待状が届いて、今まで応援してきてよかったなって、いいじゃないですか」などと放言し(【桜を見る会 安倍首相の元秘書・下関市長はこう答えた…定例記者会見・一問一答】)、ネット上の批判が炎上した人物だ。その市長が、下関市大への市の権限強化を強引に進めようとすることに対して、市も県も国も、全く異を唱えようとしない。

 下関市大で起きていることは、まさに、“大学版「桜を見る会」問題”に他ならない。

定款変更の策動の背景にある市長主導の「違法な教授採用」

 文科省が進めてきた「国公立大学改革」の下でも、さすがに今回のような定款変更は行われなかった。なぜ、下関市大でそのような暴挙が行われようとしているのか。そこには、大学側が公式には明らかにしていないものの、既に、市議会で取り上げられ、マスコミも報道している「専攻科の創設」とその教授等の採用人事の問題がある。(日刊ゲンダイ12月13日【“安倍側近”の下関市長 市立大人事「私物化疑惑」が大炎上】)

 報道によれば、下関市長は、某大学教員を、市立大学教員として採用するよう大学側に要請し、それを受けて、市長の意を汲む大学の幹部は、定款で定められている学内での資格審査等を経ずに専攻科設置方針の決定と教授等(3名の研究チーム)の採用内定を強行し、教員採用を内定し、しかも、下関市大は経済学部だけの単科大学なのに、その教授の専門分野の「特別支援教育」に関して、通常は、教育学部に設置される「特別専攻科」を設置させようとしている。これに対し専任教員の9割超が、専攻科構想の白紙撤回を求める署名を理事長に提出したとのことである。

 大学の教員採用には、その大学での研究教育を行うのに相応しい研究教育者を採用するための審査の手続が定められている。その手続について、大学の歴史の中で、過去の失敗も含めて議論を重ね、ルールが形成され、現在の下関市大には、しっかりしたルールが存在する。ところが、そのような大学教員の選任ルールが踏みにじられ、市長主導で、強引な「一本釣り人事」が行われようとしているというのである。

 そして、そのような人事が、「教員の人事は教育研究審議会での議を経る」こと、およびその前提として、すべての教員について、公募を前提とする厳正な審査や教授会での意見聴取を経ることなど、下関市大の「定款」以下諸規程の定める手続に違反しているとの批判を受けたことから、今度は、市主導で学内での審査を経ることなく教員採用の人事を合法的に行えるようにしたのが、今回の定款変更の動きなのである。

市立大学の経営・運営に対する市の責任とは

 前田市長が、選挙で選ばれた市のトップの市長は、同様に選挙で選ばれた市議会の多数の賛成を得れば、市立大学の予算も人事も好きなようにできると考えているのだとすれば、それは大きな間違いである。

 設置自治体と市立大学の関係は、そのような単純なものではない。

 確かに、市立大学の経営や運営について最終的な責任を負うのは市である。もし、市立大学の経営が悪化し、市に多額の財政負担を生じているような場合や大学の研究教育の成果が上がらず、それが募集倍率の低迷、就職率の悪化等で客観的に明らかになった場合などには、経営責任を負う市として、経営不振の原因になっている研究教育や教員人事、組織体制の構築等への介入が必要になることもあり得る。また、市の施策として、専門的な見地からの検討を行った上で、相応の予算と人員の投入を含めた市立大学の組織体制の抜本的変更の方針を打ち出すということも考えられないわけではない。

 しかし、下関市大の場合には、そのような事情は全くない。募集倍率も特に低くはなく、定員割れの学科もなく、就職率も安定して高い。また、比較的コストがかからない経済学部の単科大学ということもあり、大学の収支は良好で、市に財政的な負担をかけているわけではない。また、下関市大について、総合大学化などが、学内からの構想として検討されたことは何回かあるが、下関市の側で大学の組織体制の根本的な変更に向けて検討され、特定の学問分野について具体的な構想が提示されたことはないようである。
政治的意図による「大学破壊」で、学生、卒業生利益を害してはならない

 今回の下関市主導の「一本釣り教員人事」と、それを可能にする理事会主導のガバナンスに向けての定款変更は、設置者の下関市としての経営責任の観点によるものでも、大学の組織改革の構想に基づくものでもないことは明らかである。学内手続を無視した教授人事を強行しようとしている背景が、安倍首相自身、或いは、昭恵夫人の意向なのか、前田市長自身の個人的意向なのかはわからない。しかし、いずれにしても、政治的な意図から、違法な教授人事と、公立大学を安倍首相直系の政治勢力の支配下に収めようとする策謀が進められようとしていることは紛れもない事実である。

 このようなことを許せば、これまで以上に、学生が負担する授業料の安定的な収益が市の財政に流用され、大学の教育環境が破壊されていくおそれがある(現在も、市の公共工事による校舎整備にはふんだんに予算が使われているが、その一方で、パソコン環境も十分に整備されていないことを、シンポジウムで学生の一人が訴えていた)。

 また、下関市大が、「加計学園の大学のように安倍首相のお友達を集めた大学」と世の中に認識されるようなことになれば、伝統ある下関市大の卒業生にとって、これ程不幸なことはない。

大学幹部も、市も、県も文科省も、なぜ「長いものに巻かれてしまう」のか

 それにしても、今、安倍首相のお膝元の下関市で市立大学をめぐって起きていることを知れば知るほど、本当に「絶望的な思い」にかられる。このような明らかに不当な政治的動機による教員採用人事、専攻科設置とそれを契機とする定款変更などの「大学破壊」に、なぜ、理事長、学長など大学幹部が唯々諾々と応じるのか。教授等の人事は、学内規程で定められている「教育研究審議会の議」も、さらにその前提となる公募、審査や教授会の意見聴取等も経ておらず、明らかに違法であるのに、なぜ、弁護士たる監事が、「違法ではない」などという弁護士倫理にも反する監査意見書を提出するのか(これについては、他の中立的立場の4人の弁護士が「違法」との意見書を提出している。毎日新聞12月7日地方版【下関市立大専攻科新設手続き巡り 弁護士の意見書提出 副学部長、教員採用過程検証求める /山口】)。市大の設置者の下関市の担当部局は、このような露骨な不当な大学への政治介入を推し進めることに良心の呵責を感じないのか。山口県の担当部局は、過去に公立大学ではあり得なかった不当な定款変更の認可に抵抗を覚えないのか。そして、大学の自治、学問の自由にも配慮しつつ高等学校教育に関する行政を進めてきた文科省は、このような違法な教員人事や不当な定款変更の動きに対して、なぜ手をこまねいて見ているのか。これらすべてが、「安倍一強の権力集中」の中では「長いものにはまかれろ」ということなのであろうか。

 「桜を見る会」をめぐる問題について完全に「説明不能」の状況に陥っている安倍首相を、「当然の辞任」に一日も早く追い込むこと以外に、この国を救う手立てはない。


“安倍側近”の下関市長 市立大人事「私物化疑惑」が大炎上

■日刊現代
 ∟●“安倍側近”の下関市長 市立大人事「私物化疑惑」が大炎上

 第2の「加計問題」か。安倍首相の「お膝元」山口・下関市で“側近”による「大学私物化疑惑」が取り沙汰され、大炎上している。

 舞台となっているのは、経済学部のみの単科大学として1962年に設置された「下関市立大学」。突然「専攻科」の新設が決まったうえ、かつて安倍首相の秘書だった前田晋太郎市長が、教員人事をトップダウンで決めたのではないか、という疑惑が浮上しているのだ。

 教員の9割超から計画の白紙撤回を求める署名が集まる、異常事態になっている。

 市立大に新設されるのは「特別支援教育特別専攻科」。発達障害のある子供らの教育支援のため、専門的知識を持つ人材を育てるのが目的で、1学年定員10人を予定している。1年間学ぶと特別支援教員免許を取得できる専攻科は、2021年4月開設予定だ。来年度初頭からは、一般向けのリカレント(学び直し)センターを設置する方針となっている。

■規定の審議会を経ずに決定

 不自然なのは、新設計画が「降って湧いた」(地元関係者)ことだ。計画について教職員らが知らされたのは今年5月末。大学事務局から突然メールが送られてきたという。6月6日には、計画の中身と3人の教員採用について、理事長から一方的な説明がなされたそうだ。大学の定款では、教員人事や教育課程について、学内の「教育研究審議会」などの審議を経ることが規定されているが、こうした過程を経ずに決められたという。

 さすがに、この拙速な決定に、市議会では疑問の声が噴出している。きのう(12日)の市議会では、田辺よし子議員(無所属)が、「なぜこんなにバタバタと決まったのか」「科を新設するのなら、学内でじっくり協議すべきではないのか」「前田市長の独断で決まったように見える」と追及。今井弘文総務部長は「市長公約の『総合大学化』ということもありまして……」と本音をチラリとのぞかせていた。田辺議員はこう憤る。

「人事について、学内の審議も経ていないわけですから、民主主義からはほど遠い決定です。仮に市長が大学の人事に手を突っ込んだとなると、大学のガバナンスにもかかわる問題です」

 加計問題では“総理のご意向”で新学部設置が優先的に認可された。下関では“市長のご意向”が働いたということなのか。


学部長選挙は規程に違反 大分大の調査委が結論

朝日新聞(2019年12月18日)

 大分大学経済学部の学部長選考をめぐり、選挙手続きを定めた同学部の要項の運用が大学の規程に反するおそれがあるとして大学側が設置した調査・検証委員会は17日、北野正剛学長に報告書を提出した。調査委は学部が学部長候補を選挙で決めたのは大学の規程に反すると結論づけた。

 大分大経済学部の学部長選考をめぐる問題は今年8月、当時の学部長が同大理事に就くのを機に後任を選ぶ過程で起きた。学部は教授会で選挙をして候補者を決め、学部長は候補者名を書いた文書を作成した。

 だが学部長は北野学長に文書を出さず、選挙で得票があった5人の名前を口頭で説明した。学部長は文書を出さなかったことを学部内で非難されたため、その後、北野学長に何度か文書を出そうとしたが、学長は受け取らなかった。大学側は経済学部が選挙をしたことや文書を再三提出しようとしたことを問題視し、調査委を設置していた。……


大分大経済学部長選考、第三者委「学部要綱は大学規定に抵触」

大分合同新聞(2019/12/18)

 大分大(大分市、北野正剛学長)の経済学部長選考に関し、大学が設置した第三者委員会(岡村邦彦委員長、3人)は17日、「学部の要項とその運用は大学規定に抵触する」と答申した。北野学長は要項の廃止を求める考えを示し、学部側に対応するよう通知した。
 同大の規定では学長が新しい学部長を任命、同学部の要項では教授会が開く選挙で学部長候補者を選ぶと定めている。北野学長が同学部の候補者と異なる人物を学部長に選んだことに対し、教授会が選挙結果を意見として聞くよう要請。大学側はその行為と学部要項が大学規定に触れる恐れがあるとして、妥当性を検証する第三者委を10月に立ち上げた。
 第三者委は、学部要項は、教授会が選挙で学部長候補を選ぶという旧制度を抜本的に改めて制定された現行規定に「明らかに矛盾している」と指摘。学部側が学長に意見を伝えようとした行為も「誤った要項に基づくもの」とした。
 答申を受けた北野学長は「規定の周知徹底で教職員のコンプライアンス意識を高める」と強調。同学部教員は「大学側の言い分だけ聞き、きちんと検証する気がないように受け取れる。落胆が大きい」と話した。

〇メール「問題視しない」
 北野学長は同日の会見で、高見博之経済学部長(54)が、学部生を名乗る匿名の文書で自身の選考過程を批判され、「実名で主張を」と書いたメールを全学部生約1200人に送ったことに対し、「匿名だったので仕方がない」として問題視しない考えを示した。


2019年12月14日

【明治学院大学事件】が「科学者の権利と学問・思想の自由を守る闘い」として紹介されました。

髙木秀男『基本的人権としての自由をめぐる攻防――大学人・知識人・文化人たちの戦前・戦中・戦後』科学堂、2019年12月9日、707-708頁。

「第4の事件として、2015年に起きた明治学院大学不当解雇事件を紹介したい。この事件は、大学当局が寄川条路教授に無断で授業を録音し、無断録音を告発した寄川教授を逆に懲戒解雇した事件である。大学当局の真の狙いは、大学の運営方針に批判的な教員をマークし、授業内容を盗聴し、使用している教科書の検閲を行なって弾圧の材料とし、大学から排除することにあった。そのため、この事件はまさに学問の自由や教育の自由が争点となって裁判で争われた。事件の核心については、寄川条路編著の『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』(135)に詳しいので参照されたい。この本は、主として裁判所に提出された憲法学者の、この事件に対する優れた意見書によって構成されている。
 中でも志田陽子武蔵野美術大学教授の「懲戒における適正手続の観点から見た解雇の有効性」は、私立大学教授の懲戒解雇事件という「学問の自由」や「教育の自由」に直接関わる問題を、日本国憲法と労働関係法に基づいてまず判断のための原則を論じたうえで、その原則に照らして懲戒処分手続が適正であったかどうか、詳細かつ丁寧に理路整然と論を進めて「本件解雇は無効」との結論を出しており、筆者の憲法学者としての並々ならぬ力量が一読してわかる傑出した論文となっている。
 大学教員も労働法による各種の権利保障を受ける被雇用者である。労働者の権利保障の背後には、日本国憲法による人権保障の要請が存在する。また一方で、大学教員の職務には、憲法23条によって保障される「学問の自由」という枠組みの中で研究および教育活動を行なうという特殊性があるために、その雇用のあり方や勤務実態についても特有の要素を考慮すべき部分がある(135)。
 本件はこうした複合的な要素を含む事件であり、ここで生じている法的論点は、大学内部における慣習的対処と、労働者としての大学教員に対する法的権利保障という両者の背後に存する、憲法論上の緊張関係が顕在化したものである。したがって、本件における労働法上の論点を考察する際にも、憲法を議論の射程に含めなければならない。このような観点から志田教授は、この意見書で被告による原告への処遇が、憲法上の基本的人権、具体的には「法の適正手続」「表現の自由」および「人格権」に照らして不当なものでなかったかという点を考察した(135)。この意見書は、いま多くの大学で起きている不当解雇事件(110)に普遍的に使える貴重な内容を含んでいるので、基本文献としてぜひ多くの人に読んでもらいたいと思う。
 なおこの裁判で東京地裁(江原健志裁判長)は2018年6月28日、被告が原告に対してなした解雇は、解雇権の濫用にあたり無効であると判示し、原告が労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し給与の支払いを命じた。ただしこの裁判は、現在も東京高裁で引き続き争われている(136)。

 参考文献
(110)ホームページ「全国国公私立大学の事件情報」(http://university.main.jp/blog/)
(135)寄川条路編『大学における〈学問・教育・表現の自由〉を問う』法律文化社(2018)
(136)寄川条路「明治学院大学――実況中継「明治学院大学事件」」『情況』2019年冬号」


2019年12月08日

名古屋芸大教授提訴 「解雇撤回後も不当扱い」 昇給・授業なし

■毎日新聞
 ∟●名古屋芸大教授提訴 「解雇撤回後も不当扱い」 昇給・授業なし(2019年12月7日)

 不当懲戒解雇を巡る訴訟で和解が成立し、復職した名古屋芸術大学(愛知県北名古屋市)の小西二郎教授(55)が、大学側から和解条項に反して給与などを不当に抑えられているなどとして、大学を運営する学校法人「名古屋自由学院」に、未払い賃金分など約130万円を求めて名古屋地裁に提訴した。11月21日付。

 小西教授は教職員組合幹部を務めているが、組合活動を巡り不当な懲戒解雇処分を受けたとして2017年に学園を提訴。今年6月に大学が解雇を撤回し…


弁護士の意見書提出 下関市立大専攻科新設手続き巡り 副学部長 教員採用過程検証求める

毎日新聞(下関)2019年12月07日

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下関市立大教員任用、4弁護士「違反」 大学側に意見書

朝日新聞(山口・下関)2019年12月07日

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九州看護福祉大学を正常化する会、職員有志が理事・評議員に送った要請書

九州看護福祉大学を正常化する会
 ∟●職員有志が理事・評議員に送った要請書

九州看護福祉大学を正常化する会、裁判での和解について

九州看護福祉大学を正常化する会
 ∟●裁判での和解について

豊田教授は裁判所に懲戒処分の執行停止を申し立てを行いました
大学内の様ざまな不正の実態および不正疑惑を追及した豊田保教授にたいし、学校法人熊本城北学園は懲戒委員会を設置し、懲戒委員会の答申に基づき、学校法人理事長は、7月9日、豊田教授に6か月間の懲戒処分を下しました。豊田教授は直ちに裁判所に懲戒処分の執行停止を申し立て、その結果、3か月の職務の自粛という和解が成立し、10月10日に豊田教授は大学に戻ることができました。みなさまのご支援に、九州看護福祉大学を正常化する会は、深く感謝申し上げます。

……以下略。

2019年12月07日

大分大、学部長選考巡り対立 教授会と大学側

西日本新聞(2019/12/7)

 大分大の経済学部長選考を巡り、北野正剛学長の対応に問題があったとして、職員OBらでつくる団体が6日、大学側に選考の再協議を申し入れた。北野学長は、経済学部教授会が事前選挙で選出した教授とは別の高見博之教授を10月1日付で新学部長に任命。教授会側が反発したが、大学側は教授会の事前選挙の正当性を調べる調査・検証委員会を立ち上げるなど、内部対立が先鋭化している。

 大分大は2014年まで各学部の教授会が選挙で学部長を決めていたが、15年に規定を変更。学長を任命権者とし「学部長の変更に当たっては学部などの意見を聴く」とした。一方、経済学部教授会は独自に「選挙で学部長候補者を決める」と教授会要項に規定。今年8月の事前選挙で選んだ教授が任命されなかったことに異議を唱えた。北野学長は取材に対し「規定通り、前学部長から意見を聴いて選考した」としている。

 大学側は10月、教授会の事前選挙は大学の規定に違反している恐れがあるとして、弁護士らによる調査・検証委員会を設置、年内に結論を出す見通し。これに対して同大の教員OBらは「行き過ぎた権限行使」として調査中止を要求。今月4日に市民の会を発足させ、代表者らが6日、「選考に関し学長と経済学部が真摯(しんし)に話し合って解決することを求める」と申し入れた。大学は「内容を精査し対応を検討する」とした。

 市民の会代表の神戸輝夫・同大名誉教授(80)は「学長の教授会への介入などは強引すぎる」と主張している。