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2021年01月07日

梅光学院、ブラインアカデミーの「研修」実態 人格否定し退職強要

長周新聞(2021年1月6日)

下記の記事を拡大したものはこちら。

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2021年01月04日

安倍前首相の地元・下関で先鋭化する「大学破壊」。理事会の独裁、学長専決の教員採用…全国に波及も

BUSINESS INSIDER JAPAN(2020/12/29(火))

安倍前首相の地元・下関で先鋭化する「大学破壊」。理事会の独裁、学長専決の教員採用…全国に波及も


「桜を見る会」前夜祭をめぐる政治資金規正法違反事件について、東京地検特捜部は安倍晋三前?相から任意で事情聴取したうえで、安倍氏を不起訴とし、公設第一秘書を略式起訴した。

安倍氏はその後、衆参両院の議院運営委員会に出席し、在任中の国会答弁を「結果として事実に反する」などと謝罪したが、議員辞職を求める声は日に日に高まっている。

そんななか、全国紙ではあまり報道されていないが、渦中の安倍氏の地元・下関市(山口4区)で、また別の不可解で深刻な問題がくすぶり、火の手が上がろうとしている。

各地の大学で「学長の独裁化」が問題に

22020年10月18日、下関市から南東におよそ100キロ、同じ瀬戸内海を望む大分市の中?部で、「大分大学のガバナンスを考える市民の会」(以下、市民の会)が主催するシンポジウム「大学の権力的支配を許していいのか!」が開かれた。

基調講演者は、大学のガバナンス問題について全国を飛び回り取材を重ねているジャーナリストの田中圭太郎氏。日本各地で、天下り官僚や地方自治体幹部、弁護士らが大学経営のトップあるいは幹部ポストを占め、「改革」の名のもとに大学の私物化や教育・研究への介入支配が進んでいる現状を紹介した。

続いて登壇したのは、市民の会のメンバーでもある大分大学の二宮孝富名誉教授。かつて自身が教鞭をとっていた大分大で、学長が教員や学部長の人事に介入するといった「独裁化」が進んでいる現状を報告した。

大分大学では2015年、医学部教授出身の北野正剛学長のもとで、学長の再任回数制限が撤廃されるとともに、学?選出の際には必ず行われていた教職員の意向投票も廃?された。

さらに、北野学長は2019年、経済学部の教授会が推薦した学部長候補の任命を拒否し、専決で他の教員を学部長に任命。医学部でも、審査委員会や教授会の審査を経て教授候補者に選出されていた准教授の任命を拒否し、事実上の学長直接指名によって他の人物を教授に任命している。

シンポジウムでは続いて、下関市立大学経済学部の飯塚靖教授が、同大学の設置者である下関市当局や元市役所職員らによって、教育・研究内容や教員人事が不正に歪められている現状を報告した(筆者も総合コメンテーターとして発言)。

実はいま筑波大学でも、学長の再任回数制限の撤廃と教職員意向投票の撤廃が行われ、学長の「終身化」「独裁化」が問題化し、(悪い意味で)全国区の注目を集めつつある。そして、これらが地域限定の、属人的な問題ではないことが明らかになってきている。

大学の現状を批判した理事が突如解任

さて、上記のシンポジウム「大学の権力的支配を許していいのか!」は、(もちろん感染予防に十分留意しつつ)大分大学の教職員、元教員、現役学生や卒業生のほか、地元市民など100名ほどが集まり、活発な質疑応答も交わされて盛況のうちに閉会した。

ところが、それから10日ほど経って、シンポジウム関係者にショッキングなニュースが伝えられた。

下関市大の飯塚教授が、直後に開催された学校法人の理事会で、本人以外の全理事の賛成によって理事を解任されたというのだ。

飯塚教授は理事会の席上、大分のシンポジウムで下関市大の現状を批判的に報告したことについて、当日配布したレジュメのコピーを示されて詰問されたという。

飯塚教授は下関市大の経済学部長を務めているが、同大は経済に特化した単科大学(=経済学部のみ)なので、学部長は飯塚教授ただ一人。そのため、理事会においては、従来から在職する専任教員を代表する唯一の存在だった。にもかかわらず、飯塚教授が理事を解任された事実は、専任教員の大多数にたった1通のメールで通知された。

筆者が関係者から確認した情報によれば、飯塚教授の理事解任を主導した山村重彰理事長は下関市の元副市長。安倍晋三前?相の秘書を務めた前田晋太郎市長と市議会与党の自民党系会派(創世下関)の支持を背景に、下関市大の理事長に就任したとされる。

安倍前首相の秘書を務めた市長の「大学への要請」

こうした下関市大の決定機構のあり方は、飯塚教授の理事解任に始まったことではない。

2019年5月、前田市長が下関市大の山村理事長や学長・学部長ら大学幹部を市長室に呼び出し、特別支援教育を担う「特別専攻科」を新設し、市長が推薦した候補者を専任教員として採用するよう要請したのが、その端緒だった。

下関市大の教員の大多数は、学内の(教員・研究者から成る)「資格審査委員会」による業績審査、教授会への諮問といった、採用に必要な手続きを経ていないとして猛反発。大学など高等教育機関を所管する文部科学省からも、採用手続きについて指導が入った。

ところが、経営陣はそうした内外の意見に耳を貸さず、翌6月に特別専攻科(およびリカレント教育課程)の設置と、ハン・チャンワン(韓昌完)琉球大学教授の招へいを含む新任教員3名の採用を強行する。

※戦後日本の大学ガバナンス……「学問の自由」を定めた日本国憲法23条と、そこから導かれる「大学の自治」の理念に基づき、戦前・戦時期の弾圧への反省を踏まえ、ふたつの原則が貫かれている。ひとつは、大学内部において、教育・研究の自由と教員人事の自治が、経営陣による支配から守られること。ふたつは、大学外部との関係において、政官財界などの勢力から、教育・研究の自由と教員人事の自治が守られること。例えば、教員の採用や昇任に関しては、学内の専門家による慎重な審査・審議(ピア・レビュー)を経なければならない。また、国公立大学の設置者(政府・自治体)の長や議会多数派や事務方は、大学に対して新設の学部・コースなどの大まかな方向性について要請することは許容されるが、具体的な教育・研究内容や教員人事を左右することまでは認められていない。

学長の独断による教員採用が可能に

しかも、事態は学科の新設や新任教員人事の強行にとどまらなかった。

下関市当局は、市大の教育・研究・教員人事に関する最高審議機関である教育研究審議会(教研審)や教授会に諮問することなく、大学の定款変更の議案を市議会に提出、これを可決させた。

変更後の定款では、新たに理事会(解任された飯塚教授もこのとき理事に選任)を設置することが定められた。さらに、教育・研究に関する重要事項や、採用・昇任など教員人事に関する審議権を教研審から奪い、教員・研究者以外が多数含まれる新設の理事会に権限を集中させた。

2020年4月に開催された第1回理事会は、さっそく「教員人事評価委員会規程」を決定する。

同規定により、教員の採用・昇任の審査を担当する「資格審査委員会」の委員5名のうち過半数の3名には、学長が直接指名する「教員人事評価委員」が充てられることになった。同時に、最高審議機関だった教研審と教授会は教員人事に一切関与できなくなった。

さらに、翌5月の第3回理事会では「教員採用選考規程」の導入が決まった。この規定には驚くべき条文が組み込まれた。

雑則第11条の「学長は、教員採用に関し、全学的な観点及び総合的な判断により必要があると認めた場合は、この規程によらない取り扱いをすることができる」というのがそれで、要するに、上述の「資格審査委員会」による審査も経ず、学長単独での教員採用・昇任決定への道が開かれたわけだ。

※教員採用・昇任の決定プロセス……大学教員を採用する際には、学内の専任教員のなかから当該分野や隣接分野の専問家を集めて研究・教育業績を精査したうえで、教授会や教育研究評議会(下関市大の場合は教研審)の審査を経る必要がある。2014年に学校教育法93条が改正され、それまで「重要な事項を審議する」と定められていた教授会の権限は「学長に意見を述べる」役割へと格下げされたものの、教員採用にあたって教授会からの意見聴取を省略し、学長が直接指名した者が過半数を占める委員会のみに審査を担わせることまでは想定されていない。ましてや、 ひとつの学術分野の専門家にすぎない学長が、 単独あるいは専決で、多様な専門分野の教員を指名採用することは、戦後日本を含む自由民主主義諸国の大学ガバナンスの観点から、到底容認されるものではない。

新設された「理事会」の顔ぶれ

ここまで経緯を記したように、下関市大に新設された理事会は、教研審や教授会から教育・研究・教員人事の審査権を完全にはく奪した。

いったいどんな人たちが理事を務めているのか、そこでどのように意思決定が行われているのか、公になっている情報や複数の関係者からの情報提供をもとに整理してみたい。

飯塚教授が解任されたあとの理事会は、6名の理事のうち半数の3名が非研究者で占められており、それぞれ、元市役所職員で副市長を務めた山村理事長、元市役所職員で大学事務局長の砂原雅夫氏(副学長を兼務)、学外から経営担当理事の地元財界幹部(山口銀行取締役)という顔ぶれだ。

一方、残り半数の理事は研究者3名が占め、川波洋一学長と、特別専攻科の新設に伴って招へいされたハン・チャンワン教授(副学長を兼務)、学外からの教育研究担当理事(元下関短期大学教授)が名を連ねる(いずれも2020年10月29日時点)。

なお、川波氏は?2016年から下関市大学長を務め、2018年末の学長選に再選を期して立候補したものの、教職員による学内の意向投票で大差をつけられて敗北。にもかかわらず、その後、大学事務局長の砂原氏を議長とし、ほかに民間金融機関出身の2名、現役の教員3名の計6名から成る「学長選考会議」の決定により、学?続投が決まっている。

理事や副学長、教員の任命をめぐる不可解な動き

そうした不可解な学長再選の経緯以上に、大学関係者や下関市民に驚きをもって受けとめられたのが、ハン・チャンワン氏の理事就任だ。2020年1月に非常勤の理事として迎えられ、4月には専任教授として着任、いきなり(常勤の)理事兼副学長に任命された。

このとき同時に、砂原事務局長が副学長に任命されたことも、学内の専任教員に衝撃を与えた。教育・研究をつかさどる副学長は、経営をつかさどる理事とは異なり、学内の専任教員から選ばれるのが一般的で、少なくとも研究・教育の実績を持たない事務職員出身者が担える役職とは思われないからだ。

また、2020年4月にハン氏とともに特別専攻科の准教授および専任講師として着任した2名は、ハン氏の前任校である琉球大学教育学部の元専任講師と元特命助教だった。ともに琉球大学時代のハン氏の教え子だという。

この2名もハン氏と同様、専任教員による業績の精査、前述の教研審や教授会への諮問といった審査・審議(ピア・レビュー)を経ずに採用されている。

それからまもない6、7月には、ハン氏が韓国時代に教員として勤めていた大学出身の研究者2名が、やはり学長と理事会の指名により、大学院教育経済学領域の准教授として採用された。

こちらの2名の採用は、大学院教授会に相当する経済学研究科委員会や教研審の審査を経ないばかりか、学長が任命する委員が過半数を占める「資格審査委員会」にすら諮問せず、(先述した)4月の理事会で決定したばかりの「教員採用選考規程」雑則11条を使って、学長が単独で決定した。

さらに、ハン教授は着任後すぐ理事兼副学長に就任しただけでなく、「教員人事評価委員会委員長」「教員懲戒委員会委員長」「相談支援センター(ハラスメント相談含む)統括責任者」を兼任することになった。

これは、経済学部のすべての専任教員に対して、昇任・懲戒・人事評価・ハラスメント相談の最終的な権限を一手に掌握したことを意味する。

教研審や教授会から教員人事の審査権をはく奪して理事会に権限を集中したうえで、理事のひとりに教員人事権を集中させれば、何が起こるかは誰でも容易に想像がつく。

事態はすでに深刻で、筆者が複数の関係者に直接確認したところでは、大学ガバナンスのあり方や学長専決人事に批判的な複数の専任教員に対して、さまざまな理由で懲戒処分が進められている。

安倍政権で進んだ、憲法と学校教育法の「曲解」

第二次安倍政権は、自民党の歴代内閣のなかでは珍しく、大学・高等教育政策に大きな関心を示した政権だった。

同政権下では、文部科学大臣を3年間務めた下村博文氏や経済団体など、政官財界から大学に対して激しい「改革」圧力がかかった。2000年代までの大学改革とは異次元のものだった。

少なくとも戦後75年、専門家・研究者のピア・レビューを経ずには決定できなかった、教員人事や業績審査、教育・研究内容、カリキュラムやコース編成など、大学自治の「最後の砦」と言うべき部分に、研究者以外の専問家でもない人間が安易に手を突っ込めるような「ガバナンス改革」が進められた。

下村氏らが主導した学校教育法93条の改正により、すでに述べたように、教授会が「重要な事項を審議する」機関から「学長に意見を述べる」機関へと格下げされたことで、学長や理事会、あるいは政府や首長、議会与党がトップダウンで教育・研究内容や教員人事さえ決定できるかのような、学校教育法の趣旨の曲解、憲法23条の「解釈改憲」が、地方の国公大学を中心に広がっている。

大学経営陣を占める政官財界出身者らによる、教育・研究への介入や利益誘導も深刻化している。

こうした動向に異議を唱える全国各地の研究者たちが、大学経営陣からの懲戒や恫喝、いじめや嫌がらせにさらされ、業績評価・賞与査定や昇任審査で不当な扱いを受けて苦しんでいる。

近代の先進諸国の大学は、約100年間かけて、政治や行政、経営による教育・研究の支配を克服し、学問の自由と大学の自治を勝ちとってきた。

下関市大の現状を地方の一公立大学の問題として放置・無視すれば、日本の大学の多くは遠からず、19世紀以前に逆戻りしてしまうおそれがある。教育・研究のすそ野や学術文化の多様性は急速に狭められ、地方を中心に経済力のない若者の学びの機会は奪われていくだろう。

わたしたちはいまこそ、第二次安倍政権の縁故政治と大学ガバナンス「改革」が残した負の遺産とも言える下関市大の問題と真剣に向き合う必要がある。

(文:石原俊)

石原俊(いしはら・しゅん):明治学院大学社会学部教授。1974年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士後期課程修了。博士(文学)。千葉大学などを経て現職。2018~20年、毎日新聞「月刊時論フォーラム」担当。専門は、社会学・歴史社会学。著書に『近代日本と小笠原諸島──移動民の島々と帝国』(平凡社、2007年:第7回日本社会学会奨励賞受賞)『〈群島〉の歴史社会学』(弘文堂、2013年)『群島と大学──冷戦ガラパゴスを超えて』(共和国、2017年)『硫黄島 国策に翻弄された130年』(中公新書、2019年)など。大学ガバナンス問題に関する論文・記事も多数寄稿。


地方私大はなぜ「留学生ばかり」になるのか? 「生き残り戦略」の難しい舵取り 大月隆寛

弁護士ドットコム(2020/12/31(木))


地方私大はなぜ「留学生ばかり」になるのか? 「生き残り戦略」の難しい舵取り 大月隆寛

大月氏(本人提供)

NHK『BSマンガ夜話』の司会などで知られる民俗学者の大月隆寛氏が、勤務先だった札幌国際大からの懲戒解雇を不当として、裁判で争っている。背景には、留学生の受け入れをめぐる経営側との対立がある。

同大は、2018年度の留学生が3人だったところ、2019年度には65人(全入学者の約15%に相当)を入学させた。定員充足率が上がり、私学助成が千数百万円増額された。

ただ、地元誌の北方ジャーナルによると、この65人中40人近くが、文部科学省が留学生の目安としてあげる日本語能力試験のレベル「N2」相当に達しておらず、教員から苦情が出ることもあったという(2020年5月号)。

●大学側は適正と主張「在籍管理なくして、受け入れはできない」

留学生をめぐっては、東京福祉大で2019年に大量失踪が発覚。日本語能力に関係ない受け入れが問題視された。

一方、札幌国際大は2019年度に入学した留学生の合格率は70%台だったとし、選抜は適切だと説明する。2020年度入学の合格率は50%を切っていた(65人が入学)といい、これに対して日本人学生の合格率はほぼ全入に近い。

また、北海道新聞によると、告発を受けて調査した札幌入管は、試験問題の一部使い回しなどについて指導はしたものの、9月15日付で「法令違反は認められない」旨の通知を出している(2020年9月18日付)。

「勉強せず、働いてばかりということは防がなくてはならない。授業を休めば連絡を入れるし、アルバイトも週28時間の規定を超えないようチェックしている。日本語を学ぶ授業もある。在籍管理なくして、受け入れはできないと考えています」(札幌国際大担当者)

大学側が受験生の日本語能力をどのように認識していたかなどについては裁判で明らかになるとみられるが、地方私大が意識してアジア系の留学生を受け入れているのは事実だ。

大月氏は、留学生受け入れの是非はおくとしたうえで、次のように主張する。

「札幌国際大の場合、中国系の留学生は、富裕層の子どもが多く、もはや少し前までのような労働目当ては少ない。とはいえ、大学で正規に学べるだけの日本語能力が不足しているのなら、まずは準備教育として学内に留学生別科を置き、日本語を教えるべき」

地方私大の現状について、大月氏に寄稿してもらった。

●地方私大、積極的に留学生を取り込む

少子化に伴う経営難で、国内の大学はいずこも大きな荒波に巻き込まれています。定員割れを補い、各種公的な助成金を穴埋めするためのあの手この手の一環で、外国人留学生を受け入れて何とかしようとする施策もここ10年ほどの間、政府の「留学生30万人計画」に後押しされて全国の大学、殊に苦境がより深刻な地方の私大では積極的に行われてきていました。

それにつけ込んだ業者の類も跋扈、いわゆる留学生ブローカー的な人がたがそれらの需要を満たす構造も作り上げられてゆき、「留学生」というたてつけでの実質労働力が国内にあふれることになった。

そのような中、2019年、東京都内の東京福祉大学の留学生が大量に行方不明になっていることが発覚、これら留学生をめぐる制度の運用のずさんさが露わになり、「大学の責任は重大」として研究生の受け入れを当面停止するよう文科省と出入国在留管理庁が協力して指導を行う事態になったことなどもあり、これまでのような形での留学生の大幅受け入れを前提とした政策の事実上の「見直し」が文科省から発表されたのが2020年の秋。

加えて、安全保障面からそれら留学生も含めた在留外国人に関する政策の大きな方針転換が国策レベルでも打ち出され、いずれにせよ今世紀に入ってこのかた、わが国の大学や専門学校を中心に拡大してきた留学生ビジネスのあり方を洗い直し、健全化する動きが加速化されているのは確かです。

【編注:コロナ禍での移動制限もあり、萩生田光一文科相は30万人計画を「やり直し」と表現。また、2021年度から安全保障の観点から留学生ビザの厳格化の方針が報じられている】

●「留学生だのみ」の北海道

一方、ご当地北海道は、中国人にも人気の観光地である種のブランドにもなっています。その中で、中国・瀋陽に提携する日本語学校を設立、留学生ビジネスで大きく業績を伸ばしていた京都育英館という日本語学校が、苫小牧駒澤大学、稚内北星大学を事実上買収、その他高校にも手を出して、いずれも中国人留学生の受け皿としての意味あいを強めた再編を始めています。

【編注:京都育英館系列の学校は、東大や京大などの難関大や大学院に留学生を合格させることで知られている】

また、これも関西を地盤とした滋慶学園という専門学校を中心とした学校法人が、札幌学院大学と協力して市内新札幌の再開発事業と連携、新たなキャンパスを作り、そこに相乗りのような形で看護医療系の専門学校を新設して、留学生含みの道内進出の橋頭堡を作り始めています。

さらには、同じく札幌郊外にある北海道文教大学も、既存の外国語学部を国際学部に改編して明らかに留学生を視野に入れた手直しをしたりと、どこも背に腹は代えられないということなのでしょうか、相変わらず外国人留学生を織り込んだ生き残り策をあれこれ講じているようです。

そんな中、留学生を送り込むに際してブローカー的な動きをした国内外の人がたと共に、どうやら霞が関界隈の影までもちらほらしているのは、何より自分をむりやり懲戒解雇に処した札幌国際大学の理事会のメンバーに、かの文科省天下り問題で物議を醸した前川喜平元文科次官の片腕だったとされる嶋貫和男氏の名前があることなどからも、期せずして明るみに出始めていますし、また、政権与党の二階俊博幹事長周辺につながる公明党なども含めた中央政界のからみなども陰に陽に見え隠れしている。

たかだか地方の小さな私大の内紛に等しいような騒動であるはずのできごとが、北海道に対する外国勢力からの「浸透」政策の一環でもあるような可能性までも含めた、意外にも大きな話につながっていることも、どうやら考えねばならなくなってきているようにも思えます。

単に自分の懲戒解雇の件に関してならば、法廷で公正な判断をしてさえもらえればしかるべき結果になるだろう、それくらい理不尽で論外な処分だと思っていますし、その意味で割と呑気に構えているつもりなのです。

ただ、はっきり言っておきたいのは、公益法人である大学という機関がこのような異常とも言える処分をくだすにいたった、その背景の詳細とその是非について、法と正義に基づいたまっとうな判断を下してもらいたいこと、そしてその過程で、いまどきの大学の中がどうなっているのか、そこでどれだけ無理無体なことがうっかりと日々起こり得るようになっているのかについて、世間の方々にも広く知っていただきたいと思っています。

【大月隆寛(おおつき・たかひろ)】

1959年生まれ。札幌国際大学人文学部教授(係争中)。早稲田大学法学部卒。東京外国語大学助手、国立歴史民俗博物館助教授などを経て、「懲戒解雇」で現在、再び野良の民俗学者に。著書に『厩舎物語』『無法松の影』『民俗学という不幸』など、多数。