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2022年03月26日

理研で雇い止め、1年後に600人 労組が撤回要求「日本の研究力低下」 研究チームの解散、神戸が4割

神戸新聞(2022年3月25日)

 理化学研究所(理研、本部・埼玉県和光市)の職員でつくる「理化学研究所労働組合」などは25日、約600人の研究系職員が2022年度末に雇い止めになるとして、理研に撤回を求めるよう文部科学相と厚生労働相宛てに要請書を提出した。同労組の金井保之執行委員長らが文科省で会見し「日本の研究力低下に拍車を掛ける」と訴えた。

 金井委員長らによると、理研は職員の8割が非正規雇用。研究系職員は10年の雇用上限が16年に導入され、13年4月1日までに入所した人は同日が起算日とされた。このため、約300人が22年度末に雇用上限を迎える。この中には研究室主宰者が60人以上含まれており、その下で働く職員約300人も雇い止めになる。500以上ある研究チームの12%が解散し、神戸市中央区の生命機能科学研究センターが約4割の24チームを占めるという。

 会見には、対象となる研究者3人もオンラインで参加。「十数年前に入所した時には、契約を更新して研究を続けられると信じていた」「積み重ねた研究が無駄になる」「大学や企業への転出も難しく、必死に探しているが行き場がない」などと語気を強めた。

 金井委員長らは「在職者への雇用上限導入は法的に無効で、雇い止め強行は違法」と主張。訴訟も視野に入れているという。

 理研は「会見の詳細は把握していないが、社会的な使命・役割を踏まえ、労組との協議を含め職員との対話を重ねていく」とコメントした。(永見将人)