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2017年03月11日

広島大学で“大人のいじめ”2─対応しない大学当局

週刊金曜日
 ∟●広島大学で“大人のいじめ”2─対応しない大学当局

広島大学で“大人のいじめ”2─対応しない大学当局

(明石 昇二郎)

2017年3月10日

広島大学の深刻ないじめについて前回報告した。にわかには信じがたいが、事態はさらに悪化する。


部屋割りの見直しがアカハラのきっかけ

H教授とQ准教授らのトラブルは2011年8月、H氏が広大原医研の教授に着任したことに伴う「部屋割りの見直し」で、H教授の案にQ准教授らが疑問を呈したことから始まっていた。

新たな上司となったH教授からQ准教授らは、それまでQ氏ら2人の准教授が使用していた部屋を明け渡し、大学院生らと大部屋(1人あたり約2平方メートル)を使用するよう言い渡される。それでは教育・研究活動が不可能になるとして、Q准教授らがH教授の案を拒否し、その調整に手間取っていると、13年4月末からゴールデンウイークの休み明けにかけて、Q准教授の研究資料や重要書類、実験機材が勝手に部屋から持ち去られ、進めていた研究を無理やり中断させられたばかりか、新たな研究もできなくなった。

以来、Q准教授はH教授への“敵対勢力”と見なされ、広大原医研内で研究することを妨害されてきた。

Q准教授はゲノム科学の研究者であると同時に、薬毒物や放射線の生体影響の研究者でもあり、定年で退官するまでの最後の10年間を研究の総仕上げに費やすべく、研究に打ち込んできた。それが、H教授が広大原医研に来てからの5年間は全く進められなくなる。研究者生命にも関わる非常事態であり、H教授による研究妨害や、前掲のH教授らによる遺伝子組換え生物等使用実験室での飲食行為等について、Q准教授は大学当局に通報する。

H教授が着任して以降、広大原医研の雰囲気は一変した。Q准教授だけでなく、Q氏の同僚までが同様の嫌がらせを受け、退職者まで出るようになる。

子どもじみた嫌がらせを繰り返し、遺伝子組換え生物等使用実験室での飲食を注意しても意に介さないH教授に不信感を抱いたQ准教授は、なぜ彼はそんなことをするのかと考え、改めてH氏について調べてみることにした。

その結果、広大原医研に配属される以前のH氏は、同大の心臓血管生理医学教室に属し、同大付属病院で循環器系の疾患を担当していた臨床医であり、いわば“畑違い”の人だったことが判明する。その過程で、H氏の「業績の水増し」行為に気づいたのだった。驚いたQ氏は、直属の上司でもあるH教授の不正を、その手口とともに大学当局に告発した。

告発したQ准教授が“クビ”を通告される

すると、17年3月に任期の更新を控えていたQ准教授の再任を妨害する動きが表面化する。16年9月、広大原医研の松浦伸也所長が委員長を務める人事交流委員会からQ准教授に対し、同氏の業績評価を「C評価」(再任不可)にしたとする通告が出されたのである。

上司の不正を告発したことが「再任不可」の理由とされたわけではない。しかも、直接手を下したのはH教授でなく、表向きは「人事交流委員会」が判定したとの体裁になっている。ただし、H教授はQ准教授の「再任不可」判定に全く異存はないようだ。この判定に上司として反対した形跡は見られない。

Q准教授は、教育活動や外部資金獲得、社会貢献、学内活動等を点数化した総合評価では「A評価」(優秀教員)となる。そんなQ准教授が再任不可とされた唯一の理由は、Q氏が「研究をしていないから」というものだった。

Q准教授の研究再開に対して何ら手を打たず、研究所内の混乱を放置してきたのは他ならぬ上司のH教授と松浦所長であり、H教授および松浦所長はこの判定と無関係であるどころか、大いに関係がある。だが、H教授と松浦所長が揃って出席していた16年10月の広大原医研教授会では、H教授による研究妨害は何ら問題視されず、Q准教授の「再任不可」判定は覆らなかった。

研究をできなくしておきながら、「研究していない」との理由で再任を妨害し、広大原医研から追い出す――。教授という立場を利用して、H教授とQ准教授のトラブルなど何もなかったかのように繕い、部下であるQ氏だけに問題があったとするH氏のやり方は、フェアでないばかりか、教育者の名折れだ。

ちなみに、厚生労働省は「職場のパワーハラスメント」を次のように定義している。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

H教授がQ准教授に対して行なった「部屋割りの見直し」や「研究妨害」「混乱放置」「再任不可工作」のいずれも完全にアウトであり、パワハラであるのは明白だった。それ以前に、小学・中学教育や高等教育の手本となるべき「学問の府」にあるまじき、幼稚で恥ずべき“大人のいじめ”である。

このような異常極まりない状況に対し、Q准教授はまず、広島大学の教職員組合に相談した。同教組が大学当局に団体交渉を三度、申し入れたところ、大学側は3回とも団交を拒否する。続いて、広島県労働委員会にも「広島県個別労働関係紛争のあっせんに関する条例」に基づく斡旋を申請したが、いまだ救済の目途はついていない。

その一方で、H教授のパワハラや不正に関する告発は棚晒しにされる。

すべて“なかった”ことにする広島大学

広島大学では「広島大学学則」に基づき「ハラスメントの防止等に関する規則」が定められ、相談窓口が設けられている。Q准教授らがその窓口に相談し、同大のハラスメント調査会が設置されたのは13年6月のことだった。その後、同年8月にハラスメント調査会による関係者へのヒアリングが行なわれ、翌9月と10月には現場確認などが行なわれる。だが、大学側の対応はそこまでだった。

大学側がパワハラへの対応をしないため、研究を再開できないQ准教授らは14年2月、H教授や広島大学を相手取り、原状回復などを求めて広島地裁に提訴した。しかし、大学側はこの提訴を理由に、ハラスメント調査会の調査結果の公表を中止。広大原医研内の混乱も放置され、H教授による「職場環境を悪化させる行為」が改善されることはなかった。当然、Q准教授の研究も再開できていない。

さらには、遺伝子組換え生物等使用実験室での飲食行為にしても、
「大腸菌を用いた実験が行われたことは認められるが、それが遺伝子組換え実験であったと認めるには至らなかった」
との理由で、広島大学当局はH教授らをお咎めなしとした。遺伝子組換え実験をやっていなければ、同実験室で飲食しようがお構いなしだというのである。

だが、H教授らの「大腸菌実験」と同時期に、別の研究者が同実験室で遺伝子組換え実験をやっていたとの情報が、当方まで寄せられている。事実とすれば、H教授らの飲食行為等は法令違反となるので、この場を借りて大学当局に対し、改めて事実関係を精査するよう強く要請する。そもそも、遺伝子組換え生物等使用実験室内で飲食をすること自体が甚だ非常識なのであり、広島大学が疑念を持たれぬためにもこの際、飲食全面禁止にすることをお勧めしておく。

Q准教授は語る。
「大学当局は、H教授らが大腸菌を使用していたのは『部屋の清浄度の調査のため』で、遺伝子組換え実験ではなかったと説明しています。しかし当時の実験室内には、大腸菌を使った組換えDNA実験に用いる資材や、組換えDNA実験を実施すると発生する特徴的な形跡がいくつも残っていました。彼らは『部屋の清浄度調査』とは無関係な、大腸菌のコロニー(細胞塊)をとって増やすことや、大量液体震盪培養もやっていました。大学はきちんと調査したのでしょうか。
H教授は、ウイルスを用いた細胞への遺伝子導入実験(P2実験)に必要な『安全キャビネット』を、私たちから強制的に取り上げました。しかし、H教授らが大学に届け出ていた組換え生物等使用実験はP1レベルの動物実験だけだったことが、その後の情報開示で判明しています。必ずしも使う必要のない安全キャビネットをH教授らが独占していたことには、私たちの研究を妨害する以上の意味はありません」

H教授の「業績水増し」行為も不問に付されている。Q准教授が広島大学の公益通報窓口に異議を申し立てたところ、
「広大には公益通報に対する異議申立制度がないため、受け付けられない」
とされた。教師にいくら相談したところで解決できない「小学生のいじめ」とそっくりである。

そして16年12月27日、広島大学はQ准教授の再任を不可とし、17年3月末をもって任期満了退職とする、越智光夫学長名の通知をQ氏に出した。

だが、Q氏を大学から追い出すことに成功したとしても、H教授の「業績水増し」行為がなかったことになるわけではない。

わざわざ公益通報の窓口を設けておきながら、その実態は告発者の炙り出しと大学からの排除にしか使われないとするならば、大学当局が不正の片棒を担いでいるのと同じだ。大学が不正に目をつぶったことで、国費からH教授の研究費が引き出されていれば、大学も詐欺の共犯ということになる。その被害者は言うまでもなく、血税を不正に使われた国民だ。

筆者は広島大学を取材した。
〈つづきは3月13日ごろに配信予定です〉

(あかし しょうじろう・ルポライター、1月27日号)

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広島大学で「大人のいじめ」1-業績水増し告発の准教授が“クビ”へ

週刊金曜日
 ∟●広島大学で「大人のいじめ」1-業績水増し告発の准教授が“クビ”へ

広島大学で「大人のいじめ」1-業績水増し告発の准教授が“クビ”へ

(明石 昇二郎)

最高学府であるはずの国立大学で今、パワーハラスメント(パワハラ)が罷り通っている。部下の教員をいじめて何ら恥じることのない教授が「教育者」を気取る――。これでは、小学校や中学校、高校で学ぶ子どもたちにも示しがつかない。だが、幹部教員が部下の教員をいじめるパワハラが堂々と行なわれ、何のお咎めもない国立大学が実在する。

少子化の進行や運営交付金の削減により、今や国立大学であっても、生き残りをかけた戦略が求められる時代となった。

文部科学省は「スーパーグローバル大学創成支援」と銘打ち、世界のトップ100大学へのランク入りを目指す国内の大学13校に補助金を出す制度を開始。そのうちの一つに、国立大学法人の広島大学(広大)が選出された。

これを受け同大では「成果主義」が取り入れられ、研究活動の活性化が図られることになった。だが、その裏では業績の改竄や水増しといった不正が罷り通っている。

「成果主義」が招いた業績の水増し不正

今回、業績の改竄や水増し等の不正行為が発覚したのは、広大の原爆放射線医科学研究所(広大原医研)。およそ半世紀前の1961年、原爆の被爆地である広島に、世界的な被爆者医療の研究拠点となるべく設立された由緒ある研究機関だ。

国立大学附置研究所・センターの一つとして「共同利用・共同研究拠点」にも指定され、研究予算も特別に重点配分されている。2011年の東京電力福島第一原発事故の際には多額の国費が投入され、「緊急被ばく医療推進センター」としての役割を担っていた。

広大原医研の活動と業績は、研究所の公式記録である「年報」として毎年、300ページを超す本にまとめられている。関係省庁や関係機関に配布され、国会図書館にも寄贈されてきた。この年報は、さまざまな外部評価や公的研究資金申請時の資料としても活用される、非常に重要なものだ。

2014年発行の『広島大学原爆放射線医科学研究所年報55号』(赤字は筆者注)

写真は14年発行の『広島大学原爆放射線医科学研究所年報55号』の抜粋。この年報は、13年4月から14年3月までの1年間における広大原医研の業績をまとめたもので、広大原医研に所属するH教授の論文リストである。

H教授の手口は、
(1)他年度に発表した論文を、新たに書いたように装って使い回す。
(2)著者の順番を入れ替えて、全く別の論文であるかのように改竄する。
というものだ。

こうした使い回しや改竄によって、さも多数の論文を執筆しているかのように水増ししたうえで、H教授の論文リストはつくられ、そのままチェックされることもなく年報に掲載されていた。

確認したところ、リストにある「英文原著」24本のうち8本が、ルールに従えば次号の年報(56号)に掲載すべき別年度のもので、11本は年報54号の論文リストに掲載済みのものだった。水増しされた分を差し引けば、この年度のH氏の英文原著数は5本程度にまで激減してしまう。つまり、広大原医研の年報は、実際の研究活動や業績を全く反映していないものになっていたのだ。

H教授の不正行為は、広大原医研に所属する研究者がH教授の論文リストに疑問を抱き、その手口を大学当局に通報したことで明らかになっていた。実際、広大原医研年報は改竄が確認された14年発行の55号を最後に作成されておらず、通報を受けた同大年報編集委員会の動揺のほどがうかがえる。

だが、同大当局も広大原医研も、H教授の不正に対して対応せず、H氏の処分はおろか、年報の訂正さえ行なわれていない。

遺伝子組換え実験室で堂々と“違反飲食”

H教授の業績水増しは年報だけではなく、同大の研究者総覧でも発覚している。

研究者総覧は、大学に所属する研究者たちの業績を広く世間に知ってもらうために、大学のデータベースにある研究者の情報を、大学のホームページを通じて公開しているものだ。その内容はもちろん、本人がチェックしたうえで掲載される。

研究者総覧に掲載されていたH教授の「学術論文」リスト(赤字は筆者注)

写真は、研究者総覧に掲載されていたH教授の「学術論文」リスト。390本のタイトルが記載されていたが、同一論文が何度も使い回しされ、5回も繰り返し登場する論文まであった。

それが、大学当局への通報があった後の16年12月に確認すると、いきなり145本にまで“激減”していた。これほど大規模な変更が行なわれる場合、通常であれば更新履歴などでその理由を説明するのがインターネット上のマナーであり常識だが、広大の研究者総覧は何ごともなかったかのように“頬かむり”している。(http://seeds.office.hiroshima-u.ac.jp/profile/ja.0fbbc96bc2f4924b520e17560c007669.html

広大では「成果主義」の号令のもと、研究予算が業績に基づき、傾斜配分されるようになっただけでなく、給与額も業績に基づき、弾き出されるようになった。しかし、その根拠となる「業績」そのものに不正があったとすれば、それは詐欺であり、刑事事件にまで発展する恐れがある。

こうした業績の水増しは、内部告発によって明らかになっていた。告発したのは、広大原医研に勤める研究者・Q准教授である。

Q准教授がH教授の不正に気づくきっかけは、広大原医研内に設置された「遺伝子組換え生物等使用実験室」(P1・P2実験室)における、H教授らの傍若無人な振る舞いだった。

H教授らが同実験室の使用を開始したのは13年5月頃のこと。それ以前の同実験室は、取り立てて問題なく運用されてきた。しかし、H教授らが使うようになってからは、同実験室内での飲食や、同実験室のドアを開け放したままの実験等、プロにあるまじき行為が繰り返し行なわれるようになる。

ところで、「遺伝子組換え生物等使用実験室への飲食物持ち込み」は文科省令と環境省令で禁止されており、広大で作成した「遺伝子組換え生物等使用実験安全講習会」テキストにも、

「実験室で飲食・喫煙・化粧などを行ってはいけません」

と明記されている。「遺伝子組換え生物等使用実験室のドアを開け放したままの実験」に至っては、カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)第12条違反である。見かねたQ准教授が、H教授やその部下に再三注意したにもかかわらず、改められることはなかった。
〈つづく〉

(あかし しょうじろう・ルポライター、1月27日号)

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2016年12月29日

これはひどい! 広島大学原爆放射線医科学研究所、提訴の報復として原告教員の再任を拒否

パワハラ被害訴え
広島大学を提訴の准教授再任せず

■中国新聞(2016年12月29日)

 パワハラを受けたとして広島大学と教授を提訴している同大原爆放射線医科学研究所(広島市南区)の准教授(59)が、大学側から任期(7年)を更新せず来年3月で退職とする通知を受けたことが28日、分かった。
 准教授によると、通知は27日付。「研究活動を中心に総合的に評価し、再任不可」としている。
 准教授は、実験室から機器を撤去させるなどの嫌がらせを受けたとして、もう1人の准教授(当時)とともに2014年、同大と教授に損害賠償を求めて広島地裁に提訴。大学側は「研究スペースの配分を巡る上司の裁定に従わなかった」などと主張している。
 准教授は「実験ができず研究は滞ったが、授業や学会発表はしている。再任不可は恣意的で、提訴への報復ではないか」と話す。同大広報グループは「人事の個人情報にはコメントできない」としている。


2016年03月16日

広島大学原医研、嫌がらせで研究滞る 准教授2人が提訴

■中国新聞(2014年3月4日)

 下記の新聞記事は約2年前の記事であるが,この事件はハラスメントの事案であると判断し,あえて掲載する。現在,地裁に提訴中。(HP管理人)

「嫌がらせで研究滞る」 原医研准教授2人が提訴

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研、広島市南区)の准教授2人が、実験室から機器を撤去されるなどの嫌がらせを受けたとして、教授や大学などに計約1400万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こしたことが3日、分かった。
 訴状によると、教授は原医研に着任した20Il年、同じ研究部門の2人をそれぞれの准教授室から退去させ、学生たち十数人と共同の部屋に移るよう提案した。2人が「狭すぎる」と反対し、協議を求めたが難航。対立が深まる中、教授や教授側の研究者たちは13年5月、共同で使っている実験室から、2人の機器や試薬などを撤去したという。
 2人の申し立てで大学側はハラスメント調査会を設置。2人は機器などの返却を求めたが、いまだに返却されていないとい。
 2人は「精神的苦痛を受けた」として、2月28日に提訴。准教授の1人は「機器が撤去されてから1年近く、研究ができない状態にある。医学の発展に貢献する研究所の理念にも反する」と主張している。
 教授は中国新聞の取材に対し「大学に一任する」と説明。大学側は「訴状を確認しておらず、コメントできない」としている。


広島大学准教授2人が提訴 「研究室撤去迫られ苦痛」

■読売新聞(2014年3月3日)

 下記の新聞記事は約2年前の記事であるが,この事件はハラスメントの事案であると判断し,あえて掲載する。現在,地裁に提訴中。(HP管理人)

 広島大の男性准教授2人が、研究室から退去するよう迫られるなどの嫌がらせを受けたとして、男性教授らと同大学に対し、計約1400万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こしたことがわかった。教授は「本来は自分が使えるはずの部屋に居座られており、私が被害者だ」と反論している。
 訴状などによると、2人は2007年に同大学原爆放射線医科学研究所の准教授となり、大学に割り当てられた2部屋(各18平方㍍)と隣の大部屋(36平方㍍)を研究室に使用していた。
 11年、同じ研究部門に配属された教授が「自分が使う」として2人に2部屋から退去し、大部屋を他の研究者ら十数人と共同で使うよう提案。2人は一人当たりのスペースが2平方㍍になるうえ、教授は別に研究室があるとして抗議した。
 その後、所長や学長が、2部屋と大部屋を一つの部屋にし、その一部を2人に使わせる内容の「裁定」を出したが、2人は納得せず元の2部屋を使用。ほ年5月には、別室に置いてあった実験機材などを教授らに撤去されたという。
 2人は「実験ができないなど研究の機会を奪われ、精神的苦痛を受けている」として先月28日に提訴。大学には教授らの使用者責任があると主張している。
 教授は取材に「他に研究室はなく、精神的苦痛を受けているのは私だ」と話し、広島大は「訴えの内容がわからずコメントできない」としている。同研究所は放射線研究に関する国内の中核施設の一つ。

2015年12月10日

広島大学が職員制度変更へ

NHK(2月09日)

広島大学は大学全体で高い成果をあげるため、各研究科に所属していた教員を来年度から新たに創設する「学術院」という一つの組織に所属させ、大学の戦略に基づいて教員の配置ができるよう制度の変更を行う方針を決めました。
広島大学では、約1800人いる教員は11の研究科に分かれて所属し、各研究科ごとに授業の割り当てや研究を担う教員を決めています。
広島大学では8日、学長や研究科長などで作る評議会が開かれ、来年度からは新たに創設する「学術院」という一つの組織にすべての教員が所属するよう制度を変更する方針を決めました。
どの授業を誰が行うかなど、教育や研究を担う教員は大学の戦略に沿って決めるとしています。
広島大学は10年後に世界の大学の上位100校に入ることを目標に掲げていて、大学では目標を達成するための制度改革の一つだとしています。
広島大学の越智光夫学長は「限られた人材を最適に配置し、変革が迫られている大学の教育や研究の向上につなげていきたい」としています。

2014年08月04日

広島大 教員給与、年俸制を拡大へ

読売新聞(2014年08月02日)

 ◇若手や外国人 優れた人材確保狙い

 広島大は10月から、一部の教員の給与に、業績を反映させる「業績年俸制」を導入する。新規採用の若手教員や外国人教員などが対象で、優れた教員の確保や育成が狙い。理・工・農・医系で先行導入し、2年後には全分野の教員の15%(約230人)に適用する計画だ。(小宮宏祐)

 発表によると、同大はすでに特任教員12人に年俸制を適用しており、新たに新規採用の助教と外国人教員に原則適用することにした。55歳以上の在職教員(教授や准教授を含む)と、特任教員など教育・研究系の契約教員は選択制にする。これら以外の教員は従来の給与体系のまま。

 年俸は360万~2040万円の29ランクに分け、年額の8割相当の「基本年俸」は3年ごとに業績評価を反映させて額を見直し、残り2割の「業績年俸」は1年ごとに評価を反映させる。業績評価は論文数などを参考に各部局が定める。

 文部科学省によると、年俸制は他大学も検討。同省国立大学法人支援課には、86国立大のうち8割強の大学から年俸制導入の相談があり、島根大では4月から導入されているという。

 同省は昨年11月、国立大学改革プランを発表。その中で、人事・教育システムの弾力化を加速するため、「大学を支援する際、年俸制の導入を条件化」などとうたっており、今年度、年俸制導入の支援費として24億円の予算をつけている。

 年俸制の利点について、同課は「教員の流動性が生まれ、ポスト不足の解消につながるほか、適切な評価・処遇により、教育や研究が活性化する」とみている。広島大の浅原利正学長は記者会見で、「(単年度の)業績に応じて給与を支給することで、教員の意識改革や組織活性化につなげたい」と期待を込めた。