全国
 カテゴリー (国)宮崎大学

2017年04月08日

宮崎大学パワハラ捏造事件について、当事者教員が事件の真相を文書で説明

 2012年,宮崎大学が事実無根の「セクハラ」を理由に40代教員を懲戒解雇した事件,同時に都留文科大学も同じ事案を理由に同教員を解雇した事件は,いずれも裁判において,教員の解雇無効が確定している。

前者は,最高裁が2016年10月18日に宮崎大学の上告を棄却。解雇無効の高裁判決が確定。
後者は,東京地裁立川支部が2014年4月21日解雇無効の判決を下した。

 この事件は,1人の教員が,同じ事案により2つの大学から解雇通告を受けたという点で特異な事件であるのみならず,この解雇事件で,宮崎大学は事実関係を捏造した疑いが濃厚であり,裁判所も異例の証拠保全を行い,また文科省も現在事実関係の解明を当該大学に促したという点で,極めて異常な事件である。

 また,都留文科大学も自らの裁判で敗訴し解雇無効となり,同時に宮崎大学の上告棄却という最高裁の判断を知りながら,当該教員の現職復帰を認めていないという点で,その不当な取り扱いは常軌を逸している

 こうした事件の異常性から,フリー・ジャーナリスト田中圭太郎氏は,『現代ビジネス』(2017年3月28日号)に,「国立大にパワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白」と題するルポルタージュを掲載した。また,中嶋啓明氏(「人権と報道・連絡会」
会員)も,事件の経緯とともに,最高裁で無実が確定されたにも拘わらず,現職に戻れない状態を告発している。

『現代ビジネス』(2017年3月28日号)「パワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白 」
『週刊金曜日』(2017年3月31日号)「宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず」

 今回,この事件の当事者である教授(早野慎吾氏)から,事件の核心部分について正確な事実関係を明らかにする文書(「宮崎大学パワハラ捏造事件について」)と関連資料「大学が裸体と主張した卒論写真一覧」が寄せられた。以下,それを紹介する。(2017年4月8日,ホームページ管理人)

寄せられた文書は以下の2つのである。
宮崎大学パワハラ捏造事件について
大学が裸体と主張した卒論写真一覧

なお,下記の転載した文章には,資料1~6に写真がない。上記のPDFを参照のこと。

宮崎大学パワハラ捏造事件について

 このほど、田中圭太郎氏「国立大にパワハラ捏造され、解雇通知を受けた教授の告白」『現代ビジネス』(2017/3/28)について、幾つかのご質問を受けましたので、要点のみ整理して申し上げます。検証調書(裁判所が宮崎大学から採取した証拠保全資料)と裁判資料をもとに説明しますが、私の知らない内容があまりに多く、一部推測を交えざるを得ませんが、できるだけ客観的に説明したいと考えています。

①本件のきっかけ

 今回の件は2012年2月29日、K.H君(早野ゼミ所属)が、A.Sさん(山田ゼミ所属)、M.Mさん(医学部学生所属)らを連れて、自殺した女子学生Bさん(以後Bさん)のことについて虚偽の内容を石川千佳子教員(教育文化学部教務長)に伝えたことからすべてが始まります(所属は当時のもの)。

 K.H君はそのときの調書記録で「Bさんの卒論メニューは別メニューなので、別の曜日にゼミをしていたのかも知れないが知らない」(検証調書3頁)、Bさんに連絡をしようとしたが「Bさんに、早野さん以外に会いたくないと言われた」(検証調書8頁)と書かれています。筆者もBさんから「K.H君だけには会いたくない」とメールで伝えられていたので、K.H君をBさんと面会させずにいました。このような事情で、K.H君は、自らも言っているように、Bさんの様子をほとんど知らないにも関わらず、Bさんに関する様々な虚偽を石川教員に伝えたようです。もっともK.H君が裁判所に提出した陳述書には、かなりの部分で「そのようなことは言っていない」と書かれており、K.H君と石川教員のどちらが虚偽の発信源なのかは判然としません。どっちもどっちだと思えます。
K.H君について、Bさんのメモにかなりセンシティブな内容が書かれていましたが、その内容の真偽がわかりませんのでここで提示することはやめておきます。A.Sさんは他のゼミでよくわかりませんし、M.Mさんとはまったく面識がなく、推測しようがありません。ただし、A.Sさんには「バイト先でいやがらせを受けた」、M.Mさんには「ファミレスで正座させられた」とBさんからメールで伝えられていましたが、実態はわかりません。

 この学生らの虚偽証言に石川教員が尾ひれ背びれを付けて学長以下の役員に3月2日「Bさんの『自殺』に係わる事実経過」(検証調書128頁)として報告したことから、すべての間違が始まったと思います。ちなみに、石川教員は法廷(証人尋問)で、Bさんの自殺に関しては調べていないと述べました。筆者の代理人である江島寛弁護士が「学生が一人亡くなっているのに、何故調べないのか」と厳しく追及したのに対し、「生きていている学生のケアの方が大切だから」と平然と答えています(筆者はこの発言を受けて、Bさんの自殺調査を文科省国立大学法人支援課に依頼しましたが、動いてもらえませんでした)。

 石川教員が大学執行部に「調査結果」を報告した後、大学執行部と関連委員会等関係者が「早野憎し」で固まり、筆者を解雇するためなら何でもありの状態になっていく様子が検証調書から伺えます。田中氏は裁判資料と検証調書から、大学執行部の思惑がBさん自殺の責任転嫁にあったと結論づけています。それもあると思いますが、大学執行部及び関連委員会等関係者が石川教員の報告を真に受けた可能性もあると思います。

 その後、石川教員が中心になり、調査書と称する虚偽報告書が次々と大学当局に上げられるに至ります。証人尋問で、石川教員は「副学長・学部長の許可を得て自らやった」と述べていますが、ほとんどが単独調査の形を採るに至ったのは、他者に調査を委任した場合、最初に報告した内容が虚偽だとばれるのが恐ろしかったのだと思います。その後、虚偽に虚偽を重ねていきます。

②問題となった卒論

 今回の事件で、半裸写真の卒論が問題の中心にされましたが、その作成者はY.Yさんという学生で、筆者とは別の学科に属しており、指導教員は竹川昭男准教授でした。石川教員らがY.Yさんの卒論について、本人に事情聴取をしたのが4月17日(検証調書14頁)で、筆者に懲戒解雇と記された文書が送られてきた3週間後のことです。

資料1 Y.Yさんが卒論の事情聴取を受けたのは筆者の退職後の4月17日

 実際に本人が言っているかわかりませんが、検証調書によれば、Y.Yさんは「早野先生から卒論で○○点をもらいました」と竹川教員に言って成績を出してもらったとあります(それで出す方も出す方ですが)。証拠資料には、竹川教員が2月16日に成績を付けた記録が残っています。

 ちなみにY.Yさんが筆者に卒論を提出した日は2月23日と証言しています。既に成績が7日前に出されている卒論を提出したと証言されても,筆者にはその意味がまったくわかりません。また、Y.Yさんは法廷で1度も筆者のゼミを受けていないとも証言しているので、何が指導だったのか今でもわかりません。
筆者がその卒論を指導した証拠はないと裁判でも認定されましたが、指導教員の竹川教員も指導していないとのことですから、Y.Yさんは誰の卒論審査も受けずに不正で卒業したことになるのです。

資料2 竹川教員によるY.Yさんの卒論成績入力。筆者に提出したと主張する日より7日前に既に成績が付けられていた。(検証調書127頁)

資料3 裁判所作成のY.Yさんの卒論成績記録(検証調書2頁)、●●は筆者   
(申立人)によるBさんの卒論成績記録(2月7日15時に入力済)。

 Y.Yさんは卒論単位を不正で取得して卒業しているのですから、その卒論を問題にされれば大学の言いなりになるのは当然です。私に責任を押しつけなければ、自らが不正で卒業取り消しになるのですから。その点で、筆者を陥れたい宮崎大学と、卒業が延期になれば除籍になりかねない学生の利害が一致したと推測します。卒論の不正を見逃す代わりに大学の言うとおりに証言しろと脅されていたのかもしれません(あくまでも想像です)。理由は、自らの卒論を猥褻と評価するとは思えないからです。高裁の判決文も「卒業論文の趣旨を逸脱しているとは言い難い」と書かれています。証拠保全で採取してきたY.Yさんの卒論を見てみても、半裸に見えるのは人魚の項だけで、あとは服を着ていました。また、Y.Yさんの陳述書(代理人作成)で「白衣をまとい、それ以外は何も身に着けていない」裸体写真(乙32)と書かれていますが、学生がこのような表現をするとは思えないのです。資料4はその卒論画像です(検証調書114頁。もともとモノクロです)。これのどこが裸体なのか筆者には理解できません。学生の顔は誰なのか筆者には判別できませんでしたが、目線だけは筆者がいれました。別途、宮崎大学が裸体写真と公表した写真一覧を提示します。

資料4 大学がY.Yさんの裸体と主張した「白衣をまとい、それ以外は何も身に着けていない」写真 検証調書114頁

 Y.Yさんが提出してきた陳述書(作成は代理人)によると、Y.Yさんは当時25歳で卒論が書けずに留年していました。Y.Yさんは、初修外国語で中国語を選択したのに、ドイツ語の竹川ゼミに入っていたそうですから、書けなくて当然です(ゼミに入れる事自体問題です)。何とか、竹川教員をごまかして卒業したものの、K.H君にそのことがばれて、大学側に協力させられたのではないかと推測しています(証人尋問でK.H君に言われてやったと証言したので)。

 田中氏の記事に、Bさんが自殺直前に報告書の作成を押しつけられていたと書かれていますが、押しつけたのはY.Yさんです。Bさんは学部重点研究プロジェクトの経費を獲得したが、病気のため継続ができなくなり、代わりにY.Yさんが経費を使って報告書をまとめることになっていたようです。しかし、Y.Yさんは経費を使い切ったうえ、報告書作成をBさんに押しつけました。Bさんが自殺する直前の出来事です。これがBさんの自殺に直接関係しているかどうかはわかりませんが、Bさんの自殺に関して、Y.Yさんは、かなり後ろめたいものを感じていたのは確かだと思います。

 宮崎大学はハラスメント申立が3月9日、11日に行われていたと公表しています。申立書には医学部のM.Mさんの名前が記されています(証拠保全電磁記録)。M.Mさんの事情聴取は4月25日ですから(資料5)、事情聴取もしていない学生の名前を勝手に使っているのです。4月25日のM.Mさんの調書にはかなり悪質な内容が書かれていますが、本当に本人が言っているかわかりません。作成者が石川教員ですから。


資料5 ハラスメント申立書に名前があるM.Mさん(医学部)の聴取は、筆者の退職後の2012年4月25日に行われている。

 宮崎大学は、この卒論の撮影で、参加したモデルが被害者の如く報告していますが、Y.Yさん以外は筆者の無実を証言してくれていました。ある撮影参加者の保護者は「委員長(石川教員)に、早野先生には細やかな心配りをしてもらい娘も感謝している事、Bさんも同様に細やかな配慮を受けていたと伝えました。委員会に親同伴で出席させてくれと言った所、慌てて『それには及びません。お電話でお伺いしたので十分です』と言われました。やることが稚拙。」とメールで伝えてくれました。また、ある参加者も「早野先生はやましいことはしていないって伝えたら、石川先生から私の調査はしないって言われました。」とメールをくれましたが、この学生は最後までBさんの面倒をみて、もっともBさんの状態を知っていました。結局、私の無罪を主張する学生は、撮影に参加していようが、Bさんをよく知っていようが、全員調査から外されたのです。Y.Yさん以外の撮影参加者は、筆者の代理人の弁護士事務所で事情聴取を受けていましたが、在学生が陳述書を出すと大学側から不利益を被る危険性があるとの判断から、卒業生3名が在学生の意見を代表して陳述書を出しました。結局、大学の思惑通り話したのが卒論で不正をしたY.Yさんだけでした。卒論や撮影と無関係な学生らを集めて、卒論や撮影について話をさせて、「複数の学生から具体的証言を得た」と宮崎大学は公表したのです。

 その他のハラスメントがあったと大学が主張する現場に実際にいた山本講師(学外の教員)や学生T.Kさんが、大学が公式発表する前に意見書を出して筆者の無実を証言してくれていた資料が検証調書179頁にありました。しかし、山本講師は宮大在籍記録がない(他大学の教員なので当たり前)、T.Kさんは留学生なのでわかるはず無いと、訳のわからない理由で二人の意見書を無視して、その場におらず、全く関係のないK.H君の意見を採用しています。

③中心人物

 今回の件で石川教員が中心であったことは間違いないのですが、兒玉修学部長(当時)が大きく関与していることは間違いありません。兒玉教員、石川教員ともに、筆者とはかなり仲は悪かったのです。Y.Yさんの卒論を押収していったのも兒玉教員です。執行部でも他学部所属であれば、Y.Yさんが私のゼミ生であるかどうかはわかりませんので、石川教員の報告を信じ込んだということもあり得ますが、私と同じ学部で、学生名簿(指導教員名が記されている)を渡されている兒玉教員が知らないはずはあり得ません。学内にハラスメントがあったとする掲示物もすべて学部長名でなされていますし、虚偽の内容を記者会見で公表したのも兒玉教員で、その行為で慰謝料が認められています。

 あれだけのハラスメントが事実ならば、兒玉教員は学部長(管理責任者)として責任をとらなければならないはずが、逆に副学長に昇進するという不可解なことが生じています。

 田中氏は裁判資料と検証調書から記事をまとめましたが、私の見解は、田中氏の分析とやや異なっています。

 Bさんの件でやましさのある学生らのことばを、石川教員がセンセーショナルに報告してしまい、さらにBさんの両親に伝えたことで、引くに引けなくなってしまった。大学執行部及び関連委員会等関係者は石川教員の報告を真に受け、また自殺の責任を取らせようとして捏造の手助けをした。その結果、今回の事件が起きたのではないかと考えています。
筆者はBさんの主治医のひとりから(田中氏の記事に記載されている)、Bさんは自傷の危険が高いので録画を含めて常に記録を取っておけとアドバイスを受けており、その通りにしていたため(Y.Yさんは知っていた)、Bさんがらみの捏造はできないと判断して、石川教員はBさん以外の学生のハラスメントを捏造していったと推測します。

資料6 ハラスメント申立書に関する調査結果の結論(検証調書149頁)

 ちなみに、ハラスメント認定の根拠は「誰が、いつ、何処で」と筆者が聞いてきたことだそうです(資料6)。このような論理無視の人権侵害がまかり通るのは、組織ぐるみ、結論ありきの決めつけがなされていた証です。結論ありきを通そうとすると、捏造が生まれるのです。

 おそらく大学側は、訴訟を起こされた段階で日付や内容を改ざんして、学生たちにサインだけもらい調書や申立書を捏造しようと考えていたのでしょう。筆者は代理人を含め10名以上の弁護士に、証拠保全調書を見せましたが、全員がそのように意見を述べていました。それが予想もしない証拠保全が入ってしまい、捏造がばれてしまった。
今回はすべて特別調査委員会が中心で活動しているので、石川教員以外の原田宏教員(副学長)、岩本俊孝教員(副学長)も大きく関係していることは明らかですが、会議記録からはどのように関係していたかわからないので、第三者委員会の調査結果を待つしかありません。

 筆者の前に、宮崎大学は数人の教員に懲戒処分を出しています。同じ執行部です。大学側は裁判で多くの学生に証言させて勝訴しています。筆者のケースも筆者と無関係なY.Yさんの卒論を問題にして、さらにY.Yさんの卒論に全く関係の無いK.H君、A.Sさん、M.Mさんに証言させて、「多くの学生の具体的な証言を得た」と主張しています。過去のケースでも、かなりの捏造があったのではないかと感じています。第三者委員会には、筆者のケースだけでなく、過去のケースも調査して欲しいと望んでいます。

早野慎吾(都留文科大学教授)

2017年04月01日

宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず

■「週刊金曜日」2017年3月31日号より転載

宮崎大ハラスメント訴訟、「無実」確定も現職戻れず

中嶋啓明

 在職中に学生に対しハラスメント行為を行なったとする大学側の調査結果は事実無根だとして,元准教授の男性が大学を訴えていた裁判で,男性の「無実」がこのほど,最高裁で確定した。

 男性は,宮崎大学で准教授を務めていた早野慎吾さん。

 宮崎大学では2012年2月,早野さんが指導教員を務めていた女子学生が精神疾患で自殺した。大学側は,その調査の過程で早野さんが,別の女子学生の半裸写真を卒業論文に掲載させるなど,学生にさまざまなハラスメント行為を行なっていたことが発覚したと主張。懲戒解雇処分に相当するとして,退職金の不支給を決め,同年6月,原田宏理事(当時)らが記者会見して公表した。早野さんが宮崎大を退職し,都留文科大学の教授として勤務し始めた直後だった。調査結果は報道されて,都留文科大はそれだけを理由に早野さんを解雇。このため早野さんは,退職金の支給を求めて宮崎大を相手に裁判を起こした。

 裁判で早野さんは,大学の調査は早野さんに悪意を抱いていた学生らの虚偽の証言にのみ依拠して行なわれたと主張。だが,一審宮崎地裁は14年11月,大学側の主張をそのままなぞり,早野さんの請求を退けた。これに対し,福岡高裁宮崎支部は15年10月,一転して大学側の主張をことごとく否定。男子学生の"証言"は伝聞証拠であり,信用性に乏しいと指摘した上で「女子学生を半裸状態にしたり,半裸状態の女子学生の写真撮影をし,卒業論文に掲載させたりしたことを認めるべき証拠はない」などと早野さんの主張をほぼ全面的に認め,16年10月,最高裁で確定した。

 早野さんによると「無実」を主張したり大学側に不利な証言をしたりする学生には意図的に事情を聴かないなど,大学の態度は初めに結論ありきだった。大学は男子学生の虚偽証言のまま,あたかも早野さんに自殺の原因があったかのように,一方的に女子学生の家族に告げた。大学は調査の過程で,女子学生から避けられていたと男子学生が自認していたことを把握していたにもかかわらずだ。

 宮崎大総務課の坂元博巳課長は私の取材に「残念だが,本学の主張は認められなかった。最高裁判決を踏まえ,当時の調査を検証する準備を進めている。資料をそろえ,早ければ年度内には第三者に検証を依頼するなどしたい」と話した。文部科学省の指導が入ったようだ。

 メディアは当時,「学生の半裸写真 卒論に」/元准教授を「懲戒解雇」/宮崎大」(『宮崎日日新聞』12年6月29日),「下着の学生撮影/卒論に複数掲載/宮崎大元准教授」(『朝日新聞』西部本社版同日),「卒論に裸写真掲載される/宮崎大元准教授,女子学生に」(『読売新聞』同),「学内誌にも女学生写真/浴衣姿など09年に掲載/「不適切」抗議受ける/宮崎大元准教授」(『西日本新聞』同年7月19日)などと大々的に報道。共同通信も6月28日に「学生の半裸写真を卒論掲載/宮崎大の元准教授」と配信するなどした。

 だが,最高裁での「無実」の確定についてはつい最近まで一切,報道されなかった。今年3月7日になってやっと『宮崎日日』が「宮大の敗訴確定/元准教授へ退職金」と伝えただけだ。共同通信は,高裁判決で「宮崎大に退職金支給命令/セクハラ訴訟、高裁支部」と報じたものの,早野さんは「灰色無罪的な書き方で,まったく名誉回復になっていない」と憤っている。

 報道の影響は続いている。都留文科大の解雇処分は一応撤回されたが,早野さんは今も現職復帰できず不安定なままだ。

なかじま ひろあき「人権と報道・連絡会」会員。

2017年03月28日

宮崎大学不当解雇事件 パワハラまで捏造 最高裁が異例の対応

現代ビジネス
 ∟●国立大にパワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白

田中圭太郎氏が,前回の同志社大学の解雇事件に続き,【ルポ・大学解雇②】として宮崎大学の解雇事件についてルポルタージュを書き,『現代ビジネス』(講談社)2017年3月28日付に掲載された。
この宮崎大学のケース,本当にひどい。証拠の捏造も含めて人権侵害も甚だしい。ブラック大学中のブラック。かかる事件を起こし,当局側の人間のみならず,この何年もの間,同僚である多数の教職員は何をやっていたのだろうか。あるいは,この大学は良識ある者が声を発することさえできない状況にあるのかもしれない。宮崎大学に対しては,今後も社会的に厳しく監視していく必要がある。
また,都留文科大学の対応も,極めておかしい。最高裁が2016年10月18日付で宮崎大学の上告を棄却しても,なお教壇に立たせていない。同大学は,別の事件でも,不当労働行為で訴えられるなど,問題の多い大学である。(ホームページ管理人)

国立大にパワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白

先日公開した「ルポ・大学解雇」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51247)では、近年、学校側の一方的な通知によって大学教授らが解雇されるケースが増加していることを指摘した。

今回は、国立大学法人・宮崎大学のケースを追う。同大学で教鞭を振るっていた准教授が、身に覚えのない「セクハラ」「パワハラ」で突然解雇されてしまった。裁判の結果、この解雇が不当なものであることが認められたが、その裁判資料からは「捏造」というほかない、あまりに強引な大学のやり方が明らかになる。

なぜ宮崎大学は「捏造」をしてまで、この准教授を解雇したかったのか。そこには、一人の女子学生の死が関係していたのではないか――。ジャーナリスト・田中圭太郎氏のリポート。

身に覚えのないハラスメントで懲戒解雇

宮崎大学の准教授のAさんは、2012年4月に約8年間勤めた同大学を退職し、公立大学法人・都留文科大学(山梨県)の教授に就任することが決まっていた。准教授から教授になること、新たな立場と環境で研究活動ができることに期待を膨らませていたのは言うまでもない。

そんなAさんのもとに、悪夢のような報せが入ったのは、退職直前の3月12日のことだった。宮崎大学から、唐突に次のような通達が届いたのだ。……以下,本文を参照のこと……

2017年03月10日

宮崎大学不当処分事件続報、裁判において多数のハラスメント捏造が発覚し、文科省からの指導で検証委員会設立

 2017年1月25日付の本HP記事において 2012年,宮崎大学が事実無根の「セクハラ」を理由に退職した教員の退職金を支給しなかった事件で、最高裁が2016年10月18日宮崎大学の上告を棄却し、40代教員の完全勝訴が確定したことを紹介した。

 その続報が原告教員から届いたので,ここで紹介したい。それによれば,同事件に係わりハラスメント裁判で多数の捏造が発覚した結果、宮崎大学にたいして文科省から指導が入り,同大内に第三者の調査委員会が設立される運びとなった旨,文科省の担当官から直接原告宛に連絡があったとのこと。

[過去の記事]
宮崎大学不当処分事件ならびに都留文科大学不当解雇事件について
宮崎大学不当処分事件・最高裁決定、宮崎大の敗訴確定 元准教授へ退職金(2017年3月10日付)

宮崎大学不当処分事件・最高裁決定、宮崎大の敗訴確定 元准教授へ退職金

ハラスメント訴訟 宮大の敗訴確定、最高裁決定 元准教授へ退職金(宮崎日日新聞2019年3月7日)

 在職中のハラスメントは事実無根で,退職金が支給されなかったのは不当として,宮崎大の元准教授の男性が退職金や慰謝料など約1045万円の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3法廷(大橋正春裁判長)は6日までに,大学側の上告を棄却する決定を出した。大学側に約313万円の支払いを命じた二審判決が確定した。

 同大学は,元准教授が在籍中に女子学生の半裸の写真を撮影し,卒論に掲載させたなどとして、懲戒解雇処分に相当すると判断。2012年6月,すでに退職していた元准教授に退職金を支給しない決定をした。元准教授は同年12月,「事実無根」と提訴した。

 一審の宮崎地裁判決は准教授側の請求を棄却。二審・福岡高裁宮崎支部の判決では「元准教授が撮影し,画像を卒論に掲載させたと認めるべき証拠はない。(そもそも)卒論の指導教員は別の教員。退職手当不支給の決定は法的に無効で,原告に精神的苦痛を与えた」などと指摘。一審判決を変更し,大学側に退職金203万円と慰謝料など110万円の支払いを命じた。

 元准教授は「大学は自分たちの意向に沿う発言を学生たちにさせ,学生を利用してハラスメントを捏造(ねつぞう)した。私自身と学生の両方を陥れた」と話している。

 同大学は「残念ながら主張は認められなかった。これからも教育研究にまい進する」とコメントした。上告棄却は昨年10月18日付。


2017年01月25日

宮崎大学不当処分事件ならびに都留文科大学不当解雇事件について

 2012年,宮崎大学が事実無根の「セクハラ」を理由に,退職した教員の退職金を支給しなかった事件について,最高裁は2016年10月18日宮崎大学の上告を棄却した。これにより40代教員の完全勝訴が確定した。

 なお,宮崎大学は,一審判決を変更した福岡高裁宮崎支部の控訴審判決(2015年10月21日)を不服とし,上告していた。

 また,この事件では,同じ事案を理由に,都留文科大学が2012年に同教員を不当解雇している。この不当解雇事件についても,すでに,東京地裁立川支部は,2014年4月21日解雇無効の判決を下している。

 宮崎大学及び都留文科大学の両大学から不当な処分を受けた事件について,当事者の教員から簡単ではあるが,正確な経過と事実についてのコメントが寄せられた。以下,それを紹介する。(2017年1月24日,ホームページ管理人)

 宮崎大学がセクハラ等を行ったとして40代元教員を懲戒解雇相当とした事件について、平成28年10月18日最高裁の判決が出た。大橋正春裁判長は宮崎大学の上告(宮崎大学は福岡高裁で敗訴したため上告)を棄却し、40代男性の完全勝訴が確定した。福岡高裁では、宮崎大学の主張がすべて否定され、40代男性に対し、退職金に加え慰謝料も認められる判決を出している。

 なお、この裁判に関しては、宮崎大学に証拠保全(立ち入り調査)が裁判所職員立ち会いのもと行われ、会議録や職員のパソコンなどが調べられた。学生ではなく事務員のパソコンで懲戒解雇相当を決定する会議の直前に作成された(学生の署名もない)ハラスメント申立書や、争点となった卒論の本人調査が懲戒解雇相当を決定する前には行われていない(卒論作成者本人から聞く前にその卒論を名目に懲戒解雇相当を決定している)資料等が見つかっている。また、問題になった卒論を書いた学生は、40代男性のゼミとは全く関係ない他学科の学生で指導教員(T教員)が別にいた。さらにハラスメント申立者として記載されていた学生(実際申し立てたかも不明)は、問題になった卒論とは全く無関係な人物ばかりで、40代男性と全く面識のない学生も含まれている。ハラスメント調査を中心的に行った女性教員が数回にわたり行った上への虚偽報告がすべてのもとになっていることが伺えた。

 都留文科大学は、無実の人をハラスメントがあったと報道されただけで解雇したのである。