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2021年02月08日

関西外大ストライキ権行使に対する処分事件、大阪高裁不当判決

■私大教連かんさい(Email版)№142 2021年1月28日

 関西外大21世紀教職員組合は、ストライキ権行使に対する処分撤回を求めて大阪高裁に控訴していましたが、1月22日、「本件各控訴をいずれも棄却する」との不当な判決が下されました。
 原告と弁護団、私大教連は大阪高裁での逆転勝利に向け、経験豊富な弁護士を2名補強し、関西外大のストライキに関する学者の鑑定意見書、理事会の不誠実さを示す団体交渉のテープを起こして提出しました。しかし高裁判決ではそれらのものは一切顧みず、理事会主張をそのままなぞるような不当なものとなりました。
 関西外大理事会は団体交渉で、資料を提示して説明するようなことは一切行わず、どんな要求であっても組合が求めたものについて全く前向きな回答をしませんでした。しかし判決では、事実を検討する前提として「被控訴人(理事会)において、団体交渉を拒否し、あるいは不誠実な団体交渉を行ったものとは認められず」としています。「担当コマ数をめぐる団体交渉が何年にもわたって平行線をたどった」原因は、組合の責任と事実誤認の判断をしています。また2コマ授業のストライキについては、「担当しない授業科目を自らにおいて選択し、決定」し、「週6コマとするという要求を単に自力執行の形で実現する目的に出た」と決めつけ、「その授業科目を、他の教員に担当させざるを得なくなった」から「(理事会の)人事権を行使するもの」で、「正当なものであるということはできない」としています。
 加えて、判決では、大学教員は「1年間のうち、授業期間が9カ月間、それ以外の期間が3カ月間あり、授業期間以外の期間に教授会、委員会活動及び入学試験監督等の業務のほか、研究活動や授業の準備活動を行える」などと荒唐無稽な主張を展開し、「(大学教員は)その才覚と裁量により、柔軟に時間配分をして対処することができる」などとし、大学教員の働き方について極めて平板で、かつ偏見に満ちた見解を示していることも看過できません。
 また関西外大の労務管理の実態や組合差別の実態を示した証拠については、「主張が時機に後れたことについて控訴人(組合側)らの重過失も認められる」として、却下されました。これではどのような職場環境の中で、今回の事態が起こったかについての検証が全くできないものとなってしまいます。
 組合と原告、私大教連はこのような不当な判決を許さず、最高裁に上告し、たたかいを継続する決意を固めています。引き続きのご支援をよろしくお願いします。

【参考資料】
関西私大教連、「関西外大ストライキ権判決に対する声明」(2020年2月18日)





2020年03月12日

関西私大教連、「関西外大ストライキ権判決に対する声明」

声明

2020年1月29日(水曜日),13時10分,大阪地方裁判所809号法廷(裁判長 中山誠一,裁判官 大寄悦加・溝口達)で,学校法人関西外国語大学のストライキ権行使に対する懲戒処分無効を求める裁判の判決が下された。判決主文は「原告らの請求をいずれも棄却する」という不当なものであった。

■ストライキ権を著しく狭く限定

判決では憲法で保障されたストライキ権について,「団体交渉における労働者の立場を強化し,あるいは団体交渉における交渉の行き詰まりを打開するなど,団体交渉を機能させる趣旨のものと解される。そして,団体交渉を通じた労使間の合意形成を促進する目的あるいは態様で行われなければならないものと解される」と著しく狭く限定している。その上で,関西外国語大学21世紀教職員組合のストライキが6コマを超える部分でのストライキとなっており,これが「基準6コマを超えて,8コマを押し付けるな」という組合要求と合致していることから,「当該義務の不存在確認という目的自体は,争議行為によって,団体交渉を経ずして達成されることになる」とし,「当該争議行為は,労使間の合意形成を促進するという目的を離れ,労働組合による使用者の人事権行使となる側面がある」としている。そのため,「常に正当なものということはできず,団体交渉を通じた労使間の合意形成を促進する目的が失われたものと評価できる場合には,当該時点から正当性を有しない」と断定している。

■団体交渉での理事会対応で事実誤認

 一方,団体交渉については,「原告組合の要求通りの合意を強制されるものではなく,誠実交渉義務の内容として,原告組合の主張や要求の具体性や追及の程度に応じて,自らの主張や回答をし,必要に応じて論拠や資料を提示するなどして相手方の説得に努めることをもって必要かつ十分なもの」とし,学校法人関西外国語大学理事会が「誠実交渉義務を尽くしていた」と判断している。これはまったく荒唐無稽というべき事実誤認である。
 学校法人関西外国語大学理事会は関西外国語大学21世紀教職員組合が結成以来掲げてきた「基準6コマを超えて,8コマ以上を押し付けるな」という要求に対して,まったく妥協的な対案も示さず,「入職時の8コマ合意」を繰り返すだけで,それを根拠づける資料も一切提示しなかったのである。今回の裁判が始まって,初めて裁判所に理事会内の決裁書を示したが,これは50回を超える団体交渉を通じて頑なに開示を拒否してきたものである。組合は,理事会が論拠も示さず資料も提示せず,一切の妥協を拒み続けたことから,やむを得ず6コマを超えるコマ数についてストライキ権を行使するに至ったのである。さらに組合はストライキ権を行使しながら団体交渉を継続してきたが,それでも理事会は一切の妥協を拒み,組合を説得するための資料も提示しなかった。判決では「被告が,平成28年7月4日,原告組合に対し,団体交渉が平行線をたどって行き詰まりの状態にあって,原告組合から提案がない限りは,交渉に応じる義務がない旨を伝えてもなお,団体交渉は進展をみなかった」としているが,組合からの提案を一貫して無視し,平行線をたどらせたのは理事会の頑なな姿勢に他ならない。
 判決は,以上の事実すべてを無視し,理事会が誠実な交渉を行っている一方,組合は対案も示さず,交渉が行き詰まりになっているにもかかわらずストライキを続けていたと決めつけ,「本件懲戒処分の対象行為がなされた時点においては,もはや当該事項についての団体交渉が進展する状況にはなく,団体交渉を通じた労使間の合意形成を促進する目的が失われたものと評価でき,本件争議行為は,正当性を有しないと解される」と,理事会側の主張を鵜呑みにした結論を導き出している。

■理事会の不当労働行為体質を全く考慮しない

 また本件争議行為は,組合員に対して行った不利益取り扱いや,団体交渉拒否,不誠実団交に対抗するものであったと訴状・準備書面で主張しており,理事会も認否・反論している。それにも関わらず,裁判所はこれらの主張を「時期に遅れた攻撃防御方法の提出」として恣意的に却下した。その結果、ストライキ権行使に対する組合員の懲戒処分通知を学内に張り出した行為を、組合に対する重大な支配介入と見ず、規程に照らし合理的と判断するなど、理事会の不当労働行為体質は全く考慮されていない。

■控訴し、たたかいを継続する

 結局、今回のストライキ権行使に対する処分が理事会による組合つぶしの一環であるという点について全く判断を行わないまま,一方的で偏った間違った事実認定に基づいた,きわめて不当で結論ありきの薄っぺらな判決となっている。
 関西地区私立大学教職員組合連合(関西私大教連)は今回の不当な判決を許さず,教育・研究の質を担保しようとする労働者の権利を守り,教職員の声が生かされる関西外国語大学をつくるため,大阪高等裁判所に控訴し,たたかいを継続するものである。

2020年2月18日
関西地区私立大学教職員組合連合


2010年04月06日

関西外大労組、府労委宛て公正な判断を求める署名のお願い

関西外国語大学21世紀教職員組合
 ∟●署名のお願い

関西外大21世紀組合、府労委宛署名(団体・個人)への協力のお願い

 大阪・枚方市に威容を誇る褐色の塔――関西外国語大学(関西外大)本部棟――を御覧になったことがあるでしょうか。まさにこの塔が象徴するごとく、関西外大では、理事長・谷本一家による専断的な支配が30年近くにわたって続いています。1980年代前半に露骨な組合潰しが行われた後、なりふり構わぬ労働条件の切り下げと教職員の分断が進められ、しかも極限まで大学として必要な金を削りこむという異常な大学運営が始まりました。

 関西外大は英会話ブームの波に乗って規模を急拡大し、いまや儲けは日本第1位、毎年約70億円をため込んでいます(『週刊東洋経済』2009年10月24日号p.41)。しかしそれは、国庫から巨額の補助金を受け取る大学でありながら、その公の責任を放棄し、教職員と学生を犠牲にしている結果なのです。大学はNOVAのような無責任な英会話学校であってはなりません。入学者にその能力に応じた高等教育を提供してこそ大学というもの。そこを無視しておざなりのカリキュラムをイメージで飾りたてた関西外大の教育は、とうていその社会的責任を果たすものとは言えません。関西外大では「専任教員」の約3分の2が1年契約、低給にあえぐ「特任教員」や「招聘教員」です。授業料等の学生納付金に対する教育研究支出の割合は、全国531校の主だった私立大学中493位とその低さが目立っています(『週刊ダイヤモンド』2009年10月31日号p.38「私立大学財務ランキング」(2007年度決算))。

 この状況を何とか改善しようと、教育の現場から、教員が中心となって新しい労働組合・関西外国語大学21世紀教職員組合が結成されました。しかし大学側は、学内での組合活動を一切認めず、逆に組合非難の文書を教職員に配布、団体交渉は形ばかり、さらに不当な団交ルールを押し付け、ひいては一時金や手当ての支給で組合員差別を行っています。組合からの真摯な問題提起には耳を傾けようともしません。

 これに対して私たちは昨年3月、大阪府労働委員会(府労委)に救済の申立を行いました。組合側証人尋問が昨年12月に終わり、現在は使用者側の証人尋問が行われています。関西外大は、谷本栄子理事長が使用者側委員を務めるなど、府労委とは縁の浅からぬ間柄、しかし、去る1月22日の主尋問では、反省の色も見せず、嘘を並べて自己の正当化をはかる使用者側の姿勢が際立っていました。

 府労委の決定は、早ければ7月初めにも出される見込みです。府労委の公正な判断を求める署名活動への多大な御支援・御協力をお願いいたします。

個人署名用紙 団体署名用紙

第一次集約 4月 9日(金)

第二次集約 5月23日(金)

以上