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2020年10月24日

筑波大、永田学長が再任 任期上限撤廃、最長で11年に 教職員有志「認めない」

■毎日新聞(2020/10/22(木))
 ∟●筑波大、永田学長が再任 任期上限撤廃、最長で11年に 教職員有志「認めない」

 筑波大学長選考会議は21日、次期学長に現職の永田恭介学長(67)を選出したと発表した。学長選を巡っては、選考会議が学長の通算任期の上限を撤廃したことなどについて教職員有志が公開質問状を提出するなど紛糾しており、有志は「再選に反対」などと緊急声明を発表。選考会議の河田悌一議長は「いちゃもんだ」と選考の正当性を主張した。【鳥井真平】

 選考会議は20日に開かれ、学内外の委員24人が参加。委員らは永田氏と生命環境系長の松本宏教授への面談などを実施したうえで投票を実施、3分の2以上を獲得した永田氏の再任が決まった。

 選考会議は4月に学内規則を改正し、最長6年の任期を撤廃。教職員による候補者への投票結果を選考に反映する「意向調査」も選考要件から外した。教職員投票では松本氏が永田氏の約1・6倍を獲得していたが、選考会議は「選考尺度の一つ」とし、各委員に扱いを委ねた。

 選考会議は永田氏について「人格が高潔で学識が優れ、教育研究活動を適切かつ効果的に運営できる」などとして、学長にふさわしいと判断したという。

 永田氏は前学長が病気で退任したため、2013年4月から任期を引き継ぐ形で学長を務めている。これまでに2回再任され、例外的に最長6年を超えていたが、規則改正で再任が可能になった。今回の再任で24年3月まで計11年務めることになる。

 教職員有志による「筑波大学の学長選考を考える会」は、これまでに「規則改正は事前に教職員への説明がなかった」などと指摘している。

 河田議長は記者会見で、学内への情報共有は尽くしているとし、「2年以上かけた規則改正だ。いちゃもんをつけたという感じで非常に残念」と憤った。

 稲垣敏之副学長は「改正の最終形が決まったのは19年12月。それまでに何度も(学内の会議で)話して学内の意見を集約している」と説明。会議の議事録は教職員向けの学内サイトで確認でき、会議のたびに教職員の意見を吸い上げてきたと主張した。

 永田氏は「日本は学長の任期が短い。諸外国、特に米国は10年単位でやらないと大学は変わらないとされている」と述べ、「日本の高等教育を守り、発展させるため、大学長の任期を真剣に考え直す時期が来ていると思う」との考えを示した。

 考える会は永田氏が再任されたことを受けて、「不正な選考を認めない。選考プロセスに関する情報公開と問題の責任追及を継続する」との緊急声明を発表、司法レベルでの検証も必要などとした。


2020年10月22日

筑波大学学長選考を考える会、永田学長再選を受けた緊急声明(10月21日)

筑波大学学長選考を考える会
 ∟●永田学長再選を受けた緊急声明(10月21日)

永田学長再選を受けた緊急声明(10月21日)
不正な選考を認めない。学長、副学長の責任を問う。

永田学長、あなたはご自分が任命した「学外委員」河田悌一氏を議長とする学長選考会議によって、とうとう再選が認められましたね。あなたは、ご自分の任期中に、「現学長ありき」で審議され、「現学長にも適用される」学長の任期上限撤廃の規則改正により、いま永遠の学長の座に座ろうとなさっています。大学内のあらゆる民主的な手続きを破壊してきたあなたの権謀術数(マキャヴェリズム)は見事というほかありません。

この筑波大学で独裁政治が展開され、いまや完成されようとしていることなど、世間一般の方々は思いもよらないでしょう。そもそも、あなたには、学長にふさわしい「リーダーシップ」などありません。「意見聴取」の結果は、あなたをそばでみてきた教職員たちによる、あなたへの事実上の不信任表明でした。公示の理由書の最後に「学長選考会議としては同氏(永田恭介氏)がふさわしいと判断した」とありました。「意見聴取」の結果によれば、「教職員としては」その判断はあきらかに間違っています。

あなたが、本学でその独裁的権力の源泉としてきた密室政治のからくりは次第に明らかになりつつあります。あなたが独断で選任した副学長はその職にふさわしくない人物たちであることを教職員たちは知っています。少なくとも次の2名の副学長を任命した学長の「責任」は厳しく問われなければなりません。

まずは企画評価・学術情報担当副学長である阿部豊氏には過去に原発関連企業から多くの研究費を受け取り、原子力規制庁の情報公開規定にもかかわらずその事実を隠蔽して原子力規制基準の策定に加わった、重大な利益相反が過去に報じられています。そのようなことをするに恥じない人物だけに、今回の「意見聴取」投票についても、教職員専用サイトで、職員番号など、投票者が同定できるような情報の入力が求められる、記名投票にもみえる不可解なシステムを採用した疑惑がもたれています。これにより、投票者に、誰に投票したのかが把握できてしまうのではないかという恐れを抱かせました。さらにオンラインで行われた投票のためには、VPN接続という日ごろその機能を使っていない教職員にとっては高い技術的ハードルも設けられていました。意見聴取の直前に松本宏候補の所信ホームページに貼られた本学の学術情報メディアセンターのVPN接続方法を説明したページ(学外にも公開)へのリンクを、「情報セキュリティ上」の観点から外すようにという指示をしてきたのはこの阿部副学長でした。これにより本学において、誰もが平等に投票する権利の行使を妨げました。

総務・人事担当副学長の稲垣敏之氏は、すでに追加公開質問書、緊急要求書において詳しく追及したように、問題だらけの人物と言わねばなりません。教職員組合から学長選考会議に発出された質問状は、所掌している総務部総務課から学長選考会議委員に届けられることはありませんでした。松本宏候補のホームページに寄せられた学内の教職員たちからの声(意見・要望書)が掲載されていたページが、学内「機微情報」に触れる可能性があるとして、学外からはアクセスできないように指示し、私たち教職員の声が外にでないようしたのは、この稲垣副学長でした。さらに彼は、学長選考会議の開催される直前の教育研究評議会(10月15日)において、松本宏候補のホームページの「内容」に関する検証委員会の設置の決定を主導しました。学長選考会議議長河田氏が発言したとされている「調査委員会が立ち上がるなら意見聴取の結果は無効」という二人のあいだのシナリオの実行のためではないのかという疑惑がもたれています。(そして同日15日には、絶妙のタイミングで本学が指定国立大学法人に決定され、文科大臣による永田学長のリーダーシップが讃えられていました。)稲垣氏のように恣意的な行為を行う人物が、教職員に恐怖を与えてしまうのは、権力を私的に利用するような人間に予算権・人事権という絶大な権力を与えた責任者、学長としての永田恭介氏が存在するからです。永田学長、あなたこそ最大の咎めを受けなければなりません。

二人の副学長がこれまでどのような仕事をし、それが任命者のどのような利益となっていたのかは、これから公開で、司法レベルへの依拠も含めて検証されていく必要があるでしょう。

筑波大学の学長選考を考える会は、永田学長再選に反対すると同時に、今後も学長選考プロセスに関する情報公開と、問題の責任追及を継続していく所存です。

筑波大学学長選考を考える会 一同