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2018年03月10日

長崎労働局、長崎県立大の無期転換逃れ、認めず

毎日新聞(2018年3月8日)

 繰り返し有期契約を更新して働く非正規職員2人を今春で雇い止めする方針を示した長崎県立大が、長崎労働局から「社会通念上認められない」との指摘を受け、雇い止めを撤回したことが大学や労組への取材で分かった。2人は、契約が更新されれば、契約期間が通算5年を超えた非正規労働者が期間の定めのない無期契約に替われる「無期転換ルール」の適用対象だった。

 今年4月から無期転換の申し込みが本格化するのを前に、大学に限らず多くの職場で転換目前の労働者を雇い止めする動きがあり、問題化している。だが労働局の指摘が明らかになったケースはほとんどなく、専門家は「労働局が『無期転換逃れの脱法行為を許さない』との姿勢を明示した意義は大きい」と話す。

 長崎県立大や全国一般長崎地方労働組合などによると、2人は学内のサーバー管理などをする、いずれもシステムエンジニア(SE)の男性。うち1人は2004年4月から1~3年ごと、もう1人も13年4月から1年ごとの契約更新などで働いてきた。ともに今年4月に契約が更新されれば、無期契約への転換を大学に申し込めるはずだった。

 しかし大学側は昨年10月、2人に雇い止めの方針を伝える一方「県立大での通算雇用期間が5年を超えない」との条件で新たなSEを募集。2人は「無期転換逃れだ」として大学に雇い止めの撤回を求め、労働局に大学への指導を求めた。

 労働局が昨年12月に大学に示した文書によると、労働局は2人が繰り返し契約更新されてきた上、大学が新規募集で「通算雇用期間が5年を超えない」との条件を付けた点などを踏まえ「雇い止めは客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と判断。「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘した。

 大学側は取材に「指摘を厳粛に受け止め、適切に対応する」と回答。大学は2人を4月以降も雇用し、他の非正規の事務職員らについても通算5年としていた契約期間の上限を事実上撤廃する。

 非正規労働者の問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の中川拓弁護士(長崎県弁護士会)は「これまでは雇い止めにされた非正規労働者を法的に救済するのは難しかった。労働局が何度も契約が更新されている実態を重視し、強い姿勢を示した意義は大きい」と指摘する。【樋口岳大】

無期転換ルール

 有期労働契約を繰り返す非正規労働者の雇用安定のため、2013年4月施行の改正労働契約法で定められた。13年4月以降に結んだ有期契約が通算5年を超え、労働者が使用者に申し込めば期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。今年4月から無期転換の申し込みが本格化する。

5年雇い止め続発

 2013年4月施行の改正労働契約法で「無期転換ルール」が設けられた後、多くの大学が就業規則を変更し、有期契約の更新を繰り返す非正規教職員の通算契約期間を、無期転換の申し込み権が発生しない「上限5年」とした。このため、労働者側から「脱法的な無期転換逃れだ」との反発が相次いでいる。

 早稲田大では、非常勤講師の労組が東京都労働委員会に救済を申し立て、大学側が5年の上限を撤回。東京大や長崎大なども有期雇用職員について5年の上限を撤廃する方針を示した。一方、上限がある東北大では、非正規職員が労働審判などを申し立て、立命館大でも不当な手続きで上限が設けられたとして非常勤講師らが学長らを刑事告発する事態になっている。

 非正規労働者の雇用問題に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「長崎労働局は合理的な理由がない雇い止めは許されないという当然の判断を示した。模範的な雇用者であるべき大学が無期転換逃れをすることは許されず、長崎労働局の指摘は他大学にも影響するだろう」と話した。

 同様の問題は大学に限ったことではなく、日本労働弁護団が今月3日に実施した無期転換問題に関する全国一斉ホットラインには約100件の相談が寄せられた。弁護団には医師や航空関連社員、研究機関など幅広い職種から相談があり、厚生労働省も無期転換に関する緊急相談ダイヤル(0570・069276)を開設するなどしている。

長崎県立大、労働局指摘で「雇い止め」を撤回

産経(2018.3.10)

 有期雇用契約を繰り返して働く非正規職員のシステムエンジニア(SE)の男性2人を「雇い止め」とした長崎県立大(同県佐世保市)が、長崎労働局から「無期転換ルールを避ける目的での運用は厳に慎むよう求める」と指摘され、撤回していたことが、大学への取材で分かった。

 改正労働契約法で4月以降、通算5年を超えて働けば無期契約への転換を申請できる「無期転換ルール」が始まる。2人は契約が更新されれば適用対象だった。

 2人は平成16年と25年から契約更新を繰り返しながら働いていたが、大学は昨年11月、「通算雇用期間が5年を超えない」との条件で後任を想定したSEを募集。2人は契約の継続を希望していたが、更新できずに事実上の雇い止めとなる見込みだった。同労働局は「雇い止めは合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない」と文書で大学側に指摘した。

 大学は「無期転換ルールを逃れる意図はなく、人材の流動性を保つための目安として5年とした」としている。既に2人に謝罪し、4月以降も雇用するという。


2013年07月21日

バイオラボ破たん 兼業教授処分取り消し訴訟 長崎県立大側の敗訴確定 最高裁、上告を棄却

毎日新聞(2013年07月20日地方版)

 兼業していたベンチャー企業「バイオラボ」の業務で無断欠勤したとして、停職6月の懲戒処分を受けた県立大の久木野憲司教授(54)が県公立大学法人を相手に処分取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は19日までに法人側の上告を棄却。処分を無効とした1、2審判決が確定した。判決は16日付。

 久木野教授は2003年10月、遺伝子情報で薬を作る「ゲノム創薬」を研究する同社を設立し、「兼業従事許可」を受けたうえで社長を務めたが、09年9月、同法人から約380日間、無断欠勤したとして処分された。

 長崎地裁判決は「原告の勤務時間中の兼業従事を知りながら注意、警告しなかった。処分は社会通念上是認できない」として、処分無効と未払い賃金など約820万円の支払いを命じた。控訴審もこれを支持した。

 久木野教授は19日に長崎市で記者会見を開き「違法な懲戒処分を実施し、6回も敗訴を重ねた法人側は、再発防止策を策定し、事実経過を検証する第三者委員会を設置すべき」と、訴えた。【梅田啓祐】


2012年05月01日

長崎県立大学懲戒処分事件、福岡高裁は4月25日長崎県立大の控訴を棄却!

長崎県立大学で起きた懲戒処分事件の謎
 ∟●控訴審判決
 
以下は,ニュース報道

バイオラボ破たん:処分無効訴訟 教授の処分無効 福岡高裁、1審支持

毎日新聞 2012年04月25日 地方版

 県や長崎市が支援したベンチャー企業「バイオラボ」業務を巡り、停職6月の懲戒処分を受けた元同社長で、県立大の久木野憲司教授(53)が県公立大学法人を相手取り処分無効などを求めた訴訟で、福岡高裁は24日、法人に処分無効と、未払い賃金など約815万円の支払いを命じた1審・長崎地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。

 古賀寛裁判長は「懲戒処分の手続きに重大な瑕疵(かし)があり、処分は無効」と指摘。大学側が欠勤を理由に懲戒処分する際、具体的な日付や欠勤時間、それを検証する資料を交付せず、原告の防御活動を妨げたとして「処分の基礎とすることは許されない」とした。

 久木野教授は長崎市で記者会見。高裁判決について「誠に適正な判断」と述べた。同席した弁護士は「こちらの主張が通らない部分もあるが総合的にみれば妥当」と分析した。

 一方、大学側は「判決は納得できず、直ちに上告の手続きに入る」とのコメントを出した。


2011年12月03日

長崎県立大学懲戒処分事件、長崎地裁 教授が勝訴

祝 勝訴

バイオラボ破たん:「無断欠勤」認めず 教授が勝訴-地裁判決

 県や長崎市が支援したベンチャー企業「バイオラボ」の業務を巡り、停職6月の懲戒処分を受けた元同社長で県立大の久木野憲司教授(53)が県公立大学法人を相手に処分無効などを求めた訴訟の判決が30日、長崎地裁であり、井田宏裁判官は「原告の勤務時間中の兼業従事を知りながら注意、警告しなかった。処分は社会通念上是認できない」として、処分無効と未払い賃金など約815万円の支払いを命じた。法人は控訴する方針。

 判決は、同社の設立段階から大学は県と共に久木野教授の兼業従事を全面支援し、後押ししていたと認定。「書面上は勤務時間外での兼業従事許可だった」と認める一方「勤務時間外に社業ができないことは通常人なら容易に理解できる」と指摘した。また、同社が事業を行っていた頃、大学は教員の労働時間の適正な把握、管理をしておらず「実態は裁量労働制と同様の運用だった」と認定した。

 久木野教授は03年10月、遺伝子情報で薬を作る「ゲノム創薬」を中国で研究するために同社を設立。08年9月のリーマンショックを受け運営資金が不足し、約9億5000万円の負債を抱え倒産。この間“兼業従事許可”を受けていたが、09年9月、法人から約380日無断欠勤したとして処分された。

 久木野教授は「適正な司法判断。私を信じ、支えてくださった方に感謝したい」と語った。

[同ニュース]
バイオラボの久木野教授の懲戒は無効 長崎地裁判決
長崎県立大教授の停職無効 ベンチャー従事、大学は黙認
ベンチャー兼務の教授停職 処分は無効 長崎地裁判決

2010年04月22日

勤務時間報告書の怪? 長崎県立大学(公立大学法人)のハラスメント

長崎県立大学懲戒処分事件を考える会
 ∟●勤務時間報告書の怪? 長崎県立大学(公立大学法人)のハラスメント?(その1)
 ∟●勤務時間報告書の怪? 長崎県立大学(公立大学法人)のハラスメント? (その2)

 長崎県立大学(公立大学法人)は、教員の労働管理を時間管理制(=タイムレコーダーなどによる労働時間の管理)で行っていたという実態と異なる主張をしてきた(そのように主張しなければ久木野教授の懲戒処分の理由が無くなる)ことから、昨年12月1日から労働基準監督署(労基署)により違法な労働管理を是正するように、すなわち教員の労働時間を把握して必要な時間外手当を支払うように行政指導を受けています。指導を受けている長崎県立大学は今年1月より3月までの教員の勤務時間を把握するため、次の「勤務時間報告書」を全教員に提出してもらい、それにしたがって時間外勤務手当を支払うように改善したと労基署に報告していたようです。……