2015年11月25日
法科大学院の定員、2500人に 補助金見直しで「退場」加速へ
法科大学院改革を議論する中央教育審議会の法科大学院特別委員会は24日、当面の定員を今春より約670人少ない2500人程度に減らす改革案を取りまとめた。達成に向け、合格実績などで差を設ける補助金制度を促進する方向で見直すことも求めた。これを受け、文部科学省は年内にも具体的な要綱をまとめる。実績が伸びない法科大学院の「退場」が加速するとみられる。
最大74校あった法科大学院は募集停止が相次ぎ、来春の定員は45校計2724人とさらに減る見込み。今年度も定員割れし、入学者は2201人と既に2500人を割り込んでいる。
特別委は司法試験の年間合格者1500人という新たな政府目標を基に、合格率7割を目標にすれば2350人が必要と試算。試験を受けない人も考慮して定員を当面2500人程度とした。
法科大学院の定員を大幅減へ 文科省、2500人程度に朝日新聞(2015年11月24日)
文部科学省は24日、法科大学院の入学定員を今春募集があった54校の計3169人から2500人程度に減らすことを決めた。法律家になるための司法試験の合格者数の目標が毎年3千人から1500人以上に引き下げられたため、受験資格を持つ卒業生を絞ることにした。文科相の諮問機関「中央教育審議会」に案を示し、了承された。2017年度の入学定員から適用し、数年間での達成を目指す。
弁護士が増えても、仕事が増えずに供給過剰になっていることなどから政府は6月、目標とする司法試験の合格者数を引き下げた。現在ほぼ5割の合格率を7割に上げることも考慮し、入学定員を2500人程度とした。
文科省は司法試験合格率の低い大学院に「退場」を促してきた。募集停止が相次ぎ、来年度の入学定員は2724人に減る見通しだが、さらに削減を進める方針だ。
さらに、法科大学院の補助金を算定する指標の一つに、各大学院の入試の競争倍率を加える。倍率が低いと補助金の減額につながるという。
2015年09月18日
法科大学院、補助金基礎額ゼロ4校 文科省が5段階評価
文部科学省は17日、法科大学院への2016年度の補助金算定に向けた5段階評価を公表した。司法試験合格率などから国立・私立大計43校のうち13校を最高評価とする一方、私立大4校は補助金基礎額がゼロになる最低ランクとなった。文科省は一部の法科大学院で司法試験合格率が低迷していることを受け、15年度から補助金の傾斜配分を始めた。合格率や入学定員充足率などを点数化し、教員給与として支給する基礎額を90~0%の5段階に分類。先進的な教育プログラムなどを導入した法科大学院には一定額を加算する。
最低評価だったのは北海学園大、駒沢大、近畿大、西南学院大の4校。最高ランクは東京大や京都大など13校だった。国の補助金を受けていない公立の首都大学東京と大阪市立大、来年度の募集をしない法科大学院は対象外。
17日に省内で開かれた有識者会議で示された。会議冒頭、明治大法科大学院教授による司法試験問題漏洩について法務省担当者らが報告。井上正仁座長(早稲田大教授)は「学生や大多数の教職員の取り組みを踏みにじり、愚弄するもので強い憤りを禁じ得ない。法科大学院として見直すべき点があれば速やかに対応する」と述べた。
2014年11月19日
司法試験、7割合格目指す 法科大学院改革で工程表-文科省
学生離れなどで廃止が相次ぐ法科大学院について、下村博文文部科学相は18日の閣議後記者会見で、2018年度にも修了者の7割が司法試験に合格する規模に定員を縮小するなど、抜本改革の工程表を明らかにした。基本科目の単位増や到達度の確認試験導入など、法学部以外から入学した法学未修者向け教育の充実や、早期修了などの学びやすい環境づくりにも取り組むとしている。
工程表によると、法科大学院の15年度の入学定員はピークから約2700人少ない3175人まで減る見込み。司法試験の合格率が修了者の半数弱と低いことが学生離れに拍車を掛けているとして、合格率に応じて補助金に差をつけるなどし、18年度に7~8割が合格できる規模を目指すとした。
法学未修者の一部が授業についていけず、合格率低迷の一因になっているとされることから、基本科目の拡充や、進級の目安とする共通試験などを実施。司法試験の過去問題活用や若手合格者による指導など、教育内容の見直しも進める。
また、経済的事情で法科大学院に通えない人のための予備試験が、受験資格を早期に得る「近道」に使われている実態などを踏まえ、成績優秀者は早期修了できる制度を導入する。奨学金返済の軽減や、地方学生のために遠隔授業を行うなど志願者増に向けた取り組みも加速させる。
2014年10月10日
「法科大学院に進級試験を」 中教審委が提言案
中央教育審議会の法科大学院特別委員会は9日、法科大学院で学生を進級させるかどうかを判定するための新テストの導入を求める提言案をまとめた。法科大学院の入学定員を計3千人以下に削減することも要請した。法科大学院修了者の司法試験合格率の低迷や、入学者数の定員割れを踏まえた。
文部科学省は提言案を受け、テストを今年度中に数校で試行する方針。
テストは「共通到達度確認試験(仮称)」。各法科大学院が試験成績を基に学生の進級を判断する。同大学院修了者の今年の司法試験の合格率は21.2%にとどまっており、特別委は「教育の質の向上を図るべきだ」と指摘した。
今春の全国の法科大学院の入学者は計2272人で、9割が定員割れに陥った。来春に学生を募集する54校は計3175人の入学定員を予定しているが、特別委は3千人以下とするよう求めた。
提言案は、成績優秀な学生が法学部3年生を修了後に法科大学院へ飛び入学できる仕組みの創設や、国際化に対応するための留学促進策なども、検討課題として盛り込んだ。
2014年09月19日
法科大学院を5分類 「最低」7校は補助金半減
文部科学省は19日、各大学の法科大学院に2015年度に交付する補助金を算出するため、司法試験の合格率などを指標にして5段階に分類した一覧を公表した。国立・私立の52校のうち、東京大や京都大など13校が最高ランクに分類された一方、7校が最低の評価を受けた。文科省は一部の法科大学院の司法試験合格率が低迷していることを受け、15年度から各校への補助金を傾斜配分する方針を決めていた。今回の5段階の分類に沿って、現行制度の補助金の90~50%を「基礎額」として交付する。
有識者会議で授業内容などを審査し、先進的な取り組みを進めている大学院には一定額を加算する。ただし最低ランクの評価の7校は、他大学との連合大学院として再編しない限り加算しないという。
多くの大学院で補助金が減るとみられ、統廃合が進む可能性がある。有識者会議の審査は年内にまとまる見通し。
司法試験の合格率のほか、入学定員の充足率、法学部出身者以外の学生・社会人の入学状況などを指標とした。国の補助金を受けていない公立大の大阪市立大と首都大学東京は今回の分類の対象外となっている。
法科大学院7校は補助金の大幅減も文部科学省は、来年度から司法試験の合格率などに応じて法科大学院に補助金などを配分する新たな仕組みを導入するのを前に、来年度、生徒を募集する52校の評価をまとめ、7校は、組織の在り方を抜本的に見直さなければ補助金を大幅に減額するとしています。
文部科学省は、司法試験の合格率が低迷している法科大学院もあることを受けて、来年度から司法試験の合格率や定員の充足率などで、各大学院を5段階で評価し、それに応じて補助金などを配分する新たな仕組みを導入します。
これに関連して文部科学省は、来年度、学生を募集する国立と私立の52校の評価をまとめ、19日、法科大学院の充実策などを検討している中教審=中央教育審議会の特別委員会に報告しました。
それによりますと、一橋大学、東京大学、京都大学などの13校の法科大学院は、ほぼこれまでどおりの額が支給される最も高い評価でした。
一方、愛知学院大学、京都産業大学、國學院大学、桐蔭横浜大学、駒澤大学、北海学園大学、専修大学の7校の法科大学院は、補助金の基礎額がこれまでの50%に減額される最も低い評価でした。
このため、7校は、ほかの大学院と連合で新たな大学院を作るなど組織の抜本的な見直しを行わなければ、補助金が大幅に減額されることになります。
2014年07月03日
法科大学院定員が激減 学生離れ、ピーク時の半分に
文部科学省は2日、来春の法科大学院の入学定員総数が今年より634人少ない3175人になる予定との調査結果を公表した。学生の法科大学院離れが止まらない状況で、来春は鹿児島大や白鴎大(栃木)など13校が募集を停止。定員はピーク時の5825人から約45%減となった。
文科省によると、今年の入学者は2272人で約9割の学校が定員を下回った。44校は充足率50%以下で、来春も定員割れが相次ぐ見通し。合格率が低い24校は学生数がピーク時の1割に激減した。
各校が学生の質確保のため合格者を絞ったことや、卒業しなくても受験資格が得られる「予備試験」の志願者が増えたことが要因とみられる。
法科大学院は当初74校あったが、募集停止が相次ぎ、来年度学生を募集するのは54校。全校がピーク時より定員を減らしており、来年度はさらに20校が減員する。
2014年05月09日
法科大学院、定員割れ91%の61校 弁護士就職難背景に
今春学生を募集した法科大学院67校のうち定員割れは91%の61校に上り、2年連続で9割を超えたことが文部科学省の調べで分かった。司法試験合格率の低迷や弁護士の就職難が背景にあるとみられる。同省によると、67校の入学者は定員(3809人)に対し2272人で、初めて6割を割り込んだ。入学者10人未満は28校あり、うち10校は3人以下だった。10校のうち新潟大、鹿児島大など5校は来年度の募集を停止する。定員以上の入学者を受け入れたのは筑波大、千葉大、一橋大、京都大、大阪大、首都大学東京の6校。この6校のうち筑波大を除く5校は、昨年の平均合格率(25.8%)を大きく上回っている。
67校への入学志願者総数は1万1450人。過去最低だった昨年度より2474人減った。法科大学院は当初74校あったが、16校が募集を停止。定員は2007年度のピーク時(5825人)の6割近くまで減ったが、文科省はさらに削減が必要として、15年度から見直しを強化。司法試験合格率▽社会人入学者の割合▽地域配置??などの指標を基に点数化し、5段階に分けて補助金の額に差をつけると同時に、他校と連合すれば加算するなどの制度を導入し、統廃合を促す方針だ。【三木陽介】
◇2014年度入学者が3人以下だった法科大学院
入学者数 定員 13年の司法試験合格率(%)
※新潟大 1 20 18.9
※東海大 1 30 0
神奈川大 2 25 14.0
愛知学院大2 20 7.7
※久留米大2 15 4.8
香川大 3 20 18.5
※島根大 3 20 16.7
北海学園大3 25 10.7
静岡大 3 20 3.4
※鹿児島大3 15 2.9
(文部科学省調べ。※は来年度募集停止)
[同ニュース]
■法科大学院の定員充足率、初めて6割下回る
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140508-OYT1T50100.html
■定員割れ2年連続9割超、法科大学院離れ鮮明に 文科省集計
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140508/trl14050811380001-n1.htm
2010年04月26日
志願者2万4000人 法科大学院入試、低水準続く-文科省
■http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010042301037
新司法試験の合格率低迷や入学志願者減少が問題視されている法科大学院の2010年度入試で、全74校の総志願者数が過去最低の2万4014人(暫定値)だったことが、23日分かった。初めて3万人を下回った昨年度よりさらに低い水準。……