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 カテゴリー 平和問題

2015年12月07日

安保法廃止で共闘を呼び掛け シールズや学者ら集会

共同通信(2015年12月6日)

 安全保障関連法に反対する集会で発言する、タレントの石田純一さん=6日午後、東京・日比谷野外音楽堂

 安全保障関連法に反対する若者団体「SEALDs(シールズ)」と「学者の会」は6日、東京・日比谷野外音楽堂で集会を開き、関連法を廃止するために来年の参院選に向けて共闘しようと呼び掛けた。

 タレントの石田純一さんは「デモに参加していろいろなところでお叱りを受ける」と笑いを誘いつつ、「平和で安全な国をなぜ変えなければいけないか理解に苦しむ」と強調。大学1年の女子学生は「立憲主義が侮辱されたこの年を忘れない。私の尊い1票を安倍さんにはあげられない」と訴えた。

 共産党の志位和夫委員長ら野党議員らも参加し、集会後は銀座周辺をデモ行進した。


2015年11月30日

辺野古新基地建設、中止求め平和学会有志が声明 琉大で研究集会

琉球新報(2015年11月29日)

 日本平和学会(佐々木寛会長)の秋季研究集会が28日、西原町の琉球大学で始まった。同学会理事会の有志(佐々木会長ら24人)が、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について、即時中止を求める声明を発表したと総会で報告があった。「沖縄戦後70年-沖縄戦と米軍統治、復帰、現在そして未来」をテーマに、29日まで基地問題や原発、植民地、平和教育などをテーマに5部会11分科会を開く。

 分科会「東アジア共同体と日米安保体制見直し」には、鳩山由紀夫元首相らが登壇した。鳩山氏は「東アジア共同体は構成国を固定すべきでない。東南アジア諸国連合(ASEAN)に日、中、韓を加えた13カ国で東アジア共同体議会をつくるべきだ。その設置場所を沖縄に誘致し、沖縄を軍事ではなく平和の要石とすべきだ」と述べた。

 前泊博盛沖縄国際大教授は「本土から見れば米軍は正義のウルトラマンなのかもしれないが、そのウルトラマンは殺人を含む犯罪をたびたび起こし、戦後70年間で怪獣は一度も現れていない」と述べた。親川志奈子琉球民族独立総合研究学会共同代表は「対米従属で辺野古に税金で基地を造ろうとしている日本こそが独立し、平和な社会を築いてほしい」と強調した。


2015年11月26日

千葉大元教職員らが安保法反対の会 あす設立、討論集会開催

東京新聞(2015年11月25日)

 千葉大の元教職員らが、「安全保障関連法制に反対する千葉大学教職員OG/OBの会」を、26日に設立する。同日午後5時から千葉市稲毛区の千葉大西千葉キャンパスで、現職の教職員らと共催で「安保法制を考える討論集会in千葉大学」を開催。同会世話人の一人、元教育学部長の水内宏さん(76)は「安保法では戦争に巻き込まれる危険がある。最高法規の憲法に基づいて政治をすべきだ」と話している。 (村上一樹)

 OG/OBの会は、水内さんら九人の千葉大元教授らが呼び掛け人となり、安保法の採決直前の九月十八日に設立を呼び掛けた。百人ほどの千葉大教職員OG・OBに連絡を取り、約四十五人が賛同者として名を連ねた。

 集会では、中東現代史が専門の千葉大文学部の栗田禎子(よしこ)教授が、フランス・パリで起きた同時多発テロとも絡めて安保法について報告。同会の呼び掛け人から、元文学部長の下村由一さん(84)らも発言する。

 同会では今後も、学習会や講演会、シンポジウムなどを現職教職員や学生、院生、市民らを交えて続けていく予定。世話人の一人、千葉大名誉教授の木村忠彦さん(72)は「臨時国会を召集しないのも、憲法五三条違反。憲法をないがしろにする政策が進んでいくことを危惧する」と指摘し、集会への広く市民の参加を呼び掛けている。

 二十六日は、午後五時~七時。会場は文学部二〇三講義室(文学部・法政経学部一号棟二階)。参加無料で、事前申し込み不要。


2015年10月31日

学者グループが安保法反対のシンポジウム

NHK(10月30日)

先月成立した、安全保障関連法に反対する憲法学者や政治学者のグループが30日夜、今後の活動について考えるシンポジウムを開き、「専門家が国民と連携していくことが重要だ」といった意見が出されました。
60人余りの憲法学者や政治学者が呼びかけ人となっている「立憲デモクラシーの会」が、30日夜、東京・千代田区で開いたシンポジウムには、およそ500人が集まりました。
この中で、憲法学が専門でグループの共同代表を務める、樋口陽一東京大学名誉教授が、「法律に反対する活動を通じて、専門家の『知』と市民の『知』が結びついた、近代の日本になかったものをつくりあげてきた。これからも一緒にやっていきたい」と呼びかけました。
このあと4人の学者がパネルディスカッションを行い、「憲法に違反する法律が成立したのは、市民にも法律家にも責任がある。『違憲訴訟』を起こすなど、どのように対抗していくのかともに知恵を絞っていきたい」といった意見が出されました。
グループでは呼びかけ人の学者が講師となって、来月以降、月に2回程度、憲法や立憲主義について学ぶ勉強会を開くことにしていて、安全保障関連法を巡って高まった、人々の憲法などへの関心に応えていきたいとしています。

2015年10月10日

憲法学者200人余 安保法廃止求める声明

NHK(10月9日 15時00分)

先月成立した安全保障関連法に反対する憲法学者200人余りが「法律は憲法9条に抵触し正当性を持たない」などとして廃止を求める声明を発表し、今後も市民とともに全国で活動を続けていくことを明らかにしました。
この声明は憲法学者が東京都内で会見して発表したもので、全国の憲法学者200人余りが賛同しています。
声明は、「安全保障関連法は憲法9条に明らかに抵触する憲法解釈に基づいたもので、まったく正当性をもたない」と指摘しています。
そのうえで、「反対する多くの市民の声が全国各地で広がった。新しい民主主義の芽吹きを研究者の立場から今後も支持したい」として、今後も全国で市民と連携して法律の廃止を目指すとしています。
賛同している憲法学者たちは、今後、憲法の講座を各地で開くほか、シンポジウムなどを通して市民とともに全国で活動を続けていくということです。
会見で石川裕一郎聖学院大学教授は「今回、学生や母親たちなど幅広い人たちが日常生活の中で憲法を考え、集会に参加し、SNSで意見交換することが同時並行的に起きた。この動きを今後につなげていきたい」と述べました。

安保法「速やかに廃止を」 研究者が声明

共同通信(2015/10/09)

 安全保障関連法に反対する憲法研究者が9日、東京都内で記者会見し、「安保法の強行採決は常軌を逸している。満身の怒りをもって抗議する」として、同法の発動を許さず、速やかな廃止を目指すとの決意を示した声明を発表した。
 声明では、安保法に高校生や大学生ら若者を含む多くの市民が反対の声を上げていることを「新しい民主主義の萌芽」と位置付け、「この芽吹きを研究者の立場から支持し、連帯する」と表明した。
 8日現在で、声明には208人の憲法学者が賛同したという。


2015年10月03日

安全保障関連法に反対する学者の会、SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

安全保障関連法に反対する学者の会
 ∟●SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

SEALDs の奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明

 安全保障関連法案に反対してきた SEALDs の奥田愛基さんに対し、本人と家族の殺害を予告する脅迫状が送付される事件が発生したと報じられている。
 言論・表現の自由を脅迫と暴力で封じ込めようとすることは、民主主義社会に対する重大な挑戦であり、断じて許されない。加えて、本人とは別個の人格である家族に対して加えられるいかなる迫害も、個人の尊厳に対する威嚇であり犯罪行為である。さらに大学に脅迫状が送られたことは、大学の自治、学問の自由、言論の自由に対する攻撃として看過することはできない。
 法案への反対運動は、平和と民主主義に希望を託そうとする主権者の政治的見解の発露である。にもかかわらず、これを圧殺しようとする言動が繰り返されてきた。こうした言動が犯罪行為に該当する場合、警察には、放置せず適切かつ迅速に対処することを要請する。
 私たちは、学者、大学人、教育者として、この犯罪行為に強く抗議するとともに、市民社会に対し、このような脅迫に委縮することなく、闊達な議論によって私たちの民主主義を守り育むことを呼びかけるものである。

2015年10月2日
安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人有志

青井未帆(学習院大学教授)
浅倉むつ子(早稲田大学教授)
池内 了(名古屋大学名誉教授)
石田英敬(東京大学教授)
上野千鶴子(東京大学名誉教授)
鵜飼 哲(一橋大学教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)
内海愛子(恵泉女子学園大学名誉教授)
宇野重規(東京大学教授)
大沢真理(東京大学教授)
岡野八代(同志社大学教授)
小熊英二(慶応義塾大学教授)
戒能通厚(早稲田大学名誉教授)
海部宣男(国立天文台名誉教授)
加藤 節(成蹊大学名誉教授)
川本隆史(国際基督教大学教授)
久保 亨(信州大学教授)
栗原 彬(立教大学名誉教授)
小林 節(慶応義塾大学名誉教授)
齋藤純一(早稲田大学教授)
酒井啓子(千葉大学教授)
佐藤 学(学習院大学教授)
杉田 敦(法政大学教授)
高橋哲哉(東京大学教授)
千葉 眞(国際基督教大学特任教授)
中塚 明(奈良女子大学名誉教授)
中野晃一(上智大学教授)
永田和宏(京都大学名誉教授)
西川 潤(早稲田大学名誉教授)
西崎文子(東京大学教授)
西谷 修(立教大学特任教授)
広田照幸(日本大学教授)
広渡清吾(専修大学教授)
堀尾輝久(東京大学名誉教授)
間宮陽介(青山学院大学特任教授)
三島憲一(大阪大学名誉教授)
水島朝穂(早稲田大学教授)
水野和夫(日本大学教授)
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授・滋賀大学名誉教授)
山口二郎(法政大学教授)
山室信一(京都大学教授)
横湯園子(元中央大学教授・元北海道大学教授)
吉岡 斉(九州大学教授)
吉田 裕(一橋大学教授)
鷲谷いづみ(中央大学教授)
渡辺 治(一橋大学名誉教授)
和田春樹(東京大学名誉教授)

安保法反対の大学生に脅迫状 大学教授らが抗議声明

NHK(10月2日 20時49分)

安全保障関連法に反対する学生グループの中心メンバーに対して脅迫状が送られたことについて、大学教授の有志らが「民主主義社会に対する重大な挑戦で、断じて許されない」とする抗議の声明を出しました。
この問題は、安全保障関連法に反対する学生グループ「SEALDs」の中心メンバーで、明治学院大学に通う奥田愛基さんに、先月24日、「奥田さんとその家族を殺害する」という内容の脅迫状が送られたものです。
これについて、「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人の有志が、2日、「言論・表現の自由を脅迫と暴力で封じ込めようとすることは、民主主義社会に対する重大な挑戦であり、断じて許されない」などとする抗議の声明を出しました。
奥田さんはすでに警察に被害届を出し、警察は脅迫の疑いで捜査を進めています。

関学大で安保法反対の緊急集会「立憲主義と平和主義取り戻そう」

神戸新聞(2015/10/1)

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法に反対する「オール関学緊急集会」が1日、西宮市の関西学院大で開かれた。法成立後、兵庫県内の大学で大規模な反対集会が開かれるのは初めて。学生や教員、地域住民らが「立憲主義と平和主義を取り戻そう」と声を上げた。

 同法は30日に公布された。政府は南スーダンで実施中の国連平和維持活動(PKO)の任務に「駆け付け警護」の追加を検討するなど、来年3月末の施行に向け、動きを活発化させている。

 集会は関学大の有志が主催。参院審議中の8月に法案反対の声明を発表し、571人が賛同した。この日は120人の教室に立ち見も出た。

 集会では同大法学部の柳井健一教授(憲法学)が講演。安保法の成立過程を批判した上で、「法成立後もこれだけの人が集まり、何かしようと行動するのは新しい状況だ。立憲主義と民主主義を取り戻す行動を持続させよう」と呼び掛けた。

 大阪や神戸で街頭行動を続けた学生グループ「シールズ関西」メンバーで同大4年の寺田ともかさん(21)もマイクを握り、「教室に入れないほどの人を見て希望を感じた。本当の積極的平和主義とは何か、これからも考えていく」と話した。

 リレートークでは、学生から「安保法は民主主義のプロセスを経て成立したと考えるべきだ」との主張も出て、活発な議論が交わされた。

 同大法学部の長岡徹教授は「学生や若い母親が自分の言葉で語る姿に日本の将来がある。今後も活動を続けたい」とした。(木村信行)


2015年09月29日

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

東大法学教授、安保法制は法学的クーデター!

青山貞一 Teiichi Aoyama

September 19, 2015
独立系メディア E-wave Tokyo

 2015年9月19日午前2時過ぎ、11本に及ぶ安保法案が参議院本会議で可決された。

 何と、それより前、自公議員は、一人当たりの発言時間を制限する動議を出していた。最低でも30分間の意見を述べるべく原稿を用意してきた野党議員は、突如一人当たりわずか10分しか発言できないという言論統制、封鎖により発言を制限されたのである。まさに、これおが立法府の現場で行われていたのである。しかも、NHKはそれすら中継していなかった。

 周知のように安倍政権は、民主党政権が執拗な自民党政権による激しい攻撃に耐えきれず、自滅した後、、全有権者のわずか17から最大でも20%以下の得票で政権を奪取しているに過ぎない。しかも、その間の衆参選挙で、自民党は今回提出し強行採決した安保法案について明確に有権者に示すことはなかった。直近の衆院選挙は、アベノミクスと抄税問題がメインとなっていたことは誰の目、耳にもあきらかである。

 にもかかわらず、安倍政権は「憲法の解釈改憲問題で総選挙」をするでもなく、この間、わずか半年ばかりの国会審議で11本もの安保法案を強行裁決したのである。しかも、この間の国会審議で判明したことは、立法事実がない事例の数々、それを延々と説明、首相と大臣によるちぐはぐな答弁の繰り返し、明らかに存在するであろう資料を不知と繰り返すことなどであった。また官邸の幹部自身が法の安定性なんて関係ないと言う始末である。さらに、安倍首相は春に米国連邦議会で安保法制の制定化を約束、自衛隊最高幹部も同様のことをそれ以前に米国側に伝えていたのである。

 全部で11本に及ぶ安保法案をわずか半年足らず、衆参合計200数十時間しか審議することなく、民主、維新、共産などの国会議員と、国会周辺を中心に全国各地における反対デモを蹴散らかすように、2015年9月19日午前2時過ぎ、安保法案が参議院本会議で可決されたのである。この種の重要な法案は、一本でも一国会一本が通例であるはずである。これはイラク特措法などを見れば明らかである。

 もとより、安倍安保法制は、永年、自民党の総裁、大臣、幹部らが歴代の法制局長官の認識のもと、憲法九条の解釈改憲は違法と認識してきた集団的自衛権、同行使を安倍首相のご都合主義的改憲解釈により可能としたものであり、違憲である。これは高村副総裁が繰り返す詭弁でも明々白々である。

 ところで、9月18日深夜のTBSニュース23のなかで、ある東大教授は安倍首相が行ってきた一連の集団的自衛権議論と安保法制は「法学的クーデターである」と語った。まさに至言である。

 もともと、安倍首相が現行憲法下で集団的自衛権を容認するという解釈改憲は、およそまともな憲法学者、専門家でありうるものではない。安倍氏と考えを同じくする国際政治家、防衛政策論者らによってなされてきただけのことでる。事実、日本の公法学会に集まる1000人近くの憲法、行政法の専門家のうち、現行憲法下で明確に集団的自衛権を容認と考える学者、専門家は数名にすぎない。テレビなどに安倍政権を擁護するために出ている学者、専門家の多くは法律家、憲法学者ではなく、政策(価値判断)分野の学者にすぎない。

 一言で言えば、安倍首相やその周りにいるお仲間は、立法事実や事実認識を無視し、自分たちの勝手で恣意的な価値判断により現行憲法下で明確に集団的自衛権を容認と政策判断しているに過ぎない。いうまでもなく立憲民主主義下にあっては、憲法を最上位とし、憲法の条文のもとでの立法が可能であり、行政はあくまでそのもとで抑制的に存在する。

 にもかかわらず、安倍政権は、日本の名だたる憲法学者、専門家、歴代内閣法制局長官、さらには最高裁長官、判事らの助言を聞くことなく、お仲間で昭和47年」の砂川判決を自分たちに都合の良いように、つまみ食い的に援用し、集団的自衛権の解釈改憲を可能と自画自賛したのである。

 多くの識者が指摘するように、砂川判決のなかにはそのような解釈改憲を可能とする記述はない。しかも、安倍首相は、お仲間の御用学者らで私的懇談会を構成するだけでなく、内閣法制局長官まで更迭し、自分の言いなりとなる正当性も正統性もない役人を内閣法制局長官に据えて国会審議に対応したのである。

 これは日本全国に存在する憲法学者、公法学者にとっては、青天の霹靂、寝耳に水であったに違いない。まさに彼らにとっては「法学的クーデターで」あったに違いない。多くの学者、研究者、弁護士、元判事らが一堂に会し、安保法制に反対したのは当然である。

 このような稀代の「法学的クーデター」がなぜ可能となったのか、については、NHKを中心に大メディアが最低限の事実をまともに国民に伝えなかったことがある。安倍首相は、特定秘密法案の制定につづき、主要メディアの幹部を呼び寄せ,食事に誘い、さらに官邸はことある度にマスメディアに報道内容に介入していたのである。

 NHKは何と、中央公聴会(国会)、地方公聴会(横浜市)すら中継せず、その後の委員会審議、裁決、本会議審議、裁決すらまともに中継しなかった。その間NHKは、チリ地震による津波のニュースを延々と繰り返していたのである。

 かなり前から日本の大メディアには「社会の木鐸」という言葉が妥当しなくなっていたが、ここまで権力の広報機関化、それも憲法違反の独裁政権の広報機関に成り下がったことが「法学的クーデター」の背景にあることは否めない。


憲法解釈変更:法制局、経緯公文書残さず

毎日新聞 2015年09月28日

 政府が昨年7月1日に閣議決定した集団的自衛権の行使容認に必要な憲法9条の解釈変更について、内閣法制局が内部での検討過程を公文書として残していないことが分かった。法制局によると、同6月30日に閣議決定案文の審査を依頼され、翌日「意見なし」と回答した。意思決定過程の記録を行政機関に義務づける公文書管理法の趣旨に反するとの指摘が専門家から出ている。

 ◇審査依頼の翌日回答

 他国を攻撃した敵への武力行使を認める集団的自衛権の行使容認は、今月成立した安全保障関連法の土台だが、法制局はこれまで40年以上もこれを違憲と判断し、政府の憲法解釈として定着してきた。

 法制局によると、解釈変更を巡り閣議前日の昨年6月30日、内閣官房の国家安全保障局から審査のために閣議決定案文を受領。閣議当日の翌7月1日には憲法解釈を担当する第1部の担当参事官が「意見はない」と国家安全保障局の担当者に電話で伝えた。

 横畠裕介長官は今年6月の参院外交防衛委員会で、解釈変更を「法制局内で議論した」と答弁。衆院平和安全法制特別委では「局内に反対意見はなかったか」と問われ「ありません」と答弁した。法制局によると今回の件で文書として保存しているのは、安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の資料▽安保法制に関する与党協議会の資料▽閣議決定の案文??の3種類のみで、横畠氏の答弁を裏付ける記録はない。

 「集団的自衛権行使は憲法上許されない」とする1972年の政府見解では、少なくとも長官以下幹部の決裁を経て決定されたことを示す文書が局内に残る。法制局が審査を行う場合、原則としてまず法制局参事官が内閣や省庁の担当者と直接協議し、文書を残すという。しかし、今回の場合、72年政府見解のケースのように参事官レベルから時間をかけて審査したことを示す文書はない。

 公文書管理法(2011年4月施行)は「(行政機関は)意思決定に至る過程や実績を検証できるよう、文書を作成しなければならない」(第4条)とする。

 解釈変更を巡る経緯について、富岡秀男総務課長は取材に「必要に応じて記録を残す場合もあれば、ない場合もある。今回は必要なかったということ。意図的に記録しなかったわけではない」と説明。公文書管理法の趣旨に反するとの指摘には「法にのっとって文書は適正に作成・管理し、不十分との指摘は当たらない」と答えた。横畠氏にも取材を申し込んだが、総務課を通じて「その内容の取材には応じない」と回答した。【日下部聡、樋岡徹也】

 ◇「民主主義の原点」…記録なし、識者批判

 内閣法制局に関する本や論文を多数執筆している明治大の西川伸一教授(政治学)は「戦後の安全保障政策の大転換であるにもかかわらず、たった一晩で通すなど、あまりにも早すぎる。白紙委任に近い。従来の法制局ならあり得ないことだ」と指摘する。さらに、検討の過程を公文書として残していないことについても、「記録を残さないのは疑問。国民によるチェックや後世の人々の参考のため、記録を残すのは民主主義の原点だ。政府は閣議の議事録を公開するようになり、公文書管理法も制定された。その趣旨にのっとって、きちんと記録を残すべきだ」と話す。

 ◇内閣法制局◇

 内閣直属の機関で、審査事務(政府が作る法令案の審査)と意見事務(内閣に対する法的な助言)を主な役割とし、今回のような憲法解釈は後者に当たる。積み重ねられてきた法解釈との整合性を重視した厳格な審査をすることから、「法の番人」と呼ばれてきた。職員数(定員)は77人。


戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

自由法曹団
 ∟●戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

戦争法案の可決・成立に強く抗議する法律家6団体共同声明

 自民・公明両党と次世代の党など3野党は、本年9月17日夕刻の参議院特別委員会における抜き打ち的かつ暴力的強行「採決」に続き、同月19日未明、参議院本会議における強行採決によって、戦争法案(「平和安全法制整備法案」「国際平和支援法案」)を可決・成立させた。

 戦争法制は、米国などの他国防衛を目的とする集団的自衛権の行使を認めるほか、日本の安全や国際社会の平和を口実に、切れ目なく自衛隊の海外派兵と武力行使を解禁していくものであり、憲法第9条の平和主義を蹂躙する違憲立法であることは明白である。

 この間、与党推薦の研究者を含めて圧倒的多数の憲法研究者、元内閣法制局長官、元最高裁判所長官をはじめとする元裁判官たち、日本弁護士連合会のすべての単位会ほか弁護士グループらが、法案の違憲性を繰り返し訴えてきたが、政府与党は、これらの専門家の意見も無視し続けた。

 また、法案審議が進む中で、合憲性の根拠(砂川事件最高裁判決・政府72年見解の読み替え)が早々に破綻し、法案の必要性(立法事実)のでたらめさ加減が露呈し、限定的だと称していた集団的自衛権の行使をはじめとする自衛隊の武力の行使に何らの歯止めもないことが明らかとなっていったにもかかわらず、政府は、野党側の質問には最後までまともに答えようとはせず、そのため、各種世論調査では、国民の約8割が政府は説明不足であると回答した。

 国会の外では、今年5月の法案の国会上程以降、戦争法案に反対する国民の声が燎原の火のごとく広がっていった。各界・各分野から反対声明が続出し、若者、学生、若い母親たちが自ら声をあげ行動を起こし、数多くの地方議会や首長らが法案反対・慎重審議の決議や意見書を提出した。かつてない規模での広範な国民的共同行動の土俵を作り出した「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼びかけた8月30日の行動には、12万人もの人々が大河のように国会周辺を埋め尽くした。各種世論調査においても、法案に反対の国民は、5割から6割以上にのぼった。政府与党は、こうした広範な反対の声を無視して、あえて採決を強行した。

 こうした審議経過から明らかなことは、安倍政権が、憲法だけでなく安保条約さえも踏み越えて「日米防衛協力のための指針」(いわゆる日米ガイドライン)を優先し、主権者たる日本国民の意思よりも、米国連邦議会におけるアメリカに対する約束を重視したということである。先の参院選、衆院選では、安保法制を争点としなかったにもかかわらず、安倍政権は、あたかもナチスの授権法(全権委任法)の手口をまねるかのように、数の力にものを言わせて国民主権と議会制民主主義、権力分立を形骸化し、政府自身が60年以上にわたって維持してきた憲法解釈を覆して、憲法違反が明白な法律を制定した。戦後例をみない反立憲主義・反民主主義・反知性的な政権の暴走であり、到底許されない。

 私たち法律家6団体(構成員延べ7000名)は、これまでも憲法研究者団体、日本弁護士連合会、日本労働弁護団をはじめとする広範な法律家・法律家団体と協力して、安倍政権による戦争法案の推進に対し強く反対してきたが、本法案の可決が、立憲主義・民主主義、平和主義を踏みにじる戦後憲政史上最悪の暴挙であることに対して、改めて満身の怒りをもって抗議するとともに、今後も、広範な国民とともに、憲法9条を否定し、日本を戦争する国に変え、自衛隊員をはじめとする日本国民並びに他国民の命を奪うこの戦争法制を発動させずに廃止に追い込むため、全力を尽くす決意であることをここに表明する。

2015年9月24日

改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 代表理事 宮 里 邦 雄
自 由 法 曹 団 団 長 荒 井 新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議 長 原 和 良
日本国際法律家協会 会 長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会 会 長 佐 々 木 猛 也
日本民主法律家協会 理 事 長 森 英 樹


2015年09月28日

安保法廃止へ一丸 県内3大学有志が集会

岐阜新聞(2015年09月27日)

「若い力を支え、安保法の廃止と執行阻止を目指そう」と訴える岐阜大の近藤真教授=26日午後、岐阜市美江寺町、市民会館
 岐阜大、岐阜経済大、情報科学芸術大学院大(IAMAS)の有志が26日、3大学合同の安全保障関連法反対の集会を岐阜市美江寺町の市民会館で開き、法の廃止、執行阻止を訴えていく方針を確認した。

 各大学では8月に有志の会が発足しており、集会は法の成立後初めて開いた。関係者や市民団体のメンバーら36人が参加した。

 参加者のリレートークで、岐阜大の椎名貴彦准教授は「憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を限定的に認めるのは無理があり、違憲だ」と指摘。「可決されたが、反対の活動を終わらせてはいけない」と訴えた。

 同大の近藤真教授は「県内でも(これまで声を上げてこなかった)学生らが立ち上がっている。若い力を支え、活動の輪を広げていきたい」と話した。

 会ではこのほか、参加者を中心とした違憲訴訟の提訴が可能かどうかについても話し合った。


2015年09月26日

龍谷大学有志、(声明)「平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意」

(声明)「平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意」

(声明)平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻し、
安全保障関連法の廃止に向けて取り組む決意

2015年9月21日 龍谷大学「国会で審議されている安全保障関連
法案の撤回を求める声明」呼びかけ人 
   

 9月19日の未明、参議院において「国際平和支援法案」と10本の安全保障関連法(自衛隊法等)を「改正」する「平和安全法制整備法案」が可決、成立しました。安倍晋三政権が5月14日に閣議決定し国会に提出して以降、多くの国民が法案に対して反対してきましたが、衆議院に続いて参議院でも特別委員会と本会議で強行可決されました。わたしたちはこの暴挙に対して強く抗議します。
 わたしたちは6月24日に発表した「声明」において、「法案の撤回と立憲主義にもとづいた政治の実行を求め」ました。それは、①法案は日本国憲法の立憲主義と平和主義を破壊するものであること、そして②この法案が成立すれば、学問の自由が制約され、大学における教育や研究が軍事目的のもとにおかれること、③第2次世界大戦に対する痛苦の反省から日本がめざしてきた平和国家の道を閉ざし、「戦争する国」のもとで若者たちを戦争に参加させることとなること、④龍谷大学は「建学の精神」に基づく育成すべき人間像の一つとして、「人類の対話と共存を願う『平和』の心」を謳い、それを実践する大学であること、という4つの理由からです。
 国会の審議を通じて、わたしたちの疑問や不安は決して払拭されることはありませんでした。政府の答弁は二転三転し、到底国民の理解を得られるものではありませんでした。審議が進めば進むほど法案の持つ問題点が明らかになり、国民の理解と支持は得られることはなかったのです。にもかわらず、政府・与党はごり押しともいうべき形で、数の力で(国民の反対運動の盛り上がりを恐れて)「予定通り」連休前に成立させたのです。
 わたしたちはこの事態を前にして、諦めや敗北感を感じることはありません。むしろ、この間全国で広がった広範な層が参加する運動に励まされ、今後も運動を継続していく決意を強めています。とりわけ大学生や高校生などの若者が自らの言葉で語り、創意工夫した運動を繰り広げたことは、わたしたちに希望を与えてくれました。学生たちの勇気に応えて、ともに学び、たたかっていきたいと思います。
 日本国憲法に定める平和主義と立憲主義を破壊し、民主主義を否定する政権の横暴に対して、わたしたちは平和主義・立憲主義・民主主義を取り戻すために取り組んでいきます。国会で成立した安全保障関連法を「実施させない」とともに「廃止」させなければなりません。そのためには、民意を反映しない国会の構成を改めていく必要があります。わたしたちは、国民各層と連帯し戦後70年の年である2015年を「日本の平和主義・立憲主義・民主主義を再生させる」出発点としていく決意を表明します。


安保法の廃止求める集会とデモ 札幌

NHK(9月25日)

北海道では、安全保障関連法に抗議するデモなどが法律の成立後も続いていて、25日は札幌市内で法律の廃止を求める集会とデモが行われました。
札幌市の中心部で25日夜、行われた集会は、道内ゆかりの文化人や学者の呼びかけで発足した団体が開き、主催者の発表でおよそ900人が集まりました。
集会では小樽商科大学の名誉教授で、憲法学者の結城洋一郎さんが、「憲法と民主主義を冒とくする安倍政権に対し、多くの国民が新たな闘いに立ち上がっている。絶対に戦争を許さないよう行動していきましょう」と訴えました。
安全保障関連法の成立を受けて、防衛省は南スーダンで国連のPKO活動に参加する陸上自衛隊の部隊に対し、武器を使って他国の部隊を救援するいわゆる「駆け付け警護」などの任務を新たに追加する方向で検討に入ることにしていて、今後、道内からも部隊の派遣が想定されています。
集会のあと参加者たちは、「憲法違反の法律は無効だ」、「自衛隊を戦地に送らない」などと声を上げながらデモ行進し、法律の廃止を呼びかけました。
参加した20代の女性は、「今回の強行採決は許されない。もっと国民の声を聞いてほしい」と話していました。

2015年09月25日

東京私大教連、憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

東京私大教連
 ∟●憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

憲法違反の戦争法案強行採決に対する抗議声明

2015 年 9 月 24 日
東京私大教連中央執行委員会

 9 月 19 日未明、安倍内閣と自民・公明両党は、「集団的自衛権」を行使して日本を海外で戦争できる国に変える憲法違反の戦争法案(安全保障関連法案)を参議院本会議において強行採決し、可決・成立させました。東京私大教連中央執行委員会は、満身の怒りをもって、安倍政権に強く抗議します。

 戦争法案が明白に憲法9条に違反することは、圧倒的多数の憲法学者や学者・研究者、日弁連、最高裁元長官や歴代の内閣法制局長官などの専門家が、繰り返し指摘し、証明し、批判してきました。さらに国会審議では主要野党の徹底した追及により、立法事実の欺瞞性、集団的自衛権行使の無限定性など法案の危険性が誰の目にも明らかになりました。にもかかわらず安倍政権は、違法な手続きにより審議を一方的に打ち切り、異常きわまる強引な国会運営で採決を強行しました。これは、憲法と民主主義を破壊するクーデタに他なりません。この戦争法制は違憲・無効であり、私たちは断じて容認できません。

 大学は、憲法に立脚して、世界の平和と人類の福祉の向上のために普遍的真理を探究し、その成果を教育し普及する場です。その意味で、戦争法案の強行成立は、大学と社会全体で築き上げてきた学問研究上の蓄積、「知の到達点」を破壊し、学問と大学の基盤を堀り崩そうとする暴挙でもあります。立憲主義、平和主義、民主主義を否定する権力のもとでは、学問や言論が抑圧され、教育や研究が軍事目的に動員されることは歴史をふりかえれば明らかであり、現に安倍政権は大学と学問への攻撃を強めています。多くの学生が戦地に送り出された過去を繰り返すことは許さないという決意から、私たちも戦争法案に反対してきました。

 戦争法案と安倍政権に対して、ふつうの市民や若者たちが、自らの意思で続々と国会前や全国各地に集結し、廃案・反対の声を上げました。これに連帯して、「安全保障関連法案に反対する学者の会」を中心にして、学生、教職員はもとより卒業生や退職者も含めた私立大学「有志の会」が次々と組織され、多様な声明が発せられました。こうした広がりは、これからのたたかいに大きな展望を切り拓くものです。

 私たち東京私大教連は、社会と共同してつくりあげてきた学問の成果の破壊を許さず、憲法違反の戦争法制を一刻も早く廃止させる運動に、これからも一層強い決意をもって奮闘することをここに表明します。

以 上

2015年09月24日

安保法 若者が反対集会

9月19日に成立した安全保障関連法に反対する若者たちが北九州市で集会を開き、「あきらめずに 反対の声をあげ続けよう」などと訴えました。
小倉北区の公園で開かれた集会は、安全保障関連法に反対する若者グループ「FYMkita9」の
呼びかけで開かれ、主催者の発表でおよそ1500人が参加しました。
集会では、九州大学3年の崔春海さんが「多くの反対の声の中で立憲主義が破壊され民主主義が踏みにじられた。憲法に違反した安保法制の廃止を目指して声をあげ続けよう」と呼びかけました。
また、関西学院大学4年生の寺田ともかさんは、アメリカの公民権運動が人種差別の法律を撤廃させた例をあげて、「自分にできること、言うべきことがあるなら何度でも声を上げ続けようと思う」と決意を述べました。
会場では、幅広い世代の人たちが「憲法守れ」などと書いたプラカードを手に、「採決撤回」「集団的自衛権は憲法違反」などと声を合わせていました。
みやこ町の30代の女性は「採決で終わりだとは思っていません。
主権者としてどんなことができるか身近な人と思いを共有していきたい」と話していました。

[関連ニュース]
安保関連法への抗議継続 市民団体ら声明

2015年09月22日

立憲デモクラシーの会、安保法案強行採決に対する抗議声明

立憲デモクラシーの会
 ∟●安保法案強行採決に対する抗議声明

安保法案強行採決に対する抗議声明

2015年9月19日

立憲デモクラシーの会

 安倍内閣および自民・公明両党が、違憲であることが明白な安全保障関連法案を強行採決により成立させたことに、強く抗議する。

 集団的自衛権を行使できるようにすることを眼目とするこの安保法案が憲法9条に違反していることは、最高裁判所長官、最高裁判所判事、内閣法制局長官の経験者、日本弁護士連合会さらに大半の憲法学者をはじめとして、多くの法律の専門家が繰り返し指摘してきた。これらの批判、疑問は、日本が法治国家であるためにこれだけは譲れないという、法律家としての職業倫理に基づく警告であった。

 一般国民の多くも、安保法案の内容を理解するにつれて疑問を持ち、法案の成立に反対するための運動に参加した。各種世論調査でも、この通常国会における安保法案の成立に対しては反対意見が圧倒的多数に上った。

 国会内では、野党が法案の矛盾や曖昧さを徹底的に追及し、審議は頻繁に中断した。そして、政府側の答弁は参議院平和安全法制特別委員会の最終段階においても二転、三転し、安倍晋三首相と中谷元防衛大臣こそ、この法案の内容を的確に理解していないことが露呈した。説明責任が果たされないことによる国会審議の空洞化は、日本の議会政治の歴史に残る大きな汚点である。

 立法事実や論理的整合性に多くの疑問が残るなか、強引に法案を成立させた政府・与党の行為は、多年に亘る政府見解や法実践によって確立した憲法秩序を破壊し、法的安定性を覆すクーデターとも言いうる。政治権力は憲法の制約のもとに運用されなければならないという立憲主義を否定するなら、日本はもはや法治国家ではなくなり、人がほしいままに権力を動かす人治国家に転落する。

 他方、立憲主義の危機に際して、今まで政治的な表現を積極的にはしてこなかった人々が政治に対して声を上げた。この経験は、日本に新たな民主主義の文化が生まれていることを告げている。我々は、こうした人々の「主権者でありたい」という意志と関心に応えて、憲法と民主政治について問い、語りかけることを続けたい。そして、引き続き安保法制の違憲性を指摘し、この法律の運用を監視していく。また、この違憲の法律を廃止し、日本に立憲デモクラシーを回復するためにあらゆる努力を行う決意である。


2015年09月21日

安全保障関連法に反対する学者の会、「抗議声明」

安全保障関連法に反対する学者の会
 ∟●抗議声明

抗議声明

 二〇一五年九月一九日未明、与党自由民主党と公明党およびそれに迎合する野党三党は、前々日の参議院特別委員会の抜き打ち強行採決を受け、戦争法案以外の何ものでもない安全保障関連法案を参議院本会議で可決し成立させた。私たちは満身の怒りと憤りを込めて、この採決に断固として抗議する。

 国民の六割以上が反対し、大多数が今国会で成立させるべきではないと表明しているなかでの強行採決は、「国権の最高機関」であるはずの国会を、「最高責任者」を自称する首相の単なる追認機関におとしめる、議会制民主主義の蹂躙である。

 また圧倒的多数の憲法学者と学識経験者はもとより、歴代の内閣法制局長官が、衆参両委員会で安保法案は「違憲」だと表明し、参院での審議過程においては最高裁判所元長官が、明確に憲法違反の法案であると公表したなかでの強行採決は、立憲主義に対する冒涜にほかならない。

 歴代の政権が憲法違反と言明してきた集団的自衛権の行使を、解釈改憲にもとづいて法案化したこと自体が立憲主義と民主主義を侵犯するものであり、戦争を可能にする違憲法案の強行採決は、憲法九条のもとで六八年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙である。

 こうした第三次安倍政権による、立憲主義と民主主義と平和主義を破壊する暴走に対し、多くの国民が自らの意思で立ち上がり抗議の声をあげ続けてきた。戦争法案の閣議決定直前の五月一二日、二八〇〇人だった東京の反対集会の参加者は、衆院強行採決前後の七月一四日から一七日にかけて、四日連続で、国会周辺を二万人以上で包囲するにいたった。そして八月三〇日の行動においては十二万人の人々が、国会周辺を埋めつくした。

 これらの運動は「戦争をさせない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会」が、政治党派はもとより、思想や信条もこえた共同を実現するためにあらゆる努力をしてきたことによって形成された。「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生たちの「SEALDs」、そして日本弁護士連合会との共同行動も、こうした新しい運動の繋がりのなかで実現した。

 「安全保障関連法案に反対する学者の会」は学問と良識の名において組織され、発起人と呼びかけ人が発表した声明に、賛同署名を呼びかける活動によって一気に全国に拡がった。六月一五日と七月二〇日の記者会見後、各大学において有志の会が組織され、学生、教職員はもとより、卒業生や退職者も含めた、それぞれに独自で多様な声明が発せられて、集会が開かれ、パレードが行われた。「学者の会」に寄せられた署名者の数は現在、学者・研究者一万四一二〇人、市民三万九五七人に達し、声明等の行動に立ち上がった大学は一四〇大学以上に及んでいる。私たち「学者の会」は、知性と理性に反する現政権の政策を認めることはできないし、学問の軍事利用も容認することはできない。

 戦後七〇年の節目の年に、日本を戦争国家に転換させようとする現政権に対し、一人ひとりの個人が、日本国憲法が「保障する自由及び権利」を「保持」するための「不断の努力」(憲法第十二条)を決意した主権者として立ち上がり、行動に移したのである。私たち「学者の会」も、この一翼を担っている。

 この闘いをとおして、日本社会のあらゆる世代と階層の間で、新しい対等な連帯にもとづく立憲主義と民主主義と平和主義を希求する運動が生まれ続けている。この運動の思想は、路上から国会にもたらされ、地殻変動のごとく市民社会を揺るがし、生活の日常に根を下ろしつつある。ここに私たちの闘いの成果と希望がある。

 私たちはここに、安倍政権の独裁的な暴挙に憤りをもって抗議し、あらためて日本国憲法を高く掲げて、この違憲立法の適用を許さず廃止へと追い込む運動へと歩みを進めることを、主権者としての自覚と決意をこめて表明する。

二〇一五年九月二〇日
安全保障関連法に反対する学者の会

安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の続行を求める申し入れ

「安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れ」への賛同のお願い(至急)

2015年9月25日

参議院議長 山崎正昭 様

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」委員長 鴻池祥肇 様

安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の続行を求める申し入れ

市民有志

 参議院に設置された「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「特別委」)は、2015年9月17日、同特別委に審議を付託された安保関連法案等計5件の採決を行い、いずれも賛成多数で可決されたと言われています。
 しかし、採決が行われたとされる同日16時30分頃の委員会室の模様を参議院のインターネット中継やテレビの中継・録画で視る限り、鴻池委員長席の周囲は与野党議員によって何重にも取り囲まれ、委員長の議事進行の声を委員が聴き取れる状況になかったことは一目瞭然です。また、委員長も動議提出の声を聴き取り、各委員の起立を確認できる状況になかったことは明らかです。

 こうした状況の中で、採決というに足る手続きが踏まれたとは到底言えません。また、委員会室にいた特別委の委員自身も、「可決はされていません。・・・・委員長が何を言ったかわからない。いつ動議を出したのか、採決されたのかわからない」(福山哲郎委員)、「いったい何がおきたのか、そもそも動議が出たのかどうかも、委員長が何を発言したのかも誰もわからない。そして、私は自民党席の前にいたが、彼らも何もわからないまま立っていただけですよ」(井上哲士委員)と語っています。実際、速記録(未定稿)でも「議場騒然、聴取不能」と記されるのみで、議事の進行を記す委員長の発言も質疑打ち切り動議の提案も記されていません。

 こうした一連の事実と状況に照らせば、上記5件の「採決」なるものは、参議院規則が定めた「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する」(第136条)、「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する」(第137条)という表決の要件を充たしていないことは明らかです。
 国会での審議が進めば進むほど違憲の疑いが深まった安保関連法案を参議院規則まで踏みにじり、締め括りの質疑も省いて、「採決」なるものを強行したことは憲政史上、稀にみる暴挙です。
 以上から、私たちは貴職に対し、次のことを申し入れます。

1. 私たちは5件の「採決」と称されるものは、すべて採決の要件を充たさず、採決は不存在であると考えます。貴職がこうした私たちの見解を受け入れないのであれば、参議院規則にもとづいて反証されるよう、求めます。
2. 「採決」が存在しない以上、安保関連法案の審議は未了です。よって、改めて所定の手続きを取り、法案の審議を再開されるよう求めます。


安保法案に集団違憲訴訟へ 弁護団長の小林節氏、安倍首相を厳しく批判

The Huffington Post(2015年09月20日)

9月19日未明に成立した安全保障関連法案に対し、反対するグループは年内にも集団違憲訴訟を起こそうと準備を進めている。

山中光茂・三重県松阪市長が結成した市民団体は、法律が憲法9条に違反し、平和に暮らす権利が損なわれるとして、国に賠償を求める違憲訴訟に踏み切る方針だ。時事ドットコムによると、賛同する地方議員らと1万人規模の原告団を目指し、参加者を募っている。弁護団長には国会などで法案を厳しく批判してきた弁護士の小林節・慶応大名誉教授が就任する予定。

■改憲派ながら安倍首相を批判「天下国家を司る器ではない」

小林氏はもともと、改憲派の学者として、改憲を党是とする自民党の議論を主導してきた。

北朝鮮の核開発を契機に朝鮮半島に軍事的緊張が高まった1994年6月には、読売新聞のインタビューに「米国と国連を中心とした北朝鮮に対する圧力に、積極的に協力すべきだ」と述べ「国内的には、長期的に見ると有事法制の整備と、その前提になる憲法九条の改正をすべきだし、短期的には集団的自衛権の行使と海外派兵を認めない九条に対する政府の有権解釈(注・国家機関の行う、拘束力を持つ法の解釈)を変更すべきだ」と主張している(1994年6月10日付朝刊)。

しかし、2012年末に2度目の首相に就任した安倍晋三氏が、衆参3分の2以上の賛成を定めた憲法96条の規定を改正し「2分の1以上」に緩和することに意欲を見せると、これを強く批判した。

「権力者も人間、神様じゃない。堕落し、時のムードに乗っかって勝手なことをやり始める恐れは常にある。その歯止めになるのが憲法。つまり国民が権力者を縛るための道具なんだよ。それが立憲主義、近代国家の原則。だからこそモノの弾みのような多数決で変えられないよう、96条であえてがっちり固めているんだ。それなのに……」。静かな大学研究室で、小林さんの頭から今にも湯気が噴き出る音が聞こえそうだ。

「縛られた当事者が『やりたいことができないから』と改正ルールの緩和を言い出すなんて本末転倒、憲法の本質を無視した暴挙だよ。近代国家の否定だ。9条でも何でも自民党が思い通りに改憲したいなら、国民が納得する改正案を示して選挙に勝ちゃいいんだ。それが正道というものでしょう」

(毎日新聞2013年4月9日付夕刊)

改憲派の小林氏らの批判がきっかけとなり「96条先行改正論」、つまり先に憲法改正のハードルを下げて9条改正を目指すという議論は急速にしぼんだ。

安倍首相は「解釈改憲」に方針転換し、2014年7月、閣議決定で集団的自衛権を容認し、安保法案を提出したが、小林氏は、根拠とした1959年の「砂川事件」最高裁判決の解釈を「問われたのは在日米軍基地の合憲性。日本の集団的自衛権なんかどこも問われていない」と指摘。さらに安倍首相を「『丁寧に説明する』という言葉だけは出たけど、丁寧に説明されたという実感は一度もありません。説明を求めると、全然関係ないことをとうとうとしゃべる。本当に卑怯な手だと思います。天下国家を司る人の器ではない」と厳しく批判している。

安保法案を巡っては、2015年6月4日の衆院憲法審査会で、有識者として呼ばれた憲法学者が、与党推薦を含め3人とも「安保法案は憲法違反」との見解を示し、話題となった。小林氏はこのとき、民主党推薦で出席し、反対意見を述べた。

6月15日の日本記者クラブの会見では、「専守防衛」の概念を以下のように説明し、法案に反対意思を示している。


軍隊というのは戦争に勝つことが最優先ですから、大量破壊、大量殺人など、普通に考えたら犯罪です。例外的に戦場でどさくさ紛れに強盗、強姦すると軍法で裁かれる。だから軍法会議という、大量殺人と大量破壊を問題にしない法廷が特別につくられる。だけど日本国憲法は76条2項で軍法会議も禁止している。つまり軍隊を持つことは許されていないんですよ。(中略)

海上自衛隊を外に出したら、交戦権はないし軍法会議はない。国際法的にはただの海賊です。捕まったら刑事処分を受けてしまう。当然の帰結として、我が国は海外へ兵隊を出せない。(中略)だから専守防衛というがんじがらめの中で、我が国は他国防衛のために海外派兵を本質とする集団的自衛権はそもそも行使できない。

(安保法制に「違憲訴訟を準備」 小林節氏・長谷部恭男氏が安倍政権を批判(会見詳報)より 2015/06/15 21:58)


安保関連法で学者170人が会見 「暴挙」の声明

NHK(9月20日 20時21分)

19日に国会で成立した安全保障関連法について、およそ170人の学者が東京都内で会見を開き、「憲法9条の下で持続してきた平和主義を捨て去る暴挙だ」とする声明を発表しました。
会見を開いたのは、安全保障関連法に反対する、さまざまな分野の学者や研究者、およそ170人です。
会見ではまず、教育学が専門の学習院大学の佐藤学教授が、「戦争を可能にする違憲法案の強行採決は、憲法9条の下で68年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙だ」などとする声明を発表しました。
続いて、憲法学を専門とする、早稲田大学の水島朝穂教授が、「法律が憲法違反であることを国民が忘れないように、直ちに議員立法で廃止法案を提出するべきだ」と訴えました。
さらに、経済学が専門の青山学院大学の間宮陽介特任教授は、「われわれの運動は、新しい民主主義という動きを作り出した。これからが本当の闘いだ」と述べました。
法律に反対する学者や研究者の有志のグループは、全国の140を超える大学に広がっていて、今後、各地で学生などと連帯して運動を広げていきたいとしています。
会見のあと、日本学術会議の前の会長で専修大学の廣渡清吾教授は、「今後は、それぞれの大学単位で、学者と学生が連携する運動に対して、1つの行動目標を示したい。さらに、司法で、法律の違憲性を追及していくことが重要だと、法律家に問題提起したい」と述べ、法律の違憲性を引き続き訴えていく考えを示しました。

2015年09月20日

自由法曹団、戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

自由法曹団
 ∟●戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃止を求める

 本日未明、政府・与党は、9月17日の特別委員会での暴力的な強行採決に続き、参議院本会議で戦争法制(安保一括法案・国際平和支援法案)の採決を強行した。自由法曹団と全国2100名余の団員弁護士は、政府・与党の暴挙に満腔の憤りをもって抗議する。

 戦争法制は、集団的自衛権を行使して米国の戦争に参戦するとともに、米軍等の兵站支援(重要影響事態法・国際平和支援法)、治安維持活動と任務遂行のための武器使用(PKO法)、米軍等の武器防護のための武器使用(自衛隊法)などを認め、いつでもどこででも切れ目なく戦争に突入できるようにするものである。

 自由法曹団は6次にわたる意見書を発表し、本質や問題点を明らかにしてきた。戦争法制はまごうことなき違憲立法であり、そのことは圧倒的多数の憲法研究者や歴代内閣法制局長官、最高裁判所元長官らが、憲法違反と断定していることからも明らかである。

 国会審議を通じて、「大量破壊兵器の輸送・補給すら可能」「米軍の武器防護が戦争に直結」など無限定性や危険性がますます明らかになり、安倍晋三首相が言い続けた「邦人母子の乗った米艦防護」「ホルムズ海峡の機雷敷設」の「立法事実」が「絵空事」であることも明白になった。統合幕僚長の訪米協議録などによって、制服幹部の先取り検討や米日軍事一体化の進行も白日のもとにさらされた。

 こうしたなか、日を追うごとに法案反対の声が強まり、「成立の必要なし」が68%に対し、「必要」は20%にすぎなかった(9月12、13日 朝日・世論調査)。弁護士が全員加入する日本弁護士連合会や弁護士会が強く反対したのをはじめ、各界・各分野から反対の声がまき起こり、青年・学生は「SEALDs」などに結集して行動に立ち、「ママの会」などに集まる女性の活動も全国に広がった。8月30日には12万人が国会周辺を埋め尽くし、1千か所以上で数十万人が行動した。かつてない規模で広がった地方・地域の運動の地響きが国会を揺るがし続け、採決を強行した国会は怒りの声に包囲された。

 戦争法制は強行されたが、国民の力は政府・与党を圧倒した。 圧倒的な反対の声に逆らった強行は、平和主義・立憲主義を蹂躙するばかりか、国民主権と民主主義をも踏みにじるものであり、違憲立法にはいかなる効力もない。

 違憲立法・戦争法制は速やかに廃止されねばならず、仮にも発動されることがあってはならない。国民は、平和憲法を守った平和的な国際貢献を求め、憲法を破壊する安倍政権の退陣を要求している。

 戦争法制阻止に結集した力は、違憲立法の廃止と戦争阻止・発動阻止のたたかいに前進し、明文改憲を阻止し安倍政権を退陣させるたたかいに発展しなければならない。

 自由法曹団は、ともにたたかった皆さんにさらなるたたかいを呼びかけるとともに、自由法曹団みずからも全力でたたかう決意を表明する。

2015年 9月19日
自 由 法 曹 団
団 長 荒 井 新 二

日弁連、安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

日弁連
 ∟●安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明

本日、参議院本会議において、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)が採決された。

当連合会はこれまで、昨年7月1日の閣議決定及び本法案について、政府が憲法第9条の解釈を変更し、これを踏まえて法律によって集団的自衛権の行使を容認することは、憲法の立憲主義の基本理念、恒久平和主義及び国民主権の基本原理に違反することを、繰り返し指摘してきた。また、後方支援の拡大や武器使用の拡大等の立法も、自衛隊が海外において武力の行使に至る危険性を高めるものとして、同様に憲法に違反することを指摘し続けてきた。

本法案の国会審議が始まってからは、衆議院憲法審査会における3名の参考人をはじめとする多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が、本法案の違憲性を指摘するに至った。

これに対し、国会における政府の説明は極めて不十分であり、本法案に対する国民の理解は深まることなく、今国会での本法案の成立に反対する意見が世論調査の多数を占めていた。こうした民意を無視して十分な審議を尽くさないまま、参議院特別委員会が採決を強行し、参議院本会議において本法案が採決されたことは、立憲民主主義国家としての我が国の歴史に大きな汚点を残したものであり、強く抗議する。

これまで、学生や子を持つ母親などを含む様々な人々が、デモや集会に参加するなど、本法案に反対する動きが全国各地に広がったが、このことは、我が国の民主主義の健全性をあらためて示したものといえる。当連合会は、今後も国民・市民とともに、戦後70年間継続した我が国の平和国家としての有り様を堅持すべく、改正された各法律及び国際平和支援法の適用・運用に反対し、さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。

2015年(平成27年)9月19日
日本弁護士連合会      
 会長 村 越   進
 

「悲壮感はない、怒りと憤りだ」~議事堂を揺るがす「採決撤回!」のコール

レイバーネット

 「戦争法案」の参院本会議採決は野党の抵抗と4万人をこえる国会包囲の力で、9月18日中の採決を許さなかった。日にちをまたぎ終電がなくなっても、国会周辺には千人を超える人々がいた。そして「野党ガンバレ」の声を上げ続けた。午前2時18分、本会議可決をスマホの中継画面で確認したシールズの奥田愛基さんは、間髪入れずに「採決撤回!」と叫んだ。怒りの大コールが深夜の議事堂を揺るがした。「ここには悲壮感はない。怒りと憤りだ」と語る奥田さん。続けて「賛成議員を落選させよう」のコールが上がった。もう次の運動が始まっているのだ。野党議員も議場から次々に報告に来た。「一人牛歩」をやった山本太郎さんは「首相はわが国の一番大切なものをアメリカに差し上げてしまった。大切なものなので返してもらうしかない。それができる政権をつくっていこう。いまからですよ」と呼びかけた。違憲立法のごり押し、そして本会議でも発言時間を制限するなど、最後まで安倍暴走は際立っていた。(M)

安保関連法成立に各地で抗議 新聞報道

安保関連法成立に各地で抗議 西宮でも250人
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201509/0008411054.shtml

安保関連法成立に列島各地で抗議 「この日を忘れない」
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20150919000120

安保法案の強行採決、新潟県弁護士会の会長コメントに法曹界どよめく
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/19/security-bills-niigata_n_8162424.html

抗議の訴え、これからも 市民ら国会前で傍聴席で
http://www.asahi.com/articles/ASH9M0NV5H9LUTIL0BP.html

安保法成立 自衛隊は半年以内に準備必要
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010242161000.html

安保法成立 専門家の受け止め
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010242151000.html

安保関連法成立で県内は
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4065060361.html

“安保政策 大転換へ” さまざまな声
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241931000.html

安保法案 学生はどう考える
http://www.asahi.com/articles/CMTW1509190300002.html

安保法制 それでも「ノー」 県内各地で抗議続く
http://www.shinmai.co.jp/news/20150919/KT150918FTI090044000.php

「立憲主義」を軽視 9条従来解釈と矛盾
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015091902000114.html

安保法制「成立後も厳しくチェック」 聖学院大・石川教授「自衛官にもリスキー」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150919/CK2015091902000148.html

安保法案、上げ続ける反対の声 「戦争への道」再来懸念
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201509/0008408955.shtml

<安保法案>仙台「被災地忘れるな」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150919_13014.html

安倍政権に絶望 県庁前、安保法案反対に1500人怒りの声
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-249123-storytopic-3.html

社説[安保法成立]路上の意思に見る希望
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=133566

【安保関連法案】「可決しても反対終わらない」 国会前、栃木県内からもうねり
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20150919/2087744

安全保障関連法 合憲性巡り裁判へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241581000.html

安保法案が成立 SEALDs 奥田愛基さん「民主主義は終わらない、絶対あきらめねーぞ!」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/18/security-bills_n_8158068.html

2015年09月19日

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決の不存在確認および審議の再開を求める弁護士有志声明

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決の不存在確認および審議の再開を求める弁護士有志声明

参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「委員会」)は、平成27年9月17日午後4時30分頃、野党が出した鴻池祥肇(よしただ)委員長の不信任動議を賛成少数で否決し,その後、鴻池氏が委員長席に戻ったあとで、これまでの審議を締めくくる総括質疑を行わないまま、採決を強行したと報道されている。

しかし、傍聴していた者及びインターネット等で国会中継を見ていた者からはおよそ外形的に見て採決が存在したとは到底言い難い状況であった。また、速記録(未定稿)では、鴻池委員長が席に戻った後は「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と書かれている。

我々は、法的な見地から、次の2点を指摘したい。

1.まず,参議院規則及び会議体の議決の一般原則への違反である。
 参議院規則136条1項は「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する。」と定めている。

 参議院規則137条1項は、「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する。」

 そして,議決(表決)が,議員による議題に対する賛否の意思表明である以上、同136条1項の「議長」による表決に付する問題の「宣告」は,議決権を有する議員が明瞭に聞き取れるものでなければならない。これを欠いた「議決」は,なんらかの議員の意思表示がなされていたとしても,そもそも意思表明の対象を特定することができないのであるから,議決は外形的に不存在というほかない。

 上記は参議院規則のみならず、会議体の議決の一般原則である。例えば、株主総会において、議長が議題を宣告しないのに、株主が挙手や起立をしても、それは議決とは認められない。

 昨日(9月17日)の委員会についてみれば、委員会の映像記録を見ても、議長による議題の宣告がなされたことは確認できない。また、速記録でも、「聴取不能」とされており、議題の宣告がなされたことは一切確認できない。さらに、議決は、参議院規則137条1項にあるように、議題に賛成する者の起立で行われるが、映像記録を見ても速記録を見ても、「議場騒然」の状況であり、議題に対する賛成者が多数であるか否かを確認することが不可能な状況であった。これでは法的に見て議決が存在したとは到底評価することができない。

2.次に、委員会の参議院議員の多数派は、憲法99条に違反している点である。

 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員は,この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と定めている。したがって,憲法に適合する法律を制定するのが国会議員の職責である。また,仮に提出された法案が憲法に適合しないのであれば,憲法に適合する内容に修正するのが国会議員の職責である。現在国会にて審議中の安保法案の内容については、憲法違反であることが元・最高裁判所長官の山口繁氏,最高裁判所元判事,70名を超える元裁判官,歴代の内閣法制局長官を初めとする多くの法律家や学者によって指摘されており、憲法違反であることは明白である。また9月15日に中央公聴会、9月16日に地方公聴会を開催したばかりであるところ、それらの公聴会でも多くの公述人が安保法案を違憲と述べた。その中には、元最高裁裁判官の濱田邦夫氏も含まれている。憲法尊重擁護義務を国会議員に課す憲法99条に基づき、委員会の参議院議員は、公聴会での公述人の意見も踏まえて、安保法案を憲法に適合するものに修正するための審議を充分な時間をかけて行なうか、あるいは、改めて立法事実の存在から問い直し、安保法案を廃案にすべきではないかを検討すべき義務があった。採決を強行しようとした多数派は、かかる義務に違反している。

 上記2点の指摘事項を総括すれば、委員会での安保法案の採決は、そもそも不存在であり、かつ憲法に違反する強行的な手段であったと言わざるを得ない。

 念の為にいえば、議決の不存在とは、①議決の実施の事実がない場合のみならず、②一応議決と目すべきものは事実上存在するが、その成立過程の瑕疵が著しく、法的に議決があったと評価できない場合を含むものである。したがって、議決が存在するというためには、一応議決と目すべきものが事実上存在するだけでは足りないのである。

 我々は、主権者として、かつ日本国の弁護士資格を有する者として、憲法尊重擁護義務を負う参議院議員に対して、「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決は存在しなかったことを主張するものである。同時に、参議院自身が、委員会での議決の不存在を認めるとともに、早急に審議を再開し、公述人等の意見を踏まえ、憲法に適合する法案を作成するための充実した審議を慎重に進めるべきことを求める。

弁護士有志一同(225名)
平成27年9月18日

辺野古新基地を止めるには? 在沖海兵隊が尖閣を守らない事実を国民に理解してもらうことだ

沖縄タイムス(2015年9月15日 10:40)

佐藤学(さとうまなぶ)
沖縄国際大学教授

 辺野古への新基地建設をめぐる国と沖縄県の集中協議終了を受け、翌9月8日の沖縄タイムス朝刊に「識者評論 政権、危機回避に成功」の見出しで私の論考が掲載された。


 1カ月の集中協議が終わった。結果は予想された通り「決裂」である。安倍晋三政権にとっては、辺野古で反対する県民を蹂躙(じゅうりん)しての工事強行の「絵」が、安保法制反対デモの「絵」に重なる危機を回避したことで、予定通りの成功である。


 県には、政府を協議の場に引き出したということ以上の成果はなかった。この1カ月の協議で安倍政権を説得できる訳はなく、この期間は、知事の発信力で、広く日本の世論に辺野古の無意味さ、つまり在沖海兵隊が、日本が期待するような機能を持たない事実を知らしめる機会として使うべきであり、安保法制の国民的争点化は、願ってもない状況だった。


 しかし、全国メディアの報道を見る限り、集中協議は安保法制報道とは別個の問題として扱われていた。また、「沖縄のガス抜き」程度の小さな枠で処理された。辺野古が、日本の安全保障や政府財政にとって切実な問題であるとの論点は見られず、安倍政権の「沖縄の言い分を聞いた」という体裁づくりだけが残った。


 国会での安保法制審議が終われば、安倍政権を止めるものはない。安保法制反対を掲げている最大野党民主党は、辺野古建設を決めた政権政党であったのだ。


 辺野古反対が、沖縄内の問題と見られている限り、埋め立て承認取り消し後の建設阻止はより厳しい局面に入る。知事は、歴史に加えて、現在、沖縄が普天間以外にどれだけ大きな米軍基地を負担しているかを、具体的に見える形で明示する必要があった。


 加えて今後、県民に対しても、在沖海兵隊は、尖閣で軍事衝突があっても戦闘には行かない、行けない「事実」を周知させていかねばならない。この一点を官房長官や防衛大臣に認めさせられていたら、今後の展開を大きく変えられた。それをしなかったことが悔やまれる。(2015年9月8日付2面)


 それから6日後の9月14日、知事が辺野古埋め立て承認取り消しを宣言し、実際の手続きに入った。国は12日にボーリング調査への作業を再開しており、次の焦点は、本体工事をいかにして阻止できるかになる。


 安保法案の参院強行採決が17日に予測される中、その後にこれまでの安保法制反対運動の高まりを維持するのは困難になろう。先の8日の記事で指摘した、集中協議期間中に「メディア・ブリッツ(大宣伝戦)」を展開できなかったことが、沖縄県としては取り返しのつかない機会の損失になるかもしれない。


 一方、取り消しは、沖縄県の政策が明瞭に変わったことを米政府に突き付ける動きであり、知事選後10カ月が過ぎて今更ではあるが、米政府に対して辺野古反対の民主的正当性を迫ることにはなる。2010年県知事選挙での公約に反したとはいえ、民主的に選出された仲井真前知事が下した決定が生きてきた以上、米政府は翁長知事の主張を無視できた。


 しかし、安倍政権の姿勢が変わらず、統合幕僚長が米軍に国会審議の結果を約束する、という、これ以上ない文民統制違反が、「相手国があるから、記録を出せない」という言い逃れでうやむやに済まされる政治環境の中、今、埋め立て承認を取り消しても米政府が対応を変える可能性はない。


 法廷闘争になる場合の見通しについて、行政法学の門外漢である筆者には、残念ながら、14日の沖縄タイムス分析記事以上の専門的知見はない。ただ、素人にも分かることは、安全保障絡みの裁判で日本の司法が国を負かせる可能性は限りなく低いことと、最終的な判決が出るまでの間に工事を止められずに、本体埋め立て工事が進んでしまえば、裁判に意味はなくなるということである。そして国は「あらゆる手段」を使って工事を強行してくるだろう。


 今月21日に予定されている翁長知事の国連演説は、人権侵害問題として国際的な関心を向けさせる上で大きな意味がある。一方、演説が沖縄県の民族独立運動化の証拠として政治的攻撃に使われる可能性も非常に高いことを、十分に考慮しておかねばならない。それが「オール沖縄」の崩壊につながるおそれが強いことに配慮した上での主張を展開する必要がある。


 集中協議後に、菅官房長官は、翁長知事が「戦後の土地収用が普天間問題の原点」と発言したことに対して、「賛同できない。戦後は日本全国、悲惨な中で皆が大変苦労して平和な国を築いた」と反論したと報じられた。読売新聞9月8日社説は「翁長氏が集中協議で、普天間問題の『原点』を、『普天間飛行場の危険性除去』でなく、『戦後の米軍による強制収用』と言い放ったことへの反発もその(翁長氏の硬直的な姿勢への批判の=注・筆者挿入)一つだ」と書いた。


 これは、「沖縄の感情論」に対する「日本政府の現実対応」という図式に、沖縄が引き込まれてしまったことの証である。「魂の飢餓感」といった発言は、県民の共感を得たが、むしろ東京の思うつぼにはまってしまったと考えた方が良い。


 翁長知事は「日本全国の大変な苦労」と、沖縄県の苦労は次元が異なるという事実を突き付けるべきであった。非戦闘員の市民ほぼ全員が強制収容所に入れられ、その間に家屋や土地を強制接収された県が、日本のどこにあるのか。1946年に大日本帝国憲法が改正されて日本国憲法とされた時の国会に、まだ施政権が切り離される前の沖縄県を代表する議員は選出されず、1952年サンフランシスコ講和条約の承認・批准時にも、沖縄は埒外に置かれて、沖縄県民の存在は一顧だにされなかったことは「事実」である。普天間基地問題は、言うまでもなく、そこから始まっているではないか。沖縄県民の「大変な苦労」は、沖縄戦の犠牲だけではないのだ。政府首脳の歴史認識の欠如には、もはや呆れてものも言えない。


 「沖縄の感情論」というくくりを壊すためには、筆者が繰り返し書いてきたことで申し訳ないが、日本政府が宣伝し、日本国民が信じ込まされているような機能を在沖海兵隊は果たせないことを明らかにする必要がある。


 在沖海兵隊が直接尖閣に戦闘に行かないことは、日米安保条約の提供施設(1972年日米合同委員会議事録参照)が黄尾嶼(久場島)、赤尾嶼(大正島)だけであり、また今年4月に策定された新ガイドラインで、島嶼防衛は自衛隊が一義的な責任を負うと決められた(日米防衛協力のための指針の10ページ「陸上攻撃に対処するための作戦」)ことからも、また、オスプレイが戦場での作戦行動に向かうには、佐世保所属の強襲揚陸艦が必要であることからも、明々白々な「事実」である。


 例えば、朝日新聞7月31日オピニオン欄「耕論」で、元海上自衛隊航空隊司令で東京財団研究員の小原凡司氏が東アジアの安全保障に安保法制が必要との持論を展開したインタビューの中で、「日米が一緒に尖閣を守るという議論がありますが、ナンセンスだと思います。そんなことを米国はしないし、防衛は日本の責任です。そもそも日米同盟は、日本が攻撃を受けた場合、日本が防衛し日本がもたない攻撃部分を米国が担保するというのが基本です」と断言している。


 更に付け加えるならば、沖縄は嘉手納飛行場・弾薬庫だけで、県外の全ての主要米軍基地合計面積よりも大きい、応分どころではない負担を引き受けていること、そして、今、沖縄が要求しているのは、普天間飛行場の閉鎖・返還と辺野古新基地の断念だけだという「事実」も分かってもらわねばならない。


 沖縄の辺野古阻止の主張は感情論ではなく、むしろ、日本の防衛のために「辺野古=在沖海兵隊=オスプレイ」の実態(※)を知らずに拝んでいる日本国民こそが感情論に立っていること、それをはっきり主張して、辺野古新基地建設が無駄であることを日本国民に説明し、理解してもらわねば、建設は止められない。※在沖海兵隊とオスプレイについては佐藤氏の「オスプレイと在沖海兵隊は『御守り』にすぎない」に詳しい。


2015年09月18日

「法案可決しても運動はさらに続く」、憲法学者らが国会前でリレートーク

「法案可決しても運動はさらに続く」、憲法学者らが国会前でリレートーク

 9月16日、安保法制は地方公聴会が行われ、与党は特別委員会で締めくくりの質疑を行おうとする中、参議院議員会館前で、法学や政治学などの研究者で作る「立憲デモクラシーの会」がリレートークを行った。13人の学者が、法案や政府の進め方を批判しつつ、一連の運動は可決後も終わらず、賛成議員の落選運動や違憲訴訟、さらには選挙以外にも市民が政治に参加する文化を創っていくなど、これからに向けての思いや考えを口々に語った。多くの人々が、時折小雨が降る中、話に聞き入った。

 それぞれの発言要旨は次の通り。

樋口陽一(東京大学名誉教授・憲法学)

 二つ話をします。

 第一に、議員諸公への呼びかけです。日本の命運を左右するような法案、それも日本の国会に提出する前に、外国の議会で約束してきた法案を、こんな状態で通してよろしいのか。みなさん一人ひとりが歴史に対する責任を持っている。一人ひとりの考えに忠実に、組織も政党も派閥も離れて、自分たちの1票を投じて下さい。若者も自分たちの意見を公にし、行動しているではありませんか。

 みなさん、憲法43条というのがあるんですよ。議員は、全国民を代表する、と書いてあるんです。政党の代表でも派閥の代表でもないんです。国民の立場にたって、自分の良心に照らして投票しましょう。

 第二に、私がこのギリギリの段階で言うまでもなく、日本国の命運を左右するような法案が、なんとも軽い、不真面目な仕方で扱われてきている。しかし。だからこそ、と言った方がいいのかもしれない。今回のように一人ひとりの国民が、若者も年金生活者も、男も女も、毎日、こんな雨の中を集まってきてるじゃないですか。現政権は、憲法という意味でのConstitutionだけじゃなくて、日本社会が作り上げてきた社会の構造そのもの、社会のconstitutionを壊しにかかっている。しかし、絶対に壊れないものを、もう私たちは作ってきました。これが、今日ここにいる皆さんとの絆です。何が起ころうと、これだけはもう壊れない。壊させない。そのことを確認して、次に譲る。

千葉真(国際基督教大学特任教授・政治学)

 このいい加減な審議で今日、明日にも決議しようとしている。暴挙である。国民の8割が政府の説明が十分でない、納得していないと言っている。安倍首相も国民に納得してもらっていない、と認めている。6割が、この国会で決議に反対している。常識からして、廃案しかない。

 国会周辺でのデモは、もしこれが可決しても、これからも継続していくことになる。次期の参院選、さらには衆院選で与党の議員を落選させる運動につなげていく必要がある。

 違憲訴訟をやっていく必要もある。誤った政治、誤った統治を止めていかないと、将来に禍根を残す。安倍政権は、戦後最悪の政権だ。

阪口正二郎(一橋大教授・憲法学)
 
 一つは、安倍総理がいう「法案に対する理解」の問題。安倍総理は、法案に対する国民の理解が「進んでいない」と認めている。じゃあ、自民党は理解が進んでいるんですか? 法案の審議で、いろんなことを言うが、二転三転している。自民党の議員自身、防衛大臣、安倍さん自身が法案の中身を理解してないから。他方、この法案が憲法違反である、という国民の理解は、確実に進んでいる。

 こういう憲法違反の法案が、おそらく採択されるのでしょう。だからといって、私たちの運動が終わるわけではない。我々がやってきたのは、憲法9条というだけではありません。むしろ憲法9条を支える我々の思いがある。戦後、9条の下でも自衛隊は作られた。しかし、作られた時には警察予備隊としか言えなかった。それはどうしてなのか。警察予備隊は、戦車を持っていたのに、「戦車」と呼ぶことは禁止されていた。それは、日本人が二度と戦争はしたくない、戦争はいやだ、という思いがあって、それに対して、政府も配慮をせざるを得なかったから。

 60年の安保改定の際に、岸総理が自衛隊の治安出動をさせようと考えた。ところが、当時の防衛庁の赤城長官は「絶対に出してはいけない。どうしても出すなら自分をクビにしてからにして下さい」と反対した。もし自衛隊が国民に銃を向けたら、自衛隊は二度と信頼されない、と言った。それくらい、戦争に対する国民の思いが政府を拘束してきた。それは9条ではなく、私たちの思いが拘束をしてきた。

 戦争をしない、他の国を攻めない、他の国にも攻めさせないという私たちの思いをこれからも保っていけば、法律ができても、次の国会で構成員を変えて、法律を変えることもできる。法律ができても、私たちの思いが強ければ、簡単に執行はできない。破防法の時がそうだった。だから、私たちがしっかりした思いを持って、今後の運動を続けていく。

青井美帆(学習院大教授・憲法)
 
 第一に、この法案は一見極めて明白に違憲無効である、と言わざるをえない。政府は砂川判決を正当化の理由にしている。でも、砂川判決は政治にフリーハンドを与えているわけではない。一見極めて明白に違憲無効な場合は、司法が判断する、と言っている。

 公聴会でも、裁判所は「違憲」とは判断しないだろう、という意見があった。これに対して、浜田邦夫元最高裁判事は、「大変楽観的な見通しである。司法をなめたらいかんぜよ」と述べられた。このような憲法破壊、立憲主義破壊、暴挙暴走は許されることではない。これは法律家共同体の責任の問題だと考えている。私たちには表現の自由がある、選挙権がある、そして裁判所には違憲審査権が与えられている。万が一通ってしまっても、いろんな方法で追い詰めていきましょう。

 2つ目、これほどの反対があるのに、政権はなぜ立ち止まらないんだろうか。もしかしたら、立ち止まれないんじゃないか。自衛隊と米軍は、かなり深いところまで一体化が進んでいて、もはや政治には、その流れを止める力がないのかもしれない。それが、一番恐ろしい。だとしたら、私たち自身が、この流れを止めなきゃいけない。私たちは選挙の時だけでなく、ずっと政治に参加していかなきゃいけない。立憲主義をまともな方向に戻していきましょう。

石田 英敬(東京大学教授・哲学)

 今、国際政治学者の一部が、違憲な現実に憲法を合わせようという議論をしている。違憲状態を既成事実として通そうとしているが、その先を考えることが重要。違憲状態を作り出して、なし崩しで憲法を現実に合わせるという議論を立てくるだろう。憲法違反なのだから、憲法の方を現実に合わせようというオピニオンを作り出していくと思う。それにどう闘っていくのかが、重要な課題だ。

中島徹(早稲田大学・憲法学)

 アベノミクスと憲法9条問題は密接に関わっている。アベノミクスによって、是正困難なほどに格差が開く。その格差が、経済的な徴兵制度へと向かうことは、アメリカ合衆国の例を見ればよく分かる。集団的自衛権の容認だけでなく、他のことも連動している。

 何があっても諦めてはいけない。来年の参議院選挙では、私たちが安倍政治を忘れていない、とはっきり示す必要がある。安倍政治とだけは和解できない。

石田憲(千葉大学・政治学)

 国際政治史、特にイタリアとドイツの歩みを研究している。イタリアの中道左派政権時代のプローディ元首相が日本に来て、「日本の平和憲法を我々も参考にしている」と言った。イタリアの憲法は侵略戦争は否定しているが、日本のように派兵自体を禁じるような状況ではない。イタリアは、戦争が終わった後に派兵する、世界第三位の派兵国になってしまい、国民からは厳しい批判が出ている。憲法での歯止めというのが、いかに大事か、イタリアを見ていれば分かる。

 最近、メルケル首相は、「シリア難民を受け入れなければならない」と述べたが、その根拠として、憲法(基本法)第一条の「人間の尊厳を尊重しなければならない」という条項が前提になっている。受け入れについては、いろいろもめているが、憲法という基準を政治に適応させていかなければならないという点は、戦後ドイツは一貫している。

 日本では、憲法を基準にして、様々な政策の根拠になる、と言えなくなってしまっている。そこを非常に危惧している。他の国がすべていいとは言わないが、憲法を基準にした政治というものを、もう一度考えなければいけないのではないか。

齋藤純一(早稲田大学・政治学)

 福沢諭吉の『学問のすすめ』に第七編「国民の職分を論ず」というのがある。政府がその分限を超えて、暴政を行う時、市民はどうするか。一つは膝を屈して政府に従う、二番目は力で抵抗する、三番目は理をもって政府に迫っていく。この三番目が上策である、と福沢は語っています。

 理を唱えて異論を提起すれば、それに対し応答しなければならない。しかし、今の政府は異論には耳を貸しません。理に対して、理をもって答える政治を、これから作っていく必要があります。私たちは、異論、反論がもっている、民主主義にとっての力を大事にしていく。多数議席さえもっていれば、何でも決めることができるという政治を、理をもって迫っていく必要がある。政治文化のあり方を変えていくべきだと思う。そのための活動を続けていきたい。

長谷部恭男(早稲田大学・憲法学)

 「諦めてはいけない」と熱弁をふるう長谷部恭男・早大教授「諦めてはいけない」と熱弁をふるう長谷部恭男・早大教授

 今回の安保法案は、憲法違反というだけではありません。必要性も合理性もまったくない。(安倍総理は)何のために必要だと言っていたでしょうか?日本人の親子を、米戦艦が乗せるということはあるんでしょうか?そんなことはありえません。それから、ホルムズ海峡に行って機雷の掃海をする。そんな必要性は現実にはないと、安倍首相自身が認めたではありませんか。

 この法案が成立すると、北朝鮮はミサイルを作るのをやめますか?中国は南シナ海に進出するのを諦めるんですか?何の意味もないではないですか。

 この法案が成立したとしても、諦めてはいけない。この集会自体が、明日への希望の礎になっている。一般市民の方々が、ご自身の判断で、いかなる組織に動員されているのではなく、ここに集まって抗議の声を挙げているではありませんか。これこそ、日本国憲法の精神が社会に根付いたことを示しています。ですから、たとえ成立することがあっても諦めず、明日に向かって運動を続けていきましょう。

石川健治(東京大学・憲法学)

 「私のような者でも」と静かに語る石川健治・東大教授「私のような者でも」と静かに語る石川健治・東大教授

 こうやって街頭に出るのは、生まれて初めてで、私のような者まで出てこなきゃならないというのは、それだけ危機が深い、ということ。今回の法案が通ることで、何が失われるのかを、考えていただきたい。我々は、何に敗北しようとしているのか。それは、現在国会で多数を握っている勢力だけではない。それを言葉で言い表すのは難しいが、しつこく考えていかなきゃならない。

 その一つ、我々が今、大きな壁として感じているものの一つに、こういった出来事に対して、距離を置いて冷笑的に見ていくシニシズムがある。私自身も研究者であり、健康なシニシズムは持っている。(当初は)こういう所に出てくるのは抵抗があった。しかし、私のような(非政治的で学問至上主義でやってきた)者であっても、やはり立ち向かわなければならない時があるんじゃないか、と思う。

 「私のような者でも」という言い方として、"malgre moi"(マルグレ・モア)というフランス語がある。「私のような者であるにもかかわらず」とか「意に反して」とかいう意味だが、60年安保の時に、丸山真男という政治学者が自ら立ち上がろうとされたわけですが、その丸山先生がロマン・ロランとマックス・ウェーバーについて語っている文脈で、この"malgre moi"という表現に言及しています。「私のような者であっても」という気持ちが、非常に大事だと思い、私はここに立っている。立憲の旗を高く掲げて立っているわけです。

 我々は、これからも歩みを進めていくわけですが、皆さんも、今ここで、何と立ち向かっているのかをよくよくお考えになって、"malgre moi"の精神で、それぞれの仕方で、政治参加をしていっていただければ、と思います。

広渡清吾(元学術会議会長、専修大学教授・ドイツ法、比較法社会論)

 参議院は二院制の下で、どう独自性を発揮するか、長年の懸案だった。衆議院が数で決める場所なら、参議院は良識で決める場所にして下さい。違憲の法案で国民の過半数が反対している法案を成立させる道理はどこにもないではないですか、と強調した。議員のみなさんは、真摯に聞いて下さったと思う。

 しかし、もしかして、この法案が成立するようなことがあっても、これだけ国民の運動が広がり、盛り上がり、憲法についての理解が深まった。これから先、どんなことがあっても、憲法9条の意義を日本国民が実現していく。不戦の約束と希望、戦争をしない・戦争に行かないという約束と希望を実現する戦いは、法案が成立しても、国民の盛り上がりを基礎にして、この成果を踏まえて、今後も国民の運動が続いていくと固く信じている。

西谷修(立教大学・哲学)

 どんな議論も関係ない、とにかく通せばいいんだということで、議会が空洞化されてしまっている。そういう議会でいいのか。

 今日はここに何万人も集まっているはず。こういうことを、我々はずっとやっていかなきゃならないかもしれない。学生が「民主主義ってなんだ」というが、空洞化している国会を前に、「民主主義はコレだ」と言って、我々がここに来る、これによって推し進めていかなきゃならない。

山口二郎(法政大学・政治学)

 デモをやって何になるんだと、いろんな人がイチャモンをつけていますが、憲法12条には、自由・人権は「国民の不断の努力によって保持しなければならない」と書いてある。国会議員を選んだ後も、任せきりにしない。我々が国会の前に集まり、こうやって声を出す。これこそが「不断の努力」だ。若い人たちが先頭に立って、国民が選挙以外の時も努力をするという、新しい政治文化を創ろうとしている。我々教師たちも、その若者の動きに教えられ、一生懸命走っている。

 さて、国会における安保法制の審議、これほど無様な、これほど無内容なものは、今までなかった。あらゆる質問に対して、無視、はぐらかし、国会討論の体をなしていない。

 (賛成している)国会議員は、自分で考えることを放棄した思考停止の状態。ハンナ・アーレントが言った「凡庸な悪」に国会議員が加担している。我々は、そのような国会議員には、「目を覚ませ。考えろ。さもなくば、お前達の来年はない」と告げなければならない。

 仮に、この法案が決着を見ても、我々の運動は終わることはありません。立憲デモクラシーの会として、これからの日本の立憲民主主義を守るために、あらゆる行動をとることを約束する。


安保関連法案 参議院特別委員会で”可決” の瞬間 2015年9月17日


国会前で“抗議の声” 夜中もデモ続く

日本テレビ系(NNN) 9月18日(金)0時5分配信

 安全保障関連法案が特別委員会で可決されたことで、与野党の攻防の場は参議院本会議に移っている。一方、17日午後11時を過ぎた今でも国会議事堂前では抗議集会が行われている。国会正門前から天野記者が伝える。

 17日も夜遅く、午後11時を過ぎたこの時間になっても、まだまだ大勢の人が残り、声を張り上げて、安保法案の廃案を訴え続けている。

 すでに、法案は参議院の特別委員会で可決されたが、参加者は、「強行採決、絶対反対」「法案は絶対に成立させない」などと叫びながら、安保法案の成立阻止を訴え続けている。

 また、きょう印象的なのは、「野党はがんばれ」という声が、時折あがることだ。市民との連帯を掲げる民主党などの野党幹部も、17日は続々と応援に入った。野党議員の1人は、「この人たちが声をあげ続けている限り、自分たちもやり続けないといけない」と述べるなど、徹底抗戦の構えを崩していない。

 17日は、雨が強く降った中でも、ほとんど休むことなく集会は続けられた。それでもきょうも明け方近くまで、国会正門前では安保法案の廃案を求める声があがり続けるものを思われる。


安保法案、参院委で可決 与党が採決強行―きょう成立めぐり緊迫化

時事通信 9月18日(金)0時18分配信

 今国会最大の焦点である安全保障関連法案は17日夕、参院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党と元気、次世代、改革の野党3党の賛成多数で可決された。
 与党は安倍晋三首相出席の下で予定した締めくくり質疑を行わずに採決を強行。同日の参院本会議に緊急上程した。これに対し、民主党は中谷元防衛相の問責決議案を提出、野党5党による内閣不信任決議案の共同提出も確認した。与野党の攻防は緊迫の度を増し、成立は18日以降にずれ込んだ。
 特別委は法案採決に先立ち、民主党が提出した鴻池祥肇委員長(自民)の不信任動議を与党などの反対多数で否決。この後、与党が提出した質疑打ち切り動議を可決した上で法案の採決に踏み切った。委員長席周辺では与野党議員が激しくぶつかり合い、採決は騒然とした中で行われた。
 与党と元気など野党3党が合意した、自衛隊海外派遣への国会関与強化を盛り込んだ付帯決議も可決された。
 委員会での法案可決を受け、参院議院運営委員会の中川雅治委員長(自民)は17日夜の理事会で、参院本会議の開会と法案の緊急上程を職権で決定。民主党はこれに反発、中川委員長の解任決議案を提出したが、この後、開会した本会議で、与党などの反対多数で否決された。
 民主党は同決議案に続いて防衛相の問責決議案を提出。さらに内閣不信任案を提出するなど「あらゆる手段」で成立阻止を図る。参院本会議は18日未明、防衛相問責案の処理に入った。野党5党は同日午前9時に党首会談を開き、内閣不信任案提出を正式決定する方針で、法案の本会議採決はこれより後になる見通しだ。
 一方、与党は衆院で再可決する「60日ルール」適用も視野に入れていたが、参院で委員会可決までこぎ着けたことを受け、当初方針通り参院本会議で成立させたい考えだ。 

2015年09月17日

安保法案 国会周辺で憲法学者などが反対訴え

9月16日 20時44分

国会の周辺では16日夜、安全保障関連法案に反対する憲法学者などのグループも集まり、「法案は憲法違反だ」と訴えました。
これは、憲法学者や政治学者などで作る「立憲デモクラシーの会」が開いたもので、参議院議員会館の前で、1人ずつマイクを持って反対を訴えました。
憲法学者で東京大学の樋口陽一名誉教授は「日本の運命を左右する法案をこんな審議で通していいのか。国会議員一人一人が歴史に対する責任を負っている」と訴えました。
また、政治学が専門で法政大学の山口二郎教授は「国会の審議は法案へのあらゆる質問や批判に対して、無視したりはぐらかしたりしていて、討論の体をなしていない。国会議員は思考停止の状態になっている」と述べました。
国会の周辺には集会に参加するため多くの人が集まっていますが、「法案は憲法違反だ」という学者らの声に、大きな拍手を送っていました。

安保法案反対、署名146筆集まる 福井大教員らの会

中日新聞(2015年9月16日)

 福井大の教員らでつくる安全保障関連法案の廃案を求める「有志の会」は十五日、教育地域科学部の教員の四割が活動に賛同し、署名したと発表した。職員や大学院生らの分も含め、百四十六筆を十六日に首相官邸と県選出国会議員の事務所に郵送する。

 署名集めは二~十四日にインターネットで実施。教育地域科学部を中心に広がり、同学部では教員百人のうち学部長を含む三十九人が賛同した。工学部や医学部のほか、活動を知った県内外の市民からも署名が集まった。

 呼び掛け人代表の大学院教育学研究科の森透教授(65)は「夏休みで学生や院生になかなか広げられなかったが、限られた期間で多くの先生が反対を表明してくれた」と評価。教育地域科学部の山根清志特命教授(67)は「強行採決で押し切られれば、日本の法治主義が崩れる」と訴えた。


2015年09月16日

安保関連法案、中央公聴会 反対の声4人、賛成の声2人

毎日新聞 2015年09月15日

 参院平和安全法制特別委員会の15日の中央公聴会では、6人の公述人のうち野党推薦の4人が「新しい法律は国民の納得があって初めてできるべきものだ」などと述べ、与党に今国会での採決を見送るよう求める意見が相次いだ。与党推薦の2人は安全保障環境の変化などから抑止力を強化する必要性を主張した。

 野党推薦は、浜田邦夫元最高裁判事▽小林節慶応大名誉教授▽松井芳郎名古屋大名誉教授▽SEALDsメンバーの奥田愛基(あき)明治学院大学生??の4人。

 松井氏は「国際法の議論が詰まっていない。現段階での採決には国民の大部分が納得しない」と述べ、小林氏と奥田氏も「国民的合意は成立していない」などとして、今国会での採決に反対を表明した。

 法案に盛り込まれた集団的自衛権については、松井氏が「(日本の米国防衛義務がない)日米安保条約の事実上の改定だ」と指摘。小林氏は「(解釈変更ではなく)憲法改正を提案してほしい」と強調した。

 与党推薦は、坂元一哉大阪大大学院教授と白石隆政策研究大学院大学長の2人。坂元氏は「日本の安全のための抑止力を格段に強化し、世界平和に貢献する能力を増やす」などと法整備に前向きな考えを示した。白石氏は「安全保障環境は急速に変わっており、法整備をしないと日本として対応できない」と述べ早期成立を求めた。

 坂元氏はまた、集団的自衛権に関し「最高裁が、一見極めて明白に違憲・無効と判断するとは考えにくい」と主張。これに対し、最高裁判事経験者の浜田氏は「違憲判決は絶対に出ないという楽観論は根拠がない」と述べ、違憲だと主張した。

 一部の野党が自衛隊の海外派遣に国会の事前承認の義務付けを求めていることについては、白石氏が「たとえ数時間でも、承認のための時間は重大な結果を招きかねない」と慎重論を展開。松井氏は「一般論としては、文民統制を強めるための議論は必要だ」として肯定した。【青木純】


2015年09月15日

戦争法案、本日(9/14)国会包囲大行動へ&中央公聴会の中継を!

レイバーネット
 ∟●戦争法案:本日(9/14)国会包囲大行動へ&中央公聴会の中継を!

東京の杉原浩司です。[転送・転載歓迎/重複失礼]

いよいよ、戦争法案の廃案か、強行採決による成立か、天下分け目の週に突入しました。

本日14日(月)は午前9時から17時頃(予定)まで、首相出席でNHK中継も入る集中質疑が行われます。
(タイムテーブルはこちらを参照 → http://www.sjmk.org/?page_id=420

15日(火)13時からは国会内で中央公聴会が行われます。公述人は野党推薦で、元最高裁判事の濱田邦夫さん、慶応大学名誉教授の小林節さん、名古屋大学名誉教授の松井芳郎さん、そして公募人からSEALDsの奥田愛基さんの4人。与党推薦で大阪大学大学院教授の坂元一哉さん、政策研究大学院学長の白石隆さんです。そして、16日(水)13時~15時30分には新横浜プリンスホテルで地方公聴会が行われます。

この3日間が法案の行方を左右することは間違いありません。今や政府与党はデモに対する警戒を公然と口にしており、市民の行動次第では、廃案に向けて舵を切ることは決して不可能ではありません。ぜひ、万難を排して行動しましょう。以下、行動案内と要請提案です。

【本日!】
◆強行採決反対!戦争法案廃案!安倍政権退陣!9・14国会包囲大行動9月14日(月)18時30分~、国会周辺。
※光の渦で国会を包囲。光物持参大歓迎!
主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

◆15日の中央公聴会の中継を!~委員長と野党理事、NHKに要請を!

※NHKによる中継は委員会としてNHKに要請するという形になっています。
参議院本会議での戦争法案の趣旨説明と討論の中継も、野党委員の提案から実現しました。これほど重要かつ注目されている中央公聴会をぜひとも中継させましょう!(「中央公聴会のNHK中継を実現させてください」と)

◇鴻池祥肇委員長
(FAX)03-3502-7009 (TEL)03-6550-1001 
(ご意見フォーム) https://s360.jp/form/31244-1010/

◇北澤俊美・筆頭理事
(FAX)03-6551-0424(TEL)03-6550-0424
(ご意見フォーム) http://kitazawa.tsukaeru.info/page/iken.htm

◇福山哲郎・理事
(FAX)03-6551-0808 (TEL)03-6550-0808
(メール) kokkai@fukuyama.gr.jp

◇小野次郎・理事
(FAX)03-6551-0620 (TEL)03-6550-0620
(ご意見フォーム) http://onojiro.jp/oj/?page_id=66

◇NHK
(TEL)0570-066-066
メールフォーム https://cgi2.nhk.or.jp/css/mailform/mail_form.cgi

◆9.15中央公聴会開催抗議緊急行動
9月15日(火)12時半~、国会正門前(13時~は座り込み行動)
主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
http://sogakari.com/?p=903

※「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」当面の行動予定
http://sogakari.com/?page_id=67 ※連日、座り込みと大集会です。

◆戦争法案廃案!9.16横浜・地方公聴会抗議行動(仮称)
9月16日(水)12時15分、JR新横浜駅・駅前広場に集合
※新横浜プリンスホテル(アクセス)
http://www.princehotels.co.jp/shinyokohama/access/
呼びかけ:戦争をさせないかながわの会
http://www.anti-war.info/schedule/1509121/


名古屋市立大学教職員有志、安全保障関連法案に反対する声明

名古屋市立大学教職員組合書記局ブログ
 ∟●名市大有志が戦争法案に反対する声明を発表

安全保障関連法案に反対する名古屋市立大学教職員有志の声明

2015年9月13日

政府が国会に提出した「平和安全法制整備法案」(総称:安全保障関連法案)と「国際平和支援法案」はすでに衆議院で強行採決され、7月から参議院(特別委員会)において審議されています。これまでの審議を通してこれら法案は、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊が協力し加担していくものであり、憲法9条に違反していることが一層明らかになっています。
政府が強調する「武力行使は限定的」であるどころか、この法案は自衛隊の武力行使を際限なく広げ、「専守防衛」を大きく踏み越えていくことになります。そして、60年以上にわたって積み重ねられてきた「集団的自衛権の行使は憲法違反」という歴代の政府解釈を覆し、自衛隊がアメリカの侵略戦争に参戦する状況を生み出します。
私たちは、かつて日本が行った侵略戦争の際に、多くの学徒を戦地へ送ってしまいました。名古屋市立大学4キャンパスの一つである滝子キャンパスは、旧制第八高等学校の出陣学徒壮行会場になったところです。他方で、太平洋戦争末期には、軍需産業の集中する名古屋とその近郊は、空襲により極めて大きな被害を被り、多くの一般市民が犠牲になりました。
私たちは、こうした歴史を深く反省し、戦後は憲法9条とともに歩み、人間の尊厳が保障される社会の建設にむけて、世界平和の礎たらんと、教育研究活動に携わってきました。
私たちは、再び若者を戦地へ送り出すような状況を作り出すことを、絶対に認めることはできません。憲法9条に反する安全保障関連法案の廃案を強く求めます。
以上

呼びかけ人
安藤金男(経済学研究科元教員)、石川達也(医学研究科元教員)、伊藤仁一(医学研究科教員)、井上泰夫(経済学研究科教員)、大羽利治(医学研究科元教員)、清水昭信(システム自然科学研究科元教員)、白井直洋(薬学研究科元教員)、寺田元一(人間文化研究科教員)、福吉勝男(人間文化研究科元教員)、別所良美(人間文化研究科教員)、本多信彦(医学研究科職員)、水上元(薬学研究科元教員)、宮田直樹(薬学研究科元教員)、森正(人間文化研究科元教員)、森山昭彦(システム自然科学研究科教員)、山田明(人間文化研究科元教員)、横山信治(医学研究科元教員、元副学長・理事)、吉田一彦(人間文化研究科教員)


2015年09月14日

安全保障関連法案に反対する日本平和学会理事会有志による声明

日本平和学会
 ∟●安全保障関連法案に反対する日本平和学会理事会有志による声明

私たちは、平和(peace)と安全(security)について、思想、制度、実態、社会運動等の側面から学際的な検討と研究を行ってきました。その目的は、戦争やテロなどの直接的暴力、飢餓・貧困・差別・搾取などの構造的暴力、それらを容認・肯定する文化的暴力の克服であり、現実を見据えながら武力行使によらない問題解決の条件や方策を探ることです。
しかし、現在の日本は「新しい戦前」ともいうべき戦後最大の危機に直面しています。現在参議院で審議中の安全保障関連法案の本質は、定義もあいまいな「存立危機事態」の下、時の政権の意向によって自衛隊に国内外で武力行使させることを可能にする「戦争法案」です。これまで多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁判事などが指摘しているように、内容的にも手続き的にも違憲であることは明らかです。

この安保法案には次のような問題があります。
1.これまでの専守防衛を放棄して海外での武力行使を行うことを可能にする。
2.日米軍事一体化を世界的規模で拡大・強化し、米国主導の戦闘行為に自衛隊が補完部隊として加担する道を開こうとする。
3.自衛隊の財政・権限拡大と秘密保護を特徴とする日本社会の軍事化を一層進める。
4.武器輸出の解禁やODAの軍事活用などを通じて日本を世界の軍事化に貢献する国に変貌させる。
このような内容の法案が成立すれば、自衛隊が米軍等の「武器等防護」や「駆けつけ警護」などを理由として世界中で戦争・戦闘に参加し、殺し殺され、その報復として日本国内におけるテロを誘発する事態も予想されます。

また、この法案の成立を目指す動きは、これまでも内外の識者が指摘していたような、日米軍事協力の実態もあらためて露呈させました。そもそも法案の内容自体が2012年夏、日本に集団的自衛権行使を可能とする解釈改憲を要請した「第3次アーミテージレポート」を下敷きにしたものです。安倍政権は最高裁「砂川判決」を集団的自衛権の根拠としていますが、そもそも同裁判は米軍駐留の違憲性が争点になったものであり、それ以前に米軍駐留を「違憲」とした伊達判決が米国との秘密裏の協議によって覆されていたという指摘もあります。また、この法案の成立を前提に新ガイドライン(日米軍事協力の指針)を実施するための詳細な計画を自衛隊統合幕僚監部が進めていることや、それを先取りした米軍と自衛隊との本格的な訓練が既成事実として行われていること、さらには強引な議事運営や沖縄での民意を無視して辺野古新基地建設が強行されようとしていることなども、この文脈から理解することができます。
しかしこの法案が成立すれば、国際的な緊張関係を高め、とりわけ東アジアの安全保障環境を根幹から揺るがす重大な事態を引き起こしかねません。さらに、「脱暴力」を一貫して求めてきた国際社会の基本的な潮流への根源的な挑戦ともなり、近隣諸国において民主化と軍事力によらない問題の解決を切望してきた市民にとっての障害となります。それゆえ、この法案への懸念はひとり日本の中だけでなく、国境を越えて、グローバルな次元で表明されるものでもあります。現政権が掲げる「積極的平和主義」は、何よりも「平和主義」概念を誤用しており、イラク戦争への加担などこれまでの政策を総括せず、日本の戦争責任を顧みず、人類が多年にわたり営んできた平和の思想・運動を冒涜するものです。私たちが学問的に定義する本来の「積極的平和(positive peace)」とは、これとは逆に、暴力手段によらず、戦争の原因となる構造的な暴力を漸減する事に他なりません。

さらに、この法案の推進がしばしば「壊憲クーデター」とも呼ばれるように、憲法や国会の存在、主権者である国民の意思を無視し、何よりもデモクラシーそのものの危機を招いている事についても、私たちは深く憂慮します。すでに日本の警察国家化・監視社会化は急速に進んでおり、ヘイトスピーチや排外主義的ナショナリズムや集団同調圧力も高まっています。大学やメディアにおける「統制」も進行しています。国際的な戦争への準備は、必ずや国内社会の包括的な軍事化をももたらします。

このように立憲デモクラシーを破壊し、日本を平和国家から戦争国家へとトータルにつくり変えようとする安全保障関連法案に、私たちは断固として反対します。

2015年9月4日
日本平和学会理事会有志一同
理事賛同者:秋林こずえ、ロニー・アレキサンダー、阿部浩己、内海愛子、大橋正明、大平 剛、奥本京子、小田博志、勝俣 誠、木戸衛一 、君島東彦、木村 朗、清末愛 砂、佐々木寛、佐伯奈津子、鴫原敦子、高橋博子、高原孝生、高良鉄美、竹峰誠一郎、土佐弘之、蓮井誠一郎、平井 朗、古沢希代子、堀 芳枝、峯 陽一、毛利聡子、山根和代、横山 正樹
会員賛同者:藍原寛子、饗場和彦、朝井志歩、阿知良洋平、阿部太郎、新垣修、安斎育郎、安渓遊地、池上大祐、石井和也、石井正子、石井摩耶子、石川捷治、市川ひろみ、稲垣聖子、稲木哲郎、上村雄彦、内田みどり、浦田賢治、近江美保、大串和雄、大島美穂、大津留(北川)智恵子、岡野内正、岡安茂祐、小川玲子、奥田孝晴、小谷一明、片野淳彦、河上暁弘、川久保文紀、川口悠子、木下直子、金城美幸、久保正彦、黒岩晴子、甲賀聖士、小沼通二、小松寛、小峯久希、齋藤百合子、笹岡正俊、佐々木和之、佐竹純子、澤佳成、沢田昭二、澤野義一、清水竹人、清水奈名子、進藤兵、進藤令子、末續万里枝、妹尾裕彦、多賀秀敏、高林敏之、高良沙哉、竹内久顕、田嶋信雄、谷整二、勅使河原香世子、戸田真紀子、土橋喜人、内藤酬、直野章子、名嘉憲夫、中嶋大輔、中野彩子、中野佳裕、中村尚司、新津厚子、西川潤、野世英水、野島大輔、能登原由美、萩原能久、箱山富美子、林加奈子、林公則、原田太津男、樋野芳雄、平川硬一、福本圭介、藤岡美恵子、藤田昭彦、藤田明史、古沢広祐、星野智、本田順子、本多善、前田輪音、松野明久、水本和実、宮城晴美、宮田春夫、森玲子、藪井和夫、矢野修一、山田裕史、湯浅正恵、吉川成美、吉田信、吉野太郎、吉井美知子、米川正子


「憲法違反は明らか」 三重短大の教員有志 安保法案に反対声明

伊勢新聞(2015/9/12)

 三重短期大学(津市一身田中野)の教員有志が十一日、参院で審議中の安全保障関連法案に反対する声明を発表した。同短大に在席する教員三十人のうち、二十五人の連名。法案を「憲法違反であることは明らか」などと批判し、撤回や廃案を求めている。

 声明は法案に盛り込まれた集団的自衛権の行使について「圧倒的多数の憲法学者が違憲と判断している」と指摘。「目的がアメリカが始めた戦争に日本の若者を差し出すことにあるのは明白」「再び戦争の時代が始まろうとしている」などと訴えている。

 教授と准教授の八人が呼び掛け人となり、今月七日から学内の教員に賛同を求めていた。二十五人のほかに二人の非常勤講師も賛同している。教員らは今後、インターネットなどを通じて声明を紹介し、卒業生などにも賛同を求めていくという。

 県庁で記者会見した同短大の茂木陽一教授(歴史学)は「若者を戦場に駆り立てた歴史を繰り返させないよう声明をアピールしたい」と強調。三宅裕一郎教授(憲法学)は「法案が成立すれば、反対の勢いがついえてしまうのではないかとの危機感を抱いている。今後の状況も見据えて行動したい」と語った。


安保関連法案に反対し行進

NHK(09月13日 19時37分)

国会で審議されている安全保障関連法案について、福岡市中心部の繁華街で、学生たちで作る若者のグループが法案に反対するデモ行進を行い、「違憲の法案は今すぐ廃案にすべきだ」などと訴えました。
デモ行進は、県内の大学生で作る若者のグループが企画し、インターネットを通じた呼びかけなどにより、中央区天神の警固公園には主催者の発表で500人余りが集まりました。
デモ行進に先だって、大学生がスピーチし、「戦争に加担する限り、そこに正義はありません。平和の最後のとりでを守るために今、何か行動しなければなりません」などと呼びかけました。
そして参加者たちは「戦争反対」などと書かれたプラカードを掲げて、「集団的自衛権は違憲」、「違憲の法案、今すぐ廃案」とラップ調のリズムで叫びながら、多くの人が行きかう天神周辺の通りをおよそ2キロ、デモ行進しました。
主催した若者グループの大学4年生の熊川果穂さんは、「安保法案に関しては私たち若者が一番、当事者になりうる立場なので、危機感があります。若い人がこの法案について考えるきっかけになってほしい」と話していました。

人文字:7000人で「NO WAR」安保法案反対 広島

毎日新聞 2015年09月13日

 参院で審議が続く安全保障関連法案に反対する市民団体が13日、広島市中区の公園で集会を開き、主催者発表で約7000人が「NO WAR NO ABE」の人文字をつくり、抗議の声を上げた。

 市民団体は「ストップ!戦争法ヒロシマ集会実行委員会」。被爆者や大学生、小さな子どもの家族連れなども参加し、「9条守れ」「戦争NO」などのプラカードを掲げて「私たちの思い国会に届け」と叫んだ。

 2児の母である広島市の内野知恵さん(29)は「子どもたちを戦地に行かせるわけにはいかない。過去から武力で平和はつくれないと学んだはずだ」と訴えた。(共同)


<安保法案>学生とママ、一緒に反対の声を 浦和でデモ行進

埼玉新聞(2015年9月13日)

「安保法案反対」を訴えながらデモ行進する学生や主婦ら=12日午後5時15分ごろ、さいたま市浦和
  参院で採決が迫る安全保障関連法案に反対の声を上げようと、県内の高校生・大学生の会「VIP埼玉」と「安保関連法案に反対するママの会・埼玉」が12日、さいたま市浦和区でデモ行進をした。参加者数は約360人(主催者発表)に上った。

 参加者は午後5時、JR浦和駅西口を出発。「戦争NO!」「9条守れ」などと書いたポスターを掲げ、「戦争法案今すぐやめろ」「日本の若者を犠牲にするな」と訴えながら県庁通りや旧中山道を約1時間にわたり練り歩いた。

 デモに参加した高校1年生の紀田真求さん(15)は「願っているだけでは何も変わらない。皆で一緒に声を上げて行動したかった」。新座市在住の大学2年生、芦野大地さん(20)は「デモをするうちに、無関心だった友達も共感してくれるようになった。声を上げることは無意味じゃない」と充実感をにじませた。

 さいたま市浦和区の主婦、田村里織さん(39)は長女果歩ちゃん(8)と共に参加。「安保法案に強く反対する気持ちがあり、一人でずっと考え続けていた。私たち親の世代で戦争を許したくない。デモに参加してやっと自分の気持ちを吐き出せて、すっきりした」という。果歩ちゃんも「戦争という言葉は怖い。戦争は絶対に駄目」と表情を引き締めた。


安保法案「絶対止める」 高崎で若者らデモ

東京新聞(2015年9月13日)

 安全保障関連法案が参議院で審議される中、法案の廃案を訴えるデモが十二日、高崎市のJR高崎駅周辺であり、学生ら若者を中心に約百人(主催者発表)が参加した。与党は今週半ばにも参院特別委員会で採決する構えだが、デモ参加者らは「絶対に止める」などと気勢を上げた。 (原田晋也)
 高崎駅前で集会があり、大学教授や女性団体の代表者らが演説。経済学が専門の山田博文・群馬大名誉教授は「戦争ほどの金食い虫はない。経済学の視点からも、この法案は通してはいけない」などと訴えた。
 学生も声を上げた。群馬大医学部五年の桑原蓮(れん)さん(23)は「法案が成立したら、医師として国民の健康を守って行くという目標が実現できるか不安に思い、参加した」と話す。県内では学生らが法案について議論する場が少なく、個人で参加したという。壇上でマイクを持ち、参加者の前で「一人の学生として反対の声を上げていきたい」と語った。
 集会に続き、参加者はプラカードを手に、駅前から群馬音楽センターまで行進。「戦争反対」「だって戦争行きたくないじゃん」などとシュプレヒコールを上げた。「飛び込み参加、自由です」と呼び掛けると、沿道から列に加わる人もいた。
 五歳の長男と行進した前橋市の看護師、高徳晴香さん(37)は「子どもたちのことを考えると、平和な世の中を残すのが親の仕事だと思い参加した」と語った。高崎市の家事手伝い、糸井澪(みお)さん(20)は「若者を含め、こんなに反対している人がいるぞってアピールできたと思う」と声を弾ませた。
 デモは若者を中心に県内有志で結成した「ピースアクションフロムグンマ(PAG)」が主催。実行委員の早水孝元さん(38)は「法案の危険性への認識が広まっていると手応えを感じているが、採決されようとしている。国民の声を聞いて議論すべきだ」と批判した。


2015年09月13日

「安保法案は違憲」、宇都宮大の教員らが反対声明

朝日新聞(2015年9月12日)

 宇都宮大の教員らの有志が10日、参院で審議中の安全保障関連法案は憲法違反だとして、安倍政権とすべての国会議員に廃案を求める声明を発表した。宇大の元教員、職員も含めて賛同者は101人。県関係の国会議員に声明と質問状を送り、回答をホームページに掲載するという。

 16人の呼びかけ人の一人、国際学部の清水奈名子准教授(39)=国際関係論=らが県庁で会見。「いま声を上げなければ政策に加担してしまうことになる。粘り強く反対を続けていきたい」と語った。

 賛同者は専門分野も年代も違う宇大の全4学部に広がり、元教員、職員も名を連ねた。「8月31日から呼びかけを始め、実質10日でこれだけの人数が集まるとは予想していなかった。粘り強く反対を続けたい」と清水准教授。「宇都宮大学教員有志の会」のホームページで、声明や賛同者、質問状などを公開している。

 学内で様々な議論を重ねてきたという呼びかけ人の一人、国際学部の田口卓臣准教授(41)=フランス文学・思想=は「法案に強い不安感、違和感を口にする学生が多い。その声に背中を押された」と動機を語った。(堀井正明)


2015年09月12日

参議院の強行採決は「良識の府」の自殺行為

web ronza(2015年09月11日)

参議院の強行採決は「良識の府」の自殺行為

 参議院の安保法制審議は、「良識の府」らしく、衆議院で明らかになっていなかった様々な問題点を浮き彫りにした。

 たとえば、自衛隊の内部資料(統合幕僚監部作成の法案成立後のスケジュール、河野克俊統合幕僚長のアメリカ軍との会談議事録)を共産党が次々と明らかにし、文民統制が犯されていて戦前のような軍の暴走を招きかねない、と批判されている。

 そもそも、もともとこの法案の必要性を首相が説明した邦人輸送中の米艦防護の例でも、中谷元防衛大臣は邦人が乗っていることは絶対的な条件ではないと述べ(8月26日)、立法の根拠すら崩れている。

安保法案で中谷元・防衛相(中央)の答弁を巡って審議が中断した参院特別委員会=2015年8月25日

 これらは、いずれも巨大な問題であり、本来ならばそれらの1つだけでも安保法制の成立は不可能になってしまうほどの深刻な意味を持つ。

 しかも、政府の答弁が行き詰まって、なんと95回以上も審議が中断し、審議時間は9月1日の時点でまだ63時間に過ぎないから、審議時間が不十分と批判された衆議院よりもさらに少ない。

 審議は十分に尽くされたどころか、次々と問題点が浮上している。

 これに対応して、国民の間でも今回の成立に反対する人は6割以上に及んでいる(JNN調査、賛成30%、反対61%、9月7日)。

 さらに、山口繁・元最高裁長官までもこの法案を違憲と明言し(朝日新聞、9月3日)、大森政輔・元内閣法制局長官も参議院特別委員会の参考人として違憲と述べた(9月8日)。

 それにもかかわらず、9月27日の国会会期末を念頭に、与党は地方公聴会の開催すらしないで安保法案を14日の週に採決する方針を明らかにした。

 このため特別委員会では、9月8日に鴻池祥肇委員長が野党の同意なしに理事会を再開し、野党が委員長席に詰め寄って抗議する中で、中央公聴会を15日に開催することを強引に議決した。

 与党は16日の特別委員会採決、17日の本会議採決を目指していると伝えられているので、このまま強行採決に進むのだとしたら、参議院は「良識の府」たる役割を自ら放棄すると言わざるを得ないだろう(「安保法案で『良識』が問われる参議院――主権者は『クーデター』を失敗させられるか?」WEBRONZA)。

 このような動きに対して、民主、維新、共産、生活、元気などの野党6党は、強引な採決に反対して、野党間で連携して対応することを確認した(9月4日)。野党は、どのようにこの採決に臨むべきだろうか?

法を遵守するための正義の戦い

 参議院でこの法案が「成立」すれば、いよいよ「憲法クーデター」が達成されたことになる。 日本という国家は、正義に反して自らの憲法に反した「法律」を制定することになり、立憲主義や法治主義が形骸化する「不法国家」となってしまう。このような強行採決を行う政府は、「専制政府」「暴政政府」そのものということになる。

 そこで、このような国家に反対して法を遵守する政党は、あらゆる合法的な手段を尽くして抵抗すべきである。

 現在、野党間では内閣不信任決議案の提出が検討されている。それはもちろん提出されるのが正義に適う。それだけではなく、国会の中で問題になった様々な閣僚や議員の不信任決議案や問責決議案が次々に提出されるべきだろう。

 たとえば、防衛大臣や外務大臣、さらには武藤貴也議員、礒崎陽輔首相補佐官などについてであり、強行採決をしようとする委員長や参議院議長についてである。河野統合幕僚長の国会招致なども要求すべきだろう。

 これらは、本来、国会で問題になった時点で野党から辞任が要求されて当然であり、今ほど与野党の議席数が開いていなければ辞職に追い込まれていただろう。ところが、政権は、武藤議員の離党を認めるなどの対応を取っただけで、基本的には彼らを守り通してきた。

 もちろん、現在の国会の与野党の議席を考えれば、これらの決議案が可決されることはないだろう。それでも、野党の立場から正義を問うためにこれらを提出することは大事なのである。

 さらに、野党は、久しく使われなくなっている牛歩戦術や国会内座り込みなどの方策も、封印を解いて積極的に用いるべきである。これらは、かつての左翼的な革新政党が用いていた抵抗手法である。

 民主党をはじめ近年の多くの野党は、かつての革新政党と距離を置き、責任政党としての対案の提示を重視したため、これらの強い抵抗手法を用いなくなった。これには相応の理由がある。

 しかし、今の局面では、その紳士的な姿勢を捨てて、激しい抵抗を全力で行うべきである。なぜなら、憲法が決定的に犯され、国家が不法国家になってしまうという危機は、民主政治や立憲主義にとって最大級の危機であり、文字通りこれに全力で反対しない限り、野党の存在意義すら疑わしくなるからである。

 そうすることのみが、「憲政」の危機における行動について、野党政治家が歴史の審判に耐える道だろう。

専制に対する非暴力抵抗――「ピース牛歩戦術」の勧め

 国会の外では、老若男女の人々が連日のように全国各地でデモを行い、抗議行動を繰り返している。炎天下でも雨の中でも、仕事が終わり次第デモに駆けつけたり、休日の休養や趣味の時間をなげうったりして、その思いを伝えようとしている。強行採決の時にも、多くの人びとが抗議デモに行って採決に反対するだろう。

 だから、国会の中でも、法を遵守する国会議員は、これらの人々の声を代弁する活動を、文字通り力を尽くして、最大限、行わなければならない。

 今は、法を守ろうとする野党の本気度も問われている。牛歩戦術をはじめとする抵抗手法は、通常の政治では熟議の採決では行うべきではないが、憲法そのものの危機における政治(憲法政治)において強行採決が行われる時には、むしろ法を守るための尊い最大限の抵抗行為と考えられる。

 もともと、専制政府に対する抵抗がどのような形で行われるべきかということは、民主主義における最大のテーマの1つである。

 その歴史の中で、インドのガンジーやアメリカのキング牧師の非暴力抵抗運動は、極めて重要な方法である。牛歩戦術はまさに平和的な方法である。かつてイラク反戦運動の時に若い人たちは「ピース・ウォーク」という、平和的に歩く新しい抗議方法を実行した。それに似たものとして、いわば平和のための「ピース牛歩戦術」を取ったらどうだろうか。

 過去において牛歩戦術は、1回の投票で最長で13時間を費やしたことがあるから、最大限の抵抗を行えば、参議院採決にせよ、衆議院での再可決にせよ、17日と18日の強行採決ができなくなるのはありえないことではない。

 そうなれば、週末の大型連休に突入することになり、政府は大規模な全国市民安保デモに直面することになるだろう。

 安保法制に反対する市民デモは、まさに非暴力的・平和的な形態で行われている。それに対応して、国会議員の抵抗も、もちろん非暴力的に行われるべきである。

 しかし、逆に言えば、専制政府による憲法の危機という非常時においては、非暴力的・合法的な範囲内で最大限の抵抗を試みて初めて、議員は「選良」の名に値すると思われるのである。

政党における立憲主義的な「平和への結集」

 そして、会期中に法案が成立するにせよ、しないにせよ、力を尽くした抵抗を共にすることによって、野党の間で連帯が実現すれば、これは政党における「平和への結集」の礎になるだろう。

 全国市民安保デモが人々の間での「平和への結集」を実現しつつあるにもかかわらず、強行採決が行われるならば、次の大きな課題は、政治家や政党の間における「平和への結集」をいかに実現するか、ということである。

 もし強行採決が行われれば、この法案の廃止が2016年の参議院選挙の最大のテーマになるべきだろう。その時に、野党間で強力な連携や結集が成立していれば、与党は敗北する可能性が高い。逆に連携や結集が成立しなければ、野党が勝つことは難しくなる。

 維新の党が実質的に分裂状態になり、執行部は民主党との連携を目指しているから、立憲主義的な野党の結集は可能性が高まっている。

 そこで、人々の声に基づく「平成の憲政擁護運動」が選挙に大きな影響を与え、野党の間で法と民主主義の回復を目指す立憲主義的な政党連合か、あるいは強力な新党が実現すれば、安保法案に反対する人々は、そのような政党に投票するだろう。それは、まさに「平成の政変」につながるかもしれない(「『全国市民安保デモ』で『平成政変』は起こるか?――憲政擁護運動と市民革命の可能性」WEBRONZA)。

 専制政府の強行採決に対する野党の抵抗の中から、そのような道が生まれてくるか否か。それは、野党政治家たちの勇気と知恵にかかっているのである。


「戦争への動きに反対」 安保法案、沖国大教員有志が声明

琉球新報(2015年9月11日)

 沖縄国際大学の教員有志61人(10日現在)が10日、安保法案の廃案を求める声明を出した。声明は「先の戦争で『軍隊は住民を守らない』ことを知り、戦争につながるいかなる動きにも反対しなければならない」とし、11年前の同大への米軍ヘリ墜落で「軍隊の本質を厳然と見せつけられた」と沖縄の現実を踏まえて、法案の廃案を強く求めた。呼び掛けた法学部の稲福日出夫教授らが10日、同大で発表した。
 声明は、沖縄の森の上を米海兵隊MV22オスプレイが飛ぶ写真を配し、語り掛けるような文体で300字ほどにまとめた。
 国会審議も大詰めを迎える中での発表について照屋寛之教授(法学部)は「思いはあっても呼び掛けの声を出すのが難しかった。遅くはなったが研究者の責務、良心として黙認できない」と話した。

2015年09月11日

九州の大学人190人が安保法案反対!「一人一人が考え行動する主体だ」

Net IBNews(2015年09月09日)

 安保法案に反対して、九州の教職員、学生らが9月7日、福岡市で緊急集会を開いた。九州大学、西南学院大学、福岡大学の教員有志が九州・山口の大学の教職員・学生によびかけたもので、学外の市民を含む約190人が参加した。

 国会前でのSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の行動に影響をうけて、福岡の若者で結成された「FYM」(フクオカ・ユース・ムーブメント)や、北九州市の「FYM kita9」、長崎の「N-DOVE」の若者がスピーチした。

 「FYM kita9」の谷口咲太郎氏(25)は、8月30日にのべ30万人(主催者発表、複数カ所でののべ人数とする)が集まった国会前包囲行動に参加したことを報告し、SEALDsの中心メンバーの奥田愛基氏らに触れて、「こんな若者に何をやらせているんだ。僕は何をやっているんだ。恥ずかしくて、悔しい。だから、何ができるわけではないけど、僕は国会前に行きました。30万分の1になるなんてゴメンだ。自分で考えて行動する1人として、主体として、声にしていこうと決意して行った。そう考えることができた一人ひとりがいた(から30万人が集まった)」と述べた。

 FYMの熊川果穂氏(21)は「デモに対してイメージが良くなく、(安保法案の衆院)強行採決後もデモのきっかけがなかった。政党・団体ではなく、一人ひとりが参加できる、福岡なりのムーブメントをしている」「戦争がちらつく法案には反対です。犠牲の上の平和ではなく、誰も犠牲にならない社会をつくることが大切だ」と語った。「FYM kita9」の崔春海氏(20)は「若者の行動を東京だけのものにしたくない。それぞれの地域に根差した反対の声をあげていきたい。平和のために抑止力を持つのではなく、対話、下からの平和が重要」と訴えた。

 集会では、福岡県弁護士会元会長の永尾廣久弁護士や木村公一牧師も挨拶し、「本当に(安保法案の)息の根を止めたい」(永尾氏)、「この戦いは9月で終わるわけではない。集団的自衛権で平和をつくることと、非武装で平和をつくることと、どちらが現実的で効果的かという戦いをこれからしていこう」(木村氏)と呼びかけた。

 3大学の教授らが、安保法案に反対し各大学有志の声明をあげた経過を説明。北九州大学、福岡県立大学、産業医科大学の教員や名誉教授らが次々とスピーチし、「この法案は限度を越していると切迫感を感じている。社会をつくるうえで大事な信頼を確実に壊すという危機感を持っている」などと述べた。大学有志の声明には、ネットを活用した賛同署名が元教員や卒業生を含め、九州大学で約500人、福岡大学で約150人、西南学院大学で約180人に広がっていることが紹介された。

 集団的自衛権の是非や憲法解釈など意見の違いを考慮した最大公約数の声明を、満場の拍手で採択。声明は、「われわれの社会の根本のルールである民主主義や立憲主義を破壊してしまう安全保障関連法案がもつ内容的・手続き的な問題点」などをあげて、「平和のあり方はわれわれ自身が定義するものであり、権力によって押しつけられるものではありません」と指摘。「アジアの玄関口」としての交流、加害と被害の双方の歴史を持っている九州の地から、「安保法案の即時廃案」を求めている。


2015年09月10日

宇都宮大教員ら90人、安保反対 廃案求め、10日声明発表

下野新聞(9月9日 朝刊)

 参院で審議中の安全保障関連法案をめぐり全国の大学で反対する動きが相次ぐ中、宇都宮大の教員有志らが廃案を求める声明を10日に発表する。

 8月末から募り始めた賛同者は文系、理系にまたがり90人を超えたという。国際学部の清水奈名子(しみずななこ)准教授(国際関係論)と田口卓臣(たぐちたくみ)准教授(フランス思想・文学)は法案が違憲であり、「学生には法案に対する危機感が募っている」として、学問や学生に与える悪影響などを訴えている。

 呼び掛け人は清水准教授ら10人。声明は(1)集団的自衛権の一部行使を容認する法案が違憲であること(2)11本にまたがる法律を2本にまとめて審議するといった政治手法(3)多くの国民が各種世論調査で異論を示す中で与党が衆院で強行採決したこと-など6項目にわたり、法案に反対する理由を列挙している。

 中でも「学生と学問の影響」では、「経済的に不利な立場の若者を対象とした経済的徴兵制の導入される可能性」の指摘や、「学者と学問による軍事協力が行われた歴史を踏まえ、再び軍事利用される流れを強める本法案に強い懸念を表明する」としている。

 教員有志らは10日に記者会見を開き、法案に反対する声明を発表するとともに、本県関係の国会議員に質問状を送付する予定。


安保法案に反対、大学教員ら声明

朝日新聞(2015年9月9日)

◇有志の会立ち上げ

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する県内の大学教員らが8日、「安全保障関連法案の廃案を求める埼玉・大学人の会」の結成と声明文について県庁で記者会見を開いた。8日時点で、県内にゆかりのある大学関係者113人が賛同している。

 「埼玉・大学人の会」は8月に発足した。声明文は、「憲法9条の政府解釈の変更は、到底正当化できるものではなく、説得力を欠く。現政権の態度は学問と良識を無視し、近代立憲民主主義という基本的な政治のあり方を破壊するもの」とし、安保関連法案の廃案を求めている。

 呼びかけ人の一人、埼玉大学・七木田文彦准教授は会見で、「埼玉のコミュニティーに根ざす形で会が立ち上がった。これほど広範に大学教員が集まったのは初めて」と話した。今後、市民向けの学習会も企画するという。

 安保関連法案の廃案を求める獨協大学(草加市)教職員有志の声明には213人が、鳩山町にキャンパスを持つ東京電機大学関係者有志の会の声明には56人が、それぞれ賛同しているという。


2015年09月08日

安全保障関連法案に反対する学生と学者による街宣行動(2015年9月6日)

2015年09月07日

安保法案、抗議集会 早大で吉永小百合さんがメッセージ

毎日新聞(2015年09月06日)

 ◇「SEALDs」は新宿三丁目駅近くの歩行者天国で

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する抗議集会が6日、東京都内であった。

 早稲田大学(新宿区)では法案の廃案を求める教職員や学生ら有志約500人(主催者発表)が学内で「全学集会」を開き、卒業生の吉永小百合さんらがメッセージを寄せた。

 集会では水島朝穂教授(憲法学)が講演し「国の根幹を規定する立憲主義の本質的な危機がある。この点の理解が進んでいない」と問題を指摘。「集団的自衛権の行使という憲法を改正して国民投票を経なければできないことを閣議決定でやってしまった」と批判した。

 「集会の開催は素晴らしいことであり、大切なことと思っております。どうか継続して運動を続けていただきとう存じます」との吉永さんからのメッセージが読み上げられると、会場から拍手がわき起こった。

 また、研究者で作る「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生団体「SEALDs(シールズ)」の共同の抗議集会が同区の東京メトロ新宿三丁目駅近くの歩行者天国であり、断続的に雨が降る中、約1万2000人(主催者発表)が「憲法守れ」などと声を合わせた。

 参加した都内の女子高校生(16)は「安倍晋三首相は国民の安全や平和のためだと言うが、中学校で習った憲法9条や立憲主義が守られていないのに、国民が守れるのかと問いたい」と話した。【山田麻未】

早大で安保関連法案反対集会、OBもメッセージ

日刊スポーツ(2015年9月6日)

 参院で審議中の安全保障関連法案の廃案を訴える集会「早稲田から止める!戦争法案 安保関連法案に反対する早稲田大学全学集会」が6日、東京・新宿区の早大で行われた。

 教員や職員、学生、卒業生ら約350人が参加。法学学術院教授らが登壇し、「政治家の暴走」「立憲主義の本質的な危機」「国会の暴挙」などと声を上げた。

 各界卒業生からのメッセージが紹介され、漫画家で商学部卒業のやくみつる氏は「五輪エンブレムに感(かま)けている場合ではない。2015年を括(くく)る言葉に『白紙撤回』があるが、まだ肝心な、そしてもっとも撤回させるべきものが残っている」などとコメントを寄せた。

 第二文学部卒業の女優吉永小百合もメッセージを届け、「全学集会の開催は素晴らしいことであり、大切なことと思っております。(中略)どうか継続して運動を続けていただきとう存じます」と希望した。区部部


安全保案の廃案求め松江で集会 島大と県立大有志の会

山陰中央新報('15/09/06)

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対し、廃案を求める島根大と島根県立大の有志で組織する2団体が5日、松江市西津田6丁目の市総合文化センタープラバホールで集会を開き、約700人が参加した。終了後は市内をデモ行進し、民意を喚起した。

 いずれも教職員らでつくる「島根大学人の会」と「島根県立大学有志の会」が主催し、島根県内の61団体と144人が賛同者に名を連ねた。


2015年09月04日

「集団的自衛権行使は違憲」 山口繁・元最高裁長官

朝日新聞(2015年9月3日)

 安全保障関連法案について、山口繁・元最高裁長官(82)が1日、朝日新聞の取材に応じ、「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べた。安倍内閣が従来の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定について、「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と語った。

■解釈変更「立憲主義わきまえず」

 「憲法の番人」である最高裁の元トップが安保法案を「違憲」とする見解を示したのは初めて。歴代の元内閣法制局長官や憲法学者の多くが「違憲」と指摘するなか、法案の正当性に改めて疑問が突きつけられた。

 山口氏は、安保法案を「違憲」と考える理由について「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許されないとする政府見解の下で、予算編成や立法がなされ、国民の大多数がそれを支持してきた」と指摘。「従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ」とも述べた。

 安倍晋三首相らは、米軍駐留の合憲性を争った1959年の砂川事件最高裁判決が、法案の合憲性の根拠になると主張する。これに対し山口氏は「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」と否定的な見方を示した。

 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は昨年5月、安保環境の変化などを理由に憲法解釈の変更で「限定的な集団的自衛権行使」の容認を求める報告書をまとめた。内閣はこれを踏まえ、同7月1日に解釈変更を閣議決定。山口氏は、こうした考え方について「法治主義とは何か、立憲主義とは何かをわきまえていない。憲法9条の抑制機能をどう考えているのか」と批判する。(論説委員・高橋純子、編集委員・豊秀一)

     ◇

 やまぐち・しげる 1932年11月、神戸市生まれ。京大卒。55年に司法修習生になり、東京高裁部総括判事、司法研修所長、福岡高裁長官などを歴任。第2次橋本内閣の97年10月から、第1次小泉内閣の2002年11月まで最高裁長官を務めた。長官在任中は、裁判員制度や法科大学院の導入などを柱とする司法制度改革に対応した。著書に「新井白石と裁判」。


2015年09月03日

SEALDs、戦後70年宣言文

SEALDs
 ∟●SEALDs  戦後70年宣言文

自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs) 戦後70年宣言文

2015年9月2日

 アジア・太平洋戦争が終わりを告げてから、70年の歳月が流れました。私たちは、そのうちの20年程度しか生きていません。戦争の時代を生きていない私たちには、知らないこと、知りえないことが数多くあります。しかしだからといって、過去と向き合うことを諦めません。私たちは、過去を真摯に引き受け、平和な未来をつくります。

 満州事変に端を発する先の戦争において、日本は近隣諸国をはじめとする多くの国や地域を侵略し、その一部を植民地として支配しました。多くの人々に被害を及ぼし、尊厳を損い、命を奪いました。私たちは、この国が二度と同じ過ちを繰り返さないために、その過去と真剣に向き合い、自らの責任を果たしていきます。

 先の戦争においては、民間人を含む多くの日本人も犠牲になりました。地上戦の舞台となった沖縄では、旧日本軍の強制による集団自決が行われました。広島・長崎には、原子爆弾が投下されました。数多くの兵士が、望まない戦闘に加担させられ、命を落としました。他にも多くの人々が、空襲や飢え、病気などで命を失いました。私たちは、決してこの悲劇を忘れるわけにはいきません。

 過去の戦争や植民地支配が生み出した不幸は、今日まで続いています。被爆の後遺症に苦しむ人々や、尊厳を傷つけられたままの元従軍慰安婦の方々をはじめ、多くの人々の身体的・精神的な傷は、そう簡単に癒えるものではありません。さらに、被爆者の子孫や在日朝鮮・韓国人に対する差別や偏見などはいまなお残っています。また沖縄の過度な基地負担も、先の戦争が生み出した問題です。私たちは、戦争によって生じた数々の苦痛と無関係ではありません。

 日本は戦後70年間、直接的には戦闘行為に参加せず、曲がりなりにも平和国家としての歩みを続けてきました。その歩みは、多くの先人たちが、先の戦争をふまえてつくられた日本国憲法の精神、とりわけ平和主義の理念を持ちつづけ、幾多の努力を重ねてきた結果です。だからこそ私たちは、平和国家であることのありがたみを噛みしめ、次の世代に受け継いでいこうと思います。

 しかしながら、平和主義の理念は、イラク戦争への実質的な協力などによって危機に瀕してきました。そしていま、日本国憲法に違反する安全保障関連法案が、強行採決されようとしています。政府は国会での議論も十分にせず、最低限の説明責任も果たしていません。自衛隊が提供した弾薬が、誰かの命を奪うこと、そして、自衛隊員やこの国に生きる人々、海外に暮らす日本人の命が、危険にさらされることを許すわけにはいきません。

 私たちは、尊い命を軽んじる態度を、歴史から学ぼうとしない不誠実な姿勢を、目先の利益に捉われる偏狭な考えを、立憲主義や民主主義の軽視を、権力による情報統制を、「積極的平和主義」という偽りの平和を、決して認めません。私たちは、二度と同じ過ちを繰り返さないために、自由と民主主義を守っていきます。

 私たちは、戦後70年という節目にあたって、平和の尊さをあらためて強く胸に刻みます。私たちは、戦争の記憶と多くの犠牲のうえにあるこの国に生きるものとして、武力による問題解決に反対します。核の恐ろしさを目の当たりにした被爆国に生きるものとして、核兵器の廃絶を求めます。私たちは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」、ナショナリズムにとらわれず、世界中の仲間たちと協力し、「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを」目指します。

 私たちは、自分の頭で思考し、判断し、行動していきます。それを不断に続けていきます。偏見や差別を許さず、思想・信条・宗教・文化・人種・民族・国籍・性別や性的指向性・世代・障害の有無などの様々な違いを超えて、他者を尊重し、共に手をとりあって生きる道を切り開いていきます。

 平和な未来をつくるために、過去と真摯に向き合い、努力していくことをここに誓って、戦後70年にあたっての宣言とします。

自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)


「安全保障関連法案に反対する学者の会」から9月前半の行動提起

■以下,「安全保障関連法案に反対する学者の会」から各大学有志に送られたメールより

「学者の会」アピール賛同者の皆様へ緊急のお願い

緊迫した国会情勢のもと、「学生と学者の共同行動」を大成功させましょう。

佐藤学(「安全保障関連法案に反対する学者の会」発起人・事務局代表)

(1)9月6日(日)は午後3時から午後5時半、新宿伊勢丹前の歩行者天国で、「学生と学者の共同街宣行動」を行います。歩行者天国を埋め尽くしましょう。
この街宣行動では、学生と学者のスピーチの他、蓮舫民主党代表代行、志位和夫日本共産党委員長、吉田忠智社会民主党党首、二見伸明公明党元副委員長が、スピーチを行います。(他の野党は返答まち)
重要な時期の重要な街宣になるので、ぜひ、ご参加ください。当日のフライヤーを添付します。なお、雨天の場合は、歩行者天国は行われないので、新宿駅東口で街宣行動を行います。

(2)9月11日(金)は学生と学者の共同行動第3弾として、午後7時半から国会前の抗議行動を行います。こちらも、こぞって参加してください。

(3)以下のように各地方でSEALDsの行動が展開されます。地方ごとにSEALDsを支援し共に闘いましょう。

【SEALDs
9/4(金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/6(日) 15:00~17:30 安全保障関連法案に反対する学者と学生による街宣@新宿
9/10(木) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/11(金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/12(土) S4LON vol.3[この国で生きる―経済 憲法 安保法制―]第1部 15:00~ 第2部 19:00~
9/14(月)~9/18(金) 戦争法案強行採決に反対する国会前緊急抗議行動

【TOHOKU】
9/4から 毎週金曜街宣
9/5(土) SALON(詳細未定)
(9/6(日) 弁護士大集会)
9/10 緊急アピール(詳細未定)

【KANSAI】
9/4 (金) 18:30~20:00 戦争法案に反対する金曜街宣アピール@大阪梅田ヨドバシカメラ前
9/11 (金) 19:30~21:30 戦争法案に反対する国会前抗議行動
9/13 (日) 16:00~18:30 戦争法案に反対する関西大行動@大阪 靭公園

【RYUKYU】
9/12(土) 10:00~12:00 サロンvol.2トポセシア(沖縄県宜野湾市我如古2-12-6)
9/19(土) 「沖縄のことは沖縄で決める緊急アピール」(場所未定)

鳥取大学有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する鳥取大学有志の会

声明

私たち鳥取大学有志は、安倍政権が今国会に提出し審議されている安全保障関連法案に強く反対し廃案を求めます。この法案が憲法違反であることはほとんどの憲法学者が認めるところであり、これまでの審議を通しても国民に対し十分な説明が行われたとは言えません。本年7月16日、安倍政権は十分な審議を尽くさないまま衆議院で強行採決を行いましたが、このまま、国民の理解・納得を得ないまま法案が成立することは日本国憲法の国民主権の原則に反します。
また、この法案は、歴代内閣が認めてこなかった集団的自衛権の行使を、解釈変更によって行使可能としようとするものであり、戦後の日本で積み重ねられてきた憲法9条をめぐる議論を軽視しています。安倍政権は、政府だけでも「存立危機事態」を判断することができるようにし、自衛隊の任務と活動範囲をこれまでとは比較にならないほど拡大しようとしていますが、アメリカ軍の「後方支援」をすることが戦争参加でないという政府の説明には説得力がありません。この安保関連法案が成立し施行されれば、日本国民の安全を保障するどころか、かえって自衛隊員や国民の危険を増大させるのではないかという不安を払拭することはできません。安倍政権には、アメリカ政府との約束を重視するあまり、日本の法体系における「法的安定性」や立憲主義を軽視する姿勢さえみられます。
今、日本各地では、さまざまな人びとから、安保関連法案に反対する声が湧き上がっており、私たち鳥取大学有志も、そうした人びとと手をつなぎ、連帯し、この法案を廃案にすることを求めます。

2015年8月29日
安全保障関連法案に反対する鳥取大学有志

岡山大学有志の会、安全保障関連法案に反対する声明

岡山大学有志の会

安全保障関連法案に反対する岡山大学有志の会 声明文


 安全保障関連法案が衆院本会議で強行採決されました。集団的自衛権の行使を認める本法案は他国の戦争への荷担につながり、平和国家としての日本のあり方を大きく変えるものです。私たちはこれに強く抗議し、法案の撤回を求めます。


1 民主主義とは、議会での多数者の支配を無条件に認めることではありません。私たちは、多様な意見に耳を傾ける政治を求め、立憲主義に基づく民主主義を要求する全国的な抗議の声に連帯を表明します。

2 私たちは「高度な知の創成(研究)と的確な知の継承(教育と社会還元)を通じて人類社会の発展に貢献する」という岡山大学の理念にもとづき、大学人として社会的責任を全うするために行動します。

3 学問は人類が長きにわたって継承・発展させてきた人類共通の財産です。私たちはこれを世界の平和と人々の共存のために用いるべきだと考え、二度と戦争に利用することを認めません。

4 岡山大学は戦前、歩兵第十連隊などの駐屯地でした。多くの若い兵士がこの地から出征し、命を失いました。アジアの戦地でも、住民に多大な損害を与えました。私たちはこの負の歴史を見つめ、被害と加害の悲劇を二度と繰り返さないと誓います。

5 岡山大学で学ぶ私たちは、いま戦争への道が開かれるのではないかという不安を抱いています。戦後70年をへて、あたりまえの日常だったこの平和をいかに未来へとつなげていくのか、ともに集い、自らの問題として考え、声をあげ続けていきます。

私たち岡山大学の教職員・学生有志は、ここに安全保障関連法案への反対を表明します。

2015.8.21
安全保障関連法案に反対する岡山大学有志の会

 安保法案、岡山大有志が反対声明 賛同者募る

朝日新聞(2015年9月2日03時00分)

 参議院で審議中の安全保障関連法案をめぐり、法案に反対する岡山大学の教職員、学生らでつくる「有志の会」が、法案の撤回を求める声明を出した。フェイスブックなどを通じ、声明への賛同者を募っている。

 声明は、法案について「平和国家としての日本のあり方を大きく変える」と批判。「戦争への道が開かれるのではないかという不安を抱いている」とし、「あたりまえの日常だったこの平和をいかに未来へとつなげていくのか、自らの問題として考え、声をあげ続けていく」と訴えている。

 発起人には、農芸化学、歴史、憲法、生物、文化人類学など様々な分野の教職員、学生らが名を連ねている。発起人の一人、文学部の大貫俊夫准教授は「特に若者が政治や平和について考える機会を作っていきたい」と話す。「有志の会」のホームページ(http://anpookadai.wix.com/anpookadai別ウインドウで開きます)から賛同の署名ができる。


安保法案に反対声明 熊本県内学者有志、廃案求める

くまにち(2015年09月02日)

 安全保障関連法案に反対する熊本大、熊本学園大、県立大の教授ら8人が1日、県庁で会見し「自衛隊が海外で殺し殺される状況をつくってはいけない」と廃案を求める声明をそれぞれ発表した。賛同者は計80人に上り、今後も各大学で募るという。

 熊本大の鈴木桂樹教授は「集団的自衛権は他国防衛でしかない。安倍晋三首相が言う抑止力も武力衝突を誘発する恐れがある」と指摘。声明では「最前線に武器や弾薬を供給する兵たんを担う自衛隊員が攻撃目標になる。隊員、市民に犠牲が出てからでは遅い」と危機感を強調した。

 県立大の難波美和子准教授は「他国軍の後方支援に参加すれば、日本が果たしている平和貢献が機能しなくなる。暴力的行動は避けるべきだ」と訴え、声明で「憲法9条に違反し、戦争する国へと導く法案。衆院憲法審査会で学者3人が違憲としたにもかかわらず、安倍内閣は学問的成果を軽視している」と訴えている。

 熊本学園大の坂本正教授は「教育者として若者に社会経験を伝えることは、学者として私たちの存在意義でもある」として、声明は「解釈改憲で戦争をする国に変えるのは重大な憲法違反。民主主義に挑戦する独裁者の暴挙だ」と安倍首相を批判した。

 全国では115大学で「有志の会」が発足、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏らがつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が賛同署名を集めている。


安保法案「平和揺るがす」 道内5大学の教職員が集会

北海道新聞(09/02 05:00)

  安全保障関連法案 に反対する声明を発表した道内大学の教職員有志が1日、札幌市北区の北大で、各大学の取り組みや今後の活動について話し合う集会を開いた。約70人が出席。北大など5大学の8人がマイクを握り「平和を揺るがす法案は憲法違反」「廃案しかない」と訴えた。

 道内の大学関係者による反対声明は、7月の札幌学院大を皮切りに北大、道教大、室工大、北海学園大、北星学園大、酪農学園大の計7大学に広がる。

 集会では、北大大学院の宮内泰介教授が「法案は戦後日本が積み重ねてきた平和の歩みを無にする」と批判。室工大大学院の清末愛砂(きよすえあいさ)准教授は「米国主導の戦争への加担を強いる内容。大学の知性を結集して対抗していく」、北海学園大の本田宏教授は「与党が多数を占める国会の審議だけでなく、反対を叫ぶ市民の声にも耳を傾けるのが民主政治だ」などと語った。

 参院採決が見込まれる今月中旬に向けた連携を確認したほか、集会前には、北大の学生ら有志約30人が大学周辺をデモ行進した。


2015年09月01日

8.30大行動 国会正門前オープニング・コール 菱山南帆子さん


戦争法案反対沖縄大行動

2015年8月31日

 安保法案に反対する「戦争法案廃案! 辺野古新基地建設断念! 安倍政権退陣!8・30沖縄大行動」が30日夕、那覇市の与儀公園多目的広場で開かれた。約2500人(主催者発表)が参加した。同日に国会周辺など全国で開かれた集会と連動した全国一斉行動の一環で、安保法案廃案と安倍晋三内閣の退陣に加え、沖縄では米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設にも反対した。
 市民のほか県選出の国会議員や弁護士、政治学者、沖縄戦体験者ら多数が参加した。参加者は「私たちが、戦争しない未来をつくる」と題したアピールを採択した。
 集会後は若者たちの団体「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」によるラップのコールで声を合わせ、国際通りを県庁までデモ行進した。
 実行委員長の高良鉄美琉球大学教授は、沖縄戦や日本復帰などを振り返り「憲法からは考えられない、戦争ができる法律が通ろうとしている。沖縄だからこそ今こそ戦争法案を絶対に許さない」と訴えた。


学問の側から安保法案を問う 高知市でシンポ

朝日新聞(2015年8月31日)

 公開シンポジウム「いま、安保法案を問う」が30日、高知市本町4丁目の県人権啓発センターで開かれた。「安保法案に反対する高知の大学人声明」主催。憲法学、政治学などの専門家4人が安全保障関連法案について意見を述べ、約230人が耳を傾けた。

 岡田健一郎・高知大准教授(憲法学)は「憲法9条から集団的自衛権を導き出すのは無理がある」。根小田渡・高知大名誉教授(政治学)は「集団的自衛権が日本の自立につながるという考えは幻想だ」と指摘。高知近代史研究会の公文豪会長は「中江兆民や植木枝盛など高知出身の思想家は優れた平和論を発表している。私たちはそれを継承していかなければ」。田中きよむ・県立大教授(社会福祉学)は「9条を守り、25条(生存権)も守らなければいけない」と話した。

 参加者からの「法案を最高裁で違憲審査できないのか」との質問に、岡田准教授は「真正面からの違憲判決は難しい。だが最高裁は世論に敏感。世論が違憲だと一致していれば最高裁も違憲判決を出しやすい」と答えた。(広江俊輔)


2015年08月31日

安保法案 国会周辺で最大規模の反対集会

NHK(8月30日 18時43分)

安全保障関連法案に反対する、これまでで最も規模の大きな集会が国会周辺で開かれ、参加した人たちは「戦争法案を今すぐ廃案に」などと訴えました。
集会は30日午後2時ごろから国会周辺で開かれ、主催者の発表でおよそ12万人、警視庁の調べで3万人余りが集まり、これまでで最も規模の大きなものとなりました。
このうち、国会の正門前では参加者が歩道だけでなく車道にも広がり、プラカードを掲げて、「憲法9条を壊すな」とか、「戦争法案を今すぐ廃案に」などと訴えました。
集会には音楽家の坂本龍一さんも参加し、「憲法の精神、9条の精神がここまで根づいていることを皆さんが示してくれ、勇気づけられている。憲法や民主主義を取り戻すためのとても大事な時期で、僕も一緒に行動していきます」と述べました。
続いて若者の代表として大学生の寺田ともかさんが発言し、「私の払った税金が弾薬の提供のために使われ、遠い国の子どもたちが傷つくのだけは絶対に止めたい。『やられたらやるぞ』と威嚇するのではなく、そもそも敵を作らない努力を諦めない国でいたい。戦争法案は絶対に止めることができると信じています」と訴えました。

看護師を目指す学生は
集会に参加した東京の佐竹美紀さん(23)はボランティア活動で、戦争で傷ついたアフガニスタンの子どもたちの医療支援をした経験から、「正しい戦争などない」と考えるようになったといいます。自衛隊員が誰かを傷つけたり、傷つけられたりする事態を招くべきではないと、法案に強く反対していて、看護師を目指す勉強の合間を縫って集会に駆けつけました。
佐竹さんは、「これまでの海外派遣で、自衛隊が武力を行使しないことで築いてきた信頼を、法案が崩してしまうのではないかと危機感を抱いています。一度、武力を行使する方向にむかうと歯止めがきかないと思うし、日本は人道支援や技術の提供で各国からの信頼を地道に得ていくべきだ」と話しています。

若者グループのメンバーは
安全保障関連法案に反対する若者たちのグループ「SEALDs」の中心メンバーの1人で大学4年生の元山仁士郎さんは、「きょうは多くの人たちと声を上げられることができ、勇気をもらった。今後も全国の若者と連携し、法案に反対の声を上げ続けていきたい」と話していました。
また、沖縄県出身の元山さんは「ずっと平和を求めてきた沖縄の思いが本土でも広がってきていると思う。これからもっと連携していけたらと思う」と話していました。

著名人も法案撤回求める
集会には安全保障関連法案に反対する著名人も参加し、ステージから法案の撤回を求めました。
作家の森村誠一さんは「戦争で最初に犠牲になるのは若者たちです。私はかつて戦時中に女性が竹やりを持たされ、訓練させられる光景を見てきました。だからこそ、絶対に戦争可能な国家にしてはいけない」などと訴えました。
このほか、宇宙物理学者で総合研究大学院大学の池内了名誉教授は「科学の軍事利用が具体的に始まり、海外に出かける兵士たちに武器を与える研究を科学者にさせるという状況が生まれつつある。今の段階でこうした芽を取り去るべきだ」などと主張しました。

警視庁 約2倍の警察官動員
安全保障関連法案を巡っては、国会の周辺で、これまでにも定期的に反対集会が開かれていますが、警視庁は今回、集会の規模が最も大きくなると予想されたため、これまでの2倍近い警察官を動員して警備と参加者たちの誘導に当たりました。
警察官は参加者たちに一か所にとどまらず進むよう呼びかけたり、不審な物がないか国会周辺をパトロールしたりしていました。警視庁によりますと、参加者たちは、当初の想定を超えて国会前の車道にまで広がりましたが、けが人などは出ず、大きなトラブルはなかったということです。

全国各地で反対集会
30日は国会周辺だけでなく、全国各地で安全保障関連法案に反対する集会やデモが行われ、名古屋市では、母親らのグループの呼びかけで名古屋駅前でデモ行進が行われ、参加者は「子どもを守れ」などと声を上げていました。
また、北九州市では参加者たちがサッカーの「レッドカード」をイメージしたという赤い服などを身に着けて中心市街地を歩きました。
広島市でも市民グループの呼びかけで集会が開かれ、参加者は街頭でチラシを配ったり、「戦争反対」などと声を上げたりして法案への反対を訴えました。
国会周辺での集会を主催した団体によりますと、30日は把握しているだけで全国のおよそ300か所で法案に反対する集会やデモが行われたということです。


2015年08月30日

100大学有志の合同記者会見(2015年8月26日)


日弁連と学者の会との合同記者会見(2015年8月26日)


2015年08月29日

安保法案反対の海外在住者、「オーバーシーズ」結成

東京新聞(2015年8月28日 夕刊)

 安全保障関連法案に反対する海外在住の日本人らが「OVERSEAs(オーバーシーズ)」を結成し、二十八日に東京都内で記者会見を開いて発表した。発起人の武井由起子弁護士は、法案が成立すると、海外在住者はテロなどの影響を受ける可能性が高まるが、日本国内の議論に参加しにくいと強調。「国外からの反対の声を届けるプラットホームにしたい」と意気込みを話した。
 一週間ほど前からインターネット上で呼び掛け、現在も国外で暮らす人やその経験者らが応じて、約四百人のグループになった。
 武井弁護士は「共通するのは危機感。一番影響を受けるのに、蚊帳の外にいる」と指摘。ネットを通じ、国外からの視点を伝えたいという。
 法案に反対する活動で注目を集める大学生らのグループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」に触発され、オーバーシーズと名付けた。

山梨県内学者らも安保法案に反対

NHK(2015年(平成27年)8月28日)

集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法案を巡って県内の大学教授らが法案に反対する会を発足させ、廃案を求めていくと訴えました。

発足したのは県内の大学教授などで作る「安全保障関連法案に反対する山梨学者・大学人の会」です。
県庁で行われた記者会見で事務局長の山梨大学の寺崎弘昭教授が「多くの国民が反対の声を上げる中、山梨の大学人としても廃案を主張する声がたくさんあることを示したかった」と述べました。
このあと、憲法学が専門の都留文科大学の横田力教授が「若者たちが紛争解決に武力を行使し、また武力の犠牲になることは絶対にあってはならない」などとした声明を読み上げ、法案の廃案を求めていくと訴えました。
声明にはこれまでに県内の大学教授や職員など130人が賛同していて、今後、インターネットなどでさらに増やしていきたいとしています。


2015年08月28日

反安保法案に学者250人 北大や道教大も 東京で廃案訴え

北海道新聞(08/27)

  安全保障関連法案 に反対する全国の87大学の学者が26日、東京・永田町の国会近くで記者会見し、「若者の未来のために絶対に引き下がらない」などと同法案の成立阻止を訴えた。

 1万3千人以上の学者が賛同する「安全保障関連法案に反対する学者の会」の主催。同会によると大学単位で法案に反対する会をつくる動きが広がっており、100以上の大学で発足している。この日は87大学を代表して約250人が集まり、反対する会の名前を記したのぼりを掲げた。道内からも北大、道教大、北海学園大、札幌学院大の学者が駆けつけた。

 会見では、各地で活発に活動している12大学の代表がマイクを握った。北大の姉崎洋一名誉教授は「民主主義、立憲主義の根幹からの破壊、政権の反知性主義への深い憤りがある」と指摘。「大学が踏みにじられた歴史」として、太平洋戦争開戦当日に北大生の宮沢弘幸さんらが軍機保護法違反容疑で逮捕された「 レーン・宮沢事件 」を挙げ、繰り返さないよう訴えた。

 参加した北海学園大の本田宏教授は「与党が法案をごり押しするのは民主主義ではない」と安倍晋三首相の政権運営を批判し「安倍政権は集会やデモ、地方議会などの意見を幅広く組み入れた政治を行う必要がある」と強調。道教大函館校の畠山大准教授は「教員を育てることは子供たちの将来に責任を持つ意味がある。安保関連法案という戦争の芽を摘まなければならない」と話した。

 また、札幌学院大の西尾敬義教授は「安倍首相は国会での質問に、戦争は『絶対にない』と繰り返すだけだ。野党は首相答弁の矛盾を突きながら、法案の危険性を浮き彫りにする高い弁論技術が求められる」と野党にも注文。北大の小田博志准教授は「武力で平和は達成できない。平和は銃でなく対話や信頼関係でつくるものだが、安倍首相は友好関係を築く努力を積極的にしていない」と話し、安倍氏の掲げる積極的平和主義に疑問を示した。

 この後、参加者は参院議員会館に移動。グループに分かれ、それぞれ参院議員の部屋を訪ねて廃案を求めた。北大の学者たちは道内選出の自民、公明、民主各党の参院議員や秘書と面会し「反対の動きを強めてほしい」などと呼び掛けた。

 同日夜には日比谷野外音楽堂で集会を開き、約4千人が法案反対をアピールした。


2015年08月27日

TBSテレビNews、学者の会 共同記者会見

TBS(2015年8月26日)

法曹関係者と学者ら集結「法案は憲法違反」と廃案求める

 参議院での国会審議が続いている安保法案。26日東京・霞が関では、元最高裁判事、そして歴代の内閣法制局長官、全国の弁護士や大学教員らが300人集まるなど、法曹関係者と学者らがそろって記者会見し、「法案は憲法違反」だと廃案を求めました。ビデオでご覧ください。(26日23:12)


日テレ・ニュース,学者の会 共同記者会見

2015年8月26日 22:39

安保関連法案 創価大関係者も反対意見

全国約90の大学関係者が26日、安保関連法案に反対する集会を開き、与党・公明党の支持団体「創価学会」の池田名誉会長が創立した創価大学の関係者も反対意見を述べた。公明党の石井政調会長は会見で「大学全体の声とは受け止めていない」などと述べた。


100超の大学教職員ら「安保法案の廃案を」

8月26日 18時28分

100超の大学教職員ら「安保法案の廃案を」

安全保障関連法案に反対する大学有志のグループは全国の100を超える大学に広がっていて、各グループの代表らが26日、東京都内で会見し、法案の成立は戦後最大の危機だとして廃案にするよう訴えました。
安全保障関連法案を巡っては、全国の大学で法案に反対する教職員や学生らによる有志のグループが発足していて、現在は108の大学に広がっているということです。
このうち26日は、およそ80の大学から200人以上が出席し、東京・千代田区で会見しました。
この中で学習院大学の佐藤学教授は、「広範な人たちが集まったのは、立憲主義、民主主義、平和主義が戦後最大の危機を迎えているたからだ」と訴えました。
また、東日本大震災で被災した東北3県の大学で作るグループのメンバーで、東北学院大学の郭基煥教授は、「被災地は人の命のもろさやはかなさを徹底的に知った地域です。この地域で生きる私たちは、戦争への道を開く法案を絶対に容認することはできない」と訴えました。
また、九州大学の小川玲子准教授は「大学がある福岡はアジアに近く2000人近い留学生を受け入れており、法案はこうした交流や対話の継続を危うくしかねない」と指摘しました。
各大学の有志のグループは、今後も互いに連携しながら廃案を求めていくことにしています。


安保法案、廃案求め100大学連帯「政権にくさびを」

毎日新聞 2015年08月26日 21時11分

 参院審議中の安全保障関連法案を巡り、廃案を求める声明を発表するなどした全国の大学の有志が26日、東京都内で合同記者会見を開き、「安倍政権にくさびを打ち込むために連帯を止めてはならない」などと訴えた。

 「安全保障関連法案に反対する学者の会」によると、教職員や学生ら有志が法案反対の意思を表明した大学は同日現在で100以上の大学に上り、うち約80大学の約250人が会見に出席した。

 広島大の河西英通教授(比較日本文化学)は「これだけの大学人の連帯があれば、最終的な勝利を勝ち取ることができると確信している」と話し、早稲田大の後藤雄介教授(西洋史)は「この運動をさらに広げていく。『戦争法案』廃案まで頑張っていきたい」と力を込めた。

 呼びかけ人の一人、学習院大の佐藤学教授(教育学)は「衆院の強行採決で運動が沈静化すると思われたが逆だった。危機感を抱いている人が多いことの表れ」と語った。会見後、教職員らは声明文や賛同者リストを持って参院議員会館を回り廃案を要請した。

 「学者の会」によると、同会に賛同する研究者は26日現在、計1万3507人に上る。【川畑さおり、樋岡徹也】

安保法案:弁護士ら反対集会 元最高裁判事も批判 東京

毎日新聞 2015年08月26日 20時40分

 参院審議中の安全保障関連法案に反対する弁護士や大学教授、市民計約4000人(主催者発表)が26日、東京・日比谷で集会を開き、周辺をパレードして廃案を訴えた。集会に先立つ記者会見には主催者の日本弁護士連合会の歴代会長や憲法学者らとともに、元最高裁判事や元内閣法制局長官も出席して法案の問題点を指摘した。

 元最高裁判事の浜田邦夫氏(79)は「法案は違憲というだけでなく、国民の声を無視しているという意味でも非常に問題がある」と批判した。9歳の時に終戦を迎えた自身の戦争体験にも触れ「ぜひ、時の政権に考え直してもらいたい」と述べた。

 元内閣法制局長官の大森政輔氏(78)と宮崎礼壹(れいいち)氏(70)も同席した。大森氏は「廃案」と書かれたプラカードを胸に掲げ、「心の中からこのように考えている」と力を込めた。宮崎氏も「ちょっぴりであろうとたっぷりであろうと、憲法9条の下では集団的自衛権の行使ができないというのは一貫した政府の確定解釈だった」と強調した。【和田武士】


法曹と学者そろって安保法案ノー 違憲、廃案訴え

共同通信(2015/08/26)

 東京・日比谷野外音楽堂で開かれた安全保障関連法案に反対する集会で「違憲」と「廃案」のプラカードを掲げる参加者=26日午後

 法曹関係者と学者がそろって安全保障関連法案にノー。元最高裁判事や元内閣法制局長官、日弁連会長と憲法学者が26日、東京・霞が関で記者会見し「法案は憲法違反」と成立阻止を訴えた。

 日弁連主催で全国の弁護士や大学教員ら計約300人も参加。一斉に「違憲」「廃案」とのプラカードを掲げた。村越進日弁連会長は「これだけの人が結集するのはかつてないこと。立憲主義の破壊だけは認めることができない」と強調した。

 会見後、日比谷野外音楽堂で集会も開き、日弁連によると約4千人が参加。大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」などのメンバーも駆け付け、法案反対をアピールした。


2015年08月26日

酪農大教員有志、安保法案の廃案求めて声明

北海道新聞(2015/08/25)

 【江別】酪農学園大の教員有志は24日、 安全保障関連法案 に反対する会を設立し、同会のホームページ上で「違憲性が明らかな法案の速やかな廃案を求める」とする声明を発表した。

 声明では、今国会での法案成立を急ぐ安倍晋三政権の姿勢を「民主主義と立憲主義に対する挑戦」と非難。戦時中の「 学徒出陣 」の反省を踏まえ、「教育機関として、若者たちを戦地に送ることにつながる法案を容認することは決してできない」と訴えている。

 同大の佐藤和夫教授(農業経済学)らが22日、教職員を対象に賛同を募り、3日間で63人が応じた。

 佐藤教授は「反対の声を聞こうとしない政府の姿勢に危機を感じる。何とか成立を阻止したい」と話している。


北星学園教職員有志、安全保障法制に反対するアピール

安全保障法制に反対する北星学園教職員有志のアピール

安全保障法制に反対する北星学園教職員有志のアピール

 日本の安全保障の枠組みを根底から覆す安全保障法制法案が、衆議院を強行採決により通過し、今国会において成立しようとしています。わたしたち北星学園の教職員有志は、知的誠実を旨とする立場から、日本国憲法をないがしろにして提起されている安全保障法制が戦後70年の節目の年に成立しようとしている事態を看過することができません。

 日本国憲法のもとでの戦後日本の歩みにおいて、日本の国家権力は司法も含め集団的自衛権の行使が可能であるという立場を一貫してとってきませんでした。それが認められると解するならば、憲法9条は何も禁じていない空文になってしまうからです。しかし、現政権は戦後のどの政権もとってこなかった憲法解釈を閣議決定し、安全保障法制を提起しています。

 先の大戦からの反省と教訓を踏まえ、日本国憲法の平和主義は、戦後、堅持されてきました。日本国憲法の平和主義とそのもとでの戦後の歩みを見つめ直すことなしに、日本の安全保障の枠組みを覆す法案が提起されること、ましてやそれが国会の場で可決されるということなどは、立憲主義に立つかぎり、ありえないことです。

 北星学園は、戦後50年の節目に「北星学園平和宣言」を発表し、「あらためて平和をつくり出すことの大切さと人権を尊ぶ教育の重要さを思います」とした上で、「これまでの不十分な戦後の歩みを反省し、新しい時代の平和をつくる学園として歩むことを宣言」しました。また、自衛隊がイラクのサマワに派遣された2004年2月には「2004年2月声明」をやはり学園として発表し、「未来に生きる生徒・学生を戦場に送らないため、戦争行為を正当化するいかなる政策にも反対し、平和を実現する教育を貫き通すことを表明します」としています。こうした認識のもと、大学・短大、女子中高、大学附属高校、余市高校の北星学園各校は、これまでそれぞれに平和教育に力を注いでまいりました。

 <自由>は天から降ってくるものではないということ、でも、あたかも当然のものであるかのようにその<自由>を確保していく必要があることを、大学の自治と学問の自由への脅威に際して、わたしたちは、その困難とともに実感したところです。<平和>もまた、それを守るために絶えざる努力が必要です。わたしたちは、現政権の憲法解釈の変更から安全保障法制の提起、そして、衆議院通過に至る、一連の経緯を省みて、その思いを新たにせざるをえません。

 北星学園に奉職する教職員有志は、知的誠実のもと、また、学園の掲げるキリスト教の精神に鑑み、安全保障法制は廃案にされるべきであると強く訴えます。


「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイによる福音書 5章9節)

「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。」(マタイによる福音書 26章52節)

2015年8月

立憲主義と日本国憲法を尊重する北星学園教職員有志の会

☆ ☆ ☆ ☆

呼びかけ人

大学・短大: 勝村務 萱野智篤 木下武徳 佐橋克彦 篠田優 濵文章 原島正衛 韓文熙

       山我哲雄 山口博教 (五十音順)

余市高  : 平野純生

<代表>  山我哲雄

<世話人> 勝村務 木下武徳 山口博教 (五十音順)


2015年08月24日

香川大学有志、安全保障関連法案の廃案を求めるアピール

安全保障関連法案の廃案を求める香川大学教員有志アピール

安全保障関連法案の廃案を求める香川大学教員有志アピール

現在国会で「安全保障関連法案」が審議されています。

同法案の成立により、最悪の場合、自衛隊が海外の戦場で「殺し殺される」事態を招来しかねません。更には、戦後70年かけて国民の努力で培ってきた「戦争をしない国」としての日本の国際的な信頼を裏切る結果となることを危惧します。

集団的自衛権行使を認め、海外での戦闘参加を可能とするこの法案は、ほとんどの憲法学者の指摘にあるとおり、日本国憲法と矛盾します。ときの政権による勝手な解釈に基づき、憲法に反する法案成立を強行することは断じて許されません。立憲主義は堅持されるべきです。

かつて神原甚造初代学長が卒業式式辞で学生たちを激励したように※)、民主主義と平和の精神は本学の原点です。これを受け継ぎ「地域に貢献する学生中心の大学」を掲げる香川大学で教育研究に携わってきたものとして、地域から預かった大切な過去・現在・未来の学生たちを不義の戦場に送りかねない事態を看過することはできません。

私たちは、これらの観点から、安全保障関連法案の廃案を強く求めます。

※)神原学長第二回卒業式式辞(要旨)

顧りみれば諸君が本学に入学した昭和二十五年四月、開学日なお浅く諸設備いまだ整わない学園にありながら、洋々たる希望に輝いた諸君の紅顔に、私は祖国の姿をみる感がした。われわれの祖国では再軍備問題、さらには憲法改正問題について議論が沸騰し、国民の高価な犠牲によって購われた永遠に不変の真理であると信じている民主主義平和憲法の精神は今や大いに動揺している。われわれの前途は遼遠であり苦難にみちているけれども、現在の最大の急務は憲法に高く掲げた自由と平和との擁護であり達成である。諸君、勇気をもち給え、われわれのなし始めている仕事は、よしや、いかに困難にみちていようとも正しいのである。われわれは自由と平和への希望と努力をば絶対に放棄しないし、また、絶対にしてはならないのである。本学において過去数年間、物質的、精神的な幾多の困難を身をもって体験し、それを克服しつつ、ひたすらに叡智をみがき人格の陶冶に努めてきた諸君は社会の期待にこたえ、祖国再建の修業と人類永遠の理想達成の重責を果たされるものと信じている。諸君の前途に祝福あれ。
『香川大学三十年史』(同編集委員会, 1982)p. 23より

2015年8月21日
賛同者一同

静岡大学教職員組合、「安全保障関連法案」の採決の強行に抗議し、その廃案を求めます

日刊ベリタ(2015年07月23日)

静岡大学教職員組合が「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明を出す

<「安全保障関連法案」の採決の強行に抗議し、その廃案を求めます。>静岡大学教職員組合は平成27(2015)年7月21日このような声明を出しました。

 「7月16日(木)に衆院本会議で集団的自衛権行使を可能とする、いわゆる「安保法制」が野党欠席のもとで採決が強行されました。同法案は、長年歴代政権の下で違憲とされてきた集団的自衛権を合憲と見なす昨年7月の閣議決定を前提に立法化されたものです。しかし圧倒的多数の憲法学者や弁護士諸団体の意見表明に見るように審議するほど違憲であることが明らかになっていました。また圧倒的国民がいまだ審議が不十分であり、採決には反対と表明しているものでした。

 日本国憲法は第98条で「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律・・は、その効力を有しない」と定めています。また第99条では「国務大臣、国会議員・・は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記しています。今回の「安保法制」の採決の強行は、日本国憲法を頂点とした法に基づく統治と民主主義の仕組みを、政府自らが破壊する暴挙であると考えます。

 私たち静岡大学教職員組合の「規約前文」は、「われわれは、日本国憲法下における民主化の促進を願い、労働者の利益と地位向上を目指して、ここに団結し、理想的組合を作ろうとする」と謳っています。それは、私たち大学で研究し、働くものが、平和的な研究の発展を誓い、再び戦争という過ちへの貢献を繰り返さないという誓いを込めたものでした。いま、私たちが目の当たりにしているのは「日本国憲法下における民主化」を根底から破壊する行為ではないでしょうか。

 安全保障問題や、それとの関わりでの集団的自衛権の評価については多様な意見があって当然であり、それは組合員の考えにも反映されていると思います。しかし、真の平和のために集団的自衛権が必要というならば、日本国憲法に定められた手続きに従って改憲を行うのが基本ルールです。一政権の恣意的な解釈変更に委ねられるべき問題ではありません。

 私たち静岡大学教職員組合は、現在審議されている「安保法制」の内容は違憲と判断せざるを得ないと考えています。その採決の強行自体が違憲の暴挙であると考えています。それは憲法による統治という立憲主義の破壊に他なりません。私たちはこのような採決の強行に抗議するとともに、「安保法制」の即時廃案を求めるものです。」

 静岡大学教職員組合執行委員会

若者が一斉に「安保法案反対」 全国64カ所、シールズ主導

共同通信(2015/08/23)

 安全保障関連法案に反対し、東京・表参道をデモ行進する「SEALDs」のメンバーら=23日夕

 安全保障関連法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」が呼び掛けた「全国若者一斉行動」が23日、各地で行われた。シールズによると、北海道から沖縄までの64カ所でデモや集会が実施され、若い世代の反対運動が広がりを見せた。参加者らは「法案は戦争への道を開く」「私たちの行動は政権にも影響を与えるはずだ」と訴えた。

 東京都港区の青山公園で開かれたシールズの集会には、若者や家族連れが続々と集結。約6500人が渋谷方面に向け、ラップ調の「憲法守れ」「戦争反対」とのコールを上げながらデモ行進をした。


2015年08月23日

安保法案、90大学で反対 教職員、学生ら有志が表明

毎日新聞(2015年08月22日)

 参院で審議中の安全保障関連法案を巡り、各地の大学で教職員や学生たちが反対したり廃案を求めたりする動きが加速している。多分野の研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」のまとめによると、有志が反対の意思を表明している大学は22日現在、約90大学に上っている。

 各大学で発足した有志の会は、ホームページを開設して声明などへの賛同者を募っている。

 名古屋大では、教職員や学生ら有志の会が今月5日に発足。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・特別教授や元学長の加藤延夫、平野真一両名誉教授ら約150人が呼びかけ人に名を連ね、賛同者は420人に。設立趣意書は「(法案は)人々や社会の幸福を破壊し、大学の自治や学問の自由が危険にさらされる」としている。

 京都大では7月、教職員らが有志の会を結成。「生きる場所と考える自由を守り、創るために、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない」との声明を出し、約2200人が賛同した。

 創価大・創価女子短期大(東京)の有志も反対声明を発表。中心メンバーの一人、佐野潤一郎・非常勤講師(50)によると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で知り合った教員や卒業生ら計10人が呼びかけ、今月11日に声明への賛同署名を求めるホームページを公開したところ、賛同者は1400人を超えた。

 約90大学のほかに、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県では複数の大学が共同で会を設立したり、愛媛、高知両県などでは県単位で会を作ったりしている。

 「学者の会」に加わる岡野八代・同志社大教授は「法案は国家の基本原理である憲法を壊そうという動きだ。日本の民主主義が問われていると感じたから、これだけの学生や学者が声を上げている」と話す。26日には、声明発表などを行った全国の大学の有志が東京都内で合同記者会見を開く。【樋岡徹也、石戸諭】

 安全保障関連法案に反対を表明する大学は次の通り(「安全保障関連法案に反対する学者の会」まとめ)。

 ▽札幌学院大▽北海道教育大▽北海道大▽北海学園大▽室蘭工業大▽弘前大▽茨城大▽筑波大▽高崎経済大▽群馬大▽東京大▽東京学芸大▽東京農工大▽早稲田大▽明治学院大▽法政大▽立教大▽中央大▽和光大▽一橋大▽武蔵大▽恵泉女学園大▽大東文化大▽明治大▽上智大▽日本大▽東京経済大▽青山学院大▽清泉女子大▽学習院大・学習院女子大▽東洋大▽首都大学東京▽創価大・創価女子短期大▽国際基督教大▽東京芸術大▽明星大▽慶応義塾大▽フェリス女学院大▽神奈川大▽横浜市立大▽獨協大▽千葉大▽東京基督教大▽信州大▽長野大▽新潟大▽静岡大▽日本福祉大▽愛知教育大▽名古屋大▽名古屋学院大▽中京大▽愛知大▽愛知学院大▽愛知東邦大▽岐阜経済大▽岐阜大▽情報科学芸術大学院大▽三重大▽金沢大▽滋賀大▽滋賀県立大▽京都大▽立命館大▽龍谷大▽同志社大▽佛教大▽京都府立大▽京都橘大▽京都工芸繊維大▽京都教育大▽花園大▽天理大▽大阪大▽大阪市立大▽関西大▽大阪府立大▽和歌山大▽神戸大▽関西学院大▽神戸女学院大▽岡山大▽広島大▽山口大▽下関市立大▽島根大▽島根県立大▽大分大▽九州大▽西南学院大▽熊本県立大


滋賀県立大学有志、「平和安全法制」(戦争法案)の撤回と廃案を求める声明

「平和安全法制」(戦争法案)の撤回と廃案を求める声明

「平和安全法制」(戦争法案)の撤回と廃案を求める声明

「平和安全法制」(戦争法案)に反対する滋賀県立大学有志の会

 私たち滋賀県立大学有志は、学問と良識の名において、「平和安全法制」(戦争法案)の閣議決定および衆議院強行採決に強く抗議し、閣議決定の撤回と廃案を求めるため、この声明を発表すると同時に、滋賀県立大学に関係するすべての方々に、賛同を呼びかけます。

 昨年7月1日、安倍政権は憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。そして今年5月14日には「平和安全法制」(戦争法案)を閣議決定し、7月16日に強行採決によって衆議院本会議を通過させ、現在、参議院で同法案が審議されています。

 既に指摘されているとおり、憲法違反の法案が閣議決定され衆議院で強行採決されること自体、立憲主義の破壊であり、法治国家、民主主義国家たることを放棄する暴挙です。また、この法案に関する国会等での政府側の答弁や説明は著しく論理性を欠いており、知性と学問的真理を追究する大学人として、見逃すことができません。

 明治以後、日本が関わった全ての戦争は、「存立危機」を理由に始まり、「日本をおびやかす悪い国」を喧伝しながら国民を動員していったことを、私たちは想起しなければなりません。特に参議院に審議が移ってから、中国等の「脅威」がことさらに強調され、昨今のヘイト・スピーチなどに象徴される東アジア近隣諸国への反感情緒を利用しつつ焚きつけるかの状況は、まさに戦前の日本がたどった道を彷彿とさせます。

 戦前、滋賀県からは9万5千人以上が出征し、3万2千人以上が戦死しました。これら戦没者遺族の団体である滋賀県遺族会の会長は、昨年に引き続き、今年も集団的自衛権行使容認に絶対反対の意を表明する決意であることが伝えられています。

 出征と戦死だけでなく、滋賀県にも様々な形で戦争が刻まれています。敗戦間近に滋賀海軍航空隊により建設された比叡山発射台からは特攻機が発射される計画でした。食糧増産のために内湖干拓事業が開始され、県内はもちろん全国から学徒や朝鮮人労働者が動員されたほか、連合軍捕虜700名近くが県内三箇所の収容所に収容され、干拓地で使役されました。信楽では、焼き物で地雷や手榴弾などの兵器をつくることに小学生まで動員されました。空襲が激化する大阪から多数の学童集団疎開を受け入れましたが、最末期には滋賀県にもたびたび空襲がありました。しかし箝口令が敷かれて被害の実情は隠され、今日まで正確な犠牲者数すらわかりません。「満蒙開拓」には、1800余名の県民を送出し、実に400余名が亡くなりました。戦後の日本は、この戦争への深い反省から出発し、戦争放棄を宣言した日本国憲法の下で、教育者は「教え子を戦場に送るな」を不滅のスローガンとしてきました。

 滋賀県立大学は、開学以来、「キャンパスは琵琶湖、テキストは人間」をモットーにしてきました。私たちは、このような滋賀県の歴史からも、県民を被害者にも加害者にもした戦争を、二度と起こさせてはいけないと、学びとらねばなりません。私たち有志は、滋賀県立大学の教育・研究理念にも相反する「平和安全法制」(戦争法案)に反対の意を表明し、同案の閣議決定を撤回し、廃案にすることを強く求めます。

2015年8月15日
「平和安全法制」(戦争法案)に反対する滋賀県立大学有志の会

事務局e-mail :uspdemocracy@gmail.com

呼びかけ人(五十音順)

井手慎司、岡野寛治、面矢慎介、亀井若菜、河かおる、京樂真帆子、黒田末壽、島村一平、
杉浦由香里、竹下秀子、武田俊輔、田中俊明、棚瀬慈郎、中井 均、中村好孝、那須光章、
福井雅英、増田佳昭、水原 渉、柳沢淳一


室蘭工業大学教職員有志、安全保障関連法案の即時廃案を強く求める声明

安全保障関連法案の即時廃案を強く求める室蘭工業大学教職員有志による声明

安全保障関連法案の即時廃案を強く求める室蘭工業大学教職員有志による声明

 2014年7月1日。私たちはこの日をけっして忘れることはないでしょう。
 なぜなら、日本の立憲主義と日本国憲法における平和主義が大きな音を立てて崩壊し始め、その後の暗黒の未来を予告する日であったからです。この日以来、日本国憲法は事実上、停止し、現在にいたっています。
 この日になされた閣議決定(「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備」)は、従来の政府見解を大幅に変え、現行の憲法下で集団的自衛権の行使を認めるとするものでした。戦争や武力行使の放棄を謳う日本国憲法9条1項に鑑みると、同自衛権の行使は、最大限の拡大解釈を以てしても、合憲であるとは言えない、と私たちは考えます。なぜなら、日本の自衛隊が米軍のみならず、他の外国軍とともに、世界各地で武力を行使する道をあからさまに開くものであるからです。同閣議決定は、憲法上の平和的生存権(前文等)や国民の生命・自由・幸福追求への権利(13条)を守るため、と主張することで、その行使を正当化しています。しかし、武力行使への道を開く行為はこれらの権利を守るどころか、むしろ、私たちや他国に住む民衆の生命を脅かすものになる、と私たちは考えます。このような政府見解は、日本国憲法の最高法規性(98条1項)の観点からも、違憲無効であると言わざるを得ません。
 2015年5月15日。私たちはこの日をけっして忘れることはないでしょう。
 なぜなら、違憲無効である上記の閣議決定に沿って、2つの安全保障関連法案が国会に上程された日であるからです。既存の10法の改定と新法の制定を目指すこれらの法案は、集団的自衛権の行使のみならず、米軍その他の外国軍への後方支援という名の軍事協力を拡大し、また外国軍への防御活動等を可能にするものであると理解しています。その内容は、上記の閣議決定同様、憲法の平和主義の理念を否定するものであり、違憲無効です。 
 
 2015年7月15日・16日。私たちはこれらの日をけっして忘れることはないでしょう。
 なぜなら、この両日は、安全保障関連法案が衆議院特別委員会で強行採決され、同本会議で可決された日であるからです。安倍政権が、盛り上がる世論の反対の声に耳を傾けることなく、違憲法案を数の論理で押し通したという点に、私たちは強い怒りを感じています。十分な審議時間が費やされたかどうかは問題ではありません。根本的に違憲無効である法案は、どれほどの審議時間を経ても、違憲であることに変わりはありません。
 1945年7月15日、軍事産業を有する港町であった室蘭は、米艦による艦砲射撃を受け、1時間あまりで500人以上の死傷者を出しました。それから70年後のまさにこの日、人の生命の犠牲を前提とする法案の強行採決により、軍国化に向けての法的整備の道がさらに進んだということを、私たちは強い衝撃をもって受け止めています。
 21世紀以降の国際社会では、戦争や武力行使における民営化が格段に進んできました。そのような状況下で、安全保障関連法案が成立し、施行されると、技術者は大いに徴用対象とされていくことになるでしょう。工業系の高等教育機関の教職員である私たちは、工学を学ぶ学生が将来、技術者として徴用され、生命の危険にさらされる戦場に送られることになるのではないかと懸念しています。室蘭工業大学は、教育理念として「学生一人ひとりの多様な才能を伸ばし、幅広い教養と国際性、深い専門知識と創造性を養う教育」を行うこと、また「総合的な理工学に基づく教育を展開し、未来をひらく創造的な科学技術者を育成」することを謳っています。創造力をもって、平和な社会を築こうとするモラルある技術者を作ること。これが、教え子を二度と戦場に送らないという戦後教育の原点に立った私たちの使命です。私たちは、国家政策の一環としてなされる戦争や武力行使の現場へ人材を送り出すために、教育をしているわけではありません。
 以上の理由から、私たちは今、強く求めます。日本や他国の民衆の生命を脅かす安全保障関連法案の即時廃案を。

2015年8月21日

室蘭工業大学教職員有志一同
賛同者リスト(2015年8月21日正午第一次締切):42名(順不同)
若菜 博(教授、教育学)、清末愛砂(准教授、憲法学・家族法)、沓澤幸成(技術職員)、高木 稔(技術職員)、佐々木 眞(教授、機能材料学)、鈴木幸司(教授、知能情報学)、庭山聡美(教授、化学)、戎 修二(教授、物理学)、松本ますみ(教授、社会思想・マイノリティ論)、クラウゼ小野 マルギット(教授、ドイツ語 文化間コミュニケーション)、髙野英明(教授、磁性物理学)、松名  隆(准教授、基層文化論)、沖野典夫(講師、環境放射線)、三村竜之(准教授、言語学)、宮尾正大(名誉教授、電子工学)、二宮公太郎(名誉教授、哲学)、坂口  威(名誉教授、電気工学)、亀田正人(准教授、環境経済学)、今野博信(非常勤講師、教育心理学)、橋本忠雄(名誉教授)、永野宏治、塩崎 修 、菊地 しずか(事務補佐員)、中道正栄(事務補佐員)、山田 淳(非常勤職員)、湯口 実(技術職員)、早坂成人(教員、情報教育)、鈴木好夫(元教授)、宮本政明(技術職員)、佐野香織(非常勤職員)、刀川 眞(教員、社会情報システム)、松本浩明(技術職員)、浅野克彦(技術職員)、ほか匿名9名


群馬大教職員有志 安保法案 反対声明を公表

東京新聞(2015年8月22日)

 群馬大の教職員有志二十六人は、国会で審議中の安全保障関連法案に反対する声明を公表した。
 声明を出したのは憲法、社会、歴史、行政、倫理、教育、経済、物理、生物などを担当する教授や准教授たち。
 声明では、「解釈改憲による集団的自衛権行使を明白な憲法違反と断じ、絶対に容認しない」と主張。「各地の空襲、沖縄での地上戦、広島と長崎への原爆投下、こうして迎えた敗戦。このような日本であればこそ、武力によらない平和外交によって世界平和の実現に尽くすべきである」との見解を示している。
 声明の発起人の一人、藤井正希准教授(憲法学)は「学内でさらに有志を募り、県内外の大学と連携し、今後は声明文を安倍晋三首相らに送付することも考えたい」と話している。
 法案をめぐっては、県内では今月上旬、高崎経済大の教員有志が反対する声明を発表している。 (菅原洋)

下関市立大教授らが安保法案反対の声明

朝日新聞(2015年8月22日)

 下関市立大学の教授・准教授6人が、参議院で審議中の安全保障関連法案の廃案や、安全保障政策を争点とする総選挙を実施することなどを求める声明を発表し、21日、同市役所で記者会見した。

 声明では、安倍政権による集団的自衛権の行使容認は従来の憲法解釈の大幅な変更になる、と指摘。さらに、昨年末の総選挙はアベノミクスなど経済政策を主な争点としていたとし、自民党が多数の議席を得たことをもって、安全保障政策が支持されたと考えるのは無理がある、としている。

 呼びかけ人の一人、経済学部の桐原隆弘教授は「学内や市民から賛同者を募って議論する場を作っていければ」と話している。(上山崎雅泰)


2015年08月22日

群馬大学有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する群馬大学有志の声明

安全保障関連法案に反対する群馬大学有志の声明

われわれは、安倍政権が成立させようとしている安保関連法案を、とりわけ解釈改憲による集団的自衛権行使を明白な憲法違反と断じ、絶対に容認しない。
平和であるためには戦争があってはならず、戦争する国を平和な国とは言わない。
もし武力で平和が実現できるなら、最大の軍事大国であるアメリカが、世界で一番平和な国になっているはずだ。
しかし、そのアメリカの第二次世界大戦後の歴史は、戦争と武力行使の連続だった。
武力ではけっして平和が実現しえないことを、この事実が如実に物語っている。
日本がアメリカとともに海外で武力行使をする国になって、日本や世界が今より安全で平和になるはずがない。
われわれは、武力では平和は実現しえないと確信する。

憲法は国家の最高法規であり、憲法によって国家権力を縛り、国民の権利と自由を護るのが立憲主義である。
権力者が自らに課された縛りを緩める安易な解釈改憲は、立憲主義の否定であり、けっして許されない。
解釈改憲による集団的自衛権容認を行動に移すための法案を、大多数の憲法学者による憲法違反だとの指摘や広範な国民の反対の声を無視して、安倍政権は数の力で押し切ろうとしている。
われわれは、この事態に強い憤りを感じる。

東京大空襲をはじめとする各地の空襲、沖縄での地上戦、広島と長崎への原爆投下、こうして迎えた敗戦。
しかし、戦後、日本国憲法のもとで、焼け野原から平和国家として立ち上がった日本。
このような日本であればこそ、武力によらない平和外交によって世界平和の実現に尽くすべきである。
平和憲法をもつ日本は、武力を行使せず、信頼と敬意で平和を実現する国家になるべきである。
われわれは、平和主義の理想を深く信ずる。

70回目の終戦記念日を迎えた今日、ここに安保関連法案の廃案を安倍政権に対して強く求めるものである。


2015年8月15日 70回目の終戦記念日を迎えて

群馬大学有志         

呼びかけ人(群馬大学教職員 計26名 50音順)
荒木詳二(ドイツ文学)、伊藤賢一(社会学)、石川真一(生物学)、今井就稔(歴史学)、落合延孝(歴史学)、河島基弘(社会学)、北村純(行政学)、黒須俊夫(心理学)、小谷英生(倫理学)、小林陽子(家庭科学)、斎藤周(労働法)、櫻井浩(電子工学)、砂川裕一(哲学)、瀬山士郎(数学)、滝沢俊治(物理学)、豊泉周治(社会学)、西薗大実(環境学)、西村淑子(行政法)、野村哲(地質学)、藤井正希(憲法)、三上紘一(生物学)、三田村道子(元職員)、南谷覺正(情報文化論)、山崎雄介(教育学)、山田博文(経済学)、渡部孝子(英語教育学)


2015年08月21日

神戸女学院有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する神戸女学院有志の会

声明

 2015年7月16日、安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使の容認を柱とした11本の「安全保障関連法案」を衆議院で強行採決しました。

 同法案には200人を超える圧倒的多数の憲法学者が憲法違反を指摘し、各種世論調査によっても大多数の国民が反対の意思を表明しています。これらを無視した強行採決は、戦後日本の民主主義と法治国家の土台をなす立憲主義を危機に瀕させる暴挙と言わねばなりません。

 私たちはこの国の最高法規としての憲法を根拠に、また学問と良識の名において、国会がこれらの法案を廃案とすることを強く求めるものです。

 神戸女学院(1875年創立)は、戦時の苦難の一時期もふくめ、「キリスト教主義」「リベラルアーツ&サイエンス」「国際理解」を教育の柱に据え、聖書の言葉に基づく「愛神愛隣」を学院標語に掲げてきました。

 「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。隣人を自分のように愛しなさい」(マタイによる福音書22章37-39節)。

 この聖句は、この国がふたたび隣人に武力を差し向けうる国になってよいものかを、私たちに問うています。

 戦争は、かけがえのない命を持った若者を戦場に送り込み、殺し殺されることを強要するものです。戦争は、子どもたちを含む多くの犠牲者を生み出し、命の尊厳を踏みにじります。憲法に明記された平和主義に反し、戦争への道を開く安全保障関連法案の廃案を、強く要求するものです。

2015年8月

安全保障関連法案に反対する神戸女学院有志の会

30日に大規模な反対集会 安保法案「目標10万人」

共同通信(2015/08/20)

 安全保障関連法案に反対する市民団体が20日、東京都内で記者会見し、今月30日に国会周辺で大規模な集会を開いて、廃案を訴えると発表した。10万人を目標に、ホームページなどで参加者を募るという。

 市民団体は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」や、分野を横断した研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」なども加わり、30日午後2時から国会近くで抗議行動をする。

 同日は東京以外の各地でも反対集会が予定されており、実行委は「全国で100万人規模の反対運動にしたい」と話している。


滋賀大教職員と学生、安保廃案求め声明

京都新聞(2015年8月20日)

 滋賀大の教職員や学生でつくる「安全保障関連法案に反対する滋賀大学人有志の会」は20日までに、法案の撤回と廃案を求める声明を発表した。

 教職員や学生、卒業生、保護者らに幅広く声明への賛同を4日から呼び掛けており、現在、賛同者として139人が名前を連ねている。

 声明では、同法案について「戦争放棄を定めた憲法9条に違反し、立憲主義を否定する」「稚拙な法解釈」と批判し、「民主主義を否定する数の力による強行採決を認めず、速やかな撤回と廃案を要求する」としている。


2015年08月20日

「安保法案」に反対する中東研究者(106名)のアピール

中東研究者の有志が「安保法案」に反対するアピールを発表

中東研究者の有志が「安保法案」に反対するアピールを発表

辻上奈美江 | 東京大学大学院総合文化研究科特任准教授
2015年8月10日 23時31分

中東研究者有志らによる「安保法案」に反対するアピール記者会見の様子

中東研究者の有志による「安保法案」反対記者会見

8月10日、中東研究者の有志らが参議院議員会館で記者会見を開き、安全保障関連法案に反対する声明を発表した。声明を呼びかけた千葉大学の栗田禎子教授は、「日本の中東研究・外交のメインストリームを担ってきた学者・外交関係者が同法案に反対していることを示すことによって廃案への流れを作り出したい」として、7月31日から呼びかけを開始した。

同日時点で、呼びかけ人と賛同者は大学や研究機関、企業などに所属する計105名。栗田教授と東京大学の長沢栄治教授、私が世話人となった。

呼びかけ人のうち、11人が会見に出席。歴史学や地域研究、イスラーム学などそれぞれの専門分野や経験を踏まえながら、安保法案に反対する理由を語った。

東京外国語大学の黒木英充教授は、アメリカの対中東政策の失敗を尻拭いするような安保法案が成立することに強い懸念を示した。また宮田律・現代イスラム研究センター理事長は、イランの核合意後にまで、ホルムズ海峡での機雷掃海を議論した安倍政権の「国際感覚のズレ」を批判した。

会見には、イラク政治の研究者でもある大野元裕参院議員(民主)から「今回の安保法制は、やりたいことありきで便宜的・恣意的な憲法解釈を行うことで、政権を担ってきた自民党自身が連綿と作り上げてきた法的安定性をないがしろにし、政府の主張する新三要件の適用やそれがもたらすリスクについて、明確かつ具体的な説明なしに歯止めのないものとなっている」とのメッセージが寄せられた。

今回発表したアピールは次の通り。

「安保法案」に反対する中東研究者のアピール

わたしたちは、中東の政治・社会・歴史・文化等の研究に携わり、日本と中東の相互理解と友好のために努力してきた立場から、現在国会で審議中の「安全保障関連法案」には重大な問題があると考えます。

一 この法案は、自国が攻撃されていないにもかかわらず戦争に参加する「集団的自衛権」の行使を容認するなど、日本国憲法の掲げる平和主義の原則に明らかに違反しています。憲法9条に示されている戦後日本の平和主義は、日本が近代以降の対外拡張や侵略の歴史を反省し、戦争をしない国に生まれ変わる決意を表明したもので、これにより日本はアジアや世界の信頼をかちえてきました。とりわけ中東は、長く欧米による植民地支配や侵略に苦しんできた地域であるため、日本が経済大国ではあっても海外で一切の武力行使を行わない国になったことはきわめて好意的に受けとめられ、これが日本に対する中東の人々の友情・信頼感の基礎となってきました。平和憲法に反する今回の法案は、日本と中東、世界の諸国との関係を根本から損なってしまいます。

二 この法案は、日本とアメリカがアジア・太平洋だけでなく地球大で「切れ目のない」安保協力態勢を築くことをめざすもので、アメリカの戦争に世界中で協力するための法律と言えますが、この間アメリカ主導で展開されてきた大規模な戦争は実はもっぱら中東地域を対象とするもの(湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争)です。今回の法案も基本的にイラク戦争等をモデルケースとしつつ、自衛隊によるさらに踏み込んだ米軍支援ができる態勢づくりをめざしています。これは中東がアメリカの世界戦略上、経済的・軍事的に重要な地域であることによりますが、アメリカの戦争が中東地域および国際社会に何をもたらしたかは、現在のイラクやアフガニスタンの状況を見れば明らかです。大国による軍事介入が中東地域にもたらした悲劇・混乱に一切学ぶことなく、アメリカの戦争への協力態勢を一気に拡大しようとする政策は誤っています。

三 この法案では「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に際しては「集団的自衛権」の行使が認められるとされていますが、その具体例として繰り返し挙げられてきたのは、「ホルムズ海峡が封鎖された場合」です。日本は石油の大半を中東からの輸入に依存しているので、その供給が脅かされた場合に中東に自衛隊を送るのは当然だ、という説明なのですが、資源確保のためなら海外派兵するというのは、植民地主義・帝国主義の論理にほかなりません。日本国民の「くらし」や「幸福」を守るための「自衛」なのだと主張しても、中東の人々には反発されるだけでしょう。資源確保は重要ですが、それはあくまで中東の人々の主権を尊重し、日本と中東の間に対等・友好的な関係を築き上げることによってこそ可能となります。

今回の法案は日本国民の「命とくらし」を守るためのものと説明されています。しかしながら、戦後日本外交の基本であった平和主義の原則を投げ捨て、大国主導の戦争に追随し、資源への自己中心的野心をむき出しにするような姿勢は、日本に対する中東やアジア、世界の民衆の信頼を打ち砕き、「国益」を損ない、むしろ日本の市民の生命と安全をこれまでにない危険にさらすことにつながっていくでしょう。

以上の理由から、わたしたちは「安全保障関連法案」に反対し、同法案を廃案とすることを求めます。2015年8月


社会福祉系学会会長共同声明、「戦後70年目の8月15日によせて」 

社会事業史学会

「戦後70年目の8月15日によせて」
  
                   
1 戦後70年の節目にあたる本年、自衛隊法、PKO協力法、周辺事態法、船舶検査活動法、特定公共施設利用法、国家安全保障会議設置法、武力攻撃事態法、米軍行動関連措置法、海上輸送規制法、捕虜取扱い法の10の法律改正をその内容とする「平和安全法制整備法案」および新たな「国際平和支援法案」の審議が進められている。これらはすでに昨年の集団的自衛権についての閣議決定に沿ったものであるが、従来の自国防衛から、「存立危機事態」へも対応でき、外国軍の後方支援も可能な「積極的防衛」への経路が、国民の安全や他国からの脅威を理由に広げられつつあるといえる。湾岸戦争時に「カネは出すが血は流さない」と国際社会から非難されたともいわれたが、今回の法案は「血を流す貢献」を可能にする環境を整えるものと考えられよう。だがこうした「積極的貢献」が、ある国をめぐる脅威の抑止力になりえるかどうかは、世界の各地で、今日も続けられてきている
戦争の実態から、冷静な判断が必要である。
 これらの法案が現行憲法に反し、法治主義をゆがめることについては、憲法学者を中心とした批判がある。ここでは社会福祉学の立場から次のような危惧を表明したい。1.どのような正義の名の下においても、いったん始められた軍事活動は、それが「後方」支援であろうと、同盟国への支援であろうと、そこに巻き込まれた国々の人びとの命と日常生活を一瞬にして奪い、孤児や傷病・障害者を増やすだけでなく、それらの深い傷跡が、人びとの生活に長い影響を与え、しばしば世代を超えて受け継がれていく実態がある。2.子ども、障害者・病者など「血を流す貢献」ができない人びとが、こうした事態の中で最も弱い立場に追いやられる。また民族や性別、階層の分断や排除が強められ、テロ等の温床にもなる悪循環が作られていく。3.これらから生ずる「犠牲者」への援護施策とそのための財政その他の社会的コストは一時的なものではなく長期に要請されることに特に留意したい。戦後70年経ってなお、戦争犠牲者への援護行政が続けられ、またそれを巡ってアジアの諸国との対立が
続いていることがその一端を示している。4.財政再建を理由に社会保障・社会福祉費の削減が続いている今日、もし「積極的貢献」の負担増がこれに優先するようになれば、少子高齢化が深まる日本の社会福祉の未来は、更に暗いものとなろう。

2 他方で、日本社会福祉学会『社会福祉学研究の50年―日本社会福祉学会のあゆみ』(2004)所収の論文「戦後社会福祉の総括」において、著者阿部志郎氏は、戦後社会福祉が「戦時の「万民翼賛体制」のもとでの厚生事業との断絶があり、国家主義の否定の上に、戦後の民主的な社会福祉が到来したと認識しがちである」とし、自らも含めて日本の社会福祉が戦争責任を自覚してこなかったし、「アジアの国々はもちろん、沖縄さえ視野におさめていなかった」ことを深く恥じていると率直に告白されている(p7~8)。その点が、ボランティア運動でさえ「罪責感」を基礎に再出発した戦後ドイツの社会福祉との「決定的相違」だとも強調されている(p8)。私たちは、この阿部氏の告白をあらためて真摯に受け止める必要がある。社会福祉は、一方で一人ひとりの生活に寄り添いながら、同時に「多数の正義」の名の下での支配体制に容易に組み込まれる危険を孕んでいる。このことに社会福祉研究者は常に自覚的でありたい。

3 日本社会福祉関連の各学会は、90年代より国際交流を活発化させ、特に東アジア3カ国ネットワークの実現に向けて努力してきた。また留学生への支援も強化しようとしている。こうした交流の中で、社会福祉の今日的課題の共通性とともに、文化・歴史的背景の違いについての理解も深められている。「戸締まり」に気を配るだけでなく、国を超えた共同研究や実践交流の積み重ねの中で、相互理解を深めていくプロセスをむしろ大事にしたい。残念ながら、最近の政治的「緊張」が、こうした地道な相互理解の努力に水をさすことがある。しかし、回り道のようでも、緊張を回避していく別の回路を模索することが、学会や研究者の役割であり、国際的な社会福祉研究の水準を高める上でも意味があると考える。

 戦後70年目の8月15日を迎えるにあたって、社会福祉研究者・実践者として私たちは、「血」ではなく「智」による、「抑止力」ではなく「協力」による未来社会を展望する努力を続けることを誓い合いたい。

 2015年8月15日
             日本社会福祉学会会長           岩田正美 
             日本医療社会福祉学会会長         岡本民夫
             社会事業史学会会長            大友昌子
             日本ソーシャルワーク学会会長       川廷宗之
             日本看護福祉学会会長           岡崎美智子
             日本仏教社会福祉学会代表理事       長谷川匡俊
             日本福祉教育・ボランティア学習学会会長  松岡広路
             貧困研究会代表              布川日佐史


大阪歴史学会、「安全保障関連法案」の採決の強行に抗議し、その廃案を求める委員会声明」

大阪歴史学会

「安全保障関連法案」の採決の強行に抗議し、その廃案を求める委員会声明(2015.7.27)

 去る7月16日、衆議院本会議はいわゆる「安全保障関連法案」を強行採決した。しかし「安全保障関連法案」は、日本国憲法下では認められない集団的自衛権の行使に道を開くものであり、私たちはこのような法案が成立することを許すことができない。

 日本国憲法第九条は、戦争を含む武力による威嚇や行使を行わないことを定めており、日本が集団的自衛権を行使できないことは自明であって、戦後の歴代内閣もそのことを繰り返し表明してきた。ところが2012年12月に成立した安倍晋三内閣は、2014年7月1日、集団的自衛権の行使が容認されるとする閣議決定を行った。現在、審議が進められている「安全保障関連法案」は、すでに多くの憲法学者・法曹関係者が指摘しているように、明らかに憲法解釈の許容範囲を逸脱している。

 あらためて述べるまでもなく、憲法とは「国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(日本国憲法第98条)。集団的自衛権の行使を可能とする「安全保障法案」は、日本国憲法に反するものであり、そのような法案をあくまでも「合憲」と主張する現政権もまた、国務大臣や国会議員に課せられた「憲法を尊重し擁護する義務」(同第99条)を放棄しているといわざるをえない。

 戦後日本の歴史学は、日本のみならずアジア・太平洋地域の多くの民衆に未曽有の惨禍をもたらしたアジア・太平洋戦争と、このような破局を招いた大日本帝国の歴史に対する痛切な反省に立脚し、平和と民主主義の理念を共通の基盤としてきた。しかし「安全保障関連法案」は、戦後70年にわたり守られてきた「不戦」という世界に誇るべき歴史にピリオドを打ち、日本の若者を戦地に送りだすことを可能にしようとするものである。また、憲法に反する「安全保障法案」が成立することは、日本国憲法が憲法である意義を失うことを意味し、民主主義国家の根幹である立憲主義そのものが危機に瀕する。

 以上の理由により、私たちは、歴史学研究の学術団体として、衆議院における「安全保障関連法案」の強行採決に抗議するとともに、その廃案を強く求めるものである。


 2015年7月27日

大阪歴史学会委員会

創価教育同窓生有志による安全保障関連法案への反対声明

創価教育同窓生有志による安全保障関連法案への反対声明

創価教育同窓生有志による安全保障関連法案への反対声明

戦後70年を数える本年、安倍政権は安全保障関連法案を国会に提出しました。私たち、創価教育同窓生有志は、この法案の内容が創価教育の理念と相容れないものであると考え、ここに強く反対の意思を表明し、法案の廃案を求めます。

創価教育の淵源は、牧口常三郎先生が価値創造の生き方を説いた教育論『創価教育学体系』(1930年)を著し、戸田城聖先生とともに、創価教育学会を創立したことにさかのぼります。牧口・戸田両先生は、第二次世界大戦中、軍国主義の国家権力に抵抗したために逮捕され、過酷な弾圧を受け、牧口先生は獄死しました。戸田先生は出獄後、牧口先生の後継者として、創価教育学会を創価学会として再興するとともに、『原水爆禁止宣言』(1957年)を発表し、世界の民衆の生存の権利を脅かす魔性との戦いを宣言しました。

池田大作先生は、牧口・戸田両先生の遺志を継承し、生命尊厳の哲理を掲げ、戦争と核兵器を絶対悪とし、一貫して戦争の悲惨さと平和の尊さを叫び続けてきました。そして、生命の尊厳と平和を守る人間教育の学舎として、創価学園・創価大学を創立したのです。私たちは、創価の反戦平和の思想を受け継ぐ者として、今こそ声を上げるべき時であると考えます。

政府与党の一部は、中国・北朝鮮の脅威を説いて、この法案の成立が日本の安全・防衛のために必要だと強調しています。しかし、仮想敵国を作り、その脅威を煽ることは、国家間の緊張関係を「外交努力」よりも「軍事力」によって抑止するという思想に基づいており、それは果てしない軍拡競争を誘発し、ひいては平和を破壊する危険性をはらんでいます。

こうした抑止論に警鐘を鳴らし、軍拡ではなく軍縮を唱え、さらに貧困・抑圧・搾取・差別といった「悲惨」をなくすことによる平和の実現を訴え、行動してきたのが池田先生です。各国の指導者と直接会って対話をすることで、偏見や先入観を取り払い、信頼関係を結び、日中友好をはじめとする平和の道を切り開いてきました。

池田先生は、日本国憲法の平和主義を画期的な理念として堅持し、それを全世界に広め具現化することが日本の使命であると呼びかけています。政府与党が今、この法案の成立を図るに際し、憲法改正の手続きによらず、その解釈の変更によって、憲法9条を空文化していることは、平和主義と立憲主義を破壊する行為として容認できません。また、全国に広がる多くの反対運動・世論に耳を傾けず、十分な説明もなく衆議院の審議を打ち切ったことは、民主主義に反する行為です。

私たちは、この「対話外交の徹底」と「平和憲法の堅持」こそが、戦争に対する最強の抑止力であり、世界の人々が平和の中に共存共栄をなす鍵であると確信します。私たちは、政府与党がこの路線を採用することを期待し、その第一歩として、安全保障関連法案を即時に廃案にすることを要求します。

2015年8月15日
創価教育同窓生有志

呼びかけ人(*は発起人、敬称略、参加順)
*阿部謙一(創大20期)、小森忠昭(創大22期)、*田中勝己(創大24期)、*溝端栄一(創大24期)、国松和宏(創大24期)、岡林一弘(創大26期)、島田悦作(創大24期)

創価教育同窓生有志が安保法案反対の声明を発表

exciteニュース(2015年8月16日

 公明党の支持母体である創価学会の教育機関、創価大学、創価女子短大、創価高校、創価中学、創価小学校、創価幼稚園の卒業生ら「創価教育同窓生」有志が15日、政府の安保法案に反対する声明を発表した。法案廃案を強く求めている。

 また、政府が集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を行ったことに「解釈変更によって、憲法9条を空文化していることは平和主義と立憲主義を破壊する行為で容認できません」と明言。

 解釈変更によって立案された安保法案について「全国に広がる多くの反対運動・世論に耳を傾けず、十分な説明もなく衆議院の審議を打ち切ったことは、民主主義に反する行為」と政府・与党の姿勢を強く問題視した。

 声明は「創価教育の淵源は、牧口常三郎先生が価値創造の生き方を説いた教育論『創価教育学体系』(1930年)を著し、戸田城聖先生とともに、創価教育学会を創立したことにさかのぼります」と創価教育の立ち位置から説明。

 両氏が「第二次世界大戦中、軍国主義の国家権力に抵抗したために逮捕され、過酷な弾圧を受け、牧口先生は獄死しました。戸田先生は出獄後、牧口先生の後継者として、創価教育学会を創価学会として再興するとともに、『原水爆禁止宣言』(1957年)を発表し、世界の民衆の生存の権利を脅かす魔性との戦いを宣言した」と紹介。

 そのうえで「創価の反戦平和の思想を受け継ぐ者として、今こそ声を上げるべき時と考えます」と安保法案廃案を表明した。

 声明では「対話外交の徹底と平和憲法の堅持こそが、戦争に対する最強の抑止力であり、世界の人々が平和の中に共存共栄をなす鍵であると確信します。私たちは、政府与党がこの路線を採用することを期待し、その第一歩として、安全保障関連法案を即時に廃案にすることを要求します」と結んでいる。

 また、創価大学・創価女子短大関係者有志の会も大学、短大関係者に法案反対を呼びかけて、反対署名は1000人を超えている。平和の党・公明党がそうではなくなったとの声もあり、公明党への影響は避けられそうにない。(編集担当:森高龍二)


熊本県立大学関係者有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する熊本県立大学関係者有志の声明

安全保障関連法案に反対する熊本県立大学関係者有志の声明

1.安倍内閣が提案し今国会で審議中の安全保障関連法案(「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」)は、憲法九条に違反してわが国を「戦争する国」へと誤り導くものです。私たちは、この法案を認めることができません。国会が審議を経て同法案を廃案とされることを求めます。

2.今年 6 月 4 日に行われた衆議院憲法審査会で、憲法学者 3 名すべてが法案を「違憲」とみなしたのにもかかわらず、安倍内閣はこれをないがしろにしようとしています。このことは、長い時間をかけて議論され、洗練されて今に引き継がれてきた学問的成果への軽視にほかなりません。学問の府である大学の関係者として、このような知性に反する態度を認めることはできません。

3.1945年の敗戦まで、熊本には第六師団が置かれ、陸軍幼年学校がありました。また、熊本県立大学は、義烈空挺隊が同年5月24日に沖縄特攻に飛んで行った旧陸軍飛行場跡地に立地しています。熊本地域からは多くの若者が徴兵され、第五高等学校や東洋語学専門学校の生徒、熊本工業専門学校や師範学校の学生生徒も、学徒として戦地へ赴き、若い命が多く失われました。私たちは教育に携わる者として、若者が他国の若者と銃火を交え、命を落とすという状況に再び至ることがないよう切に願うものです。

4.私たちは、「国権の発動たる戦争」と「武力の行使」を放棄した憲法九条を堅持し、憲法前文の「恒久平和」の理念に則って、中国、韓国をはじめとするアジアの諸国・国民、またアメリカ合衆国を含む世界の諸国・国民との平和友好の関係が築かれるよう強く要望し、そのために私たちとしても努力いたします。

5.私たちは、熊本地域の若者・学生の皆さんの安全保障関連法案反対の運動に賛同します。日本を戦争へと誤り導こうとする力に抗して、自らの人生を大切にし、故郷や地域の人々の日々の平和な生活を重んじ、アジアやアメリカを始め世界の若者の命を自らの命と等しく大切なものとおもう皆さんの運動に、心からの声援を送ります。

2015年8月16日

五島 慶一 文学部教員(日本近代文学) 石村 秀登 文学部教員(教育学)
元吉 瑞枝 文学部元教員(ドイツ語・ドイツ文学) 難波 美和子 文学部教員(比較文学)
斎藤 泰 文学部元教員(西洋史) 砂野 幸稔 文学部教員(フランス語・フランス文学)
鈴木 元 文学部教員 梅林 誠爾 文学部元教員(哲学)
深津 和彦 環境共生学部元教員 中島 熙八郎 環境共生学部元教員
大岡 敏昭 環境共生学部元教員(住宅計画学) 匿名希望 環境共生学部教員
藤尾 好則 総合管理学部元教員(情報) 久間 清俊 総合管理学部元教員(経済学)
永尾 孝雄 総合管理学部元教員(法学)
以上

2015年08月19日

琉球大学教授職員会、決議「安全保障関連法案に反対する」

琉球大学教授職員会
 ∟●決議「安全保障関連法案に反対する」

決議「安全保障関連法案に反対する」


 安全保障関連法案について、7 月 15 日に衆議院安保法制特別委員会において強行採決が行われ、翌 16 日には衆議院本会議においても同様に採決がなされた。
 そもそもこの法案は、昨年 7 月 1 日に、安倍内閣が、集団的自衛権行使の容認を閣議決定したことに端を発する。これに対して、当会は、昨年 8 月 6 日の定期総会において、「集団的自衛権の行使容認に反対する」声明を決議した。同様の声明が各方面でこれまで多数あげられてきたにもかかわらず、安倍内閣は、それらを一顧だにせず、あろうことか、国会審議が始まってさえいない 4 月の訪米時に、米連邦議会での演説で安保法制の改革を夏までに行うことを約束し、国民主権を蔑ろにした。
 さらに、衆議院憲法審査会で憲法学者 3 人全員が違憲と述べるなど、安保関連法案に対する違憲の疑いが大きく懸念される中でも、国会審議ではその疑念に対する合理的な説明が全くなされなかった。それにもかかわらず採決が強行されたことは、暴挙というほかない。
 安保関連法案は、戦後、日本が 70 年にわたって積み上げてきた憲法の平和主義に基づく安全保障政策を大きく転換するものである。したがって、その転換には、内容が憲法に違反することなく、かつその手続において、十分な議論がなされることが必要不可欠である。
 しかるに、今般の状況は、「違憲」の安保関連法案を、与党の数の力だけでおしきったもので、立憲主義を根底から覆すものであり、到底受け入れることはできない。
 国会においては、安保関連法案をすべからく廃案とし、危機に瀕する立憲主義・民主主義を、一日でも早く「取り戻す」ことを強く求めるものである。

以上
2015年7月28日

琉球大学教授職員会第 55 回定期総会

安保法廃案求める、琉大教授職員会

琉球新報(2015年8月18日)

 琉球大学教授職員会は17日までに、安全保障関連法案に反対する決議と大学の式典での国旗掲揚・国歌斉唱の要請に抗議する決議、軍学共同に反対する決議などを採択した。
 安保法案の反対決議は、同法案が戦後70年間の「憲法の平和主義に基づく安全保障政策を大きく転換するものである」などとして、廃案を強く求めた。
 国旗掲揚・国歌斉唱の要請に抗議する決議は、6月16日に下村博文文部科学相が大学の式典で国旗と国歌の使用を要請したことを、大学の教育・運営活動に対する行政介入だと指摘し「要請を撤回すべきだ」と主張した。
 文部科学省が6月8日に通知した教員養成系および人文社会科学系学部・大学院の廃止や転換を促す通知を出したことなどに抗議する決議も採択した。
 各決議は7月28日の第55回定期総会で採択した。


下関市立大学有志、安全保障関連法案に疑問を呈する声明

安全保障関連法案に疑問を呈する下関市立大学有志の声明

安全保障関連法案に疑問を呈する下関市立大学有志の声明

2015年8月


 昨年(2014年)7月1日、安倍政権は限定的ながらも「集団的自衛権」の行使容認を閣議決定しました。識者の指摘するように、これは1972年の「集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料」と同様の前提に立ちながら、「安全保障環境の変化」を根拠に結論部分を変更したものです。同資料では、「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」と明言されていました。したがって昨年の閣議決定により政府与党は、自衛権といえば専守防衛の「個別的自衛権」にほかならないとする従来の憲法解釈の大幅な変更へと踏み出したことになります。
 昨年12月14日の総選挙を経て、本年に入り、政府与党は11法案にのぼるいわゆる「安全保障関連法案」を上程し、国会会期を9月27日まで戦後最長となる95日間延長したうえで、同法案を7月16日、衆議院を通過させ、現在は参議院に送付され審議中です。
 この間、多くの国民が安保法制反対の声を上げています。その背景には、今回の法案が、わが国の歩んできた平和国家としての性格を大きく変えるのではないかという不安があります。専守防衛に徹し、かつ震災時を初めとする災害派遣の実績等により、国民の幅広い理解と支持を得てきた自衛隊も、今回の安保法制によってその性格を大きく変えることになります。
 そもそも昨年末の総選挙は、「アベノミクス」の中間評価および消費税率引き上げ延期の是非という経済政策を中心争点としていました。「景気回復、この道しかない。」これが自民党のキャッチコピーでした。同総選挙で多数の議席を得たことが、そのまま安全保障政策の支持を意味すると考えるのは無理があるのではないでしょうか。
 国民は、安全保障関連法案をめぐる審議過程を目の当たりにして動揺しています。そして、安保法制が今までの安全保障政策の何を維持し、何を変更するのかについても、政府与党の説明にもかかわらず、十分な知識と理解が得られたわけではありません。これはつまり、安全保障政策を争点の一つとする「総選挙」を通じて、一定期間の学習期間を経たうえで、国民自身の意向を問うべきだということを意味しないでしょうか。
 国民不在と受け取られても仕方のない政権運営が続いているように思われてなりません。平和主義や立憲主義といった憲法の理念だけでなく、私たち大学人の立場からは、学問の自由さえも脅かされているように思われるからです。周知のように文部科学大臣は本年6月8日、国立大学の人文・社会科学系学部の「廃止または転換」を通達しました。多くの大学はすでに「社会的要請」への対応において十分すぎるほど苦慮してきたわけですから、これはもはや大学自治への露骨な行政介入にほかならず、ひいては、人文・社会科学系諸学部で培われる批判的思考の芽を摘み取ったうえで、政府与党の方針に適う、または実益をもたらす分野にのみ予算を重点配分することを目指すものだと言わざるをえません。
 安全保障政策、文教政策、さらには普天間飛行場移設問題、TPP問題、原発問題…ここ数か月間の政権運営でますます目立ってきたのは、政府与党の「拙速」かつ「恣意的」な判断です。「国のかたち」を大きく変えるこれらの案件は、国民不在のまま結論を急いではならないはずです。
 下関市立大学は、「東アジアを中心に広く世界に目を向けた教育と研究」を行うことを通じて「地域社会及び国際社会の発展に寄与すること」を建学の理念とし、地方公立大学のなかでも最も古い大学の一つとして、およそ60年間にわたり多くの卒業生を世に送り出してきました。私たちは、今回の安全保障関連法案が、東アジア地域の緊張を不必要に高めることによって「地域社会と国際社会の発展」を大きく損ねることを危惧します。
 拙速かつ恣意的な判断に基づく政権運営の失敗は、太平洋戦争、そして戦後の原発政策の顛末を見れば明らかです。戦後70年というこの大事な節目に、政府与党は今一度、民主主義の原点に立ち返るべきです。私たちは、①政府与党が改めて国民の声に謙虚に耳を傾けること、②十分な理解を得られたとは到底言えない安全保障関連法案を廃案とすること、③仕切り直して総選挙において安全保障政策を中心争点とすること、そして、④各党が賛否の立場およびその根拠を十分に示したうえで、国民自身の審判を仰ぐこと、これらのことが最低限必要であると強く主張します。


呼びかけ人(50音順)

相原 信彦(経済学部教員)  木村 健二(経済学部教員)

桐原 隆弘(経済学部教員)  関野 秀明(経済学部教員)

水谷 利亮(経済学部教員)  山川 俊和(経済学部教員)

安保法案、北海道の大学教員有志、廃案求める声明

毎日新聞(2015年08月18日)

 参院特別委員会で審議されている安全保障関連法案を巡り、北海道内の大学教員有志が、相次いで廃案を求める声明を発表している。北海道大の教員有志が発表した声明では「この法案は日本が他国の戦争に参加できるようにするためのものだ」と訴え、賛同者を募っている。

 呼び掛け人の一人である北大大学院文学研究科の宮内泰介教授は「(戦争放棄を掲げる)憲法9条を踏まえると、安保法案は論理的に破綻している。事実を探求する研究者、教育者として声を上げる必要があると考えた」と説明する。

 また、道内では北海学園大や札幌学院大、北海道教育大釧路校でも教員有志が廃案を求める声明を発表。北星学園大有志も声明を出す予定。

 15日に公表された北海学園大の声明には、同大全教員の約3分の1に当たる84人が賛同。法案が衆院を通過した際、安倍政権が強行採決したことに触れ、「民主的な手続きにもとる」と批判した上で、「安保法案は武力行使に対する歯止めが不十分」と指摘している。【山下智恵】


2015年08月18日

和歌山大学有志、安全保障関連法案の廃案を求める声明

安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会

安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明

 私たちは、現在国会で審議されている安全保障関連法案(安保関連法案)の廃案を求めます。その理由は以下の通りです。
・安保関連法案は、全世界の国民の平和的生存権を確認した日本国憲法前文、および武力行使と戦力の保持を禁じた同第9条に違反しています。日本国憲法の平和主義により、戦後の日本および日本国民は国際的にも多くの国および人々の信頼を得てきました。安保関連法案の成立は、こうした国際的信頼を大きく損ないます。
・多くの専門家が憲法違反を指摘するなか、この法案を成立させることは、憲法が国家権力の暴走に歯止めをかける立憲主義の原則を破壊します。憲法違反の法案をひとたび許せば、民間人の動員や徴用、さらには徴兵制に至る、より危険な法律の制定に道を開きかねません。
・多くの国民が反対し、安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」と認めている安保関連法案の可決成立を強行することは、国民主権と民主主義に反します。
・安保関連法案は、歴代政権が、「専守防衛」を逸脱し憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認へと大転換させ、世界中の紛争・戦争への介入・参戦を可能にする「戦争法案」だと考えます。他国の民衆を殺傷するだけでなく、日本の若者も殺され、心身ともに深く重く傷つけられます。この法案は安全保障どころか日本を戦争に引きずり込む法案です。

 国立大学として1949年に発足した和歌山大学は、日本国憲法と教育基本法を遵守することを誓い、平和と民主主義・学問研究の自由を原則に、有為な人物を社会に送り出してきました。こうした大学の研究・教育の成果が人々の幸福や公共の福祉に結実するための絶対条件は、その社会が平和であり、一切の暴力を否定し、個人の尊厳が大切にされる社会であることです。もし、安保関連法案が成立し、日本が戦争のできる国に作り変えられるならば、それは次のような意味で学問研究および大学の危機をも招きます。
 第一に、真理の探究を使命とする自由な研究・教育が否定され、国策遂行・戦争遂行のための研究・教育が強制されかねません。第二に、卒業生を含む若者たちを戦場に送るという、耐えがたいことが起きる恐れが高まります。第三に、特に教育学部は、国策推進者として教え子を戦場に送りだす教師を育てる学部とされかねません。

 私たちは、こうした事態を避けるために発言し行動することを大学人としての使命と考えます。安保関連法案に反対するすべての人びとと連帯し、法案の廃案に向けて力を尽くします。
 この声明にご賛同いただけるすべての皆様に、連帯の署名をお願い致します。

2015年8月
安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会
よびかけ人一同

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呼びかけ人(8月17日夜 時点、五十音順)

阿部秀二郎(経済学部准教授:経済学史)
市川純夫(名誉教授:教育学)
内田みどり(教育学部教授:政治学)
江利川春雄(教育学部教授:英語教育学)
大泉英次(名誉教授:政策科学)
大浦由美(観光学部教授:地域資源管理学)
大西敏夫(経済学部教授:経営・経済農学)
尾久土正己(観光学部教授:天文学)
柏原卓(名誉教授:国語学)
川本治雄(名誉教授:社会科教育)
久保富三夫(名誉教授:教育行政学)
越野章史(教育学部准教授:教育思想史)
佐藤 周(経済学部教授:経営学)
高須英樹(名誉教授:植物生態学)
中島正博(経済学部准教授:財政学)
藤本清二郎(名誉教授:日本史学)
堀内秀雄(名誉教授:社会教育学)
溝口和子(教育学部教務職員:動物生理学)
村田和子(地域連携・生涯学習センター教授:社会教育学)
山﨑由可里(教育学部教授:障害児教育学)
山田純(事務職員)
山名?之(教育学部教授:器楽)
 以上22名。

和歌山大有志が安保反対声明 署名活動へ

わかやま新報(15年08月17日)

参議院で審議が続く安全保障関連法案について、和歌山大学教育学部の教授らを中心とする「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」(事務局長=越野章史教育学部准教授)が発足し、14日、声明を発表した。

呼び掛け人は越野准教授や江利川春雄教授、内田みどり教授ら9人。声明では「憲法違反の法案をひとたび許せば、民間人の動員や徴用、さらには徴兵制に至る、より危険な法律の制定に道を開きかねない」などと訴え、国策遂行のための研究や教育が強制されかねず、大学の危機を招くとの強い懸念を示している。

今後は教職員や学生、退職者や卒業生などに呼び掛け、500人を目標に賛同者の署名を集める。また、主に学内で学習会や講演会を開き、法案反対への取り組みを強めていくという。

14日に呼び掛け人の7人が県庁で記者会見を開いた。越野事務局長は「地方からも声を上げることで、東京の運動の後押しにもなるはず。廃案に向け学内から一般まで、広く賛同者を募りたい」、江利川教授は「関心はあっても、どう行動していいか分からない学生も多くいる。まずは学習会で正確な知識を積み上げながら共有化していくのが第一歩」と話した。


東北大学職員組合,宮城大学教職員組合,東北工業大学教職員組合,日本科学者会議宮城支部の4団体、声明

東北大学職員組合
 ∟●私たちは「安保法案」の廃案を求めます

私たちは「安保法案」の廃案を求めます

 第 2 次安倍内閣は、多くの人々の反対の声を押しきって「集団的自衛権行使」を容認する閣議決定を行い、今 189 国会に「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」(以下、2つ合わせて「安保法案」)を提出し、7 月 16 日強行採決で衆議院を通過させました。
 「集団的自衛権の行使は憲法違反」という 60 年以上にわたって積み重ねてきた政府解釈を一内閣の閣議決定で覆してしまうことは暴挙としか言いようがなく、これら「安保法案」は、集団的自衛権を行使し、日本国憲法第 9 条を根底から覆すものです。

 憲法第 9 条は、第 1 項「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、第2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めています。
 自衛隊の創設も、軍事予算の拡大も、インド洋やイラクへの派兵も、憲法第 9 条の制約があるにも拘わらず、様々な言い訳を弄して強行してきたという点で問題でしたが、これら「安保法案」は、自衛隊が、他国の領土でたたかう他国の軍隊のために武器の輸送まで行い、戦闘地域であっても活動するという、まさに「武力」によって国際紛争を解決しようとする憲法違反の法案です。

 私たちのうち、大学で働く者は、大学の教育・研究の発展、学問の府の民主的環境の維持と、それを支える私たちの生活・勤務条件の向上をめざすと同時に、大学に相応しい労働組合運動として「いかなる権威からも自由で創造的な大学、人間と地球の未来を創る大学」をめざして活動しています。また、科学者会議に集う者は、科学を人類の真の幸福に役立たせるために、市民と連帯し、関係団体と協力・共同して、学問と社会のあるべき姿を探究し、科学の成果を社会へ還元することを課題として活動しています。
 安保法案」は私たちに他国・他地域との間に殺し殺される関係を強制するものであり、そのようなものは社会に不要であると私たちは確信しています。ここに共同して、「安保法案」を速やかに廃案にすることを求めます。

2015年8月11日
東北大学職員組合
宮城大学教職員組合
東北工業大学教職員組合
日本科学者会議宮城支部

2015年08月17日

慶應義塾有志の会、安全保障関連法案の廃案要請

慶應義塾有志の会 

慶應義塾有志の会による
安全保障関連法案の廃案要請


私たちは、今般の政府与党による安全保障関連法案の内容およびその審議の過程に対して強い懸念を表明し、法案の廃案を求めます。              

 現在の自公連立政権は2014年7月に憲法の解釈変更によって集団的自衛権行使を容認し、それに基づいて第二次世界大戦終結後70年にあたる本年5月、安全保障関連法案を国会に提出しました。この間、同法案に対しては、圧倒的多数の憲法学者と歴代の内閣法制局長官が憲法違反だと考え、一般の声も多くの調査で半数が法案に反対し、賛成は3割以下に留まっています。

 その声を無視して、与党が7月16日に衆議院で安全保障関連法案を強引に可決したことは「多数決の専制」です。これまでの国会での審議における政府側答弁は説明の体をなしておらず、現政権が法の支配を軽んじていることがますます明らかになってきています。この政権下で国会に提出されているかたちでの安全保障関連法案が成立すれば、国家権力を牽制する立憲主義そのものが破壊され、憲法の条文の意味がなくなってしまうことを私たちは強く憂慮します。

 もとより、集団的自衛権、それと区別される「集団安全保障」、さらに安全保障政策一般について現実的な議論を進めることは重要なことでありましょう。しかし、法の支配を捨て、憲法の空文化をもたらすかたちで議論と法整備を進めるのであれば、それは事実上の独裁と呼ばざるをえない事態となります。この国の安全保障政策は、立憲主義を尊重する政府のもとで進められねばなりません。

 立憲主義を尊重しない政府のもとでは、言論の自由、表現の自由、報道の自由、そして「学問の自由」がいっそう抑圧されていく可能性を憂慮せざるをえません。それはすでに、報道や言論に対する政府の介入をはじめ、人文社会科学系研究教育機関への改廃要請という形で表われ始めています。このままではやがて、日本国憲法第23条が保障する「学問の自由」そのものの抑圧をも導き、多くの学者研究者が批判能力を殺がれ自主規制を余儀なくされ、学生たちは自由な研究の成果を受け継ぐことができなくなるでしょう。

 慶應義塾の創立者、福澤諭吉が『学問のすゝめ』で説いたのはべつだん象牙の塔に限られた学問の可能性ではなく、あらゆる人々に向かって開かれた知的可能性と自由独立精神そのものです。福澤は、庶民ひとりひとりが学問することによって、その精神をおおらかに発展させるような社会教育を目指していました。そこでは、学問はいかなる権力からも権威からも自由です。一方で、福澤の思想が近代日本に与えた影響のネガティブな側面や、また慶應義塾も日本の帝国主義・軍国主義の時局下で迎合を余儀なくされた事実の真摯な検証や厳しい評価の必要性を忘れてはなりませんが、そのためにも学問の自由は決定的に重要です。学問的発展を閉ざした国家と社会には、未来は永遠に訪れません。

 真の安全保障は、国内外を問わず学問の自由を推進することによってこそ成立します。学問と言論の自由を圧殺することから生まれるものは、不信感と憎しみしかありません。ところが 現在、歴史を忘却し真実を歪曲してやまない現政府は、この暴挙と呼ぶべき法案によって学問の自由を、幸福の追求の権利を、ひいては国民の生命をも危険にさらそうとしています。

だからこそ、慶應義塾における教育と研究に誇りをもつ有志一同は、ここに今般の安全保障関連法案が間違いなくもたらす立憲主義と学問の自由の危機を憂慮し、その一刻も早い廃案を強く希望します。

 2015年8月15日

慶應義塾有志の会

北海学園大学有志、声明 安全保障関連法案の撤回を求めます

安保法案に反対する北海学園大学教員有志の会

声明 安全保障関連法案の撤回を求めます

北海学園大学教員有志

自衛隊法改正案など既存の10の法律の改正案を一本化した「平和安全法制整備法案」と、新設の「国際平和支援法案」からなる包括的な安全保障関連法案(以下、安保法案)が、現在参議院で審議中です。北海学園大学教員有志は、この法案の撤回を強く政府・与党に求めます。
反対の理由は以下です。

 第一に、この法案は、民主的な手続きにもとるからです。この法案は、「国際平和支援法案」の新設(外国軍の後方支援などの合法化)のほか、自衛隊法改正(外国軍の武器防護のための自衛隊による武器使用の合法化など)、周辺事態法の重要影響事態法への改称・改正(外国軍への後方支援の地理的限定の撤廃、外国軍の弾薬輸送の合法化)、船舶検査法(世界中での船舶臨検の合法化)、国際平和維持活動協力法(PKOに参加した自衛隊の任務の「駆け付け警護」や「治安維持活動」への拡大)、武力攻撃事態対処法(「存立危機事態」の新設、その際の海外での武力行使の合法化)、米軍行動関連措置法の米軍等行動関連措置法への改称・改正(「武力攻撃事態」や「存立危機事態」における自衛隊の支援対象を米軍以外にも拡大)、特定公共施設利用法(「武力攻撃事態」の際の港湾や飛行場などの利用を米軍以外にも拡大)、海上輸送規制法改正、捕虜取扱法改正、国家安全保障会議設置法の改正に至る広範な内容となっています。にもかかわらず審議時間は十分とはいえません。
 また政府は昨年7月1日、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更と武力行使の「新3要件」を閣議決定しました。さらに今年4月27日の「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)の発表に続く4月30日の米国議会での演説において、安倍首相は安保法案の成立を目指す旨を「対米公約」として先に宣言しています。その後、法案は5月14日に閣議決定され、翌15日国会に提出されています。このような手順は、国民の代表機関である国会を軽視するばかりか、独立国であることへの疑いさえ禁じえません。7月の衆議院の委員会および本会議における与党のみでの法案採決の強行も、幅広い合意の形成という民主主義のルールに反します。
 第二に、この法案は近代国家の根本原理の一つである立憲主義の原則を逸脱しています。集団的自衛権の行使が日本国憲法9条に違反することは、多様な憲法学者の間のコンセンサスとなっています。法治国家である以上、下位法の制定で上位法である憲法の規定が無効になるはずもなく、また行政府による解釈変更だけで集団的自衛権の行使が合憲になるはずもありません。
 第三に、この法案では武力行使に対する歯止めが不十分です。日本は、日中戦争から太平洋戦争に至る軍の暴走による惨禍を経験しました。その原因の一端が、陸海軍の行動を統制する仕組みを明治憲法体制が欠いていたことにあることは、歴史学や政治学の定説となっています。数多の曖昧な規定を含んでいる今回の安保法案は、その轍を踏む恐れがあります。例えば集団的自衛権に基づく武力行使が認められるという「存立危機事態」の定義は抽象的ですが、安倍首相は、具体的には「政府が総合的に判断して認定する」としており、行政の裁量が法的に限定されていません。このことは、昨年12月に国会で可決成立した特定秘密保護法に基づく報道の自由や国民の「知る権利」の制限と併せて、自衛隊の文民統制を弱めることにもつながります。
 さらに「周辺事態法」を変更した「重要影響事態法案」においては、自衛隊の活動の地理的制約が撤廃され、世界中どこでも活動可能になるほか、外国軍への「後方支援」活動も可能にし、これには「武器の提供は含まない」としながら、弾薬の提供や武器・外国軍兵士の輸送は認めています。8月上旬の参議院における審議で中谷元防衛大臣は、ミサイルや核兵器、クラスター爆弾さえも「弾薬」に当たり、その輸送が法案上排除されないことを認めています。また後方支援は脆弱性が高いがゆえに、自衛隊が攻撃されるリスクを格段に高めています。
 第四に、政府は法案提出の理由として、「日本を取り巻く安全保障環境の変化」を再三強調していますが、情勢分析がまったく不十分です。中国との経済的相互依存が強まる中、中国の脅威をことさらに強調しても説得力を欠くばかりか、かえって軍事的緊張を高めかねません。その結果、軍備拡張競争が始まり、国家財政や国民生活を圧迫する事態にもなりかねません。加えて、集団的自衛権を根拠とした欧米諸国のアフガニスタンへの軍事介入が泥沼化しているのは周知の通りです。漠然とした「国際社会への貢献」を掛け声にして、対テロ多国籍軍による終わりなき軍事介入への参加を求められる余地を、日本自らが作るのは賢明とはいえません。さらに、米国のイラクへの軍事介入に端を発した中東の戦乱拡大という情勢の下、仮に中東での日本の軍事的役割の拡大が進むとすれば、現行の平和憲法の後ろ盾を得て、様々な生活の現場で日本のNGOやボランティアグループがその地道で実直な草の根支援によって築いてきた高い評判や評価が一瞬にして水泡と帰すことにもなりかねないのみならず、これら人道支援活動家やジャーナリストを始めとする日本の民間人がテロの標的にされるリスクも格段に高まります。
 最後に、北海道には自衛隊の基地を持つ自治体が多く、北海学園大学にはそうした町の出身の学生や、そうした町に就職する学生もおり、さらに卒業生・在学生には自衛隊員もいます。そうした卒業生・在学生の生命の危険を高めかねない法案の問題点を指摘することは、大学の当然の責務でもあると考えます。

2015年8月15日
賛同教員 計84名(五十音順、8月15日14時現在)
浅妻裕、淺野高宏、飯野海彦、五十嵐素子、石井晴子、石月真樹、市川大祐、一條由紀、井野葉子、上野誠治、魚住純、歌代崇史、内田和浩、内山敏和、追塩千尋、大石和久、大貝健二、大森一輝、大屋定晴、岡崎敦男、岡本直貴、荻原克男、奥田仁、上浦正樹、神山義治、亀井伸照、川村雅則、北原博、熊坂亮、郡司淳、小坂直人、小田清、後藤聡、酒井博行、佐藤克廣、佐藤貴史、佐藤信、須田一弘、菅原寧格、鈴木美佐子、高木裕之、田澤義公、館田晶子、田中綾、田中洋也、谷本陽一、田村卓哉、樽見弘紀、常見信代、手塚薫、寺島壽一、徳永良次、中川かず子、中囿桐代、中根研一、仲松優子、中元啓司、中村寿司、中村敏子、新山一範、西村宣彦、野嵜久和、秦博美、速水孝夫、韓永學、平澤卓人、平野研、福士明、藤田正、古林英一、本田宏、増地あゆみ、松尾秀哉、松本広幸、水野邦彦、水野谷武志、宮入隆、元木邦俊、森下宏美、安酸敏眞、山田誠治、山ノ井髙洋、吉田敏雄、若月秀和

安保法案反対 北海学園大の教員有志、きょう声明発表

北海道新聞(2015/08/15)

 北海学園大の教員有志が15日、参院で審議中の安全保障関連法案について「違憲であり、立憲主義の原則を逸脱する」などとして、撤回を求める声明をインターネット上で発表する。

 声明では、衆院での安保法案の強行採決を「幅広い合意の形成という民主主義のルールに反する」と批判。武力行使に対する歯止めが不十分とした上で「自衛隊が攻撃されるリスクや、人道支援活動家ら民間人がテロの標的にされるリスクが高まる」としている。

 同大法学部の本田宏教授らが、今月上旬から同大の教員を対象に呼び掛けたところ、14日までに教員全体の3分の1に当たる76人が声明に賛同した。本田教授は「日本の民主主義国家としてのあり方が問われる問題であり、共感が広がった」と強調する。15日午後に交流サイトのフェイスブックで声明のページを新設する。

 道内では、北大や札幌学院大などの有志も安保法案の廃案や撤回を求める声明を出している。


2015年08月13日

九州大学有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する九州大学関係者有志

安全保障関連法案に反対する九州大学有志の声明

戦後70年の節目の年、私たち大学人は、改めて民主主義の重要性を確認するとともに、侵略戦争と植民地支配の歴史を顧みて、世界、とりわけアジアにおいて、人権や平和外交が尊重される社会を築く責任を強く自覚しています。その根底に、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を掲げる日本国憲法と日本国民の歩みがあることは論を待ちません。

しかし、2015年夏の日本の政治は、わが国の骨格をなす民主主義、人権尊重、平和主義に対して、戦後最大の「変更」を迫ろうとしています。その最たるものが、安倍内閣が閣議決定し、今国会に提出した「国際平和支援法」「平和安全法制整備法」からなる、安全保障関連法案です。

安保関連法案は、従来の政府解釈において、日本国憲法第9条に照らして違憲とされてきた、集団的自衛権の行使を認め、自衛隊による海外での武力行使に道を開きます。「後方支援」の名で核兵器の運搬さえ法的には排除されない兵站活動を行い、戦闘現場で殺し殺される可能性も生じます。

戦争を火事にたとえるなど、安倍首相による説明は説得力を欠いており、法案に対する不信や反対の声は、世代を超えて広がりつつあります。憲法学者の9割、歴代の内閣法制局長官や弁護士団体の多くが違憲との見解を表明しており、それらに耳を傾けず、数の力で採択することは立憲主義と民主主義に対する暴挙です。

顧みれば、多大な犠牲を強いた太平洋戦争下に九州大学は、多くの学生を戦地に送り出しただけでなく、研究活動の一環として人道に反する違法行為がなされるなど幾多の痛苦の歴史を有しています。九州大学のみならず、戦時下に戦争遂行に加担した大学や研究機関は、戦後、それに対する反省を踏まえて再出発しました。

ここ福岡の地はアジアに近く、九州大学には、現在、中国・韓国をふくむアジア諸国からの留学生が多数学んでいます。これらの国々と文化や歴史を相互に尊重しあうことが、将来の社会において求められています。

私たち九州大学関係者の有志一同は、安全保障関連法案に強く反対する意思を表明します。

2015年8月11日
安全保障関連法案に反対する九州大学関係者有志

呼びかけ人(あいうえお順)

石川 捷治(九州大学名誉教授・政治史)
出水 薫(法学研究院・政治学)
磯田 宏(農学研究院・農業経済学)
太田 一昭(言語文化研究院・英文学)
小川 玲子(比較社会文化研究院・社会学)
粕谷 英一(理学研究院・生態学)
小早川 義尚(基幹教育院・動物学)
酒匂 一郎(法学研究院・法哲学)
藤 宣子(農学研究院・森林政策学)
鈴木 右文(言語文化研究院・英語学)
瀬口 典子(比較社会文化研究院・生物人類学)
高木 彰彦(人文科学研究院・人文地理学) 
高木 正見(農学研究院・昆虫学)
高原 淳(先導物質化学研究所・高分子科学)
中島 祥好(芸術工学研究院・心理学)
鴇田 昌之(理学研究院・物理学)
久野 国夫(経済学研究院・産業技術)
平田 美由紀(医学研究院・環境医学)
本庄 春雄(総合理工学研究院・統計力学)
松野 健(応用力学研究所・海洋物理学)
矢原 徹一(理学研究院・生態学)
薮野 祐三(九州大学名誉教授・政治学)
吉岡 斉(比較社会文化研究院・科学史)
吉武 朗(工学研究院・船舶流体力学)

弘大教員80人が安保法制反対を表明

東奥(2015年8月12日)

 弘前大学の教員有志は12日、安保関連法案の法制化に反対するアピール文を発表した。全5学部の教員12人が呼び掛け人となり、教員・元教員の計68人が賛同した。

弘大教授ら安保法案に反対表明

NHK(08月12日 19時02分)

参議院で審議が行われている安全保障関連法案について、弘前大学の教授などが「憲法9条に違反している」などとして、法案に反対する考えを表明しました。
弘前大学の教育学部や農学生命科学部の教授など5人は、12日、弘前市役所で記者会見し、参議院で審議が行われている安全保障関連法案に反対の立場を表明しました。この中で、人文学部の河合正雄講師は、「集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法案は、憲法9条に違反しており、撤回すべきだ」と訴えました。
その上で、「自衛隊の活動範囲や活動内容が変われば、日本に対する感情が悪化するおそれが否定できず、国内外で日本人がテロの標的になるといったリスクが増えることが懸念される」と述べました。
12日に会見した5人によりますと、安全保障関連法案への反対を弘前大学の教授などに呼びかけたところ、70人あまりから賛同が得られたということです。
安全保障関連法案をめぐっては、自民・公明両党と次世代の党などが賛成して、衆議院を通過したあと、現在、参議院で審議が行われています。


安保法案、公明党の大憂鬱 創価学会員が公然と党を非難

Jcast(2015/8/12)

与党の一角を占める公明党と関係が深いはずの創価大学(東京都八王子市)の関係者からも、公然と安全保障関連法案に反対する声が上がり始めた。安保法案は創立者の池田大作・創価学会名誉会長の思想とは相容れないというのがその理由で、現役学生や教員、卒業生を対象にした署名サイトが開設された。

世論調査の政党別支持率では、自民党よりも公明党の方が下げ幅の方が大きいケースも出てきている。支持母体の創価学会は、集団的自衛権を行使するためには本来ならば憲法改正が必要だという立場だ。この立場と法案との整合性を取ることは難しいとみられ、学会員が公明党に距離を置きつつある実態が明らかになっている。

■創価学会広報室、集団的自衛権行使は「本来、憲法改正手続きを経るべき」

署名サイトは「安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会」を名乗る団体が2015年8月11日に立ち上げた。教員や卒業生10人が呼びかけ人になり、

「現在9割の憲法学者が『違憲』と判断している安全保障関連法案が、安倍政権により採決されようしています。私たちはガンジー、キングの人権闘争の流れに連なる創立者・池田大作先生の人間主義思想を社会に実現すべく学び続けてきました。そこで培った人権意識を持つ者なら、声を上げるべき時は、今です」
「私たち関係者有志は、創立者・池田大作先生の理念を我が人生の根幹に据え、安全保障関連法案への『反対』を表明します」
などと法案反対の署名を呼びかけている。サイトによると、8月12日時点で現役学生や卒業生410人が署名を寄せたという。

そもそも、創価学会の立場と法案の内容は相容れないものだ。創価学会は14年5月に朝日新聞から集団的自衛権について見解を求められ、広報室名で、

「私どもの集団的自衛権に関する基本的な考え方は、これまで積み上げられてきた憲法第9条についての政府見解を支持しております。したがって、集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきであると思っております」
という内容のコメントを発表している。「本来」という言葉を入れることで、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に含みを残したともとれるが、基本的には解釈改憲には否定的な立場だ。そういったこともあって、学会内からは公明党の立ち位置に違和感を唱える声が広がっている。

■法案反対デモで「三色旗」プラカード掲げる人も

例えば7月28日に日比谷野外音楽堂、7月31日に国会議事堂前で行われた法案反対デモでも、創価学会の「三色旗」のプラカードを掲げた人が確認されており、学会員を名乗る人が公然と公明党を非難する事態に発展している。こういった声は世論調査にも現れているようだ。NHKが8月7日から9日にかけて行った電話世論調査によると、自民党の支持率は前回7月調査比0.4ポイント減の34.3%だったのに対して、公明党は1.2ポイント減の3.0%。自民党に比べても大きく支持を減らしている。


横浜市立大学有志、安保法制関連法案に反対する共同アピール

2015年安保法制関連法案に反対する横浜市立大学有志共同アピール

2015年安保法制関連法案に反対する横浜市立大学有志共同アピール

安全保障関連法案に反対し、廃案を求めます

 現在国会において審議されている政府提出の安全保障関連法案に対して、私たち横浜市立大学学生、教員、職員有志は反対し、その廃案を求めます。それは、安全保障関連法案が日本の国のあり方を大きく変えうるものであるにもかかわらず、内容についても、審議のやり方についても、あまりにも問題が多いと考えるからです。
 まず、安全保障関連法案は、「集団的自衛権行使」の名のもとに、自衛隊をいつでも、どこでも、どこまでも派兵することを可能とするもので、明白に憲法9条に違反しています。このことは、大多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官が法案は違憲と主張していることからも明らかです。
 次に、この法案は立憲主義を否定するものです。いかなる法律も政府の行動も憲法を遵守しなくてはなりません。それにもかかわらず、安倍内閣は憲法の解釈を一方的に変えて「集団的自衛権は合憲」としたのみならず、この違憲の法を成立させようしています。これは、明らかに立憲主義を否定することであり、ひいては無法な独裁的政治に道を開くものです。
 第三に、政府の審議の仕方も指摘せねばなりません。政府は衆議院審議において野党からの問いに対して誠実に応答せず、まともな説明をしませんでした。このような政府の態度は、異なる意見を尊重しつつ、理性的な討議を通じて適切な立法を行う議会制民主主義に反するものです。
 第四に、衆議院での強行採決は国民主権を否定するものです。安全保障関連法案に対する反対の声が強く、また法案成立を急ぐことへの懸念を持つ人々が圧倒的に多数であるにもかかわらず、政府与党は衆議院において強行採決を行いました。このことは、主権は国民にあるとする主権在民と民主主義の原理をふみにじるものであり、決して許されてはならないと考えます。
 第五に、あらためて憲法9条を最大限に活かした平和外交を行う重要性です。安全保障関連法案は、軍事力や武力行使で日本の「安全保障」や「平和」をめざすものです。しかし、それで平和をつくれないことは、第二次世界大戦の悲惨な敗戦や、現在の泥沼状態にあるイラク、シリア、アフガニスタンなどの状況を見れば明らかです。
 憲法9条は300万人以上の日本国民、およそ5000万人の第2次世界大戦の犠牲者の上に、「紛争を解決する手段として二度と武力を用いない」確固たる決意とヴィジョンとして世界に示されました。それにより、とりわけアジア諸国の信頼を取り戻し、日本の平和を維持する役割を果たしてきました。今後も軍事力や武力行使ではなく、憲法9条を存分に活かすことで日本の安全を保障し、国際平和を追求するべきであると考えます。
 すでに、全国の数多くの大学で法案への反対を表明する動きが広がっており、学生、学者の法案に対する、理性と知にもとづく抗議行動もさらに高揚しつつあります。
 私たち横浜市立大学の学生・教員・職員有志も、大学で学び、研究し、働く者として、この問題を重く受け止め、検討し、行動する責任を負っていると考え、ここに安全保障関連法案に反対する意見を表明します。平和な未来と、知を創造する自由を守るため、法案への反対、抗議に賛同されるよう、横浜市立大学内外の学生、大学教職員と社会のあらゆる人々に訴えます。

2015年8月7日

安全保障関連法案に反対し、廃案を求める横浜市立大学有志


大阪府立大学教員有志、安保法制関連法案に反対する声明

安保法制関連法案に反対する大阪府立大学教員有志の声明

安保法制関連法案に反対する大阪府立大学教員有志の声明

夢に見た 美しいくに
夢に見た 勇ましいくに
夢にまで見た 誇らかなくに
目覚めれば 廃墟。

2014 年7月に第2次安倍内閣は、憲法上違憲の疑念が強く、なおかつ歴代内閣が否定しつづけてきた集団的自衛権の行使を、憲法改正という手続きをへずに閣議決定のみで容認しました。たとえ個別的自衛権であっても、国権の発動を厳しく制限してきたのが日本国憲法であり、戦後日本の枢要な国家原則でした。

国家の基本原則は、憲法によって一政権を拘束こそすれ、一政権が自らの解釈だけで自在に運用できるものではありません。当然それは、総選挙の結果によってでさえ変更できないものです。主権者の意思に直接問う、つまり憲法を改正することが最低限不可欠の要件になります。しかも政府は、今まさにそれを法案化しようとしています。その意味でこの法案は、主権者である国民の意思を無視するものです。主権在民は人類が長い歴史的な闘争を積み上げて獲得した「人類普遍の原理」であり、そのことは日本国憲法の精神を表現した前文にも明記されているとおりです。

振り返れば人類は長きにわたって、大いなる逡巡を抱きながらも国家の存在意義を認めつつ、他方で国家権力をいかに制限するか、そのパラドキシカルな工夫を重ねる努力を続けてきました。人類の知恵として誇りうるものがあるとすれば、他ならぬ人類自身が自らの必要上作りあげた国家の権力を制限し濫用させないようにするため、「法の支配」に磨きをかけてきたことではないでしょうか。これこそが文明の証なのです。

その努力の足跡は800 年にもわたって人類史に刻まれており、その蓄積のうえに地球上に憲法が制定されてきました。日本も例外ではありません。19 世紀末にできた最初の日本の憲法は、君主による統治権を前提にしたものであるにせよ、西欧モデルに準じた立憲主義的原理を含んだものですし、20 世紀中葉にできた憲法は日本だけでも約310 万人もの犠牲者を出して作られた、主権在民を前提とする近代立憲主義的原理を包含したものです。いずれも歴史に根ざし、また世界に準拠した憲法でした。

その憲法に反してこの法案が成立すれば、日本国は地球の裏側においてでさえ「自衛権」の行使を可能とする国家原則を新たに持つことになります。これが日本の国家原則と憲法に対する重大な違反にあたるのは言うまでもありません。そして何よりも、そのような法案を政府が合憲だと解釈してしまうのですから、もはやこの国では憲法の存在は意味を持たないと言っても過言ではないでしょう。これは憲法の存立根拠を大きく揺るがす行為であり、近代立憲主義を破壊しかねない行為であることは明白です。

安保法制を正当化するために、政府は憲法13 条の幸福追求権を根拠にしていますが、憲法13 条はあくまで「すべて国民は、個人として尊重される」というのが基本です。個人としての「国民」の幸福追求を口実に国家が同盟国のために武力を発動させることは、「個人の尊重」と「国家の尊重」を暴力的に同一化させる所為であり、国家を民主的に運営する主体でありながら、それでもなお国家から自由であることを保障されるはずの個人としての国民の権利を侵害するものです。これは、主権在民下での民主主義の根幹を空洞化させるものです。

以上のとおり、わたしたち大阪府立大学教員有志は、人類とともに日本が歴史のなかで獲得してきた主権在民・立憲主義・民主主義に背馳する安保法制関連法案に反対し、その法案の廃案を強く求めます。

2015 年8月6日

安保法制関連法案に反対する大阪府立大学教員有志

東洋大学有志の会、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する東洋大学有志の会

私たち東洋大学有志の会は安全保障関連法案に反対します。
  
 安倍政権は、「国際平和支援法」と10本の安全保障関連法案を提出し、衆議院で強行採決をおこないました。

  この法案は、「集団的自衛権」を合憲として行使をめざすものですが、すでに多くの憲法学者が「集団的自衛権」は憲法違反であることを表明しています。国の最高法規である憲法を、解釈によって変えてしまうなどということは到底許されません。違憲であるこれらの法案を強行採決によって成立させることは、立憲主義の否定に他なりません。私達はこの暴挙を見過ごすわけにはいきません。

 今年は戦後70年ですが、この間、日本が戦争を行わなかったことは歴史上、極めて重大なことであり、それが達成できたのは憲法9条があったからです。今後も憲法9条を守り、戦争に加担しない平和な国を維持することを強く願ってやみません。

 大学は、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」を目的としています。平和な社会がその前提です。東洋大学白山キャンパスには、学徒出陣戦没者を追悼し平和を祈念するために建立された「平和祈念の碑」があります。しかし、安倍政権は、過去から学ぶことなく、再び同じ過ちをおかそうとしています。私達は学問の自由と平和との関連を強く受け止め、学生たちの生命を守るために、この法案に反対します。

以上のことから、この法案をただちに廃案とすべきです。民主主義の根幹は民衆が声をあげることにあります。民主主義の火を絶さぬために、ここに声明を発表いたします。

2015年8月4日

呼びかけ人(順不同)

 小澤浩明(社会学部)*、大野裕之(経済学部)、高橋典史(社会学部)、中山伸樹(社会学部)、手塚洋一(経済学部)、蒲生美香(理工学部)、村尾祐美子(社会学部)、曽田長人(経済学部)、山﨑甲一(文学部)、鈴木規子(社会学部)、 安藤和宏(法学部)、小苅米清弘(経済学部名誉教授)、小俣利男(元社会学部教授)、守田貴弘(経済学部)、青木辰司(東洋大学図書館長、社会学部)、須田 将司(文学部)

2015年08月12日

首都大有志、アピール「自由と平和のためにアクション!」

首都大有志の会

自由と平和のためにアクション!首都大有志の会 アピール

 わたしたち首都大学東京の学生・院生・教職員有志は、研究と教育の自由を守り発展させていくため、そしてその土台となる平和と民主主義をこれからの時代に継承・創造していくため、「自由と平和のためにアクション!首都大有志の会」に集まりました。
 東京都においても、東京大空襲のあった3月10日を「平和の日」と定め、「平和は都民すべての願いである」と、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓っています。
 都民に支えられている首都大学東京で学び研究するわたしたちは、憲法を蹂躙し、学問を愚弄し、平和を破壊することも辞さない現政権の暴走を許すことができません。そして、「自分とは無関係」「どうしようもない」という思考停止から抜け出し、自らの見解を表明し行動する道を選びます。
 自由と平和のためにアクション!首都大有志の会は、①平和を守る、②学問の自由を守る、③立憲主義を守る、という3つの観点から安保法制の廃案を求めます。

2015年8月9日
自由と平和のためにアクション!首都大有志の会 呼びかけ人一同

【「東京都平和の日条例」(平成二年七月二十日、東京都条例第九十号)前文より】
 東京は、今や、世界の経済社会の発展を支える大都市としての地位を占めるに至った。
 これは、東京の地に住み、働いてきた人々の努力の賜物である。
 しかし、東京の歴史には、幾多の惨禍が刻まれている。特に、多数の都民が犠牲となった第二次世界大戦の悲惨を我々は忘れることができない。
 平和は、都民すべての願いである。


呼びかけ人一覧(2015年8月11日19時10分現在まで)
阿部彩、荒井文昭、石川知広、石川求、岡部卓、落合守和、鎌倉佐保、木之内誠、田中浩司、丹野清人、中嶋英里、長沼葉月、西山雄二、野元弘幸、堀江孝司、松下丈宏、源川真希、宮下与兵衛、室田信一、山沢智樹


安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会、声明

安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会

声明

 
 平和は自由な対話、すなわち人権の尊重からはじまります。

 大学正門に掲げられた「創價大學」の文字は、教育と人権の勝利を信じつつ対話を貫き通し、軍部権力の弾圧により獄死した「創価教育の父」牧口常三郎先生の筆によるものです。いかなる圧迫にも屈せず、民衆のために声をあげること。これこそが創価教育の魂だと私たちは信じます。

 現在、9割の憲法学者が「違憲」と判断している安全保障関連法案が、安倍政権により採決されようしています。私たちはガンジー、キングの人権闘争の流れに連なる創立者・池田大作先生の人間主義思想を社会に実現すべく学び続けてきました。そこで培った人権意識を持つ者なら、声を上げるべき時は、今です。

 私たち関係者有志は、創立者・池田大作先生の理念を我が人生の根幹に据え、安全保障関連法案への「反対」を表明します。

「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」(創立者・池田大作)

 この言葉を深く心に刻み、「人類の平和を守るフォートレスたれ」との建学の精神を生涯堅持することを、ここに誓います。

呼びかけ人(五十音順)
五十嵐惠(36期 卒)
植村紀孝(19期 卒 )
氏家法雄(創価女子短期大学教員)
金田建志(元創価大学職員)
佐野潤一郎(創価大学教員・13期 卒)
鈴木隆文(2期 卒)
竹原弘樹(39期 卒)
戸田通隆(通信教育 在学)
長谷伸之(7期 卒)
村田憲一(22期 卒)
和合勇磨(43期 在学)


2015年08月11日

学習院大学・学習院女子大学教員有志、安全保障関連法案に反対する声明

安全保障関連法案に反対する学習院大学・学習院女子大学教員有志の声明

安全保障関連法案に反対する学習院大学・学習院女子大学教員有志の声明

安保関連法案のもととなった2014年7月1日の閣議決定も含め、安倍政権は、法的にいえばできないはずのことを強行し、7月15日、16日には衆議院において強行採決を行った。しかし、安全保障関連法案の違憲性は極めて明白である。
安倍政権は、「立憲主義」、「民主主義」、「平和主義」といった高次の概念を軽んじ、日本の政治は危機に瀕している。これらの概念は、権力を馴致する試みのなかで長い年月をかけて人類が学びとってきた知恵であって、もはや世界標準というべき価値を体現している。そのような人類普遍の価値を軽視することの代償は大きい。
これほど多方面から、政権のとる手法を含め、法案の審議に対して累次の批判が寄せられているという事実は、日本の立憲政治が異常事態にあることを如実に示している。このような事態においてもなお立ち止まることすらできない政治は、権力を自ら適切に扱えないさまを白日のもとに晒している。現政権が、軍事に関わる事柄と国家権力の関係という、もっとも統制の難しい問題を真剣に考えているとは到底思われない。
私たち学習院大学・学習院女子大学教員有志一同は、安全保障関連法案に強く反対し、すみやかな廃案を求め、ここに声明を公表する。

2015年8月8日

<呼びかけ人>(計10人、2015年8月8日現在)
青井未帆(憲法学)

荒川一郎(物理学)

大貫敦子(ドイツ文学・思想)

神田龍身(日本文学)

小島和男(哲学)

佐藤 学(教育学)

下川 潔(哲学)

高埜利彦(日本史)

長谷部由起子(民事手続法学)

福井憲彦(西洋史)

2015年08月09日

京都教育大学教職員有志、安全保障関連法案に対する抗議声明

安全保障関連法案に反対する京都教育大学教職員有志の会

安全保障関連法案に対する抗議声明


 学生たちが、また、彼ら彼女ら未来の教師の育てた子どもたちが、戦争の危険にさらされる可能性のある「安全保障関連法案」に、我々は強く反対し、即時廃案を求めます。

 多くの国民が反対の声をあげ、多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官らが「違憲」とする「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法」が、7月15日の衆院平和安全法制特別委員会で、さらに16日に行われた衆院本会議で、強行採決されました。首相自身が「国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めていたにもかかわらずです。

 このような政治のありかたは、多様な意見を無視することなく議論を積み重ねてゆくという民主主義の根本的な精神をないがしろにし、単なる数の論理で押し切ろうとするものであり、民主主義を形骸化し、葬り去ってしまうものです。

 このような憲法の蹂躙は、権力の行使を制限するという、立憲主義の意味を台無しにするものです。

 このようないたずらな武力への依存は、国の内外で多くの犠牲を払って生まれた平和主義という財産を、みずから打ち捨てるという愚かな行為だと言わざるをえません。

 紛争を武力によって解決する、そのことがいかに人間の尊厳を深く傷つけ、長く災いをもたらすかということを、我々は先の大戦で、またその後に世界で起きた数々の戦争で知ったはずです。

戦争は 私たちの 大事なものを 傷つけます。

それは 決して もとには 戻りません。

この前の 戦争では たくさんの人が 殺されました。

この前の 戦争では たくさんの人を 殺しました。

その歴史の続きに 私たちの 歴史があります。

戦争に 安全な 場所など ありません。

どのようなかたちにしろ もう二度と 戦争に 加わりたくは ありません。


 先の大戦において、大学は、多くの学徒を戦地に送り出しました。 これは大学人にとって決して忘れてはならない過去であり、痛恨の歴史です。そして、再び、戦争に学生を関わらせ、戦地に赴かせるかもしれないという危機が迫っています。もう二度と、現在の、また未来の若者を戦地に送り、殺し殺される場で戦わせたくはありません。彼ら彼女らの大切な日常を、報復の連鎖のなかに追いやりたくはありません。

 教員養成大学である京都教育大学は、「人を育てる人」を育てるという重要な使命を持っています。我々は、学生が教師となり、彼ら彼女らが育てた子どもたちが戦争の危険にさらされる可能性を、また、学生たちが将来、子どもたちを戦争に追いやる手伝いをさせられる可能性を、黙って見過ごすことなど断じてできません。本学で育つ学生が輝かしい未来を創造し、また、彼ら彼女らが育てる子どもたちが安心して成長してゆくためには、平和であることが何より大事です。

 我々は、民主主義や立憲主義は誰のためにあるのかという基本に立ちながら、おかしいと感じたことを押し殺すことなく勇気をもって表明し、その考えと態度を持続してゆきたいと考えています。

2015年8月5日
安全保障関連法案に反対する京都教育大学教職員有志の会


【呼びかけ人】
天野知幸(国文学科)    井谷惠子(体育学科)     加用文男(幼児教育科)
河原田博(教務・入試課)   神代健彦(教育学科)     古賀松香(幼児教育科)
郷間英世(発達障害学科)   関口久志(教育支援センター)   田中多佳子(音楽科)
土屋英男(産業技術科学科)   奈倉洋子(名誉教授)     西本有逸(英文学科)
濱田麻里(国文学科)    藤岡秀樹(教育学科)     丸山啓史(発達障害学科)
南本忠宏(総務・企画課)

天理大学教員有志、安保関連法案に反対し廃案を求める声明

安保関連法案に反対し廃案を求める天理大学教員有志声明

安保関連法案に反対し廃案を求める天理大学教員有志声明


 安倍政権は、昨年7月1日に閣議決定をしてそれまで自民党政権時代も含めて歴代内閣が一貫して否定していた「集団的自衛権行使」の限定的容認をしました。その主な根拠として、1972年砂川事件最高裁判決、安全保障環境の変化を挙げております。これに対して憲法研究者を中心に批判の声が高まっております。メディア報道で周知のように、憲法研究者・行政法研究者等の圧倒的多数が「集団的自衛権行使」容認を基本とする安保関連法案(以下法案とする)は「違憲」であると指摘しております。
 たとえば、今年7月11日朝日新聞掲載のアンケート結果では、回答を寄せた憲法研究者の122名中違憲104名・違憲可能性15名=119名(98%)の憲法研究者が違憲または違憲の可能性を指摘しております、合憲と回答した者は2名(0.17%)だけでした。また、6月末に行われた公法学研究者に対するNHK緊急アンケート結果は7月23日の「クローズアップ現代」で紹介されましたが、公法学研究者の90%以上が違憲・違憲の疑いがある、5%だけが合憲であると回答しました。さらに、ノーベル賞受賞研究者も含む多様な分野の多数の研究者から、法案が違憲であり、日本が戦争に巻き込まれることを危惧する声が挙がっております。当然、憲法研究者を中心に安倍政権が推し進める法案は、根拠が妥当でなく違憲な立法でありそれを押し通すことは「法的安定性を欠く」「立憲主義に反する」「法の支配を逸脱する」といった批判が噴出しております。
 ところが、安倍政権は、このような多くの研究者の声に耳を傾けることなく7月16日に衆議院で採決・可決するに至りました。審議を十分尽くしたということが理由でしたが、11本からなる重要な法案をわずか110時間強の審議というきわめて不十分なプロセスでの採決・可決でした。国民のなかからも「説明不足である」「内容がよくわからない」「戦争に巻き込まれる不安を感じる」という声が数多く挙がっております。
 参議院に審議の場が移されてからは、安倍政権はもっぱら「中国、北朝鮮による脅威論」に基づいて法案が日本の安全・防衛のために必要だと強調しだしています。しかし、そもそも「仮想敵国」を名指してその脅威を唱えることは、アジアでの緊張関係を「外交努力」ではなく「軍事力」によって抑止していくという果てしない「軍拡競争に陥る」危険性を孕んでおります。また、たとえ「他国の軍事的脅威」が存在するとしてもそれはまさに「個別的自衛権」に関わる問題であり、「集団的自衛権行使」とは直接関係がありません。
 私たちは、天理大学で研究・教育する者として、安倍政権の強引な法案成立を試みる対応には大きな疑問を抱かざるをえません。戦争のない平和な世界をも志向する内容である「陽気ぐらし」という理念、「他者への献身」という平和のために献身するという内容も含んでいる「建学の精神」からは、「違憲立法」でありかつ他国の戦争に日本が巻き込まれる恐れがある法案には反対の声を挙げざるをえません。この機会に、天理大学でも教職員・学生が、「軍事力」を通してではなく、「対話」「外交努力」を通して日本及び世界の平和・安全をどう構築していくのかを議論していくことがきわめて重要であると考えます。戦後70年の節目に、世界的にもブランドである「平和憲法」の意義を再確認する必要があるといえます。
 上記のような理由から、私たちは、安倍政権の法案に反対し廃案にすべきことを求めます。そして、天理大学教職員、学生、卒業生の皆様にもこの声明に賛同の声を寄せていただき共に日本及び世界の平和・安全をどう構築していくのかを考えていくことを切に希望します。

2015年8月6日   
 広島原爆投下70年の日に犠牲者・関係者の皆様に黙祷し平和の意味を噛みしめながら。

関西大学教員有志、全保障関連法案に反対する声明

関西大学教員有志

全保障関連法案に反対する関西大学教員有志の声明

 わたしたち関西大学教員有志は、安全保障関連法案に反対し、その即時廃案を求めます。

 この法案の眼目である集団的自衛権の行使容認について、世論は反対意見が多数を占めており、ほとんどの憲法学者や歴代の内閣法制局長官が違憲と判断し、首相みずから「国民の理解が進んでいない」(7月15日午前の衆院平和安全法制特別委員会)と認めています。にもかかわらず、この法案は今まさに法制化されようとしています。

 政権は法案の必要性として「安全保障環境の変化」を挙げますが、費やされた言葉の量にもかかわらず説得力に欠けています。国民の多くは、国政の大転換を意味するこの法案が、憲法秩序と安全保障環境に照らして適切であるとは納得できず、その拙速かつ強引な手法に憤りを感じています。このような政治の進めかたは、憲法を骨抜きにしようとするものであり、護憲か改憲かといった問題以前の立憲主義にたいする挑戦と言わざるをえません。

 法案の目標であるはずの平和は、日々の生活に根ざすのでなければ持続可能でないのは論をまちません。周辺諸国との関係にいたずらに懸念材料を増やす可能性の高いこの法案は、諸外国の人びととの文化的、経済的な交流にさえ水を差しかねません。近代日本の歩みが周辺諸国で起こした軋轢のことを考え合わせると、この法案は、率直に言って、日本社会に関わる多様な人びとの生活にとって迷惑の種にしかならないと憂慮します。

 「正義を権力より護れ」を建学の精神とする関西大学に奉職するわたしたちは、上の事態に際して、まさしく正義を護るべく声を上げる責務を負うと考え、ここに意見表明します。

2015年8月3日
関西大学教員有志

安保法案、北海道大学教員も「ノー」声明 賛同1週間で167人

道新(08/08)

 北大の教員有志が、安全保障関連法案の廃案を求める声明をインターネット上で発表した。文学部の3人の発起人を含め、法学部や農学部など文系、理系にまたがる20人の教員が呼び掛け人となって北大教員に賛同者を募ったところ、7日までに167人が加わった。教育や研究の現場から、反対の声が広がっている。 

 2日から公開している声明では、安保法案が集団的自衛権の行使を認めることを「明らかな憲法違反」としたうえで、安倍晋三首相が「憲法学をはじめとする数々の学問的蓄積を無視」し、「民主主義と立憲主義を軽んじている」ことに「深刻な懸念」を抱いていると表明。「未来世代に希望ある社会を手渡すために、戦争を止める知性を、平和をつくる知性を求めつづけます」と結ぶ。

 北大生だった宮沢弘幸さんらが太平洋戦争開戦当日に軍機保護法違反容疑で逮捕された「レーン・宮沢事件」にも言及。同法の再現と言われる特定秘密保護法が一昨年12月に成立したことなどを挙げ、言論や研究の自由が脅かされているとの危機感を示した。

 声明はネット(https://sites.google.com/site/hokudaiampo/)で読むことができる。

 道内では他に、札幌学院大と北海道教育大釧路校の有志も安保法案に反対する声明を出している。


2015年08月07日

神奈川大学教職員有志、安全保障関連法案に反対するアピール

神奈川大学教職員有志

安全保障関連法案に反対する神奈川大学教職員有志のアピール

 
私たちは反対する。「限定的」だと言い訳しながら、専守防衛を放棄し、日本が攻撃を受けていなくても「同盟国」の戦闘行為に参加する集団的自衛権の行使という質的に新たな道に日本を引き入れることに。
 
私たちは反対する。戦闘する外国軍隊への幅広い「協力支援活動」をつうじて、殺し、殺される武力行使の危険をはらんだ道に踏み込むことに。
 
私たちは反対する。ホルムズ海峡から朝鮮半島まで、「安全保障環境の変化」を縦横に持ち出すことによって、外交的努力を疎かにしつつ、法的拘束を軽視し、ありとあらゆる軍事的対応を正当化しようとする飛躍した論理に。
 
私たちは反対する。自衛隊員のリスクの増大すら直視しようとしない不誠実な態度に、そして殺し殺される戦闘を隣家の火事に例えれば「わかりやすい」かのように考える、国民を愚弄した発想に。
 
私たちは反対する。法的な保障もなく「絶対にない」を繰り返す総理大臣の「総合判断」に戦争への参加を委ねる危険な道に。
 
私たちは反対する。憲法9条のもとで築いてきた「戦争をしない国」としての信頼をこのようにして投げ捨て、国際紛争を解決する手段として武力を行使する「普通の国」になることに。
 
私たちは反対する。圧倒的多数の憲法学者も元法制局長官たちも違憲と認める法案を憲法解釈の変更の名の下に強行し、憲法9条をあってなきが如きものに変えてしまうことに。
 
私たちは反対する。かつてなく高まる世論の反対と疑問を承知のうえで、「今は反対でもいずれは理解される」とうそぶいてそれを冷笑する傲慢さに。
 
私たちは反対する。実質11本もの重大な法案を提出しながら、ひたすら「審議時間」の長さのみを頼りに、予定された結論を急ぐ民主主義の矮小化に。
 
こんな問題だらけの法案を、問題だらけのやり方で押し通すことに、私たちは反対する。
 
そして、知性を欠いた政府による反平和主義的、反立憲主義的、反民主主義的な企てに、自分たちの未来のために異議を申立て、立ち上がった学生たちに、こころから連帯する。
 
2015年8月6日 
神奈川大学教職員有志
 
   2015年8月6日21時30分現在 123名
 
  【呼びかけ人】
   出雲 雅志 (経済学史)
   大庭 絵里 (社会学)
  木村  敬 (物理学)
   窪谷 浩人 (物理学)
   郷  健治 (英文学)
   杉田 弘也 (比較政治学・オーストラリア政治)
   鈴木 陽一 (中国文学)
   辻子美保子 (言語学)
   東郷 佳朗 (法社会学)

2015年08月06日

安保関連法案に反対する高崎経済大学有志の声明

安保関連法案に反対する高崎経済大学有志の声明

安保関連法案に反対する高崎経済大学有志の声明

戦後70年を迎える今年、安倍政権は安全保障関連11法案(以下、安保関連法案)を通そうとしています。これは、歴代政府が日本国憲法第9条との関係上行使できないとしてきた集団的自衛権を、閣議決定という形で一方的に合憲とみなすという、昨年7月1日に行われた「解釈改憲」にもとづき、自衛隊の活動範囲を拡大させようとするものです。
立憲主義とは、国民の合意に基づいて定められた憲法によって権力を縛るという原則ですが、これは幾多の過ちを反省した人類が、長年にわたり培ってきたものです。そのため日本国憲法は、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」という「人類普遍の原理」を謳っています。したがって、国政はあくまで憲法上認められる範囲内で「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の実現を目指さなければならないのです。

立憲主義に基づくならば、現在の憲法の条文に問題があるかどうかは主権者である国民が判断します。このために、日本国憲法は改正条項を用意しているのです。しかし、安倍政権は、日本国憲法第9条の改正が多くの日本国民の反対によって実現できないということから、解釈改憲という手段に訴えました。これは、国民主権および立憲主義を蔑ろにし、法的安定性を著しく損なうものです。

このため、大多数の憲法学者はもちろんのこと、歴代内閣の法解釈の一貫性と安定性を保ってきた内閣法制局の元長官でさえも解釈改憲という行為を強く批判し、今回の安保関連法案は違憲であると指摘しています。さらに、世論調査でも反対が多数を占め、全国で反対の声があげられるとともに、「安全保障法案に反対する学者の会」の賛同者は3万9000人を超え、各地の大学でも有志が反対の声をあげています。それにもかかわらず、去る7月16日に衆議院で強行採決が行われました。

高崎経済大学は学則で「真理と平和を希求する人間の育成を図」ることをその目的として掲げています。私たち高崎経済大学有志は教育者・研究者として、正統な手続きを経ず、学問の真理を無視した解釈改憲による集団的自衛権行使を、容認することはできません。ここに、安保関連法案の廃案を政府に対して強く求めます。


2015年8月5日 高崎経済大学有志

呼びかけ人(50音順)
経済学部 天羽正継 國分功一郎 土谷岳史 永田瞬 水口剛 矢野修一
地域政策学部 伊佐良次 齋藤康輝 友岡邦之 西野寿章 福間聡 米本清

京都工芸繊維大学有志の会、安保法制に反対する賛同の呼びかけ

「安保法制に反対する京都工芸繊維大学有志の会」

「安保法制に反対する京都工芸繊維大学有志の会」への賛同を呼びかけます

「安保法制に反対する京都工芸繊維大学有志の会」

7月15日の衆議院本会議で強行採決された安全保障関連法案(安保法制法案)は、10本の現行法を見直す一括改正案と軍事活動中の他国軍への支援を可能にする新たな恒久法「国際平和支援法案」で構成されています。これらは、歴代総理大臣や内閣法制局も認めなかった集団的自衛権の行使を前提としており、日本が攻撃されていなくても、海外での同盟国の戦争への参加を可能にするものです。この法案が成立すれば、これまで専守防衛が任務であった自衛隊は、海外で戦える軍隊として質量ともに変化することになります。自衛隊員が担うとされる後方支援活動は軍事的には前線と一体化したものであり、攻撃の的になることも十分に考えられます。戦後70年間、戦場で殺し殺されることがなかった日本人、とくに若者が、ときの内閣の判断で戦闘地域に送り込まれ、武器を手に殺戮に加わることになるのです。

衆議院特別委員会の公聴会では、出席した憲法学者全員が、この法案は憲法違反と述べました。報道機関によるアンケートでは、151名の憲法学者のうち146名が憲法違反あるいはその疑いがあると回答しました。それにもかかわらず安倍政権は、これまでの内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使を、解釈の変更により「合憲」としています。一つの内閣が憲法の解釈をねじ曲げ、平和を守り抜いてきた国民の努力を踏みにじるなら、日本はもはや立憲主義に基づく法治国家ではなく、独裁国家も同然です。国務大臣や国会議員に対して憲法尊重義務を課している憲法99条に、安倍内閣は違反しています。

京都工芸繊維大学で働き学ぶ私たちは、憲法が保障する自由や権利に基づいて、科学と芸術に関わる教育・研究を行っています。国民の一人としてはもちろん、学問に携わる者として、憲法という根幹のルール違反を見逃すことはできません。また、自衛隊員をはじめ、いつの時代の若者も戦場に送り出すことは認められません。米国のように、経済的弱者が学費免除や奨学金のために「経済的徴兵制」に志願せざるを得ない状況に追いやられることも許せません。

私たちは安保法制法案の廃案を強く求めます。

このアピールに賛同いただける方からの署名を募っています。賛同される方は、こちらのフォームからお知らせください。

2015年8月
安保法制に反対する京都工芸繊維大学 教職員・学生・OB/OG有志の会

呼びかけ人(五十音順)
岩崎仁、岩本正治、宇山泰、大倉弘之、大嶋悟、大瀬長門、岡田哲治
木原壯林、宗川吉汪、竹井智子、中山純一、並木誠士、西田秀利、萩原亮
羽藤由美、廣岡直美、前田耕治、政宗貞男、南剛、森武宏


滋賀大学人有志の会、「安全保障関連法案の撤回・廃案を求める声明」

安全保障関連法案に反対する滋賀大学人有志の会

安全保障関連法案の撤回・廃案を求める声明


安全保障関連法案に反対する滋賀大学人有志の会


私たち滋賀大学人有志の会は、学問の自由と良識の名のもとに、戦争放棄を定めた日本国憲法第9条に違反し、立憲主義を否定する安全保障関連法案およびそれを支える稚拙な法解釈、そして民主主義を否定する数の力による強行採決を認めず、この法案の速やかな撤回と廃案を要求します。

滋賀大学彦根キャンパスにはかつて、「軍事教練」を行うために「武器庫」が設けられていました。アジア・太平洋戦争においては、このキャンパスで学んだ学生が、武器を持って戦場に赴き、彼らのなかに生きて郷里に帰れなかった者がいたことを、いま本学にあって私たちは痛恨と慚愧の念とともに、再び学舎と武力、学徒と武器とをかかわらせない決意をあらたにします。
2014年7月1日、安倍政権は憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。そして2015年5月14日には安全保障関連法案を閣議決定し、7月15日に衆議院特別委員会で強行採決、翌16日にも再度の強行採決によって衆議院本会議を通過させるに至りました。現在、法案の審議は参議院へと移されています。
この法案は、ほとんどの憲法学者が違憲であると主張している通り、戦争の放棄を定めた日本国憲法第9条に明白に違反するものです。安倍政権は民意を問うことをせずに、解釈改憲といった姑息な手段によるすり抜けを図りながら、違憲である法制を強権的に成立させようとしています。これは明白な立憲主義の否定です。
各種メディアで報じられているように、大多数の国民が「政府の説明は不十分」と感じ、首相自らも「理解が進んでいない」としつつも、数の力で押し切り強行採決したことは、民主主義の否定にほかなりません。
また、この法案はアメリカ合衆国に追随して自衛隊が戦争に参加する道を大きく開くものであり、自衛隊員の生命をこれまでにない危機にさらすものです。政府は「後方支援であり、安全である」と繰り返し説明しますが、戦争にあっては兵站が真っ先に攻撃目標になるのは歴史的に見て明らかであり、戦場に安全地帯など存在しません。自衛隊員以外の人びとにとっても、報復やテロ行為の標的となる危険性を飛躍的に高めます。
そして、この法案が成立するならば、国際社会における平和国家としての日本国の信頼は完全に失墜することにもなります。とくに東アジア諸国との緊張は、極度に高まることとなるでしょう。東アジアにおける「抑止力」を口実として、法案への支持を訴えようとする論調に対しては、国際紛争は平和的手段で解決することが国連加盟国の義務であり、現代国際法の原則であることが想起されるべきです。軍事力の増強と軍事同盟の強化による「恫喝」に依存する姿勢は、対話の契機を失わせるばかりであり、結局は戦争の危険性を高めることにしかなりません。
私たちは、立憲主義、民主主義、平和主義を踏みにじり、戦争によって他国の人々を殺し、私たち自身が殺されることに意を払わない安倍政権に断固として抗議します。とくに私たちは大学人として、戦争が起こる際に、最も被害を蒙る恐れがある若い人たちの未来を守るために、いま声を上げる必要があると考えます。

2015年8月4日
安全保障関連法案に反対する滋賀大学人有志の会


賛同者
青柳周一、阿知羅隆雄、阿部安成、市川智史、宇佐美英機、菊地利奈、黒田吉孝
柴田淳郎、白石恵理子、須永知彦、武永淳、中野桂、坂野鉄也、藤岡俊博、渡邊暁彦

安全保障関連法案に反対する東京経済大学教職員有志の声明文

安全保障関連法案に反対する東京経済大学教職員有志の声明文

安全保障関連法案に反対する東京経済大学教職員有志の声明文


 私たちは安倍政権が推進する「安全保障関連法案(以下、この法案)」に反対します。この法案は、「集団的自衛権」の行使を合憲とすることによって、世界的規模で活動するアメリカの戦争に日本の自衛隊が参戦できるようにするものです。

 反対する理由は第一に、解釈改憲や強行採決によってこの法案を成立させようとする安倍政権の手法が、立憲主義と民主主義に反しているからです。衆議院憲法審査会に招聘された憲法学者全員(自民党推薦の学者も含む)が、この法案は「違憲」と表明し、各メディアが憲法学者におこなったアンケートでもほとんどの回答者が「違憲」と述べています。戦後歴代の内閣も集団的自衛権の行使は「違憲」と国会答弁してきました。世論調査では、この法案について政府は「説明不足」であると多くの市民が答えています。専門家の「違憲」の指摘に耳を貸さず、人々の疑問に答えることなく強引に法案成立をめざす安倍政権の反知性的手法は、立憲主義と民主主義とは相容れません。

 第二に、この法案が成立すれば、現在・将来の若者たちが戦争に巻き込まれる可能性が高くなるためです。この法案は、自衛隊を戦闘現場近くに派遣し、アメリカ軍とその同盟軍の支援活動を行わせることを想定しています。安倍政権の説明では、「後方支援」つまり兵站のみを担わせ、かつ「現に戦闘行為が行われている現場」では活動させないから、自衛隊員のリスクは高まらないと言及されています。しかし、自衛隊の「後方支援」は、紛争相手国からすれば敵対行為であり、その結果、自衛隊員の身体と生命の安全は、危機にさらされるでしょう。また、自衛隊員が、「武器の使用」により、他国の人びとを傷つける可能性もあります。

 戦後日本は、「戦争しない国」として国際社会の信頼を集め、「名誉ある地位」を獲得しようと努力してきました。この法案が成立すれば、70年近くかけて培われた国際社会の信頼は揺らぎはじめるでしょう。私たち東京経済大学教職員有志は、個人の良識にもとづき若者を二度と戦場に送ってはならないことを心に刻み、安倍政権が推進する安保関連法案に反対の意思を表明いたします。

 賛 同 人 (50音順。計52名、教職員48名+元教員4名。8月4日8時現在)

麻生博之 余部福三 池宮正才 和泉澤衛 礒野弥生 石川浩司 板垣雄三 色川大吉
上野麻美 大榎淳 大岡玲 大久保奈弥 尾崎寛直 大出良知 小田登志子 片岡直樹
加藤一彦 草野清子 川浦康至 菊池聡 金成垣 小島真澄 笹川克也 桜井健夫
佐藤和夫 澁谷知美 鈴木直 鈴木佳子 関昭典 徐京植 高津秀之 高井良健一 田中景
寺地五一 寺中誠 戸邉秀明 中野新之祐 中村青志 中村嗣郎 中村悠人 西下彰俊
浜田覚 早尾貴紀 深山直子 藤原修 牧原憲夫 村本武志 本橋哲也 森反章夫
山田晴通 渡辺龍也 渡辺裕一


2015年08月05日

安保法案に反対する高知の大学人声明

安保法案に反対する高知の大学人声明

安保法案に反対する高知の大学人声明

「自由は土佐の山間より出づ」という言葉通り、高知は自由民権運動発祥の地です。この地の先人たちは、近代日本において個人の自由を保障し、民主的な政府を設立することを目指して行動しました。しかしながら、今国会における安保法案の審議は、憲法と民意を無視し、開かれた自由な議論をないがしろにするものであり、先人たちが目指した政府の姿を真っ向から否定するものです。私たちは、次の理由から安保法案に反対します。

1、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更は、立憲主義を壊します

 昨年7月、安倍政権は憲法解釈を変更し、憲法9条の下で個別的自衛権だけでなく集団的自衛権も行使できる、と宣言しました。これにより、日本自身が攻撃されていない場合でも、他国間の戦争に参加することが可能になります。しかし、このような憲法の解釈は条文から大きく逸脱しています。
 民主的に選ばれた国家権力も、ときには政治を誤ることがあります。だからこそ、国家権力を憲法によって縛って暴走を防ぐ立憲主義という仕組みが必要なのです。したがって、国家権力が自分で勝手に憲法を緩めてはならず、今回のように限界を越えて憲法解釈を変更することは、立憲主義を壊します。

2、説明と議論が尽くされないまま法案を強行することは、民主主義に反します

 今回の安保法案は、日本の平和に関する重要な内容を含んでいますし、量も膨大です。国会では、審議を重ねるほどに法案の問題点が浮かび上がってきています。それに対し、政府はまともな回答をほとんど示せていません。市民の不安は解消できず、世論調査でも「議論が尽くされていない」「今国会で成立させるべきではない」という回答が多数を占めています。
 選挙で選ばれた国会だからといって、何を決めてもよいわけではありません。とりわけ、市民の理解が得られないまま平和の根幹にかかわる法案を押し通すことは、民主主義に反します。

「自由は取る可(べ)きものなり、貰(もら)う可き品に非ず」(中江兆民)。先人たちは、互いの意見の違いを尊重し、自由闊達な議論を大切にしました。わたしたち高知の大学の教職員、学生、卒業生には、先人たちの理想を学び、現実社会を見つめ、知を探求することを通じて社会に貢献する責務があるのではないでしょうか。だからこそ、この事態を目の前にして、もはや沈黙することはできません。
 わたしたちは、安保法案をすみやかに廃案にすることを求めます。

2015年8月3日 声明呼びかけ人一同

声明呼びかけ人(五十音順)

岩佐和幸(高知大学人文学部教授)、岩田裕(高知大学名誉教授)、内田純一(高知大学地域協働学部教授)、岡田健一郎(高知大学人文学部准教授)、岡本博公(同志社大学名誉教授、高知工科大学マネジメント学部教授)、小幡尚(高知大学人文学部教授)、加藤誠之(高知大学教育学部准教授)、霜田博史(高知大学人文学部准教授)、鈴木堯士(高知大学名誉教授)、田中きよむ(高知県立大学社会福祉学部教授)、種田耕二(高知大学名誉教授)、中道一心(高知大学人文学部准教授)、中村哲也(高知大学地域協働学部准教授)、根小田渡(高知大学名誉教授)、原崎道彦(高知大学教育学部教授)、福田善乙(高知短期大学名誉教授)、牧田寛(高知工科大学大学院工学研究科助教)、松尾亘孝(高知大学名誉教授、高知学園短期大学名誉教授)、松永健二(高知大学名誉教授)、峯一朗(高知大学理学部准教授)、村瀬儀祐(高知大学名誉教授、高知工科大学名誉教授)、森明香(高知大学地域連携推進センター助教)、吉尾寛(高知大学人文学部教授)


「安保法案に反対」 高知の大学教授らが声明

高知新聞(2015年08月04日)

 参院で審議されている安全保障関連法案に対し、高知県内の大学教授らが8月3日、「市民の理解が得られないまま平和の根幹に関わる法案を押し通すことは民主主義に反する」などとして、「法案に反対する高知の大学人声明」を出した。

 声明は、高知大学や高知工科大学など県内五つの大学、短期大学の教授ら23人が呼び掛けた。

 「安保法案の審議は憲法と民意を無視し、開かれた自由な議論をないがしろにするものだ」と指摘。その上で、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更は立憲主義を壊す▽説明と議論が尽くされないまま法案を強行することは民主主義に反する―とし、「この事態を目の前にして沈黙することはできない」と訴えている。

 この日、呼び掛け人のうち14人が高知市曙町2丁目の高知大学教職員組合室で記者会見し、高知大学の小幡尚教授(日本近代史)は「安倍政権の説明は、賛成反対以前に何を言っているか分からない。憲法どころか言葉すら尊重していない」と訴えた。高知大学の岡田健一郎准教授(憲法)は「高知は自由民権運動発祥の地で、自由な議論を大事にしてきた。県民が法案をよく理解してもらえるきっかけになれば」と語った。

 今後、インターネットを通して賛同者を募るという。

 安保法案をめぐっては、東京大学や京都大学など全国の各大学でも、教職員らが反対声明を出す動きが広がっている。


安全保障関連法案に反対する北海道大学教員有志の声明

安全保障関連法案に反対する北海道大学教員有志の声明

安全保障関連法案に反対する北海道大学教員有志の声明

安全保障関連法案の廃案を求めます

 北海道大学で研究と教育に従事する私たちは、安全保障関連法案の廃案を求めます。

 集団的自衛権の行使容認は、明らかな憲法違反です。安倍内閣が、憲法学をはじめとする数々の学問的蓄積を無視し、また、人類の歴史的な成果である民主主義と立憲主義を軽んじていることに、私たちは深刻な懸念を抱いています。
 この法案は、日本が他国の戦争に参加できるようにするためのものであり、日本の若い世代の命を危険にさらすものです。同時に、米国等が「敵」とみなした国の無辜の人びとの命をも脅かす可能性をはらむものです。無数の住民を殺害したイラク戦争は、「大量破壊兵器の存在」を口実に、米国が一方的に仕掛けた不当な戦争でした。しかし、日本政府はこの戦争の不当性をいまだ公式に認めていません。この法案が成立すると、これまで米国に追従してきた日本は、米国主導の不当な戦争に本格的に参戦する恐れがあります。私たちはそれを認めるわけにはいきません。
 この法案は、武力で平和が達成できるとの前提に立っています。対立する相手を「敵」と決めつけ、武器を構えると、相手はさらに強力な武器を構えるでしょう。20世紀の二つの世界大戦と冷戦期の軍拡競争はそのように起こりました。それがどれほどの惨禍を巻き起こしたのかは歴史をひもとけば明らかです。
 本当の平和は対話によってこそ生まれると私たちは考えます。そこで必要になるのが知性です。歴史を知り、相手の立場を知り、自己批判をいとわず、しかし言うべきことは言い、時間をかけて共存できる関係を築くこと。軍事力の増強ではなく、「対話の場」の構築に資源を注ぎ込むべきです。いまこそ「軍事による安全保障」から「対話による安全保障」への転換が求められています。

 大学は知性を磨き、高める場です。知性を敵視した戦前戦中の日本政府は、軍機保護法、治安維持法などにより、知識人・大学人の言論の自由を弾圧し、私たちの先達が不当に逮捕・監禁されました。その中に北海道大学の宮澤弘幸(工学部生)、ハロルドとポーリン・レーン夫妻(英語講師)がいたことを、私たちは痛みをもって思い起こします。
 今日の安倍政権も知性を恐れ、抑圧する道を歩み始めています。まず特定秘密保護法を強引に成立させて、市民が知る権利を制約しました。国立大学に国旗掲揚・国歌斉唱を求めるばかりか、文系(人文社会科学系)学部の廃止や見直しを求める通知まで出しました。そうした流れのなかで安保法案が出てきました。
 私たちは愚かな歴史を繰り返さないために、安保法案に反対します。そして、隣人たちと平和な関係を築き、未来世代に希望ある社会を手渡すために、戦争を止める知性を、平和をつくる知性を求めつづけます。

呼びかけ人:
姉崎洋一(教育学研究院・高等継続教育学)
石岡丈昇(教育学研究院・社会学)
小田博志(文学研究科・文化人類学)
柿澤宏昭(農学研究院・森林政策学)
加藤博文(アイヌ・先住民研究センター・考古学)
北村嘉恵(教育学研究院・教育史)
蔵田伸雄(文学研究科・倫理学)
笹岡正俊(文学研究科・環境社会学)
敷田麻実(観光学高等研究センター・観光学)
辻 智子(教育学研究院・社会教育学)
戸田 聡(文学研究科・西洋古典文献学)
栃内 新(北方生物圏フィールド科学センター・生物科学)
中村太士(農学研究院・生態系管理学)
西部 忠(経済学研究科・経済学)
波多野隆介(農学研究院・農芸化学)
東山 寛(農学研究院・農業経済学)
三上直之(高等教育推進機構・科学技術社会論)
宮内泰介(文学研究科・社会学)
宮崎隆志(教育学研究院・社会教育学)
山崎幹根(法学研究科・地方自治論)

連絡先:
宮内泰介・小田博志・笹岡正俊(文学研究科) | ampohouanhantai@gmail.com


自由法曹団、「戦争法制の論点 逐条検討・補充意見書」

自由法曹団
 ∟●戦争法制の論点 逐条検討・補充意見書


「戦争法制の論点 逐条検討・補充意見書」
http://www.jlaf.jp/html/menu2/2015/20150804153231_5.pdf

2015年08月04日

上智大学教職員有志、「安全保障関連法案強行採決に抗議し同法案の廃案を求める上智大学教職員有志による声明」

安全保障関連法案強行採決に抗議し、同法案の廃案を求める上智大学教職員有志による声明

安全保障関連法案強行採決に抗議し、同法案の廃案を求める上智大学教職員有志による声明
(2015年7月25日現在:更新中)

A Statement by Concerned Faculty and Staff of Sophia University Denouncing the Forced Passage of Security-related Legislation and Demanding the Rejection of These Bills
(As of July 25, 2015: still being updated)

 2015年7月16日、安倍晋三内閣は衆議院本会議において合計11の法案をまとめた安全保障関連法案を強行採決し、可決しました。同法案については、大部分の憲法学者をはじめ、多くの国民が憲法違反であるとし、また、同法案可決に反対する声が日に日に高まっています。そうした中での強行採決は、立憲政治の根幹を揺るがし、日本における民主主義の存続を危うくする暴挙と言わざるを得ません。
 私たちの上智大学は、キリスト教精神を基底とし、真実と価値を求めて、人間形成につとめることを教育理念の中心に据えています。人格の尊厳と基本的人権の尊重を脅かす戦争への参加を違憲立法で可能にしてしまうことは、「人を望ましい人間へと高める最上の叡智」(Sophia)を追究する本学の使命とおよそ相容れるものではありません。
 満州事変から軍靴の響きが日本国内でも日増しに強まっていた1932年春、カトリック信者の学生数名が軍事教練での靖国神社の参拝を拒否したとして軍部が配属将校を引き上げ、上智大学が存亡の危機に立たされるということがありました。信教の自由、学問の自由への弾圧が強化されるなか、上智大学もまた学生を戦場に送っていくことになりました。
 我々、上智大学教職員有志は、「上智の精神」を胸に立憲主義と民主主義の擁護を求める全てのソフィアンとともに、この強行採決に抗議し、同法案を廃案に持ち込むことを要求します。

On July 16, 2015 the Abe Cabinet forced a total of eleven security-related bills through the Lower House. An overwhelming majority of constitutional law scholars and many Japanese citizens believe these bills to be unconstitutional, and the number of people speaking out in opposition to the passage of these bills is growing day by day. The forced passage of the security-related bills amidst such protests can only be described as a reckless act that shakes the very foundation of constitutional government and threatens the future of democracy in Japan.

At the core of Sophia University’s educational ideal lies the Christian spirit that encourages humans to seek truth and value. This unconstitutional legislation will allow Japan to participate in war, threatening individual dignity and fundamental human rights. This is incompatible with the mission of this university, which is embodied in the meaning of our name “Sophia:” “the wisdom which is expressed in ethical activities that further the goals of human existence.”

In the wake of the Manchurian Incident, the drums of war grew stronger within Japan with each passing day. In the spring of 1932 several Catholic students at Sophia University were said to have refused to pay reverence at Yasukuni Shrine as part of their military training. In response, the military authorities recalled the commissioned officer assigned to the university, jeopardizing the university’s very existence. As the suppression of religious and academic freedom increased, students from Sophia University had to go to the battlefields.

With “the spirit of Sophia” in our hearts, we, the below-named members of the Sophia University faculty and staff, together with all Sophians who seek to defend constitutional government and democracy, denounce the forced passage of the security-related bills and demand their rejection.


2015年7月31日
上智大学教職員有志一同
連絡先: sophiapeaceadvocates@gmail.com

July 31, 2015
Concerned Faculty and Staff of Sophia University
Contact: sophiapeaceadvocates@gmail.com

呼びかけ人
Signed by

青木研(経済学部) 赤羽研三(文学部) 赤堀雅幸(総合グローバル学部) 秋山真一(外国語学部) 飯島真里子(外国語学部) 飯野友幸(文学部) 稲葉奈々子(総合グローバル学部) 井上茂子(文学部) 伊藤毅(国際教養学部) 大澤正昭(文学部) 大竹靖(課程センター) 荻野美佐子(総合人間科学部) 小此木潔(文学部) 片山はるひ(神学部) 加藤幸次(総合人間科学部名誉教授) 川島緑(総合グローバル学部) 私市正年(総合グローバル学部) 鬼頭宏(経済学部名誉教授) 北島玲子(文学部) Bettina Gramlich-Oka(国際教養学部) 黒川由紀子(総合人間科学部) 小山英之(神学部) 權田菜美(グローバル・コンサーン研究所) 斎藤玉緒(理工学部) Sven Saaler(国際教養学部)  進藤美津子(外国語学部名誉教授) 澤田稔(総合人間科学部) 島薗進(グリーフケア研究所) 鈴木雄雅(文学部) David Slater(国際教養学部) 高岡詠子(理工学部) 高橋暁生(外国語学部) 高見勝利(法科大学院) 竹内修一(神学部) 竹田陽介(経済学部) 伊達聖伸(外国語学部) 田中幸子(外国語学部名誉教授) 田中雅子(総合グローバル学部) 谷洋之(外国語学部) 田渕六郎(総合人間科学部) 田村梨花(外国語学部) 寺田勇文(総合グローバル学部) 寺田俊郎(文学部) 東郷公德(外国語学部) Kate Wildman Nakai(国際教養学部名誉教授) 中野晃一(国際教養学部) 中村愛音(グローバル・コンサーン研究所) 長井伸仁(文学部) 根本敬(総合グローバル学部) 幡谷則子(外国語学部) 服部隆(文学部) 林道郎(国際教養学部) 福井直樹(外国語学研究科言語学専攻) 福武慎太郎(総合グローバル学部) 北條勝貴(文学部) Vincente M. Bonet(文学部名誉教授) 松本尚子(法学部) 丸井雅子(総合グローバル学部) 三浦まり(法学部) 光延一郎(神学部) Angela Yiu(国際教養学部) 横山恭子(総合人間科学部) 渡邊久哲(文学部) David Wank(国際教養学部) 渡邉英司(学事局)


2015年08月03日

安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会、知性と良識の「否決」を許さない

安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会

知性と良識の「否決」を許さない

 安倍政権は自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動協力法等を改正する平和安全法制整備法案及び新規立法である国際平和支援法案(以下「安保関連法案」)について、7月15日の衆議院の委員会に続き、翌16日の衆議院本会議においても採決を強行した。私たちは、憲法の根幹にかかわるこの安保関連法案をこのような仕方で採決することに対して、強く反対を表明する。

 安保関連法案が憲法に違反していることは、ほとんどの憲法学者が等しく認めているところである。憲法学者たちの意見表明が、専門家としての知性と良識にもとづくものであることを疑う理由はない。また、法案の内容をよく知るにつれ、多くの人々も憲法学者の意見を支持し、法案の採決に対して慎重な判断を求めるようになっている。人々の見解が市民としての知性と良識を示すものであることもまた疑う理由はない。しかるに安倍政権は、こうした専門家の声にも市民の声にもいっさい耳を傾けることなく、法案を押し通そうとしている。日本に対する外国の脅威を言いつのることで、立憲主義とそのもとでの民主的議論を踏みにじる現政権の態度はそれ自体、知性と良識によって支えられた市民社会にとっての脅威であると私たちは判断する。

 被災地を内に含む東北三県の大学に身を置く私たちは今、心苦しく思っている。東日本大震災においてかけがえのない人を失った人たち、故郷への帰還が今も叶わない人たち、生活の基盤を今も取り戻せない人たち――そうした人たちは、安保関連法案をめぐる動きを伝えるテレビの前で、あるいは新聞の前で何を思うだろうか。

 知性と良識にもとづく民主的議論は、被災地復興のための最も重要な社会的源泉の一つである。民主的議論によって触発される自治と、これによって醸成される市民間の紐帯なくしては、復興がこの社会に生きる私たち全員にとっての課題であることが見失われてしまうだろう。このことは他の脆弱化した地域についても、貧困層の人々の苦境についても当てはまる。被災三県において教育・研究に携わる私たちは、現在そのことを明瞭に再認識し、安倍政権の強引なやり方に強い危惧を覚えている。現政権が立憲主義を踏みにじり、知性と良識を踏みにじったとき、いったいその先に何が起こるのか。知性と良識が法の制定プロセスから排除される前例ができたとき、いったい何が起こるのか。

 私たちは、あの日に始まる苦境に耐えつつ、出口を求め続けている被災者の顔を思い浮かべるとともに、他の多くの脆弱化した地域、人々の呻吟を想像しないではいられない。そして、その苦境をともに乗り越えてゆくための礎となるのは、知性と良識によって支えられた市民間の紐帯に他ならないと強く信ずる。

 安保関連法案の可決が知性と良識の否決である限り、私たちは安倍政権のやり方を断じて認めるわけにはいかない。

2015年7月31日
安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会

呼びかけ人一覧(あいうえお順)
秋永雄一(東北大学教授)
阿久津洋巳(岩手大学教授)
荒武賢一朗(東北大学准教授)
池田成一(岩手大学教授)
石川真作(東北学院大学准教授)
伊藤宏之(福島大学名誉教授)
伊藤幸男(岩手大学教授)
井上博夫(岩手大学教授)
植田今日子(東北学院大学准教授)
上村静(尚絅学院大学准教授)
内田龍史(尚絅学院大学准教授)
海野道郎(東北大学名誉教授)
遠藤隆幸(東北学院大学准教授)
遠藤寿一(岩手医科大学准教授)
大内秀明(東北大学名誉教授)
大迫章史(仙台白百合女子大学准教授)
大平聡(宮城学院女子大学教授)
越智洋三(東北学院大学名誉教授)
郭基煥(東北学院大学教授)
春日菜穂美(盛岡大学教授)
川端浩平(福島大学准教授)
菊池哲彦(尚絅学院大学准教授)
菊池勇夫(宮城学院大学教授)
菊池慶子(東北学院大学教授)
菊地登志子(東北学院大学教授)
北川誠一(東北大学名誉教授)
北村寧(福島大学名誉教授)
木村邦博(東北大学教授)
木村敏明(東北大学教授)
熊沢由美(東北学院大学准教授)
黒坂愛衣(東北学院大学准教授)
黒田秀治(東北学院大学准教授)
桒田但馬(岩手県立大学准教授)
後藤康夫(福島大学教授)
後藤宣代(奥羽大学非常勤講師)
小林一穂(東北大学教授)
小林睦(東北学院大学教授)
小松丈晃(東北大学准教授)
小宮友根(東北学院大学准教授)
齋藤直樹(盛岡大学教授)
齋藤博次(岩手大学教授)
境田清隆(東北大学教授)
酒井朋子(東北学院大学准教授)
坂田勝彦(東日本国際大学准教授)
佐久間政広(東北学院大学教授)
座小田豊(東北大学総長特命教授)
佐々木俊三(東北学院大学教授)
佐藤英世(東北学院大学教授)
佐藤滋(東北学院大学准教授)
佐藤利明(石巻専修大学教授)
佐藤直由(東北文化学園大学教授)
佐藤嘉倫(東北大学教授)
三條秀夫(東北学院大学准教授)
信太光郎(東北学院大学准教授)
清水修二(福島大学特任教授)
下夷美幸(東北大学教授)
白鳥圭志(東北学院大学教授)
末永恵子(福島県立医科大学講師)
杉山弘子(尚絅学院大学教授)
鈴木努(東北学院大学准教授)
高木竜輔(いわき明星大学准教授)
高倉浩樹(東北大学教授)
高瀬雅男(福島大学名誉教授)
高橋早苗(仙台白百合女子大学教授)
高橋直彦(東北学院大学教授)
高橋満(東北大学教授)
武井隆明(岩手大学教授)
竹井英文(東北学院大学講師)
田中史郎(宮城学院女子大学教授)
津上誠(東北学院大学教授)
土屋明広(岩手大学准教授)
徳川直人(東北大学准教授)
永井彰(東北大学教授)
中川学(東北大学講師)
永田英明(東北大学准教授)
永吉希久子(東北大学准教授)
野家啓一(東北大学総長特命教授)
野崎明(東北学院大学教授)
長谷川公一(東北大学教授)
羽田さゆり(東北学院大学講師)
浜田宏(東北大学准教授)
原塑(東北大学准教授)
半田正樹(東北学院大学教授)
坂内昌徳(東北学院大学准教授)
東義也(尚絅学院大学教授)
比屋根哲(岩手大学教授)
藤野美都子(福島県立医科大学教授)
冬木勝仁(東北大学准教授)
細谷昻(東北大学名誉教授)
堀裕(東北大学准教授)
槇石多希子(仙台白百合女子大学教授)
松前もゆる(盛岡大学准教授)
三須田善暢(岩手県立大学准教授)
宮本直規(東北学院大学講師)
麦倉哲(岩手大学教授)
森美智子(東北学院大学教授)
門間俊明(東北学院大学講師)
柳沢文昭(盛岡大学教授)
柳原敏昭(東北大学教授)
安田勉(尚絅学院大学教授)
山崎冬太(東北学院大学准教授)
横山英信(岩手大学教授)
渡部友子(東北学院大学准教授)
以上103名


安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会、声明

安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会

「汝、殺すなかれ(出エジプト記20章、モーセ「十戒」より)」。ひとがお互いに殺し、殺され合う場に駆り出されないように私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

 第二次世界大戦終結後70年の今、私たちは重大な岐路に立っています。安倍晋三政権は新法の「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」を国会に提出し、審議が行われています。先日7月15日には衆議院平和安全法制特別委員会、16日には衆議院本会議で強行採決・可決されました。27日には参議院での委員会審議が始まっています。

 これら政府の謂う「安全保障関連法案」は、日本国憲法第 9 条 に違反するものであり、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変えようとするものです。安倍政権がこれを、衆議院において十分に説明を果たさないまま審議を打ち切り、強行採決によって可決したことは、日本の立憲主義と民主主義を破壊する行為です。私たちは憲法に基づき、学問と良識の名において、国会がこれらの法案を廃案とすることを強く求めます。

 フェリス女学院は、キリスト教の信仰に基づく女子教育を行うことを建学の精神とし、「For Others」という教育理念を掲げています。建学以来の永い歴史のなかで自然に人々の心の中で形をなし、学院のモットーとして受け継がれるようになりました。このことば「他者のために」は、自分やちかしい人だけではなく、より広い視野から他者の存在をも考えに入れて、他者のために行動するという規範を意味するものであり、「集団的自衛権行使」などという名の武力行使・軍事介入=戦争を決して容認するものではありません。その本学も、戦時下の1941年、校名を「横浜山手女学院」と変更を余儀なくされた時期がありました。

 戦争はかけがえのないいのちを持った若者たちを戦場に送り込み、その場で殺し殺されることを強要することを意味します。そして、子どもたちを含む多くの犠牲者を生み出し、いのちの尊厳を踏みにじるものです。「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし/槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず/もはや戦うことを学ばない。(イザヤ書2章4節)」過去の悲惨な侵略戦争の反省の上に立って戦後日本が国是としてきた平和主義に逆行し、あらたに戦争への道を開く安全保障関連法案の衆議院強行可決に、私たちは強く抗議し、法案の即時廃案を要求します。

2015年7月
安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会


呼びかけ人(各学部五十音順)

文学部:井上 惠美子、梅﨑 透、小ヶ谷 千穂、齋藤 孝滋、島村 輝、髙田 明典、田中 里奈、
谷 知子、中川 正紀、福永 保代、藤本 朝巳、諸橋 泰樹、由井 哲哉、吉田 弥生、饒平名 尚子、
渡辺 信二、渡辺 浪二

音楽学部:川本 聡胤、瀬藤 康嗣、谷口 昭弘、土屋 広次郎、船場 ひさお、堀 由紀子

国際交流学部:荒井 真、泉谷 陽子、江上 幸子、大西 比呂志、木曽 順子、金 香男、佐藤 輝、
高雄 綾子、高柳 彰夫、田丸 理砂、常岡(乗本) せつ子、中塚 次郎、ヒガ,マルセーロ、
矢野 久美子、横山 正樹、和田 浩一

情報センター:内田 奈津子

留学生センター:椎名 渉子

安保関連法案廃案を求める日本大学教員の会、「今国会での安全保障関連法案の廃案を求める声明」

安保関連法案廃案を求める日本大学教員の会

今国会での安全保障関連法案の廃案を求める声明


安保関連法案廃案を求める日本大学教員の会


 現在国会では,与党自由民主党・公明党によって,集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案(「平和安全法制整備法案」および「国際平和支援法案」)11件が上程され,議論が充分尽くされないままに7月15日には衆院特別委員会で強行採決のうえ可決,翌16日には衆院本会議で野党5党の批判をはねのけて可決されました。
 この法案は第二次大戦後70年間維持された「戦争放棄」という理念を破るものではないか,という不安が国民のあいだで高まっており,さらに圧倒的多数の憲法学者から憲法違反すら指摘されています。政府が説明をすればするほど反対意見が増加しているという結果も世論調査によって明らかになっています。それに対してこの間,多数の市民たちとともに全国の学生や大学教員も「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」や「安全保障関連法案に反対する学者の会」を組織して活発に抗議行動を行っています。
 こうした現状に鑑みるに,衆院で世論の動向を無視した拙速な「強行採決」を敢行したことは政権与党としての義務に悖るものでした。
 私たち日本大学教員の研究分野はさまざまで,日本の安全保障・憲法に対する考え方も一致するわけではありませんが,学問的真理を追究するという姿勢は共有されています。その観点から,憲法違反の疑いがあるうえ適用基準が曖昧でときどきの政権の恣意性を許容する法案を不適切と考えます。また未来の社会を担うべき学生の教育に携わる者として,今後日本国が国際的武力紛争そして戦争に積極的かつ無際限に加担してゆく可能性を開く法案を不適切と考えます。
 ここに私たちは安全保障関連法案を徹底的に審議したうえで,廃案とすることを求めます。

2015年7月29日

呼びかけ人 荒木田英禎(工),飯田隆(文理・哲学*),石井直紀(理工),石川晃司(文理),石浜弘道(理工),井尻直彦(経済),糸長浩司(生物資源),小平麻衣子(文理),小野雅章(文理),片山義博(生物資源),金田耕一(経済),権赫旭(経済),後藤範章(文理),小浜正子(文理),小林信一(生物資源),小山由美(薬),近藤直子(文理),坂野徹(経済),清水みゆき(生物資源),杉本竜也(法),高橋巌(生物資源),竹内真人(商),武廣亮平(経済),丹治信春(文理),土屋好古(文理),長沼宗昭(法),野口邦和(歯),初見基(文理),広田照幸(文理),藤原孝(法),松重充浩(文理),水野和夫(国際関係),村上英吾(経済),安原伸一朗(商),山岸郁子(経済),山口守(文理),吉田洋明(理工)[50音順・括弧内は所属学部](*同学部に同姓同名の方がおられるためこのような表記をします。)

非常勤講師組合、共同声明「安全保障法関連法案の制定・改定に反対する声明」

首都圏大学非常勤講師組
 ∟●安全保障法関連法案の制定・改定に反対する声明

安全保障法関連法案の制定・改定に反対する声明

 2015年、日本政府は、自衛隊法、武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動協力法等を改正する平和安全法制整備法案、及び新法としての国際平和支援法案を閣議決定し、5 月 15 日の沖縄「復帰」記念日に、衆議院への法案提出を行いました。そして 7月16日には、衆議院本会議がこれらの法案を可決しました。 日本国憲法前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。集団的自衛権の名のもとに、他国の戦争に武力で介入すれば、他国の国民の、平和のうちに生存する権利を否定することになります。また、第 9 条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とうたっています。違法・不当な侵略を受けていない状態で日本が他国に武力介入することは、国際紛争を解決する手段としての武力の行使に他なりません。
 社会は自由で平等な個人の契約によって成立するとジョン・ロックは主張しました。民主主義の精神とは、同意による社会の運営です。私たち非常勤講師組合は、どのような交渉相手に対しても、説得と同意により多くの問題を解決してきました。どれほど理不尽な事件・相手であっても、誠実な交渉は必ず良い結果をもたらします。それは憲法前文がいうように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」からです。世の中に、殺人や暴力でしか解決できない問題は存在しないと、私たちは強く実感しています。
 この法案は、他国の政府や他国民を対等な相手として扱わず、問答無用の殺人や暴力で解決することを目指すものに他なりません。現在、沖縄の辺野古で日米両政府が強行に推進している新基地建設も、自国の民意を省みない暴挙であり、これまでの日本の外交努力による世界平和の推進を無化するに等しい行いです。私たちは、それをいかなる理由においても認めることはできません。それは日本国憲法、私たちの活動のみならず、人類の進化と発展そのものの否定になるからです。
 よって、私たち非常勤講師組合は、基本的人権の保障を活動目的に掲げる団体の使命として、また教育研究に携わる者の社会的使命として、その違憲性を訴え、これら安全保障法制の制定・改定に強く反対いたします。そして「7/14 緊急シンポジウム学者の会×SEALDs KANSAI」やこの法案に反対する全ての組織、人々、集会、声明に賛同し、連帯いたします。

2015年7月28日

首都圏大学非常勤講師組合
東海圏大学非常勤講師組合
関西圏大学非常勤講師組合
大学等非常勤講師ユニオン沖

北大職組、「立憲主義に反する安保法制強行採決に抗議する」

北大職組
 ∟●立憲主義に反する安保法制強行採決に抗議する

立憲主義に反する安保法制強行採決に抗議する

 7 月 16 日に衆議院本会議で安保法制案の採決が強行されました。本法案が,集団的自衛権の行使を禁止している日本国憲法に違反していることは,多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官が指摘しているところです。憲法違反の法案採決を強行することは,「国家権力の暴走を防ぐための憲法」という立憲主義の立場を否定するものであり,およそ民主国家として許されるものではありません。
 本法案の内容は,世界のあらゆる場所で,米軍への補給活動を可能にするというものです。近代戦において補給が戦争行為の一部であることは常識であり,その行為が相手側からの攻撃の対象とされることは必至です。米軍と一体となって活動する日本は,テロの対象となるでしょう。このように,本法案は,日本を戦争行為に巻き込むものです。本来,国の安全は,他国と武力で対抗することで得られるものではなく,粘り強い平和外交によってこそ確保されるものです。このことは,第 2 次世界大戦の教訓であり,その考えは日本国憲法に明確に述べられているものです。今国会の討論では,「補給活動で危険を感じたら撤退するから安全は確保される」などと答弁して本法案の問題点に対して,安倍内閣はまともに答えようとしていません。その結果,世論調査でも,多くの国民が法案の内容が十分説明されていないと感じており,今国会での成立に反対しています。また,国民の理解が得られていないことは,法案を提出した安倍総理自身がみとめているところです。にもかかわらず,採決が強行されたことは民主主義を否定する暴挙です。一部周辺国の領土問題での態度をことさら誇張して危機をあり,それを理由に法案成立を正当化することは断じて許されません。平和であってこそ、学問の自由があります。民主主義が育ってこそ、大学の自治も守られます。本大会は,大学の根幹をも揺るがしかねないこうした暴挙に強く抗議するとともに、安保法案の廃案を強く求めるものです。

2015年7月25日
北海道大学教職員組合定期大会

2015年08月01日

戦後70年・安保法制を許さない京都の大学人の集い

戦後70年・安保法制を許さない京都の大学人の集い

 
 2015年7月15日の衆議院・平和安全法制特別委員会での強行採決、そして翌日の衆議院本会議での強行採決から約半月が経過しました。7月27日からは参議院特別委員会での法案審議が開始されましたが、私たちはこの暴挙に対して強く抗議するとともに、引き続き法案に対する反対する運動を強め、参議院で廃案にしていく決意を強くしています。
 安保法制が強行されれば、立憲主義と民主主義が否定され、日本国憲法が蹂躙されることになります。そして、大学は「戦争のための学問」に貢献することを強制されることが危惧されます。さらに、学生たちが戦場へ送られる危険性も強まることになります。戦後70年という節目の年に、私たち大学人-教職員と学生-は、このようなことを決して許すことはできません。
 この間、京都でも多くの大学で教職員と学生による運動が広がっています。それは、全国各地で取り組まれている、さまざまな階層の方々の取り組みと共鳴するものになり、全国の運動に対しても励ましを与えるものとなっています。
 こうした状況を踏まえ、私たちは京都におけるさまざまな大学、さまざまな大学人の皆さんと運動を交流し、法案反対に向けた運動の前進を図りたいと考え、以下の要領で「戦後70年・安保法制を許さない京都の大学人の集い」を企画しました。緊急の呼びかけでありますが、多数の教職員や学生のみなさんにぜひ「集い」にご参加いただきますようお願いいたします。

*日 時:2015年8月5日(水) 18:30~20:00(18:00開場) *場 所:アバンティ9階・龍谷大学「響都ホール」 ※ 京都駅八条東口から徒歩1分 (https://www.ryukoku.ac.jp/ryudaihall/access/) *基調報告: 山室信一氏(京都大学人文科学研究所教授、近代法政思想史/元衆議院法制局参事) *リレー・トーク:   京都大学(「自由と平和のための京大有志の会」発起人)、同志社大学(グローバル・ スタディーズ研究科・岡野八代氏)、立命館大学(法学部・小松浩氏)、龍谷大学 (All Ryukoku Anti Warほか)など。 *その他:参加費無料。

主催:「戦後70年・安保法制を許さない京都の大学人の集い」実行委員会
        <連絡先>
         龍谷大学「安全保障関連法案の撤回を求める声明」事務局・細川孝
          e-mail:hosokawa@biz.ryukoku.ac.jp
京滋地区私立大学教職員組合連合書記局・佐々江洋志
     e-mail:kfpu@ari.bekkoame.ne.jp


2015年07月29日

全大教,公大協,私大教連、安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール

全大教
 ∟●安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール

安全保障関連法案に反対する国公私立大学教職員組合の共同アピール


 安倍政権と与党は7月15日衆議院特別委員会、翌16日の本会議で、11本に及ぶ安全保障関連法案を強行採決し、衆議院を通過させました。私たちはこの暴挙に対し怒りをもって抗議します。
 日本国憲法は、その前文で「全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生きる権利を有することを確認する」と謳うとともに、それを具体的に実現するため、第九条において戦争の放棄と戦力の不保持を定めています。この規定にもとづいて、日本は第二次世界大戦後70年にわたり、自ら武力行使や武力による威嚇に加わらない態度を堅持してきました。
 しかし、安全保障関連法案は、米国が世界で行なう戦争に際して、いつでも・どこでも・どんな戦争でも、自衛隊が支援・参加することを可能とし、日本を戦争に巻き込むものです。もし、この法案にもとづいて米国の艦船への攻撃に対処して自衛隊が反撃すれば、それは日本が先に攻撃したことになり、相手に日本を攻撃する正当性を与えます。戦闘地域での「後方支援」活動への参加も、国際法上、武力行使と一体化した「兵站」であり、戦争当事国となるのは周知のことです。海外に派遣される自衛隊員を含め、日本国民の生命・財産を危険にさらす「戦争法案」であると言わざるをえません。
 この安全保障関連法案に対し、200名を超える憲法学者が違憲であると指摘し、その廃案を求める声明を発表しています。「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピールに賛同する学者・研究者は1万2千人を超えています。学生・若者たち、広範な市民が国会周辺はもとより全国各地で反対の声を上げています。報道各社の世論調査では、大多数の国民がこの法案に関する国会での審議は不十分であるとの認識を示し、今国会での成立に反対し、あるいは法案そのものに反対しています。
 しかし安倍政権は、こうした反対世論を無視し、「世界情勢の変化にあわせて憲法解釈を変えるのは当然」などと強弁を重ねています。立憲主義を公然と否定し、学問研究を愚弄する安倍政権の姿勢は、体制を批判する学問や言論を弾圧して破滅への途をひた走った戦前の軍国主義国家を彷彿とさせるものです。
 第二次世界大戦中、学徒動員により多くの学生が戦場に送り出されてきました。いま再び、若者・学生を戦場に駆り出し、世界の市民と日本の国民の生命と安全を危険に晒すことへとつながるこの法案を断じて認めることはできません。私たちは、国公私立大学及び高専を含むすべての高等教育機関の教育・研究と学生たちを守るために、この安全保障関連法案の廃案をめざすたたかいに総力を尽くす決意を示すとともに、高等教育機関で働くすべての教職員のみなさんに、このたたかいに参加されることを心より呼びかけます。

2015年7月28日

全国大学高専教職員組合(全大教)
全国公立大学教職員組合連合会(公大連)
日本私立大学教職員組合連合(日本私大教連)


憲法研究者204人、安保法案廃案求め声明

2015年7月28日19時57分

 大学の憲法研究者が28日、参院議員会館で記者会見し、「安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」を204人の連名で発表した。与党による衆議院での法案審議と強行採決は「議会制民主主義に反する」と強く抗議。法案が憲法9条などの憲法規範に違反し、危険性が明らかになったとして、すみやかな廃案を求めた。

 礒崎陽輔・首相補佐官が安保法案に絡んで「法的安定性は関係ない」と発言したことについて、永山茂樹・東海大学教授は「法的安定性の軽視とは、憲法だけでなく法秩序自体や法に基づく統治のあり方を軽視することだ。立憲主義の否定や憲法への無理解といった姿勢が象徴的に表れた発言だ」と批判した。

 賛同したのは青井未帆・学習院大教授、浦田一郎・明治大教授、浦部法穂・神戸大名誉教授、杉原泰雄・一橋大名誉教授、渡辺治・一橋大名誉教授ら204人。

     ◇

■「憲法研究者の声明」全文

 28日に発表された「安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」の全文は以下の通り。

 安倍晋三内閣が国会に提出した安保関連法案について、私たち憲法研究者は、さきに発表した6月3日の声明文において、そのすみやかな廃案を求めた。この声明は230名を越える多くの憲法研究者の支持を得て、前例のない広がりをみせている。

 私たちが法案に反対したおもな理由は、第一に、法案策定までの手続が立憲主義、国民主権、議会制民主主義に反することであった。第二に、法案の内容が憲法9条その他の憲法規範に反することであった。

 しかし安倍晋三内閣、および自民・公明両党はこのような私たちの、そしてそれと歩調をともにする国民多数からの批判と要求に耳をかそうとせず、7月16日、衆議院本会議で強行採決を行い、法案を通過させるにいたった。

 この間の法案審議において、この安保関連法案が憲法9条その他の憲法規範に反することがますます明らかになった。それはたとえば、①「存立危機事態」における「我が国と密接な関係にある他国」や「存立危機武力攻撃」などの概念がきわめて不明確であり、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないこと、②砂川事件最高裁判決を集団的自衛権行使容認の根拠とすることはまったくの失当であること、③1972年の政府見解の「読み替え」による集団的自衛権容認には道理がないこと、④自衛隊による「支援活動」は外国の武力行使との一体化は否定できず、憲法9条1項に違反するものであること、⑤自衛隊による米軍等の武器等防護は、武力の行使すなわち集団的自衛権行使へと発展しかねないこと、などの点である。

 また議会制民主主義に必要な審議の時間をとらず(そのことはPKO法案と廃案になった国連平和協力法案の審議の際には衆議院で158時間の審議時間をとったことと比較しても明らかである)、さらに内閣が野党から出された質問に対して真摯な答弁を行おうとしなかったため、多くの重要な論点は、事実上手つかずのまま放置されている。それはたとえば、①「存立危機事態」、「重要影響事態」、「武力攻撃予測事態」などの概念の関係が不明確であること、②「存立危機事態」のさいの地方公共団体、指定公共機関の協力の内容と義務付けの度合いが不明確であること、③支援活動に当たる自衛隊員が戦闘員として扱われず、他方武器を携帯している以上文民とも扱われず、その法的身分が著しく不安定なこと、といった点である。

 私たちは、こういった状況を憂い、以下表明する。

 1、衆議院における安保関連法案の審議と強行採決は、議会制民主主義に反するものである。これについて強く抗議する。

 2、安保関連法案は、憲法9条その他の憲法規範に反しており、その危険性がますます明らかになった。このことにかんがみて、法案のすみやかな廃案をかさねて強く求める。

 2015年7月28日


安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の声明

安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の会

安全保障関連法案に反対する一橋大学有志の声明

 日本の敗戦から70年目にあたる今年は、あらためて、民主主義の重要性を確認するとともに、侵略戦争と植民地主義の歴史を省察し、アジア平和外交と人権が尊重される社会を築く責任を深く自覚し、それを果たすために尽力すべき大切な年だといえます。しかし、現実の政治は、おなじ「平和」という言葉を用いながらも、本来あるべきその姿とは逆行しています。その最たるものが、安倍内閣が閣議決定し、今国会に提出した「国際平和支援法」「平和安全法制整備法」の安全保障関連法案です。
 安全保障関連法案は、従来の政府解釈においても、日本国憲法第9条に照らして違憲とされてきた、集団的自衛権の行使を認め、自衛隊による海外での武力行使へと途をひらくものです。武力は、これまでも多く「平和」を旗標に行使されてきましたが、絶えざる紛争や報復の連鎖は、武力行使が真の平和をもたらす手段たり得ないことを物語っています。武力行使は、それがたとえ「平和」を掲げるものであっても、決して容認されるべきではありません。
 かかる陥穽は、それを見抜いた専門家や地方議会や市民などによって指摘され、警鐘が鳴らされてきました。そして、多くの人びとのあいだに法案に対する不信や反対の声が高まり、安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」と認めざるを得ない情況となりました。しかしながら、国会で与党が多数を占めていることを背景に、強引に審議が進められ、衆議院において強行採決がおこなわれたのです。こうした手法は、民主主義の根幹を揺るがすものとして、断じて看過できません。
 また、昨今国立大学法人をはじめとした日本の大学で進みつつある、人文・社会科学の整理・縮小や、日の丸・君が代の取り扱いをめぐる「適切」な判断の要請といった、大学における学問研究の自由や、自治を脅かす施策は、民主主義の危機という意味で、安全保障関連法案とも通底します。顧みれば、アジア太平洋戦争下に東京商科大学として存在していた一橋大学は、文科系学生の徴兵猶予の撤廃にともなって多くの学生を戦地に送りだしたのみならず、文科系大学を整理する施策のもと、工業経営専門部の設置や東京産業大学への改称といったかたちで、戦時体制に組みこまれていった歴史をもっています。一橋大学のみならず、戦時下に多かれ少なかれ戦争遂行に加担した大学や学問研究は、戦後、それに対する反省を踏まえて再出発しました。こうした大学や学問研究の歩みを、今こそ想起すべきです。
 以上のように、安倍政権が目指す方向性は、立憲主義・平和主義・民主主義、そしてそれらと密接に関わる大学や学問研究の歩みを根底から覆すものに他なりません。私たち一橋大学関係の有志一同は、ここに、安全保障関連法案に強く反対する意思を表明します。

2015年7月26日

呼びかけ人(各研究科50音順)
商学研究科:越智博美、河野真太郎、米倉誠一郎 

経済学研究科:石倉雅男、高柳友彦、寺西俊一、福田泰雄、山下英俊 

法学研究科:阪口正二郎、只野雅人、長塚真琴、森千香子 

社会学研究科:秋山晋吾、石居人也、伊藤るり、大河内泰樹、加藤圭木、貴堂嘉之、木村元、木本喜美子、坂元ひろ子、佐藤仁史、平子友長、高須裕彦、中野聡、中野知律、阪西紀子、森村敏己、山田哲也、吉田裕、若尾政希、渡辺尚志 

言語社会研究科:井上間従文、鵜飼哲、小岩信治、中井亜佐子、中山徹 

院生:院生自治会有志

2015年07月28日

大阪市立大学教職員有志、声明「私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます」

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志の会

私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます。

 多数のひとが反対する安全保障関連法案が衆議院で採決されました。参考人として国会で意見を述べた憲法学者が相次いで違憲と判断したこの法案に対して、多くの人々が反対の声を挙げています。私たちは、立憲主義を擁護する立場から、そして国際平和と民主主義を守る立場から、この法案に反対します。

 ある時点の選挙で多数となった党派が、すべての民意を汲みとったことになるわけではありません。私たちは、私たちの過去の世代の過ちと犠牲を直視し、まだ見ぬ未来の世代にたいして責任をもった判断を行うべきであると考えます。今回の安全保障関連法案の審議と採決は、私たちの過去と未来を見据えて十分に議論した結果であるとは到底いえない経過をたどってきました。

 日本は、侵略戦争と植民地支配により甚大な被害と耐えがたい惨状を引き起こした歴史を有しています。未だ日本は、自らの加害について十分な反省と償いをなし得ているとはいえません。安倍晋三政権は、過去に目を閉ざしつつ、今まさに戦争を可能とする法制度の確立に突き進もうとしています。

 現在、教育の場では、多様なルーツを持つ学生たちが席を隣にして学んでいます。集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案の成立は、まさにこの学びの場を敵対の場へと変えてしまうものです。私たちは、学生たちが多様な他者とともに生きる場を生み出す教育に携わるものであり、日本と世界の将来を担う若者を戦争の場へ送り出すことを許す法案に賛同することはできません。

 過去に侵略戦争と植民地支配を引き起こした各国のなかで、不戦を誓う憲法九条を掲げているのは、日本だけです。集団的自衛権の行使容認を核に据えた安全保障関連法案は、70年近くにわたり日本の平和を守ってきた憲法を空洞化させるものです。

 日本国憲法の精神はけっして古びてはいません。人権宣言の理念は200年以上ものあいだ、私たちの道標として参照されつづけています。私たちは、二度と戦争を起こさないと先達が誓った日本国憲法とその理念を、後世に伝えていく責任を負っています。

 私たちは、日本国憲法の理念に反する安全保障関連法案を断固拒否します。

2015年7月

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志

発起人(五十音順)

青山 和司(経営学研究科)
伊地知 紀子(文学研究科)
植松 千代美(理学研究科)
柏木 宏(創造都市研究科)
金信 泰造(理学研究科)
川野 英二(文学研究科)
小伊藤 亜希子(生活科学研究科)
佐賀 朝(文学研究科)
新ヶ江 章友(創造都市研究科)
土屋 貴志(文学研究科)
中瀬 哲史(経営学研究科)
西垣 順子(大学教育研究センター)
稗田 健志(法学研究科)
野田 昌吾(法学研究科)
福島 祥行(文学研究科)
古久保 さくら(創造都市研究科)
増田 聡(文学研究科)
三島 聡(法学研究科)
村田 正博(文学研究科)
安竹 貴彦(法学研究科)

東北大学職員組合、特別決議「『安全保障関連法案』の衆院通過に抗議し、同法の廃案を求めます」

東北大学職員組合
 ∟●特別決議(2015/7/27)

特別決議

『安全保障関連法案」の衆院通過に抗議し、同法の廃案を求めます

 7 月 16 日、いわゆる「安全保障関連法案」(「安保法案」)が衆議院本会議を通過 しました。政府与党は、この法案について、「日本人の命と平和な暮らしを守るため」 に集団的自衛権を限定的に行使できるようにするものだと主張しています。
 しかし、国会審議を通じて、自衛隊とアメリカ軍等との共同作戦を世界中どこでも行 えるようにするものであるという法案の本質が、いよいよ明らかとなりました。また、 内容が極めて暖昧で、いくらでも拡大解釈が可能であるということも浮き彫りになりま した。まさに戦争を行えるようにするための法案であり、戦後 70 年間平和国家として 歩んできた日本のかたちを大きく変えようというものです。
 そして、そもそも法案自体が憲法に違反していることが明らかになったことは重大で す。
 これまで政府は、日本国憲法の下では、集団的自衛権は行使できないとの見解を一貫 して維持してきました。それにもかかわらず憲法解釈の変更によって行使できると強弁 し、自民・公明両党の合意によって作られたのが今回の法案です。
 しかし、大多数の憲法学者、弁護士、元裁判官といった憲法や法律の専門家にとどま らず、歴代の内閣法制局長官までもが法案の違憲性を指摘するところとなりました。
 一内閣が自分に都合よく憲法解釈を変えられるということになれば、あるいは国会の 多数勢力であれば明らかに違憲の法案も通せるということになれば、立憲主義の原則が 崩れ、法治国家の根幹が揺らぐことになります。すでに施行されている特定秘密保護法 と合わせると、それは独裁政治への道です。
 こうした法案に反対し、政府与党のやり方を批判する声が国民の間で大きくなって いったのは当然のことです。各種世論調査では、日がたつにつれて法案反対の割合が高 まりました。法案に対する国民の理解が進んでいないのではなく、法案の危険性に対す る国民の理解が確実に深まっているのです。
 ところが政府与党は、95 日という異例の国会会期延長を行った末、7 月 15 日、数を たのんで衆院特別委員会において強行採決を行い、翌日の本会議で法案を通過させてし まいました。この暴挙に対し、私たちは強く抗議します。
 一方、7 月 17 日、安倍首相は新国立競技場建設計画の見直しを言明しました。この ことは、国民の世論が高まれば政府が一度決定したものも覆せるということを、さらに は政府が外国に向けて公言したことであろうとも白紙に戻せるということを示していま す。「安保法案」の衆院通過後も、国会周辺で、全国で、仙台で、反対の運動は衰えて いません。直近の世論調査では、内閣支持率も 30%台に急落しています。すでに法案 の成立は確実になったかのような報道もありますが、参議院にもハードルはいくつもあ り、廃案に追い込める可能性はまだまだあります。
 東北大学職員組合は、「安保法案」の廃案を求めるとともに、多くの国民と連帯しな がら、廃案へ向けた運動を進めることをここに決議します。

2015 年 7 月 25 日
東北大学職員組合 2015 年度定期大会

2015年07月27日

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会アピール

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会

安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会アピール(案)

2015年7月15日、国会に提出されていた「国際平和支援法」及び安全保障関連10法を一括して改正する「平和安全法制整備法」が衆議院安全保障法制特別委員会にて、また16日には、本会議にて自民・公明両党などによる強行採決が行われました。

これらの法案の強行採決は、国の安全保障にかかわる重要な事項であるにもかかわらず2014年7月に閣議決定のみで歴代政府が否定してきた集団的自衛権の行使を容認するために十分な審議を尽くさず、いとも簡単に憲法解釈を変えてしまい、その具体化として遂行されてきたものです。一方で、どのような事態になると集団的自衛権の行使が可能になるのかということについては十分な説明はなされておらず、事実上、政府の判断で行えるというきわめて曖昧かつ歯止めが存在しないことが明らかになっています。

集団的自衛権の行使を行うということは、他国の戦争に加担、あるいは巻き込まれる危険性が確実にリスクを高めるものです。わが国が、戦後70年、第2次世界大戦における侵略と甚大な被害の歴史の深い反省に基づいて、「殺し、殺されない」国づくりを進め国際社会に築いてきた信頼を真っ向から否定し「殺し、殺される」国へ向かわせる重大な懸念を抱かせる暴挙といわざるを得ません。

また、こうしたリスクの拡大の一方で、自衛隊員が減少する事態が引き起こされており、文部科学省の大学生の経済支援に関わる有識者の中には、「奨学金の返済ができない者は自衛隊での就業体験を」といった声も上がってきています。

私たちは、それぞれの立場でこれらの法案と向きあうことになります。教職員や親の立場から「教え子や子どもたちを戦場に送りたくない」、そして、学生や若者たちも、「戦争で死にたくない」あるいは「戦争で恋人や愛する人を殺されたくない」という思いを持っていることでしょう。戦争で犠牲になるのは、若者、子どもたち、高齢者、障害者といった社会的に弱い立場にある人々や罪のない一般市民であることをあらためて認識しなければなりません。

ここに「安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会」を結成し、法案審議における民主主義を否定する手法と立憲主義を踏みにじる安全保障関連法案に強く反対していくことを表明します。

2015年7月21日
安全保障関連法案に反対する岐阜経済大学有志の会

<呼びかけ人>(順不同)
髙木 博史(経済学部准教授) 
宇佐見 正史(経済学部教授)
樋下田 邦子(経済学部教授)
木村 隆之(名誉教授)
藤井 えりの(経済学部講師)


安保法案に反対する金沢大学の会、声明「安全保障関連法案の強行採決に抗議し、その廃案を求めます」

安保法案に反対する金沢大学の会

安全保障関連法案の強行採決に抗議し、その廃案を求めます

 2015年7月16日に、安全保障法制に関わる11もの法案が衆議院本会議で可決されました。私たち「安保法案に反対する金沢大学の会」は、本法案の強行採決に強く抗議し、その廃案を求めます。

 「戦争をする国」への転換を意図する本法案は、これまで日本社会に生きる人々が継承してきた平和への意思を根こそぎ否定するものです。明治以降の一連の戦争に対する痛苦の反省を胸に、戦後日本社会は「戦争をしない国」へと生まれ変わることをめざし、保守から革新までの間で一定の合意を積み重ねてきました。戦時期、高等教育機関は、多くの若者を戦場に送り出し、軍国体制に寄与する研究を推進しました。金沢大学を含む戦後の大学は、そうした戦前の高等教育に対する強い反省の下に、学問の自由と大学の自治のもとで、平和で民主的な社会の創造に寄与する真理を探求することを目指してきました。もちろん、戦後日本社会の平和への取り組みをそのまま肯定できるかといえば、そこは議論になるでしょう。しかし、だからこそ、私たちは、戦後70年を迎えてもなお、これまで培ってきた文化を継承しながらも、暴力の連鎖を止め、多くの国の人々を犠牲にした惨禍を二度と起こさないという強い決意とともに、人間の尊厳、自由および正義をめぐる認識を深化させるべく努力を続けていかなければならないのです。本法案は、そうした私たちの意思とは真逆の方向へと舵を切るものであり、反対せざるを得ません。

 そもそもこの法案は、この国の根本体制である日本国憲法と、歴史的に築き上げられてきた立憲主義をないがしろにするものです。既にメディアなどで報道されているとおり、圧倒的多数の憲法学者、内閣法制局長官経験者を含む多数の法律の実務家は、この法案が日本国憲法第9条に違反していると主張しています。いわゆる「砂川判決」の部分的な文言だけで正当化しようとする与党の説明は、憲法違反への疑問を解消するものとはとうてい言えません。かつての自民党の重鎮までもが、安倍政権を批判し始めているのはそのためです。安保法制への反対を表明する学者(「安全保障関連法案に反対する学者の会」)は、既に10000人を超え、日々増えつつあります。これは、知性と学問的真理を軽視する権力者に対して、学問にたずさわる者たちが理性的な怒りを表明したものです。真理が権力者の恣意によってねじ曲げられることがあってはなりません。

 そして、何より、専門家だけでなく、日本社会に生きる多数の人々が、この法案の成立に強く反対しています。国会前では連日のように、安保法案に反対する多くの人々が集っており、地方議会でも法案の反対や慎重な審議を求める声明が次々と決議されるなど、安保法制反対の声は全国各地で日ごと高まっています。各種メディアの世論調査でも、安保法制を疑問視する人々が多数を占め、国会論戦が行われる中で、安倍政権に対する支持率も急降下しています。にもかかわらず、与党は、大多数の国民の声を無視し、法案を衆議院で強行採決しました。これは、民主主義の根幹をゆるがす暴挙にほかなりません。私たちは、この国の民主主義を守るためにも、声を上げたいと思います。

 金沢大学は、世界の平和と人類の持続的な発展に資することを理念とし、「地域と世界に開かれた」大学として、常に社会を生きる人々の営みから学びながら、学問真理を探求すると同時に、その真理を人々と分かちあうために、不断の努力を重ねてきました。現在の安全保障関連法案はこの金沢大学の理念に著しく反するものと判断せざるを得ません。私たちは、安全保障関連法案の強行採決に強く抗議すると同時に、同法案を廃案にすることを強く求めます。

2015年7月24日

安保法案に反対する金沢大学の会

呼びかけ人(50音順)
碇山 洋 石黒盛久 市原あかね 入江浩司 岩本健良 岡田 努 小澤裕香 數見由紀子 河合隆平 北岡和代 城戸照彦
喜成年泰 木綿隆弘 小林信介 澤田茂保 澤田 幹 少作隆子 末松大二郎 杉田真衣 杉山欣也 瀬尾 崇 都野展子 鶴園 裕 土井妙子 中島健二 中谷壽男 名古道功 能川泰治 早川文人 細見博志 弁納才一 松田洋介 宮崎悦子
柳原清子 山崎友也 山本英輔 結城正美 横山壽一 吉田国光 米山 猛

安全保障関連法案に反対する立教人の会、声明「もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、 私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます」

安全保障関連法案に反対する立教人の会

もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、
私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます

 現在、国会では、安倍晋三政権が提出した「国際平和支援法」と 10 本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」が審議されており、衆議院平和安全法制特別委員会および衆議院本会議で採決・可決されました。これら安全保障関連法案は、日本国憲法第 9 条 に違反するものであり、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変えようとするものです。安倍政権がこれを、十分に説明を果たさないまま審議を打ち切り、強行採決によって可決したことは、日本の立憲主義と民主主義を破壊する行為です。
 私たちの立教大学は、太平洋戦争中の 1942 年 9 月に、創立以来のキリスト教主義による教育から皇国の道による教育に教育理念を変更して戦争に協力し、多くの学生を戦地に送り出したという歴史を持っています。その罪責の自覚のもと、戦後 70 年間、立教大学・立教学院はキリストの伝える平和に根ざした教育と研究を探求してきました。
 「戦争」とは決して抽象的なものではありません。具体的な名前をもった若者たちが戦場で向かい合い、殺し殺されることを意味します。そして、子どもたちを含む多くの戦争犠牲者を生み出し、いのちの尊厳を踏みにじるものです。1945 年までの戦争への反省の上に立って戦後日本が国是としてきた平和主義に逆行し、日本に戦争への道を開く安全保障 関連法案の可決に、私たちは強く抗議し、法案の即時廃案を要求します。
 古代キリスト教神学者であり、哲学者であるアウグスティヌスに帰せられる言葉に「希望には二人の娘がいる。一人は怒りであり、もう一人は勇気である」とあります。私たちは、人間としてのまっとうな怒りを持ち続け、それぞれの持ち場でできることをやっていく勇気をもって行動し、発信し、希望を創り出していくために、連帯していきます。もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

2015年7月24日
安全保障関連法案に反対する立教人の会

呼びかけ人一覧


浅井春夫(コミュニティ福祉学部) 阿部治(社会学部) 阿部珠理(社会学部) 飯島寛之(経済学部) 李?珍(社会学部) 家城和夫(理学部) 五十嵐暁郎(名誉教授)五十嵐正司(チャプレン) 生井英考(社会学部) 池田毅(経済学部) 石井正子(異文化コミュニケーション学部) 石黒広昭(文学部) 市川珠美(職員) 稲葉剛(21世紀社会デザイン研究科)  内田利一(職員) 大嶽宏介(職員) 大竹秀和(職員) 沖森卓也(文学部) 奥村隆(社会学部) 小野沢あかね(文学部) 恩田和英(職員) 郭洋春(経済学部) 加藤磨珠枝(文学部) 香山リカ(現代心理学部) 河東仁(コミュニティ福祉学部) 北本俊二(理学部) 北山晴一(名誉教授) 金大原(チャプレン) 栗原彬(名誉教授) 毛谷村英治(観光学部) 小泉徹(職員) 小林悦雄(異文化コミュニケーション学部) 近藤泰樹(職員) 坂田周一(コミュニティ福祉学部) 佐々木淳(職員) 佐々木一也(文学部) 佐藤一宏(職員) 佐藤百恵(職員) 芝田英昭(コミュニティ福祉学部) 庄司洋子(名誉教授) 須永徳武(経済学部) 砂川浩慶(社会学部) 関正勝(名誉教授) 高木恒一(社会学部) 高瀬良介(職員) 鶴見祐介(職員) 寺﨑昌男(名誉教授) 東條吉純(法学部) 内藤武(元職員) 中川英樹(チャプレン) 中村陽一(21世紀社会デザイン研究科) 西澤朋泰(職員) 西谷修(文学研究科) 西原廉太(文学部) 新田啓子(文学部) 萩原なつ子(21世紀社会デザイン研究科) 橋本正明(元コミュニテイ福祉学部) 長谷川修一(文学部) 服部 孝章(名誉教授) 林みどり(文学部) 疋田康行(名誉教授) 平川克美(ビジネスデザイン研究科) 廣石望(文学部) 深野毅(職員) 福山清蔵(名誉教授) 藤井敦史(コミュニティ福祉学部) 藤野裕介(職員) 藤原新(経済学部) 逸見敏郎(文学部) 細川哲士(名誉教授) 堀耕治(現代心理学部) マーク・シュタール(チャプレン) 前田一男(文学部) 前畑憲子(名誉教授) 松尾哲矢(コミュニティ福祉学部) 松野雅治(職員) 松原宏之(文学部) 松本康(社会学部) 宮﨑光(チャプレン) 宮島喬(元社会学部) 村田次郎(理学部)和田悠(文学部) 渡辺 憲司(名誉教授) 渡辺信二(名誉教授)
SPAR 平和のために行動する立教大生の会
以上84名+1団体

愛知教育大学教員有志、「安保法案」の廃案を求める大学人アピール

愛知教育大学 大学人アピール

「安保法案」の廃案を求める愛知教育大学

大学人アピール
2015年7月20日 呼びかけ開始
 

 私たちは、教育や研究の発展と、子どもたちを豊かに、幸せにする教員の養成を目指しています。これらの教育研究活動の土台は、平和です。本学は、「愛知教育大学憲章」において、大学の理念として「教育研究活動を通して世界の平和と人類の福祉及び文化と学術の発展に努めることが,普遍的使命であることを自覚」すること、教育目標として「平和で豊かな世界の実現に寄与しうる人間の教育をめざす」ことを掲げています。

 安倍政権は、地球の裏側まで出かけていって他国による軍事行動に協力することを可能にする憲法9条違反の「安保法案」を、7月15日の衆議院特別委員会、16日の本会議で強行採決しました。
 マスコミの各種世論調査では、国民から多くの疑問の声があがっており、安倍首相自身も、衆議院特別委員会で「国民の理解は進んでいる状況ではない」と述べています。こうした状況にもかかわらず採決を強行するという常識ではありえないことが起きました。私たちは、愛知教育大学の大学人として、衆議院から参議院に送られた「安保法案」の廃案を訴えます。

 この法案は、憲法学者の圧倒的多数が憲法違反であるとの判断をし、衆議院憲法審査会では、与党が選定した憲法学者を含めて憲法違反であると述べ、法案反対の声をあげている内容の法案にもかかわらず、採決を強行するという事態は、日本の民主主義・立憲主義の危機を意味しています。この延長線上に、戦争のための教育が始まることも危惧されます。戦争国家のために子どもが犠牲にされたり、教師が動員されたりすることに断固反対するものです。

 私たちは、かつて日本が行った侵略戦争において、多くの学徒を戦場に送り出した歴史に鑑み、二度と戦争に協力しないことを誓っています。真の平和は、民主主義と話合いにもとづく外交によってこそ実現するものです。日本の平和憲法、9条の意義はそこにあります。

 私たちは、これから行われる参議院での審議において、武力による平和や秩序の維持であり、私たちの教育研究活動を脅かす危険性のある「安保法案」を廃案にすることを強く求めます。

愛知教育大学教員有志 

賛同者氏名(五十音順)
稲毛正彦  太田弘一  清田雄治  子安 潤
榊原洋子  竹川慎哉  道木一弘  富山祥瑞  
中妻雅彦  中山弘之  納谷昌宏  松原信継  
山根真理  萬屋育子

岐阜大学有志、「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志の声明

「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、同法案の撤回・廃案を要求します

2015年7月23日
「安全保障関連法案」に反対する岐阜大学関係者有志

 「国際平和支援法」と10本の現行法をまとめた「平和安全法制整備法案」、いわゆる「安全保障関連法案」が、十分な審議がなされず、また、多くの国民の理解もないまま、衆議院にて強行採決されました。
 これらの法案は、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊が協力し加担していくことを許すものです。まさに、日本を「戦争しない(できない)国」から「戦争する(できる)国」にするものです。また、歴代の内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使を許すという、憲法違反の法案です。一内閣の勝手な解釈で憲法による権力の制約をないがしろにしようという行為は、立憲主義の否定以外のなにものでもありません。
 日本の大学はかつて、多くの学徒を戦地へ送り、また軍事研究に協力してきたという、歴史をもっています。再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできません。
 戦後、決して加害者となることないように非戦を誓い、今日まで戦争に加担することなく70年を過ごしてきたことは、胸を張って世界に発信できるメッセージです。それを簡単に反故することは許されることではありません。
 岐阜大学で働き、また学ぶ私たちは、若者の教育と未来、そして地域医療などに責任を負う立場から、この「安全保障関連法案」に反対します。政府に対して、同法案の強行採決に強く抗議するとともに、撤回・廃案を強く要求します。

事務局:椎名貴彦(応用生物科学部・准教授)
連絡先:taka417hiko@yahoo.co.jp

【呼びかけ人】(2015年7月25日現在) 11名
別府 哲(教育・教授?)
仲澤 和馬(教育/工学研究科・教授?)
吉田 千秋(地域・元教授?)
竹森 正孝(地域・名誉教授?)
近藤 真(地域・教授)
荒井聡(応生・教授)
新村 昌治(工・教授?)
山口利哉(工・事務職員)
加藤 拓真(教育・卒業生)
河上 俊一(地域・学生)
藤吉登美(附属病院看護師)

安保関連法案 緊急シンポに250人 千葉大研究者が語る問題点

東京新聞(2015年7月25日)

 集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案の問題点や大学の果たす役割について議論する動きが県内でも活発化してきた。千葉大の研究者有志は23日、学生や市民らと意見を交わす緊急シンポジウムを千葉市稲毛区の同大キャンパスで開催。講義室には約250人(主催者発表)が集まった。 (柚木まり)
 シンポジウムでは、同大の三宅晶子教授(ドイツ文化論)ら六人の研究者が登壇。「安保法案に反対する学者の会」の呼び掛け人でもある酒井啓子教授(中東政治)は「国際的に武力が必要な危機的状況はあるが、まだ外交が十分に尽くされていない」と指摘した。
 石田憲教授(政治学)は、「大学の中でこういう議論をすると政治の色が付くとか、中立的でありたいと思う人もいる。しかし、自分の価値判断を相対化し、他者を認め伝えていくことが大学で議論する上で重要な点だ」と主張した。
 研究者らの講演後、大学院生の佐藤峻さん(26)は「多様な意見を持つ人たちと気楽に対話できる場が大学。それぞれに自分の意見を持って、つながりを持っていけたらいい」と発言。
 法政経学部四年の女子学生(21)は、「私自身も法案の理解が進んでいないが、家族は話題にしても『別に』と返ってくる。いろんな人が興味を持つにはどうしたら良いのか、注目して見ていきたい」と話した。

2015年07月25日

静岡大学有志の会、「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

静岡大学教職員組合
 ∟●「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会の声明

「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会

1、「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求めます。

7月15日に開かれた衆議院特別委員会、翌16日に開かれた衆議院本会議において、安全保障関連法案が、廃案や審議継続を求める声をおしきって強行採決されました。私たちは、この法案の強行採決に抗議し、廃案を求めます。


2、「安全保障関連法案」は憲法違反、強行採決は立憲主義の破壊につながるものです。

この法案は、他国への攻撃を日本への攻撃と見なし、日本が戦争に参加する集団的自衛権の行使を容認するもので、憲法9条に違反します。法案について衆議院憲法調査会に出席した3人の憲法学者がそろって「違憲」とし、歴代の内閣法制局長官やほとんどの憲法研究者だけでなく、最高裁判所の元判事までが「違憲」と指摘しています。

さらに、この法案については、多くの地方議会から慎重な審議や反対を求める表明がなされ、世論調査では今国会での成立は不必要とする声が8割を超えました。強行採決は、主権者である国民の声を無視し、民主主義に反するものです。また、憲法で国家をつくり国家権力の濫用を防ぐという立憲主義を破壊するものです。私たちは、民主主義と立憲主義の破壊を放置できません。

3、この立法で国民の命や安全の危険性は高まります。

 安倍首相は、法案の閣議決定後の会見で、この法案を「国民の命と安全を守る」ためのものであると言い、アメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」と言い切りました。しかし、何ら根拠を示すことのないこのような強弁を、私たちは信頼することはできません。この法案は、自衛隊がアメリカを含めた他国の軍に対して弾薬を提供したり、他国軍の武器や兵士を輸送したりすることを可能とするものです。国内で「後方支援」と呼んでみても、自衛隊の活動は軍の武力行使と一体と見なされます。相手国・軍からみれば、当然、自衛隊は攻撃の対象となり、日本国民がテロの対象となる危険性は高まることでしょう。

4、静大名誉教授・鈴木安蔵による「憲法草案要綱」と日本国憲法、そして私たちの決意。

およそ70年前、日本国憲法の制定を前に、のちに静岡大学で教鞭をとることになる鈴木安蔵は、民間の立場から「憲法草案要綱」を起草・公表しました。この要綱は、日本国憲法における基本的人権の尊重、主権在民(国民主権)、前文にかかげられた平和への決意や誓いに継承される内容をもつものでした。これを一つの土台として制定された日本国憲法は、その前文において「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記しました。

私たち有志は、静岡大学で学び、働き、教育・研究をする者として、こうした日本国憲法に込められた願いや努力から真摯に学ぶとともに、安全保障関連法案とその強行採決が、日本国憲法の規範や原理とあいいれないものであることを踏まえ、断固として反対するものです。

5、あきらめず廃案を求めていきます。

安全保障関連法案は、参議院で否決されれば、いわゆる「60日ルール」の適用によって衆議院でふたたび採決にかけられます。そこでは3分の2以上の賛成による議決が求められ、議決へのハードルは高くなります。それだけに法案に反対する国民世論が高まれば選挙への影響を考え、法案への賛成を踏みとどまる議員がでてくることも考えられます。あきらめることはありません。私たちは、それぞれができる行動や意見表明を通して、安全保障関連法案の廃案を強く求めていきます。

2015年7月24日

〔呼びかけ人〕石井潔(理事・副学長)、石原剛志(教育学部教員)、伊東暁人(人文社会科学部教員)、岡田安功(情報学部教員)、笹沼弘志(教育学部教員)、佐藤博明(元学長)、寺村泰(人文社会科学部教員)、鳥畑与一(人文社会科学部教員)、根本猛(法科大学院教員)、橋本誠一(人文社会科学部教員)、林弘文(教育学部元教員)、藤井道彦(教育学部教員)、本多隆成(人文学部元教員)、松田智(工学部教員)、村上健司(工学部教員)、森本隆子(人文社会科学部教員)。


広島大学人有志、安保法案に反対する声明

安保法案に反対する広島大学人有志の会

安保法案に反対する広島大学人有志の声明

  戦後70年目を迎えた今、安倍晋三政権は「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法」を国会に提し、7月15日に衆院平和安全法制特別委員会での強行採決を経て、16日に衆院本会議で審議継続を求める声を無視して、ふたたび強行採決をしました。首相自身が「国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めた本法案に対して、多くの人々から反対の声があがり、連日、安倍政権の強引な議会運営を批判し、廃案を求める運動が国会周辺はもとより、全国各地で大きく広がっています。
 本法案の本質が、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊を協力・加担させていくものであり、ほとんどの憲法学者が指摘しているように、戦争を放棄した日本国憲法第9条に明白に違反していることをいわざるをえません。わたしたちは日本国憲法に基づき、国会が徹底審議をつくして、本法案を廃案とすることを強く求めるものです。
 わたしたちは、かつて日本が行った侵略戦争に、無限の可能性を抱いていた多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っています。そして広島大学は世界で最初に原爆を投下された都市の大学として、世界中のどの大学以上に戦争のない平和な地球をめざして教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないように努力してきました。
 いま戦争の危機が迫ってきました。わたしたちは歴史への深い反省から、二度と未来の世界をになう若者たちを戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを絶対認めません。
 わたしたち広島大学人は、学問と良識の名において、日本国憲法に違反する本法案に強く抗議し、断固として反対するものです。

2015年7月23日
安保法案に反対する広島大学人有志


呼びかけ人(50音順)
青木利夫(総合科学研究科教員)
有元伸子(文学研究科教員)
市川浩(総合科学研究科教員)
上野聡(生物圏科学研究科教員)
隠岐さや香(総合科学研究科教員)
川口隆行(教育学研究科教員)
河西英通(文学研究科教員)
木原成一郎(教育学研究科教員)
佐藤清隆(広島大学名誉教授)
佐中忠司(広島大学名誉教授)
崔真碩(総合科学研究科教員)
辻学(総合科学研究科教員)
西村雄郎(総合科学研究科教員)
布川弘(総合科学研究科教員)
平手友彦(総合科学研究科教員)
細野賢治(生物圏科学研究科教員)

参議院戦争法案(安保法制)特別委員会メンバーの要請先一覧

レイバーネット
 ∟●参議院戦争法案(安保法制)特別委員会メンバーの要請先一覧

東京の杉原浩司です。参議院の特別委員会メンバーの要請先をまとめました。

7月27日(月)に参議院本会議で趣旨説明と質疑、28日(火)、29日(水)
に特別委員会で首相出席、NHK中継入りの質疑が行われます。ファック
ス、電話で声を届けましょう![転送・転載歓迎/重複失礼]

どんどん拡散してください。

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<参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧>

※自公に◆、自公改選組、岸田派、「リベラル」とされる自民「分厚い
保守政治を目指す若手議員の会」に★

【委員長】
◆鴻池祥肇(自民/兵庫・非改選)
(FAX)03-3502-7009 (TEL)03-6550-1001

【理事】
◆石井準一(自民/千葉・非改選)
(FAX)03-5512-2606 (TEL)03-6550-0506

◆佐藤正久(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0705 (TEL)03-6550-0705

◆塚田一郎(自民/新潟・非改選)
(FAX)03-6551-1117 (TEL)03-6550-1117

◆馬場成志(自民/熊本・非改選 ★岸田派)
(FAX)03-6551-1016 (TEL)03-6550-1016

◆堀井巌(自民/奈良・非改選)
(FAX)03-6551-0417 (TEL)03-6550-0417

北澤俊美(民主/長野・改選)
(FAX)03-6551-0424 (TEL)03-6550-0424

福山哲郎(民主/京都・改選)
(FAX)03-6551-0808 (TEL)03-6550-0808

◆荒木清寛(公明/比例 ★改選)
(FAX)03-6551-1115 (TEL)03-6550-1115

小野次郎(維新/比例・改選)
(FAX)03-6551-0620 (TEL)03-6550-0620

【委員】
◆愛知治郎(自民/宮城・非改選)
(FAX)03-6551-0623 (TEL)03-6550-0623

◆石田昌宏(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1101 (TEL)03-6550-1101

◆猪口邦子(自民/千葉 ★改選)
(FAX)03-6551-1105 (TEL)03-6550-1105

◆大沼みずほ(自民/山形・非改選)★「分厚い保守政治を目指す若手議員の会」
(FAX)03-6551-0312 (TEL)03-6550-0312

◆北村経夫(自民/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1109 (TEL)03-6550-1109

◆上月良祐(自民/茨城・非改選)
(FAX)03-6551-0704 (TEL)03-6550-0704

◆高橋克法(自民/栃木・非改選)
(FAX)03-6551-0324 (TEL)03-6550-0324

◆豊田俊郎(自民/千葉・非改選)
(FAX)03-6551-1213 (TEL)03-6550-1213

◆三木享(自民/徳島・非改選)
(FAX)03-6551-0505 (TEL)03-6550-0505

◆三宅伸吾(自民/香川・非改選)★「分厚い保守政治を目指す若手議員の会」
(FAX)03-6551-0604 (TEL)03-6550-0604

◆森まさこ(自民/福島・非改選)
(FAX)03-6551-0924 (TEL)03-6550-0924

◆山下雄平(自民/佐賀・非改選)
(FAX)03-6551-0916 (TEL)03-6550-0916

◆山本一太(自民/群馬・非改選)
(FAX)03-3508-2281 (TEL)03-6550-0609

◆山本順三(自民/愛媛 ★改選)
(FAX)03-6551-1019 (TEL)03-6550-1019

小川勝也(民主/北海道・非改選)
(FAX)03-6551-1217 (TEL)03-6550-1217

小川敏夫(民主/東京・改選)
(FAX)03-6551-0605 (TEL)03-6550-0605

大塚耕平(民主/愛知・非改選)
(FAX)03-6551-1121 (TEL)03-6550-1121

大野元裕(民主/埼玉・改選)
(FAX)03-6551-0618 (TEL)03-6550-0618

小西洋之(民主/千葉・改選)
(FAX)03-6551-0915 (TEL)03-6550-0915

那谷屋正義(民主/比例・改選)
(FAX)03-6551-0409 (TEL)03-6550-0409

白眞勲(民主/比例・改選)
(FAX)03-6551-1116 (TEL)03-6550-1116

広田一(民主/高知・改選)
(FAX)03-6551-0507 (TEL)03-6550-0507

蓮舫(民主/東京・改選)
(FAX)03-6551-0411 (TEL)03-6550-0411

◆谷合正明(公明/比例 ★改選)
(FAX)03-6551-0922 (TEL)03-6550-0922

◆平木大作(公明/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0422 (TEL)03-6550-0422

◆矢倉克夫(公明/埼玉・非改選)
(FAX)03-6551-0401 (TEL)03-6550-0401

片山虎之助(維新/比例・改選)
(FAX)03-6551-0418 (TEL)03-6550-0418

井上哲士(共産/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0321 (TEL)03-6550-0321

仁比聡平(共産/比例・非改選)
(FAX)03-6551-0815 (TEL)03-6550-0815

山口和之(元気/比例・非改選)
(FAX)03-6551-1113 (TEL)03-6550-1113

和田政宗(次世代/宮城・非改選)
(FAX)03-6551-1220 (TEL)03-6550-1220

水野賢一(無ク/千葉・改選)
(FAX)03-6551-0519 (TEL)03-6550-0519

福島みずほ(社民/比例・改選)
(FAX)03-6551-1111 (TEL)03-6550-1111

山本太郎(生活/東京・非改選)
(FAX)03-6551-0302 (TEL)03-6550-0302

荒井広幸(改革/比例・改選)
(FAX)03-3508-9677 (TEL)03-6550-0721


2015年07月24日

龍谷大学学内集会声明「安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)」

■「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」龍谷大学関係者の学内集会 参加者一同
 ∟●安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)

安全保障関連法案の廃案を求める(集会アピール)

 70年前の1945年8月15日、戦争が終わりました。翌年11月3日に日本国憲法は公布され、その6か月後(1947年5月3日)に施行されました。以来70年近くにわたって日本国憲法は、わたしたちの暮らしや教育、労働にとってかけがえのない役割を果たしてきました。本来憲法を尊重すべき人々によって軽んじられてきたかもしれませんが、わたしたちの日々の生活の中に憲法は存在し続けてきたと言えるでしょう。
 その大切な日本国憲法の大きな柱の一つである第9条がいま大きく蹂躙されようとしています。「戦争の放棄」と「戦力を保持しない」ことが定められているにも拘らず、従来の憲法解釈が一内閣の判断によって変更され「集団的自衛権」を認め、他国のために戦争する道が開かれようとしているのです。
 2015年7月15日、衆議院の平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案が可決されました。そして、その翌日には、衆議院の本会議でも強行採決されました。わたしたちは、この暴挙を決して容認することができません。それは、立憲主義(本来憲法は権力を縛るものであること)と民主主義(国のあり方は国民自身が決定すること)を真っ向から否定するものであるからです。
安全保障関連法案の廃案を求める運動は強行採決後、全国各地でいっそう強まっています。さまざまな階層の人々が法案に対して反対の声をあげており、なかでも大学生や高校生などの若者の取り組みが注目されています。このような動きを強めていくことによって、安全保障関連法案を参議院で廃案にすることが可能となります。
わたしたち「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」龍谷大学関係者の学内集会に参加者した教職員・学生一同は、安全保障関連法案の強行採決に抗議するとともにその廃案を求めます。そして、戦後70年の節目の年を「戦前」に逆戻りさせないために、わたしたちも全国の取り組みと連帯して力を尽くしていく決意を表明します。

2015年7月23日 

「安全保障関連法案の強行採決に抗議する」
龍谷大学関係者の学内集会 参加者一同 
 

主 催:「安全保障関連法案の撤回を求める声明」事務局
龍大9条の会
All Ryukoku Anti War(7月15日に結成された龍谷大学生の会)

2015年07月23日

東京私大教連、戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

東京私大教連
 ∟●戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

戦争法案の衆議院強行採決に断固抗議し、廃案を求める声明

2015年7月21日
東京私大教連中央執行委員会

 自民・公明両党は 7 月 15 日、前日の衆議院安保法制特別委員会に続き、戦争法案(国際平和支援法案および自衛隊法・周辺事態法・武力攻撃事態法等の 10 本の現行法を改定する一括法案)を衆議院本会議において強行採決した。
 ほとんどの憲法学者が、集団的自衛権行使を容認する閣議決定と、その憲法解釈にもとづく戦争法案は憲法違反であると明確に指摘し、多くの学者・研究者が法案の危険性、問題性を批判している。これらを一顧だにしないことは、立憲主義の否定であり、学問・研究に対する許し難い愚弄である。
 世論調査では大多数が反対ないしは今国会での成立は不必要とし、連日のように多くの市民が国会を反対の声で取り囲むなか、主権者たる国民の意思を踏みにじった強行採決は、民主主義を否定する暴挙である。

 衆議院における審議で、安倍首相は集団的自衛権について判断していない最高裁の砂川事件判決を持ち出し「合憲であると確信している」と非合理な主張を繰り返した。政府は、海外での武力行使について「総合的に判断する」と述べるのみで基準も明確にせず、「日本攻撃の意思が認定できなくても存立危機事態に認定できる」などとして「自衛の措置としての集団的自衛権」という従来の説明さえも覆し、対「イスラム国」(IS)や南シナ海での他国軍支援も「法的にあり得る」と述べた。法案の問題性は、国会審議を通じてますます明らかになっている。
 これと軌を一にして、政府・文科省は、深く真理を探究するという人類的営為である学問・研究に介入し、国立大学に国旗掲揚・国歌斉唱を求めるなど、学問の自由、大学の自治に対する攻撃を加えている。憲法と民主主義を蹂躙する政権のねらいは、学問と大学を戦争に動員することにある。
 国際協調にもとづく平和の追求を放擲して日本を武力行使する国に変え、国民を危険に晒し、学生・若者を戦場に送り出す戦争法案は、廃案しかあり得ない。

 多くの学生・若者が戦争法案反対の運動に参加し、今やその先頭に立っている。私たちは、戦争法案を廃案にするために、私立大学教職員の総力を結集し、若者や市民とともに全力を尽くす決意をここに表明する。

以 上

2015年07月22日

名古屋学院大学平和学研究会、安全保障関連法案に反対する声明

名古屋学院大学平和学研究会

安全保障関連法案に反対する声明

 現在国会で審議されている安全保障関連法案は、主として集団的自衛権を具体化したものであり、日本と世界の将来に暗い影を投げかけています。
 これまで集団的自衛権の名の下に行われた戦争の多くは、2003年のイラク戦争を始め、侵略戦争でした。イラク人医師オマール・ムハンマド・ファルク・アフマドさんは、昨年本学で行われた講演の中で、「戦争に参加するという考えから距離をとって下さい。戦争に参加、協力するということは、多くの子どもを殺すことです。彼らの住居を奪い、路頭に迷わせ、障がいを負わせることです。子どもたちから父母を奪い、飢えや病に苦しませ、教育の機会と幸福を奪うことです。戦争を許さないということが、飢えや貧困を減らすことにつながり、大きな国際協力となります。」と学生に語りかけました。
 名古屋学院大学は、建学の精神として「敬神愛人」を掲げています。「敬神」とは、人間存在を最後まで肯定し、私たち一人ひとりを見守り導く神を敬うこと。「愛人」とは、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を探し出し、自分の隣人として愛することです。私たちは、イラク戦争のような、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を生み出すことに加担したくはありません。また、日々接している教え子達を戦場に送りたくはありません。
 私たちは、オマールさんの言うように、戦争から距離をとり、構造的暴力の除去を志向する言葉の本当の意味での積極的平和主義を選びます。
 加えて、憲法学者の大半がこの法案を違憲であると考えています。この法案を強行に成立させることは、立憲主義の崩壊を意味すると言っても過言ではありません。近代立憲主義は、かけがえのない一人一人の人権を保障するために生み出されたものであり、政府の統治は憲法に基づかなければならないという普遍的な原理です。これを捨て去ることは人類の歴史における重大な退歩です。
 このような声明に対して、大学における「政治的中立」を盾に反対する意見があるかもしれません。しかし、「政治的中立」の意味について、立憲主義、民主主義という普遍的な原理に基づいて今一度考えてみるべきではないでしょうか。
 日本国憲法第12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と定めています。真理探究の場たる大学はこの自由及び権利を基に成り立っており、その土台が崩されようとしているときに沈黙すべきでしょうか。私たちは、この法案に反対する多くの市民とともに、この自由及び権利を保持する努力を続けたいと思います。それが、本学初代学長福田敬太郎先生が表現された「幽玄啓明」の精神、すなわち、「奥深くて計り知れない真理を開き示す」という信念に沿うものと考えます。
 私たちは、学生や教職員を含む本学構成員はもとより、社会に対して本学や大学一般が負うべき責任を果たすために、ここにこの法案に反対します。

2015年7月17日
名古屋学院大学平和学研究会
阿部太郎(経済学部)
飯島滋明(経済学部)
大宮有博(商学部)
菅野光公(外国語学部)
佐伯奈津子(国際文化学部)
佐竹眞明(国際文化学部)
西寺雅也(経済学部)

憲法9条なし崩しと廃案訴える学者ら1万人超え

Economic News(2015年07月21日)

 「学問と良識の名において、違憲性のある安全保障関連法案が国会で審議されていることに強く抗議し法案に断固反対」と集団的自衛権行使を含む政府の安保法案に反対しなければならないと輪を広げている憲法学者や社会学者、政治学者、物理学者、歴史学者らジャンルを超えて学者らが危機感を訴え、20日、都内で記者会見を開き、改めて安保法案に反対すると発信した。

 ノーベル物理学賞を受けた益川敏英狭隘名誉教授は「憲法9条(戦争の放棄)をなし崩しにしようとしている。政権が有事と思ったら戦争ができるというのはとんでもない話。立憲主義から真っ向から敵対する」と戦後最大の危機的状況にあることを強くアピールした。学者の会の主張への賛同者は学者・研究者らですでに1万1200人を超えている。また、賛同する市民も2万2000人を超えた(20日午後9時)。

 会は今月末、安保法案に反対する学者と学生の共同行動を展開することにしており、砂防会館を起点に都内をデモ。国会議事堂前でも廃案を訴える。

 会は「法案は(1)日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使を可能にし(2)米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、戦闘現場近くで「協力支援活動」をする(3)米軍等の「武器等防護」という理由で、平時から同盟軍として自衛隊が活動し、任務遂行のための武器使用を認めるもの」と指摘。

 「60年以上にわたって積み重ねられてきた『集団的自衛権の行使は憲法違反』という政府解釈を安倍政権が覆したことで、米国の侵略戦争に日本の自衛隊が参戦する可能性さえ生じる。日本が戦争当事国となり、自衛隊が国際法違反の『侵略軍』となる危険性が現実のものとなる」とし安保法案の廃案を訴えている。

 また「私たちは、かつて日本が行った侵略戦争に多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っている。その歴史への深い反省から、憲法9条とともに歩み、世界平和の礎たらんと教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないようにしてきた。二度と再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできない」と、自戒を込めたメッセージも発信しているだけに、重みや危機感も伝わってくる。


2015年07月21日

安全保障関連法案に反対する学者の会、「安全保障関連法案の衆議院特別委員会と本会議での強行採決に対する抗議声明」

■安全保障関連法案に反対する学者の会

 7月15日衆議院特別委員会、翌16日本会議で、集団的自衛権の行使を容認することを中心とした違憲性のある安全保障関連法案が強行採決されたことに、私たちは強い怒りをこめて抗議します。

 各種世論調査では、戦争法制としての本質をもつ安全保障関連法案に反対が多数となり、8割を超える大多数が今国会での成立は不必要としていた状況の中での強行採決は、主権者としての国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊です。

 首相自身が、法案に対する「国民の理解が進んでいない」ことを認めた直後の委員会採決強行は、現政権が国民世論を無視した独裁政治であることを明確に示しています。

 衆議院憲法審査会で3人の憲法学者全員が安全保障関連法案は「違憲」だとし、全国のほとんどの憲法学者が同じ見解を表明しているにもかかわらず、今回の強行採決が行われたことは、現政権が学問と理性、そして知的な思考そのものを無視していることのあらわれです。

 戦後の日本は憲法9条の下で、対外侵略に対して直接的な関与はしてきませんでした。政府は「安全保障環境の変化」を口実に、武力行使ができる立法を強行しようとしていますが、戦後日本が一貫してきた隣国との対話による外交に基づく信頼関係こそが、脅威を取り除いてきたという事実を見失ってならないと思います。

 私たちが6月15日に表明した見解は、多くの学者、大学人に共有され、いくつもの大学で、学生と教職員が一体となった取り組みが行われました。私たちは参議院での審議を注意深く見定めながら、立憲主義と民主主義を守り、この法案を廃案にするために、国民とともに可能なあらゆる行動を実行します。

 2015年7月20日

 安全保障関連法案に反対する学者の会

安保法案に反対 学者など150人が訴え

NHK(7月20日 19時05分)

安全保障関連法案に反対する学者およそ150人が、20日、都内で会見を開き、「法案は憲法9条に違反し、衆議院で採決を強行したことは国民世論を無視するものだ」などと訴えました。
会見を開いたのは、安全保障関連法案に反対するさまざまな分野の学者や研究者、およそ150人です。
会見ではまず、日本学術会議の前の会長で専修大学の廣渡清吾教授が、「総理自身が、法案に対する国民の理解が進んでいないことを認めた直後に、衆議院で採決を強行したことは、国民世論を無視するものだ」などとする抗議声明を読み上げました。
続いて、ノーベル物理学賞を受賞した京都大学の益川敏英名誉教授が、「憲法9条は歴然と生き続けているのに、それをなし崩しにしようとしている。政権が有事だと思ったら戦争ができるというのはとんでもない話で、立憲主義に真っ向から敵対する」と批判しました。
さらに、東京大学の上野千鶴子名誉教授も、「ふだん政治的な行動をしない研究者が、やむにやまれぬ思いで集まったのは画期的なことだ。手遅れにならないうちに行動を起こさなければならない」と述べました。
この学者たちのグループに賛意を表明した学者や研究者は1万人以上に上っているということで、グループは、今月31日には国会前で抗議活動を行うことにしています。


岩手県の大学関係者・研究者・弁護士有志、「私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます」

STOP! 違憲の「安保法制」
 ∟●私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます

私たちは専守防衛逸脱・憲法違反の安全保障関連法案の廃案を求めます

岩手県の大学関係者・研究者・弁護士有志 363名

岩手大学教職員191名,盛岡大学教員17名,岩手県立大学教員24名,その他研究者18名,弁護士13名,大学退職教職員等100名 (代表:高塚龍之・岩手大学名誉教授)

市民の皆さん。安倍内閣は5月15日に,武力攻撃事態法・周辺事態法・自衛隊法・PKO協力法など既存の10法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」からなる安全保障関連法案を国会に提出し,会期を大幅延長してまで,今の国会で成立させようとしています。

解釈改憲を行った昨年の閣議決定は立憲主義破壊・憲法違反です

昨年7月1日,安倍内閣は集団的自衛権行使を容認し,海外での武力行使を含む自衛隊の任務を拡大する閣議決定を行いました。この閣議決定は,約60年に亘る立法・行政・司法・学界などにおける議論を踏まえた従来の憲法9条の解釈=「専守防衛(相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する)」を,国会審議や国民的議論に一切かけることなしに,一内閣の勝手な判断で変更しました。既に確立していた憲法解釈を政府自身が勝手に変更することは,憲法の法的安定性を壊すもので,立憲主義破壊・憲法違反です。このたびの安全保障関連法案は,この閣議決定の具体化に他なりません。

安全保障関連法案は憲法9条に違反しています

安全保障関連法案では,「我が国の平和及び安全に重大な影響を与える事態」=「重要影響事態」や「国際社会の平和及び安全を脅かす事態」=「国際平和共同対処事態」が発生した際に,自衛隊は「現に戦闘行為が行われている現場」以外のどこででも,アメリカなど他国の軍隊に対して「武器や弾薬の提供」などの「後方支援活動」や「協力支援活動」を行うことができるとされています。これは,戦闘現場のまさにすぐ側で,自衛隊に他国の軍隊の戦闘行為と一体化した「兵站」活動を行わせるもので,「兵站」活動を行う自衛官は当然ながら攻撃の対象となり,生命の危険にさらされます。「重要影響事態」の概念が極めて曖昧なため,政府の判断次第で自衛隊の兵站活動が限りなく拡大していくことになります。

国連平和維持活動(PKO)では,自衛隊の任務として、国連が直接関与しない活動において「駆けつけ警護」や「治安維持活動」などを新たに追加し,武器使用の拡大を認めました。「兵站活動」も「駆けつけ警護」や「治安維持活動」も自衛官の生命を危険にさらすものであり、自衛隊の武器使用・武力行使につながります。

「海外での武力の行使」は憲法9条違反です。

安全保障関連法案では,アメリカ軍などの武器等の防護を行うために自衛隊に武器使用を認めることを規定しています。これは自衛隊が平時から軍事演習や警戒監視活動などアメリカ軍の「同盟軍」としての役割を果たすことを意味し、「専守防衛」の域を超えて,アメリカの軍事体制に日本をいっそう巻き込むことになります。

安全保障関連法案は際限のない自衛隊の海外での武力行使に道を開きます

安全保障関連法案では,日本が直接攻撃を受けていなくても,「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」=「存立危機事態」が発生した際には集団的自衛権が行使できることになっています。

ところが,この間の国会審議で「存立危機事態」に関する政府の答弁が二転三転していることからも明らかなように,その定義は極めて曖昧であり,「存立危機事態」を認定する客観的基準はありません。「存立危機事態」かどうかは時の政府の判断に委ねられ,政府が恣意的な判断を行えば,集団的自衛権行使の範囲は際限なく広がることになります。安倍内閣は「集団的自衛権行使は限定的」と説明していますが,「限定」するための歯止めは何もありません。

アメリカ追従の会期大幅延長は国民を無視したものです

6月22日,政府は会期を過去最長の95日間とする,大幅延長を決めました。

安倍首相は会期延長の理由を「『丁寧に議論せよ』という声に耳を傾け,戦後最長となる審議時間を取り,じっくり議論する意思を国民に示して理解を得たい」としています。しかし,最新の世論調査(共同通信)では,同法案をめぐり「違憲」が56.7%,「反対」が58.7%,「今国会の成立反対」が63.1%にも上り,会期の大幅延長は国民の大半が反対する同法案を何が何でも通そうとする暴挙です。

会期延長にはまだ理由があります。

安倍首相は,安全保障関連法案を国会に提出する前の4月30日に,アメリカ議会における演説で,「安全保障関連法案をこの夏までに成立させる」と約束しました。これ自体,国民主権を無視し国会を軽視したもので,許されませんが、今回の大幅延長は,この“約束”を実行するためのものであり,アメリカ優先で,国民の意思を無視する暴走です。

専守防衛を逸脱し,憲法に違反している安全保障関連法案は廃案に

憲法学者を参考人として招いた6月4日の衆議院憲法審査会において,与党推薦を含めて3名の参考人全員が「安全保障関連法案は憲法違反」との見解を示し,「安保関連法案に反対し,そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」に現在230名を超える憲法研究者が賛同者として名を連ね, 6月18日に日本弁護士連合会が安全保障関連法案について「日本国憲法の立憲主義の基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義と平和的生存権の保障及び国民主権の基本原理に違反して違憲であるから,これらの法律の制定に強く反対する」という意見書を発表しました。6月22日には2人の元内閣法制局長官も「違憲」を言明しています。これらのことは,安全保障関連法案が憲法・法律の専門家から見て,明確な憲法違反であることを示しています。

「専守防衛」を逸脱し,日本が他国から武力攻撃されてもいないのに自衛隊の海外での武力行使に道を開く安全保障関連法案は,日本を他国の戦争に巻き込むものであり,日本の平和と安全をかえって危うくします。また,海外での武力行使を実際に行い,生命の危機にさらされるのは,安全保障関連法案を押し通そうとしている政治家ではなく,自衛官,とくに活動の前面に立たされる若い自衛官です。私たちは若者が「殺し,殺される」ことになる事態を黙って見ていることはできません。

私たちは,国会に対して,専守防衛を逸脱し,憲法に違反する安全保障関連法案を廃案にするよう強く求めます。

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール

STOP! 違憲の「安保法制」
 ∟●「安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール」の紹介

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志アピール

本年5月、安倍晋三政権は新法である「国際平和支援法案」と10本の既存法を改正する「平和安全法制整備法案」からなる安全保障関連法案を国会に提出し、現在審議が行われています。私たちは、主に以下の理由から、自衛隊をはじめとする多くの日本人を戦争に巻き込むだけでなく、日本人の手によって他国の人々の命を危険にさらす可能性が極めて高いこれらの法案を廃案にすることを強く求めます。

これらの法案は、武力行使と戦力の保持を禁じた憲法9条に明確に違反しており、憲法改正の手続を経ずに立法することが許されない法案であること。
時々の政権が、同盟国への攻撃を日本にとっての「存立危機事態」と認めれば、自衛隊が他国で武力行使を行うことが可能となり、歯止めとなる明確な基準もないこと。
国際法では武力行使と一体とみなされる武器・弾薬の補給や戦闘機・艦船への給油などの「後方支援」を、同盟国のためなら地球上どこでも行えるようにするものであること。
いま集団的自衛権の解釈変更をしなければならない理由(「安全保障環境の変化」)を、政府自身が具体的に説明できないこと。

そもそも紛争解決の手段としての武力行使は、真に地域の平和と安定をもたらすでしょうか? 2000年代に行われたアメリカなど多国籍軍のアフガニスタンやイラクに対する攻撃では、戦闘員だけでなく子どもを含む多くの市民の命が奪われ、混乱は現在に至るまで続いています。そこで生まれた「暴力の連鎖」「憎しみの連鎖」は、世界中にテロの恐怖となって広がりつつあります。しかし日本政府は、これらの武力介入に後方支援を行い協力したことへの反省や総括を全く行っていません。この「憎しみの連鎖」を生み出す側に日本がたつことを許すのか、そのことがいま私たち自身に問われています。

長野大学がたつ信州・塩田平の一角には、第二次世界大戦で亡くなった画学生の遺作を展示した「無言館」があります。ここに展示されている絵の一枚一枚からは、戦争によって未来を奪われた若者たちの無言の叫び、愛する者を戦争で奪われた家族や友人や恋人たちの叫びが聞こえてきます。70年前にこの叫びを生み出した社会状況の再来を許すのか、そのことがいま私たち自身に問われています。

私たちは大学人として、大学での教育や研究、学びを通じ、日本国憲法が要請する基本的人権の尊重、国民主権、そして平和主義を日本社会で実現することに寄与したいと願っています。私たちは長野大学で学んだ若者が、他国の人々を傷つけることも、戦争によって人生を狂わされることも望んでいません。私たちは、このような立場から、立憲主義を破壊し、憲法が求める戦争放棄と武力行使の禁止に違反し、日本および世界の人々の平和的生存権を脅かす安全保障関連法案に反対し、これを廃案にすることを強く求めます。

2015年7月14日

安全保障関連法案に反対する長野大学教職員有志一同

<呼びかけ人>
久保木匡介(環境ツーリズム学部) 長島伸一(企業情報学部) 鈴木忠義(社会福祉学部) 早坂淳(社会福祉学部) 安井幸次(環境ツーリズム学部) 相川陽一(環境ツーリズム学部)


安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明

安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明

2015年7月15日

安保法案の成立に反対する同志社大学教職員有志の声明


 2015年7月13日に開かれた衆議院平和安全法制特別委員会の中央公聴会において、同志社大学の現学長・村田晃嗣教授は与党推薦の公述人として出席し、現在審議されている集団的自衛権の容認を含む安保法案に対し、国際政治学者として肯定的立場からの発言をおこないました。わたしたちは同志社大学教職員として、村田教授のこの発言を看過できません。
 現在審議中の安保法案は、自国が直接攻撃されなくとも「自衛」の名のもとに、「同盟国」とともに武力を行使することを、限定的であれ、容認しようというものです。これは現行憲法の枠組を明白に踏み越えた法案であり、これが成立するかどうかは国際社会における今後の日本のあり方を大きく左右するような分かれ目となっています。そうした状況において、村田教授は、憲法違反かどうかの判断を差し置いて、「国際情勢」の変化という観点から、法案に対して明確な賛意を議会の場で表明したのです。村田教授は、問題を憲法学者と安全保障の専門家との見解の相違として整理していますが、国際情勢に対応しなければならないからといって憲法違反の法律を制定したとすれば、立憲主義の原則をないがしろにすることになります。それに村田教授の公述は、中国を仮想敵国とした日米同盟の強化を積極評価する立場からこの法案に賛成するという、学術的というよりはむしろきわめて政治的な観点からの演説でした。
 これが「国際政治学者としての個人の見解」であると前置きしてからの発言であるとはいえ、本件をマスメディアは、同志社大学学長による安保法案への支持表明として報じました。実際、憲法学者の多くが反対するなかで、賛成の旗幟を鮮明にした学者を学長とする大学として、本学の名前が日本社会のなかで広く知られることになりました。わたしたちは、今回の学長の発言が、良心教育を基軸とした同志社大学のイメージを大きく損なう結果をもたらしたと考えています。
 わたしたち平和を希求する同志社大学教職員有志は、現行憲法に違反する安保法案の成立に反対します。また、その法案に対し、本学の学長職にある教授が公的な場で支持を表明したことについて、心から恥ずかしく思います。同志社大学が教育理念の一つの柱に掲げてきた国際主義と、今回の村田教授の個人的見解とが一致するものではないことを、ここに表明するものです。

安保関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する西南学院大学教員有志の声明

市民社会フォーラム
 ∟●安保法制に対する西南学院大学教員有志の声明

安保関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する西南学院大学教員有志の声明
 
 本日、政府与党は、衆議院本会議において、「平和安全法制整備法案」および新法の「国際平和支援法案」(以下、安保関連法案と記す)を強行採決しました。私たち西南学院大学の教員有志は、明らかに憲法に違反しており「戦争ができる国」へと道を開く安保関連法案に反対します。私たちはこの強行採決に強く抗議し、法案を直ちに廃案とすることを求めます。
 
 かつて戦前、戦中に西南学院は、「西南よ、キリストに忠実なれ」という建学の精神を貫くことができませんでした。戦争に突き進む政府の政策を批判することができず、教え子たちを「皇風宣揚に勇戦奮闘せられよ」(『西南学院新聞』、第62号、1943年1月25日)と言って戦場に送り出し、多くの若い命を失わせてしまいました。また、それによって近隣アジアの人々に筆舌に尽くし難い惨禍を与えてしまいました。出陣学徒の死、戦争犠牲者の死は、本来あってはならない死であり、二度と起こしてはなりません。憲法の前文に刻まれた平和主義と第9条の戦争放棄は、このような反省と決意に基づくものです。
 
 安保関連法案は、大多数の憲法学者によって違憲性が指摘されている集団的自衛権の行使を容認し、時の政権の判断によって際限なく自衛隊の武力行使を可能とするものです。今回のように審議を尽くすことなく、時の政権が解釈のみで憲法を空洞化してしまうことは、立憲主義への明確な挑戦であり、法治主義と民主的な合意形成を尊重してきた戦後日本のあり方を根底から破壊するものです。
 
 私たち西南学院大学の教員有志は、各人の研究の専門領域における学知と個人の良識にもとづき、歴史や社会から付託された使命を全うすべく、民意と乖離し、戦後日本の基本理念に背馳する安倍政権の政治手法を強く非難し、断固として抗議します。

「剣を取る者は皆、剣で滅びる。」(聖書) 

2015年07月20日

人文社会科学系学部がある国立大 8割が再編検討

NHK(7月19日 18時40分)

文学部や経済学部など人文社会科学系の学部や大学院がある国立大学のうち8割が、学部の再編や定員の削減などを検討していることがNHKの調査で分かりました。

国立大学を巡っては文部科学省が先月、教員養成系や人文社会科学系の学部や大学院について、廃止や社会的要請が高い分野への転換に努めるなど、組織と業務全般を見直すよう通知を出しました。
この方針について、NHKは対象となる学部がある国立大学64校にアンケートを行い、89%に当たる57校から回答を得ました。
人文社会科学系の見直しを求める通知については、関連の学部がある大学42校のうち、25校が「趣旨は理解できる」と答えて6割を占め、「不本意だが受け入れざるをえない」が2校、「全く受け入れられない」が2校でした。「趣旨は理解できる」と答えた大学からは、人文社会科学系は大学教育の根幹だとしたうえで、少子化や社会のニーズに対応するには教育内容や組織の改革は必要だなどという意見が自由記述で寄せられました。
また、先月いっぱいで文部科学省に提出することになっていた来年度から6年間の中期目標の素案に、人文社会科学系の見直しをどのように盛り込んだか尋ねたところ、学部などの「廃止」を検討している大学はありませんでしたが、「再編して新たな学部などを設ける」が11校、「具体的な内容は未定だが、再編を検討する」が8校、「定員を減らす学部などがある」が6校、「教育目標を明確にした」が3校、それに「国の方針を踏まえたものではないが、再編を盛り込んだ」が7校と、何らかの見直しを予定している大学が83%に上ることが分かりました。
このほか、すでに検討を終え来年度から新たな学部を設けるという大学もあり、国立大学の人文社会科学系が大きく変わろうとしていることが浮き彫りとなりました。

人文社会科学系の学部とは
人文社会科学系には、文学部や教養学部、それに法学部や経済学部なども含まれます。文部科学省によりますと、86の国立大学のうち48校に人文社会科学系の学部があり、ことしの入学定員は合わせて2万5000人余りと、全定員の26%となっています。

人文社会科学系学部の再編の背景は
人文社会科学系の見直しを求める文部科学省の通知について、「趣旨は理解できる」と回答した和歌山大学では、19日高校生を対象にしたオープンキャンパスが行われました。
和歌山大学では、来年度から経済学部の3つの学科を統合したうえで、定員を現在の330人から30人減らす方針です。カリキュラムも変更し、金融機関に就職するためのコースや税理士を目指すコースなど6つのコースを設け、卒業後の進路を見据えて選択できるようにするということで、オープンキャンパスでは高校生たちがコースの内容について説明を受けていました。
こうした再編の目的の一つは就職率の向上です。7年前に設置した観光学部の昨年度の就職率は99%。これに対して経済学部は87%で、10ポイント以上低くなっています。和歌山大学経済学部の足立基浩学部長は「人文社会科学系の教育は地方の人材を育成するのになくてはならないが、就職を意識して大学を選ぶ若者が増え、大学ごとの特色が求められるようになるなか、学生のニーズや社会の要請に応えるために変わっていかざるをえない」と話しています。オープンキャンパスに訪れていた経済学部志望の高校生からは、「進路を意識した取り組みはいいと思うが、定員が減って自分が入学できるか心配です」といった声が聞かれました。

岩手大学も、昭和24年の開学以来初めて大幅な再編に乗り出しています。来年度、人文社会学部と教育学部の定員を合わせて100人余り減らしたうえで、理系の学部の定員を増やすことにしています。農学部には「水産システム学コース」を新たに設けて、東日本大震災で大きな被害を受けた水産業の復興を支える人材を育成する方針です。岩手大学の岩渕明学長は「大学がみんな似たような教育をするのではなく、それぞれの地域が抱える課題に取り組んでいくことが、地方の国立大学の存在価値になっていく」と指摘しています。
この再編について、釜石市で水産加工業を営む男性は「大学と一緒に研究開発をしたり、若い視点を取り入れて販路の拡大につなげたりできるのを期待しています」と話していました。

文部科学省の通知を「不本意だが受け入れざるをえない」と答えた大学もあります。経済学部と教育学部の二つの学部から成る滋賀大学はアンケートの自由記述で「大学教育の目的は実学的な職業人の養成ではなく、思考力、判断力、表現力を持つ人材の養成であることを強調したい」と書き、通知を批判しました。ただ、文部科学省の方針を受けて、文系と理系を融合させた「データサイエンス学部」を2年後に開設する方向で検討しています。ビッグデータの集計や分析、活用方法を学ぶ学部で、経済学部と教育学部の学生定員や教員の人件費を削減し、再配分する予定です。
滋賀大学の佐和隆光学長によりますと、背景には大学の運営費がひっ迫している実情があるといいます。滋賀大学は収入のおよそ半分に当たる31億円を国からの運営費交付金に頼っていますが、交付金は年々減少傾向にあり、この10年で1割ほど減りました。来年度からは、取り組みや実績が高く評価された大学に交付金が重点的に配分されることになっています。
佐和学長は「人文社会科学系の存在意義を認めないような通知は受け入れられないが、大学が貧乏所帯にならないためには新しいことをやらなければならない。これまでの人文社会科学系の教育や研究に課題があったことは事実で、通知をきっかけに改革の意欲が高まった」と話しています。


2015年07月18日

学者ら74人の「戦後70年総理談話について」声明全文

朝日新聞(2015年7月17日)

 学者ら74人が署名し「戦後70年総理談話について」の題で17日に発表した共同声明は以下の通り。

 この夏、安倍晋三総理大臣が戦後70年に際して発表すると報道されている談話について、日本国内でも海外でも強い関心が寄せられております。

 下記に名を連ねる私共国際法学、歴史学、国際政治学の学徒は、日本国の一員として、また世界に共通する法と歴史と政治の問題を学問の対象とする者として、この談話にかかわる諸問題について多年研究に携わってまいりました。

 私共の間には、学問的立場と政治的信条において、相違があります。しかしながら、そのような相違を超えて、私共は下記の点において考えを同じくするものであり、それを日本国民の皆様と国政を司る方々に伝え、また関係する諸外国の方々にも知って頂くことは、専門家の社会的責任であると考えるに至りました。ここに以下の所見を明らかにする次第です。

(1)戦後70年という節目に表明される総理談話は、なによりもまず、大多数の国民が飢餓に苦しみ、多くの都市が灰燼に帰していた1945年の日本から、今日の平和で豊かな日本を築き上げた先人達の努力に対して深甚な感謝の意を捧げ、そうした日本を誤りなく次の世代に引き渡して行くという国政の最高責任者の意志を日本国民に示すものであるべきであります。このことは、戦後50年、60年たると70年たるとを問わない、先世代と将来世代の国民に対する現世代の国民の責任であり、この点広く社会の合意があるものと考えます。

(2)また、こうした戦後日本の復興と繁栄は日本国民の努力のみによるものでなく、講和と国交正常化に際して賠償を放棄するなど、戦後日本の再出発のために寛大な態度を示し、その後も日本の安全と経済的繁栄をさまざまな形で支え、助けてくれた諸外国の日本への理解と期待、そして支援によるものでもありました。このことは、さまざまな研究を通して今日よく知られております。こうした海外の諸国民への深い感謝の気持ちもまた示されるべきものと考えます。

(3)さらに、戦後の復興と繁栄をもたらした日本国民の一貫した努力は、台湾、朝鮮の植民地化に加えて、1931-45年の戦争が大きな誤りであり、この戦争によって三百万人以上の日本国民とそれに数倍する中国その他の諸外国民の犠牲を出したことへの痛切な反省に基づき、そうした過ちを二度と犯さないという決意に基づくものでありました。戦争で犠牲となった人々への強い贖罪感と悔恨の念が、戦後日本の平和と経済発展を支えた原動力だったのです。戦後70年、80年、90年と時が経てば、こうした思いが薄れていくことはやむを得ないことかもしれません。しかしながら、実にこの思いこそ、戦後の日本の平和と繁栄を支えた原点、文字どおりの初心であり、決して忘れ去られてはならないものでありましょう。

(4)このことは、戦後50年の村山談話に含まれ、戦後60年の小泉談話でも継承された「侵略」や「植民地支配」への「痛切な反省」、「心からのお詫び」などの言葉を継承すべきか否かという、世上論じられている点にかかわります。ある特定の言葉を用いるか否かで総理の談話の善し悪しを論ずべきものでなく、ましてや「村山談話」という特定の総理談話の個々の言葉を継承するか否かがその後の総理談話の質を決する基準でない、というのは多くの専門家、そしてなによりも多くの国民が同意するところかもしれません。しかし、いかなる言葉で語られるかは、それが国際的にも大きな影響をもつ責任ある文書を評価する上で、どの国でもどの時代でもきわめて重要な基準です。政治を司る者は、こうした言葉の枢要性を誰よりも深く考える責務を負っているはずです。このことは、歴史と法と政治を研究してきた私共が、日本の為政者に対して特に強く申し上げたいところです。

(5)言葉の問題を含めて、「村山談話」や「小泉談話」を「安倍談話」がいかに継承するかは、これまでの総理自身の言動も原因となって、内外で広く論ぜられ、政治争点化しております。このことは、国内もさることながら、中国、韓国、米国などを含む、日本と密接な関係をもつ国々で広く観察される現象です。こうした状況の下では「安倍談話」において「村山談話」や「小泉談話」を構成する重要な言葉が採用されなかった場合、その点にもっぱら国際的な注目が集まり、総理の談話それ自体が否定的な評価を受ける可能性が高いだけでなく、これまで首相や官房長官が談話を通じて強調してきた過去への反省についてまで関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危惧いたします。安倍総理がしばしば強調される「村山談話」や「小泉談話」を「全体として継承する」ということの意味を、具体的な言語表現によって明らかにされるよう、強く要望するものです。

(6)以上に述べたことは、戦後70年談話が閣議決定を経ない「総理大臣の談話」であっても変わりはありません。日本の内外において総理大臣は国政の最高責任者として日本を代表する立場にあり、閣議決定の有無といった問題は、一般国民にとって、ましてや海外の諸国民にとって、ほとんど意識されることはありません。肝心なのは談話の中身です。70年談話がその「言葉」ゆえに国際社会で否定的に受け取られ、その結果、過去と現在と将来の日本国民全体が不名誉な立場に置かれ、現在と将来の日本国民が大きな不利益を被ることのないよう、安倍総理が「談話」で用いられる「言葉」について考え抜かれた賢明な途をとられることを切に望むものです。

(7)日本が1931年から45年までに遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったと認めることは、日本国民にとって辛いことであります。その時代、先人達は、現世代を含む他のどの時代の日本国民よりも厳しい試練に直面し、甚大な犠牲を被りました。そうした先人の行為が誤っていたということは、後生のわたしたちが軽々しく断ずべきことではないかもしれません。しかしながら、日本が侵略されたわけではなく、日本が中国や東南アジア、真珠湾を攻撃し、三百万余の国民を犠牲とし、その数倍に及ぶ諸国の国民を死に至らしめた戦争がこの上ない過誤であったことは、残念ながら否定しようがありません。そしてまた、日本が台湾や朝鮮を植民地として統治したことは、紛れもない事実です。歴史においてどの国も過ちを犯すものであり、日本もまたこの時期過ちを犯したことは潔く認めるべきであります。そうした潔さこそ、国際社会において日本が道義的に評価され、わたしたち日本国民がむしろ誇りとすべき態度であると考えます。

(8)この点に関連して、安倍総理を含む歴代の総理は、侵略の定義は定まっていないという趣旨の国会答弁などを行っておりますが、これは学問的には必ずしも正しい解釈とは思われません。なによりもそうした発言は、日本が1931年から遂行した戦争が国際法上違法な侵略戦争であったという、国際社会で確立した評価を否定しようとしているのではないかとの疑念を生じさせるものであり、日本に大きな不利益をもたらすものと考えます。

 20世紀前半の国際社会は、第一次大戦の甚大な惨禍を経験して、戦争を違法化する努力を重ねて来ました。1928年の不戦条約はその代表であり、日本も締約国であった同条約は自衛以外の戦争を明確に禁止しておりました。1931年に始まる満州事変が1928円の張作霖爆殺事件以来の関東軍の陰謀によって引き起こされたものであったことは、歴史学上明らかにされております。当時の日本政府はこれを自衛権の行使と主張しましたが、国際連盟はその主張を受け入れませんでした。その後の日中戦争、太平洋戦争を含めた1931-45年の戦争が名目の如何と関係なく、その実質において日本による違法な侵略戦争であったことは、国際法上も歴史学上も国際的に評価が定着しております。

 戦後国際社会は一貫してこうした認識を維持してきたのであり、これを否定することは、中国・韓国のみならず、米国を含む圧倒的多数の国々に共通する認識を否定することになります。戦後70年にわたって日本国民が営々と築き上げた日本の高い国際的評価を、日本が遂行したかつての戦争の不正かつ違法な性格をあいまいにすることによって無にすることがあってはならない。これが専門研究者としての私共の考えであり、同時に多くの日本国民が共有する考えでもあると確信しております。

 1924年、神戸で行われた有名な大アジア主義演説において、孫文は日本が西洋覇道の鷹犬となるか東洋王道の干城となるか、と日本の国民に問いかけました。私共は西洋を覇道と結び付け、東洋を王道と結び付ける孫文の見解を必ずしもそのまま受け入れるものではありませんが、中国が欧米列強と日本によって半ば植民地の状態にされていた当時の状況下において、この問いかけはまことに正鵠を得たものであったと考えます。残念ながら日本は覇道の道を歩み、その結果ほとんど国を滅ぼすに至りました。

 戦後日本はこのことを深い教訓として胸に刻み、世界に誇りうる平和と繁栄の道を歩んで参りました。日本が将来にわたってこの王道を歩み続け、戦後築き上げた平和で経済的に繁栄し安全な社会をさらに磨きあげ、他の国への経済・技術・文化協力を通してそれを分かち合い、国民が誇り得る世界の範たる国であり続けて欲しいと願わずにはいられません。私共は、歴史、国際法、国際政治の研究に携わる学徒として、いやなによりも日本国の一員として、そう考えます。

 総理が、戦前と戦後の日本の歴史に対する世界の評価に深く思いを致し、現在と将来の日本国民が世界のどこでもそして誰に対しても胸を張って「これが日本の総理大臣の談話である」と引用することができる、そうした談話を発して下さることを願ってやみません。

2015年7月17日

     ◇

共同声明文による賛同人一覧は以下の通り。(敬称略)

代表

大沼保昭 (明治大特任教授 国際法)三谷太一郎(東京大名誉教授 日本政治外交史)

吾郷真一 (立命館大特別招聘教授 国際法)

浅田正彦 (京都大教授 国際法)

浅野豊美 (早稲田大教授 日本政治外交史)

阿部浩己 (神奈川大教授 国際法)

天児慧  (早稲田大教授 現代中国論)

粟屋憲太郎(立教大名誉教授 日本近現代史)

石井寛治 (東京大名誉教授 日本経済史)

石田淳  (東京大教授 国際政治)

石田憲  (千葉大教授 国際政治史)

位田隆一 (同志社大特別客員教授 国際法)

入江昭  (ハーバード大名誉教授 アメリカ外交史)

内海愛子 (恵泉女学園大名誉教授 日本・アジア関係論)

遠藤誠治 (成蹊大教授 国際政治)

緒方貞子 (元国連難民高等弁務官 国際関係史)

小此木政夫(慶応大名誉教授 韓国・朝鮮政治)

小畑郁  (名古屋大教授 国際法)

加藤陽子 (東京大教授 日本近代史)

吉川元  (広島平和研究所教授 国際政治)

木畑洋一 (成城大教授 国際関係史)

木宮正史 (東京大教授 国際政治)

倉沢愛子 (慶応大名誉教授 東南アジア史)

黒沢文貴 (東京女子大教授 日本近代史)

黒沢満  (大阪女学院大教授 国際法)

香西茂  (京都大名誉教授 国際法)

小菅信子 (山梨学院大教授 近現代史)

後藤乾一 (早稲田大名誉教授 東南アジア近現代史)

斎藤民徒 (金城学院大教授 国際法)佐藤哲夫 (一橋大教授 国際法)

篠原初枝 (早稲田大教授 国際関係史)

申惠?  (青山学院大教授 国際法)杉原高嶺 (京都大名誉教授 国際法)

杉山伸也 (慶応大名誉教授 日本経済史)

添谷芳秀 (慶応大教授 国際政治)

高原明生 (東京大教授 国際政治)

田中孝彦 (早稲田大教授 国際関係史)

田中宏  (一橋大名誉教授 日本社会論)

外村大  (東京大教授 日本近現代史)

豊田哲也 (国際教養大准教授 国際法)

中北浩爾 (一橋大教授 日本政治外交史)

中島岳志 (北海道大准教授 政治学)

中谷和弘 (東京大教授 国際法)

中見立夫 (東京外語大教授 東アジア国際関係史)

中見真理 (清泉女子大教授 国際関係思想史)

納家政嗣 (上智大特任教授 国際政治)

西海真樹 (中央大教授 国際法)

西崎文子 (東京大教授 アメリカ政治外交史)

野村浩一 (立教大名誉教授 中国近現代史)

波多野澄雄(筑波大名誉教授 日本政治外交史)

初瀬龍平 (京都女子大客員教授 国際政治)

原朗   (東京大名誉教授 日本経済史)

原彬久  (東京国際大名誉教授 国際政治)

半藤一利 (現代史家)

平野健一郎(早稲田大名誉教授 東アジア国際関係史)

広瀬和子 (上智大名誉教授 国際法)

藤原帰一 (東京大教授 国際政治)

保坂正康 (現代史家)

松井芳郎 (名古屋大名誉教授 国際法)

松浦正孝 (立教大教授 日本政治外交史)

松尾文夫 (現代史家)

松本三之介(東京大名誉教授 日本政治思想史)

真山全  (大阪大教授 国際法)

三谷博  (東京大名誉教授 日本近代史)

宮野洋一 (中央大教授 国際法)

毛里和子 (早稲田大名誉教授 中国政治)

最上敏樹 (早稲田大教授 国際法)

森山茂徳 (首都大学東京名誉教授 近代日韓関係史)

山影進  (青山学院大教授 国際関係論)

山形英郎 (名古屋大教授 国際法)

山室信一 (京都大教授 近代法政思想史)

油井大三郎(東京女子大特任教授 日米関係史)

吉田裕  (一橋大教授 日本近現代史)

和田春樹 (東京大名誉教授 歴史学)

東京学芸大学教員有志 緊急アピール、「安倍政権が推進する安保法制に反対します」

安保法制に反対する東京学芸大学教員有志の会ブログ

安倍政権が推進する安保法制に反対します

東京学芸大学教員有志 緊急アピール

 私たちは、現在の「安保法制」をめぐる動向に危惧を抱きます。安倍政権が推し進めている「安保法制」は、戦後70年培われてきた平和憲法に基づく平和国家の根幹を揺るがし、市民を戦争へと巻き込む体制づくりに他なりません。
 憲法学者や歴代の内閣法制局長官による「違憲」の指摘と、地方議会や世論の反対表明にもかかわらず、国会で与党が多数を占めることを背景にして政権が聴く耳を持たない姿勢は、「反立憲主義」、「反民主主義」的なだけでなく「反知性的」ですらあります。そして安倍政権は、集団的自衛権や排外的な歴史認識によって、東アジア圏の対立を煽り、市民をむしろ率先して危険にさらしているのではないでしょうか。
 教員養成を使命とする本学の教員として、私たちは、私たちの教え子だけでなく、将来的に彼らの教え子たちが戦争に巻き込まれる危険を拡大する法案に強く反対し、法案の撤回を求めます。

2015年7月14日

東北大学職員組合、声明「安保法案」の採決強行を許さず、安倍政権の退陣を求める

東北大学職員組合
 ∟●声明

声明

「安保法案」の採決強行を許さず、安倍政権の退陣を求める

 7 月 15 日、衆議院において、安倍政権は、今後の我が国のあり方を左右するきわめ
て重要な法案である、いわゆる「安保法案」の委員会採決を与党単独で強行し、また、
このことに対する世論の強い批判をものともせず翌 16 日には本会議採決までをも強行
した。
 1年前の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定がすでに憲法違反だったが、今国会で
は、委員会審議において、また国会内外での様々な場での討論もふくめ、議論すればす
るほど法案の数々の欠陥が明らかになり、大多数の憲法学者が「違憲」と批判し、ほと
んどの国民が安倍政権はまともに説明していないと考えているもとで、あまりに乱暴な
採決強行である。
 安倍政権は、すでに会期の極端な延長も強行しており、今後の参議院では 60 日を徒
過し「みなし否決」とした上で、再度衆議院で採決強行し成立させるという、文字通り
の「多数の横暴」を予定していることが明らかであり、日本国憲法の定める立憲的民主
主義の手続きを二重三重に踏みにじるものである。
 これは、まさに、憲法において国民が「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこる
ことのないようにすることを決意」していることに対する、最悪の挑戦である。
われわれは、「安保法案」の廃案と安倍政権の退陣を求める。

2015 年 7 月 17 日

東北大学職員組合

日本科学者会議宮城支部、「私たちは「戦争法案」の廃案を求めます」

日本科学者会議
 ∟●日本科学者会議宮城支部、「私たちは「戦争法案」の廃案を求めます」

私たちは「戦争法案」の廃案を求めます。

日本科学者会議宮城支部

 第 2 次安倍内閣は、多くの人々の反対の声を押しきって、憲法違反の「集団的自衛権行
使」を容認する閣議決定を行い、今 189 国会に「平和安全法制整備法案」と「国際平和支
援法案」(以下、「戦争法案」)を提出しました。
この 2 つの法案は、これまでの政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使を可能とし、
憲法 9 条を根底からくつがえすものです。

 日本国憲法第 9 条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段とし
ては、永久にこれを放棄する。 二.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と書かれています。
 自衛隊の創設も、軍事予算の拡大も、インド洋やイラクへの派兵も、憲法の制約の下、
様々な言い訳を弄して、強行してきましたが、今度は自衛隊が、他国軍のために武器の輸
送まで行い、「戦闘地域」であっても活動することになる、まさに「武力によって国際紛争
を解決する」目的を持った、憲法違反の法案です。
 「集団的自衛権の行使は憲法違反」という 60 年以上にわたって積み重ねられてきた政府
解釈を、一内閣の判断で覆してしまう暴挙としか言いようがありません。

 科学を人類の真の幸福に役立たせるために、市民と連帯し、関係団体と協力・共同し
て、学問と社会のあるべき姿を探究し、科学の成果を社会へ還元することを課題として活
動することを目標としている私たち科学者会議は、「殺し、殺される法体系」は社会のある
べき姿ではないと確信しています。よって、この「戦争法案」を速やかに廃案にすること
を求めます。

2015年7月11日

連絡先:宮城支部事務局長 山崎 誠
宮城県仙台市宮城野区幸町3-3-1-504
TEL:080-6962-4601

2015年07月17日

安保法案 「国民の力で廃案、撤回に」 茨城大有志の会 22日討論会

東京新聞(2015年7月16日)

 名誉教授など茨城大関係者二十一人が六月十五日に結成した「安全保障法制に反対する茨城大学有志の会」は、発足後一カ月で呼び掛け人五十三人、賛同者五十六人(氏名非公表の二十人含む)の計百九人に拡大した。幹事の田中重博名誉教授(地方自治論)ら中心メンバーが十五日に県庁で会見して発表し、さらなる賛同を呼び掛けた。
 有志の会は、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が、今国会で成立することに反対している。結成当初は退職者ばかりだったが、十五日現在で各学部の現役教員のうち十四人が呼び掛け人に名を連ね、十六人が賛同者として氏名を公表するなど、輪を広げてきた。
 この日も「多くの学者がこの法案に強い危惧を抱いている。茨城大から法案反対の力強い声を上げていこう」と大学関係者らに訴えた。
 田中氏は「憲法学者の九割以上、歴代内閣法制局長官のほとんどが違憲だと言明し、どんな世論調査も反対が賛成を上回り、全国各地で抗議活動が繰り広げられている。国民世論を無視する戦後最悪の法案だ」と主張。
 その上で「法案が衆議院を通過したとしても、国民の力で廃案、撤回にするしかない。そのために微力ながら力を尽くしていきたい」と述べた。
 有志の会は二十二日午後三時から、安保関連法案について学生たちが意見を交わす「茨城大学共同討論カフェ」を、理学部インタビュースタジオ(水戸市文京)で開催する。学部生のほか大学院生や教職員、一般市民も参加可。元県弁護士会長の安江祐氏らが話題を提起する形で進行し、発言の場をつくる。
 有志の会は学生の加入を求めていないが、呼び掛け人の一人の田村武夫名誉教授(憲法)は「こういう勉強会を通じて学生自身に立ち上がってほしい」と促した。 

2015年07月16日

反安保 大学にも拡大、「憲法を無力化」「今声上げねば」

2015年7月15日

 安全保障関連法案に反対する動きが各地の大学に広がっている。「民意や立憲主義に反し、戦争につながる」と教員有志が危機感を募らせ、緊急声明や集会を重ねている。十四日は市民団体や学者グループによる声明も相次いだほか、実戦となる恐れもあったイラクへの自衛隊派遣の検証を求める声も上がった。 (安藤恭子、竹島勇、小松田健一)
 十四日昼、東京都港区の明治学院大の教室で「声明を語る会」が開かれ、教職員と学生ら計二十人が集まった。教員有志十五人は六日、「憲法の平和主義が無力化される」と法案への反対声明を発表。学内に掲示し、百七十人超の賛同人を集めている。
 「語る会」はこの日を含め四回開催。昼休みにランチを食べながら、日本の戦後責任や九条、言論への圧力といった問題をテーマに挙げた。今後も続ける予定で、呼び掛け人の猪瀬浩平准教授(文化人類学)は「法案は多様な問題を含む。開かれた対話の場としての大学の役割を果たせれば」と語る。
 国会審議が本格化した六月から、法案に反対する大学有志の声明が出始め、東京大でも今月十日、学生や教職員、OBらによる抗議集会に三百人が集まった。
 国際基督教大の稲(いな)正樹客員教授(憲法)は十三日、政治学、国際関係学の異分野の三人で声明を発表。「法の支配の根本が覆される事態。今声を上げなくては、研究を続けてきた意味がない」と危機感を募らせる。
 立命館大の法学部と法科大学院の教員有志六十四人も同日、「戦争準備法の性格を持つ」と法案に反対する声明を発表。他学部の教員が入り、全学で賛同を募る活動もインターネットで始まった。憲法学者の多くが「違憲」とする法案を強行しようとする政権の動きに、小松浩教授(憲法)は「専門知を軽視し、学問を侮辱する政権への憤りが広がっている」と厳しく批判した。
 東京学芸大の教員有志七十八人は十四日、法案の撤回を求めて緊急アピールを発表。とりまとめた教育学部の及川英二郎准教授(近現代史)は「強行採決を何としても阻止したいと賛同を募った」。十六日に学内集会を開く。

◆学者9000人「廃案を」「採決反対」市民団体 

 ■「安全保障関連法案に反対する学者の会」は14日、緊急要請行動として会の呼び掛け人14人が衆院特別委員会の自民、公明、民主、維新、共産各党の理事や委員の議員室を衆院議員会館に訪ね、強行採決せず廃案とするよう訴えた。

 参加したのは佐藤学・学習院大教授(教育学)ら。思想家の内田樹氏ら4人は与党側筆頭理事を務める江渡聡徳前防衛相(自民)の議員室を訪れ「9000人以上の学者が法案に我慢しきれず反対の意思表示をしている事実を重く受け止めてほしい」と秘書に伝えた。

 社会学者の上野千鶴子氏は江渡氏の議員室を訪ねた後に「憲法に違反する法律をつくったら、立法府まるごと、議員全員が憲法違反を犯すことになりますよ」と強調した。会には6月の発足からこの日までに、呼び掛け人61人、賛同者9766人の計9827人の学者が名を連ねている。

 ■海外で人道支援や協力活動をする団体の有志がつくった「NGO非戦ネット」は14日、自衛隊が海外で武力を行使すれば、非政府組織(NGO)の活動環境は著しく危険になるなどとして、安全保障関連法案の採決に反対する声明を発表した。声明では、安保法案は日本を戦争ができる国にしようとするもので、憲法の平和主義に反すると指摘。非軍事の国際貢献が必要だとしている。

 ■市民団体のピースボート(東京)と韓国の環境NGO「環境財団」は14日、安全保障関連法案の採決に反対する共同声明を出した。声明は「憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認することは相互不信を増幅し、アジアの緊張を高める」と政府を批判。近隣諸国の市民の声に耳を傾け、立憲主義を尊重するよう求めている。


安保関連法案、公聴会で肯定発言の同志社大学長に批判声明

毎日新聞(2015年07月15日)

 同志社大(京都市上京区)の教授や准教授ら教員の有志51人が15日、衆院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で安保関連法案に肯定的な発言をした村田晃嗣学長(政治学)に対し、「良心教育を基軸とした大学のイメージを大きく損なった。心から恥ずかしく思う」などと批判する声明を出した。

 呼びかけ人の板垣竜太教授(文化人類学)は「私たちには村田学長を選出した責任がある。学内にも法案反対の声があることを伝えたい」としている。同大には約800人の教員がいる。

 13日の中央公聴会で村田学長は、安保関連法案に対して憲法学者から違憲の指摘が相次いでいる点について、「安全保障の学会では多くの専門家が肯定的な回答をするのではないか」などと主張した。【川瀬慎一朗】


2015年07月15日

立命大教員有志「違憲論尊重を」 安保法案撤回求め声明

京都新聞(2015年07月13日)

 立命館大法学部や同大学法科大学院の教員有志が13日、国会で審議中の安全保障関連法案について、専門家の違憲論を尊重し、法案を撤回するよう求める声明を発表した。「研究者であると同時に、平和と民主主義を教学理念に掲げる教育者として黙っているわけにはいかない」としている。

 市川正人立命館副総長や小松浩法学研究科長ら8人が呼び掛け人となり、法学部と法科大学院の教員約100人のうち、呼び掛け人を含む64人が賛同した。

 声明は、安保関連法案について、憲法が禁じる集団的自衛権の行使を認め、歯止めのない軍事行動をもたらすと指摘。解釈変更で法案整備を進めようとする政府に対し、立憲政治のルールを壊すと批判している。また、多くの憲法学者や弁護士が反対の声を上げていることに言及し、「専門家の知見を軽視して違憲の法案を推進する政府・与党に強く抗議する」としている。


2015年07月14日

札幌学院大学教職員有志、「安全保障関連法案の撤回を求める声明」

安全保障関連法案の撤回を求める声明

安全保障関連法案の撤回を求める声明

札幌学院大学教職員有志

 政府は,今年5月14日,新法である「国際平和支援法」案,及び自衛隊法,武力攻撃事態法,周辺事態法など関連10法を改正する「平和安全法制整備法」案を閣議決定し,15日に国会に提出した。
 本法案は,2014年7月1日の集団的自衛権の行使を容認した閣議決定,その後改定された「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)を受けて提案されたものである。自衛隊が平時から緊急事態に至るまで切れ目なく自ら武力行使すること,他国への軍事的支援を可能にする法案となっている。
 今回の安全保障関連法制で唯一の新法となる国際平和支援法は,多国籍軍などへの後方支援を随時可能にする恒久法である。その狙いは,米国などの要請に応じ,自衛隊を速やかに海外派遣することにある。また,「平和安全法制整備法」案では,武力攻撃事態法,自衛隊法を改正して「存立危機事態」という概念を設け,日本と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生し,我が国の存立が脅かされる事態となった場合には,自衛隊が他国軍隊とともに武力を行使すること,すなわち集団的自衛権の行使を容認している。
 これらの法案は,平和国家としての日本の在り方を根本から変えるものであり,平和的生存権を保障した日本国憲法前文及び第9条に明確に違反するものである。したがって,現在,憲法学者のみならず多くの学者・研究者がこの法案に反対を表明し,撤回を求めている。また各種世論調査でも,法案は「憲法に違反している」と考える国民がかなりの多数を占め,学生や若者を中心に廃案を求める運動が全国各地で大きく展開されている。
 私たち札幌学院大学の教職員は,これら学者・研究者の反対表明や若者の平和運動に共鳴するとともに,大学の教育・研究,そして学生たちとその未来を守るために,本法案の廃案を強く求めるものである。

2015年7月11日

呼びかけ人,および共同代表 (19名)

法学部教授 西尾敬義, 法学部教授 神谷章生, 法学部教授 伊藤雅康, 法学部教授 家田愛子, 経済学部教授 片山一義, 経済学部准教授 湯川郁子, 経済学部准教授 浅川雅己, 経済学部准教授 白石英才, 社会情報学部教授 小内純子, 社会情報学部教授 石井和平, 社会情報学部教授 佐藤和洋, 人文学部教授 岡崎 清, 人文学部教授  小林好和 人文学部教授 湯本 誠, 人文学部教授 新國三千代,人文学部教授 川合増太郎, 経営学部教授 山本 純, 経営学部教授 杉本 修, 職員 井上寿枝


安保関連法案 自民党役員会、15日に特別委で採決する方針確認

FNN(07/13)

自民党は13日、役員会を開き、衆議院の特別委員会で審議中の安全保障関連法案について、15日に採決する方針を確認した。
自民党の谷垣幹事長は、記者会見で「そろそろ、締め総(締めくくり総括質疑)というような日程を考えていかなければならないことになるであろうと。15日には、そういうようなことも考えなければならないのではないか」と述べ、13日の役員会で、安全保障関連法案について、15日の特別委員会で、締めくくりの総括質疑を行い、採決する方針を確認したことを明らかにした。
政府与党は、翌16日にも本会議で採決し、衆議院通過を図りたい考え。
谷垣氏は、「国会の議論を見ていると、同じ議論が何度も行われている」と指摘し、論点が出尽くしたとの認識を示した。
これに先立ち、衆議院の特別委員会では、法案採決の前提となる中央公聴会が開かれた。
有識者5人が、法案の合憲性や安全保障環境などの観点から意見を表明し、法案に関して、賛成と反対で立場が分かれた。
外交評論家の岡本行夫氏は「この法制は、日本の安全を守るうえで、最も重要な仕組みである日米安保体制を強くするものでもあります」と述べた。
公聴会で、自民党推薦で外交評論家の岡本行夫氏は、国際的な安全保障環境の変化を指摘したうえで、「集団的自衛権の限定的容認は、海外での日本人の人命と財産を保護するケースにあたる」として、政府案に理解を示した。
また、公明党推薦の同志社大学学長・村田晃嗣教授は、「安全保障の専門家からなる学会で意見を問われれば、多くの専門家が肯定的な回答をするだろう。学者は、憲法学者だけではない」と指摘した。
一方、野党推薦の有識者3人は、政府案は違憲であるとの認識を示した。
法政大学の山口二郎教授は「専守防衛を逸脱するものであり、憲法違反である」と述べた。法政大学の山口二郎教授は、政府案が示す、存立危機事態、重要影響事態という事態に関し、「意味が明確に定義されていない。政府は、集団的自衛権の行使について、大きな裁量を手にする。日本が他国の戦争に巻き込まれる危険性が高まる」と述べ、政府案を批判した。
また、東京慈恵会医科大学の小沢隆一教授は、政府案が、集団的自衛権の行使を認めるとする存立危機事態について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない。憲法9条に反する」と指摘した。
さらに、首都大学東京の木村草太准教授も、存立危機事態について「日本への武力攻撃の着手がない中の武力行使を根拠づけるもので、明確に憲法違反だ」と指摘した。


安保法案 与党は15日にも委員会採決目指す構えも民主党は反発

FNN(07/13)

戦後日本の安全保障の大転換となる安保法案。説明不足という声も上がっているが、13日、有識者を呼んでの中央公聴会が行われた。このピースが埋まったことで、安倍首相肝いりの安保法案の採決環境が整いつつある。
13日に開かれた記者会見で、安全保障関連法案に関して、安倍首相に辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせた映画監督・宮崎 駿さん。
宮崎監督は「軍事力で中国の膨張を止めようとするのは、不可能だと思う。もっと違う方法を考えなければいけない」、「安倍首相は、自分が憲法の解釈を変えた偉大な男として、歴史に残りたいと思っているでしょうが、愚劣なことだと僕は思っている」と述べた。
今週、安保関連法案の審議が、最大のヤマ場を迎えた。
与党推薦の外交評論家・岡本行夫氏は「世界が助け合っている時に、日本がわれ関せずという態度をとり続けることは、日本人の命と財産を守るリスクと負担は、ほかの国に押しつけるということを意味する」と述べた。
与党推薦の識者が、法案の必要性を訴えたのに対し、野党推薦の識者は、憲法違反だと指摘し、13日も意見が分かれた安保法案。
野党推薦の法政大学・山口二郎教授は「専守防衛を逸脱するもので、憲法違反であると考えます。他国の武力行使に一体化することは、戦争への参加を意味します」と述べた。
13日に行われた中央公聴会で、5人の有識者が、法案に対する意見を述べた。
中央公聴会とは、予算や重要法案などの際、国民の意見を聞くために開かれるもので、採決の前提となるもの。
菅官房長官は「審議時間が100時間を超えており、(採決の)時期については、国会で決めていただく」と述べた。
与党側は、これで採決の環境が整いつつあるとして、15日にも委員会で採決を行うことを目指しているが、強引な採決は認められないと、民主党が反発している。
民主党の枝野幹事長は「到底、採決なんてできる状況じゃない。国会の外側から、暴走ストップのために、それぞれのできる範囲で、最大限のご協力をいただきたい」と述べた。
国会の外では、市民団体らが、プラカードを掲げ、安保関連法案反対を訴えていた。
一方、安倍首相は、国民に理解を広めるため、立て続けに自民党のインターネット番組に出演し、法案の必要性を訴えている。
安倍首相は10日、「国民の命を守り、国を守る責任は、まさに私たちにある」と述べた。
議論が不十分との指摘もある中、安保関連法案の採決は、15日にも行われる見通し。

安保法制、公聴会で賛否 与党、週内に委員会採決目指す

朝日新聞(2015年7月13日)

 新たな安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で13日午前、専門家から法案への意見を聴く中央公聴会が開かれた。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ法案は「憲法違反」という指摘や、安全保障環境の変化を理由に必要だとする意見が示された。中央公聴会は採決の前提となるもので、与党は週内の委員会採決をめざしている。

 野党推薦の木村草太・首都大学東京准教授(憲法学)は「日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使は違憲だ」と明言。法案の違憲性を問う訴訟があれば「裁判所が同様の見解をとる可能性も高い」とし、「集団的自衛権の行使容認が政策的に必要なら憲法改正の手続きを踏み、国民の支持を得ればいいだけだ」と述べた。

 さらに、維新の党が提出した対案にある、個別的自衛権を拡大した「武力攻撃危機事態」について「外国軍への攻撃が同時に日本への武力攻撃の着手になる事態を意味すると解釈するなら合憲だ」との考えを示した。

 野党推薦の小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)は、集団的自衛権を使う際の前提条件「存立危機事態」の定義があいまいで、行使の歯止めがなくなりかねないと批判した。その上で、「(海外派遣された)自衛隊員が相手方に拘束された場合、戦闘員でも文民でもないという不安定な地位に追いやられる」とも指摘した。

 野党推薦の山口二郎・法政大教授(政治学)は、集団的自衛権の行使容認で日米同盟が緊密になって抑止力が高まるとの政府の主張に対し「中国との対話や相互理解はそっちのけで、自国が武力行使する可能性を拡大すれば、より安全になるとの主張は政治的に稚拙だ」と批判した。

 一方、与党推薦で外交評論家の岡本行夫氏は「宗教や民族、国家間の対立が先鋭化し、過激派組織『イスラム国』のような暴力的な準国家組織が勢力を伸ばしている。一国で生命と財産を守り抜くことは不可能だ」と述べ、法整備に賛意を示した。

 与党推薦の村田晃嗣・同志社大学長(国際関係論)は「中国が経済的に急速に力を付け、軍事力や外交的な影響力に転化しようとしている」とし、「こうした中で日米同盟の強化は理にかなったことだ」と述べた。(小野甲太郎)

■菅官房長官「論点、整理された」

 菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、安全保障関連法案について「審議時間が100時間を超え、維新の党から対案が出されたこともあり、論点はだいぶ整理されている」と述べ、衆院採決に向けた環境が整いつつあるとの認識を示した。


2015年07月13日

立命館有志、「安保関連法案に反対する立命館有志の声明文」

安保関連法案に反対する立命館学園有志のウェブサイト

安保関連法案に反対する立命館有志の声明文

民主主義と立憲主義を基礎とする日本は現在、その存立の危機にあります。私たち立命館学園の有志は、違憲立法である「平和安全法制整備法案」および「国際平和支援法案」(以下、あわせて安保関連法案)が国会で審議されていることに強く抗議し、法案の即時撤回を求めます。

かつて立命館大学は、国家主義的な風潮に同調し、立命館禁衛隊の創設、立命館大学国防学研究所の開設、さらには非志願学生の除名処分まで行い、積極的に約3,000人の学生を戦地へ送り出しました。私たちの立命館学園は、戦後、その苦い過去に対する深い反省に立ち、日本国憲法と教育基本法に基づく「平和と民主主義」を教学理念として掲げています。

安保関連法案は日本国憲法の禁ずる集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の武力行使を際限なく可能にするものです。しかし「集団的自衛とは自国防衛ではなく他国に対する軍事的支援であり、だからこそ憲法上認められない」というのが憲法学の支配的学説です。日本国憲法は60年以上にわたって日本の安寧を支えてきた理論的基盤です。時の政権が解釈のみで憲法を空洞化し、民主的な合意形成のプロセスを蔑ろにするならば、それは立憲主義の破壊であり、法治国家の終焉を意味します。いま、日本は成熟した民主主義を自ら放棄し、権力者の意思が支配する人治国家へと変容しようとしています。政府閣僚・与党幹部は大多数の憲法学者の違憲論を「学者は法律の字面に拘泥しすぎ」という言葉とともに退けました。我々立命館学園の有志は、各々の専門分野における学知と個人の良識にもとづき、教育・研究の場に社会から負託された使命を全うすべく、独裁的かつ反知性的な政府の政治手法を強く非難し、断固として抗議します。立命館学園に所属する私たちは、「教育・研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献する」と規定する立命館憲章の精神に基づき、その理念に根底から背馳する安保関連法案に反対します。


2015年7月11日

安保関連法案に反対する立命館有志

立命館大学法学部・法務研究科教員有志、安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める声明

STOP! 違憲の「安保法制
 ∟●「安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める立命館大学法学部・法務研究科教員有志の意見」

安保関連法案に対する専門家の違憲論を尊重し、法案の撤回を求める立命館大学法学部・法務研究科教員有志の意見

現在、国会で審議されている「平和安全法整備法案」と「国際平和共同対処事態支援法案」(以下、あわせて安保関連法案)は、米国など他国の防衛および他国の軍事行動と一体化した後方支援=兵站を目指す点で、戦争準備法の性格を持つと指摘されています。また、憲法学者をはじめとする研究者・有識者や弁護士会、さらに歴代の内閣法制局長官経験者の多くが、日本国憲法9条に違反する内容であるとして、法案への反対を表明しています。立命館大学法学部・法務研究科に所属する私たちは、「教育・研究機関として世界と日本の平和的・民主的・持続的発展に貢献する」と規定する立命館憲章の精神に基づき、戦争準備法として安保関連法案に反対します。また、政府・与党が法律専門家の違憲論に真摯に耳を傾け、安保関連法案を撤回することを求めます。

1 安保関連法案は、日本国憲法の禁ずる集団的自衛権の行使を認め、歯止めのない自衛隊の軍事行動をもたらすものです。
安保関連法案が成立すると、いかなる影響が出てくるのか、ここでは重大な問題3点にしぼって指摘します。

(a)「我が国と密接な関係にある他国」への武力攻撃を日本の「存立危機事態」だとして、自衛隊の武力行使が可能となります。これは日本国憲法が禁止する集団的自衛権の行使に該当します。「存立危機」の要件は曖昧なため、歯止めのない軍事行動に日本が踏み込むおそれがあります。

(b)「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)や、「国際社会の平和と安全を脅かす」事態(国際平和共同対処事態)という曖昧な概念の下、現に戦闘行為が行われている現場でなければ、世界のどこにおいてでも米国軍などの他国軍隊に対する「弾薬の提供」を含む後方支援=兵站が可能になります。兵站も武力行使と一体の活動として、やはり憲法の禁止する集団的自衛権の行使に該当します。自衛隊が兵站業務を行う「現に戦闘の行われていない現場」は、いつ戦闘が発生するかもわからない場所ですから、自衛官が攻撃を受ける危険は戦闘現場そのものと大差ありません。

(c)国連平和活動(PKO)のみならず、軍事的性格の強い集団的措置(多国籍軍)や国連が統括しない「有志連合軍」等による活動(「国際連携平和安全活動」)への自衛隊の参加の道が開かれます。武器使用を伴う「駆け付け警護」などの戦闘性の高い業務も拡大します。

(a)~(c)いずれの場面でも、自衛官の戦闘死や精神的健康被害の危険性が高まることは明らかです。同時に、自衛官が他国の民間人を誤射してしまうケースも増えるでしょう。また、日本が米国の軍事行動に参加することで、海外で暮らす日本人が「テロ」の標的となる危険も増えます。「国際社会に開かれた学園」をめざす立命館では様ざまな国からの留学生が学んでおり、また日本人学生の多くも海外留学を経験しています。留学生の母国が戦争の惨禍を被る事態や、留学中の日本人学生が「テロ」事件に巻き込まれる事態は絶対にあってはなりません。教学理念「平和と民主主義」に基づき、学生の学びを応援してきた立命館大学の教員として、将来のある学生たちが戦争に巻き込まれるような未来にしてはいけないと強く感じます。
安保関連法案提出の理由として、政府は、「我が国をとりまく安全環境は根本的に変容」した(2014年7月1日閣議決定、以下「7・1閣議決定」)と説明しています。しかし、冷戦期や2000年代前半と比べてアジアにおける緊張感が著しく高まったとする客観的な根拠を示せていません。米国の後方支援の強化が「抑止力」を持つという主張も観念的な域を出ず、むしろ東アジアの緊張関係を高めることにならないのか、中東地域で培ってきた日本の「平和ブランド」を損ねることにならないか、上述のような「テロ」の標的となるリスクが高まるのではないかといった多くの国民が抱いている懸念を払拭するような説明は、首相の会見の中でも国会答弁の中でもなされていません。

2 集団的自衛権の行使は憲法上認められないというのが憲法学の通説であり、従来の政府の立場です。これを政権の都合で変更するのは、立憲政治という貴重なルールと、それへの信頼を破壊します。
いずれにしても、日本が立憲主義国である以上、憲法が禁止する政策を推進できないことが大前提です。「集団的自衛権は憲法上認められない」というのが確立した憲法解釈であり、それゆえ憲法学者の多くが「安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」(6月16日時点の賛同者230名)に賛同しました。日本弁護士連合会(日弁連)も法案に反対の意見書を出しています(6月18日)。
また、衆議院憲法審査会(6月4日)で参考人となった与党推薦も含む3名の憲法学者全員が「安保関連法案は違憲である」という見解を述べました。なによりも、「7・1閣議決定」以前の政府自身が「集団的自衛権は憲法上行使できない」という立場を公言していたはずです。
たしかに、憲法の文言は一義的ではなく、複数の解釈を許す場合もあります。しかし、そうした解釈の余地は、条文の文言や他の憲法規定との論理的な関連によって、あるいは過去の裁判例や慣行によって「枠」をはめられており、これを越える「解釈」はもはや解釈たりえないというのが法律学の「基本了解」です。こうした「基本了解」を政府や国会議員が守らなければ、憲法を頂点とする法への信頼は崩れます。政権の都合で憲法解釈を変更できる国は、もはや法治国家ではなく、ときの権力者の独善的な意思が支配する「人治国家」です。長年積み上げてきた政府の憲法解釈を国会での審議もないまま都合よく変更するような政権が、「徴兵制を導入することは憲法上あり得ない」(2014年7月15日参議院予算委員会・安倍内閣総理大臣)などと力説しても、まったく説得力がありません。
政府が「7・1閣議決定」の根拠とする、1972年の閣議決定は個別的自衛権を前提にしたものであることは、それ以降の政府答弁が一貫して「集団的自衛権は憲法上認められない」と述べてきたことからも明らかです。「7・1閣議決定」作成の中心となった高村正彦・自民党副総裁自身が、過去においては集団的自衛権の行使は憲法の限界を超えるという答弁を国会でしてきました(1999年2月9日衆議院安全保障委員会)。中谷元防衛大臣も、かつては、「憲法の解釈変更はすべきでない」という見解を著書で述べてきました(中谷元『右でも左でもない政治』幻冬舎2007年)。このような、過去の認識を都合よく変更するというのは、国会議員・大臣としての資質と誠実さが疑われるところです。
違憲論の声に危機感を覚えた、政府・与党は最高裁砂川判決を根拠として、「最高裁は集団的自衛権を排除していない」と強弁するに至りました。しかし、砂川判決では集団的自衛権行使などに言及しておらず、判例法理の明らかな歪曲です。与党公明党の幹部も、「7・1閣議決定」の際の与党協議においては、砂川判決では集団的自衛権は正当化できないという認識でした。ここにも政府・与党の「ご都合主義」の態度がみられます。安倍総理の「過去の憲法解釈に固執するのは政治家としての責任放棄」(2015年6月18日衆議院安保特別委員会)という発言に至っては、公務員の憲法尊重擁護義務をそれこそ放棄したものであり、総理大臣としての資質が問われる発言です。憲法学者や日弁連が批判しているのは、安保関連法案の内容自体の違憲性のみならず、こうした立憲主義の精神を無視した政治手法なのです。

3 法の専門家たちの意見を無視・軽視した法案の進め方に抗議します。
憲法学者の反対声明や日弁連意見書の他にも、「安全保障関連法案に反対する学者の会」(6月18日時点で賛同者約4600人)などが、それぞれの分野の学知を基盤として安保関連法案反対の声をあげています。法案を推進する政治家・官僚たちは、こうした専門家の意見にまずは耳を傾け、反論があるなら真摯に応答すべきです。ところが、政府・与党は、自分たちに都合の悪い専門家の意見を徹底的に無視・軽視しています。憲法学者たちの違憲論に対しても、政府閣僚や与党幹部たちは、「学者は法律の字面に拘泥しすぎ」、「憲法学者の言を聞いていたら平和は守れなかった」などと露骨に嫌悪感を示しています。前者は法令や判例の論理的な読解を核心とする法律学という知的営為の否定に等しい暴言であり、後者は実証的な論拠をもたない妄言です。このような非理性的な言葉を国政の担当者たちが簡単に口にする現状を、私たちは研究者として深く危惧します。
私たちの中にも、日本の安全保障・外交の方向性について様々な立場がありますし、日本国憲法の下での自衛権のあり方に関する理解にも一定の幅はあります。それは自由な研究の場として、むしろ自然なことです。しかしながら、憲法学者の圧倒的多数が採用し、60年間にわたり歴代政府も維持してきた、「集団的自衛権の行使は憲法違反である」という解釈は法理として確定しているという認識では一致しています。それゆえ、私たちは専門知を軽視して違憲法案を推進する政府・与党の姿勢に強く抗議し、ここに安保関連法案に専門家の立場から反対を表明し、法案撤回を要求します。
2015年7月1日

呼びかけ人(50音順): 市川正人 植松健一 大久保史郎(名誉教授) 倉田玲 倉田原志 小松浩 多田一路 中島茂樹

賛同人(7月10日第1次集約現在):赤澤史朗(名誉教授) 浅田和茂 吾郷眞一(特別招聘教授) 安達光治 安保寛尚 生田勝義(名誉教授) 生熊長幸 石原浩澄 石橋秀起 上田寛(名誉教授) 大平祐一 加波眞一 嘉門優 小堀眞裕 坂田隆介 佐藤敬二 佐藤渉 島津幸子 須藤陽子 徐勝 高橋直人 竹濵修 谷本圭子 遠山千佳 德川信治 平野哲郎 平野仁彦 渕野貴生 堀雅晴 本田稔 中谷義和(名誉教授) 二宮周平 野口雅弘 松尾剛 松宮孝明 松本克美 宮井雅明 宮脇正晴 村上弘 望月爾 森久智江 湯山智之 山口直也 山田希 山田泰弘 山本忠 吉岡公美子 吉村良一 渡辺千原 和田真一  他匿名賛同5名
(以上、呼びかけ人・賛同人計64名)

明治学院大学有志、「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

明治学院大学国際平和研究所
 ∟●「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

「安全保障関連法案に反対する明治学院有志による声明」

私たちの明治学院は、1945年夏に至るまでの戦争において国家体制に追従し、戦争に協力して多くの学生を死地に送り出した過去をもっています。その歴史を深く反省し、敗戦50周年の1995年、学院長は「明治学院の戦争責任・戦後責任告白」を行い、真の平和をつくりだすために努力することを誓いました。

私たち明治学院有志は、20年前に先達が行ったこの告白を引き継ぎ、侵略戦争と植民地支配への償いを充分におこなわなかった戦後日本の責任を自覚しながら、現在国会で審議されている安全保障関連法案(以下、この法案)に対して、反対の意志をここに表明します。

この法案の基本は、従来憲法違反とされてきた「集団的自衛権」を合憲だと強弁することによって、世界各地で米軍の「後方支援」すなわち戦争の兵站任務を、自衛隊に担わせることにあります。この政策転換は近隣諸国の警戒心を強め、諸国の軍拡勢力に口実を与えて、逆に戦争を招き寄せてしまうおそれがつよい、と私たちは考えます。

政府・与党は、議席数をたのみにして、憲法違反であることが明白なこの法案の強行採決をもくろんでいます。日本は、開かれた対話を通じて、合意形成を目指す国であるべきです。これまでもないがしろにされ続けてきた憲法の平和主義がさらに無力化され、日本が再びアジア、世界の平和を脅かす存在となる道を開くことを、見過ごすわけに行きません。

日本国憲法の平和主義を私たちの手に取り返し、真の平和を実現するために、私たちはこの法案に反対します。

呼びかけ人(国際平和研究所、キリスト教研究所所員有志)
秋月望(国際学部)、猪瀬浩平(教養教育センター)、徐正敏(教養教育センター)、齋藤百合子(国際学部)、高原孝生(国際学部)、田中桂子(国際学部)、鄭栄桓(教養教育センター)、永野茂洋(教養教育センター)、浪岡新太郎(国際学部)、服部圭郎(経済学部)、東澤靖(法科大学院)、平山恵(国際学部)、藤川賢(社会学部)、宮地基(法学部)、渡辺祐子(教養教育センター)<15名>

賛同人(順不同)
石原俊、勝俣誠、ナギサデ・モハメド、丸山直起、桜井均、吉原功、武者小路公秀、森まゆみ、宋立水、大村真樹子、古市剛史、中野佳裕、鎌田陽司、寺田俊郎、佐藤アヤ子、勅使川原香世子、小沼通二、原田麻以、箱山富美子、伊藤武彦、松島泰勝、梅林宏道、片野淳彦、丸浜江里子、森本泉、伊藤るり、岡本雅享、西川潤、橋本敏雄、小田原琳、戸谷浩、中山弘正、浅川達人、高木久夫、露木隆子、石田隆至、木村真希子、竹内啓、福田夏美、内藤翔太、小口広太、石田泊瀬、青柳寛、大橋映子、五郎丸聖子、竹中佳生子、川又若菜、鈴木大悟、高橋敏明、林香、塚田奈帆、浅利有紀、仁藤夢乃、岡本行人、藤田佳奈、狩野暁洋、渡邉悟史、佐藤壮広、下村優、山口裕二、土屋大輔、千葉立也、生原美典、平野幸子、杉山綾香、竹尾茂樹、小松光一、稲垣久和、嶋田彩司、高井ヘラー由紀、原 みずほ、柳島かなた、永山聡子、水落健治、大西晴樹、田中祐介、緒方義広、賴俊輔、野口明子、真崎隆治、植木献、豊川慎、大西喜瑛子、鳥飼奈央子、池上康夫、佐藤飛文、西谷修、吉岡靖、清水広美、小柳里織、磯崎公臣、青木桃花、齋藤龍一郎、二神亮介、石隈優里花、眞鍋直子、川村静、浅田英里、中村桃子、知久祥子、中村充孝、崔正憲、飯田浩司、辻丸篤、門間貴志、岡部一興、鍛冶智也、加山久夫、小林孝吉、清水有子、田丸修、中島耕二、村上志保、新名知子、内山汐里、菅沼彰宏、三角明子、塩見歩、大内俊介、氣仙尚子、石井泉、大崎明子、新井哲夫、高橋文彦、神志那ゆり、井上慶子、池山友幸、中村裕之、森井真、今村正夫、武藤義行、大岩圭之助、小坂友理恵、福田杏里、佐久間雄大、渡邊奈美子、久保田萌、松下圭一、吉羽弘明、渥美たお、籔田悦子、金泰崇<142名><ほか賛同者 17名>

2015年7月10日15時20分現在

#明治学院関係者(学生・教職員・卒業生など)に、この声明の賛同者を募ります。賛同いただける方は、国際平和研究所までE-mailもしくはFaxで連絡をお願いします。その際、名前(公表可・不可を明記)、明治学院における所属(在学時のものでも可)をご記入お願いします。
連絡先 明治学院大学国際平和研究所
prime@prime.meijigakuin.ac.jp
Fax: 03-5421-5653

東大学生、教授ら安保法の今国会成立反対へ集会

Economic News(2015年07月12日)

 安保法案の今国会の成立に反対する東京大学の学生、大学院生、教授らが10日、緊急集会を東大駒場キャンパスで開き「集団的自衛権を導入しなければ国際貢献できないわけではない」「自衛隊が復興支援活動を行うときにも戦争を放棄した日本だからこそ、現地の人々からも歓迎された」などの集会アピールを採択。アピールは1人1人行動する責任があると運動の輪をひろげていこうと呼びかけている。

 東大関係者らの集会の背景には「戦前の東京帝大時代、東大が戦争遂行協力者になり、学問の自由を手放し、多くの学徒を戦場に送る破局的な過ちを犯した。この惨禍を再び繰り返さないことが先人への誓いであり、未来への世代への責任」との思いがある。

 アピールは憲法9条のもとで集団的自衛権が許されないというのは学説上も、政府解釈でも、司法の場でも、半世紀以上とられてきた解釈であり、政府は立憲主義を蹂躙していると問題視した。

 また国民に対する誠実な説明責任すら果たしていない。この法案は未来に禍根を残す。日本がテロの対象国になる危険性が格段に高まるなど警鐘を鳴らしている。

 参加した教授らは「明らかに憲法9条に抵触している。憲法改正手続きで行うべきものを解釈変更で強行しようとしている。法治国家が成り立たなくなる」「本来憲法改正をしなければできないことを憲法違反の法律を作ってやっていこうという、危険な状況にある。立憲主義にも反する、閣議決定そのものが憲法違反」と強い危機感を示した。


2015年07月12日

安保法案「違憲」104人、「合憲」2人 憲法学者ら

朝日新聞(2015年7月11日)

 安全保障関連法案の合憲性をめぐり、朝日新聞は憲法学者ら209人にアンケートをした。回答した122人のうち「憲法違反」と答えた人は104人、「憲法違反の可能性がある」は15人。「憲法違反にはあたらない」は2人だった。

 調査は先月下旬、判例集「憲法判例百選」(有斐閣、2013年発行)を執筆した210人のうち故人1人を除いてメールなどで実施。一部無回答を含め122人(実名85人、匿名希望37人)が回答した。法案と憲法との整合性を問う質問は四つの回答から選ぶ選択式で、「憲法違反にはあたらない可能性がある」は0人、回答なしが1人だった。

 違憲か違憲の可能性があると答えた計119人は「集団的自衛権の容認は、解釈の限界を超える」「憲法は武力行使を政策的に判断する権限を政府に与えていない」などを理由に挙げた。一方、合憲と答えた2人は「国家を守るために必要な範囲に限定されている」「従来解釈と論理的整合性が欠如しているだけでは憲法違反の理由にならない」とした。

 法案に先立ち、安倍内閣は昨年7月、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定をした。この妥当性について尋ねたところ、回答した116人が「妥当でない」とした。「都合のよい憲法解釈は法的安定性を失う」といった批判があった。法案が合憲と答えた2人を含む6人は無回答だった。

 政府は集団的自衛権行使容認の根拠として1959年の砂川事件の最高裁判決を挙げている。この判決が集団的自衛権行使を「認めていない」と答えた人は95人で、「認めている」は1人。「判決は判断していない」などとして「その他」を選んだ人が24人、無回答が2人だった。

 自衛隊については「憲法違反」が50人、「憲法違反の可能性がある」が27人の一方で、「憲法違反にはあたらない」は28人、「憲法違反にあたらない可能性がある」は13人だった。憲法9条改正が「必要ない」は99人、「必要がある」は6人だった。

 憲法判例百選は重要判例の概要を紹介し、意義を解説する専門書。13年発行の第6版はⅠ、Ⅱ巻合わせて210人が執筆した。衆院特別委員会で法案の合憲派として菅義偉官房長官が名前を挙げた3人は執筆していない。

 法案をめぐっては、衆院憲法審査会に参考人招致された憲法学者3人が憲法違反と発言するなど法的正当性に疑問の声が出ている。

憲法学者らから見た安保法案 「曲解」「政策論に期待」

朝日新聞(2015年7月11日)

 解釈の限界を超えている――。朝日新聞が実施した憲法学者らへのアンケートでは、安全保障関連法案を大多数が「違憲」と判断した。成立を目指す安倍政権は、法の専門家からは立憲主義を脅かす存在と映る。

■法案の合憲性

 法案について、違憲や違憲の可能性があると答えた119人のうち40人以上が自由記述で現行憲法下での集団的自衛権行使は違憲と強調した。野坂泰司・学習院大法科大学院教授は「『他衛』を本質とする集団的自衛権行使の容認は、解釈の限界を超える」。市川正人・立命館大法科大学院教授は「集団的自衛権の一部を個別的自衛権の延長線上のものと位置づける政府解釈は論理的に破綻(はたん)している」と指摘した。

 一方、法案を合憲とする2人のうち、井上武史・九州大院准教授は、集団的自衛権について「憲法の文言からは明らかに違憲とする根拠は見いだせない」「違憲かどうかではなく、日本や国際社会の平和と安定に真に貢献するかという政策論議を国民は期待している」と述べた。

 法案は集団的自衛権行使のための「武力行使の新3要件」を定め、政府は「厳格な歯止め」とするが、20人以上が定義があいまいだとした。若尾典子・佛教大教授は「漠然としており、制限規定となっていない」。大津浩・成城大教授は存立危機事態について「政治的多数派の主観的な『危機』の判断で拡大する基準」とする。

 これに対し、法案を合憲とした元衆議院法制局法制主幹の浅野善治・大東文化大院教授は3要件を「厳格」と評価し、「国家を守るために必要な範囲に限定されている」とした。

 政府の憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を可能にした手法についても約40人が疑問視した。井上典之・神戸大院教授は「憲法の最高法規としての性格を無視した行為」とした。


安保関連法案に反対の憲法学者らがシンポジウム

NHK(7月11日)

安全保障関連法案に反対する立場の憲法学者が東京都内でシンポジウムを開き、「長年の憲法解釈を変えるのは、実質的な憲法改正だ」と法案の撤回を求めました。

シンポジウムは、憲法を守る立場の研究者で作る「全国憲法研究会」が開いたもので、都内の会場には学生などおよそ250人が集まりました。

このなかで、学習院大学大学院の青井未帆教授が「従来の憲法解釈を尊重しない政権の姿勢に対して、憲法学者の危機感は強い。法案を成立させてはならず、この機会に多くの人が憲法を勉強してほしい」と訴えました。

その後、3人の憲法学者によるパネルディスカッションが行われ、「長年の憲法解釈を変えるのは実質的な憲法の改正であり、国民が持つ憲法改正の権限を奪うものだ」という批判や、「市民が声をあげて、政治に世論の声を反映させる必要がある」といった意見が出され、出席者から法案の撤回を求める声が相次ぎました。


安保法案「今国会成立に反対」東大生、抗議集会でアピール採択

時事通信((2015/07/10)

 国会で審議中の安全保障関連法案に反対する集会が10日夜、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)で開かれた。300人以上の東大生やOBが参加し、「今国会での成立に反対する」とのアピールを拍手で採択した。
 憲法改正に反対する「九条の会」事務局長の小森陽一東大教授(日本近代小説)を呼び掛け人に加え、学生中心で発足した「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会」が主催した。会場となった教室は満員となり、学生らが廊下まであふれた。
 集会では「安全保障関連法案に反対する学者の会」発起人で元教育学部長の佐藤学名誉教授(教育学)らが講演。「安倍首相は戦争をする国にしようとしている」と政府を批判、学徒出陣を引き合いに「戦争でいつも犠牲となるのは子どもと若者で、痛いほど歴史で味わったはずだ」と訴えた。
 スピーチに立った理科1類1年の男子学生は「これまで関心がなかったが、このままではよく分からないまま強行採決されてしまう。一緒に考えて意見表明していこう」と呼び掛けた。
 司会を務めた法学部3年の佐藤大介さん(21)は「強行採決は許されることではない。私たち世代の責任で止めなければならない。東大から発信することで、全国に運動を広げたい」と話した。

2015年07月11日

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学 大学人アピール

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学 大学人アピール

安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学
大学人アピール

2015年6月21日 学内呼びかけ開始

 今国会で審議されている安保関連法案は、地球の裏側にまで出向いて他国による軍事行動に協力・加担していくことを可能にするものであり、武力行使を認めていない憲法9条に明確に違反するものです。私たちは、島根大学の大学人として、今国会に上程されている安保関連法案の反対・廃案を訴えます。

 私たちは、広く学術発展を目指し、また教育・研究・地域貢献を追求して日々活動しています。こうした活動の基盤こそが平和です。法案名に「平和」を冠しているとはいえ、武力によって平和や秩序を維持することなどできるはずもありません。私たちが追求する学術発展、教育・研究・地域貢献の活動を根本から掘崩す安保関連法案の廃案を求めます。

 戦争はこれまでもたびたび、「学問の自由」や「大学の自治」を脅かし、踏みにじってきました。軍事研究の解禁をはじめとして、近年の大学をめぐる状況への危機感を共有しながら、私たちは「学問の自由」と「大学の自治」を擁護するためにも、安保関連法案に反対します。

 また、中国をはじめとした近隣諸国とのあいだで教育・学術交流を展開している私たちは、これらの国々の行為の一部を固定的にみなし、これを安保関連法制整備の根拠としていることに大きな危惧を抱きます。ユネスコ憲章は「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と謳っています。微力ながらも「平和のとりで」を築くべく努めてきた私たちは、安保関連法案に反対します。

 私たち大学人は、かつて日本が行った侵略戦争において多くの有為な学徒を戦場に送り出さなければならなかったという痛恨の歴史に鑑み、二度と戦争に協力しないことを誓っています。また、現在においても自衛隊に就職していった少なくない卒業生たちを思い、自衛隊の活動範囲や武器使用を大幅に緩和し、戦争に巻き込まれ、彼らが実際に傷つく危険を著しく高める安保関連法案に強く反対します。

 6月4日の衆議院憲法審査会における全ての憲法学者証人の違憲答弁に示されるように、この法案は日本が第二次大戦の惨禍のなかから築き上げ、堅持してきた国際紛争の武力による解決の放棄という恒久平和主義の根幹を、解釈改憲と違憲立法によって一挙に否定し、再び私たちが「加害側」に立ってしまう危険性を高めるものです。私たちは日本や世界の歴史を大きく後戻りさせようとするこうした企てに強く抗議し、法案の廃棄を求めます。


「憲法9条に明確違反」 安保法案廃案求め声明

日本海新聞(2015年7月10日)

 島根大(松江市)の現役教員とOBの有志が9日、安倍政権が国会に提出し審議が進む安全保障関連法案について、「憲法9条に明確に違反する」として廃案を求める声明を発表した。大学単位で教員やOBの有志が、同法案の反対声明を発表するのは全国で初めてという。

 6月に松江市内で開かれた同大学OB会世話人会で、法案に危機感を募らせたOB4人を含む19人が声明文を作成し、賛同者を募った。9日現在、現役教員の約4割に当たる162人、OB53人の計215人が賛同している。

 声明では、大学教育や研究、地域貢献活動は平和が基盤▽学問の自由と大学の自治を擁護する必要性▽中国など近隣諸国の行為を安保法制整備の根拠とすることへの危惧▽学生の将来に対する責任-の4点から反意を表明している。

 呼び掛け人のうち9人が同日、島根県庁で記者会見し、井上寛司名誉教授は「政府の都合で憲法解釈を変えることは民主主義の根幹にかかわる問題だ」と指摘。元学長の北川泉・島根総研所長は「自由に意見を言えない雰囲気は1940年代と似ている」と危機感をにじませた。

 今後は県知事や県内市町村長、議会宛てに声明を送付するほか、学内でさらに賛同者を増やしていく考え。事務局の関耕平・法文学部准教授は「声明文を全国に広げていきたい」としている。


2015年07月10日

安保法案 憲法学者9割「違憲」、本紙調査に204人回答

東京新聞(2015年7月9日)

 本紙は、他国を武力で守る集団的自衛権行使を柱とする安全保障関連法案に関し、全国の大学で憲法を教える教授ら三百二十八人を対象に、法案の合憲性などを尋ねるアンケートを実施した。回答した二百四人(回答率62%)のうち、法案を「憲法違反」(違憲)としたのは、六月四日の衆院憲法審査会に自民党推薦で出席した長谷部恭男・早稲田大教授をはじめ、青井未帆・学習院大教授、愛敬(あいきょう)浩二・名古屋大教授ら百八十四人。回答者の90%に上り、憲法学者の圧倒的多数が違憲と考えている現状が鮮明になった。
 「合憲」は百地(ももち)章・日本大教授ら七人(3%)にとどまった。「合憲・違憲を議論できない」などとして、「その他」と回答した人も十三人(6%)いた。違憲と答えた人は、回答しなかった人も含めた総数三百二十八人でみても過半数を占めた。
 違憲と回答した人の自由記述による理由では、集団的自衛権の行使容認が憲法を逸脱していることに言及した人が最も多く、六割を超えた。政府は安保法案で認めた集団的自衛権は「限定的にとどまる」と合憲性を主張する。だが「たとえ限定的なものであれ、改憲しない限り不可能」(阪口正二郎・一橋大教授)と、限定容認を含め否定する意見も多かった。
 手続き上の問題や、集団的自衛権行使の判断基準となる「武力行使の新三要件」が明確でないことを理由に挙げた人も、それぞれ二十人程度いた。
 手続きに関しては、安倍政権が昨年七月、閣議決定だけで憲法解釈を変更したことに関し「一内閣の閣議決定で変更した手法に問題がある」(高橋利安・広島修道大教授)との批判が目立った。
 新三要件には「要件が不明確で、限定は事実上ないに等しい」(木下昌彦・神戸大准教授)といった疑念が示された。
 一方、安保法案を「合憲」とした人は「個別的か、集団的かを憲法判断の基準とすることは自衛権保持という観点からは意味がない」(木原淳・富山大教授)などを理由に挙げた。
 ただ違憲・合憲双方の回答者から「法制の合憲性が学者の意見の多寡で決まるわけではない」とする意見が複数あった。
 九条改憲の是非については、75%の百五十三人が「改正すべきではない」と回答。「改正すべきだ」は十七人だった。「その他」や無回答が三十四人いた。
 安保法案に対する違憲批判は、衆院憲法審で長谷部氏ら三人の憲法学者全員が違憲と表明して以降、全国的に広がっている。政府は当初「違憲でないという憲法学者もたくさんいる」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)などと反論していた。

◆「立憲主義の危機」強い懸念

 「今回の論議は単なる安全保障政策の憲法適合性の問題ではない。現政権の立憲主義への挑戦、憲法の否定ととらえねばならない」
 アンケートの自由記述では、桐蔭横浜大の森保憲教授がこう記したように、安倍政権が憲法解釈を変更し、安全保障関連法案の成立を目指していることに「立憲主義の危機だ」と懸念の声が相次いだ。
 立憲主義は国民の権利や自由を守るため、憲法によって国家権力の暴走を縛るという考え方で、民主的な憲法を持つ世界各国で共有する。森氏は「『縛られている者』が自らを縛る鎖を緩和することは、明らかに立憲主義に反する」と政権による解釈変更を批判。富山大の宮井清暢(きよのぶ)教授は「安倍政権の憲法無視(敵視)は、過去のどの政権にも比しえない異常なレベル」と断じた。
 安倍政権の姿勢に対しても、独協大の右崎正博教授は「安倍政権や自民党が数の力を背景に、自分の意見だけを一方的にまくしたて、他の言い分は聞かずに無視する態度は大いに疑問」と指摘。名古屋大の本秀紀教授は「立憲主義や民主主義と実質的に敵対する国政運営は、国論を一色に染め上げて侵略戦争に突入した戦前を想起させる」と危機感を強める。
 龍谷大の丹羽徹教授は「安倍内閣は、対外的には『法の支配』の重要さを言うが、国内では憲法を頂点とする法に対する蔑視が甚だしい」とした上、「労働法制、社会保障法制、教育法制の多くは憲法が保障する権利を侵害する方向で改正が行われている」と警鐘を鳴らす。
 山形大の今野健一教授はこう呼び掛けた。「国民の人権を守るための憲法を語る言葉を、権力担当者に独占させてはならない。主権者たる国民が憲法を積極的に語ることこそが、『憲法を国民の手に取り戻す』ことにつながる」 (鷲野史彦)

◆アンケートの方法

 「平成26年度全国大学一覧」(文教協会)が掲載している大学、大学院の法学系の学部、学科、研究科で、憲法を専門にしているか、憲法の講義をしていると確認できた教授、准教授、特任教授、客員教授、名誉教授の計328人を対象にした。
 アンケートは6月19日に郵送し、204人から回答を得た。回答率は62%。
 設問は3つ。問1は「安全保障関連法案は憲法に照らして合憲か違憲か」。(ア)合憲である(イ)違憲である(ウ)その他-の選択肢から選び、理由を記述してもらった。
 問2は「憲法9条は改正すべきかどうか」。選択肢は(ア)改正するべきだ(イ)改正するべきではない(ウ)その他-で、その理由も尋ねた。
 問3は、憲法をめぐる状況について、意見を自由に記述してもらった。


2015年07月09日

龍谷大学教職員有志、「国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明」

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

2015年6月24日 龍谷大学教職員有志

 国会では現在、安全保障法制に関する審議が行われています。これは、昨年7月1日の日本国憲法 9 条の解釈変更に関する閣議決定(集団的自衛権の容認)を踏まえ検討されてきたものがまとめられ、先月(5 月)15 日に「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」の 2 本立てで国会に提出されたものです。

 法案は、従来の憲法解釈を一内閣の判断によって変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとするものです。法案が成立すれば、日本に対する武力攻撃がなくても、海外にて武力を行使することが可能となります。また自衛隊が派遣され、他国の軍隊に対して行う「後方支援」を拡大することも盛り込まれていますので、自衛隊員はこれまでのイラク派遣等よりもはるかに危険な状況におかれます。

 憲法 9 条の改正をめざす安倍晋三内閣は当初、憲法改正について定めた 96 条の発議要件を引き下げ、憲法を変えやすくすることを目論みました。これに対しては国民からの厳しい批判が寄せられ、この企てはとん挫しました。そこで、考え出されたのが、政府によって憲法解釈を変更して、実質的に憲法を変えてしまうというやり方です。

 憲法は本来、国の権力者からわたしたちの人権を守るためにあります。また、国の権力者は簡単に憲法を変えることはできないことになっています。このような点で、いま安倍内閣が進めようとしているのは、立憲主義の破壊に他なりません。

 先の憲法審査会では、参考人として意見を述べた 3 人の憲法学者いずれもが、法案は違憲であることを指摘しました。国民の世論も多くが「反対」であり、国民に対する説明が不十分だとして、今国会中での法案成立には慎重な立場が大多数を占めています。しかし政府は国会会期の延長を強行し、強引に法案を成立させようとしています。

 わたしたちは龍谷大学に働き、若者(学生)の教育と未来に責任を負う立場から、法案の撤回と立憲主義にもとづいた政治の実行を求めます。それは、以下の 4 つの理由からであります。

 まず、法案は日本国憲法の立憲主義と平和主義を破壊するものであるからです。そして、この法案が成立すれば、学問の自由が制約され、大学における教育や研究が軍事目的のもとにおかれるからです。さらに、第 2 次世界大戦に対する痛苦の反省から日本がめざしてきた平和国家の道を閉ざし、「戦争する国」のもとで若者たちを戦争に参加させることとなるからです。最後に、龍谷大学は「建学の精神」に基づく育成すべき人間像の一つとして、「人類の対話と共存を願う『平和』の心」を謳い、それを実践する大学であるからです。

 今年は「戦後 70 年」にあたります。戦争の経験をもつ方々が少なくなっていくもとで、大学に働くものとして平和のための教育、国際理解のための教育の推進を誓って、わたしたちは、国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求めます。


安保法制「国民にリスク」 県内反対学者ら声明

愛媛新聞(2015年07月08日)

 愛媛県内の大学の元・現教員らでつくる「えひめ安保法制反対学者・文化人の会」が7日、県庁で会見し、集団的自衛権行使を可能にする安保関連法案は憲法違反として廃案を求める声明を発表した。
 同会は、全国の「安全保障関連法案に反対する学者の会」に賛同して2日に発足。7日現在、医師や作家らを含む55人が名を連ねる。
 7日は県内外の大学の学長経験者3人を含む呼び掛け人9人が会見。小松正幸・愛媛大元学長が「強引な解釈によって法案を合憲とし、十分な説明もないまま国民の生命を危険にさらす政策を推し進める内閣に強い憤りを感じている」と声明文を読み上げた。
 会は、20日に愛媛大(松山市文京町)で、愛媛大と松山大の研究者による講演やリレートークなどの講演討論会を開き、終了後に市内中心部で街頭宣伝行動をする予定。

2015年07月02日

「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール」実行委員会、「安倍政権による安全保障関連法案成立の動きに際して」

東京大学職員組合
 ∟●「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会

安倍政権による安全保障関連法案成立の動きに際して
「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会
呼びかけ趣意書

 戦後70年が経とうといういま、政府によって日本の国のかたちがおおきく変えられようとしている。日本はどのような道へ進むのか、われわれはその決定的な岐路に立っている。

 政府が今国会中にも成立させようとしている「平和安全法制整備法」および「国際平和支援法」は「切れ目のない」対応という名目のもと、戦争に対して日本がいかなる姿勢をとるのか、その致命的な変更をもたらすものである。われわれはこの法案に対し「安全保障関連法案の今国会での成立に反対する」という一点のもとに共同し行動することを、東京大学のあらゆる構成員 に呼びかける。

 本法案の争点は多岐に及び、われわれは多くの疑問や危機感をいだいている。憲法改正の手続きを経ぬまま、従来確立されていた自衛隊の最も基礎的なあり方さえ一時の政府の憲法解釈変更と法案の強行採決によって変更する、これは明らかに立憲主義に反するのではないのか? 法案にあるような後方支援を拡大すれば、自衛隊が本格的な戦闘をおこなうことになるのではないか? すでに武力行使ではないなどとは言えないのではないか? この法案が通れば本当に日本はより安全に近づき国際的な平和にも貢献できるのか? 疑問は尽きない。国会の審議における政府答弁は 政治的責任に応えたものではなく、様々な識者の意見によっても問題は積み重なるばかりである。われわれはこの法案に対して、抗議の声を上げずにはいられない。

 東京大学には、戦前、軍国主義の波に飲まれ、学問の自由を失い、多くの学徒を戦争に動員された痛苦の歴史がある。ふたたびその歴史を繰り返さぬために力を合わせ、平和と民主主義の破壊を止めることは、われらが先人への誓いであり、未来の世代への責任である。今こそ、自らの教育・研究を通じて「世界の平和と人類の福祉」に貢献するという決意(東京大学憲章・前文)を発揮し、全東大人の平和への意思を示すときではないだろうか。

 われわれは具体的な実施計画として次のことを提起する。一)「安全保障法制の今国会での成立に反対する」の一点で結集する集会に向け、集会への参加の呼びかけとともに、その主張にたいする賛同・メッセージを、東京大学の学生、職員、教員、OBOGの各方面に募る。二)集会において、各登壇者がスピーチをおこない、また募集したメッセージをもとに作成した集会アピールを 採択に付す。三)以上の結果を政府、国会議員、メディアに訴え、広範かつ有効な波及をねらう。 四)この度のたたかいは、今国会が9月下旬まで延長されることを考慮し、学生・研究者はその本分たる学業学問の両立も鑑みつつ、集会後も持続した行動をとることを確認する。

 いまこそ、われわれはどこから来て、どこへ向かうのか、その問いに向き合わなければならない。法案阻止を確信し、即座に行動を開始してゆきたい。

2015年6月29日
安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会

◇呼びかけ人(6月29日現在)

(理科Ⅰ類2年)
(法学部3年)
(理科Ⅰ類1年)
(法学部4年)
市野川容孝(総合文化研究科教授 社会学)
小森陽一(総合文化研究科教授 日本近代文学)
外3名

2015年06月25日

立憲デモクラシーの会、安保法制関連諸法案の撤回を求める声明

立憲デモクラシーの会
 ∟●安保法制関連諸法案の撤回を求める声明

安保法制関連諸法案の撤回を求める声明

立憲デモクラシーの会
2015年6月24日

国会で審議中の安保法制関連諸法案は、集団的自衛権の行使を容認する点、外国軍隊の武力行使と自衛隊の活動との一体化をもたらす点で、日本国憲法に明確に違反している。このような憲法違反の法案を成立させることは、立憲主義に基づく民主政治を根底から覆しかねない。ここにわれわれは全法案の撤回を要求する。

1.集団的自衛権行使容認の違憲性

政府見解の一貫性

 憲法9条の下で武力行使が許されるのは、個別的自衛権の行使、すなわち日本に対する急迫不正の侵害があり、これを排除するためにほかの適当な手段がない場合に限られる。しかも、その場合にも必要最小限度の実力行使にとどまらなければならない。この憲法解釈は、1954年の自衛隊創設以来、政府見解において変わることなく維持されてきた。集団的自衛権の行使には憲法9条の改正が不可欠であることも、繰り返し政府によって表明されてきた。

昨年7月の閣議決定

 集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定は、政府の憲法解釈には「論理的整合性」と「法的安定性」が要求されるとし、「論理的整合性」を保つには、従来の政府見解の「基本的な論理の枠内」にあることが求められるとした。その上で、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合には、当該他国を防衛するための集団的自衛権の行使も許容されるとしている。

論理的整合性の欠如

 しかし、個別的自衛権の行使のみが憲法上認められるという解釈と、集団的自衛権の行使が(限定的であれ)認められるという解釈とを、同じ論拠の上に成立させることはできない。自国を防衛するための個別的自衛権と、他国を防衛するための集団的自衛権とは、本質を異にするものであるからである。

法的安定性

 「法的安定性」について、昨年7月の閣議決定は、何ら語るところがない。しかし、ホルムズ海峡での機雷掃海活動が許容されるか否かについて、連立を組む与党の党首間でも見解が異なることを見れば、集団的自衛権の行使に対して明確な「限定」が存在しないことは明らかである。機雷掃海活動を超える武力の行使についても、現政権による発言がどうであれ、法的な歯止めがなければ、その都度の政権の判断次第でいつでも行われうることとなる。

砂川判決の意味

 砂川事件最高裁判決を根拠に集団的自衛権の合憲性を主張する向きも一部にあるが、砂川事件は、駐留米軍が憲法9条2項の禁ずる「戦力」に該当するかが争われた事件である。したがって、この裁判では日本の集団的自衛権は、全く争点となっていない。最高裁判決の先例としての価値は、具体的争点を基に語られるべきものであり、同判決が日本の集団的自衛権行使について判断しているとの主張は牽強付会である。

集団的自衛権行使は違憲

 要するに、現政権による集団的自衛権の行使の容認は、従来の政府見解の基本的な論理の枠を明らかに踏み越えており、かつ、法的安定性を大きく揺るがすものであって、憲法9条に違反する。

2. 外国軍隊等の武力行使との一体化

非戦闘地域の意味

 従来の政府見解は、「後方地域」での自衛隊による外国軍隊等の支援が、憲法の禁ずる武力の行使には当たらないものとするにあたり、自衛隊の活動が他国軍隊の武力行使と一体化しないことと、その活動が「非戦闘地域」に限られることという歯止めを設けてきた。「戦闘地域」と「非戦闘地域」との区分は、ある程度の余裕を見て自衛隊の活動地域を区分しようとの配慮に基づくものであり、実施期間を通じて活動を必ず合憲としうるための工夫であった。

武力行使との一体化へ

 今回の法案では、従来の「戦闘地域」と「非戦闘地域」の区別が廃止されている。現に戦闘行為が行われている現場以外であれば後方支援を実施しうるものとされ、自衛隊は、外国軍隊等への弾薬の供与や発進準備中の航空機への給油を新たに行ないうることとされている。もはや他国軍隊等の戦闘行為と密接不可分であり、具体的状況によって、外国軍隊の武力行使との一体化との評価を受けるおそれがきわめて高いと言わざるをえない。

3.国会軽視の審議過程

対米公約の問題性

 安倍首相は先の訪米時に、安保法制関連諸法案を今年8月までに成立させるという「対米公約」ともとれる発言を米議会で行った。まだ閣議決定さえされていない段階でのこのような発言は、唯一の立法機関たる国会の権威を損ない、国民主権をないがしろにするものである。

対米追随的姿勢

 本法案は内容的には本年4月に合意の「日米防衛協力のための指針」(日米ガイドライン)に沿ったものであり、国会審議でホルムズ海峡での機雷掃海などが強調されている背景に、米国の対日要求があるとも考えられる。条約ですらないものを、いわば憲法の上位に置き、それに合わせて実質的な改憲にも等しい立法化を進めることは許されない。また、このような対米追随ともとれる姿勢は、集団的自衛権行使に関して日本が自主的に判断できるとの政府の主張の信ぴょう性を疑わせる。

内閣による国会軽視

 国会審議においても、首相自らが質問者にヤジを飛ばしたり、大臣から「現在の憲法をいかにこの法案に適応させるか」という立憲主義を否定する発言があるなど、政府の対応は、国権の最高機関たる国会を中心とする立憲的な民主政治を尊重するものとはなっていない。

4 安全保障への影響

安全保障論のあいまいさ

 昨年7月の閣議決定は、集団的自衛権の行使が容認される根拠として、「我が国を取り巻く安全保障環境」の変化を挙げるが、その内容は、「パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等」というきわめてあいまいなものである。

日米安保への過剰な期待

 世界各地でアメリカに軍事協力すれば、日本の安全保障へのアメリカの協力が強まるとの議論がある。しかし、アメリカはあくまで日米安全保障条約5条が定める通り、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」条約上の義務を果たすにとどまる。大規模な軍事力の行使について、アメリカ憲法は連邦議会の承認をその条件としていることを忘れるべきではない(米憲法1篇8節11項)。

抑止力万能論の陥穽

 日本を取り巻く安全保障環境が悪化しつつあるのであれば、限られた防衛力を地球全体に拡散するより、専守防衛に集中する方が合理的との判断もありうる。また政府は、集団的自衛権の行使容認が抑止力を高め、安全保障に寄与すると主張するが、日本が抑止力を高めれば、相手側がさらに軍備を強化し、結果的に安全保障環境が悪化しかねない(安全保障のジレンマ)。軍拡競争となれば、少子高齢化や財政赤字などの深刻な問題を抱える日本は、さらに大きなリスクに直面することになる。

国際協調による緊張緩和へ

 平和を維持するには、国際協調が不可欠である。外交交渉や「人間の安全保障」等によって緊張を緩和し、紛争原因を除去する努力を弛みなく続けていくことが、日本にとっての安全保障を導くのであり、抑止力にのみ頼ることはできない。

5. 結論

 安全保障関連諸法案は憲法に明確に違反している。立憲主義をないがしろにし、国民への十分な説明責任を果たさない政府に対して、安全保障にかかわる重大な政策判断の権限を与えることはできない。ここに全法案のすみやかな撤回を要求する。


「安保法案は違憲、撤回を」 法学・政治学者らが声明

朝日新聞(2015年6月24日)

 安全保障関連法案は違憲、撤回を――。法学や政治学の専門家らでつくる「立憲デモクラシーの会」は24日、声明を発表し、会期延長した今国会での法案成立を目指す安倍政権の政治手法を非難した。

 声明は、安保法案は集団的自衛権の行使を容認し、外国の軍隊と自衛隊の活動を一体化させる点で明確な憲法違反だと指摘。立憲主義をないがしろにし、国民への説明責任も果たさない政府に重大な政策判断をする権限はない、と訴えた。

 会見には政治学の山口二郎・法政大学教授、憲法学の樋口陽一・東大名誉教授、長谷部恭男・早大教授、小林節・慶大名誉教授ら9人が出席。自民党の高村正彦副総裁が「憲法学者の言う通りにしていたら、日本の平和と安全が保たれたか極めて疑わしい」と批判を繰り返すことについて、山口氏は「意見のぶつかり合いから戦後の平和国家の路線が生まれた」と反論。「政府批判は職業上の義務。この国の民主主義を健全に保つには必要との自負がある」と述べた。


2015年06月16日

安保法案反対「茨大有志の会」結成 「平和国家ブランド壊す」

■東京新聞 2015年6月16日

 名誉教授や元職員ら茨城大関係者二十一人が十五日、「安全保障法制に反対する茨城大学有志の会」を結成し、集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法案の、今国会での成立に反対する声明を発表した。現役の教授や准教授、講師、職員らに賛同を呼び掛けている。

 声明は「法案の狙いは米軍に追従して自衛隊を参戦させること。わが国の平和国家ブランドを壊すことにつながる」などと主張。その上で「学問研究や教育の健全な遂行は、平和が維持され、自由闊達(かったつ)な討論と発言が保障されてこそ可能だ。学生や卒業生を戦場に送ることを拒否する」と訴えている。
 「有志の会」は普段の主張に違いのあるメンバーが集まっており、同じく超党派で今月四日に結成した「『戦争法制』に反対する県実行委員会」と連携する。県庁で会見した「有志の会」幹事の田中重博名誉教授(地方自治論)は「今回の問題は党派や思想信条の問題とは違う。広く共感を得るために声を上げたい」と述べた。

2013年12月13日

京滋私大教連、特定秘密保護法強行採決に対する抗議声明

京滋私大教連
 ∟●特定秘密保護法の強行採決に強く抗議するとともに、日本社会の民主主義を守るために 幅広い市民・団体との共同の取り組みを進めることを呼びかけます!(談話)

特定秘密保護法の強行採決に強く抗議するとともに、日本社会の民主主義を守るために
幅広い市民・団体との共同の取り組みを進めることを呼びかけます!(談話)


2013 年 12 月 9 日
京滋地区私立大学教職員組合連合
書記長 佐々江洋志


 12 月 6 日の深夜、参議院本会議において特定秘密保護法が強行採決され、可決・成立しました。日本の民主主義の根幹にかかわる重大な法案に対して、国民の中でも反対もしくは慎重審議を求める声が圧倒的多数を占めるとともに、国際社会からも同法案への批判が相次いでいるにもかかわらず、理不尽な議事運営を繰り返した末、同法を強行に成立させた政府与党の姿勢に強く抗議します。

 政府与党の前代未聞の強硬な姿勢は、まともな審議に応えられないことの裏返しでもあり、国民の中での反対世論の高まりを恐れたからに他なりません。全国各地で起こった同法の成立に反対する世論と運動は、かつてない勢いで急速に広がり、政府与党の各議員に大きな動揺を与えたことは間違いありません。このことは、日本社会の多くの人々の中に息づく「主権者としての力」が、確かなものであることを改めて強く感じさせるものでした。

 今回、同法は強行採決されましたが、私たちが起こすことのできる行動はたくさんあります。同法の廃止法や施行を延期する法律を制定するよう国会への請願や議員に要請することをはじめ、同法の効力を失わせるために、情報公開を強化する法律や、国会、裁判所などの監視監督権限を強化する法律の制定を求めることもできます。また、安全保障と情報公開について定めた国際原則(「ツワネ原則」など)にもとづいて、国際標準に合わせた法改正を求めることもできます。
 さらに、市町村議会や都道府県議会に国会への働きかけを行なうよう要請することや、積極的な情報公開請求を行ない、特定秘密を理由に情報の非開示がなされた場合は、その公開を求める裁判を提訴し、同法の違憲性を主張するような取り組みもできます。

 今、大切なことはあきらめずに何ができるのか一人ひとりが考え、行動することです。多くの主権者の気持ちを汲むことなく自らの頑迷な主張に固執し、同法を強行採決した政府与党への憤りや怒りの結集が、政府与党を確実に動揺させたことを忘れず、一人ひとりが行動を起こし続けることが、この国で誇りを持った人間として、生き続ける上で何よりも大切なことです。

 大学で働く教職員の営みの本質は、次代を担う若者たちに平和で自由な社会の建設を託すことであり、若者の未来を案じる気持ちを、今回の強行採決に対する怒りや悔しさを、自らが行動する力や共同する力へ変えていただきたいと考えます。 京滋私大教連は、民主主義と相容れない特定秘密保護法に強く反対し、民主主義国家にあるまじき強行採決に強く抗議するとともに、幅広い市民・団体との共同し、日本社会の民主主義を守るために全力を尽くす決意です。

秘密保護法、私大教職員組合連合「研究も対象」と反対声明

毎日新聞(2013年12月12日)

 私立大の教職員組合の全国組織「日本私立大学教職員組合連合」(委員長=丸谷肇・鹿児島国際大教授)は12日、特定秘密保護法に対し「研究者の調査活動や研究成果の公表も抑止の対象となる。学問の自由は萎縮させられ真理への道が閉ざされ、大学が使命を果たすことが困難になる」と反対する声明を発表した。同連合は全国約230大学の教職員約2万人が加入している。【山田奈緒】

2013年12月12日

東京大学職員組合、特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明

東京大学職員組合
 ∟●特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明(2013年12月11日)

特定秘密保護法の強行可決に抗議する声明


 多くの国民の強い危惧と反対が示される中、12 月 6 日の参議院本会議で特定秘密保護法案が強行的に可決・成立しました。
 東京大学職員組合では、法案の内容に反対する立場から、すでに、法案の廃案を求める委員長名の緊急声明を発表しています。この緊急声明でも指摘した通り、今回成立した特定秘密保護法には多くの問題があります。
 第 1 に、同法は、国民の知る権利と報道の自由に対して重大な制約をもたらす危険があります。同法の「特定秘密」の概念は曖昧、不明確であり、その範囲は広範囲に及びます。その結果、処罰範囲が曖昧、不明確かつ広範囲となる危険があり、国民の知る権利と報道の自由に対して重大な脅威をもたらすものとなっています。
 第 2 に、同法は、学問の自由に対しても重大な危機をもたらすものです。学術研究の基礎にあるのは、自由な情報の取得・開示と自由な学術的交流です。曖昧、不明確かつ広範囲の情報秘匿とそれに結びつけられた刑事罰の威嚇は、大学の最も根幹的な理念である学問の自由と相いれないものです。とりわけ本学の教員は、学術的な研究成果を社会に還元する活動の一環として、政府の審議会等に参加する場合も少なくなく、そのような場面で、本学の教員の本質的に学術的な性格を持つ活動や意見表明が制約され、あるいは、適性評価の対象となって各種のプライバシーが侵害される危険性には強い危惧を覚えます。
 さらに、同法は、広く国民主権に基づく民主主義にとっても重大な危機をもたらすものです。民主主義は、主権者である国民が政府の活動に関する情報を広く取得し、それをめぐり自由な監視・討議を行うことのうえに成り立っています。広範囲にわたる「特定秘密」の「保護」は、政府の活動に関する情報を国民から覆い隠し、国民の監視と批判、国民のあいだの闊達な民主的討議の機会を奪うものです。同法の成立に至る政府・与党の強引な国会運営は、このような危惧をすでに現実化しているといえます。
 私たちは、学術機関である東京大学でさまざまな活動・業務を行う者として、国民の基本的人権を侵害し、学問の自由や民主主義に対しても重大な危機をもたらす特定秘密保護法の強行可決に強く抗議し、同法の速やかな廃止を求めます。

2013年12月11日
東京大学職員組合

2013年12月04日

特定秘密保護法案に反対する学者の会、廃案を求める声明とネット署名

特定秘密保護法案に反対する学者の会(ネット署名サイト)

特定秘密保護法案の衆議院強行採決に抗議し、ただちに廃案にすることを求めます

 国会で審議中の特定秘密保護法案は、憲法の定める基本的人権と平和主義を脅かす立法であり、ただちに廃案とすべきです。
 特定秘密保護法は、指定される「特定秘密」の範囲が政府の裁量で際限なく広がる危険性を残しており、指定された秘密情報を提供した者にも取得した者にも過度の重罰を科すことを規定しています。この法律が成立すれば、市民の知る権利は大幅に制限され、国会の国政調査権が制約され、取材・報道の自由、表現・出版の自由、学問の自由など、基本的人権が著しく侵害される危険があります。さらに秘密情報を取り扱う者に対する適性評価制度の導入は、プライバシーの侵害をひきおこしかねません。
 民主政治は市民の厳粛な信託によるものであり、情報の開示は、民主的な意思決定の前提です。特定秘密保護法案は、この民主主義原則に反するものであり、市民の目と耳をふさぎ秘密に覆われた国、「秘密国家」への道を開くものと言わざるをえません。さまざまな政党や政治勢力、内外の報道機関、そして広く市民の間に批判が広がっているにもかかわらず、何が何でも特定秘密保護法を成立させようとする与党の政治姿勢は、思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせます。
 さらに、特定秘密保護法は国の統一的な文書管理原則に打撃を与えるおそれがあります。公文書管理の基本ルールを定めた公文書管理法が2011年に施行され、現在では行政機関における文書作成義務が明確にされ、行政文書ファイル管理簿への記載も義務づけられて、国が行った政策決定の是非を現在および将来の市民が検証できるようになりました。特定秘密保護法はこのような動きに逆行するものです。
 いったい今なぜ特定秘密保護法を性急に立法する必要があるのか、安倍首相は説得力ある説明を行っていません。外交・安全保障等にかんして、短期的・限定的に一定の秘密が存在することを私たちも必ずしも否定しません。しかし、それは恣意的な運用を妨げる十分な担保や、しかるべき期間を経れば情報がすべて開示される制度を前提とした上のことです。行政府の行動に対して、議会や行政府から独立した第三者機関の監視体制が確立することも必要です。困難な時代であればこそ、報道の自由と思想表現の自由、学問研究の自由を守ることが必須であることを訴えたいと思います。そして私たちは学問と良識の名において、「秘密国家」・「軍事国家」への道を開く特定秘密保護法案に反対し、衆議院での強行採決に抗議するとともに、ただちに廃案にすることを求めます。

2013年11月28日

特定秘密保護法案に反対する学者の会

浅倉 むつ子(早稲田大学教授、法学)
池内 了  (総合研究大学院大学教授・理事、天文学)
伊藤 誠  (東京大学名誉教授、経済学)
上田 誠也 (東京大学名誉教授、地震学)
上野 千鶴子(立命館大学特別招聘教授、社会学)
内田 樹  (神戸女学院大学名誉教授、哲学)
内海 愛子 (大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター特任教授、歴史社会学)
宇野 重規 (東京大学教授、政治学)
大沢 真理 (東京大学教授、社会政策)
小熊 英二 (慶応義塾大学教授、社会学)
小沢 弘明 (千葉大学教授、歴史学)
加藤 節  (成蹊大学名誉教授、政治学)
加藤 陽子 (東京大学教授、歴史学)
金子 勝  (慶応大学教授、経済学)
姜 尚中  (聖学院大学全学教授、政治学)
久保 亨  (信州大学教授、歴史学)
栗原 彬  (立教大学名誉教授、政治社会学)
小森 陽一 (東京大学教授、文学)
佐藤 学  (学習院大学教授、教育学)
佐和 隆光 (京都大学名誉教授、経済学)
白川 英樹 (科学者・市民)
杉田 敦  (法政大学教授、政治学)
高橋 哲哉 (東京大学教授、哲学)
野田 正彰 (元関西学院大学教授、精神医学)
樋口 陽一 (東北大学名誉教授、憲法学)
廣渡 清吾 (専修大学教授、法学)
益川 敏英 (京都大学名誉教授、物理学)
宮本 憲一 (大阪市立大学・滋賀大学名誉教授、経済学)
鷲田 清一 (大谷大学教授、哲学)
鷲谷 いづみ(東京大学教授、生態学)
和田 春樹 (東京大学名誉教授、歴史学)

NHKニュース(12月3日)

研究者ら2000人超が秘密法案廃案賛同

特定秘密保護法案を廃案にするよう求めているノーベル賞受賞者などさまざまな研究者で作るグループは、これまでに国内外の2000人以上の研究者から賛同が寄せられたことを明らかにし、「戦後最大の民主主義の危機だ」として改めて廃案を訴えました。

ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英氏やノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏など、さまざまな分野の研究者で作るグループは、先月、特定秘密保護法案を廃案にするよう求める声明を発表しています。
グループは3日夕方、東京・千代田区で記者会見を行い、これまでに声明に賛同した研究者が国内外の大学教授ら2006人に上っていることを明らかにしました。
会見に出席した呼びかけ人の1人で、学習院大学の佐藤学教授は「われわれはこの法案が戦後最大の民主主義の危機だという認識で一致している。短期間でこれだけ多くの声が集まっていることを政府は重く受け止めてもらいたい」と訴えました。
また、同じく呼びかけ人で、専修大学の廣渡清吾教授は「法案は秘密の範囲が際限なく拡大するおそれがあり、政府の活動を研究できなくなることが、研究者として最も恐ろしいことだ」と話していました。
グループは今後も声明への賛同者を集め、法案が廃案になるよう働きかけを強めたいとしています。


2010年04月26日

「県外」無理なら撤収を 沖縄の研究者ら38人が声明

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201004230302.html

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、沖縄や東京の大学教授らが23日、県内移設に反対し「どの地域も受け入れないなら、国民は海兵隊基地を受け入れる意思がないことを意味し、海兵隊は日本から全面撤収する以外にない」とする声明を発表した。……