全国
 カテゴリー ブラック大学

2014年04月21日

ブラック大学早稲田、「最低賃金未満、常勤の論文作成に駆り出され、給与や交通費も遅延―これが早稲田大学日本語教育研究センターの実態だ!」

My News Japan(04/18 2014)

最低賃金未満、常勤の論文作成に駆り出され、給与や交通費も遅延――これが早稲田大学日本語教育研究センターの実態だ!

非常勤の日本語インストラクター全員に宛てたBCCメール。過払いをしてしまい、別の月に給与から引くことを告げている。

 鎌田薫総長ら理事18人が刑事告発(不起訴⇒告発人が検察審査会へ申立⇒第四検察審査会受理)されるなど、ここ1年あまり争議が続く早稲田大学では、非常勤講師よりもさらに下の身分に位置付けられた日本語非常勤インストラクター(留学生に日本語を教授する)推定20人が、3月末日に5年上限の就業規程によって雇い止めにされた。それに先立つ2月、雇止めは不当だと、早稲田ユニオンなどが東京都労働委員会に、不当労働行為救済の申し立てをする事態に発展している。これを機に、職を失うことを恐れて匿名ですら取材に応じてこなかった当事者が、初めて口を開き、実質労働時間で計算すると最低賃金を下回る悪条件、交通費振込忘れや給与振込ミスが多発する事務の混乱、常勤インストラクターが他の就職先を探すための論文手伝いを非常勤が無償で強いられるなどの現場の実情を語った。(「不当労働行為救済申立書」はPDFダウンロード可)
------------------------------
【Digest】
◇10回の給与等振込ミス、交通費振込ゼロという大混乱
◇実質的時給は667円
◇コロコロと変わる担当授業
◇直接雇用に転換しかえって条件悪化
◇常勤の論文作成に非常勤インストラクターが無償で使われる
◇差別スパイラルの最大の被害者は学生と親
◇5年雇止めは大学院ビジネスのためか?

------------------------------
 →連載単行本化「ブラック大学 早稲田」(同時代社)

◇10回の給与等振込ミス、交通費振込ゼロという大混乱

 国際化を謳う早稲田大学では4331人の留学生や研究生が勉強し、そのうち1590人(2012年秋学期)が学内の「日本語教育研究センター」で日本語を学んでいる。

 同センターは日本最大規模の日本語教育機関であり、留学生に教える教員が「日本語インストラクター」である。

 かつては、大学子会社の㈱早稲田総研インターナショナル(4月1日から株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)がインストラクターを募集し、更新期限なく安定的に雇っていたが、2009年4月から大学本体内の「日本語教育研究センター」に移行した。

 そのときに当局は契約期間の通算5年で雇い止めの就業規程を制定したことで様々な問題が噴出し現在に至っている。

 問題の本質に迫る前に、重い口を開いた当事者のひとりAさんから聞いた、混乱を象徴するようなエピソードから紹介しよう。

 「給与明細は毎月2種類が届けられますが、どの授業をいつ何コマ行なったのか明記されていないので、一人ひとりがしっかり管理していないとわからなくなります。私の場合は任期の5年間で10回以上は間違えられました。
 他の大学でも働いたことがありますが、こんなのは初めてです。何コマ分かの給与が払われなかったり、過払いもありました。

 過払いのときは、『翌月の振込で調整します』とお知らせをもらうのですが、辞めてしまった人(あるいは辞めさせられた人)に対してはどうするのでしょうか。

 翌月の分から引く、というメールすら本人に届けられないことになります。現に私は今年の3月で辞めさせられていますし。

 それから、交通費が全く振り込まれていなかったこともあります。一部のインストラクターに対する間違いというのではなく、全インストラクターに対してお金の振込で間違いがあったというのも何度もあるのです」

非常勤インストラクターらによると、日本語教育センターの担当者が振込のデータを給与課に渡すというが、相当混乱しているようである。

 「人の入れ替わりが激しく、担当授業も激変するために、給料振込の間違いが多いんですね。

 一人が、いろいろなレベルの授業を担当すると間違いが生じやすいのではないですか。たとえば、毎回、初級コースだけとか上級だけとか、ある程度決まっていれば間違いも少なくなると思います。

 自分の希望したコマ数がもらえないと、二次募集、三次募集でとにかくコマ数を増やしていろいろな授業を受け持つと、事務の人が大変になってしまうのでしょう。

 ともかく、全員の交通費が複数回まったく支払われなかったことがあるのは、事務処理のダブルチェックをまったくしていないということです」

 普通、企業・学校・組織で給与関係の振込がこれだけ間違うのは、考えられない。その背景には相当な混乱があると見たほうがいいだろう。

給与振込額を間違え、3か月後の振込で清算すると伝えた文書。5年間で10回以上の間違えがあった。混乱を象徴している。

◇実質的時給は667円

 金銭の振込関係の混乱と無関係とは言えない、早稲田大学における身分差別の象徴・非常勤の日本語インストラクターの問題を見ていきたい。さらにAさんの話を続ける。

 「長年、外国人学生に日本語を教える仕事をしていましたが、応募して受かり、早稲田総研インターナショナルと契約して2008年9月から教えるようになりました。当時は任期もなく、待遇は今よりよかったです」
 1授業(2時間とみなされる)4000円から始まり、経験を積んでいくうちに給与が上がるシステムは、Aさんがインストラクターを始めたときと現在も変わらない。
 2年目まで1授業4000円
 3年目     5000円
 4年目     6000円
 5年目     7000円

 他の非常勤講師に合わせて年間講義回数を30回として計算すれば、一コマ担当すると2年目までは年収ベースで12万円。最終の5年目になると年収ベースで21万円となる。

 ちなみに、文部科学省の見解によれば、準備その他を含めると1回(2時間相当)の授業で労働時間は3倍の6時間かかるとみなされる。そうなると、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


2014年04月14日

「ブラック化する大学と教育の危機」、3・29大学シンポへ行われ170名参加

北海道私大教連
 ∟●3・29大学シンポへ行われ170名参加

3月29日、北大内を会場に2回目の大学シンポを開きました。
昨年の前回と同様、道私大教連や法曹関係等で構成する実行委員会の主催。
国公私の大学関係者約60名を含め一般市民計170名が参加。

前半の主催者報告(佐藤博文弁護士)と基調講演(寺本千名夫氏/専修道短大前学長)では、今も増加傾向にある大学での権利事件の現状と、背景にある高等教育政策をめぐる問題点を指摘。
後半のパネル討論は高等教育や労働問題の研究者、大学経営経験者の立場など計5名のパネラーがそれぞれの立場から、フロア発言を交え熱心な議論を繰り広げました。
今回の記録は後に報告集として冊子化される予定です。

ご参集の皆さん、お疲れ様でした。
…大学は公器です。そこで起こる問題を引き続き発信し、将来にわたって必要とされる地場の大学教育づくりを進めていくために今回の成果と参加者の皆さんからの意見を十分に咀嚼して今後とも活動してまいります。


2014年03月30日

大学もブラック化 道内7大学で係争、札幌でシンポ

しんぶん赤旗(2014年3月30日)

 北海道で相次ぐ大学教員・職員の労働事件や大学運営をめぐる問題を考えるシンポジウム「ブラック化する大学と教育の危機」が札幌市で29日、開催され、大学関係者や弁護士など市民ら170人を超える人たちが参加しました。

 「大学問題を広く知ってもらおう」と日本労働弁護団北海道ブロック、北海道私立大学教職員組合連合、北海道労働組合総連合など6団体が共催したもので、昨年に続き2回目となります。

 日弁連憲法委員会副委員長の佐藤博文弁護士があいさつで、現在、道内7大学10件の係争があり、労働委員会に不当労働行為救済の申し立てが3件あることを紹介。「教員が大学の使用人化している」と指摘しました。

 自身も不当に諭旨免職処分され、訴訟を起こした専修大学北海道短期大学前学長の寺本千名夫氏は「北海道で頻発する大学問題の背景と運動の方向性」と題して講演。寺本氏は、頻発する大学問題の背景には、国の文教予算の貧困さ、国立大学の法人化、私立学校法の改正などがあると強調し「大学問題を内部の問題とせず、市民と連携し、学問の自由、教授会の権限を奪う学校教育基本法の改悪に反対することや国・政府に教育に対する姿勢の転換を求めていくことが大事です」とのべました。

 パネルディスカッションでは、3大学の教授から大学問題の事例の発表や教育への影響などが報告されました。


2013年08月12日

「ブラック企業大賞 2013」授賞式、特別賞に東北大学

ビジネスジャーナル(2013年08月12日)

ブラック企業大賞で露呈、恐ろしい過労死の実態~ワタミ、東急ハンズ、人気アパレル…

 労働問題に取り組む弁護士や大学教授、労働組合(労組)関係者らが主催し、日本におけるブラック企業の“頂点”を決める「ブラック企業大賞 2013」。昨年に続いて第2回の開催となった同賞の授賞式が8月11日に開催され、ワタミフードサービスが大賞と一般投票賞を受賞した。
 主催者発表によれば、投票総数はウェブ投票と会場投票を会わせて3万501票。ワタミフードサービスがこのうちの72%を占める2万1921票を獲得した。同社代表者は授賞式に姿を見せず、賞状とトロフィー、副賞の労働六法は、主催者の一人が“代理”で受け取った。

<受賞結果>
大賞:ワタミフードサービス
特別賞:東北大学
業界賞:クロスカンパニー(アパレル)
教育的指導賞:ベネッセコーポレーション
一般投票賞:ワタミフードサービス

 今回ノミネートされた国立大学法人・東北大学を含む8社では、計7人が主に長時間の過重労働によって死亡している。主催者の配布資料やこれまでの報道によれば、それぞれ以下のような状況だった。
 大賞を受賞したワタミフードサービスでは2008年6月、入社2カ月の女性社員(当時26歳)が精神疾患を発症し過労自殺した。手帳には「どうか助けてください。誰か助けてください」などと書かれていた。
 特別賞の東北大学では2人が死亡。ノミネート理由になった1人目の死者は薬学部の助手(当時24歳)で、07年12月に「新しい駒を探してください」との遺書を残して自殺した。
 同大学の2人目の死者は工学部の准教授(当時48歳)で、東日本大震災で研究室が全壊、再開を目指して奔走したが、大学から2年以内の閉鎖を告げられて半月後に自殺。
 業界賞となったのは若い女性に人気の高いアパレル企業・クロスカンパニー。大学を卒業した年の09年4月に就職した女性社員が10月に死亡した。「売上未達成なのによく帰れるわよねえ」というマネージャーの発言もあった。
 受賞にはいたらなかったが、運送会社の西濃運輸では、入社4年目の事務職男性(当時23歳)が鬱病を発症して、10年12月に過労自殺。退職届けを3度出したが、受理されなかった末に死亡した。
 飲食チェーン・ステーキのくいしんぼを展開するサン・チャレンジでも、死亡した西濃運輸の事務社員と同年代の男性店長(当時24歳)が10年11月、90日目の連続勤務が終わった直後に過労自殺。
 大手量販店の東急ハンズでも、店舗勤務の男性(当時30歳)が04年3月、帰宅して家族に「しんどい。もう限界や」と話した後、就寝中に心臓に異常をきたして過労死した。
 ノミネート8社のうち、過労死者が出ていないのは、「餃子の王将」で知られる王将フードサービスで働き、過労死基準を超える長時間労働から鬱病を発症した男性(今年2月の提訴時に27歳)と、「進研ゼミ」などを展開する教育大手ベネッセコーポレーションで、いわゆる「追い出し部屋」に異動になった女性社員だけだ。
 ベネッセ以外の8人は労働基準監督署から労災認定されており、ベネッセのケースも昨年8月、東京地裁立川支部が「(追い出し部屋は)違法な制度」で「人事権の裁量の範囲を逸脱したもの」との判決を出している。
 このほか東北大学では08年に、2年連続して学位論文の受取を拒否された理学研究科の大学院生(当時29歳)が自殺するケースも起きているという。

●起訴されていないノミネート企業経営者
 ジャーナリストでブラック企業大賞実行委員・竹信三恵子さんは、授賞式の後半で「何をもってブラック企業とするか?」という定義の問題について、「労働者の生存権を脅かす」ことが共通しているとして、次のように説明する。
「法律または法律の趣旨に反した労務管理によって、労働者の生存権を脅かすような人権侵害をしたり、労働者の使い捨てによって利益を上げることがビジネスモデルになっているような企業」
 また、人権をペスト菌にたとえて敵視する企業もあるという。
「基本的人権、人権尊重、人権蹂躙、人権擁護。これは、1度抜けば魔剣の切れ味で相手を黙らせることができる言葉である。この魔剣を振り回す人権教の狂信者が増えている。経営やビジネスといった最も遠い領域にまで、人権というペスト菌が蔓延しはじめている」
 実行委員の1人でルポライターの古川琢也さんの説明によると、これは王将の新人研修などを手がけている企業・アイウィルの社長が、同社の会報誌に書いた内容。古川さんは「(フランス人権宣言以降の)過去300年ほどの人類の歴史を否定している」と言う。
 ワタミも、会社の方針をまとめた「理念集」というタイトルの教典で、「365日24時間死ぬまで働け」という一節を収録している。娘を過労自殺で亡くした遺族は、これを「未必の故意」「殺意」と非難している。

●刑事事件に問えないか?
 だが、違法な労働条件などにより社員が過労死しても、その企業の経営者が刑事事件で起訴されたり、有罪になったという話は聞かない。
 授賞式のあと、今回ノミネートされた企業と同じようなケースで代表者が起訴されたという報道がないかどうか、筆者が新聞記事データベースを使って調べると、1つもヒットしなかった。
 従業員を過労死させたというだけでは、違法にならないからだ。
 労働時間には1日8時間、週40時間までという上限が労働基準法で定められているが、労使が協定を結ぶことで、これを超えて労働(残業)させることができる。ところが、残業時間には法的な上限がないため、過労死基準を超える協定を締結すれば、従業員を過労死させただけでは罪に問えない。
「ブラック企業大賞」実行委員会の佐々木亮弁護士は、会場から「過労死を出したノミネート企業の経営者を、業務上過失致死など刑事事件に問えないのか?」との質問に、次のように答えている。
「『刑事責任の問うほどの過失があったとするのは難しい』と検察官が判断することもあり得る。仮に告訴・告発しても、不起訴になる可能性は高いと思う。(起訴されても)無罪になり、(経営者は)悪くなかったと考えられてしまう懸念もある」
 ではブラック企業に入社してしまったら、どうすればよいのか?
 授賞式の最後で、実行委員の1人で東京東部労組の須田光照書記長は、「こうした企業経営者に対して、1ミリたりとも幻想を持ってはいけない」とした上で、とにかく横のつながりを持てと訴える。
「ブラック企業に入ってしまったらどうするかが問われている。ブラック企業の被害者は自分が悪いと思い込んでいる」
「ブラック企業で働いていても、『緩やかな紐帯』や『連帯』などいろいろな言い方があるが、団結する、つながっていくことだと思う」
「ひどい事例が先行するマスコミにはなかなか載らないが、労働条件を改善させている組合はあちこちにある。展望があると強調したい」
 もし自分がブラック企業の被害者になってしまったら、まずは社外の労働組合や支援組織などに相談することから、突破口が開けるかもしれない。
(文=佐藤裕一/回答する記者団)


[関連ニュース]
「ブラック企業大賞」選考委員が語るワタミとこの国の病根

2013年07月05日

「研究環境抜群」東北大はブラック企業、「大賞投票」でワタミに次ぎ現在2位

Jcastニュース(2013/7/ 4)

えっ、あの東北大学が「ブラック企業」? そう意外がる声が各所から上がっている。
 東北大学といえば「研究第一」を掲げる名門校だ。ところがよりにもよってその研究環境が問題視され、「ブラック企業大賞」の候補にノミネートされてしまった。

ベネッセ、東急ハンズなどと並びノミネート
 「競争力の高い研究者が、抜群の研究環境で指導します」
 「一人一人の研究者が競争力の高い研究に取り組んでいるため、国の研究費補助も大きくなり、研究環境が整備され、研究はさらに進展するという好循環になっています」
 そんな華やかなうたい文句を載せるのは、東北大学が新入生向けに配布しているパンフレットだ。
 東北大学は旧帝大時代から「研究第一」を学風とし、中でも理系分野ではノーベル化学賞学者・田中耕一さんらを輩出するなど、国際的にも名声が高い。
ところが2013年6月27日発表された「第2回ブラック企業大賞」では、東北大学は教育機関、しかも国立大学としては唯一、「ブラック企業」としてノミネートされてしまった。
ブラック企業大賞は弁護士、ジャーナリストなどからなる実行委が開催しているもので、今回が第2回目となる。企業をすべて実名で「名指し」してノミネートし、「賞状」を贈って労働環境の改善を迫るというもので、今回は2年連続登場のワタミフードサービスを始め、ベネッセコーポレーション、西濃運輸、東急ハンズなど8社が候補に入っている。
東北大学に対しては、これまでそれほど「ブラック」との評判があったわけではない。いったいなぜ、東北大学にこの汚名が降ってきたのか。

「新しい駒を探してください」と自殺
実行委員会ではその理由として、2つの事例を挙げた。
1つは2007年12月、同大大学院薬学研究科で助手を務めていた男性(当時24)が自殺した例だ。遺族の主張によれば、男性は自分の研究を優先できるとの約束で同年4月に助手になったものの、実際には仕事に忙殺され月100時間以上の時間外勤務、また生殖機能異常などの副作用を伴う抗がん剤の実験にも一人っきりで駆り出され、「もう子どもができない」と嘆いていたという。さらに指導教授からは「仕事が遅い。他の子を採用すればよかった」との叱責もあったともされ、結局男性は助手就任から8か月後、自らの所属研究室から投身自殺、遺書にはこう書かれていたという。

 「新しい駒を探してください」
宮城労働局は12年3月、心理的負担の大きさを理由に労災と認めた。また遺族は大学を相手取り、約1億円の損害賠償を求め現在争っている。
男性准教授(当時48)が12年1月末に自殺した問題も、同実行委のサイトでは挙げられている。准教授は工学研究科の気鋭研究者だったが、大震災で研究室が全壊、その対応に日夜追われることに。さらにようやく研究再開のメドが立った直後、大学側は突如、研究室の閉鎖を告げた。准教授は直後に自殺した(12年10月に労災認定)。
なお同大をめぐっては過去にも、2008年に自殺した大学院生(当時29)の遺族が、自殺の原因が教員の「アカハラ」によるものだと大学を提訴したことがある。「研究第一」の大学としては、いささか不名誉な状況だ。
「ブラック企業大賞」のページではノミネート企業を対象としたウェブ投票を行っているが、3日午後現在、東北大学はワタミに続く2位にランクインしている。この問題につき、同大学に取材を試みたが、担当者不在を理由にコメントは得られなかった。


2013年06月28日

ブラック企業大賞2013、東北大学が8位にノミネート

ブラック企業大賞
 ∟●第2回 ブラック企業大賞2013 ノミネート企業 発表!(2013年6月27日)

8.国立大学法人東北大学

 2007年12月、東北大学薬学部助手の男性(当時24歳)が「新しい駒を探して下さい」との遺書を遺し、研究室から投身自殺した。
 同大大学院薬学研究科博士課程に在籍していた男性は07年6月、「人手不足」との理由で指導教授から請われ退学し、助手に就任。当初の話では学位取得のための研究を優先できるはずが、実験機材の修理や実習指導に忙殺され、自殺直前2ヶ月の時間外労働は104時間、97時間だった。また07年10月からは指導教授の指示により、生殖機能異常などの副作用がある抗がん剤の実験に従事。排気も十分にできない環境で、ほぼ一人だけでの実験を強いられ、友人達に「もう子どもはできない」と漏らしていたという。このような環境にもかかわらず指導教授は、「仕事が遅い。他の子を採用すれば良かった」などと男性を叱責。自殺前にはうつ病を発症していたと見られている。12年3月に宮城県労働局が「業務上の心理的負荷が強い」として過労自殺と認定。12年12月には、遺族が大学側に安全配慮義務違反があったとして、仙台地裁に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。
 さらに東北大学では12年1月にも、工学部准教授の別の男性(当時48歳)が自殺している。この准教授は、室温でリチウム高速イオン伝導を示す水素化物の開発に世界で初めて成功するなど、学会で注目を集めていたが、11年3月の東日本大震災で研究室が全壊。再開を目指し、授業と並行して国内外に93日出張するなど奔走したものの、ようやくメドがついた12年1月、大学側から「2年以内の研究室閉鎖」を一方的に告げられた。心のバランスを崩した彼は、そのわずか半月後に自ら命を絶った。
 男性の死後、遺族は労災を申請し、2012年10月に「過重労働の恣意的強制があった」と認定された。