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2016年07月02日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、勝訴確定のご報告とお礼

■谷口教授を支援する会ニュース,第32号(2016年6月30日)

勝訴確定のご報告とお礼

谷口富士夫

 6月20日(月)午後 1 時過ぎ、最高裁判所からの連絡があったという電話が、弁護団長をつ とめる小島高志先生から入りました。そして「本件を上告審として受理しない」という「決 定」主文を読み上げてくれました。上告受理申立に対する不受理決定の文言は「不受理」と いう3文字だと私は思い込んでいましたので、不受理ではなかったのかと、一瞬、頭の中が 混乱しました。しかし続く小島先生からの説明を聞き、つ いに勝訴が確定したと理解しました。

 今回の勝訴確定にいたるまでの経緯をあらためて辿っ てみると、名古屋地裁における 2014年9月18日の全面 勝訴判決に対して名古屋女子大学・越原学園理事会が控訴 を起こした二審でも、名古屋高裁から 2015年4月30日 に一審維持の判決をいただきました。しかし学園側はさら に最高裁判所に上告受理申立をし、同年7月31日から最 高裁第二小法廷での審理が始まりました。たまたま裁判所 サイトで見つけた「上訴審における訴訟事件の概況」という資料によると、平成24年には民事の上告受理事件が2817件あったうち、約半数の 1352件が審理開始から 3 ヶ月以内に終局しているし、全事 件の平均審理期間は 5.9 ヶ月とありました。ですから私の裁判に関しても、2015 年以内か 遅くとも学年度末(2016年3月)までに判決が確定するものだろうと構えていました。し かし、いつまで待っても連絡が届かなかったので、いささか不安な日々を過ごしていました。 そのような中で勝訴確定の報に接して、喜びもひとしおです。

 もともと気弱な私が、多少の気分の浮動はあったものの、途中で挫けることなくここまで 闘ってこられたのは、小島先生および石塚徹先生から成る弁護団、東海私大教連、「支援する会」の運動と、それを支えてくださった皆様の御蔭であると感謝しております。

 こうして、一審から続いた裁判闘争は完全勝利に終わりましたが、これまでの学園側の態 度から考えて、私の職場復帰を容易に認めるとは思われません。今後は教壇復帰を目指して、 次なる闘いを進めてまいりたいと存じます。


2016年06月20日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、最高裁が受理を決定 原告の勝訴確定

最高裁判所は,2016年6月17日付で名古屋女子大学不当解雇事件について,上告受理申立の不受理を決定。
これにより2015年4月30日の名古屋高裁における原告側勝訴が確定した。

2015年06月25日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、無謀・不当にも理事会が最高裁に上告受理を申し立て

■谷口教授を支援する会
 ∟●ニュース第30号(2015年6月24日)

無謀・不当にも名古屋女子大学・越原学園理事会が
最高裁に上告受理を申し立てました!!

 名古屋地方裁判所につづき、名古屋高等裁判所でも谷口教授側の勝利判決が出されましたが、名古屋女子大学・越原学園理事会は5 月15 日までに最高裁判所に上告受理申立をしました。このため谷口教授側の最終勝訴が確定するのは、かりに上告受理申立書の提出先である高等裁判所で学園の上告受理申立が却下されたとしても、7 月上旬になります。また書類が最高裁に送られれば、審理のためにさらに数ヶ月以上の時間がかかり、最終的に不受理(棄却)になるとしても高裁判決の確定が遅れます。


2015年05月12日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、2審も勝訴判決!

■谷口教授を支援する会ニュース第29号より

2審も勝訴判決!

 4月30 日(木)午後1時10分より、名古屋高等裁判所 1001 法廷において、谷口教授裁判 控訴審判決の言い渡しがありました。
 まず学園側の控訴が棄却され、一審判決が維持されました。谷口教授側が起こした附帯控 訴については、一審に追加して請求した2014年度の夏期および冬期一時金が請求額どおり に認められました。また学園及び理事長(当時)の不法行為に対する慰謝料の増額は認めら れず、一審判決の額(慰謝料 300 万円、弁護士費用 30 万円)に据え置かれました。
 なお判決の言い渡しには、日本学士院、鈴鹿医療科学大学、中京大学、中日本自動車短大、 東海私大教連の関係者6名が応援傍聴に足を運んでくださいました。ありがとうございます。

裁判の争点と裁判所の判断

 一審判決では争点が 10 点にまとめられていましたが、控訴審判決では、3回の懲戒処分 と配転命令および教授から助手への降任処分が一つの争点として集約され、また、ブログに ついても甲事件(解雇事由としての名誉毀損)と乙事件(損害賠償請求根拠としての名誉毀 損)が一つの争点として集約されました。それゆえ事件全体が5つの争点にまとめられまし た。以下に裁判所の判断を要約します。

(1)本件特命プログラムは違法か
 特命プログラムとして授業改善のための業務命令を出す必要性があったとは認められ ず、各業務は嫌がらせであったと考えられる。そして被控訴人(=谷口教授)が大学組合 の副委員長であったことから不利益な取扱をするものと認められ、不当労働行為として違 法であると認められる。

(2)本件の各処分の有効性
 懲戒処分1は懲戒事由がないか、そうでないとしても懲戒権を濫用するものとして、違法・無効であると認めることができる。
 懲戒処分2については、大学組合活動を抑圧しようとする意図の下にされたものとして、違法・無効であると認められる。 配転命令については、学園が仮処分命令を回避して不当な業務命令を継続することを目的としてなされたものであると認めることができ、人事権を濫用するものとして違法・無 効である。
 降任処分については、教授から助手に後任すべき合理的理由はなく、違法・無効であると認められる。 懲戒処分3については、違法・無効であると認められる。

(3)本件ブログの記事掲載は違法か
 ブログは、控訴人学園の抱える問題を明らかにすることを目的として記事を掲載してい たものと認めるのが相当であり、公益目的ということができる。またブログに掲載された 事実については、公共の利害に関する事項であって、被控訴人の実体験に基づく真実であ ると認められる。したがって、各記事については、学園の名誉や信用を毀損するものとい えないか、又は、毀損するものとしても、違法ということはできない。
したがって、学園の損害賠償請求は理由がない。

(4)本件解雇の有効性
 解雇事由としてのブログの記事掲載行為は口実にすぎず、実際は、被控訴人が大学組合 の副委員長として活動していることを理由として解雇しようとするものであると認めら れる。
したがって解雇権の濫用で、違法・無効である。

(5)控訴人らの不法行為責任の有無
 被控訴人の自尊心を傷つけ、精神的圧迫を加え、大学教授としての本分である研究や教 育活動を奪い、違法な懲戒処分・降任処分・解雇を行ったうえに、解雇について学園の全 職員に学内メールで知らせるなど、学園の一連の行為は人格権や名誉を著しく侵害するも のであって不法行為に当たり、学園の行為の執拗さや行為の悪質性を考慮すれば、精神的 苦痛に対する慰謝料は300万円、弁護士費用は30万円と認めるのが相当である。
 控訴人越原一郎は一連の行為に理事長又は学長として深く関与し、その指示により不法 行為が行われたものと認められ、学園と連帯して不法行為責任を負うものと認められる。


2015年05月01日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、名古屋高裁も勝訴

■谷口教授を支援する会メールニュース

祝! 勝訴!

支援者の皆様

「谷口教授を支援する会」事務局です。
お世話になっております。

本日、午後1時10分より、名古屋高等裁判所において
谷口教授の控訴審判決の言い渡しがありました。

学園側の控訴は棄却され、一審判決が維持されました。
また附帯控訴として谷口教授側が請求した、昨年6月と12月に支給されるべきだった一時金については請求どおりの額の支払いが認められました。

ただし慰謝料については、一審どおり、学園と越原一郎氏個人の不法行為責任を認めたものの、一審で300万円だった額の増額は認められませんでした。

詳細については「谷口教授を支援する会ニュース」の次号でお知らせいたします。
まずは、取り急ぎご報告まで。

谷口教授を支援する会ブログ

2審も勝訴!!
名古屋高等裁判所で控訴審判決がありました。
学園側の控訴を棄却して、一審判決を支持するとともに
谷口教授側が附帯控訴として請求した、結審後の昨年6月と12月を支給日とする一時金支払いが認められました。(2015/04/30)

2審も元教授の解雇無効認める

NHK(4月30日19時23分)

3年前に解雇処分になった名古屋女子大学の元教授が、処分は不当だとして大学側を訴えていた裁判の2審で、名古屋高等裁判所は、1審に続いて、元教授の訴えを認め、大学側に対し解雇の無効と未払いの賃金などの支払いを命じました。
名古屋市瑞穂区にある名古屋女子大学の谷口富士夫元教授(56)は、3年前、助手に降格された上、大学を非難する内容を個人のブログに書き込んだことを理由に不当に解雇処分にされたとして、大学を運営する「越原学園」側に対し、解雇処分の無効のほか、未払いの賃金などの支払いを求めています。
去年9月に1審が、処分が違法だったと認めて、処分の無効のほか、未払いの賃金など、約2200万円の支払いを命じたため、大学側が控訴していました。
30日の2審の判決で、名古屋高等裁判所の木下秀樹裁判長は「ブログの書き込みは不当な処分の口実に過ぎず、元教授の人格権や名誉を著しく侵害した」として、1審に続いて、大学側に対し、解雇処分の無効のほか、1審の判決から、30日までの分を加えた未払いの賃金など、計約2900万円の支払いを命じました。
判決について越原学園は「不当で誠に遺憾だ。直ちに上告を検討する」とコメントしています。

2015年04月25日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、和解不成立 二審判決は4月30日に

■谷口教授支援する会ニュース(2015年4月24日)
谷口教授支援する会ブログ

和解不成立、二審判決は4月30日に

 昨年9月18日、名古屋地方裁判所は谷口教授の主張を全面的に認めて、勝訴判決を下しましたが、越原学園理事会は控訴しました。
 名古屋高等裁判所での控訴審は本年1月22日(木)の弁論期日1 回だけで結審しましたが、裁判所の勧告にしたがって2月26日と3月23日の2回にわたって和解協議が行われました。しかし協議は決裂に終わりました。
 その結果、控訴審判決は名古屋高等裁判所において4月30日13時10分に言い渡されます。

名古屋地裁での一審判決文 ネット公開

裁判所サイトで、谷口教授に関する裁判の一審判決文が公開されました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/996/084996_hanrei.pdf

2015年04月01日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、控訴審の判決は4月30日

谷口教授を支援する会ブログ

「谷口教授を支援する会」会員およびアピール賛同者の皆様

いつもご支援ありがとうございます。

3月23日(月)に名古屋高裁で行われた和解協議についてご報告いたします。
結論から言うと、和解は不成立のまま打ち切りとなりました。
その結果、控訴審の判決は4月30日(木)午後1時10分に言い渡されることに決まりました。

どの法廷で判決言い渡しがあるのか、まだ決まっておりませんが、午後1時までに1階エレベーター付近に集合いただければ、皆でそろって傍聴に行くことが可能です。
あるいは、1階の北側入り口の受付に当日の裁判予定一覧が置いてあります。

「高等裁判所、民事裁判」のファイルで場所をご確認のうえ各自で傍聴に来ていただくことも可能です。


2015年03月05日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、訴審の第1回弁論開催  即日結審

■谷口教授を支援する会ニュース第27号より
谷口教授を支援する会ブログ

訴審の第1回弁論開催、 即日結審

名古屋地裁での 2014年9月18日の一審判決(谷口教授全面勝訴)に対し、学園側が棄却を 求めて9月25日に名古屋高裁に控訴しました。
学園側からの控訴理由書の提出は、期限より 2カ月も遅れた 2015年1月14日でした。他方、 谷口教授側も附帯控訴として、一審請求時には 間に合わなかった 2014 年度の夏期一時金およ び冬期一時金の支払い請求を加えました。
その控訴審の第1回弁論が 1 月 22 日(木)11時より、名古屋高裁 1001 号法廷で行われました。 当日までに双方が提出した書面や書証などを確 認して、裁判長から結審が宣言され、判決言い 渡し日時(3月19日(木)13時10分)が告げら れました。また、その直後に裁判所から和解が 勧告され、担当裁判官を通じて11時45分まで協議した結果、次回の和解期日を2月26日(木)16 時からとすることが決定されました。
第 1 回弁論には中京大、名古屋外国語大、名古屋女子大、東海私大教連の関係者 6 名が応援 傍聴に来られました。ありがとうございます。

和解協議延長、判決は延期

2月26日(木)16 時より名古屋高裁において和解協議が進められました。しかし 16時50分までに結論は出ず、次回の和解期日が 3月23日(月)13時30分からと決まりました。したがっ て和解が決裂した場合の判決言い渡しも、それ 以降になります。
和解協議には愛知学院大、中京大、東海私大 教連の関係者 3 名が応援に来られました。あり がとうございます。


2014年11月19日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、谷口教授を支援する会 第3弾「支援のつどい」を開催

谷口教授を支援する会
 ∟●谷口教授を支援する会ニュース、第26号(2014年11月18日)

第3弾「支援のつどい」を開催し、地裁勝訴を力に

 11 月 5 日(水)18:30 より、「支援のつどい」が開催されました。一昨年の結成大会より数えて三回目、今年も中京大学名古屋キャンパスを会場にしての開催です。東海私大教連の加盟組合のみならず、それ以外の公立大学、国立大学からの参加も含めて31名の支援者が集まりました。

 「つどい」は、支援する会世話人の中村浩也氏(東海私大教連)の司会進行のもと、代表世話人の猿田正機氏(中京大学)の挨拶から始まりました。すでに去る9月18日名古屋地方裁判所において、完全勝利の判決が下されていましたので、今回は、裁判報告が中心となりました。

 谷口氏からの裁判報告(写真)では、谷口氏に対して学園によって加えられた数々の不当な仕打ちや懲戒、そして解雇処分に至るまでの一年余の経過があらためて説明されました。谷口氏はこれらの学園の行為に解雇及び懲戒の無効と学園と理事長による損害賠償を求める裁判を起こしました(解雇前には 2回仮処分申立をしています)。一方学園は、谷口氏が残酷な仕打ちを受けていた時期に匿名で書き続けていたブログの内容が学園を誹 謗中傷しているとして名誉毀損の裁判を起こしました。この「名誉毀損」が解雇の理由であったため、両裁判は途中から併行審理となって今年4月10日に併合され、9月18日に、「名誉毀損」を否認した上で全面勝利の判決が下されたのです。谷口氏は以上の事件と裁判の経過を、簡明な表にまとめて報告しました。学園は 9月25日名古屋高裁に控訴しました。闘いはまだ長く続くと思われます。谷口氏は、「最後までがんばり抜くので支援の継続をお願いします」と言葉を結びました。

 続いて弁護団から判決の内容とその意義が解説されました。 石塚徹弁護士は、まず第一に判決の2つの異例な点を指摘しました。「7 つの処分をすべて違法で無効であり、組合潰しを目的とした不当労働行為と判断したこと」「谷口氏に対する不法行為に対する慰謝料の支払いを命じたこと」です。通常は職権濫用ぐらいで不当労働行為とまで認定しない、 労働事件において慰謝料の認定はきわめてまれということです。次に、配転・降格無効の理由に「大学教員にとって、講義・演習・研究は義務のみならず、雇用契約上の権利でもある」と認めたことを、今後の運動に役立てる重要なポイントだと強調しました。最後に、ブログによる名誉毀損を認めなかった判決文について、学園の控訴を見越した、これもまた異例で非常に丁寧な内容だと例を あげて解説しました。

 続く小島高志弁護士(東海私大教連の顧問弁護士)は、判決文から「越原学園が如何にひどいか を見抜いた裁判官の怒り」を感じる、と述べました。数年前まで職場のパワハラはそれほど問題に なっておらず、精神疾患・自殺においこまれていない段階で、業務の差し止めを訴えるのは難しかったが、谷口裁判はそれを破った。そして、今回の判決は教員の権利拡大に大いに役立てるべき、 と評価しました。最後に SLAP 訴訟(名誉毀損を口実にした言論封殺)の危険を避けるために、組合活動において使用者を批判するときには、言葉の選び方に気をつけること(しかし萎縮しないで立 ち向かうこと)を教訓としました。

 質疑応答をはさんで、名古屋大学職員組合中央執行委員の和田肇氏、中京大学教職員組合執行委員長の細川眞氏から支援のご挨拶をいただき、続いて、世話人の本多信弘氏(東海私大教連)から「支援する会」の活動報告と会計報告がされ、最後に「行動のよびかけ」が、世話人の竹田昌次氏(中京大学)により確認されました。

 裁判は地裁勝利判決をもって一段落しましたが、越原学園はすぐさま控訴し裁判を長引かせようとしています。谷口氏の闘いは教壇復帰までまだまだ長く続きます。一層の団結をもって支援を続 けていくことを決意して「支援のつどい」は閉会しました。

 終了後は、中京大学内のレストランにおいて懇親会が開かれ、世話人の淺川和也氏(東海学園大 学)が乾杯の音頭をとり、和やかな交流がすすめられるなか、大学や労働現場をとりまく深刻な現 状にも話題がおよびました。世話人の河野敏宏氏(愛知学院大学)の閉会の挨拶のなかの「越原学 園事件は他人事ではない、どの大学でも起こりうる」という言葉に深く感銘をうけました。

2014年09月27日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、一審 全面勝利判決!

■谷口教授を支援する会ニュース,第24号(2014年9月26日)

一審 全面勝利判決!

 9月18日午後1時10分より名古屋地方裁判所にて谷口教授裁判の判決言い渡しがありました。解雇無効はもとより、3回の懲戒処分の無効、助手への降格の無効、学園と理事長個人の慰謝料支払い命令、学園からの名誉毀損損害賠償請求の棄却と、谷口教授側の主張を全て認める全面勝利判決でした(谷口教授の手記は2面に)。判決の詳細は、次号以降のニュースにて報告いたします。
 判決の言い渡しには、愛知工業大、中京大、中日本自動車短大、名古屋大、名古屋外国語大、名古屋女子大、日本福祉大、東海私大教連の関係者13名が応援傍聴に来られました。ありがとうございます。

名古屋地方裁判所での全面勝訴を勝ち取って

谷口 富士夫

 2012 年 7 月 31 日の解雇を受け、同年 9 月 21 日に越原学園ならびに理事長を相手取って解雇無効等の提訴をしてから満 2 年、本年 2014年9月18日に名古屋地裁において判決の言い渡しがありました。すでに皆様ご存知でしょうが、全面勝利の判決でした。
 当日の 1003 法廷で判決主文を聞いている段階では、これは勝訴の意味であろうというこ とだけは理解できたものの、どの程度の勝訴であるのかまでは理解できませんでした。最初 に、名古屋女子大学教授としての地位確認が言い渡され、12 番目に賠償金 330 万円の言い 渡しがありましたが、その間に読まれた複数の、給与に関する細かい数字に関する主文の意 味が即座には把握できなかったからです。後から判決文を読んだところ、当方の請求が 12項目挙げられていて、そのうち第 11 項までは「主文●項と同旨」とありました。つまり 11 項までは全て私側の主張がそのまま認められたわけです。1100 万円の賠償請求を行った第 12 項のみが主文とは異なるものと して、具体的な請求内容が書か れていました。ただし当方が請 求した慰謝料がそのままの額で 認められることはないと初めか ら思っていましたし、300 万円(および弁護士費用 30 万円)は この手の事件の相場としてはか なり高額であるそうです。
 また今回の裁判は、途中から、 学園と私の間のもう一つの事件、すなわち私のブログによって学園の名誉が毀損されたとして学園が私に 1060 万円の賠償請 求を行った訴訟も併合されていました。そちらに関しては学園の請求が棄却されました。
 こうして全面勝訴と知って安堵の喜びを感じるとともに、弁護団の小島先生と石塚先生を はじめ、長いあいだご支援くださった皆様への感謝の念に堪えません。
 今回の判決は東海地方のNHKニュースでも放送され、中日、朝日、毎日、読売の各紙で も記事にされました。しかし、それらの報道各社からの取材に対して越原学園理事会は、判 決文も読まないうちから即座に控訴を決めているようなコメントを寄せました。したがって 裁判そのものは高等裁判所でまだ続くことになるでしょう。
 名古屋女子大学のブラック体質が広く知られるようになったからなのか、今年度の越原学 園の各学校の入学者数は昨年度までと比べてかなり減少しました。
 私の最終目標は職場復帰ですが、創立者をはじめ先人(教職員並びに卒業生)たちが築き 上げてきた学園の信用の余塵を、それまでに現理事会は使い果たしている可能性があります。 教壇復帰したあかつきには、今度は職場の建て直しが為すべき仕事となるかもしれませんが、 その覚悟はできているつもりです。
 そのために今しばらく支援者の皆様には、ご支援の継続をお願い申し上げる次第です。

2014年09月19日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、名古屋地裁判決 原告谷口氏の完全勝訴

NHK(2014年9月19日)

祝!

大学に解雇無効と慰謝料命じる

名古屋女子大学の元教授が、退職に追い込むため、大学側が降格人事や解雇の処分を行ったのは違法だと訴えていた裁判で、名古屋地方裁判所は「処分は理由を欠く」として、大学側に対し解雇の無効に加え、慰謝料など合わせて2200万円の支払いを命じました。
名古屋市瑞穂区にある名古屋女子大学の谷口富士夫元教授(56)は、退職に追い込むため助手に降格するなどした上、解雇の処分としたのは違法だとして、大学を運営する越原学園と理事長に対し、解雇の無効と、慰謝料1000万円を求めていました。
18日の判決で、名古屋地方裁判所の田邊浩典裁判官は「処分は、理由を欠き違法で、元教授に多大な苦痛を与えた」として、解雇の無効に加え慰謝料や支払われるべきだった給与など、合わせて約2200万円の支払いを命じました。
判決のあと、谷口元教授は記者会見を開き「大学側には、現場の意見を聞きながら運営を進めてもらいたい」と話しました。
一方、越原学園は、判決について「不当で遺憾だ。内容を確認したうえで直ちに控訴する予定だ」というコメントを出しました。


2014年07月18日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、2年続いた裁判が結審 判決は9月18日

■谷口教授を支援する会
 ∟●ニュース,第23号(2014年7月16日)

2年続いた裁判が結審 判決は9月18日

 さる6月26日(木)午後2時から3時半まで、名古屋地方裁判所 1103 法廷にて谷口教授の裁判期日がありました。本ニュース第21号でお知らせしたとおり、前回期日の4月10日に解雇裁判と 名誉毀損裁判が併合されることが確認され、今回が併合されてから最初の裁判期日でした。
 本人尋問に先立って、谷口教授側から 2点の書証申請がありました。名古屋女子大学教職員組合の元組合員であるT氏とU氏が「教職員研修室」において命じられた業務について述べた陳述書で す。この2点の陳述書は谷口教授の陳述書とともに、名古屋女子大学教職員組合の山井委員長の解雇裁判(谷口教授の事件とは別件)においても書証として提出され、「教職員研修室」への配転命令 が学園による不当労働行為にも該当すると裁判所が認定する根拠になったものです(1審、2審ともに解雇無効との判決。名古屋地裁 2014/02/13、名古屋高裁 2014/07/04)。
 さて尋問ですが、まずは主尋問(谷口教授側弁護士からの尋問)が 60 分ほどありました。理事会の組合敵視についての証言から始まり、2011 年 6 月から始まった「学長特命プログラム」、2012 年 3 月以降の「教職員研修室」での業務命令、2012 年 4 月 1 日付での助手への降任、3 回の懲戒処分、 ブログ、解雇それぞれについての事実確認と本人の気持ち、慰謝料請求の思いなどが証言されまし た。
 次に反対尋問(学園側弁護士からの尋問)が 30 分ほどありました。越原一族による学園支配、団 体交渉の不誠実さ、授業プレゼンテーション、「逆パワハラ」と学園から認定された文章、ブログに ついて証言がなされました。
 尋問終了後、双方ともに最終弁論を行わないことを確認した結果、結審が言い渡されました。
 判決の言い渡しは9月18日(木)13時10分からです。 当日は、愛知大学、愛知学 院大学、愛知学泉大学、愛知工業大学、至学館大学、鈴鹿 医療科学大学、中京大学、名古屋大学、名古屋女子大学、 東海私大教連の関係者23名から応援傍聴をいただきま した(写真)。この場を借りて お礼申し上げます。


2014年06月06日

サイト紹介、谷口教授を支援する会ブログ

■谷口教授を支援する会ブログ
http://taniguchishien.blog.fc2.com/

支援アピール

不当な教育支配を許さず、谷口教授の研究・教育への復帰を支援するアピール

 2011年来、「授業担当外し」「研究室からの締め出し」「業務命令で『漢字検定』を受検させる」「専門外の授業見学を命令する」など、名古屋女子大学・越原学園理事会は、同大教職員組合の副委員長である谷口教授に対する常軌を逸した嫌がらせをエスカレートさせてきました。
 そうした嫌がらせが「業務命令の濫用」であると名古屋地裁から指摘され、差し止め仮処分を命じられてもなお手を替え品を替えて嫌がらせを行うばかりか「教授から助手へ降格」そしてついに「解雇」の暴挙に出てきました。
 こうした越原学園理事会のなりふり構わぬ不当行為は、長年、名古屋の女子教育に携ってきた伝統ある名古屋女子大学の名を汚し、谷口教授のみならず、教育の場で働く人々、そしてそこで学ぶ人々全体に及ぶ問題であると考えます。私立学校経営者による恣意的かつ不当な教職員支配は、教育現場に働く人を萎縮させ、学校をゆがめ、教育をゆがめます。

 私たちは、越原学園理事会に対して
1.谷口教授を研究・教育の場に即刻復帰させること
2.教職員組合敵視の姿勢を改め、民主的な研究・教育・学びの場を築くこと

 この 2点を求めると共に、谷口教授を強く支援していきます。以上、アピールします

2012年10月26日
谷口教授を支援する会

支援アピール賛同依頼
支援アピール

支援アピールにご賛同いただける方は、
1.下の「アピール賛同書」をダウンロードして必要事項(お名前のフリガナもお願いします)をご記入のうえ、Faxで支援する会までお送りくださるか(Fax番号は「支援する会ニュース」に記載してあります)、
2.あるいは必要事項をメールにしてお送りください(アドレスは「支援する会ニュース」に記載してあります)。

アピール賛同書


名古屋女子大組合委員長不当解雇事件、次回口頭弁論は6月26日 裁判傍聴のお願い

谷口教授を支援する会ブログ
 ∟●谷口教授を支援する会ニュース 第22号(2014年6月5日)

裁判傍聴のお願い

 前回もお知らせいたしましたが、次回裁判日程(口頭弁論)は6月26日(木)午後2時から4時まで、名古屋地方裁判所1103法廷で行われます。これまで11回にわたる「弁論準備」で、双方が争点に関して主張をしてきましたが、次回の口頭弁論で人証尋問が行われ、もし最終弁論がなければそのまま結審になる予定です。 2012年9月の提訴から2年近い時間がかかりましたが、裁判もいよいよ大詰めを迎えています。
 その人証尋問ですが、学園側は誰も証人を立てなかったので、谷口教授に対する本人尋問だけが行われます。解雇にいたるまでの無形の損害(精神的苦痛)について、谷口教授側代理人による主尋問のために60分、学園側代理人による反対尋問のために30分か予定されています。
 当日は授業期間中の平日ということで、ご都合のつかない方が多いかとは存じますが、1人でも多くの方の傍聴をお願いいたします。口頭弁論は原則として法定内の出入りが自由ですので、開始時刻にまにあわない方、あるいは途中までしかいられない方でも傍聴が可能です。
 傍聴にご足労いただける方は、開始10分前までに名古屋地裁1階エレベーター前にお越しくだされば、1103法廷までご案内いたします。

支援する会ブログ開設のお知らせ
 谷口教授を支援する会では、長年の検討謀題であったインターネットでの情報公開を実現するために、ブログ (http://taniguchishien.blog.fc2.com/)を開設いたしました。最新情報の他に、支援アピール、マスコミ報道リンク、関連ニュースを掲載しております。過去に発行した「支援する会ニュース」のバックナンバーもダウンロード可能なように揃えております。またTwitterやFacebookとも連携しております。
 つきましてはブログをご利用くださいますよう、また周囲の方々にも拡散くださいますよう,お願い申し上げます。


2014年05月19日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、弁論準備が終結し、次回は本人尋問

■谷口教授を支援する会ニュース、第21号(2014年5月17日)

弁論準備が終結し、次回|渉本人尋問

 さる4月10日(木)n時30分より名古屋地方裁判所にて、第12回裁判期日がありました。当日は鈴鹿医療科学大学、名古屋女子大学、東海私大教連の関係者6名から応援傍聴をいただきました。ありがとうございます。
 期日では、先に提訴の行われた名誉毀損裁判(2012年7月)に、遅れて提訴した解雇裁判(2012年9月)の併合されることが確認されました。また、谷口教授側から提出された大部の本人陳述書を含めた6点以外に、新たな書証申請のないことが確認されました。谷口教授側からの提出書証は全部で141点に及びます。
 焦点の人証尋問ですが、解雇にいたるまでの無形の損害(精神的苦痛)について、谷口教授本人に対する主尋問が60分、学園側代理人による反対尋問が30分、行われる予定です。
 これまで11回に及んだ弁論準備が、この4月10日で終結しました。
 次回の裁判日程(口頭弁論)は6月26日(木)午後2時から4時まで、名古屋地方裁判所1103法廷で行われます。口頭弁論は原則として法廷内の出入りが自由ですので、開始時刻に間に合わない方、あるいは途中までしかいられない方でも傍聴が可能です。多くの方の傍聴ご支援をお願い申し上げます。


2014年02月20日

名古屋女子大組合委員長不当解雇事件、名古屋地裁判決(2月13日) 「解雇は無効」

時事通信(2014/02/13)

祝! 勝訴!

女子大教授、解雇は無効=「追い出し部屋」拒否訴訟-名古屋地裁

 不合理な事務作業を強いる「追い出し部屋」への異動を拒否し、大学から不当に解雇されたとして、名古屋女子大学教職員組合委員長の山井徳行元教授(64)が大学を運営する学校法人を相手に地位確認などを求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。田辺浩典裁判官は「異動命令は退職に追い込み、反発する者を解雇するのが目的だ」と述べ、解雇を無効と認定した。2011年4月以降未払いとなっている月額約52万円の給与支払いも命じた。
 田辺裁判官は判決で、学校法人越原学園(名古屋市)が山井元教授ら組合員5人を恣意(しい)的に選んで、教職員研修室での勤務を命じたと指摘。「言動を封じ込め、無意味な単純作業をさせて自尊心を傷つけようとした」と非難した。
 判決によると、越原学園は08年3月以降、研修室で組合員に接客マニュアルを書き写させたり、漢字能力検定試験の過去問題を解かせたりした。
 文学部でフランス語を教えていた山井元教授は11年4月、異動を拒否して解雇された。他に研修室勤務を命じられた組合員のうち、2人が解雇され、1人が退職している。
 判決後、山井元教授は「経営体質を改め、正常な大学に戻してもらいたい」と話した。越原学園の広報担当者は「判決は不当で、直ちに控訴する」と述べた。


元教授解雇 無効を言い渡し

NHK東海ニュース(2014年02月14日08時08分)

元教授解雇 無効を言い渡し

名古屋女子大学の元教授が、自主退職に追い込むための部署への異動を拒否したために解雇されたのは、違法だと訴えた裁判で、名古屋地方裁判所は「異動は、組合活動を封じて最終的に解雇することが目的だった」として解雇の無効を言い渡しました。
名古屋女子大学の山井徳行元教授(64)は3年前、教職員の研修を行う部署への異動を拒否したため、大学から解雇されました。
これについて元教授は「異動は自主退職に追い込むのが目的であり違法だ」として、大学を運営する、越原学園に対して解雇の無効を訴えていました。
13日の判決で、名古屋地方裁判所の田邊浩典裁判官は「異動先では組合活動を封じ込めるとともに、無意味な単純作業をさせている。最終的に解雇することが目的であり違法だ」として、解雇の無効を言い渡しました。また未払いになっている、月額約52万円の給与の支払いも命じました。
判決について山井元教授は「全面的に主張が認められたと考えています。大学の体質を根本的に改めてもらいたい」と話しています。一方、越原学園は「不当な判決で遺憾だ。判決を確認して控訴する予定だ」というコメントを出しました。

元教授の解雇無効 名女大に賃金支払い命令

中日新聞(2014年2月13日)

 名古屋女子大(名古屋市瑞穂区)を解雇された文学部の山井徳行元教授(64)が、同大学を運営する学校法人越原学園(同)を相手取り、解雇無効の確認を求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。田辺浩典裁判官は「解雇は客観的な合理性を欠き無効」として、大学側に元教授との雇用関係を確認し、未払い賃金を支払うよう命じた。
 判決によると、大学の教職員組合の執行委員長だった元教授は2011年4月、教職員研修室への配置転換を命じられたが、拒否したところ同月解雇された。
 田辺裁判官は「配置転換は組合活動を封じ込め、無意味な単純作業に従事させて退職に追い込むのが目的。配置転換命令は違法であり、解雇も無効」と原告の訴えを認めた。
 山井元教授は「主張が全面的に認められた。大学側は教職員へのパワハラ的体質を根本的に改めてほしい」と話した。
 越原学園は「判決は不当。ただちに控訴する」とコメントした。

2013年10月12日

名古屋女子大学不当解雇事件、越原学園側高田事務局長への証人尋問 10月31日

■谷口教授を支援する会」事務局メール・ニュース

 本会が支援している名古屋女子大学教職員組合副委員長の谷口氏は現在、解雇撤回などを求めて裁判を闘っていますが、すでにお伝えしたとおり、同組合委員長である山井氏も解雇撤回裁判を闘っています。
 さる9月2日(月)に、山井氏本人の尋問と越原学園副理事長の尋問が名古屋地裁でおこなわれ、その尋問も谷口教授支援に関連があるということで皆様にご案内させていただきました。
 おかげさまで当日は傍聴席をほぼ埋めることができ、大いに勇気づけられました。
 ご支援に改めて感謝いたします。

 ただ、この日の証人尋問では、出廷予定だった越原学園側証人の高田事務局長が体調不良を理由として出廷しなかったため、同人への証人尋問が下記日時に延期されることとなりました。
 高田事務局長も、谷口教授解雇問題等における重要人物ですので、ご都合が許されるようでしたら、傍聴支援をよろしくお願い申し上げる次第です。

 日時 2013年10月31日(木)15:00~17:00までの予定
 場所 名古屋地方裁判所1階のエレベーター前に14:40待ち合わせ
    名古屋市中区三の丸1丁目4-1 電話052-203-1611
 交通 地下鉄 市役所駅の5番出口から西へ徒歩10分ほど
        丸の内駅の1番出口から北へ徒歩10分ほど

 内容 高田事務局長が、山井氏の勤務ぶりや教職員研修室の意義、教職員研修室で命じる予定だった業務内容、解雇に至る経過などについて証言する予定


2013年07月24日

名古屋女子大学、気にくわない先生たちを隔離しておく「追い出し部屋」

森本毅郎・スタンバイ!
 ∟●企業だけじゃない! 先生たちの追い出し部屋(2013年07月23日)

企業だけじゃない! 先生たちの追い出し部屋

担当:岡島知世

選挙でアベノミクスが認められたという政治家もいますが、
一方で雇用問題は改善していません。
これから雇用は改善されるのかという声も出ていますが、
実際「ブラック企業」や「追い出し部屋」といった企業で働く人の
労働問題は依然あります。
きょうはその「追い出し部屋」のお話。
「追い出し部屋」といえば、会社が辞めて欲しい社員を自己都合にみせかけて
退職に追い込むために隔離する部屋。
これまでは、大企業で行われていた追い出し部屋の問題が騒がれていましたが、
実は企業ではなく、学校にも企業と同じような先生を追い出すための部屋があると、
7月に入って一部でニュースにもなりました。
全国の小中高校の私立の先生からなる教職員組合の永島民男さんのお話。

   企業では最近追い出し部屋の話がマスコミで色々と言われていますけど、
   学校、特に私立大学や私立高校の中で、追い出し部屋に相当するような
   隔離部屋がある。
   職員室のひとつなんですけども、皆さんの集まっている職員室とは別に
   小さな職員室を与えて、そこに気にくわない先生とか色々と意見を言う先生を
   入れておくというか、まさに隔離しておくような隔離部屋が
   色々と問題になってきています。

なかでも「私立の高校」「理事会が強い学校」に、
こうした追い出し部屋の問題が多いということ。
学校は、現場で「子どものためにはこっちが良い」という意見を言う現場主義の先生は煙たい。
でも、学校側はそれを理由に先生をリストラすれば、裁判沙汰にもなりうるのでクビにし辛い。
だから、物言う先生を隔離して意見を言わせない状況にして、最終的に追い出す狙いがあるのです。
実際に、こうした追い出し部屋に入れられ、職を追われた元大学教授にお話を伺いました。

   私の場合、理事会の方が大学の資産運用をどうも失敗しているらしい
   というようなことを組合で追求していました。
   そうしましたところ、事実上、追い出し部屋「教職員研修室」への
   異動が命じられ、あまり教員にとって意味があるとは思えない
   仕事ばかりさせられてきました。
   朝出勤しますと何時に会議室に来いっていうような命令書が
   突然メールボックスに入っていて、
   今からこれを解けって言われたのが、漢検の問題だったりしたんです。
   そういった呼び出しを食らう度に、おなかの調子が悪くなり、それが嫌でした。

「教職員研修室」というのが、事実上の追い出し部屋でした。
この方は日本語の授業を教えていた教授でしたので、漢字検定の問題を解いたり、
他の教授の授業を見てレポートを書いたり、
さらに「パワハラはダメ」という校内用の書類作成等をさせられていたわけです。

追い出し部屋に異動になった理由について、
大学からは生徒の授業評価アンケートが悪いからとされましたが、
元教授は組合活動が原因と考えています。

この方は20年大学に勤めていましたが、ある日追い出し部屋に異動、
その後、解雇になっています。
では追い出し部屋、いったいどんな環境だったのか、再び元大学教授のお話です。

   私が入れられていた教職員研修室といっても、部屋ではありませんで、
   事務室の一角に机が設けられていまして、
   そこが「教職員研修室」って言われていました。
   そこの横のところがトイレに行く通路ですので、
   そこを通る人は、事務の人、あるいは外から出入りする工事の人も
   簡単に私が何をしているのかというようなことが見えるわけです。
   完全なさらし者にされていた、と言って良いかと思います。
   私自身はその攻撃が始まったときが学園に勤めはじめて
   20年経ったときだったのですけど、
   20年間のいままでの貢献に対する答えがこれなのか、
   と非常に悔しい気持ちになりました。


追い出し部屋への異動や解雇の理由について、
元教授が勤めていた大学に取材を申し入れたのですが、
「そういったたぐいのことは一切受けられない」として取材を受けてもらえませんでした。
こうして企業や学校でも広がる追い出し部屋ですが、
働く人たちは、この追い出し部屋をどう思うのか、街頭で伺いました。

   (女性)それは会社だったり、組織の体質でしょうから、
       そういうところにいても先はない気がしますよね。
       日本って解雇しにくいじゃないですか。
       だから辞めさせる方向に持っていくっていう方向に
       行かざるを得ない局面もあるのかなっていう風に思います。
   (男性)一般的な会社員でも、大学の先生でも、学校関係者でも、
       そこは一緒ですから、やり方としてはよくないんじゃないですか。
       そういうとこに行って辞めるに辞めれない人、再就職が厳しい人、
       いざるを得ない人が多いんでしょうし、
       いざ自分の身になるとちょっと怖いですよね。

組織の問題、自分の身に起こったら怖いとありましたが、
もし当事者になってしまったら、どう対応すればいいのか。
労働問題に詳しい板倉由美弁護士のお話です。

   なかなかひとりで問題解決するっていうのは難しいですよね。組織に対して。
   第3者に相談した方が良いと思うのですが、相談にあたって証拠を残しておくっていうのが
   必要ですので、嫌がらせの内容をメモで取っておくとか、あるいは会話を録音しておく、
   メールなんかを残しておくということも必要かなと思います。

追い出し部屋は「対組織」の問題。それだけにひとりで解決するのはなかなか難しいです。
いまやこの問題は会社だけでなく教育現場にまで波及しています。

2013年07月10日

名古屋女子大学、解雇したい人追い詰める「追い出し部屋」

AERA(2013年7月8日号)

解雇したい人追い詰める 大学の「追い出し部屋」の実態

 解雇したい人間を押し込め、じわじわと追いつめる「追い出し部屋」。これは、民間企業だけではなく、公的機関である「大学」にも存在する。

 その場所は、「教職員研修室」の名で呼ばれていた。名古屋女子大学文学部教授として教鞭をとっていた谷口富士夫(たにぐちふじお)さん(55)は昨夏まで、この「部屋」で、日本漢字能力検定の過去問を解かされ、何度もリポートを書かされ、文章作成などの業務を行っていた。当時を振り返って谷口さんはこう言う。

「いつ何をさせられ、今後どうなるかわからない状態…。心理的に追いつめられていました。まさに追い出し部屋です」

 学園の法人本部から突然呼び出しを受けたのは一昨年6月。指示通り、本部がある汐路(しおじ)学舎の会議室に行くと、事務方の中間管理職の男性からこう告げられた。

「漢字能力検定の1級と2級の過去問題を解くように」

 学生による授業評価アンケートの結果が低かったため、日本語関係の授業を教える能力があるかどうかを見極めるための「学長特命プログラム」、と説明されたという。

 こうして、事務方中間管理職立ち会いの下、漢検の過去問に取り組む日々が始まった。一日約3時間。途中、1時間置きに5分のトイレ休憩があるだけ。10月までの計13回、漢検の過去問を解き続けた。この間、他にも、日本語教育能力検定の過去問にも取り組まされた。

 谷口さんへの「指導」は9月に入るとさらに激しさを増す。プログラムを続けるため、すべての授業が休講になり、研究室の移動を命じられると、学内LANにつながったパソコンを取り上げられた。専門分野と関係のない授業の「見学」も指示され、毎回リポートが義務づけられた。10分単位で授業がどのような展開になっているか記録し、授業の感想を書き、その授業の良い点を3点列記するよう指導された。すでに授業停止になっていたにもかかわらず、自らの授業に取り入れたい内容も書くよう言われた。授業見学は翌2012年1月まで延べ120回近く。ことあるごとに反省文も書かされ、リポートと反省文の多くは手書きを強いられたという。

 名古屋女子大学は、学校法人「越原(こしはら)学園」が運営する創立98年の私学だ。07年に中学・高校を吸収合併し、法人名を「越原学園」に変更。関係者らの話を総合すると、この頃から、学園方針のほとんどの決定は、理事長、副理事長、常務理事の3人から成る常務委員会でなされるようになったという。理事長は越原一郎氏、副理事長は理事長の娘婿の越原洋二郎氏だ。こうした手法に反発した教職員らが同年4月、「名古屋女子大学教職員組合」を結成すると、組合員を対象にした、大学側からの「指導」が始まったという。谷口さんは組合結成当初から、組合副委員長を務めている。

 こうした状況のなか12年4月、谷口さんは「教授」から「助手」に降任。そして同年7月下旬、谷口さんがネット上で書いていた「名古屋某女子大学マンガチック」と表記したブログが名誉棄損等にあたるとして学園から解雇を言い渡された。学園は谷口さんに対し、名誉棄損による約1千万円の賠償請求訴訟を起こし、谷口さんも同年9月に解雇無効等の裁判を起こした。二つの裁判は現在、名古屋地裁で審理が続いている。

 アエラの取材に学園本部の総務課長は、電話口で、「(教職員研修室のことを)よくご存じですね。しかし、企業秘密であり、非常に敏感な部分でもあるので、一切お答えすることはできない」とだけ回答した。

AERA ※2013年7月8日号

2013年07月01日

大学にもある「追い出し部屋」-漢検の過去問解き、反省文、当事者が証言

AERA(2013/07/08)

大学にもある「追い出し部屋」-漢検の過去問解き、反省文、当事者が証言
◆名古屋女子大学文学部教授、日本漢字能力検定