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2021年04月15日

北大前総長解任訴訟で驚きの展開、北大「名和前総長のパワハラはなかった」で解任理由が崩壊

リアル・エコノミー(2021/04/12)

 北海道大学前総長の名和豊春氏(67)の解任を巡る取り消し訴訟の一環として、名和氏など原告側が求めた(名和氏の)パワハラに関する文書が、北大側に存在しなかったことが明らかになった。9日の個人情報不開示取り消し訴訟で、北大側はパワハラに関する文書不存在を認めたことで分かった。これによって学内規定に基づく文書が存在しない中、「パワハラ」がひとり歩きして名和氏の解任に至ったことが明らかになった。

 名和氏は、北大総長選考会議による調査委員会の報告を基に、ハラスメントなど不適切な言動があったとして文科省から昨年7月に解任された。その後、名和氏は文科省と北大を相手取って解任取り消し訴訟を提起。また、北大に対して、自身のパワハラに関する個人情報不開示処分の取り消しを求めた訴訟も同時に提起していた。

 9日、個人情報不開示処分取り消し訴訟の第2回弁論が行われ、北大側は当初の「文書が存在するか否かを含めて不開示」との主張を一転、文書そのものが存在しないことを陳述した。このことによって、学内規定に基づく「パワハラ」被害や相談・調査、認定はなかったことになり、解任の根拠とされた「パワハラ」が存在しなかったことになる。

 北大側は、こうした文書の存在がなかったにも関わらず名和氏の解任を実行したもので、学内規定に基づかない解任だったことが明確になった。今後は、総長選考会議の調査報告書に記載されたハラスメントに関する記述の正当性が問われることになる。

 名和氏は、「2年半にわたって戦ってきたが、やっと自分が(パワハラを)やっていないことが認められた」と話した。弁護団長の佐藤博文弁護士は、「北大のパワハラ文書不存在は、総長解任取り消し訴訟の重要なターニングポイントだ。北大で正式にパワハラ認定していないのに、なぜパワハラがひとり歩きしたのか。北大は学内外に向けてパワハラ報道等を否定すべきだったのに何もせず、今日まで放置した。本体の解任取り消し訴訟の手続きの問題として、重要な問題になっていくだろう」と話している。


2020年12月13日

解任取り消し求め提訴、名和前北大学長 国と大学を

道新(2020/12/11)

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2020年12月05日

名和前学長、北大・国提訴へ~解任取り消しと賠償を求める

道新(2020/12/03)

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北大前総長の名和豊春氏、解任取り消し求め12月10日提訴

■リアルエコノミー「2020/12/03)

 ハラスメントなど威圧的行為などを理由として北海道大学総長を解任された名和豊春氏(66)が、文部科学大臣を相手取って解任処分の取り消しなどを求める訴訟を12月10日、札幌地裁に提訴する。また、国と北大に報酬相当額や慰謝料約1500万円の損害賠償を求める。併せて解任後に名和氏が、北大に個人情報開示を求めたことに対し、北大が不開示したことへの取り消し訴訟も提起する。(写真は、訴訟提起について説明する佐藤博文弁護士=左と小野寺信勝弁護士)

 名和氏は、2017年の総長選に関わる学内意向投票1位を受け、総長選考会議による候補者決定を経て2017年4月に文科相から任期6年の総長に任命された。しかし、18年9月に総長選考会議議長や副議長、顧問弁護士がパワハラの公益通報を元に名和氏に辞任を求めたことを発端に、総長選考会議が調査委員会を設置。調査委員会は、名和氏の学内関係者への威圧的言動34件を事実と認定。総長選考会議は、そのうち30件を認定して文科相へ解任申し出を決議、19年7月に文科相に申し出した。文科相はそれを受け聴聞などを実施、28件を認定して20年6月に名和氏に解任を通知した。

 名和氏の代理人を務める小野寺信勝弁護士は、「総長選考会議や調査委員会の事実認定で、名和氏の弁明の機会が実質的に与えられておらず手続き的な瑕疵(かし)がある。また、文科相は28件の非違行為を認めているが、一つひとつが事実誤認、評価が誤っていることを主張する」とした。また、威圧的行為が解任に値するほどの理由にはならないことも主張する。

 さらに名和氏は、解任後に北大に対して在職中の個人情報について開示請求したが、北大はハラスメントの可否について不開示(存否応答拒否)処分とした。名和氏はこれを不服として不開示取り消し訴訟も提起する。代理人の佐藤博文弁護士は、「不開示というのは、あるかないかも含めて回答しないということ。これは極めて問題」と話した。

 国立大学総長(学長)の解任を巡る取り消し訴訟が提起されるのは、今回が初めて。佐藤弁護士は「この裁判は解雇事件とは性格が違い、違法性の確認訴訟というべきもの。手続きの違法性をはっきりとさせたい。大学側がどれだけ情報を開示するかがこの裁判のポイントになる」と指摘した。


2020年08月30日

北海道大学長解任・学長選挙,教職員組合「声明」、候補者への「公開質問状」と「回答」

1.北海道大学教職員組合声明「学内民主主義を尊重する新しい総長を」
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/seimei/20200811seimei.pdf

2.教職員組合「候補への公開質問状」(8/11提出)
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/kousyou/20200811situmon.pdf

3.公開質問への次期総長候補3人からの回答
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/20/20200821souchoukouho-kaitou.pdf

4.意見等
https://hokudai-shokuso.sakura.ne.jp/htm/souchousen2020iken.html

北大総長選の教職員意向投票、トップ宝金清博氏の得票率過半数届かず

Real Economy(2020/08/29)

 北海道大学の名和豊春総長の解任に伴い実施される総長選の教職員による意向投票が28日行われ、即日開票された。総投票数1177票のうち473票で1位だったのが宝金清博氏(65、北大保健科学研究院特任教授)、369票で2位だったのが横田篤氏(63、北大農学研究員教授)、335票で3位だったのが笠原正典氏(64、総長代行・副学長)だった。

 投票は、講師以上の教員、課長補佐以上の職員、合わせて約1500人が対象で1177人が投票した。得票率は宝金氏40%、横田氏38%、笠原氏28%。宝金氏の票が伸びたのは、医学部、歯学部、保健科学研究院のほか理学部票も多かったためとみられる。前回までは過半数の得票を得るまで意向投票を行ったが、今回からは過半数に届かなくても投票は1回だけになっている。

 投票率は約78%で、名和前総長が726票を獲得した2016年12月の意向投票より、4ポイント上昇した。 今後のスケジュールは、9月1日に総長選考会議(議長・石山喬日本軽金属ホールディングス元会長、他委員は末尾に記載)が総長候補者へのヒアリングを行い、2日に同会議が総長予定者を決定、文部科学省が任命する。
 
 総長選考会議は、意向投票権を持つ教職員を対象にした8月18日の公開質疑と28日の意向投票結果、さらに9月1日の同会議による候補者ヒアリングによって総長予定者を決定する。これまでは、意向投票で最も得票数が多かった候補者が同会議で総長に選ばれなかったことはないが、今回について石橋議長は、組織運営の能力を重視するとして、2位以下の候補者を選ぶ可能性にも言及している。

 18日に行われた公開質疑の中で、文科省の運営交付金や学費等以外の財務基盤強化について、各発言者の要旨を掲載する。

 宝金氏
「大学が生産したものの販売や大学のブランドやネーミングライツ、不動産運用収入、知財収入、ベンチャーキャピタル収入(成功報酬など)が必要です。そのためには透明性の高い審査、監査など規定を順守する実務専門家が必要になります。最近、北大は非常に素晴らしい案で留学生宿舎を作ることになったようです。一部不透明ではないかという意見が出て残念に思っていますが、いずれにしてもこうしたことが今後の大学経営には重要です」

 横田氏
「北大自身の投資会社、北大ベンチャーキャピタルの設立によって新たな収益創出を考えています。既存の機能強化促進事業を活用、分野横断型、文理融合型の提案を積極的に採用します。そのことによって部局間の垣根が下がり一体感が醸成され、外部資金の獲得も促進されてきます。ロバスト農工連携のような産学官プラットフォームを形成して学内外の共同研究を獲得していく」

 笠原氏
「すでに民間出身の財務担当者や経営改革担当理事を配置したほか、東京オフィスにはファンドレイザー(社会貢献と発展のため活動資金を集める専門資格者)を配置しています。共同研究の契約額を年間30億円以上とするほか、ベンチャー起業、アントレプレナー(起業家)教育を強化・支援、株式収益を確保するとともに本学が保有する不動産を積極的に活用することを考えています」

 2020年度の総長選考会議の委員は次の通り
議長 石山喬氏
委員 横山清氏(アークス社長)/浅香正博氏(北海道医療大学学長)/長澤秀行氏(帯広畜産大学顧問)/松谷有希雄氏(国際医療福祉大学副学長)/山本文彦氏(北大文学研究院長)/堀口健雄氏(北大理学研究院長)/吉岡充弘氏(北大医学研究員長)/西邑隆徳氏(北大農学研究員長)/中垣俊之氏(北大電科研所長)


名和豊春・北大前総長が沈黙を破った!「私が解任された本当の理由」

Real Economy(2020/08/23)

 6月末に萩生田光一文部科学大臣によって北海道大学総長を解任された名和豊春氏(66)が22日、『私が解任された本当の理由』と題して講演した。名和氏は解任騒動の前後から1年半以上にわたって沈黙を守っていたが、初めてこの事件について口を開いた。「北大総長解任の真相を究明する市民の会」の主催によるもので、会場となった札幌エルプラザ3階ホールには約100人が集まった。以下、名和氏の講演要旨を抜粋して掲載する。(写真は、『私が解任された本当の理由』と題して講演する名和豊春氏)

「この講演の目的は北海道大学の教職員、数十万人の本学OB、OG、140年にわたって北大を愛し続けてくれている市民の方々に真相を知ってもらい、皆さんに将来どうしていくかを考えてもらうために行うものです」

「調査委員会の調査報告書を読んだが、私ひとりの判断ではいけないと思い、信頼のおける知り合いにも読んでもらいました。調査には、誘導尋問や誤導尋問が多く、聞かれている人が『そんなことはありません、私は知りません』と言っても、調査した人が執拗に『何かあるでしょう、本当にあるでしょう』と聞き、創作されて私は犯罪者のように扱われました」

「私は、総長の就任前から工学系の教育の在り方について、文科省の考え方を十分考慮して新しい政策を進めてきました。文科省も大学改革の推進に寄与する人材として期待したのではないかと思っています。荻生田文科相も解任会見の際には『大学改革に頑張っていることは認める』と発言していますから、期待されていたのかもしれません。しかし、私は様々な政策が出てくることに対し、必ずしも『正しい』とは言いませんでした」

「私は総長として、予算ありきではなく教職員をどうやって大切にするかということを前提に考えました。人件費を削らず物件費を削ってでも人は守ろうとしました。このことは文科省からすると、とんでもない発想だったのでしょう。北大が、これから考えなければならないことは『食料』だと思い、フードバレー構想を掲げたことがあります。同様の構想を進めていたオランダの大学と提携して、文科省に頼らず独自に財団を作って独自予算を持って動こうとしたこともあります。

 自立した大学をつくるという本来の独立法人化の精神に戻って大学改革を進めようとしました。それは逆に言うと、大学の自治が強まり、文科省主導の大学ではないものをつくろうということに繋がるわけです。文科省から北大の事務方にはたくさんの人が来ていますが、予算を取るために採用することはしたくないとはっきり言いました。また、官製談合や不正経理はしてはいけないということもかなり厳しく言いました。そういったことが引き金になって、何らかの口実を設けて解任に繋がったのではないかと思っています」

「もう一つ、なぜあの時期に騒動が持ち上がったのかがわかりませんでした。よくよく考えてみると、あの頃はいわゆる『加計・森友事件』が大きな問題になっていました。本学の獣医学部長が国会まで行って加計の準備不足を陳述しようとしていました。政府は本当に危なかったのです。財務省も文科省も省庁改変が必要じゃないかという声も出ていました。そんな時、マスコミを使って『パワハラ』というピンポイントで、私に流れを持ってきた。調査委員会では『パワハラ』と報告されていた事柄は、総長選考会議では認定せず、同会議が文科省に解任を申し出した時にも『パワハラ』という言葉はなく、『総長として適切とは言えない行動』とし、『パワハラ』を取り消していたのです。最初の『パワハラ』という言葉がなかったらどうだったのでしょうか」

「大学の教育や研究が商業化され、さらには(文科省の)天下りと両立させるようなシステムがつくられたら、大学の自治はどこに行くのでしょうか。それを阻止しようとした私の態度は、確かに文科省から見れば敵対勢力だったでしょう。今後、大学の自治、学部の解体が起きてくる可能性が高い。大学の自治を守って知の創成を守らなければいけない。そのためには、現場を大切にしなければならないと今も考えています」

「騒動の当時、事務方にいて文科省に戻ったスタッフが、こう言ってくれました。『厳しいことは言ったけど、名和さんは私利私欲を持っていない』と。私のモットーは、私利私欲を持たず国の大計となる高等教育を司る学長としてなすべきことをなすことです。これに殉じても仕方がない」

 名和氏は、モットーを貫徹しようとしたことで文科省と後戻りできない段階まで行ってしまったようだ。最後に発した「これに殉じても仕方がない」という言葉には無念さがにじみ出ていた。この言葉を語る時は、声に詰まり嗚咽を押し殺している風だった。今回の講演会は第1弾として行われたもので、主催した「北大総長解任の真相を究明する市民の会」では、引き続き真相究明の講演会を続けていく。


2020年08月16日

北大学長解任事件、真相究明講演会

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2020年07月03日

北大学長解任 長期混乱の説明足りぬ

道新(2020/07/03)

 萩生田光一文部科学相が、北大の名和豊春学長を解任した。

 大学職員らを過度に叱責(しっせき)するなどの不適切な行為を重ねたのが理由とされる。国立大が2004年度に法人化されて以降、学長の解任は初のケースだ。

 名和氏は問題が表面化した直後から休職し、1年半にわたって学長不在という異常事態が続いている。にもかかわらず、北大側が対外的な説明を十分にしてこなかったのは納得できない。

 解任を受けた記者会見を経ても「内部で何があったのか」という疑問は残されたままだ。

 北大は問題が長期化した経緯を含め混乱の原因を明らかにし、再発防止に努めてもらいたい。

 北大によると、名和氏は学長に就任した2017年以降、職員らに過度な叱責や威圧的な言動を重ね、特定業者のために再入札を求めるなど不適切な行為を重ねた。

 これを受け北大の学長選考会議が文科相に名和氏の解任を申し立てた。文科相は調査の上、「(国立大学の)役員たるに適しない」との理由で解任を決めた。

 ただ、名和氏の行為が解任に十分相当するかの具体的根拠は示されず、処分が適正かは判断が難しい。名和氏と大学側との間でどんないきさつがあったのかも、詳しく知りたいところだ。

 名和氏は不適切な行為を否定し、「処分は不当だ」として、文科相に対する審査請求や国を相手取った処分取り消しの訴訟を起こす構えだ。

 だが、処分理由に対する反論は明確さを欠き、疑問は残る。名和氏にも説明責任はあるだろう。

 一連の混乱が学内外に及ぼした影響は小さくはない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が、大学の授業や入試日程に影響を及ぼしている。在籍する学生や受験生らに、大学の現状や今後を不安視する向きは多かろう。

 そうした中で、大学の役員らが内部の混乱を長引かせるのでは、信頼を得ることは難しい。まずは学生らの不安を解消し、学問に落ち着いて打ち込める環境を整えるべきだ。

 北大の学内規定は、学長欠員の場合は速やかに次期学長選挙を行うと定めている。大学側は年内に行う意向を示したが、不在の長期化を考えれば、早期の決着が望ましい。

 今回のような問題の再発防止を徹底し、地域の拠点的研究・教育機関としての責任を果たしてもらいたい。


2020年02月02日

学長選考法の変更「合理性ない」 北大教職員組合が声明

北海道新聞(2020/01/21)

 北大教職員組合は21日、同大学長選考会議が検討している学長の選考方法の変更に反対する声明を発表した。選考会議が職員に対する叱責(しっせき)などがあったとして文部科学相に解任を申し出た名和豊春学長に対する審議が続く中での制度変更は「合理性がない」と批判。まずは解任申し出の経緯を説明すべきだとしている。

 現在は、専任の教員20人以上が推薦した候補者から業績や教職員による学内意向投票の結果などを考慮して学長を選んでいるが、選考会議は理事や各研究院長らでつくる教育研究評議会も候補者を推薦できるようにしたい考えだ。

北大職組
声明:「総長選考方法の道理なき変更に反対する」2020/1/14

2019年10月06日

シンポジウム「北海道大学の総長解任問題を考える」

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2019年07月09日

北海道大学長がパワハラ報道否定 叱責したが「相手の人格を否定した事実ない」

毎日新聞社(2019年7月8日)

記事まとめ
●北海道大・名和豊春学長は自身のパワハラ報道を受けて、「パワハラ行為に及んだ事実はない」と否定するコメントを発表した。
●現在は休職中だが、2月に申し出た復職が拒絶されたといい「手続きが強引」とも訴えている。
●名和氏はコメントで「業務上必要な注意や叱責をしたことはある」が、パワハラには当たらないと説明している。

北大学長、叱責したが「パワハラの事実ない」

 北海道大(札幌市)の名和豊春学長(65)は8日、学長選考会議が名和氏の職員へのパワハラを認定し、近く文部科学相に学長解任を申し出る方針を決めたとの報道を受けて「相手の人格を否定するパワハラ行為に及んだ事実はない」と否定するコメントを発表した。現在は休職中だが、2月に申し出た復職が拒絶されたといい「手続きが強引」とも訴えている。

 学長選考会議は名和氏の大声での叱責や机を何度もたたく行為をパワハラと認定したという。名和氏はコメントで「大学のプレゼンス向上にまい進し、職員に負担をかけ、意思疎通を欠いた。業務上必要な注意や叱責をしたことはある」としてパワハラには当たらないと説明している。


北大学長の解任を申し出へ 選考会議、パワハラ認定

道新(2019/07/05)

 北大の名和豊春学長(65)が北大職員にパワーハラスメント(パワハラ)をした疑いがあるとして調査していた学長選考会議(議長=石山喬・日本軽金属ホールディングス元会長)がパワハラを認定し、文部科学相に学長の解任を申し出る方針を決めたことが4日、分かった。文科相は申し出を受け次第、精査し、解任するかどうかを決める。

 文科省によると、2004年度の国立大学の法人化後、全国で学長が解任された例はない。

 名和学長は「大学から何も聞いておらず、コメントできない」としている。

 国立大学の学長の任命、解任は国立大学法人法に基づき、学内外のメンバーで構成する選考会議の申し出を受け、文科相が決定する。

 北大の選考会議は10人の委員で構成。「名和学長がパワハラを行った」との訴えを受け、昨年11月に調査委員会を設置した。関係者によると、選考会議は名和学長らのヒアリングを経て、パワハラがあったと認定し、学長を続けるのは適当ではないと判断した。

 北大は「現時点でコメントは差し控える」(広報課)としている。

 名和学長は三笠市出身で、北大大学院工学研究科修士課程修了。同大大学院工学研究院長などを経て、16年12月の学長選で現職を破り、17年4月に学長に就任した。

 体調不良を理由に昨年12月から休職しており、笠原正典副学長が職務代理を務めている。任期は23年3月末まで。


2019年07月06日

北大学長「パワハラの事実ない」 選考会議の認定に反論

道新(2019/07/08)

 北大の名和豊春学長(65)は8日、名和学長が同大職員にパワーハラスメント(パワハラ)をしたと同大の学長選考会議(議長=石山喬・日本軽金属ホールディングス元会長)が認定し、文部科学相に学長の解任を申し出る方針を決めたとの報道を受け、「パワハラと評価される行為に及んだ事実はない」とするコメントを代理人の弁護士を通じ発表した。

 名和学長は「業務上必要な注意や叱責(しっせき)をしたことはあるが、大声で叱責する、机を何度も叩(たた)くなど(選考会議が設置した)調査委員会が認定したような事実は覚えがない」と反論した。

 調査の手法についても、「調査委員会は私からの弁解の聴取を書面でも口頭でも一切行うことなく調査を終えた」と指摘。選考会議がパワハラの根拠とする証拠についても「事実上全ての閲覧を拒否し、強引に手続きを進めた」と批判した。

 体調不良を理由にした昨年12月からの休職に関しては「今年2月12日からの復職を申し出たが、大学役員会は拒絶した」と訴えた。

 北大は「談話の内容を確認できていないのでコメントできない」としている。

 選考会議は昨年11月、「名和学長がパワハラを行った」との職員の訴えを受け、調査委員会を設置。関係者への聞き取りを経てパワハラを認定し、学長を続けるのは適当ではないと判断した。文科相は同会議の申し出を受け次第、内容を精査し解任するかどうかを決める。(水野富仁)


2018年03月11日

北大職組、「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

北大職組
 ∟●「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解(2018年3月9日)

「雇用上限が 5 年であること」に関する質問書に対する大学からの回答と執行委員会見解

2018年3月9日 北海道大学教職員組合執行委員会

 北海道大学教職員組合は、2018 年 1 月 30 日の団体交渉において、いわゆる「5 年雇い止め」ルールの撤廃を求めた。これに対し徳久事務局長からの回答は、現状の取り扱いを変更するつもりはないということであった。組合から最長雇用期間が「5 年」であることの説明を求めたところ、事務局長からは①財政的理由、②プロジェクトは 5 年が多い、③他大学の状況を勘案、という 3 点が理由として挙げられた。この件について改めて文書で質問をする旨を伝えたところ、事務局長はこれを了とし事務で回答を行うと述べた。この経過を踏まえて、組合は 2 月 13 日付けで「有期雇用契約職員の最長雇用期間が 5 年であることに関する質問書」を提出、文書による回答を 2 月 20 日までに求め、2 月 27 日に回答を得た。回答に対する執行委員会の全体的な見解は以下である。

①回答によれば、「財政的理由」は追加的負担でも余剰人員の危惧でもなく、現状の雇用財源を確保することの負担である。多くの有期雇用職員によって大学の教育・研究体制が支えられている現状を考えれば、この雇用財源を確保することはむしろ大学運営の優先的課題であり、「5 年雇い止め」の合理的理由にならない。

②「プロジェクトは 5 年が多い」「他大学の状況を勘案」の 2 点について、これらが現時点での雇用上限が 5 年であることの合理的な理由になることを示しえていない。

③「雇い止め」と「新規採用」の繰り返しはむしろ大学運営のコストになる、という指摘について、反論しえていない。

④「雇用上限が 5 年」であることは「無期転換権の発生を阻止するための措置」であり、したがって改正労働契約法の趣旨に反し望ましいものではないという指摘について、反論しえていない。

⑤近年の雇用の不安定化が大きな社会問題となっており、その対応として雇用の安定をはかるために労働契約法が改正されたという経過を踏まえて、法の趣旨を実現するために大学運営ルールを変更するという観点がない。また無期転換権の発生を阻止するために雇い止めをすることは法の趣旨に反して望ましくないことは、厚労省の見解、文科省から国立大学に出された事務通知、首相の国会答弁で明確に述べられているが、これを考慮する姿勢がない。すなわち大学が持つべき良識、社会に示すべき姿勢、大学の社会的責任という観点が欠如している。

 すでに道内の国立大学のほとんどは「5 年雇い止め」の撤廃を決定、あるいは撤廃を検討しており、北大が「5 年雇い止め」を継続することは、むしろ特異な例として注目されつつある。法の趣旨にそう形で大学運営ルールを変更するというごく当たり前の措置を取らないことが、いかに大学の社会的信用を低下させるか、北大は自覚的になるべきである。そして何より「5 年雇い止め」ルールが、北大の運営に尽力した職員の就労機会を奪っていること、「仕事があるのに雇い止め」という理不尽な気持ちを無期雇用、有期雇用職員を問わず抱かせていることの深刻さを自覚すべきである。

 そもそも合理的な理由なしで、人の仕事を奪ってはならない。合理的な理由なしで人を雇い止めにしてもよい、ということを学生に示すことは、研究・教育機関としての大学にとって致命的である。北大の基本理念に「人権を尊重し社会的要請に的確に対応できる基盤的能力の育成」とあることを、忘れてはならない。有期雇用職員の雇用と生活を守るために、大学の円滑な運営のために、そして大学としての矜持を持ち社会的責任を果たすために、「5 年雇い止め」ルールを撤廃すべきである。このルールを維持すべき合理的、社会的理由はない。組合は改めて、5 年雇い止めルールの撤廃を求める。

 以下に質問状の各質問とそれに対応する大学からの回答、それに対する執行委員会の見解を示す。大学からの回答は青字、執行委員会の見解は赤字で示している。


2013年11月27日

北大職組、55歳昇給停止に反対する

北大職組
 ∟●55歳昇給停止に反対する

55歳昇給停止に反対する

2013年11月18日 北海道大学教職員組合執行委員会

 55歳以降の昇給の停止案が北大本部から提案され,執行部は「これは明らかに,不利益変更であり認められない」という立場から提案の撤回を要求して団体交渉を申し入れました。理由は,
 1.改定に伴い、不利益の程度は極めて大きい(以下に説明)。
 2.特に、63歳定年の教員の場合は、国家公務員(60歳定年)と同列に扱うことはできない。
 3.一般職員・技術職員は、国家公務員と比べて賃金が低く(ラスパイレス指数で90%程度)、昇給停止を国家公務員と同列に扱うことはできない。
などです。今回の昇給停止の理由は,人事院勧告による官民格差の是正を名目とした公務員の55歳昇給停止に横並びにと言うものです。

 昇給停止を実施すると,北大本部の試算では,本年度末で55歳の場合,教員では2022(平成34)年度で月額1.5万円余,退職金は64万円余の減額となります。職員は定年が早いこともあり,2019(平成31)年度で月額5千円余,退職金には26万円余の減額となります(勤続年数によります)。定年までの月々の給与の減額と退職金を単純合計すると 教 員 1 9 9万円余の減額 職 員 5 8万円余の減額 にもなります。

人を大切にする北大を - - 学長は真剣に考えてほしい
 教員も職員も日々の勤務は忙しい。職員の場合,超勤が常態化し、多忙な時期には,事務室にいつまでも人がいる。外部資金関係のメイルの返事が夜の8時に来たりしている。多忙さを解決する手だてが検討されなければならない。また,教員は自ら計画して労働しているとはいえ,授業や院生指導に時間が取られる中で,研究を発展させており,その努力や成果に見合う待遇を望んでいる。北大が研究教育で良い成果を上げるためには良い人材の確保が不可欠であり,そのためには待遇の改善がぜひとも必要と考える。


2013年07月12日

北大、2012年度の1.6倍も賃金減額 山口学長、早くも選挙公約を棚上げ!!

北大職組
 ∟●臨時特例の2013年度賃金減額問題 ビラ №3

2012年度の1.6倍も賃金減額!! 山口学長、早くも選挙公約を棚上げ!!

2013 年度臨時特例の賃金減額交渉、決裂

 臨時特例の2013年度賃金減額問題に関する団体交渉は第1回5月 24 日、第2回6月4日、第3回6月 21 日、第4回7月2日と回を重ね、最後の第4回で決裂しました。団交の結果、当初の7月1日実施から8月1日実施へと、減額開始が1ヵ月遅れることになりました。

教職員の負担、2012 年度の 1.6 倍!!

 第1表を見てください。北大の説明では、2012 年度も2013 年度も文科省による運営費交付金の減額は 19.6 億円だそうです。その減額分に対処するため、両年度とも北大の負担分を「学長室等事業推進経費」と「中期目標達成強化経費」(この二つを合わせて学長裁量経費と理解して良いとのこと)から捻出するとしました。
 2012 年度は年度末に至り、結果的に北大の負担が13.9億円、教職員の負担が 5.7 億円になりました。2013 年度は当初、北大の負担が8.6 億円、教職員の負担が11.0 億円でしたが、団交を重ねて組合が要求を繰り返したところ、北大負担10.43 億円、教職員負担9.17 億円になりました。教職員負担が1.83 億円減りましたが、これは団交の成果です。しかし、教職員の負担つまり賃金減額分は2012 年度より1.6 倍も多くなっています。……