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 カテゴリー スラップ訴訟

2014年11月14日

スラップ訴訟、「名誉毀損」不当提訴事件 東京高裁でも野中教授が全面勝訴!

マルクスBon appetit!.
 ∟●野中先生「恫喝訴訟」高裁も勝利判決
 ∟●東京高等裁判所第23民事部(裁判長・水野邦夫裁判官)判決文(2014年11月12日)

祝! 勝訴!

野中先生「恫喝訴訟」高裁も勝利判決

11月12日、午後1時10分から、東京高等裁判所717号法廷で開かれた、野中郁江・明治大教授への「恫喝訴訟」で、水野邦夫裁判長は「本訴・反訴ともに棄却」という判決を出しました。第一審の東京地裁判決を高裁として認めるものです。
本誌論文(「不公正ファイナンスと昭和ゴム事件」2011年6月号掲載)などの内容をとりあげ、当該のAPFファンドが名誉毀損で訴えた本訴では、完全勝利となりました。
一方、野中先生側が、スラップ訴訟を止めさせるという反訴は認められず、支援者からは「喜びは中の上かな」との声も出ました。
傍聴者にかけつけた50人近い支援者は、「学問研究と表現の自由を守った」ことに、確信を深めながら、最後の勝利までたたかいいぬく覚悟を固めました。

◆勝利判決報告集会で、交流
午後2時から、高裁近くの「日比谷図書文化館ホール」に移動して、勝利判決報告集会。
冒頭、野中弁護団の徳住弁護士から、高裁判決についての解説がありました。
「一審判決とほぼ同じ内容の勝利判決です。
判決は、『経済』の論文については、その前提となる事実を認め、その目的も公益性があり、論文は真実で、名誉毀損は免責されると述べています。相手側が、『労働組合支援のための論文』としたことに対しては、組合への助力という面があったとしても、ファンドのあり方や証券取引に関するもので論文の公益性は明らかだと、一審判決より踏み込んだ点は、評価できます。
しかし私たちの反訴について判決は、原告が研究論文と労働委員会への鑑定意見書を名誉毀損と訴え、5500万円もの巨額の賠償を求めた行為を、不当なものと認めない、アンフェアなものです。
したがって、ファンドの目論見を粉砕した点では勝利であり、また足かけ3年にわたって、苦しい裁判を強いられた野中先生を救えなかったことは、非常に残念です」。

梅田弁護士からは、「反訴」部分では、今回の名誉棄損裁判のような憲法23条の国民の裁判を起こす権利と、13条、23条の学問の自由、表現の自由の対立が争点となったわけだが、そのどちらがより重要か、「利益比較行為」がなされて、判断されるべきだと、地裁、高裁の判決の問題点を指摘しました。

つづいて、上条弁護士、片岡弁護士、「学問研究と表現の自由を守る会」会長で、大学の同僚でもある福田邦夫・明治大学が挨拶。
福田先生は、「野中さん、2年4ヵ月、負けないでよくがんばってくれました。まさにジャンヌ・ダルクだ。そして、働く人たちを守る論文を書いた野中さんを、今度は労働者、研究者の力で守った裁判だった」と奮闘をたたえました。

日本科学者会議東京支部、私大教連、全国私教連、『経済』編集部、昭和ゴム労組から、勝利判決の意義、野中先生へのねぎらい、今後のたたかいについての決意が語られました。

閉会のあいさつで、「守る会」事務局長の梶さんは、「本訴は完全勝利だった。ファンド側が上告するかもしれないが、高裁判決をひと区切りとして、スラップ訴訟を許さないたたかいを今後も続けていこう」と決意が示されました。

◆恫喝訴訟とたたかう、野中先生の姿をみた

野中郁江先生は、判決への心情を述べました。

「お忙しい中、毎回支援に来て下さった方々に心から感謝を述べたい。応援してくれる方たちのあたたかさを実感しています。
予測された判決だったが、私たちが控訴審で提起した問題については、ていねいなフォローのない<手抜き判決>との感想をもちました。
本訴に対して私たちは、<論文や鑑定書で名前も出していない重田衛氏が名誉毀損の原告になること自体がおかしい>と主張し、高裁判決もそれを認めました。にもかかわらず『反訴』部分で、判決は重田氏を含めて名誉毀損で提訴を認めており、これは矛盾しています」
こう判決の問題点をズバリ指摘し、負けないでたたかう野中先生の姿をみた思いがしました。

本件論文のような「ファンドによる会社のっとりの社会的な不当性を明らかにする」(野中さん)ための真面目な研究を、ファンド等がカネの力にまかせて賠償金をふっかけて提訴するような、「恫喝訴訟(スラップ訴訟)」は米国等では禁じられています。日本でも、第2、第3の「野中裁判」を許さないたたかいが求められています。
闘いは続きます。

経営者の高額賠償請求棄却 東京高裁

■しんぶん赤旗(2014年11月13日)

 大学教授が雑誌『経済』に発表した学術論文などに対して、経営者らが、「名誉棄損」だとして高額な賠償金を請求していた裁判で12日、東京高裁(水野邦夫裁判長)は経営者側の請求を棄却した二審判決を出しました。提訴自体が違法だとした大学教授側の反訴も棄却しました。
 この裁判は、明治大学の野中郁江教授が発表した学術論文などに対して、昭和ホールディングス(HD)と同HDを事実上支配する経営者らが、「名誉棄損」だとして5500万円もの高額な賠償金を請求しました。
 判決は一審同様、野中教授が発表した論文の重要な部分について真実だと認定しました。
 また、東京都労働委員会に提出した野中教授の鑑定意見書が経営者の社会的評価を低下させたと主張した点について、判決は、多数の者が閲読することが可能であったとは認められないとして、「判断するまでもなく不法行為は成立しない」としました。
 判決後の集会で、徳住賢治弁護士は「一審判決と理由、表現もほぼ同じ内容でした。全体的には勝利判決で、経営者側のもくろみを粉砕しましたが、反訴が認められなかったという残念な点もありました」と語りました。
 あいさつした野中教授は反訴を棄却したことについて「お金がある人は何でも名誉棄損で訴えてよいと、裁判所が事実上認める野放し判決ではないか」と話しました。

[関連情報]
■東京地裁判決(2014年5月19日)の記事はこちら
http://university.main.jp/blog8/archives/2014/05/post_453.html

2014年05月22日

野中先生勝訴! 「スラップ訴訟」退けた

新日本出版ブログ
 ∟●野中先生勝訴!「スラップ訴訟」退けた

野中先生勝訴!「スラップ訴訟」退けた

5月19日、東京地裁・判決出る
「学問研究と表現の自由を守った」

本誌論文(2011年6月号・掲載)をめぐって、ファンド会社・APFが、筆者の野中郁江・明治大学教授を、名誉棄損(損害賠償金5500万円)で訴えていた裁判は、5月19日、午前11時45分、東京地裁530号法廷で、判決が言い渡されました。

開廷一番、村上正敏裁判長は、「原告らの請求及び被告の請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は…」と主文を読み上げました。その間、1分たらずで閉廷。
その判決文は全体として、不当な名誉毀損の訴えを退け、野中先生の主張を認めたもの。「勝利判決と言ってよいものだ」(徳住弁護士)、「この判決は、学問研究と表現の自由を守った大きな成果だ」(上条弁護団長)といえるものです。
傍聴につめかけた支援者は、1年9カ月におよぶ裁判、支援運動を取り組んできてよかったという感動に包まれました。

野中論文は「公益を図る目的で執筆」、
「重要な部分について真実である」と認定

12時半から、会場を移して開かれた「勝利判決報告集会」は、部屋いっぱい(80名ほど)の参加者でうまりました(写真)。
冒頭、徳住弁護士が判決文の概要を紹介。

(★判決文の全文は、こちらからダウンロードできます。PDFファイル、1.7MB)
https://www.dropbox.com/s/rwvm2bpe1erajku/nonaka_hanketsu%2820140519%29.pdf

(『経済』野中論文が)「公共の利害に関する事実に係るものであることは当事者間に争いがない」(★15ページ=判決文のページ数)。
「本件論文は、専ら公益を図る目的で執筆されたものというべきである」(★15ページ)。
(野中論文は)「その表明する意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったということができる」(★19ページ)。
(論文には、原告の求める名誉毀損の)「免責事由があると認められるから、不当行為が成立するとはいえない」(★19ページ)。

徳住弁護士は、このように被告側の主張点を、ほぼ全て認めたことは、重要な勝利判決であると評価しました。

一方、野中先生の反訴=「本訴の提起が不法行為に当たる」についての判定。
裁判所の判断は、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められたときに限られると解するのが相当」という最高裁判決を引いて、「著しく相当性を欠くと認めることはできない」(★20ページ)と棄却しています。
本件が「スラップ訴訟」であるとの判断には踏み込まず、入り口のところで棄却した形になりました。

弁護団、参加者、『経済』編集部の発言から

集会の中では、弁護団の先生方から、こもごも発言がありました。
上条弁護団長からは、「学問研究と表現の自由に指一本触れさせなかった画期的な判決」であり、あわせて原告側の主任弁護士が本日の判決言い渡しの裁判を欠席したことを批判されました。
その後、本裁判の「学問と研究の自由を守る会」、私大教連、日本科学者会議、昭和ゴム労組、昭和ゴム労組支援共闘会議の代表などから、これまでの争議、裁判をふりかえり、野中先生への感謝と今後への決意の発言が続きました。
『経済』編集部からは、次のような挨拶をさせていただきました。
「論文の目的の公益性を認め、論文の前提となる事実の真実性を認めたことは画期的な判決といえるのではないか。悪徳ファンドがこの判決を認めるか控訴をしてくるか分からないが、さいごまで野中先生と心一つにしてがんばりましょう」。

スラップ訴訟の完全勝利をめざし
6・17大集会へ

地裁判決が出て、2週間以内に控訴がないと、判決が確定します。悪徳ファンド側がどう出るのか、予断を許しません。一方、反訴が棄却されたので、それへどう対応するかは、今後相談することになっています。
いずれにしても、悪徳ファンドのスラップ(恫喝)訴訟を許さず、学問研究と表現の自由を守るたたかいは、引き続き気をゆるめることはできません。

6月17日、裁判・完全勝利、APFファンドを追い詰める大集会を開催します。
(午後6時半~、明治大学リバティホール=東京・御茶ノ水)
多くの参加者で、社会的にアピールし、裁判勝利を確実にしましょう。


2014年05月21日

スラップ訴訟、「名誉毀損」不当提訴事件 野中教授が勝訴!

■しんぶん赤旗(2014年5月20日)

祝! 勝訴!

野中教授の論文は真実、東京地裁 経営者側の請求棄却

 明治大学の野中郁江教授が発表した学術論文どに対して、昭和ホ-ルディングス(HD)と同HDを事実上支配する経営者らが、「名誉毀損(きそん)」だとして5500万円の賠償金を請求していた裁判で19日、東京地裁(村上正敏裁判長)は、経営者側の請求を棄却する判決を出しました。提訴そのものが不法行為にあたるとした野中教授の反訴については棄却しました。
 判決は、野中教授が発表した雑誌『経済』の論文は、重要な部分について真実だと認定。野中教授が東京都労働委員会に提出した鑑定意見書も、多数の人が閲覧することは可能ではなかったとして、不法行為は成立しないとしています。
 判決後の集会で徳住堅治弁護士は「裁判所が論文について、ここまで明確に事実だとはなかなか書きません。反訴については不満がありますが、不当提訴をはね返したという点については勝利判決といってよいと思います」と語りました。

 判決を受けて野中教授は、企業が高額な損害賠償を個人に対して提訴することを、裁判所が問題にしなったのは疑問があると指摘しつつ、「裁判所が論文などの大部分を真実と認めてくれたのはうれしいです。ご支援ありがとうございました」と語りました。

野中教授「名誉棄損」不当提訴事件(スラップ訴訟)とは何か。以下を参照のこと。
http://university.main.jp/blog8/archives/2013/07/post_195.html

2013年07月31日

サイト紹介、野中教授「名誉棄損」不当提訴事件-学問研究と表現の自由を守る会のブログ-

学問研究と表現の自由を守る会のブログ

APFファンド・昭和HD経営者による 学問の自由の侵害・恫喝訴訟を許すな!
野中教授「名誉棄損」不当提訴事件への支援をお願いします


 2012年7月、APFファンドによって支配された昭和ホールディングス(昭和HD)の経営者3名が、野中郁江明治大学教授を、論文「不公正ファイナンスと昭和ゴム事件問われる証券市場規制の機能まひ」(雑誌『経済』189号)および昭和ゴム労働組合からの依頼を受けて執筆し東京都労働委員会に提出した鑑定意見書の記述をとりあげ、名誉を毀損されたとして東京地裁に提訴するという事件が起こりました。5500万円という巨額な損害賠償と掲載雑誌への謝罪掲載を求めています。
 問題とする箇所について根拠を示して反論を行うという手続きもふまず、編集権をもつ出版社を訴訟の相手ともせずに、突然に研究者個人に対して多額の賠償金を求める裁判を起こすこと自体、表現の自由、学問の自由を侵害し、民主主義社会を脅かす暴挙です。
 私たちは、APFファンド・昭和HD経営者の不当な提訴を断固として退け、野中教授の研究活動を支え、学術研究と表現の自由を守るために、力を寄せ合うことを呼びかけます。

ファンドの狙いは昭和ゴムの財産?!
ゴム事業に関心なく、不当労働行為を繰り返す


昭和ゴム事件とは
 昭和ゴム㈱は創業1932年、東証2部上場の企業であり、かつては明治製菓グループ傘下の名門企業でした。ところが、2000年以来いくつかのファンドが昭和ゴムを支配し、会社の財産と信用力が失われてきました。
 アジア各国に展開する投資グループAPFは、2008年6月子会社名義で昭和ゴムの第三者割当増資12億4500万円を引受けて、昭和ゴム(その後子会社に分割して昭和HDとなる)の支配権を得ました。
 7~10月の4か月間に、タイにあるAPFの関連子会社2社のPN(プロミサリーノート)27億円を購入するとして資金を流出させました。このPNは譲渡不能であり、貸付の念書のようなものです。
 2010年6月証券取引等監視委員会は、昭和HDに対して架空増資、偽計取引嫌疑により強制調査を行いました。
 その後、APFの関連子会社からは、一定額の返済はなされますが、ほどなく原告の保有株式を購入させられるなど、現金で返済された金額は27億円のうち5億数千万円にすぎません。依然として、事業部門で働く労働者の生活と雇用の不安は続いています。

研究者個人への恫喝による
言論封殺が裁判の目的

 本提訴は、原告の側に提訴の根拠自体が存在せず、言論封殺それ自体が目的であるスラップ(SLAPP)訴訟です。
 スラップ訴訟とは、企業などが自らの不法行為を取り上げ取材活動しているジャーナリストや弁護士、公共団体等に対し名誉毀損で巨額の賠償金を請求する裁判のことです。言論封殺を目的に恫喝・威圧的裁判として行われるためアメリカでは禁止する州もあります。日本では武富士、幸福の科学、読売新聞事件などが有名ですが、論文を掲載した出版社でなく研究者個人を標的にしたものはこれが初めてといえます。

雑誌に発表した学術論文への
不当な攻撃

 野中教授は会社が公表したIR資料、有価証券報告書などの客観的資料に基づき、複雑なファンドの経営実態を解明、「不公正ファイナンスとは何か」、「APFが昭和ゴムを支配し資金を流出させた経緯」を詳細に論述しています。論文は違法状態を排除するための制度の枠組みの現状と課題を取り上げたもので、名誉棄損と指摘する表現行為部分をも含めて、「公共の利害に関する事実」について「専ら公益を図る目的」で発表されたものであり、まったく訴えられるような内容ではありません。

不当労働行為を隠ぺいするために
都労委「鑑定書」を攻撃

 APFファンドによる企業支配に苦しんでいた昭和ゴム労働組合等は、東京都労働委員会に申立てていた不当労働行為救済申立事件の本質と全容を明らかにするため、野中教授に都労委へ鑑定書を依頼。2011年11月16日付鑑定書「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)がもたらした昭和ゴムの経営困難について」は、会計・経営分析の専門家の立場から、昭和ゴム労働組合が抱いている生活や雇用への不安が、APF経営者のもとで行われた巨額な資金流出や虚偽の情報開示にその根拠があることを明らかにしたものでした。

焦点は念書にすぎないプロミサリーノートを
原告は社債と主張していること

 昭和HDの有価証券報告書において原告は「27億円のプロミサリーノートを購入した」と開示してきました。ところが裁判ではこれを「社債であり、正当な投資である」と主張しています。しかし社債の英語はボンドであり、プロミサリーノートではありません。追い詰められた原告は、社債の証拠提出を求められて拒否する始末。原告の主張には全く根拠がないことが明らかになっています。

 野中弁護団は、論文と鑑定書で指摘されている記述がいずれも「真実にもとづく事実」と、「真実にもとづく前提事実にもとづく意見」であり、名誉毀損は根拠のないいいがかりであることを立証した準備書面を提出し、全面対決する方針で闘っています。

APFファンド・昭和HD経営者による不当提訴を許さず、
学問研究と表現の自由を守る会

[連絡先]全労連・全国一般東京地本 TEL:03-3668-5542FAX:03-3668-5544
人形町書記局センター〒103-0033東京都中央区日本橋人形町3-7-13-103
TEL:03-5847-0241FAX:03-5847-0240