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2015年09月02日

全大教6・21シンポジウム、特別講演「『国の要請』と大学自治」

全大教
 ∟●全大教時報 Vol.39 臨時増刊号

特別講演「『国の要請』と大学自治」

2014年12月10日

日本科学者会議、緊急シンポジウム声明「安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく各大学の学内規則改正に対する声明」

日本科学者会議
 ∟●東北地区シンポジウム「安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく 各大学の学内規則改正に対する声明」

安倍政権の高等教育政策と改正学校教育法等にもとづく
各大学の学内規則改正に対する声明

 日本の大学は歴史的な転換点にある。「大学のガバナンス改革」を掲げた最近の一連の政府・文部科学省 の高等教育政策は、2004 年の国立大学法人化の意図を本格的に実現し「総仕上げ」をはかる内容となっている。

 その究極的なねらいは、安倍政権の国家戦略を支える大学づくりにある。経済同友会や経団連といった財界諸団体の各提言、政府が閣議決定した「日本再興戦略」や中央教育審議会答申をふまえた「国立大学改革 プラン」(2013 年 11 月文科省策定)は、グローバル化に対応できる人材育成、科学技術イノベーションの拠 点化、ガバナンス機能の強化を提起した。これらはグローバル企業など大企業を中心とする財界が、台頭す る新興国を含む国際競争に打ち勝つために大学に求めた内容にほかならない。

 従来の高等教育政策と異なるのは、その手法にもある。昨年度までに各国立大学の学部などを分野別に類 型化して文科省が実施した「ミッションの再定義」では、大学の自主的判断よりも同省の意向が強く反映さ れた。上記の提起が各大学・学部のミッションに挿入され、特に人文系や教員養成系の学部に対しては組織 の改廃を同省が書き込んだ。大学教員給与制度に業績評価による年俸制の導入も提起され、各大学には同省 が示した数値目標通りの導入が指示された。2016年度からの第3期中期目標期間では運営費交付金の3~4割を各大学の改革達成度に応じた配分に充てるとした。行政指導のレベルがより直接介入的なものに高められ、かつ大学予算の基本部分に食い込むレベルの財政誘導を行うという、極めて強権的な手法といえる。

 また、今年8月に公布された改正学校教育法は、戦後日本の「大学の自治」の基盤となってきた教授会の 権限を「教育研究に関する事項」について学長に意見を述べることに制限した。教員採用などの人事権を教 授会から取り上げ学長が決定するとした。文科省は「改正法の趣旨」を徹底するべく省令により施行規則を 改正し、さらには施行通知と学内規則見直しのチェックリストの作成まで行い、各大学への「行政指導」を 強めている。これにより、法人化後も従来通り教授会審議が尊重されてきた国立大学の意思決定過程や運営 システムを学長に権限を集中させる形態に徹底して改変することが目指されている。教授会を「改革を妨げ る勢力」と決めつけて斥け、少数の管理職によるトップダウンを一方的に強化する改革の発想は、一般の教 職員の協同や創造性・主体性に信頼を置かないものと言わざるをえない。

 改正国立大学法人法では外部委員が半数を占める学長選考会議が学長選考の「基準」を定めることが規定 された。その「基準」はその時々の政府の政策方針に従う大学づくりを行える資質を学長候補に求めるもの となることが予想される。改正学校教育法もあわせた一連の法改正のもとでの各大学における学内規則改正 案では、学長選考会議による学長の選考・任命の徹底、学長による学部長の任命制などが盛り込まれつつあ る。そこでは、各大学の一般の教職員が選挙で学長や学部長を選出する方法が排除され、「学長のビジョン を共有できる学部長の任命」(中教審答申)を趣旨としてトップダウンで大学・学部の執行部を任免すること が目指されている。教授会のあらゆる議決権の廃止も規定され、一般の教職員は意見を述べられるが決定に は参画できない。まさに、「選ばれた」少数の管理職による専制的な大学運営が実行できる体制づくりである。これら一連のガバナンス改革が文字通り各大学に貫徹したならば、多様な考えや価値の共存共生という 大学の特性の確保・発展や一般の教職員の組織(大学・学部など)に対する能動的主体性の発揮、あるいは 管理職の正統性や支持の獲得などといった、およそ組織の運営において不可欠な基盤・条件は喪失ないし著しく制約されるだろう。一般の教職員は自らの手でこの大学をつくり担っているという自覚を持てず、主体的な意欲の喪失と無責任からくる倫理的な退廃が各大学で進行することが予想される。

 さらに注意すべきは、軍学共同の動きである。政府による「集団的自衛権」の解釈改憲にもとづく閣議決定には世界展開するグローバル企業の施設・資産の保全や市場の安定確保も視野に入っている。アメリカや 軍需関連企業などの要求をふまえて武器禁輸三原則を撤廃し特定秘密保護法を成立させた安倍政権は、2013 年 12 月に閣議決定した防衛計画大綱などで大学や研究機関との巨額な資金による軍学共同研究の推進を提起した。実際に大学・研究機関と防衛省防衛技術研究本部との軍学共同研究の協定は 2013 年以降だけで9件 にものぼり急増しつつある。今年5月に軍事研究を拒否する判断を東京大学が行ったが、改正学校教育法に もとづくガバナンス改革はそうした動きを封じ込め各大学において軍事研究を推進しやすい体制をつくり出 すことに結果するおそれがある。

 このように日本の大学は安倍政権による「国策に従う大学づくり」に直面している。高等教育政策にみら れる強権的な手法は、もはや「大学の自治」や「大学の自律性・自主性」を尊重する政策スタンスにはない。 そこでは、戦前・戦中において日本の大学が自由な学問研究と社会批判を封じられ軍事研究に動員されたこ との痛切な反省から、日本国憲法で「学問の自由」を規定しそれを保障するものとして「大学の自治」と教 授会審議を尊重してきた戦後日本の大学観は、かなぐり捨てられている。こうした動向は最高法規たる日本 国憲法の理念に実質的に抵触すると言わざるをえない。そして、今回の学内規則改正では、法人化後も事実 上各大学の学内規則で残っていた、教育公務員特例法の規定と類似する事項(教員の採用・昇任・転任・降 任・免職など人事権を含む)を教授会や教育研究評議会の審議事項から一切排除することが施行通知やチェ ックリストで文科省より指示された。こうした「行政指導」は改正学校教育法では直接言及されていない範 囲にまで及びつつある。これらのことが文字通り行われたならば、一般の教員による健全な批判精神にもと づく政治・社会への言論、体制や権威を恐れず真理を追究する学問的姿勢は抑制され、結局は創造的な学問 研究と主体的な学生教育を衰退させると考えられる。こうした事柄については既に、中世ヨーロッパ以来の 大学の歴史を紐解くまでもなく、日本でも戦前・戦中において、人類は幾度も辛酸を舐め経験してきたので はないか。大学を死に至らしめる過ちを繰り返してはならない。

 われわれは、日本国憲法に規定された「学問の自由」・「大学の自治」の精神を遵守する立場から、安倍 政権の一連の高等教育政策に反対する。各大学はこれら一連の施策に迎合することなく、大学の主体性を発 揮し、学内における民主的な議論にもとづき、構成員の主体性を可能な限り尊重した大学運営を実現する見 地から、学内規則の改正に対応していくことを求める。

以上

2014年11月29日

緊急シンポジウム「大学は今-学校教育法・国立大学法人法と大学の現状」参加者一同

2014年11月14日

東京私大教連、大会決議「すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議」

東京私大教連
 ∟●第38回定期大会決議(2014年11月8日)
  ∟●すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議

すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議

1.安倍政権は 2014 年6月 20 日、学校教育法と国立大学法人法の改正法案を、審議を尽くさないまま 可決成立させました。さらに、文科省が8月 29 日に発出した同法の施行通知は、法律および国会審 議をも逸脱し、学問の自由と大学の自治に対する不当な攻撃を加えています。
 憲法 23 条が保障する学問の自由とは、大学においては、東大ポポロ座事件最高裁判決(1963 年) が示すとおり、「教授その他の研究者がその専門研究の結果を教授する自由」、「大学の講義または演 習において教授する自由」を含意しています。このような自由が担保されるためには、各教員が大学 の意思決定に関して研究者、教育者の立場から主体的に参加する制度が必要であり、だからこそ、「大 学における学問の自由を保障するために、伝統的に大学の自治が認められている」のです。
 それに対し、施行通知は、大学の自治の保障は「教育研究に関する大学の自主的な決定を保障する もの」と説明します。もちろん、組織としての大学の自主的な決定が保障されていることは、大学の 自治が成り立つために必要ですが、上記最高裁判決も明らかにしているとおり、それだけでは大学の 自治が保障されたとは言えません。

2.私立大学における大学の自治は、国家権力等からの自治とともに、設置者(学校法人)からの自治 が保障されて初めて実現されるものです。個々の研究者が自己の学問的研究に誠実であるために学問 の自由の保障が必要とされるのですから、大学の学長や理事長・理事会の恣意的な判断が教員や学生 の自由な真理探究を阻害することがあってはなりません。
 ところが施行通知は、「私立大学においては、私立学校法第 36 条により、設置者である学校法人が その運営についての責任を負い、理事会が最終的な意思決定機関として位置づけられている」とし、 教学に対する理事会の権限を強調しています。しかし、私立学校法にそのような規定はありませんし、 今回の学校教育法改正とも一切関係がありません。
 一部の学校法人では、創立者一族や理事長による私物化と専断的な学園経営・大学運営が行われて います。こうした学校法人においては、教授会は教学事項に関しても審議権・決定権を奪われ、学長 は理事長が任命するか、もしくは理事長が兼任するなど、非民主的な管理運営がなされており、不祥 事の多くはこうした大学において発生しています。施行通知が、「学校法人自らが学長選考方法を再 点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと」と述べるなど、改正法が要求しない私立 大学の組織・運営に言及していることは、大学の自治の理念を著しく矮小化しようとするものであり、 重大な問題です。

3.研究者が自己の学問的信念と責任に基づいて自由に議論し合う場が確保されることは、学術の健全 な発達にとって欠かすことできない条件です。今私たちが学問研究に励むことができるのは、過去の 学問的探究の成果を受け継ぎ、様々な困難を乗り越えて、真理探究のために忌憚のない議論を闘わせ、 切磋琢磨して発展させてきた先人たちの努力の賜です。学術の中心である大学に働く私たちは、単に 先人たちの成果を享受してそれに安住するだけでなく、学問をさらに発展させ、その営みを未来の研 究者、教育者、学生たちへと受け渡し、彼らが安心して創造的な学問研究と教育に専心できる条件を 整える責務を担っています。その責務の大きさを顧みるならば、政府・財界が「大学の自主的な判断」 というベールをまといつつ、様々な形で大学での研究教育に介入しようとしていることを断じて容認 できません。
 私たちは、今回の学校教育法と国立大学法人法の改正に改めて抗議するとともに、政府・文科省に対 し、すべての大学に真の「学問の自由」と「大学の自治」を保障するよう強く求めます。
以上、決議します。

2014 年 11 月 8 日
東京私大教連第 38 回定期大会

2014年11月10日

〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請

全私学新聞(2014年9月13日号二ュース)

〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請

チェックリストを作成、提示
12月中旬、進捗状況調査実施

 文部科学省は8月29日、全ての大学の学長および理事長等の設置者の代表に対して、学校教育法および国立大学法人法一部改正の施行通知を発出した。合わせて各大学の学長に対しては、内部規則等の総点検・見直しの実施を求める事務連絡も出した。これには具体的な確認事項や留意事項を示すチェックリストが添えられた。

 改正法は今年6月27日に公布、来年4月1日に施行予定。学長がリーダーシップを取るガバナンス体制の構築を主な目的として、副学長の職務権限の拡大、教授会の役割の明確化、国立大の学長等の選考の透明化等を趣旨としている。施行通知は、法改正の趣旨と概要を伝えるだけでなく、「改正の基本的な考え方」も示す。大学の社会的責任は学生や教職員だけでなく、地域社会や企業・団体、国民一般にまで及ぶとの考え方や、学長の権限と責任の一致を図ること等についての考え方が整理されている。

 私立大における学長選考等の人事は今回の法改正の対象ではないが、施行通知はこれも取り上げ、「取り扱いに変更はない」とした上で、「学校法人自らが学長選考方針を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと」を改めて求めている。

 文科省はさらに「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」を作成、全ての大学に対して内部規則等の総点検・見直しを求めた。改正法施行までに実施することを求めており、12月中旬には進捗状況の調査が、施行後の来年4月末には実施結果の調査が行われる予定。

 チェックリストは「教授会の必置」「学長の最終的な決定権の担保」「重要事項に関する意思決定手続」等9つのチェックポイント(私大にも関係するものは5つ)を挙げ、それぞれについて具体的な確認事項と、確認に当たって留意すべき事項とを詳しく書いている。

 なお、9月2日には全ての大学を対象に、改正法と総点検についての説明会が同省内で開催された。今後も随時、個別相談に応じるほか、研修会等でも説明を行うとしている。


2014年10月18日

自治・学問の自由と講師の雇用を守って 北星大OB、大学に要望

道新(10/16)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった朝日新聞元記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に講師の解雇を要求する脅迫文が届いた事件で、同大の卒業生有志でつくる会が15日、大学に対し自治を守るよう求める要請書と卒業生102人分の署名を提出した。

 要請書は同大の大山綱夫理事長と田村信一学長宛てで、脅迫文について「卑劣な脅かし」と批判。「大学の自治と学問の自由、講師の雇用を守ることを願う」としている。

 要請書を提出した「北星学園大学の自治と学問の自由を守ることを求める同窓生有志の会」は、札幌地区労連の木村俊二事務局長ら卒業生4人が中心となり、今月1日に設立した。木村さんは「母校として特別な思いがある」と話す。今後も同窓会などで署名活動を行うとしている。


2014年10月07日

〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請

全私学新聞(9月13日)

〝ガバナンス〟改革法改正受け内部規則等の見直し等要請
チェックリストを作成、提示
12月中旬、進捗状況調査実施

 文部科学省は8月29日、全ての大学の学長および理事長等の設置者の代表に対して、学校教育法および国立大学法人法一部改正の施行通知を発出した。合わせて各大学の学長に対しては、内部規則等の総点検・見直しの実施を求める事務連絡も出した。これには具体的な確認事項や留意事項を示すチェックリストが添えられた。

 改正法は今年6月27日に公布、来年4月1日に施行予定。学長がリーダーシップを取るガバナンス体制の構築を主な目的として、副学長の職務権限の拡大、教授会の役割の明確化、国立大の学長等の選考の透明化等を趣旨としている。施行通知は、法改正の趣旨と概要を伝えるだけでなく、「改正の基本的な考え方」も示す。大学の社会的責任は学生や教職員だけでなく、地域社会や企業・団体、国民一般にまで及ぶとの考え方や、学長の権限と責任の一致を図ること等についての考え方が整理されている。

 私立大における学長選考等の人事は今回の法改正の対象ではないが、施行通知はこれも取り上げ、「取り扱いに変更はない」とした上で、「学校法人自らが学長選考方針を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと」を改めて求めている。

 文科省はさらに「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」を作成、全ての大学に対して内部規則等の総点検・見直しを求めた。改正法施行までに実施することを求めており、12月中旬には進捗状況の調査が、施行後の来年4月末には実施結果の調査が行われる予定。

 チェックリストは「教授会の必置」「学長の最終的な決定権の担保」「重要事項に関する意思決定手続」等9つのチェックポイント(私大にも関係するものは5つ)を挙げ、それぞれについて具体的な確認事項と、確認に当たって留意すべき事項とを詳しく書いている。

 なお、9月2日には全ての大学を対象に、改正法と総点検についての説明会が同省内で開催された。今後も随時、個別相談に応じるほか、研修会等でも説明を行うとしている。


2014年07月14日

大学の自治守ろう、学長経験者ら迎えシンポ 大阪

しんぶん赤旗(2014年7月13日)

大学の自治守ろう
学長経験者ら迎えシンポ 大阪

 大学の管理・運営制度をめぐる法改悪や拙速な統合に対し「大学の自治」や「学問の自由」を守ろうと、前京都大学総長の尾池和夫・京都造形芸術大学学長らを迎えたシンポジウムが12日、大阪市内で開かれました。実行委員会の主催。

 先の国会では、大学の教授会から人事と予算の審議権を奪い、学長のトップダウンや国による大学への介入を強める学校教育法の改悪法が成立しました。

 元滋賀大学学長の宮本憲一・大阪市立大学名誉教授は「研究・教育のコミュニティーである大学の管理・運営制度を、これまでのコミュニティー的な決め方から企業的な決め方に変質させるものだ」と批判しました。

 芦田文夫・元立命館大学副総長は、各大学で改悪法を実質化させない運動が大事であり「教授会を足場としながら、その枠組みを超えるような全学的な運動を」と呼びかけました。

 小林宏至・大阪府立大学名誉教授が大阪の府大・市大統合を批判。京都大学職員組合の竹中寛治副中央執行委員長が総長選挙の廃止に待ったを掛けたたたかいを報告しました。尾池氏は日本の大学の課題について講演。フロアから発言した日本共産党の宮本岳志衆院議員は「改悪を現場で食い止めるために頑張りたい」と語りました。


2014年07月11日

首都大学東京労働組合、大学の自治を否定する学校教育法と国立大学法人法の改悪に抗議する決議

首都大学東京労働組合
 ∟●『手から手へ』第2713号(2014年7月8日)

大学の自治を否定する学校教育法と国立大学法人法の改悪に抗議する決議


 2014 年 6月 20日、学問の自由を支えるうえで重要な役割を果たしてきた教授会の権限を大幅に縮小させて、それを学長権限のしたに組み込む学校教育法「改正」案が、参議院において自由民主党、公明党、民主党などの賛成によって成立しました(投票総数 238、賛成票 223、反対票 15)。今回の「改正」により、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」(学校教育法第 93条)と定めている現行法が、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」(改正案第 93 条)と変えられてしまいました。「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に対して意見を述べることに教授会の役割が限定され、この他については、学長が必要であると判断した事項に対してのみ意見を述べることができるという規定となりました。しかも、この強大な権限を持たされることになる学長の選考について、「学長選考会議が定める基準により、行われなければならない」ことが、国立大学法人法の「改正」案第 12 条に書き加えられました。これらの「改正」によって、法規定上の教授会権限は大幅に縮小され、また学長選考に際して焉A教職員、そして院生と学生の意見を反映させることが難しくなってしまいました。このままでは、不透明な手続きによるトップダウンの大学運営がいままで以上に拡がってしまい、学内からの合意が形成されないまま、形式上の「改革」だけが進行していく危険性が高まってしまいます。

 大学は、国家や権力を持った勢力による統制や干渉から学問の自由を守るために、多くの経験を蓄積させながら大学の自治を確立してきました。大学の自治は、自由な研究と教育、および民主的な社会を維持し発展させていくために不可欠なものです。これを否定する今回の学校教育法と国立大学法人法の「改正」は、大学の歴史とその使命に照らしてとうてい認められるものではありません。このことは、私たち公立大学法人首都大学東京が「失われた 10 年」を通して、すでに経験してきたことです。大学は、研究と教育の自由が生命線であり、いくら法制度をトップダウンで変えても、それによって創造的な研究と教育が生みだされるものでは決してありません。
こうした無謀な高等教育政策を第 2 次安倍内閣が急ピッチですすめようとしている背景には、経済界のグローバル戦略に大学を組み込むねらいがあります。第 2 次安倍内閣になって設置された教育再生実行会議の第 3次提言では、2017 年までの 5年間を「大学改革実行集中期間」と位置づけ、「世界に伍して競う大学の教育環境をつくる」「スーパーグローバル大学(仮称)を重点的に支援する」「日本人留学生を 12万人に倍増し、外国人留学生を 30 万人に増やす」ことなどが提言されました。同時に、こうした「改革」を学長がリーダーシップを発揮してすすめているところに対して重点的に大学運営費交付金を配分していくことが、露骨に提言されています。

 今回の学校教育法と国立大学法人法の「改正」は、大学の自治と、自由で創造的な研究と教育が行われる環境をこわすものでしかありません。私たちは、今回の改悪に強く抗議し、今後とも、研究と教育の自由、大学自治を守り実現するために力を尽くします。
以上、決議します。

2014年6月28日

公立大学法人首都大学東京労働組合
第 9 9 回 定 期 大 会

神戸大学教職員組合、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」参議院委員会の傍聴行動への参加報告

神戸大学教職員組合
 ∟●月刊しょききょく7月号(2014.07.07)

6/17「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」参議院委員会の傍聴行動への参加報告

藤田裕嗣 前副委員長(文学部支部)

 全大教・日本私大教連の主催による 6 月 13 日の「学校教育法・国立大学法人法の『改正』に反対する緊急院内集会・議員要請行動」に続き、17 日の参議院文教科学委員会の傍聴行動にも参加したので、ご報告します。
 「大学自治を否定する学校教育法・国立大学法人法の改正法案」は、6 月 10 日の衆議院本会議で採決され、参議院に送付されています。参議院文教科学委員会での質問等は、6 月 17 日(火)と 19 日(木)に予定されており、「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」のアピールへの賛同が広がっている情勢を受けた行動でした。
 具体的には 13 時前に参議院面会所に集合し、チェックを受けた後、午後からの文教科学委員会での質問と答弁の有様を傍聴しました。6 会派からそれぞれ 1 名の委員が質疑を行い、政府側は下村博文文部科学大臣、西川京子文部科学副大臣、吉田大輔高等教育局長が答弁を行いました。その他、衆議院における修正法案の提案者として、笠浩史衆議院議員も冒頭で説明を求められました。
 学長一人で何もかも判断できる筈もなく、「委譲」が問題になり、19 日に持ち越しとなりました。大臣と局長による答弁を肉声で聞くと、大学ランキングに日本の大学があまり入っていないことを何度も強調していました。昨今の事情に鑑み、大学改革の必要性は判りますが、「学長のガバナンス」を高める一方で、教授会の権限は蔑ろにしようと画策しています。日本の大学は、せいぜい百年を超える程度の歴史を有するに過ぎないにしても、明治以来、培ってきた学問の自由、学部自治の伝統があります。それを蔑ろにして、学長中心の改革で、世界に冠たる大学に本当になれるのでしょうか?論理が逆転しており、大いに疑問に思われます。
 前回 13 日の議員要請行動で報告者が担当した2議員も質問に立ち、若手研究者が教員になれても、ポストは任期付きゆえ不安定で、四苦八苦している現状を救うには、教授会によるチェックが必要、と訴えるなど、少しは役立ったかも、と感じられました。 前回、衆議院における委員会審議の傍聴では参加者が多く、報道席にまではみ出した由でしたが、それに比べれば少なかった訳で、報道陣も、一人気付いた程度でした。マスコミを賑わしている「集団的自衛権」の閣議決定を巡る議論と抱き合わせにしているのは、内閣の思惑以外の何物でもないでしょう。
 次の委員会は 19 日午前中から、本会議は午後にも予想され、目指す継続審議、廃案にするには、ギリギリの情勢であること、ご報告します。
○―――――――――――――――――――――○○―――――――――――――――――――○
6/19「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」参議院委員会の傍聴行動への参加報告(続)

庄司浩一 前副委員長(農学研究科支部)

 本稿は,本学藤田副委員長による標記 6/17 参議院文教科学委員会傍聴を受けての 6/19 同傍聴報告です。傍聴席には 30 余名,記者席には 4 名と比較的多く参集しました。10 時に 6 会派 7 名の委員による質疑が始まり,昼食をはさんで 14 時 30 分少し前に採決,18 対 1 で可決となりました。質疑が終わったあとの討議および採決で反対したのは共産党田村委員だけの状況でした。続いて自民・公明・維新・結い・みんなから提案があった 9 項目からなる附帯決議が可決されました。同席した全大教の長山書記長からは厳しい総括がありましたが,我々大学人の立場がほとんど通らなかった現実を直視せざるを得ません。

 以上が状況報告ですが,本日の委員会では 10 時 45 分より約 20 分にわたって,民主党大島委員による環境副大臣らへの質疑が挟まれました。内容は,6/16 の石原環境大臣の発言に関する追及で,なぜここにと思われましたが,原子力行政は文部科学省管轄でもあるためのようです。専門の委員会とはいえ党略マター(大義名分ではそのつもりはないはず)が入ってしまうのは,議員集団ゆえの現実かとしばらく聞き流していました。法案に唯一反対を表明した共産党田村委員からは,先日の産経新聞で報道された広島大学での講義と文部科学省の対応を引き合いにし,学問の自由に対して改めて問いかけが行われました。しかし現実には他の委員からは私語をはじめとする弛緩したオーラが伝わってきて,早く審議を終わらせたい意向がありありでした。
 また最後の附帯決議には,衆参の委員会を通じて懸案事項として取り上げられた,法案を施行するにあたって考慮すべき項目,たとえば学長が暴走しないように監視する方策を考える,高等教育のための予算を対 GDP 比で 0.5%の現状から OECD 諸国並みの 1%に引き上げるべきなどの努力目標が盛り込まれました。しかし所詮これらはガス抜きであることは明白で,傍聴参加者の中からは,平成 15 年の独立行政法人化法案の時も同じような附帯決議がなされたが,まったくもって無視された状態だとのつぶやきが聞こえてきました。傍聴会場から出るときには,「良識の府」といわれる参議院でこの程度の審議かとのつぶやきもありました。

 おそらく全大教の方々は誰も書かないとは思いますが,今回の傍聴で無視できないな,と感じた点は,維新の会・結いの党およびみんなの党からの質疑です。彼らの言い分は,学長のリーダーシップ強化のための法案とはいえ,民間企業の社長に比べたらまだまだ甘い,つまり現改正案よりももっと権限を付与せよ,いわんや教育界だけの大学の自治とは理解に苦しむとの意見です。民間出身者など大学の事情を知らない方々から出た意見と言い切ってしまえばそれまでですが,逆に世間一般の方からみた厳しいほうの意見として伺っておくものかと思います。一方で今回の改正で蔑ろにされるといわれる教授会といっても,自身の研究優先で教授会構成員そのものがまじめに参加していない現況もあるではないかとの厳しい指摘もありました。まったくもって反論のしようがなく,学問の自由は憲法で保障されているとか,明治以来の長年の経験に立って教授会が役割を果たしている,といった伝統の上であぐらをかいてメンテナンスを怠っていた大学人らに,不意打ちをかけるような形で今回の法改正がやってきたとはいえないでしょうか。皮肉なことに,これら最も厳しいと思われる意見と法案廃止の意見との中間に,今回の政府による改正案が位置づけられてしまったことにより,委員会での圧倒的な賛成多数がもたらされたようです。最後の解散直前に長山書記長の「これからは我々自身で学問の自由を守る必要がある」とのコメントに,ようやく目を覚まさせられたのは私だけではなかったと思います。

2014年07月05日

岐阜大学職員組合、学校教育法及び国立大学法人法の「改正」への抗議

岐阜大学職員組合
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の「改正」への抗議

岐阜大学職員組合中央執行委員声明
学校教育法及び国立大学法人法の「改正」への抗議


 先日閉会した第 186 回国会において、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」が、大学関係者によるさまざまな反対の意思表明を押し切って可決された。「改正」のポイントは、教授会の権限から、教員の採用と昇進および学部長選考などの人事に関わる一切を奪い、さらには教育課程編成や学部予算に関する権限も剥奪して、教授会を学長の諮問機関化することにある。また学長選考について選考基準が公表されることとなったが、このことは、経営協議会の学外委員比率が過半数とされたこととも相俟って、今後は大学構成員の要望とかけ離れた学長が選ばれるのではないかという危惧を抱かせる事態である。
 こうした学長へ権限を集中し大学運営をトップダウン型に変えていく改革は、国立大学法人化以来すでに十数年の歴史を持っている。この間に明らかになったことは、学長権限強化とは各大学の自立性ではなく文部科学省の影響力を強めるものであること、教育現場を担う教員たちの「同意」を伴わない改革は決して教育の質を高めることにつながらないことなどであろう。

 法案の成立を受け、今後の焦点は、新学校教育法第 93 条第 2 項第 3 号にある「教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」とは何かを具体化していく作業に移る。今後、文部科学省は有識者会議での議論を参照しつつ、学長が教授会の意見を聴くことが望ましい具体例を、同法の施行通知に提示することになっている。
 わたしたち岐阜大学職員組合は、極めて拙速に進められた今回の法改正に強く抗議するとともに、今後の法律の施行過程において、文部科学省が今度こそ広範な大学関係者の意見を取り入れ、教授会への意見聴取事項の中に、教育課程の編成、教員の研究教育業績審査、学部長選考などこれまで教授会が担ってきた役割が明記されることを求める。
 また他方で、新学校教育法のもとで従来通りの大学自治に基づいた大学運営がなされるためには、すべての大学構成員の取り組みが決定的に重要となる。まず各大学の学長には、大学運営にあたってこれまで以上に構成員の声に真摯に耳を傾けることを強く求める。それと同時に、各大学の教員や職員、さらには学生にも、それぞれの持ち場において働きやすく学びやすい環境作りの担い手として行動するよう訴えたい。

2014年7月2日 岐阜大学職員組合中央執行委員会

2014年06月30日

学長、自ら海外トップセールス 権限集中に反発の声も

朝日新聞(2014年6月29日)

 海外進出に乗り出す社長のようだった。19日、ミャンマーの首都ネピドーの教育省。名古屋大学の浜口道成総長(63)は切り出した。「政府の幹部のみなさんを博士課程に受け入れたい。そのための拠点をつくりたい」。相手の教育大臣は「我が国にも大きな助けになる」とうなずいた。

 聴衆に訴えかける名司会者でもある。ヤンゴン大学に名大が設置した日本法律研究センターの1周年記念行事では、軽妙なトークで笑いを誘いながら、名大が誇るノーベル物理学賞受賞者の益川敏英・特別教授との対談を盛り上げた。

 がん専門医の浜口総長が医学部長を経て総長に就いたのは2009年。すぐに「世界の名大」をめざす改革を打ち出した。18カ国を訪れ、約100の大学と研究や留学の協定を結んだ。

 「産業界はアジアで生きていける人材を求めているのに、大学は欧米を向いてきた。それを変えたかった」。秋には、モンゴル、カンボジア、ベトナムに博士課程の拠点を置き、教員も送り込む。「国内では東大や京大ほど注目されないが、アジアでは違う」

 学内では「急に計画が出てきて振り回されている」との声もあるが、調整と説明を重ねながら改革を進める手腕を文部科学省幹部は「戦略的なビジョンを持ち、学内外を巻き込むのがうまい」と評価する。

 学長のリーダーシップ強化は、国と財界の悲願だ。少子化や国際競争の時代に「大学力は国力そのもの。変わらなければ、日本も地盤沈下する」(下村博文・文科相)との危機感がある。世界で渡りあえる人材を養成するには、従来のやり方を改める迅速な判断が必要だとして、学長の権限を強める改正学校教育法が20日に成立したばかりだ。

 だが学長主導は、時に教員の激しい反発に遭う。

 「京大はたぶん、全国の大学で一番(意思決定が)遅い」。9月末で6年の任期を終える京都大学の松本紘総長(71)は今月、東京で記者たちにこぼした。

 教養教育のあり方をめぐる議論は、約15年が費やされた。全学生が受ける教養教育の拠点「国際高等教育院」が13年に開設されるまでに、研究や教育の自由が損なわれると心配した教員たちから総長辞任を求める運動も起きた。政財界では総長の手腕を評価する声は多いが、ある教授は「京大にトップダウンはなじまない」と言い切る。

 東京大学では、浜田純一総長(64)が自ら打ち出した「秋入学構想」を、学内外の慎重論を踏まえて先送りした。「突っ走れば実現できたが、判断は間違っていなかった」と浜田総長。文科省幹部は「総長に強い力が必要だった」と言うが、企業統治が専門の江川雅子・東大理事は、学内議論が尽くされた上での決定だったことを前向きにとらえている。「企業では報酬と人事権で上司に従わせるが、専門家集団の大学では、アメとムチは通用しない」

■学長VS.教授会

 学長と教授会の権限を巡る攻防は、既に始まっている。

 「教授が選ぶ学部長が最も信頼できる。なぜ今までの選考方法をやめるのか」

 キャンパスに雪の残る弘前大学のホールは熱気に包まれていた。3月下旬、約200人の教職員から、演壇の佐藤敬学長(64)に次々と質問が飛んだ。これまで教授会が決めた人選を学長が追認するだけだった学部長の人事を、学長が指名できるようにする改革の説明会だった。

 反発の声が大きかったものの、結局、6月から学長が学部長を指名できるようになった。学生に魅力的な学部組織にするためには、迅速な判断が求められる。佐藤学長は「強い権限を学長が持たなければ何も決まらずに時間ばかりたっていく。教授会にお任せでは進まない」と強調する。

 だが、教育学部の教授は「息のかかった学部長を選び、反発の声を黙らせようとしているのだろう」。一方、学長と教授会が対立していることを知る学生は少なく、「大学からの説明は何もない。学生は、かやの外だ」と不満をもらす教育学部3年の男性もいた。

 弘前大と同じように学長の権限をいち早く強化したのが、公立の横浜市立大学だ。

 2005年ごろ、横浜市では、大学運営のための年間200億円以上の財政負担が問題となっていた。そこで、理事長と学長に人事権を集め、予算と人材を「適材適所」に配置する経営健全化策が出された。まちづくりを学ぶコースの新設や、学生の海外実習への補助金制度といった改革が進んだという。

 新しい目玉ができたと同時に、消えたものもあった。教授会の役割は低下し、「哲学・古典語」「日本古典文学」といった伝統的学問を研究するゼミが消滅した。ある教員は「上意下達になり、現場の声が反映されにくい組織になってしまった」と話す。

 一方、学長に権限を集中させ、危機をくぐりぬけた大学もある。

 京都市の平安女学院大学の事務室の朝は、約40人の職員の唱和で始まる。「理事長のもとに、固く結束し……献身的に職務に精励します」。理事長とは、学長も兼ねる山岡景一郎氏(83)だ。経営コンサルタントを経て、赤字が年4億円超に膨れていた03年春に理事長に就いた。教職員組合の反発を抑え、給与を平均3割以上カットし、人事権も教授会から理事会に移した。

 学院経営はその年度から黒字に転じた。山岡理事長の財界人脈も活用し、卒業生の就職率は2年続けて100%。「ワンマン経営でなければ、難局は乗り切れなかった」。全国の学長らからの相談が絶えないという。

■英米、経営のプロ養成

 有能な学者が有能な学長になれるとは限らない。どうやってプロの経営者に育てるか。日本より一足先に取り組んでいるのが、英国だ。幹部教員らに大学経営やリーダーシップをたたき込む「学長養成」研修が行われている。

 「大学運営は今やビジネス。経営戦略の研修がとりわけ役に立った」。ロンドン郊外のグリニッジ大学。デービッド・マグワイア学長(55)はこう話す。別の大学の副学長だった09年、全国の大学が出資する高等教育リーダーシップ財団の研修で、財務や組織論を半年かけて学んだ。99年に始まった研修の修了者からは既に100人以上の学長が輩出している。

 マグワイア氏は研修後の11年にグリニッジ大に引き抜かれ、哲学など不人気科目の教員を減らし、3年で約180人の教職員をリストラした。英紙大学ランクで国内順位は11年の102位から70位に上がった。

 英国では90年代から大学が急増している。国の負担を減らそうと、現在のキャメロン政権が12年から学費の上限を約3倍の9千ポンド(約150万円)に引き上げたため、各大学とも値上げに踏み切った。学生は高い学費のリターンを求め、大学は不人気講座の見直しから寮や食堂の充実度にまで神経を使う。

 大学の希望に沿って学長選びを任されるヘッドハンティング会社もある。そのうちの一社、オジャーズベルンソン社は「候補者のプール」をつくり、3~5人の有力候補を大学に提示する。「しがらみのない学外人材の方が改革できる」と担当者は言い切る。

 とはいえ、学長には教職員を従わせる権限だけではなく、調整力も求められる。リーダーシップ財団の研修責任者ポール・ジェントル氏は「教員、学生、保護者など利害関係者の多い大学経営は企業よりも複雑で、『学長独裁』は結局、大学を荒廃させる。教職員と連携しないと大学運営はうまくいかない」。

 4500を超す大学がしのぎを削る米国でも、米国教育協議会やハーバード大などで幹部教職員らの研修が行われてきた。学長に最も求められる資質はカネ集めの能力だ。米大学事情に詳しい英オックスフォード大の苅谷剛彦教授は「外部資金をどれだけ集められるかで、大学がやれることが決まる」と説明する。

 08年のリーマン・ショックのあおりで、州立大は州政府の交付金カットの直撃を受け、私立大も寄付金が大幅に減った。米テンプル大学の幹部は、寄付者の心をわしづかみにして、財布のひもをゆるめてもらうためには、「学長のビジョンがますます重要になった」と指摘する。ある米国の学長経験者は、自嘲気味にこう言う。「米国の学長は、キャデラックに乗る物乞いのようなものです」


2014年06月29日

弘大学長の権限集中化 学部長など直接選考

読売新聞(2014年06月28日)

 弘前大学の佐藤敬学長は27日、記者会見し、学部長や大学院研究科長、付属病院長、研究所長などの選考は学長が直接行うこととすると発表した。学長に権限を集中し、リーダーシップを発揮しやすくする改革の一環。

 学部長などの選考については、これまで各学部で決めていたことを考慮し、選考前に所属学部の教職員らの意見を聴取する。

 学長選考はこれまで通り、学長選考会議が決定するが、同会議が参考にしていた教職員らによる意向投票は廃止する。

 佐藤学長は「大学が法人化して10年を機に見直しを進めた。今後も改革を進めたい」と述べた。

 弘前大ではこれまでに、学長の補佐体制を強化する学部長室設置、理事でない副学長や理事を補佐する副理事の新設を決めている。


2014年06月27日

改正学校教育法等衆議院文部科学委員会、池内 了氏の参考人質疑

改正学校教育法等衆議院文部科学委員会、池内 了氏の参考人質疑

衆議院文部科学委員会 参考人質疑(平成26年06月04日)

名古屋大学名誉教授 池内 了氏

○池内参考人 おはようございます。池内です。
 私は、ことしの三月まで大学に勤めておりまして、最後は総合研究大学院大学というところで理事をやっておりまして、幾つか、文部行政というのか、そういうことを直接扱う事柄が多くありました。かつ、私は、勝手に威張っておるわけですが、国立大学を五つ回ってきました。京大、北大、東大、阪大、名大と回ってきまして、いろいろな大学のいろいろなやり方、考え方、そういうのを経験してまいりました。その中で、大学というのはどうあるべきかということを常々考えてきたわけであります。
 私は、直接、今回提案されている学校教育法及び国立大学法人法を一部改正する法律案がこの委員会の主たる議案でありますから、それに対して、的を絞って私の思うところを述べさせていただきたいと思います。

 私は、今回の法律案、特に学長の役割の明確化ということですか、無論、そこに一応一番の焦点が当たるわけですが、ありていに言いまして、学長のリーダーシップとかガバナンス強化ということもいろいろ言われておりますが、要するに、学長の決定に少しでも影響を与えかねない教授会をおとなしくさせて、学長が今まで以上に思いどおりにできる、運営できる条件を整えようという意図が背後に隠れている、これはそういう印象が強いわけです。
 これまでの国会審議の速記録なんかを見ましても、学長に特別な権限を与えるわけではないとおっしゃっている。まさに私はそうであると思っております。権限を与えるのではなくて、周りの条件を、教授会が関与できる部分を縮小した結果として、学長の権限が自由に振る舞えるような条件づくりをやろう、そういうことでありますね。
 その結果としては、教授会がいろいろな問題に関与できなくなる、そして、教員は大学全体の運営に興味をなくして、個別化してばらばらになる、大学が一体として教育や研究あるいは地域貢献などを行う情熱を失ってしまう、その危険性が非常に高いと私は考えております。
 その結果として、本当に望まれている、知的基盤社会を構成し機能させる人材を養成するという、大学の非常に重要な社会的責務を全うできる条件がどんどん小さくなっていく、私はそのように非常に憂えております。
 大学は、そもそも知の共同体と言われております。インテリジェンスの共同体です。そこで自由な研究、教育、意見交換、それから自由な意見表明、これは不可欠なわけです。それが学問の自由あるいは大学の自治の根幹であり、現実に定着してきました。いろいろな形で、憲法にも「学問の自由」ということが明記されております。
 したがって、教育と研究にかかわる問題は、大学を構成する人間誰しもがいろいろな形で責任を持って、かつ、責任を持ってやるということにやりがいを感ずるものなんですね。まさにそこが、大学でいろいろ学び、あるいは教え、あるいは研究をし、それでいろいろな地域貢献を果たしていく、そういう、大学を構成する人間のやりがいがそこにあると思います。
 したがって、大学の自治というのは、大学を構成する人間、それは教員であれ、事務員であれ、院生であれ、学生であれ、それぞれの立場に応じた責任範囲で行うべきです。無論、いろいろな責任の幅があります。学長なら、学長というのは一番大きい幅が無論あるとは思います。
 教授会の自治というのも、当然ながら、非常に重要な側面をなしております。教授会の自治のみで全て決まるというふうなことは私は一言も申しませんし、教授会の自治が根幹をなすという意味で非常に重要であるというわけです。それは要するに、教授というのが教育研究の根幹にかかわることに主な責任を持っておるということです。それから、教育研究の内容をよく知っている、学生たちと日常的に接している、彼らの状況をよく把握しているというわけです。
 ということで、学生全体あるいは大学全体の事柄に関して最も状況を把握しやすい条件にあるのが教授である、その教授たちの自由な意見の交換こそが大学の自治を形づくっていく基本条件である、このように私は考えております。
 今回の教授会の役割の明確化という法案の中で、教授会が、学生の入学、卒業及び課程の修了、学位の授与、その他教育研究に関する重要事項で学長が教授会の意見を聞くことが必要であると認めるものについて、学長が決定を行うに当たり意見を述べることとするというふうに改正案がなっております。ここには、学生の身分にかかわること、それから教育課程の編成にかかわること、教員の研究業績等の審査もこの身分にかかわることであると思うんですが、そういう事柄に関しては一切規定されていないわけです。
 極論いたしますと、リーダーシップということをえらく頭に置いた学長さんが出たとしますと、教授会の意見を聞くことが必要であると認めなければ聞く必要がないわけです。あるいは、学長等の求めに応じて意見を述べることがある。求めがなければ教授会は意見を述べることができないわけです。
 ということは、極論しますと、教授会は、一年に一回、三月にだけやればよろしい、卒業と入学と学位の授与だけをやればよろしい、それ以外は、学長が求めに応じあるいは必要に応じということを認めなければ、教授会がたとえあったとしても、何ら意見を表明することはできないわけです、学長に対して。
 無論、そういう学長にはならないであろうとおっしゃるであろう。しかしながら、私自身が一番心配するのは、出発点においてはそうであったとしても、例えば、一人そういういわば変な学長があらわれましてそういう規定にしてしまったとすると、それを変えることは非常に難しくなる。それが当たり前のようになっていくというわけです。だから、私自身は、権限の濫用ではなくて、結果的に、学長が権限を強化していく状況が生まれていくというふうに思っております。
 私は、教授会の自治という言い方をいたしますと、教授会自身が、今の教育研究にかかわること、学生の身分にかかわること、教育課程の編成にかかわること等いろいろ、これは教育研究に密接に関連していることですから、当然、規定するならば規定すべきであると思っております。
 が、それ以外に、学長人事を含めて大学全体にかかわる人事、それから予算配分とか大学の運営方針、あるいは学部にかかわる部長、教授の人事、学部の授業等について審議し意見を交わすことが非常に重要な事柄であり、それが、大学運営全体に目配りして、特に教員や学生の立場からの視点を生かしていく、大学運営にそういう意見を生かしていく。私自身は、それを明文化しておかなければ、教授会の意見が聞かれなくなって、結果的には、教授がそういう意見を聞かれないあるいは意見が採用されないということは、狭い意味での教学事項の議論しかできなくなって、視野の狭い教員になってしまうというふうに思っております。
 その意味で、幅広い、まさに多様性と平野先生がおっしゃいましたが、多様性のある大学、それをいかにまとめ切ってガバナンスにつなげるか、リーダーシップを生かしていくかということが学長の腕の見せどころなんですよ。
 そういうことを全部排除していって、剥ぎ取って、学長さん、自由におやりなさい、それでは本当の大学の自治あるいは学問の自由というのは今後守られていくかどうか、私は非常に心配でありまして、この点に非常に大きな懸念を抱いております。
 以上であります。どうもありがとうございました。(拍手)


2014年06月26日

全大教、【抗議声明】大学自治を否定し学長を介した大学への政治介入の道を開く学校教育法・国立大学法人法の改悪に抗議します

全大教
 ∟●大学自治を否定し学長を介した大学への政治介入の道を開く学校教育法・国立大学法人法の改悪に抗議します

大学自治を否定し学長を介した大学への政治介入の道を開く
学校教育法・国立大学法人法の改悪に抗議します

 
2014年6月25日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会


 6月20日、参議院本会議において「学校教育法及び国立大学法人法の一部改正に関する法律案」が可決・成立しました。

 今回の法改正によって、教授会が諮問機関化され審議項目が制限されることによって、学長の専権体制が築かれます。そして、国立大学法人について、学長選考基準を定め公表することは、学長が教育研究部門と経営部門の両方の代表者であるという位置づけのうち、経営の論理が優越することにつながり、大学の教育と研究の力が弱まる結果を引き起こす懸念があります。経営協議会の学外委員の比率を過半数とすることも、学内の意向を軽んじた大学運営が横行することにつながります。

 全大教は、この法案のもととなった中央教育審議会大学分科会の『大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)』(2014年2月12日)の撤回を求め、また法律案にも反対してきました。「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」の事務局団体として署名活動を支え、7,252筆の署名を集め、国会議員等へ届けてきました。多くの大学教授会や教職員組合、その他有志の会などが法律案の廃案を求める決議や声明を発表しています。国会審議の中では、現行の学校教育法での「大学には、重要事項を審議するため、教授会を置かねばならない」(学校教育法第93条)をなぜ改正しなければならないのかについて、納得いく政府の答弁はありませんでした。

 大学自治は歴史的に培われ国際的に認められた大学のあり方そのものです。改正の方向性は、教授会の果たす役割に対する全くの無理解にもとづく、大学のあり方を根本から変え、大学を大学ではなくしてしまうものです。

 改正法が施行されれば、大学、とくに国立大学法人法の下に置かれた国立大学は、学長の専権体制の下、学長が示す大学運営の方向には異を唱えることはできず、教員集団の自由闊達な議論は阻害され、知の拠点としての活力は消え失せてしまうことが懸念されます。大学の学長はその大学の教育研究部門の長です。そのことが、これまで学長が学内の選挙によって選ばれてきた理由です。今回の改正で学長選考基準の策定と公表が求められているのは、成長戦略という国策に沿った大学経営を進める学長を選ぶという政府の意向の現れであり、政府による大学の教育と研究への介入が、これまで以上に容易に露骨に行なうことができるようになります。今回の法改正は、学問の自由の基盤となる大学自治の諸制度を否定する意図をもって行なわれました。この法改正の方向性にそった改革を進めることは、基本的人権として保障されている学問の自由を掘り崩す、日本国憲法に反するものです。

 これら改正法が与える影響は、あらゆる人が高等教育の場でそれぞれが求める教育を受ける権利を狭め、また学問の自由が保障されていることによって生まれる学術の成果を享受する権利を奪い去るものです。民主的な市民を育てる大学の重要な役割も発揮できなくなり、日本の社会が人類共通の価値とは逆行する結果を引き起こすものです。

 私たちは、多くの問題を含み非常に重大な結果をもたらす今回の法改正が、短時間の不十分な国会審議で成立させられたことに強く抗議します。

 私たちは、今後とも、社会の民主主義の発展とともに勝ち取られてきた重要な権利である学問の自由、大学自治を守るために力を尽くします。私たちは、これらの権利を押し広げ、活用することで、高等教育の活動がひろく社会に貢献するために力を尽くしていきます。


衆・参文部科学委員会「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」

PDF化したもの
衆議院「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」
参議院「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」

衆議院

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学法人については、学長のリーダーシップにより全学的な取組ができるよう、学長選考会議、経営協議会、教育研究評議会等をそれぞれ適切に機能させることによって、大学の自主的・自律的な運営の確保に努めること。

 二 私立大学の自主性・自律性・多様性、学問分野や経営規模など各大学の実態に即した改革がなされるよう配慮すること。

 三 学校教育法第九十三条第二項第三号の規定により、学長が教授会の意見を聴くことが必要な事項を定める際には、教授会の意見を聴いて参酌するよう努めること。

 四 国立大学法人の経営協議会の委員の選任や会議の運営に当たっては、学内外の委員の多様な意見を適切に反映し、学長による大学運営の適正性を確保する役割を十分に果たすことができるよう、万全を期すこと。

 五 学長の業務執行状況のチェック機能を確保すること。

 六 教育の機会均等を保障するため、国立大学の配置は全国的に均衡のとれた配置を維持すること。

 七 国のGDPに比した高等教育への公的財政支出は、OECD諸国中最低水準であることに配慮し、高等教育に係る全体の予算拡充に努めること。

第186回国会 衆議院文部科学委員会(平成26年6月6日(金曜日))可決

参議院

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一、学校教育法第九十三条第二項第三号の規定により、学長が教授会の意見を聴くことが必要な事項を定める際には、教授会の意見を聴いて参酌するよう努めること。

二、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学法人については、学長のリーダーシップにより全学的な取組ができるよう、学長選考会議、経営協議会、教育 研究評議会等をそれぞれ適切に機能させることによって、大学の自主的・自律的な運営の確保に努めること。

三、学長選考会議は、学長選考基準について、学内外の多様な意見に配慮しながら、主体性を持って策定すること。

四、監事の監査、学長選考組織による選考後の業務評価等学長の業務執行状況のチェック機能を確保すること。

五、国立大学法人の経営協議会の委員の選任や会議の運営に当たっては、学内外の委員の多様な意見を適切に反映し、学長による大学運営の適正性を確保する役割を十分に果たすことができるよう、万全を期すこと。

六、本法施行を受け、各大学等の学内規則の見直しと必要な改正が円滑に行われるよう、説明会の開催等関係者に改正の趣旨について周知に努めること。

七、私立大学の自主性・自律性・多様性、学問分野や経営規模など各大学の実態に即した改革がなされるよう配慮すること。

八、大学力を強化するため若手研究者や女性の登用が積極的に行われ、若手研究者等の意欲を高める雇用形態が整備されるよう、その環境の整備に努めること。

九、国のGDPに比した高等教育への公的財政支出は、OECD諸国中、最低水準であることに留意し、高等教育に係る予算の拡充に努めること。

第186回国会 参議院文教科学委員会(平成26年6月19日(木))可決

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」、衆議院文部科学委員会での審議経過(会議録)

平成26年5月23日
平成26年6月04日
平成26年6月06日  

2014年06月25日

日弁連、大学教授会の役割を教育研究の領域に限定する,学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する意見書

日弁連
 ∟●大学教授会の役割を教育研究の領域に限定する,学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する意見書

大学教授会の役割を教育研究の領域に限定する,学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する意見書

2014年(平成26年)6月19日
日本弁護士連合会

第1 意見の趣旨
 当連合会は,今次国会(第186回)に提出された「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」について,大学における教授会の役割を教育研 究の領域に限定することは,憲法の保障する大学の自治を危うくし,大学の自主 性,自律性を損なうおそれが強いと言わざるを得ず,これに反対する。

第2 意見の理由
1 はじめに
 現在進められている大学改革は,2013年6月14日の閣議決定「日本再 興戦略-JAPAN is BACK-」において,「人材力の強化」のための具体策と位置 付けられ,「産業競争力強化の観点」から競争主義,成果主義等を導入して大学 間又は大学内部でのいわゆる「選択と集中」を進めるというものである。同閣 議決定では,そのための「基盤強化」の方策として,「教授会の役割を明確化す る」ための「法案を次期通常国会に提出する」としており,これが本意見書で 取り上げる法改正案に当たる。
教授会の役割が問題とされるのは,上記閣議決定に至る過程において,有識 者から,「大学の改革については,教授会の抵抗が予想される」(教育再生実行 会議(第7回)での八木秀次委員発言),「改革を否定しがちな教授会」(同(第 8回)での山内昌之委員発言)といった発言がなされているように,教授会が 現政権の進める大学改革の方向性に異を唱えるケースが見られるからである。 後述するとおり,教授会は,憲法が保障する大学の自治を担う主体として, 重要事項を審議するという役割を果たしてきたものであり,歴史的にも戦前の 滝川事件,天皇機関説事件などのような弾圧事件を通じて,その自治の重要性 についての広範な社会的合意が形成されてきた。この度の法改正案について, 憲法及び教育基本法等の理念並びに教授会の役割という観点から,問題点を指摘し,意見を述べるものである。

2 法改正案の概要
(1) 法律案の概要

 ① 政府は,2014年4月25日,「学校教育法及び国立大学法人法の一部 を改正する法律案」を国会に提出した(以下「本改正案」という。)。その 主な内容は,「大学には,重要な事項を審議するため,教授会を置かなけれ ばならない。」と定める学校教育法93条を改正し,「重要な事項」の「審 議」に代えて,教授会の役割を,以下のとおり,「教育研究に関する事項」 についての意見具申及び審議に限定するものである。

 ②本改正案では,学校教育法93条2項は1号で「学生の入学,卒業及び 課程の修了」について,2号で「学位の授与」について「学長が決定を行 うに当たり意見を述べる」ものとし,これら以外の事項については,「教育 研究に関する重要な事項」であって,「学長が教授会の意見を聴くことが必 要であると認めるもの」について,「学長が決定を行うに当たり意見を述べ る」ものとする(同項3号)。
 同条3項は,教授会は,前記2項に規定するほか,「学長及び学部長その 他の教授会が置かれる組織の長(以下「学長等」という。)」が「つかさど る教育研究に関する事項」について「審議」し,及び「学長等の求めに応 じ,意見を述べることができる」とする。
 すなわち,本改正案による改正後の93条2項では,教授会として,無 条件に,学長が「決定を行うに当たり意見を述べる」ことができる事項は「学生の入学,卒業及び課程の修了」及び「学位の授与」のみである。こ れ以外の事項で学長の決定にあたり意見を述べることができるのは「教育 研究に関する重要な事項」であって且つ「学長が教授会の意見を聴くこと が必要であると認めるもの」とされ,逆に,学長が意見を聴く必要を認め なければ,仮に「教育研究に関する重要な事項」であっても,学長の決定 に当たり意見を述べることすらできないことになる。また,同条3項では,「前項に規定するもの」以外で,学長等がつかさどる「教育研究に関する 事項」について(教授会は)「審議」することができるとされるものの,「意 見を述べることができる」のは「学長等の求めに応」じて,とされている。
 なお,参議院へ提出された本改正案の修正案では,政府案の同条2項3 号の「教育研究に関する重要な事項で,学長が教授会の意見を聴くことが 必要であると認めるもの」を,「教授会の意見を聴くことが必要なものとし て学長が定めるもの」に修正されているが,本意見書で指摘する問題が解決されるものではない。

③小括
 以上,要するに,本改正案によれば,教授会は「管理・運営に関する事項」について審議ができなくなり,審議できるのが「教育研究に関する事 項」のみになるという点が最大の問題である。さらに「教育研究に関する 事項」であっても,学長ないし学部長等の決定にあたり教授会として意見 を述べることができるのは,学校教育法93条2項の1号及び2号(学生 の入学等,学位の授与)を除き,学長等が必要と認め,又は,その求めが あった場合に限られることになる。

(2) 本改正案の根拠
 政府は,本改正案の提出理由について,「大学の組織及び運営体制を整備するため・・・教授会の役割を明確化する」と説明している。
 すなわち本改正案の前提となっている中央教育審議会大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(2014年2月12日)(以 下「中教審まとめ」という。)は,教授会の役割について,「そもそも学校教 育法は,教学面を規定する法律であり,国立大学法人法や私立学校法等のよ うに経営面について規定するものではない。したがって,学校教育法に基づ いて設けられる機関である教授会の審議事項は,当然に,教育研究に関する ことに限られると解される」とした上で,現行の学校教育法93条に規定す る「重要な事項」について,「その内容が必ずしも明確でない」ため,「学部 教授会の審議事項が大学の経営に関する事項まで広範に及んでおり,学長の リーダーシップを阻害しているとの指摘がある」とする(27ページ)。
 すなわち,本改正案は,教授会の審議事項が教育研究のみならず大学運営 面にまで及んでいることが問題であるとする認識の下,その原因は学校教育 法93条の規定ぶりが不明確な点にあるので,法改正によってこれを明確に し,教授会の役割を教育研究の領域に限定しようとするものである。

3 本改正案の根拠に関する問題点
 しかし,本改正案の根拠として中教審まとめが述べている点については,以下のような疑問があると言わざるをえない。

(1) 現行法制定の際の附帯決議を無視していること
 中教審まとめは,教授会の役割を限定する本改正の必要性について「教授会の審議事項が大学の経営に関する事項にまで広範に及んでおり,学長のリ ーダーシップを阻害している」と指摘する。しかし,この点については,そもそも,現在の国立大学法人法の制定の際,大学における教授会の役割の重 要性に十分配慮するという前提のもとに,特に教育研究面に限るという限定 をすることなく「重要事項を審議する」役割の存在として,教授会に関する 学校教育法93条の規定が残されることになったのであり,少なくとも,教育研究面に関わる重要事項である以上それが管理運営面とも関連するもので あったとしても,これを「審議する」役割を教授会に与える趣旨であったことは,以下の現行法制定の際における附帯決議から明らかである。
 参議院文教科学委員会(2003年7月8日)は,国立大学法人法制定及 び学校教育法改正の際に,政府関係者に対し,教授会の役割の重要性に十分 配慮することを求めて次のように決議していた(衆議院文部科学委員会にお いても同年5月16日にほぼ同様の附帯決議がなされている)。
 「政府及び関係者は,国立大学等の法人化が,我が国の高等教育の在り方 に与える影響の大きさにかんがみ,本法の施行に当たっては,次の事項につ いて特段の配慮をすべきである。
 一,国立大学の法人化に当たっては,憲法で保障されている学問の自由や 大学の自治の理念を踏まえ,国立大学の教育研究の特性に十分配慮する とともに,その活性化が図られるよう,自主的・自律的な運営を確保す ること。
 二,国立大学法人の運営に当たっては,学長,役員会,経営協議会,教育 研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに,全学的 な検討事項については,各組織での議論を踏まえた合意形成に努めるこ と。また,教授会の役割の重要性に十分配慮すること。
(以下,略)」。
 以上の経緯からすれば,前述の中教審まとめが学校教育法93条の重要事項を審議するとされる教授会の役割規定の改正の必要性として述べる「教授 会の審議事項が大学の経営に関する事項まで広範に及んでおり,学長のリー ダーシップを阻害している」との指摘は,学校教育法93条の「重要事項を 審議する」という教授会の規定をあえて残すことで少なくとも教育研究面に 関する重要事項である以上は管理運営面に関わるものでもこれを審議する教 授会の役割を認め,それにより大学における教授会の重要性を確認してきた 経緯を意図的に無視した立論であるといわざるを得ない。

(2) 本改正案の立法事実の検討
 中教審まとめは「教授会の審議事項が大学の経営に関する事項まで広範に及んでおり,学長のリーダーシップを阻害している」とし,それが今回の改 正案の根拠としているが,大学の自治の担い手である教授会の重要性に照ら し,そのような状況があるのかについては,慎重に検討する必要がある。
 例えば,羽田貴史「大学管理運営の動向」(広島大学高等教育研究開発セン ター編『大学の組織変容に関する調査研究(COE研究シリーズ27)』同セ ンター・2007年)によれば,国立大学及び私立大学の学長,部局長及び 学科長に対して,大学の管理運営の問題に関わって,「今後どの組織や機関の 権限を強めるのが望ましいでしょうか」と尋ねた質問への回答を見ると,確 かに,学長の権限を強めるのが望ましいとの回答は多い。したがって,学長 のリーダーシップの発揮を求める声の大きさは,これを肯定することができ そうである。
 しかし,それが同時に教授会の役割を制限すべきという意味であるかとい えば,必ずしもそうではない。学長のリーダーシップの発揮を求める声は, 同時に,教授会の権限強化を求める声でもある場合があるからである。すな わち,部局長や学科長のレベルでは,教授会の権限を「強めるべき」との回 答が7割前後にのぼっており,教授会の権限強化を求める声が強い。教授会 によってリーダーシップを阻害されていると指摘される学長レベルでさえも, 教授会の権限をもっと強めるべきと考える者は国立で18.8%,私立で3 7.1%であり,決して多いとはいえないとしても一定の割合に及んでいる。
 また,東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター「大学に おける意思決定と運営に関する調査(教員編)」(2013年2月)によれば, 大学教員に対する質問の結果,「学部教授会の権限は縮小していく必要があ る」とは思っていない大学教員が8割以上に上ることが明らかにされている。 つまり,大学内における階層によって程度の違いはあるが,大学運営面にお いても,教授会の果たすべき役割への期待は総じて大きいということができ る。
 このように,教授会によって学長のリーダーシップが阻害されているから 教授会の役割を教育研究面に限定すべきとする本改正案の必要性に関する立 法事実の存在は十分に検証されているとは言い難い。
 そもそも大学は,個々の研究者がそれぞれ非常に異なった質の活動を行っ ているところに特徴がある。それゆえに,かかる多様性を反映した教授会と いう組織が,審議を尽くして一定の方向性を示すことにより,大学のガバナ ンスにおいて重要な役割を果たしうることは明かである。また,大学ごとに歴史的に築かれてきたガバナンスの多様性も存在するところ,法律によって 一律に大学のガバナンスのあり方を細かく法定することは,そのような大学 の個性,多様性をそぐことにもなりかねない。

4 憲法及び教育基本法等の下での大学の自治の保障と本改正案の問題点
(1) 大学の自治の保障

①憲法23条は「学問の自由は,これを保障する。」と定める。その内容と して,一般に,(ア)学問研究の自由,(イ)学問研究結果の発表の自由,(ウ)大学における教授の自由,(エ)大学の自治があげられている。思想・ 良心の自由(憲法19条)及び表現の自由(同21条)の保障の上にさら に明文で「学問の自由」を保障する趣旨は,学問研究が常に従来の考え方 を批判して,新しいものを生み出そうとする努力であることから,それに 対して特に強い程度の自由が要求されることによると解されている。
 特に大学は,歴史的に,時の権力・権威との衝突を繰り返し,往々にし て弾圧の対象となった。日本においても,戦前の滝川事件(1933年), 天皇機関説事件(1935年)などの大学に対する国家の介入の歴史があ る。それゆえ,大学における教育及び研究は,大学が国家権力その他の権 力や権威から独立し,組織体としての高度の自律性を保障されることによ ってはじめて可能であると考えられ,ここに大学の自治が保障されるゆえ んがある。
 教育基本法は,教育に対する不当な支配を禁止して,教育の政治的中立 性を確保するが,これに重ねて「大学については,自主性,自律性その他 の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」(同法7 条2項)と定めているのも,「大学の自治に基づく配慮が必要である」との 趣旨によるものである(教育基本法改正時の2006年5月31日衆議院 における小坂憲次文部科学大臣答弁参照)。
 かかる大学の自治は,学問の自由を保障するためのいわゆる制度的保障 として捉えられることから,具体的な内容は法律によって定められること となるが,制度そのものを廃止したり,制度の核となる本質的な内容に及 ぶ制約を加えることは許されないと解されている。

②大学の自治の内容として,(ア)学長・教授その他の研究者の人事の自治,(イ)施設及び学生の管理の自治,(ウ)予算管理における自治(財政自治 権),(エ)研究・教育の内容と方法等に関する自治の4項目を挙げている(通説)。なかでも中心となるのは,(ア)の人事の自治である。最高裁判所も,「大学における学問の自由を保障するために,伝統的に大学の自治が 認められている。この自治は,特に大学の教授その他の研究者の人事に関 して認められ,大学の学長,教授その他の研究者が大学の自主的判断に基 づいて選任される。」(最高裁昭和38年5月22日大法廷判決)として, 学長の選任を含む人事の自治の重要性に言及している。
 大学の自治の主要な担い手は,自治の存在理由及び大学の目的が教育研 究にある(学校教育法83条1項)ことからも,教授その他の研究者の組 織であるべきであって,具体的には,教授会がその中心となる。学校教育 法93条の規定は,以上のような憲法,教育基本法及び学校教育法の趣旨 に基づき,教授会に「重要な事項を審議する」役割が認められることを明 らかにしたものであると解され,この意味で重要な事項を審議するための 存在という教授会の役割に関する学校教育法93条の規定は憲法による大 学の自治の保障の制度的核心を構成するものである。

(2) 現行法制度の下における教授会の役割
 これに対し,本改正案は,前記のとおり,教授会等による自治を教育研究面に限定されるものとして把握し,大学の管理運営面には及ばないこととす るものである。確かに現行法制度上,国立大学法人法の制定により,教学面 と管理運営面を区別して,組織的な分担関係を志向する規定が置かれている ことを指摘できる。しかし,中教審まとめも指摘するように,「大学の目的が 教育研究そのものにあることから,教育研究に関する事項と経営に関する事 項を明確に分けることは困難な面がある」(27ページ)のであり,大学運営 と教育研究を截然と切り離すことができるわけではない。したがって,現行 法制度上,教育研究面と管理運営面とが区別される中においてもなお,それ らにまたがる重要事項について審議する教授会としての役割の重要性が否定 されることにはならない。

(3) 本改正案の問題点
①基本的問題点
 本改正案は,このような教授会の役割を教育研究の領域に限定し,大学運営その他の全学的事項への関与を制限しようとするものである。しかし, これは,上述した憲法の保障する大学の自治と,その下で教育基本法及び 学校教育法が規定する大学の自主性,自律性並びに教授会の役割について の理解を誤ったものといわざるを得ない。また,教授会の役割の重要性に 対する十分な配慮を要求するなどした附帯決議にも矛盾するものである。
 教授会による自治は大学自治の制度的保障の核心をなすものであり,教 授会の役割は,少なくとも,教育研究と管理運営とにまたがる重要事項の 審議に及ぶものと解されることは明らかであるから,このことをもって現 行規定における教授会の役割が不明確との批判は当たらない。したがって, これを明確化するという立法趣旨のもと教授会の役割が「重要事項を審議」 することから,教育研究に関する事項について意見を述べることに限定さ れ,管理運営面には及ばないことに変更されるとすれば,それ自体が大学 の自治の保障の趣旨に反するものであり,大学の自主性・自律性を損なう おそれの強いものであるといわざるを得ない。

②具体的問題点
 実際,本改正案のような教授会の役割限定がされた場合には,例えば,学部長を始めとした学部人事,学部・学科の設置・廃止等の問題は,管理・ 運営に関する事項であるだけでなく,教育・研究に関する事項としての側 面を持つものであるが,前述の改正93条2項1号2号に当たらないとし て,学長等が教授会の意見を聴くことが必要と判断し(93条2項3号), ないし学長等が教授会に意見を「求め」ることにしない限り,決定にあた っての意見具申もできなくなってしまう。これでは,これらの問題に対す る当該学部の教授会の影響力が決定的に弱まることは明かである。これら は前述した大学の自治の内容のうちの,(ア)研究者の人事の自治,(エ) 研究・教育の内容と方法等に関する自治という重要な構成部分に関する事 項であり,大学の自治の担い手である教授会の関与にこのような重大な制 約を課することは,大学の自治を侵害する恐れがあるものと評価せざるを 得ない。
 さらには,教育研究及び管理運営の両面に関わる重要事項であり,上記(ア)の人事の自治の中心をなす学長の選考について,少なくとも,国立 大学のような学長選考会議による学長候補の申出制度のない私立大学の場 合,学長選考方法のあり方を決める上で教授会の意思が大きな影響力を持 ってきていた。しかるに,本改正案により教授会の役割が「教育研究に関 する事項」のうちのさらに限定された分野に限られることになれば,現在 教授会が大学の学長人事のあり方の面において有する影響力が失われ,こ の面でも本改正案による教授会の役割限定が大学の自治への制約をもたら す恐れは大きい。

(4)本改正案を含めた大学改革の基本的方向と教授会の役割

①本改正法案の目指す方向
 冒頭に掲げた閣議決定は,大学における教授会の役割の限定と学長のリ
ーダーシップの強化に関し,「産業競争力強化の観点」から競争主義,成果 主義等を導入して大学間又は大学内部でのいわゆる「選択と集中」を進め るとし,そのための「基盤強化」の方策として位置付けている。

②憲法が求める大学の役割と大学改革
 しかしそもそも,憲法は,全ての個人の尊厳と人権の尊重を理念としており,経済競争に勝ち抜く人材だけでなく,多様な能力や条件を有する全 ての国民が,相互に人権を尊重し,共に生きる社会を目指すものである。
全ての個人の尊厳と人権の尊重を図りうる社会を目指す観点から憲法は, 時々の政権の政策に左右されずに真理を探究することで社会に貢献できる ように学問の自由を保障するとともに,真理研究機関としての大学に大学 の自治を保障しているのである。
 また,憲法が上記のような,経済競争に勝ち抜く人材だけでなく,多様 な能力や条件を有する全ての国民が,相互に人権を尊重し,共に生きる社 会を理念としていることを踏まえ,当連合会は,2012年10月5日の 人権擁護大会において,「子どもの尊厳を尊重し,学習権を保障するため, 教育統制と競争主義的な教育の見直しを求める決議」を採択し,経済のグ ローバル化に伴って,社会において競争主義や市場原理が強まる中,教育 にも経済至上主義が持ち込まれ,グローバルな競争に適合する人材を育て るという名目の下に推進されてきた過度に競争主義的な教育が,上記の憲 法の理念を損なうことへの懸念を表明してきた。
 学術の中心として教育研究を行う大学においても,この理は妥当するか ら,行き過ぎた競争主義の導入や,経済至上主義に基づく資源再配分等の 改革には慎重である必要がある。

③憲法の要請のもとでの大学改革のあり方
 確かに大学改革においては多様な考慮要素に基づき多面的な検討が必要とされることは間違いない。中教審まとめが指摘するような,知識基盤 社会の到来,グローバル化の進展などによる社会を巡る環境の大きな変化 の中で,大学の現状に様々な問題点が生じているにも関わらず内部からこ れを改革しようとしない守旧的な傾向が生じていることも確かである。大 学が公教育を担うとともに,公的な財政的支援・税制面の優遇を受ける等 の高度の公共性を備えることからすれば,内部構成員による自治という側面だけでは十分ではなく,学外的な視点からの問題点のチェック体制が必 要であることも間違いない。
 こうした要請と憲法の要請する大学の自治の理念とを両立させる観点 からは,公権力的なコントロールとは異なる第三者的な立場からの大学の チェックの役割を担う存在として監事の役割と権限の強化が必要と思われ る。とりわけ大学の公共性やその運営の適正を確保する役割を担うにふさ わしい人材を広く学外に求めることが必要である。
 忘れてはならないのは,現行憲法のもとでは,大学での教育研究は,教 育機関としては第一義的には「人格の完成」を目指して(教育基本法1条), また,研究機関としては「深く真理を探究して新たな知見を創造」するこ とを目的として(教育基本法7条1項)行われるべきであって,社会の変 化に伴って大学改革の必要が生じたとしても,目指すべき改革はあくまで 憲法の規定する大原則に即したものである必要があるということである。 この意味で,大学改革の基本方向は,産業競争力強化に資する人材の育成 とは次元を区別する必要があり,大学と私企業の違いを無視するならば,「日本の大学・短大・専門学校は教育市場のみを基盤とする企業体へと転 換し,それぞれの公共的な使命と責任を喪失して『質』の低下の一途をた どる」(日本学術会議心理学・教育学委員会教育学の展望分科会「教育分野 の展望-「質」と「平等」を保障する教育の総合的研究-」2010年4月5 日)ことになろう。
 以上述べたような憲法の理念,本改正案の立法趣旨及び立法事実の問題 点も考慮すれば,大学の教授会の役割に根本的な変更を加えることになる 本改正案は,憲法の保障する大学の自治を危うくし,大学の自主性,自律 性を損なうおそれが強いと言わざるを得ず,当連合会はこれに反対するも のである。

以上


京滋私大教連、【抗議声明】大学の多様性、創造性を失いかねない 学校教育法「改正」法案の成立に強く抗議する

京滋私大教連
 ∟●大学の多様性、創造性を失いかねない 学校教育法「改正」法案の成立に強く抗議する

大学の多様性、創造性を失いかねない
学校教育法「改正」法案の成立に強く抗議する


 6月20日に開かれた参議院本会議で、現行学校教育法第 93 条を改廃して、教授会を学長が決定する事項に関して「意見を述べる」だけの諮問機関とし、学長に強大な権限を付与する学校教育法「改正」法案が可決・成立しました。
 本法律の成立によって、教員人事をはじめ、カリキュラムの編成や研究費の配分など、大学における重要事項に関しては、学長の判断による上意下達の大学運営が推し進められることが強く懸念されます。
 今回の「改正」法案に関しては、衆議院の参考人質疑の際、法案に賛成の立場を表明する参考人からも「学長トップダウンだけでは、大学運営はうまくいかない。理念をいかに大学構成員で共有できるかが大学においては重要であり、学長には合意形成をする上でのリーダーシップこそが求められている」(大阪大学・平野総長)、「教授会権限を弱め、学長権限を強化すれば改革がすすむとは限らない」(早稲田大学理事・田中愛治氏)といった見解が表明され、さらに改正法自体に解釈上、不明確な点が残されていることが明らかとなりました。
 私たちは、日本国憲法第 23 条で保障された「学問の自由」と「大学の自治」を礎として、大学における教育・研究の多様性と創造性を発展させるために、引き続き全ての教職員が力を合わせて大学の民主化に向けた取り組みに参加することを、強く呼びかけるものです。

2014 年 6 月 23 日
京滋地区私立大学教職員組合連合

「学校教育法改悪 大学の自治守る共同をさらに」

しんぶん赤旗(2014年6月24日)

主張

学校教育法改悪
大学の自治守る共同をさらに

 大学の自治を破壊する学校教育法・国立大学法人法の改悪法が、日本共産党などの反対、自民、公明の与党と民主、維新、みんななどの賛成多数で可決、成立しました。国会審議を通じ、「学長独裁」の運営を可能にし、大学の自治、学問の自由を脅かす悪法の重大な問題が明らかとなり、大学関係者の厳しい批判の声が広がりました。これを無視し、衆参合わせてわずか5日の委員会審議で打ち切り、国会最終日に強行した各党の責任が厳しく問われます。

教授会権限が焦点に

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は、学校教育法の制定時に教授会が大学自治の中心的担い手とされたことに照らして、教授会の権限を弱めれば学長独裁の大学に変質する危険を追及しました。

 田村智子参院議員は、入試での合否判定を例に、教授会が教育研究の重要事項の実質的な決定権限をもつことを示しました。合否判定の教授会決定を学長が覆せば、恣意(しい)的判断が疑われ、大学の公正円滑な運営が阻害されます。

 審議を通じて、文科省は、ことさら学長に最終決定権があることを強調する答弁に終始しました。教授会が持つ実質的な権限を奪うことに、法改悪の狙いがあることが浮き彫りとなりました。

 政府は、改悪法の施行をうけて各大学が学内規則を見直す必要があるとし、そのためのガイドラインを策定することを明らかにしています。学内規則は「大学が主体的に決めるべきもの」と答弁しながら、実際には文科省主導で学内規則を変えさせるもので、大学への介入にほかなりません。

 法改悪に反対する大学関係者の共同は、国公私立の違いを超えて大きく広がりました。大学教職員、大学院生、非常勤講師、若手研究者、さらには教授会や学会など、さまざまな立場から反対声明が上がったことは画期的なことです。

 マスメディアも「この改革案は大学本来の強みを損ないかねない」「一律に学長主導を制度化しなくていい。右向け右は大学に最も似合わない」(「朝日」16日付)と批判する社説を掲げました。

 法施行にあたっては、政府による大学介入を許さず、教授会の意見を尊重する学内規則を維持するかどうかが焦点になります。関係者の共同をさらに広げ、各大学で民主的合意をつくることが期待されます。

 学長が教育研究の重要な事項を、教授会の意見を聞かずに決定することへの懸念に対して、参院文教科学委員会の付帯決議が「学長が教授会の意見を聴くことが必要な事項を定める際には、教授会の意見を聴いて参酌するよう努める」としたことは、今後に生かせるものです。

政府の介入を許さない

 各大学の学長選考会議が学長像などの選考「基準」を定めるにあたって、「政府は介入するな」との田村議員の追及に、「決定過程及び決定後を問わず、その内容について干渉するものではない」と答弁したことも重要です。

 学長が教学事項について教授会に委任することは「法律上禁止されない」ことも確認されました。

 政府による大学介入を監視するとともに、憲法の学問の自由と大学の自治の原則にそって、「学問の府」としての見識を踏まえた民主的な大学運営を守るために、日本共産党も力を尽くします。


2014年06月24日

改定学校教育法の施行と学長の人事権に関する「質問主意書」と安倍晋三の「答弁書」

■参議院
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問主意書(平成二十六年六月五日提出)
 ∟●答弁書(平成二十六年六月十三日)

平成二十六年六月五日提出
質問第一九八号

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問主意書

提出者  大熊利昭

 今般、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(以下、「本改正案」)が国会に提出された。本改正案は、大学の意思決定の仕組みを根本的に変更するものであり、わが国の高等教育のあり方に多大な影響を与えかねないばかりか、憲法第二十三条が保障する「学問の自由」にも抵触しかねない重要な問題を包含している。
 右を踏まえ、質問する。
一 本改正案成立後の学校教育法(以下、「改正学校教育法」)の施行にあたっては、学長に広範な人事権、すなわち、新規採用教員の選考・任用、既存教員の解雇・配置転換を審議し、決定する権限(以下、「人事権」)を付与するか。

二 「付与する」というものとした場合、このことは、教授会に人事権の一部を引き続き認めることと矛盾するか。

三 「矛盾する」というものとした場合、私立学校法第一条が「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ」云々と規定していることに鑑みれば、改正学校教育法の執行に際して、私立学校法に抵触するおそれはないか。

四 神戸地裁昭和五十四年十二月二十五日判決、前橋地裁昭和六十三年三月十一日判決、岐阜地裁平成十三年八月十四日判決等、裁判所は、教授会が教員の任免を審議することは、憲法二十三条の「学問の自由」およびそれから派生する「大学の自治」の要請であるとしている。この観点から、改正学校教育法が教授会の人事権を否定する場合、憲法違反のおそれはないか。

五 また、憲法違反ではないとしても、大学は毎年多額の国庫補助を受け入れており、専任教員の数がその算定の根拠のひとつとなっている。よって、国民の税金が適切かつ効果的に使われるためには、教員の任免は常に公平・公正に行われなければならず、人事権者の縁故情実に基づくようなことがあってはならない。本改正案が可決成立した場合、学長に与えられる広範な人事権が濫用されないことは、ガバナンスの観点から、どのように担保されるか。
 右質問する。

平成二十六年六月十三日受領 答弁第一九八号

内閣衆質一八六第一九八号
平成二十六年六月十三日

内閣総理大臣 安倍晋三

衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員大熊利昭君提出学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員大熊利昭君提出学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問に対する答弁書

一から五までについて

 平成二十六年四月二十五日に閣議決定し、今国会に提出した学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十二条第三項に規定する学長の職務を変更するものではなく、お尋ねの「広範な人事権」を学長に付与するものではない。また、同法案は教授会が教員の人事について審議することを否定するものではない。
 なお、現在、同法案は国会において審議されているところである。


大学自治破壊法、可決された法律案・修正案 参議院での各党別投票結果

参議院に提出された学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案
衆議院文部科学委員会の修正案(可決)
参議院本会議における投票結果

第一八六回 閣第八〇号
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案

(学校教育法の一部改正)
第一条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。 第九十二条第四項中「の職務を助ける」を「を助け、命を受けて校務をつかさどる」に改める。 第九十三条第一項を次のように改める。
大学に、教授会を置く。 第九十三条第一項の次に次の二項を加える。
教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする。
一 学生の入学、卒業及び課程の修了
二 学位の授与
三 前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意 見を聴くことが必要であると認めるもの 教授会は、前項に規定するもののほか、学長及び学部長その他の教授会が置かれる織の長(以下この項において「学長等」という。)がつかさどる教育研究に関する 事項について審議し、及び学長等の求めに応じ、意見を述べることができる。

(国立大学法人法の一部改正)
第二条 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。 第十二条第七項中「うちから」の下に「、学長選考会議が定める基準により、」を加え、同条中第八項を第九項とし、第七項の次に次の一項を加える。
8 国立大学法人は、第二項に規定する学長の選考が行われたときは当該選考の結果そ の他文部科学省令で定める事項を、学長選考会議が前項に規定する基準を定め、又は 変更したときは当該基準を、それぞれ遅滞なく公表しなければならない。 第二十条第三項を次のように改める。
3 経営協議会の委員の過半数は、前項第三号の委員でなければならない。 第二十一条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。
3 前項各号に掲げる者のほか、学校教育法第九十二条第二項の規定により副学長(同 条第四項の規定により教育研究に関する重要事項に関する校務をつかさどる者に限 る。)を置く場合には、当該副学長(当該副学長が二人以上の場合には、その副学長 のうちから学長が指名する者)を評議員とする。 第二十七条第三項を次のように改める。
3 経営協議会の委員の過半数は、前項第三号の委員でなければならない。

附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。
(検討)
2政府は、この法律の施行後適当な時期において、第二条の規定による改正後の国立大学法人法(以下「新国立大学法人法」という。)の施行の状況、国立大学法人(新国立 大学法人法第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。以下同じ。)を取り巻く社会 経済情勢の変化等を勘案し、新国立大学法人法第十二条第二項に規定する学長選考会議 の構成その他国立大学法人の組織及び運営に関する制度について検討を加え、必要があ ると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

理 由 大学の組織及び運営体制を整備するため、副学長の職務内容を改めるとともに、教授会の役割を明確化するほか、国立大学法人の学長の選考に係る規定の整備を行う等の必要が ある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院文部科学委員会の修正案(可決)

第186回国会閣第80号に対する修正案
第186回国会衆議院文部科学委員会可決

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する修正案
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第一条のうち学校教育法第九十三条第一項の次に二項を加える改正規定のうち第二項第三号中「学長が」を削り、「必要であると認める」を「必要なものとして学長が定める」に改める。


2014年06月23日

参院本会議、学校教育法・国立大学法人法改悪 反対討論

しんぶん赤旗(2014年6月22日)

学校教育法・国立大学法人法改悪
田村議員の反対討論

 日本共産党の田村智子参院議員が20日の参院本会議で行った学校教育法・国立大学法人法改悪に対する反対討論(要旨)は以下のとおりです。

 第一に、教授会を実態として学長の諮問機関化することは、大学の自治、学問・研究の自由を侵すものです。

 教授会は、大学の自治の根幹を担う機関であり、多くの大学で、予算や教員人事に関わる事項を含め、教育・研究に関する重要な事項について実質的な審議・決定権を有しています。本法案は、こうした教授会の役割を認めず、「学長に意見を述べる」機関に矮小(わいしょう)化し、さらには審議事項も制限して、大学運営のあらゆる事項を学長個人の決定で行わせようとしています。

 審議の中で、例えば入試での合否判定は教授会が決定し、その決定を学長が執行することを可能としなければ大学運営に支障をきたすと指摘しましたが、これさえも「学長が決定する」と、教授会決定を学長がくつがえすことはありうるとの答弁に終始しました。

 学長が数千人、数万人の受験生の合否判定を行うなどありえず、教授会の決定を学長が変更することになれば、学長の恣意(しい)的な判断による不正入試さえ起こりえます。それでも、教授会の決定権限を断固として認めない、このような法案は、あまりに陳腐であり、むしろ大学の公正円滑な運営を阻害すると言わなければなりません。

 政府は、教授会が法律をふみこえて権限を持たないように、国公私立すべての大学で学則・内規の見直しが必要、そのガイドラインを有識者会議でつくることまで明言しました。このように、大学自治に政府が介入し、上意下達の組織へと改変することは許されません。

 第二に、学内の意思を民主的に反映させてきた学長選考意向投票制度を骨抜きにすることは重大です。

 学長選考基準として、大学改革をすすめる資質能力の評価があげられました。文科省は各大学に「ミッションの再定義」を策定させ、これにもとづく改革を強力に進めようとしています。この中には、「大学の強み」とされた研究分野に大学内の予算を集中させる、そのための学部学科再編の検討までもりこまれています。

 このような改革を学内の反対を押し切ってでもすすめることができる人物を学長にすえようという狙いは明らかです。

 本法案は、文科省が省令改正で行おうとしていたものを、経済同友会のメンバーなどが再三「法改正で」と文科大臣に要望したことから急きょ法案として提出されたものです。

 日本経団連は、昨年12月、「イノベーションの創出に向けた国立大学の改革について」との提言をまとめ、グローバル競争を企業が勝ち抜くために、産学連携の研究の強化、国立大学運営費交付金の基盤的経費を大胆に圧縮し、産業競争力につながる研究や人材育成への重点配分を政府に要求しています。

 短期間に成果を求められる研究環境、基盤的経費の圧縮による教員・研究者の非正規化は、すでに日本の大学に深刻な疲弊・停滞をもたらしています。このような改革に大学の未来はありません。

 教授会をはじめ大学内での民主的な討論、意思決定こそ、学問研究を発展させる力であることを指摘し、反対討論を終わります。


大学自治破壊法、参議院で可決。国会審議状況報告

■学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.20

★「学校教育法改正に反対するアピール署名」は当面継続します!

◎「アピール署名をすすめる会」HP http://hp47.webnode.jp/

  英語版の署名サイト http://eigoban.webnode.jp/

※6月19日18時現在、署名数は7252名(非公表含む)です。多くのメッセージも寄せられています。法案は可決成立しましたが、当面の間、署名運動は継続します。

▼ 法案は19日参議院文教科学委員会で共産以外の賛成で可決

○17日の委員会に続き、民主・石橋議員、共産・田村議員が法案の問題を質しつつ、法案成立後に現場での濫用の歯止めになる答弁をさせるために追及を行いました。

 しかし下村大臣、吉田高等教育局長は、

*現行法でも最終決定権限は学長にある

*そうであるのに法解釈に幅があり、教授会が決定権限を有していることが問題

*今回の法改正は、学長と教授会の関係を明確にするもので、教授会の役割を制限するものではない

*法改正後は、学長が最終な決定権を持つこと、教授会の審議結果に学長の決定が拘束されないことが明確でない学内規則は法律違反

*学長の判断よりも教授会の判断が優先することは法の趣旨に反する

*学長選考、学部長選考についても同様

との答弁を繰り返しました。

これまでの審議では反発を招かないように曖昧にしていた法改正の狙いを土壇場で覗かせる答弁がなされました。

[答弁要旨]

*学長が権限を教授会に移譲することは法の趣旨に反する。学長の最終的な判断権が担保されていれば委任することは問題ない。

*入学や課程の修了、学位の授与についても、教授会で決定し学長が執行する運営は問題がある。

*入学や課程の修了、学位の授与について、学長が教授会の意見と異なる決定を行っても、法的には教授会に対し理由を説明する義務はない。ただし、教授会と適切な意思疎通を図ることが望ましい。

*学部長の選考については、学長の最終決定権が明示され、教授会の投票や推薦の結果に任命権者が拘束されないなど、任命権者の決定権が担保されていることが必要。

*法の趣旨に反する学内規程については、文科省からその問題点を指摘することがある。

*国立大学の学長選考会議が決定する学長選考基準については、その決定過程及び決定後に文科省が関与はしない。


2014年06月22日

龍谷大学教員有志、大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、廃案を求める緊急声明

龍谷大学教員有志、大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、廃案を求める緊急声明

大学の自治、教授会自治を否定する学校教育法改正に反対し、
廃案を求める緊急声明

                          
龍谷大学教員有志
2014年6月17日

 
 政府・文部科学省は、今国会に学校教育法の改正案を提出し、成立させようとしています。私たち龍谷大学教員は、以下の理由により、この改正案は大学の自治を危うくするものと考え、その廃案を求めます。
 日本国憲法23条に保障された「学問の自由」の具体的な支柱の一つが「大学の自治」であり、その法制度的な規定が現行の学校教育法93条1項です。そこでは、「大学には、重要事項を審議するために、教授会を置かなければならない。」と規定しています。この規定に基づいて、国公私立を問わず全国の大学には教授会が設置され、この教授会が入退学・卒業など学生の身分に関わる事項、学位授与、教育の基本理念や教育課程の編成とともに、教育研究と不可分な教員人事の審議・決定、学部・学科の設置・廃止、予算の審議(龍谷大学では評議会の審議・決定事項)、学部長の選出等を行うことによって、自律的な大学運営を行ってきました。このことが教授会自治の内容であり、それが学問の自由、教育の自由の制度的な保障であり、国民及び広く世界の人々から大学に付託された人類の福祉のための学術を発展させることを可能にしてきました。
 しかしながら、今回の学校教育法改正案は、93条を改定して、1項を「大学に教授会を置く。」とし、「必置義務」を緩和しています。また、2項では、教授会を「学長が決定を行うに当たり意見を述べる」機関とし、しかも、その対象を①「学生の入学、卒業及び課程の修了」、②「学位の授与」、そのほか「教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聞くことが必要なものとして学長が定めるもの」(衆議院で修正)に権限を限定しています。これでは、その運用次第で教員人事や教育研究に関する重要事項に関する教授会の従来の権限が失われ、教授会は学長の単なる諮問機関と化し、大学トップの専断的な運営がもたらされる危険があります。これは、大学がその時々の政府や権力等から自立した教育と研究を遂行することを危うくし、大学の長期的な発展を困難にすると言わざるをえません。
 世界の主要国の大学では、その形こそ多少は異なるものの、アカデミックな事項については教員組織(教授団)の広範な権限が認められており、それが国際的に通用性ある大学として評価される大前提であることは、広く認められています。中世ヨーロッパに起源をもつヨーロッパの大学では、現代においても教授会自治は学問の自由、教育の自由の柱として堅持されています。米国でも、教育研究に関して専門的な能力を有するアドミニストレーターが教授団と大学執行部を支えるとともに、教員人事や教育研究の重要事項に関しては教授団の意思が尊重されており、理事会等が専断的に運営しているのではありません。
 グローバルで人類的な課題が山積する時代こそ、学術研究と教育を担う大学の自由で多様な発展が不可欠であり、それを実現し支えるのは教授会(教員団)自治であり、それを基盤とする広範な大学構成員の大学自治への多様な形の参加であることは、日本及び世界の大学の歴史が証明しています。このたびの学校教育法の改正案は、教授会自治を脅かし、大学がこの使命を遂行することを危うくするものです。
 以上の理由から、私たちは学校教育法の改正案に反対し、国会での徹底審議のうえ廃案にすることを求めます。また、これからも、大学の自治と学問の自由、教授会自治を発展させ、大学に課せられた人類的使命を果たすために努力することを誓うものです。

龍谷大学教員有志一同
呼びかけ人
丸山徳次(文)、村岡倫(文)、西垣泰幸(経済)、細田信輔(経済)、角岡賢一(経営)、
重本直利(経営)、夏目啓二(経営)、上垣豊(法)、高橋進(法)、脇田滋(法)、四ツ谷晶二(理工)、長上深雪(社会)、新田光子(社会)、嵩満也(国際文化)、Pauline Kent(国際)、奥野恒久(政策)、北川秀樹(政策)、白石克孝(政策)、加藤博史(短)、諸根貞夫(法科院)


大学ガバナンス改革へ改正法が成立 学長主導の改革促す

日経新聞(2014/6/21)

 大学のガバナンス(組織統治)を改革する改正学校教育法と改正国立大学法人法が20日、参院本会議で可決、成立した。大学運営への影響力が強い教授会の権限を限定することが柱で、来年4月から施行される。

 学校教育法の改正前の規定では、大学の教授会の役割は「重要な事項を審議する」と曖昧だったが、改正法は「学長に意見を述べる」に改め、学長の諮問機関としての位置付けを明確化した。審議事項も「学生の入学、卒業、修了、学位授与」などに限定した。

 学長主導による大学改革を促す狙いがあるが、大学教授らの一部は「学長の独裁につながる」と反発している。


教授会役割限定 改正学校教育法など成立

NHK(6月21日)

学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を限定するなどとした改正学校教育法などが、20日の参議院本会議で可決・成立しました。

改正学校教育法と改正国立大学法人法は、急速なグローバル化が進むなかで、各大学が国際競争力を高めていくため、学長のリーダーシップの下で、それぞれの強みや特色を生かした運営ができるよう、大学の組織の規定や学長の選考の在り方を見直すものです。
このうち、改正学校教育法では、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を見直して、教育研究に関する事項を審議し、学長に意見を述べることなどに限定するとしています。また、改正国立大学法人法では、学長の選考の透明化を図るため、選考の基準や結果の公表を義務づけています。
改正学校教育法と改正国立大学法人法は、20日の参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と、民主党、みんなの党、日本維新の会、結いの党、生活の党などの賛成多数で可決され、成立しました。改正学校教育法と改正国立大学法人法は、いずれも来年4月に施行されます。


2014年06月21日

大学学長の権限強化、改正学校教育法が成立-文科省

時事通信(2014年6月20日)

 大学学長の権限強化を柱とした改正学校教育法と改正国立大学法人法が20日、参院本会議で可決、成立した。来年4月に施行される。
 改正法は学長主導の大学改革を促すのが狙い。中央教育審議会の部会で、教授会が大学経営や予算まで審議し迅速な改革を妨げているなどの指摘が出たことを受け、教授会の役割を学長に意見を述べる諮問機関と明確化。教授会が受け持つ事項も学長が定めるとした。
 また、国立大の学長選考の基準や副学長の役割も規定。経営協議会の委員は過半数の外部登用を義務付け、幅広い意見を取り入れやすくした。

島根大学職員組合、大学自治の破壊 学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する

島根大学職員組合
 ∟●大学自治の破壊 学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する

大学自治の破壊
学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する

2014 年 6 月 20 日
島根大学職員組合 中央執行委員会


 政府が今国会に提出した「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案は衆議院で採決され、参議院で審議されています。学校教育法「改正」法案は、教授会の審議事項を制限し、諮問機関化し,一方で学長の権限を強化しようと意図するものです。国立大学法人「改正」法案は、現状でも大学構成員の意向を反映させにくい学長選考会議に、学長選考基準策定権を与え、学長選考過程から大学構成員の意向をさらに排除しようとするものです。また、現行「二分の一以上」とされている経営協議会の学外委員を「過半数」とすることで、学内構成員の意向を軽視した大学運営を行いやすくするものです。このような法案は受け入れがたいものです。

 教授会は教育研究に関係する重要事項について広く審議し、その結論は学内で尊重されてきました。その意味で、教授会は大学において学問の自由を守る最大の審議機関といえます。
 今回政府・文部科学省は、大学自治を破壊し、政府の意向をくむ学長のガバナンスの強化を目指して、この「改正」法案を決めました。これにより大学の自治は壊れる可能性があります。そして大学で学び教育を受けた、次の世代を担う人材育成に大きな影響を与えるものといえます。

 この学校教育法・国立大学法人法の「改正」に断固反対し、法案がもつ問題点、危険性を広く構成員のみなさんと共有したいと考えます。また、その過程で、学問の自由が国民にとってかけがえのない権利であること、それを守るためには大学自治を根幹とする大学制度が必要であることを改めて認識したいと思います。「島根大学憲章」には「学問の自由と人権の尊重、社会の信頼に応える大学運営」とうたわれています。ここには大学の使命が明記されており、今回の学校教育法・国立大学法人法の「改正」は、これとは全く相反する内容です。以上の理由から学校教育法・国立大学法人法の「改正」には反対の意思を表明します。

以上

大学自治を掘り崩す 田村氏反対 改悪案が参院委可決

しんぶん赤旗(2014年6月20日)

 教授会の審議事項を「学生の入学・卒業」などに限定し、学長の諮問機関化する学校教育法と国立大学法人法の改悪案が19日の参院文教科学委員会で、自民、公明、民主、維新、結い、みんなの党の賛成多数で可決されました。日本共産党の田村智子議員は反対討論に立ち、「大学の自治、学問・研究の自由を脅かすものだ」と批判しました。

 田村氏は、教授会は大学自治の根幹を担う機関として教育課程の編成や予算、人事など重要事項の実質的な審議・決定権を有してきたと強調。「教授会の役割を否定し、学長の上意下達の大学運営を確立することは大学自治を掘り崩す」と述べました。

 法案が国立大学の学長選考基準を定めるとしていることについて田村氏は「学内の意思を民主的に反映させてきた学長選考意向投票制度を骨抜きにする」と指摘。文科省が運営費交付金の重点配分を圧力に学部学科再編などの改革を進めようとしていることをあげ、文科省主導の「改革」を押し切る学長を選考するのがねらいだと告発しました。

 田村氏は、大学の経営評議会の学外者委員を過半数に増加させることについて「産業界の意向に沿わせるものだ。産業競争力を重視するあまり、基礎的研究や教育が軽視される懸念がある」「大学内での民主的な討論、意思決定こそ大学発展の力だ」と主張しました。


2014年06月18日

国会情勢・学校教育法・国立大学法人法改正問題、「13日の緊急院内集会には各地より40名の教職員が参加」

■学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.18

13日の緊急院内集会には各地より40名の教職員が参加

○日本私大教連と全大教が共催した13日の緊急院内集会には、大学教職員40名が駆けつけ、共闘団体、国会議員・秘書、政党など含め50名超が参加しました。

○集会後に行った議員要請では、金曜の夕刻のため議員はほとんど不在でしたが、何人かの政策秘書には要請を行うことができました。こちら側からの「修正しても本質的問題はまったくかわらない」との訴えに対し、反論はひとつも出されませんでした。とある与党議員秘書からは、「会期末ぎりぎりになってこんな重要な法案を参議院に回して困ったものだ」との嘆息の声も聞かれました。

▼ 参議院の審議日程が決まりました

○6月17日(火) 13:00~16:30

 自民、民主、公明、維新・結い(共同会派)、みんな、共産が質疑を行います。

○6月19日(木) 時間未定 *明日の委員会後の理事懇で決まる見込み

※衆議院で民主党・維新の会と自民党との間で修正合意が成立したことで、参議院では所要時間を消化したのち、19日に採決、翌20日の本会議において可決・成立する動きになっています。与党の自公は委員会質疑の持ち時間の半分以上を返上するタイムテーブルとなっています。

 日本私大教連と全大教はぎりぎりまで徹底審議、廃案をもとめて議員への働きかけを行っています。

東北大学文科系教員有志87名、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」についての見解

東北大学文科系教員有志87名、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」についての見解

2014年6月16日

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」についての見解

東北大学文科系教員有志87名

 現在、国会で「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の審議が行われている。この法案には看過することのできない問題が含まれており、廃案を強く求めるものである。

 現行の学校教育法93条は、「大学には、重要な事項を審議するために、教授会を置かなければならない」と定めている。ところが、法案は、教授会の役割を学長に対して単に「意見を述べる」ことに限定している。しかも、「意見を述べる」事項として明記されているのは、「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」のみである。6月6日の衆議院文部科学委員会において、学長が教授会の意見を聴くことができる事項に教育課程の編成、教員の教育研究業績の審査等が含まれると修正されたが、これも法体系上、最も低位の「施行通知」に記載されたに過ぎない。
そもそも現行の93条に教授会が審議すべき「重要な事項」が詳細に規定されていないのは、それが各大学の裁量に委ねるべきものとされたからである。教授会の役割を明確化するという名目の下、審議すべき事項に制限を加えるのは、本末転倒といわざるをえない。

 このように今回の法案は、教授会の権限を縮減する一方で、学長・副学長の権限を強化し、さらに学長選考会議・経営協議会に梃子入れすることで大学運営に対する外部からの容喙を従来よりも一層強く行いうるようにしている。
 我々は、構成員が多様な意見をもって、自由闊達な活動を展開しているところに大学の知的活力を生み出す源泉があると考える。したがって、多様な意見をくみ上げ、まとめ上げることによってではなく、外部の力も借りたトップダウンによって大学運営を行うことは、結局、活力の枯渇と発信力の低下を結果するのではないかと危惧する。また、組織の健全な発展には、様々なレベルでチェック機能が働くことが不可欠である。そうした仕組みを失えば、大学という組織も荒廃を免れないのではなかろうか。

もとより我々もより良い大学を創生するための改革を否定したり、拒否したりするものではない。しかし、今回の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」は、以上のようにあまりにも問題が多い。法案はすでに衆議院を通過し、審議の場を参議院に移したということである。参議院においては、国立大学法人法の国会付帯決議(2003年7月)、「国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営の確保に努めること」を踏まえ、「良識の府」にふさわしく、本法案を廃案とされるよう、強く求めるものである。

呼びかけ人(五十音順)
明日香壽川(東北アジア研究センター教授)
小田中直樹(経済学研究科教授)
川端 望 (経済学研究科教授)
木村敏明 (文学研究科教授)
黒瀬一弘 (経済学研究科准教授)
小林 隆 (文学研究科教授)
座小田豊 (文学研究科教授)
佐竹保子 (文学研究科教授)
佐藤勢紀子(高度教養教育・学生支援機構教授)
嶋崎 啓 (文学研究科教授)
鈴木岩弓 (文学研究科教授)
高橋 満 (教育学研究科教授)
永井 彰 (文学研究科教授)
長岡龍作 (文学研究科教授)
名嶋義直 (文学研究科教授)
長谷川公一(文学研究科教授)
柳原敏昭 (文学研究科教授)
柳田賢二 (東北アジア研究センター准教授)

*注:有志90名には、呼びかけ人を含む。また、訴えに賛同された理系教員若干名を含む。

中央大学全学教授会会員有志、声明「学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する」

中央大学全学教授会会員有志、声明「学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する」
                                

学校教育法及び国立大学法人法改正に反対する

中央大学全学教授会会員有志声明

 政府が今国会に提出した「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が今まさに国会で審議されています。
 この法律案が成立した場合、解釈によっては、私たちが研究教育に関する重要事項について審議決定する権利を法的に失い、学長から求めがあった場合にしか意見を述べることができないことになる可能性があります。私たちはこの解釈をとりませんが、いずれにせよこの法律案は、学長が大学の研究教育に関し一元的に決定権を有するものとして法律に明文化することで、教授会の役割を大幅に縮小・限定しようとするものです。
 教授会は、人事を含め研究教育に関する重要事項について広く審議を行い、その結論は学内で尊重されてきました。教授会の審議結果を尊重することが、憲法第23条で定められている学問の自由を保障するための具体的方法だからです。それはまた19世紀以来、幾多の困難を経て歴史的に認められる慣行として形成され、大学における自由な研究教育の根幹とされてきました。明治時代に憲法作成に携わったお雇い外国人は「学問の自由は社会の発展に不可欠であり絶対に守られなければならない」と言っていました。
 私たち中央大学の教員は、これまで、研究者としては自らの良心に従って自由に研究活動を行い、その成果を社会や学生と共有し、公教育に携わる教育者としては、その責任感に基づいて、カリキュラムを作成し、学生を育て多くの卒業生を社会に送り出してきました。そのような私たちにとって法による外部からの強制的な規制は無用なものです。それよりもOECD諸国の平均より低い国内総生産に対する教育費支出割合を高め、私立学校振興費削減をやめ財政基盤を強化することの方が先決です。
 また私たちが責任を負っているこのような研究教育は、自由と多様性、批判精神が保障されて初めて豊かな実りを得ることができるのであり、決して一元的に上からのトップダウンによって得られるものではありません。実際の研究教育現場で最も大切なのは自由で生き生きとした議論ができる真の民主主義が機能することです。私たちは真の民主主義が機能するように努めていきます。真の改革はトップダウンによってはなされません。それはむしろ改革を阻害し教育現場の荒廃をもたらすだけです。
 実際の研究教育現場で起きている事態は多様なものです。他方、一個人の学識と経験の及ぶ範囲は極めて限られています。それ故、学長個人の見識がいかに優れたものであったとしても、一個人の判断に研究教育の未来のすべてを委ねてしまう体制を作り上げてしまうことは、非常に危険なことであると言わざるを得ません。
 以上の理由から、私たち中央大学全学教授会会員有志は、本法案に反対します。

2014年6月10日            
中央大学全学教授会会員有志
           

東京私大教連、声明「学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して同法案を廃案とするよう求めます」

東京私大教連
 ∟●声明「学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して同法案を廃案とするよう求めます」

《声明》
学校教育法改正案の衆議院採決に抗議し、参議院での徹底審議を通して
同法案を廃案とするよう求めます

2014年6月16日
東京私大教連中央執行委員会

1 6月10日、衆議院本会議は「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を可決し、参議院に送付しました。同法案は、教育課程の編成、予算、採用・昇任等の教員人事、学部長の選考、学生の身分など、教育・研究に関する重要事項について実質的な審議・決定権を有してきた教授会を、「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させ、さらには学長が教授会の「意見」を聴かなければならない事項を「学生の入学、卒業及び課程の修了」「学位の授与」に限定し、その他の一切を学長の裁量に委ねることで、大学の教育・研究における教授会の役割を否定するものです。
衆議院文部科学委員会では、自民党、民主党、日本維新の会、みんなの党の4会派が提出した修正案にもとづき、政府案第93条第2項第3号「学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」が、「教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」と修正され、教授会が「意見を述べる」事項を学長のその都度の判断ではなく、あらかじめ定めることとなりました。しかし、教授会から審議・決定権を剥奪し、学長の権限を拡大させるという法案の本質は何ら変わっていません。
2 5月22日の衆議院本会議で同法案が審議入りした後、衆議院文部科学委員会ではわずか3回の審議しか行われませんでした。委員会の質疑では、法案が中教審大学分科会の「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」よりもいっそう後退した内容となっていること、「教育研究に関する重要な事項」(第93条第2項第3号)と「教育研究に関する事項」(同条第3項)が各々想定する事項がまったく不分明なこと、学長の暴走を防止する仕組みが存在しないこと等、数多くの問題点が指摘されました。それにもかかわらず、政府はこれらの指摘に真摯に向き合わず、明らかにされなければならない問題が多く残っているなかで審議が打ち切られました。入学・卒業判定、学位の授与、学生の処分など、専門家集団である教授会が審議・決定すべき事項についても学長が「決定」することの重大な問題性は、ほとんど審議されていません。
  法案が成立すれば、2013年3月28日に文部科学大臣の解散命令を受けた創造学園大学(学校法人堀越学園)の事例に典型的に見られるような、一部私立大学における学長・理事長らの専断的な大学運営がいっそう拡大される事態になることは明らかです。しかし、私立大学の実態に即した審議は、まったく行われていません。
3 同法案は、教員集団の専門性と民主性を尊重し、真理の探究と社会の発展に寄与すべき大学の本来的なあり方を否定し、「大学の自治」を侵害する稀代の悪法というほかありません。私たちは、4月30日に「≪アピール≫学問の自由と大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対します」を発表し、院内集会・議員要請を行うなどました。しかし、大学のあり方を根底から変質させようとする法案の重大性を顧みず、あまりにも拙速な採決が衆議院で行われました。私たちはこのことに厳しく抗議するとともに、良識の府、熟議の府たる参議院での徹底した審議を通して同法案を廃案とするよう強く求めるものです。
以 上

関西圏大学非常勤講師組合、声明「学校教育法改正案に断固として反対します」

関西圏大学非常勤講師組合
 ∟●声明「学校教育法改正案に断固として反対します」

平成26年6月12日

学校教育法改正案に断固として反対します

関西圏大学非常勤講師組合 執行委員長 新屋敷健

 文教科学委員の皆さま。日頃より私たち国民のためにご尽力いただき、誠にありがとうございます。
 4月25日に「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定され国会に提出されたことを伺いました。しかしながらこの改正には大きな疑問があります。それは、現行学校教育法93条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させるということです。
 教授会は、憲法第23条が定める「学問の自由」から導き出される「大学の自治」を担う機関として、これまで教育・研究に関する重要な事項についての審議・決定権を有してきました。しかし法案は、教授会を実質的な諮問機関とし、学長によるトップダウンの大学運営を確立しようとしています。また経営協議会の学外委員を「二分の一以上」から「過半数」とし、学内の意向を軽視した大学運営を行おうとしています。
 かつて教授会は、教員ばかりでなく職員、一部では学生の代表も参加し意思決定を行っていました。しかし今日では教員は非常勤講師や任期教員・技術員等に分断され、実質的な教員の多くが教授会から疎外され、学問の自由や大学の自治からは遠い存在となりました。大学職員も近年はこの傾向が強まり、教員・職員・学生ら大学関係者の多くが大学の運営から排除され、この傾向は急速に拡大しました。その悪しき集大成が今回の学校教育法改正案と推測されます。この法案が成立すれば、大学の教育・研究に関する意思決定から、ほぼすべての実質的大学関係者が締め出されるという、異常な状況が国家によって強制されるのです。これは、見逃すことのできない憂慮すべき事態です。
 1997年、第29回ユネスコ総会において「高等教育教員の地位に関する勧告」が採択されましたが、そのⅢ基本原則の8において「高等教育教員を代表する組織は、教育の発展に大いに貢献することができる力並びに第三者及び他の利害関係を有する者と共に高等教育政策の決定に関与すべき力としてみなされ及び認められるべきである」と明記されています。しかし日本では、ほとんどの利害関係者がこの改正によって学内行政から実質的に排除されるのです。日本国憲法98条2項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とありますが、それに違反しても構わないというのでしょうか。
 私たちは、この法案に断固反対いたします。ユネスコの勧告はいわば確立された国際法規であり、それが主張するように、高等教育教員を代表する組織は、高等教育政策の決定に関与すべき力として認められなければなりません。     
 教授会決定の実態の是非はともかく、話し合いと同意に基づく運営こそが民主主義の基本であり高等教育の理念です。憲法23条が内包する大学の自治がそれを意味することは、ユネスコの勧告が示す通りです。教授会の制限は民主主義の否定であり、強く反対し抗議します。多数の大学関係者による大学の自治・学問の自由を国家の干渉により一方的に制限し、特定の権力者の道具として利用するための法改正は、民主主義のいかなる手続き・正当性にも反するため、絶対に認めることはできません。
以上

鈴鹿医療科学大学教職員組合、「大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明」

■鈴鹿医療科学大学教職員組合
 ∟●「大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明」

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

 4月25日,「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました.学校教育法改正案は,私大教連が危惧した通り,93 条を改悪し,教授会を事実上諮問機関化し,理事長・学長の専断体制を確立する内容です.
 教学権が確立している私立大学では,憲法23 条を活かし,旧国立大学教員における旧教育公務員特例法(旧教育公務員特例法4 条,5 条,6 条)の規定を準用する形で教員の身分を教授会の審議事項として保障してきました.また,カリキュラム編成権も保障してきました.この到達は,もちろん教職員組合の長年の民主化闘争の反映もあります.
 しかし,学校教育法が改悪されれば,私たちにとって看過できない問題が生じます.
 第1に,教授会は,学生の入学・卒業について「意見を述べる」だけとなり,教員人事,カリキュラム編成などに関われなくなります.これまでの学内民主化の到達点が掘り崩され,教員人事権,カリキュラム編成権などが剥奪されます.教授会は,諮問機関となります.
 第2に,私立大学民主化の法的拠り所がなくなります.理事長が学長を兼ね,理事長・学長の専断体制となっている私立大学においては,学内民主化の法的拠り所がなくなります.
 第3に,教員の人事に関わり,いざ訴訟となった時の法的拠り所がなくなります.私たちは,新年度が間近に迫った2 月に突然次年度から教員を職員とすると口頭で告げられた異職種配転事件を経験しました.教授会の頭ごなしの配転です.私たちは93 条をよりどころに,学内闘争を経て裁判にて勝利判決を得ることができました.93 条が正しいからこその勝利です.悪法がまかり通れば裁判での正義の実現は不可能となります.
 第4に,学生や事務職員の意見や声も届かなくなることです.教授会が諮問機関にされた大学では,学長による上意下達の強権的な大学運営となり,学生や事務職員の意見が反映されることは考えられません.
 私たちは,政府が,国会において徹底した審議を行い,「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めるものです.

以上

2014 年6月11 日
鈴鹿医療科学大学教職員組合執行委員会

(朝日新聞社説)大学改革 知の多様性を守れるか

朝日新聞(2014年6月16日)

 大学にトップダウンはなじむのか。この改革案は大学本来の強みを損ないかねない。

 大学でのものごとの決め方を改める法案が、国会で審議されている。これまで教授会は、重要事項を審議する役割を担ってきた。これを、学長が必要と思うときに意見を聴く諮問機関に位置づけを変える。

 大学は少子化で学生が減る危機に加え、新興国を含めた国際競争にもさらされる。安倍首相は「世界トップ100に10大学以上」を成長戦略に掲げた。

 生き残るには、特色が要る。

 お金と人を呼べる研究・教育への特化を進めたい。

 選択と集中によって短時間で成果を出せる大学にしたい。

 だから、各学部の発言力が強く、決定に時間もかかる仕組みをやめ、すいすいと結論を出せるようにしようというのだ。

 しかし大学というものは、ひとの気づかないことを提案するのが大切な仕事だ。みんなが考える余裕のないことを、引き受けて考える仕事ともいえる。

 それには、多彩な知のサンプルを取りそろえておく必要がある。今ここにある需要だけで学問の品ぞろえをしたら、間違える。長い目で見ると、かえって社会に貢献できなくなる。

 たとえば秋田大の伝統である鉱山学は長く斜陽だったが、都市鉱山や資源外交で再び注目され、国際資源学部の創設に発展した。商売にならないものは切るような大学だったら、再生の芽は摘まれていた。人文や社会科学にも、社会に“セカンドオピニオン”を提供するという、金額に直せない役割がある。

 世の中も学問も複雑になっている。どんなに優れたリーダーも、一人で全分野を見通して判断するのは容易でない。

 改革案は、かえって学長を孤立させかねない。発言力を奪われた教授陣は、全学の運営に関心を失う。学長は多角的な意見を拾えなくなる。そうして、判断を誤るリスクが高まる。

 学部タテ割りの弊害は改善すべきだが、今の制度でもできることだ。げんに、全学のテーマを討論する学部横断型の組織をつくっている大学は多い。

 責任と権限をはっきりさせる利点もなくはない。小さな単科大学が学長の強い統率力で成長した例もある。しかし、それが大きな総合大学に通用するかといえば、あつれきを生むだけに終わるかもしれない。

 大学の性質によって、それぞれ最適な意思決定の仕組みは違うはずだ。一律に学長主導を制度化しなくていい。右向け右は大学に最も似合わない。


2014年06月13日

高知大学教職員組合、「学校教育法と国立大学法人法の改正に反対します」

高知大学教職員組合
 ∟●こぶし、第10号(2014年6月10日)

学校教育法と国立大学法人法の改正に反対します。

高知大学教職員組合中央執行委員会


 「ミッションの再定義」にさいしては、高知大学も、国の政策にそって徹底的にひきずりまわされることになりました。「独立行政法人」の「独立」はもはや幻でさえなく、国の政策によって自由にひきずりまわされるための「独立」でしかなくなっています。
 ご存知のように、学校教育法と国立大学法人法の改正の審議が 5 月 22 日に衆議院で審議がスタートしました。教授会の権限の限定とひきかえに学長の権限を拡大させることが趣旨の改正です。国の政策によって自由にひきずりまわされている大学の現状を考えると、学長の権限の強化は、国が学長をとおしてさらに自由に大学をひきずりまわすための制度整備と言わないわけにゆきません。研究や教育の自由が失われたら大学は大学でなくなります。私たちは学校教育法と国立大学法人法の改正に反対します。

2014年06月12日

大学評価学会、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める

大学評価学会
 ∟●「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める

2014年6月11日 大学評価学会理事会


 今国会に提出されている「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の審議は、会期末を控えて大詰めを迎えている。この改正案の趣旨は「大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人の学長選考の透明化等を図るための措置を講ずる」等とされている。

 本学会は、2004 年に設立された。設立大会で採択した「もう一つの『大学評価』宣言」において、「これまで狭い専門の領域に閉じこもりがちであった教育・研究者と事務職員、そして大学が、自らの主体性を確立し、学問の自由と大学の自治の現実的・具体的担い手となるために、大学評価に関する議論を行うことは避けて通れない課題となっている」とし、また、「高等教育機関は、政府や産業界など特定の者のためだけに存在するのではありません。公共的な存在として、すべての市民のために存在しているのです。学生たちの学びの成果は彼ら自身の成果であるだけでなく、社会全体の貴重な成果として認識されなければなりません。このような視点から、大学評価の基本に、学生の発達保障が明確に位置づけられる必要があるでしょう」と述べている。
 本学会は設立以来、大学が抱える諸問題を踏まえつつ大学評価の在り方に関する議論を積み重ねてきた。このような立場からすると、この改正案の内容は日本の大学が抱えている問題点や困難を改善することに資するものではなく、かえって大学の状況を悪くするものとなることを危惧する。

1. 大学は設置形態を問わず公の性格を有しており、学術の自由な発展と基本的人権である教育権(学習権)を保障するために存在している。大学関係者は、学問の自由と教育権(学習権)を保障し、一人一人の学生たちの発達保障を実現する任務を深く自覚し、社会的責任を果たさねばならない。
2. 一方、「国立大学改革プラン」「ミッションの再定義」「機能強化」に加えて、国公私立を問わず、種々の大学評価や強引な予算削減・予算誘導によって、グローバル化・イノベーション創出・学生の質保証などを強く迫る政策が展開されている。また経済界はこれらを強力に要求している。
3. 教職員は、研究業績づくり、大学評価や予算獲得のための書類づくり等に日々追われ、学生と向き合う時間や余裕を奪われている。教育権(学習権)保障や学生の発達保障に向けて、真剣かつ真摯に論議し合う意欲さえ失いつつある。今必要なことは、教授会の権限縮減ではなく、むしろ教授会が大学全体に責任を持つことを自覚しその機能を充実させることである。
4. 長引く不況と低賃金の下で、学生たちの家庭は生活が圧迫されている。学生たち自身もまた、高学費やローン型奨学金の下でアルバイトを余儀なくされ、成績評価値 GPA のアップなどのスペック(品質性能保証)競争に追い込まれている。学生たちが安心して学べる支援と、大学運営や授業改善に参画する営みが広がってほしい。
5. 大学は教職員だけでなく学生を含め全構成員によって(附属機関や非常勤雇用を含む)、教育・研究の発展が取り組まれるべき組織体である。そのトップである学長には、経営的手腕のみでなく、学内構成員の十分な合意形成を図ることができるリーダーシップと大学の在り方に関する深い見識、大学構成員からの厚い信頼が求められる。そのためにも、学長は大学構成員の総意に基づいて選任される手続きが必要なのである。
6. 以上のようなことから、大学には営利を目的とする私企業とは異なった、教育と研究の本質に基づく大学の運営と経営の原理が適用されなければならない。しかるに、「法律案」は、高等教育機関としての特質を顧みることなく、学長のもとに上意下達をすすめる組織として、大学のありようを劇的に変えてしまうとものである。こうした大学は政府と経済界が執拗に要求している姿である。

 他の学会や教授会などの声明でも、日本国憲法で保障される「学問の自由」や、ユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」に示された国際社会の認識の到達点からして、「法律案」が重大な問題点を有していることへの危惧が表明されている。本学会理事会はこれらの危惧に同意する。また、本学会の研究対象とする大学評価はよりよい大学をめざすものであり、この点からみて、本改正案は上記に示した問題点のあることを強く指摘しておきたい。
 大学評価学会理事会は、市民の教育権(学習権)並びに学生の発達保障を担うにふさわしい高等教育機関づくりをめざす立場から、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求めここに声明する。

2014年06月11日

「大学のガバナンス改革」を推進する学校教育法・国立大学法人法の「改正」

法学館憲法研究所
 ∟●「大学のガバナンス改革」を推進する学校教育法・国立大学法人法の「改正」

「大学のガバナンス改革」を推進する学校教育法・国立大学法人法の「改正」

2014年6月9日

中嶋哲彦さん(名古屋大学教授)

■国策大学化への道
 政府は今国会に「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を提出している。6月1日現在、衆議院で審議中だ。この法改正は、大学自治の基盤である教授会の権限縮小、学長の権限強化、大学運営に対する政府及び学外有力者の影響力強化などを内容とし、これによって「学長のリーダーシップ」を確立し「大学のガバナンス改革」を加速させるというものだ。
 しかし、教授会及びその構成員を大学の管理運営から排除し、学長に権限を集中することで大学改革を推進するとの発想は、大学というものへの無理解の告白に等しい。学長の学問的・社会的権威とリーダーシップは、大学における高度で総合的な教育研究を基盤とするもので、それは教授会メンバーそれぞれの学問研究とその成果としての教育活動の上に成り立っている。このため、学長のリーダーシップは教授会メンバーの学問研究を基盤とし、かつその自発的同意がなければ成立しないのだ。これを否定してかかったのでは、大学の活力の源泉である学問の自由を掘り崩し、大学における教育研究に取り返しのつかない打撃を与えかねない。
 また、「大学のガバナンス改革」は、「グローバル化の進展の中で国際的な大学間競争が激化しており、我が国の大学の国際競争力を高め、高度な教育研究を行い、グローバル人材を育成する拠点として世界の大学と伍していくためには、戦略性を持って大学をマネジメントする」(中教審)必要があるとの考えから出発している。これは、日本経済団体連合会「イノベーション創出に向けた国立大学の改革について」(2013年12月17日)や、経済同友会「大学評価制度の新段階-有為な人材の育成のために好循環サイクルの構築を-」(2013年4月3日)などの要求に即応するものだ。これでは、教育研究を通じて社会全体の利益に奉仕すべき大学を、特定の経済的利益に奉仕する国策大学におとしめてしまいかねない。

■教授会自治の否定
 学校教育法改正の問題点は第一に、大学自治の要である教授会の形骸化を企図していることだ。
 学校教育法第93条は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」と定め、大学の管理運営の重要事項の審議決定に関して、どのような事項が重要事項に該当するかを含めて、教授会には包括的な権限を付与している。
 ところが、政府は被用者である教授会構成員が大学の管理運営の中核的役割を担うことは適切ではないとして、教授会から重要事項の審議権、すなわち実質的な決定権を剥奪しようとしている。改正案では、学生の入学・卒業の決定や教育研究の重要事項に関して、学長・学部長が教授会の意見を聴く必要があると判断した事項についてのみ、教授会として審議し意見を述べることができるとしている。
 このため、改正案がそのまま可決成立すると、教授会は、学長・部局長・教員の採用・昇任、教育課程編、教育研究費配分などの重要事項に関与できなくなってしまう。これは歴史的に形成され、国際的に承認された大学自治の原理を否定するものである。

■学内の支持と信頼を欠いた学長の選考
 国立大学法人法改正案の目的は、第一に、教授会の意向に基づかずまた尊重することさえなく国立大学の学長を選考できるようにすることにある。
 このため、委員の半数を学外者で構成する学長選考会議に学長選考の基準を定める権 限を与え、その基準に則って学長を選考しなければならないとしている。現在、多くの国立大学で実施されている大学構成員の意向投票等を廃止し、学長選考会議主導で学長選考を行えるようにしようとするものである。
 政府は、この改正を「学長のリーダーシップ」を確立するためと説明しているが、学内の意向を無視して選考され、 学内の支持と信頼を欠いた学長にリーダーシップを期待することは困難である。

■政府・経済界による国立大学支配
 国立大学法人法改正の目的は第二に、国立大学法人に置かれている経営協議会の委員の過半数を学外委員にし、政府や経済界の意思に従順な国立大学法人を作ることにある。改正法案では、国立大学法人や大学共同利用機関法人の経営協議会について、その委員の過半数を学外者としなければならないとしている。
 これが法制化されれば、大企業の経営者や地元自治体の首長などが国立大学法人の経営 に関して主導権を握ることが予想される。教育研究を通じて広く国民全体の利益のために奉仕することを使命とする国立大学法人が、一部の利益に奉仕させられることになりかねない。
 中教審は時の政府の意向に従うことでのみ、国立大学法人は国民の意向に沿い、またその利益に奉仕できると主張する。しかし、大学は本来、時の政治権力の意向に追随することなく、学問の自由に基づき、教育研究の目的・内容を自ら自主的・主体的に探求することを通じてこそ、真に国民の利益に奉仕することができるはずだ。

◆中嶋哲彦(なかじま てつひこ)さんのプロフィール

 1955年、名古屋市生まれ。
 名古屋大学大学院教育発達科学研究科 教授。博士(教育学)。
 専門は教育行政学、教育法学。
 名古屋大学法学部卒業、同大学院教育学研究科博士・後期課程単位等認定退学。
 久留米大学講師・助教授を経て、1998年名古屋大学。
 2000年10月~2007年9月、犬山市教育委員。
 2009年7月から、全国大学高専教職員組合(全大教)中央執行委員長。
 2010年4月から、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人。
 関連する近著
 「首長主導と国家統制強化の教育委員会制度改革を問う」『現代思想』2014年4月号。
 「教育委員会廃止論を問う──首長主導型の教育改革がもたらすもの」『世界』No.854 (2014年3月号)。
 「『大学の大衆化』と高等教育政策のゆくえ?大学は多すぎる」論から考える?」『世界』No.840 (2013年3月号)。
 『教育の自由と自治の破壊は許しません。―大阪の「教育改革」を超え、どの子も排除しない教育をつくる?』 (かもがわブックレット191、2013年1月)。


大熊利昭衆議院議員(みんなの党)、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問主意書

みんなの党
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問主意書
 ∟●質問主意書原本

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案成立により改正される学校教育法の施行と学長の人事権に関する質問主意書

提出者: 大熊利昭提出日: 2014/06/05
質問主意書

今般、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(以下、「本改正案」)が国会に提出された。本改正案は、大学の意思決定の仕組みを根本的に変更するものであり、わが国の高等教育のあり方に多大な影響を与えかねないばかりか、憲法第二十三条が保障する「学問の自由」にも抵触しかねない重要な問題を包含している。
右を踏まえ、質問する。

一 本改正案成立後の学校教育法(以下、「改正学校教育法」)の施行にあたっては、学長に広範な人事権、すなわち、新規採用教員の選考・任用、既存教員の解雇・配置転換を審議し、決定する権限(以下、「人事権」)を付与するか。

二 「付与する」というものとした場合、このことは、教授会に人事権の一部を引き続き認めることと矛盾するか。

三 「矛盾する」というものとした場合、私立学校法第一条が「私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ」云々と規定していることに鑑みれば、改正学校教育法の執行に際して、私立学校法に抵触するおそれはないか。

四 神戸地裁昭和五十四年十二月二十五日判決、前橋地裁昭和六十三年三月十一日判決、岐阜地裁平成十三年八月十四日判決等、裁判所は、教授会が教員の任免を審議することは、憲法二十三条の「学問の自由」およびそれから派生する「大学の自治」の要請であるとしている。この観点から、改正学校教育法が教授会の人事権を否定する場合、憲法違反のおそれはないか。

五 また、憲法違反ではないとしても、大学は毎年多額の国庫補助を受け入れており、専任教員の数がその算定の根拠のひとつとなっている。よって、国民の税金が適切かつ効果的に使われるためには、教員の任免は常に公平・公正に行われなければならず、人事権者の縁故情実に基づくようなことがあってはならない。本改正案が可決成立した場合、学長に与えられる広範な人事権が濫用されないことは、ガバナンスの観点から、どのように担保されるか。

右質問する。


城西大学教職員組合、大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

2014年6月6日
城西大学教職員組合執行委員会

 4月25日、「学校教育法および国立大学法人の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開催中の第186回国会で審議されています。この法案は、93条を改悪し、教授会を事実上、単なる諮問機関とし、学長の専断的体制を確立させる内容です。学問の自由・発展を支えている大学の自治を根本から突き崩すものです。私たちは、これを絶対に容認することができません。反対する根拠は3点にまとめられます。

1.現在の学校教育法第93条は、「大学の自治」の保障のために、国公私立の別なく「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しています。改正法案は、この学校教育法第 93条を全面的に書きかえています。すなわち、教授会は、「重要な事項審議をする」のではなく、学生の入学・卒業及び課程の修了、学位授与について意見を述べることができ、上記以外の教育課程の編成や教員人事などの重要事項は、原則意見を述べることできるだけの諮問機関となっています。ある大学では、教授会で承認された学生の復学を、学長が認めないということがすでにおきています。
 歴史的に、大学は学問の中心として、時の様々な権力から独立して、学問研究と高等教育を行うための自治権を保障されてきました。これは、大学の自治の欠如が、学問の発展につながらず、結局のところ、国民全体が学問の自由と高等教育を受ける権利を享受できなくなってしまうからです。日本国憲法が保障する学問の自由、またこれを担保する大学の自治を法律上確認してこそ、学問の発展を制度的に支え、期待できるのです。このような大学の自治は国際的にも大学制度の基礎として認められてきました。
 ところが今回の改正法案は、歴史的に積み上げられてきた教授会の自治を踏みにじり、学問の自由を保障する大学自治の原則、戦後わが国の大学が営々と築き上げてきた成果や経験を否定し、大学を権力の支配下に置こうとしています。このことが学問・研究・教育の発展を促進するどころか、逆に妨害・衰退につながるのは明らかです。

2.今回の改正法案は、教授会を諮問機関とすることで、学長権限を強化し、「学長のリーダーシップ」で大学改革が進むことを期待しています。しかし、学長のリーダーシップは本来、外在的に付与されるものではなく、大学構成員の教育・研究を基盤とし、かつ大学構成員からの自発的同意に支持されて成り立ち、その場合にだけ有効に作用するものです。大学の目的と組織原理は、利潤最大化を目的とする企業の組織原理とは決定的に異なります。この理解を欠いた「学長のリーダーシップ」は、まさに学長専権体制でしかありません。
このことは、とりわけ私立大学にとっては死活的に重大な問題を引き起こします。わが国の私立大学は、国公立大学に比して極めて乏しい国庫補助のもとで、学生・保護者の切実な高等教育要求に応えて、学校数の 80%、学生数の 75%を占めるほどに発展を遂げてきました。しかし、理事長による教授会を無視した専断的な運営が行われている大学では、多くの重大な不祥事がおきています。補助金が削減されたり、解散命令のだされた大学もあります。このような私立大学では学長の権限強化は理事長の権限強化につながり、大学の存続を危険にさらしています。

3.大学は「学術の中心」として「高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造」(教育基本法第7条)すること、「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究」(学校教育法第 83 条)することを通じて、社会全体の発展、人類の福祉に寄与するという社会的使命をはたすことが求められています。こうした役割を十分に発揮するために、教育基本法第 7条2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と定めています。私たちは、この規程を尊重し、学校教育法改正法案は廃案にすべきと考えます。


桜花学園教職員組合、大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

桜花学園教職員組合 執行委員会
大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

 本年4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。学校教育法改正案は93条を改悪し、教授会を事実上諮問機関化し、理事長・学長の専断体制を確立する内容です。
 教学権が確立している私立大学では、憲法23条を活かし、旧国立大学教員における旧教育公務員特例法(旧教育公務員特例法4条、5条、6条)の規定を準用する形で教員の身分を教授会の審議事項として保障してきました。また、カリキュラム編成権も保障してきました。この到達は、もちろん教職員組合の長年の民主化闘争の反映もあります。
 しかし、学校教育法が改悪されれば、私たちにとって看過できない問題が生じます。
 第1に、教授会は、学生の入学・卒業について「意見を述べる」だけとなり、教員人事、カリキュラム編成などに関われなくなります。これまでの学内民主化の到達点が掘り崩され、教員人事権、カリキュラム編成権などが剥奪されます。教授会は、諮問機関となります。
 第2に、私立大学民主化の法的拠り所がなくなります。理事長が学長を兼ね、理事長・学長の専断体制となっている私立大学においては、学内民主化の法的拠り所がなくなります。
 第3に、教員の人事に関わり、いざ訴訟となった時の法的拠り所がなくなります。第4に、学生や事務職員の意見や声も届かなくなることです。教授会が諮問機関にされた大学では、学長による上意下達の強権的な大学運営となり、学生や事務職員の意見が反映されることは考えられません。
 私たちは、政府が、国会において徹底した審議を行い、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めるものです。
 教授会自治を破壊し学長・理事長による専断的な大学運営を正当化する学校教育法の改悪に反対します。

以 上

2014年6月5日
桜花学園教職員組合執行委員会

学校教育法・国立大学法人法改悪案、大学自治破壊は財界の要求 競争力強化の人材育成

しんぶん赤旗
 ∟●大学自治破壊は財界の要求 競争力強化の人材育成

大学自治破壊は財界の要求
競争力強化の人材育成


 国会で審議中の学校教育法と国立大学法人法の改悪案。大学の自治を壊す法案が、だれの求めに応えて出てきたものなのか、改めてみてみると―。

 「当初は省令で明らかにすることを考えていたが、さまざまな意見をうかがうなかで、法律を改正することが最も重要であるとの認識に至った」

 下村博文文科相は6日の衆院文部科学委員会でこうのべ、法律改定を提案した経過について語りました。

 大学の運営について中央教育審議会の大学分科会では、教授会権限の制限を盛り込みましたが、省令と法律のどちらで行うかで意見が分かれました。まとめでは「所要の法令改正を行う」とするにとどまりました。

 それは、「自分で決めていくのが基本的な大学のあり方だ」「法律で教授会はこういう仕事以外はやってはいけないと書くことは、大学を大学でなくしてしまう」など法改正に反対する強い意見が相次いだからです。

 これに対して、法改定を強く求めたのが財界出身者らです。

教授会の役割

 経済同友会終身幹事の北城恪太郎・国際基督教大学理事長は「省令の改正でなく法律を変えて、教授会は決議機関ではないということを明確にしていただいた方が大きな意識改革になる」(昨年12月13日)と再三、主張。中教審とりまとめ案が示された同24日にも、「下村大臣の力で改正をぜひ実現していただきたい」と執ように法改定を求めました。

 北城氏は財界出身の私立大学理事長らと自民党の会合に出席し、法律改定を要求。こうした動きに押されて出された改定案には、大学の重要事項を審議する権限を教授会から奪い、学長の諮問機関に変質させることなどが盛り込まれました。

 この間、財界は競争力強化に貢献する「優秀な人材」を生み出すよう求め、教授会の弱体化と「学長独裁」を求めてきました。

 「教授会で議論する『重要事項』の範囲を学校教育法に限定的なかたちで明記」(経団連・2013年12月)「教授会は、教育・研究に関する学長の諮問機関とする」(経済同友会・12年3月)―。

 さらに経団連は、「世界最高の『研究重点型大学』を形成する必要がある」として「大学の数や規模を見直し、再編・統合を」と主張。「競争原理を導入」するとして運営費交付金の配分見直しや、授業料も上限規制を見直して自由化するよう求めています。

「学長独裁」も

 すでに安倍内閣は、国立大学の再編・統合を視野に入れた「機能別分化」や「年俸制導入」を押しつけています。今回の法案で「学長独裁」をつくり、政府・財界が示す方向に沿った「大学改革」を推進しようというのです。国民のための大学を政府・財界いいなりに変える危険なねらいです。(深山直人)


2014年06月10日

参議院の審議日程は17日・19日の見込み 日本私大教連「学校教育法改正案に対する国会の取り組みについて」(緊急要請)

■学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.16

 学校教育法・国立大学法人法の改正案が、本日の委員会で93条第2項3号の修正案、それ以外の政府案が共産・社民以外の会派の賛成により可決されました。
(概況はメールニュースにて後ほど配信します。)

10日(火)に本会議採決、参議院に送付されます。

現段階での参議院の審議日程は、17日(火)・19日(木)と見込まれています。
以下、今後の取り組みについてご協力をお願いいたします。

<要請①> 緊急院内集会にご参加ください

 日本私大教連と全大教は、この間の国会情勢を踏まえ、参議院審議に向けて下記の通り緊急院内集会を開催することといたしました。
 授業等の業務の関係で参加は容易ではないかと存じますが、出来る限りのご参加をお願いいたします。

 【日時】 6月13日(金)15時~17時
       1時間ほど院内集会ののち議員要請を実施

 【場所】 参議院議員会館B103会議室(有楽町線「永田町駅」が最寄となります)
       *14時30分より議員会館入口で通行証を配布します。

<要請②> 各層から、声明や決議、意見、要望等をお出しください

 メールニュースでお伝えしているように、組合単位、教授会、有志、個人から声明や決議が出されています。現場のリアリティを国会議員に伝えることが、国会審議の内容を決する重要なカギになります。来週いっぱい時間がありますので、引き続きお取り組みのほどよろしくお願いいたします。

<要請③> 「緊急アピール賛同署名」の周知し協力を呼びかけてください。


学校教育法・国立大学法人法改正問題、主戦場は参議院 「参議院審議に向けて、緊急院内集会を開催します!ふるってご参加ください!」

■【日本私大教連】学校教育法等の改悪反対!メールニュースNo.16

参議院審議に向けて、緊急院内集会を開催します!ふるってご参加ください!

○主戦場が参議院に移るに当たり、参議院議員に法改正・法案の問題性を訴え、徹底審議を要請するために、緊急院内集会を開催します。多くのみなさんのご参加を呼びかけます!

【日時】 6月13日(金)15時~17時

      1時間ほど院内集会ののち議員要請をおこないます。

【場所】 参議院議員会館B103会議室(有楽町線「永田町駅」が最寄となります)

      14時30分より会館入口で通行証を配布します

自由法曹団、学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する声明

自由法曹団
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する声明(2014年6月9日)

学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する声明

1 安倍内閣は、2014年4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を国会に提出した。
 同改正案は、現行法では「重要な事項を審議するため」設置され(学校教育法93条)、広く教育研究や大学運営に関する審議権を持っている教授会の役割を、①学生の入学、卒業及び課程の修了、②学位の授与、③教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるものについて「意見を述べる」ことに限定し、さらに、学長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、及び学長等の求めに応じ、「意見を述べることができる」としている。
 また、副学長について「学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」と定め、学長権限を委任されたものとして副学長の役割を強化している。
 さらに、国立大学の経営協議会についても「過半数」を学外者とすることを新たに規定した。
2 以上の通り、改正案は、大学運営と教育研究の両面で教授会が持っていた審議権を奪い、教育研究の領域で意見を述べるだけの諮問機関としての役割に限定するものである。
 このような改正案は、「大学の自治」を制約し、憲法の保障する「学問の自由」に抵触するものであり、許されない。
 そもそも、憲法23条が「学問の自由」を保障したのは、大学が、学術の中心として深く真理を探求することを本質とすることから、時の権力と衝突し、弾圧の対象となってきた歴史があるからである。そして、学問の自由を制度的に担保するために「大学の自治」を保障したのである。
  「大学の自治」の内容は、大学運営と教育研究のいずれにも関わるものであり、相互に密接不可分な関係にある。「大学の自治」の担い手であるべき教授会から大学運営に関する役割を奪うことは、大学の自治に対する制約であり、「学問の自由」に抵触し、許されない。
3 安倍政権は、①戦争をする国のための人材づくりと②世界で一番企業が活動しやすい国のための人材づくりを目指して、教育「改革」を推し進めており、既に、小学校・中学校・高等学校の教育に関しては、地方教育行政に文科相や首長という政治権力が介入することを容易にする地方教育行政法改正案を今国会に提出した。
  「大学の自治」を破壊する学校教育法等の改正案も、大学の教育に関して教育への国

2014年6月9日

自由法曹団
団長 篠原 義仁

学校教育法改悪の国会審議を傍聴に行きました

エルムの森だより
 ∟●学校教育法改悪の国会審議を傍聴に行きました(2014年6月9日)

学校教育法改悪の国会審議を傍聴に行きました

国会審議を傍聴に行った執行委員からの報告です

全大教の要請に応じて国会傍聴行動に参加してきました。

すでに報じられているように、衆議院の委員会では法案を可決し、週明けの本会議で採決、参院に送付する運びとなっています。参院の審議日程はギリギリですが、2日間の委員会審議で会期末までに可決成立されることはできる見通しだそうです。

それから、6日の委員会では、民主・自民・維新・みんなの党から共同提案された修正案が可決されました。この案は、中教審「審議まとめ」が挙げていた、教育課程編成、教員の業績審査の二つを、改正法案における教授会に意見を聞くべき「重要事項」に追加することを求めるものと説明されています。

しかし、条文に具体的な文言はなく、法案の成立後に文部科学省が出す施行通知の中で指示する方式をとることが明らかにされました。「重要事項」の内容を行政解釈に委ねることは望ましいとはいえません。

また、下村文科大臣は、施行通知の内容を検討するために法の成立後、ただちに有識者懇談会を召集するとも述べています。その結果、文科省の息のかかった人間による解釈の基準がつくられ、学長選考会議による学長の業績のチェックなど、法人法に規定のない権力的監視の体制がつくられていくおそれがあります。

それから、改正法案の条文の内容に関する政府参考人の説明にも不明確なところがありました。こうした点を追及していけば、論理的には参院で廃案に追い込むことも不可能ではないと思われます。が、今回、与野党から修正動議が共同提出されたことなどを見ると、法案成立の政治的合意ができている様子でした。


大学自治破壊法案を可決、宮本議員が反対討論

しんぶん赤旗
 ∟●大学自治破壊法案を可決 学校教育・ 国立大法人法 宮本議員が反対討論 衆院委(2014年6月7日)

大学自治破壊法案を可決
学校教育・ 国立大法人法 宮本議員が反対討論 衆院委

 学校教育法と国立大学法人法の改悪案が6日の衆院文部科学委員会で自民、公明、民主、維新、みんななどの賛成多数で可決されました。自民、民主、維新、みんな4党共同の修正案も可決されました。日本共産党の宮本岳志議員は反対討論で「大学自治の土台である教授会を骨抜きにし、学長独断の大学運営を許す大学自治破壊法案だ」「修正案も(教授会の)審議事項を学長が決めることに変わりはない」と批判しました。

 法案は、教授会の審議事項を「学生の入学・卒業」などに限定し、審議権を大きく制約するものです。

 反対討論で宮本氏は、基準を定めて国立大の学長を選考することについて「文科省の方針にそった人しか学長にさせないということだ」と指摘。財界が、産業競争力強化に貢献する人材育成や企業経営の論理を大学に導入することを求めてきたことを示し、「大学を政府と財界いいなりに変える狙いだ」と批判しました。その上で「国がなすべきは自治破壊ではなく、学問の自由を保障し、大学の多様な発展に必要な条件整備を行うことだ」と強調しました。

 採決に先立つ質疑で宮本氏は、経済同友会など財界が、学長のリーダーシップで大学改革を進め、教授会を“意見を聞くだけ”の諮問機関に変更するよう提案していたことを示し、「政府の意図は大学を財界に臨む方向に大改造することだ」と追及。下村博文文科相は「主体的に判断した」と開き直りました。

政府言いなりの学長選任の危険

 6日の衆院文部科学委員会で宮本岳志議員は、国立大学法人法改悪案により、大学で政府いいなりの学長が選任される危険をとりあげました。

 法案は、学外委員が半数を占める学長選考会議が「各大学のミッション(使命・任務)にそった学長像」などの「基準」を定めて学長を選考するとしています。

 宮本議員は、学長選考会議に学外者として文科省出身者が入ることによって、政府方針通りの大学改革を進める人物を学長に据える狙いがあることを追及。現在、学長選考会議に文科省出身者が31国立大学に33人も入っていることが明らかになりました。

 さらに、中央教育審議会(中教審)の安西祐一郎会長が、東北大学につづき、京都大学で学長選考会議の学外委員として、学長選挙廃止を策動していた問題を告発しました。

 安西氏は、昨年6月に京都大学の総長選考会議の議長となり、議事録を非公開にして総長選挙廃止の検討を先導してきました。昨年12月にこのことが明らかとなり、学内外から「大学の自治、民主主義を壊すものだ」と批判が広がり、今年4月に総長選挙の存続が決まりました。

 中教審大学分科会は今年2月に「大学ガバナンス改革の推進について」をとりまとめ、その中で学長選挙について「過度に学内の意見に偏るような選考方法は適切ではない」と敵視しています。

 宮本議員は、安西氏が、政府の方針を先取り的に京都大学に押し付けようとしたのは問題だと追及。これに対し、下村博文文部科学相は「京都大学が自主的に安西氏を総長選考会議の委員に選任したのであり、なんら問題はない」と開き直りました。

 質疑を通して、学長選考会議に入っている文科省出身者によって、政府の方針に沿って国立大学を運営する学長を選ぶように「基準」が定められる危険があることが明瞭となりました。

 (土井誠 党学術・文化委員会事務局次長)


社民党、6月6日文部科学委員会で学校教育法・国立大学法人法改正に反対

民主党衆議院議員・吉川はじめ
 ∟●学校教育法、国立大学法人法改正に反対

 本日の文部科学委員会で学校教育法、国立大学法人法改正案の採決が行われ、学校教育法改正案については修正、国立大学法人法改正案については原案が賛成多数で可決されました。社民党はいずれも反対しました。

 政府提出の学校教育法改正案は、教授会による過度な大学運営への関与が、大学改革を阻害していることを理由に、学長の権限強化を主な内容とするものです。しかし、委員会審議で明らかになったのは、教授会が過度に学校運営に関与しているという事実はなく、法改正をしなければならない立法事実が極めて希薄だということです。

 そもそも、教授会による大学運営への関与を制約する今回の改正案は、憲法23条が定める学問の自由を保障する大学の自治を脅かすものであり、「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と定めた教育基本法第7条2項の精神とも相容れません。

 また、国立大学法人法の改正では、学長の選考にあたって、学内選挙の結果にのみ従って学長を選考している事例は皆無であるにもかかわらず、大学構成員の学長選考への関与を縮小させようとしています。さらに、経営協議会の学外委員が学内委員よりも必ず多くなければならないとした法改正も、大学運営に関して、大学構成員を軽視するものと言わざるを得ません。

 国立大学法人については、独立行政法人化から10年を迎え、大学運営交付金の額が当初よりも1割近く減少し、外部資金や競争的資金の獲得競争で大学間格差が拡大しています。また、大学の教職員は、評価書の作成等の膨大な事務作業に追われていると指摘されています。喫緊に取り組むべきは、学長の権限を高めるためのガバナンス改革ではなく、独法化以後の10年を検証し、大学間格差や教職員の多忙化の現状をどう解消していくかにあるのではないでしょうか。

 今回の法改正によって、権限を強められた学長が、目先の結果にとらわれ、利益のみを追求する企業や経営側が望む研究や教育分野に偏重することになれば、大学教育の多様性が失われ、結果として日本全体の学術研究のレベルを低下させることにつながりかねません。以上が、政府提出の2法案に反対する理由です。

 90年代半ばに、難問中の難問と言われたフェルマーの最終予想(※a^n+b^n=c^nでnが2より大きい自然数のとき、a、b、cは自然数解を持たない)を証明したアンドリュー・ワイルズ氏は数年にわたって秘密裏に研究を行い、その間、学会や国際会議にほとんど参加せず、論文も必要最小限しか発表しませんでした。その苦闘については『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン著)に詳しく書かれていますが、こんな偉大な研究者は今回の改正でますます日本では生まれづらくなってしまいます。


2014年06月09日

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」、6月6日衆議院文科委員会にて,一部修正のうえ可決。

衆議院TVインターネット審議中継 2014年6月6日 (金):文部科学委員会 (3時間16分)

自民党,民主党,公明党,みんなの党の4党による「共同修正案」が提出。この修正案が可決。

修正案
施行通知案

案件:
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(186国会閣80)

発言者一覧

説明・質疑者等(発言順): 開始時間 所要時間
 小渕優子(文部科学委員長)  9時 00分  01分
 笠浩史(民主党・無所属クラブ)  9時 00分  03分
 馳浩(自由民主党)  9時 03分  10分
 稲津久(公明党)  9時 13分  09分
 細野豪志(民主党・無所属クラブ)  9時 22分  20分
 鈴木望(日本維新の会)  9時 42分  19分
 柏倉祐司(みんなの党)  10時 01分  23分
 井出庸生(結いの党)  10時 24分  21分
 宮本岳志(日本共産党)  10時 45分  29分
 青木愛(生活の党)  11時 14分  18分
 吉川元(社会民主党・市民連合)  11時 32分  31分
 宮本岳志(日本共産党)  12時 03分  03分
 吉川元(社会民主党・市民連合)  12時 06分  04分
 笠浩史(民主党・無所属クラブ)  12時 10分  03分

答弁者等

議員(発言順):
 萩生田光一(自由民主党)
大臣等(建制順):
 下村博文(文部科学大臣 教育再生担当 東京オリンピック・パラリンピック担当)


東北大学職員組合、声明「学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します」

東北大学職員組合
 ∟●声明「学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します」

学校教育法・国立大学法人法の一部改正案に反対します

 私たち東北大学職員組合は、2014 年 4 月 25 日に閣議決定された「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案には、重大な問題点と危険性があると考えます。
 本法案は、「大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進する」ことを目的とし、教授会の審議事項を制限してこれを諮問機関化する等、学長の権限を著しく強化する内容となっています。
 教授会の役割については、学長が決定を行う際にもしくは学長の求めに応じて「意見を述べることができる」程度のものと位置づけられています。これは、これまで大学自治の主体としてその運営を担ってきた教授会の役割を著しく矮小化するものです。このことによって、教授会から教職員や研究科長・研究所長等の実質的人事権が完全に剥奪されることが想定され、到底受け入れられるものではありません。
 学長の選考方法については、学長選考会議が定める基準により行われるものとされ、大学構成員による意向投票は「あくまで参考」(中教審大学分科会・審議まとめ)という位置付けです。私たちは、民主的な選考プロセスを重視することが、創造的で円滑な大学運営にとって必要であると考えます。
 経営協議会の構成員については、学外委員を「過半数」とすることが明記されています。大学の運営・意思決定における学内構成員の意向を軽視するものであり、学長選考方法の問題と同様に、学内構成員が主体的に大学運営に関わることを排除しようとするものです。

 大学自治は、憲法に明記された学問の自由(第 23 条)を制度的に保障するものであり、大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするもので、伝統的に教授その他の研究者の組織(教授会ないし評議会)がこれを担い、学長・教授その他の研究者の人事の自治はその重要な内容とされています。
 教授会から人事権等を奪い、学長選考から構成員の意向を排除し、大学運営に学外者を多用する内容である本法案は、大学自治を実質的かつ完全に葬り去るものであると言わざるを得ません。学長および学長選考会議委員という極少数の者のみが学内行政の主体となり、それ以外の大学構成員を「被治者」としてしまう組織に「学問研究の自由」「研究成果発表の自由」「教授の自由」の守護者たることを期待することは到底不可能であり、これはもはや「大学の死」にほかなりません。

 2004 年の法人化以降、国立大学運営費交付金の削減が続き、本学においても各部局は恒常的な窮乏状態におかれていますが、一方で総長には権限が集中し、総長裁量経費も膨張しており、現在でさえ、各部局は総長に対してものが言えない状況に陥っています。極端なトップダウン体制は混乱と疲弊を激化させ、その皺寄せは現場の教職員と院生・学生に押し付けられます。研究教育においても大学運営においても、それぞれの組織と構成員が主体的に判断してこそ、大学は活性化し、学生主体の教育や自由な発想に基づく研究が展開されます。「大学運営における学長のリーダーシップ」はそれを支えるものであるべきです。
 私たち東北大学職員組合は、本法案に強く反対するとともに、大学が国民の共有財産であることを自覚し、東北大学が自主的に改革と研究の発展、教育の充実を進めていくために尽力することをあらためて表明します。

2014年6月6日

東北大学職員組合執行委員会

東海圏大学非常勤講師組合、学校教育法改正案に断固として反対します

東海圏大学非常勤講師組合

衆議院文教科学委員 各位

2014年5月17日
東海圏大学非常勤講師組合
執行委員会

学校教育法改正案に断固として反対します

 文部科学委員の皆さま。日頃より私たち国民のためにご尽力いただき、誠にありがとうございます。
 4月25日に「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定され国会に提出されたことをうかがいました。しかしながらこの改正には大きな疑問があります。それは、現行学校教育法93条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させるということです。
 教授会は、憲法第23条が定める「学問の自由」から導き出される「大学の自治」を担う機関として、これまで教育・研究に関する重要な事項についての審議・決定権を有してきました。しかし法案は、教授会を実質的な諮問機関とし、学長によるトップダウンの大学運営を確立しようとしています。また経営協議会の学外委員を「2分の1以上」から「過半数」とし、学内の意向を軽視した大学運営を行おうとしています。
 かつて教授会は、教員ばかりでなく職員、一部では学生の代表も参加し意思決定を行っていました。しかし今日では教員は非常勤講師や任期教員・技術員等に分断され、実質的な教員の多くが教授会から疎外され、学問の自由や大学の自治からは遠い存在となりました。大学職員も近年はこの傾向が強まり、教員・職員・学生ら大学関係者の多くが大学の運営から排除され、この傾向は急速に拡大しました。その悪しき集大成が今回の学校教育法改正案と推測されます。この法案が成立すれば、大学の教育・研究に関する意思決定から、ほぼすべての実質的大学関係者が締め出されるという、異常な状況が国家によって強制されるのです。これは、見逃すことのできない憂慮すべき事態です。
 1997年、第29回ユネスコ総会において「高等教育教員の地位に関する勧告」が採択されましたが、そのⅢ基本原則の8において「高等教育教員を代表する組織は、教育の発展に大いに貢献することができる力並びに第三者及び他の利害関係を有する者と共に高等教育政策の決定に関与すべき力としてみなされ及び認められるべきである」と明記されています。しかし日本では、ほとんどの利害関係者がこの改正によって学内行政から実質的に排除されるのです。日本国憲法98条2項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とありますが、それに違反しても構わないというのでしょうか。
 私たちは、この法案の撤回を断固要求します。ユネスコの勧告はいわば確立された国際法規であり、それが主張するように、高等教育教員を代表する組織は、高等教育政策の決定に関与すべき力として認められなければなりません。
 教授会決定の実態の是非はともかく、話し合いと同意に基づく運営こそが民主主義の基本であり高等教育の理念です。憲法23条が内包する大学の自治がそれを意味することは、ユネスコの勧告が示す通りです。教授会の制限は民主主義の否定であり、強く反対し抗議します。多数の大学関係者による大学の自治・学問の自由を国家の干渉により一方的に制限し、特定の権力者の道具として利用するための法改正は、民主主義のいかなる手続き・正当性にも反するため、絶対に認めることはできません。

以上

「学校教育法の改正反対」 大分大でシンポジウム

大分合同新聞(2014年6月5日)

 衆議院で審議中の学校教育法の改正案に反対する大分大学教員の有志が4日、「高等教育に不可欠な学問の自由や大学の自治を奪いさる恐れがある」として、大分市の同大学付属図書館で問題を考えるシンポジウムを開いた。
 石井まこと経済学部教授(社会政策)らが呼び掛け、大学関係者ら52人が参加。経済学部の青野篤准教授(憲法学)が改正案について▽大学の教授会を審議決定機関から諮問機関に格下げする▽学長選考は選考会議に選考基準の策定権を与える―という内容を説明した。
 学長のリーダーシップを強めて大学改革を促すことなどが狙いとみられるが、青野准教授らが「教授会の弱体化が基本的な性格。大学運営は教職員らの意思によって、研究内容の決定などが自主的に行われることが国民の利益につながると国際的にも考え方が確立されている」と主張した。
 意見交換では「利益を生む研究や人材育成などを目指すのだろうが教育機関にその仕組みを持ち込めばひずみが生まれる」「学長が権力を乱用し始めたら歯止めがきかなくなる」などの意見が出た。
 最後に「大学『改革』の名のもとに高等教育の本質を崩壊させてしまう学校教育法改正案に反対の意思を強く表明する」とした声明を採択した。

2014年06月06日

6月4日衆院文部科学委員会、学校教育法と国立大学法人法の改定案について参考人質疑

しんぶん赤旗(2014年6月5日)

大学改悪法案 「学長の思い通りに」
衆院委 宮本氏質問に参考人

 衆院文部科学委員会は4日、学校教育法と国立大学法人法の改定案について参考人質疑を行いました。池内了名古屋大学名誉教授が「教授会をおとなしくさせ、学長の思い通りに運営できる条件を整える意図がある」と法案の狙いを指摘。日本共産党の宮本岳志議員が質問しました。

 意見陳述で、池内氏は、今回の法案で大学運営に関する教授会の関与を縮小すれば「教員はバラバラになり、大学一体で教育や研究、地域貢献する情熱を失う危険性が高い」と懸念を表明。教員や職員、学生、院生など大学を構成するすべての人が立場に応じた責任範囲で、大学の自治を担うことがやりがいをつくると訴えました。

 教授会の役割に関わる法案の規定について、「学長が求めなければ意見を述べることができなくなる」と指摘。多様な意見を排除することで学長の権限を強めるようでは、「大学の自治、学問の自由が守られるか心配だ」と述べました。

 宮本氏は、法案の背景にある大企業・財界の要望について質問。池内氏は、大学が専門学校化しているとし、「つくるべき人材を忘れ、手っ取り早く使える人間をつくる。これでは学問が死に絶える」と述べました。

 また、宮本氏が「本当に国際的に通用する大学には何が必要か」と尋ねたのに対し、池内氏は返還不要な奨学金などをあげ、「力が発揮できる条件が整えば、人が集まる」「アルバイトが必要な学生をつくるべきではない」と語りました。


2014年06月04日

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」、国会審議情報 6月4日(水)の審議日程

■日本私大教連書記局、学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.14(2014.6.2)

国会審議情報―6月4日(水)の審議日程が確定しました。

【参考人質疑】
9時~9時30分 参考人の意見陳述(各10分)
・平野 俊夫(国立大学法人大阪大学総長)
・田中 愛治(早稲田大学理事、早稲田大学政治経済学術院教授)
・池内 了 (名古屋大学名誉教授)


【参考人に対する質疑】参考人に対する質疑
神山佐市(自民) 9:30~ 9:45
菊田真紀子(民主) 9:45~10:00
三宅 博(維新) 10:00~10:15
稲津 久(公明) 10:15~10:30
柏倉祐司(みんな) 10:30~10:45
井出庸生(結い) 10:45~11:00
宮本岳志(共産) 11:00~11:15
青木 愛(生活) 11:15~11:30
吉川 元(社民) 11:30~11:45

【質疑】
宮内秀樹(自民) 13:00~13:20
中野洋昌(公明) 13:20~13:40
細野豪志(民主) 13:40~14:15
鈴木 望(維新) 14:15~14:50
柏倉祐司(みんな) 14:50~15:05
青木 愛(生活) 15:05~15:35
吉川 元(社民) 15:35~16:00


九州私大教連、教授会自治を否定する学校教育法改悪に反対します

■九州私大教連

教授会自治を否定する学校教育法改悪に反対します

2014年5月27日
九州私大教連執行委員会

1.政府・文部省は、産業競争力強化のために「大学のガバナンス改革を推進する」として、「大学の自治」の中心的な担い手である教授会機能を制限する学校教育法改正案を国会提出しました。しかし以下に見るように、この学校教育法改正法案は、日本国憲法が保障する「学問の自由」とこれを担保する「大学の自治」を根底から突き崩すものであるため、私たちは、これを絶対に容認することができません。

2.現在の学校教育法第93条は、「大学の自治」の保障のために、国公私立の別なく「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しています。改正法案は、この学校教育法第 93条を全面的に書き換えています。すなわち、教授会は、「重要な事項審議する」のではなく、学生の入学・卒業及び課程の修了、学位授与について意見を述べることができ、上記以外の教育課程の編成や教員人事などの重要事項は、原則意見を述べることできるだけの諮問機関となっています。
 歴史的に、大学は学問の中心として、時の様々な権力から独立して、学問研究と高等教育を行うための自治権を保障されてきました。これは、大学の自治の欠如が、学問の発展に決してつながらず、結局のところ、国民全体が学問の自由と高等教育を受ける権利を享受できなくなってしまうからにほかなりません。このことは、わが国の歴史的経験に照らして明らかです。学校教育法が大学に重要な事項を審議するために教授会を置くと定めているのは、日本国憲法が保障する学問の自由、またこれを担保する大学の自治を法律上確認し、このことを通じて学問の発展を制度的に支え、期待するものだといえます。また、このような大学の自治は国際的にも大学制度の基礎として認められてきました。
 ところが今回の改正法案は、歴史的に積み上げられてきた教授会の自治を踏みにじり、学問の自由を保障する大学自治の原則、戦後わが国の大学が営々と築き上げてきた成果や経験を否定し、大学を権力の支配下に置こうとしています。このことが学問・研究・教育の発展を促進するどころか、逆に衰退につながるのは明らかです。

3.今回の改正法案は、教授会権限を制限することで、学長権限を相対的に強化すし、「学長のリーダーシップ」で大学改革が進むこと期待しています。しかし、学長のリーダーシップは本来、外在的に付与されるものではなく、大学構成員の教育・研究を基盤とし、かつ大学構成員からの自発的同意に支持されて成り立ち、その場合にだけ有効に作用するものです。大学の目的と組織原理は、利潤最大化を目的とする企業の組織原理とは決定的に異なります。この理解を欠いた「学長のリーダーシップ」は大学にとっては学長専権体制の別名でしかありません。
このことは、とりわけ私立大学にとっては死活的に重大な問題を生起させることになります。わが国の私立大学は、国公立大学に比して極めて乏しい国庫補助のもとで、学生・保護者の切実な高等教育要求に応えて、学校数の 80%、学生数の 75%を占めるほどに発展を遂げてきました。しかしながら、一部の私立大学では、理事会による教授会を無視した専断的な運営が行われ、そのことに起因する不祥事が後を絶ちません。このような私立大学では学長の権限強化は理事長・理事会の権限強化につながらざるをえません。2013年 3月に文部科学大臣の解散命令を受けた群馬県の学校法人では、理事長・学長に権限を集中させて教授会を無視した専断的な大学運営・学校法人運営を続けてきたことにより、社会的信頼を失墜させ経営破たんに至ったことが明らかになっています。
私立大学における教育・研究の質を向上させるためには、教授会自治を尊重した民主的な大学運営の確立が不可欠です。教授会の権限を縮小させる学校教育法改正法案は、私立大学の専断的運営にいっそう拍車をかけ、私立大学の教育・研究の発展を阻害するものにほかなりません。

4.大学は「学術の中心」として「高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造」(教育基本法第7条)すること、「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究」(学校教育法第 83 条)することを通じて、社会全体の発展、人類の福祉に寄与するという社会的使命を果たすことが求められています。こうした役割を十分に発揮するために、教育基本法第 7条2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と定めています。私たちは、この規程を尊重し、学校教育法改正法案は廃案すべきと考えます。


2014年06月03日

愛知学院大学教職員組合、大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

■愛知学院大学教職員組合

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

 4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。学校教育法改正案は、私大教連が危惧した通り、93条を改悪し、教授会を事実上諮問機関化し、理事長・学長の専断体制を確立する内容です。
 この改悪案は、産業界の意向を反映したものであり、産業界における一部経営者によるトップダウン方式が教育・研究にも有効であるという認識に立ったものであるといえるでしょう。しかしながら、教育・研究という営みは、金銭的利潤の追求という単純な目的を持つ産業界における経営活動とは全く異なります。それは金銭を遙かに超えた、複雑かつ多様な価値を生み出す営みであり、そこには産業界の経営方式は通用しません。
 教育・研究という営みは、完成形や正解のないものであり、常に前段階の成果を検証しつつ、ときにはそれを否定して積み上げられていくものです。当然ながら、その営みは一部の者の考えや方法によって規制されるべきものではありませんし、また、そのような規制があれば潰えてしまうものです。従って、特定の価値観や意向をもつ経営者が、こうした常に変化する営みを専制的に運営し続けることは論理的に不可能であり、こうした強引な運営の結果生まれるものは、バイアスのかかった限定的な成果でしかないでしょう。こうした成果は、本来の教育・研究の成果と呼べるものではありません。
 つまり、今回の改悪による大学運営案は原理的に誤っているわけであり、教育・研究の「改革」をうたいながら、その実、それを「破壊」するものとなっていると言わざるを得ません。もし、政府が本当に力強く発展する日本を目指すのであれば、それは、教育・研究をゆがめるのではなく、自由に発展させることによってこそ実現できるものです。今回の改悪がなされれば、この自由という観点から、教育・研究にとって看過できない次のような具体的問題が生じます。
 第1に、教授会は、学生の入学・卒業について「意見を述べる」だけとなり、教員人事、カリキュラム編成などに関われなくなります。これまでの学内民主化の到達点が掘り崩され、教員人事権、カリキュラム編成権などが剥奪されます。教授会は、諮問機関となります。
 第2に、私立大学民主化の法的拠り所がなくなります。理事長が学長を兼ね、理事長・学長の専断体制となっている私立大学においては、学内民主化の法的拠り所がなくなります。
 第3に、教員の人事に関わり、いざ訴訟となった時の法的拠り所がなくなります。
 第4に、学生や事務職員の意見や声も届かなくなることです。教授会が諮問機関にされた大学では、学長による上意下達の強権的な大学運営となり、学生や事務職員の意見が反映されることは考えられません。
 以上の理由から、政府が、国会において徹底した審議を行い、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めます。

2014年5月29日
愛知学院大学教職員組合執行委員長
河野敏宏

東海地区私大教連、大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

東海地区私立大学教職員組合連
 ∟●未掲載

大学の自治を破壊する学校教育法改悪に反対する声明

 4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。学校教育法改正案は、私大教連が危惧した通り、93条を改悪し、教授会を事実上諮問機関化し、理事長・学長の専断体制を確立する内容です。
 教学権が確立している私立大学では、憲法23条を活かし、旧国立大学教員における旧教育公務員特例法(旧教育公務員特例法4条、5条、6条)の規定を準用する形で教員の身分を教授会の審議事項として保障してきました。また、カリキュラム編成権も保障してきました。この到達は、もちろん教職員組合の長年の民主化闘争の反映もあります。
 しかし、学校教育法が改悪されれば、私たちにとって看過できない問題が生じます。第1に、教授会は、学生の入学・卒業について「意見を述べる」だけとなり、教員人事、カリキュラム編成などに関われなくなります。これまでの学内民主化の到達点が掘り崩され、教員人事権、カリキュラム編成権などが剥奪されます。教授会は、諮問機関となります。
 第2に、私立大学民主化の法的拠り所がなくなります。理事長が学長を兼ね、理事長・学長の専断体制となっている私立大学においては、学内民主化の法的拠り所がなくなります。
 第3に、教員の人事に関わり、いざ訴訟となった時の法的拠り所がなくなります。 
 第4に、学生や事務職員の意見や声も届かなくなることです。教授会が諮問機関にされた大学では、学長による上意下達の強権的な大学運営となり、学生や事務職員の意見が反映されることは考えられません。
 私たちは、政府が、国会において徹底した審議を行い、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めるものです。

以上

2014年5月29日
東海地区私立大学教職員組合連合執行委員会

北海道大学教職員組合、声明「学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する」

北海道大学教職員組合
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する

学校教育法及び国立大学法人法の改悪に反対する


現在開催中の第 186 回国会に、去る 4 月 25 日「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」(内閣提出法案第 80 号。以下、改正案と称する)が提出され、現在審議中である。同改正案は、次の各点で現行の学校教育法及び国立大学法人法の改悪に当たると我々は判断する。すなわち、
 1.改正案は、現行の学校教育法第 93 条の改正として、学長の権限を大幅に強化する一方、教授会の権限を大幅に縮小しようとしている。この改正は、憲法第 23 条で保障されている学問の自由を実質あるものとするために不可欠なものである、大学の自治を、大幅に損ないかねない。
 2.改正案は、「学長選考会議が定める基準」という表現を使用して、学長選考に関する基準は学長選考会議が定めるのだと明文化することによって、学長選考に関して現在多くの大学で行なわれている意向投票等の民主的な慣行は学長選考において無視されてよい、ということへの法的な裏づけを与えようとするものであり、大学の自治との関連で重要な、大学における民主的な雰囲気を大きく損なうものである。
 3.改正案は、国立大学法人法第 20 条に従って設置されている経営評議会の委員の過半数が当該国立大学法人の役職員以外の者でなければならないとしており、大学経営における大学関係者・当事者の意向にそぐわない経営に道を開きかねない。
 そもそも今回の改正案は、具体的にどのような事情から法改正が必要とされるかという点(いわゆる立法事実)が学問的分析に基づいて明確にされることのないまま、もっぱら産業界からの要請・圧力に従った形で出てきており、科学性を欠いている。北海道大学の現状に照らしても、今回の改正が必要だとは考えられない。企業と同様にトップダウン方式の経営体制を強めることが、果たして大学という、本来的に多様な関心に基づいてそれぞれの部門が多様な動きを示すべき組織体にとって、適合的かどうかは、極めて不確かである。多くの場合、大学は、営利を旨とする企業が担えないことをこそ担うのが自らの使命であり、その場合、その組織原理が企業の組織原理と異ならざるをえないのは自明だからである。企業と異なるものである大学のあり方を真摯に考えた結果だとは到底言いがたい今回の改正案が、法律となって実施されることは、将来の日本社会に対して多大な禍根を残す可能性が否定できない。
 以上に鑑みて、我々は今回の改正案に反対する。

2014年5月28日
北海道大学教職員組合執行委員会

大学あり方考える、若手研究者シンポ

しんぶん赤旗(2014年6月2日)

 国会で審議中の学校教育法・国立大学法人法改悪案の問題点と大学改革のゆくえを考えるシンポジウム「これからの大学を考える」が5月31日、東京都内で開かれ、若手研究者・大学院生、市民120人が参加しました。主催は若手大学研究者らでつくる実行委員会など。

 同法改悪案の背景と問題点を報告した大河内泰樹一橋大学准教授は、大学改革と安倍政権の経済政策、財界の要請との強い関連性を指摘し、批判。「これを機に大学の自治、学問の自由とは何かをはじめ、民主主義社会を構成する市民を形成する場としての大学のあり方を考えることも必要」と語りました。

 國分功一郎高崎経済大学准教授と白井聡文化学園大学助教が対談。白井氏は「本当の知性の探求と大学が分離し始めている」とのべ、國分氏は「ガバナンス改革」が大学に押し付けられているとして「ガバナンスは本来、民主主義的な手続きがあったほうが効率よく進められる」と話しました。

 参加者からは「大学改革にあたっては、そもそもの大学の存在意義を考えるべきではないか」などの意見が出されました。


2014年06月02日

全国大学院生協議会、声明「学校教育法の改定案および国立大学法人法の改正案の廃案を要求する」

全国大学院生協議会
 ∟●まだネット上で未掲載

〈声明〉学校教育法の改定案および国立大学法人法の改正案の廃案を要求する


2014 年 5 月 31 日 全国大学院生協議会事務局


 安倍内閣は 4 月 25 日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。法案は、現行学校教育法第 93 条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するにあたり」「意見を述べる」だけの諮問機関に変質させるものです。加えて、「意見を述べる事項」を「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に限定し、その他、教育研究費の配分、教員の業績評価・教員採用などの人事、学部長の選任、カリキュラムの編成や学部・学科の設置・廃止などについては、「教育研究に関する重要事項で、学長が教授会の意見を聴く必要があると認めるもの」として学長の裁量に一切を委ね、大学の教育・研究活動における教授会の役割を根底から覆そうとしています。

 国立大学法人法改定案では、学長決定権の全てをごく少数の者からなる学長選考会議に与えようとしています。かつての国立大学における学長選挙が改廃され、意向投票制度としてのみ残された現行の学長選考に対する大学構成員の権限が、学長選考に関する第 12 条7 項に「学長選考会議が定める基準により」という文言が付加されることでさらに縮小・消滅する方向へ改定されようとしています。さらに、第 20 条 3 項の「国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関」たる経営協議会の委員における学外者の数が、現行の「二分の一以上」から「過半数」に変更されようとしています。これは「経営に関する重要事項」について、その帰趨を学外者に委ねるものです。

 本法案は教員集団の専門性と民主制を尊重し、真理の探究と社会の発展に寄与すべき大学の本来的なあり方を否定するものです。大学の教育・研究は、真理探究に向かう関心・熱意と研究・教育対象それ自身が提起する内発的課題に取り組む大学構成員の総体として成立します。したがって、教職員の信頼と活力を欠いたままでは、学長は真のリーダーシップを発揮することはできません。

 わが国においては戦後、憲法第 23 条に規定された「学問の自由」のもとで「大学の自治」を保障するために、学校教育法第 93 条の教授会規定が設けられました。大学の自治は、「大学の学長は教授そのほかの研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」ことを含むと最高裁によって判示されています。全院協は、教授自治はもちろんのこと、大学自治が教授自治のみならず、大学院生を含む全構成員自治の理想を追求すべきだと考えます。

 全院協は、法案に断固反対し、法案がもつ危険性、すなわち真理を学び・研究する権利を侵害すること、そして日本における私たち次世代の研究者・教育者育成に深刻な影響を与えるという危険性、を広く国民と共有し、国会審議を通じてこの法案を廃案にさせるために運動します。その過程において、大学の自治が全構成員自治の理想を追求すべきであること、学問の自由を守るためには大学自治を根幹とする大学制度が必要であることについて、改めて大学の内外で広く議論を深めるとともに、大学が国民の共有の財産であることを自覚し、そのために力を尽くすことをあわせて宣言します。


札幌学院大学教職員有志、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

全国国公私立大学の事件情報
 ∟●札幌学院大学教職員有志声明

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

札幌学院大学教職員有志
共同代表  経済学部教授 片山一義
同上    法学部教授 家田愛子
   同上    法学部教授 神谷章生
同上 社会情報学部教授 小内純子

 現在,「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が国会に提出され,審議が進められている。私たち札幌学院大学教員有志は,本改正案が以下に述べる理由により,憲法が保障する「学問の自由」「大学の自治」を破壊するものと考え,廃案を求める。
 教育基本法改正案は,①92条4項で副学長の役割に,学長の「命を受け、校務をつかさどる」を追加したこと,②93条において,教授会を「必置」から単に「置く」にとどめ(同1項),教授会の役割を「重要な事項を審議する」から「学長が」「決定を行うに当たり意見を述べる」に変更する。そして意見を述べる「事項」については「一 学生の入学、卒業及び課程の修了 二 学位の授与 三 教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」の三項目に限定した(同2項)。
 これまで,わが国においては,国家権力及び私的経営者による「金銭の支配力」への対抗手段として「学問の自由」が憲法によって規定され,それを制度的に保障するものとして①設置者(学校法人の理事会などの機関)の解雇権からの自由,②研究・教育事項(何をいかなる方法で,どのように教えるかなど教育研究内容)に関する自主決定権(設置者・雇主の業務命令,職務命令からの自由),③大学,研究機関の財政自治権という3つ権利内容が重視された。すなわち「大学の自治」,その中心となる教授会自治の保障がそれである。現行学校教育法93条が,大学において教授会を必置機関とし,「重要な事項」を審議すべきと定めた理由もそこにある。そして,「重要な事項」の中には,当然ながら上記「学問の自由」を制度的に保障する教員の人事権,教育研究全般に関わる学校経営事項,予算の審議等の事項が含まれると解釈され,その結果,実際多くの大学でも,人事権を含むこの種の「重要」な事項が教授会審議事項と定められ,運用されてきた。
 今国会提出の学校教育法改正案は,教授会を「必置」機関から外し,単なる意見聴取機関に変容させるもので,学長の独断決定を可能とする大学運営の改変を狙いとする。このようなユネスコ「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」にも反するような,教授会自治の破壊,「学問の自由」を完全否定する上記法案に対して,われわれは廃案を強く求めるものである。

2014年5月31日


日本科学者会議、声明「学校教育法等の「改正」に反対し、科学・技術の健全な発展と、大学の自治を保障する政策への転換を求める」

日本科学者会議
 ∟●学校教育法等の「改正」に反対し、科学・技術の健全な発展と、大学の自治を保障する政策への転換を求める

学校教育法等の「改正」に反対し、科学・技術の健全な発展と、
大学の自治を保障する政策への転換を求める


 日本の大学や研究機関は、1990 年代後半から政府・文部科学省が進めてきた高等教育政策・科学技術政策による資金の選択的重点投下によって、大きな格差とゆがみが生まれている。国立大学と国立研究機関は法人化によって、財政基盤はますます窮乏化している。私立大学においても、私立学校振興費の削減により教育・研究のみならず経営の継続が大きな困難に直面している。公立大学も、設置自治体における政争の具にされるなど、その教育研究基盤が危機にさらされている。

 設置形態を問わず、教員・研究者は過度の競争的環境に追い込まれ、外部資金や科研費等の競争的資金の獲得、外部および内部の評価、評価に対応した組織改編などの業務に忙殺され、教育・研究に必要な時間を確保できず、学生の教育や次代を担う若手研究者の養成に支障をきたしている。

 大学は、直ちに成果につながり、企業の要求に合致するような研究と人材供給に重点が置かれるようになってしまった。本来大学とは、すぐに成果につながらないような基礎的研究や、長期観測等を伴う研究をも継続できる機関である。そのために分野によって著しく異なる教育・研究の方法を十分把握して、実態に合わせた評価と組織運営が必要である。にもかかわらず、短期的成果だけを重視した画一的評価・運営が行われている。

 特に過酷な状況にあるのが若手研究者である。任期付きの不安定な雇用条件のもとで、多くは使い捨ての状態に置かれており、生活にも困難をきたし、長期的展望を持った研究や、独創的な研究を行うことが不可能な状況に追い込まれている。学部学生にとっても、受益者負担主義による世界最高水準の学費と給付奨学金制度の不在が、就学の重い負担となっている。

 研究の世界に過度の競争を持ち込み、研究者および研究機関を異常な業績主義に追い込んでいる現状は科学・技術の健全な発達とは相容れない状況であり、研究の世界に不正を持ち込む原因を作り出している。

 開会中の第 186 通常国会に提出された学校教育法及び国立大学法人法の「改正」法案は、教授会を諮問機関化し、教授会から人事権を剥奪し、学長の選任についても大学構成員の意見を排除しようとするものである。日本国憲法が定める「学問の自由」を保障するための「大学の自治」の根幹にかかわる重大な改悪である。政治権力による大学自治・大学運営への重大な介入で、決して許すことのできないものである。

 このような事態は、学術の総合的発展に大きな障害を招き、これまで培ってきた我が国の学術と教育の体制が根こそぎ破壊される恐れがある。大学・研究機関の外からのトップダウン的な「改革」の強行は、高等教育および学術研究体制を、壊滅的な状況に追いやることになろう。

 現在のような学術研究体制の悲惨な状況から抜け出すためには、基盤的経費の増額による財政的基盤の大幅な強化、人員制限の柔軟化などによる研究環境の向上、学術研究の本質を生かす方向への評価システムの改善、教育・研究における過度の競争の是正など、科学・技策を大きく転換する必要がある。日本科学者会議は、その実現を強く求めて行動する。

2014年5月25日
日本科学者会議第45回定期大会

2014年06月01日

徳島大学教職員労働組合、「大学から活力とイノベーティブな精神を奪う学校教育法改正に反対する声明」

徳島大学教職員労働組合

大学から活力とイノベーティブな精神を奪う学校教育法改正に反対する声明

 去る4 月25 日、政府は学校教育法並びに国立大学法人法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。学校教育法改正のポイントは、大学運営に対する学長トップダウン体制を確立するため、教授会の審議事項を制限して学長の諮問機関化する点にあります。また、国立大学法人法改正のポイントは、学長選考会議に学長選考基準策定権を与える点、経営協議会の学外委員を「過半数」とすることで、学内構成員の意向を軽視した大学運営を行いやすくする点にあります。いずれの改正案も、研究教育に対する現場の教職員の意見を排除し、政府-学長による強権的な独裁体制に教職員を隷従させ、政府の意向に沿った教育と研究を強要することを目的としていると言わざるを得ません。

 政府が目指す「大学改革」のキーワードは「グローバル人材育成」と「イノベーション」です。これらは一見するとよいことのようですが、要するに「グローバル人材育成」とはグローバル企業の即戦力となる人材の育成であり、「イノベーション」とは、iPS 細胞など政府が重要だと考える分野での産業応用のための技術開発ということです。こうした狭い見地に縛られれば、大学における研究教育は多様性を失い衰退を余儀なくされることは間違いありませんが、そうした反対意見を封じることが結局のところ今回の法改正の目的ではないかと思われるのです。

 現在、大学では政府に言われるまでもなく、よりよい市民を育成し、科学研究を推進させるために真摯な取り組みを行っています。「グローバル化への対応」や「学問上のイノベーション」も取り組み課題の一つです。もちろんそうした取り組みに対して否定的な態度を取る教職員もおりますが、それは批判的精神の現れであり、さらには合意形成がまだ不十分であることを意味します。

 今回の改正案は、大学の自治を奪うことで、自主的自発的に真摯な努力を惜しまず働いている大学人を、「言われたことだけをする立場」に貶め、大学人から研究教育に対する主体的な取り組みへのモチベーションを奪うものです。その結果、大学の研究教育機能は大幅に低下し、政府が目指すグローバル化への対応もできず、イノベーションも起こせない大学になってしまうことが予想されます。

 学問におけるイノベーションは従来学説への批判から起こります。つまりそれは、「政府の命令に服従する姿勢」とは正反対の、批判的精神からのみ起こるのです。軍隊さながらのトップダウンによる組織運営を大学に持ち込もうとすることは、研究教育の実情を知らず人間精神の本性への洞察を欠く愚者の選択と言うほかありません。

 安倍晋三首相は5 月6 日、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会の基調演説で、大学について、「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」などと発言しました。

 これが首相の「大学観」なのでしょうが、さまざまな業種、企業に通用する実践的でかつ普遍的な「職業教育」などというものは存在しません。社会生活に役立つ能力として大学で育成することができ、また育成すべきことは、創造性につながる「批判的思考力」をおいて他にはありません。ある特定の業種、企業に必要な知識や技能は個別的なもので、その業種や企業でしか教育することのできないものですから、大学がそれらを一括して肩代わりすることなど不可能です。

 そもそも、民主主義国家が大学を税金で設置し教育を行うことの意義は、営利に向かないが人類の普遍的価値に寄与する学術研究を推進し、あるいは民主主義社会を構成する市民に必須の能力を育成することにあります。民主政治を衆愚政治に陥らせないためには、市民は、健全な批判的精神と対話的理性を持っていなくてはなりません。

 こうした目的を担う高等教育は、私企業の利益のために利用されるべきものではありません。私企業の利益のための教育は、私企業が自らのコストで行えばよく、またそうする以外のよい方法はないのです。これまで日本企業は従業員のリストラと非正規従業員への置き換えを進めてきた結果、人材育成能力を失いつつあります。しかしそれは企業運営の失敗であって、大学がその後始末をするいわれはありません。

 大学人や学生から主体性を奪い、命令に服従する人間を育てようとする今回の改正案が成立すれば、日本全体から活力とイノベーティブな精神が失われ、今後何十年にも及ぶ大きな禍根を残すことになります。教育本来の意義に立ち返り、主体的に思考する精神を育成するための自由で民主的な大学を取り戻さなくてはなりません。国会が今回の改正案を廃案とし、研究教育の実情と人間精神の本性への洞察にもとづく賢明な大学政策が実現されることを期待します。


学校教育法「改正」に反対する立命館教職員有志声明

■立命館大学教職員組合ニュース,No.26(2014年5月28日)

学校教育法「改正」に反対する立命館教職員有志声明
―反対署名へのご協力をお願いします―

 本年4月25日、大学学長のリーダーシップを強化するための学校教育法「改正」案が閣議決定され、今国会に提出されました。報道によれば、その内容は、学部長やその他の教員人事を含む大学の重要事項の決定権限が学長にあることを明記する一方で、現在「重要な事項を審議する」(学校教育法93条1項)ものとされている学部教授会は、「学生の入学、募集、卒業、修了、学位授与」について、その他大学学長が必要と認めた場合に「学長に意見を述べる」だけの学長の諮問機関とすることを規定しています。予算を含む大学経営には教授会の意向はほとんど反映されない内容になっています。

 既に「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」をはじめとするいくつかの団体が反対声明で表明しているとおり、この「改正」案は、日本国憲法23条にいう「学問の自由」を制度的に保障する大学自治の根幹としての教授会自治を破壊するものです。大学は、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」(学校教育法83条1項)とされますが、まさにこの目的のために、大学は、国家権力や社会の諸勢力の圧力に抗して自律的に運営されなければなりません。この「改正」案が通れば、日本の学問研究の水準は後退を余儀なくされます。しかし、影響はそれだけにとどまりません。

 私たちが働く立命館大学は、「平和と民主主義」を教学理念として掲げ、教授会自治を中核としつつ、そこに学生や職員の参加の要素をも取り入れた「全構成員自治」による大学運営を発展させてきました。今日、立命館大学は、他に先駆けて様々な教育改革を成し遂げてきたことで知られますが、それは、教育の現場における諸課題を全学課題として明確に位置づけ、大学の全構成員を巻き込んだ旺盛な議論を積み重ねることによって初めて可能となったのです。つまり、立命館大学の改革は「全構成員自治」を基盤として初めて可能であったのです。しかし、近年、立命館大学の経営者は、「全構成員自治」の諸原則を踏みにじってトップダウン的に「改革」を断行してきました。その結果、立命館大学の教育改革は停滞を余儀なくされただけでなく、財政の健全性さえ危ぶまれています。

 私たち立命館大学の教職員にとって、教授会自治を根幹とする大学の自治は、教育改革を前進させるためにこそ必要なのです。ところが、今回の学校教育法「改正」案は、立命館大学における近年のトップダウン的「改革」にお墨付きを与えることになります。

 私たちは、「全構成員自治」を維持・発展させる立場から、今回の学校教育法「改正」案に断固反対し、「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」による署名活動に全面的に協力します。

 事態は切迫しています。まだ署名をお済みでない方は、「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」のサイト(http://hp47.webnode.jp/)にて早急に署名していただくよう切にお願いする次第です。


立命館教職員組合連合、「教授会の権限を無力化し、大学執行部の専断体制を強要する学校教育法改悪に反対する決議」

■立命館大学教職員組合ニュース,No.26(2014年5月28日)

立命館教職員組合連合 第39回定期大会 特別決議

教授会の権限を無力化し、大学執行部の専断体制を強要する、
学校教育法改悪に反対する決議

 安倍内閣は4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。この法案に含まれる学校教育法の「改正」は端的に言って、大学の運営に関する教授会の権限を全く無力にして、大学における民主主義的意思決定を破壊しようとするものです。

 現行学校教育法93条は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しており、大学の自治の中核的な要素として教授会を位置付けています。これに対し、「改正」案は、大学の意思決定権者が学長であることを前提にして、その「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関として教授会を位置付けています。しかも、「意見を述べる事項」を「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に限定し、その他については意見を聞くこと自体を学長の裁量に委ねています。法案はまた、現行法が「学長の職務を助ける」(92条4項)と定める副学長についても「学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」として学長の下命権を明文化し、学長権限を強化しようとしています。

 教授会は、憲法23条が定める「学問の自由」を保障する「大学の自治」の根幹を担う機関として、教育課程の編成、予算、採用・昇任等の教員人事、学部長の選考、学生の身分等の教育・研究に関する重要な事項について、実質的な審議・決定権を有してきました。これに対し法案は、教授会を諮問機関に格下げし、教育・研究活動の現場における主体的な参加の権限と責任を奪うことによって、学長による上意下達の強権的な大学運営を確立しようとするものです。このような組織原理は、研究者の自由な研究や、それに基づく真理の探究と社会の発展に寄与する大学とは、無縁であるどころか、深刻に矛盾するものです。

 教授会の諮問機関化や学長・学部長選挙の廃止を強硬に主張してきたのは、経済同友会をはじめとする財界です。財界は、財界主導の「大学改革」が進んでいないいらだちから、その「敵」として、教授会をはじめとする大学の民主的な運営に照準を合わせています。今回の学校教育法「改正」案は、こうした財界の意向に追随して、教職員不在、学生不在、国民不在の「大学改革」を学長のトップダウンによって「迅速に」実行させるものにほかなりません。

 第39回立命館大学教職員組合連合大会は、以上のように大学の民主的組織原理を根本的に破壊する学校教育法「改正」に反対します。                                     

 以上


学校教育法改正案、「政府の意向を強要」 徳大労組が廃案訴え

■毎日新聞(2014年05月30日 地方版)

 大学学長の権限強化を柱とした学校教育法などの改正案が国会に提出されたことを受け、徳島大教職員労組(石田三千雄委員長)が29日、県庁で記者会見し、「現場の教職員の意見を排除し、政府の意向に沿った教育と研究を強要するものだ」などとする声明を出して廃案を訴えた。

 改正案は学長のリーダーシップを強めて大学改革を促すのが狙いで、教授会を学長の「諮問機関」的な位置付けにして役割を制限。国立大学法人法の改正案では、大学経営に関する重要事項を審議する「経営協議会」の学外委員を過半数に拡大するなどとしている。

 会見で石田氏(徳島大大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部教授)は「(改正されれば)大学から活力や創造性が奪われ、政府が目指すグローバル化への対応もできず、イノベーション(技術革新)も起こせなくなる」と訴えた。【阿部弘賢】


大学自治壊す学校教育法改悪案、若手研究者の将来奪う 廃案へ関係者らがアピール

しんぶん赤旗(2014年5月31日)

大学自治壊す学校教育法改悪案
若手研究者の将来奪う
廃案へ関係者らがアピール


 大学の研究に携わる准教授、助教、講師などの若手大学関係者有志は30日、学校教育法改悪案の廃案を求めるアピールを出しました。

 国会で審議中の学校教育法改悪案は、大学運営の権限を教授会から学長に集中するものです。さらに政府がすすめる大学「改革」で外国人研究者の雇用を優先する方向を打ち出しているため、若手研究者の雇用拡大につながらない問題が浮かび上がっています。

 アピールは、学長独断の大学運営にする改悪案を批判。改悪を通してすすめられる大学「改革」は「若手研究者に将来安定したポジションで多様な研究を行う希望を奪うものであり、日本における次世代の研究・教育者養成に深刻な影響を与えかねません」と表明しています。

 この日、東京都内で会見した呼びかけ人の一人、大河内泰樹一橋大学准教授は「12日間という短い期間で530人の賛同署名が集まりました。危機感のあらわれです」と発言。斉藤渉東京大学准教授は「学長の判断で、文科省や財界の要求が大学に直接入ってくる。現場は混乱する」とのべました。

 呼びかけ人はほかに、植上一希福岡大学准教授、白井聡文化学園大学助教など31人。

解説

安倍「改革」強行する体制に

 安倍政権の掲げる「大学改革」は、日本の若手研究者の将来に深刻な影響を与えます。

 文部科学省が昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」では、「シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等をすすめる」としています。しかし同「プラン」は、大学の国際ランキングを上げるために外国人教員比率の引き上げを目指しており、外国人教員の雇用が優先されます。若手のポストが増える保証はありません。

 また同「プラン」は大学教員の給与を年俸制にするとします。業績評価で毎年の給与額を決めるもので、いっそうの給与削減と激烈な成果主義競争に教員を追い込むものです。

 これらは、就職難と劣悪な待遇におかれている多くの若手研究者の行き場をさらに奪い、研究環境を悪化させます。

 学校教育法改悪案は、こうした「改革」を強行する体制をつくるものです。教授会の権限を取り上げて、文科省の方針に沿う人物を学長にすえる仕組みにし、学長が強権的に「改革」できる体制をつくります。法改悪で最も被害を受けるのは若手研究者だといっても過言ではありません。

 (党学術文化委員会事務局次長 土井誠)


2014年05月31日

大学人ユニオン「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

労働組合法人大学人ユニオン,「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める声明

2014年5月30日 労働組合法人全国大学人ユニオン執行委員会

 現在、衆議院で「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の審議が行われている。法律案は、「大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人の学長選考の透明化等を図るための措置を講ずる」ことを趣旨としている。

 しかし、「副学長・教授会等の職や組織の規定」の見直しや「国立大学法人の学長選考の透明化」を通じた「ガバナンス改革」は、危機に瀕した日本の大学を死に至らしめる「劇薬」の作用をもつものである。大学は国公私立の設置形態を問わず高い公共性を有しており、そこで働く教職員は国民の教育権(学習権)に対して直接的な責任を負っている。

 したがって、大学には私企業の原理とは全く異なった経営の原理が貫かれなければならない。学生を含め全構成員による「自治」が大学を大学たらしめているのであり、その中核的な役割を果たすのが教授会に他ならない。しかるに、「法律案」は、教授会の審議権をはく奪し、ごく限られた事項に限って学長に対して「意見を述べる」だけの機関にしようとしている。また国立大学の学長を学内構成員(教職員)の意思によって、民主的な手続きを通じて選考することができなくしようとしている。

 ユネスコの「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」では、「自治とは学問の自由が制度という形をとったものであり、高等教育の教育職員及び機関に委ねられた機能の適切な遂行を保障する前提条件である」「加盟国は、いかなる筋による自治への脅威からも、高等教育機関を保護する義務を負う」と規定されている。このような点で、法律案は学問の自由、大学の自治に対する重大な侵害である。

 また、日本国憲法は第23条において「学問の自由は、これを保障する」と規定する。 国公私立の設置形態を問わず適用される学校教育法第93条の規定は、この「学問の自由」を大学という機関において保障するために設けられたものである。日本の大学がさまざまな問題点を抱えていることは事実であるが、その改革は、市民社会とともに大学人自身が主体的に取り組むべきものであり、国家によって強制されるべき筋合いのものではない。

 安倍内閣は「世界で最も企業が活躍しやすい国」をめざすとし、その一環として産業界に奉仕する大学づくりを狙っている。また、東アジアと世界の平和に逆行する「積極的平和主義」を主張するとともに、立憲主義を否定する暴走を進めようとしている。「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」は、そのような新自由主義・新保守主義の動きのなかに位置づけられていることも想起しなければならない。

 以上のようなことから、労働組合法人全国大学人ユニオン執行委員会は、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求め声明する。あわせて、大学関係者ならびに市民社会と連携し、「法律案」の廃案を求めて取り組む決意を表明する。


自民党文部科学部会、日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会

全私学新聞(2014年3月23日号二ュース)

自民党文部科学部会・日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会
3氏が意見表明

佐藤桜美林学園理事長「私学の多様性認めて」
学長選考方法や学長補佐体制などが焦点に

 自由民主党の文部科学部会(丹羽秀樹部会長=衆議院議員)と日本経済再生本部(高市早苗本部長=衆議院議員)は、3月14日、東京・永田町の党本部内で、大学のガバナンス改革に関する合同勉強会を開いた。

 この日は、冒頭、塩崎恭久・日本経済再生本部長代行と丹羽部会長があいさつした後、平野俊夫・大阪大学総長、佐藤東洋士・桜美林学園理事長・桜美林大学総長、北城恪太郎・国際基督教大学理事長(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役、経済同友会終身幹事)の3氏から、大学のガバナンス改革に関する意見を聴取した。

 この中で平野大阪大学総長は、「研究型大学のガバナンス改革に係る大阪大学の取り組み」と題して、〝世界トップ10〟に向けた同大学の取り組みを紹介。

 その上で世界の大学と競争するためには、学長選考会議で選考と解任の理由を明確化し、学長の業績評価の義務化、運営交付金等の一部を学長に配分、ポストの配置権を学長に与えること、学長を支援する専門組織の充実、各国立大学が策定する中期計画期間(現行6年)の延長(10~12年)等を提案した。

 佐藤桜美林学園理事長は、私立大学は建学の精神を有し、大学のガバナンスについても多様な方策・工夫を講じてきており、私立大学におけるガバナンスを国立大学法人と同様に一律に論じることは必ずしも適切ではないものと考えている、とし理解を求めた。

 桜美林大学においては、教員採用等の人事に関しては、学科単位で実質的に進められ、大学を総括すべき立場の学長の意向が全く反映されない状況にあったことから、学長のリーダーシップの下に全学人事委員会を設置し、大学全体を見渡した計画的採用および人事ができるように改善したこと、教授会の審議事項に関しては、教学、すなわち教育活動、研究活動に限ったこととし、大学経営は理事会とするよう整理したことを報告。その上で文部科学省が検討を進めている学校教育法第93条の改正については賛成の意向だと語った。

 北城国際基督教大学理事長は、大学のガバナンス改革について、1月28日、自由民主党の日本経済再生本部・教育再生実行本部合同会議に次ぐ2度目の意見表明となった。その中で北城理事長は、本来、学長や理事会に最終決定権がある事項について直接責任を負う立場にない教授会が意思決定機関として運営されている大学が多く、学長のリーダーシップによる迅速な大学改革を阻害している、と指摘。学校教育法第93条に関しては、「大学には、教育及び研究に関する学長の諮問機関として教授会を置く」と改めるよう提案。国立大学の学長選考に関しては、学外の意向が反映するよう国立大学法人法第12条を改正し、「学長選考会議の委員の数は、経営協議会に所属する学外委員を過半数とする」とし、「学長選考においては、原則として教職員による意向投票は行わないものとする」との方針を文部科学省令で示すよう求めた。

 また、私立大学の学長の選考に関しては、私立大学も国民の税金によって支援されている社会的存在であることから、私立学校法で、ガバナンスの中心である学長の選考方法を定めることについて検討すべきだ、と語った。

 こうした意見表明に対して、出席の議員からは、「外部が正しく、内部が正しくない、という硬直した話ではないだろう。外部の価値観を取り入れることについてはどういうことがいいのか」といった質問が北城理事長に出された。北城理事長は、「外部の人は、社会の変化を大学に伝えるという点で意味がある。学内を変える時に学外の人をてこに使っている例もある」と回答。

 また別の議員からは、「私学には建学の精神があると言われるが、社会的な役割は大きい。何もやらなくていいとは言っていない。私学は、我々にもわかりやすい具体的な(改革)案を出してほしい」との意見も出された。

 さらに平野大阪大学総長は、「学長には人事権がなく、仮に学長の意向を押し切ってやったとしても今の選挙方法ではその学長は消されてしまう。また学長の権限をバックアップする体制も必要。意向投票については、してもしなくてもいい。一つの要因にすぎない」と語った。

 また、佐藤桜美林学園理事長は、「学外の人を入れるとうまくできるかというと、そうではない。多様性を認めてほしい。(私立大学の)活力をなくさないようにしてほしい」と訴えた。

 自民党の文部科学部会と日本経済再生本部は3月19日にも大学のガバナンス改革に関して3人の有識者からヒアリングを行っており、納谷廣美・明治大学学事顧問らが意見表明している。

 両組織では合同でさらにヒアリングを続け、国公私立大学のガバナンスの在り方を検討することにしている。


2014年05月29日

学校教育法改正・国会審議情勢、5月23日衆議院文部科学委員会の速記録

5月23日衆議院文部科学委員会の速記録
http://university.main.jp/blog/bunsyo/20140523monbukagakuiinkaisokkiroku.pdf

この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。

学校教育法改正・5月23日衆議院文部科学委員会情勢、「法案成立すれば改正趣旨に合致しない教授会規程は変えていただく」

■日本私大教連、学校教育法改悪反対メールニュース11

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★「学校教育法改正に反対するアピール署名」を大きく広げてください!

◎「アピール署名をすすめる会」HP http://hp47.webnode.jp/

※5月26日18時00分現在、署名数は5226名(非公表含む)です。多くのメッセージも寄せられています。ぜひご覧ください。

*引き続きメールの転送やツイッターなどで多くの大学教職員、学生、関係者、市民のみなさんにお知らせください!

*日本私大教連HPには署名用紙、リーフレット、声明等を掲載しています。ご活用ください。http://www.jfpu.org/no%20governance%20reform/gakkyohokaiseihanntai.html

★6月4日、6日の委員会審議は最大限の傍聴参加をお願いします!(詳細末尾)

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▼ 衆議院文部科学委員会速報
  ―「法案成立すれば改正趣旨に合致しない教授会規程は変えていただく」

○5月23日(金)13時~16時にかけて学校教育法及び国立大学法人法改正案の委員会審議が行われ、与野党7党の議員が質問を行いました。在京の組合員中心に日本私大教連から11名、全大教から6名が傍聴しました。

○民主・吉田泉議員、結い・井出庸生議員、共産・宮本岳志議員は、私たちの要請を踏まえて、法案の問題性を厳しく追及しました。早くも法案の問題性が浮き彫りにされつつあります。主な質疑の概要を紹介します。

【吉田議員】

・私たちが取り組んでいる「アピール署名」で元総長など錚々たるメンバーが呼びかけ人なっていることを取り上げ、現場の教職員が法改正に大きな懸念を抱いていると紹介。

Q1.法案が中教審「審議まとめ」よりも教授会の役割・権限が大きく後退しているのはなぜか。

A1.「学生の入学・卒業・課程の修了、学位の授与」以外を「意見を聴く」事項から外したのは、大学によって扱いが多様だから。教授会の役割・権限を縮小するものではない。

Q2.「審議まとめ」では「教授会の審議を十分考慮して学長が決定」とあるのを法案では規定していない。

A2.現在も法の拡大解釈により教授会の決定が経営事項にまで及んでいるので、役割を明確化した。

Q3.いちばんの論点は、教授会審議が尊重されず、学長判断の一材料となるのではないかということ。例えば私大の中でもっとも成功している明治大学の教授会規程は11項目について「議決する」と規定している。法改正がされたらこの規定は変更しなければならないのか。

A3.法改正の趣旨を踏まえた規程でなければ違法となる。見直しを期待したい。

Q4.法改正によって国立大学の意向投票の実施の可否はどうなるのか。

A4.意向投票はあくまで参考としてはあり得るが、過度に学内の意見に偏ることは認められない。

【井出議員】

Q1.学長選考過程で意向投票を行うことを否定するのか?

A1.学長選考会議が主体的に選考していないという指摘がある。投票が人気投票になり、改革しようとする学長が落とされる。意向投票で決まるなら、学長選考会議の否定だ。

Q2.選考会議が意向投票の結果を踏まえて決めるとすればよいのか。意向投票を否定することは大学の自主性・自律性の侵害だ。

A2.否定はしない。投票はあくまで参考であるべき。投票結果を追認するのは主体的とは言えない。

Q3.学長のリーダーシップは、学長と教職員が一致して改革を進めるためのリーダーシップであるべきではないか。

A4.それは理想だが、痛みを伴う改革、教授会の利益にならない改革は進まない。推し進めれば次の選挙で落とされるようでは、改革は進まない。

【宮本議員】

・学校教育法制定から、大学の自治が教授会に委ねられてきた経緯を説明させる。

Q1.学校教育法施行規則144条の「学生の退学、転学、留学、休学」を「教授会の意見を聴く」事項から除外したのはなぜか。学長が教授会の意見も聞かずに学生を退学させられるのか。

A1.(高等教育局長は明確な答弁ができず)

Q2.国大法人法案の国会審議の際の政府答弁(教授会が予算や組織など経営的事項も審議)とも改正案は矛盾しているではないか。

A2.教授会の決定権が経営事項に及ぶのは問題だ。

Q3.文科省が中教審に提出した諸外国のガバナンスの資料をみれば、改正案は世界に逆行しているではないか。

A3.都合の良いところばかり取り上げられても…そうではない大学もたくさんある。

※「議事速記録」は明日にも入手できる予定です。すぐに配信しますのでぜひご覧ください。

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▼ 日本私大教連と全大教は26日、公明党のヒアリングを受けました。

○日本私大教連と全大教がこの間、公明党に繰り返し申し入れを行ってきたことにより、公明党の文部科学部会としてのヒアリングが行われました。同部会長の山本香苗参議院議員、戸倉克夫参議院議員が対応、中野洋昌衆議院議員秘書、新妻秀樹参議院議員秘書が同席しました。

○日本私大教連と全大教はそれぞれ、学校教育法改正案、国立大学法人改正案の問題点について見解を述べ、国会での徹底審議と、法改正による現場の混乱を最小限にするよう尽力することをもとめました。

○私たちの要請に対して山本香苗議員は、与党として法案を了承した立場だが最大限の努力をしたいと応え、昨年12月から今年2月にかけて法案検討の過程ですさまじい攻防があったこと、結果として苦肉の策という側面がありつつも相当引き戻したことを説明、改正案が成立した際には施行規則や通知で一定の歯止めをかけるよう引き続き努力することを約束しました。

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▼ 今後の審議日程(現段階で決まっている予定)

○6月4日(水)9時~12時 参考人質疑(関係者から10分意見聴取、各党15分質疑)

 *現段階では、大阪大学・平野総長、「アピール署名」呼びかけ人のお一人である池内了さん(名古屋大学名誉教授)が確定、もう1名が未確定とのことです。

○6月4日(水)13時~3時間程度の質疑

○6月6日(金)9時~3時間程度の質疑ののち、審議打ち切り・採決の可能性

  (参議院の審議時間を確保するとすれば、この日がタイムリミットになる。)

※※※4日、6日は最大の傍聴をお願いします!※※※

2014年05月25日

岐阜大学地域科学部教授会声明「学校教育法の改正案及び国立大学法人法の改正案の廃案を要求します」

岐阜大学地域科学部教授会声明

岐阜大学地域科学部教授会声明
学校教育法の改正案及び国立大学法人法の改正案の廃案を要求します


政府・文部科学省は、学問の自由を侵害し教授会(学部教授会)を基盤とした大学自治を破壊する学校教育法改正と国立大学法人法改正を、今国会で強行しようとしています。我々、岐阜大学地域科学部教授会は、こうした法改正に断固反対し、法改正案の廃案を強く要求します。

(1) 現在の学校教育法第93条は、「大学には」、人事権や予算権を含む「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と明確に定めています。しかし、今回の学校教育法改正案は、この条文を廃止し、教授会の権限を「1、学生の入学、卒業及び課程の修了 2、学位の授与 3、前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」に縮小・制限し、大学自治の重要な一環である教授会自治―――大学の全構成員自治という観点からすれば不十分ですが―――を根幹から否定しています。しかも、教授会が審議する教育研究に関する事項ですら、学長の意見聴取の対象でしかないとしています。こうした法改正は、学科・コースの改廃や教育課程(カリキュラム)の編成の権限、学部予算に関する権限、学部長選考や教員採用・昇任などの人事の権限を教授会から完全に剥奪し、東大ポポロ事件最高裁判決ですらその伝統的な自治を認めた教授会を、学長のたんなる諮問機関とするものです。
なお、今回の法改正の基本を決めた中教審大学分科会の「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(平成 25 年 2 月 12 日)は、教育公務員特例法全体が国立大学法人法の下では適用除外になると明言しており、とくに教特法第3条第3項や第5項で「当該学部の教授会の議に基づき、学長が行う」とした学部の総意を踏まえた学部長選考や教員採用・昇任を廃止する点が、今回の学校教育法改正の主眼となっていることは明白です。

(2) そもそも、自由で民主的な市民(学生)を育成することを使命とする大学に不可欠の学問の自由は、たんなる理念に留まることを許すものではなく、制度的組織的保障があってこそ維持され発展し得るものです。つまり、大学を構成する各学部がどのような教育・研究を組織し、どのような教育者・研究者がどのような運営の下で教育・研究に従事し得るか、といった大学の日常実態の中で、この日常が自由に営まれてこそ実現しうるはずです。そのためには、大学自治の重要な一環をなす教授会自治として、学部組織や学部の予算・人事などの重要事項を審議する権限が教授会になくてはなりません。ですから、学部教授会を学長のたんなる諮問機関にしようとする今回の学校教育法改正は、大学における学問の自由を、ひいてはより善き教育を根幹から破壊するものと言わざるをえません。

(3) また、今回の国立大学法人法改正案では、学長選考に関する第12条第7号に、「学長選考会議が定める基準により」という文言を付加して、学長選考の際に大学構成員の意向を確かめる意向投票制度―――現在、国立大学法人が行っている意向投票制度も、学長選考のための正式の選挙制度の廃止に伴う激変緩和的措置でしかありませんが―――すら廃止し、ごく少数の大学の役職者や学外者からなる学長選考会議に学長決定権の全てを与えて、大学構成員の総意を生かしてこそ可能になる大学の自治を、やはり根底から破壊しようとしています。
 さらには、国立大学法人法の第20条第3号を改正して、「経営協議会の委員の過半数は、前項第3号の委員でなければならない」とし―――これまでの規定は「二分の一以上でなくてはならない」―――、「国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関」たる経営協議会を、学外者(前項第3号の委員)主導の下におこうとしています。この法改正は、財界や権力に近い学外者に「経営に関する重要事項」の帰趨を委ねて、事実上、大学運営の基盤たる経営権を大学から奪い、これまた大学自治の根幹を侵害しようとしており、他方で学校教育法改正や中教審の「審議まとめ」が意図している、学長のリーダーシップ強化にすら相反します。

(4) もとより、今回の学校教育法改正による教授会権限の縮小・制限論が狙っている学長のリーダーシップの強化の目論見も、学長のリーダーシップ強化を上意下達や単純な指揮・命令系統の拡大と見誤っています。学長に限らず、職階上位の者のリーダーシップを真に発揮する上では、大学現場の個々の大学人の声を踏まえ現場の総意を汲むことが必須で、そのためには大学構成員の自治を重視せねばならないはずです。しかし、この点を忘れた今回の教授会権限の縮小・制限論は、また、ガバナンスには<強制>のみならず<同意>という契機が伴わねばならないことを看過しており、管理やさらには<支配>に関する一般論としても誤っているため、真の学長のリーダーシップの確立に至るものではありません。

(5) 戦前の京大滝川事件や東大平賀粛学(*)などに見られた、大学自治・大学人事への国家権力の介入による学問研究の自由の弾圧や治安維持法による思想の自由全般への抑圧と、その間の日中戦争開始から国家総動員法施行などを併せて想起すれば、学問研究の自由の剥奪が如何に恐ろしく悲惨な事態と繋がっているかは明白です。大学における学問の自由と教授会自治を破壊する今回の法改正は、学問の自由全般の否定に直結しており、ひいては思想・信条の自由の剥奪や国民全体の日常への抑圧にすら至りかねません。付言すれば、このように危険な今回の学校教育法及び国立大学法人法の改正案は、教育長の任命権を時々の首長に与えて教育の政治的中立性の否定を目論む法改正の動きなどと同根でして、これらは、大学教育のみならず日本の教育全体を危うくする反動的な政治動向の現われであり、憲法23条に違反し戦後民主主義の善き伝統を破壊するものです。

* 京大滝川事件は、1932~3 年にかけて、京都帝国大学法学部の滝川幸辰教授について、その講演や著書が無政府主義的等々として、時の文部大臣鳩山一郎が小西京大総長に滝川教授の罷免要求をしたことに端を発し、この事態に抗議して辞表を提出した京大法学部全教員の内、滝川教授を含む 6 名が免官とされ、小西総長も辞職に追い込まれた事件。
* 東大平賀粛学は、東京帝国大学経済学部で、国家主義派の土方成美教授と自由主義派でその著書が発禁処分となり文部省から処分を迫られていた河合栄次郎教授との対立に関わって、1939 年に、平賀東大総長が経済学部教授会に諮ることなく独断で、文部大臣荒木貞夫に両教授の休職を喧嘩両成敗の名目で具申し、両派の教授らも辞表を提出した事件。

我々、岐阜大学地域科学部教授会は、このような危険性のある今回の学校教育法及び国立大学法人法の改正案の廃案を強く要求すると共に、全ての大学人のみならず、多くの人々がこの廃案要求に賛同されんことを、強く訴えます。

2014 年 5 月 21 日
第251回 岐阜大学地域科学部教授会

「若手」大学関係者有志による「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める緊急アピール

「若手」大学関係者有志による「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める緊急アピール
同上、署名サイト

「若手」大学関係者有志による「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の廃案を求める緊急アピール

 さきの4月25日、政府は「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。わたしたちは、本改正案は大学における学問・研究の自由を脅かすものであり、さらに若手研究者の将来を破壊しかねないものと考え、廃案を求めます。

 現行の学校教育法第93条は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と定めています。これは、教育並びに研究という教学面のみならず人事や予算など経営面も含んだ大学における意思決定の重要な機関として教授会を位置づけるものと解釈されてきました。ところが本改正案では教授会は「一、学生の入学、卒業及び課程の修了、二、学位の授与、三、前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」について「意見を述べるものとする」とされ、教授会の大学経営に関する権限は奪われ、教学に関わるものについても意見を述べることができるのみで、学長が最終的決定をおこなうものとされています。このように本改正案は教学・経営を問わず大学における意思決定の権限をすべて学長に集中させ、人事、組織改革、教育課程編成など、これまで多くの大学で教授会において審議されてきた事項について、学長が独断で決定することを可能とするものです。
 また、国立大学法人法改正案では、第12条において学長選考会議に学長選考の基準を定める権限を与え、現在国立大学で行われている学長選考意向投票制度をさらに骨抜きにしようとしています。こうした法改正は大学における民主的な意思決定を破壊するものといわざるを得ません。
 さらに、本改正案では同じく国立大学法人法第20条でこれまで「2分の1以上」とされてきた経営協議会の外部委員を「過半数」とするとされていますが、これは結果的に大学の運営を財界人や官僚の意向に従属させることになり、改革の目的とされているはずの学長のリーダーシップさえも損なうものとなりかねません。
 安倍晋三首相はこの5月6日、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会の基調演説で、経済発展とイノベーションのために高等教育改革を行うという立場を明確にしています。さらにそこで安倍首相は「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています」と、大学をはじめとする高等教育研究機関における学術研究を否定するとも受け取れる発言をしています。高等教育の「新たな枠組み」を要請する「社会のニーズ」なるものも、「実践的な、職業教育」を求めるような経済的国際競争力というきわめて狭いニーズでしかありません。しかし高等教育は時の政権による経済政策の道具とされるべきものではありません。
 教育基本法は、日本国憲法23条に定められた学問の自由の理念にのっとり、大学について「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」とし、「自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と定めています(第7条)。しかし今回の法改正が実現し、政府の進める大学改革が進められるならば、大学はもはや真理探求の場ではなくなってしまうでしょう。このような改革が高等教育の質的向上をもたらすものとは考えられず、これまで大学が提供してきた、より広い「教養と専門能力を培う機会」が学生から奪われてしまうことになりかねません。
 加えてわたしたちは、本改正案、ならびにその背後にある大学改革の方向性が、日本の若手研究者の将来に深刻な影響を与えると考えています。
 文部科学省は昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」において、「シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等を進める」としています。しかし、この「プラン」の重点が、大学ランキングの順位を上げるための形式的な「国際化」にあることは明らかであり、研究者としての能力にかかわらず外国人研究者を雇うことが優先されようとしています。このような改革が若手のチャンスを拡大するとはとうてい思えません。
 また、いわゆるポスドクや非常勤講師など、定職に就いていない、あるいは任期付きといった不安定なポジションにある若手研究者は、これまでの大学改革の結果として、将来への大変な不安と競争のプレッシャーにさらされつづけています。そのようななか、十分な訓練を受けられないまま、研究倫理にも欠けた研究者が生み出されつつあるのではないかともいわれています。現在政府が本法改正を通じて進めようとしている大学改革は、国立大学はもとより、日本の高等教育に関わるすべての若手研究者に将来安定したポジションで多様な研究を行うという希望を奪うものであり、日本における次世代の研究・教育者育成に深刻な影響を与えかねません。

 以上の理由により、わたしたちは現在国会に提出されている学校教育法並びに国立大学法人法改正案を廃案とすることを求めます。

2014年5月16日
呼びかけ人(50音順)

安部浩(京都大学・大学院人間・環境学研究科・准教授)
植上一希(福岡大学・人文学部・准教授)
大倉得史(京都大学・大学院人間・環境学研究科・准教授)
大河内泰樹(一橋大学・大学院社会学研究科・准教授)
大屋定晴(北海学園大学・経済学部・准教授)
小椋宗一郎(東海学院大学・人間関係学部・准教授)
小野文生(同志社大学・グローバル地域文化学部・准教授)
菊池恵介(同志社大学・グローバルスタディーズ研究科・准教授)
北村毅(早稲田大学・琉球・沖縄研究所・客員准教授)
神代健彦(京都教育大学・教育学部・講師)
河野真太郎(一橋大学・大学院商学研究科・准教授)
小谷英生(群馬大学・教育学部・講師)
児玉聡(京都大学・大学院文学研究科・准教授)
斉藤渉(東京大学・大学院総合文化研究科・准教授)
澤佳成(東京農工大学・大学院農学研究院・講師)
清水池義治(名寄市立大学・保健福祉学部・講師)
白井聡(文化学園大学・服装学部・助教)
高宮幸一(京都大学・原子炉実験所・准教授)
高山智樹(北九州市立大学・文学部・准教授)
田中真介(京都大学・国際高等教育院・准教授)
多羅尾光徳(東京農工大学・大学院農学研究院・准教授)
中嶋英理(首都大学東京・大学院人文科学研究科・大学院生)
西山雄二(首都大学東京・人文科学研究科・准教授)
平野研(北海学園大学・経済学部・准教授)
藤田尚志(九州産業大学・国際文化学部・准教授)
南出吉祥(岐阜大学・地域科学部・助教)
宮入隆(北海学園大学・経済学部・准教授)
宮﨑裕助(新潟大学・人文学部・准教授)
宮本真也(明治大学・情報コミュニケーション学部・准教授)
森千香子(一橋大学・大学院法学研究科・准教授)
山口裕之(徳島大学・総合科学部・准教授)

2014年05月24日

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案、衆議院本会議の審議状況

衆議院TVインターネット審議中継

<下村文科大臣 法律案の趣旨説明[18:34]>

・学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案の趣旨について

 大学は国力の源泉であり、各大学が人材育成、イノベーションの拠点として、教育研究機能を最大限に発揮していくには、学長のリーダーシップのもとで戦略的に大学を運営できるガバナンス体制の構築が不可欠であり、学長を補佐する体制の強化、大学運営における権限と責任の一致、学長選考の透明化等の改革を行っていくことが重要であります。この法律案は、このような観点から大学の組織および運営体制を整備するため、副学長の職務内容を改めるとともに、教授会の役割を明確化するほか、国立大学法人の学長の選考にかかる規定の整備を行うなどの必要な措置を講ずるものであります。

・法律案の概要の説明

<民主党・細野豪志議員[21:45]>

・安倍政権の基本的性格についての発言
 総理に賛同する人をあつめて押し通す傾向、安保法制懇、NHKなど、
 与野党の協議を経たうえで法案を通すべき

・法案の質問について[25:04]
1.国立大学法人法の付帯決議(衆議院10項目、参議院23項目)の各項目についてついて政府はどのような措置を講じてきたのか、今回の改正案は、この附帯決議をどのように踏まえているのか。

2.今回改正案を提出するにいたった立法事実について明らかにしていただきたい。現在、大学でどのような問題が起こっており、なぜ今改正が必要なのか。例をあげて具体的にお答えいただきたい。

3.学長の権限について。改正案が成立すると学長の権限が大幅に強化されます。仮に学長が暴走したときに歯止めをかける仕組みをどのように規定しているのでしょうか。

4.学長の権限が強化されることを考えると、その人選は極めて重要です。安倍総理のおともだちの学長が増えるのではないか、文科省の甘くだりの官僚が増えるのではないかとの指摘があります。文科大臣から否定していただきたい。

5.教授会の在り方について。改正案では、教授会が意見を述べることができるのは、学生の入学・卒業および課程の修了、学位の授与役割について限定されました。それ以外の教育研究に関する重要な事項は、学長が求めた場合のみ、意見を述べることができるとされているため、学長の運営方針によっては、教授会の形骸化が懸念されます。大学の自治、自主的・自律的な運営の観点からすれば、大学によって教授会の在り方は多様にあって良いと考えます。教授会で多様な意見が出た場合には、時間をかけて合意を形成する努力ことも重要です。必要なのは現場で運用しやすいしくみづくりだと考えます。文科大臣の見解をお伺いします。

6.…安倍政権は教育に関する国の関与を強めています。…省略…今回の学校教育法改正においては、大学に関する国の関与が強まり、大学の自治が脅かされるのではとの懸念の声も上がっています。憲法で保障されている学問の自由を守るため、大学は自治を確立してきました。改正案においては、大学の自治はどのように守られるのでしょうか。

7.奨学金制度の充実について。…省略…児童養護施設だけでなく、生活困窮者家庭や1人親家庭への支援を充実させる必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

質問終[32:20]

<下村文科大臣 答弁[32:55]>

1.これまでも附帯決議の趣旨を十分に踏まえているとおもう。国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、自主的・自律的な運営を確保すること、国立大学法人運営費交付金について、各大学が発展しうるよう必要額を毎年度措置することに努めている。
 今回の法律案については、学長選考会議、経営協議会および教育研究評議会といった国立大学の教育研究を特性を踏まえた制度は維持しつつ、それぞれの機関が役割をより一層適切に発揮できるよう必要な改正事項を盛り込んだものであります。
 さらに教授会についても専門的な観点から、重要な役割を果たすことが求められていることを鑑み、その役割の明確化を図ることとしたものであります。

2.急速な少子化、グローバル化の進展による国際的な大学間の競争に各大学が適切に対応していくためには、予算や定員の再配分や学部再編、組織の見直し等を学長のリーダーシップのもとで進めることが求められます。大学のガバナンスについては、キャンパス移転や、予算の配分等の経営に関する事項まで教授会が関与するなど、権限と責任の在り方が明確でない。教育課程や組織の見直しを行う際に意思決定に時間を要し、迅速な決定ができない。学内の都合が先行し、十分に地域や社会のニーズに応えるような大学運営が行われていないといった課題が指摘されています。このため、今回の法律改正により、学長補佐体制の強化、大学運営における権限と責任の一致、学長選挙の透明化等の改革を行うことにより学長がリーダーシップを発揮しやすい環境の整備を目指すものであります。

3.今回の法律改正は、教授会をはじめとした学内の組織の役割を明確化するものであり、学長に新たに権限を付与するものではないことから、学長の暴走を助長させるものではありません。学長には優れた人物が求められる一方、そのチェックのしくみとして、監事による監査や自己点検評価、認証評価等の評価、理事会や学長選考会議等の学長選考組織による業務執行状況の評価等が、可能となっています。このような仕組みを通じて大学が自主的・民主的な運営を確保することが、可能であると考えております。

4.学長の選考については、法律上、国立大学法人や公立大学法人では、学長選考会議が、私立大学の場合は、学校法人の最高意思決定機関である理事会が、それぞれの権限と責任に基づき責任者を選ぶしくみになっております。今回の改正は、教授会の役割の明確化や国立大学法人の学長選考会議による主体的な選考の促進など、学長がリーダーシップを発揮できるしくみ大学のガバナンス体制の整備を行うものであり、国によって恣意的な学長選任が行われるようになるとのご指摘は当たらないものと考えます。

5.今回の改正案では、教授会が教育研究に関する事項について審議する機関であるということ、決定権者である学長に意見を述べる関係にあること、法律上明確に規定したものであります。学内で合意形成を図り、自主的・自律的な大学運営を行っていくためには、専門的な観点からの教授会からの意見を聴取することは、重要であり、教授会の在り方については、法律の趣旨を踏まえて、学長の判断において、各大学の事情に適した仕組みを採用していただきたいと考えております。

6.大学における学問の自由は、大学における教授その他の研究者の研究と教授の授業を内容とするものであり、この学問の自由を保障するため、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行として大学の自治を尊重していく必要があります。今回の改正は、学長や教授会等の学内の組織について、適切な役割分担の下で責任ある運営を行っていく体制を整備するものであり、大学に対する国の関与を強化するものではなく、また大学の自治が脅かされることもないと考えております。

7.経済的理由により学生が進学を断念することがないよう経済的支援を充実することは重要な課題と認識しております。このため平成26年度予算においては、授業料減免の充実や無利子奨学金の貸与人員の増員を行う等、授業料だけでなく、家賃や生活費についても支援し、安心して大学等に進学できるよう整備をしております。また将来の収入に応じて、所得連動型返還奨学金をはじめ、より効果的な経済的支援の在り方について検討しているところであります。児童養護出身者であれ、生活困窮者であれ、1人親家庭の学生等であれ、経済的に困難な学生が進学を断念することがないよう今後とも学生の経済的支援の一層の充実に努めてまいります。

<維新・鈴木望議員[41:05]>

 大学の実態はどうか。若者のレジャーランドといわれている。勉強をしたい若者は大学に籍を置く傍ら、専門学校や資格の勉強をしている。大学院段階では、欧米に後れをとっている。

1.現在の日本の大学が世界の大学の中でおかれている位置に関連して、大臣の認識をおたずねします。大学において改革が進まない原因は、既得権を享受している人々、具体的には、教授会が決定権限を握っているから。

2.今までの大学のガバナンスの実態はどうであったか。改正で大学のガバナンスはどう変わるのか。学長と教授会の関係は、学長は教授会の中から選ばれ、教授会という意思決定機関の議長のような役割だと認識しておりますが、今回の改正で、どうかわるのでしょうか。

3.学長が執行機関となれば、1人で大学経営全般を自らすることは無理ですから、誰かに権限を委譲しなければならない。その意味で今後は、副学長の役割が飛躍的に重要になると思いますが、副学長は具体的にどうかわるのか。

4.副学長も大学の構成員である教授会や各教授の助けを借りなければいけないと思いますが、その意味で、副学長と教授会や各教授との関係はどうかわるのかお尋ねします。

5.そもそも教授会の役割とはなにか。…省略…大学の役割は、教育と研究です。教授会の自治が歴史的に大きな役割を果たしてきたことも事実です。良き伝統は守らなければならない。一方で、現在の教授会は、…省略…既得権のかたまり。教授会の本来の役割とは何か。今回の改正でどのようにしているのか。教授会は大学の意思決定機関ではないのか。

6.学長の在り方について。学長は民間の会社で言えば社長に相当し、自ら大学を運営していかなければなりません。現在のように大学が増えた状況では、…省略…大学の果たすべき、これから生きていく道筋も千差万別です。割はさまざま。学長には、自分の大学の特徴を認識してもらうため、従来よりも学長の質が問われます。学長はどのように選考されるのか。学長選考会議では、学長選考の基準を定めるとしているが、具体的にどのような基準が定められるのかお尋ねします。

7.経営協議会について。経営協議会を設置することとした当初の目的がどのような理由で達成できなかったのか。そして、なにゆえに今回の改正が必要になったのかをお尋ねします。

8.大学の自治、教授会の自治について。自主的に守ることで学術が進歩してきたことは評価すべき。その上で、懸念事項について質問いたします。 
 ・学長のリーダーシップ、学長の暴走をとめる手立てはあるのか。
 ・若手研究者の身分の不安定、若手や女性研究の活用についてどう考えるか。(森大臣への質問)
 ・教授職を欧米と同じように任期制にしてどんどん入れ替えるべき。そうすることによって教授会は活性化し、結果として大学改革もすすむと考えますが、どうお考えでしょうか。

9.附則第2条の検討規定では何を想定し、何を検討しようとしているのか。

質問終[54:25]

<下村文科大臣 答弁[55:00]>

1.日本の大学の認識について
 鈴木議員と全く同じ認識→教育研究の質を高め、国際競争力を強化していくことができるよう迅速な意思決定を可能にするガバナンス改革に取り組むため本法案を提出した。

2.大学のガバナンスの実態と改革でどうかわるのかについて
 大学のガバナンスについては、権限と責任の在り方が明確でない、意思決定に時間を要し、迅速な意思決定ができていない、学内の都合が優先し、地域や社会のニーズに応えるような大学運営が行われていないといった課題が指摘されています。今回の改正によって、学長と教授会の関係について、学長が決定権を有し、教授会は意見を述べる立場にある、副学長の権限が拡充され学長の補佐体制が強化される、学長選考の基準等の公表が義務付けられることにより、その手続きがより明確になる等により、学長のリーダーシップによりまして、社会の多様なニーズを踏まえた適切な大学運営が行われることが期待されます。

3.副学長の役割について
 現行法第92条第4項では、副学長は学長の職務を助けるのみの規定とされており、権限は学長を補佐することにとどまっている。今回の改正によって、学長の命を受けて公務を処理することが可能となり、また副学長と教授会や各教授との関係においても学長の指示のもとで、学長に代わって教授会に意見を聴くことができるようになります。

4、教授会の本来の役割について
 教授会は本来教育研究に関する事項について検討行うことが想定されており、また法律上は、決定権を有しない審議機関として位置づけられています。学校教育法第93条では、教授会は重要な事項を審議するとのみの規定であり、その内容は必ずしも明確ではありません。そのため、教授会において予算の配分など経営に関する事項まで広範に審議されている場合や、本来審議機関であるにもかかわらず、自主的に決定機関として運用されている場合があるなど、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘もされています。今回の改正では、教授会の本来果たす役割を明らかにするため、教授会が教育研究に関する事項について審議する機関であること、教授会が決定権者である学長に対して意見を述べる立場にあること等、教授会の役割を法律上、明確に規定したところであります。

5.学長の選考基準について
 各大学がミッションを見通したうえで、主体的に判断しつつ、決定するものでありますが、学長に求められる資質能力、また学長選考の具体的手続き方法等が盛り込まれることを想定しています。

6.経営協議会についての現状と今回の改正の必要性について
 国立大学を取り巻く学外委員を過半数とする自発的な取り組みも進んでいますが、すべての国立大学が社会のニーズを反映する必要性をこれまで以上に認識し、こうした変化に積極的に対応できるよう経営協議会の役割をより一層発揮する観点から、学外委員を過半数とすることが必要だと考えております。

7.学長の暴走をとめる手立てについて
 今回の改正は、学内の組織の役割を明確化するものであり、学長に新たな権限を付与するものではないことから、学長の暴走を助長するものではありません。学長をチェックするしくみとして監事による監査や自己点検評価、認証評価等の評価、理事会や学長選考会議等の学長選考組織による業務執行状況の評価等が可能となっております。大学が自主的、自律的に適切な運営を行うことが可能であると考えます。

8.教授の入れかえ、若手研究者の活躍促進について
 文部科学省においては、大学教員の任期制の導入や公募制の推進を通じて、教員の流動性を高めるとともに、若手研究者の活躍を促進するための取り組みを進めてきたところであります。またとくに国立大学については、年俸制の導入を促進するなど、人事給与システムの一層の弾力化を支援することとしています。

9.附則の検討規定の具体的内容について
 今回の法改正により大学のガバナンスは相当程度改善するものと認識をしております。しかし国立大学については、時代の変化の中で改正で組織運営について制度改革が強く求められてきた経緯があります。今後の社会経済情勢の変化をさらなる考慮、今回のガバナンス改革が一段落するものではなく、制度改正の実施状況も踏まえ、今後一層の検討が必要だと考えております。今後制度改正の実施状況を検討し、国立大学法人の組織および運営の在り方にかかる幅広い検討を行っていくものと考えます。

<共産党・宮本岳志[01:05:50]>

・大学自治破壊法案である。
1.教授会の審議できる事項を入学、卒業、課程の修了と学位の授与に限定して、その他は学長が意見を求める場合に限るなど、教授会の審議権を大きく制約している。学問の自由を脅かすものではないでしょうか。

2.教育研究費の配分、教員の業績評価、教員採用等の人事、学部長の選任、カリキュラムの編成、学部・学科の設置廃止等、教育研究の重要な事項を教員の意見も聞かずに学長が独断で決めることになるのではないでしょうか。

3.私立大学では理事長の暴走が問題となってきました。文科省から解散命令を受けた堀越学園は、教授会による内部チェックが働かず、理事長の放漫によって経営破たんを引き起こしました。このようなワンマン経営をむしろ助長することになるのではないでしょうか。

4.わが国には学長は教職員の選挙で選ぶという民主主義的な制度が根付いてきました。国立大学では、選挙の結果学長を選んでいます。法案は、大学のミッションに沿った学長像など基準を定めて選考するとしています。……ミッションとは文科省の方針にそったということで、文科省の方針に沿った人しか学長にさせないということではありませんか。

5.大学に企業の論理を導入することについて

6.教育研究予算の拡充

質問終[01:11:02]

<下村大臣 答弁[01:11:20]>

1.教授会の審議権について
 現行の第93条第1項は、教授会は重要な事項を審議するとされているが、その内容があいまいなため、本来その審議事項として想定されていない経営に関する事項まで審議されいる場合もあるとの指摘もあります。改正案の93条第3項では、教授会が本来審議すべき内容を教育研究に関する事項と明確化したことろであり、大学の自治や学問の自由を脅かすというご指摘はあたらないものです。

2.学長が重要な事項を独断で決めてしまう懸念について
 今回の改正では、学長が決定を行うにあたって教授会が意見を述べるべき事項として、教育研究に関する専門的観点から教授会が果たすべき役割を例示したものであります。これ以外の事項についても専門性を必要とする事項について、教員組織の意見を適切に聞いていくことは必要と考えております。法律上、学長はすべての公務に関する最終的な意思決定権を有しておりますが、大学全体として、教授会等の協力を得ながら、運営することが望ましいと考えております。

3.理事長の暴走を助長するものではないか
 今回の改正は、学校法人の理事長に新たな権限を付与するものではないことから、ワンマン経営を助長するとのご指摘はあたりません。学校法人の理事長の職務執行については、理事会による監督がなされるとともに、監事による監査が行われることとなっております。また仮に学校法人において法令に違反するような事態が生じており、自主的に改善が望めない場合は、先般の私立学校法の改正規定も含め、関係規定に基づき所轄庁において必要な措置をすることができることとされています。

4.学長の選考について
 …国立大学においては、ミッションは各大学が主体的に定めるもので、文部科学省が定めるものではありません。教職員へのビジョンの提示やコミュニケーションを図るなど、教職員の意欲と能力を図ることが重要と考えます。

5.企業経営の論理を大学に導入することについて
 大学が産業界を含めた様々なステークホルダーの意見を踏まえつつ、多様なニーズに応えていくためには、主体性をもって教育研究に取り組むことが肝要だと思います。また大学のガバナンスは営利目的を追求する企業経営とは本質的に異なることもありますが、権限と責任の明確化などコーポレートガバナンスの考え方が参考となる点もあると考えております。

6.国立大学の授業料について
 教育の機会均等の観点から、適切な水準を確保することが必要であり、文部科学省としては、ひきつづき学生の経済的負担の軽減を図るとともに、必要な大学への予算措置や奨学金の充実を図っていきたいと考えております。

7.大学予算の充実
 教育研究への投資は社会の発展の礎となる未来への投資。大学予算の充実に力を注いでまいります。

< 散 会 >


2014年05月22日

学校教育法改定案、国会の審議日程 反対の声を国会議員に!

■日本私大教連、学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.8

▼学校教育法等の改正案の審議日程

○5月22日(木)13時~  衆議院本会議で趣旨説明と質疑

 下村文科大臣の趣旨説明ののち、民主党・細野豪志議員、共産党・宮本岳志議員、維新の会(質問者不明)が質問。

 →衆議院HPで中継されます。http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php 

○5月23日(金)13時~16時ごろ 衆議院文部科学委員会で質疑

 *この日の委員会では与党のみの質問となります。

※委員会の傍聴をお願いします!

 傍聴者が多ければ議員の態度も変わります。傍聴は途中入退場が可能です。部分参加でもけっこうですので多くのみなさんのご参加をお願いします。

 傍聴は事前の登録が必要ですので、傍聴可能な方は22日(木)18時までに日本私大教連書記局にメールでお名前と職業をお知らせください。

○来週は文部科学委員会開催されず

 *来週の衆議院文部科学委員会は、予算委員会で集団的自衛権の問題での集中審議が行われることや、「自民党の都合」により開催されないとのことです。

 *このため、本格的な審議は6月4日(水)、6日(木)にずれ込む見込みです。

▼現場の声を今こそ国会議員へ!

○この間お伝えしているように、自民党議員は今回の法改正に「前のめり」ではありません。審議日程も会期末(実質6月20日)を目前にして後ろにずれ込んでいます。与党が短時間の審議で採決強行しなければ、廃案、少なくとも秋の臨時国会で継続審議となる可能性が強まってきました。

○今月中に、各組合として、または教授会や有志として、法改正に反対する声を国会議員に届ける取り組みをお願いします。 

*意見・要望を出す単位は、個人、有志、教授会、組合などいずれでもかまいません。
*意見・要望を議員に届けるには…

  ・日本私大教連にメール添付で送付いただければ、全議員に一斉送信します。
  ・大学所在地選出の議員に直接送付することも効果的です。
   (地元事務所や国会議員会館の議員室へ郵送またはファックス送付)


2014年05月21日

大学自治破壊法案に反対、阻止へ共同 宮本氏 全大教と懇談

しんぶん赤旗(2014年5月20日)

 日本共産党の宮本岳志衆院議員らは19日、全国大学高専教職員組合(全大教)を訪れ、竹内智副委員長や長山泰秀書記長らに党が発表したアピール「『学問の自由』を脅かす大学自治破壊法案を許さない共同をよびかけます」を手渡し、懇談しました。

 安倍内閣は、今国会に提出した学校教育法・国立大学法人法の改悪案を、今週にも審議入りさせる構えです。同案は教授会から審議権をとりあげ、学長選挙を形骸化するなど重大な問題をはらんでいます。

 宮本氏は、教育委員会制度改悪案などの流れとあわせて、「安倍政権の『教育再生』と反動化路線に逆らう障害を次々と取っ払おうというものだ」と指摘。「上から下へ自分たちの思惑を通すことができるしくみになる」として、廃案に追い込むために力を尽くす決意をのべました。

 長山書記長は、改悪に反対する緊急アピールへの賛同者は約4300人を超え、大学の教職員組合や教授会などが次々と反対声明を発表するなど運動が広がっていると紹介。竹内副委員長は「学生あっての大学なのに、『改革』案の中身には学生の顔が見えない。このままでは大企業の奉仕する学生を育てる大学となり、学問の多様性が失われる」とのべ、反対の世論を広げたいと語りました。


2014年05月16日

学校教育法改悪反対の国会行動

エルムの森だより
 ∟●学校教育法改悪反対の国会行動

大学自治を否定する学教法改正反対」
院内集会・国会要請行動を行いました!!(5月13日)】

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★5月13日、学校教育法改正に反対するアピール賛同署名をすすめる会主催の、5.13 学校教育法・国立大学法人法の改正に反対する緊急院内集会・議員要請行動を実施し、全大教として参加しました。全大教からは8大学18人、集会全体では61人の参加がありました。

◆熱気に包まれた緊急院内集会・議員要請行動

 14時から衆議院第二議員会館第4会議室で院内集会を行いました。ともに事務局団体を務める日本私大教連の丸谷委員長が開会挨拶を、また全大教の長山書記長がこの間の取り組みと国会情勢に関わる報告を行いました。日教組から小西副委員長、全教から中村副委員長がそれぞれ連帯のあいさつをされました。宮本たけし衆議院議員(日本共産党)、吉川元衆議院議員(社会民主党)、田村智子参議院議員(日本共産党)がそれぞれ議員本人が集会に駆けつけ、大学自治を破壊する改正法案の問題点を挙げながら反対の意志を明確に話されました。また、多数の議員代理の秘書が来られました。

 15時半から議員要請行動に移り、衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会のすべての委員60人の議員事務所を、8班にわかれた参加者で訪問し、与党議員には慎重審議を、野党議員には明確な反対と慎重審議、廃案を求める要請書、アピール、メッセージ欄をすべてつけた署名簿(5月12日現在、公表可の方3,455人分)などを手渡しながら、法案への反対の意見と、それに対して賛同が広がっていること、法案が通ってしまえば大学現場がどんなひどいことになるかという現場からの声を届けました。議員本人の対応3人、政策秘書15人など、議論の中身をしっかり聞き届ける姿勢も見られました。

 16時半からの集会で、各班からの報告、そして森戸全大教副委員長の閉会挨拶があり、今後の取り組みを強化することを誓い合って、半日の集会・行動を終わりました。

◆数の論理だけではない国会の状況

 法案は4月25日に閣議決定され、28日に国会に提出されています。5月19日からの週に衆議院から審議入りと見られています。6月22日の会期末をにらみながらの審議となる公算です。 今の段階では、野党はいずれも法案に対する態度を決めておらず、民主党は来週、党としてのヒアリングを行うという情報を得ています。与党議員でさえも、「賛否両論のある法案ですね」という認識が広まっています。こうした情勢だからこそ、それぞれの大学の現場で、この法案の持つ問題点を広く共有し、それを様々な形で国会議員にとどけることに意味があります。

 衆参両院の文部科学関連委員会の委員全員の名簿を、全大教ホームページの資料ルームに掲載しました。FAX 番号が入っていますのでご活用下さい。
http://zendaikyo.or.jp/?action=cabinet_action_main_download&block_id=910&room_id=32&cabinet_id=20&file_id=2765&upload_id=7601

◆さらなる賛同の輪を

 集会時点で、3,787人(公表の可否不明の方、紙で賛同を示されてまだリストに含まれていない人を含む)の賛同が得られています。ネットでの賛同者の多くがメッセージも残され、大学と社会の行方について真剣に憂慮する言葉が記されています。
 しかし、現状の賛同数は、事務局団体の全大教の組合員数にもはるかに及ばない数です。法案が提出され、今国会で審議され可決の可能性もあるということ、この法案が重大な問題をもったものであるということが、大学人にさえ十分知られていないのが現状です。
 引き続き、各単組、そして各組合員のこの問題への認識を深めていただき、その認識を同僚と共有いただくようお願いします。そしてそれをアピール賛同署名につなげるよう、周知と働きかけをお願いします。
   
(1) ネット署名にご協力ください。URLは下記のとおりです。
https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301
(緊急アピール内容も↑こちらからご覧いただけます)


首都圏大学非常勤講師組合、学校教育法改正案反対緊急声明

首都圏大学非常勤講師組合
 ∟●学校教育法改正案反対緊急声明

首都圏大学非常勤講師組合
学校教育法改正案反対緊急声明

学校教育法改悪は断固阻止!!
~新しい大学自治の創設のために~


2014 年 5 月 13 日
首都圏大学非常勤講師組合委員長
松村比奈子


 安倍内閣は 4 月 25 日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。この法案の問題点は、現行学校教育法 93 条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させるということです(全国大学高専教職員組合中央執行委員会・日本私大教連中央執行委員会の各反対声明より)。

 教授会は、憲法第 23 条が定める「学問の自由」から導き出される「大学の自治」を担う機関として、これまで教育・研究に関する重要な事項についての審議・決定権を有してきました。しかし法案は、教授会を実質的な諮問機関とし、学長によるトップダウンの大学運営を確立しようとしています。また経営協議会の学外委員を「二分の一以上」から「過半数」とし、学内の意向を軽視した大学運営を行おうとしているようです。

 非常勤講師は同じ大学教員でありながら、学問の自由や大学の自治からは遠い存在でした。大学職員も近年はこの傾向が強まっています。また大学内に任期制が導入されて非常勤講師のみならず教員の多くが大学の運営から排除され、この傾向は急速に拡大しました。その悪しき集大成が今回の学校教育法改正案と推測されます。この法案が成立すれば、大学の教育・研究に関する意思決定から、ほぼすべての実質的大学関係者が締め出されるという、異常な状況が政府によって強制されるのです。これは、非常勤講師としても見逃すことのできない憂慮すべき事態です。

 1997 年、第 29 回ユネスコ総会において「高等教育教員の地位に関する勧告」が採択されましたが、そのⅢ基本原則の 8 において「高等教育教員を代表する組織は、教育の発展に大いに貢献することができる力並びに第三者及び他の利害関係を有する者と共に高等教育政策の決定に関与すべき力としてみなされ及び認められるべきである」と明記されています。しかし日本では、非常勤講師を代表する者どころか、ほとんどの利害関係者がこの改正によって学内行政から実質的に排除されるのです。

 首都圏大学非常勤講師組合は、この法案に断固反対いたします。ユネスコの勧告にあるように、高等教育教員を代表する組織は、高等教育政策の決定に関与すべき力として認められなければなりません。そのためには単に現在の教授会を守るというだけではなく、新しい、あるべき大学の自治に向けて多様な利害関係者の声を聴く仕組みを構築しようではありませんか。その第一歩として、我々は、この法改正をあらゆる手段において全力で阻止することを、ここに表明いたします。


2014年05月15日

「学問の自由」を脅かす大学自治破壊法案を許さない共同をよびかけます

しんぶん赤旗(2014年5月14日)

「学問の自由」を脅かす大学自治破壊法案を許さない共同をよびかけます

2014年5月13日 日本共産党

 わが国の大学は、その存立を揺るがす危機に直面しています。安倍内閣が「大学の自治」を破壊する法律案(学校教育法・国立大学法人法の改悪案)を国会に提出しました。

 大学は、国からの干渉をうけずに自由な教育・研究を行うために、「大学の自治」が保障されています。その土台をなすのが、学問研究と学生の教育にあたる教員が自ら大学運営に参加する制度です。法案は、この制度を骨抜きにし、トップにたつ学長が独断で運営するしくみを確立するものです。憲法第23条の「学問の自由」を脅かす悪法であり、断じて認めることはできません。

 大学教員からは、「大学が大学でなくなる」「良心に従った研究・教育を不可能にする」「学長の独裁になり民主主義がなくなる」など、法案への強い危惧と反対の声があがっています。元学長など大学関係者11氏がよびかけた「学校教育法改正に反対する緊急アピール」には、国公私立を問わず様々な専門分野の大学教員、研究者の賛同が急速にひろがっています。

 日本共産党は、大学関係者、国民のみなさんと共同し、この悪法の強行を阻止するために全力をつくします。

学校教育法改悪案は教授会から審議権をとりあげる重大な改悪です

 学校教育法は、「大学の自治」を保障するため、国公私立のすべての大学に「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」(第93条)とし、教授会の審議権を定めています。

 改悪案は、この規定を「教授会は学長が必要と認めるものについて意見をのべる」と変更します。教授会が審議している教育研究費の配分、教員の業績評価、教員採用などの人事、学部長の選任、カリキュラムの編成や学部・学科の設置廃止、学生の身分など、教育研究のあり方を左右する重要な事項を、教員の意見も聞かずに学長が独断で決められることになります。

 教授会から大学の重要事項を審議する権限をとりあげ、「学長のための諮問機関」に変質させる重大な改悪です。その一方で法案は、副学長も「学長の命をうけて校務をつかさどる」として権限を強化し、学長中心の執行体制を強めます。

 これでは、どの分野に研究費を投入するか、学部長を誰にするか、どんな人を教員にするかなどは、学長の思いのままです。「学長の気に入らない研究には予算をつけない」「国の政策に批判的な立場の研究者は採用しない」ということがおこり、学長の顔色をうかがう風潮が学内にはびこっていくでしょう。大学改革や教育研究への教職員の主体性や活力はおしつぶされ、大学から教育研究の自由や多様性が失われます。

国立大学法人法改悪案は各大学の学長選挙を形骸化します

 わが国の大学では、「大学の自治」を形成するなかで、学長は選挙で選ぶという民主主義の制度が根づいてきました。国立大学では、大学の評議会(学長、学部長などで構成)が選挙結果にもとづいて学長を選んでいたのを、2004年の法人化によって、学外者が参加する各大学の学長選考会議が学長を選ぶしくみにされました。そのもとでも多くの大学では選挙で1位の人を学長に選んでいます。

 今回の国立大学法人法改悪案は、学長選考会議が「各大学のミッション(使命・任務)にそった学長像」などの“基準″を定めて選考するとしています。教職員の選挙で支持をえたか否かよりも、この“基準″に合うかどうかで学長を決めることになります。これは学長選挙を形骸化し、無力化するものです。教職員が学長になってほしい人は学長になれず、なってほしくない人が学長になる、民主主義のない大学になります。

 しかも、「各大学のミッション」とは、文科省が決めた大学ごとの改革ビジョンです。文科省の方針にそって大学を運営する人しか学長になれないのです。

学長のリーダーシップどころか「学長独裁」の大学になります

 政府は、法案提出の理由を、学長のリーダーシップを確立し大学改革を推進するためといいます。しかし、学長選挙を形骸化し、学内で支持されない人物が学長になっても、リーダーシップを発揮できるわけがありません。そんな学長にまかせれば、上意下達で強権的に改革を断行することになるだけです。

 大学は多様な見識や価値観が存在するからこそ「学問の府」といわれます。そうした多様な立場からの意見のなかで、全学的な合意を形成する能力・資質こそが、学長に求められるリーダーシップです。教授会の審議権を尊重し、教育研究や大学改革を現場で担っている一人ひとりの教職員の意見を大切にしなければ、改革を実らせることはできません。

 法案が求めるのは、学長のリーダーシップどころか「学長独裁」を確立し、上意下達の運営を強めることです。その結果、日本の大学は教育研究の質が劣化していくことは避けられません。

 私立大学では、学園理事長のワンマン経営を助長することにもなります。文科省から解散命令をうけた堀越学園(創造学園大学)は、教授会などによる内部チェックが働かず、理事長の放漫、乱脈によって経営破たんをひきおこしたのです。

大学を政府・財界いいなりの機関に変えることがねらいです

 安倍内閣が大学自治破壊をおしすすめるのは、財界の強い要望があるからです。

 日本経団連は、「教授会で議論する『重要事項』の範囲を学校教育法第93条に限定的なかたちで明記する」とし(2013年12月の提言)、経済同友会は「教授会は、教育・研究に関する学長の諮問機関とする」ことを求めています(2012年3月の提言)。政府が今回の法案を提出したのは、これをうけたものです。

 これらの提言のなかで財界は、大学が産業界の競争力強化に貢献するような「優秀な人材」をうみだすべきだと唱えています。財界の目先の利益につながる教育や研究を担うような大学につくりかえるというわけです。そのために、政府は大学を再編・統合せよ、学費も高くせよ、大学は企業経営に学んで「ガバナンス改革」をせよとのべています。

 安倍内閣は、すでに国立大学の再編・統合を視野に入れた「国立大学の機能別分化」を各大学に押しつけています。さらに国公私立にわたって財界の要望に全面的にこたえた大学再編をすすめ、大学を政府・財界のいいなりの機関に変えることが、大学自治破壊法案の狙いです。

 政府・財界は、「グローバルに活躍する人材」「イノベーションをつくりだす人材」が必要だといいながら、大学予算を削減しつづけ、非正規の教員、研究者を増やす一方で、業績競争だけは大学に強いてきました。その結果、大学では基礎研究が存続できない深刻な危機に直面しています。世界で最先端の研究をになう京都大学のiPS細胞研究所でも9割が非正規など、若手研究者や研究支援者の雇用はきわめて不安定です。

 こうした流れこそ断ち切るべきです。

大学自治破壊法案を許さない国民的な共同を

 学問研究と教育は、社会の未来をささえる大切な営みであり、大学は、教育研究を通じて社会の進歩に貢献すべき国民共有の財産です。政府・財界のいいなりではなく、憲法にもとづき国民のための教育研究を行う機関でなければなりません。国がなすべきは、大学自治破壊ではなく、「学問の自由」を保障し、大学の多様な発展に必要な条件整備を行うことです。そのために世界で最低水準の大学予算を抜本的に増やすことこそ急務です。

 「学問の自由」と大学の発展を願うすべての人々が立場の違いをこえて力をあわせ、「大学自治の破壊を許すな」の一点で共同を広げることを心からよびかけます。日本共産党は、安倍内閣の大学自治破壊と正面から対決し、悪法を廃案に追い込むために、みなさんとともに全力をつくします。


2014年05月12日

5・13 緊急の院内集会について

北海道私大教連
 ∟●5・13 緊急の院内集会について

5・13 緊急の院内集会について

呼びかけ人や日本私大教連などで構成する「アピール署名をすすめる会」は学校教育法改悪の動きに対する集会を次の要領で開催します。

「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」の審議入り目前に、緊急院内集会・議員要請行動を実施します。
 関係議員等に対して私たちの反対の声を示し、国会での徹底審議の実現、徹底審議を踏まえた廃案をめざして、重要な取り組みとなります。
最大限のご参加をお願いします。

○名称 学校教育法・国立大学法人法の「改正」に反対する緊急院内集会・議員要請行動

○主催 学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会

○日時 5月13日(火)14時~17時

○会場 衆議院第2議員会館第4会議室
      *東京メトロ丸の内線・千代田線「国会議事堂前」、有楽町線「永田町」から徒歩5分。

<当日のおおまかなスケジュール>
14:00~15:30 院内集会
  (これまでの取り組み報告、呼びかけ人からの発言、各団体からの挨拶、国会議員からの挨拶など)
15:30~16:30 議員要請行動
16:30~17:00 まとめの集会

2014年05月10日

日本私大教連、「学校教育法改正に反対するアピール署名」を大きく広げてください!

■学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.4)2014年5月9日)

学校教育法等の改悪反対!メールニュース No.4

2014.4.18 発行・日本私大教連書記局

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「学校教育法改正に反対するアピール署名」を大きく広げてください!

◎「アピール署名をすすめる会」HP http://hp47.webnode.jp/

※5月8日18時現在、署名数は3370名です。
※引き続きメールの転送やツイッターなどで多くの大学関係者、市民にお知らせください!
※日本私大教連HPには署名用紙、リーフレットを掲載しています。ご活用ください。
http://www.jfpu.org/no%20governance%20reform/gakkyohokaiseihanntai.html

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▼日本私大教連は「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」に対する声明「教授会を諮問機関化し学長専断体制の確立を狙う学校教育法改正案を廃案とするよう求めます」を5月7日付で発表しました。

○Wordファイルを添付します。賛同署名の呼びかけとともに多くのみなさんにお知らせください。

▼国会院内集会のご案内

○以下の通り院内集会を開催します。法案審議入りを目前にし、関係議員やマスコミに法案に対する反対の声を示す重要な機会となります。最大のご参加をお願いします。

 名称 学校教育法・国立大学法人法の「改正」に反対する緊急院内集会・議員要請行動
 主催 学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会
     (事務局団体=日本私大教連、全大教)

 日時 5月13日(火)14時~17時
     *部分参加も可能です。

 会場 衆議院第2議員会館第4会議室
     *東京メトロ丸の内線・千代田線「国会議事堂前」、有楽町線「永田町」から徒歩5分。
     *おおむね13時半から会館入口で会議室への通行証を配布します。
     *遅れてご参加の方は受付で第4会議室に連絡を入れてもらってください。

<当日のおおまかなスケジュール>

14:00~15:30 院内集会(これまでの取り組み報告、呼びかけ人からの発言、各団体からの挨拶、国会議員からの挨拶など)
15:30~16:30 議員要請行動
16:30~17:00 まとめの集会

◆東京私大教連は4月30日、独自に取り組んでいる団体署名を携え国会議員要請を行いました。また日本私大教連と全大教はここ数日、衆議院の中心的な議員に要請行動を行っています。

 その中で自民党の議員や政策秘書からも、「党内でもさまざまな意見が出ている」「経済再生本部の主張に引っ張られた感は否めない」「慎重に審議する必要は感じている」などの声が聞かれました。

 民主党のある議員からは、「この法案のままでは認められない。修正案の提出も検討したい」との応答がありました。共産党、社民党の議員からは法案に反対するとの表明がありました。

 国会議員の中に、法案の問題性に対する認識が広がりつつあります。

 ぜひ、各大学の実情を踏まえた反対の声、批判の声をお寄せください。


2014年05月09日

日本私大教連、声明「教授会を諮問機関化し学長専断体制の確立をねらう学校教育法改正法案を廃案とするよう求めます」

東京私大教連
 ∟●〈声明〉教授会を諮問機関化し学長専断体制の確立をねらう学校教育法改正法案を廃案とするよう求めます

〈声明〉教授会を諮問機関化し学長専断体制の確立をねらう学校教育法改正法案を廃案とするよう求めます

2014年5月7日
日本私大教連中央執行委員会


1 安倍内閣は 4月 25 日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。法案は、現行学校教育法 93 条の「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」という規定を破棄し、教授会を「学長が決定するに当たり」「意見を述べる」だけの機関に変質させるものです。しかも、「意見を述べる事項」を「学生の入学、卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に限定し、その他については「教育研究に関する重要事項で、学長が教授会の意見を聴く必要があると認めるもの」として学長の裁量に一切を委ね、大学の教育・研究活動における教授会の役割を根底から覆そうとしています。法案はまた、現行法が「学長の職務を助ける」と定める副学長についても「学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」(第 92条 4項)として学長権限を強化しようとしています。

2 教授会は、憲法第 23 条が定める「学問の自由」を保障する「大学の自治」の根幹を担う機関として、教育課程の編成、予算、採用・昇任等の教員人事、学部長の選考、学生の身分等の教育・研究に関する重要な事項について実質的な審議・決定権を有してきました。これに対し法案は、教授会を諮問機関とし、教育・研究活動における主体的な参加の権限と責任を奪うことによって、学長による上意下達の強権的な大学運営を確立しようとするものです。それは教員集団の専門性と民主性を尊重し、真理の探究と社会の発展に寄与すべき大学の本来的なあり方を否定するものです。 教授会の諮問機関化や学長・学部長選挙の廃止を強硬に主張してきたのは、経済同友会をはじめとする財界です。今回の学校教育法改正法案は、こうした財界の意向に追随してコーポレート・ガバナンス(企業統治)の手法を大学に持ち込み、教職員不在、学生不在、国民不在の「大学改革」を学長のトップダウンによって「迅速に」実行させるものにほかなりません。

3 私立大学・国立大学・公立大学の学長・総長経験者など 11氏が 4月 7日に「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール・賛同署名」を呼びかけました。このアピールには、大学関係者をはじめ多くの市民から続々と賛同の署名が寄せられています。 私たちは、政府が、こうした大学関係者・市民の声に耳を傾け、国会において徹底した審議を行い、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」を廃案とするよう強く求めるものです。

以上


安倍流の「大学改革」、学問の自由あぶない!

しんぶん赤旗(2014年5月8日)

 安倍政権は、「大学の自治」の要をなす教授会の権限をなくし、学長の権限を強化する学校教育法・国立大学法人法改定案を国会に提出しました。5月中旬にも審議入りする構えです。「日本の大学と民主主義は重大な危機にある」と大学関係者から激しい反対の声が上がっています。

 (土井誠 党学術・文化委員会事務局次長)

大学自治壊す
教授会が審議機関から学長“諮問機関”に変質

 大学は13世紀に欧州で生まれ、世界各国で高等教育機関として発展しました。その歴史の中で、国家権力の干渉から学問研究と教育の自由を守るために「大学の自治」を形成してきました。これは世界共通の原則です。

 日本では、憲法第23条に「学問の自由は、これを保障する」と定められ、「大学の自治」の法的根拠となっています。

 学校教育法は、これを具体化し、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」(第93条)と定めています。

■  □

 「大学のあり方を根底から変えてしまう。もう大学ではなくなってしまう」。4月24日、日本私立大学教職員組合連合中央執行委員長の丸谷肇鹿児島国際大学教授は、学校教育法改定に反対するアピール署名の記者会見で力を込めて訴えました。署名は、この1カ月で大学教職員、学生など3000人を超えて広がっています。

 学校教育法改定案は、93条を根本的に改変して、教授会を大学運営の審議機関から、「学長が必要と認める場合にだけ意見を述べる」機関にかえます。つまり、諮問機関への変質です。

 教授会は現在、カリキュラムの編成をはじめ教員の業績評価・採用、学部長の選任、学部の廃止・改組などを審議しています。

 丸谷氏は「学長が決定する際に教授会が意見を述べるものとして法案が例示したのは『学生の入学、卒業および課程の修了』と『学位の授与』だけ。つまり、大学の入り口と出口だけ。肝心の大学の4年間については、学長が意見を聞く必要がないと判断すれば、教授会は意見も言えない」と指摘します。「学生に直接教える教員が、カリキュラムの編成すら、ものが言えないのなら、学生を4年間で一人前の社会人に育てることなんてできない」と憤ります。

 24日の記者会見では、東京大学元副学長の広渡清吾専修大学教授が「大学は主体的に取り組むところ。人に言われてやるところではない」と発言。「教員が教授会で議論しても、意見を聞かれるだけで、大学運営に主体的にかかわれない。教師が主体的でなくて、いったい主体的な学生が育つのか」と法案を批判しました。

「学長独裁」に
“政府いいなり増える” 選挙自体廃止の動きも

 国立大学法人法改定案では、各国立大学で学長を選ぶ機関(学長選考会議)が選考の基準を決めて公表するとしています。文科省は、「大学のミッション(使命)の実現にむけて大学を委ねられる」学長像を明確に示した選考基準になると説明しています。この基準にあわないと、教職員の投票(学長選挙)で1位でも学長になれなくなります。

 学長選考会議が、学長選挙で1位になれなかった候補者を学長に選出する大学が増えていることが問題になっています。山形大学もその一つで、7年前に結城章夫文部科学事務次官が学長に選出されました。結城学長は昨年、情報漏えいで原子力規制庁審議官を更迭された人物を独断で教員に採用する「事件」をおこしています。

 当時、同大地域教育文化学部長だった那須稔雄氏によると、教授会が人事に反対する決議をあげましたが学長はゴリ押ししました。

 那須氏は「昨年、ミッションの再定義という書類をつくったが、文科省から何度も書き直しを命じられた。このミッションにそった学長を選ぶとなれば政府いいなりの学長が増える」と指摘します。

 法案を先取りして、学長選挙そのものをなくす動きもあります。京都大学では、総長(学長)選考会議の学外委員による総長選挙廃止の動きがありましたが、職員組合などの運動で、先月23日に総長選挙の存続が決まりました。(下の図)

■  □

 政府は法案提出の理由を、学長のリーダーシップを確立し、大学改革を推進するためと説明しています。

 これに対し広渡氏は「教授会で議論が進まず、改革しようとしても一歩も踏み出せないというのは、みんながまだ納得していないから。学長のリーダーシップが大事ならば、学長がみんなを納得させる案を出して十分議論して、合意形成をして、大学を改革するのが真のリーダーシップだ」と批判しています。

 教職員が支持しない人が学長になり、その学長が決める方針に教授会は従うしかないというのでは、「学長独裁」と言わざるをえません。しかも、その学長に政府いいなりの人物が就くとなると、もはや大学とは言えないものになります。

 国の政策に批判的な教員が排除される危険もあります。京都大学の西牟田祐二教授は、「経済学分野では、マルクス経済学の影響を弱める動きがある。教育課程の編成を学長が教授会の意見を聞かずにできるようになれば、マルクス経済学の排除もおこりかねない。あるシンポジウムで経済同友会副代表幹事が『マルクス経済学を学んだが役に立たなかった』などと暴言を吐いた。こういう考えの人物が学長になったら大変なことになる」と危惧しています。

 私立大学では、理事長の暴走を助長する危険もあります。創造学園大学では、教授会などの内部チェックが働かず、専断的で放漫な理事長の経営の結果、債務超過に陥り、設置者の堀越学園は文科省から解散命令を受けました。丸谷氏は「法案で教授会のチェック機能が外されると、こうした事例はますます増える」と危惧します。

■  □

 安倍内閣による、「大学の自治」破壊への暴走は、財界の強い要望を受けてのものです。財界は、「グローバルに活躍する人材」「イノベーション(技術革新)をつくりだす人材」が必要だとして、大学の再編・統合や学費値上げを求めています。こうした大学をつくるために、日本経団連は教授会の審議事項を狭めるための法改定を求め(13年12月)、経済同友会は教授会の諮問機関化を提言(12年3月)しています。

 私大教連の丸谷氏は「法案は、財界が求める大学のスクラップ&ビルドをねらってのもの。なんとしても廃案に追い込みたい」と、署名への賛同を呼びかけます。

 署名は、全国大学高専教職員組合や日本私大教連のホームページで受け付けています。


2014年05月08日

恥ずかしい国大協会長コメント、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について」

国大協
 ∟●学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について
【会長コメント】


平成26年5月7日
一般社団法人 国立大学協会
松 本 紘


○現在、国立大学は、社会から求められている教育、研究、社会貢献、国際貢献の機能強化を目指し、学長のリーダーシップの下に各大学の強みや特色を生かした迅速かつ適切な改革を自主的・自律的に推進している。また、法改正を待つまでもなく、全学的なガバナンス体制についても、学長による中長期ビジョンの提示、執行部体制の強化、戦略的な資源配分の拡充などの改革を進めているところである。

○このたび、政府において閣議決定された学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案は、先般の中央教育審議会の「大学のガバナンス改革の推進について」の「審議のまとめ」を踏まえ、学長補佐体制の強化、教授会の役割の明確化、学長選考会議による責任ある主体的な候補者選考の確保などを通じて、このような国立大学を含むガバナンス改革の取組を一層促進することを目的としていると受け止めており、大学改革を進める上で評価できる一歩と考えている。

○もとより、大学は、普遍的な価値を追求する高度な教育研究機関として、そのガバナンスにおいて自主性・自律性が尊重されることが基本的に重要であると考えており、我々国立大学としても、法改正を踏まえつつ、今後とも、ガバナンス改革に鋭意取り組んでいく所存である。

○また、国立大学に対しては、「日本再興」の原動力として各方面からますます大きな期待が寄せられている。我々国立大学はこの期待に応え、ガバナンス改革を一層推進しつつ、我が国の将来を先導していくとの使命を達成するため、グローバル化、イノベーション創出、有為な人材の育成などの機能強化に全力で取り組んでいく決意である。

○各方面の皆様には、国立大学のこうした取組についてご理解をいただくとともに、それを支える基盤的経費、競争的経費の両方を含む高等教育への財政措置について、我が国が世界に伍して競争・協調していくことができる水準の確保・充実に向けご支援いただくようお願いしたい。

2014年05月01日

大学改革法案 国会へ

UNN関西学生報道連盟
 ∟●大学改革法案 国会へ【4月30日 UNN】

大学改革法案 国会へ

学長の権限強化 反対も

 政府は、学校教育法と国立大学法人法の改正案を25日国会に提出した。学長のリーダーシップを強め、大学改革を迅速化する狙い。今国会での成立、来年4月の施行を目指す。

【4月30日 UNN】
 改正案のポイントは、教授会の権限見直しだ。現行の学校教育法では役割があいまいだった教授会を、学長の「諮問機関」として位置付けを明確化。教授会の審議事項を「学生の入学、卒業、修了、学位授与」のほか「学長が必要と認めた場合」に限定した。

 国立大学法人法の改正案では、国立大の予算編成などを審議する「経営協議会」の外部委員数を現行の「2分の1以上」から「過半数」に改める。外部委員と内部委員の数が同じ大学が多い現状を見直し、外部の意見を大学運営に反映されやすくする。また、国立大学長が学内投票や多数派工作だけで選出されないようにするため、選考基準や結果の公表も義務付ける。大学内外を問わず、優秀な人材の登用を促す狙いもある。

 改正案に対し、反発の声も上がっている。全国の大学教職員らが、改正反対の署名運動を開始。30日現在、大学教員を中心に2400を超す署名が集まっているという。関西のある大学教授は「学長に権限を与えるだけでは改革はうまくいかない。むしろ(学長の)独裁化につながるのでは」と、改正を疑問視する。「現場を知る教員の声を取り入れ、学長との連携を図ること必要」と話した。


2014年04月30日

大学改革法案、道新,読売新聞社説

大学改革 学長だけでは担えない(4月29日)

北海道新聞(2104年4月29日社説)

 学校教育法は大学の目的について、広く知識を授け、専門的な研究を深める場と定めている。その理念が損なわれかねない。

 大学改革に主眼を置いた学校教育法改正案などが近く、国会で審議入りする。

 政府案は国公私立大学の運営権限を学長に集中し、これまで重要事項の審議機関として大きな権限を持っていた学部の教授会を学長の助言役にするのが柱だ。

 個々の大学の経営や競争力を強化し、改革の迅速化を図るのが狙いだとするが、学内が上意下達の組織に変質することは否めない。

 大学の根幹である自治・自発性や研究の自由を揺るがし、活力を奪うことにつながらないか、強い危惧を覚える。

 とりわけ経済人などで構成する選考会議が学長選考の決定権を持つことになる国立大学の法改正には、懸念を抱かざるを得ない。

 教育や研究のあり方についての深い洞察よりも、目先のことを追求する能力が学長の資質として優先されかねないからだ。

 企業経営を意識した組織の改編は大学にはなじまない。

 学長権限強化の契機となったのは2012年、東大での秋入学をめぐる学内論議だった。

 秋入学は浜田純一学長が国際化を狙いに発案したが、一部の教授会の抵抗もあって頓挫した。

 権限の集中を掲げる背景には、世界ランキング100位以内に日本から10大学を入れたいとする安倍晋三政権の国際競争力強化戦略があることは明らかだ。

 これまでにない高い目標を達成するには、大学組織を根底からつくり変える必要があると考えているのだろう。

 だが、大学の評価は地道な研究の積み重ねの結果として得られるものだ。ランクづけを前提に大学同士、研究者同士を競わせるのは本末転倒ではないか。

 さらに懸念されるのは、先端技術や実利分野に研究資金が集中投下され、基礎科学や社会・人文科学の研究が軽視される風潮だ。

 土台なしに上屋は築けないことを忘れてはならない。

 もちろん現行制度に問題がないわけではない。古い価値観や旧態依然の慣習を変えていくのは当然だ。現行の教授会が思い切った改革に踏み出せないでいる現状はもはや放置できない。

 教職員一人一人が大学の存在意義を見失わず、柔軟な発想で対応策を発議する。これを改革の出発点とすべきだ。

大学改革法案 迅速な意思決定が求められる

読売新聞(2014年04月29日社説)

 大学改革を迅速に進めるため、政府が、学長のリーダーシップの強化を柱とする学校教育法と国立大学法人法の改正案を国会に提出した。今国会での成立を目指している。

 日本の大学は、国公私立にかかわらず、意思決定に時間がかかり、柔軟で機動的な運営ができていないとの批判が多い。

 時代の変化に対応するため、大学はガバナンス(組織統治)の在り方を改善し、人材育成や研究活動の充実を図ることが重要だ。

 改正案のポイントは、教授会の権限の見直しだ。

 現行の学校教育法は、教授会について「重要な事項を審議する」と定めている。教授会の権限が大学運営全般に及ぶと解釈され、教授会が事実上の意思決定機関となっている大学も少なくない。

 学長が思い切った改革を進めようとしても、教授会の反対で実現できない弊害が出ている。

 改正案は、教授会の役割を、学長が決定を行う際に意見を述べることに限定した。大学運営の決定権が学長にあると、法律上、明確にし、トップ主導の改革を促しているのは妥当と言える。

 学長が人事や予算の権限を適切に行使し、優秀な研究者を積極的に採用すれば、大学の国際競争力を高めることにもつながろう。

 私立大では、経営母体である学校法人の理事長と、大学の学長が別々のケースもある。そうした大学では、円滑な意思決定を可能にしていくことが大切だ。

 国立大学法人法改正案で注目されるのは、学長の選考過程を透明化する規定を加えた点だ。

 現行法は、学内外の委員で構成する学長選考会議を設け、学長を選ぶと定めている。ところが、実際には、学内の教職員で事前に意向投票を行い、その結果を選考に反映させている大学が多い。

 学内の多数派工作がトップ人事を左右するようでは、能力を備えた人物が選出されるか疑問だ。

 2004年に法人化された国立大の学長には、経営手腕も求められる。こうした能力も評価できる選考法にしなければならない。

 改正案が、学長選考の基準を策定し、選考結果とともに公表するよう求めたのは理解できる。

 ただ、一連の法改正が実現すれば、学長に権限が集中する。学長が適正さを欠く大学運営を行った場合、任期途中で交代させるのは容易ではなかろう。

 学長の暴走を防ぐ仕組みを、どのように整えるのか。国会で議論を深めてもらいたい。


2014年04月28日

学校教育法、国立大学法人法改正案 廃案に向けた早急なる運動を!

[学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案]
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(概要)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(要綱)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(案文・理由)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(新旧対照表)
学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(参照条文)

以下,「どうなっている!? 道内大学 大学シンポジウム実行委員会」のメールニュースより転載。

○改正のポイント

①学長→副学長の指揮命令系統の確立
・副学長の役割に、学長の「命を受け、校務をつかさどる」を追加(学教法92条4項)
・学教法92条4項の副学長を国立大学法人教育研究評議会の評議員とすることを法定(法人法21条3項)

②教授会権限の剥奪・縮小
・教授会を「必置」から単に「置く」にとどめる(学教法93条1項)
・教授会の役割を、「重要な事項を審議する」から「学長が」「決定を行うに当たり意見を述べる」に変更(同2項)

【参考】
審議:物事を検討してその可否を論議すること(有斐閣法律用語辞典第4版)
意見:ある問題についての考え、思うところ。行政機関の行為が独善的にならないようにするため、法令によって行政機関が一定の行為をする場合には必ず他の者の意見を聴くべきことを定めている場合が少なくない
(有斐閣法律用語辞典第4版)

・「重要な事項」ではなく「事項」と表現(同2項)
・「決定を意見を述べるものとする」「事項」を以下の三項目に限定(同2項)
一 学生の入学、卒業及び課程の修了
二 学位の授与
三 教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの

【参考】
国立学校設置法(廃止)
第7条の4
4 第1項及び第2項の教授会は、次の各号(第1項第4号及び第5号並びに第2項第2号に掲げる組織に置かれる教授会にあつては、第3号)に掲げる事項について審議し、及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
一 学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項
二 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項
三 その他当該教授会を置く組織(前項の規定により第2項各号に掲げる組織の教授が所属することとされた教授会を置く組織にあつては、当該各号に掲げる組織を含む。)の教育又は研究に関する重要事項

→ 改正法案93条2項一号・二号は、旧設置法の7条の4、4項一号に対応。改正法案93条2項三号は、「教育研究に関する重要な事項」とされており、旧設置法7条の4、4項三号に類似しているものの、審議事項を「当該教授会を置く組織」のものに限定をかけていない。一方、「学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」という限定をかけている

→ 旧設置法にあった「教育課程の編成に関する事項」は明示されていない。教授会が教育課程編成に関する審議を行うことは、2項三号や3項により可能だが、いずれの場合も、その権限は「学長等」に由来するものであることになる
・2項に規定するもの以外にも、教授会が審議権を確保することができる(同3項)
・教授会組織に関する規定は現行法2項と同じ(同4項)

③学長選考会議による学長選考基準設定・公表の義務づけ
・これまでの学長の資格要件に加えて、学長選考会議が選考基準を定めること(法人法12条7項)、および基準の公表義務を規定(同8項)
→ 国立大学法人評価委員会等の圧力により、選考基準を策定・明示する過程において、教職員の投票による意向聴取は削除されていく可能性が高い

④経営協議会における学外者の影響力の拡大
・経営協議会の学外者(法人法19条三号委員)の人数を「1/2以上」から「過半数」に拡大(法人法20条)
→ 現行法でも経営協議会の学外者を過半数とすることはできるが、それを確実にすることがねらい。国立大学法人評価委員会等により、経営協議会に関する規則改正とあわせて、審議事項や開催頻度などの規則・運営の方式も変更を求める圧力を加えることが予想される

○教員の任用・昇任に関する選考、部局長の選考については、学教法が定めるものではないことから、今回の改正法案によって何ら変更はない。国立大学法人評価委員会等が、「国立大学法人は教育公務員特例法の適用除外になったのに、適用されていたときと同じ人事慣行が継続している」という言いがかりをつけることにより、各大学の人事規定を改正するよう追い込んでいくものと思われる

○以上を通じて、
・学長→副学長の指揮命令系統の確立
・教授会の権限の縮小
・学長選考過程における教職員の意思の遮断
・経営協議会における学外者の影響力拡大が達成されていく

○これらにより、
・大学の教育研究組織を、政府および経営協議会を通じた社会勢力の圧力により容易に改廃できるようにすること
・成果目標の明示と評価を通じた大学教育課程の標準化、改革を容易にすることが法改正のねらいであると考えられる

○改正法案の解釈、運動上の留意点
・言うまでもなく、当然、廃案をめざすべき
・学教法改正法案は、教授会の「諮問機関化」と報じられているが、教授会の権限を「諮問」に対する応答のみに限定することはできなかったことの意味が重要。教授会権限を一律に制約することや、教員人事権、教育課程編成権を教授会権限に含めることができることを国会審議を通じて明らかにする必要がある
・中期目標の制定や評価において、「教育研究の特性」への配慮義務(法人法3条)があることを示し、その内容について、法人法制定時の国会附帯決議を引きながら詰めていくことも必要

○改正のスケジュール
・4/25(金)、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定
・4/28(月)衆議院提出。文部科学委員会に審議付託
・5/14(水)早ければ、地教行法改正法案、衆議院文部科学委員会において採決見込み
※地方教育行政法改正案は、総合教育会議設置、教育委員会による教育長に対する指揮監督権の剥奪、教育長の資格要件の変更(非教育公務員化)により、首長権限の強化と教育委員会の形骸化をはかるもの
・5/16(金)早ければ、学教法改正法案、衆議院文部科学委員会において審議入り見込み


教授会の審議権奪う 学校教育法改悪案を閣議決定

しんぶん赤旗(2014年4月26日)

教授会の審議権奪う
学校教育法改悪案を閣議決定


 安倍内閣は25日、憲法が保障する「大学自治」を破壊する学校教育法・国立大学法人法改定案を閣議決定し、国会に提出しました。

 改定案では、教育研究や大学運営に関する審議権を持つ教授会を、教育研究に関する重要事項に限って「学長が必要だと認めた場合、意見をのべる」として諮問機関とすることを規定。教授会の審議権を奪い、学長による上意下達の運営を強める内容となっています。

 副学長について「学長を助け、命を受けて公務をつかさどる」と定め、学長権限を委任されたものとして副学長の役割を強化する規定を盛り込みました。

 国立大学の学長選考に関しては、学長選考会議が学長選考の基準を定め、公表するとしました。一方で、学長選考会議の構成については付則で検討事項としています。

 国立大学の経営協議会についても「過半数」を学外者とすることを新たに規定。学内の意見を反映しにくくする内容となっています。

「学問の自由」脅かす重大改悪

 大学は、憲法第23条「学問の自由」にもとづき「大学の自治」が保障されています。政府の干渉をうけずに国民に対して教育研究の責任を負うためです。それを具体化した法制が学校教育法であり、第93条の定める教授会の審議権です。

 安倍内閣が提出した学校教育法等改定案は、教授会を「学長が必要と認める場合に意見をのべる」だけの機関に矮小(わいしょう)化し、それも教育研究に関する事項に限定し、大学経営(予算・人事・組織)には意見も言わせないとしています。教授会の審議権をなくし、「大学の自治」を骨抜きにするもので、「学問の自由」を脅かす重大な改悪です。

 学長権限の委任をうけた副学長をつくり権限の執行力を広げるとか、国立大学法人の経営協議会の過半数を学外者とし学内の意見を反映しにくくするなどの改悪もあります。

 政府は、学長のリーダーシップを確立すると言いますが、大学は「学問の府」であり教授会にも多様な意見が存在します。そうした教授会の審議にもとづいて、多様な議論をまとめる能力・資質こそが学長に求められるリーダーシップです。

 教授会の審議権をなくせば、学長独裁による上意下達の運営が強まり、教育研究や大学改革への教職員の主体性や活力が失われる寒々とした大学になるだけです。

 政府は、国や財界の言いなりになる大学への変質をねらい、国立大学の法人化(2004年)で学長に権限を集中させました。そのもとで、山形大学では元文部科学事務次官の学長が、情報漏えいで原子力規制庁審議官を更迭された人物などを独断で採用しました。

 今回の改悪は、こうした学長独断をすべての大学で可能にし、安倍内閣や財界のねらう大学「改革」、産業競争力強化に必要な人材の育成、大学教員の年俸制導入、国立大学の統廃合や学費値上げ自由化などを推進するために、その障害となる「大学の自治」を壊そうとするものです。

 (改正充・党学術・文化委員会事務局長)

学校教育法改悪反対、学者ら2200人署名賛同 すすめる会会見

しんぶん赤旗(2014年4月25日)

学問の自由・大学の自治が危ない
学校教育法改悪反対 学者ら2200人署名賛同
すすめる会会見

 尾池和夫・京都造形芸術大学学長、今野順夫・福島大学元学長、池内了・名古屋大学名誉教授、内田樹・神戸女学院大学名誉教授など11人の学者が呼びかけ人をつとめる「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」は24日、東京・文部科学省内で記者会見し、署名を呼びかけて15日間で2200人の賛同が集まっていることを報告しました。

 丸谷肇・日本私立大学教職員組合連合委員長が取り組みの経過を報告し、「政府の学校教育法『改正』は学長の権限を強め、教授会の権限を弱めるもので、学問の自由、大学の自治を侵害する。大学人の危機感から取り組みが始まった」と述べました。

 呼びかけ人の一人、大橋英五・立教大学元総長は「大学を改革するには現場の声を反映することこそ大事だ。学長のリーダーシップだけでは大学は良くならない」と指摘。広渡清吾日本学術会議前会長・専修大学教授は「学問の府、討論の場である大学が、学長の独裁で運営される危険がある」と述べました。

 呼びかけ人の松田正久・愛知教育大学前学長も参加しました。


2014年04月26日

緊急声明「大学自治を破壊する学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する」

全大教
 ∟●全国大学高専教職員組合中央執行委員会【緊急声明】

全国大学高専教職員組合中央執行委員会【緊急声明】

 政府が4月25日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定しました。
 全大教中央執行委員会はこれに反対し、運動を通じて廃案を目指すことを表明するために 緊急声明を決定・発表しました。
 各単組におかれましても、この問題に関する議論を深め、反対の世論を喚起する取り組みを続けてくださるようお願いします。その一環として、引き続き「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」の緊急アピールへの賛同署名の取り組みも強化していただくよう、お願いします。
ネット署名はこちらから→<https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301

【緊急声明】 大学自治を破壊する学校教育法と国立大学法人法の「改正」法案に反対する

2014年4月25日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 政府は本日、「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」案を閣議決定した。これは、中央教育審議会大学分科会の「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」(以下、「審議まとめ」という。)を受けたものである。
 このうち、学校教育法「改正」法案は、教授会の審議事項を制限し、諮問機関化することで、学長の権限を強化するものだ。国立大学法人「改正」法案は、現状でも大学構成員の意向を反映させにくい学長選考会議に学長選考基準策定権を与え、学長選考過程から大学構成員の意向をさらに排除しようとするものだ。さらに、現行「二分の一以上」とされている経営協議会の学外委員を「過半数」とすることで、学内構成員の意向を軽視した大学運営を行いやすくするものだ。
 全大教中央執行委員会は3月9日付けの声明「中央教育審議会大学分科会『大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)』の撤回を求め、学校教育法の『改正』に反対する」の中で、日本国憲法第23条で保障する学問の自由のためには大学自治が不可欠との立場から、審議まとめの「大学改革」構想を批判し、大学自治の根幹である教授会の位置づけ変更に反対することを表明した。また、大学人11名を呼びかけ人とする「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」は緊急アピールを発表し、賛同署名を呼びかけている。全大教もこの呼びかけに賛同するとともに、事務局団体として署名活動を支えている。2,313人(4月25日現在)の署名が寄せられており、日々その数は増え続けている。
 政府・文部科学省は、こうした批判があることを承知の上で、大学自治を破壊し、政府の意向をくむ学長の専権体制の確立を目指して、この「改正」法案を決めた。国民の権利を後退させ、これまで築いてきた民主主義の土壌を堀崩す暴挙である。
 全大教は、この学校教育法・国立大学法人法の「改正」に断固反対し、法案がもつ問題点、危険性を広く国民と共有し、国会審議を通じてこの法案を廃案にさせるために運動する。また、その過程で、学問の自由が国民にとってかけがえのない権利であること、それを守るためには大学自治を根幹とする大学制度が必要であることについて、あらためて大学内外で議論を深めるとともに、大学が国民の共有の財産であることを自覚し、大学が自主的に改革を進めていくために力を尽くすことをあわせて宣言する。

大学改革 学長の権限強化、改正法案を閣議決定

毎日新聞(2014年04月25日)

 政府は25日、大学学長の権限強化を柱とした学校教育法などの改正法案を閣議決定し、国会に提出した。学長のリーダーシップを強めて大学改革を促すのが狙い。これまで役割があいまいで「改革の阻害要因」とも指摘されていた教授会は、学長の「諮問機関」的位置付けとして役割を明確化。学位授与など一部に制限した。来年4月の施行を目指す。大学教授らからは「学長を『独裁化』させる改正だ」と反発の声も上がっている。

 国公私立のすべての大学が対象になる学校教育法は、これまで教授会の役割を「重要事項を審議する」としか規定しておらず、各大学の裁量で運用されてきた。教育課程や教員人事の「教育研究分野」だけでなく、学部・学科の廃止、キャンパス移転など大学運営や予算に関する事項についても事実上決定権を持つ例も少なくない。そのため「学長が改革しようにもリーダーシップを発揮できない」との指摘があった。

 改正案は、教授会の役割を、学生の入学・卒業、学位授与のほか、学長が必要と判断した事項に「意見を述べる」と制限した。また、学内の「教職員投票」が反映されるなど不透明とされてきた学長選考を見直すため、国立大学法人法も改正案を提出。選考基準を定めて公表を義務付けた。大学内外を問わず、優秀な人材の登用を促す狙いもある。

 これに対し、全国の大学教職員らが改正反対の署名活動を始め、大学教員を中心に2200人を超す署名が集まり反発が広がっている。呼びかけ人の一人、松田正久・愛知教育大前学長は「学長に権限を与えれば改革がうまくいくというのは幻想だ」と批判している。【三木陽介】

学長主導の大学改革促す 関連法改正案を閣議決定

日経(2014/4/25)

 政府は25日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を閣議決定した。学長主導による大学改革を促すため、多くの大学で運営に大きな影響力を持つ教授会の権限を限定。国立大学では重要事項を審議する会議の過半数を外部委員とし、チェック機能を強める。今国会に提出し、2015年4月の施行を目指す。

 国公私立の全ての大学が対象となる学校教育法は教授会の役割を「重要な事項を審議する」と規定しているが、表現が曖昧だった。中央教育審議会の部会は昨年12月、「教授会の審議が大学経営に関する事項まで広範に及び、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘がある」と文部科学省に提言していた。

 改正案では、教授会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」に改め、学長の諮問機関としての位置付けを明確にした。教授会の審議事項も「学生の入学、卒業、修了、学位授与」のほか「学長が必要と認めた場合」に限定した。

 中教審部会は審議事項について、教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査を含む4項目とすることを提言したが、学長や学長経験者から「細かく法制化すると、現場の自由度が奪われる」との意見が多かったため、学生に関わること以外は学長の裁量に委ねる。

 現行法で「学長の職務を助ける」と定めている副学長は「(学長の)命を受けて校務をつかさどる」と変更。中教審部会の提言に沿う形で副学長に一定の権限を与え、学長を補佐する機能を充実させる。

 国立大学法人法改正案では、国立大の予算編成などを審議する「経営協議会」の外部委員数を現行の「2分の1以上」から「過半数」に改める。外部委員と内部委員の数が同じ大学が多い現状を見直し、外部の意見が大学運営に反映されやすいようにする。

 国立大学長が学内投票や多数派工作だけで選ばれないようにするため、学長選考の基準や結果の公表も義務付ける。学長選考を含む国立大の組織運営については改正法施行後も随時、検討するという付則も盛り込んだ。

「教授会」役割限定 改正案決定

NHK(4月25日)

政府は25日の閣議で、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を限定するなどとした学校教育法の改正案などを決定しました。

中教審=中央教育審議会はことし2月、急速なグローバル化が進むなかで、各大学が国際競争力を高めていくには、学長のリーダーシップのもとで戦略的に大学を運営できる体制づくりが不可欠だとする報告をまとめました。
これを受けて政府は25日の閣議で、学校教育法と国立大学法人法の改正案を決定しました。
このうち学校教育法の改正案では、学長主導で大学改革を進めるため、多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた「教授会」の役割を見直し、教育研究に関する事項を審議し、学長に「意見を述べる」ことに限定するなどとしています。また、国立大学法人法の改正案では、学長の選考の透明化を図るため、選考の基準や結果を公表することを義務付けるなどとしています。
政府は、これらの改正案を今の国会で成立させたいとしています。


いま、大学の自治を問う、京大での総長選挙廃止の動きと「大学改革」 4・20シンポジウムを開催・報告と議論の要旨

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース2013年度第27号

 4 月 20 日(日)、午後 1 時より、法経第 7 番教室を会場に、総長選挙廃止の策動を討つシンポジウムが開催された ( 京大職組・京滋私大教連共催 )。シンポジウムは、池田豊氏 ( ねっとわーく京都 )の司会により、高山佳奈子副委員長の開会挨拶「京大総長選挙をめぐる局面と私たちのとりくみ」から、石倉康次氏 ( 京滋私大教連 委員長 ) の閉会挨拶まで、2 時間 30 分にわたって行われた。
 前半は、大学の自治を脅かす状況について、次の講演が行われた。西牟田祐二委員長「中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)をめぐって」。鈴木眞澄氏(日本私大教連・京滋私大教連副委員長)「経済同友会提言』『私立大学におけるガバナンス改革』をめぐって」。中嶋哲彦氏(全大教委員長)による「国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて」。
 大学自治が、教育公務員特例法の要請ではなく、憲法的要請に基づくものであること、学校教育法の改変が、憲法 23 条の実質改憲という本質をもつことが明らかにされ、安倍政権=財界の動向を批判的に乗り越える運動の必要性が確認された。
 シンポジウムの後半は、これら三人の講演者をパネリストとしたディスカッションが行われ、さらに問題が掘り下げられると共に、会場からの質疑が行われた。
 80名余が出席し、今後の大学を左右する緊急テーマについて、講演者の言葉に真剣に聞き入っていた。内容の充実したシンポジウムであり、最後にシンポジウム・アピールが満場一致で採択された。

4.20 シンポジウム 報告と議論の要旨

報 告 ①
中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ) 」をめぐって

西牟田 祐二 氏
京都大学職員組合 委員長
京都大学経済学研究科 教授

 中教審のガバナンス改革が提起するリーダーシップ論は権限を学長に集中させ、それを外部からコントロールするという主張であり、それはまったくの虚構(=大学統制という意図をごまかすトリック)にすぎない。この虚構の一端を担うのがマスコミである。しかし、中教審の審議まとめでは、国立大学法人の教職員を非公務員化する過程で生じた国立大学法人法における教授会規定の欠落(実定法上の空白地帯)を利用し、教授会規定を含む学校教育法を改正することによって教授会を単なる審議機関にすることが目指されている。この学校教育法改正が現実的な危機となりつつある。

報 告 ②
経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」をめぐって

鈴木 眞澄 氏
日本私大教連 副委員長
京滋私大教連 副委員長
龍谷大学法学部 教授

 私立学校法の一部改正があっという間に施行されることになり(4 月 2 日)、私立大学は重大な岐路に立たされている。この問題を考える上で決定的な転換(クーデター的)となったのが、2004 年の私立学校法改正であった。こうした動向の背後にあるのは、大学に企業の論理を導入しようという議論であり、経済同友会の提言はそれを露骨に示している。今回の一部改正は、所轄庁が学校法人の業務財務を調査し、一方的に介入することを可能にするものであり、いかようにも拡大解釈できるものとなっている。事態はきわめて深刻である。

報 告 ③
国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて

中嶋 哲彦 氏
全国大学高専教職員組合 委員長
名古屋大学教育発達科学研究科 教授

 安倍政権の高等教育政策は大学自体を技術開発(イノベーション)の中心にするものであり、教育や福祉などの日常生活圏にかかわる政策が極めて弱い、いびつなものとなっている。法人化以降、国策大学化や大学の官僚化が目指されてきたが、法人化には限界があった。この限界を乗り越えるものとして提唱されているのが、ガバナンス改革であり学長のリーダーシップ論である。しかし、ここで確認すべきは、大学の自治の基盤は、教育公務員特例法にあったのではなく、憲法 23 条にあるのである。学校教育法改正による大学自治破壊は何の正当性も持ち得ない。中教審が言っていることはデマである。

パネルディスカッション

 鈴木、中嶋両氏からは、それぞれの報告の最後に、「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール」への協力要請がなされ、また西牟田委員長からは、パネルディスカッションの中で、現場である個々の教授会から学校教育法改正反対の決議をあげる取り組みを進めたいとの応答がなされた。 後半のパネルディスカッションを含めて、京都大学総長選挙廃止の動きが大学の自治の破壊という政財界の意図に基づいた大きな策動の一環であること、そして大学の自治とは大学だけの問題ではなく民主主義と人権の根幹に関わるものであることが明らかになった。民主主義へ向けられた攻撃を視野に入れるところから、大学の自治を守る動きを、大学を超えて広げてゆくことが求められている。


2014年04月22日

「大学の自治を根本から否定する学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール」

京滋私大教連
 ∟●大学の自治を根本から否定する学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール

大学の自治を根本から否定する
学校教育法改正・国立大学法人法改正に反対する緊急アピール


 日本の大学は、国公私立を問わず、いま重大な危機にさらされています。
 今国会に提出されようとしている学校教育法と国立大学法人法の改正案は、大学の自治の制度的保障の基礎であった教授会の議決権を否定し、大学学長(総長)に対し単に意見を申し述べるだけの機関に変えようとし、さらには学長(総長)の選出権そのものも大学から奪おうとしています。

 日本国憲法は、第 23 条で、「学問の自由はこれを保障する」と述べ、最高裁判所大法廷判決は、「大学における学問の自由を保障するために大学の自治が認められている。この自治は、とくに大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される」と判示しています。今回の学校教育法改正は、この日本国憲法条項に対する明白な挑戦であり、決して認めることはできません。

 安倍内閣は、特定秘密保護法の導入、集団的自衛権に関する解釈改憲の動き等、に引き続き、さらにこの「学問の自由=大学自治」の制度的廃止によって、憲法に保障された基本的人権の更なる制限に乗り出しています。
 また経済同友会などの財界団体は、大学を利潤追求を目的とする株式会社と同じ原理の組織に変え、大学を自らの研究開発目的へのたんなる従属機関とさせようとしています。

 この目的のために現在行われている「学長のリーダーシップ」キャンペーンは、大学におけるリーダーシップの内実とは全く関係がなく、上記のように規定を変えられた大学学長(総長)を道具として使い大学を外から統制しようとしている計画に他なりません。
 言うまでもなく、大学は、それぞれの学問分野において、真実を解明することを通じて広く社会一般に貢献することがその役割であり、その目的のために最適のガバナンスとして自治を要求するのです。

 私たち、4.20 シンポジウム「いま、大学の自治を問う―京都大学における総長選挙廃止の動きと大学“改革”」に集った参加者一同は、京都大学と日本全国の国公私立大学における自治が民主的な日本社会の不可欠の構成要素であることを改めて自覚し、大学の自治を根本から否定する今回の学校教育法・国立大学法人法の改正案に強く反対し、これを決議いたします。

2014 年 4 月 20 日
4.20「いま、大学の自治を問う」シンポジウム参加者一同

「大学の自治」考える、学校教育法改定案反対 京大でシンポ

しんぶん赤旗(2014年4月21日)

「大学の自治」考える
学校教育法改定案反対 京大でシンポ

 安倍政権が教授会の権限を剥奪し、「大学の自治」を揺るがす学校教育法改定案の今国会での提出をねらうなか、シンポジウム「いま、大学の自治を問う」が20日、京都大学(京都市左京区)で行われました。京都大学職員組合などが主催しました。
 京大職組の高山佳奈子副委員長が開会あいさつし、京都大学での総長選挙廃止の動きについて述べました。
 西牟田祐二・京大職組委員長が、文科省の諮問機関である中央教育審議会大学分科会が2月に示したガバナンス改革案(審議まとめ)と学校教育法改定案について報告。西牟田氏は、学長の「リーダーシップ」確立を□実に、教授会の権限を奪い、外部から大学を統制するねらいを告発。報道で明らかになった改定案では教授会を学長の「助言機関」に位置づけていることを指摘し「これでは学長独裁の大学になる。大学の自治は、憲法が定める民主主義の基本的な制度であり、それを自覚して運動しなければいけない」と力を込めました。
 鈴木具澄・日本私大教連副委員長は、大学を企業と同列に扱う経済同友会の大学改革の提言を批判し、経済的利益を追求する企業と違い、大学は学問・研究のための組織であり、社会に還元する役割を持っていることを指摘。
 中嶋哲彦・全国大学高専教職員組合委員長は、学外から学長を送り込めるように学長選挙を廃止し、教授会の権限を剥奪するというのは、教育研究の現場では何も決めさせず、大学を政府のコントロール下に置くことだと批判しました。
 集会では、「学校教育法改正」に反対する緊急アピール・賛同署名が呼びかけられました。


2014年04月19日

「学校教育法と国立大学法人法の一部を改正する法律案」、4月中の閣議決定を目標

■日本私大教連メールニュース

★「学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会」の記者会見の日程が決まりました。

○日時 4月24日(木)16時~
○場所 文部科学省記者会会見場
○記者会見には現段階で、呼びかけ人の大橋英五さん(立教大学元総長)、広渡清吾さん(専修大学教授)、松田正久さん(愛知教育大学前学長)が出席され、事務局団体として日本私大教連、全大教の委員長ほか役員が出席します。

 ◆記者会見までに「アピール署名」を大きく広げてください!
   「アピール署名をすすめる会」HP http://hp47.webnode.jp/
  ※署名活動を開始してから10日が経ちますが、現在ネット、署名用紙合わせて
    1300名程度にとどまっています。大学関係者にもまだまだ知られていません。
  ※メールの転送やツイッターなどで一気に拡散してください。
  ※日本私大教連HPには署名用紙、リーフレットを掲載しています。ご活用ください。
    http://www.jfpu.org/no%20governance%20reform/gakkyohokaiseihanntai.html

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★国会情勢、報道など

●「学校教育法と国立大学法人法の一部を改正する法律案」は4月中の閣議決定を目標にしている――文科省大学振興課

●昨日16日付の読売新聞朝刊は、「国立大 学長選を透明化」という見出しで、国立大学法人法と学校教育法の改正案が「判明した」と報じています(添付)。学教法については、教授会を完全に諮問機関化するとしか読めない記述になっています。
 これについて、法案作成を担当している文科省大学振興課に電話で問い合わせたところ、「諮問機関化する法案ではない」と否定。その上で、「大学によって同じ事柄でも教授会の決議事項になっている大学もあるし、逆に教授会の意見をまったく聴かずに学長が決定している大学もあり、相当幅がある」、「自民党からも、教授会の意見をまったく聴かないようなことではだめだということで、重要事項は教授会の意見を聴くという条文を入れることを検討しており、そのことを読売はこういう記事にしたと思う」と回答しました。
 しかし、経済同友会などからは「教授会の諮問機関化」が執拗に主張されており、予断を許さない状況です。

●本日17日、自民党の文部科学部会で「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が議論されたとの情報が入りました。

自民党・薗浦健太郎議員は、ツイッターで、
「学校教育法と国立大学法人法の改正案の審議です。学長のリーダーシップを確立して、統治機能を高める内容です。教授会は学長の求めで意見を述べる機関と位置付けます」とツイート。これが本当なら、諮問機関化そのものであり、極めて重大です。

●日本私大教連はこの問題について4月21日(月)に文科省要請を行います。要請の内容はこのニュースでお知らせいたします。


大学長権限強化に賛否両論、大学関係者 「独裁化」への懸念も

■朝日新聞(2014年4月18日)

 文部科学省は17日、大学学長のリーダーシップを強める法改正案を与党に示した。大学運営をトップダウン化して改革を促す狙いで、今国会での成立を目指す。大学関係者には、意思決定が早まることへの期待と、「学長独裁化」への懸念が入り交じる。
 政府や与党内には、「今の制度では教授会の権限が強く大学改革の妨げになっている」との批判が根強い。学長が「秋入学」や学部新設などの改革を提案しても、教授会が反対すれば実現は難しいからだ。
 改正実では、あいまいだった教授会の役割を明確化。「審議する」とだけ書かれていた学校教育法の条文を「学長が決定を行うに当たり意見を述べる」と変更、教授会の権限を限定した。国立大学法人法の改正案には、学長の選定基準を公表することを盛り込んだ。 大学関係者の賛否は分かれている。
 国立大学協会長の松本紘二京都大総長(学長)は意思決定のスピードアップに期待する。一方、愛知県内の国立大元学長は「学長が独裁化すると、強い権限を使って『稼げる学部』に学内予算が偏る心配がある」と指摘する。

「大学長に決定権」明示、文科省改革案 教授会の権限限定

■朝日新聞(2014年4月17日)

 大学長のリーダーシップを強化する制度改革案を文部科学省がまとめた。重要事項の決定権が学長にあることを明確にしたことが大きな特徴だ。グローバル人材の育成など大学の国際競争力を高め、教育の質の向上につながる改革を進めやすくするのが狙いだ。
 文科省は17日、学校教育法と国立大学法人法の改正案を自民党部会で示した。大学のガバナンス(統治)の在り方を変えるため、学長の改革を妨げるとの批判があった教授会の権限を限定することなどが柱。今国会に提出する予定だ。
 文科筈によると、教援会の役割は、国公私立大全てに関係する学校教育法に「重要な事項を審議する」と規定されているだけで実質上、運用は各大学に委ねられていた。
 そのため、大学や学部の運営や予算などについて、本来は学長が決めるはずなのに、「議決」という形で教授会が決定権を持つケースがあった。こうした場合、学長が海外大と入学時期をそろえる「秋入学」の導入や、学部新設などをしようとしても、教授会に反対されれば、なかなか改革が進められなかった。
 学校教育法の改正案では、教援会の役割を「審議する」から「学長に意見を述べる」と表現を改めた。さらに、意見できるのは「学生の入学、卒業、修了、学位授与」についてか、「学長が必要と認めた」場合に限定。すべての決定権が学長にあることを明確にした。
 副学長には学長の改革を後押しする役目を担わせた。学長の指示を受けた事柄について「校務をつかさどる」と定め、現行の「学長の職務を助ける」よりも指導力を強めるのが狙いだ。
 国立大学法人法の改正案には、学内人気や多数派工作だけで学長が選ばれないように、選考基準や結果を公表することなどを盛り込んだ。事前に誰がふさわしいかを聞く「意向投票」を禁止すべきだといった声が自民党内にあったことにも配慮し、付則に「制度全体について検討し必要な措置を講ずる」との表現も入れた。

2014年04月18日

教授会の役割縮小、大学改革 学長主導へ法改正案

■北海道新聞(2014年4月17日)

学長主導の大学改革を進めるため、政府が今国会で成立を目指す学校教育法と国立大学法人法の改正案が16日、分かった。教授会が審議する事項を学位授与などに限定し、『学長に意見を述べる』機関と位置付けた。
 多くの大学で事実上の意思決定機関となってきた教授会の役割を狭めて、学長がリーダーシップを発揮しやすくするのが目的。しかし「大学の自治」を重視する関係者からは反発を招きそうだ。
 現行の学校教育法は「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」と規定しており、多くの大学で教授会の意向が大学運営に反映されている。このため、学長が秋入学導入などの改革を進めようとした場合、教授会の反対で実現しないこともあった。
 改正案では「教授会は学長が決定を行うにあたり意見を述べる」と規定。審議事項も①学生の入学、卒業、課程の修了②学位授与③教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要と認めるもの-に限定した。
 国立大については国立大学法人法を改正。学長選考を透明化し、経営面では外部意見を反映させやすくする。学長選考会議は選考基準をつくり、基準や結果を公表する。
 政府は来週にも閣議決定し、今国会へ提出する予定。成立すれば、来年4月に施行される。

2014年04月16日

シンポジウム、「大学のあり方を考える~大学改革,ガバナンス改革を問う」

東海私大教連

名大職組・東海私大教連主催 学習討論会

日時: 5月8日(木) 18時30分開始 20時30分終了予定
テーマ:「大学のあり方を考える~大学改革,ガバナンス改革を問う」(仮題)
問題提起者:中嶋哲彦氏(全大教委員長、名古屋大学)
      新村洋史氏(名古屋芸術大学)
主催:名古屋大学職員組合,東海私大教連
会場:名古屋大学 IB電子情報館のIB015講義室 
  (名古屋市営地下鉄「名古屋大学駅」3番出口 西地区連絡通路階段上がった正面入口入る)
内容:国立,公立,私立各大学教職員,学生からの報告と討論予定

2014年04月10日

自民党文部科学部会・日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会

全私学新聞(2014年3月23日)

自民党文部科学部会・日本経済再生本部大学のガバナンス改革で勉強会
3氏が意見表明
佐藤桜美林学園理事長「私学の多様性認めて」
学長選考方法や学長補佐体制などが焦点に

 自由民主党の文部科学部会(丹羽秀樹部会長=衆議院議員)と日本経済再生本部(高市早苗本部長=衆議院議員)は、3月14日、東京・永田町の党本部内で、大学のガバナンス改革に関する合同勉強会を開いた。

 この日は、冒頭、塩崎恭久・日本経済再生本部長代行と丹羽部会長があいさつした後、平野俊夫・大阪大学総長、佐藤東洋士・桜美林学園理事長・桜美林大学総長、北城恪太郎・国際基督教大学理事長(日本アイ・ビー・エム株式会社相談役、経済同友会終身幹事)の3氏から、大学のガバナンス改革に関する意見を聴取した。

 この中で平野大阪大学総長は、「研究型大学のガバナンス改革に係る大阪大学の取り組み」と題して、〝世界トップ10〟に向けた同大学の取り組みを紹介。

 その上で世界の大学と競争するためには、学長選考会議で選考と解任の理由を明確化し、学長の業績評価の義務化、運営交付金等の一部を学長に配分、ポストの配置権を学長に与えること、学長を支援する専門組織の充実、各国立大学が策定する中期計画期間(現行6年)の延長(10~12年)等を提案した。

 佐藤桜美林学園理事長は、私立大学は建学の精神を有し、大学のガバナンスについても多様な方策・工夫を講じてきており、私立大学におけるガバナンスを国立大学法人と同様に一律に論じることは必ずしも適切ではないものと考えている、とし理解を求めた。

 桜美林大学においては、教員採用等の人事に関しては、学科単位で実質的に進められ、大学を総括すべき立場の学長の意向が全く反映されない状況にあったことから、学長のリーダーシップの下に全学人事委員会を設置し、大学全体を見渡した計画的採用および人事ができるように改善したこと、教授会の審議事項に関しては、教学、すなわち教育活動、研究活動に限ったこととし、大学経営は理事会とするよう整理したことを報告。その上で文部科学省が検討を進めている学校教育法第93条の改正については賛成の意向だと語った。

 北城国際基督教大学理事長は、大学のガバナンス改革について、1月28日、自由民主党の日本経済再生本部・教育再生実行本部合同会議に次ぐ2度目の意見表明となった。その中で北城理事長は、本来、学長や理事会に最終決定権がある事項について直接責任を負う立場にない教授会が意思決定機関として運営されている大学が多く、学長のリーダーシップによる迅速な大学改革を阻害している、と指摘。学校教育法第93条に関しては、「大学には、教育及び研究に関する学長の諮問機関として教授会を置く」と改めるよう提案。国立大学の学長選考に関しては、学外の意向が反映するよう国立大学法人法第12条を改正し、「学長選考会議の委員の数は、経営協議会に所属する学外委員を過半数とする」とし、「学長選考においては、原則として教職員による意向投票は行わないものとする」との方針を文部科学省令で示すよう求めた。

 また、私立大学の学長の選考に関しては、私立大学も国民の税金によって支援されている社会的存在であることから、私立学校法で、ガバナンスの中心である学長の選考方法を定めることについて検討すべきだ、と語った。

 こうした意見表明に対して、出席の議員からは、「外部が正しく、内部が正しくない、という硬直した話ではないだろう。外部の価値観を取り入れることについてはどういうことがいいのか」といった質問が北城理事長に出された。北城理事長は、「外部の人は、社会の変化を大学に伝えるという点で意味がある。学内を変える時に学外の人をてこに使っている例もある」と回答。

 また別の議員からは、「私学には建学の精神があると言われるが、社会的な役割は大きい。何もやらなくていいとは言っていない。私学は、我々にもわかりやすい具体的な(改革)案を出してほしい」との意見も出された。

 さらに平野大阪大学総長は、「学長には人事権がなく、仮に学長の意向を押し切ってやったとしても今の選挙方法ではその学長は消されてしまう。また学長の権限をバックアップする体制も必要。意向投票については、してもしなくてもいい。一つの要因にすぎない」と語った。

 また、佐藤桜美林学園理事長は、「学外の人を入れるとうまくできるかというと、そうではない。多様性を認めてほしい。(私立大学の)活力をなくさないようにしてほしい」と訴えた。

 自民党の文部科学部会と日本経済再生本部は3月19日にも大学のガバナンス改革に関して3人の有識者からヒアリングを行っており、納谷廣美・明治大学学事顧問らが意見表明している。

 両組織では合同でさらにヒアリングを続け、国公私立大学のガバナンスの在り方を検討することにしている。

 文部科学省では今年2月の中教審大学分科会の審議まとめ「大学のガバナンス改革の推進について」を受けて学校教育法等の改正の準備を進めており、学校教育法等の改正案は政府の成長戦略関連法案としても位置付けられている。


2014年04月09日

ネット署名、「大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール」

全大教
■署名はこちらから→<https://business.form-mailer.jp/fms/dc0ab1ea31301

『大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール』

 日本の大学と民主主義は、いま重大な危機にさらされています。
 政府・文部科学省は、教授会が審議する事項を学位授与や教育課程の編成等に限定し、教育研究と不可分な人事・予算等を審議させないことで、学長の権限を抜本的に強化するという学校教育法改正法案を今通常国会で成立させるとしています。教職員による学長選挙を否定し、学部長さえも学長の指名にすることを射程に置いています。
 大学は、その歴史を通じて、国家や権力を持った勢力による統制や干渉から学問の自由を守るために大学の自治を確立してきました。大学の自治は、自由で民主的な市民を育成するという大学の使命を果たすために不可欠です。わが国においては、憲法23条が学問の自由を保障し、学校教育法は国公私立大学の別なく「重要な事項を審議するため」に教授会を置くことを定め、教授会を基盤とした大学自治の法的枠組みが整備されています。人事と予算に関する教授会の審議権はその最も重要な制度的保障であり、これを否定する学校教育法の改正は、大学の歴史と大学の普遍的使命に照らして到底認められない暴挙です。
 安倍政権は、財界のグローバル戦略を大学に押しつけ、大学を政府・財界の意向に従属させるための大学破壊を強引に推し進めています。今回の学校教育法改正法案は、教育委員会制度の解体、道徳教育の教科化等と並び、戦後、国民が培ってきた民主的な教育の否定を意図するものです。
 学校教育法改正は、学問の自由と大学の自治を侵害し、国民のための大学を国家目的に奉仕する機関へと変質させるものにほかなりません。人類的課題が山積する困難な時代であればこそ、学術と大学の自由で多様な発展が必要です。私たちは学校教育法改正に反対し、国会で徹底審議のうえ廃案とすることを強く求めます。

2014年4月7日

学校教育法改正に反対するアピール署名をすすめる会

 【呼びかけ人】(五十音順)
 芦田 文夫(立命館大学元副総長)   
 池内 了 (名古屋大学名誉教授)
 内田 樹 (神戸女学院大学名誉教授) 
 尾池 和夫(京都造形芸術大学学長)
 大橋 英五(立教大学元総長)     
 今野 順夫(福島大学元学長)
 西谷 敏 (大阪市立大学名誉教授)  
 広渡 清吾(専修大学教授、東京大学元副学長)
 松田 正久(愛知教育大学前学長)   
 森永 卓郎(獨協大学教授)
 矢原 徹一(九州大学大学院教授)

4.20 シンポジウム、「いま、大学の自治を問う」へのご参加を!

京大職員組合
 ∟●京大職組「職員組合ニュース4-7発行

4.20 シンポジウム
「いま、大学の自治を問う」
へのご参加を!

〇“大学は沈没直前のタイタニック号、なのに大学関係者は船内でダンスに励んでいる” !?
 現中教審会長、現京大総長選考会議議長安西祐一郎氏の発言です(2012 年 12 月 22 日読売新聞インタビュー)。発言は京都大学教授山中伸弥氏のノーベル賞受賞式(同年 12 月 10 日)の約 2 週間後。ノーベル賞受賞者輩出の大学を沈没直前のタイタニックに例えて大学教員等は船内でダンスを踊っているなどとは信じられない認識です。大学教職員への侮蔑です。

〇“総長は総長選考会議だけで選ぶ。教職員の投票はいらない”
(学外委員案)
 3 月 18 日の教育研究評議会で総長選考会議学内委員の方が報告し明らかにした総長選出にかかる学外委員案です(職員組合ニュース 2014 年 3 月 19 日付け号外)。「総長選考新方式を決定」との読売報道が事実でないことも報告されました。学外委員案は独裁案と言えるものです。

〇組合の運動と学内外の世論を結集して大学の自治を発展させよう
 4.20 シンポジウムへの協賛団体も日々増えています。京都府公立大学法人労働組合(府立大学、府立医科大学)、高等教育研究会、左京地区労働組合協議会、全大教近畿地区協議会、京都総評、日本科学者会議京都支部等々。4.20 シンポジウムへの多くのみなさんの参加で成功させ、大学自治・自由の学風を守り発展させる良識を大きく示しましょう。

4.20シンポジウム 「いま、大学の自治を問う」
ー京大での総長選挙廃止の動きと大学「改革」ー

日 時:2014年4月20日(日) 13:00?15:30
会 場:京都大学 法経本館 法経第7番教室

プログラム:
    司 会:池田 豊 (ねっとわーく京都)

    開会挨拶:「京大総長選挙をめぐる局面と私たちのとりくみ」
         高山佳奈子
          (京大職組副委員長/京都大学法学研究科 教授)
         
    報告(1) :中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」
         (2014.2.12)をめぐって
         報告者:西牟田 祐二
          (京大職組委員長/京都大学経済学研究科 教授)

    報告(2) :経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」(2012.3.26)をめぐって
         報告者:鈴木 眞澄
          (日本私大教連 副委員長/京滋私大教連 副委員長/龍谷大学法学部教授)

    報告(3) :国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて
         報告者:中嶋 哲彦
          (全大教 委員長/名古屋大学教育発達科学研究科 教授)

    パネルディスカッション
     パネリスト:中嶋 哲彦/鈴木 眞澄/西牟田 祐二

    閉会挨拶:石倉 康次(京滋私大教連 委員長/立命館大学産業社会学部 教授)

主 催:京都大学職員組合/京滋地区私立大学教職員組合連合 
後 援:全国大学高専教職員組合/日本私立大学教職員組合連合
協 賛:高等教育研究会/日本科学者会議 京都支部/京都総評/左京地区労/全大教近畿/
    京都府公立大学法人労働組合


2014年02月25日

大学改革、学長に権限…教授会の役割を縮小

読売新聞(2014年2月24日)

 国際競争力の強化などに対応する大学改革を、学長主導で進めることを柱とした政府の学校教育法・国立大学法人法改正案の原案が24日、わかった。

 現在は実質的な意思決定機関である教授会の役割を教育研究分野に限定することで、学長に意思決定の権限を一元化するのが特徴だ。

 政府は今国会への改正案の提出を目指している。

 国立・公立・私立大学の運営の仕組みなどを定めた学校教育法は、教授会について「重要な事項を審議する」と定めており、多くの大学で意思決定機関となっている。学長が、先進的な研究分野に予算を重点配分したり、外部人材を大胆に登用したりしようとしても、教授会の反対で実現しないケースがあった。

 原案は、教授会を「教育研究に関する専門的な観点から重要な事項を審議する」機関と位置付けた。教授会の役割は、教育課程の編成や学生の身分、教員の教育研究業績の審査などに限定する方向だ。国際化の遅れが指摘される日本の大学改革を、学長のリーダーシップで加速させる狙いがある。


2014年01月18日

山口大、学部長の選考方法を変更 学長含む役員会が決定

日経新聞(2014/1/17)

 山口大学は16日、学部長と研究科長の選考方法を変更すると発表した。従来は学部や研究科の教授会が選び学長が追認していたが、4月からは学長を含む役員会が決める。学長がリーダーシップを発揮し、大学全体で将来のビジョンを共有して特色ある大学を目指す。このような選考方法は国立大学法人の総合大学では珍しいという。

 役員会は学長と5人の理事で構成する。新たな選考方法は学部、研究科が複数の候補適任者を学長に推薦。学長は所信表明の提出を求め、役員が面接をする。その上で役員会で決定し、学長が任命する。同大には8学部、9研究科があり、一部は学部長が研究科長を兼務している。

 また、学部長、研究科長の在任期間は原則4年までとする。従来は任期は2年で再任の限度は学部などがそれぞれ個別に設定していた。4月以降も任期2年は変わらないが再任は1回までとなる。


2014年01月17日

大学教授会、役割を制限し学長権限強化 文科省が検討

毎日新聞(2014年01月16日)

 文部科学省は、あいまいさがあるとされる大学の教授会の審議事項を明確化して、役割を事実上制限するため、学校教育法改正に向けた検討を始めた。教授会については、大学の経営に関する部分まで審議したり改革に異論を唱えたりするケースがあるなど「学長のリーダーシップを阻害している」との指摘があり、中央教育審議会なども見直しの必要性を指摘している。文科省は今月24日に召集される通常国会の期間中に、改正案を提出したい考えだが、大学関係者からは「学問の自由が失われかねない」と懸念する声が上がっている。

 学校教育法は「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」とし、国公私立大に教授会の設置を義務付けている。具体的には学生の入学や退学、留学などのほか、卒業について審議し、最終的には学長が決定する。文科省などによると「重要な事項」の範囲があいまいなため、教授会が教育関連のみならず、大学の経営に関する部分まで審議しているケースがあるという。また、入試制度の見直しなど、大学全体で取り組みたい施策に対し、学部ごとに設置された教授会の足並みがそろわない場合、結果的に学長がリーダーシップを発揮できない事態になる。

 教授会の役割については現在、中教審大学分科会組織運営部会で協議中。昨年12月に公表された「審議まとめ案」では、教授会が審議すべき事項として、教育課程の編成▽学生の身分に関する審査▽学位授与▽教員の教育研究業績等の審査??など内容を具体的に挙げており、改正案もこれに沿った内容になる見通し。解釈の余地をなくし、教授会の役割を事実上制限する。

 文科省は当初、大学関係者の反発に配慮し、教授会の再定義については省令で対応する方針だった。しかし、国際競争力の向上や留学促進、社会への貢献度アップなど、改革のスピードを速めるためには、学長により強い権限を集める必要があり、抜本的な「教授会改革」は避けられないとし、省令よりも拘束力の強い法改正が必要と判断した。

 文科省は通常国会に十数本の法案を提出する予定で、学校教育法の改正案もその中に含まれる方向。16日に開かれた自民党の文部科学部会でも説明された。【福田隆】

◇教授会

 大学の学部や研究科に設けられる機関で、学校教育法93条で設置が義務付けられている。教授で構成されるのが基本だが、准教授や専任講師も加えることができ、大学の教育課程や人事、学生関連の事項を審議する。教授会の審議を経て、学長が最終決定する。私立大では学校法人の理事会があり、教授会とは別の組織。最終決定権は理事会が持つ。

 ◇名古屋大大学院の中嶋哲彦教授(教育行政学)の話

 大学を運営するときに人事と予算は切り離すことができない。教授会の権限で、予算など経営的な事項を制限すれば、研究なども阻害され学問の自由が失われかねない。教授会の位置付けは現状で良い。

 ◇昨夏に教授会を学長の諮問機関とした追手門学院大(大阪府茨木市)の坂井東洋男(とよお)学長の話

 教授会の権限を「教育」と「研究」に特化したことで、教員が研究に集中できるようになった。そのためか、科学研究費補助金の申請件数が増加し、教員や授業に対する評価もスムーズに進み始めた。他大学からのヒアリングも増えている。

◇名城大大学院の中島英博准教授(高等教育論)の話

 経営手腕があるなど適任者が学長になり、権限が集中されるなら円滑な大学運営が期待できるはずだ。しかし、学部長も持ちまわりで選ばれ、学長も経営手腕などによって選出されていない現状をみると、法改正しても即座に大学の経営改革につながるとは考えにくい。


2013年12月18日

中教審、第88回(12月13日)議事 「ガバナンスに関する審議の状況について」

■中教審
 ∟●第88回【開催日時:平成25年12月13日(金曜日)】審議資料

ガバナンスに関する審議の状況 (PDF:80KB)
【検討スケジュール】
6月26日 第一回 教育再生実行会議の提言等を紹介しつつ、全ての委員がガバナンスに関する意見を発表
8月6日 第二回 「学長の権限」や「学長の選考方法」などの論点について審議
9月9日 第三回 「教授会」や「理事会」「監事」「情報公開」などの論点について審議
10月2日 第四回 学長ヒアリング①(京大・阪大)、「内部規則」や「学長の選考方法」などの論点について審議
10月29日 第五回 学長ヒアリング②(長崎大学・広島修道大学)、審議まとめ(骨子案)を審議
11月19日 第六回 審議まとめ(素案)を審議
12月5日 第七回 審議まとめ(案)を審議、確定
12月24日 大学分科会に審議まとめを報告予定
→「審議まとめ」に基づいて、所要の制度改正等を行う。

大学のガバナンス改革の推進について(概要)(案)
大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)(案)(その1)
大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)(案)(その2)
大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)(案)(その3)

大学学長に権限集中、中教審まとめ案 民主的運営破壊狙う

しんぶん赤旗(2013年12月16日)

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は13日、大学の学長に権限を集中・強化し、教授会をはじめ民主的な大学運営の破壊につながるとりまとめ案「大学ガバナンス改革」を示しました。安倍晋三首相が設置した教育再生実行会議の提言(5月)に基づき審議されていたもの。

 まとめ案は、「経済再生」などに貢献するため、「学長がリーダーシップを発揮して機能的な大学改革を進めていくことが期待されている」と強調。「トップの手腕が問われるのは株式会社と同じ」として、学長の下に統括副学長を設置するなど人事や予算、組織再編などの権限を集中し、強力に「改革」を進めていくことを打ち出しています。

 一方、教授会は「学長のリーダーシップを阻害している」として、学長選挙に関与させないなど、役割を後退させます。教職員に対しては、業績評価にもとづく年俸制の導入など、大学教育をゆがめる競争主義の強化を求めています。

 国として学長権限を強化するための法改正や、「改革」をすすめる大学への重点的支援などを打ち出しています。

 北城恪太郎(きたしろかくたろう)・経済同友会終身幹事は「教授会を意思決定機関とすることをやめるべきだ」と賛同。下村博文文科相は「法律改正がメッセージになる。教授会にしっかり示す必要がある」と話しました。


2013年08月08日

追手門学院大、教授会を学長諮問機関に

全国私塾情報センター
 ∟●追手門学院大、教授会を学長諮問機関に(2013年8月7日)

 追手門学院大学は8月5日、これまで大学運営で意思決定に関わっていた教授会を学長の諮問機関に位置付け、学長の権限を強化したと発表した。学校教育法は教授会について「重要な事項を審議する」と定めており、多くの大学で意思決定に関わっているのが現状。追手門学院大は2012年から機構改革に本格的に着手。昨年4月には選挙による学部長の選考を廃止し、学校法人の理事会が候補者を選考・任命するようにした。教授会については、6月に文科省に届け出る学則を改正、7月に学内の規定を改め、学長の諮問機関に位置付けた。