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2015年11月10日

旭川医大の財務状況悪化、短期借入でしのぐ- 診療経費増、抵当権設定も

CBニュース(2015年11月09日)

 旭川医科大(北海道旭川市)が医療経費や人件費などの増加で資金不足に陥り、昨年12月から今年3月にかけて、民間の金融機関から3回にわたり、計17億円の短期借入を行っていたことが9日までに分かった。同大は「資金が著しく減少し、病院収入の増収策を講じたが、預金残高の回復までには至らなかった」と説明。学校用地に抵当権を設定した長期借入も行っており、財務状況の早急な改善が求められそうだ。【新井哉】

■予定額を下回った病院収入、看護師採用などで人件費増加

 同大によると、昨年度の収支状況は、診療経費のうち人件費が、看護師などの採用が増えたことなどから当初予算比4億9000万円増の77億5000万円。人件費と物件費を合わせた診療経費全体では、同15億円増の198億5000万円となった。

 大学全体では同17億2000万円増の290億円の支出となり、収入から支出を差し引いた決算報告書上の収支状況は12億7000万円の損失となった。

 短期借入を行った理由について同大は、▽上半期の病院収入が当初予定額を下回った▽年度途中の医療従事者の採用増や超過勤務手当などの増加により人件費支出が増えた▽医療経費の削減活動が遅れた▽修理不能で更新せざるを得ない医療機器が増えた-ことなどから、資金が著しく減少したとしている。

 このため、「運営資金が一時的に不足した」(同大)ことから、昨年12月15日に7億円、同月24日に4億円、今年3月13日に6億円の短期借入を実施。短期借入金はそれぞれ期日までに返済した。長期借入についても同大の学校用地に抵当権を設定し、今年2月から3月にかけて、独立行政法人国立大学財務・経営センターから約6億9000万円を借りたという。

 同大は「2期連続の赤字決算を踏まえ、あらゆる収支を詳細に検討し、見直すことにより収支のチェック機能を強化する」と説明。具体的な収支改善策として、後発医薬品への切り替えや、DPCデータや納入価格実績、削減活動の方策などの情報収集に「より一層努める」としている。

 同大の財務状況の悪化については、国立大学法人を評価する文部科学省の委員会も問題視している。委員会が今月6日に公表した同大の業務実績の評価結果では、2021年度までの中期計画の達成のためには「重大な改善事項がある」と指摘。「現金の恒常的な不足による支払い能力の低下により、短期借入を合計3回にわたり実施するという深刻な事態を招いた」としている。

 また、上半期の収入が当初予定額を下回る状況だったにもかかわらず、下半期の支出の見直しが十分に行われなかったことにも触れ、「財務構造などにおける課題のみならず、財務マネジメントに深刻な課題があると認められる」として、外部有識者の参画も含めた財務マネジメント体制の早急な確立や、それを実現するためのガバナンス体制の強化を求めている。


2013年08月14日

懲戒処分の元教授が北海道・旭川医大提訴 検体提供の正当性主張

北海道新聞(2013年8月14日)

 患者の血液などの検体を無断で製薬会社に提供したとして、旭川医大から2008年、停職1年の懲戒処分を受けた同大元教授=東京都在住=が、同大を相手取り処分の取り消しや、停職期間中の未払い賃金1018万円の支払いなどを求める訴訟を旭川地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 訴状によると、元教授側は当時、学内には検体提供について、倫理委員会への届け出義務などを定めた手続き規定はなかったと指摘。日本臨床検査医学会の見解に基づいた教育目的の提供であり、「不当視されるものではない」としている。

 旭川医大は「弁護士に一任しているので、内容については申し上げられない」と話している。