2016年10月21日
大学非常勤講師が労組 道内初、札幌圏の10人が来月結成
札幌と近郊の計約10校の国立、私立大に勤める非常勤講師約10人が、不安定な雇用や低賃金の改善を求め、労働組合「札幌圏大学・短大非常勤講師組合」(仮称)を11月5日に結成する。北海道私立大学教職員組合連合(道私大教連)が支援している。非常勤講師の労組は関東や関西などにあるが、道内では初めて。非正規雇用の非常勤講師は半年~1年の契約が多く低賃金のため、専業の場合は生活が不安定になりやすい。道私大教連は今年7月、道内の非常勤講師の実態調査を初めて行い、札幌などの計約10校の59人が回答、70%が30~50代だった。
非常勤講師が専業の人は36%で、「安定していない他の仕事との掛け持ち」は29%だった。これらの講師の担当授業は週1~6コマが69%、7~10コマ18%、11コマ以上が13%で、雇用に不安が「ある」との回答は89%、賃金が「不満」は78%だった。道私大教連は通年で6コマ教えても年収は210万円程度とみており、「大半が年収300万円未満では」と回答している。
組合に加入予定の40代の男性の非常勤講師は本年度、複数の私大で計7コマの授業を受け持つが、年収は約200万円にとどまり、「毎年、契約が更新されるまで不安だ」と話す。
道私大教連の川村雅則委員長(北海学園大教授)は「カリキュラムの変更で 雇い止め される場合もあり、生活の安定しない非常勤講師は道内に数百人いるとみられる。賃金や雇用条件の改善に協力したい」と話している。
組合の設立総会は11月5日午前11時、札幌市中央区北1西10、道私大教連。問い合わせは同教連(電)011・261・3820へ。
2015年11月26日
早大非常勤講師:雇用上限5年の規則を撤回 組合と和解
非常勤講師の雇用期間の上限を5年とした早稲田大の就業規則を巡る団体交渉で不当労働行為があったとして、東京都労働委員会に救済を申し立てていた首都圏大学非常勤講師組合は、規則適用を撤回する内容で早大と和解した。組合が25日、都内で記者会見して明らかにした。早大同様、非常勤講師の雇用期間の上限を5年とする他大学の交渉にも影響しそうだ。
有期雇用が繰り返し更新されて通算5年を超えると労働者側の申し込みで無期雇用に転換できる改正労働契約法が2013年4月に施行されたが、早大はこの直前の13年3月、非常勤講師の雇用期間上限を5年とする内容に就業規則を変えた。組合側は「改正法適用を逃れるための変更だ」と反発。大学との団体交渉で組合差別があったなどとして都労委に救済を申し立てていた。和解協定書などによると、就業規則変更1年後の14年3月31日以前に勤務した非常勤講師については(1)上限5年を撤回し、上限を設定しない(2)5年勤務すれば無期契約への転換を申し込む権利がある??とし、14年4月1日以降勤務の非常勤講師については有期雇用の上限を10年とする内容。
同労組によると、早大には約3000人の非常勤講師がいる。同労組早稲田ユニオンの大野英士代表は「5年での雇い止めを阻止し無期雇用への展望を開いた。改正法の趣旨に沿うもので意義は大きい」と話した。早大は「まだ協議中の案件もあるが、包括的に合意できる事項で和解した。引き続き真摯(しんし)に対応したい」と話している。
2015年10月31日
新規採用の非常勤講師の更新回数制限をめぐる関西圏の大学の動向
2012 年に成立した労働契約法改正によって、労働契約法 18 条で有期雇用労働者が 5 年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申し込みにより無期雇用への転換権が発生することになりました。これは 2013 年 4 月から施行されましたので 18 年 4月から無期転換権が発生することになります。これら 18 条の無期転換権の発生を阻止するために、大学としてもっとも早く動いたのは早稲田大学や大阪大学、神戸大学などです。これらの大学は 2013 年 4 月の施行前に 5 年で雇い止めの就業規則を作成しました。しかし、早稲田大学では首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉で現在勤務している非常勤講師の 5 年雇い止めを撤回せざるをえなくなりました。また、大阪大学は関西圏組合と交渉後に、「研究開発能力強化法」の労働契約法の「特例」を使って、5 年を 10 年に延ばしました。
関西圏の他の多くの私立大学は昨年までは「検討中」として態度を明確にしませんでした。しかし、今年に入って立命館大学が、現在勤務している非常勤講師は 5 年で無期転換権が認められるが、新規の非常勤講師(「授業担当講師」)は 5 年上限を決定しました。また、同志社大学も現在勤務している非常勤講師を除いて 10 年上限を導入しようとしています。
立命館大学や同志社大学の動きは今後、他の私立大学にも大きな影響を与えることになりそうです。労働契約法18条は雇用の安定のためのものであり、新規採用の非常勤講師にたいして最初から上限をつけることは明らかに労働契約法18条違反です。(文責・江尻)
2015年06月08日
首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユニオン、早稲田大学日本語インストラクター過半数代表選挙には 早稲田ユニオン「片山幹生」氏に投票を!!
■首都圏大学非常勤講師組合
∟●早稲田大学日本語インストラクター過半数代表選挙には 早稲田ユニオン「片山幹生」氏に投票を!!
早稲田大学日本語インストラクター過半数代表選挙には
早稲田ユニオン「片山幹生」氏に投票を!!
形式的な過半数代表選挙を打ち破り真の労使交渉を求めて首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユニオン早稲田キャンパスで働く全教職員の皆様。この選挙には日本全国の注目が集 まっています。
専任教員への年俸制、クォーター制導入による非常勤講師への「クーリング オフ」復活など、早稲田大学が計画している数々の不利益変更を許さないため にも、9 日から 15 日までの「日本語インストラクター」就業規定に係わる過半 数代表選挙では是非「片山幹生」にご投票下さるようお願いします。私たちは「片山幹生」さんを過半数代表候補として推薦します
宇都宮健児(弁護士、前都知事選候補者)
雨宮処凛(作家・活動家)
山本太郎(「生活の党と山本太郎と仲間達」参議院議員)
想田和弘(ドキュメンタリー映画作家)
斎藤貴男(ジャーナリスト)
中川勝之(東京法律事務所弁護士、早稲田大学商学部非常勤講師コマ減撤回裁判原告代理人)
青龍美和子(東京法律事務所弁護士、日本語インストラクター問題日弁連人権救済申立起案者、
早稲田大学出身)
室井真人(東北非常勤講師組合執行委員長)
新城知子(大学等非常勤講師ユニオン沖縄委員長)
梶涼子・布施えり子・田野新一(フリーター全般労働組合共同代表)
佐藤昭夫(早稲田大学名誉教授・弁護士、早稲田ユニオン顧問)
岡山茂(早稲田学政経学部教授・専任教員組合前委員長)関西圏大学非常勤講師組合
東海圏大学非常勤講師組合
全国一般労働組合東京南部
労働組合法人全国大学人ユニオン
河合塾ユニオン
アレぜール日本(高等教育と研究の現在を考える会)
労働条件の切り下げを目論む早稲田理事会に抵抗を !
今回の過半数代表選挙を早稲田再生の第一歩に !皆さんもご存じのように早稲田理事会は専任教員の「年俸制」、クォーター制による非常勤講
師に「クーリングオフ」再導入することによる無期雇用転換の阻止、早稲田で働く教職員に対 し次々に労働条件の不利益変更を企てる動きをみせています。
専任教員組合全執行部(岡山委員長・岡田書記長)と首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユ ニオンとの間で、非常勤に係わる過半数代表選挙には早稲田、戸山、西早稲田(理工)キャン パスおいて非常勤講師・早稲田ユニオンが候補を立てるという合意が結ばれていました。しか し 5 月 15 日、教員組合現執行部(高橋委員長・井戸書記長)は、「教員組合執行委員会は本件 についての過半数代表者選出手続きに、 推薦候補者を立てるてることとしました」と一方的な 通告を行い、今回過半数代表選挙に法学部準教授大橋麻也を候補として立ててきました。
劣悪な条件での労働を強いられている日本語インストラクターを労基署にも届けず、労基法 の定める最低限の条件を満たさない「内規」にもとづき、5 年で雇い止めにする大学当局のやり 方を容認すれば、将来的には、専任・非常勤を問わず早稲田で働くすべての教職員の労働条件 の一方的な切り下げを招きかねません。
今回の過半数代表選挙を早稲田再生の一歩にするために是非とも首都圏大学非常勤講師組 合・早稲田ユニオンの擁立候補「片山幹生」にご投票いただきますよう、お願いします。今回の過半数代表選挙に投票できるのは早稲田キャンパスの教職員だけです
2015年05月14日
関西圏大学非常勤講師組合、阪大労基法第90条違反の刑事告訴(告発) 嫌疑不十分で不起訴処分!
■関西圏大学非常勤講師組合
∟●非常勤の声、第43号(2015年5月10日)
阪大労基法第90条違反の刑事告訴(告発)、
嫌疑不十分で不起訴処分!阪大は労働契約法第 18 条の「有期雇用契約が5年を超えて更新される場合に無期雇用への転換申込権が労働者に生じること」を避けるために、2004 年の法人化以来「準委任契約」でパートタイム労働者ではないと詭弁を弄してきた非常勤講師・TA・RA・アルバイトに対しても、契約更新上限 5 年を定めた 2013 年 4 月 1 日付就業規則を適用しました。それに対し、組合は労基法第 90 条に定める「就業規則を作成・変更する際には、事業所の労働者の過半数を代表する者の意見書を付けて管轄の労基署に提出すること」に大学が違反しているとして、2013 年 9 月 25 日付刑事告訴状を大阪地検に提出し、同年 12 月 16 日付で刑事告発として正式受理されました。その後複数回、大阪地検から組合執行委員長で阪大非常勤講師である新屋敷への事情聴取があり、地検への追加文書・データの提出を行いました。
ところが、今年 3 月 20 日付で大阪地検から不起訴処分が通知されました。その後地検の担当検事から「阪大吹田・豊中・箕面キャンパスでの過半数代表者選出から非常勤講師が排除されていることは認定されたが、大学が非常勤講師の労働者性を否定する論拠を完全には崩せない」ので「嫌疑不十分で不起訴処分になった」との説明を受けました。
この「嫌疑不十分で不起訴処分」は、早稲田大学が非常勤講師の契約更新5年上限の就業規則を作成したことに対し首都圏大学非常勤講師組合が労基法第 90 条違反で早稲田大を東京地検に刑事告発・告訴した件が「嫌疑なしの不起訴処分」なったことに比べると、同じ不起訴でも「嫌疑不十分」の阪大の方がより悪質性が高いことが認定されたので一定の評価はできます。しかし不起訴処分には納得できません。早稲田大に対し昨年 11 月に東京検察審査会が「不起訴不当」の決定を下したこともあり、大阪検察審査会に審査申し立てをする予定です。
2014年03月21日
非常勤英語講師、授業の外部委託めぐり早大に賠償請求
早稲田大が英語の授業を外部委託したため受け持つ授業の数を減らされたとして、非常勤英語講師2人が20日、早大を相手取り、地位確認と約1000万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。2人は、授業委託は学校教育法に違反する疑いが強く、偽装請負の可能性もあると主張している。訴状や首都圏大学非常勤講師組合によると、2人のうち米国人のロバート・バクスターさん(65)は25年間、英国人男性は13年間、早大に勤務。カリキュラム変更で必修の「英語1ビジネス英会話」が廃止され、別の英語科目が必修となって外部委託されたため、担当が以前の11?14コマから7.5コマに減らされたという。外部委託には問題があり、コマ数減の客観的・合理的な理由がないと主張している。早大は「訴状を確認した上で粛々と対応する」としている。【東海林智】
2014年02月26日
首都圏非常勤講師組合、早稲田大学の不当労働行為に対する救済申立書
2014 年 2 月 17 日
東京都 労働委員会
会長 房村精一殿
東京公務公共一般労働組合
中央執行委員長 中嶋祥子
不当労働行為救済申立書
申立人
所在地 〒170-0005 東京都 豊島区 南大塚 2-33-10
組合名 東京公務公共一般労働組合 電話 03-5395-5255 FAX 03-5395-5139
(大学・専門学校非常勤講師分会 通称:首都圏非常勤講師組合)
(早稲田ユニオン分会 通称:早稲田ユニオン)
代表者 役職・氏名 中央執行委員長 中嶋祥子
連絡責任者 首都圏大学非常勤講師組合・副委員長 今井 拓
電話 03-5395-5255 090-4006-2990 FAX 03-5395-5139
被申立人
所在地 〒169-805 新宿区 戸塚町 1-104
名 称 学校法人 早稲田大学
代表者 役職・氏名 総長 鎌田 薫
連絡責任者 人事部 人事課 三浦・西尾 電話-03-3204-1633 FAX 03-3204-5817
被申立人の行為は、以下の通り、労働組合法第 7 条 2 号、及び同条 3 号に該当する不当労働行為である為、ここに貴労働員会が審査の上下記のように救済命令を発せられることを申し立て致します。
……(中略)……第3 本件不当労働行為に対する申立人による主張
被申立人の雇用する非常勤インストラクターの雇い止め問題に係り、被申立人は、申立人に対し、団交拒否と組合間差別という二重の不当労働行為を行っている。
第一に、被申立人が非常勤インストラクターの 5 年雇い止め問題について、申立人との団交事項とすることを拒否し続けているのは不誠実団交である。
(ハ)被申立人は、第1回団交において、非常勤インストラクターに契約更新の年限はついていない、と申立人に回答し、第 2 回団交では一転して、就業規則を制定し、更新年限を設定したと主張するなど当初から、この問題について無責任な回答をおこなっていたが、非常勤インストラクターの就業規則の制定過程と就業年限規定について団交で話し合うこと自体を当初から拒否していた訳ではない。第 3 回団交において、就業規則の制定過程の瑕疵が指摘され、2014 年 3 月の雇い止め実施には無理があることが明らかになった段階で突然、団交で話し合う条件として組合員の顕名を求め、団交を拒否する立場に転じたのである。
(ヒ)そして、被申立人は、非常勤インストラクターの組合員の顕名が無いことを唯一の根拠として、日本語教育研究センターインストラクター就業規程の制定に係る瑕疵、及び 2014 年 3 月の非常勤インストラクターの5 年雇い止めについて、団交事項とすることを拒み、第 7 回団交以降においては、具体的な議論を一切拒否している。また、雇用条件確認書に新設された退職条項に不同意を添え書きした非常勤インストラクターについて 5 年雇い止めを停止せよ、との申立人の要求も完全に無視している。しかしながら、今回の非常勤インストラクターの雇い止めは、就業規則の制定により、契約更新の年限を定めることにより、労働契約の一方的不利益変更を行い、これに基づいて有期契約労働者を一律に雇い止めするものである。つまり、組合員毎に状況や雇い止めの事由が異なり、個別の事情を精査しなければ、雇い止めの適否が判明しない、という事案ではない。したがって、団交事項とするにあたり、個々の組合員の顕名の必要は全くない。被申立人に対する申立人の要求も、組合員の雇い止めの停止ではなく、退職条項に不同意の意思を表示したものについて、雇い止めを停止せよ、という契X新ルールの遵守を求めているのである。……以下,略……
2014年01月27日
研究開発力強化法の改正騒動
研究開発力強化法の改正騒動首都圏大学非常勤講師組合 委員長 松村 比奈子
2013 年もそろそろ終わりに近づいた11月 27 日。いわゆる特別秘密保護法を巡る与野党の攻防戦のまっただ中で、国会内外では誰もが秘密保護法の功罪について白熱していたわけだが、ここでひっそりと 1つの、そしてまたとんでもない法案が突如として国会に登場したことを、知っていた人はどのくらいいただろう。いわゆる「研究開発力強化法改正案」である。12月5日には成立してしまったので、この法案は国民に公開されてから成立するまでにたった9日の猶予しかなかった。世論の形成どころか、議員の質疑さえ満足にない法改正だったのである。
背景として、一昨年の労働契約法(以下労契法)改正をきっかけに、それまで事実上無期雇用されていた非常勤講師に対して、逆に有期雇用に転換(?)させようとする動きが、全国の大学に広がりつつあった。大学は、特殊な組織だとの錦の御旗の下で、それまでずさんな労務・財務管理をほしいままに行ってきた。しかしそれを棚に上げて労契法改正にパニックを起こした諸大学が、非常勤講師を切り捨てようと企んだ「新たな騒動」の攻防戦が、昨年 11月から 12月にかけてひそかに繰り広げられていた。今回は、その顛末について報告したい。……以下,省略……(上記サイトでご覧下さい。)
2013年11月30日
「研究開発力強化法改定案」反対集会
■http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-29/2013112905_01_0.html
有期雇用の研究者や大学教員、講師を無期雇用に転換する期限を5年から10年に延期する「研究開発力強化法改定案」が突然、自民、公明両党によって衆院に提出され、緊急反対集会が27日夜、参院議員会館で開かれました。呼びかけは、東京地区大学教職員組合協議会(都大教)、首都圏と関西圏の大学非常勤講師組合の3者。
改定労働契約法によって、有期雇用を5年継続すると無期雇用に転換できるルールがつくられました。ところが改定案には、無期雇用に転換するまでの期間を10年にする特例条項が盛り込まれています。
有期雇用の研究者・大学教員にとっては事実上、無期転換の権利が奪われることになります。現行の研究開発力強化法の対象は主に理系分野ですが、有期雇用の延長については、文系分野や「研究者」としてまともな扱いを受けていない非常勤講師まで含まれるとされています。
開会あいさつで、首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長は「突然出された法案だが、何とか成立を阻止したい」と訴えました。
全国大学高専教職員組合(全大教)の長山泰秀書記長は「労契法を改定して間もなく、大学を狙い撃ちしてきたことに怒りを感じる」と強調しました。
佐藤昭夫早稲田大学名誉教授(労働法)は、▽長期プロジェクトの場合は、現在でも労働基準法14条1項で5年を超える有期雇用が可能であり、法改正は必要ない▽雇用ルールは労働政策審議会での議論が必要であり、自民党の議員立法は手続きに問題がある―などと指摘しました。
国会情勢を報告した日本共産党の宮本岳志衆院議員は「大学を(無期転換ルールを破る)突破口にしようとしている」と、法案が全労働者に有害だとして、廃案に全力をあげる決意を述べました。
2013年11月26日
研究開発力強化法等の改正にともなう非常勤講師ほか有期雇用教員の労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明
■首都圏大学非常勤講師組合
∟●研究開発力強化法等の改正にともなう非常勤講師ほか有期雇用教員の労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明
平成25年11月22日研究開発力強化法等の改正にともなう
非常勤講師ほか有期雇用教員の
労働契約法特例に反対し抗議する緊急声明
首都圏大学非常勤講師組合
東海圏大学非常勤講師組合
関西圏大学非常勤講師組合
大学等非常勤講師ユニオン沖縄
1.労働契約法特例による大学有期教員への権利制限
全国の国公立大学の非常勤講師及び任期・有期教員の皆さま。今、大変異常な事態が進んでいます。先般メディアで報道されたように、今月末までに、いわゆる研究開発力強化法と大学教員任期法の改正案が国会で審議されることになりました。それぞれの改正案には、労働契約法の特例として無期労働契約へ転換する期間を5年から10年とする内容が盛り込まれています。いわゆる無期転換権の制限です。特例に該当するのは、大学等及び研究開発法人の教員等、研究者(技術者も?)、リサーチアドミニストレーターとのことです。
非常勤講師は大学で学生を教える教員ですが、研究を業務として義務づけられておらず、研究室も研究費も与えられていません。また任期教員でもありません。にもかかわらず、非常勤講師が今回の法改正で任期教員と同様に転換する期間を10年に延長されることになるというのです。
2.労働契約法の特例内容研究開発力強化法(現行)の2条には、『この法律において「研究開発」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験若しくは研究(以下単に「研究」という。)又は科学技術に関する開発をいう。』とあります。しかし改正案では、『この法律において「研究開発」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。第15条の2第1項を除き、以下同じ。)に関する…』と新たに一文が挿入されました。では人文科学のみに係る【第15条の2第1項】とはどのような内容でしょうか。
改正案では『第 15 条の 2 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法…第 18条第1項の規程の適用については、同項中「5年」とあるのは「10年」とする。』とし、さらに続いて『1(項) 科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材を含む。第3号において同じ。)であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの』とあります。
もちろんこの条文を素直に読んだだけでは、どう考えても非常勤講師が該当するように思えません。なぜなら非常勤講師は先ほども述べたとおり、研究開発やイノベーションの創出(商品開発)に関わるどころか、研究者・技術者として採用されてもいないからです。
しかし法案提出者の自民党(側議員)の説明によれば、この「科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材)」=非常勤講師(もちろん任期・有期教員も)、になるそうです。
3.研究開発力強化法が対象としていない研究者への特例のみの適用法案が成立し自民党の説明どおりに適用されれば、重大な矛盾を引き起こします。そもそも研究開発力強化法は、研究者ではなく国、地方自治体、諸研究機関に対しての責務を定めた法です。研究者個人の責務などはどこにもありません。つまりこの法の適用対象ではない研究者に向けて、唐突に労働契約法の特例(しかも個人の勤労権の制限)を要求しても、改正とはいえないのではないでしょうか。それが問題ないのであれば、労働契約法の特例を刑法に挿入しようとも刑事訴訟法に挿入しようとも問題ないということになります。
しかも人文科学研究については国、地方自治体、諸研究機関のいずれにも責務が求められていないにもかかわらず、人文科学研究者のみこの法律で勤労権の制限が課せられるというのは、法内容として意味を持ちません。ましてや研究者として採用されていない非常勤講師にも適用させようとしています。あまりにも異常な改正内容です。
4.なぜこのような法改正が急がれるのか大学の有期雇用労働者として多数を占めるのは、非常勤講師、それも語学を中心とする人文科学系の非常勤講師です。それまで長期にわたって非常勤講師を事実上無期雇用していた大学は、労働契約法の改正によって、むしろ無期雇用の制度化を否定する更新5年上限を打ち出そうとしました。の背景には専任教員と、任期・有期教員そして非常勤講師間の説明できない待遇格差があります。非常勤講師たちが無期雇用を背景に均等待遇を求めて立ち上がることを恐れた一部の大学が、今年4月、5年上限をかけて押さえつけようとしましたが、逆に刑事告発、告訴されました。またクーリングを強要しようとして、当組合の記者会見で公表されてもいます。そしてカリキュラム変更権を利用して非常勤講師を排除しようとした結果、現在は当組合から偽装請負の疑いで労働局に調査申し入れをされています。この時期にこの法律でこのような内容の法改正をしなければならないとしたら、その理由は、自ずと理解できるのではないでしょうか。大学の安上がりなずさん経営を維持するため、権力を使い、法によって非常勤講師や任期教員に奴隷的拘束をかけようとしているのでしょう。
5.個人の尊重を守るのが民主主義社会アメリカ独立宣言には、次の文言があります。「われわれは、自明の真理として、すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の諸権利を付与され、その中に生命、自由および幸福の追求のふくまれることを信ずる。また、これらの権利を確保するために人類の間に政府が組織されること、そしてその正当な権力は被治者の同意に由来するものであることを信ずる。」 研究者であるというだけで、また大学と契約しているというだけで非常勤講師が無期転換の権利を制限されるのは、法の下の平等に反します。また労働契約法の附則第 3 項には、「施行後 8 年を経過した場合において…その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」としていますが、施行後 1 年もたたないうちに重要な条文内容を特定の労働者のみ特例で操作することは、適正な法の手続きにも反します。
非常勤講師を代表し、表記4組合はこの法改正には反対であり、強く抗議しその廃案を求めます。研究者・教員個人の無期転換の自由を一方的に制限し、組織の道具として利用するための法改正は民主主義のいかなる手続き・正当性にも反するため、絶対に認めることはできません。以上
※この文書に関するお問い合わせは以下にお願いいたします。
首都圏大学非常勤講師組合 (直通)080-3310-6910
(公共一般本部 FAX) 03-5395-5139
daigaku_hijoukin@yahoo.co.jp