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2016年06月14日

東北大学職員組合、非常勤職員の無期転換に対する「自己推薦制度」の導入に関する要請書

東北大学職員組合
 ∟●非常勤職員の無期転換に対する「自己推薦制度」の導入に関する要請書

2016年6月13日

国立大学法人東北大学
総長 里見 進殿

東北大学職員組合
執行委員長 山下 正廣

非常勤職員の無期転換に対する「自己推薦制度」の導入に関する要請書

 東北大学で働く職員の約53%が非常勤職員であり、東北大学の研究と教育等の運営は非常勤職員に大きく依存しています。ところが大学当局の説明によれば、改正労働契約法を理由として、平成30年3月から3年間で3200名以上の非常勤職員が雇止めになる可能性があり、東北大学の教育と研究の運営に多大な障害が出るのは誰の目から見ても明らかです。

 大学当局は、本年2月16日付で「准職員・時間雇用職員の無期転換者の選考について」という方針を出し、3月下旬~4月上旬まで全キャンパスで無期転換制度の説明会を行いました。それによると、無期転換者の選考は、「正職員と同等以上の成果を出すと見込まれる者」について、職場の上司などの評価により非常勤職員の推薦を部局から行い、人事担当理事の面接等により無期雇用への転換を決定するものです。本人が無期転換を希望する正式な手続きはありません。

 いわば、正職員にふさわしい人を無期雇用にするということですが、たとえば、本学の本年度の事務職員や技術職員への正規採用者は37名であり、大学当局は正職員の増員方針は打ち出していません。

 つまり、昨年10月1日現在雇用されている准職員・時間雇用職員3243名のうち正職員と同等以上の成果を出すと見込まれる者」として無期転換される者の総数は非常勤職員全体の数%しか考慮されておらず、多くの准職員、時間雇用職員が落胆しています。私たちは、このままではほとんどの非常勤職員が雇止めになるおそれが大きいと言わざるを得ません。

 東北大学職員組合は、非常勤職員の希望者全員の無期転換を要求しています。そのために、非常勤職員が無期雇用への転換を希望する場合に、「自己推薦制度(自ら自己推薦の理由書を作成して上司に提出して、人事担当理事の判断を伺う制度)」を導入するよう強く求めます。

東北大学3200名雇い止め通告の概要

首都圏大学非常勤講師組合・速報
 ∟●東北大学 3200 名雇い止め通告の概要(記者会見の質疑を踏まえ一部修正)

東北大学3200名雇い止め通告の概要

(記者会見の質疑を踏まえ一部修正)


○ 2016年6月6日 記者会見資料(PDF)

http://yahoo.jp/box/oSb8uC


【教職員の構成】

正職員4686名、非正規5771名。非正規教職員が多数。
非正規の内訳は、特定有期職員(有期契約の常勤職員)1621名、再雇用職員122名、準職員(フルタイム)1721名、時間雇用職員(パート)2307名。
*2015年5月1日現在、人数は東北大職組2015年度定期大会議案による。

無期転換される予定の非正規職員約400人
(准職員や時間雇用職員のうち法人化以前から勤務している人など)
雇い止の対象となりうる非正規教職員3243人
(准職員1493人、時間雇用職員1750人)

就業規則では非正規の職員と教員とが一括されているので、非常勤講師を含む。

時間雇用職員の職種(事務補佐員、技術補佐員、技能補佐員、臨時用務員、リサーチ・アシスタント、ティーチング・アシスタント、特別教育研究教員、教育研究支援者、産学連携研究員、研究支援者、科学技術振興研究員、事務補佐員(科学技術振興)、技術補佐員(科学技術振興)、リサーチ・アシスタント(科学技術振興)、厚生科研費研究員、事務補佐員(厚生科研費)、技術補佐員(厚生科研費)、技能補佐員(厚生科研費)、寄附講座教員、寄附研究部門教員、実務家教員(教授または准教授)、非常勤講師、サイエンス・エンジェル、医員、医員(研修医)、スチューデント・ラーニング・アドバイザー、グローバルキャンパスサポーター、アドミニストレイティブ・アシスタント(以上、就業規則掲載の別表より引用)。

部局推薦の「無期転換候補者」の数は、不明だが、ごく少数と推測しうる。

【経過】

○2012年
雇用の安定のため労働契約法改正、有期契約の労働者が5年以上継続勤務した場合、無期転換申込権が生じることに。

○2013年4月1日
改正労働契約法施行
(この日から5年を超えて継続勤務した場合、無期転換申込権が生じるようになった)。
この時点では、東北大学に5年上限はまだ存在していない。

この時点では、1年ごとの更新で3年上限とされていたが、実際には5年を超える人が40%、3年以上が半分以上いると見込まれ状態で、厳密な一律の上限は存在しなかった(2014年8月6日東北大職組団交記録より)。

○2014年1月
部局長連絡会議に東北大学は、「改正労働契約法を踏まえた対応方針案の概要」を提出。「准職員と時間雇用職員について、通算契約期間の上限は原則として5年(研究開発力強化法による労働契約法の特例の対象となるものについては10年)以内とする」との記載。

○2014年2月20日
大学は、東北大職組(専任中心の組合)に対して、「今後、時間雇用職員就業規則は、通算契約期間は5年以内とするという改正を予定している」と回答。

その後、就業規則の変更前に、当該の非正規労働者に対して具体的な説明はなく、その意見を聞くどころか、職組との労使協議さえされた形跡がほとんど見当たらない。労働者過半数代表の選出も行われたどうか不明。また、労基署に提出した就業規則に過半数代表の意見書が付いていたかどうかも不明。

○2014年4月1日
関連する就業規則が改訂され、「准職員と時間雇用職員について、通算契約期間の上限は原則として5年(研究開発力強化法による労働契約法の特例の対象となるものについては10年)以内とする」された。つまり、改正労働契約法が施行されてから1年後に、後出しで就業規則を改正し、原則として5年上限が設定され、1年間遡及して2013年4月1日からカウントされることになったことになる。

○2016年1月25日
東北大職組との団交で、大学は「1980年(昭和55年)7月以前採用の准職員、法人化前採用の時間雇用職員」について「雇用の更新限度がない」と整理されていることを明確に周知することを確認(確認書は2月18日付)。

○2016年2月16日
東北大当局「准職員・時間雇用職員の無期転換者の選考について」を作成。

①法人化以前から勤務している元々雇用上限のない非正規職員(約400名)は、引き続き更新の限度なしとされた。

②法人化後に勤務した非正規職員(約3200名)については、2013年4月1日からカウントして原則5年上限で、雇い止めすると通告した。

③例外として、部局推薦で「無期転換候補者」となる基準は、「現在各部署に配置されている事務一般職員に替わり同程度の職務を担当させた際に、これと同等、あるいは同等以上の成果を出すと見込まれる者」であることとされた。

○2016年3月31日
雇用条件通知書に雇い止めの時期を記載。

○2016年3月22日?4月6日
無期転換に関する説明会を開催し、説明の文書配布。

○2016年4月22日
職組がポスター作製「希望する人全員を無期雇用に!」

○2016年4月26日
首都圏大学非常勤講師組合と東北非正規教職員組合が共同で団交要求。

○2016年5月
説明会を踏まえた東北大当局の質問と回答が公表される。

○同 5月31日
首都圏大学非常勤講師組合ブログに「3200名雇い止め問題」の情報拡散開始。


【東北大の5年上限の問題点】


東北大当局は、「無期転換制度の活用」と称して、大部分の非正規教職員を雇い止めにし、正規職員と「同等あるいは同等以上」という無理な基準でごく少数の非正規職員のみを「無期転換候補者」としようとしているが、これは、5年以上継続勤務した労働者全員に無期転換申込権を認めた改正労働契約法第18条の趣旨(雇用の安定)に反している。

2012年7月25日の衆議院厚生労働委員会で示された政府解釈によれば、改正労働契約法第18条は「雇用の安定を図るという趣旨で設けたもの」(金子政府参考人)であり、「今回の無期転換ルールの趣旨からしても、5年のところで雇い止めが起きてしまうと、この狙いとは全く違うことになってしまいます」(小宮山厚生労働大臣)とされている。東北大学の就業規則は、まさに「5年のところで雇い止め」にして「雇用期間が無期転換の時期を迎える前に雇い止めをする」ものであり改正法の趣旨と「全く違う」行為である。
(第180回国会 厚生労働委員会 第15号(平成24年7月25日(水曜日))議事録より)


5年上限の就業規則は、その作成の手続きにも疑問がある。
たとえば、パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第7条では「事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする」とされているが、今回の5年上限の就業規則は、非正規教職員の意見を全く聞かずに作成されている。
また、最近の最高裁判決(山梨県民信用組合事件・第二小判2016年2月19日)では、「労働条件を不利に変更する場合は、〔…〕、変更によってどんな不利益があるかなどを、雇用主から具体的に説明する必要がある」とされているが、5年上限の就業規則の制定の際には、事前の具体的な説明や意見聴取は行われていない。


早稲田大学の島田陽一副総長(労働法)は、改正労働契約法の第18条について「本条の施行時期〔2013年3月31日以前〕に有期労働契約の終期〔雇用上限〕を定めることができないと、この猶予期間〔制度整備の準備を含む猶予〕の意義が失われる」(『ジュリスト』2012年12月号)と述べ、5年上限を付ける場合には、少なくとも2013年3月31日よりも前でなければならないという趣旨の見解を示している。実際、早稲田大学は、非常勤講師に5年上限を付けるために、2013年の2月に労働者過半数代表を選出し、3月中に労働基準監督署に意見書を付けた就業規則を労基署に提出している。

ところが、東北大学では、改正労働契約法が施行された2013年4月1日の時点では、明確な上限がなかったにもかかわらず、無期転換を恐れて、2014年1月の部局長連絡会議に「改正労働法を踏まえた対応方針案の概要」が提出され、2014年4月1日に就業規則を変更し、厳格な一律5年上限を決めている。

したがって、後出しで5年上限を設けたという点では、東北大学は早稲田大学よりもはるかに悪質であり、無期転換を逃れるための脱法行為である疑いは、早稲田大学以上に濃厚である。


就業規則の変更は、2014年4月1日であるから、5年上限のカウントの開始は、それ以降でなければならない。ところが、東北大学は、1年間さかのぼって、2013年4月1日からカウントするとしており、一方的な不利益変更であるだけでなく、無期転換を逃れるための不利益変更の遡及であり、違法である。


東北大を含め、一部の大学は、「法〔労働契約法〕改正により、無期雇用の可能性が広がりました。しかし、基盤的経費が削減された大学にはその要請にこたえる余力はなく」(「学術研究懇談会(RU11)」の平成25年5月の提言)などと言って、財政難を理由に法律を無視することを示唆してきた。しかし、改正労働契約法第18条は、「別段の定めがない限り、申し込み時点の有期労働契約と同一の条件」としており、人件費が増えるわけではないので、財政難は口実にさえならない。

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東北大学では、非正規職員数が正規職員よりも多いと言われおり、非正規職員の大多数を雇い止めにした場合、職場が大混乱に陥る。それだけでなく、非常勤講師の雇用の不安定化を進めた場合、今でさえ「博士課程の進学数・率が低下し」、「望ましい能力を持つ人材が博士課程を目指していない」(前述の「RU11」の提言)というのに、ますます研究者が育たなくなることは明らかである。


大学の公式ホームページには、「東北大学は、被災地域の中心にある総合大学として、復興に全力を傾けていく歴史的使命があります」と書かれている。しかし、必要もないのに3200名を雇用不安にさらすことは、「復興に全力を傾けていく歴史的使命」に反するのではないだろうか。


最近の調査によれば、民間の営利企業でも、労働契約法の5年ルールによる2018年の無期転換に備えて、パートや契約社員を、無期契約に変える動きが目立っている(2016年3月11日『朝日新聞』参照)。また、2015年7月のJILPTの調査によれば、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」企業がわずか6.0%(フルタイム有期契約労働者)および5.8%(パートタイム有期契約労働者)しかないのに対して、「通算5年を超える有期契約労働者から申し込みがなされた段階で無期契約に転換」という企業が45.4%(フルタイム有期契約労働者)および50.8%(パートタイム有期契約労働者)であり、「有期契約労働者の適性を見ながら5年を超える前に無期契約にしていく」という企業も19.6%(フルタイム有期契約労働者)および11.1%(パートタイム有期契約労働者)ある。

さらに、大学関係でも、早稲田大学をはじめ、日大、慶応大、明大、法政大、千葉大、一橋大、琉球大など、全国のほとんどの大学が、組合との交渉の結果、非常勤講師に関しては5年上限を撤回し、将来の無期転換を認めている。

有期契約の職員に関しても、徳島大学と信州大学が無期転換を認めている。それ以外にも、国立高等専門学校機構(51校)の就業規則では、「非常勤教職員」の「雇用期間」が5年を超えた場合、労働契約法第18条の規定に基づき、当該非常勤教職員からの申し出により、「雇用期間の定めない雇用」(無期雇用)へ転換するものとする(第13章第54条)と明記されている。

以上のように、財政的に「余力」があるかどうかには全くかかわりなく、多数の企業や教育機関が法令順守の努力をしている。このことに東北大学も学ぶべきである。

<会見概要は以上>

2015年09月25日

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)、名誉毀損裁判で提出された秦誠一氏(名古屋大教授)の陳述書を公表します

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)

名誉毀損裁判で提出された秦誠一氏(名古屋大教授)の陳述書を公表します

2015年09月10日

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会、「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」

井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)

日本科学者会議機関誌『日本の科学者』に「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」が掲載されます。以下のリンクからPDFファイルをご覧下さい。
 本年2月17日、仙台高等裁判所民事第1民事部(中西茂裁判長)は、日野秀逸本フォーラム代表ら4名と井上明久東北大学前総長との名誉毀損裁判で日野氏ら敗訴の判決を下しました。この判決を不当として日野氏らは本年6月22日に最高裁判所に上告手続きをとりました。この直後に、当事者4名を代表してフォーラム世話人の大村泉氏が、仙台地裁、高裁で争われた第一、二審の概要と、高裁判決を不服として上告を決断するに至った理由を、日本科学者会議の機関誌『日本の科学者』に寄稿したところ、同誌第50巻第10号(2015年9月10日発売)に掲載されることになりました。ところで、日野氏らは、上告に際し、「上告理由書」(10ページ)、および「上告受理申立理由書」(137ページ)を提出しました。前者では高裁判決が如何に憲法21条(表現の自由)に違反し、理由不備・審理不尽(民訴法312条、1項、6号)に陥っているかが解明されています。後者では高裁判決の不当性が、判決理由に逐一立ち入り論評されていますが、大村世話人の『日本の科学者』への寄稿は内容的にその核心部分を要約したものです。

この最新情報では、上記日野氏らの「上告理由書」と、大村世話人の寄稿を公表します。『日本の科学者』当該号の発売前にこの寄稿のPDFを公表するにあたっては、同誌編集委員会から特別のご配慮を頂戴しました。記して感謝の意を表します。

いずれも次の文書名をクリックして頂けるとダウンロードが可能です。

上告理由書.pdf

* 大村泉氏寄稿「井上東北大学前総長との名誉毀損裁判―最高裁は学術の良識に従って判断することを期待する」(日本科学者会議編『日本の科学者』第50巻第10号、42~45ページ、2015年9月10日発行)日本の科学者寄稿Vol50_No10.pdf


2015年04月23日

東北大学職員組合、声明「大学当局による本給引下げ強行に抗議する」

東北大学職員組合
 ∟●声明「大学当局による本給引下げ強行に抗議する」

声明

大学当局による本給引下げ強行に抗議する

 東北大学当局は、組合が求めた「法人としての努力を裏付ける説明」や「改定の必要性を示す資料」に基づく団体交渉を行わずに「公的セクターだから人勧同様に改定する」という理由のみで、1月に昇給1号俸抑制を強行したことに続き、4月にも本給表水準の平均2%引下げ(3級以上の高位号俸は最大4%程度引下げ)を強行した。
 我々は、給与の重大な不利益変更に対し強く抗議する。

2015 年 4 月 22 日
東 北 大 学 職 員 組 合

2015年03月24日

東北大学職員組合、緊急声明「重大な雇用・更新ルールについて部局に責任転嫁せず、大学当局がきちんと責任を果たすよう求めます」

東北大学職員組合
 ∟●緊急声明「重大な雇用・更新ルールについて部局に責任転嫁せず、大学当局がきちんと責任を果たすよう求めます」

緊急声明

重大な雇用・更新ルールについて部局に責任転嫁せず、
大学当局がきちんと責任を果たすよう求めます

 本学の准職員・時間雇用職員は、法人化後採用者も含めて、その多くが恒常的な業務に従事し、反復更新して数年以上にわたって働いています。労働契約法改正は、雇止めを規制するとともに、5 年を超える場合の無期転換権を保障しました。しかし大学当局は、准職員等の雇用の上限を「原則 5 年以内」とし、しかも、労働条件通知書に雇用の終了年月日を新たに明記し、それを同意書としています。

 そのような中で、5 年限度の終了年月日が突然明記されため早めに転職しないとむしろ大変になると考えて退職した人がいます。同様の不安の声は多くの人から聞きます。また部局によっては、「5 年限度」どころか「一律 3 年限度」「再就職先の斡旋はしない」という内容を通告された、との准職員等の悲鳴があがっています。事実ならば、事業場において一律に適用される雇用・労働条件を使用者が一方的に切り下げたことになります。

 使用者側の論理が「『原則 5 年以内』なので『一律 3 年限度』でもよい」ということならば、「一律 1 年限度」でさえよいことになります。これでは法改正の趣旨に反し、大学当局はまったく無責任であり、また、これまで「不利益変更はない」として団体交渉の必要性を否定してきたことは虚偽だったことになります。また、その論理に則れば、あくまで「原則」を述べたに過ぎず、5 年を超えて雇用してもよいはずですが、大学当局は 5 年以内の雇用の終了年月日を明記することを推進しています。これはまったく不当です。

 准職員等を雇用しているのは、国立大学法人東北大学です。雇用責任は大学当局にあります。准職員等にとって切実な雇用・更新ルールが部局によって異なり、そのために雇用不安に脅かされるなどということがあってはなりません。大学当局がきちんと責任を果たすよう求めます。なお、労働条件通知書へのサインについても、真の合意が前提であることは、2014 年 2 月 20 日の団体交渉で理事が明言しています。本件について団体交渉を申し入れる予定です。

2015 年 3 月 23 日
東北大学職員組合

2014年05月25日

東北大前総長・研究不正疑惑 元教授ら、大学に監査請求

河北新報(2014年05月24日)

 井上明久東北大前総長の研究不正疑惑で、「実験の再現性を確認し、不正はなかった」と結論付けた大学の報告書に画像データを改変した跡が見つかったとして、同大の元教授らが23日、事実確認や報告書の撤回を求める監査を大学に請求した。
 監査請求したのは、同大名誉教授の斎藤文良氏、矢野雅文氏ら4人。県庁で記者会見した斎藤氏らは「再現性の論拠とされた画像の改ざんは明らか。不正はないとした結論は破綻している」と訴えた。
 東北大は2007年、井上氏の研究に不正があるとの告発を受け、対応委員会が検証し、報告書をまとめた。
 報告書は、直径30ミリの円柱金属ガラスを作製したとする井上氏の1996年論文について「実験の再現は可能」と結論。その論拠に、井上氏の共同研究者が07年に実験した30ミリ金属ガラスの作製手法を挙げ、その仕組み図を96年論文と「同じ原理の作製法」として添付した。
 しかし、この図は共同研究者の許可なく一部が加工されており、斎藤氏らは「再現性を認めるための意図的な改ざんだ」と批判。科学的にも96年論文と同じ原理の実験とはいえないと指摘する。
 加えて共同研究者は、07年の研究論文そのものを後に取り下げている。
 「30ミリ金属ガラスの作製を再現」と題して報告書に掲載された写真についても、共同研究者が旋盤で加工した試料であり、金属ガラスとは断定し難いと指摘している。
 図の改変は、4月に結審した井上氏の研究不正をめぐる損害賠償訴訟の控訴審で、共同研究者が認めている。
 東北大は「監査請求の文書は預かったが、監事が不在で内容を確認していない」と話した。

2014年04月04日

教員のパワハラ、セクハラ続いた東北大学 「相談窓口」活用で学内浄化進むか

Jcastニュース(2014/4/ 3)

 東北大学で教員の処分の発表が相次いだ。職員に対するパワハラ、さらには他校の女子学生へのわいせつ行為が発覚したという。
 同大学では過去数年の間に助手や教員の自殺もあり、2013年には、弁護士やジャーナリストらが企画した「ブラック企業大賞」で「特別賞」に選ばれている。

わいせつ行為の40代男性講師は懲戒解雇
 東北大学では、過去1か月ほどの間に3件、教員に対する懲戒処分を明らかにしている。直近では2014年4月2日、大学院医学系研究科に所属する60代男性准教授が、図書館職員にクレームをつけて土下座を強要したりサービスカウンターをたたきながら暴言を吐いたりといった行為を2012年9~12月に何度も繰り返したとして、4月1日付で停職1か月の処分を発表した。その2日前には、大学院経済学研究科の40代男性講師が、研究会で知り合った他大学の女子大学院生を飲食に誘い、気分が悪くなったという女子学生をホテルに連れて行ってわいせつな行為を働いたため、懲戒解雇になっている。
 さらに1か月さかのぼった2月28日、大学院工学研究科の50代男性客員教授が職場の懇親会の席上で女性職員にセクハラ行為をはたらき、2月27日付で停職6か月となった。
 学内の不祥事を隠さず、きちんと情報公開しているとは言えるが、これほど重なると教員によるパワハラ、セクハラが横行している印象もぬぐえない。
 実は1年前、世間から厳しい評価が突き付けられていた。「ブラック企業大賞・特別賞」――。不名誉な賞を贈られたのだ。ハラスメントや長時間労働、いじめ、コンプライアンス違反といった組織の負の部分を勘案し、インターネット投票をもとに選ばれた。本来は文字通り企業が対象なのだが、東北大だけが「別枠」で候補に挙がったのだ。2007年、長時間労働や教授による「アカハラ」を苦に薬学部助手が自殺したとして、遺族が大学を相手に訴訟を提起。また2012年には、激務のさなかに「2年以内の研究室閉鎖」を一方的に告げられて精神のバランスを崩したという工学部准教授が自殺したことが、ノミネートの理由となっていた。
 ネット投票では、候補となった8つの組織のなかで2位。一般的にも悪いイメージが広がっていることを裏付けた格好だ。

学内でハラスメント研修会実施も「具体事例聞きたい」
 ただ、教員の不祥事により入学者が激減するような致命的なダメージにはつながっていないようだ。大手予備校の河合塾が発表した2014年度の国公立大学出願状況を見ると、東北大全学部の募集人数合計が1958人だったのに対して出願者は6392人、倍率3.3倍だった。前年度比で志願者は微減しているが、文、経済、歯学部は逆に増加していた。
 コンプライアンスを担当する兵頭英治副学長は、学生が運営する「東北大学新聞」2013年10月24日の記事に登場し、「東北大学として『ブラック』と呼ばれるものを決して許容しないという基本姿勢をキチッと示していく」「大学は皆さんの悩みや困難を真摯に受け止め、秘密厳守で一緒に考えます。一人で悩まないでください。大学は責任を持って皆さんの力になることを約束します」と語っていた。
 2013年9月30日には「大学院教育学研究科ハラスメント防止対策委員会」主催による、学生や教職員を対象とした研修会を実施。弁護士を招いてセクハラやパワハラに関する講義が行われた。参加したのは62人で、終了後のアンケートでは研修の開催自体を評価する声があった半面、「もっと具体的な事例を挙げてほしかった」との意見が複数寄せられた。
 また学内にはハラスメントの相談窓口が設けられ、被害に合った場合に積極的に活用するよう呼びかけている。報道によると直近の2件のパワハラ、セクハラは相談窓口に寄せられた申し立てによって発覚し、処分につながった。こうした取り組みがハラスメント撲滅に貢献し、「ブラック大学」の汚名返上となるだろうか。


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2014年01月10日

東北大学職員組合、声明「55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!」

東北大学職員組合
 ∟●声明 55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!

声明 55歳を超える職員の昇給抑制に強く抗議し撤回を求める!

 東北大学は、我々の反対にもかかわらず、国家公務員への準拠を理由として、55歳を超える職員に対する実質的な昇給停止を含む就業規則不利益変更を強行しました(12/24決定、12/26届出・周知)。7.8%臨時賃下げ、退職手当の大幅減額に続く給与削減であり、私たち労働者の生活を脅かすものです。この昇給停止は次のような理由でまったく不当なものです。

1.人事院勧告に準拠する法的根拠はなく、財務上の必要性もない。

 国立大学法人の給与の基準は、独立行政法人通則法63条において、「業務の実績」と「社会一般の情勢に適合」すべきと規定されており、国家公務員とは異なり人勧にそのまま従う必要はなく、業務の実績や財務状況を考慮する必要があります。

 7.8%臨時賃下げや退職手当減額の場合のように減額相当額が運営費交付金から減額された場合とは違って今回の昇給制度の変更は運営費交付金の増減を理由とするものでもなく、財務面からの昇給抑制の必要性は全くありません。

2.現在の給与水準からも昇給抑制の合理性はなく、人材流出につながる。

 東北大学の職員の給与水準は、国家公務員に対する比率(ラスパイレス指数)で94.2(2012年度、東北大公表数値)であり、民間と比較しても決して高くはなく、賃金抑制の合理性はありません。7.8%臨時賃下げや退職手当の大幅減額に加えて55歳昇給停止までもが強行されることにより、教職員の労働意欲が減退し、他国立大学や公・私立大学へ流出する教員が増加し、教育研究水準の低下がもたらされることが強く危惧されます。

3.人事院勧告は一律55歳昇給停止を求めていない。他大学では教員は60歳のところも。

 大学当局が今回の55歳昇給停止の唯一の根拠としている 2012年8月の人事院勧告では、医療職(一)(病院や診療所の医師や歯科医師)、行政職(二)(守衛、用務員等)のように定年年齢が60歳を超える職種については定年年齢を考慮し、昇給停止年齢を57歳に繰り延べたものとなっています。そしてまた、法律上本学と同じく国立大学法人である九州大学では、教員の昇給停止年齢を60歳とするという提案が当局側から行われ、北海道大学でも、交渉の中で58歳とするという修正提案が当局側から行われました。

 「人事院勧告を有力な参考資料」とする(本学職員の給与の取扱いに関する基本方針、2005年、東北大学役員会承認)としたら、この人事院勧告の趣旨を尊重して、65歳定年である本学の教員の昇給停止を少なくとも57歳とすべきです。11月14日の団体交渉において組合がこの点を追及すると、岩瀬人事・労務担当理事は答弁不能に陥り、「そういう意見は合理的だと理解するが、大学としてはこの方針でやらせて頂く」を繰り返すのみとなりました。

 このように人事・労務担当理事自らが合理性を欠くことを認めているような55歳昇給停止を大学当局が強行したことに対して組合は強く抗議し撤回を求めるものです。

2014年1月9日

東北大学職員組合