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 カテゴリー (公)大阪府立大学

2016年04月25日

大阪府立大学と大阪市立大学の統合について

大阪府副首都推進本部
 ∟●第3回副首都推進本部会議「資料3」

府市大学統合について

2016年02月10日

大阪府大・市大の存続・発展へ力を合わせましょう―学問の自由・大学の自治を尊重して

■日本共産党大阪府委員会
 ∟●大阪府大・市大の存続・発展へ力を合わせましょう―学問の自由・大学の自治を尊重して

大阪府大・市大の存続・発展へ力を合わせましょう―学問の自由・大学の自治を尊重して

2016年2月8日  日本共産党大阪府委員会学術文化委員会

 府議会と大阪市議会は昨年12月と今年1月、知事と市長がそれぞれ提出していた府立大と大阪市立大の「統合」を準備する議案(府大・市大の中期目標を一部変更)を大阪維新の会などの賛成多数で可決強行しました。日本共産党は反対しました。

 同趣旨の議案は2013年11月の市議会で、府大・市大「統合」方針を含む「大阪都」構想は昨年5月の住民投票で、それぞれ否決されています。これらの民意と両大学の学生や院生、教職員、卒業生ら大学関係者の批判・反対の声を踏みにじって強行したことは許されません。

 両大学の統合は、大阪の教育、文化、福祉、経済などの様々な分野で長期にわたり大きな影響を与える問題です。統合は政治権力が押し付けるのではなく、府民意見を尊重した両大学の関係者による慎重な議論・検討が必要です。

 私たちは、これまでの議論を踏まえ、府大・市大「統合」問題をめぐる経過と問題点、重点的な大学政策を提起し、府民的討論と共同を呼び掛けます。

1 府大・市大「統合」問題をめぐる経過

 大阪府と大阪市は2013年秋に「新大学ビジョン~強い大阪を実現する知的インフラ拠点をめざして~」(9月)や「新法人基本方針」(10月)を公表し、府大・市大「統合」計画の基本を明らかにしました。これは、大学を構成する学生や院生、教職員のあいだでの自由な議論を抜きに、また、府民と市民の意見をほとんど聞かずに、「大阪維新」主導の府市統合本部のもとで、問答無用で強引に推進されたものです。

 こうした「統合」計画のもとになった「提言」(「新大学構想<提言>~統合と再編、新教学体制と大胆な運営改革~」2013年1月)を策定したのは、「大阪府市新大学構想会議」ですが、この会議を構成する6人の委員のなかには府大と市大の大学関係者は一人も含まれていませんでした。

 「新大学ビジョン」をベースにして、大阪府と市、府大と市大は「新大学案~新世代の大学~ 大阪モデル」(同年10月)を作成・公表しました。

大学関係者の批判と「統合」関連議案の市議会での否決

 こうした府・市の動きをみて、府大・市大名誉教授ら21氏は2013年10月、「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表し、「大学には独自の建学の精神と伝統があり、専門分野も独自に発展を遂げて」おり、「大学の統合はそれぞれの大学の内発的要求が合致し、財政的保障が十分なされなければ難しい」として、「高度の有機的な研究教育機関である二大学の統合計画をこのまま進めるというのはあまりに拙速」だと指摘しました。

 これに先立って同年3月には、市大の学生が提出した「市立大学と府立大学の拙速な統合撤回を求める陳情書」が市議会財政総務委員会で「大阪維新」以外の会派の賛成多数で採択されていました。

 こうした大学関係者の批判をまえに、橋下徹市長(当時)が提出した府大・市大「統合」関連議案(市大の中期目標と大学法人定款の一部変更案)が2013年11月の市議会で「大阪維新」を除く会派の反対多数で否決されました。これを受けて府は議案提出を見送りました。

 「統合」関連議案は、2016年度の「府立大学との大学統合をめざし」準備すると明記し、市大理事長と学長を分離し、理事長を市長任命とすることで大学の支配・統制を強め、「強い大阪を実現するための」大学という特定の大学観を押し付けるものでした。

 この時期に、橋下市長(当時)は、安倍政権による「大学のガバナンス(統治)改革」を先取りして、市大学長選挙での教職員意向投票の廃止を押し付けました。

大学「統合」の延期と住民投票の民意

 「統合」関連議案否決を受けて大阪府・市は翌年(2014年)4月に両大学「統合」の延期を表明、当初予定の2016年度の大学「統合」はなくなり、今後については、「両大学で、主体的に大阪における公立大学のあり方について検討」するとされました。これを受け、府大・市大は2015年2月に「『新・公立大学』大阪モデル(基本構想)」を公表しています。

 2015年5月に実施された、大阪市民による住民投票では、府大・市大「統合」方針を含む「大阪都」構想が否決され、市議会での「統合」関連議案の否決に続いて市大存続の民意が示されました。

 住民投票の翌日に発表された大阪市立大学教職員労働組合の声明は、「大阪市立大学は、大阪市民とともにある大学であり、市民の示した民主的な意思、市民が選んだ都市の将来像とともに進むべきである」と強調しました。

 日本共産党の石川多枝府議は昨年12月の府議会教育常任委員会で、「関係者の合意形成もないままで統合ありきで進めるのは拙速だ」と批判。小川陽太大阪市議は今年1月の市議会本会議で、「大阪市がすべきは、未来ある若者により広く高等教育を保障し、教育研究条件の拡充を図ることだ」と強調しました。

 この府議会(教育常任委員会)と市議会の「統合」関連議案の採決では、結論ありきで検討を急がず、関係者の意見を柔軟に取り入れることや、議会の意見を十分踏まえるとする附帯決議を全会一致で可決しました。市議会の附帯決議は「一から幅広く議論」するとしています。ここに、両大学「統合」を押し付ける「おおさか維新」政治と府民・大学関係者との矛盾が現われています。

2 府民・大学関係者の共同の広がり

 両大学の学生有志でつくる「大阪の公立大学のこれからを考える会」は2016年1月、大学の統合計画の白紙撤回を求める署名を、市大学長あてに2498人分、府大学長あてに2784人分を提出。「統合を前提にした改革はおかしい」と語りました。このなかで、「受験生にとっても、比較的安い授業料で学べる二つの公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われます。家族にとっても子や孫の学ぶ場が奪われる」と訴えています。

 大学関係者が実施した学内アンケートでも、回答した教員の7割が統合を「進めるべきでない」としています。

 2015年11月に開催された多様な分野の研究者による「豊かな大阪をつくる」シンポジウムは府大・市大統合問題をテーマに取り上げ、「大学統合は、大阪の文化、教育、福祉、経済等の様々な領域において長期にわたって多大な影響を与える」として、学生と教員らが活発な議論を行いました。

 両大学の卒業生らでつくる「大阪府立大学問題を考える会」と「大阪市立大学の統合問題を考える会」は、「拙速な統合反対」と知事・市長に署名11000人分以上を提出したことを始め、学習会や議会要請などの取り組みを進めています。

 こうした府民・市民と大学関係者の共同が政治を動かしています。府大・市大の存続・発展へ力を合わせましょう。

3 府民・市民の大学教育への願いに応えて――日本共産党の提案

 この間の経過からみて、「統合」計画は両大学が内発的に要求しているものではなく、政治権力により強権的に大学に押し付けられたものです。これは、憲法が保障する学問の自由を脅かし大学の自治を破壊する学校教育法改悪などを強行してきた安倍政権「大学改革」の先取りです。大学関係者からは、「統合」による教育研究条件低下と学費負担増を危惧する声が上がっています。

 府大と市大はそれぞれ、独自の建学の精神と伝統をもち、専門分野も独自に発展を遂げ、教育研究に重要な役割を果たしています。「二重行政」を解消するとして、両大学を「統合」することは許されません。

 私たちはこうした点を踏まえ、重点的な大学政策について改めて次の諸点を提案します。

(1)府大・市大「統合」計画を撤回します

 大学の再編・統合は、教育・研究を充実させる見地に立って、学内合意を基礎にした大学間の自主的な話し合いと、地域の意見を尊重することを前提としてすすめるべきです。「おおさか維新」が主導する府大・市大の「統合」(統廃合)計画は、政治権力による大学への介入であり撤回します。

(2)学問の自由・大学の自治を守ります

 憲法が保障する学問の自由・大学の自治を守ります。世界で形成されてきた「大学改革の原則」は、「支援すれども統制せず」であり、大学の自治を尊重して大学への財政支援を行うことです。大阪府・大阪市と、教育研究を担う両大学との関係を律する基本的なルールとして、また、大学運営の原則として確立します。

(3)大学の日常的運営に必要な経費の増額をはかります

 この間、両大学への運営費交付金が削減され続けてきました。大学の日常的運営に必要な経費(基盤的経費)である運営費交付金を増やし、教育研究条件の拡充をはかります。

 国に対しては地方交付税の大学経費を引き上げることや公立大学への国庫補助制度を確立するなど財政支援を強めることを求めます。

(4)学費負担の軽減、給付奨学金制度をつくります

 国際人権規約が定めた高校・大学の段階的無償化条項が、国民世論と運動におされて留保撤回されました。大学で経済的な心配なく学び、将来に希望をもって研究したい若者の願いを実現するために、学費無償化にむけて、大学授業料を段階的に引き下げます。奨学金の無利子化、返済方法の改善、給付制の創設と授業料減免制度の拡充をはかります。

(5)基礎研究を重視し、科学、技術の調和のとれた発展へ

 科学、技術は府と市がその多面的な発展をうながす見地から、研究の自由を保障し、長期的視野からつりあいのとれた振興をはかってこそ、社会の進歩に貢献できます。

 そのため、基礎研究を重視し、科学、技術の調和のとれた発展と府民・市民本位の利用をはかります。公正で民主的な研究費配分を行い、研究における不正行為の根絶をはかります。産学連携の健全な発展をうながします。女性研究者の地位向上、研究条件の改善をはかります。

府民・大学関係者と共同して

 府大・市大は日本と大阪での学術の進歩に貢献し、住民要求に応えた大学教育を行い、大阪の文化、経済の発展に寄与しています。今後もその役割の発揮が期待されます。

 日本共産党は引き続き、広範な府民・大学関係者と共同して、安倍自公政権の補完勢力である「おおさか維新」政治と対決し、府民・市民の大学教育への願いに応えて、府大・市大の存続・発展へ力を尽くします。


2015年12月23日

府立・市立大学の統合議案可決 大阪府議会

YTV(12/22 18:37)

大阪府立大学と大阪市立大学の統合に向けた議案が22日、大阪府議会で可決された。府立大学と市立大学の統合に向けた議案は、府議会で維新・自民・公明などの賛成多数で可決した。自民はこれまで、統合に慎重だったが、先月の大阪ダブル選での維新の圧勝を受け、方針を転換した。一方で、2つの大学をひとつにする知事らの案に対し、自民は運営母体をひとつにするものの、大学は2つとも残す案を主張しており、今後、対立が予想される。松井知事は「(大学を)機能強化するには学部再編です。これからの時代に見合った学部をつくれるのが(大学統合の)メリット。このあたりは、これからの議論になると思います」などと語った。一方、大阪市議会では、自民・公明が依然統合に慎重な態度で、来年の採決に向けて議論を続けるという。

2015年12月16日

大阪府・市立大統合の関連議案、今府議会で可決の見通し

朝日新聞(2015年12月14日)

 大阪府立大と大阪市立大の統合の議論を進める議案について、自民党大阪府議団は14日の総会で賛成する方針を決めた。継続審議を求めていた公明党府議団も賛成する方向で、22日に可決される見通しとなった。

 この議案については、11月の大阪ダブル選での大敗を受けて、自民党市議団が賛成に転じる方針を確認していた。杉本太平・府議団幹事長は記者団に「賛成の方向で公明党と話をしたい」と語った。松井一郎知事はそれぞれの運営法人と大学を統合する「1法人1大学」を目指すが、府議団は「1法人2大学」を念頭に議論したい考えという。

大阪府立大・市立大、統合準備案可決へ 大阪府議会自民が賛成

産経(2015.12.14)

 自民党大阪府議団は14日、府立大と大阪市立大の統合に向け準備を進める議案に賛成する方針を決めた。推進派の大阪維新の会と合わせれば可決に必要な過半数となり、今月22日の本会議最終日に可決される見込み。

 議案は府立大の運営目標に市立大との統合推進を加える内容。先に自民市議団が賛成の方針を固め、市議会でも可決する見通しとなっていた。

 両大学はいずれも約8千人の学生を抱える。府立大は理系、市立大は文系や医学系に定評がある。自民府議団は議案に反対する姿勢を示していたが、11月の知事・市長のダブル選で大阪維新が勝利した結果を受けて賛成に転じた。


2015年12月10日

統合準備議案、可決見通し 大阪府・市立大で市議会

大阪日々新聞(2015年12月9日)

 大阪府立大と大阪市立大の統合に向け準備を進める議案が市議会で可決される見通しであることが8日、分かった。反対していた自民党市議団が賛成に転じたためで、推進派の大阪維新の会と合わせれば可決に必要な過半数となる。来年1月15日に閉会する今議会中にも可決される見込み。

 議案は府立大の運営目標に市立大との統合推進を加える内容。11月の知事・市長のダブル選で大阪維新が勝利した結果を受け、自民市議団幹部は「民意を尊重して議論の場につくべきだと判断した」と理由を話している。

 同様の議案は橋下徹市長が2013年に市議会に提案したが、大阪維新以外の会派が反対に回り否決された。しかし松井一郎知事と橋下氏はダブル選前の10月上旬に「二重行政を解消すべきだ」として、それぞれ両議会に提案した。

 橋下市長は「選挙の民意を踏まえて公選職として判断されたのだと思う。すぐさま統合に賛成というわけにはいかないだろうが、一歩前進だ」と評価。18日で退任することから「今後は吉村洋文新市長が議会と議論していくこと」とした上で、「ポテンシャルは高い。大阪にものすごい強い公立大学をつくってもらいたい」と期待を示した。

 自民府議団も統合に前向きな姿勢を示しているが、具体的な形態については「大阪維新とは考え方に隔たりがある」(府議団幹部)との意見もあり、市議団や公明党の対応をみて、最終的に判断する方針。


2015年12月09日

大阪府大・市大統合 自民党が賛成の方針

ytb(12/08 18:23)

大阪市の橋下市長が提案した、大阪府立大学と大阪市立大学の統合に向けた議案に自民党が賛成する方針を示した。大阪ダブル選挙での維新の圧勝を受け、対立が続いた議会に変化の兆しが見えている。大阪府立大学と大阪市立大学を統合する議案について8日、大阪市議会の自民党と公明党の幹事長が対応を協議した。議案は、松井知事と橋下市長がそれぞれ、議会に提案し、おととしの市議会では同じ様な議案が維新以外の反対で否決された。自民党は大阪ダブル選挙で維新が圧勝した結果を受け、すでに具体的な議論に入る方針を確認。きょう公明党に意向を伝え、吉村次期市長が就任した後、所信表明を聞いた上で態度を決めることで合意した。自民党市議団・黒田當士幹事長は「統合するつもりで議論に入ります。我々はあくまで大阪市を残す前提のもとで、我々議論していますので、吉村新市長が都構想のことをがんがんいってこられたらなかなか話進めにくいかなと思っております」と述べた。議案は、早ければ来月15日の会期末にも採決され、可決されれば、2つの大学の統合の時期や形態などの議論が進められる。

大阪府大・市大統合協議へ、医療・理工系…国際競争勝ち抜きランク上昇目指す

産経新聞(2015.12.8)

▼橋下維新の進める統合構想、自民市議団も検討へ

 互いの強みを持ち寄れば、世界的な大学間競争を勝ち抜くことができる-。統合議論が続いている大阪府立大と同市立大。若者人口の減少など、大学を取り巻く環境が厳しさを増す中、統合の相乗効果による大学ランキング上昇を目指している。

■学生数は首都大学東京を抜く1.6万人

 府立大は明治16年に設置された獣医学講習所が前身で、航空宇宙工学やロボットなど理工系分野に強い。一方、市立大は、同13年創立の大阪商業講習所を前身とし、都市研究などの特色がある文系に加え、医学系の評価が高い。

 両大学が今年2月にまとめた基本構想では、新大学は文系から理系、医学・獣医学分野まで幅広い教育・研究領域とする。工学や看護学など重複する分野で再編を進め、理工系や医療系など強みのある研究に重点的に投資する方針だ。

 統合すれば、学生数は計約1万6千人となり、公立大トップの首都大学東京を抜く。

 両大学は「新たな公立大のモデルとして大阪の発展を牽引(けんいん)できる」とメリットを強調する。

 だが、府内に点在する5カ所のキャンパスの活用方法や、学部・学域の再編方針は固まっておらず、学生にとってデメリットになりかねない現状もある。学生からは「統合で各大学の良さや教授との身近さなどが失われるのでは」と危惧する声が上がる。

 専門家は「これまでの蓄積を生かした特色のある大学づくりのビジョンを明確に打ち出せなければ、統合は意味のないものになる」と指摘している。


2015年11月03日

大阪の公立大学のこれからを考える会、「現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名」

大阪 開業支援室
現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

大阪市立大学学長 西澤 良記 様

現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

【要望趣旨】
 市大と府大の統合計画は、もともと大阪府・市が「二重行政」の解消として持ち出してきたものです。大阪府・市が市大・府大関係者を抜きに発足させた新大学構想会議が、2013(平成25)年1月に「新大学構想<提言>」を、続いて同年4月に大阪府・市が「新大学ビジョン(案)」を発表しました。大阪府・市から公表されたこれらの案やビジョンを両大学は唯々諾々と受け入れ、ついには今年2015(平成27)年2月、市大・府大の連名で「『新・公立大学』大阪モデル(基本構想)」を発表するに至りました。果たしてこれが在学生、卒業生、教職員が誇りを持てる大学の姿でしょうか?

 一方で、2013(平成25)年10月、市大・府大の名誉教授ら21氏が「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表し、「学問の自由と大学の自治の伝統が根底から脅かされている」と懸念を表明されました。同年11月の市議会では、統合メリットやキャンパス配置、財源などの基本問題が具体化されないまま”統合ありき”で進められる強引なプロセスに批判が集中し、市長が提案した「統合関連議案」は否決されました。2014(平成26)年春から夏、市大・府大の卒業生らが「拙速な統合はやめてください」署名に取り組み、同年9月、知事・市長宛てにそれぞれ約11,000筆の署名を提出しました。2015(平成27)年5月、大学統合計画を含む「大阪市廃止・5分割」(いわゆる「都構想」)の賛否を問う住民投票は反対多数で否決され、橋下市長も「私が間違っていた」と認めました。このように、大学内外からも多くの批判があり、市議会でも住民投票でも否決された大学統合計画を、大阪府・市および市大・府大はいまなお進めようとしています。

 私たちには、大学関係者の民主的な議論や客観的な検証を十分に経ないまま強引に設立されようとしている新大学が、大阪市民・府民、広くは社会全体の要求に応えて行く大学になれるとは思えません。また、異なる二つの大学を統合して新大学に生まれ変わらせることは、どちらの大学の個性も喪失させることになり、両大学の在学生、卒業生、教職員が選んだ大学ではなくなってしまいます。受験生にとっても、比較的安い授業料で学べる二つの公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われます。家族にとっても子や孫の学ぶ場が奪われることになります。

 両大学は「市井の精神に発した、自主独立・自由進取の気風あふれる建学の伝統」(市大・大学憲章)、「地域に信頼される知の拠点」(府大・基本理念)の精神をいまこそ思い起こしてください。私たちは、両大学が市民・府民の願いを尊重して大学統合計画を撤回し、これまで通り互いに独立した公立大学として、それぞれの伝統と特色を生かして発展することを望みます。そして、先人の努力と奮闘の上に築かれ、現在まで続く輝かしい歴史と伝統、学風、学問研究水準のいっそうの発展を心から願うものです。


2015年10月04日

「市立大学と府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」、「継続」扱いに―大阪市議会都市経済委員会

大阪開業支援室
 ∟●「陳情書」は「継続」扱いに―市会委

「陳情書」は「継続」扱いに―市会委

 10月2日、大阪市議会の都市経済委員会で、「大阪の公立大学のこれからを考える会」が提出した「市立大学と府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」が審議された。審議のあと、自民党(3)と共産党(1)は「採択賛成」を表明したが、維新の会(6)と公明党(4)が「継続審議」を主張したため、「陳情書」は採択されず「継続」扱いとなった。《( )内は委員数。市会の会派数は、維新36、自民20、公明19、共産9、osakaみらい2 》
「陳情書」に対する各党の審議内容の要点について(メモ)
①維新・田辺 2013年に「大学統合関連議案」が否決されときの理由は何だったのか、その後の進展はどうか。
大学担当課長・森山 平成25年当時は、大学の施設、統合スケジュール、学生への説明などの問題で、「統合議案」が否決された。そして、文部科学省の審査が厳しくなり、当初スケジュールどおりの統合は困難と判断、延期となった(平成26年4月)。その後、両大学の主体的検討を経て、平成27年2月「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)がまとめられた。市は、これをうけて大学統合をすすめたいと考えている。
田辺 陳情で「両大学の個性が喪失」と述べているが、両大学の特性・個性はどうなるか。
森山 大学の個性は「独自性」と「強み」。市大は日本初の市立大学。両大学とも130年の歴史と伝統がある。個性は失われないものと考える。
 田辺 「個性は失われない」ことを確認。統合によって学生に不利益があるのか。また、「学生に説明されていない」といわれているがどうか。
 森山 学生に不利益ないようにしたい。両大学のリソースを生かし、教育力もアップする。学生には、大学問題見解発表ごとに「ホームページ」で説明している。
 田辺 ホームページでの説明だけでは不十分ではないか。「基本構想」には、中期目標を決めてから4・5年かかると書かれている。4・5年かかると現役学生には関係ないとも考えられるが、学生に不安を感じさせないようにするべきだ。     市大の運営費交付金はいくらか。
 森山 平成27年度、医学部付属病院を除いて106億円である。
 田辺 106億円は市民の税金だ。これが妥当な額か。大学統合は、市の財政負担からみて意義あることだ。統合でいくらコスト削減できるのか。府が10億円、市が数億円ともいわれるが。統合でマネジメント部門の経費削減、統合のシナジー効果を発揮してほしい。コスト削減(効果)を是非検証してほしい。100億円も投入している大学の市民への還元を考えるべき。「100億円も」「小中学校に回してほしい」という声もある。学生を小中学校教育にもかかわるよう検討するべき。
②自民・前田 陳情書を提出した学生の「会」から直接意見を聞く機会があった。学生たちは、この間、学生には何の説明もない。5月の住民投票で大学統合が問題になった時も、説明がない。大学の伝統、教育内容、キャンパス、学費など、不安がいっぱいと話していた。学生への説明をやってきたのか。陳情で「合意のない統合」と言っているが「合意」は必要なのか。
 森山 市大・府大が検討し「基本構想」を発表、ホームページで公表・説明してきた。手続き上「合意」の必要はないが、情報提供、説明はやっていきたい。
 前田 統合で、学生を混乱させないようにするべき。ホームページだけでなく、説明会なども必要ではないか。
 森山 市大は、「新大学」の具体化がすすんだ段階で説明することにしている。
 前田 決まった後での説明でなく、よく意見を聞いて検討するべきだ。
③共産・小川 大学統合には、何度も反対の民意が示された。学生、教員、卒業生などの意見を聞くべき。「二重行政」のムダ解消といわれた「統合」、住民投票でも否決されたではないか。「陳情趣旨」の2)で述べているとおりだ。統合に大義はない。いまこそ、大学問題も熟議が必要。統合などするべきではないと考える。
 森山 大学は「智」の拠点。両大学を統合して、リソースを発揮、シナジー効果を期待する。大阪発展の牽引力になる。
 小川 今回、大学が自ら「基本構想」を作成したかのように、「大学統合」を押し付けている。両大学は、公立大学としてその役割を立派に果たしている。なのに、交付金を7割に削減しているのは問題だ。交付金を削減しておいて、「より良い大学」になりうるのか。「一度も意見を聞かれていない」と言われているが、学生からの意見徴集はどのようにしたのか。
 森山 ホームページでやった。
 小川 HPでなく、直接、意見を聞くべきだ。ステークホルダーというなら、定期的に意見を聞くようにするべきではないか。
●維新、自民、共産が質疑したが、前回「統合に反対」だった公明は、発言せず、「継続」を表明した。


2015年09月27日

大阪府大・市大「統合」の計画 議会も住民も否決済み 議案提出は許されない

しんぶん赤旗(2015年9月25日付)

 橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事は、25日開会の市議会と29日開会の府議会にそれぞれ、府大・市大「統合」関連議案を提出しようとしています。

 同趣旨の「統合」関連議案は2013年11月末、日本共産党、自民党、公明党、民主系会派の反対多数で否決されたものです。また、府大・市大「統合」方針は、今年5月の住民投票で否決された「大阪都」構想に含まれており、大阪市民の民意が示された問題です。

 すでに二重に決着した問題を持ち出し、「統合」関連議案を提出することは許されません。

 府大・市大「統合」の問題点は第一に、全国と大阪の子どもの公立大学受験の機会を減らし、憲法が保障する学ぶ権利を奪うものです。第二に、「統合」は両大学が内発的に要求しているものではなく、橋下・「維新」が、学問の自由・大学の自治を蹂躙(じゅうりん)し、強権的に大学に押し付けているものです。第三に、府大と市大はそれぞれ、独自の建学の精神と伝統をもち、専門分野も独自に発展を遂げ、教育研究に重要な役割を果たしており、ムダな「二重行政」ではありません。

 こうした重大な問題点をもつ府大・市大「統合」計画は撤回すべきです。いま、府と市がやるべきは、運営費交付金を増やすことなど両大学の教育研究条件を拡充することです。

 これまでに、府大・市大名誉教授ら21氏が「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表。学内では「市民が大阪市解体を否定したいま、私たち大学人が自ら、大学のあり方を根本から問い直し、議論する必要がある」として教員有志が呼びかけた懇談会が開かれました。両大学の学生は、学生と合意のない統合の撤回を求め、卒業生らは拙速な統合に反対する運動を進めています。

 私たちは、広範な府民・市民、大学関係者と共同し、大学自治に介入し「統合」を押し付ける「維新政治」に終止符を打つため奮闘します。府大・市大の大学改革は、府民・市民の意見を十分踏まえて、大学自治を尊重して大学関係者の議論と合意で進めることが求められます。

(日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者 小林裕和)


2015年09月24日

大阪の公立大学のこれからを考える会、「大阪市立大学と大阪府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」提出の記者会見

特集 大阪都構想

 2015年9月17日(木)、大阪の公立大学のこれからを考える会が、「大阪市立大学と大阪府立大学について、学生との合意のない統合撤回を求める陳情書」を市議会へ提出した。その後、大阪市北区の大阪市役所で、学生有志による記者会見が開かれた。


2015年09月21日

市大・府大学生有志の会「大阪市立大学と大阪府立大学について,学生との合意のない統合はやめてください」

大阪 開業支援室

学生との合意のない統合はやめてください―陳情書を提出

「大阪市立大学と大阪府立大学について,学生との合意のない統合はやめてください」


2014年05月23日

大義も道理もない大阪府大・大阪市大統合問題、講演会に90人、署名が8000超える

大阪 開業支援室
 ∟●大義も道理もない大学統合―講演会に90人、署名が8000超える

大義も道理もない大学統合―講演会に90人、署名が8000超える

2014.5.18統合問題講演会.jpg

 市大と府大の両「考える会」が共催した講演会は、会場いっぱいの90人が参加して、橋下維新が進める「大学統合」が断念されるまで、署名をはじめとする取り組みを強めることを確認しました。

(講演の要旨)

森裕之教授
 橋下維新が目標としているのは関西州を作るということ。「都」はきえてしまう。都構想は大阪市をつぶすことが目的だ。橋下市長の実行力を世間に知らしめることが目的。そんなことのために市をつぶしていいのか。橋下改革の特徴は「統治機構の改革」・「上意下達の組織改革」だが、この二つが大学統合に収れんしている。
 橋下市長は、「大学の存在感がない」というが、大学に存在感が無くて当たり前。彼の単に面白いだけの話だ。大学の先生は「税金で食っている役に立たない集団」、とくに文系の教授、そこで学ぶ学生は「役に立たない」という。上意下達が機能しない大学がゆるせない、という感覚。
 しかし、公募区長や文楽・慰安婦問題などで彼らに失点がつづいた。さらに水道の民営化や堺市長選の敗北、法定協などで「改革」がとん挫しそうだ、なにか成果を見せたい、その道具として大学統合をすすめようとしている。
 新大学構想会議の視点は、「強い大阪」を実現する成長戦略と「でかくなる方がよい」というものだ。その<提言>を見ても市の「ビジョン」を読んでも「改革」は必要ない、と思える。大学のガバナンス改革というが、本質的に上意下達の大学というものは、その組織は劣化するものだ。大学の統廃合の問題は、大学「改革」についてわかりやすい切り口になっている。
「大阪市立大学・府立大学の統合問題と大学改革」レジメは→こちら

小林宏至名誉教授
 大阪の二大学は、東京の役4分の一の純経費で1・9倍の学生に大学教育の機会を提供している。橋下市長の言う財政難は政策的なもので、大学をくっつけたら何か解決するのか。統合によって財政難が打開されるものでは全くない。
「橋下徹市長による府・市二大学『二重行政』論の的はずれな攻撃」レジメは→こちら

参加者の発言
◆学費の心配なく、きちんとした大学を残さなければならない。
◆大学には多様性をつぶしてはならない。乱暴な議論が許されていいわけがない。
◆高校でも学区が撤廃され、進学校には遠くから通っている。補助金をエサに競争させている。安上がりの教育になっている。
◆市大の研究環境が悪化している。15年で教員は3分の2になり、学生数は1.5倍になった。研究費は2分の1から3分の1になった。それも競争的な資金を獲得しなければならない。被害者は学生だ。
◆市大の初代学長・恒藤恭は「死して生きる途」といったが、財政で締め上げて若手が声をあげ辛くなっている。学内にも流動化する空気があり、ここに市民運動の反映があるのでは。大学統合が市民にとって有害なプランであることが知られてきた。「じり貧」論をどのように崩していくか。
◆学外理事を増やすというのはくせ者。京大の例を見ても、政治家と財界が大学を支配しようとしている。
◆藤本統紀子さん(女子大OG)は「もっと愛校心を持とう」「なにをするべきか。強く行動しよう」というメッセージを残された。
 署名の到達点は、8000を超えたことが報告され、さらに伸ばすことが拍手で確認されました。会場で52000円余りのカンパが集められました。


2014年05月21日

大阪府・市大統合考える 講演会中止まで運動強めよう

■しんぶん赤旗(2014年5月20日)

 橋下徹大阪市長らが進めている大阪府立大学(堺市)と大阪市立大学(大阪市)の統合問題を考える講演会が18日、大阪市内で開かれ、講師らが、両大学を「無駄な二重行政」とする「維新の会」の決めつけは的外れだと批判しました。
 会場には、両大学の卒業生ら約90人が集い、市立大卒業生の森裕之丘命館大学教授と小林宏警府立大名善教授が清濁しました。
 森氏は、今回の2大学統合には、組織の統廃合と上意下達型の組織への変質という二つの面があるが、それは大学の関係者の内発的な思いから出たものではなく上から一方的に言われてきたものだと指摘。「つぶすことだけが目的の政治によって日本が誇るべき公立大学をつぶさせていいのか」と訴えました。
 小林氏は、国の助成・交付システムを活用して運営してきた大阪府・市の大学運営は、2008年度の数値を事例に分析すると、東京の約4分の1の純経費で1.9倍の学生に大学教育の機会を提供していると指摘。地域貢献などでも立派に公立大学の役割を果たしており、橋下氏のいう「二重行政」とは正反対だと話しました。
 共催した両大学の「考える会」の関係者は、世論と運動の力で、2016年度の統合が延期されたことを確信に統合中止まで運動を進めていこうと署名活動の強化を呼びかけました。

2014年04月26日

大学統合、大阪府立と市立 16年4月の新大学移行断念

毎日新聞(2014年04月25日)

 大阪府立大(堺市中区)と大阪市立大(住吉区)の統合を巡り、府と市は、計画していた2016年4月の新大学移行を断念する方針を固めた。25日の府幹部会議で正式決定する。関連議案が市議会で否決されるなど実現のめどが立たず、受験生への影響を考慮した。統合計画自体の撤回ではないが、新たな統合スケジュールは白紙とする方針だ。

 大学統合は、府市の二重行政を解消する「大阪都構想」の一環。今年度にまず両大学の理事長を一本化する方針だったが、昨年11月の市議会で、前提となる市立大の定款変更議案が否決された。さらに橋下徹市長の出直し選(3月)の影響で、府市の新年度予算で、カリキュラムを検討する有識者会議の開催経費計上が見送られていた。【林由紀子、熊谷豪】

大阪府立大・市立大の統合延期正式決定 平成28年に間に合わず 

産経新聞(2014.4.25)

 平成28年度の統合を目指していた大阪府立大と大阪市立大について、府は25日、昨年11月に市議会で関連議案が否決されたことを踏まえ、統合延期を正式に決定した。新たな統合スケジュールは今後協議する。松井一郎知事は「われわれ府だけではどうにもならず、残念だ」と述べた。

 府によると、28年4月に新大学を開学するには、今年10月までに文部科学省に申請が必要。ただ、昨年11月に市議会で関連議案が否決されたため、府は府議会への議案提出を見送っており、今後改めて府市両議会で審議すれば、目標期限に間に合わないと判断した。

大阪の府市大学16年度統合断念 橋下市長の公約

共同通信(2014/04/25)

 大阪府は25日、松井一郎府知事らが出席した戦略本部会議で、橋下徹市長が公約に掲げる府立大と大阪市立大の統合問題に関し、これまで目標としていた2016年4月の新大学スタートを断念することを確認した。関連議案の成立が見通せず、文部科学省への正式な認可申請が間に合わないと判断した。

 橋下氏は二重行政解消の一環として、初当選した11年11月や今年3月の出直し選公約で両大学の統合を主張。府市でまとめた計画案に16年4月スタートの目標を盛り込んでいたが、13年11月の市議会で、橋下氏が率いる大阪維新の会以外の全会派が反対し関連議案が否決された。


2014年04月17日

5月18日、「大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会」

大阪府立大学問題を考える会
 ∟●大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会
 ∟●講演会案内チラシ

大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題を考える講演会に参加ください
 

 3月に行われた大阪市の「出直し市長選挙」は、橋下前市長が再選されたものの投票率が過去最低となり、得票数は前回の75万から37万と半減しました。「大阪都」構想は民意を得たどころか、これがいかに民意とかけ離れたものであるかを明らかにしました。
こうした中で私たちがはじめた大阪府知事と大阪市長あての「府立大学と私立大学の拙速な統合 はやめてください」の要請署名は4千名近く(3月末)となっています。ご協力にお礼申し上げます。道理のない両大学の統合をやめさせるまで、署名をさらにひろげるための取り組みをすすめています。ひきつづくご協力を訴えます。
 このたび運動を広げるため、「大阪府立大学問題を考える会」と「大阪市立大学の統合問題を考える会」が共催で、統合問題を考える講演会を開催することになりました。会場は、なんば駅近くに昨年4月に開設した府立大学の施設です。ぜひご出席ください。

 ○ と き 5月18日(日)午後1時30分から
 ○ ところ 大阪府立大学 I・siteなんば(2階)
 ○ 講 師 小林宏至 大阪府立大学名誉教授
      森 裕之 立命館大学教授(大阪市立大学卒)

2014年4月2日
大阪府立大学問題を考える会
代表 野崎 清(女子大卒)
代表 中井英二(府立大卒)

2014年02月18日

大阪府立大学問題を考える会、要請署名「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」

大阪府立大学問題を考える会
 ∟●要請署名「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」

要請署名「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合はやめてください」に、ご協力ください 

大阪では昨年の堺市長選挙、岸和田市長選挙で維新候補があいついで落選し、府議会では維新議員4人が造反して過半数を割りました。1月31日には大阪市を廃止し特別区に分割する「大阪都」構想の区割り案が大阪法定協議会で「維新の会」以外の全会派の反対で否決され、「大阪都」構想は府民・市民の批判の高まりで当初の計画は頓挫しています。橋下市長が辞職し、市長選挙がおこなわれることになりましたが、みずからの政治のゆきずまりの果てに、市政を投げ出し、再び市長選挙に出て、多額の血税浪費を行うなど、何の大義も道理もありません。

このように「大阪都」構想はその見通しがたたないのに、橋下市長は府立大学と市立大学の統合はやめようとしていません。大阪府と大阪市に公立大学があるのは「二重行政」といいますが、府立大学と市立大学の予算の合計額240億円の約8割は国からの交付金でまかなわれています。大阪府と大阪市の実出費は約42億円です。東京都は交付税不交付の「富裕自治体」ですから、都立の首都大学東京の予算を東京都が全額負担しているのとは違います。

また、100万人以上の大都市のある11都道府県の国公立大学数は、東京都13、北海道12、愛知県7、福岡県7、京都府6、兵庫県と広島県5、神奈川県と大阪府4、宮城県3、埼玉県2で大阪府は下から3番目です。比較的安い学費で学ぶことができる大阪の高等教育機関はいまでも他に比べて少ないのに、これ以上削減することは、府民、市民、国民、なによりも受験生の願いに反し、大阪の発展にとって逆行するものではないでしょうか。

今回の大学統合案は、大学関係者から持ち出されたものではありません。大阪府と大阪市が共同で設置した「大阪府市新大学構想会議」(会長:矢田俊文・北九州市立大学前学長)によって出されたものです。橋下市長は「学長を選ぶのは市長」と、大学の自治を認めようとしていません。ものも言えないような寒々とした大学で、はたして学問・研究がのびのびできるでしょうか。意欲のある研究者や学生が集まるでしょうか。「学問の自由は、これを保障する」(憲法第23条)立場にたった自主的な大学改革こそ求められています。

昨年、大阪市議会は市立大学生が提出した「拙速な統合はやめてください」の陳情を維新の会だけ反対し採択しました。また、橋下市が提出した、統合にむけた「大学関連議案」を昨年12月に、維新の会以外の会派が反対し否決しました。大阪府は、大阪市議会での議案否決をうけ、12月府議会にも、この2月府議会にも統合に向けた「大学関連議案」は提出していません。

私たち卒業生でつくる「大阪府立大学問題を考える会」は、同じく卒業生でつくる「大阪市立大学の統合問題を考える会」とともに、大阪府知事と大阪市長に両大学の拙速な統合をやめることを求める署名を提出することにしました。

つきましては、みなさんのご協力をお願いします。

○大阪府知事と大阪市長あての署名を広げて下さい。

○この活動をささえる募金にご協力下さい。

    2014年2月10日 大阪府立大学問題を考える会
    代表 野崎 清(女子大卒)
                代表 中井英二(府立大卒)

・署名用紙はご面倒ですが下のリンク先から印刷して使用して下さい。
書名用紙はpdf形式で作成しています。知事宛と市長宛の2枚の用紙を印刷し、1人の方にそれぞれ署名をお願いします。
集めていただきました署名は、お近くの世話人にお渡しいただくか、このホームページの「登録」欄から名前・連絡先(Eメールアドレスまたは住所)をご登録いただき、「ご意見、メッセージ」欄に「署名用紙送付先依頼」等と入力いただき連絡先を問い合わせてください。

・募金にご協力いただける方は「会則と募金のお願い」欄から同様の方法でお願いします。

大変ご面倒をおかけしますが、個人の住所・氏名等のインターネット上での公開は避けていますので、ご理解をお願いします。


2014年01月15日

大阪府立大学、奥野理事長が「大阪に公立大学を一つにすることは間違っていないと思う」と会見発言

大阪府立大学教職員組合
 ∟●府大教ニュース(2013.12.26)

奥野理事長が「大阪に公立大学を一つにすることは間違っていないと思う」と会見発言

 2013 年 9 月 18 日、府大教執行部は、8 月 27 日の新大学構想会議で「新大学案(素案)」などが示された中で、新執行部体制となってはじめての理事長会見を行い、改めて大阪市立大学との統合について意見交換を行いました。会見には、法人から奥野理事長、村田理事、辻理事らが出席し、府大教から相田委員長、谷口、河野、中村、山田副委員長、上田書記長、高根書記次長が出席して行われました。
 府大教は5 月の理事長会見の際に「今回の改革では情報を公開する」ことを約束しました。しかし、学内部会の議論においてさえ十分な情報公開が行われているとはいい難いことを指摘したところ、理事長は「確かに情報はできるかぎり公開するように言ったが、思うように行き渡っていないことは申し訳ない。今回は相手(市大)のあることもあって、考えていた以上に制約条件が厳しい。」と弁明しました。
 府大教は、学域体制の完成年度を迎えていない状況において次の改革の議論を行うことはあまりにも拙速であり、この間の進め方は大学の自主性や自律性が損なわれており、その点については法人の長としては発言すべきではなかったのかと意見すると、理事長は「完成年度を迎えるまで変えることができないことは当然で、そのことは発言しており、構想会議の委員も認識し、承知の上で進められている。この流れは止められない。」としました。
 また、8月27日の新大学構想会議に提示された「府大のガバナンス改革」では、あたかも府大の改革がうまくいっているように見えているが、現状を誠実に伝えるべきではないかの質問に、「我々がそのように書いたわけではない。府大ではすべてうまくいっているとは思っていないし、府大のガバナンス改革を美化していることはない。」とし、今回の改革で手直ししたい思いがあると答えました。
 府大教は、理事長と学長の分離についてこれまでの「新大学ビジョン」では「経営と教学の分離」としていたが今回の資料では「経営と執行を分離」するという本質が出されていることへの危機感はないのかについて質問すると、「今回の資料は、現時点の中間段階のものであり理事長と学長の分離については法人統合から大学統合への過程を区別しては書かれておらず、表現も含め整理されていない部分もある」と答えつつも、分離は法人統合へのプロセスに組み込まれている既定路線でやむを得ないとしました。
 また、新大学の財政的な基盤や教職員数なども示されていないことを指摘すると、村田理事から「この状況で議論を進めるのは難しいので、財源を示して欲しいと要望している。」との発言があり、今後は四者(2大学、府と市)で議論を進めていくとしました。
 府大教は、議論の過程で修正される情報をその都度公開することは教職員を混乱させることにもなりかねないとする法人に対し、「変わることを前提としたうえで情報を公開したら良いことであり、何も知らないうちに進められていくことの方がかえって教職員に不安を募らせることになる。安心して働けるようにして欲しい。」と要望しました。以下に会見議事録を報告します。

…以下,略…