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2004年01月06日

佐賀大学教職員有志声明、「自衛隊のイラク派遣に反対する」

佐賀大学教職員有志声明

自衛隊のイラク派遣に反対する

呼びかけ人(五十音順)
飯盛信男(経済) 上野景三(文化教育) 岡本悟(農) 鬼塚克忠(理工)
白武義治(農) 末崎幸生(医) 園田貴章(文化教育) 豊島耕一(理工)
西田民雄(文化教育) 納富一郎(経済) 半田駿(農) 平地一郎(経済)
松尾宗明(医) 渡邊訓甫(理工) → 賛同者名簿

政府は12月9日にイラクへの自衛隊派遣を決定しましたが、私たちはこれに反対を表明し、これを撤回することを要求します。

佐賀大学教職員有志声明「自衛隊のイラク派遣に反対する」(サイト)

 まずなによりも、隊員の生命が重大な危険にさらされます。わが国の2名の外交官が殺害されたばかりだというのに、そしてこの事件についての政府の責任が吟味されてもいないのに、国の職員に新たな危険を、しかもより大規模に強いるとは一体何ごとでしょうか。また、軍隊として武器を携行する以上、逆に隊員がイラク人に銃口を向け、殺傷することもありえます。

 戦闘地域に自衛隊を派遣することは、今回の決定の根拠とされる「イラク特措法」にさえ反しています。その第二条3項には、活動は「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域において実施するとされていますが、イラクが今なお戦争状態にあることは、アメリカ政府も認めていることです。また、宿営地に予定されているサマワ周辺では、今回の戦争でも劣化ウラン弾が使用されたと見られており、隊員に重大な放射線被曝の恐れがあります。

 もちろん、上に述べたように、イラク人に銃口を向ける可能性がある以上、イラクへの自衛隊派遣は、戦争放棄と武力の行使を禁じた憲法9条にも違反します。このことは、活動の一つとして武装した米兵の輸送が予定されており、これが戦闘行為への参加そのものであることからも明かです。

 憲法98条は、憲法に反する法律、命令等が無効であると定めています。したがって違憲のイラクへの出動命令は無効です。いやしくも法治国家において「法の支配」はもっとも重要な社会規範であり、そしてその最高法規を守ることは、どのような命令よりも優先されなければなりません。隊員がもしイラクへの出動を拒否したとしても、それは自らの生命を守るというだけでなく、この「法の支配」の原則をも守ることでもあり、正当な行為と言うべきです。また私たち市民も、無効な命令を実際に無効なものにするために、あらゆる可能な手段を尽くさなければなりません。

 イラクの安定と復興のためには、何よりも米英自身が、誰の目にも明かなイラクへの一方的な侵略戦争を反省し、イラク国民に謝罪することが大事です。そして国連の枠組みによる国内勢力の調整などを経て、イラク人自身による復興の基盤が作られなければなりません。わが国の支援は、その中であくまでも文民中心であるべきで、また民間ボランティアのサポートなども重視すべきです。政府は「人道支援」「復興支援」のためと言っていますが、その目的に最もふさわしくないのが自衛隊です。

 私たちは、学術と教育に携わるものとして、その社会貢献の最も重要なことがらとしての平和への責任を痛感しています。1950年に、日本学術会議は「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」との声明を出していますが、より積極的に、そのような状況が作られないように、戦争へのあらゆる危険な動きを警戒し、事前に予防しなければならないと思っています。なぜなら、いったん社会の大勢が戦争に傾いたあとでは、軍事研究拒否を貫くことは極めて困難になるからです。そして今まさにそのような分かれ目にさしかかっていると思われます。

 また私たちは、公務員として、憲法99条の「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条項も真剣に受け止めています。9条が、わが国の武装組織の戦闘行為への参加という、もっともあからさまな形で蹂躙されようとしているとき、これに沈黙することは許されないと思っています。個人としてだけでなく、大学の責任ある職にある人も、また教授会など責任ある機関も、この「憲法擁護義務」を具体的に果たすことが求められるのではないでしょうか。

2003年12月26日

賛同者( 氏名の後の* 印は技術・事務職員、他は教員.呼びかけ人含む)113名

投稿者 管理者 : 2004年01月06日 00:17

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