個別エントリー別

« 『二本山の兄弟犬』 再録 | メイン | 全労連、イラク派兵を許すな1・19昼休みデモ »

2004年01月11日

全大教、小泉内閣による自衛隊のイラク派遣に反対する声明

全大教「小泉内閣による自衛隊のイラク派遣に反対する声明」(2003/12/07)

 イラクにおいては、米英の占領支配の下で戦闘状態が続き、駐留軍兵士にも多くの死者が出ています。また復興支援に当たっている国連や国際赤十字の施設・関係者も大きな被害を受けており、さる11月29日には2人の日本人外交官が殺害される事件が起きました。私たちは2人の犠牲者ならびに遺族の方に深く哀悼の意を表するとともに、現下の事態を正視するならば、米英による占領支配ではなく、速やかにイラク国民に主権が回復し、国連中心に復興支援をはかることが緊急かつ痛切に求められていることを表明するものです。

 しかるに、小泉首相は「テロに屈するな」と絶叫し、問題をすり替え、9日にもイラクへの自衛隊派遣計画を閣議決定しようとしています。これは、イラクの事態をいっそう紛糾させるとともに、日本国民を戦争への道に引きずり込むものであって、私たちは断じて容認できません。

 第一に、米英の占領支配下で全土が戦闘地域となっているか、なりうるイラクに自衛隊を派遣すれば、自衛隊が占領軍の一翼、協力者とみなされて交戦に及ぶ事態の発生することは免れがたいところです。そのようなことは、戦争の放棄と武力による国際紛争の解決を禁止した憲法を真っ向から踏みにじるものです。

 第二に、小泉内閣が自衛隊派遣の根拠としている「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」(イラク特措法)に照らしても、現在の情勢下での自衛隊派遣には合法性がまったくありません。イラク特措法は、自衛隊は、戦闘が行われておらず、活動期間中もその見込みがない非戦闘地域で活動するとしていますが、戦闘地域と非戦闘地域の区別が不可能な状態になっていることは米英軍当局も認めるところです。

 第三に、イラク問題について審議するための臨時国会の召集を拒否しておきながら、国会閉会中に派遣計画を閣議決定し、事を進めようとする小泉内閣と与党である自民党・公明党の行動は、国会を軽視する非立憲主義的な暴挙です。国の進路と運命に関わる重大な決定を、このように姑息な手法によって処理しようとすることは、憲法と国民に対する許し難い挑戦です。

 第四に、自衛隊の派遣は、米英による占領支配を助けるものであり、イラク問題の抜本的解決の道を遠ざけるものです。米英は、イラクが「大量破壊兵器」廃棄の要求に応じないことを理由に、国連による平和的解決の努力を無視して、対イラク戦争を行い、その主導下で占領支配を行っています。これは国際法秩序を重ねて無視するものであり、イラク国民の間に占領支配に反対する行動が広がっているのは当然です。事態を正しく解決する道は、冒頭に述べたように、米英の占領支配を速やかにやめ、イラク国民に主権が回復し、国連中心に復興援助が行われるところにあります。日本政府は、米英に追随して自衛隊を派遣するのではなく、イラク問題の解決のために自主的外交を展開すべきです。

 私たちは、真理と平和を希求する大学・高等教育の営為に携わる立場から、小泉内閣による自衛隊の派遣に断固として反対し、その中止を強く求めるものです。

投稿者 管理者 : 2004年01月11日 00:58

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/211