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2004年03月21日

福岡教育大学教員有志、学長に対する公開質問状(3.19)

福岡教育大学教員有志の方から以下のメールを頂きました。ここに掲載します。
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 私たちは、福岡教育大学の教員有志です。
 いずれの国立大学も、法人化を目前にして、いろいろな課題に直面しているものと思われます。福岡教育大学では、昨年からの法人移行プロセスにおいて様々な問題が噴出し、これらが今もなお未解決のままとなっております。去る2月20日には、教員有志により辞職要求声明が出される事態までに発展し、地元のマスコミも、このニュースを取り上げました。私たち教員有志は、現在の状況を打開し、大学運営を正常化するため、このたび、現福岡教育大学学長であり、文部科学大臣から法人化後の学長予定者としての指名を受けている松尾祐作氏に対して、以下のような公開質問状を提出しました。このニュ−スは、20日付けの朝日新聞(西部本社版)、毎日新聞(同)、西日本新聞の朝刊で取り上げられました。
 福岡教育大学の抱える問題は、単に一地方国立大学の問題ではなく、多かれ少なかれ国立大学全体に関わってくると思います。私たちは、法人化後もなお「横並び意識」が抜けないであろう国立大学のなかにあって、福岡教育大学が法人化の好ましからざる先例として他大学に悪影響を与えることを避けたいとも考えております。
 国立大学を含む日本の大学全体のよりよい発展を期する見地から、みなさまには、ぜひ私たちの立場をご理解いただくとともに、ご声援やご助言をいただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

福岡教育大学教員有志
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2004年3月19日
福岡教育大学学長 
 松尾祐作 殿


福岡教育大学教員有志

公開質問状

「福岡教育大学松尾祐作学長の大学運営について問う」

(1) 平成16年度人件費が4,400万円不足するという主張の根拠について
(2) 学長支持のための署名活動への学長の関与の有無とその活動に伴う人権侵害について
(3) 法人の諸規程と役員人事について
(4) 学内混乱の責任と学長辞職の時期について

 2004年4月1日の国立大学法人の発足まで秒読み段階となりました。しかしながら、福岡教育大学においては、いまだに法人移行後の大学運営に関わる重要事項が大学構成員に示されていないという異常な状態となっています。…

 松尾祐作学長は、本年1月8日に法人移行後の大学運営組織案を教授会に諮らないという宣言をして以来、大学構成員への十分な説明もないまま、法人移行準備を専決的に進めています。それに対して教員側から過半数の署名による教授会開催要求がありましたが、学長はこれを無視し続け、ついには2月20日に教員有志から学長の辞職を求める声明が出されるに至りました。
 学内では、この間の運営と法人化後の体制をめぐってさまざまな憶測が飛び交っています。このような状況は、教育と研究の場として望ましいものではありません。本来は正規の教授会において質問すべきところですが、それが拒否される以上、今ここに公開質問という形で、大学運営の現在と将来にかかわる疑問と疑惑を率直に提示します。風評としてささやかれているものにもあえて言及していますが、学長の説明によって、これが杞憂に過ぎないことが明らかになり、大学構成員の間にある不安と不信が払拭されることを願っています。

【質問1】平成16年度人件費として4,400万円が不足するという主張に正当な根拠があるのでしょうか。また、それを研究費削減によって補填するお考えでしょうか。

(質問趣旨)この人件費不足という主張については、次に示すように、極めて不透明な状況となっています。
1.文部科学省は定期昇給分の予算をつけていたにもかかわらず、本学のシミュレーションでは定期昇給分(後に定期昇給相当分と訂正)の4,400万円が不足することになるということですが、その算定根拠は不明です。本当に16年度に4,400万円が不足するのかさえ不明です。
2.文部科学省は非常勤講師分の予算をつけていたにもかかわらず、通常の手続きを踏まえない学長裁定によって、4月以降の非常勤講師予算8,900万円を半減して流用することで不足分を補填しようとしました。さらに、新聞でこれが報道されるやいなや、先の見通しもないままに、この学長裁定を事実上撤回しました。
3.全学説明会において、会計課長からは、シミュレーションの結果であると繰り返されるだけで、いくら要求しても算定プロセスも基礎資料もまったく示されませんでした。不足の根拠が不明なまま、学長は、会計課長の「非常勤講師予算削減が無理なら研究費で補填」という発言を容認し、さらに、自らは「金のことはわからない」、「見切り発車だ」とさえ発言しました。

 200人に及ぶ非常勤講師については、すでに授業担当の内諾をもらった上に、シラバスの作成まで依頼しており、時期的に見ても、一方的にこちらから断ることは社会通念上許されないものでした。また、現在のカリキュラムは非常勤講師を前提として作成されており、突然の削減は、授業に深刻な影響が出るところでした。
 さらに、全学説明会において、会計側から提示された16年度の教育・研究経費は、15年度実績に比較して、大幅な減額となるのではという質問に対し、会計課長はその可能性を認め、だから16年度の教育・研究経費の確保をどうするかが大変なのだと返答しました。しかし、15年度実績の内示があった教育・研究経費がなぜそのように大幅な減額となるのかを説明できる物件費間の配分基準や算定根拠が示されず、この重大な問題もいまだ不明のままです。
 これらのことは、法人化後の本学のあり方が教育・研究を軽んじる危険性をはらんでいることを示しています。
 本学は、公共性の高い国立大学であり、法人化後も予算の多くは国民の税金で賄われます。したがって、その使途については、教職員や授業料納入者である学生だけでなく、納税者である国民に対しても説明責任があります。巷では警察組織の裏金づくりのニュースが流れていますが、当然国立大学も社会から不信を招かないようきちんと情報公開する必要があります。根拠が不明な予算について、事務局説明を鵜呑みにし、教育・研究経費削減を提案する学長の姿勢は、社会に対しても不誠実であると言えます。

【質問2】2月20日〜28日頃に行われた学長を支持する署名には、学長も関与されたのでしょうか。また、この署名集めの段階で人権上問題と考えられる動きが、学内に数多くあったことを学長はご存知でしょうか。

(質問趣旨)2月20日に教官有志による「学長の辞職を要求する」旨の声明と相前後して、学長を支持するための署名活動が展開されました。署名が個人の自由意志によってなされるなら、それ自体に問題はありません。しかし、この学長支持署名運動が展開されるなかで、おそらくは呼びかけ人の意図にも反して、署名者の人権に関わる問題が数多く生じました。
 この署名活動において、学長を頂点とする大学上層部からの指示があったことが明らかになっています。例えば、いくつかの附属学校においては学校長や副校長が主導で署名集めが行われ、全員署名が達成されたところもあると聞きます。また、大学事務局では、管理職から事務職員ひとりひとりに署名が求められ、署名に応じなかった方はほとんどいませんでした。このように組織内の上下関係を利用して署名をとることは、職権の濫用ですし、パワー・ハラスメントと考えられます。一方、教員層に対しても、執行部やその周辺の教員による署名集めがなされたと聞きます。人事や予算配分の最小単位である講座の中で若手教官に圧力を加えたとしたら、それは人権を無視した行為であり、典型的なアカデミック・ハラスメントと言えますが、こういったケースも少なからず存在したようです。
 さらに、この署名においては、趣意書の一瞥を許されただけで考える余裕を与えられなかったことを圧力と感じた人もいたようです。
 このようにして集められた署名が、いくら数が多いとしても、本当に全学の意見と言えるでしょうか。

【質問3】法人化のための役員会規程、教授会規程などの制定や、役員人事などの案件は、いつ教授会に提示されるのでしょうか。また、文部科学官僚である事務局長を理事に登用されるつもりでしょうか。

(質問趣旨)学長は、法人移行準備の大半を専決的に進めており、これでは、国立大学の私物化につながりかねません。特に見過ごせないのは、法人組織の中核をなす役員会の人事であり、辻健介事務局長が理事に就任するとの観測がありますが、このことは、以下の点からみて容認しがたいことです。
 国立大学の事務局組織は、文部科学省から赴任する事務局長を頂点とするピラミッド構造を呈しており、法人化後もこうした構造が温存されます。そのうえ文部科学官僚である事務局長が、学内理事が2名のみである本学において理事としてその地位を占めれば、大学の教育研究への行政支配が強化されることになります。さらに、新たに別の局長が赴任して拡大役員会に入ることになり、行政官僚の影響力は、過大なものとなります。
 辻事務局長は、法人移行準備において学長を前面に立てながら、その実、教授会の長としての学長をミスリードしてきました。たとえば、法人化後の大学運営の指針となる中期目標・計画素案の策定において、教員側の多数意見を無視した官僚的トップダウンの手法で学長原案の作成に関与しました。こうして作成された原案は、全学教授会で二度にわたり否決される一方、教員主体で作成された案が全学教授会で可決され、文部科学省に提出されました。しかし、辻事務局長は、その後の素案の具体化作業において、基本方針を廃案となった学長原案の方向へ引き戻そうとしています。
 また、辻事務局長は、先にあげた非常勤講師予算半減や学長支持署名活動においても、事務組織のトップとして主導的な役割を果たしています。事務局人事も、自らの威光を示すためではないかと思わせるほど、適材適所の視点や時機への配慮に欠けるものでした。昨春には、国立大学法人化を控え人事異動を最小限にとどめて組織固めを図るべきところ、必然性のない大規模な異動が実施されました。こうした辻事務局長が理事として使用者となれば、本学の労働環境が劣悪化し、ひいては学生サービスの低下が懸念されます。現に、辻事務局長の実質的な指揮のもとに策定された法人化後の就業規則案は、管理色が強く、職員の勤務意欲を減退させ、とりわけ教員にとっては自由で創造的な教育研究活動への取り組みや社会貢献の意欲を殺ぐおそれすらあります。
 以上の理由から、本学の教員と事務職員とのバランスのとれた協働態勢を確立するためには、事務局長の理事登用は望ましくないと考えます。

【質問4】松尾祐作学長は、大学が現在異常事態に陥っていることの責任をどう取られるのでしょうか。「任期を全うするつもりもない」と述べられましたが、いつ辞職されるつもりでしょうか。

(質問趣旨)福岡教育大学は単科大学であるため、教授会が評議会の役割を兼ねており、大学運営に関する重要事項は、これまで教授会で審議してきました。確かに、国立大学が法人化されると、学長の権限が強化され、そのリーダーシップが求められることになります。しかし、こうした学長のリーダーシップは、決して恣意的なものであってはなりません。ところが、松尾学長は、4月に本学が法人化されれば、すべてが「リセット」されると発言し、恣意的にリーダーシップを発揮することが出来ると曲解して、法人移行準備の重要事項に関して説明責任を果たしていません。そのため、大学構成員の間に不安と不信が広がっています。マスコミの取材に対して、文部科学省も、「法人化の趣旨は学長が何でもできるということではない。学内のコンセンサスを得る努力は常に求められる」とコメントし、当惑をあらわにしています。
 昨年5月と9月の二度にわたって、法人化後の大学運営にかかわる中期目標・中期計画(素案)の学長案が全学教授会で否決されました。9月の全学教授会後に学内から辞職要求が出された際に、学長は、10月9日付の「法人化に向けての今後の大学運営について」という文書で、「学長としての責任を回避するつもりはない。法人化後の平成18年2月までの任期を全うするつもりもない」と述べています。
 上記1〜3の質問趣旨で指摘しているように、現在大学は異常な状況に陥っており、このまま松尾学長の運営が続けば、事態はますます悪化すると思われます。。

投稿者 管理者 : 2004年03月21日 00:01

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