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2004年04月05日

京大井上事件京都地裁不当判決、京大総長が懸念を表明 「この判決が判例となるのは良くない」

京都新聞朝刊(4/02)

「大学から市民へ情報発信は使命」 法人化で京大総長

 国立大が「大学法人」に移行したのを受け、京都大の尾池和夫総長が一日午後、記者会見。大学からの情報発信の重要性を強調し「大学の研究、教育を分かりやすい言葉で市民に伝える仕組みを作りたい」と話した。
 尾池総長は「研究成果を教育を通じて社会還元することが大学の使命。法人化が、この使命に有効に働くようにする必要がある」と持論を展開。「法人化は国の予算支出減が狙いだと思うが、制約が弱まることも事実。私立大などとの連携も取りやすくなる」と話した。また、「大学に対する寄付金が所得税控除の対象になるような税制改革も重要」と強調した。
 このほか、京大再生医科学研究所の任期制教授の再任拒否を京都地裁が認めた判決(三月三十一日)には「任期制にかかわった人がトラブルになるのは良くない。この判決が判例となるのは良くない」と懸念を表明。任期制については「部局ごとに決めることで全学で導入するつもりはない。導入に際し、人材の使い捨てにつながってはならない」と話した。


以下,京大井上事件不当判決に関する記事

京大の再任拒否認める、地裁、元教授訴え却下

日本経済新聞大阪朝刊(2004/04/01 )

 京都大再生医科学研究所(京都市左京区)の井上一知元教授(58)が不当に再任を拒否されたとして、国と京大の尾池和夫学長に地位確認や再任拒否処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決で、京都地裁の八木良一裁判長は三十一日、井上元教授の訴えを却下した。。

再任拒否”は同意の任期満了 京大元教授の訴え、地裁が退ける判決

毎日新聞(2004/04/01)

 京都大再生医科学研究所の教授だった井上一知さん(58)が任期切れに伴い再任を拒否されたのは違法な処分にあたるなどとして、国や尾池和夫・京都大学長らを相手取り、地位保全と再任拒否処分の取り消しを求めた訴訟の判決が31日、京都地裁であった。八木良一裁判長は「同意に基づく任期満了で、処分にはあたらない」などとして、井上さんの訴えをいずれも却下、棄却した。
 判決によると井上さんは98年5月、教授に就任した。内示後の同年4月、昇任に必要な書類として5年任期の同意書を提出させられた。井上さんは02年4月、同研究所の議決機関の協議員会に再任を申請。学外専門家による外部評価委員会は同年9月、再任に賛成したが協議員会は同年12月、再任を否決した。
 裁判では、再任否決の処分性や、同意書提出の経過などが争われた。井上さん側は「外部評価委の賛成を恣(し)意的に覆しており、違法な『処分』にあたる」「同意手続きは詐欺的で効力はない」などと主張していた。
 八木裁判長は、「原告への任期制の説明は不十分だった」と認定。否決についても「極めて異例ともいえる経緯。恣意的に行われたのであれば、学問の自由や大学の自由の趣旨を学内の協議員会自らが没却させる行為になりかねない」としたが、「同意をした上で昇任をうけている」として、処分ではないとした。
 判決後、井上さんは、「独立行政法人化で今後、増加が予想される任期制度の問題だけでなく、学問の自由、大学の自由の根幹にかかわる大きな問題を含んでいる。判決を認めるわけにはいかない」と話した。井上さん側は控訴する方針。


京大再生研教授の地位確認訴訟 原告の請求を却下、一部棄却 地裁

大阪読売新聞朝刊(2004/04/01)

 京都大再生医科学研究所の任期制教授だった井上一知さん(58)が同研究所教授に再任されなかったのは、恣意(しい)的な決定で不当な行政処分にあたるとして、国や尾池和夫学長を相手取り、決定の取り消しや地位確認などを求めた訴訟の判決が三十一日、地裁であった。八木良一裁判長は「決定は任期満了によるもので、行政処分ではない」と原告の請求を却下、一部を棄却した。原告側は控訴する方針。

任期制再任拒否訴訟 元京大教授の訴え棄却 京都地裁「満了で地位喪失」

京都新聞朝刊(2004/04/01)

 任期制教授の再任を拒否したのは学問の自由の侵害だとして、京都大再生医科学研究所元教授の井上一知さん(五八)が、京大総長や国を相手に地位確認などを求めた訴訟の判決が三十一日、京都地裁であった。八木良一裁判長は「井上さんは任期満了によって地位を失った」などとして請求を却下、または棄却した。
 判決によると、井上さんは一九九八年に同研究所教授に昇任し、二〇〇二年に再任審査を申請した。専門家でつくる外部評価委員会は再任に賛成したが、研究所教授らでつくる協議員会は再任を認めない決議をした。
 井上さんは▽恣意的な決議で、学問の自由の侵害にあたる▽大学側は「何回でも再任される」とだまして任期制に同意させたので、任期付きの昇任処分は無効−などと主張。八木裁判長は「井上さんは任期制に同意した上で昇任しており見解は採用できない」と述べた。さらに「井上さんは同意書を自ら作成して昇任しており、処分の効果は左右されない」とした。
原告の井上さん「不当な判決控訴し争う」
 京都地裁の判決を受け、原告の井上一知さんと弁護団が三十一日夕、記者会見した。井上さんは「不当な判決でとうてい承服し難い」と厳しい表情。「任期制ポストへの同意の問題点や、再任拒否決定に至る不透明なプロセスなど、われわれが問題としてきた部分にまったく触れていない。控訴して徹底的に争いたい」と話した。
 原告代理人の尾藤廣喜弁護士は「どのような手段ででも、任期制に同意させれば人事支配ができるという判決。任期制を導入する大学が増える中でこの事件の重要性を真剣に考えた形跡がない」と指摘した。
 一方、京大再生医科研の中辻憲夫所長は「研究所の議決機関である協議員会において適切に評価・審議を行い、所定の手続きを経て決定したという大学の主張が認められて満足」としている。


投稿者 管理者 : 2004年04月05日 10:37

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