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2004年06月08日

緊急4大学教員集会 決議「就任承諾書(助手に対しては「意思確認書」)提出の前提となる諸条件を明確にすることを強く求める」(2004年6月4日)

都立大の危機 --- やさしいFAQ(2004年6月5日)より

「就任承諾書(助手に対しては「意思確認書」)提出の前提となる諸条件を明確にすることを強く求める」緊急4大学教員集会 決議

 東京都は、現4大学(都立大、科技大、保科大、短大)と大学管理本部が二年以上にわたって作ってきた「大学改革大綱」を昨年8月1日に突如破棄し、一方的に「新しい大学の構想」を打ち出して以来、「トップダウン」と称して、現大学教員や学生・院生の声を聞くことなく、多くの問題が指摘されている新大学構想を一方的に進めてきた。

 このような状況の中で、4月28日、大学管理本部は文部科学省に対して新大学「首都大学東京」の設置認可申請を行った。5月20日には、西澤潤一教学準備会議座長名で「就任承諾書等の提出について」という文書を首都大学東京各学部長・研究科長予定者に送り、各教員に対して7月初旬に文科省に提出する「就任承諾書」を、6月17日までに提出するよう求めている。また、同日経営準備室から提示のあった、助手定数(案)と再配置(案)では、助手の意思の如何にかかわらず、再配置を強行する可能性が示された(この中で助手に対して「意思確認書」の提出が求められている)。さらに、5月26日に提出された「首都大学東京学則(素案)」および「首都大学東京大学院学則(素案)」においては、教授会は、「教育と研究の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項を審議する」としてその機能を大幅に縮小し、大学の自治と学問の自由の根幹である教員人事の権限が奪われる規定となっていることに重大な危惧を抱かざるを得ない。また、都立大学では理学研究科、工学研究科、都市科学研究科が大学院部局化を果たしているにもかかわらず、教員が学部所属として扱われているなど数多くの問題がある。

 私たちは少なくとも次の3項目について、大至急大学管理本部、教学準備会議、経営準備室が、誠意ある明確な説明を全学の教員に対して行うことを強く要望する。

(1)2006年度に予定している新大学の大学院基本構想

 新大学の大学院構想については、博士課程まで有する研究者養成機能をもつ大学院となるのかどうか、これまでのように人文科学から理学・工学まで幅広い専攻をもつ大学院として設計されるのかどうか、教員の所属を大学院とする大学院部局化が行われるのかどうか、などの点は、私たちが新大学で教育・研究を続けていくことを判断するための大きな基準となる問題である。これまで50年にもおよぶ都立の大学の教育・研究蓄積を生かし、発展させていくことができるのであれば、私たちは現在ともに研究と教育を進めている大学生、大学院生とともに喜んで新大学への具体的移行に積極的に加わりたいと考えるが、今に至るまでその構想が全く明らかにされておらず、「就任承諾書」を提出するための前提条件が示されていない。

(2)新大学における教員の勤務・労働条件と身分保障の問題

 大学管理本部が提示している勤務・労働条件は、新大学で真剣に教育・研究に取り組もうとしている教員にとっては、大きな不安と不信を抱かせる内容であり、「就任承諾書」の提出を困難にさせている。新大学へ移行にあたって労働条件は基本的に維持されるべきであり、職員団体・労働組合および個々の教員と十分な協議を行わないまま一方的に労働条件を不利益に変更することは許されない。人事・給与制度については、職員団体・労働組合および個々の教員と十分な協議を尽くした上で合意されるべきものであって、「任期制・年俸制」を一方的、一律的に導入することは認められない。

 大学管理本部は、優秀な教員を確保するために「任期制・年俸制」を導入すると説明しているが、それがいかに研究者の世界で誤った発想であるかは、教員の大量転出や最近行われた新大学の公募人事で応募者が1桁という低調さを見れば明白である。これまでの都立の大学の公募人事ではありえないような状況を、大学管理本部がわざわざ創り出しているのであり、長期にわたって築いてきた都立の大学の名誉を傷つけているのである。大学管理本部は、すでに現実化しているこのような弊害を真摯に受け止め、「任期制・年俸制」の導入を見直し、大学の教育・研究により相応しい勤務労働条件と身分保障について早急に大学側と協議するべきである。

(3)助手定数案に示された数の根拠、および、再配置の進め方

 昨年からの度重なる助手会等からの要請、質問に対して、設置申請後の5月末にやっと定数と再配置案が提案された。これも一方的な提示であり、なんらの協議も相談もないという点で重要な問題を含むものである。このため内容に関しても定数の算出根拠などを明確に示すと同時に、再配置については助手の意思を最優先するべきである。特に、雑誌「財界」で取り上げられた理学部の助手の実体に関しては、全く事実に反するものであり、これまでに助手が果たしてきた大学での教育と研究に対する貢献を正当に評価せずに今回の定数と配置が考えられているとすれば、重大な問題であり決して見過ごすことは出来ない。新大学の最高責任者である高橋予定理事長には、直接に現地に出向いて事実を確認せず、伝聞を元に助手の再配置を実行することのない様に強く要望する。

 以上の3項目の当面重要な問題について、大至急各大学の執行部や評議会、教授会等で十分な話し合いを行い、これらの問題が一刻も早く明確にされるよう、管理本部等関係組織に働きかけることを強く要望する。また、これらの疑問に対して、高橋理事長予定者、西澤学長予定者、原島大学院検討部会座長は、その責任において全教員に対して速やかに文書等で現大学の全教員に就任承諾書(助手に対しては「意思確認書」)の提出締切以前に示すことを強く求める。

私たちは、4大学に勤務し、教育と研究に携わり、現在と未来の学生・院生と大学の将来に責任を持つ大学教員の立場から、以上を本集会の決議とする。

2004年6月4日 

「就任承諾書(助手に対しては「意思確認書」)提出の前提となる諸条件を明確にすることを強く求める」緊急4大学教員集会  

主催:4大学教員声明呼びかけ人会

賛同:開かれた大学改革を求める会、文系助手会有志、理学研究科
助手有志、工学研究科助手有志、東京都立大学・短期大学教職員組合

投稿者 管理者 : 2004年06月08日 00:13

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