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2004年06月11日

アムネスティ・インターナショナル日本、「君が代」斉唱の強制に強い懸念を表明

 アムネスティ日本は、すでに2000年4月16日の総会で、「日の丸」「君が代」の強制が良心の自由を侵害するものと指摘する「良心の自由宣言」を採択しているが,最近の教育現場を巡るゆゆしき事態に対し,2004年6月9日付で声明を発表した。

「君が代」斉唱の強制に強い懸念を表明(「アムネスティ日本発表(2004年6月9日))

アムネスティ・インターナショナル日本は、2004年6月8日、君が代の斉唱に関して、生徒を起立斉唱させるよう指導することを教師に義務付ける職務命令を出す旨を東京都の横山教育長が都議会で発言したことに対し、強い懸念を表明する。

日の丸、君が代の強制については、すでに国旗、国歌法の国会での審議中、また審議後も、思想、良心の自由の侵害にあたるとする数多くの批判が寄せられている。そして何よりも、国旗国歌法を根拠とする君が代の斉唱などの強制および、それに反対する意思表明をした人びとに対する処分は、憲法第19条および自由権規約第18 条の思想、信条の自由、憲法第21条、自由権規約第19条の表現の自由、などに対する重大な違反行為である。教師に対する一般的な指導という形式をとっているものの、この間、卒業式などでの君が代斉唱の際の不起立により、すでに都の教職員238 人が職務命令違反で戒告などの処分を受け、生徒が起立しなかった学校の67人が注意や指導などの処分を受けていることなどを踏まえると、現在、思想、良心、表現の自由の重大な侵害が進行していると指摘せざるを得ない。また、こうした動きは、君が代斉唱の際の音量を計測した福岡県教育委員会の例など、全国に広がりを見せている。

アムネスティ日本では、すでに2000年4月16日、日の丸、君が代の強制が良心の自由を侵害するものであることを指摘する宣言を総会において採択している。しかし、その後の情勢は、思想、信条の自由、表現の自由を配慮した慎重な対応などではなく、一律に強制力を増す方向で運用されている。これは、自由権規約をはじめとして、日本も締約国となっている人権諸条約に明確に反する施策である。

また、日の丸、君が代の子どもへの実質的な強制は、子どもの権利条約第12条、第 13条、第14条に反する重大な人権侵害であるとともに、外国籍の子どもたちの存在を考え合わせると、人種間の分断を強化する動きを禁じる人種差別撤廃条約にも抵触する可能性がある。

以上を踏まえ、アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府および関係当局に対し、教育現場への日の丸、君が代の強制を直ちにやめるよう強く求めるものである。


投稿者 管理者 : 2004年06月11日 00:13

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