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2004年06月23日

日本私大教連、「私立学校法改正の問題と日本私大教連の取り組み」

京滋私大教連機関誌No90(2004.6.15号) 6/22掲載より

私立学校法改正の問題と日本私大教連の取り組み

日本私大教連書記次長三宅祥隆

 四月二八日、「私立学校法の一部を改正する法律案」が参議院本会議にて全会派賛成により可決、成立しました。来年の四月一日から施行されます。
 今回の改正には、評議員会と理事会の基本的関係を変えず、むしろ評議員会の役割を現行法より重視している点、監事機能を強化した点、財務書類・事業報告書・監査報告書の閲覧を義務つけた点など、私立学校の公共性、管理運営の透明性を高める上で一定評価できる側面があります。しかし一方で、改正点のほとんどを学校法人の自主性に委ねるなどの不十分・不徹底な面、あるいは「学校法人の業務」の解釈に関連して、理事会が教育研究に不当に介入する道を開きかねない新たな危惧を生じさせる面があります。
 日本私大教連はこうした立場から、国会審議において私立大学の実態に即して法案の問題点が浮き彫りになるよう、衆議院文部科学委員会・参議院文教科学委員会の全議員、各政党に対して積極的な働きかけを展開しました。その結果、衆議院の石井郁子議員(共産)、横光克彦議員(社民)、参議院の鈴木寛議員(野党筆頭理事・民主)、林紀子議員(共産)との懇談を行ない、さらには民主党文教部会でのヒアリングに招かれるなどが実現しました。
 また、参議院文教科学委員会より参考人招致を受け、四月二七日に行なわれた委員会で今井証三中央執行委員長が参考人陳述を行なったことも、私たちが各党・各議員に行なってきた働きかけの大きな成果です。
 こうした取り組みにより、衆参の法案審議の際にも私たちの見解を取り入れた質疑が与野党問わず散見され、改正法案の不十分な点が審議の中で明らかにされました。日本私大教連は国会審議をリードする大きな役割を果たしたといえます。
 改正法が真に私立学校の公共性・透明性を高める実効性をもつかどうかは、ひとえに今後の運用にかかっています。報道によれば、文科省は施行に当たっての留意点等の詳細をまとめ、七月には各学校法人に通知し、九月には説明会を開催するとされています。今後、日本私大教連としても、また各学園においても、学校法人が恣意的な運用を行なわないようにさせ、改正法の実効性を高めていく取り組みを進めることが求められます。


投稿者 管理者 : 2004年06月23日 00:37

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