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2004年07月16日

信州大構内の神社違憲訴訟 東京高裁(続報)

信州大学神社訴訟東京高裁控訴審判決について,原告の藤原英夫帝京大学教授から本サイト記事に対して以下のようなコメントを頂きました。

 信州大学神社訴訟の東京高等裁判所控訴審の判決は、棄却ではあるが、「国ないし信州大学が憲法89条の精神に明らかに反する不相当の行為である」違反するとの判決であり、実質勝訴と考えられます。
 しかし、即日、最高裁判所に上告いたしました。
 なお、翌日の7月15日朝日新聞、読売新聞新聞の朝刊全国版に詳細な判決紹介記事が、掲載され、憲法89条違反の判決見出しでした。
 本件は、教育基本法改訂問題と直接関係する重要判例でして、従って憲法改正問題とも直接関係するものです。

藤原英夫
帝京大学教授

以下は新聞記事です。

信濃毎日新聞(7/15)

松本の信大構内 神社存続 高裁「憲法精神に反する」

 松本市の信大構内に神社があるのは政教分離を定めた憲法に違反するとして、同市旭の大学教授藤原英夫さん(68)が、信大に神社移転などを求めた訴訟を起こし、控訴審判決が十四日、東京高裁であった。根本真裁判長は「信教の自由がただちに侵害されたとみることはできない」と控訴を棄却したが、神社を構内に存続させてきた国、信大の姿勢は憲法の精神に反するとの判断を示した。

 判決理由で、根本裁判長は「国、信大の姿勢は憲法八九条(宗教団体への公有財産の供与禁止)の精神に明らかに反する不相当な行為であるといわざるを得ない」と指摘。一方で、神社の経費は医学部の友好団体が負担しており「公費、国費は全く支出されていない」と認定。藤原さんに神社移転を直接要求できる権利はないとした。

 藤原さんは同日、判決を不服として最高裁に上告した。小宮山淳信大学長は「担当者から話を聞いておらず、判決文も見ていないのでコメントできない」としている。

 判決によると、信大にある神社は江戸時代に設置され、戦後に連合国軍総司令部の指示で構外に移転。一九五六年ころ、医学部の友好団体などが現在地に移した。

信州大構内の神社、憲法精神に違反…高裁が判決で指摘

読売新聞(7/15)

 長野県松本市の信州大構内に神社があるのは、憲法の政教分離原則に反するとして、同市の藤原英夫・帝京大教授(68)が信州大を相手取り、神社の構外移転と95万円の賠償を求めた訴訟の判決が14日、東京高裁であった。

 根本真裁判長は、請求自体については、これを退けた1審判決を支持し、控訴を棄却したが、特定宗教のために公の財産を使用することを禁じた憲法89条に触れ、「神社を大学構内に存置させたままにしている国や同大の姿勢は、憲法の精神に明らかに反する不相当な行為と言わざるを得ない」と指摘した。

 判決によると、神社は京都・伏見稲荷大社の分社で、現在の場所に旧帝国陸軍松本歩兵第50連隊の守護神として祭られてきた。1946年、連合国軍の指示で別の場所に移設されたが、10年後に再び戻された。

 根本裁判長は請求自体については、「藤原教授には神社の構外移転を直接要求できる権利はなく、精神的苦痛が生じているとも認められない」とした。

 憲法89条は、政教分離を定めた同20条を財産面から規定した条項で、戦前まで国が行ってきた神社に対する援助や利益供与を禁じている。

信大キャンパスに神社「憲法の精神に反する」 東京高裁

朝日新聞(7/15)

 長野県松本市の信州大キャンパスに神社があるのは憲法の政教分離原則に違反するなどとして、大学教授が信州大を相手に神社の移転と慰謝料95万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。根本真裁判長は「神社を存置したままでいる国や大学の姿勢は、特定の宗教団体に対する公金支出を禁止した憲法89条の精神に明らかに反する」と批判しつつも、信教の自由がただちに侵害されたとはいえないとして、請求を棄却した一審・東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。

 訴えていたのは帝京大教授の藤原英夫さん。

 判決によると、信州大の敷地にある白翁稲荷神社は、京都の伏見稲荷神社の分社で、戦前は同じ場所にあった旧帝国陸軍の「松本歩兵第50連隊」の守護神だった。戦後、連合軍の指示でいったん構外に移転したが、56年に同大医学部の友好団体「杏蔭会」が中心になって元の場所に戻した。神社の経費は杏蔭会が負担し、公費は一切支出されていないという。

 藤原さんは、同大が別の神社の増改築にあたって寄付していることなども「政教分離違反だ」と主張したが、判決は「支出は社会的儀礼の範囲内」として退けた。

投稿者 管理者 : 2004年07月16日 02:28

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コメント

 本件、信州大学構内神社の東京高等裁判所控訴審判決は、平成16年7月21日付けで最高裁判所上告を取り下げの手続きとしましたので、同控訴審判決が確定となります。

 なお、この確定判決は、憲法の新しいケースの重要判例であり、全国的にこのような事例は数多く見られることから、今後同様提訴が多数でてくる可能性があります。
 
 本件、判決確定については、7月22日朝刊の読売新聞社会面に、全国版として報道されました。
 
帝京大学教授
藤原英夫

投稿者 藤原英夫 : 2004年07月23日 02:04

 本件の信州大学構内神社違憲訴訟については、東京高等裁判所の違憲判決確定をうけて、近くその裁判の基本的資料等を公開するため、出版いたします。
 追って、出版日程のアナウンスメントを行いますが、念のため。

原告・控訴人

投稿者 藤原英夫 : 2004年07月31日 01:13