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2004年08月10日

国際教養大理事長中嶋嶺雄氏、トップの権限を国立より高める!

インタビュー/国際教養大理事長・中嶋嶺雄氏−トップの権限を国立より高める

日刊工業新聞(2004/08/05)

 授業も会議もすべて英語で行い、教員は6割が外国人という秋田県の国際教養大学は、この4月に開設と同時に初の公立大学法人としてスタートした。
 同大の場合、人事権などトップと幹部の力は国立大学法人よりも強力で、教職員は3年の任期制・年俸制とするなど大胆な仕組みを走らせている。
 公立大は従来型での運営も可能だが、首都大学東京や大阪府立大学など05年度から法人化を計画する大学は少なくない。
 中嶋嶺雄理事長兼学長に公立大学法人ならではのリーダーシップを聞いた。

―少子化時代のなかでの新設大学。秋田県議会でも当初、開設予算が否決されたと聞きました。
「地場産業密着型の大学ではないが、新しい仕組みの世界への発信力がある教育重視大学として理解を得た。建設費を省くために、閉校したミネソタ大学秋田校の建物を改修し、一方で思い切った当大学の英語教育は秋田の知名度アップにつながる。地方公共団体はこれから、モノに多大な予算をかけるのでなく、知恵を働かせ収穫を得る工夫が必要だ」
―優れた教育に授業料を払う“知識産業”の視点で、独自財源を考えているようですね。
「現在は県からの資金によらない自主財源は25%程度だが、6年の中期計画終了後は50%に持って行きたい。2、3年目からいろいろなアイデアに取り組む。近隣のスポーツ施設で日本を代表するスポーツ選手が合宿をし、これに英会話の特訓を組み合わせてはどうか。県の高校教員を再教育して英会話力を鍛えたり、将来は同時通訳を育てる専門職大学院もと考えている」「授業料にしても学生150人に対して英語が母国語の教員が30人という超少人数教育なので、高評価が根付けば通常より高くできるだろう」
―トップのリーダーシップを国立大より強めた理由は何ですか?
「国立大は法人化後も学長リーダーシップと教員自治を併存させているのが問題だ。最も大切な教員らの人事権にしても派閥が影響力を持っていたり、公募は形だけだったりする。我々の場合は(役員会に当たる)大学経営会議に人事権があると明確にしている」
―幹部が勝手なまねをするのでは、という心配も分かりますが…。
「例えば今回、合格ラインに少し足りないが英語力は抜群なので、一定の成績なら2年目から正規学生にしようという方針の14人を入学させた。経営会議メンバーの提案で一度の会議で踏み切ったが、普通なら1年間議論しても決まらない。全員の賛成を求めて妥協に妥協を重ねる教授会では、大切なことをスピーディーに決められない点に注意を払うべきだ」
【記者の目/法人化した国立大にも刺激】01年まで東京外国語大学学長、国立大学協会副会長を務め、国立大学法人に対する目は厳しい。経営の理事長と教育・研究の学長も同一とし、法人型の国際教養大で理念を実現するのだという自負が強く感じられる。小さな大学だがほかの公立大の先駆であるだけでなく、同時に法人化した国立大にも刺激を与えそうだ。(山本佳世子)


投稿者 管理者 : 2004年08月10日 00:24

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