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2004年11月06日

イラクから帰国された5人をサポートする会世話人会、「香田証生さんの死を悼み、イラクと日本の平和・安全のために日本政府のイラク政策の再検討を要望します」

http://ac-net.org/honor/doc/041105-koizumi.php

2004年11月5日

内閣総理大臣
小泉純一郎 殿

香田証生さんの死を悼み、イラクと日本の平和・安全のために
日本政府のイラク政策の再検討を要望します

イラクから帰国された5人をサポートする会 世話人会

1.去る10月31日、無事解放を願うご家族と国民の思い、救出のための運動もかなわず、香田証生さんの痛ましい遺体がバグダッドで発見されました。証生さんのお母さんが話されたところでは、「証生」という名前の由来は「生きて証しをする」ということだそうです。にもかかわらず、まだ24歳の証生さんがお母さんの言葉通りに「生身の人間として平和のために微力を尽くす」社会人に成長される機会が絶たれてしまったことは痛恨の極みです。ここに心より哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

と同時に、私達は、人間の命を交換条件にした政治的主張は、それがどのような動機、内容であるにせよ、卑劣な手段であり、決して許すことはできません。また、そうした卑劣で残忍な行動は平和を願うイラク国民の意思と無縁であり、今回の事件によって日本国民のイラクの人々への友好の気持ちが揺らぐことはあり得ません。

2.ところで、事件発生の第一報を受けた小泉首相は早々と、「自衛隊を撤退させない。テロに屈してはならない」と公言しました。しかし、いかに卑劣とはいえ、犯人グループが48時間以内に自衛隊を撤退させなければ香田さんを殺害すると明言し、前例に照らしてそうした予告が実行される可能性が高いと予見できたにもかかわらず、無造作にこうした発言をしたのでは香田さん解放へ向けた交渉の可能性を絶つ結果になるばかりか、香田さんの命を見捨てたのも同然です。国民の生命と安全の確保を使命とする政府を代表する人物の発言として、これほど冷酷で無策なものはあるでしょうか。私たちは、一国の総理としての資質を欠いた小泉首相のこうした言動に強く抗議します。

3.この時期にイラクへ出かけた香田さんの行動については、その動機を含め、議論の余地はあるでしょう。しかし、問題の根源に冷静な目を向ければ、アメリカ政府が「テロとの戦い」を錦の御旗にした「掃討作戦」で多数のイラク国民を殺傷すればするほど、イラク国民の反米感情は高まり、過激な武装集団の活動の土壌を拡大させています。そして、それを口実にアメリカ軍がさらなる攻撃を仕掛けるという悪循環に陥っているのが現実です。

これに対して、日本政府はアメリカ政府に呼応して「テロに屈するな」という常套句を繰り返し、12月14日に期限切れとなる自衛隊のイラク派遣を延長する政府案を早々と作成しました。その案には、現地での迫撃砲などによる攻撃に備えたレーダーを新たに配備する計画も盛り込まれています。げんに、31日にはサマワの自衛隊宿営地にロケッド弾が撃ち込まれるという事態に至っています。これでも小泉首相は自衛隊派遣を「非戦闘地域での人道支援」と強弁するのでしょうか?これほど、国民に犠牲と危険を強いてまでも継続しようとする自衛隊派遣の大義とは何なのでしょうか?イラク各地への武力攻撃を繰り返すアメリカ政府を支援しつつ、その武力攻撃で破壊されたイラク復興支援のため、自衛隊を派遣するというのは変ではありませんか?

小泉首相、あなたは多くの国民のこうした疑問に答える説明責任を負っています。そして、その説明が誠意と理性に基づくものなら、日本政府の対イラク政策を再検討するという結論に行き着くのが必然だと私たちは考えます。

以 上
 

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(サイト管理者註):この書簡は本日(11/5)、醍醐世話人会代表から
小泉首相に送付され、マスコミ各社にも送付された。


投稿者 管理者 : 2004年11月06日 00:55

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