このサイトについて
「全国国公私立大学の事件情報」HPの開設にあたって 2003年12月 このサイトは,鹿児島国際大学懲戒解雇事件に関わり,不当解雇の撤回と三教授(田尻利,馬頭忠治,八尾信光の三氏)の職場復帰を支援している片山一義(札幌学院大学経済学部助教授)が個人の責任で運営・管理しているサイト(Weblog)です。 2002年4月,鹿児島国際大学において懲戒解雇事件が発生しました。この事件は教員の転出に伴う後任人事(科目名「人事管理論および労使関係論」)の学内選考において,採用科目に不適合な教員を採用しようとしたとの「理由」により,学園理事会がこの選考に関わった3名を懲戒処分(2名が懲戒解雇,1名が減給6ヶ月),さらに当時の学部長も懲戒解雇処分にしたところから起きました。 私は,鹿児島国際大学に1987年から1999年まで12年間在籍し(在籍中は鹿児島経済大学という名称),今回事件の発端となった「人事管理論」と「労使関係論」を担当してきた前任者であり(本件事件は私の後任人事を巡る問題から端を発した),この科目の性格および当該大学の教員選考の手続き等を知る者の立場から,今回の解雇処分の不当性を訴え,三教授を支援しています。現在,三教授は解雇無効、地位確認等を求めて鹿児島地裁に提訴し,本訴裁判を闘っています (裁判の状況はこちら)。 鹿児島国際大学懲戒解雇事件は,経営側が研究・教育内容および教員審査に直接介入し,教授会・評議会の審議・決定抜きに解雇権を発動する形で過酷な処分を強行したものです(事件のわかりやすい経緯はこちら)。したがって,この事件の性格は教員の教育権・研究権・身分への侵害,すなわち,学問の自由と大学人の人権を著しく蹂躙した事件です。また,三教授が担当していた受講生・ゼミ生など学生の学習権をも突然奪いました。 言うまでもなく,今こうした権利侵害事件は,ひとり鹿児島国際大学のみならず,全国の大学,特に私立大学を中心に数多く発生しています。私立大学は志願者減を背景に,「経営困難」「生き残り」などを理由に学部・学科の改廃等を行うとともに,それを経営サイドから強権的に進め,その過程で教員の整理解雇,事務職への配置転換,強権的改革に異議を唱える労働組合員への嫌がらせ・差別・弾圧等不当労働行為事件を起こす大学が少なくないからです。現在,訴訟という形で闘われているいくつかの解雇事件はその代表的な事例と言えましょう。ここで個別大学名は明らかにできませんが,類似の事件は全国いたるところで潜在化しています。例えば,首都圏等の私大を管轄下におく東京私大教連が2003年度に団体交渉拒否・不当解雇など権利侵害事件があるとして報告した件数は34件,法人数は21法人(内訳は大学法人が17,短大法人4)に及んでいます。全国規模でみるとこの件数はさらにふくれあがり,表に現れない「事件」も含めるならば,無数に存在すると考えられます。 今後,私立学校法の改正による第三者評価機関の認証制度の導入も,利用のされ方によってはこうした事態に拍車をかけることは間違いありません。また,同様のことは学長権限の強化と教育公務員特例法からの教職員排除を強行した独立行政法人化(2004年4月実施)によって国公立大学に及ぶことも容易に予想されます。したがって,研究者・大学教職員の身分・地位と権利を守る運動は,職場に労働組合があるなしにかかわらず,独立行政法人・私立学校法人といった設置形態の相違を超えて,これまで以上に全国の全大学人にとって重要な課題となっていると考えています。 しかし,現在のところ,こうした運動は必ずしも大きな盛り上がりをみせているとは言えません。全国レベルにおいて,権利侵害との闘いを報告し経験交流する場は,私大関係で言えば,日本私大教連,日本科学者会議等が主催する年1〜2回の会合程度だけです。国公私立大学の関係団体が文字通り一体となって運動を組織することもないと思われます。したがって,日常的には,当事者やその関係団体はそれぞれ孤立した闘いを強いられています。 本サイトは,日々の出来事を掲載するのに最適なWeblogを利用しているため,ニュース・報道機関の記事等を主体としつつ,以下のような情報を掲載します。 1. 不当解雇事件等の権利侵害事件およびそれに関わる裁判情報や支援団体の取り組み情報 ※本サイトには,JRの国家的不当労働行為事件関係の記事もあります。これは直接的に大学関係の問題ではありませんが,労働問題研究者としての別の思い入れから掲載しています。 札幌学院大学経済学部 このホームページについてのご意見・問い合わせは,university(at)an.main.jp までお願いします。 |