個別エントリー別

« 新・大阪府立大の運営母体を国が認可 「公立大法人府立大」 | メイン | その他大学関係のニュース »

2004年12月01日

愛知県3大学問題、続報

コスト削減で利点/県立3大学「一括運営」提言

朝日新聞(11/30)

  県立大、県立芸術大、県立看護大の3大学の「あり方検討会議」(座長・奥野信宏中京大大学院教授)が29日、1法人が3大学を運営する「1法人3大学」を提言したのを受け、県側は今後、法人の組織づくりの検討に入る。教員やカリキュラムの共有化やコスト削減、職員の専門化などで利点が生まれるが、経営側の法人と大学との連携を懸念する声もある。1法人による複数大学運営は、全国初の試みで、その効果は未知数だ。

  報告書は、法人化に伴い、大学運営に経営の視点が導入され、教員以外の職員の専門化を図ることができるとした。また「1法人3大学」は、小規模の法人と比べ、(1)3大学間の教員や施設など知的資源の共通化・共有化を促進できる(2)総務・財務・人事・企画などの法人部門一本化で、間接コストを軽減できる(3)法人で採用した職員の人事異動の範囲を拡大できる、といった利点があるとした。学長選考機関や教育研究審議機関は、大学ごとに設けられ、個々の大学の特性を生かすこともできるとした。

  奥野座長は「1法人1大学では、経営的なセンスが運営の中に入ってこない」という。

  一方、県立大の佐々木雄太学長は「経営効率を求める法人側と、教育研究の充実を求める大学側が衝突しない形を考えねばならない。経営効率優先で、本来の目的の大学の活性化が失われていけない」と懸念を示す。

  法人化の時期は示されなかったが、奥野座長は「4年も5年もかかる話ではない。可及的速やかに法人化してほしい。どんなに遅くとも08年度以降になることはありえない」としている。

  報告書は将来、県立大と県立看護大の統合の可能性に含みを持たせた。

  県立大は、教育研究活動や昼夜開講制で県民の生涯学習への需要に応えているとする一方で、少子化により教員需要が減っており、学部・学科構成でも際立った特徴が見えにくいと、存在意義に厳しい評価がなされた。県立看護大についても、委員から「小規模で運営するよりも、県立大と一般教養を一緒にやり、県立大の校舎立地の良さを生かした方がいい」との意見が出された。

  委員からは「3大学が血を流す覚悟でやってもらわないと、再び統合の議論になる」「10年、20年と目標を設定して独立採算にしてほしい」という厳しい意見もあり、3大学を運営する法人の考え方次第では、再び統合が議論される可能性もある。

  県立3大学  県立大(長久手町、学生3186人)、県立芸術大(同、966人)、県立看護大(名古屋市守山区、370人)。学費が安く、自宅から通学できるなどとして人気があり、今年度入試の競争倍率は4・6~7・4倍と高い。今年度予算では3大学で約42億円の県費が投入されている。



県立3大学の一括運営法人 設立時期が明記されずに不満の声も

中日新聞(11/30)

 県立の三大学(県立大、県立芸術大、県立看護大)を一括運営する公立大学法人設立の方向で、二十九日の県の検討会議が最終報告書をまとめた。法人の設立時期が明記されておらず今後の課題となる一方、当事者である大学側は内容の一部に不満をにじませた。県は大学の意見を聞き、議会と調整しながら実現を図っていく。 (前田智之)

 この日の会議では報告書案について水谷研治委員(中京大教授)が「十年、二十年後に独立採算の方向を示すべきだ」と主張したほかは、異論はなく了承された。その後、各委員は感想を求められ、田島和憲委員(監査法人事務所長)は「自主自立、自己責任の大学になると思う。ただ、盛り込まれた内容を早く実行してほしい」と早期の法人化を促した。

 他の委員からは「法人化の評価、成果を問う必要がある」「三大学の先生は真摯(しんし)に受け止め、血を流す覚悟が求められる」などの注文が出された。

 席上、特別委員として出席した佐々木雄太県立大学長は「報告書に不本意な本大学への評価、現状認定があった。また“一法人三大学”は選択肢の一つという書き方もあったのではないか」と不満をのぞかせながらも、「県当局と改革を進めていきたい」と話した。

 草刈淳子看護大学長は「少子高齢化の時代、県民の健康を守るためには県の健康福祉部も踏まえた人材育成の検討がなされるべきだった」と述べた。島田章三芸大学長は、他の二大学との統合に踏み込んだ表現がなかったため「感謝している」と評価した。

県立3大学、「1法人下で運営を」 あり方検討会議、知事へ報告書提出 /愛知

毎日新聞(11/30)

 県立大(愛県大、長久手町)、県立芸術大(同町)、県立看護大(名古屋市守山区)の県立3大学の将来像を議論してきた「県立の大学あり方検討会議」は29日、一つの大学法人を設置し、3大学を運営する「1法人3大学」に移行するのが適当とする報告書を、神田真秋知事に提出した。法人化の具体的時期については示さなかった。報告書はまた、愛県大と看護大の統合を検討するよう求めた。1法人の下に複数の公立大学を設置した例は、国内ではない。【荒川基従】
 同会議座長の奥野信宏・元名古屋大副学長から報告書を受け取った神田知事は「県立の大学の存在意義という原点に立ち返った厳しい議論をいただいた。真摯(しんし)に受け止める。3大学の学長や関係者らと議論し、しっかりと方針を打ち出し、県民の期待にきちんと応えていかなければいけない」と答えた。県は報告書を参考にして、今後の3大学のあり方を検討する。
 報告書は「法人化により大学運営に経営の視点を導入し、大学マネジメントを確立することが有効。大学が県組織の一部では、人事や財務などの自由度を高めるのに限界がある」として法人化を提案。さらに、3大学間の連携を促進して教育研究活動を活性化させるとともに、効率的な経営などを行うためには、1法人3大学が望ましいと指摘した。
 大学統合については、愛県大と看護大は共通して履修できる教育内容があるとして、「将来に向けて大学統合を検討する必要がある」とした。一方、芸術大はほかの2大学とは類似性に乏しく、統合で教育研究の独自性が失われる恐れがあるとし、統合について慎重な立場をとった。
 また報告書は「県費を投入しても、なお維持すべき公立大学としての存在意義を立証、主張することが求められている」とした上で、「他の大学と何ら差別化できないならば、地方公共団体が公立大学を設置する意義が乏しくなる」と指摘。特に、愛県大に対しては、少子化により教員需要が減退し、「存在意義を説明しにくい。学部・学科の構成も際立った特徴が見えにくい」と厳しい意見を盛り込んだ。
 そして、今後の大学改革について「新しく大学をつくるという視点にも立った新たな理念を構築して存在意義を県民に示すとともに、外部資金の導入など自立を高め、より一層の効率化を図ることが必要」と説いた。
 また、県政の政策課題への参画や県事業の推進支援などに取り組み、大学の持つ知的資源を生かし、「県政のシンクタンク」の機能を担うことが必要とした。

愛知県立3大学、運営は1法人 検討会議報告

中部読売新聞(11/30)

 愛知県立三大学(県立大、県立芸術大、県立看護大)の方向性について協議する、有識者らによる検討会議(座長・奥野信宏中京大大学院教授)は二十九日、法人を新設して三大学を運営し、将来的には県立大と看護大の統合を目指すとの報告書をまとめ、神田真秋知事に提出した。
 一法人で三大学を運営する方式は、国公立大では初めて。奥野座長は「一法人三大学のメリットは、経営上の資源を共有できること。県民が納得できる大学づくりを目指して欲しい」と話した。
 県はこれを受け、今年度中にも、県立大の法人化と統合を進めるための委員会を設置する。


投稿者 管理者 : 2004年12月01日 00:41

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://university.main.jp/cgi311/mt/mt-tb.cgi/146

コメント