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2004年12月06日

東京都立大学人文学部、「中期計画(たたき台)に対する修正提案と意見」

都立大の危機 --- やさしいFAQ(2004年12月5日新着情報)
 ∟●「中期計画(たたき台)に対する修正提案と意見」(2004年12月3日)

中期計画(たたき台)に対する修正提案と意見

2004年12月3日  東京都立大学人文学部

 中期目標素案と同様、中期計画の「たたき台」も、教育研究組織としての大学の実態を知らぬまま、あるいはあえてそれを無視し、予め設けられたいくつかの既定方針にしたがって作成された机上の計画としか評価できない。大学に中期目標・計画を設定し事業管理を行うという発想自体正しいものとは考えないが、国立大学法人のそれと比べて見てさえも、新大学法人の中期目標・計画のずさんさ、拙劣さは誰の目にも明らかである。理事長を中心としたトップダウン体制、産学公連携の過剰な重視、任期制・年俸制と絡めた人件費の総額抑制、授業管理の手段と化した単位バンク、組織と個人の双方に及ぶ評価とインセンティブ、就職請負サービス業としての大学観、あまりに狭隘な社会の観念にしか基づかない社会貢献等々――これらの強引な方針の根底には、大学を設置者の思うがままにコントロールし、最低限の経費で行政の施策の補助機関として徹底的に利用したいという抜きがたい欲求があるように見える。しかし、大学を設置する動機として、こうした欲求があまりに歪んだものであることは指摘するまでもない。昨年夏以来の設置準備の過程で生じた多くの軋轢、現在もなお深刻な開学準備の遅滞と混乱、そして精神的荒廃一歩手前の教職員の士気の低下とやる気の喪失は、すべてこの根本の歪みから発しているのである。

 東京都は、今度こそ、教員組織からの意見聴取を単なる儀式として終わらせてはならない。中期計画を身をもって実施に移すのは教員であり、その矛盾をすべて引き受けなければならないのも教員である。さらに、大学には、学生がいる。そして、教員にのしかかる歪みと矛盾は、そのまますべて学生にも降りかかるほかはない。ずさんで展望を欠いた中期計画のつけは、結局、教員と学生の両者が支払うことになるのである。およそ大学である限り、その使命は人類社会の普遍的課題に関わるものであるべきだが、仮に百歩譲って、大都市の課題を解決することが新大学の使命であるとしても、この拙劣で矛盾だらけの計画で本当にそれが可能だと考えているとすれば、錯覚も甚だしい。本来なら、教員組織と緊密に連携しながら目標・計画を一から作り直すべきであろう。しかし、「諸般の事情」でそれができないというのであれば、最低限、今般寄せられた意見を真剣に受け止め、大胆な手直しを加えて出発する必要がある。それだけが、新大学が空中分解してしまわないためのせめてもの方策だからである。

★以下、「たたき台」原文のうち削除部分は二重取り消し線で、加筆部分は赤字で示した。要所に付したコメントは、加筆訂正の前提にある考え方を述べたものである。

……後略,上記URLを参照のこと。


投稿者 管理者 : 2004年12月06日 00:31

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